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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】E-セレクチン標的化剤
(51)【国際特許分類】
   C07H 15/207 20060101AFI20231005BHJP
   A61K 31/7034 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 103/10 20060101ALN20231005BHJP
   A61K 103/34 20060101ALN20231005BHJP
   A61K 103/20 20060101ALN20231005BHJP
   A61K 103/00 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
C07H15/207
A61K31/7034
A61P35/00
A61P35/04
A61P29/00
A61K51/04 300
A61K51/04 100
A61K103:10
A61K103:34
A61K103:20
A61K103:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517286
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(85)【翻訳文提出日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 US2021050955
(87)【国際公開番号】W WO2022061168
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】63/079,997
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506167421
【氏名又は名称】グリコミメティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マグナニ, ジョン エル.
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン, ジョン エム.
(72)【発明者】
【氏名】フォグラー, ウィリアム イー.
(72)【発明者】
【氏名】ベク, ミュン-ギ
【テーマコード(参考)】
4C057
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C057BB02
4C057CC03
4C057DD03
4C057JJ25
4C084AA12
4C084NA14
4C084ZB11
4C084ZB26
4C085HH03
4C085KA01
4C085KA28
4C085KA29
4C085KB08
4C085KB09
4C085KB12
4C085LL18
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB11
4C086ZB26
(57)【要約】
E-セレクチンリガンド保持担体の合成に有用なE-セレクチンリガンドであって、前記E-セレクチンリガンド保持担体が、少なくとも1種の治療剤、診断剤、造影剤、または放射性医薬品に直接または間接的に結合または会合されている、E-セレクチンリガンドが、本明細書に記述される。一部の実施形態では、少なくとも1つの疾患、障害、または状態を処置および/または予防するための方法であって、少なくとも1種の式(II)の化合物またはそれを含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含み、前記少なくとも1種の式(II)の化合物は、有効量の少なくとも1種の治療剤を送達する、方法が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化81】
の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの実体であって、式中、
は、H、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C1~12ハロアルキル、C2~12ハロアルケニル、C2~12ハロアルキニル、
【化82】
基から選択され、nは、0から2に及ぶ整数から選択され、Rは、H、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C4~16シクロアルキルアルキル、および-C(=O)R基から選択され、各Rは独立して、H、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C4~16シクロアルキルアルキル、C6~18アリール、およびC1~13ヘテロアリール基から選択され;
は、-OH、-OY、ハロ、-NH、-NHY、-NY、-OC(=O)Y、-NHC(=O)Y、-NHC(=O)NHY、および-NHC(=O)NY基から選択され、YおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、独立して、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C1~12ハロアルキル、C2~12ハロアルケニル、C2~12ハロアルキニル、C4~16シクロアルキルアルキル、C2~12ヘテロシクリル、C6~18アリール、およびC1~13ヘテロアリール基から選択されるか、またはYおよびYは、それらが結合するヘテロ原子と一緒に接続されて、必要に応じて置換された飽和もしくは不飽和環を形成してもよく;
は、-CN、-CHCN、-C(=O)Y、-C(=O)OH、-C(=O)OY、-C(=O)NH、-C(=O)NHOH、-C(=O)NHOCH、-NHCN、-C(=O)NHY、-C(=O)NY、-S(=O)、-S(=O)OY、-S(=O)NH、-S(=O)NHY、および-S(=O)NY基から選択され、YおよびYは、同一であっても異なっていてもよく、独立して、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C1~12ハロアルキル、C2~12ハロアルケニル、C2~12ハロアルキニル、C1~13ヘテロシクリル、およびC7~12アリールアルキル基から選択されるか、またはYおよびYは、それらが結合するヘテロ原子と一緒に接続されて、必要に応じて置換された飽和もしくは不飽和環を形成し;
は、H、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C1~12ハロアルキル、C2~12ハロアルケニル、C2~12ハロアルキニル、C1~12アルコキシ、C4~16シクロアルキルアルキル、C6~18アリール、およびC2~13ヘテロアリール基から選択され;
は、-CN、C1~12アルキル、およびC1~12ハロアルキル基から選択され;
は、
【化83】
から選択され;
は、-CH(OCHCHV-、-CHCH(OCHCHV-、および-(CHV-基から選択され、Vは、結合、-O-、-OCH-、-NHC(=O)CHCH-、および-C(=O)NHCHCH-から選択され、mは、1から46に及ぶ整数から選択され;
Zは、脂質、求核剤、求電子剤、および環化付加反応を受けることが可能な基から選択される、
少なくとも1つの実体。
【請求項2】
が、C1~4アルキル、
【化84】
基から選択される、請求項1に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項3】
が、メチル、エチル、
【化85】
から選択される、請求項2に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項4】
がエチルである、請求項3に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項5】
が、-OH、-OY、-OC(=O)Y、-NH、および-NHC(=O)Y基から選択され、式中、Yは、C1~8アルキル、C4~16シクロアルキルアルキル、C2~12ヘテロシクリル、C6~18アリール、およびC1~13ヘテロアリール基から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項6】
が、
【化86】
から選択される、請求項5に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項7】
が、
【化87】
である、請求項6に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項8】
が、-C(=O)OH、-C(=O)OY、-C(=O)NH、-C(=O)NHOH、-C(=O)NHOCH、-C(=O)NHY、および-C(=O)NY基から選択され、式中、YおよびYは、同一であっても異なっていてもよく、独立して、C1~8アルキル、C1~8ハロアルキル、およびC7~12アリールアルキル基から選択されるか、またはYおよびYは、それらが結合するヘテロ原子と一緒に接続されて、必要に応じて置換された飽和もしくは不飽和環を形成する、請求項1から7のいずれか一項に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項9】
が、
【化88】
から選択される、請求項9に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項10】
が、
【化89】
から選択される、請求項9に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項11】
が、
【化90】
である、請求項10に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項12】
が、C1~8アルキルおよびC4~16シクロアルキルアルキル基から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項13】
が、
【化91】
から選択される、請求項12に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項14】
が、
【化92】
である、請求項13に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項15】
が、-CN、-CF、およびメチルから選択される、請求項1から14のいずれか一項に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項16】
がメチルである、請求項15に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項17】
が、
【化93】
から選択される、請求項1から16のいずれか一項に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項18】
が、
【化94】
である、請求項17に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項19】
が、-(CHV-基から選択され、式中、Vは、-C(=O)NHCHCH-であり、mは、1から10に及ぶ整数から選択される、請求項1から18のいずれか一項に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項20】
mが3である、請求項19に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項21】
が、-CH(OCHCHV-基から選択され、式中、Vは、結合、-O-、および-OCH-から選択され、mは、1から20に及ぶ整数から選択される、請求項1から18のいずれか一項に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項22】
mが、1から6に及ぶ整数から選択される、請求項21に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項23】
が、-CHOCHCH-である、請求項21に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項24】
が、-CH(OCHCH-である、請求項21に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項25】
が、-CH(OCHCH-である、請求項21に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項26】
が、-CH(OCHCHO-である、請求項21に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項27】
が、-CH(OCHCHOCH-である、請求項21に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項28】
が、-CHCH(OCHCHV-基から選択され、式中、Vは、結合、-O-、-OCH-、および-NHC(=O)CHCH-から選択され、mは、1から30に及ぶ整数から選択される、請求項1から18のいずれか一項に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項29】
mが、1から14に及ぶ整数から選択される、請求項28に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項30】
が、-CHCH(OCHCH-である、請求項28に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項31】
が、-CHCH(OCHCH)OCH-である、請求項28に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項32】
が、-CHCH(OCHCH-である、請求項28に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項33】
が、-CHCH(OCHCHNH(=O)CHCH-である、請求項28に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項34】
が、-CHCH(OCHCH12O-である、請求項28に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項35】
Zが、-N、-NH、-N(OH)H、-SH、-OH、-Cl、-Br、-I、-CH=CH、-C≡CH、
【化95】
【化96】
から選択される、請求項1から34のいずれか一項に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項36】
Zが-Nである、請求項35に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項37】
Zが、-NH、-SH、および-OHから選択される、請求項35に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項38】
Zが、-C(=O)H、-C(=O)OH、-C(=O)Cl、および-C(=O)OBuから選択される、請求項35に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項39】
Zが、t-ブタノール、p-ニトロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、トリクロロフェノール、1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-6-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール、およびN-ヒドロキシスクシンイミドと共に形成されたエステルから選択される、請求項1から34のいずれか一項に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項40】
Zが、-C(=O)Y基から選択され、式中、Yは、H、-OH、-OBu、C2~8アルケニル、C1~8ハロアルキル、C1~8アルコキシ、ハロ、C6~18アリールオキシ、C1~13ヘテロアリールオキシ、およびC2~12ヘテロシクリルオキシ基から選択され、C1~8アルコキシ、C6~18アリールオキシ、C1~13ヘテロアリールオキシ、およびC2~12ヘテロシクリルオキシ基は、少なくとも1個のハロ基で必要に応じて置換される、請求項1から34のいずれか一項に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項41】
Zが、アルケンおよびアルキン基から選択される、請求項1から34のいずれか一項に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項42】
Zが-C≡CHである、請求項41に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項43】
Zが、脂質から選択される、請求項1から34のいずれか一項に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項44】
Zが、リン脂質から選択される、請求項43に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項45】
Zが、
【化97】
である、請求項43に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項46】
前記実体が:
【化98】
【化99】
【化100】
ならびに前述のもののいずれかの薬学的に許容される塩から選択される、請求項1、35から44、および45のいずれか一項に記載の少なくとも1つの実体。
【請求項47】
式(II)の化合物、式(II)の化合物のプロドラッグ、および前述のもののいずれかの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの実体を作製するためのプロセスであって、請求項1の少なくとも1つの実体またはその保護形態を、式(III)の化合物から選択される少なくとも1つの実体と反応させまたは会合させることを含み:
【化101】
式中、R、R、R、R、R、L、およびLは、請求項1で定義された通りであり;
は、結合およびリンカー基から選択され;
Wは、脂質、求核剤、求電子剤、および環化付加反応を受けることが可能な基から選択され;
Z’は、請求項1の前記少なくとも実体の前記Z基と、式(III)の化合物から選択される前記少なくとも1つの実体の前記W基との反応または会合により生成した部分である、プロセス。
【請求項48】
請求項1の前記少なくとも1つの実体が、請求項2から46のいずれか一項の前記少なくとも1つの実体から選択される、請求項47に記載のプロセス。
【請求項49】
が結合である、請求項47または請求項48に記載のプロセス。
【請求項50】
が、リンカー基から選択される、請求項47または請求項48に記載のプロセス。
【請求項51】
前記リンカー基が、
【化102】
から選択される、請求項50に記載のプロセス。
【請求項52】
前記担体が、粒子、ナノ粒子、リポソーム、ビーズ、タンパク質、多糖、脂質、金属キレート剤、および前述のもののいずれかの組合せから選択される、請求項47から51のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項53】
前記担体が、ナノ粒子から選択される、請求項52に記載のプロセス。
【請求項54】
前記担体が脂質から選択される、請求項52に記載のプロセス。
【請求項55】
前記脂質がリン脂質から選択される、請求項54に記載のプロセス。
【請求項56】
前記担体が、金属キレート剤から選択される、請求項52に記載のプロセス。
【請求項57】
前記金属キレート剤が、
【化103】
から選択される、請求項56に記載のプロセス。
【請求項58】
Z’が、脂質-脂質非共有結合会合、-NH(O=)C-、-NHCH-、-SHC-、-C(=O)HN-、
【化104】
【化105】
から選択される、請求項47から57のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項59】
式(II):
【化106】
の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの実体であって、式中、
は、H、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C1~12ハロアルキル、C2~12ハロアルケニル、C2~12ハロアルキニル、
【化107】
基から選択され、nは、0から2に及ぶ整数から選択され、Rは、H、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C4~16シクロアルキルアルキル、および-C(=O)R基から選択され、各Rは独立して、H、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C4~16シクロアルキルアルキル、C6~18アリール、およびC1~13ヘテロアリール基から選択され;
は、-OH、-OY、ハロ、-NH、-NHY、-NY、-OC(=O)Y、-NHC(=O)Y、-NHC(=O)NHY、および-NHC(=O)NY基から選択され、YおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、独立して、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C1~12ハロアルキル、C2~12ハロアルケニル、C2~12ハロアルキニル、C4~16シクロアルキルアルキル、C2~12ヘテロシクリル、C6~18アリール、およびC1~13ヘテロアリール基から選択されるか、またはYおよびYは、それらが結合するヘテロ原子と一緒に接続されて、必要に応じて置換された飽和もしくは不飽和環を形成してもよく;
は、-CN、-CHCN、-C(=O)Y、-C(=O)OH、-C(=O)OY、-C(=O)NH、-C(=O)NHOH、-C(=O)NHOCH、-NHCN、-C(=O)NHY、-C(=O)NY、-S(=O)、-S(=O)OY、-S(=O)NH、-S(=O)NHY、および-S(=O)NY基から選択され、YおよびYは、同一であっても異なっていてもよく、独立して、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C1~12ハロアルキル、C2~12ハロアルケニル、C2~12ハロアルキニル、C1~13ヘテロシクリル、およびC7~12アリールアルキル基から選択され、またはYおよびYは、それらが結合するヘテロ原子と一緒に接続されて、必要に応じて置換された飽和または不飽和環を形成し;
は、H、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C1~12ハロアルキル、C2~12ハロアルケニル、C2~12ハロアルキニル、C1~12アルコキシ、C4~16シクロアルキルアルキル、C6~18アリール、およびC2~13ヘテロアリール基から選択され;
は、-CN、C1~12アルキル、およびC1~12ハロアルキル基から選択され;
は、
【化108】
から選択され;
は、-CH(OCHCHV-、-CHCH(OCHCHV-、および-(CHV-基から選択され、Vは、結合、-O-、-OCH-、-NHC(=O)CHCH-、および-C(=O)NHCHCH-から選択され、mは、1から46に及ぶ整数から選択され;
は、結合およびリンカー基から選択され;
Z’は、脂質-脂質非共有結合会合、-C(=O)HN-、-CHNH-、-CHS-、
【化109】
から選択される、少なくとも1つの実体。
【請求項60】
少なくとも1つの疾患、障害、または状態を処置および/または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量の、請求項59の少なくとも1つの実体またはそれを含む組成物を投与することを含み、少なくとも1種の治療剤が、請求項59の前記少なくとも1つの実体に直接または間接的に結合または会合されている、方法。
【請求項61】
少なくとも1つの疾患、障害、または状態を処置および/または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量の、請求項59の少なくとも1つの実体またはそれを含む組成物を投与することを含み、少なくとも1種の放射性医薬品が、請求項59の前記少なくとも1つの実体に直接または間接的に結合または会合されている、方法。
【請求項62】
前記少なくとも1種の放射性医薬品が、177Luおよび111Inから選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記少なくとも1つの疾患、障害、または状態が、がん、炎症性疾患、転移、および血管新生から選択される、請求項60から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
少なくとも1つの疾患、障害、または状態を診断するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量の、請求項59の少なくとも1つの実体またはそれを含む組成物を投与することを含み、少なくとも1種の治療剤が、請求項59の前記少なくとも1つの実体に直接または間接的に結合または会合されている、方法。
【請求項65】
E-セレクチン発現組織を診断しまたは撮像するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量の、請求項59の少なくとも1つの実体またはそれを含む組成物を投与することを含み、少なくとも1種の診断剤または少なくとも1種の造影剤が、請求項59の前記少なくとも1つの実体に直接または間接的に結合または会合されている、方法。
【請求項66】
前記少なくとも1種の造影剤が、Gd3+、テクネチウム99m、および架橋酸化鉄超常磁性ナノ粒子から選択される、請求項65に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる2020年9月17日に出願された米国仮出願第63/079,997号の、優先権の利益を主張する。
【0002】
E-セレクチンリガンド保持担体の合成に有用なE-セレクチンリガンドであって、前記E-セレクチンリガンド保持担体が、少なくとも1種の治療剤、診断剤、造影剤、または放射性医薬品に直接または間接的に結合または会合されている、E-セレクチンリガンド、ならびに疾患、障害、または状態を処置しおよび/または予防するための、あるいはE-セレクチン発現組織を診断または撮像するための前記担体の使用が、本明細書に記述される。
【背景技術】
【0003】
セレクチンは、シアリルLex/aエピトープを発現する特定の炭水化物配列のカルシウム依存型認識を通して相互作用細胞表面に結合する、細胞表面接着タンパク質(E、P、およびL-セレクチン)のファミリーである。PおよびL-セレクチンは、緊密な結合のためにスルフェート基の追加の相互作用を必要とするが、それに対してE-セレクチンは必要としない。大文字は、各セレクチンを発現する細胞型を指す。L-セレクチンは白血球上に見出され、主に細胞トラフィッキングで機能する。P-セレクチンは血小板上に見出されるが、内皮細胞内で事前に形成された小胞にあることも公知である。E-セレクチンは、内皮細胞の表面で排他的に発現し、炎症応答の初期ステップで主要な役割を果たすが、血管新生中の新しい血管の形成にも関わり、骨髄の血管保護ニッチでがん細胞に結合する。
【0004】
PおよびL-セレクチンとは対照的に、E-セレクチンは通常、ケモカイン活性化後にde novoタンパク質合成を必要とし(即ち、TNF-α、IL1-β)、炎症性内皮上に存在するが通常は正常な血管構造の内皮上には存在しない。例外には、血管新生中の内皮の能動的伝搬領域ならびに骨髄および皮膚の内部が含まれる。この特異性、およびその独自の炭水化物エピトープに結合する能力により、E-セレクチンの発現は、炎症およびがんなどの疾患を標的化するのに使用することができる。標的化分子には、例えば、抗体、アプタマー、ペプチド、炭水化物、またはこれらの分子の模倣体、例えば糖模倣体またはペプチド模倣体を含めることができる。そのような標的化剤は、薬物または造影剤などの「ペイロード分子」に共役することができ、またはそのような「ペイロード分子」を、疾患を処置もしくは診断しおよび位置決定させることのいずれかに向けることができる。
【0005】
がんの、首尾良くなされる成長および進行は、細胞増殖に必要な酸素および代謝産物を交換するために、腫瘍の血管新生を必要とする。血管新生として公知のこのプロセスは、E-セレクチンを高度に発現する活性化内皮前駆細胞によって開始される(Oh et. al., Blood 110(12):3891-3899, 2007)。血管新生を遮断することは、がんの新規な治療の開発のために調査された主な戦略の1つである。Yasuda et al (Am. J. Physiol. Cell Physiol. 282:C917-C925, 2002)は、E-セレクチンが、新血管形成および血管新生の基礎を形成する活性化内皮前駆細胞の中でも管状構造の初期形成で機能することを示した。リポソームは、有効性の増大のため薬物を包封するのに長い間使用されてきた、ナノ粒子のクラスである。E. L. Vodovozova (Eur. J. Cancer, 36:942-949, 2000)は、E-セレクチン炭水化物リガンドであるシアリルLexを、リポソームに組み込まれた脂質に化学的に結合することにより、薬物メルファランをE-セレクチンに運ぶリポソームを標的化した。表面シアリルLexを発現するこれらの薬物で満たされたリポソームは、E-セレクチンを標的化し、自発的な乳腺腺癌の高い発生率をもつマウス乳がんモデルでの生存率を著しく高めた。これらの標的化薬物保持リポソームの限局化を、特異的な細胞型マーカーで蛍光標識したリポソームを使用してさらに調査した。標的化シアリルLex発現リポソームは、共焦点顕微鏡法により決定されたように、血管内皮のCD31マーカーと共限局化した(Kuznetsova et. al., J. Drug Target. 22(3):242-250, 2014)。これらの研究は、薬物担持ナノ粒子(リポソーム)により腫瘍微小血管構造で発現したE-セレクチンを標的化することが、化学療法の有効性を高めるのに有効な戦略であることを実証する。
【0006】
乳がん患者からの生検を、標的化のための特異的マーカーの発現に関して分析した。E-セレクチン発現は、悪性乳がん生検の血管新生血管構造で、それらの良性対応物と比較して高くなることが見出された(23.86%対2.47%;p=0.0005)。事実、E-セレクチンはさらに、エストロゲン陰性腫瘍と比較してエストロゲン受容体陰性腫瘍で著しく増大することが見出された(p=0.005)(Nguyen et.al., Am J. Pathology 150(4):1307-1314, 1997)。乳がん腫瘍血管構造内のE-セレクチンは、E-セレクチンに向けられたアプタマーを使用して、標的化された(Mann et. al., PLoS ONE 5(9):e13050, 2010)。このアプタマーは、リポソームに化学的に共役し、これらのリポソームが、ヌードマウスの乳がん異種移植片の腫瘍血管構造を直接標的化することが示された(Mann et. al., Oncotarget 2:298-304, 2011)。
【0007】
腫瘍マーカーの発現を、Eos Hu03 GeneChipアレイを使用してスクリーニングした。この分析の結果は、E-セレクチンmRNAが、前立腺がん上皮で独自に過発現することを示した。E-セレクチンに向けられた抗体は、免疫組織化学を使用してこれらの知見を支持した。抗体薬物コンジュゲート(ADC)は、アウリスタチン-EをE-セレクチン指向抗体に化学的に結合することによって創出した。しかしながら、E-セレクチンを標的化することの有効性は、E-セレクチンを発現する内皮細胞上でのみ実証された(Bhaskar et. al., Cancer Research 63:6387-6394, 2003)。
【0008】
E-セレクチンは、炎症応答の開始において機能し、炎症性ケモカインによる刺激後にのみ、de novoタンパク質合成により特異的に発現する。このようにE-セレクチンは、がん治療のためだけではなく、心血管疾患、糖尿病、および炎症性腸疾患などの障害で見出されるいくつかの異なる炎症性障害に関しても標的化されてきた。例えば、抗E-セレクチン抗体をリポソームに共役させることにより活性化血管構造内皮細胞上のE-セレクチンに標的化されたリポソームを使用して、ドキソルビシンをE-セレクチン発現内皮細胞に送達した(Spragg et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. 94:8795-8800, 1997)。別の研究では、E-セレクチンに向けられたペプチドとデキサメタゾンとの共役は、抗炎症薬がアテローム性大動脈硬化症の病変を標的化するように構築された(Tsoref et. al., J of Controlled Release 288:136-147, 2018)。
がんおよび炎症性障害の新規な治療として薬物を特異的に送達する他、E-セレクチンは、炎症事象または腫瘍血管構造を撮像し位置決定する標的として使用することもできる。炎症を撮像するためのそのようなナノ粒子を包含する考察は、E-セレクチンを標的であると特定する(Jin et al., Acta Pharmaceutica Sinica B 8(1):23-33, 2018)。テクネチウム99mなどの造影剤は、抗E-セレクチンFab断片と共役して、リウマチ様関節炎の滑膜炎を特異的に撮像するのに使用されてきた(Jamar F. et. al., Rheumatology 41:53-61, 2002)。架橋酸化鉄超常磁性ナノ粒子などのその他の造影剤は、抗E-セレクチンFab断片と共役して、炎症および血管新生の領域を磁気共鳴映像法(MRI)により撮像してきた(Kang et al., Bioconjugate Chem. 13:122-127, 2002)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Oh et. al., Blood 110(12):3891-3899, 2007
【非特許文献2】Yasuda et al (Am. J. Physiol. Cell Physiol. 282:C917-C925, 2002)
【非特許文献3】E. L. Vodovozova (Eur. J. Cancer, 36:942-949, 2000)
【非特許文献4】Kuznetsova et. al., J. Drug Target. 22(3):242-250, 2014)
【非特許文献5】Nguyen et.al., Am J. Pathology 150(4):1307-1314, 1997)
【非特許文献6】Mann et. al., PLoS ONE 5(9):e13050, 2010
【非特許文献7】Mann et. al., Oncotarget 2:298-304, 2011
【非特許文献8】Bhaskar et. al., Cancer Research 63:6387-6394, 2003
【非特許文献9】Spragg et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. 94:8795-8800, 1997
【非特許文献10】Tsoref et. al., J of Controlled Release 288:136-147, 2018
【非特許文献11】Jin et al., Acta Pharmaceutica Sinica B 8(1):23-33, 2018
【非特許文献12】Jamar F. et. al., Rheumatology 41:53-61, 2002
【非特許文献13】Kang et al., Bioconjugate Chem. 13:122-127, 2002
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、E-セレクチンリガンド保持担体の合成に有用なE-セレクチンリガンドを対象とする。これらのE-セレクチンリガンド保持担体は、少なくとも1種の治療剤、診断剤、造影剤、または放射性医薬品に直接または間接的に結合または会合されることが可能である。
【0011】
式(I):
【化1】
の化合物およびその薬学的に許容される塩が開示され、式中、R、R、R、R、R、L、L、およびZは本明細書で定義される通りである。
【0012】
一部の実施形態では、式(II)のE-セレクチンリガンド保持担体を作製するためのプロセスが提供され、このプロセスは、式(I)の化合物、またはその保護形態を、式(III)の化合物と反応または会合させること:
【化2】
を含み、式中、R、R、R、R、R、L、L、L、Z’、W、および担体は、本明細書で定義される通りである。
【0013】
一部の実施形態では、少なくとも1つの疾患、障害、または状態を処置および/または予防するための方法であって、少なくとも1種の式(II)の化合物またはそれを含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含み、前記少なくとも1種の式(II)の化合物は、有効量の少なくとも1種の治療剤を送達する、方法が開示される。
【0014】
一部の実施形態では、少なくとも1つの疾患、障害、または状態を処置および/または予防するための方法であって、少なくとも1種の式(II)の化合物またはそれを含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含み、前記少なくとも1種の式(II)の化合物は、有効量の少なくとも1種の放射性医薬品を送達する、方法が開示される。一部の実施形態では、少なくとも1種の放射性医薬品が177Luである。一部の実施形態では、少なくとも1種の放射性医薬品が111Inである。
【0015】
一部の実施形態では、少なくとも1つの疾患、障害、または状態を診断するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量の少なくとも1種の式(II)の化合物またはそれを含む組成物を投与することを含み、少なくとも1種の診断剤が、前記少なくとも1種の式(II)の化合物に直接または間接的に結合または会合されている、方法が開示される。
【0016】
一部の実施形態では、E-セレクチン発現組織を診断しまたは撮像するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量の少なくとも1種の式(II)の化合物またはそれを含む組成物を投与することを含み、少なくとも1種の診断剤または少なくとも1種の造影剤が、前記少なくとも1種の式(II)の化合物に直接または間接的に結合または会合されている、方法が開示される。
【0017】
一部の実施形態では、少なくとも1種の造影剤がGd3+である。一部の実施形態では、造影剤がテクネチウム99mである。一部の実施形態では、少なくとも1種の造影剤が、架橋酸化鉄超常磁性ナノ粒子から選択される。一部の実施形態では、少なくとも1種の造影剤は、血管を撮像することが可能である。一部の実施形態では、少なくとも1種の造影剤は、血管新生を撮像することが可能である。
【0018】
以下の記述では、ある特定の詳細を、様々な実施形態の完全な理解を提供するために述べる。しかしながら当業者なら、開示された実施形態はこれらの詳細なしで実施され得ることが理解されよう。その他の場合では、実施形態の不必要に曖昧な記述を回避するために、周知の構造が示されておらずまたは詳述されていない。これらおよびその他の実施形態は、以下の詳細な記述および添付図面を参照することにより明らかにされよう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、化合物3の合成を示す図である。
【0020】
図2図2は、化合物5の仮想合成を示す図である。
【0021】
図3図3は、化合物11の仮想合成を示す図である。
【0022】
図4図4は、化合物13の仮想合成を示す図である。
【0023】
図5図5は、E-セレクチン-Fcキメラと、5%の化合物3(化合物Aと呼ぶ)を含有する捕獲されたリポソームとの相互作用を示す図である。
【0024】
図6図6は、化合物3(化合物Aと呼ぶ)リポソームの、固定化E-セレクチンまたはBSAとの全結合を示す図である。
【0025】
図7図7は、TNFαによるHUVEC上でのE-セレクチン発現の誘導を示す図である。
【0026】
図8図8は、活性化HUVECに結合する化合物3(化合物Aと呼ぶ)を含有するリポソームを示す図である。
【0027】
図9図9は、式(II)の化合物の合成に有用な例示的な結合化学を示す図である。
【0028】
図10図10は、確立されたA549ヒトNSCLC腫瘍を持つメスC.B.-17 SCIDマウスの処置後の蛍光撮像(FLI)による、化合物3を含むIRdye780で標識されたリポソームの生体内分布の動態を示す、一連の代表的な画像であり、各画像の左上の隅の数は、各群(N=3マウス/時点)の平均FLIシグナルである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書には、E-セレクチンリガンド保持担体の合成に有用な、E-セレクチンリガンドが開示される。E-セレクチンリガンド保持担体は、治療剤が、がん、炎症性疾患、および/または血管新生を含む疾患、障害、または状態を処置するために、組織のE-セレクチン発現血管区画を標的化するのに有用であってもよい。E-セレクチンリガンド保持担体は、本開示のE-セレクチンリガンド保持担体を、MRI造影剤などの少なくとも1種の造影剤に結合または会合させることによって、組織のE-セレクチン発現血管成分を撮像するのに有用であってもよい。
【0030】
一部の実施形態では、式(I):
【化3】
の化合物およびその薬学的に許容される塩が開示され、式中、
は、H、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C1~12ハロアルキル、C2~12ハロアルケニル、C2~12ハロアルキニル、
【化4】
基から選択され、nは、0から2に及ぶ整数から選択され、Rは、H、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C4~16シクロアルキルアルキル、および-C(=O)R基から選択され、各Rは独立して、H、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C4~16シクロアルキルアルキル、C6~18アリール、およびC1~13ヘテロアリール基から選択され;
は、-OH、-OY、ハロ、-NH、-NHY、-NY、-OC(=O)Y、-NHC(=O)Y、-NHC(=O)NHY、および-NHC(=O)NY基から選択され、YおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、独立して、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C1~12ハロアルキル、C2~12ハロアルケニル、C2~12ハロアルキニル、C4~16シクロアルキルアルキル、C2~12ヘテロシクリル、C6~18アリール、およびC1~13ヘテロアリール基から選択されるか、またはYおよびYは、それらが結合するヘテロ原子と一緒に接続されて、必要に応じて置換された飽和もしくは不飽和環を形成してもよく;
は、-CN、-CHCN、-C(=O)Y、-C(=O)OH、-C(=O)OY、-C(=O)NH、-C(=O)NHOH、-C(=O)NHOCH、-NHCN、-C(=O)NHY、-C(=O)NY、-S(=O)、-S(=O)OY、-S(=O)NH、-S(=O)NHY、および-S(=O)NY基から選択され、YおよびYは、同一であっても異なっていてもよく、独立して、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C1~12ハロアルキル、C2~12ハロアルケニル、C2~12ハロアルキニル、C1~13ヘテロシクリル、およびC7~12アリールアルキル基から選択されるか、またはYおよびYは、それらが結合するヘテロ原子と一緒に接続されて、必要に応じて置換された飽和もしくは不飽和環を形成し;
は、H、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、C2~12アルキニル、C1~12ハロアルキル、C2~12ハロアルケニル、C2~12ハロアルキニル、C1~12アルコキシ、C4~16シクロアルキルアルキル、C6~18アリール、およびC2~13ヘテロアリール基から選択され;
は、-CN、C1~12アルキル、およびC1~12ハロアルキル基から選択され;
は、
【化5】
から選択され;
は、-CH(OCHCHV-、-CHCH(OCHCHV-、および-(CHV-基から選択され、Vは、結合、-O-、-OCH-、-NHC(=O)CHCH-、および-C(=O)NHCHCH-から選択され、mは、1から46に及ぶ整数から選択され;
Zは、脂質、求核剤、求電子剤、および環化付加反応を受けることが可能な基から選択される。
【0031】
一部の実施形態では、Rは、H、C1~4アルキル、およびC1~4ハロアルキル基から選択される。一部の実施形態では、Rは、H、メチル、エチル、-CHF、-CHF、-CF、-CHCHF、-CHCHF、および-CHCFから選択される。一部の実施形態では、RがHである。一部の実施形態では、Rは、メチルおよびエチルから選択される。一部の実施形態では、Rがメチルである。一部の実施形態では、Rがエチルである。
【0032】
一部の実施形態では、Rは、
【化6】
基から選択される。
【0033】
一部の実施形態では、Rは、
【化7】
基から選択される。
【0034】
一部の実施形態では、Rは、
【化8】
基から選択される。
【0035】
一部の実施形態では、Rは、
【化9】
基から選択される。
【0036】
一部の実施形態では、Rは、
【化10】
基から選択される。
【0037】
一部の実施形態では、Rは、
【化11】
基から選択される。
【0038】
一部の実施形態では、Rは、H、C1~8アルキル、および-C(=O)R基から選択される。一部の実施形態では、Rは、HおよびC1~8アルキル基から選択される。一部の実施形態では、Rは、C1~4アルキル基から選択される。一部の実施形態では、RがHである。
【0039】
一部の実施形態では、各Rは独立して、H、C1~8アルキル、C6~18アリール基、およびC1~13ヘテロアリール基から選択される。一部の実施形態では、少なくとも1個のRは、C1~8アルキル基から選択される。一部の実施形態では、少なくとも1個のRは、C1~4アルキル基から選択される。一部の実施形態では、少なくとも1個のRは、メチルおよびエチルから選択される。一部の実施形態では、少なくとも1個のRがHである。一部の実施形態では、少なくとも1個のRがメチルである。一部の実施形態では、少なくとも1個のRがエチルである。
【0040】
一部の実施形態では、少なくとも1個のRは、
【化12】
から選択される。
【0041】
一部の実施形態では、Rは、
【化13】
である。
【0042】
一部の実施形態では、Rは、
【化14】
である。
【0043】
一部の実施形態では、Rは、
【化15】
である。
【0044】
一部の実施形態では、Rは、
【化16】
である。
【0045】
一部の実施形態では、Rは、-OH、-OY、-OC(=O)Y、および-NHC(=O)Y基から選択され、式中、Yは、C1~8アルキル、C4~16シクロアルキルアルキル、C2~12ヘテロシクリル、C6~18アリール、およびC1~13ヘテロアリール基から選択される。一部の実施形態では、Rは、-OY基から選択される。一部の実施形態では、Rは、-OC(=O)Y基から選択される。一部の実施形態では、Rは、-NHC(=O)Y基から選択される。一部の実施形態では、Rが-OHである。
【0046】
一部の実施形態では、Rは、
【化17】
から選択される。
【0047】
一部の実施形態では、Rは、
【化18】
である。
【0048】
一部の実施形態では、Rは、
【化19】
である。
【0049】
一部の実施形態では、Rは、-C(=O)OH、-C(=O)OY、-C(=O)NH、-C(=O)NHOH、-C(=O)NHOCH、-C(=O)NHY、および-C(=O)NY基から選択される。一部の実施形態では、Rは、-C(=O)OH、-C(=O)NHY、および-C(=O)NY基から選択される。一部の実施形態では、YおよびYは、同一であっても異なっていてもよく、独立して、C1~8アルキル、C1~8ハロアルキル、およびC7~12アリールアルキル基から選択される。一部の実施形態では、YおよびYは、それらが結合するヘテロ原子と一緒に接続されて、必要に応じて置換された飽和または不飽和環を形成する。
【0050】
一部の実施形態では、Rは、
【化20】
から選択される。
【0051】
一部の実施形態では、Rは、
【化21】
から選択される。
【0052】
一部の実施形態では、Rは、
【化22】
である。
【0053】
一部の実施形態では、Rは、
【化23】
である。
【0054】
一部の実施形態では、Rは、
【化24】
である。
【0055】
一部の実施形態では、Rは、
【化25】
である。
【0056】
一部の実施形態では、Rは、C1~8アルキル基から選択される。一部の実施形態では、Rは、C1~8ハロアルキル基から選択される。一部の実施形態では、Rは、C4~16シクロアルキルアルキル基から選択される。一部の実施形態では、Rは、C4~8シクロアルキルアルキル基から選択される。一部の実施形態では、Rは、プロピル、シクロプロピルメチル、およびシクロヘキシルメチルから選択される。一部の実施形態では、Rがプロピルである。一部の実施形態では、Rがシクロプロピルメチルである。一部の実施形態では、Rがシクロヘキシルメチルである。
【0057】
一部の実施形態では、Rは、ハロメチル基から選択される。一部の実施形態では、RはCFである。一部の実施形態では、RがCHである。一部の実施形態では、RがCNである。
【0058】
一部の実施形態では、Lは、
【化26】
である。
【0059】
一部の実施形態では、Lは、
【化27】
である。
【0060】
一部の実施形態では、Lは、
【化28】
である。
【0061】
一部の実施形態では、Lは、
【化29】
である。
【0062】
一部の実施形態では、Lは、
【化30】
である。
【0063】
一部の実施形態では、Lは、
【化31】
である。
【0064】
一部の実施形態では、Lは、
【化32】
である。
【0065】
一部の実施形態では、Lは、
【化33】
である。
【0066】
一部の実施形態では、Lは、
【化34】
である。
【0067】
一部の実施形態では、Lは、-(CHV-基から選択される。一部の実施形態では、Lは、-(CHV-基から選択され、式中、Vは-C(=O)NHCHCH-である。一部の実施形態では、Lは-(CHV-基から選択され、式中、Vは-C(=O)NHCHCH-であり、mは、1から30に及ぶ整数から選択される。一部の実施形態では、mは、1から20に及ぶ整数から選択される。一部の実施形態では、mは、1から10に及ぶ整数から選択される。一部の実施形態では、mは、1から5に及ぶ整数から選択される。一部の実施形態では、mが5である。一部の実施形態では、mが4である。一部の実施形態では、mが3である。一部の実施形態では、mが2である。一部の実施形態では、mが1である。
【0068】
一部の実施形態では、Lが-CHC(=O)NHCHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCHC(=O)NHCHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCHCHC(=O)NHCHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCHCHCHC(=O)NHCHCH-である。
【0069】
一部の実施形態では、Lは、-CH(OCHCHV-基から選択される。一部の実施形態では、Lは、-CH(OCHCHV-基から選択され、式中、Vは、結合、-O-、および-OCH-から選択される。一部の実施形態では、Lは、-CH(OCHCHV-基から選択され、Vは、結合、-O-、および-OCH-から選択され、mは、1から30に及ぶ整数から選択される。一部の実施形態では、mは、1から20に及ぶ整数から選択される。一部の実施形態では、mは、1から10に及ぶ整数から選択される。一部の実施形態では、mは、1から6に及ぶ整数から選択される。一部の実施形態では、mが6である。一部の実施形態では、mが5である。一部の実施形態では、mが4である。一部の実施形態では、mが3である。一部の実施形態では、mが2である。一部の実施形態では、mが1である。
【0070】
一部の実施形態では、Lが-CHOCHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CH(OCHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CH(OCHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CH(OCHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHOCHCHO-である。一部の実施形態では、Lが-CH(OCHCHO-である。一部の実施形態では、Lが-CH(OCHCHO-である。一部の実施形態では、Lが-CH(OCHCHO-である。一部の実施形態では、Lが-CHOCHCHOCH-である。一部の実施形態では、Lが-CH(OCHCHOCH-である。一部の実施形態では、Lが-CH(OCHCHOCH-である。一部の実施形態では、Lが-CH(OCHCHOCH-である。
【0071】
一部の実施形態では、Lは、-CHCH(OCHCHV-基から選択される。一部の実施形態では、Lは、-CHCH(OCHCHV-基から選択され、式中、Vは、結合、-O-、-OCH-、および-NHC(=O)CHCH-から選択される。一部の実施形態では、Lは、-CHCH(OCHCHV-基から選択され、式中、Vは、結合、-O-、-OCH-、および-NHC(=O)CHCH-から選択され、mは、1から30に及ぶ整数から選択される。一部の実施形態では、mは、1から20に及ぶ整数から選択される。一部の実施形態では、mは、1から14に及ぶ整数から選択される。一部の実施形態では、mが12である。一部の実施形態では、mが10である。一部の実施形態では、mが8である。一部の実施形態では、mが6である。一部の実施形態では、mが4である。一部の実施形態では、mが3である。一部の実施形態では、mが2である。一部の実施形態では、mが1である。
【0072】
一部の実施形態では、Lが-CHCHOCHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCH10-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCH12-である。
【0073】
一部の実施形態では、Lが-CHCHOCHCHO-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCHO-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCHO-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCHO-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCHO-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCHO-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCH10O-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCH12O-である。
【0074】
一部の実施形態では、Lが-CHCHOCHCHOCHである。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCHOCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCHOCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCHOCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCHOCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCHOCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCH10OCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCH12OCH-である。
【0075】
一部の実施形態では、Lが-CHCHOCHCHNH(=O)CHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCHNH(=O)CHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCHNH(=O)CHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCHNH(=O)CHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCHNH(=O)CHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCHNH(=O)CHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCH10NH(=O)CHCH-である。一部の実施形態では、Lが-CHCH(OCHCH12NH(=O)CHCH-である。
【0076】
一部の実施形態では、Zは脂質から選択される。一部の実施形態では、Zはグリセロール系の脂質から選択される。一部の実施形態では、Zはリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Zは対称型リン脂質から選択される。一部の実施形態では、Zは非対称型リン脂質から選択される。一部の実施形態では、Zはスフィンゴ脂質から選択される。一部の実施形態では、Zはセラミドから選択される。
【0077】
一部の実施形態では、Zは、16から30個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Zは、16、20、22、24、26、28、または30個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Zは、16個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Zは、18個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Zは、20個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Zは、22個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Zは、24個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Zは、26個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Zは、28個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Zは、30個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。
【0078】
一部の実施形態では、Zは飽和リン脂質から選択される。一部の実施形態では、Zは不飽和リン脂質から選択される。一部の実施形態では、Zはホスファチジルコリン、ホスファチジエタノールアミン、ホスファチジン酸、およびホスファチジルイノシトールから選択される。一部の実施形態では、Zは、6-cis-オクタデセン酸、9-cis-オクタデセン酸、9-trans-オクタデセン酸、9-cis-12-オクタデカジエン酸、9-cis-12-cis-15-cis-オクタデカトリエン酸、11-cis-エイコセン酸、5,8,11,14(all-cis)エイコサテトラエン酸、13-cis-ドコセン酸、4,7,10,13,16,19(all-cis)ドコサヘキサエン酸、および/または15-cis-テトラコセン酸のリン脂質誘導体から選択される。一部の実施形態では、Zは、ステアロイル、オレオイル、リノレオイル、アラキドノイル、および/またはドコサヘキサエノイル酸のリン脂質誘導体から選択される。
【0079】
一部の実施形態では、リン脂質が
【化35】
である。
【0080】
一部の実施形態では、Zは求核剤から選択される。一部の実施形態では、求核剤はアミン、メルカプタン、およびアルコールから選択される。一部の実施形態では、Zはアミン基から選択される。
【0081】
一部の実施形態では、Zは求電子剤から選択される。一部の実施形態では、求電子剤は、エポキシド、アジリジン、エピスルフィド、スルフェート、スルホネート、カーボネート、ラクトン、ラクタム、ハロゲン化物、酸ハロゲン化物、およびエステルから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はエポキシドから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はアジリジンから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はエピスルフィドから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はスルフェートから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はスルホネートから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はカーボネートから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はラクトンから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はラクタムから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はハロゲン化物から選択される。一部の実施形態では、求電子剤は酸ハロゲン化物から選択される。一部の実施形態では、求電子剤はエステルから選択される。一部の実施形態では、求電子剤は活性化エステルから選択される。
【0082】
一部の実施形態では、Zはエステルから選択される。一部の実施形態では、エステルは、無水物、カルボン酸-スクシンイミド、カルボン酸ホスホエステル、およびカルボン酸イミダゾリドから選択される。一部の実施形態では、Zは、t-ブタノール、p-ニトロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、トリクロロフェノール、1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-6-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール、およびN-ヒドロキシスクシンイミドと形成されたエステルから選択される。
【0083】
一部の実施形態では、Zは-C(=O)Y基から選択され、式中、Yは、H、-OH、-OBu、C2~8アルケニル、C1~8ハロアルキル、C1~8アルコキシ、ハロ、C6~18アリールオキシ、C1~13ヘテロアリールオキシ、およびC2~12ヘテロシクリルオキシ基から選択され、C1~8アルコキシ、C6~18アリールオキシ、C1~13ヘテロアリールオキシ、およびC2~12ヘテロシクリルオキシ基は、少なくとも1個のハロ基で必要に応じて置換される。
【0084】
一部の実施形態では、Zは、環化付加反応を受けることが可能な基から選択される。一部の実施形態では、環化付加反応を受けることが可能な基は、アルケン、アルキン、ジエン、ジエノフィル、1,3-双極子、および1,3-親双極子から選択される。
【0085】
一部の実施形態では、ジエノフィルは-C(=O)Y基から選択され、式中、Yはアルケンおよびアルキン基から選択され、前記アルケンおよびアルキン基は、C1~8アルコキシ、-C(=O)H、-C(=O)OY、および-C(=O)NY基で必要に応じて置換され、YおよびYは、同一であっても異なっていてもよく、独立して、HおよびC1~8アルキル基から選択されるか、またはYおよびYは、それらが結合している窒素と共に一緒に接続されて、必要に応じて置換された飽和または不飽和3~10員環を形成する。
【0086】
一部の実施形態では、1,3-双極子は、ニトリルイリド、ニトリルイミン、ニトリルオキシド、ジアゾールアルカン、アジド、アゾメチンイリド、アゾメチンイミン、ニトロン、カルボニルイリド、カルボニルイミン、および酸化カルボニルから選択される。
【0087】
一部の実施形態では、Zはアルケンおよびアルキン基から選択される。一部の実施形態では、Zはアルケン基から選択される。一部の実施形態では、Zはアルキン基から選択される。一部の実施形態では、Zは-CH=CHである。一部の実施形態では、Zは-C≡CHである。
【0088】
一部の実施形態では、Zはジエンおよびジエノフィルから選択される。一部の実施形態では、Zはジエンから選択される。一部の実施形態では、Zはジエノフィルから選択される。
【0089】
一部の実施形態では、Zは1,3-双極子および1,3-親双極子から選択される。一部の実施形態では、Zは1,3-双極子から選択される。一部の実施形態では、Zは1,3-親双極子から選択される。
【0090】
一部の実施形態では、Zは、-N、-NH、-N(OH)H、-SH、-OH、-Cl、-Br、-I、-CH=CH、-C≡CH、
【化36】
【化37】
から選択される。
【0091】
一部の実施形態では、Zが-O-NHである。
【0092】
一部の実施形態では、Zが-Nである。
【0093】
一部の実施形態では、Zは、-NH、-SH、および-OHから選択される。一部の実施形態では、Zが-NHである。一部の実施形態では、Zが-SHである。一部の実施形態では、Zが-OHである。
【0094】
一部の実施形態では、Zが-C(=O)Hである。一部の実施形態では、Zが-C(=O)OHである。一部の実施形態では、Zが-C(=O)Clである。一部の実施形態では、Zが-C(=O)OBuである。
【0095】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は:
【化38】
およびその薬学的に許容される塩から選択される。
【0096】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は:
【化39】
およびその薬学的に許容される塩から選択される。
【0097】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は:
【化40】
およびその薬学的に許容される塩から選択される。
【0098】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は:
【化41】
およびその薬学的に許容される塩から選択される。
【0099】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は:
【化42】
およびその薬学的に許容される塩から選択される。
【0100】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は:
【化43】
およびその薬学的に許容される塩から選択される。
【0101】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は:
【化44】
およびその薬学的に許容される塩から選択される。
【0102】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は:
【化45】
およびその薬学的に許容される塩から選択される。
【0103】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は:
【化46】
およびその薬学的に許容される塩から選択される。
【0104】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は:
【化47】
およびその薬学的に許容される塩から選択される。
【0105】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は:
【化48】
およびその薬学的に許容される塩から選択される。
【0106】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は:
【化49】
およびその薬学的に許容される塩から選択される。
【0107】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は:
【化50】
およびその薬学的に許容される塩から選択される。
【0108】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は:
【化51】
【化52】
【化53】
ならびに前述のもののいずれかの薬学的に許容される塩から選択される。
【0109】
一部の実施形態では、少なくとも1種の式(I)の化合物における少なくとも1個のヒドロキシ基が、ヒドロキシ保護基で保護される。一部の実施形態では、少なくとも1種の式(I)の化合物における少なくとも1個のカルボキシ基が、カルボキシ保護基で保護される。一部の実施形態では、少なくとも1種の式(I)の化合物における少なくとも1個のヒドロキシ基は、ヒドロキシ保護基で保護され、少なくとも1種の式(I)の化合物における少なくとも1個のカルボキシ基は、カルボキシ保護基で保護される。
【0110】
一部の実施形態では、ヒドロキシ保護基は独立して、ホルミル、アセチル、クロロアセチル、o-ニトロフェニルアセチル、o-ニトロフェノキシ-アセチル、トリフルオロアセチル、アセトアセチル、4-クロロブチリル、イソブチリル、o-ニトロシンナモイル、ピコリノイル、アシルイソチオシアネート、アミノカプロイル、ベンゾイル、ベンジル、β-メトキシエトキシメチル、ジメトキシトリチル、メトキシメチル、メトキシトリチル[(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル]、p-メトキシベンジル、メチルチオメチル、ピバロイル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、トリチル、およびシリル基から選択される。一部の実施形態では、カルボキシ保護基は独立して、メチル、ベンジル、tert-ブチル、およびシリル基から選択される。
【0111】
一部の実施形態では、式(II)のE-セレクチンリガンド保持担体を作製するためのプロセスが提供され、このプロセスは、式(I)の化合物またはその保護形態を、式(III)の化合物と反応させるまたは会合させることを含み:
【化54】
式中、
、R、R、R、R、L、およびLは、上記にて定義された通りであり;
は、結合およびリンカー基から選択され;
Wは、脂質、求核剤、求電子剤、および環化付加反応を受けることが可能な基から選択され;
Z’は、式(I)の化合物またはその保護形態のZ基の、式(III)の化合物のW基との反応または会合により生成した部分である。
【0112】
一部の実施形態では、Lが結合である。一部の実施形態では、Lは、リンカー基から選択される。一部の実施形態では、Lは、
【化55】
から選択されるリンカー基である。
【0113】
一部の実施形態では、Wは脂質から選択される。一部の実施形態では、Wは、グリセロール系の脂質から選択される。一部の実施形態では、Wは、リン脂質から選択される。一部の実施形態では、Wは対称型リン脂質から選択される。一部の実施形態では、Wは非対称型リン脂質から選択される。一部の実施形態では、Wはスフィンゴ脂質から選択される。一部の実施形態では、Wはセラミドから選択される。
【0114】
一部の実施形態では、Wは、16から30個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Wは、16、20、22、24、26、28、または30個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Wは、16個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Wは、18個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Wは、20個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Wは、22個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Wは、24個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Wは、26個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Wは、28個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。一部の実施形態では、Wは、30個の炭素原子を有するリン脂質から選択される。
【0115】
一部の実施形態では、Wは飽和リン脂質から選択される。一部の実施形態では、Wは不飽和リン脂質から選択される。一部の実施形態では、Wはホスファチジルコリン、ホスファチジエタノールアミン、ホスファチジン酸、およびホスファチジルイノシトールから選択される。一部の実施形態では、Wは、6-cis-オクタデセン酸、9-cis-オクタデセン酸、9-trans-オクタデセン酸、9-cis-12-オクタデカジエン酸、9-cis-12-cis-15-cis-オクタデカトリエン酸、11-cis-エイコセン酸、5,8,11,14(all-cis)エイコサテトラエン酸、13-cis-ドコセン酸、4,7,10,13,16,19(all-cis)ドコサヘキサエン酸、および/または15-cis-テトラコセン酸のリン脂質誘導体から選択される。一部の実施形態では、Wは、ステアロイル、オレオイル、リノレオイル、アラキドノイル、および/またはドコサヘキサエノイル酸のリン脂質誘導体から選択される。
【0116】
一部の実施形態では、Wは求核剤から選択される。一部の実施形態では、求核剤はアミン、メルカプタン、およびアルコールから選択される。一部の実施形態では、Wはアミン基から選択される。
【0117】
一部の実施形態では、Wは求電子剤から選択される。一部の実施形態では、求電子剤は、エポキシド、アジリジン、エピスルフィド、スルフェート、スルホネート、カーボネート、ラクトン、ラクタム、ハロゲン化物、酸ハロゲン化物、およびエステルから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はエポキシドから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はアジリジンから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はエピスルフィドから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はスルフェートから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はスルホネートから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はカーボネートから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はラクトンから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はラクタムから選択される。一部の実施形態では、求電子剤はハロゲン化物から選択される。一部の実施形態では、求電子剤は酸ハロゲン化物から選択される。一部の実施形態では、求電子剤はエステルから選択される。一部の実施形態では、エステルは活性化エステルから選択される。
【0118】
一部の実施形態では、Wはエステルから選択される。一部の実施形態では、エステルは、無水物、カルボン酸-スクシンイミド、カルボン酸ホスホエステル、およびカルボン酸イミダゾリドから選択される。一部の実施形態では、Wは、t-ブタノール、p-ニトロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、トリクロロフェノール、1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-6-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール、およびN-ヒドロキシスクシンイミドと形成されたエステルから選択される。
【0119】
一部の実施形態では、Wは-C(=O)Y10基から選択され、式中、Y10は、H、-OH、-OBu、C2~8アルケニル、C1~8ハロアルキル、C1~8アルコキシ、ハロ、C6~18アリールオキシ、C1~13ヘテロアリールオキシ、およびC2~12ヘテロシクリルオキシ基から選択され、C1~8アルコキシ、C6~18アリールオキシ、C1~13ヘテロアリールオキシ、およびC2~12ヘテロシクリルオキシ基は、少なくとも1個のハロ基で必要に応じて置換される。
【0120】
一部の実施形態では、Wは、環化付加反応を受けることが可能な基から選択される。一部の実施形態では、環化付加反応を受けることが可能な基は、アルケン、アルキン、ジエン、ジエノフィル、1,3-双極子、および1,3-親双極子から選択される。
【0121】
一部の実施形態では、ジエノフィルは-C(=O)Y11基から選択され、式中、Y11はアルケンおよびアルキン基から選択され、前記アルケンおよびアルキン基は、C1~8アルコキシ、-C(=O)H、-C(=O)OY12、および-C(=O)NY1213基で必要に応じて置換され、Y12およびY13は、同一であっても異なっていてもよく、独立して、HおよびC1~8アルキル基から選択されるか、またはY12およびY13は、それらが結合している窒素と共に一緒に接続されて、必要に応じて置換された飽和または不飽和3~10員環を形成する。
【0122】
一部の実施形態では、1,3-双極子は、ニトリルイリド、ニトリルイミン、ニトリルオキシド、ジアゾールアルカン、アジド、アゾメチンイリド、アゾメチンイミン、ニトロン、カルボニルイリド、カルボニルイミン、および酸化カルボニルから選択される。
【0123】
一部の実施形態では、Wはアルケンおよびアルキン基から選択される。一部の実施形態では、Wはアルケン基から選択される。一部の実施形態では、Wはアルキン基から選択される。一部の実施形態では、Wは-CH=CHである。一部の実施形態では、Wは-C≡CHである。
【0124】
一部の実施形態では、Wはジエンおよびジエノフィルから選択される。一部の実施形態では、Wはジエンから選択される。一部の実施形態では、Wはジエノフィルから選択される。
【0125】
一部の実施形態では、Wは1,3-双極子および1,3-親双極子から選択される。一部の実施形態では、Wは1,3-双極子から選択される。一部の実施形態では、Wは1,3-親双極子から選択される。
【0126】
一部の実施形態では、Wは、-N、-NH、-SH、-OH、-Cl、-Br、-I、-CH=CH、-C≡CH、
【化56】
【化57】
から選択される。
【0127】
一部の実施形態では、Wが-N(OH)Hである。
【0128】
一部の実施形態では、Wが-O-NHである。
【0129】
一部の実施形態では、Wが-Nである。
【0130】
一部の実施形態では、Wは、-NH、-SH、および-OHから選択される。一部の実施形態では、Wが-NHである。一部の実施形態では、Wが-SHである。一部の実施形態では、Wが-OHである。
【0131】
一部の実施形態では、Wは-C(=O)Hである。一部の実施形態では、Wは-C(=O)OHである。一部の実施形態では、Wは-C(=O)Clである。一部の実施形態では、Wは-C(=O)OBuである。
【0132】
一部の実施形態では、Z’は、脂質-脂質非共有結合会合、-C(=O)HN-、-CHNH-、-CHS-、
【化58】
から選択される。
【0133】
一部の実施形態では、Z’が、
【化59】
である。
【0134】
一部の実施形態では、式(II)のE-セレクチンリガンド保持担体を作製するためのプロセスが提供され、このプロセスは、式(I)の化合物またはその保護形態を、式(III)の化合物と反応させるまたは会合させることを含み:
【化60】
式中、
、R、R、R、R、R、L、L、およびLは、上記にて定義された通りであり;および
Z、W、およびZ’は、以下に示される通りである:
【化61】
【化62】
【化63】
【化64】
【化65】
【化66】
【0135】
一部の実施形態では、担体は、粒子、ナノ粒子、リポソーム、ビーズ、タンパク質、多糖、脂質、金属キレート剤、およびこれらの組合せから選択される。一部の実施形態では、担体は、脂質系、タンパク質系、核酸系、および炭水化物系の担体から選択される。一部の実施形態では、担体は、ポリマーおよび/または非ポリマー分子から構成された担体から選択される。一部の実施形態では、担体は、高分子担体から選択される。一部の実施形態では、担体は、分子の架橋鎖を含む。一部の実施形態では、分子の架橋鎖は核酸から選択される。一部の実施形態では、担体はポリアミノ系の担体から選択される。
【0136】
一部の実施形態では、担体は、脂質系ナノ粒子、ポリマーナノ粒子、金属ナノ粒子、界面活性剤系エマルジョン、デンドリマー、およびナノ粒子から選択される。
【0137】
一部の実施形態では、担体は、自己組織化によって形成される。一部の実施形態では、自己組織化はin vitroで生じる。一部の実施形態では、自己組織化はin vivoで生じる。一部の実施形態では、担体は、予測可能な寸法、構成要素、および構成要素の配置の担体を形成するために、互いに対してそれら自体が配向する両親媒性バイオマテリアルを使用して形成される。
【0138】
一部の実施形態では、担体は、500nm未満の平均幾何直径を有する担体から選択される。一部の実施形態では、担体は、50nmよりも大きいが500nm未満である平均幾何直径を有する担体から選択される。
【0139】
一部の実施形態では、担体がナノ粒子である。
【0140】
実施形態では、式(I)のZ基は脂質であり、担体はリポソームから選択される。
【0141】
一部の実施形態では、担体は、金属キレート剤である。
【0142】
一部の実施形態では、金属キレート剤は、
【化67】
である。
【0143】
一部の実施形態では、金属キレート剤が
【化68】
である。
【0144】
一部の実施形態では、少なくとも1つの疾患、障害、または状態を処置および/または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量の少なくとも1種の式(II)の化合物またはそれを含む組成物を投与することを含み、少なくとも1種の治療剤が、前記少なくとも1種の式(II)の化合物に直接または間接的に結合または会合されている、方法が開示される。
【0145】
一部の実施形態では、少なくとも1つの疾患、障害、または状態を診断するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量の少なくとも1種の式(II)の化合物またはそれを含む組成物を投与することを含み、少なくとも1種の診断剤が、前記少なくとも1種の式(II)の化合物に直接または間接的に結合または会合されている、方法が開示される。
【0146】
一部の実施形態では、少なくとも1つの疾患、障害、または状態を処置および/または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量の少なくとも1種の式(II)の化合物またはそれを含む組成物を投与することを含み、少なくとも1種の放射性医薬品が、前記少なくとも1種の式(II)の化合物に直接または間接的に結合または会合されている、方法が開示される。
【0147】
一部の実施形態では、少なくとも1種の放射性医薬品が177Luである。一部の実施形態では、少なくとも1種の放射性医薬品が111Inである。
【0148】
一部の実施形態では、少なくとも1つの疾患、障害、または状態が、がん、炎症性疾患、転移、および血管新生から選択される。一部の実施形態では、がんが膵臓がんである。一部の実施形態では、がんが前立腺がんである。一部の実施形態では、がんが乳がんである。一部の実施形態では、がんが肺がんである。一部の実施形態では、がんは、黒色腫から選択される。一部の実施形態では、がんは、血液悪性腫瘍から選択される。一部の実施形態では、がんが白血病である。
【0149】
一部の実施形態では、E-セレクチン発現組織を診断または撮像するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量の少なくとも1種の式(II)の化合物またはそれを含む組成物を投与することを含み、少なくとも1種の診断剤または少なくとも1種の造影剤が、前記少なくとも1種の式(II)の化合物に直接または間接的に結合または会合されている、方法が開示される。
【0150】
一部の実施形態では、少なくとも1種の造影剤がGd3+である。一部の実施形態では、少なくとも1種の造影剤がテクネチウム99mである。一部の実施形態では、少なくとも1種の造影剤は、架橋酸化鉄超常磁性ナノ粒子から選択される。一部の実施形態では、少なくとも1種の造影剤は、血管を撮像することが可能である。一部の実施形態では、少なくとも1種の造影剤は、血管新生を撮像することが可能である。
【0151】
一部の実施形態では、E-セレクチン発現組織を診断または撮像するための方法は、加齢黄斑変性患者の眼の血管新生を撮像することを含む。一部の実施形態では、E-セレクチン発現組織を診断または撮像するための方法は、腫瘍内の血管新生を撮像することを含む。
【0152】
本明細書中の用語が、ある範囲(例えば、C1~4アルキル)で特定されてもまたは「~から及ぶ」と特定されても、その範囲は独立して、その範囲の各要素を開示しかつ含む。非限定的な例として、C1~4アルキル基は、独立して、Cアルキル基、Cアルキル基、Cアルキル基、およびCアルキル基を含む。別の非限定的な例として、「nは0から2の範囲の整数から選択される」は、独立して、0、1、および2を含む。
【0153】
「少なくとも1」という用語は、1または複数、例えば1、2などを指す。例えば、「少なくとも1個のC1~4アルキル基」という用語は、1個または複数のC1~4アルキル基、例えば1個のC1~4アルキル基、2個のC1~4アルキル基などを指す。
【0154】
「1,3-双極子」という用語は、3個の原子の連続系列、a-b-cを含有する化合物を含み、原子aはその外殻にセクステット電子を含有し、原子cは、その外殻に少なくとも1対の非共有電子対を持つオクテットを含有する。6個の電子を原子の外殻に有する分子は典型的には不安定であるので、a-b-c原子の例は、共鳴混成の1つの極限構造であり、少なくとも1個の構造を描くことができる。1,3-双極子という用語は、極限形の1つが二重結合をセクステット原子(原子a)上に有しかつその他の極限形が三重結合をその原子上に有するものを含む:
【化69】
1,3-双極子という用語は、双極子極限形が単結合をセクステット原子(原子a)上に有しかつその他の極限形が二重結合をその原子上に有するものも含む:
【化70】
【0155】
「1,3-親双極子」という用語は、ジエノフィルおよびジエンを含む。
【0156】
「活性化エステル」という用語は、求核剤(例えば、アミノ基)と反応できるように十分な反応性を有するエステル誘導体を意味する。
【0157】
「アルキル」という用語は、飽和した直鎖、分岐状、および環状(シクロアルキルとしても特定される)の第一級、第二級、および第三級炭化水素基を含む。アルキル基の非限定的な例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、secブチル、イソブチル、tertブチル、シクロブチル、1-メチルブチル、1,1-ジメチルプロピル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、およびシクロヘキシルが含まれる。本明細書で他に特に指示しない限り、アルキル基は必要に応じて置換されてもよい。
【0158】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合を含む直鎖、分岐状、および環状炭化水素基を含む。アルケニル基の二重結合は、別の不飽和基と非共役または共役とすることができる。アルケニル基の非限定的な例には、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル、2-エチルヘキセニル、およびシクロペンタ-1-エン-1-イルが含まれる。本明細書で他に特に指示しない限り、アルケニル基は必要に応じて置換されてもよい。
【0159】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合を含む直鎖および分岐状の炭化水素基を含む。アルキニル基の三重結合は、別の不飽和基と非共役または共役とすることができる。アルキニル基の非限定的な例には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、およびヘキシニルが含まれる。本明細書で他に特に指示しない限り、アルキニル基は必要に応じて置換されてもよい。
【0160】
「アリール」という用語は、少なくとも6個の炭素原子を含み、少なくとも1個の芳香環を含む、炭化水素環系基を含む。アリール基は、単環式、二環式、三環式、または四環式環系であってもよく、これらは縮合または架橋環系を含んでいてもよい。アリール基の非限定的な例には、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレン、およびトリフェニレンから誘導されたアリール基が含まれる。本明細書で他に特に指示しない限り、アリール基は必要に応じて置換されてもよい。
【0161】
「カルボキシ保護基」という用語は、合成手順中に望ましくない反応からカルボキシル基の酸性水素を保護すること、例えば化合物のその他の官能性部位が関わる反応が実施される間、酸官能基を遮断または保護すること、および除去可能であることが当技術分野で公知の基を含む。
【0162】
「ジエン」という用語は、2つの共役二重結合を保持する分子を含む。ジエンは、分子の幾何形状が環化付加反応を容易にするように制約を受ける場合、非共役であってもよい(参照によりその全体が組み込まれるCookson J. Chem. Soc. 5416 (1964)参照)。これらの二重結合を形成する原子は、炭素またはヘテロ原子またはこれらの任意の組合せとすることができる。
【0163】
「ジエノフィル」という用語は、アルケン基、または炭素とヘテロ原子との間に二重結合、または2個のヘテロ原子の間に二重結合を保持する、分子を含む。
【0164】
「求電子剤」という用語は、求核剤から1対の電子を受容することができる化学的部分を含む。求電子剤は、エポキシド、アジリジン、エピスルフィド、環式スルフェート、カーボネート、ラクトン、およびラクタムなどの環式化合物を含む。非環式求電子剤は、スルフェート、スルホネート(例えば、トシレート)、塩化物、臭化物、およびヨウ化物などを含む。
【0165】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを含む。
【0166】
「ハロアルキル」という用語は、本明細書で定義される少なくとも1個のハロゲンにより置換された、本明細書で定義されるアルキル基を含む。ハロアルキル基の非限定的な例には、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、3-ブロモ-2-フルオロプロピル、および1,2-ジブロモエチルが含まれる。「フルオロアルキル」は、少なくとも1個のハロゲンがフルオロである、ハロアルキルである。本明細書で他に特に指示しない限り、ハロアルキル基は必要に応じて置換されてもよい。
【0167】
「ハロアルケニル」という用語は、本明細書で定義される少なくとも1種のハロゲンにより置換された、本明細書で定義されるアルケニル基を含む。ハロアルケニル基の非限定的な例には、フルオロエテニル、1,2-ジフルオロエテニル、3-ブロモ-2-フルオロプロペニル、および1,2-ジブロモエテニルが含まれる。「フルオロアルケニル」は、少なくとも1個のフルオロ基で置換されたハロアルケニルである。本明細書で他に特に指示しない限り、ハロアルケニル基は必要に応じて置換されてもよい。
【0168】
「ハロアルキニル」という用語は、本明細書で定義される少なくとも1個のハロゲンにより置換された、本明細書で定義されるアルキニル基を含む。非限定的な例には、フルオロエチニル、1,2-ジフルオロエチニル、3-ブロモ-2-フルオロプロピニル、および1,2-ジブロエチニルが含まれる。「フルオロアルキニル」は、少なくとも1個のハロゲンがフルオロであるハロアルキニルである。本明細書で他に特に指示されない限り、ハロアルキニル基は必要に応じて置換されてもよい。
【0169】
「ヘテロシクリル」または「複素環式環」という用語は、2から23個の環炭素原子と、それぞれ独立してN、O、およびSから選択される1から8個の環ヘテロ原子とを含む、3から24員飽和または部分不飽和非芳香環基を含む。本明細書で他に特に指示しない限り、ヘテロシクリル基は、単環式、二環式、三環式、または四環式環系であってもよく、これらは縮合または架橋環系を含んでいてもよく、部分的にまたは完全に飽和されていてもよく;ヘテロシクリル基中の任意の窒素、炭素、または硫黄原子(複数可)は必要に応じて酸化されてもよく;ヘテロシクリル基中の任意の窒素原子は必要に応じて四級化されてもよい。複素環式環の非限定的な例には、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、および1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが含まれる。本明細書で他に特に指示されない限り、ヘテロシクリル基は必要に応じて置換されてもよい。
【0170】
「ヘテロアリール」という用語は、1から13個の環炭素原子と、それぞれ独立してN、O、およびSから選択される1から6個の環ヘテロ原子とを含み、少なくとも1個の芳香環を含む、5から14員環基を含む。本明細書で他に特に指示されない限り、ヘテロアリール基は、単環式、二環式、三環式、または四環式環系であってもよく、これらは縮合または架橋環系を含んでいてもよく;ヘテロアリールラジカル中の窒素、炭素、または硫黄原子は必要に応じて酸化されてもよく;窒素原子は必要に応じて四級化されてもよい。非限定的な例には、アゼピニル、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、およびチオフェニル(即ち、チエニル)が含まれる。本明細書で他に特に指示されない限り、ヘテロアリール基は必要に応じて置換されてもよい。
【0171】
「ヒドロキシ保護基」という用語は、合成手順中に望ましくない反応に対してヒドロキシル基を保護すること、および除去可能であることが、当技術分野で公知の基を含む。合成手順中に望ましくない反応に対して基を保護するためのヒドロキシ保護基の使用は、当技術分野で周知であり、多くのそのような保護基が公知である。
【0172】
「求核剤」という用語は、反応性電子対を有する化学的部分を含む。求核剤の例には、アミン、メルカプタン、およびアルコールなどの非荷電化合物と、アルコキシド、チオレート、カルボアニオン、ならびに様々な有機および無機陰イオンなどの荷電部分が含まれる。例示的な陰イオン性求核剤には、単純な陰イオン、例えばアジド、シアニド、チオシアン酸イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン、またはクロロギ酸イオン、および重亜硫酸イオンが含まれる。有機金属試薬、例えば有機クプラート、有機亜鉛、有機リチウム、グリニャール試薬、エノレート、およびアセチリドなどは、適切な反応条件下、適切な求核剤になり得る。
【0173】
「薬学的に許容される塩」という用語は、酸付加塩および塩基付加塩の両方を含む。薬学的に許容される酸付加塩の非限定的な例には、塩化物塩、臭化物塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、およびアスコルビン酸塩が含まれる。薬学的に許容される塩基付加塩の非限定的な例には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム(置換および非置換)、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、およびアルミニウム塩が含まれる。薬学的に許容される塩は、例えば、医薬品の分野で周知の標準的な手順を使用して得てもよい。
【0174】
「プロドラッグ」という用語は、例えば生理学的条件下でまたは加溶媒分解によって本明細書に記述される生物学的に活性な化合物に変化され得る化合物を含む。したがって「プロドラッグ」という用語は、薬学的に許容される本明細書に記述される化合物の代謝前駆体を含む。プロドラッグの考察は、例えばHiguchi, T., et al., "Pro-drugs as Novel Delivery Systems," A.C.S. Symposium Series, Vol. 14、およびBioreversible Carriers in Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987に見い出すことができる。「プロドラッグ」という用語は、そのようなプロドラッグが対象に投与されたときにin vivoで本明細書に記述される活性化合物(複数可)を放出する、共有結合された担体も含む。プロドラッグの非限定的な例には、本明細書に記述される化合物中のヒドロキシ、カルボキシ、メルカプト、およびアミノ官能基のエステルおよびアミド誘導体が含まれる。
【0175】
「自己組織化」は、予測可能にかつ再現可能に例えば担体を形成する予測可能な手法でそれら自体が配向することになる成分を使用して、担体を形成するプロセスを指す。
【0176】
「置換された」という用語は、上記基のいずれかにおいて、少なくとも1個の水素原子が、例えばF、Cl、Br、およびIなどのハロゲン原子;ヒドロキシル基、アルコキシ基、およびエステル基などの基における酸素原子;チオール基、チオアルキル基、スルホン基、スルホニル基、およびスルホキシド基などの基における硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N-オキシド、イミド、およびエナミンなどの基における窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、およびトリアリールシリル基などの基におけるケイ素原子;および様々なその他の基におけるその他のヘテロ原子などの非水素原子によって、置き換えられた状況を含む。「置換された」は、上記基のいずれかにおいて、少なくとも1個の水素原子が、オキソ、カルボニル、カルボキシル、およびエステル基の酸素;イミン、オキシム、ヒドラゾン、およびニトリルなどの基の窒素などのヘテロ原子へのより高次の結合(例えば、二重または三重結合)によって置き換えられた状況も含む。
【0177】
本出願は、本明細書に開示される化合物の異性体全てを企図する。本明細書で使用される「異性体」には、光学異性体(立体異性体、例えばエナンチオマーおよびジアステレオマーなど)、幾何異性体(Z(zusammen)またはE(entgegen)異性体など)、および互変異性体が含まれる。本開示は、その範囲内で、化合物の全ての可能性ある幾何異性体、例えばZおよびE異性体(シスおよびトランス異性体)、ならびに化合物の全ての可能性ある光学異性体、例えばジアステレオマーおよびエナンチオマーを含む。さらに本開示は、その範囲内に、個々の異性体およびそれらの任意の混合物、例えばラセミ混合物の両方を含む。個々の異性体は、出発材料の対応する異性形態を使用して得てもよく、または従来の分離方法に従い、最終化合物の調製後に分離されてもよい。光学異性体、例えばエナンチオマーの、それらの混合物からの分離では、従来の分解方法、例えば分別晶析が使用され得る。
【0178】
本開示は、その範囲内に、全ての可能性ある互変異性体を含む。さらに本開示は、その範囲内に、個々の互変異性体とそれらの任意の混合物の両方を含む。本明細書に開示される各化合物は、その範囲内に、全ての可能性ある互変異性形態を含む。さらに本明細書に開示される各化合物は、その範囲内に、個々の互変異性形態とそれらの任意の混合物との両方を含む。本出願の方法、使用、および組成物に関し、1種または複数種の化合物への言及は、その可能性ある異性形態のそれぞれおよびそれらの混合物にある化合物を包含するものとする。本出願の化合物が1つの互変異性形態として示される場合、その示される構造は、全てのその他の互変異性形態を包含するものとする。
【0179】
本明細書に記述されるE-セレクチンリガンドおよび/またはE-セレクチンリガンド保持担体の生物学的活性は、例えば、当技術分野で慣用的に行われる少なくとも1つのin vitroおよび/またはin vivo研究を行うことによって決定され得る。
【0180】
特定のアッセイの条件は、温度、緩衝剤(塩、陽イオン、媒体を含む)、ならびにアッセイで使用される任意の細胞および化合物の完全性を維持するその他の構成要素であって、当業者なら馴染みのあるおよび/または容易に決定することができるものを含む。当業者なら、本明細書に記述されるin vitro法およびin vivo法で行うときに適切な対照を設計することができかつ含めることができることも容易に理解する。
【0181】
本明細書に記述されるおよび当技術分野における少なくとも1つのアッセイおよび技法により特徴付けられる化合物の供給源は、化合物で処置された対象から得られる生体試料であってもよい。アッセイで使用され得る細胞は、生体試料中に提供されてもよい。「生体試料」は、対象からの試料を含んでいてもよく、血液試料(そこから血清または血漿が調製され得る)、生検標本、1種または複数種の体液(例えば、肺洗浄液、腹水、粘膜洗浄液、滑液、尿)、骨髄、リンパ節、組織外植片、臓器培養物、または対象もしくは生物学的供給源からの任意のその他の組織もしくは細胞調製物であってもよい。生体試料はさらに、例えば解剖、解離、可溶化、分画、均質化、生化学的もしくは化学的抽出、粉砕、凍結乾燥、超音波処理、または対象由来のもしくは生物学的供給源由来の試料を処理するための任意のその他の手段によって、形態的完全性または物理的状態が破壊された組織または細胞調製物を含んでいてもよい。一部の実施形態では、対象または生物学的供給源は、ヒトまたは非ヒト動物、一次細胞培養物(例えば、免疫細胞)、または培養適応型細胞系であって、限定するものではないが染色体に関して一体化されたまたはエピソーム性組換え核酸配列を含有し得る遺伝子操作された細胞系、不死化されたまたは不死化可能な細胞系、体細胞混成細胞系、分化したまたは分化可能な細胞系、および形質変換細胞系などを含めたものであってもよい。
【0182】
本明細書に記述されるように、E-セレクチンリガンドおよび/またはE-セレクチンリガンド保持担体を特徴付けるための方法は、動物モデル研究を含む。
【0183】
医療分野の当業者により理解されるように、「処置する」および「処置」という用語は、対象(即ち、患者、個体)の疾患、障害、または状態の医学的管理を含む(例えば、Stedman's Medical Dictionary参照)。一般に、適切な用量および処置レジメンは、治療および/または予防の利益を提供するのに十分な量で、本開示の化合物の少なくとも1種を提供する。治療的処置および予防的または妨害的対策の両方のため、治療および/または予防的利益には、例えば改善された臨床結果が含まれ、その目的は、望ましくない生理学的変化または障害を防止しまたは遅延させまたは遅らせる(少なくする)こと、あるいはそのような障害の拡大または重症度を防止しまたは低速にしまたは遅らせる(少なくする)ことである。本明細書で論じられるように、対象の処置からの有益なまたは望ましい臨床結果には、限定するものではないが、処置がなされる疾患、状態、または障害から得られるまたは関連ある症状の軽減、減少、または緩和;症状の出現の減少;クオリティオブライフの改善;より長い無疾患状態(即ち、疾患の診断がなされる基礎となる症状を対象が提示することになる可能性または傾向の低下);疾患の範囲の減少;疾患の状態の安定化(即ち、悪化しない);疾患進行の遅延または低速化;疾患状態の改善または緩和;および検出可能であっても検出できなくても、寛解(部分的であっても全体的であっても);ならびに/または全体の生存率が含まれる。「処置」は、対象が処置を受けなかった場合に予測される生存率と比較したときの長期生存率を含むことができる。処置を必要とする対象は、疾患、状態、または障害を既に有する対象、ならびに疾患、状態、または障害を有しまたはそれを発症するリスクを有する傾向がある対象、ならびに疾患、状態、または障害が予防されるべき(即ち、疾患、障害、または状態の出現の確率を低下させるべき)対象を含む。
【0184】
本明細書に記述される方法の一部の実施形態では、対象がヒトである。本明細書に記述される方法の一部の実施形態では、対象が非ヒト動物である。本明細書に記述される処置を必要とする対象は、本明細書に記述される疾患、障害、または状態の少なくとも1つの症状または後遺症を示してもよく、あるいは疾患、障害、または状態を発症するリスクがあってもよい。処置され得る非ヒト動物には、哺乳動物、例えば非ヒト霊長類(例えば、サル、チンパンジー、およびゴリラなど)、げっ歯類(例えば、ラット、マウス、アレチネズミ、ハムスター、フェレット、ウサギ)、ウサギ目、ブタ(例えば、ブタ、ミニブタ)、ウマ、イヌ、ネコ、ウシ、およびその他の家庭、農場、および動物園の動物が含まれる。
【0185】
本明細書に記述される疾患、障害、または状態を処置しおよび/または予防する際の本開示の化合物の有効性は、医学および臨床の分野の当業者により容易に決定することができる。適切な投薬レジメンを決定し調節すること(例えば、用量当たり化合物の量および/または用量の数、ならびに投薬の頻度を調節すること)も、医学および臨床分野の当業者が容易に行うことができる。身体検査、臨床症状の評価およびモニタリングを含む、診断方法、ならびに本明細書に記述される分析試験および方法の性能の1つまたは任意の組合せは、対象の健康状態をモニタリングするために使用されてもよい。
【0186】
本明細書では、少なくとも1種の式(I)の化合物を含む医薬組成物も提供される。一部の実施形態では、医薬組成物はさらに、少なくとも1種の追加の薬学的に許容される成分を含む。
【0187】
薬学的剤形において、本開示の化合物のいずれか1種または複数種は、塩などの薬学的に許容される誘導体の形で投与されてもよく、および/または単独でおよび/または適切な関連付けにより、ならびにその他の薬学的な活性化合物との組合せで使用されてもよい。
【0188】
有効量または治療有効量は、単回用量としてまたは一連の用量の一部として対象に投与したときに少なくとも1つの治療効果を発揮することが有効である、本開示の化合物または少なくとも1種のそのような化合物を含む組成物の量を指す。最適な用量は一般に、実験モデルおよび/または臨床試験を使用して決定されてもよい。本明細書に記述される治療薬のそれぞれに関する前臨床および臨床研究の設計および実行(予防的利益のために投与するときを含む)は、十分に、関連ある技術分野の当業者のスキルの範囲内にある。治療剤の最適な用量は、対象のボディマス、体重、および/または血液体積に依存し得る。
【0189】
有効量または治療有効量は、単回用量としてまたは一連の用量の一部として対象に投与したときに少なくとも1つの治療効果を発揮することが有効である、本開示の化合物または少なくとも1種のそのような化合物を含む組成物の量を指す。最適な用量は一般に、実験モデルおよび/または臨床試験を使用して決定されてもよい。本明細書に記述される治療薬のそれぞれに関する前臨床および臨床研究の設計および実行(予防的利益のために投与するときを含む)は、十分に、関連ある技術分野の当業者のスキルの範囲内にある。治療剤の最適な用量は、対象のボディマス、体重、および/または血液体積に依存し得る。
【0190】
有効な治療を提供するのに十分な最小用量を、一部の実施形態で使用してもよい。対象は一般に、処置または予防がなされる疾患または状態に適したアッセイを使用して、治療有効性に関してモニタリングされてもよく、そのアッセイは、当業者に馴染みのあるものになりかつ本明細書に記述される。対象に投与される化合物のレベルは、生物学的流体中、例えば血液中、血液画分(例えば、血清)中、および/または尿中、および/または対象からのその他の生体試料中の化合物(または化合物の代謝産物)のレベルを決定することによってモニタリングされてもよい。化合物またはその代謝産物を検出するのに当技術分野で実施される任意の方法は、治療レジメンの過程で化合物のレベルを測定するのに使用されてもよい。
【0191】
本明細書に記述される化合物の用量は、対象の状態、即ち疾患のステージ、疾患によって引き起こされた症状の重症度、全身の健康状態、ならびに年齢、性別、および体重と、医療分野の当業者に明らかなその他の要因に依存し得る。同様に、疾患または障害を処置するための治療薬の用量は、医療分野の当業者により理解されるパラメーターに従い決定されてもよい。
【0192】
医薬組成物は、医療分野の当業者により決定されるように、処置がなされる疾患または障害に適した任意の手法で投与されてもよい。適切な用量ならびに投与の適切な持続時間および頻度は、患者の状態、患者の疾患のタイプおよび重症度、活性成分の特定の形態、および投与方法を含む、本明細書で論じられるような要因によって決定されることになる。一般に、適切な用量(または有効用量)および処置レジメンは、本明細書に記述されるような医薬組成物(複数可)を、治療的および/または予防的利益(例えば、改善された臨床結果、例えばより頻繁な完全なまたは部分的な寛解、あるいはより長い無疾患および/または全生存率、または症状の重症度の低下、または上記にて詳述されるようなその他の利益)をもたらすのに十分な量で提供する。
【0193】
本明細書に記述される医薬組成物は、有効量の化合物を効果的に送達するいくつかの経路のいずれか1つによって、それを必要とする対象に投与されてもよい。非限定的な適切な投与経路には、局所、経口、鼻、髄腔内、経腸、頬側、舌下、経皮、直腸、膣、眼内、結膜下、舌下、および非経口投与であって、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内、海綿体内、耳道内、および尿道内注射および/または輸液を含めたものが含まれる。
【0194】
本明細書に記述される医薬組成物は、滅菌水性または滅菌非水性溶液、懸濁液、またはエマルジョンであってもよく、さらに少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤(即ち、活性成分の活性を妨げない無毒性材料)を含んでいてもよい。そのような組成物は、固体、液体、または気体(エアロゾル)の形をとってもよい。あるいは、本明細書に記述される組成物は凍結乾燥物として製剤化されてもよく、または本明細書に記述される化合物は、当技術分野で公知の技術を使用してリポソーム内にカプセル封入されてもよい。医薬組成物はさらに、生物学的に活性であっても不活性であってもよい少なくとも1種の追加の薬学的に許容される成分を含んでいてもよい。そのような成分の非限定的な例には、緩衝剤(例えば、中性緩衝生理食塩液またはリン酸緩衝生理食塩液)、炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、スクロース、またはデキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸(例えば、グリシン)、抗酸化剤、キレート化剤(例えば、EDTAおよびグルタチオン)、安定化剤、色素、着香剤、懸濁剤、および保存剤が含まれる。
【0195】
医薬組成物での使用が当業者に公知の任意の適切な賦形剤または担体は、本明細書に記述される組成物中に用いられてもよい。治療用途の賦形剤は周知であり、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy (Gennaro, 21st Ed. Mack Pub. Co., Easton, PA (2005))に記載されている。一般に、賦形剤のタイプは、投与形態および活性成分(複数可)の化学組成に基づき選択される。医薬組成物は、特定の投与形態に向けて製剤化されてもよい。非経口投与では、医薬組成物はさらに水、生理食塩液、アルコール、脂肪、蝋、および緩衝剤を含んでいてもよい。経口投与では、医薬組成物はさらに、例えば前述の賦形剤、固体賦形剤、および担体、例えばマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、カオリン、グリセリン、デンプンデキストリン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、グルコース、スクロース、および炭酸マグネシウムのいずれかから選択される少なくとも1種の成分を含んでいてもよい。
【0196】
医薬組成物(例えば、経口投与または注射による送達用)は、液体の形をとってもよい。液体医薬組成物は、例えば、下記:滅菌希釈剤、例えば注射用水、生理食塩溶液、生理学的生理食塩水、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム、溶媒または懸濁媒として働き得る固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、またはその他の溶媒;抗細菌剤;抗酸化剤;キレート化剤;緩衝剤および等張性を調節するための薬剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロースのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。非経口調製物は、アンプル、使い捨て注射器、または多回用量バイアルであってガラスまたはプラスチックで作製されたものに封入することができる。一部の実施形態では、医薬組成物は、生理学的食塩溶液を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は注射可能な医薬組成物であり、一部の実施形態では、注射可能な医薬組成物は滅菌されている。
【0197】
経口製剤では、本開示の化合物の少なくとも1種を単独で、または錠剤、粉末、顆粒、および/またはカプセルを作製するのに適した少なくとも1種の添加剤、例えば従来の添加剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、着色剤、および着香剤から選択されるものと組み合わせて使用することができる。医薬組成物は、胃環境の低pHからの活性成分の保護をもたらし得る少なくとも1種の緩衝剤および/または腸溶コーティングを含むように製剤化されてもよい。医薬組成物は、少なくとも1種の着香剤と共に経口送達用に、例えば液体、固体、または半固体製剤として、および/または腸溶コーティングを用いて製剤化されてもよい。
【0198】
経口製剤は、活性化合物または生物剤を粉末化担体と一緒に含有し得るゼラチンカプセルとして提供されてもよい。類似の担体および希釈剤を、圧縮錠剤を作製するのに使用してもよい。錠剤およびカプセルは、ある期間にわたって活性成分の連続放出を提供する持続放出製品として製造することができる。圧縮錠剤は、不快ないかなる味もマスクしかつ錠剤を雰囲気から保護するために、糖でコーティングしまたはフィルムコーティングすることができ、あるいは胃腸管内での選択的崩壊のために腸溶コーティングすることができる。
【0199】
医薬組成物は、持続または低速放出のために製剤化されてもよい。そのような組成物は一般に、周知の技術を使用して調製されてもよく、例えば経口、直腸、または皮下埋込みによって、あるいは所望の標的部位での埋込みによって投与されてもよい。持続放出製剤は、担体母材中に分散されたおよび/または速度制御膜により取り囲まれたリザーバー内に含有された、活性治療剤を含有していてもよい。そのような製剤中で使用される賦形剤は、生体適合性があり、生分解性であってもよい。製剤は、比較的一定レベルの活性成分放出を提供し得る。持続放出製剤中に含有される活性治療剤の量は、埋込み部位、放出の速度および予測される持続時間、ならびに処置または予防がなされる状態の性質に依存する。
【0200】
本明細書に記述される医薬組成物は、乳化基剤または水溶性基剤などの様々な基剤と混合することにより、坐薬として製剤化することができる。医薬組成物は、吸入を介して投与されることになるエアロゾル製剤として調製されてもよい。組成物は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、および窒素など、加圧された許容可能な推進剤中に製剤化されてもよい。
【0201】
本開示の化合物およびこれらの化合物を含む医薬組成物は、局所的に(例えば、経皮投与によって)投与されてもよい。局所製剤は、経皮パッチ、軟膏、ペースト、ローション、クリーム、およびゲルなどの形をとってもよい。局所製剤は、浸透剤または増強剤(透過増強剤とも呼ぶ)、増粘剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤、または結合剤のうちの1種または複数種を含んでいてもよい。物理的透過増強剤は、例えば、イオン泳動などの電気泳動技法、および超音波の使用(または「音波泳動」)などを含む。化学的透過増強剤は、治療剤の投与の前、投与と一緒、または投与の直後のいずれかに投与される薬剤であり、皮膚、特に角質層の透過性を増大させて、皮膚を通る薬物の透過の増強をもたらすものである。追加の化学的および物理的透過増強剤は、例えば、Transdermal Delivery of Drugs, A. F. Kydonieus (ED) 1987 CRL Press; Percutaneous Penetration Enhancers, eds. Smith et al. (CRC Press, 1995); Lenneraes et al., J. Pharm. Pharmacol. 54:499-508 (2002); Karande et al., Pharm. Res. 19:655-60 (2002); Vaddi et al., Int. J. Pharm. 91:1639-51 (2002); Ventura et al., J. Drug Target 9:379-93 (2001); Shokri et al., Int. J. Pharm. 228(1-2):99-107 (2001); Suzuki et al., Biol. Pharm. Bull. 24:698-700 (2001); Alberti et al., J. Control Release 71:319-27 (2001); Goldstein et al., Urology 57:301-5 (2001); Kiijavainen et al., Eur. J. Pharm. Sci. 10:97-102 (2000);およびTenjarla et al., Int. J. Pharm. 192:147-58 (1999)に記載されている。
【0202】
本開示の少なくとも1種の化合物の単位用量を含むキット、例えば経口または注射可能な用量で含むキットが提供される。そのようなキットは、単位用量を含む容器、問題の病態を処置する際の治療剤の使用および付随する利益について記述する情報を含む添付文書、および/または必要に応じて少なくとも1種の化合物もしくはそれを含む組成物を送達するための機器もしくはデバイスを含んでいてもよい。
【実施例
【0203】
式(I)の化合物は、例えば図1~4に示されるように調製されてもよい。当業者なら、類似の方法によってまたは当業者に公知のその他の方法を組み合わせることによって、これらの化合物を作製できてもよいと理解される。当業者なら、適切な出発成分を使用しかつ必要に応じて合成のパラメーターを修正することにより、本明細書で特に例示していない式(I)のその他の化合物を作製できる可能性があることも理解される。一般に、出発成分は、Sigma Aldrich、Alfa Aesar、Maybridge、Matrix Scientific、TCI、およびFluorochem USAなどの供給元から得られてもよく、および/または当業者に公知の出典に従い合成されてもよく(例えば、Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, 5th edition (Wiley, December 2000)参照)、および/または本明細書に記述されるように調製してもよい。
【0204】
本明細書に記述されるプロセスでは、特に記述されていない場合であっても、中間体化合物の官能基を適切な保護基によって保護することが必要になり得ることも、当業者によって理解されよう。そのような官能基には、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト、およびカルボン酸が含まれる。ヒドロキシのための適切な保護基には、限定するものではないがトリアルキルシリルまたはジアリールアルキルシリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、またはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、およびベンジルなどが含まれる。アミノ、アミジノ、およびグアニジノのための適切な保護基には、限定するものではないがt-ブトキシカルボニル、およびベンジルオキシカルボニルなどが含まれる。メルカプトのための適切な保護基には、限定するものではないが-C(O)R”(式中、R”はアルキル、アリール、またはアリールアルキルである)、p-メトキシベンジル、およびトリチルなどが含まれる。カルボン酸のための適切な保護基には、限定するものではないがアルキル、アリール、またはアリールアルキルエステルが含まれる。保護基は、当業者に公知の標準技法に従って、および本明細書に記述されるとおりに、付加または除去されてもよい。保護基の使用は、Green, T.W. and P.G.M. Wutz, Protective Groups in Organic Synthesis (1999), 3rd Ed., Wileyに詳述されている。当業者が理解できるように、保護基は、Wang樹脂、Rink樹脂、または2-クロロトリチル-塩化物樹脂などのポリマー樹脂であってもよい。
【0205】
本明細書に記述されるものに類似の反応物は、ほとんどの公的なおよび大学の図書館で利用可能な米国化学会のケミカル・アブストラクト・サービス(the Chemical Abstract Service)によって作製された公知の化学物質のインデックスを通して、ならびにオンラインデータベース(さらなる詳細に関しては、米国化学会、Washington, D.C.に問合せ可能)を通して特定されてもよい。公知であるがカタログで市販されていない化学物質は、特注の化学合成商社(custom chemical synthesis houses)によって調製されてもよく、標準的な化学合成商社(the standard chemical supply houses)(例えば、上記列挙されたもの)の多くが特注の合成サービスを提供する。本開示の薬用塩の調製および選択に関する文献は、P. H. Stahl & C. G. Wermuth "Handbook of Pharmaceutical Salts," Verlag Helvetica Chimica Acta, Zurich, 2002である。
【0206】
当業者に公知の方法は、様々な参考図書、論文、およびデータベースを通して特定されてもよい。本開示の化合物の調製に有用な反応物の合成について詳述する、または調製について記述する論文について言及する、適切な参考図書および論文には、例えば、"Synthetic Organic Chemistry," John Wiley & Sons, Inc., New York; S. R. Sandler et al., "Organic Functional Group Preparations," 2nd Ed., Academic Press, New York, 1983; H. O. House, "Modern Synthetic Reactions", 2nd Ed., W. A. Benjamin, Inc. Menlo Park, Calif. 1972; T. L. Gilchrist, "Heterocyclic Chemistry", 2nd Ed., John Wiley & Sons, New York, 1992; J. March, "Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structure," 4th Ed., Wiley-Interscience, New York, 1992が含まれる。本開示の化合物の調製に有用な反応物の合成について詳述する、または調製について記述する論文について言及する、追加の適切な参考図書および論文には、例えば、Fuhrhop, J. and Penzlin G. "Organic Synthesis: Concepts, Methods, Starting Materials", Second, Revised and Enlarged Edition (1994) John Wiley & Sons ISBN: 3-527-29074-5; Hoffman, R.V. "Organic Chemistry, An Intermediate Text" (1996) Oxford University Press, ISBN 0-19-509618-5; Larock, R. C. "Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations" 2nd Edition (1999) Wiley-VCH, ISBN: 0-471-19031-4; March, J. "Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure" 4th Edition (1992) John Wiley & Sons, ISBN: 0-471-60180-2; Otera, J. (editor) "Modern Carbonyl Chemistry" (2000) Wiley-VCH, ISBN: 3-527-29871-1; Patai, S. "Patai's 1992 Guide to the Chemistry of Functional Groups" (1992) Interscience ISBN: 0-471-93022-9; Quin, L.D. et al. "A Guide to Organophosphorus Chemistry" (2000) Wiley-Interscience, ISBN: 0-471-31824-8; Solomons, T. W. G. "Organic Chemistry" 7th Edition (2000) John Wiley & Sons, ISBN: 0-471-19095-0; Stowell, J.C., "Intermediate Organic Chemistry" 2nd Edition (1993) Wiley-Interscience, ISBN: 0-471-57456-2; "Industrial Organic Chemicals: Starting Materials and Intermediates: An Ullmann's Encyclopedia" (1999) John Wiley & Sons, ISBN: 3-527-29645-X, in 8 volumes; "Organic Reactions" (1942-2000) John Wiley & Sons, in over 55 volumes;および"Chemistry of Functional Groups" John Wiley & Sons, in 73 volumesが含まれる。
(実施例1)
化合物3の合成
【化71】
【0207】
化合物3: 1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-NHSエステル(DSPE-NHS、62mg、62μmol)のクロロホルム(0.4mL)中の溶液に、化合物1(WO2013/096926に記載された調製物)(48mg、65μmol)および1滴のDIPEAの、DMSO(1mL)中の溶液を、室温で5分間にわたり添加した。得られた溶液を45℃で一晩撹拌した。溶液を濃縮し、残留物を高真空下で乾燥して、残留溶媒を除去した。粗製化合物を、EtOAc/MeOH、2/1-MeOHで溶出する順相シリカクロマトグラフィーにより精製して、化合物3(22mg、14μmol、22%)を得た。HPLC純度:98.8%、LC-MS:1576.8(M-1)。
【0208】
1H NMR (400 MHz, メタノール-d4, CDCl3) δ 7.62 - 7.53 (m, 2H), 3.91 (d, J = 12.7 Hz, 1H), 3.79 - 3.69 (m, 1H), 3.48 - 3.39 (m, 1H), 3.36 (d, J = 5.2 Hz, 9H), 2.29 (dt, J = 27.0, 9.8 Hz, 2H), 2.05 - 1.97 (m, 1H), 1.64 - 1.59 (m, 1H), 1.32 - 1.18 (m, 14H), 0.89 (dq, J = 17.6, 7.0, 5.6 Hz, 3H).
(実施例2)
化合物5の仮想合成
【化72】
【0209】
化合物5: 化合物1(1当量)およびアジドPEG NHSエステル化合物4(1.2当量)を、トリエチルアミン(1.5当量)と水中で合わせる。反応混合物を、終了まで室温で撹拌する。反応混合物を、酢酸を添加することによって中和し、混合物をHPLCにより分離して、化合物5を得る。
(実施例3)
化合物6の仮想合成
【化73】
【0210】
化合物6: 化合物6は、化合物4の代わりにプロパルギルPEG NHSエステルを使用することによって、図2に従い調製することができる。
(実施例4)
化合物7の仮想合成
【化74】
【0211】
化合物7: 化合物7は、化合物4の代わりにFmoc-アミノPEG NHSエステルを使用することによって、図2に従い調製することができる。
(実施例5)
化合物8の仮想合成
【化75】
【0212】
化合物8: 化合物8は、化合物4の代わりにFmoc-アミノ-オキシPEG NHSエステルを使用することにより、図2に従い調製することができる。
(実施例6)
化合物9の仮想合成
【化76】
【0213】
化合物9: 化合物9は、化合物4の代わりにSPDP PEG NHSエステルを使用することにより、図2に従い調製することができる。
(実施例7)
化合物10の仮想合成
【化77】
【0214】
化合物10: 化合物10は、化合物4の代わりにカルボキシPEG NHSエステルを使用することにより、図2に従い調製することができる。
(実施例8)
化合物11の仮想合成
【化78】
【0215】
化合物11: 化合物7(1当量)を、水に溶解する。ピペリジン(2当量)を添加する。反応混合物を、終了まで室温で撹拌する。化合物11をHPLCにより単離する。
(実施例9)
化合物12の仮想合成
【化79】
【0216】
化合物12: 化合物12は、化合物11の調製に関するものと同じ手順を使用して、図3に従い調製する。
(実施例10)
化合物13の仮想合成
【化80】
【0217】
化合物13: 図4に示されるように:化合物9をエタノール/クロロホルムに溶解し、5分間、溶液を通してアルゴンをバブリングすることによって脱気する。ジチオトレイトール(3当量)を添加し、反応混合物を、終了まで室温で撹拌する。溶媒を除去し、残留物をHPLCにより分離して、化合物13を得る。
(実施例11)
化合物3のリポソーム組込み
【0218】
化合物3(図5、6、および8では「化合物A」と呼ぶ)を、56:38:5のモル比にある高い相転移温度(Tm)のリン脂質水素化大豆ホスファチジルコリン水素化ホスファチジルコリン(HSPC)/コレステロール(CHOL)/1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)から構成される単層合成リン脂質小胞(リポソーム)に、確立された技法を使用して組み込んだ。E-セレクチン標的化剤を含有するリポソームでは、DSPEを、同一の5%モル比の化合物A(表1)で置き換えた。一実施形態では、微量のフルオレセイン-PEを、膜標識としてリポソームに組み込んだ。簡単に言うと、クロロホルム中で調製された脂質ストックを合わせて、それぞれ所望のモルパーセンテージ(mol%)を実現した(最終脂質量は10mmol)。回転式蒸発および真空により溶媒を除去した後、得られた脂質シェルを水和し、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)中で、80℃で超音波処理して、最終脂質濃度1mMにした。得られた多層小胞は、凍結/解凍の3サイクルを受け、単層小胞を、100nm細孔膜を通した押出しによって発生させた。
【0219】
リポソームの4種の調製物を、表1にまとめたように製造した。一部の調製物では、微量の蛍光ホスファチジルエタノールアミンが含まれて、リポソームでの特定の実験を可能にした。
【表1】
(実施例12)
E-セレクチンおよびE-セレクチン発現内皮細胞の特異的標的化の実証
【0220】
表面プラズモン共鳴(SPR)研究を実施し、ランニング緩衝液としてPBS/0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)/2mM CaCl中、5mL/分の流量で、親油性センサーチップで、リポソーム調製物L1およびL3を捕獲した(6,000~10,000共鳴単位;RU)。次いでランニング緩衝液のみまたはE-セレクチン-Fcキメラ(0.1mg/ml;R&D Systems)を、ランニング緩衝液中、5μL/分の流量で注入し、応答を記録した。結果は、組み込まれた化合物3(図5、6、および8では「化合物A」と呼ぶ)を持つリポソームのみが、E-セレクチンに結合する能力を有したことを実証する。リポソームが化合物3を含有しないとき、E-セレクチンとの相互作用は観察されなかった。この研究の結果を図5にまとめる。
【0221】
蛍光ベースのプレートアッセイを使用して、化合物3を含有するリポソームでのE-セレクチン標的化の特異性をさらに調査した。E-セレクチン-FcキメラまたはBSAを96ウェルプレートのウェルに吸着させ、その後、リポソーム調製物L4またはL5を添加し、37℃で15分間接着させた。ウェルを3×洗浄し、各基質に結合された蛍光リポソームの量を決定した。結果は、組み込まれた化合物3を持つリポソームのみが、E-セレクチンに結合する能力を有したことを実証する。BSAへのバックグラウンド結合は、両方のリポソーム調製物と同等であり、E-セレクチンに関する化合物3を含有するリポソームの標的化能力を再度実証した。この研究の結果を図6にまとめる。
【0222】
後続の研究は、E-セレクチンが発現する条件下で細胞を認識し結合する、化合物3を含有するリポソームの能力を調査するために行った。化合物3を持つおよび持たないこれらのリポソームでは、蛍光リン脂質膜マーカーと共に調製され(それぞれ組成物4および組成物3)、フローサイトメトリーによる検出を可能にした。リポソームを、TNFαが不足しておりまたはTNFαが補われた培地で前処理したヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の培養物と共に、60分間、37℃でインキュベートして、E-セレクチン発現を誘発させた。次いでフローサイトメトリーによる、フルオレセインで標識されたリポソームと細胞調製物との会合を、決定した。
【0223】
フローサイトメトリーをベースにしたアッセイは、0%または5%の化合物3を含有するリポソーム(それぞれ、L4およびL5)を使用した。初期研究は、TNFaで刺激を受けたHUVECのみがE-セレクチンを発現し、刺激を受けないHUVECは発現しなかったと定めた。抗E-セレクチン抗体クローンHAE-1fを使用して、結果は、TNFa刺激でHUVECの88.696%がE-セレクチンを発現することを示し、それに対して非刺激HUVECでは0.396%であった。これらの結果を図7にまとめる。
【0224】
これらの培養条件下、非刺激またはTNFα刺激HUVECを、0%または5%の化合物3を含有するリポソーム(それぞれ、L4およびL5)と共にインキュベートした。結果は、化合物3を含有するリポソームのみが、TNFα活性化HUVECに結合し、非刺激HUVECはそうではないことを実証した(それぞれ、80.429%対0.296%)。化合物3を含有しない対照リポソームは、活性化または非刺激HUVECのいずれにも結合できない(それぞれ、1.004対0.151%)。これらの結果を図8にまとめる。
【0225】
まとめると、これらのデータは、リポソーム製剤への化合物3の組込みが、E-セレクチンおよびE-セレクチン発現内皮細胞に特異的および選択的な標的化担体を生成させることができることを実証する。
(実施例13)
in vivoでの特異的標的化の実証
【0226】
この研究の目的は、確立された皮下(SC)A549ヒト非小細胞肺がん(NSCLC)腫瘍を持つメスC.B-17 SCIDマウスにおいて、IVIS(登録商標)Lumina S5撮像システム(IVIS)での蛍光撮像(FLI)を使用して、化合物3を含有するIRdye780標識リポソームおよび対照IR780標識リポソーム(化合物3なし)の、i.v.投与から4時間、24時間、および1週間後のin vivo腫瘍限局化の定量的評価を提供することであった。
【0227】
in vivo FLI画像を、リポソーム注入から4時間後、24時間後、および1週間後に側位で獲得した(図10、右腋窩腫瘍の側面図)。FLI画像は、励起/発光フィルター(745/800)を使用して獲得した。
【0228】
全ての処理は、十分耐えられるものであった。全てのマウスを、投薬の48時間前に剃毛/脱毛した。
【0229】
FLIシグナルは腫瘍内で限局化し、シグナルの動態は、化合物3を含有する2nmolのIRdye780標識リポソームが投薬されたマウスにおいて、注射時点から4時間後(平均=2.11×1011蛍光強度単位)および1週間後(平均=2.11×1011蛍光強度単位)と比較した場合、投薬後24時間で最も高かった(平均=3.36×1012蛍光強度単位)。2nmolのIRdye780標識リポソームのみ(化合物3なし)によるマウスの注射は、辺縁腫瘍限局化を示した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】