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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】アイマスクシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20231005BHJP
   A61M 16/06 20060101ALI20231005BHJP
   A61F 9/04 20060101ALI20231005BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20231005BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20231005BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A61M16/00 305A
A61M16/06 A
A61F9/04 340
A61B5/16 130
A61B5/08
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023500063
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-02-28
(86)【国際出願番号】 AU2021050690
(87)【国際公開番号】W WO2022000030
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】2020902195
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2020902196
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アダム・フランシス・バーロウ
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン・ジョン・フォーミカ
(72)【発明者】
【氏名】スン・フン・ムン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュー・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】リアム・ホーリー
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038PP05
4C038PS00
4C038PS03
4C038PS07
4C038SS09
(57)【要約】
睡眠呼吸障害の治療のために呼吸圧力療法(RPT)を提供するアイマスクシステムであって、使用時にユーザの眼を覆うように構成されたアイマスク;ユーザの睡眠に影響を与えること、および/またはユーザもしくはユーザの睡眠の特性を検出することを行うように構成された1つ以上のトランスデューサを含む、アイマスクシステム。アイマスクシステムは、加圧された空気流れまたは流れ生成器を受容する接続ポートを含み得、アイマスクシステムは、プレナムチャンバと、ユーザの顔の領域とのシールを形成するためのシール形成構造と、ユーザによって吐き出されたガスが周囲へ流れるようにする通気部とを含み得る。アイマスクシステムは、RPTをユーザに提供しない非治療モードと、RPTをユーザに提供する治療モードとで動作し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠呼吸障害の治療のために呼吸圧力療法をユーザに提供するアイマスクシステムであって、前記アイマスクシステムは、
使用時に前記ユーザの眼を覆うように構成されたアイマスク;
前記ユーザの睡眠に影響を与えること、および/または前記ユーザの睡眠の特性を検出すること、および/または睡眠中に前記ユーザの特性を検出することを行うように構成された1つ以上のトランスデューサ
を含み;
前記アイマスクシステムは、
前記ユーザによる呼吸のために治療的圧力で空気回路から加圧された空気流れを受容し、前記空気回路へ流体接続するように構成された接続ポート;または
前記加圧された空気流れを前記治療的圧力で生成するように構成された流れ生成器
のうち1つをさらに含み、
前記アイマスクシステムは、
前記治療的圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、前記空気流れを前記治療的圧力で受容するようなサイズおよび構造にされる、プレナムチャンバと、
前記ユーザの気道への入口を取り囲む前記ユーザの顔の領域とのシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その内部に穴を有し、その結果、前記治療的圧力で前記空気流れは、少なくとも前記ユーザの鼻孔への入口へ送達され、前記シール形成構造は、使用時に前記治療的圧力を前記プレナムチャンバ内において前記ユーザの呼吸サイクル全体を通じて維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの内部から周囲へ、前記ユーザによって吐き出されたガスが連続的に流れるようにする通気部であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気部と、をさらに含み、
前記アイマスクシステムは、以下の少なくとも2つのモード、すなわち呼吸圧力療法を前記ユーザに提供しない非治療モード、および睡眠呼吸障害の治療のために呼吸圧力療法を前記ユーザに提供する治療モード、で動作するように構成される、アイマスクシステム。
【請求項2】
前記1つ以上のトランスデューサは、前記ユーザの睡眠の特性、および/または睡眠中の前記ユーザの特性を検出するように構成された1つ以上のセンサを含む、請求項1に記載のアイマスクシステム。
【請求項3】
前記1つ以上のセンサは、EEGセンサを含む、請求項2に記載のアイマスクシステム。
【請求項4】
前記1つ以上のセンサは、ECGセンサ、心拍数センサ、酸素飽和度センサおよび/または血圧センサを含む、請求項2または請求項3に記載のアイマスクシステム。
【請求項5】
前記1つ以上のセンサは、加速度計および/またはマイクロフォンを含む、請求項2~4のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項6】
前記1つ以上のセンサは、周囲温度センサおよび/または体温センサを含む、請求項2~5のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項7】
前記アイマスクシステムは、前記センサのうち1つ以上の出力を分析するように構成される、請求項2~6のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項8】
前記アイマスクシステムは、睡眠特性の特定、問題の特定、結果の予測、および/または前記分析に基づいた推奨事項の提供を行うように構成される、請求項7に記載のアイマスクシステム。
【請求項9】
前記アイマスクシステムは、障害の検出および/または診断を行うように構成される、請求項8に記載のアイマスクシステム。
【請求項10】
前記アイマスクシステムは、睡眠呼吸障害を検出するように構成される、請求項9に記載のアイマスクシステム。
【請求項11】
前記アイマスクシステムは、少なくとも前記非治療モードにおいて睡眠呼吸障害を検出するように構成される、請求項10に記載のアイマスクシステム。
【請求項12】
前記アイマスクシステムは、無呼吸、低呼吸、過呼吸および喘ぎのうち1つ以上を少なくとも前記非治療モードにおいて検出するように構成される、請求項10または請求項11に記載のアイマスクシステム。
【請求項13】
前記アイマスクシステムは、前記非治療モードにおいて睡眠呼吸障害を検出し、睡眠呼吸障害が検出された際に前記非治療モードから前記治療モードに切り替わるように構成される、請求項1~12のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項14】
前記アイマスクシステムは、シール形成構造を含み、前記シール形成構造は、前記シール形成構造が前記ユーザと接触しない非接触位置と、前記シール形成構造によって前記ユーザの顔に対してシールを形成することが可能な密閉位置との間で移動可能であり、前記アイマスクシステムは、前記非治療モードから前記治療モードへの変化中に前記シール形成構造を前記非接触位置から前記密閉位置へ移動させるように構成される、請求項1~13のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項15】
前記アイマスクシステムは、クッションモジュールを含み、前記クッションモジュールは、前記シール形成構造を含み、前記プレナムチャンバを少なくとも部分的に形成する、請求項1~12のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項16】
前記クッションモジュールは、前記アイマスクに取り外し可能に取り付け可能である、請求項15に記載のアイマスクシステム。
【請求項17】
前記アイマスクシステムは、前記クッションモジュールが前記アイマスクに取り付けられているかどうかに関係なく前記非治療モードで動作可能である、請求項16に記載のアイマスクシステム。
【請求項18】
前記クッションモジュールは、前記アイマスクに対して移動可能である、請求項15~17のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項19】
前記クッションモジュールは、前記シール形成構造が前記ユーザと接触しない非接触位置と、前記シール形成構造によって前記ユーザの顔に対してシールを形成することが可能な密閉位置との間で移動可能である、請求項18に記載のアイマスクシステム。
【請求項20】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが就眠中であることを特定するように構成される、請求項1~19のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項21】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが就眠中であることが特定される際に、前記非治療モードから前記治療モードに切り替わるように構成される、請求項20に記載のアイマスクシステム。
【請求項22】
睡眠呼吸障害の治療のためのアイマスクシステムであって、前記アイマスクシステムは、
使用時にユーザの眼を覆うように構成されたアイマスク;
前記ユーザの睡眠に影響を与えること、および/または前記ユーザの睡眠の特性を検出すること、および/または睡眠中に前記ユーザの特性を検出することを行うように構成された1つ以上のトランスデューサ
を含み;
前記アイマスクシステムは、
空気回路から前記ユーザによる呼吸のために治療的圧力で加圧された空気流れを受容し、前記空気回路へ流体接続するように構成された接続ポート;または
前記加圧された空気流れを前記治療的圧力で生成するように構成された流れ生成器
のうち1つをさらに含み、
前記アイマスクシステムは、
治療的圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、前記空気流れを前記治療的圧力で受容するようなサイズおよび構造にされる、プレナムチャンバと、
患者の気道への入口を取り囲む前記患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その内部に穴を有し、その結果、前記治療的圧力で前記空気流れは、少なくとも前記患者の鼻孔への入口へ送達され、前記シール形成構造は、使用時に前記治療的圧力を前記プレナムチャンバ内において前記患者の呼吸サイクル全体を通じて維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの内部から周囲へ、前記患者によって吐き出されたガスが連続的に流れるようにする通気部であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気部と、をさらに含み、
前記アイマスクシステムは、呼吸圧力療法中に前記ユーザが就寝すること、および/または就眠を維持することを支援するように構成される、アイマスクシステム。
【請求項23】
前記1つ以上のトランスデューサは、周囲環境の特性、前記ユーザの睡眠の特性、および/または前記ユーザの特性を検出するように構成された1つ以上のセンサを含む、請求項22に記載のアイマスクシステム。
【請求項24】
前記1つ以上のセンサは、EEGセンサを含む、請求項23に記載のアイマスクシステム。
【請求項25】
前記1つ以上のセンサは、ECGセンサ、心拍数センサ、酸素飽和度センサおよび/または血圧センサを含む、請求項23または請求項24に記載のアイマスクシステム。
【請求項26】
前記1つ以上のセンサは、加速度計および/またはマイクロフォンを含む、請求項23~25のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項27】
前記1つ以上のセンサは、周囲温度センサおよび/または体温センサを含む、請求項23~26のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項28】
前記アイマスクシステムは、前記センサのうち1つ以上の出力を分析し、前記分析に基づいてアクションを行うように構成される、請求項23~27のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項29】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザの睡眠を最適化するように構成される、請求項23~28のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項30】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが就寝すること、および/または就眠を維持することを支援し得る変化を、発生した場合に決定するように構成される、請求項23~29のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項31】
前記アイマスクシステムは、前記センサのうち1つ以上の出力に基づいて前記空気流れの治療的圧力を調整するように構成される、請求項23~30のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項32】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが起床していることを検出し、前記治療的圧力を低下させるように構成される、請求項31に記載のアイマスクシステム。
【請求項33】
前記アイマスクシステムは、周囲ノイズが所定の閾値を超えたことが検出された際に治療的圧力を低下させるように構成される、請求項31または請求項32に記載のアイマスクシステム。
【請求項34】
前記アイマスクシステムは、マイクロフォンおよび音響トランスデューサを含む、請求項23~33のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項35】
前記アイマスクシステムは、周囲ノイズが所定の閾値を超えたことが検出された際に前記音響トランスデューサを用いてノイズキャンセリング効果を提供するように構成される、請求項34に記載のアイマスクシステム。
【請求項36】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが起床していることが検出された際に前記音響トランスデューサを用いてノイズキャンセリング効果を提供するように構成される、請求項34または35に記載のアイマスクシステム。
【請求項37】
前記1つ以上のトランスデューサは、前記ユーザの睡眠に影響を与えるように構成された1つ以上の出力トランスデューサを含む、請求項22~32のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項38】
前記1つ以上の出力トランスデューサは、前記ユーザの就寝を支援すること、前記ユーザの就眠の維持を支援すること、および/または睡眠の質を向上させることを行うように構成される、請求項37に記載のアイマスクシステム。
【請求項39】
前記アイマスクシステムは、前記出力トランスデューサのうち1つを動作させて、より長い睡眠、より深い睡眠、より長い深睡眠、およびより長いレム睡眠のうち1つ以上を達成するように構成される、請求項38に記載のアイマスクシステム。
【請求項40】
前記1つ以上の出力トランスデューサは、音響トランスデューサを含む、請求項37~39のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項41】
前記アイマスクシステムは、前記音響トランスデューサを用いてノイズキャンセリング効果を提供するように構成される、請求項40に記載のアイマスクシステム。
【請求項42】
前記1つ以上の出力トランスデューサは、ディスプレイを含む、請求項39~41のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項43】
前記1つ以上の出力トランスデューサは、温度トランスデューサを含む、請求項39~42のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項44】
睡眠中にユーザの頭部上に着用されるように構成されたアイマスクシステムであって、前記アイマスクシステムは、
使用時に前記ユーザの眼を覆うように構成されたアイマスクと;
前記ユーザの睡眠に影響を与えること、および/または前記ユーザの睡眠の特性を検出すること、および/または睡眠中に前記ユーザの特性を検出することを行うように構成された1つ以上のトランスデューサと;
睡眠中に前記ユーザの眼を覆う使用時位置に前記アイマスクを保持する力を印加するように構成された少なくとも1つのストラップを含む位置決めおよび安定化構造と;を含む、アイマスクシステム。
【請求項45】
前記1つ以上のトランスデューサは、前記ユーザの睡眠の特性、および/または睡眠中の前記ユーザの特性を検出するように構成された1つ以上のセンサを含む、請求項44に記載のアイマスクシステム。
【請求項46】
前記1つ以上のセンサは、EEGセンサ、ECGセンサ、心拍数センサ、酸素飽和度センサ、血圧センサ、加速度計、体温センサ、周囲温度センサおよび/またはマイクロフォンのうち任意の1つ以上を含む、請求項45に記載のアイマスクシステム。
【請求項47】
前記アイマスクシステムは、睡眠特性の特定、問題の特定、結果の予測、および/または前記分析に基づいた推奨事項の提供を行うように構成される、請求項1~46のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項48】
前記アイマスクシステムは、睡眠呼吸障害を検出するように構成される、請求項1~47のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項49】
前記アイマスクシステムは、ユーザが睡眠中であることを特定するように構成される、請求項1~48のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項50】
前記アイマスクシステムは、睡眠段階を特定するように構成される、請求項49に記載のアイマスクシステム。
【請求項51】
前記1つ以上のトランスデューサは、前記ユーザの睡眠に影響を与えるように構成された1つ以上の出力トランスデューサを含む、請求項1~50のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項52】
前記1つ以上の出力トランスデューサは、前記ユーザが就寝すること、および/または睡眠の質を向上させることを支援するように構成された1つ以上の出力トランスデューサを含む、請求項1~51のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項53】
前記アイマスクシステムは、前記出力トランスデューサのうち1つを動作させて、より長い睡眠、より深い睡眠、より長い深睡眠、およびより長いレム睡眠のうち1つ以上を達成するように構成される、請求項52に記載のアイマスクシステム。
【請求項54】
前記1つ以上の出力トランスデューサは、音響トランスデューサ、ディスプレイ、温度トランスデューサ、および/または香気トランスデューサのうち任意の1つ以上を含む、請求項52または請求項53に記載のアイマスクシステム。
【請求項55】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが呼吸することを弛緩または睡眠に資する方式で支援するように構成される、請求項1~54のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項56】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザの呼吸のためのキューを提供するように構成される、請求項55に記載のアイマスクシステム。
【請求項57】
前記アイマスクシステムは、
空気回路から前記ユーザによる呼吸のために治療的圧力で加圧された空気流れを受容し、前記空気回路へ流体接続するように構成された接続ポート;または
前記加圧された空気流れを前記治療的圧力で生成するように構成された流れ生成器
のうち1つをさらに含み、
前記アイマスクシステムは、
治療的圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、前記空気流れを患者による呼吸のために前記接続ポートから前記治療的圧力で受容するようなサイズおよび構造にされる、プレナムチャンバと;
前記患者の気道への入口を取り囲む前記患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その内部に穴を有し、その結果、前記治療的圧力で前記空気流れは、少なくとも前記患者の鼻孔への入口へ送達され、前記シール形成構造は、使用時に前記治療的圧力を前記プレナムチャンバ内において前記患者の呼吸サイクル全体を通じて維持するように構築および配置される、シール形成構造と;
前記プレナムチャンバの内部から周囲へ、前記患者によって吐き出されたガスが連続的に流れるようにする通気部であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気部と;をさらに含む、請求項1~56のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項58】
前記アイマスクシステムは、クッションモジュールを含み、前記クッションモジュールは、前記シール形成構造を含み、前記プレナムチャンバを少なくとも部分的に形成する、請求項57に記載のアイマスクシステム。
【請求項59】
前記クッションモジュールは、前記アイマスクに取り外し可能に取り付け可能である、請求項58に記載のアイマスクシステム。
【請求項60】
前記アイマスクは、前記アイマスクのユーザ接触側上に位置決めされた1つ以上のクッション部分を含む、請求項1~59のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項61】
前記1つ以上のクッション部分は、テキスタイル;織地;発泡体;およびシリコーンのうち任意の1つ以上から形成される、請求項60に記載のアイマスクシステム。
【請求項62】
前記1つ以上のクッション部分は、第1のクッション部分および第2のクッション部分を含み、前記第1のクッション部分は、前記第2のクッション部分よりも大きな厚さおよび/または大きなユーザ接触表面を有し、前記第1のクッション部分は、前記第2のクッション部分よりも大きな力を前記ユーザの顔上に使用時に付与する前記アイマスクの部分内に位置決めされる、請求項60~61のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項63】
前記1つ以上のクッション部分は、第1のクッション部分および第2のクッション部分を含み、前記第1のクッション部分は、前記第2のクッション部分よりも大きな厚さおよび/または大きなユーザ接触表面を有し、前記第1のクッション部分は、前記ユーザの顔のうち使用時に前記第2のクッション部分と接触する部分よりも敏感な、使用時に前記ユーザの顔の一部と接触する前記アイマスクの部分内に位置決めされる、請求項60~62のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項64】
睡眠呼吸障害の治療のためのアイマスクシステムであって、前記アイマスクシステムは、
使用時にユーザの眼を覆うように構成されたアイマスク;
前記ユーザの睡眠に影響を与えること、および/または前記ユーザの睡眠の特性を検出すること、および/または睡眠中に前記ユーザの特性を検出することを行うように構成された1つ以上のトランスデューサ
を含み;
前記アイマスクシステムは、
空気回路から前記ユーザによる呼吸のために治療的圧力で加圧された空気流れを受容し、前記空気回路へ流体接続するように構成された接続ポート;または
前記加圧された空気流れを前記治療的圧力で生成するように構成された流れ生成器
のうち1つをさらに含み、
前記アイマスクシステムは、
治療的圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、前記空気流れを患者による呼吸のために前記接続ポートから前記治療的圧力で受容するようなサイズおよび構造にされる、プレナムチャンバと、
前記患者の気道への入口を取り囲む前記患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その内部に穴を有し、その結果、前記治療的圧力で前記空気流れは、少なくとも前記患者の鼻孔への入口へ送達され、前記シール形成構造は、使用時に前記治療的圧力を前記プレナムチャンバ内において前記患者の呼吸サイクル全体を通じて維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの内部から周囲へ、前記患者によって吐き出されたガスが連続的に流れるようにする通気部であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気部と、をさらに含む、アイマスクシステム。
【請求項65】
前記アイマスクシステムは、クッションモジュールを含み、前記クッションモジュールは、前記シール形成構造を含み、前記プレナムチャンバを少なくとも部分的に形成する、請求項64に記載のアイマスクシステム。
【請求項66】
前記クッションモジュールは、前記アイマスクに対して移動可能である、請求項65に記載のアイマスクシステム。
【請求項67】
前記クッションモジュールは、前記アイマスクから少なくとも部分的に連結解除される、請求項66に記載のアイマスクシステム。
【請求項68】
前記アイマスクシステムは、前記クッションモジュールを移動させるためのアクチュエータを含む、請求項66または請求項67に記載のアイマスクシステム。
【請求項69】
前記シール形成構造は、前記患者の鼻の下側周辺部の周りを密閉するように構成される、請求項64~68のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項70】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが覚醒していることを検出し、睡眠支援モードで動作するように構成される、請求項64~69のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項71】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが就眠中であることを検出し、睡眠モードで動作するように構成される、請求項70に記載のアイマスクシステム。
【請求項72】
前記アイマスクシステムは、前記睡眠支援モードから前記睡眠モードへ変化した際に呼吸圧力療法を開始するように構成される、請求項71に記載のアイマスクシステム。
【請求項73】
前記アイマスクシステムは、睡眠支援モードから前記睡眠モードへ変化した際にクッションモジュールを非接触位置から密閉位置へ移動させるように構成される、請求項71または72に記載のアイマスクシステム。
【請求項74】
ユーザの頭部上に着用されるように構成されたアイマスクシステムであって、前記アイマスクシステムは、
使用時に前記ユーザの眼を覆うように構成されたアイマスクと;
前記ユーザおよび/または周囲環境とインターフェースをとるように構成された1つ以上のトランスデューサと;
前記ユーザの眼を覆う使用時位置に前記アイマスクを保持する力を印加するように構成された少なくとも1つのストラップを含む位置決めおよび安定化構造と;を含む、アイマスクシステム。
【請求項75】
前記1つ以上のトランスデューサは、1つ以上のセンサを含む、請求項74に記載のアイマスクシステム。
【請求項76】
前記1つ以上のセンサは、EEGセンサ、ECGセンサ、心拍数センサ、酸素飽和度センサ、血圧センサ、加速度計、体温センサ、周囲温度センサおよび/またはマイクロフォンのうち任意の1つ以上を含む、請求項75に記載のアイマスクシステム。
【請求項77】
前記1つ以上のトランスデューサは、1つ以上の出力トランスデューサを含む、請求項1~76のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項78】
前記1つ以上の出力トランスデューサは、音響トランスデューサ、ディスプレイ、温度トランスデューサ、および/または香気トランスデューサのうち任意の1つ以上を含む、請求項77に記載のアイマスクシステム。
【請求項79】
前記アイマスクシステムは、
治療的圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、前記空気流れを患者による呼吸のために前記接続ポートから前記治療的圧力で受容するようなサイズおよび構造にされる、プレナムチャンバと;
前記患者の気道への入口を取り囲む前記患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その内部に穴を有し、その結果、前記治療的圧力で前記空気流れは、少なくとも前記患者の鼻孔への入口へ送達され、前記シール形成構造は、使用時に前記治療的圧力を前記プレナムチャンバ内において前記患者の呼吸サイクル全体を通じて維持するように構築および配置される、シール形成構造と;
前記プレナムチャンバの内部から周囲へ、前記患者によって吐き出されたガスが連続的に流れるようにする通気部であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気部と;を含む、請求項1~78のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項80】
前記アイマスクシステムは、セットアップモードで動作するように構成され、前記セットアップモードにおいて、前記アイマスクシステムは、前記ユーザが前記アイマスクシステムを患者インターフェースとしてセットアップし、かつ/または使用し始めることを支援するように構成される、請求項79に記載のアイマスクシステム。
【請求項81】
前記アイマスクシステムは、チュートリアルを前記ユーザに提示して、セットアップについて前記ユーザを支援するように構成される、請求項80に記載のアイマスクシステム。
【請求項82】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが、前記アイマスクシステムを睡眠呼吸障害の呼吸圧力治療のための患者インターフェースとして使用するために正しくフィットさせることを支援するように構成される、請求項80または請求項81に記載のアイマスクシステム。
【請求項83】
前記アイマスクシステムは、トラブルシューティングについて指示を提供するように構成される、請求項80~82のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項84】
前記アイマスクシステムは、セットアップ中に1つ以上のセンサから受信された1つ以上の信号を監視し、前記1つ以上の信号に基づいてセットアップについてのフィードバックを前記ユーザに提供するように構成される、請求項80~83のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項85】
前記アイマスクシステムは、ストラップ張力センサを含む、請求項84に記載のアイマスクシステム。
【請求項86】
前記アイマスクシステムは、前記アイマスクシステムのバックストラップにおける張力を、前記ストラップ張力センサを用いて測定し、前記張力に基づいてフィードバックを前記ユーザに提供するように構成される、請求項85に記載のアイマスクシステム。
【請求項87】
前記アイマスクシステムは、呼吸圧力療法のための前記アイマスクシステムの使用中に漏れを検出するように構成される、請求項79~86のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項88】
前記アイマスクシステムは、前記漏れの存在を前記ユーザに警告するように構成される、請求項87に記載のアイマスクシステム。
【請求項89】
前記アイマスクシステムは、漏れの位置を決定するように構成される、請求項87または請求項88に記載のアイマスクシステム。
【請求項90】
前記アイマスクシステムは、前記漏れの位置の明示を前記ユーザに提供するように構成される、請求項89に記載のアイマスクシステム。
【請求項91】
前記アイマスクシステムは、前記漏れの位置に基づいて前記漏れの低減または撲滅についての指示を提供するように構成される、請求項90に記載のアイマスクシステム。
【請求項92】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが呼吸することを弛緩に資する方式で支援するように構成される、請求項79~91のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項93】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザの呼吸のためのキューを提供するように構成される、請求項92に記載のアイマスクシステム。
【請求項94】
前記キューは、ディスプレイまたは音響トランスデューサを介して提供される、請求項93に記載のアイマスクシステム。
【請求項95】
前記アイマスクシステムは、呼吸キューに対する前記患者のアドヒアランスを、1つ以上のセンサを使用して監視するように構成される、請求項93または94に記載のアイマスクシステム。
【請求項96】
前記アイマスクシステムは、前記キューを提供しながら、気道陽圧を前記プレナムチャンバおよびシール形成構造を介して提供するように構成される、請求項93~95のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項97】
前記アイマスクシステムは、気道陽圧を療法圧力よりも低い圧力から前記療法圧力まで増加させるように構成される、請求項96に記載のアイマスクシステム。
【請求項98】
前記アイマスクは、前記アイマスクのユーザ接触側上に位置決めされた1つ以上のクッション部分を含む、請求項79~97のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項99】
前記1つ以上のクッション部分は、テキスタイル;織地;発泡体;およびシリコーンのうち任意の1つ以上から形成される、請求項98に記載のアイマスクシステム。
【請求項100】
前記1つ以上のクッション部分は、第1のクッション部分および第2のクッション部分を含み、前記第1のクッション部分は、前記第2のクッション部分よりも大きな厚さおよび/または大きなユーザ接触表面を有し、前記第1のクッション部分は、前記第2のクッション部分よりも大きな力を前記ユーザの顔上に使用時に付与する前記アイマスクの部分内に位置決めされる、請求項98または請求項99に記載のアイマスクシステム。
【請求項101】
前記1つ以上のクッション部分は、第1のクッション部分および第2のクッション部分を含み、前記第1のクッション部分は、前記第2のクッション部分よりも大きな厚さおよび/または大きなユーザ接触表面を有し、前記第1のクッション部分は、前記ユーザの顔のうち使用時に前記第2のクッション部分と接触する部分よりも敏感な、使用時に前記ユーザの顔の一部と接触する前記アイマスクの部分内に位置決めされる、請求項98~100のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1 関連出願の相互参照
本出願は、オーストラリア特許出願第2020902195号およびオーストラリア特許出願第2020902196号の優先権を主張し、これらの各々の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
2 技術の背景
2.1 技術の分野
本技術は、呼吸関連障害のスクリーニング、診断、監視、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術はまた、医療用デバイスまたは装置と、その使用とに関する。
2.2 関連技術の説明
2.2.1 ヒトの呼吸器系およびその障害
【0003】
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進する。鼻および口は、患者の気道への入口を形成する。
【0004】
気道には、肺の奥深くに進むほど狭く、短く、多数になる一連の分岐管が含まれている。肺の主要機能は、吸い込まれた空気から酸素を静脈血中へ移動させることと、反対方向に二酸化炭素を移動させることとを可能にするガス交換である。気管は、右左の主気管支に分かれ、右左の主気管支はさらに分割されて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、誘導気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道は、さらに分割されて呼吸細気管支、最終的には肺胞につながる。肺の胞状領域は、ガス交換が発生するところであり、呼吸領域と呼ばれる。非特許文献1を参照されたい。
【0005】
呼吸障害としては様々なものが存在している。特定の障害は、特定の事象(例えば、無呼吸、低呼吸および過呼吸)を特徴とし得る。
【0006】
呼吸障害の例には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーンストークス呼吸(CSR)、呼吸機能不全、肥満性過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)、および胸壁障害が含まれる。
【0007】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の一形態であり、睡眠中の上部気道の閉塞または閉鎖を含む事象を特徴とする。これは、異常に小さな上気道と、睡眠中の舌、軟口蓋、および後口咽頭壁の領域における筋緊張の通常損失との組み合わせの結果である。疾病に罹患すると、患者の呼吸は、30秒から120秒の期間にわたって停止するのが典型的であり、時には、一晩に200回から300回停止する。その結果、日中の傾眠が過度になることが多く、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候群は一般的な障害であり、特に中年の過体重の男性に多いが、罹患した人は、問題に気付いていない場合がある。特許文献1(Sullivan)を参照されたい。
【0008】
このような疾病を治療または改善するために、様々な療法が用いられてきた。さらに、その他の点では健康な個人も、呼吸障害の発生を予防するために、このような療法を利用し得る。しかし、これらにおいては、多数の欠陥がある。
2.2.2 療法
【0009】
多様な呼吸療法(例えば、持続的気道陽圧(CPAP)療法、非侵襲的換気(NIV)、侵襲的換気(IV)、および高流量療法(HFT))が、前述の呼吸障害のうち1つ以上の治療のために用いられてきた。
2.2.2.1 呼吸圧力療法
【0010】
呼吸圧力療法とは、(タンクベンチレータまたは陽陰圧体外式人工呼吸器(cuirass)などの陰圧療法とは対照的に)患者の呼吸サイクル全体を通じて雰囲気に対して名目上陽である制御された目標圧力で、気道への入口に空気供給を適用することである。
【0011】
持続的気道陽圧(CPAP)療法は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療に使用されてきた。作用メカニズムは、軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進させたり、それから後退させることなどにより、持続的気道陽圧が空気圧スプリントとして機能し、上気道の閉鎖を予防し得ることである。CPAP療法によるOSAの治療は、自発的なものであり得るため、患者は、このような療法の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気付いた場合、療法に従わないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、および低い審美性。
2.2.3 呼吸療法システム
【0012】
これらの呼吸療法は、呼吸療法システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾病を治療することなくスクリーニング、診断、または監視するためにも用いられ得る。
【0013】
呼吸療法システムは、呼吸圧力療法デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、酸素源、およびデータ管理を含み得る。
2.2.3.1 患者インターフェース
【0014】
患者インターフェースは、例えば気道への入口に空気流れを提供することにより、呼吸器具へのインターフェースをその着用者に提供するために用いられ得る。空気流れは、マスクを介して鼻および/または口へ提供されたり、チューブを介して口へ提供されたり、気管切開チューブを介して患者の気管へ提供されたりし得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域とのシールを形成して、周囲圧力に対して十分に異なり、療法の効果をもたらせる圧力、例えば周囲圧力に対して約10cmHOの陽圧でのガスの送達を促進し得る。酸素の送達などの、他の形態の療法において、患者インターフェースは、約10cmHOの陽圧で気道へのガス供給の送達を促進するのに十分なシールを含まない場合がある。
【0015】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部のより高い圧力による水の浸入を防ぎながらも、周囲よりも高い圧力で内部の空気を維持しないように構成され得る。
【0016】
特定のマスクは、例えば、鼻を介した空気流れを遮断し、口を介した空気流れのみを通過させる場合、本技術において臨床的に好ましくない可能性がある。
【0017】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を自身の口に挿入し、自身の唇を介してシールを生成および維持しなければならない場合、本技術において不快または非実際的であり得る。
【0018】
特定のマスクは、睡眠中の使用において、例えば横向きにベッドに寝て枕の上に頭部を置いた状態で睡眠をとっている場合、非実際的であり得る。
【0019】
患者インターフェースの設計においては、多数の難題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭部のサイズおよび形状は、個人によって相当に異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。顎または下顎骨は、頭蓋骨の他の骨に対して動き得る。頭部全体は、呼吸療法の期間中に動き得る。
【0020】
これらの難題に起因して、いくつかのマスクには、特に着用期間が長い場合、または患者がシステムに不慣れである場合、以下のうち1つ以上の問題を抱えている:目立ち過ぎ、望ましくない審美性、高価、劣悪なフィット感、使用困難、および不快など。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、コンプライアンスの低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護器具の一部として設計されたマスク(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスク、または麻酔薬投与用マスクは、その最初の使用時には我慢できるが、このようなマスクの場合、長期間(例えば、数時間)にわたって着用するには望ましくないほど不快な場合がある。このような不快感に起因して、療法に対する患者コンプライアンスが低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠中に着用する必要がある場合、特に当てはまる。
【0021】
CPAP療法は、患者が療法に従う場合、特定の呼吸障害の治療においては非常に効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、療法に従わない場合がある。患者は、自身のマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組み立てまたは分解が難しい)場合、患者は、自身のマスクを洗わない可能性があり、これにより、患者コンプライアンスに影響が出る場合がある。
【0022】
他の用途の(例えば、飛行士用の)マスクは、睡眠呼吸障害の治療に使用することは不適切であり得るが、睡眠呼吸障害の治療に使用するために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0023】
これらの理由で、睡眠中のCPAP送達のための患者インターフェースは、別個の分野を形成する。
2.2.3.1.1 シール形成構造
【0024】
患者インターフェースは、シール形成構造を含み得る。これは、患者の顔と直接接触するため、シール形成構造の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に直接な影響を及ぼし得る。
【0025】
患者インターフェースは、使用時にシール形成構造を顔と係合させる位置の設計意図に従って、部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、左鼻孔の周りにシールを形成するための第1のサブ部分と、右鼻孔の周りにシールを形成するための第2のサブ部分とを含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に両方の鼻孔を取り囲む単一の要素を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻梁領域上に載置されるように設計され得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、例えば顔の下唇領域上にシールを形成することにより、使用時に口領域を取り囲む要素を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に両方の鼻孔および口領域を取り囲む単一の要素を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻ピロー、鼻パフおよび口鼻マスクを含み、多様な名称で知られている可能性がある。
【0026】
患者の顔の一領域において有効であり得るシール形成構造は、例えば患者の顔の異なる形状、構造、変化性および敏感性領域に起因して、別の領域において不適切であり得る。例えば、患者の額上に載置される水泳用ゴーグル上のシールは、患者の鼻上における使用には不適切であり得る。
【0027】
特定のシール形成構造は、広範囲の異なる顔形状およびサイズに対して1つの設計が適合し、快適かつ有効になるように、大量製造用に設計され得る。患者の顔の形状と、大量製造された患者インターフェースのシール形成構造との間の不整合がある場合、一方または両方を適合させてシールを形成する必要がある。
【0028】
1つの種類のシール形成構造は、患者インターフェースの周辺部の周りに延び、シール形成構造が患者の顔に対向して係合している状態で力が患者インターフェースへ印加された際、患者の顔を密閉することを意図する。シール形成構造は、空気または流体充填クッションを含み得るか、ゴムなどのエラストマーからなる弾力性シール要素の、成形または形成された表面を含み得る。この種類のシール形成構造においては、フィット感が不十分である場合、シール形成構造と顔との間にギャップが発生し、患者インターフェースを顔に押しつけて密閉を達成するためにさらなる力が必要になる。
【0029】
別の種類のシール形成構造は、陽圧がマスク内に印加された際に患者の顔に接するよう自己密閉作用を提供するために、マスクの周辺部を中心に位置決めされた薄材のフラップシールを組み込んでいる。以前のスタイルのシール形成部分と同様に、顔とマスクとの間の整合が良くない場合、密閉を達成するためにさらなる力が必要になり得るか、マスクからの漏れが発生し得る。さらに、シール形成構造の形状が患者の形状と整合しない場合、これには使用時に折り目または座屈が発生する可能性があり、漏れの原因になる。
【0030】
別の種類のシール形成構造は、例えば鼻孔への挿入のための摩擦嵌め要素を含み得るが、一部の患者は、これを不快であると感じる。
【0031】
別の形態のシール形成構造は、接着剤を用いて密閉を達成してもよい。一部の患者は、接着剤が自身の顔に常に塗布されているか、それを取り外すことが不便であると感じる可能性がある。
【0032】
様々な患者インターフェースシール形成構造の技術は、ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願に開示されている:WO1998/004,310;WO2006/074,513;WO2010/135,785。
【0033】
鼻ピローの一形態が、Puritan Bennettによって製造されたAdam Circuitにおいて見受けられる。別の鼻ピローまたは鼻パフは、Puritan-Bennett Corporationへ譲渡された米国特許第4、782、832号(Trimbleら)の主題になっている。
【0034】
ResMed Limitedは、鼻ピローを組み込んでいる以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻ピローマスク、SWIFT(登録商標)II 鼻ピローマスク、SWIFT(登録商標)LT 鼻ピローマスク、SWIFT(登録商標)FX 鼻ピローマスクおよびMIRAGE LIBERTY(商標)フルフェイスマスク。ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願において、鼻ピローマスクの例についての記載がある:国際特許出願第WO2004/073、778号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)鼻ピローの態様を記載)、米国特許出願第2009/0044808号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)LT 鼻ピローの態様を記載);国際特許出願第WO2005/063、328号および第WO2006/130、903号(特に、ResMed LimitedのMIRAGE LIBERTY(商標)フルフェイスマスクの態様を記載);国際特許出願第WO2009/052、560号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)FX 鼻ピローの態様を記載)。
2.2.3.1.2 位置決めおよび安定化
【0035】
陽圧空気療法に用いられる患者インターフェースのシール形成構造は、シールを妨げる空気圧力の対応する力を受ける。そのため、シール形成構造を位置決めすることと、顔の適切な部分と密閉関係で維持することと、を行うために、多様な技法が用いられてきた。
【0036】
1つの技法においては、接着剤が用いられる。例えば、米国特許出願公開US2010/0000534号を参照されたい。しかし、接着剤の使用は、一部の人にとって不快な場合がある。
【0037】
別の技法において、1つ以上のストラップおよび/または安定化ハーネスが用いられる。多数のこのようなハーネスは、以下のうち1つ以上の問題を抱えている:悪いフィット感、嵩高性、不快、および使用時の不自然さ。
2.2.3.2 呼吸圧力療法(RPT)デバイス
【0038】
呼吸圧力療法(RPT)デバイスは、気道へのインターフェースに送達するための空気流れを生成するようにデバイスを動作させることなどによって、前述した多数の療法のうち1つ以上を送達するために、個々に、またはシステムの一部として使用され得る。空気流れは、(呼吸圧力療法のために)圧力制御されるか、(HFTなどの流れ療法のために)流れ制御され得る。そのため、RPTデバイスは、流れ療法デバイスとしても機能し得る。RPTデバイスの例を挙げると、CPAPデバイスおよびベンチレータがある。
【0039】
空気圧力生成器は、様々な用途、例えば工業規模換気システムにおいて知られている。しかし、医療用途のための空気圧力生成器は、より一般的な空気圧力生成器(例えば、医療用デバイスの信頼性、サイズおよび重量要件)によっては満たされない特定の要件を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ以上に関連して欠陥を抱えている場合がある:快適性、ノイズ、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性。
【0040】
特定のRPTデバイスの特殊な要件の一例として、音響ノイズがある。
【0041】
従来のRPTデバイスのノイズ出力レベルの表(1つの試料のみを、ISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmHOで測定)。
【0042】
【表1】
【0043】
睡眠呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のRPTデバイスは、ResMed Limitedによって製造されたS9睡眠療法システムである。RPTデバイスの別の例は、ベンチレータである。ベンチレータ(例えば、成人および小児用ベンチレータのResMed Stellar(商標)シリーズ)は、様々な患者に侵襲的および非侵襲的な非依存的換気のための補助を提供して、多数の疾病(例を非限定的に挙げると、NMD、OHSおよびCOPD)を治療し得る。
【0044】
ResMed Elisee(商標)150ベンチレータおよびResMedVSIII(商標)ベンチレータは、成人または小児患者に適した侵襲的および非侵襲的な依存的換気のための補助を提供して、多数の疾病を治療し得る。これらのベンチレータにより、単枝型回路または二重枝型回路を用いた容積測定換気モードおよび気圧換気モードが得られる。RPTデバイスは典型的には、圧力生成器(例えば、電動送風機または圧縮ガスリザーバ)を含み、患者の気道へ空気流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流れは、患者の気道へ陽圧で供給され得る。RPTデバイスの出口は、空気回路を介して、前述したような患者インターフェースへ接続される。
【0045】
デバイスの設計者には、無数の選択肢が提示され得る。設計基準同士は対立することが多く、これは、特定の設計の選択肢が慣例からほど遠くなるか、避けられないことを意味する。さらに、特定の態様の快適性および有効性は、1つ以上のパラメータの些細な変化に大きく敏感になる可能性もある。
2.2.3.3 空気回路
【0046】
空気回路は、使用時に空気流れが呼吸療法システムの2つの構成要素(例えば、RPTデバイスおよび患者インターフェース)間で移動できるように構築および配置された導管またはチューブである。場合によっては、空気回路に吸息および呼息用の別々の枝があり得る。他の場合においては、単枝型空気回路が吸息および呼息の両方のために使用される。
2.2.3.4 加湿器
【0047】
空気流れの送達を加湿なしで行った場合には、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生み出されるため、鼻粘膜の乾燥が最小化され、患者気道の快適性が増加する。加えて、より冷涼な気候においては、概して患者インターフェース内の、そしてそれを中心とした顔領域へ温風を印加すると、冷風の場合よりも快適性が高まる。そのため、加湿器は、空気流れを加熱するだけでなく、空気流れを加湿する能力を有することが多い。
【0048】
様々な人工的加湿デバイスおよびシステムが知られているが、医療用加湿器の特殊な要件を満たしていない可能性がある。
【0049】
医療用加湿器は、典型的には患者が就眠中であるか安静にしている可能性がある場所(例えば病院)で、必要な場合に周囲空気に相対して空気流れの湿度および/または温度を増加させるように用いられる。枕元に置かれる医療用加湿器は、小型であり得る。医療用加湿器は、患者の周辺環境の加湿および/または加熱は行わずに、患者へ送達される空気流れの加湿および/または加熱のみを行うように構成され得る。例えば、部屋ベースのシステム(例えば、サウナ、エアコン、または蒸発冷却器)は、呼吸により患者内に取り込まれる空気も加湿し得るものの、これらのシステムは、部屋全体も加湿および/または加熱し、これにより占有者は不快感を覚える可能性がある。さらに、医療用加湿器の場合、工業用加湿器よりも安全面での制約がより厳しい可能性がある。
【0050】
多数の医療用加湿器が知られているが、1つ以上の欠陥を抱えている可能性がある。医療用加湿器の中には、不十分な加湿を提供し得るものもあれば、患者にとって使用が困難または不便であるものもある。
2.2.3.5 データ管理
【0051】
臨床的理由により、呼吸療法を処方された患者が「コンプライアンスを遵守してきた」かどうかを(例えば、患者が自身のRPTデバイスを1つ以上の「コンプライアンスルール」に従って使用してきたと)決定するためのデータを取得する場合がある。CPAP療法についてのコンプライアンスルールの一例は、患者が、コンプライアンスを遵守しているとみなすために、連続30日間のうち少なくとも21日間、RPTデバイスを一晩に少なくとも4時間使用する必要があるというものである。患者のコンプライアンスを決定するためには、RPTデバイスの提供者(例えば、医療提供者)は、RPTデバイスを用いた患者の療法を記述するデータを手動で取得し、所定期間にわたる使用率を計算し、これをコンプライアンスルールと比較し得る。医療提供者は、患者が自身のRPTデバイスをコンプライアンスルールに従って使用してきたと決定すると、患者がコンプライアンスを遵守している旨を第三者に通知し得る。
【0052】
患者の療法においては、第三者または外部システムへの療法データの伝達から便益を受ける他の態様があり得る。
【0053】
このようなデータを伝達および管理するための既存のプロセスは、高価であること、時間がかかること、およびエラーが発生しやすいことのうち1つ以上に該当する可能性がある。
2.2.3.6 通気技術
【0054】
いくつかの形態の治療システムは、吐き出された二酸化炭素を洗い流すための通気部を含み得る。通気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)へのガス流れが可能になり得る。
【0055】
通気部は、オリフィスを含み得、ガスは、マスク使用時にオリフィスを通して流れ得る。多数のこのような通気部は、音がうるさい。他の場合、使用時に遮断され得るため、洗い流しが不十分になる。いくつかの通気部は、例えばノイズまたは空気流れの集中に起因して、患者1000の同床者1100の睡眠を妨げる場合がある。
【0056】
ResMed Limitedは、多数の向上したマスク通気技術を開発している。国際特許出願公開第WO1998/034、665号;国際特許出願公開第WO2000/078、381号;米国特許第6、581、594号;米国特許出願公開第US2009/0050156号;米国特許出願公開第2009/0044808号を参照されたい。
【0057】
従来のマスクのノイズの表(ISO17510-2:2007、1mにおける10cmHO圧力)
【0058】
【表2】
【0059】
(*1つの試料のみを、ISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmHOで測定)
【0060】
多様な物体の音圧値を以下に列記する
【0061】
【表3】
2.2.4 スクリーニング、診断、および監視システム
【0062】
睡眠ポリグラフ(PSG)は、心肺障害の診断および監視のための従来のシステムであり、典型的には、システムを適用するために専門臨床スタッフを必要とすることが多い。PSGは、脳波検査(EEG)、例えば心電図検査(ECG)、電気眼球図記録(EOG)、筋電図検査(EMG)など、多様な身体信号を記録するために、典型的には15~20個の接触センサを患者上に配置することを伴う。睡眠呼吸障害についてのPSGには、患者をクリニックで二晩にわたって観察することを伴われてきた(一日目の夜は、純然たる診断が行われ、二日目の夜は、臨床医による治療パラメータのタイトレーションが行われる)。そのため、PSGは高価であり、便利ではない。特に、これは、家庭で睡眠呼吸障害のスクリーニング/診断/監視を行うには不適切である。
【0063】
一般に、スクリーニングおよび診断時は、疾病の特定がその予兆および症状によって説明される。通常、スクリーニングは、患者のSDBがさらなる調査を求めるほど重症であるかどうかを示す真/偽の結果を出すが、診断は、臨床で実行可能な情報を出す可能性がある。スクリーニングおよび診断は、一度限りのプロセスになる傾向があるのに対し、疾病の経過を監視することは、無限定に続けることができる。いくつかのスクリーニング/診断システムは、スクリーニング/診断にのみ適しているものもあれば、監視にも使用できるものがある。
【0064】
臨床専門家は、患者のスクリーニング、診断または監視をPSG信号の視覚的観察に基づいて十分に行うことができ得る。しかし、臨床専門家がいないか、臨床専門家への支払いができない状況がある。患者の疾病に関する意見は、臨床専門家によって異なる場合がある。さらに、特定の臨床専門家は、時期によって異なる基準を適用し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】米国特許第4944310号明細書
【非特許文献】
【0066】
【非特許文献1】John B.West、Lippincott Williams&Wilkinsによる「Respiratory Physiology」(2012年発行の第9版)
【発明の概要】
【0067】
3 技術の簡単な説明
本技術は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防に用いられる医療用デバイスの提供に関連し、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【0068】
本技術の第1の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0069】
本技術の別の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防に用いられる方法に関連する。
【0070】
本技術の特定の形態の一態様は、呼吸療法への患者のコンプライアンスを向上させる方法および/または装置を提供することである。
【0071】
本技術の一態様は、睡眠中にユーザの頭部上に着用されるように構成されたアイマスクシステムであり、アイマスクシステムは、以下を含む:
使用時にユーザの眼を覆うように構成されたアイマスク;
ユーザの睡眠に影響を与えること、および/またはユーザの睡眠の特性を検出すること、および/または睡眠中にユーザの特性を検出することを行うように構成された1つ以上のトランスデューサ;および
睡眠中にユーザの眼を覆う使用時位置にアイマスクを保持する力を印加するように構成された少なくとも1つのストラップを含む位置決めおよび安定化構造。
【0072】
例において:(a)1つ以上のトランスデューサは、ユーザの睡眠の特性、および/または睡眠中のユーザの特性を検出するように構成された1つ以上のセンサを含み得;(b)1つ以上のセンサは、EEGセンサを含み得;(c)アイマスクシステムは、ECGセンサを含み得;(d)アイマスクシステムは、心拍数センサを含み得;(e)アイマスクシステムは、酸素飽和度センサを含み得;(f)アイマスクシステムは、血圧センサを含み得;(g)アイマスクシステムは、加速度計を含み得;(h)アイマスクシステムは、温度センサを含み得;(i)アイマスクシステムは、体温センサおよび/または周囲温度センサを含み得;かつ/または(j)アイマスクシステムは、マイクロフォンを含み得る。
【0073】
さらなる例において:(a)1つ以上のセンサは、アイマスクに設けられ得;(b)1つ以上のセンサは、周辺構成要素に設けられ得;(c)アイマスクシステムは、センサのうち1つ以上の出力を分析し、分析に基づいてアクションを行うように構成され得;(d)アイマスクシステムは、睡眠特性の特定、問題の特定、結果の予測、および/または分析に基づいた推奨事項の提供を行うように構成され得;(e)アイマスクシステムは、センサのうち1つ以上の出力を分析するように構成された人工知能または機械学習モジュールを含み得;(f)アイマスクシステムは、障害の検出および/または診断を行うように構成され得;(g)アイマスクシステムは、睡眠呼吸障害を検出するように構成され得;かつ/または(h)アイマスクシステムは、無呼吸、低呼吸または過呼吸のうち1つ以上を検出するように構成され得る。
【0074】
さらなる例において:(a)アイマスクシステムは、ユーザが睡眠中であることを特定するように構成され得;(b)アイマスクシステムは、睡眠段階を特定するように構成され得;(c)アイマスクシステムは、レム睡眠およびノンレム睡眠を特定するように構成され得;(d)アイマスクシステムは、浅睡眠および深睡眠を特定するように構成され得;(f)アイマスクシステムは、浅睡眠中にユーザを起床させるように構成され得;(g)アイマスクシステムは、ユーザの睡眠状態を変えるように構成され得;かつ/または(h)アイマスクシステムは、ユーザを起床させることなく、ユーザの睡眠状態を深睡眠から浅睡眠に変えるように構成され得る。
【0075】
さらなる例において:(a)1つ以上のトランスデューサは、ユーザの睡眠に影響を与えるように構成された1つ以上の出力トランスデューサを含み得;(b)1つ以上の出力トランスデューサは、ユーザが就寝すること、および/または睡眠の質を向上させることを支援するように構成された1つ以上の出力トランスデューサを含み得;(c)アイマスクシステムは、出力トランスデューサのうち1つを動作させて、より長い睡眠、より深い睡眠、より長い深睡眠、およびより長いレム睡眠のうち1つ以上を達成するように構成され得;(d)1つ以上の出力トランスデューサは、音響トランスデューサを含み得;(e)音響トランスデューサは、イヤーパッドまたは耳覆い型ヘッドフォンを含み得;(f)音響トランスデューサは、骨伝導トランスデューサを含み得;(g)アイマスクシステムは、音響トランスデューサを用いてノイズキャンセリング効果を提供するように構成され得;(h)1つ以上の出力トランスデューサは、ディスプレイを含み得;(i)1つ以上の出力トランスデューサは、温度トランスデューサを含み得;(j)温度トランスデューサは、加熱要素を含み得;(k)温度トランスデューサは、熱電冷却器を含み得;かつ/または(l)1つ以上の出力トランスデューサは、香気トランスデューサを含み得る。
【0076】
さらなる例において:(a)アイマスクシステムは、ユーザの睡眠を最適化するように構成され;(b)アイマスクシステムは、ユーザが就寝すること、就眠状態をより長く維持すること、より深い睡眠を達成すること、深睡眠をより長く維持すること、起床すること、最適な時間に起床すること、および/または穏やかに起床することを支援するように構成され;(c)アイマスクシステムは、ユーザの睡眠を向上させ得る変化を、発生した場合に決定するように構成され;(d)アイマスクシステムは、センサから入力を受信し、トランスデューサを決定し、出力し、動作させるように構成され;(e)アイマスクシステムは、ユーザが呼吸することを弛緩または睡眠に資する方式で支援するように構成され;(f)アイマスクシステムは、ユーザの呼吸のためのキューを提供するように構成され;かつ/または(g)キューは、ディスプレイまたは音響トランスデューサを介して提供され得る。
【0077】
さらなる例において、アイマスクシステムは、以下のうち任意の1つ以上をさらに含む:(a)空気回路から加圧された空気流れを受容し、空気回路へ流体接続するように構成された接続ポート;(b)加圧された空気流れを上記治療的圧力で生成するように構成された流れ生成器;(c)治療的圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、上記プレナムチャンバは、空気流れを患者による呼吸のために接続ポートから治療的圧力で受容するようなサイズおよび構造にされる、プレナムチャンバ;(d)患者の気道への入口を取り囲む患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、上記シール形成構造は、その内部に穴を有し、その結果、上記治療的圧力で空気流れは、少なくとも患者の鼻孔への入口へ送達され、シール形成構造は、使用時に上記治療的圧力をプレナムチャンバ内において患者の呼吸サイクル全体を通じて維持するように構築および配置される、シール形成構造;および(e)プレナムチャンバの内部から周囲へ、患者によって吐き出されたガスが連続的に流れるようにする通気部であって、上記通気構造は、使用時にプレナムチャンバ内の治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気部。
【0078】
さらなる例において:(a)アイマスクシステムは、クッションモジュールを含み得、クッションモジュールは、シール形成構造を含み、プレナムチャンバを少なくとも部分的に形成し;(b)クッションモジュールは、アイマスクに取り外し可能に取り付け可能であり得る。
【0079】
さらなる例において:(a)アイマスクは、アイマスクのユーザ接触側上に位置決めされた1つ以上のクッション部分を含み得;(b)1つ以上のクッション部分は、テキスタイル;織地;発泡体;およびシリコーンのうち任意の1つ以上から形成され得;(c)1つ以上のクッション部分は、第1のクッション部分および第2のクッション部分を含み得、第1のクッション部分は、第2のクッション部分よりも大きな厚さおよび/または大きなユーザ接触表面を有し、第1のクッション部分は、第2のクッション部分よりも大きな力をユーザの顔上に使用時に付与するアイマスクの部分内に位置決めされ;(d)1つ以上のクッション部分は、第1のクッション部分および第2のクッション部分を含み得、第1のクッション部分は、第2のクッション部分よりも大きな厚さおよび/または大きなユーザ接触表面を有し、第1のクッション部分は、ユーザの顔のうち使用時に第2のクッション部分と接触する部分よりも敏感な、使用時にユーザの顔の一部と接触するアイマスクの部分内に位置決めされる。
【0080】
本技術の一形態の別の態様は、睡眠呼吸障害の治療のためのアイマスクシステムであり、アイマスクシステムは、
使用時にユーザの眼を覆うように構成されたアイマスク;
ユーザの睡眠に影響を与えること、および/またはユーザの睡眠の特性を検出すること、および/または睡眠中にユーザの特性を検出することを行うように構成された1つ以上のトランスデューサ
を含み;
アイマスクシステムは、
空気回路からユーザによる呼吸のために治療的圧力で加圧された空気流れを受容し、空気回路へ流体接続するように構成された接続ポート;または
加圧された空気流れを上記治療的圧力で生成するように構成された流れ生成器
のうち1つをさらに含み、
アイマスクシステムは、
治療的圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、上記プレナムチャンバは、空気流れを患者による呼吸のために接続ポートから治療的圧力で受容するようなサイズおよび構造にされる、プレナムチャンバ、
患者の気道への入口を取り囲む患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、上記シール形成構造は、その内部に穴を有し、その結果、上記治療的圧力で空気流れは、少なくとも患者の鼻孔への入口へ送達され、シール形成構造は、使用時に上記治療的圧力をプレナムチャンバ内において患者の呼吸サイクル全体を通じて維持するように構築および配置される、シール形成構造;
プレナムチャンバの内部から周囲へ、患者によって吐き出されたガスが連続的に流れるようにする通気部であって、上記通気構造は、使用時にプレナムチャンバ内の治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気部をさらに含む。
【0081】
例において:(a)アイマスクシステムは、クッションモジュールを含み、クッションモジュールは、シール形成構造を含み、プレナムチャンバを少なくとも部分的に形成し;(b)クッションモジュールは、アイマスクに取り外し可能に取り付け可能であり;(c)クッションモジュールは、アイマスクに対して移動可能であり;(d)クッションモジュールは、アイマスクに対して移動することが可能であり;(e)クッションモジュールは、アイマスクから少なくとも部分的に連結解除され;(f)クッションモジュールは、アイマスクに対して位置を変えることが可能であり;(g)アイマスクシステムは、クッションモジュールを移動させるためのアクチュエータを含み;(h)クッションモジュールは、アイマスクに対して前後方向軸に沿って並進運動することが可能であり;(i)クッションモジュールは、アイマスクに対して左右方向軸に沿って並進運動することが可能であり;(j)クッションモジュールは、アイマスクに対して上下方向軸に沿って並進運動することが可能であり;(k)クッションモジュールは、アイマスクに対して配向を変えることが可能であり;(l)クッションモジュールは、アイマスクに対して左右方向軸を中心に回転することが可能であり;(m)クッションモジュールは、アイマスクに対して前後方向軸を中心に回転することが可能であり;(n)クッションモジュールは、アイマスクに対して上下方向軸を中心に回転することが可能であり;(o)クッションモジュールは、非接触位置と密閉位置との間で移動可能である。
【0082】
さらなる例において:(a)アイマスクは、接続ポートを含み、接続ポートは、アイマスク上の中心および前側の位置にあり;(b)接続ポートは、患者の頭部上の上側位置にあり、アイマスクシステムは、接続ポートをアイマスクへ流体接続する一対のヘッドギアチューブを含み;(c)シール形成構造は、患者の鼻の下側周辺部の周りを密閉するように構成され;(d)シール形成構造は、一対の鼻ピローを含み;(e)シール形成構造は、患者の鼻尖の上側にある患者の鼻の表面を含む、患者の鼻の周りを密閉するように構成された鼻クッションを含み;(f)シール形成構造は、患者の鼻尖の上側にある患者の鼻の表面を含む、患者の鼻および口の周りを密閉するように構成されたフルフェイスクッションを含む。
【0083】
さらなる例において:(a)アイマスクシステムは、ユーザが覚醒していることを検出し、睡眠支援モードで動作するように構成され;(b)アイマスクシステムは、ユーザが就眠中であることを検出し、睡眠モードで動作するように構成され;(c)アイマスクシステムは、睡眠支援モードから睡眠モードへ変化した際に呼吸圧力療法を開始するように構成され;(d)アイマスクシステムは、睡眠支援モードから睡眠モードへ変化した際にクッションモジュールを非接触位置から密閉位置へ移動させるように構成される。
【0084】
本技術の一形態の別の態様は、睡眠呼吸障害の治療のためのアイマスクシステムであり、アイマスクシステムは、以下を含む:
使用時にユーザの眼を覆うように構成されたアイマスク;
ユーザの睡眠に影響を与えること、および/またはユーザの睡眠の特性を検出すること、および/または睡眠中にユーザの特性を検出することを行うように構成された1つ以上のトランスデューサ;
加圧された空気流れを提供するように構成された流れ生成器;
治療的圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、上記プレナムチャンバは、空気流れを患者による呼吸のために流れ生成器から治療的圧力で受容するようなサイズおよび構造にされる、プレナムチャンバ、
患者の気道への入口を取り囲む患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、上記シール形成構造は、その内部に穴を有し、その結果、上記治療的圧力で空気流れは、少なくとも患者の鼻孔への入口へ送達され、シール形成構造は、使用時に上記治療的圧力をプレナムチャンバ内において患者の呼吸サイクル全体を通じて維持するように構築および配置される、シール形成構造;
プレナムチャンバの内部から周囲へ、患者によって吐き出されたガスが連続的に流れるようにする通気部であって、上記通気構造は、使用時にプレナムチャンバ内の治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気部。
【0085】
例において:(a)アイマスクシステムは、クッションモジュールを含み、クッションモジュールは、シール形成構造を含み、プレナムチャンバを少なくとも部分的に形成し;(b)クッションモジュールは、アイマスクに取り外し可能に取り付け可能であり;(c)クッションモジュールは、アイマスクに対して移動可能であり;(d)クッションモジュールは、アイマスクに対して移動することが可能であり;(e)クッションモジュールは、アイマスクから少なくとも部分的に連結解除され;(f)クッションモジュールは、アイマスクに対して位置を変えることが可能であり;(g)アイマスクシステムは、クッションモジュールを移動させるためのアクチュエータを含み;(h)クッションモジュールは、アイマスクに対して前後方向軸に沿って並進運動することが可能であり;(i)クッションモジュールは、アイマスクに対して左右方向軸に沿って並進運動することが可能であり;(j)クッションモジュールは、アイマスクに対して上下方向軸に沿って並進運動することが可能であり;(k)クッションモジュールは、アイマスクに対して配向を変えることが可能であり;(l)クッションモジュールは、アイマスクに対して左右方向軸を中心に回転することが可能であり;(m)クッションモジュールは、アイマスクに対して前後方向軸を中心に回転することが可能であり;(n)クッションモジュールは、アイマスクに対して上下方向軸を中心に回転することが可能であり;(o)クッションモジュールは、非接触位置と密閉位置との間で移動可能である。
【0086】
さらなる例において:(a)シール形成構造は、患者の鼻の下側周辺部の周りを密閉するように構成され;(b)シール形成構造は、一対の鼻ピローを含み;(c)シール形成構造は、患者の鼻尖の上側にある患者の鼻の表面を含む、患者の鼻の周りを密閉するように構成された鼻クッションを含み;(d)シール形成構造は、患者の鼻尖の上側にある患者の鼻の表面を含む、患者の鼻および口の周りを密閉するように構成されたフルフェイスクッションを含む。
【0087】
さらなる例において:(a)アイマスクシステムは、ユーザが覚醒していることを検出し、睡眠支援モードで動作するように構成され;(b)アイマスクシステムは、ユーザが就眠中であることを検出し、睡眠モードで動作するように構成され;(c)アイマスクシステムは、睡眠支援モードから睡眠モードへ変化した際に呼吸圧力療法を開始するように構成され;(d)アイマスクシステムは、睡眠支援モードから睡眠モードへ変化した際にクッションモジュールを非接触位置から密閉位置へ移動させるように構成される。
【0088】
本技術の一態様は、ユーザの頭部上に着用されるように構成されたアイマスクシステムであり、アイマスクシステムは、以下を含む:
使用時にユーザの眼を覆うように構成されたアイマスク;
ユーザおよび/または周囲環境とインターフェースをとるように構成された1つ以上のトランスデューサと;
ユーザの眼を覆う使用時位置にアイマスクを保持する力を印加するように構成された少なくとも1つのストラップを含む位置決めおよび安定化構造。
【0089】
例において:(a)少なくとも1つのストラップは、睡眠中にユーザの眼を覆う使用時位置にアイマスクを保持するように構成され;かつ/または(b)1つ以上のトランスデューサは、ユーザの睡眠に影響を与えること、および/またはユーザの睡眠の特性を検出すること、および/または睡眠中にユーザの特性を検出することを行うように構成される。
【0090】
例において:(a)1つ以上のトランスデューサは、1つ以上のセンサを含み得;(b)1つ以上のセンサは、EEGセンサを含み得;(c)アイマスクシステムは、ECGセンサを含み得;(d)アイマスクシステムは、心拍数センサを含み得;(e)アイマスクシステムは、酸素飽和度センサを含み得;(f)アイマスクシステムは、血圧センサを含み得;(g)アイマスクシステムは、加速度計を含み得;(h)アイマスクシステムは、温度センサを含み得;(i)アイマスクシステムは、体温センサおよび/または周囲温度センサを含み得;かつ/または(j)アイマスクシステムは、マイクロフォンを含み得る。
【0091】
さらなる例において:(a)1つ以上のセンサは、アイマスクに設けられ得;(b)1つ以上のセンサは、周辺構成要素に設けられ得;(c)アイマスクシステムは、センサのうち1つ以上の出力を分析し、分析に基づいてアクションを行うように構成され得;(d)アイマスクシステムは、センサのうち1つ以上の出力を分析するように構成された人工知能または機械学習モジュールを含み得る。
【0092】
さらなる例において:(a)1つ以上のトランスデューサは、1つ以上の出力トランスデューサを含み得;(b)1つ以上の出力トランスデューサは、音響トランスデューサを含み得;(c)音響トランスデューサは、イヤーパッドまたは耳覆い型ヘッドフォンを含み得;(d)音響トランスデューサは、骨伝導トランスデューサを含み得;(e)アイマスクシステムは、音響トランスデューサを用いてノイズキャンセリング効果を提供するように構成され得;(f)アイマスクシステムは、ディスプレイを含み得;(g)アイマスクシステムは、温度トランスデューサを含み得;(h)温度トランスデューサは、加熱要素を含み得;(i)温度トランスデューサは、熱電冷却器を含み得;かつ/または(j)アイマスクシステムは、香気トランスデューサを含み得る。
【0093】
さらなる例において、アイマスクシステムは、以下を含む:
治療的圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、上記プレナムチャンバは、空気流れを患者による呼吸のために接続ポートから治療的圧力で受容するようなサイズおよび構造にされる、プレナムチャンバ;
患者の気道への入口を取り囲む患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、上記シール形成構造は、その内部に穴を有し、その結果、上記治療的圧力で空気流れは、少なくとも患者の鼻孔への入口へ送達され、シール形成構造は、使用時に上記治療的圧力をプレナムチャンバ内において患者の呼吸サイクル全体を通じて維持するように構築および配置される、シール形成構造;および
プレナムチャンバの内部から周囲へ、患者によって吐き出されたガスが連続的に流れるようにする通気部であって、上記通気構造は、使用時にプレナムチャンバ内の治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気部。
【0094】
さらなる例において:(a)アイマスクシステムは、セットアップモードで動作するように構成され、セットアップモードにおいて、アイマスクシステムは、ユーザがアイマスクシステムを患者インターフェースとしてセットアップし、かつ/または使用し始めることを支援するように構成され;(b)アイマスクシステムは、チュートリアルをユーザに提示して、セットアップについてユーザを支援するように構成され;(c)アイマスクシステムは、ユーザが、アイマスクシステムを睡眠呼吸障害の呼吸圧力治療のための患者インターフェースとして使用するために正しくフィットさせることを支援するように構成され;かつ/または(d)アイマスクシステムは、トラブルシューティングについて指示を提供するように構成される。
【0095】
さらなる例において:(a)アイマスクシステムは、セットアップ中に1つ以上のセンサから受信された1つ以上の信号を監視し、1つ以上の信号に基づいてセットアップについてのフィードバックをユーザに提供するように構成され;(b)アイマスクシステムは、ストラップ張力センサを含み;かつ/または(c)アイマスクシステムは、アイマスクシステムのバックストラップにおける張力を、ストラップ張力センサを用いて測定し、張力に基づいてフィードバックをユーザに提供するように構成される。
【0096】
さらなる例において:(a)アイマスクシステムは、呼吸圧力療法のためのアイマスクシステムの使用中に漏れを検出するように構成され;(b)アイマスクシステムは、漏れの存在をユーザに警告するように構成され;(c)アイマスクシステムは、漏れの位置を決定するように構成され;(d)アイマスクシステムは、漏れの位置の明示をユーザに提供するように構成され;かつ/または(e)アイマスクシステムは、漏れの位置に基づいて漏れの低減または撲滅についての指示を提供するように構成される。
【0097】
さらなる例において:(a)アイマスクシステムは、ユーザが呼吸することを弛緩に資する方式で支援するようユーザに促すように構成され;(b)アイマスクシステムは、ユーザの呼吸のためのキューを提供するように構成され;(c)キューは、ディスプレイまたは音響トランスデューサを介して提供され得;(d)アイマスクシステムは、呼吸キューに対する患者のアドヒアランスを、1つ以上のセンサを使用して監視するように構成され;(e)アイマスクシステムは、キューを提供しながら、気道陽圧をプレナムチャンバおよびシール形成構造を介して提供するように構成され;(f)アイマスクシステムは、気道陽圧を療法圧力よりも低い圧力から療法圧力まで増加させるように構成される。
【0098】
さらなる例において:(a)アイマスクは、アイマスクのユーザ接触側上に位置決めされた1つ以上のクッション部分を含み得;(b)1つ以上のクッション部分は、テキスタイル;織地;発泡体;およびシリコーンのうち任意の1つ以上から形成され得;(c)1つ以上のクッション部分は、第1のクッション部分および第2のクッション部分を含み得、第1のクッション部分は、第2のクッション部分よりも大きな厚さおよび/または大きなユーザ接触表面を有し、第1のクッション部分は、第2のクッション部分よりも大きな力をユーザの顔上に使用時に付与するアイマスクの部分内に位置決めされ;(d)1つ以上のクッション部分は、第1のクッション部分および第2のクッション部分を含み得、第1のクッション部分は、第2のクッション部分よりも大きな厚さおよび/または大きなユーザ接触表面を有し、第1のクッション部分は、ユーザの顔のうち使用時に第2のクッション部分と接触する部分よりも敏感な、使用時にユーザの顔の一部と接触するアイマスクの部分内に位置決めされる。
【0099】
本技術の一形態の別の態様は、睡眠呼吸障害の治療のために呼吸圧力療法をユーザに提供するアイマスクシステムであって、アイマスクシステムは、
使用時にユーザの眼を覆うように構成されたアイマスク;
ユーザの睡眠に影響を与えること、および/またはユーザの睡眠の特性を検出すること、および/または睡眠中にユーザの特性を検出することを行うように構成された1つ以上のトランスデューサ
を含み;
アイマスクシステムは、
空気回路から患者による呼吸のために治療的圧力で加圧された空気流れを受容し、空気回路へ流体接続するように構成された接続ポート;または
加圧された空気流れを上記治療的圧力で生成するように構成された流れ生成器
のうち1つをさらに含み、
アイマスクシステムは、
治療的圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、上記プレナムチャンバは、空気流れを上記治療的圧力で受容するようなサイズおよび構造にされる、プレナムチャンバと、
患者の気道への入口を取り囲む患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、上記シール形成構造は、その内部に穴を有し、その結果、上記治療的圧力で空気流れは、少なくとも患者の鼻孔への入口へ送達され、シール形成構造は、使用時に上記治療的圧力をプレナムチャンバ内において患者の呼吸サイクル全体を通じて維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
プレナムチャンバの内部から周囲へ、患者によって吐き出されたガスが連続的に流れるようにする通気部であって、上記通気構造は、使用時にプレナムチャンバ内の治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気部と、をさらに含み、
アイマスクシステムは、以下の少なくとも2つのモードで動作するように構成される:呼吸圧力療法をユーザに提供しない非治療モード、および睡眠呼吸障害の治療のために呼吸圧力療法をユーザに提供する治療モード。
【0100】
例において:(a)1つ以上のトランスデューサは、ユーザの睡眠の特性、および/または睡眠中のユーザの特性を検出するように構成された1つ以上のセンサを含み得;(b)1つ以上のセンサは、EEGセンサを含み得;(c)アイマスクシステムは、ECGセンサを含み得;(d)アイマスクシステムは、心拍数センサを含み得;(e)アイマスクシステムは、酸素飽和度センサを含み得;(f)アイマスクシステムは、血圧センサを含み得;(g)アイマスクシステムは、加速度計を含み得;(h)アイマスクシステムは、温度センサを含み得;(i)アイマスクシステムは、体温センサおよび/または周囲温度センサを含み得;かつ/または(j)アイマスクシステムは、マイクロフォンを含み得る。
【0101】
さらなる例において:(a)1つ以上のセンサは、アイマスクに設けられ得;(b)1つ以上のセンサは、周辺構成要素に設けられ得;(c)アイマスクシステムは、センサのうち1つ以上の出力を分析するように構成され得;(d)アイマスクシステムは、分析に基づいてアクションを行うように構成され;(e)アイマスクシステムは、睡眠特性の特定、問題の特定、結果の予測、および/または分析に基づいた推奨事項の提供を行うように構成され得;(f)アイマスクシステムは、センサのうち1つ以上の出力を分析するように構成された人工知能または機械学習モジュールを含み得;(g)アイマスクシステムは、障害の検出および/または診断を行うように構成され得;(h)アイマスクシステムは、睡眠呼吸障害を検出するように構成され得;(i)アイマスクは、少なくとも非治療モードにおいて睡眠呼吸障害を検出するように構成され得;(j)アイマスクシステムは、無呼吸、低呼吸、過呼吸、いびき、または喘ぎのうち1つ以上を少なくとも非治療モードにおいて検出するように構成され得;かつ/または(k)アイマスクシステムは、非治療モードにおいて睡眠呼吸障害を検出し、睡眠呼吸障害が検出された際に非治療モードから治療モードに切り替わるように構成される。
【0102】
さらなる例において:(a)1つ以上のトランスデューサは、ユーザの睡眠に影響を与えるように構成された1つ以上の出力トランスデューサを含み得;(b)1つ以上の出力トランスデューサは、ユーザが就寝すること、および/または睡眠の質を向上させることを支援するように構成された1つ以上の出力トランスデューサを含み得;(c)アイマスクシステムは、出力トランスデューサのうち1つを動作させて、より長い睡眠、より深い睡眠、より長い深睡眠、およびより長いレム睡眠のうち1つ以上を達成するように構成され得;(d)1つ以上の出力トランスデューサは、音響トランスデューサを含み得;(e)音響トランスデューサは、イヤーパッドまたは耳覆い型ヘッドフォンを含み得;(f)音響トランスデューサは、骨伝導トランスデューサを含み得;(g)アイマスクシステムは、音響トランスデューサを用いてノイズキャンセリング効果を提供するように構成され得;(h)1つ以上の出力トランスデューサは、ディスプレイを含み得;(i)1つ以上の出力トランスデューサは、温度トランスデューサを含み得;(j)温度トランスデューサは、加熱要素を含み得;(k)温度トランスデューサは、熱電冷却器を含み得;かつ/または(l)1つ以上の出力トランスデューサは、香気トランスデューサを含み得る。
【0103】
さらなる例において:(a)アイマスクシステムは、ユーザの睡眠を最適化するように構成され;(b)アイマスクシステムは、ユーザが就寝すること、就眠状態をより長く維持すること、より深い睡眠を達成すること、深睡眠をより長く維持すること、起床すること、最適な時間に起床すること、および/または穏やかに起床することを支援するように構成され;(c)アイマスクシステムは、ユーザの睡眠を向上させ得る変化を、発生した場合に決定するように構成され;(d)アイマスクシステムは、センサから入力を受信し、トランスデューサを決定し、出力し、動作させるように構成され;(e)アイマスクシステムは、ユーザが呼吸することを弛緩または睡眠に資する方式で支援するように構成され;(f)アイマスクシステムは、ユーザの呼吸のためのキューを提供するように構成され;かつ/または(g)キューは、ディスプレイまたは音響トランスデューサを介して提供され得る。
【0104】
例において:(a)アイマスクシステムは、クッションモジュールを含み、クッションモジュールは、シール形成構造を含み、プレナムチャンバを少なくとも部分的に形成し;(b)クッションモジュールは、アイマスクに取り外し可能に取り付け可能であり;(c)クッションモジュールは、アイマスクに対して移動可能であり;(d)クッションモジュールは、アイマスクに対して移動することが可能であり;(e)クッションモジュールは、アイマスクから少なくとも部分的に連結解除され;(f)クッションモジュールは、アイマスクに対して位置を変えることが可能であり;(g)アイマスクシステムは、クッションモジュールを移動させるためのアクチュエータを含み;(h)クッションモジュールは、アイマスクに対して前後方向軸に沿って並進運動することが可能であり;(i)クッションモジュールは、アイマスクに対して左右方向軸に沿って並進運動することが可能であり;(j)クッションモジュールは、アイマスクに対して上下方向軸に沿って並進運動することが可能であり;(k)クッションモジュールは、アイマスクに対して配向を変えることが可能であり;(l)クッションモジュールは、アイマスクに対して左右方向軸を中心に回転することが可能であり;(m)クッションモジュールは、アイマスクに対して前後方向軸を中心に回転することが可能であり;(n)クッションモジュールは、アイマスクに対して上下方向軸を中心に回転することが可能であり;(o)シール形成構造は、シール形成構造がユーザと接触しない非接触位置と、シール形成構造によってユーザの顔に対してシールを形成することが可能な密閉位置との間で移動可能であり;(p)クッションモジュールは、シール形成構造がユーザと接触しない非接触位置と、シール形成構造によってユーザの顔に対してシールを形成することが可能な密閉位置との間で移動可能である。
【0105】
さらなる例において:(a)アイマスクは、接続ポートを含み、接続ポートは、アイマスク上の中心および前側の位置にあり;(b)接続ポートは、患者の頭部上の上側位置にあり、アイマスクシステムは、接続ポートをアイマスクへ流体接続する一対のヘッドギアチューブを含み;(c)シール形成構造は、患者の鼻の下側周辺部の周りを密閉するように構成され;(d)シール形成構造は、一対の鼻ピローを含み;(e)シール形成構造は、患者の鼻尖の上側にある患者の鼻の表面を含む、患者の鼻の周りを密閉するように構成された鼻クッションを含み;(f)シール形成構造は、患者の鼻尖の上側にある患者の鼻の表面を含む、患者の鼻および口の周りを密閉するように構成されたフルフェイスクッションを含む。
【0106】
さらなる例において:(a)アイマスクシステムは、ユーザが覚醒していることを検出し、非治療モードで動作するように構成され;(b)アイマスクシステムは、ユーザが就眠中であることを検出し、治療モードで動作するように構成され;(c)アイマスクシステムは、非治療モードから治療モードへ変化した際に呼吸圧力療法を開始するように構成され;(d)アイマスクシステムは、非治療モードから治療モードへ変化した際にシール形成構造を非接触位置から密閉位置へ移動させるように構成される。
【0107】
さらなる例において:(a)アイマスクシステムは、ユーザが呼吸することを弛緩に資する方式で支援するようユーザに促すように構成され;(b)アイマスクシステムは、ユーザの呼吸のためのキューを提供するように構成され;(c)キューは、ディスプレイまたは音響トランスデューサを介して提供され得;(d)アイマスクシステムは、呼吸キューに対する患者のアドヒアランスを、1つ以上のセンサを使用して監視するように構成され;(e)アイマスクシステムは、キューを提供しながら、気道陽圧をプレナムチャンバおよびシール形成構造を介して提供するように構成され;(f)アイマスクシステムは、気道陽圧を療法圧力よりも低い圧力から療法圧力まで増加させるように構成される。
【0108】
本技術の一形態の別の態様は、睡眠呼吸障害の治療のために呼吸圧力療法をユーザに提供するアイマスクシステムであって、アイマスクシステムは、
使用時にユーザの眼を覆うように構成されたアイマスク;
ユーザの睡眠に影響を与えること、および/またはユーザの睡眠の特性を検出すること、および/または睡眠中にユーザの特性を検出することを行うように構成された1つ以上のトランスデューサ
を含み;
アイマスクシステムは、
空気回路から患者による呼吸のために治療的圧力で加圧された空気流れを受容し、空気回路へ流体接続するように構成された接続ポート;または
加圧された空気流れを上記治療的圧力で生成するように構成された流れ生成器
のうち1つをさらに含み、
アイマスクシステムは、
治療的圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、上記プレナムチャンバは、空気流れを上記治療的圧力で受容するようなサイズおよび構造にされる、プレナムチャンバと、
患者の気道への入口を取り囲む患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、上記シール形成構造は、その内部に穴を有し、その結果、上記治療的圧力で空気流れは、少なくとも患者の鼻孔への入口へ送達され、シール形成構造は、使用時に上記治療的圧力をプレナムチャンバ内において患者の呼吸サイクル全体を通じて維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
プレナムチャンバの内部から周囲へ、患者によって吐き出されたガスが連続的に流れるようにする通気部であって、上記通気構造は、使用時にプレナムチャンバ内の治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気部と、をさらに含み、
アイマスクシステムは、呼吸圧力療法中にユーザが就寝すること、および/または就眠を維持することを支援するように構成される。
【0109】
例において:(a)1つ以上のトランスデューサは、周囲環境の特性、ユーザの睡眠の特性、および/または睡眠中のユーザの特性を検出するように構成された1つ以上のセンサを含み得;(b)1つ以上のセンサは、EEGセンサを含み得;(c)アイマスクシステムは、ECGセンサを含み得;(d)アイマスクシステムは、心拍数センサを含み得;(e)アイマスクシステムは、酸素飽和度センサを含み得;(f)アイマスクシステムは、血圧センサを含み得;(g)アイマスクシステムは、加速度計を含み得;(h)アイマスクシステムは、温度センサを含み得;(i)アイマスクシステムは、体温センサおよび/または周囲温度センサを含み得;かつ/または(j)アイマスクシステムは、マイクロフォンを含み得る。
【0110】
さらなる例において:(a)1つ以上のセンサは、アイマスクに設けられ得;(b)1つ以上のセンサは、周辺構成要素に設けられ得;(c)アイマスクシステムは、センサのうち1つ以上の出力を分析し、分析に基づいてアクションを行うように構成され得;(d)アイマスクシステムは、睡眠特性の特定、問題の特定、結果の予測、および/または分析に基づいた推奨事項の提供を行うように構成され得;(e)アイマスクシステムは、センサのうち1つ以上の出力を分析するように構成された人工知能または機械学習モジュールを含み得;(f)アイマスクシステムは、障害の検出および/または診断を行うように構成され得;(g)アイマスクシステムは、睡眠呼吸障害を検出するように構成され得;かつ/または(h)アイマスクシステムは、無呼吸、低呼吸または過呼吸のうち1つ以上を検出するように構成され得る。
【0111】
さらなる例において:(a)アイマスクシステムは、ユーザが睡眠中であることを特定するように構成され得;(b)アイマスクシステムは、睡眠段階を特定するように構成され得;(c)アイマスクシステムは、レム睡眠およびノンレム睡眠を特定するように構成され得;(d)アイマスクシステムは、浅睡眠および深睡眠を特定するように構成され得;(f)アイマスクシステムは、浅睡眠中にユーザを起床させるように構成され得;(g)アイマスクシステムは、ユーザの睡眠状態を変えるように構成され得;かつ/または(h)アイマスクシステムは、ユーザを起床させることなく、ユーザの睡眠状態を深睡眠から浅睡眠に変えるように構成され得る。
【0112】
さらなる例において:(a)1つ以上のトランスデューサは、ユーザの睡眠に影響を与えるように構成された1つ以上の出力トランスデューサを含み得;(b)1つ以上の出力トランスデューサは、ユーザが就寝すること、および/または睡眠の質を向上させることを支援するように構成された1つ以上の出力トランスデューサを含み得;(c)アイマスクシステムは、出力トランスデューサのうち1つを動作させて、より長い睡眠、より深い睡眠、より長い深睡眠、およびより長いレム睡眠のうち1つ以上を達成するように構成され得;(d)1つ以上の出力トランスデューサは、音響トランスデューサを含み得;(e)音響トランスデューサは、イヤーパッドまたは耳覆い型ヘッドフォンを含み得;(f)音響トランスデューサは、骨伝導トランスデューサを含み得;(g)アイマスクシステムは、音響トランスデューサを用いてノイズキャンセリング効果を提供するように構成され得;(h)1つ以上の出力トランスデューサは、ディスプレイを含み得;(i)1つ以上の出力トランスデューサは、温度トランスデューサを含み得;(j)温度トランスデューサは、加熱要素を含み得;(k)温度トランスデューサは、熱電冷却器を含み得;かつ/または(l)1つ以上の出力トランスデューサは、香気トランスデューサを含み得る。
【0113】
さらなる例において:(a)アイマスクシステムは、ユーザの睡眠を最適化するように構成され;(b)アイマスクシステムは、ユーザが就寝すること、就眠状態をより長く維持すること、より深い睡眠を達成すること、深睡眠をより長く維持すること、起床すること、最適な時間に起床すること、および/または穏やかに起床することを支援するように構成され;(c)アイマスクシステムは、ユーザの睡眠を向上させ得る変化を、発生した場合に決定するように構成され;(d)アイマスクシステムは、センサから入力を受信し、トランスデューサを決定し、出力し、動作させるように構成され;(e)アイマスクシステムは、ユーザが呼吸することを弛緩または睡眠に資する方式で支援するように構成され;(f)アイマスクシステムは、ユーザの呼吸のためのキューを提供するように構成され;かつ/または(g)キューは、ディスプレイまたは音響トランスデューサを介して提供され得る。
【0114】
さらなる例において:(a)アイマスクシステムは、ユーザが覚醒していることを検出し、睡眠支援モードで動作するように構成され;(b)アイマスクシステムは、ユーザが就眠中であることを検出し、睡眠モードで動作するように構成され;(c)アイマスクシステムは、睡眠支援モードから睡眠モードへ変化した際に呼吸圧力療法を開始するように構成され;(d)アイマスクシステムは、睡眠支援モードから睡眠モードへ変化した際にクッションモジュールを非接触位置から密閉位置へ移動させるように構成される。
【0115】
さらなる例において:(a)1つ以上のトランスデューサは、周囲環境の特性、ユーザの睡眠の特性、および/またはユーザの特性を検出するように構成された1つ以上のセンサを含み;(b)アイマスクシステムは、ユーザが就寝すること、および/または就眠を維持することを支援し得る変化を、発生した場合に決定するように構成され;(c)アイマスクシステムは、センサのうち1つ以上の出力に基づいて空気流れの治療的圧力を調整するように構成され;(d)アイマスクシステムは、ユーザが起床していることを検出し、治療的圧力を低下させるように構成され;(e)アイマスクシステムは、周囲ノイズが所定の閾値を超えたことが検出された際に治療的圧力を低下させるように構成され;(f)アイマスクシステムは、マイクロフォンおよび音響トランスデューサを含み;(g)アイマスクシステムは、周囲ノイズが所定の閾値を超えたことが検出された際に音響トランスデューサを用いてノイズキャンセリング効果を提供するように構成され;(h)アイマスクシステムは、ユーザが起床していることが検出された際に音響トランスデューサを用いてノイズキャンセリング効果を提供するように構成され;(i)1つ以上のトランスデューサは、ユーザの睡眠に影響を与えるように構成された1つ以上の出力トランスデューサを含み;かつ/または(j)1つ以上の出力トランスデューサは、ユーザの就寝を支援すること、ユーザの就眠の維持を支援すること、および/または睡眠の質を向上させることを行うように構成される。
【0116】
本技術の一形態の別の態様は、対象とする着用者の形状に対して相補的である周囲形状と共に成形されたり、他の方式で構築されたりする患者インターフェースである。
【0117】
本技術の一形態の一態様は、装置を製造する方法である。
【0118】
本技術の特定の形態の一態様は、例えば医療訓練を受けたことのない人、あまり器用ではない人や洞察力の欠いた人、またはこの種類の医療用デバイスの使用経験が乏しい人にとって使いやすい医療用デバイスである。
【0119】
本技術の一形態の一態様は、例えば自宅の周りにおいて人が持ち運ぶことが可能な携帯用RPTデバイスである。
【0120】
本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において、例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースであり、特殊な清浄器具は不要である。本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において、例えば石けん水などによって洗浄することが可能な加湿器タンクであり、特殊な清浄器具は不要である。
【0121】
記載される方法、システム、デバイスおよび装置は、プロセッサ(例えば、特定目的用コンピュータのプロセッサ、呼吸モニターおよび/または呼吸療法装置)の機能性を向上させるように実装され得る。さらに、記載される方法、システム、デバイスおよび装置により、例えば睡眠呼吸障害を含む呼吸器疾病の自動管理、監視および/または治療の技術分野における向上が可能になる。
【0122】
もちろん、態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様なものを多様な方式で組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成することができる。
【0123】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
4 図面の簡単な説明
【0125】
本技術は、添付図面の図式中に非限定的に例として例示され、図面中、類似の参照番号は、以下を含む類似の要素を指す:
4.1 呼吸療法システム
図1】RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する鼻ピローの形態をとる患者インターフェース3000を着用している患者1000を含むシステムを示す。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000内で調節され、空気回路4170に沿って患者1000へ送られる。同床者1100も示される。患者は、仰臥位睡眠姿勢で睡眠中である。 4.2 呼吸器系および顔の解剖学的構造
図2A】鼻腔および口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓、ならびに横隔膜を含むヒトの呼吸器系の概要を示す。
図2B】鼻腔、鼻骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、鼻の穴、ウワクチビル、シタクチビル、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、口咽頭、舌、喉頭蓋、声帯ひだ、食道および気管を含むヒトの上気道の図を示す。
図2C】ウワクチビル、上唇紅、下唇紅、シタクチビル、口の幅、内眼角、鼻翼、鼻唇溝および口角点を含む、特定された体表解剖学的構造のいくつかの特徴を有する顔の正面図である。上側、下側、ラジアル内方およびラジアル外方の方向も示されている。
図2D】眉間、セリオン、鼻尖点、鼻下点、ウワクチビル、シタクチビル、スプラメントン(supramenton)、鼻堤、鼻翼基部最側方点、上耳底点および下耳底点を含む、特定された体表解剖学的構造のいくつかの特徴を有する頭部の側面図である。上側および下側、ならびに前側および後側への方向も示されている。
図2E】頭部のさらなる側面図である。フランクフォート水平および鼻唇角の大まかな位置が示されている。冠状面も示されている。
図2F】鼻唇溝、シタクチビル、上唇紅、鼻孔、鼻下点、鼻柱、鼻尖点、鼻孔の長軸および正中矢状面を含む、特定されたいくつかの特徴を有する鼻の底面図を示す。
図2G】鼻の表面的特徴の側面図を示す。
図2H】側鼻軟骨、鼻中隔軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻翼軟骨、鼻種子軟骨、鼻骨、表皮、脂肪組織、上顎骨前頭突起および線維性脂肪組織を含む、鼻の皮下構造を示す。
図2I】鼻を正中矢状面から約数ミリメートルの内側で切開した様子を示し、特に鼻中隔軟骨および大鼻翼軟骨の内側脚を示す。
図2J】前頭骨、鼻骨および頬骨を含む頭蓋骨の正面図を示す。鼻甲介は、上顎骨および下顎骨と共に示されている。
図2K】頭蓋骨を頭部表面の外形、ならびにいくつかの筋肉と共に示す側面図である。以下の骨が示されている:前頭骨、蝶形骨、鼻骨、頬骨、上顎骨、下顎骨、頭頂骨、側頭骨および後頭骨。オトガイ隆起が示されている。以下の筋肉が示されている:顎二腹筋、咬筋、胸鎖乳突筋および僧帽筋。
図2L】鼻の前外側図を示す。 4.3 患者インターフェース
図3A】本技術の一形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。 4.4 RPTデバイス
図4A】本技術の一形態によるRPTデバイスを示す。
図4B】本技術の一形態によるRPTデバイスの空気圧行路の模式図である。上流および下流の方向は、送風機および患者インターフェースに対して示されている。任意の特定の瞬間における実際の流れ方向に関係なく、送風機は、患者インターフェースの上流にあるものとして規定され、患者インターフェースは、送風機の下流にあるものとして規定される。送風機と患者インターフェースとの間の空気圧行路内に位置するアイテムは、送風機の下流、および患者インターフェースの上流にある。
図4C】本技術の一形態によるRPTデバイスの電装部品の模式図である。
図4D】本技術の一形態によるRPTデバイス内に実装されるアルゴリズムの模式図である。
図4E】本技術の一形態による図4Dの療法エンジンモジュールによって実施される方法を例示したフローチャートである。 4.5 加湿器
図5A】本技術の一形態による加湿器の等角図を示す。
図5B】本技術の一形態による加湿器の等角図を示し、加湿器リザーバ5110を加湿器リザーバドック5130から除去した様子を示す。 4.6 呼吸波形
図6A】睡眠中の人の典型的な呼吸波形のモデルを示す。 4.7 アイマスクシステム
図7】本技術の例によるアイマスクシステム7000を患者が着用している様子の側面図である。
図8図7のアイマスクシステム7000のアイマスク7100の構成要素を表すブロック図である。
図9】シール形成構造3100を有する、本技術の別の例によるアイマスクシステム7000を患者が着用している様子の側面図である。
図10】空気回路4170へ接続されている、本技術の別の例によるアイマスクシステム7000を患者が着用している様子の側面図である。
図11】患者の頭部の上側部分に位置する接続部分3600を有する、本技術の別の例によるアイマスクシステム7000を患者が着用している様子の側面図である。
図12】短管4175を有する、本技術の別の例によるアイマスクシステム7000の側面図である。
図13】クッションモジュール3150を有するアイマスクシステム7000の斜視破断図である。
図14】アイマスクシステム7000のための位置決めおよび安定化構造3300の構成要素の斜視図である。
図15】流れ生成器7400を有する、本技術の別の例によるアイマスクシステム7000を患者が着用している様子の側面図である。
図16図15のアイマスクシステム7000の構成要素を表すブロック図である。
図17】本技術の別の例によるアイマスク7100の後方図である。
図18】本技術の別の例によるアイマスクシステム7000のための位置決めおよび安定化構造3300を示す。
図19】本技術の別の例によるアイマスク7100の前側部分の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0126】
5 本技術の例の詳細な説明
【0127】
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される特定の例に限定されるのではなく、この例は変化し得ることが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に論じられている特定の例のみを説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0128】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な例に関連して提供される。任意の一例の1つ以上の特徴は、別の例または他の例の1つ以上の特徴と組み合わせられ得ることが理解されるべきである。加えて、例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる例を構成し得る。
5.1 療法
【0129】
一形態において、本技術は、患者1000の気道の入口へ陽圧を印加することを含む、呼吸障害を治療する方法を含む。
【0130】
本技術の特定の例において、陽圧における空気供給が鼻孔の一方または両方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0131】
本技術の特定の例において、口呼吸が制限、限定または予防される。
5.2 呼吸療法システム
【0132】
一形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための呼吸療法システムを含む。呼吸療法システムは、空気流れを空気回路4170および患者インターフェース3000を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る。
5.3 患者インターフェース
【0133】
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能態様を含む:シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気部3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、ならびに額支持部3700。いくつかの形態において、機能態様は、1つ以上の物理的構成要素によって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的構成要素は、1つ以上の機能態様を提供し得る。使用時に、シール形成構造3100は、患者1000の気道への入口(単数または複数)において陽圧を維持するように、患者の気道への入口を取り囲むように配置される。よって、密閉された患者インターフェース3000は、陽圧療法の送達に適している。
【0134】
患者インターフェースが最小レベルの陽圧を快適に気道へ送達することができない場合、患者インターフェースは、呼吸圧力療法に不適切であり得る。
【0135】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも6cmHOの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0136】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも10cmHOの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0137】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも20cmHOの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
5.3.1 シール形成構造
【0138】
本技術の一形態において、シール形成構造3100は、目標シール形成領域を提供し、緩衝機能をさらに提供し得る。目標シール形成領域は、密閉が発生し得る、シール形成構造3100上の領域である。密閉が実際に発生する領域(すなわち、実際の密閉表面)は、様々な要因(例えば、顔上の患者インターフェースの配置位置と、位置決めおよび安定化構造における張力と、患者の顔の形状とを含む)に応じて、所与の治療セッション内で患者によって日々変化し得る。
【0139】
一形態において、目標シール形成領域は、シール形成構造3100の外側表面上に位置する。
【0140】
本技術の特定の形態において、シール形成構造3100は、生体適合性材料(例えば、シリコーンゴム)から構築される。
【0141】
本技術によるシール形成構造3100は、軟質で可撓性と弾力のある材料、例えば、シリコーンから構築され得る。
【0142】
本技術の特定の形態において、それぞれ異なるサイズおよび/または形状の範囲に対応するように構成される1つよりも多くのシール形成構造3100を含むシステムが提供される。例えば、システムは、小さなサイズの頭部ではなく大きなサイズの頭部に適したシール形成構造3100の一形態と、大きなサイズの頭部ではなく小さなサイズの頭部に適した別のものとを含み得る。
5.3.1.1 密閉機構
【0143】
一形態において、シール形成構造は、圧力補助密閉機構を利用する密閉フランジを含む。使用時に、密閉フランジは、プレナムチャンバ3200の内部のシステム陽圧(その底面上に作用する)に容易に応答して、それを顔との緊密な密閉係合を形成するように付勢することができる。圧力補助機構は、位置決めおよび安定化構造における弾性張力と共に作用し得る。
【0144】
一形態において、シール形成構造3100は、密閉フランジおよび支持フランジを含む。密閉フランジは、プレナムチャンバ3200の周囲部の周りに延びる比較的肉薄の部材(厚さは、約1mm未満、例えば、約0.25mm~約0.45mmである)を含む。支持フランジは、密閉フランジよりも比較的肉厚であり得る。支持フランジは、密閉フランジと、プレナムチャンバ3200の周縁部との間に配設され、周囲部の周りの少なくとも一部に延びる。支持フランジは、バネ様要素であるかそれを含み、密閉フランジを使用時に座屈しないように支持する機能を持つ。
【0145】
一形態において、シール形成構造は、圧縮密閉部分またはガスケット密閉部分を含み得る。使用時に、圧縮密閉部分またはガスケット密閉部分は、例えば位置決めおよび安定化構造における弾性張力に起因して、圧縮状態となるように構築および配置される。
【0146】
一形態において、シール形成構造は、張力部分を含む。使用時に、張力部分は、例えば密閉フランジの隣接領域により、緊張状態で保持される。
【0147】
一形態において、シール形成構造は、粘着表面または接着表面を有する領域を含む。
【0148】
本技術の特定の形態において、シール形成構造は、圧力補助密閉フランジと、圧縮密閉部分と、ガスケット密閉部分と、張力部分と、粘着表面または接着表面を有する部分とのうち1つ以上を含み得る。
5.3.1.2 鼻梁または鼻堤領域
【0149】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、使用時に患者の顔の鼻梁領域上または鼻堤領域上にシールを形成するシール形成構造を含む。
【0150】
一形態において、シール形成構造は、使用時に患者の顔の鼻梁領域上または鼻堤領域上にシールを形成するように構築された鞍状領域を含む。
5.3.1.3 上唇領域
【0151】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、使用時に患者の顔の上唇領域(すなわち、ウワクチビル)上に密閉を形成するシール形成構造を含む。
【0152】
一形態において、シール形成構造は、使用時に患者の顔の上唇領域上にシールを形成するように構築された鞍状領域を含む。
5.3.1.4 頤領域
【0153】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、使用時に患者の顔の頤領域上に密閉を形成するシール形成構造を含む。
【0154】
一形態において、シール形成構造は、使用時に患者の顔の頤領域上にシールを形成するように構築された鞍状領域を含む。
5.3.1.5 額領域
【0155】
一形態において、シール形成構造は、使用時に患者の顔の額領域上にシールを形成する。このような形態において、プレナムチャンバは、使用時に眼を覆ってもよい。
5.3.1.6 鼻ピロー
【0156】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000のシール形成構造は、一対の鼻パフまたは鼻ピローを含み、各鼻パフまたは鼻ピローは、患者の鼻の各鼻孔とのシールを形成するように構築および配置される。
【0157】
本技術の一態様による鼻ピローは、円錐台(その少なくとも一部は、患者の鼻の底面上にシールを形成する)、柄部、可撓性領域(円錐台の底面上にあり、円錐台を柄部へ接続する)を含む。加えて、本技術の鼻ピローが接続される構造は、柄部のベースに隣接する可撓性領域を含む。可撓性領域は協調して、円錐台と、鼻ピローが接続される構造との相対移動(変位移動および角度移動の両方)に対応する自在継手構造を容易にし得る。例えば、円錐台は、柄部が接続された構造に向かって軸方向に変位し得る。
5.3.2 プレナムチャンバ
【0158】
プレナムチャンバ3200は、使用時にシールが形成される領域において平均的な人の顔の表面輪郭に対して相補的である形状の周囲部を有する。使用時に、プレナムチャンバ3200の周縁部は、顔の隣接する表面に極めて近接して位置決めされる。顔との実際の接触は、シール形成構造3100によって提供される。シール形成構造3100は、使用時にプレナムチャンバ3200の周囲部全体を中心に延び得る。いくつかの形態において、プレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100は、単一の均質的材料ピースから形成される。
【0159】
本技術のいくつかの形態において、プレナムチャンバ3200は、使用時に患者の眼を覆わない。換言すると、眼は、プレナムチャンバによって規定される加圧体積の外にある。このような形態には、比較的目立ち過ぎなく、かつ/または着用者の快適性が増す傾向があり、これによって療法へのコンプライアンスが向上し得る。
【0160】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、透明材料、例えば透明ポリカーボネートから構築される。透明材料の使用は、患者インターフェースが目立ち過ぎないようにし、療法へのコンプライアンスの向上に役立ち得る。透明材料の使用は、患者インターフェースがどのように位置して機能しているかを臨床医が観察するのに役立ち得る。
【0161】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、半透明材料から構築される。半透明材料の使用は、患者インターフェースが目立ち過ぎないようにし、療法へのコンプライアンスの向上に役立ち得る。
5.3.3 位置決めおよび安定化構造
【0162】
本技術の患者インターフェース3000のシール形成構造3100は、使用時に位置決めおよび安定化構造3300によって密閉位置において保持され得る。
【0163】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、少なくとも、プレナムチャンバ3200内の陽圧の影響を克服して顔から浮き上がるのに十分な保持力が得られる。
【0164】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000への重力の影響を克服するための保持力が得られる。
【0165】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000への妨害力の潜在的影響(例えば、チューブの引き摺り、または患者インターフェースに対する不慮の干渉に起因する)を克服するための安全マージンとして保持力が得られる。
【0166】
本技術の一形態において、患者が睡眠中に着用しているものと調和するように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。一例において、位置決めおよび安定化構造3300は、装置の知覚された嵩または実際の嵩を低減するように、目立たない外形または断面厚さを有する。一例において、位置決めおよび安定化構造3300は、矩形断面を有する少なくとも1つのストラップを含む。一例において、位置決めおよび安定化構造3300は、少なくとも1つの平坦ストラップを含む。
【0167】
本技術の一形態においては、大きすぎず嵩張らないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供されて、患者が患者の頭部の後部領域を枕に載せた状態で仰臥位睡眠姿勢で横たわることを予防する。
【0168】
本技術の一形態においては、大きすぎず嵩張らないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供されて、患者が患者の頭部の側部領域を枕に載せた状態で側臥位睡眠姿勢で横たわることを予防する。
【0169】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、位置決めおよび安定化構造3300の前側部分と位置決めおよび安定化構造3300の後側部分との間に位置する連結解除部分を備える。連結解除部分は、圧縮に抵抗せず、例えば可撓性またはぺらぺらのストラップであり得る。連結解除部分は、患者が自身の頭部を枕に載せた状態で横たわったときに、後側部分への力が位置決めおよび安定化構造3300に沿って伝動されてシールを妨げることを、連結解除部分の存在により予防するように構築および配置される。
【0170】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、織地患者接触層と、発泡体内層と、織地外層との積層物から構築されたストラップを含む。一形態において、発泡体は、水分(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性である。一形態において、織地外層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
【0171】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、伸張可能である(例えば、弾力的に伸張可能である)ストラップを含む。例えば、ストラップは、使用時に緊張状態にされ、シール形成構造を引き寄せて患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように構成され得る。一例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
【0172】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は第1のタイを含み、第1のタイは、使用時にその下側縁部の少なくとも一部が患者の頭部の上耳底点の上側を通過し、後頭骨上に載置されることなく頭頂骨の一部上に載置されるように構築および配置される。
【0173】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第2のタイを含み、第2のタイは、使用時にその上側縁部の少なくとも一部が患者の頭部の下耳底点の下側を通過し、患者の頭部の後頭骨の下側または上に載置されるように構築および配置される。
【0174】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第1のタイおよび第2のタイを相互接続するように構築および配置されて第1のタイおよび第2のタイが互いに離れて移動する傾向を減少させる第3のタイを含む。
【0175】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、曲げ可能である(例えば、非硬性である)ストラップを含む。本態様の利点は、患者が横たわって睡眠をとっているとき、患者がストラップからより高い快適性を感じることである。
【0176】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、通気性があるように構築されて水蒸気が通過できるストラップを含む。
【0177】
本技術の特定の形態において、それぞれ保持力を提供して異なるサイズおよび/または形状の範囲に対応するように構成される1つよりも多くの位置決めおよび安定化構造3300を含むシステムが提供される。例えば、システムは、小さなサイズの頭部ではなく大きなサイズの頭部に適した位置決めおよび安定化構造3300の一形態と、大きなサイズの頭部ではなく小さなサイズの頭部に適した別のものとを含み得る。
5.3.4 通気部
【0178】
一形態において、患者インターフェース3000は、吐き出されたガス、例えば二酸化炭素の洗い流しを可能にするように構築および配置された通気部3400を含む。
【0179】
特定の形態において、通気部3400は、プレナムチャンバ内の圧力が周囲に対して正である間、プレナムチャンバ3200の内部から周囲への連続的通気流れを可能にするように構成される。通気部3400は、使用時にプレナムチャンバ内の治療的圧力を維持しつつ、通気流量が患者によって吐き出されたCOの再呼吸を低減するのに十分な大きさを有するように構成される。
【0180】
本技術による一形態の通気部3400は、複数の穴、例えば約20個~約80個の穴、または約40個~約60個の穴、または約45個~約55個の穴を含む。
【0181】
通気部3400は、プレナムチャンバ3200内に位置し得る。代替として、通気部3400は、連結解除構造、例えばスイベル内に位置する。
5.3.5 連結解除構造(複数または単数)
【0182】
一形態において、患者インターフェース3000は、少なくとも1つの連結解除構造、例えばスイベルまたはボール・ソケットを含む。
5.3.6 接続ポート
【0183】
接続ポート3600は、空気回路4170への接続を可能にする。
5.3.7 額支持部
【0184】
一形態において、患者インターフェース3000は、額支持部3700を含む。
5.3.8 窒息防止弁
【0185】
一形態において、患者インターフェース3000は、窒息防止弁を含む。
5.3.9 ポート
【0186】
本技術の一形態において、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200内の体積へのアクセスを可能にする1つ以上のポートを含む。一形態において、これにより、臨床医が補充用酸素を供給することが可能になる。一形態において、これにより、プレナムチャンバ3200内のガスの特性、例えば圧力を直接測定することが可能になる。
5.4 RPTデバイス
【0187】
本技術の一態様によるRPTデバイス4000は、機械構成要素、空気圧式の構成要素、および/または電装部品を含み、1つ以上のアルゴリズム(例えば全体的にせよ部分的にせよ本明細書に記載の方法のうちいずれか)を実行するように構成される。RPTデバイス4000は、患者の気道へ送達するための空気流れを生成して、本文書中の他のところに記載されている呼吸器疾病のうちの1つ以上を治療したりするように構成され得る。RPTデバイス4000は、いくつかの例において、後述するようにアイマスク7100などの別のデバイス内に組み込まれ得る。
【0188】
一形態において、RPTデバイス4000は、少なくとも6cmHO、または少なくとも10cmHO、または少なくとも20cmHOの陽圧を維持しつつ、空気流れを-20L/分~+150L/分の範囲で送達できるように構築および配置される。
【0189】
図4Aに示す例において、RPTデバイス4000は、2つの部分(上部分4012および下部分4014)で形成される外部ハウジング4010を有する。さらに、外部ハウジング4010は、1つ以上のパネル(単数または複数)4015を含み得る。RPTデバイス4000は、RPTデバイス4000の1つ以上の内部構成要素を支持するシャシー4016を含む。RPTデバイス4000は、ハンドル4018を含み得る。
【0190】
RPTデバイス4000の空気圧行路は、1つ以上の空気行路アイテム、例えば入口空気フィルタ4112と、入口マフラー4122と、空気を陽圧で供給できる圧力生成器4140(例えば、送風機4142)と、出口マフラー4124と、1つ以上のトランスデューサ4270(例えば、圧力センサ4272、流量センサ4274および/またはモータ速度センサ4276)とを含み得る。
【0191】
空気行路アイテムのうち1つ以上は、空気圧ブロック4020と呼ばれる、取り外し可能な一体構造内に位置し得る。空気圧ブロック4020は、外部ハウジング4010内に位置し得る。一形態において、空気圧ブロック4020は、シャシー4016によって支持されるか、その一部として形成される。
【0192】
RPTデバイス4000は、電力供給部4210、1つ以上の入力デバイス4220、中央コントローラ4230、療法デバイスコントローラ4240、圧力生成器4140、1つ以上の保護回路4250、メモリ4260、トランスデューサ4270、データ通信インターフェース4280、および1つ以上の出力デバイス4290を有し得る。電装部品4200は、単一のプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に装着され得る。一代替形態において、RPTデバイス4000は、1つよりも多くのPCBA4202を含み得る。
【0193】
図15は、流れ生成器7400を有する、アイマスクシステム7000(以下により詳細に記載する)の例を示す。文脈上明らかに別段の要求がない限り、図4A図4Cを参照して述べるRPTデバイス4000に関連して本明細書中に記載される任意の特徴は、流れ生成器7400へ適用可能であると理解すべきである。後述するように、流れ生成器7400は、いくつかの例において、加圧された空気流れを呼吸療法のために提供するように構成され、他の例においては、空気流れを療法以外の目的のために提供するように構成される。
5.4.1 RPTデバイスの機械構成要素および空気圧式の構成要素
【0194】
RPTデバイスは、以下の構成要素のうち1つ以上を一体型ユニット内に含み得る。一代替形態において、以下の構成要素のうち1つ以上が、それぞれ、別々のユニットとして位置し得る。
5.4.1.1 空気フィルタ(単数または複数)
【0195】
本技術の一形態によるRPTデバイスは、空気フィルタ4110または複数の空気フィルタ4110を含み得る。
【0196】
一形態において、入口空気フィルタ4112は、空気圧行路の始まり部で圧力生成器4140の上流に位置する。
【0197】
一形態において、出口空気フィルタ4114、例えば抗菌フィルタは、空気圧ブロック4020の出口と患者インターフェース3000との間に位置する。
5.4.1.2 マフラー(単数または複数)
【0198】
本技術の一形態によるRPTデバイスは、マフラー4120または複数のマフラー4120を含み得る。
【0199】
本技術の一形態において、入口マフラー4122は、空気圧行路内で圧力生成器4140の上流に位置する。
【0200】
本技術の一形態において、出口マフラー4124は、空気圧行路内で圧力生成器4140と患者インターフェース3000との間に位置する。
5.4.1.3 圧力生成器
【0201】
本技術の一形態において、空気の流れまたは供給を陽圧で生み出すための圧力生成器4140は、制御可能な送風機4142である。例えば、送風機4142は、1つ以上のインペラを備えたブラシレスDCモータ4144を含み得る。送風機4142は、送風機ハウジング4100に収容され得る。インペラが、ボリュート内に位置し得る。送風機は、呼吸圧力療法を送達するとき、空気の供給を、例えば約120リットル/分までの速度で、約4cmHO~約20cmHOの範囲の陽圧で、または他の形態においては約30cmHOまで送達することができ得る。送風機については、以下の特許または特許出願のうち任意の1つに記載があり得る:米国特許第7,866,944号;米国特許第8,638,014号;米国特許第8,636,479号;およびPCT特許出願公開第WO2013/020167号(これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0202】
以下に述べる流れ生成器7400は、本明細書中に記載のような圧力生成器4140を含んでもよいが、後述するように、必ずしも呼吸圧力療法を提供するように構成されなくてもよい。圧力生成器4140、またはRPTデバイス4000の任意の構成要素もしくは機能が、療法を参照して述べられる場合、空気流れが治療目的(例えば、睡眠呼吸障害の治療のための呼吸圧力療法)のためのものであるにしろ、非治療目的(例えば、加熱、冷却、感覚的効果など)のためのものであるにしろ、本開示は、流れ生成器7400に関連するものとして理解されるべきである。
【0203】
圧力生成器4140は、療法デバイスコントローラ4240の制御下にある。
【0204】
他の形態において、圧力生成器4140は、ピストン駆動ポンプ、高圧源(例えば、圧縮空気リザーバ)へ接続された圧力調節器、またはベローズであり得る。
5.4.1.4 トランスデューサ(単数または複数)
【0205】
トランスデューサは、RPTデバイスの内部、またはRPTデバイスの外部にあり得る。外部トランスデューサは、例えば空気回路(例えば、患者インターフェース)上に位置してもよく、またはその一部を形成してもよい。外部トランスデューサは、非接触センサ、例えば、データをRPTデバイスへ送信または転送するドップラーレーダー移動センサの形態をとり得る。
【0206】
本技術の一形態において、1つ以上のトランスデューサ4270は、圧力生成器4140の上流および/または下流に位置し得る。1つ以上のトランスデューサ4270は、空気圧行路内でその地点の空気流れの特性、例えば流量、圧力または温度を表す信号を生成するように構築および配置され得る。
【0207】
本技術の一形態において、1つ以上のトランスデューサ4270は、患者インターフェース3000に近接して位置し得る。
5.4.1.5 アンチスピルバック弁
【0208】
本技術の一形態において、アンチスピルバック弁4160は、加湿器5000と空気圧ブロック4020との間に位置し得る。アンチスピルバック弁は、水が加湿器5000から上流に、例えばモータ4144へ流れる危険性を低減するように構築および配置される。システム内に(例えば、図15図16を参照して述べるアイマスクシステム7000内に)加湿器がない例においては、流れ生成器7400は、アンチスピルバック弁を含まなくてもよい。
5.4.2 RPTデバイスの電装部品
5.4.2.1 電源
【0209】
電源4210は、RPTデバイス4000の外部ハウジング4010の内部または外部に位置し得る。
【0210】
本技術の一形態において、電源4210は、RPTデバイス4000にのみ電力を提供する。本技術の別の形態において、電源4210は、RPTデバイス4000および加湿器5000の両方へ電力を提供する。
5.4.2.2 入力デバイス
【0211】
本技術の一形態において、RPTデバイス4000は、人がデバイスとやりとりできるように、ボタン、スイッチまたはダイヤルの形態をとる1つ以上の入力デバイス4220を含む。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、タッチスクリーンを介してアクセスすることが可能な物理的デバイスまたはソフトウェアデバイスであり得る。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、一形態においては、外部ハウジング4010に物理的に接続してもよく、または別の形態においては、中央コントローラ4230へ電気接続された受信機と無線通信してもよい。
【0212】
一形態において、入力デバイス4220は、人が値および/またはメニューオプションを選択できるように構築および配置され得る。
5.4.2.3 中央コントローラ
【0213】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000の制御に適した1つまたは複数のプロセッサである。
【0214】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、専用電子回路である。
【0215】
一形態において、中央コントローラ4230は、特定用途向け集積回路である。別の形態において、中央コントローラ4230は、離散的な電子部品を含む。
【0216】
中央コントローラ4230は、1つ以上のトランスデューサ4270、1つ以上の入力デバイス4220、および加湿器5000から、入力信号(単数または複数)を受信するように構成され得る。
【0217】
中央コントローラ4230は、出力信号(単数または複数)を出力デバイス4290、療法デバイスコントローラ4240、データ通信インターフェース4280および加湿器5000のうち1つ以上へ提供するように構成され得る。
【0218】
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、本明細書中に記載の1つ以上の方法論(例えば、メモリ4260などの非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズム4300)を実装するように構成される。本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000と統合され得る。しかし、本技術のいくつかの形態においては、いくつかの方法論が、遠隔位置にあるデバイスによって行われ得る。例えば、遠隔位置にあるデバイスは、記憶したデータ(例えば、本明細書中に記載のセンサのうちいずれかからのもの)の分析により、ベンチレータの制御設定を決定するか、呼吸関連事象を検出し得る。
5.4.2.4 メモリ
【0219】
本技術の一形態によれば、RPTデバイス4000は、メモリ4260、例えば不揮発性メモリを含む。いくつかの形態において、メモリ4260は、バッテリー駆動式スタティックRAMを含み得る。いくつかの形態において、メモリ4260は、揮発性RAMを含み得る。
【0220】
追加または代替として、RPTデバイス4000は、取り外し可能な形態のメモリ4260、例えばセキュアデジタル(SD)規格に従って製作されたメモリカードを含む。
【0221】
本技術の一形態において、メモリ4260は、本明細書中に記載の1つ以上の方法論(例えば、1つ以上のアルゴリズム4300)を表現するコンピュータプログラム命令が記憶される非一時的コンピュータ可読記憶媒体として機能する。
5.4.2.5 データ通信システム
【0222】
本技術の一形態においては、データ通信インターフェース4280が提供され、中央コントローラ4230へ接続される。データ通信インターフェース4280は、リモート外部通信ネットワーク4282および/またはローカル外部通信ネットワーク4284へ接続可能であり得る。リモート外部通信ネットワーク4282は、リモート外部デバイス4286へ接続可能であり得る。ローカル外部通信ネットワーク4284は、ローカル外部デバイス4288へ接続可能であり得る。
【0223】
一形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230の一部である。別の形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230とは別個であり、集積回路またはプロセッサを含み得る。
【0224】
一形態において、リモート外部通信ネットワーク4282はインターネットである。データ通信インターフェース4280は、インターネットへ接続するために、有線通信(例えば、イーサネットまたは光ファイバーを介して)または無線プロトコル(例えば、CDMA、GSM、LTE)を用いてもよい。
【0225】
一形態において、ローカル外部通信ネットワーク4284は、1つ以上の通信規格(例えば、Bluetooth(登録商標)または消費者赤外線プロトコル)を利用する。
【0226】
一形態において、リモート外部デバイス4286は、1つ以上のコンピュータ、例えば、ネットワーク接続されたコンピュータのクラスタである。一形態において、リモート外部デバイス4286は、物理的コンピュータではなく仮想コンピュータであり得る。いずれの場合も、適切に権限を付与された人、例えば臨床医は、このようなリモート外部デバイス4286にアクセスすることが可能である。
【0227】
ローカル外部デバイス4288は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットまたはリモコンであり得る。
5.4.2.6 任意選択のディスプレイ、アラームを含む出力デバイス
【0228】
本技術による出力デバイス4290は、視覚、聴覚および触覚ユニットのうち1つ以上の形態をとり得る。視覚ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)ディスプレイであり得る。
5.4.2.6.1 ディスプレイドライバ
【0229】
ディスプレイドライバ4292は、ディスプレイ4294上に表示されるべき文字、記号または画像を入力として受信し、ディスプレイ4294にこれらの文字、記号または画像を表示させるコマンドへ変換する。
5.4.2.6.2 ディスプレイ
【0230】
ディスプレイ4294は、ディスプレイドライバ4292から受信されたコマンドに応答して、文字、記号または画像を視覚的に表示するように構成される。例えば、ディスプレイ4294は、8セグメントディスプレイであり得、その場合、ディスプレイドライバ4292は、各文字または記号(例えば、数字「0」)を、特定の文字または記号を表示するために8個のセグメントそれぞれを起動させるべきかどうかを示す8個の論理信号へ変換する。
5.4.2.6.3 時計
【0231】
RPTデバイス4000は、中央コントローラ4230へ接続された時計4232を含み得る。
5.4.3 RPTデバイスアルゴリズム
【0232】
前述したように、本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、メモリ4260などの非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズム4300を実装するように構成され得る。アルゴリズム4300は、一般にモジュールと呼ばれるグループにグループ化される。
【0233】
本技術の他の形態においては、アルゴリズム4300の一部または全体が、外部デバイス(例えば、ローカル外部デバイス4288またはリモート外部デバイス4286)のコントローラによって実装され得る。このような形態において、入力信号を表すデータ、および/または外部デバイスで実行されるアルゴリズム4300の一部に必要な中間アルゴリズム出力は、ローカル外部通信ネットワーク4284またはリモート外部通信ネットワーク4282を介して外部デバイスへ伝達され得る。このような形態において、外部デバイスで実行されるアルゴリズム4300の一部は、外部デバイスのコントローラにアクセスすることが可能な非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムとして表現され得る。このようなプログラムにより、外部デバイスのコントローラは、アルゴリズム4300の一部を実行するように構成される。
【0234】
このような形態において、療法エンジンモジュール4320を介して外部デバイスにより生成された療法パラメータは(このような形態が、外部デバイスによって実行されるアルゴリズム4300の部分の一部を形成する場合に)、中央コントローラ4230へ伝達されて、療法制御モジュール4330へ送られ得る。
5.4.3.1 前処理モジュール
【0235】
本技術の一形態による前処理モジュール4310は、トランスデューサ4270、例えば流量センサ4274または圧力センサ4272からの信号を入力として受信し、別のモジュール、例えば療法エンジンモジュール4320への入力として用いられる1つ以上の出力値を計算するための1つ以上のプロセスステップを行う。
【0236】
本技術の一形態において、出力値は、インターフェース圧力Pm、呼吸流量Qrおよび漏れ流量Qlを含む。
【0237】
本技術の多様な形態において、前処理モジュール4310は、以下のアルゴリズムのうち1つ以上を含む:インターフェース圧力推定4312、通気流量推定4314、漏れ流量推定4316および呼吸流量推定4318。
5.4.3.1.1 インターフェース圧力推定
【0238】
本技術の一形態において、インターフェース圧力推定アルゴリズム4312は、空気圧ブロックの出口に近接した空気圧行路内の圧力(デバイス圧力Pd)を示す圧力センサ4272からの信号と、RPTデバイス4000を出る空気流れの流量(デバイス流量Qd)を表す流量センサ4274からの信号とを入力として受信する。デバイス流量Qdは、補充用ガス4180が全くない場合、合計流量Qtとして用いられ得る。インターフェース圧力アルゴリズム4312は、空気回路4170を通じた圧力降下ΔPを推定する。合計流量Qtに対する圧力降下ΔPの依存は、特定の空気回路4170について圧力降下特性ΔP(Q)によってモデル化し得る。次に、インターフェース圧力推定アルゴリズム4312は、患者インターフェース3000内の推定圧力Pmを出力として提供される。患者インターフェース3000内の圧力Pmは、デバイス圧力Pdから空気回路圧力降下ΔPを減算したものとして推定され得る。
5.4.3.1.2 通気流量推定
【0239】
本技術の一形態において、通気流量推定アルゴリズム4314は、インターフェース圧力推定アルゴリズム4312から患者インターフェース3000内の推定圧力Pmを入力として受信し、患者インターフェース3000内の通気部3400からの空気の通気流量Qvを推定する。使用時における特定の通気部3400についてのインターフェース圧力Pmに対する通気流量Qvの依存は、通気特性Qv(Pm)によってモデル化し得る。
5.4.3.1.3 漏れ流量推定
【0240】
本技術の一形態において、漏れ流量推定アルゴリズム4316は、合計流量Qtおよび通気流量Qvを入力として受信し、漏れ流量Qlの推定値を出力として提供する。一形態において、漏れ流量推定アルゴリズムは、いくつかの呼吸サイクル、例えば約10秒を含むくらいに十分に長い期間にわたって合計流量Qtと通気流量Qvとの差の平均を計算することにより、漏れ流量Qlを推定する。
【0241】
一形態において、漏れ流量推定アルゴリズム4316は、漏れコンダクタンスを計算することと、漏れ流量Qlを漏れコンダクタンスおよび圧力Pmの関数となるように決定することとにより、患者インターフェース3000内の合計流量Qt、通気流量Qv、および推定圧力Pmを入力として受信し、漏れ流量Qlを出力として提供する。漏れコンダクタンスは、合計流量Qtと通気流量Qvとの差に等しい、ローパスフィルタされた非通気流量の商と、圧力Pmのローパスフィルタされた平方根と、として計算され、ここでローパスフィルタ時定数は、いくつかの呼吸サイクル、例えば約10秒を含むくらいに十分に長い値を有する。漏れ流量Qlは、漏れコンダクタンスと圧力Pmの関数との積して推定され得る。
5.4.3.1.4 呼吸流量推定
【0242】
本技術の一形態において、呼吸流量推定アルゴリズム4318は、合計流量Qt、通気流量Qvおよび漏れ流量Qlを入力として受信し、通気流量Qvおよび漏れ流量Qlを合計流量Qtから減算することにより、患者への空気の呼吸流量Qrを推定する。
5.4.3.2 療法エンジンモジュール
【0243】
本技術の一形態において、療法エンジンモジュール4320は、患者インターフェース3000内の圧力Pmと、患者への空気の呼吸流量Qrとのうち1つ以上を入力として受信し、1つ以上の療法パラメータを出力として提供する。
【0244】
本技術の一形態において、療法パラメータは、治療圧力Ptである。
【0245】
本技術の一形態において、療法パラメータは、圧力変動の振幅、ベース圧力および目標換気のうち1つ以上である。
【0246】
多様な形態において、療法エンジンモジュール4320は、以下のアルゴリズムのうち1つ以上を含む:位相決定4321、波形決定4322、換気決定4323、吸気流制限決定4324、無呼吸/低呼吸決定4325、いびき決定4326、気道開通性決定4327、目標換気決定4328、および療法パラメータ決定4329。
5.4.3.2.1 位相決定
【0247】
本技術の一形態において、RPTデバイス4000は、位相を決定しない。
【0248】
本技術の一形態において、位相決定アルゴリズム4321は、呼吸流量Qrを示す信号を入力として受信し、患者1000の現在の呼吸サイクルの位相Φを出力として提供する。
【0249】
いくつかの形態において、離散位相決定として知られている位相出力Φは、離散変数である。離散位相決定の一実装形態は、例えば、自発吸息および呼息それぞれの開始が検出された際に0および0.5回転の値としてそれぞれ表される、吸息または呼息の値を有する二値位相出力Φを提供する。トリガ点およびサイクル点は、位相が呼息から吸息へ、そして吸息から呼息へそれぞれ変化する瞬間であるため、「トリガ」および「循環」するRPTデバイス4000は、離散位相決定を有効に行う。二値位相決定の一実装形態において、位相出力Φは、呼吸流量Qrが正の閾値を超える値を有するときに、離散値0を有し(これによりRPTデバイス4000を「トリガ」する)、呼吸流量Qrが負の閾値よりも大きな負の値を有するときに0.5回転の離散値(これにより、RPTデバイス4000を「循環」させる)を有するように決定される。吸息時間Tiおよび呼息時間Teは、位相Φ(それぞれ0(吸気を示す)および0.5(呼気を示す)に等しい)と共に費やされた時間の多数の呼吸サイクルにわたって典型的値として推定され得る。
【0250】
離散位相決定の別の実装形態は、吸息、吸気中の一時停止、および呼息のうち1つの値を有する三値位相出力Φを提供する。
【0251】
他の形態において、連続位相決定として知られている位相出力Φは、例えば0回転から1回転まで、または0πラジアンから2πラジアンまで変動する連続変数である。連続位相決定を行うRPTデバイス4000は、連続位相が0および0.5回転それぞれに到達したときに、トリガおよび循環し得る。連続位相決定の一実装形態において、位相Φの連続値は、呼吸流量Qrのファジー論理分析を用いて決定される。この実装形態において決定された位相の連続値は、「ファジー位相」と呼ばれることが多い。ファジー位相決定アルゴリズム4321の一実装形態においては、以下の規則が呼吸流量Qrへ適用される:
1.呼吸流量がゼロであり、急速に増加する場合、位相は0回転である。
2.呼吸流量が大きな正の値であり、安定している場合、位相は0.25回転である。
3.呼吸流量がゼロであり、急速に低下する場合、位相は0.5回転である。
4.呼吸流量が大きな負の値であり、安定している場合、位相は0.75回転である。
5.呼吸流量がゼロであり、安定しており、5秒間ローパスフィルタされた、呼吸流量の絶対値が大きい場合、位相は0.9回転である。
6.呼吸流量が正であり、位相が呼気である場合、位相は0回転である。
7.呼吸流量が負であり、位相が吸気である場合、位相は0.5回転である。
8.5秒間ローパスフィルタされた、呼吸流量の絶対値が大きい場合、位相は、20秒の時定数でローパスフィルタされた、患者の呼吸速度に等しい定常速度で増加する。
【0252】
各規則の出力は、ベクトルとして表されてもよく、その位相は、規則の結果であり、その大きさは、規則が真となるファジー範囲となる。呼吸流量が「大きかったり」、「安定していたり」するファジー範囲は、適切なメンバシップ関数によって決定される。規則の結果(ベクトルとして表される)は、その後、セントロイドをとったりする、いくつかの関数により組み合わせられる。このような組み合わせにおいて、規則は、等しく重み付けしてもよく、または異なるように重み付けしてもよい。
【0253】
連続位相決定の別の実装形態において、位相Φは、吸息時間Tiおよび呼息時間Teと同様、前述したようにまず呼吸流量Qrから離散的に推定される。いずれの瞬時においても、連続位相Φは、先行トリガ瞬間から経過した吸息時間Tiの比率の半分、または0.5回転に先行サイクル瞬間から経過した呼息時間Teの比率の半分を加算した値として(どちらの瞬間が、より直近の瞬間であろうと)決定され得る。
5.4.3.2.2 波形決定
【0254】
本技術の一形態において、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、患者の呼吸サイクル全体を通じてほぼ一定の治療圧力を提供する。
【0255】
本技術の他の形態において、療法制御モジュール4330は、圧力生成器4140を制御して、波形テンプレートΠ(Φ)に従って患者の呼吸サイクルの位相Φの関数として変動する治療圧力Ptを提供する。
【0256】
本技術の一形態において、波形決定アルゴリズム4322は、位相決定アルゴリズム4321によって提供されて療法パラメータ決定アルゴリズム4329によって用いられる位相値Φの変域で[0,1]の範囲内の値を有する波形テンプレートΠ(Φ)を提供する。
【0257】
離散位相または連続的に値をとる位相に適した一形態において、波形テンプレートΠ(Φ)は矩形波テンプレートであり、0.5回転まで(0.5回転も含む)の位相の値に対して1の値を有し、0.5回転を超える位相の値に対して0の値を有する。連続的に値をとる位相に適した一形態において、波形テンプレートΠ(Φ)は、2つの平滑に曲線状の部分(すなわち、0.5回転までの位相の値に対して0から1への、平滑に曲線状の(例えば、レイズド・コサイン)上昇、および0.5回転を超える位相の値に対して1から0への、平滑に曲線状の(例えば、指数関数的)減衰)を含む。連続的に値をとる位相に適した一形態において、波形テンプレートΠ(Φ)は、矩形波に基づくが、0.5回転よりも低い「立ち上がり時間」までの位相の値に対して0から1への平滑な上昇と、0.5回転後の「立ち下がり時間」内の位相の値に対して1から0への平滑な下降とを有し、ここで「立ち下がり時間」は、0.5回転よりも低い。
【0258】
本技術のいくつかの形態において、波形決定アルゴリズム4322は、RPTデバイスの設定に応じて、波形テンプレートΠ(Φ)を波形テンプレートのライブラリから選択する。ライブラリ内の各波形テンプレートΠ(Φ)は、位相値Φに対する値Πのルックアップテーブルとして提供され得る。他の形態において、波形決定アルゴリズム4322は、恐らくは1つ以上のパラメータ(例えば、指数曲線状の部分の時定数)によってパラメータ化された所定の関数形式を用いて、波形テンプレートΠ(Φ)を「オンザフライ(on the fly)」で計算する。関数形式のパラメータは、事前決定されてもよく、または患者1000の現在の状態に依存してもよい。
【0259】
吸息(Φ=0回転)または呼息(Φ=0.5回転)の離散二値位相に適した本技術のいくつかの形態において、波形決定アルゴリズム4322は、最も直近のトリガ瞬間から測定された離散位相Φと時間tとの両方の関数として、波形テンプレートΠを「オンザフライ」で計算する。このような一形態において、波形決定アルゴリズム4322は、波形テンプレートΠ(Φ,t)を2つの部分(吸気および呼気)において以下のように計算する。
【0260】
【数1】
【0261】
ここで、Πi(t)およびΠe(t)は、波形テンプレートΠ(Φ,t)の吸気部分および呼気部分である。このような一形態において、波形テンプレートの吸気部分Πi(t)は、立ち上がり時間によってパラメータ化された0から1への平滑な上昇であり、波形テンプレートの呼気部分Πe(t)は、立ち下がり時間によってパラメータ化された1から0への平滑な下降である。
5.4.3.2.3 換気決定
【0262】
本技術の一形態において、換気決定アルゴリズム4323は、呼吸流量Qrを入力として受信し、現在の患者換気Ventを示す測定値を決定する。
【0263】
いくつかの実装形態において、換気決定アルゴリズム4323は、実際の患者換気の推定値である換気Ventの測定値を決定する。このような一実装形態においては、呼吸流量Qrの絶対値の半分がとられ、これは、任意選択でローパスフィルタ(例えば、コーナ周波数が0.11Hzである2次ベッセルローパスフィルタ)によってフィルタリングされる。
【0264】
他の実装形態において、換気決定アルゴリズム4323は、実際の患者換気に概ね比例する換気Ventの測定値を決定する。このような一実装形態においては、ピーク呼吸流量Qpeakが、サイクルの吸気部分にわたって推定される。呼吸流量Qrのサンプリングを伴う、この手順、および他の多数の手順により、流量波形形状の変動がそれほど大きくない場合(ここで、時間および振幅において正規化された呼吸の流量波形が類似している場合、2つの呼吸の形状は類似していると解釈される)、換気に概ね比例する測定値が生み出される。いくつかの簡単な例を挙げると、正の呼吸流量の中央値、呼吸流量の絶対値の中央値、および流量の標準偏差がある。正の係数を用いた、さらには正の係数および負の係数の両方を用いた、呼吸流量の絶対値の任意次数の統計値の任意の線型結合は、換気に概ね比例する。別の例は、吸気部分の中間K比率(時間別)における呼吸流量の平均であり、ここで、0<K<1である。流量形状が一定である場合には、換気に正確に比例する、任意の多数の測定値がある。
5.4.3.2.4 吸気流制限の決定
【0265】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、吸気流制限の程度の決定について、吸気流制限決定アルゴリズム4324を実行する。
【0266】
一形態において、吸気流制限決定アルゴリズム4324は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、呼吸の吸気部分が吸気流制限を呈する程度の計量を出力として提供する。
【0267】
本技術の一形態において、各呼吸の吸気部分は、ゼロ交差検出器によって特定される。多数(例えば、65個)の等間隔の点は、時点を表し、各呼吸の吸気流量-時間曲線に沿って補間器により補間される。その後、これらの点によって記載された曲線を、1の長さ(持続時間/期間)と1の面積とを有するようにスカラーによってスケーリングして、呼吸の速度および深さの変化による影響を除去する。次に、スケーリングされた呼吸を、図6に示す呼吸の吸気部分と同様の通常の非閉塞呼吸を表す事前記憶されたテンプレートと比較器において比較する。テンプレートから吸気中の任意の時間に、特定された閾値(典型的には、1スケール単位)を超えて逸脱する呼吸(例えば、咳、ため息、飲み込みおよびしゃっくりに起因する)は、試験要素によって決定されるときに拒否される。拒否されないデータについては、第1のこのようなスケーリングされた点の移動平均を、先行するいくつかの吸気事象において中央コントローラ4230により計算する。これを、同一の吸気事象にわたって、第2のこのような点などについても繰り返す。そのため、例えば、65個のスケーリングされたデータ点は、中央コントローラ4230によって生成され、先行するいくつかの吸気事象、例えば3つの事象の移動平均を表す。連続的に更新された(例えば、65個の)点の値の移動平均は、以下、「スケーリングされた流量」と呼ばれ、Qs(t)として示される。代替として、移動平均ではなく単一の吸気事象を利用することができる。
【0268】
スケーリングされた流量から、部分的閉塞の決定に関連する2つの形状係数が計算されてもよい。
【0269】
形状係数1は、スケーリングされた流量点全体(例えば、65個)の平均に対する、中間(例えば、32個の)スケーリングされた流量点の平均の比である。この比が1を超える場合、呼吸は、正常であると解釈される。この比が1以下である場合、呼吸は、閉塞性であると解釈される。約1.17の比は、部分的に閉塞性の呼吸と非閉塞呼吸との間の閾値として解釈され、典型的な患者における十分な酸素化の維持を可能にする閉塞の程度と同じである。
【0270】
形状係数2は、中間(例えば、32個の)点にわたってとられる単位スケール流量からのRMS偏差として計算される。約0.2単位のRMS偏差は、正常と解釈される。ゼロのRMS偏差は、全体的に流れが制限された呼吸と解釈される。RMS偏差がゼロに近づくほど、呼吸はの流れはより制限されていると解釈される。
【0271】
形状係数1および2は、代替として、または組み合わせて用いてもよい。本技術の他の形態において、サンプリングされた点の数、呼吸および中間点は、前述したものとは異なってもよい。さらに、閾値は、記載したものとは異なり得る。
5.4.3.2.5 無呼吸および低呼吸の決定
【0272】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、無呼吸および/または低呼吸の存在の決定のために、無呼吸/低呼吸決定アルゴリズム4325を実行する。
【0273】
一形態において、無呼吸/低呼吸決定アルゴリズム4325は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、無呼吸または低呼吸が検出されたかを示すフラグを出力として提供する。
【0274】
一形態において、無呼吸は、呼吸流量Qrの関数が所定期間にわたって流量閾値を下回るときに検出されたと言われる。関数は、ピーク流量、比較的短期間の平均流量、または比較的短期間の平均流量とピーク流量との中間の流量、例えばRMS流量を決定し得る。流量閾値は、流量の比較的長期間の測定値であり得る。
【0275】
一形態において、低呼吸は、呼吸流量Qrの関数が所定期間にわたって第2の流量閾値を下回るときに検出されたと言われる。関数は、ピーク流れ、比較的短期間の平均流量、または比較的短期間の平均流量とピーク流量との中間の流量、例えばRMS流量を決定し得る。第2の流量閾値は、流量の比較的長期間の測定値であり得る。第2の流量閾値は、無呼吸の検出に用いられる流量閾値よりも大きい。
5.4.3.2.6 いびきの決定
【0276】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、いびきの程度の決定のために、1つ以上のいびき決定アルゴリズム4326を実行する。
【0277】
一形態において、いびき決定アルゴリズム4326は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、いびきが存在している程度の計量を出力として提供する。
【0278】
いびき決定アルゴリズム4326は、30~300Hzの範囲内の流量信号の強度を決定するステップを含み得る。さらに、いびき決定アルゴリズム4326は、バックグラウンドノイズ(例えば、送風機からのシステム内の空気流れの音)を低減するために呼吸流量信号Qrをフィルタリングするステップを含み得る。
5.4.3.2.7 気道開通性の決定
【0279】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、気道開通性の程度の決定のために、1つ以上の気道開通性決定アルゴリズム4327を実行する。
【0280】
一形態において、気道開通性決定アルゴリズム4327は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、約0.75Hz~約3Hzの周波数範囲内の信号のパワーを決定する。この周波数範囲内におけるピークの存在は、気道開放を示すと解釈される。ピークの不在は、気道閉鎖の兆候と解釈される。
【0281】
一形態において、ピークが求められる周波数範囲は、治療圧力Ptにおける小さな強制動揺の周波数である。一実装形態において、強制動揺は、周波数2Hz(振幅は、約1cmHOである)を有する。
【0282】
一形態において、気道開通性決定アルゴリズム4327は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、心原性信号の存在または不在を決定する。心原性信号の不在は、気道閉鎖の兆候と解釈される。
5.4.3.2.8 目標換気の決定
【0283】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、現在の換気Ventの測定値を入力としてとり、換気の測定のための目標値Vtgtの決定のために、1つ以上の目標換気決定アルゴリズム4328を実行する。
【0284】
本技術のいくつかの形態において、目標換気決定アルゴリズム4328は存在せず、目標値Vtgtは事前決定され、例えばRPTデバイス4000の構成中にハードコーディングにより、または入力デバイス4220を介した手入力により得られる。
【0285】
順応性サーボ換気(ASV)などの、本技術の他の形態において、目標換気決定アルゴリズム4328は、患者の典型的な最近の換気を示す値Vtypから目標値Vtgtを計算する。
【0286】
順応性サーボ換気のいくつかの形態において、目標換気Vtgtは、典型的な最近の換気Vtypを高い比率で占める値として、ただし、それを下回る値として計算される。このような形態の高比率は、範囲(80%、100%)、または(85%、95%)、または(87%、92%)内にあり得る。
【0287】
順応性サーボ換気の他の形態において、目標換気Vtgtは、典型的な最近の換気Vtypの1倍数を若干上回る値として計算される。
【0288】
典型的な最近の換気Vtypは、いくつかの所定の時間スケールにわたる複数の時刻にわたって現在の換気Ventの測定値が周りに分布および密集する傾向がある値(すなわち、最近の履歴にわたる現在の換気の測定値の代表値)である。目標換気決定アルゴリズム4328の一実装形態において、最近の履歴は、約数分あるが、いかなる場合もチェーンストークスの漸増および漸減サイクルの時間スケールよりも長くなければならない。目標換気決定アルゴリズム4328は、多様な公知の代表値のいずれかを用いて、典型的な最近の換気Vtypを現在の換気Ventの測定値から決定し得る。1つのこのような測定として、現在の換気Ventの測定値についてのローパスフィルタの出力であり、時定数は、100秒に等しい。
5.4.3.2.9 療法パラメータの決定
【0289】
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、1つ以上の療法パラメータの決定のために1つ以上の療法パラメータ決定アルゴリズム4329を、療法エンジンモジュール4320内の他のアルゴリズムのうち1つ以上によって戻された値を用いて実行する。
【0290】
本技術の一形態において、療法パラメータは、瞬間治療圧力Ptである。この形態の一実装形態において、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、以下の等式を用いて治療圧力Ptを決定する:
【0291】
【数2】
【0292】
ここで:
● Aは、振幅であり、
● Π(Φ,t)は、位相の現在の値Φと時間のtと波形テンプレート値(0~1の範囲内)であり、
● P0は、ベース圧力である。
【0293】
波形決定アルゴリズム4322が位相Φによってインデックスされた値Πのルックアップテーブルとして波形テンプレートΠ(Φ,t)を提供する場合、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、位相決定アルゴリズム4321によって戻された位相の現在の値Φに最も近いルックアップテーブル項目の位置を特定することにより、または位相の現在の値Φにまたがる2つの項目間の補間により、等式(1)を適用する。
【0294】
振幅Aおよびベース圧力P0の値は、下記の方式で選択された呼吸圧力療法モードに応じて、療法パラメータ決定アルゴリズム4329によって設定され得る。
5.4.3.3 療法制御モジュール
【0295】
本技術の一態様による療法制御モジュール4330は、療法エンジンモジュール4320の療法パラメータ決定アルゴリズム4329からの療法パラメータを入力として受信し、圧力生成器4140を制御して、療法パラメータに従って空気流れを送達する。
【0296】
本技術の一形態において、療法パラメータは、治療圧力Ptであり、療法制御モジュール4330は、圧力生成器4140を制御して、患者インターフェース3000におけるインターフェース圧力Pmが治療圧力Ptに等しい空気流れを送達する。
5.4.3.4 故障状態の検出
【0297】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、故障状態の検出のための1つ以上の方法4340を実行する。1つ以上の方法4340によって検出された故障状態は、以下のうち少なくとも1つを含み得る:
● 停電(電力無しまたは電力不足)
● トランスデューサ故障の検出
● 構成要素の存在を検出するのに失敗
● 推奨範囲外の動作パラメータ(例えば、圧力、流量、温度、PaO2)
● 検出可能なアラーム信号を生成するための試験アラームの不履行。
【0298】
故障状態が検出されると、対応するアルゴリズム4340は、以下のうち1つ以上によって故障の存在を合図する:
● 可聴、視覚および/または動力学的(例えば、振動)アラームの開始
● 外部デバイスへメッセージを伝送
● 出来事の記録
5.5 空気回路
【0299】
本技術の一態様による空気回路4170は、使用時に空気流れが2つの構成要素(例えば、RPTデバイス4000および患者インターフェース3000)間で移動できるように構築および配置された導管またはチューブである。
【0300】
特に、空気回路4170は、空気圧ブロック4020の出口および患者インターフェースと流体接続し得る。空気回路は、空気送達チューブと呼ばれ得る。場合によっては、回路に吸息および呼息用の別々の枝があり得る。他の場合においては、単一の枝が用いられる。
【0301】
いくつかの形態において、空気回路4170は、空気回路内の空気を加熱するように、例えば空気の温度を維持するか上昇させるように構成された1つ以上の加熱要素を含み得る。加熱要素は、加熱式ワイヤ回路の形態をとり得、1つ以上のトランスデューサ、例えば温度センサを含み得る。一形態において、加熱式ワイヤ回路は、空気回路4170の軸の周りに螺旋状に巻かれてもよい。加熱要素は、コントローラ、例えば中央コントローラ4230と通信し得る。加熱式ワイヤ回路を含む空気回路4170の一例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,733,349号に記載されている。
5.5.1 補充用ガス送達
【0302】
本技術の一形態において、補充用ガス、例えば酸素4180は、空気圧行路における1つ以上の地点(例えば、空気圧ブロック4020の上流)、空気回路4170および/または患者インターフェース3000へ送達され得る。
5.6 加湿器
5.6.1 加湿器の概要
【0303】
本技術の一形態においては、加湿器5000(例えば、図5Aに示すようなもの)が提供されて、患者へ送達するための空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に対して変える。典型的には、加湿器5000は、患者の気道への送達の前に、(周囲空気に対して)空気流れの絶対湿度および温度を増加させるのに用いられる。
【0304】
加湿器5000は、加湿器リザーバ5110と、空気流れを受容するための加湿器入口5002と、加湿された空気流れを送達するための加湿器出口5004とを含み得る。いくつかの形態において、図5Aおよび図5Bに示すように、加湿器リザーバ5110の入口および出口はそれぞれ、加湿器入口5002および加湿器出口5004であり得る。加湿器5000は、加湿器リザーバ5110を受容するように適合され、加熱要素5240を含み得る加湿器ベース5006をさらに含んでもよい。
5.6.2 加湿器構成要素
5.6.2.1 水リザーバ
【0305】
1つの配置構成によれば、加湿器5000は、空気流れの加湿のために蒸発する一定体積の液体、例えば水を収容または保持するように構成された水リザーバ5110を含み得る。水リザーバ5110は、少なくとも呼吸療法セッションの持続時間(例えば、一夜の睡眠)にわたって十分な加湿を提供するために、所定の最大体積の水を収容するように構成され得る。典型的には、リザーバ5110は、数百ミリリットルの水(例えば、300ミリリットル(ml)、325ml、350mlまたは400ml)を収容するように構成される。他の形態において、加湿器5000は、外部水源(例えば、建物の給水システム)から水の供給を受けるように構成され得る。
【0306】
一態様によれば、水リザーバ5110は、RPTデバイス4000からの空気流れを、空気流れがそれを通過するとき、加湿するように構成される。一形態において、水リザーバ5110は、空気流れが、その内部の一定体積の水と接触しつつ、リザーバ5110を貫通する蛇行行路内で移動することを促進するように構成され得る。
【0307】
一形態によれば、リザーバ5110は、例えば図5Aおよび図5Bに示すように外側方向に、加湿器5000から取り外し可能であり得る。
【0308】
リザーバ5110はまた、リザーバ5110がその通常の作動配向から、例えば任意の開口を通しておよび/またはその下位構成要素間で、変位および/または回転したりするときに、それから液体の流出を阻止するように構成され得る。加湿器5000によって加湿すべき空気流れは、通常、加圧されるため、リザーバ5110はまた、漏れおよび/または流れインピーダンスによる空気圧の損失を予防するように構成され得る。
5.6.2.2 伝導性部分
【0309】
1つの配置構成によれば、リザーバ5110は、加熱要素5240からリザーバ5110内の一定体積の液体への効率的な熱伝達を可能にするように構成された伝導性部分5120を含む。一形態において、伝導性部分5120は、プレートとして配置され得るが、他の形状も適切であり得る。伝導性部分5120の全体または一部は、アルミニウムなどの熱伝導性材料(例えば、およそ2mm(例えば、1mm、1.5mm、2.5mmまたは3mm)の厚さ)、別の熱伝導性金属またはいくつかのプラスチックからなり得る。場合によっては、適切な熱伝導性が、適切な幾何形状のより低伝導性の材料によって達成され得る。
5.6.2.3 加湿器リザーバドック
【0310】
一形態において、加湿器5000は、加湿器リザーバ5110を受容するように構成された(図5Bに示すような)加湿器リザーバドック5130を含み得る。いくつかの配置構成において、加湿器リザーバドック5130は、ロック特徴部(例えば、リザーバ5110を加湿器リザーバドック5130内に保持するように構成されたロックレバー5135)を含み得る。
5.6.2.4 水位指示器
【0311】
加湿器リザーバ5110は、図5A図5Bに示すように水位指示器5150を含み得る。いくつかの形態において、水位指示器5150は、加湿器リザーバ5110内の水の体積についての1つ以上の明示を、患者1000または介護者などのユーザに提供し得る。水位指示器5150によって提供される1つ以上の明示は、水の最大の所定体積、その任意の一部(例えば、25%、50%または75%)、または体積(例えば、200ml、300mlまたは400ml)の明示を含み得る。
5.6.2.5 加熱要素
【0312】
場合によっては、加熱要素5240が加湿器5000へ提供されて、加湿器リザーバ5110内の一定体積の水および/または空気流れへの一定体積の水のうち1つ以上へ入熱を提供し得る。加熱要素5240は、電気抵抗性の加熱トラックなどの熱生成構成要素を含み得る。加熱要素5240の1つの適切な例は、層状加熱要素、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT特許出願公開第WO2012/171072号に記載されているものである。
【0313】
いくつかの形態において、加熱要素5240は、加湿器ベース5006内に提供されてもよく、ここで熱は、図5Bに示すように主に伝導により加湿器リザーバ5110へ提供され得る。
5.7 呼吸波形
【0314】
図6Aは、睡眠中の人の典型的な呼吸波形のモデルを示す。水平軸は時間であり、垂直軸は呼吸流量である。パラメータ値は変動し得るが、典型的な呼吸は以下の近似値を有し得る:一回換気量(Vt、0.5L)、吸息時間(Ti、1.6秒)、ピーク吸気流量(Qpeak、0.4L/秒)、呼息時間(Te、2.4秒)、ピーク呼気流量(Qpeak、-0.5L/秒)。呼吸の合計持続時間Ttotは、約4秒である。通常の人が呼吸する場合、1分当たりの呼吸数(BPM)は約15回であり、ここで、換気Ventは約7.5L/分である。典型的なデューティサイクル(Ttotに対するTiの比)は約40%である。
5.8 呼吸療法モード
【0315】
多様な呼吸療法モードが、開示の呼吸療法システムによって実装され得る。
5.8.1 CPAP療法
【0316】
呼吸圧力療法のいくつかの実装形態において、中央コントローラ4230は、療法パラメータ決定アルゴリズム4329の一部として、治療圧力等式(1)に従って治療圧力Ptを設定する。このような一実装形態において、振幅Aは等しくゼロであり、したがって、治療圧力Pt(現時点でインターフェース圧力Pmによって達成される目標値を表す)は、呼吸サイクル全体を通じてベース圧力P0に完全に等しい。このような実装形態は、一般にCPAP療法の表題の下にグループ化されている。このような実装形態において、位相Φまたは波形テンプレートΠ(Φ)を決定するための療法エンジンモジュール4320は不要である。
【0317】
CPAP療法において、ベース圧力P0は一定値であり得、ハードコードされるか、RPTデバイス4000へ手動で入力される。代替として、中央コントローラ4230は、療法エンジンモジュール4320内の各アルゴリズム(例えば、流れ制限、無呼吸、低呼吸、開通性、およびいびきのうち1つ以上)によって戻された、睡眠呼吸障害の指数または測定値の関数としてベース圧力P0を繰り返し計算し得る。この代替例は、時にはAPAP療法と呼ばれる。
【0318】
図4Eは、圧支持Aが等しくゼロである場合に、療法パラメータ決定アルゴリズム4329のAPAP療法実装の一環としてベース圧力P0を連続的に計算するために、中央コントローラ4230によって実装される方法4500を例示したフローチャートである。
【0319】
方法4500は、ステップ4520から開始し、ここで中央コントローラ4230が無呼吸/低呼吸の存在の測定値を第1の閾値と比較し、無呼吸/低呼吸の存在の測定値が第1の閾値を所定期間にわたって超えた(これは、無呼吸/低呼吸の発生を示す)かどうかを決定する。そうである場合、方法4500はステップ4540に進むが、そうでない場合、方法4500はステップ4530に進む。ステップ4540において、中央コントローラ4230は、気道開通性の測定値を第2の閾値と比較する。気道開通性の測定値が第2の閾値を超える場合(これは、気道が開いていることを示す)、検出された無呼吸/低呼吸は、中枢性であるとみなされ、方法4500はステップ4560に進むが、そうでない場合、無呼吸/低呼吸は閉塞型であるとみなされ、方法4500はステップ4550に進む。
【0320】
ステップ4530において、中央コントローラ4230は、流れ制限の測定値を第3の閾値と比較する。流れ制限の測定値が第3の閾値を超える場合(これは、吸気流が制限されていることを示す)、方法4500はステップ4550に進むが、そうでない場合、方法4500はステップ4560に進む。
【0321】
ステップ4550において、中央コントローラ4230は、ベース圧力P0を所定の圧力増分ΔPだけ増加させる。ただし、その結果得られる治療圧力Ptが最大治療圧力Pmaxを超えることはない。一実装形態において、所定の圧力増分ΔPおよび最大治療圧力Pmaxは、それぞれ1cmHOおよび25cmHOである。他の実装形態においては、圧力増分ΔPを、0.1cmHOと低く、3cmHOと高くしたり、0.5cmHOと低く、2cmHOと高くしたりすることができる。他の実装形態においては、最大治療圧力Pmaxを、15cmHOと低く、35cmHOと高くしたり、20cmHOと低く、30cmHOと高くしたりすることができる。次に、方法4500は、ステップ4520に戻る。
【0322】
ステップ4560において、中央コントローラ4230は、ベース圧力P0を減分だけ減少させる。ただし、減少したベース圧力P0は、最小治療圧力Pminを下回ることはない。次に、方法4500は、ステップ4520に戻る。一実装形態において、減分は、P0-Pminの値に比例し、その結果、検出された事象が全くない場合に最小治療圧力PminまでのP0の減少は、指数関数的である。一実装形態において、比例定数は、P0の指数関数的な減少の時定数τが60分となり、最小治療圧力Pminが4cmHOとなるように設定される。他の実装形態において、時定数τは、1分と低く、300分と高くなったり、5分と低く、180分と高くなったりする場合がある。他の実装形態においては、最小治療圧力Pminを、0cmHOと低く、8cmHOと高くしたり、2cmHOと低く、6cmHOと高くしたりすることができる。代替として、P0の減分は、事前決定される場合があり、したがって、検出された事象が全くない場合に最小治療圧力PminまでのP0の減少は、線形である。
5.8.2 バイレベル(bi-level)療法
【0323】
本技術のこの形態の他の実装形態において、等式(1)中の振幅Aの値は正であり得る。このような実装形態は、治療圧力Ptを等式(1)(ここで、振幅Aは正である)を用いて決定する際、療法パラメータ決定アルゴリズム4329により、患者1000の自発呼吸努力と同期して治療圧力Ptが2つの値またはレベル間で揺動するため、バイレベル療法として知られている。すなわち、前述した通常の波形テンプレートΠ(Φ,t)に基づいて、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、吸気の開始時または吸気中に、治療圧力PtをP0+A(IPAPとして知られている)まで増加させ、呼気の開始時または呼気中に治療圧力Ptをベース圧力P0(EPAPとして知られている)まで減少させる。
【0324】
バイレベル療法のいくつかの形態において、IPAPは、CPAP療法モードにおける治療圧力と同じ目的の治療圧力であり、EPAPは、IPAPから振幅Aを減算した値であり、時には呼気圧力軽減(EPR)と呼ばれる「小さな」値(数cmHO)を有する。このような形態は、時にはEPR付きCPAP療法と呼ばれ、一般に、ストレートCPAP療法よりも快適であると考えられる。EPR付きCPAP療法において、IPAPおよびEPAPのいずれかまたは両方は一定値であり得、ハードコードされるか、RPTデバイス4000へ手動で入力される。代替として、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、EPR付きCPAP中にIPAPおよび/またはEPAPを繰り返し計算し得る。この代替例において、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、前述したAPAP療法におけるベース圧力P0の計算に類似した様式で、療法エンジンモジュール4320内の各アルゴリズムによって戻された睡眠呼吸障害の指数または測定値の関数としてEPAPおよび/またはIPAPを繰り返し計算する。
【0325】
他の形態のバイレベル療法において、振幅Aは、RPTデバイス4000が患者1000の呼吸仕事の一部または全部を行うほど十分に大きい。圧支持換気療法として知られているこのような形態において、振幅Aは、圧支持またはスイングと呼ばれる。圧支持換気療法において、IPAPは、ベース圧力P0に圧支持Aを加算した値であり、EPAPは、ベース圧力P0である。
【0326】
固定圧支持換気療法として知られている圧支持換気療法のいくつかの形態において、圧支持Aは、所定の値(例えば、10cmHO)に固定される。所定の圧支持値は、RPTデバイス4000の設定であり、例えばRPTデバイス4000の構成中のハードコーディング、または入力デバイス4220を介した手入力により設定され得る。
【0327】
サーボ換気として広く知られている、他の形態の圧支持換気療法において、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、現在測定または推定されている、呼吸サイクルのいくつかのパラメータ(例えば、換気の現在の測定値Vent)と、その呼吸パラメータの目標値(例えば、換気の目標値Vtgt)とを入力とし、等式(1)のパラメータを繰り返し調整して呼吸パラメータの現在の測定値を目標値に近づける。CSRの治療に用いられてきた順応性サーボ換気(ASV)として知られているサーボ換気の形態において、呼吸パラメータは、換気であり、目標換気値Vtgtは、前述したように典型的な最近の換気Vtypから目標換気決定アルゴリズム4328によって計算される。
【0328】
いくつかの形態のサーボ換気において、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、圧支持Aを繰り返し計算するために制御方法論を適用して、呼吸パラメータの現在の測定値を目標値に近づける。1つのこのような制御方法論として、比例積分(PI)制御がある。ASVモードに適した、PI制御の一実装形態(ここで、目標換気Vtgtは、典型的な最近の換気Vtypよりも若干低くなるように設定される)において、圧支持Aは、以下のように繰り返し計算される:
【数3】
【0329】
ここで、Gは、PI制御の利得である。利得Gの値が大きいほど、療法エンジンモジュール4320におけるフィードバックが正になり得る。利得Gの値が小さいほど、一部の残存未治療CSRまたは中枢性睡眠時無呼吸の余地があり得る。いくつかの実装形態において、利得Gは、所定の値(例えば、-0.4cmHO/(L/分)/秒)に固定される。代替として、利得Gは、CSRを実質的に撲滅する値に到達するまで療法セッション間で変動し得、最初は小さいが、セッションごとに増加する。療法セッションのパラメータを遡及的に分析して療法セッション中のCSRの深刻度を評価するための従来の手段は、このような実装形態において採用され得る。さらに他の実装形態において、利得Gは、換気の現在の測定値Ventと目標換気Vtgtとの差に応じて変動し得る。
【0330】
療法パラメータ決定アルゴリズム4329によって適用され得る他のサーボ換気制御方法論を挙げると、比例(P)、比例微分(PD)、および比例積分微分(PID)がある。
【0331】
等式(2)を介して計算された圧支持Aの値は、[Amin,Amax]として規定された範囲までクリッピングされ(clipped)得る。この実装形態において、デフォルトで圧支持Aは、現在の換気Ventの測定が目標換気Vtgtを下回るまで、最小圧支持Aminにとどまり、この地点で、Aは増加し始め、Ventがもう一度Vtgtを超えた場合にのみ、Aminに戻る。
【0332】
圧支持制限AminおよびAmaxは、RPTデバイス4000の設定であり、例えばRPTデバイス4000の構成中のハードコーディング、または入力デバイス4220を介した手入力により設定される。
【0333】
圧支持換気療法モードにおいて、EPAPは、ベース圧力P0である。CPAP療法におけるベース圧力P0と同様に、EPAPは一定値であり得、タイトレーション中に規定または決定される。このような一定のEPAPは、例えばRPTデバイス4000の構成中のハードコーディング、または入力デバイス4220を介した手入力により設定され得る。この代替例は、時には固定EPAP圧支持換気療法と呼ばれる。所与の患者のEPAPのタイトレーションは、閉塞性無呼吸を予防する目的で、PSGを用いてタイトレーションセッション中に臨床医によって行われ得、これにより、一定のCPAP療法におけるベース圧力P0のタイトレーションと同様の様式で、圧支持換気療法のために気道開放を維持する。
【0334】
代替として、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、圧支持換気療法中にベース圧力P0を繰り返し計算し得る。このような実装形態において、療法パラメータ決定アルゴリズム4329は、療法エンジンモジュール4320内の各アルゴリズム(例えば、流れ制限、無呼吸、低呼吸、開通性、およびいびきのうち1つ以上)によって戻された、睡眠呼吸障害の指数または測定値の関数としてEPAPを繰り返し計算する。EPAPの連続的計算は、EPAPのタイトレーション中の臨床医によるEPAPの手動調整に類似しているため、このプロセスは、時にはEPAPの自動タイトレーションとも呼ばれ、療法モードは、自動タイトレーションEPAP圧支持換気療法または自動EPAP圧支持換気療法として知られている。
5.9 アイマスクシステム
【0335】
本技術のいくつかの形態は、アイマスクシステム7000を含む。本技術の例によるアイマスクシステム7000は、睡眠用マスクまたはヘッドセットとしても特定され得る。特定の構成に応じて、これは、VRヘッドセット、ARヘッドセットまたは患者インターフェースとしても特定され得る。本技術の態様によるアイマスクシステム7000は、以下の機能態様の一部または全部を含み得る:アイマスク7100、シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200および位置決めおよび安定化構造3300、接続ポート3600、ならびに/または流れ生成器7400。いくつかの形態において、機能態様は、1つ以上の物理的構成要素によって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的構成要素は、1つ以上の機能態様を提供し得る。
【0336】
アイマスクシステム7000は、ユーザによって用いられ得る。ユーザは、病気/障害のある人(例えば、患者)であってもよく、または病気/障害のない人であってもよい。
【0337】
図7は、ユーザが着用しているアイマスクシステム7000を示す。図示のように、アイマスクシステム7000は、アイマスク7100と、位置決めおよび安定化構造3300とを含む。アイマスク7100は、位置決めおよび安定化構造3300によって使用時位置に保持され得る。
【0338】
いくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、「スマート」アイマスクとみなされ得る。すなわち、アイマスクシステム7000は、「スマート」な特徴とみなされる特徴(例えば、ユーザとやりとりする能力)を含み得、特定の機能を提供するように部分的または完全に自律的に動作し得る。アイマスクシステム7000は、ユーザおよび/または周囲環境とインターフェースをとるように構成された1つ以上のトランスデューサを含み得る。トランスデューサは、エネルギーをある形態から別の形態へ変換するデバイスである。本明細書中、「トランスデューサ」という用語は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、通常は電気信号の形態の信号と、別の形態のエネルギーとの間でエネルギーを変換(信号から、または信号へ変換)するデバイスを意味するために用いられる。トランスデューサは、このようなエネルギー変換を通じて、ユーザおよび/または周囲環境とインターフェースをとる。1つ以上のトランスデューサは、例えばユーザおよび/または周囲環境についての情報を感知または受信することによってインターフェースをとり得る。追加または代替として、1つ以上のトランスデューサは、ユーザおよび/または周囲環境への入力(例えば、1つ以上の物理的刺激)を提供することによってやりとりし得る。
【0339】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ユーザの就寝を助けることによって睡眠を促進するために用いられ得る。いくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、トランスデューサ(例えば、センサおよび出力トランスデューサ)の使用によって、ユーザの睡眠の向上、または質の高い睡眠を促進し得る。いくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、ユーザに感覚フィードバックを提供するように構成される。他の形態において、アイマスクシステム7000は、ユーザの睡眠を監視し、睡眠データ、一定期間にわたるユーザの睡眠データの要約、一定期間にわたるユーザの睡眠挙動の要約、および/または睡眠を向上させる方法についての提案の形態でフィードバックをユーザに提供し得る。いくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、例えば図4Dおよび図4Eを参照して述べる構成要素および方法を用いて、睡眠時無呼吸を診断し、かつ/またはその治療を支援し得る。
【0340】
いくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、ユーザの覚醒している間に用いられ得る。アイマスクシステム7000は、ユーザが覚醒している間、およびユーザが睡眠をとろうとしていない間に用いられる特徴または機能を有し得る。アイマスクシステム7000は、弛緩を促進するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、娯楽、生産性、教育、通信、訓練などのために構成され得る。いくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、呼吸圧力療法のためのアイマスクシステム7000のセットアップおよび/またはフィッティング中にユーザに支援を提供するように構成され得る。
【0341】
図8は、図7に示すアイマスクシステム7000のブロック図を示す。図示のように、アイマスクシステム7000は、以下に述べる多数のセンサおよび出力トランスデューサを含む。さらに、アイマスクシステム7000は、プロセッサ7900、メモリ7910、および通信モジュール7920を含む。本技術の多様な例において、プロセッサ7900は、RPTデバイス4000の中央コントローラ4230に関連して前述した任意の機能を行い得る。同様に、多様な例において、メモリ7910および通信モジュール7920は、メモリ4260およびデータ通信インターフェース4280の動作を可能にし得る方式のうち任意の1つで、それぞれ動作し得る。
【0342】
アイマスクシステム7000によって行われるステップとして本明細書中に記載したアクション(例えば、特にアクション、決定、特定、比較、最適化、動作)は、アイマスクシステム7000のプロセッサ7900によって完全または部分的に行われるステップであると理解されるべきである。プロセッサ7900は、メモリ7910とインターフェースをとって、例えばデータを記憶したり、データにアクセスしたり、記憶した命令を実行したりし得る。プロセッサ7900およびメモリ7910も、通信モジュール7920とインターフェースをとって、他のデバイス(例えば、他のオプションの中でも、リモートサーバ、呼吸圧力療法デバイス4000、患者が着用しているリストバンド、センサ、出力トランスデューサ)とデータを送受信し得る。図8のブロック図においては、全てのセンサがプロセッサ7900と直接通信していることが例示されているが、これらの一部または全部が、通信モジュール7920を介してプロセッサ7900とインターフェースをとり得る。
【0343】
プロセッサ7900、メモリ7910および通信モジュール7920はそれぞれ、複数の構成要素を含み得る。例えば、プロセッサ7900は、アイマスクシステム7000の処理機能を共に提供する複数のプロセッサを含み得る。同様に、メモリ7910は、複数の形態のメモリ(例えば、揮発性および不揮発性メモリ)を含み得、通信モジュール7920は、複数の通信構成要素(例えば、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NFC(登録商標)など)を含み得る。
【0344】
いくつかの形態において、プロセッサ7900は、アイマスク7100から離れて位置し得、通信モジュール7920を介してアイマスク7100と通信し得る。他の形態において、プロセッサ7900は、アイマスク7100内に組み込まれた1つ以上のプロセッサ7900と、アイマスク7100から離れて位置し、通信モジュール7920を介してアイマスク7100と通信するように構成された1つ以上の他のプロセッサ7900とを含む。
【0345】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は使用時に、例えばアイマスク7100に収容されたり、位置決めおよび安定化構造3300によって支持される別々のハウジングに収容されたりするバッテリーによって給電される。他の例において、アイマスクシステム7000は、別々の電力源(例えば、補助バッテリーまたは壁ソケット)へプラグで接続されるように構成されたパワーリードを含み得る。
【0346】
本技術の特定の形態において、アイマスクシステム7000は、1つ以上の外部デバイス(例えば、前述したようなリモート外部デバイス4286および/またはローカル外部デバイス4288)を含むか、それらと通信するように構成される。外部デバイスは、ユーザの付近にあってもよく(例えば、ユーザの電話、またはBluetooth(登録商標)、インターネットなどを介してアクセス可能なRPTデバイス4000)、またはユーザから離れていてもよい(例えば、インターネットを介してアクセスすることが可能なコンピューティングデバイス、サーバなど)。外部デバイスとの通信は、通信モジュール7920を介して発生し得る。本明細書中に記載の機能のうち任意の1つ以上を達成するために、アイマスクシステム7000は、このような外部デバイスへ出力を伝送したり、それから入力を受信したり、それと他の方式で通信したりするように構成され得る。例えば、外部デバイスは、ユーザがアイマスクシステム7000とやりとりすること、例えば、それを構成することを可能にするために用いれ得る。外部デバイスは、アイマスクシステム7000のデータ、レポート、分析結果または任意の他の情報の産物の出力にも用いられ得る。
【0347】
アイマスクシステム7000またはその構成要素が、アクションを行ったり機能を提供したりすることができると記載されている場合、アイマスクシステム7000またはその構成要素は、場合によっては、アクションを行ったり機能を提供したりするように構成されてもよく、アクションを行ったり機能を提供したりするようにプログラムされてもよいと理解されるべきである。アイマスクシステム7000のアクションまたは機能の開示は、アクションを行ったり機能を提供したりするように構成された(例えば、プログラムされた)アイマスクシステム7000の開示であると理解されるべきである。さらに、アイマスクシステム7000のアクションまたは機能が開示される場合、アイマスクシステム7000は、方法ステップとしてアクションまたは機能を含む方法を行うように構成され得ることが理解されるべきである。
5.9.1 アイマスク
【0348】
本技術の形態において、アイマスク7100は、ユーザの眼を覆う構成要素、または構成要素のアセンブリである。異なる形態において、アイマスク7100は、ユーザの片眼または両眼を完全に覆ってもよく、またはアイマスク7100は、ユーザの片眼または両眼を部分的に覆ってもよい。特定の形態において、アイマスク7100は不透明であるため、光がアイマスク7100を通過してユーザの眼に到達することは不可能である。他の形態において、アイマスク7100の一部または全部は半透明であるため、一定の光がアイマスク7100を通過してユーザの眼に到達することが可能になる。いくつかの形態において、アイマスク7100は、不透明のマスク部分、および半透明のマスク部分を有する。本明細書に記載したマスクの不透明度、および異なる覆い方は、文脈上明らかに別段の要求がない限り、本明細書中に記載した任意の形態の技術に用いられ得ることが理解されよう。アイマスク7100は、アイマスク7100および他の構成要素、例えばアイマスク7100用の位置決めおよび安定化構造3300を含むアイマスクシステム7000の一部を形成し得る。
【0349】
アイマスク7100は、患者の眼によって知覚可能な環境光の低減または撲滅して睡眠を支援するように、ユーザの眼を覆い得る。アイマスク7100の外観は、アイマスクまたはVR/ARヘッドセットに類似していてもよい。このような外観により、アイマスクシステム7000は、ユーザにとっては障害の治療ために用いられる医療用デバイスというよりも、アイテムもしくは衣類または電子装備品などの見慣れたもののように見える。より見慣れた/親しみやすい外観により、ユーザがアイマスクシステム7000を使用する際に疎外感を覚える、いかなる傾向も回避または低減され得る。
【0350】
本技術のいくつかの形態において、アイマスク7100は、視覚コンテンツを、例えば仮想現実(VR)または拡張現実(AR)のマスクという方式でユーザに表示するためのディスプレイ7131も含み得る。ディスプレイ7131について、以下でより詳細に説明する。より一般的には、アイマスクシステム7000は、後述するように1つ以上のトランスデューサ、例えばセンサまたは出力トランスデューサを含み得る。アイマスク7100は、1つ以上のトランスデューサおよび/または1つ以上の他の構成要素を含み得る。
5.9.1.1 ハウジング
【0351】
アイマスク7100は、アイマスク7100の構成要素、例えば、アイマスク7100の内側にあったり、その他の部分であったりし得るディスプレイ7131および任意の他の構成要素、例えばトランスデューサ、プロセッサ7900、メモリ7910、通信モジュール7920および/または流れ生成器7400のための支持構造を提供するためにハウジングを含み得る。ハウジング7120は、ディスプレイ7131、および/またはアイマスク7100の他の構成要素をさらに保護し得る。ハウジング7120は、衝撃力からの保護を提供するのに適した材料から構築され得る。いくつかの例において、ハウジング7120は、生体適合性材料から構築され得る。
【0352】
ハウジング7120は、硬質、硬性、または半硬性の材料、例えばプラスチックから構築され得る。特定の形態において、硬性または半硬性の材料は、軟質および/または可撓性の材料(例えば、テキスタイル、シリコーンなど)で少なくとも部分的に覆われ得る。これは、ユーザとハウジング7120との間の接触中、例えばユーザがハウジング7120に触ったり自身の手でそれを掴んだりするときの生体適合性および/またはユーザの快適性を向上させ得る。
【0353】
本技術の他の形態によるハウジング7120は、軟質で可撓性と弾力のある材料、例えば、シリコーンゴムから構築され得る。
【0354】
いくつかの形態において、ハウジング7120は、実質的に矩形または実質的に楕円形の外形を有し得る。ハウジング7120は、実質的に矩形または実質的に楕円形の外形を有する三次元形状を有し得る。
【0355】
図7に示す例において、ハウジング7120の全体的形状は、ハウジング7120の外側上で外側方向から後側方向への曲線を含む。この形状は、人の顔の曲率に近似し得るため、ハウジング7120が人の顔を「抱きしめる」ことを可能にし、その結果、これは目立たない外形を有する。目立たない外形のアイマスク7100により、着用時における弛緩または睡眠がより容易になり、有利であり得る。いくつかの形態において、ハウジング7120の前側を向く側は、ハウジング7120の後側を向く側と実質的に同じ形状を有する。
【0356】
いくつかの形態において、ディスプレイ7131は、例えば図17に示す例において、アイマスク7100に恒久的に統合される。ディスプレイ7131は、アイマスクシステム7000の一部としてのみ使用可能な構成要素であり得る。いくつかの形態において、ハウジング7120にはディスプレイ7131が包囲され得るため、ディスプレイ7131を保護し、かつ/またはディスプレイ7131またはその構成要素に対するユーザの干渉(例えば、移動および/または破壊)を制限することができる。
【0357】
特定の形態において、ディスプレイ7131は、ディスプレイ7131によって出力された画像を見るユーザの能力に悪影響を及ぼし得る、ディスプレイ7131の表面上にごみまたは他の屑が集まることを制限するために、ハウジング7120内で実質的に密閉されていてもよい。ディスプレイ7131はハウジング7120から取り外すことができないため、ユーザは、シールを破壊してディスプレイ7131にアクセスする必要がない場合がある。
【0358】
他の形態において、ディスプレイ7131は、ハウジング7120に取り外し可能に統合されるため、アイマスクシステム7000とは独立して使用可能なデバイスでもあり得る。例えば、ディスプレイ7131は、スマートフォンまたは他の携帯用電子デバイス上に設けられ得る。
【0359】
ハウジング7120は、参照のためにその内容全体が本明細書に組み込まれる国際(PCT)特許出願第PCT/AU2021/050277号に記載のような頭部装着型ディスプレイデバイス用のハウジングの特徴のうち任意の1つ以上も含み得る。
5.9.1.2 インターフェース構造
【0360】
アイマスク7100は、使用時にユーザと接触する部分、例えばユーザの顔と接触する部分を含む。アイマスク7100は、ユーザが快適に着用できるようにすることが望ましい。アイマスクを快適にすると、アイマスク着用の快適性が低い場合と比較して、ユーザがアイマスクをより長い期間にわたって使用することが促進される。また、アイマスク7100は、アイマスク7100の着用によって引き起こされる、ユーザの顔上の痕の量を減らしたものが望ましい。アイマスク7100を快適にすることにより、弛緩も促進され得、ユーザの就寝がより容易になり得る。
【0361】
アイマスク7100は、図17に示すようなインターフェース構造7140を含み得る。図7図9図12および図15に示すアイマスクシステム7000のアイマスク7100は、図17に示すインターフェース構造7140、または代替の構成を有するインターフェース構造7140を含み得る。インターフェース構造7140は、アイマスク7100の後側に(例えば、ハウジング7120の後側に)設けられ得、使用時にユーザの顔と係合するように構成され得る。本技術の特定の形態において、インターフェース構造7140は、アイマスク7100のユーザ接触側上に位置決めされた1つ以上のクッション部分を、例えばアイマスク7100の1つ以上の後側表面上に含み得る。
【0362】
いくつかの形態において、本技術によるインターフェース構造7140は、生体適合性材料から構築され得る。いくつかの形態において、本技術によるインターフェース構造7140は、軟質材料、可撓性材料、および/または弾力性材料から構築され得る。特定の形態において、インターフェース構造7140は、以下の材料のうち任意の1つ以上を含み得る:テキスタイル、織地、発泡体および/またはシリコーン。
【0363】
インターフェース構造7140は、不快感を受けやすい位置であり得る、ユーザの顔の敏感な領域と接触し得る。インターフェース構造7140は、これらの敏感な領域での緩衝効果を提供するように構成され得るため、アイマスクシステム7000の着用中にユーザの不快感が有利に制限または回避され得る。これらの敏感な領域は、ユーザの額を含み得、頭蓋表筋および/または眉間など、ユーザの頭部のうち前頭骨に近接した領域を含み得る。この領域は、ユーザの皮膚と骨との間の筋肉および/または脂肪による自然な緩衝作用が限られているため、敏感であり得る。同様に、ユーザの鼻堤にも、自然な緩衝作用がほとんどまたは全く含まれない可能性がある。インターフェース構造7140は、これらの領域での緩衝効果を提供するように構成され得る。いくつかの例において、インターフェース構造7140は、ある領域のコンプライアンスが別の領域よりも高くなるように構成される。
【0364】
いくつかの形態において、インターフェース構造7140は、単一の要素を含み得る。いくつかの実施形態において、インターフェース構造7140は、大量製造のために設計され得る。例えば、インターフェース構造7140は、広範囲の異なる形状およびサイズの顔に快適にフィットするように設計され得る。
【0365】
いくつかの形態において、インターフェース構造7140は、ユーザの顔の異なる領域上に載置される、異なる要素を含み得る。インターフェース構造7140の異なる部分は、異なる材料から構築され、異なる領域での異なるテテクスチャーおよび/または緩衝作用をユーザに提供し得る。
【0366】
特定の形態において、インターフェース構造7140は、第1のクッション部分および第2のクッション部分を含み得、第1のクッション部分は、第2のクッション部分よりも大きな厚さおよび/または大きなユーザ接触表面を有し、第1のクッション部分は、第2のクッション部分よりも大きな力をユーザの顔上に使用時に付与するアイマスク7100の部分内に位置決めされる。追加または代替として、第1のクッション部分は、ユーザの顔のうち使用時に第2のクッション部分と接触する部分(例えば、鼻接触部分)よりも敏感な、使用時にユーザの顔の一部と接触するアイマスク7100の部分内に位置決めされる。
【0367】
いくつかの形態において、インターフェース構造7140は、アイマスク7100の表面に連結される。いくつかの例において、インターフェース構造7140は、ユーザの顔と係合するように構成されたコンプライアント部分と、コンプライアント部分よりも高剛性であり、インターフェース構造7140をアイマスク7100のハウジング7120に固定するように構成されたクリップ部分とを含み得る。
【0368】
いくつかの形態において、インターフェース構造7140は、ハウジング7120の周りに少なくとも部分的に延び得、視認用開口部を形成し得る。視認用開口部は、使用時にユーザの顔を少なくとも部分的に受容し得る。具体的には、ユーザの眼は、インターフェース構造7140によって形成された視認用開口部内に受容され得る。
【0369】
代替または追加として、インターフェース構造7140は、国際特許出願第PCT/AU2021/050277に記載のようなインターフェース構造の特徴のうち任意の1つ以上を含み得る。
5.9.1.2.1 遮光部
【0370】
いくつかの形態のアイマスクシステム7000は、不透明材料から構築され得、環境光がユーザの眼に到達することを遮断するように構成され得る遮光部を含んでもよい。遮光部は、インターフェース構造7140の一部であってもよく、または別々の要素であってもよい。いくつかの例において、インターフェース構造7140は、アイマスク7100とユーザの顔との間の接触のために快適な接触部分を提供することに加えて、ユーザの眼を環境光から遮ることにより遮光部を形成し得る。いくつかの例において、遮光部は、共に環境光をブロックする複数の構成要素から形成され得る。
【0371】
特定の形態において、遮光部は、環境光が、眼領域(頭蓋表筋の領域、ユーザの蝶形骨内に、蝶形骨と左頬骨弓または右頬骨弓との間の外側頬領域を横切って、頬骨弓にわたって、頬骨弓から鼻翼基部最側方への内側頬領域にわたって、そして、セリオンの下側にあるユーザの鼻堤上に形成されて、ユーザの顔の一部をその間で包囲し得る)に到達することを妨害し得る。
【0372】
一形態において、遮光部は、ユーザの顔とその周囲部全体の周りで接触し得ない。例えば、遮光部は、ユーザの鼻堤から間隔を空けて位置していてもよい。この間隔の幅は、環境光の進入を実質的に制限するように、実質的に小さくてもよい。しかし、ユーザの鼻堤は敏感であり得、炎症が起きやすい。そのため、ユーザの鼻堤との直接接触の回避により、アイマスクシステム7000の着用中にユーザの快適性を向上させることができる。
5.9.1.2.2 シール形成構造
【0373】
いくつかの形態において、インターフェース構造7140は、シール形成構造として形成され、目標シール形成領域を含み得る。目標シール形成領域は、密閉が発生し得る、シール形成構造上の領域である。密閉が実際に発生する領域(すなわち、実際の密閉表面)は、様々な要因(顔上のアイマスク7100の配置位置、位置決めおよび安定化構造3300における張力、ならびに/またはユーザの顔の形状を含むが、それらに限定されない)に応じて、所与のセッション内でユーザによって日々変化し得る。
【0374】
一形態において、目標シール形成領域は、インターフェース構造7140の外側表面上に位置する。特定の形態において、インターフェース構造7140の周囲部全体は、ユーザの皮膚を密閉し、環境光が眼領域に到達することを遮断するように構成され得る。眼領域は、頭蓋表筋の領域、ユーザの蝶形骨内に、蝶形骨と左頬骨弓または右頬骨弓との間の外側頬領域を横切って、頬骨弓にわたって、頬骨弓から鼻翼基部最側方への内側頬領域にわたって、そして、セリオンの下側にあるユーザの鼻堤上に形成されて、ユーザの顔の一部をその間で包囲し得る。
【0375】
特定の形態においては、これにより、ユーザの眼の周りが密閉され得る。シール形成構造またはインターフェース構造7140によって生成されたシールは、環境光がユーザの眼に到達することを制限するために光シールを生成し得る。
【0376】
シール形成構造を提供する場合、インターフェース構造7140は、ユーザの鼻堤など、ユーザの顔上の敏感な領域と接触し得る。この接触により、環境光の進入は、完全に予防され得る。ハウジング7120の周囲部全体の周りの密閉は、アイマスクシステム7000の性能を向上させ得る。さらに、生体適合性材料は、ユーザの鼻堤との直接接触が、アイマスクシステム7000の着用中にユーザの快適性が有意に低下しないように選択され得る。
【0377】
本技術の特定の形態において、アイマスクシステム7000は、それぞれ、異なるユーザの頭部のサイズおよび/または形状の範囲にフィットするように構成された、複数のインターフェース構造7140を含む。例えば、アイマスクシステム7000は、小さなサイズの頭部ではなく大きなサイズの頭部に適したインターフェース構造7140の一形態と、大きなサイズの頭部ではなく小さなサイズの頭部に適した別のものとを含み得る。異なるインターフェース構造7140は、取り外し可能および交換可能であり得るため、様々なユーザは、頭部のサイズが異なっても同一のアイマスクシステム7000を使用することができる。
5.9.1.2.3 材料の生体適合性
【0378】
生体適合性材料は、ISO10993-1規格に従って、使用時の安全性に関連するその生物学的反応の詳細評価を受ける材料とみなされる。この評価では、使用時にヒト組織との予測される接触の性質および持続時間を考慮する。本技術のいくつかの形態において、位置決めおよび安定化構造と、インターフェース構造とに利用される材料に対しては、以下の生体適合性試験のうち少なくとも一部が行われる場合がある:
細胞毒性-溶出試験(MeM抽出):ANSI/AAMI/ISO10993-5
皮膚感作性:ISO10993-10
炎症:ISO10993-10
遺伝毒性-バクテリア変異原性試験:ISO10993-3
移植:ISO10993-6
5.9.1.3 センサ
【0379】
本技術のいくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、1つ以上のセンサを含んだり、1つ以上のセンサの形態をとったりする1つ以上のトランスデューサを含み得る。センサは、入力エネルギーを、例えば物理的形態(例えば、光、音、温度、モーションなど)で受け取り、電気エネルギー(例えば、電気信号)を生み出すトランスデューサと理解され得る。各センサは、例えばアセンブリにおいてセンサを形成する複数の構成要素を含み得る。いくつかの例において、センサまたはセンサの構成要素は、アイマスクシステム7000の他の構成要素から物理的に分離され得る。すなわち、1つ以上のセンサは、アイマスク7100に設けられ得る。代替または追加として、1つ以上のセンサは、リストバンドなどの周辺構成要素に設けられ得る。例えば、アイマスクシステム7000は、ユーザの頭部上に着用されるアイマスク7100と、ユーザの身体上の他のところ(例えば、ユーザの手首、胸部または指)に位置するセンサとを含み得る。いくつかの例において、1つ以上のセンサは、ユーザの身体から物理的に分離され得、例えば床頭台上に位置する。
【0380】
1つ以上のセンサは、周囲環境の特性、ユーザの睡眠の特性、および/またはユーザの特性を(例えば、覚醒または就眠している間に)検出するように構成され得る。
5.9.1.3.1 脳波検査(EEG)
【0381】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、EEGセンサ7110を含む。
【0382】
EEGセンサ7110は、(例えば、1つ以上のチャンネルを形成する)1つ以上のセンサ要素を含み得る。いくつかの例において、EEGセンサ7110は、複数のセンサ要素を含み得、アセンブリを含み得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ユーザの頭部上に着用されるように構成されたキャップを含み得、キャップは、EEGセンサ7110を共に形成する複数のセンサ要素を含む。いくつかの例において、キャップは、アイマスクシステム7000の他の部分に取り外し可能に取り付けられ得る。キャップは、例えば、位置決めおよび安定化構造3300の少なくとも一部を形成し得る。
【0383】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、EEGセンサ7110を含む位置決めおよび安定化構造3300を含み得る。EEGセンサ7110は、位置決めおよび安定化構造3300上に位置決めされた複数のセンサ要素を含み得る。センサ要素は、位置決めおよび安定化構造3300の1つ以上のストラップ部分に設けられ得る(例えば、位置決めおよび安定化構造3300のストラップ部分上に位置したり、その内部に埋め込まれたりする)。
【0384】
EEGセンサ7110を形成するセンサ要素の数は、本技術の例によって変動し得ることが理解されるべきである。
5.9.1.3.2 心電図(ECG)
【0385】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ECGセンサ7111を含む。
【0386】
ECGセンサ7111は、ECGセンサ7111を形成する1つ以上のセンサ要素を含み得る。ECGセンサ7111は、複数のセンサ要素を含み得、アセンブリを含み得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ユーザの身体に取り付けられるように構成された複数の電極を含み得る。ECGセンサ7111は、電極を含んでもよく、または電極から信号を受信するように構成されてもよい。ECGセンサ7111は、ECG信号を生成してもよく、または電極に取り付けられたリードからの信号を生成し、これらの信号を、ECG信号を生成する別の構成要素またはプロセッサへ送信してもよい。
5.9.1.3.3 パルス/HR
【0387】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ユーザの心拍数を検出するように構成された心拍数センサ7112を含む。
【0388】
いくつかの例において、心拍数センサ7112は、例えば、パルスを検出するように構成されたLEDと、ユーザの皮膚と接触するセンサ要素を含む光学心拍計アセンブリを含み得る。心拍数センサ7112は、使用時に患者の額と接触し得る。アイマスク7100は、心拍数センサ7112を含み得る。別の例において、アイマスクシステム7000は、心拍数センサ7112を含む1つ以上のイヤーパッドを含み得る。他の例において、心拍数センサ7112は、ユーザの胸部の周りに着用される胸部バンドを含む電気式心拍計アセンブリを含み得る。
【0389】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、センサ要素、またはECGセンサ7111および心拍数センサ7112の両方を提供するアセンブリを含み得る。
5.9.1.3.4 酸素
【0390】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ユーザの血中酸素飽和度を検出したり、信号(これからユーザの血中酸素飽和度を決定することができる)を生成したりするように構成される酸素飽和度センサ7113を含む。
【0391】
いくつかの例において、酸素飽和度センサ7113は、パルスオキシメータなどの光電式指尖容積脈波(PPG)センサを含み得る。酸素飽和度センサ7113は、ユーザの血中酸素飽和度を検出するように構成された額パルスオキシメータを含み得る。いくつかの例において、アイマスク7100は、額パルスオキシメータを含む。他の例において、酸素飽和度センサ7113は、指先測定型パルスオキシメータ、または任意の他の種類のパルスオキシメータ(例えば、耳たぶまたは足指測定型のパルスオキシメータ)を含み得る。
【0392】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、センサ要素、または心拍数センサ7112および酸素飽和度センサ7113の両方を提供するアセンブリを含み得る。
5.9.1.3.5 血圧(BP)
【0393】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、血圧センサ7114を含む。血圧センサ7100は、患者の血圧を示す信号(例えば、これから患者の血圧を決定または推測することができる)を生成し得る。
【0394】
いくつかの例において、血圧センサ7114は、カフ無し血圧センサを含む。カフ無し血圧センサは、アイマスク7100内に組み込まれ得る。代替として、カフ無し血圧センサは、アイマスク7100とは別個であってもよく、ユーザの血圧を示す信号をアイマスク7100へ送信するように構成され得る。他の例において、血圧センサ7114は、血圧測定用カフと、カフを膨張させるためのポンプユニットとを含む血圧測定システムを含む。いくつかの例において、ポンプユニットは、ユーザの血圧、またはそれを示す信号をアイマスク7100へ送信するように構成される。
【0395】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、センサ要素、または心拍数センサ7112および血圧センサ7114の両方を提供するアセンブリを含む。
5.9.1.3.6 加速度計
【0396】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、加速度計7115を含む。加速度計7115は、(例えば、加速度を検出し、動きを決定することにより)ユーザの動きおよび/または配向を検出および/または捕捉するように構成され得る。加速度計7115は、例えば、3軸、4軸、5軸または6軸の加速度計であり得る。いくつかの例において、加速度計7115は、アイマスク7100に設けられる。他の例において、加速度計7115は、アイマスクシステムの別の構成要素内に位置する。
5.9.1.3.7 温度
【0397】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、体温センサ7116を含む。体温センサ7116は、接触式温度計または非接触式温度計を含み得る。いくつかの例において、体温センサ7116は、赤外線温度計を含み得る。体温センサ7116は、アイマスク7100に設けられ得る。いくつかの例において、体温センサ7116は、アイマスク7100に設けられた赤外線温度計を含み得、ユーザの額を介してユーザの温度を測定するように構成され得る。代替として、体温センサ7116は、アイマスクシステム7100の別の構成要素(例えば、ユーザが着用しているリストバンド)に設けられ得る。体温センサ7116は、ユーザの皮膚温度を測定し得る。
【0398】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、周囲温度センサ7117を含む。周囲温度センサ7116は、アイマスク7100に設けられ得る。代替として、周囲温度センサ7116は、アイマスクシステム7100の別の構成要素に設けられ得る。一形態において、周囲温度センサ7116は、周囲温度測定値(例えば、それを示す信号)をアイマスク7100へ送信するように構成された呼吸圧力療法デバイス4000に設けられ得る。
5.9.1.3.8 湿度
【0399】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、周囲湿度センサを含む。周囲湿度センサは、アイマスク7100に設けられ得る。代替として、周囲湿度センサは、アイマスクシステム7100の別の構成要素に設けられ得る。一形態において、周囲湿度センサは、周囲湿度測定値またはそれを示す信号をアイマスク7100へ送信するように構成された呼吸圧力療法デバイス4000に設けられ得る。
5.9.1.3.9 マイクロフォン
【0400】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、マイクロフォン7118を含む。マイクロフォン7118は、アイマスク7100に設けられ得る。代替として、アイマスクシステム7000の一部を形成したり、アイマスクシステム7000と通信したりし得る別のデバイス(例えば、ユーザの電話または呼吸圧力療法デバイス4000)は、マイクロフォン7118を含み得る。マイクロフォン7118の出力は、呼吸、いびき、無呼吸および/または周囲ノイズを検出するために、アイマスクシステム7000によって用いられ得る。いくつかの例において、マイクロフォン7118は、ユーザによる音声入力のために用いられ得る。
5.9.1.3.10 カメラ
【0401】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、カメラを含む。カメラは、アイマスク7100に設けられ得る。代替として、アイマスクシステム7000の一部を形成したり、アイマスクシステム7000と通信したりし得る別のデバイス(例えば、ユーザの電話または呼吸圧力療法デバイス4000)は、カメラを含み得る。
【0402】
カメラは、個々の画像または映像(これらは、画像が順に再生される場合に映像のように見えるほど十分に短い時間枠の間隔でキャプチャされた複数の画像とみなされ得る)をキャプチャするように動作可能であり得る。
【0403】
カメラの出力は、以下にさらに説明するように、ディスプレイ7131上でアイマスクシステム7000のユーザに提示することができる。
【0404】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、複数のカメラを含む。
5.9.1.4 分析の例
【0405】
本技術のいくつかの形態において、アイマスクシステム7000(例えば、プロセッサ7900)は、1つ以上のセンサ(例えば、前述したセンサのうち1つ以上)の出力を分析するように構成される。アイマスクシステム7000は、センサの出力を分析し、分析に基づいてアクションを行うように構成され得る。アイマスクシステム7000は、睡眠特性の特定、問題の特定、結果の予測、および/またはユーザもしくは公共医療サービス提供者への推奨事項の提供を行うように構成され得る。
【0406】
いくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、これらの機能を行うように構成された人工知能(AI)モジュールを含み得る。いくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、これらの機能を行うように構成された機械学習(ML)モジュールを含み得る。MLモジュールは、部分的に訓練してもよく、または完全に訓練されているとみなしてもよい。他の形態において、これらの機能は、例えば1つ以上のサーバ(例えば、アイマスクシステム7000の開発者が動作させるサーバ)を介して遠隔で行われ得る。このような例において、アイマスクシステム7000は、上記サーバと通信して、データを分析のために伝送し、結果を受信し得る。
5.9.1.4.1 検出および診断
【0407】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、障害の検出および/または診断を行うように構成され得る。例えば、アイマスクシステム7000は、ユーザが経験している無呼吸、または他の呼吸事象(例えば、低呼吸または過呼吸または喘ぎ)を検出するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、ユーザによるいびきを検出するように構成され得る。いくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、ユーザの同床者からの無呼吸、いびき、または喘ぎを検出するように構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、マイクロフォン7118を用いてユーザの呼吸を監視し得る。アイマスクシステム7000は、マイクロフォン7118の出力を分析して、無呼吸またはいびきを検出し得る。アイマスクシステム7000は、低い酸素レベルを、例えば酸素飽和度センサ7113、または睡眠時無呼吸と関連付けられた他の異常現象(例えば、高いパルス、血圧または心拍数変動)を用いて検出するように構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、RPTデバイス4000によって、そして使用時にユーザによっても検出された無呼吸および/またはいびきを表すデータを受信し得、例えば、記録をとること、そのデータをユーザに提示すること、および/またはユーザに変化を推奨することによって、そのデータを処理し得る。アイマスクシステム7000は、図4Dおよび図4Eを参照して述べる方法またはそのステップを行って、睡眠呼吸障害を検出し、かつ/または障害を診断するように構成され得る。
【0408】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、OSAなどの睡眠呼吸障害(SDB)を診断したり、診断のために十分な情報を臨床医に提供したりするように構成され得る。アイマスクシステム7000は、検出された事象(例えば、無呼吸、低呼吸または過呼吸、過度の鼻息など)の深刻度または頻度に基づいてSDBを診断し得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、例えばマイクロフォン7118を用いて、歯ぎしりを検出するように構成され得る。
5.9.1.4.2 睡眠検出および/または覚醒検出
【0409】
一例において、アイマスクシステム7000は、ユーザが睡眠中であることを特定するように構成される。代替または追加として、アイマスクシステム7000は、ユーザが覚醒していることを特定するように構成され得る。
【0410】
アイマスクシステム7000は、アイマスクシステム7000のセンサのうち任意の1つ以上(EEGセンサ7110、HRセンサ7112、BPセンサ7114、体温センサ7116およびマイクロフォン7118を含むが、それらに限定されない)から受信した信号(単数または複数)に基づいて、ユーザが就眠中であるか覚醒しているかを決定するように構成され得る。
【0411】
アイマスクシステム7000(例えば、プロセッサ7900およびメモリ7910を有する)は、ユーザが覚醒しているか就眠中であるかを決定するように構成されてもよく、睡眠時間/持続時間、覚醒時間/持続時間の記録をとってもよく、情報をユーザまたは臨床医に提示するように構成されてもよい。
5.9.1.4.3 睡眠段階の分類
【0412】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、睡眠段階を特定するように構成され得る。すなわち、アイマスクシステム7000は、ユーザの睡眠段階を検出するように構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、レム睡眠およびノンレム睡眠を特定するように構成され得る。さらなる例において、アイマスクシステム7000は、覚醒時間、浅睡眠、深睡眠および/またはレム睡眠を特定するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、睡眠および/または睡眠段階の時間および持続時間を記録するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、睡眠段階の記録をユーザまたは臨床医に表示するように構成され得る。
【0413】
アイマスクシステム7000は、アイマスクシステム7000のセンサのうち任意の1つ以上(EEGセンサ7110、HRセンサ7112、BPセンサ7114、体温センサ7116およびマイクロフォン7118を含むが、それらに限定されない)から受信した信号(単数または複数)に基づいて、睡眠状態または段階を決定するように構成され得る。
5.9.1.5 出力トランスデューサ
【0414】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、1つ以上の出力トランスデューサの形態をとったり、それを含んだりする1つ以上のトランスデューサを含む。出力トランスデューサは、アイマスクシステム7000の出力を提供し得る。出力トランスデューサは、電気エネルギーの形態で入力を受信し、エネルギーを別の形態、例えば物理的形態(例えば、光、音、温度、モーションなど)で生み出すトランスデューサと理解され得る。
【0415】
アイマスクシステム7000は、1つ以上の出力トランスデューサを動作させて、ユーザとやりとりし得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、1つ以上の出力トランスデューサを動作させるように構成されて、ユーザが就寝することを助け、かつ/またはユーザが質の良い睡眠を達成することを助け得る。例えば、アイマスクシステム7000は、より長い睡眠、より深い睡眠、より長い深睡眠、より長いレム睡眠、睡眠後の起床時の良い経験、および覚醒中の良い経験のうち1つ以上を達成するように出力トランスデューサを動作させ得る。さらなる例において、アイマスクシステム7000は、1つ以上の出力トランスデューサを動作させて、ユーザとやりとりしたり(例えば娯楽、教育、弛緩などのために)、ユーザがアイマスクシステム7000をフィットさせたり、セットアップしたりすることを助けたりし得る。
5.9.1.5.1 音響トランスデューサ
【0416】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、音響トランスデューサ7130を含む。音響トランスデューサ7130は、音を生み出するように構成され得る。
【0417】
音の提供は、ユーザの外耳道を通して、または患者の頭蓋骨内の骨を通して行われ得る。特定の例において、音響トランスデューサ7130は、骨伝導トランスデューサ、イヤーパッド、耳覆い型ヘッドフォンまたはスピーカを含み得る。いくつかの例において、音響トランスデューサ7130は、アイマスク7100へ接続されたり、その一部として形成されたりする。いくつかの例において、音響トランスデューサ7130は、位置決めおよび安定化構造3300へ接続されたり、その一部として形成されたりし、例えば、アイマスクシステム7000の位置決めおよび安定化構造3300のバックストラップ3310へ接続され得る。
【0418】
いくつかの例において、音は、ユーザの耳または外耳道へ直接提供されなくてもよい。いくつかのユーザは、自身の耳を覆ったり/塞いだりしないことを好む場合がある。図17に示す例において、アイマスク7100は、2つのスピーカ(アイマスク7100の各外側上に1つずつあり、音を実質的に後側方向においてユーザの耳へ方向付けるように構成される)の形態の音響トランスデューサ7130を含む。スピーカは、ハウジング7120へ接続してもよく、その内部に収容してもよい。ハウジング7120または別々のスピーカハウジングは、場合によっては、スピーカに近接したハウジング7120内に形成されて音を後側に促進および/または方向付ける2つのグループの穴を含み得る。
【0419】
本技術のいくつかの形態において、音響トランスデューサ7130は、能動騒音制御機構を含む(これは、代替として、ユーザへの音出力中の特定の音を低減するように構成されたノイズキャンセリングまたは能動騒音低減機構と呼ばれ得る)。例えば、不要な周囲音は、受信した音波に対して逆位相の音波を生成することと、逆位相音波をユーザへ出力することとにより低減され得る。
5.9.1.5.2 ディスプレイ
【0420】
アイマスクシステム7000のアイマスク7100は、実質的に全ての環境光を遮断し得る。これは、ユーザが所望する場合には、ユーザが弛緩または就寝することを支援し得、ユーザが睡眠を維持することを助け得る。
【0421】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ディスプレイ7131を含む。ディスプレイ7131は、アイマスク7100内に組み込まれ得、VRまたはARディスプレイを含み得る。いくつかの例において、ディスプレイは、ユーザの視野全体を占める場合がある。他の例において、ディスプレイ7131に含まれ得る1つ以上の光源またはディスプレイ要素または画面は、ユーザの視野内にあるが、視野全体を占めることはない。ディスプレイ7131は、ユーザの視野全体を占める単一のディスプレイ画面を含んでもよく、または2つの表示構成要素(例えば、それぞれがユーザの眼それぞれに対応する2つのディスプレイ画面)を含んでもよい。
5.9.1.5.2.1 レンズおよびディスプレイ画面
【0422】
いくつかの例において、ディスプレイ7131は、少なくとも1つのレンズ7134を含む。ユーザは、ディスプレイ画面によって提供される画像を、レンズ7134を通して見ることができる。少なくとも1つのレンズ7134は、眼精疲労を制限するために、ディスプレイ画面をユーザの顔から離すのに役立つ。少なくとも1つのレンズ7134はまた、ディスプレイによって表示されている画像をよりよく観察するのに役立つ。
【0423】
図17は、アイマスク7100に設けられたディスプレイ7131の一例を示す。ディスプレイ7131、またはその任意の1つ以上の特徴は、図17を参照した説明およびその中の図示のように、本明細書中に記載の他のアイマスク7100のうちいずれかに適用され得る。図17に示す例において、ディスプレイ7131は、2つのレンズ7134を含む。一般に、ディスプレイ7131が2つのレンズを含む例において、単レンズの特徴について述べる場合、特徴は、一対のレンズの各レンズに適用可能であると理解されるべきである。同様に、単一のディスプレイ画面の特徴を参照する場合、特徴は、一対のディスプレイ画面のそれぞれに適用可能であると理解されるべきである。いくつかの例において、ディスプレイ7131は、1つのディスプレイ画面および2つのレンズを含み得ることも理解されるべきである。
【0424】
いくつかの形態において、レンズ7134は、フレネルレンズである。
【0425】
いくつかの形態において、各レンズ7134の形状は、実質的に円錐台状であり得る。レンズ7134のより幅広の端部は、ディスプレイ画面3104に近接して配設され得、レンズ7134のより幅狭の端部は、使用時にユーザの眼に近接して配設され得る。
【0426】
いくつかの形態において、レンズ7134は、実質的に円筒形の形状を有し得、使用時にディスプレイ画面とユーザの眼とに近接して実質的に同一の幅を有し得る。
【0427】
いくつかの形態において、少なくとも1つのレンズ7134はまた、ディスプレイ画面の画像を拡大して、ユーザが画像を見るのに役立ち得る。
【0428】
いくつかの形態において、頭部装着型ディスプレイシステム7000は、レンズ7134(例えば、双眼式ディスプレイ)を、ユーザの眼のそれぞれに1つずつ含む。換言すると、ユーザは、各眼で各瞳孔の前側に位置決めされている別々のレンズを通して見ることができる。レンズ7134それぞれは同一であり得るが、いくつかの例において、一方のレンズ7134は、もう一方のレンズ7134とは異なる場合がある(例えば、異なる倍率を有したり、左側レンズおよび右側レンズを提供する鏡映形状など、異なる形状を有したりし得る)。
【0429】
特定の形態において、ディスプレイ画面は、2つの画像を同時に出力し得る。ユーザの眼はそれぞれ、2つの画像のうち1つのみを見ることができ得る。画像は、ディスプレイ画面上に並べて表示することができる。各レンズ7134により、それぞれの眼に近接した画像のみを各眼で観察することが可能になる。ユーザは、これら2つの画像を単一の画像として共に観察し得る。
【0430】
いくつかの形態において、各レンズ7134の後側周囲部は、概ねユーザの眼窩のサイズであり得る。後側周囲部は、ユーザが眼全体で各レンズ7134を確実にのぞき込めるように、ユーザの眼窩のサイズよりも若干大きくてもよい。例えば、各レンズ7134の外縁は、ユーザの前頭骨と上側方向で(例えば、ユーザの眉に近接して)整列され得、ユーザの上顎骨と下側方向で(例えば、外側頬領域に近接して)整列され得る。
【0431】
レンズ7134の位置決めおよび/またはサイズ設定により、ユーザは、物理的環境を綿密にシミュレートするために、仮想環境でほぼ360°の周辺視野を有することができる。
【0432】
いくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、単レンズ7134(例えば、単眼ディスプレイ)を含む。レンズ7134は、(例えば、両眼でディスプレイ画面からの画像をレンズ7134を通して見るように)両眼の前側に位置決めされてもよく、または(例えば、ディスプレイ画面からの画像を片眼だけで視認可能である場合)片眼だけの前側に位置決めされてもよい。
5.9.1.5.2.2 レンズの装着
【0433】
レンズ7134は、ディスプレイ画面に近接して(例えば、ディスプレイ画面とインターフェース構造7140との間に)位置決めされたスペーサに連結され得、その結果、レンズ7134は、(例えば、レンズ7134がディスプレイ画面にかき傷をつけないように)ディスプレイ画面と直接接触しない。
【0434】
レンズ7134は、インターフェース構造7140に対して凹状であってもよく、その結果、レンズ7134は、視認用開口部内に配設される。使用時に、ユーザの眼はそれぞれ、各レンズ7134と整列される一方、ユーザの顔は、視認用開口部(例えば、動作位置)内に受容される。
【0435】
いくつかの形態において、各レンズ7134の前側周囲部は、ディスプレイ画面のほぼ半分を包含し得る。実質的に小さなギャップは、2つのレンズ7134間でディスプレイ画面の中心線に沿って存在し得る。これにより、両方のレンズ7134を通して見ているユーザは、実質的にディスプレイ画面全体と、ユーザに表示されている全ての画像/映像/光出力とを見ることが可能になる。
【0436】
特定の形態において、(例えば、2つのレンズ7134間の中心線に沿って)ディスプレイ画面の中心は、画像を出力しない場合がある。例えば、(例えば、ディスプレイ画面の各側が、実質的に同一の画像が出力する)双眼式ディスプレイにおいて、各画像は、ディスプレイ画面上で間隔を空けて位置していてもよい。これにより、2つのレンズ7134を、ディスプレイ画面に極めて近接して位置決めすることができる一方、ユーザは、ディスプレイ画面上に表示された画像全体を見ることができる。
【0437】
いくつかの形態において、例えば図17に示すように、保護層7135は、レンズ7134のうち少なくとも一部の周りに形成され得る。使用時に、保護層7135は、ユーザの顔とディスプレイ画面との間に位置決めされ得る。
【0438】
いくつかの形態において、各レンズ7134の一部は、保護層7135を通って後側方向に突出し得る。例えば、各レンズ7134の幅狭の端部は、使用時に保護層7135よりも後側に突出し得る。
【0439】
いくつかの形態において、保護層7135は、不透明であってもよく、その結果、ディスプレイ画面からの光の通過は不可能である。さらに、ユーザは、レンズ7134を通して見なくては、ディスプレイ画面を見ることができない場合がある。
【0440】
いくつかの形態において、保護層7135は、非平面であり得、ユーザの顔の輪郭に実質的に整合する輪郭を含み得る。例えば、保護層7135の一部は、ユーザの鼻を収容するために前側方向に凹状であってもよい。
【0441】
特定の形態において、ユーザは、アイマスクシステム7000を着用している間、保護層7135と接触し得ない。これは、ユーザの顔との(例えば、敏感な鼻堤領域との)さらなる接触に起因する炎症の低減が支援し得る。
5.9.1.5.3 温度トランスデューサ
【0442】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、温度トランスデューサ7132を含み得る。温度トランスデューサ7132は、実際の温度またはユーザが知覚している温度を調整するように構成され得る。
【0443】
一形態において、アイマスクシステム7000は、温度トランスデューサ7132を用いて、ユーザを加熱するように構成され得る。いくつかの例において、温度トランスデューサ7132は、加熱要素を含み得る。加熱要素は、アイマスク7100、位置決めおよび安定化構造3300、あるいは別の構成要素(例えば、キャップ、ネックウォーマーまたは発熱衣類)に設けられ得る。
【0444】
別の形態において、アイマスクシステム7000は、温度トランスデューサ7132を用いて、ユーザを冷却するように構成され得る。いくつかの例において、温度トランスデューサ7132は、熱電(ペルチェ)冷却器を含み得る。熱電冷却器は、アイマスク7100、位置決めおよび安定化構造3300、または別の構成要素に設けられ得る。一例において、アイマスクシステム7000に含まれ得る温度トランスデューサ7132は、アイマスク7100に設けられた熱電冷却器の形態をとり、患者の額を冷却するように構成される。
【0445】
別の例において、温度トランスデューサ7132は、対流冷却を介してユーザを冷却するように構成されたファンまたは空気供給部を含み得る。
【0446】
温度トランスデューサ7132は、加熱および冷却デバイスの両方を有するアセンブリまたはシステムを含み得る。例えば、温度トランスデューサ7132は、加熱要素および熱電冷却器の両方を含み得る。温度トランスデューサ7132は、必要に応じてユーザを加熱したり冷却したりするように動作し得る。他の例において、アイマスクシステム7000は、複数の温度トランスデューサ7132(例えば、加熱を提供するように構成された第1の温度トランスデューサ7132、および冷却を提供するように構成された第2の温度トランスデューサ7132)を含み得る。
5.9.1.5.4 香気トランスデューサ
【0447】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、香気をユーザに提供するように構成された香気トランスデューサ7133を含み得る。
【0448】
香気トランスデューサ7133は、香気が染み込んでいる材料と、放出体(例えば、材料を周囲の空気へ露出させるように開放可能な弁、または材料の中もしくは上を通過する空気の発生源)とを含み得る。香気トランスデューサ7132は、弛緩/睡眠に資する香気で満たした材料を含み得る。いくつかの例において、香気トランスデューサ7132は、ラベンダーまたはカモミールの香気を放出するように構成され得る。いくつかの例において、香気トランスデューサ7132は、取り外し可能かつ交換可能な材料を含み得るため、ユーザは、香気が枯渇していたり、異なる香気が所望されたりする場合、材料を交換することができる。香気トランスデューサ7132は、アイマスク7100に設けられ得る。香気に気付くように、香気トランスデューサ7132は、ディフューザ型要素(蛇行行路内で空気が流れ得る、香気が染み込んでいる多孔性材料であり得る)を含み得る。
5.9.1.6 アイマスクシステムの動作の例
【0449】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、睡眠モードまたは睡眠支援モードを含み得る。アイマスクシステム7000は、ユーザの就眠時における使用に適した1つ以上の特徴または機能を含み得る。いくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、ユーザの睡眠を支援し、いくつかの例においては、睡眠の最適化を支援するように構成される。アイマスクシステム7000は、ユーザが就寝すること、就眠状態をより長く維持すること、より深い睡眠を達成すること、深睡眠をより長く維持すること、起床すること、最適な時間に起床すること、および/または穏やかに起床することを支援し得る。
【0450】
アイマスクシステム7000は、ユーザの睡眠を向上させ得る変化を、発生した場合に決定し得る。アイマスクシステム7000は、センサから入力を受信し得、出力を決定し得、出力トランスデューサを動作させ得る。
【0451】
本技術のいくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、覚醒モードを含む。アイマスクシステム7000は、ユーザの覚醒時における使用に適した1つ以上の特徴または機能を含み得る。アイマスクシステム7000は、ユーザが覚醒しており、睡眠をとろうとしていない場合、覚醒モードで動作し得る。いくつかの例においては、ユーザが覚醒していることが検出され得、覚醒モードへ別のモード(例えば、睡眠モードまたは睡眠支援モード)から変化し得る。
【0452】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、1つ以上のモード(例えば、覚醒モード、睡眠モードおよび/または睡眠支援モード)を有し得るが、いくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、別個の動作モードを有しない場合がある。例えば、アイマスクシステム7000は、多様な特徴を含む場合があり、そのいくつかは、覚醒中の使用を意図し得そのいくつかは、睡眠中または覚醒と睡眠との間の移行中の使用を意図し得るがこれらは、特定の動作モードと関連付けられていない。睡眠モードまたは覚醒モードまたは別のモードの特徴として本明細書中に記載した任意の特徴は、別個のモードで動作しないアイマスクシステム7000に適用可能であることを理解されたい。
5.9.1.6.1 音
【0453】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、眠気を促進したり睡眠を維持したりするため、音響トランスデューサ7130を介してユーザに音を再生するように構成される。特定の例において、アイマスクシステム7000は、音響トランスデューサ7130を用いて、ホワイトノイズ、ピンクノイズ、心を落ち着かせるノイズ(例えば、海のノイズ)、暖炉のノイズ、ファンのノイズなど、および/または音楽(例えば、歌、子守歌など)のうち1つ以上を再生するように構成される。
【0454】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、音楽を再生するように構成され得る。いくつかの特定の例において、アイマスクシステム7000は、ディスプレイ7131によって提供される視覚コンテンツに付随する音を再生するように構成され得る。
【0455】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、睡眠を促進するために、音、音楽などを生み出し得る。他の例において、アイマスクシステム7000は、ユーザのための娯楽の一環として、または弛緩を促進するために、音、音楽などを生み出し得る。
5.9.1.6.1.1 ノイズキャンセリング
【0456】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ノイズをキャンセルするように構成される。アイマスクシステム7000は、ノイズキャンセリング効果を提供するために音響トランスデューサ7130を動作させて、周囲ノイズを低減または撲滅するように構成され得、これは、ユーザの弛緩、集中または睡眠に役立つ場合がある。例えば、アイマスクシステム7000は、マイクロフォン7118を動作させて周囲ノイズを表す信号を生成し得、音響トランスデューサ7130を動作させて周囲ノイズに対して逆位相である可聴音を生成し、周囲ノイズをキャンセルし得る。
5.9.1.6.1.2 起床
【0457】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ユーザを、好ましくは穏やかに起床させるため、音響トランスデューサ7130を介してユーザに音を再生するように構成される。アイマスクシステム7000は、睡眠サイクルの終了時、例えば、ユーザが起床しようと思っている特定の時間の前または前後に、ユーザを起床させるように構成され得る。一例において、アイマスクシステム7000は、音響トランスデューサ7130、鳥の鳴き声のソフトな音、穏やかな音楽、または他の音の再生により、ユーザを穏やかに起床させるように構成され得る。アイマスクシステム7000は、音響トランスデューサ7130を動作させて、ユーザを穏やかに起床させるために音のボリュームを穏やかに増強させ得る。
5.9.1.6.2 ディスプレイ
【0458】
アイマスクシステム7000は、ディスプレイ7131を動作させて、視覚コンテンツをユーザに提供する(例えば、ユーザが就寝すること、就眠状態を維持すること、質の高い睡眠を達成すること、および/または起床することを助ける)ように構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステムは、娯楽、弛緩、教育、訓練などのための視覚コンテンツをディスプレイ7131を介して提供するように構成され得る。ディスプレイ7131は、画像および/または映像を表示するように構成され得る。
【0459】
いくつかの例において、ディスプレイ7131は、視覚コンテンツを仮想現実(VR)および/または拡張現実(AR)の形態で提供するように構成され得る。ARとして表示される視覚コンテンツは、ディスプレイ7131上に表示されたアイマスクシステム7000の一部として含まれるカメラによってキャプチャされた1つ以上の画像または映像を伴い得る。一形態においては、カメラによってキャプチャされた画像のリアルタイム映像が、ディスプレイ7131上に提示される。
【0460】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、テレビ電話またはテレビ会議などの通信サービスを、ディスプレイ7131を介してユーザに提供するように構成され得る。
【0461】
アイマスクシステム7000は、ディスプレイ7131を介して視覚コンテンツを提供するとともに、音響トランスデューサ7130を介した音声コンテンツを提供するように構成され得る。すなわち、アイマスクシステム7000は、ユーザが視聴覚コンテンツ、例えば映画、テレビまたは他の音付きの映像を視聴したり、音声および/または視覚コンテンツ、例えばゲームを伴う他の活動に関与したりすることができるように構成され得る。
5.9.1.6.2.1 夕暮れモード
【0462】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ディスプレイ7131を用いてユーザの就寝を助けるように構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ディスプレイ7131により夕暮れをシミュレートするように構成され得る。アイマスクシステム7000は、ディスプレイ7131でユーザが視認できる光(光は、主に赤色成分を有する)を、ユーザの就寝を支援する期間にわたって表示するように構成され得る。すなわち、光は、可視光スペクトルの赤端の方に向かい得る。光は、青色成分を実質的に有しない可能性がある。代替として、光は、青色成分よりも赤色成分が多い白色光であり得る。
【0463】
いくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、ユーザにディスプレイ7131で表示される光のスペクトルを変えてもよい。例えば、スペクトル変化は、徐々に発生するように制御され得る。いくつかの形態において、光スペクトルの赤色成分は、スペクトルの他の部分と比較して徐々に増加し得る。これにより、日暮れに近づくにつれて入り日のスペクトルの変化がシミュレートされるため、自然な睡眠環境が生成され得る。光スペクトルの変化は、入り日の場合と同様、一定期間にわたって発生するように制御され得る。
【0464】
追加または代替として、アイマスクシステム7000は、ユーザの就寝を支援する期間にわたって(例えば、15、20、30、45、60分などの期間にわたって)光を徐々に暗くすることができる。いくつかの形態におけるアイマスク、いくつかの例におけるアイマスクシステム7000は、日没の映像をディスプレイ7131に表示し得る。
5.9.1.6.2.2 夜明けモード
【0465】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ディスプレイ7131を用いてユーザを起床させるように構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ディスプレイ7131により夜明けをシミュレートするように構成され得る。アイマスクシステム7000は、ディスプレイ7131でユーザが視認できる光(光は、主に青色成分を有する)を、ユーザの起床を支援する期間にわたって表示するように構成され得る。すなわち、光は、可視光スペクトルの青端の方に向かい得る。光は、赤色成分を実質的に有しない可能性がある。代替として、光は、赤色成分よりも青色成分が多い白色光であり得る。
【0466】
ユーザにディスプレイ7131上で表示される光のスペクトルの変化は、夜明けモードにおいても発生し得、スペクトル変化は、徐々に発生するように制御され得る。いくつかの形態において、光スペクトルの青色成分は、スペクトルの他の部分と比較して徐々に増加し得る。これにより、夜明けに近づくにつれて朝日のスペクトルの変化がシミュレートされるため、ユーザが睡眠から目覚めるための自然な環境が生成され得る。光スペクトルの変化は、朝日の場合と同様、一定期間にわたって発生するように制御され得る。
【0467】
追加または代替として、アイマスクシステム7000は、ユーザの起床を支援する期間にわたって(例えば、15、20、30、45、60分などの期間にわたって)光強度を増加させることができる。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、日没の映像をディスプレイ7131に表示し得る。
5.9.1.6.3 加熱および冷却
【0468】
アイマスクシステム7000は、例えば体温センサ7116および/または周囲温度センサ7117を用いて、ユーザおよび/または周辺環境の温度を測定するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、加熱が必要であると決定し得、温度トランスデューサ7132を動作させて加熱を提供し得る。アイマスクシステム7000は、冷却が必要であると決定し得、温度トランスデューサ7132を動作させて冷却を提供し得る。
【0469】
いくつかの例において、ユーザは、入力をアイマスクシステム7000に提供し得、その後、アイマスクシステム7000は、温度トランスデューサ7132を動作させて、入力に基づいて加熱または冷却を提供し得る。
【0470】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、冷却ではなく加熱を(そして逆もまた同様)提供するように構成され得る。加熱特徴および冷却特徴が共に本明細書中に記載されているが、加熱特徴は、冷却提供能力を有しないアイマスクシステム7000に適用され得ることを理解されたい。同様に、冷却特徴は、加熱提供能力を有しないアイマスクシステム7000に適用され得ることを理解されたい。文脈上明らかに別段の要求がない限り、本明細書中に開示される加熱特徴および冷却特徴は、密接に関連してはいない、独立した特徴と理解されるべきである。
【0471】
一例において、アイマスクシステム7000は、室温が理想的ではないと決定し得る。アイマスクシステム7000は、周囲温度センサ7117を用いて周囲温度を測定し得る。アイマスクシステム7000は、周囲温度が所定範囲(ユーザまたは相手方、例えば医師によって規定され得る)外にあると決定し得、ユーザに室温を調整するよう促し得る。代替として、アイマスクシステム7000は、温度トランスデューサ7132を動作させて、ユーザを加熱または冷却し得る。
【0472】
別の例において、アイマスクシステム7000は、ユーザの体温が所定範囲(ユーザまたは相手方、例えば医師によって設定され得る)外にあると決定し得る。アイマスクシステム7000は、体温センサ7116を用いてユーザの体温を測定し得る。アイマスクシステム7000は、体温が理想的範囲外にあると決定し得、室温を調整したり、他の方式でユーザ自身を加温または冷却する対策を施したりするようユーザに促し得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、体温または周囲温度の変化率を測定し得、変化率に基づいて対策を施すようユーザに促し得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、空調ユニットと通信し得、周囲温度またはユーザの体温を所定範囲内に維持するために空調ユニットを動作させて部屋を必要に応じて加熱または冷却し得る。アイマスクシステム7000は、温度トランスデューサ7132を動作させて、必要に応じてユーザを加熱または冷却し得る。いくつかの形態において、温度トランスデューサ7132は、ユーザにディスプレイ7131上で提示されたコンテンツと組み合わせて動作するように制御される。例えば、温度トランスデューサ7132は、ディスプレイ7131に寒さと関連付けられたコンテンツ(例えば、雪景色)が表示された場合には冷却を提供するように制御され得、かつ/またはディスプレイ7131に暑さと関連付けられたコンテンツ(例えば、砂漠の景色)が表示された場合には加熱を提供するように制御され得る。メタデータが、加熱/冷却を表すディスプレイコンテンツの生成に用いられる画像データ内に含まれ得、温度トランスデューサ7132の動作の適切な変化をトリガするために用いられる。
【0473】
他の例においては、1つ以上のアルゴリズムならびに/またはAIモジュールもしくは機械学習モジュールが、ユーザにとって望ましい温度を決定するのに用いられ得る。所望の温度は、ユーザの睡眠サイクルのうち1つ以上の段階(例えば:就寝中;睡眠中;レム睡眠中;および起床している間)で決定され得る。アルゴリズム(単数または複数)および/または機械学習システムは、センサからの所望の温度決定プロセスへの入力として1つ以上のパラメータ、例えば周囲温度、周囲湿度、時刻、ユーザに関連する病状の情報、および睡眠データを受信し得る。これらのパラメータは、アイマスクシステム7000の一部として含まれるセンサによって提供されたり、他のセンサまたはシステムによって提供されたりしてもよい。アルゴリズムまたは機械学習システムによって決定された所望の温度は、温度トランスデューサ7132を必要に応じて制御するためにアイマスクシステム7000のプロセッサ7900によって用いられ得る。
5.9.1.6.4 睡眠の最適化
【0474】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、睡眠の長さまたは質を1つ以上の他の変数と共に監視または記録し得る。アイマスクシステム7000は、睡眠の長さまたは質を1つ以上の他の変数と比較し、睡眠の長さまたは質への1つ以上の他の変数の影響を決定するように構成され得る。例えば、アイマスクシステム7000は、1つ以上の他の変数を最適化したり、1つ以上の他の変数への変化をユーザに推奨したりするように構成され得る。他の変数は、バックグラウンドノイズ、睡眠姿勢、睡眠時間、CPAP療法圧力、PAP療法の種類、睡眠前の活動などであり得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、呼吸圧力療法を受けている患者に最適な療法圧力を、結果(例えば、睡眠の長さ、睡眠の深さ、特定の睡眠段階内の時間、AHI、ユーザから報告された睡眠の質など)に対する療法圧力の効果に基づいて決定し得る。
5.9.1.6.4.1 ノイズ
【0475】
いくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、特定のバックグラウンドノイズレベルまたはノイズの種類が、特定のユーザの良い睡眠のために理想的であると決定し得る。アイマスクシステム7000は、バックグラウンドノイズレベルおよび/またはノイズの種類を睡眠中にマイクロフォン7118によって測定し、睡眠の質および/または長さを監視してもよく、最適な睡眠ノイズレベルおよびノイズの種類についてのフィードバックをユーザに提供し得る。アイマスクシステム7000は、特定のノイズ種類、例えばホワイトノイズ、ピンクノイズ、海の音、暖炉の音などのうち1つ以上を再生するようユーザに促し得る。アイマスクシステム7000は、各種類のノイズの間、睡眠の長さおよび質を監視し得、ユーザの良好な睡眠に最適なノイズを決定し得る。アイマスクシステム7000は、音響トランスデューサ7130を動作させて、ノイズをキャンセルしたり、ユーザの最適な睡眠をもたらす特定のノイズ(例えば、ホワイトノイズ)を提供したりし得る。
5.9.1.6.4.2 姿勢
【0476】
別の例において、アイマスクシステム7000は、特定の睡眠姿勢が特定のユーザにとって最適であると決定し得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、姿勢による睡眠時無呼吸の危険性がユーザにあると決定し得る。アイマスクシステム7000は、ユーザの睡眠姿勢を加速度計7115(または別のセンサ)によって決定し得、睡眠の質および長さを監視し、ユーザの良好な睡眠に最適な姿勢を決定し得る。ユーザの覚醒中に、アイマスクシステム7000は、アイマスクシステム7000によって決定された睡眠の量および/または質と、その睡眠の量および/または質に対応する姿勢とに基づいて、最適な睡眠姿勢についてのフィードバックをユーザに提供し得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、(例えば、アイマスク7100の配向を決定することにより)加速度計7115を用いて決定された、複数の異なる睡眠姿勢における睡眠呼吸障害事象(例えば、無呼吸、過呼吸、低呼吸、いびき、喘ぎなど)の頻度を比較するように構成されてもよく、姿勢による睡眠時無呼吸の危険性をこの頻度に基づいて決定してもよい。
5.9.1.6.4.3 睡眠サイクル間の起床
【0477】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、浅睡眠中または睡眠サイクル間に、ユーザを起床させるように構成され得る。こうすることにより、ユーザは起床後に、より体が休まったと感じ得る。アイマスクシステム7000は、ユーザが浅睡眠にあることを特定し、ユーザを起床させるように構成され得る。代替として、ユーザが浅睡眠をとっていないとアイマスクシステム7000が決定する場合、アイマスクシステム7000は、ユーザを浅睡眠へと穏やかに覚醒させた後、ユーザを完全に起床させるように構成され得る。より一般的に、アイマスクシステム7000は、ユーザの睡眠状態を、例えばユーザを起床させることなく、変えるように構成され得る。
5.9.1.6.5 睡眠データの報告
【0478】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ユーザの睡眠の特性を監視または記録し得、ユーザの睡眠を表す睡眠データをメモリ7910に保存し得る。アイマスクシステム7000は、睡眠データを出力するようにさらに構成され得る。睡眠データは、その生の形態で出力されてもよく、または要約の形態(例えば、一定期間にわたる睡眠の変数/特性の測定値(例えば、平均、最大/最小など))で出力されてもよい。睡眠データは、1つ以上の外部デバイス、例えばリモート外部デバイス4286およびローカル外部デバイス4288上で出力され得る。睡眠データは、ユーザ、医師、臨床医または他の団体(例えば、健康管理システム、保険業者)に提供され得る。
【0479】
追加または代替として、睡眠データは、ユーザへの他の形態のフィードバックを生成するために、分析および使用され得る。例えば、睡眠データは、一定期間にわたるユーザの睡眠挙動の要約(例えば、ユーザの睡眠習慣の質的または量的な表現)を取得するために分析され得る。別の例において、睡眠データの分析は、ユーザがどのように自身の睡眠を改善できるかについての提案を生成するのに用いられ得、提案は、1つ以上の外部デバイスを介して、前述した関係者のうち任意の1つ以上へ出力され得る。
5.9.1.6.6 呼吸訓練
【0480】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、呼吸訓練モードで動作するように構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ユーザが呼吸することを、弛緩、瞑想、睡眠などに資する方式で支援するように構成される。一形態において、アイマスクシステム7000は、ディスプレイ7131などの出力トランスデューサを動作させて、呼吸するようユーザに促すためのキューを提供し得る。出力トランスデューサは、キューを周期的に、そしてユーザがそれに従うと、ユーザが弛緩状態または瞑想状態を達成できる頻度で、提供し得る。このような状態は、ユーザに睡眠をとる準備をさせ、かつ/またはユーザの就寝を助ける可能性がある。代替(または追加)として、アイマスクシステム7000は、呼吸キューを音響トランスデューサ7132を介して、あるいは弛緩および/または睡眠に資する方式で振動を介して提供し得る。
【0481】
いくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、呼吸訓練中にユーザの呼吸を監視するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、前述したセンサのうち任意の1つから信号(これから呼吸を検出することができる)を受信し得、呼吸を分析および/または記録し得る。
【0482】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、センサからの入力に基づいて呼吸キューを調整し得る。一例において、アイマスクシステム7000は、熱発生率センサ7112を用いてユーザの心拍数を監視し得、ユーザの心拍数に基づいて呼吸キューを調整し得る。例えば、ユーザの弛緩中にユーザの心拍数7112が鈍化すると、アイマスクシステム7000は、キューの頻度を低下させて、ユーザがより弛緩する準備ができるようになると、さらなる弛緩を促進する。
【0483】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、例えば呼吸キューに対するコンプライアンスについてのフィードバックをユーザに提供し得る。一例において、アイマスクシステム7000は、ディスプレイを動作させて、ユーザが呼吸を十分にゆっくりまたはソフトにしていない場合、ユーザに自身の呼吸をゆっくりまたはソフトにするよう助言し得る。アイマスクシステム7000は、呼吸キューに対するコンプライアンスについて、ユーザの呼吸を、マイクロフォン7118を用いて監視し得る。代替として、アイマスクシステム7000が(例えば、以下に述べる例において)呼吸圧力療法のために構成されている場合、アイマスクシステムは、ユーザの呼吸を、流れ生成器(例えば、送風機)からアイマスクシステム7000のプレナムチャンバ3200へ流れる空気の流量のパターンに基づいて監視し得る。
【0484】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、呼吸訓練モードで、睡眠を支援/促進するために用いられるように構成される。いくつかの例において、呼吸訓練モードで、アイマスクシステム7000は、ユーザの覚醒中に弛緩または瞑想のために用いられるように構成される。いくつかの例において、呼吸訓練モードは、抗不安の目的で、または鎮静効果を提供するために用いられ得る。
5.9.2 アイマスクシステムの位置決めおよび安定化構造
【0485】
前述したように、アイマスクシステム7000は、位置決めおよび安定化構造3300を含む。位置決めおよび安定化構造3300は、アイマスク7100を使用時位置に保持し得る。
【0486】
ユーザの頭部に接する位置決めおよび安定化構造3300は、快適であるように構成され得、長時間の使用に起因する顔の痕および/または疼痛を最小化する方式で、アイマスク7100の重量に適応するように構成され得る。いくつかの例において、位置決めおよび安定化構造3300は、フリーサイズ(universal fit)(または少なくともほぼフリーサイズ)を提供し得る一方、快適性、有用性および製造コストも提供する。位置決めおよび安定化構造3300は、所定範囲にわたって調整可能となるよう構成され得、熟練閾値が低いロータッチの簡単なセットアップ解決策により調整可能であり得る。さらなる考慮事項は、アイマスクシステム7000の使用が可能な動的環境を提供することを含む。仮想環境の没入経験の一環として、ユーザは、アイマスクシステム7000を使用しながら通信、すなわち、会話を行い得る。このようにして、ユーザの顎または下顎骨は、頭蓋骨の他の骨に対して動き得る。さらに、アイマスクシステム7000の使用期間中、頭部全体が動き得る。例えば、ユーザの上体、場合によっては下体の動きと、特に上体および下体に対する頭部の動きとが挙げられる。
【0487】
いくつかの例において、位置決めおよび安定化構造3300により、アイマスク7100への重力の影響を克服するための保持力が得られる。
【0488】
本技術のいくつかの例において、ユーザが快適に着用しているものと調和するように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。いくつかの例において、位置決めおよび安定化構造3300は、装置の知覚された嵩または実際の嵩を低減するように、目立たない外形または断面厚さを有する。例えば、位置決めおよび安定化構造1300は、矩形断面を有する少なくとも1つのストラップを含み得る。特に、位置決めおよび安定化構造3300は、少なくとも1つの平坦ストラップを含み得る。
【0489】
本技術の一形態においては、大きすぎず嵩張らないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供されて、ユーザが左右に自身の頭部を快適に動かすことを予防する。
【0490】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、テキスタイルのユーザ接触層と、発泡体内層と、テキスタイル外層との積層物から構築されたストラップを含む。一形態において、発泡体は、水分(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性である。一形態において、ストラップの皮膚接触層は、ユーザの顔からの水分の吸湿に役立つ材料から形成される。一形態において、テキスタイル外層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
【0491】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、伸張可能である(例えば、弾力的に伸張可能である)ストラップを含む。例えば、ストラップは、使用時に緊張状態にされ、アイマスク7100を、ユーザの顔の一部へ、特にユーザの眼に近接して自身の視界に一致するように引き寄せる力を方向付けるように構成され得る。
【0492】
いくつかの例において、位置決めおよび安定化構造3300は、タイを含み、タイは、使用時に患者の頭部の上耳底点の上側にあるユーザの頭部の領域上に少なくとも一部が横たわるように、構築および配置される。
【0493】
図7に示す例において、位置決めおよび安定化構造3300は、バックストラップ3310を含む。バックストラップ3310は、タイを形成する。バックストラップ3310は、ユーザの頭部の後側の周りに送られる。バックストラップ3310の各端部は、アイマスク7100の各外側へ接続される。この例において、バックストラップ3310は、幅広バンドである。幅広のバックストラップ3310は、大きな表面積にわたってユーザの頭部へ印加される力を分散させることができ、その結果、ユーザの頭部へ印加される圧力が低下する。ユーザは、高いい圧力よりも低い圧力の方がより快適であると感じ得る。バックストラップ3310の長さおよび/または角度は、調整可能であり得る。いくつかの例において、バックストラップは、アイマスク7100から着脱可能である。
【0494】
バックストラップ3310は、ユーザの頭蓋骨の頭頂骨、あるいは頭頂骨および後頭骨の上側部分上に横たわってもよい。バックストラップ3310は、使用時にユーザの頭部の上耳底点の上側にあるユーザの頭部の領域上に横たわる。
【0495】
図14は、バックストラップおよび顔支持部分3320を含む位置決めおよび安定化構造3300を示す。顔支持部分3320は、使用時に、ユーザの視覚を遮断することなしに(またはごくわずかに遮断しながら)患者の頬および額上に横たわるように構成される。顔支持部分3320は、ユーザの顔上へ付与される力の低減のために、バックストラップ内の張力を分布させることができる大きな表面積を提供してもよい。アイマスク7100は、顔支持部分3320および/またはバックストラップ3310に取り付けられ得る。
【0496】
いくつかの例においては、位置決めおよび安定化構造3300により、アイマスク7100がユーザの顔へと、そしてその上へ引っ張られる。アイマスク7100をユーザの顔上に引っ張ることにより、アイマスク7100の重量の一部を、アイマスク7100とユーザの顔との間の摩擦と共に、ユーザの頬および額によって支持することができる。
【0497】
図18は、アイマスクシステム7000の一部を、例えば図7図9図13図15または図17に示す任意のアイマスク7100共に形成し得る位置決めおよび安定化構造3300の別の例を示す。図18の例において、位置決めおよび安定化構造3300は、ユーザの頭部の頭頂骨上に横たわるように構成された頭頂ストラップ部分3311を含む。位置決めおよび安定化構造3300は、ユーザの頭部の後頭骨上に横たわったりその下側にあったりするように構成される後頭ストラップ部分3312も含む。さらに、この特定の例において、位置決めおよび安定化構造3300は、一対の外側ストラップ部分3313(それぞれ、使用時にユーザの頭部の各外側上に位置するように構成され、アイマスク7100を頭頂ストラップ部分3311および後頭ストラップ部分3312へ接続するように構成される)を含む。
【0498】
頭頂ストラップ部分3311および後頭ストラップ部分3312は、ユーザの頭部の後側表面に接するように据え付けられ得る。外側ストラップ部分3313は、使用時に緊張状態にされ、アイマスク7100を後側方向に引っ張ってユーザの顔と係合させるように構成され得る。
【0499】
いくつかの例において、外側ストラップ部分3313は、アイマスク7100内(例えば、ハウジング7120内またはハウジング7120から延びるアーム内)の開口部を通過させ、例えばフックアンドループ接続、メカニカルファスナー、磁気接続、スナップボタンまたは別の適切な接続を用いて、後ろに巻き付けてそれ自体に固定することにより、アイマスク7100に取り付けられるように構成され得る。十分な量の各外側ストラップ部分3313をハウジング7120内の開口部またはアームを通して引っ張った後に各外側ストラップ部分3313をそれ自体に固定することにより、ユーザは、外側ストラップ部分3313を締め付け、アイマスク7100を自身の頭部上に保持するための張力を生成することができる。
【0500】
例えば、図17に示すアイマスク7100は、ハウジング7120から延びる一対のアーム3330を含む。各アーム3330は、ハウジング7120の各外側上に位置し、各外側ストラップ部分3313に取り付けられるように構成される。各アーム3330は、外側ストラップ部分3313が通過し、ユーザによる締め付け後にそれ自体上に再び固定することを可能にする開口部をその後側端に含む。図18に示すように、位置決めおよび安定化構造3300に含まれ得る一対の外側ストラップ部分3313は、各端部分3314(それぞれ、各アーム3330内の開口部を通過した後に各外側ストラップ部分3313上に再び固定され得る)を有する。この例において、端部分3314は、外側ストラップ部分3313に設けられたループ材料に取り付けられるように構成されたフック材料を含む。
【0501】
位置決めおよび安定化構造3300は、外側ストラップ部分3313の調整なしに、アイマスクシステム7000を身に付けることができるように、可撓性および/または弾性であり得る。すなわち、ユーザが外側ストラップ部分3313を調整したとき、アイマスクシステム7000は、ストラップ部分のさらなる調整によってアイマスクシステム7000の脱着を可能にするように(例えば、位置決めおよび安定化構造3300ならびにシステム全体に、十分な可撓性および/または弾力性を備えて)構成され得る。このようにして、位置決めおよび安定化構造3300は、設定した後は全自動の調整を提供し得る。
【0502】
位置決めおよび安定化構造3300については、参照のためにその内容全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願第PCT/AU2021/050277号内の任意の例にも記載があり得る。
5.9.2.1 アーム
【0503】
アーム3330は、任意の硬性または半硬性(例えば、それ自体の形状を支持するのに十分な剛性)のコネクタであり得、接続のためにアイマスク7100から(例えば、そのハウジング7100から)位置決めおよび安定化構造3300まで延びる。いくつかの例において、アーム3330は、熱可塑性材料から形成される。いくつかの例において、アーム3330は、熱可塑性エラストマー(例えば、Hytrel(登録商標))から形成される。アーム3330は、実質的に非伸張性であり得る。
【0504】
アーム3330は、概して前後方向に整列することができる。いくつかの例において、アーム3330は、使用時にユーザの頭部の矢状面に実質的に平行に整列されるように構成される。いくつかの例において、アーム3330は、矢状面に対して角度が付けられて、後側および外側に延びるように構成される。
【0505】
アーム3330および/または外側ストラップ部分3313は、使用時にユーザの頭部のフランクフォート水平面に平行に、そして頬骨の上側に(例えば、ユーザのほお骨の上に)整列されるように構成され得る。いくつかの例において、アーム3330は、ハウジング7120から後側方向および上側方向に延び得る。いくつかの形態において、アーム3330および/または外側ストラップ部分3313は、使用時にユーザの耳それぞれの対耳輪の上側に位置するように構成され得る。いくつかの例において、アーム3330は、ハウジング7120に対して回転するように構成される。アーム3330は、ハウジング7120へ枢動可能に接続され得る。
【0506】
アーム3330は、細長形であり得る。各アーム3330の断面は、実質的に平坦であり得る。例えば、各アーム3330の断面は、使用時に内外側方向と整列された軸においてよりも、使用時に上下方向と整列された軸において、サイズが大きくてもよい。各アームの断面形状は、内外側方向軸においてよりも上下方向軸において数倍(例えば、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、または少なくとも10倍)大きくてもよい。
【0507】
いくつかの形態において、アーム3330はそれぞれ、3本の軸(X、YおよびZ)全てにおいて曲率を有する三次元形状を有し得る。各アーム3330の厚さは、実質的に均一であり得るが、その高さは、その長さ全体にわたって変動し得る。各アーム3330の形状および寸法の目的は、目立ち過ぎない状態と目立たない外形とを維持するために(例えば、過度に嵩高に見えないように)ユーザの頭部にぴったりと適合することである。
【0508】
特定の形態において、可撓性および/または弾力のある材料は、アーム3330の硬性または半硬性の材料の周りに設けられ得る。ユーザの頭部に接する可撓性材料は、着用性を向上させ、ユーザの顔とのソフトな接触を提供するために、アーム3330を形成する材料よりも快適であり得る。一形態において、可撓性材料は、テキスタイルスリーブであり、各アーム3330へ恒久的または取り外し可能に連結される。
【0509】
一形態において、テキスタイルは、アーム3330の少なくとも一側上へオーバーモールドされ得る。一形態において、アーム3330は、弾力性構成要素とは別々に形成され得、その後、ユーザ接触材料(例えば、Breath-O-Prene(登録商標))のソックスが、アーム3330上に巻き付けられたりスライドしたりし得る。代替形態において、ユーザ接触材料は、接着剤、超音波溶接、裁縫、フックアンドループ材料、および/またはスタッドコネクタによってアーム3330に提供することができる。
【0510】
いくつかの形態において、ユーザ接触材料は、アーム3330の両側にあってもよく、または、代替としてアーム3330のユーザ接触側(例えば、ユーザと接触する側、またはユーザを向く側)にのみあってもよく、これにより、材料の嵩およびコストを有利に低減することができる。
【0511】
アーム3330については、参照のためにその内容全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願第PCT/AU2021/050277号内の任意の例にも記載があり得る。
5.9.3 呼吸圧力療法のためのアイマスクシステム
【0512】
図9は、本技術の別の形態によるアイマスクシステム7000を示す。この形態において、アイマスクシステム7000は、CPAPなどの呼吸圧力療法を患者に提供するように構成される。この形態において、アイマスクシステム7000は、患者インターフェースである。アイマスクシステム7000が呼吸圧力療法を提供する文脈において、アイマスクシステム7000のユーザは、患者であり得る。より一般的には、アイマスクシステム7000をしているは人ユーザであり、患者である場合もあれば、患者ではない場合もある。アイマスクシステム7000の特徴または機能に関する本明細書中の説明において患者を参照する場合、特徴または機能は、任意のユーザによって用いられ得ることを理解されたい。同様に、ユーザを参照する場合、記載した特徴または機能は、患者によって、または患者の治療中に用いられ得る。
【0513】
図9に示すアイマスクシステム7000は、図7および図8を参照して記載される構成要素および特徴のうち任意の1つ以上を含み得る。加えて、アイマスクシステム7000は、例えば前述したようにプレナムチャンバ3200を含む。プレナムチャンバ3200は、周囲空気圧力を超える少なくとも6cmHO(そして、他の例においては、少なくとも2、4、10、20、または30cmHO)の治療的圧力まで加圧可能であり得る。アイマスクシステム7000は、患者による呼吸のための治療的圧力で空気流れをプレナムチャンバ3200内に受容するようなサイズおよび構造にされるプレナムチャンバ入口ポートを含み得る。
【0514】
図9の例において、アイマスクシステム7000は、患者の口を覆わないままにするように構成される。アイマスクシステム7000に含まれるシール形成構造3100が患者の口を覆う例において、アイマスクシステム7000は、加圧空気が、例えば窒息防止弁(AAV)を通してプレナムチャンバ3200内へ流れない場合に、患者が自身の口を通して周囲から呼吸できるように構成され得る。
5.9.3.1 シール形成構造
【0515】
図9に示すアイマスクシステム7000は、シール形成構造3100も含む。シール形成構造を3100は、患者の気道への入口を取り囲む患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置される。シール形成構造3100は、その内部に穴を有し、その結果、上記治療的圧力で空気流れは、少なくとも患者の鼻孔への入口に送達される。シール形成構造3100は、使用時に患者の呼吸サイクル全体を通じてプレナムチャンバ3200内において上記治療的圧力を維持するように構築および配置される。
【0516】
この例において、シール形成構造3100は、アイマスク7100に取り付けられる。シール形成構造3100は、清浄化および交換のためにアイマスク7100から取り外し可能であり得る。本技術のいくつかの例において、アイマスク7100は、シール形成構造3100を取り付けずにアイマスク(例えば、前述したようなスマートアイマスク)として用いることができ得る。
【0517】
図9の例において、シール形成構造3100の一部は視認可能である。シール形成構造3100は、プレナムチャンバ3200を少なくとも部分的に規定する。シール形成構造3100は、使用時に患者の鼻の下側表面を密閉する。シール形成構造3100は、使用時に患者の鼻の下側周辺部を密閉し得る。シール形成構造3100は、「クレードル」クッションとして特定され得、患者の鼻孔の周りにシールを形成し得る。シール形成構造3100は、患者の鼻孔に入らない場合があるが、本技術の他の例においては、鼻孔に入って鼻孔の縁部の周りにシールを形成する鼻ピローを含み得る。シール形成構造3100は、患者の鼻尖の下側および/または前側表面を密閉し得、患者の鼻尖を受容するように構成された凹状部分を含み得る。シール形成構造3100は、鼻梁の下を密閉し得る。
【0518】
本技術のいくつかの例において、シール形成構造3100に含まれ得る一対の後側角部はそれぞれ、患者の鼻翼それぞれに対して外側および/または下側の位置で患者の顔を密閉するように構成される。後側角部はそれぞれ、患者の鼻唇溝それぞれに近接した位置、鼻唇溝それぞれと各鼻翼との間の位置、および/または各鼻翼が患者の顔の前側を向く表面と接合される位置で、患者の顔を密閉し得る。
【0519】
他の例において、シール形成構造3100は、患者の鼻尖の上の鼻の上を含む患者の鼻の周りを密閉するように構成された鼻クッション、患者の鼻尖の上の鼻の上を含む患者の鼻および口の周りを密閉するように構成されたフルフェイスクッション、患者の鼻および口の周りと、患者の鼻の下側および/もしくは前側表面とを密閉するように構成された超小型フルフェイスクッション、ならびに/または鼻ピロークッションを含み得る。
5.9.3.2 位置決めおよび安定化構造
【0520】
図7を参照して前述したように、アイマスクシステム7000は、アイマスク7100を患者の顔上の使用時位置に保持するために、位置決めおよび安定化構造3300を含み得る。呼吸圧力療法の提供のために構成されたアイマスクシステム7000は、図7および図8を参照して前述した位置決めおよび安定化構造3300の任意の特徴を含み得る。
【0521】
図9の例において、アイマスクシステム7000の位置決めおよび安定化構造3300は、シール形成構造3100を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力も提供する。位置決めおよび安定化構造3300は、アイマスク7100およびシール形成構造3100を所定位置に保持するのに十分な大きさの力を提供し得る一方、シール形成構造3100を患者の顔から分離する傾向がある患者の顔への力を付与するプレナムチャンバ3200内の圧力を補償する。
5.9.3.3 通気部
【0522】
アイマスクシステム7000の図9の例は、通気部3400(図示せず)も含み得る。通気部3400により、プレナムチャンバ3200の内部から周囲へ、患者によって吐き出されたガスが流れるようにすることができる。ガスの通気流れは、連続的なガス流れであり得る。通気部3400は、プレナムチャンバ3200内の治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされ得る。通気部3400に含まれ得る複数の穴を通して、ガスをプレナムチャンバ3200から周囲へ流すことが可能になる。
5.9.3.4 加圧されたガス流れの供給
【0523】
アイマスクシステム7000の図9の例は、加圧されたガス流れを生成するように構成された流れ生成器(図示せず)を含み得る。この例において、アイマスク7100は、流れ生成器を含む。流れ生成器は、アイマスク7100の内部にある。流れ生成器は、プレナムチャンバ3200へ流体接続される。したがって、加圧されたガス流れは、患者による呼吸のために流れ生成器によってプレナムチャンバ3200へ提供される。シール形成構造3100は、患者の気道の周りを密閉して、使用時にプレナムチャンバ3200内の治療的圧力を維持する。
【0524】
本技術の他の例において、アイマスクシステム7000は、加圧されたガス流れを空気回路4170から受容するように構成される。空気回路4170は、ガス流れを患者による呼吸のためにRPTデバイス4000からアイマスクシステム7000へ運搬し得る。アイマスクシステム7000は、空気回路4170へ流体接続するように構成された接続ポート3600を含み得る。空気回路4170は、アイマスクシステム7000へ接続するように構成されたチューブを含み得る。
【0525】
図10は、アイマスク7100が接続ポート3600を含むアイマスクシステム7000を示す。この例において、接続ポート3600は、アイマスク7100の前側および下側部分の中心に位置する。接続部分3600は、プレナムチャンバ3200に近接している。接続ポート3600は、接続ポート3600の中心軸の周りを旋回し得る。別の例において、接続ポート3600は、アイマスク7100に設けられたエルボに設けられ得る、エルボは、空気回路4170へ接続するように構成される。エルボは、その内部に屈曲部(例えば、90度または135度の屈曲部)を有し得るため、アイマスク7100に対して実質的に下側方向にチューブが延びることが可能になる。図10に示す例において、チューブは、部分的に下側および部分的に前側方向に延びる。エルボは、旋回し得る。エルボは、玉継ぎ手、または複数の軸を中心にアイマスク7100に対してエルボが回転することを可能にするように構成された継ぎ手を含み得る。アイマスク7100は、「チューブの下向き(tube down)」構成または「チューブの上向き(tube up)」構成を含み得る。
【0526】
図11は、接続ポート3600が患者の頭部の頂上に位置するアイマスクシステム7000を示す。この例において、アイマスクシステム7000は、患者の頭部上の上側位置にある接続ポート3600とアイマスク7100との間に接続するように構成されたヘッドギアチューブ3350を含む。この例において、ヘッドギアチューブ3350は、位置決めおよび安定化構造3300の一部を形成する導管ヘッドギアを形成する。ヘッドギアチューブ3350は、バックストラップ3310と共に、使用時にシール形成構造3100を密閉位置に保持するための力を提供し得る。他の例において、ヘッドギアチューブ3350は、シール形成構造3100に力を提供し得ないが、接続ポート3600が患者の頭部の上側表面に位置することを可能にする場合があり、その結果、空気回路4170は、使用時に患者の顔または身体の前方に位置しない。
【0527】
図12は、接続ポート3600を含む別のアイマスクシステム7000を示す。この例において、アイマスクシステム7000は、短管4175を含む。接続ポート3600は、短管4175の遠位端部に設けられる。短管4175は、プレナムチャンバ3200と流体接続されるアイマスクシステム7000の配管部分である。空気回路4170は、接続ポート3600へ接続することができる。短管4175は、呼吸可能なガスの加圧流れをプレナムチャンバ3200へ運搬するように構成される。短管4175は、アイマスクシステム7000を空気回路4170から少なくとも部分的に連結解除し得る。空気回路4170をアイマスクシステム7000へ可撓性短管4175を介して接続することにより、チューブの引き摺りが有利に低減され得る。図12に示す例において、短管4175は、アイマスク7100の外側部分から延びる。他の例において、短管4175は、前側位置でアイマスク7100へ接続し得、(例えば、チューブの下向き構成において)例えばアイマスク7100上の中心および前側の位置から下側に延びる。
5.9.3.5 クッションモジュール
【0528】
図9図11に示すアイマスクシステム7000はそれぞれ、クッションモジュール3150を含む。クッションモジュール3150は、シール形成構造3100を含み、プレナムチャンバ3200の一部または全部を規定し得る。いくつかの例において、クッションモジュールは、シャシー部分へ接続されるシール形成構造3100を含み、シール形成構造3100およびシャシー部分は共に、プレナムチャンバの一部または全部を形成する。
【0529】
クッションモジュール3150は、取り外し可能および交換可能であるため、ユーザは、クッションモジュール3150を洗うために取り外し、実用寿命の終わりに、新しいクッションモジュール3150に交換することができる。クッションモジュール3150は、特定のアイマスク7100にフィットする複数の形状および/またはサイズで提供され得、これは、アイマスクシステム7000が広範囲の患者にフィットすることを可能にする。
【0530】
図19は、取り外し可能クッションモジュール3150を有するアイマスク7100の前側および内側部分の模式図である。アイマスク7100は、使用時にユーザの眼を覆うように構成され、ユーザの睡眠に影響を与えること、および/またはユーザの睡眠の特性を検出すること、および/または睡眠中にユーザの特性を検出することを行うように構成された1つ以上のトランスデューサなど、本明細書中の他のところに記載したアイマスク7100の特徴のうち任意の1つ以上を有し得る。
【0531】
図19の例において、クッションモジュール3150は、可撓性材料、例えばシリコーンまたはTPEなどのエラストマー材料から形成される。クッションモジュール3150は、アイマスク7100に取り外し可能に取り付け可能である。この例において、クッションモジュール3150は、それをアイマスク7100に取り外し可能に取り付けるために、アイマスク7100の対応する部分へ伸展可能にフィットし得る前側穴を有する。他の例において、クッションモジュール3150は、アイマスク7100にスナップフィットしてクッションモジュール3150をアイマスク7100に取り外し可能に取り付けるように構成された、実質的に硬性のクリップを含み得る。ユーザは、使用前にクッションモジュール3150を手動で取り外すことにより、アイマスクシステム7000をクッションモジュール3150なしで用い得る。ユーザは、アイマスクシステム7000を、使用前にクッションモジュール3150を取り付けることによってフィットしたクッションモジュール3150と共に用い得る。
【0532】
図示のように、クッションモジュール3150は、シール形成構造3100を含み、接続部分3600へ流体接続されたプレナムチャンバ3200を部分的に規定する。使用時に、プレナムチャンバ3200には、ユーザによる呼吸のために空気が治療的圧力で充填される。プレナムチャンバ3200は、アイマスク7100のハウジング7120に取り付けられる。
【0533】
図19に示すように、アイマスクシステム7000は、ユーザによる呼吸のために治療的圧力で空気回路4170から加圧された空気流れを受容し、空気回路4170へ流体接続するように構成された接続ポート3600を含む。他の例において、アイマスクシステム7000は、加圧された空気流れを上記治療的圧力で生成するように構成された流れ生成器7400(例えば、アイマスク7100に統合されている(例えば、ハウジング7120に取り付けられている))を含む。アイマスクシステム7000は、プレナムチャンバの内部から周囲へ、患者によって吐き出されたガスが連続的に流れるようにする通気部(図19には図示せず)も含み得、上記通気構造は、使用時にプレナムチャンバ内の治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる。通気部は、ハウジング7120内の複数の穴および/またはプレナムチャンバ3200の壁によって形成され得る。
【0534】
アイマスク7100は、複数の異なるサイズのクッションモジュール3150を受容するように構成され得る。これにより、より広範囲のユーザを収容することができる。アイマスクシステム7000は、アイマスク7100と、それぞれが互いに異なるサイズを有する複数のクッションモジュール3150とを含み得る。図19に示すアイマスク7100は、クッションモジュール3150がフィットしているかどうかに関係なく動作するように構成され得るアイマスクシステム7000の一部を形成する。後述するように、アイマスクシステム7000は、ユーザに呼吸圧力療法が提供されない非治療モードで動作可能であり得る。アイマスクシステム7000は、クッションモジュール3150がアイマスク7100に取り付けられているかどうかに関係なく非治療モードで動作可能であり得る。アイマスクシステム7000は、クッションモジュール3150がない場合に、例えばアイマスク7100にフィットしているクッションモジュール3150がない場合に、非治療モードで動作可能であり得る。
【0535】
以下に述べるように、いくつかの例において、シール形成構造3100は、シール形成構造3100がユーザと接触しない非接触位置と、シール形成構造3100によってユーザの顔に対してシールを形成することが可能な密閉位置との間で移動可能であり得る。いくつかの例において、クッションモジュール3150は、アイマスク7100に対して移動可能である。クッションモジュール3150は、シール形成構造3100がユーザと接触しない非接触位置と、シール形成構造3100によってユーザの顔に対してシールを形成することが可能な密閉位置との間で移動可能であり得る。
【0536】
図19には、クッションモジュール3150の上側にあるアイマスク7100の一部へ接続されるインターフェース構造7140も示される。図19に示すインターフェース構造7140の一部は、ユーザの鼻梁と係合して光シールを生成するように構成される。
5.9.3.6 クッションモジュールの連結解除
【0537】
図13は、アイマスクシステム7000の模式図である。この例において、アイマスクシステム7000は、図7図11を参照して前述した任意の特徴を有し得るアイマスク7100と、位置決めおよび安定化構造3300とを含む。アイマスク7100は、シール形成構造3100を有するクッションモジュール3150を含む。例において、クッションモジュール3150は、プレナムチャンバ3200を少なくとも部分的に規定する。前述したように、クッションモジュール3150は、アイマスク7100に取り外し可能に取り付け可能であり得る。
5.9.3.6.1 位置の移動および配向
【0538】
本技術のこの例において、クッションモジュール3150は、アイマスク7100に対して移動可能である。図13は、クッションモジュール3150がアイマスク7100に対して移動し得る多数の方式を矢印で示す。
【0539】
クッションモジュール3150は、アイマスク7100に対して位置を変えることが可能である。さらに、クッションモジュール3150は、アイマスクに対して配向を変えることが可能である。本技術の他の例において、クッションモジュール3150は、アイマスク7100に対して位置を変えることは可能であるが、配向を変えることはできない(または、逆もまた同様である)。さらなる例において、クッションモジュール3150は、アイマスク7100に対して適所に固定され得る。
【0540】
アイマスク7100に対して位置を変えるために、クッションモジュール3100は、並進運動することができ得る。クッションモジュール3100は、図13中の矢印Bで示すように、アイマスク7100に対して前後方向軸に沿って並進運動することができ得る。追加または代替として、クッションモジュール3150は、図13中の矢印Aで示すように、アイマスク7100に対して左右方向軸に沿って並進運動することができ得る。いくつかの例において、クッションモジュール3150は、上下方向軸に沿ってアイマスク7100に対して並進運動することができ得る。
【0541】
アイマスク7100に対して配向を変えるために、クッションモジュール3100は、回転することができ得る。クッションモジュール3150は、図13中の矢印Cで示すように、上下方向に配向された軸を中心として左右方向にアイマスク7100に対して回転することができ得る。追加または代替として、クッションモジュール3150は、図13中の矢印Dで示すように、左右方向に配向された軸を中心として上下方向にアイマスク7100に対して回転することができ得る。いくつかの例において、クッションモジュール3150は、軸を中心として前後方向にアイマスク7100に対して回転することができ得る。
5.9.3.6.2 調整可能性
【0542】
クッションモジュール3150がアイマスク7100に対して移動(例えば、前述した方式で移動)することができる1つの方式は、クッションモジュール3150を調整するために、例えば患者または臨床医によって移動することができる方式である。クッションモジュール3150は、特定のユーザまたは患者上における良好なフィットと一貫している位置および/または配向へ移動することができ得る。
【0543】
いくつかの例において、アイマスク7100に対するクッションモジュール3150の位置および/または配向は、調整することができ得る。いくつかの例において、クッションモジュール3150は、アイマスク7100に固定され、例えばアイマスクシステム7000の使用中に移動を意図しない場合にクッションモジュール3150が移動しないほど十分に強い静止摩擦によって所定位置に保持され得る。しかし、静止摩擦は、患者または臨床医がクッションモジュール3150を(場合によっては)所望の位置および/または配向に押したり、引っ張ったり、回転させたりすることができるほど十分に弱くてもよい。別の例において、クッションモジュール3150は、アイマスク7100に、クッションモジュール3150の位置および/または配向をロックしながらも、ユーザまたは臨床医がロック機構をロック解除し、クッションモジュール3150を移動させてその位置および/または配向を変えることを可能にするように構成されたロック機構を用いて取り付けられ得る。
【0544】
調整のために移動できるクッションモジュール3150を有するアイマスクシステム7000は、有利には、より広範囲のユーザによってアイマスクシステム7000が使用されることを可能にし得る。代替または追加として、調整のために移動可能であるクッションモジュール3150は、有利には、良好なフィットを個々のユーザが達成することを可能にし得る。
5.9.3.6.3 連結解除
【0545】
クッションモジュール3150がアイマスク7100に対して(前述した方式で)移動し得る別の方式は、アイマスク7100から少なくとも部分的に連結解除され得る方式である。クッションモジュール3150をアイマスク7100から連結解除することにより、患者に対するアイマスクシステム7000の快適なフィットを得ることができる。クッションモジュール3150を少なくとも部分的に連結解除することにより、特定の患者の顔の幾何形状を収容するようにクッションモジュール3150を移動させることが可能になり得、その結果、快適で安定したフィットが得られる。
【0546】
クッションモジュール3150は、可撓性接続によってアイマスク7100に取り付けられて、アイマスク7100に対するクッションモジュール3150の(例えば、前述した方向のうち任意の1つ以上への)いくつかの移動が可能になり得る。例えば、クッションモジュール3150は、シリコーンなどの弾力性材料から形成されたアイマスク7100の一部に取り付けることができる。代替または追加として、クッションモジュール3150は、アイマスク7100に、クッションモジュール3150がアイマスク7100に対して所定の位置および/または配向に移動できるように構成された1つ以上のヒンジによって取り付けられ得る。
【0547】
アイマスク7100から連結解除されてアイマスク7100に対する少なくとも多少の移動を可能にするクッションモジュール3150は、アイマスクシステム7000がアイマスク7100へ印加される力に耐えることも可能にし得、そうでなければ、シール形成構造3100によって患者の顔に対して形成されるシールを妨げる可能性がある。患者が自身の頭部を横に向ける場合、患者の枕などから使用中のアイマスク7100へ印加される力は、クッションモジュール3100がアイマスク7100から少なくとも部分的に連結解除される例において、有利には、シール形成構造3100へ伝えられない可能性がある。
【0548】
図13に例示するクッションモジュール3150は、クレードルクッションであるが、他の例において、クッションモジュール3150は、別の種類、例えば、鼻ピロークッション、フルフェイスクッション、鼻クッションまたは口腔鼻クッションであり得る。口腔鼻クッションの場合、クッションモジュール3150は、鼻部分および口腔部分を含み得る。鼻部分および口腔部分は、互いに連結解除され得る。他の例において、アイマスクシステム7000は、互いに部分的または完全に連結解除され得る鼻クッションモジュールおよび口腔クッションモジュールを含んでもよい。
5.9.3.6.4 クッションモジュールの作動
【0549】
クッションモジュール3150がアイマスク7100に対して移動することができる別の方式は、アイマスク7100によって作動することができる方式である。アイマスク7100は、所定の位置および/または配向にクッションモジュール3150を移動させるように構成された1つ以上のアクチュエータを含み得る。アクチュエータは、回転式または線形であっても、電子的に駆動されてもよい(例えば、他のオプションの中でも、小型電気モータ、サーボモータまたはステッパモータ、小型線形アクチュエータ、磁石または強磁性構成要素と対になった電磁石が挙げられる)。代替として、アクチュエータのうち1つ以上は、空気圧によって駆動され、例えば、療法圧力の大きさおよび/または弁の開閉によって制御される、呼吸圧力療法のためのアイマスクシステム7000の使用中にプレナムチャンバ3200を通して送られる圧力下で、呼吸可能なガスによって駆動され得る。
5.9.3.6.4.1 患者入力に基づいた作動
【0550】
いくつかの例において、クッションモジュール3150は、例えば、より良好なフィットを達成するために、クッションモジュール3150を調整して、アクチュエータにより所定の位置および/または配向に移動し得る。患者は、ユーザ制御インターフェースを介して入力をアイマスクシステム7000に提供し、1つ以上のアクチュエータを起動させて、フィッティング中にクッションモジュール3150の位置および/または配向を変え得る。
5.9.3.6.4.2 療法圧力に基づいた作動
【0551】
いくつかの例において、クッションモジュール3150の作動は、アイマスクシステム7000(例えば、そのプロセッサ7900)によって、患者からの入力なしに制御され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、クッションモジュール3150を作動させて、それを密閉力の増加のために患者の顔へと移動するように付勢し得る。この例において、クッションモジュール3150の移動はわずかであり得るが、シール形成構造3100を患者の顔に接するように保持する力は増加し得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、クッションモジュール3100を作動させて、特定の療法圧力に対応する密閉力を提供し得る。すなわち、クッションモジュール3150は、特定の療法圧力でシールを維持するために必要な最小の力に実質的に等しかったり対応したりする力によって作動され得る。
【0552】
アイマスクシステム7000はまた、アイマスクシステム7000の使用中に事象に応答して、クッションモジュール3150の移動を起こすように構成され得る。例えば、シール形成構造3100内の漏れが検出されると、アクチュエータは、シール形成構造3100をユーザの顔に近づけるように作動して、漏れを低減または予防しようとし得る。別の例において、クッションモジュール3150は、クッションモジュール3150によってユーザの顔上へ付与される力が療法圧力に対応するように、加圧ガスの供給の増強段階中にユーザの顔へとゆっくり移動してもよい。療法圧力が上昇すると、シール形成構造3100は、より高い療法圧力から生じる、プレナムチャンバ3200を患者の顔から遠ざけるように作用するより高い力に対抗するために、より低い療法圧力よりも高い力で患者の顔に接するように保持する必要がある。必要最小限の力だけが使用されるため、クッションモジュール3150を作動させて療法圧力に対応する密閉力を提供するアイマスクシステム7000は、有利にはクッションモジュール3150を患者の顔に接するように保持する力を最小化することができ得る。
5.9.3.6.4.3 非接触位置と密閉位置との間での作動
【0553】
さらなる例において、クッションモジュール3150は、非接触位置と密閉位置との間で作動し得る。非接触位置は、クッションモジュール3150が患者の顔と接触しない位置であり得る。密閉位置は、クッションモジュール3150が呼吸圧力療法を患者に提供できる位置であり得る。アイマスクシステム7000(またはそのプロセッサ7900)は、クッションモジュール3150を、療法が提供されていない場合のための非接触位置へ移動させ、クッションモジュール3150を、療法が患者に提供されている場合のための密閉位置へ移動させるように構成され得る。これにより、患者は、有利には、治療を受けていない場合にクッションモジュール3150が自身の顔上にあると感じることなく、アイマスクシステム7000を着用することができる。
【0554】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000(例えば、プロセッサ7900を有する)は、ユーザが覚醒しているか就眠中であるかを検出し、ユーザが就寝中である場合にのみクッションモジュール3150を密閉位置へ移動させるように構成され得る。これにより、ユーザは、クッションモジュール3150が自身の顔上にあると感じることなく就寝することができる一方、就寝中である場合にも呼吸圧力療法を受けることができる。
5.9.3.6.4.4 配向に基づいた作動
【0555】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、例えば、加速度計7115または他の配向センサを用いて、アイマスク7100の配向を検出するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、クッションモジュール3150を作動させて、アイマスク7100の配向に基づいて、それに力を印加させるように構成され得る。
【0556】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、クッションモジュール3150を作動させて、アイマスク7100の移動または重量を補償し得る。例えば、患者が睡眠中に自身の頭部を横に向ける場合、アイマスク7100は、その自重下で患者の顔に対して外側に(例えば、重力に対して下方に)移動し得る。この配向に応答して、アイマスクシステム7000は、クッションモジュール3150を作動させて、患者の顔に対して反対側の外側方向に向かって(例えば、重力に対して上方に)移動させ、アイマスク7100上における外側引っ張りを補償し得る。いくつかの例において、アイマスク7100が重力によって下方に引っ張られる場合、アイマスクシステム7000は、クッションモジュール3100を作動させて、患者の鼻に向かって回転させ得る。
5.9.3.7 セットアップおよびトラブルシューティングモード
【0557】
アイマスクシステム7000は、セットアップおよびトラブルシューティングモード(「セットアップモード」)で動作するように構成されるか、該モードを含み得る。セットアップモードにおいて、アイマスクシステム7000は、ユーザが、図7図9図12図15および図18のうち任意の1つに示すアイマスクシステム7000をセットアップし、かつ/または使用し始めることを支援するように構成され得る。セットアップモードにおいて、アイマスクシステム7000は、アイマスクシステム7000がそのように構成されている場合、患者インターフェースとして使用するために、例えば睡眠呼吸障害の治療のためにユーザがアイマスクシステム7000をセットアップすることを支援するように構成され得る。
【0558】
アイマスクシステム7000は、チュートリアルをユーザに提示して、フィッティングおよび/またはセットアップについてユーザを支援するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、ディスプレイ7131および/または音響トランスデューサ7130を動作させて、アイマスクシステム7000のセットアップについての情報および/または指示(例えば、アイマスクシステム7000をフィットさせる方法)を提供し得る。アイマスクシステム7000は、セットアップについての指示を含むビデオチュートリアルをユーザに提供するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、ユーザが、アイマスクシステム7000を睡眠呼吸障害の呼吸圧力治療のための患者インターフェースとして使用するために正しくフィットさせることを支援するように構成され得る。
【0559】
いくつかの例において、セットアップモードで、アイマスクシステム7000は、トラブルシューティングを提供し得る。例えば、ユーザは、アイマスクシステム7000の使用を開始したが問題を経験している。アイマスクシステム7000は、セットアップモードにおいて特定の問題のトラブルシュートを行うためのセットアップ手順を繰り返すように動作可能であり得る。例えば、アイマスクシステム7100は、アイマスクシステム7000を最初からセットアップするための一連の指示を(例えば、ディスプレイ7131または音響トランスデューサ7130を用いて)提供するように構成され得る。代替として、アイマスクシステム7100は、問題が存在することを特定し得るか、問題を特定する入力をユーザから受信し得る。アイマスクシステム7000は、トラブルシューティングについての指示を提供し、かつ/または問題を解決するように構成され得る。
【0560】
特定の形態において、ユーザは、「リモートアシスタンス」モードで別の関係者との通信または別の関係者からの通信の受信を、通信モジュール7920を介して行い得る。リモートアシスタンスモードにおいて、ユーザは、ヒトの支援、例えば、アイマスクシステムの使用時に技術支援を提供できる人(例えば、アイマスクシステム7000の製造業者の代表)および/または医療支援を提供できる人(例えば、医師または臨床医)と通信し得る。代替または追加として、ユーザは、人工的支援、例えば、アルゴリズムまたは機械学習に基づいた支援モジュールと通信し得る。リモートアシスタンスモードは、プロセッサ7900によって検出された特定の事象(例えば、セットアップが所定期間よりも長くかかった場合、または閾値数の動作エラーがセットアップ中に検出された場合)に基づいてトリガされ得る。
5.9.3.7.1 セットアップセンサ
【0561】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、セットアップ中にアイマスクシステム7000の1つ以上のセンサから受信した1つ以上の信号を監視するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、1つ以上の信号に基づいて、セットアップについてのフィードバックをユーザに提供し得る。
【0562】
本技術の一形態において、アイマスクシステム7000は、ストラップ張力センサを含み得る。ストラップ張力センサは、位置決めおよび安定化構造3300のバックストラップ3310、または1つ以上の他のストラップ、例えば外側ストラップ部分3313における張力を示す信号を生成するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、バックストラップ3310の張力を、ストラップ張力センサを用いて測定し、張力に基づいてフィードバックをユーザに提供するように構成され得る。例えば、アイマスクシステム7000は、例えばディスプレイ7131または音響トランスデューサ7130を動作させることにより、バックストラップ3310が緩すぎる、きつすぎる、または正しく締め付けられていることについて、ユーザに助言し得る。いくつかの例において、ストラップ張力センサは、ストラップに設けられた歪みゲージを含む。いくつかの例において、ストラップ張力センサは、未伸展長さからのセンサ(またはその一部)の伸張によって変化する静電容量を有するストレッチセンサを含む。他の例において、センサは、伸張によって変化する抵抗を有し得る。
【0563】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ストラップ角度センサを含み得る。ストラップ角度センサは、位置決めおよび安定化構造3300のバックストラップ3310、外側ストラップ部分3313、または他のストラップ(単数または複数)の角度を示す信号を生成するように構成され得る。この角度は、アイマスク7100の特徴、例えば、バックストラップ3310がアイマスク7100へ接続されるバックストラップ接続部分に対するものであり得る。アイマスクシステム7000は、バックストラップ3310の角度を、ストラップ角度センサを用いて測定し、フィードバックをユーザに提供するように構成され得る。例えば、アイマスクシステム7000は、例えばディスプレイ7131または音響トランスデューサ7130を動作させることにより、バックストラップ3310が高すぎる、低すぎる、または正しく角度が付けられていることについて、ユーザに助言し得る。いくつかの例において、ストラップ角度センサは、歪みゲージを含む。一形態において、アイマスクシステム7000は、ストラップの角度調整によりセンサの伸展量が変化するように、バックストラップ3310とアイマスク7100のストラップ接続部分との間に設けられるストレッチセンサを含み得る。ストラップ角度センサは、ストラップがストラップの角度調整中に枢動できる軸からオフセットされ得、その結果、ストラップの角度が変化すると、ストレッチセンサの伸張も変化する。センサは、未伸展長さからのセンサ(またはその一部)の伸張によって変化する抵抗および/または静電容量を有し得る。
【0564】
例えば図17に示す位置決めおよび安定化構造3300が複数のストラップ部分を含む場合、ストレッチセンサは、任意の1つのストラップ部分と任意の他のストラップ部分との間に設けられて、2つのストラップ部分間の角度を決定し得る。代替または追加として、ストラップ部分のうち任意の1つ以上に含まれ得るストレッチセンサはそれぞれ、各ストラップ部分の延伸を測定するように構成される。いくつかの例において、位置決めおよび安定化構造3300は、ストラップ部分および複数のストレッチセンサにおける張力または延伸を検出してストラップ部分間の角度および/またはストラップ部分とアイマスク7000との間の角度を検出するための複数のストレッチセンサを含み、その結果、使用中のヘッドギアにおける幾何形状および力についての完全な情報を獲得することができる。
【0565】
いくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、アイマスク7100を患者の顔へと引っ張る力を示す信号を生成するように構成されたアイマスク圧縮センサを含む。アイマスク圧縮センサは、アイマスク7100と患者の顔との間に設けてもよく、または使用時に患者の顔と接触するように構成されたアイマスク7100の一部(例えば、発泡層)とアイマスク7100の別の部分(例えば、フレームまたはハウジング)との間に設けてもよい。アイマスクシステム7000は、アイマスク7100を患者の顔に接するように引っ張る力を測定し、バックストラップ3310の張力についてのフィードバックをユーザに提供するように構成され得る。アイマスク圧縮センサは、ロードセルを含み得る。一例において、アイマスク圧縮センサは、アイマスク圧縮センサへ印加される圧縮力に関連して変化する抵抗および/または静電容量を有し得る。
5.9.3.7.2 漏れの検出
【0566】
いくつかの例において、セットアップモードで、アイマスクシステム7000(例えば、そのプロセッサ7900)は、呼吸圧力療法のためのアイマスクシステム7000の使用中に漏れを検出するように構成され得る。漏れは、アイマスクシステム7000のシール形成構造3100と、患者の顔の表面との間で発生し得る。他の例において、漏れは、アイマスクシステム7000の構成要素間、例えば、クッションモジュール3150と、クッションモジュール3150が流体接続されたアイマスク7100の一部との間で発生し得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、アイマスクシステム7000がセットアップモードで動作していない場合、例えば、アイマスクシステム7000が療法モードで動作している場合でも、漏れを検出するように構成され得る。
【0567】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、漏れを検出し得、例えば1つ以上のトランスデューサを用いて漏れの存在をユーザに警告し得る。例えば、アイマスクシステム7000は、漏れを検出し得、ディスプレイ7131および/または音響トランスデューサ7130を動作させて、ユーザに警告したり、アイマスクシステム7000の再構成または別の対策(例えば、位置の変更)を施すようユーザに促したりし得る。
【0568】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、1つ以上の漏れの大きさ(例えば、漏れ流量)を決定し得る。アイマスクシステム7000は、トランスデューサ(例えば、ディスプレイ7131または音響トランスデューサ7130)を動作させて、漏れの大きさをユーザに知らせることができる。
【0569】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、トランスデューサを動作させて、アイマスクシステム7000のフィッティング中に、漏れの存在および/または大きさについてのフィードバックを提供し得る。アイマスクシステム7000は、漏れを特定し、フィードバックをアイマスクシステム7000のフィッティング中にリアルタイムで提供して、ユーザがアイマスクシステム7000を調整し、セットアップ中の漏れを最小化したり実質的に撲滅したりすることができるように構成され得る。
【0570】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、漏れの位置を決定するように構成され得る。文脈上明らかに別段の要求がない限り、漏れの位置の決定への参照は、位置を絶対精度内で決定するものとして理解されるべきではない。一例においては、シール形成構造の特定の側面における漏れの正確な位置が決定されていない場合でも、漏れがシール形成構造のその特定の側面にあると決定されたという旨で、漏れの位置が決定され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、漏れを検出し、漏れの位置の明示を患者に提供するように構成され得る。
【0571】
一例において、アイマスクシステム7000は、シール形成構造3100の左側の漏れと、シール形成構造3100の右側の漏れとを区別するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、アイマスク7100の各外側に設けられた一対のマイクロフォン7118を含み得る。アイマスクシステム7000は、一対のマイクロフォン7118を動作させて、シール形成構造3100のうち漏れのある側面を、例えば騒音レベルを比較することによって決定し得る。
【0572】
他の例において、アイマスクシステム7000は、シール形成構造3100の上側上の漏れと、シール形成構造3100の下側上の漏れとを区別するように構成され得る。さらなる例において、アイマスクシステム7000は、シール形成構造上の3つ、4つまたはそれ以上の数の位置で発生している漏れを区別するように構成され得る。
【0573】
アイマスクシステム7000は、漏れの位置を示すフィードバックをユーザに提供するように構成され得る。次に、ユーザは、アイマスクシステム7000を漏れを撲滅または低減するように再構成し得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、漏れの位置に基づいて漏れの低減または撲滅についての指示を提供するように構成され得る。例えば、アイマスクシステム7000は、漏れがシール形成構造3100の左側で発生していることを検出し、(シール形成構造3100が調整のために回転可能である場合に)シール形成構造を左側に向かって回転させるようユーザに促すように構成され得る。代替として、アイマスクシステム7000は、漏れが発生していることを検出し、バックストラップ3310を締め付けるようユーザに促すように構成され得る。
【0574】
上述のように、本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、クッションモジュール3150を作動させてクッションモジュールを所定の位置および/または配向に移動させるように構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、漏れを検出し、シール形成構造3100に対する、少なくとも大まかな漏れの位置を決定するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、漏れの検出に基づいてクッションモジュール3150を作動させて、少なくとも漏れの大きさを低減するようにさらに構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、漏れを撲滅するために、クッションモジュール3150を必要に応じて移動させ得る。いくつかの状況においては、アイマスクシステム7000またはその位置決めおよび安定化構造3300のさらなる調整が必要になり得る。しかし、クッションモジュール3150にわずかな調整しか必要とされない場合、漏れの検出および解決を自動的に行うように構成されたアイマスクシステム7000は、有利には、ユーザによる最小限の調整しか必要としなく、その結果、ユーザにとって取り扱いが簡単で使いやすい可能性のあるアイマスクシステム7000/患者インターフェースとなり得る。
5.9.3.7.3 オンボーディング
【0575】
本技術のいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、新規患者が呼吸圧力療法を容易に受けるように構成され得る。セットアップモードにおける動作中に、または別々のオンボーディングモードにおいて、アイマスクシステム7000は、オンボーディングプロセスを実行するように構成され得る。
【0576】
オンボーディングプロセスにおいて、患者がアイマスクシステム7000を身に付けた(そうでなければ、フィットさせ、セットアップした)後、アイマスクシステム7000は、1つ以上のトランスデューサ(例えば、ディスプレイ7131および音響トランスデューサ7130)を動作させて、患者の通常の呼吸と、それによる弛緩とを促進するための呼吸キューを提供するように構成され得、これにより、閉所恐怖症が予防され得る。アイマスクシステム7000は、呼吸キューに対する患者のアドヒアランスを、マイクロフォン7118などの1つ以上のセンサを使用して監視し、患者の弛緩レベルを、例えば心拍数センサ7112、血圧センサ7114、酸素センサ7113、および/または体温センサ7116を用いて監視するように構成され得る。
【0577】
オンボーディングプロセスのさらなるステップにおいて、アイマスクシステム7000は、気道陽圧の提供を(例えば、別々のRPTデバイス4000の起動および制御によって、またはアイマスクシステム7000の一体型流れ生成器7400の制御によって)開始するように構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、先ず低い気道圧力(例えば4cmHO、または、例えば2cmHO~6cmHO)を所定期間にわたって提供するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、例えば通常の呼吸を促進し、患者が閉所恐怖症を感じないように助けるために、気道陽圧を提供しながら呼吸キューも提供し得る。アイマスクシステム7000は、気道陽圧を療法圧力よりも低い圧力から療法圧力まで増加させるように構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、気道陽圧を(例えば、圧力の段階的増加または圧力の連続的増強により)療法圧力まで徐々に増加させるように構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、呼吸キューに対するアドヒアランス、および/またはセンサ出力によって決定されたような患者の弛緩レベルに基づいて、気道圧力を増加させ得る。
5.9.3.8 一体型流れ生成器
【0578】
図15は、本技術の別の例によるアイマスクシステム7000を示す。この形態において、アイマスクシステム7100は、流れ生成器7400を含む。図示のように、流れ生成器7400は、アイマスク7100に取り付けられる。流れ生成器7400は、アイマスク7100の前側、および内側位置に設けられる。この例において、アイマスクシステム7000は、頭部着用型のPAPシステムを形成する。
【0579】
流れ生成器7400は、呼吸可能なガスの加圧流れを患者による呼吸のために、例えば睡眠呼吸障害の治療のために、プレナムチャンバ3200へ提供するように構成される。この例において、流れ生成器7400は、アイマスク7100を通してプレナムチャンバ3200へ流体接続される。アイマスクシステム7000は、シール形成構造3100を有するクッションモジュール3150を含む。この例において、クッションモジュール3150は、プレナムチャンバ3200を少なくとも部分的に規定する。
【0580】
図16は、図15に示すアイマスクシステム7000の構成要素のブロック図を示す。この例において、アイマスクシステム7000は、図7および図8を参照して述べた全てのセンサおよびトランスデューサを、プロセッサ7900、メモリ7910および通信モジュール7920と共に含む。加えて、アイマスクシステム7000は、プロセッサ7900により制御可能な流れ生成器7400を含む。いくつかの例において、流れ生成器7400は、プロセッサ7900に加えて、それ自体のプロセッサまたはコントローラを含み得る。
【0581】
他の例において、アイマスクシステム7000に含まれ得る流れ生成器7400は、患者の頭部上の上側位置において支持され、プレナムチャンバ3200へ流体接続される。流れ生成器7400は、アイマスクシステム7000の位置決めおよび安定化構造3300によって患者の頭部上に支持され得る。
【0582】
流れ生成器7400は、記載されている通りであるか、WO2012/113027号またはWO2018/018074号に記載された特徴のうち任意の1つ以上を有し得、これらの各々の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
5.9.3.8.1 非治療的特徴
【0583】
いくつかの例において、アイマスクシステム7400は、流れ生成器7400(例えば、図15および図16を参照して前述した例)を含み得るが、呼吸圧力療法のために構成されなくてもよく、または呼吸圧力療法の提供に加えて別の用途のために構成されてもよい。さらに、本技術の例によるアイマスクシステム7400は、呼吸圧力療法などの治療的特徴と同時に非治療的特徴を提供するように構成され得る。
5.9.3.8.2 感覚的効果のための流れ生成器
【0584】
アイマスクシステム7000は、シール形成構造またはプレナムチャンバ(これらからユーザは、加圧された空気流れを呼吸することができる)を含まなくてもよい。その代わりに、ユーザは、周囲から空気を呼吸し得、流れ生成器7400は、他の目的のために用いられ得る。このような実施形態において、アイマスクシステム7000に含まれ得るアイマスク7100は、図15に示すような方式で流れ生成器7400を含むが、図15に示すようなシール形成構造3100は含まない。
【0585】
流れ生成器7400の動作は、プロセッサ7900によって制御され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ユーザからの入力に基づいて流れ生成器7400を動作させるように構成される。他の例において、アイマスクシステム7000は、アイマスクシステム7000の1つ以上のセンサからの入力に基づいて流れ生成器7400を動作させるように構成され得る。
【0586】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、流れ生成器7400を用いて感覚的効果をユーザに提供するように構成され得る。
【0587】
一例において、アイマスクシステム7000は、ユーザの頭部または顔上で風または微風をシミュレートするように構成され得る。アイマスクシステム7000は、流れ生成器7400を用いて空気流れを生成するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、空気流れがユーザの頭部および/またはユーザの顔上を送り過ぎ、それらと接触するように構成され得る。この風のシミュレーションにより、アイマスクシステム7000からユーザに提供されるシミュレーションの現実性が増し得る。例えば、流れ生成器7400は、ディスプレイ7131上に表示されたコンテンツと協働して動作するように構成され得る。一例において、アイマスクシステム7000は、ディスプレイ7131および音響トランスデューサ7132(ならびに任意選択的で他のトランスデューサ)を用いて、リラックスできる屋外環境をシミュレートするように構成され得る。アイマスクシステム7000は、患者の頭部、顔および/または身体にわたって、そよ風をシミュレートするように構成され得る。これにより、ユーザは、シミュレーション環境にさらに没入する。別の例において、アイマスクシステムは、アクティブな屋外環境(例えば、サイクリング、レース、スキーなど)をシミュレートするように構成され得る。アイマスクシステム7000は、ユーザの顔および/または頭部にわたって高流量の空気を用いる高速環境をシミュレートするように構成され得る。流れ生成器の制御データは、例えばメタデータとして媒体データ内に組み込まれ得る(すなわち、プロセッサ7900によって処理されて、媒体をユーザに提示し、流れ生成器7400の動作も制御する)。
5.9.3.8.3 流れ生成器による加熱および/または冷却
【0588】
一形態において、流れ生成器7400は、ファンとして用いられ得る。アイマスクシステム7000は、流れ生成器7400を用いて加熱および/または冷却をユーザに提供するように構成され得る。前述したように、アイマスクシステム7000は、温度トランスデューサ7132を含み得る。アイマスクシステム7000は、温度トランスデューサ7132および流れ生成器7400の両方を動作させて加熱および/または冷却を提供するように構成され得る。例えば、アイマスクシステム7000は、流れ生成器7400を用いて空気流れを生成し、温度トランスデューサ7132を用いて空気流れを加熱および/または冷却するように構成され得る。
【0589】
いくつかの例において、温度トランスデューサ7132またはその一部は、流れ生成器7400によって生成された空気流れ内(例えば、導管内、またはそうでなければ他の場合の流路内)に設けられる。
5.9.3.9 呼吸圧力療法の提供
【0590】
前述したように、いくつかの形態において、アイマスクシステム7000は、アイマスクシステムの接続ポート3600へ接続された空気回路4170を介してRPTデバイス4000に接続するように構成される。他の形態において、アイマスクシステム7000は、例えばアイマスク7100または位置決めおよび安定化構造3300に取り付けられた流れ生成器7400を含み得る。
【0591】
呼吸可能なガスの加圧流れの発生源が、空気回路4170を介してアイマスクシステム7000が接続されたRPTデバイス4000であるか、アイマスクシステム7000の一部を形成する流れ生成器7400であるかにかかわらず、アイマスクシステム7000は、患者に提供される呼吸圧力療法を制御するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、通信モジュール7920を介してプロセッサ7900により別々のRPTデバイス4000を制御し得る。代替として、アイマスクシステム7000のプロセッサ7900は、頭部装着型流れ生成器7400をより直接に制御し得る。文脈上明らかに別段の要求がない限り、本明細書中に記載されるアイマスクシステム7000による呼吸圧力療法の提供、動作、制御などに関する任意の特徴または機能は、本技術のこれらの形態のうちいずれかに適用可能であると理解されるべきである。
【0592】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、患者が設定したパラメータ(例えば、療法圧力、療法の種類など)に基づいて呼吸圧力療法を提供する(例えば、一体型流れ生成器7400または別々のRPTデバイス4000の動作により)ように構成される。他の例において、アイマスクシステム7000は、アイマスクシステム7000の1つ以上のセンサからの入力に基づいて呼吸圧力療法を提供するように構成され得る。
5.9.3.9.1 睡眠段階および療法
【0593】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ユーザが覚醒しているか就眠中であるかを決定するように構成される。例えば、アイマスクシステム7000は、ユーザが覚醒していること、就眠中であること、起床していること、および/または就寝中であることを検出するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、ユーザ/患者が就眠中である場合にのみ呼吸圧力療法を提供するように構成され得る。例えば、アイマスクシステム7000は、ユーザが就眠中であることが検出された際に非治療モードから治療モードに切り替わるように構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、所定の長さの睡眠持続時間の後にのみ、または無呼吸に応答して、呼吸圧力療法を提供するように構成され得る。前述したように、呼吸圧力療法は、ユーザ/患者による呼吸のために空気流れを治療的圧力で提供することを含み得る。
【0594】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、患者が就眠中であることが検出されると、治療的圧力を増強したり、そうでなければ徐々に増加させたりするように構成され得る。アイマスクシステム7000は、治療的圧力を増強する速度を患者の睡眠状態または段階に基づいて調整するように構成され得る。例えば、患者が深睡眠中であることが検出されたが、治療的圧力が所定の(例えば、目標)療法圧力には未だ到達していない場合、アイマスクシステム7000は、治療的圧力を増強する速度を増加させ得る。
【0595】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ユーザが睡眠をとろうとしている(睡眠支援モード)か就眠中である(睡眠モード)かに応じて、睡眠支援モードまたは睡眠モードで動作し得る。例えば、アイマスクシステム7000は、ユーザが覚醒していることを検出し、睡眠支援モードで動作するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、ユーザが就眠中であることを検出し、睡眠モードで動作するように構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、睡眠支援モードから睡眠モードへ変化した際に呼吸圧力療法を開始するように構成される。いくつかの例において、気道圧力は、睡眠支援モード中にゆっくり増強された後、睡眠モードにおいては、より急速に増強される。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ユーザがレム睡眠中であるかノンレム睡眠中であるかに応じて、レムモードおよびノンレムモードで動作し得る。
【0596】
アイマスクシステム7000は、呼吸圧力療法中にユーザが就寝すること、および/または就眠を維持することを支援するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、本明細書中に記載のトランスデューサのうち1つ以上を動作させて、そうすることができる。このようなトランスデューサは、周囲環境の特性、ユーザの睡眠の特性、および/またはユーザの特性を検出するように構成された1つ以上のセンサを含み得る。アイマスクシステム7000は、センサのうち1つ以上の出力を分析し、分析に基づいてアクションを行うように構成され得る。例えば、アイマスクシステム7000は、ユーザの睡眠を最適化するように構成され得、ユーザが就寝すること、および/または就眠を維持することを支援し得る変化を、発生した場合に決定するように構成され得る。
【0597】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、センサのうち1つ以上の出力に基づいて空気流れの治療的圧力を調整するように構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ユーザが起床していることを(例えば、EEGセンサ7110、マイクロフォン7118、加速度計7115、または別のセンサによって)検出し、これに応答して治療的圧力を低下させるように構成される。これにより、ユーザが就眠を維持することが支援され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、周囲ノイズ(例えば、所定の閾値を超える)が検出された際に治療的圧力を低下させるように構成され得、これにより、ユーザが就眠を維持することも支援され得る。
【0598】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、マイクロフォン7118および音響トランスデューサ7130(例えば、アイマスク7100または位置決めおよび安定化構造3300に取り付けられ得る、イヤーパッドまたはヘッドフォン)を含み得る。アイマスクシステム7000は、周囲ノイズ、例えば所定の閾値を超える周囲ノイズが検出された際に音響トランスデューサ7130を用いてノイズキャンセリング効果を提供するように構成され得る。これにより、ユーザは、就眠をより容易に維持することができる。ノイズキャンセリング効果を生み出すことは、本明細書中の他のところに記載されており、マイクロフォン7118を用いて検出された周囲音に対して逆位相である音を生み出すことを含み得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ユーザが起床していることが検出された際に音響トランスデューサ7130を用いてノイズキャンセリング効果を提供するように構成され得る。
【0599】
上述のように、いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、睡眠支援モードから睡眠モードへ変化した際に(例えば、患者が就寝中である場合に)クッションモジュール3150を(例えば、作動を介して)非接触位置から密閉位置へ移動させるように構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、アイマスクシステム7000が睡眠モードに変化した後に(例えば、患者が就眠中であることが検出された際に)クッションモジュール3150を密閉位置へ移動させ得る。
5.9.3.9.2 非治療モードおよび治療モード
【0600】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、以下の少なくとも2つのモードで動作するように構成され得る:呼吸圧力療法をユーザに提供しない非治療モード、および睡眠呼吸障害の治療のために呼吸圧力療法をユーザに提供する治療モード。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、例えば図19を参照して本明細書中に図示および記載されるように、取り外し可能クッションモジュール3150を含み得る。アイマスクシステム7000は、アイマスク7100に取り付けられたクッションモジュール3150がない場合に、非治療モードで動作可能であり得る。アイマスクシステム7000は、クッションモジュール3150がアイマスク7100に取り付けられている場合も、非治療モードで動作可能であり得る。ユーザは、アイマスクシステム7000を非治療モードで使用する前にクッションモジュール3150を取り外し得、その後、アイマスクシステム7000を治療モードで使用する前にクッションモジュール3150を取り付け得る。
【0601】
本明細書中の他のところに記載されているように、アイマスクシステム7000は、ユーザの睡眠に影響を与えること、および/またはユーザの睡眠の特性を検出すること、および/または睡眠中にユーザの特性を検出することを行うように構成された1つ以上のトランスデューサを含み得る。1つ以上のトランスデューサは、本明細書中の他のところに記載されている通りであり得、例えばユーザの睡眠の特性、および/または睡眠中のユーザの特性を検出するように構成された1つ以上のセンサを含み得る。
【0602】
いくつかの例において、ユーザは、アイマスク7100にクッションモジュール3150を取り付けずに、非治療モードで、アイマスクシステム7100を着用し、動作させ得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、非治療モードで分析を行い得る。例えば、アイマスクシステム7000は、1つ以上のセンサの出力を分析するように構成され得、睡眠特性の特定、問題の特定、結果の予測、および/または分析に基づいた推奨事項の提供を行い得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、非治療モードで、障害を検出および/または診断したり、データを分析して障害をチェックするように構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、少なくとも非治療モードで睡眠呼吸障害を検出するように構成され得る。例えば、アイマスクシステム7000は、無呼吸、低呼吸、過呼吸、いびき、および喘ぎのうち1つ以上を少なくとも非治療モードにおいて検出するように構成され得る。アイマスクシステム7000は、例えば、ECGセンサ7111、HRセンサ7112、酸素センサ7113、加速度計7115、およびマイクロフォン7118などのセンサのうち任意の1つ以上の出力(単数または複数)を分析して、睡眠呼吸障害を検出するように構成され得る。
【0603】
(k)アイマスクシステム7000は、非治療モードにおいて睡眠呼吸障害を検出するように構成され得、睡眠呼吸障害が検出された際に非治療モードから治療モードに切り替わるように構成され得る。
【0604】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、シール形成構造3100がユーザと接触しない非接触位置と、シール形成構造3100によってユーザの顔に対してシールを形成することが可能な密閉位置との間で移動可能であるシール形成構造3100を含む。アイマスクシステム7000は、非治療モードから治療モードに切り替わった際にシール形成構造3100を非接触位置から密閉位置へ移動させるように構成され得る。アイマスクシステム7000がクッションモジュール3150を含むいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、クッションモジュールを非接触位置から接触位置へ移動させて、前述した方式でシール形成構造3100を移動させるように構成される。
【0605】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ユーザが就眠中であることを(例えば、本明細書中の他のところに記載されている方法を用いて)特定するように構成される。アイマスクシステム7000は、ユーザが就眠中または就寝中であることが特定される際に、非治療モードから治療モードに切り替わるように構成され得る。アイマスクシステム7000は、ユーザが覚醒または起床していることが検出された際に治療モードから非治療モードに切り替わるように構成することもできる。
5.9.3.9.3 加湿
【0606】
いくつかの例において、呼吸圧力療法を患者に提供するように構成されたアイマスクシステム7000は、加湿器5000を含み得、該加湿器と通信し得、かつ/または該加湿器へ流体接続され得る。加湿器5000は、患者へ送達される空気流れまたは呼吸可能なガスを加湿する(例えば、絶対湿度を増加させる)ように構成され得る。
【0607】
アイマスク7100は、(例えば、図10図12に示す任意の例において)患者による呼吸のために空気流れを治療的圧力でRPTデバイス4000からアイマスク7100およびプレナムチャンバ3200に供給するすように構成された空気回路4170に接続するように構成され得る。空気回路4170は、加湿器5000の出口へ接続され得、該加湿器自体は、RPTデバイス4000から空気流れを受容する。
【0608】
いくつかの形態において、加湿器5000およびアイマスク7100は、通信しなくてもよい。患者は、加湿器5000をオンおよびオフにし得、加湿器5000の電力レベルを調整して、空気供給の加湿を調整し得る。いくつかの例において、アイマスク7100は、湿度センサ(治療的圧力における空気供給の湿度を測定するように構成された周囲湿度センサまたは湿度センサ)を含むか、別のデバイス(例えば、RPTデバイス4000またはスタンドアロン型周囲湿度センサ)からの湿度読取り値を受信し得る。アイマスクシステム7000は、検出された湿度に基づいて、加湿についての推奨事項をユーザに提供し得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000または他のデバイスによって検出された湿度が所定の閾値を下回ると、アイマスクシステム7000は、ユーザに加湿を用いるよう促し得る。その後、ユーザは、加湿器5000をオンにし得る。
【0609】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、通信モジュール7920を介して加湿器5000と通信するように構成され得る。代替または追加として、アイマスクシステム7000は、加湿器5000を制御しているRPTデバイス4000と通信するように構成され得る。このような例において、アイマスクシステム7000は、湿度センサ(ここでも、治療的圧力における空気供給の湿度を測定するように構成された周囲湿度センサまたは湿度センサ)を含み得るか、別のデバイス(例えば、RPTデバイス4000またはスタンドアロン型周囲湿度センサ)からの湿度読取り値を受信し得る。これらの例において、アイマスクシステム7000は、通信モジュール7920を介して加湿器5000を制御することにより、加湿を自動的に可能にするように構成され得る。アイマスクシステム7000は、加湿器5000を直接制御してもよく、または加湿器がRPTデバイス4000のみによって制御される場合、アイマスクシステム7000は、RPTデバイス4000と通信して、加湿器5000の動作を変更してもよい。
【0610】
前述の例において、周囲湿度に基づいて加湿を可能にすることを参照する場合、アイマスクシステム7000は、加湿器5000を制御したり、例えば加湿器の電力レベルを増加させることによって既存の加湿可能量を増加させるよう患者に促したりするように構成することもできることを理解されたい。アイマスクシステム7000は、加湿を不能にしたり(または加湿を不能にするよう患者に促したり)、加湿器5000を制御したり、例えば加湿器の電力レベルを低下させることによって、加湿量を低下させるよう患者に促したりすることもできる。
【0611】
アイマスクシステム7000が、例えば図15および図16に示す例中の一体型流れ生成器7400を含む本技術の他の形態において、アイマスクシステム7000は、湿度センサも含み得る。アイマスクシステム7000は、湿度をユーザに報告するように構成され得、その結果、例えばユーザは、周囲湿度を増加(または、所望であれば低下)させる対策を、例えば室内加湿器を動作させることによって施すことができる。
【0612】
いくつかの例において、湿度センサは、絶対または相対湿度読取り値を提供し得、いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、ある種類の湿度読取り値から他の種類の湿度読取り値に、対応する温度読取り値を用いて変換し得ることが理解されるべきである。
【0613】
図10図12または図15に示す任意の例などのいくつかの例において、アイマスクシステム7000は、熱湿交換(HMX:heat and moisture exchange)を含み得る。患者は、気道の粘膜から発生する呼息時の一定レベルの加湿空気を生成する。アイマスクシステム7000は、治療的圧力における空気供給と、患者が吐き出した空気との両方に露出するHMXを含み得る。HMXは、呼息時に加湿空気から湿度を捕捉した後、入ってくる空気供給に湿気を再導入してそれを加湿することによって、吐き出された水分をリサイクルするのに使用することができる。
【0614】
いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、湿度センサ(例えば、入ってくる空気供給の湿度を測定する周囲湿度センサまたは湿度センサ)の出力を分析するように構成され得、HMXに関連した変更を行うよう患者に促すように構成され得る。例えば、アイマスクシステム7000は、測定された湿度(周囲、または空気供給の)が所定の閾値を下回っていることを決定し、HMXをフィットさせるようユーザに促すように構成され得る。代替として、アイマスクシステム7000は、HMXを除去するようユーザに促すように構成され得る。いくつかの例において、アイマスクシステム7000は、あるHMXモデルから、異なる量の加湿を提供する別のHMXモデルに変えるようユーザに促すように構成され得る。
5.10 用語集
【0615】
本技術の開示のために、本技術の特定の形態においては、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態においては、代替の定義が適用され得る。
5.10.1 概括
【0616】
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味すると解釈されてもよく、本技術の他の形態において、空気は、いくつかの他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素が豊富な大気)を意味すると解釈されてもよい。
【0617】
周囲:本技術の特定の形態において、周囲という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接取り囲む環境を意味すると解釈される。
【0618】
例えば、加湿器に対する周囲湿度は、加湿器を直接取り囲む空気の湿度(例えば、患者が睡眠をとっている部屋内の湿度)であり得る。このような周囲湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外の湿度とは異なる場合がある。
【0619】
別の例において、周囲圧力は、身体を直接取り囲む圧力、または体外の圧力であり得る。
【0620】
特定の形態において、周囲(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスによって生成されたりマスクまたは患者インターフェースから発したりするノイズではなく、患者が位置している部屋内のバックグラウンドノイズレベルとみなされ得る。周囲ノイズは、部屋の外の発生源から生成され得る。
【0621】
自動気道陽圧(APAP)療法:SDB事象の兆候の存在または不在に応じて、例えば呼吸するごとに、最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調整可能なCPAP療法。
【0622】
持続的気道陽圧(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧力療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息中に若干高く、吸息中に若干低い。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間で変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出を受けて増加し、部分的な上気道閉塞の兆候が存在しなければ減少する)。
【0623】
流量:単位時間当たりに送達される空気の体積(または質量)。流量は、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量への参照は、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)への参照である。他の場合において、流量への参照は、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向の両方を有する量)への参照である。流量は、記号Qで与えられる。時には「流量」は、単に「流れ」または「空気流れ」と短縮される。
【0624】
患者の呼吸の例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対して名目上正であり、したがって患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。デバイス流量Qdは、RPTデバイスを出る空気の流量である。合計流量Qtは、空気回路を介して患者インターフェースに到達する空気および任意の補充用ガスの流量である。通気流量Qvは、吐き出されたガスの洗い流しを可能にするために通気部を出る空気の流量である。漏れ流量Qlは、患者インターフェースシステムまたはその他のところからの漏れの流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系内に受容される空気の流量である。
【0625】
流れ療法:制御された流量(患者の呼吸サイクル全体を通じて典型的には正である治療流量と呼ばれる)で気道への入口に空気流れを送達することを含む呼吸療法。
【0626】
加湿器:加湿器という単語は、患者の医療的呼吸器疾病を改善するために、治療的に有益な量の水(HO)蒸気を空気流れへ提供できるように構築および配置されたり、そのための物理的構造で構成されたりする加湿装置を意味すると解釈される。
【0627】
漏れ:漏れという用語は、意図しない空気流れと解釈される。一例において、漏れは、マスクと患者の顔との間の不完全なシールの結果として発生し得る。別の例において、漏れは、周囲へのスイベルエルボ内で発生し得る。
【0628】
ノイズ、伝導性(音響):本文書において、伝導ノイズは、空気圧行路(例えば、空気回路および患者インターフェース、ならびにその内部の空気)によって患者に伝わるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することによって定量化され得る。
【0629】
ノイズ、放射性(音響):本文書において、放射ノイズは、周囲空気によって患者に伝わるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該物体の音響パワー/音圧レベルをISO3744に従って測定することにより定量化され得る。
【0630】
ノイズ、通気(音響):本文書において、通気ノイズは、任意の通気部(例えば、患者インターフェースの通気穴)を通過する空気流れにより生成されるノイズを指す。
【0631】
患者:呼吸器疾病を患っているかどうかにかかわらず、人。
【0632】
圧力:単位面積当たりの力。圧力は、cmHO、g-f/cm、およびヘクトパスカルを含む、多様な単位で表現され得る。1cmHOは、1g-f/cmに等しく、およそ0.98ヘクトパスカル(1ヘクトパスカル=100Pa=100N/m=1ミリバール~0.001atm)である。本明細書において、別段の記載がない限り、圧力はcmHOの単位で与えられる。
【0633】
患者インターフェース内の圧力は、記号Pmで与えられる一方、現時点でインターフェース圧力Pmによって達成される目標値を表す治療圧力は、記号Ptで与えられる。
【0634】
呼吸圧力療法(RPT):雰囲気に対して典型的には正である治療圧力で、空気供給を気道への入口に適用。
【0635】
ベンチレータ:呼吸仕事の一部または全部を行うように、患者に圧支持を提供する機械デバイス。
5.10.1.1 材料
【0636】
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンへの参照は、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)への参照である。市販のLSRの一形態は、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この商標で販売されている製品の範囲内に含まれる)である。別のLSR製造業者は、Wackerである。別段の定めがない限り、例示的形態のLSRは、ASTM D2240によって測定する場合、約35~約45の範囲内のショアA(またはタイプA)押込み硬さを有する。
【0637】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの熱可塑性ポリマーである。
5.10.1.2 機械的特性
【0638】
弾力:弾性変形したときにエネルギーを吸収し、負荷を除いたときにエネルギーを放出する、材料の能力。
【0639】
弾力のある:負荷を除いたときに実質的に全てのエネルギーを放出する。例えば、特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
【0640】
硬度:材料自体が変形に抵抗する能力(例えば、ヤング率、または標準化されたサンプルサイズで測定された押込み硬さスケールによって記載されている)。
● 「軟質」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下で容易に変形し得る。
● 「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下で容易に変形し得ない。
【0641】
構造または構成要素のスティフネス(または剛性):加えた負荷に対応して、構造または構成要素が変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメント(例えば、圧縮、張力、曲げまたはねじれ)であり得る。構造または構成要素は、異なる方向に異なる抵抗を提供し得る。スティフネスの逆は、可撓性である。
【0642】
ぺらぺらの構造または構成要素:その自重を支持するようになったとき、比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状が変化する(例えば、曲がる)構造または構成要素。
【0643】
硬性の構造または構成要素:典型的には使用時に直面する負荷をかけたとき、形状の変化が実質的にない構造または構成要素。このような用途の例としは、例えばおよそ20~30cmHOの圧力の負荷で、患者インターフェースを患者の気道への入口との密閉関係でセットアップおよび維持することがあり得る。
【0644】
一例として、I型鋼は、第2の直交方向と比較して、第1の方向に異なる曲げスティフネス(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の例において、構造または構成要素は、第1の方向においてはぺらぺらし、第2の方向においては硬性であり得る。
5.10.2 呼吸サイクル
【0645】
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸は、流れが所定の閾値をある期間、例えば10秒間下回った場合、発生したと言われる。閉塞性無呼吸は、患者の努力にもかかわらず、多少の気道の閉塞により空気が流れない場合、発生したと言われる。中枢性無呼吸は、気道が開いているにもかかわらず、呼吸努力の低下または呼吸努力の不在に起因する無呼吸が検出された場合、発生したと言われる。混合性無呼吸は、呼吸努力の低下または不在が気道の閉塞と同時に生じた場合に発生する。
【0646】
呼吸速度:通常、1分当たりの呼吸数で測定される、患者の自発呼吸の速度。
【0647】
デューティサイクル:合計呼吸時間Ttotに対する吸息時間Tiの比。
【0648】
努力(呼吸):呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われた仕事。
【0649】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流の開始から吸気流の開始までの期間。
【0650】
流れ制限:流れ制限は、患者による努力の増加が流れの対応する増加を引き起こさない、患者の呼吸の状況であると解釈される。流れ制限は、呼吸サイクルの吸気部分中に発生する場合、吸気流制限と記述され得る。流れ制限は、呼吸サイクルの呼気部分中に発生する場合、呼気流制限と記述され得る。
【0651】
流れ制限のある吸気波形の種類:
(i)平坦状:上昇の後に比較的平坦な部分が続いた後、下降が発生する。
(ii)M字型:2つの局所的ピーク(前縁に1つ、そして後縁に1つ)を有し、2つのピークの間には比較的平坦な部分がある。
(iii)椅子状:前縁にある、単一の局所的ピークを有し、このピークに続いて比較的平坦な部分がある。
(iv)逆椅子状:比較的平坦な部分に続いて単一の局所的ピークを有し、このピークは後縁にある。
【0652】
低呼吸:いくつかの定義によれば、低呼吸は、流れの終止ではなく、流れの低下と解釈される。一形態において、低呼吸は、ある期間、流れが閾値速度未満に低下する場合、発生したと言われる。中枢性低呼吸は、呼吸努力の低下に起因する低呼吸が検出された場合、発生したと言われる。成人における一形態においては、以下のいずれかが低呼吸と見なされ得る:
(i)患者の呼吸が、少なくとも10秒間30%低下すると共に、4%の関連した脱飽和がある;または
(ii)患者の呼吸が少なくとも10秒間低下すると共に(ただし、50%未満)、少なくとも3%の関連した脱飽和または目覚めがある。
【0653】
過呼吸:通常より高いレベルへの流れの増加。
【0654】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流の開始から呼気流の開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分と解釈される。
【0655】
開通性(気道):気道が開いている程度、または気道が開いている範囲。開通性の気道は、開いている。気道開通性は、例えば、開通性を示す値一(1)と、閉鎖(閉塞)を示す値ゼロ(0)とで定量化され得る。
【0656】
終末呼気陽圧(PEEP):肺中の雰囲気を越える圧力であり、呼気の終了時に存在する。
【0657】
ピーク流量(Qpeak):呼吸流れ波形の吸気部分中の流量の最大値。
【0658】
呼吸流量、患者の空気流量、呼吸空気流量(Qr):これらの用語は、通常1分当たりのリットルで表現される、患者が経験する実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸流量」と対照的に、RPTデバイスの呼吸流量の推定値を指すと理解され得る。
【0659】
一回換気量(Vt):余分の努力を注がない場合、通常の呼吸中に吸い込まれたり吐き出されたりする空気の体積。原則として、吸気体積Vi(吸い込まれた空気の体積)は、呼気体積Ve(吐き出された空気の体積)に等しいため、単一の一回換気量Vtは、いずれの量にも等しいと規定され得る。実際には、一回換気量Vtは、何らかの組み合わせ、例えば吸気体積Viと呼気体積Veとの平均として推定される。
【0660】
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の持続時間。
【0661】
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の持続時間。
【0662】
(合計)時間(Ttot):呼吸流量波形の1つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の次の吸気部分の開始との間の合計持続時間。
【0663】
典型的な最近の換気:ある所定の時間スケールにわたる換気Ventの最近の値が周りに密集する傾向がある換気の値(すなわち、換気の最近の値の代表値)。
【0664】
上気道閉塞上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および全体的な上気道閉塞の両方を含む。これは、上気道にわたって圧力差が増加するとき、流量がごく僅かに増加するか減少することさえあり得る(スターリングレジスター挙動)、流れ制限の状態と関連し得る。
【0665】
換気(Vent):患者の呼吸器系によって交換されているガスの割合の測定値。換気の測定値は、単位時間当たりの吸気および呼気流のうち一方または両方を含み得る。1分当たりの体積として表現される場合、この量は、「分時換気量」と呼ばれることが多い。分時換気量は、時には単に体積として与えられ、1分当たりの体積と理解される。
5.10.3 解剖学的構造
5.10.3.1 顔の解剖学的構造
【0666】
鼻翼(ala):各鼻の穴の外部の外壁または「翼状部」(複数形:alar)
【0667】
鼻翼角(alar angle):
【0668】
鼻翼点(alare):鼻翼上の最外側点。
【0669】
鼻翼溝外側(または鼻翼基部最側方)点:鼻翼と頬との結合によって形成される折り目で見出される、各鼻翼の曲線状のベースラインにおける最後側点。
【0670】
耳介:耳の視認できる部分の全体。
【0671】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨と、上顎骨前頭突起と、前頭骨の鼻部とを含む。
【0672】
(鼻)軟骨骨格:鼻の軟骨骨格は、鼻中隔軟骨、側鼻軟骨、大軟骨および小軟骨を含む。
【0673】
鼻柱:鼻孔を分離し、鼻尖点から上唇に走る皮膚片。
【0674】
鼻柱の角度:鼻の穴の開口の中点を通って引かれる線と、鼻下点と交差しつつフランクフォート水平に垂直に引かれる線との間の角度。
【0675】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下側点から左耳珠点まで延びる線。耳珠点は、耳介の耳毛よりも上側の切痕における最深点である。
【0676】
眉間:軟組織上に位置。額の正中矢状面における最隆起点。
【0677】
外側鼻軟骨:ほぼ三角形の軟骨板。その上側縁は、鼻骨、および上顎骨前頭突起に取り付けられ、その下側縁は、大鼻翼軟骨に接続される。
【0678】
下唇(下唇点):
【0679】
上唇(上唇点):
【0680】
大鼻翼軟骨:外側鼻軟骨の下にある軟骨板。これは、鼻孔の前側部の周りで曲線状になる。その後側端は、鼻翼の3つまたは4つの小軟骨を収容する頑丈な線維膜により上顎骨前頭突起に接続される。
【0681】
鼻孔(鼻の穴):鼻腔への入口を形成する、ほぼ楕円形の開口。鼻孔(nares)の単数形は、鼻孔(naris)(鼻の穴)である。鼻孔は、鼻中隔によって分離される。
【0682】
鼻唇溝またはほうれい線:頬を上唇から分離する、鼻の各側から口の角部に走る皮膚の襞または溝。
【0683】
鼻唇角:鼻下点と交差している状態での鼻柱と上唇との間の角度。
【0684】
下耳底点:顔の皮膚への耳介の取り付けの最下点。
【0685】
上耳底点:顔の皮膚への耳介の取り付けの最高点。
【0686】
鼻尖点:頭部の一部の残りの側面図で特定できる、鼻の最突出点または先端。
【0687】
人中:鼻中隔の下側境界線から上唇領域内の唇の頂部に走る正中溝。
【0688】
ポゴニオン:軟組織上に位置。頤の最前中点。
【0689】
(鼻)堤:鼻堤は、セリオンから鼻尖点まで延びる、鼻の正中線隆起部である。
【0690】
矢状面:前側(前方)から後側(後方)まで通り過ぎる垂直面。正中矢状面は、身体を右半分と左半分とに分割する矢状面である。
【0691】
セリオン:軟組織上に位置。前頭鼻骨縫合の領域上に横たわる最凹点。
【0692】
(鼻)中隔軟骨:鼻中隔軟骨は、中隔の一部を形成し、鼻腔の前方部を分割する。
【0693】
鼻翼最下点:鼻翼基部がウワクチビル(上唇)の皮膚と接合する、鼻翼基部の下縁にある点。
【0694】
鼻下点:軟組織上に位置。鼻柱が正中矢状面内で上唇と合流する点。
【0695】
スプラメントン:下唇点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の正中線内の最凹点。
5.10.3.2 頭蓋骨の解剖学的構造
【0696】
前頭骨:前頭骨は、額として知られている領域に対応する大型垂直部分、すなわち、前頭鱗を含む。
【0697】
下顎骨:下顎骨は、下顎を形成する。オトガイ隆起は、頤を形成する顎の骨隆起である。
【0698】
上顎骨:上顎骨は、上顎を形成し、下顎骨の上および眼窩の下に位置する。上顎骨前頭突起は、鼻の側部によって上方へ突出し、その外側境界の一部を形成する。
【0699】
鼻骨:鼻骨は、個人によってサイズおよび形態が異なる2つの小さな縦長の骨であり;顔の中間部および上部に並んで配置され、それらの接合により鼻「梁」を形成する。
【0700】
ナジオン:前頭骨と2つの鼻骨との交わり。両眼のちょうど間、そして鼻梁の上側にある凹領域。
【0701】
後頭骨:後頭骨は、頭蓋の後部および下部に位置している。これは、卵形の開口(すなわち、大後頭孔)を含み、大後頭孔を介して、頭蓋腔が脊椎管と連通する。大後頭孔の背後にある曲線状の板は、後頭鱗である。
【0702】
眼窩:眼球を収容するための、頭蓋骨内の骨小腔。
【0703】
頭頂骨:頭頂骨は、互いに接合されると頭蓋の天井および側部を形成する骨である。
【0704】
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨のベースおよび側部上に位置し、こめかみとして知られている顔のその部分を支持する。
【0705】
頬骨:顔は、顔の上部および外側部内に位置して頬の隆起を形成する2つの頬骨を含む。
5.10.3.3 呼吸器系の解剖学的構造
【0706】
横隔膜:胸郭の底部を横切って延びる、シート状の筋肉。横隔膜は、心臓と、肺と、肋骨とを収容する胸腔を腹腔から分離する。横隔膜が収縮すると、胸腔の体積が増加し、空気が肺内へ引き込まれる。
【0707】
喉頭:喉頭または発声器は、声帯ひだを収容し、咽頭の下側部(下咽頭)を気管と接続する。
【0708】
肺:ヒトの呼吸器官。肺の伝導領域は、気管、気管支、細気管支、および終末細気管支を収容する。呼吸領域は、呼吸細気管支、肺胞管および肺胞を収容する。
【0709】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中間の鼻の上および背後にある、大きな空気充填空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィン(vertical fin)によって2つに分割される。鼻腔の側部上には、鼻甲介(nasal conchae(単数形:「concha」)またはturbinate)と呼ばれる、水平に延びた部分が3つある。鼻腔の前方には鼻がある一方、後部は、後鼻孔を介して鼻咽頭へと一体化する。
【0710】
咽頭:鼻腔のすぐ下側(下)、ならびに食道および喉頭の上側に位置する喉の一部。咽頭は、従来から以下の3つのセクションに分割される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部)、口咽頭(中咽頭)(咽頭の口腔部)、および咽頭喉頭部(下咽頭)。
5.10.4 患者インターフェース
【0711】
窒息防止弁(AAV):フェイルセイフ方式で雰囲気へ開放することによって、患者による過度のCO再呼吸の危険性を低減するマスクシステムの構成要素またはサブアセンブリ。
【0712】
エルボ:エルボは、所定の角度にわたって方向を変えるために、それを通過する空気流れの軸を方向付ける構造の例である。一形態において、角度は、およそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度よりも大きくても小さくてもよい。エルボは、ほぼ円形の断面を有し得る。別の形態において、エルボは、卵形または矩形の断面を有し得る。特定の形態において、エルボは、嵌め合い構成要素に対して、例えば約360度回転可能であり得る。特定の形態において、エルボは、嵌め合い構成要素から、例えばスナップ接続を介して取り外し可能であり得る。特定の形態において、エルボは、製造中に一回限りのスナップを介して嵌め合い構成要素に組み立ててもよいが、患者が取り外すことはできない。
【0713】
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重に耐えるマスク構造を意味すると解釈される。マスクフレームは、マスク内の非気密性の耐力構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
【0714】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上で使用するように設計された形態の位置決めおよび安定化構造を意味すると解釈される。例えば、ヘッドギアは、患者インターフェースを呼吸療法の送達のために患者の顔上の所定位置に位置づけて保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよびスティフナーの集合を含み得る。いくつかのタイは、軟質で可撓性と弾性のある材料(例えば、発泡体および織地の積層複合体)で形成される。
【0715】
膜:膜は、好ましくは曲げに実質的に抵抗しないが伸展には抵抗する、典型的には肉薄の要素を意味すると解釈される。
【0716】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、一定体積の空間を少なくとも部分的に包囲する壁を有する患者インターフェースの一部を意味すると解釈され、この体積は、使用時に加圧されて気圧を越える空気をその内部に有する。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
【0717】
シール:名詞形(「シール」)は構造を指し、動詞形(「密閉する」)は効果を指し得る。2つの要素は、別々の「シール」要素自体を必要とすることなく、その間を「密閉」したり「密閉」効果をもたらしたりするように構築および/または配置され得る。
【0718】
シェル:シェルは、曲げ、引張および圧縮スティフネスを有する曲線状の比較的肉薄の構造を意味すると解釈される。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであってもよい。いくつかの形態において、シェルは、ファセットされてもよい。いくつかの形態において、シェルは、気密であってもよい。いくつかの形態において、シェルは、気密でなくてもよい。
【0719】
スティフナー:スティフナーは、別の構成要素の剛軟度を少なくとも1つの方向で増加させるように設計された構造的構成要素を意味すると解釈される。
【0720】
支柱:支柱は、別の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向で増加させるように設計された構造的構成要素と解釈される。
【0721】
スイベル(名詞):好ましくは独立して、好ましくは低トルク下で、共通軸を中心に回転するように構成された構成要素のサブアセンブリ。一形態において、スイベルは、少なくとも360度の角度にわたって回転するように構築され得る。別の形態において、スイベルは、360度未満の角度にわたって回転するように構築され得る。空気送達導管の文脈において用いられる場合、構成要素のサブアセンブリは、好ましくは、一対組合せの円筒形導管を含む。使用時にスイベルからの空気流れの漏れに、ほとんどまたは全くない。
【0722】
タイ(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
【0723】
通気部:(名詞):吐き出されたガスを臨床的に有効に洗い流すために、マスクまたは導管の内部から周囲空気への空気流れを可能にする構造。例えば、臨床的に有効な洗い流しは、マスク設計および治療圧力に応じて、1分当たり約10リットルから1分当たり約100リットルの流量を伴う。
5.10.5 構造の形状
【0724】
本技術による製品は、1つ以上の三次元機械構造、例えばマスククッションまたはインペラを含み得る。三次元構造は、二次元表面によって境界付けられ得る。これらの表面は、関連した表面の配向、位置、機能または他の何らかの特性を記述するためにラベルを用いて区別され得る。例えば、構造は、前側表面、後側表面、内部表面および外部表面のうち1つ以上を含み得る。別の例において、シール形成構造は、顔接触(例えば、外)表面と、別々の非顔接触(例えば、底面または内)表面を含み得る。別の例において、構造は、第1の表面および第2の表面を含み得る。
【0725】
表面および三次元構造の形状の説明を容易にするために、本発明者らは、点pで構造の表面を通る断面をまず考慮する。表面上の点pにおける断面、およびその結果得られる平面曲線の例を示す図3B図3Fを参照されたい。図3B図3Fは、pにおける外向き法線ベクトルも例示する。pにおける外向き法線ベクトルは、表面から離れる方向を指す。いくつかの例において、本発明者らは、表面上に直立している架空の小柄な人の観点から、その表面について説明する。
5.10.5.1 一次元における曲率
【0726】
pにおける平面曲線の曲率は、符号(例えば、正、負)および大きさ(例えば、1/pにおいて曲線に触れる円の半径)を有していると記述され得る。
【0727】
正の曲率:pにおける曲線が外向き法線に向かって曲がると、その点における曲率は、正と解釈される(架空の小柄な人は、点pから立ち去る場合、上り坂を登らなければならない)。図3B図3Cと比較して比較的大きい正の曲率)および図3C図3Bと比較して比較的小さい正の曲率)を参照されたい。このような曲線は、凹形と呼ばれることが多い。
【0728】
ゼロ曲率:pにおける曲線が直線である場合、曲率は、ゼロと解釈される(架空の小柄な人は、点pから立ち去る場合、上り下りせず平地を歩くことができる)。図3Dを参照されたい。
【0729】
負の曲率:pにおける曲線が外向き法線から離れる方向に曲がる場合、その点におけるその方向への曲率は、負と解釈される(架空の小柄な人は、点pから立ち去る場合、下り坂を歩かなければならない)。図3E図3Fと比較して比較的小さい負の曲率)および図3F図3Eと比較して比較的大きい負の曲率)を参照されたい。このような曲線は、凸状と呼ばれることが多い。
5.10.5.2 二次元表面の曲率
【0730】
本技術による二次元表面上の所与の点における形状の記述は、複数の法線断面を含み得る。複数の断面は、外向き法線(「法平面」)を含む平面内の表面を切断し得、各断面は、異なる方向にとられ得る。各断面により、対応する曲率を有する平面曲線が生じる。その点における異なる曲率は、同じ符号または異なる符号を有し得る。その点における曲率それぞれは、例えば、比較的小さい大きさを有する。図3B図3Fの平面曲線は、特定の点におけるこのような複数の断面の例であり得る。
【0731】
主曲率および方向:曲線の曲率がその最大値および最小値をとる法平面の方向を主方向と呼ばれる。図3B図3Fの例において、最大曲率は図3Bで発生し、最小は図3Fで発生するため、図3Bおよび図3Fは、主方向における断面である。pにおける主曲率は、主方向における曲率である。
【0732】
表面の領域:表面上の繋がっている一組の点。領域内の一組の点は、類似の特性、例えば曲率または符号を有し得る。
【0733】
鞍部領域:各点において主曲率が反対の符号(すなわち、一方は正であり、もう一方は負である)を有する領域(架空の人は、自分の向いている方向に応じて、上り坂または下り坂を歩き得る)。
【0734】
ドーム領域:各点において主曲率が同じ符号(例えば、両方とも正(「凹形ドーム」)、または両方とも負(「凸状ドーム」))を有する領域。
【0735】
円筒形領域:一方の主曲率はゼロ(または、例えば製作公差内でゼロ)であり、もう一方の主曲率は非ゼロである領域。
【0736】
平面領域:両方の主曲率がゼロ(または、例えば製作公差内でゼロ)である表面の領域。
【0737】
表面の縁部:表面または領域の境界または限界。
【0738】
行路:本技術の特定の形態において、「行路」は、数学-位相幾何学上の意味での行路(例えば、表面上におけるf(0)からf(1)への連続空間曲線)を意味すると解釈される。本技術の特定の形態において、「行路」は、例えば表面上の一組の点を含むルートまたはコースとして記述され得る。(架空の人にとって行路は、表面上でその人が歩くところであり、庭園内の小道(garden path)に類似する)。
【0739】
行路長:本技術の特定の形態において、「行路長」は、f(0)からf(1)への表面に沿った距離(すなわち、表面上の行路に沿った距離)を意味すると解釈される。表面上の2つの点間には1つよりも多くの行路があり得、このような行路は、異なる行路長を有し得る。(架空の人にとって行路長は、その人が表面上で行路に沿って歩くべき距離である)。
【0740】
直線距離:直線距離は、表面上の2つの点間の距離であるが、表面とは無関係である。平面領域上には、表面上の2つの点間の直線距離と同じ行路長を有する表縁上の距離がある。非平面表面上には、2つの点間の直線距離と同じ行路長を有する行路は存在し得ない。(架空の人にとって、直線距離は、「最短」距離に対応する)。
5.10.5.3 空間曲線
【0741】
空間曲線:平面曲線と異なり、空間曲線は、必ずしも任意の特定の平面内にあるとは限らない。空間曲線は閉じている可能性がある。すなわち、終点を有しない。空間曲線は、三次元空間の一次元ピースとみなされ得る。DNA螺旋の鎖上を歩く架空の人は、空間曲線に沿って歩く。典型的なヒトの左耳は、左巻き螺旋である螺旋を含む(図3Qを参照)。典型的なヒトの右耳は、右巻き螺旋である螺旋を含む(図3Rを参照)。図3Sは、右巻き螺旋を示す。構造の縁部(例えば、膜またはインペラの縁部)は、空間曲線をたどり得る。一般に、空間曲線は、空間曲線上の各点における曲率およびねじれ率によって説明され得る。ねじれ率とは、曲線がどのくらい平面の外へ曲がっているかの測定値である。ねじれ率は、符号および大きさを有する。空間曲線上の点におけるねじれ率は、その点における接線、法線および従法線ベクトルに関して特徴付けられ得る。
【0742】
接線単位ベクトル(または単位接線ベクトル):曲線上の各点について、その点におけるベクトルは、その点からの方向ならびに大きさを特定する。接線単位ベクトルは、その点における曲線と同じ方向を指す単位ベクトルである。架空の人が曲線に沿って飛行しており、特定の点で自身の乗り物から落下したとすると、接線ベクトルの方向は、その人が移動しているはずの方向である。
【0743】
単位法線ベクトル:架空の人が曲線に沿って移動すると、この接線ベクトル自体が変化する。接線ベクトルが変化している方向と同じ方向を指す単位ベクトルは、単位主法線ベクトルと呼ばれる。これは、接線ベクトルに垂直である。
【0744】
従法線単位ベクトル:従法線単位ベクトルは、接線ベクトルおよび主法線ベクトルの両方に垂直である。その方向は、右手の法則(例えば、図3Pを参照)、または代替として左手の法則(図3O)によって決定され得る。
【0745】
接触平面:単位接線ベクトルおよび単位主法線ベクトルを含む平面。図3Oおよび図3Pを参照されたい。
【0746】
空間曲線のねじれ率:空間曲線の点におけるねじれ率は、その点における従法線単位ベクトルの変化率の大きさである。これによって、曲線がどれほど接触平面から逸脱しているかが測定される。平面内にある空間曲線のねじれ率は、ゼロである。接触平面からの逸脱が比較的少量である空間曲線は、ねじれ率の大きさが比較的小さい(例えば、緩やかに傾斜した螺旋状の行路)。接触平面からの逸脱が比較的大量である空間曲線は、ねじれ率の大きさが比較的大きい(例えば、急傾斜の螺旋状の行路)。図3Sを参照して、T2>T1であるため、図3Sの螺旋の頂部コイルに近いねじれ率の大きさは、図3Sの螺旋の底部コイルのねじれ率の大きさよりも大きい。
【0747】
図3Pの右手の法則を参照して、右手の従法線の方向に向かって曲がる空間曲線は、右手の正のねじれ率を有するとみなされ得る(例えば、図3Sに示すような右巻き螺旋)。右手の従法線の方向から離れる方向に曲がる空間曲線は、右手の負のねじれ率(例えば、左巻き螺旋)を有するとみなされ得る。
【0748】
同様に、左手の法則を参照して(図3Oを参照)、左手の従法線の方向に向かって曲がる空間曲線は、左手の正のねじれ率(例えば、左巻き螺旋)を有するとみなされ得る。したがって、左手の正は、右手の負と同等である。図3Tを参照されたい。
5.10.5.4 穴
【0749】
表面は、一次元穴(例えば、平面曲線または空間曲線によって境界付けられた穴)を有し得る。穴を有する肉薄の構造(例えば、膜)は、一次元穴を有すると記述され得る。例えば、平面曲線によって境界付けられた、図3Iに示す構造の表面内の一次元穴を参照されたい。
【0750】
構造は、二次元穴(例えば、表面によって境界付けられた穴)を有し得る。例えば、膨張可能なタイヤは、タイヤの内部表面によって境界付けられた二次元穴を有する。別の例において、空気またはゲルのためのキャビティを有するブラダは、二次元穴を有し得る。例えば図3Lのクッションと、図3Mおよび図3N(ここで、二次元穴を境界付ける内部表面が示されている)における、そこを通る例示的断面とを参照されたい。さらに別の例において、導管は、(例えば、その入口またはその出口にある)一次元穴と、導管の内側表面によって境界付けられた二次元穴とを含み得る。図示のように表面によって境界付けられた、図3Kに示す構造を通る二次元穴も参照されたい。
5.11 他の注意事項
【0751】
本特許文書の開示の一部には、著作権保護の対象となる資料が含まれている。著作権所有者は、誰かが本特許文書または本特許開示を複製しても、それが特許庁の特許ファイルまたは記録に載っていれば、異議を唱えることはないが、そうでなければ、何であれ全ての著作権を留保する。
【0752】
文脈上明確に別段の指示がなく、値の範囲が提供されている場合、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限との間に介在する値それぞれ、および記載したその範囲における任意の他の記載の値または介在する値は、本技術内に包含されることが理解される。介在する範囲内に独立して含まれ得る、これらの介在する範囲の上限および下限も、記載した範囲内で任意の具体的に除外されている限度を条件として、本技術内に包含される。記載した範囲が限度のうち一方または両方を含む場合、それらの含まれている制限のうち一方または両方を除外する範囲も、本技術に含まれる。
【0753】
さらに、値(単数または複数)が本技術の一部として実装されるものとして本明細書に記載されている場合、別段の記載がない限り、このような値は近似値であり得、このような値は、実際的な技術的実装形態において許容または要求され得る程度まで、任意の適切な有効桁に利用し得ることが理解される。
【0754】
別段の規定がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様または同等な任意の方法および材料も、本技術の実施または試験において用いることができるが、本明細書には、限られた数の例示的方法および材料が記載されている。
【0755】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、反対の定めがない限り、本明細書に記載されている一切の構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、合わせてまたは別々に製造され得る。
【0756】
本明細書中および添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形(「a」、「an」および「the」)は、文脈上明確に別段の指示がない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0757】
本明細書に記載されている全ての刊行物は、その刊行物の主題である方法および/または材料を開示および記載するために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書中に論じられている刊行物は、本出願の出願日以前のその開示のためにのみ提供される。本明細書中のいずれも、本技術が従来の発明によりそのような刊行物に先行する権利を有しないという自白として解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の公開日とは異なる場合があり、公開日は独立に確認される必要があり得る。
【0758】
「含む(comprisesおよびcomprising)」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な方式で指すものとして解釈されるべきであり、参照される要素、構成要素またはステップが、明確に参照されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在したり、利用されたり、組み合わせられたりし得ることを示す。
【0759】
詳細な説明で用いられる主題の表題は、読者の参照を容易にするためにのみ含まれており、本開示または特許請求の範囲の全体にわたって見出される主題を制限するために使用されるべきではない。主題の表題は、特許請求の範囲または請求項の制限事項を解釈する際に用いられるべきではない。
【0760】
本明細書中の技術は、特定の例を参照して説明されてきたが、これらの例は、技術の原則および適用を例示したものに過ぎないことを理解すべきである。いくつかの事例において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示唆し得る。例えば、「第1の」および「第2の」という用語が用いられてもよいが、別に定めがない限り、これらの用語は、任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために利用され得る。さらに、方法論におけるプロセスステップは、順序で説明または例示されてもよいが、このような順序付けは必要とされない。当業者であれば、このような順序付けが変更されてもよく、かつ/またはその態様が同時にまたは同期的にさえ行われてもよいことを認識するであろう。
【0761】
それゆえ、本技術の精神および範囲から逸脱することなく、多数の変更が、実例に対して行われてもよく、他の配置構成が考案されてもよいことを理解すべきである。
【符号の説明】
【0762】
1000 患者
1100 同床者
3000 患者インターフェース
3100 密閉またはシール形成構造
3150 クッションモジュール
3200 プレナムチャンバ
3300 位置決めおよび安定化構造/ヘッドギア
3310 バックストラップ
3311 頭頂ストラップ部分
3312 後頭ストラップ部分
3313 外側ストラップ部分
3314 端部分
3320 顔支持部分
3330 アーム
3400 通気部
3600 接続ポート
4000 RPTデバイス
4010 外部ハウジング
4012 上部分
4014 下部分
4015 パネル
4016 シャシー
4018 ハンドル
4020 空気圧ブロック
4100 送風機ハウジング
4110 空気フィルタ
4112 入口空気フィルタ
4114 出口空気フィルタ
4120 マフラー
4122 入口マフラー
4124 出口マフラー
4140 圧力生成器
4142 送風機
4144 モータ
4160 アンチスピルバック弁
4170 空気回路
4175 短管
4202 プリント回路基板アセンブリ(PCBA)
4210 電力供給部
4220 入力デバイス
4230 中央コントローラ
4232 時計
4240 療法デバイスコントローラ
4250 保護回路
4260 メモリ
4270 トランスデューサ
4272 圧力センサ
4274 流量センサ
4276 モータ速度センサ
4280 データ通信インターフェース
4282 リモート外部通信ネットワーク
4284 ローカル外部通信ネットワーク
4286 リモート外部デバイス
4288 ローカル外部デバイス
4290 出力デバイス
4292 ディスプレイドライバ
4294 ディスプレイ
5000 加湿器
5002 加湿器入口
5004 加湿器出口
5006 加湿器ベース
5110 加湿器リザーバ
5120 伝導性部分
5130 加湿器リザーバドック
5135 ロックレバー
5150 水位指示器
5240 加熱要素
7000 アイマスクシステム
7100 アイマスク
7110 EEGセンサ
7111 ECGセンサ
7112 心拍数センサ
7113 酸素飽和度センサ
7114 血圧センサ
7115 加速度計
7116 体温センサ
7117 周囲温度センサ
7118 マイクロフォン
7120 ハウジング
7130 音響トランスデューサ
7131 ディスプレイ
7132 温度トランスデューサ
7133 香気トランスデューサ
7134 レンズ
7140 インターフェース構造
7400 流れ生成器
7900 プロセッサ
7910 メモリ
7920 通信モジュール
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図2L
図3A
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図6A
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2022-04-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠呼吸障害の治療のために呼吸圧力療法をユーザに提供するアイマスクシステムであって、前記アイマスクシステムは、
使用時に前記ユーザの眼を覆うように構成されたアイマスク;
前記ユーザの睡眠に影響を与えること、および/または前記ユーザの睡眠の特性を検出すること、および/または睡眠中に前記ユーザの特性を検出することを行うように構成された1つ以上のトランスデューサ
を含み;
前記アイマスクシステムは、
前記ユーザによる呼吸のために治療的圧力で空気回路から加圧された空気流れを受容し、前記空気回路へ流体接続するように構成された接続ポート;または
前記加圧された空気流れを前記治療的圧力で生成するように構成された流れ生成器
のうち1つをさらに含み、
前記アイマスクは
前記治療的圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、前記空気流れを前記治療的圧力で受容するようなサイズおよび構造にされる、プレナムチャンバと、
前記ユーザの気道への入口を取り囲む前記ユーザの顔の領域とのシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その内部に穴を有し、その結果、前記治療的圧力で前記空気流れは、少なくとも前記ユーザの鼻孔への入口へ送達され、前記シール形成構造は、使用時に前記治療的圧力を前記プレナムチャンバ内において前記ユーザの呼吸サイクル全体を通じて維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの内部から周囲へ、前記ユーザによって吐き出されたガスが連続的に流れるようにする通気部であって、前記通気は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気部と、をさらに含み、
前記アイマスクシステムは、以下の少なくとも2つのモード、すなわち呼吸圧力療法を前記ユーザに提供しない非治療モード、および睡眠呼吸障害の治療のために呼吸圧力療法を前記ユーザに提供する治療モード、で動作するように構成される、アイマスクシステム。
【請求項2】
前記1つ以上のトランスデューサは、前記ユーザの睡眠の特性、および/または睡眠中の前記ユーザの特性を検出するように構成された1つ以上のセンサを含む、請求項1に記載のアイマスクシステム。
【請求項3】
前記1つ以上のセンサは、EEGセンサを含む、請求項2に記載のアイマスクシステム。
【請求項4】
前記1つ以上のセンサは、ECGセンサ、心拍数センサ、酸素飽和度センサおよび/または血圧センサを含む、請求項2または請求項3に記載のアイマスクシステム。
【請求項5】
前記1つ以上のセンサは、加速度計および/またはマイクロフォンを含む、請求項2~4のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項6】
前記1つ以上のセンサは、周囲温度センサおよび/または体温センサを含む、請求項2~5のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項7】
前記アイマスクシステムは、前記センサのうち1つ以上の出力を分析するように構成される、請求項2~6のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項8】
前記アイマスクシステムは、睡眠特性の特定、問題の特定、結果の予測、および/または前記分析に基づいた推奨事項の提供を行うように構成される、請求項7に記載のアイマスクシステム。
【請求項9】
前記アイマスクシステムは、障害の検出および/または診断を行うように構成される、請求項8に記載のアイマスクシステム。
【請求項10】
前記アイマスクシステムは、睡眠呼吸障害を検出するように構成される、請求項9に記載のアイマスクシステム。
【請求項11】
前記アイマスクシステムは、少なくとも前記非治療モードにおいて睡眠呼吸障害を検出するように構成される、請求項10に記載のアイマスクシステム。
【請求項12】
前記アイマスクシステムは、無呼吸、低呼吸、過呼吸および喘ぎのうち1つ以上を少なくとも前記非治療モードにおいて検出するように構成される、請求項10または請求項11に記載のアイマスクシステム。
【請求項13】
前記アイマスクシステムは、前記非治療モードにおいて睡眠呼吸障害を検出し、睡眠呼吸障害が検出された際に前記非治療モードから前記治療モードに切り替わるように構成される、請求項1~12のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項14】
前記アイマスクシステムは、シール形成構造を含み、前記シール形成構造は、前記シール形成構造が前記ユーザと接触しない非接触位置と、前記シール形成構造によって前記ユーザの顔に対してシールを形成することが可能な密閉位置との間で移動可能であり、前記アイマスクシステムは、前記非治療モードから前記治療モードへの変化中に前記シール形成構造を前記非接触位置から前記密閉位置へ移動させるように構成される、請求項1~13のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項15】
前記アイマスクシステムは、クッションモジュールを含み、前記クッションモジュールは、前記シール形成構造を含み、前記プレナムチャンバを少なくとも部分的に形成する、請求項1~12のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項16】
前記クッションモジュールは、前記アイマスクに取り外し可能に取り付け可能である、請求項15に記載のアイマスクシステム。
【請求項17】
前記アイマスクシステムは、前記クッションモジュールが前記アイマスクに取り付けられているかどうかに関係なく前記非治療モードで動作可能である、請求項16に記載のアイマスクシステム。
【請求項18】
前記クッションモジュールは、前記アイマスクに対して移動可能である、請求項15~17のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項19】
前記クッションモジュールは、前記シール形成構造が前記ユーザと接触しない非接触位置と、前記シール形成構造によって前記ユーザの顔に対してシールを形成することが可能な密閉位置との間で移動可能である、請求項18に記載のアイマスクシステム。
【請求項20】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが就眠中であることを特定するように構成される、請求項1~19のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項21】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが就眠中であることが特定される際に、前記非治療モードから前記治療モードに切り替わるように構成される、請求項20に記載のアイマスクシステム。
【請求項22】
睡眠呼吸障害の治療のためのアイマスクシステムであって、前記アイマスクシステムは、
使用時にユーザの眼を覆うように構成されたアイマスク;
前記ユーザの睡眠に影響を与えること、および/または前記ユーザの睡眠の特性を検出すること、および/または睡眠中に前記ユーザの特性を検出することを行うように構成された1つ以上のトランスデューサ
を含み;
前記アイマスクシステムは、
空気回路から前記ユーザによる呼吸のために治療的圧力で加圧された空気流れを受容し、前記空気回路へ流体接続するように構成された接続ポート;または
前記加圧された空気流れを前記治療的圧力で生成するように構成された流れ生成器
のうち1つをさらに含み、
前記アイマスクは
前記治療的圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、前記空気流れを前記治療的圧力で受容するようなサイズおよび構造にされる、プレナムチャンバと、
患者の気道への入口を取り囲む前記患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その内部に穴を有し、その結果、前記治療的圧力で前記空気流れは、少なくとも前記患者の鼻孔への入口へ送達され、前記シール形成構造は、使用時に前記治療的圧力を前記プレナムチャンバ内において前記患者の呼吸サイクル全体を通じて維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの内部から周囲へ、前記患者によって吐き出されたガスが連続的に流れるようにする通気部であって、前記通気は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気部と、をさらに含み、
前記アイマスクシステムは、呼吸圧力療法中に前記ユーザが就寝すること、および/または就眠を維持することを支援するように構成される、アイマスクシステム。
【請求項23】
前記1つ以上のトランスデューサは、周囲環境の特性、前記ユーザの睡眠の特性、および/または前記ユーザの特性を検出するように構成された1つ以上のセンサを含む、請求項22に記載のアイマスクシステム。
【請求項24】
前記1つ以上のセンサは、EEGセンサを含む、請求項23に記載のアイマスクシステム。
【請求項25】
前記1つ以上のセンサは、ECGセンサ、心拍数センサ、酸素飽和度センサおよび/または血圧センサを含む、請求項23または請求項24に記載のアイマスクシステム。
【請求項26】
前記1つ以上のセンサは、加速度計および/またはマイクロフォンを含む、請求項23~25のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項27】
前記1つ以上のセンサは、周囲温度センサおよび/または体温センサを含む、請求項23~26のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項28】
前記アイマスクシステムは、前記センサのうち1つ以上の出力を分析し、前記分析に基づいてアクションを行うように構成される、請求項23~27のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項29】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザの睡眠を最適化するように構成される、請求項23~28のうちいずれか一項のアイマスクシステム。
【請求項30】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが就寝すること、および/または就眠を維持することを支援し得る変化を、発生した場合に決定するように構成される、請求項23~29のうちいずれか一項のアイマスクシステム。
【請求項31】
前記アイマスクシステムは、前記センサのうち1つ以上の出力に基づいて前記空気流れの治療的圧力を調整するように構成される、請求項23~30のうちいずれか一項のアイマスクシステム。
【請求項32】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが起床していることを検出し、前記治療的圧力を低下させるように構成される、請求項31に記載のアイマスクシステム。
【請求項33】
前記アイマスクシステムは、周囲ノイズが所定の閾値を超えたことが検出された際に治療的圧力を低下させるように構成される、請求項31または請求項32に記載のアイマスクシステム。
【請求項34】
前記アイマスクシステムは、マイクロフォンおよび音響トランスデューサを含む、請求項23~33のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項35】
前記アイマスクシステムは、周囲ノイズが所定の閾値を超えたことが検出された際に前記音響トランスデューサを用いてノイズキャンセリング効果を提供するように構成される、請求項34に記載のアイマスクシステム。
【請求項36】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが起床していることが検出された際に前記音響トランスデューサを用いてノイズキャンセリング効果を提供するように構成される、請求項34または35に記載のアイマスクシステム。
【請求項37】
前記1つ以上のトランスデューサは、前記ユーザの睡眠に影響を与えるように構成された1つ以上の出力トランスデューサを含む、請求項22~32のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項38】
前記1つ以上の出力トランスデューサは、前記ユーザの就寝を支援すること、前記ユーザの就眠の維持を支援すること、および/または睡眠の質を向上させることを行うように構成される、請求項37に記載のアイマスクシステム。
【請求項39】
前記アイマスクシステムは、前記出力トランスデューサのうち1つを動作させて、より長い睡眠、より深い睡眠、より長い深睡眠、およびより長いレム睡眠のうち1つ以上を達成するように構成される、請求項38に記載のアイマスクシステム。
【請求項40】
前記1つ以上の出力トランスデューサは、音響トランスデューサを含む、請求項37~39のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項41】
前記アイマスクシステムは、前記音響トランスデューサを用いてノイズキャンセリング効果を提供するように構成される、請求項40に記載のアイマスクシステム。
【請求項42】
前記1つ以上の出力トランスデューサは、ディスプレイを含む、請求項39~41のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項43】
前記1つ以上の出力トランスデューサは、温度トランスデューサを含む、請求項39~42のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項44】
睡眠中にユーザの頭部上に着用されるように構成されたアイマスクシステムであって、前記アイマスクシステムは、
使用時に前記ユーザの眼を覆うように構成されたアイマスクと;
前記ユーザの睡眠に影響を与えること、および/または前記ユーザの睡眠の特性を検出すること、および/または睡眠中に前記ユーザの特性を検出することを行うように構成された1つ以上のトランスデューサと;
睡眠中に前記ユーザの眼を覆う使用時位置に前記アイマスクを保持する力を印加するように構成された少なくとも1つのストラップを含む位置決めおよび安定化構造と;を含む、アイマスクシステム。
【請求項45】
前記1つ以上のトランスデューサは、前記ユーザの睡眠の特性、および/または睡眠中の前記ユーザの特性を検出するように構成された1つ以上のセンサを含む、請求項44に記載のアイマスクシステム。
【請求項46】
前記1つ以上のセンサは、EEGセンサ、ECGセンサ、心拍数センサ、酸素飽和度センサ、血圧センサ、加速度計、体温センサ、周囲温度センサおよび/またはマイクロフォンのうち任意の1つ以上を含む、請求項45に記載のアイマスクシステム。
【請求項47】
前記アイマスクシステムは、睡眠特性の特定、問題の特定、結果の予測、および/または推奨事項の提供を行うように構成される、請求項44~46のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項48】
前記アイマスクシステムは、睡眠呼吸障害を検出するように構成される、請求項44~47のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項49】
前記アイマスクシステムは、ユーザが睡眠中であることを特定するように構成される、請求項44~48のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項50】
前記アイマスクシステムは、睡眠段階を特定するように構成される、請求項49に記載のアイマスクシステム。
【請求項51】
前記1つ以上のトランスデューサは、前記ユーザの睡眠に影響を与えるように構成された1つ以上の出力トランスデューサを含む、請求項44~50のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項52】
前記1つ以上の出力トランスデューサは、前記ユーザが就寝すること、および/または睡眠の質を向上させることを支援するように構成された1つ以上の出力トランスデューサを含む、請求項44~51のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項53】
前記アイマスクシステムは、前記出力トランスデューサのうち1つを動作させて、より長い睡眠、より深い睡眠、より長い深睡眠、およびより長いレム睡眠のうち1つ以上を達成するように構成される、請求項52に記載のアイマスクシステム。
【請求項54】
前記1つ以上の出力トランスデューサは、音響トランスデューサ、ディスプレイ、温度トランスデューサ、および/または香気トランスデューサのうち任意の1つ以上を含む、請求項52または請求項53に記載のアイマスクシステム。
【請求項55】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが呼吸することを弛緩または睡眠に資する方式で支援するように構成される、請求項44~54のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項56】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザの呼吸のためのキューを提供するように構成される、請求項55に記載のアイマスクシステム。
【請求項57】
前記アイマスクシステムは、
空気回路から前記ユーザによる呼吸のために治療的圧力で加圧された空気流れを受容し、前記空気回路へ流体接続するように構成された接続ポート;または
前記加圧された空気流れを前記治療的圧力で生成するように構成された流れ生成器
のうち1つをさらに含み、
前記アイマスクシステムは、
前記治療的圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、前記空気流れを患者による呼吸のために前記接続ポートから前記治療的圧力で受容するようなサイズおよび構造にされる、プレナムチャンバと;
前記患者の気道への入口を取り囲む前記患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その内部に穴を有し、その結果、前記治療的圧力で前記空気流れは、少なくとも前記患者の鼻孔への入口へ送達され、前記シール形成構造は、使用時に前記治療的圧力を前記プレナムチャンバ内において前記患者の呼吸サイクル全体を通じて維持するように構築および配置される、シール形成構造と;
前記プレナムチャンバの内部から周囲へ、前記患者によって吐き出されたガスが連続的に流れるようにする通気部であって、前記通気は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気部と;をさらに含む、請求項44~56のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項58】
前記アイマスクシステムは、クッションモジュールを含み、前記クッションモジュールは、前記シール形成構造を含み、前記プレナムチャンバを少なくとも部分的に形成する、請求項57に記載のアイマスクシステム。
【請求項59】
前記クッションモジュールは、前記アイマスクに取り外し可能に取り付け可能である、請求項58に記載のアイマスクシステム。
【請求項60】
前記アイマスクは、前記アイマスクのユーザ接触側上に位置決めされた1つ以上のクッション部分を含む、請求項44~59のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項61】
前記1つ以上のクッション部分は、テキスタイル;織地;発泡体;およびシリコーンのうち任意の1つ以上から形成される、請求項60に記載のアイマスクシステム。
【請求項62】
前記1つ以上のクッション部分は、第1のクッション部分および第2のクッション部分を含み、前記第1のクッション部分は、前記第2のクッション部分よりも大きな厚さおよび/または大きなユーザ接触表面を有し、前記第1のクッション部分は、前記第2のクッション部分よりも大きな力を前記ユーザの顔上に使用時に付与する前記アイマスクの部分内に位置決めされる、請求項60~61のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項63】
前記1つ以上のクッション部分は、第1のクッション部分および第2のクッション部分を含み、前記第1のクッション部分は、前記第2のクッション部分よりも大きな厚さおよび/または大きなユーザ接触表面を有し、前記第1のクッション部分は、前記ユーザの顔のうち使用時に前記第2のクッション部分と接触する部分よりも敏感な、使用時に前記ユーザの顔の一部と接触する前記アイマスクの部分内に位置決めされる、請求項60~62のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項64】
睡眠呼吸障害の治療のためのアイマスクシステムであって、前記アイマスクシステムは、
使用時にユーザの眼を覆うように構成されたアイマスク;
前記ユーザの睡眠に影響を与えること、および/または前記ユーザの睡眠の特性を検出すること、および/または睡眠中に前記ユーザの特性を検出することを行うように構成された1つ以上のトランスデューサ
を含み;
前記アイマスクシステムは、
空気回路から前記ユーザによる呼吸のために治療的圧力で加圧された空気流れを受容し、前記空気回路へ流体接続するように構成された接続ポート;または
前記加圧された空気流れを前記治療的圧力で生成するように構成された流れ生成器
のうち1つをさらに含み、
前記アイマスクは
前記治療的圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、前記空気流れを患者による呼吸のために前記接続ポートから前記治療的圧力で受容するようなサイズおよび構造にされる、プレナムチャンバと、
前記患者の気道への入口を取り囲む前記患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その内部に穴を有し、その結果、前記治療的圧力で前記空気流れは、少なくとも前記患者の鼻孔への入口へ送達され、前記シール形成構造は、使用時に前記治療的圧力を前記プレナムチャンバ内において前記患者の呼吸サイクル全体を通じて維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの内部から周囲へ、前記患者によって吐き出されたガスが連続的に流れるようにする通気部であって、前記通気は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気部と、をさらに含む、アイマスクシステム。
【請求項65】
前記アイマスクシステムは、クッションモジュールを含み、前記クッションモジュールは、前記シール形成構造を含み、前記プレナムチャンバを少なくとも部分的に形成する、請求項64に記載のアイマスクシステム。
【請求項66】
前記クッションモジュールは、前記アイマスクに対して移動可能である、請求項65に記載のアイマスクシステム。
【請求項67】
前記クッションモジュールは、前記アイマスクから少なくとも部分的に連結解除される、請求項66に記載のアイマスクシステム。
【請求項68】
前記アイマスクシステムは、前記クッションモジュールを移動させるためのアクチュエータを含む、請求項66または請求項67に記載のアイマスクシステム。
【請求項69】
前記シール形成構造は、前記患者の鼻の下側周辺部の周りを密閉するように構成される、請求項64~68のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項70】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが覚醒していることを検出し、睡眠支援モードで動作するように構成される、請求項64~69のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項71】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが就眠中であることを検出し、睡眠モードで動作するように構成される、請求項70に記載のアイマスクシステム。
【請求項72】
前記アイマスクシステムは、前記睡眠支援モードから前記睡眠モードへ変化した際に呼吸圧力療法を開始するように構成される、請求項71に記載のアイマスクシステム。
【請求項73】
前記アイマスクシステムは、睡眠支援モードから前記睡眠モードへ変化した際にクッションモジュールを非接触位置から密閉位置へ移動させるように構成される、請求項71または72に記載のアイマスクシステム。
【請求項74】
ユーザの頭部上に着用されるように構成されたアイマスクシステムであって、前記アイマスクシステムは、
使用時に前記ユーザの眼を覆うように構成されたアイマスクと;
前記ユーザおよび/または周囲環境とインターフェースをとるように構成された1つ以上のトランスデューサと;
前記ユーザの眼を覆う使用時位置に前記アイマスクを保持する力を印加するように構成された少なくとも1つのストラップを含む位置決めおよび安定化構造と;を含む、アイマスクシステム。
【請求項75】
前記1つ以上のトランスデューサは、1つ以上のセンサを含む、請求項74に記載のアイマスクシステム。
【請求項76】
前記1つ以上のセンサは、EEGセンサ、ECGセンサ、心拍数センサ、酸素飽和度センサ、血圧センサ、加速度計、体温センサ、周囲温度センサおよび/またはマイクロフォンのうち任意の1つ以上を含む、請求項75に記載のアイマスクシステム。
【請求項77】
前記1つ以上のトランスデューサは、1つ以上の出力トランスデューサを含む、請求項74~76のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項78】
前記1つ以上の出力トランスデューサは、音響トランスデューサ、ディスプレイ、温度トランスデューサ、および/または香気トランスデューサのうち任意の1つ以上を含む、請求項77に記載のアイマスクシステム。
【請求項79】
前記アイマスクシステムは、
空気回路から前記ユーザによる呼吸のために治療的圧力で加圧された空気流れを受容し、前記空気回路へ流体接続するように構成された接続ポート;または
前記加圧された空気流れを前記治療的圧力で生成するように構成された流れ生成器
のうち1つを含み、
前記アイマスクシステムは、
前記治療的圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、前記空気流れを患者による呼吸のために前記接続ポートから前記治療的圧力で受容するようなサイズおよび構造にされる、プレナムチャンバと;
前記患者の気道への入口を取り囲む前記患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その内部に穴を有し、その結果、前記治療的圧力で前記空気流れは、少なくとも前記患者の鼻孔への入口へ送達され、前記シール形成構造は、使用時に前記治療的圧力を前記プレナムチャンバ内において前記患者の呼吸サイクル全体を通じて維持するように構築および配置される、シール形成構造と;
前記プレナムチャンバの内部から周囲へ、前記患者によって吐き出されたガスが連続的に流れるようにする通気部であって、前記通気は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療的圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気部と;をさらに含む、請求項74~78のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項80】
前記アイマスクシステムは、セットアップモードで動作するように構成され、前記セットアップモードにおいて、前記アイマスクシステムは、前記ユーザが前記アイマスクシステムを患者インターフェースとしてセットアップし、かつ/または使用し始めることを支援するように構成される、請求項79に記載のアイマスクシステム。
【請求項81】
前記アイマスクシステムは、チュートリアルを前記ユーザに提示して、セットアップについて前記ユーザを支援するように構成される、請求項80に記載のアイマスクシステム。
【請求項82】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが、前記アイマスクシステムを睡眠呼吸障害の呼吸圧力治療のための患者インターフェースとして使用するために正しくフィットさせることを支援するように構成される、請求項80または請求項81に記載のアイマスクシステム。
【請求項83】
前記アイマスクシステムは、トラブルシューティングについて指示を提供するように構成される、請求項80~82のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項84】
前記アイマスクシステムは、セットアップ中に1つ以上のセンサから受信された1つ以上の信号を監視し、前記1つ以上の信号に基づいてセットアップについてのフィードバックを前記ユーザに提供するように構成される、請求項80~83のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項85】
前記アイマスクシステムは、ストラップ張力センサを含む、請求項84に記載のアイマスクシステム。
【請求項86】
前記アイマスクシステムは、前記アイマスクシステムのバックストラップにおける張力を、前記ストラップ張力センサを用いて測定し、前記張力に基づいてフィードバックを前記ユーザに提供するように構成される、請求項85に記載に記載のアイマスクシステム。
【請求項87】
前記アイマスクシステムは、呼吸圧力療法のための前記アイマスクシステムの使用中に漏れを検出するように構成される、請求項79~86のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項88】
前記アイマスクシステムは、前記漏れの存在を前記ユーザに警告するように構成される、請求項87に記載のアイマスクシステム。
【請求項89】
前記アイマスクシステムは、漏れの位置を決定するように構成される、請求項87または請求項88に記載のアイマスクシステム。
【請求項90】
前記アイマスクシステムは、前記漏れの位置の明示を前記ユーザに提供するように構成される、請求項89に記載のアイマスクシステム。
【請求項91】
前記アイマスクシステムは、前記漏れの位置に基づいて前記漏れの低減または撲滅についての指示を提供するように構成される、請求項90に記載のアイマスクシステム。
【請求項92】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザが呼吸することを弛緩に資する方式で支援するように構成される、請求項79~91のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項93】
前記アイマスクシステムは、前記ユーザの呼吸のためのキューを提供するように構成される、請求項92に記載のアイマスクシステム。
【請求項94】
前記キューは、ディスプレイまたは音響トランスデューサを介して提供される、請求項93に記載のアイマスクシステム。
【請求項95】
前記アイマスクシステムは、呼吸キューに対する前記患者のアドヒアランスを、1つ以上のセンサを使用して監視するように構成される、請求項93または94に記載のアイマスクシステム。
【請求項96】
前記アイマスクシステムは、前記キューを提供しながら、気道陽圧を前記プレナムチャンバおよびシール形成構造を介して提供するように構成される、請求項93~95のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項97】
前記アイマスクシステムは、気道陽圧を療法圧力よりも低い圧力から前記療法圧力まで増加させるように構成される、請求項96に記載のアイマスクシステム。
【請求項98】
前記アイマスクは、前記アイマスクのユーザ接触側上に位置決めされた1つ以上のクッション部分を含む、請求項79~97のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【請求項99】
前記1つ以上のクッション部分は、テキスタイル;織地;発泡体;およびシリコーンのうち任意の1つ以上から形成される、請求項98に記載のアイマスクシステム。
【請求項100】
前記1つ以上のクッション部分は、第1のクッション部分および第2のクッション部分を含み、前記第1のクッション部分は、前記第2のクッション部分よりも大きな厚さおよび/または大きなユーザ接触表面を有し、前記第1のクッション部分は、前記第2のクッション部分よりも大きな力を前記ユーザの顔上に使用時に付与する前記アイマスクの部分内に位置決めされる、請求項98または請求項99に記載のアイマスクシステム。
【請求項101】
前記1つ以上のクッション部分は、第1のクッション部分および第2のクッション部分を含み、前記第1のクッション部分は、前記第2のクッション部分よりも大きな厚さおよび/または大きなユーザ接触表面を有し、前記第1のクッション部分は、前記ユーザの顔のうち使用時に前記第2のクッション部分と接触する部分よりも敏感な、使用時に前記ユーザの顔の一部と接触する前記アイマスクの部分内に位置決めされる、請求項98~100のうちいずれか一項に記載のアイマスクシステム。
【国際調査報告】