(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】センサ及びテレメトリー装置を有する軸受要素
(51)【国際特許分類】
F16C 41/00 20060101AFI20231005BHJP
F16C 9/04 20060101ALI20231005BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20231005BHJP
F16C 17/24 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F16C41/00
F16C9/04
F16C17/02 Z
F16C17/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023513772
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-20
(86)【国際出願番号】 AT2021060302
(87)【国際公開番号】W WO2022040716
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】315015564
【氏名又は名称】ミバ・グライトラーガー・オーストリア・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】グンター ハーガー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン シャルマイナー
【テーマコード(参考)】
3J011
3J033
3J217
【Fターム(参考)】
3J011AA20
3J011BA02
3J011KA02
3J011NA01
3J033AA04
3J033AA05
3J033EA10
3J033GA01
3J033GA20
3J217JA03
3J217JA12
3J217JA14
3J217JA16
3J217JA24
3J217JA38
3J217JA39
3J217JB14
3J217JB34
3J217JB62
3J217JC10
(57)【要約】
軸受要素本体(6)と、軸受要素(5)の少なくとも1つの駆動パラメータを測定するためのセンサ(8)と、テレメトリー装置(9)と、を有する軸受要素(5)であって、軸受要素本体(6)はテレメトリー装置(9)と結合され、テレメトリー装置(9)はセンサ(8)と接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受要素(5)であって、
軸受要素本体(6)と、前記軸受要素(5)の少なくとも1つの駆動パラメータを測定するセンサ(8)と、テレメトリー装置(9)と、を有する軸受要素(5)において、
前記軸受要素本体(6)は前記テレメトリー装置(9)と結合され、該テレメトリー装置(9)は前記センサ(8)と接続されている、ことを特徴とする軸受要素(5)。
【請求項2】
前記テレメトリー装置(9)は結合要素(10)によって前記軸受要素本体(6)と結合されている、ことを特徴とする請求項1に記載の軸受要素(5)。
【請求項3】
前記結合要素(10)は細片形状又は弓形に形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の軸受要素(5)。
【請求項4】
弓形の結合要素(10)は2つの脚部(12、13)を有してu字状に形成され、該2つの脚部(12、13)は前記軸受要素本体(6)と結合されている。ことを特徴とする請求項3に記載の軸受要素(5)。
【請求項5】
前記センサ(8)は電気導体(18)によって前記テレメトリー装置(9)と接続されている、ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の軸受要素(5)。
【請求項6】
前記電気導体(18)は結合要素(10)上に配置されている、ことを特徴とする請求項5に記載の軸受要素(5)。
【請求項7】
付加的にエネルギ供給装置(19)が設けられ、該エネルギ供給装置(19)は、前記テレメトリー装置(9)及び前記センサ(8)と電気的に導通するように接続されている、ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の軸受要素(5)。
【請求項8】
前記センサ(8)と前記エネルギ供給装置(19)の電気的に導通する接続は他の電気導体を介して形成され、該他の電気導体は結合要素(10)上に配置されている、ことを特徴とする請求項7に記載の軸受要素(5)。
【請求項9】
結合要素(10)はアキシャル滑り軸受を形成している、ことを特徴とする請求項2~8の何れか一項に記載の軸受要素(5)。
【請求項10】
前記結合要素(10)は、アキシャル滑り軸受を形成するために、滑り軸受材料によってコーティングされている、ことを特徴とする請求項9に記載の軸受要素(5)。
【請求項11】
前記軸受要素本体(6)は滑り軸受要素として形成されている、ことを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の軸受要素(5)。
【請求項12】
前記軸受要素本体(6)は切り欠き(20)を有し、かつ
前記センサ(8)は前記切り欠き(20)内に配置されている、ことを特徴とする請求項1~11の何れか一項に記載の軸受要素(5)。
【請求項13】
軸受収容部(7)と、該軸受収容部(7)内に配置されている少なくとも1つの軸受要素(5)と、を有する軸受装置(1)において、
前記軸受要素(5)は請求項1~12の何れか一項にしたがって形成されている、ことを特徴とする軸受装置(1)。
【請求項14】
前記軸受収容部(7)はコネクティングロッド(2)として形成されている、ことを特徴とする請求項13に記載の軸受装置(1)。
【請求項15】
前記軸受収容部(7)は凹部(17)を有し、該凹部内に軸受要素(5)の結合要素(10)が少なくとも部分的に収容されている、ことを特徴とする請求項13又は14に記載の軸受装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受要素本体、軸受要素本体の少なくとも1つの駆動パラメータを測定するセンサ及びテレメトリー装置を有する軸受要素に関する。
【0002】
更に本発明は、軸受収容部及び軸受収容部内に配置されている少なくとも1つの軸受要素を有する軸受装置に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、滑り軸受のセンサ監視がますます大きい重要性を獲得している。例えば軸受収容部の温度上昇に基づいて、滑り軸受パラメータを間接的に測定する他に、潤滑間隙内又はそのすぐ近傍におけるセンサの配置も、開発の前面に出てくることが多くなっている。その場合に問題となるのは、センサ技術のための環境条件だけでなく、滑り軸受も、例えば回転する構成部分の存在のような、独自の機械的問題を有する。例えば、特許文献1が挙げられるが、その文献からは保護本体内に挟持された軸受シェルを有する滑り軸受を監視する装置が知られており、それは、軸受シェル領域内に配置されている、温度に依存する測定信号のための測定センサと測定信号のための評価回路とを有している。
【0004】
これに関連して、特許文献2からは、この種の滑り軸受装置のコンパクト性を改良するために、径方向の滑り軸受要素端面に凹部が形成されており、その凹部内にテレメトリー装置が配置されていること、又はテレメトリー装置が軸受収容部に、又は少なくとも部分的にその中に、配置されていることが、知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】オーストリア国特許第408900(B)号明細書
【特許文献2】オーストリア国特許出願公開第521598(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、この種のセンサを有する軸受要素を更に改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のこの課題は、冒頭で挙げた軸受要素において、軸受要素本体がテレメトリー装置と結合されており、その場合にテレメトリー装置がセンサと接続されていることによって解決される。
【0008】
更に、本発明の課題は、本発明に係る軸受要素を有する、冒頭で挙げた軸受装置によって解決される。
【0009】
その場合に好ましくは、軸受要素本体とテレメトリー装置との結合によって、軸受を監視するための重要な諸部分をすでに統合された状態において有している、システム全体を提供することができるので、軸受要素の利用者側で必要とされるのは、最小の適合又はわずかな取り付け作業のみである。更にそれに伴って、このシステムは納品する前にメーカー側でテストすることができ、かつこのテストされたシステムは納品する場合でも、このテストされた構成を維持している。
【0010】
本発明の実施変形例によれば、テレメトリー装置は結合要素によって軸受要素本体と結合することができる。したがって、軸受要素内とテレメトリー装置内の様々な材料を、結合を形成する際に考慮することが、より簡単に可能である。
【0011】
その場合に、本発明の他の実施変形例によれば、結合要素は細片形状又は弓形に形成することができる。この形成によって、テレメトリー装置は、特に軸のような、軸受の回転する部分から遠く離れて配置することができる。それが、テレメトリー装置の構成部分のより良好な保護もしくはテレメトリー装置から受信器へのより簡単な、妨げられないデータ伝送も許容する。
【0012】
テレメトリー装置の固定を改良するために、本発明の他の実施変形例によれば、弓形の結合要素は2つの脚部をもってu字状に形成することができ、その場合に2つの脚部が軸受要素本体と結合されている。したがって、軸受収容部が、弓形の結合要素と軸受要素本体とから形成される切り欠きを通って延び、そして特に結合要素に当接することによって、軸受収容部内に軸受要素をより良好に固定することもできる。
【0013】
本発明の他の実施変形例によれば、センサは電気導体によってテレメトリー装置と接続することができる。したがってセンサからテレメトリー装置への測定値伝送は、-接触なしの伝送に比較して-より障害的に安全に形成することができる。
【0014】
その場合に、電気導体が結合要素上に配置されている、本発明の他の実施形態が効果的である。というのは、それによって軸受内に組み込むための軸受要素の既成度を、更に改良することができるからである。
【0015】
本発明の他の実施変形例によれば、システム全体内に付加的にエネルギ供給装置を設けることもでき、そのエネルギ供給装置がテレメトリー装置及びセンサと電気的に導通するように接続されており、それによって測定システムの自給性を改良することができる。
【0016】
その場合に本発明の実施変形例によれば、更に、センサとエネルギ供給装置の電気的に導通する接続を他の電気導体を介して形成することができ、その場合に他の電気導体は結合要素上に配置されており、それによって軸受内へ組み込むための軸受要素の既成度を更に高めることができる。
【0017】
本発明に基づくこの軸受要素の機能性を更に向上させるために、他の実施変形例によれば、結合要素がアキシャル滑り軸受を形成することができるので、軸受要素はラジアル軸受機能の他にアキシャル軸受機能も満たすことができる。
【0018】
更に、実施変形例によれば、結合要素がアキシャル滑り軸受を形成するために滑り軸受材料でコーティングされていると、効果的であり得る。というのは、それによって一方で、結合要素を軸受要素本体へ取り付けることを簡単にすることができるからである。そして同時にそれによって、アキシャル軸受機能も改良することができる。他の言葉で表現すると、それに伴って結合要素のための材料選択に関するいかなる妥協も必要とされないので、結合要素は改良された構造強度に加えて改良された滑り特性も有する。
【0019】
本発明の好ましい実施変形例において、軸受要素本体は滑り軸受要素として形成されている。というのは、それによって測定値検出をより簡単に実施することができるからである。
【0020】
本発明の他の実施変形例によれば、軸受要素本体が切り欠きを有することができ、かつセンサはこの切り欠き内に配置することができ、それによってセンサを軸受の回転する諸部分からより良好に保護することができる。
【0021】
本発明の他の実施変形例によれば、軸受収容部はコネクティングロッドとして形成することができる。というのは他の軸受収容部と比較して、その上に軸受要素をテレメトリー装置と共により簡単に配置することができるからである。
【0022】
本発明の他の実施変形例によれば、軸受収容部が凹部を有することができ、その中に軸受要素の結合要素が少なくとも部分的に収容されている。この凹部によって軸受要素の組み込み位置を定めることができるので、軸受要素を組み込む場合の位置決めエラーを回避することができる。
【0023】
本発明を更によく理解するために、以下の図を用いて本発明を詳細に説明する。
【0024】
図は、それぞれ簡略化された、図式的な表示である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は軸受装置の実施変形例を前から見る視点で示している。
【
図2】
図2は軸受要素の実施変形例を前から見る視点で示している。
【
図3】
図3は
図2に示す軸受要素を
図2の切断線II-IIに沿って断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
最初に記録しておくが、異なるように記載される実施形態において、同一の部分には同一の参照符号ないし同一の構成部分名称が設けられており、その場合に説明全体に含まれる開示は、同一の参照符号ないし同一の構成部分名称を有する同一の部分へ意味に従って移し替えることができる。また、説明内で選択される、例えば上、下、側方などのような位置記載は、直接説明され、かつ示される図に関するものであって、この位置記載は位置が変化した場合には意味に従って新しい位置へ移し替えられる。
【0027】
図1には軸受装置1が示されている。好ましくは、軸受装置1は、大きいコネクティングアイ3と小さいコネクティングアイ4とを有するコネクティングロッド2として形成されている。なお、指摘しておくが、軸受装置1は他のように形成することもできる。例えば、軸受装置1は、軸受カバーとして、軸受スツールとして、軸受ブロックとして、歯車としてなど、形成することができる。
【0028】
軸受装置1は少なくとも1つの軸受要素5を有しており、その軸受要素が軸受要素本体6を有している。本発明の好ましい実施変形例において、軸受要素本体6は滑り軸受要素として形成されている。原理的に、軸受要素5は転がり軸受要素であってもよい。
【0029】
なお、複数の軸受箇所が存在する場合、したがって例えば
図1に示すコネクティングロッド2において大きいコネクティングアイ3と小さいコネクティングアイ4が存在する場合には、各軸受箇所の少なくとも1つの軸受要素5又は軸受要素5の複数又はすべての軸受要素が等しく形成できることも、可能であることを、指摘しておく。しかし一般的には、本発明に基づいて1つの軸受要素5のみ、したがって例えば
図1で大きいコネクティングアイ3内に配置されている軸受要素5のみを形成することもできる。
【0030】
図1に示す実施例において、2つの滑り軸受要素が示されており、それらはいわゆるハーフシェルの形状を有している。しかし、滑り軸受要素が滑り軸受ブッシュとして形成される可能性も存在する。更に滑り軸受要素を有する滑り軸受が、他の分割を有することもできるので、したがって例えば滑り軸受内に3つ、4つ、又は4つより多い滑り軸受要素を構築することができる。例えば風力発電設備内で使用されるような、きわめて大きい滑り軸受内では、滑り軸受要素は、例えば滑り軸受パッドとして形成することもでき、その場合、これらの場合においては滑り軸受内に4つよりずっと多い、例えば40までの滑り軸受要素が存在することがあり得る。これらの滑り軸受要素の1つ又は複数を本発明に基づいて形成することができる。
【0031】
少なくとも1つの滑り軸受要素が軸受収容部7内に、例えばプレス嵌めを用いて、配置されている。軸受収容部7は、
図1に示す本発明の実施変形例において、コネクティングロッド2によって、特に大きいコネクティングアイ3によって、形成されている。
【0032】
図2と3には、例えばコネクティングロッド2の大きいコネクティングアイ3内で使用されるような、軸受要素5が示されている。この少なくとも1つの軸受要素5は、
図2と3からよくわかるように、少なくとも1つのセンサ8を有している。軸受要素5内に、複数のセンサ8を配置することもできる。
【0033】
センサ8は、軸受要素5の少なくとも1つの物理的変量を検出するために用いられる。例えばセンサ8は、温度センサ、圧力センサ、伸張センサなどとすることができる。少なくとも1つのセンサ8を用いて、駆動中に軸受要素5のパラメータを検出することができる。このパラメータを用いて、例えば少なくとも1つの軸受要素5の状態を推定することができる。というのは、例えば異常な温度上昇の場合に、軸受要素5の滑り面の磨耗もしくは軸受要素5の不具合を推定することができる。したがってセンサによって、軸受要素5の駆動のために重要なパラメータを検出することができる。
【0034】
軸受要素5は、更に、テレメトリー装置9を有しており、そのテレメトリー装置によってセンサ8の測定データ又は検出されたデータを、軸受要素5から空間的に分離された受信器へ伝達することができる。そのためにテレメトリー装置9は、少なくとも1つのセンサ8と接続されている。テレメトリー装置9は、測定値を、単に収集して更に伝達するか、又は評価して、評価から得られたデータを更に伝達することもできる。
【0035】
検出されたパラメータ、すなわち付属のデータを処理するために、テレメトリー装置9はデータ処理要素を有することができ、そのデータ処理要素は、軸受要素本体6から離隔して配置されている。しかし、データ処理要素は、軸受要素5に属さない外部の評価装置の一部であってもよい。この少なくとも外部のデータ処理要素へデータ伝送するために、テレメトリー装置9はデータ伝送装置を有することができ、そのデータ伝送装置が少なくとも1つのセンサ8からデータを受信して、データ受信器としての少なくとも1つのデータ処理要素は、特にワイヤレスで、更に伝達する。ワイヤレスのデータ伝送のためには、既知のプロトコルを使用することができる。ワイヤレスのデータ伝送は、例えばブルートゥース(登録商標)又はWLAN、LoWPAN、ZigBeeANT/ANTなどを用いて行うことができる。
【0036】
軸受要素5内でデータ検出し、それに対して外部の箇所へワイヤレスで伝送するこの種のシステムは、それ自体すでに、滑り軸受について周知の従来技術から知られているので、繰り返しを避けるために、それについての詳細は、従来技術を参照するよう指示しておく。
【0037】
テレメトリー装置9は軸受要素本体6と結合されている。結合は固定的であり、すなわち固定の結合として形成されている。そのために結合は、材料結合及び/又は摩擦結合で形成することができる。場合によっては付加的に、結合は形状結合で形成することもできる。好ましくは、結合は取り外しできないように形成されており、すなわち結合は破壊なしでは解除することができない。しかしまた、例えばねじを介しての、取り外し可能な結合も可能ではある。
【0038】
結合するために、テレメトリー装置9は直接に軸受要素本体6と結合することができ、例えば材料結合で、例えば接着することができ、又はそれと溶接することができる。
【0039】
しかし、本発明の好ましい実施変形例によれば、テレメトリー装置9は軸受要素本体6と直接ではなく、結合要素10を介して結合されている。この結合要素10は、一方で軸受要素本体6と、そして他方ではテレメトリー装置9と結合されている。この結合は、それぞれ材料結合で、例えば結合要素10を軸受要素本体6に溶接又は半田付け又は接着することによって行うことができる。そのために例えば、結合要素10と軸受要素本体6の間に溶接継目11、例えば隅肉溶接、を形成することができる。同様にテレメトリー装置9は結合要素10と材料結合で結合することができ、例えば溶接し、半田付けし、又は接着することができる。
【0040】
結合要素10を使用することによって、テレメトリー装置9を軸受要素本体6に対して離隔して配置することが達成できる。
【0041】
結合要素10は、例えばパイプ形状とすることができ、又はu字状又はc字状の横断面を備えたプロフィール要素とすることができる。一般的に、この種の結合要素10に適した各形状を使用することができる。しかし、軸受要素5の実施変形例によれば、結合要素は細片形状又は弓形に形成することができる。すなわち
図3は実線で、細片形状の結合要素10を示しており、その結合要素はフラットプロフィール要素から形成されている。
【0042】
結合要素10は、好ましくは金属の材料からなる。しかしまた、プラスチックからなることもでき、もしくは複合材料も同様に使用可能である。
【0043】
更に、他の実施変形例によれば、弓形の結合要素10は、2つの脚部12、13とそれらの間に配置されているベース14とをもってu字形状に形成することができ、その場合に2つの脚部12、13が軸受要素本体6と、特にそれらの終端領域において、結合されており、これが
図3に部分的に破線で示されている。結合要素10のこの実施変形例によって、脚部12、13とベース14とによって画成される切り欠き15を準備することができ、その中に軸受収容部7の一部、したがって例えばコネクティングロッド2、例えばコネクティングロッド2の大きいコネクティングアイ3からコネクティングシャフト16への移行部の領域、を収容することができ、これは
図1から認識可能である。
【0044】
脚部12、13とベース14もしくは結合要素10は、例えば矩形に形成することができる。脚部12、13は他の形状、例えば台形の形状を有することもでき、これが
図1から明らかであるが、それにおいて結合要素10もしくは脚部12、13は大きいコネクティングアイ3の方向へ向かって細くなっている。しかし、他の形状も可能である。例えば、付加的に形状結合の結合を可能にするために、ベース14にアンダーカットを形成することができる。
【0045】
軸受装置1の1つの形態によれば、軸受収容部7が凹部17を有することができ、その中に軸受要素5の結合要素10が、少なくとも部分的に収容されている。凹部17は、例えば、
図1において認識できるように、溝形状に形成することができる。その場合に溝形状の凹部17は、少なくともほぼ径方向に延びることができる。
【0046】
凹部17は、軸受要素5の周方向において、その中に収容される結合要素10の幅よりも大きいか、又は凹部17と結合要素10との間に形状結合が形成されるような大きさの、幅を有することができる。凹部17を介して、軸受収容部7に対する軸受要素5の正しい位置を定めもしくは設定することができる。
【0047】
少なくとも1つのセンサ8とテレメトリー装置9の間の接続は、電気導体18によって導線接続で形成することができる。そのために原理的に、ワイヤを使用することができる。このワイヤは、結合要素10上に配置することができ、特にそれと結合することができる。しかしまた、電気導体18が、結合要素10上に形成された導体路によって準備されることも、可能である。導体路は、保護層、例えば保護塗料によってカバーすることができる。
【0048】
本発明の他の実施変形例によれば、軸受装置1及び/又は軸受要素5は、エネルギ発生装置19(
図2)を有することができる。このエネルギ発生装置19を用いて、少なくとも1つのセンサ8及び/又はデータ伝送装置及び/又はテレメトリー装置9のデータ処理装置に自動的に電気エネルギを供給することが可能であるので、したがってそのために軸受装置1を外部へ向かってワイヤで接続する必要がない。
【0049】
少なくとも1つのエネルギ発生装置19(軸受装置1内に1つより多いエネルギ発生装置19を配置することもできる)は、少なくとも1つの軸受要素5及び/又は軸受収容部7内もしくはその上に、又はテレメトリー装置9内に、例えば切り欠き内に、配置することができる。
【0050】
エネルギ発生装置19は、少なくとも1つのピエゾ素子を有することができる。それぞれ必要とされるエネルギ量に応じて、1つより多いピエゾ素子を、例えばピエゾ素子パケットの形式で、配置することもできる。
【0051】
完全を期するためだけに指摘しておくが、ピエゾ素子の機能方法の説明を省いてある。というのは、これは文献に詳細に記載されており、かつ当業者に知られてもいるからである。
【0052】
少なくとも1つのピエゾ素子は圧力をかけて付勢することができる。
【0053】
少なくとも1つのピエゾ素子は、例えば鉛-ジルコン酸塩-チタン酸塩(PZT)又はチタン酸バリウムからなることができる。しかし、他の圧電材料も使用可能である。
【0054】
圧力を受けて付勢されるピエゾ素子を有する、上述した形態の代わりに、又はそれに対して付加的に、センサ8自体がエネルギ発生装置19であることもできる。そのためにセンサ8(この場合においては特に圧力センサ、好ましくは誘導センサ又はシリンダ圧誘導センサとすることができる)は、滑り軸受装置として形成されている軸受装置1の潤滑間隙と導管を介して静水圧接続することができる。この導管を介して、センサ5に潤滑間隙圧を供給することができるので、したがってそれにともなって潤滑間隙内の潤滑剤の圧力を測定することができる。
【0055】
この場合において、センサ8はピエゾアクティブもしくはピエゾエレクトリック素子とすることができ、それを用いて、場合によってはセンサ8に対して時間的に変化する、かつ/又は方向変化する加速度によるだけでなく、場合によっては圧力変化供給に基づいても、電気エネルギを発生させることができ、
【0056】
それに対して代替的又は付加的に、センサ8は滑り軸受装置の潤滑間隙14内に、例えば滑り軸受要素の滑り層の一部として、配置することができる。それによっても、上述した潤滑間隙への導線を有する滑り軸受装置の実施変形例におけるように、センサ8に滑り軸受装置の潤滑間隙内の潤滑剤圧力を提供可能である。
【0057】
センサ8は、軸受要素本体6内の切り欠き内に配置することができる。また、センサ8を軸受要素5(例えば滑り軸受要素)の径方向のもっとも内側の層内に埋め込むことができ、又はその上に、例えばこの層内の凹部内に、配置することができる。
【0058】
エネルギ発生装置19は、電気的導線(例えばケーブル)を介してテレメトリー装置9と電気的に導通するように接続することができる。その場合に、電気的導線を結合要素10上に配置することも可能である。更にこの電気的導線は、導体路として形成することもできる。
【0059】
念のために記録しておくが、軸受要素5が滑り軸受要素として形成されている場合に、この滑り軸受要素はいわゆる多層滑り軸受であって、少なくとも1つの滑り層(その上に軸承すべき構成部分、例えば軸が支持され、又はその上で滑り移動する)と保護層とを有している。これらの間に他の層、例えば軸受金属層及び/又は結合層及び/又は拡散層などを配置することができる。個々の層は、従来技術からそのために知られている材料から形成することができる。
【0060】
また、センサ8を、滑り層の下方に配置されている層内に配置することができ、かつ電気的に絶縁する層を介して滑り層から分離することができる。
【0061】
軸受装置1によって、軸受装置1の軸受収容部7内の軸受要素5を少なくとも1つのセンサ8によって監視することが可能であって、その場合にこのセンサ8によって測定値が検出されて、この測定値が、データの受信器へ、特にワイヤレスで、データ伝送するために、テレメトリー装置9のデータ伝送装置へ伝えられ、かつその場合にセンサ9及び/又はデータ伝送装置のための電気エネルギは、駆動中に軸受要素5又は軸受装置1の移動によって発生される。
【0062】
本発明によって、軸受要素5、特に滑り軸受要素を提供することができ、それが軸受要素5における/その中の、圧力、温度、伸張のような物理的変量を測定するための独立したシステムユニットを形成する。システム全体(少なくとも1つのセンサ8、電気的導線(導体18)、テレメトリー装置9、場合によってはエネルギ発生装置19)は、軸受要素本体6と堅固に結合されており、又はこのシステム全体が軸受要素本体及び場合によっては他の部分(例えばピン、コネクティングロッド)と共に機能的なユニットを形成する。
【0063】
念のために記録しておくが、例えばデータ伝送装置、エネルギ発生装置、マイクロプロセッサ、アナログ-デジタル変換器などのような、テレメトリー装置9の個々の構成部分は、結合要素10上に個々に配置することができる。場合によっては、それらをアセンブリにまとめることができる。より良好に保護するために、テレメトリー装置9の少なくとも個々の構成部分は、ハウジング内に配置することができ、その場合に、このような場合には結合要素10がハウジングの一部を形成することもできる。ハウジングは、この目的に応じた形状を有することができる。
【0064】
軸受要素5の他の実施変形例によれば、結合要素10はアキシャル滑り軸受を形成することができる。そのために、結合要素10自体は、滑り軸受の滑り層のために知られた材料から形成することができる。しかし他の実施変形例によれば、結合要素10が、アキシャル滑り軸受を形成するために、滑り軸受材料からなるコーティング21、例えば滑り塗料を有することも可能である。この場合において、場合によっては滑り軸受要素の滑り層をコーティング21と一体的に形成することもできる。
【0065】
これらの実施例は、軸受要素5又は軸受装置1の可能な実施変形例を示し、又は記述するものであって、その場合にここに記録しておくが、個々の実施変形例を互いに組み合わせることも可能である。
【0066】
最後に指摘しておくが、構造をよりよく理解するために、軸受要素5又は軸受装置1は、必ずしも縮尺どおりに示されてはいない。
【符号の説明】
【0067】
1 軸受装置
2 コネクティングロッド
3 コネクティングアイ
4 コネクティングアイ
5 軸受要素
6 軸受要素本体
7 軸受収容部
8 センサ
9 テレメトリー装置
10 結合要素
11 溶接継目
12 脚部
13 脚部
14 ベース
15 切り欠き
16 コネクティングシャフト
17 凹部
18 導体
19 エネルギ発生装置
20 切り欠き
21 コーティング
【手続補正書】
【提出日】2022-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受装置(1)の軸受収容部(7)内に配置されるための軸受要素(5)であって、
滑り軸受要素として形成された軸受要素本体(6)と、前記軸受要素(5)の少なくとも1つの駆動パラメータを測定するセンサ(8)と、テレメトリー装置(9)と、を有
し、
前記軸受要素本体(6)は
結合要素(10)によって前記テレメトリー装置(9)と結合され、該テレメトリー装置(9)は前記センサ(8)と接続されている、
軸受要素(5)において、
前記結合要素(10)は細片形状又は弓形に形成されている、ことを特徴とする軸受要素(5)。
【請求項2】
弓形の結合要素(10)は2つの脚部(12、13)を有してu字状に形成され、該2つの脚部(12、13)は前記軸受要素本体(6)と結合されている。ことを特徴とする請求項
1に記載の軸受要素(5)。
【請求項3】
前記センサ(8)は電気的導体(18)によって前記テレメトリー装置(9)と接続されている、ことを特徴とする請求項1
又は2の何れか一項に記載の軸受要素(5)。
【請求項4】
前記電気的導体(18)は結合要素(10)上に配置されている、ことを特徴とする請求項
3に記載の軸受要素(5)。
【請求項5】
付加的にエネルギ供給装置(19)が設けられ、該エネルギ供給装置(19)は、前記テレメトリー装置(9)及び前記センサ(8)と電気的に導通するように接続されている、ことを特徴とする請求項1から
4の何れか一項に記載の軸受要素(5)。
【請求項6】
前記センサ(8)と前記エネルギ供給装置(19)の電気的に導通する接続は他の電気的導体を介して形成され、該他の電気的導体は結合要素(10)上に配置されている、ことを特徴とする請求項
5に記載の軸受要素(5)。
【請求項7】
結合要素(10)はアキシャル滑り軸受を形成している、ことを特徴とする請求項
1~6の何れか一項に記載の軸受要素(5)。
【請求項8】
前記結合要素(10)は、アキシャル滑り軸受を形成するために、滑り軸受材料によってコーティングされている、ことを特徴とする請求項
7に記載の軸受要素(5)。
【請求項9】
前記軸受要素本体(6)は切り欠き(20)を有し、かつ
前記センサ(8)は前記切り欠き(20)内に配置されている、ことを特徴とする請求項1~
8の何れか一項に記載の軸受要素(5)。
【請求項10】
軸受収容部(7)と、該軸受収容部(7)内に配置されている少なくとも1つの軸受要素(5)と、を有する軸受装置(1)において、
前記軸受要素(5)は請求項1~
9の何れか一項にしたがって形成されている、ことを特徴とする軸受装置(1)。
【請求項11】
前記軸受収容部(7)はコネクティングロッド(2)として形成されている、ことを特徴とする請求項
10に記載の軸受装置(1)。
【請求項12】
前記軸受収容部(7)は凹部(17)を有し、該凹部内に軸受要素(5)の結合要素(10)が少なくとも部分的に収容されている、ことを特徴とする請求項
10又は11に記載の軸受装置(1)。
【国際調査報告】