(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】バッテリー交換型ハイブリッド車両
(51)【国際特許分類】
B60L 53/80 20190101AFI20231005BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20231005BHJP
B60K 6/28 20071001ALI20231005BHJP
B60K 6/46 20071001ALI20231005BHJP
B60L 58/18 20190101ALI20231005BHJP
B60L 50/61 20190101ALI20231005BHJP
【FI】
B60L53/80
B60K1/04 A
B60K6/28
B60K6/46
B60L58/18
B60L50/61
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519181
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(85)【翻訳文提出日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 CN2020139100
(87)【国際公開番号】W WO2022068099
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】202011066323.2
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507362513
【氏名又は名称】浙江吉利控股集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG GEELY HOLDING GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】1760 Jiangling Road, Binjiang District, Hangzhou Zhejiang (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】李 書福
【テーマコード(参考)】
3D202
3D235
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA07
3D202EE03
3D202EE28
3D235AA01
3D235BB24
3D235CC32
3D235HH63
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC13
5H125BC26
5H125BC29
5H125FF06
(57)【要約】
本発明は、バッテリー交換型ハイブリッド車両を提供する。バッテリー交換型ハイブリッド車両は、レンジエクステンダーと駆動モーターで構成されるレンジエクステンディング駆動システム及びクイックチェンジバッテリーを含む。前記クイックチェンジバッテリーは、バッテリー交換ステーションで、迅速に取り外して交換することができる。駆動モーターに接続されるクイックチェンジバッテリーと前記駆動モーターは、バッテリー交換駆動システムを構成する。前記バッテリー交換駆動システムと前記レンジエクステンダー駆動システムは、迅速に切り替えることができ、独立して主動力システムとして使用することができる。本発明において、バッテリー交換駆動システムとレンジエクステンダー駆動システムは迅速に切り替えることができ、独立して主動力システムとして使用することができるので、使用シーンや経済性によって、レンジエクステンダーを動力源とするレンジエクステンダー駆動システム及び/又は、クイックチェンジバッテリーを動力源とするバッテリー交換駆動システムを自由かつ柔軟に切り替え、車両を走行させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンジエクステンダーと駆動モーターで構成されるレンジエクステンダー駆動システム及びクイックチェンジバッテリーを含むバッテリー交換型ハイブリッド車両において、
前記クイックチェンジバッテリーは、バッテリー交換ステーションで、迅速に取り外して交換することができ、
前記クイックチェンジバッテリーは駆動モーターに接続され、前記クイックチェンジバッテリーと前記駆動モーターとはバッテリー交換駆動システムを構成し、
前記バッテリー交換駆動システムと前記レンジエクステンダー駆動システムは、迅速に切り替えることができ、独立して主動力システムとして使用することができる、
ことを特徴とする、バッテリー交換型ハイブリッド車両。
【請求項2】
前記レンジエクステンダー駆動システムは、基本バッテリーをさらに含み、前記基本バッテリーは、前記レンジエクステンダー及び前記駆動モーターにそれぞれ接続されることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリー交換型ハイブリッド車両。
【請求項3】
前記基本バッテリー及び前記クイックチェンジバッテリーは対で設置され、
前記基本バッテリーは前記バッテリー交換型ハイブリッド車両に設置され、前記クイックチェンジバッテリーは前記バッテリー交換ステーションに設置されて循環及び充電され、又は、
前記クイックチェンジバッテリーは前記バッテリー交換型ハイブリッド車両に設置され、前記基本バッテリーは前記バッテリー交換ステーションに設置されて循環及び充電される、
ことを特徴とする、請求項2に記載のバッテリー交換型ハイブリッド車両。
【請求項4】
前記バッテリー交換型ハイブリッド車両は、インバーターをさらに含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれかの一項に記載のバッテリー交換型ハイブリッド車両。
【請求項5】
前記クイックチェンジバッテリーの容量は、前記レンジエクステンダーが供給できる電気エネルギーの総量の2倍未満であることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリー交換型ハイブリッド車両。
【請求項6】
前記クイックチェンジバッテリーの容量は、前記レンジエクステンダーが供給できる電気エネルギーの総量と等しいことを特徴とする、請求項5に記載のバッテリー交換型ハイブリッド車両。
【請求項7】
前記基本バッテリーの容量は、1~1.47kwh又は1.47~5.5kwhであることを特徴とする、請求項2に記載のバッテリー交換型ハイブリッド車両。
【請求項8】
前記レンジエクステンダー駆動システムは、燃料タンクをさらに含み、
前記燃料タンクの燃料は、ガソリン、ディーゼル、メタノール、エタノール、バイオ燃料、天然ガス、水素を含むことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリー交換型ハイブリッド車両。
【請求項9】
前記バッテリー交換型ハイブリッド車両は、変速機構及び駆動軸をさらに含み、
前記駆動モーターは、前記変速機構を介して前記駆動軸に接続され、
前記駆動軸は、前記バッテリー交換型ハイブリッド車両の車輪に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリー交換型ハイブリッド車両。
【請求項10】
前記バッテリー交換型ハイブリッド車両は、クイックチェンジ装置をさらに備え、
前記クイックチェンジ装置の一端は、前記バッテリー交換型ハイブリッド車両の車体下部に接続され、他端は、前記基本バッテリー又は前記クイックチェンジバッテリーに接続されることを特徴とする、請求項2に記載のバッテリー交換型ハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の技術分野に関し、特に、バッテリー交換型ハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーと排出削減という二重の圧力の下で、新エネルギー車の開発は、国際社会にとって避けられない選択となっている。電気自動車は、新エネルギー車の非常に有望な製品である。しかし、現在の電気自動車の走行距離が短いため、消費者は走行距離に対する不安を抱えており、消費者の電気自動車の購入意欲はある程度低下する。
【0003】
走行距離不安の問題を解決するために、現在、主に次の3つの方法が使用されている。第一の方法は、バッテリー交換型車両を利用することである。バッテリー交換型車両は、取り外し可能なパワーバッテリーを採用して、バッテリー交換ステーションを介して、パワーバッテリーを迅速に取り外して交換できるので、航続距離を確保できる。しかし、この方法は、バッテリー交換ステーションのレイアウトが不十分であったり、電源の交換が不便であるなどの問題がある。第二の方法は、レンジエクステンダー型電気自動車を利用することである。レンジエクステンダー型電気自動車は、燃料又はその他の種類の小型エンジンを使用して発電機を駆動し、電気を生成して電気自動車のパワーバッテリーの電力を補い、走行距離を延ばす。しかし、この方法は、主に燃料供給に依存するので、ユーザーにとって原油価格の変動不安などの問題が生じやすい。第三の方法は、取り外し可能な交換バッテリーをメインバッテリーとして使用し、燃料エンジンが補助駆動手段として車両を直接駆動することである。しかし、この方法は、燃料エンジンは補助駆動手段としてのみ使用されるので、バッテリー交換ステーションのレイアウトとバッテリー交換の利便性によって依然として制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の問題を考慮して、上記の問題を克服するか、又は上記の問題を少なくとも部分的に解決するバッテリー交換型ハイブリッド車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの目的は、レンジエクステンディング技術とバッテリー交換技術とを組み合わせ、両者を主動力源として柔軟に切り替えることができるバッテリー交換型ハイブリッド車両を提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、基本バッテリーとクイックチェンジバッテリーのデュアルバッテリーを設置することにより、さまざまなシーンで、バッテリー交換型ハイブリッド車両を使用する際の柔軟性をさらに向上させることである。
【0007】
特に、本発明の実施形態の一態様によれば、バッテリー交換型ハイブリッド車両を提供する。バッテリー交換型ハイブリッド車両は、レンジエクステンダーと駆動モーターで構成されるレンジエクステンダー駆動システム及びクイックチェンジバッテリーを含む。前記クイックチェンジバッテリーは、バッテリー交換ステーションで、迅速に取り外して交換することができる。前記クイックチェンジバッテリーは、駆動モーターに接続され、前記クイックチェンジバッテリーと前記駆動モーターは、バッテリー交換駆動システムを構成する。前記バッテリー交換駆動システムと前記レンジエクステンダー駆動システムは、迅速に切り替えることができ、独立して主動力システムとして使用することができる。
【0008】
前記レンジエクステンダー駆動システムは、基本バッテリーをさらに含み、前記基本バッテリーは、前記レンジエクステンダー及び前記駆動モーターにそれぞれ接続される。
【0009】
前記車両の基本バッテリー及びクイックチェンジバッテリーは、以下のように対で設置される。前記基本バッテリーは前記車両に設置され、前記クイックチェンジバッテリーは前記バッテリー交換ステーションに設置されて循環及び充電され、又は、前記クイックチェンジバッテリーは前記車両に設置され、前記基本バッテリーは前記バッテリー交換ステーションに設置されて循環及び充電される。
【0010】
前記車両は、インバーターをさらに含む。
【0011】
前記クイックチェンジバッテリーの容量は、前記レンジエクステンダーが供給できる電気エネルギーの総量の2倍未満である。
【0012】
前記クイックチェンジバッテリーの容量は、前記レンジエクステンダーが供給できる電気エネルギーの総量と等しい。
【0013】
前記基本バッテリーの容量は、1~1.47kwh又は1.47~5.5kwhである。
【0014】
前記レンジエクステンダー駆動システムは、燃料タンクをさらに含み、前記燃料タンクの燃料は、ガソリン、ディーゼル、メタノール、エタノール、バイオ燃料、天然ガス、水素を含む。
【0015】
前記車両は、変速機構及び駆動軸をさらに含み、前記駆動モーターは、前記変速機構を介して前記駆動軸に接続され、前記駆動軸は、前記車両の車輪に接続される。
【0016】
前記車両は、クイックチェンジ装置をさらに備え、前記クイックチェンジ装置の一端は、前記車両の車体下部に接続され、他端は、前記基本バッテリー又は前記クイックチェンジバッテリーに接続される。
【0017】
本発明の実施形態によって提供されるバッテリー交換型ハイブリッド車両は、レンジエクステンダーと駆動モーターで構成されるレンジエクステンダー駆動システム及びクイックチェンジバッテリーと駆動モーターで構成されるバッテリー交換駆動システムを含み、クイックチェンジバッテリーは、バッテリー交換ステーションで迅速に取り外して交換することができる。バッテリー交換駆動システムとレンジエクステンダー駆動システムは迅速に切り替えることができ、独立して主動力システムとして使用することができるので、使用シーンや経済性によって、レンジエクステンダーを動力源とするレンジエクステンダー駆動システム及び/又は、クイックチェンジバッテリーを動力源とするバッテリー交換駆動システムを自由かつ柔軟に切り替え、車両を走行させることができる。
【0018】
さらに、本発明のバッテリー交換型ハイブリッド車両のレンジエクステンダー駆動システムは、基本バッテリーを含む。基本バッテリーとクイックチェンジバッテリーのデュアルバッテリーを設置することにより、レンジエクステンダー駆動システムとバッテリー交換駆動システムの切り替えや使用がさらに多様化する。さらに、さまざまなシーンで、バッテリー交換型ハイブリッド車両を使用する際の柔軟性が向上する。
【0019】
上記の説明は、本発明の技術的解決策の概要にすぎず、本発明の技術的解決策をよりよく理解するために、明細書の内容に従って実施することができる。また、本発明の上記及びその他の目的、特徴、及び利点をより明白に理解するために、本発明の具体的な実施形態を以下に列挙する。
【0020】
以下の本発明の具体的な実施形態の詳細な説明に基づいて、当業者は、本発明の上記及びその他の目的、利点及び特徴をより明確に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下、添付の図面を参照して、本発明のいくつかの具体的な実施形態を、限定ではなく例示として詳細に説明する。図面中の同一の参照符号は、同一又は類似の部品又は部分を示す。当業者は、図面が必ずしも一定の縮尺で描かれるとは限らないことを理解するべきである。
【
図1】本発明の一つの実施形態によって提供されるバッテリー交換型ハイブリッド車両の構造を示す図である。
【
図2】本発明の別の実施形態によって提供されるバッテリー交換型ハイブリッド車両の構造を示す図である。
【
図3】本発明のさらに別の実施形態によって提供されるバッテリー交換型ハイブリッド車両の構造を示す図である。
【
図4】本発明のさらに別の実施形態によって提供されるバッテリー交換型ハイブリッド車両の構造を示す図である。
【
図5】本発明の一つの実施形態によって提供されるロック状態のクイックチェンジ装置の断面を示す図である。
【
図6】本発明の一つの実施形態によって提供されるロック解除状態のクイックチェンジ装置の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して、本発明の例示的な実施形態をより詳細に説明する。図面に本発明の例示的な実施形態が示されているが、様々な形態で本発明を実施することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるべきではないことを理解されたい。むしろ、これらの実施形態は、本発明をより完全に理解し、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるために提供される。
【0023】
上記の技術的問題を解決するか、又は部分的に解決するために、本発明の実施形態は、バッテリー交換型ハイブリッド車両を提供する。
【0024】
図1は、本発明の一つの実施形態によって提供されるバッテリー交換型ハイブリッド車両100の構成を示す図である。
図1を参照すると、バッテリー交換型ハイブリッド車両100は、レンジエクステンダー10と駆動モーター31とで構成されるレンジエクステンダー駆動システム及びクイックチェンジバッテリー20を少なくとも含む。レンジエクステンダー10は、エンジン14と発電機15で構成される。レンジエクステンダー10は、駆動モーター31に接続され、発電機15は、エンジン14が出力する動力により駆動されて発電し、駆動モーター31に電気エネルギーを供給する。バッテリー交換ステーションで、クイックチェンジバッテリー20を迅速に取り外して交換することができ、電気エネルギーの迅速な補充を実現することができる。実際の適用では、例えば、バッテリー交換ツールを利用して、電力不足のクイックチェンジバッテリー20を取り外した後、バッテリー交換型ハイブリッド車両100に完全に充電されたクイックチェンジバッテリー20を再装着することによって、クイックチェンジバッテリー20の交換を実現することができる。クイックチェンジバッテリー20は、駆動モーター31と接続され、バッテリー交換駆動システムを構成する。レンジエクステンダー10とクイックチェンジバッテリー20は、互いに独立して駆動モーター31に電気エネルギーを供給することができる。即ち、レンジエクステンダー10とクイックチェンジバッテリー20のいずれか一方は、他の一方が作動せず電気エネルギーを供給することができないとき、独立して駆動モーター31に電気エネルギーを供給することができる。従って、バッテリー交換駆動システム1とレンジエクステンダー駆動システム2は迅速に切り替えることができ、独立してバッテリー交換型ハイブリッド車両100の主動力システムとして使用することができる。クイックチェンジバッテリー20は、レンジエクステンダー10と接続してもよく(具体的には発電機15と接続する)、それによって、レンジエクステンダー10が作動しているときに、余剰の電気エネルギーを受け取って蓄えることができる。
【0025】
本発明の実施形態によって提供されるバッテリー交換型ハイブリッド車両100は、レンジエクステンダー10と駆動モーター31で構成されるレンジエクステンダー駆動システム及びクイックチェンジバッテリー20と駆動モーター31で構成されるバッテリー交換駆動システムを含み、クイックチェンジバッテリー20は、バッテリー交換ステーションで迅速に取り外して交換することができる。バッテリー交換駆動システムとレンジエクステンダー駆動システムは迅速に切り替えることができ、独立して主動力システムとして使用することができるので、使用シーンや経済性によって、レンジエクステンダー10を動力源とするレンジエクステンダー駆動システム及び/又は、クイックチェンジバッテリー20を動力源とするバッテリー交換駆動システムを自由かつ柔軟に切り替え、車両を走行させることができる。
【0026】
具体的には、例えば、非長距離運転シーン(都市部での運転など)の場合には、レンジエクステンダー10に使用される燃料の価格(石油価格など)が低い場合、レンジエクステンダー10が作動し、駆動モーター31に電気エネルギーを供給して、電気料金が比較的低い場合、クイックチェンジバッテリー20が使用され、バッテリー交換ステーションでクイックチェンジバッテリー20を交換することによって、駆動モーター31への電力供給を確保することができる。長距離運転シーンの場合には、燃料を満タンにしてレンジエクステンダー10に十分な燃料を供給することを確保すると同時に、バッテリー交換ステーションでクイックチェンジバッテリー20を交換することによって、最大航続距離を得ることができる。
【0027】
図2を参照すると、本発明の一つの実施形態では、レンジエクステンダー駆動システムは、基本バッテリー12をさらに含む。基本バッテリー12は、レンジエクステンダー10(具体的には発電機15に接続される)及び駆動モーター31にそれぞれ接続される。基本バッテリー12は、例えば、従来のパワーバッテリーであってもよい。基本バッテリー12とクイックチェンジバッテリー20のデュアルバッテリーを設置することにより、基本バッテリー12とクイックチェンジバッテリー20の様々な配置を採用することができ、レンジエクステンダー駆動システムとバッテリー交換駆動システムの切り替えや使用がさらに多様化する。さらに、さまざまなシーンで、バッテリー交換型ハイブリッド車両100を使用する際の柔軟性が向上する。以下、基本バッテリー12とクイックチェンジバッテリー20の様々な配置について紹介する。
【0028】
一つの実施形態では、基本バッテリー12及びクイックチェンジバッテリー20は、車両100に同時に設置される。基本バッテリー12は、車両100に固定され、クイックチェンジバッテリ20は、迅速に取り外して交換することができ、車両100に設置される。
【0029】
この場合、車両100がレンジエクステンダー駆動システムによって駆動されるとき、基本バッテリー12の電力が充足すると、基本バッテリー12は、駆動モーター31に電気エネルギーを供給する。基本バッテリー12の電力が不足すると、エンジン14が始動し、発電機15を介して駆動モーター31に電気エネルギーを供給しながら、基本バッテリー12を充電する。車両100が上り坂や急加速などの高負荷状態に遭遇した場合、レンジエクステンダー10及び基本バッテリー12は、同時に駆動モーター31に電気エネルギーを供給する。車両100が下り坂や滑走などの作業条件に遭遇した場合、駆動モーター31が発電機として使用され、基本バッテリー12を充電し、運動エネルギーを回収することができる。車両100がバッテリー交換駆動システムによって動力を供給するとき、クイックチェンジバッテリー20は、駆動モーター31に電気エネルギーを直接供給する。本実施形態は、非長距離運転シーンにおいて、燃料価格及び電気価格に応じて、レンジエクステンダー10又はクイックチェンジバッテリー20を切り替え、動力源として使用するのに非常に便利であり、同時に長距離運転シーンで最大航続距離を確保することもできる。
【0030】
別の実施形態では、基本バッテリー12及びクイックチェンジバッテリー20が車両100に同時に設置される。基本バッテリー12は、迅速に取り外して交換することができ、車両100に設置され、且つクイックチェンジバッテリー20は、迅速に取り外して交換することもでき、車両100に設置される。この場合、基本バッテリー12とクイックチェンジバッテリー20の両方をバッテリー交換ステーションで取り外し又は交換することができ、それによって、燃料消費を最大限に削減することができ、燃料価格が高く、電気料金が低い場合に非常に適している。また、車両100の最大航続距離もある程度増加する。
【0031】
さらに別の実施形態では、車両100の基本バッテリー12及びクイックチェンジバッテリー20は、以下のように対で設置することができる。基本バッテリー12とクイックチェンジバッテリー20の一方が車両100に設置されるとき、もう一方がバッテリー交換ステーションに設置され、循環と再充電を行う。具体的には、次の二つの状況がある。
【0032】
第一の状況では、
図3に示すように、基本バッテリー12が車両100に設置され、クイックチェンジバッテリー20がバッテリー交換ステーションに設置されて、循環及び充電される。この状況は、燃料価格が低く、必要な走行距離が短い(都市部での運転など)使用シーンに特に適している。このとき、クイックチェンジバッテリー20は取り外され、バッテリー交換ステーションに設置されて動作する。一方で、車両100の全体重量が減少し、他方で、クイックチェンジバッテリー20の動作時間も増加し、クイックチェンジバッテリー20の使用効率が改善される。
【0033】
第二の状況では、
図4に示すように、クイックチェンジバッテリー20が車両100に設置され、基本バッテリー12がバッテリー交換ステーションに設置されて、循環及び充電される。この状況は、燃料価格が高く、特定の走行距離要件があり、バッテリー交換ステーションのレイアウトが十分であるという使用シーンに特に適している。このとき、基本バッテリー12は取り外され、バッテリー交換ステーションに設置されて動作する。これにより、車両100の全体重量がある程度減少し、それによって、クイックチェンジバッテリー20のエネルギー利用効率が向上する。
【0034】
引き続き
図2を参照すると、本発明の一つの実施形態では、レンジエクステンダー駆動システムは、燃料タンク13をさらに含む。燃料タンク13は、レンジエクステンダー10のエンジン14に接続され、エンジン14に燃料を供給する。
【0035】
実際の適用では、燃料タンク13に貯蔵される燃料は、レンジエクステンダー10のエンジン14のタイプに依存する。一般に、燃料タンク13の内部の燃料は、ガソリン、ディーゼル、メタノール、エタノール、バイオ燃料、天然ガス、水素などを含む。それに対応して、エンジン14は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、メタノールエンジンなどであってもよい。
【0036】
クイックチェンジバッテリー20の使用の柔軟性をさらに高めるために、いくつかの実施形態では、クイックチェンジバッテリー20は、様々な仕様の容量及び重量を有するように設計することができる。この設計により、エネルギー効率と経済性を最大化するために、さまざまな使用シーンで、実際の適用要件に従って、さまざまな容量と重量を備えたクイックチェンジバッテリー20を交換することができる。例えば、長距離運転中、燃料タンク13に燃料を充填するとともに、大容量のクイックチェンジバッテリー20をバッテリー交換ステーションで交換してもよく、より長い航続距離を得ることができる。都市部を走行し、且つバッテリー交換ステーションのレイアウトが都市部で十分である場合、小容量で軽量のクイックチェンジバッテリー20をバッテリー交換ステーションで交換することによって、無負荷重量を減らすことができる。
【0037】
本発明の一つの実施形態では、クイックチェンジバッテリー20の容量は、レンジエクステンダー10が供給できる電気エネルギーの総量の2倍未満であり得る。レンジエクステンダー10が供給できる電気エネルギーの総量とは、燃料タンク13が燃料で満たされるときにレンジエクステンダー10が供給できる電気エネルギーの最大量を指す。この設定は、レンジエクステンダー10とクイックチェンジバッテリー20が提供できる電気エネルギーを近づけ、従来技術におけるレンジエクステンダーが通常二次補助動力源としてのみ使用されるという設計を打ち破り、クイックチェンジバッテリー20とレンジエクステンダー10は相互にバックアップすることができ、それぞれ独立して主動力源とすることができる。
【0038】
好ましくは、クイックチェンジバッテリー20の容量は、レンジエクステンダー10が供給できる電気エネルギーの総量の0.5倍よりも大きく、レンジエクステンダー10が供給できる電気エネルギーの総量の2倍未満であり得る。より好ましくは、クイックチェンジバッテリー20の容量は、レンジエクステンダー10が供給できる電気エネルギーの総量の0.5~1.5倍である。さらに好ましくは、クイックチェンジバッテリー20の容量は、レンジエクステンダー10が供給できる電気エネルギーの総量の1倍であり、即ち、クイックチェンジバッテリー20の容量は、レンジエクステンダー10が供給できる電気エネルギーの総量と等しい。このような設計により、レンジエクステンダー10は、もはや補助動力エネルギーシステムとしてのみ使用されるのではなく、レンジエクステンダー10とクイックチェンジバッテリー20との間の切り替えがより柔軟で自由になる。
【0039】
いくつかの実施形態では、基本バッテリー12は、1~1.47kwhの範囲の容量を有する。この場合、基本バッテリー12の容量は、ハイブリッド車両の一般的に使用される動力用バッテリーの容量(一般的に15~60kwh)と比較して非常に小さく、それに応じて、基本バッテリー12の重量は、一般的に使用される動力用バッテリーの重量と比較して非常に小さいので、一方では、車両の全体の重量を効果的に削減し、エネルギー利用効率を向上させることができ、他方では、小容量の基本バッテリー12は、外部充電の機能を考慮する必要がなく、コスト管理とレイアウトの選択に役立つ。
【0040】
他の実施形態では、基本バッテリー12は、1.47~5.5kwhの範囲の容量を有する。この場合、基本バッテリー12の容量(即ち、エネルギー密度)が適切に増加し、ハイブリッド車両100の航続距離がある程度増加するが、基本バッテリー12の容量は依然としてハイブリッド車両の一般的に使用される動力用バッテリーの容量と比較して非常に小さいので、バッテリー容量と車両重量との間のより良いバランスを達成することができる。
【0041】
引き続き
図2を参照すると、本発明の一つの実施形態では、車両100はインバーターをさらに含む。具体的には、インバーターは、基本バッテリー12と駆動モーター31との間及び発電機15と駆動モーター31との間に設置される第一インバーター51、並びに、クイックチェンジバッテリー20と駆動モーター31との間に設置される第二インバーター52を含む。ここでのインバーターの機能は、当業者にはよく知られているはずなので、ここでは詳細に説明しない。
【0042】
本発明の一つの実施形態では、車両100は、変速機構60及び駆動軸32をさらに含む。駆動軸32は、車両100の車輪40に接続される。変速機構60は、駆動モーター31と駆動軸32との間に設置され、即ち、駆動モーター31は、変速機構60を介して駆動軸31に接続され、変速機構60を介して駆動モーター31によって生成される駆動力を、駆動軸32に伝達し、駆動輪40を回転させる。
【0043】
本発明の一つの実施形態では、車両100は、クイックチェンジ装置70をさらに備える。クイックチェンジ装置70の一端は、車両100の車体下部に接続され、他端は、基本バッテリー12又はクイックチェンジバッテリー20に接続される。クイックチェンジ装置70は、基本バッテリー12又はクイックチェンジバッテリー20を迅速に取り外して装着するために使用することができる。
【0044】
図5及び6を参照すると、具体的な実施形態では、クイックチェンジ装置70は、リミットヒンジピン71、ハウジング72、ボルト73、支持ロッド74及びリミットボール75を含む。リミットヒンジピン71の一端は、車両100の車体下部に接続される。ハウジング72は、基本バッテリー12又はクイックチェンジバッテリー20に接続され、その内部に台形のキャビティを有する。具体的には、ハウジング72は、基本バッテリー12又はクイックチェンジバッテリー20の端部に位置し、且つハウジング72は、ハウジング72の下部の左右の両側に位置するボルトを介して、基本バッテリー12又はクイックチェンジバッテリー20に接続される。ボルト73は、キャビティの下部に位置し、キャビティの内部に延在し、且つハウジング72とねじ込み接続される。支持ロッド74は、キャビティに設置され、キャビティでボルト73によって支持され、ボルト73とともにハウジング72に対して上下移動することができる。リミットボール75は、支持ロッド74の中間に位置する。リミットヒンジピン71の中間部にはその軸方向に向かって窪んだ凹部711が形成され、支持ロッド74の内部は中空となり、凹部711に対応する位置に切り欠き741が設けられ、リミットボール75は、切り欠き741に嵌合する。クイックチェンジ装置70がロック状態にあるとき、リミットヒンジピン71が支持ロッド74の内部に挿入され、リミットボール75が凹部711に係止される。
【0045】
基本バッテリー12又はクイックチェンジバッテリー20を車両100に搭載する必要がある場合、リミットヒンジピン71がハウジング72から分離され、ジャッキ機構は、基本バッテリー12又はクイックチェンジバッテリー20を車体下部のリミットヒンジピン71に近づく位置に搬送する。このとき、リミットヒンジピン71は、ハウジング72に挿入されるが、リミットヒンジピン71の凹部711とリミットボール75は、同一の水平面上に位置しない。即ち、リミットボール75は凹部711には嵌め込まれておらず、支持ロッド74の切り欠き741に位置する。従って、基本バッテリー12又はクイックチェンジバッテリー20を車両100に取り付ける必要がある場合、リミットボール75が凹部711に嵌め込まれるまで、ボルト73は、支持ロッド74及びリミットボール75を駆動して、ハウジング72に対して上方に移動する必要がある。このように、クイックチェンジ装置70は、リミットボール75が凹部711に嵌め込まれることによりロック状態(
図5を参照)となり、それによって、基本バッテリー12又はクイックチェンジバッテリー20を車両100に取り付ける。
【0046】
基本バッテリー12又はクイックチェンジバッテリー20を取り外す必要がある場合、ジャッキ機構が基本バッテリー12又はクイックチェンジバッテリー20をわずかに押し上げると、モーターはボルト73をハウジング72に対して下方に移動させ、それによって、ロック解除状態にする(
図6などを参照)。ここで、ジャッキ機構が基本バッテリー12又はクイックチェンジバッテリー20をわずかに押し上げると、リミットボール75も付勢状態が解除されるので、ボルト73はモーターの駆動により下方に移動することができ、支持ロッド74も、ボルト73に押し上げられる力を解除して、リミットボール75が凹部711から出るまで下方に移動する。このとき、基本バッテリー12又はクイックチェンジバッテリー20は、ジャッキ機構に落下し、基本バッテリー12又はクイックチェンジバッテリー20の取り外す工程はここまでで完了する。
【0047】
本実施形態のクイックチェンジ装置70は、ロック・ロック解除を簡単かつ迅速に実現でき、バッテリーの着脱作業の効率を向上させることができる。
【0048】
上述したことは、本発明におけるクイックチェンジ装置70の一つの実施形態にすぎないことに留意されたい。もちろん、クイックチェンジ装置70は、他の実施形態を有してもよい。本発明は、これに限定されない。
【0049】
上記の任意の実施形態のいずれか、又は複数の任意の実施形態の組み合わせによれば、本発明の実施形態は、以下の有益な効果を達成することができる。
【0050】
本発明の実施形態によって提供されるバッテリー交換型ハイブリッド車両は、レンジエクステンダーと駆動モーターで構成されるレンジエクステンディング駆動システム及びクイックチェンジバッテリーと駆動モーターで構成されるバッテリー交換駆動システムを備え、バッテリー交換ステーションで、クイックチェンジバッテリーを迅速に取り外して交換することができる。バッテリー交換駆動システムとレンジエクステンダー駆動システムは迅速に切り替えることができ、独立して主動力システムとして使用することができるので、使用シーンや経済性によって、レンジエクステンダーを動力源とするレンジエクステンダー駆動システム及び/又は、クイックチェンジバッテリーを動力源とするバッテリー交換駆動システムを自由かつ柔軟に切り替え、車両を走行させることができる。
【0051】
さらに、本発明のバッテリー交換型ハイブリッド車両のレンジエクステンダー駆動システムは、基本バッテリーをさらに含む。基本バッテリーとクイックチェンジバッテリーのデュアルバッテリーを設置することにより、レンジエクステンダー駆動システムとバッテリー交換駆動システムの切り替えや使用がさらに多様化する。さらに、さまざまなシーンで、バッテリー交換型ハイブリッド車両を使用する際の柔軟性が向上する。
【0052】
本明細書で提供される説明では、多数の具体的な詳細が示されている。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細がなくても実施できることが理解される。ある実施形態において、この説明の理解を曖昧にしないために、公知の方法、構造、及び技術は詳細には示されていない。
【0053】
最後に、上記の実施形態は、本発明の技術的解決策を説明するのみために使用され、本発明を限定するものではないことに留意されたい。上記の実施形態を参照して本発明を詳細に説明するにも関わらず、当業者であれば、本発明の技術構成の趣旨や範囲を逸脱しない前提下で、各々の実施形態に記載される技術的解決策に対して、いろいろな修正、変更及び同等の置換を行なうことができ、これらの修正、変更及び同等の置換はいずれも本発明の保護範囲に含まれることを、理解するべきである。
【符号の説明】
【0054】
100 バッテリー交換型ハイブリッド車両
10 レンジエクステンダー
12 基本バッテリー
13 燃料タンク
14 エンジン
15 発電機
20 クイックチェンジバッテリー
31 駆動モーター
32 駆動軸
40 駆動輪
51 第一インバーター
52 第二インバーター
60 変速機構
70 クイックチェンジ装置
71 リミットヒンジピン
72 ハウジング
73 ボルト
74 支持ロッド
75 リミットボール
711 凹部
741 切り欠き
【国際調査報告】