(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】ポンプシステムを作動させる方法
(51)【国際特許分類】
F04B 37/16 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
F04B37/16 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519623
(86)(22)【出願日】2021-09-15
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2021075334
(87)【国際公開番号】W WO2022069229
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507102296
【氏名又は名称】ライボルト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Leybold GmbH
【住所又は居所原語表記】Bonner Str. 498, D-50968 Koeln, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】シ ユン
(72)【発明者】
【氏名】コーケルベルクス ユーリ
【テーマコード(参考)】
3H076
【Fターム(参考)】
3H076AA21
3H076BB21
3H076BB33
3H076BB34
3H076BB45
3H076CC98
3H076CC99
(57)【要約】
各ポンプのターゲット値に基づいて最適化されることになる少なくとも1つのターゲットパラメータを取得する段階と、個々の作動パラメータを用いて各々が作動するポンプの1又は2以上によって提供される作動ターゲットを取得する段階と、1よりも多い及び好ましくは全てのポンプに対して作動パラメータとターゲット値の間の関係を取得してターゲット関数を決定する段階と、ターゲット関数の最大値/最小値を決定して少なくとも1つのポンプに対する作動パラメータを取得する段階と、取得された作動パラメータで作動させてターゲットパラメータを最適化するように少なくとも1つのポンプを制御する段階とを備える、好ましくは1よりも多いポンプを備えるポンプシステムを作動させる方法。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは1よりも多いポンプを備える真空ポンプシステムを作動させる方法であって、
各ポンプのターゲット値に基づいて最適化されることになる少なくとも1つのターゲットパラメータを取得する段階と、
個々の作動パラメータで各々が作動する前記ポンプの1又は2以上によって提供される作動ターゲットを取得する段階と、
前記ポンプの1よりも多く及び好ましくは全てに対して前記作動パラメータと前記ターゲット値の間の関係を取得してターゲット関数を決定する段階と、
前記ターゲット関数の最大値/最小値を決定して少なくとも1つのポンプの作動パラメータを取得する段階と、
前記取得した作動パラメータで作動させて前記ターゲットパラメータを最適化するように少なくとも1つのポンプを制御する段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記作動ターゲットは、前記ポンプシステムによって提供される流量又は圧力であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記作動ターゲットは、マージン-オフセット内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ターゲットパラメータは、エネルギ消費、水/オイル消費、前記ポンプシステムの保守低減のうちの1又は2以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ターゲット関数の最大値/最小値を決定する段階は、FSをVSDと見なして連続作動パラメータを提供する第1の稼働で実行されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の稼働で全てのFSが、ゼロ又は全速である作動パラメータを有するわけではない場合に、前記ターゲット関数の最大値/最小値を決定するための第2の稼働であって、該ターゲット関数の該最大値/最小値を決定するためのステップサイズが増大される前記第2の稼働の開始点として前記決定された作動パラメータを使用する段階を特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記作動ターゲットが、ポンプシステムによって提供される流量であり、かつ前記最適化パラメータが、エネルギ消費又は水/オイル消費である場合に、前記ターゲット関数は、
によって与えられ、nは、VSDの個数であり、mは、FSの個数であり、g
iは、作動パラメータx
iとVSDポンプに対する前記ターゲット値との間の前記取得された関係であり、Power
jは、該FSポンプ
jの該エネルギ消費又は水/オイル消費であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の稼働に対する前記ステップサイズは、0.2よりも小さく、好ましくは0.1よりも小さいことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の稼働に対する前記ステップサイズは、0.5よりも大きく、好ましくは1であることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ターゲットパラメータが保守低減を含む場合に、
方法が、
前記ポンプをそれらの稼働時間数によって選別する段階と、
最小稼働時間数を有して一緒に前記作動ターゲットを提供することができるポンプを選択する段階と、
を更に含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法:
【請求項11】
前記ターゲットパラメータがエネルギ消費又は水/オイル消費を含む場合に、少なくとも前記選択されたポンプを前記ターゲット関数の中に含めることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
好ましくは可変速ポンプVSD又は固定速ポンプFSとして各ポンプが構築された1よりも多いポンプと、
前記ポンプの作動を制御するために各ポンプに接続されたコントローラであって、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の前記方法を実行するように構成された前記コントローラと、
を備えることを特徴とするポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変速ポンプ(VSD)又は固定速ポンプ(FS)として構築された1よりも多いポンプ、すなわち、真空ポンプ又は圧縮器を好ましくは備えるポンプシステムを作動させる方法に関する。更に、本発明は、ポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプシステムは、ある一定の流量又はある一定の圧力、すなわち、真空又は加圧流体のような作動ターゲットを顧客に提供するために異なるタイプのポンプ及び/又は異なるポンプを備える場合がある。その点に関して、ポンプシステムの個々のポンプは、作動ターゲットを提供するために様々な方法で制御することができる。
【0003】
その点に関して、ポンプシステムを最適状態で稼働すること、すなわち、エネルギ消費を最小にすることが顧客の意図である。しかし、特にエネルギ消費に関して、作動ターゲットに寄与する各ポンプの作動値(稼働速度などのような)とそれぞれのターゲットパラメータとの間に各ポンプタイプ(スクロールポンプ又はスクリューポンプなど)及び各ポンプ(例えば、サイズ又は容量の異なる2つのスクリューポンプ)に対して個々に複合的な依存性が存在する。例えば、
図1は、例示する真空ポンプに関して流量と電力消費の間の非線形関係、すなわち、単位流量当たりの電力消費又は電力消費効率を示している。異なる真空ポンプは、別の関係を有することになる。更に、各ポンプに対して制約を考慮しなければならず、すなわち、各VSDポンプは、その最小及び最大流量間で連続流量を提供することができる。しかし、VSDポンプは、0及びその最小値間の流量を送出することができず、それは、その最大値よりも高い流量を送出することもできない。各FSは、流量の2つの値、すなわち、0又はその最大値のみを送出することができる。全体流量は、顧客に提供される作動ターゲット付近のある一定の範囲内であることが必要である。各ポンプの作動値と所与の制約間の複合的な依存性に鑑みて、ポンプシステムをその最適状態で作動することは非自明なタスクである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すなわち、本発明の目的は、ポンプシステムを最適状態で作動する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題は、請求項1に記載の方法及び請求項12に記載のポンプシステムによって解決される。
【0006】
ポンプの各々が可変速ポンプ(VSD)又は固定速ポンプ(FS)として構築される場合がある1よりも多いポンプ、すなわち、真空ポンプ及び/又は圧縮機を好ましくは備えるポンプシステムを作動させるための本発明による方法は、
各ポンプのターゲット値に基づいて最適化されることになる少なくとも1つのターゲットパラメータを取得する段階、
個々の作動パラメータを用いて各々が作動している1又は2以上のポンプによって提供される作動ターゲットを取得する段階、
ポンプシステムの1よりも多い及び好ましくは全てのポンプに対する作動パラメータとターゲット値の間の関係を取得し、ターゲット関数を決定する段階、
ターゲット関数の最大値/最小値を決定し、少なくとも1つのポンプの作動パラメータを取得する段階、及び
ターゲットパラメータを最適化するために少なくとも1つのポンプを取得された作動パラメータを用いて作動するように制御する段階、
を備える。
【0007】
その点に関して、最適化されることになるターゲットパラメータは、各個々のポンプが各ポンプのターゲット値によってターゲットパラメータに寄与する完全ポンプシステムに対するターゲットパラメータである。
【0008】
その点に関して、作動ターゲットは、ポンプシステムのタスク、すなわち、顧客によって与えられ、作動ターゲットは、ポンプシステムの1又は2以上のポンプによって協同的に提供され、ポンプの各々は、作動ターゲットに寄与する個々の作動パラメータを用いて作動している。
【0009】
特定ポンプの作動パラメータとターゲット値の間の対象ポンプに対する関係は、関数関係として又はルックアップテーブルによって決定することができる。この関係は、ポンプの製造業者によってポンプに関して既知であり、かつ容易に実施することができる。更に、ターゲット関数は、作動パラメータとターゲット値の間の各対象ポンプの個々の関係に基づいて対象ポンプに対する作動ターゲットとターゲットパラメータの間の関数関係を提供する。
【0010】
ターゲット関数から、最大値又は最小値が最適化点として決定され、それによって少なくとも1又は2以上のポンプの作動パラメータを取得する。特に、最適状態に対する作動パラメータが、対象ポンプの各々に対して決定される。
【0011】
各ポンプに対して取得された作動パラメータを用いて、少なくとも1つのポンプが、ターゲットパラメータを最適化するために作動される。
【0012】
従って、最初に、作動ターゲットがターゲットパラメータと共に定められ、ターゲットパラメータは、最適化されるべきものである。次に、各ポンプに対して、ターゲット値と作動パラメータの間の関係が確立され、ターゲット関数が決定される。ターゲット関数により、少なくとも1つのポンプに対して最適化された作動パラメータが取得され、次に、ポンプシステムは、ターゲットパラメータを最適化するためにこの少なくとも1つの最適化された取得バージョンパラメータによって制御される。好ましくは、最適化された作動パラメータは、ポンプの各々に対して、更により好ましくはポンプシステムの各ポンプに対してターゲット関数から決定される。
【0013】
好ましくは、作動ターゲットは、ポンプシステムによって提供される流量又は圧力である。すなわち、ポンプシステムは、ポンプシステムによって送出されるタスクに従ってある一定の流量又は圧力を提供しなければならない。その点に関して、ポンプシステム内のポンプは、ポンプシステムのターゲットパラメータを最適化しながら、作動ターゲット、すなわち、流量又は圧力を提供するように制御されなければならない。その点に関して、好ましくは、作動ターゲットは、タスクによって定められたマージンオフセットの範囲内である必要であり、かつポンプシステムによって送出される必要がある。その点に関して、作動ターゲットは、ポンプシステムのサービス品質を保証するためにこれらのマージン内でなければならない。例えば、作動ターゲットが流量である場合に、個々のポンプの作動パラメータは、全てのポンプにわたる合計が作動ターゲットをもたらすようなある一定の流量を提供するために稼働速度である場合がある。同じことは、作動ターゲットが圧力又は定められたいずれかの他の作動ターゲットである場合に適用される。
【0014】
好ましくは、ターゲットパラメータは、エネルギ消費、水/オイル消費、ポンプシステムの保守低減のうちの1又は2以上である。すなわち、本発明により、エネルギ消費及び/又は水/オイル消費を低減すること、及び/又はポンプシステムの保守間隔を延長することが意図される。好ましくは、ターゲットパラメータのうちの1又は2以上は、組み合わせることができ、好ましくは、ターゲットパラメータの優先順位付けが可能である。ターゲットパラメータがエネルギ消費である場合に、個々のポンプのターゲット値は、個々のポンプのエネルギ消費である。
【0015】
好ましくは、ターゲット関数の最大値/最小値を決定することは、連続作動パラメータを提供するVSDとして見なされるFSを用いて第1の稼働で実行される。現実世界では、上述のように、FSは、0又は最大速度又は流量のみを提供することができる。しかし、ターゲット関数の最大値/最小値を確実に見出すために、FSは、連続作動パラメータを提供するVSDとして見なされる。すなわち、ターゲット関数の最大値/最小値を見出すことができること、又はこの最適値に近い少なくとも1つのポンプの少なくとも作動パラメータが見出されることが保証される。
【0016】
好ましくは、第1の稼働で全てのFSが0又は全速である作動パラメータを有するわけではない場合、すなわち、作動パラメータをFSの実際の作動状態に適合させることができる場合に、FSは、第1の稼働の決定された作動パラメータをターゲット関数の最大値/最小値を決定するための第2の稼働に対する出発点として用いて相応に制御することができ、第2の稼働では、ターゲット関数の最大値/最小値の決定のためのステップサイズが増大される。特に、ステップサイズは、FSに対してのみ増大される。その点に関して、第2の稼働の終了時に0と最大速度であるFSの完全作動範囲の近くまでステップサイズを増大することにより、FS作動パラメータに関して各FSに対する0又は最大速度のいずれかが決定されることが保証される。すなわち、少なくとも第2の稼働により、対象ポンプに対する作動パラメータは、ターゲットパラメータを最適化するために作動されるように個々のポンプをそれを用いて制御することができる最適値の近くに決定することができる。
【0017】
好ましくは、作動ターゲットがポンプシステムによって提供される流量であり、かつ最適化パラメータがエネルギ消費又は水/オイル消費である場合に、ターゲット関数は、以下のように与えられる。
【0018】
その点に関して、Qは、利用可能な全てのポンプ間で分配される流量を示す。Q
iは、VSD又はFSのいずれかであるpump
iの流量を示し、x
iは、
により、設定値圧力でのポンプiの最大流量と比較される流量比を示す。
【0019】
更に、giは、VSDに対する設定値圧力でのポンプiの電力消費に対するルックアップテーブルを示す。powerjは、FSに対する設定値圧力でのポンプjの固定電力を示し、nは、利用可能な全てのVSDの数を示し、一方でmは、利用可能な全てのFSの数を示す。次に、ターゲットパラメータは、最適化されることになるターゲットベクトルX={x1,x2,...xn,...xn+m}によって与えられる。
【0020】
好ましくは、制約が考慮される。VSDに対して、真空ポンプの流量は、次式:
によって与えられ、VSDがゼロ流量又はその最小及びその最大流量間の流量のいずれかを提供することができることを意味する。FSに対する制約は、x
j∈{0,1}によって与えられる流量に関するものであり、FSがゼロ又は最大流量のいずれかを提供することができることを意味する。更に、提供される流量は、接続された加圧システムのタスクを実行するのに必要な流量のマージン内でなければならない。
【0021】
好ましくは、ターゲット関数の最小値/最大値は、ポンプの各々に対してlrをステップサイズとして作動パラメータxj
iを提供するxj
i=xi-lr*gradxjによって与えられる数値勾配によって決定される。
【0022】
好ましくは、第1の稼働のステップサイズは、ターゲット関数の最大値/最小値を確実に見出すことを保証するために0.2よりも小さく、好ましくは0.1よりも小さい。しかし、これは、0と1の間の作動パラメータを有するFSに対する非現実的な値をもたらすことになる。
【0023】
好ましくは、第2の稼働のためのステップサイズは、FSの作動パラメータがFSをそれを用いて稼働することが可能である0又は1のいずれかであることを保証するために0.5よりも大きく、好ましくは1である。すなわち、ターゲット関数の最大値/最小値の決定の第1の稼働が、FSによって実施することができない0と1の間のFS作動パラメータを提供する場合に、増大したステップサイズに起因してFSの作動パラメータが0又は1のいずれかであるように強制される第2の稼働が必要である。
【0024】
好ましくは、ターゲットパラメータが保守低減を含む場合に、本方法は、稼働時間によってポンプを選別する段階と、最小稼働時間を有するポンプを選択する段階とを更に含み、これは、合わせて作動ターゲットを提供することができる。ターゲットパラメータが保守の低減のみである場合に、選択されたポンプは、作動ターゲットを提供するように制御される。それにより、ポンプシステム内のどのポンプも次回の保守に対する稼働時間を超えないことが保証され、それによって保守間隔を延長する。
【0025】
ターゲットパラメータが、保守低減と共にエネルギ消費又は水/オイル消費を含む場合に、選択されたポンプは、エネルギ消費のターゲットパラメータも同様に最適化するために、選択されたポンプに対する作動パラメータを見出すためにターゲット関数の中に含められる。特に、ターゲットパラメータを最適化するためのより多くの自由度を提供することができるように稼働時間の順番でより多くのポンプをターゲット関数の中に含めることができる。作動ターゲットを提供するのに2つのポンプで十分であるが、ポンプシステム内の5つのポンプが稼働時間に対する所与の閾値よりも低い場合に、最適化されたターゲットパラメータを決定するために全ての5つのポンプがターゲット関数の中に含まれる。
【0026】
好ましくは、ターゲット関数にポンプを考慮するための対象ポンプの個数の閾値又は最大稼働時間に対する閾値は、ターゲットパラメータの優先順位を提供する特に顧客によって設定された又は予め決められた優先順位値に従って決定される。その点に関して、優先順位が保守低減である場合に、作動ターゲットを提供するのに必要であるポンプのみが選択される。優先順位がエネルギ消費又は水/オイル消費である場合に、ポンプシステムのより多くのポンプ及び好ましくは全てのポンプが、それらの稼働時間に関係なく考慮される。優先順位を保守低減からエネルギ消費又は水/オイル消費に向けてシフトすることに対して、ターゲット関数によって次の保守間隔に近い稼働時間を有する更に多くのポンプが考慮されることになる。それにより、ターゲットパラメータの最適値を提供するためにターゲット関数の自由度が増大する。
【0027】
本発明の別の態様では、1よりも多いポンプを備えるポンプシステムを提供する。その点に関して、ポンプは、真空ポンプ及び/又は圧縮器とすることができる。更に、ポンプの各々は、好ましくは、可変速ポンプ(VSD)又は固定速ポンプ(FS)として構築される。更に、ポンプシステムは、ポンプの作動を制御するために各ポンプに接続されたコントローラを備える。その点に関して、コントローラは、以上の説明による方法を実行するように構成される。
【0028】
以下では、添付の図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】流量と単位流量当たりの電力消費との間のある一定のポンプの関係を例示する図である。
【
図3】本発明による方法の詳細な実施形態の図である。
【
図4A】本発明による方法の詳細な実施形態の図である。
【
図5】本発明によるポンプシステムの実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明による方法は、ポンプシステムを作動させることに関する。その点に関して、好ましくは、ポンプシステムは、1よりも多いポンプを備え、各ポンプは、可変速ポンプ(VSD)又は固定速ポンプ(FS)として構築される場合がある。ポンプの各々は、圧縮器又は真空ポンプである場合がある。好ましくは、1よりも多いVSD及び/又は1よりも多いFSが使用される。その点に関して、ポンプシステム内のポンプは、ポンプシステムに接続された加圧システムに流量又は圧力を提供してある一定のタスクを実行するために協働する。
【0031】
本発明による方法の段階は、以下のように
図2に描かれている。
【0032】
段階S01では、最適化されることになる少なくとも1つのターゲットパラメータは、製造業者によるターゲットパラメータの事前設定によるか又は顧客の入力作動によるかのいずれかによって取得される。その点に関して、ターゲットパラメータは、ポンプシステム内の各ポンプのうちの少なくとも1つのターゲット値及び好ましくは各ポンプのターゲット値に基づいている。すなわち、ターゲットパラメータは、実際に、本発明の作動方法によって最適化されるべきパラメータを表している。好ましくは、ターゲットパラメータは、ポンプシステムのエネルギ消費又はポンプシステムの水/オイル消費(特に、給水ポンプが使用される場合)、又はポンプシステムの保守低減、すなわち、ポンプシステムの保守間隔の延長である場合がある。その点に関して、ポンプシステム内のポンプの各々は、その個々のターゲット値によってターゲットパラメータに寄与し、例えば、各ポンプは、ポンプシステム内の他のポンプのエネルギ消費と組み合わされるある一定のエネルギ消費を有し、ターゲットパラメータとして最適化されることになる完全ポンプシステムの完全エネルギ消費をもたらす。
【0033】
段階S02では、少なくとも作動ターゲットは、製造業者による作動ターゲットの事前設定によるか又は顧客の入力作動によるかのいずれかで取得される。その点に関して、作動ターゲットは、ポンプシステムによって送出される流量又は圧力である場合がある。その点に関して、作動ターゲットは、個々の作動パラメータを用いて各々が作動するポンプシステムのポンプの1又は2以上によって提供される。その点に関して、作動パラメータは、ポンプシステム内の全てのポンプの又は少なくともポンプシステム内の対象ポンプの組み合わされた作動ターゲットに対するそれぞれのポンプの寄与を示している。その点に関して、作動パラメータは、ポンプの稼働速度に関連する場合がある。
【0034】
段階S03では、作動パラメータとターゲット値の間の関係が各ポンプに対して取得される。特に、ポンプシステム内で異なるタイプのポンプ及び/又は異なるサイズ、寿命、又は異なる製造業者のポンプのような異なるポンプが適用される場合に、ポンプの稼働速度又はある一定の圧力で提供される流量のような作動パラメータと特定のターゲット値、例えば、エネルギ消費との間の各個々のポンプに対する特定の関係が存在する。その点に関して、この関係は、通常は非線形である。ある一定の真空ポンプに対する流量と電力消費との間の関係のようなその例は、非線形挙動を示す
図1に例示的に描いている。その点に関して、各ポンプに対する作動パラメータとターゲット値との間の関係は、ルックアップテーブルによって提供される場合がある。各ポンプに対して取得された関係から、ポンプシステム内の対象ポンプの各々に対する及び好ましくはポンプシステム内の全てのポンプに対する複合ターゲット関数が決定される。その点に関して、ターゲット関数は、対象ポンプの各々の作動パラメータとターゲットパラメータとの間の関係を提供する。
【0035】
段階S04では、ターゲット関数の最大値又は最小値が決定される。その点に関して、最大値又は最小値は、最適化されることになるターゲットパラメータに応じてこのターゲットパラメータが最大化される又は最小化される必要があるか否かで選択される。例えば、エネルギ消費は、勿論最小化されることになり、ターゲット関数の最小値を決定することをもたらす。その点に関して、ターゲット関数の最大値/最小値からは、少なくとも1つのポンプの作動パラメータ及び好ましくはポンプシステム内のポンプの各々に対する作動パラメータが取得される。
【0036】
段階S05では、ポンプシステム内の少なくとも1つのポンプ及び好ましくは全てのポンプは、ターゲットパラメータを最適化するために、取得された作動パラメータを用いて作動するように制御される。すなわち、ターゲット関数の最大値/最小値を決定することにより、ターゲットパラメータを最適化することができ、かつ対象ポンプに対するそれぞれの作動パラメータを取得することができる。その点に関して、作動パラメータは、作動ターゲットが依然として満足されるように、すなわち、ポンプシステムがポンプシステムによってある一定のタスクを実行するために必要な流量又は圧力を提供するように選択される。
【0037】
具体的な例では、Qは、作動ターゲットとして全ての利用可能なポンプに分配されることになる流量を示す。更に、Q
iは、ポンプiが送出する流量を示し、x
iは、
により、設定値圧力でのポンプiの最大流量と比較される流量比を示す。
【0038】
更に、g
iは、VSDであるポンプiの設定値圧力での電力に対するルックアップテーブルを示す。同様に、power
jは、FSであるポンプjが設定値圧力で消費する固定電力を示すとする。更に、nは、全ての利用可能なVSDの個数を示すことにし、mは、全ての利用可能なFSの個数を示すことにする。次に、ターゲットパラメータは、最適化されることになるベクトルX={x
1,x
2,...x
n,...x
n+m}であり、ターゲット関数は、
によって提供することができる。
【0039】
ターゲット関数は、VSDが流量を送出しないか又はVSD最小流量とその最大流量の間の流量を送出することができるかのいずれかであるので一部の制約の下にあり、すなわち、以下のようである。
【0040】
FSポンプは、0流量又はその最大流量のみを提供することができ、すなわち、xj∈{0,1}である。
【0041】
更に、作動ターゲットは、
として書くことができるoffset
lowとoffset
highによって区切られるある一定のマージン内でなければならない。
【0042】
多数のポンプ及びそれらの個々の依存性に起因して、ポンプの各々に対する勾配を個々に直接に決定することは可能ではない。更に、テップ関数に対する数値勾配は、決定することはできない。代わりに、各降下ステップは、n個のサブステップに分割され、N=n+mは、ポンプの総数を意味する。各サブステップiでは、それは、
で計算され、g
-1は、流量Q
iを比x
iに変換する関数である。その点に関して、ステップサイズlrは、常に固定されているわけではない。代わりに、ステップサイズlrは、各サブステップ内で適応される場合がある。その総電力消費が最小であるサブステップの結果は、ステップの出力として受け入れられる。すなわち、上述の計算により、ターゲットパラメータは、VSDによって提供することができる連続流量を考慮して小さいステップlr内でその最適値に近づく。
【0043】
しかし、0に対応する流量又はFSの最大流量のみを有するFSに同じ手法が適用される場合に、FSによって実現することができない望ましくないかつ非現実的な結果がもたらされる。
【0044】
ソリューションが提供されて
図3に描かれている。ステップS41では、ターゲット関数の最大値/最小値を決定する段階は、FSをVSDとして見なして、すなわち、ターゲットパラメータの最適値に向う小さいステップを使用して第1の稼働で実行される。その点に関して、ステップサイズlrは、好ましくは0.2よりも小さく、更により好ましくは0.1よりも小さい。
【0045】
ステップS42では、第1の稼働で、全てのFSが、FSによって送出することができる0又は全速である作動パラメータを有するか否かが検査される。
【0046】
ステップS43では、0又は全速である作動パラメータを全てのFSが有するわけではない場合に、ステップS41で決定された作動パラメータは、ターゲット関数の最大値/最小値を決定するための第2の稼働に対する出発点として使用され、ターゲット関数の最大値/最小値を決定するためのステップサイズlrは、FSに対して増大される。好ましくは、ステップサイズlrは、0.5よりも大きく、好ましくは1であるように選択される。すなわち、第1の稼働に起因して、作動パラメータは、ターゲットパラメータに関して最適値に既に近い。第2の稼働では、lrの増大したステップサイズに起因して、FSの各々に対して0又は1である作動パラメータが取得されることが保証される。
【0047】
すなわち、一方でターゲット関数の最大値/最小値の決定の2回の稼働により、最適化されたターゲットパラメータに対する作動パラメータを見出すことができ、FSに対して、制約は、0流量又はその最大流量のいずれかを提供すると考えられる。その結果、VSD及びFSポンプを含む複数の異なるポンプを有するポンプシステムは、最適状態で確実に作動することができる。
【0048】
これに代えて、ターゲットパラメータはまた、
図4A及び4Bに描くように保守の低減又は保守間隔の延長とすることができる。ステップS50では、ポンプシステムの対象ポンプ及び好ましくは全てのポンプは、稼働時間によって選別される。ステップS51では、最小稼働時間を有するポンプが選択され、これらは一緒に作動ターゲットを提供することができる。この状況は、5つの真空ポンプ10を有する真空ポンプシステムに関して
図4Bに例示的に描いている。これらの真空ポンプは、ステップS50に従って稼働時間によって選別され、選別された真空ポンプ12を形成する。作動ターゲットを達成することができる真空ポンプ15が選択される。
図4Bの例では、選択された真空ポンプ15は、作動ターゲットを提供するのに十分である真空ポンプ2及び1である。すなわち、作動ターゲットを提供するために、真空ポンプ2及び1のみが作動真空ポンプ20として作動されるように制御され、それによって保守要件を低減し、すなわち、保守間隔を延長する。
【0049】
更に、消費エネルギの低減又は保守間隔の延長のいずれかを優先順位付けすることが可能である。エネルギ消費の低減を優先する場合に、ステップS53では、全てのポンプは、それらの稼働時間数に関係なく選択される。
図4Bの例では、ターゲット関数の最大値/最小値を決定するための全ての5つの真空ポンプ19が、5つの真空ポンプのエネルギ消費を最適化するために選択される。すなわち、最小化されたエネルギ消費で作動ターゲットを送出するために、全ての5つの真空ポンプが作動真空ポンプ24として作動される。
【0050】
保守間隔の延長とエネルギ消費の低減との間のより均衡の取れた優先順位に関して、ステップS52の優先順位に依存して、作動ターゲットを提供するのに必要なポンプよりも多いものが利用可能ポンプから選択される。
図4Bの例では、5つの真空ポンプ17のうちの3つが、エネルギ消費のターゲットパラメータを最適化するために選択されてターゲット関数に考慮される。この例では、2つの残りの真空ポンプ3及び5は、高い稼働時間を有する場合がある。保守を回避して保守間隔を延長するために、これら2つの真空ポンプ3,5は排除され、3つの真空ポンプ2,1,4のみが作動真空ポンプ22として作動される。その点に関して、選択される真空ポンプの個数は、所与の優先順位に依存する。すなわち、
図4Bでの例15のような保守要件の低減から例19のもののようなエネルギ消費の低減に対する優先順位に向けての優先順位のシフトを用いると、最適化された作動パラメータを決定してターゲットパラメータの最適化を達成するために、ターゲット関数に考慮される真空ポンプの個数の増大に対応する多数の段階が利用可能である。真空ポンプシステムは、最適状態で作動させることができる。
【0051】
図5を参照すると、ポンプシステムに接続された加圧システムに十分な流量を提供してある一定のタスクを実行するために並列に配置され、かつ共通入口42と接続され、好ましくは共通出口44と接続された5つのポンプ32、...、40を有するポンプシステムに対する例を示している。その点に関して、ポンプ32,...,40の各々は、圧縮機又は真空ポンプのいずれかである。更に、ポンプ32,...,40の各々は、VSD又はFSとして構築される。その点に関して、全てのポンプ32,...,40は、上述の作動方法を実行するように構成された共通制御器31に接続される。
【符号の説明】
【0052】
31 共通制御器
32、34、36、38、40 ポンプ
42 共通入口
44 共通出口
【国際調査報告】