(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】嚥下可能なカプセル装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/30 20060101AFI20231005BHJP
A61M 31/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A61M5/30
A61M31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519482
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2021076893
(87)【国際公開番号】W WO2022069606
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウォーター, ヨリト ヨルン
(72)【発明者】
【氏名】モウリトスン, ブリーアン
(72)【発明者】
【氏名】ステッカー, ドラゴ
(72)【発明者】
【氏名】ガザル, アギアド
(72)【発明者】
【氏名】イエプセン, ヤコブ ビョン フヮ
(72)【発明者】
【氏名】ヘアスキン, ペータル
(72)【発明者】
【氏名】クリーブランド, コディー エドワード
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA01
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066EE11
4C066FF02
(57)【要約】
嚥下可能なカプセル装置(10)は、カプセル筐体(12)と、カプセル筐体(12)に対して配設された薬剤出口(14)と、使用中の原薬(23)を収容するように構成された薬剤貯蔵部(16)と、無針ジェット注射器組立品と、を備える。無針ジェット注射器組立品は、ジェット注射器(22)およびアクチュエータを含む。ジェット注射器(22)は、複数のジェットノズル(24)を有し、アクチュエータは、所定の条件下で作動して、使用中の原薬(23)を、ジェットノズル(24)を介して薬剤貯蔵部から薬剤出口(14)を通して排出して、ジェット流を形成するように構成されている。各ジェットノズル(24)は、1W以下のピークジェット電力を有する別個の平行化されたジェット流(28)を排出するように構成されており、複数のジェットノズル(24)は、別個の平行化されたジェット流(24)が組み合わさって、内腔壁に向かって排出されるように構成された連続ジェット流(20)を形成するように、まとまって配設されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の消化管内腔への摂取のために、かつある用量の原薬を前記内腔の内腔壁に排出するように構成された、嚥下可能なカプセル装置(10)であって、前記カプセル装置(10)が、
カプセル筐体(12)と、
前記カプセル筐体(12)に対して配設された薬剤出口(14)と、
使用中の原薬(23)を収容するように構成された薬剤貯蔵部(16)と、
ジェット注射器(22)およびアクチュエータを含む無針ジェット注射器組立品であって、前記ジェット注射器が、複数のジェットノズル(24、52、102)を有し、前記アクチュエータが、所定の条件下で作動して、使用中の前記原薬(23)を、前記ジェットノズル(24、52、102)を介して前記薬剤貯蔵部(16)から前記薬剤出口(14)を通して排出して、ジェット流を形成するように構成されている、無針ジェット注射器組立品と、を備え、
各ジェットノズル(24、52、102)が、1W以下のピークジェット電力を有する別個の平行化されたジェット流(28)を排出するように構成されており、
前記複数のジェットノズル(24、52、102)は、前記別個の平行化されたジェット流(28)が組み合わさって、前記内腔壁に向かって排出されるように構成された連続ジェット流(20)を形成するように、まとまって配設されている、嚥下可能なカプセル装置(10)。
【請求項2】
使用中、前記原薬(23)は、各ジェットノズル(24、52、102)が前記原薬(23)を含む別個の平行化された液体ジェット流(28)を排出するように、前記薬剤出口(14)を通して排出される液体原薬を形成する、請求項1に記載の嚥下可能なカプセル装置(10)。
【請求項3】
前記原薬(23)が、前記薬剤貯蔵部(16)に収容される液体原薬を形成する、請求項2に記載の嚥下可能なカプセル装置(10)。
【請求項4】
前記原薬(23)が、前記薬剤貯蔵部(16)内で粉末を形成し、前記カプセル装置(10)が、液体を収容する第2の貯蔵部をさらに備え、前記カプセル装置(10)が、前記粉末および前記液体を混合して、前記薬剤出口(14)を通して排出可能である混合液体原薬を形成するように構成されている、請求項2に記載の嚥下可能なカプセル装置(10)。
【請求項5】
前記薬剤貯蔵部(16)が、排出可能な体積の前記原薬(23)を収容し、前記ジェット注射器および前記アクチュエータが、単一の薬剤投与作用として、前記排出可能な体積の前記原薬(23)の実質的にすべてを前記薬剤貯蔵部(16)から前記薬剤出口(14)を通して排出するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の嚥下可能なカプセル装置(10)。
【請求項6】
各ジェットノズル(24、52、102)が、0.8W以下のピークジェット電力を有する別個の平行化されたジェット流(28)を提供するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の嚥下可能なカプセル装置(10)。
【請求項7】
前記ジェット注射器組立品が、1~5Wの範囲のピークジェット電力を有する前記連続ジェット流(20)を提供するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の嚥下可能なカプセル装置(10)。
【請求項8】
各ジェットノズル(24、52、102)が、ノズルオリフィス(26、112)であって、それを通して前記原薬(23)が使用中に排出される、ノズルオリフィス(26、112)を含み、各ノズルオリフィスが、10~150μmの直径を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の嚥下可能なカプセル装置(10)。
【請求項9】
各ジェットノズル(24、52、102)が、ノズルオリフィス(26、112)であって、それを通して前記原薬(23)が使用中に排出される、ノズルオリフィス(26、112)を含み、各ノズルオリフィスが、50~125μmの直径を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の嚥下可能なカプセル装置(10)。
【請求項10】
任意の2つの最も近い隣接するジェットノズル(24、52、102)の間の中心間距離が、0.5mm~1.0mmの範囲内である、請求項1~9のいずれか一項に記載の嚥下可能なカプセル装置(10)。
【請求項11】
前記ジェットノズル(102)は、前記別個の平行化されたジェット流(28)が前記薬剤出口(14)から互いに実質的に平行に流れるように配設されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の嚥下可能なカプセル装置(10)。
【請求項12】
前記ジェットノズル(24、52)は、前記別個の平行化されたジェット流(28)が標的点(30)に向かって収束するように配設されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の嚥下可能なカプセル装置(10)。
【請求項13】
前記ジェットノズル(24、52)が、互いに対して角度を付けられており、各ジェットノズル間の角度が、30°~90°の範囲である、請求項12に記載の嚥下可能なカプセル装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者の消化管内腔への摂取に適した嚥下可能なカプセル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
経口投与のための装置は、タンパク質および他の生物製剤などの生体高分子の消化管(GI)への送達を含む、多数の薬剤送達用途に有益である。そのような経口投与は、例えば、皮下注射などのより侵襲的な形態の薬剤投与と比較して、患者のコンプライアンスを高め、薬剤投与コストを削減し、かつ治療結果を改善する可能性が高い。無針ジェットベースの薬剤送達は、経口投与装置のための薬剤送達の魅力的な手段である。約2%のバイオアベイラビリティをもたらす一般的な化学浸透促進剤と比較して、ジェットベースの無針注射は、皮下と同等のバイオアベイラビリティを達成することができる。
【0003】
ジェット薬剤送達のための既存のジェット注射器システムは、当該技術分野で公知である。[特許文献1]は、液体の形態で分注可能な物質を分注するように構成された、摂取可能な装置の開示を含む。いくつかの形態では、液体は、ジェットとして分注される。[特許文献2]は、気体流内に同伴された粒子を平行化し、かつ粒子ビームが組織表面に垂直になるように粒子を集束させるように構成された粒子送達装置、特に、手持ち式装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/106,750A1号
【特許文献2】米国特許公開2016/0228646A1号
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様に従って、対象者の消化管内腔への摂取のために、かつある用量の原薬を内腔の内腔壁に排出するように構成された、嚥下可能なカプセル装置が提供され、このカプセル装置は、
カプセル筐体と、
カプセル筐体に対して配設された薬剤出口と、
使用中の原薬を収容するように構成された薬剤貯蔵部と、
ジェット注射器およびアクチュエータを含む無針ジェット注射器組立品であって、ジェット注射器が、複数のジェットノズルを有し、アクチュエータが、所定の条件下で作動して、使用中の原薬を、ジェットノズルを介して薬剤貯蔵部から薬剤出口を通して排出して、ジェット流を形成するように構成されている、無針ジェット注射器組立品と、を備え、
各ジェットノズルは、1W以下のピークジェット電力を有する別個の平行化されたジェット流を排出するように構成されており、
複数のジェットノズルは、別個の平行化されたジェット流が組み合わさって、内腔壁に向かって排出されるように構成された連続ジェット流を形成するように、まとまって配設されている。
【0006】
そのようなジェット注射器組立品の包含は、無針ジェット流が原薬、例えば、活性医薬成分(API)を使用中に内腔壁内に送達することを可能にする。このように、嚥下可能なカプセル装置は、鋭利な針の先を含まず、針を作動および格納する機構も必要とされない。さらに、無針ジェット注射は、針送達と比較して、注射部位の痛みおよび/または外傷を低減すると考えられる。ジェット送達のための既存のジェット注射器組立品は、当該技術分野で公知である。当業者であれば、所定の条件下で、原薬を薬剤出口から内腔壁に向かって排出する適切なジェット注射器組立品を選択する方法を理解するであろう。所定の条件は、時間条件、または特定の環境に基づくトリガ、例えば、消化管のある特定の部分内の条件であり得る。トリガはまた、電子トリガであり得るか、またはそれを含み得る。
【0007】
別個の平行化されたジェット流が、約1W以下(任意選択で、約0.8W以下、任意選択でさらに約0.5W以下、任意選択でさらに約0.3W以下)のピークジェット電力を有し、かつ組み合わさって連続ジェット流を形成する、複数のジェットノズルを提供することによって、組織穿孔のリスクが低減される。これは、個々のより低いピークジェット電力が使用され、これらが組み合わさって、組織に対してより厳しい傾向がある単一の強力なジェット源から提供される総ジェット電力なしで、所望の総ジェット電力を提供するためである。複数のジェットノズル間でジェット電力を拡散させることはまた、粘膜下空間内により広がった(わずかに分散した)薬剤デポをもたらし、すなわち、単一のジェットノズルの場合のように、ジェット流が単一のジェット源から一点に完全に集中するのではなく、薬剤デポが空間に沿って「水平に」拡散される。これはまた、別個のジェット流が、異なる角度から注射部位に到達しており、したがって、より広がった薬剤デポをもたらすため、ジェット流が単一の標的点に収束する場合も当てはまる。本質的に、単一の標的点の実施形態では、ジェットは、効果的に「互いに相殺」し、したがって、物質の水平の広がりをもたらすため、ジェットは、相互作用点を超えるとジェットではなくなる。最終的に、これは、分散された薬剤デポが、単一の強力なジェットノズルを使用するときのリスクである下側(すなわち、上側の粘膜の反対側)の組織への穿孔のリスクを低減するため、より安全な薬剤送達をもたらす。
【0008】
「ピークジェット電力」という用語は、ジェット注射の技術分野で、ジェット流が排出プロセス中に経験する最も高いジェット電力を意味すると理解される。典型的には、ジェット注射器の電力プロファイルは、トリガ直後にピークジェット電力に達し、次いで、排出プロセスの後期段階で減衰するジェット電力を経験する。しかしながら、排出プロセスの終わりにピークジェット電力を有するものなど、他の電力プロファイルも可能である。
【0009】
当然のことながら、本出願の文脈における「広がった」は、わずかに分散していることを意味する。ジェット流はそれでもなお、単一の薬剤デポを単一の注射部位に、すなわち、連続ジェット流を介して送達しているとみなされるほど十分に互いに近い。これは、完全に別個の薬剤デポを別個の異なる注射部位に送達するために使用されている複数のジェットノズルとは異なる。
【0010】
複数のジェットノズルの使用はまた、原薬中に形成され得る凝集体の問題にも役立つ。原薬は、単一のより大きなジェットノズルではなく、複数のジェットノズルを通して押し出されているため、これは、凝集体を分解するのに役立ち得る。さらに、複数のジェットノズルは、より大きな凝集体がジェットノズルを通過し、組織に送達されることを妨げることによって、フィルターとして作用し得る。これは、(以下に概説されるように)より小さなノズルオリフィス直径が使用される場合に特に当てはまる。
【0011】
さらに、複数のジェットノズルを提供することは、単一のジェットノズルを使用することと比較して、より信頼性の高い薬剤送達を提供する。これは、1つ以上のノズルが故障した場合、例えば、詰まった場合、薬剤負荷の少なくとも一部を送達するために1つ以上のバックアップノズルが存在するためである。
【0012】
好ましくは、ジェット注射器組立品は、約1~5Wの範囲内のピークジェット電力を有する連続ジェット流を提供するように構成されている。
【0013】
任意選択で、各ジェットノズルは、ノズルオリフィスであって、それを通して原薬が使用中に排出される、ノズルオリフィスを含み、各ノズルオリフィスは、約10~150μm、任意選択で約50~150μm、任意選択で約75~150μm、任意選択で約10~125μm、任意選択で約50~125μm、任意選択で約75~125μmの直径を有する。
【0014】
任意の2つの最も近い隣接するジェットノズル間の中心間距離は、0.5mm~1.0mmの範囲内であり得る。
【0015】
一実施形態では、ジェットノズルは、別個の平行化されたジェット流が、薬剤出口から互いに実質的に平行に流れるように配設されている。
【0016】
別の実施形態では、ジェットノズルは、別個の平行化されたジェット流が標的点に向かって収束するように配設されている。そのような他の実施形態では、ジェットノズルは、互いに対して角度を付けられており、各ジェットノズル間の角度は、30°~90°の範囲である。
【0017】
各場合において、個々の平行化されたジェット流が組み合わさって、成功した薬剤デポを注射部位に送達することができる連続ジェット流を形成する。
【0018】
いくつかの形態では、ジェットノズルの各々は、カプセル筐体によって画定された外部表面部分で出現して、例えば、各ノズルが、カプセル筐体の外部組織係合表面部分から1mm未満出現し、任意選択で、カプセル筐体の外部組織係合表面部分上に出現するように、配設されている。
【0019】
嚥下可能なカプセル装置のある特定の実施形態では、使用中、原薬は、各ジェットノズルが原薬を含む別個の平行化された液体ジェット流を排出するように、薬剤出口を通して排出される液体原薬を形成する。
【0020】
いくつかの実施形態では、原薬は、薬剤貯蔵部に貯蔵され、原薬は、液体原薬の形態で提供されている。
【0021】
他の実施形態では、原薬は、薬剤貯蔵部内で粉末を形成する。そのような実施形態では、カプセル装置は、液体を収容する第2の貯蔵部をさらに備えてもよく、カプセル装置は、粉末および液体を混合して、薬剤出口を通して排出可能である混合液体原薬を形成するように構成されている。いくつかの実施形態では、嚥下可能なカプセル装置は、患者がカプセル装置を嚥下する前に混合を可能にするように構成されている。他の実施形態では、混合は、嚥下後に起こるように構成されている。
【0022】
ある特定の実施形態では、嚥下可能なカプセル装置の薬剤貯蔵部は、排出可能な体積の原薬を収容する。ジェット注射器およびアクチュエータは、単一の薬剤投与作用の過程において、当該排出可能な体積の原薬の実質的にすべてを薬剤貯蔵部から薬剤出口を通して排出するように構成されてもよい。
【0023】
カプセル装置のいくつかの変化形では、アクチュエータはまた、薬剤出口を通してジェット注射を開始するためのトリガ配設を含む。いくつかの形態では、環境感受性機構を備えるようにトリガ配設が提供されている。
【0024】
いくつかの形態では、カプセル装置は、患者による嚥下、および胃、小腸、または大腸のそれぞれなどの患者の消化管の内腔内への移動のために構成されている。
【0025】
環境感受性機構は、ある特定の実施形態では、消化管環境感受性機構であってもよい。消化管環境感受性機構は、トリガ部材を備えてもよく、トリガ部材は、以下を含む群のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる。
a)トリガ部材が、消化管内のpHの変化により分解、腐食、および/または溶解する材料を含む、
b)トリガ部材が、消化管内のpHにより分解、腐食、および/または溶解する材料を含む、
c)トリガ部材が、消化管内の酵素の存在により分解、腐食、および/または溶解する材料を含む、ならびに
d)トリガ部材が、消化管内の酵素の濃度の変化により分解、腐食、および/または溶解する材料を含む。
【0026】
さらなる実施形態では、カプセル筐体は、軸に沿って延在する細長い物体として形状決定されてもよく、カプセル筐体は内部を画定し、外部表面を有し、内部は、薬剤貯蔵部を備え、薬剤出口は、治療物質の内腔壁内への無針ジェット注射を可能にするように、カプセル筐体に、かつ軸に対して横方向に配置されている。
【0027】
なおさらなる実施形態では、カプセル装置は、薬剤出口に対して横方向に反対側に配設され、かつ薬剤出口から物理的に分離された拡張セクションを備える、拡張組立品をさらに備えてもよく、拡張セクションは、内腔壁に対して送達出口を位置付けるために、非拡張構成から拡張構成に横方向に拡張可能であり、カプセル装置は、非拡張構成から拡張構成への拡張セクションの変化を可能にするために、所定の条件下で拡張組立品を作動させるように構成された拡張制御機構を備える。
【0028】
先行技術の溶液中では、ある用量の治療物質がジェットノズルによって排出されるとき、ジェットノズルを標的組織領域から離れて動かすよう作用する顕著な反動効果が起こる可能性が高い。例えば、単一のジェットノズル配設が筐体セクションの端部に位置するカプセル装置について、反動効果により、カプセル装置にトルクが与えられ、その結果、ジェット流が排出作用の過程において横方向に動かされる。したがって、用量の第1の分量によって標的組織領域に初期浸透が行われた経上皮送達について、用量の残りの分量は、他の組織領域に向けられ、潜在的に拡大した組織領域の浸透につながるか、または潜在的に消化管の内腔への治療物質の損失につながる。
【0029】
本発明に従って、内腔壁に対して送達出口を位置付けるために、非拡張構成からの拡張構成に横方向に拡張可能である拡張セクションを有する、拡張組立品の包含は、カプセルが治療物質のジェット注射の準備ができ、腸内で正しく配向されることを可能にする。さらに、拡張セクションは、ジェット注射プロセス中に、標的組織領域に対して送達出口を固定する役割を果たす。したがって、拡張可能セクションは、注射部位への送達出口の近接を保証するだけでなく、ジェット送達動作の開始時に最初に確立されたものと同じ浸透開口部を通して全用量が送達されることも両方保証する。さらに、非拡張構成をとる拡張セクションは、患者にとってのカプセル装置の嚥下の容易さを可能にする。
【0030】
ここで、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照しながら非限定的な例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明に従った嚥下可能なカプセル装置の概略図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態に従ったジェット注射器を示す。
【
図3a】
図3aは、本発明の第2の実施形態に従ったジェット注射器を示す。
【
図3b】
図3bは、
図3aのジェット注射器のジェットノズルをより詳細に示す。
【
図4】
図4は、本発明の第3の実施形態に従ったジェット注射器を示す。
【
図5a-5b】
図5aおよび5bは、直線ジェット流の実施形態のためのジェットノズルインサートの例を示す。
【
図6a-6c】
図6a~6cは、実験1から生じる薬剤デポのCTスキャンを示し、
図6aは、薬剤デポの上面図を示し、
図6bは、薬剤デポの側面図を示し、
図6cは、薬剤デポの3D図を示す。
【
図7a-7c】
図7a~7cは、実験2から生じる薬剤デポのCTスキャンを示し、
図7aは、薬剤デポの上面図を示し、
図7bは、薬剤デポの側面図を示し、
図7cは、薬剤デポの3D図を示す。
【
図8a】
図8aは、拡張セクションが非拡張構成にある、本発明の第4の実施形態に従った嚥下可能なカプセル装置を示す。
【
図8b】
図8bは、拡張セクションがインビボで拡張構成にある、
図8aの嚥下可能なカプセル装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
嚥下可能なカプセル装置10を
図1に示す。カプセル装置は、患者がカプセル装置10を嚥下するのに、特に患者の消化管内腔への摂取に適しているようにサイズ決定および形状決定されている。カプセル装置10は、00サイズまたは000サイズの錠剤として寸法決定されてもよい。
【0033】
カプセル装置10は、カプセル筐体12と、カプセル筐体12の外側表面上に配設された薬剤出口14と、を含む。示される実施形態では、単一の薬剤出口14があるが、他の実施形態では、2つ以上(例えば、各ジェットノズルに対して1つ)があってもよい。
【0034】
カプセル装置10はまた、原薬(図示せず)を収容するよう構成された薬剤貯蔵部16を含み、ジェット注射器組立品18をさらに含む。以下でより詳細に説明するように、ジェット注射器組立品18は、連続ジェット流20を介して薬剤出口14を通して原薬を排出するように構成されている。
【0035】
本発明の第1の実施形態に従ったジェット注射器22を含むジェット注射器組立品18の一部分を
図2に示す。ジェット注射器22は、薬剤貯蔵部から原薬23を受容する(図示せず)。ジェット注射器22は、5つのジェットノズル24を含む。5つのジェットノズル24の各々は、ノズルオリフィス26を有し、それぞれのノズルオリフィス26を通して別個の平行化されたジェット流28を排出するように構成されている。
【0036】
この実施形態では、ジェットノズル24は、別個の平行化されたジェット流28が標的点30に向かって収束するように配設されている。具体的には、ジェットノズル24は、平行化されたジェット流28が標的点30に向けられるように、55°の角度で互いに対して角度を付けられている。したがって、この実施形態における連続ジェット流20は、単一の標的点30である。
【0037】
この実施形態では、総投入力は、液体原薬23に作用する50Nであり、個々のノズルオリフィス26は各々、67μmの直径を有する。これにより、約0.011Nの単一の(すなわち、各ジェットノズル24の)ジェット力が生じる。これはまた、電力の単位として約0.33Wであると表され得る。5つのジェットノズル24の複合電力は、標的点30において約1.67Wである。
【0038】
本発明の第2の実施形態に従ったジェット注射器50を含むジェット注射器組立品18の一部分を
図3aおよび3bに示す。前述同様に、ジェット注射器50は、薬剤貯蔵部から原薬23を受容する(図示せず)。今回、ジェット注射器50は、3つのジェットノズル52を含み、その各々が、ノズルオリフィスを含む。この場合もやはり、各ジェットノズル52は、それぞれのノズルオリフィスを通して別個の平行化されたジェット流28を排出するように構成されている。
【0039】
ジェットノズル52はこの場合もやはり、別個の平行化されたジェット流28が単一の標的点30に向かって収束するように、互いに向かって角度を付けられている。
図3aに示すように、標的点30は、消化管組織55内にあり、連続ジェット流20(収束ジェット流28から形成されている)は、組織55に沿って広がる薬剤デポ56を形成する。
【0040】
図3aは、3つのジェットノズル52を含むマルチノズルインサート57を受容するように構成された受容プレート55を示す。受容プレート55は、マルチノズルインサート57の各ジェットノズル52を受容するように形状決定およびサイズ決定されたノズル受容部分59を有する。
【0041】
マルチノズルインサート57が
図3bに示され、3つのジェットノズル52を含む。当該ノズル52の配向および収束点が、この概念が成功するために重要であるため、マルチノズルインサート57は、各ジェットノズル52の正確なフライス加工のためにCNC機械加工を使用して製造される。示されるノズルインサート57は、その製造の容易さおよび剛性により真鍮から作製されるが、任意の他の好適な材料が使用されてもよい。
【0042】
各ジェットノズル52は、より大きな直径(すなわち、直径2)からより小さな直径(すなわち、ノズルオリフィス直径に類似する直径1)へと変化する、外側ノズル壁によって形成された外側湾曲プロファイル62を有する。外側湾曲プロファイル62は、
図3bに示すように、「S」字形状を形成する。このプロファイル62の形状は、損失を最小限に抑えて、狭いノズルへの大量の液体の滑らかな移行をもたらすのに役立つ。大きな直径(直径2)から小さな直径(直径1)への変化が劇的であり(オリフィス直径とノズル直径との間の比が非常に大きいことを意味する)、かつ変化が短い長さ(距離x)にわたって起こる場合、「S」形状は顕著になり、より高い抵抗を引き起こす。極端な場合、これは、ジェットが形成されるのを妨げ得る。しかしながら、より小さな比およびより長い距離xについては、より低い抵抗および成功したジェットが保証される。特定の用途のための成功したジェットを保証する好適な比および距離xは、当業者に公知であろう。
【0043】
この実施形態では、ジェットノズル52は、標的点30がノズルインサート57の外側縁部60から約1mm離れて位置するように、互いに対して設計され、かつ位置付けられる。他の実施形態では、ジェットノズル52は、標的点30が、ノズルインサート57の縁部60により近いか、もしくはより遠いように、または実際にノズルインサート57の縁部60と同一平面になるように構成されてもよい。
【0044】
この実施形態では、総投入力は、液体原薬23に作用する50Nであり、個々のノズルオリフィスは各々、125μmの直径を有する。結果として生じる個々の(すなわち、各ジェットノズル52の)ジェット力は、約0.038Nである。これはまた、電力の単位として約1Wであると表され得る。3つのジェットノズル52の複合電力は、標的点30において約3Wである。
【0045】
本発明の第3の実施形態に従ったジェット注射器100を含むジェット注射器組立品18の一部分を
図4に示す。前述同様に、ジェット注射器100は、薬剤貯蔵部から原薬23を受容する(図示せず)。ジェット注射器100は、2つのジェットノズル102を含む。ジェットノズル102の各々は、ノズルオリフィスを有し、それぞれのノズルオリフィスを通して別個の平行化されたジェット流28を排出するように構成されている。
【0046】
この実施形態では、ジェットノズル102は、別個の平行化されたジェット流28が、薬剤出口14から互いに実質的に平行に流れるように配設されている。具体的には、ジェットノズル102は、各ジェット流28が本質的に90°で薬剤出口14を出るように、並列に配設されている。ジェット流28は、互いに対して平行であるが、薬剤出口14に対して90°以外の角度で流れてもよい。
【0047】
この実施形態における連続ジェット流20は、並列ジェット流28である。ジェット流28は、標的消化管組織55内に亀裂を誘導して、薬剤が投与され、かつ粘膜下腔内に位置することを可能にするために、互いに十分に近く整列されている。
【0048】
2つのジェットノズル102間の中心間距離は、0.5mm~1mmの範囲内である。
【0049】
図4に示すように、連続ジェット流20は、消化管組織55に入り、連続ジェット流20(平行ジェット流28から形成される)は、組織55に沿って広がる薬剤デポ56を形成する。
【0050】
図5aおよび5bは、
図4に示すものとよく似た、マルチ直線ジェットノズル構成に使用され得るジェットノズルインサート110の例を示す。
【0051】
ジェットノズルインサート110は、インサート110の中心に3つの出口オリフィス112を有する。出口オリフィス112の各々は、ジェットノズルを受容するのに適した直径を有する。
図5aに示すように、インサート110は、インサート110の前側の出口オリフィスの両側に2つの大きな穴114を含む。穴114は、インサート110が特殊な装置を使用して締められ得るように作製され、それらは、ジェットプロセスに影響を及ぼさない。
図5bに示すように、インサート110は、インサート110の裏側のOリングを受容するためのリング116を含み、これは、密封目的でジェット実験設定の一部として使用される。この場合もやはり、リングは、ジェットプロセスに関して影響を及ぼさない。
【0052】
ジェットノズルの数は、上述したものと異なり得ることが理解されるであろう。存在するジェットノズルは、より多くてもまたは少なくてもよい。各ジェットノズルは、異なるジェット電力でジェット流を排出するように構成されてもよい。各ジェットノズルは、異なるノズルオリフィス直径を有してもよい。互いに向かって角度を付けられて配設されたジェットノズルについては、角度は異なり得る。
【0053】
例えば、個々のジェットノズル電力は、1W以下、1W未満、0.8W以下、0.8W未満、0.5W以下、0.5W未満、0.3W以下、0.3W未満であってもよい。個々のノズルオリフィスは、10~150μm、50~150μm、10~125μm、50~125μm、75~150μm、75~125μmの範囲内の直径を有してもよい。ジェットノズルは、30°~90°、互いに対して角度を付けられてもよい。
【0054】
使用中、トリガは、アクチュエータに、ジェットノズルを介して薬剤貯蔵部から薬剤出口を通して原薬を排出させる。トリガは、消化管内の特定の点の環境であってもよく、例えばそれは、腸内で溶解して、アクチュエータを消化管液に露出し、したがって作動プロセスを引き起こす、腸溶性コーティングであってもよい。当業者は、適切なトリガおよびアクチュエータ機構を選択する方法を理解し、この分野にはいくつかの例が存在している。
【0055】
連続ジェット流は、複合ジェット力で消化管組織に入って、組織内に成功した薬剤デポを生成する。
【0056】
ジェット薬剤送達のための既存のジェット注射器システムは、当該技術分野で公知である。当業者であれば、例えば、WO2020/106,750A1(PROGENITY INC)から、治療物質を内腔壁内に送達するための正しいピークジェット電力を提供する適切なジェット注射器を選択する方法を理解するであろう。
【0057】
具体的に、当業者であれば、ジェット注射を使用した患者の消化管内への薬剤送達中、ジェット注射器によって生成されたジェット流が、消化管の内腔および内腔に面する消化管の表面を結合することを理解するであろう。最終的に、原薬は、噴霧へと最小限に分解する安定した流体のジェット流として、消化管の粘膜層(例えば、上皮層、および上皮層上に存在し得る任意の粘液)に影響を及ぼす物質によって、粘膜下組織および/または粘膜組織に堆積する。
【0058】
原薬の流体の体積は、ジェット注射器をピークジェット速度で出るジェット流を生成するピーク流体圧力を経験する。ジェット流は、ピークジェット電力、ピークジェット圧力、およびピークジェット力で、消化管の内腔および内腔に面する消化管の表面の界面に影響を及ぼす。当業者であれば、これら3つのパラメータが相互接続されていることを認識するであろう。
【0059】
当業者であれば、記載されるタイプのジェット注射での使用の適合性について、様々なジェット注射器の特徴を評価および測定する方法を理解するであろう。例えば、ジェット電力を評価する1つの方法は、ジェットの力を測定する力センサー上にジェットを放出することである。力を読み取り、ノズルの面積およびジェット液体の密度を知ることに基づいて、ジェット速度は、方程式1を使用して決定され得る。計算された速度に基づいて、電力(ワット)は、方程式2を使用して計算され得る。ジェット圧力(すなわち、ジェット流が放出される圧力)を評価するために、方程式3が使用され得る。
F=ρAV
2(方程式1)
【数1】
【数2】
F=力(N)
ρ=密度(kg/m3)
A=ノズルの面積(m2)
V=速度(m/s)
P=電力(W)
P
bar=圧力(バール)
C=ノズル損失係数(通常0.95)
【0060】
本発明者らは、複数のジェット流が衝突する傾向があるため、本発明によって提案されたように、複数ジェットシステムにおいて力センサーに対してジェットを記録することは困難であり得ること、およびノズルの形状を所与として、力の測定値が不正確であり得ることを発見した。したがって、各ノズルの面積が理論的に評価され得る。例えば、直径250μmの単一のオリフィスノズルについての0.15Nの力センサーに対するジェットの衝突力が、良好なデポの形成をもたらすことを知っている。したがって、各ノズルオリフィスの面積を逆算することが可能であり、したがって、3つのノズルシステムについては、各々の直径は、約150μmである。
【0061】
実験:
本発明は、液体薬剤が装置からうまく排出されることを保証するために必要なジェットパラメータを説明する。これは、ある一定の圧力、ノズル形状、および配設を所与として、成功したジェットが達成され得ることを保証する。集束ジェット流を有するトリプルノズルシステムを使用して、ブタ腸組織に代表的なエクスビボ実験を実施した。
【0062】
40N(実験1)および50N(実験2)の総投入力において、集束ノズルを使用してジェットに供されたブタの小腸組織に、CTスキャンを実施した。
【0063】
図6a~6cは、実験1からの薬剤デポのCTスキャンを示す。
図6aは、薬剤デポD1の上面図であり、
図6bは、薬剤デポD1の側面図であり、
図6cは、薬剤デポD1の3D側面図である。
【0064】
図7a~7cは、実験2から生じる薬剤デポのCTスキャンを示す。
図7aは、薬剤デポD2の上面図を示し、
図7bは、薬剤デポD2の側面図を示し、
図7cは、薬剤デポD2の3D側面図を示す。
【0065】
図6a~7cは、集束マルチノズルジェットシステムの実行可能性を実証する。それらの図は、そのようなジェットシステムの効率を示す(ジェット装置に装填された薬剤の体積対CTで検出された体積は、使用された初期力に応じて異なる)。
【0066】
本発明の第4の実施形態に従ったカプセル装置200を
図8aおよび8bに示す。カプセル装置200は、経口投与を目的としており、したがってそれに応じてサイズ決定および形状決定されている。具体的に、カプセル装置200は、軸Aに沿って延在する細長い物体、この実施形態では楕円形状(本発明はこの形状に限定されないが)として形状決定される、筐体セクション212を含む。
図8bに示すように、細長い軸Aは、カプセル装置200が治療物質送達のための所望の位置にあるときに、患者の腸管314の同じ細長い軸に沿って延在するよう意図されている。
【0067】
筐体セクション212は、使用中の治療物質(図示せず)を含有するよう構成された内部216を画定し、外部表面218を有する。
【0068】
カプセル装置200はまた、軸Aに対して横方向に位置付けられた複数のジェットノズルを備える送達出口14を含む。カプセル装置200は、使用中、ジェット注射によって送達出口14を通して内腔壁324内に治療物質を送達するように構成されたジェット注射器(図示せず)を含む、送達組立品16、18をさらに含む。
【0069】
カプセル装置200は、拡張セクション228を含む拡張組立品26をさらに含む。拡張セクション228は、送達出口14に対して横方向に反対側に配設され、かつ送達出口14から物理的に分離している。拡張セクション228は、非拡張構成(
図8aに示す)から拡張構成(
図8bに示す)に横方向に拡張可能である。
図8bに例示するように、拡張構成にある拡張セクション228は、送達出口14が内腔壁324に対して位置付けられるように、カプセル装置200を管314内に配向する。
【0070】
好ましくは、拡張セクション228は、筐体セクション212の大部分または全長に沿って延在する。
【0071】
この実施形態では、拡張セクション228は、湿潤時に拡張構成をとるスポンジ229の形態にある。
【0072】
カプセル装置200はまた、この実施形態では、腸溶性コーティング232の形態にある拡張制御機構230を含む。コーティング232は、カプセル装置200全体を包囲するが、これは、他の実施形態ではそうではなくてもよく、例えば、拡張セクション228のみを覆ってもよい。腸溶性コーティング232は、管314内の腸液に曝されたときに溶解し、これにより、拡張セクション228、すなわち、スポンジ229を腸液に曝し、したがってスポンジ229の拡張を作動させるように構成されている。
【0073】
腸溶性コーティング232(時に胃耐性コーティングと呼ばれる)は、それが小腸に到達する前の分解に抵抗し、次いで、小腸の特徴(例えば、pH、圧力、酸性度、温度など)により溶解するバリアである。コーティングは、物質送達が必要とされる場所に応じて、消化管314の別の部分で溶解するために別の形態をとってもよい。
【0074】
拡張制御機構30は、所定の期間の後に溶解する時間依存性コーティングなどの別の形態の溶解可能なトリガであってもよい。拡張制御機構230は、消化管314内の所望の位置を検出して、次いで拡張セクション228を作動させるセンサーを含んでもよい。
【0075】
さらに、拡張制御機構30は、拡張セクション228を作動させるためのトリガの組み合わせを含んでもよい。
【0076】
この実施形態では、スポンジ229は、拡張時に長方形の固体形状として示される(ただし、楕円形、円形、または正方形などの異なる固体形状であってもよい)。この実施形態におけるスポンジ229は、例えば自然界で、経時的に分解するような生分解性である。
【0077】
拡張セクション28の長さは、拡張セクション228がトリガされたときに、カプセル装置200が回転を開始し、内腔314の長手方向軸と整列するようなものであるべきである。さらに、拡張セクション228が拡張構成にあるときのカプセル装置200の全幅は、それが送達出口14を内腔壁324に押し付け、注射が意図された注射部位で行われることを可能にするようなものであるべきである。しかしながら、拡張セクション228は、患者にかなりの不快感をもたらすか、または何らかの方法で内腔壁を損傷するほど拡張してはならない。拡張セクション212の長さは、好ましくは、内腔314の直径と等しいか、またはそれよりも大きくあるべきである。例えば、それは、内腔の最大直径の2倍であり得る。しかしながら、拡張セクション312の長さが内腔直径よりも小さい場合もあり得る。拡張セクション228が拡張構成にある装置10の全体幅は、好ましくは、最大内腔直径に等しいか、またはそれ以上である。
【0078】
この実施例におけるカプセル装置10は、以下の寸法を有する。タブレット筐体212は、約25mmの長さおよび約8.5mmの幅を有する。拡張構成にある拡張セクションの幅は、約30mmであり、拡張構成における長さは、30~70mm、好ましくは50~70mmである。カプセル装置10は、00サイズのカプセルまたは000サイズのカプセルとして構成されてもよい。
【0079】
これらの寸法は、例示のみを目的とし、任意の好適な寸法が、意図された注射部位および/または問題の患者に応じて選択され得ることが理解されるであろう。例えば、上記の寸法は、典型的には25~30mmの直径を有する成人小腸における使用を目的としている。しかしながら、小児の小腸直径はより小さく、したがって、患者の年齢層に応じて(特に、拡張セクションの幅および長さについて)異なる寸法が選択され得る。意図された注射部位、例えば腸の寸法に関するデータは、当業者に容易に入手可能であろう。
【0080】
カプセル装置200および拡張セクション228の寸法に関する説明は、以下に記載される本発明の他の実施形態に適用される。
【0081】
使用中、カプセル装置200は、患者によって嚥下され、患者の腸管314の内腔に沿って動く。カプセル装置200が小腸管に到達すると、腸溶性コーティング32は、小腸の条件により溶解し始める。そのような溶解の結果として、拡張セクション228、すなわち、スポンジ229は、小腸液に曝される。
【0082】
体液はスポンジ229を湿潤させ、それによりスポンジ229は、その非拡張構成からその拡張構成に拡張する。内腔のサイズに対する拡張スポンジ229のサイズおよび位置付けにより、カプセル装置10は、内腔の長手方向軸に沿って長手方向にそれ自体を位置付ける。そうすることで、送達出口14が送達組立品222によるジェット注射の準備ができ、内腔壁324に対して位置付けられる。
【0083】
次いで、ジェット注射器によってジェット注射が実施されて、治療物質を患者の内腔壁324内に送達する。
【0084】
カプセル装置200の長さは、内腔直径および/または収縮構成にあるときの(例えば、食物が通過していないときの)内腔直径よりもわずかに大きく、これにより、カプセル装置200は、内腔内で垂直方向にそれ自体を配向することができない(すなわち、カプセル装置の長手方向軸Aは、内腔の長手方向軸に対して垂直に位置することができない)。したがって、スポンジ229の一部分(好ましくは、筐体セクション212の大部分もしくは全長に沿って延在するか、または筐体セクション212の長さを超えて延在する)は、拡張時、カプセル装置200を所望どおり(すなわち、
図8bに示すように)配向するように、内腔壁324を押す。
【国際調査報告】