(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】配電システム障害制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/24 20060101AFI20231005BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20231005BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20231005BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H02J3/24
H02J3/38 110
H02J3/46
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519308
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2021076705
(87)【国際公開番号】W WO2022064073
(87)【国際公開日】2022-03-31
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チントゥール,メフメト・ヘ
(72)【発明者】
【氏名】イーシェンコ,ドミトリー
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB13
5G064CB19
5G064DA03
5G066AD01
5G066AE09
5G066DA06
5G066HA15
5G066HB03
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
(57)【要約】
方法は、配電網に結合されているグリッドにおける障害を検出することであって、配電網は、配電フィーダと、配電フィーダに結合されている複数の分散型エネルギー資源(DER)と、複数のDERに関連付けられた適用可能性基準点(RPA)とを含む、検出することと、障害を検出したことに応答して、RPAにおける誤差電圧を決定することと、誤差電圧を誤差信号に変換することと、誤差信号を複数のDERにブロードキャストすることと、誤差信号に基づいて、複数のDERから配電フィーダに複数の電流を注入することによってRPAにおける誤差電圧を低減することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電網に結合されているグリッドにおける障害を検出することであって、前記配電網は、配電フィーダと、前記配電フィーダに結合されている複数の分散型エネルギー資源(DER)と、前記複数のDERに関連付けられた適用可能性基準点(RPA)とを含む、検出することと、
前記障害を検出したことに応答して、前記RPAにおける誤差電圧を決定することと、前記誤差電圧を誤差信号に変換することと、前記誤差信号を前記複数のDERにブロードキャストすることと、前記誤差信号に基づいて、前記複数のDERから前記配電フィーダに複数の電流を注入することによって前記RPAにおける前記誤差電圧を低減することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記誤差電圧を前記誤差信号に変換することが、
前記RPAにおいて、前記誤差電圧の正シーケンス成分を前記誤差電圧の負シーケンス成分から分離することと、
前記RPAにおいて、前記正シーケンス成分に基づく第1の成分と、前記正シーケンス成分及び前記負シーケンス成分の両方に基づく第2の成分とを含む前記誤差信号を生成することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の成分が、前記障害中の前記配電網の振幅上昇要件を示す値を含み、
前記第2の成分が、前記障害中の前記配電網の電圧不平衡を示す値を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記RPAにおける前記誤差電圧を低減することが、
前記第1の成分に基づいて、前記複数のDERに対して正シーケンス電流注入制御方式を適用することによって、前記配電網の電圧を上昇させること、及び
前記第2の成分に基づいて、前記複数のDERに負シーケンス電流注入制御方式を適用することによって、前記配電網の不平衡電圧を緩和すること
のうちの少なくとも一方を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記グリッドの前記障害を検出することが、
前記グリッドの3つの相のうちの少なくとも1つの相の不平衡障害を検出することを含み、前記RPAにおける前記誤差電圧を低減することが、動的電圧サポート(DVS)制御方式を前記複数のDERに適用することによって注入される前記複数の電流を決定することを含み、前記DVS制御方式を適用することが、前記複数の電流を前記配電フィーダに注入することによって、前記複数のDERの障害相の電圧を上昇させることと、前記複数のDERの非障害相の不平衡電圧を緩和することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のDERの前記障害相及び前記非障害相が、連続動作モード、強制動作モード、一時停止モード、及びトリップモードを含むモードで動作するように構成され、
前記複数のDERの前記障害相の前記電圧を上昇させることが、強制的に前記障害相が前記一時停止モードを離れて前記強制動作モードに入るようにすることを含み、
前記複数のDERの前記非障害相の前記不平衡電圧を緩和することが、強制的に前記非障害相が前記強制動作モードを離れて前記連続動作モードに入るようにすることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のDERの前記障害相の前記電圧を上昇させ、前記複数のDERの前記非障害相の前記不平衡電圧を緩和することにより、前記複数のDERの前記障害相及び前記非障害相が前記トリップモードに入るのを防ぐことを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記RPAにおける前記誤差電圧を低減することが、
前記誤差信号に基づいて、前記配電網に電流を注入するように前記複数のDERを協調させることであって、前記複数のDERを協調させることが、前記複数のDERのうちの1つのDERの電流変動を前記複数のDERのうちの残りのDERの電流変動と整合させることを含む、協調させること、
前記誤差信号に基づいて、前記配電網に電流を注入するように前記複数のDERを協調させることであって、前記複数のDERを協調させることが、前記複数のDERのうちの1つのDERの電圧を前記複数のDERのうちの残りのDERの電圧と整合させること、及び
前記複数のDERに分散目標追跡制御方式を適用することであって、前記分散目標追跡制御方式を適用することが、前記複数のDER間の通信が前記複数のDERの各々によって注入される電流を協調させるようにすることによって、前記分散目標追跡制御方式の下で注入される前記複数の電流を決定すること
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記誤差信号を前記複数のDERにブロードキャストすることが、
前記誤差信号を前記複数のDERのうちの第1のDERにブロードキャストすることであって、前記第1のDERが前記RPAに直接的に結合されている、ブロードキャストすることと、前記誤差信号を前記複数のDERのうちの前記第1のDERから第2のDERに転送することであって、前記第2のDERが前記RPAに間接的に結合されている、転送することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
グリッドに結合されており、配電フィーダ、前記配電フィーダに結合されている複数の分散型エネルギー資源(DER)及び適用可能性基準点(RPA)を備える、配電網と、
前記RPAに結合されており、プログラムによって、前記グリッドの障害を検出し、
前記障害の検出に応答して、前記RPAにおける誤差電圧を決定し、前記誤差電圧を誤差信号に変換するように構成されているRPAコントローラと、
前記RPAコントローラに結合されており、前記誤差信号を前記複数のDERにブロードキャストするように構成されている第1の通信デバイスと、
前記複数のDERのそれぞれのDERに結合されており、前記誤差信号に基づいて、前記配電フィーダに複数の電流を注入することによって前記RPAにおける前記誤差電圧を低減するようにそれぞれの前記DERを制御するように、プログラミングによって構成されている複数のDERコントローラと
を備える、システム。
【請求項11】
前記RPAコントローラが、前記プログラムによって、前記誤差電圧の正シーケンス成分を前記誤差電圧の負シーケンス成分から分離し、前記正シーケンス成分に基づく第1の成分と、前記正シーケンス成分及び前記負シーケンス成分の両方に基づく第2の成分とを含む誤差信号を生成するように構成されており、
前記第1の成分が、前記障害中の前記配電網の振幅上昇要件を示す値を含み、
前記第2の成分が、前記障害中の前記配電網の電圧不平衡を示す値を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の成分に基づいて、前記複数のDERコントローラが、前記プログラミングによって、前記複数のDERに対して正シーケンス電流注入制御方式を適用することによって、前記配電網の電圧を上昇させるように構成され、
前記第2の成分に基づいて、前記複数のDERコントローラが、前記プログラミングによって、前記複数のDERに負シーケンス電流注入制御方式を適用することによって、前記配電網の不平衡電圧を緩和するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数のDERコントローラが、前記プログラミングによって、前記複数のDERの障害相の電圧を上昇させ、前記複数のDERの非障害相の不平衡電圧を緩和するように前記複数のDERを制御するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記RPAにおける前記誤差電圧を低減することが、
前記複数のDERコントローラが、前記プログラミングによって、前記複数のDERのうちの1つのDERの電流変動を前記複数のDERのうちの残りのDERの電流変動と整合させることを通じて、前記配電網に電流を注入するように前記複数のDERを協調させるように構成されること、及び
前記複数のDERコントローラが、前記プログラミングによって、前記複数のDERのうちの1つのDERの電圧を前記複数のDERのうちの残りのDERの電圧と整合させることを通じて、前記配電網に電流を注入するように前記複数のDERを協調させるように構成されること
のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数のDERのうちの第1のDERに結合されている第2の通信デバイスであって、前記第1のDERが前記RPAに直接的に結合されている、第2の通信デバイスと、
前記複数のDERのうちの第2のDERに結合されている第3の通信デバイスであって、前記第2のDERが前記RPAに間接的に結合されている、第3の通信デバイスと
を更に備え、
前記第2の通信デバイスが、前記第1の通信デバイスによってブロードキャストされる前記誤差信号を受信し、前記誤差信号を前記第3の通信デバイスに転送するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
複数のインバータを更に含み、前記複数のインバータのうちの1つが、前記複数のDERの各々と前記配電フィーダとの間に結合されており、前記誤差信号に基づいて、前記複数のインバータが、前記配電フィーダに注入される前記複数の電流を生成するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
適用可能性基準点(RPA)コントローラであって、
配電フィーダ、前記配電フィーダに結合されている複数の分散型エネルギー資源(DER)、及びRPAを備える配電網に結合されている制御装置を備え、前記制御装置が、前記RPAに直接的に結合されており、前記制御装置が、
命令を含むプログラムを記憶するメモリと、
前記メモリに結合されており、前記プログラムを実行するように構成されているプロセッサと、
前記プロセッサに結合されている第1の通信デバイスと
を備え、
前記命令が、実行されると、前記プロセッサに、前記配電網に結合されているグリッドにおける障害を検出させ、前記障害の検出に応答して、前記RPAにおける誤差電圧を決定させ、前記誤差電圧を誤差信号に変換させ、前記誤差信号を前記第1の通信デバイスに送信させ、前記第1の通信デバイスが、前記誤差信号を前記複数のDERにブロードキャストするように構成されている、適用可能性基準点(RPA)コントローラ。
【請求項18】
前記複数のDERのうちの第1のDERが、第2の通信デバイスに結合されており、前記第1のDERが、前記RPAに直接的に結合されており、
前記複数のDERのうちの第2のDERが、第3の通信デバイスに結合されており、前記第2のDERが、前記RPAに間接的に結合されており、前記第2の通信デバイスが、前記第1の通信デバイスによってブロードキャストされる前記誤差信号を受信し、前記誤差信号を前記第3の通信デバイスに転送するように構成されており、
前記複数のDERが、複数のDERコントローラに結合されており、前記誤差信号に基づいて、前記複数のDERコントローラが、プログラミングによって、複数の電流を前記配電フィーダに注入することによって前記RPAにおける前記誤差電圧を低減するようにそれぞれのDERを制御するように構成されている、請求項17に記載のRPAコントローラ。
【請求項19】
前記プロセッサが、前記プログラムによって、前記誤差電圧の正シーケンス成分を前記誤差電圧の負シーケンス成分から分離し、前記正シーケンス成分に基づく第1の成分と、前記正シーケンス成分及び前記負シーケンス成分の両方に基づく第2の成分とを含む誤差信号を生成するように構成されており、
前記第1の成分が、前記障害中の前記配電網の振幅上昇要件を示す値を含み、
前記第2の成分が、前記障害中の前記配電網の電圧不平衡を示す値を含む、請求項17に記載のRPAコントローラ。
【請求項20】
配電フィーダ、前記配電フィーダに結合されている複数の分散型エネルギー資源(DER)、及び適用可能性基準点(RPA)を備える配電網に結合されている複数のDERコントローラを備え、前記複数のDERコントローラの各々が、前記複数のDERの対応するDERに結合されており、前記複数のDERコントローラの各々が、
命令を含むプログラムを記憶するメモリと、
前記メモリに結合されており、前記プログラムを実行するように構成されているプロセッサと、
前記プロセッサに結合されている通信デバイスと
を備え、
前記命令が、前記複数のDERコントローラの各々において実行されると、前記複数のDERコントローラに、前記RPAに直接的に結合されているRPAコントローラから誤差信号を受信させ、前記複数のDERに制御信号を送信させ、前記制御信号のうちの1つが、前記複数のDERのうちの1つに送信され、前記複数のDERによって受信される前記制御信号が、前記複数のDERから前記配電フィーダに複数の電流を注入することによって、前記RPAにおける誤差電圧を低減するように構成されている、分散型エネルギー資源(DER)制御システム。
【請求項21】
前記誤差電圧が、正シーケンス成分及び負シーケンス成分を含み、前記誤差信号が、前記正シーケンス成分に基づく第1の成分と、前記正シーケンス成分及び前記負シーケンス成分の両方に基づく第2の成分とを含み、
前記第1の成分が、前記配電網に結合されているグリッド内の障害中の前記配電網の振幅上昇要件を示す値を含み、
前記第2の成分が、前記障害中の前記配電網の電圧不平衡を示す値を含む、請求項20に記載のDER制御システム。
【請求項22】
前記RPAにおける前記誤差電圧を低減することが、
前記第1の成分に基づいて、前記複数のDERコントローラが、前記複数のDERコントローラの各々において前記命令を実行することによって、前記複数のDERに対して正シーケンス電流注入制御方式を適用することによって、前記配電網の電圧を上昇させるように構成されること、及び
前記第2の成分に基づいて、前記複数のDERコントローラが、前記複数のDERコントローラの各々において前記命令を実行することによって、前記複数のDERに負シーケンス電流注入制御方式を適用することによって、前記配電網の不平衡電圧を緩和すること
のうちの少なくとも一方を含む、請求項21に記載のDER制御システム。
【請求項23】
前記RPAにおける前記誤差電圧を低減することが、
前記複数のDERコントローラが、前記複数のDERコントローラの各々において前記命令を実行することによって、前記複数のDERのうちの1つのDERの電流変動を前記複数のDERのうちの残りのDERの電流変動と整合させることを通じて、前記配電網に電流を注入するように前記複数のDERを協調させるように構成されること、及び
前記複数のDERコントローラが、前記複数のDERコントローラの各々において前記命令を実行することによって、前記複数のDERのうちの1つのDERの電圧を前記複数のDERのうちの残りのDERの電圧と整合させることを通じて、前記配電網に電流を注入するように前記複数のDERを協調させるように構成されること
のうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載のDER制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー省によって授与された契約番号DE-OE0000896の下で米国政府の支援を受けてなされた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【0002】
技術分野
本発明は、一般に、配電システムにおける分散型エネルギー資源を制御する障害制御装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
電力グリッドは、石炭火力、ガス及び原子力パワープラントなどの従来の発電所と、分散型エネルギー資源(DER)とを備える。従来の発電所は集中型であり、電気エネルギーを長距離にわたって伝送する必要がある。DERは、エネルギーが消費される負荷の中又はその近くに位置する小型でモジュール式の非集中型グリッド接続エネルギーシステムである。DER及び負荷は、電力グリッドに結合されている分散電力網を形成する。
【0004】
動作中、電力グリッドに障害が発生する可能性がある。グリッド障害は、配電網の電圧を低下させ、DERの感応性トリップをもたらす可能性がある。トリップされたDERは、広い地理的領域にわたってエネルギー供給の大規模な損失を引き起こす。短期間での予期しないエネルギー供給損失は、電力グリッドの送電線の過負荷及び障害に起因する電圧回復遅延(FIDVR)などのより複雑な結果をもたらす可能性がある。FIDVRは、障害の正常な解消に後続する電圧のその公称値への回復における予期しない遅延を指す。障害が解消された後、配電網の電圧は数秒間にわたって著しく低下したレベルのままであり、その後低速に許容可能レベルに戻る。このようなグリッド信頼性の懸念を克服するために、フォルトライドスルー機能を実装するためにDERが必要とされる。
【0005】
フォルトライドスルーは、障害中にDERが接続されたままであることができるように、DERがトリップモードに入るのを防ぐことを目的とした1つの要件である。DERはまた、動的電圧サポート(DVS)に関与する必要がある。現在、DERの電力変換器の柔軟な制御における最近の前例のない進歩により、高度なDVS機能が可能である。しかしながら、協調的にこの柔軟性を利用するための効率的な方法は、依然としてオープンな研究領域である。したがって、刻々と変化する電力システムの要件を満たすように、配電網におけるDVS制御を改善する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
一実施形態によれば、方法は、配電網に結合されているグリッドにおける障害を検出することであって、配電網は、配電フィーダと、配電フィーダに結合されている複数の分散型エネルギー資源(DER)と、複数のDERに関連付けられた適用可能性基準点(RPA)とを含む、検出することと、障害を検出したことに応答して、RPAにおける誤差電圧を決定することと、誤差電圧を誤差信号に変換することと、誤差信号を複数のDERにブロードキャストすることと、誤差信号に基づいて、複数のDERから配電フィーダに複数の電流を注入することによってRPAにおける誤差電圧を低減することとを含む。
【0007】
別の実施形態によれば、システムは、グリッドに結合されており、配電フィーダ、配電フィーダに結合されている複数の分散型エネルギー資源(DER)及び適用可能性基準点(RPA)を備える、配電網と、RPAに結合されており、プログラムによって、グリッドの障害を検出し、障害の検出に応答して、RPAにおける誤差電圧を決定し、誤差電圧を誤差信号に変換するように構成されているRPAコントローラと、RPAコントローラに結合されており、誤差信号を複数のDERにブロードキャストするように構成されている第1の通信デバイスと、複数のDERのそれぞれのDERに結合されており、誤差信号に基づいて、配電フィーダに複数の電流を注入することによってRPAにおける誤差電圧を低減するようにそれぞれの前記DERを制御するように、プログラミングによって構成されている複数のDERコントローラとを備える。
【0008】
更に別の実施形態によれば、適用可能性基準点(RPA)コントローラは、配電フィーダ、配電フィーダに結合されている複数の分散型エネルギー資源(DER)、及びRPAを備える配電網に結合されている制御装置を備え、制御装置はRPAに直接的に結合されており、制御装置は、命令を含むプログラムを記憶するメモリと、メモリに結合されており、プログラムを実行するように構成されているプロセッサと、プロセッサに結合されている第1の通信デバイスとを備え、命令は、実行されると、プロセッサに、配電網に結合されているグリッドにおける障害を検出させ、障害の検出に応答して、RPAにおける誤差電圧を決定させ、誤差電圧を誤差信号に変換させ、誤差信号を第1の通信デバイスに送信させ、第1の通信デバイスは、誤差信号を複数のDERにブロードキャストするように構成されている。
【0009】
更に別の実施形態によれば、分散型エネルギー資源(DER)制御システムは、配電フィーダ、配電フィーダに結合されている複数の分散型エネルギー資源(DER)、及び適用可能性基準点(RPA)を備える配電網に結合されている複数のDERコントローラを備え、複数のDERコントローラの各々は、複数のDERの対応するDERに結合されており、複数のDERコントローラの各々は、命令を含むプログラムを記憶するメモリと、メモリに結合されており、プログラムを実行するように構成されているプロセッサと、プロセッサに結合されている通信デバイスとを備え、命令は、複数のDERコントローラの各々において実行されると、複数のDERコントローラに、RPAに直接的に結合されているRPAコントローラから誤差信号を受信させ、複数のDERに制御信号を送信させ、制御信号のうちの1つは、複数のDERのうちの1つに送信され、複数のDERによって受信される制御信号は、複数のDERから配電フィーダに複数の電流を注入することによって、RPAにおける誤差電圧を低減するように構成されている。
【0010】
上記は、以下の本開示の詳細な説明がよりよく理解され得るように、本開示の特徴及び技術的利点をかなり広く概説した。本開示の特許請求の範囲の主題を形成する本開示のさらなる特徴及び利点を以下に説明する。開示された概念及び特定の実施形態は、本開示の同じ目的を実行するための他の構造又はプロセスを修正又は設計するための基礎として容易に利用され得ることが当業者によって理解されるべきである。また、当業者であれば、そのような均等な構造は、添付の特許請求の範囲に記載された本開示の思想及び範囲から逸脱しないことを理解されたい。
【0011】
図面の簡単な説明
ここで、本開示及びその利点のより完全な理解のために、以下の説明を添付の図面と併せて参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の様々な実施形態による、配電網のブロック図である。
【
図2】不平衡障害の下で、本開示の様々な実施形態による配電網のDERが様々な動作モードで動作するように構成されていることを示す図である。
【
図3】本開示の様々な実施形態による、
図1に示すDER及び配電フィーダの単純化されたモデルを示す図である。
【
図4】本開示の様々な実施形態による、非干渉二重同期基準座標系PLL(DDSRF-PLL)制御方式を実装する制御システムを示す図である。
【
図5】本開示の様々な実施形態による、
図1に示すRPAコントローラのブロック図である。
【
図6】本開示の様々な実施形態による、
図1に示すDERコントローラのブロック図である。
【
図7】本開示の様々な実施形態による、分散協調動的電圧サポート制御方式を実装する制御システムを示す図である。
【
図8】本開示の様々な実施形態による、
図1に示す配電網を制御するための方法のフローチャートである。
【
図9】本開示の様々な実施形態によるシステムのブロック図である。
【
図10】本開示の様々な実施形態によるRPAコントローラのブロック図である。
【
図11】本開示の様々な実施形態によるDER制御システムのブロック図である。
【
図12】本開示の様々な実施形態による処理システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
異なる図における対応する数及び記号は、別途指示しない限り、一般に対応する部分を指す。図は、様々な実施形態の関連する態様を明確に示すために描かれており、必ずしも原寸に比例して描かれていない。
【0014】
例示的な実施形態の詳細な説明
現在好ましい実施形態の作成及び使用を下記に詳細に説明する。しかしながら、本開示は、多種多様な特定の状況で具体化することができる多くの適用可能な発明概念を提供することを理解されたい。説明される特定の実施形態は、本開示を作成及び使用するための特定の方法の単なる例示であり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0015】
本開示は、特定のコンテキストにおける好ましい実施形態、すなわち、配電システム内の分散型エネルギー資源を制御するための障害制御装置及び方法に関して説明される。しかしながら、本開示は、様々な電力システムに適用することもできる。以下において、添付図面を参照して、様々な実施形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は、本開示の様々な実施形態による、配電網のブロック図を示す。配電網100は、電力グリッド110に接続されている。配電網100は、配電フィーダ125を備える。配電フィーダ125は、グリッドインターフェース105を通じてグリッド110に結合されている配電バスである。配電網100は、複数の分散型エネルギー資源(DER)122、124及び126を更に備える。いくつかの実施形態では、DER122、124及び126は、光起電力パネル、電池エネルギー貯蔵システム、他の適切な再生可能エネルギー源、及びそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0017】
DER122、124及び126は、配電フィーダ125に結合されている。
図1に示すように、各DERは、接続点(POC)を通じて配電フィーダ125に接続されている。
図1に示すように、DER122は、POC152を通じて配電フィーダ125に接続されている。DER124は、POC154を通じて配電フィーダ125に接続されている。DER126は、POC156を通じて配電フィーダ125に接続されている。DERの詳細な構造及び動作原理は、
図3に関して下記に説明される。各DERは、DERコントローラを装備している。
図1に示すように、DERコントローラ132がDER122に結合されている。DER124には、DERコントローラ134が接続されている。DER126には、DERコントローラ136が接続されている。DERコントローラの詳細な構造及び動作原理は、
図6に関して下記に説明される。
【0018】
配電網100は、適用可能性基準点(RPA)107と、RPA107に結合されているRPAコントローラ120とを更に備える。適用可能性基準点(RPA)は、IEEE1547において、DER回路の特性、特に集約DER容量及びインポート/エクスポートによって定義される。これは、DER端子にあってもよく、又は、いくつかのDERが電力グリッドに接続する点にあってもよい。
図1に関して、RPA157は、DER(122、124、...126)のいずれかと電力グリッド(110)との間の接続点である。RPA107は、グリッドインターフェース105に隣接していてもよい。RPAコントローラ120は、電力グリッド110の障害を検出するように構成される。障害の検出に応答して、RPAコントローラ120は、RPA107における誤差電圧を決定し、誤差電圧を誤差信号に変換するように構成される。RPAコントローラ120の詳細な構造及び動作原理は、
図5に関して下記に説明される。
【0019】
配電網100は、配電フィーダ125に結合されている複数の負荷142、144及び146を更に備える。いくつかの実施形態では、負荷142、144及び146は、住宅負荷、回転負荷(例えば、誘導モータ)、及びそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0020】
動作中、不平衡障害などの障害が電力グリッド110に発生する可能性がある。RPAコントローラ120は、RPAにおける誤差電圧を決定し、誤差電圧を誤差信号に変換するように構成される。RPAにおいて、PRAコントローラ120は更に、誤差電圧の正シーケンス成分を誤差電圧の負シーケンス成分から分離し、正シーケンス成分に基づく第1の成分と、正シーケンス成分及び負シーケンス成分の両方に基づく第2の成分とを含む誤差信号を生成する。誤差信号の第1の成分は、障害中の配電網100の振幅ブースト要件を示す値を含む。誤差信号の第2の成分は、障害中の配電網100の電圧不平衡を示す値を含む。本発明のコンテキストにおいて、第1の成分は正電圧シーケンス誤差であってもよく、第2の成分は負電圧シーケンス誤差であってもよい。
【0021】
RPAコントローラ120は、誤差信号を複数のDERにブロードキャストする。特に、RPAコントローラ120は、適切な通信リンクを通じてRPAに直接的に結合されているDERに誤差信号をブロードキャストする。RPAに直接的に結合されているDERは、RPAに間接的に結合されているDERに誤差信号を転送する。
【0022】
配電網100において、誤差信号の第1の成分に基づいて、複数のDERに対して正シーケンス電流注入制御方式を適用することによって、配電網の電圧が上昇する。誤差信号の第2の成分に基づいて、複数のDERに負シーケンス電流注入制御方式を適用することによって、配電網の不平衡電圧を緩和することができる。
【0023】
障害は、グリッドの3相のうちの少なくとも1相で発生する不平衡障害である。障害が発生する相が、障害相である。障害が発生していない相は、非障害相である。RPAにおける誤差電圧を低減するために、動的電圧サポート(DVS)制御方式が複数のDERに適用される。DVS制御方式を適用することは、複数の電流を配電フィーダに注入することによって、複数のDERの障害相の電圧を上昇させることと、複数のDERの非障害相の不平衡電圧を緩和することとを含む。
【0024】
配電網において、複数のDERに対して分散目標追跡制御方式が適用される。分散目標追跡制御方式を適用することは、DER間の通信が、複数のDERの各々によって注入される電流を協調させるようにすることによって、分散目標追跡制御方式の下で注入される複数の電流を決定することを含む。誤差信号に基づいて、複数のDERが、配電網に電流を注入するように協調させられる。これは、例えば、複数のDERのうちの1つのDERの電流変動を、複数のDERのうちの残りのDERの電流変動と整合させることを含め、複数のDERを協調させることによって、速度マッチングアルゴリズムによって達成され得る。これは、群集中化アルゴリズムによって、例えば、複数のDERのうちの1つのDERの電圧を複数のDERのうちの残りのDERの電圧と整合させることを含め、複数のDERを協調させることによって、更に達成され得る。
【0025】
図2は、不平衡障害の下で、本開示の様々な実施形態による配電網のDERが様々な動作モードで動作するように構成されていることを示す。第1の動作チャート202は、従来の制御方式の下で、ライドスルー中の障害に応答して、配電網のDERが4つの異なるモードで動作することを示す。第2の動作チャート204は、本開示の制御方式の下で、ライドスルー中の障害に応答して、配電網のDERが4つの異なるモードで動作することを示す。第3の動作チャート203は、従来の制御方式の下でのDERの相電圧応答と、本開示の制御方式の下でのDERの相電圧応答との間の比較を示す。
【0026】
第1の動作チャート202、第2の動作チャート204及び第3の動作チャート203の水平軸は時間間隔を表す。単位は秒である。第1の動作チャート202、第2の動作チャート204及び第3の動作チャート203の垂直軸はDERの電圧を表す。電圧は単位系で表される。単位系は、規定の基本単位量の分数としてのシステム量の表現である。電圧の基本値は、DERと配電フィーダとの間に結合されているインバータの定格電圧である。DERの電圧は、代替的に、印加可能電圧を指してもよい。
【0027】
第1の動作チャート202及び第2の動作チャート204に示すように、DERは、ライドスルー中の異常電圧状態(例えば、グリッドに障害が発生した後の電圧摂動)に応じて、異なる4つのモードで動作することが可能であるように設計されている。各DERは、4つの動作モード、すなわち、連続動作モード、強制動作モード、一時停止モード、及びトリップモードのうちの1つにあることができる。トリップモードは、代替的に、トリップ警告モードとして参照される場合がある。
【0028】
連続動作モードでは、DERは動作したままであり、少なくともその外乱前レベルと同じ大きさの利用可能な有効電力を送達し続ける。送達される電力は、その電圧が公称未満である場合、リース相電圧の単位当たり電圧によって比例配分され得る。言い換えれば、印加可能電圧が指定された制限(
図2に示すように0.9~1.1)内にある間、DERは正常な挙動をしている。
【0029】
強制動作モードでは、規定された大きさ及び持続時間の制限内で、DERは、電圧摂動が終わるまで耐え、グリッドを支持するように構成される。
図2に示すように、印加可能電圧が0.5~0.9であるとき、20秒の持続時間制限内で、DERは強制動作モードで動作するように構成される。DERは、印加可能電圧が連続動作モードの電圧範囲に戻ると、直ちに正常に戻ることができる。他方、DERは、持続時間制限(20秒)が満了した後に強制動作モードを離れ、トリップモードに入ることができる。
【0030】
一時停止モードでは、DERは、配電網への通電を一時的に停止する。DERは、印加可能電圧が連続動作モードの電圧範囲に戻ると、直ちに正常に戻ることができる。一方、DERは、持続時間制限が満了した後にトリップモードに入ることができる。
図2に示すように、印加可能電圧が1.2~1.3である場合、持続時間制限は0.1秒である。同様に、印加可能電圧が1.1~1.2である場合、持続時間制限は20秒である。印加可能電圧が0~0.5である場合、持続時間制限は1秒である。
【0031】
トリップ動作モードでは、DERは配電網への通電を停止する。代替的に、DERは、配電網から接続切断されてもよい。
【0032】
動作時、不平衡障害が、グリッドの3相のうちの少なくとも1相で発生する。例えば、グリッドの相Aにおいて障害が発生する。この障害を有する結果として、相Aは障害相になる。他の2つの相(相B及び相C)は非障害相である。第1の動作チャート202は、従来の制御方式の下で、DERの位相が過電圧を導入し得ることを示す。障害に応答して、DERの3相の電圧は、配電網に電流を注入することを通じて上昇する。障害相(相A)の電圧は、約0.8から約0.95に増大する。一方の非障害相(相B)の電圧は、約0.95から約1.05に増大される。他の非障害相(相C)の電圧は、約0.95から約1.15に増大する。相Cは過電圧を導入し、一時停止モードに入る。
【0033】
第2の動作チャート204は、本開示の制御方式の下で、DERの三相が、強制動作モード又は連続動作モードのいずれかに留まることを示している。不平衡障害に応答して、動的電圧サポート(DVS)制御方式が複数のDERに適用される。複数のDERは、RPAにおける誤差電圧を低減するために、複数の電流を配電フィーダに注入する。より詳細には、複数の電流を配電フィーダに注入することによって、複数のDERの障害相の電圧が上昇し、複数のDERの非障害相の不平衡電圧を緩和することができる。障害相の電圧を上昇させ、非障害相の不平衡電圧を緩和することは、式(11)~(13)に関して下記に更に論じられる。
【0034】
図2に示すように、複数のDERの障害相と非障害相の両方が、第2の動作チャート204に示すように、連続動作モード、強制動作モード、一時停止モード、及びトリップモードを含むモードで動作するように構成される。破線206によって示すように、複数のDERの障害相の電圧を上昇させることは、障害相を強制的に一時停止モードから離れさせて強制動作モードに入らせることを含む。破線208によって示すように、複数のDERの非障害相の不平衡電圧を緩和することは、非障害相を強制的に強制動作モードから離れさせて連続動作モードに入らせることを含む。複数のDERの障害相の電圧を上昇させ、複数のDERの非障害相の不平衡電圧を緩和することにより、本開示の制御方式は、複数のDERの障害相及び非障害相がトリップモードに入るのを防ぐことができる。
【0035】
第2の動作チャート204に示すように、本開示の制御方式の1つの潜在的に有利な特徴は、複数のDERの非障害相の不平衡電圧を緩和することであり、非障害相に過電圧を導入する可能性を低減するのに役立ち、それによってオーバーシュートのリスクを低減する。
【0036】
第3の動作チャート203は、6本の電圧曲線を示す。第1の曲線231は、障害が発生し、DERが従来の制御方式の下で制御された後の障害相(例えば、相A)の電圧応答を表す。第2の曲線232は、障害が発生し、DERが従来の制御方式の下で制御された後の非障害相(例えば、相B)の電圧応答を表す。第3の曲線233は、障害が発生し、DERが従来の制御方式の下で制御された後の別の非障害相(例えば、相C)の電圧応答を表す。第4の曲線234は、障害が発生し、DERが本開示の制御方式の下で制御された後の障害相(例えば、相A)の電圧応答を表す。第5の曲線235は、障害が発生し、DERが本開示の制御方式の下で制御された後の非障害相(例えば、相B)の電圧応答を表す。第6の曲線236は、障害が発生し、DERが本開示の制御方式の下で制御された後の別の非障害相(例えば、相C)の電圧応答を表す。
図2に示すように、従来の制御方式の下では、1つの非障害相(例えば、相C)の電圧は最大1.1まで増大する。第1の動作チャート202に示すように、相Cは連続動作モードを離れ、強制停止モードに入る。対照的に、本開示の制御方式の下では、非障害相(例えば、相C及び相B)の電圧は1.1未満である。更に、第4の曲線234及び第1の曲線231は、本開示の制御方式の下での障害相の回復速度が従来の制御方式の下での回復速度よりも速いことを示す。
【0037】
図3は、本開示の様々な実施形態による、
図1に示すDER及び配電フィーダの単純化されたモデルを示す。DER122は、電力源302と、出力キャパシタCdcと、グリッド接続電圧源コンバータ(VSC)と、LCLフィルタとを備える。電力源302は、PVパネルとして実装されてもよい。グリッド接続VSCは、インバータとして実装されてもよい。LCLフィルタは、第1のインダクタLcfと、キャパシタCfと、第2のインダクタLgfとを備える。DER122は、POCにおいて配電網に接続されている。配電フィーダは、直列抵抗R
L及び直列インピーダンスZ
Lとしてモデル化されている。POCと配電フィーダとの間には、Y-Δ変圧器が配置されている。POC電圧センサが、POCの電圧(V
POC)を検出するために利用される。電流センサが、配電フィーダを流れる電流(i
g)を検出するために利用される。グリッド電圧センサが、研削の電圧(V
grid)を検出するために利用される。
【0038】
動作中、グリッドに不平衡障害が発生すると、正、負、及びゼロのシーケンス成分が優勢になる。障害タイプに応じて、結果として生じる電圧の大きさが異なり得る。例えば、2L-G障害中、非障害相に大きな電圧効果は観察されない。障害相をサポートする意図で正シーケンスのみによって電圧サポートが有効にされる場合、非障害相の大きさの大きさは所定のしきい値を超える。そのような結果を回避するために、電圧サポートは、正及び負のシーケンスのサポートを同時に組み込むことができる。
【0039】
図3において、POC(V
POC)とグリッド電圧(V
G)との間の数学的関係は以下の通りである。
【0040】
【0041】
式(1)において、Rは配電フィーダの等価抵抗である。Lは配電フィーダの等価インダクタンスである。
【0042】
この電力変換器(例えば、VSC304)は、正(I+)及び負(I-)の両方のシーケンスの電流を注入することができる。対称成分の大きさを使用することにより、正及び負のシーケンスの情報を以下のように表すことができる。
【0043】
【0044】
式(2.1)及び(2.2)は、配電網のインピーダンスに基づいて書き換えることができる。ネットワークインピーダンスが高誘導性である場合、方程式の抵抗部分は無視することができる。式(2.1)及び(2.2)は、以下のように書き換えることができる。
【0045】
【0046】
式(3.1)及び(3.2)は、正シーケンス無効電流を誘導インピーダンスが支配的なグリッドに注入することによって正シーケンス電圧を上昇させることができることを示唆している。他方、負シーケンス無効電流を注入することは、電圧不平衡を緩和するのに役立ち得る。式(3.1)及び(3.2)は、グリッド電圧サポートが2つの方法で実現され得ることを示す。不平衡障害下で正シーケンス無効電力のみが注入される場合、POC電圧はグリッド電圧と比較して各相において等しく上昇する。POCにおける不平衡電圧は、負シーケンス無効電力を注入することによって補償することができる。
【0047】
不平衡緩和は、障害相と非障害相との間の電圧振幅ギャップを低減することによって達成することができる。不平衡電圧を緩和する結果として、非障害相は電圧オーバーシュートを回避することができる。
【0048】
グリッドインピーダンスがより抵抗性であるため、低電圧グリッドについて式(2.1)及び(2.2)を書き換えることもできる。誘導要素を無視することによって、式を書き換えることができる。式(2.1)及び(2.2)は、以下のように書き換えることができる。
【0049】
【0050】
式(4.1)及び(4.2)は、正シーケンス有効電力を注入することにより、POCにおける正シーケンス電圧を上昇させることができ、一方で、負シーケンス有効電力の量を低減することが、抵抗回路網のPOC電圧不平衡を緩和するのに役立つことを示唆している。
【0051】
不平衡条件中に電力変換器(例えば、VSC304)を制御するために、式(1)を二重同期基準座標系(DSRF)において表すことができる。静止基準座標系(αβ)において、式(1)は以下のように表現することができる。
【0052】
【0053】
不平衡障害中、静止基準座標系(αβ)内の電圧変数(V)は、(dq)座標系内の正シーケンス成分及び負シーケンス成分に分解することができる。
【0054】
【0055】
式(6)において、Vαβは、Vのabc自然量から以下のように算出される。
【0056】
【0057】
(dq)座標系内の分解シーケンスモデルは、(6)を(5)に代入することによって取得することができる。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
非干渉二重同期基準座標系PLL(DDSRF-PLL)制御方式が、正シーケンス成分及び負シーケンス成分を独立して制御するために使用される。DDSRF-PLLは当該技術分野において知られているため、詳細には論じない。DDSRF-PLL制御方式が適用された後、電力変換器(例えば、VSC304)の制御方程式は、以下のように表現することができる。
【0062】
【0063】
上記の制御式は、電力変換器を制御するために使用される。制御式は、DERコントローラに実装されてもよい。上記の制御式の詳細な実施態様は、
図4に関して下記に説明される。
【0064】
グリッドに障害が発生した後、ライドスルー要件は、2次元不平衡電圧回復方式を含む。この2次元不平衡電圧回復方式の第1の態様は、電圧振幅上昇のための正シーケンス電流注入を協調させることである。この2次元不平衡電圧回復方式の第2の態様は、電圧不平衡緩和のための負シーケンス電流注入を協調させることである。RPAにおける要件は、誤差信号を通じて配電網にブロードキャストされる。電力変換器(例えば、VSC304)の各々は、この誤差信号を解釈し、他のDERと協働し、時間フレームにわたって局所的に増分電流注入を生成することができる。RPAにおける電圧変化は、以下のように表現することができる。
【0065】
【0066】
【0067】
RPAによってブロードキャストされる誤差信号は、第1の成分及び第2の成分を含む。第1の成分は、障害中の配電網の振幅ブースト要件を示す値を含む。第2の成分は、障害中の配電網の電圧不平衡を示す値を含む。第1の成分は、以下のように表現することができる。
【0068】
【0069】
RPAにおいて、RPA電圧(VRPA)の正シーケンス成分(VRPA
+)は、RPA電圧の負シーケンス成分(VRPA
-)から分離される。式(12)は、誤差信号の第1の成分がRPA電圧の正シーケンス成分に基づくことを示している。
【0070】
誤差信号の第2の成分は、以下のように表現することができる。
【0071】
【0072】
式(13)は、誤差信号の第2の成分がRPA電圧の正シーケンス成分と負シーケンス成分の両方に基づくことを示している。
【0073】
RPAは、式(12)及び式(13)に示す誤差信号を配電網のDERにブロードキャストする。ブロードキャストされた誤差信号は、DERによって、それぞれの電力変換器を制御するための電流基準を生成するために使用される。
【0074】
図4は、本開示の様々な実施形態による、非干渉二重同期基準座標系PLL制御方式を実装する制御システムを示す図である。式(10.1)、(10.2)、(10.3)、及び(10.4)に示す制御式は、各DERコントローラに実装されている。単純化のために、DERコントローラの関連部分のみが
図4に示されている。DERコントローラは、RPAによってブロードキャストされた誤差信号を受信し、誤差信号に基づいて電流基準を生成するように構成される。DERコントローラはまた、動作パラメータも受信する(例えば、DERコントローラに結合されているインバータの電流及び電圧)。DDSRF-PLL制御方式は、電流基準及び検出された動作パラメータを処理し、インバータの電流注入を制御するための制御信号を生成するために利用される。
【0075】
図4に示すDERコントローラは、変圧部168を含む。変圧部168において、三相測定電圧が、当該技術分野において理解されるように、V
POCの三相信号(線abc)をdq同期基準座標系内のそれらの対応する信号に変換する第1の変換ブロック160に提供される。
【0076】
dq電圧信号はDDSRF-PLLシーケンス抽出ブロック162に供給され、そこで正シーケンスdq電圧Vdq
+及び負dq電圧Vdq
-が計算される。正シーケンスdq電圧Vdq
+は、正シーケンス直流電圧成分Vd
+及び正シーケンス直交電圧成分Vq
+を含む。負シーケンスdq電圧Vdq
-は、負シーケンス直流電圧成分Vd
-及び負シーケンス直交電圧成分Vq
-を含む。更に、DDSRF-PLLシーケンス抽出ブロック162は、φ+及びφ-信号を生成するように構成される。φ+及びφ-信号は、それぞれ電圧VPOCの正シーケンス及び負シーケンスの位相角を表す。
【0077】
インバータの測定電流(if)は、第2の変換ブロック164及び第3の変換ブロック166にそれぞれ提供される。測定電流及び正シーケンス位相角φ+に基づいて、第2の変換ブロック164は、正シーケンスdq電流idq
+を生成するように構成される。正シーケンスdq電流Idq
+は、正シーケンス直流電流成分Id
+及び正シーケンス直交電流成分Iq
+を含む。測定電流及び負シーケンス位相角φ-に基づいて、第3の変換ブロック166は、負シーケンスdq電流idq
+を生成するように構成される。負シーケンスdq電流Idq
-は、負シーケンス直流電流成分Id
-及び負シーケンス直交電流成分Iq
-を含む。
【0078】
図4に示すように、コントローラは、4つの電流処理分岐、すなわち正シーケンス直流電流処理分岐191、正シーケンス直交電流処理分岐192、負シーケンス直流電流処理分岐193及び負シーケンス直交電流処理分岐194を備える。
【0079】
正シーケンス直流電流処理分岐191において、正シーケンス直流電流id
+が合計ユニット181に供給される。合計ユニット181は、正シーケンス直流基準電流id
+*と正シーケンス直流電流id
+との間の差を計算する。この差は、代替的に正シーケンス直流電流誤差として参照される場合がある。正シーケンス直流基準電流id
+*は、RPAによってブロードキャストされる誤差信号に基づいて生成されることに留意されたい。
【0080】
図4に示すように、正シーケンス直流電流誤差は比例積分(PI)コントローラ182に供給される。PIコントローラ182の出力は、電流誤差値の合計と電流誤差値の積分とに基づいて生成される。PI制御は当該技術分野で周知であり、したがって論じない。PIコントローラ182の出力は、合計ユニット183に供給される。
図4に示すように、合計ユニット183はまた、後述する第1の交差結合信号も受信する。
【0081】
合計ユニット183が受信する第1の交差結合信号は、以下のようにして生成される。正シーケンス直交電流iq
+は乗算器185に供給され、そこで、それにωLが乗算される。乗算器185の出力は、iq
+×ωLに等しい。乗算器185の出力は、第1の交差結合信号として、合計ユニット183に供給される。合計ユニット183は、正シーケンス直流基準電圧Vd
+*を生成する。
【0082】
正シーケンス直交電流処理分岐192において、正シーケンス直交電流iq
+が合計ユニット186に供給される。合計ユニット186は、正シーケンス直交基準電流iq
+*と正シーケンス直交電流iq
+との間の差を計算する。この差は、代替的に正シーケンス直交電流誤差として参照される場合がある。正シーケンス直交基準電流iq
+*は、RPAによってブロードキャストされる誤差信号に基づいて生成されることに留意されたい。
【0083】
図4に示すように、正シーケンス直交電流誤差はPIコントローラ187に供給される。PIコントローラ187の出力は、電流誤差値の合計と電流誤差値の積分とに基づいて生成される。PIコントローラ187の出力は、合計ユニット188に供給される。
図4に示すように、合計ユニット188はまた、第2の交差結合信号も受信する。
【0084】
合計ユニット188が受信する第2の交差結合信号は、以下のようにして生成される。正シーケンス直流電流id
+は乗算器184に供給され、そこで、それにωLが乗算される。乗算器184の出力は、id
+×ωLに等しい。乗算器184の出力は、第2の交差結合信号として、合計ユニット188に供給される。合計ユニット188は、正シーケンス直交基準電圧Vq
+*を生成する。
【0085】
合計ユニット183及び188の出力はそれぞれ正シーケンス直流基準電圧Vd
+*及び正シーケンス直交基準電圧Vq
+*であり、これらは変換ブロック196に供給され、そこで、正シーケンス直流基準電圧及び直交基準電圧はabc系における基準電圧に変換される。
【0086】
負シーケンス直流電流処理分岐193は、正シーケンス直流電流処理分岐191と同様であり、したがって詳細には論じない。同様に、負シーケンス直交電流処理分岐194は、正シーケンス直交電流処理分岐192と同様であり、したがって詳細には論じない。
図4に示すように、合計ユニットの出力はそれぞれ負シーケンス直流基準電圧V
d
-*及び負シーケンス直交基準電圧V
q
-*であり、これらは変換ブロック198に供給され、そこで、負シーケンス直流基準電圧及び直交基準電圧はabc系における基準電圧に変換される。
【0087】
正シーケンス及び負シーケンス基準電圧は、合計ユニット197において組み合わされて、基準電圧信号Vabc
+*を提供する。基準電圧信号Vabc
+*は、インバータのオンオフ切り替えコマンドを生成するためのパルス幅変調(PWM)コントローラに提供される。PWMコントローラは、デジタル信号プロセッサ(DSP)の一部であってもよい。
【0088】
図5は、本開示の様々な実施形態による、
図1に示すRPAコントローラのブロック図を示す。
図5に示すように、RPAコントローラ120は、アナログ-デジタル変換器502と、メモリ504と、デジタルプロセッサ506と、通信デバイス508とを含む。
図5に示すように、アナログ-デジタル変換器502は、電圧V
gridを受信し、電圧をデジタルプロセッサ506に適したデジタル信号に変換するように構成される。制御命令が、メモリ504に記憶される。デジタルプロセッサ506は、メモリ504から制御命令をロードする。制御命令は、アナログ-デジタル変換器502からのデジタル信号を処理するためにデジタルプロセッサ506内で実行される。デジタル信号が処理された後、デジタルプロセッサ506は誤差信号を生成するように構成される。誤差信号は、第1の成分及び第2の成分を含む。第1の成分は、グリッド内の障害中の配電網の振幅ブースト要件を示す値を含む。第2の成分は、障害中の配電網の電圧不平衡を示す値を含む。誤差信号は、通信デバイス508に供給される。通信デバイス508は、誤差信号をDERにブロードキャストするように構成される。
【0089】
いくつかの実施形態では、デジタルプロセッサ506は、DSPなどの高速プロセッサとして実装される。DSPは、式(11)及び(12)に示す制御方法のデジタル制御実施態様を可能にする。
図5は、制御方法がデジタルプロセッサ内で完全に実装され得ることを示す。これは単なる例であり、これは特許請求項の範囲を過度に限定すべきではない。当業者であれば、多くの変形、代替、及び修正を認識するであろう。例えば、制御方法の一部は、論理回路、アナログ回路などのような任意の他の適した処理回路によって実装されてもよい。
【0090】
図6は、本開示の様々な実施形態による、
図1に示すDERコントローラのブロック図を示す。
図6に示すように、DERコントローラ132は、アナログ-デジタル変換器602と、メモリ604と、デジタルプロセッサ606と、通信デバイス608とを含む。
図6に示すように、アナログ-デジタル変換器602は、インバータの出力電圧、POC電圧、及びPOC電流を含む複数の動作パラメータを受け取るように構成される。アナログ-デジタル変換器602は、動作パラメータをデジタルプロセッサ606に適したデジタル信号に変換する。通信デバイス608は、RPAによってブロードキャストされた誤差信号を受信し、誤差信号をデジタルプロセッサ606に供給するように構成される。
【0091】
制御命令が、メモリ604に記憶される。デジタルプロセッサ606は、メモリ604から制御命令をロードする。制御命令は、アナログ-デジタル変換器502からのデジタル信号及び通信デバイス608からの誤差信号を処理するためにデジタルプロセッサ606内で実行される。デジタル信号及び誤差信号が処理された後、デジタルプロセッサ606はインバータ制御信号を生成するように構成される。インバータ制御信号は、このDERコントローラに関連付けられたDERからの電流注入を制御するために使用される。
【0092】
図7は、本開示の様々な実施形態による、分散協調動的電圧サポート(DCDVS)制御方式を実装する制御システムを示す図である。
図1に示す配電網は、
図7に示すようなマルチエージェントシステムとしてモデル化することができる。RPAが、主導エージェント171である。主導エージェント171は、代替的に、RPAエージェント又は主導RPAエージェントとして参照される場合がある。DERは、主導RPAエージェント171に結合されているエージェント172~179である。
【0093】
動作時、RPA(エージェント171)は、RPAに直接的に結合されているDER(例えば、エージェント172、173、178及び179)に誤差信号をブロードキャストする。RPAに直接的に結合されているDERは、RPAに間接的に結合されているDER(例えば、エージェント174、175、176及び177)に誤差信号を転送する。
【0094】
動作時、複数のDER(エージェント172~172)に対して分散目標追跡制御方式が適用される。分散目標追跡制御方式を適用することは、DER(エージェント172~172)間の通信が、複数のDERの各々によって注入される電流を協調させるようにすることによって、分散目標追跡制御方式の下で注入される電流を決定することを含む。
【0095】
エージェントは、全体的な目的を達成するために互いに通信する。各DERエージェントの全体的な目的は、主導RPAエージェント171からの要件(例えば、誤差信号)を満たすことである。各DERエージェントは、局所的応答特性を実現するだけでなく、他のDERエージェントとも協働する。この特徴は、エージェントが、主導エージェントからの要求を満足しながら、局所的な自律性を有することを保証する。RPA(主導エージェント)は、イベントベースの要求(例えば、障害が発生した後の誤差信号)をネットワークエージェント(DER)にブロードキャストして、RPAにおいて特定の応答を達成するために集約DCDVSサポートを提供するように、それらに要求することができる。RPAの接続性は残りのエージェントがオンラインのままであるために不可欠であるため、この要求はすべてのネットワークエージェントにとって共通の関心事である。
【0096】
図7のエージェント(エージェント172~179)は群を形成する。群において、エージェントは、個々のエージェント間の局所的な相互作用を有し、全体的な目的を達成するための集団運動を示す。エージェントは、標的に向かう質量中心の高度に秩序化された高速収束を分割、再結合、及び形成することができる。エージェント(DER)は、他の近隣のDERとローカルに対話しながら、主導エージェント(RPA)によってブロードキャストされる全体的な目標に到達することができる。3つの制御方式が、エージェントの行動を制御するために利用される。
【0097】
第1の制御方式は、群の速度マッチング挙動に基づく。エージェントは、それらの速度をそれらの近隣者に合わせて調整しようとする(整合)。この挙動は、過電圧をもたらす可能性がある制御されない電流注入を回避するのに役立つ。
【0098】
第2の制御方式は、群の群集中化挙動に基づく。各エージェントは、その近隣者の近くに留まろうとする(凝集)。この特徴は、電圧プロファイルを平滑に保ち、フィーダに沿った大きい差を回避するのに役立つ。
【0099】
第3の制御方式は、群の衝突回避挙動に基づく。エージェントは、それらの近隣者との衝突を回避する(分離)。この挙動は、各DERの電流注入が重複する可能性があるため、必ずしも電力システムドメインにおいて実施される必要はない。
【0100】
本開示では、第1の制御方式及び第2の制御方式を利用してDERを制御する。第1の制御方式下では、誤差信号に基づいて、複数のDERが、配電網に電流を注入するように協調させられる。複数のDERを協調させることは、複数のDERのうちの1つのDERの電流変動を、複数のDERのうちの残りのDERの電流変動と整合させることを含む。いくつかの実施形態では、複数のDERのうちの残りのDERは、隣接するDERである。例えば、DER(
図7に示すエージェント174)の電流変動は、隣接するDER(エージェント172、173、175)の電流変動と整合される。
【0101】
第2の制御方式下では、誤差信号に基づいて、複数のDERが、配電網に電流を注入するように協調させられる。複数のDERを協調させることは、複数のDERのうちの1つのDERの電圧を、複数のDERのうちの残りのDERの電圧と整合させることを含む。
【0102】
図7に示すマルチエージェントシステムは、生物学的ネットワークとして機能する。この生物学的ネットワークでは、最も情報を得たエージェントが、その情報をそれらの速度へと調節する傾向がある。例えば、魚群の中で最も情報を得ている魚は、それが危険と感じたときに、より速く動く。エージェントは、動きの速い近隣者により注意を払い、それらにより大きな重みを割り当てる必要がある。DCDVS制御方式がマルチエージェントシステムに適用される場合、生物学的ネットワークの挙動は2つの様態でモデル化することができる。第1の手法は、加速挙動を障害の観察された重大度にリンクすることである。エージェントが障害点に近い場合、このエージェントの加速はより速くなる。第2の手法は、エージェントがRPAと直接的に通信し、それらの近隣者から動作モデルを学習する他のエージェントとは異なり、より少ないノイズで情報にアクセスできるか否かである。
【0103】
エージェントは、ノイズの多い通信環境における障害条件中に、及びその後に、自己組織化能力を保持する。DER間の制約された局所的な相互作用は、障害後の安定性を保証するための全体的な応答パターンを含む。DERは、受信した情報の品質に応じてリンクに関連付けられた重みを適合させることによって、リアルタイムでトポロジを調整することができる。DERは、同じ平衡に収束する必要はない。代わりに、ネットワークにわたるデータの時間及び空間的多様性が活用されて、ノードがそれらのデータの品質を評定及び評価する際にある程度のレベルの個別性を有することが可能になる。
【0104】
障害中、グリッド摂動が発生する。RPAの電圧レベルが強制動作状態に遷移する場合(強制動作モード)、RPAは、εunbalance及びεmag値を含む誤差信号を未知のネットワークにわたってDERにブロードキャストする。群内のDERは、誤差信号を追跡して、DERに関連付けられた電力変換器を制御するための基準値を生成する。特に、電力変換器は、それぞれの基準値に基づいて電流を注入する。
【0105】
周知の分散目標追跡理論によれば、各エージェントは未知の目標位置に関連している。エージェントは、周知の拡散組み合わせ-適合(CTA)戦略を介して協働して、未知の目標位置を追跡及び推定する。この未知位置追跡方法により、RPA又はネットワーク内の任意の他の情報を得たエージェントから情報を直接的に受信することができる。
【0106】
【0107】
図8は、本開示の様々な実施形態による、
図1に示す配電網を制御するための方法のフローチャートを示す。
図8に示すこのフローチャートは単なる例であり、これは特許請求項の範囲を過度に限定すべきではない。当業者であれば、多くの変形、代替、及び修正を認識するであろう。例えば、
図8に示す様々なステップは、追加、削除、置換、再配列、及び反復されてもよい。
【0108】
配電網は、配電フィーダに結合されている複数の負荷を備える。分散電力網はグリッドに結合される。各DERの電力源は、インバータを通じて配電フィーダに結合されている。配電網は、RPAを更に備える。RPAは、グリッドと配電網との間のインターフェースに隣接するノードである。グリッドに障害が発生すると、RPAは、RPAノード上の検出された電圧に基づいて誤差信号を生成することができる。RPAは、RPA通信デバイスを備える。各DERは、DER通信デバイスを装備している。RPA通信デバイスは、それぞれのDER通信デバイスを通じて複数のDERに誤差信号をブロードキャストするために利用される。
【0109】
ステップ802において、グリッド内の障害がRPAによって検出される。RPAは、複数のDERに関連付けられている。これは、上記において、様々な実施形態、例えば
図2~
図4において更に説明されている。
【0110】
ステップ804において、障害の検出に応答して、RPAは、誤差電圧を決定し、誤差電圧を誤差信号に変換し、誤差信号を複数のDERにブロードキャストするように構成される。誤差信号に基づいて、RPAにおける誤差電圧を低減するために、複数のDERからの複数の電流が配電フィーダに注入される。これは、上記において、様々な実施形態、例えば
図2~
図4において更に説明されている。ステップ804を有することの潜在的に有利な特徴の1つは、DERが、誤差信号に基づいて、障害中に配電フィーダに電流を注入することである。注入された電流は、RPAにおける誤差電圧を低減するのを助け、それによってRPAにおける所定の電圧プロファイルを維持する。
【0111】
図9は、本開示の様々な実施形態によるシステムのブロック図を示す。配電網100は、グリッド110に接続されている。配電網100は、配電フィーダ125と、配電フィーダ125に結合されている複数の分散型エネルギー資源(DER)122~126と、適用可能性基準点(RPA)121と、RPA121に結合されているRPAコントローラ120とを備える。RPAコントローラ120は、プログラムによって、例えば
図2に関して説明したように、グリッド110の障害を検出するように構成される。障害の検出に応答して、RPAコントローラ120は、プログラムによって、例えば
図3に関して説明したように、RPA121における誤差電圧を決定し、誤差電圧を誤差信号に変換するように構成される。第1の通信デバイス123は、例えば
図5に関して説明したように、RPAコントローラ120に結合されている。第1の通信デバイス123は、例えば、
図5に関して説明したように、複数のDER122~126に誤差信号をブロードキャストするように構成される。複数のDERコントローラ132~136は、例えば
図1に関して説明したように、複数のDER122~126のそれぞれのDERに結合されている。誤差信号に基づいて、複数のDERコントローラ132~136は、プログラミングによって、例えば、
図1に関して説明したように、複数の電流を配電フィーダ125に注入することによってRPA121における誤差電圧を低減するようにそれぞれのDERを制御するように構成される。
【0112】
図10は、本開示の様々な実施形態によるRPAコントローラのブロック図を示す。RPAコントローラは、配電網に結合されている制御装置を備える。配電網は、配電フィーダと、配電フィーダに結合されている複数の分散型エネルギー資源(DER)と、RPAとを備える。制御装置はRPAに直接的に結合される。
図10に示すように、制御装置は、命令を含むプログラムを記憶するメモリ504と、メモリ504に結合されているプロセッサ506と、プロセッサ506に結合されている第1の通信デバイス508とを備える。プロセッサ506及び第1の通信デバイス508は、それぞれ
図5に示すデジタルプロセッサ及び通信デバイスと同様である。プロセッサ506は、プログラムを実行するように構成される。命令は、実行されると、プロセッサ506に、例えば
図2に関して説明したように、配電網に結合されているグリッドにおける障害を検出させる。障害の検出に応答して、プロセッサ506は、例えば、
図2~
図4に関して説明したように、RPAにおける誤差電圧を決定し、誤差電圧を誤差信号に変換し、誤差信号を第1の通信デバイス508に送信する。第1の通信デバイス508は、例えば、
図5~
図6に関して説明したように、複数のDERに誤差信号をブロードキャストするように構成される。
【0113】
図11は、本開示の様々な実施形態によるDER制御システムのブロック図を示す。DER制御システムは、
図11に示すように複数のDERコントローラを備える。複数のDERコントローラは、配電フィーダと、配電フィーダに結合されている複数のDERと、RPAとを備える配電網に結合されている。複数のDERコントローラの各々は、複数のDERのうちの対応するDERに結合されている。複数のDERコントローラの各々は、命令を含むプログラムを記憶するメモリ604と、メモリ604に結合されているプロセッサ606と、プロセッサ606に結合されている通信デバイス608とを備える。プロセッサ606は、プログラムを実行するように構成される。命令は、複数のDERコントローラの各々において実行されると、複数のDERコントローラに、例えば
図2~
図4及び
図7に関して説明したように、RPAに直接的に結合されているRPAコントローラから誤差信号を受信させ、複数のDERに制御信号を送信させる。制御信号のうちの1つは、複数のDERのうちの1つに送信される。複数のDERによって受信される制御信号は、例えば、
図1~
図4に関して説明したように、複数のDERから配電フィーダに複数の電流を注入することによって、RPAにおける誤差電圧を低減するように構成される。
【0114】
図12は、本開示の様々な実施形態による処理システムのブロック図である。処理システム1200は、実施形態の配電網の一部及び/又は実施形態の配電網にインターフェース接続された外部コンピュータ若しくは処理デバイスを実装するために使用することができる汎用プラットフォーム並びに一般的な構成要素及び機能を示す。例えば、処理システム1200を使用して、
図10に示すコントローラの一部を実装することができる。いくつかの実施形態では、処理システム1200を使用して、実施形態の動作パラメータを決定及び評価し、動作パラメータに基づいて配電網の誤差信号を決定することができる。
【0115】
処理システム1200は、例えば、中央処理装置(CPU)1202と、バス1208に接続されたメモリ1204とを含むことができ、上述したプロセスを実行するように構成することができる。処理システム1200は、所望又は必要に応じて、ローカルディスプレイ1212への接続を提供するディスプレイアダプタ1210と、マウス、キーボード、フラッシュドライブなどのような1つ又は複数の入出力装置1216のための入出力インターフェースを提供する入出力(I/O)アダプタ1214とを更に含むことができる。
【0116】
処理システム1200はまた、ネットワークインターフェース1218を含むことができ、これは、ネットワークケーブル、USBインターフェースなどのような有線リンク、及び/又はネットワーク1220と通信するための無線/セルラリンクに結合されるように構成されたネットワークアダプタを使用して実装することができる。ネットワークインターフェース1218はまた、無線通信のための適した受信機及び送信機を備えることができる。処理システム1200は、他の構成要素を含むことができることに留意されたい。例えば、処理システム1200は、外部に実装される場合、ハードウェア構成要素電源、ケーブル、マザーボード、取り外し可能記憶媒体、ケースなどを含むことができる。他のこれらの構成要素は、図示されていないが、処理システム1200の一部と考えられる。いくつかの実施形態では、処理システム1200は、単一のモノリシック半導体集積回路及び/又は他の開示されたシステム構成要素と同じモノリシック半導体集積回路上に実装されてもよい。
【0117】
本開示の例示的な実施形態をここに要約する。他の実施形態も、本明細書及び本明細書に添付された特許請求の範囲の全体から理解することができる。
【0118】
オーバーシュートリスクを低減することが有利であり得る。より良好に対処するために、本発明の実施例1では、配電網に結合されているグリッドの障害を検出することを含む方法が提示され、配電網は、配電フィーダと、配電フィーダに結合されている複数の分散型エネルギー資源(DER)と、複数のDERに関連付けられる適用可能性基準点(RPA)とを含む。本方法は、障害を検出したことに応答して、RPAにおける誤差電圧を決定することと、誤差電圧を誤差信号に変換することと、誤差信号を複数のDERにブロードキャストすることと、誤差信号に基づいて、複数のDERから配電フィーダに複数の電流を注入することによってRPAにおける誤差電圧を低減することとを含む。
【0119】
誤差電圧の正シーケンス成分を誤差電圧の負シーケンス成分から分離することに基づいて2次元不平衡電圧回復目標を達成することが有利であり得る。これにより良好に対処するために、本発明の実施例2において、誤差電圧を誤差信号に変換することが、RPAにおいて、誤差電圧の正シーケンス成分を誤差電圧の負シーケンス成分から分離することと、RPAにおいて、正シーケンス成分に基づく第1の成分と、正シーケンス成分及び負シーケンス成分の両方に基づく第2の成分とを含む誤差信号を生成することとを含む、実施例1の方法。
【0120】
電圧振幅上昇のための協調正シーケンス電流注入及び不平衡電圧緩和のための協調負シーケンス電流注入を達成することが有利であり得る。これにより良好に対処するために、本発明の実施例3、実施例1又は2のうちの一方の方法において、第1の成分が、障害中の配電網の振幅上昇要件を示す値を含み、第2の成分が、障害中の配電網の電圧不平衡を示す値を含む。
【0121】
実施例4RPAにおける誤差電圧を低減することが、第1の成分に基づいて、複数のDERに対して正シーケンス電流注入制御方式を適用することによって、配電網の電圧を上昇させることを含む、実施例1~3のうちの1つの方法。
【0122】
実施例5RPAにおける誤差電圧を低減することが、第2の成分に基づいて、複数のDERに対して負シーケンス電流注入制御方式を適用することによって、配電網の不平衡電圧を緩和することを含む、実施例1~4のうちの1つの方法。
【0123】
非障害相の不平衡電圧を緩和することを通じて、非障害相に過電圧を導入する可能性を低減することが有利であり得る。より良好に対処するために、本発明の実施例6において、グリッドの障害を検出することが、グリッドの3つの相のうちの少なくとも1つの相の不平衡障害を検出することを含み、RPAにおける誤差電圧を低減することが、動的電圧サポート(DVS)制御方式を複数のDERに適用することによって注入される複数の電流を決定することを含み、DVS制御方式を適用することば、複数の電流を配電フィーダに注入することによって、複数のDERの障害相の電圧を上昇させることと、複数のDERの非障害相の不平衡電圧を緩和することとを含む、実施例1~5のうちの1つの方法。
【0124】
実施例7複数のDERの障害相及び非障害相が、特に、連続動作モード、強制動作モード、一時停止モード、及びトリップモードから成ることを含むモードで動作するように構成され、複数のDERの障害相の電圧を上昇させることが、強制的に障害相が一時停止モードを離れて強制動作モードに入るようにすることを含み、複数のDERの非障害相の不平衡電圧を緩和することが、非障害相が強制的に強制動作モードを離れて連続動作モードに入るようにすることを含む、実施例1~6のうちの1つに記載の方法。
【0125】
実施例8複数のDERの障害相の電圧を上昇させ、複数のDERの非障害相の不平衡電圧を緩和することにより、複数のDERの障害相及び非障害相がトリップモードに入るのを防ぐことを更に含む、実施例1~7のうちの1つの方法。
【0126】
電流変動の整合を通じて、協調していない電流注入を回避するようにDERを協調させることができることが有利な特徴であり得る。これにより良好に対処するために、本発明の実施例9において、RPAにおける誤差電圧を低減することが、誤差信号に基づいて、配電網に電流を注入するように複数のDERを協調させることを含み、複数のDERを協調させることが、例えば、上述したような速度整合アルゴリズム及び/又は第1の制御方式によって、複数のDERのうちの1つのDERの電流変動を複数のDERのうちの残りのDERの電流変動と整合させることを含む、実施例1~8のうちの1つの方法。
【0127】
DERの電圧を整合させることによって、RPA電圧プロファイルをサポートするようにDERを協調させることができることが有利な特徴であり得る。これにより良好に対処するために、本発明の実施例10において、RPAにおける誤差電圧を低減することが、誤差信号に基づいて、配電網に電流を注入するように複数のDERを協調させることを含み、複数のDERを協調させることが、例えば、上述したような速度整合アルゴリズム及び/又は第2の制御方式によって、複数のDERのうちの1つのDERの電圧を複数のDERのうちの残りのDERの電圧と整合させることを含む、実施例1~9のうちの1つの方法。
【0128】
下記のブロードキャストメカニズムを通じて、すべてのDERがRPAから誤差信号を確実に受信することができることが有利な特徴であり得る。これにより良好に対処するために、本発明の実施例11において、誤差信号を複数のDERにブロードキャストすることが、誤差信号を複数のDERのうちの第1のDERにブロードキャストすることであって、第1のDERがRPAに直接的に結合されている、ブロードキャストすることと、誤差信号を複数のDERのうちの第1のDERから第2のDERに転送することであって、第2のDERがRPAに間接的に結合されている、転送することとを含む、実施例1~10のうちの1つの方法。
【0129】
分散目標追跡制御方式の下で、DERが、協調的な挙動を通じて、障害リッジ中及び障害リッジ後のRPA電圧プロファイルをサポートし、協調していない電流注入を回避することができることが有利な特徴であり得る。これにより良好に対処するために、本発明の実施例12において、RPAにおける誤差電圧を低減することが、複数のDERに分散目標追跡制御方式を適用することを含み、複数のDERに分散目標追跡制御方式を適用することが、DER間の通信が複数のDERの各々によって注入される電流を協調させるようにすることによって、分散目標追跡制御方式の下で注入される複数の電流を決定することを含む、実施例1~11のうちの1つの方法。
【0130】
オーバーシュートリスクを低減することが有利であり得る。これにより良好に対処するために、本発明の実施例13において、システムが提示され、システムは、グリッドに結合されており、配電フィーダ、配電フィーダに結合されている複数の分散型エネルギー資源(DER)及び適用可能性基準点(RPA)を含む、配電網と、RPAに結合されており、プログラムによって、グリッドの障害を検出し、障害の検出に応答して、RPAにおける誤差電圧を決定し、誤差電圧を誤差信号に変換するように構成されているRPAコントローラと、RPAコントローラに結合されており、誤差信号を複数のDERにブロードキャストするように構成されている第1の通信デバイスとを含む。システムは、複数のDERのそれぞれのDERに結合されている複数のDERコントローラを含み、誤差信号に基づいて、複数のDERコントローラは、プログラミングによって、複数の電流を配電フィーダに注入することによってRPAにおける誤差電圧を低減するようにそれぞれのDERを制御するように構成される。
【0131】
実施例14RPAコントローラが、プログラムによって、誤差電圧の正シーケンス成分を誤差電圧の負シーケンス成分から分離し、正シーケンス成分に基づく第1の成分と、正シーケンス成分及び負シーケンス成分の両方に基づく第2の成分とを含む誤差信号を生成するように構成されており、第1の成分が、障害中の配電網の振幅上昇要件を示す値を含み、第2の成分が、障害中の配電網の電圧不平衡を示す値を含む、実施例13のシステム。
【0132】
実施例15第1の成分に基づいて、複数のDERコントローラが、プログラミングによって、複数のDERに対して正シーケンス電流注入制御方式を適用することによって、配電網の電圧を上昇させるように構成され、第2の成分に基づいて、複数のDERコントローラが、プログラミングによって、複数のDERに負シーケンス電流注入制御方式を適用することによって、配電網の不平衡電圧を緩和するように構成される、実施例13又は14のうちの一方のシステム。
【0133】
実施例16複数のDERコントローラが、プログラミングによって、複数のDERの障害相の電圧を上昇させ、複数のDERの非障害相の不平衡電圧を緩和するように複数のDERを制御するように構成されている、実施例13~15のうちの1つのシステム。
【0134】
実施例17複数のDERコントローラが、例えば、上述したような速度整合アルゴリズム及び/又は第1の制御方式によって、複数のDERのうちの1つのDERの電流変動を複数のDERのうちの残りのDERの電流変動と整合させることを通じて、配電網に電流を注入するように複数のDERを協調させるように構成されている、実施例13~16のうちの1つのシステム。
【0135】
実施例18複数のDERコントローラが、例えば、上述したような群集中化アルゴリズム及び/又は第2の制御方式によって、複数のDERのうちの1つのDERの電圧を複数のDERのうちの残りのDERの電圧と整合させることを通じて、配電網に電流を注入するように複数のDERを協調させるように構成されている、実施例13~17のうちの1つのシステム。
【0136】
実施例19複数のDERのうちの第1のDERに結合されている第2の通信デバイスであって、第1のDERがRPAに直接的に結合されている、第2の通信デバイスと、複数のDERのうちの第2のDERに結合されている第3の通信デバイスであって、第2のDERがRPAに間接的に結合されている、第3の通信デバイスとを更に含み、第2の通信デバイスが、第1の通信デバイスによってブロードキャストされる誤差信号を受信し、誤差信号を第3の通信デバイスに転送するように構成されている、実施例13~18のうちの1つのシステム。
【0137】
実施例20複数のインバータを更に含み、複数のインバータのうちの1つが、複数のDERの各々と配電フィーダとの間に結合されており、誤差信号に基づいて、複数のインバータが、配電フィーダに注入される複数の電流を生成するように構成されている、実施例13~19のうちの1つのシステム。
【0138】
オーバーシュートリスクを低減することが有利であり得る。これにより良好に対処するために、本発明の実施例21において、システム適用可能性基準点(RPA)コントローラが提示され、これは、配電フィーダ、配電フィーダに結合されている複数の分散型エネルギー資源(DER)、及びRPAを含む配電網に結合されている制御装置を含み、制御装置はRPAに直接的に結合されており、制御装置は、命令を含むプログラムを記憶するメモリと、メモリに結合されており、プログラムを実行するように構成されているプロセッサと、プロセッサに結合されている第1の通信デバイスとを備え、命令は、実行されると、プロセッサに、配電網に結合されているグリッドにおける障害を検出させ、障害の検出に応答して、RPAにおける誤差電圧を決定させ、誤差電圧を誤差信号に変換させ、誤差信号を第1の通信デバイスに送信させ、第1の通信デバイスは、誤差信号を複数のDERにブロードキャストするように構成されている。
【0139】
実施例22複数のDERのうちの第1のDERが、第2の通信デバイスに結合されており、第1のDERが、RPAに直接的に結合されており、複数のDERのうちの第2のDERは第3の通信デバイスに結合されており、第2のDERが、RPAに間接的に結合されており、第2の通信デバイスが、第1の通信デバイスによってブロードキャストされる誤差信号を受信し、誤差信号を第3の通信デバイスに転送するように構成されており、複数のDERが、複数のDERコントローラに結合されており、誤差信号に基づいて、複数のDERコントローラが、プログラミングによって、複数の電流を配電フィーダに注入することによってRPAにおける誤差電圧を低減するようにそれぞれのDERを制御するように構成されている、実施例21のRPAコントローラ。
【0140】
実施例23プロセッサが、プログラムによって、誤差電圧の正シーケンス成分を誤差電圧の負シーケンス成分から分離し、正シーケンス成分に基づく第1の成分と、正シーケンス成分及び負シーケンス成分の両方に基づく第2の成分とを含む誤差信号を生成するように構成されており、第1の成分が、障害中の配電網の振幅上昇要件を示す値を含み、第2の成分が、障害中の配電網の電圧不平衡を示す値を含む、実施例21又は22のうちの一方のRPAコントローラ。
【0141】
オーバーシュートリスクを低減することが有利であり得る。これにより良好に対処するために、本発明の実施例24において、分散型エネルギー資源(DER)制御システムが提示され、これは、配電フィーダ、配電フィーダに結合されている複数の分散型エネルギー資源(DER)、及び適用可能性基準点(RPA)を含む配電網に結合されている複数のDERコントローラを含み、複数のDERコントローラの各々は、複数のDERの対応するDERに結合されており、複数のDERコントローラの各々は、命令を含むプログラムを記憶するメモリと、メモリに結合されており、プログラムを実行するように構成されているプロセッサと、プロセッサに結合されている通信デバイスとを含み、命令は、複数のDERコントローラの各々において実行されると、複数のDERコントローラに、RPAに直接的に結合されているRPAコントローラから誤差信号を受信させ、複数のDERに制御信号を送信させ、制御信号のうちの1つは、複数のDERのうちの1つに送信され、複数のDERによって受信される制御信号は、複数のDERから配電フィーダに複数の電流を注入することによって、RPAにおける誤差電圧を低減するように構成されている。
【0142】
実施例25誤差電圧が、正シーケンス成分及び負シーケンス成分を含み、誤差信号が、正シーケンス成分に基づく第1の成分と、正シーケンス成分及び負シーケンス成分の両方に基づく第2の成分とを含み、第1の成分が、配電網に結合されているグリッド内の障害中の配電網の振幅上昇要件を示す値を含み、第2の成分が、障害中の配電網の電圧不平衡を示す値を含む、実施例24のDER制御システム。
【0143】
実施例26第1の成分に基づいて、複数のDERコントローラが、複数のDERコントローラの各々において命令を実行することによって、複数のDERに対して正シーケンス電流注入制御方式を適用することによって、配電網の電圧を上昇させるように構成され、第2の成分に基づいて、複数のDERコントローラが、複数のDERコントローラの各々において命令を実行することによって、複数のDERに負シーケンス電流注入制御方式を適用することによって、配電網の不平衡電圧を緩和するように構成される、実施例24又は25のうちの一方のDER制御システム。
【0144】
実施例27複数のDERコントローラが、複数のDERコントローラの各々において命令を実行することによって、例えば、上述したような速度整合アルゴリズム及び/又は第1の制御方式によって、複数のDERのうちの1つのDERの電流変動を複数のDERのうちの残りのDERの電流変動と整合させることを通じて、配電網に電流を注入するように複数のDERを協調させるように構成されており、複数のDERコントローラが、複数のDERコントローラの各々において命令を実行することによって、例えば、上述したような群集中化アルゴリズム及び/又は第2の制御方式によって、複数のDERのうちの1つのDERの電圧を複数のDERのうちの残りのDERの電圧と整合させることを通じて、配電網に電流を注入するように複数のDERを協調させるように構成されている、実施例24~26のうちの1つのDER制御システム。
【0145】
本開示の実施形態及びその利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換および改変を行うことができることを理解されたい。
【0146】
更に、本出願の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法及びステップの特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。当業者であれば本開示の開示から容易に理解するように、本明細書において説明されている対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たすか、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在する又は後に開発されるであろうプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法又はステップを、本開示に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求項は、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法又はステップをその範囲内に含むことが意図されている。
【国際調査報告】