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特表2023-543248ヒト造血幹細胞移植効率を向上させるための化合物の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ヒト造血幹細胞移植効率を向上させるための化合物の使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0789 20100101AFI20231005BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 31/475 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 31/166 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 37/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
C12N5/0789
A61K45/00
A61K31/519
A61K31/4985
A61K31/506
A61K31/44
A61K31/192
A61K31/381
A61K31/475
A61K31/165
A61K31/4184
A61K31/166
A61P35/00
A61P37/00
A61P3/00
A61P35/02
A61P7/06
A61P43/00 105
A61P7/04
A61P37/02
A61P19/02
A61P25/00
A61P1/04
A61P21/00
A61K31/4709
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519146
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 CN2021120300
(87)【国際公開番号】W WO2022063226
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】202011015709.0
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522242362
【氏名又は名称】▲広▼州▲輯▼因医▲療▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】EDIGENE (GUANGZHOU) INC.
【住所又は居所原語表記】Building 10, No.6, Nanjiang Second Road, Zhujiang Street, Nansha District, Guangzhou City, Guangdong 510000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】方 日国
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ 奎▲瑩▼
(72)【発明者】
【氏名】李 超
(72)【発明者】
【氏名】袁 ▲鵬▼▲飛▼
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AC20
4B065BA30
4B065BD21
4B065CA44
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA51
4C084ZA53
4C084ZA55
4C084ZA68
4C084ZA94
4C084ZA96
4C084ZB07
4C084ZB15
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4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC21
4C086AA01
4C086AA02
4C086BB03
4C086BC28
4C086BC39
4C086BC50
4C086CB05
4C086CB20
4C086GA04
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA51
4C086ZA53
4C086ZA55
4C086ZA68
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB15
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC21
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA17
4C206GA02
4C206GA30
4C206HA16
4C206KA01
4C206KA05
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA02
4C206ZA51
4C206ZA53
4C206ZA55
4C206ZA68
4C206ZA94
4C206ZA96
4C206ZB07
4C206ZB15
4C206ZB21
4C206ZB26
4C206ZB27
4C206ZC21
(57)【要約】
本発明はヒト造血幹細胞移植効率を向上させるための化合物の使用を開示し、前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上である。本発明による化合物は、インビトロでの短時間の処理により、細胞の表現型、生存率及び種々の特性に影響を与えることなく、造血幹細胞表面タンパク質CD184の発現を向上させることができる。HSCが発現したケモカイン受容体CD184と骨髄微小環境中のケモカインリガンドSDF1との結合を通じて、HSCの遊走能及び骨髓でのホーミング能を向上させ、HSCの移植効率及び治療効果を向上させる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造血幹細胞表面CD184タンパク質の発現を向上させるための化合物の使用であって、
前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上である使用。
【請求項2】
前記化合物はチューブリン重合阻害剤であり、好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上である請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記チューブリン重合阻害剤はLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記化合物の使用濃度が1nM~100μMである請求項1~3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
造血幹細胞移植効率を向上させるための化合物の使用であって、
前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である使用。
【請求項6】
前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくは、Lexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記化合物の使用濃度が1nM~100μMである請求項5又は6に記載の使用。
【請求項8】
被験者の造血幹細胞表面CD184タンパク質の発現を向上させる方法であって、
前記造血幹細胞を培養する培地に、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を加えることを含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤はLexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである方法。
【請求項9】
前記化合物の使用濃度が1nM~100μMである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
被験者の造血幹細胞移植効率を向上させる方法であって、
前記造血幹細胞を培養する培地に、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を加えることを含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである方法。
【請求項11】
前記化合物の使用濃度が1nM~100μMである請求項10に記載の方法。
【請求項12】
血液系の悪性腫瘍、血液系の非悪性腫瘍、固形腫瘍、免疫系疾患、遺伝性又は代謝性疾患を治療する薬物の製造における化合物の使用であって、
前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである使用。
【請求項13】
前記血液系の悪性腫瘍は、慢性顆粒球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性前骨髄球性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、骨髄線維症及び骨髄異形成症候群、バーキットリンパ腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、原発性マクログロブリン血症、形質細胞白血病、形質芽細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、全身性肥満細胞症、又は芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍であり、
血液系の非悪性腫瘍は、再生不良性貧血、ファンコニ貧血、サラセミア、鎌状赤血球貧血、骨髄線維症、重度の発作性夜間ヘモグロビン尿症、又は無巨核球性血小板減少症であり、
固形腫瘍は、乳癌、卵巣癌、精巣癌、腎臓癌、神経芽細胞腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍、ユーイング肉腫、軟部肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、髄芽腫、又は悪性脳腫瘍であり、
免疫系疾患は、重度複合免疫不全症、重度自己免疫疾患、原発性中枢神経系リンパ腫、免疫不全症候群を伴う湿疹性血小板減少症、慢性肉芽腫、IPEX症候群、ALアミロイドーシス、POEMS症候群、血球貪食症候群、関節リウマチ、多発性硬化症、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、クローン病、多発性筋炎、又は皮膚筋炎であり、
遺伝性又は代謝性疾患は、ムコ多糖症、先天性角化異常症、リソソーム代謝症、グロボイド細胞白質ジストロフィー、異染性白質ジストロフィー、又はX 連鎖性の副腎白質ジストロフィーである請求項12に記載の使用。
【請求項14】
血液系の悪性腫瘍、血液系の非悪性腫瘍、固形腫瘍、免疫系疾患、遺伝性又は代謝性疾患を治療するための薬物であって、
チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである薬物。
【請求項15】
前記血液系の悪性腫瘍は、慢性顆粒球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性前骨髄球性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、骨髄線維症及び骨髄異形成症候群、バーキットリンパ腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、原発性マクログロブリン血症、形質細胞白血病、形質芽細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、全身性肥満細胞症、又は芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍であり、
血液系の非悪性腫瘍は、再生不良性貧血、ファンコニ貧血、サラセミア、鎌状赤血球貧血、骨髄線維症、重度の発作性夜間ヘモグロビン尿症、又は無巨核球性血小板減少症であり、
固形腫瘍は、乳癌、卵巣癌、精巣癌、腎臓癌、神経芽細胞腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍、ユーイング肉腫、軟部肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、髄芽腫、又は悪性脳腫瘍であり、
免疫系疾患は、重度複合免疫不全症、重度自己免疫疾患、原発性中枢神経系リンパ腫、免疫不全症候群を伴う湿疹性血小板減少症、慢性肉芽腫、IPEX症候群、ALアミロイドーシス、POEMS症候群、血球貪食症候群、関節リウマチ、多発性硬化症、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、クローン病、多発性筋炎、又は皮膚筋炎であり、
遺伝性又は代謝性疾患は、ムコ多糖症、先天性角化異常症、リソソーム代謝症、グロボイド細胞白質ジストロフィー、異染性白質ジストロフィー、又はX 連鎖性の副腎白質ジストロフィーである請求項14に記載の薬物。
【請求項16】
CD184表面タンパク質の発現レベルの低下に関連する疾患を治療する薬物の製造における化合物の使用であって、
前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである使用。
【請求項17】
造血幹細胞移植効率レベルの低下に関連する疾患を治療する薬物の製造における化合物の使用であって、
前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである使用。
【請求項18】
造血幹細胞ホーミング能を向上させるための化合物の使用であって、
前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである使用。
【請求項19】
前記化合物の使用濃度が1nM~100μMである請求項18に記載の使用。
【請求項20】
被験者の造血幹細胞ホーミング能を向上させる方法であって、
前記造血幹細胞を培養する培地に、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を加えることを含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである方法。
【請求項21】
前記化合物の使用濃度が1nM~100μMである請求項20に記載の方法。
【請求項22】
造血幹細胞ホーミング能レベルの低下に関連する疾患を治療する薬物の製造における化合物の使用であって、
前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである使用。
【請求項23】
チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、又は4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を含む細胞培地であって、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである細胞培地。
【請求項24】
造血幹細胞培地である請求項23に記載の細胞培地。
【請求項25】
前記培地中の前記化合物の濃度が、1nM~100μM、例えば10nM~50μM、0.1μM~20μM、1μM~10μM、例えば、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM又はこれらの間の任意の範囲である請求項23又は24に記載の培地。
【請求項26】
被験者の血液系の悪性腫瘍、血液系の非悪性腫瘍、固形腫瘍、免疫系疾患、遺伝性又は代謝性疾患を治療する方法であって、
前記被験者に造血幹細胞を投与することを含み、
前記造血幹細胞は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を添加した培地にて培養した造血幹細胞であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである方法。
【請求項27】
前記化合物を添加した培地にて培養された前記造血幹細胞には、CD184タンパク質の発現が増加する請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物技術の技術分野に関し、特にヒト造血幹細胞移植効率を向上させるための化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
造血幹細胞(HSC:Hematopoietic stem cells)は骨髄と血液中に存在し、自己更新能力を有し、すべてタイプの血液細胞に多方向に分化する幹細胞である。そのような特徴のため、造血幹細胞移植(HSCT:Hematopoietic stem cell transplantation)は臨床で多種の血液疾患と免疫疾患を治療するのに最も有効であり、さらには唯一の治療手段であると考えられている。
【0003】
HSCTは、HSCの由来によっては、自己幹細胞移植と同種幹細胞移植に分けられる。HSCの種類によっては、臍帯血(CB:Cord blood)、動員末梢血(mPB:Mobilized peripheral blood)、及び骨髄(BM:Bone marrow)HSCに分けられる。現在、CB-HSCはますます多くの注目を受けているが、限られた細胞数は患者への移植及び遺伝子編集の臨床応用を制限し、HSC数が十分かどうかは移植成功率、移植効率及び患者回復に直接影響する。この問題を解決するために、現在、以下の3つの方面からHSCのインビトロ培養システムを最適化することができる。(1)細胞増幅数を大量に増加することができる。(2)細胞移植効率を高める。(3)単位体積の中・長期造血幹細胞(LT-HSC)の比率を高め、患者が移植を受けた後、その体内に定着したLT-HSCは長期的にレシピエントの血液と免疫系を再建することを可能にする。
【0004】
HSCは、静脈注射後、骨髄にホーミングし、骨髄微小環境との相互作用により、自己更新又は更なる分化を実現する。HSCの遊走及びホーミングには、HSC細胞表面のケモカイン受容体CXCR4(CD184)と間質細胞由来タンパク質(SDF-1)との結合が最も重要な役割を果たす。研究により、ヒトCD34+HSPC及びCD34+CD38-HSCにおいてCD184を過剰発現させることにより、免疫不全マウスモデルにおけるこれらの骨髄ホーミング能を顕著に高めることができることが指摘された。従って、CD184の発現を調節することは、HSPCが骨髄にホーミングする可能性を高める潜在的な突破口となる。
【0005】
近年、いくつかの研究により、プロスタグランジンE2(PGE2:Prostaglandin E2)、ヒストン脱アセチル酵素阻害剤(HDACi:Histone deacetylase inhibitors)例えばバルプロ酸(VPA:Valproic acid)、グルココルチコイド(Glucocorticoid)例えばデキサメタゾン(dexamethasone)、ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)、フルチカゾン(fluticasone)などはHSPC中のCD184受容体の発現を制御することによって、そのリガンドSDF1との結合強度を高め、それによってHSPCの遊走及び骨髄ホーミングに対して積極的な促進作用を果たすことが明らかになった。もう1つの研究により、HSPC移植前に39.5℃で4時間処理すると、CD184表面タンパク質の発現及び脂質ラフトドメインでのその凝集を高め、SDF1との相互作用を容易にし、HSCT効率を高めることができる。
【0006】
そのほか、いくつかの研究により、ミトコンドリア膜透過性遷移孔開口阻害剤(MPTPi)、例えば、cyclosporin Aの処理により、細胞が余分な生理的酸素ショック/ストレス(extra physiologic oxygen shock/stress、EPHOSS)を受けることを避けることはHSPCの低酸素環境を模擬し、HSPCの移植効率を高めることができることを発見した。骨髄内皮でのHSCの転動と滞留は部分的にE-selectinとP-selectinにより媒介される。グアノシン二リン酸フコース(guanosine diphosphate fucose)とフコシルトランスフェラーゼ6(fucosyltransferase-VI)の処理によってE-selectinとP-selectinのフコシル化(fucosylation)を高めることもHSCの移植潜在力を高めることができる。
しかし、現在開発されている方法では、HSCの他の機能への影響を完全に明確にしているわけではないものや、実際の操作の難しさに限定されているものもある。そのため、HSPCでのCD184発現を制御でき、HSCの移植効率を高めることができる重要な分子を探すことは、造血幹細胞移植において解決すべき課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の問題に対して、本発明は、造血幹細胞表面CD184タンパク質の発現を向上させるための化合物の使用であって、前記化合物はチューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上である使用を提供し、前記化合物はHSPCの遊走能を向上させ、移植効率を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の具体的な技術的態様は以下のとおりである。
【0009】
1. 造血幹細胞表面CD184タンパク質の発現を向上させるための化合物の使用であって、
前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、本願は、インビトロで造血幹細胞表面CD184タンパク質の発現を向上させるための化合物の使用であって、前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上である使用に関する。
【0010】
2. 前記化合物はチューブリン重合阻害剤であり、好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤はLexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種である項1に記載の使用。
【0011】
3. 前記チューブリン重合阻害剤はLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである項2に記載の使用。
【0012】
4. 前記化合物の使用濃度が、1nM~100μM、例えば10nM~50μM、0.1μM~20μM、1μM~10μM、例えば、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM又はこれらの間の任意の範囲である項1~3のいずれか1項に記載の使用。
【0013】
5. 造血幹細胞移植効率を向上させるための化合物の使用であって、前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である。いくつかの実施形態では、本願はまた、造血幹細胞移植効率を向上させる方法であって、前記造血幹細胞を培養する培地に、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を加えるステップを含む方法に関する。
【0014】
6. 前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくは、Lexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである項5に記載の使用又は方法。
【0015】
7. 前記化合物の使用濃度が、1nM~100μM、例えば10nM~50μM、0.1μM~20μM、1μM~10μM、例えば、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM又はこれらの間の任意の範囲である項5又は6に記載の使用。
【0016】
8. 被験者の造血幹細胞表面CD184タンパク質の発現を向上させる方法であって、これを必要とする被験者に、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を投与するステップを含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである。
いくつかの実施形態では、本願はまた、被験者の造血幹細胞表面CD184タンパク質の発現を向上させる方法であって、前記造血幹細胞を培養する培地に、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を加えるステップを含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである方法に関する。
【0017】
9. 前記化合物の使用濃度が、1nM~100μM、例えば10nM~50μM、0.1μM~20μM、1μM~10μM、例えば、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM又はこれらの間の任意の範囲である項8に記載の方法。
【0018】
10. 被験者の造血幹細胞移植効率を向上させる方法であって、これを必要とする被験者に、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を投与するステップを含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである。
いくつかの実施形態では、本願はまた、造血幹細胞移植効率を向上させる方法であって、前記造血幹細胞を培養する培地に、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を加えるステップを含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである方法に関する。
【0019】
11. 前記化合物の使用濃度が、1nM~100μM、例えば10nM~50μM、0.1μM~20μM、1μM~10μM、例えば、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM又はこれらの間の任意の範囲である項10に記載の方法。
【0020】
12. 血液系の悪性腫瘍、血液系の非悪性腫瘍、固形腫瘍、免疫系疾患、遺伝性又は代謝性疾患を治療する薬物の製造における化合物の使用であって、前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである。
被験者の血液系の悪性腫瘍、血液系の非悪性腫瘍、固形腫瘍、免疫系疾患、遺伝性又は代謝性疾患を治療する方法であって、前記被験者に造血幹細胞を投与するステップを含み、前記造血幹細胞は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を添加した培地にて培養された造血幹細胞であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである。
いくつかの実施形態では、前記化合物を添加した培地にて培養された前記造血幹細胞には、CD184タンパク質の発現が増加する。
【0021】
13. 項12に記載の使用及び方法であって、前記血液系の悪性腫瘍は、慢性顆粒球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性前骨髄球性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、骨髄線維症及び骨髄異形成症候群、バーキットリンパ腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、原発性マクログロブリン血症、形質細胞白血病、形質芽細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、全身性肥満細胞症、又は芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍であり、
血液系の非悪性腫瘍は、再生不良性貧血、ファンコニ貧血、サラセミア、鎌状赤血球貧血、骨髄線維症、重度の発作性夜間ヘモグロビン尿症、又は無巨核球性血小板減少症であり、
固形腫瘍は、乳癌、卵巣癌、精巣癌、腎臓癌、神経芽細胞腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍、ユーイング肉腫、軟部肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、髄芽腫、又は悪性脳腫瘍であり、
免疫系疾患は、重度複合免疫不全症、重度自己免疫疾患、原発性中枢神経系リンパ腫、免疫不全症候群を伴う湿疹性血小板減少症、慢性肉芽腫、IPEX症候群、ALアミロイドーシス、POEMS症候群、血球貪食症候群、関節リウマチ、多発性硬化症、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、クローン病、多発性筋炎、又は皮膚筋炎であり、
遺伝性又は代謝性疾患は、ムコ多糖症、先天性角化異常症、リソソーム代謝症、グロボイド細胞白質ジストロフィー(クラッベ病)、異染性白質ジストロフィー、又はX 連鎖性の副腎白質ジストロフィーである。
【0022】
14. 血液系の悪性腫瘍、血液系の非悪性腫瘍、固形腫瘍、免疫系疾患、遺伝性又は代謝性疾患を治療するための薬物であって、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである。
【0023】
15. 前記血液系の悪性腫瘍は、慢性顆粒球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性前骨髄球性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、骨髄線維症及び骨髄異形成症候群、バーキットリンパ腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、原発性マクログロブリン血症、形質細胞白血病、形質芽細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、全身性肥満細胞症、又は芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍であり、
血液系の非悪性腫瘍は、再生不良性貧血、ファンコニ貧血、サラセミア、鎌状赤血球貧血、骨髄線維症、重度の発作性夜間ヘモグロビン尿症、又は無巨核球性血小板減少症であり、
固形腫瘍は、乳癌、卵巣癌、精巣癌、腎臓癌、神経芽細胞腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍、ユーイング肉腫、軟部肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、髄芽腫、又は悪性脳腫瘍であり、
免疫系疾患は、重度複合免疫不全症、重度自己免疫疾患、原発性中枢神経系リンパ腫、免疫不全症候群を伴う湿疹性血小板減少症、慢性肉芽腫、IPEX症候群、ALアミロイドーシス、POEMS症候群、血球貪食症候群、関節リウマチ、多発性硬化症、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、クローン病、多発性筋炎、又は皮膚筋炎であり、
遺伝性又は代謝性疾患は、ムコ多糖症、先天性角化異常症、リソソーム代謝症、グロボイド細胞白質ジストロフィー、異染性白質ジストロフィー、又はX 連鎖性の副腎白質ジストロフィーである請求項14に記載の薬物。
【0024】
16. CD184表面タンパク質の発現レベルの低下に関する疾患を治療する薬物の製造における化合物の使用であって、前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである。
【0025】
17. 造血幹細胞移植効率レベルの低下に関連する疾患を治療する薬物の製造における化合物の使用であって、前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである。
上記のいくつかの態様では、本願はまた、造血幹細胞移植効率レベルの低下に関する疾患を治療する方法であって、前記被験者に造血幹細胞を投与するステップを含み、前記造血幹細胞は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を添加した培地にて培養された造血幹細胞であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである。
いくつかの実施形態では、前記化合物を添加した培地にて培養された前記造血幹細胞には、CD184タンパク質の発現が増加する。
【0026】
18. 造血幹細胞ホーミング能を向上させるための化合物の使用であって、前記化合物はチューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤はLexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである。
【0027】
19. 前記化合物の使用濃度が、1nM~100μM、例えば10nM~50μM、0.1μM~20μM、1μM~10μM、例えば、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM又はこれらの間の任意の範囲である項18に記載の使用。
【0028】
20. 被験者の造血幹細胞ホーミング能を向上させる方法であって、前記造血幹細胞を培養する培地に、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を加えるステップを含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである。
【0029】
21. 前記化合物の使用濃度が、1nM~100μM、例えば10nM~50μM、0.1μM~20μM、1μM~10μM、例えば、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM又はこれらの間の任意の範囲である項20に記載の方法。
【0030】
22. 造血幹細胞ホーミング能レベルの低下に関連する疾患を治療する薬物の製造における化合物の使用であって、前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである。
【0031】
23. チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を含む細胞培地であって、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである細胞培地。
【0032】
24. 造血幹細胞培地である項23に記載の細胞培地。
【0033】
25. 前記培地中の前記化合物の濃度が、1nM~100μM、例えば10nM~50μM、0.1μM~20μM、1μM~10μM、例えば、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM又はこれらの間の任意の範囲である項23又は24に記載の培地。
【発明の効果】
【0034】
本発明による化合物は、インビトロでの短時間の処理により、細胞の表現型、生存率及び種々の特性に影響を与えることなく、造血幹細胞表面タンパク質CD184の発現を向上させることができる。HSCが発現したケモカイン受容体CD184と骨髄微小環境中のケモカインリガンドSDF1との結合を通じて、HSCの遊走能及び骨髓でのホーミング能を向上させ、HSCの移植効率及び治療効果を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】実施例3における各化合物による一次スクリーニングの概略図である。
図2】実施例3における13種類の化合物による二次スクリーニングの概略図である。
図3】実施例3におけるLexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicineであるチューブリン重合阻害剤を用いた処理のCD184発現に対する影響である。
図4】実施例4におけるLexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicineであるチューブリン重合阻害剤を用いた処理の細胞生存率に対する影響の概略図である。
図5A】実施例5におけるLexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicineであるチューブリン重合阻害剤を用いた処理によるHSPCの、NPGマウス骨髓における移植効率の概略図であり、黒丸、黒四角、黒三角及び黒逆三角はそれぞれ、各群のそれぞれのマウスの検出を表す。
図5B】実施例5におけるLexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicineであるチューブリン重合阻害剤を用いた処理によるHSPCの骨髓での分化の概略図である。
図5C】実施例5におけるLexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicineであるチューブリン重合阻害剤を用いた処理によるHSPCの脾臓での分化の概略図である。
図5D】実施例5におけるLexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicineであるチューブリン重合阻害剤を用いた処理によるHSPCの末梢血での分化の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、図面に記載された実施形態を参照して以下で詳細に説明され、ここで、すべての図面中の同じ数字は同じ特徴を表す。本発明の具体的な実施例が図面に示されているが、本発明は、本明細書に記載された実施例に限定されるべきではなく、様々な形態で実施され得ることが理解されるべきである。むしろ、これらの実施例は、本発明をより完全に理解することを可能にし、かつ、本発明の範囲を当業者に完全に伝えることを可能にするために提供される。
【0037】
なお、明細書及び特許請求の範囲では、特定の構成要素を称するためにいくつかの用語が使用されている。当業者は、同じ構成要素を異なる名詞で呼ぶことがあることを理解するべきである。本明細書及び特許請求の範囲は、名詞の差異を、構成要素を区分する手段とするのではなく、構成要素の機能上の差異を区分の基準とする。明細書及び特許請求の範囲を通じて言及されている「含む」又は「包含」は開放的な用語であるため、「含むが、限定されない」と解釈すべきである。本明細書では、以下に本発明のより良い実施形態が記載されるが、当該記載は本発明の範囲を限定するためのものではなく、本明細書の一般的な原則を目的とするものである。本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されるものに準ずるものとする。
【0038】
本発明は、造血幹細胞表面CD184タンパク質の発現を向上させる化合物の使用であって、前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上である使用を提供する。
【0039】
前記CD184はHSC細胞表面のケモカイン受容体CXCR4であり、ヒトHSPC及びLT-HSCにCD184を過剰発現させることにより、免疫不全マウスモデルにおける骨髄ホーミング能を著しく向上させることができる。
【0040】
前記チューブリン重合阻害剤は、微小管の重合を阻害することができる小分子化合物である。微小管(MT:microtubules)は2種類の微小管グロブリンα-tubulinとβ-tubulinが重合してプロトフィラメントを形成し、その後高度に規則的に配列して形成した中空管構造である。微小管は細胞質に存在し、細胞骨格の構成要素であり、細胞構造の維持、細胞内物質の輸送、細胞分裂、細胞遊走など、さまざまな生理学的過程に関与している。
【0041】
LND-212854はBMP受容体ALKの阻害剤であり、活性化受容体様キナーゼ(ALK:Activin receptor-like kinases)はトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ:Transforming growth factor beta)ファミリーに属し、TGFβはSMAD4転写因子を制御することによって、HSC遊走の重要因子CD184の制御を含む、HSCの異なるサブグループの多種機能に関与する。
【0042】
AZD0364とSCH772984は細胞外調節プロテインキナーゼ(ERK:extracellular regulated protein kinases)阻害剤であり、ERK/MEK/mTOR経路の制御を通じてHSCの成長に作用する。
【0043】
Pimasertib(AS-703026)とTrametinib(GSK1120212)はマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK:mitogen-activated protein kinase)/ERKキナーゼ(MEK1/2)阻害剤であり、ERK/MEK/mTOR経路の制御を通じてHSCの成長に作用する。
【0044】
IWR-1-endoはWnt経路阻害剤であり、Axin2タンパク質を制御することにより、β-cateninと形成した「破壊複合体」構造を安定化し、β-cateninのリン酸化を促進するため、HSCの自己更新及び分化の可能性を向上させる。
【0045】
TTNPBはレチノイン酸受容体(RAR:Retinoic acid receptor)アゴニストであり、ヒトRARα、β、γに作用し、[3H]tRAへの結合を阻害する。レチノイドは、RARとレチノイドX受容体(RXR:Retinoid X receptor)を介してリガンドと結合し、核上の転写因子を制御することで機能する。すべてのトランスレチノイン酸は細胞分化を誘導するが、レチノイン酸受容体とリガンドとの結合を阻害することで幹細胞分化を阻害し、HSC幹細胞性を維持する。
【0046】
JNK-inhibitor IXはcJunアミノ末端キナーゼ(JNK:c-Jun N terminal kinase)阻害剤であり、神経機能、免疫活性化及び胚胎発育などを含む多くの重要な生理的プロセスに関与している。報告によると、JNK阻害剤はインビトロ培養システムにおいて明らかにHSCの数を増加させることができ、LT-HSCに対して最適化の偏向性があり、HSCの長期的な再建能力を増強できる。
【0047】
CHIR99021はGSK-3αとGSK-3β特異的阻害剤であり、GSK-3αとGSK-3βはグリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK-3:Glycogen Synthase Kinase 3)の2つのサブタイプである。GSKはWnt、HedgehogやNotchなどの複数のシグナル経路の調節に関与し、糖代謝、遺伝子転写、アポトーシスなどを含む異なる細胞成長過程を制御する。また、GSKはHSCの定常状態の制御にも重要な作用がある。CHIR99021はヒトとマウスのES細胞の自己更新を促進し、体細胞のリプログラミングを促進することが報告されている。文献報告によると、CHIR99021とmTOR阻害剤Rapamycinとを組み合わせてマウスとヒトのHSCを培養した結果、CHIR99021はHSCの長期的な再建能力を比較的に良よく維持できることが実証された。
【0048】
本発明の好ましい具体的な実施形態では、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくは、Lexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである。
【0049】
チューブリン阻害剤は、そのメカニズムにより、チューブリン重合阻害剤とチューブリン形成阻害剤に分類され、前記チューブリン重合阻害剤は、Fosbretabulin(Combretastatin A4 Phosphate(CA4P))Disodium(コンブレタスタチンA4リン酸二ナトリウム)、SSE15206、Nocodazole(ノコダゾール)、Lexibulin(CYT997)、Colchicine(コルヒチン)、Maytansinol(メイタンシノール)、EGFR Inhibitor、Cucurbitacin B(ククルビタシンB)、Cabazitaxel(カバジタキセル)、ABT-751(E7010)、Vinblastine sulfate(ビンブラスチン硫酸塩)、Vincristine sulfate(ビンクリスチン硫酸塩)、Vindesine sulfate(ビンデシン硫酸塩、ビンデシン)、Parbendazole(パルベンダゾール)、2-Methoxyestradiol(2-MeOE2)(2-メトキシエストラジオール)、Vindoline(ビンドリン)、4-Demethylepipodophyllotoxin(NSC-122819、VM-26)、Albendazole Oxide(アルベンダゾールオキシド)、Ansamitocin p-3(Maytansinol isobutyrate、NSC292222)(アンサマイトシンP-3)、Plinabulin(NPI-2358)(プリナブリン)、MMAF(Monomethylauristatin F)、Vinorelbine Tartrate(ビノレルビン酒石酸塩)、Indibulin(インジブリン)などである。
【0050】
チューブリン形成阻害剤としては、Monomethyl auristatin E(MMAE)(モノメチルアウリスタチンE)、CW069、Combretastatin A4(コンブレタスタチンA4)、SKLB-23bb、Mebendazole(メベンダゾール)、Carbendazim(カルベンダジム)、Griseofulvin(グリセオフルビン)、H-Cys(Trt)-OH、ELR-510444、Trigonelline(トリゴネリン、N-メチルニコチン酸内塩)、MMADなどが含まれる。
【0051】
Lexibulin、別名CYT997は有効な微小管重合阻害剤であり、微小管の迅速な再構成を誘導することができる。それは紡錘体の形成を阻害し、細胞周期をG2/M期に停滞させ、チューブリンを阻害し、血管形成を阻害し、潜在的な抗腫瘍活性を有する。
【0052】
Vinblastine sulfate(別名NSC49842)はビンカアルカロイドの1種である。それが紡錘体上のチューブリンに結合して微小管を結晶化させることにより、微小管形成を阻害することができる。
【0053】
Colchicineは微小管重合阻害剤であり、アルカロイド薬類であり、最初は1961年にFDAに薬物として承認され、ユリ類植物であるイヌサフラン(コルチカム)から抽出したものであり、Colchicineは微小管タンパク質に結合して複合体を形成し、低濃度でも微小管の成長を阻止でき、高濃度では微小管の解重合を引き起こす。
【0054】
Nocodazoleは微小管重合の高速可逆阻害剤であり、Abl、E255KやT315lも阻害する。それはβ-tubulinに特異的に結合して、チューブリンの組み立てや解重合に影響する。
【0055】
本発明の1つの好ましい特定実施形態では、前記化合物の使用濃度が、1nM~100μM、好ましくは0.1~10μMであり、例えば、前記化合物の使用濃度が、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM又はこれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0056】
本発明は、造血幹細胞移植効率を向上させるための化合物の使用を提供し、前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である。
【0057】
本発明の1つの好ましい特定実施形態では、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである。
【0058】
前記造血幹細胞移植効率とは、ヒトドナー造血幹細胞が静脈注射によりレシピエントに移植された後、効果的にレシピエント骨髄に移動し、骨髄微小環境下で成長を続け、造血系再構築作用を発揮する能力をいう。造血幹細胞移植効率の実験検証は、ヒト造血幹細胞を免疫不全マウスモデルに移植し、フローサイトメーターによりレシピエントマウスの血液及び免疫器官を検出し、ヒトドナー細胞の含有量(hCD45陽性細胞比率)を分析することである。
【0059】
本発明の1つの好ましい特定実施形態では、前記化合物の使用濃度が、1nM~100μM、好ましくは0.1~10μMである。
【0060】
本発明は、被験者の造血幹細胞表面CD184タンパク質の発現を向上させる方法であって、これを必要とする被験者に、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を投与することを含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである方法を提供する。
【0061】
本発明の1つの好ましい特定実施形態では、前記化合物の使用濃度が、1nM~100μM、好ましくは0.1~10μMである。
【0062】
本発明は、被験者の造血幹細胞移植効率を向上させる方法であって、これを必要とする被験者に、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を投与することを含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤はLexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである方法を提供する。
【0063】
本発明の1つの好ましい特定実施形態では、前記化合物の使用濃度が、1nM~100μM、好ましくは0.1~10μMである。
【0064】
本発明では、前記化合物を使用することによって、CD184表面タンパク質の発現レベルを向上させ、HSPCの遊走能を向上させ、移植効率を向上させることができる。
【0065】
本発明は、血液系の悪性腫瘍、血液系の非悪性腫瘍、固形腫瘍、免疫系疾患、遺伝性又は代謝性疾患を治療する薬物の製造における前記化合物の製造における使用であって、
好ましくは、例えば前記血液系の悪性腫瘍は、慢性顆粒球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性前骨髄球性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、骨髄線維症及び骨髄異形成症候群、バーキットリンパ腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、原発性マクログロブリン血症、形質細胞白血病、形質芽細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、全身性肥満細胞症、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍、又は他の血液系の悪性腫瘍であってもよい使用を提供する。
【0066】
血液系の非悪性腫瘍は、例えば、再生不良性貧血、ファンコニ貧血、サラセミア、鎌状赤血球貧血、骨髄線維症、重度の発作性夜間ヘモグロビン尿症、無巨核球性血小板減少症、又は他の血液系の非悪性腫瘍であってもよい。
【0067】
固形腫瘍は、乳癌、卵巣癌、精巣癌、腎臓癌、神経芽細胞腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍、ユーイング肉腫、軟部肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、髄芽腫、悪性脳腫瘍、又は他の固形腫瘍であってもよい。
【0068】
免疫系疾患は、重度複合免疫不全症、重度自己免疫疾患、原発性中枢神経系リンパ腫、免疫不全症候群を伴う湿疹性血小板減少症、慢性肉芽腫、IPEX(免疫調節異常、多腺性内分泌障害、腸疾患、X連鎖)症候群、ALアミロイドーシス、POEMS症候群、血球貪食症候群、関節リウマチ、多発性硬化症、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、クローン病、多発性筋炎、皮膚筋炎、又は他の自己免疫、免疫調節異常及び免疫不全疾患であってもよい。
【0069】
遺伝性又は代謝性疾患は、ムコ多糖症、先天性角化異常症、リソソーム代謝症、グロボイド細胞白質ジストロフィー、異染性白質ジストロフィー、X 連鎖性の副腎白質ジストロフィー、又は他の遺伝性疾患若しくは代謝性疾患であってもよい。
【0070】
本発明は、血液系の悪性腫瘍、血液系の非悪性腫瘍、固形腫瘍、免疫系疾患、遺伝性又は代謝性疾患を治療する薬物を提供し、前記薬物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである。
【0071】
本発明の1つの好ましい特定実施形態では、
前記血液系の悪性腫瘍は、慢性顆粒球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性前骨髄球性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、骨髄線維症及び骨髄異形成症候群、バーキットリンパ腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、原発性マクログロブリン血症、形質細胞白血病、形質芽細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、全身性肥満細胞症、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍、又は他の血液系の悪性腫瘍であってもよい。
【0072】
血液系の非悪性腫瘍は、例えば、再生不良性貧血、ファンコニ貧血、サラセミア、鎌状赤血球貧血、骨髄線維症、重度の発作性夜間ヘモグロビン尿症、無巨核球性血小板減少症、又は他の血液系の非悪性腫瘍であってもよい。
【0073】
固形腫瘍は、乳癌、卵巣癌、精巣癌、腎臓癌、神経芽細胞腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍、ユーイング肉腫、軟部肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、髄芽腫、悪性脳腫瘍、又は他の固形腫瘍であってもよい。
【0074】
免疫系疾患は、重度複合免疫不全症、重度自己免疫疾患、原発性中枢神経系リンパ腫、免疫不全症候群を伴う湿疹性血小板減少症、慢性肉芽腫、IPEX(免疫調節異常、多腺性内分泌障害、腸疾患、X連鎖)症候群、ALアミロイドーシス、POEMS症候群、血球貪食症候群、関節リウマチ、多発性硬化症、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、クローン病、多発性筋炎、皮膚筋炎、又は他の自己免疫、免疫調節異常及び免疫不全疾患であってもよい。
【0075】
遺伝性又は代謝性疾患は、ムコ多糖症、先天性角化異常症、リソソーム代謝症、グロボイド細胞白質ジストロフィー、異染性白質ジストロフィー、X 連鎖性の副腎白質ジストロフィー、又は他の遺伝性疾患若しくは代謝性疾患であってもよい。
【0076】
本発明は、CD184表面タンパク質の発現レベルの低下に関連する疾患を治療する薬物の製造における化合物の使用であって、前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである使用を提供する。
【0077】
本発明は、造血幹細胞移植効率レベルの低下に関連する疾患を治療する薬物の製造における化合物の使用であって、前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである使用を提供する。
【0078】
本発明は、造血幹細胞ホーミング能を向上させるための化合物の使用であって、前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである使用を提供する。
【0079】
前記造血幹細胞ホーミング能とは、ヒトドナー造血幹細胞が静脈注射によりレシピエントに移植された後、レシピエントの骨髄に効果的に定着し、造血系の再構築作用を発揮する能力をいう。造血幹細胞ホーミング能力の実験検証は、ヒト造血幹細胞を免疫不全マウスモデルに移植し、フローサイトメーターによりレシピエントマウスの骨髄細胞を検出し、ヒトドナー細胞の含有量(hCD45陽性細胞比率)を分析することである。
【0080】
本発明の1つの好ましい特定実施形態では、前記化合物の使用濃度が、1nM~100μM、好ましくは0.1~10μMである。
【0081】
本発明は、被験者の造血幹細胞ホーミング能を向上させる方法であって、これを必要とする被験者に、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を投与することを含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである方法を提供する。
【0082】
本発明の1つの好ましい特定実施形態では、前記化合物の使用濃度が、1nM~100μM、好ましくは0.1~10μMである。
【0083】
ここで、被験者とは、上記の状況により影響を受ける可能性のあるいかなる生物、好ましくは哺乳動物、例えばヒト、マウスなどをいう。
【0084】
前記造血幹細胞は、臍帯血由来の造血幹細胞、動員末梢血由来の造血幹細胞、骨髄由来の造血幹細胞など、任意の由来の造血幹細胞であってもよい。
【0085】
前記造血幹細胞は、例えば、凍結状態の造血幹細胞であってもよいし、新鮮な造血幹細胞であってもよい。
【0086】
本発明による化合物は、インビトロでの短時間の処理により、細胞の表現型、生存率、及び種々の特性に影響を与えることなく、造血幹細胞表面タンパク質CD184の発現を向上させることができる。HSCが発現したケモカイン受容体CD184と骨髄微小環境でのケモカインリガンドSDF1との結合を通じて、HSCの遊走能及び骨髄でのホーミング能を向上させ、HSCの移植効率及び治療効果を向上させ、また、上記の化合物を用いることにより、前記造血幹細胞は、安全性に優れ、生存率が良好で、細胞数が十分であり、これによって、造血幹細胞移植後の長期的な造血系再構築の有効性を維持することができる。
【実施例
【0087】
本発明は、試験に使用される材料及び試験方法の一般的及び/又は具体的な説明をしており、以下の実施例では、特に断らない限り、%はwt%、すなわち重量パーセントを表す。使用する試薬又は器具は製造元を明記していないが、いずれも市販で入手できる通常の試薬製品であり、表1は実施例で使用する原料の由来を示す表である。
【0088】
【表1】
【0089】
実施例1 造血幹細胞の単離
使用するヒト造血幹細胞は主に臍帯血由来であり、臍帯血サンプルは病院から回収した後、室温で0.5~1時間放置して温度を回復させ、血液サンプルを採血袋から50ml遠心管に移し、軽く均一に混合した。ピペットガンを用いてそれぞれ100μlのサンプルを取り、白血球計数及びフローサイトメトリーによるCD34陽性比率の検出に用いた。残りの血液サンプルを1%HASを含む生理食塩水により1:1で希釈し、ピペットで軽く均一に混合した。混合液を新しい50ml遠心管に入れて、適量のリンパ球分離液を管底に添加し、スピードアップ3、スピードダウン0で400gを30分間遠心分離した。遠心分離後に遠心管をゆっくりと取り出し、液面を水平に維持した。ピペッターでバフィーコート細胞を慎重に吸引し、新しい遠心管に移し、1%HASの生理食塩水で細胞を洗浄し、スピードアップ9、スピードダウン5で500gを10分間遠心分離した。
遠心分離後に細胞を再懸濁させ、CD34陽性細胞の選別を行った(CD34+細胞磁気ビーズ選別キット、ミルテニーバイオテク社、130-046-703)。
まず、1×10全細胞に、FcR Blocking Antibody 100μlとCD34-Beads 100 μlを加えて4℃で放置し、30分間インキュベートした。インキュベート後に1%HASの生理食塩水40mlで洗浄し、400gを8分間遠心分離し、3mlあたり1x10細胞で再懸濁させた。
CD34+細胞選別カラムをMACS磁気分離ラックに置き、選別カラムの上に40μm細胞篩を置き、選別カラムの下に15ml遠心管を置いた。ろ過篩を3ml1%HASの生理食塩水で濡らして洗浄した後、細胞懸濁液を加え、滴下完了後、1%HASの生理食塩水3mlで3回洗浄した。吸着カラムについて磁場を解消し、1%HASの生理食塩水を加えて細胞を遠心管に集め、1回繰り返して、細胞を混合して計数し、培養又は凍結保存を行った。細胞の一部を採取してフローサイトアッセイを行い、CD34の発現を検出し、その純度を確認した。
【0090】
実施例2 造血幹細胞の培養
まず、造血幹細胞の完全培地を調製し、その成分と使用量を以下に示す。
【0091】
【表2】
【0092】
実施例1の計数結果によれば、5×10CD34+細胞を24ウェルプレートの各ウェルにそれぞれ加え、1ウェルあたり完全培地1mlで細胞を24時間培養した。
翌日、化合物をDMSOで溶解混合した後、PBSで特定濃度に希釈した(表3参照)。希釈した化合物を1ウェルあたり10μlの体積で細胞培養液に加えて、均一に混合し、インキュベータに入れて16時間培養した。
【0093】
【表3】
【0094】
実施例3 CD184タンパク質発現の検出
3日目、PBS+0.05%BSAの溶液を蛍光抗体BV510 conjugated anti-human CD34(Biolegend clone 581)、FITC conjugated anti-human CD90(Biolegend、clone 5E10)及びAPCCy7 conjugated anti-human CD45RA(Biolegend、clone HI100)をプレミックスして、各抗体を50μl/mlずつ加え、抗体プレミックス液を調製し、光を避けて保存した。
細胞を遠心管に集め、400gを5分間遠心分離し、上清を除去し、各サンプルに抗体プレミックス液(抗体は2.5μlずつ含む)50μlを加え、再懸濁させて均一に混合し、4℃で20分間避光下インキュベートした。1管あたりPBS 1mlを加えて洗浄し、400gを5分間遠心した後、PBS+0.05%BSA溶液50μlで再懸濁させた。各サンプルにPE-conjugated anti-CD184抗体(Biolegend、clone 12G5)2.5μlを加え、37℃で30分間インキュベートした後、洗浄し、7AAD染色で細胞生存率を鑑定した。フローサイトメータ(Beckman Coulter CytoFLEX)を用いて細胞表面の蛍光を検出し、CD184がHSPCとLT-HSCに発現したときの平均蛍光強度(MFI)と陽性比をそれぞれ分析した。HSPCはCD34+細胞、LT-HSCはCD34+CD90+CD45RA-細胞である。
【0095】
(1)化合物の一次スクリーニング:139種類の化合物を用いて一次スクリーニングを行い、第1~第5ラウンドで89種類の化合物をスクリーニングし、第6~第9ラウンドで50種類の化合物をスクリーニングした。CD34+HSPCのインビトロ培養において、完全培地に3種類の濃度の化合物を添加して16時間処理した後、フローサイトメトリー染色を用いてCD184表面タンパク質発現の平均蛍光強度を検出し、その結果を図1に示す。
その結果、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021は、CD34+HSPCのCD184発現を上昇させることが示され、ここで、チューブリン重合阻害剤はLexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine、Nocodazoleであった。
【0096】
(2)化合物の二次スクリーニング:一次スクリーニングにより得られた13種類の化合物を高濃度、中等濃度、低濃度の3つの濃度で選択し、濃度ごとに3回繰り返してさらに検証を行った。上記化合物を用いて16時間処理した後、フローサイトメトリーでCD184表面タンパク質発現の平均蛍光強度を検出し、その結果を図2に示す。ここで、図中のデータは対照群(Mock)に対する各群のCD184蛍光強度の平均値の比である(M344は陽性対照群であり、Mockは培養中に処理されていない陰性対照群である。)。
図2より、化合物が高濃度である場合に、LexibulinとVinblastine sulfateは、CD184の発現量を有意に向上させることができ、発現量は陽性対照のM344の約2倍であり、陰性対照の4倍以上であり、一方、Colchicineは、M344と同等の効果を示し、高濃度では、陰性対照の2倍であり、Lexibulin、Vinblastine sulfate及びColchicineはCD184の発現能を有意に向上させることが示唆された。
【0097】
(3)CD184発現に対するLexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicineチューブリン重合阻害剤の影響
上記チューブリン重合阻害剤をそれぞれ3つの濃度(10μM、1μM、0.1μM)で16時間処理した後、CD34+HSPCで(a)、CD34+CD90+CD45RA-LT-HSCで(b)のCD184の平均蛍光強度(MFI)をフローサイトメータで検出し、その結果を図3に示す。
【0098】
実施例4 細胞生存率の検出
3日目、実施例2の培養プレートにLexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine、M344及びMockで処理した細胞を収集し、400gを5分間遠心分離し、上清を取り、PBSで再懸濁させ、20μlの希釈細胞サンプルを取り、等比率でAOPI染色液(Nexcelom Bioscience、CS2-0106)20μlを加えて均一に混合し、20μlの混合液を計数プレートのサンプルウェルに加え、蛍光細胞計数器(Nexcelom、Cellometer K2)にて細胞計数及び細胞活性検出を行い、実験結果を図4に示した。
【0099】
実施例5
Colchicine、Vinblastine sulfate又はLexibulinで短時間処理した、又は対照群のヒトCD34+HSPCをそれぞれ1.0Gy放射によるNPG(NOD-scid Il2rg-/-)免疫不全マウスに移植し、1群あたり8匹のマウスとした。移植後17週目に、マウス骨髄への細胞移植効率を検出した。また、骨髄、末梢血及び脾臓において、ヒト由来CD3、CD4及びCD8抗体で標識されたヒトT細胞、ヒト由来CD33抗体で標識された骨髄細胞、ヒト由来CD19抗体で標識されたB細胞、ヒト由来CD56抗体で標識されたNK細胞、及びヒト由来CD34抗体で標識された造血幹前駆細胞の分布割合を検出し、これらの結果をそれぞれ図5Aから図5Dに示す。ここで、移植効率=hCD45割合/(hCD45)割合+mCD45割合)×100%
図5Aの結果より、Colchicine、Vinblastine sulfate又はLexibulinの小分子で処理したHSPCは、移植後17週目に、対照群の細胞よりNPGマウス骨髄への移植効率が向上し、その中でも、Colchicine群は65.84%、Vinblastine sulfate群は80.73%、Lexibulin群は82.46%、Mock群は64.7%があった。
図5Bから図5Dの結果より、Colchicine、Vinblastine sulfate又はLexibulinの小分子で処理したHSPCは、骨髄、脾臓及び末梢血のいずれでも、T細胞、骨髄系細胞、B細胞及びNK細胞に分化することができ、小分子で処理したHSPCは造血幹細胞の造血系再建能を保持していることが示唆された。
【0100】
上記は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の他の形態について限定するものではなく、当業者であれば、上記で開示された技術的内容を利用して同等の変化の等価実施例に変更又は変形することができる。しかし、本発明の技術手段の内容から逸脱しない限り、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に対して行われたいかなる簡単な修正、均等な変化及び変形も本発明の技術手段の保護範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
【手続補正書】
【提出日】2023-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造血幹細胞表面CD184タンパク質の発現を向上させるための化合物の使用であって、
前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上であり、好ましくは、前記化合物はチューブリン重合阻害剤であり、更に好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上であり、
更に好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤はLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineであり、
更に好ましくは、前記化合物の使用濃度が1nM~100μMである使用。
【請求項2】
造血幹細胞移植効率を向上させるための化合物の使用であって、
前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、
更に好ましくは、Lexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineであり、
更に好ましくは、前記化合物の使用濃度が1nM~100μMである使用。
【請求項3】
被験者の造血幹細胞表面CD184タンパク質の発現を向上させる方法であって、
前記造血幹細胞を培養する培地に、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を加えることを含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤はLexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineであり、
更に好ましくは、前記化合物の使用濃度が1nM~100μMである方法。
【請求項4】
被験者の造血幹細胞移植効率を向上させる方法であって、
前記造血幹細胞を培養する培地に、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を加えることを含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineであり、
更に好ましくは、前記化合物の使用濃度が1nM~100μMである方法。
【請求項5】
血液系の悪性腫瘍、血液系の非悪性腫瘍、固形腫瘍、免疫系疾患、遺伝性又は代謝性疾患を治療する薬物の製造における化合物の使用であって、
前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineであり、
更に好ましくは、
前記血液系の悪性腫瘍は、慢性顆粒球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性前骨髄球性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、骨髄線維症及び骨髄異形成症候群、バーキットリンパ腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、原発性マクログロブリン血症、形質細胞白血病、形質芽細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、全身性肥満細胞症、又は芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍であり、
前記血液系の非悪性腫瘍は、再生不良性貧血、ファンコニ貧血、サラセミア、鎌状赤血球貧血、骨髄線維症、重度の発作性夜間ヘモグロビン尿症、又は無巨核球性血小板減少症であり、
前記固形腫瘍は、乳癌、卵巣癌、精巣癌、腎臓癌、神経芽細胞腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍、ユーイング肉腫、軟部肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、髄芽腫、又は悪性脳腫瘍であり、
前記免疫系疾患は、重度複合免疫不全症、重度自己免疫疾患、原発性中枢神経系リンパ腫、免疫不全症候群を伴う湿疹性血小板減少症、慢性肉芽腫、IPEX症候群、ALアミロイドーシス、POEMS症候群、血球貪食症候群、関節リウマチ、多発性硬化症、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、クローン病、多発性筋炎、又は皮膚筋炎であり、
前記遺伝性又は代謝性疾患は、ムコ多糖症、先天性角化異常症、リソソーム代謝症、グロボイド細胞白質ジストロフィー、異染性白質ジストロフィー、又はX 連鎖性の副腎白質ジストロフィーである使用。
【請求項6】
血液系の悪性腫瘍、血液系の非悪性腫瘍、固形腫瘍、免疫系疾患、遺伝性又は代謝性疾患を治療するための薬物であって、
チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineであり、
更に好ましくは、前記血液系の悪性腫瘍は、慢性顆粒球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性前骨髄球性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、骨髄線維症及び骨髄異形成症候群、バーキットリンパ腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、原発性マクログロブリン血症、形質細胞白血病、形質芽細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、全身性肥満細胞症、又は芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍であり、
前記血液系の非悪性腫瘍は、再生不良性貧血、ファンコニ貧血、サラセミア、鎌状赤血球貧血、骨髄線維症、重度の発作性夜間ヘモグロビン尿症、又は無巨核球性血小板減少症であり、
前記固形腫瘍は、乳癌、卵巣癌、精巣癌、腎臓癌、神経芽細胞腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍、ユーイング肉腫、軟部肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、髄芽腫、又は悪性脳腫瘍であり、
前記免疫系疾患は、重度複合免疫不全症、重度自己免疫疾患、原発性中枢神経系リンパ腫、免疫不全症候群を伴う湿疹性血小板減少症、慢性肉芽腫、IPEX症候群、ALアミロイドーシス、POEMS症候群、血球貪食症候群、関節リウマチ、多発性硬化症、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、クローン病、多発性筋炎、又は皮膚筋炎であり、
前記遺伝性又は代謝性疾患は、ムコ多糖症、先天性角化異常症、リソソーム代謝症、グロボイド細胞白質ジストロフィー、異染性白質ジストロフィー、又はX 連鎖性の副腎白質ジストロフィーである薬物。
【請求項7】
CD184表面タンパク質の発現レベルの低下に関連する疾患を治療する薬物の製造における化合物の使用であって、
前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである使用。
【請求項8】
造血幹細胞移植効率レベルの低下に関連する疾患を治療する薬物の製造における化合物の使用であって、
前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである使用。
【請求項9】
造血幹細胞ホーミング能を向上させるための化合物の使用であって、
前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineであり、
更に好ましくは、前記化合物の使用濃度が1nM~100μMである使用。
【請求項10】
被験者の造血幹細胞ホーミング能を向上させる方法であって、
前記造血幹細胞を培養する培地に、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を加えることを含み、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineであり、
好ましくは、前記化合物の使用濃度が1nM~100μMである方法。
【請求項11】
造血幹細胞ホーミング能レベルの低下に関連する疾患を治療する薬物の製造における化合物の使用であって、
前記化合物は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種又は2種以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種又は2種以上、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである使用。
【請求項12】
チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、又は4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を含む細胞培地であって、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineである細胞培地。
【請求項13】
造血幹細胞培地である請求項12に記載の細胞培地。
【請求項14】
前記培地中の前記化合物の濃度が、1nM~100μM、例えば10nM~50μM、0.1μM~20μM、1μM~10μM、例えば、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM又はこれらの間の任意の範囲である請求項12又は13に記載の培地。
【請求項15】
被験者の血液系の悪性腫瘍、血液系の非悪性腫瘍、固形腫瘍、免疫系疾患、遺伝性又は代謝性疾患を治療する方法であって、
前記被験者に造血幹細胞を投与することを含み、
前記造血幹細胞は、チューブリン重合阻害剤、LND-212854、AZD0364、SCH772984、Pimasertib、Trametinib、IWR-1-endo、TTNPB、JNK-inhibitor IX及びCHIR99021から選択される1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくはチューブリン重合阻害剤である化合物を添加した培地にて培養した造血幹細胞であり、
好ましくは、前記チューブリン重合阻害剤は、Lexibulin、Vinblastine sulfate、Colchicine及びNocodazoleから選択される1種、2種、3種、4種、好ましくはLexibulin、Vinblastine sulfate及び/又はColchicineであり、
前記化合物を添加した培地にて培養された前記造血幹細胞には、CD184タンパク質の発現が増加する方法。
【国際調査報告】