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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】圧延装置
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/06 20060101AFI20231005BHJP
   B21B 31/07 20060101ALI20231005BHJP
   B21B 27/03 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F16J15/06 E
B21B31/07 B
B21B27/03 520
F16J15/06 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519305
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2021075030
(87)【国際公開番号】W WO2022063615
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】102020212179.6
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】エッケルスバッハ・ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ペッゲン・シュテファン
【テーマコード(参考)】
3J040
4E016
【Fターム(参考)】
3J040BA03
3J040EA01
3J040EA25
3J040EA41
3J040HA02
3J040HA15
3J040HA30
4E016AA04
4E016AA05
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、ハウジング2内において支承された2つのロール軸3を有する圧延装置1に関し、その際、これらロール軸3が、有利には、互いに平行に支承されており、その際、これらロール軸3が、それぞれに、前記ロール軸の端部領域4において、少なくとも1つの圧延リング5を担持しており、その際、前記ハウジング2にまたはこのハウジング内に、シール装置6が固定されており、このシール装置によって、前記ロール軸3の軸線方向の前記端部領域4が、圧延リング5と共に、前記ハウジング2の内側に対して密閉され得る。シール装置内における摩耗の際に、このシール装置を、従来よりも著しく短い時間内においてメンテナンス可能とし、且つ、特にシールを交換可能とすることができるように改良するために、本発明は、前記シール装置6が:- シール担持プレート7を有しており、このシール担持プレートが、前記ハウジング2にまたはこのハウジング内に固定されている、または、前記ハウジング(2)の一部であり、- それぞれの前記ロール軸3のために、それぞれに2つの滑りリング8、9を有しており、これら滑りリングが、前記ロール軸3に配置されており、- それぞれの前記ロール軸3のために、2つのシールリップ11、12を備えるそれぞれに1つの二重リップシール10を有しており、この二重リップシールが、前記シール担持プレート7に配置されており、その際、これらシールリップ11、12が、それぞれ1つの滑りリング8、9に当接しており、- それぞれの前記ロール軸3のために、それぞれ1つの支持リング13を有しており、この支持リングが、前記二重リップシール10の、半径方向に内側に位置する領域内において配置されており、且つ、この二重リップシールを半径方向に支持しており、その際、誤回転防止装置14、15が設けられており、この誤回転防止装置によって、前記シール担持プレート7に対して相対的な、前記二重リップシール10の回転が阻止されることを意図している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)内において支承された2つのロール軸(3)を有する圧延装置(1)であって、
これらロール軸(3)が、有利には、互いに平行に支承されており、
これらロール軸(3)が、それぞれに、前記ロール軸の端部領域(4)において、少なくとも1つの圧延リング(5)を担持しており、
前記ハウジング(2)にまたはこのハウジング内に、シール装置(6)が固定されており、
このシール装置によって、前記ロール軸(3)の軸線方向の前記端部領域(4)が、圧延リング(5)と共に、前記ハウジング(2)の内側に対して密閉され得る、上記圧延装置おいて、
前記シール装置(6)が:
- シール担持プレート(7)を有しており、このシール担持プレートが、前記ハウジング(2)にまたはこのハウジング内に固定されている、または、前記ハウジング(2)の一部であり、
- それぞれの前記ロール軸(3)のために、それぞれに2つの滑りリング(8、9)を有しており、これら滑りリングが、前記ロール軸(3)に配置されており、
- それぞれの前記ロール軸(3)のために、2つのシールリップ(11、12)を備えるそれぞれに1つの二重リップシール(10)を有しており、この二重リップシールが、前記シール担持プレート(7)に配置されており、これらシールリップ(11、12)が、それぞれ1つの滑りリング(8、9)に当接しており、
- それぞれの前記ロール軸(3)のために、それぞれ1つの支持リング(13)を有しており、この支持リングが、前記二重リップシール(10)の、半径方向に内側に位置する領域内において配置されており、且つ、この二重リップシールを半径方向に支持しており、
誤回転防止装置(14、15)が設けられており、この誤回転防止装置によって、前記シール担持プレート(7)に対して相対的な、前記二重リップシール(10)の回転が阻止される、
ことを特徴とする圧延装置。
【請求項2】
前記支持リング(13)は、別個の構造部材として形成されている、または、前記二重リップシール(10)内に統合されていることを特徴とする請求項1に記載の圧延装置。
【請求項3】
前記二重リップシール(10)は、補強要素を有していないことを特徴とする請求項1または2に記載の圧延装置。
【請求項4】
前記二重リップシール(10)と、前記支持リング(13)とは、
組み付けられた状態において、半径方向に外方へと指向された力が前記支持リング(13)から二重リップシール(10)に対して加えられるように、互いに許容されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の圧延装置。
【請求項5】
前記誤回転防止装置(14、15)は、前記シール担持プレート(7)に配置されている少なくとも1つの半径方向の突出部(14)を有しており、
この突出部が、前記二重リップシール(10)内における相応する切欠き部(15)内へと係合することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の圧延装置。
【請求項6】
前記誤回転防止装置(14、15)は、前記二重リップシール(10)に配置されている少なくとも1つの半径方向の突出部を有しており、
この突出部が、前記シール担持プレート(7)内における相応する切欠き部内へと係合することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の圧延装置。
【請求項7】
前記突出部(14)と前記切欠き部(15)とは、互いに合同に形成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の圧延装置。
【請求項8】
前記突出部は、円筒体またはピンとして形成されていることを特徴とする請求項5から7のいずれか一つに記載の圧延装置。
【請求項9】
前記支持リング(13)は、少なくとも、軸線方向の1つの端部領域において面取り部(16)を有していることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の圧延装置。
【請求項10】
前記支持リング(13)は、鋼製リングとして形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の圧延装置。
【請求項11】
前記シール担持プレート(7)は、遮断水または遮断空気の供給のための装置を備えていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一つに記載の圧延装置。
【請求項12】
前記圧延装置は、ワイヤーまたはロッド圧延スタンドの構成要素であることを特徴とする請求項1から11のいずれか一つに記載の圧延装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング内において支承された2つのロール軸を有する圧延装置に関し、
その際、これらロール軸が、有利には、互いに平行に支承されており、
その際、これらロール軸が、それぞれに、前記ロール軸の端部領域において、少なくとも1つの圧延リングを担持しており、
その際、前記ハウジングにまたはこのハウジング内、シール装置が固定されており、
このシール装置によって、前記ロール軸の軸線方向の前記端部領域が、圧延リングと共に、前記ハウジングの内側に対して密閉され得る。
【背景技術】
【0002】
そのような圧延装置のシール装置は、作動状態において、ワイヤーまたはロッド圧延機内において強度に負荷され、このことは、高い且つ強度な交番する温度によって、汚染物およびスケールによる汚染によって、冷却水による影響によって、並びに、作動の間じゅうの高い摩擦力によって、結果として生じる。
これらシール装置は、それぞれに、圧延リングの領域をハウジングの内側に対して密閉する必要があり、従って、一方では、如何なる水もしくは汚染物もハウジング内へと流入可能でなく、他方では、しかしながら、同様に如何なる油もこのハウジングから流出可能でない。
【0003】
これに伴って、シール装置のシール要素において摩耗が発生し、この摩耗が、これらシール装置の機能性を阻害し、且つ、これらシールの頻繁の交換を必要とする。
【0004】
シール要素の交換のための時間的な手間暇は、その際、極めて高い。二重リップシールは公知であり、これら二重リップシールが、作動状態における密閉機能を保証するため、および、シール担持プレートに対して相対的な回転運動を阻止するために、ばね鋼リング、合成物質リング、または、類似の緊張要素を備えている。
シールの固定のためのばね鋼リングもしくは合成物質リングの緊張力は、組み込み状況の狭小さにおいて、および、組み付けの間じゅうの緊張リングの必要な変形によって、シール担持体およびその他のこのシール担持体において固定されてる装備(ガイド、ガイド保持体、冷却管、等)の取り外しを必要とする。
より少ない変形を必要とし、且つ、これに伴って、シールの組み付けを、シール担持体の取り外し無しに可能にする、公知の緊張要素は、シール担持プレートに対して相対的な二重リップシールの随伴回転を阻止するために十分な半径方向の力を付与せず;且つ、その結果はシールの高い摩耗および損失である。
【0005】
シール要素の交換は、従って、著しいコストブロック(Kostenblock)を具現する。シールの耐用期間は、典型的に3から4週間までの範囲内にある。
【0006】
シール要素の交換のために、密閉位置毎に約30分の範囲内における時間が見積もられ、このことは、圧延スタンドの数(例えば、20個のシールを有する10段圧延スタンド式の圧延ブロック)の結果として、設備の与えられた1時間毎のレート(Stundensatz)において、1年にわたって、合計してかなりのコストボリュームに達する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の根底をなす課題は、冒頭に記載された様式の圧延装置を、シール装置内における摩耗の際に、このシール装置を、従来よりも著しく短い時間内においてメンテナンス可能とし、且つ、特にシールを交換可能とすることができるように改良することである。
このために必要な取り外し手間暇および組み付け手間暇は、低減され得るべきであり、このことによって、相応するコストが節減されるべきである。交換時間は、これに伴って、シールの耐用期間の阻害無しに低減され得るべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるこの課題の解決策は、前記シール装置が:
- シール担持プレートを有しており、このシール担持プレートが、前記ハウジングにまたはこのハウジング内に固定されている、または、前記ハウジングの一部であり、
- それぞれの前記ロール軸のために、それぞれに2つの滑りリングを有しており、これら滑りリングが、前記ロール軸に配置されており、
- それぞれの前記ロール軸のために、2つのシールリップを備えるそれぞれに1つの二重リップシールを有しており、この二重リップシールが、前記シール担持プレート(もしくは、シール担持プレート7内に配置されている噴射リング、下記を参照)に配置されており、その際、これらシールリップが、それぞれ1つの滑りリングに当接しており、
- それぞれの前記ロール軸のために、それぞれ1つの支持リングを有しており、この支持リングが、前記二重リップシールの、半径方向に内側に位置する領域内において配置されており、且つ、この二重リップシールを半径方向に支持しており、
その際、誤回転防止装置が設けられており、この誤回転防止装置によって、前記シール担持プレートに対して相対的な、前記二重リップシールの回転が阻止される、
ことによって特徴付けられている。
【発明の効果】
【0009】
誤回転防止装置が、その際、基本的に、適宜の方法で実現されていることは可能であり、その際、特に、形状による係合、及び/または、力による係合もしくは摩擦による係合に適合させられていることは可能である。
【0010】
提案された解決策は、以下で更に見て取れ得るように、二重リップシールの取り外しが、両方の滑りリングの内の一方の滑りリングだけの取り外しの際に行われ得ることを可能にする。
【0011】
前記支持リングは、本発明の1つの実施形態により、別個の構造部材として形成されており;且つ、選択的に、しかしながら同様に前記二重リップシール内に統合されていることも可能である。
支持リングは、その際、特に、この支持リングが、組み付けのために変形される必要が無いように構成されているか、または、この支持リングの組み付けが両方の滑りリングの内のただ一方の滑りリングだけの取り外しの際に可能である程に少しだけ変形される必要があるように構成されている。
【0012】
前記二重リップシールは、有利には、その他の補強要素を有していない。
これに伴って、この二重リップシールは、組み付けの際に、極めて弾性的であり、且つ、両方の滑りリングの内のただ一方の滑りリングだけの取り外しの際に組み付けられ得る。
【0013】
前記二重リップシールと、前記支持リングとは、有利には、組み付けられた状態において、半径方向に外方へと指向された力が前記支持リングから二重リップシールに対して加えられるように、互いに許容されている。
それに応じて、作動状態における、二重リップシールの軸線方向の位置の安定性は、この二重リップシール自身によってではなく、むしろ支持リングによって実現される。
【0014】
前記誤回転防止装置は、本発明の1つの実施形態により、前記シール担持プレート(または、噴射リング)に配置されている、少なくとも1つの(有利には、正に1つの)半径方向の突出部を有しており、この突出部が、前記二重リップシール内における相応する切欠き部内へと係合する。
【0015】
反対に、前記誤回転防止装置は、前記二重リップシールに配置されている、少なくとも1つの(有利には、正に1つの)半径方向の突出部を有しており、この突出部が、前記シール担持プレート(または、噴射リング)内における相応する切欠き部内へと係合することが意図されていることも可能である。
【0016】
前記突出部と前記切欠き部とが、互いに合同に形成されていることは可能である。しかしながら同様に、一方の構造部材における突出部が他方の構造部材における溝部と協働し、この溝部がこの構造部材の全幅にわたって延在することも可能である。
【0017】
前記突出部は、有利な実施形態により、円筒体またはピンとして形成されている。
【0018】
前記支持リングは、有利には、少なくとも、軸線方向の1つの端部領域において面取り部を有している。このことは、組み付けを著しく容易化し、且つ、組み付けの際の、二重リップシールと支持リングとの損傷を排除する。
【0019】
前記支持リングは、有利には、鋼製リングとして形成されており、この支持リングが、しかしながら、同様に、他の材料から製造されていることも可能であり、これら他の材料が、類似の形態における作動の諸条件および環境の諸条件に耐えるように適合されている。
支持リングが二重リップシール内に統合されていない限り、適当な材料の使用により、支持リングの数回にわたっての再利用可能性は、更に別のシールの組み付けのために可能となる。
【0020】
支持リングの半径方向の厚さは、シールの大きさに依存する。本発明の可能な実施形態において、支持リングの半径方向の厚さは、1mmと10mmとの間、特に有利には、2mmと5mmとの間である。
【0021】
前記シール担持プレートは、有利には、遮断水または遮断空気の供給のための装置を備えている。これに従って、噴射リングは、シール担持プレート内へと組み込まれているか、または、この噴射リングが、このシール担持プレート内へと統合されている。
【0022】
前記圧延装置は、有利には、ワイヤーまたはロッド圧延スタンドの構成要素である。
【0023】
即ち滑りリングシールとして形成された、提案されたシール装置は、冶金学的な設備内における、有利には圧延モジュールハウジング内において、特にワイヤーまたはロッド圧延機内において使用される。
【0024】
その際、通常の設備構成内において、そのワイヤー圧延ブロック内において圧延製品が最終寸法へと圧延される、該ワイヤー圧延ブロックの領域内に、典型的に10台の圧延スタンドが配置されている。これらそれぞれの圧延スタンド内において、シール担持プレートが、2つの噴射リングと2つの二重リップシールと共に配置されている。
このシール担持プレート内において、二重リップシールのための切欠き部が設けられており、これら切欠き部が、両方のロール軸の平行な配置に基づいて、「8の字」の形態を有している。
【0025】
提案された解決策は、二重リップシールの交換のための時間の著しい低減を可能にする。シールの交換の際にシール担持プレートの取り外しが省略され得、従って、同様にこのプレートに設けられている装備(ガイド、ガイド保持体、冷却管、等)も解体される必要がないことは有利である。
【0026】
設けられた誤回転防止装置(即ち、シール担持プレートに対して相対的な二重リップシールの回転が排除されている)により、シールにおける摩耗が少なく保持され、且つ、密閉機能が保証されることは保障される。そのような保障無しで、シールの随伴回転により摩擦および熱は生じ、これら摩擦および熱が、このシールを損傷し、且つ、時期尚早な故障を誘起する。
【0027】
圧延設備の経営者のために、これに伴って著しく低減された停止時間と、これに伴って圧コスト利点とが与えられる。更に、同様にメンテナンスコストも著しく低減される。
【0028】
これに伴って、組み付けられたシール担持プレートにおける、シールの迅速な交換の可能性は与えられる。シールの耐用期間の低減が与えられること無しに、周知の解決策との比較において、シールの交換のための時間は、明確に低減可能である。
【0029】
使用する支持リングは、有利には、鋼材から製造されており、且つ、十分な緊張力が、作動状態において与えられていることを保障し、この緊張力が、二重リップシールを、高い信頼性で軸線方向の位置において保持し、従って、効果的な密閉作用が与えられている。支持リングが二重リップシール内に統合されていない限り、二重リップシールの交換の後、支持リングは、同じ密閉位置において再び使用される。
支持リングの再利用可能性は、メンテナンスの材料コストを低減する。
【0030】
面取り部を有する支持リングの装備は、高い労力無しの且つシールまたは支持リングの損傷無しの、組み付けを可能にする。
【0031】
ここで、二重リップシールという言葉が用いられる場合、この言葉のもとで、上記されたシール要素が、少なくとも2つのシールリップを有しており、これらシールリップのそれぞれに1つのシールリップが、1つの滑りリングに当接することが理解されるべきである。このことは、但し、更に別のシールリップが、二重リップシールにおいて配置されている可能性が無いことを意味しない。
【0032】
図内において、本発明の実施例が図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】ワイヤー圧延機のロール軸の端部領域の図であり、このロール軸が、ハウジング内において支承されており、このロール軸の端部領域内において、圧延リングが組み付けられており、その際、シール装置がこのシール装置とハウジングとの間に、作用的に配置されている。
図2】シール装置の拡大図である。
図3図2に従う詳細部「X」の図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1内において、圧延装置1の一部が見て取れ得、この圧延装置は、ワイヤーまたはロッド圧延機の構成要素である。その際、ロール軸3はハウジング2内において、支承されている。
このハウジング2内において、隣接して配置されている2つのロール軸3が支承されていることは図示されてなく、その際、これら両方のロール軸が互いに平行に配置されており、即ち、これらロール軸の軸線aが平行である。
【0035】
それぞれのロール軸3の軸線方向の端部領域4内において、それぞれに1つの圧延リング5が配置されており、この圧延リングは、材料の圧延のために利用され、即ち、圧延されるべき材料が、協働する2つの圧延リング5の間で圧延される。
圧延リング5は、円錐スリーブ18を用いて、ロール軸3のジャーナルの上で固定されており、この目的のために、更に、キャップ19が利用され、このキャップが、ねじを用いて、ロール軸3の端部領域4内において固定されている。
【0036】
ハウジング2の内側が、圧延リング5を有する圧延領域に対して密閉されており、従って、如何なる汚染物質もこのハウジングの内側に侵入可能ではなく且つ如何なる油もこのハウジングから流出可能ではないために、シール装置6が設けられており、このシール装置が滑りリングシールとして形成されている。
【0037】
シール装置6は、シール担持プレート7を備えており、このシール担持プレートが、ハウジング2にねじで固定されている。シール担持プレート7は、同様に遮断水または遮断空気供給部17を備えており、即ちシール担持プレートの統合された構成要素が噴射リングであり、この噴射リングによって、遮断水または遮断空気が、圧延リング5への方向へと散布され得る。
【0038】
シール装置6の精確な実施形態は、図2および3から読み取れる。
【0039】
これら図から、シール装置6が、先ず第一に、密閉位置毎に2つの滑りリング8および9を備えており、これら滑りリングが、図示されているように組み付けられており、且つ、共に、半径方向断面内において、基本的にU字形の構造を形成することは与えられる。
シール担持プレート7に、二重リップシール10が固定されており、この二重リップシールが、2つのシールリップ11および12を有している。
一方のシールリップ11は、その際、組み付けられた状態において、摩擦状態で滑りリング8に当接しており、シールリップ12が、摩擦状態で滑りリング8に当接している。
【0040】
二重リップシール10は、その際、どんな補強要素も無しに構成されており、従って、容易に変形可能な、且つ、これに伴って同様に良好に組み付けられ得る構造が達せられている。圧延装置の作動状態における二重リップシール10の安定性は、支持リング13によって、この支持リングが最良に図3から見て取れるように、実現される。
支持リング13は、薄壁状の鋼製リングであり、この鋼製リングが、この鋼製リングの軸線方向の端部において面取り部16を備えている。
【0041】
設備の作動状態において、二重リップシール10が、(軸線aを中心として)シール担持プレート7に対して相対的に回転可能でないために、誤回転防止装置14、15が、この誤回転防止装置が最良に図3から見て取れるように、設けられている。
【0042】
これに従って、シール担持プレート7は、1つの周囲個所において、ピンもしくは円筒体の形態における、半径方向に延在する突出部14を有しており、この突出部が、二重リップシール10内における合同の切欠き部15内へと係合する。これに伴って、シール担持プレート7と二重リップシール10との間の、軸線aを中心としての相対的な回転は防止されている。
【0043】
二重リップシール10が、摩耗の結果として交換される必要がある場合、このことは、基本的に、このことが周知の解決策においてそのような状況である場合よりも、簡単且つ簡素な方法で行われる。
【0044】
二重リップシール10の交換の方法は、以下のように経過する:即ち、
【0045】
先ず第一に、キャップ19がねじを緩めて取り外され、円錐スリーブ18が除去され、且つ、圧延リング5が取り出される。次いで、外側に位置する滑りリング9が、軸線方向に引き出される。
【0046】
ここで、支持リング13が軸線方向に引き出され、従って、二重リップシール10がアクセス可能であり;且つ、この二重リップシールが取り出され、このことは、補強要素からのこの二重リップシールの自由性の結果として、何の問題もない。
【0047】
新しい二重リップシール10は、突出部と切欠き部の合致の考慮のもとで装入される。シール担持プレート7と内側の滑りリング8とは、組み付けられた状態に留まる。
【0048】
新しい二重リップシール10が装入された場合、支持リング13が再び押し込まれ、その際、面取り部16は、軽い動きの組み付けを可能にし、且つ、二重リップシール10において如何なる損傷も生じないことを保障する。支持リング13は、二重リップシール10を、安定的に意図された作動位置内において保持し、且つ、半径方向に外方へと作用する力を二重リップシール10に対して加え、従って、この二重リップシールが、高い信頼性でシール担持プレート7に保持される。
【0049】
いまや、外側の滑りリング9は再び押し込まれ、且つ、次いで、更に別の構造部材(圧延リング5、円錐スリーブ18、および、キャップ19)が再び組み付けられる。
【0050】
このための時間必要量は、従来通常である時間のほんの一部分である。何故ならば、特に、シール担持プレート7が、このシール担持プレートに配置された取り付け部材(Anbauten)および装備(Armaturen)と共に取り外される必要がないからである。
【0051】
これに伴って、提案された装置は、記載され簡略化された取り外しおよび組み付け方法の結果として、圧延設備の、従来の方法において達成され得ない生産性の著しい向上を提供する。
【符号の説明】
【0052】
1 圧延装置
2 ハウジング
3 ロール軸
4 軸線方向の端部領域
5 圧延リング
6 シール装置
7 シール担持プレート
8 滑りリング
9 滑りリング
10 二重リップシール
11 シールリップ
12 シールリップ
13 支持リング
14 誤回転防止装置、突出部(円筒体/ピン)
15 誤回転防止装置、切欠き部
16 面取り部
17 遮断水供給部/遮断空気供給部
18 円錐スリーブ
19 キャップ
a 軸線
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング内において支承された2つのロール軸を有する圧延装置に関し、
その際、これらロール軸が、有利には、互いに平行に支承されており、
その際、これらロール軸が、それぞれに、前記ロール軸の端部領域において、少なくとも1つの圧延リングを担持しており、
その際、前記ハウジングにまたはこのハウジング内、シール装置が固定されており、
このシール装置によって、前記ロール軸の軸線方向の前記端部領域が、圧延リングと共に、前記ハウジングの内側に対して密閉され得る。
【背景技術】
【0002】
冒頭に記載された様式の圧延装置は、特許文献1から公知である。特許文献2、特許文献3、特許文献4、および、特許文献5は、シール装置6の実施形態に関している。
そのような圧延装置のシール装置は、作動状態において、ワイヤーまたはロッド圧延機内において強度に負荷され、このことは、高い且つ強度な交番する温度によって、汚染物およびスケールによる汚染によって、冷却水による影響によって、並びに、作動の間じゅうの高い摩擦力によって、結果として生じる。
これらシール装置は、それぞれに、圧延リングの領域をハウジングの内側に対して密閉する必要があり、従って、一方では、如何なる水もしくは汚染物もハウジング内へと流入可能でなく、他方では、しかしながら、同様に如何なる油もこのハウジングから流出可能でない。
【0003】
これに伴って、シール装置のシール要素において摩耗が発生し、この摩耗が、これらシール装置の機能性を阻害し、且つ、これらシールの頻繁の交換を必要とする。
【0004】
シール要素の交換のための時間的な手間暇は、その際、極めて高い。二重リップシールは公知であり、これら二重リップシールが、作動状態における密閉機能を保証するため、および、シール担持プレートに対して相対的な回転運動を阻止するために、ばね鋼リング、合成物質リング、または、類似の緊張要素を備えている。
シールの固定のためのばね鋼リングもしくは合成物質リングの緊張力は、組み込み状況の狭小さにおいて、および、組み付けの間じゅうの緊張リングの必要な変形によって、シール担持体およびその他のこのシール担持体において固定されてる装備(ガイド、ガイド保持体、冷却管、等)の取り外しを必要とする。
より少ない変形を必要とし、且つ、これに伴って、シールの組み付けを、シール担持体の取り外し無しに可能にする、公知の緊張要素は、シール担持プレートに対して相対的な二重リップシールの随伴回転を阻止するために十分な半径方向の力を付与せず;且つ、その結果はシールの高い摩耗および損失である。
【0005】
シール要素の交換は、従って、著しいコストブロック(Kostenblock)を具現する。シールの耐用期間は、典型的に3から4週間までの範囲内にある
シール要素の交換のために、密閉位置毎に約30分の範囲内における時間が見積もられ、このことは、圧延スタンドの数(例えば、20個のシールを有する10段圧延スタンド式の圧延ブロック)の結果として、設備の与えられた1時間毎のレート(Stundensatz)において、1年にわたって、合計してかなりのコストボリュームに達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0 850 703 B1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公告第10 2018 104 123 B3号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第3 892 446 A明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第4 910 987 A号明細書
【特許文献5】欧州特許第0 196 117 B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の根底をなす課題は、冒頭に記載された様式の圧延装置を、シール装置内における摩耗の際に、このシール装置を、従来よりも著しく短い時間内においてメンテナンス可能とし、且つ、特にシールを交換可能とすることができるように改良することである。
このために必要な取り外し手間暇および組み付け手間暇は、低減され得るべきであり、このことによって、相応するコストが節減されるべきである。交換時間は、これに伴って、シールの耐用期間の阻害無しに低減され得るべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるこの課題の解決策は、前記シール装置が:
- シール担持プレートを有しており、このシール担持プレートが、前記ハウジングにまたはこのハウジング内に固定されている、または、前記ハウジングの一部であり、
- それぞれの前記ロール軸のために、それぞれに2つの滑りリングを有しており、これら滑りリングが、前記ロール軸に配置されており、
- それぞれの前記ロール軸のために、2つのシールリップを備えるそれぞれに1つの二重リップシールを有しており、この二重リップシールが、前記シール担持プレート(もしくは、シール担持プレート7内に配置されている噴射リング、下記を参照)に配置されており、その際、これらシールリップが、それぞれ1つの滑りリングに当接しており、
- それぞれの前記ロール軸のために、それぞれ1つの支持リングを有しており、この支持リングが、前記二重リップシールの、半径方向に内側に位置する領域内において配置されており、且つ、この二重リップシールを半径方向に支持しており、
その際、誤回転防止装置が設けられており、この誤回転防止装置によって、前記シール担持プレートに対して相対的な、前記二重リップシールの回転が阻止され、
その際、前記誤回転防止装置が、前記シール担持プレート(または、噴射リング)に配置されている、少なくとも1つの(有利には、正に1つの)半径方向の突出部を有しており、この突出部が、前記二重リップシール内における相応する切欠き部内へと係合する、または、
その際、前記誤回転防止装置が、前記二重リップシールに配置されている、少なくとも1つの(有利には、正に1つの)半径方向の突出部を有しており、この突出部が、前記シール担持プレート(または、噴射リング)内における相応する切欠き部内へと係合する、
ことによって特徴付けられている。
【発明の効果】
【0009】
提案された解決策は、以下で更に見て取れ得るように、二重リップシールの取り外しが、両方の滑りリングの内の一方の滑りリングだけの取り外しの際に行われ得ることを可能にする。
【0010】
前記支持リングは、本発明の1つの実施形態により、別個の構造部材として形成されており;且つ、選択的に、しかしながら同様に前記二重リップシール内に統合されていることも可能である。
【0011】
支持リングは、その際、特に、この支持リングが、組み付けのために変形される必要が無いように構成されているか、または、この支持リングの組み付けが両方の滑りリングの内のただ一方の滑りリングだけの取り外しの際に可能である程に少しだけ変形される必要があるように構成されている。
【0012】
前記二重リップシールは、有利には、その他の補強要素を有していない。
【0013】
これに伴って、この二重リップシールは、組み付けの際に、極めて弾性的であり、且つ、両方の滑りリングの内のただ一方の滑りリングだけの取り外しの際に組み付けられ得る。
【0014】
前記二重リップシールと、前記支持リングとは、有利には、組み付けられた状態において、半径方向に外方へと指向された力が前記支持リングから二重リップシールに対して加えられるように、互いに許容されている。
【0015】
それに応じて、作動状態における、二重リップシールの軸線方向の位置の安定性は、この二重リップシール自身によってではなく、むしろ支持リングによって実現される。
【0016】
前記突出部と前記切欠き部とが、互いに合同に形成されていることは可能である。しかしながら同様に、一方の構造部材における突出部が他方の構造部材における溝部と協働し、この溝部がこの構造部材の全幅にわたって延在することも可能である。
【0017】
前記突出部は、有利な実施形態により、円筒体またはピンとして形成されている。
【0018】
前記支持リングは、有利には、少なくとも、軸線方向の1つの端部領域において面取り部を有している。このことは、組み付けを著しく容易化し、且つ、組み付けの際の、二重リップシールと支持リングとの損傷を排除する。
【0019】
前記支持リングは、有利には、鋼製リングとして形成されており、この支持リングが、しかしながら、同様に、他の材料から製造されていることも可能であり、これら他の材料が、類似の形態における作動の諸条件および環境の諸条件に耐えるように適合されている。
支持リングが二重リップシール内に統合されていない限り、適当な材料の使用により、支持リングの数回にわたっての再利用可能性は、更に別のシールの組み付けのために可能となる。
【0020】
支持リングの半径方向の厚さは、シールの大きさに依存する。本発明の可能な実施形態において、支持リングの半径方向の厚さは、1mmと10mmとの間、特に有利には、2mmと5mmとの間である。
【0021】
前記シール担持プレートは、有利には、遮断水または遮断空気の供給のための装置を備えている。これに従って、噴射リングは、シール担持プレート内へと組み込まれているか、または、この噴射リングが、このシール担持プレート内へと統合されている。
【0022】
前記圧延装置は、有利には、ワイヤーまたはロッド圧延スタンドの構成要素である。
【0023】
即ち滑りリングシールとして形成された、提案されたシール装置は、冶金学的な設備内における、有利には圧延モジュールハウジング内において、特にワイヤーまたはロッド圧延機内において使用される。
【0024】
その際、通常の設備構成内において、そのワイヤー圧延ブロック内において圧延製品が最終寸法へと圧延される、該ワイヤー圧延ブロックの領域内に、典型的に10台の圧延スタンドが配置されている。これらそれぞれの圧延スタンド内において、シール担持プレートが、2つの噴射リングと2つの二重リップシールと共に配置されている。
このシール担持プレート内において、二重リップシールのための切欠き部が設けられており、これら切欠き部が、両方のロール軸の平行な配置に基づいて、「8の字」の形態を有している。
【0025】
提案された解決策は、二重リップシールの交換のための時間の著しい低減を可能にする。シールの交換の際にシール担持プレートの取り外しが省略され得、従って、同様にこのプレートに設けられている装備(ガイド、ガイド保持体、冷却管、等)も解体される必要がないことは有利である。
【0026】
設けられた誤回転防止装置(即ち、シール担持プレートに対して相対的な二重リップシールの回転が排除されている)により、シールにおける摩耗が少なく保持され、且つ、密閉機能が保証されることは保障される。そのような保障無しで、シールの随伴回転により摩擦および熱は生じ、これら摩擦および熱が、このシールを損傷し、且つ、時期尚早な故障を誘起する。
【0027】
圧延設備の経営者のために、これに伴って著しく低減された停止時間と、これに伴って圧コスト利点とが与えられる。更に、同様にメンテナンスコストも著しく低減される。
【0028】
これに伴って、組み付けられたシール担持プレートにおける、シールの迅速な交換の可能性は与えられる。シールの耐用期間の低減が与えられること無しに、周知の解決策との比較において、シールの交換のための時間は、明確に低減可能である。
【0029】
使用する支持リングは、有利には、鋼材から製造されており、且つ、十分な緊張力が、作動状態において与えられていることを保障し、この緊張力が、二重リップシールを、高い信頼性で軸線方向の位置において保持し、従って、効果的な密閉作用が与えられている。支持リングが二重リップシール内に統合されていない限り、二重リップシールの交換の後、支持リングは、同じ密閉位置において再び使用される。
支持リングの再利用可能性は、メンテナンスの材料コストを低減する。
【0030】
面取り部を有する支持リングの装備は、高い労力無しの且つシールまたは支持リングの損傷無しの、組み付けを可能にする。
【0031】
ここで、二重リップシールという言葉が用いられる場合、この言葉のもとで、上記されたシール要素が、少なくとも2つのシールリップを有しており、これらシールリップのそれぞれに1つのシールリップが、1つの滑りリングに当接することが理解されるべきである。このことは、但し、更に別のシールリップが、二重リップシールにおいて配置されている可能性が無いことを意味しない。
【0032】
図内において、本発明の実施例が図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】ワイヤー圧延機のロール軸の端部領域の図であり、このロール軸が、ハウジング内において支承されており、このロール軸の端部領域内において、圧延リングが組み付けられており、その際、シール装置がこのシール装置とハウジングとの間に、作用的に配置されている。
図2】シール装置の拡大図である。
図3図2に従う詳細部「X」の図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1内において、圧延装置1の一部が見て取れ得、この圧延装置は、ワイヤーまたはロッド圧延機の構成要素である。その際、ロール軸3はハウジング2内において、支承されている。
このハウジング2内において、隣接して配置されている2つのロール軸3が支承されていることは図示されてなく、その際、これら両方のロール軸が互いに平行に配置されており、即ち、これらロール軸の軸線aが平行である。
【0035】
それぞれのロール軸3の軸線方向の端部領域4内において、それぞれに1つの圧延リング5が配置されており、この圧延リングは、材料の圧延のために利用され、即ち、圧延されるべき材料が、協働する2つの圧延リング5の間で圧延される。
圧延リング5は、円錐スリーブ18を用いて、ロール軸3のジャーナルの上で固定されており、この目的のために、更に、キャップ19が利用され、このキャップが、ねじを用いて、ロール軸3の端部領域4内において固定されている。
【0036】
ハウジング2の内側が、圧延リング5を有する圧延領域に対して密閉されており、従って、如何なる汚染物質もこのハウジングの内側に侵入可能ではなく且つ如何なる油もこのハウジングから流出可能ではないために、シール装置6が設けられており、このシール装置が滑りリングシールとして形成されている。
【0037】
シール装置6は、シール担持プレート7を備えており、このシール担持プレートが、ハウジング2にねじで固定されている。シール担持プレート7は、同様に遮断水または遮断空気供給部17を備えており、即ちシール担持プレートの統合された構成要素が噴射リングであり、この噴射リングによって、遮断水または遮断空気が、圧延リング5への方向へと散布され得る。
【0038】
シール装置6の精確な実施形態は、図2および3から読み取れる。
【0039】
これら図から、シール装置6が、先ず第一に、密閉位置毎に2つの滑りリング8および9を備えており、これら滑りリングが、図示されているように組み付けられており、且つ、共に、半径方向断面内において、基本的にU字形の構造を形成することは与えられる。
シール担持プレート7に、二重リップシール10が固定されており、この二重リップシールが、2つのシールリップ11および12を有している。
一方のシールリップ11は、その際、組み付けられた状態において、摩擦状態で滑りリング8に当接しており、シールリップ12が、摩擦状態で滑りリング8に当接している。
【0040】
二重リップシール10は、その際、どんな補強要素も無しに構成されており、従って、容易に変形可能な、且つ、これに伴って同様に良好に組み付けられ得る構造が達せられている。圧延装置の作動状態における二重リップシール10の安定性は、支持リング13によって、この支持リングが最良に図3から見て取れるように、実現される。
支持リング13は、薄壁状の鋼製リングであり、この鋼製リングが、この鋼製リングの軸線方向の端部において面取り部16を備えている。
【0041】
設備の作動状態において、二重リップシール10が、(軸線aを中心として)シール担持プレート7に対して相対的に回転可能でないために、誤回転防止装置14、15が、この誤回転防止装置が最良に図3から見て取れるように、設けられている。
【0042】
これに従って、シール担持プレート7は、1つの周囲個所において、ピンもしくは円筒体の形態における、半径方向に延在する突出部14を有しており、この突出部が、二重リップシール10内における合同の切欠き部15内へと係合する。これに伴って、シール担持プレート7と二重リップシール10との間の、軸線aを中心としての相対的な回転は防止されている。
【0043】
二重リップシール10が、摩耗の結果として交換される必要がある場合、このことは、基本的に、このことが周知の解決策においてそのような状況である場合よりも、簡単且つ簡素な方法で行われる。
【0044】
二重リップシール10の交換の方法は、以下のように経過する:即ち、
【0045】
先ず第一に、キャップ19がねじを緩めて取り外され、円錐スリーブ18が除去され、且つ、圧延リング5が取り出される。次いで、外側に位置する滑りリング9が、軸線方向に引き出される。
【0046】
ここで、支持リング13が軸線方向に引き出され、従って、二重リップシール10がアクセス可能であり;且つ、この二重リップシールが取り出され、このことは、補強要素からのこの二重リップシールの自由性の結果として、何の問題もない。
【0047】
新しい二重リップシール10は、突出部と切欠き部の合致の考慮のもとで装入される。シール担持プレート7と内側の滑りリング8とは、組み付けられた状態に留まる。
【0048】
新しい二重リップシール10が装入された場合、支持リング13が再び押し込まれ、その際、面取り部16は、軽い動きの組み付けを可能にし、且つ、二重リップシール10において如何なる損傷も生じないことを保障する。支持リング13は、二重リップシール10を、安定的に意図された作動位置内において保持し、且つ、半径方向に外方へと作用する力を二重リップシール10に対して加え、従って、この二重リップシールが、高い信頼性でシール担持プレート7に保持される。
【0049】
いまや、外側の滑りリング9は再び押し込まれ、且つ、次いで、更に別の構造部材(圧延リング5、円錐スリーブ18、および、キャップ19)が再び組み付けられる。
【0050】
このための時間必要量は、従来通常である時間のほんの一部分である。何故ならば、特に、シール担持プレート7が、このシール担持プレートに配置された取り付け部材(Anbauten)および装備(Armaturen)と共に取り外される必要がないからである。
【0051】
これに伴って、提案された装置は、記載され簡略化された取り外しおよび組み付け方法の結果として、圧延設備の、従来の方法において達成され得ない生産性の著しい向上を提供する。
【符号の説明】
【0052】
1 圧延装置
2 ハウジング
3 ロール軸
4 軸線方向の端部領域
5 圧延リング
6 シール装置
7 シール担持プレート
8 滑りリング
9 滑りリング
10 二重リップシール
11 シールリップ
12 シールリップ
13 支持リング
14 誤回転防止装置、突出部(円筒体/ピン)
15 誤回転防止装置、切欠き部
16 面取り部
17 遮断水供給部/遮断空気供給部
18 円錐スリーブ
19 キャップ
a 軸線
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)内において支承された2つのロール軸(3)を有する圧延装置(1)であって、
これらロール軸(3)が、有利には、互いに平行に支承されており、
これらロール軸(3)が、それぞれに、前記ロール軸の端部領域(4)において、少なくとも1つの圧延リング(5)を担持しており、
前記ハウジング(2)にまたはこのハウジング内に、シール装置(6)が固定されており、
このシール装置によって、前記ロール軸(3)の軸線方向の前記端部領域(4)が、圧延リング(5)と共に、前記ハウジング(2)の内側に対して密閉され得る、上記圧延装置おいて、
前記シール装置(6)が:
- シール担持プレート(7)を有しており、このシール担持プレートが、前記ハウジング(2)にまたはこのハウジング内に固定されている、または、前記ハウジング(2)の一部であり、
- それぞれの前記ロール軸(3)のために、それぞれに2つの滑りリング(8、9)を有しており、これら滑りリングが、前記ロール軸(3)に配置されており、
- それぞれの前記ロール軸(3)のために、2つのシールリップ(11、12)を備えるそれぞれに1つの二重リップシール(10)を有しており、この二重リップシールが、前記シール担持プレート(7)に配置されており、これらシールリップ(11、12)が、それぞれ1つの滑りリング(8、9)に当接しており、
- それぞれの前記ロール軸(3)のために、それぞれ1つの支持リング(13)を有しており、この支持リングが、前記二重リップシール(10)の、半径方向に内側に位置する領域内において配置されており、且つ、この二重リップシールを半径方向に支持しており、
誤回転防止装置(14、15)が設けられており、この誤回転防止装置によって、前記シール担持プレート(7)に対して相対的な、前記二重リップシール(10)の回転が阻止され、
前記誤回転防止装置(14、15)が、前記シール担持プレート(7)に配置されている少なくとも1つの半径方向の突出部(14)を有しており、この突出部が、前記二重リップシール(10)内における相応する切欠き部(15)内へと係合する、または、
前記誤回転防止装置(14、15)が、前記二重リップシール(10)に配置されている少なくとも1つの半径方向の突出部を有しており、この突出部が、前記シール担持プレート(7)内における相応する切欠き部内へと係合する、
ことを特徴とする圧延装置。
【請求項2】
前記支持リング(13)は、別個の構造部材として形成されている、または、前記二重リップシール(10)内に統合されていることを特徴とする請求項1に記載の圧延装置。
【請求項3】
前記二重リップシール(10)は、補強要素を有していないことを特徴とする請求項1または2に記載の圧延装置。
【請求項4】
前記二重リップシール(10)と、前記支持リング(13)とは、
組み付けられた状態において、半径方向に外方へと指向された力が前記支持リング(13)から二重リップシール(10)に対して加えられるように、互いに許容されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の圧延装置。
【請求項5】
前記突出部(14)と前記切欠き部(15)とは、互いに合同に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の圧延装置。
【請求項6】
前記突出部は、円筒体またはピンとして形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の圧延装置。
【請求項7】
前記支持リング(13)は、少なくとも、軸線方向の1つの端部領域において面取り部(16)を有していることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の圧延装置。
【請求項8】
前記支持リング(13)は、鋼製リングとして形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の圧延装置。
【請求項9】
前記シール担持プレート(7)は、遮断水または遮断空気の供給のための装置を備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の圧延装置。
【請求項10】
前記圧延装置は、ワイヤーまたはロッド圧延スタンドの構成要素であることを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の圧延装置。
【国際調査報告】