(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】移動防止形体を備えたステント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/90 20130101AFI20231004BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
A61F2/90
A61M25/00 530
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519565
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 US2021052436
(87)【国際公開番号】W WO2022072362
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フォラン、マーティン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ギルマーティン、ゲイリー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA44
4C267AA45
4C267AA47
4C267AA50
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4C267CC08
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4C267GG02
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4C267GG21
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4C267GG24
4C267HH01
4C267HH08
(57)【要約】
例示的なステントは、第1の端部及び第2の端部、それらの間に配置された中間領域を有する長尺管状部材を備え得る。長尺管状部材は、折り畳み構成と拡張構成との間を移行するように構成される。長尺管状部材は、少なくとも1つのねじれフィラメント、例えば、隣接するねじれニットステッチ間に延在する中間ラング部分を備えた複数のねじれニットステッチと、1つ以上の中間ラング部分に形成された1つ以上の移動防止形体とを有するニットフィラメントを備え得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接するねじれニットステッチ間に延在する中間ラング部分を有する複数のねじれニットステッチを備えた少なくとも1つのニットフィラメントを備え、かつ、折り畳み構成と拡張構成との間を移行するように構成された長尺管状部材と、
前記中間ラング部分の1つ以上に形成された1つ以上の移動防止形体と、を備え、
前記長尺管状部材が前記拡張構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体は、前記長尺管状部材から放射状に延在する、ステント。
【請求項2】
前記1つ以上の移動防止形体が、前記拡張構成における前記長尺管状部材の基部直径を超えて半径方向に1~4ミリメートルの範囲で延在する、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記長尺管状部材が前記拡張構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体は、長尺管状本体の長手方向の軸線に対して非平行な角度で延在する、請求項1又は2に記載のステント。
【請求項4】
前記長尺管状部材が前記拡張構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体は、遠位に配向する頂点を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のステント。
【請求項5】
前記長尺管状部材が前記拡張構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体は、それ自体の上に戻るように曲がる、請求項1~3のいずれか一項に記載のステント。
【請求項6】
前記1つ以上の移動防止形体はそれぞれ、第1のねじれニットステッチに隣接する第1の結合湾曲部と、第2のねじれニットステッチに隣接する第2の結合湾曲部とを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のステント。
【請求項7】
前記第1の結合湾曲部及び第2の結合湾曲部は、長尺管状本体が前記拡張構成から前記折り畳み構成に移行するときに、移動防止ループが平坦になるように構成されている、請求項6に記載のステント。
【請求項8】
前記長尺管状部材が前記折り畳み構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体の少なくとも一部は、1つ以上の隣接するねじれニットステッチに含まれる、請求項1~7のいずれか1項に記載のステント。
【請求項9】
前記折り畳み構成における前記中間ラング部分の長さは、前記拡張構成における前記中間ラング部分の長さよりも短い、請求項1~8のいずれか一項に記載のステント。
【請求項10】
前記複数のねじれニットステッチの少なくともいくつかは、先行する列のねじれニットステッチから吊り下げられている、請求項1~9のいずれか一項に記載のステント。
【請求項11】
前記折り畳み構成における前記長尺管状部材の直径が、前記拡張構成における前記長尺管状部材の直径よりも約60%~80%小さい範囲にある、請求項1~10のいずれか一項に記載のステント。
【請求項12】
ステントブランクを編むステップであって、前記ニットステントブランクは、隣接するねじれニットステッチの間に延在する中間ラング部分を有する複数のねじれニットステッチを備えた少なくとも1つのニットフィラメントを含むステップと、
マンドレル上の位置にニットステントブランクを配置するステップであって、前記マンドレルが、1つ以上の移動防止形体形成要素を含むステップと、
ニットステントの1つ以上の中間ラング部分を前記1つ以上の移動防止形体形成要素と係合させて、第1の屈曲点及び第2の屈曲点を有する移動防止形体を形成するステップと、
前記マンドレル上に配置されている間に織られたステントブランクをアニーリングして前記移動防止形体を有する成形ステントを形成するステップと、
前記成形ステントを前記マンドレルから取り外すために前記1つ以上の移動防止形体形成要素を係合解除するステップとを備える、移動防止形体を有するステントを製造する方法。
【請求項13】
前記1つ以上の移動防止形体形成要素は、前記マンドレルの中心の長手方向の軸線に対して半径方向外方に駆動されるように構成されたピンを備え、ワイヤを前記1つ以上の移動防止形体形成要素に係合させることは、前記マンドレルの前記中心の長手方向の軸線に対して前記半径方向外方に前記ピンを駆動することを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上の移動防止形体形成要素を係合解除することは、前記ピンが前記マンドレルの前記中心の長手方向の軸線に対して半径方向内方に移動することを可能にすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ニットステントブランクを前記マンドレル上の位置に配置することは、前記ニットステントブランクを前記マンドレル上に引き伸ばすことと、前記ニットステントブランクを前記マンドレルの外面に適合させることとを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイス、医療デバイスを製造するための方法、及びその使用に関する。より具体的には、本開示は、体内管腔に埋め込むためのステント、及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用途、例えば外科用途及び/又は血管内用途のために、多種多様な体内医療デバイスが開発されている。これらのデバイスのいくつかは、案内ワイヤ、カテーテル、及び医療デバイス送達システム等(例えば、ステント、グラフト、置換弁等)を含む。これらのデバイスは、様々な異なる製造方法のいずれか1つによって製造され、様々な方法のいずれか1つに従って使用され得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、医療デバイスのための設計、材料、製造方法、及び使用代替物を提供する。例示的な医療デバイスは、ステントを含み得る。
【0004】
第1の例では、ステントは、隣接するねじれニットステッチ間に延在する中間ラング部分を有する複数のねじれニットステッチを備えた少なくとも1つのニットフィラメントを備える長尺管状部材を備え得る。前記長尺管状部材は、折り畳み構成と拡張構成との間を移行するように構成され得る。前記長尺管状部材は、前記中間ラング部分の1つ以上に形成された1つ以上の移動防止形体をさらに備え得る。前記長尺管状部材が前記拡張構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体は、そこから放射状に延在し得る。
【0005】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記1つ以上の移動防止形体は、前記拡張構成における前記長尺管状部材の基部直径を超えて半径方向に1から4ミリメートルの範囲で延在し得る。
【0006】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記長尺管状部材が前記拡張構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体は、長尺管状本体の長手方向の軸線に対して非平行な角度で延在し得る。
【0007】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記長尺管状部材が前記拡張構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体は、遠位に配向する頂点を含み得る。
【0008】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記長尺管状部材が前記拡張構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体は、それ自体の上に戻るように曲がり得る。
【0009】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記1つ以上の移動防止形体はそれぞれ、第1のねじれニットステッチに隣接する第1の結合湾曲部と、第2のねじれニットステッチに隣接する第2の結合湾曲部とを含み得る。
【0010】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記第1の結合湾曲部及び前記第2の結合湾曲部は、前記長尺管状本体が前記拡張構成から前記折り畳み構成に移行するときに、移動防止ループが平坦になるように構成され得る。
【0011】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記長尺管状部材が前記折り畳み構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体の少なくとも一部は、1つ以上の隣接するねじれニットステッチに含まれ得る。
【0012】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記折り畳み構成における前記中間ラング部分の長さは、前記拡張構成における前記中間ラング部分の長さよりも短くてもよい。
【0013】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記複数のねじれニットステッチの少なくともいくつかは、先行する列のねじれニットステッチから吊り下げられている。
【0014】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記折り畳み構成における前記長尺管状部材の直径は、前記拡張構成における前記長尺管状部材の直径よりも約60%~80%小さい範囲にあり得る。
【0015】
別の例では、移動防止形体を有するステントを製造する方法は、ステントブランクを編むステップであって、前記ニットステントブランクは、隣接するねじれニットステッチの間に延在する中間ラング部分を有する複数のねじれニットステッチを備えた少なくとも1つのニットフィラメントを含み得るステップと、マンドレル上の位置にニットステントブランクを配置するステップであって、前記マンドレルが、1つ以上の移動防止形体形成要素を含むステップと、前記ニットステントの1つ以上の中間ラング部分を前記1つ以上の移動防止形体形成要素と係合させて、第1の屈曲点及び第2の屈曲点を有する移動防止形体を形成するステップと、前記マンドレル上に配置されている間に織られたステントブランクをアニーリングして前記移動防止形体を有する成形ステントを形成するステップと、前記成形ステントを前記マンドレルから取り外すために前記1つ以上の移動防止形体形成要素を係合解除するステップとを備え得る。
【0016】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記1つ以上の移動防止形体形成要素は、前記マンドレルの中心の長手方向の軸線に対して半径方向外方に駆動されるように構成されたピンを備えてもよく、前記ワイヤを前記1つ以上の移動防止形体形成要素に係合させることは、前記マンドレルの前記中心の長手方向の軸線に対して前記半径方向外方に前記ピンを駆動することを含み得る。
【0017】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記1つ以上の移動防止形体形成要素を係合解除することは、前記ピンが前記マンドレルの前記中心の長手方向の軸線に対して半径方向内方に移動することを可能にすることを備え得る。
【0018】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記ニットステントブランクを前記マンドレル上の位置に配置することは、前記ニットステントブランクを前記マンドレル上に引き伸ばすことと、前記ニットステントブランクを前記マンドレルの外面に適合させることとを備え得る。
【0019】
別の例では、ステントは、隣接するねじれニットステッチ間に延在する中間ラング部分を備えた複数のねじれニットステッチを有する少なくとも1つのニットフィラメントを備える長尺管状部材を備えてもよく、前記長尺管状部材は、折り畳み構成と拡張構成との間を移行するように構成されてもよく、1つ以上の移動防止形体は前記中間ラング部分の1つ以上に形成されてもよい。前記長尺管状部材が前記拡張構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体は、そこから放射状に延在し得る。
【0020】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記1つ以上の移動防止形体は、前記拡張構成における前記長尺管状部材の基部直径を超えて半径方向に1~4ミリメートルの範囲で延在し得る。
【0021】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記長尺管状部材が前記拡張構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体は、前記長尺管状本体の長手方向の軸線に対して非平行な角度で延在し得る。
【0022】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記長尺管状部材が前記拡張構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体は、遠位に配向する頂点を含み得る。
【0023】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記長尺管状部材が前記拡張構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体は、それ自体の上に戻るように曲がり得る。
【0024】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記1つ以上の移動防止形体はそれぞれ、第1のねじれニットステッチに隣接する第1の結合湾曲部と、第2のねじれニットステッチに隣接する第2の結合湾曲部とを含み得る。
【0025】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記第1の結合湾曲部及び前記第2の結合湾曲部は、前記長尺管状本体が前記拡張構成から前記折り畳み構成に移行するときに、移動防止ループが平坦になるように構成され得る。
【0026】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記長尺管状部材が前記折り畳み構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体の少なくとも一部は、1つ以上の隣接するねじれニットステッチに含まれ得る。
【0027】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記折り畳み構成における前記中間ラング部分の長さは、前記拡張構成における前記中間ラング部分の長さよりも短くてもよい。
【0028】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記折り畳み構成における前記長尺管状部材の直径は、前記拡張構成における前記長尺管状部材の直径よりも約60%~80%小さい範囲にあり得る。
【0029】
別の例では、ステントは、ループ部分及び隣接するねじれニットステッチ間に延在する中間ラング部分を備えた重複ベース領域をそれぞれ含む複数のねじれニットステッチを備えた少なくとも1つのニットフィラメントを備える長尺管状部材を備えてもよく、前記複数のねじれニットステッチの少なくともいくつかは、先行する列の中間ラング部分から吊るされ、前記長尺管状部材は折り畳み構成と拡張構成との間を移行するように構成され、1つ以上の移動防止形体は前記中間ラング部分の1つ以上に形成される。前記長尺管状部材が前記拡張構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体は、そこから放射状に延在し得る。
【0030】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記1つ以上の移動防止形体は、前記長尺管状部材の外周の周りの同様の長手方向の位置に配置され得る。
【0031】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記1つ以上の移動防止形体は、前記拡張構成における前記長尺管状部材の基部直径を超えて半径方向に1~4ミリメートルの範囲で延在し得る。
【0032】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記長尺管状部材が前記拡張構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体は、長尺管状本体の長手方向の軸線に対して非平行な角度で延在し得る。
【0033】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記長尺管状部材が前記拡張構成にあるとき、前記1つ以上の移動防止形体は、それ自体の上に戻るように曲がり得る。
【0034】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記1つ以上の移動防止形体は、第1のねじれニットステッチの重複ベース領域に隣接する第1の結合湾曲部と、第2のねじれニットステッチの重複ベース領域に隣接する第2の結合湾曲部とをそれぞれ含み得る。
【0035】
別の例では、移動防止形体を有するステントを製造する方法は、ステントブランクを編むステップであって、前記ニットステントブランクは、隣接するねじれニットステッチの間に延在する中間ラング部分を有する複数のねじれニットステッチを備えた少なくとも1つのニットフィラメントを含むステップと、マンドレル上の位置にニットステントブランクを配置するステップであって、前記マンドレルが、1つ以上の移動防止形体形成要素を含むステップと、前記ニットステントの1つ以上の中間ラング部分を前記1つ以上の移動防止形体形成要素と係合させて、第1の屈曲点及び第2の屈曲点を有する移動防止形体を形成するステップと、前記マンドレル上に配置されている間に織られたステントブランクをアニーリングして前記移動防止形体を有する成形ステントを形成するステップと、前記成形ステントを前記マンドレルから取り外すために前記1つ以上の移動防止形体形成要素を係合解除するステップとを備え得る。
【0036】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記1つ以上の移動防止形体形成要素は、前記マンドレルの中心の長手方向の軸線に対して半径方向外方に駆動されるように構成されたピンを備えてもよく、前記ワイヤを前記1つ以上の移動防止形体形成要素に係合させることは、前記マンドレルの前記中心の長手方向の軸線に対して前記半径方向外方に前記ピンを駆動させることを備える。
【0037】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記1つ以上の移動防止形体形成要素を係合解除することは、前記ピンが前記マンドレルの前記中心の長手方向の軸線に対して半径方向内方に移動することを可能にすることを備え得る。
【0038】
上記の例のいずれかの代わりに、又は加えて、別の例では、前記ニットステントブランクを前記マンドレル上の位置に配置することは、前記ニットステントブランクを前記マンドレル上に引き伸ばすことと、前記ニットステントブランクを前記マンドレルの外面に適合させることとを備え得る。
【0039】
いくつかの実施形態の上記概要は、本開示のそれぞれの開示された実施形態又は全ての実施を記載することを意図しない。以下の図面及び詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明は、添付の図面に関連して様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮することにより、より十分に理解され得る。
【0041】
【
図2】
図1の例示的なステントの一部の拡大側面図である。
【
図3】長尺構成における
図1の例示的なステントの部分側面図である。
【
図6】
図5の調節可能なマンドレルの分解斜視図である。
【
図7】
図5の調節可能なマンドレルの断面図であり、移動防止形体形成ピンが十分に延在した位置に示されている。
【
図8】
図5の調節可能なマンドレルの断面図であり、移動防止形体形成ピンが部分的に延在した位置に示されている。
【
図9】
図5の調節可能なマンドレルの一部を形成する移動防止形体形成ピンの斜視図である。
【
図10】
図5の調節可能なマンドレルの一部の側面図であり、調節可能なマンドレルの周りに配置されたニットステントの一部を示す。
【
図11A】調節可能なマンドレルから取り外された
図10の例示的なニットステントの側面図である。
【
図11B】調節可能なマンドレルから取り外された別の例示的なニットステントの側面図である。
【
図11C】調節可能なマンドレルから取り外された別の例示的なニットステントの側面図である。
【
図12A】ニットステントが含み得る移動防止形体の概略図である。
【
図12B】ニットステントが含み得る移動防止形体の概略図である。
【
図12C】ニットステントが含み得る移動防止形体の概略図である。
【
図12D】ニットステントが含み得る移動防止形体の概略図である。
【
図13】1つ以上の移動防止形体を有する別の例示的なニットステントの部分側面図である。
【
図15】第2の構成における
図14のステントの側面図である。
【
図16】ステントを送達するための例示的な送達システムの側面図である。
【
図17】部分的に展開された構成において、ステントを有する
図16の例示的な送達システムの側面図である。
【0042】
本開示は、様々な修正及び代替の形態を受け入れ可能であるが、それらの詳細は、例として図面に示されており、詳細に記載されるであろう。しかし、その意図が本発明の態様を記載した特定の実施形態に限定することではないことは理解されるべきである。対照的に、その意図は本発明の範囲に収まる全ての変更、均等物及び代替物を対象とするものである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
異なる定義が本明細書の特許請求の範囲又は他の部分において与えられない限り、以下に定義される用語はこれらの定義が適用されるものとする。
【0044】
明確に示されているか否かに関わらず、全ての数値は本明細書において用語「約」によって修飾されると想定される。用語「約」は、一般に、当業者の一人が列挙された値と同等である(すなわち、同じ形体又は結果を有する)と考えるであろう数の範囲を参照する。多くの場合、用語「約」は、最も近い有効数字に丸められる数を含むとして示され得る。
【0045】
端点による数字範囲の列挙は、その範囲内の全ての数字を含む(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
【0046】
様々な構成要素、特徴及び/又は仕様に関するいくつかの好適な寸法範囲及び/又は値が開示されているが、本開示によって刺激された当業者は、所望の寸法、範囲及び/又は値が明示的に開示されたものから逸脱し得ることを理解するであろう。
【0047】
本明細書及び添付の特許請求の範囲に用いられるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、内容が明確に他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲に用いられるとき、用語「又は」は、内容が明確に他のことを指示しない限り、「及び/又は」を含む意味として一般に用いられる。
【0048】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、異なる図面における類似の要素は同じ番号が付けられる。詳細な説明及び図面は、必ずしも縮尺通りではなく、例示的な実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。図示された例示的な実施形態は、例示としてのみ意図されている。任意の例示的な実施形態の選択された特徴は、反対のことが明確に示されていない限り、追加の実施形態に組み込まれ得る。
【0049】
いくつかの場合において、食道狭窄又は他の病状を有する患者に管腔開通性を実現可能である管腔内インプラント又はステントを提供することが望ましい場合がある。このようなステントは、時には食道癌による嚥下障害を経験している患者に使用され得る。食道ステントは、患者が癌治療中又は緩和期間中に経口摂取を介して栄養摂取を維持することを可能にし得る。血管狭窄の治療のための現在の胃腸(GI)ステント留置治療法は、その場に留まりながら、原因となる狭窄を解決するように自己拡張型ステント(SES)に依存し得る。しかし、この種のステント留置は、特に十分に覆われた設計において、移動の発生率が高い場合がある。いくつかのステントは、ステント本体から半径方向外方に突出する突出部(例えば、ループ、クイル等)を含み得る。これらの隆起形体は、デバイス移動を低減するために、導管と相互作用し得る。しかし、これらのデバイスは、より小さい直径に縮小することが困難であり得るため、取り外す又は再配置することが困難であり得る。さらに、これらの種類の突出部(又は移動防止形体)を伴うデバイスは、恒久的な埋込のために示され得る。これらのデバイスが取り外し可能であることが望ましい場合、デバイスの取り外し又は再配置は、突出部の角がステントの移動と共に導管損傷を引き起こし得るため、制限され得る。所望され得るものは、移動防止形体を含み、また、再配置及び/又は取り外しのために容易に縮められ得る管腔内インプラント又はステントである。本明細書に開示される実施形態は、食道ステントを参照して議論されるが、本明細書に記載されるステントは、他の位置(例えば、限定されないが、身体組織、身体器官、導管管腔、非導管管腔及びこれらの組み合わせ(例えば、限定されないが、冠状動脈血管系又は末梢血管系、気管、気管支、結腸、小腸、胆管、尿路、前立腺、脳、及び胃等))での使用及び使用のためのサイズに調整され得ることが想定される。
【0050】
図1は、例えば、限定されないが、ステントのような例示的な管腔内インプラント10の側面図を示す。いくつかの場合において、ステント10は、長尺管状部材12から形成され得る。ステント10は一般に管状であると記載されているが、ステント10は所望の任意の断面形状をとり得ると想定される。ステント10は、第1の端部すなわち近位端14と、第2の端部すなわち遠位端16と、第1の端部14と第2の端部16との間に配置された中間領域18とを有し得る。ステント10は、食物、流体等の通過を可能にするために、第1の端部14に隣接する第1の開口部から第2の端部16に隣接する第2の開口部まで延在する管腔20を含み得る。
【0051】
ステント10は、第1の半径方向の折り畳み構成(明示せず)から第2の半径方向の拡張構成まで拡張可能である。いくつかの場合において、ステント10は、折り畳み構成と十分な拡張構成との間の構成に展開され得る。ステント10は、狭窄部を横切って延在し、管腔内の狭窄部に半径方向外方の圧力を加えて管腔を開き、食物、流体、空気等の通過を可能にするように構成され得る。ステント10が半径方向の折り畳み構成にあるとき、ステント10の外径は、十分な又は部分的な拡張構成に対して縮小される。いくつかの場合において、標的位置への送達のためにステント10の直径を減少させるように、ステント10は引き伸ばされるか又は長くされる。ステント10が展開される(送達構成から拡張構成に移行する)と、ステント10の長さは減少し、直径は増加する。いくつかの場合において、ステント10は、約20%~約40%の範囲の縮小(例えば、ステントの長さがその送達構成からその拡張構成までに減少するパーセント)をされ得る。ステント10の長さの変化及び/又は直径の変化は、ステントのサイズ(例えば、直径)に少なくとも部分的に依存し得ることが想定される。いくつかの場合において、胆管ステントは、約8ミリメートル~約10ミリメートルの範囲の展開直径と、約2.5ミリメートル~約3ミリメートルの拘束直径とを有し得る。これは、拡張構成から送達構成までの直径の約60%~約80%の減少に対応し得る。これは単なる例である。直径の減少は、要望に応じて、60%未満又は80%を超えてもよい。別の実施例では、内視鏡ステントは、約18ミリメートル~約23ミリメートルの範囲の展開直径と、約6ミリメートル~約6.5ミリメートルの拘束直径とを有し得る。これは、拡張構成から送達構成までの直径の約60%~約80%の減少に対応し得る。これは単なる例である。直径の減少は、要望に応じて、60%未満又は80%を超えてもよい。
【0052】
ステント10の近位端14は、複数のループ22を含み得る。ループ22は、それを通って編み込まれるか、又は1つ以上のループ22を通過する回収テザー若しくは縫合糸を受容するように構成され得る。回収縫合糸は、所望であれば、ステント10を折り畳んで回収するために使用され得る。例えば、回収縫合糸は、ステント10の近位端14を半径方向に折り畳むための引き紐のように引っ張られて、ステント10の体内管腔からの取り外しを容易にし得る。
【0053】
ステント10は、それ自体で編み込まれ、開放セル25を規定する単一のフィラメント24から製造されたニット構造を有し得る。いくつかの場合において、フィラメント24はモノフィラメントであってもよく、他の場合には、フィラメント24は、一緒に巻かれた、編まれた、又は織られた2つ以上のフィラメントであってもよい。いくつかの場合において、ステント10の内面及び/又は外面は、全体的に、実質的に、又は部分的に、ポリマー被覆又はコーティングで被覆され得る。被覆又はコーティングは、支柱又はフィラメント24によって規定される1つ以上の又は複数のセル25にわたって延在してもよく、及び/又はそれを閉塞してもよい。被覆又はコーティングは、食物埋伏及び/又は腫瘍若しくは組織の内方成長を低減するのに役立ち得る。
【0054】
ステント10は、限定されないが、要望に応じて、金属、金属合金、形状記憶合金及び/又はポリマー等の多数の異なる材料から作製可能であり、ステント10が体内に正確に配置されたときに拡張されて形状が整えられることを可能にすることが想定される。いくつかの場合において、材料は、ステント10が比較的容易に取り外されることも可能にするように選択され得る。例えば、ステント10は、限定されないが、ニチノール及びエルジロイ(登録商標)のような合金から形成され得る。構成のために選択される材料に応じて、ステント10は、自己拡張型(すなわち、拘束されていないときに自動的に半径方向に拡張するように構成されている)であり得る。いくつかの実施形態では、ステント10を作製するために繊維が使用されてもよく、これは、例えば、白金コアを有するニチノール製の外側シェルを有する複合繊維であってもよい。さらに、ステント10は、限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むポリマーから形成され得ることが想定される。いくつかの実施形態では、ステント10は、自己拡張型であってもよく、他の実施形態では、ステント10は、拡張デバイス(限定されないが、ステント10の管腔20内に挿入されるバルーン等)によって拡張されてもよい。本明細書で使用される場合、用語「自己拡張」は、外部の付勢力(例えば、限定されないが、送達カテーテル又はシース)によって拘束されないときに、予めプログラムされた直径に戻るステントの傾向を示す。ステント10は、エラストマースリット弁又はダックビル弁等の一方向弁を含んでもよく、胃腸液の逆流を防止するために、その管腔20内に配置される。
【0055】
いくつかの場合において、半径方向の拡張構成では、ステント10は、近位端14に近接する第1の端部領域26と、第2の端部16に近接する第2の端部領域28とを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の端部領域26及び第2の端部領域28は、中間部分18に対して拡大された直径を有する保持形体又は移動防止フレア領域(明示せず)を含み得る。ステント10の第1の端部14及び第2の端部16に隣接して配置され得る移動防止フレア領域は、食道又は他の体内管腔の壁の内側部分に係合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、保持形体又はフレア領域は、ステント10が食道又は他の体内管腔に配置された後に移動するのを防止するために、ステント10の円筒形中間領域18よりも大きい直径を有し得る。中間領域18の断面積から保持形体又はフレア領域への推移は、要望に応じて、段階的であってもよく、傾斜であってもよく、又は急な階段様式で生じてもよいことが想定される。
【0056】
いくつかの実施形態では、第1の移動防止フレア領域は、第1の外径を有してもよく、第2の移動防止フレア領域は、第2の外径を有してもよい。いくつかの場合では、第1の及び第2の外径は、ほとんど同じであってもよいが、他の場合では、第1の及び第2の外径は、異なってもよい。いくつかの実施形態では、ステント10は、移動防止フレア領域の内の1つのみを含んでもよく、又は移動防止フレア領域を全く含まなくてもよい。例えば、第1の端部領域26は移動防止フレアを含んでもよく、第2の端部領域28は中間領域18と同様の外径を有してもよい。第2の端部領域28は移動防止フレアを含んでもよく、第1の端部領域26は中間領域18の外径と同様の外径を有してもよいことがさらに想定される。いくつかの実施形態では、ステント10は、第1の端部14から第2の端部16まで均一な外径を有し得る。いくつかの実施形態では、中間領域18の外径は、15~25ミリメートルの範囲であり得る。移動防止フレアの外径は、20~30ミリメートルの範囲であり得る。ステント10の外径は、所望の用途に適合するように変更され得ることが想定される。
【0057】
ステント10は、1つ以上の放射状に延在する移動防止形体30をさらに含み得る。本明細書でより詳細に記載されるように、移動防止形体30は、フィラメント24の部分又はループであってもよく、ステント本体12から放射状に延在する。例えば、移動防止形体30は、中間領域18より大きい、及び/又は(そのように提供される場合)移動防止フレア領域より大きい外径を有し得る。いくつかの場合において、移動防止形体30は、ステント10の基部直径を約1ミリメートル~約4ミリメートルの範囲で超えて延在し得る。基部直径は、移動防止形体30と同じ長手方向の位置で取られたステント10の本体12の基準(例えば、実質的に一定の)外径であり得る。ステント10が拡張構成にあるとき、移動防止形体30は、ステント10の長手方向の軸線に対して非平行な角度で延在し得る。移動防止形体30の角度は、少なくとも部分的に、移動防止形体30の長さによって決定され得ることが想定される。例えば、穿刺のリスクを低減するために、より長い移動防止形体30は、より短い移動防止形体よりもステント10の長手方向の軸線に対してより小さい角度で配向され得る。これは単なる例である。いくつかの場合において、ステント10が被覆又はコーティングで覆われているか、又は部分的に覆われているとき、移動防止形体30は、組織の内部成長を可能にしてステント10の移動をさらに低減するために、むき出しのままであるか、又は覆われていない(例えば、被覆又はコーティングがない)ままであり得る。しかし、これは必須ではない。いくつかの場合において、移動防止形体30は、被覆又はコーティングを含み得る。
【0058】
いくつかの場合において、移動防止形体30は、同様の長手方向の位置でステント10の外周の周りに円周方向に配置され得る。しかし、移動防止形体30は、所望であれば、ステント10の長さに沿って1つ以上の異なる位置に配置され得ることが想定される。移動防止形体30は、要望により、円周方向の列において、又は別の形体(例えば、必ずしもステント10の円周の周りに延在しない)として提供され得ることがさらに想定される。別の形体として提供されるとき、移動防止形体30は、必ずしも十分な周方向の列を含まないパターンにおいて、非対称的又はランダムに位置付けられてもよく、又は配置されてもよい。例えば、パターンは、限定されないが、互い違いの又は交互の移動防止形体30を含み得る。
【0059】
いくつかの場合において、移動防止形体30は、移動防止形体30の頂点32が一般的な遠位方向に角度を付けられるように形成され得る。そのような配向は、埋め込まれたときにステント10の遠位方向への移動を制限するのに役立ち得る。しかし、要望により他の構成が使用され得る。いくつかの場合において、移動防止形体30は、頂点32が近位方向に角度を付けられるように形成され得る。さらに他の場合では、ステント10は、遠位方向に角度を付けた移動防止形体30と近位方向に角度を付けた移動防止形体30との組み合わせを含み得る。本明細書でより詳細に記載されるように、移動防止形体30の頂点32は、頂点32が組織と接触しないように(例えば、より非侵襲性の高い移動防止形体を形成するように)、移動防止形体30の長さにわたって湾曲してもよく、又は後方に曲がっていてもよいことが想定される。
【0060】
ステント10は、限定されないが、要望により、金属、金属合金、形状記憶合金及び/又はポリマー等の多数の異なる材料から作製可能であり、ステント10が体内に正確に配置されたときに拡張されて形状が整えられることを可能にすることが想定される。いくつかの場合において、材料は、ステント10が比較的容易に取り外されることも可能にするように選択され得る。例えば、ステント10は、限定されないが、ニチノール及びエルジロイ(登録商標)のような合金から形成され得る。構造のために選択される材料に応じて、ステント10は、自己拡張型であってもよく、又はステント10を拡張するために外力を必要としてもよい。いくつかの実施形態では、複合フィラメントは、ステント10を作製するために使用されてもよく、例えば、ニチノールから作製される外側シェル又は金属被覆と、白金又は他の放射線不透過性材料から形成されるコアとを含み得る。ステント10は、限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むポリマーから形成され得ることがさらに想定される。いくつかの場合において、ステント10のフィラメント又はその一部が、生体吸収性又は生分解性であってもよく、他の場合には、ステント10のフィラメント又はその一部が、生体安定性であってもよい。
【0061】
図2は、ステント10のニット構成の部分拡大側面図を示す。ステント10は、ステント10の周りに円周方向に延在する複数の列50a、50b、50c、50d(まとめて、50)を含み得る。ステント10は、所望の任意の数の列50を含み得る。例えば、列50の数は、ステント10の所望の長さを達成するように選択され得る。最も上の、すなわち第1の列50aは、固定されておらず、アクティブであり得る。いくつかの例では、第1の列50aは、複数のループ60a、60b、60c(まとめて、60)を含み得る。ループ60はそれぞれ、ループ部分62a、62b、62c(まとめて、62)と、重複ベース部分64a、64b、64c(まとめて、64)とを含み得る。重複ベース部分64a、64b、64cは、フィラメントの1つの部分がフィラメントの第2の部分に重複又は交差するループ60の部分として理解され、フィラメントの部分は、それらの間に延在するループ部分62a、62b、62cを形成する。隣接するループ60は、ラング部分66a、66b(まとめて、66)によって相互接続され得る。例えば、第1のラング部分66aは、第1のループ60aのベース部分64aと第2のループ60bのベース部分64bとの間に延在し得る。次の列50bは、第1の列50aのループ60から吊り下げられ得る。例えば、第2の列50bは、複数のループ70a、70b、70c(まとめて、70)を含んでもよく、各ループは、ループ部分72a、72b、72c(まとめて、72)及びベース部分74a、74b、74c(まとめて、74)を含む。隣接するループ70は、ラング部分76a、76b(まとめて、76)によって相互接続され得る。ステント10が編まれるとき、ループ部分72は、先行する列50aのベース部分64の周りに巻き付けられ得る。
【0062】
単一の列50が一度に形成され得ることが想定される。例えば、列は、先行する列(例えば、列50a)が十分な循環を形成した後に後続の列(例えば、列50b)が形成されるように、連続して形成され得る。明示的に示されていないが、第1の列50aのループ60は、ループのないフィラメント24の部分の周りに巻き付けられ得る。本明細書に記載されるように、第2の列50bのループ70は、先行する列50aのループ60のベース部分64の周りに巻き付けられ得る。例えば、フィラメント24は、第1のラング部分76aから延在し、先行する列50aのベース部分64bの周りに巻き付けられ、ベース部分74bを形成するためにそれ自体の上に戻るように交差し、次のラング部分76bに続くように編まれ得る。ループ部分70は、ラング66a、66bの第1の側、及びループ部分62bの第2の反対側に配置され得ることが想定される。言い換えると、フィラメント24は、第2の列50bのループ70bのベース部分74bを形成するためにそれ自体の上で交差する前に、第2のラング部分66bの上、ベース部分64bの後ろ、及び第1のラング部分66aの上に延在するように巻かれ得る。フィラメント24が、第2の列50bのループ70bのベース部分74bを形成するためにそれ自体の上で交差する前に、第2のラング部分66bの後ろ、ベース部分64bの頂点の上方又は上、及び第1のラング部分66aの後ろに延在するように、フィラメント24が巻かれ得る逆の構成も想定される。
【0063】
ステント10のニット構造では、セル25及び/又はループ部分62、72は、ステント10が拡張構成にあるときに第1の外形を有し、ステント10が折り畳み送達構成にあるときに第1の外形とは異なる第2の外形を有するように、ループ部分62、72を長くすること又は縮小することを可能にし得る。ループ部分62、72を長くすると、ステント10の断面直径を送達のために減少可能である。長くするために、ループ60、70は、ラング66、76からのフィラメント24の長さの一部を使用して、伸長させる。
図3は、伸長構成のステント10の一部を示す。図から分かるように、ループ60、70が伸長すると、ラング部材66、76はループ部分62、72内に引き込まれてループの伸長を可能にし(例えば、長手方向の軸線80に沿った方向に)、中間ラング部分66、76は短縮される。ラング材料66、76は、ねじれ領域64、74により、ループ部分62、72内にアクセス可能であり、容易に組み込まれ得る。同様に、移動防止形体30は、ループ部分内に容易に組み込まれる。これにより、ステント10はより小さい力で拘束され、同軸送達システム内に装填されることが可能になる。ステント10のニット構造は、以前のステント用ニットと比較して、蠕動運動による疲労を原因とするワイヤ破断を受けにくくなり得ることが想定される。現在のニットパターンのより柔らかい湾曲は、解剖学的構造によってステント10に加えられ得る外力により、ループ60、70が容易にすぼめられることを可能にする。ステント10は、外力が解放されるとき、ステント10の直径が拡大するが、移動防止形体30が半径方向外方に延在する構成を容易に再開し得るように、拡張構成において熱処理又はアニールされ得ることが想定される。
【0064】
ステント10が展開されると、ステント10は、ステント10を取り外し又は再配置するために伸長され得る(従って、直径を減少させる)。再配置又は取り外しのためにステント10を折り畳むべく、ステント10は、ステント10の近位端14又は遠位端16のいずれか又は両方から作動され得る。いくつかの場合において、ステント10の折り畳みを容易にするためにプルワイヤが使用され得る。しかし、要望により他の作動機構が使用され得る。例えば、医師は、ステント10の一端又は両端を把持するために1つ以上の鉗子を使用し得る。ステント10の長さの約60%~約80%の範囲では、ステント10が体内管腔内で容易に移動する前に直径が減少し得ると想定される。ステント10の直径は、作動力を受ける端部において最初に減少し得るので、臨床医は、ステント10の所望の動きに基づいて作動するようにステント10の端部を選択可能である。
【0065】
図2に戻ると、移動防止形体30は、列50dの内の1つの相互接続ラング部分96a、96b(まとめて、96)に形成され得る。
図2は、単一の列50dにおける移動防止形体30を示しているが、任意の長手方向の位置における任意の数の列50が移動防止形体30を含み得ることが想定される。全てのラング96が移動防止形体30内に形成されなくてもよいことがさらに想定される。例えば、いくつかの場合において、1つおきのラング96が移動防止形体内に形成され得る。移動防止形体30のための他のパターン化された構成、非対称な構成、及び/又はランダムな構成が、要望により使用され得る。移動防止形体30は、ステント10の本体12から半径方向外方に、長手方向の軸線80に対して一般に非平行な角度で延在し得る。いくつかの場合において、移動防止形体30の頂点32は、一般的に遠位方向に向けられ得る。他の場合において、移動防止形体30の頂点32は、一般的に近位方向に向けられ得る(例えば、
図11B参照)。さらに他の場合において、ステント10は、遠位方向を向く1つ以上の移動防止形体30と、近位方向を向く1つ以上の移動防止形体30とを含み得る。頂点32の1つ以上は、頂点32が、一般に、移動防止形体30の一般的な方向と異なる方向に向けられるように、それ自体の上に巻き戻され得ることがさらに想定される(例えば、
図11C参照)。いくつかの場合において、ステント10は、最初に一定直径のブランクを形成し、次に、成形プロセス及び/又はアニーリングプロセスの前にマンドレル上で一定直径のステントブランクを引き伸ばすことによって形成され得る。しかし、これは必須ではない。いくつかの場合において、ステント10は、成形されたマンドレル上に直接ステント10を編むことによって形成され得る。移動防止形体30の形成は、本明細書でより詳細に記載される。
【0066】
図4は、一定の直径のマンドレル110の周りに形成されている例示的なステント100の側面図を示す。ステント100は、上述のステント10と形態及び形体が類似し得る。ステント100は、単一のニットストランド又はフィラメント120から形成され得る。一般に、ステント100は、単一方向に編むことによって形成される。例えば、
図4に示される実施形態において、ストランド120は、矢印160で示されるように反時計回り方向に編まれる。しかし、ステント100は、要望により時計回り方向に編むことによって形成され得ることが理解されるべきである。ストランド120は、複数の相互接続されたループを形成するように構成されたマンドレル110の周りのループ状経路を辿り得る。
【0067】
ストランド120は、複数の列130、132、134、136、138に操作(例えば、編まれる)されてもよく、各列は、複数の相互接続された又は噛合されたループ140a~c、142a~c、144a~c、146a~c、148d~eを有する。ステント100は、所望の長さを有するステント100を形成するのに必要な数の列を含み得る。上述のように、ループは緩く編まれてもよく、列136の内の1つの3つのループ146d、146c、146bを相互接続するラング部分152a及び152b等の相互接続する中間ラング部分を含んでもよい。ステント100は単一のストランド120から形成されるので、列130、132、134、136、138は、別の分離している列でなくてもよく、代わりに、先行する列及び/又は後続の列との連続的な接続を形成してもよいことを理解されるべきである。ステント100は、単一のストランド120から形成される必要はなく、むしろ一緒に編まれた2つ以上のストランドを含み得ることがさらに想定される。いくつかの例では、ループは、ステント100の長手方向の軸線に対して一般的に平行な方向に、先行する列のループと一般的に整列されてもよく、又は先行する列のループから吊り下げられてもよい(例えば、ステント100の長さに沿って周方向に整列される)。図から分かるように、1つの列136のループ146bは、その上の列134のループ144bから吊り下げられている。従って、ループは、軸方向に延在する柱又は畝150a~eを形成し得るが、これは必須ではない。
【0068】
ステント100を形成するために、ストランド120の端部領域154は、矢印156で示すように、先行する列136の中間ラング部分152bの上を通過させられる。次に、ストランド120の端部領域154は、ループ146cの後ろで、ニット全体の一般的な方向160とは反対の方向に巻き付けられ得る。次に、ストランド120の端部領域154は、ループを完成させるためにそれ自体の上で交差される前に、(ラング部分152bに対して)ループ146cの反対側のラング部分152aの上を通過させられ得る。ループがラング部分152b、152aの後ろを通って、ループ146cの上を通過する逆の構成も想定される。ループ140a~c、142a~c、144a~c、146a~c、148d~eは、一般に、それぞれ個別のループがねじれた、ねじれニットステッチの形態をとり得る。ループのねじれた性質は、ステント100の外面に隆起部を形成し得ると想定される。これらの隆起部は、ステント100を体内管腔に固定するのを助け得る。
【0069】
図5は、本明細書中に記載されるステント10のような移動防止形体を有するステントを形成するためのマンドレル200の斜視図である。いくつかの例示的なマンドレルは、同一出願人による「ADJUSTABLE MANDREL FOR FORMING STENT WITH ANTI-MIGRATION FEATURES」と題する米国特許出願公開第2019/0029850号に記載されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。上述したように、いくつかの例において、ステントは、移動防止形体と同様に1つ以上のフレア状端部領域を有するテーパ状外側の外形領域をさらに含み得る。いくつかの場合において、ステントは、例えば、砂時計の外形を有すると考えられ得る。しかし、他の例では、ステントは、そこから半径方向外方に延在する1つ以上の移動防止形体を伴う、一般に一定の外径を有し得る。
【0070】
図から分かるように、マンドレル200は、マンドレル本体202と、マンドレルキャップ204と、作動要素206と、複数の移動防止形体形成ピン208とを含み得る。
図6は、マンドレル200の分解斜視図であり、移動防止形体形成ピンは、明確にするために除外されている。いくつかの場合において、マンドレルキャップ204は、ボルト218、バヨネット連結、又は他の固定機構を介してマンドレル本体202に着脱可能に固定され得る。いくつかの例において、マンドレルキャップ204は、マンドレル200からのステントの取り外しを容易にするために、マンドレル本体202から取り外し可能である。他の実施形態では、特にマンドレルキャップ204がマンドレル本体202の外径とほとんど同じ外径を有する場合、マンドレル本体202及びマンドレルキャップ204は、単一構造又はモノリシック構造として形成され得る。いくつかの例において、マンドレル本体202は、外径を有する円筒形部分を含んでもよく、マンドレルキャップ204は、マンドレル本体202の円筒形部分よりも大きい外径を有してもよい。
【0071】
図5及び
図6に示すマンドレル本体202は、第1のステント成形部分210及び第2のステント成形部分212を含み得る。いくつかの場合において、マンドレルキャップ204は、第3のステント成形部分211であり得る。第1のステント成形部分210は、第1の直径を有するマンドレル本体202の円筒形部分であってもよく、第2のステント成形部分212は、第2の直径を有するマンドレル本体の円筒形部分であってもよく、第3のステント成形部分211は、第3の直径を有するマンドレルキャップの円筒形部分であってもよい。いくつかの場合において、第1のステント成形部分210、第2のステント成形部分212、及び/又は第3のステント成形部分211は、非円筒形の外形を有し得る。例えば、第1のステント成形部分210、第2のステント成形部分212、及び/又は第3のステント成形部分211は、代わりに、八角形の断面外形等の多角形の断面外形を有し得る。これは単なる例である。第1、第2、及び第3の直径は、拡張構成におけるステントの所望の形状に基づいて選択され得る。例えば、
図5に示すマンドレル200は、一般的に砂時計の形状を有するステントを製造し得る。第1の直径は、第2の直径及び/又は第3の直径と異なり得る。例えば、第1の直径は、第2の直径より大きくてもよい。しかし、これは必須ではない。いくつかの場合において、第1の直径並びに第2及び/又は第3の直径は、同一又は実質的に同一であり得る。第1及び第2の直径が異なるとき、テーパ状部分214は、第1のステント成形部分210と第2のステント成形部分212との間に延在し、第1のステント成形部分210の円筒形外面から第2のステント成形部分212の円筒形外面まで延在するテーパ状表面216を規定する。同様のテーパ状部分が、第2の直径と第3の直径との間に延在し得る。テーパ状部分214は、移動防止形体形成ピン208を収容するために、テーパ表面216からマンドレル本体202内の軸方向に延在する内部ボア228(例えば、
図7及び
図8参照)までテーパ状部分の周壁を貫通して延在する複数の開口部220を含む。第1のステント成形部分210及び/又は第2のステント成形部分212に対するテーパ表面216の角度は、移動防止形体形成ピン208がテーパ表面216から外方に延在する相対角度に影響を及ぼし得ることが理解されよう。いくつかの場合において、特に、第1のステント成形部分210、第2のステント成形部分212、及び/又は第3のステント成形部分211が類似又は同一の外径を有する場合、テーパ表面216自体はテーパ状でなくてもよく、代わりに一定の外径を有してもよい。
【0072】
いくつかの例において、複数の開口部220の少なくともいくつかは、テーパ表面216に直交する主要寸法を有し得る。いくつかの場合において、複数の開口部220の少なくともいくつかは、テーパ表面216に対して鋭角で延在する主要寸法を有し得る。いくつかの場合において、複数の開口部220のいくつかは、テーパ表面216に対して異なる角度で延在し得ることが理解されよう。示すように、複数の開口部220は、テーパ状部分214の周りに延在するリングにおいて放射状に整列されると考えられ得る。いくつかの場合において、複数の開口部220のいくつかは、複数の開口部220の他のものに対して軸方向にずらされ得ることが理解されるであろう。言い換えると、複数の開口部220のいくつかは、テーパ状部分214の周りに第1のリングを形成可能であり、複数の開口部220の他のものは、テーパ状部分214の周りの第1のリングから軸方向にずらされたテーパ状部分214の周りに第2のリングを形成可能である。
【0073】
いくつかの場合において、複数の開口部220の少なくともいくつかは、それぞれ対応するピン208がテーパ表面216に直交して開口部220を貫通して延在するように、テーパ状部分214を通って直線的に延在し得る。いくつかの場合において、開口部220の少なくともいくつかは、湾曲形状又は螺旋形状を有してもよく、それにより、相補的な湾曲形状又は螺旋形状を有し得る対応するピン208が開口部220から外に延在されると、ピン208が回動可能になり、その結果、ピン208の遠位端が軸方向と同様に半径方向に移動可能になる。
【0074】
作動要素206は、マンドレル本体202の一端(例えば、マンドレルキャップ204の反対側のマンドレル本体の端部)からマンドレル本体202のボア228内に延在して、開口部220内でピン208に選択的に係合して作動させるように構成され得る。例えば、
図6に示される作動要素206は、移動防止形体形成ピン208に係合するように構成され得るテーパ状端部222、及び、マンドレル本体202の第1のステント成形部分210内に延在するねじ式開口部に螺合するように構成されるねじ式本体224を含む。いくつかの例において、テーパ状端部222は、円錐状、円錐台形状、凸状、又は凹状のテーパ部であり得る。作動要素206は、個人又は機械によって作動要素206を回転させ、かつ、第1の方向に回転させることによりマンドレル本体202のボア内に作動要素206を進め、又は第2の方向である反対方向に回転させることにより、作動要素206をマンドレル本体202のボアから引き出させるために使用され得るハンドル226を含むことが考えられ得る。従って、ねじ式本体224は、作動要素206を第1の回転方向に回転させることによって、作動要素206をボアの中に(例えば、マンドレルキャップ204に向かって)螺合可能に進め、作動要素206を第2の反対の回転方向に回転させることによって作動要素206をボアから(例えば、マンドレルキャップ204から離れて)引き出させるように、マンドレル本体202のボアのねじ式領域に螺合可能に係合し得る。これは、例えば、
図7及び
図8に関連して示され、それらは、
図5の線7-7に沿った、マンドレル本体202のボア228内に十分に延在された作動要素206(
図7)、又は、部分的に延在された作動要素206(
図8)を示す断面図である。他の場合には、作動要素206自体がねじ式領域を含むのではなく、ねじ式留め具が、マンドレル本体202のねじ式ボア228に係合して、作動要素206をマンドレル本体202に対して作動させるように構成され得ることが想定される。
【0075】
図7は、ねじ式本体224がマンドレル本体202のボアのねじ式領域と螺合可能に係合された状態で、マンドレル本体202のボア228内に十分に延在された作動要素206を示す。特に、マンドレル本体202のボアは、マンドレル本体202の第1の端部からマンドレル本体202の第1のステント成形部分210内に延在する第1のねじ式領域230を含み、これは、直径、深さ、及びねじ式ピッチにおいて、作動要素206のねじ式本体224に螺合可能に係合するように構成される。いくつかの例では、図示されるように、マンドレル本体202はまた、マンドレル本体202の第2の端部においてマンドレルキャップ204をマンドレル本体202に対して定位置に着脱可能に固定するために、マンドレル本体の第2の反対の端部からマンドレル本体202の第2のステント成形部分212内に延在する第2のねじ式ボア又は領域232を含み、これは、直径深さ、及びねじ式ピッチにおいて、ねじ式留め具(例えば、ボルト又はねじ)218上のねじ山に螺合可能に係合するように構成される。いくつかの場合において、別のねじ式留め具218を利用するのではなく、マンドレルキャップ204自体が、第2のねじ式ボア232に係合するように構成されたねじ式突起を含み得ることが想定される。その代わりに、マンドレル本体202の第2の端部は、ねじ式突起を含んでもよく、マンドレルキャップ204は、マンドレル本体202のねじ式突起に係合するためのねじ式ボア若しくは開口部、又はマンドレルキャップ204の反対側の噛合ねじ式留め具(例えば、ナット)と螺合可能に係合されるようにねじ式突起を通過させるための貫通孔を含んでもよいこともまた想定される。いずれの場合においても、マンドレルキャップ204は、特に、形成されたステントをマンドレル200から取り外すのを助けるために、マンドレル本体202に固定されてもよく、又はそこから取り外されてもよい。いくつかの場合において、マンドレルキャップ204は、特に、マンドレル200が、それぞれの連続するステント成形部分の外径が、先行するステント成形部分の外径以下である外形を有し、かつ、形成されたステントが、マンドレルキャップ204を取り外すことなく、マンドレル200から単純に摺動して外され得る場合に、マンドレル本体202へ恒久的に固定され得る。いくつかの場合において、マンドレル本体202は、マンドレルキャップ204から延在する位置決め又はセンタリング形体236を収容するように構成される位置決め又はセンタリング開口部234を含んでもよいが、これは、全ての場合に必要とされるわけではない。いくつかの場合において、マンドレルキャップ204をマンドレル本体202に固定するために留め具218を使用するのではなく、位置決め又はセンタリング形体236自体が位置決め又はセンタリング開口部234に螺合可能に係合し得る。
【0076】
図7に示すように、作動要素206は、マンドレル本体202のボアの第1のねじ式領域230内に十分に延在される。その結果、移動防止形体形成ピン208は、対応する開口部220を通って半径方向外方に延在するように見える。いくつかの場合において、マンドレル200を形成する様々な構成要素の特定の寸法に応じて、移動防止形体形成ピン208は、作動要素206がマンドレル本体202のボアの第1のねじ式領域230内に十分に延在される前に、作動要素206が進み得る限り、半径方向外方に延在すると考えられ得る。各ピン208の基部238は、作動要素206のテーパ状端部222に係合するものとして見られ得る。これは、作動要素206がマンドレル本体202のボアの第1のねじ式領域230内に部分的にのみ延在している
図8と対比可能である。従って、各ピン208(明確にするために2つのピンのみが示されている)の基部238は、依然として作動要素206のテーパ状端部222に係合されるが、ピン208は、
図7においてピン208が延在する所までは、対応する開口部220を通って半径方向外方に延在しないことが見られ得る。いくつかの場合において、
図7及び
図8に示されるように、各ピン208の基部238は、少なくとも1つの寸法において、対応する開口部220の直径よりも大きくてもよい。従って、ピン208が開口部220を通って半径方向外方に延在可能である範囲は、ピン208の基部238が開口部220の周縁に当接するときに制限され得る。結果として、ピン208は開口部220内に保持され、脱落しない。ピン208は、いくつかの場合において、マンドレル本体202のボアから作動要素206を引き抜くことによって十分に取り外されてもよく、ピン208が開口部220の半径方向内方に移動し、次に、マンドレル本体202のボア228内に落下することを可能にする。
【0077】
図9は、移動防止形体形成ピン208の一例の斜視図である。いくつかの場合において、ピン208は、基部238(ピン本体240に対して拡大された断面を有し得る)と、基部238の反対側のピン端部242との間に延在するピン本体240を含み得る。上述したように、基部238は、ピン本体240よりも直径が大きくてもよいが、これは全ての場合に必要とされるわけではない。所望の形状及び配向を有する移動防止形体を達成するために、移動防止形成ピン208の数、並びにその大きさ、形状、及び/又は配向(例えば、角度)が変更され得ることが想定される。いくつかの場合において、ピン端部242は、ステントのワイヤの一部が湾曲形状に形成されることを容易にするために湾曲していてもよい。いくつかの場合において、湾曲形状は単一な曲線であってもよい。いくつかの例では、湾曲形状は、起伏のある形状又は波形状等の複合曲線であってもよい。いくつかの例では、ピン端部242は、マンドレル200上で成形されるステントの1つ以上のワイヤを収容するように構成され得る、凹型スロット244を含み得る。いくつかの場合において、凹型スロット244は、凹型スロット244を通って延在するステントワイヤが対応する単一又は複合曲線の形状になるように、それ自体が単一又は複合曲線の形状を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、凹型スロット244は、その中に配置されるワイヤに湾曲領域を提供する、湾曲スロット244であり得る。いくつかの場合において、凹型スロット244は、ピン端部242において一点に収束する2つの収束部分を含み、移動防止形体のための鋭い屈曲部を有するワイヤを提供し得る。いくつかの場合において、形成されるステントはニットステントであり、ステント10又は100等の一定直径のニットステントブランクは、ステントのニット管状壁から半径方向外方に延在する移動防止形体を形成するために、凹型湾曲スロット244内に配置されたニットステントブランクの特定のワイヤを用いて、マンドレル200上で伸張され得る。他の場合において、ステントは、マンドレル200上に直接編まれ得る。
【0078】
ピン端部242は、湾曲した外形として示され、ピン本体240よりも寸法が大きくないが、いくつかの場合において、ピン端部242は、ピン本体240を越えて横方向に延在し、弓状表面を形成し得ることが想定される。いくつかの場合において、例えば、ピン端部242の各々の弓状表面は、端から端まで整列し、本質的に、マンドレル200の周囲に延在する隆起リングを形成し得る。ピン端部242の各々の個々の弓状表面は、ステントに移動防止形体の隆起リングを形成するために、作動要素206を第1の回転方向に回転させることによって、作動要素206をマンドレル本体202内に延在させることにより、外方に駆動され得る。作動要素206を第2の反対の回転方向に回転させることにより、ピン208を引き出させ、ステントをマンドレル200から取り外すことができる。
【0079】
図10は、マンドレル200上に配置されたニットステント300の一部を示すが、
図11Aは、マンドレル200から取り外されたニットステント300を示す。ステント300は、上述のステント10、100と形態及び形体が類似してもよい。ステント300は、第1の端部すなわち近位端320と、第2の端部すなわち遠位端322と、第1の端部320と第2の端部322との間に配置された中間領域324とを有し得る。一般に、ステント300は、ステント10、100に関して上述したように、単一のニットストランド又はフィラメント302から形成され得る。ステント300は、複数のループ304を含み、各ループが、重複するベース部分305と、複数の相互接続するラング部分306とを有する。
図10に示すように、ニットステント300のラング部分306の内の1つは、ステント300のニット管状壁からピン208の凹型スロット244に沿って半径方向外方に延在し、ステント300の移動防止形体308の内の1つ以上を形成し得る。従って、移動防止形体308を形成する外方に延在しているラング部分306は、長手方向及び/又は円周方向に隣接するラング部分306に対して半径方向外方に延在し得る。いくつかの場合において、ニットステント300等のニットステントは、最初に一定直径のステントブランク(図示無し)を編み、次に成形プロセス及び/又はアニーリングプロセスの前にマンドレル200上で一定直径のステントブランクを伸張することによって形成され得る。ニットステント300は、第1のステント成形部分210に対応するニットステント300の第1の端部に近接する第1の拡大された直径部分310と、第3のステント成形部分211に対応するニットステント300の第2の端部に近接する第2の拡大された直径部分314と、第2のステント成形部分212に対応する(相対的に)縮小された直径部分312(例えば、第1の及び第2の拡大された直径部分310、314の中間の円筒形の本体領域)とを有することが見られ得る。
【0080】
ニットステント300は、第1の拡大された直径部分310と縮小された直径部分312との間の移行領域においてニットステント300の周りに円周方向に配置されたピン208に対応する移動防止形体308を含む。しかし、移動防止形体308は、所望であれば、ニットステント300の長さに沿って異なる位置に配置され得ることが想定される。ピン208は、ニットステントブラックがマンドレル200上に配置された後、ワイヤが凹型スロット244内に配置された状態で半径方向外方に作動されて、ピン208に係合されたワイヤの部分がステントのニット管状壁から半径方向外方に付勢され、移動防止形体308を形成し得る。移動防止形体308は、一般的に遠位方向に延在し得る。しかし、これは必須ではない。ピン208の向き又は形状を変更することによって、移動防止形体308の一般的な向きを要望により変更可能であることが想定される。例えば、
図11Bは、移動防止形体308bの代替構成を有する例示的なステント300bの斜視図を示す。
図11Bの例示的な実施形態では、移動防止形体308bは、一般的に近位方向に向けられている。
図11Cは、移動防止形体308cについてのさらに別の代替構成を有する例示的なステント300cの斜視図を示す。
図11Cの例示的な実施形態では、移動防止形体308cは、まず、一般的に遠位方向に延在し、次に、移動防止形体308cの頂点がより近位方向に向くように、それら自体の上に折り返される。要望により、他の配向又は配向の組み合わせが使用され得る。
【0081】
図12Aは、ニットステント300の端面図であり、ニットステント300のニット管状壁から半径方向外方に延在する移動防止形体308を示す。図示されるように、移動防止形体308の各々は、隣接する重複ベース部分305の間に延在するニットステント300を形成するフィラメント(複数)又はワイヤ(複数)のループであり、各ループは形状及び寸法がほぼ等しい。上述したように、重複ベース部分305は、フィラメント(複数)又はワイヤ(複数)の部分が、フィラメント(複数)又はワイヤ(複数)の別の部分の周りで交差又はループする場所であり得る。他の場合において、移動防止形体308の内のいくつかは、例えば、形状及び/又は寸法が異なってもよく、又は等間隔でなくてもよい。移動防止形体308は湾曲しているように示されているが、いくつかの場合において、移動防止形体308は、例えば、尖っていてもよく、又は平坦な領域を含んでもよい。
【0082】
例えば、
図12Bは、いくつかの移動防止形体308dを含む、ニットステント300dを示す。移動防止形体308dはそれぞれ、隣接する重複ベース部分305の間に延在し、それぞれ、形状及び寸法がほぼ等しい。しかし、
図12Bを
図12Aと比較することによって、
図12Aに示される移動防止形体308は、
図12Bに示される移動防止形体308dよりもさらに半径方向外方に延在すると見られ得る。移動防止形体308dは、例えば、長さがより短い移動防止形体形成ピン208を使用することによって、又は作動要素206をマンドレル本体202内の遠くまで進ませず、従って、ピン208をマンドレル本体202のテーパ状部分214の表面から遠くまで半径方向外方に進ませないことによって、形成され得る。移動防止形体308dは、例えば、尖っていてもよく、又は他の形状を有してもよい。
【0083】
移動防止形体308及び移動防止形体308dの相対的な寸法は、ニットステント300(又は300d)の最終的な最終使用作用であり得ることが理解されるであろう。比較的に大きい移動防止形体308、308dは、ニットステント300(又は300d)が比較的強い移動力を受け得る解剖学的位置及び/又は患者の解剖学的構造の寸法がより変化しやすい解剖学的位置にニットステント300(又は300d)が配置される状況において有用であり得る。比較的に小さい移動防止形体308、308dは、ニットステント300(又は300d)が比較的弱い移動力を受け得る状況、及び/又は患者の解剖学的構造の寸法がほとんど変化しない解剖学的位置において有用であり得る。いくつかの場合において、ニットステント300(又は300d)の全体寸法も同様に役割を果たし得る。いくつかの場合において、例えば、より大きい直径のニットステント300(又は300d)は、比較的により大きい移動防止形体308、308dを有してもよく、一方、より小さい直径のニットステント300(又は300d)は、比較的により小さい移動防止形体308、308dを有してもよい。
【0084】
図12Cは、いくつかの移動防止形体308eを含む、ニットステント300eを示す。
図12A及び
図12Bに示すニットステント300及び300dとは対照的に、移動防止形体308eは、ニットステント308bの外周の周りでそれぞれの隣接する重複ベース部分305の間に延在しない。移動防止形体308eの各々は、隣接する重複ベース部分305の間に延在するが、いくつかの重複ベース部分305は、移動防止形体308eに取り付けられていない。
図12Cに示す移動防止形体308eは、交互パターン(例えば、移動防止形体308eとラング部分306との間で交互)を有し得る。要望により、他のパターン又は非対称配置が使用され得る。図示のように、移動防止形体308eの各々は、形状及び寸法がほぼ等しい。移動防止形体308eは、例えば、移動防止形体形成ピン208を開口部220の内のいくつかの中に配置することのみによって形成され得る。いくつかの場合において、移動防止形体308eの内のいくつかは、他の移動防止形体308eに対して寸法がより小さくてもより大きくてもよく、及び/又は形状が異なってもよいことが想定される。
【0085】
図12Dは、いくつかの移動防止形体308f及びいくつかの移動防止形体308gを含むニットステント300fを示しており、それぞれが、隣接する重複ベース部分305の間に延在している。図示のように、移動防止形体308fの各々は、形状及び寸法がほぼ等しく、移動防止形体308gの各々は、形状及び寸法がほぼ等しいが、移動防止形体308gまで半径方向外方に延在しないことは理解されるだろう。移動防止形体308f及び308gは、例えば、移動防止形体308fの各々を形成するためにより長い長さのピン208を使用し、移動防止形体308gの各々を形成するためにより短い長さのピン208を使用することによって形成され得る。
図11A~
図11C及び
図12A~
図12Dに示される特定の移動防止形体308、308b、308c、308d、308e、308f、及び308gは、単に例示的なものであり、任意の所望のパターンで混合又は調和され得ることが理解されるであろう。
【0086】
図13は、1つ以上の移動防止形体408を有する別のニットステント400の部分側面図である。ステント400は、本明細書に記載のステントのいずれかと形態及び形体が類似し得る。例えば、ステント400は、上述のステント10、100と同様に、近位端から遠位端まで一般的に一定の直径を有し得る。代わりに、ステント400は、上述のステント300と同様に、増大した直径を有する1つ以上の領域を含み得る。ステント400は、単一のニットストランド又はフィラメント402から形成され得る。ストランド402は、各々が重複ベース部分405を有する複数の相互接続された又は噛合するループ404a~f(まとめて、404)を各々が有する複数の列内に操作(例えば、編まれる)され得る。ステント400は、所望の長さを有するステント400を形成するのに必要な数の列を含み得る。上述したように、ループ404は緩く編まれてもよく、ループ404間に相互接続する中間ラング部分406を含んでもよい。ステント400は、単一のストランド402から形成される必要はなく、むしろ共に編まれた2つ以上のストランドを含み得ることがさらに想定される。いくつかの例では、ループは、ステント400の長手方向の軸線に対して一般的に平行な方向に、先行する列のループと一般的に整列されてもよく、又は先行する列のループから吊り下げられてもよい(例えば、ステント100の長さに沿って周方向に整列される)。従って、ループ404は、軸方向に延在する柱又は畝を形成し得るが、これは必須ではない。
【0087】
上述したように、中間ラング部分406の一部(又は全部)は、移動防止形体408に成形され得る。例えば、1つ以上のラング部分406は、本明細書に記載されるマンドレル200等のマンドレルを使用して、ステント400の本体から放射状に延在するように付勢され得る。移動防止形体408が形成されている間に、屈曲点410a、410b(まとめて、410)が移動防止形体408の1つ以上に形成され得ることが想定される。屈曲点410は、移動防止形体408が滑らかな曲線であることとは対照的に、直接、急な変化を受けるピンチポイント又は領域であり得る。屈曲点410は、ステントが半径方向に拡張された構成にあるときに、移動防止形体408と隣接するループ404a、404bとの交点の近くに、又は交点に形成され得る。移動防止形体408を形成するとともに、屈曲点410を含むストランド402の部分は、隣接するループ404a、404bの下を通過して、移動防止形体408をステント400に戻して結び得る。屈曲点410の角度は、移動防止形体408の所望の角度又は配向を提供するように選択され得ることが想定される。屈曲点410は、移動防止形体形成ピン208を使用して形成され得る。例えば、ピン208は、その下縁部に沿って、屈曲点を形成する凹部を含み得る。ステント400は、移動防止形体408及び/又は屈曲点410の形成後にアニール又は熱処理され得る。
【0088】
ステント400が展開されると、移動防止形体408は、
図13のステント400の領域Aの側面図を示す
図14に示されるように、ステント400から放射状に突出する。
図14に見られるように、屈曲点410は、放射方向に拡張された構成において、ループ404a、404bの下に、又はそれに隣接して配置され得る。移動防止形体408は、ステント400の長手方向の軸線に対して一般的に直交して延在するように示されているが、移動防止形体408は、ステント400の長手方向の軸線に対して約0°~180°の間の角度で延在し得る。屈曲点410は、フィラメントの第1の部分すなわちアーム414a、414b(まとめて、414)と第2の部分すなわちアーム416a、416b(まとめて、416)との間に形成され得る。第1のアーム414は、隣接するループ404から出るフィラメントの一部であってもよく、一方で、第2のアーム416は共に移動防止形体408を形成してもよい。屈曲点410は、第2の部分416が第1の部分414に対して角度412a、412b(まとめて、412)で延在するように形成され得る。角度412は、移動防止形体408が配向される角度及び/又は方向を決定し得る。例えば、図示の例では、角度412は約90°であり、従って、移動防止形体408は、ステント400の長手方向の軸線に対して約90°の角度で延在する。屈曲点410は、その角度412が鈍角であるように形成される場合、移動防止形体408は、一般的に遠位方向418に向けられ得る。例えば、いくつかの例では、角度412は、90°より大きいが155°未満、90°より大きいが145°未満、90°より大きいが135°未満、90°より大きいが120°未満、100°より大きいが155°未満、100°より大きいが145°未満、100°より大きいが135°未満、又は100°より大きいが120°未満であり得る。屈曲点410が、角度412が鋭角であるように形成される場合、移動防止形体408は、一般的に近位方向420に向けられ得る。例えば、いくつかの例では、角度412は、90°未満であるが25°よりも大きく、90°未満であるが35°よりも大きく、90°未満であるが45°よりも大きく、90°未満であるが55°よりも大きく、80°未満であるが25°よりも大きく、80°未満であるが35°よりも大きく、80°未満であるが45°よりも大きく、又は80°未満であるが55°よりも大きくてもよい。
【0089】
角度410は、屈曲点410の曲率半径によって決定され得ることが想定される。より小さい曲率半径は、より鋭い角度412をもたらし得るが、より大きい曲率半径は、より鈍い角度412をもたらし得る。いくつかの場合において、角度412の曲率半径は、ストランド若しくはフィラメントの直径の4倍未満であってもよく、ストランド若しくはフィラメントの直径の3倍未満であってもよく、ストランド若しくはフィラメントの直径の2倍未満であってもよく、又は角度412の曲率半径は、ストランド若しくはフィラメントの直径以下であってもよい。いくつかの実施形態では、屈曲点410は、同様の角度412(及び/又は曲率半径)を有するように形成され得る。他の実施形態では、いくつかの移動防止形体408は、第1の角度412を有して形成されてもよく、他の移動防止形体408は、第1の角度412と異なる第2の角度を有して形成されてもよい。これは、移動防止形体408が異なる放射状外形を有することを可能にする(
図12Dに示すように)。所望の効果を達成するために、任意の数の角度412が様々なパターンで組み合わされ得ることが想定される。
【0090】
さらに、力450が加えられた状態の
図14のステント400を示す
図15を参照すると、ステント400の再配置又は取り外しのために、ステント400に取り外し力が加えられるとき、ステント400は(
図3に示されているものと同様に)伸長し始める。ステント400が伸長すると、屈曲点410は、隣接するループ404a、404bを通って引っ張られる。屈曲点410がループ404を通過すると、移動防止形体408は、矢印452で示されるように半径方向内方に偏向され、ステント400の本体に沿って平坦になる。従って、移動防止形体408の一部分(隣接する屈曲点410の間で移動防止形体408を形成するストランド又はフィラメントの部分)はまた、隣接するループ404a、404bを通って引っ張られ得る。いくつかの例では、ステント400が伸長すると、屈曲点410における角度412は、移動防止形体408がステント400の本体の外径に向かって半径方向内方に偏向されるにつれて増加し得る。ステント10に沿って同様の長手方向の位置に配置された各移動防止形体408は、ステント10の伸長の同じ点で下方に偏向され得ると想定される。これらの特徴は、ステント400を身体又は組織から移動する又は取り外すために必要とされる力を低減し得る。加えられる力の方向は、移動防止形体408が配向される方向及び/又は屈曲点410の角度に基づいて変化し得ることが想定される。例えば、遠位方向に向けられた移動防止形体408は、近位方向に加えられた力によって組織からより容易に係合解除され得るが、近位方向に向けられた移動防止形体408は、遠位方向に加えられた力によって組織からより容易に係合解除され得る。
【0091】
不均一な外形及び1つ以上の移動防止形体を有する、本明細書に記載されるステント10、100、300、300b-f、400等のニットステントを形成するために、一定の直径のニットステントブランク(
図4に示されるような)が、テーパ状外面及び1つ以上の移動防止形体形成要素を有するマンドレル(マンドレル200等)上に位置付けられ得る。一般的に均一な直径及び1つ以上の移動防止形体を有するニットステントは、一定直径のニットステントブランクを、1つ以上の移動防止形体形成要素を有する一般的に均一なマンドレル上に配置することによって形成され得ることに留意されたい。他の実施形態では、不均一又は均一な外形を有するニットステントは、1つ以上の移動防止形体形成要素を有するマンドレル上に直接編まれ得る。いくつかの場合において、一定直径のニットステントブランクをマンドレル上の位置に配置することは、一定直径のニットステントブランクをマンドレル上に引き伸ばすことと、一定直径のニットステントブランクをマンドレルの様々な直径の外面に適合させる(例えば、マンドレルの様々な一定直径領域及び/又はテーパ状直径領域に適合させる)ことを可能にすることとを含む。
【0092】
1つ以上の移動防止形体形成要素(限定されないが、ピン208等)は、アニーリング前に所望の形状を提供するために、ステントの一部によって係合され得る。いくつかの場合において、1つ以上の移動防止形体形成要素は、マンドレルの外面に対して半径方向外方に駆動されるように構成されるピンである。1つ以上の移動防止形体形成要素をステントと係合させることは、ピンをマンドレルに対して半径方向外方に駆動して、ピンのそれぞれの端部とワイヤ(複数)又はフィラメント(複数)をステントのニット管状構造に対して半径方向外方に係合させることを含み得る。次に、移動防止形体が形成されたマンドレル及びその上のステントは、アニーリング又は形状設定プロセスを受け得る。アニーリング又は形状設定プロセスの後、1つ以上の移動防止形体形成要素は、成形されたステントをマンドレルから取り外すために係合解除され得る。いくつかの場合において、1つ以上の移動防止形体形成要素を係合解除することは、ピンがマンドレルに対して内方に移動することを可能にすることを備える。
【0093】
いくつかの場合において、金属成分及び非金属成分又はさらに生分解性成分から1つ以上の移動防止形体を有するニットステントを形成することが所望され得る。そのような場合、金属構成要素及び非金属構成要素は、個別に成形され、次に、組み合わせられて、ステントを形成し得る。いくつかの場合において、金属成分及び非金属成分又はさらに生分解性成分の各々は、それぞれ、移動防止形体を含んでもよく、非金属成分又はさらに生分解性成分の移動防止形体は、金属成分の移動防止形体を補完する。非金属成分が生分解性である場合、生分解性移動防止形体は、ステントの最初の埋め込み時に移動に対する追加の抵抗を提供し得るが、時間の経過とともに分解し得る。
【0094】
2つ(又はそれ以上)の成分のステントを形成するために、いくつかの場合において、一定の直径の金属製のニットステントブランクが、テーパ状の外面及び1つ以上の移動防止形体形成要素を有するマンドレル上に配置され得る。マンドレルは、例えば、マンドレル200であり得る。しかし、マンドレルがテーパ面又は可変直径を有することは必須ではない。いくつかの場合において、一定直径の金属製ニットステントブランクをマンドレル上の位置に配置することは、一定直径の金属製ニットステントブランクをマンドレル上に引き伸ばすことと、一定直径の金属製ニットステントブランクをマンドレルの様々な直径の外面に適合させる(例えば、マンドレルの様々な一定直径領域及び/又はテーパ状直径領域に適合させる)ことを可能にすることとを含む。
【0095】
1つ以上の移動防止形体形成要素(限定されないが、ピン208等)は、アニーリング前に所望の形状を提供するために、金属製ニットステントの一部と係合され得る。いくつかの場合において、1つ以上の移動防止形体形成要素は、マンドレルの外面に対して半径方向外方に駆動されるように構成されるピンである。例えば、ステントの一部を係合するために、ピンは、マンドレルに対して半径方向外方に駆動され、ピンのそれぞれの端部とワイヤ(複数)又はフィラメント(複数)をステントのニット管状構造に対して半径方向外方に係合させる。次に、移動防止形体が形成されたマンドレル及びその上のステントは、アニーリング又は形状設定プロセスを受け得る。アニーリング又は形状設定プロセスの後、1つ以上の移動防止形体形成要素は、成形されたステントをマンドレルから取り外すために係合解除され得る。いくつかの場合において、1つ以上の移動防止形体形成要素を係合解除することは、ピンがマンドレルに対して内方に移動することを可能にすることを備える。
【0096】
いくつかの場合において、成形された金属製ステントがマンドレルから取り外されると、一定直径の生分解性ニットステントブランクが、テーパ状の外面及び1つ以上の移動防止形体形成要素を有するマンドレル上に配置され得る。いくつかの場合において、一定直径の生分解性ニットステントブランクをマンドレル上の位置に配置することは、一定直径の生分解性ニットステントブランクをマンドレル上に引き伸ばすことと、一定直径の生分解性ニットステントブランクをマンドレルの様々な直径の外面に適合させることとを含む。1つ以上の移動防止形体形成要素は、アニーリング前に所望の形状を提供するために係合され得る。
【0097】
いくつかの場合において、生分解性ニットステントブランクのためのアニーリングプロセスは、金属製のニットステントブランクのために使用される温度よりも低い温度を要し得る。次に、移動防止形体が形成されたマンドレル及びその上のステントは、アニーリング又は形状設定プロセスを受け得る。アニーリング又は形状設定プロセスの後、1つ以上の移動防止形体形成要素は、成形された生分解性ステントをマンドレルから取り外すために係合解除され得る。いくつかの場合において、1つ以上の移動防止形体形成要素を係合解除することは、ピンがマンドレルに対して内方に移動することを可能にすることを備える。いくつかの場合において、図示されていないが、成形された生分解性ステントは、成形された金属製ステントの周り又は内部に配置され得る。
【0098】
図16は、本明細書に記載されるステント10、100、300、300b~f、400等のステントを標的領域に送達するための例示的な送達システム500の側面図である。送達システム500は、外側又は外部の長尺シャフト又は管状部材502、及び内側の長尺シャフト又は管状部材504を含み得る。内側管状部材504は、外側管状部材502の管腔内に摺動可能に配置され得る。外側管状部材502は、遠位端領域506から、患者の体外に留まるように構成された近位端領域508まで近位方向に延在し得る。第1のハブ又はハンドル510は、外側管状部材502の近位端領域508に連結され得る。内側管状部材504は、遠位端領域512から、患者の体外に留まるように構成された近位端領域514まで近位方向に延在し得る。第2のハブ又はハンドル516は、内側管状部材504の近位端領域514に連結され得る。いくつかの場合において、外側管状部材502の遠位端領域506は、非侵襲性であるように構成され得る。
【0099】
外側管状部材502は、遠位端領域506から近位端領域508まで延在する管腔518を含み得る。管腔518はまた、第1のハンドル510を通って延在し得る。外側シャフト502の管腔518及び第1のハンドル510は、内側シャフト504を摺動可能に受容するように構成され得る。内側管状部材504は、遠位端領域512から近位端領域514まで延在する管腔520を含み得る。内側管状シャフト504の管腔520はまた、第2のハンドル516を通って延在し得る。内側シャフト504の管腔520は、要望により、案内ワイヤ522を受容するように構成され得る。
【0100】
ステント10は、その遠位端領域512又はそれに隣接して、内側管状部材504の一部の周りに配置され得る。ステント10が内側管状部材504の上に配置され、折り畳みかつ伸長送達構成にあるとき、ステント10は、ステント10を取り囲む外側管状部材502によって、折り畳み縮小直径又は送達構成に拘束され得る。折り畳み構成では、ステント10は、拡張された展開構成よりもより小さい直径及びより長い長さを有し得る。外側管状部材502の遠位端領域506は、送達中に外側管状部材502がステント10の長さを包囲して覆うように配置され得る。外側管状部材502は、ステント10をその縮径状態に保持するのに十分なフープ強度を有し得る。
【0101】
図17は、ステント10が部分的に展開された構成にある送達システム500の側面図を示す。送達システム500は、要望により、胃腸管(又は他の体内管腔)を通って進められ得る。送達システム500は、案内ワイヤ522を使用して又は使用せずに進められ得る。ステント10が標的領域に隣接して位置付けられると、ステント10を半径方向に折り畳まれた構成に維持する拘束力が、ステント10を展開するために除去され得る。
【0102】
ステント10は、第1のハンドル510を第2のハンドル516に対して近位に作動させることによって、例えば、第2のハンドル516を固定位置に維持しながら第1のハンドル510を近位524に引っ張ることによって、解放され得る。従って、外側管状シャフト502は、内側管状シャフト504に対して近位に引き込まれ得る。言い換えると、内側管状シャフト504が静止状態に保持されながら、外側管状シャフト502が近位方向に引き込まれてもよい。
図17に示すように、外側管状シャフト502が近位方向524に引き込まれてステント10を露出させると、付勢力がステント10の外部から除去され、ステント10は、半径方向に拡張した付勢されていない展開構成をとる。外側管状部材502がステント10の近位端14を覆わなくなると、ステント10は、
図1に示すように、十分に展開された構成をとり得る。次に、送達システム500は、体内管腔から取り外され得る。
【0103】
ステント、送達システム、及びそれらの様々な構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例が以下に開示される)、金属-ポリマー複合材料、セラミック、及びそれらの組み合わせ等、又は他の好適な材料から作製され得る。適切な金属及び金属合金のいくつかの例としては、304V、304L、及び316LVステンレス鋼等のステンレス鋼、軟鋼、線形弾性及び/又は超弾性ニチノール等のニッケル-チタン合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金、ニッケル-銅合金、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金、ニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステン又はタングステン合金等の他のニッケル合金、コバルト-クロム合金、コバルト-クロム-モリブデン合金、白金強化ステンレス鋼、チタン、及びこれらの組み合わせ等、又は任意の他の適切な材料を含む。
【0104】
ステント又は送達システムに好適なポリマーのいくつかの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、DuPontから入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、Polyurethane 85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSM Engineering Plasticsから入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテル又はエステル系コポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又はDuPontから入手可能なHYTREL(登録商標)等の他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、Bayerから入手可能なDURETHAN(登録商標)又はElf Atochemから入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、PEBAX(登録商標)の商品名で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、MARLEX(登録商標)高密度ポリエチレン、MARLEX(登録商標)低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルフォン、ナイロン、ナイロン-12(例えば、EMS American Grilonから入手可能なGRILAMID(登録商標))、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS 50A)、ポリカーボネート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、又はその混合物、組み合わせ、コポリマー、及びポリマー/金属複合体等を含み得る。
【0105】
少なくともいくつかの実施形態では、ステント又は送達システムの一部又は全部はまた、放射線不透過性材料を塗られてもよく、放射線不透過性材料から作製されてもよく、又は他に放射線不透過性材料を含んでもよい。放射線不透過性材料は、一般に、(<0.005インチ(0.127mm)の厚さで)X線からガンマ線までの波長範囲のRFエネルギーに対して不透過な材料であると理解されている。これらの材料は、組織等の非放射線不透過性材料が生成する明るい画像に対して、蛍光透視スクリーン上に比較的暗い画像を生成することができる。この比較的明るい画像は、ステント又は送達システムの使用者がその位置を決定するのを助ける。放射線不透過性材料のいくつかの例としては、限定されないが、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填材が充填されたポリマー材料等を含み得る。さらに、他の放射線不透過性マーカーバンド及び/又はコイルもまた、同じ結果を達成するために、ステント又は送達システムの設計に組み込まれ得る。
【0106】
本開示が、多くの点において例示的なものにすぎないことは理解されるべきである。本開示の範囲を逸脱することなく、詳細に、特に形状、大きさ、及び工程の配置に関して変更され得る。これは、適切な範囲で、他の実施形態に使用されている1つの例示的な実施形態の特徴のいずれかの使用を含み得る。本発明の範囲は、言うまでもなく、添付の特許請求の範囲が表現される言語において定義される。
【国際調査報告】