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特表2023-543170投影メディアの3次元シミュレーション及び押し出し
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】投影メディアの3次元シミュレーション及び押し出し
(51)【国際特許分類】
   A63G 31/16 20060101AFI20231005BHJP
   A63J 5/02 20060101ALI20231005BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A63G31/16
A63J5/02
H04N5/74 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517376
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(85)【翻訳文提出日】2023-03-15
(86)【国際出願番号】 US2021051059
(87)【国際公開番号】W WO2022066564
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/082,731
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/469,545
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【弁理士】
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】メッカ アンソニー エイ
【テーマコード(参考)】
5C058
【Fターム(参考)】
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA33
(57)【要約】
3次元(3-D)投影システムが、3-Dオブジェクトをシミュレートするために光の投影を出力するように構成されたプロジェクタと、3-Dオブジェクトの一部をシミュレートするために光の投影を受け取るように構成された不透明な表面と、不透明な表面の境界に配置され、不透明な表面の境界から離れて境界を越える3-Dオブジェクトの延長部をシミュレートするために光の投影を受け取るように構成された半透明なスクリムと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元(3-D)投影システムであって、
3-Dオブジェクトをシミュレートするために光の投影を出力するように構成されたプロジェクタと、
前記3-Dオブジェクトの一部をシミュレートするために前記光の投影を受け取るように構成された不透明な表面と、
前記不透明な表面の境界に配置され、前記不透明な表面の前記境界から離れて前記境界を越える前記3-Dオブジェクトの延長部をシミュレートするために前記光の投影を受け取るように構成された半透明なスクリムと、
を備えることを特徴とする3-D投影システム。
【請求項2】
前記プロジェクタは、前記不透明な表面上での前記3-Dオブジェクトの前記一部のシミュレーションに関連する第1の投影特性セットと、前記スクリムを介して前記不透明な表面の前記境界から離れて前記境界を越える前記3-Dオブジェクトの前記延長部のシミュレーションに関連する第2の投影特性セットとを有する前記光の投影を出力するように構成され、前記第1の投影特性セットは前記第2の投影特性セットと異なる、
請求項1に記載の3-D投影システム。
【請求項3】
前記不透明な表面と前記スクリムの一部との間の前記境界に対応する境界線を決定し、
前記不透明な表面に対応する前記境界線の第1の側に前記第1の投影特性セットを有する前記光の投影を出力し、
前記スクリムの前記一部に対応する前記境界線の第2の側に前記第2の投影特性セットを有する前記光の投影を出力する、
ように構成されたプロセッサを備える、請求項2に記載の3-D投影システム。
【請求項4】
前記プロジェクタは、
前記不透明な表面と前記スクリムのさらなる部分との間のさらなる境界に対応するさらなる境界線を決定し、
前記不透明な表面に対応して前記第1の側と重なり合う前記さらなる境界線の第3の側に前記第1の投影特性セットを有する前記光の投影を出力し、
前記スクリムの前記さらなる部分に対応する前記さらなる境界線の第4の側に前記第2の投影特性セットを有する前記光の投影を出力する、
ように構成される、請求項3に記載の3-D投影システム。
【請求項5】
前記第1の投影特性セット及び前記第2の投影特性セットは、少なくとも形状、サイズ、明るさ、色、又は解像度を含む、
請求項2に記載の3-D投影システム。
【請求項6】
移動する乗り物車両を備え、前記プロジェクタ又は前記プロジェクタに関連するプロセッサは、前記移動する乗り物車両の位置に基づいて、前記不透明な表面上、前記スクリム上、又はこれらの両方への前記光の投影の投影特性を決定するように構成される、
請求項1に記載の3-D投影システム。
【請求項7】
前記プロジェクタは、前記不透明な表面上及び前記スクリム上の両方への前記光の投影を1つの瞬間に出力するように構成される、
請求項1に記載の3-D投影システム。
【請求項8】
前記スクリムは半透明膜である、
請求項1に記載の3-D投影システム。
【請求項9】
前記スクリムは織布を含む、
請求項1に記載の3-D投影システム。
【請求項10】
前記不透明な表面は、前記プロジェクタが前記光の投影を出力するように構成された曲面を含む、
請求項1に記載の3-D投影システム。
【請求項11】
前記3-Dオブジェクトをシミュレートするためにさらなる光の投影を出力するように構成されたさらなるプロジェクタを備える、
請求項1に記載の3-D投影システム。
【請求項12】
3次元(3-D)投影システムであって、
不透明な表面と、
前記不透明な表面の境界に配置された透明又は半透明のスクリムと、
前記不透明な表面上で3次元(3-D)オブジェクトの一部をシミュレートするために前記不透明な表面上に光の投影を出力し、前記不透明な表面の前記境界から離れて前記境界を越える前記3-Dオブジェクトの延長部をシミュレートするために前記透明又は半透明のスクリム上に光を出力するように構成されたプロジェクタと、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項13】
移動可能な乗り物車両を備え、前記プロジェクタ又は前記プロジェクタに関連するプロセッサは、前記移動可能な乗り物車両の位置への前記光の投影の投影特性を決定するように構成される、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロジェクタは、前記不透明な表面上での前記3-Dオブジェクトの前記一部のシミュレーションに関連する第1の投影特性セットと、前記透明又は半透明のスクリムを介して前記不透明な表面の前記境界から離れて前記境界を越える前記3-Dオブジェクトの前記延長部のシミュレーションに関連する第2の投影特性セットとを有する前記光の投影を出力するように構成され、前記第1の投影特性セットは前記第2の投影特性セットと異なる、
請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記不透明な表面と前記透明又は半透明の前記スクリムとの間の前記境界に対応する境界線を決定し、
前記不透明な表面に対応する前記境界線の第1の側に前記第1の投影特性セットを有する前記光の投影を出力し、
前記透明又は半透明のスクリムに対応する前記境界線の第2の側に前記第2の投影特性セットを有する前記光の投影を出力する、
ように構成されたプロセッサを備える、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2の投影特性セットは、前記プロジェクタによって、スキンチングアルゴリズムを介して前記第1の投影特性セットと相関される、
請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の投影特性セット及び前記第2の投影特性セットは、少なくとも形状、サイズ、明るさ、色、又は解像度を含む、
請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
投影システムを介して3次元(3-D)オブジェクトをシミュレートする方法であって、
不透明な表面と、該不透明な表面に隣接して配置されたスクリムとの間の境界線を決定することと、
スキンチングアルゴリズムに基づいて、前記不透明な表面に対応する第1の投影光部分に関連する第1の投影特性セットと、前記スクリムに対応する第2の投影光部分に関連する、前記第1の投影特性セットとは異なる第2の投影特性セットとを決定することと、
前記不透明な表面上で前記3-Dオブジェクトをシミュレートするために、プロジェクタを介して前記境界線に基づいて前記第1の投影光部分を前記不透明な表面上に出力することと、
前記不透明な表面から離れて前記不透明な表面を越える前記3-Dオブジェクトの延長部をシミュレートするために、前記プロジェクタを介して前記境界線に基づいて前記第2の投影光部分をスクリム上に出力することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記プロジェクタを介して前記境界線に基づいて前記第2の投影光部分を前記スクリム上に出力することによって生じる前記第2の投影光部分の吹き抜けを抑えるために、光源を介して背景空間内にさらなる光を出力することを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
乗り物車両の少なくとも1つの位置を決定することと、
前記スキンチングアルゴリズム及び前記乗り物車両の前記少なくとも1つの位置に基づいて、前記第1の投影特性セット、前記第2の投影特性セット、又はこれらの両方を決定することと、
を含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2020年9月24日に出願された「投影メディアの3次元シミュレーション及び押し出し(PROJECTION MEDIA THREE-DIMENSIONAL SIMULATION AND EXTRUSION)」という名称の米国仮特許出願第63/082,731号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、この文献は全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
本節は、以下で説明及び/又は特許請求する本開示の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介するためのものである。本考察は、読者に背景事情を示して本開示の様々な態様のより良い理解を促す上で役立つと考えられる。従って、これらの記載は、先行技術を認めるものとしてではなく上記の観点から読むべきものであると理解されたい。
【0003】
テーマパーク又は遊園地アトラクションはますます人気が高まってきており、ゲストに固有の没入的体験を提供するように形成されている。遊園地アトラクションは、ゲストに固有の没入的体験を提供するのに役立つライトショーなどのショー、光投影、映画、劇場、乗り物、又はこれらの組み合わせを含むことができる。例えば、従来のショーは、光を利用してスクリーン上で2次元又は3次元オブジェクトをシミュレートし、これらのシミュレートされた物体を使用して効果をもたらし、及び/又はストーリーを語る。しかしながら、従来のシステムのハードウェア及びソフトウェア制限によって、ストーリー及び対応するゲスト体験が限定されてしまうことがある。さらに、従来のシステムは、建築、ロボット工学及びショースペースによっても制限される。例えば、物理的ショー要素又はセット小道具の大規模な配列を採用する従来のシステムは、広いショースペースを必要とする場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下、当初の特許請求の範囲の主題と同一範囲のいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、本開示の範囲を限定するものではなく、むしろいくつかの開示する実施形態の概要を示すものにすぎない。実際には、本開示は、以下に示す実施形態と類似し得る又は異なり得る様々な形態を含むことができる。
【0005】
ある実施形態では、3次元(3-D)投影システムが、3-Dオブジェクトをシミュレートするために光の投影を出力するように構成されたプロジェクタと、3-Dオブジェクトの一部をシミュレートするために光の投影を受け取るように構成された不透明な表面と、不透明な表面の境界に配置され、不透明な表面の境界から離れて境界を越える3-Dオブジェクトの延長部をシミュレートするために光の投影を受け取るように構成された半透明なスクリムとを含む。
【0006】
ある実施形態では、システムが、不透明な表面と、不透明な表面の境界に配置された透明又は半透明のスクリムと、不透明な表面上で3次元(3-D)オブジェクトの一部をシミュレートするために不透明な表面上に光の投影を出力し、不透明な表面の境界から離れて境界を越える3-Dオブジェクトの延長部をシミュレートするために透明又は半透明のスクリム上に光を出力するように構成されたプロジェクタ(又は複数のプロジェクタの組み合わせ)とを含む。
【0007】
ある実施形態では、投影システムを介して3次元(3-D)オブジェクトをシミュレートする方法が、不透明な表面と、不透明な表面に隣接して配置されたスクリムとの間の境界線を決定することを含む。方法は、スキンチングアルゴリズムに基づいて、不透明な表面に対応する第1の投影光部分に関連する第1の投影特性セットと、スクリムに対応する第2の投影光部分に関連する、第1の投影特性セットとは異なる第2の投影特性セットとを決定することも含む。方法は、不透明な表面上で3-Dオブジェクトをシミュレートするために、プロジェクタを介して境界線に基づいて第1の投影光部分を不透明な表面上に出力することも含む。方法は、不透明な表面から離れて不透明な表面を越える3-Dオブジェクトの延長部をシミュレートするために、プロジェクタを介して境界線に基づいて第2の投影光部分をスクリム上に出力することも含む。
【0008】
全体を通じて同じ部分を同じ符号によって示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本開示のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の態様による、壁及びスクリム上にプロジェクタを介して光を投影することによって3次元(3-D)オブジェクトをシミュレートするシステムの俯瞰的斜視図である。
図2】本開示の態様による、図1の壁とスクリムとの間の決定された境界線を含む図1のシステムの一部の俯瞰的斜視図である。
図3】本開示の態様による、図1の壁とスクリムとの間の決定された境界線を含む図1のシステムの一部の俯瞰的斜視図である。
図4】本開示の態様による、乗り物の最中に壁及びスクリム上にプロジェクタを介して光を投影することによって3-Dオブジェクトをシミュレートするシステムの俯瞰的斜視図である。
図5】本開示の態様による、複数のプロジェクタを介して複数の異なる表面上に光を投影することによって3-Dオブジェクトをシミュレートするシステムの側面図である。
図6】本開示の態様による、スクリム及び曲線壁を含む図1又は図4のシステムの一部の俯瞰図である。
図7】本開示の態様による、スクリム及び平面を有する壁を含む図1又は図4のシステムの一部の俯瞰図である。
図8】本開示の態様による、スクリムと、端部が接合された2つの平面を有する壁とを含む図1又は図4のシステムの一部の俯瞰図である。
図9】本開示の態様による、スクリムと、グラウト線(grout lines)を有する曲線壁とを含む図1又は図4のシステムの一部の俯瞰図である。
図10】本開示の態様による、図1又は図4において利用される、スキンチング(squinching)アルゴリズムを介して投影特性を決定するプロジェクタの概略図である。
図11】本開示の態様による、図1又は図4のシステムの動作方法を示すプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の1又は2以上の具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するために、本明細書では実施の特徴を全て説明しているわけではない。いずれかの工学又は設計プロジェクトにおいて見られるようないずれかのこのような実施の開発では、実施によって異なり得るシステム関連及びビジネス関連の制約の順守などの開発者の個別の目的を達成するために、数多くの実施固有の決定を行わなければならないと理解されたい。さらに、このような開発努力は複雑で時間が掛かる場合もあるが、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては設計、製作及び製造という日常的な取り組みであると理解されたい。
【0011】
本開示の様々な実施形態の要素を紹介する場合、「a」、「an」及び「the」といった冠詞は、これらの要素が1つ又は2つ以上存在することを意味するものとする。「備える(comprising)」、「含む(including)」及び「有する(having)」という用語は、包括的なものとして意図されており、列記する要素以外のさらなる要素が存在し得ることを意味する。また、本開示の「1つの実施形態」又は「ある実施形態」についての言及は、記載する特徴も含むさらなる実施形態の存在を排除するものとして解釈されるように意図するものではないと理解されたい。
【0012】
本開示は、一般にテーマパーク、遊園地又はその他の娯楽会場に含まれるショーに関する。具体的には、本開示は、投光機、不透明な表面(例えば、固体壁)及び透明又は半透明のスクリムを利用する3次元(3-D)オブジェクトのシミュレーションに関する。
【0013】
娯楽会場は、ゲストに固有の没入的体験を提供するためにライトショーなどのショーを含むことができる。従来のライトショーは、例えばスクリーン上での2次元(2-D)又は3-Dオブジェクトのシミュレーションを含むことができる。しかしながら、従来のシステムは、シミュレートされたオブジェクト及びシミュレートされたオブジェクトを伴う対応する(単複の)効果又はストーリーの真正性を低下させるハードウェア及びソフトウェア制限を含むことがある。
【0014】
本開示によれば、システムが、不透明な表面上で3-Dオブジェクトをシミュレートする光の投影を受け取るように構成された不透明な表面(例えば、壁の固体表面)などの様々な表面上に光の投影を出力して3-Dオブジェクトをシミュレートするように構成されたプロジェクタシステム(例えば、1又は2以上のプロジェクタを含む)と、光の投影を受け取って、不透明な表面の境界から離れて境界を越える3-Dオブジェクトの延長部をシミュレートするように構成されたスクリム(例えば、透明又は半透明のスクリム)とを含むことができる。なお、本明細書における3-Dオブジェクト、又は3-Dオブジェクトを生成するように構成されたシステムについての言及は、必ずしも特別なメガネ又はゴーグル(例えば、アナグリフメガネ)の使用を意味するものではないと理解されたい。例えば、本開示のシステムは、本明細書で説明するシルエット押し出し(silhouette extrusion)技術(例えば、プロジェクションマッピング技術)を介して、(単複の)観察者が必ずしもメガネ又はゴーグルを利用せずに知覚する3-Dオブジェクトをシミュレートするように構成される。3-Dメガネ及び立体3-D投影は必須ではないが、いくつかの実施形態ではこれらを採用することもできる。また、3-D及び2-Dオブジェクトについての言及は、一般に物理的オブジェクトではなくシミュレートされた3-D及び2-Dオブジェクトを示すものである。
【0015】
さらに、本明細書で使用する「スクリム(scrim)」という用語は、投影された光を跳ね返す(例えば、反射する)ことができるが投影光が存在しない時には別様に透明に見える透光性又は半透明の材料を意味することができる。従って、本実施形態は、一部には不透明な表面(例えば、柱の固体面)の境界にスクリムを利用することによって、不透明な表面の周囲で動く3-Dオブジェクトのシミュレーションを容易にすることができる。例えば、シミュレートしたアリが観客の視点から見て完全に不透明な表面の境界内で不透明な表面に沿って登った後に不透明な表面の縁部に至り、そして縁部を越えて登って行く様子を示すことができる。不透明な表面の縁部に隣接する半透明のスクリムがそこに投影された光を反射することにより、アリの足が不透明な表面に接触したままアリの体が不透明な表面を越えて延びるように見せることができる。実際には、シミュレートした3-Dオブジェクトを、不透明な表面の裏側に移行して再び反対側の縁部に現れるように見せることができる。上述したようにスクリムを組み込むことにより、実体の錯覚(例えば、シミュレートされた3-Dオブジェクトの存在)を壊すことなく、シミュレートされた3-Dオブジェクトが不透明な表面上及びその周囲を移行しているように見せることができる。不透明な表面(例えば、固体表面)は壁とは思われないような表面を含むことができるが、以下に示す例では一般に壁について言及する。しかしながら、本実施形態によれば、例示的な壁は他の不透明な表面(例えば、ボール、バレル、屋根、椅子又は他の何らかの物体の固体表面)に置き換えることができると理解されたい。さらに、スクリムは、不透明な表面(例えば、壁)から延びることができる部分的反射材料(例えば、部分的鏡面フィルム又は網製品)として定義することができる。例えば、スクリムは、繊維ガラスを含む織布とすることができる。
【0016】
プロジェクタは、壁とスクリムとの間の境界線と、壁上の3-Dオブジェクトをシミュレートするのに適した第1の投影特性と、スクリムを介して壁の境界を越えて境界から離れる3-Dオブジェクトの延長部をシミュレートするのに適した第2の投影特性とを決定することができる。第1及び第2の投影特性は、プロジェクタ又は別のプロセッサが、壁及び/又はスクリムの物理的属性に加えて、例えばプロジェクタが光を投影する表面及び/又はプロジェクタ自体に対する(単複の)観察者の位置に関する様々な入力を受け取るスキンチングアルゴリズムを介して決定することができる。すなわち、スキンチングアルゴリズムは、シミュレートされた3-Dオブジェクト及びその延長部のサイズ、形状、色、明るさ及びその他の属性が、異なるサイズ、形状及び/又は反射品質を有する異なる表面にわたって比例して見えるように第1及び第2の投影特性を決定することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、アトラクションの最中に(単複の)観察者の位置が変化することがある。例えば、プロジェクタが壁及び/又はスクリム上に光を投影して3-Dオブジェクトをシミュレートする際に、(単複の)観察者が、壁及びスクリムの付近の軌道に沿って移動する乗り物車両上に位置することがある。プロジェクタ及び/又は別のプロセッサを、乗り物車両の現在位置に少なくとも部分的に基づいて、アトラクション又は乗り物の最中の任意の時点における投影特性を決定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両の経路が予め決まっており、プロセッサが、アトラクション又は乗り物の開始前に乗り物車両の位置に基づいて投影特性を決定する。乗り物車両の経路が予測不能な又は一貫していない実施形態などの他の実施形態では、プロジェクタ又は別のプロセッサを、乗り物車両の位置を示すセンサフィードバックを受け取り、乗り物車両の位置を示すセンサフィードバックに少なくとも部分的に基づいて投影特性を決定するように構成することができる。なお、プロジェクタは、ストーリーなどを語るために3-Dオブジェクトを時系列でシミュレートするように構成することができる。プロジェクタ及び/又は別のプロセッサは、乗り物車両が軌道上のいずれかの可能な位置にある場合にストーリーのいずれかの部分をシミュレートするようにプログラムすることができる。すなわち、プロジェクタ及び/又は別のプロセッサは、乗り物車両の第1の走行中に乗り物車両が第1の位置に存在する場合にショーの第1の部分をシミュレートするとともに、乗り物車両の第2の走行中に乗り物車両が第1の位置と異なる第2の位置に存在する場合にショーの第1の部分をシミュレートすることができる。当然ながら、第1の走行時と第2の走行時とでは乗り物車両及び(単複の)観察者が異なる位置に存在することに基づいて、第1の走行の投影特性は第2の走行の投影特性とは異なるようになる。換言すれば、(単複の)観察者の位置に少なくとも部分的に基づいて投影特性を決定することにより、ショーの特定の部分に対応する3-Dオブジェクトを正しくレンダリングして観察者に認識させることができる。
【0018】
さらに、上述したように、壁及びスクリムに投影される光の投影特性を決定する際に壁及びスクリムの物理特性を考慮することもできる。従って、プロジェクタは、壁に適した第1の投影特性と、スクリムに適した第2の投影特性とを決定することができる。当然ながら、壁に適した第1の投影特性は投影特性のサブセットを含み、スクリムに適した第2の投影特性は投影特性のサブセットを含むことができる。例えば、上述したように、壁上で3-Dオブジェクトをシミュレートするのに適した第1の投影特性は、3-Dオブジェクトをシミュレートするために光が投影される壁の領域に対する乗り物車両及び/又は(単複の)観察者の様々な位置に基づく特性のサブセットを含むことができる。すなわち、壁上の異なる位置は、乗り物車両、観察者及びプロジェクタからの異なる距離、及び/又はプロジェクタに対する異なる角度を含むことができ、投影特性のサブセットは、これらの変化する距離及び/又は角度に少なくとも部分的に基づいて決定することができる。
【0019】
プロジェクタは、適切な投影特性を決定した後に、第1の投影特性を有する光を壁上に投影し、第2の投影特性を有する光をスクリム上に投影することができる。スクリムに向けて投影された光の一部はスクリムに反射して、壁の境界から離れて境界を越える3-Dオブジェクトの延長部をシミュレートすることができ、スクリムに向かって投影された光の一部はスクリムを通過して背景空間に入り込むことができる。上述したように、投影特性は、投影光を受け取る壁及び/又はスクリムのエリアに対する乗り物車両及び対応する観察者の位置又は予想位置に少なくとも部分的に基づいて決定することができ、シミュレートされた3-Dオブジェクトが(単複の)観察者にリアルに見える(例えば、ゆがんだり又は歪んだりしない)ように決定することができる。いくつかの実施形態では、スクリムを通じてスクリムの背後の背景空間を見ることができ、この背景空間は、スクリムを通じて容易に観察できる比較的明るい投影を後押しする投影面を含む他のショー要素を含むことができる。これらのショー要素及び(単複の)3-Dオブジェクトのシミュレーションを利用して効果をもたらし、及び/又はストーリーを語ることができる。例えば、背景投影(例えば、背景投影上の比較的明るい投影)及び効果を前景投影(例えば、壁及びスクリム上の投影)と協調させて協調効果(例えば、前景から背景内に進む矢印)を提供することができる。以下、これらの及びその他の特徴について詳細に説明する。
【0020】
次に図面を参照すると、図1は、プロジェクタ12を介して複数の異なる表面上に光を投影することによって3次元(3-D)オブジェクトをシミュレートするシステム10の実施形態の俯瞰的斜視図である。例えば、システム10は、プロジェクタ12、(例えば、固体材料又は不透明材料を有する)壁16、(例えば、透明又は半透明材料又は構造を有する)スクリム18、及びショー要素24、26、28を含む。なお、本明細書で使用する固体及び不透明という用語は、そこを通過する光などの放射エネルギーの実質的な遮断を意味することができる。例えば、本明細書で使用する固体材料又は不透明材料を有する壁16は、壁16を通過する光の90~100%の遮断を示すことができる。
【0021】
システム10は、観客席22及び背景空間20を有する部屋21内に配置することができ、観客席22及び背景空間20は、壁16及びスクリム18によって少なくとも部分的に分離される。背景空間20は、内部に配置されたショー要素24、26、28を含むが、観客席22には、ゲストのための座席区画14と共に他のショー要素を配置することができる。プロジェクタ12は観客席22に配置することができ、或いは壁16及びスクリム18を介して背景空間20から別様に分離することができる。ただし、後の図面を参照しながら説明するように、背景空間20には他のプロジェクタを配置することができる。
【0022】
一般に、図示の(単一の又は複数のプロジェクタを表すことができる)プロジェクタ12は、壁16上で3-Dオブジェクトをシミュレートするために壁16上に光を投影することができる。プロジェクタ12は、壁16の境界31、33から離れて境界を越える3-Dオブジェクトの延長部をシミュレートするためにスクリム18上にも光を投影することができる。例えば、スクリム18は、壁16の境界31から(又は境界31に隣接して)延びる第1の部分30と、壁16の境界33から(又は境界33に隣接して)延びる第2の部分32とを含むことができる。図示のように、境界31、33は単一の表面(例えば、曲線壁)上に配置することができ、この単一の表面に隣接(又は接触)するスクリム18のそれぞれの部分30、32の位置によって定めることができる。
【0023】
スクリム18は、座席エリア14に座っているゲストには透明又は半透明であることができる。いくつかの実施形態では、スクリム18が、スクリム18の透明性又は半透明性を可能にする織り繊維ガラスなどの織布を含むことができる。なお、スクリム18は、組み合わさってスクリム18を半透明にする不透明要素(例えば、網製品)及び開口部を含むことができる。例えば、スクリム18の固体又は不透明部分は光を反射するのに対し、スクリム18の開口部は光を通すことができる。スクリム18は、座席エリア14に座っているゲストには透明又は半透明であるが、プロジェクタ12から受け取った光を反射することができる。従って、壁16の境界31、33に直接隣接するスクリム18の部分は、壁16の境界31、33から離れて境界を越えて延びる、壁16に投影された3-Dオブジェクトの延長部をシミュレートするために利用することができる。従って、この視覚効果は、座席エリア14に座っているゲストには、3-Dオブジェクトの延長部がその背後に固体表面を含まない空きスペースに延びているかのように見えることができる。これらの効果は、3-Dオブジェクトを、壁16に沿って境界31、33のいずれかに向かって移動し、これらの境界を越えて及び/又は壁16の背後に回って視界から消えるかのように見せることができる。壁16の境界31、33から離れて境界を越える3-Dオブジェクトの延長部の知覚は、従来のシステムに比べて境界31、33に隣接する3-Dオブジェクトの見掛けの平坦化を低減することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、システム10によって提供される視覚効果及び/又はストーリーを強化するために、背景空間20に配置されたショー要素24、26、28が、シミュレートされた3-Dオブジェクトと相互作用することができる。図示の実施形態のショー要素24、26、28は、それぞれ植物、ドレッサー及びテーブルを含むが、システム10によって提供されるショーに応じて他のショー要素(例えば、人間、動物、自然、投影物)を含むこともできる。いくつかの実施形態では、システム10によって提供される効果又はストーリーを強化するために、ショー要素24、26、28を移動可能(例えば、自動で及び/又は電子的に移動可能)とすることができる。例えば、ショー要素24、26、28は、プロジェクタ12、壁16及びスクリム18を介してシミュレートされる3-Dオブジェクトと意味のある相互作用を行うように移動することができる。例えば、図示の実施形態におけるショー要素24(すなわち、植物)は、軌道15を横切ってショー要素24(すなわち、植物)を移動させるように構成されたモータアセンブリ27を含むことができる。磁気移動技術などの他の移動技術も可能である。座席エリア14内のゲストによって知覚されるショー要素24の奥行きを変化させることで、ショーを強化し、及び/又は上述したシミュレートされた3-Dオブジェクトとの相互作用効果を可能にすることができる。
【0025】
スクリム18を通じてショー要素24、26、28が容易に見えるように、適切な照明を利用することもできる。例えば、背景空間20内に1又は2以上の比較的明るいライト23を設けて、暗くなった座席エリア14から容易に見えるようにすることができる。ライト23は、後壁25又はその他の壁、物体(例えば、ショー要素24、26、28)、或いは背景空間20内に配置された又は背景空間20を形成する特徴にプロジェクタ12からの光が吹き抜けるのを抑え又は打ち消すために利用することもできる。例えば、プロジェクタ12によって出力されてスクリム18を通過した光の吹き抜けが抑えられ又は打ち消されなければ、シミュレートされた3-Dオブジェクトの一部が背景空間20の特徴内又は特徴上に出現してしまうことがある。実際に、プロジェクタ12によってスクリム18に向けて出力される光は、座席エリア14から見た時にスクリム18上の画像が固体又は不透明に見えるように比較的明るいものであることができる。背景空間20内のライト23は、プロジェクタ12によって出力されてスクリム18を通過する比較的明るい光の吹き抜けを抑え又は打ち消すように、背景空間20の特定の特徴に向けることができる。
【0026】
壁16及びスクリム18は、数ある相違点の中でもとりわけ、異なる材料、幾何学的形状、位置及び/又は反射特性を含むので、壁16上に3-Dオブジェクトをシミュレートするには、スクリム18上に(すなわち、壁16から離れて壁を越える)3-Dオブジェクトをシミュレートする投影特性とは異なる投影特性が必要となり得る。すなわち、壁16及びスクリム18の両方で同じ3-Dオブジェクト(又は同じ3-Dオブジェクトの一部)をシミュレートするには、壁16及び壁を越えたエリア(すなわち、スクリム18)の両方にわたる3-Dオブジェクトの視覚的真正性を高めるために、壁16及びスクリム18のために異なる光特性が必要になり得る。従って、プロジェクタ12は、壁16に対応する第1の投影特性セットと、スクリム18に対応する第2の投影特性セットとを決定することができる。投影特性は、例えば投影光の形状、サイズ、境界又はアスペクト比、投影光の明るさ、投影光の色、投影光の解像度、又はこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。プロジェクタ12は、壁16及びスクリム18の物理的属性及びプロジェクタ12の位置などの様々な特徴を入力として受け取るスキンチングアルゴリズムを介して第1及び/又は第2の投影特性セットを決定することができる。さらに、移動可能な乗り物車両を採用するシステムを有する図4に関して詳細に説明するように、3-Dオブジェクトをシミュレートする表面の領域に対する乗り物車両(及び(単複の)観察者)の位置に少なくとも部分的に基づいて投影特性を決定することによって視覚的真正性を改善することもできる。例えば、第1の投影特性セットは、乗り物車両の相対的位置が変化して乗客の視点が並進及び回転の両方で変化した時に3-Dオブジェクトの視覚的真正性が保証される(すなわち、ゆがみ及び歪みが減少する)ように、光が投影される壁16及び/又はスクリム18の様々な領域に対する乗り物車両の位置に対応する投影特性のサブセットを含むことができる。プロジェクタ12の位置(或いはプロジェクタ12と光が投影される又は投影される予定の表面との間の距離19)も、スキンチングアルゴリズムへの入力とすることができる。壁16及びスクリム18のための第1及び第2の投影特性セット(及びそのサブセット)を決定することにより、従来のシステムに比べてシミュレートされた3-Dオブジェクトのゆがみが抑えられ又は打ち消されて、(壁16を越える及び/又は壁16の背後の3-Dオブジェクトの動きを含む)シミュレートされた3-Dオブジェクトの真正性が改善される。
【0027】
プロジェクタ12は、プロジェクタ12によってスクリム18と壁16との間に提供される境界線を決定及び/又は制御することもできる。すなわち、スクリム18と壁16との間の境界線は、投影特性を決定するためのスキンチングアルゴリズムへの入力であることができる。一般に、壁16とスクリム18との間の物理的移行はシームレスでない場合がある(例えば、鋭角を含む場合がある)。さらに、壁16とスクリム18とでは材料特性が異なるので、壁16及びスクリム18は異なるように光を反射し、壁及びスクリム上の3-Dオブジェクトの視覚的真正性も異なることを保証するには異なる投影特性が必要となり得る。従って、壁16とスクリム18との間の境界線を正確に決定した後に、この境界線をスキンチングアルゴリズムへの入力として利用することで、3-Dオブジェクトが境界線を通過する際に実質的にゆがんだり又は歪んだりしないことを保証することができる。
【0028】
図示の実施形態では、これらの境界線が、例えばスクリム18の第1の部分30に隣接する壁16の境界31、及びスクリム18の第2の部分32に隣接する壁16の境界33に対応することができる。図示の実施形態における境界31、33は、スクリム18が壁16に接触、交差又は接近する、壁16に沿った対向地点(又は軸方向スライス)を表すことができる。図2では、図1のプロジェクタ12によって決定された境界線37が、スクリム18の部分32に隣接する壁16の境界33に対応することができる。図示の実施形態では、スクリム18の部分32が壁16の境界33に当接し、又は壁16の中間部29(例えば、直径)において壁16の境界33を貫通する。従って、図1のプロジェクタ12は、壁16の境界33において境界線37を決定することができる。その後、図1のプロジェクタ12は、上述したように、決定された境界線37の第1の側(すなわち、壁16上)に第1の特性セットを有する光を投影し、決定された境界線37の第2の側(すなわち、スクリム18の部分32上)に第2の特性セットを有する光を投影することができる。
【0029】
他の実施形態では、スクリム18の部分32が、壁16の境界33から間隔を空けることができる。この理由及び/又はその他の理由で、図1のプロジェクタ12は境界線37を境界領域内で決定することができ、これによってある程度の許容誤差を可能にすることができる。例えば、図3は、図1のプロジェクタ12によって決定された境界領域39内の境界線37の概略図である。図3に示すように、境界領域39は、壁16の境界33、スクリム18の部分32の境界35、及び壁16の境界33とスクリム18の部分32の境界35との間の空間40(すなわち、間隙)を含むことができる。図示の実施形態では、壁16の境界33とスクリム18の部分32の境界35との間の空間40内に境界線37が(例えば、図1のプロジェクタ12によって)決定される。しかしながら、境界線37は、境界領域39内のいかなる位置に決定することもできる。いくつかの実施形態では、図1のシステム10が、図1に示すセンサ50などのセンサを介して境界線37を検出及び/又は決定することができる。他の実施形態では、図1のプロジェクタ12を、プロジェクタ12へのプログラム入力によって境界線37の位置が提供されるように壁16及びスクリム18に対して配置することができる。その後、図1のプロジェクタ12は、壁16(すなわち、図2の境界線37の左側)に上述したような壁16に適した第1の投影特性セットを有する光を投影し、スクリム18(すなわち、図2の境界線37の右側)に上述したようなスクリム18に適した第2の投影特性セットを有する光を投影することができる。
【0030】
上述したように、いくつかの実施形態では、アトラクション、乗り物又はショーの最中に観察者の位置が変化することがある。例えば、壁16及びスクリム18上で3-Dオブジェクトがシミュレートされる時に、軌道に沿って移動する乗り物車両内に観察者が位置することがある。図4は、乗り物の最中にプロジェクタ12を介して壁16及びスクリム18上に光を投影することによって3-Dオブジェクトをシミュレートするシステム10の俯瞰的斜視図である。例えば、図示のシステム10は、軌道56に沿って移動するように構成された乗り物車両55を含む。上述したように、プロジェクタ12は、壁16及び/又はスクリム18上に光を投影して、乗り物車両55内の観察者が知覚できる3-Dオブジェクト57をシミュレートするように構成される。プロジェクタ12は、光を投影すべき壁16及び/又はスクリム18の領域に対する乗り物車両55(従って、観察者)の位置、又は換言すれば壁16及び/又はスクリム18上の3-Dオブジェクト57の位置又は予想位置に対する乗り物車両55の位置に基づいてショーの所与の部分の投影特性を決定するように構成される。図4は、壁16上でシミュレートされている3-Dオブジェクト57から乗り物車両55が距離58だけ離れている間のショーのスナップショットの図を表す。すなわち、図4には、乗り物車両55が3-Dオブジェクト57から第1の位置及び第1の距離58に存在している間の乗り物車両55の第1の走行を示す。乗り物車両55の第2の走行では、乗り物車両55が、プロジェクタ12によって壁16上にシミュレートされている3-Dオブジェクト57に対する第2の位置、及び3-Dオブジェクトから第2の距離59に存在することができる。プロセッサ12は、第1の走行のための図示の3-Dオブジェクト57の第1の投影特性、及び第2の走行のための図示の3-Dオブジェクト57の第2の投影特性を決定することができる。乗り物車両55の位置が異なるので、第1の走行に対応する第1の投影特性は、第2の走行に対応する第2の投影特性とは異なることができる。第1及び第2の投影特性を乗り物車両55の位置に少なくとも部分的に基づいて決定することにより、観察者が図示の3-Dオブジェクト57を第2の走行における位置とは異なる第1の走行における位置から知覚しているにもかかわらず、図示の3-Dオブジェクト57の視覚的真正性が保証される。
【0031】
乗り物車両55の位置は、複数の方法で決定及び/又は表現することができる。例えば、乗り物車両55のX座標61、Y座標63、及び/又はZ座標65を決定することができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両55について(例えば、Z座標65に沿った)1つの次元を固定することができる。3-Dオブジェクト57の予想位置、プロジェクタ12の位置又は他の何らかの位置などのいずれかの原点71を使用することができる。これに加えて又はこれに代えて、距離58及び59を決定し、好適な投影特性を決定するスキンチングアルゴリズムへの入力として利用することもできる。上述したように、プロジェクタ12の位置もスキンチングアルゴリズムへの入力とすることができる。
【0032】
図示のシステム10を採用するいくつかの実施形態では、ライトショーの様々な局面における乗り物車両55の様々な位置が予め決まっており、この予め決まった位置に基づいて投影特性が決定される。しかしながら、乗り物車両55の経路が一貫していない又は予測不能な実施形態などのいくつかの実施形態では、センサ73を採用して乗り物車両55の位置をモニタし、プロジェクタ12(又はプロジェクタ12と通信する別のプロセッサ)が乗り物車両55の位置を示すフィードバックをセンサ73から受け取ることによって、プロジェクタ(又は別のプロセッサ)がセンサフィードバックに基づいてリアルタイムで適切な投影特性を決定する。
【0033】
なお、上述した特徴は、観察者の位置が固定されて壁16及び/又はスクリム18の位置が移動するシステム10の実施形態、並びに観察者の位置が移動して壁16及び/又はスクリム18の位置も移動するシステム10の実施形態に適用することができる。実際に、いくつかの実施形態では、乗り物又はショーの最中に、壁16及び/又はスクリム18を、壁16及び/又はスクリム18の移動を可能にするように構成された対応するトラック又はアームに結合することができる。なお、乗り物車両55及び対応する乗客、壁16、スクリム18、及びプロジェクタが光を投影する他のいずれかのコンポーネントの位置が(向きを含めて)モニタされ、3-Dオブジェクトをシミュレートするための投影光を受け取る表面(例えば、壁16、スクリム18)に対する乗り物車両55及び対応する乗客の相対的位置に少なくとも部分的に基づいて適切な投影特性を決定することができると理解されたい。上述した相対的位置をモニタする際に、観察者の視点に対する(単複の)3-Dオブジェクトの視覚的真正性が保証される。上記の点に加えて以下で詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、ショーにおいて利用される様々な3-Dオブジェクトをシミュレートするために、及び/又はスクリム18に関連する吹き抜けを抑えることなどのショー又はアトラクションの他の要素のために複数のプロジェクタを利用することができる。
【0034】
図5は、複数のプロジェクタを含むシステム10の実施形態の側面図である。例えば、システム10は、プロジェクタ12、壁16、スクリム18、第2のプロジェクタ49、第2のスクリム52、及び第3のプロジェクタ54を含む。第2のプロジェクタ49及び第3のプロジェクタ54は、第2スクリム52の対向するそれぞれの側面51、53上に及び/又は側面51、53を通じて光を投影することができるが、システム10には他のスクリム及び/又はプロジェクタを組み込むこともできる。上記の説明によれば、プロジェクタ12、壁16及びスクリム18を利用して3-Dオブジェクトをシミュレートすることができるが、第2のプロジェクタ49、第2スクリム52及び第3のプロジェクタ54を利用して壁16及びスクリム18の背後の同様の又はその他の光効果をシミュレートすることもできる。一方で、これに加えて又はこれに代えて、第2のプロジェクタ49及び第3のプロジェクタ54、又は図示の実施形態に示していない他のプロジェクタを利用して、プロジェクタ12と共に及び/又はプロジェクタ12を使用せずに3-Dオブジェクトをシミュレートすることもできる。例えば、いくつかの実施形態では、スクリム18上で(例えば、第2のプロジェクタ49から離れた方に面するスクリム18の側の観客の視点から見える)3-Dオブジェクトをシミュレートするために、第2のプロジェクタ49がスクリム18上に光を投影することができる。
【0035】
上述したように、システム10によって提供される視覚効果及び/又はストーリーを強化するために、ライトショーと相互作用するいずれかの位置にショー要素を配置することができる。いくつかの実施形態では、上述したようにプロジェクタ49、54(又は図1の光23などの他の光源)を利用してプロジェクタ12からの吹き抜けを打ち消し又は抑えることができる。例えば、プロジェクタ12によってスクリム18に向かって出力された光の一部は、スクリム18を通過してスクリム18の背後の表面上に至ることができる。プロジェクタ49、54からの光(又は図1の光23などの他の光源からの光)は、スクリム18以外の表面上でシミュレートされている3-Dオブジェクトの姿を遮断又は低減するための手段として、プロジェクタ12からの一部の光を受け取るスクリム18の背後の表面上に向かうことができる。
【0036】
図6図9は、図1又は図4のシステム10の一部を含む実施形態の俯瞰図である。例えば、図6図9には、プロジェクタ12が3-Dオブジェクトをシミュレートするために光を投影できるスクリム18及び壁16の様々な表面を示す。例えば、図6には、3-Dオブジェクト62をシミュレートする光が投影される曲面60を有する円形又は楕円形断面を含む壁16を示す。図6(及び図7図9)には、3-Dオブジェクト62を円又はボールとして概略的に示す。しかしながら、3-Dオブジェクト62は、自然、人間、動物、昆虫又は車両などのいずれかのシミュレートされた形状を含むことができる。プロジェクタ12は、壁16に沿って移動するシミュレートされた3-Dオブジェクト62を出現させるように、一定時間にわたって壁16の様々な位置(例えば、図6の曲面60の様々な位置)に光を投影することができる。上述したように、スクリム18の様々な部分に光を投影することにより、曲面60から離れて曲面60を越えるシミュレートされた3-Dオブジェクト62の延長部64をシミュレートすることができる。従って、プロジェクタ12は、シミュレートされた3-Dオブジェクト62が壁16に沿って、さらには壁16の周囲及び背後に移動するように見えるように、一定時間にわたって壁16及びスクリム18上に光を投影することができる。シミュレートされたオブジェクト62の延長部64は、シミュレートされた3-Dオブジェクト62が壁16の境界31又は33を通過する際に、シミュレートされた3-Dオブジェクト62の歪み及び/又はゆがみを低減することもできる。
【0037】
図7には、3-Dオブジェクト62をシミュレートする光がプロジェクタ12によって投影される、プロジェクタ12に面した平面66を含む矩形形状の壁16を示しており、ここではスクリム18を利用して、壁16の平面66を越える又は平面66から離れる3-Dオブジェクト62の延長部64をシミュレートする。図8には、縁部69が接合された複数の平面67を含む三角形形状の壁16を示しており、ここでは3-Dオブジェクト62をシミュレートするためにプロジェクタ12によって出力された光を複数の平面67が受け取る。図9には、グラウト線72を有する曲面70を含む円形又は楕円形形状の壁16を示す。図6図9の壁16及びスクリム18は、いずれもその上で3-Dオブジェクト62をシミュレートするのに適することができる。図示の実施形態におけるスクリム18は、所望の奥行きの知覚又は壁の幾何学的形状の性質に基づいて、壁16の最も前方部分に対してオフセットされた配向で観察方向に沿って配置される。
【0038】
図10は、図1又は図4のシステム10において使用されるプロジェクタ12の実施形態の概略図である。プロジェクタ12は、プロセッサ80、メモリ82、及びレンズアセンブリ84(例えば、1又は2以上のレンズ)を含む。メモリ82は、プロセッサ80によって実行された時に本開示による様々な機能をプロセッサ80に実行させる命令を記憶することができる。いくつかの実施形態では、プロジェクタ12から独立した、プロセッサ80及びメモリ82を含むことができるコントローラがプロジェクタ12と通信することができる。さらに、いくつかの実施形態では、プロジェクタ12の複数のインスタンスを採用することができる。このような実施形態では、プロジェクタ12の各インスタンスがプロセッサ80及びメモリ82の専用インスタンスを含むことができ、或いはプロセッサ80及びメモリ82を含むことができる独立したコントローラをプロジェクタ12の様々なインスタンスと通信するように構成することができる。
【0039】
上述したように、プロジェクタ12は、例えば図4の壁16に適した第1の投影特性と、図4のスクリム18に適した第2の投影特性とを決定し、又は受け取ることができる。当然ながら、上述したように、プロジェクタ12は、図4の壁16のための様々な投影特性のサブセット及び図4のスクリム18のための様々な投影特性のサブセットを決定することができ、様々な投影特性のサブセットは、効果(すなわち、シミュレートされている3-Dオブジェクト)に対する観察者の位置を含む様々な入力に依存する。例えば、図4の壁16の第1の部分について決定される、乗り物車両が第1の位置に存在している間のストーリーの第1の部分に対応する投影特性は、図4の壁16の第1の部分について決定される、乗り物車両が第1の位置とは異なる第2の位置に存在している間のストーリーの第1の部分に対応する投影特性とは異なることができる。メモリ82には、様々な入力を受け取るように構成されて投影特性を決定するために利用されるスキンチングアルゴリズムを記憶することができ、これをプロセッサ80が実行することができる。スキンチングアルゴリズムは、例えば観察者の位置85、境界線の位置86、境界線の形状88、プロジェクタ12の位置に対する境界線の角度90、境界線のサイズ92、壁のサイズ94、壁の形状96、壁の位置98、壁の材料100、壁の反射特性102、スクリムのサイズ104、スクリムの形状106、スクリムの位置108、スクリムの材料110、スクリムの反射特性112、壁又はスクリム上の光を受け取る位置114とプロジェクタとの間の距離、又はこれらのいずれかの組み合わせを入力として受け取ることができる。上述した位置のいずれかの決定は、X座標、Y座標、Z座標、又はこれらのいずれかの組み合わせの決定を含むことができ、原点は(例えば、図4に図示し、図4に関して説明したような)基準点に固定される。さらに、これらの位置は、予め決定しておく(例えば、対象のコンポーネントが固定位置に存在し、又は対象のコンポーネントの経路が既知である)ことも、或いはセンサフィードバックに基づいて決定する(例えば、対象のコンポーネントが移動可能であり、及び/又は対象のコンポーネントの経路が予測不能であり又は一貫していない)こともできる。いくつかの実施形態では、入力85、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112及び114、又はこれらのいずれかの組み合わせを、システムの様々な特徴の相対的な及び/又は予想される位置に基づいて手動でプロジェクタ12にプログラムすることも、或いはプロジェクタが、入力85、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112及び114のうちの少なくともいくつかを決定するセンサ50を含むこともできる。センサ50は、例えば、赤外線(IR)センサなどの温度光センサ、モーションセンサ、カメラ、又は他のいずれかの好適なセンサを含むことができる。さらに、センサ50は、プロジェクタ12と一体化することも、或いはプロジェクタ12から分離することもできる。
【0040】
スキンチングアルゴリズムは、入力85、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112及び114のうちの1つ又は2つ以上を受け取り、様々な投影特性を出力として決定することができる。例えば、スキンチングアルゴリズムを利用して、投影光の色120、明るさ122、解像度124、形状126又はサイズ128のうちの少なくとも1つの特性を含む投影特性を決定することができる。いくつかの実施形態では、投影光の形状126及びサイズ128をアスペクト比の形態で決定することができる。出力特性120、122、124、126、128は、シミュレートされた3-Dオブジェクトが壁とスクリムとの間の相違点(例えば、壁及びスクリムの物理的属性に関連する上述した入力85、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114)によって平坦化、ゆがみ又はその他の摂動を受けないように決定することができる。さらに、上述したように、スキンチングアルゴリズムを利用して、壁上の異なる位置及びスクリム上の異なる位置の出力特性120、122、124、126、128を決定することもできる。すなわち、例えば第1の投影特性セットは、3-Dオブジェクトをシミュレートするために光を受け取るように意図された壁上の様々な位置について決定される投影特性のサブセットを含むことができる。実際に、壁の異なる位置は、プロジェクタ12からの異なる距離及び/又はプロジェクタ12に対する異なる角度を含むことができる。従って、壁上の1つの位置は、壁上の別の位置と異なる投影特性を必要とすることができる。同様に、プロジェクタ12は、スクリム上への第2の投影特性の特性サブセットを決定することもできる。
【0041】
いくつかの実施形態では、プロジェクタ12からの光の投影によってシミュレートされる3-Dオブジェクトを、所与の瞬間に一部を壁上にシミュレートして一部をスクリム上にシミュレートすることができる。このような事例では、プロジェクタ12が、壁上の3-Dオブジェクトの第1の部分のための第1の投影特性セットと、壁を越えた(すなわち、スクリム上の)3-Dオブジェクトの第2の部分のための第2の投影特性セットとを含むことができる。或いは、プロジェクタ12は、第1及び第2の投影特性間を補間する(例えば、壁及びスクリムの両方のための)第3の投影特性セットにおける光を出力することもできる。いずれにせよ、いくつかの事例では、プロジェクタ12が、1つの瞬間に壁及びスクリムの両方に光を投影し、従って壁上の3-Dオブジェクトの一部と、壁の境界から離れて壁の境界を越えた3-Dオブジェクトのさらなる部分(すなわち、延長部)とをシミュレートすることができる。なお、図10のプロジェクタ12は、上述したスキンチングアルゴリズムを実行するために利用されるプロセッサ80及びメモリ82を含むものとして示している。いくつかの実施形態では、プロセッサ80及びメモリ82がプロジェクタ12から分離され、これらを利用してスキンチングアルゴリズムを実行してプロジェクタ12に投影特性を伝え、この投影特性を利用してショー及び対応する3-Dオブジェクトのシミュレーションを実行することができる。
【0042】
図11は、図1のシステムの動作方法200を示すプロセスフロー図の実施形態である。方法200は、投影特性を決定するために利用される様々な入力を決定する(ブロック202)ことを含む。上述したように、これらの入力は、(例えば、効果、すなわちシミュレートされた3-Dオブジェクトに対する)観察者の位置、境界線の位置、境界線の形状、プロジェクタの位置に対する境界線の角度、境界線のサイズ、壁のサイズ、壁の形状、壁の位置、壁の材料、壁の反射特性、スクリムのサイズ、スクリムの形状、スクリムの位置、スクリムの材料、スクリムの反射特性、プロジェクタと光を受け取る壁及び/又はスクリム上の位置との間の距離、又はこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。これらの様々な入力は、プロセッサに入力(例えば、手動で入力)することができ、及び/又はプロセッサに通信可能に結合されたセンサによって検出することができる。
【0043】
方法200は、上述した入力、及び上述した入力を受け取るスキンチングアルゴリズムに基づいて、壁に適した(又は壁に対応する)第1の投影特性及びスクリムに適した(又はスクリムに対応する)第2の投影特性を決定する(ブロック204)ことも含む。上述したように、投影特性は、プロジェクタから出力される光の色、明るさ、解像度、形状、サイズ又はアスペクト比のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。さらに、上述したように、プロジェクタは、シミュレートされた3-Dオブジェクトに対する観察者の位置に基づいて様々な投影を決定することができる。すなわち、プロジェクタは、乗り物車両の第1の位置に基づいて壁の第1の部分のための投影特性を決定し、第1の位置とは異なる乗り物車両の第2の位置に基づいて壁の第1の部分のための異なる投影特性を決定することができる。同様に、プロジェクタは、乗り物車両が第1の位置に存在する場合に壁の第1の部分のための投影特性を決定し、乗り物車両が第1の位置に存在する場合に壁の第2の部分のための異なる投影特性を決定することもできる。すなわち、乗り物車両とシミュレートされる効果(例えば、シミュレートされる3-Dオブジェクト)との相対的位置付けを、上述したスキンチングアルゴリズムへの入力とすることができる。
【0044】
方法200は、第1の投影特性セットを有する光を壁上に出力すること(ブロック206)と、第2の投影特性セットを有する光をスクリム上に出力すること(ブロック208)とをさらに含む。上述したように、スキンチングアルゴリズムを利用して、壁上の異なる位置及びスクリム上の異なる位置のための出力特性を決定することができる。すなわち、例えば第1の投影特性セットは、3-Dオブジェクトをシミュレートするために光を受け取るように意図された壁の様々な位置について決定される投影特性のサブセットを含むことができる。実際に、壁の異なる位置は、プロジェクタからの異なる距離及び/又はプロジェクタに対する異なる角度を含むことができる。従って、壁上の1つの位置は、壁上の別の位置とは異なる投影特性を必要とすることができる。同様に、プロジェクタ12は、スクリム上への第2の投影特性の特性サブセットを決定することもできる。
【0045】
さらに、上述したように、プロジェクタは、1つの瞬間(例えば、3-Dオブジェクトが壁の境界に近づいて通過する時)に壁及びスクリムの両方に光を投影することもできる。このような状況では、プロジェクタが、壁上の3-Dオブジェクトの第1の部分のための第1の投影特性セットと、壁面を越えた(すなわちスクリム上の)3-Dオブジェクトの第2の部分(すなわち延長部)のための第2の投影特性セットとを含む光を投影することができる。或いは、プロジェクタは、第1の投影特性と第2の投影特性との間で補間される、壁及びスクリムの両方のための第3の投影特性セットにおける光を出力することもできる。
【0046】
上述した投影システム及び方法は、ライトショーに含まれるシミュレートされた3-Dオブジェクトの視覚的真正性を強化するとともに、視覚効果を提供し及び/又はストーリーを語る上での3-Dオブジェクトの使用の多様性を改善する。例えば、上述した投影システム及び方法は、壁の境界を越えて壁から離れる3-Dオブジェクトのシミュレーションを、シミュレートされた3-Dオブジェクトの平坦化又はゆがみを生じさせることなく可能にすることができる。
【0047】
本明細書では、本発明のいくつかの特徴のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正及び変更が思い浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の実際の趣旨に含まれる全てのこのような修正及び変更も対象とすることが意図されていると理解されたい。
【0048】
本明細書に示して特許請求する技術は、本技術分野を確実に改善する、従って抽象的なもの、無形のもの又は純粋に理論的なものではない実際的性質の有形物及び具体例を参照し、これらに適用される。さらに、本明細書の最後に添付するいずれかの請求項が、「...[機能]を[実行]する手段」又は「...[機能]を[実行]するステップ」として指定されている1又は2以上の要素を含む場合、このような要素は米国特許法112条(f)に従って解釈すべきである。一方で、他のいずれかの形で指定された要素を含むあらゆる請求項については、このような要素を米国特許法112条(f)に従って解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0049】
10 システム
12 プロジェクタ
14 座席区画
15 軌道
16 壁
18 スクリム
19 プロジェクタと壁の表面との間の距離
20 背景空間
21 部屋
22 観客席
23 ライト
24 ショー要素
25 後壁
26 ショー要素
27 モータアセンブリ
28 ショー要素
30 スクリムの第1の部分
31 壁の境界
32 スクリムの第2の部分
33 壁の境界
50 センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】