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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】多金属酸化物触媒を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/888 20060101AFI20231005BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20231005BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20231005BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B01J23/888 Z
B01J37/04 102
B01J37/08
B01J37/00 D
B01J37/00 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519129
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2021076244
(87)【国際公開番号】W WO2022063922
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】20198256.8
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ジュース
(72)【発明者】
【氏名】キャスリン・アレクサンドラ・ヴェルカー-ニーウワウト
(72)【発明者】
【氏名】ティル・ゲルラッハ
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー・ベンディグ
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA08
4G169BA02B
4G169BB06B
4G169BC03B
4G169BC25B
4G169BC31B
4G169BC54B
4G169BC59B
4G169BC60B
4G169BC66B
4G169BC67B
4G169BD05B
4G169CB17
4G169DA06
4G169EA06
4G169ED03
4G169FB05
4G169FB06
4G169FB57
4G169FB63
4G169FB65
4G169FB78
4G169FB79
4G169FB80
4G169FC07
4G169FC08
(57)【要約】
多金属酸化物触媒を製造する方法は、前駆体組成物を調製するステップと、組成物を活性化するために前記前駆体組成物を高温に曝露するステップと、活性化された組成物を粉砕するステップとを含む。前駆体組成物を調製するステップは、a)組成物の成分から可塑化前駆体組成物を形成するステップと;b)押出物を形成するために、少なくとも1つのダイを有する押出機から可塑化前駆体組成物を排出するステップと;c)押出物を、少なくとも1つのダイの下に配置された搬送面に落下させ、それによって、押出物が、搬送面に停止する小片に分解するステップと;d)小片を少なくとも1つの乾燥チャンバに移送するステップと;e)通気性乾燥コンベアベルト上の少なくとも1つの乾燥チャンバを通して小片を移動させるステップとを含み、ステップb)~d)は減圧下で行われる。この方法は、均一な特性を有する多金属酸化物触媒の製造を可能にする。可塑化前駆体組成物の押出及び押出物の取り扱い中に生成され得る多金属酸化物前駆体の微粒子は除去される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前駆体組成物を調製するステップと、前記前駆体組成物を昇温した温度に曝して前記組成物を活性化するステップと、前記活性化された組成物を粉砕するステップとを含む、多金属酸化物触媒を製造する方法であって、前記前駆体組成物を調製する前記ステップが、
a)前記組成物の成分から可塑化された前駆体組成物を形成するステップと;
b)少なくとも1つのダイを有する押出機から前記可塑化された前駆体組成物を排出させて押出物を形成するステップと;
c)前記押出物を、前記少なくとも1つのダイの下に配置された搬送面上に落下させ、それによって、前記押出物が、前記搬送面上にとどまる小片に分解されるステップと;
d)前記小片を、少なくとも1つの乾燥チャンバへと移送するステップと;
e)通気性乾燥コンベアベルト上の前記少なくとも1つの乾燥チャンバを通して前記小片を移動させるステップとを含み、
ステップb)~d)を減圧下で行う、方法。
【請求項2】
前記乾燥チャンバ内の圧力が、大気圧に対して5~50mbar低下される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記搬送面が通気性乾燥コンベアベルトである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記搬送面が旋回コンベアベルトである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記押出機ダイから前記搬送面までの落下高さが、450mm以下、特に300~400mmの範囲内である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記小片を、150~200℃の範囲内の温度を有する熱風で乾燥させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記熱風が、前記通気性乾燥コンベアベルト上に垂直に供給され、かつ湿気と共に排出される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記乾燥チャンバが、複数の乾燥ゾーン、特に2つ、3つ、又は4つの乾燥ゾーンを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記乾燥チャンバ内の温度が、前記少なくとも1つのダイの後の第1のゾーンから始まって乾燥ゾーンから乾燥ゾーンへと上昇する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
乾燥ゾーンから乾燥ゾーンへの温度の上昇が10~25℃である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ステップa)が、前駆体成分の乾燥粉末を、水もしくは水溶性有機溶媒又はそれらの混合物と混練することによって行われる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記前駆体成分の前記乾燥粉末が、出発材料の水溶液又は水性懸濁液を噴霧乾燥することによって得ることができる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記可塑化された前駆体組成物が、10radで2・10Pa~5・10Paの範囲内の貯蔵弾性率を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記押出物が、以下のパラメータのうちの1つ又は複数を示す、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法:
a)ストランドの総重量に基づいて、12~18重量%の範囲内の残留含水量;
b)2~3・10Paの範囲内の、10rad及び23℃で決定される貯蔵弾性率;及び
c)Keysight Technologies製のナノインデンターG200型を用いた試料表面の圧子測定で測定して、150~180μNの範囲内の粘着性(接着力)。
【請求項15】
前記の乾燥した小片を100~1100℃の範囲の温度での熱処理に供する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記熱処理がロータリーキルン内で行われる、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アクリル酸は、例えば接着剤として適したポリマーを得るために、それ自体で、又はそのアクリル酸エステルの形態で使用される重要なモノマーである。工業規模では、アクリル酸は、主にプロペンの不均一触媒による部分気相酸化によって調製される。有用な触媒は、多金属酸化物組成物(multimetal oxide composition)から構成される。
【背景技術】
【0002】
触媒活性材料は、一般に、触媒的に不活性であるか又は低下した活性を有し得る前駆体材料を製造し、かつ前記前駆体材料を高温に曝すことによって得ることができる。
【0003】
非常に均一な特性を有する活性材料の総量を得るために、前駆体材料の全てを非常に均一な条件下で処理することがますます重要である。プロペンのアクロレイン及び/又はアクリル酸への酸化は、極めて発熱性である。工業用固定床管状反応器中に含まれる触媒粒子の所定の集団にわたる個々の触媒粒子の活性の変動は、温度の不平衡をもたらす。多金属酸化物触媒は、その化学組成及び調製条件に応じて、活性、選択性及び触媒寿命が最適に釣り合った温度範囲を有する。反応器内の触媒粒子の集団中に、大いに異なる活性を有する粒子が存在する場合、触媒の一部が、それぞれの触媒粒子の最適温度範囲からいくぶん離れた温度で必然的に操作される。これは、収率、選択性及び触媒寿命の低下に関連する。
【0004】
国際公開第2010/000764号パンフレットは、粉末状凝集体の機械的圧縮を含む、リング状酸化物成形体を製造する方法を開示している。その実施例において、前駆体噴霧粉末を、混練機中で(粉末に基づいて)16.7重量%の水を含むペーストに変換し、押出機によって押し出して、直径6mmの押出物を得る。これを6cmの切片に切断し、3ゾーンベルト乾燥機で風乾し、次いで、830℃の領域内温度で熱によって処理した。
【0005】
可能な限り均一である、プロペンをアクロレイン又はアクリル酸に酸化するための活性触媒材料を得ることが望ましく、なぜなら、このことがより良好な触媒性能、例えば生成物選択率及びCOx選択率をもたらすからである。非常に均一な特性を有する活性材料を得るためには、ベルト乾燥機を通過する間に押出物を均一に乾燥させることが重要である。残念なことに、押出物は互いにくっついて絡み合う傾向がある。このことは、均一な乾燥を損ない、最終的に不満足で不均一な特性を有する活性材料をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2010/000764号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の根底にある課題は、均一な特性を有する多金属酸化物触媒、特にプロペンをアクロレイン又はアクリル酸に酸化するための多金属酸化物触媒の製造を可能にする方法を提供することである。さらなる課題は、改善された触媒性能、例えば生成物選択性及びCOx選択性を有する生成物をもたらす、多金属酸化物触媒、特にプロペンをアクロレイン又はアクリル酸に酸化するための多金属酸化物触媒の製造を可能にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前駆体組成物を調製するステップと、その組成物を活性化するために前記前駆体組成物を高温に曝すステップと、活性化された組成物を粉砕するステップとを含む、多金属酸化物触媒を製造する方法に関し、前駆体組成物を調製するステップが、
a)組成物の成分から可塑化された前駆体組成物を形成するステップと;
b)上記の可塑化された前駆体組成物を、少なくとも1つのダイを有する押出機から排出させて押出物を形成するステップと;
c)上記の押出物を、少なくとも1つのダイの下に配置された搬送面上に落下させ、それによって、押出物が、搬送面上に停止する小片へと分解するステップと;
d)上記の小片を少なくとも1つの乾燥チャンバに移送するステップと;
e)通気性乾燥コンベアベルト上の少なくとも1つの乾燥チャンバを通して小片を移動させるステップとを含み、
ステップb)~d)、好ましくはステップb)~e)が減圧下で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、押出機ダイプレートの透視図である。
図2図2は、押出機ダイプレートの出口側の概略図である。
図3図3は、図2のA-Aに沿った断面図である。
図4図4は、図2のB-Bに沿った断面図である。
図5図5は、図1の孔へのインサートの拡大図である。
図6図6は、図5のA-Aに沿った断面図である。
図7図7は、乾燥チャンバの透視図である。
図8図8は、A-Aに沿った乾燥チャンバの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
多金属酸化物
「多金属酸化物」のなかの「金属」という表現は、金属及び半金属、例えばビスマスを含むことを意味する。
【0011】
ここで、及び本明細書全体を通して、「一般式#の化学量論」という用語は、「化学量論#」ともいう。
【0012】
好ましくは、多金属酸化物触媒は、アルケンを選択的気相酸化してα,β-不飽和アルデヒド及び/又はα,β-不飽和カルボン酸を得るために、特にプロペンを選択的気相酸化してアクロレインを得るために有用である。
【0013】
一実施形態では、触媒活性多金属酸化物は、一般式Iの化学量論を有する:
[Y a’ b’x’[Y c’ d’ e’ f’ g’ h’y’ (I)
(式中、
=ビスマスのみ、又はビスマスと、テルル、アンチモン、スズ、及び銅元素の少なくとも1つであり、
=モリブデン又はタングステン、あるいはモリブデン及びタングステンであり、
=アルカリ金属、タリウム、及び/又はサマリウムであり、
=アルカリ土類金属、ニッケル、コバルト、銅、マンガン、亜鉛、スズ、カドミウム、及び/又は水銀であり、
=鉄、又は鉄と、バナジウム、クロム、及びセリウム元素の少なくとも1つであり、
=リン、ヒ素、ホウ素、及び/又はアンチモンであり、
=希土類金属、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、レニウム、ルテニウム、ロジウム、銀、金、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、鉛、トリウム、及び/又はウランであり、
=モリブデン又はタングステン、あるいはモリブデン及びタングステンであり、
a’=0.01~8であり、
b’=0.1~30であり、
c’=0~4であり、
d’=0~20であり、
e’>0~20であり、
f’=0~6であり、
g’=0~15であり、
h’=8~16であり、
x’、y’=酸素以外の式I中の元素の原子価及び出現頻度によって決定される数であり、
p、q=そのp/q比が0.1~10である数である)。
【0014】
化学量論式(I)の特に有利な触媒活性多金属酸化物は、Yがビスマスのみであるものである。
【0015】
化学量論式(I)の触媒活性多金属酸化物は、化学組成Y c’ d’ e’ f’ g’ h’y’のマトリックス相中に分散した化学組成Y a’ b’x’の三次元領域を含む。好ましくは、その領域の最長直径(その領域の中心を通り、その領域の表面(界面)上の2点を結ぶ最長直線)は、1nm~100μm、より好ましくは10nm~500nm、又は1μm~50もしくは25μmである。
【0016】
有利には、化学量論式(I)の触媒活性多金属酸化物の全[Y a’ b’x’含有量の少なくとも25mol%(好ましくは少なくとも50mol%、より好ましくは100mol%)は、それらの異なる化学組成の結果としてそれらの局所環境から区切られており、その最長直径が1nm~100μmの範囲内である、化学組成Y a’ b’x’の三次元領域の形態である。
【0017】
一般式(I)の化学量論の触媒活性多金属酸化物の製造は、多金属酸化物の残りの成分の非存在下での、元素Y、Yの供給源としての式Y a’ b’x’の活性化された組成物の予備形成を伴う。次いで、この予備形成した粉砕活性化組成物Y a’ b’x’を、多金属酸化物の残りの成分の供給源と混合する。このような手順において、予備形成した混合酸化物Y a’ b’x’がかなりの程度まで溶解しないことが保証されるべきである。
【0018】
例えば、Yの水溶性塩、例えば、硝酸塩、炭酸塩、水酸化物、又は酢酸塩を、水中でY酸又はそのアンモニウム塩と混合することができ、その混合物を乾燥(好ましくは噴霧(スプレー)乾燥)することができ、その乾燥した組成物は可塑化された前駆体組成物を形成するために使用される。
【0019】
一般式(I)の所望の活性多金属酸化物の残りの成分は、それ自体公知の方法(欧州特許第835号明細書及びドイツ特許第3338380号明細書、及びドイツ特許第4407020号明細書参照)で適切な供給源から調製され、例えば非常に均密な、好ましくは微細な乾燥混合物を生成する。これは、例えば、水溶液中で水溶性塩、例えば、ハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、又は水酸化物を組み合わせ、次に、例えば水溶液を噴霧乾燥することによって、又は水不溶性塩、例えば酸化物を水性媒体に懸濁し、次いで、例えば、懸濁液を噴霧乾燥することによって達成される。得られた混合物はマトリックス組成物といわれる。マトリックス組成物の成分は、酸化物であるか、又は必要に応じて酸素及び/又は酸素源の存在下で加熱することによって酸化物に変換することができる化合物である。その後、予備形成された粉砕活性化組成物及びマトリックス組成物を所望の量比で、かつ、成形助剤を添加して混合して、好ましくは圧縮、例えば打錠によって、担持されていない(非担持)触媒前駆体に成形可能な混合物を得る。この成形は、中間圧縮の段階を介して行うことができる。適切な手順は、ドイツ特許第4407020号明細書、欧州特許第835号明細書、欧州特許第575897号明細書、及びドイツ特許第3338380号明細書に詳細に記載されている。
【0020】
予備成形された粉砕活性化組成物粒子は、分類によって確立された最長寸法で、完成された非担持触媒中に、本質的に変化せずに存在する。そうでない場合は、手順はドイツ特許出願第102007003778.5号明細書に記載される通りであり得る。
【0021】
一般式(I)の化学量論の範囲内で、一般式(Ia)に対応するものが好ましい:
[Bia” b”x”p”[Z 12 c” d”Fee” f” g” h”y”q” (Ia)
(式中、
=モリブデン又はタングステン、あるいはモリブデン及びタングステンであり、
=タリウム及び/又はアルカリ金属、好ましくはK、Cs及び/又はSrであり、
=ニッケル及び/又はコバルトであり、
=リン、ヒ素、ホウ素、アンチモン、スズ、セリウム、バナジウム、クロム及び/又はBiであり、
=ケイ素、アルミニウム、チタン、及び/又はジルコニウム、好ましくはSiであり、
=銅、銀、及び/又は金であり、
=モリブデン又はタングステン、あるいはモリブデン及びタングステンであり、
a”=0.1~1であり、
b”=0.2~2であり、
c”=0.02~2であり、
d”=3~10であり、
e”=0.01~5、好ましくは0.1~3であり、
f=0~5であり、
g”=0~10、好ましくは>0~10、より好ましくは0.2~10、最も好ましくは0.4~3であり、
h”=0~1であり、
x”、y”=酸素以外の一般式(Ia)中の元素の原子価及び出現頻度によって決定される数であり、
p”、q”=そのp”/q”比が0.1~5、好ましくは0.5~2である数である)。
【0022】
化学量論式(Ia)の触媒活性多金属酸化物の中では、Z b”=(タングステン)b”であり、かつ、Z 12=(モリブデン)12であるものが好ましい。
【0023】
化学量論式(Ia)の触媒活性多金属酸化物は、それらの異なる組成の結果としてそれらの局所環境から区切られている、化学組成Bia” b”x”の三次元領域を含む。好ましくは、その最長直径(その領域の中心を通り、かつその領域の表面(界面)上の2点を結ぶ最長直線)が、1nm~100μm、しばしば10nm~500nm又は1μm~50又は25μmである。
【0024】
さらなる実施形態では、アクロレインをアクリル酸に不均一触媒部分気相酸化(不均一接触部分気相酸化)するための触媒のための活性材料として特に適した多金属酸化物触媒材料は、以下の一般化学量論式(II)に従う:
Mo12 (II)
(式中、
は、W、Nb、Ta、Cr、及び/又はCeであり、
は、Cu、Ni、Co、Fe、Mn、及び/又はZnであり、
はSb及び/又はBであり、
は、1種もしくは複数のアルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)及び/又はHであり、
は、1種又は複数のアルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba)であり、
は、Si、Al、Ti、及び/又はZrであり、
aは1~6であり、
bは0.2~4であり、
cは0~18、好ましくは0.5~18であり、
dは0~40であり、
eは0~2であり、
fは0~4であり、
gは0~40であり、かつ
nは、式(II)中の酸素以外の元素の原子価及び出現頻度によって決定される数である)。
【0025】
好ましくは、上記の変数は、多金属酸化物材料(II)中の酸素以外の全元素の総量に基づいて、元素Moのモル分率が20~80mol%であり、触媒活性多金属酸化物材料(II)に含有されるMoの、触媒活性多金属酸化物材料(II)に含有されるVに対するモル比、Mo/Vが15:1~1:1であり、かつ、対応するモル比Mo/(W及びNbの総量)が80:1~1:4である(及び、多金属酸化物材料がCuを含有する場合は、対応するモル比Mo/Cuが30:1~1:3である)という条件で、上記の指定範囲内で選択されるべきである。
【0026】
好ましい多金属酸化物触媒(II)は、
が、W、Nb、及び/又はCrであり、
が、Cu、Ni、Co、及び/又はFeであり、
がSbであり、
がNa及び/又はKであり、
が、Ca、Sr、及び/又はBaであり、
が、Si、Al、及び/又はTiであり、
aが2.5~5であり、
bが0.5~2であり、
cが0.5~3であり、
dが0~2であり、
eが0~0.2であり、
fが0~1であり、
gが0~15であり、かつ
nが、式(II)中の酸素以外の元素の原子価及び出現頻度によって決定される数である、
ものである。
【0027】
好ましい多金属酸化物触媒は、以下の一般化学量論式(IIa)に従う:
Mo12 (IIa)
(式中、
はW及び/又はNbであり、
はCu及び/又はNiであり、
はCa及び/又はSrであり、
はSi及び/又はAlであり、
aは3~4.5であり、
bは1~1.5であり、
cは0.75~2.5であり、
fは0~0.5であり、
gは0~8であり、かつ
nは、式(IIa)中の酸素以外の元素の原子価及び出現頻度によって決定される数である)。
【0028】
好ましくは、上記の変数は、多金属酸化物活性材料(IIa)中の酸素以外の全元素の総量に基づいて、元素Moのモル分率が20~80mol%であり、触媒活性多金属酸化物材料(IIa)に含有されるMoの、触媒活性多金属酸化物材料(IIa)に含有されるVに対するモル比、Mo/Vが15:1~1:1であり、対応するモル比Mo/Cuが30:1~1:3であり、かつ、対応するモル比Mo/(W及びNbの総量)が80:1~1:4であるという条件で上記の指定範囲内で選択されるべきである。
【0029】
粉砕活性化多金属酸化物活性材料(II)又は(IIa)は、通常、少量の水及び任意選択により場合によっては他の結合剤を添加して、以下においてより詳細に説明するように、通常、不活性支持体上にコーティングされる。
【0030】
コーティングされた触媒のために適した支持体材料は、例えば、多孔質もしくは非多孔質の酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化トリウム、二酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、又はケイ酸塩、例えばケイ酸マグネシウムもしくはケイ酸アルミニウム(例えば、CeramTec製のC220型のステアタイト)である。担体本体は、規則的な又は不規則な形状を有することができ、規定の表面粗さを有する規則的な形状の担体、例えばボール又は中空シリンダが好ましい。
【0031】
その直径が1~8mm、好ましくは4~5mmである、ステアタイト製の本質的に非多孔質の粗面の球状支持体を使用することが適切である。しかしながら、その長さが2~10mmであり、かつ外径が4~10mmである柱体(シリンダ)を支持体として使用することも適切である。支持体として、リングの場合、壁厚はまた通常1~4mmである。リング形状の支持体は、好ましくは長さが2~6mm、外径が4~8mm、及び壁厚が1~2mmである。7mm×3mm×4mm(外径×長さ×内径)の幾何形状のリングが、担体として特に適している。
【0032】
<可塑化前駆体組成物>
本発明において有用な可塑化された前駆体組成物は、前駆体成分の乾燥粉末を水もしくは水溶性有機溶媒又はそれらの混合物と混練することによって得ることができる。
【0033】
好ましくは、可塑化された前駆体組成物は、上記の式(II)の多金属酸化物の前駆体組成物である。あるいは、可塑化された前駆体組成物は、上記の式(I)の[Y a’ b’x’]の前駆体組成物である。
【0034】
所望の多金属酸化物の元素成分の有用な供給源は、酸化物、ならびに/あるいは少なくともガス状分子状酸素及び/又はガス状酸素を放出する成分の存在下における加熱によって酸化物に変換され得る金属化合物である。
【0035】
所望の多金属酸化物活性材料の酸素以外の元素成分の既知の適切な供給源(出発化合物)は、既に述べたように、所望の多金属酸化物活性材料を得るために必要な化学量論比で使用される。Mo、V、W、及びNbの適切な出発化合物はまた、そのオキソ化合物(モリブデン酸塩、バナジン酸塩、タングステン酸塩、及びニオブ酸塩)又はそれに由来する酸である。酸素含有源も同様に有利である。
【0036】
出発化合物の完全な混合は、乾燥形態又は湿潤形態で行うことができる。しかしながら、完全な混合は、好ましくは湿潤形態で行われる。通常、出発化合物は、水溶液及び/又は水性懸濁液の形態で互いに混合される。特に緊密なドライブレンドが、専ら溶解形態で存在する供給源及び出発化合物を出発材料として使用する場合に、記載している混合方法において得られる。好ましく使用される溶媒又は分散媒体は水である。液体、例えばイソブタノール又はこのような液体と水の混合物も、溶液及び/又は分散物の媒体として有用である。
【0037】
次いで、水性材料(溶液又は懸濁液)を乾燥させる。この乾燥プロセスは、好ましくは噴霧乾燥(スプレードライ)によって、水溶液又は水性懸濁液の調製後すぐに行われる(乾燥は濾過及びその後の濾過ケーキの乾燥によって行うこともできる)。噴霧乾燥の場合、入口温度は一般に250~350℃であり、出口温度は90~150℃である。
【0038】
1.1バール(絶対圧)の分散圧力で得られた噴霧粉末(スプレーパウダー)の粒径は、典型的には、d50が1~50μm;d10が0.5~10μm;d90が10~30μmである。水が液体媒体の基礎であった場合、得られた噴霧粉末は、通常、その重量の20%以下、好ましくはその重量の15%以下、より好ましくはその重量の10%以下の水を含む。これらの%割合は、一般に、他の液体溶液又は懸濁助剤を使用する場合にも適用される。
【0039】
得られた粉末は、便宜上、適切な液体、例えば水もしくは水溶性有機溶媒又はそれらの混合物を添加して混練される。
【0040】
得られた粉末の混練は、従来の方法、例えば混練機(ニーダー)又は押出機で行うことができる。混練機としては、バレルと、2枚のシグマ型ブレード又はZ型ブレードとを備える水平混合機を使用することができる。これらのブレードは、異なる速度で別個のギアによって駆動され、一方が他方よりも速く、例えば約1.5倍速く作動する。混練機は、一般に、2つのブレードを駆動するための強力なモータと減速機とを有する。混練ブレードは、好ましくは、バレルの外壁に対して反対方向に作用する。混練機は、通常、それを回転させる油圧チルトを備えたW型バレルと、外側の加熱又は冷却ジャケットとを有する。加熱及び冷却は、混練ブレードの内部を介して行うこともできる。好ましくは、混練機は、混練塊を排出するための押出スクリューを備える。このような組み合わせは、重粘性材料を混合及び排出するための押出スクリューの効率と共に、二重アーム-シグマブレードミキサーの効率を提供する。混練中、排出スクリューの作用方向はバレルの内部の方向である。混練塊を排出するために、作用方向が逆にされる。適切な混練機は、Aachener Misch-und Knetmaschinenfabrik、52074 Aachen、ドイツ国のZ型ブレードを備えたVM160である。
【0041】
あるいは、混練ステップを、以下に記載するタイプの複合混練機/押出機で行うこともできる。
【0042】
混練中、混練中の剪断、分散等による内部発熱によって、混練材料内、チャンバ及びまたロータシャフト内で熱が発生する。混練中、混錬物を冷やして、温度を50℃未満、好ましくは30℃未満に保つことが好ましい。冷却は、ロータシャフト及び/又はバレル内のジャケット内の冷却液の通路を通して行うことができる。
【0043】
本混練プロセスでは、液体、好ましくは水、又は水と水混和性有機液体、例えばイソプロパノールもしくはイソブタノールの混合物が、粘性物を得るのに十分な量で添加される。低級有機カルボン酸(例えば、酢酸)の添加が、しばしば、混練中に有利であることが判明している(典型的な添加量は、使用される粉末材料に基づいて、5~10重量%である)。
【0044】
混練は、混練物の貯蔵弾性率が10radにおいて2・10Pa~5・10Paの範囲内であるような量の液体を用いて行われる。貯蔵弾性率は、25mmの直径を有するプレート対プレート幾何形状をもつMCR302型の回転粘度計(Anton Paar GmbH、73760 Ostfiltern、ドイツ)を用いて決定される。そのスロットは約1mmであり、温度は23℃で一定に保った。測定自体は小さな変形振幅で実施した。線形粘弾性範囲を決定するために、振幅スイープを10rad/秒の一定角周波数で実施した。周波数スイープを、それぞれ100rad/秒~0.1rad/秒及び100rad/秒~0.158rad/秒の線形粘弾性範囲及び周波数範囲の変形振幅で実施した。
【0045】
<押出機>
混練塊(kneaded mass)は、押出機のハブのなかへ排出される。押出機は、ミンサーの機能原理に従って、高圧及び高温下(生成物に応じて(10~300(700)バール及び120~300℃)で孔を通して固体を粘性塊へと押圧するスクリュープレスである。1つ又は複数のスクリューシャフトを備えた押出機がある。搬送及び圧力上昇は、静止したハウジング壁(バレル)上のスクリューと共に回転する混錬塊の摩擦によって引き起こされる。このようにして回転中にあとに残された混錬塊は、螺旋状スクリューフライトによって出口ノズルへと押される。単軸及び二軸スクリュー押出機を使用することができ、それによって、異なるスクリュー形状及び配置が可能である。ダイを出る前の混錬塊の必要な圧力上昇は、一方では押出機スクリューによって境界付けられ、他方では押出機ハウジングによって境界付けられた自己完結型空間の形成によって達成され、これはスクリューシャフトがダイに向かって回転するにつれて小さくなる。単軸スクリュー押出機の場合、これは、円錐状に配向されたハウジング及び押出機スクリューのリード角の減少又はコア直径の増加によって達成することができる。二軸スクリュー押出機は、一定のバレル及びスクリュー直径ならびに円錐設計で使用され、それによって、2つのスクリューは、完全に噛み合う、部分的に噛み合う、又は全く噛み合わず、同じ方向又は反対方向に回転することができる。
【0046】
ここでの場合、単軸又は二軸スクリュー押出機を使用することができる。接線二軸スクリューを備えた二軸スクリュー押出機の使用は、混合効果を向上させるので、より好ましい。さらにより有利なのは、高いフライト深さを有する噛み合い二軸スクリューの使用であり、これは、混合効果の向上に加えて、良好な自己洗浄特性及び非常に良好な生成物搬送性も有し、それにより、粉末状原料及びペースト状塊の加工に特に有用である。さらに、二軸スクリュー押出機は、処理セクション中の任意の点でバルク水及び他の添加剤の投入を可能にする。
【0047】
好ましくは、3つのゾーンに分割される押出機スクリューが使用される。生成物入口の真下に配置された供給ゾーンでは、押出機スクリューが、粉末状原料を受け入れるために比較的高いフライト深さを有する。
【0048】
その後の圧縮ゾーンでは、フライト深さの減少が融解圧力を上昇させ、高い剪断力を生成し、これが機械的駆動エネルギーの熱への消散をもたらす。熱的又は機械的に誘発された崩壊及び架橋反応が、このゾーンで起こる。
【0049】
最終的な圧力上昇ゾーンは、押出機から出る押出物に所望の形状を与えるノズルによって制限される。これが、融解圧力及び融解温度のさらなる上昇をもたらす。しかしながら、この場合、押出機は、好ましくは、温度を30℃未満に維持するために冷却され、この場合に有用な押出機は、ECT Kema(02829 Schoepstal、ドイツ国)の水冷押出機P160型である。
【0050】
好ましい実施形態では、押出機は、その中で回転するスクリューを有するバレルと、バレルの中空内部に放射状に内側に突出するピンとを備える。好ましくは、これらのピンが、バレルの周囲に均一に、かつ互いに軸方向に分布している。ピンの主な機能は、押出材料の供給運動に対する障害を作り出し、これによって、押出材料が、より完全にかき乱され、混合されること、及び押出材料と熱を交換することである。作動中の干渉を防止するために、ピンは、押出スクリューのねじ山の反対側の中断部でバレル壁に嵌合され、また、スクリューのコアとバレルの内面との間の間隙の横断寸法よりも小さい距離だけ円筒バレルの内側に突出する。
【0051】
押出機バレルの終端部には、少なくとも1つの穴あきプレートの形態のダイ取り付け部が設けられる。プレートは、可塑化された塊を排出するための複数の円筒孔を備える。3~50mmの直径を有する円筒孔が好ましい。孔の配置は任意であるが、好ましくは、孔が1つ又は複数の(同心)円上に配置される。好ましい実施形態では、円筒孔が20~40mmの直径を有し、その中に好ましくは硬質プラスチック材料製のインサートが挿入され、インサート自体が約3~8mmの範囲内の直径を有する複数の、好ましくは円筒穿孔を有する。図1図6は、例として、可塑化された前駆体組成物のストランドを形成するために使用されるダイプレートを示している。図1は、前記インサートのないダイ1の透視図である。図2は、2つの同心円上に沿って配置された複数の孔2を備えるダイ1の概略図である。外周の孔3は、ダイを押出機バレルに固定するためのボーリング孔である。ダイは、スクリュー4を介して押出機バレルに固定される。ダイは、2つの内側同心円上に配置された複数の円筒孔2を呈する。各孔2は、約3~8mmの範囲内の直径を有する複数の円筒穿孔9(図2には示されていないが、図5及び図6には示されている)を有するプラスチックインサート5を備えている。図3は、図2のA-Aに沿った断面図であり、各孔が2つのセクション7及び8に分割され、セクション7が押出機バレルに隣接し、セクション8がインサート5を収容するために拡張された直径を有することを示す。図4は、図2のB-Bに沿った断面図であり、孔3がダイ1を押出機バレルに固定するためのボルト又はスクリュー6を収容することを示す。図5は、円上に配置された複数の穿孔9を有するインサート5の出口側の図である。図6は、図5のA-Aに沿った断面の図であり、インサート5の中心縦軸に平行に円筒インサート5を通って延びる穿孔9を示している。インサート5は、2つのセクション10及び11を有する。より小さい直径を有するセクション10は、図3のセクション7に嵌合するのに対して、より大きい直径を有するセクション11は、図3のセクション8に嵌合する。インサートに適した材料は、ポリオキシメチレンポリマーである。
【0052】
可塑化された前駆体組成物は、穿孔9を通して排出されて、連続ストランドの形態の押出物を与える。
【0053】
<押出物>
自重によって、押し出された連続ストランドは以下で押出物又は押出片とよぶ小片へと砕ける。所望する場合、その連続ストランドを、押出機を出た後に小片に切断することができる。押出物の規定した残留含水量及び/又は貯蔵弾性率が、長さが非常に類似する小片をもたらすことを発見している。このことは、小片の均一な乾燥及び完成した触媒の均一な活性分布に寄与する。
【0054】
小片は、好ましくは3~8mm、好ましくは5~7mmの範囲内の直径、及び約2~10cm、好ましくは約3~6cmの長さを有する。
【0055】
好ましくは、可塑化された押出物は、そのストランドの総重量に基づいて、12~18重量%の範囲内の残留含水量を有する。残留含水量は、Excellence Plus HX204(Fa.Mettler Toledo、Columbus、米国)を使用して決定される。試料を測定装置に入れ、160℃まで加熱する。熱処理前後の試料の重量差により、残留含水量(重量%)が得られる。10rad及び23℃において、以下に記載されるように決定される貯蔵弾性率は、2~3・10Paの範囲内である。
【0056】
好ましくは、可塑化された押出物が、Keysight Technologies(71034 Boeblingen、ドイツ)製のナノインデンターG200型を用いた試料表面の圧子測定で測定して、150~180μNの範囲内の粘着性(接着力)を有する。接着力評価の測定曲線は、ISO14577規格に記載されている。これらの特性は、押出片が互いにくっつかず、十分に砕けやすいという効果を有する。
【0057】
<搬送面>
押出物は、押出機ダイの下の搬送面上に落下させられる。押出機ダイから搬送面までの落下高さは、好ましくは450mm以下及び200mm以上、特に300~400mmの範囲内である。より高い落下高さは、押出片が搬送面に当たったときに押出片を変形させるおそれがある。より低い落下高さは、ストランドを破断させるのに十分ではない可能性がある。
【0058】
搬送面は、小片を乾燥チャンバ内に移送することを意図している。好ましい実施形態では、搬送面が、小片を整列させて均等に分配するのにも役立つ。さらに好ましい実施形態では、搬送面が、旋回ベルトコンベア(以下では旋回ベルトという)を備えている。旋回ベルトは、小片が通気性乾燥コンベアベルト(以下では乾燥ベルトという)上にとどまる前に小片を移送するのに役立つ。一般に、旋回ベルトは、押出機ダイの真下に配置され、乾燥ベルトよりも幅が狭く、例えば、それは乾燥ベルトの約1/2である。好ましくは、旋回ベルトは、小片を乾燥ベルト上へ搬送するために押出機ダイから乾燥ベルトまで下方傾斜している。旋回ベルトは、押出機から落下する押出片を乗せ、旋回動作により、小片を搬送して乾燥ベルト上に分配する。一実施形態では、搬送面が乾燥ベルトに対して下方傾斜している。これは、搬送面の機能を支援する。このようにして、乾燥ベルトの幅にわたる小片の均一な分布が達成される。さらに、乾燥ベルト上の積層された小片の均一な高さが達成される。
【0059】
旋回ベルトは、好ましくは、高密度メッシュ生地製である。乾燥ベルトは、好ましくはステンレス鋼から作られる。乾燥ベルトは、連続ベルトであってもよく、又は複数のヒンジ状の重なり合うベルトストリップで構成されていてもよい。
【0060】
別の方法では、押し出された連続ストランドが、通気性乾燥コンベアベルト上に直接落下させられ、この場合、通気性乾燥コンベアベルトが、小片を少なくとも1つの乾燥チャンバへと移送する搬送面も構成する。
【0061】
<気密接続>
本発明によれば、押し出された連続ストランド及びその小片は、終始減圧下に保たれる。このことは、ストランドが押出機ダイから出る時点から、少なくとも小片が乾燥チャンバに入る時点まで、好ましくは小片が乾燥チャンバから出る時点まで、押し出された連続ストランド及び小片を取り扱い、搬送する全てのステップが減圧下で行われることを意味する。
【0062】
一般に、圧力は、(ハウジングの外側の大気圧と比較して)約5~50mbar、好ましくは5~10mbar低下する。
【0063】
この目的のために、限局された供給ステーションが設けられる。限局された供給ステーションは、好ましくは金属製のハウジング、例えば気密ハウジングを備える。ハウジングは、搬送面を収容し、これを環境から分離する。限局された供給ステーションは、少なくとも1つのダイと乾燥チャンバとの間に配置される。乾燥ベルトは、限局された供給ステーション内に延在し、そこで旋回ベルトからストランド及び小片を取り込む。好ましくは、限局された供給ステーションが、少なくとも1つのダイ及び乾燥チャンバに気密接続で直接取り付けられて、押出物が押出機ダイから出て減圧下で輸送及び乾燥されることを可能にする。例えば、限局された供給ステーションは、フランジ及びリングシールによって押出機ダイに取り付けられ得る。
【0064】
限局された供給ステーションは、ベルト乾燥機のハウジングに緊密に接続され得るか、又はこれと一体的に形成され得る。これにより、限局された供給ステーションと乾燥チャンバの気密接続が保証される。
【0065】
減圧により、気流が供給ステーション内で及び供給ステーションを通って換気される。これにより、押出片が互いにくっつかず、絡み合わず、より均一な小片に砕けるように、押出片上に乾燥面が形成される。これは、小片の乾燥がより均一であり、改善された特性を有する完成された触媒をもたらすことを意味する。
【0066】
気流によって、可塑化された前駆体組成物の押出及び押出物の取り扱い中に生成され得る多金属酸化物前駆体の微粒子は除去される。多金属酸化物前駆体の微粒子は、除去されないと、触媒特性の低下を引き起こすおそれがある。除去は、微粒子の少なくとも一部を除去するのに十分な気流を換気することによって達成され得る。換気はまた、水分の凝縮を防止する。好ましくは、気流に乗った多金属酸化物前駆体の微粒子が、捕捉材料を使用することによって捕集される。このガスに含有される微粉を除去することによって、作業環境を向上させることができる。
【0067】
典型的には、この減圧条件が、供給ステーションとベルト乾燥機の両方に及ぶ。ベルト乾燥機のハウジングとの気密接続により、ハウジングの外側の大気圧と比べて減圧下で乾燥プロセスを行うことが可能になる。減圧は、乾燥チャンバ内に熱風を供給し、圧力が所望の減圧値に調整されるように、熱風の量よりも多い量の排(湿)気を乾燥チャンバから吸引することによって達成される。これは、熱風の供給量及び排気の吸引量を制御する制御ユニットによって達成される。
【0068】
<ベルト乾燥機>
可塑化ストランドを次に乾燥プロセスに供する(図7及び図8を参照されたい)。
【0069】
乾燥ベルトは、少なくとも1つの乾燥チャンバを通して押出片を移動させ、そこでこれらが熱風との接触によって乾燥させられる。熱風は、通気性の乾燥ベルト、例えば穿孔ベルト上に水平に、ただし好ましくは垂直に供給され得る。一実施形態では、熱風の流れが、循環気流を発生させる換気装置によって小片及び乾燥ベルトに強制的に通され、結果として、熱風が小片を乾燥させ、乾燥チャンバから湿気と共に排出される。一般に、少なくとも1つの乾燥チャンバ内で優勢な温度は、90~140℃の範囲内である。少なくとも1つの乾燥チャンバは、乾燥チャンバに熱風を供給することによって加熱される。熱風は、好ましくは150~200℃の範囲内の温度を有する。
【0070】
特定の好ましい実施形態では、乾燥チャンバが、好ましくは次々に配置された複数の乾燥ゾーンを備える。一般に、乾燥チャンバは、2~4つ、好ましくは3つの乾燥ゾーンを備える。各乾燥ゾーンは、それ自体の熱風供給部と、湿った空気を排出するためのそれ自体の排気システムとを有する。各乾燥ゾーンは、異なる乾燥条件下で運転され得る。例えば、熱風温度は、旋回ベルトの後の第1のゾーンから始まって乾燥ゾーンから乾燥ゾーンへと増減することができる。一般に、温度は、ゾーンからゾーンへと約10~25℃上昇又は低下する。好ましくは、温度が、少なくとも1つの押出機ダイの後の第1のゾーンから始まって乾燥ゾーンから乾燥ゾーンへと上昇する。
【0071】
乾燥ベルトの速度は、乾燥ゾーンの長さ、乾燥温度、押出片の層の厚さ、及び初期湿度、特に、小片の所望の最終残留湿度に左右される。小片の総重量に基づいて、0.1~1.2%の範囲内の最終残留湿度を得ることが好ましい。
【0072】
さらに、ベルト乾燥機及び旋回ベルトは、特に、堆積物が存在し得るベルトの側面に、ベルトを洗浄するための手段を備えることができる。
【0073】
乾燥された生成物は、ベルト乾燥機の終端部で排出され、そこで貯蔵容器中へと落下した後、生成物の熱処理のための装置に移送される。好ましくは、生成物の排出がエアロックを介して行われる。生成物の排出を容易にするために、スパイクローラを使用することができる。適切な場合には、生成物は、貯蔵容器に移送される前に、塊が小片に砕かれる破塊機に最初に排出される。破塊機はまた、減圧下で作動されてもよい、すなわち、その場合、破塊機は、ベルト乾燥機のハウジングと気密接続している。乾燥された生成物は、活性多金属酸化物触媒のための前駆体組成物である。
【0074】
乾燥手順は、例えば、図7及び図8に図示されている。図7は、ベルト乾燥機及び旋回ベルト用のハウジングの透視図であり、図8は、図7の装置を通るA-Aに沿った断面図である。乾燥装置は、乾燥ベルト用のハウジング30と、旋回ベルト用のハウジング34と、排出装置用のハウジング35とを備える。ハウジング30、34及び35は気密接続している。ハウジング30は、3つの乾燥ゾーン31、32、及び33に分割されている。ハウジング34は、ロール41及び44によって駆動される旋回ベルト40を備えている。ソケット38は、押出機ダイへの接続用に設計されており、パイプ37は熱風供給用であり、パイプ38は排気用である。各乾燥ゾーン31、32及び33は、各乾燥ゾーンに別々に熱風を供給し、別々に排気することができるように、分岐パイプによってパイプ37又は38と接続されている。旋回ベルト40は、押出機ダイ1と気密接続したソケット38の下にある。旋回ベルトは、押出片を乗せて、旋回動作により、旋回ベルトの終端部の下に配置された乾燥ベルト43上に分配する。乾燥ベルトは、ハウジング34からハウジング30を通ってハウジング35内に延び、乾燥ゾーン31、32、及び33を通して、ロール44及び45によって駆動して、乾燥される生成物を移動させる。150~180℃の範囲内の温度を有する熱風が36にてパイプ37内に供給され、加熱ゾーン32及び33の入口前に追加の加熱手段が設けられて、乾燥ゾーン31よりも高い温度でのこれらのゾーンにおける乾燥を可能にする。熱風は、乾燥ゾーン31、32及び33に流入し、そこで乾燥される生成物の層を通して垂直に換気装置(図示せず)によって循環される。押出機ダイ1からハウジング35まで減圧が維持されるように、39で排気が吸い出される。乾燥ベルト43は、生成物をハウジング35の中へ運び、そこで生成物が砕塊機の中に排出され、最終的に緩衝容器の中へ排出される。
【0075】
<熱処理>
貯蔵容器から前駆体材料を装置へと移送し、昇温した温度での熱的処理(熱処理)に供して前駆体材料を活性化させて、活性多金属酸化物触媒を得る。一般に、この熱処理は100~1100℃の範囲内で行われる。好ましくは、熱処理は、回転管炉内での熱的処理のなかに存在しているように移動床内で前駆体材料の熱的処理を可能にする装置内で行われる。適した回転管炉は、その全体を参照により本明細書に援用する国際公開第2004/108267号パンフレットにおいて詳細に開示されている。回転管炉内での前駆体材料の連続的な移動によって、前記材料は、例えばホットスポット又はコールドスポットが形成されない連続的な自己均質化床を形成する(前駆体材料のほとんどの熱的処理は、ホットスポット(熱的処理された前駆体材料内の最高温度の位置)の形成又はコールドスポット(熱的処理された前駆体材料内の最低温度の位置)の形成をもたらす発熱プロセス又は吸熱プロセスを伴う)。しかしながら、過度に高い温度と過度に低い温度は共に活性材料の触媒特性に悪影響を及ぼす。
【0076】
回転管炉での熱的処理は、好ましくは、回転管の水平に対する傾斜角が0以外の値に調整されるようにして行われる。回転管の最も高い点は前駆体材料の導入点であり、最低点は材料排出の位置である。回転管は連続的に作動される、すなわち、熱的処理される前駆体材料が、回転管の片側に連続的に供給され、回転管内を最高点から最低点まで連続的に輸送され、そこで連続的に排出される。回転管を通る途中で、前駆体材料は熱的処理を受ける。回転管内に存在する材料の所望の温度は、通常、回転管壁を外部から一定の温度にすることによって間接的にもたらされる。
【0077】
しばしば、回転管炉を通って流れるガス流として供給することによって達成される一定のガス雰囲気を回転管内に有することが望ましい。ガス流は空気からなっていてもよいが、有用なガス、例えばCO、CO、NH、N、NOx、SO、もしくはアセトニトリルを含んでいてもよく、又はこれらのガスもしくは酸素からなっていてもよい。しかしながら、ガス流は、これらのガスの混合物を含んでいてもよく、又はこのような混合物のみからなっていてもよい。好ましくは、回転管炉内の熱的処理が、回転管炉を通って流れるガス流の少なくとも一部が循環するようにして行われる。
【0078】
回転管炉を通って流れるガス流は、0超(>0)~500m(S.T.P.[標準温度及び圧力])/時間又は最大300m(S.T.P.)/時間であり得る。しばしば、回転管炉を通って流れるガス流は、50以上(≧50)~500(又は300)、一般に100~300m(S.T.P.)/時間であり得る。
【0079】
この回転管炉装置(及び実施例で使用される)の概略図は、参照によりその説明と合わせて本明細書に援用する国際公開第2004/108267号パンフレットの図1に示されている(以下で使用される参照番号は国際公開第2004/108267号パンフレットの図1に関する)。制御手順は、好ましくはコンピュータ制御下で行われる。
【0080】
新規なプロセスを行うのに適したこのような回転管炉装置の中心要素は、回転管(1)である。
【0081】
最長15m、しばしば最長12mの回転管長が本プロセスに適しており;概して、回転管長は1m以上であり、概して4m以上であり;内径は、通常20cm~2m、しばしば20cm~1mである。回転管は、例えば、4000mmの長さであってよく、700mmの内径を有し得る。これは、ステンレス鋼1.4893から製造されてよく、10mmの壁厚を有し得る。
【0082】
往復動ランスを、回転管炉の内面に便宜的な方法で取り付けることができる。これは主に、回転管炉内で熱的処理される前駆体材料(熱的処理される材料)を上に持ち上げ、それによって、移動床内での自己均質化を促進するのに役立つ。例えば、往復動ランスの高さは、5cm以上であり得る。原則として、個々の往復動ランスが、回転管の全長に及んでもよい。しかしながら、便宜上、往復動ランスは、回転管の長さの一部のみに及ぶ。例示的な実施形態では、これらが、例えば、長さ23.5cmを有し得る。これらの場合、複数の往復動ランス(例えば、4=四重)が、円周にわたって等距離の(例えば、90°毎)回転管炉の1つの同じ高さに取り付けられる場合が有利である。複数のこのような多重構造が回転管に沿って存在する場合が、適用技術の点で有利である。例示的な実施形態では、8つのこのような四重構造(それぞれ23.5cm離れている)が回転管に沿って存在する。2つの隣接する多重構造(四重構造)の往復動ランスは、回転管の円周上に、好ましくは互いに対して互い違いに存在する。有利には、回転管炉の開始時及び終了時に往復動ランスが存在しない(例示的な実施形態では最初と最後の23.5cm)。
【0083】
回転管の円周速度を有利に変化させることができる。典型的な速度は、0超(>0)~5又は3回転/分である。回転管は、便宜上、反時計回り又は時計回りのいずれかに回転可能である。例えば、時計回りの回転の場合、材料が回転管内に残り;例えば、反時計回りの回転の場合、熱的処理される前駆体材料が、供給部(3)から排出部(4)への回転管の傾斜によって輸送され、排出補助手段(例えば、パドル)によって回転管から除去される。
【0084】
回転管の水平に対する傾斜角を、有利には変化させることができる。典型的な範囲は、0~4°又は2°である。バッチ式操作では、これが実際には0°である。連続操作においては、回転管の最下点が、材料排出部に位置している。
【0085】
材料供給は、便宜上、ロータリーベーンフィーダ(rotary-vane feeder)を介して体積制御されるか、又は天秤による質量制御により行われる。材料排出は、上述したように、回転管の回転方向によって制御される。
【0086】
上記のように寸法決めされた回転管(上述したように、新規なプロセスを実施するために、より大きく又はより小さく寸法決めすることもできる)のバッチ式操作中に、200~600kgの量の材料を熱的処理することができる。前記の量は、通常、回転管の加熱された部分にのみ存在する。
【0087】
回転管炉を通って流れるガス流の少なくとも一部を循環させることができるようにするために、本発明により使用される回転管炉装置は、この目的に必要な循環能力(最も単純な場合には、パイプラインシステム)を必要とする。これは静的に設定されるが、回転管は必ず可動式(回転)に取り付けられる。
【0088】
各場合において、固定要素と回転要素を回転管入口及び回転管出口で互いに接続するために、グラファイト又はテフロン(登録商標)リング(グラファイト又はテフロン(登録商標)圧入シール)によって封止されるボールベアリング又はギャップのいずれかを使用することが可能である。高温に対する安定性のために、グラファイト圧入シールが好ましい。
【0089】
便宜上、回転管は、その始端及び終端において先細になり、それぞれ流入及び流出する循環パイプの管の中に突出する。
【0090】
これらの接続部には、有利にはシールガスが流される。2つのフラッシング流(11)は、ガス流の回転管への入口及びガス流の回転管からの出口において、回転管を通過したガス流を補完する。このフラッシング流の化学組成は、熱的処理のために回転管内で所望の温度に適合させることができる。例えば、空気をシールガスとして使用することができる。しかしながら、特に比較的高い温度で行われる熱的処理の場合、好ましくは不活性ガス(例えば、窒素)がシールガスとして使用され、なぜなら、これが実際にシール効果をもたらすことに加えて酸化からの保護を同時にもたらすからである。シールガスの量は、好ましくは低く保たれる。したがって、このタイプの個々のフラッシング流は、便宜上、0超(>0)~50、好ましくは1~50m(S.T.P.)/時間である。
【0091】
シール効果は、とりわけ、回転管自体の中で優勢であり、しばしば完全に毒性学的に安全ではない成分(例えば、CO、NOx、NH、CO、SO、アセトニトリル)も含有するガス雰囲気のいずれかが、静的/回転接続を通して周囲の大気に入るのを防ぐために重要である。
【0092】
リサイクルガス流(ガス循環)は、回転管から流出するガス流の方向において吸引し、別の方向に圧力を加えるリサイクルガス圧縮機(13)(ファン、例えば、Konrad Reitz GmbH、37671 Hoexter、ドイツ製のKXE160-004030-00型のファン)によって輸送される。サイクルガス圧縮機の直ぐ下流では、ガス圧は、概して大気圧より上(すなわち、1気圧より上)である。リサイクルガス出口(リサイクルガスは、制御弁(14)を介して排出することができ、出口ガス圧縮機(17)(ファン;例えば、Meidinger AG、4303 Kaiseraugst、スイス製のT100/315-R3/500型の)を介して吸引される)は、リサイクルガス圧縮機の下流に位置している。本発明によれば、リサイクルガスの出口点の下流に減圧装置(15)、例えば開口板(断面狭窄部;例えば、約3分の1倍)が存在する場合が便宜的である。前記の減圧装置は、リサイクルガス圧縮機の圧力側で供給されるよりも、リサイクルガス圧縮機の吸気側でより多くのガスを吸引する単純な可能性を提供する。
【0093】
このようにして、回転管内にわずかな減圧を確立することができる、すなわち、回転管を通って流れるガス流の圧力が、回転管を出るときに回転管の周囲圧力より低くなり得る。この手段はさらに、回転管内のガス雰囲気が外部に漏れないことを確実にするのに役立つ。しかしながら、回転管内では、周囲圧力に対してわずかに超大気圧を確立することも可能である。しばしば、回転管からのガス流の出口の直ぐ下流の圧力は、外圧に対して-1~-10mbarの範囲内の値にされる、すなわち、回転管を通って流れるガス流の圧力は、回転管を出るときに回転管の周囲圧力より低くなり得る。これは、本発明によれば好ましい。
【0094】
回転管内の圧力は、便宜上、圧力センサによる圧力測定に基づいて確立される。適切な圧力センサは、例えば、Siemens(80333 Muenchen、ドイツ)製の7MF4433型のものであり、圧力トランスデューサ(膜測定ユニット)原理により作動する。圧力センサ(16)が回転管からのガス流の出口の直ぐ下流に配置されている場合が、適用技術の点で都合がよい。ガス流の回転管への入口の上流にさらなる圧力センサが存在してもよい。これはまた、単一圧力センサであってもよい。その場合、圧力を、圧力センサ(16)、出口ガス圧縮機(17)(制御弁の方向に吸引するファン)、リサイクルガス圧縮機、及びフレッシュガス供給部の協働を通して確立することができる。2つの圧縮機及びフレッシュガス供給部が定常状態で作動している場合(又は制御不能な圧縮機が使用される場合)、制御弁(14)が唯一の圧力調整ねじである。
【0095】
回転管を通して輸送されるガス流の速度は、典型的には0.1m/秒以上かつ2m/秒以下である。
【0096】
回転管内の材料は、回転管を外側から加熱することによって都合よく加熱される。原則として、この加熱は、直接炎によって行うことができる、すなわち、その高温燃焼ガスが、例えばファンの助けを借りて、エンベロープ(外側の囲い)によって囲まれた回転管の周りを輸送されるバーナが、回転管の下に取り付けられる。
【0097】
しかしながら、好ましくは、回転管は、その内側に電気的加熱要素(抵抗加熱)を有するエンベロープ、例えば直方体によって囲まれている。温度の均一性に関する理由から、エンベロープは、少なくとも2つの対向する側にこのような加熱要素を有するべきである。しかしながら、好ましくは、加熱要素が、全ての側で回転管を取り囲んでいる。回転管の外表面からのそれらの距離は、典型的には10~20cmである。ここで例として説明する実施形態では、回転管は、回転管の長手方向に沿った、連続した4つの等しい長さの電気的加熱(抵抗加熱)加熱ゾーンを有する直方体(right parallelpiped)(2)内で自由に回転し、その加熱ゾーンの各々が、回転管炉の周囲を囲んでいる。加熱ゾーンの各々は、対応する回転管セクションを室温~850℃の温度に加熱することができる。各加熱ゾーンの最大火力は30kWである。電気加熱ゾーンと回転管の外表面との間の距離は、約10cmである。最初と最後で、回転管はその直方体から約30cm突出している。
【0098】
さらに、ヒータ(10)は、回転管炉内に存在する材料の温度調節を支援するために、回転管の中へ通されるガス流を回転管に入る前に所望の温度(例えば、回転管内の材料にとって望ましい温度)に加熱する可能性を提供する。前駆体材料の熱的処理が前駆体材料における発熱化学反応を伴う場合、本発明によれば、回転管の中へ通されるガス流が、回転管炉内の材料に対して意図されている温度(例えば、最高50℃、しばしば最高20℃)より低い温度で回転管の中へ供給されることが有利である。他方、前駆体材料の熱的処理が前駆体材料における吸熱化学反応を伴う場合、本発明によれば、回転管の中に通されるガス流が、回転管炉内の材料について意図されている温度(例えば、最高50℃、しばしば最高20℃)より高い温度で回転管の中へ通されることが好都合である。
【0099】
原理的には、ヒータ(10)は、任意の種類のヒータであり得る。例えば、ヒータは間接熱交換器であり得る。このようなヒータは、原理的には、凝縮器(熱媒体の温度を適合させることによって、例えば冷却ブラインを使用することによって)としても使用することができる。ヒータは、原理的には、直接又は間接的に炎によって加熱することもできる。直接又は間接的な蒸気加熱も適している。直接蒸気加熱の場合、リサイクルガスパイプが、ガス流中に含まれる蒸気の望ましくない凝縮を抑制するために、又は必要に応じて、特に凝縮によって蒸気を分離するために、少なくとも部分的にトレース加熱することが好都合である。電気的に加熱された(抵抗加熱)金属ワイヤの上をガス流が通過する電気ヒータがしばしば使用される。例として記載されている実施形態では、最大出力が1×50kW+1×30kWであるSchniewindt KG、58805 Neuerade、ドイツ製の97D80型のCSN連続フローヒータが使用されている。
【0100】
回転管炉の加熱と回転管の中へ通されるガス流の加熱の両方が、回転管内の材料の温度を介して制御されることが好都合である。バッチ式操作では、これは、原則として、材料内に突き出た熱電対によって決定される。例として記載している実施形態では、そこから全部で3つの熱電対(9)を800mmの間隔で材料中へと垂直に導くランス(8)が、この目的のために、回転管の中心軸上に配置されている。したがって、その3つの熱電対温度の算術平均が、その材料の温度として理解される。回転管内に存在する材料の内部では、2つの測定温度の最大偏差が、本発明によれば、30℃未満、好ましくは20℃未満、特に好ましくは10℃未満、極めて特に好ましくは5又は3℃未満であることが好都合である。
【0101】
熱的処理は、しばしば100~1100℃、又は200~800℃において行われる。特に好ましくは、熱処理は600~800℃、又は300~600℃のいずれかで行われる(上記の温度は常に材料の温度である)。
【0102】
回転管内に存在する前駆体材料がその熱処理の目的のために加熱される温度速度は、通常10℃以下/分であり、しばしば、温度速度は8℃以下/分、多くの場合5℃以下/分、又は3℃以下/分、又は2℃以下/分、又は1℃以下/分である。しかしながら、概して、この温度速度は、0.1℃以上/分、一般に0.2℃以上/分、しばしば0.3℃以上/分、又は0.4℃以上/分である。好ましくは、温度速度は以下の範囲のうちの1つのなかにある:
0.1~10℃/分;0.2~8℃/分;0.4~5℃/分;0.3~5℃/分;0.2~5℃/分;0.1~5℃/分;0.4~3℃/分;0.3~3℃/分;0.2~3℃/分;0.1~3℃/分;0.4~2℃/分;0.3~2℃/分;0.2~2℃/分;0.1~2℃/分。
【0103】
触媒活性材料の前駆体材料の熱処理は、しばしば、発熱化学反応を伴い、その反応には回転管を通過したガス流の成分も頻繁に関与する。この化学反応が制御されないやり方で行われることなく、かつ化学反応によって放出された熱が迅速に除去されることが重要であり、なぜなら、制御されない過程は、過剰な熱の発生及び熱処理される材料の制御されない温度上昇をもたらし、これが最終的に活性材料の特性の低下をもたらす可能性があるからである。
【0104】
材料の熱処理のそのような制御されない過程をちょうどよい時に打ち消すことができるようにするために、ここでの新規なプロセスに適した回転管装置は、有利には、急速冷却のための手段を有する。これは、例えば、回転管を取り囲むエンベロープ(例示的な実施形態では直方体)が片側(例えば、より下の部分の片側)にオリフィス(最長寸法は典型的には60cm)又は孔を有し、それを通して周囲空気又は予め冷却された空気を、ファン(5)(例えば、Ventapp GmbH、47906 Kempen、ドイツ製のE315/40-63型の1つ)によって吸引することができ、また、エンベロープの他方(反対)側(例えば、より上の部分にある側)に存在し、調整可能なオリフィスを有するフラップ(7)を通して排出することができる場合に、特に効率的なやり方で行うことができる。回転管加熱は、しばしば同時にスイッチがオフにされる。そのような急速な冷却はまた、まさに適切な時間に熱処理を終了させることを可能にし、それによって、過剰な熱処理を防止することを可能にする。追加の手段として、ガス流を、回転管のなかに供給される前に(ヒータ(10)内で)冷却することができる。
【0105】
急速な冷却は、例えば、前駆体材料の熱処理の終わりに、5時間以下、一般に4時間以下、しばしば2時間超の時間内に回転管内に存在する材料の温度を少なくとも300℃低下させることを可能にする。しかしながら、概して、この冷却時間は0.5時間以上である。
【0106】
減圧装置(15)とヒータ(10)との間の実際に再循環されているリサイクルガス留分(19)にフレッシュガスが計量供給される場合が、適用技術の点で好都合である。例示的な実施形態でのように、フレッシュガスのベース負荷(例えば、窒素(20))がしばしば計量供給される。その場合、少なくとも1つのスプリッタによって、使用される様々な成分センサの測定値に応答して、回転管に供給されるガス流の成分含有量を詳細に調整することが可能である。例示的な実施形態では、これは、酸素センサの測定値に応答する窒素/空気スプリッタ(21)である。
【0107】
成分センサは、都合がよいことには、リサイクルガス圧縮機の上流に設置される(18)。しかしながら、これらは別の位置に設置することもできる。
【0108】
これらのセンサ類によって、還元ガス成分、例えば、NH、CO、NO、NO、酢酸、又はエアロゾル(例えば、酢酸アンモニウム)及び酸化成分、例えば、NO及びOがしばしば決定され、その含有量はしばしば、特に狭い範囲内でなければならない。
【0109】
例示の実施形態では、2つのセンサ(18)、すなわち、アンモニア含有量を決定するためのセンサと、酸素含有量を決定するためのセンサが設置される。アンモニアセンサは、一般に、好ましくは、光学測定原理(特定の波長の光の吸収は、ガスのアンモニア含有量に比例する)に従って作動する。例示の実施形態では、これがPerkin&Elmer製のMCS100型の装置である。他方、酸素センサは、概して酸素の常磁性特性に基づく。例示の実施形態では、好都合には、Siemens製のOxymat MAT SF 7 MB 101 0-2CA01-1 AA1-Z型のOximatが酸素センサとして使用される。
【0110】
触媒作用のある多金属酸化物活性材料の場合、回転管内で優勢であるガス雰囲気からの酸素吸収が、新規な熱処理の過程において、前駆体材料から触媒活性材料への移行時にしばしば起こる。回転管へのガス流の入口の上流及び回転管からのガス流の出口の下流に設置された酸素センサによって、この酸素吸収をオンラインで定量的に検出することができ、かつ、回転管を通して流れるガス流中の酸素供給をそれに対応して適合させることができる(このような適合が行われない場合、回転管に供給されるガス流中の酸素供給は、通常、実質的に一定に保たれる)。したがって、活性材料の過剰酸化又は過小酸化を回避することができ、それにより触媒性能が向上する。還元ガス成分を用いて完全に同様に進行させることもまた可能である。
【0111】
このリサイクルガス手順はまた、これとの関連で、回転管内で優勢なガス雰囲気の性質が熱処理の過程で還元から酸化へ、又はそれとは逆に変化する場合に特に有利であることが判明している。このような手順は、実際には、回転管内のガス雰囲気が常に爆発範囲外であるように、簡単なやり方でこの変更を行うことを可能にする。
【0112】
回転管を通って流れるガス流は、一般に、熱処理される前駆体材料に由来する非常に微細な塵も排出する。サイクロン(12)は、ガス流に同伴される固体粒子を分離するために、回転管を通過したガス流の出口の下流(しかし、センサの上流)に設置される(この遠心分離機が、遠心力と重力との協働によって、気相中に浮遊する固体粒子を分離し;ボルテックスの形態で回転するガス流の遠心力が、浮遊粒子の沈降を加速させる)。
【0113】
また、このようなサイクロンの併用はまた、リサイクルガスパイプの壁上に非常に微細な塵が堆積することも防止する(このような非常に微細な塵の堆積は、例えば製品変更の場合に顕著な不利な効果を有するであろう;すなわち、熱処理される前駆体材料が変更された場合、リサイクルガスの通過の過程で、前に処理された前駆体材料の塵が壁に堆積して後続の材料が汚染され得る;さらに、非常に微細な塵が、ヒータ(20)を損傷(熱伝達の変化)又は遮断し得る)。
【0114】
サイクロン内に堆積した固体は処分される。サイクロンによって生じる圧力降下は、リサイクルガス圧縮機によって埋め合わされる。
【0115】
サイクロンの代わりに、原則として、ガス状分散相から微細固体を分離するのに適した任意の他の装置を使用することも可能である。
【0116】
排出されたリサイクルガス画分(22)(出口ガス)は、しばしば、完全に安全ではないガス、例えば、NO、CO、酢酸、NH等を含み、この理由のために、前記ガスは通常、出口ガス精製装置(23)において分離される。
【0117】
この目的のために、出口ガスは、一般に、スクラバーカラム(これは、実質的に、内部構造物を含まず、その出口前に、分離活性を有する充填物を含むカラムである)を最初に通過し;出口ガス及び水性スプレーミストは、同時に又は向流で通過する(反対のスプレー方向を有する2つのスプレーノズル)。
【0118】
スクラバーカラムから到着すると、出口ガスは、好都合には、細塵フィルタ(概して、チューブフィルタの束)を含む装置の中へ供給され、その内部から、通ってきた出口ガスが除去される。有利には、次に、最終的にはマッフル炉内で焼却が行われる。
【0119】
コリオリの力に基づく質量流量測定の原理、圧力差に基づく開口板測定の原理、及び熱対流の原理が、シールガス以外の、回転管を通って供給されるガス流の総量を調整するのに特に適している。
【0120】
例示的な実施形態では、シールガス以外の回転管に供給されるガス流の量の測定は、KURZ Instruments Inc.,Montery(米国)製のモデル455Jr型のセンサ(28)(測定原理:熱対流に基づき、等温風速計を用いた質量流量測定)によって行われる。
【0121】
記載した回転管炉装置は、連続式とバッチ式の両方で運転することができる。材料及びガス相は、好ましくは、連続運転において回転管炉を通して向流で供給される。
【0122】
したがって、
a)少なくとも1つのリサイクルガス圧縮機(13);
b)少なくとも1つの出口ガス圧縮機(17);
c)少なくとも1つの減圧装置(15);
d)少なくとも1つのフレッシュガス供給部((20)、(21));
e)少なくとも1つの加熱可能な回転管(1);及び
f)少なくとも1つのリサイクルガスパイプ
を備える回転管炉装置が、上記の新規なプロセスを行うために特に適している。
【0123】
調整可能ではない圧縮機(13)及び(17)が使用される場合、回転管炉装置はまた、少なくとも1つの制御弁(14)を備える。
【0124】
本発明にしたがう有利な実施形態は、少なくとも1つのヒータ(10)をさらに備える。
【0125】
極めて特に好ましい実施形態は、少なくとも1つの一体型サイクロンをさらに備える。
【0126】
さらに、回転管炉装置が、急速冷却のための装置を備える場合が有利である。
【0127】
回転管を通過したガス流が少なくともつり合いがとれて(proportionally)循環されない場合の材料の熱処理のためにも回転管炉装置を使用することを意図している場合、サイクロン(12)とリサイクルガス圧縮機(13)との間の接続を三方弁原理(26)に従って行うことができ、ガス流を出口ガス精製装置(23)のなかへ直接供給することができる場合が好都合である。この場合、出口ガス精製装置への接続(この接続はリサイクルガス圧縮機の下流にある)もまた、三方弁原理に従って行われる。ガス流が空気を実質的に含む場合、これが、この場合、リサイクルガス圧縮機(13)を介して吸引される(27)。サイクロンへの接続も同様に、三方弁原理に従って行われる。このようにして、回転管の内圧が周囲圧力よりも低くなるように、ガス流が、好ましくは、回転管を通して吸引される。
【0128】
好ましくは、上記の処理は連続的に、かつ、材料及びガス流が向流で行われ、すなわち、熱処理される材料が、ガス流の反対側の終端部(回転管の最高点)において回転管炉の中に導入され、かつ、ガス流の反対側の終端部において回転管炉から排出される。
【0129】
回転管装置の例示の実施形態では、(ガス流の)回転管出口の下流の圧力が、有利には、連続運転中に外圧よりも-0.8mbar低くなるように設定される。バッチ式操作中、その同じ圧力設定は-0.2mbarである。
【0130】
<粉砕>
次いで、熱処理した物体が、粉末に、通常80μm以下の粒径に粉砕される。
【0131】
一実施形態では、その粉末が不活性支持体に適用される。これは、上記の化学量論式(II)又は(IIa)を有する多金属酸化物に特に当てはまる。好都合には、支持体のコーティングのために、支持体は、適用される粉末材料で湿らされる。適用後、乾燥が、通常、熱風によって行われる。支持体に適用された粉末材料のコーティング厚さは、好都合には、10~1000μm、好ましくは50~500μm、特に好ましくは150~250μmの範囲内になるよう選択される。
【0132】
コーティングされた触媒のために適した支持体材料は、例えば、多孔質もしくは非多孔質のアルミナ、シリカ、二酸化トリウム、二酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、又はケイ酸塩、例えば、ケイ酸マグネシウムもしくはケイ酸アルミニウム(例えば、CeramTec GmbH、73207、Plochingen、ドイツ国のC220タイプのステアタイト)である。支持体は、規則的形状を有していても、不規則形状を有していてもよく、規則的形状及び顕著な表面粗さを有する支持体、例えば、チップコーティングを有する球又は中空円筒形状のものが好ましい。
【0133】
直径が1~8mm、好ましくは4~5mmである粗面を有する実質的に非多孔質の球状ステアタイト支持体(例えば、CeramTec GmbH、73207 Plochingen、ドイツ国のC220タイプのステアタイト)の使用が適している。しかしながら、長さが2~10mmであり、外径が4~10mmである円柱形状のものを支持体として使用することも適している。環状の支持体の場合、壁厚はさらに通常1~4mmである。好ましく使用される環状支持体は、長さ2~6mm、外径4~8mm、及び壁厚1~2mmを有する。7mm×3mm×4mm(外径×長さ×内径)のリングも支持体として特に適している。
【0134】
熱的処理によってここに記載された方法で得ることができる微細多金属酸化物活性材料による、又はまだ熱処理に供されるその微細前駆体材料(均質なドライブレンド)による支持体のコーティングは、例えばドイツ特許出願公開第2909671号明細書、欧州特許出願公開第293859号明細書又は欧州特許出願公開第714700号明細書に開示されているように、概して回転可能な容器内で行われる。欧州特許出願公開第714700号明細書の手順が好ましい。
【0135】
粉砕された活性化多金属酸化物組成物による支持体のコーティングは、一般に、回転可能な容器内で行われる。適用後、乾燥は通常、熱風を使用して行われる。支持体に適用された粉末組成物の層の厚さは、好都合には、10~1000nmの範囲、好ましくは50~500μmの範囲、特に好ましくは150~250μmの範囲内で選択される。
【0136】
あるいは、上でより詳細に説明されているように、上記の式(I)の[Y a’ b’x’]を、式(II)の多金属酸化物の残りの成分の供給源と混合する。
【0137】
<多金属酸化物触媒の有用性>
本触媒は、特に、プロペンをアクロレインへ、あるいはイソブテン及び/又はtert-ブタノールをメタクロレインへと部分酸化するための触媒として適している。部分酸化は、例えば、環状非担持触媒については、国際公開第00/53557号パンフレット、国際公開第00/53558号パンフレット、ドイツ国特許出願公開第19910506号明細書、欧州特許出願公開第1106598号明細書、国際公開第01/36364号パンフレット、ドイツ国特許出願公開第19927624号明細書、ドイツ国特許出願公開第19948248号明細書、ドイツ国特許第19948523号明細書、ドイツ国特許第19948241号明細書、欧州特許出願公開第700714号明細書、ドイツ国特許出願公開第10313213号明細書、ドイツ国特許出願公開第10313209号明細書、ドイツ国特許出願公開第10232748号明細書、ドイツ国特許出願公開第10313208号明細書、国際公開第03/039744号パンフレット、欧州特許出願公開第279374号明細書、ドイツ国特許出願公開第3338380号明細書、ドイツ国特許第3300044号明細書、欧州特許出願公開第575897号明細書、ドイツ国特許出願公開第102004003212号明細書、ドイツ国特許出願公開第102005013039号明細書、ドイツ国特許出願公開第102005009891号明細書、ドイツ国特許出願第102007003778.5号明細書、ドイツ国特許出願公開第102005010111号明細書、ドイツ国特許出願公開第102005009885号明細書、及びドイツ国特許出願公開第4407020号明細書に記載されているように行うことができ、触媒充填は、例えば、記載されているように、入手可能な非担持触媒のようなリング、又は例えば不活性成形体で希釈された非担持触媒のようなリングのみを含み得る。後者の場合、触媒充填は、有利には、一般に、その体積比活性が反応ガス混合物の流れ方向に連続的に、急激に及び/又は段階的に高くなるように構成される。
【実施例
【0138】
<実施例及び比較実施例>
触媒の調製
1)本発明による中空円筒形状の触媒体H1[Bi7.5][Mo12Co5.5Fe3.0Si1.60.08]の調製
a)混練した触媒塊K1の調製
10Lステンレス鋼製ポットに、25℃の硝酸ビスマス硝酸水溶液5600g(182.7g、39.8mol Bi、遊離硝酸:3~5重量%、BASF SE、67056 Ludwigshafen、ドイツ国)及び15分以内に25℃のタングステン酸1493g(純度:99重量%超、H.C.Starck、38642 Goslar、ドイツ国)を、25℃においてアンカースターラー(直径:80mm、150rpm)を用いて絶えず撹拌しながら添加した。得られた溶液を25℃においてさらに3時間撹拌した。次に、その溶液を、GEA Niro(噴霧ヘッド番号F0A、2860 Soeborg、デンマーク国)の噴霧塔内で、2時間20分以内に、ガス入口温度300℃±10℃、ガス出口温度110℃±10℃、及びディスク速度30000rpmで噴霧乾燥した。得られた噴霧粉末は、1.1バール(絶対圧力)の分散圧力で、2.64μmのd50値を有していた(d10値=0.68μm及びd90値=20.1μm)。
【0139】
得られた噴霧粉末150kgを、AMK社(Aachener Misch-und Knetmaschinen Fabrik、52074 Aachen、ドイツ国)の混錬機、VM160型(Z形状混錬ブレード)に投入した。投入中、混練ブレードは槽の外壁に対して反対方向に作用し、混練機の排出スクリューの作用方向は槽の内側に向いていた(スクリューの速度:20rpm)。次いで、20リットルの脱塩水を添加し、混練を合計30分間続けた。混練ブレードは、槽の内側に向かって反対方向及び槽の内側に向いた圧搾スクリューの作用方向に作用し続けた。混練機中の混練材料を、水-グリコール混合物(75重量%水中25重量%グリコール)及びUnichiller P022w OLE spez型(Fa.Huber Kaeltemaschinen GmbH、77656 Offenburg、ドイツ国)の循環冷却器を用いて混錬中に30℃に冷却した。冷却水は、槽上の二重ジャケット及び混練ブレードの内部を通して混練材料を冷却した。30分間の混練時間の後、混練材料を排出した。この目的のために、排出スクリューの作用方向を逆にし、速度を12rpmに設定した。
【0140】
直径25mmのプレート-プレート測定幾何形状を備えた回転粘度計MCR302型(Anton Paar GmbH、73760 Ostfiltern、ドイツ国)を用いて試料のレオロジー特性評価を実施した。ギャップをおよそ1mmに調整した。測定中の温度をペルチェシステムによって制御した。全ての測定について、温度を23℃で一定に保った。測定自体は小さな変形振幅の振動実験として実施した。線形粘弾性範囲を決定するために、振幅スイープを10rad/秒の一定角周波数で実施した。周波数スイープを、それぞれ100rad/秒~0.1rad/秒、及び100rad/秒~0.158rad/秒の線形粘弾性範囲及び周波数範囲の変形振幅で実施した。
【0141】
このようにして決定した可塑化された触媒塊K1の貯蔵弾性率は、10rad/秒において3.36・10Paであった。
【0142】
b)触媒押出物E1(Bi7.5=1/2Bi・1WO)の調製及び乾燥
脱塩水で冷却したECT Kema製のP160スクリュー押出機(02829 Schoepstal、ドイツ)で触媒押出物E1を製造した。押出機のバレル直径は250mmであり、押出機内の圧力は最大50バールであった。押出プロセス中、押出機を、水-グリコール混合物(75重量%水中25重量%グリコール)及びUnichiller 080TW spez循環冷却器(Huber Kaeltemaschinen GmbH、77656 Offenburg、ドイツ国)を用いて20℃まで冷却した。押出機の最後に、混練塊を、ダイ-プレート上に位置するダイ取り付け部を通して押圧した。図1図5は、ダイ-プレート及び内側のダイ-インサートの構造を示す。Ultraform Nダイ-インサートは、外径27.8mmを有し、それぞれ直径6.0mmの5つの孔を含有していた。ダイ-インサートの正確な設計を図5及び図6に示す。
【0143】
触媒押出物E1の残留含水量は16.5重量%であった。実施例a)「触媒塊K1の調製」に記載したレオロジー研究によって決定された貯蔵弾性率は、10radで2.28・10Paであった。
【0144】
押出物の粘着性(接着力)を、Keysight Technologies(71034 Boeblingen、ドイツ国)製のナノインデンターG200型を用いた試料表面の圧子測定で測定した。接着力評価の測定曲線は、ISO14577規格に記載されている。押出物E1の粘着性は168±μNであった。
【0145】
押出中、押出機のプレスシリンダは、コニカルリングシール(非ポジティブシール)を介して、押出物が乾燥されたBernd Muenstermann GmbH&Co.KG(48291 Telgte、ドイツ)のベルト乾燥機の入口バンカと直接接続された。触媒押出物E1は、まず、ベルト乾燥機(温度:25℃)の供給バンカに位置する旋回ベルト(回転速度5rpm)上に落下した。押出機ダイから旋回ベルトまでの落下高さは、450mm~302mm(それぞれ押出機ダイの上縁と下縁)の間であった。押出物は、旋回ベルトから、ベルト乾燥機(ベルト速度10cm/分)の乾燥ベルト(ヒンジ付きプレートベルト)上に落下した。旋回ベルトと乾燥ベルトとの間の落下高さは355mmであった。ベルト乾燥機をわずかな真空(-5~-10mbar)で作動させた。
【0146】
乾燥は、3つの異なる温度ゾーン(温度ゾーン1:90~95℃、温度ゾーン2:115℃、温度ゾーン3:125℃)において温かい周囲空気中で行った。3つの温度ゾーンの各々は、それ自体の循環ファンを備えている。室内空気は、周囲空気ファンによって引き込まれ、2つの空気予熱器によって加熱される。第1の空気予熱器において、周囲空気が4バールの蒸気(145℃)に加熱された後、第2の空気予熱器において155℃に電気的に加熱される。各温度ゾーンでは、熱風がストランドパイルを通って上から下に流れ、ストランドを乾燥させ、排気ガス中に水分を輸送する。各ゾーンの温度は、予熱送風量を調整することによって自動的に制御される。ベルト乾燥機からの排気ガスは、2つの排気ガスフィルタを介して圧力制御下で個々のゾーンから洗浄カラムに供給される。圧力制御は、ゾーン3で測定された圧力に基づく。
【0147】
乾燥押出物は、スパイクローラ及び制御フラップによって制御される排出ホッパを介して、計量された中間緩衝容器に排出される。
【0148】
c)焼成され粉砕された触媒粉末C1(Bi7.5=1/2Bi・1WO)の調製
次いで、押出物を、特許出願である国際公開第2015/067659号パンフレットの実施例a)に記載されている空気流下(減圧0.3mbarg、200m(STP)/時間の空気、50kg/時間の押出物、速度:1rpm)、温度830℃でロータリーキルン中で焼成した。このようにして得られた予備形成し焼成された混合酸化物を、2500rpmのシフターミル(タイプ315 ZPS、Fa.Hosokawa Alpine Aktiengesellschaft、86001 Augsburg、ドイツ国)を用いて粉砕した。これにより、d50値2.8μm(2.0bargの分散圧力で測定)及びBET表面積0.6m/gを有する触媒粉末C1が得られた。
【0149】
d)中空円筒形状触媒体H1[Bi7.5][Mo12Co5.5Fe3.0Si1.60.08]の調製
出発材料C1及びC2からの中空円筒形状触媒体H1(Mo12Co5.5Fe3.0Si1.60.08)の調製を、実施例c)の特許出願である国際公開第2015/067659号パンフレットに記載されるように実施した。材料C2は、実施例b)の特許出願である国際公開第2015/067659号パンフレットのように調製した。使用した打錠機はXT600(Korsch AG、13509 Berlin、ドイツ国)であった。中空円筒形状体は、以下の寸法を有していた:
外径5mm
高さ5mm
内径2mm
【0150】
2)参照の中空円筒形状触媒体H2[Bi7.5[Mo12Co5.5Fe3.0Si1.60.08の調製
参照の中空円筒形状触媒体H2の異なる調製ステップは、押出を除いて、中空円筒形状触媒体H1について記載されるものと同じであった。この場合、押出物E2を大気圧下で調製した。
【0151】
3)本発明による活性触媒塊H3(Mo121.2Cu1.2)の調製
a)混練触媒塊K3の調製
国際公開第2004/108267号パンフレットの実施例1A(化学量論Mo121.2Cu2.4)の多元素酸化物塊を製造することを目的とした前駆体塊の調製)を繰り返したが、酢酸銅(II)水和物16.3kgの代わりに、酢酸銅(II)水和物8kgを使用した。化学量論Mo121.2Cu2.4の触媒活性多元素酸化物塊の噴霧粉末を得た。得られた噴霧粉末は、強熱減量19.1重量%(磁製るつぼ(これは一定重量に達するまで900℃でアニーリングした)中、空気下で、600℃において3時間アニーリング)及び1.1バール(絶対圧力)の分散圧力で3.6μmのd50値(d10値=0.6μm及びd90値=14.0μm)を有していた。
【0152】
得られた噴霧粉末75kgを、実施例1a)と同様にAMK(Aachener Misch-und Knetmaschinen Fabrik、52074 Aachen、ドイツ国)製のVM160型の混練機(Z形状混錬ブレード)に投入した。投入中、混練ブレードは槽(バレル)の外壁に対して反対方向に作用し、混練機の排出スクリューの作用方向は槽の内側に向いていた(スクリューの速度:20rpm)。次いで、11.5リットルの60重量%酢酸を添加し、引き続いて7.0リットルの脱塩水を添加した。脱塩水を添加した後、混練塊を30分間混練した。混練ブレードは、槽の内側に向かって反対方向及び槽の内側に向いた圧搾スクリューの作用方向に作用し続けた。混錬機中の混練材料を、水-グリコール混合物(75重量%水中25重量%グリコール)及びUnichiller P022w OLE spez型(Fa.Huber Kaeltemaschinen GmbH、77656 Offenburg、ドイツ国)の循環冷却器を介して混錬中に30℃まで冷却した。冷却水は、槽上の二重ジャケット及び混練ブレードの内部を通して混練材料を冷却した。30分間の混練時間の後、混練材料を押出機入口に排出した。この目的のために、排出スクリューの作用方向を逆にし、速度を12rpmに設定した。
【0153】
混練材料の貯蔵弾性率(測定は実施例a)「触媒混錬塊K1の製造」に記載されるように行った)は、10radで2.46・10Paであった。
【0154】
b)触媒押出物E3(Mo121.2Cu1.2)の調製及び乾燥
触媒押出物E3の製造及び乾燥を、ECT Kema(02829 Schoepstal、ドイツ国)製のP160型のスクリュー押出機ならびにBernd Muenstermann GmbH&Co.KG(48291 Telgte、ドイツ国)製の図7及び8に示されるベルト乾燥機で適用実施例1b)に記載されるように行った。しかしながら、この場合、室内空気を180℃に加熱したが、個々の乾燥ゾーンの温度は設計実施例1b)と同一であった。
【0155】
触媒押出物E3の残留水分は22重量%であり、貯蔵弾性率は10radにおいて2.28・10Paであった。
【0156】
c)焼成され粉砕された触媒粉末C3(Mo121.2Cu1.2)の調製
次いで、押出物を欧州特許第3046668号明細書の実施例A)に記載されるようにロータリーキルン中で焼成し、その後、2500rpmでシフターミル(315 ZPS、Fa.Hosokawa Alpine、86001 Augsburg、ドイツ国)中で粉砕して、粒径2~50μm及び強熱減量21±2重量%の微粉末を得た。
【0157】
d)活性触媒塊H3(Mo121.2Cu1.2)でコーティングされた中空円筒支持体材料の調製
次の調製ステップは、欧州特許第3046668号明細書の実施例Cに記載されている、中空円筒支持体材料(ステアタイトC220型、Fa.CeramTec GmbH、73207 Plochingen、ドイツ国)(外径×内径×高さ:7×3×4mm)へのこの粉末のコーティングであった。
【0158】
4)活性触媒塊H4(Mo121.2Cu1.2)でコーティングされた参照の中空円筒支持体材料の調製
活性触媒塊H4でコーティングされた参照の中空円筒支持体材料の異なる調製ステップは、押出を除いて、活性触媒塊A3でコーティングされた中空円筒支持体材料について記載されたものと同じであった。この場合、押出物E4を大気圧下で調製した。
【0159】
<触媒の試験>
1)プロピレンをアクロレインへと部分酸化するための活性触媒H1及び比較触媒H2の触媒試験
反応管(V2A鋼;外径21mm、壁厚3mm、内径15mm、長さ120cm)を以下のように流れ方向に上から下に充填した:
セクション1:直径1.5~2.0mmのステアタイト球40gからなる予備床として長さおよそ30cm
セクション2:実施例1)で製造した中空円筒焼成成形体40gと中空ステアタイト円筒60g(寸法:5×5×2;外径×内径、mm)の均一な混合物からなる触媒充填物として長さおよそ70cm。
【0160】
各場合において、反応管の温度を、各場合で、380℃の塩浴温度(53重量%硝酸カリウム、40重量%亜硝酸ナトリウム、及び7重量%硝酸ナトリウム)を有する分子窒素スパージング塩浴によって制御した。塩浴は円筒シェル内にあった。円筒シェルは、反応管と同じ長さを有していた。2つの対称軸が一致するように、反応管を円筒シェルに上から下に挿入した。底部から塩浴にスパージングした窒素流は、40L(STP)/時間であった。環境に対する塩浴の熱損失は、部分酸化中に反応器によって生成された反応熱よりも大きかった。TSBの一定温度を、電気加熱によって塩中で維持した。このようにして、確実に反応管の外壁が常に適切な温度TSB(℃)を有するようにした。
【0161】
反応器に、組成:
5体積%のプロペン、
9.5体積%の酸素、及び100%までの残りとしてのN体積%
の充填ガス混合物(空気、ポリマーグレードのプロピレン、及び窒素の混合物)を連続的に充填した。
【0162】
塩浴温度TSB380℃において、プロペン転化率C(反応管を通る反応ガス混合物の1回の通過に基づく、mol%)が95.4mol%となるように、混合ガス流量を調整した。
【0163】
表1は、運転70時間後の触媒H1及びH2についての異なる結果を示している。SDPは所望の生成物の選択率であり、SCOxはおよそ97.3%のプロピレン転化率での望ましくないCOの選択率である。
【0164】
【表1】
【0165】
これらの結果は、本発明による触媒の調製が、同じ塩浴温度TSBにおいて同等の転化率Xをもたらすことを示している。
【0166】
しかしながら、所望の生成物選択率SDPは、本発明を使用して調製された触媒についてはより高く、望ましくないCO選択率は低下している。
【0167】
2)活性触媒塊H3及び比較触媒塊H4の触媒試験
活性触媒塊H3を有する触媒を、塩浴(53重量%の硝酸カリウム、40重量%の亜硝酸ナトリウム、及び7重量%の硝酸ナトリウムの混合物、50kg塩融解物)で囲まれ、以下のように上から下に充填された反応管(V2Aステンレス鋼、外径30mm、壁厚2mm、内径26mm、長さ465cm)内で試験した:
セクション1:長さ79cm、空の管
セクション2:長さ62cm、幾何形状7mm×3mm×4mm(外径×長さ×内径、CeramTec製のC220ステアタイト)のステアタイトリングの予備床
セクション3:長さ100cm、15重量%の7mm×3mm×4mm(外径×長さ×内径、CeramTec製のC220ステアタイト)の幾何形状のステアタイトリングならびに80重量%のそれぞれの触媒H3及びH4からなる均一混合物で構成された固定触媒床
セクション4:長さ200cm、セクション3でも使用される触媒H3及びH4のみからなる固定触媒床
セクション5:長さ10cm、セクション2と同じステアタイトリングの後続床
セクション6:長さ14cm、固定触媒床を収容するためのV2Aステンレス鋼製の触媒支持体
【0168】
反応混合物は以下の出発組成を有していた:
4.3体積%のアクロレイン
0.2体積%のプロペン
0.2体積%のプロパン
0.3体積%のアクリル酸
5.4体積%のO
7体積%のH
0.4体積%のCO及びCO
82.2体積%のN
【0169】
反応混合物は、反応管を通って上から下に流した。固定触媒床でのアクロレイン空間速度(ドイツ特許出願公開第19927624号明細書に定義されている)を、各場合において75L(STP)/L×時間に設定した。塩浴温度TSBは、単回通過でのアクロレイン転化率が99.3mol%となるように設定した。塩浴温度TSBは、融解塩が塩浴に供給された温度に対応する。全ての場合において、アクロレイン転化率は、単回通過で99.3mol%であった。
【0170】
【表2】
【0171】
これらの結果は、本発明による触媒の調製が、同じ塩浴温度TSBでより優れた転化率Xをもたらすことを示している。
【0172】
さらに、アクリル酸選択率SAAは、本発明を使用して調製された触媒でより一層高い。
【符号の説明】
【0173】
1 押出機ダイ
2 円筒孔
3 孔
4 スクリュー
5 円筒インサート、プラスチックインサート
6 スクリュー
9 円筒穿孔
30 ハウジング
31 乾燥ゾーン
32 乾燥ゾーン、加熱ゾーン
33 乾燥ゾーン
34 ハウジング
35 ハウジング
37 パイプ
38 パイプ、ソケット
40 旋回ベルト
41 ロール
43 乾燥ベルト
44 ロール
45 ロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】