(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】外科用ツールの手動駆動機能
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20231004BHJP
【FI】
A61B34/35
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519478
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 IB2021058834
(87)【国際公開番号】W WO2022070028
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ベックマン・アンドリュー・ティー
(72)【発明者】
【氏名】シャイブ・チャールズ・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュー・トラヴィス・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ディッカーソン・ベンジャミン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ヒル・ジェイソン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】デクー・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】マークワルト・ニール
【テーマコード(参考)】
4C130
【Fターム(参考)】
4C130AA43
4C130AA48
4C130AA49
4C130AB01
(57)【要約】
第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、第1の端部と第2の端部との間に延在する、スプラインと、駆動ハウジング内に提供されており、かつ第1の端部と第2の端部との間で移動可能なキャリッジと、スプラインを手動で作動させるための機構と、を備える、外科用ツール。機構は、駆動ハウジングの第1又は第2の端部に配置されてもよい。機構は、フレームと、スプラインの端部を受容するように、フレームに回転可能に装着されたスプライン結合部と、リングギアであって、フレームの周りで回転可能であり、スプライン結合部に取り付けられたピニオンギアに動作可能に結合されており、それによって、フレームの周りでのリングギアの回転が、それに対応してスプラインを作動させる、リングギアと、を更に含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ツールであって、
第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する、スプラインと、
前記駆動ハウジング内に提供されており、かつ前記第1の端部と前記第2の端部との間で移動可能なキャリッジと、
前記スプラインを手動で作動させるために、前記駆動ハウジングの前記第1の端部又は前記第2の端部に配置された機構と、を備え、前記機構が、
フレームと、
前記スプラインの端部を受容するように、前記フレームに回転可能に装着されたスプライン結合部と、
リングギアであって、前記フレームの周りで回転可能であり、かつ前記スプライン結合部に動作可能に結合されており、それによって、前記フレームの周りでの前記リングギアの回転が、それに対応して前記スプラインを作動させる、リングギアと、を含む、外科用ツール。
【請求項2】
前記機構が、前記駆動ハウジングの前記第2の端部において取り外し可能に結合されたエンドキャップ内に提供されており、前記エンドキャップが、前記フレームの周囲の周りに配設されたリングを有し、前記リングギアが、前記リングの内側表面上に提供されている、請求項1に記載の外科用ツール。
【請求項3】
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する主ねじであって、前記キャリッジが、キャリッジナットにおいて、前記主ねじに移動可能に装着可能である、主ねじと、
前記主ねじの端部を受容するように、前記駆動ハウジングの前記第1の端部において、プレートに回転可能に装着されたステージ結合部と、
前記プレートの周りで回転可能なエンクロージャと、
前記エンクロージャの内側表面上に提供された遠位リングギアと、を更に備え、
前記遠位リングギアが、前記ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、前記プレートの周りでの前記遠位リングギアの回転が、それに対応して前記主ねじを作動させて、前記キャリッジナットを並進させる、請求項2に記載の外科用ツール。
【請求項4】
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する主ねじを更に備え、前記キャリッジが、キャリッジナットにおいて、前記主ねじに移動可能に装着されており、前記機構が、前記主ねじの端部を受容するように、前記フレームに回転可能に装着されたステージ結合部を更に備え、前記リングギアが、前記ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、前記フレームの周りでの前記リングギアの回転が、それに対応して前記主ねじを作動させて、前記キャリッジナットを並進させる、請求項2に記載の外科用ツール。
【請求項5】
前記機構が、前記駆動ハウジングの前記第1の端部に回転可能に配置されたエンクロージャ内に提供されており、前記エンクロージャが、前記フレームの周囲の周りに配設されており、前記リングギアが、前記エンクロージャの内側表面上に提供されている、請求項1に記載の外科用ツール。
【請求項6】
前記スプラインに結合されており、かつ前記スプラインの回転とともに回転可能な駆動ギアと、
起動機構であって、前記キャリッジ内に収容されており、かつ前記駆動ギアに動作可能に結合されており、それによって、前記駆動ギアの回転が、それに対応して前記起動機構を作動させる、起動機構と、
前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、を更に備える、請求項1に記載の外科用ツール。
【請求項7】
前記エンドエフェクタが、一対のジョーを含み、前記リングギアの回転が、それに対応して前記ジョーを開放又は閉鎖する、請求項6に記載の外科用ツール。
【請求項8】
主ねじの端部を受容するように、前記駆動ハウジングの前記第1の端部において、プレートに回転可能に装着されたステージ結合部であって、前記主ねじが、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、前記キャリッジが、キャリッジナットにおいて、前記主ねじに移動可能に装着可能である、ステージ結合部と、
前記プレートの周りで回転可能なエンクロージャと、
前記エンクロージャの内側表面上に提供された遠位リングギアであって、前記ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、前記プレートの周りでの前記遠位リングギアの回転が、それに対応して前記主ねじを作動させる、遠位リングギアと、を更に備える、請求項7に記載の外科用ツール。
【請求項9】
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する主ねじと、前記キャリッジに接続されており、かつ前記主ねじ上に提供されたキャリッジナットと、前記主ねじの端部を受容するように、前記フレームに回転可能に装着されたステージ結合部と、を更に備え、前記リングギアが、前記ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、前記フレームの周りでの前記リングギアの回転が、それに対応して前記主ねじを作動させる、請求項1に記載の外科用ツール。
【請求項10】
前記キャリッジに動作可能に結合されており、かつ前記キャリッジの関連付けられた起動機構から前記スプラインを係合解除するように移動可能なレバーと、
前記レバー上に画定されており、かつ前記レバーが前記スプラインを係合解除するときに、前記起動機構と係合可能な少なくとも1つのギア歯と、を更に備える、請求項1に記載の外科用ツール。
【請求項11】
スプライン駆動ギアが、前記スプラインとともに回転するように、前記スプラインに結合されており、前記レバーが、前記スプライン駆動ギアまで延在し、かつ前記スプライン駆動ギアを前記スプラインに沿って軸方向に並進させるように、前記レバーとともに移動可能なスクープ部分を含む、請求項10に記載の外科用ツール。
【請求項12】
外科用ツールであって、
第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する、スプラインと、
前記駆動ハウジング内に提供されており、かつ前記第1の端部と前記第2の端部との間で移動可能なキャリッジと、
前記第2の端部に取り外し可能に結合されたエンドキャップと、を備え、前記エンドキャップが、
フレームと、
前記フレーム内に回転可能に配置されており、かつ前記キャップが前記第2の端部に結合されるときに、前記スプラインの端部を受容するように構成されたスプライン結合部と、
リングギアであって、前記フレーム上に摺動可能に提供されており、かつ前記スプライン結合部に動作可能に結合されており、それによって、前記フレームの周りでの前記リングギアの回転が、それに対応して前記スプラインを作動させる、リングギアと、を含む、外科用ツール。
【請求項13】
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する主ねじと、前記キャリッジに接続されており、かつ前記主ねじ上に提供されたキャリッジナットと、前記駆動ハウジングの前記第1の端部において、プレート内に回転可能に配設されたステージ結合部と、前記プレートの周りに摺動可能に提供されたエンクロージャと、前記エンクロージャ内に配置された遠位リングギアと、を更に備え、前記ステージ結合部が、前記主ねじの端部を受容するように構成されており、前記遠位リングギアが、前記ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、前記プレートの周りでの前記遠位リングギアの回転が、それに対応して前記主ねじを作動させて、前記キャリッジナットを並進させる、請求項12に記載の外科用ツール。
【請求項14】
前記スプラインに結合されており、かつ前記スプラインの回転とともに回転可能な駆動ギアと、
起動機構であって、前記キャリッジ内に収容されており、かつ前記駆動ギアに動作可能に結合されており、それによって、前記駆動ギアの回転が、それに対応して前記起動機構を作動させる、起動機構と、
前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、を更に備える、請求項12に記載の外科用ツール。
【請求項15】
前記エンドエフェクタが、前記起動機構の起動時に開放又は閉鎖するように、前記細長いシャフトの遠位端部に動作可能に配置された一対のジョーを含み、それによって、前記リングギアの回転が、それに対応して前記ジョーを開放又は閉鎖する、請求項14に記載の外科用ツール。
【請求項16】
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する主ねじと、前記キャリッジに接続されており、かつ前記主ねじ上に提供されたキャリッジナットと、前記駆動ハウジングの前記第1の端部において、プレート内に回転可能に配設されたステージ結合部と、前記プレートの周りに摺動可能に提供されたエンクロージャと、前記エンクロージャ内に配置された遠位リングギアと、を更に備え、前記ステージ結合部が、前記主ねじの端部を受容するように構成されており、前記遠位リングギアが、前記ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、前記プレートの周りでの前記遠位リングギアの回転が、それに対応して前記主ねじを作動させて、前記キャリッジナットを並進させる、請求項15に記載の外科用ツール。
【請求項17】
前記キャリッジに動作可能に結合されたレバーを更に備え、前記レバーが、前記スプラインを前記キャリッジの関連付けられた起動機構から係合解除するように移動可能であり、前記レバーが、前記レバーが前記スプラインを前記関連付けられた起動機構から係合解除するときに、前記起動機構と係合するように移動される少なくとも1つのギア歯を含む、請求項12に記載の外科用ツール。
【請求項18】
スプライン駆動ギアが、前記スプラインと一体となって回転するように、前記スプライン上に提供されており、前記レバーが、前記スプライン駆動ギアに近接して延在し、かつ前記スプライン駆動ギアを前記スプラインに沿って軸方向に並進させるように、前記レバーとともに移動可能なスクープ部分を含む、請求項17に記載の外科用ツール。
【請求項19】
外科用ツールであって、
第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在可能なスプラインと、
前記駆動ハウジング内に移動可能に提供されており、かつ前記第1の端部と前記第2の端部との間で移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジの関連付けられた起動機構から前記スプラインを手動で結合解除するためのレバーであって、前記レバーが、前記レバーが第1の軸の周りで回転するときに、前記起動機構と係合するように移動可能である少なくとも1つのギア歯を有し、前記レバーが、前記起動機構をギア歯のセットと係合させるように、第2の軸の周りで回転可能である、レバーと、を備える、外科用ツール。
【請求項20】
スプライン駆動ギアが、前記スプラインと一体となって回転するように、前記スプライン上に提供されており、前記レバーが、前記スプライン駆動ギアに近接して延在し、かつ前記スプライン駆動ギアを前記スプラインに沿って軸方向に並進させるように、前記レバーとともに移動可能なスクープ部分を含む、請求項19に記載の外科用ツール。
【請求項21】
外科用ツールであって、
第1の端部を有する、駆動ハウジングと、
スプラインであって、前記第1の端部から延在し、かつ前記スプラインに装着されたスプラインピニオンギアを有する、スプラインと、
前記スプラインを前記第1の端部に回転可能に結合し、かつ入力ピニオンギアを提供する、駆動入力部と、
前記スプラインピニオンギアと前記入力ピニオンギアとの間に介在し、かつ内部ギアを画定している、クラッチと、
アーマチュアであって、前記クラッチに動作可能に結合されており、かつ前記クラッチを、前記内部ギアが前記スプラインピニオンギア及び前記入力ピニオンギアと同時に嵌合し、それによって、前記駆動入力部の回転が、それに対応して前記スプラインを回転させる、第1の位置から、前記内部ギアが前記入力ピニオンギアから係合解除され、それによって、前記スプラインが前記駆動入力部とは独立して回転可能である、第2の位置にシフトさせるように動作可能である、アーマチュアと、を備える、外科用ツール。
【請求項22】
前記クラッチを前記第1の位置に押しやる付勢要素を更に備える、請求項21に記載の外科用ツール。
【請求項23】
前記スプラインピニオンギア及び前記入力ピニオンギアが、ギア歯の同一の配置を有する、請求項21に記載の外科用ツール。
【請求項24】
前記スプラインに移動可能に装着されたキャリッジと、
前記スプラインに結合されており、かつ前記スプラインの回転とともに回転可能な駆動ギアと、
起動機構であって、前記キャリッジ内に収容されており、かつ前記駆動ギアに動作可能に結合されており、それによって、前記駆動ギアの回転が、それに対応して前記起動機構を作動させる、起動機構と、を更に備え、
前記クラッチを前記第2の位置にシフトさせることが、前記起動機構を前記駆動入力部から結合解除させる、請求項21に記載の外科用ツール。
【請求項25】
前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記シャフトの遠位端部に配置されており、かつ一対のジョーを含む、エンドエフェクタであって、前記ジョーが、前記起動機構の起動時に開放又は閉鎖する、エンドエフェクタと、を更に備える、請求項24に記載の外科用ツール。
【請求項26】
前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記シャフトの遠位端部に配置されており、かつ前記起動機構の起動時に前進又は後退する切断要素を含む、エンドエフェクタと、を更に備える、請求項24に記載の外科用ツール。
【請求項27】
前記スプラインピニオンギアに近接して前記スプライン上に提供された手動ドライバギアを更に備え、前記手動ドライバギアが、前記クラッチが前記第1の位置にあるときに、前記スプラインピニオンギアに対して前記スプラインの周りで回転可能である、請求項21に記載の外科用ツール。
【請求項28】
前記クラッチが前記第2の位置にあるときに、前記内部ギアが、前記スプラインピニオンギア及び前記手動ドライバギアの両方と同時に噛合し、それによって、前記手動ドライバギアの回転が、それに対応して、前記駆動入力部とは独立して前記スプラインを回転させる、請求項27に記載の外科用ツール。
【請求項29】
器具ドライバを更に備え、前記器具ドライバは、ロボットアームの遠位端部に配置されており、かつ前記外科用ツールが前記器具ドライバに結合されたときに、前記駆動入力部と嵌合可能な駆動出力部を提供し、前記クラッチを前記第2の位置にシフトさせることが、前記スプラインを前記駆動出力部から係合解除し、前記スプラインを前記手動ドライバギアと係合させ、前記手動ドライバギアが次いで、前記スプラインを作動させるように回転可能である、請求項28に記載の外科用ツール。
【請求項30】
前記第2の位置にシフトされたときに、前記クラッチを前記第2の位置に保持し、それによって、前記クラッチが前記第1の位置にシフトして戻り、前記スプラインが前記駆動入力部と再係合することを阻止するキャッチが提供されている、請求項21に記載の外科用ツール。
【請求項31】
外科用ツールであって、
第1の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部から延在可能な複数のスプラインであって、各スプラインが、それぞれの駆動入力部において、前記第1の端部に回転可能に結合されており、各スプラインが、その上に固定されたそれぞれのスプラインピニオンギアを有し、各それぞれの駆動入力部が、その上に固定された入力ピニオンギアを有する、複数のスプラインと、
前記スプラインの各々に関連付けられたクラッチであって、前記クラッチの各々が、前記スプラインとそれに関連付けられた入力ピニオンギアとの間に介在し、かつ内部ギアを画定している、クラッチと、
脱出アーマチュアであって、前記クラッチに動作可能に結合されており、かつ前記クラッチの各々を、各クラッチの前記内部ギアが前記それぞれのスプラインピニオンギア及びそれに関連付けられた前記入力ピニオンギアと同時に嵌合し、それによって、前記それぞれの駆動入力部の回転が、それに対応して、それに関連付けられた前記スプラインを回転させる、第1の位置から、各クラッチの前記内部ギアが前記それぞれの入力ピニオンギアから係合解除され、それによって、前記それぞれの駆動入力部がそれに関連付けられた前記スプラインとは独立して回転可能である、第2の位置にシフトさせるように動作可能である、脱出アーマチュアと、を備え、
前記脱出アーマチュアが、各クラッチを前記第1の位置から前記第2の位置に同時にシフトさせるように、第1の回転セグメントの適用を介して作動可能である、外科用ツール。
【請求項32】
前記外科用ツールが、前記第1の回転セグメントの適用中に、ロボット器具ドライバに結合されたままである、請求項31に記載の外科用ツール。
【請求項33】
前記外科用ツールが、第2の回転セグメントの適用時に、前記ロボット器具ドライバから結合解除される、請求項32に記載の外科用ツール。
【請求項34】
前記第2の位置にシフトされたときに、前記クラッチのうちの少なくとも1つを前記第2の位置に保持し、それによって、前記少なくとも1つのクラッチが前記第1の位置にシフトして戻り、それに関連付けられた前記スプラインが前記それぞれの駆動入力部と再係合することを阻止するキャッチが提供されている、請求項31に記載の外科用ツール。
【請求項35】
キャリッジナットにおいて、主ねじに移動可能に装着可能なキャリッジと、
前記スプラインの各々に結合されたそれぞれの駆動ギアであって、それに関連付けられた前記スプラインの回転とともに回転可能なそれぞれの駆動ギアと、
前記スプラインの各々に関連付けられた起動機構であって、前記起動機構の各々が、前記キャリッジ内に収容されており、前記それぞれの駆動ギアに動作可能に結合されており、それによって、前記それぞれの駆動ギアの回転が、それに対応して、それに関連付けられた前記起動機構を作動させる、起動機構と、
前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、前記細長いシャフトの前記遠位端部に動作可能に配置されて、前記起動機構のうちの第1の起動機構の起動時に開放又は閉鎖する一対のジョーを有し、前記エンドエフェクタが、前記起動機構のうちの第2の起動機構の起動時に発射するように動作可能に配置された切断要素を更に備える、エンドエフェクタと、を更に備え、
前記クラッチを前記第2の位置にシフトさせることが、前記第1の起動機構及び前記第2の起動機構を前記それぞれの駆動入力部から結合解除し、それによって、前記それぞれの駆動入力部を前記ジョーの開放又は閉鎖、並びに前記切断要素の発射から係合解除する、請求項31に記載の外科用ツール。
【請求項36】
外科用ツールの駆動入力部を結合解除する方法であって、
第1の端部と、第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在可能な主ねじ及び少なくとも1つのスプラインと、前記スプラインに装着されたスプラインピニオンギアと、前記スプラインを前記第1の端部に回転可能に結合する前記駆動入力部に提供された入力ピニオンギアと、前記スプラインピニオンギアと前記入力ピニオンギアとの間に介在し、かつ内部ギアを画定しているクラッチと、を有する、駆動ハウジングを提供することと、
前記クラッチを、前記内部ギアが前記スプラインピニオンギア及び前記入力ピニオンギアと同時に嵌合し、それによって、前記駆動入力部の回転が、それに対応して前記スプラインを回転させる、第1の位置から、前記内部ギアが前記入力ピニオンギアから係合解除され、それによって、前記スプラインが前記駆動入力部とは独立して回転可能である、第2の位置にシフトさせることと、を含む、方法。
【請求項37】
前記クラッチを前記第1の位置に押しやる付勢要素を更に備える、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
アーマチュアを作動させ、それによって前記クラッチを前記第2の位置に移動させることを更に含み、前記アーマチュアが、前記クラッチに動作可能に結合されており、前記クラッチを前記第1の位置から前記第2の位置にシフトさせるように動作可能である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記アーマチュアを作動させることが、第1の回転セグメントを適用し、それによって前記アーマチュアを作動させ、かつ前記クラッチを前記第1の位置から移動させることを更に含み、前記外科用ツールが、前記第1の回転セグメントの適用中にロボット器具ドライバに結合されたままである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
第2の回転セグメントを適用し、それによって前記外科用ツールを前記ロボット器具ドライバから結合解除することを更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
外科用ツールであって、
第1の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部から延在する、スプラインと、
前記スプラインに移動可能に装着可能であり、1つ又は2つ以上の近位層及び1つ又は2つ以上の遠位層を含む、キャリッジと、
ラッチであって、前記ラッチが前記1つ又は2つ以上の近位層を前記1つ又は2つ以上の遠位層に固定するロック位置と、前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層から自由に分離するロック解除位置との間で枢動可能なラッチと、を備える、外科用ツール。
【請求項42】
前記ラッチが、前記1つ又は2つ以上の近位層に枢動可能に装着されており、前記ロック位置及び前記ロック解除位置に枢動して出入りする、請求項41に記載の外科用ツール。
【請求項43】
前記第1の端部から延在するシュラウドと、
前記シュラウド内に画定されている窓を通って半径方向に突出し、前記1つ又は2つ以上の近位層から延在するフィンと、を更に備える、請求項42に記載の外科用ツール。
【請求項44】
前記ラッチが、前記1つ又は2つ以上の近位層の前記フィンにピン留めされている、請求項43に記載の外科用ツール。
【請求項45】
前記1つ又は2つ以上の遠位層に提供されたロック特徴部を更に備え、前記ラッチが、前記ロック位置において、前記ロック特徴部に取り付け可能である、請求項44に記載の外科用ツール。
【請求項46】
前記遠位層から遠位に延在し、前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、
前記スプラインに結合されており、前記スプラインの回転とともに回転可能な駆動ギアと、
前記1つ又は2つ以上の近位層内に収容されており、かつ前記駆動ギアに動作可能に結合されており、前記駆動ギアの回転時に発射ロッドを前進させる起動機構であって、前記発射ロッドが、前記1つ又は2つ以上の近位層に結合されており、前記細長いシャフトを通って延在する、起動機構と、を更に備える、請求項41に記載の外科用ツール。
【請求項47】
前記エンドエフェクタが、前記発射ロッドの遠位端部に動作可能に結合された切断要素を含み、前記起動機構を起動することが、前記切断要素を前進又は後退させる、請求項46に記載の外科用ツール。
【請求項48】
前記スプラインが第1のスプラインを含み、前記駆動ギアが第1の駆動ギアを含み、前記起動機構が第1の起動機構を含み、前記外科用ツールが、
前記第1の端部から延在する第2のスプラインと、
前記第2のスプラインに結合されており、前記第2のスプラインの回転とともに回転可能な第2の駆動ギアと、
第2の起動機構であって、前記1つ又は2つ以上の遠位層内に収容されており、かつ前記第2の駆動ギアに動作可能に結合されており、前記第2の起動機構の起動時に前記エンドエフェクタに提供された一対のジョーを開放又は閉鎖する、第2の起動機構と、を更に備える、請求項47に記載の外科用ツール。
【請求項49】
前記1つ又は2つ以上の近位層が、前記ラッチが前記ロック解除位置に移動されたときに、前記1つ又は2つ以上の近位層を前記1つ又は2つ以上の遠位層から分離するように動作可能なジャッキを含む、請求項41に記載の外科用ツール。
【請求項50】
前記ジャッキが、伸長可能な脚部に動作可能に接続された回転可能なねじを含み、前記ねじの回転が、前記1つ又は2つ以上の遠位層に当接して前記伸長可能な脚部を伸長させる、請求項49に記載の外科用ツール。
【請求項51】
前記第1の端部から延在するシュラウドを更に備え、前記回転可能なねじが、前記シュラウドに画定されている窓を通してアクセス可能である、請求項50に記載の外科用ツール。
【請求項52】
外科用ツールであって、
第1の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部から延在する、スプラインと、
前記スプラインに移動可能に装着可能であり、1つ又は2つ以上の近位層及び1つ又は2つ以上の遠位層を含む、キャリッジと、
ラッチであって、前記ラッチが前記1つ又は2つ以上の近位層を前記1つ又は2つ以上の遠位層に固定するロック位置と、前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層から自由に分離可能であるロック解除位置との間で枢動可能なラッチと、
前記1つ又は2つ以上の近位層に取り付けられており、前記ラッチが前記ロック解除位置にあるときに、前記1つ又は2つ以上の遠位層に対して前記1つ又は2つ以上の近位層を移動させるように動作可能なジャッキと、を備える、外科用ツール。
【請求項53】
前記ジャッキが、脚部を含み、前記1つ又は2つ以上の遠位層に当接して前記脚部を伸長させるように動作可能である、請求項52に記載の外科用ツール。
【請求項54】
前記駆動ハウジングが、前記第1の端部から延在するシュラウドを更に備え、前記ジャッキが、前記シュラウドに画定されている窓を通してアクセス可能である、請求項53に記載の外科用ツール。
【請求項55】
前記1つ又は2つ以上の近位層から前記窓を通って半径方向に延在するフィンを更に備える、請求項54に記載の外科用ツール。
【請求項56】
前記1つ又は2つ以上の遠位層から遠位に延在し、前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、
前記スプラインに結合されており、前記スプラインの回転とともに回転可能な駆動ギアと、
前記1つ又は2つ以上の近位層内に収容されており、かつ前記駆動ギアの回転時に発射ロッドを前進させるように前記駆動ギアに動作可能に結合された第1の起動機構であって、前記発射ロッドが、前記1つ又は2つ以上の近位層に結合されており、前記1つ又は2つ以上の近位層から前記細長いシャフトを通って延在する、第1の起動機構と、を更に備える、請求項52に記載の外科用ツール。
【請求項57】
前記エンドエフェクタが、前記第1の起動機構の起動時に発射又は後退するように前記発射ロッドの遠位端部に動作可能に配置された切断要素を含む、請求項56に記載の外科用ツール。
【請求項58】
前記エンドエフェクタが、前記1つ又は2つ以上の遠位層内に提供された第2の起動機構の起動時に開放又は閉鎖するように、前記細長いシャフトの前記遠位端部に動作可能に配置された一対のジョーを含む、請求項57に記載の外科用ツール。
【請求項59】
外科用ツールを分解する方法であって、
第1の端部と、前記第1の端部から延在する、スプラインと、前記スプラインに移動可能に装着可能であり、かつ1つ又は2つ以上の近位層及び1つ又は2つ以上の遠位層を含む、キャリッジと、ラッチであって、前記ラッチが前記1つ又は2つ以上の近位層を前記1つ又は2つ以上の遠位層に固定するロック位置と、前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層から自由に分離するロック解除位置との間で枢動可能なラッチと、を有する駆動ハウジングを提供することと、
前記ラッチをロック解除することと、
前記1つ又は2つ以上の近位層を前記1つ又は2つ以上の遠位層から分離することと、を含む、方法。
【請求項60】
前記1つ又は2つ以上の近位層を前記1つ又は2つ以上の遠位層から分離することが、前記1つ又は2つ以上の近位層に取り付けられており、かつ前記ラッチが前記ロック解除位置にあるときに、ジャッキ脚部を前記1つ又は2つ以上の遠位層に当接して伸長させ、それによって前記1つ又は2つ以上の近位層を前記1つ又は2つ以上の遠位層に対して移動させるように動作可能であるジャッキを起動することを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
外科用ツールであって、
第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、駆動入力部において、前記第1の端部に回転可能に結合されたスプラインと、
前記スプラインに結合されており、前記スプラインとともに回転可能な駆動ギアと、
前記スプラインに移動可能に装着されており、かつ前記駆動ギアに動作可能に結合された起動機構を収容しており、それによって、前記スプラインの回転が、前記起動機構を作動させる、キャリッジと、
前記第2の端部に配置されており、かつレバーを含む脱出機構であって、前記レバーが、前記スプラインに対して、前記スプラインが前記レバーから係合解除される第1の位置から、前記スプラインが前記レバーに係合し、それによって、前記レバーの回転が、それに対応して前記スプラインを回転させる第2の位置まで移動可能である、脱出機構と、を備える、外科用ツール。
【請求項62】
ロボットアームの端部に配置されており、前記駆動ハウジングの前記第1の端部と嵌合可能な器具ドライバと、
駆動出力部であって、前記器具ドライバによって提供され、かつ前記駆動入力部と嵌合可能であり、それによって、前記駆動出力部の回転が、それに対応して前記駆動入力部を回転させ、それによって前記起動機構を作動させる、駆動出力部と、を更に備え、
前記スプラインが、前記レバーが前記第1の位置にあるときに、前記駆動出力部と係合され、前記レバーが前記第2の位置に移動することによって前記駆動出力部から係合解除される、請求項61に記載の外科用ツール。
【請求項63】
ロボットアームの端部に配置されており、前記駆動ハウジングの前記第1の端部と嵌合可能な器具ドライバと、
駆動出力部であって、前記器具ドライバによって提供され、かつ前記駆動入力部と嵌合可能であり、それによって、前記駆動出力部の回転が、それに対応して前記駆動入力部を回転させ、それによって前記起動機構を作動させる、駆動出力部と、を更に備え、
前記スプラインが、前記レバーが前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動するときに、前記駆動出力部と係合したままである、請求項61に記載の外科用ツール。
【請求項64】
前記スプラインの近位端部に提供されており、前記スプラインとともに回転可能な手動駆動ギアを更に備え、前記手動駆動ギアが、前記レバーが前記第1の位置にあるときに、前記レバーに対して回転可能であり、前記手動駆動ギアが、前記レバーが前記第2の位置に移動されるときに、前記レバーに回転で係合する、請求項61に記載の外科用ツール。
【請求項65】
前記レバーが、前記レバーが前記第2の位置に移動されるときに、前記手動駆動ギアの対応する少なくとも1つのギア歯に係合する少なくとも1つのギア歯を含む、請求項64に記載の外科用ツール。
【請求項66】
前記脱出機構が、前記レバーが前記第1の位置にあるときに、前記手動駆動ギアの下に取り外し可能に位置決めされるスペーサバーを更に含み、前記レバーが、前記スペーサバーの取り外し時に前記第2の位置に移動可能であり、それによって前記レバーを前記手動駆動ギアと回転係合して位置決めする、請求項64に記載の外科用ツール。
【請求項67】
前記脱出機構が、取り外し可能なカバーを更に含み、前記スペーサバーが前記取り外し可能なカバーに取り付けられており、前記取り外し可能なカバーが、前記スペーサバーが前記手動駆動ギアの下に延在する状態で前記レバーを囲むように、前記駆動ハウジングの前記第2の端部において装着可能である、請求項66に記載の外科用ツール。
【請求項68】
前記レバーが、第1のボアセクション及び第2のボアセクションを含み、前記手動駆動ギアが、前記レバーの前記第1のボアセクション内に配向されたときに、前記レバーに対して自由に回転可能であり、前記手動駆動ギアが、前記レバーの前記第2のボアセクション内に配向されたときに、前記レバーとともに回転可能である、請求項64に記載の外科用ツール。
【請求項69】
前記脱出機構が、前記レバーに付勢力を加え、それによって前記レバーを前記第2の位置に向かって押しやる付勢要素を更に含む、請求項68に記載の外科用ツール。
【請求項70】
前記脱出機構が、取り外し可能なカバーを更に含み、前記取り外し可能なカバーは、前記駆動ハウジングの前記第2の端部に装着可能であり、かつ前記取り外し可能なカバーに取り付けられた保持ピンを有し、それによって、前記取り外し可能なカバーが前記駆動ハウジングに装着されると、前記保持ピンが前記レバーに接触し、前記手動駆動ギアが前記レバーの前記第1のボアセクション内に配向された状態で前記レバーを前記第1の位置に維持する、請求項69に記載の外科用ツール。
【請求項71】
前記保持ピンが前記レバーから離れるように移動すると、前記付勢要素が、前記レバーを前記第2の位置に向かう方向に押し、それによって、前記手動駆動ギアを、前記手動駆動ギアが前記レバーとともに回転可能である前記第2のボアセクション内に配向する、請求項70に記載の外科用ツール。
【請求項72】
前記レバーが、前記第2のボアセクション内に配向されたときに、前記手動駆動ギアに接触するように前記第2のボアセクションに近接して位置決めされたレッジを更に備え、それによって、前記手動駆動ギアが前記レバーの前記第2のボアセクション内に配向された状態で、前記付勢要素が前記レバーを前記第2の位置に向かう前記方向に並進させると、前記レッジが前記手動駆動ギアに接触して前記手動駆動ギアを担持し、それによって前記手動駆動ギアに接続された前記スプラインを前記第2の位置に向かう前記方向に引っ張る、請求項71に記載の外科用ツール。
【請求項73】
前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、
前記駆動ギアの回転時に並進するように前記起動機構に動作可能に結合された発射ロッドであって、前記発射ロッドが、前記細長いシャフトを通って延在する、発射ロッドと、
前記エンドエフェクタに提供されており、かつ前記発射ロッドの遠位端部に動作可能に結合された切断要素であって、前記起動機構を作動させることが、前記切断要素を前進又は後退させ、前記起動機構が、前記発射ロッドのねじ部分の周りに配置された雌ねじギアを含み、前記雌ねじギアが、前記スプライン上の前記駆動ギアと噛合し、それによって、前記スプラインの回転によって、前記発射ロッドが軸方向に並進し、前記駆動ギアが、前記雌ねじギアよりも軸方向に長く、それによって、前記スプラインが前記第1の位置及び前記第2の位置にあるときに、前記駆動ギアが前記雌ねじギアと噛合したままである、切断要素と、を更に備える、請求項72に記載の外科用ツール。
【請求項74】
前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、
前記駆動ギアの回転時に並進するように前記起動機構に動作可能に結合された発射ロッドであって、前記細長いシャフトを通って延在する、発射ロッドと、
前記エンドエフェクタに提供されており、かつ前記発射ロッドの遠位端部に動作可能に結合された切断要素であって、前記起動機構を作動させることが、前記切断要素を前進又は後退させる、切断要素と、を更に備える、請求項73に記載の外科用ツール。
【請求項75】
前記スプラインが第1のスプラインを含み、前記駆動ギアが第1の駆動ギアを含み、前記起動機構が第1の起動機構を含み、前記外科用ツールが、
前記第1の端部から延在する第2のスプラインと、
前記第2のスプラインに結合されており、前記第2のスプラインの回転とともに回転可能な第2の駆動ギアと、
第2の起動機構であって、前記キャリッジ内に収容されており、かつ前記第2の駆動ギアに動作可能に結合されており、前記第2の起動機構の起動時に前記ジョーを開放又は閉鎖する、第2の起動機構と、を更に備え、
前記第1の起動機構が、前記発射ロッドのねじ部分の周りに配置された雌ねじギアを含み、前記雌ねじギアが、前記第1のスプライン上の前記第1の駆動ギアと噛合し、それによって、前記第1のスプラインの回転によって、前記発射ロッドが軸方向に並進する、請求項74に記載の外科用ツール。
【請求項76】
外科用ツールであって、
第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、駆動入力部において、前記第1の端部に回転可能に結合されたスプラインと、
前記スプライン上に装着されており、前記スプラインとともに回転可能な駆動ギアと、
前記スプラインの近位端部上に装着されており、前記スプラインとともに回転可能な手動駆動ギアと、
前記スプラインに移動可能に装着可能であり、かつ前記駆動ギアに動作可能に結合された起動機構を収容しており、それによって、前記スプラインの回転が前記起動機構を作動させる、キャリッジと、
前記スプラインの前記近位端部に結合されたレバーと、
取り外し可能なカバーであって、前記レバーを囲むように前記駆動ハウジングの前記第2の端部に提供されており、かつ前記手動駆動ギアが前記レバーから係合解除されて前記レバーに対して自由に回転可能である第1の位置に前記レバーを支持するように前記レバーの下に位置決めされたスペーサバーを有し、前記レバーの下からの前記スペーサバーの取り外し時に、前記レバーが、前記レバーが前記手動駆動ギアに係合し、それによって、前記レバーの回転がそれに対応して前記スプラインを回転させる第2の位置に移動可能である、取り外し可能なカバーと、を備える、外科用ツール。
【請求項77】
前記レバーが、遠位部分及び近位部分を有するボアを含み、前記レバーが、前記手動駆動ギアが前記レバーから結合解除され、前記レバーとは独立して自由に回転可能である、前記ボアの前記遠位部分と、前記手動駆動ギアが前記レバーに結合され、それによって、前記レバーの回転がそれに対応して前記スプラインを回転させる、前記ボアの前記近位部分との間で前記手動駆動ギアを配向するように移動可能である、請求項76に記載の外科用ツール。
【請求項78】
前記ボア及び前記手動駆動ギアがそれぞれ、対応するキー付き表面を含み、前記対応するキー付き表面は、前記レバーが前記手動駆動ギアに対して第1の端部に向かう方向に移動されたときに、前記手動駆動ギアを前記レバーに結合するように互いに係合可能であり、それによって前記ボアの前記近位部分内で前記手動駆動ギアを配向する、請求項77に記載の外科用ツール。
【請求項79】
外科用ツールであって、
第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、駆動入力部において、前記第1の端部に回転可能に結合されたスプラインと、
前記スプラインに結合されており、前記スプラインとともに回転可能な駆動ギアと、
前記スプラインの近位端部に提供されており、前記スプラインとともに回転可能な手動駆動ギアと、
前記スプラインに移動可能に装着可能であり、かつ前記駆動ギアに動作可能に結合された起動機構を収容しており、それによって、前記スプラインの回転が前記起動機構を作動させる、キャリッジと、
前記スプラインが貫通した状態で前記第2の端部に提供されたエンドキャップと、
前記スプラインの前記近位端部に提供されており、かつ中に前記手動駆動ギアが提供されたボアを有するレバーであって、前記ボアが、前記手動駆動ギアが中に配向されると前記レバーに対して自由に回転可能である第1のボアセクションと、前記手動駆動ギアが中に配向されると前記レバーとともに回転可能である第2のボアセクションと、を含み、前記レバーが、前記手動駆動ギアが第1のボアセクション内に配向され、したがって前記レバーから係合解除されて前記レバーに対して回転可能である第1の位置と、前記手動駆動ギアが第2のボアセクション内に配向され、したがってレバーに係合されてレバーとともに回転可能である第2の位置との間で、前記手動駆動ギアに対して移動可能である、レバーと、
前記レバーを前記第2の位置に向かって押しやるように配置された付勢要素と、
取り外し可能なカバーであって、前記レバーを囲むように前記エンドキャップに装着可能であり、かつ前記取り外し可能なカバーの内部に位置決めされた保持ピンを有し、それによって、前記取り外し可能なカバーが前記エンドキャップに装着されたときに、前記手動駆動ギアが前記レバーの前記第1のボアセクション内に配向された状態で、前記保持ピンが前記レバーに接触し、それによって前記レバーを前記第1の位置に維持し、前記取り外し可能なカバーが取り外されて、前記保持ピンを前記レバーから離れるように移動させると、前記付勢要素が前記レバーを前記第2の位置に向かう方向に押し、それによって前記手動駆動ギアを、前記手動駆動ギアが前記レバーとともに回転可能である前記第2のボアセクション内に配向する、取り外し可能なカバーと、を備える、外科用ツール。
【請求項80】
前記レバーが、前記第2のボアセクション内に配向されたときに、前記手動駆動ギアに接触するように前記第2のボアセクションに近接して位置決めされたレッジを更に備え、それによって、前記手動駆動ギアが前記レバーの前記第2のボアセクション内に配向された状態で、前記付勢要素が前記レバーを前記第2の位置に向かう前記方向に並進させると、前記レッジが前記手動駆動ギアに接触して前記手動駆動ギアを担持し、それによって前記手動駆動ギアに接続された前記スプラインを前記第2の位置に向かう前記方向に引っ張る、請求項79に記載の外科用ツール。
【請求項81】
外科用ツールであって、
第1の端部及び第2の端部と、前記第1の端部に配置された駆動入力部と、を有する、駆動ハウジングと、
前記駆動ハウジング内に装着されており、かつ前記駆動入力部の作動を介して前記第1の端部と前記第2の端部との間で移動可能なキャリッジと、
ロボットアームの端部に配置されており、前記駆動ハウジングの前記第1の端部と嵌合可能な器具ドライバと、
駆動出力部であって、前記器具ドライバによって提供され、かつ前記駆動入力部と嵌合可能であり、それによって、前記駆動出力部の回転が、それに対応して前記駆動入力部を回転させ、それによって前記キャリッジを前記駆動ハウジング内で並進させる、駆動出力部と、
前記キャリッジに接続されており、前記キャリッジを手動で並進させるために前記駆動ハウジングの外部からユーザアクセス可能なフィンと、を備える、外科用ツール。
【請求項82】
前記駆動ハウジングが、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在するシュラウドを含み、前記フィンが、前記シュラウド内に画定されている窓を通って半径方向外向きに突出する、請求項81に記載の外科用ツール。
【請求項83】
前記フィンから前記シュラウドの外側表面の周りに少なくとも部分的に延在するリングを更に備える、請求項82に記載の外科用ツール。
【請求項84】
前記キャリッジが、1つ又は2つ以上の遠位層と、前記1つ又は2つ以上の遠位層に取り付け可能な1つ又は2つ以上の近位層とを含み、前記外科用ツールが、
前記1つ又は2つ以上の近位層を前記キャリッジの前記1つ又は2つ以上の遠位層からロック解除するように動作可能であり、それによって、前記1つ又は2つ以上の近位層を前記駆動ハウジングから引き出すことができる、脱出機構を更に備える、請求項81に記載の外科用ツール。
【請求項85】
前記脱出機構が、前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層に固定されるロック位置と、前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層から固定されず、前記1つ又は2つ以上の遠位層に対して移動可能であるロック解除位置との間で移動可能な解放可能なピンを含む、請求項84に記載の外科用ツール。
【請求項86】
前記ロック位置にあるときに、前記解放可能なピンが、前記1つ又は2つ以上の遠位層の最近位層内に提供されたロック特徴部に取り付けられており、前記駆動入力部が、前記1つ又は2つ以上の遠位層に動作可能に結合されている、請求項85に記載の外科用ツール。
【請求項87】
前記フィンが、前記駆動ハウジングから半径方向外側に位置決めされており、かつ前記1つ又は2つ以上の遠位層の少なくとも一部を覆うように前記フィンから遠位に延在する張り出し部分を提供する、請求項84に記載の外科用ツール。
【請求項88】
前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、を更に備える、請求項81に記載の外科用ツール。
【請求項89】
前記キャリッジが、1つ又は2つ以上の遠位層と、前記1つ又は2つ以上の遠位層に取り外し可能に固定された1つ又は2つ以上の近位層とを含み、前記外科用ツールが、
前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層から取り外されるときに、前記エンドエフェクタの最後の既知の位置を記憶するようにプログラムされた位置認識システムを更に備える、請求項88に記載の外科用ツール。
【請求項90】
外科用ツールを位置決めする方法であって、
前記外科用ツールの駆動ハウジングに動作可能に結合されたユーザインターフェースのフィンを把持することであって、前記外科用ツールが、
前記駆動ハウジングの第1の端部における駆動入力部と、
前記駆動ハウジング内に装着されており、かつ前記駆動入力部の作動を介して前記第1の端部と前記第2の端部との間で移動可能なキャリッジであって、前記フィンが、前記キャリッジに動作可能に結合されている、キャリッジと、を含む、把持することと、
前記フィンを前記駆動ハウジングの外部に沿って手動で移動させ、それによって前記キャリッジを前記駆動ハウジング内で移動させることと、
前記キャリッジが前記駆動ハウジング内で手動で移動されるにつれて、前記駆動入力部を回転させることと、を含む、方法。
【請求項91】
前記外科用ツールが、ロボットアームの端部に配置されており、かつ前記駆動ハウジングの前記第1の端部と嵌合可能な器具ドライバと、前記器具ドライバによって提供され、かつ前記駆動入力部と嵌合可能な駆動出力部と、を更に備え、それによって、前記駆動出力部の回転が、それに対応して前記駆動入力部を回転させ、それによって前記キャリッジを並進させ、前記駆動入力部を回転させることが、前記器具ドライバによって提供される前記駆動出力部をバックドライブさせることを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記外科用ツールが、前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、前記キャリッジを形成する、1つ又は2つ以上の遠位層、及び前記1つ又は2つ以上の遠位層に取り外し可能に固定された1つ又は2つ以上の近位層と、を更に含み、前記方法が、
位置認識システムを用いて前記エンドエフェクタの位置を監視することと、
前記1つ又は2つ以上の遠位層から前記1つ又は2つ以上の近位層を取り外すことと、
前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層から取り外されるときに、前記エンドエフェクタの最後の既知の位置を記憶することと、を更に含む、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記1つ又は2つ以上の近位層を前記1つ又は2つ以上の遠位層上に再設置することと、
前記位置認識システムを用いて、前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層上に以前に設置されたかどうかを判定することと、を更に含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記位置認識システムを用いて、前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層上に以前に設置されたことを確実に判定することと、
前記位置認識システムを用いて、前記器具ドライバの前記駆動出力部の手動のバックドライブを可能にし、それによって前記エンドエフェクタを手動で並進させることと、を更に含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記エンドエフェクタが前記最後の既知の位置にあるときに、前記位置認識システムに触覚フィードバック指示を提供することを更に含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記外科用ツールが第1の外科用ツールであり、前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の近位層の第1のセットを含み、前記方法が、
第2の外科用ツールに対応する前記1つ又は2つ以上の遠位層上に前記1つ又は2つ以上の近位層の第2のセットを設置することと、
前記位置認識システムを用いて、前記1つ又は2つ以上の近位層の前記第2のセットが前記第2の外科用ツールに対応しており、前記1つ又は2つ以上の遠位層上に以前に設置されていなかったことを判定することと、
前記位置認識システムを用いて、前記最後の既知の位置を越える前記エンドエフェクタの手動の並進を防止することと、を更に含む、請求項92に記載の方法。
【請求項97】
前記エンドエフェクタが第1のエンドエフェクタを含み、前記方法が、
前記位置認識システムを用いて、前記第2の外科用ツールが、前記第1のエンドエフェクタを含むか、又は前記第1のエンドエフェクタとは異なる第2のエンドエフェクタを含むかを判定することと、
前記第1のエンドエフェクタ及び前記第2のエンドエフェクタが類似しているときに、前記位置認識システムを用いて前記駆動出力部のバックドライブを可能にすることと、を更に含む、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
前記位置認識システムを用いて、前記最後の既知の位置を越える前記第2のエンドエフェクタの手動の並進を防止することを更に含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記第2のエンドエフェクタが前記最後の既知の位置にあるときに、前記位置認識システムに触覚フィードバック指示を提供することを更に含む、請求項97に記載の方法。
【請求項100】
前記外科用ツールが、前記駆動ハウジングの前記第1の端部から延在し、かつ前記駆動入力部において、前記第1の端部に回転可能に結合された主ねじと、前記キャリッジ内に提供されたキャリッジナットであって、それによって、前記キャリッジが、前記キャリッジナットにおいて、前記主ねじに装着されている、キャリッジナットと、を更に備え、それによって、前記駆動入力部の回転が、それに対応して前記主ねじを回転させ、それによって前記キャリッジナットを前記主ねじに沿って並進させ、前記駆動入力部を回転させることが、前記キャリッジが前記駆動ハウジング内で手動で移動されるにつれて前記主ねじを回転させ、前記駆動入力部をバックドライブすることを含む、請求項90に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されるシステム及び方法は、外科用ツールを対象とし、より詳細には、ロボット外科用ツールの様々な機能を手動で作動させるか、又は駆動するための機構を対象とする。
【背景技術】
【0002】
低侵襲手術(minimally invasive surgical、MIS)器具は、多くの場合、術後の回復時間の短縮及び最小限の瘢痕のため、従来の開腹手術装置よりも好ましい。最も一般的なMIS手技は内視鏡検査であり得、最も一般的な形態の内視鏡検査が腹腔鏡検査であり、腹腔鏡検査において、1つ又は2つ以上の小さな切開部が患者の腹部に形成され、トロカールが切開部を通じて挿入されて、腹腔へのアクセスを提供する経路が形成される。トロカールを使用して、様々な器具及び用具を腹腔内に導入し、並びに腹腔壁を臓器の上に持ち上げるための送気を提供する。器具は、多数の方式で組織と係合し、かつ/又はそれを処置して診断又は治療効果を達成するために使用され得る。
【0003】
各外科用ツールは、典型的には、その遠位端部に構成配置されたエンドエフェクタを含む。例示的なエンドエフェクタとしては、クランプ、グラスパ、ハサミ、ステープラ、及び針ホルダが挙げられ、それらは、各ツールのエンドエフェクタが、約12インチの長さのシャフトによってそのハンドルから隔てられていることを除いて、従来の(開腹)手術で使用されるものと同様である。外科医が手術野及び手術中のエンドエフェクタの動作を観察することを可能にするために、内視鏡などのカメラ又は画像キャプチャデバイスがまた、一般に腹腔内に導入される。外科医は、画像キャプチャデバイスと通信する視覚的ディスプレイによって、手技をリアルタイムで観察することが可能である。
【0004】
MIS手技を支援するために、種々のロボットシステムが近年開発されてきた。ロボットシステムは、自然な目-手の軸線を維持することにより、より直感的な手の動きを可能にすることができる。ロボットシステムはまた、より自然な手のような関節運動を作り出す「リスト」関節部を含むことにより、動きにおけるより多くの自由度を可能にすることもできる。器具のエンドエフェクタは、コンピュータ化された運動システムの一部を形成するモータ及びアクチュエータを使用して関節運動(移動)させることができる。ユーザ(例えば、外科医)は、外科用器具に結合された器具ドライバと連通する1つ又は2つ以上のコントローラを空間内で把持し操作することにより、器具のエンドエフェクタを遠隔操作することが可能である。ユーザ入力は、ロボット外科用システム内に組み込まれたコンピュータシステムにより処理され、器具ドライバは、運動システムのモータ及びアクチュエータを作動させることにより応答する。駆動ケーブルを移動させることにより、エンドエフェクタを所望の位置及び構成に関節運動させる。
【0005】
ロボット対応の医療用システムの改良は、より効果的に、かつ改良された容易さで内視鏡及び腹腔鏡処置を行う能力を医師に提供するであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
基本的な理解を提供するために、本開示の様々な詳細を以下に要約する。この概要は、本開示の広範な概論ではなく、本開示の特定の要素を識別することも、その範囲を線引きすることも意図されていない。むしろ、この概要の主な目的は、以下で提示されるより詳細な説明の前に、本開示のいくつかの概念を簡略化された形態で提示することである。
【0007】
本明細書に開示される実施形態が、外科用ツールであって、第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、第1の端部と第2の端部との間に延在する、スプラインと、駆動ハウジング内に提供されており、かつ第1の端部と第2の端部との間で移動可能なキャリッジと、スプラインを手動で作動させるために、駆動ハウジングの第1の端部又は第2の端部に配置された機構と、を含む、外科用ツールを含む。機構は、フレームと、スプラインの端部を受容するように、フレームに回転可能に装着されたスプライン結合部と、リングギアであって、フレームの周りで回転可能であり、かつスプライン結合部に動作可能に結合されており、それによって、フレームの周りでのリングギアの回転が、それに対応してスプラインを作動させる、リングギアと、を含み得る。いくつかの実施形態では、機構が、駆動ハウジングの第2の端部において取り外し可能に結合されたエンドキャップ内に提供されており、エンドキャップが、フレームの周囲の周りに配設されたリングを有し、リングギアが、リングの内側表面上に提供されている。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、第1の端部と第2の端部との間に延在する主ねじであって、キャリッジが、キャリッジナットにおいて、主ねじに移動可能に装着可能である、主ねじと、主ねじの端部を受容するように、駆動ハウジングの第1の端部において、プレートに回転可能に装着されたステージ結合部と、プレートの周りで回転可能なエンクロージャと、エンクロージャの内側表面上に提供された遠位リングギアと、を更に含み、遠位リングギアが、ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、プレートの周りでの遠位リングギアの回転が、それに対応して主ねじを作動させて、キャリッジナットを並進させる。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、第1の端部と第2の端部との間に延在する主ねじを更に含み、キャリッジは、キャリッジナットにおいて、主ねじに移動可能に装着されており、機構が、主ねじの端部を受容するように、フレームに回転可能に装着されたステージ結合部を更に備え、リングギアが、ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、フレームの周りでのリングギアの回転が、それに対応して主ねじを作動させて、キャリッジナットを並進させる。いくつかの実施形態では、機構が、駆動ハウジングの第1の端部に回転可能に配置されたエンクロージャ内に提供されており、エンクロージャが、フレームの周囲の周りに配設されており、リングギアが、エンクロージャの内側表面上に提供されている。いくつかの実施形態では、スプラインに結合されており、かつスプラインの回転とともに回転可能な駆動ギア、起動機構であって、キャリッジ内に収容されており、かつ駆動ギアに動作可能に結合されており、それによって、駆動ギアの回転が、それに対応して起動機構を作動させる、起動機構、キャリッジから遠位に延在し、かつ第1の端部を貫通している、細長いシャフト、及び細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタ。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタが、一対のジョーを含み、リングギアの回転が、それに対応してジョーを開放又は閉鎖する。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、主ねじの端部を受容するように、駆動ハウジングの第1の端部において、プレートに回転可能に装着されたステージ結合部であって、主ねじが、第1の端部と第2の端部との間に延在し、キャリッジが、キャリッジナットにおいて、主ねじに移動可能に装着可能である、ステージ結合部と、プレートの周りで回転可能なエンクロージャと、エンクロージャの内側表面上に提供された遠位リングギアであって、ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、プレートの周りでの遠位リングギアの回転が、それに対応して主ねじを作動させる、遠位リングギアと、を更に含む。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、第1の端部と第2の端部との間に延在する主ねじと、キャリッジに接続されており、かつ主ねじ上に提供されたキャリッジナットと、主ねじの端部を受容するように、フレームに回転可能に装着されたステージ結合部と、を更に含み、リングギアが、ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、フレームの周りでのリングギアの回転が、それに対応して主ねじを作動させる。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、キャリッジに動作可能に結合されており、かつキャリッジの関連付けられた起動機構からスプラインを係合解除するように移動可能なレバーと、レバー上に画定されており、かつレバーがスプラインを係合解除するときに、起動機構と係合可能な少なくとも1つのギア歯と、を更に含む。いくつかの実施形態では、スプライン駆動ギアが、スプラインとともに回転するように、スプラインに結合されており、レバーが、スプライン駆動ギアまで延在し、かつスプライン駆動ギアをスプラインに沿って軸方向に並進させるように、レバーとともに移動可能なスクープ部分を含む。
【0008】
本明細書に開示される実施形態が、外科用ツールであって、第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、第1の端部と第2の端部との間に延在する、スプラインと、駆動ハウジング内に提供されており、かつ第1の端部と第2の端部との間で移動可能なキャリッジと、第2の端部に取り外し可能に結合されたエンドキャップと、を備え、エンドキャップが、フレームと、フレーム内に回転可能に配置されており、かつキャップが第2の端部に結合されるときに、スプラインの端部を受容するように構成されたスプライン結合部と、リングギアであって、フレーム上に摺動可能に提供されており、かつスプライン結合部に動作可能に結合されており、それによって、フレームの周りでのリングギアの回転が、それに対応してスプラインを作動させる、リングギアと、を含む、外科用ツールを更に含み得る。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、第1の端部と第2の端部との間に延在する主ねじと、キャリッジに接続されており、かつ主ねじ上に提供されたキャリッジナットと、駆動ハウジングの第1の端部において、プレート内に回転可能に配設されたステージ結合部と、プレートの周りに摺動可能に提供されたエンクロージャと、エンクロージャ内に配置された遠位リングギアと、を更に含み、ステージ結合部が、主ねじの端部を受容するように構成されており、遠位リングギアが、ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、プレートの周りでの遠位リングギアの回転が、それに対応して主ねじを作動させて、キャリッジナットを並進させる。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、スプラインに結合されており、かつスプラインの回転とともに回転可能な駆動ギアと、起動機構であって、キャリッジ内に収容されており、かつ駆動ギアに動作可能に結合されており、それによって、駆動ギアの回転が、それに対応して起動機構を作動させる、起動機構と、キャリッジから遠位に延在し、かつ第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、を更に含む。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタが、起動機構の起動時に開放又は閉鎖するように、細長いシャフトの遠位端部に動作可能に配置された一対のジョーを含み、それによって、リングギアの回転が、それに対応してジョーを開放又は閉鎖する。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、第1の端部と第2の端部との間に延在する主ねじと、キャリッジに接続されており、かつ主ねじ上に提供されたキャリッジナットと、駆動ハウジングの第1の端部において、プレート内に回転可能に配設されたステージ結合部と、プレートの周りに摺動可能に提供されたエンクロージャと、エンクロージャ内に配置された遠位リングギアと、を更に含み、ステージ結合部が、主ねじの端部を受容するように構成されており、遠位リングギアが、ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、プレートの周りでの遠位リングギアの回転が、それに対応して主ねじを作動させて、キャリッジナットを並進させる。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、キャリッジに動作可能に結合されたレバーを更に含み、レバーが、スプラインをキャリッジの関連付けられた起動機構から係合解除するように移動可能であり、レバーが、レバーがスプラインを関連付けられた起動機構から係合解除するときに、起動機構と係合するように移動される少なくとも1つのギア歯を含む。いくつかの実施形態では、スプライン駆動ギアが、スプラインと一体となって回転するように、スプライン上に提供されており、レバーが、スプライン駆動ギアに近接して延在し、かつスプライン駆動ギアをスプラインに沿って軸方向に並進させるように、レバーとともに移動可能なスクープ部分を含む。
【0009】
本明細書に開示される実施形態が、外科用ツールであって、第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、第1の端部と第2の端部との間に延在可能なスプラインと、駆動ハウジング内に移動可能に提供されており、かつ第1の端部と第2の端部との間で移動可能なキャリッジと、キャリッジの関連付けられた起動機構からスプラインを手動で結合解除するためのレバーであって、レバーが、レバーが第1の軸の周りで回転するときに、起動機構と係合するように移動可能である少なくとも1つのギア歯を有し、レバーが、起動機構をギア歯のセットと係合させるように、第2の軸の周りで回転可能である、レバーと、を備える、外科用ツールを更に含み得る。いくつかの実施形態では、スプライン駆動ギアが、スプラインと一体となって回転するように、スプライン上に提供されており、レバーが、スプライン駆動ギアに近接して延在し、かつスプライン駆動ギアをスプラインに沿って軸方向に並進させるように、レバーとともに移動可能なスクープ部分を含む。
【0010】
本明細書に開示される実施形態が、外科用ツールであって、第1の端部を有する、駆動ハウジングと、スプラインであって、第1の端部から延在し、かつスプラインに装着されたスプラインピニオンギアを有する、スプラインと、スプラインを第1の端部に回転可能に結合し、かつ入力ピニオンギアを提供する、駆動入力部と、スプラインピニオンギアと入力ピニオンギアとの間に介在し、かつ内部ギアを画定している、クラッチと、アーマチュアであって、クラッチに動作可能に結合されており、かつクラッチを、内部ギアがスプラインピニオンギア及び入力ピニオンギアと同時に嵌合し、それによって、駆動入力部の回転が、それに対応してスプラインを回転させる、第1の位置から、内部ギアが入力ピニオンギアから係合解除され、それによって、スプラインが駆動入力部とは独立して回転可能である、第2の位置にシフトさせるように動作可能である、アーマチュアと、を含む、外科用ツールを含む。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、クラッチを第1の位置に押しやる付勢要素を更に含む。いくつかの実施形態では、スプラインピニオンギア及び入力ピニオンギアが、ギア歯の同一の配置を有する。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、スプラインに移動可能に装着されたキャリッジと、スプラインに結合されており、かつスプラインの回転とともに回転可能な駆動ギアと、起動機構であって、キャリッジ内に収容されており、かつ駆動ギアに動作可能に結合されており、それによって、駆動ギアの回転が、それに対応して起動機構を作動させる、起動機構と、を更に含み、クラッチを第2の位置にシフトさせることが、起動機構を駆動入力部から結合解除させる。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、キャリッジから遠位に延在し、かつ第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、シャフトの遠位端部に配置されており、かつ一対のジョーを含む、エンドエフェクタであって、ジョーが、起動機構の起動時に開放又は閉鎖する、エンドエフェクタと、を更に含む。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、キャリッジから遠位に延在し、かつ第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、シャフトの遠位端部に配置されており、かつ起動機構の起動時に前進又は後退する切断要素を含む、エンドエフェクタと、を更に含む。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、スプラインピニオンギアに近接してスプライン上に提供された手動ドライバギアを更に含み、手動ドライバギアが、クラッチが第1の位置にあるときに、スプラインピニオンギアに対してスプラインの周りで回転可能である。いくつかの実施形態では、クラッチが第2の位置にあるときに、内部ギアが、スプラインピニオンギア及び手動ドライバギアの両方と同時に噛合し、それによって、手動ドライバギアの回転が、それに対応して、駆動入力部とは独立してスプラインを回転させる。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、器具ドライバを更に含み、器具ドライバは、ロボットアームの遠位端部に配置されており、かつ外科用ツールが器具ドライバに結合されたときに、駆動入力部と嵌合可能な駆動出力部を提供し、クラッチを第2の位置にシフトさせることが、スプラインを駆動出力部から係合解除し、スプラインを手動ドライバギアと係合させ、手動ドライバギアが次いで、スプラインを作動させるように回転可能である。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、第2の位置にシフトされたときに、クラッチを第2の位置に保持し、それによって、クラッチが第1の位置にシフトして戻り、スプラインが駆動入力部と再係合することを阻止するキャッチを更に含む。
【0011】
本明細書に開示される実施形態が、外科用ツールであって、第1の端部を有する、駆動ハウジングと、第1の端部から延在可能な複数のスプラインであって、各スプラインが、それぞれの駆動入力部において、第1の端部に回転可能に結合されており、各スプラインが、その上に固定されたそれぞれのスプラインピニオンギアを有し、各それぞれの駆動入力部が、その上に固定された入力ピニオンギアを有する、複数のスプラインと、スプラインの各々に関連付けられたクラッチであって、クラッチの各々が、スプラインとそれに関連付けられた入力ピニオンギアとの間に介在し、かつ内部ギアを画定している、クラッチと、脱出アーマチュアであって、クラッチに動作可能に結合されており、かつクラッチの各々を、各クラッチの内部ギアがそれぞれのスプラインピニオンギア及びそれに関連付けられた入力ピニオンギアと同時に嵌合し、それによって、それぞれの駆動入力部の回転が、それに対応して、それに関連付けられたスプラインを回転させる、第1の位置から、各クラッチの内部ギアがそれぞれの入力ピニオンギアから係合解除され、それによって、それぞれの駆動入力部がそれに関連付けられたスプラインとは独立して回転可能である、第2の位置にシフトさせるように動作可能である、脱出アーマチュアと、を備え、脱出アーマチュアが、各クラッチを第1の位置から第2の位置に同時にシフトさせるように、第1の回転セグメントの適用を介して作動可能である、外科用ツールを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、第1の回転セグメントの適用中に、ロボット器具ドライバに結合されたままである。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、第2の回転セグメントの適用時に、ロボット器具ドライバから結合解除される。いくつかの実施形態では、第2の位置にシフトされたときに、クラッチのうちの少なくとも1つを第2の位置に保持し、それによって、少なくとも1つのクラッチが第1の位置にシフトして戻り、それに関連付けられたスプラインがそれぞれの駆動入力部と再係合することを阻止するキャッチが提供されている。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、キャリッジナットにおいて、主ねじに移動可能に装着可能なキャリッジと、スプラインの各々に結合されたそれぞれの駆動ギアであって、それに関連付けられたスプラインの回転とともに回転可能なそれぞれの駆動ギアと、スプラインの各々に関連付けられた起動機構であって、起動機構の各々が、キャリッジ内に収容されており、それぞれの駆動ギアに動作可能に結合されており、それによって、それぞれの駆動ギアの回転が、それに対応して、それに関連付けられた起動機構を作動させる、起動機構と、キャリッジから遠位に延在し、かつ第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタであって、エンドエフェクタが、細長いシャフトの遠位端部に動作可能に配置されて、起動機構のうちの第1の起動機構の起動時に開放又は閉鎖する一対のジョーを有し、エンドエフェクタが、起動機構のうちの第2の起動機構の起動時に発射するように動作可能に配置された切断要素を更に備える、エンドエフェクタと、を更に含み、クラッチを第2の位置にシフトさせることが、第1の起動機構及び第2の起動機構をそれぞれの駆動入力部から結合解除し、それによって、それぞれの駆動入力部をジョーの開放又は閉鎖、並びに切断要素の発射から係合解除する。
【0012】
本明細書に開示される実施形態が、外科用ツールの駆動入力部を結合解除する方法であって、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延在可能な主ねじ及び少なくとも1つのスプラインと、スプラインに装着されたスプラインピニオンギアと、スプラインを第1の端部に回転可能に結合する駆動入力部に提供された入力ピニオンギアと、スプラインピニオンギアと入力ピニオンギアとの間に介在し、かつ内部ギアを画定しているクラッチと、を有する、駆動ハウジングを提供することと、クラッチを、内部ギアがスプラインピニオンギア及び入力ピニオンギアと同時に嵌合し、それによって、駆動入力部の回転が、それに対応してスプラインを回転させる、第1の位置から、内部ギアが入力ピニオンギアから係合解除され、それによって、スプラインが駆動入力部とは独立して回転可能である、第2の位置にシフトさせることと、を含む、方法を更に含み得る。いくつかの実施形態では、付勢要素が、クラッチを第1の位置に押しやる。いくつかの実施形態では、方法が、アーマチュアを作動させ、それによってクラッチを第2の位置に移動させることを更に含み、アーマチュアが、クラッチに動作可能に結合されており、クラッチを第1の位置から第2の位置にシフトさせるように動作可能である。いくつかの実施形態では、アーマチュアを作動させることが、第1の回転セグメントを適用し、それによってアーマチュアを作動させ、かつクラッチを第1の位置から移動させることを更に含み、外科用ツールが、第1の回転セグメントの適用中にロボット器具ドライバに結合されたままである。いくつかの実施形態では、方法が、第2の回転セグメントを適用し、それによって外科用ツールをロボット器具ドライバから結合解除することを更に含む。
【0013】
本明細書に開示される実施形態が、外科用ツールであって、第1の端部を有する、駆動ハウジングと、第1の端部から延在する、スプラインと、スプラインに移動可能に装着可能であり、1つ又は2つ以上の近位層及び1つ又は2つ以上の遠位層を含む、キャリッジと、ラッチであって、ラッチが1つ又は2つ以上の近位層を1つ又は2つ以上の遠位層に固定するロック位置と、1つ又は2つ以上の近位層が1つ又は2つ以上の遠位層から自由に分離するロック解除位置との間で枢動可能なラッチと、を含む、外科用ツールを含む。いくつかの実施形態では、ラッチが、1つ又は2つ以上の近位層に枢動可能に装着されており、ロック位置及びロック解除位置に枢動して出入りする。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、第1の端部から延在するシュラウドと、シュラウド内に画定されている窓を通って半径方向に突出し、1つ又は2つ以上の近位層から延在するフィンと、を更に含む。いくつかの実施形態では、ラッチが、1つ又は2つ以上の近位層のフィンにピン留めされている。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、1つ又は2つ以上の遠位層に提供されたロック特徴部を更に含み、ラッチが、ロック位置において、ロック特徴部に取り付け可能である。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、遠位層から遠位に延在し、第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、スプラインに結合されており、スプラインの回転とともに回転可能な駆動ギアと、1つ又は2つ以上の近位層内に収容されており、かつ駆動ギアに動作可能に結合されており、駆動ギアの回転時に発射ロッドを前進させる起動機構であって、発射ロッドが、1つ又は2つ以上の近位層に結合されており、細長いシャフトを通って延在する、起動機構と、を更に含む。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタが、発射ロッドの遠位端部に動作可能に結合された切断要素を含み、起動機構を起動することが、切断要素を前進又は後退させる。いくつかの実施形態では、スプラインが第1のスプラインを含み、駆動ギアが第1の駆動ギアを含み、起動機構が第1の起動機構を含み、外科用ツールが、第1の端部から延在する第2のスプラインと、第2のスプラインに結合されており、第2のスプラインの回転とともに回転可能な第2の駆動ギアと、第2の起動機構であって、1つ又は2つ以上の遠位層内に収容されており、かつ第2の駆動ギアに動作可能に結合されており、第2の起動機構の起動時にエンドエフェクタに提供された一対のジョーを開放又は閉鎖する、第2の起動機構と、を更に備える。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の近位層が、ラッチがロック解除位置に移動されたときに、1つ又は2つ以上の近位層を1つ又は2つ以上の遠位層から分離するように動作可能なジャッキを含む。いくつかの実施形態では、ジャッキが、伸長可能な脚部に動作可能に接続された回転可能なねじを含み、ねじの回転が、1つ又は2つ以上の遠位層に当接して伸長可能な脚部を伸長させる。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、第1の端部から延在するシュラウドを更に含み、回転可能なねじが、シュラウドに画定されている窓を通してアクセス可能である。
【0014】
本明細書に開示される実施形態が、外科用ツールであって、第1の端部を有する、駆動ハウジングと、第1の端部から延在する、スプラインと、スプラインに移動可能に装着可能であり、1つ又は2つ以上の近位層及び1つ又は2つ以上の遠位層を含む、キャリッジと、ラッチであって、ラッチが1つ又は2つ以上の近位層を1つ又は2つ以上の遠位層に固定するロック位置と、1つ又は2つ以上の近位層が1つ又は2つ以上の遠位層から自由に分離可能であるロック解除位置との間で枢動可能なラッチと、1つ又は2つ以上の近位層に取り付けられており、ラッチがロック解除位置にあるときに、1つ又は2つ以上の遠位層に対して1つ又は2つ以上の近位層を移動させるように動作可能なジャッキと、を備える、外科用ツールを含み得る。いくつかの実施形態では、ジャッキが、脚部を含み、1つ又は2つ以上の遠位層に当接して脚部を伸長させるように動作可能である。いくつかの実施形態では、駆動ハウジングが、第1の端部から延在するシュラウドを更に備え、ジャッキが、シュラウドに画定されている窓を通してアクセス可能である。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、1つ又は2つ以上の近位層から窓を通って半径方向に延在するフィンを更に含む。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、1つ又は2つ以上の遠位層から遠位に延在し、第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、スプラインに結合されており、スプラインの回転とともに回転可能な駆動ギアと、1つ又は2つ以上の近位層内に収容されており、かつ駆動ギアの回転時に発射ロッドを前進させるように駆動ギアに動作可能に結合された第1の起動機構であって、発射ロッドが、1つ又は2つ以上の近位層に結合されており、1つ又は2つ以上の近位層から細長いシャフトを通って延在する、第1の起動機構と、を更に含む。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタが、第1の起動機構の起動時に発射又は後退するように発射ロッドの遠位端部に動作可能に配置された切断要素を含む。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタが、1つ又は2つ以上の遠位層内に提供された第2の起動機構の起動時に開放又は閉鎖するように、細長いシャフトの遠位端部に動作可能に配置された一対のジョーを含む。
【0015】
本明細書に開示される実施形態が、外科用ツールを分解する方法であって、第1の端部と、第1の端部から延在する、スプラインと、スプラインに移動可能に装着可能であり、かつ1つ又は2つ以上の近位層及び1つ又は2つ以上の遠位層を含む、キャリッジと、ラッチであって、ラッチが1つ又は2つ以上の近位層を1つ又は2つ以上の遠位層に固定するロック位置と、1つ又は2つ以上の近位層が1つ又は2つ以上の遠位層から自由に分離するロック解除位置との間で枢動可能なラッチと、を有する駆動ハウジングを提供することと、ラッチをロック解除することと、1つ又は2つ以上の近位層を1つ又は2つ以上の遠位層から分離することと、を含む、方法を更に含み得る。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の近位層を1つ又は2つ以上の遠位層から分離することが、1つ又は2つ以上の近位層に取り付けられており、かつラッチがロック解除位置にあるときに、ジャッキ脚部を1つ又は2つ以上の遠位層に当接して伸長させ、それによって1つ又は2つ以上の近位層を1つ又は2つ以上の遠位層に対して移動させるように動作可能であるジャッキを起動することを更に含む。
【0016】
本明細書に開示される実施形態が、外科用ツールであって、第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、第1の端部と第2の端部との間に延在し、駆動入力部において、第1の端部に回転可能に結合されたスプラインと、スプラインに結合されており、スプラインとともに回転可能な駆動ギアと、スプラインに移動可能に装着されており、かつ駆動ギアに動作可能に結合された起動機構を収容しており、それによって、スプラインの回転が、起動機構を作動させる、キャリッジと、第2の端部に配置されており、かつレバーを含む脱出機構であって、レバーが、スプラインに対して、スプラインがレバーから係合解除される第1の位置から、スプラインがレバーに係合し、それによって、レバーの回転が、それに対応してスプラインを回転させる第2の位置まで移動可能である、脱出機構と、を含む、外科用ツールを含む。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、ロボットアームの端部に配置されており、駆動ハウジングの第1の端部と嵌合可能な器具ドライバと、駆動出力部であって、器具ドライバによって提供され、かつ駆動入力部と嵌合可能であり、それによって、駆動出力部の回転が、それに対応して駆動入力部を回転させ、それによって起動機構を作動させる、駆動出力部と、を更に含み、スプラインが、レバーが第1の位置にあるときに、駆動出力部と係合され、レバーが第2の位置に移動することによって駆動出力部から係合解除される。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、ロボットアームの端部に配置されており、駆動ハウジングの第1の端部と嵌合可能な器具ドライバと、駆動出力部であって、器具ドライバによって提供され、かつ駆動入力部と嵌合可能であり、それによって、駆動出力部の回転が、それに対応して駆動入力部を回転させ、それによって起動機構を作動させる、駆動出力部と、を更に含み、スプラインが、レバーが第1の位置と第2の位置との間で移動するときに、駆動出力部と係合したままである。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、スプラインの近位端部に提供されており、スプラインとともに回転可能な手動駆動ギアを更に含み、手動駆動ギアが、レバーが第1の位置にあるときに、レバーに対して回転可能であり、手動駆動ギアが、レバーが第2の位置に移動されるときに、レバーに回転で係合する。いくつかの実施形態では、レバーが、レバーが第2の位置に移動されるときに、手動駆動ギアの対応する少なくとも1つのギア歯に係合する少なくとも1つのギア歯を含む。いくつかの実施形態では、脱出機構が、レバーが第1の位置にあるときに、手動駆動ギアの下に取り外し可能に位置決めされるスペーサバーを更に含み、レバーが、スペーサバーの取り外し時に第2の位置に移動可能であり、それによってレバーを手動駆動ギアと回転係合して位置決めする。いくつかの実施形態では、脱出機構が、取り外し可能なカバーを更に含み、スペーサバーが取り外し可能なカバーに取り付けられており、取り外し可能なカバーが、スペーサバーが手動駆動ギアの下に延在する状態でレバーを囲むように、駆動ハウジングの第2の端部において装着可能である。いくつかの実施形態では、レバーが、第1のボアセクション及び第2のボアセクションを含み、手動駆動ギアが、レバーの第1のボアセクション内に配向されたときに、レバーに対して自由に回転可能であり、手動駆動ギアが、レバーの第2のボアセクション内に配向されたときに、レバーとともに回転可能である。いくつかの実施形態では、脱出機構が、レバーに付勢力を加え、それによってレバーを第2の位置に向かって押しやる付勢要素を更に含む。いくつかの実施形態では、脱出機構が、取り外し可能なカバーを更に含み、取り外し可能なカバーは、駆動ハウジングの第2の端部に装着可能であり、かつ取り外し可能なカバーに取り付けられた保持ピンを有し、それによって、取り外し可能なカバーが駆動ハウジングに装着されると、保持ピンがレバーに接触し、手動駆動ギアがレバーの第1のボアセクション内に配向された状態でレバーを第1の位置に維持する。いくつかの実施形態では、保持ピンがレバーから離れるように移動すると、付勢要素が、レバーを第2の位置に向かう方向に押し、それによって、手動駆動ギアを、手動駆動ギアがレバーとともに回転可能である第2のボアセクション内に配向する。いくつかの実施形態では、レバーが、第2のボアセクション内に配向されたときに、手動駆動ギアに接触するように第2のボアセクションに近接して位置決めされたレッジを更に備え、それによって、手動駆動ギアがレバーの第2のボアセクション内に配向された状態で、付勢要素がレバーを第2の位置に向かう方向に並進させると、レッジが手動駆動ギアに接触して手動駆動ギアを担持し、それによって手動駆動ギアに接続されたスプラインを第2の位置に向かう方向に引っ張る。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、キャリッジから遠位に延在し、かつ第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、駆動ギアの回転時に並進するように起動機構に動作可能に結合された発射ロッドであって、発射ロッドが、細長いシャフトを通って延在する、発射ロッドと、エンドエフェクタに提供されており、かつ発射ロッドの遠位端部に動作可能に結合された切断要素であって、起動機構を作動させることが、切断要素を前進又は後退させ、起動機構が、発射ロッドのねじ部分の周りに配置された雌ねじギアを含み、雌ねじギアが、スプライン上の駆動ギアと噛合し、それによって、スプラインの回転によって、発射ロッドが軸方向に並進し、駆動ギアが、雌ねじギアよりも軸方向に長く、それによって、スプラインが第1の位置及び第2の位置にあるときに、駆動ギアが雌ねじギアと噛合したままである、切断要素と、を更に含む。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、キャリッジから遠位に延在し、かつ第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、駆動ギアの回転時に並進するように起動機構に動作可能に結合された発射ロッドであって、細長いシャフトを通って延在する、発射ロッドと、エンドエフェクタに提供されており、かつ発射ロッドの遠位端部に動作可能に結合された切断要素であって、起動機構を作動させることが、切断要素を前進又は後退させる、切断要素と、を更に含む。いくつかの実施形態では、スプラインが第1のスプラインを含み、駆動ギアが第1の駆動ギアを含み、起動機構が第1の起動機構を含み、外科用ツールが、第1の端部から延在する第2のスプラインと、第2のスプラインに結合されており、第2のスプラインの回転とともに回転可能な第2の駆動ギアと、第2の起動機構であって、キャリッジ内に収容されており、かつ第2の駆動ギアに動作可能に結合されており、第2の起動機構の起動時にジョーを開放又は閉鎖する、第2の起動機構と、を更に備え、第1の起動機構が、発射ロッドのねじ部分の周りに配置された雌ねじギアを含み、雌ねじギアが、第1のスプライン上の第1の駆動ギアと噛合し、それによって、第1のスプラインの回転によって、発射ロッドが軸方向に並進する。
【0017】
本明細書に開示される実施形態が、外科用ツールであって、第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、第1の端部と第2の端部との間に延在し、駆動入力部において、第1の端部に回転可能に結合されたスプラインと、スプライン上に装着されており、スプラインとともに回転可能な駆動ギアと、スプラインの近位端部上に装着されており、スプラインとともに回転可能な手動駆動ギアと、スプラインに移動可能に装着可能であり、かつ駆動ギアに動作可能に結合された起動機構を収容しており、それによって、スプラインの回転が起動機構を作動させる、キャリッジと、スプラインの近位端部に結合されたレバーと、取り外し可能なカバーであって、レバーを囲むように駆動ハウジングの第2の端部に提供されており、かつ手動駆動ギアがレバーから係合解除されてレバーに対して自由に回転可能である第1の位置にレバーを支持するようにレバーの下に位置決めされたスペーサバーを有し、レバーの下からのスペーサバーの取り外し時に、レバーが、レバーが手動ドライバギアに係合し、それによって、レバーの回転がそれに対応してスプラインを回転させる第2の位置に移動可能である、取り外し可能なカバーと、を含む、外科用ツールを含む。いくつかの実施形態では、レバーが、遠位部分及び近位部分を有するボアを含み、レバーが、手動駆動ギアがレバーから結合解除され、レバーとは独立して自由に回転可能である、ボアの遠位部分と、手動駆動ギアがレバーに結合され、それによって、レバーの回転がそれに対応してスプラインを回転させる、ボアの近位部分との間で手動駆動ギアを配向するように移動可能である。いくつかの実施形態では、ボア及び手動駆動ギアがそれぞれ、対応するキー付き表面を含み、対応するキー付き表面は、レバーが手動駆動ギアに対して第1の端部に向かう方向に移動されたときに、手動駆動ギアをレバーに結合するように互いに係合可能であり、それによってボアの近位部分内で手動駆動ギアを配向する。
【0018】
本明細書に開示される実施形態が、外科用ツールであって、第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、第1の端部と第2の端部との間に延在し、駆動入力部において、第1の端部に回転可能に結合されたスプラインと、スプラインに結合されており、スプラインとともに回転可能な駆動ギアと、スプラインの近位端部に提供されており、スプラインとともに回転可能な手動駆動ギアと、スプラインに移動可能に装着可能であり、かつ駆動ギアに動作可能に結合された起動機構を収容しており、それによって、スプラインの回転が起動機構を作動させる、キャリッジと、スプラインが貫通した状態で第2の端部に提供されたエンドキャップと、スプラインの近位端部に提供されており、その中に手動駆動ギアが提供されたボアを有するレバーであって、ボアが、手動駆動ギアが中に配向されるとレバーに対して自由に回転可能である第1のボアセクションと、手動駆動ギアが中に配向されるとレバーとともに回転可能である第2のボアセクションと、を含み、レバーが、手動駆動ギアが第1のボアセクション内に配向され、したがってレバーから係合解除されてレバーに対して回転可能である第1の位置と、手動駆動ギアが第2のボアセクション内に配向され、したがってレバーに係合されてレバーとともに回転可能である第2の位置との間で、手動駆動ギアに対して移動可能である、レバーと、レバーを第2の位置に向かって押しやるように配置された付勢要素と、取り外し可能なカバーであって、レバーを囲むようにエンドキャップに装着可能であり、かつ取り外し可能なカバーの内部に位置決めされた保持ピンを有し、それによって、取り外し可能なカバーがエンドキャップに装着されたときに、手動駆動ギアがレバーの第1のボアセクション内に配向された状態で、保持ピンがレバーに接触し、それによってレバーを第1の位置に維持し、取り外し可能なカバーが取り外されて、保持ピンをレバーから離れるように移動させると、付勢要素がレバーを第2の位置に向かう方向に押し、それによって手動駆動ギアを、手動駆動ギアがレバーとともに回転可能である第2のボアセクション内に配向する、取り外し可能なカバーと、を含む、外科用ツールを含む。いくつかの実施形態では、レバーが、第2のボアセクション内に配向されたときに、手動駆動ギアに接触するように第2のボアセクションに近接して位置決めされたレッジを更に備え、それによって、手動駆動ギアがレバーの第2のボアセクション内に配向された状態で、付勢要素がレバーを第2の位置に向かう方向に並進させると、レッジが手動駆動ギアに接触して手動駆動ギアを担持し、それによって手動駆動ギアに接続されたスプラインを第2の位置に向かう方向に引っ張る。
【0019】
本明細書に開示される実施形態が、外科用ツールであって、第1の端部及び第2の端部と、第1の端部における駆動入力部と、を有する、駆動ハウジングと、駆動ハウジング内に装着されており、かつ駆動入力部の作動を介して第1の端部と第2の端部との間で移動可能なキャリッジと、ロボットアームの端部に配置されており、駆動ハウジングの第1の端部と嵌合可能な器具ドライバと、駆動出力部であって、器具ドライバによって提供され、かつ駆動入力部と嵌合可能であり、それによって、駆動出力部の回転が、それに対応して駆動入力部を回転させ、それによってキャリッジを駆動ハウジング内で並進させる、駆動出力部と、キャリッジに接続されており、キャリッジを手動で並進させるために駆動ハウジングの外部からユーザアクセス可能なフィンと、を備える、外科用ツールを含む。いくつかの実施形態では、駆動ハウジングが、第1の端部と第2の端部との間に延在するシュラウドを含み、フィンが、シュラウド内に画定されている窓を通って半径方向外向きに突出する。いくつかの実施形態では、ツールが、フィンからシュラウドの外側表面の周りに少なくとも部分的に延在するリングを更に含む。いくつかの実施形態では、キャリッジが、1つ又は2つ以上の遠位層と、1つ又は2つ以上の遠位層に取り付け可能な1つ又は2つ以上の近位層とを含み、外科用ツールが、1つ又は2つ以上の近位層をキャリッジの1つ又は2つ以上の遠位層からロック解除するように動作可能であり、それによって、1つ又は2つ以上の近位層を駆動ハウジングから引き出すことができる、脱出機構を更に備える。いくつかの実施形態では、脱出機構が、1つ又は2つ以上の近位層が1つ又は2つ以上の遠位層に固定されるロック位置と、1つ又は2つ以上の近位層が1つ又は2つ以上の遠位層から固定されず、1つ又は2つ以上の遠位層に対して移動可能であるロック解除位置との間で移動可能な解放可能なピンを含む。いくつかの実施形態では、ロック位置にあるときに、解放可能なピンが、1つ又は2つ以上の遠位層の最近位層内に提供されたロック特徴部に取り付けられており、駆動入力部が、1つ又は2つ以上の遠位層に動作可能に結合されている。いくつかの実施形態では、フィンが、駆動ハウジングから半径方向外側に位置決めされており、かつ1つ又は2つ以上の遠位層の少なくとも一部を覆うようにフィンから遠位に延在する張り出し部分を提供する。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、キャリッジから遠位に延在し、かつ第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、を更に含む。いくつかの実施形態では、キャリッジが、1つ又は2つ以上の遠位層と、1つ又は2つ以上の遠位層に取り外し可能に固定された1つ又は2つ以上の近位層とを含み、外科用ツールが、1つ又は2つ以上の近位層が1つ又は2つ以上の遠位層から取り外されるときに、エンドエフェクタの最後の既知の位置を記憶するようにプログラムされた位置認識システムを更に含む。
【0020】
本明細書に開示される実施形態が、外科用ツールを位置決めする方法であって、外科用ツールの駆動ハウジングに動作可能に結合されたユーザインターフェースのフィンを把持することであって、外科用ツールが、駆動ハウジングの第1の端部における駆動入力部と、駆動ハウジング内に装着されており、かつ駆動入力部の作動を介して第1の端部と第2の端部との間で移動可能なキャリッジであって、フィンが、キャリッジに動作可能に結合されている、キャリッジと、を含む、把持することと、フィンを駆動ハウジングの外部に沿って手動で移動させ、それによってキャリッジを駆動ハウジング内で移動させることと、キャリッジが駆動ハウジング内で手動で移動されるにつれて、駆動入力部を回転させることと、を含む、方法を更に含み得る。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、ロボットアームの端部に配置されており、かつ駆動ハウジングの第1の端部と嵌合可能な器具ドライバと、器具ドライバによって提供され、かつ駆動入力部と嵌合可能な駆動出力部と、を更に備え、それによって、駆動出力部の回転が、それに対応して駆動入力部を回転させ、それによってキャリッジを並進させ、駆動入力部を回転させることが、器具ドライバによって提供される駆動出力部をバックドライブさせることを含む。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、キャリッジから遠位に延在し、かつ第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、キャリッジを形成する、1つ又は2つ以上の遠位層、及び1つ又は2つ以上の遠位層に取り外し可能に固定された1つ又は2つ以上の近位層と、を更に備え、方法が、位置認識システムを用いてエンドエフェクタの位置を監視することと、1つ又は2つ以上の遠位層から1つ又は2つ以上の近位層を取り外すことと、1つ又は2つ以上の近位層が1つ又は2つ以上の遠位層から取り外されるときに、エンドエフェクタの最後の既知の位置を記憶することと、を更に含む。いくつかの実施形態では、方法が、1つ又は2つ以上の近位層を1つ又は2つ以上の遠位層上に再設置することと、位置認識システムを用いて、1つ又は2つ以上の近位層が1つ又は2つ以上の遠位層上に以前に設置されたかどうかを判定することと、を更に含む。いくつかの実施形態では、方法が、位置認識システムを用いて、1つ又は2つ以上の近位層が1つ又は2つ以上の遠位層上に以前に設置されたことを確実に判定することと、位置認識システムを用いて、器具ドライバの駆動出力部の手動のバックドライブを可能にし、それによってエンドエフェクタを手動で並進させることと、を更に含む。いくつかの実施形態では、方法が、エンドエフェクタが最後の既知の位置にあるときに、位置認識システムに触覚フィードバック指示を提供することを更に含む。いくつかの実施形態では、外科用ツールが第1の外科用ツールであり、1つ又は2つ以上の近位層が1つ又は2つ以上の近位層の第1のセットを含み、方法が、第2の外科用ツールに対応する1つ又は2つ以上の遠位層上に1つ又は2つ以上の近位層の第2のセットを設置することと、位置認識システムを用いて、1つ又は2つ以上の近位層の第2のセットが第2の外科用ツールに対応しており、1つ又は2つ以上の遠位層上に以前に設置されていなかったことを判定することと、位置認識システムを用いて、最後の既知の位置を越えるエンドエフェクタの手動の並進を防止することと、を更に含む。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタが第1のエンドエフェクタを含み、方法が、位置認識システムを用いて、第2の外科用ツールが、第1のエンドエフェクタを含むか、又は第1のエンドエフェクタとは異なる第2のエンドエフェクタを含むかを判定することと、第1のエンドエフェクタ及び第2のエンドエフェクタが類似しているときに、位置認識システムを用いて駆動出力部のバックドライブを可能にすることと、を更に含む。いくつかの実施形態では、方法が、位置認識システムを用いて、最後の既知の位置を越える第2のエンドエフェクタの手動の並進を防止することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法が、第2のエンドエフェクタが最後の既知の位置にあるときに、位置認識システムに触覚フィードバック指示を提供することを更に含む。いくつかの実施形態では、外科用ツールが、駆動ハウジングの第1の端部から延在し、かつ駆動入力部において、第1の端部に回転可能に結合された主ねじと、キャリッジ内に提供されたキャリッジナットであって、それによって、キャリッジが、キャリッジナットにおいて、主ねじに装着されている、キャリッジナットと、を更に備え、それによって、駆動入力部の回転が、それに対応して主ねじを回転させ、それによってキャリッジナットを主ねじに沿って並進させ、駆動入力部を回転させることが、キャリッジが駆動ハウジング内で手動で移動されるにつれて主ねじを回転させ、駆動入力部をバックドライブすることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
開示される態様は、以下、添付の図面と併せて説明され、開示された態様を示すが、限定するものではなく、同様の称号は同様の要素を示す。
【
図1】診断及び/又は治療用気管支鏡検査処置のために配置されたカートベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図2】
図1のロボットシステムの更なる態様を図示する。
【
図3A】尿管鏡検査のために配置された
図1のロボットシステムの実施形態を示す。
【
図3B】血管処置のために配置された
図1のロボットシステムの実施形態を示す。
【
図4】気管支鏡検査処置のために配置されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図5】
図4のロボットシステムの代替的な図を提供する。
【
図6】ロボットアームを収容するように構成された例示的なシステムを示す。
【
図7A】尿管鏡検査処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図7B】腹腔鏡処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図7C】ピッチ又は傾斜調整を有する
図4~
図7Bのテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図8】
図4~
図7のテーブルベースのロボットシステムのテーブルとカラムとの間のインターフェースの詳細な図示を提供する。
【
図9A】テーブルベースのロボットシステムの代替的な実施形態を示す。
【
図9B】
図9Aのテーブルベースのロボットシステムの端面図を示す。
【
図9C】ロボットアームが取り付けられた、テーブルベースのロボットシステムの端面図を示す。
【
図11】ペアの器具ドライバを有する例示的な医療用器具を示す。
【
図12】駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。
【
図13】器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具を示す。
【
図15】例示的な実施形態による、
図11~
図13の器具の場所など、
図1~
図7Cのロボットシステムのうちの1つ又は2つ以上の要素の場所を推定する位置特定システムを示すブロック図を図示する。
【
図16】本開示の原理のうちのいくつか又は全てを組み込むことができる例示的な外科用ツールの等角側面図である。
【
図17】1つ又は2つ以上の実施形態による、そのシュラウドアセンブリに組み付けられていないときの
図16の外科用ツールの等角図である。
【
図18A】1つ又は2つ以上の実施形態による、例示的な器具ドライバに解放可能に結合された
図16~
図17の外科用ツールの等角図である。
【
図19】1つ又は2つ以上の実施形態による、ステージ部分と、ステージ部分から取り外されたときの器具部分とを有する
図16~
図17の外科用ツールを示す。
【
図20A】1つ又は2つ以上の実施形態による、
図19の取り外し可能なキャップのそれぞれの底端図及び上端図を示す。
【
図20B】1つ又は2つ以上の実施形態による、
図19の取り外し可能なキャップのそれぞれの底端図及び上端図を示す。
【
図22】1つ又は2つ以上の実施形態による、外科用ツール上に設置され、主ねじ及びスプラインと動作可能に係合しているときの取り外し可能なキャップの部分分解図を示す。
【
図23】1つ又は2つ以上の実施形態による、外科用ツールの1つ又は2つ以上の機能を手動で起動するための遠位手動作動機構の部分分解図を示す。
【
図24】1つ又は2つ以上の実施形態による、手動レバージョー開放及び閉鎖機構を示す。
【
図26A】1つ又は2つ以上の実施形態によるクラッチ機構を示す。
【
図26C】駆動入力部のピニオンギアボスに対するスプラインドライバのピニオンギアを示すためにクラッチが取り外されている、
図26Aのクラッチ機構の部分分解図を示す。
【
図28】本開示の1つ又は2つ以上の実施形態による、
図26Aのクラッチ機構のうちの2つ又はそれ以上を係合解除するために利用可能なマルチクラッチアセンブリを示す。
【
図29】1つ又は2つ以上の実施形態による、手動オーバーライド特徴部を組み込む、
図26Aのクラッチ機構を示す。
【
図30】1つ又は2つ以上の実施形態による脱出機構を示す。
【
図31】本開示の1つ又は2つ以上の代替実施形態による、脱出機構の例示的な動作を示す。
【
図32】本開示の1つ又は2つ以上の実施形態による、脱出補助機構3200を組み込む脱出機構を示す。 脱出補助機構を示す
【
図33A】本開示の1つ又は2つ以上の実施形態による、
図32の脱出補助機構の例示的な動作を示す。
【
図33B】本開示の1つ又は2つ以上の実施形態による、
図32の脱出補助機構の例示的な動作を示す。
【
図34A】本開示の1つ又は2つ以上の他の実施形態による、非バックドライブ可能モータのための脱出機構を示す。
【
図34B】本開示の1つ又は2つ以上の他の実施形態による、非バックドライブ可能モータのための脱出機構を示す。
【
図35A】本開示の1つ又は2つ以上の他の実施形態による、非バックドライブ可能モータのための脱出機構を示す。
【
図35B】本開示の1つ又は2つ以上の他の実施形態による、非バックドライブ可能モータのための脱出機構を示す。
【
図36】本開示の1つ又は2つ以上の他の実施形態による、ユーザインターフェース機構を示す。
【
図37】
図36のユーザインターフェース機構の例示的な動作を示す。
【
図38】ロック位置にあるときの
図36のユーザインターフェース機構の詳細な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.概論
本開示の態様は、低侵襲性(例えば、腹腔鏡)、及び非侵襲性(例えば、内視鏡)の両方の処置を含む、様々な医療処置を行うことが可能なロボット対応の医療用システムに統合され得る。内視鏡処置のうち、システムは、気管支鏡検査、尿管鏡検査、胃鏡検査などを行うことができる。
【0023】
幅広い処置を行うことに加えて、システムは、医師を支援するための強調された撮像及び誘導などの追加の利益を提供することができる。追加的に、システムは、厄介な腕の動作及び姿勢を必要とせずに、人間工学的位置から処置を行う能力を医師に提供することができる。また更に、システムは、システムの器具のうちの1つ又は2つ以上が単一のユーザによって制御され得るように、改善された使いやすさで処置を行う能力を医師に提供することができる。
【0024】
以下、説明を目的として、図面と併せて、様々な実施形態が説明される。開示される概念の多くの他の実装態様が可能であり、開示される実装態様で様々な利点が達成され得ることを理解されたい。見出しが、参照のために本明細書に含まれ、様々なセクションの位置を特定する支援となる。これらの見出しは、それに関して説明される概念の範囲を限定することを意図するものではない。そのような概念は、本明細書全体にわたって適用可能性を有し得る。
【0025】
A.ロボットシステム-カート
ロボット対応の医療用システムは、特定の処置に応じて様々な方法で構成され得る。
図1は、診断及び/又は治療用気管支鏡検査処置のために配置されたカートベースのロボット対応のシステム100の実施形態を示す。気管支鏡検査処置のために、ロボットシステム100は、操縦可能な内視鏡106(例えば、気管支鏡検査のための処置固有の気管支鏡)などの医療器具(代替的には「外科用ツール」と称される)を、自然開口部アクセスポイント(すなわち、患者の口)に送達し、診断及び/又は治療ツールを送達するために、1つ又は2つ以上のロボットアーム104(3つが示されている)を有するカート102を含んでもよい。示されるように、カート102は、アクセスポイントへのアクセスを提供するために、患者の上部胴体に近接して位置決めすることができる。同様に、ロボットアーム104は、アクセスポイントに対して気管支鏡を位置決めするために作動させることができる。
図1の配置はまた、胃腸管(gastro-intestinal、GI)処置を、GI処置のための特殊な内視鏡である胃鏡を用いて行うときに利用することができる。
【0026】
カート102がいったん患者に隣接して適切に位置決めされると、ロボットアーム104は、操縦可能な内視鏡106を患者の中にロボットによって、手動で、又はそれらの組み合わせで挿入するように動作される。操縦可能な内視鏡106は、内側リーダー部分及び外側シース部分などの少なくとも2つの入れ子式部品を含んでもよく、各部分は、器具ドライバ108(代替的には「ツールドライバ」と称される)のセットのうちの別個の器具ドライバに結合されている。図示のように、各器具ドライバ108は、ロボットアーム104のうちの対応する1つの遠位端部に結合されている。リーダー部分をシース部分と同軸上に位置合わせするのを容易にする、器具ドライバ108のこの直線配置は、ロボットアーム104を異なる角度及び/又は位置に操作することによって空間内で再位置決めされ得る「仮想レール」110を形成する。仮想レール110に沿った器具ドライバ108の並進は、外側シース部分に対して内側リーダー部分を入れ子にし、したがって、内視鏡106を患者に対して効果的に前進又は後退させる。
【0027】
図示のように、仮想レール110(及び本明細書に記載される他の仮想レール)は、破線を使用して図面に示されており、したがって、システム100のいかなる物理的構造も構成しない。仮想レール110の角度は、臨床用途又は医師の好みに基づいて調整、並進、及び枢動されてもよい。例えば、気管支鏡検査では、示されるような仮想レール110の角度及び位置は、内視鏡106を患者の口内に曲げ入れることによる摩擦を最小限に抑えながら、内視鏡106への医師のアクセスを提供する妥協を表す。
【0028】
内視鏡106は、患者の口内への挿入後に、標的の目的地又は手術部位に到達するまで、ロボットシステム100からの正確なコマンドを使用して患者の気管及び肺の下流に向けられてもよい。患者の肺網を通したナビゲーションを促進し、及び/又は所望の標的に到達するために、内視鏡106を操縦して、内側リーダー部分を外側シース部分から入れ子状に延ばして、高められた関節運動及びより大きい曲げ半径を得てもよい。別個の器具ドライバ108の使用により、リーダー部分及びシース部分が互いに独立して駆動されることも可能になる。
【0029】
例えば、内視鏡106は、例えば、患者の肺内の病変又は小結節などの標的に生検針を送達するように方向付けられてもよい。針は、内視鏡106の長さにわたる作業チャネルの下流に展開されて、病理医によって分析される組織サンプルを得てもよい。病理の結果に応じて、追加の生検のために追加のツールが内視鏡の作業チャネルの下流に展開されてもよい。組織サンプルを悪性と識別した後、内視鏡106は、潜在的ながん組織を切除するためにツールを内視鏡的に送達してもよい。場合によっては、診断及び治療的処置は、別の処置で提供することができる。それらの状況において、内視鏡106はまた、標的小結節の場所を「マーク」するためにも基準マーカを送達するために使用されてもよい。他の例では、診断及び治療的処置は、同じ処置中に送達されてもよい。
【0030】
システム100はまた、カート102に支持ケーブルを介して接続されて、カート102への制御、電子機器、流体工学、光学系、センサ、及び/又は電力のためのサポートを提供し得る移動可能なタワー112を含んでもよい。タワー112内にそのような機能を置くことにより、動作を行う医師及びそのスタッフがより容易に調整及び/又は再位置決めすることができるより小さいフォームファクタのカート102が可能となる。追加的に、カート/テーブルと支持タワー112との間の機能の分割は、手術室の乱雑さを低減し、臨床ワークフローの改善を促進する。カート102は患者に近接して位置決めされてもよいが、タワー112は代替的に、処置中に邪魔にならないように離れた場所に収容されてもよい。
【0031】
上述のロボットシステムをサポートするために、タワー112は、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内にコンピュータプログラム命令を記憶するコンピュータベースの制御システムの構成要素を含んでもよい。それらの命令の実行は、実行がタワー112内で行われるのか又はカート102内で行われるのかにかかわらず、システム全体又はそのサブシステムを制御してもよい。例えば、コンピュータシステムのプロセッサによって実行されるとき、命令は、ロボットシステムの構成要素に、関連するキャリッジ及びアームマウントを作動させ、ロボットアームを作動させ、医療用器具を制御させてもよい。例えば、制御信号を受信したことに応答して、ロボットアーム104の関節内のモータは、アームをある特定の姿勢又は角度向きに位置決めしてもよい。
【0032】
タワー112は、内視鏡106を通して展開することができるシステム100に、制御された灌注及び吸引機能を提供するために、ポンプ、流量計、弁制御、及び/又は流体アクセスのうちの1つ又は2つ以上も含むことができる。これらの構成要素はまた、タワー112のコンピュータシステムを使用して制御されてもよい。いくつかの実施形態では、灌注及び吸引機能は、別個のケーブルを介して内視鏡106に直接送達されてもよい。
【0033】
タワー112は、フィルタリングされ、保護された電力をカート102に提供するように設計された電圧及びサージ保護具を含んでもよく、それによって、カート102内に電力変圧器及び他の補助電力構成要素を配置することが回避され、カート102はより小さく、より移動可能になる。
【0034】
タワー112は、ロボットシステム100全体に展開されたセンサのための支持機器も含んでもよい。例えば、タワー112は、ロボットシステム100を通して光センサ又はカメラから受信したデータを検出、受信、及び処理するためのオプトエレクトロニクス機器を含んでもよい。制御システムと組み合わせて、そのようなオプトエレクトロニクス機器は、タワー112内を含むシステム全体に配置された任意の数のコンソール内に表示するためのリアルタイム画像を生成するように使用されてもよい。同様に、タワー112はまた、展開された電磁(electromagnetic、EM)センサから信号を受信し、受信した信号を処理するための電子サブシステムも含んでもよい。タワー112はまた、医療用器具内又は医療用器具上のEMセンサによる検出のためにEM場生成器を収容し、位置決めするためにも使用されてもよい。
【0035】
タワー112はまた、システムの残りの部分で利用可能な他のコンソール、例えば、カート102に装着されたコンソールに追加して、コンソール114も含んでもよい。コンソール114は、オペレータである医師のためのユーザインターフェース及び表示画面(例えば、タッチスクリーン)を含んでもよい。システム100内のコンソールは、一般に、ロボット制御、並びに医療用ツールのナビゲーション情報及び位置特定情報などの、処置の術前及びリアルタイム情報の両方を提供するように設計されている。コンソール114が医師に利用可能な唯一のコンソールではない場合、コンソール114は、看護師などの第2のオペレータによって使用されて、患者の健康又は生命及びシステムの動作を監視し、並びにナビゲーション情報及び位置特定情報などの処置固有のデータを提供することができる。他の実施形態では、コンソール114は、タワー112とは別個の本体内に収容され得る。
【0036】
タワー112は、1つ又は2つ以上のケーブル116接続部を介してカート102及び内視鏡106に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、タワー112からのサポート機能は、カート102まで延びる単一のケーブル116を通して提供されることにより、手術室を簡略化し、整理整頓することができる。他の実施形態では、特定の機能は、別個の配線及び接続部で結合されてもよい。例えば、単一の電力ケーブルを通してカート102に電力が供給されてもよい一方、制御、光学、流体工学、及び/又はナビゲーションのためのサポートは、1つ又は2つ以上の別個のケーブルを通して提供されてもよい。
【0037】
図2は、
図1のカートベースのロボット対応のシステム100からのカート102の実施形態の詳細な図を提供する。カート102は、概して、細長い支持構造202(「カラム」とも称される)、カート基部204、及びカラム202の頂部にあるコンソール206を含む。カラム202は、ロボットアーム104の展開を支持するためのキャリッジ208(代替的には「アーム支持体」)などの1つ又は2つ以上のキャリッジを含んでもよい。キャリッジ208は、患者に対してより良好に位置決めするために垂直軸に沿って回転してロボットアーム104の基部214を調整する、個別に構成可能なアームマウントを含んでもよい。キャリッジ208はまた、キャリッジ208がカラム202に沿って垂直方向に並進することを可能にするキャリッジインターフェース210を含む。
【0038】
キャリッジインターフェース210は、キャリッジ208の垂直方向の並進を案内するためにカラム202の両側に位置決めされているスロット212などのスロットを通してカラム202に接続されている。スロット212は、カート基部204に対して様々な垂直方向の高さでキャリッジ208を位置決めし、保持するための垂直方向の並進インターフェースを含む。キャリッジ208の垂直方向の並進により、カート102は、様々なテーブルの高さ、患者のサイズ、及び医師の好みを満たすようにロボットアーム104のリーチを調整することが可能となる。同様に、キャリッジ208上の個別に構成可能なアームマウントにより、ロボットアーム104の基部214を様々な構成で角度付けすることが可能となる。
【0039】
いくつかの実施形態では、キャリッジ208が垂直方向に並進するときにカラム202の内部チャンバ及び垂直方向の並進インターフェース内に汚れ及び流体が侵入するのを防止するために、スロット212には、スロット表面と同一平面及び平行であるスロットカバー(図示せず)が追加されてもよい。スロットカバーは、スロット212の垂直方向の頂部及び底部付近に位置決めされているばねスプールのペアを通じて展開されてもよい。カバーは、キャリッジ208が上下に垂直方向に並進するにつれてコイル状態から伸縮するように展開されるまで、スプール内でコイル巻きにされている。スプールのばね負荷は、キャリッジ208がスプールに向かって並進するときにカバーをスプール内に後退させるための力を提供する一方で、キャリッジ208がスプールから離れるように並進するときに密封も維持する。カバーは、キャリッジ208が並進するときにカバーが適切に延伸及び後退するのを確実にするために、例えば、キャリッジインターフェース210内のブラケットを使用してキャリッジ208に接続されてもよい。
【0040】
カラム202は、例えば、コンソール206からの入力などのユーザ入力に応答して生成された制御信号に応答してキャリッジ208を機械的に並進させるために垂直方向に位置合わせされた主ねじを使用するように設計された、ギア及びモータなどの機構を内部に含んでもよい。
【0041】
ロボットアーム104は、一般に、対応する一連の関節220によって接続されている一連のリンク218によって分離されたロボットアーム基部214及びエンドエフェクタ216(3つが示されている)を含んでもよく、各関節220は独立したアクチュエータを含み、各アクチュエータは、独立して制御可能なモータを含む。各独立して制御可能な関節220は、対応するロボットアーム104に利用可能な独立した自由度を表す。図示された実施形態では、各アーム104は、7つの自由度を提供する7つの関節220を有する。多数の関節220は、多数の自由度をもたらし、「冗長」自由度を可能にする。冗長自由度は、ロボットアーム104が、異なる結合位置及び関節角度を使用して空間内の特定の位置、配向、及び軌道で、そのそれぞれのエンドエフェクタ216を位置決めすることを可能にする。これにより、システム100が、空間内の所望のポイントから医療用器具を位置決めし、方向付けることが可能になると同時に、医師がアーム関節220を患者から離れる臨床的に有利な位置へと移動させて、アームの衝突を回避しながらよりよいアクセスを生み出すことを可能にする。
【0042】
カート基部204は、床の上のカラム202、キャリッジ208、及びアーム104の重量の釣り合いをとる。したがって、カート基部204は、電子機器、モータ、電源、並びにカートの移動及び/又は固定化のいずれかを可能にする構成要素などの、より重い構成要素を収容する。例えば、カート基部204は、処置前にカート102が部屋の中をあちこちに容易に移動することを可能にする、転動可能なキャスタ222を含む。適切な位置に到達した後、キャスタ222は、処置中にカート102を所定の場所に保持するためのロックを使用して固定化されてもよい。
【0043】
カラム202の垂直方向の端部に位置決めされたコンソール206は、ユーザ入力を受信するためのユーザインターフェース及び表示画面(又は、例えば、タッチスクリーン224などの二重目的デバイス)の両方を可能にして、術前データ及び術中データの両方を医師であるユーザに提供する。タッチスクリーン224上の潜在的な術前データは、術前計画、術前コンピュータ断層撮影(computerized tomography、CT)スキャンから導出されたナビゲーション及びマッピングデータ、並びに/又は術前の患者への問診からのメモを含んでもよい。タッチスクリーン224上の術中データは、ツールから提供される光学情報、センサからのセンサ及び座標情報、並びに呼吸、心拍数、及び/又はパルスなどの不可欠な患者統計を含み得る。コンソール206は、医師が、カラム202の、キャリッジ208とは反対の側からコンソールにアクセスすることを可能にするように位置決めされ、傾斜が付けられてもよい。この位置から、医師は、コンソール206をカート102の背後から操作しながら、コンソール206、ロボットアーム104、及び患者を見ることができる。示されるように、コンソール206はまた、カート102の操作及び安定化を支援するようにハンドル226を含む。
【0044】
図3Aは、尿管鏡検査のために配置された
図1のシステム100の実施形態を示す。尿管鏡検査処置では、カート102は、患者の尿道及び尿管を横断するように設計された処置専用内視鏡である尿管鏡302を患者の下腹部領域に送達するように位置決めされてもよい。尿管鏡検査では、尿管鏡302が患者の尿道と直接位置合わせされ、敏感な解剖学的構造に対する摩擦及び力を低減することが望ましいことがある。示されるように、カート102は、ロボットアーム104が尿管鏡302を、患者の尿道に直線状に直接アクセスするように位置決めすることを可能にするように、テーブルの脚部に位置合わせされてもよい。テーブルの脚部から、ロボットアーム104は、尿道を通して患者の下腹部に直接、仮想レール304に沿って尿管鏡302を挿入してもよい。
【0045】
気管支鏡検査におけるのと同様の制御技法を使用して尿道に挿入した後、尿管鏡302は、診断及び/又は治療用途のために、膀胱、尿管、及び/又は腎臓にナビゲートされてもよい。例えば、尿管鏡302は、尿管及び腎臓に向けられ、尿管鏡302の作業チャネルの下方に展開されたレーザー又は超音波結砕石術デバイスを使用して、形成された腎臓結石を破砕することができる。砕石術が完了した後、結果として得られた結石片は、尿管鏡302の作業チャネルの下方に展開されたバスケットを使用して除去されてもよい。
【0046】
図3Bは、血管処置のために配置された
図1のシステム100の別の実施形態を示す。血管処置において、システム100は、カート102が、操縦可能なカテーテルなどの医療用器具306を、患者の脚内の大腿動脈内のアクセスポイントに送達することができるように構成され得る。大腿動脈は、ナビゲーションのためのより大きな直径と、患者の心臓への、遠回りが比較的少ない曲がりくねった経路との両方を呈し、これによりナビゲーションが簡略化される。尿管鏡検査処置におけるように、カート102は、患者の脚及び下腹部に向けて位置決めされて、ロボットアーム104が患者の大腿/腰領域内の大腿動脈アクセスポイントへの直接的な線形アクセスで仮想レール308を提供することを可能にしてもよい。動脈内への挿入後、器具ドライバ108を並進させることによって医療用器具306が方向付けられ、前進されてもよい。代替的に、カート102は、例えば、患者の肩及び手首付近の頚動脈及び腕動脈などの代替的な血管アクセスポイントに到達するために、患者の上腹部の周囲に位置決めされ得る。
【0047】
B.ロボットシステム-テーブル
ロボット対応の医療用システムの実施形態はまた、患者テーブルを組み込んでもよい。テーブルの組み込みは、カートを除去することによって手術室内の資本設備の量を低減し、患者へのより大きいアクセスを可能にする。
図4は、気管支鏡検査処置のために配置されたこうしたロボット対応のシステム400の実施形態を示す。図示のように、システム400は、プラットフォーム404(「テーブル」又は「ベッド」として示されている)を床より上に支持するための支持構造体又はカラム402を含む。カートベースのシステム100と同様に、システム400のロボットアーム406のエンドエフェクタは、器具ドライバ408の線形アライメントから形成された仮想レール412を通して、又はそれに沿って、気管支鏡410などの細長い医療用器具を操作するように設計された器具ドライバ408(代替的には「ツールドライバ」と称される)を含む。実際には、蛍光透視撮像を提供するためのCアームは、放射器及び検出器をテーブル404の周囲に置くことによって、患者の上部腹部領域の上方に位置決めされてもよい。
【0048】
図5は、説明を目的として、患者及び医療用器具なしのシステム400の代替的な図を提供する。示されるように、カラム402は、1つ又は2つ以上のロボットアーム406の基部となり得る、システム400内でリング形状として図示される1つ又は2つ以上のキャリッジ502を含んでもよい。キャリッジ502は、カラム402の長さ(高さ)にわたる垂直方向のカラムインターフェース504に沿って並進して、ロボットアーム406が患者に到達するように位置決めされ得る異なるバンテージポイントを提供してもよい。キャリッジ502は、カラム402内に位置決めされている機械的モータを使用してカラム402の周りを回転して、ロボットアーム406が、例えば、患者の両側などのテーブル404の多数の側部へのアクセスを有することを可能にしてもよい。複数のキャリッジ502を有する実施形態では、キャリッジ502はカラム402上に個別に位置決めされてもよく、他のキャリッジ502とは独立して並進及び/又は回転してもよい。キャリッジ502はカラム402を取り囲む必要はなく、又は更には円形である必要はないが、図示されるようなリング形状は、構造的バランスを維持しながらカラム402の周りでキャリッジ502が回転するのを容易にする。キャリッジ502の回転及び並進により、システム400は、内視鏡及び腹腔鏡などの医療用器具を患者の異なるアクセスポイントに位置合わせすることができる。
【0049】
他の実施形態(
図9Aに関して以下でより詳細に説明する)では、システム400は、並行して延在するバー又はレールの形態の調整可能なアーム支持体を有する患者テーブル又はベッドを含むことができる。1つ又は2つ以上のロボットアーム406を、(例えば、肘関節を有する肩部を介して)垂直方向に調整することができる調整可能なアーム支持体に取り付けることができる。垂直方向の調節を提供することによって、ロボットアーム406は、有利には、患者テーブル又はベッドの下にコンパクトに収容されることが可能であり、その後、処置中に引き上げられることが可能である。
【0050】
アーム406は、ロボットアーム406に追加の構成可能性を提供するために個別に回転及び/又は入れ子式に延在し得る一連の関節を備えるアームマウント506のセットを介してキャリッジ502に装着されてもよい。更に、アームマウント506は、キャリッジ502上に位置決めされてもよく、それにより、キャリッジ502が適切に回転させられると、アームマウント506は、テーブル404の同じ側(
図5に示すように)、テーブル404の反対側(
図7Bに示すように)、又はテーブル404の隣接する側(図示せず)のいずれかに位置決めされてもよい。
【0051】
カラム402は、テーブル404の支持及びキャリッジ502の垂直方向の並進のための経路を構造的に提供する。内部に、カラム402は、キャリッジの垂直方向の並進を案内するための主ねじ、及び主ねじに基づく当該キャリッジの並進を機械化するためのモータが備えられていてもよい。カラム402は、キャリッジ502及びその上に装着されたロボットアーム406に電力及び制御信号も伝達してもよい。
【0052】
テーブル基部508は、
図2に示すカート102のカート基部204と同様の機能を果たし、テーブル/ベッド404、カラム402、キャリッジ502、及びロボットアーム406の釣り合いをとるためにより重い構成要素を収容する。テーブル基部508はまた、処置中に安定性を提供するために剛性キャスタを組み込んでもよい。テーブル基部508の底部から展開されるキャスタは、基部508の両側で反対方向に延在し、システム400を移動させる必要があるときに後退してもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、システム400は、テーブルとタワーとの間でシステム400の機能を分割して、テーブル404のフォームファクタ及びバルクを低減するタワー(図示せず)も含んでもよい。先に開示された実施形態と同様に、タワーは、処理、計算、及び制御能力、電力、流体工学、並びに/又は光学及びセンサ処理などの様々なサポート機能をテーブル404に提供してもよい。タワーはまた、医師のアクセスを改善し、手術室を整理整頓するために、患者から離れて位置決めされるように移動可能であってもよい。追加的に、タワー内に構成要素を配置することにより、ロボットアーム406の潜在的な収容のために、テーブル基部508内により多くの保管空間を可能にする。タワーは、キーボード及び/又はペンダントなどのユーザ入力のためのユーザインターフェース、並びにリアルタイム撮像、ナビゲーション、及び追跡情報などの術前及び術中情報のための表示画面(又はタッチスクリーン)の両方を提供するマスタコントローラ又はコンソールも含んでもよい。いくつかの実施形態では、タワーはまた、送気のために使用されるガスタンク用のホルダを含んでもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、テーブル基部は、使用されていないときにロボットアームを収容して格納してもよい。
図6は、ロボットアーム606をテーブル基部406内に収容するように構成されたシステム400の実施形態を示す。システム400では、1つ又は2つ以上のキャリッジ602(1つが示されている)は、1つ又は2つ以上のロボットアーム606、1つ又は2つ以上のアームマウント608、及びキャリッジ602を基部604内に収容するために、基部604内へと垂直方向に並進させられてもよい。基部カバー610は、並進及び後退して、キャリッジ602、アームマウント608、及びアーム606をカラム612の周りに展開させるように開き、使用されていないときにそれらを収容して保護するように閉じられてもよい。基部カバー610は、閉じたときに汚れ及び流体の侵入を防止するために、その開口部の縁部に沿って膜614で封止されてもよい。
【0055】
図7Aは、尿管鏡検査処置のために構成されたロボット対応のテーブルベースのシステム400の実施形態を示す。尿管鏡検査では、テーブル404は、患者をカラム402及びテーブル基部508からオフアングルに位置決めするためのスイベル部分702を含んでもよい。スイベル部分702は、スイベル部分702の底部部分をカラム402から離すように位置決めするために、(例えば、患者の頭部の下方に位置する)枢動点の周りで回転又は枢動してもよい。例えば、スイベル部分702の枢動により、Cアーム(図示せず)が、テーブル404の下のカラム(図示せず)と空間を奪い合うことなく、患者の下部腹部の上方に位置決めされることを可能にする。カラム402の周りにキャリッジ(図示せず)を回転させることにより、ロボットアーム406は、尿道に到達するように、仮想レール706に沿って、患者の鼠径部領域に尿管鏡704を直接挿入してもよい。尿管鏡検査では、処置中に患者の脚の位置を支持し、患者の鼠径部領域への明確なアクセスを可能にするために、テーブル404のスイベル部分702にあぶみ708が固定されてもよい。
【0056】
図7Bは、腹腔鏡処置のために構成されたシステム400の実施形態を示す。腹腔鏡処置では、患者の腹壁内の小さな切開部を通して、低侵襲性器具を患者の解剖学的構造に挿入してもよい。いくつかの実施形態では、低侵襲性器具は、患者内の解剖学的構造にアクセスするために使用されるシャフトなどの細長い剛性部材を含む。患者の腹腔の膨張後、器具は、把持、切断、アブレーション、縫合などの外科的又は医療的タスクを行うように指示されてもよい。いくつかの実施形態では、器具は、腹腔鏡などのスコープを含むことができる。
図7Bに示されるように、システム400のキャリッジ502は回転し、垂直方向に調整されて、器具710が患者の両側の最小切開部を通過して患者の腹腔に到達するようにアームマウント506を使用して位置決めされ得るように、ロボットアーム406の対をテーブル404の両側に位置決めしてもよい。
【0057】
腹腔鏡処置に対応するために、システム400はまた、プラットフォームを所望の角度に傾斜させてもよい。
図7Cは、ピッチ又は傾斜調整を有するシステム400の実施形態を示す。
図7Cに示されるように、システム400は、テーブル404の傾斜に適応して、テーブル404の一方の部分を他方の部分より床から離れた距離に位置決めすることができる。加えて、アームマウント506は、アーム406がテーブル404と同じ平面関係を維持するように、傾斜に一致するように回転させてもよい。より急な角度に適応するために、カラム402はまた、テーブル404が床に接触するか又は基部508と衝突するのを防ぐためにカラム402が垂直方向に延在するのを可能にする入れ子部分712を含んでもよい。
【0058】
図8は、テーブル404とカラム402との間のインターフェースの詳細な図を提供する。ピッチ回転機構802は、カラム402に対するテーブル404のピッチ角を多数の自由度で変更するように構成されてもよい。ピッチ回転機構802は、カラム-テーブルインターフェースでの直交軸A及びBの位置決めによって可能にされてもよく、各軸は、電気ピッチ角コマンドに応答して別個のモータ804a及び804bによって作動させられる。1つのねじ806aに沿った回転は、一方の軸Aにおける傾斜調整を可能にし、一方で、別のねじ806bに沿った回転は、他方の軸Bに沿った傾斜調整を可能にする。いくつかの実施形態では、ボールジョイントを使用して、複数の自由度でカラム402に対するテーブル404のピッチ角を変更することができる。
【0059】
例えば、ピッチ調節は、テーブルをトレンデレンブルグ体位に位置決めしようとするときに、すなわち下腹部手術のために患者の下腹部よりも床からより高い位置に患者の下腹部を位置決めしようとするときに、特に有用である。トレンデレンブルグ位置は、重力によって患者の内臓を患者の上腹部に向かってスライドさせ、低侵襲性ツールが入って腹腔鏡前立腺切除術などの下腹部の外科又は医療処置を行うために、腹腔を空にする。
【0060】
図9A及び
図9Bは、テーブルベースの外科用ロボットシステム900の代替的な実施形態の等角図及び端面図をそれぞれ示す。外科用ロボットシステム900は、テーブル904に対して1つ又は2つ以上のロボットアームを支持するように構成され得る1つ又は2つ以上の調節可能なアーム支持体902(例えば、
図9C参照)を含む。図示の実施形態では、単一の調整可能なアーム支持体902が示されているが、テーブル904の反対側に追加のアーム支持体を提供することができる。調整可能なアーム支持体902は、テーブル904に対して移動して、調整可能なアーム支持体902及び/又はそれに装着された任意のロボットアームの位置をテーブル904に対して調整及び/又は変更できるように構成され得る。例えば、調整可能なアーム支持体902は、テーブル904に対して1つ又は2つ以上の自由度で調整することができる。調整可能なアーム支持体902は、1つ又は2つ以上の調整可能なアーム支持体902及びそれに取り付けられた任意のロボットアームをテーブル904の下に容易に収容する能力を含む高い汎用性をシステム900に提供する。調整可能なアーム支持体902は、収容位置から、テーブル904の上面の下の位置まで上昇させることができる。他の実施形態では、調整可能なアーム支持体902は、収容位置から、テーブル904の上面の上方の位置まで上昇させることができる。
【0061】
調整可能なアーム支持体902は、リフト、横方向並進、傾斜などを含む、いくつかの自由度を提供することができる。
図9A及び
図9Bの図示の実施形態では、アーム支持体902は、4つの自由度で構成されており、それらは
図9Aに矢印で示されている。第1の自由度は、z方向における調整可能なアーム支持体902の調整(「Zリフト」)を可能にする。例えば、調整可能なアーム支持体902は、テーブル904を支持するカラム908に沿って、又はそれに対して上下に動くように構成されたキャリッジ906を含むことができる。第2の自由度は、調整可能なアーム支持体902が傾斜することを可能にし得る。例えば、調整可能なアーム支持体902は、回転接合部を含むことができ、これにより、調整可能なアーム支持体902を、トレンデレンブルグ位置のベッドと位置合わせすることが可能となり得る。第3の自由度は、調整可能なアーム支持体902が「上方枢動する」ことを可能にでき、それを使用して、テーブル904の側部と調整可能なアーム支持体902との間の距離を調整することができる。第4の自由度は、調整可能なアーム支持体902がテーブルの長手方向の長さに沿って並進するのを可能にし得る。
【0062】
図9A及び
図9Bの外科用ロボットシステム900は、基部910に装着されたカラム908によって支持されるテーブル904を含むことができる。基部910及びカラム908は、支持面に対してテーブル904を支持する。床軸912及び支持軸914は、
図9Bに示される。
【0063】
調整可能なアーム支持体902は、カラム908に装着することができる。他の実施形態では、アーム支持体902は、テーブル904又は基部910に装着され得る。調整可能なアーム支持体902は、キャリッジ906、バー又はレールコネクタ916、及びバー又はレール918を含むことができる。いくつかの実施形態では、レール918に装着された1つ又は2つ以上のロボットアームは、互いに対して並進及び移動することができる。
【0064】
キャリッジ906は、第1の接合部920によってカラム908に取り付けられてもよく、それにより、キャリッジ906がカラム908に対して移動することが可能になる(例えば、第1の又は垂直軸922を上下するなど)。第1の接合部920は、調整可能なアーム支持体902に第1の自由度(「Zリフト」)を提供することができる。調整可能なアーム支持体902は、第2の自由度(傾斜)を調整可能なアーム支持体902に提供する第2の接合部924を含むことができる。調整可能なアーム支持体902は、第3の自由度(「上方枢動」)を調整可能なアーム支持体902に提供することができる第3の接合部926を含むことができる。第3の軸930の周りでレールコネクタ916を回転させるときにレール918の向きを維持するように第3の接合部926を機械的に拘束する、追加の接合部928(
図9Bに示す)を提供することができる。調整可能なアーム支持体902は、第4の自由度(並進)を第4の軸934に沿って調整可能なアーム支持体902に提供することができる第4の接合部932を含むことができる。
【0065】
図9Cは、テーブル904の両側に装着された2つの調節可能なアーム支持体902a及び902bを有する、外科用ロボットシステム900の端面図を示す。第1のロボットアーム936aは、第1の調整可能なアーム支持体902aの第1のバー又はレール918aに取り付けられている。第1のロボットアーム936aは、第1のレール918aに取り付けられた基部938aを含む。第1のロボットアーム936aの遠位端部は、1つ又は2つ以上のロボット医療用器具又はツールに取り付けることができる器具駆動機構又は入力部940aを含む。同様に、第2のロボットアーム936bは、第2のレール918bに取り付けられた基部938aを含む。第2のロボットアーム936bの遠位端部は、1つ又は2つ以上のロボット医療用器具又はツールに取り付けるように構成された器具駆動機構又は入力部940bを含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、ロボットアーム936a、bのうちの1つ又は2つ以上は、7以上の自由度を有するアームを含む。いくつかの実施形態では、ロボットアーム936a、bのうちの1つ又は2つ以上は、挿入軸(挿入を含む1つの自由度)、リスト(リストピッチ、ヨー及びロールを含む3つの自由度)、エルボ(エルボピッチを含む1つの自由度)、ショルダ(ショルダピッチ及びヨーを含む2つの自由度)、並びに基部938a、b(並進を含む1つの自由度)、を含む8自由度を含むことができる。いくつかの実施形態では、挿入自由度は、ロボットアーム936a、bによって提供することができるが、他の実施形態では、器具自体は、器具ベースの挿入アーキテクチャを介して挿入を提供する。
【0067】
C.器具ドライバ及びインターフェース
システムのロボットアームのエンドエフェクタは、(i)医療用器具を作動させるための電気機械的手段を組み込む器具ドライバ(代替的には、「ツールドライバ」、「器具駆動機構」、「器具デバイスマニピュレータ」及び「駆動入力部」と称される)と、(ii)モータなどの任意の電気機械的構成要素を欠いていてもよい取り外し可能又は切り離し可能な医療用器具と、を含む。この二分は、医療処置において使用される医療用器具を滅菌する必要性と、医療用器具の機械組立が複雑でありかつ電子機器の感受性が高いことから高価な資本設備を適切に滅菌することができないこととによって引き起こされ得る。したがって、医療用器具は、医師又は医師のスタッフによる個々の滅菌又は廃棄のために、器具ドライバ(したがってそのシステム)から取り外される、除去される、及び交換されるように設計することができる。対照的に、器具ドライバは交換又は滅菌される必要がなく、保護のために掛け布をすることができる。
【0068】
図10は、1つ又は2つ以上の実施形態による例示的な器具ドライバ1000を示す。ロボットアームの遠位端部に位置決めされた器具ドライバ1000は、対応する駆動シャフト1004を介して医療用器具に制御トルクを提供するために平行軸を伴って配置された1つ又は2つ以上の駆動出力部1002を備える。各駆動出力部1002は、器具と相互作用するための個々の駆動シャフト1004と、モータシャフトの回転を所望のトルクに変換するためのギアヘッド1006と、駆動トルクを生成するためのモータ1008と、モータシャフトの速度を測定し、制御回路1012にフィードバックを提供するエンコーダ1010と、を備え、制御回路1012はまた、制御信号を受信し、駆動出力部1002を作動させるために使用することができる。各駆動出力部1002は独立して制御され電動化され、器具ドライバ1000は、複数(
図10に示されている少なくとも2つ)の独立した駆動出力部を医療用器具に提供することができる。動作中、制御回路1012は、制御信号を受信し、モータ1008にモータ信号を送信し、エンコーダ1010によって測定された結果として得られたモータ速度を所望の速度と比較し、モータ信号を変調して所望のトルクを生成する。
【0069】
滅菌環境を必要とする処置のために、ロボットシステムは、器具ドライバと医療用器具との間に位置する、滅菌ドレープに接続された滅菌アダプタなどの駆動インターフェースを組み込んでもよい。滅菌アダプタの主な目的は、器具ドライバの駆動シャフトから器具の駆動入力部に角度運動を伝達する一方で、駆動シャフトと駆動入力部との間の物理的分離、したがって無菌性を維持することである。したがって、例示的な滅菌アダプタは、器具ドライバの駆動シャフトと嵌合されることが意図された一連の回転入力部及び出力部と、器具に対する駆動入力部とで構成することができる。滅菌アダプタに接続される滅菌ドレープは、透明又は半透明プラスチックなどの薄い可撓性材料で構成され、器具ドライバ、ロボットアーム、及び(カートベースのシステムにおける)カート又は(テーブルベースのシステムにおける)テーブルなどの資本設備を覆うように設計される。ドレープの使用により、滅菌を必要としない領域(すなわち、非滅菌野)に依然として位置する間に、資本設備を患者に近接して位置決めすることが可能となる。滅菌ドレープの反対側では、医療用器具は、滅菌を必要とする領域(すなわち、滅菌野)において患者とインターフェースしてもよい。
【0070】
D.医療用器具
図11は、ペアの器具ドライバ1102を有する例示的な医療用器具1100を示す。ロボットシステムとともに使用するために設計された他の器具と同様に、医療用器具1100(代替的には「外科用ツール」と称される)は、細長いシャフト1104(又は細長い本体)及び器具基部1106を含む。医師による手動相互作用が意図されているその設計により「器具ハンドル」とも称される器具基部1106は、一般に、ロボットアーム1112の遠位端部において器具ドライバ1102上の駆動インターフェースを通って延在する駆動出力部1110と嵌合するように設計された、回転可能な駆動入力部1108、例えば、レセプタクル、プーリー、又はスプールを含んでもよい。物理的に接続、ラッチ、及び/又は結合されると、器具基部1106の嵌合された駆動入力部1108は、器具ドライバ1102における駆動出力部1110と回転軸を共有して、駆動出力部1110から駆動入力部1108へのトルクの伝達を可能とすることができる。いくつかの実施形態では、駆動出力部1110は、駆動入力部1108上のレセプタクルと嵌合するように設計されたスプラインを含んでもよい。
【0071】
細長いシャフト1104は、例えば内視鏡におけるような解剖学的開口部若しくは管腔、又は例えば腹腔鏡検査におけるような低侵襲性切開部のいずれかを通して送達されるように設計されている。細長いシャフト1104は、可撓性(例えば、内視鏡と同様の特性を有する)若しくは剛性(例えば、腹腔鏡と同様の特性を有する)のいずれかであってもよく、又は可撓性部分及び剛性部分の両方のカスタマイズされた組み合わせを含んでもよい。腹腔鏡検査のために設計される場合、剛性の細長いシャフト1104の遠位端部は、例えば、駆動入力部1108が器具ドライバ1102の駆動出力部1110から受け取るトルクに応答して回転する際に、腱からの力に基づいて作動され得る把持具又ははさみなどの、少なくとも1つの自由度を有するクレビスから形成された接合された手首から延在する外科用ツール又は医療用器具のエンドエフェクタに接続され得る。内視鏡検査のために設計される場合、可撓性の細長いシャフト1104の遠位端部は、器具ドライバ1102の駆動出力部1110から受信したトルクに基づいて関節運動及び屈曲され得る操縦可能又は制御可能な屈曲部を含んでもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、器具ドライバ1102からのトルクは、シャフト1104に沿った腱を使用して細長いシャフト1104の下流に伝達される。プルワイヤなどのこれらの個々の腱は、器具ハンドル1106内の個々の駆動入力部1108に個別に固定されてもよい。ハンドル1106から、腱は、細長いシャフト1104に沿って1つ又は2つ以上のプルルーメン(pull lumen)を下って導かれ、細長いシャフト1104の遠位部分、又は細長いシャフトの遠位部分のリストに固定される。腹腔鏡、内視鏡、又はハイブリッド処置などの外科処置中、これらの腱は、リスト、把持具、又ははさみなどの遠位に装着されたエンドエフェクタに結合されてもよい。このような構成の下で、駆動入力部1108に及ぼされるトルクは、腱に張力を伝達し、それによってエンドエフェクタを何らかの方法で作動させる。いくつかの実施形態では、外科処置中に、腱は、関節を軸の周りで回転させることができ、それによってエンドエフェクタを一方向又は別の方向に移動させる。代替的に、腱は、細長いシャフト1104の遠位端部で把持具の1つ又は2つ以上のジョーに接続されてもよく、腱からの張力によって把持具が閉鎖される。
【0073】
内視鏡検査では、腱は、接着剤、制御リング、又は他の機械的固定を介して、細長いシャフト1104に沿って(例えば、遠位端部に)位置決めされている屈曲部又は関節運動部に結合されてもよい。屈曲部の遠位端部に固定的に取り付けられる場合、駆動入力部1108に及ぼされるトルクは、腱の下流に伝達され、より軟質の屈曲部(関節運動可能部又は領域と称されることがある)を屈曲又は関節運動させる。非屈曲部分に沿って、個々の腱を内視鏡シャフトの壁に沿って(又は内側に)向ける個々のプルルーメンを螺旋状又は渦巻状にして、プルワイヤにおける張力からもたらされる半径方向の力の釣り合いをとることが有利であり得る。これらの間の螺旋及び/又は間隔の角度は、特定の目的のために変更又は設計されてもよく、より狭い螺旋は負荷力下でより小さいシャフト圧縮を呈する一方で、より少ない量の螺旋は負荷力下でより大きいシャフト圧縮をもたらすが、屈曲制限も示す。スペクトルのもう一方の端部では、プルルーメンは、細長いシャフト1104の長手方向軸に平行に方向付けられて、所望の屈曲部又は関節運動可能部における制御された関節運動を可能にしてもよい。
【0074】
内視鏡検査では、細長いシャフト1104は、ロボット処置を支援するいくつかの構成要素を収容する。シャフトは、シャフト1104の遠位端部における手術領域に対して外科用ツール(又は医療用器具)を配置、灌注、及び/又は吸引するための作業チャネルを構成しもよい。シャフト1104は、光学カメラを含んでもよい遠位先端部の光学アセンブリとの間で信号の授受を行うために、ワイヤ及び/又は光ファイバも収容してもよい。シャフト1104は、発光ダイオードなどの近位に位置する光源からシャフトの遠位端部に光を搬送するための光ファイバも収容してもよい。
【0075】
器具1100の遠位端部では、遠位先端部は、診断及び/又は治療、灌注、並びに吸引のためにツールを手術部位に送達するための作業チャネルの開口部を含んでもよい。遠位先端部はまた、内部解剖学的空間の画像をキャプチャするために、ファイバスコープ又はデジタルカメラなどのカメラのためのポートを含んでもよい。関連して、遠位先端部はまた、カメラを使用する場合に解剖学的空間を照明するための光源用のポートを含んでもよい。
【0076】
図11の実施例では、駆動シャフト軸、したがって駆動入力部軸は、細長いシャフトの軸に直交する。しかしながら、この配置は、細長いシャフト1104のロール能力を複雑にする。駆動入力部1108を静止させながら、細長いシャフト1104をその軸に沿ってロールさせることの結果として、腱が駆動入力部1108から延出して細長いシャフト1104内のプルルーメンに入るときに、腱の望ましくない絡まりをもたらす。結果として生じるそのような腱のもつれは、内視鏡処置中に可撓性の細長いシャフトの動きを予測することが意図される任意の制御アルゴリズムを妨害することがある。
【0077】
図12は、駆動ユニットの軸が器具1202の細長いシャフト1206の軸に平行である、円形の器具ドライバ1200及び対応する器具1202(代替的には「外科用ツール」と称される)の代替的な設計を示す。示されるように、器具ドライバ1200は、ロボットアーム1210の端部において平行に位置合わせされた対応する駆動出力部1208を有する4つの駆動ユニットを含む。駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部1208は、アセンブリ1212内の駆動ユニットのうちの1つによって駆動される器具ドライバ1200の回転アセンブリ1212内に収容される。回転駆動ユニットによって提供されるトルクに応答して、回転アセンブリ1212は、回転アセンブリ1212を器具ドライバ1200の非回転部分1214に接続する円形軸受に沿って回転する。電力及び制御信号は、ブラシ付きスリップリング接続(図示せず)による回転を通して維持される電気接点を通して器具ドライバ1200の非回転部分1214から回転アセンブリ1212に伝達されてもよい。他の実施形態では、回転アセンブリ1212は、非回転可能部分1214に一体化され、したがって他の駆動ユニットと平行ではない別個の駆動ユニットに応答してもよい。回転アセンブリ1212は、器具ドライバ1200が、器具ドライバ軸1216周りの単一ユニットとして、駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部1208を回転させることを可能にする。
【0078】
先に開示した実施形態と同様に、器具1202は、細長いシャフト1206と、器具ドライバ1200の駆動出力部1208と嵌合するように構成された複数の駆動入力部1220(レセプタクル、プーリー、及びスプールなど)を含む器具基部1218(鎖線で示される)と、を含んでもよい。先の開示された実施形態とは異なり、器具シャフト1206は、器具基部1218の中心から延在し、軸は駆動入力部1220の軸に実質的に平行であり、
図11の設計にあるように直交してはいない。
【0079】
器具ドライバ1200の回転アセンブリ1212に結合されると、器具基部1218及び器具シャフト1206を含む医療用器具1202は、器具ドライバ軸1216の周りで回転アセンブリ1212と一緒に回転する。器具シャフト1206は器具基部1218の中心に位置決めされているため、器具シャフト1206は、取り付けられたときに器具ドライバ軸1216と同軸である。したがって、回転アセンブリ1212の回転により、器具シャフト1206は、それ自体の長手方向軸の周りで回転する。更に、器具基部1218が器具シャフト1206とともに回転すると、器具基部1218内の駆動入力部1220に接続されたいずれの腱も、回転中に絡まらない。したがって、駆動出力部1208、駆動入力部1220、及び器具シャフト1206の軸の平行性は、どの制御腱も絡めることなくシャフト回転を可能にする。
【0080】
図13は、いくつかの実施形態による、器具ベースの挿入アーキテクチャを有する医療用器具1300を示す。器具1300(代替的には「外科用ツール」と称される)は、本明細書で上述した器具ドライバのいずれかに結合することができ、図示のように、細長いシャフト1302と、シャフト1302に接続されたエンドエフェクタ1304と、シャフト1302に結合されたハンドル1306とを含むことができる。細長いシャフト1302は、近位部分1308a及び遠位部分1308bを有する管状部材を含む。細長いシャフト1302は、その外側表面に沿って1つ又は2つ以上のチャネル又は溝1310を備え、1つ又は2つ以上のワイヤ又はケーブル1312をその中に受容するように構成されている。したがって、1つ又は2つ以上のケーブル1312は、細長いシャフト1302の外側表面に沿って延びる。他の実施形態では、ケーブル1312は、細長いシャフト1302を通って延びることもできる。ケーブル1312の操作(例えば、器具ドライバを介して)により、エンドエフェクタ1304の作動がもたらされる。
【0081】
器具基部とも称され得る器具ハンドル1306は、一般に、器具ドライバの取り付け面上で1つ又は2つ以上のトルクカプラと往復嵌合するように設計された1つ又は2つ以上の機械的入力部1316、例えば、レセプタクル、プーリー又はスプールを有する取り付けインターフェース1314を含むことができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、器具1300は、細長いシャフト1302がハンドル1306に対して並進することを可能にする一連のプーリー又はケーブルを含む。換言すれば、器具1300自体は器具の挿入に適応する器具ベースの挿入アーキテクチャを含み、それによって器具1300の挿入を提供するためのロボットアームへの依存を最小化する。他の実施形態では、ロボットアームは、器具の挿入に大きく関与することができる。
【0083】
E.コントローラ
本明細書に記載のロボットシステムのうちのいずれかは、ロボットアームに取り付けられた器具を操作するための入力デバイス又はコントローラを含むことができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、器具と連結(例えば、通信的に、電子的に、電気的に、無線的に、及び/又は機械的に)することができ、それによりコントローラの操作は、例えば、マスタースレーブ制御を介して、器具の対応する操作を引き起こす。
【0084】
図14は、コントローラ1400の実施形態の斜視図である。本実施形態では、コントローラ1400は、インピーダンス制御及びアドミタンス制御の両方を有することができるハイブリッドコントローラを含む。他の実施形態では、コントローラ1400は、インピーダンス制御又は受動的制御だけを利用することができる。他の実施形態では、コントローラ1400は、アドミタンス制御だけを利用することができる。ハイブリッドコントローラであることにより、コントローラ1400は、有利には、使用中、より低い知覚慣性を有することができる。
【0085】
図示の実施形態では、コントローラ1400は、2つの医療用器具の操作を可能にするように構成されており、2つのハンドル1402を含む。ハンドル1402の各々はジンバル1404に接続されており、各ジンバル1404は位置決めプラットフォーム1406に接続されている。
【0086】
図14に示されるように、各位置決めプラットフォーム1406は、プリズム接合部1412によってカラム1410に結合された選択的コンプライアンスアセンブリロボットアーム(selective compliance assembly robot arm、SCARA)1408を含む。プリズム接合部1412は、(例えば、レール1414に沿って)カラム1410に沿って並進して、ハンドル1402の各々がz方向に並進されることを可能にし、第1の自由度を提供するように構成されている。SCARAアーム1408は、x-y平面におけるハンドル1402の動作を可能にし、2つの更なる自由度を提供するように構成されている。
【0087】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のロードセルがコントローラ1400内に位置決めされている。例えば、いくつかの実施形態では、ロードセル(図示せず)は、ジンバル1404の各々の本体内に位置決めされている。ロードセルを提供することによって、コントローラ1400の部分は、アドミタンス制御下で動作することができ、それによって、使用中にコントローラ1400の知覚慣性を有利に低減する。いくつかの実施形態では、位置決めプラットフォーム1406はアドミタンス制御用に構成されており、一方、ジンバル1404はインピーダンス制御用に構成されている。他の実施形態では、ジンバル1404はアドミタンス制御用に構成されており、一方、位置決めプラットフォーム1406はインピーダンス制御用に構成されている。したがって、いくつかの実施形態では、位置決めプラットフォーム1406の並進又は位置自由度は、アドミタンス制御に依存することができ、一方、ジンバル1404の回転自由度はインピーダンス制御に依存する。
【0088】
F.ナビゲーション及び制御
従来の内視鏡検査は、オペレータである医師に腔内誘導を提供するために、蛍光透視法(例えば、Cアームを通して送達され得るような)、及び他の形態の放射線ベースの撮像モダリティの使用を伴うことがある。対照的に、本開示によって企図されるロボットシステムは、放射線への医師の曝露を低減し、手術室内の機器の量を低減するために、非放射線ベースのナビゲーション及び位置特定手段を提供することができる。本明細書で使用するとき、「位置特定」という用語は、基準座標系内の対象物の位置を判定及び/又は監視することを指すことがある。術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータなどの技術は、放射線を含まない手術環境を達成するために個別に又は組み合わせて使用されてもよい。放射線ベースの撮像モダリティが依然として使用されるその他の場合、術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータは、放射線ベースの撮像モダリティによってのみ取得される情報を改善するために、個別に又は組み合わせて使用されてもよい。
【0089】
図15は、例示的な実施形態による、器具の場所など、ロボットシステムの1つ又は2つ以上の要素の場所を推定する位置特定システム1500を示すブロック図である。位置特定システム1500は、1つ又は2つ以上の命令を実行するように構成されている1つ又は2つ以上のコンピュータデバイスのセットであってもよい。コンピュータデバイスは、上で考察された1つ又は2つ以上の構成要素内のプロセッサ(又は複数のプロセッサ)及びコンピュータ可読メモリによって具現化されてもよい。例として、限定するものではないが、コンピュータデバイスは、
図1に示されるタワー112内にあってもよく、
図1~
図3Bに示されるカート102内にあってもよく、
図4~
図9に示されるベッド内などにあってもよい。
【0090】
図15に示されるように、位置特定システム1500は、入力データ1504a、1504b、1504c及び1504dを処理して医療用器具の遠位先端部の位置データ1506を生成する位置特定モジュール1502を含んでもよい。位置データ1506は、基準系に対する器具の遠位端部の位置及び/又は向きを表すデータ又は論理であってもよい。基準系は、患者の解剖学的構造、又はEM場生成器(EM場生成器についての以下の説明を参照)などの既知の対象物に対する基準系とすることができる。
【0091】
ここで、様々な入力データ1504a~dについてより詳細に説明する。術前マッピングは、低用量CTスキャンの収集を利用して達成することができる。術前CTスキャンは、例えば、患者の内部解剖学的構造の切欠図の「スライス」として可視化される三次元画像に再構成される。全体として分析される場合、患者の肺網などの患者の解剖学的構造の解剖学的空腔、空間、及び構造のための画像ベースのモデルが生成され得る。中心線形状(center-line geometry)などの手法をCT画像から決定及び近似して、モデルデータ1504a(術前CTスキャンのみを使用して生成された場合は「術前モデルデータ」とも称される)と称される患者の解剖学的構造の三次元ボリュームを作成することができる。中心線形状の使用は、米国特許出願第14/523,760号で考察されており、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。ネットワーク位相モデルもまた、CT画像から導出されてもよく、気管支鏡検査に特に適している。
【0092】
いくつかの実施形態では、器具はカメラを装備して、視覚データ1504bを提供してもよい。位置特定モジュール1502は、視覚データ1504bを処理して、1つ又は2つ以上の視覚ベースの場所追跡を可能にしてもよい。例えば、術前モデルデータは、医療用器具(例えば、内視鏡、又は内視鏡の作業チャネルを通って前進する器具)のコンピュータビジョンベースの追跡を可能にするために、視覚データ1504bとともに使用されてもよい。例えば、術前モデルデータ1504aを使用して、ロボットシステムは、内視鏡の予想される移動経路に基づいて、モデルから、予測される内視鏡画像のライブラリを生成することができ、各画像はモデル内の位置にリンクされる。手術中に、このライブラリは、カメラ(例えば、内視鏡の遠位端部でのカメラ)でキャプチャされたリアルタイム画像を画像ライブラリ内のものと比較して、位置特定を支援するために、ロボットシステムによって参照することができる。
【0093】
他のコンピュータビジョンベースの追跡技術は、特徴追跡を使用して、カメラ、したがって内視鏡の動作を判定する。位置特定モジュール1502のいくつかの特徴は、解剖学的管腔に対応する術前モデルデータ1504a内の円形の幾何学的形状を特定し、どの解剖学的管腔が選択されたか、並びにカメラの相対的な回転及び/又は並進運動を決定するために、それらの幾何学的形状の変化を追跡してもよい。位相マップの使用は、視覚ベースのアルゴリズム又は技術を更に向上させることがある。
【0094】
光学フロー、別のコンピュータビジョンベースの技術は、カメラの移動を推測するために、視覚データ1504b内のビデオシーケンス内の画像ピクセルの変位及び並進を分析してもよい。光学フロー技術の例としては、動き検出、物体セグメンテーション計算、輝度、動き補償符号化、立体視差測定などを挙げることができる。複数の反復にわたり複数のフレームを比較することにより、カメラ(及びしたがって内視鏡)の動き及び場所を判定することができる。
【0095】
位置特定モジュール1502は、リアルタイムEM追跡を使用して、術前モデルによって表される患者の解剖学的構造に登録され得るグローバル座標系内に、内視鏡のリアルタイムの位置を生成することができる。EM追跡では、医療用器具(例えば、内視鏡器具)内に1つ又は2つ以上の場所及び配向で埋め込まれた1つ又は2つ以上のセンサコイルを構成するEMセンサ(又はトラッカ)は、既知の場所に位置決めされた1つ又は2つ以上の静的EM場生成器によって生成されるEM場の変動を測定する。EMセンサによって検出された位置情報は、EMデータ1504cとして記憶される。EM場発生器(又は送信機)は、埋め込まれたセンサが検出し得る低強度磁場を生成するために、患者に近接して配置することができる。磁場はEMセンサのセンサコイル内に小さい電流を誘導し、EMセンサとEM場発生器との間の距離及び角度を判定するためにこの電流が分析され得る。これらの距離及び配向は、患者の解剖学的構造の術前モデル内の位置と座標系内の単一の場所を位置合わせする幾何学的変換を判定するために、患者の解剖学的構造(例えば、術前モデル)に術中「位置合わせ」することができる。いったん登録されると、医療用器具の1つ又は2つ以上の位置(例えば、内視鏡の遠位先端部)に埋め込まれたEMトラッカは、患者の解剖学的構造を通る医療用器具の進行のリアルタイム表示を提供することができる。
【0096】
ロボットコマンド及び運動学データ1504dはまた、ロボットシステムのための位置特定データ1506を提供するために、位置特定モジュール1502によって使用されてもよい。関節運動コマンドから生じるデバイスピッチ及びヨーは、術前較正中に判定することができる。術中に、これらの較正測定は、既知の挿入深度情報と組み合わせて使用されて、器具の位置を推定することができる。代替的に、これらの計算は、EM、視覚、及び/又は位相モデリングと組み合わせて分析して、ネットワーク内の医療用器具の位置を推定し得る。
【0097】
図15が示すように、いくつかの他の入力データは、位置特定モジュール1502によって使用することができる。例えば、
図15には示していないが、形状感知ファイバを利用する器具は、位置特定モジュール1502が器具の位置及び形状を判定するために使用し得る形状データを提供することができる。
【0098】
位置特定モジュール1502は、入力データ1504a~dを組み合わせて使用し得る。場合によっては、そのような組み合わせは、位置特定モジュール1502が入力データ1504a~dの各々から決定された位置に信頼性重みを割り当てる確率的手法を使用することができる。したがって、(EM干渉が存在する場合に当てはまるように)EMデータ1504cが信頼できない可能性がある場合、EMデータ1504cによって決定される位置の信頼性は低下する可能性があり、位置特定モジュール1502は、視覚データ1504b並びに/又はロボットコマンド及び運動学データ1504dにより大きく依存する可能性がある。
【0099】
上で考察されるように、本明細書で考察されるロボットシステムは、上述の技術のうちの1つ又は2つ以上の組み合わせを組み込むように設計することができる。タワー、ベッド、及び/又はカートに基づいているロボットシステムのコンピュータベースの制御システムは、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に、コンピュータプログラム命令を記憶してもよく、コンピュータプログラム命令は、実行されると、システムに、センサデータ及びユーザコマンドを受信及び分析させ、システム全体の制御信号を生成させ、グローバル座標系内の器具の位置、解剖学的マップなどのナビゲーション及び位置特定データを表示させる。
【0100】
2.序論
本開示の実施形態は、ロボット外科用ツールを手動で制御するためのシステム及び技術に関する。外科用ツールは、第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、第1の端部と第2の端部との間に延在する、スプラインと、駆動ハウジング内に移動可能に装着可能なキャリッジと、スプラインを手動で作動させるための機構とを含み得る。機構は、フレームと、スプラインの端部を受容するように、フレームに回転可能に装着されたスプライン結合部と、リングギアであって、フレームの周りで回転可能であり、かつスプライン結合部に取り付けられたピニオンギアに動作可能に結合されており、それによって、フレームの周りでのリングギアの回転が、それに対応してスプラインを作動させる、リングギアと、を含むことができる。スプラインが手動で作動されると、それに対応して外科用ツールの関連機能が手動で作動される。
【0101】
3.説明
図16は、本開示の原理のいくつか又は全てを組み込むことができる例示的な外科用ツール1600の等角側面図である。外科用ツール1600は、
図11~
図13を参照して上述した医療用器具のいずれかといくつかの点で同様であってもよく、したがって、
図1~
図13のロボット対応のシステム100、400、及び900などのロボット外科用システムと併せて使用されてもよい。図示のように、外科用ツール1600は、細長いシャフト1602と、シャフト1602の遠位端部に配置されたエンドエフェクタ1604と、エンドエフェクタ1604をシャフト1602の遠位端部に結合する関節運動可能なリスト1606(代替的には「リストジョイント」と称される)と、を含む。
【0102】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用ツール1600をロボットマニピュレータに機械的及び電気的に結合するように構成されたインターフェースを有するロボット外科用システムに対して定義される。「近位」という用語は、ロボットマニピュレータにより近い要素の位置を指し、「遠位」という用語は、エンドエフェクタ1604により近く、したがって動作中に患者により近い要素の位置を指す。更に、上、下、上方、下方、上向き、下向き、左、右等などの方向用語の使用は、それらが図に示されるように例解的な実施形態に関連して使用され、上向き又は上方方向は、対応する図の頂部に向かっており、下向き又は下方方向は、対応する図の底部に向かっている。
【0103】
外科用ツール1600は、1つ又は2つ以上の外科的機能を実行することが可能な種々の構成のうちのいずれかを有することができる。図示の実施形態では、エンドエフェクタ1604は、組織を切断及びステープル留め(締結)するように構成された、代替的には「エンドカッター」とも称される外科用ステープラを備える。図示のように、エンドエフェクタ1604は、開放位置と閉鎖位置との間で移動(関節運動)するように構成された、対向するジョー1610、1612を含む。代替的に、エンドエフェクタ1604は、対向するジョー1610、1612を必要とする他のタイプの器具、例えば、限定されないが、組織把持具、外科用はさみ、高度エネルギー血管シーラー、クリップアプライヤ、持針器、一対の対向する把持ジョーを含むバブコック、双極ジョー(例えば、双極メリーランド把持具、鉗子、有窓把持具など)などを含んでもよい。他の実施形態では、エンドエフェクタ1604は、代わりに、本明細書で開示されるロボット外科用システム及び方法と併せて動作することが可能な任意のエンドエフェクタ又は器具を含んでもよい。そのようなエンドエフェクタ又は器具は、吸引洗浄器、内視鏡(例えば、カメラ)、プローブ、スコープ、高度撮像システム、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0104】
ジョー1610、1612の一方又は両方は、エンドエフェクタ1604を開放位置と閉鎖位置との間で作動させるために枢動するように構成されてよい。図示の例では、第2のジョー1612は、開放されたクランプされていない位置と閉鎖されたクランプされた位置との間で移動するように第1のジョー1610に対して回転可能(枢動可能)である。しかしながら、他の実施形態では、第1のジョー1610は、本開示の範囲から逸脱することなく、第2のジョー1612に対して移動(回転)し得る。更に他の実施形態では、ジョー1610、1612の両方が、開放位置と閉鎖位置との間でエンドエフェクタ1604を作動させるように移動してもよい。
【0105】
図示の例では、第1のジョー1610は、「カートリッジ」ジョーとして特徴付けられるか、又はそうでなければ称され得、第2のジョー1612は、「アンビル」ジョーとして特徴付けられるか、又はそうでなければ称され得る。第1のジョー1610は、ステープルカートリッジを収容又は支持するフレームを含んでもよく、第2のジョー1612は、第1のジョー1610に対して枢動可能に支持され、動作中にステープルカートリッジから排出されたステープルを変形させるためのアンビルとして動作する表面を画定する。
【0106】
リスト1606は、エンドエフェクタ1604がシャフト1602に対して関節運動(枢動)することを可能にし、それによって、エンドエフェクタ1604を手術部位に対して種々の所望の配向及び場所に位置決めする。図示の実施形態では、リスト1606は、エンドエフェクタ1604がシャフト1602の長手方向軸A1に対して左右に枢動(旋回)することを可能にするように設計されている。しかしながら、他の実施形態では、リスト1606は、1つ又は2つ以上の並進変数(すなわち、サージ、ヒーブ、及びスウェイ)並びに/あるいは1つ又は2つ以上の回転変数(すなわち、オイラー角若しくはロール、ピッチ、及びヨー)を含む、複数の自由度を提供するように設計されてもよい。並進変数及び回転変数は、所与の基準デカルトフレームに対する外科用システム(例えば、エンドエフェクタ1604)の構成要素の位置及び向きを説明する。「サージ」は、前後の並進運動を指し、「ヒーブ」は、上下の並進運動を指し、「スウェイ」は、左右の並進運動を指す。回転用語については、「ロール」とは、側面を傾斜させることを意味し、「ピッチ」とは、前方及び後方に傾斜させることを意味し、「ヨー」とは、左及び右に回転させることを指す。
【0107】
図示の実施形態では、リスト1606における枢動運動は、単一平面内の運動、例えば、長手方向軸A
1に対するヨー運動のみに限定される。
図16において、エンドエフェクタ1604の長手方向軸が、シャフト1602の長手方向軸A
1と実質的に位置合わせされ、それにより、シャフト1602に対するエンドエフェクタ1604の角度が実質的にゼロになるような非関節運動位置に、エンドエフェクタ1604を図示している。関節運動位置では、エンドエフェクタ1604の長手方向軸は、エンドエフェクタ1604がシャフト1602に対してゼロ以外の角度に配向されることになるように、長手方向軸A
1から角度的にオフセットされることになる。
【0108】
更に
図16を参照すると、外科用ツール1600は、リスト1606の関節運動及びエンドエフェクタ1604の作動(動作)(例えば、クランプ、発射、回転、関節運動、エネルギー送達など)を容易にするように設計された作動システムとして動作する、代替的には「ステージ」と称される駆動ハウジング1614を含み得る。以下でより詳細に説明するように、駆動ハウジング1614は、外科用ツール1600をロボット外科用システムの器具ドライバに解放可能に結合する結合特徴部を含む。
【0109】
駆動ハウジング1614は、リスト1606及びエンドエフェクタ1604まで延在する複数の駆動部材(
図16では隠れている)を含む。いくつかの駆動部材の選択的な作動は、エンドエフェクタ1604をリスト1606においてシャフト1602に対して関節運動(枢動)させる。他の駆動部材の選択的な作動は、エンドエフェクタ1604を作動(動作)させる。エンドエフェクタ1604を作動させることは、第1のジョー1610に対して第2のジョー1612(又はその逆)を閉鎖及び/又は開放し、それによってエンドエフェクタ1604が組織上へと把持(クランプ)することを可能にすることを含んでもよい。組織が対向するジョー1610、1612の間に把持又はクランプされると、エンドエフェクタ1604を作動させることは、エンドエフェクタ1604を「発射」することを更に含み得るが、これは、第1のジョー1610に画定されたスロット(視界から隠れている)内で切断要素又はナイフ(見えない)を遠位に前進させることを指し得る。遠位に移動すると、切断要素は、対向するジョー1610、1612の間に把持された任意の組織を横切する。更に、切断要素が遠位に前進すると、ステープルカートリッジ内に収容された(例えば、第1のジョー1610内に収納された)複数のステープルが、第2のジョー1612上に提供された対応するアンビル表面(例えば、ポケット)との変形接触へと押しやられる(カム駆動される)。展開されたステープルは、横切された組織の対向する側部を封止するステープルの複数の列を形成し得る。
【0110】
図示のように、駆動ハウジング1614は、第1の「遠位」端部1618aと、第1の端部1618aの反対側の第2の又は「近位」端部1618bとを有する。第1の端部1618aは、代替的には「ハンドル」と称される。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の支柱1620(2つが示される)は、第1の端部1618aと第2の端部1618bとの間の距離を固定することを補助し、駆動ハウジング1614に構造的安定性を提供するように、第1の端部1618aと第2の端部1618bとの間に長手方向に延在する。しかしながら、他の実施形態では、支柱1620は、本開示の範囲から逸脱することなく省略され得る。
【0111】
主ねじ1622及び1つ又は2つ以上のスプライン1624もまた、第1の端部1618aと第2の端部1618bとの間で長手方向に延在する。図示の実施形態では、駆動ハウジング1614は、第1のスプライン1624aと、第2のスプライン1624bと、第3のスプライン1624cとを含む。3つのスプライン1624a~cが示されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、3つより多い又は少ないスプラインが駆動ハウジング1614内に含まれてもよい。支柱1620とは異なり、主ねじ1622及びスプライン1624a~cは、第1及び第2の端部1618a、bに回転可能に装着されている。以下でより詳細に記載されるように、主ねじ1622及びスプライン1624a~cの選択的な回転によって、駆動ハウジング1614内の種々の構成要素を作動させ、それによって、例えば、エンドエフェクタ1604を長手方向軸A1に沿って並進させること、エンドエフェクタ1604をリスト1606において関節運動させる(枢動させる)こと、及びエンドエフェクタ1604を作動させる(動作させる)ことなど、外科用ツール1600の種々の機能を生じさせる。
【0112】
駆動ハウジング1614は、主ねじ1622及びスプライン1624a~cに沿って移動可能に装着され、エンドエフェクタ1604の特定の機能の動作を引き起こすように構成された様々な起動機構を収容する、キャリッジ又はカート1626を更に含む。キャリッジ1626は、第1の層1628a、第2の層1628b、第3の層1628c、第4の層1628d、及び第5の層1628eとして
図16に示される、2つ又はそれ以上の層を備え得る。5つの層1628a~eが示されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、5つより多い又は少ない層がキャリッジ1626内に含まれてもよい。
【0113】
加えて、キャリッジ1626の層1628a~eのうちの1つ又は2つ以上は、残りの層1628a~eに対して切り離し可能であってもよい。このようにして、キャリッジ1626の層1628a~eのうちの1つ又は2つ以上は、キャリッジ1628を画定するために残りの層に解放可能に固定され得る層のブロックとして一緒に固定され得る。例えば、層1628a~eのうちのいくつかは、層のブロックを形成するために、一緒に連続して一体的に固定されてもよく、そのような層のブロックは、層のブロックに一体的に固定されていない残りの1つ又は2つ以上の層1628a~eに選択的に固定されてもよい。図示の実施形態では、層1628b~eは、第2の層1628bと第5の層1628eとの間に延在する1つ又は2つ以上の機械的締結具1630(1つが見える)を使用して、各層1628b~e内の同軸に位置合わせされた孔を通して、互いに連続して固定されて、以下で説明されるように、第1の層1628aに解放可能に固定されるように構成された層のブロックを形成する。図示の例では、1つ又は2つ以上のスナップ1632(2つが見える)が、以下で更に説明されるように、層1628b~eのブロックを第1の層1628aに位置合わせ(又は記録)し、解放可能に取り付けるために利用されるが、様々な他のタイプの1つ又は2つ以上の解放可能なコネクタが利用されてもよい。
【0114】
スナップ1632を介して第1の層1628aに解放可能に取り付けられた一緒に固定された層1628b~eのブロックを画定するように4つの層1628b~eが機械的締結具1630を介して一緒に固定されているように示されているが、一緒に固定された層のブロックは、本開示の範囲から逸脱することなく、4つより多い又は少ない層を含んでもよい。更に、本開示の範囲から逸脱することなく、1つ又は2つ以上の追加の層(例えば、第2の層1628b)を第1の層1628aに連続して機械的に締結して、第1の一緒に固定された層(例えば、3つの層1628c~e)のブロックに取り外し可能に取り付けられた第2の一緒に固定された層のブロックを画定することができる。以下で更に説明されるように、残りの層に対して解放可能に固定される1つ又は2つ以上の層を有するキャリッジ1626を構成することは、外科用ツール1600にある程度のモジュール性を提供し、それによって、外科用ツール1600の1つ又は2つ以上の構成要素が取り換え可能、再使用可能、及び/又は交換可能であることを可能にする。
【0115】
シャフト1602は、駆動ハウジング1614の第1の端部1618aを通ってキャリッジ1626に結合されており、そこから遠位に延在する。図示の実施形態では、例えば、シャフト1602は、第1の端部1618aを通して画定された中央開口部において第1の端部1618aを貫通する。キャリッジ1626は、長手方向軸A1に沿って第1の端部1618aと第2の端部1618bとの間で移動可能であり、それによって、矢印Bによって示されるように、駆動ハウジング1614に対してエンドエフェクタ1604を前進又は後退させることができる。より具体的には、いくつかの実施形態では、キャリッジ1626は、主ねじ1622に装着されており、第1の層1628aに対して固定されたキャリッジナット1634を含む。このようにして、キャリッジ1626の第1の層1628aは、エレベータを画定することができ、その上に解放可能に取り付けられた他の層1628b~eは、以下で説明されるように、エレベータ上で並進することができる。主ねじ1622の外側表面は、螺旋ねじ山を画定し、キャリッジナット1634は、主ねじ1622の外側螺旋ねじ山と嵌合可能な対応する内側螺旋ねじ山(図示せず)を画定する。結果として、主ねじ1622の回転は、キャリッジナット1634に、長手方向軸A1に沿ってキャリッジ1626を前進又は後退させ、それに対応して、駆動ハウジング1614に対してエンドエフェクタ1604を前進又は後退させる。
【0116】
上記で示したように、主ねじ1622及びスプライン1624a~cは、第1及び第2の端部1618a、bに回転可能に装着されている。より具体的には、駆動ハウジング1614の第1の端部1618aは、第1の駆動入力部1636a、第2の駆動入力部1636b、第3の駆動入力部1636c、及び第4の駆動入力部1636dとして示される1つ又は2つ以上の回転可能な駆動入力部を含んでもよい。以下でより詳細に説明するように、各駆動入力部1636a~dは、所与の駆動出力部の動き(回転)が、それに対応して、関連付けられた駆動入力部1636a~dを移動(回転)させるように、器具ドライバの対応する駆動出力部と嵌合可能であってもよい。
【0117】
第1の駆動入力部1636aは、第1の駆動入力部1636aの回転がそれに対応して主ねじ1622を回転させるように、主ねじ1622に動作可能に結合されてもよく、それにより、キャリッジナット1634及びキャリッジナット1634を拘束する第1の層1628aが、主ねじ1622の回転方向に応じて、長手方向軸A
1に沿って前進又は後退する。更に、本明細書で記載されるように、キャリッジ1626の第1の層1628aは、第1の層1628aに解放可能に接続されたキャリッジ1626の残りの層1628b~eを並進させる(キャリッジ1626の)エレベータとして構成されてもよい。したがって、残りの層1628b~eが第1の層1628a上に設置され、それによって、
図16に図示されるようなキャリッジ1626を画定するとき、第1の駆動入力部1636aの回転は、それに対応して、主ねじ1622を回転させ、これにより、この時点でキャリッジナット1634に完全に結合されたキャリッジ1626の全体を、主ねじ1622の回転方向に応じて、長手方向軸A
1に沿って前進又は後退させる。
【0118】
第2の駆動入力部1636bは、第2の駆動入力部1636bの回転がそれに対応して第1のスプライン1624aを回転させるように、第1のスプライン1624aに動作可能に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のスプライン1624aは、キャリッジ1626の第1の起動機構1638aに動作可能に結合されてもよく、第1の起動機構1638aは、ジョー1610、1612を開放及び閉鎖するように動作可能であってもよい。したがって、第2の駆動入力部1636bを回転させることは、それに対応して、第1の起動機構1638aを作動させ、第1のスプライン1624aの回転方向に応じて、ジョー1610、1612を開放又は閉鎖する。加えて、第2の層1628bは、ジョー1610、1612が本明細書に記載されるように動作可能であるように、第1の起動機構1638aを収容するように構成されており、図示の例では、第1の起動機構1638aは、第2の層1628b及び第3の層1628cによって少なくとも部分的に拘束されている。
【0119】
第3の駆動入力部1636cは、第3の駆動入力部1636cの回転がそれに対応して第2のスプライン1624bを回転させるように、第2のスプライン1624bに動作可能に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、第2のスプライン1624bは、キャリッジ1626の第2の起動機構1638bに動作可能に結合されてもよく、第2の起動機構1638bは、リスト1606においてエンドエフェクタ1604を関節運動させるように動作可能であってもよい。したがって、第3の駆動入力部1636cを回転させることは、それに対応して、第2の起動機構1638bを作動させ、第2のスプライン1624bの回転方向に応じて、リスト1606を少なくとも1つの自由度で関節運動させる。加えて、第3の層1628cは、本明細書で記載されるように、リスト1606の関節運動のために第2の起動機構1638bを収容するように構成されており、図示の例では、第2の起動機構1638bは、第3の層1628c及び第4の層1628dによって少なくとも部分的に拘束されている。
【0120】
第4の駆動入力部1636dは、第4の駆動入力部1636dの回転がそれに対応して第3のスプライン1624cを回転させるように、第3のスプライン1624cに動作可能に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、第3のスプライン1624cは、キャリッジ1626の第3の起動機構1638cに動作可能に結合されてもよく、第3の起動機構1638cは、細長いシャフト1602内に延在する駆動バー(
図30及び
図31を参照)を並進させ、それによってエンドエフェクタ1604において切断要素(ナイフ)を発射するように動作可能であってもよい。したがって、第4の駆動入力部1636dを回転させることは、それに対応して、第3の起動機構1638cを作動させ、第3のスプライン1624cの回転方向に応じて、ナイフを前進又は後退させる。加えて、第5の層1628eは、本明細書で記載されるように、エンドエフェクタ1604の切断要素を発射するための第3の起動機構1638cを収容するように構成されており、図示の例では、第3の起動機構1638cは、キャリッジ1626の第5の層1628e及びスラスト軸受層1628fによって少なくとも部分的に拘束されている。
【0121】
図示の実施形態では、起動機構1638a~cは、対応するスプライン1624a~cの回転によって駆動される1つ又は2つ以上の駆動ギアを含み、エンドエフェクタ1604の特定の機能の動作を引き起こす1つ又は2つ以上の対応する被駆動ギアを駆動するように構成された、噛み合った歯車装置アセンブリを備える。
【0122】
いくつかの実施形態では、層1628b~eはシャフト1602に固定されており、起動機構1638a~cは、本明細書で記載されるように外科用ツール1600を作動させるように、それらの関連付けられた層1628b~e内に動作可能に収容されている。図示の実施形態では、層1628b~eは、関連付けられた起動機構1638a~cを、それらが噛み合ってエンドエフェクタ1604及びリスト1606において機能性を提供する位置に拘束するように、機械的締結具1630によって一緒に締結されている。ここで、キャリッジ1626の第1の層1628a、主ねじ1622、及びキャリッジナット1634は、第1の層1628aが、外科用ツール1600を組み立てるときに上に他の層1628b~eが解放可能に固定され得るエレベータを画定するように、駆動ハウジング1614内に(又はそれに)動作可能に固定されている。
【0123】
図16は、オペレータ又はユーザによる取り扱い及び操作のために駆動ハウジング1614の周囲を画定するシュラウド1640を有する駆動ハウジング1614の一実施形態を示す。図示の実施形態では、シュラウド1640は、駆動ハウジング1614の内部構成要素がシュラウド1640を通して見えるように、透明な材料(又は少なくとも部分的に透明な材料)として示されている。しかしながら、他の例では、シュラウド1640は透明である必要はない。含まれる場合、シュラウド1640は、主ねじ1622、スプライン1624a~c、及びキャリッジ1626、並びに駆動ハウジング1614の他の内部構成要素を受容するようなサイズであってもよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、シュラウド1640は、駆動ハウジング1614のシュラウドアセンブリに組み込まれてもよい。
図17は、1つ又は2つ以上の実施形態による、部分的に分解されたときの駆動ハウジング1614を示す、
図16の外科用ツール1600の等角図である。特に、
図17は、1つ又は2つ以上の実施形態による、駆動ハウジング1614の残りの部分から分解されたときの、シュラウド1640を組み込んだ駆動ハウジング1614の例示的なシュラウドアセンブリ1700を示す。図示の実施形態では、シュラウドアセンブリ1700は、(i)駆動ハウジング1614の第1の端部1618aと嵌合可能な第1の端部1702aと、(ii)第1の端部1702aの反対側にあり、駆動ハウジング1614の第2の端部1618bと嵌合可能な第2の端部1702bとを有する、管状又は円筒形の構造を画定する。キャリッジ1626、主ねじ1622、及びスプライン1624a~cは全て、シュラウド1640の内部に収容されてもよく、キャリッジ1626は、シュラウド1640に結合された1つ又は2つ以上のレール1704(ガイドレールと称されることもある)と係合し、その上に載ることができる。レール1704は、長手方向にかつ主ねじ1622に平行に延在し、レール1704は、キャリッジ1626の外周上に、より詳細には層1628a~eのうちの1つ又は2つ以上の層上に画定された対応するノッチ1706内に受容されるようなサイズにされる。キャリッジ1626が長手方向軸A
1に沿って並進するとき、レール1704は、キャリッジ1626の角度位置を維持するのを助け、そうでなければキャリッジ1626に悪影響を及ぼしかねない何らかのねじれ負荷を担う。加えて、シュラウド1640は、第2の端部1618bをシュラウドアセンブリ1700上で位置合わせするための1つ又は2つ以上の位置合わせノッチ1708を含むことができる。レール1704は、シュラウド1640の内部に締結することができ、図示の例では、シュラウド1640の外部に位置決めされた外部レール1710を介してシュラウド1640の内部に結合されており、シュラウド1640を通って延在する複数の締結具1712を介して(ガイド)レール1704に接続されている。
【0125】
図18Aは、1つ又は2つ以上の実施形態による、例示的な器具ドライバ1800に解放可能に結合された
図16及び
図17の外科用ツール1600の等角図である。器具ドライバ1800は、いくつかの点で
図11及び
図12の器具ドライバ1102、1200とそれぞれ類似していてもよく、したがって、それらを参照して最良に理解され得る。器具ドライバ1102、1200と同様に、例えば、器具ドライバ1800は、ロボットアーム(図示せず)の端部に装着されるか、又は別様に位置決めされてもよく、外科用ツール1600を動作させるのに必要な原動力を提供するように設計されてもよい。しかしながら、器具ドライバ1102、1200とは異なり、外科用ツール1600のシャフト1602は、器具ドライバ1800を通って延在し、それを貫通している。
【0126】
器具ドライバ1800は、第1の又は「近位」端部1804aと、第1の端部1804aの反対側の第2の又は「遠位」端部1804bとを有する、本体1802を有する。図示の実施形態では、器具ドライバ1800の第1の端部1804aは、駆動ハウジング1614の第1の端部1618aと嵌合可能であり、外科用ツール1602のシャフト1602は、本体1802を通って第1の端部1804a内に延在し、本体1802の第2の端部1804bから遠位に延在する。
【0127】
図18Bは、器具ドライバ1800の第1の端部1804a、並びに
図16及び
図17の外科用ツール1600の駆動ハウジング1614の第1の端部1618aの分離等角端面図を提供する。ジョー1610、1612が閉鎖された状態で、シャフト1602及びエンドエフェクタ1604は、第1の端部1804aと第2の端部1804bとの間で本体1802を通って長手方向に画定された中央開口部1806を通って延在することによって、器具ドライバ1800を貫通するように設計されている。外科用ツール1600を器具ドライバ1800と適切な角度配向で角度的に位置合わせするために、1つ又は2つ以上の位置合わせガイド1808が、中央開口部1806内に提供されるか、又は別様に画定されており、外科用ツール1600によって提供される1つ又は2つ以上の対応する位置合わせ特徴部1810(視界から隠れている、
図17を参照)に係合するように構成され得る。図示の実施形態では、位置合わせ特徴部1810は、駆動ハウジング1614の第1の端部1618aから遠位に延在する位置合わせノズル1812上に画定されているか、又は別様にそれによって提供される突起又は突出部を含む。1つ又は2つ以上の実施形態では、位置合わせガイド1808は、シャフト1602が中央開口部1806に入るときに位置合わせ特徴部1810を受容し、シャフト1602が中央開口部1806を通って遠位に前進するときに外科用ツール1600を器具ドライバ1800との適切な角度位置合わせにガイドするように構成された湾曲した又は弓形の肩部を備えてもよい。
【0128】
加えて、1つ又は2つ以上の追加の位置合わせ特徴部1814が、中央開口部1806内に配置され、外科用ツール1600が器具ドライバ1800に対して適切な回転位置合わせで設置されることを確実にするために、位置合わせノズル1812上に提供された1つ又は2つ以上の対応する凹部(図示せず)と嵌合するように構成されてもよい。
【0129】
図示のように、駆動インターフェース1816が、器具ドライバ1800の第1の端部1804aに提供されており、被駆動インターフェース1818が、駆動ハウジング1614の第1の端部1618aに提供されている。駆動インターフェース1816及び被駆動インターフェース1818は、駆動ハウジング1614を器具ドライバ1800に機械的、磁気的、及び/又は電気的に結合するように構成されてもよい。これを達成するために、駆動インターフェース1816及び被駆動インターフェース1818は、駆動ハウジング1614を器具ドライバ1800に固定するように構成された1つ又は2つ以上の嵌合可能な位置付け特徴部を提供してもよい。図示の実施形態では、例えば、駆動インターフェース1816は、被駆動インターフェース1818上に提供された1つ又は2つ以上の実質的に相補的な形状のポケット1822(3つが示されている)を位置付け、それと嵌合するように構成された、1つ又は2つ以上の相互係止特徴部1820(3つが示されている)を提供する。球状突出部として例示される相互係止特徴部1820は、例えば、締まり嵌め又はスナップ嵌め係合を介して、ポケット1822と位置合わせ及び嵌合するように構成されてもよい。
【0130】
器具ドライバ1800はまた、駆動インターフェース1816を通って延在して、駆動ハウジング1614の第1の端部1618aにおいて被駆動面1818上に提供された駆動入力部1636a~dと嵌合する1つ又は2つ以上の駆動出力部を含む。より具体的には、図示の実施形態では、器具ドライバ1800の駆動インターフェース1816は、第1の駆動入力部1636aと嵌合可能な第1の駆動出力部1824aと、第2の駆動入力部1636bと嵌合可能な第2の駆動出力部1824bと、第3の駆動入力部1636cと嵌合可能な第3の駆動出力部1824cと、第4の駆動入力部1636dと嵌合可能な第4の駆動出力部1824dと、を含む。いくつかの実施形態では、図示のように、駆動出力部1824a~dは、駆動入力部1636a~d上の対応するスプライン付きレセプタクルと嵌合するように設計されたスプラインを備えてもよい。適切に嵌合されると、駆動入力部1636a~dは、対応する駆動出力部1824a~dと回転軸を共有して、駆動出力部1824a~dから対応する駆動入力部1636a~dへの回転トルクの伝達を可能にする。いくつかの実施形態では、各駆動出力部1824a~dは、ばね式であってもよく、さもなければ、駆動インターフェース1816から離れて外向きに跳ね返るように付勢されてもよい。各駆動出力部1824a~dは、駆動インターフェース1816内に部分的又は完全に後退することが可能であり得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、器具ドライバ1800は、第5の駆動出力部1824e及び第6の駆動出力部1824fとして、
図18Bに示される追加の駆動出力を含んでもよい。第5及び第6の駆動出力部1824e、fは、駆動ハウジング1614の追加の駆動入力部(図示せず)と嵌合するように構成及び位置決めされて、外科用ツールの1つ又は2つ以上の追加の機能を果たすのを助けることができる。図示の実施形態では、駆動ハウジング1614は追加の駆動入力部を含まず、被駆動インターフェース1818は、第5及び第6の駆動出力部1824e、fを受容するように構成された対応するポケット1826を画定する。
【0132】
図19は、1つ又は2つ以上の実施形態による、ステージ部分1902と、ステージ部分1902に解放可能に取り付けられ得る器具部分1904とを有して構成された外科用ツール1600を示す。図示の実施形態では、器具部分1904は、外科用ステープラ(例えば、エンドカッター)の様々な構成部品を包囲するか又は含むが、本明細書の他の箇所で言及されるように、他の実施形態では、器具部分1904は、他のタイプの外科用ツールに関連する構成部品を包囲するか又は含み得る。
【0133】
図示のように、ステージ部分1902は、シュラウド1640から取り外すことができるエンドキャップ又は取り外し可能なキャップ1906を含むことができ、それにより、器具部分1904をステージ部分1902に設置するか、又は別様に結合することができる。いくつかの実施形態では、エンドキャップ1906は、駆動ハウジング1614の第2の端部1618bに取り外し可能に取り付け可能であり、器具部分1904がステージ部分1902の近位側と嵌合されることを可能にするように取り外し可能である。したがって、エンドキャップ1906は、本明細書では取り外し可能なキャップ1906と称されることがある。ここで、器具部分1904は、層1628b~eと、スラスト軸受層1628fと、それらによって拘束された関連する起動機構1638a~cとを備えるハンドルアセンブリ1908(代替的には「ハンドル駆動アセンブリ」と称される)を含み、シャフト1602は、ハンドルアセンブリ1908の少なくとも一部の対応するサイズの中央開口部を通って延在する。この実施形態では、ハンドルアセンブリ1908は、取り外し可能なキャップ1906の取り外し後に、第1の層1628a(すなわち、エレベータ層)の近位側に落とし込まれてもよい。
【0134】
上述の実施形態では、スプライン1624a~c(
図16)及び主ねじ1622(
図16)は、第1の端部1618aと第2の端部1618bとの間に延在する。上述のように、スプライン1624a~c及び主ねじ1622は、第1の端部1618aから延在し、この場合、それらは、器具ドライバ1800(
図18B)の対応する駆動出力部1824a~f(
図18B)と嵌合可能であり、それによって駆動される、外科用ツール1600の駆動入力部1636a~dに動作可能に接続されており、それによって、所与の駆動出力部1824a~fの移動(回転)は、それに対応して、関連付けられた駆動入力部1636a~dを移動(回転)させ、それによって、スプライン1624a~c及びそれに関連付けられた主ねじ1622を移動(回転)させる。また、これらの実施形態では、スプライン1624a~c及び主ねじ1622は、取り外し可能なキャップ1906まで延在し、そこに動作可能に結合されている。
【0135】
図20A及び
図20Bは、それぞれ、
図19の取り外し可能なキャップ1906の正面斜視図及び後面斜視図を示す。特に、
図20Aは、1つ又は2つ以上の実施形態による、取り外し可能なキャップ1906の内部係合側面2002を示す。内部係合側面2002は、取り外し可能なキャップ1906が設置されるとき、スプライン1624a~c(
図16)及び主ねじ1622(
図16)の端部を受容するように構成されており、かつまた、取り外し可能なキャップ1906の取り外しのために、スプライン1624a~c及び主ねじ1622からの結合解除を可能にするように構成されている。したがって、内部係合側面2002は、スプライン及び/又は主ねじの各々のための結合部(レセプタクル)を含んでもよい。図示の実施形態では、内部係合側面2002は、3つのスプライン1624a~cに対応するように配置された3つのスプライン結合部2004a、2004b、及び2004cを含む。しかしながら、内部係合側面2002は、例えば、3つより多い又は少ないスプライン1624a~cを有する実施形態では、3つより多い又は少ないスプライン結合部2004a~cを含んでもよい。したがって、追加の位置2004d~fは、追加のスプライン又は駆動要素を受容するように構成されてもよい。ここでは、図示の実施形態が3つのスプライン結合部2004a~cを利用するため、六角止めねじ2005が追加の位置2004d~fに配置されている。加えて、内部係合側面2002は、主ねじ1622(
図16)に対応するように配置されたステージ結合部2006を含む。
【0136】
スプライン結合部2004a~c及びステージ結合部2006は、取り外し可能なキャップ1906内に回転可能に装着されており、それによって、取り外し可能なキャップ1906を設置することによってそれらの対応するスプライン1624a~c(
図16)及び主ねじ1622(
図16)と係合したときに、それらとともに回転する。また、スプライン結合部2004a~c及び/又はステージ結合部2006のいずれか又は全ては、それらの対応するスプライン1624a~c及び/又は主ねじ1622の端部形状にキー止めされてもよい。いくつかの実施形態では、スプライン1624a~cはそれぞれ正方形の端部を含み、各スプライン結合部2004a~cは、スプライン結合部2004a~cがそれらの関連付けられたスプライン1624a~cとともに、それらの間の相対的な滑りを最小限に抑えながら回転することを確実にするように、対応するスプライン1624a~cの特定の端部形状を受容するように対応して成形された凹部を含む。しかしながら、本開示から逸脱することなく、スプライン1624a~c及び関連付けられたスプライン結合部2004a~cは、他の形状(例えば、三角形、多角形、卵形など)でキー止めしてもよく、各関連付けられたスプライン及び結合部の対は、他の関連付けられたスプライン及び結合部の対のうちの1つ又は2つ以上とは異なる形状でキー止めしてもよいことを理解されたい。
【0137】
図示の実施形態では、ステージ結合部2006は、主ねじ1622(
図16)の対応する端部形状にキー止めされる低摩擦スラスト軸受として示されている。図示のように、ステージ結合部2006の形状は円形であり、そのような実施形態では、主ねじ1622の端部は、締まり嵌めなどを介してステージ結合部2006内に受容されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、主ねじ1622は、ステージ結合部2006に異なるように接続されてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、例えば、主ねじ1622(
図16)は、ねじ結合部2006内に螺合されてもよい。本明細書に記載されるように、例えば、キャリッジ1626を直線的に並進させるように配置されたベルト又はケーブル駆動アクチュエータなど、主ねじ1622の代わりにキャリッジ1626(
図16)の直線的な並進に影響を及ぼすための代替的な機構又はアクチュエータが利用され、そのような実施形態では、ステージ結合部2006は、適切に構成されたステージ結合部の起動が、それに対応して、本明細書に記載されるような上記代替的な機構又はアクチュエータを起動するように、上記代替的な機構又はアクチュエータと一体化するように適切に構成されてもよい。
【0138】
図示の実施形態では、取り外し可能なキャップ1906は、フレームアセンブリ2008と、フレームアセンブリ2008の周りに配置されたリング2010とを更に含む。フレームアセンブリ2008は、スプライン結合部2004a~c及びステージ結合部2006を保持するように構成されている。いくつかの例では、追加のスプライン結合部(例えば、スプライン結合部2004a~cと同様)が、スプラインの標準的な位置合わせに適合する編成で追加の位置2004d~fに配置されてもよく、それにより、取り外し可能なキャップ1906は、上に載るハンドルアセンブリ1908(
図19)が最大数のスプラインのうちの1つ又は2つ以上からの入力を受け取るように構成されない場合であっても、最大数のスプラインとともに利用可能である。
【0139】
取り外し可能なキャップ1906の内部係合側面2002は、シュラウドアセンブリ1700(
図17)と嵌合するように構成されてもよい。図示の例では、フレームアセンブリ2008は、外向きに突出して複数の位置合わせタブ2014を画定するボス2012を含む。取り外し可能なキャップ1906を設置するとき、位置合わせタブ2014は、シュラウド1640(
図17)に画定された対応する位置合わせノッチ1708(
図17)内に位置合わせタブ2014を位置付けることによって、適切な位置合わせを確実にするために使用され得る。
【0140】
本開示の実施形態によれば、取り外し可能なキャップ1906は、器具ドライバ1800とは独立して、スプライン1624a~c(
図16)及び/又は主ねじ1622(
図16)の手動作動を可能にするように構成されてもよい。
図20Bは、スプライン1624a~c(
図16)及び主ねじ1622(
図16)を手動で作動させるように構成された取り外し可能なキャップ1906の外側面2020を示す。図示の実施形態では、一対の手動制御ナット2022a及び2022bが、それぞれスプライン結合部2004b及びcの手動回転を可能にするために提供されており、ステージソケット2024が、ステージ結合部2006の手動回転を可能にするために提供されている。手動制御ナット2022a、bは、それらの対応するスプライン結合部2004b、cに回転で固定されており、それによって、手動制御ナット2022a、bの手動回転は、それに対応して、取り外し可能なキャップ1906が設置されるときに、関連付けられたスプライン結合部2004b及びc並びに相互接続された(嵌合した)スプライン1624b、c(
図16)を回転させる。同様に、ステージソケット2024は、ステージ結合部2006に回転で固定されており、それによって、ステージソケット2024及びステージ結合部2006は一体となって回転する。このようにして、ユーザは、取り外し可能なキャップ1906が、例えば、アレンレンチを用いてステージソケット2024を回すことによって設置されるとき、主ねじ1622(
図16)を手動で回転させてもよい。他の実施形態では、例えば、ベルト又はケーブル駆動アクチュエータなどの代替的な作動が、主ねじ1622の代わりに、外科用ツール1600のキャリッジ1626(
図16)を軸方向に並進させるために利用され、そのような実施形態では、ユーザは、本明細書で記載されるように、ステージソケット2024を回すことによって、取り外し可能なキャップ1906が設置されるときに、そのような代替的な作動を手動で起動してもよい。
【0141】
そのような手動の特徴部は、ユーザが、エンドエフェクタ1604(
図16)の関節運動若しくは発射、及び/又はキャリッジ1626(
図16)を軸方向に並進させることによる細長いシャフト1602(
図16)の前進若しくは後退などの、外科用ツール1600(
図16)の機能を手動で操作することを可能にするときに有利であることを証明し得る。これは、外科用ツール1600への電力が失われ得るか、又は外科用ツール1600が別様に動作不能にされるとき、手動脱出状況において役立ち得る。
【0142】
図示の例では、手動制御ナット2022a、b並びにそれらの対応するスプライン結合部2004b及びcは、スプライン1624b、cと関連付けられ、それによって、手動制御ナット2022a、bの回転は、リスト1606(
図16)の関節運動及びエンドエフェクタ1604(
図16)の発射を引き起こす。しかしながら、手動制御ナット2022a、b並びにそれらの対応するスプライン結合部2004b及びcのいずれか又は両方は、異なるスプラインと関連付けられて、その異なるスプラインと関連付けられた外科用ツール1600の機能を手動で作動又は駆動し得る。例えば、手動制御ナット2022a、bのうちの1つ並びにその対応するスプライン結合部2004b及びcは、ジョー1610、1612を開放又は閉鎖するために第1のスプライン1624aと関連付けられてもよい。したがって、手動制御ナット2022a、b並びにそれらの対応するスプライン結合部2004b及びcは、エンドエフェクタ1604が外科用ステープラ又は本明細書で言及される他のタイプの外科用器具のいずれかとして構成されるかどうかにかかわらず、外科用ツール1600の任意の機能を手動で作動又は駆動するように構成され得る。
【0143】
取り外し可能なキャップ1906はまた、手動制御ナット2022a、b並びにそれらの対応するスプライン結合部2004b及びcと関連付けられていない、外科用ツール1600の追加の機能を手動で作動又は駆動するように構成されてもよい。例えば、取り外し可能なキャップ1906は、第1のスプライン結合部2004a(
図20A)及びその中に受容された相互接続された第1のスプライン1624a(
図16)の手動の作動を可能にし、それによって外科用ツール1600の追加の機能を手動で作動又は駆動するように構成されてもよい。図示の実施形態では、リング2010は、フレームアセンブリ2008に対してリング2010を手動で回転させることが、それに対応して第1のスプライン結合部2004を回転させるように、第1のスプライン結合部2004に動作可能に結合されている。ここで、リング2010は、フレームアセンブリ2008の周囲の周りに延在し、フレームアセンブリ2008に対してその周囲の周りで回転することができるように、フレームアセンブリ2008上に配置されている。
【0144】
図21は、1つ又は2つ以上の実施形態による、
図20A及び
図20Bの取り外し可能なキャップ1906の部分分解図である。特に、
図21は、リング2010がフレームアセンブリ2008から取り外された状態の取り外し可能なキャップ1906を示す。図示のように、リング2010は、内側表面2102を有する環状本体2100を含み、リングギア2104が、内側表面2102上に提供されている(画定されている)。リングギア2104は、複数の歯2106を備え、内側表面2102の全て又は一部の周りに周方向に延在する。図示のように、リングギア2104は、内側表面2102のより大きい直径と比較してより小さい直径を有する隆起部を画定するように、内側表面2102から本体2100のボア2107内に半径方向内向きに突出している。
【0145】
フレームアセンブリ2008は、周りにリング2010が延在する本体2108を含む。本体2108は、上にリング2010が配置されるとき、フレームアセンブリ2008の軸A1の周りでの、本体2108に対するリング2010の回転を可能にするように構成されている。加えて、本体2108は、上にリング2010が配置されるとき、本体2108に対するリング2010の軸方向並進を阻止するように構成されてもよい。したがって、本体2108は、リング2010の相対的な回転を可能にすると同時に、リング2010の相対的な軸方向並進を阻止するように構成されている。
【0146】
図示の実施形態では、本体2108は、本体2108の周囲2112の周りに周方向に延在するチャネル2110を含み、チャネル2110は、リング2010のリングギア2104と位置合わせするように配置されており、したがって、それに応じたサイズにされ得る。また、図示の実施形態では、本体2108は、上部(又は第1の)構成要素2114aと、上部構成要素2114aから分離可能な底部(又は第2の)構成要素2114bとを含む。本体2108を組み立てるために、上部構成要素2114aは、リングギア2104に係合するまでその上部からリング2010のボア2107内に部分的に挿入されてもよく、底部構成要素2114bは、リングギア2104に下側で係合するまでその底部からリング2010内に部分的に挿入されてもよい。次いで、1つ又は2つ以上の止めねじ2005を使用して、上部及び底部構成要素2114a及びbを結合すると同時に、リングギア2104を上部構成要素2114aと底部構成要素2114bとの間に捕捉することができる。図示の例では、本体2108をリング2010に組み付けるために3つの止めねじ2005が示されているが、他の実施形態では、より多い又は少ない止めねじが使用されてもよい。
【0147】
スプライン結合部2004aは、複数の歯2118を有するピニオンギア2116を含んでもよい。ピニオンギア2116は、スプライン結合部2004aに固定されており、それによって、それらが一体となって(一緒に)回転する。ピニオンギア2116は、ピニオンギア2116がチャネル2110内に延在し、チャネル2110を通してリングギア2104によって係合可能であるように、本体2108に回転可能に装着されてもよい。したがって、チャネル2110は、環状表面2120を画定し、環状表面2120及びリングギア2104は、リング2010がフレームアセンブリ2008の本体2108の周りを回転するときに、リングギア2104が、リングギア2104の歯2106とチャネル2110との間のいかなる干渉もなしにチャネル2110内を進行するように、対応してサイズ決め及び位置決めされ得る。
【0148】
ピニオンギア2116は、歯2118が環状表面2120を越えてチャネル2110内に延在するように配置されてもよい。このようにして、リングギア2104の歯2106は、リング2010がフレームアセンブリ2008上に組み立てられると、ピニオンギア2116の歯2118と係合して噛み合うことができ、それによって、それらのそれぞれの歯2106、2118の相互作用を介してリングギア2104を回転させることによって、ピニオンギア2116に回転を与えることができる。したがって、フレームアセンブリ2008の軸A
1の周りでのリング2010の回転は、リングギア2104を軸A
1の周りで同様に回転させ、これは次に、リングギア2104と噛み合ったピニオンギア2116の回転、及びピニオンギア2116から延在するスプライン結合部2004aの回転を引き起こし、それによって、第1のスプライン1624a(
図16)は、スプライン結合部2004a内に受容されたときに、取り外し可能なキャップ1906を回転させることによって手動で作動され得る(
図18Aの器具ドライバ1800とは独立して)。
【0149】
したがって、取り外し可能なキャップ1906は、主ねじ1622及びスプライン1624a~cを手動で作動させ、それによって、主ねじ1622及びスプライン1624a~cに関連付けられた外科用ツール1600の様々な機能を手動で起動するための機構を具現化する。したがって、ステージ結合部2006及びスプライン結合部2004a~cが上述のように主ねじ1622及びスプライン1624a~cと動作可能に係合されるように、取り外し可能なキャップ1906が外科用ツール1600の(近位)第2の端部1618b上に設置されるとき、取り外し可能なキャップ1906は近位手動作動機構を具現化する。
図22は、1つ又は2つ以上の実施形態による、外科用ツール1600の1つ又は2つ以上の機能を手動で起動するための近位手動作動機構2200として構成された取り外し可能なキャップ1906を示す。図示のように、近位手動作動機構2200は、リング2010の回転を介して、第1のスプライン結合部2004aを、その中に配置された第1のスプライン1624aとともに手動で作動させるために提供されており、それによって、ユーザが、近位手動作動機構2200を利用して、第1の起動機構1638a(
図19)を手動で起動し、それによってジョー1610、1612(
図19)を手動で開放又は閉鎖することができる。
【0150】
したがって、近位手動作動機構2200は、手動ジョー開放及び閉鎖機構を具現化することができる。しかしながら、他の実施形態では、近位手動作動機構2200は、代わりに、外科用ツール1600の任意の他の機能を手動で起動するために提供されてもよい。例えば、近位手動作動機構2200が手動ステージ並進機構を具現化するように、近位手動作動機構2200は、代わりに、ステージ結合部2006及びその中に配置された主ねじ1622を手動で作動させて、外科用ツール1600の対応する機能を手動で起動するために(すなわち、そのように組み立てられたときにキャリッジナット1634(
図16)及び第1の層1628a又はキャリッジ1626(
図16)の手動並進を提供するために)提供されてもよい。他の例では、近位手動作動機構2200が手動リスト関節運動機構を具現化するように、近位手動作動機構2200は、代わりに、第2のスプライン結合部2004bを、その中に配置された第2のスプライン1624bと一緒に手動で作動させて、第2の起動機構1638b(
図16)を手動で駆動し、それによってリスト1606(
図16)を手動で関節運動させるために提供されてもよい。更に他の例では、近位手動作動機構2200が手動発射機構を具現化するように、近位手動作動機構2200は、代わりに、第3のスプライン結合部2004cを、その中に配置された第3のスプライン1624cと一緒に手動で作動させて、第3の起動機構1638c(
図16)を手動で駆動し、それによってエンドエフェクタ1604(
図16)を手動で発射させるために提供されてもよい。代替的に、近位手動作動機構2200は、外科用ツール1600の2つ又はそれ以上の機能を手動で起動するために提供されてもよい。以下で記載するように、近位手動作動機構2200は、近位手動ジョー開放及び閉鎖機構並びに近位手動ステージ並進機構の両方、あるいは2つ又はそれ以上の機能の様々な他の組み合わせを具現化することができる。
【0151】
図22において、取り外し可能なキャップ1906は、近位手動作動機構2200の例示的な動作をより明確に示すために、底部構成要素2114bなしで示されている。特に、
図22は、リング2010内に提供されたリングギア2104と、中に第1のスプライン1624aが提供されたスプライン結合部2004a上に提供されたピニオンギア2116との間の例示的な相互作用を示す。上述したように、スプライン結合部2004a~cはそれぞれ、フレームアセンブリ2008(
図21)内に回転可能に装着されており、フレームアセンブリ2008は、フレームアセンブリ2008が駆動ハウジング1614によって拘束され、リング2010に回転で固定されるように、(取り外し可能なキャップ1906が設置されるときに)支柱1620に取り付け可能である。このようにして、フレーム2008が駆動ハウジング1614の残りの部分に対して静止したままである間、リング2010をフレーム2008の周りで回転させることができる。
【0152】
近位手動作動機構2200を利用するために、ユーザは、第1の端部1618a(
図16)又はシュラウド1640において外科用ツール1600を保持し、次いで、取り外し可能なキャップ1906のリング2010に回転力を手動で加えて(捩り)、それによって、リング2010をフレームアセンブリ2008(
図21)の周りで回転させてもよい。述べたように、リングギア2104はリング2010とともに回転し、ピニオンギア2116は第1のスプライン結合部2004aとともに回転し、リングギア2014及びピニオンギア2166は、リングギア2104の歯2106とピニオンギア2116の歯2118との噛み合いを介して互いに動作可能に結合されている。リング2010及びその上に提供されたリングギア2104の回転は、動作可能に結合されたピニオンギア2116を駆動し(回転させ)、ピニオンギア2116の回転は、それに対応して、ピニオンギア2116上に提供された第1のスプライン結合部2004aを駆動し(回転させ)、それによって第1のスプライン結合部2004a内に受容された第1のスプライン1624aを駆動する(回転させる)。したがって、近位手動作動機構2200は、第1の回転方向へのリング2010の手動回転が、第1のスプライン1624を作動させ、それによってジョー1610、1612(
図16)を開放し、一方、第2の回転方向(第1の回転方向と反対)へのリング2010の手動回転が、第1のスプライン1624を作動させ、それによってジョー1610、1612(
図16)を閉鎖するように提供されてもよい。
【0153】
述べたように、近位手動作動機構2200はまた、外科用ツール1600の1つ又は2つ以上の追加機能を手動で作動させるために提供されてもよい。したがって、ステージ結合部2006並びに/又はスプライン結合部2004b及びcのいずれか若しくは両方は、リングギア2104に動作可能に結合されてもよく、それによって、リング2010の回転は、ジョー1610、1612(
図16)を同時に開放又は閉鎖しながら、それらの関連付けられた機能を起動する。例えば、ステージ結合部2006並びにスプライン結合部2004b及びcのうちの1つ又は2つ以上に、それぞれ、第1のスプライン結合部2004aを参照して説明したのと同様に、それに対応するステージ結合部2006並びに/又はスプライン結合部2004b及びcを駆動し、それによって外科用ツール1600の関連付けられた機能の起動を引き起こすためのピニオンギアを提供してもよい。しかしながら、他の歯車機構を利用して、リングギア2104をステージ結合部2006並びに/又はスプライン結合部2004b及びcのうちの任意の1つ又は2つ以上と動作可能に結合することができる。
【0154】
例示的な一実施形態では、近位手動作動機構2200の回転は、上述したように、ジョー1610、1612(
図16)を手動で開放又は閉鎖し、同時に、ステージ結合部2006を、その中に受容された主ねじ1622とともに回転させて、キャリッジナット1634(
図16)及びそれに接続された第1の層1628a(
図16)を並進させ、これは、外科用ツール1600の器具部分1904(
図19)をステージ部分1902(
図19)から取り外すのに有益であり得る。1つのそのような実施形態では、第1の回転方向へのリング2010の回転は、ジョー1610、1612の閉鎖と第1の層1628aの近位並進とを同時に引き起こす。このようにして、器具部分1904がステージ部分1902上に組み立てられると、ユーザは、リング2010を第1の回転方向に回転させてキャリッジ1626(
図16)を近位に並進させ、同時にジョー1610、1612を閉鎖することができ、それによって、ジョー1610、1612がキャリッジ1626とともに近位に並進するときに、駆動ハウジング1614(
図19)の(遠位)第1の端部1618aに提供された位置合わせノズル1812(
図19)を通して、ジョー1610、1612を干渉なしに後退させることができる。近位手動作動機構2200のこの二重機能は、ステージ部分1902から器具部分1904を取り外すときに有用であることを証明し得る。
【0155】
近位手動作動機構2200は、ユーザが片手でジョー1610、1612(
図16)を開放若しくは閉鎖する(あるいは外科用ツール1600の1つ又は2つ以上の他の又は追加の機能を手動で起動する)ことを可能にする。また、近位手動作動機構2200は、エンドエフェクタ1604(
図16)内にステープルカートリッジを設置(又は交換)するために利用されてもよい。例えば、ユーザは、近位手動作動機構2200を操作して、器具ドライバ1800(
図18)から切り離されたときにジョー1610、1612を開放又は閉鎖して、ステープルカートリッジをジョー1610、1612から取り外し、及び/又は新しいステープルカートリッジをその中に設置することができる。しかしながら、近位手動作動機構2200はまた、外科用ツール1600が器具ドライバ1800に取り付けられているときに操作されてもよい。
【0156】
いくつかの実施形態では、手動作動機構が、駆動ハウジング1614の第1の(遠位)端部1618aに提供されてもよい(
図18A)。
図23は、1つ又は2つ以上の実施形態による、外科用ツール1600の1つ又は2つ以上の機能を手動で起動するための遠位手動作動機構2300を示す。図示の実施形態では、遠位手動作動機構2300は、駆動ハウジング1614の第1の端部1618aに提供された被駆動インターフェース1818(
図18B)に結合されたエンクロージャ又は遠位駆動ハウジング2302を含む。ここで、遠位駆動ハウジング2320は、リング形状であり、被駆動インターフェース1818に回転可能に結合されており、それによって、リング形状の遠位駆動ハウジング2320は、
図21及び
図22のリング2010に関して説明したものと同様に、被駆動インターフェース1818及び駆動ハウジング1614の残りの部分の周りで、かつそれらに対して回転することができる。また、複数の歯2306を有するリングギア2304が、遠位駆動ハウジング2302の内周(又は円周)2308に沿って提供されており、それによって、リングギア2304及びその歯2306は、遠位駆動ハウジング2302と一体となって回転することができる。
【0157】
前述したように、駆動入力部1636a~d(
図18B)は、駆動ハウジング1614の第1の端部1618aにおける被駆動面1818(
図18B)上に提供されている。図示の実施形態では、第1の駆動入力部1636a(
図18B)は、主ねじ1622に動作可能に結合されており、それによって、第1の駆動入力部1636aの回転は、それに対応して主ねじ1622を回転させ、組み立てられたときに第1の層1628a(
図16)及びキャリッジ1626(
図16)の並進を引き起こす。第2の駆動入力部1636b(
図18B)は、第1のスプライン1624aに動作可能に結合されており、それによって、第2の駆動入力部1636bの回転は、それに対応して、第1の起動機構1638a(
図16)に動作可能に結合されている第1のスプライン1624aを回転させ、それによってジョー1610、1612(
図16)を開放及び閉鎖する。加えて、第3の駆動入力部1636c(
図18B)は、第2のスプライン1624bに動作可能に結合されてもよく、それによって、第3の駆動入力部1636cの回転は、それに対応して、第2の起動機構1638b(
図16)に動作可能に結合された第2のスプライン1624bを回転させ、それによってエンドエフェクタ1604(
図16)をリスト1606(
図16)において関節運動させるように動作可能である。更に、第4の駆動入力部1636d(
図18B)は、第3のスプライン1624cに動作可能に結合されてもよく、それによって、第4の駆動入力部1636dの回転は、それに対応して、第3の起動機構1638c(
図18B)に動作可能に結合された第3のスプライン1624cを回転させ、それによってエンドエフェクタ1604において切断要素(ナイフ)を発射するように動作可能である。
【0158】
駆動入力シャフトが、駆動入力部1636a~d(
図18B)の各々に提供されており、駆動入力部1636a~dの各々のそのような回転は、次に、そのそれぞれの駆動入力シャフトを回転させる。
図23において、第1の駆動入力シャフト2310aが、第1の駆動入力部1636a(
図18B)から延在して示されており、それによって、第1の駆動入力シャフト2310aは、第1の駆動入力部1636aと一体となって回転する。第2の駆動入力シャフト2310bも、第2の駆動入力部1636b(
図18B)から延在しており、それによって、第2の駆動入力シャフト2310bが第2の駆動入力部1636bと一体となって回転する。更に、第3の駆動入力シャフト2310cが、その対応する第3の駆動入力部1636c(
図18B)から延在して示されており、それによって、第3の駆動入力シャフト2310cは、第3の駆動入力部1636cと一体となって回転する。同様に、第4の駆動入力シャフト2310d(視界から遮られている)が、その対応する第4の駆動入力部1636d(
図18B)から延在しており、それによって、第4の駆動入力シャフト2310dは、第4の駆動入力部1636dと一体となって回転する。駆動入力シャフト2310a~dは、被駆動面1818(
図18B)のベースプレート2312上に回転可能に装着されている。
【0159】
第1の駆動入力シャフト2310aには、複合駆動ギア2314が提供されている。複合駆動ギア2314は、第1の駆動ギア2314a及び第2の駆動ギア2314bを含み、第1及び第2の駆動ギア2314a、bはそれぞれ、第1の駆動入力シャフト2310a上に配設されており、それによって、第1の駆動入力シャフト2310aと一体となって一緒に回転する。また、ステージ結合部2316が、主ねじ1622の遠位端部上に提供されており、ステージ結合部2316は、そこから延在する被駆動ギア2318を含み、それによって、被駆動ギア2318は、主ねじ1622と一体となって回転する。複合駆動ギア2314及びステージ結合部2316は、ベースプレート2312上に配置されており、それによって、複合駆動ギア2314の第1の駆動ギア2314aは、ステージ結合部2316の被駆動ギア2318と噛み合う。したがって、複合駆動ギア2314及びステージ結合部2316は、組み立てられているときに、第1の駆動入力部1636a(
図18B)と主ねじ1622とを動作可能に結合し、それによって、第1の駆動入力部1636aの回転は、それに対応して第1の駆動ギア2314aを回転させ、これが次にそれと噛み合う被駆動ギア2318を駆動してステージ結合部2316及び主ねじ1622の回転を引き起こし、第1の層1628a(
図16)及びキャリッジ1626(
図16)の並進を引き起こす。
【0160】
複合アイドラギア2320が、リングギア2304を主ねじ1622と動作可能に結合しており、それによって、遠位駆動ハウジング2302の回転は、主ねじ1622の回転を引き起こす。図示の実施形態では、複合アイドラギア2320は、第1のアイドラギア2320a及び第2のアイドラギア2320bを含む。第1及び第2のアイドラギア2320a、bは、アイドラシャフト2322に固定されており、アイドラシャフト2322上で一体となって回転するように一緒に接続されている。アイドラシャフト2322及び複合アイドラギア2320は、第1のアイドラギア2320aの歯がリングギア2304の歯2306と噛み合い、第2のアイドラギア2320bの歯が複合駆動ギア2314の第2の駆動ギア2314bの歯と噛み合うように配置されている。前述したように、第2の駆動ギア2314bは、第1の駆動ギア2314aとともに回転し、第1の駆動ギア2314aの歯は、ステージ結合部2316とともに回転する被駆動ギア2318の歯と噛み合う。したがって、遠位駆動ハウジング2302及びその中に固定されたリングギア2304の回転は、リングギア2304と第1のアイドラギア2320aとの間の相互作用を介して複合アイドラギア2320を回転させ、複合アイドラギア2320の回転は、次に、第2のアイドラギア2320bと第2の駆動ギア2314bとの間の相互作用を介して複合駆動ギア2314を回転させ、複合駆動ギア2314の回転は、次に、第1の駆動ギア2314aと被駆動ギア2318との間の相互作用を介してステージ結合部2316を回転させ、それによって主ねじ1622を回転させ、駆動ハウジング1614内で第1の層1628aを並進させる。したがって、遠位手動作動機構2300は、駆動ハウジング1614内で少なくとも第1の層1628a(又は組み立てられた場合にはキャリッジ1626)を手動で並進させるために利用される遠位手動ステージ並進機構を具現化することができる。
【0161】
しかしながら、他の実施形態では、遠位手動作動機構2300は、ジョー1610、1612を手動で開放又は閉鎖するための遠位手動ジョー開放及び閉鎖機構を具現化することができる。例えば、遠位手動作動機構2300は、代替的に、第1のスプライン結合部2324aを、遠位駆動ハウジング2302の回転を介して、第1のスプライン結合部2324aに回転で固定されている第1のスプライン1624aと一緒に手動で作動させるために提供されてもよく、それによって、ユーザは、遠位手動作動機構2300を利用して第1の起動機構1638a(
図19)を手動で起動し、それによってジョー1610、1612(
図19)を手動で開放又は閉鎖することができる。この例では、
図21及び
図22のピニオンギア2116を参照して説明したように、リングギア2304と第1のスプライン結合部2324aとを結合するために、第1のスプライン結合部2324aに取り付けられたピニオンギア(図示せず)が提供されてもよい。代替的に、
図23を参照して説明したように、リングギア2304と第1のスプライン結合部2324aとを動作可能に結合するために、1つ又は2つ以上のアイドラギア(図示せず)が提供されてもよい。したがって、本開示から逸脱することなく、異なるギア比、速度、負荷、又はギア位置を有する動作可能に接続されたギアの様々な構成を利用することができる。いくつかの実施形態では、遠位手動作動機構2300は、遠位手動ステージ並進機構並びに遠位手動ジョー開放及び閉鎖機構の両方を具現化することができる。
【0162】
遠位手動作動機構2300は、代わりに、主ねじ1622及び第1のスプライン1624aのいずれか若しくは両方に加えて、又はその代わりに、第2及び/又は第3のスプライン1624b、cに動作可能に結合され得ることが理解されるであろう。例えば、遠位手動作動機構2300が遠位手動リスト関節運動機構を具現化するように、遠位手動作動機構2300は、代わりに、第2のスプライン結合部(視界から遮られている)を、その中に配置された第2のスプライン1624bと一緒に手動で作動させて、第2の起動機構1638b(
図16)を手動で駆動し、それによってリスト1606(
図16)を手動で関節運動させるために提供されてもよい。他の例では、遠位手動作動機構2300が遠位手動発射機構を具現化するように、遠位手動作動機構2300は、代わりに、第3のスプライン結合部(視界から遮られている)を、その中に配置された第3のスプライン1624cと一緒に手動で作動させて、第3の起動機構1638c(
図16)を手動で駆動し、それによってエンドエフェクタ1604(
図16)の発射に手動で影響を与えるために提供されてもよい。代替的には、遠位手動作動機構2300は、外科用ツール1600の2つ又はそれ以上の機能を手動で起動するために提供されてもよい。したがって、遠位手動作動機構2300は、近位手動作動機構2200(
図21及び
図22)と同様の方法で、遠位手動ジョー開放及び閉鎖機構並びに遠位手動ステージ並進機構の両方、又は外科用ツール1600の2つ若しくはそれ以上の機能の様々な他の組み合わせを具現化することができる。
【0163】
図24は、1つ又は2つ以上の実施形態による、代替の手動ジョー開放及び閉鎖機構2400を示す。図示の実施形態では、手動ジョー開放及び閉鎖機構2400(以下、「機構2400」)は、キャリッジ1626に動作可能に結合されており、かつ第1の起動機構1638a(
図16)の負荷(すなわち、入力回転)を切り替える又は変更するように移動可能である、レバー2402を含む。より具体的には、レバー2402は、第1のスプライン1624a(
図16)が(
図18Bの器具ドライバ1800を介して)第1の起動機構1638aに回転力(負荷)を付与しないように、第1のスプライン1624aを第1の起動機構1638aから結合解除(係合解除)するように移動可能である。レバー2402は更に、ジョー1610、1612(
図16)の移動に影響を及ぼす回転力を第1の起動機構1638aに負荷するように移動可能であってもよい。レバー2402が第1のスプライン1624aを第1の起動機構1638aから結合解除(係合解除)すると、レバー2402は、第1の起動機構1638a及びジョー1610、1612を手動で作動させるために、起動機構1638aを新しい回転力(負荷)源に同時に結合(係合)することができる。
【0164】
図示の実施形態では、キャリッジ1626はシュラウド1640内に提供されており、レバー2402は、シュラウド1640内に画定された開口部2404を通ってキャリッジ1626から外向きに突出している。ここで、開口部2404は、第1の端部1618aと第2の端部1618b(
図16)との間でシュラウド1640の全体(又は実質的な長さ)に垂直に延在する長手方向スロットの形態で画定されている。しかしながら、他の実施形態では、開口部2404は、以下で説明されるように、レバー2402がそこから外向きに突出することを可能にし、レバー2402の枢動運動を可能にするように、異なる形状及び/又はサイズであってもよい。レバー2402は、キャリッジ1626の第1の層1628aから延在して示されているが、他の実施形態では、レバー2402は、例えば、第1の起動機構1638aが第2の層1628b、第3の層1628c、又は第4の層1628dに収容される実施形態では、第2の層1628b、第3の層1628c、又は第4の層1628dにおいて動作可能に結合されてもよい。また、レバー2402は、第1の起動機構1638aに関して動作可能であるように説明されるが、他の実施形態では、本開示の範囲から逸脱することなく、キャリッジナット1626、第2の起動機構1638b(
図16)、及び/又は第3の起動機構1638c(
図16)の負荷に影響を及ぼすように、キャリッジ1626に組み込まれてもよい。
【0165】
図示のように、レバー2402は、アーム2408から延在するユーザ係合(タブ)部分2406を含み得る。アーム2408は、キャリッジ1626から開口部2404を通って半径方向外向きに延在し、ユーザ係合部分2406を、ユーザによる操作のために機械的に有利な位置に配向して支持する。ユーザ係合部分2406は、機械的利点を更に高めるために、拡張状態へと更に折り畳まれ、展開されるなどされ得る。例えば、ユーザ係合部分2406は、ポケットナイフのようにヒンジで外向きに展開してもよく、又は外向きに伸縮して機械的利点を高めてもよい。ユニバーサルジョイントのピンマウント2410(視界から隠れている)が、キャリッジ1626から延在し、第1の枢動(垂直)軸P1に沿って配向される第1のピン2412を支持する。ユニバーサルジョイントは、アーム2408内に配置されており、レバー2402をピンマウント2410に保持して回転可能に結合し、それによって、レバー2402は、矢印Rによって示されるように第1の枢動(垂直)軸P1の周りを回転することができる。このようにして、第1のピン2412は、第1の枢動軸P1によって画定された支点として動作し、横方向の力がユーザ係合部分2406に加えられたときに、レバー2402のアーム2408は、この支点上で矢印Rによって示されるように横方向及び横向きに枢動(回転)することができる。
【0166】
ユニバーサルジョイントはまた、レバー2402が、方向矢印Dによって示されるように、第2の枢動(水平)軸P
2の周りを回転し得るように(
図25A~
図25C参照)、レバー2402をキャリッジ1626に枢動可能に結合する。図示の実施形態では、ユニバーサルジョイントは、レバー2402が、方向矢印Dによって示されるように、第2の枢動(水平)軸P
2の周りを下方に枢動され得(
図25参照)、次いで、回転矢印Rによって示されるように、第2の枢動軸P
2に垂直な第1の枢動(垂直)軸P
1の周りを横方向横向きに枢動され得るように、レバー2402をキャリッジ1626に結合する。
【0167】
図25A~
図25Cは、1つ又は2つ以上の実施形態による、
図24の機構2400の例示的な動作を示す切り欠き側面図である。特に、
図25Aは、第1のスプライン1624aが第1の起動機構1638aと係合されている第1の(係合)位置にあるレバー2402を示す。
図25Bは、第1のスプライン1624aが第1の起動機構1638aから係合解除されており、新しい手動駆動源が第1の起動機構1638aと係合される第2の位置へと方向Dに移動又は枢動されたレバー2402を示す。最後に、
図25Cは、レバー2402を第1の枢動軸P
1の周りで方向Rに移動させ、それによって第1の起動機構1638aを手動で作動させることを示す。したがって、レバー2402は、キャリッジ1626に対して2つの異なる軸P
1、P
2の周りで移動可能であり、これらの図は、レバー2402を第2の枢動軸P
2の周りで方向Dに枢動又は移動させることによって、第1の起動機構1638aを第1のスプライン1624aから係合解除する(結合解除する)と同時に、第1の起動機構1638aを新しい手動駆動源に係合(結合)する方法を例示する。
図25A~
図25Cはまた、方向矢印Rによって示されるように、第1の枢動軸P
1の周りでレバー2402をその後に枢動又は移動させることによって、第1の起動機構1638aを手動で作動させ、ジョー1610、1612(
図16)の開放又は閉鎖に影響を及ぼす方法を図示する。
図25A~
図25Cの連続図は、レバー2402が第1の位置(
図25A)にあるときに、第1の起動機構1638aが器具駆動装置1800(
図18B)によって駆動される第1のスプライン1624aを介して負荷を受ける方法を更に示すが、レバー2402は、第1の起動機構1638aを手動で駆動するか又は負荷を与える(
図25C)ために利用可能である第2の位置(
図25B)に移動されてもよい。
【0168】
図示の実施形態では、細長いシャフト1602は、ジョー1610、1612(
図16)を開放又は閉鎖するように軸方向に移動可能な閉鎖管を含むか、又は提供してもよい。ここで、第1の起動機構1638aは、シャフト1602(すなわち、閉鎖管)の外部の周りに提供された被駆動ギア2502と、第1のスプライン1624a上に提供されたスプライン駆動ギア2504と、スプライン駆動ギア2504と被駆動ギア2502との間に配置されて第1のスプライン1624aから被駆動ギア2502に回転力を伝達する一対のアイドラギア2506、2507と、を含む。図示の実施形態では、第1のアイドラギア2506は、スプライン駆動ギア2504と噛み合い、第2のアイドラギア2507と噛み合うベベルギア2506’が提供されており、一方で、第2のアイドラギア2507は、被駆動ギア2502及び第1のアイドラギア2506のベベルギア2506’の両方と噛み合うピニオンギアであり、それによってスプライン駆動ギア2504からの回転入力を伝達する。また、図示の実施形態では、被駆動ギア2502は、細長いシャフト1602上に固定されたラックギアとして提供されており、それによって、第2のアイドラ(ピニオン)ギア2507によって駆動されたときに細長いシャフト1602を並進させる。しかしながら、他の例では、被駆動ギア2502は、代わりに、細長いシャフト1602の周りに固定されたウォームギアとして提供されてもよく、それによって、第2のアイドラギア2507を介してではなく、アイドラギア2506の回転によって起動されたときに、細長いシャフト1602が軸方向に並進するにつれて、細長いシャフト1602を被駆動ギア2502とともに運ぶ。
【0169】
ここで、第2のアイドラギア2507の回転は、被駆動ギア2502及び細長いシャフト1602を軸方向に駆動し、それによって細長いシャフト1602の軸方向並進を引き起こす。したがって、スプライン駆動ギア2504は、第1のスプライン1624aとともに回転して、第1のアイドラギア2506及び(以下で説明されるように、それと噛み合うとき)そのベベルギア2506’を回転させ(駆動し)、ベベルギア2506’の回転は、第2のアイドラギア2507を駆動し(回転させ)、次いで、第2のアイドラギア2507の回転は、被駆動ギア2502を駆動し、それによって細長いシャフト1602を被駆動ギア2502とともに並進させる。他の実施形態では、第2のアイドラ2507及びベベルギア2506’はなくてもよく、被駆動ギア2502は、細長いシャフト1602の周りに固定されたウォームギアとして提供されており、それによって、第2のアイドラギア2507を介してではなく、被駆動ギア2502のウォームギアねじ山と噛み合う第1のアイドラギア2506の回転によって直接起動されるときに、細長いシャフト1602が軸方向に並進するにつれて、細長いシャフト1602を被駆動ギア2502とともに運ぶ。更に他の実施形態では、被駆動ギア2502は、細長いシャフト1602に対して被駆動ギア2502が回転すると細長いシャフト1602を軸方向に並進させるように、細長いシャフト1602上に画定された外部ギアの歯(又はねじ山)と嵌合可能な内部ギア(又は雌ねじギア)として提供され、この場合、そのような相対回転は、内部ギア(又はねじ山)と外部ギアの歯(又はねじ山)との間の相互作用を引き起こし、それによって細長いシャフト1602を軸方向に並進させる。更に、他の図示されていない実施形態では、スプライン駆動ギア2504は、被駆動ギア2502に直接係合(噛合)し、それによって、第2のアイドラギア2507の省略に加えてアイドラギア2506を省略することができる。
【0170】
上述したように、レバー2402をキャリッジ1626に結合するためにユニバーサルジョイント2508を提供することができ、それによって、レバー2402は、第1の(垂直)枢動軸P1及び第2の(水平)枢動軸P2の両方の周りを回転することができる。したがって、レバー2402のアーム2408もキャリッジ1626に枢動可能に(又は回転可能に)結合されており、それによって、レバー2402は、第2の(水平)枢動軸P2の周りで回転することができる。図示の実施形態では、キャリッジは、第2の枢動軸P2に沿って配向されたユニバーサルジョイント2508の第2のピン2515を支持する。図示のように、第2のピン2512は、レバー2402のアーム2408を通って延在し、レバー2402を保持し、キャリッジ1626に回転可能に結合する。このように、第2のピン2512は、レバー2402が方向Dに枢動(回転)する、第2の枢動軸P2によって画定された第2の支点として動作する。
【0171】
レバー2402は、フィンガ又はスクープ部分2514と、ギア歯のセット2516とを含んでもよい。スクープ部分2514は、レバー2402が第2の枢動軸P
2の周りで移動されるとき、スプライン駆動ギア2504を移動させて(持ち上げて)第1のアイドラギア2506との係合から外すように提供されている。ギア歯のセット2516は、横軸T
1と位置合わせしてアーム2408から延在し、それによって、レバー2402が第1の位置にあるときに、ギア歯のセット2516は第1のアイドラギア2506に動作可能に結合されず(
図25A)、また、レバー2402が第2の位置にあるときに、ギア歯のセット2516は第1のアイドラギア2506に動作可能に結合される(
図25B)。図示の実施形態では、手動駆動ギア2518が第1のスプライン1624a上に提供されている。ここで、手動駆動ギア2518は、レバー2402が第2の位置にあるとき(
図25B)、第1のスプライン1624aとは独立して回転して、レバー2402上のギア歯のセット2516を第1のアイドラギア2506のギア歯に動作可能に結合してもよい。手動駆動ギア2518は、第1のスプライン1624aとは独立して回転し、それによって、レバー2402が第1の位置にあるときに(
図25A)、手動駆動ギア2518は、第1のアイドラギア2506によって回転され得る一方で、レバー2402上のギア歯のセット2516は、手動駆動ギア2518との係合から外れて(結合解除されて)、第2の枢動軸P
2及び横軸T
1によって画定された平面内に位置決めされている。したがって、スプライン駆動ギア2504及び手動駆動ギア2518の両方は、第1のスプライン1624aに装着されており、前者はその上に回転可能に固定されており、後者はその上で回転可能であり、それぞれ、レバー2402が第1の位置にあるときに第1のアイドラギア2506と係合し、レバー2402を方向Dに引き下げると、スプライン駆動ギア2504は第1のアイドラギア2506から係合解除され、同時に(レバー2402上の)ギア歯のセット2516が手動駆動ギア2518と係合する。一例では、ギア歯のセット2516は、一方向歯のセットとして、又はラチェットの単一の歯若しくは爪として構成され、手動駆動ギア2518は、レバー2402が第1の方向に回転されるときにギア歯のセット2516によって係合されるが、レバー2402が反対方向に回転されるときにギア歯のセット2516によって係合されない対応する歯を有する。
【0172】
いくつかの実施形態では、付勢要素2520(例えば、ばね)が、スプライン駆動ギア2504を付勢して第1のアイドラギア2506と係合させるために提供される。第2の付勢要素2522(例えば、ばね)も、ギア歯のセット2516が第1の起動機構1638a(
図16)から結合解除される第1の位置にレバー2402を維持するのを助けるために提供されてもよい。ここで、第1及び第2の付勢要素2520、2522は、レバー2402を第1の位置(
図25A)に向かって付勢し、第1の位置は、自然位置又はデフォルト位置とみなすことができる。図示の例は、第1及び第2の付勢要素2520、2522の両方を含むが、他の例では、1つだけが利用されてもよく、及び/又は1つ又は2つ以上の付勢要素の他の構成が代わりに利用されてもよい。ユーザ係合部分2406を方向D(
図25B)に移動させて付勢要素2520、2522を克服することは、レバー2402の回転及びスクープ部分2514の枢動移動を引き起こし、それによって、スプライン駆動ギア2504を、矢印D’(
図25B)によって示されるように、第1のスプライン1624aに沿って(付勢要素2520に抗して)、スプライン駆動ギア2504がもはや第1のアイドラギア2506と係合されない位置(
図25B)まで、軸方向に押す(摺動させる)。ユーザ係合部分2406を方向D(
図25B)に移動させることはまた、レバー2402上のギア歯のセット2516を手動駆動ギア2518のギア歯と噛み合わせ、手動駆動ギア2518は次に、第1のアイドラギア2506と噛み合わせられ、それによって、第1の起動機構1638a(
図16)は、方向R(
図25C)によって示されるように、レバー2402を第1の枢動軸P
1の周りで移動させることによって作動され得る。したがって、レバー2402は、スプライン駆動ギア2504を第1のアイドラギア2506から係合解除し、第1の起動機構1638a(
図16)を駆動して、ジョー1610、1612(
図16)の手動開放又は閉鎖に影響を及ぼすように動作可能である。
【0173】
上述したように、器具ドライバ1800(
図18B)は、駆動出力部1824a~f(
図18B)の各々を作動させるように構成されている。例えば、器具ドライバ1800は、駆動出力部1824a~fの回転を引き起こす1つ又は2つ以上のモータ(図示せず)を含む。駆動出力部1824a~fはそれぞれ、個々のモータに関連付けられてもよく、又は駆動出力部1824a~fのうちの2つ又はそれ以上が同じ個々のモータに関連付けられてもよい。しかしながら、器具ドライバ1800内のモータのうちの1つ又は2つ以上は、バックドライブ可能でなくてもよく、これは、そのようなモータが、いずれか又は両方の角度方向(すなわち、時計回り及び反時計回り)に手動で回転することが困難であることを意味する。そのようなモータは、本明細書では「非バックドライブ可能」モータと称され、対応するツール機能を逆転させるように手動で操作されることができない(又は少なくとも非常に困難である)。器具ドライバ1800が非バックドライブ可能モータを組み込む場合、ユーザが外科用ツール1600(
図16)の1つ又は2つ以上の機能を手動で起動し得るように、スプライン1624a~c(
図16)及び/又は主ねじ1622(
図16)を関連付けられた駆動出力部1824a~fから結合解除するための機構を提供することが有益であり得る。
【0174】
例えば、(例えば、停電中)器具ドライバ1800(
図18B)が失速し、外科用ツール1600(
図16)を安全な状態に戻すことができない、意図しない事象が発生し得る。そのようなシナリオでは、ユーザは、取り外し可能なキャップ1906(
図22)、遠位手動作動機構2300(
図23)、並びに/又は手動ジョー開放及び閉鎖機構2400(
図24)を利用して、スプライン1624a~c及び/又は主ねじ1622(
図16)のうちの1つ又は2つ以上を手動で作動させ、それによって、上記で説明したように、外科用ツール1600の関連付けられた機能を手動で起動しなければならない。したがって、クラッチ機構が、器具ドライバ1800内の非バックドライブ可能モータを克服する必要なく外科用ツール1600の1つ又は2つ以上の機能の手動起動を可能にするために提供されてもよい。
【0175】
図26Aは、本開示の1つ又は2つ以上の実施形態による、例示的なクラッチ機構2600を示す。図示の実施形態では、クラッチ機構2600は、クラッチ2602と、駆動入力部2604と、スプラインドライバ2606とを含む。駆動入力部2604は、
図18A~
図18Bの駆動入力部1636a~dのいずれかと同じ又は同様であってもよい。スプラインドライバ2606は、スプライン2608上に固定されており、それによって、スプライン2608の回転は、それに対応してスプラインドライバ2606を同じ角度方向に回転させる。スプライン2608は、
図16のスプライン1624a~cと同じ又は同様であってもよい。クラッチ2602は、スプラインドライバ2606を駆動入力部2604に選択的に結合するように設計されており、それによって、クラッチ2602が駆動入力部2604と適切に嵌合したときに、駆動入力部2604はスプライン2608を回転させることが可能である。以下でより詳細に説明するように、クラッチ2602は、スプライン2608の軸Yに沿って軸方向に選択的に移動可能であり、クラッチ2602を駆動入力部2604に結合(嵌合)及びそこから結合解除(嵌合解除)することができる。クラッチ2602が駆動入力部2604から結合解除されると、スプライン2608は、駆動入力部2604とは独立して回転することが可能であり得、したがって、スプライン2608を使用して手動脱出を可能にする。
図26Aでは、クラッチ2602は、スプライン2608がクラッチ2602を介して駆動入力部2604に動作可能に結合されており、それによって、駆動入力部2604の回転がそれに対応してスプライン2608を回転させる、第1の又は「結合」(係合)位置において示されている。
【0176】
図26Bは、クラッチ機構2600の分解図を示す。特に、
図26Bは、軸Yに沿って互いから分解されたスプライン2608、スプラインドライバ2606、クラッチ2602、及び駆動入力部2604を示す。図示の実施形態では、スプラインドライバ2606は、スプライン2608のシャフト2612を受容するように配置された開口部2610を画定している。ここで、開口部2610及びシャフト2612は、回転がスプラインドライバ2606からスプライン2608に付与され、逆もまた同様であるように、対応する平坦な表面でキー止めされている。しかしながら、開口部2610シャフト2612は、本開示から逸脱することなく、それらが一緒に回転するように、別様に一緒に固定されてもよい。例えば、キー及び対応するキー溝が、開口部2610及びシャフト2612に提供されてもよい。
【0177】
スプラインドライバ2606は、複数の外部ギアの歯2614を有するピニオンギアとして構成されている。加えて、駆動入力部2604は、駆動入力部2604の平坦面2618から突出しているボス2616を含み、ボス2616も、複数の外部ギアの歯2620を有するピニオンギアとして構成されている。したがって、スプラインドライバ2606及びボス2616は、それぞれスプラインドライバピニオンギア2606及びボス状入力ピニオンギア2616と称され得る。
【0178】
図26Cは、
図26Aのクラッチ機構2600の部分分解図を示す。特に、
図26Cは、スプラインドライバ2606の外部ギアの歯2614とボス2616の外部ギア2620とを互いに対してより良く示すように、クラッチ2602が取り外された状態のクラッチ機構2600を示す。図示のように、外部ギアの歯2614、2620は、単一のギアを介して同時にかつ一体となって駆動され得るように、設計及び寸法が類似している。したがって、以下で説明されるように、クラッチ2602は、スプラインドライバ2606及びボス2616の両方と同時に係合(噛合)し得る。図示されていない一実施形態では、クラッチ2602及びスプラインドライバ2606は、スプライン2608上に回転で固定されているが、スプライン2608に沿って軸方向に(上下に)並進して、駆動入力部2604をスプライン2608に結合(係合)及び結合解除(係合解除)することができる一体型のモノリシック構成要素を形成する。
【0179】
図26Bに戻ると、クラッチ2602は、複数の内部ギアの歯2624を有する内部ギア2622を画定している。内部ギア2622は、(駆動入力部2604の)ボス2616及びスプラインドライバ2606の両方が中に受容され得る、クラッチ2602内の開口部を画定している。このようにして、内部ギア2622の内部ギアの歯2624は、スプラインドライバ2606の外部ギアの歯2614及びボス2616の外部ギア2620の両方と噛合することができる。
【0180】
図26Dは、クラッチ機構2600の断面図であり、ボス2616及びスプラインドライバ2606の両方と動作可能に係合された内部ギア2622を示す。
図26A及び
図26Dに示すように、クラッチ2602が第1の(係合)位置にあるとき、ボス2616及びスプラインドライバ2606の両方は、クラッチ2602の内部ギア2622によって画定された開口部内に位置決めされており、内部ギア2622の内部ギアの歯2624は、スプラインドライバ2606の外部ギアの歯2614及びボス2616の外部ギア2620の両方と係合(噛合)しており、それによって、駆動入力部2604によって提供されるトルクは、クラッチ2602を介してスプラインドライバ2606及びスプライン2608に伝達され得る。したがって、内部ギア2622は、その内部ギアの歯2624が外部ギアの歯2614、2620の両方のセットと同時に噛合可能(係合可能)であるように設計され、寸法決めされている。
【0181】
加えて、クラッチ2602の内部ギア2622は、駆動入力部2604及びスプラインドライバ2606がクラッチ2602を介して一緒に結合される第1の(係合)位置から、クラッチ2602が駆動入力部2604のボス2616ともはや係合(噛合)されない第2の又は「結合解除」(係合解除)位置まで、軸Yに沿って軸方向に並進し得るように提供されている。クラッチ2602が係合解除されると、スプライン2608及びスプラインドライバ2606は、駆動入力部2604とは独立して(かつそれに対して)回転可能である。
【0182】
いくつかの実施形態では、クラッチ2602は、係合位置がクラッチ機構2600の自然状態又はデフォルト状態であるように、第1の(係合)位置に付勢されている。したがって、付勢要素2628が、付勢力をクラッチ2602に印加し、それによって、その内部ギア2622をボス2616及びスプラインドライバ2606の両方と噛合及び係合関係に押しやるように提供されてもよい。いくつかの例では、付勢要素2828はばねであるが、他のタイプの付勢デバイスが利用されてもよい。このようにして、器具ドライバ1800(
図18B)がスプライン1624a~c及び/又は主ねじ1622(
図16)を駆動するためにユーザの介入は必要とされないが、ユーザは、クラッチ機構2600を利用してスプライン1624a~c及び/又は主ねじ1622を駆動入力部1636a~dから係合解除し、それによって、器具ドライバ1800(
図18B)内の非バックドライブ可能なモータの存在に起因して存在しかねない何らかの抵抗を克服する必要なく、外科用ツール1600の1つ又は2つ以上の機能を手動で起動することができる。
【0183】
しかしながら、そのような実施形態では、付勢要素2828によってクラッチ2602に加えられる付勢力は、クラッチ2602を第2の(係合解除)位置に移動させるために克服される必要がある。図示の実施形態では、クラッチ2602は、クラッチ2602の周囲に延在するリング2630(
図26A)を含み、脱出アーマチュア2632を使用してリング2630を係合させ、それによってクラッチ2602を軸Yに沿って第2の(係合解除)位置に移行させることができる。ここでは、脱出アーマチュア2632は、クラッチ2602のリング2630に係合するようにクラッチ2602を取り囲むU字形又はリング形の構造として示されている。しかしながら、脱出アーマチュア2632は、本開示から逸脱することなく異なるように構成されてもよい。例えば、脱出アーマチュア2632は、クラッチ2602のリング2630が間に挟まれた一対の平行なプレートを含むことができる。
【0184】
図27A~
図27Dは、1つ又は2つ以上の実施形態によるクラッチ機構2600の例示的な動作を示す。特に、
図27A及び
図27Bは、クラッチ2602が第1の(係合)位置にあるときのクラッチ機構2600の等角図及び断面図をそれぞれ示し、
図27C及び
図27Dは、クラッチ2602が第2の(係合解除)位置にシフトされたときのクラッチ機構2600の等角図及び断面図をそれぞれ示す。
【0185】
図27Aでは、付勢要素(図示せず)は、クラッチ2602に付勢力を加え、それによって、矢印B
1によって示されるように、クラッチ2602を駆動入力部2604に向かって押しやり、それによって、クラッチ2602の内部ギア2622がボス状入力ピニオンギア2616に係合する(噛合する)(
図27B)。したがって、クラッチ2602が、(駆動入力部2604の)ボス状入力ピニオンギア2616及びスプラインドライバ2606の両方に係合する位置にシフトされると、スプライン2608は、器具ドライバ1800(
図18B)の駆動出力部1824a~f(
図18B)のうちの1つ又は2つ以上と係合され、それによって、起動機構1638a~c(
図16)は、器具ドライバ1800(
図18B)によって作動可能である。しかしながら、ユーザは、
図27C及び
図27Dに示されるように、クラッチ2602を第2の(係合解除)位置に移動又はシフトすることによって、スプライン2608を器具ドライバ1800(
図18B)から係合解除してもよい。例えば、ユーザは、付勢要素(図示せず)によって及ぼされる付勢力を克服するのに十分な力で、リング2630に係合するようにアーマチュア2632(
図26A)を起動し、それによって、矢印B
2によって示されるように、B
1と反対の方向に軸Yに沿ってクラッチ2602を並進させる(又は持ち上げる)ことができる。したがって、クラッチ2602がボス状入力ピニオンギア2616との係合から外れるようにシフトされるとき、スプライン2608は、同様に、器具ドライバ1800(
図18B)から係合解除され、それによって、起動機構1638a~c(
図16)は、上述のように手動で動作され得る。
【0186】
図26A~
図26D及び
図27A~
図27Dに関して、クラッチ機構2600は、単一の駆動入力部2604を参照して図示され、説明される。しかしながら、クラッチ機構2600は、2つ以上の駆動入力部2604に提供されてもよい。例えば、駆動入力部1636a~d(
図18B)の各々が、個々のクラッチ機構2600と関連付けられてもよい。
図28は、本開示の1つ又は2つ以上の実施形態による、クラッチ機構2600のうちの2つ又はそれ以上を係合解除するために利用することができるマルチクラッチアセンブリ2800を示す。図示の実施形態では、複数のクラッチ機構2600a~eが、上述したクラッチ機構2600と同様に提供されている。したがって、クラッチ機構2600a~eの各々は、それぞれのクラッチ2602a~eと、それぞれの駆動入力部2604a~eと、それぞれのスプライン2608a~d上に配置されたそれぞれのスプラインドライバ2606a~eと、を含む。また、1つ又は2つ以上の付勢要素(図示せず)が、クラッチ2602a~eを付勢して押しやり、それらのそれぞれの駆動入力部2604a~eと係合させるために提供されている。
【0187】
図示の実施形態では、マルチクラッチアセンブリ2800はまた、1つ又は2つ以上の脱出アーマチュア(図示せず)を含む。1つ又は2つ以上の脱出アーマチュアは、対応するクラッチ2602a~eをシフト又は移動させてそれぞれの駆動入力部2604a~eとの係合から外すように移動可能であり、それによって、それぞれのスプライン2608a~dの各々が、それぞれの駆動入力部2604a~eから結合解除され、したがってスプライン2608a~eの手動作動を可能にする。いくつかの例では、脱出アーマチュアは、関連付けられた駆動入力部2604a~eを結合するか又は結合解除するためにクラッチ2602a~eの各々と係合して位置決めされたプレートである。いくつかの例では、1つ又は2つ以上の脱出アーマチュアは、第1の端部1618a(
図18B)に(少なくとも部分的にその周りに)配置された外側リングを備え、外側リングは、外側リングの回転時に、クラッチ2602a~eのリング2630(
図26A)に係合するように位置決め及び配向された1つ又は2つ以上の内側に延在するくさび特徴部(レッジ)を有する。駆動入力部2604a~eのうちの1つ又は2つ以上が、外側リングが増分的に回転されるにつれて連続して結合解除されるように、外側リングの特定の回転量に基づいて結合解除するために、及び/又は外側リングの増分的な回転に基づいて結合解除を段階的に行うために、カムプロファイルが、内側に延在するくさび特徴部上に提供されてもよい。したがって、ユーザは、脱出アーマチュアを作動させ、それによってスプライン2608a~eを器具ドライバ1800(
図18B)から結合解除するために、マルチクラッチアセンブリ2800を起動してもよい。
【0188】
いくつかの実施形態では、マルチクラッチアセンブリ2800を第1の弓状長さS
1に沿って回転させることは、脱出アーマチュアを作動させてスプライン2608a~eを器具ドライバ1800(
図18B)から結合解除するように構成されてもよい。そのような実施形態では、外科用ツール1600(
図18B)は、マルチクラッチアセンブリ2800が第1の弓状長さS
1に沿って回転されるとき、器具ドライバ1800(
図18B)に結合されたままであってもよい。
【0189】
いくつかの実施形態では、マルチクラッチアセンブリ2800はまた、器具ドライバ1800(
図18B)から外科用ツール1600(
図18B)を結合解除する動作に組み込まれてもよく、それによって、脱出アーマチュアの作動はまた、器具ドライバ1800(
図18B)からの外科用ツール1600(
図18B)の結合解除をもたらし得る。図示の実施形態では、マルチクラッチアセンブリ2800は、第1の弓状長さS
1を過ぎて第2の弓状長さS
2に沿って更に回転されてもよく、それによって、外科用ツール1600(
図18B)を器具ドライバ1800(
図18B)から結合解除する。したがって、そのような実施形態では、マルチクラッチアセンブリ2800に対するユーザ入力の第1の弓状長さS
1は、脱出アーマチュアを作動させて、スプライン2608a~dを器具ドライバ1800(
図18B)から係合解除することができ、ユーザ入力の第2の弓状長さS
2を介したマルチクラッチアセンブリ2800の更なる起動は、外科用ツール1600(
図18B)を器具ドライバ1800(
図18B)から結合解除する。上述したように、脱出アーマチュアは、第1の端部1618a(
図18B)の周りに配置されており、かつ外側リングの回転時にクラッチ2602a~eのリング2630(
図26A)に係合するカムプロファイルを有する1つ又は2つ以上の内側に延在するウェッジ特徴部(レッジ)を有する、外側リングを含むことができる。この例では、外側リングが第1の弓状長さS
1だけ回転すると、脱出アーマチュアがクラッチ2602a~eに係合し、それによってスプライン2608a~dのうちの1つ又は2つ以上がそれぞれの駆動入力部2604a~eから結合解除され、外側リングが第2の弓状長さS
2だけ更に回転すると、外側リングの内側に延在するウェッジ特徴部が1つ又は2つ以上の排出脚部を器具ドライバ1800(
図18B)に対して駆動し、それによって外科用ツール1600(
図18B)を器具ドライバ1800から押し出すことができる。
【0190】
いくつかの実施形態では、クラッチ機構2600a~eのうちの1つ又は2つ以上は、ユーザによって起動されると、外科用ツール1600(
図18B)の1つ又は2つ以上の機能を恒久的に無効にするように設計されてもよい。例えば、クラッチ機構2600(
図26A~
図26D)には、第1の(係合)位置にシフトされると、クラッチ2602(
図26A~
図26D)を保持するためのキャッチが提供されてもよい。ここで、クラッチ2602(
図26A~
図26D)がシフトして戻り、ボス状入力ピニオンギア2616(
図26A~
図26D)と係合するのを阻止することによって、関連付けられた駆動入力部2604(
図26A~
図26D)は、関連付けられたスプライン2608(
図26A~
図26D)から係合解除及び結合解除されたままである。上述したように、脱出アーマチュア2632は、板状構造又は馬蹄形構造であってもよい。いくつかの例では、脱出アーマチュア2632は、第1の端部1618a(
図18B)の周りに配置されており、かつリング2630に係合する1つ又は2つ以上の内側に配向されたキャンププロファイルを有する外側リングであり、リング2630は、外側リングの時計回りの回転がクラッチ2602を駆動入力部2604から離れるように駆動し、外側リングの反時計回りの回転がクラッチ2602を駆動入力部2604と係合するように駆動するよう、カムプロファイルに従うように輪郭形成され得る。ここで、付勢要素(例えば、圧縮ばね)が、係合位置に向かって外側リングを付勢する(例えば、反時計回り方向に付勢される)ように提供されてもよい。別の例では、付勢要素(例えば、圧縮ばね)が、クラッチ2602を係合に向かって常時付勢するために提供されてもよい。キャッチは、「リセット不可能」であるよう、クラッチ2602を保持するように配置された種々の機構を含み得る。例えば、キャッチは、クラッチ2602の側方に係合する板ばね特徴部を含んでもよく、又はキャッチは、対応する戻り止め/くぼみ内に摺動する側方ばね付きバンプ/くぼみを含んでもよく、そのようなキャッチ機構は、恒久的又は一時的にリセットを阻止するように構成されてもよい。本明細書で使用される場合、「アーマチュア」という用語は、電流を運び、それによって、クラッチ2602などの1つ又は2つ以上の追加の構成要素に付与され得るトルク又は力を生成し、それによって、そのような1つ又は2つ以上の追加の構成要素の移動を引き起こす、電気システム内の発電構成要素を指し得る。更に、又は代わりに、「アーマチュア」という用語は、第1の構成要素によって作用されたときに、トルク又は力をクラッチ2602などの1つ又は2つ以上の追加の構成要素に直接又は間接的に伝達し、それによって、そのような1つ又は2つ以上の追加の構成要素における移動を引き起こす、機械システムの中間構成要素を指し得る。
【0191】
図29は、1つ又は2つ以上の実施形態による、例示的な手動オーバーライド特徴部2900を組み込む、
図26Aのクラッチ機構2600の断面側面図である。図示の実施形態では、手動オーバーライド機構2900は、複数の外部ギアの歯2904を有する手動ドライバ2902を含む。したがって、手動ドライバ2902及びその外部ギアの歯2904は、まとめて「手動ドライバギア」と称され得る。クラッチ2602が、矢印B
2によって示されるように、手動ドライバ2902に向かって軸Yに沿って並進又はシフトされ、(駆動入力部2604の)ボス状入力ピニオンギア2616との係合から外れると、クラッチ2602の内部ギア2622(
図26B)は、スプラインドライバ2606の外部ギアの歯2614(
図26B)及び手動ドライバ2902の外部ギアの歯2904の両方と係合する。このようにして、クラッチ2602は、クラッチ2602がスプラインドライバ2606を駆動入力部2604に結合し、それによって、スプライン2608が器具ドライバ1800(
図18B)によって係合可能である第1の位置から、スプラインドライバ2606が駆動入力部2604から結合解除され、代わりにクラッチ2602がスプラインドライバ2606を手動ドライバ2902に結合し、それによって、スプライン2608が手動ドライバ2902によって係合可能である第2の位置まで移動可能である。したがって、手動オーバーライド特徴部2900は、クラッチ2602の作動によって直接有効又は無効にされてもよく、それによって、クラッチ2602は、器具ドライバ1800(
図18B)が係合し、ロボット回転入力矢印R
1によって示されるようにスプライン2608を駆動するために利用可能である第1の位置と、手動ドライバ2902が係合し、人間回転入力矢印R
2によって示されるようにスプライン2608を駆動するために利用可能である第2の位置との間でシフト可能である。したがって、
図29は、クラッチ2602がスプライン2608を駆動入力部2604に結合する第1の位置にあるクラッチ2602を示しているが、クラッチ2602は、スプライン2608を手動ドライバ2902に結合するために方向B
2に移動可能である。
【0192】
図30は、本開示の1つ又は2つ以上の代替実施形態による、例示的な脱出機構3000を示す。図示の実施形態では、駆動ギア3002が第3のスプライン1624c上に提供されており、第3のスプライン1624cの回転時に第3の起動機構1638cに係合し、それによってそれを起動する。上述したように、第3の起動機構1638cの起動は、エンドエフェクタ1604(
図16)における切断要素を前進又は後退させる。図示のように、第3の起動機構1638cは、キャリッジ1626の第5の層1628e内に配置されており、そうでなければそれと関連付けられており、駆動ギア3002は、第5の層1628e内に回転可能に装着されている。加えて、駆動ギア3002は、第3のスプライン1624c上に摺動可能に提供されており、それによって、駆動ギア3002は、第3のスプライン1624cに沿って第5の層1628eとともに摺動することができる一方で、第3のスプライン1624cと一体となって第5の層1628eに対して回転する。
【0193】
第3の起動機構1638cは、駆動又は発射ロッド3004と、駆動ギア3002と噛合するピニオンギア3006とを含み、それによって、駆動ギア3002の回転がピニオンギア3006を回転させる。ピニオンギア3006は、発射ロッド3004の雄ねじ部分3008と噛合する雌ねじを画定してもよく、それによって、ピニオンギア3006の回転が長手方向軸A1に沿って発射ロッド3004を軸方向に並進させる。切断要素(例えば、ナイフ)は、発射ロッド3004の遠位端部(図示せず)に取り付けられており、したがって、駆動ギア3002を介したピニオンギア3006の回転時に、発射ロッド3004が遠位又は近位にそれぞれ並進するにつれて、前進又は後退させられ得る。したがって、第3の起動機構1638cは、第3のスプライン1624の回転時に発射ロッド3004上の切断要素を発射する。
【0194】
本開示の実施形態によれば、第5の層1628eは、キャリッジ1626の残りの層1628a~dから分離可能であってもよい。図示の実施形態では、第5の層1628eは、キャリッジ1626の最近位層であり、以下で説明されるように、脱出機構3000の動作を介して、キャリッジ1626の遠位層(すなわち、層1628a~d)から分離されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、1つ又は2つ以上の層が、第5の層1628eの近位側に提供されてもよく、第5の層1628eを取り外すことは、それに対応して、そのような追加の層をキャリッジ1626から取り外すことになる。
【0195】
図示の実施形態では、脱出機構3000は、第5の層1628eに動作可能に結合されたラッチ3010と、第5の層1628eの遠位にある層のうちの1つ又は2つ以上に提供されたロック特徴部3012とを含む。図示の実施形態では、ロック特徴部3012は、第4の層1628d上に提供されているが、代替的には、第4の層1628dに加えて、又はその代わりに、他の遠位層(すなわち、層1628a~c)のいずれかに提供されてもよい。ここで、ロック特徴部3012は、第4の層1628dから半径方向外側に突出するキーパ又はストライクであり、ラッチ3010は、
図30に示されるように、ラッチ3010がロック位置にあるとき、ロック特徴部3012を受容して保持するようなサイズに寸法決めされる、対応する凹部3014を含む。
【0196】
ラッチ3010は、第5の層1628eに回転可能又は枢動可能に装着されており、それによって、ラッチ3010がロック特徴部3012を捕らえて保持する(係合する)、
図30に示すようなロック位置と、ラッチ3010がロック特徴部3012から係合解除される、
図31に示すようなロック解除位置との間で回転又は枢動することができる。図示の実施形態では、フィン3016が第5の層1628e上に提供されており、図示のように、フィン3016は、シュラウド1640内に画定されている窓3018を通って第5の層1628eから外側に横方向又は半径方向に延在する。ラッチ3010は、フィン3016に枢動可能又は回転可能に装着されており、それによって、ラッチ3010をロック位置とロック解除位置との間で移動させるために、ラッチ3010は外科用ツール1600の外部からアクセス可能である。
図30に示すように、ピン3020が、ラッチ3010をフィン3016に結合することができ、それによって、ピン3020は、ラッチ3010がロック位置とロック解除位置との間で移動可能(枢動可能)である回転軸及びヒンジを画定する。しかしながら、ラッチ3010は、本開示から逸脱することなく、ロック位置とロック解除位置との間のラッチ3010の枢動を可能にするように、第5の層1628e上に別様に装着されてもよい。
【0197】
図31は、本開示の1つ又は2つ以上の代替実施形態による、脱出機構3000の例示的な動作を示す。図示の実施形態では、脱出機構3000は、仮想線3102で示すように、最初にロック又は係合位置に提供されており、ここで、ラッチ3010がロック特徴部3012と係合し、それによって第5の層1628eをキャリッジ1626の残りの層(すなわち、層1628a~c)に結合する。ラッチ3010は、矢印3104によって示されるように、ロック又は係合位置3102からロック解除又は非係合位置3106まで枢動又は回転され、それによって、第5の層1628eをキャリッジ1626の残りの層(すなわち、層1628a~c)から結合解除してもよい。第5の層1628eが切り離されると、ラッチ3010は、矢印3108によって示されるように、第2の端部1618bに向かって近位に(又は上方に)手動で引っ張られ、第5の層1628eをキャリッジ1626の残りの層から分離してもよい。ラッチ3010を近位3108に引っ張ると、それに対応して、発射ロッド3004と、発射ロッド3004の遠位端部に動作可能に結合された切断要素とが近位3110に引っ張られる。
【0198】
一実施形態では、ラッチ3010は、最大60ミリメートル近位3108に引っ張られることが可能であるが、本開示から逸脱することなく、異なる長さ/距離に引っ張られてもよい。更に、第5の層1628eが第2の端部1618bに向かって近位に引っ張られると、駆動ギア3002は、第5の層1628eが駆動ギア3002を近位方向に運ぶため、第3のスプライン1624cに沿って摺動する。
【0199】
したがって、脱出機構3000は、関連付けられた層(すなわち、第5の層1628e)をキャリッジ1626の他の遠位層(すなわち、層1628a~c)から結合解除し、次いで、ラッチ3010を第2の端部1618bに向かって近位に移動させる(引っ張る)ことによって、エンドエフェクタ1604(
図16)の切断要素を手動で後退させるために利用可能である。これらの実施形態では、結合解除するステップは、ラッチ3010をロック位置からロック解除位置に枢動させることを含み、ラッチ3010を近位に移動させる(又は引っ張る)ステップは、発射ロッド3004を細長いシャフト1602内で後退させ、それによって、切断要素を近位方向に引っ張り、後退させることを含む。
【0200】
図32は、本開示の1つ又は2つ以上の実施形態による、脱出補助機構3200を組み込む脱出機構3000を示す。脱出機構3000及び脱出補助機構3200は、エンドエフェクタ1604(
図16)のジョー1610、1612(
図16)が組織に刺さり、ロボットマニピュレータ1800(
図18)が切断要素(図示せず)を後退させることができない脱出シナリオにおいて利用可能である。
図32では、脱出機構3000は、キャリッジ1626の層1628a~eと係合してそれらを一緒に保持するものとして示されている。ユーザは、概略的に上述したように、脱出機構3000をトリガしてキャリッジ1626の第5の層1628eを残りの層1628a~dから結合解除し、次いで脱出補助機構3200を利用して第5の層1628eを遠位層1628a~dから離れるように移動させる(持ち上げる)のを助け、それによって切断要素(図示せず)を後退させることができる。その後、ユーザは、本明細書で記載されるように、ジョー1610、1612を手動で開放することができる。
【0201】
図示の実施形態では、脱出補助機構3200は、ユーザ係合特徴部3202を含む。ここで、ユーザ係合特徴部3202は、アレンレンチを受容するように設計されたねじ特徴部であるが、ユーザ係合特徴部3202は、本開示から逸脱することなく、異なるツールを受容するように別様に構成されてもよい。また、ユーザ係合特徴部3202は、シュラウド1640内に画定されている窓3018を通してなど、外科用ツール1600の外部からアクセス可能であり、それによって、アレンレンチは、ユーザ係合特徴部3202にアクセスするために窓3018内にそれを通して挿入され得る。しかしながら、他の実施形態では、ユーザ係合特徴部3202は、シュラウド1640内の窓3018から延在し、それを通して突出してもよい。
【0202】
脱出補助機構3200は、1つ又は2つ以上の近位層をキャリッジ1626の残りの遠位層から分離することを補助するために提供される。したがって、脱出補助機構3200は、キャリッジ1626の残りの層から分離するように動作可能である層によって、又は層内に拘束されている。図示の実施形態では、脱出補助機構3200は、第5の層1628eの遠位にある他の層1628a~dから第5の層1628eを分離するのを補助するために提供されている。ここで、ユーザ係合特徴部3202は、第5の層1628eの上側表面3206上に提供されたピローブロック3204内に提供されている。しかしながら、他の実施形態では、ユーザ係合特徴部3202及びその動作機構は、第5の層1628e内に提供されてもよい。図示の実施形態では、取り外し可能なキャップ1906は、キャリッジ1626が第2の端部1618bに向かって、例えば、その最近位位置に並進されるときに、ピローブロック3204を収容するように提供された隆起部分3208を含む。ここで、取り外し可能なキャップ1906は、シュラウド1640の窓3018と位置合わせされる窓部分3210を含み、それによって、キャリッジ1626が第2の端部1618bにおいてその最近位位置に並進されたときであっても、それらが一緒になって、ユーザ係合特徴部3202がアクセス可能である連続窓を画定する。このようにして、キャリッジ1626は、ピローブロック3204と取り外し可能なキャップ1906との間の干渉なしに近位に完全に並進され得、それによって、ピローブロック3204は、キャリッジ1626の並進によって提供される機能を阻害又は減少させない。
【0203】
図33A~
図33Bは、本開示の1つ又は2つ以上の実施形態による、キャリッジ1626の1つ又は2つ以上の近位層を残りの遠位層から分離するときの脱出補助機構3200の例示的な動作を示す。ユーザ係合特徴部3202は、ユーザ係合特徴部3202の回転(作動)時に軸方向に並進可能である伸長可能な脚部3304を有する、ジャッキ(又はリフト若しくはスペーサ)3302の一部を含む、又は別様に形成する。図示の例では、ユーザ係合特徴部3202は、ジャッキ3302を作動させ、それによって、
図33Aに示すような完全後退位置から、
図33Bに示すような伸長位置に向かって、伸長可能な脚部3304を前進させるために、アレンレンチ3306と嵌合可能である。他の例では、ユーザ係合特徴部3202は、本開示から逸脱することなく、アレンレンチ3306以外の別のタイプのツールを使用して起動されてもよい。他の例では、ユーザ係合特徴部3202は、ラチェット機構を備えてもよく、それによって、ユーザは、連続的な上向き及び下向き運動(回転入力ではなく)を加え、伸長可能な脚部3304を各そのような下向き(又は上向き)運動によって増分的に前進させる。
【0204】
図33Aを参照すると、ラッチ3010は、第5の層1628eがキャリッジ1626の残りの層1628a~dに結合されるように、ロック又は係合位置にある。ここで、ジャッキ3302は、キャリッジ1626の層が一緒にロックされているため、非伸長(後退)状態にある。また、
図33Aは、起動機構1638cが駆動ロッド3004を遠位に、最も遠位のストローク端位置まで前進させた状態を示している。発射ロッド3004が、駆動ロッド3304の遠位端部に動作可能に結合された切断要素(図示せず)を対応して後退させるために後退させられる必要がある場合、ユーザは、ラッチ3010を手動で開放し、キャリッジ1626の残りの部分から第5の層1628eをロック解除し、次いで、アレンレンチ3306をユーザ係合特徴部3202に挿入し、ユーザ係合特徴部3202を手動でクランクさせてもよい。ユーザ係合特徴部3202が作動されると、脚部3304は、遠位に延在し、第5の層1628eを押しやってキャリッジ1626の残りの部分から分離させ、それによって、駆動ロッド3304及び切断要素を後退させる。
【0205】
図33Bでは、ジャッキ3302を起動して第5の層1628eを分離することができるように、ロック解除位置に枢動又は回転3104された後のラッチ3010が示されている。ここで、レンチ3306は、矢印W
1によって示されるように回転又はクランクされ、レンチ3306の回転又はクランクW
1は、矢印W
2によって示されるように、伸長可能な脚部3304をジャッキ3302から前進させ、それによって、第5の層1628eをキャリッジ1626の残りの遠位層から分離する。第5の層1628eを遠位層1628a~dから分離することによって、ジャッキ3202は、第5の層1628eを第2の端部1618bに向かって近位に押すことができる。切断要素(図示せず)は、第5の層1628eに動作可能に接続されている発射ロッド3004の遠位端部に動作可能に結合されている。したがって、発射ロッド3004及び切断要素は、ジャッキ3202が伸長可能な脚部3304を拡張させて遠位層(例えば、第4の層1628d)に当接して押すと、第5の層1628eとともに第2の端部1618bに向かって近位に移動する。このように、脱出補助機構3200は、切断要素を距離W
3、例えば、60ミリメートルだけ手動で後退させる(すなわち、脱出させる)ために提供されてもよい。
【0206】
図34A及び
図34Bは、本開示の1つ又は2つ以上の追加の実施形態による、非バックドライブ可能モータのための脱出機構3400を示す。図示の実施形態では、脱出機構3400は、第3のスプライン1624cに動作可能に結合されたレバー3402を含み、これは、第3の起動機構1638cを作動させ、それによって、発射ロッド3004を駆動し、その遠位端部に動作可能に結合された切断要素(図示せず)を前進又は後退させる役割を果たす。以下で記載するように、レバー3402は、レバー3402が
図34Aに示すような非係合位置にあるときに第3のスプライン1624cがレバー3402に対して回転することを可能にするように、第3のスプライン1624cに結合されている。
【0207】
図示のように、駆動ギア3404が、第3のスプライン1624c上に提供されており、それとともに回転する。駆動ギア3404は、第3の起動機構1638cのピニオンギア3006と噛合するように配置されており、それによって、駆動ギア3404の回転がピニオンギア3006を駆動し、それによって第3の起動機構1628cを起動する。上述したように、ピニオンギア3006の雌ねじは、発射ロッド3004のねじ部分3008と噛合し、それによって、ピニオンギア3006の回転が長手方向軸A1に沿って発射ロッド3004を軸方向に並進させる。発射ロッド3004の遠位端部に動作可能に結合された切断要素(例えば、ナイフ)は、したがって、駆動ギア3404を介したピニオンギア3006の回転時に、発射ロッド3004が遠位又は近位にそれぞれ並進するにつれて、前進又は後退させられ得る。
【0208】
脱出機構3400は更に、第3のスプライン1624cの近位端部上に提供された手動駆動ギア3406を含んでもよい。手動駆動ギア3406は、第3のスプライン1624cとともに回転し、レバー3402と嵌合可能であり、それによって、レバー3402の回転が第3のスプライン1624c及び駆動ギア3404の回転を引き起こし、それによって第3の起動機構1628cを手動で起動する。加えて、レバー3402は、第3のスプライン1624cを手動で作動させ、モータを手動でバックドライブするための機械的利点を提供する。
【0209】
また、図示の実施形態では、取り外し可能なカバー3408が、取り外し可能なキャップ1906上に提供されているか、又はそうでなければ取り外し可能なキャップ1906の一部を形成している。
図34Aに示されるように取り外し可能なキャップ1906上に組み立てられると、取り外し可能なカバー3408は、レバー3402の意図しない操作を阻止するようにレバー3402を囲む。取り外し可能なカバー3408は、取り外し可能なカバー3408を取り外し可能なキャップ1906から取り外すためにユーザによって係合可能な把持位置3410を含む。取り外し可能なカバー3408は、取り外し可能なカバー3408が取り外し可能なキャップ1906上に設置されるときにレバー3402が中に配設される内部容積部3412を画定している。また、スペーサバー又は「スペーサ」3414が、取り外し可能なカバー3408内に一体化されている。スペーサバー3414は、取り外し可能なカバー3408の内部容積部3412内に半径方向に延在し、取り外し可能なカバー3408が取り外し可能なキャップ1906上に設置されると、スペーサバー3414は、
図34Aに示されるように、レバー3402が第3のスプライン1624cの手動駆動ギア3406に係合しない非係合位置にレバー3402を保持及び支持するように、レバー3402の下に静置する。取り外し可能なカバー3408を取り外すことによって、スペーサバー3414は、レバー3402の下から引き出され、それによって、レバー3402は、もはや非係合位置に支持及び保持されず、次いで、ユーザは、
図34Bを参照して示されるように、レバー3402が第3のスプライン1624cの手動駆動ギア3406に係合する係合位置にレバー3402を移動させ得る。
【0210】
手動駆動ギア3406は、
図34Aに例示されるように、レバー3402が非係合位置に位置決めされたときに、レバー3402に対して(独立して)回転可能である。いくつかの実施形態では、手動駆動ギア3406とレバー3402との間のこの相対運動に対応するために、手動駆動ギア3406及び第3のスプライン1624cを受容するためのボア3416がレバー3402内に提供されている。ボア3416及び手動駆動ギア3406は、レバー3402が非係合位置にあるときに手動駆動ギア3406をレバー3402に結合するための対応するキー付き表面を含むことができる。例えば、レバー3402が非係合位置にあるときに、第3のスプライン1624cの手動駆動ギア3406に提供された対応する1つ又は2つ以上のギア歯又はキー溝3420(
図34B)と嵌合するために、少なくとも1つのギア歯又はキー3418がレバー3402のボア3416内に提供されてもよい。図示のように、キー3418は、ボア3416の近位セグメント又は部分内に提供されており、それによって、キー3418は、取り外し可能なカバー3408の開放時にスペーサバー3414がレバー3402の下から取り外された後にのみ、手動駆動ギア3406の対応するキー溝3420(
図34B)に係合することで、ユーザは、矢印3422によって示されるように、レバー3402を手動駆動ギア3406に対して軸方向に変位させて、キー3418を対応するキー溝3420内に位置決めすることができる。更に、ボア3416は、レバー3402が非係合位置にあるときに、中に手動駆動ギア3406が存在する遠位部分を含み、その後、取り外し可能なカバー3408を開き、スペーサバー3414をレバー3402の下から引き出し、次いでレバー3402を
図34Bに示されるような係合位置へと方向3422に押す。したがって、レバー3402は、手動駆動ギア3406及び第3のスプライン1624c上で方向3422に軸方向に移動可能(摺動可能)であり、それによって、手動駆動ギア3405は、それが自由に回転可能であるボア3416の遠位部分と、それがレバー3402に対して回転可能に固定されるボア3416の近位部分との間で位置決め可能である。図示の例では、レバー3402が手動駆動ギア3406に対して遠位に並進されるときにレバー3402を手動駆動ギア3406に結合し、それによって手動駆動ギア3406をボア3416の近位部分内に位置決めするために、キー付きジョイントが提供されており、それによって、レバー3402の回転が、それに対応して手動駆動ギア3406及び第3のスプライン1624cを回転させる。
【0211】
図34Aに示されるように、手動駆動ギア3406がボア3416の遠位部分にあるようにレバー3402が位置決めされるとき、手動駆動ギア3406は、レバー3402のキー3418と干渉又は係合することなく、自由に回転し得る(例えば、スプライン1624cを用いて)。したがって、取り外し可能なカバー3408を開き、それによってスペーサバー3414をレバー3402の下から取り外すと、レバー3402が支持されず、手動駆動ギア3406と係合するように移動可能になり、それによって、次にレバー3402を手動で回転させて、第3のスプライン1624c及びそれに関連付けられた起動機構1638cを作動させ、切断要素(図示せず)の発射及び後退を制御することができる。いくつかの実施形態では、取り外し可能なカバー3408は、ヒンジジョイントで取り外し可能なキャップ1906に接続されてもよい。
【0212】
図示の実施形態では、外科用ツール1600の駆動入力部1636dは、器具ドライバ1800の駆動出力部1824dと係合したままである。ここで、器具ドライバ1800は、レバー3402の回転によって克服され得るバックドライブ可能モータを含み、レバー3402は、モータを克服するための機械的利点を更に増加させるために、1つ又は2つ以上の伸長可能又は折り畳み可能な部分を含み得る。したがって、図示の実施形態では、第3のスプライン1624c及び手動駆動ギア3406は、取り外し可能なカバー3408の取り外し及び/又はレバー3402の押圧時に軸方向に並進する必要はない。むしろ、上述したように、レバー3402は、第3のスプライン1624c及び手動駆動ギア3406に対して、外科用ツール1600の駆動入力部1636dが器具ドライバ1800の駆動出力部1824dと係合し、脱出機構3400のレバー3402が手動駆動ギア3406から係合解除される第1の(上側)位置から、外科用ツール1600の駆動入力部1636dが器具ドライバ1800の駆動出力部1824dと係合したままであるが、レバー3402が手動駆動ギア3406と係合している第2の(下側)位置へと移動可能であり、それによって、ユーザは、レバー3402を操作することによって起動機構1638cを手動で作動させて切断要素(図示せず)の移動を制御することができる。
図34Aは、第1の(上側)位置にあるレバー3402を示し、
図34Bは、取り外し可能なカバー3408及びスペーサバー3414を取り外した後の第2の(下側)位置にあるレバー3402を示す。いくつかの実施形態では、駆動ギア3404は、ピニオンギア3006よりも大きいように寸法決め及びサイズ決めされており、それによって、レバー3402が方向3422に押圧されたときに手動駆動ギア3406及び第3のスプライン1624cが少なくともいくらかの軸方向並進を経験しても、ピニオンギア3006と係合及び噛合されたままである。
【0213】
図34Bは、
図34Aの脱出機構3400の例示的な動作を示す。図示の実施形態では、取り外し可能なカバー3408は、矢印3424で示されるように取り外し可能なカバー3408を持ち上げるか又は枢動させることによって取り外され得る。スペーサバー3414は、取り外し可能なカバー3408と一体であり、したがって、矢印3426で示されるように、開放又は取り外し中の取り外し可能なカバー3408の移動とともに対応して移動する。したがって、取り外し可能なカバー3408の取り外しは、スペーサバー3414をレバー3402の下から同時に引き出し、それによって、レバー3402は、支持されず、矢印3422によって示されるように手動駆動ギア3406と係合するように押圧され得る。その後、ユーザは、矢印3428によって示されるように、レバー3402を手動で回し、第3のスプライン1624cを手動で回し、それによって第3の起動機構1638cを作動させ、切断要素を前進又は後退させてもよい。
【0214】
したがって、
図34Bはまた、脱出機構3400を使用する例示的な方法を示す。この方法は、取り外し可能なカバー3408を取り外す(又は開放する)ことと、レバー3402を係合させることと、次いでレバー3402を手動で回し、それによって器具ドライバ1800とは独立して外科用ツール1600の機能を手動で起動することと、を含み得る。ここで、取り外し可能なカバー3408を取り外す(又は開放する)動作は、スペーサバー3414をレバー3402の下から引き出し、それによって、レバー3402は非係合位置に支持されず、次いで、手動駆動ギア3406がボア3416の近位部分内に位置決めされるまで、レバー3402を移動させる(押圧する)ことによって(矢印3422によって示されるように)手動駆動ギア3406にわたって係合させ、ここで、レバー3402のキー3418が手動駆動ギア3406のキー溝3420に係合し、それによって、手動駆動ギア3406及び第3のスプライン1624cは、レバー3402と回転でロックされる。その後、ユーザは、レバー3402を回すことによって、切断要素(図示せず)を手動で後退又は前進させてもよい。
【0215】
図35A及び
図35Bは、本開示の1つ又は2つ以上の追加の実施形態による、非バックドライブ可能モータのための代替の脱出機構3500を示す。図示の実施形態では、脱出機構3500は、レバー3502を含む。レバー3502は、
図34A及び
図34Bの脱出機構3400を参照して上述したように、レバー3502が第3のスプライン1624cに結合されていない係合解除(第1の)位置と、レバー3502が第3の起動手段1638cを手動で作動させるために利用可能である係合(第2の)位置との間で位置決め可能である。しかしながら、
図34A及び
図34Bの脱出機構3400は、そのレバー3402が手動駆動ギア3406と係合するように移動され、次いで、第3の起動機構1638cを手動で駆動するように作動されるときに、第3のスプライン1624cと器具ドライバ1800との間の係合を維持するが、脱出機構3500は、そのレバー3502が手動駆動ギア3406と係合するように移動されるときに、第3のスプライン1624cを器具ドライバ1800から係合解除(結合解除)し、それによって、レバー3502は、第3の起動機構1638cを手動で駆動するために利用され、それによって、器具ドライバ1800のモータを克服する必要なく、発射ロッド3004を駆動して、その遠位端部に動作可能に結合された切断要素(図示せず)を前進又は後退させ得る。したがって、レバー3502は、第3のスプライン1624cが、
図35Aに示すように、レバー3502が非係合位置にあるときに、レバー3502に対して回転し、
図35Bに示すように、レバー3402が係合位置にあるときに、レバー3402とともに回転することを可能にするように、第3のスプライン1624cに結合されている。また、
図34A及び
図34Bは、係合解除(第1の)位置から係合(第2の)位置へと遠位方向3422に移動するそのレバー3402を示しているが、脱出機構3500のレバー3502は、係合解除(第1の)位置から係合(第2の)位置へと近位に(近位方向に)移動する。
【0216】
図示の実施形態では、手動駆動ギア3504は、レバー3502のボア3504内に提供されている。ボア3504は、第1のセクション3506及び第2のセクション3508を含み、レバー3502は、第3のスプライン1624c及び手動駆動ギア3406に対して移動可能であり、手動駆動ギア3406をボア3504の第1のセクション3506又は第2のセクション3508のいずれかに位置決めする。手動駆動ギア3406は、ボア3504の第1のセクション3506内に配向されるとき、自由に回転可能である。1つ又は2つ以上のギア歯3510がボア3504の第2のセクション3508内に提供されており、1つ又は2つ以上のギア歯3510は、手動駆動ギア3406がボア3504の第2のセクション3508内に配向されたときに手動駆動ギア3406と係合するように配置されている。したがって、レバー3502は、手動駆動ギア3406がボア3504の第2のセクション3508内に配向されるときに、手動駆動ギア3406、したがって第3のスプライン1624cと回転で固定(ロック)される。このようにして、レバー3502は、手動駆動ギア3406がボア3504の第2のセクション3508内に位置決めされる係合位置にシフトされると、レバー3502を手動で回転させて第3の起動手段1638cを作動させることができる。
【0217】
脱出機構3500は、付勢要素3512及び保持用ピン又は保持ピン3514を更に含む。図示の実施形態では、付勢要素3512は、レバー3402と取り外し可能なキャップ1906との間に提供されており、保持ピン3514は、取り外し可能なカバー3408上に提供されており、そこから腔3412内でレバー3502に向かって遠位に延在する。ここで、付勢要素3512は、第3のスプライン1624cの近位部分の周りに配置されており、かつレバー3502に近位方向の力を加え、それによってレバー3502を取り外し可能なキャップ1906から離れるように押しやる圧縮ばねである。しかしながら、付勢要素3512は、圧縮ばねの代わりに他のタイプのデバイス及び/又は材料を含んでもよく、図示のように第3のスプライン1624cの周りに配置される必要はない。また、保持ピン3514は、基部3516と、基部3516から延在する先端部3518とを含む。保持ピン3514の基部3516は、取り外し可能なカバー3408の内側表面上に提供されており、それによって、取り外し可能なカバー3408が取り外し可能なキャップ1906上に設置されたときに、基部3516はレバー3502に当接し(接触し)、それによって、付勢要素3512を介してレバー3502に加えられる反対方向のばね力に対抗する。加えて、先端部3518は、基部3516の遠位表面上に提供されており、それによって、取り外し可能なカバー3408が取り外し可能なキャップ1906上に設置されたときに、先端部3518は手動ドライバギア3406に当接し(接触し)、それによって、第3のスプライン1624cの任意の軸方向並進を阻止又は制限し、したがって、その第4の駆動入力部1636dを器具ドライバ1800の第4の駆動出力部1824dと係合(結合)されたままに維持する。
【0218】
図示の実施形態では、保持ピン3514の基部3516は、レバー3502を取り外し可能なキャップ1906に向かって遠位に押し、それによって、取り外し可能なカバー3408が取り外し可能なキャップ1906上に設置されたときに付勢要素3512を圧縮する。このようにして、保持ピン3514は、レバー3502を係合解除位置に保持又は維持し、ここで、手動駆動ギア3406は、レバー3502とは独立してボア3504の第1のセクション3506内で自由に回転可能であり、レバー3502は付勢要素3512を圧縮している。取り外し可能なカバー3408を取り外し可能なキャップ1906から取り外すと、付勢要素3512は、
図35Bの方向矢印3520によって示されるように、レバー3502を、手動駆動ギア3506に対して、ボア3504の第2のセクション3508内の1つ又は2つ以上のギア歯3510が手動駆動ギア3406に係合する(噛み合う)係合位置へと押す。
【0219】
加えて、レバー3502は、ボア3504の第2のセクション3508に近接するレッジ3522を含む。レッジ3522は、取り外し可能なキャップ3408及びその保持ピン3514が取り外され、それによって、付勢要素3512がレバー3502を係合位置へと近位にシフトさせることを可能にした後に、手動駆動ギア3406を第2のセクション3508内に少なくとも部分的に拘束し、1つ又は2つ以上のギア歯3510と係合させる。付勢要素3512がレバー3502を近位方向3520に押す(並進させる)と、レッジ3522は、最終的に手動駆動ギア3406の遠位面(側部)に当接し(接触し)、付勢要素3512がレバー3502を近位方向3520に更に押し(並進させ)続けると、レッジ3522は手動駆動ギア3406を近位方向3520に引っ張る。第3のスプライン1624cは手動駆動ギア3406に接続されているため、第3のスプライン1624cは、付勢要素3512がレバー3502を係合位置に向かって押すにつれて、手動駆動ギア3406とともに近位方向3520に軸方向に並進し、第3のスプライン1624cが近位方向3520に軸方向に並進し続けるにつれて、その第4の駆動入力部1636dは、器具ドライバ1800の第4の駆動出力部1824dから係合解除(結合解除)される。ここで、駆動ギア3404は、ピニオンギア3006よりも大きいように寸法決め及びサイズ決めされており、それによって、付勢要素3512がレバー3502を係合位置にシフトさせるときに近位に移動するにつれて、ピニオンギア3006と係合及び噛合されたままである。このようにして、付勢要素3512は、レバー3502を手動駆動ギア3406と係合するようシフトさせる(すなわち、係合位置)ように動作可能であり、レバー3502は、第3の起動機構1638cを手動で作動させるように動作可能であり、第3の起動手段1638cを器具ドライバ1800から結合解除するように動作可能であり、それによって、レバー3502は、器具ドライバ1800のモータを克服する必要なく利用され得る。
【0220】
したがって、
図35Bはまた、脱出機構3500を使用する例示的な方法を示す。この方法は、取り外し可能なカバー3408を取り外す(又は開放する)ことと、次いでレバー3502を手動で回し、それによって器具ドライバ1800とは独立して外科用ツール1600の機能を手動で起動することと、を含み得る。取り外し可能なカバー3408が取り外し可能なキャップ1906上に設置されると、レバー3502に当接する保持ピン3514は、付勢要素3512によってレバー3502に加えられる付勢力に抗して作用して、レバー3502を、手動駆動ギア3406がボア3504の第1のセクション3506内にあり、レバー3502に対して自由に回転可能である係合解除位置に維持又は保持する。したがって、取り外し可能なカバー3408を取り外す(又は開放する)動作は、付勢要素3512がレバー3502を移動させて手動駆動ギア3406と係合させ、第3のスプライン1624cを器具ドライバ1800のモータから結合解除することを可能にする。特に、取り外し可能なカバー3408のこの開放動作は、付勢要素3512に、矢印3520によって示されるように、レバー3502を手動駆動ギア3406にわたって近位に移動(シフト)させ、それによって、手動駆動ギア3406は、手動駆動ギア3406がレバー3502の1つ又は2つ以上のギア歯3510と係合する(噛み合う)ボア3504の第2のセクション3508内に配向され、それによって、レバー3502を手動駆動ギア3406に回転で固定する。また、レバー3502を係合位置に移動させることは、レッジ3522を手動駆動ギア3506と接触させ、それによって、付勢要素3512がレバー3502を近位方向3520に更に移動させる(シフトさせる)につれて、レバー3502が手動駆動ギア3406及び第3のスプライン1624cを近位に運び得、それによって、駆動ギア3404が近位に移動する間、駆動ギア3404とピニオンギア3006との間の噛合係合を維持しながら、駆動入力部1636dを器具ドライバ1800の駆動出力部1824dから結合解除する。その後、ユーザは、矢印3428によって示されるように、レバー3502を手動で回し、第3のスプライン1624cを手動で回し、それによって第3の起動機構1638cを作動させ、切断要素(図示せず)を前進又は後退させてもよい。
【0221】
脱出機構3400、3500は、ロボットシステムのコンピュータベースの制御システム内に統合されてもよい。したがって、外科用ツール1600は、脱出機構3400、3500に関するデータ及び情報をロボットシステムのコンピュータベースの制御システムに通信し得る。いくつかの実施形態では、脱出機構3400、3500は、脱出機構3400、3500の状態表示を提供することができるスイッチ式トランスデューサ(並びに/又は様々な他のタイプのセンサ及びアクチュエータ)を含むことができる。例えば、外科用ツール1600が器具ドライバ1800(
図18B)上に設置されるときに、コントローラ1400(
図14)は、オペレータが脱出機構3400、3500に手動で係合するとき(すなわち、「脱出」シナリオ)を自動的に検出するようにプログラムされてもよい。これらの例では、コントローラ1400は、オペレータに対して、可視命令、オンスクリーン命令、及び/又は可聴命令などのような、脱出を実行する方法に関する命令を提供するように更にプログラムされてもよい。いくつかの例では、外科用ツール1600を器具ドライバ1800上に設置すると、コントローラ1400は、外科用ツール1600が以前に「脱出」シナリオを受けたかどうかを検出し、そうであれば、その旨のユーザ指示を提供し(場合によっては外科用ツール1600のメンテナンスを提案し)、及び/又は以前に「脱出」された外科用ツール1600の特定の機能を制御(若しくは制限)するようにプログラムされてもよい。更に、脱出機構3400、3500の動作に関する情報及びデータは、支援を提供し得る、及び/又は脱出機構3400、3500を動作させるステップを検証し得るヘルプセンターにリアルタイムで通信及び中継され得る。更に、脱出機構3400、3500の動作に関する情報及びデータは、外科用ツール1600が脱出シナリオを経験する場合に必要とされ得るように、追加の医師及び/又は支援スタッフから緊急医療支援を得るために、リアルタイムで通信及び中継され得る。
【0222】
図36は、1つ又は2つ以上の追加の実施形態による、ユーザインターフェース3600を組み込む外科用ツール1600を示す。ユーザインターフェース3600は、外科用ツール1600の細長いシャフト1602を手動で並進させるように操作されてもよい。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース3600は、細長いシャフト1602を手動で並進させるためにユーザによって把持及び操作され得る、フィン3602を含む。フィン3602は、ユーザがキャリッジ1626を手動で前進又は後退させ、それによって、細長いシャフト1602の対応する並進をもたらすことが可能であるように、キャリッジ1626に動作可能に(直接的又は間接的に)結合されてもよい。図示の実施形態では、フィン3602はキャリッジ1626に接続されており、シュラウド1640内の窓3018を通ってそこから半径方向外側に突出する。ここで、フィン3602は、第5の層1628eに接続されている。しかしながら、フィン3602は、代わりに、第5の層1628eに加えて、又はその代わりに、1つ又は2つ以上の他の層1628a~dに接続されてもよい。
【0223】
いくつかの実施形態では、図示のように、フィン3602は、第5の層1628eが遠位層(すなわち、層1628a~d)に解放可能に固定されたときに、キャリッジ1626の遠位層(すなわち、層1628a~d)のうちの1つ又は2つ以上にわたって延在するか、又はそれを覆うように、シュラウド1640内の窓3018内に位置決め可能な張り出し部分3604(代替的には「遠位延在部」と称される)を含んでもよい。ここで、張り出し部分3604は、第5の層1628eが第4の層1628dに接続されたときに、キャリッジ1626の少なくとも第4の層1628dから径方向外側に位置決めされ、それを覆う。張り出し部分3604は、第4の層1628dに近接する位置まで遠位に延在するように示されているが、他の実施形態では、張り出し部分3604は、本開示から逸脱することなく、異なる程度まで(すなわち、残りの層1628a~cのうちの1つ又は2つ以上を覆うように)遠位に延在してもよい。更に、フィン3602は、シュラウド1640内の窓3018を通って突出するタブとして示されているが、他の実施形態では、フィン3602には、ユーザがそれを把持することを可能にする異なる幾何学的形状が提供されてもよい。例えば、フィン3602は、シュラウド1640の外側表面を少なくとも部分的に取り囲む(その周りに延在する)リング3603又は構造を含むことができる。
【0224】
上述したように、ユーザインターフェース3600は、器具ドライバ1800(
図18B)にバックドライブ可能モータが提供された実施形態において、細長いシャフト1602及びエンドエフェクタ1604(
図16)を手動で前進又は後退させるために使用され得る。本開示の目的のために、バックドライブ可能モータは、ユーザがユーザ駆動運動を実行しようとしているときに、そのようなユーザの手動で加えられたトルクによって克服され得る十分に低いバックドライブトルクを有するモータであり、モータの「バックドライブ可能性」は、モータとその対応する駆動出力部1824a~dとの間に位置決めされたギアボックスの設計及び選択によって調整され得る。これらの実施形態では、主ねじ1622(
図16)及びキャリッジナット1634(
図16)は、キャリッジ1626がユーザによって外部から作用されると、主ねじ1622に沿ったキャリッジナット1634の並進を主ねじ1622の回転に変換するために好適な対応するねじ山ピッチを有してもよい。また、これらの実施形態では、主ねじ1622及びキャリッジナット1634の対応するねじ山ピッチは、ユーザが外部負荷をキャリッジ1626に加えていないときに、キャリッジナット1634及びそれに取り付けられたキャリッジ1626を駆動ハウジング1614内の特定の位置で支持するために好適である。例えば、ユーザがフィン3602に遠位方向の負荷を加えると、キャリッジナット1634のねじ山と主ねじ1622のねじ山との間の相互作用により、主ねじ1622が回転し、駆動出力部1824a(
図18B)及び主ねじ1622に動作可能に結合された関連付けられたモータをバックドライブして、主ねじ1622を駆動する。主ねじ1622が回転すると、キャリッジ1626は、主ねじ1622を遠位方向に横断することが可能である。
【0225】
いくつかの実施形態では、第5の層1628eは、キャリッジ1626の遠位層1628a~dからロック解除され(切り離され)てもよく、エンドエフェクタ1604(
図16)及びそれに動作可能に結合されたシャフト1602とともに、駆動ハウジング1614から取り外されてもよい。外科用ツール1600が、エンドエフェクタ1604(
図16)とともに含まれるステープルカートリッジを有する外科用ステープラである実施形態では、これは、ユーザが第5の層1628eを切り離し、エンドエフェクタ1604を取り外してエンドエフェクタを変更するか、又はステープルカートリッジを交換(補充)することを可能にするときに有利であることを証明し得る。理解されるように、ステープルカートリッジは、多くの場合、外科処置中に複数回交換又は再装填される必要がある。
【0226】
しかしながら、ステープルカートリッジを交換し、次に外科用ステープラを駆動ハウジング1614内に再装着した後、細長いシャフト1602及びエンドエフェクタ1604がカニューレ(又はトロカール)内に位置し得るため、操作者(例えば、外科医)は、エンドエフェクタ1604(
図16)が手術部位に対してどこに位置するかを(内視鏡を介して)見ることができない場合がある。エンドエフェクタ1604を見ることを可能にするために、ユーザ(例えば、看護師又は外科助手)は、エンドエフェクタ1604が外科医の視野に入るまで、細長いシャフト1602を患者の腔内に慎重に前進させることが可能であり得る。このようにして、フィン3602は、細長いシャフト1602及びエンドエフェクタ1604を外科医の視野内に安全かつ効率的に手動で前進若しくは移動させ、かつ/又は最後の既知の位置に戻すために利用され得る。
【0227】
ユーザインターフェース3600のフィン3602を介したシャフト1602の手動前進及び後退はまた、細長いシャフト1602を再挿入するときに、リアルタイム触覚フィードバックをユーザに提供し得る。そのようなリアルタイム触覚フィードバックは、解剖学的物体(例えば、臓器)が前進又は挿入を妨げていると感じられる(感知される)場合に、ユーザがエンドエフェクタ1604の前進を停止させることが可能であり得るため、有益である。これは、外科的環境内の物体が外科用ツールの引き抜き時に変化又は再配置することが多いという事実を考慮すると、エンドエフェクタ1604が臓器又は組織に係合し、代わりに前進し、それによって臓器又は組織を損傷する場合に、ロボット外科用システムが「感じる」ことが可能ではない場合があるため、特に重要であり得る。したがって、ユーザインターフェース3600は、エンドエフェクタ1604が外科医の視野(又はいくつかの他の既知の位置)に到達するまで、キャリッジ1626を手動で前進させ、主ねじ1622を手動でバックドライブするために、ユーザによって利用されてもよい。
【0228】
ユーザインターフェース3600及び関連付けられたフィン3602の設計及び機能は、
図36に示されるものに限定されないことに留意されたい。むしろ、ユーザインターフェース3600は、ユーザがフィン3602を把持し、キャリッジ1626及び結合されたシャフト1602を手動で押しやり、z軸に沿って移動させることを可能にし得るフィン3602の任意の他の設計を含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、ユーザインターフェース3600及び/又はフィン3602は、
図24のレバー2402と実質的に同様であってもよい。他の実施形態では、ユーザインターフェース3600及び/又はフィン3602は、本開示の範囲から逸脱することなく、
図30及び
図32のラッチ3010と実質的に同様であってもよい。
【0229】
いくつかの実施形態では、外科用ツール1600の取り外し時に、器具ドライバ1800(
図18B)、及び/又は器具ドライバ1800のコントローラ1400(
図14)は、エンドエフェクタ(
図16)及び細長いシャフト1602の最後の既知の位置を記憶するようにプログラムされてもよい。外科用ツール1600の再導入時に、器具ドライバ1800及びコントローラ1400の一方又は両方は、エンドエフェクタ1604及び細長いシャフト1602をその最後の既知の位置に戻すように再位置決めすることを容易にし得る。例えば、エンドエフェクタ1604及び細長いシャフト1602の最後の既知の位置を記憶する位置認識システムが提供されてもよく、それに関連付けられた第5の層1628eが遠位層3704(
図37)から取り外され、次いで、その上に再設置されるとき、位置認識システムは、同じツール構成要素が再設置されたときを認識し、ユーザが、細長いシャフト1602及びエンドエフェクタ1604を最後の既知の位置に手動で並進させて戻すことを可能にする。
【0230】
しかしながら、異なる外科用ツール構成要素の第5の層1628eが遠位層3704(
図37)上に設置される場合、位置認識システムは、異なるツール構成要素が設置されたことを認識し、ユーザが細長いシャフト1602及びエンドエフェクタ1604を少なくともある距離だけ手動で並進させることを少なくとも部分的に阻止する。いくつかの実施形態では、位置認識システムは、遠位層3704上に設置されている新しいツール構成要素が、以前に取り外された構成要素と同じタイプの構成要素であるかどうかを認識し、それによって、新しいツール構成要素は、以前に取り外されたツール構成要素の最後の既知の位置まで、それらが同じタイプである程度まで手動で前進させられ得る。例えば、外科処置中にロボットステープラが動作不能になるか、又はそのステープルの供給が使い果たされた場合、新しい外科用ステープラが遠位層3704上に設置され、次いで、最後の既知の位置まで手動で前進させられ得る。したがって、位置認識システムは、エンドエフェクタ1604及び細長いシャフト1602の最後の既知の位置を記憶及び認識し得るだけでなく、位置認識システムはまた、遠位層3704上に設置されている特定のツールが、そこから取り外されたばかりの同じツールであるか又は新しいツールであるかどうか、また後者に関して、新しいツールが、遠位層3704上に以前に設置されたものと同じタイプのエンドエフェクタ(すなわち、同じツールタイプ)を含むかどうか、又は新しいツールが、異なるタイプのエンドエフェクタ(すなわち、異なるツールタイプ)を含むかどうかを確認し得る。
【0231】
同じツール若しくは新しいツールが遠位層3704(
図37)上に装着されているかどうか、及び/又は新しいツールが同じ若しくは異なるツールタイプであるかどうかを認識するために、種々の技術が利用されてもよい。例えば、遠位層3704は、第5の層1628e(又はその接続された構成要素)のRFIDタグを読み取り、それによって、遠位層3704上に設置されている特定の第5の層及び構成要素を識別するように位置決めされた無線周波数識別(RFID)リーダデバイスを含んでもよい。いくつかの例では、「ポゴピン」コネクタなどの物理的電気接点を利用してもよい。
【0232】
述べたように、位置認識システムは、エンドエフェクタ1604(
図16)及び細長いシャフト1602を最後の既知の位置に戻す手動前進を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、外科用ツール1600は、エンドエフェクタ1604及び細長いシャフト1602が最後の既知の位置まで手動で前進されたときに、ユーザに触覚フィードバックを提供してもよい。しかしながら、例えば、様々なタイプの可聴及び/又は視覚フィードバックに加えて、又はその代わりに、他のタイプのユーザフィードバックが提供されてもよい。いくつかの実施形態では、位置認識システムは、エンドエフェクタ1604及び細長いシャフト1602を最後の既知の位置に戻す手動前進を可能にするが、最後の既知の位置を越えるいかなる更なる手動前進も阻止する。
【0233】
図36はまた、1つ又は2つ以上の追加の実施形態による、脱出機構として構成されたユーザインターフェース3600を示す。図示の実施形態では、解放ボタン又はピン3606が、フィン3602の張り出し部分3604上に提供されており、第5の層1628eをその遠位の層1628a~dからロック解除するように動作可能である。
図24、
図30、及び
図32を参照して上述したような他の例では、解放ピン3606の代わりに、レバー又は他のタイプのロック機構を利用してもよい。加えて、ユーザ係合部分3608が、フィン3602上及び/又はその張り出し部分3604上に提供されてもよい。ここで、ユーザ係合部分3608は、解放可能なピン3606をロック解除した後に、第5の層1628e及びそれに接続された構成要素をシュラウド1640から脱出及び後退させるときに、ユーザによってより容易に操作又は取り扱われるテクスチャ加工された表面を含む。
図36では、解放ピン3606は、係合又はロック位置で示されており、ここで、解放ピン3606は係合されており、それによって第5の層1628eを第4の層1628d(及び下にある層1628a~c)にロックする。
【0234】
図37は、
図36のユーザインターフェース3600の例示的な動作を示す。示されるように、解放ピン3606は、ユーザによって把持され、矢印3702によって示されるように外側に引っ張られ、それによって、第5又は「近位」層1628eを下にある又は「遠位」層3704からロック解除してもよい。解放ピン3606が解放されると、第5の層1628eは、遠位層3704から分離されて取り外されてもよい。
【0235】
図38は、インターフェース3602の張り出し部分3604上に提供された解放ピン3606の拡大断面図を示す。図示のように、解放ピン3606は、第5の層1628eを第4の層1628dに固定するために係合位置にある。いくつかの実施形態では、解放可能なピン3606は、遠位層3704(
図37)のうちの1つ又は2つ以上にあるロック特徴部3802内に取り付け可能であってもよい。図示の実施形態では、ロック特徴部3802は、第4の層1628d内に提供されており、ユーザは、解放ピン3606を外側3702に引っ張り、第5の層1628eを遠位層3704から切り離す(ロック解除する)ことが可能であり得る。したがって、
図38は、キャリッジナット1634(
図16)が中に拘束される1つ又は2つ以上の遠位層3704(
図37)の最近位層(例えば、第4の層1628d)内に提供されたロック特徴部3802に取り付けられている、ロック位置にある解放ピン3606を示す。
【0236】
再び
図37を参照すると、解放ピン3606が外側3702にシフトされると、第5の層1628e(代替的には「近位」層と称される)は、次いで、矢印3706によって示されるように、シュラウド1640内で近位に持ち上げられてもよく、一方で、遠位層3704は静止したままである。第5の層1628eが近位3706に引っ張られると、細長いシャフト1602は、矢印3708によって示されるように、対応して近位に移動する。次いで、矢印3710によって示されるように、キャップ1906を第2の端部1618bから取り外した後で、第5の層1628eは、細長いシャフト1602及びそれに結合されたエンドエフェクタ1604(
図16)とともに、シュラウド1640から取り外され得る。その後、第5の層1628e及びそれに動作可能に接続された構成要素は、例えば、エンドエフェクタ1604内のステープルカートリッジを交換した後に、シュラウド1640内に再挿入され、遠位層3704上に再設置されてもよく、又は新しい第5の層及び接続された構成要素が、シュラウド1640内に再挿入され、遠位層3704上に再設置されてもよい。
【0237】
4.実装システム及び用語。
本明細書で使用するとき、「結合する」、「結合している」、「結合された」という用語、又は結合という単語の他の変形は、間接的接続又は直接的接続のいずれかを示し得ることに留意されたい。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素に「結合される」場合、第1の構成要素は、別の構成要素を介して第2の構成要素に間接的に接続される、又は第2の構成要素に直接的に接続される、のいずれかであってもよい。
【0238】
本明細書に記載する機能は、プロセッサ可読媒体又はコンピュータ可読媒体上の1つ又は2つ以上の命令として記憶されてもよい。「コンピュータ可読媒体」という用語は、コンピュータ又はプロセッサによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体を指す。一例として、限定するものではないが、このような媒体は、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(electrically erasable programmable read-only memory、EEPROM)、フラッシュメモリ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(compact disc read-only memory、CD-ROM)、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、若しくは他の磁気記憶デバイス、又は命令若しくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、有形であり、非一時的であってもよいことに留意されたい。本明細書で使用するとき、「コード」という用語は、コンピューティングデバイス又はプロセッサによって実行可能であるソフトウェア、命令、コード、又はデータを指してもよい。
【0239】
本明細書に開示される方法は、記載される方法を達成するための1つ又は2つ以上のステップ又は行為を含む。方法ステップ及び/又は行為は、特許請求の範囲から逸脱することなく交換されてもよい。換言すれば、記載されている方法の適切な動作のために特定の順序のステップ又は行為が必要とされない限り、特許請求の範囲から逸脱することなく、特定のステップ及び/又は行為の順序及び/又は使用を修正してもよい。
【0240】
本明細書で使用するとき、「複数」という用語は、2つ又はそれ以上を示す。例えば、複数の構成要素は、2つ又はそれ以上の構成要素を示す。「判定する」という用語は、多種多様な行為を包含し、したがって、「判定する」は、計算する、演算する、処理する、算出する、調査する、ルックアップする(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造を見ること)、確認することなどを含むことができる。また、「判定する」は、受け取る(例えば、情報を受信すること)、アクセスする(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「判定する」は、解決する、選択する、選出する、確立するなどを含むことができる。
【0241】
語句「に基づく」は、別段に明示的に指定されない限り、「のみに基づく」を意味しない。換言すれば、語句「基づく」は、「のみに基づく」及び「少なくとも基づく」の両方を記載する。
【0242】
開示される実装態様の前述の説明は、任意の当業者が本発明を製造すること、又は使用することを可能にするために提供される。これらの実装態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかになり、かつ、本明細書で規定される一般的な原理は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実装態様に適用され得る。例えば、当業者であれば、締結、装着、結合、又は係合ツール構成要素の均等の方法、特定の作動運動を生み出すための均等の機構、及び電気エネルギーを送達するための均等の機構など、多くの対応する代替的かつ均等の構造的詳細を採用することができると理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書に示される実装態様に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原則及び新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるものである。
【0243】
本明細書で使用される場合、「概して」及び「実質的に」という用語は、そのような用語によって修飾される要素又は数の目的に有意に影響を及ぼさない構造的又は数的修飾を包含することが意図される。
【0244】
本明細書に添付された特許請求の範囲を解釈するときに、特許庁並びに本出願及び任意の結果として得られる特許の任意の読者を支援するために、出願人は、「のための手段」又は「のためのステップ」という文言が特定の請求項において明示的に使用されない限り、添付の請求項又は請求項の要素のいずれも、米国特許法第112条(f)項を行使することを意図しない。
【0245】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ツールであって、
第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する、スプラインと、
前記駆動ハウジング内に提供されており、かつ前記第1の端部と前記第2の端部との間で移動可能なキャリッジと、
前記スプラインを手動で作動させるために、前記駆動ハウジングの前記第1の端部又は前記第2の端部に配置された機構と、を備え、前記機構が、
フレームと、
前記スプラインの端部を受容するように、前記フレームに回転可能に装着されたスプライン結合部と、
リングギアであって、前記フレームの周りで回転可能であり、かつ前記スプライン結合部に動作可能に結合されており、それによって、前記フレームの周りでの前記リングギアの回転が、それに対応して前記スプラインを作動させる、リングギアと、を含む、外科用ツール。
(2) 前記機構が、前記駆動ハウジングの前記第2の端部において取り外し可能に結合されたエンドキャップ内に提供されており、前記エンドキャップが、前記フレームの周囲の周りに配設されたリングを有し、前記リングギアが、前記リングの内側表面上に提供されている、実施態様1に記載の外科用ツール。
(3) 前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する主ねじであって、前記キャリッジが、キャリッジナットにおいて、前記主ねじに移動可能に装着可能である、主ねじと、
前記主ねじの端部を受容するように、前記駆動ハウジングの前記第1の端部において、プレートに回転可能に装着されたステージ結合部と、
前記プレートの周りで回転可能なエンクロージャと、
前記エンクロージャの内側表面上に提供された遠位リングギアと、を更に備え、
前記遠位リングギアが、前記ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、前記プレートの周りでの前記遠位リングギアの回転が、それに対応して前記主ねじを作動させて、前記キャリッジナットを並進させる、実施態様2に記載の外科用ツール。
(4) 前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する主ねじを更に備え、前記キャリッジが、キャリッジナットにおいて、前記主ねじに移動可能に装着されており、前記機構が、前記主ねじの端部を受容するように、前記フレームに回転可能に装着されたステージ結合部を更に備え、前記リングギアが、前記ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、前記フレームの周りでの前記リングギアの回転が、それに対応して前記主ねじを作動させて、前記キャリッジナットを並進させる、実施態様2に記載の外科用ツール。
(5) 前記機構が、前記駆動ハウジングの前記第1の端部に回転可能に配置されたエンクロージャ内に提供されており、前記エンクロージャが、前記フレームの周囲の周りに配設されており、前記リングギアが、前記エンクロージャの内側表面上に提供されている、実施態様1に記載の外科用ツール。
【0246】
(6) 前記スプラインに結合されており、かつ前記スプラインの回転とともに回転可能な駆動ギアと、
起動機構であって、前記キャリッジ内に収容されており、かつ前記駆動ギアに動作可能に結合されており、それによって、前記駆動ギアの回転が、それに対応して前記起動機構を作動させる、起動機構と、
前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、を更に備える、実施態様1に記載の外科用ツール。
(7) 前記エンドエフェクタが、一対のジョーを含み、前記リングギアの回転が、それに対応して前記ジョーを開放又は閉鎖する、実施態様6に記載の外科用ツール。
(8) 主ねじの端部を受容するように、前記駆動ハウジングの前記第1の端部において、プレートに回転可能に装着されたステージ結合部であって、前記主ねじが、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、前記キャリッジが、キャリッジナットにおいて、前記主ねじに移動可能に装着可能である、ステージ結合部と、
前記プレートの周りで回転可能なエンクロージャと、
前記エンクロージャの内側表面上に提供された遠位リングギアであって、前記ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、前記プレートの周りでの前記遠位リングギアの回転が、それに対応して前記主ねじを作動させる、遠位リングギアと、を更に備える、実施態様7に記載の外科用ツール。
(9) 前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する主ねじと、前記キャリッジに接続されており、かつ前記主ねじ上に提供されたキャリッジナットと、前記主ねじの端部を受容するように、前記フレームに回転可能に装着されたステージ結合部と、を更に備え、前記リングギアが、前記ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、前記フレームの周りでの前記リングギアの回転が、それに対応して前記主ねじを作動させる、実施態様1に記載の外科用ツール。
(10) 前記キャリッジに動作可能に結合されており、かつ前記キャリッジの関連付けられた起動機構から前記スプラインを係合解除するように移動可能なレバーと、
前記レバー上に画定されており、かつ前記レバーが前記スプラインを係合解除するときに、前記起動機構と係合可能な少なくとも1つのギア歯と、を更に備える、実施態様1に記載の外科用ツール。
【0247】
(11) スプライン駆動ギアが、前記スプラインとともに回転するように、前記スプラインに結合されており、前記レバーが、前記スプライン駆動ギアまで延在し、かつ前記スプライン駆動ギアを前記スプラインに沿って軸方向に並進させるように、前記レバーとともに移動可能なスクープ部分を含む、実施態様10に記載の外科用ツール。
(12) 外科用ツールであって、
第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する、スプラインと、
前記駆動ハウジング内に提供されており、かつ前記第1の端部と前記第2の端部との間で移動可能なキャリッジと、
前記第2の端部に取り外し可能に結合されたエンドキャップと、を備え、前記エンドキャップが、
フレームと、
前記フレーム内に回転可能に配置されており、かつ前記キャップが前記第2の端部に結合されるときに、前記スプラインの端部を受容するように構成されたスプライン結合部と、
リングギアであって、前記フレーム上に摺動可能に提供されており、かつ前記スプライン結合部に動作可能に結合されており、それによって、前記フレームの周りでの前記リングギアの回転が、それに対応して前記スプラインを作動させる、リングギアと、を含む、外科用ツール。
(13) 前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する主ねじと、前記キャリッジに接続されており、かつ前記主ねじ上に提供されたキャリッジナットと、前記駆動ハウジングの前記第1の端部において、プレート内に回転可能に配設されたステージ結合部と、前記プレートの周りに摺動可能に提供されたエンクロージャと、前記エンクロージャ内に配置された遠位リングギアと、を更に備え、前記ステージ結合部が、前記主ねじの端部を受容するように構成されており、前記遠位リングギアが、前記ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、前記プレートの周りでの前記遠位リングギアの回転が、それに対応して前記主ねじを作動させて、前記キャリッジナットを並進させる、実施態様12に記載の外科用ツール。
(14) 前記スプラインに結合されており、かつ前記スプラインの回転とともに回転可能な駆動ギアと、
起動機構であって、前記キャリッジ内に収容されており、かつ前記駆動ギアに動作可能に結合されており、それによって、前記駆動ギアの回転が、それに対応して前記起動機構を作動させる、起動機構と、
前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、を更に備える、実施態様12に記載の外科用ツール。
(15) 前記エンドエフェクタが、前記起動機構の起動時に開放又は閉鎖するように、前記細長いシャフトの遠位端部に動作可能に配置された一対のジョーを含み、それによって、前記リングギアの回転が、それに対応して前記ジョーを開放又は閉鎖する、実施態様14に記載の外科用ツール。
【0248】
(16) 前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する主ねじと、前記キャリッジに接続されており、かつ前記主ねじ上に提供されたキャリッジナットと、前記駆動ハウジングの前記第1の端部において、プレート内に回転可能に配設されたステージ結合部と、前記プレートの周りに摺動可能に提供されたエンクロージャと、前記エンクロージャ内に配置された遠位リングギアと、を更に備え、前記ステージ結合部が、前記主ねじの端部を受容するように構成されており、前記遠位リングギアが、前記ステージ結合部に動作可能に結合されており、それによって、前記プレートの周りでの前記遠位リングギアの回転が、それに対応して前記主ねじを作動させて、前記キャリッジナットを並進させる、実施態様15に記載の外科用ツール。
(17) 前記キャリッジに動作可能に結合されたレバーを更に備え、前記レバーが、前記スプラインを前記キャリッジの関連付けられた起動機構から係合解除するように移動可能であり、前記レバーが、前記レバーが前記スプラインを前記関連付けられた起動機構から係合解除するときに、前記起動機構と係合するように移動される少なくとも1つのギア歯を含む、実施態様12に記載の外科用ツール。
(18) スプライン駆動ギアが、前記スプラインと一体となって回転するように、前記スプライン上に提供されており、前記レバーが、前記スプライン駆動ギアに近接して延在し、かつ前記スプライン駆動ギアを前記スプラインに沿って軸方向に並進させるように、前記レバーとともに移動可能なスクープ部分を含む、実施態様17に記載の外科用ツール。
(19) 外科用ツールであって、
第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在可能なスプラインと、
前記駆動ハウジング内に移動可能に提供されており、かつ前記第1の端部と前記第2の端部との間で移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジの関連付けられた起動機構から前記スプラインを手動で結合解除するためのレバーであって、前記レバーが、前記レバーが第1の軸の周りで回転するときに、前記起動機構と係合するように移動可能である少なくとも1つのギア歯を有し、前記レバーが、前記起動機構をギア歯のセットと係合させるように、第2の軸の周りで回転可能である、レバーと、を備える、外科用ツール。
(20) スプライン駆動ギアが、前記スプラインと一体となって回転するように、前記スプライン上に提供されており、前記レバーが、前記スプライン駆動ギアに近接して延在し、かつ前記スプライン駆動ギアを前記スプラインに沿って軸方向に並進させるように、前記レバーとともに移動可能なスクープ部分を含む、実施態様19に記載の外科用ツール。
【0249】
(21) 外科用ツールであって、
第1の端部を有する、駆動ハウジングと、
スプラインであって、前記第1の端部から延在し、かつ前記スプラインに装着されたスプラインピニオンギアを有する、スプラインと、
前記スプラインを前記第1の端部に回転可能に結合し、かつ入力ピニオンギアを提供する、駆動入力部と、
前記スプラインピニオンギアと前記入力ピニオンギアとの間に介在し、かつ内部ギアを画定している、クラッチと、
アーマチュアであって、前記クラッチに動作可能に結合されており、かつ前記クラッチを、前記内部ギアが前記スプラインピニオンギア及び前記入力ピニオンギアと同時に嵌合し、それによって、前記駆動入力部の回転が、それに対応して前記スプラインを回転させる、第1の位置から、前記内部ギアが前記入力ピニオンギアから係合解除され、それによって、前記スプラインが前記駆動入力部とは独立して回転可能である、第2の位置にシフトさせるように動作可能である、アーマチュアと、を備える、外科用ツール。
(22) 前記クラッチを前記第1の位置に押しやる付勢要素を更に備える、実施態様21に記載の外科用ツール。
(23) 前記スプラインピニオンギア及び前記入力ピニオンギアが、ギア歯の同一の配置を有する、実施態様21に記載の外科用ツール。
(24) 前記スプラインに移動可能に装着されたキャリッジと、
前記スプラインに結合されており、かつ前記スプラインの回転とともに回転可能な駆動ギアと、
起動機構であって、前記キャリッジ内に収容されており、かつ前記駆動ギアに動作可能に結合されており、それによって、前記駆動ギアの回転が、それに対応して前記起動機構を作動させる、起動機構と、を更に備え、
前記クラッチを前記第2の位置にシフトさせることが、前記起動機構を前記駆動入力部から結合解除させる、実施態様21に記載の外科用ツール。
(25) 前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記シャフトの遠位端部に配置されており、かつ一対のジョーを含む、エンドエフェクタであって、前記ジョーが、前記起動機構の起動時に開放又は閉鎖する、エンドエフェクタと、を更に備える、実施態様24に記載の外科用ツール。
【0250】
(26) 前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記シャフトの遠位端部に配置されており、かつ前記起動機構の起動時に前進又は後退する切断要素を含む、エンドエフェクタと、を更に備える、実施態様24に記載の外科用ツール。
(27) 前記スプラインピニオンギアに近接して前記スプライン上に提供された手動ドライバギアを更に備え、前記手動ドライバギアが、前記クラッチが前記第1の位置にあるときに、前記スプラインピニオンギアに対して前記スプラインの周りで回転可能である、実施態様21に記載の外科用ツール。
(28) 前記クラッチが前記第2の位置にあるときに、前記内部ギアが、前記スプラインピニオンギア及び前記手動ドライバギアの両方と同時に噛合し、それによって、前記手動ドライバギアの回転が、それに対応して、前記駆動入力部とは独立して前記スプラインを回転させる、実施態様27に記載の外科用ツール。
(29) 器具ドライバを更に備え、前記器具ドライバは、ロボットアームの遠位端部に配置されており、かつ前記外科用ツールが前記器具ドライバに結合されたときに、前記駆動入力部と嵌合可能な駆動出力部を提供し、前記クラッチを前記第2の位置にシフトさせることが、前記スプラインを前記駆動出力部から係合解除し、前記スプラインを前記手動ドライバギアと係合させ、前記手動ドライバギアが次いで、前記スプラインを作動させるように回転可能である、実施態様28に記載の外科用ツール。
(30) 前記第2の位置にシフトされたときに、前記クラッチを前記第2の位置に保持し、それによって、前記クラッチが前記第1の位置にシフトして戻り、前記スプラインが前記駆動入力部と再係合することを阻止するキャッチが提供されている、実施態様21に記載の外科用ツール。
【0251】
(31) 外科用ツールであって、
第1の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部から延在可能な複数のスプラインであって、各スプラインが、それぞれの駆動入力部において、前記第1の端部に回転可能に結合されており、各スプラインが、その上に固定されたそれぞれのスプラインピニオンギアを有し、各それぞれの駆動入力部が、その上に固定された入力ピニオンギアを有する、複数のスプラインと、
前記スプラインの各々に関連付けられたクラッチであって、前記クラッチの各々が、前記スプラインとそれに関連付けられた入力ピニオンギアとの間に介在し、かつ内部ギアを画定している、クラッチと、
脱出アーマチュアであって、前記クラッチに動作可能に結合されており、かつ前記クラッチの各々を、各クラッチの前記内部ギアが前記それぞれのスプラインピニオンギア及びそれに関連付けられた前記入力ピニオンギアと同時に嵌合し、それによって、前記それぞれの駆動入力部の回転が、それに対応して、それに関連付けられた前記スプラインを回転させる、第1の位置から、各クラッチの前記内部ギアが前記それぞれの入力ピニオンギアから係合解除され、それによって、前記それぞれの駆動入力部がそれに関連付けられた前記スプラインとは独立して回転可能である、第2の位置にシフトさせるように動作可能である、脱出アーマチュアと、を備え、
前記脱出アーマチュアが、各クラッチを前記第1の位置から前記第2の位置に同時にシフトさせるように、第1の回転セグメントの適用を介して作動可能である、外科用ツール。
(32) 前記外科用ツールが、前記第1の回転セグメントの適用中に、ロボット器具ドライバに結合されたままである、実施態様31に記載の外科用ツール。
(33) 前記外科用ツールが、第2の回転セグメントの適用時に、前記ロボット器具ドライバから結合解除される、実施態様32に記載の外科用ツール。
(34) 前記第2の位置にシフトされたときに、前記クラッチのうちの少なくとも1つを前記第2の位置に保持し、それによって、前記少なくとも1つのクラッチが前記第1の位置にシフトして戻り、それに関連付けられた前記スプラインが前記それぞれの駆動入力部と再係合することを阻止するキャッチが提供されている、実施態様31に記載の外科用ツール。
(35) キャリッジナットにおいて、主ねじに移動可能に装着可能なキャリッジと、
前記スプラインの各々に結合されたそれぞれの駆動ギアであって、それに関連付けられた前記スプラインの回転とともに回転可能なそれぞれの駆動ギアと、
前記スプラインの各々に関連付けられた起動機構であって、前記起動機構の各々が、前記キャリッジ内に収容されており、前記それぞれの駆動ギアに動作可能に結合されており、それによって、前記それぞれの駆動ギアの回転が、それに対応して、それに関連付けられた前記起動機構を作動させる、起動機構と、
前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、前記細長いシャフトの前記遠位端部に動作可能に配置されて、前記起動機構のうちの第1の起動機構の起動時に開放又は閉鎖する一対のジョーを有し、前記エンドエフェクタが、前記起動機構のうちの第2の起動機構の起動時に発射するように動作可能に配置された切断要素を更に備える、エンドエフェクタと、を更に備え、
前記クラッチを前記第2の位置にシフトさせることが、前記第1の起動機構及び前記第2の起動機構を前記それぞれの駆動入力部から結合解除し、それによって、前記それぞれの駆動入力部を前記ジョーの開放又は閉鎖、並びに前記切断要素の発射から係合解除する、実施態様31に記載の外科用ツール。
【0252】
(36) 外科用ツールの駆動入力部を結合解除する方法であって、
第1の端部と、第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在可能な主ねじ及び少なくとも1つのスプラインと、前記スプラインに装着されたスプラインピニオンギアと、前記スプラインを前記第1の端部に回転可能に結合する前記駆動入力部に提供された入力ピニオンギアと、前記スプラインピニオンギアと前記入力ピニオンギアとの間に介在し、かつ内部ギアを画定しているクラッチと、を有する、駆動ハウジングを提供することと、
前記クラッチを、前記内部ギアが前記スプラインピニオンギア及び前記入力ピニオンギアと同時に嵌合し、それによって、前記駆動入力部の回転が、それに対応して前記スプラインを回転させる、第1の位置から、前記内部ギアが前記入力ピニオンギアから係合解除され、それによって、前記スプラインが前記駆動入力部とは独立して回転可能である、第2の位置にシフトさせることと、を含む、方法。
(37) 前記クラッチを前記第1の位置に押しやる付勢要素を更に備える、実施態様36に記載の方法。
(38) アーマチュアを作動させ、それによって前記クラッチを前記第2の位置に移動させることを更に含み、前記アーマチュアが、前記クラッチに動作可能に結合されており、前記クラッチを前記第1の位置から前記第2の位置にシフトさせるように動作可能である、実施態様36に記載の方法。
(39) 前記アーマチュアを作動させることが、第1の回転セグメントを適用し、それによって前記アーマチュアを作動させ、かつ前記クラッチを前記第1の位置から移動させることを更に含み、前記外科用ツールが、前記第1の回転セグメントの適用中にロボット器具ドライバに結合されたままである、実施態様38に記載の方法。
(40) 第2の回転セグメントを適用し、それによって前記外科用ツールを前記ロボット器具ドライバから結合解除することを更に含む、実施態様39に記載の方法。
【0253】
(41) 外科用ツールであって、
第1の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部から延在する、スプラインと、
前記スプラインに移動可能に装着可能であり、1つ又は2つ以上の近位層及び1つ又は2つ以上の遠位層を含む、キャリッジと、
ラッチであって、前記ラッチが前記1つ又は2つ以上の近位層を前記1つ又は2つ以上の遠位層に固定するロック位置と、前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層から自由に分離するロック解除位置との間で枢動可能なラッチと、を備える、外科用ツール。
(42) 前記ラッチが、前記1つ又は2つ以上の近位層に枢動可能に装着されており、前記ロック位置及び前記ロック解除位置に枢動して出入りする、実施態様41に記載の外科用ツール。
(43) 前記第1の端部から延在するシュラウドと、
前記シュラウド内に画定されている窓を通って半径方向に突出し、前記1つ又は2つ以上の近位層から延在するフィンと、を更に備える、実施態様42に記載の外科用ツール。
(44) 前記ラッチが、前記1つ又は2つ以上の近位層の前記フィンにピン留めされている、実施態様43に記載の外科用ツール。
(45) 前記1つ又は2つ以上の遠位層に提供されたロック特徴部を更に備え、前記ラッチが、前記ロック位置において、前記ロック特徴部に取り付け可能である、実施態様44に記載の外科用ツール。
【0254】
(46) 前記遠位層から遠位に延在し、前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、
前記スプラインに結合されており、前記スプラインの回転とともに回転可能な駆動ギアと、
前記1つ又は2つ以上の近位層内に収容されており、かつ前記駆動ギアに動作可能に結合されており、前記駆動ギアの回転時に発射ロッドを前進させる起動機構であって、前記発射ロッドが、前記1つ又は2つ以上の近位層に結合されており、前記細長いシャフトを通って延在する、起動機構と、を更に備える、実施態様41に記載の外科用ツール。
(47) 前記エンドエフェクタが、前記発射ロッドの遠位端部に動作可能に結合された切断要素を含み、前記起動機構を起動することが、前記切断要素を前進又は後退させる、実施態様46に記載の外科用ツール。
(48) 前記スプラインが第1のスプラインを含み、前記駆動ギアが第1の駆動ギアを含み、前記起動機構が第1の起動機構を含み、前記外科用ツールが、
前記第1の端部から延在する第2のスプラインと、
前記第2のスプラインに結合されており、前記第2のスプラインの回転とともに回転可能な第2の駆動ギアと、
第2の起動機構であって、前記1つ又は2つ以上の遠位層内に収容されており、かつ前記第2の駆動ギアに動作可能に結合されており、前記第2の起動機構の起動時に前記エンドエフェクタに提供された一対のジョーを開放又は閉鎖する、第2の起動機構と、を更に備える、実施態様47に記載の外科用ツール。
(49) 前記1つ又は2つ以上の近位層が、前記ラッチが前記ロック解除位置に移動されたときに、前記1つ又は2つ以上の近位層を前記1つ又は2つ以上の遠位層から分離するように動作可能なジャッキを含む、実施態様41に記載の外科用ツール。
(50) 前記ジャッキが、伸長可能な脚部に動作可能に接続された回転可能なねじを含み、前記ねじの回転が、前記1つ又は2つ以上の遠位層に当接して前記伸長可能な脚部を伸長させる、実施態様49に記載の外科用ツール。
【0255】
(51) 前記第1の端部から延在するシュラウドを更に備え、前記回転可能なねじが、前記シュラウドに画定されている窓を通してアクセス可能である、実施態様50に記載の外科用ツール。
(52) 外科用ツールであって、
第1の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部から延在する、スプラインと、
前記スプラインに移動可能に装着可能であり、1つ又は2つ以上の近位層及び1つ又は2つ以上の遠位層を含む、キャリッジと、
ラッチであって、前記ラッチが前記1つ又は2つ以上の近位層を前記1つ又は2つ以上の遠位層に固定するロック位置と、前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層から自由に分離可能であるロック解除位置との間で枢動可能なラッチと、
前記1つ又は2つ以上の近位層に取り付けられており、前記ラッチが前記ロック解除位置にあるときに、前記1つ又は2つ以上の遠位層に対して前記1つ又は2つ以上の近位層を移動させるように動作可能なジャッキと、を備える、外科用ツール。
(53) 前記ジャッキが、脚部を含み、前記1つ又は2つ以上の遠位層に当接して前記脚部を伸長させるように動作可能である、実施態様52に記載の外科用ツール。
(54) 前記駆動ハウジングが、前記第1の端部から延在するシュラウドを更に備え、前記ジャッキが、前記シュラウドに画定されている窓を通してアクセス可能である、実施態様53に記載の外科用ツール。
(55) 前記1つ又は2つ以上の近位層から前記窓を通って半径方向に延在するフィンを更に備える、実施態様54に記載の外科用ツール。
【0256】
(56) 前記1つ又は2つ以上の遠位層から遠位に延在し、前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、
前記スプラインに結合されており、前記スプラインの回転とともに回転可能な駆動ギアと、
前記1つ又は2つ以上の近位層内に収容されており、かつ前記駆動ギアの回転時に発射ロッドを前進させるように前記駆動ギアに動作可能に結合された第1の起動機構であって、前記発射ロッドが、前記1つ又は2つ以上の近位層に結合されており、前記1つ又は2つ以上の近位層から前記細長いシャフトを通って延在する、第1の起動機構と、を更に備える、実施態様52に記載の外科用ツール。
(57) 前記エンドエフェクタが、前記第1の起動機構の起動時に発射又は後退するように前記発射ロッドの遠位端部に動作可能に配置された切断要素を含む、実施態様56に記載の外科用ツール。
(58) 前記エンドエフェクタが、前記1つ又は2つ以上の遠位層内に提供された第2の起動機構の起動時に開放又は閉鎖するように、前記細長いシャフトの前記遠位端部に動作可能に配置された一対のジョーを含む、実施態様57に記載の外科用ツール。
(59) 外科用ツールを分解する方法であって、
第1の端部と、前記第1の端部から延在する、スプラインと、前記スプラインに移動可能に装着可能であり、かつ1つ又は2つ以上の近位層及び1つ又は2つ以上の遠位層を含む、キャリッジと、ラッチであって、前記ラッチが前記1つ又は2つ以上の近位層を前記1つ又は2つ以上の遠位層に固定するロック位置と、前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層から自由に分離するロック解除位置との間で枢動可能なラッチと、を有する駆動ハウジングを提供することと、
前記ラッチをロック解除することと、
前記1つ又は2つ以上の近位層を前記1つ又は2つ以上の遠位層から分離することと、を含む、方法。
(60) 前記1つ又は2つ以上の近位層を前記1つ又は2つ以上の遠位層から分離することが、前記1つ又は2つ以上の近位層に取り付けられており、かつ前記ラッチが前記ロック解除位置にあるときに、ジャッキ脚部を前記1つ又は2つ以上の遠位層に当接して伸長させ、それによって前記1つ又は2つ以上の近位層を前記1つ又は2つ以上の遠位層に対して移動させるように動作可能であるジャッキを起動することを更に含む、実施態様59に記載の方法。
【0257】
(61) 外科用ツールであって、
第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、駆動入力部において、前記第1の端部に回転可能に結合されたスプラインと、
前記スプラインに結合されており、前記スプラインとともに回転可能な駆動ギアと、
前記スプラインに移動可能に装着されており、かつ前記駆動ギアに動作可能に結合された起動機構を収容しており、それによって、前記スプラインの回転が、前記起動機構を作動させる、キャリッジと、
前記第2の端部に配置されており、かつレバーを含む脱出機構であって、前記レバーが、前記スプラインに対して、前記スプラインが前記レバーから係合解除される第1の位置から、前記スプラインが前記レバーに係合し、それによって、前記レバーの回転が、それに対応して前記スプラインを回転させる第2の位置まで移動可能である、脱出機構と、を備える、外科用ツール。
(62) ロボットアームの端部に配置されており、前記駆動ハウジングの前記第1の端部と嵌合可能な器具ドライバと、
駆動出力部であって、前記器具ドライバによって提供され、かつ前記駆動入力部と嵌合可能であり、それによって、前記駆動出力部の回転が、それに対応して前記駆動入力部を回転させ、それによって前記起動機構を作動させる、駆動出力部と、を更に備え、
前記スプラインが、前記レバーが前記第1の位置にあるときに、前記駆動出力部と係合され、前記レバーが前記第2の位置に移動することによって前記駆動出力部から係合解除される、実施態様61に記載の外科用ツール。
(63) ロボットアームの端部に配置されており、前記駆動ハウジングの前記第1の端部と嵌合可能な器具ドライバと、
駆動出力部であって、前記器具ドライバによって提供され、かつ前記駆動入力部と嵌合可能であり、それによって、前記駆動出力部の回転が、それに対応して前記駆動入力部を回転させ、それによって前記起動機構を作動させる、駆動出力部と、を更に備え、
前記スプラインが、前記レバーが前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動するときに、前記駆動出力部と係合したままである、実施態様61に記載の外科用ツール。
(64) 前記スプラインの近位端部に提供されており、前記スプラインとともに回転可能な手動駆動ギアを更に備え、前記手動駆動ギアが、前記レバーが前記第1の位置にあるときに、前記レバーに対して回転可能であり、前記手動駆動ギアが、前記レバーが前記第2の位置に移動されるときに、前記レバーに回転で係合する、実施態様61に記載の外科用ツール。
(65) 前記レバーが、前記レバーが前記第2の位置に移動されるときに、前記手動駆動ギアの対応する少なくとも1つのギア歯に係合する少なくとも1つのギア歯を含む、実施態様64に記載の外科用ツール。
【0258】
(66) 前記脱出機構が、前記レバーが前記第1の位置にあるときに、前記手動駆動ギアの下に取り外し可能に位置決めされるスペーサバーを更に含み、前記レバーが、前記スペーサバーの取り外し時に前記第2の位置に移動可能であり、それによって前記レバーを前記手動駆動ギアと回転係合して位置決めする、実施態様64に記載の外科用ツール。
(67) 前記脱出機構が、取り外し可能なカバーを更に含み、前記スペーサバーが前記取り外し可能なカバーに取り付けられており、前記取り外し可能なカバーが、前記スペーサバーが前記手動駆動ギアの下に延在する状態で前記レバーを囲むように、前記駆動ハウジングの前記第2の端部において装着可能である、実施態様66に記載の外科用ツール。
(68) 前記レバーが、第1のボアセクション及び第2のボアセクションを含み、前記手動駆動ギアが、前記レバーの前記第1のボアセクション内に配向されたときに、前記レバーに対して自由に回転可能であり、前記手動駆動ギアが、前記レバーの前記第2のボアセクション内に配向されたときに、前記レバーとともに回転可能である、実施態様64に記載の外科用ツール。
(69) 前記脱出機構が、前記レバーに付勢力を加え、それによって前記レバーを前記第2の位置に向かって押しやる付勢要素を更に含む、実施態様68に記載の外科用ツール。
(70) 前記脱出機構が、取り外し可能なカバーを更に含み、前記取り外し可能なカバーは、前記駆動ハウジングの前記第2の端部に装着可能であり、かつ前記取り外し可能なカバーに取り付けられた保持ピンを有し、それによって、前記取り外し可能なカバーが前記駆動ハウジングに装着されると、前記保持ピンが前記レバーに接触し、前記手動駆動ギアが前記レバーの前記第1のボアセクション内に配向された状態で前記レバーを前記第1の位置に維持する、実施態様69に記載の外科用ツール。
【0259】
(71) 前記保持ピンが前記レバーから離れるように移動すると、前記付勢要素が、前記レバーを前記第2の位置に向かう方向に押し、それによって、前記手動駆動ギアを、前記手動駆動ギアが前記レバーとともに回転可能である前記第2のボアセクション内に配向する、実施態様70に記載の外科用ツール。
(72) 前記レバーが、前記第2のボアセクション内に配向されたときに、前記手動駆動ギアに接触するように前記第2のボアセクションに近接して位置決めされたレッジを更に備え、それによって、前記手動駆動ギアが前記レバーの前記第2のボアセクション内に配向された状態で、前記付勢要素が前記レバーを前記第2の位置に向かう前記方向に並進させると、前記レッジが前記手動駆動ギアに接触して前記手動駆動ギアを担持し、それによって前記手動駆動ギアに接続された前記スプラインを前記第2の位置に向かう前記方向に引っ張る、実施態様71に記載の外科用ツール。
(73) 前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、
前記駆動ギアの回転時に並進するように前記起動機構に動作可能に結合された発射ロッドであって、前記発射ロッドが、前記細長いシャフトを通って延在する、発射ロッドと、
前記エンドエフェクタに提供されており、かつ前記発射ロッドの遠位端部に動作可能に結合された切断要素であって、前記起動機構を作動させることが、前記切断要素を前進又は後退させ、前記起動機構が、前記発射ロッドのねじ部分の周りに配置された雌ねじギアを含み、前記雌ねじギアが、前記スプライン上の前記駆動ギアと噛合し、それによって、前記スプラインの回転によって、前記発射ロッドが軸方向に並進し、前記駆動ギアが、前記雌ねじギアよりも軸方向に長く、それによって、前記スプラインが前記第1の位置及び前記第2の位置にあるときに、前記駆動ギアが前記雌ねじギアと噛合したままである、切断要素と、を更に備える、実施態様72に記載の外科用ツール。
(74) 前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、
前記駆動ギアの回転時に並進するように前記起動機構に動作可能に結合された発射ロッドであって、前記細長いシャフトを通って延在する、発射ロッドと、
前記エンドエフェクタに提供されており、かつ前記発射ロッドの遠位端部に動作可能に結合された切断要素であって、前記起動機構を作動させることが、前記切断要素を前進又は後退させる、切断要素と、を更に備える、実施態様73に記載の外科用ツール。
(75) 前記スプラインが第1のスプラインを含み、前記駆動ギアが第1の駆動ギアを含み、前記起動機構が第1の起動機構を含み、前記外科用ツールが、
前記第1の端部から延在する第2のスプラインと、
前記第2のスプラインに結合されており、前記第2のスプラインの回転とともに回転可能な第2の駆動ギアと、
第2の起動機構であって、前記キャリッジ内に収容されており、かつ前記第2の駆動ギアに動作可能に結合されており、前記第2の起動機構の起動時に前記ジョーを開放又は閉鎖する、第2の起動機構と、を更に備え、
前記第1の起動機構が、前記発射ロッドのねじ部分の周りに配置された雌ねじギアを含み、前記雌ねじギアが、前記第1のスプライン上の前記第1の駆動ギアと噛合し、それによって、前記第1のスプラインの回転によって、前記発射ロッドが軸方向に並進する、実施態様74に記載の外科用ツール。
【0260】
(76) 外科用ツールであって、
第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、駆動入力部において、前記第1の端部に回転可能に結合されたスプラインと、
前記スプライン上に装着されており、前記スプラインとともに回転可能な駆動ギアと、
前記スプラインの近位端部上に装着されており、前記スプラインとともに回転可能な手動駆動ギアと、
前記スプラインに移動可能に装着可能であり、かつ前記駆動ギアに動作可能に結合された起動機構を収容しており、それによって、前記スプラインの回転が前記起動機構を作動させる、キャリッジと、
前記スプラインの前記近位端部に結合されたレバーと、
取り外し可能なカバーであって、前記レバーを囲むように前記駆動ハウジングの前記第2の端部に提供されており、かつ前記手動駆動ギアが前記レバーから係合解除されて前記レバーに対して自由に回転可能である第1の位置に前記レバーを支持するように前記レバーの下に位置決めされたスペーサバーを有し、前記レバーの下からの前記スペーサバーの取り外し時に、前記レバーが、前記レバーが前記手動駆動ギアに係合し、それによって、前記レバーの回転がそれに対応して前記スプラインを回転させる第2の位置に移動可能である、取り外し可能なカバーと、を備える、外科用ツール。
(77) 前記レバーが、遠位部分及び近位部分を有するボアを含み、前記レバーが、前記手動駆動ギアが前記レバーから結合解除され、前記レバーとは独立して自由に回転可能である、前記ボアの前記遠位部分と、前記手動駆動ギアが前記レバーに結合され、それによって、前記レバーの回転がそれに対応して前記スプラインを回転させる、前記ボアの前記近位部分との間で前記手動駆動ギアを配向するように移動可能である、実施態様76に記載の外科用ツール。
(78) 前記ボア及び前記手動駆動ギアがそれぞれ、対応するキー付き表面を含み、前記対応するキー付き表面は、前記レバーが前記手動駆動ギアに対して第1の端部に向かう方向に移動されたときに、前記手動駆動ギアを前記レバーに結合するように互いに係合可能であり、それによって前記ボアの前記近位部分内で前記手動駆動ギアを配向する、実施態様77に記載の外科用ツール。
(79) 外科用ツールであって、
第1の端部及び第2の端部を有する、駆動ハウジングと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、駆動入力部において、前記第1の端部に回転可能に結合されたスプラインと、
前記スプラインに結合されており、前記スプラインとともに回転可能な駆動ギアと、
前記スプラインの近位端部に提供されており、前記スプラインとともに回転可能な手動駆動ギアと、
前記スプラインに移動可能に装着可能であり、かつ前記駆動ギアに動作可能に結合された起動機構を収容しており、それによって、前記スプラインの回転が前記起動機構を作動させる、キャリッジと、
前記スプラインが貫通した状態で前記第2の端部に提供されたエンドキャップと、
前記スプラインの前記近位端部に提供されており、かつ中に前記手動駆動ギアが提供されたボアを有するレバーであって、前記ボアが、前記手動駆動ギアが中に配向されると前記レバーに対して自由に回転可能である第1のボアセクションと、前記手動駆動ギアが中に配向されると前記レバーとともに回転可能である第2のボアセクションと、を含み、前記レバーが、前記手動駆動ギアが第1のボアセクション内に配向され、したがって前記レバーから係合解除されて前記レバーに対して回転可能である第1の位置と、前記手動駆動ギアが第2のボアセクション内に配向され、したがってレバーに係合されてレバーとともに回転可能である第2の位置との間で、前記手動駆動ギアに対して移動可能である、レバーと、
前記レバーを前記第2の位置に向かって押しやるように配置された付勢要素と、
取り外し可能なカバーであって、前記レバーを囲むように前記エンドキャップに装着可能であり、かつ前記取り外し可能なカバーの内部に位置決めされた保持ピンを有し、それによって、前記取り外し可能なカバーが前記エンドキャップに装着されたときに、前記手動駆動ギアが前記レバーの前記第1のボアセクション内に配向された状態で、前記保持ピンが前記レバーに接触し、それによって前記レバーを前記第1の位置に維持し、前記取り外し可能なカバーが取り外されて、前記保持ピンを前記レバーから離れるように移動させると、前記付勢要素が前記レバーを前記第2の位置に向かう方向に押し、それによって前記手動駆動ギアを、前記手動駆動ギアが前記レバーとともに回転可能である前記第2のボアセクション内に配向する、取り外し可能なカバーと、を備える、外科用ツール。
(80) 前記レバーが、前記第2のボアセクション内に配向されたときに、前記手動駆動ギアに接触するように前記第2のボアセクションに近接して位置決めされたレッジを更に備え、それによって、前記手動駆動ギアが前記レバーの前記第2のボアセクション内に配向された状態で、前記付勢要素が前記レバーを前記第2の位置に向かう前記方向に並進させると、前記レッジが前記手動駆動ギアに接触して前記手動駆動ギアを担持し、それによって前記手動駆動ギアに接続された前記スプラインを前記第2の位置に向かう前記方向に引っ張る、実施態様79に記載の外科用ツール。
【0261】
(81) 外科用ツールであって、
第1の端部及び第2の端部と、前記第1の端部に配置された駆動入力部と、を有する、駆動ハウジングと、
前記駆動ハウジング内に装着されており、かつ前記駆動入力部の作動を介して前記第1の端部と前記第2の端部との間で移動可能なキャリッジと、
ロボットアームの端部に配置されており、前記駆動ハウジングの前記第1の端部と嵌合可能な器具ドライバと、
駆動出力部であって、前記器具ドライバによって提供され、かつ前記駆動入力部と嵌合可能であり、それによって、前記駆動出力部の回転が、それに対応して前記駆動入力部を回転させ、それによって前記キャリッジを前記駆動ハウジング内で並進させる、駆動出力部と、
前記キャリッジに接続されており、前記キャリッジを手動で並進させるために前記駆動ハウジングの外部からユーザアクセス可能なフィンと、を備える、外科用ツール。
(82) 前記駆動ハウジングが、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在するシュラウドを含み、前記フィンが、前記シュラウド内に画定されている窓を通って半径方向外向きに突出する、実施態様81に記載の外科用ツール。
(83) 前記フィンから前記シュラウドの外側表面の周りに少なくとも部分的に延在するリングを更に備える、実施態様82に記載の外科用ツール。
(84) 前記キャリッジが、1つ又は2つ以上の遠位層と、前記1つ又は2つ以上の遠位層に取り付け可能な1つ又は2つ以上の近位層とを含み、前記外科用ツールが、
前記1つ又は2つ以上の近位層を前記キャリッジの前記1つ又は2つ以上の遠位層からロック解除するように動作可能であり、それによって、前記1つ又は2つ以上の近位層を前記駆動ハウジングから引き出すことができる、脱出機構を更に備える、実施態様81に記載の外科用ツール。
(85) 前記脱出機構が、前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層に固定されるロック位置と、前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層から固定されず、前記1つ又は2つ以上の遠位層に対して移動可能であるロック解除位置との間で移動可能な解放可能なピンを含む、実施態様84に記載の外科用ツール。
【0262】
(86) 前記ロック位置にあるときに、前記解放可能なピンが、前記1つ又は2つ以上の遠位層の最近位層内に提供されたロック特徴部に取り付けられており、前記駆動入力部が、前記1つ又は2つ以上の遠位層に動作可能に結合されている、実施態様85に記載の外科用ツール。
(87) 前記フィンが、前記駆動ハウジングから半径方向外側に位置決めされており、かつ前記1つ又は2つ以上の遠位層の少なくとも一部を覆うように前記フィンから遠位に延在する張り出し部分を提供する、実施態様84に記載の外科用ツール。
(88) 前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、を更に備える、実施態様81に記載の外科用ツール。
(89) 前記キャリッジが、1つ又は2つ以上の遠位層と、前記1つ又は2つ以上の遠位層に取り外し可能に固定された1つ又は2つ以上の近位層とを含み、前記外科用ツールが、
前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層から取り外されるときに、前記エンドエフェクタの最後の既知の位置を記憶するようにプログラムされた位置認識システムを更に備える、実施態様88に記載の外科用ツール。
(90) 外科用ツールを位置決めする方法であって、
前記外科用ツールの駆動ハウジングに動作可能に結合されたユーザインターフェースのフィンを把持することであって、前記外科用ツールが、
前記駆動ハウジングの第1の端部における駆動入力部と、
前記駆動ハウジング内に装着されており、かつ前記駆動入力部の作動を介して前記第1の端部と前記第2の端部との間で移動可能なキャリッジであって、前記フィンが、前記キャリッジに動作可能に結合されている、キャリッジと、を含む、把持することと、
前記フィンを前記駆動ハウジングの外部に沿って手動で移動させ、それによって前記キャリッジを前記駆動ハウジング内で移動させることと、
前記キャリッジが前記駆動ハウジング内で手動で移動されるにつれて、前記駆動入力部を回転させることと、を含む、方法。
【0263】
(91) 前記外科用ツールが、ロボットアームの端部に配置されており、かつ前記駆動ハウジングの前記第1の端部と嵌合可能な器具ドライバと、前記器具ドライバによって提供され、かつ前記駆動入力部と嵌合可能な駆動出力部と、を更に備え、それによって、前記駆動出力部の回転が、それに対応して前記駆動入力部を回転させ、それによって前記キャリッジを並進させ、前記駆動入力部を回転させることが、前記器具ドライバによって提供される前記駆動出力部をバックドライブさせることを含む、実施態様90に記載の方法。
(92) 前記外科用ツールが、前記キャリッジから遠位に延在し、かつ前記第1の端部を貫通している、細長いシャフトと、前記細長いシャフトの遠位端部に配置されたエンドエフェクタと、前記キャリッジを形成する、1つ又は2つ以上の遠位層、及び前記1つ又は2つ以上の遠位層に取り外し可能に固定された1つ又は2つ以上の近位層と、を更に含み、前記方法が、
位置認識システムを用いて前記エンドエフェクタの位置を監視することと、
前記1つ又は2つ以上の遠位層から前記1つ又は2つ以上の近位層を取り外すことと、
前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層から取り外されるときに、前記エンドエフェクタの最後の既知の位置を記憶することと、を更に含む、実施態様90に記載の方法。
(93) 前記1つ又は2つ以上の近位層を前記1つ又は2つ以上の遠位層上に再設置することと、
前記位置認識システムを用いて、前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層上に以前に設置されたかどうかを判定することと、を更に含む、実施態様92に記載の方法。
(94) 前記位置認識システムを用いて、前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の遠位層上に以前に設置されたことを確実に判定することと、
前記位置認識システムを用いて、前記器具ドライバの前記駆動出力部の手動のバックドライブを可能にし、それによって前記エンドエフェクタを手動で並進させることと、を更に含む、実施態様93に記載の方法。
(95) 前記エンドエフェクタが前記最後の既知の位置にあるときに、前記位置認識システムに触覚フィードバック指示を提供することを更に含む、実施態様94に記載の方法。
【0264】
(96) 前記外科用ツールが第1の外科用ツールであり、前記1つ又は2つ以上の近位層が前記1つ又は2つ以上の近位層の第1のセットを含み、前記方法が、
第2の外科用ツールに対応する前記1つ又は2つ以上の遠位層上に前記1つ又は2つ以上の近位層の第2のセットを設置することと、
前記位置認識システムを用いて、前記1つ又は2つ以上の近位層の前記第2のセットが前記第2の外科用ツールに対応しており、前記1つ又は2つ以上の遠位層上に以前に設置されていなかったことを判定することと、
前記位置認識システムを用いて、前記最後の既知の位置を越える前記エンドエフェクタの手動の並進を防止することと、を更に含む、実施態様92に記載の方法。
(97) 前記エンドエフェクタが第1のエンドエフェクタを含み、前記方法が、
前記位置認識システムを用いて、前記第2の外科用ツールが、前記第1のエンドエフェクタを含むか、又は前記第1のエンドエフェクタとは異なる第2のエンドエフェクタを含むかを判定することと、
前記第1のエンドエフェクタ及び前記第2のエンドエフェクタが類似しているときに、前記位置認識システムを用いて前記駆動出力部のバックドライブを可能にすることと、を更に含む、実施態様95に記載の方法。
(98) 前記位置認識システムを用いて、前記最後の既知の位置を越える前記第2のエンドエフェクタの手動の並進を防止することを更に含む、実施態様97に記載の方法。
(99) 前記第2のエンドエフェクタが前記最後の既知の位置にあるときに、前記位置認識システムに触覚フィードバック指示を提供することを更に含む、実施態様97に記載の方法。
(100) 前記外科用ツールが、前記駆動ハウジングの前記第1の端部から延在し、かつ前記駆動入力部において、前記第1の端部に回転可能に結合された主ねじと、前記キャリッジ内に提供されたキャリッジナットであって、それによって、前記キャリッジが、前記キャリッジナットにおいて、前記主ねじに装着されている、キャリッジナットと、を更に備え、それによって、前記駆動入力部の回転が、それに対応して前記主ねじを回転させ、それによって前記キャリッジナットを前記主ねじに沿って並進させ、前記駆動入力部を回転させることが、前記キャリッジが前記駆動ハウジング内で手動で移動されるにつれて前記主ねじを回転させ、前記駆動入力部をバックドライブすることを含む、実施態様90に記載の方法。
【国際調査報告】