(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ブロックチェーンシステムを介しオリジナル文書から第三者が作成した附属文書のトレーサビリティを実現するためのプロセスとプラットフォーム
(51)【国際特許分類】
H04L 9/32 20060101AFI20231005BHJP
G06F 21/64 20130101ALI20231005BHJP
【FI】
H04L9/32 200Z
G06F21/64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519150
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2021076095
(87)【国際公開番号】W WO2022063844
(87)【国際公開日】2022-03-31
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523106355
【氏名又は名称】ダヴロン ディジタル
【氏名又は名称原語表記】DAVRON DIGITAL
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ダヴロン,アンヌ-セシル
(72)【発明者】
【氏名】ダヴロン,ダヴィ
(57)【要約】
本発明では、オリジナル文書(D1)から第三者(100)によって作成された附属文書(DA)のトレーサビリティを実現する。初期化工程(S0)では、ブロックチェーンシステム(B)のスマートコントラクト(B1)に記録された初期化メタデータを獲得するために、オリジナル文書(D1)を登録・分析する。第三者(100)による処理工程(S1)では、附属文書(DA)を作成する。この附属文書及びオリジナル文書(D2)は第三者(100)により電子署名される。受信工程(S2)では、署名付きオリジナル文書(D2)及び署名付き附属文書(DA)を登録・分析し、スマートコントラクト(B1)に記録された受理メタデータを取得する。スマートコントラクト(B1)は、初期化工程(S0)と受信工程(S2)の各段階が終了した後保存され、このスマートコントラクトによりオリジナル文書(D1)から第三者(100)が作成した附属文書(DA)の監査証跡/トレーサビリティトを確立することが可能になる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
附属文書が添付されるオリジナル文書(D1)を元にした第三者(100)によって作成された附属文書(DA)のトレーサビリティプロセスであって、前記プロセスはブロックチェーンシステムを使用し、以下の工程から構成されることを特徴とする。
-初期化工程(S0)で、以下の機能を持つ。
-オリジナル文書(D1)の登録と分析を行ない、オリジナル文書(D1)の初期化メタデータを取得する。このメタデータは以下の要素からなる。
-オリジナル文書(D1)に固有のメタデータ(MID1)
-オリジナル文書(D1)の外因性メタデータ(MED1)。このメタデータには当該プロセスを実行するアプリケーションにより生成されたメタデータが集積される。
-オリジナル文書とそのコンテンツのデジタルフィンガープリント(HD1)、並びにオリジナル文書(D1)に固有のメタデータ(MID1)のデジタルフィンガープリント(HM1)の計算工程。
-ブロックチェーンシステム(B)のスマートコントラクト(B1)に、オリジナルドキュメント(D1)の初期化メタデータを格納する工程。初期化メタデータには、固有のメタデータ(MID1)及び計算されたデジタルフィンガープリント(HD1,HB1,HM1)を含む外因性メタデータ(MED1)が含まれる。
-第三者(100)による処理工程(S1)。以下処理が行われる。第三者100による附属文書作成、受理されたオリジナル文書(D1)及び処理のため第三者(100)により作成された上記附属文書(DA)に第三者の各自が電子署名の処理を施す、附属文書(DA)を外因性メタデータ(MEDA)に取り込む、附属文書(DA)が添付されたオリジナル文書(D1)の参照用デジタルフィンガープリント(HRA)及びオリジナル文書(D1)のコンテンツのデジタルフィンガープリント(HRBA)に署名が付与される。
-第三者(100)から送られたデータの受信工程(S2)。オリジナル文書(D2)及び第三者から送られ受理した署名付き附属文書(DA)の登録・分析を並行して行ない、受理用メタデータを取得する。この受理メタデータは以下の要素からなる。
-署名付きオリジナル文書(D2)に固有のメタデータ(MID2)および署名付き附属文書(DA)に固有のメタデータ(MIDA)
-署名付きオリジナルデータ(D2)の外因性メタデータ(MED2)及び署名付き附属文書(DA)の外因性メタデータ(MEDA)で、後者は以下のデジタルフィンガープリントを含む。
-受け取ったオリジナル文書のフィンガープリント(HD2)
-附属文書のフィンガープリント(HDA)、参照文書のフィンガープリント(HRA)、及びそれらのそれぞれのコンテンツのフィンガープリント(HBA、HB2、HBRA)
-署名したオリジナル文書(D2)と署名した附属文書(DA)に関連するメタデータのフィンガープリント(HM2、HMA);ブロックチェーンシステム(B)のスマートコントラクト(B1)内に格納された受信メタデータ。
-スマートコントラクト(B1)がこのように初期化工程(S0)の各段階並びに受信工程(S2)の各段階で保存され、これにより、オリジナル文書(D1)に添付された第三者(100)が作成した附属文書(DA)の監査証跡及トレーサビリティをオリジナル文書から確立することが可能になる。
【請求項2】
前述オリジナル文書(D1)を前述の第三者(100)に送付する工程でもあり、前述のオリジナル文書(D1)に固有のメタデータ(MID1)と外因性メタデータには、オリジナル文書とそのコンテンツのデジタルフィンガープリント(HD1、HB1)、オリジナル文書(D1)に関連するメタデータのフィンガープリント(HM1)が含まれ、それらはブロックチェーンシステム(B)のスマートコントラクト(B1)に格納されることを特徴とする、請求項1に記載のトレーサビリティプロセス。
【請求項3】
初期化工程(S0)、送付及び受信工程(S2)の各段階で取得されたメタデータは1つのデータベースに格納され、その後マーケルツリーの中に取り込まれ、このマーケルツリーは、そのルートハッシュがブロックチェーンシステム(B)に保存されることを特徴とする、請求項1または2に記載のトレーサビリティプロセス。
【請求項4】
固有のメタデータ(MID1、MID2、MIDA)が、文書の種類、名前、サイズ、登録日、ユーザー識別名、電子署名データ、電子署名データに添付された証明書(単数/複数)からなるグループに属するデータであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一つに記載のトレーサビリティプロセス。
【請求項5】
デジタルフィンガープリント(HD1、HB1、HM1、HD2、HB2、HM2、HDA、HBA、HMA)が選択されたハッシュ関数に従い計算されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載のトレーサビリティプロセス。
【請求項6】
前述ハッシュ関数SHA256を使用することを特徴とする、請求項5に記載のトレーサビリティプロセス。
【請求項7】
附属文書(DA)が、翻訳文書、公的認証を含むデジタル文書、アポスティーユを付与されたデジタル文書からなるグループに属する文書であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一つに記載のトレーサビリティプロセス。
【請求項8】
処理は複数の第三者(100、200)により連続的に実行され、初期化工程(S0)、処理工程(S1)及び受信工程(S2)は、署名付きのオリジナル文書と先行する第三者(100)により作成された附属文書上で、後続の第三者(200)により繰り返し実行され、ブロックチェーンシステム(B)監査証跡は連続する第三者(100、200)の処理により継続的に提供されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一つに記載のトレーサビリティプロセス。
【請求項9】
オリジナル文書(D1)を使った第三者(100)が作成した附属文書(DA)のトレーサビリティ確立のためのプラットフォームとは、ブロックチェーンシステム(B)と相互対応するプラットフォームであり、請求項1から8のいずれか一つに記載のトレーサビリティプロセスの実行は以下の機能を備えることを特徴とする。
-オリジナル文書(D1)を登録・分析する機能であり、初期化メタデータの取得を目的とする。初期化メタデータは、オリジナル文書(D1)に固有のメタデータ(MID1)と外因性メタデータ(MED1)とから構成され、後者には、オリジナル文書デジタルフィンガープリント(HD1)、オリジナル文書のコンテンツのデジタルフィンガープリント(HB1)、オリジナル文書(D1)に関連するメタデータのデジタルフィンガープリント(HM1)が含まれる。
-第三者(100)から送られたデータを受信する機能であり、そこには、第三者(100)から送られ、受理され署名されたオリジナル文書(D2)と附属文書(DA)の登録・分析を行う機能が含まれ、受理用データの取得を目的とする。この受理用データには、オリジナル文書(D1)に固有のメタデータ(MID1)、受信したオリジナル文書のデジタルフィンガープリント(HD2)、附属文書のデジタルフィンガープリント(HDA)、参照文書のデジタルフィンガープリント(HRA)、更にはそれらのコンテンツのデジタルフィンガープリント(HBA、HB2、HBRA)とオリジナル文書(D1と附属文書(DA)に関連するメタデータのデジタルフィンガープリント(HM2、HMA)が含まれる。
-初期化メタデータ及び受理メタデータをブロックチェーンシステム(B)のスマートコントラクト(B1)に格納する機能であり、前述システムで複数の第三者(100,200)は連続して、ブロックチェーンシステム(B)の監査証跡を継続的に提供する事ができる。この場合、先行の第三者が署名したオリジナル文書(D2)及び先行の第三者が作成した附属文書(DA)を基に、後続の第三者(200)が監査証跡を提供される。
【請求項10】
アプリケーションモジュールが搭載され、ユーザーが望むようにオリジナル文書(D1)の処理パラメーターを記録でき、文書翻訳、公的認証、アポスティーユの付与からなるグループに属する文書の少なくとも1つの真正識別ができ、処理タイプごとに最低1人の第三者(A、B、C)を選択することが可能で、処理後に後続の第三者(200)を組み入れ、それまでの第三者により処理済みの文書(D2、DA)を記録できることを特徴とする、請求項7に記載のトレーサビリティプラットフォーム。
【請求項11】
複数のデータベースと相互対応するツールが組み込まれ、それぞれのデータベースには、選択された処理を少なくとも1つは実行する第三者(A、B、C)のリストが最低1つと、第三者(A、B、C)に関連する情報が格納されることを特徴とする、請求項8に記載のトレーサビリティプラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明では、ブロックチェーンシステムを介しオリジナル文書から第三者が作成した附属文書のトレーサビリティを実現させる。
【0002】
本発明は、複数の第三者によって処理される文書における証明可能なトレーサビリティプロシージャを確立するために全般的に応用できる。特に、提示された書類の真正性を確認すべき法的権限を持つ当局が書類の認証又はアポスティーユを付与する際に使用される。
【0003】
本書でいう文書の処理とは、デジタル文書におけるあらゆる情報処理を意味し、翻訳、認証、アポスティーユ、附属文書の添付、又はそれ以外の同様の文書処理などからなる非限定的なグループに属する処理のことである。
【背景技術】
【0004】
通常、公的認証・アポスティーユ付与の手続きでは、企業、団体、公証人、商工会議所、外務省、領事館、市役所、法定翻訳家など、性質の異なる様々な関係者・第三者が、デジタル文書を何段階にもわたって確認することになる。
【0005】
電子署名は、それぞれの者が別々に行なうことが多い。第三者が署名する場合、必ずしも前処理や後処理の手続きを知らされておらず、第三者たちが互いに協議することもない。
【0006】
加えて、文書に対して物理的な処理を行う場合、その処理の行為者が問題の文書をスキャンして追加するので、元のデジタルの文書と比較しての真正性の確認が更に難しくなる。
【0007】
関係者が増えれば増えるほど、文書の生成から廃棄までの全体を追跡し、各処理工程を問題なく終了したと証明することが困難、又は不可能になる。
【0008】
原文に付加される翻訳や附属書類など、元の文書に附属文書を添付しなければならない場合、トレーサビリティの確立はより一層困難になる。
【0009】
トレーサビリティ実現は、電子署名に適用される技術標準の多様性及びソフトウェアレベルでそれぞれ解決するプロバイダー間の差異(非常に多くの場合プロバイダー間で互換性がない)によりさらに複雑化し、困難になる。
【0010】
実際、複数の関係者が同一の文書に異なる電子署名システムを用いて署名する場合、電子署名ソフトウェア間での互換性の問題が生じる可能性がある。例えば、異なるソフトウェアを使用して署名した場合、後から署名を加えた場合、契約の第三者が署名する場合にこの問題が起こり得る。
【0011】
加えて、複数の関係者により逐次電子署名が行なわれる場合、電子署名ソフトウェアのローカルインストール、文書のダウンロード、ローカル端末上での署名、署名済み文書のエクスポートなどを行なう際に使用上の問題が起こる。
【0012】
確かに、文書の分析により登録された文書の真正性を有効に検証する処理プロセスも、ブロックチェーンシステム上に格納されたトランザクションに関連する安全なアクセスを生成する処理プロセスも既に存在し、我々の知るところである。
【0013】
ただし、これらの先行技術によるプロセスでは、複数の異なる第三者によって次々処理されたオリジナル文書の真正性のトレーサビリティを確立することはできず、翻訳やアポスティーユなどの附属文書を第三者が原文に添付した場合、検査方法あるいは証明手段を設定することもできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、これらの欠点を改善するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、ブロックチェーンシステムを介しオリジナル文書から第三者が作成した附属文書のトレーサビリティを確立する処理プロセスに関する発明である。
【0016】
本発明の一般定義において、トレーサビリティプロセスは、以下の工程から構成される。
-まずは、初期化工程で、そこでは初期化のメタデータを獲得するためにオリジナル文書の登録及び分析を行なう。ここでいうメタデータは、オリジナル文書に固有のメタデータ(イントリンシック・メタデータ)及び外因性メタデータ(エクストリンシック・メタデータ)により構成され、外因性メタデータは、オリジナル文書デジタルフィンガープリント、オリジナル文書のコンテンツのデジタルフィンガープリント、並びにオリジナル文書に関連するメタデータのデジタルフィンガープリントからなる。初期化のメタデータは、ブロックチェーンシステムのスマートコントラクト中に保存される。
-次は、第三者による処理工程であり、第三者による附属文書の作成が行われる。この段階で作成された附属文書及び処理のため第三者が受け取ったオリジナル文書には第三者によりそれぞれ電子署名が行われる。この文書には、添付の参照用文書及びそのコンテンツからなる照合用デジタルフィンガープリントが指摘され、署名される。
-さらに、第三者からの発信を受理する工程があり、オリジナル文書及び第三者から送信された署名のある附属文書の登録と分析を行ない、受理データを取得する。この受理データには、オリジナル文書に固有のメタデータ、受理されたオリジナル文書・附属文書・参照文書・それらのコンテンツのデジタルフィンガープリント、加えて、オリジナル文書・附属文書関連のメタデータのデジタルフィンガープリントが含まれる。受理用メタデータはブロックチェーンシステムの別のスマートコントラクト中に格納される。
-初期化工程と受信工程のそれぞれの後で、スマートコントラクトが保存され、それにより、オリジナル文書から第三者が作成した附属文書の監査証跡とトレーサビリティの取得が実現可能になる。
【0017】
本発明のおかげで、監査証跡がこのようにブロックチェーンシステム上で取得・統合され、タイプスタンプが付与・署名が行われ、公的機関ならば、管轄当局が監査証跡にアクセスし、オリジナル文書から第三者が作成した附属文書の真正性及び処理手続きの各時点で、オリジナル文書の状態を確認し証明できる。
【0018】
実行モードにおけるこのプロセスには、さらに第三者にオリジナル文書、オリジナル文書に固有のメタデータ、及び外因性メタデータを送付する工程が含まれる。そして、この外因性メタデータには、オリジナル文書デジタルフィンガープリント、そのコンテンツデジタルフィンガープリント、オリジナル文書関連のメタデータのデジタルフィンガープリントが含まれる、それらは、ブロックチェーンシステムの1つのスマートコントラクトに格納される。
【0019】
本発明の利点として、初期化工程、送信工程、受信工程の各々でこのように獲得されたメタデータがデータベースに格納されることであり、このおかげで、そのメタデータはその後マークルツリーに組み込まれ、そのルートハッシュ(マークルルート)がブロックチェーンシステムに保存される。
【0020】
例えば、固有のメタデータとは、記録のタイプ・名前・サイズ・日付、並びにユーザーIDからなるグループに属するデータのことである。
【0021】
実際のところ、デジタルフィンガープリントは、例えばSHA256のような選択されたハッシュ関数を使って計算される。
【0022】
別の実行モードにおいて、附属文書とは、翻訳、公的認証・アポスティーユが付与されたデジタル文書からなるグループに属する文書のことである。
【0023】
また、本発明のもう1つの目的は、ブロックチェーンシステムを使った対話型ツールを用い、関連するオリジナル文書から第三者によって作成された附属文書のトレーサビリティを確立するためのプラットフォームを実現することである。
【0024】
本発明のもう1つの側面として、プラットフォームに以下の機能が含まれる。
-初期化のメタデータを獲得するためにオリジナル文書を登録・分析する機能。ここでいうメタデータは、オリジナル文書に固有のメタデータと外因性メタデータから構成される。後者は、オリジナル文書・そのコンテンツのデジタルフィンガープリント及びオリジナル文書に関連するメタデータのデジタルフィンガープリントからなる。
-第三者から送られたデータを受信する機能。この機能には、受理証明データを獲得するために、第三者から送られ受理した署名付きオリジナル文書および附属文書を登録・分析する機能が含まれる。受理証明データは、オリジナル文書に固有のメタデータ並びにオリジナル文書・附属文書・参照文書・それらのそれぞれのコンテンツのデジタルフィンガープリント及びオリジナル文書・附属文書に関連するメタデータのデジタルフィンガープリントから構成される。
-初期化メタデータ及び受理メタデータを、ブロックチェーンシステムのそれぞれのスマートコントラクトに記録する機能。
【0025】
本発明のもう1つの実行モードでは、プラットフォームに1つのアプリケーションモジュールが搭載され、このモジュールによりユーザーが望む文書処理パラメーターを記録でき、要求された処理の特定が最低1つを行なえ、要求される処理の種類に合わせ要求されるデータベース毎に第三者を最低1人選択でき、処理済みの文書を現在の第三者により処理・記録した後に、後続の第三者を追加採用できる。
【0026】
本発明によるプロセスでは、オリジナル文書及びその文書に1つまたは複数の処理が行なわれる際に付加される全附属・添付文書の生成から廃棄までのライフサイクルが一貫して追跡可能になり、処理が各工程において正しく実行されているかを証明でき、同時に、処理工程に複数の第三者を採用し、第三者各々が用いる基準の違いによる問題を解決できる。
【0027】
本発明の利点として挙げられるのは、ブロックチェーンシステム上に格納されるスマートコントラクトに、本発明独自のプロセスにより使用される全情報が統合されることで、これにより、処理サイクルのどの時点でも、関連文書全てのメタデータ並びにそのデジタルフィンガープリントに関する記録情報を不動化することができ、文書の真正性を検証する組織に対し、監査証跡に必要な情報を統合的に供給することができる。
【0028】
それ以外の本発明の特徴及び利点については、以下の詳細説明及び図表が明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明によるトレーサビリティプロセスの全工程を図解する。
【
図2】本発明によるトレーサビリティプロセスに独自の実行モードを図解する。
【
図3】本発明による初期化工程におけるサブ工程を図解する。
【
図4】本発明による処理工程に独自な具体例を図解する。
【
図5】本発明のプロセスによる、ブロックシステム上にデータを保存するサブ工程における実行モードの1つを図解する。
【
図6】本発明のプロセス実行時に回収される固有のメタデータに関連する独自の実行モードを図解する。
【
図7】本発明のプラットフォームのハードウェアアーキテクチャを図解する。
【
図8】本発明によるプラットフォーム上のアプリケーションモジュールの機能を図解する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1~
図5に示したように、本発明におけるトレーサビリティプロセスでは、一連の工程が以下の順序で実現される。まずは初期化工程S0であり、ブロックチェーンシステムB上のトランザクションでオリジナル文書D1の情報を分析・計算・記録することを目的とし、トレーサビリティ連鎖の最初の段階を確立する。次の処理工程S1は第三者100によって実行され、この工程で、電子署名付きオリジナル文書D2及びその文書に添付された附属文書DAが生成される。その後に第三者100からのデータを受理する工程S2があり、この工程では、処理工程S1時に生成された文書D2及びDAの全てが記録・分析され、ブロックチェーンシステムBに保存されるべき関連デジタルフィンガープリントが計算される。
【0031】
第1の工程である初期化工程S0で、ユーザーは、デジタルオリジナル文書D1を記録する。その後、オリジナル文書D1が分析され、その文書の可視化されたコンテンツ並びに初期化メタデータに関連するデータが取得される。
【0032】
実際に実行する場合、可視化されたコンテンツに関連するデータとは、テキスト、画像、文書D1に統合されたデジタルオブジェクトやそれに類似するデータからなる非制限的なグループに属するデータのことである。
【0033】
本発明の実行モードにおいては、オリジナル文書D1を分析するサブ工程で、テキスト認識処理が行われ、この処理により、テキスト形式で文書上認識された任意のテキストコンテンツの抽出が可能になる。
【0034】
非制限的例として、テキストの認識処理とは、音声及びビデオタイプのオリジナル文書用の「音声認識」、並びに、画像タイプの文書用「ビジュアルOCR認識」などの処理からなる非制限的なグループに属する処理のことである。
【0035】
取得されたメタデータとは、オリジナル文書D1に固有のメタデータ及びオリジナル文書D1の外因性メタデータのことである。
【0036】
オリジナル文書D1に固有のメタデータMID1とは、文書名、サイズ、電子署名データ、証明書データ、プロジェクト識別子、付加文書の表題、手続き番号などからなる非制限的なグループに属するデータのことである。
【0037】
ある文書に固有のメタデータとは、文書の種類、処理の種類、署名した第三者の識別名、付加された電子署名及び証明書、署名の日付における証明書の有効性、タイトル、作成者、企業、日付、場所、ソース言語、発行国などから構成される非制限的なグループに属するデータのことである。
【0038】
ただし、問題の文書が処理された文書に添付される附属文書の場合、その文書に固有のメタデータとは、文書のタイプ、送信先言語、送信先国名、第三者100の役職、第三者100が行使する権限、第三者100の電子署名及び証明書、署名者である第三者の識別名、付与された電子署名と証明書、署名日における証明書の有効性、タイトル、日付、場所、印鑑またはスタンプの性質などから構成される非制限的なグループに属するデータの事である。
【0039】
オリジナル文書D1の外因性メタデータMED1は、アプリケーションによって生成されたメタデータと定義され、このアプリケーションが本発明のプロセスを実行し、外因性メタデータには、少なくともユーザーによる記録のタイムスタンプ、並びに前述オリジナル文書D1を記録したユーザーの識別名が含まれる。
【0040】
本発明における初期化処理工程S0のサブ工程では、選択されたデジタルフィンガープリントが計算され、このデジタルフィンガープリントにより、生成されるオリジナル文書D1の外因性メタデータが規定される。
【0041】
実際には、選択されたハッシュ関数を使ってデジタルフィンガープリントが計算される。
【0042】
例えば、デジタルフィンガープリントはSHA256ハッシュ関数を用いて算出される。
【0043】
本発明による初期化工程S0の計算のためのサブ工程では、オリジナル文書のデジタルフィンガープリントHD1、分析されたコンテンツのデジタルフィンガープリントHB1、並びにオリジナル文書D1に関連する固有のメタデータのデジタルフィンガープリントHM1が計算される。
【0044】
初期化工程S0の最後のサブ工程では、こうして算出されたデジタルフィンガープリントHD1、HB1及びHM1、並びに抽出された固有のメタデータ及び生成された外因性メタデータが、1つのブロックチェーンシステムB上で、スマートコントラクトを介した1つのトランサクションの中に格納される。
【0045】
【0046】
本発明のトレーサビリティプロセスには、第三者100による処理工程S1も含まれる。
【0047】
第三者100とは、選択された処理を実行する権限を有する者全てを指す。
【0048】
非限定的な例として、第三者100は、公証人、法定翻訳者、国内外の政府機関、又は文書を証明する資格を有するそれ以外の同等の者であり得る。
【0049】
ある文書の電子署名の行為はいずれも処理を通して確認され、権限のある第三者により、当該文書も、作成されたそれ以外の全ての附属文書も認証される。
【0050】
非限定的な例として、問題の処理とは、オリジナル文書D1上の宣誓を行なった第三者による電子署名の付与、電子署名付きオリジナル文書D2に添付される附属文書DAの作成、オリジナル文書D1の翻訳と署名付与、附属文書DAの翻訳、処理される文書D1の少なくとも1つに公的認証又はアポスティーユの付与などから構成される非限定的なグループに属する処理のことである。
【0051】
実際に、附属文書DAとは、翻訳文書、公的認証を付与されたデジタル文書、さらにアポスティーユを付与されたデジタル文書からなるグループに属する文書のことである。
【0052】
オリジナル文書D1及びその附属文書DAに付与される電子署名により、署名データ及び関連証明書などの文書に固有のメタデータを統合できる。
【0053】
【0054】
また、本発明による処理工程S1で、第三者100による附属文書DAが作成され、こうして作成された附属文書DAとオリジナル文書D1のいずれにも第三者100により電子署名が付与される。
【0055】
そして、こうして作成された附属文書には、附属文書が添付された参照用オリジナル文書D1の参照用デジタルフィンガープリントHRAと、附属文書が添付され署名されたオリジナル文書D1のコンテンツのデジタルフィンガープリントHRBAが統合される。
【0056】
第三者100により処理された後、このように作成された署名付きオリジナル文書D2及び署名付き附属文書DAは、本発明のプロセスを実行するアプリケーションを介して受信工程S2に沿って受理される。
【0057】
本発明の実行モードにおいて、処理工程S1には、オリジナル文書D1とD2を処理・変更中に、或いは附属文書を作成中にリアルタイムで分析するサブ分析工程が含まれ、処理中に各文書に関する文書に固有のメタデータを取得し、処理・作成中に文書の外因性メタデータを取得する。
【0058】
処理工程S1には、さらに計算用の第2サブ工程が含まれ、実行される処理の進行状況により、文書及びそのコンテンツのデジタルフィンガープリントが処理中に計算されるだけでなく、文書に固有のメタデータのデジタルフィンガープリントも処理・生成中に計算される。
【0059】
処理工程S1には、ブロックチェーンシステム(B)のスマートコントラクト(B1)に、固有メタデータと抽出された外因性メタデータを格納する第3のサブ工程が含まれる。この工程で、算出された全てのデジタルフィンガープリントが統合され、処理工程S1のオブジェクト文書に関する処理の進行状況によりこの工程が反復される。
【0060】
ここにおける利点は、処理中の文書に関するメタデータを処理工程の複数の時点でスマートコントラクトに保存できることで、文書の状態をリアルタイムで証明することが可能になる。
【0061】
本発明のプロセスには、第三者100から送られた処理工程S1により作成された文書を受理する工程S2が含まれ、その工程には、受理された署名付きオリジナル文書D2及び署名付き附属文書DAを同時に記録・分析する第1サブ工程があり、このサブ工程により前述の文書D2及びDAの可視化されたコンテンツに関連するデータ、固有のメタデータMID2とMIDA、更にはそれに関連する外因性メタデータMED2とMEDAが取得できる。
【0062】
署名付きオリジナル文書D2及び署名付き附属文書DAの記録は、受信時にタイムスタンプが押されることで実現し、各タイムスタンプはD2及びDAの各々文書の外因性メタデータであるMED2とMEDAに組み込まれる。
【0063】
【0064】
【0065】
署名付きオリジナル文書D2用に、まず、名前、サイズ、付与された電子署名データ及び証明書などの固有のメタデータMID2が抽出される。
【0066】
受信工程S2の計算サブ工程では、署名付きオリジナル文書のデジタルフィンガープリントHD2、こうして分析されたコンテンツのデジタルフィンガープリントHB2、さらには署名付きオリジナル文書D2に固有のメタデータのデジタルフィンガープリントHM1が計算され、これらのフィンガープリントは署名付きオリジナル文書D2の外因性メタデータに組み込まれる。
【0067】
署名付き附属文書DA用に、名前、サイズ、付与された電子署名データ及び証明書などの固有のメタデータMIDA、附属文書DAが組み合わされた参照文書D2の参照用デジタルフィンガープリントHRA、そして、附属文書DAが添付されたオリジナル文書D2のコンテンツのデジタルフィンガープリントHRBAが抽出される。
【0068】
受信工程S2の計算サブ工程では、署名付き附属文書のデジタルフィンガープリントHDA、附属文書のコンテンツのデジタルフィンガープリントHBA、そして附属文書から収集された固有のメタデータHMAが計算され、これらのフィンガープリントは附属文書DAの外因性メタデータに組み込まれる。
【0069】
署名付きオリジナル文書D2及びその附属文書DAのデジタルフィンガープリントが計算された後、受信工程S2では、ブロックチェーンシステム(B)において第2のスマートコントラクトB2によるトランザクションを介して保存のためのサブ工程が実行される。そして、この第2のスマートコントラクトB2には、署名付きオリジナル文書D2及び附属書DAから生成された固有及び外因性メタデータが含まれる。
【0070】
【0071】
本発明特有の実行モードにおいては、受信工程S2において、初期化の工程S0と受信工程S2のそれぞれで取得されたメタデータが、データベースに保存され、その後、マークルツリー中に組み込まれる。これらのメタデータのルートデジタルフィンガープリントは、ブロックチェーンシステムB内のトランザクションを通して格納される。
【0072】
本発明特有の実行モードにおいては、本発明の受信工程のサブ工程である格納工程に、追跡すべき文書を同定するためのサブ工程が含まれる。
【0073】
文書同定のためのサブ工程では、オリジナル文書D1のコンテンツのデジタルフィンガープリントと署名付きオリジナル文書D2のコンテンツのデジタルフィンガープリントとが初めて比較される。この文書同定工程に問題がなければ、両文書は同一文書である。
【0074】
同定のための制御サブ工程では、2度目の比較として、附属文書DAが添付された参照文書D2の参照用フィンガープリントHRAと署名付きオリジナル文書D2のデジタルフィンガープリントとの比較、並びに、附属文書DAが添付された参照文書のコンテンツのデジタルフィンガープリントHRBAと署名付きオリジナル文書D2のコンテンツのデジタルフィンガープリントとの比較が行われる。
【0075】
比較の結果問題がなく、デジタルフィンガープリントが同一であれば、提示された附属文書DAは、署名付きオリジナル文書D2に正しく連係されている。
【0076】
同定のための制御サブ工程により、署名付き文書D2と附属書文書DA間の連結リンクの真正性を検証しながら、トレーサビリティ連鎖の適合性を明らかにすることが可能になり、さらに、トレーサビリティツリーが形成される。
【0077】
本発明における利点は、文書D1、D2及びDAの分析サブ工程の各段階において、問題の文書からのテキストを抽出することにより、問題の文書上に存在するテキストのみを検出でき、問題の文書上の手書きの署名又はスタンプがテキストコンテンツとして認識されない。そして、本発明独自の実行モードにより、同一コンテンツのデジタルフィンガープリントの保持が、署名・公的認証・アポスティーユという類の処理後にも可能になり、加えて、適用されるデジタル化条件により、オリジナル文書に厳密には同一ではないデジタル化された物理的文書の挿入が可能になる。
【0078】
本発明の特有の実行モードにおいては、本発明のトレーサビリティプロセスに、初期化工程S0の後に送信工程が追加され、処理工程S1に先行する。
【0079】
送信工程では、第三者100に、オリジナル文書D1、オリジナル文書D1に固有のメタデータMID1、オリジナル文書D1の外因性メタデータMED1、並びに、第三者100に向けたオリジナル文書D1の送信アクションのタイムスタンプに関するメタデータが送付される。ここでいう外因性メタデータには、オリジナル文書のデジタルフィンガープリントHD1、そのコンテンツのデジタルフィンガープリントHB1、そしてオリジナル文書D1の関連メタデータのデジタルフィンガープリントHM1が含まれ、第三者100に向けたオリジナル文書D1の送信アクションのタイムスタンプに関するメタデータは、ブロックチェーンシステムB上に、3番目のスマートコントラクトB3により実行されるトランザクションを介して格納される。
【0080】
【0081】
本発明の実行モードにおいて、送信工程には、さらに、第三者100により処理されるオリジナル文書D1の送付に先行し、送付されるオリジナル文書D1の同定を制御する制御サブ工程が含まれる。
【0082】
この制御サブ工程では、送付される文書のデジタルフィンガープリントHD1、送付される文書のコンテンツのデジタルフィンガープリントHB1、そして、送付されるオリジナル文書D1に関連する固有のメタデータのデジタルフィンガープリントHM1が計算される。
【0083】
制御サブ工程には、送信する文書のデジタルフィンガープリントHD1とオリジナル文書D1のデジタルフィンガープリントHD1と比較する工程とともに、送信する文書のコンテンツのデジタルフィンガープリントHB1とオリジナル文書D1のコンテンツのデジタルフィンガープリントHB1と比較する工程も含まれる。
【0084】
比較した結果問題がない場合、第三者に送付される文書はオリジナル文書D1である。
【0085】
【0086】
本発明の実行モードでは、制御サブ工程で、適合性への視覚制御も行なわれる。
【0087】
適合性への視覚的制御とは、例えば、オリジナル文書D1と署名付きオリジナル文書D2間、オリジナル文書D1とアポスティーユや公的認証が付与されたオリジナル文書に用の附属文書間、又は、添付文書とコンテンツに識別要素が含まれるもう1つの文書間で、抽出された視覚的コンテンツを比較することで実現される。
【0088】
例えば、オリジナル文書D1は、処理後に第三者100により物理的に印鑑、スタンプ又は署名を付与され、その後デジタル化されても、当該オリジナル文書D1と比較できる。具体的には、両比較対象の可視化されたコンテンツを検証し、それらの可視化されたコンテンツの少なくとも一部に同一性があるかを確認する。
【0089】
本発明のもう1つの実行モードでは、トレーサビリティプロセスは連続する複数の第三者(100、200)によって実行される。
【0090】
初期化工程S0、処理工程S1および受信工程S2は、先行の第三者(100)が作成した署名付きオリジナル文書(D2)及び署名付き附属文書(DA)に基づき、次の第三者(200)によって繰り返し実行される。
【0091】
本発明独自の実行モードでは、ブロックチェーンシステムBのトランザクションを介する1つのスマートコントラクトへの格納というサブ工程全て(B1、B2、B3)が、格納された全情報を集約する単一のスマートコントラクト上で実行される。
【0092】
本発明における利点として、単一のスマートコントラクトに格納することにより、監査証跡の検証を行なういずれの組織団体も、ブロックチェーンシステムBの同一媒体上で文書の真正性の確認に必要な全情報を得ることができる。
【0093】
本発明の選択的実行モードでは、保存サブ工程用に使用されるブロックチェーンシステムBをどれにするかを、オリジナル文書D1を記録する際にユーザーが選んだバックアップパラメーターにより、ユーザーが選択できる。
【0094】
ブロックチェーンシステムBを使って少なくとも1つのスマートコントラクトB1上での処理の任意の時点で、本発明においてターゲットとなるメタデータを格納することにより、文書若しくは単数/複数の文書から選ばれたデータの状態又は附属文書と文書の組み合わせ状態を証明することが可能になり、格納された情報をこのように生成された監査証跡で不変かつ追跡可能にすることができ、文書の連続処理過程で、監査証跡を統合することもできる。
【0095】
また、文書D1、D2、DAそれぞれに固有のメタデータのデジタルフィンガープリントにより、特に各第三者100の電子署名(複数可)に関するメタデータとその関連メタデータを不変にして証明することも、1文書に付与された署名又は1文書及びそれに組み合わされた少なくとも1つの附属文書に付与された署名を非同期で逐次増加するプロセスを加えることも可能である。
【0096】
このようなプロセスにより、処理された単一又は複数の文書に異なるソフトウェアで単一又は複数の署名がされた場合、前に付与された署名の上書きが回避され、監査証跡上で当該文書に逐次追加された署名それぞれの個別追跡が可能となる。
【0097】
最初の実行モードでは、オリジナル文書D1は公証人により認証され、その後、翻訳のために最初の第三者100に送られる。そして、このように作成された翻訳に署名が付与され、それから文書D2及びDAは公的認証のためもう一人の第三者200に送られる。ここでいう第三者200は政府機関であり、つまり、こうして作成された文書は領事などの第二の補助第三者200に送ら、作成された文書には超公的認証のような処理が施される。
【0098】
第二の実行モードでは、オリジナル文書D1は公証人により認証され、その後、翻訳のために最初の第三者100に送られる。そして、このように作成された翻訳に署名が付与され、それから文書D2及びDAはアポスティーユのためもう一人の第三者200に送られる。ここでいう第三者200は政府機関である。
【0099】
実際には、初期化工程S0と受信工程S2の記録サブ工程が、要求される情報のブロックチェーンシステムBへの格納まで一時的に実行され、これにより文書D1,D2及びDAのアーカイブ化が行なわれず、これらの文書D1,D2,DAの機密性を保証できる。
【0100】
例えば、文書D1,D2及びDAはPDFといった類のファイルである。
【0101】
このように、ブロックチェーンシステムBの監査証跡は、引き続き処理を行う第三者(100,200)により継続的に供給され、初期化工程S0及び受信工程S2の各工程で、三者100,200のそれぞれに関連する継続的なデータの保存が可能であり、検証を行う第三者がオリジナル文書D1から真正性の確認ツリーにアクセスできるようになる。
【0102】
図6及び
図7から分かるように、本発明は、オリジナル文書D1から第三者100によって作成された附属文書DAのトレーサビリティ用プラットフォームにも言及する。このプラットフォームは、トレーサビリティプロセスを実行するためブロックチェーンシステムBと相互連携処理を行なう。
【0103】
選ばれた構造を持つ本発明によるトレーサビリティプラットフォームは以下の機能を備える。
-オリジナル文書D1を記録・分析する機能。これにより、オリジナル文書D1に固有のメタデータMID1と外因性メタデータMED1からなる初期化メタデータを取得する。外因性メタデータには、オリジナル文書のデジタルフィンガープリントHD1、そのコンテンツのデジタルフィンガープリントHB1及びオリジナル文書D1に関連するメタデータHM1のデジタルフィンガープリントが含まれる。
-第三者からの発信を受信する受理機能S2。これには、署名付きで第三者100から受け取ったオリジナル文書D2及び附属文書DAを登録・分析する機能が含まれ、以下の受理用データ、すなわち、オリジナル文書に固有のメタデータ、受信したオリジナル文書のデジタルフィンガープリントHD2、その附属文書のデジタルフィンガープリントHDA、参照文書のデジタルフィンガープリントHRA、これらの各々のコンテンツのデジタルフィンガープリントHBA、HB2及びHBRA、加えて、オリジナル文書・附属文書に関連するメタデータのデジタルフィンガープリントHM2及びHMAを取得する。
-初期化メタデータ及び受理メタデータをブロックチェーンシステムBのそれぞれのスマートコントラクトに記録する機能。
【0104】
実際に利用する場合、本発明のプラットフォームにはウェブサーバーが最低1つは搭載され、このサーバーは、ネットワークを通してユーザー機器に接続可能であり、オリジナル文書D1、署名付きオリジナル文書D2、並びに、ユーザー又は第三者100と200により送られた附属文書DAからなるグループに属する文書を最低1つは受理・記録できる。
【0105】
本発明の実行モードでは、本発明のプラットフォームに、最低1つはアプリケーションサーバーが搭載され、このサーバーにより、オリジナル文書D1、署名付きオリジナル文書D2及び附属文書DAにより構成されるグループに属する文書が最低1つは分析可能になると同時に、本発明のトレーサビリティプロセスの実行時に必要なデジタルフィンガープリントHD1、HB1、HM1、HD2、HB2、HM2、HDA、HBA及びHMAが計算可能になる。
【0106】
本発明のプラットフォームには、ストレージモジュールも搭載され、ブロックチェーンシステムBにおいて、実行されるトランザクションを介してスマートコントラクトB1、B2及びB3への格納が可能になる。
【0107】
上述のストレージモジュールには、ノードサーバーが最低1つは搭載される。このサーバーは、相互に接続された多数のノードを持つブロックチェーンシステムBの構成要素をなす。
【0108】
本発明の実行モードの1つにおいて、ブロックチェーンシステムBは公共のブロックチェーンシステムである。
【0109】
本発明のもう1つの実行モードでは、ブロックチェーンシステムBは、民間のブロックチェーンシステムである。
【0110】
本発明に特有の実行モードでは、さらに、本発明におけるプラットフォームに複数のデータベースが搭載される。
【0111】
各データベースには、第三者のリストが最低1つ所持され、選択された処理101及び201が最低1つは実行できる。このリスト以外にも、連絡先、プラットフォーム識別番号など第三者A、B、C関連の情報が所持される。
【0112】
本発明に独自の実行モードでは、プラットフォームにアプリケーションモジュールが搭載され、このモジュールにより処理プロジージャで第三者を選択し、ユーザーのガイドができ、これらの第三者全員に処理すべきオリジナル文書D1を、ユーザーが事前に定義・設定した処理パラメーターに従い提供できる。
【0113】
本発明のプラットフォーム上アプリケーションモジュールは、まず、文書D1に対しユーザーが望む処理パラメーターを記録することができる。
【0114】
例えば、処理パラメーターが政府機関による翻訳と認証である場合、処理のために選択される第三者A、B、Cが翻訳と公的認証することになる。
【0115】
実際に、本発明のプラットフォームのアプリケーションモジュールは、文書の翻訳、公的認証及びアポスティーユの付与からなるグループに属する処理101を最低1つは実行し、内容を識別することが可能である。
【0116】
定義された処理パラメーターに基づき、アプリケーションモジュールは、選択された処理の各タイプに合わせて最低1人の第三者をA、B、Cから選び、第三者A、B、Cのデータベースから当該処理を実行し、現在の第三者100により処理済み文書D2及びDAが処理・記録された後に次の第三者200を採用することが可能である。
【0117】
本発明に独自の実行モードでは、本発明のプラットフォームにAPIタイプのモジュールも搭載され、このモジュールは、第三者100用に外部電子署名ツールを最低1つは採用し、第三者が電子署名する文書に適用される実行ファイルをインラインフレーム(IFrame)の形で受信できるよう設定される。
【国際調査報告】