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特表2023-543292溶融重合による自己修復性ベンゾオキサジンポリマーの合成
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】溶融重合による自己修復性ベンゾオキサジンポリマーの合成
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/12 20060101AFI20231005BHJP
   C08K 3/16 20060101ALI20231005BHJP
   C08K 5/18 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
C08L101/12
C08K3/16
C08K5/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519447
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 IB2021022219
(87)【国際公開番号】W WO2022069947
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】63/085,115
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】クラン,サムエル
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AA00W
4J002CD00X
4J002CM00X
4J002CM02X
4J002CM03W
4J002CN01W
4J002DD046
4J002FD016
(57)【要約】
末端官能基を有する熱可塑性ポリマーと、ベンゾオキサジン化合物との反応から形成されるポリマーの自己修復性樹脂組成物が提供される。そのような自己修復性樹脂組成物を形成する方法も提供される。物品を自己修復する方法も提供される。このような方法では、物品は破断部を有し得、末端官能基を有する熱可塑性ポリマーと、ベンゾオキサジン化合物との間の反応から生じるポリマーから形成され得る。本方法は、前記破断部が修復されるように、前記ポリマーから形成された物品を、所定の温度で所定の時間維持する工程を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)末端官能基を有する熱可塑性ポリマーと(b)ベンゾオキサジン化合物との間の反応から形成されるポリマーを含み、
前記末端官能基は、第一級アミン、第二級アミン、チオール、フェノール化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、自己修復性樹脂組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリマーが、式(I)で表される構造を有するポリエーテルであり:
【化1】

式中、yは1から40までであり、x+zは1から8までであり、R1およびR1’は独立して、第一級アミン、第二級アミン、チオール、およびフェノール化合物から選択される、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリマーが、式(II)で表される構造を有するポリエーテルであり:
【化2】

式中、xは2から70までであり、R2およびR2’は独立して、第一級アミン、第二級アミン、チオール、またはフェノール化合物から選択される、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項4】
前記熱可塑性ポリマーが、500から4,000Da(ダルトン)までの重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項5】
前記ベンゾオキサジン化合物が、式(V)で表される構造を有するベンゾオキサジンである、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物:
【化3】
【請求項6】
前記ベンゾオキサジン化合物が、式(VII)で表される構造を有するベンゾオキサジンである、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物:
【化4】
【請求項7】
エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される熱硬化性樹脂をさらに含む、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項8】
1~15phrの前記熱硬化性樹脂を含む、請求項7に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項9】
AlCl、FeCl、ZnCl、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される無機化合物をさらに含む、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項10】
1から25phrまでの前記無機化合物を含む、請求項9に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項11】
芳香族ジアミンをさらに含む、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項12】
前記ポリマーが、前記熱可塑性ポリマーに由来するユニットを50から95重量%まで含む、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項13】
前記ポリマーが、前記ベンゾオキサジン化合物に由来するユニットを5から50重量%まで含む、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項14】
自己修復性樹脂組成物を形成する方法であって:
(a)ベンゾオキサジン化合物と(b)末端官能基を有する熱可塑性ポリマーとを溶融重合によって反応させる工程を含み、
前記末端官能基は、第一級アミン、第二級アミン、チオール、フェノール化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項15】
前記溶融重合が、50から130℃までの範囲の温度で行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記溶融重合が、1から10時間までの範囲の時間を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記熱可塑性ポリマーおよび前記ベンゾオキサジン化合物が、1:10から10:1までのモル比で存在する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
物品を自己修復する方法であって:
(a)末端官能基を有する熱可塑性ポリマーと(b)ベンゾオキサジンとの間の反応から生じるポリマーから、前記物品が形成され、
前記末端官能基は、第一級アミン、第二級アミン、チオール、フェノール化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記物品はその中に破断部を有し、
前記破断部が修復されるように、前記ポリマーから形成された前記物品を、所定の温度で所定の時間維持する工程を含む、方法。
【請求項19】
前記所定の温度が、周囲温度から175℃までである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記所定の時間が、0.5時間~10日間である、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔背景〕
自己修復性ポリマーは商業的に価値のある材料である。その理由は、そのような材料から構成される製品が、より高い耐久性、より長い寿命、ならびに、修復可能な能力および/または損傷から回復する能力を示すことができるためである。修復プロセスは、一般に、外因性(すなわち、外部薬剤は損傷したマトリックスを修復するのを助ける)または内因性(すなわち、修復はマトリックス自体の分子特性によって促進される)として分類され、非自律的(すなわち、修復を開始するために外部トリガ(例えば、熱など)を必要とする)モードまたは自律的(すなわち、外部トリガなしに自己修復が起こる)モードのいずれかを示す。
【0002】
ポリマー内に反応性モノマーを有するマイクロカプセルの分散、熱硬化性樹脂中の流動性熱可塑性樹脂の分散、可逆的化学反応を受ける能力を有するマトリックス、および超分子相互作用を示すポリマーなど、いくつかの修復アプローチが文献において知られている。用途は、複合材、電子部品、航空宇宙部品、および自動車部品における、かき傷から回復可能な表面コーティングおよび亀裂修復を含む、様々な分野にわたることができる。
【0003】
〔要約〕
本要約は、詳細な説明において以下でさらに説明されるコンセプトを選抜したものを紹介するために提供される。本要約は、特許請求される主題の重要な、または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定する助けとして使用されることを意図するものでもない。
【0004】
一態様では、本明細書に開示される実施形態は、末端官能基を有する熱可塑性ポリマーと、ベンゾオキサジン化合物との反応から形成されるポリマーを有する自己修復性樹脂組成物であって、前記末端官能基が、第一級アミン、第二級アミン、チオール、フェノール化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、自己修復性樹脂組成物に関する。
【0005】
別の態様では、本明細書に開示される実施形態は、自己修復性樹脂組成物を形成する方法であって、ベンゾオキサジン化合物と、末端官能基を有する熱可塑性ポリマーとを溶融重合によって反応させる工程を含み、前記末端官能基が、第一級アミン、第二級アミン、チオール、フェノール化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法に関する。
【0006】
さらに別の態様では、本明細書に開示される実施形態は、末端官能基を有する熱可塑性ポリマーと、ベンゾオキサジン化合物との間の反応から生じるポリマーから形成される物品を自己修復する方法であって、前記末端官能基が、第一級アミン、第二級アミン、チオール、フェノール化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法に関する。前記物品は破断部を有し、該方法は、前記破断部が修復されるように、前記ポリマーから形成された前記物品を、所定の温度で所定の時間維持する工程を含む。
【0007】
特許請求される対象の他の態様および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0008】
〔図面の簡単な説明〕
図1Aは、本開示の1つ以上の実施形態による例示的な自己修復性樹脂である。
【0009】
図1Bは、本開示の1つ以上の実施形態による例示的な自己修復性樹脂である。
【0010】
図1Cは、本開示の1つ以上の実施形態による例示的な自己修復性樹脂である。
【0011】
図2Aは、本開示の1つ以上の実施形態による切断部を有するポリマーの顕微鏡写真である。
【0012】
図2Bは、本開示の1つ以上の実施形態による自己修復を経たポリマーの顕微鏡写真である。
【0013】
図3Aは、本開示の1つ以上の実施形態による切断部を有するポリマーの顕微鏡写真である。
【0014】
図3Bは、本開示の1つ以上の実施形態による自己修復を経たポリマーの顕微鏡写真である。
【0015】
図4Aは、本開示の1つ以上の実施形態による切断部を有するポリマーの顕微鏡写真である。
【0016】
図4Bは、本開示の1つ以上の実施形態による自己修復を経たポリマーの顕微鏡写真である。
【0017】
図5Aは、本開示の1つ以上の実施形態による切断部を有するポリマーの写真である。
【0018】
図5Bは、本開示の1つ以上の実施形態による自己修復を経たポリマーの写真である。
【0019】
図6Aは、本開示の1つ以上の実施形態による切断部を有するポリマーの顕微鏡写真である。
【0020】
図6Bは、本開示の1つ以上の実施形態による自己修復を経たポリマーの顕微鏡写真である。
【0021】
図6Cは、本開示の1つ以上の実施形態による自己修復を経たポリマーの顕微鏡写真である。
【0022】
図7Aは、本開示の1つ以上の実施形態による切断部を有するポリマーの顕微鏡写真である。
【0023】
図7Bは、本開示の1つ以上の実施形態による自己修復を経たポリマーの顕微鏡写真である。
【0024】
図7Cは、本開示の1つ以上の実施形態による自己修復を経たポリマーの顕微鏡写真である。
【0025】
〔詳細な説明〕
本開示の実施形態は、一般に、自己修復特性を有するポリマーに関する。自己修復特性は、少なくとも部分的にはポリマー中の動的分子移動度、超分子相互作用(例えば、水素結合など)、および金属-リガンド相互作用に起因し得る。そのようなポリマーは、室温および高温の条件で自己修復特性を有し得る。
【0026】
1つ以上の実施形態では、本開示の自己修復性樹脂組成物は、末端官能基を有する熱可塑性ポリマーとベンゾオキサジン(BZ)化合物との間の反応から形成されるポリマーを含み得る。
【0027】
本開示の1つ以上の実施形態による末端官能基を有する熱可塑性ポリマーは、特に限定されない。いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーは、BZ化合物と反応するための末端官能基を有する限り、任意の適切な熱可塑性ポリマーであり得る。末端官能基は、第一級アミン、第二級アミン、チオール、および/またはフェノール化合物を含み得る。本明細書で使用する場合、「フェノール化合物」は、フェノールおよび置換フェノールを含み、置換フェノールは、追加の官能基(例えば、炭化水素基、置換炭化水素基、ヒドロキシル基、または官能基など)を含むフェノールである。熱可塑性ポリマーは、アミン、シロキサン、エーテル、アルキル、および/またはフェノール官能基を有するポリマー主鎖を含み得る。いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーは、ポリエーテルポリマー、ポリシロキサンポリマー、またはポリアルキルポリマーであり得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーは、式(I)で表される構造を有するポリエーテルであり得る:
【0029】
【化1】
【0030】
式中、yはおよそ1から40までであり、x+zはおよそ1から8までである。いくつかの実施形態では、yは、1、2、5、または9のいずれかの下限、および、13、20、36、39、または40のいずれかの上限を有し得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。いくつかの実施形態では、x+zは、1、1.2、または2のいずれかの下限、および、4、6、または8のいずれかの上限を有し得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。R1およびR1’のそれぞれは、第一級アミン、第二級アミン、チオール、およびフェノール化合物から独立して選択される官能基を表し得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーは、式(II)によって表される構造を有するポリエーテルであり得る:
【0032】
【化2】
【0033】
式中、xはおよそ2から70までである。いくつかの実施形態では、xは、2、2.5、または5のいずれかの下限、および、20、35、および70のいずれかの上限を有し得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。いくつかの実施形態では、xは、約2.5、6.1、または68であり得る。R2およびR2’のそれぞれは、第一級アミン、第二級アミン、チオール、またはフェノール化合物から独立して選択される官能基を表し得る。
【0034】
本開示の1つ以上の実施形態による末端基を有する熱可塑性ポリマーは、およそ500から4,000Da(ダルトン)までの範囲の重量平均分子量(Mw)を有し得る。例えば、熱可塑性ポリマーは、およそ500から4,000Daまでの分子量を有し得る。いくつかの実施形態では、分子量は、500、750、1,000、1,500、および2,000のいずれか1つの下限、ならびに、2,500、2,750、3,000、3,500、および4,000のいずれか1つの上限を有し得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。
【0035】
1つ以上の実施形態では、1つ以上の熱可塑性ポリマーが自己修復性樹脂を形成するために使用され得る。熱可塑性ポリマーの組み合わせを、組成物に含め得る。1つ以上の実施形態では、異なる種類の末端官能基を有する熱可塑性ポリマーを組み合わせて含め得る。
【0036】
1つ以上の実施形態では、BZ化合物は上述の熱可塑性ポリマーと反応して、自己修復性樹脂を形成し得る。BZ化合物は、一般に、1つまたは2つのベンゾオキサジン(BZ)部分を含む。第1のベンゾオキサジン部分は、式(III)の構造によって表される:
【0037】
【化3】
【0038】
式中、R3およびR4のそれぞれは、水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、官能基、または第2のBZ部分のうちの1つ以上を表し得る。ただし、いくつかの実施形態では、R3およびR4のうちの1つは、第2のBZ部分、すなわち、ジ-BZ化合物である。本明細書において使用される場合、用語「炭化水素基」は、飽和または不飽和であり得る、分岐、直鎖、および/または環含有炭化水素基を指し得る。炭化水素基は、第一級、第二級、および/または第三級炭化水素であってよい。本明細書において使用される場合、用語「置換炭化水素基」は、少なくとも1つの水素原子が水素ではない基で置き換えられて安定な化合物となった炭化水素基(上記で定義される)を指し得る。そのような置換基は、限定されるものではないが、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソ、アルカノイル、アリールオキシ、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、二置換アミン、アルカニルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、置換アルカノイルアミノ、置換アリールアミノ、置換アラルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アリールアルキルチオ、アルキルチオノ、アリールチオノ、アリアルキルチオノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、スルホンアミド、置換スルホンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、アルコキシカルボニル、アリール、置換アリール、グアニジン、およびヘテロシクリル、ならびにこれらの混合物から選択され得るが、これらに限定されない。前記官能基は、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソ、アミノ、アミド、チオール、アルキルチオ、スルホニル、アルキルスルホニル、スルホンアミド、置換スルホンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、アルコキシカルボニル基などから選択され得るが、これらに限定されない。
【0039】
1つ以上の実施形態では、ベンゾオキサジン化合物は、2つのBZ部分を有することを意味するジ-ベンゾオキサジン化合物(ジ-BZ化合物とも呼ばれる)であり得る。1つ以上の実施形態では、ジ-BZ化合物は、ビス-ジ-BZであり得る。1つ以上の実施形態では、ビス-ジ-BZ化合物ユニットは、式(IV)で表される構造を有し得る:
【0040】
【化4】
【0041】
式中、R5は、水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、または式(III)に関して上述した官能基を表す。R5’は、R5と同じ基であっても異なる基であってもよい。R6は、炭化水素基または置換炭化水素基を表してもよい。特定の実施形態では、R6は、ベンゼン、ビベンジル、ジフェニルメタン、ナフタレン、アントラセン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホンエーテル、ビス(フェノキシ)ベンゼン、スチルベン、フェナントレン、フッ素、およびそれらの置換変異体から選択されるが、これらに限定されない芳香族基を表し得る。
【0042】
例示的な実施形態では、ジ-ベンゾオキサジン化合物は、式(V)によって表される構造を有するビスアミン型ジ-ベンゾオキサジンであり得る:
【0043】
【化5】
【0044】
いくつかの実施形態では、ジ-BZ化合物は、式(VI)によって表される構造を有し得る:
【0045】
【化6】
【0046】
式中、R7は、式(III)に関して上述したように、水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、または官能基を表す。R7’は、R7と同じ基であっても異なる基であってもよい。R8は、炭化水素、エーテル、第二級アミノ、アミド、チオエーテル、スルホニル、スルホンアミド、カルボニル、カルバミル、フルオレニル、アルコキシカルボニル、およびこれらの混合物から選択され得るが、これらに限定されない。
【0047】
例示的な実施形態では、ジ-BZ化合物は、式(VII)によって表される構造を有するビスフェノール型ジ-ベンゾオキサジンであり得る:
【0048】
【化7】
【0049】
1つ以上の実施形態では、BZ化合物は、一方または両方のエンドキャップに、端末ベンゾオキサジン部分を有する開環オリゴマーを含み得る。そのような開環オリゴマーは、国際出願番号PCT/IB2021/020018に記載されている。その全体が参照により組み込まれる。開環BZオリゴマーは、少なくとも1つのBZ官能基がエンドキャップとして存在するという条件で、上述の熱可塑性ポリマーと反応して自己修復性樹脂を形成し得る。
【0050】
1つ以上の実施形態では、1つ以上のベンゾオキサジン化合物を上述の熱可塑性ポリマーと反応させて、自己修復性樹脂を形成し得る。
【0051】
1つ以上の実施形態では、樹脂組成物は任意に、熱可塑性ポリマーよりも小さい分子である1つ以上の官能化化合物を用いて配合され得る。より小さな官能化化合物は、官能基(例えば、第一級アミン、第二級アミン、チオール、および/またはフェノール化合物など)を含み得る。より小さい官能化化合物は、樹脂組成物中に提供され得る。その結果、熱安定性などの特性(ただし、これに限定されない)を含む樹脂特性の調整が可能になる。配合は、粉末乾燥混合、溶融混合、または溶液中での混合によって行うことができる。
【0052】
自己修復性樹脂を形成するためのベンゾオキサジンとの高い反応性の観点から、ジアミンは、ベンゾオキサジン部分とジアミンとの開環反応のために特に好適であり得る。そのようなジアミンとしては、炭素数6~27の芳香族ジアミン化合物、例えば、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS-m)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS-p)、1,4-ジアミノベンゼン(PPD)、1,3-ジアミノベンゼン(MPD)、2,4-ジアミノトルエン(2,4-TDA)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MDA)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DPE)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(TB)、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル(TFMB)、3,7-ジアミノ-ジメチルジベンゾチオフェン-5,5-ジオキシド(TSN)、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(4-アミノフェニル)スルフィド(ASD)、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(ASN)、4,4’-ジアミノベンズアニリド(DABA)、1,n-ビス(4-アミノフェノキシ)アルカン(n=3、4または5、DAnMG)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン(DANPG)、1,2-ビス[2-(4-アミノフェノキシ)エトキシ]エタン(DA3EG)、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ペンタン(DA5MG)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン(DA3MG)、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(FDA)、5(6)-アミノ-1-(4-アミノメチル)-1,3,3-トリメチルインダン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-QまたはAPB-144)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-RまたはAPB-134またはRODA)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APBまたはAPB-133))、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、3,3’-ジカルボキシ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MBAA)、または4,6-ジヒドロキシ-1,3-フェニレンジアミン(4,6-ジアミノレゾルシンとして知られる)、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル(HAB)および3,3’,4,4’-テトラアミノビフェニル(TAB);炭素数6~24の脂肪族または脂環式ジアミン化合物、例えば、1,6-ヘキサメチレンジアミン(HMD)、1,8-オクタメチレンジアミン(OMDA)、1,9-ノナメチレンジアミン、1,12-ドデカメチレンジアミン(DMDA)、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミンおよびシクロヘキサンジアミン;シリコーン系ジアミン化合物、例えば、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンおよびポリジメチルシロキサン(PDMS);またはそれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態では、芳香族化合物(VIII)または(IX)(式中、それぞれのRは独立して、H、CH、またはハロゲンから選択され、nは1~7の範囲の整数である)、およびヘキサメチレンジアミン(X)(式中、R10は独立して、Hまたはハロゲンから選択され、nは1~15の範囲の整数である)などのアルキルジアミンを含む、1つ以上のフレキシブルコモノマーを使用し得る:
【0053】
【化8】
【0054】
R11およびR11’のそれぞれは独立して、第一級アミン、第二級アミン、チオール、またはフェノール化合物から選択される官能基を表し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、自己修復性樹脂組成物が少なくとも1つの任意の添加剤を含み得る。任意の添加剤は、無機化合物、有機化合物、熱硬化性樹脂、およびそれらの組み合わせを含み得る。このような添加剤は、水素結合、ホスト-ゲスト相互作用、π-π相互作用、および金属-リガンド相互作用などの超分子相互作用を増加させ得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、任意の添加剤は、無機化合物を含み得る。無機化合物は、ハロゲン化物(例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、およびそれらの組み合わせなど)との金属錯体であり得る。無機化合物は、酢酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、トリフレート、フルオロホウ酸塩、硝酸塩、フェノール酸塩、および炭酸塩の金属錯体であり得る。無機化合物は、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、コバルト、銅、ニッケル、マグネシウム、カルシウム、およびそれらの組み合わせの金属を含み得る。いくつかの実施形態では、無機化合物は、AlCl、FeCl、ZnCl、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0057】
無機化合物は、1から25phrまでの範囲の量で含まれ得る。いくつかの実施形態では、自己修復性樹脂は、任意の添加剤の1、3、5、または8phr(樹脂100部当たりの割合)のうちの1つの下限、ならびに、10、15、20、および25phrのうちの1つの上限を有する範囲で、無機化合物を含み得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。
【0058】
1つ以上の実施形態では、任意の添加剤は、有機化合物を含み得る。特定の実施形態では、有機化合物は、カルボン酸化合物、フェノール化合物、およびそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、前記有機化合物は、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、2,4-ヘキサジエン酸、ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸、4,4’-ビフェノール、ビスフェノール-A、ビスフェノール-F、ビスフェノール-S、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンであり得る。
【0059】
有機化合物は、1から25phrまでの範囲の量で含まれ得る。いくつかの実施形態では、自己修復性樹脂は、任意の添加剤の1、3、5、または8phr(樹脂100部当たりの割合)のうちの1つの下限、ならびに、10、15、20、および25phrのうちの1つの上限を有する範囲で、有機化合物を含み得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。
【0060】
1つ以上の実施形態では、任意の添加剤は、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド、および/またはシアネート化合物など)を含み得る。当技術分野で公知の一般的に使用されるビスマレイミドおよびシアネートエステル化合物が適切であり得る。エポキシ化合物の例としては、脂環式エポキシ化合物、芳香族フェニル基ベースのエポキシ化合物、およびポリグリシジルエポキシ化合物(例えば、ポリグリシジルエーテルまたはポリグリシジルエステルなど)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0061】
熱硬化性樹脂は、1~15phrの範囲の量で含まれ得る。いくつかの実施形態では、自己修復性樹脂は、任意の添加剤の1、2、3、5、または7phr(樹脂100部当たりの割合)のうちの1つの下限、ならびに、8、10、12、および15phrのうちの1つの上限を有する範囲で、エポキシ化合物を含み得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。
【0062】
上述の任意の添加剤のいずれもが、単独でまたは組み合わせて使用し得る。
【0063】
1つ以上の実施形態では、自己修復性樹脂組成物は、溶融重合プロセスによって得られ得る。いくつかの実施形態では、溶媒を必要とせず、反応時間が溶液相重合と比較して大幅に短縮されるので、自己修復性樹脂組成物の合成のために溶融重合を使用し得る。さらに、重合が完了した後に精製が必要とされ得ないので、溶融重合が有利であり得る。1つ以上の実施形態では、溶融重合は、自己修復性樹脂組成物を形成するために、BZ化合物の開環を含み得る。このような実施形態では、BZ化合物が熱可塑性ポリマーの末端アミン基との反応によって開環する。
【0064】
1つ以上の実施形態の溶融重合は、およそ50から130℃までの範囲の温度を有し得る。いくつかの実施形態では、溶融重合は、50、55、60、65、70、75、80、85、および90℃のうちの1つの下限、ならびに、95、100、105、110、115、120、125、および130℃のうちの1つの上限を有する範囲の温度を有し得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。
【0065】
1つ以上の実施形態の溶融重合は、およそ1から10時間までの範囲の合計時間にわたって実施され得る。いくつかの実施形態では、溶融重合は、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、および5時間のうちの1つの下限、ならびに、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、および10時間のうちの1つの上限を有する範囲の総時間にわたって実施され得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。
【0066】
1つ以上の実施形態では、溶融重合は、熱可塑性ポリマーとBZ化合物とを1:10から10:1までのモル比(熱可塑性ポリマー対BZ化合物)で含み得る。いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーとBZ化合物とのモル比は、1:10、1:8、1:5、1:3、1:2、1:1、および2:1のうち1つの下限、ならびに、1:2、1:1、2:1、3:1、5:1、8:1、および10:1のうち1つの上限を有する範囲であり得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。
【0067】
1つ以上の実施形態では、溶融重合は、1~50phr(樹脂100部当たりの割合)の範囲の量の任意の添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では、溶融重合は、1、5、10、15、20、および25phrのうちの1つの下限、ならびに、30、35、40、45、および50phrのうちの1つの上限を有する範囲で、任意の添加剤量を含み得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。
【0068】
1つ以上の実施形態の溶融重合は、高固形分での溶媒または溶融混合によって原料(例えば、熱可塑性ポリマー、BZ化合物、および上述の組成物の他の成分)を混合する工程を含み得る。1つ以上の実施形態では、溶融重合は、オーブン、押出機、ホットプレート、オイルバス、ホットプレス機、オートクレーブなど(ただし、これらに限定されない)を使用して行われ得る加熱を含む。1つ以上の実施形態では、溶融重合は、標準大気圧、真空、およびアルゴンまたは窒素ガスなどの不活性雰囲気下(ただし、これらに限定されない)で行われ得る。1つ以上の実施形態では、加熱による溶融重合は、空気(ただし、これに限定されない)の流入下、もしくはアルゴンまたは窒素などの不活性ガスの下で行われ得る。
【0069】
溶液ベースの合成方法は、同じ自己修復性樹脂組成物をまた提供し得る。しかし、溶液方法は、重合のための原料の固形分に大きく依存し、はるかに長い反応時間を必要とし得る。溶液ベースの重合では、原料の固形分が反応を進行させるのに十分に量が多くあるべきである。1つ以上の実施形態では、溶媒中の原料の固形分は、25~90重量パーセントの範囲の量であり得る。いくつかの実施形態では、溶媒中の固形分は、25、30、35、40、45、および50のうちの1つの下限、ならびに、55、60、65、70、75、80、85、および90のうちの1つの上限を含み得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。
【0070】
本開示の1つ以上の実施形態による自己修復性樹脂は、50から95重量%(重量パーセント)までの範囲の量で、熱可塑性ポリマーに由来するユニットを含み得る。いくつかの実施形態では、自己修復性樹脂は、50、55、60、および65重量%のうちの1つの下限、ならびに、70、75、80、85、90、および95重量%のうちの1つの上限の範囲の量で、熱可塑性ポリマーに由来するユニットを含み得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。
【0071】
本開示の1つ以上の実施形態による自己修復性樹脂は、5から50重量%までの範囲の量で、BZ化合物に由来するユニットを含み得る。いくつかの実施形態では、自己修復性樹脂は、5、10、15、20、25、および30重量%のうちの1つの下限、ならびに、35、40、45、および50重量%のうちの1つの上限を有する範囲の量で、BZ化合物に由来するユニットを含み得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。
【0072】
本開示の1つ以上の実施形態による自己修復性樹脂は、1~50phrの範囲の量の任意の添加剤の総量を含み得る。いくつかの実施形態では、自己修復性樹脂は、1、5、10、15、20、および25phrのうちの1つの下限、ならびに、30、35、40、45、および50phrのうちの1つの上限を有する範囲内の任意の添加剤の量を含み得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。
【0073】
本開示の1つ以上の実施形態による自己修復性樹脂は、約5~40重量%の未反応BZ化合物含有量を有し得る。いくつかの実施形態では、自己修復性樹脂は、5、10、15、および20重量%のうちの1つの下限、ならびに、25、30、35、および40重量%のうちの1つの上限を有する未反応BZ化合物含有量を含み得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。
【0074】
本開示の1つ以上の実施形態による自己修復性樹脂は、約5~100キロダルトン(kDa)の範囲の重量平均分子量(Mw)を有し得る。いくつかの実施形態では、自己修復性樹脂のMwは、5、10、20、40、および50kDaのうちの1つの下限、ならびに、60、70、80、90、100kDaのうちの1つの上限を有する範囲であり得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。
【0075】
1つ以上の実施形態では、上述の自己修復性樹脂の重合によって形成されるポリマーは、ポリマーの両方のエンドキャップに、ベンゾオキサジン部分などの上述の末端官能基を含み得る。このような構造の例を、図1Aおよび1Bに示す。1つ以上の実施形態では、上述の自己修復性樹脂の重合によって形成されるポリマーは、両方のエンドキャップに、アミン部分などの上述の末端官能基を含み得る。このような構造の例を、図1Cに示す。
【0076】
本開示の1つ以上の実施形態による例示的な自己修復性樹脂は、図1A、1Bおよび1Cに示される構造を有し得る。「TP」と表示された部分は、上述の熱可塑性ポリマーを表す。
【0077】
図1A、1Bおよび1Cに示すように、BZ部分は、末端アミン基との反応によって開環されている。さらに、開環反応を経た後、BZ化合物からのユニットは、フェノール官能基および第二級アミン官能基をポリマー構造全体に寄与させる。このような官能基は、ポリマー構造内の水素結合に寄与し、自己修復特性を改善し得る。
【0078】
本開示の1つ以上の実施形態による自己修復性樹脂は、物品(例えば、膜またはコーティングなど)を形成するために硬化され得る。自己修復性樹脂は、様々な方法で硬化させ得る。それらは、熱、紫外線照射、マイクロ波照射、水分などから選択される外部刺激によるものを含む、硬化サイクル、溶液キャスティング、ホットメルトプレスなどを含み得る(ただし、これらに限定されない)。特定の実施形態では、自己修復性樹脂は、約30~150℃の硬化温度で、1時間~7日間の硬化時間にわたって硬化させ得る。硬化時間および温度は、自己修復性樹脂組成物に基づいて適切に調整され得る。
【0079】
本開示の1つ以上の実施形態による自己修復性樹脂は、複合材中またはコーティングとしてなど、様々な用途を有し得る。複合材では、自己修復性樹脂は、一次マトリックスポリマーとして、または別個のマトリックスポリマーを有する複合材中の添加剤として使用され得る。添加剤として使用される場合、自己修復性樹脂は、50重量%までの量で存在し得る。さらに、1つ以上の実施形態では、自己修復性樹脂が添加剤として使用される場合、一次マトリックスポリマーは、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリスルホン、またはポリフェニレンスルフィド(ただし、これらに限定されない)を含み得る。
【0080】
1つ以上の実施形態では、自己修復性樹脂は、添加剤、熱可塑性樹脂から作製される強化剤、熱硬化性樹脂、無機化合物、有機化合物などを含む組成物として配合され得る。配合は、粉末乾燥混合、溶融混合、または溶液中での混合によって行うことができる。添加剤および強化剤の両方の形状は、例えば、板または繊維を含む(ただし、これらに限定されない)粒子を含み得る。1つ以上の添加剤、強化剤、および繊維は、硬化性組成物と共に配合され得る。例えば、1つ以上の熱可塑性樹脂を、自己修復性樹脂と共に配合することができる。このような熱可塑性樹脂としては、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテルエーテルケトン)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリ(エーテルイミド)、ポリカーボネート、ポリスルホンなどが挙げられ得る(ただし、これらに限定されない)。別の例では、1つ以上の熱硬化性樹脂を硬化性組成物と共に配合し、熱で共硬化させることができる。このような熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン、ビスマレイミド、シアネートエステルなどが挙げられ得る(ただし、これらに限定されない)。熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を、本開示の自己修復性樹脂と共に使用することができることも想定される。1つ以上の実施形態では、硬化温度を下げるために、無機化合物、有機化合物、およびそれらの組み合わせが自己修復性樹脂組成物と共に使用され得る。例えば、有機化合物は、アミノ基、イミダゾール基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、スルホニル基などの官能基を含み得る(ただし、これらに限定されない)。
【0081】
本開示の1つ以上の実施形態による自己修復性樹脂は、航空宇宙、自動車、および海洋用途を含む(ただし、これらに限定されない)多くの用途において、構造複合材を形成するために有用であり得る。航空宇宙、自動車、または海洋用途における構造部品の破断部は、部品の故障を生じ得、したがって、自己修復特性はそのような部品において特に有用であり得る。しかし、現在記載されている樹脂は、そのような物品に限定されない。
【0082】
コーティングまたは接着剤層の形成において、配合されたコーティングの適用は、スプレー、ローラーコーティング、ディップコーティングなどの従来の方法によって行われ得る。次いで、コーティングされた系は、例えば、焼成によって硬化され得る。
【0083】
本開示の1つ以上の実施形態による自己修復性樹脂から作製された物品は、自己修復特性を示し得る。特定の実施形態では、自己修復性樹脂が、他からの添加剤または充填剤を必要とせずに、室温または高温で破断部を修復し得る。本明細書で使用される場合、破断部は樹脂における切断、亀裂、穿刺、かき傷、または他の同様の物理的変形であり得る。本明細書で使用される場合、修復は、破断部がこれまでに提示した構造を、少なくとも部分的に再形成することを意味する。
【0084】
1つ以上の実施形態では、破断部を有する物品は、破断部が修復されるように、物品を所定の温度で所定の時間維持することによって自己修復され得る。1つ以上の実施形態では、自己修復温度は、およそ周囲温度から175℃までの範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、自己修復温度は、周囲温度、30、50、60、および90℃のいずれかの下限、ならびに、100、125、150、および175℃のいずれかの上限を有する範囲であり得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。1つ以上の実施形態では、自己修復時間は、約30分間から数日間までの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、自己修復時間は、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3、5、または10時間のいずれかの下限、ならびに、10、7、5、2、および1日間のいずれかの上限を有する範囲内であり得、任意の下限は任意の数学的に適合性のある上限と組にし得る。より高い自己修復温度が用いられる場合、一般に、より短い自己修復時間が必要とされる。
【0085】
いかなる特定のメカニズムまたは理論に制限されることを望むものではないが、ポリマー構造における高い動的モビリティおよび超分子相互作用は、優れた自己修復特性に寄与し得ると考えられる。上記で説明したように、自己修復性樹脂は、開環ジ-BZユニット上のフェノール基および第二級アミン基からの水素結合相互作用を含み得る。水素結合はまた、熱可塑性ポリマーユニットから提供され得る。金属錯体などの添加剤の使用は、ポリマー構造中に金属-リガンド相互作用を提供し、自己修復特性を改善し得る。エポキシ樹脂は、ポリマー中のジ-BZユニット中に存在するフェノール基と開環反応を起こし得るので、自己修復特性のための有用な添加剤であり得る。このような開環反応は、アルキルヒドロキシルを生成する。それらはまた、ポリマー内の水素結合に寄与し得る。しかし、過剰量のエポキシ樹脂の使用は、フェノール基との架橋をもたらし得る。それらは、ポリマー構造内の最適な水素結合を低下させ、自己修復特性を低下させ得る。エポキシ樹脂と金属錯体との組み合わせは、ポリマー中の金属イオンとフェノール基との間の好ましい金属-リガンド相互作用によって改善された自己修復を提供し得、エポキシ樹脂とフェノールとの好ましくない架橋を防止し得る。添加剤(例えば、フェノール化合物およびカルボン酸など)もまた、構造中の水素結合を増加させ、自己修復特性に寄与し得る。
【0086】
〔実施例〕
以下の実施例は単なる例示であり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0087】
〔材料〕
ビスアミン型ベンゾオキサジン(製品名:P-d)は、四国化学工業(株)から入手した。O,O’-ビス(2-アミノプロピル)ポリプロピレングリコール-ブロック-ポリエチレングリコール-ブロック-ポリプロピレングリコール(製品名:Jeffamine(登録商標)ED-2003)は、Sigma-Aldrichから購入した。塩化アルミニウム六水和物、[Al(HO)]Clおよびメタノールは、VWRから入手した。THFおよび1,3-ジオキソランは、Beantown Chemicalsから購入した。ビスフェノール-Aジグリシジルエーテルエポキシ樹脂(製品名:Epon(登録商標)Resin 828)は、Polysciences社から入手した。
【0088】
〔PE-BZ(実施例1)の合成〕
5.00gのP-d(11.5mmol)および24.17g(12.1mmol)のJeffamine ED-2003をフラスコに加え、90℃で約4時間撹拌した。反応が進行するにつれて、混合物の粘度の増加が観察された。得られた生成物を室温に冷却し、冷蔵して、望ましくない架橋を防止した。得られた生成物を、PE-BZと呼ぶ。この樹脂の融点は、約30℃である。
【0089】
〔PE-BZ+エポキシ樹脂および金属錯体(実施例2)の合成〕
反応成分のストック溶液は、以下の方法によって調製した。5.525gのPE-BZを、15mLの1,3-ジオキソランに、穏やかな加熱で2時間撹拌することによって溶解した。325mgのEpon(登録商標)Resin 828(以下、「エポキシ樹脂」と称する)を、60分間撹拌することによって、6mLのTHFに溶解した。182mgのAlClを、2mLのメタノールに60分間攪拌することによって溶解した。
【0090】
実施例1に記載のPE-BZを、所定量のエポキシストック溶液、および任意のAlClと混合した。各々の成分の量を、以下の表1に列挙する。
【0091】
【表1】
【0092】
最初に、所望の量のエポキシ溶液を添加しながら、PE-BZ溶液を激しく撹拌した。次いで、該当する場合には、激しく撹拌しながら、AlCl溶液をゆっくりと加えた。全ての金属錯体溶液を加えた後、混合物を約1時間撹拌した。
【0093】
〔製膜(実施例3)〕
実施例1および2のサンプルから膜を調製した。PE-BZ膜(すなわち、サンプル1)は、PE-BZを空気中200℃で30分間硬化させることによって調製した。サンプル2および3の膜は、以下の温度および時間、空気中で硬化させることによって調製した:30℃で2日間、続いて60℃で1時間、続いて90℃で5時間、続いて120℃で1.5時間。サンプル2の膜をさらに200℃で30分間処理して、環オープン残留ジ-BZを得た。この処置は、AlClが低温で触媒として作用するので、サンプル3には必要ではない。
【0094】
〔高温自己修復試験(実施例4)〕
サンプル1~3の膜を実施例3に従って調製し、約1cm×1cmの断片に切断した。次いで、カミソリ刃を用いて膜の切断部を2箇所作製した。次いで、膜を125℃または150℃に加熱し、その温度で1~2時間保持した。マクロ写真を加熱前後に撮影した。
【0095】
〔室温自己修復試験(実施例5)〕
サンプル3の膜を実施例3に従って調製し、約1cm×1cmの断片に切断した。次いで、膜を完全に切断するように切断し、膜を2つの断片に分離した。これらの断片を互いに物理的に接触させて配置し、膜の上に小さな重りを配置して、均一な接触を確保した。膜を5日間放置した。写真および拡大図は、5日前後に撮影した。
【0096】
同様に、サンプル1の1cm×0.25cmのフィルムストリップを、その長さに沿って2つの完全な切断部を導入した。これらの断片を互いに物理的に接触させて配置し、膜の上に小さな重りを配置して、均一な接触を確保した。膜を2.5日間放置した。拡大図は、2.5日後に撮影した。
【0097】
〔熱安定性(実施例5)〕
実施例1に従って作製されたPE-BZ樹脂の熱安定性を、樹脂を空気中で200℃に加熱し、200℃で2時間後の重量減少を測定することによって試験した。1重量%未満の重量減少が、PE-BZ樹脂について観察された。比較として、Jeffamine(登録商標)ED-2003ポリマーについて同じ熱安定性試験を行った。空気中200℃で2時間後に14重量%の重量減少が観察され、Jeffamine(登録商標)ED-2003ポリマーと比較してPE-BZ樹脂の熱安定性の増進が示された。
【0098】
〔結果および考察〕
図2Aは、実施例4による切断部を有するサンプル1を示す。図2Bは、150℃に1.5時間加熱した後のサンプル1を示す。図示のように、膜の切断部は、加熱後はもはや認められず、膜がほぼ完全に修復したことを示している。特に、この膜は、その後3回切断され、そして自己修復した。特定のメカニズムまたは理論に制限されることを望むものではないが、PE-BZ中に存在する超分子相互作用(例えば、フェノール基とエーテルポリマー主鎖との間の水素結合)は十分な分子移動度と共に、ポリマーの自己修復を可能にすると考えられる。
【0099】
図3Aは、実施例4による切断部を有するサンプル2を示す。図3Bは、150℃に2時間加熱した後のサンプル2を示す。このサンプルにはいくらかの修復があると見える。しかし、それはサンプル1における修復ほど有意ではない。特定のメカニズムまたは理論に制限されることを望むものではないが、エポキシ樹脂とPE-BZ中のフェノール基との反応は架橋を生じ、分子移動度、ならびにPE-BZ構造内の好ましい水素結合特性を低下させ、それに伴って、その自己修復特性を低下させ得ると考えられる。
【0100】
図4Aは、実施例4による切断部を有するサンプル3を示す。図4Bは、125℃に1時間加熱した後のサンプル3を示す。このサンプルは、比較的短時間で、かつ比較的低温で、ほぼ完全に修復したと見える。特定のメカニズムまたは理論に制限されることを望むものではないが、AlClはフェノールとエポキシ樹脂との架橋を防止し、金属-リガンド相互作用を提供して、より良好な自己修復を提供し得ると考えられる。
【0101】
図5Aは、実施例5による切断部を有するサンプル3の写真である。図5Bは、室温での約5日後の同じサンプルの写真である。示されるように、サンプルは、室温でほぼ完全な自己修復を示す。
【0102】
図6Aは、図5Aに示されるサンプルの拡大図である。膜の完全な切断が見られる。図6Bおよび6Cは、図5Bのサンプルを示す拡大図である。示されるように、サンプルは、室温でほぼ完全に自己修復したと見える。
【0103】
図7Aは、修復のプロセスにおける切断部を有する実施例5によるサンプル1を示す。図7Bおよび7Cは、図7Aの切断修復部の拡大図である。2.5日後の修復プロセスが観察される。一度完全に切断された場合、フィルムは、室温で自己修復することによって一緒になった。
【0104】
上記では、ほんのわずかな例示的な実施形態について詳述してきたが、当業者であれば、本発明から実質的に逸脱すること無しに、例示的な実施形態における多くの変形が可能であることを、容易に理解するであろう。したがって、すべてのそのような変形は、以下の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲内に含まれることが意図される。特許請求の範囲において、ミーンズ-プラス-ファンクション節は、記載された機能を実行するものとして本明細書に記載された構造、および、構造的な等価物だけでなく、等価な構造体もカバーすることが意図されている。したがって、爪とネジとは、木製部品同士を固定するために円筒面を採用する一方で、ネジが螺旋面を採用する点においては、構造的に等価ではないかもしれないが、木製部品を締結するという条件においては、爪とネジとは等価な構造体であり得る。出願人の明示的な意図は、関連する機能と共に「するための手段」という語を請求項が明示的に使用するものを除いて、本願の請求項のいずれかの限定について、35 U.S.C.§112、パラグラフ6を行使しないことである。
【図面の簡単な説明】
【0105】
図1A図1Aは、本開示の1つ以上の実施形態による例示的な自己修復性樹脂である。
図1B図1Bは、本開示の1つ以上の実施形態による例示的な自己修復性樹脂である。
図1C図1Cは、本開示の1つ以上の実施形態による例示的な自己修復性樹脂である。
図2A図2Aは、本開示の1つ以上の実施形態による切断部を有するポリマーの顕微鏡写真である。
図2B図2Bは、本開示の1つ以上の実施形態による自己修復を経たポリマーの顕微鏡写真である。
図3A図3Aは、本開示の1つ以上の実施形態による切断部を有するポリマーの顕微鏡写真である。
図3B図3Bは、本開示の1つ以上の実施形態による自己修復を経たポリマーの顕微鏡写真である。
図4A図4Aは、本開示の1つ以上の実施形態による切断部を有するポリマーの顕微鏡写真である。
図4B図4Bは、本開示の1つ以上の実施形態による自己修復を経たポリマーの顕微鏡写真である。
図5A図5Aは、本開示の1つ以上の実施形態による切断部を有するポリマーの写真である。
図5B図5Bは、本開示の1つ以上の実施形態による自己修復を経たポリマーの写真である。
図6A図6Aは、本開示の1つ以上の実施形態による切断部を有するポリマーの顕微鏡写真である。
図6B図6Bは、本開示の1つ以上の実施形態による自己修復を経たポリマーの顕微鏡写真である。
図6C図6Cは、本開示の1つ以上の実施形態による自己修復を経たポリマーの顕微鏡写真である。
図7A図7Aは、本開示の1つ以上の実施形態による切断部を有するポリマーの顕微鏡写真である。
図7B図7Bは、本開示の1つ以上の実施形態による自己修復を経たポリマーの顕微鏡写真である。
図7C図7Cは、本開示の1つ以上の実施形態による自己修復を経たポリマーの顕微鏡写真である。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7A-7C】
【手続補正書】
【提出日】2023-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)末端官能基を有する熱可塑性ポリマーと(b)ベンゾオキサジン化合物との間の反応から形成されるポリマーであって、
前記末端官能基は、第一級アミン、第二級アミン、チオール、フェノール化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、ポリマー;ならびに、
エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、熱硬化性樹脂、を含む、自己修復性樹脂組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリマーが、式(I)で表される構造を有するポリエーテルであり:
【化1】

式中、yは1から40までであり、x+zは1から8までであり、R1およびR1’は独立して、第一級アミン、第二級アミン、チオール、およびフェノール化合物から選択される、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリマーが、式(II)で表される構造を有するポリエーテルであり:
【化2】

式中、xは2から70までであり、R2およびR2’は独立して、第一級アミン、第二級アミン、チオール、またはフェノール化合物から選択される、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項4】
前記熱可塑性ポリマーが、500から4,000Da(ダルトン)までの重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項5】
前記ベンゾオキサジン化合物が、式(V)で表される構造を有するベンゾオキサジンである、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物:
【化3】
【請求項6】
前記ベンゾオキサジン化合物が、式(VII)で表される構造を有するベンゾオキサジンである、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物:
【化4】
【請求項7】
1~15phrの前記熱硬化性樹脂を含む、請求項に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項8】
AlCl、FeCl、ZnCl、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される無機化合物をさらに含む、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項9】
1から25phrまでの前記無機化合物を含む、請求項に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項10】
芳香族ジアミンをさらに含む、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項11】
前記ポリマーが、前記熱可塑性ポリマーに由来するユニットを50から95重量%まで含む、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項12】
前記ポリマーが、前記ベンゾオキサジン化合物に由来するユニットを5から50重量%まで含む、請求項1に記載の自己修復性樹脂組成物。
【請求項13】
自己修復性樹脂組成物を形成する方法であって:
(a)ベンゾオキサジン化合物と(b)末端官能基を有する熱可塑性ポリマーとを溶融重合によって反応させて、第1ポリマーを形成する工程であって、
前記末端官能基は、第一級アミン、第二級アミン、チオール、フェノール化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、工程;ならびに、
エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される熱硬化性樹脂と、前記第1ポリマーとを混合する工程、を含む、方法。
【請求項14】
前記溶融重合が、50から130℃までの範囲の温度である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記溶融重合が、1から10時間までの範囲の時間を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記熱可塑性ポリマーおよび前記ベンゾオキサジン化合物が、1:10から10:1までのモル比で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
物品を自己修復する方法であって:
(a)末端官能基を有する熱可塑性ポリマーと(b)ベンゾオキサジンとの間の反応から生じるポリマーから、前記物品が形成され、
前記末端官能基は、第一級アミン、第二級アミン、チオール、フェノール化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記物品はその中に破断部を有し、
前記破断部が修復されるように、前記ポリマーから形成された前記物品を、所定の温度で所定の時間維持する工程を含む、方法。
【請求項18】
前記所定の温度が、周囲温度から175℃までである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記所定の時間が、0.5時間~10日間である、請求項17に記載の方法。
【国際調査報告】