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特表2023-543063あるエリアにおける対象物及び事象の動的デジタル表現を生成するための光ファイバセンシング法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】あるエリアにおける対象物及び事象の動的デジタル表現を生成するための光ファイバセンシング法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01V 1/00 20060101AFI20231004BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G01V1/00 Z
G01H17/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519521
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 AU2021051129
(87)【国際公開番号】W WO2022061422
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】2020903494
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521040466
【氏名又は名称】ファイバー センス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エングルンド、マーク アンドリュー
【テーマコード(参考)】
2G064
2G105
【Fターム(参考)】
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB16
2G064BA02
2G064BD02
2G064CC02
2G064CC41
2G064DD02
2G105AA01
2G105BB01
2G105EE02
2G105HH04
2G105KK06
(57)【要約】
ある地理的エリアにおける対象物及び事象の動的デジタル表現を生成するための光ファイバセンシング法及びシステムが開示される。概して、開示の方法及びシステムは、(a)各ゾーンが、静的及び/又は準静的ゾーンの特徴に基づいてゾーン種別に分類されるとともに、少なくとも2つの対象物検知状態を有するように、前記エリア内の前記関連ゾーン識別及び分類することを含む、ゾーン特徴データセットを生成すること、(b)分散型光ファイバセンシング網を使用して前記地理的エリア内の前記複数の対象物の少なくとも幾つかの信号を追跡すること、及び前記追跡した信号を処理して対象物固有の追跡データを得ることを含む、対象物追跡データセットを生成すること、(c)前記追跡データを使用して、前記ゾーンの状態がいつ変化したのかを判定し、前記ゾーンの前記変化した状態をデジタル化して記憶することを含む、事象データセットを生成すること、及び(d)前記ゾーンの前記状態の動的表現をレンダリングすること、を含む。開示された方法及びシステムは、地理的エリアの動的リアルタイムデジタルモデルにおける地理的エリアにおける静的及び/又は準静的特徴の対象物の種類、追跡、事象、及び状況を推定、表現、監視するのに役立ち得る。
【選択図】図2E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある地理的エリア内の複数の対象物及び関連ゾーンの動的表現を生成する方法であって、
各ゾーンが、静的及び/又は準静的ゾーンの識別特徴に基づいてゾーン種別に分類されるとともに、少なくとも2つの対象物検知状態を有するように、前記エリア内の前記関連ゾーンを識別及び分類することを含む、
ゾーン特徴データセットを生成することと、
分散型光ファイバセンシング網を使用して前記地理的エリア内の前記複数の対象物の少なくとも幾つかの信号を追跡すること、及び
前記追跡した信号を処理して対象物固有の追跡データを得ることを含む、
対象物追跡データセットを生成することと、
前記追跡データを使用して、前記ゾーンの状態がいつ変化したのかを判定し、
前記ゾーンの前記変化した状態をデジタル化して記憶することを含む、
事象データセットを生成することと、
前記ゾーンの前記状態の動的表現をレンダリングすることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ゾーン特徴データセット及び前記事象データセットの少なくとも一部が、レイヤとして生成され、地図プラットフォーム又はGISオーバーレイ上にレンダリング又は融合される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象物追跡データセットの少なくとも一部が、レイヤとして生成され、地図プラットフォーム又はGISオーバーレイ上にレンダリング又は融合される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象物が車両を含み、また前記ゾーンの前記対象物検知状態が占有状態及び空き状態を含む、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記ゾーンの前記対象物検知状態が、氷、雪、又は雨/水/崩落(spills)の存在又はその他を含む、ゾーン表面変化状態を含む、請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ゾーン特徴データセットを生成することが、駐車エリア標識及び路面標示、乗降エリア標識及び路面標示、路面駐車スポット標識及び路面標示、荷積みゾーン標識及び路面標示、公共交通機関停車場標識及び路面標示、交通信号機ゾーン又はエリア、ガソリンスタンド、又は車両が駐車又は停車するその他何らかの識別された目的別ゾーンのうち少なくとも1つを含む静的識別特徴を使用すること含む、請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記追跡データが、前記ゾーンに入る又は出ることで 対象物がいつ前記ゾーンの状態又は状況を変化させたかを判定するのに使用される、請求項1から6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
静的及び/又は準静的ゾーン識別特徴にて前記ゾーンの近接部において、いつ前記追跡が終了又は開始するかを判定することによって、いつ前記対象物があるゾーンの前記状態又は状況を変化させたかを 判定するのに対象物追跡に関連付けられた前記追跡データが使用される、請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記追跡データが、前記決定を行うためにセマンティクスエンジンに通される、請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記ゾーンの前記状態の前記動的デジタル表現を、GISオーバーレイ又は地図プラットフォーム上にレンダリングすることをさらに含む、請求項1から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記分散型光ファイバセンシング網を使用して前記対象物追跡データセットを生成する前記ステップが、
前記地理的エリアにわたって巡らされた光ファイバ通信網の少なくとも一部を形成する1以上の光ファイバに対して、問い合わせ光信号を、複数の瞬間に繰り返し送信することと、
前記複数の瞬間に続く監視期間内に、前記監視期間内における前記複数の対象物によって引き起こされる音響外乱の影響を受けて、光ファイバの1つ以上に沿った距離にわたって分散された様式で散乱した戻り光信号を受信することと、
前記光信号から音響データを復調することと、
前記音響データを処理し、ある期間に前記エリアにわたって前記対象物によって作り出された形跡(tracks)を識別することと、
を含む、請求項1から10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記分散型光ファイバセンシング網を使用して前記対象物追跡データセットを生成する前記ステップが、ビームフォーミング技術を使用することをさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記ビームフォーミング技術が、遠距離場ビームフォーミング技術及び近接場ビームフォーミング技術の少なくとも1つを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記1以上の光ファイバが、追加の検知カバー範囲を提供するために、専用又は特別の目的のために建設されたトレンチ又は小トレンチで追加される請求項11から13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記エリア内の前記関連ゾーンを識別及び分類することが、ニューラルネットワークにおいて前記対象物固有追跡データを訓練することを含む、請求項1から14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記対象物固有の追跡データが、前記ニューラルネットワークにおいて非音響データ源によって訓練される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の方法を実施するように構成される分散型ファイバセンシングのためのシステム。
【請求項18】
ある地理的エリア内の複数の対象物及び関連ゾーンの動的表現を生成するシステムであって、
各ゾーンが、静的及び/又は準静的ゾーンの識別特徴に基づいてゾーン種別に分類されるとともに、少なくとも2つの対象物検知状態を有するように、前記エリア内の前記関連ゾーンを識別及び分類することを含む、
ゾーン特徴データセットを生成する手段と、
分散型光ファイバセンシング網を使用して前記地理的エリア内の前記複数の対象物の少なくとも幾つかの信号を追跡すること、及び
前記追跡した信号を処理して対象物固有の追跡データを得ることを含む、
対象物追跡データセットを生成する手段と、
前記追跡データを使用して、前記ゾーンの状態がいつ変化したのかを判定し、
前記ゾーンの前記変化した状態をデジタル化して記憶することを含む、
事象データセットを生成する手段と、
前記ゾーンの前記状態の動的表現をレンダリングする手段と、
を含む、システム。
【請求項19】
前記分散型光ファイバセンシング網を使用して前記対象物追跡データセットを生成する前記手段が、
前記地理的エリアにわたって巡らされた光ファイバ通信網の少なくとも一部を形成する1以上の光ファイバに対して、問い合わせ光信号を、複数の瞬間に繰り返し送信し、
前記複数の瞬間に続く監視期間内に、前記監視期間内における前記複数の対象物によって引き起こされる音響外乱の影響を受けて、光ファイバの1つ以上に沿った距離にわたって分散された様式で散乱した戻り光信号を受信し、
前記光信号から音響データを復調し
前記音響データを処理し、ある期間に前記エリアにわたって前記対象物によって作り出された形跡(tracks)を識別するための、分散型検知ユニットを含む、請求項18記載のシステム。
【請求項20】
前記1以上の光ファイバが、追加の検知カバー範囲を提供するために、専用又は特別の目的のために建設されたトレンチ又は小トレンチで追加される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
事象データセットを生成するための前記手段が、セマンティクスエンジンを含む、請求項18から20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記セマンティクスエンジンが、前記分散型光ファイバセンシング網内に完全に位置しているわけではない前記ゾーンの状態を解析するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記セマンティクスエンジンが、前記ゾーンの前記状態の間で曖昧性を除去するように構成される、請求項21又は請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記曖昧性の除去が、前記ゾーンの前記少なくとも1つに対する、前記複数の対象物のうちの少なくとも1つの位置に基づいている、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記セマンティクスエンジンが、開始点及び終了点のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの痕跡を含む前記追跡データを解析し、前記開始点及び終了点のうちの前記少なくとも1つに関連する前記ゾーンのうちの少なくとも1つを識別するように構成される、請求項21から24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記セマンティクスエンジンが、GISオーバーレイ、又は地図プラットフォーム、あるいは他の非音響データ源から提供される情報を使用するように構成されている、請求項21から25のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記ゾーンの前記状態の前記動的表現をレンダリングするための前記手段が、レンダリングエンジンを含む、請求項18から26のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、あるエリアにおける対象物及び事象の動的デジタル表現を生成するための光ファイバセンシング法及びシステムに関し、より詳細には、光ファイバケーブルにわたる分散型ファイバーセンシング(DFS)の広範囲展開に基づくものである。特に、本発明は、車両のような対象物を識別及び追跡したり、駐車のような事象を識別したりし、あるエリアにおける複数の対象物及び事象を動的に表示する、リアルタイムのデジタル表現を生成する、光ファイバセンシング法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバセンシング、より具体的には分散型ファイバセンシング(より具体的には分散型音響センシング)は、光ファイバケーブルに沿った周辺領域における対象物及び事象からの音響放射及び振動を検出することができる。車両又は歩行者のような対象物からの音響放射又は振動は、対象物が道路又は舗装の表面に接触することによって引き起こされることがある。移動する対象物から放出される音響放射又は振動を使用して、対象物の種類を分類し、対象物の位置の動的追跡を形成できる。
【0003】
あるエリアにおけるデジタル表現を生成する既知の広域監視システムは、人工的視覚手段を使用するものを含むが、それは、対象物及び事象を検出し表現するためのマシンビジョンのような技術を適用する、視覚情報を収集するものである。例えば、閉回路テレビジョン(CCTV)カメラは、街路を監視するために使用されている。それぞれのCCTVカメラは、本CCTVカメラの光学系によって決定される視野深度での、任意の一時における街路景観の1つの局所的な視野を提供することができる。複数のCCTVカメラを有するシステムの場合、盲点、又は都市内の視覚的に明瞭とはいえない箇所が、CCTVカメラ同士の中間、又はCCTVカメラの視野の外に潜在的に位置することとなる。しかしながら、CCTVを用いたマシンビジョン処理に適した映像データを、市街部にわたって一貫した画質と解像度で得ることは困難である。別の実施形態として、ミリ波レーダシステムを使用して、あるエリア内の動的対象物を比較的高い移動精度で撮像することができる。しかしながら、遠景のエリアを示すための高角度分解能も容易には達成されない。さらに別の例として、衛星画像は、衛星の妨害されていない見通し線内にある対象物の都市全体の鳥瞰図を提供することができる。したがって、(例えば、厚い雲の下にあり)視覚的に妨害されている目標物又は事象は、衛星画像からの監視視認性を欠くことになり、これもまた静的なものである。都市エリアを見下ろす光検知測距(LiDAR)システムは、それが視線のみであり、容易に盲点ができてしまい、衛星と同様の限界を有する。
【0004】
あるエリアのデジタル表現を生成するための他の公知の広域エリア監視システムは、無線周波手段を使用するものを含む。例えば、ユーザが携帯する携帯端末装置からの移動体信号を使用して、例えば、携帯端末装置からのGPSで得られた位置、又は移動通信用鉄塔からの信号強度又は信号情報を決定することにより、その位置についての対象物の移動情報を提供してもよい。しかしながら、移動体信号から得られる監視情報は、監視されている対象物の真の個数、及び移動通信用鉄塔に対するそれらのおおよその位置の信頼できる表現ではない場合がある。例えば、ある人物はスイッチを切った携帯端末装置を所持しているかもしれず、及び/又は監視されている1つの車両に1つ又は複数の携帯端末装置を有する複数の人が存在しているかもしれない。携帯端末装置は、それらが関連付けられている対象物に関する分類データを確実に伝達することができない場合がある。さらに、携帯端末装置が元となるGPS信号は、それぞれの装置によって強度が異なり、また、いくらかは、建物に侵入するか又は建物から反射されて、信号強度が位置の信頼できない指標となり得る。さらに、携帯端末装置は一つの国内のネットワークに依存しており、ユビキタスではない場合がある。
【0005】
多くの種類の車両ベースの追跡及びナビゲーションシステムが存在し、インテリジェント交通システム(ITS)の管理及び制御のために普及してきた。これらは、車両に搭載されたGPS受信機、車両検出(VD)、及びセルラー浮遊車両データ(CFVD)からの、GPSで得られた位置を利用することができる。これらのシステムの主な欠点は、検出されるすべての車両に特定の機器又はアプリケーションが搭載されることが必要になることにあり、このことは、そのようなシステムにおいて、所与のエリアにおいて車両のかなりのものが検出されない可能性が高いことを意味する。
【0006】
本明細書における従来技術へのいかなる言及も、この先行技術が、管轄区域における一般的な一般知識の一部を形成していること、又はこの先行技術が当業者によって理解され、関連性があるとみなされ、及び/又は他の先行技術と組み合わせられることが合理的に期待できることを認めるものではなく、またそのようにみなされるべきものでもない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
明確化のため、及び誤解を避けるために、本明細書で使用され、文脈がそうでないことを要求する場合を除き、用語「含む(comprise)」、及びこの用語の変形、例えば「含む(comprising)」、「含む(comprises)」及び「含まれる(comprised)」は、さらなる追加、構成部品、整数又はステップを排除することを意図してはいない。
【0008】
本開示の第1態様によれば、ある地理的エリア内の複数の対象物及び関連ゾーンの動的表現を生成する方法が提供される。当該方法は、各ゾーンが、静的及び/又は準静的ゾーンの識別特徴に基づいてゾーン種別に分類されるとともに、少なくとも2つの対象物検知状態を有するように、前記エリア内の前記関連ゾーンを識別及び分類することを含む、ゾーン特徴データセットを生成することと、分散型光ファイバセンシング網を使用して前記地理的エリア内の前記複数の対象物の少なくとも幾つかの信号を追跡すること、及び前記追跡した信号を処理して対象物固有の追跡データを得ることを含む、対象物追跡データセットを生成することと、前記追跡データを使用して、前記ゾーンの状態がいつ変化したのかを判定し、前記ゾーンの前記変化した状態をデジタル化して記憶することを含む、事象データセットを生成することと、前記ゾーンの前記状態の動的表現をレンダリングすることと、を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記ゾーン特徴データセット及び前記事象データセットの少なくとも一部が、レイヤとして生成され、地図プラットフォーム又はGISオーバーレイ上にレンダリング又は融合される。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記対象物追跡データセットの少なくとも一部が、レイヤとして生成され、地図プラットフォーム又はGISオーバーレイ上にレンダリング又は融合される。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記対象物が車両を含み、また前記ゾーンの前記対象物検知状態が占有状態及び空き状態を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記ゾーンの前記対象物検知状態が、氷、雪、又は雨/水/崩落(spills)の存在又はその他を含む、ゾーン表面変化状態を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記ゾーン特徴データセットを生成することが、駐車エリア標識及び路面標示、乗降エリア標識及び路面標示、路面駐車スポット標識及び路面標示、荷積みゾーン標識及び路面標示、公共交通機関停車場標識及び路面標示、交通信号機ゾーン又はエリア、ガソリンスタンド、又は車両が駐車又は停車するその他何らかの識別された目的別ゾーンのうち少なくとも1つを含む静的特徴を使用すること含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記追跡データが、前記ゾーンに入る又は出ることで対象物がいつ前記ゾーンの状態又は状況を変化させたかを判定するのに使用される。
【0015】
いくつかの実施形態では、静的及び/又は準静的ゾーン識別特徴により、前記ゾーンの近接部においていつ前記追跡が終了又は開始するかを判定することによって、いつ前記対象物があるゾーンの前記状態又は状況を変化させたかを判定するために、対象物追跡に関連付けられた前記追跡データが使用される。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記追跡データが、前記決定を行うためにセマンティクスエンジンに通される。
【0017】
いくつかの実施形態では、ある地理的エリア内の複数の対象物及び関連ゾーンの動的表現を生成する方法が、前記ゾーンの前記状態の前記動的デジタル表現を、GISオーバーレイ又は地図プラットフォーム上にレンダリングすることをさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記分散型光ファイバ通信網を使用して前記対象物追跡データセットを生成するステップが、前記地理的エリアにわたって巡らされた光ファイバ通信網の少なくとも一部を形成する1以上の光ファイバに対して、問い合わせ光信号を、複数の瞬間に繰り返し送信すること、前記複数の瞬間に続く監視期間内に、当該監視期間内における前記複数の対象物によって引き起こされる音響外乱の影響を受けて、光ファイバの1つ以上に沿った距離にわたって分散された様式で散乱した戻り光信号を受信すること、前記光信号から音響データを復調すること、及び前記音響データを処理し、前記エリアにわたってある期間に前記対象物によって作り出された形跡(tracks)を識別することを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記分散型光ファイバセンシング網を使用して前記対象物追跡データセットを生成する前記ステップが、ビームフォーミング技術を使用することをさらに含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記ビームフォーミング技術が、遠距離場ビームフォーミング技術及び近接場ビームフォーミング技術の少なくとも1つを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記1以上の光ファイバが、追加の検知カバー範囲を提供するために、専用又は特別の目的のために建設されたトレンチ又は小トレンチで追加される。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記エリア内の前記関連ゾーンを識別及び分類することが、ニューラルネットワークにおいて前記対象物固有追跡データを訓練することを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記対象物固有の追跡データが、前記ニューラルネットワークにおいて非音響データ源によって訓練される。
【0024】
本開示の第2態様によれば、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法を実施するように構成される分散型ファイバセンシングのためのシステムが提供される。当該システムは、光源、1以上の光ファイバ、光受信器、及び処理ユニットを含んでもよい。
【0025】
本開示の第3態様によれば、ある地理的エリア内の複数の対象物及び関連ゾーンの動的表現を生成するシステムであって、各ゾーンが、静的及び/又は準静的ゾーンの識別特徴に基づいてゾーン種別に分類されるとともに、少なくとも2つの対象物検知状態を有するように、前記エリア内の前記関連ゾーンを識別及び分類することを含む、ゾーン特徴データセットを生成する手段と、分散型光ファイバセンシング網を使用して前記地理的エリア内の前記複数の対象物の少なくとも幾つかの信号を追跡すること、及び前記追跡した信号を処理して対象物固有の追跡データを得ることを含む、対象物追跡データセットを生成する手段と、前記追跡データを使用して、前記ゾーンの状態がいつ変化したのかを判定し、前記ゾーンの前記変化した状態をデジタル化して記憶することを含む、事象データセットを生成する手段と、前記ゾーンの前記状態の動的表現をレンダリングする手段と、を含む、システムが提供される。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記分散型光ファイバ通信網を使用して前記対象物追跡データセットを生成する手段が、前記地理的エリアにわたって巡らされた光ファイバ通信網の少なくとも一部を形成する1以上の光ファイバに対して、問い合わせ光信号を、複数の瞬間に繰り返し送信し、前記複数の瞬間に続く監視期間内に、当該監視期間内における前記複数の対象物によって引き起こされる音響外乱の影響を受けて、光ファイバの1つ以上に沿った距離にわたって分散された様式で散乱した戻り光信号を受信し、前記光信号から音響データを復調し、及び前記音響データを処理し、前記エリアにわたってある期間に前記対象物によって作り出された形跡(tracks)を識別するための分散型センシングユニットを含んでいる。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記1以上の光ファイバが、追加の検知カバー範囲を提供するために、専用又は特別の目的のために建設されたトレンチ又は小トレンチで追加される。
【0028】
いくつかの実施形態では、事象データセットを生成するための前記手段が、セマンティクスエンジンを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記セマンティクスエンジンが、前記分散型光ファイバセンシング網内に完全に位置しているわけではない前記ゾーンの状態を解析するように構成されている。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記セマンティクスエンジンが、前記ゾーンの前記状態の間で曖昧性を除去するように構成されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記曖昧性の除去が、前記ゾーンの前記少なくとも1つに対する、前記複数の対象物のうちの少なくとも1つの位置に基づいている。
【0032】
いくつかの実施形態では、前記セマンティクスエンジンが、開始点及び終了点のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの痕跡を含む前記追跡データを解析し、前記開始点及び終了点のうちの前記少なくとも1つに関連する前記ゾーンのうちの少なくとも1つを識別するように構成されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、前記セマンティクスエンジンが、GISオーバーレイ、又は地図プラットフォーム、あるいは他の非音響データ源から提供される情報を使用するように構成されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記ゾーンの前記状態の前記動的表現をレンダリングするための前記手段が、レンダリングエンジンを含んでいる。
【0035】
本発明のさらなる態様、及び前段落に記載された態様のさらなる実施形態は、例示として与えられるものであり、添付の図面を参照する以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A図1Aは、音響対象物を追跡するためのシステムの構成を例示している。
図1B図1Bは、図1Aのシステムの一部を形成する光源又は光伝送器の実施形態のより詳細な概略図を例示している。
図2A図2A、は、追跡対象物のための、及び追跡される対象物に関連するゾーンのデジタル表現を動的に形成するための音響データを提供及び処理する方法の例を例示している。
図2B図2Bは、追跡対象物のための、及び追跡される対象物に関連するゾーンのデジタル表現を動的に形成するための音響データを提供及び処理する方法の例を例示している。
図2C図2Cは、追跡対象物のための、及び追跡される対象物に関連するゾーンのデジタル表現を動的に形成するための音響データを提供及び処理する方法の例を例示している。
図2D図2Dは、追跡対象物のための、及び追跡される対象物に関連するゾーンのデジタル表現を動的に形成するための音響データを提供及び処理する方法の例を例示している。
図2E図2Eは、対象物及び事象の動的デジタル表現において生成及び/又は利用される様々なレイヤの概略図を示す。
図3A図3Aは、システムによって生成された信号の密度図を例示する。
図3B図3Bは、システムによって生成された信号の密度図を例示する。
図4A図4Aは、ゾーン及び対応する対象物関連状態の例を示す。
図4B図4Bは、ゾーン及び対応する対象物関連状態の例を示す。
図5A図5Aは、路面駐車スポットに関連して、第一期間及び第二期間それぞれにわたって例示的な車両痕跡を有する路面駐車スポットとして識別されるゾーンの一例を例示している。
図5B図5Bは、路面駐車スポットに関連して、第一期間及び第二期間それぞれにわたって例示的な車両痕跡を有する路面駐車スポットとして識別されるゾーンの一例を例示している。
図6A図6Aは、バス停に関連して、第一期間及び第二期間それぞれにわたって例示的な車両痕跡を有するバス停として識別されるゾーンの一例を例示している。
図6B図6Bは、バス停に関連して、第一期間及び第二期間それぞれにわたって例示的な車両痕跡を有するバス停として識別されるゾーンの一例を例示している。
図7A図7Aは、青空駐車場/ガソリンスタンドに関連して、第一期間及び第二期間それぞれにわたって例示的な車両痕跡を有する青空駐車場/ガソリンスタンドとして識別されるゾーンの一例を例示している。
図7B図7Bは、青空駐車場/ガソリンスタンドに関連して、第一期間及び第二期間それぞれにわたって例示的な車両痕跡を有する青空駐車場/ガソリンスタンドとして識別されるゾーンの一例を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
開示されたシステム及び方法は、都市などの地理的エリア内で、当該地理的エリアに張り巡らされた一連の光ファイバを利用する光ファイバセンシングを活用するものである。あるゾーンにおける対象物及び事象の動的デジタル表現、又は地図が、そのようなセンシングに基づいて提供される。
【0038】
本発明者は、例えば広いエリアにおける所望の対象物及び事象を実質的に全体的にカバーするといった、背景技術で述べた視覚的又は無線監視技術の実現性に関連する欠点を認識した。本発明は、背景技術で言及された技術又はシステムに対する代替的な方法及びシステム、ならびに/又はそれらの技術又はシステムと併せて使用することができる補足的な方法及びシステムを提供する。
【0039】
市街部には、地理空間的に記述されるいくつかのゾーンにわたって当該エリアの有限状態機械モデルを使用して記述可能な属性を有する駐車場、バス停、及び道路標識などのいくつかの静的特徴があり、各ゾーンは、当該エリアの少なくとも1つの静的特徴を表現している。
【0040】
対象物からの追跡、特に、追跡の開始及び停止は、当該エリアの静的特徴の文脈において解釈され、自動車駐車スポットがちょうど占有又は占有されなくなった状態のような、これらの静的特徴の状態のリアルタイムな変化を判定することができる。したがって、あるエリア内の音響放射を監視することにより、対象物の種類、追跡、事象、及びエリアの静的特徴の状況を推定し、当該エリアの動的リアルタイムデジタルモデルで表現することができる。一実施形態では、あるエリアの動的リアルタイムデジタルモデルは、移動する対象物、事象、及び静的特徴の状況が、街路及び場所を有する従来の地図背景上の記号としてリアルタイムで表示される動的デジタル地図であってもよい。
【0041】
音響的事象及び/又は対象物を監視することにより、音響的事象の領域におけるゾーンの状態を決定し、よって当該ゾーンの動的リアルタイム表現を作成する。 たとえば、開示されるシステム及び方法は、1つ又は複数の駐車スペースの動的デジタル表現を形成して、駐車スペースが空いていること(デジタル表現「0」)、又は駐車スペースが占有されている(デジタル表現「1」)ことを、リアルタイムで示すことができる。当該ゾーンの動的リアルタイム表現は、地理情報システム(GIS)オーバーレイ又は地図上に描画されて、当該ゾーン内の駐車場及びエリアの状態の動的リアルタイム表現を提供することができる。描画処理では、デジタル表現を、例えば「1」の車両及び「0」の空車の適切な表示画像又は記号と相関させることができる。さらなる詳細は、以下の説明において述べる。
【0042】
このような検知技術は、光ファイバに沿って対応する屈折率の局所的な摂動を引き起こす、近くの音響的事象の出現に依存する。音響的事象の必要とされる近接は、検知機器のノイズフロア、背景ノイズ、及び音響的事象と光ファイバとの間の媒体物の音響特性に依存する。屈折率の乱れのため、光ファイバに沿って伝送され、次いでファイバ長に沿って分散された方法(例えば、レイリー後方散乱又は同様の散乱現象を介して)で後方散乱された光干渉信号は、反射光の経時的な(例えば、強度及び/又は位相における)揺らぎとして現れ得る。揺らぎの大きさは、音響外乱の激しさ又は近接度に関連する。分散後方散乱タイムスケールに沿った揺らぎの時期は、音響的事象の位置に関係する。
【0043】
本開示における光ファイバセンシングについての言及は、一般にファイバに歪みを誘発させ、結果として屈折率を変化させることによって、光ファイバセンサの光学特性に検出可能な変化をもたらす任意の伝搬波又は信号を含むものと解釈されるべきである。システム内で検出されるこれらの伝搬信号は、音響信号に加えて、例えば、地震波、振動、及び、例えば、光ファイバに局所的な歪み変化を誘発する、重量誘起された圧迫波などの、ゆっくり変化する、及び非常に低周波(直流タイプ)の信号を含んでもよい。好適実施形態の1つにおける基本的な検知メカニズムは、応力光学効果の結果であるが、熱光学効果及び磁気光学効果など、本開示が利用し得るファイバでは他の検知メカニズムが存在する。
【0044】
図1Aは、分散型ファイバセンシング(DFS)で使用するためのシステム100の構成を例示している。DFSシステム100は、コヒーレント光タイムドメイン反射率計(C-OTDR)102を含む。C-OTDR102は、1以上の光ファイバ(例えば、105A、105B、105C)のそれぞれに光パルスの形をとって送られる光学問い合わせ場106を発行するための光源104を含む。光ファイバ105A、105B、及び105Cは、地理的エリア107にわたって敷設される。
【0045】
C-OTDR102は、光源104からの光を1以上の光ファイバの各々(例えば、105A、105B及び105C)に導くように構成された光サーキュレータ(図示せず)を含んでもよい。光サーキュレータはまた、後方反射光を、C-OTDR102に含まれる光受信器108に導く。光結合器及びアレイ導波路回析グリッドを含むがこれらに限定されない、他の装置が、光信号受信器と光ファイバとを接続するために使用され得ることが理解されるであろう。
【0046】
図1Bは、光源又は光伝送器104の、より詳細な構成を例示している。光源104は、レーザ201、例えば分布帰還レーザ(DFB)を含むが、これは、第1のアイソレータ203Aを通してレーザ光線を導く。一構成では、レーザ201からの光の一部が処理のための基準信号として光/光学受信器108に提供される。例えば、レーザ201からの光は90/10光結合器207に入ることができ、光の10%が直接経路を介して光受信器108に提供され、光の残りの一部(90%)が第2のアイソレータ203Bを介して音響光学変調器209に提供される。音響光学変調器209は、光の出力、周波数、位相、及び/又は空間方向を制御するように構成される。音響光学変調器及び電気光学変調器、例えばニオブ酸リチウム電気光学変調器を含むが、これらに限定されない様々な種類の変調器を使用することができる。
【0047】
変調された発信信号は、次いで、光増幅器213に提供され得、その結果、変調信号の全体的増幅が行われ、問い合わせ信号の到達範囲が延びる。本光増幅器の1つの段階のみが例示されているが、多段階光増幅器が他の実施形態に組み込まれてもよい。一実施例では、光増幅器213が、伝送経路を用いたラマン増幅のために励起レーザ213Aを変調信号に結合するための光結合器213Bを含んでもよい。励起波長と信号波長との間での光子と光子の相互作用がファイバ内で起こり、その結果、信号光子が放出され、信号が増幅される。別の実施例では、光増幅器213が、励起源213A、結合器213B、及びエルビウム213Cなどの希土類ドーパントが添加された光ファイバと、を備えるエルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA)であってもよい。光増幅器213の出力は光学フィルタ215に提供され、発出される変調信号をフィルタリングしてもよい。光減衰器217を使用して、発出光のパワーを調整してもよい。
【0048】
光受信器108は、分散された様式で散乱した反射光110を検出し、経時的に分解された反射光強度に比例する振幅を有する対応する電気信号112を生成するように構成される。時間の尺度は、光受信器108に対する距離の尺度に変換することができる。図1における挿入図は、ある特定の瞬間におけるこのような信号の振幅を示す概略図を例示している。
【0049】
DFSシステム100はまた、電気信号112内の揺らぎ116を処理するように構成された、C-OTDR102内又はそれとは別個の、処理ユニット114を含む。これらの揺らぎは、任意の一地点における、また一連の異なる空間地点における多数の異なる周波数を含む信号であり、処理ユニットが、光ケーブルグリッドの周りの音響及び他の外乱の性質及び動きをデジタル表現に変換するものである。(通常、数HZを超える何らかの動的な情報を提供することはなく、どのような種類の熱源がケーブルの周囲にあり、どのように移動しているかを判定することは不可能な)温度のようなスカラー測定量とは対照的に、音響信号は、(特定の目標物の種類に固有且つ識別可能な)大量の周波数成分、及び振幅情報及び空間情報などのベクトル情報を含んでいる。
【0050】
デジタル化された信号112、何らかの測定された揺らぎ116、及び/又はそれに関連して処理されたデータは、記憶ユニット115に記憶され得る。記憶ユニット115は、処理ユニット114が命令を実行し、計算し、計算し、又は他の方法で処理データするための、ランダムアクセスメモリなどの揮発性メモリを含むことができる。記憶ユニット115は、処理ユニット114が信号処理の前後に、及び/又は後の検索のためにデータを記憶するための、1以上のハードディスクドライブなどの不揮発性メモリをさらに含んでいてもよい。処理ユニット114及び記憶ユニット115は、多数の物理ユニットにわたって分散されてもよく、クラウドストレージ及びクラウド処理などのリモートストレージ、及び潜在的リモート処理を含んでもよいし、その場合、処理ユニット114及び記憶ユニット115が、より一般的にはクラウドコンピューティングサービスとして定義されてもよい。生の、あるいはフィルタ処理されていない音響データ(すなわち、音響シグネチャベースのフィルタを適用せずに光信号110から直接的に復調された音響データ)及び記憶された光ファイバで検知された信号による他のデータに加えて、又はその代替として、光信号110がA/D変換器によってデジタル化され、生の光学データ(すなわち、復調されて音響データにはなっていない光信号によるデータ)として記憶されてもよい。
【0051】
システム100は、1以上の遠隔移動端末又は固定端末から検索リクエストを受信するための通信インタフェース117(たとえば、無線又は有線)を含んでいてもよい。
【0052】
図2A及び2Bにおいて、開示された方法200は、図2Aに示すように、例えば252A、252B、及び252Cなどの複数の時刻において、問い合わせ光信号又は問い合わせ光場106を、典型的には市街部であり得る地理的エリア(例えば107)にわたって巡らされた1以上の光ファイバ(例えば、サーキュレータを介した105A、105B、及び105Cのうちの1以上)のそれぞれに送信するステップ202を含む。光ファイバは、高度に密集した街路をカバーしている公衆光ファイバ通信網の一部を形成していてもよい(実際にはユビキタスであり、当該ネットワークと最低でも同一の広がりを有している)。光ファイバはまた、専用又は特別の目的のために建設された小トレンチ内のファイバを含み、追加のカバー範囲を提供してもよい。これらは、次に、電気通信網のダークファイバ又は再利用ファイバに接続されてもよい。
【0053】
開示された方法200はまた、複数の時刻252A、252B、及び252Cのそれぞれに続く監視期間(例えば、図2Aの254A、254B、及び254C)中に、光ファイバの1つ以上(例えば、105A、105B、及び105Cの1つ以上)に沿った距離にわたって分散して散乱された戻り光信号(例えば、110)を受信するステップ204を含む。この構成は、光ファイバセンシングケーブルに沿ったあらゆる距離での音響信号(振幅、周波数及び位相)の決定を可能にする。一実施形態では、光検出器/受信器は、光ファイバセンシングケーブルに沿って反射光が生成された場所、つまりチャネルを判定するために、反射光のパルスの到着時刻を記録する。
【0054】
この構成は、フェーズドアレイ処理、及びビームフォーミング技術の実施を可能にする。隣り合うセンサチャネル群のフェーズドアレイ処理によるビーム形成により、ファイバに沿った所与の位置に垂直な検知領域を著しく拡張することができる。したがって、ビームフォーミング技術を使用して、光ケーブル網又はグリッドの検知範囲によってカバーされるエリアが、音響源が検出されない可能性のある間隙又はエリアを有することを最小限にすることを保証できる。
【0055】
1つの特定の種類のビームフォーミングは、例えば、地震など、アレイを横切る平面波面到達を伴う音響源に適用され得る、遠距離場ビームフォーミングと呼ばれる。遠距離場ビームフォーミングは、到達方向に敏感なレーザービーム状のパターンを形成するが、これは到達方向の検出に特に有益であり得る。
【0056】
代替的及び追加的に、近接場ビームフォーミングと呼ばれる別の特定の種類のビームフォーミング技術は、アレイを横切る音響源の平面波面仮定が保持されない場合、例えば光ファイバケーブルに近い車両の場合に実施されてもよい。近接場ビームフォーミングは、光ファイバケーブルからオフセットした2次元の感度エリアを形成するが、それぞれの2次元エリアは、ビームフォーマの異なる近接場位相遅延プロファイルに対応している。ビームフォーマ内の異なる近接場位相遅延プロファイルに対応するそれぞれの2次元エリアは、近接場内の球面波面を有する音響源を検出するためだけでなく、音響源と光ファイバケーブルとの間の材料の音響インピーダンスを決定するためにも使用され得ることが理解されよう。例えば、トレンチ及びケーブルを取り囲む、岩石、砂利、コンクリート、砂、水質、土、粘土、ビチューメン、又はこれらのうちの1つ以上の組合せを含む材料に、著しい変動がある場合、これらの材料が、ファイバと対象の音響放射又は振動源との間に空間的に形成する音響/地震伝達関数を決定することができる。そのような伝達関数は、不均一媒体を考慮することを可能にし、したがって、光ファイバ周辺の任意の所与の摂動に存在する少なくとも空間位置、動力学、及び源振動数の正確な推定を可能にする。この近接場ビームフォーミング技術はまた、一次元光ファイバケーブル付近の高密度対象物及び事象の感知を容易にすることができるが、これは、例えば、光ファイバ感知ケーブルに対してずれている多車線高速道路上の車線を隔離するのに特に役立ち得る。
【0057】
遠距離場及び/又は近接場ビームフォーミング技術の実施により、追加的な専用小トレンチファイバを用いて、又は用いずに、監視を必要とする特定の市街部を、実質的な全検知エリアのカバーを容易にすることができる。フェーズドアレイ処理及びビームフォーミング技術の詳細については、出願人によるPCT出願第PCT/AU27/051235において説明されており、その全ての内容が参照のために援用される。
【0058】
開示された方法200はまた、監視期間内に検出された複数の目標物(例えば、254A、254B、及び254C)により引き起こされる音響障害に関連した光信号110からの音響データを復調するステップ206を含んでもよい。ステップ206Aにおいて、未処理の又はフィルタ処理されていない音響データは、復調ステップ206から並列に供給され、A/D変換器によってデジタル化され、クラウドベースの記憶装置205を含み得る記憶ユニット115に記憶され得る。未処理の音響データは、後の段階で検索されて、デジタル記号インデックスデータベースに記憶された記号とステップ206Bで照合できるよう、時刻及び位置がスタンプされ、記号データを補完できる追加の詳細が抽出できるようにされる。
【0059】
記憶される未処理の音響データに加えて、又はその代わりに、復調なしの光信号110は、アナログ-デジタル(A/D)変換器によってデジタル化され、クラウドベースの記憶設備205を含み得る記憶ユニット115での復調前のステップ204Aにおいて、未処理の光学データとして記憶され得る。一実施形態においては、完全なデジタル復調アーキテクチャを実施することができるが、戻り信号のデジタル化は復調機能の初期に行われ、鍵となる復調機能の大部分は、その後にFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)及びASIC(特定用途向け集積(電子)回路)を含む高速電子回路においてデジタル的(アナログハードウエア構成部品を使用するのとは対照的に)に実行される。光信号110から復調された音響データは、次いで、デジタル的に記憶することができ、固定アナログ復調器を使用するよりも高い柔軟性を提供する。未処理の光学データを記憶することは、実質的により多くの記憶容量を必要とするかもしれないが、デシメーションなどの信号処理ステップの結果として解像度を失うことなく、全ての後方散乱光信号の完全性を維持し、残りの全ての時刻及び位置に基づく情報を維持するという長所を提供し得る。記憶された未処理の光学データは、次いで、後の段階での処理、再処理、及び解析のために検索され得る。
【0060】
ステップ208では、音響シグネチャベースのフィルタ(例えば、図1に例示されるような114A、114B、114C、及び114D)が音響データに適用されて、音響対象物/事象を検出及び識別する。これらのフィルタは、ソフトウェアベースのFIR(有限インパルス応答)又は相関フィルタの形態でもよい。代替的又は追加的に、本明細書でさらに詳しく説明するように、訓練データをニューラルネットワークに供給することに基づいて、人工知能及び機械学習方法を使用して、分類を実施してもよい。図2Bの挿入図は、光信号,未処理の光学データ,音響データ/未処理の又はフィルタ処理されていない音響データとフィルタリングされた音響データとの間の関係性を示している。
【0061】
ステップ210において、サウンド対象物及び/又はサウンド事象を表す記号が生成され、デジタル記号インデックスデータベースに記憶される。それぞれの記号インデックスは、時刻及び位置スタンプが付与された事象/対象物識別子を含む。事象/対象物識別子は、歩行者、自動車、トラック、掘削機、列車、ジャッキハンマー、ボーラー、機械掘削機、手掘り掘削機、銃撃機などを含むことができる。異なる照合フィルタ(例えば、ソフトウェアベースの相関フィルタ114A-114D)及び/又は機械学習技法(例えば、深層ニューラルネットワーク、深層信用ネットワーク、反復ニューラルネットワーク、及び畳み込みニューラルネットワークなどの深層学習アーキテクチャ)のうちの1つを、上記の分類種別ごとの分類技術として使用(例えば、各相関フィルタは、音響時系列及び音響周波数領域における特定の特性に合わせて調整される)することができ、これらのソフトウェアベースのフィルタのうちの1つの出力が閾値に達すると、システムにおける対象物/事象の検出及び分類がトリガされる。このシステムは、対象物/事象の位置、地理的な位置、移動の速さなどの属性を持つ対象物/事象のデジタル表現を有することになる。
【0062】
次に、図2Cを参照して、ある地理的エリアをデジタル的にマッピングする方法に含まれる広範なステップについて説明する。ステップ211において、当該エリア内のゾーンは、GOOGLE(登録商標)マップなどのマッピングアプリケーションのストリートビュー及び/又は俯瞰図を使用して、識別、及び特徴付け又は分類することができる。別の実施例では、当該エリア内のゾーンが、図2Dで議論されるように、他の非音響データ源とともに訓練された、ステップ212で得られる識別されたDFSトレースを使用して識別及び分類されてもよい。当該ゾーンは、駐車区画,駐車エリア,公共交通機関停車駅又は区画、荷積みゾーン、作業ゾーン、交通信号機ゾーン又はエリア、ガソリンスタンド、又は車両が駐車又は停車するその他の目的別ゾーンのうちの少なくとも1つを含むことができる。これらの例は図4A及び4Bに示されており、これらの図を参照してより詳細に説明される。
【0063】
ステップ211では、エリア内のゾーンを特徴付け又は分類することは、静的特徴(例えば、道路標識、譲り合い又は道を譲れ標識、停止標識、停車禁止標識、交通信号機、乗降エリア標識及び路面表示、警告標識、公共交通機関停車場標識及び路面表示、路面駐車スポット標識及び路面表示、ガソリンスタンド、又は車両が駐車又は停車するその他何らかの目的別ゾーン)の3次元デジタル表現又は地図を生成することを含み得る。地図はまた、雨/水、雪又は氷の存在などの潜在的な危険又は運転状態の変化をもたらし得る準静的又は遷移表面特徴を含んでもよい。これらは、車両又は歩行者などの移動する対象物と比べて比較的静的ではあるが、遷移的又は一時的な特徴である。
【0064】
それぞれのゾーンには、記号、例えば、駐車場、バス停、駐車スポット入口、停車標識又は他の道路標識、水たまり/水のエリア、路面凍結エリアなどが割り当てられる。上記のゾーン識別及び分類方法に加えて、準静的/遷移的特徴を有するゾーンを識別及び分類することは、例えば、車両群の音響シグネチャの差異を認識するように、ステップ212で得た識別されたDFSトレースを訓練することによって達成され得る。車両群の数は、これらの車両シグネチャの平均の違いが、道路の表面状態の局所的な変化を安定して推測するのに十分な大きさである。準静的特徴は、ゾーン内の道路の表面状態を示すことができ、これは、道路上に雨/水、雪及び/又は氷が存在するかどうかを含む。上記のように音響的に導出された道路上の準静的ゾーンは、道路表面上に雨/水、雪、又は氷がある開始及び停止部を示すことができる。
【0065】
図2Eに例示するように、この静的及び/又は準静的特徴の3次元デジタル表現又は地図は、ステップS220でGISオーバーレイ又は従来の地図レイヤ600に追加することができる第1のレイヤ(すなわち、高解像度ゾーン特徴レイヤ610)を形成してもよい。特に、市街部のGISオーバーレイ又は従来の地図レイヤ600(例えば、グーグル(登録商標)マップ)は全ての街路、道路及び高速道路のレイアウトとその名称、それら街路及び道路に隣接する多数の土地の街路番号とを有し、市街部の基本トポロジーを設定している。また、従来の地図プラットフォームは、基本トポロジーに対応する住所に居住している企業及び施設を追加することもできる。
【0066】
ステップ212では、図2Bに例示されるDFSの実施により導出されたフィルタリングされた音響データが処理されて、追跡データ、例えば、当該エリア内の音響放射のある対象物(例えば、車両、歩行者、列車、市街電車など)によって作られた形跡が識別される。ステップ214では、追跡データを使用して、形跡及び関連する対象物に関連する特徴を判定する。例えば、形跡の開始地点及び停止地点が識別される。識別された追跡データはまた、対象物の特徴、例えば、速度、重量、経路、加速などを示してもよい。一実施例では、追跡データは、形跡を車両に関連付けられることを判定するため、また、形跡がいつ、どこで終了又は開始しているかを判定するために使用される。図2Eに例示されるように、対象物及び/又はそれらの痕跡、及び/又はそれらの特徴の形態の追跡データは、ステップ220でGISオーバーレイ又は従来の地図レイヤ600に追加され得る第2のレイヤ(すなわち、DFS形跡レイヤ620)を形成し得る。
【0067】
ステップ216では、ステップ211で生成された静的及び/又は準静的特徴の3次元表現又は地図に対するセマンティクスエンジンを使用して、ゾーンの状況が解析され、推定され、及び/又は監視される。例えば、ステップ214からの結果が解析され、状態のデジタル表現がステップ218で提供され、例えば、満車区画を表す「1」、及び占有されていない又は空車区画を表す「0」が与えられ、それにより、区画及び他のゾーンの動的デジタル表現が形成される。準静的ゾーンの状況はデジタル表現を使用して説明することもでき、例えば、「00」は雨/水、雪又は氷が存在しないゾーンを表し、「01」は雨/水の存在を伴うゾーンを表し、「10」は雪の存在を伴うゾーンを表し、「11」は氷の存在を伴うゾーンを表し、それぞれ、図2Eの631及び632に示されている。図2Eに例示されるように、より高次の事象(例えば、路面駐車スポット633が占有、路面駐車スポット634が空車、青空駐車場635が総計40台の駐車スペース中22台は占有され、同じ青空駐車場の占有率が総計40台の駐車スペースのうち22から23に1つだけ増えた、バス停636が空いており、レイルコリドー(鉄道跡遊歩道)に1人の歩行者など)を示すこれらのデジタル表現は、第3のレイヤ(すなわち、高次事象レイヤ630)を形成することができ、これは、ステップ220において、GISオーバーレイ及び従来の地図レイヤ600に追加することができる。なお、図2Eに示すレイヤは説明のためのものであり、各レイヤに示されている内容が、必ずしも互いに揃っているとは限らない。
【0068】
3つのレイヤ(すなわち、高解像度ゾーン特徴レイヤ610、DFS形跡レイヤ620、及び高次事象レイヤ630)が融合され、ステップ220で従来の地図に追加されると、ゾーンの動的リアルタイム表現が、当該エリア内のドライバー及び歩行者、交通当局、タウンプランナ、交通技術者、有料道路オペレータ、道路保守機関などによる使用のために提供され得る。
【0069】
図3A及び図3Bは、システム100によって経時的に生成される信号の密度プロットを例示している。比較的一定の勾配300を有する直線の痕跡などの特徴は、(速度を示す勾配を有する)比較的一定の速度で移動する対象物に関連付けられ、システム100によって検出される関連する音響的事象を引き起こす。また、図3Aには、3km/hの速度のゴミ収集車として認められる、バックグラウンド交通に対して低速移動する対象物の痕跡301A及び301Bも示している。別の実施例では、図3Bは、ゆっくりとUターンを実行する自動車の痕跡303を提供する。痕跡301A、301B、及び303は、0~2HZのいわゆる直流帯域などの低周波帯域における信号に対応することができ、その検出は、出願人によるPCT出願PCT/AU2019/051249においてより詳しく論じられるが、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれ、参照を容易にするために、その抜粋を以下に記載する。駐車処理中の低速移動車両の場合は、多くの場合に、低周波数帯域の検出が適用されることが理解されよう。
【0070】
直流型帯域は、ケーブルに対する直接的なひずみを示し、これは、光ファイバケーブルより上の領域における総重量の誘導変化に関連し、かつ、重量とケーブルからの車両の近さとの積の関数に関連する。直流帯域は、車両に対して著しく低い信号振幅を有するが、この周波数帯域には、雑音を導入し、それによって検出性能を低下させる他の局所的な周囲音源は事実上ない。これは、例えば大量の周囲雑音が存在している10-90Hzの高周波数帯域とは対照的であるが、振幅がより大きいにも関わらず、より高周波数の信号を覆い隠す傾向がある。
【0071】
これは、高周波数の交流型帯域と比べて平均信号振幅が直流帯域では小さいにも関わらず、直流型帯域では移動対象物の検出のより高い信号対雑音比(SNR)をもたらし得る。当業者は、高周波数帯域における高ノイズクラッタに対して直流型帯域を対象物追跡に使用し得ると理解されるであろうが、これは実質的により小さい振幅のより低い周波数信号を識別及び分離する動機づけがないという意味で、直観に反している。交流及び直流という用語は電気工学用語から借用され、電流が一定であるか、又は互性であるかに関連しており、したがって、直流の周波数成分は漸近的にゼロ、一般に0-2Hzに近づき、交流の周波数成分は2Hzを超え、典型的には40Hzを超えるが、それより小さくてもよい(低周波数音響信号については10Hzまで、又はさらに小さくてもよい)ことが理解されよう。
【0072】
直流周波数帯域は、この帯域における信号がケーブル上方の対象物の重みの動きから生じることを考慮して設定される。したがって、信号の周波数は、例えば、車両が所与のDASチャネルを横断するのに要する期間の逆数である。例えば、10mのチャネル幅を仮定したとすると、60Km/hでは、対象物が通過するのに要する時間は0.6sであり、対応する周波数帯域は2Hz未満のオーダーである。
【0073】
セマンティクス又はコンテキストエンジン114Eは、処理ユニット114に含まれ得る。一実施例では、セマンティクスエンジン114Eは、車両又は歩行者などの1以上の対象物の追跡が中断又はあいまい化される状態を識別して解決するために使用される。これは、歩行者又は車両の減速又は停止の結果として起こり得る。この場合、歩行者又は車両の音響的痕跡は、交通信号機での車両、あるいは交通量の多い状態の場合、あるいは車両駐車の場合のように、歩行者又は車両が減速し、次いで停止するにつれて、振幅がマージし、減少する。セマンティクスエンジンは、これらの状態の間で、GISオーバーレイ及び当該オーバーレイに対する車両座標を使用して、例えば駐車区画又は交通信号機に対する車両の位置に基づき、曖昧さを除去するように構成される。
【0074】
また、例えば光ファイバケーブルが設けられていない街路又は車線に沿って移動すること、又は光ファイバケーブルの検出範囲から外れている路面駐車場を利用することによって、歩行者又は車両がネットワークカバー範囲から離れ去ったことを含む、音響対象物が一時的に音響的に検出されなくなった結果として追跡が曖昧にされ、又は一次的に中断されてもよい。概して、セマンティクスエンジンは、GIS/地図オーバーレイに基づいて、音響的記号、変位、速度又は加速属性、及び地理的位置のうちの少なくとも1つに基づいて、検出しなくなる前及び後の状態を評価及び比較することにより、形跡(tracks)を再アクティブ化するように構成される。
【0075】
より具体的には、セマンティクスエンジンは、ステップ216において、追跡された車両に関連するゾーンの状態を解析するために使用され得る。上述のように、ゾーンは完全に光ファイバセンシング網内に位置していなくてもよく、ゾーンの状態は、ゾーンの近傍で終了又は開始する痕跡に基づいて推測される必要があるという結果を有する。当然のことながら、このような形跡の著しい変動は、他の変数の中でも、光ファイバケーブルの位置及び深さ、車両の種類、駐車プロトコル、及び車両速度の結果として生じる。図2Dに例示するように、ステップ212で車両によって作られた識別されたDFS痕跡120は、その他の非音響データ源122、例えば、CCTVカメラと統合されて、DAS又はDFSニューラルネットワーク126(例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN))のための訓練データを提供し、車両駐車場の画像を、どちらともつかないケース(edge case)を含む様々な駐車ゾーンに対応する様々な位置におけるそれらの対応する痕跡と相関させることができる。
【0076】
一実施例では非音響データ源122、例えば、CCTVカメラからのデータは、対象物及び事象検出並びに分類エンジン114Hに接続される。図2Dの挿入図に示すように、街路(例えば802)、バス停(例えば803)、路面駐車スポット(例えば804A及び804B)及び駐車区画(例えば805-1、805-2、…、805-N)を備えた青空駐車場(例えば805)を含む試験ゾーンを監視するカメラ801は、対象物(例えば、バス806A、及び他の車両806B-806F並びに駐車スポット)及び事象(例えば、運転中、駐車スポットへの進入、駐車スポットからの退出など)を含む画像及び/又は映像を取り込む。取り込まれた画像及び/又は映像は、対象物及び事象検出並びに分類エンジン114Hに送信され、これは、挿入図の表に示すように、試験ゾーン内の対象物及び事象のための信頼できるデジタルラベル124のセットを生成することができる。これらラベル付けされた対象物及び事象124、並びに試験ゾーンにおけるステップ212から得られた対応するDFSトレース120は、次いで、訓練のためにDASCNN126に送られる。結果として生じるニューラルネットワークは、駐車痕跡を確実に認識するために使用され得、駐車痕跡は次いで、セマンティクスエンジン114EにおいてGISオーバーレイ118、及び/又は、図4A及び図4Bに例示されるようなマッピングアプリケーション(例えば、GOOGLE(登録商標)マップ)によってサポートされるストリートビュー機能と統合され得る。
【0077】
前述のように、ゾーンは、駐車場、駐車エリア、公共交通機関停車駅又は区画、荷積みゾーン、交通信号機ゾーン又はエリア、ガソリンスタンド、又は車両が駐車又は停車するその他の目的別ゾーンであってもよい。そのようなゾーンの対象物関連状態は、例えば、路面駐車スポット402について図4A及び図4Bに例示されるように占有又は非占有として、又は青空駐車場404及びガソリンスタンド406について図4A及び/又は図4Bに示されるように、占有又は非占有されるゾーンのサブゾーンの数として識別され得る。
【0078】
一実例では、図5Aに例示されるように、ゾーンは、光ファイバセンシング網によってカバーされない路面駐車スポットとして識別されているが、ここで、光ファイバケーブルは、駐車スポット520A及び520Bの検出範囲から外れている。図5Aはまた、フィルタリングされた音響データを第一期間(すなわち、TD1)にわたって処理することによって、光ファイバセグメント502及び504上に重なる街路に沿った距離に対する、TD1にわたって検出され、識別され、記録された車両痕跡(すなわち503及び505)の実施例を示す。光学距離は、街路の住所を含み得る光ファイバ及び地理的座標の物理的位置と正確にマッピング及び互いに関係づけられ得る。セマンティクスエンジンは、開始点及び/又は終了点(すなわち痕跡の始まり又は終端)を含む検出された痕跡を解析し、開始点及び/又は終了点を含む痕跡に関連したゾーンを識別し得る。
【0079】
上述のように、痕跡の開始点及び終了点の位置は、対応する光ファイバケーブルの検出範囲に依存し得る。図5Aに例示されるように本実施例では、痕跡503が光ファイバケーブル502の上にあることに基づいて、セマンティクスエンジンは、車両510Aが路面駐車スポット520Aに駐車されること、及び痕跡505が光ファイバケーブル504の上にあることに基づいて、車両510Bが路面駐車スポット520Bに駐車されることを判定し得る。痕跡が、対応する対象物によって識別されない別の実施例では、セマンティクスエンジンは、路面駐車スポット520A及び520Bが占有されると単に判定してもよい。図5Bは第二期間(すなわち、TD2)にわたって検出され、識別され、記録された車両痕跡(すなわち、511A及び511B)の実施例を示す。検出された痕跡、及び痕跡の対応する開始地点(痕跡511Aについては530A、及び痕跡511Bについては530B)、ならびに地点520A及び520Bの記録された以前の占有状態に基づいて、セマンティクスエンジンは、路面駐車スポット520A及び520Bが空いていると判定することができる。
【0080】
ステップ218において、路面駐車スポット(例えば、路面駐車スポット520A及び520B)のデジタル表現は、路面駐車スポットの状況の判定に基づいて、動的に形成することができる。例えば、路面駐車スポットの空き状態は、デジタル表現「0」として示され、路面駐車スポットの占有状態はデジタル表現「1」として示される。
【0081】
別の実施例において、あるゾーンは、図6Aに例示するように、光ファイバセンシング網によってカバーされていないバス停600として識別される。図6Aはまた、フィルタリングされた音響データを第一期間(すなわち、TD1)にわたって処理することによって、光ファイバセグメント上に重なる街路に沿った距離に対する、TD1にわたって検出され、識別され、記録された車両痕跡(すなわち601)の実施例を示す。セマンティクスエンジンは、痕跡の位置、及び痕跡のシグネチャの両方が車両ではなくバスに関連付けられていることに基づいて、バス603がバス停600に駐車されることになると判定し得る。痕跡が対応する対象物と互いに関連付けられない別の実施例では、セマンティクスエンジンは、単にバス停600が占有されることになる判定することができる。図6Bは、第二回期間(すなわち、TD2)にわたって検出され、識別され、記録された痕跡605の実施例を示す。検出された痕跡(例えば、605)、及び痕跡の対応する開始地点(例えば、607)に基づいて、セマンティクスエンジンは、バス停600が空いていると判定し得る。同様に、バス停のデジタル表現は、識別された関連付けられた状況に基づいて、動的に形成することができる(例えば、空いている場合は「0」、占有されている場合は「1」)。デジタル表現は、単なる2進数字を使用するのではなく、追加情報を含んでもよい。例えば、0又は00は空きバス停を示すことができ、11はバスの存在を示すことができ、01又は10は、別の車両の存在を示すことができる。
【0082】
さらに別の実施例では、あるゾーンは、図7Aに示すように、光ファイバセンシング網によってカバーされていない青空駐車場又はガソリンスタンド(すなわち、700)として識別される。当該ゾーン内のサービススポット(すなわち、サブゾーン)の個数は、その他の非音響データ源(例えば、ストリートビュー)を通じて識別されてもよい。この実施例では、サブゾーンの総数(702-1、702-2、…、702-N)は6として識別されるが、これは、二進数列(すなわち、110)を使用して識別される。時刻T1におけるゾーンの初期状態(例えば、占有されたサブゾーンの初期個数)は、その他の非音響データ源(例えば、ストリートビュー)によって判定してもよい。この実施例では、3つ(2進数で011)のサブゾーンが最初に占有されていると識別されている。
【0083】
図7Aはまた、フィルタリングされた音響データを第一期間(すなわち、TD1)にわたって処理することによって、光ファイバセグメント上に重なる街路に沿った距離に対する、TD1にわたって検出され、識別され、記録された車両痕跡(すなわち701)の実施例を示す。光学距離は、街路の住所を含み得る光ファイバ及び地理的座標の物理的位置と正確にマッピング及び互いに関係づけられ得る。セマンティクスエンジンは、開始点及び/又は終了点(すなわち痕跡の始まり又は終端)を含む検出された痕跡を解析し、開始点及び/又は終了点を含む痕跡に関連したゾーンを識別し得る。図7Aに示すようにこの実施形態では、セマンティクスエンジンは、車両710が青空駐車場/ガソリンスタンドに入ると判定することができる。痕跡が対応する対象物と互いに関連付けられない別の実施例では、セマンティクスエンジンは、単に青空駐車場/ガソリンスタンド700の一以上のサービススポットが占有されることになると判定することができる。したがって、セマンティクスエンジンは、青空駐車場/ガソリンスタンド700の状況を、6つのサービススポットのうち4つがこの青空駐車場/ガソリンスタンド700で占有されていることを示す、011から100にインクリメントすることができる。
【0084】
図7Bは第二期間(すなわち、TD2)にわたって検出され、識別され、記録された車両痕跡(すなわち、703)の実施例を示す。同様に、検出された痕跡(例えば、703)、及び痕跡の対応する開始地点(例えば、705)に基づいて、セマンティクスエンジンは、青空駐車場/ガソリンスタンドの状況を、6つのサービススポットのうち3つがこの青空駐車場/ガソリンスタンド700で占有されていることを示す、100から011にデクリメントすることができる。
【0085】
ステップ222において、例えば図4A及び図4Bに示すように、動的に識別されたゾーンのリアルタイムの状況は、図2Dに示すようにレンダリングエンジン114Gを介してGISオーバーレイ118又は地図上にレンダリング及び更新され、動的デジタル地図400を生成することができる。リアルタイムレンダリングステップは、デジタル指標を記号又は通知と互いに関係づける(例えば、占有区画上の「1」は車両画像と、バス停上の「1」はバス画像と、青空駐車場に関連付けられた100から011は「3駐車区画が利用可能」又は単に「P21/64」という通知)ことができる。 図4A及び図4Bは路面駐車スポット402でのそのようなレンダリングの実施例を示しているが、ここで、「110」のデジタル表示は2つの占有区画及び1つの非占有区画の表現にそれぞれ対応し、青空駐車場404(P15/26及びP21/64)及びガソリンスタンド406の表現に対応している。
【0086】
加えて、車両が駐車場に留まっている時間も、例えば、特定の関連する制限時間を有する駐車区画が存在している交通当局の利益のために、監視、記録してもよい。
本開示が追跡可能な対象物に関連するゾーンの動的リアルタイム表現の形成を容易にする実現可能な方法及びシステムを提供するものであることが当業者には理解されるであろう。一例として、路面駐車スポット及び青空駐車エリアのリアルタイム駐車情報、並びにバス停及びガソリンスタンドのリアルタイムサービス利用可能状況を提供することは、有用であり、少なくとも代替手段となり得る。
【0087】
本明細書に開示され定義された発明は、本明細書、実施例、及び図面から言及されるか、又は明白である個々の特徴の2つ以上のすべての代替的な組み合わせにまで及ぶことが理解されるであろう。これらの異なる組み合わせの全てが、本開示の様々な代替手段を構成する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
【国際調査報告】