(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】抗CD20/抗CD3二重特異性抗体による処置のための投与
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20231005BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20231005BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231005BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20231005BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61P7/00
A61P35/00
A61P35/02
C07K16/46 ZNA
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521596
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 US2021057694
(87)【国際公開番号】W WO2022098638
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジーチョン
(72)【発明者】
【氏名】オヘア, キャロル エレイン
(72)【発明者】
【氏名】ベンダー, ブレンダン クリスチャン
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB43
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本発明は、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、非ホジキンリンパ腫等のB細胞増殖性障害)を有する対象の処置に関する。より具体的には、本発明は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体(例えば、モスネツズマブ)の静脈内投与によるB細胞増殖性障害を有する対象の処置に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する方法であって、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約50mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含む、方法。
【請求項2】
前記C1D3が50mg~200mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記C1D3が約60mgである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記C1D1が約1mgである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記C1D2が約2mgである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記C1D1、前記C1D2及び前記C1D3を、それぞれ前記第1の投与サイクルの1日目、8日目及び15日目に、又は約1日目、約8日目及び約15日目に前記対象に投与する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記C2D1を、前記第2の投与サイクルの1日目に前記対象に投与する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の投与サイクル及び前記第2の投与サイクルが21日間の投与サイクルである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の投与サイクルが21日間の投与サイクルであり、前記第2の投与サイクルが28日間の投与サイクルである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記投与計画が、前記第2の投与サイクルの後に1回以上の追加の投与サイクルを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記投与計画が、前記第2の投与サイクルの後に6~15回の追加の投与サイクルを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記追加の投与サイクルが21日間の投与サイクルである、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記追加の投与サイクルが28日間の投与サイクルである、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項15】
1回以上の前記追加の投与サイクルが、追加の単一用量の前記二重特異性抗体を含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記追加の単一用量の前記二重特異性抗体を各追加の投与サイクルの1日目に前記対象に投与する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記追加の単一用量の前記二重特異性抗体が、前記C1D1より多く、前記C1D3及び/又は前記C2D1より少ない、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記追加の単一用量の前記二重特異性抗体が、前記C1D3及び/又は前記C2D1の20%~80%である、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記追加の単一用量の前記二重特異性抗体が、前記C1D3及び/又は前記C2D1の約50%である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記追加の単一用量の前記二重特異性抗体が約30mgである、請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する方法であって、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル及び第3の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少ない、方法。
【請求項22】
前記C1D3及び前記C2D1がそれぞれ20mg~200mgである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記C1D3及び前記C2D1がそれぞれ約60mgである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記C3D1が、前記C2D1の20%~80%である、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記C3D1が、前記C2D1の約50%である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記C3D1が約30mgである、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記C1D1が約1mgである、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記C1D2が約2mgである、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記C1D1、前記C1D2及び前記C1D3を、それぞれ前記第1の投与サイクルの1日目、8日目及び15日目に、又は約1日目、約8日目及び約15日目に前記対象に投与する、請求項21~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記C2D1を前記第2の投与サイクルの1日目に前記対象に投与し、前記C3D1を前記第3の投与サイクルの1日目に前記対象に投与する、請求項21~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の投与サイクル、前記第2の投与サイクル、及び前記第3の投与サイクルが21日間の投与サイクルである、請求項21~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の投与サイクルが21日間の投与サイクルであり、前記第2の投与サイクル及び前記第3の投与サイクルが28日間の投与サイクルである、請求項21~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記投与計画が、前記第3の投与サイクルの後に1回以上の追加の投与サイクルを更に含む、請求項21~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記投与計画が、前記第3の投与サイクルの後に5~14回の追加の投与サイクルを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記追加の投与サイクルが21日間の投与サイクルである、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記追加の投与サイクルが28日間の投与サイクルである、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項37】
1回以上の前記追加の投与サイクルが、追加の単一用量の前記二重特異性抗体を含む、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記追加の単一用量の前記二重特異性抗体を各追加の投与サイクルの1日目に前記対象に投与する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記追加の単一用量の前記二重特異性抗体が、前記C3D1とほぼ同等の量である、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する方法であって、8回以上の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少なく、
(d)第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1が、ほぼ同等の量である、方法。
【請求項41】
前記C1D3及び前記C2D1がそれぞれ20mg~200mgである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記C1D3及び前記C2D1がそれぞれ約60mgである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記C3D1が、前記C2D1の20%~80%である、請求項40~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記C3D1が、前記C2D1の約50%である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記C3D1が約30mgである、請求項40~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記C1D1が約1mgである、請求項40~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記C1D2が約2mgである、請求項40~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記C1D1、前記C1D2及び前記C1D3を、それぞれ前記第1の投与サイクルの1日目、8日目及び15日目に、又は約1日目、約8日目及び約15日目に前記対象に投与する、請求項40~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記C2D1~C8D1を各々、それぞれ前記第2~第8の投与サイクルの1日目に前記対象に投与する、請求項40~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
投与サイクルが21日間の投与サイクルである、請求項40~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の投与サイクルが21日間の投与サイクルであり、前記第2~第8の投与サイクルが28日間の投与サイクルである、請求項40~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記投与計画が、前記第8の投与サイクルの後に1回以上の追加の投与サイクルを含む、請求項40~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記追加の投与サイクルが21日間の投与サイクルである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記追加の投与サイクルが28日間の投与サイクルである、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
1回以上の前記追加の投与サイクルが、追加の単一用量の前記二重特異性抗体を含む、請求項52~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記追加の単一用量の前記二重特異性抗体を各追加の投与サイクルの1日目に前記対象に投与する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記追加の単一用量の前記二重特異性抗体が、前記C3D1~C8D1のいずれか1つとほぼ同等の量である、請求項55又は56に記載の方法。
【請求項58】
CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する方法であって、8回以上の21日間の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、方法。
【請求項59】
CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する方法であって、21日間の投与サイクル及び7回以上の28日間の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が60mgであり、
(c)第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、方法。
【請求項60】
前記対象が、前記CD20陽性細胞増殖性障害のための先行する全身療法を受けたことがある、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記対象が、前記CD20陽性細胞増殖性障害のための第一選択全身療法及び第二選択全身療法を受けたことがある、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記対象が、前記事前の全身療法から24ヶ月以内に前記CD20陽性細胞増殖性障害の進行を示した、請求項60又は61に記載の方法。
【請求項63】
前記事前の全身療法が抗CD20抗体を含む、請求項60~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記抗CD20抗体がリツキシマブである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記抗CD20抗体がオビヌツズマブである、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記事前の全身療法が化学療法剤を含む、請求項60~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記化学療法剤がアルキル化剤である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記アルキル化剤がベンダムスチンである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記化学療法剤がレナリドミドである、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
前記事前の全身療法が放射線免疫療法を含む、請求項60~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記放射線免疫療法がイブリツモマブチウキセタンである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記事前の全身療法がホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤を含む、請求項60~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤が、イデラリシブ、アルペリシブ、コパンリシブ及びデュベリシブからなる群から選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記事前の全身療法がCAR-T療法を含む、請求項60~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記対象がヒトである、請求項1~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記二重特異性抗体を静脈内投与する、請求項1~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する方法であって、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が50mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含む、方法。
【請求項78】
CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する方法であって、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル及び第3の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少ない、方法。
【請求項79】
CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する方法であって、8回以上の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少なく、
(d)第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1が、ほぼ同等の量である、方法。
【請求項80】
CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する方法であって、8回以上の21日間の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が60mgであり、
(c)第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、方法。
【請求項81】
CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する方法であって、21日間の投与サイクル及び7回以上の28日間の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が60mgであり、
(c)第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、方法。
【請求項82】
前記対象の集団が完全奏効率を有し、前記完全奏効率が、前記集団における完全奏効を有する対象の割合であり、前記完全奏効率が、少なくとも約15%である、請求項77~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記完全奏効率が少なくとも約25%である、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記完全奏効率が少なくとも約35%である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記完全奏効率が少なくとも約45%である、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記集団が客観的奏効率を有し、前記客観的奏効率が、前記集団における客観的奏効を有する対象の割合であり、前記客観的奏効率が少なくとも約60%である、請求項77~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記処置の開始後約20ヶ月での前記客観的奏効率が少なくとも約70%である、請求項77~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記処置の開始後約24ヶ月での前記客観的奏効率が少なくとも約75%である、請求項77~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記対象の集団が、奏効期間中央値(mDOR)を有し、前記mDORが、前記集団における対象の奏効期間の中央値であり、前記mDORが、少なくとも約12ヶ月である、請求項77~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記mDORが少なくとも約20ヶ月である、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記対象の集団が、前記集団における少なくとも12ヶ月のDORを有する対象の割合を有し、前記集団における少なくとも12ヶ月のDORを有する対象の前記割合が、少なくとも約60%である、請求項77~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記対象の集団が、前記二重特異性抗体の投与後にサイトカイン放出症候群を示し、前記対象の集団における前記サイトカイン放出症候群の割合が、約40%以下である、請求項77~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記対象の集団におけるサイトカイン放出症候群の割合が約10%以下である、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
グレード2以上(2018年、米国移植細胞治療学会;ASTCTによる定義)を有するサイトカイン放出症候群の前記割合が約20%以下である、請求項77~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
グレード2以上(ASTCTによる定義)を有するサイトカイン放出症候群の前記割合が約5%以下である、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
グレード3以上(ASTCTによる定義)を有するサイトカイン放出症候群の前記割合が約0%である、請求項77~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記二重特異性抗体を静脈内投与する、請求項77~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記CD20陽性細胞増殖性障害がB細胞増殖性障害である、請求項1~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記CD20陽性細胞増殖性障害が、再発性又は難治性B細胞増殖性障害である、請求項1~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記CD20陽性細胞増殖性障害が、非ホジキンリンパ腫(NHL)又は慢性リンパ性白血病(CLL)である、請求項1~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記NHLが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記DLBCLが、リヒター形質転換である、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記NHLが濾胞性リンパ腫(FL)である、請求項100に記載の方法。
【請求項104】
前記FLが、グレード1、2、3a又は3bのFLである、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記FLが形質転換FLである、請求項103又は104に記載の方法。
【請求項106】
前記NHLが、マントル細胞リンパ腫(MCL)又は辺縁帯リンパ腫(MZL)である、請求項100に記載の方法。
【請求項107】
前記二重特異性抗体が、以下の6つの超可変領域(HVR):
(a)GYTFTSYNMH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(b)AIYPGNGDTSYNQKFKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(c)VVYYSNSYWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(d)RASSSVSYMH(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(e)APSNLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(f)QQWSFNPPT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
を含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームを含む、請求項1~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記二重特異性抗体が、(a)配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、又は(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームを含む、請求項1~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記第1の結合ドメインが、配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインとを含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記二重特異性抗体が、以下の6つのHVR:
(a)NYYIH(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(b)WIYPGDGNTKYNEKFKG(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(c)DSYSNYYFDY(配列番号11)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(d)KSSQSLLNSRTRKNYLA(配列番号12)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(e)WASTRES(配列番号13)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(f)TQSFILRT(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L3
を含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームを含む、請求項1~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記二重特異性抗体が、(a)配列番号15のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、(b)配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームを含む、請求項1~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記第2の結合ドメインが、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLドメインとを含む、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記二重特異性抗体が、(a)(i)配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖及び(ii)配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗CD20アームと、(b)(i)配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖及び(ii)配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗CD3アームとを含む、請求項1~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
(a)前記抗CD20アームが、配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、(b)前記抗CD3アームが、配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号54のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記二重特異性抗体がヒト化抗体である、請求項1~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記二重特異性抗体がキメラ抗体である、請求項1~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記二重特異性抗体が、CD20及びCD3に結合する抗体断片である、請求項1~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記抗体断片が、Fab断片、Fab’-SH断片、Fv断片、scFv断片、及び(Fab’)
2断片からなる群から選択される、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記二重特異性抗体が完全長抗体である、請求項1~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記二重特異性抗体がIgG抗体である、請求項1~116及び119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
前記IgG抗体がIgG
1抗体である、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記IgG抗体が、グリコシル化の非存在をもたらすアミノ酸残基N297(EUナンバリング)における変異を含む、請求項120又は121に記載の方法。
【請求項123】
アミノ酸残基N297における前記変異が置換変異である、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
アミノ酸残基N297における前記変異が、Fc領域のエフェクター機能を低下させる、請求項122又は123に記載の方法。
【請求項125】
前記変異が、N297G又はN297A変異である、請求項122~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記二重特異性抗体が、エフェクター機能を低下させるFc領域における変異を含む、請求項121~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記変異が置換変異である、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記置換変異が、アミノ酸残基L234、L235、D265及び/又はP329(EUナンバリング)におけるものである、請求項127記載の方法。
【請求項129】
前記置換変異が、L234A、L235A、D265A及びP329Gからなる群から選択される、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記二重特異性抗体が1つ以上重鎖定常ドメインを含み、前記1つ以上の重鎖定常ドメインが、第1のCH1(CH1
1)ドメイン、第1のCH2(CH2
1)ドメイン、第1のCH3(CH3
1)ドメイン、第2のCH1(CH1
2)ドメイン、第2のCH2(CH2
2)ドメイン及び第2のCH3(CH3
2)ドメインから選択される、請求項1~116及び118~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記1つ以上の重鎖定常ドメインのうちの少なくとも1つが、別の重鎖定常ドメインと対合される、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記CH3
1ドメイン及び前記CH3
2ドメインがそれぞれ、突起又は空隙を含み、前記CH3
1ドメイン内の前記突起又は前記空隙が、それぞれ、前記CH3
2ドメイン内の前記空隙又は前記突起に配置可能である、請求項130又は131に記載の方法。
【請求項133】
前記CH3
1ドメイン及び前記CH3
2ドメインが、前記突起と前記空隙との間の境界面において接触する、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記抗CD20アームが、T366W及びN297Gの置換変異(EUナンバリング)を更に含む、請求項108又は109に記載の方法。
【請求項135】
前記抗CD3アームが、T366S、L368A、Y407V及びN297Gの置換変異(EUナンバリング)を更に含む、請求項111又は112に記載の方法。
【請求項136】
(a)前記抗CD20アームが、T366W及びN297Gの置換変異を更に含み、(b)前記抗CD3アームが、T366S、L368A、Y407V及びN297Gの置換変異(EUナンバリング)を更に含む、請求項113又は114に記載の方法。
【請求項137】
前記二重特異性抗体がモスネツズマブである、請求項1~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
前記対象がヒトである、請求項1~137のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2021年10月28日に作成された当該ASCIIコピーの名称は50474-234WO3_Sequence_Listing_10_28_21_ST25であり、サイズは35,298バイトである。
【0002】
発明の分野
本発明は、CD20陽性細胞増殖性障害の処置に関する。より具体的には、本発明は、抗分化抗原群20(CD20)及び抗分化抗原群3(CD3)に結合する二重特異性抗体の投与による、CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の処置に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
癌は、細胞亜集団の制御されない増殖を特徴とする。癌は、先進国世界における死因の第1位、及び発展途上国における死因の第2位であり、毎年1千4百万を超える新たな癌症例が診断され、8百万を超える癌死亡が生じている。したがって、癌のケアは、重大で増え続ける社会的負担となる。
【0004】
B細胞増殖性障害等のCD20陽性細胞増殖性障害は、癌関連死の主な原因である。例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)は急速に進行し、処置しない場合は致命的である。米国では、B細胞リンパ腫は、NHLの全症例の約80%~85%を構成する。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、NHLの最も一般的なタイプであり、全NHL診断の約30%~40%を占め、濾胞性リンパ腫(FL;NHL診断全体の20%~25%)及びマントル細胞リンパ腫(MCL;NHL診断全体の6%~10%)がこれに続く。B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)は、成人において最も一般的な白血病であり、米国では年間約15,000人の新規症例がある(American Cancer Society,2015)。
【0005】
二重特異性抗体は、結合された細胞傷害性細胞が結合された癌細胞を破壊する意図をもって、細胞表面抗原を細胞傷害性細胞(例えば、表面抗原分類3(CD3)に結合することを介して、T細胞等)及び癌細胞(例えば、CD20に結合することを介して、B細胞等)上で同時に結合することが可能である。しかしながら、これらのような抗体に基づく免疫療法の使用は、サイトカイン駆動毒性(例えば、サイトカイン放出症候群(CRS))、輸液関連反応(IRR)、重症の腫瘍崩壊症候群(TLS)、及び中枢神経系(CNS)毒性を含む、望まれない影響により制限される可能性がある。
【0006】
したがって、より好ましいベネフィット-リスクプロファイルを達成する、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害)の処置のために治療用二重特異性抗体(例えば、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体)を投与する有効な方法を開発するという分野における満たされていない必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
本発明は、抗分化クラスター20(CD20)及び抗分化クラスター3(CD3)に結合する二重特異性抗体であって、CRS等のサイトカイン駆動毒性等の望ましくない副作用のリスクを低下させる二重特異性抗体の投与(例えば、静脈内投与)によって、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害)を有する対象を処置する方法に関する。
【0008】
本発明は、相対的に高い第3の用量(C1D3)及び/又は第3の投与サイクル(C3D1)及び/又は追加の投与サイクル(「基本用量」)の用量よりも多い量の第2の投与サイクル(C2D1)の用量(「負荷用量」)を含む複数の投与サイクル(例えば、第1の投与サイクルが、ステップアップ分画投与サイクルである)にわたってCD20及びCD3に結合する二重特異性抗体(例えば、モスネツズマブ)を投与することを含む投与計画が、毒性(例えば、サイトカイン放出症候群)を軽減しながらCD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害)を有する対象を効果的に処置することができるという発見に部分的に基づく。負荷用量は、患者が先行する治療から存在する残存抗CD20モノクローナル抗体を有し得る重要な0日目~42日目の期間における、及び高い腫瘍負荷を有する患者に対する有効性を増加させ得る。ステップアップ投与はサイトカイン放出症候群の毒性を低下させ、負荷用量よりも低い基本用量を投与することは、慢性毒性(例えば、好中球減少症、感染症等)を潜在的に低下させることができる。
【0009】
一態様では、本発明は、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL又はグレード3bFL)又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば、再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL、又は再発性若しくは難治性MZL)又は再発性若しくは難治性CLL)を有する対象を処置する方法であって、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与計画でCD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を対象に投与することを含み、(a)第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約0.02mg~約2.0mg(例えば、約0.02~約1.8mg、約0.02~約1.6mg、約0.02~約1.4mg、約0.02~約1.2mg、約0.05~約1.8mg、約0.1~約1.8mg、約0.4~約1.8mg、約0.6~約1.8mg、約0.8~約1.8mg、約0.5~約1.5mg、約0.8~約1.2mg;例えば、約1mg)であり、C1D2は約0.05mg~約4.0mg(例えば、約0.05~約3.5mg、約0.05~約3.0mg、約0.05~約2.5mg、約0.05~約2.2mg、約0.1~約3.5mg、約0.5~約3.5mg、約1.0~約3.5mg、約1.5~約3.5mg、約1.8~約3.5mg、約1.0~約3.0mg、約1.5~約2.5mg;例えば、約2mg)であり、C1D3は約50mgより多く;(b)第2の投与サイクルは単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含む方法、を特徴とする。
【0010】
いくつかの実施形態では、C1D3は、50mg~200mg(例えば、50mg~175mg、50mg~150mg、50mg~125mg、50mg~100mg、50mg~75mg、50mg~70mg、52mg~100mg、52mg~75mg、50mg~180mg、55mg~150mg、55mg~100mg、55mg~70mg、55mg~65mg、58mg~62mg;例えば、約60mg)である。いくつかの実施形態では、C1D3は約60mgである。いくつかの実施形態では、C1D1は約1mgである。いくつかの実施形態では、C1D2は約2mgである。いくつかの実施形態では、C2D1は、C1D3とほぼ同等の量である。
【0011】
いくつかの実施形態では、C1D1、C1D2及びC1D3を、それぞれ第1の投与サイクルの1日目、8日目及び15日目に、又は約1日目、約8日目及び約15日目に前記対象に投与する。いくつかの実施形態では、C2D1を、第2の投与サイクルの1日目に対象に投与する。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルは21日間の投与サイクルである。いくつかの実施形態では、第2の投与サイクルは、28日間の投与サイクルである。
【0013】
いくつかの実施形態では、投与計画は、第2の投与サイクルの後に1回以上の追加の投与サイクルを更に含む。いくつかの実施形態では、投与計画は、第2の投与サイクルの後に、6回~15回の追加の投与サイクル(例えば、6回~10回の追加の投与サイクル(例えば、6回の追加の投与サイクル、7回の追加の投与サイクル、8回の追加の投与サイクル、9回の追加の投与サイクル、又は10回の追加の投与サイクル)、又は11回~15回の追加の投与サイクル(例えば、11回の追加の投与サイクル、12回の追加の投与サイクル、13回の追加の投与サイクル、14回の追加の投与サイクル、又は15回の追加の投与サイクル)を含む。いくつかの実施形態では、追加の投与サイクルは21日間の投与サイクルである。いくつかの実施形態では、追加の投与サイクルは28日間の投与サイクルである。
【0014】
いくつかの実施形態では、1回以上の前記追加の投与サイクルが、追加の単一用量の二重特異性抗体を含む。いくつかの実施形態では、追加の単一用量の二重特異性抗体を各追加の投与サイクルの1日目に対象に投与する。
【0015】
いくつかの実施形態では、追加の単一用量(例えば、基本用量)の二重特異性抗体は、C1D1より多く、C1D3及び/又はC2D1(例えば、負荷用量)より少ない。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の追加の単一用量(例えば、基本用量)は、C1D3及び/又はC2D1(例えば、負荷用量)の20%~80%(例えば、20%~70%、20%~60%、20%~55%、30%~80%、30%~70%、40%~70%、45%~70%、40%~60%、45%~55%、48%~52%;例えば、約50%)である。いくつかの実施形態では、追加の単一用量の二重特異性抗体は、C1D3及び/又はC2D1(例えば、負荷用量)の約50%である。
【0016】
いくつかの実施形態では、追加の単一用量の二重特異性抗体は約30mgである。
【0017】
別の態様では、本発明は、CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する方法であって、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル及び第3の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を対象に投与することを含み、(a)第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約0.02mg~約2.0mg(例えば、約0.02~約1.8mg、約0.02~約1.6mg、約0.02~約1.4mg、約0.02~約1.2mg、約0.05~約1.8mg、約0.1~約1.8mg、約0.4~約1.8mg、約0.6~約1.8mg、約0.8~約1.8mg、約0.5~約1.5mg、約0.8~約1.2mg;例えば、約1mg)であり、C1D2は約0.05mg~約4.0mg(例えば、約0.05~約3.5mg、約0.05~約3.0mg、約0.05~約2.5mg、約0.05~約2.2mg、約0.1~約3.5mg、約0.5~約3.5mg、約1.0~約3.5mg、約1.5~約3.5mg、約1.8~約3.5mg、約1.0~約3.0mg、約1.5~約2.5mg;例えば、約2mg)であり、C1D3は約20mgより大きく;(b)第2の投与サイクルは、単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含み、C2D1は、C1D3とほぼ同等の量であり;(c)第3の投与サイクルは、単一用量(C3D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1はC1D1より多く、C2D1より少ない、方法を特徴とする。
【0018】
いくつかの実施形態では、C1D3及びC2D1(例えば、負荷用量)は、それぞれ20mg~200mg(例えば、20mg~175mg、20mg~150mg、20mg~100mg、20mg~75mg、30mg~175mg、40mg~175mg、45mg~175mg、50mg~175mg、30mg~150mg、40mg~100mg、45mg~75mg、50mg~70mg、55mg~65mg、58mg~62mg;、約20mg、約30mg、約45mg、又は例えば約60mg)である。いくつかの実施形態では、C1D3及びC2D1はそれぞれ約60mgである。いくつかの実施形態では、C3D1は、C2D1の約20%~約80%(例えば、約20%~約70%、約20%~約60%、約20%~約55%、約30%~約80%、約30%~約70%、約40%~約70%、約45%~約70%、約40%~約60%、約45%~約55%、又は約48%~約52%;例えば、約40%、約45%、約50%、約55%、又は約60%)である。いくつかの実施形態では、C3D1はC2D1の約50%である。いくつかの実施形態では、C3D1は、約12mg~約48mg(例えば、約12mg~約42mg、約12mg~約36mg、約12mg~約30mg、約18mg~約48mg、約18mg~約42mg、約24mg~約42mg、約27mg~約42mg、約24mg~約36mg、約27mg~約33mg、約28mg~約32mg;例えば、約24mg、約27mg、約30mg、約33mg、又は約36mg)である。特定の実施形態では、C3D1は約30mgである。
【0019】
いくつかの実施形態では、C3D1は約30mgである。いくつかの実施形態では、C1D1は約1mgである。いくつかの実施形態では、C1D2は約2mgである。
【0020】
いくつかの実施形態では、C1D1、C1D2及びC1D3を、それぞれ第1の投与サイクルの1日目、8日目及び15日目に、又は約1日目、約8日目及び約15日目に前記対象に投与する。いくつかの実施形態では、C2D1を第2の投与サイクルの1日目に対象に投与し、C3D1を第3の投与サイクルの1日目に対象に投与する。いくつかの実施形態では、第1の投与サイクル、第2の投与サイクル及び第3の投与サイクルは21日間の投与サイクルである。いくつかの実施形態では、第2の投与サイクル及び/又は第3の投与サイクルは28日間の投与サイクルである。
【0021】
いくつかの実施形態では、投与計画は、第3の投与サイクルの後に1回以上の追加の投与サイクルを更に含む。いくつかの実施形態では、投与計画は、第3の投与サイクルの後に、5回~14回の追加の投与サイクル(例えば、5回~10回の追加の投与サイクル(例えば、5回の追加の投与サイクル、6回の追加の投与サイクル、7回の追加の投与サイクル、8回の追加の投与サイクル、9回の追加の投与サイクル、又は10回の追加の投与サイクル)又は11回~14回の追加の投与サイクル(例えば、11回の追加の投与サイクル、12回の追加の投与サイクル、13回の追加の投与サイクル、14回の追加の投与サイクル))を含む。いくつかの実施形態では、追加の投与サイクルは21日間の投与サイクルである。いくつかの実施形態では、追加の投与サイクルは28日間の投与サイクルである。
【0022】
いくつかの実施形態では、1回以上の追加の投与サイクルが、追加の単一用量(例えば、基本用量)の二重特異性抗体を含む。いくつかの実施形態では、追加の単一用量の二重特異性抗体を各追加の投与サイクルの1日目に対象に投与する。いくつかの実施形態では、追加の単一用量の二重特異性抗体はC3D1とほぼ同等の量である。
【0023】
追加の態様では、本発明は、CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する方法であって、8回以上の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、(a)第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約0.02mg~約2.0mg(例えば、約0.02~約1.8mg、約0.02~約1.6mg、約0.02~約1.4mg、約0.02~約1.2mg、約0.05~約1.8mg、約0.1~約1.8mg、約0.4~約1.8mg、約0.6~約1.8mg、約0.8~約1.8mg、約0.5~約1.5mg、約0.8~約1.2mg;例えば、約1mg)であり、C1D2は約0.05mg~約4.0mg(例えば、約0.05~約3.5mg、約0.05~約3.0mg、約0.05~約2.5mg、約0.05~約2.2mg、約0.1~約3.5mg、約0.5~約3.5mg、約1.0~約3.5mg、約1.5~約3.5mg、約1.8~約3.5mg、約1.0~約3.0mg、約1.5~約2.5mg;例えば、約2mg)であり、C1D3は約20mgより大きく;(b)第2の投与サイクルは、単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含み、C2D1は、C1D3とほぼ同等の量であり;(c)第3の投与サイクルは、単一用量(C3D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1はC1D1より多く、C2D1より少なく;(d)第4の投与サイクルは、単一用量(C4D1)の二重特異性抗体を含み;(e)第5の投与サイクルは、単一用量(C5D1)の二重特異性抗体を含み;(f)第6の投与サイクルは、単一用量(C6D1)の二重特異性抗体を含み;(g)第7の投与サイクルは、単一用量(C7D1)の二重特異性抗体を含み、;(h)第8の投与サイクルは、単一用量(C8D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1~C8D1(例えば、基本用量)は、ほぼ同等の量である方法、を特徴とする。
【0024】
いくつかの実施形態では、C1D3及びC2D1(例えば、負荷用量)は、それぞれ20mg~200mg(例えば、20mg~175mg、20mg~150mg、20mg~100mg、20mg~75mg、30mg~175mg、40mg~175mg、45mg~175mg、50mg~175mg、30mg~150mg、40mg~100mg、45mg~75mg、50mg~70mg、55mg~65mg、58mg~62mg;例えば、約60mg)である。いくつかの実施形態では、C1D3及びC2D1はそれぞれ約60mgである。
【0025】
いくつかの実施形態では、C3D1は、C2D1の約20%~約80%(例えば、約20%~約70%、約20%~約60%、約20%~約55%、約30%~約80%、約30%~約70%、約40%~約70%、約45%~約70%、約40%~約60%、約45%~約55%、又は約48%~約52%;例えば、約40%、約45%、約50%、約55%、又は約60%)である。いくつかの実施形態では、C3D1はC2D1の約50%である。いくつかの実施形態では、C3D1は、約12mg~約48mg(例えば、約12mg~約42mg、約12mg~約36mg、約12mg~約30mg、約18mg~約48mg、約18mg~約42mg、約24mg~約42mg、約27mg~約42mg、約24mg~約36mg、約27mg~約33mg、約28mg~約32mg;例えば、約24mg、約27mg、約30mg、約33mg、又は約36mg)である。特定の実施形態では、C3D1は約30mgである。
【0026】
いくつかの実施形態では、C3D1は約30mgである。いくつかの実施形態では、C1D1は約1mgである。いくつかの実施形態では、C1D2は約2mgである。
【0027】
いくつかの実施形態では、C1D1、C1D2及びC1D3を、それぞれ第1の投与サイクルの1日目、8日目及び15日目に、又は約1日目、約8日目及び約15日目に対象に投与する。いくつかの実施形態では、C2D1~C8D1各々、それぞれ第2~第8の投与サイクルの1日目に対象に投与する。いくつかの実施形態では、投与サイクルは21日間の投与サイクルである。いくつかの実施形態では、第1の投与サイクル後の投与サイクルは、28日間の投与サイクルである。
【0028】
いくつかの実施形態では、投与計画は、第8の投与サイクルの後に1回以上の追加の投与サイクルを含む。いくつかの実施形態では、追加の投与サイクルは21日間の投与サイクルである。いくつかの実施形態では、追加の投与サイクルは28日間の投与サイクルである。
【0029】
いくつかの実施形態では、1回以上の前記追加の投与サイクルが、追加の単一用量の二重特異性抗体を含む。いくつかの実施形態では、追加の単一用量の二重特異性抗体を各追加の投与サイクルの1日目に対象に投与する。いくつかの実施形態では、追加の単一用量の二重特異性抗体は、C3D1~C8D1(例えば、基本用量)のいずれか1つとほぼ同等の量である。
【0030】
更なる態様では、本発明は、CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する方法であって、8回以上の21日間又は28日間の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、(a)第1の21日間の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約1mgであり、C1D2は約2mgであり、C1D3は約60mgである;(b)第2の投与サイクルは、単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含み、C2D1は約60mgである;(c)第3の投与サイクルは、単一用量(C3D1)の二重特異性抗体を含む;(d)第4の投与サイクルは、単一用量(C4D1)の二重特異性抗体を含む;(e)第5の投与サイクルは、単一用量(C5D1)の二重特異性抗体を含む;(f)第6の投与サイクルは、単一用量(C6D1)の二重特異性抗体を含む;(g)第7の投与サイクルは、単一用量(C7D1)の二重特異性抗体を含む、;(h)第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1~C8D1(例えば、基本用量)はそれぞれ約30mgである、方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、第1の投与サイクル後の投与サイクルは、28日間の投与サイクルである。
【0031】
いくつかの実施形態では、対象は、CD20陽性細胞増殖性障害のための先行する全身療法を受けたことがある。いくつかの実施形態では、対象は、CD20陽性細胞増殖性障害のための第一選択全身療法及び第二選択全身療法を受けたことがある。いくつかの実施形態では、対象は、先行する全身療法から24ヶ月以内にCD20陽性細胞増殖性障害の進行を示した。
【0032】
いくつかの実施形態では、先行する全身療法は抗CD20抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体はリツキシマブである。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体はオビヌツズマブである。
【0033】
いくつかの実施形態では、先行する全身療法は化学療法剤を含む。いくつかの実施形態では、化学療法剤はアルキル化剤である。いくつかの実施形態では、アルキル化剤は、ベンダムスチンである。いくつかの実施形態では、化学療法剤はレナリドミドである。
【0034】
いくつかの実施形態では、先行する全身療法は放射線免疫療法を含む。いくつかの実施形態では、放射線免疫療法はイブリツモマブチウキセタンである。
【0035】
いくつかの実施形態では、先行する全身療法はホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤は、イデラリシブ、アルペリシブ、コパンリシブ及びデュベリシブを含む群から選択される。
【0036】
いくつかの実施形態では、先行する全身療法はCAR-T療法を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0038】
本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、二重特異性抗体は静脈内投与される。
【0039】
更に別の態様では、本発明は、CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する方法であって、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、(a)第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約0.02mg~約2.0mg(例えば、約0.02~約1.8mg、約0.02~約1.6mg、約0.02~約1.4mg、約0.02~約1.2mg、約0.05~約1.8mg、約0.1~約1.8mg、約0.4~約1.8mg、約0.6~約1.8mg、約0.8~約1.8mg、約0.5~約1.5mg、約0.8~約1.2mg;例えば、約1mg)であり、C1D2は約0.05mg~約4.0mg(例えば、約0.05~約3.5mg、約0.05~約3.0mg、約0.05~約2.5mg、約0.05~約2.2mg、約0.1~約3.5mg、約0.5~約3.5mg、約1.0~約3.5mg、約1.5~約3.5mg、約1.8~約3.5mg、約1.0~約3.0mg、約1.5~約2.5mg;例えば、約2mg)であり、C1D3は約50mgより多く;(b)第2の投与サイクルは単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含む方法、を特徴とする。
【0040】
いくつかの実施形態では、C1D 3は、50mg~200mg(例えば、50mg~175mg、50mg~150mg、50mg~125mg、50mg~100mg、50mg~75mg、50mg~70mg、52mg~100mg、52mg~75mg、50mg~180mg、55mg~150mg、55mg~100mg、55mg~70mg、55mg~65mg、58mg~62mg;例えば、約60mg)である。
【0041】
別の態様では、本発明は、CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する方法であって、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル及び第3の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を対象に投与することを含み、(a)第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約0.02mg~約2.0mg(例えば、約0.02~約1.8mg、約0.02~約1.6mg、約0.02~約1.4mg、約0.02~約1.2mg、約0.05~約1.8mg、約0.1~約1.8mg、約0.4~約1.8mg、約0.6~約1.8mg、約0.8~約1.8mg、約0.5~約1.5mg、約0.8~約1.2mg;例えば、約1mg)であり、C1D2は約0.05mg~約4.0mg(例えば、約0.05~約3.5mg、約0.05~約3.0mg、約0.05~約2.5mg、約0.05~約2.2mg、約0.1~約3.5mg、約0.5~約3.5mg、約1.0~約3.5mg、約1.5~約3.5mg、約1.8~約3.5mg、約1.0~約3.0mg、約1.5~約2.5mg;例えば、約2mg)であり、C1D3は約20mgより大きく;(b)第2の投与サイクルは、単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含み、C2D1は、C1D3とほぼ同等の量であり;(c)第3の投与サイクルは、単一用量(C3D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1はC1D1より多く、C2D1より少ない、方法を特徴とする。
【0042】
別の態様では、本発明は、CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する方法であって、8回以上の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、(a)第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約0.02mg~約2.0mg(例えば、約0.02~約1.8mg、約0.02~約1.6mg、約0.02~約1.4mg、約0.02~約1.2mg、約0.05~約1.8mg、約0.1~約1.8mg、約0.4~約1.8mg、約0.6~約1.8mg、約0.8~約1.8mg、約0.5~約1.5mg、約0.8~約1.2mg;例えば、約1mg)であり、C1D2は約0.05mg~約4.0mg(例えば、約0.05~約3.5mg、約0.05~約3.0mg、約0.05~約2.5mg、約0.05~約2.2mg、約0.1~約3.5mg、約0.5~約3.5mg、約1.0~約3.5mg、約1.5~約3.5mg、約1.8~約3.5mg、約1.0~約3.0mg、約1.5~約2.5mg;例えば、約2mg)であり、C1D3は約20mgより大きく;(b)第2の投与サイクルは、単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含み、C2D1は、C1D3とほぼ同等の量であり;(c)第3の投与サイクルは、単一用量(C3D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1はC1D1より多く、C2D1より少なく;(d)第4の投与サイクルは、単一用量(C4D1)の二重特異性抗体を含み;(e)第5の投与サイクルは、単一用量(C5D1)の二重特異性抗体を含み;(f)第6の投与サイクルは、単一用量(C6D1)の二重特異性抗体を含み;(g)第7の投与サイクルは、単一用量(C7D1)の二重特異性抗体を含み、;(h)第8の投与サイクルは、単一用量(C8D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1~C8D1(例えば、基本用量)は、ほぼ同等の量である方法、を特徴とする。
【0043】
いくつかの実施形態では、C1D3及びC2D1(例えば、負荷用量)は、それぞれ20mg~200mg(例えば、20mg~175mg、20mg~150mg、20mg~100mg、20mg~75mg、30mg~175mg、40mg~175mg、45mg~175mg、50mg~175mg、30mg~150mg、40mg~100mg、45mg~75mg、50mg~70mg、55mg~65mg、58mg~62mg;例えば、約20mg、約30mg、約45mg、又は約60mg)である。いくつかの実施形態では、C1D3及びC2D1はそれぞれ約60mgである。
【0044】
更なる態様では、本発明は、CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する方法であって、8回以上の21日間又は28日間の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、(a)第1の21日間の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約1mgであり、C1D2は約2mgであり、C1D3は約60mgである;(b)第2の投与サイクルは、単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含み、C2D1は約60mgである;(c)第3の投与サイクルは、単一用量(C3D1)の二重特異性抗体を含む;(d)第4の投与サイクルは、単一用量(C4D1)の二重特異性抗体を含む;(e)第5の投与サイクルは、単一用量(C5D1)の二重特異性抗体を含む;(f)第6の投与サイクルは、単一用量(C6D1)の二重特異性抗体を含む;(g)第7の投与サイクルは、単一用量(C7D1)の二重特異性抗体を含む、;(h)第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1~C8D1(例えば、基本用量)はそれぞれ約30mgである。いくつかの実施形態では、第1の投与サイクル後の投与サイクルは、28日間の投与サイクルである。
【0045】
いくつかの実施形態では、完全奏効率は、少なくとも約15%(例えば、約15%~約30%、約15%~約40%、約15%~約50%、約15%~約60%、約15%~約75%、約15%~約80%、約15%~約90%、約15%~約100%、約20%~約100%、約20%~約75%、約20%~約50%、約25%~約100%、約25%~約75%、約25%~約50%、約30%~約75%、約30%~約100%、又は約30%~約50%;例えば、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、又は約45%)である。いくつかの実施形態では、完全奏効率は、少なくとも約45%(例えば、約45%~約60%、約45%~約70%、約45%~約80%、約45%~約95%、約45%~約100%、約50%~約100%、約50%~約95%、又は約50%~約75%;例えば、約45%、約50%、約55%、又は約60%)である。
【0046】
いくつかの実施形態では、客観的奏効率は少なくとも約60%(例えば、約60%~約70%、約60%~約80%、約60%~約90%、又は約60%~約100%;例えば、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、又は約85%)である。いくつかの実施形態では、処置開始後約20ヶ月での客観的奏効率は少なくとも約70%(例えば、約70%~約80%、約70%~約90%、約70%~約95%、又は約70%~約100%;例えば、約70%、約75%、約80%、約85%、又は約90%)である。
【0047】
いくつかの実施形態では、処置開始後約24ヶ月での客観的奏効率は、少なくとも約75%(例えば、約75%~約80%、約75%~約90%、約75%~約95%、約75%~約100%、約80%~約100%、又は約90%~約100%;例えば、約75%、約80%、約85%、又は約90%)である。
【0048】
いくつかの実施形態では、奏効期間中央値(mDOR)は、少なくとも約12ヶ月(例えば、少なくとも約14ヶ月、少なくとも約16ヶ月、少なくとも約18ヶ月;例えば、約12ヶ月~約14ヶ月の間、約12ヶ月~約16ヶ月の間、約12ヶ月~約18ヶ月の間、又は約12ヶ月~約20ヶ月の間;例えば、約12ヶ月、約14ヶ月、約16ヶ月、又は約18ヶ月)である。いくつかの実施形態では、mDORは少なくとも約20ヶ月(例えば、少なくとも約22ヶ月、少なくとも約24ヶ月、少なくとも約26ヶ月、少なくとも約28ヶ月、少なくとも約30ヶ月、少なくとも約32ヶ月、少なくとも約34ヶ月、又は少なくとも約36ヶ月;例えば、約20ヶ月~約24ヶ月の間、約20ヶ月~約30ヶ月の間、約20ヶ月~約36ヶ月の間、約20ヶ月~約48ヶ月の間、約20ヶ月~約60ヶ月の間、約20ヶ月~約72ヶ月の間、約24ヶ月~約36ヶ月の間、約24ヶ月~約48ヶ月の間、約24ヶ月~約60ヶ月の間、約36ヶ月~約48ヶ月の間、又は約36ヶ月~約60ヶ月の間;例えば、約20ヶ月、約24ヶ月、約28ヶ月、約32ヶ月、約36ヶ月、約40ヶ月、約48ヶ月、約56ヶ月、又は約60ヶ月)である。いくつかの実施形態では、対象の集団は、集団において少なくとも12ヶ月のDORを有する対象の割合を有し、集団における少なくとも12ヶ月のDORを有する対象の割合は、少なくとも約60%(例えば、約60%~約70%、約60%~約80%、約60%~約90%、又は約60%~約100%;例えば、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、又は約95%)である。
【0049】
いくつかの実施形態では、対象の集団は、二重特異性抗体の投与後にサイトカイン放出症候群を示し、対象の集団におけるサイトカイン放出症候群の割合は、約25%(例えば、約23%以下、約20%以下、約18%以下、約16%以下、約15%以下、約14%以下、約13%以下、約12%以下、約11%以下、約10%以下;例えば、約1%~約25%、約5%~約25%、約10%~約25%、約15%~約25%、約20%~約25%、約5%~約15%、約5%~約10%、約1%~約15%、又は約1%~約10%;例えば、約24%、約22%、約20%、約18%、約16%、約14%、約12%、約10%、約8%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、又は約0%)以下である。いくつかの実施形態では、対象の集団におけるサイトカイン放出症候群の割合は約10%以下である。
【0050】
いくつかの実施形態では、グレード2以上(米国移植細胞治療学会、2018;ASTCTによる定義;例えば、2~5の間のグレード、例えば、2、3、4、又は5のグレード)を有するサイトカイン放出症候群の割合は、約10%以下(例えば、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下;例えば、約0.1%~約10%、約0.5%~約10%、約1%~約10%、約1%~約7%、約1%~約5%、約1%~約3%、又は約5%~約10%;例えば、約10%、約8%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、又は約0%)である。いくつかの実施形態では、グレード2以上(ASTCTによる定義)を有するサイトカイン放出症候群の割合は、約5%(例えば、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下;例えば、約0%~約5%、約1%~約5%、約2%~約5%、約3%~約5%、約4%~約5%、約1%~約3%、約2%~約5%、又は約0%~約2%;例えば、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、又は約0%)以下である。いくつかの実施形態では、グレード3以上(ASTCTによる定義、例えばグレード3~5、例えばグレード3、4、又は5)を有するサイトカイン放出症候群の割合は、約0である。
【0051】
いくつかの実施形態では、CD20陽性細胞増殖性障害はB細胞増殖性障害である。いくつかの実施形態では、CD20陽性細胞増殖性障害は再発性又は難治性B細胞増殖性障害である。いくつかの実施形態では、CD20陽性細胞増殖性障害は、非ホジキンリンパ腫(NHL)又は慢性リンパ性白血病(CLL)である。いくつかの実施形態では、NHLは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。いくつかの実施形態では、DLBCLはリヒター形質転換(Richter’s transformation)である。いくつかの実施形態では、NHLは、濾胞性リンパ腫(FL)である。いくつかの実施形態では、FLは、グレード1、2、3a又は3bのFLである。いくつかの実施形態では、FLは形質転換FLである。いくつかの実施形態では、NHLは、マントル細胞リンパ腫(MCL)又は辺縁帯リンパ腫(MZL)である。
【0052】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、以下の6つの超可変領域(HVR):(a)GYTFTSYNMH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)AIYPGNGDTSYNQKFKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)VVYYSNSYWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)RASSSVSYMH(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)APSNLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び(f)QQWSFNPPT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む第1の結合ドメインを有する抗CD20アームを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、(a)配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;(b)配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は(c)(a)にあるようなVHドメインと(b)にあるようなVLドメインを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、第1の結合ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインとを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、以下の6つのHVR:(a)NYYIH(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)WIYPGDGNTKYNEKFKG(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)DSYSNYYFDY(配列番号11)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQSLLNSRTRKNYLA(配列番号12)のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)WASTRES(配列番号13)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;(f)TQSFILRT(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む第2の結合ドメインを有する抗CD3アームを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)にあるようなVHドメインと(b)にあるようなVLドメインを含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、第2の結合ドメインは、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLドメインとを含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、(a)(i)配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖及び(ii)配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗CD20アームと、(b)(i)配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖及び(ii)配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗CD3アームとを含む。いくつかの抗体では、(a)抗CD20アームは、配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖及び、配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、(b)抗CD3アームは、配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖及び、配列番号54のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体はヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体はキメラ抗体である。
【0060】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、CD20及びCD3に結合する抗体断片である。いくつかの実施形態では、抗体断片は、Fab断片、Fab’-SH断片、Fv断片、scFv断片、及び(Fab’)2断片からなる群から選択される。
【0061】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は完全長抗体である。
【0062】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体はIgG抗体である。いくつかの実施形態では、IgG抗体はIgG1抗体である。
【0063】
いくつかの実施形態では、IgG抗体は、グリコシル化の非存在をもたらすアミノ酸残基N297(EUナンバリング)における変異を含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸残基N297での変異は置換変異である。いくつかの実施形態では、アミノ酸残基N297の変異はFc領域のエフェクター機能を低下させる。いくつかの実施形態では、変異はN297G又はN297A変異である。
【0064】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、エフェクター機能を低下させるFc領域における変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は置換変異である。いくつかの実施形態では、置換変異は、アミノ酸残基L234、L235、D265、及び/又はP329(EUナンバリング)にある。いくつかの実施形態では、置換変異は、L234A、L235A、D265A、及びP329Gからなる群から選択される。
【0065】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、1つ以上の重鎖定常ドメインを含み、1つ以上の重鎖定常ドメインは、第1のCH1(CH11)ドメイン、第1のCH2(CH21)ドメイン、第1のCH3(CH31)ドメイン、第2のCH1(CH12)ドメイン、第2のCH2(CH22)ドメイン、及び第2のCH3(CH32)ドメインから選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の重鎖定常ドメインのうちの少なくとも1つは、別の重鎖定常ドメインと対合される。
【0066】
いくつかの実施形態では、CH31ドメイン及びCH32ドメインはそれぞれ、突起又は空隙を構成し、CH31ドメインにおける突起又は空隙が、それぞれ、CH32ドメインにおける空隙又は突起に位置決め可能である。いくつかの実施形態では、CH31ドメイン及びCH32ドメインは、突起と空隙との境界面において接触する。
【0067】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の抗CD20アームは、T366W及びN297Gの置換変異(EUナンバリング)を更に含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の抗CD3アームは、T366S、L368A、Y407V及びN297Gの置換変異(EUナンバリング)を更に含む。いくつかの実施形態では、(a)抗CD20アームは、T366W及びN297Gの置換変異を更に含み、(b)抗CD3アームは、T366S、L368A、Y407V及びN297Gの置換変異(EUナンバリング)を更に含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、投与計画は、対象にPD-1軸結合アンタゴニストを投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、約1100mg~約1300mg(例えば、約1150mg~約1250mg、約1175mg~約1225mg、約1190mg~約1210mg;例えば、1200mg±5mg、例えば、1200±2.5mg、例えば、1200±1.0mg、例えば、1200±0.5mg;例えば、約1200mg)の用量で投与される。特定の実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、約1200mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、二重特異性抗体の投与を含む最初の投与サイクル後の各投与サイクルの1日目(±1日)に投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、アテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
本出願ファイルの内容は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含有する。カラー図面付きの本特許又は本特許出願のコピーは、要請と必要な手数料を支払うことにより、特許庁から提供される。
【0070】
【
図1】
図1は、モスネツズマブの段階的負荷ベース投与の概要を示す概略図である。縦棒は、投与されたモスネツズマブの相対量を示す。1/2/60/30(mg)の段階的負荷ベース投与が記載される。患者に、サイクル1の1日目に約1mgのモスネツズマブの第1の段階用量(C1D1)を投与し、続いてサイクル1の8日目に約2mgのモスネツズマブの第2の段階用量(C1D8)を投与する。次いで、患者に、サイクル1の15日目に約60mgのモスネツズマブの第1負荷用量(C1D15)を投与し、続いてサイクル2の1日目に約60mgのモスネツズマブの第2負荷用量(C2D1)を投与する。その後、患者に、各後続サイクルの1日目に約30mgのモスネツズマブの基本用量を投与する。患者に、最初にサイクル3の1日目(C3D1)~サイクル8の1日目(C8D1)に6回の基本用量を投与する。8サイクルの処置後にCRを達成しない患者は、8回又は17回の追加の処置サイクルのために、約30mgのモスネツズマブの基本用量を継続して受ける。基本=基本用量;C=サイクル;CR=完全奏効;D=日;負荷=負荷用量;Q3w=投薬を投与サイクルごとに1回、すなわち約3週間ごとに行う;段階=段階用量。
【
図2】
図2は、段階的負荷ベース投与のモスネツズマブ(すなわち、1/2/60/30の投与)を投与した患者におけるベースラインからの腫瘍変化%を示すグラフである。矢印は、進行性疾患(PD)又は部分奏効(PR)を有する患者を表す線を示す。黒い線は、安定した疾患を有する患者を表す。残りの線は、完全奏効(CR)を有する患者を表す。
【
図3】
図3は、GO29781試験の用量漸増部分の設計を示す概略図である。最初に、モスネツズマブを、各サイクルの1日目に単回の非分割静脈内(IV)用量として与える(A群)。第1サイクルの投薬は、その後、A群の用量漸増を停止し、以下のようにモスネツズマブの用量漸増を行うように変更される:B群:サイクル1のステップアップIV投与スキームを利用したモスネツズマブ用量漸増;E群:アテゾリズマブ(抗PD-L1モノクローナル抗体(mAb))の同時投与をIV注入によってサイクル2において開始して、サイクル1ステップアップIV投与スキームを利用したモスネツズマブ用量漸増;参考用。A=アテゾリズマブ;C=サイクル;D=日;DL=用量レベル;MAD=最大評価用量。
【
図4】
図4は、GO29781試験の非ホジキンリンパ腫(NHL)拡大コホート及び慢性リンパ性白血病(CLL)用量漸増/拡大コホートの設計を示す概略図である。DLBCL=びまん性大細胞型B細胞リンパ腫;FL=濾胞性リンパ腫;MCL=マントル細胞リンパ腫;NHL=非ホジキンリンパ腫;RP2D=推奨第II相用量;R/R=再発性/難治性;trFL=形質転換濾胞性リンパ腫。
aA、B及びE群の用量漸増に基づく複数の拡大コホートが試験され得る。
bR/R DLBCL/trFLにおける拡大コホートは、最大約20名の患者を登録するB群RP2Dに基づく拡大コホートを除いて、最大約80名の患者を登録する。
cR/R FLにおける拡大コホートは、最大約20名の患者を登録するB群RP2Dに基づく拡大コホートを除いて、最大約80名の患者を登録する。
dB群用量漸増のみに基づく拡大コホートを試験する。
e用量漸増をNHLの場合と同様に行った(
図3を参照)。
fB群の用量漸増に基づく複数の拡大コホートが試験され得る。
【
図5】
図5は、GO29781試験のB群の例示的な用量漸増進行を示す概略図である。列挙された用量は例示のみを目的としている。AE=有害事象;DLT=用量制限毒性;HLH=血球貪食性リンパ組織球症;MTD=最大耐量。用量レベルはミリグラム(mg)単位である。
aプロトコルは、最大12.8mgまでのA群の漸増を可能にする;2.8mgがA群の最高クリアC1用量であることをここに示す。
bC1D1用量を決定するための基準が実施例に提供される。
cモスネツズマブの同定された又は潜在的なリスクに関連する有害事象、例えばサイトカイン放出症候群(CRS)、HLH、神経毒性、腫瘍溶解症候群(TLS)、好中球減少症、血小板減少症及び肝酵素上昇。
【
図6A】
図6Aは、GO29781試験におけるサイクル1用量漸増(B群)における用量制限毒性(DLT)評価ウィンドウを示す概略図である。ウィンドウA:C1D8に対するモスネツズマブ投与によるC1D1;ウィンドウB:C1D15に対するモスネツズマブ投与によるC1D8;ウィンドウC:C1D15~C1D21。
【
図6B】
図6Bは、GO29781試験におけるサイクル1の用量漸増(B群)でのDLTの観察のための3つの例示的なシナリオを示す概略図のセットである。図は、6名の患者の用量漸増コホートにおける2つのDLTのタイミングを示す例を表しており、全ての可能なシナリオを表しているわけではない。
aDLT評価可能患者は、C1D1、C1D8及びC1D15の用量を受けるか、又はDLTを発症する患者である。
【
図7】
図7は、GO29781試験のE群における評価ウィンドウを示す概略図である。
【
図8】
図8は、GO29781試験のE群の例示的な用量漸増進行を示す概略図である。列挙された用量は例示のみを目的としている。用量レベルはmg単位である。
a所与のE群コホートの開始は、B群の漸増における以下を条件とする:1)サイクル1のDLT評価期間をクリアすること;2)サイクル2における安全性及び忍容性の実証。
bモスネツズマブの潜在的なリスクを構成するDLT及びグレード≧2の有害事象がない場合、サイクル2のモスネツズマブの漸増は、対応するB群用量の漸増に従う。
c17%未満の患者におけるサイクル2 DLTは、先行するサイクル2の1日目のモスネツズマブ用量レベルに対して、サイクル2の用量漸増増分を50%以下に減少させる。この実施例では、B群の用量漸増規則が100%の用量漸増増分を許容する場合、サイクル2用量漸増は、B群の対応するサイクル2用量レベルと一致する必要はない。
dサイクル2のMTDに達すると、サイクル2の用量レベルを更に上昇させなくてもよい。B群の漸増に基づくより高いサイクル1の用量レベルは、アテゾリズマブと組み合わせて、最高クリアサイクル2モスネツズマブ用量レベルを使用して試験され得る。
【
図9】
図9は、GO29781試験における初期試験処置の期間及び再処置又は継続試験処置の選択肢を示す概略図である。CR=完全奏効;PD=進行性疾患;PR=部分奏効;SD=安定疾患。
a最初の処置のための処置の流れにしたがって、追加のラウンドの再処置が可能である。
bモスネツズマブ+アテゾリズマブの初期処置の処置フローに従う。
cスキャンは、サイクル8とサイクル9との間のいかなる用量遅延も可能な限り回避/最小化するようにスケジュールされなくてはならない。
【
図10】
図10は、A、B及びE群の患者において異なる投与計画でモスネツズマブを投与したときの血漿試料中のIL-6のレベルを示すグラフのセットである。血漿試料は、サイクル1の1日目、8日目及び15日目(それぞれ「C1D1」、「C1D8」、及び「C1D15」と標識されている)のC1D1、C1D2及びC1D3用量の投与の0時間後(即時)、4時間後、10時間後及び24時間後、並びにC2D1及びC4D1用量の投与の0時間後(即時)及び4時間後に様々に採取される。血漿IL-6レベルをpg/mLの単位で報告する。
【
図11】
図11は、異なる用量のモスネツズマブを投与したB群患者における任意のグレード、グレード2及びグレード3+サイトカイン放出症候群(CRS)の割合を示すグラフである(x軸)。AE=有害事象、すなわちCRS。
【
図12】
図12は、群Aの患者が経験した有害事象を報告する表であり、モスネツズマブの用量によってグループ分けされる。AE=有害事象;PD=進行性疾患。
【
図13】
図13は、群Bの患者が経験した有害事象を報告する表であり、モスネツズマブの用量によってグループ分けされる。AE=有害事象;PD=進行性疾患。
【発明を実施するための形態】
【0071】
発明の詳細な説明
本発明は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与計画において、CD20及びCD3(例えば、モスネツズマブ)に結合する二重特異性抗体を対象に投与する(例えば、静脈内投与)ことによって、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL又はグレード3bFL)又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば、再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL、又は再発性若しくは難治性(MZL))、又は再発性若しくは難治性CLL)を有する対象(又は対象の集団)を処置する方法を含む。いくつかの例では、第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約0.02mg~約2.0mgであり、C1D2は約0.05mg~約4.0mgであり、C1D3は約50mgより多い。いくつかの例では、第2の投与サイクルは、単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含む。いくつかの例では、C1D3及びC2D1はまとめて「負荷用量」と呼ばれる。
【0072】
いくつかの例では、本発明は、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体(例えば、モスネツズマブ)を、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル及び第3の投与サイクルを含む投与計画で対象に投与することを特徴とし、第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約0.02mg~約2.0mgであり、C1D2は約0.05mg~約4.0mgであり、C1D3は約20mgより大きく、第2の投与サイクルは、単一用量(C2D1)の二重特異性抗体含み、C2D1は、C1D3とほぼ同等の量であり、第3の投与サイクルは、単一用量(C3D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1は、C1D1より多く、C2D1より少ない。
【0073】
前述のように、本発明は、相対的に高い第3の用量(C1D3)及び/又は第3の投与サイクル(C3D1)及び/又は追加の投与サイクル(「基本用量」)の用量よりも多い量の第2の投与サイクル(C2D1)の用量(「負荷用量」)を含む複数の投与サイクル(例えば、第1の投与サイクルが、ステップアップ分画投与サイクルである)にわたってCD20及びCD3に結合する二重特異性抗体(例えば、モスネツズマブ)を投与することを含む投与計画が、毒性(例えば、サイトカイン放出症候群)を軽減しながらCD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害)を有する対象を効果的に処置することができるという発見に部分的に基づく。負荷用量は、患者が先行する治療から存在する残存抗CD20モノクローナル抗体を有し得る重要な0日目~42日目の期間における、及び高い腫瘍負荷を有する患者に対する有効性を増加させ得る。ステップアップ投与はサイトカイン放出症候群の毒性を低下させ、負荷用量よりも低い基本用量を投与することは、慢性毒性(例えば、好中球減少症、感染症等)を潜在的に低下させることができる。
【0074】
I.一般的技術
本明細書に記載又は参照される技術及び手順は、一般によく理解されており、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3d edition(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.,eds.,(2003));the series Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.):PCR 2:A Practical Approach(M.J.MacPherson,B.D.Hames and G.R.Taylor eds.(1995)),Harlow and Lane,eds.(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,and Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.(1987));Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney),ed.,1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993-8)J.Wiley and Sons;Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999);Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997);Antibodies(P.Finch,1997);Antibodies:A Practical Approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989);Monoclonal Antibodies:A Practical Approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000);Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999);The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995);and Cancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVita et al.,eds.,J.B.Lippincott Company,1993)に記載される広く利用されている方法論等の従来の方法論を使用して当業者によって一般的に用いられる。
【0075】
II.定義
本明細書に記載の本発明の態様及び実施形態は、態様及び実施形態「を含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」を含むことが理解される。
【0076】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、特に指示されない限り、複数のものを含む。
【0077】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、この技術分野の当業者であれば容易に理解する、それぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」に続く値又はパラメータへの言及は、その値又はパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(且つ説明する)。
【0078】
「癌」及び「癌性」という用語は、制御されていない細胞成長を典型的に特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指すか、又は説明する。癌の例は、ホジキンリンパ腫を除外するが、再発性又は難治性DLBCLであり得る、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)等の非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む、成熟B細胞癌等の、血液癌を含むが、これらに限定されない。癌は、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL又はグレード3bFL)又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL、又は再発性若しくは難治性MZL)、又は再発性若しくは難治性CLLであり得る。いくつかの例では、癌の具体例としては、胚中心B細胞様(GCB)びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、活性型B細胞様(ABC)DLBCL、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、高悪性度B細胞リンパ腫、縦隔原発(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫(PMLBCL)、小リンパ球性白血病(SLL)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LL)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症(WM)、中枢神経系リンパ腫(CNSL)、バーキットリンパ腫(BL)、B細胞性前リンパ球性白血病、脾辺縁帯リンパ腫、有毛細胞白血病、脾リンパ腫/白血病、分類不可能な、びまん性赤脾髄小型B細胞リンパ腫、有毛細胞白血病変異型、重鎖病、α重鎖病、γ重鎖病、μ重鎖病、形質細胞性骨髄腫、孤立性骨形質細胞腫、骨外形質細胞腫、粘膜関連リンパ組織の節外性辺縁帯リンパ腫(MALTリンパ腫)、節性辺縁帯リンパ腫、小児節性辺縁帯リンパ腫、小児濾胞性リンパ腫、原発性皮膚濾胞中心リンパ腫、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫、原発性CNS DLBCL、原発性皮膚DLBCL、下肢型、高齢者のEBV陽性DLBCL、慢性炎症関連DLBCL、リンパ腫様肉芽腫症、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、形質芽球性リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病に起因する大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫:DLBCLとバーキットリンパ腫との間の中間型の特徴を有する、分類不可能なB細胞リンパ腫、及びDLBCLと古典的ホジキンリンパ腫との間の中間型の特徴を有する、分類不可能なB細胞リンパ腫が挙げられる。さらに、癌の例は、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又はB細胞リンパ腫を含むリンパ性悪性腫瘍を含むが、これらに限定されない。これらのような癌の更に特定の例は、多発性骨髄腫(MM);低グレード/濾胞性NHL;小リンパ球性(SL)NHL;中間グレード/濾胞性NHL;中間グレードびまん性NHL;高グレード免疫芽球性NHL;高グレードリンパ性NHL;高グレード小型非分割細胞NHL;巨大腫瘤病変NHL;AIDS関連リンパ腫;及び急性リンパ性白血病(ALL);慢性骨髄芽球性白血病;及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)を含むが、これらに限定されない。
【0079】
「腫瘍」は、本明細書で使用される場合、悪性か良性かを問わず、全ての腫瘍性細胞の成長及び増殖、並びに全ての前癌性及び癌性細胞及び組織を指す。
【0080】
「癌」、「癌性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」、及び「腫瘍」という用語は、本明細書で言及される場合、相互排他的ではない。
【0081】
「障害」は、哺乳動物を問題の障害に罹患させる症状を含む、慢性及び急性の障害又は疾患を含むがこれらに限定されない、処置から利益を得るであろういずれかの症状である。
【0082】
「細胞増殖性障害」及び「増殖性障害」という用語は、ある程度の異常な細胞増殖に関連する障害を指す。一実施形態では、細胞増殖性障害は、癌である。他の実施形態では、細胞増殖性障害は腫瘍である。
【0083】
「B細胞増殖性障害」又は「B細胞悪性腫瘍」という用語は、ある程度異常なB細胞増殖性に関連し、例えば、リンパ腫、白血病、骨髄腫、及び骨髄異形成症候群を含む疾患を指す。一実施形態では、B細胞増殖性障害は、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL又はリヒター形質転換)、FL(例えば、再発性及び/又は難治性FL又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、高悪性度B細胞リンパ腫、又はPMLBCLを含む、非ホジキンリンパ腫(NHL)等のリンパ腫である。他の実施形態では、B細胞増殖性障害は、慢性リンパ性白血病(CLL)等の、白血病である。
【0084】
本明細書で使用される場合、「処置(treatment)」(及び「処置する(treat)」又は「処置すること(treating)」等のその文法的変化形)は、処置される対象の自然経過を変える試みにおける臨床的介入を指し、予防のために、又は臨床病理学の経過中に実施することができる。処置の所望の効果としては、限定されないが、疾患の発症又は再発を予防すること、症候の軽減、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的結果の減弱、転移を予防すること、疾患進行速度を低下させること、病状の寛解又は緩和、及び回復又は予後の改善が挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、疾患の発症を遅延させるため、又は疾患の進行を遅延させるために使用される。
【0085】
本明細書で使用されるとき、障害又は疾患の「進行を遅延させること」とは、疾患又は障害(例えば、CD20陽性細胞増殖性障害、例えば、B細胞増殖性障害、例えば、NHL、例えば、DLBCL)の発達を延期する、妨げる、減速させる、遅滞させる、安定化させる、及び/又は延滞させることを意味する。この遅延は、病歴及び/又は処置される個体に応じて様々な期間であり得る。当業者に明らかであるように、十分又は著しい遅延は、個体が疾患を発症しないという点で、予防を事実上包含し得る。例えば、転移の発症等の末期癌を遅延させ得る。
【0086】
「低減する」又は「阻害する」とは、例えば、20%以上の、50%以上の、又は75%、85%、90%、95%、若しくはそれ以上の全体的な減少を生じる能力を意味する。ある一定の実施形態では、低減又は阻害は、二重特異性抗体を用いた静脈内投与と比較して本発明の分画用量漸増投与計画を使用する、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体による処置後の、サイトカイン駆動毒性(例えば、サイトカイン放出症候群(CRS))、輸液関連反応(IRR)、マクロファージ活性化症候群(MAS)、神経毒性、重症の腫瘍崩壊症候群(TLS)、好中球減少症、血小板減少症、肝酵素上昇、及び/又は中枢神経系(CNS)毒性等の望ましくない事象の低減又は阻害を指す。他の実施形態では、低減する又は阻害するとは、抗体Fc領域によって媒介される抗体のエフェクター機能を指すことができ、かかるエフェクター機能は、具体的に補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、及び抗体依存性細胞食作用(ADCP)を含む。
【0087】
本明細書で使用される場合、「投与すること」は、化合物(例えば、二重特異性抗体)又は組成物(例えば、医薬組成物、例えば、二重特異性抗体を含む医薬組成物)の投薬量を対象に付与する方法を意味する。本明細書に記載の方法で利用される化合物及び/又は組成物は、静脈内(例えば、静脈内注入によって)に投与することができる。
【0088】
本明細書における治療剤(例えば、二重特異性抗体)の「固定」又は「一定」用量は、患者の体重又は体表面積(BSA)に関係なく患者に投与される用量を指す。したがって、この固定用量又は一定用量は、mg/kg用量又はmg/m2用量としてではなく、むしろ治療剤の絶対量(例えば、mg)として提供される。
【0089】
「対象」又は「個体」は哺乳動物である。哺乳動物には、霊長類(例えば、ヒト及び非ヒト霊長類、例えばサル)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ及びウマ)、ウサギ、及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、対象又は個体は、ヒトである。
【0090】
「個々の応答」又は「応答」は、限定されるものではないが、(1)疾患進行(例えば、CD20陽性細胞増殖性障害、例えば、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL又はグレード3bFL)又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば、再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL、又は再発性若しくは難治性MZL)、又は再発性若しくは難治性CLL)のある程度の阻害を含む、対象に対する利益を示す任意のエンドポイント;(2)腫瘍サイズの縮小;(3)隣接する末梢臓器及び/又は組織への癌細胞浸潤の抑制(すなわち、減少、減速又は完全停止);(4)転移の阻害(すなわち、減少、減速又は完全停止);(5)CD20陽性細胞増殖性障害(例えばB細胞増殖性障害)に関連する1つ以上の症候のある程度の軽減;(6)全生存及び無増悪生存を含む生存期間の延長又は延長;及び/又は(7)処置後の所与の時点での死亡率の低下を使用して評価され得る。
【0091】
本明細書で使用される場合、「完全奏効」又は「CR」とは、全ての標的病変(すなわち、疾患の全ての証拠)の消失を指す。
【0092】
本明細書で使用される場合、「部分奏効」又は「PR」は、基準SLDを参照として、標的病変の最長径(SLD)の和の少なくとも30%の減少、又は基準SPDを参照として、標的病変の径の積(SPD)の少なくとも50%の減少を指す。
【0093】
本明細書で使用される場合、「客観的奏効率」(ORR)とは、完全奏功(CR)率と、部分奏功(PR)率との和を意味する。
【0094】
本明細書で使用される場合、「客観的応答期間」又は「応答期間」(DOR)は、疾患進行に対する実証された客観的応答の最初の発生からの時間、又は処置の最後の用量の30日間以内の任意の原因による死のうち、いずれか早く発生する時間として定義される。
【0095】
「持続応答」とは、処置停止後の腫瘍増殖の抑制に対する持続的効果を指す。例えば、腫瘍サイズは、投与段階の開始時のサイズと比較して同じままであるか、又はより小さくなり得る。いくつかの実施形態では、持続的応答は、処置期間と少なくとも同じ期間、処置期間の少なくとも1.5倍、2.0倍、2.5倍又は3.0倍の期間を有する。
【0096】
医薬を用いる処置に対する対象の「有効な応答」又は対象の「応答性」及び類似の単語は、癌等の疾患若しくは障害の危険性があるか又はそれを患う対象に付与される臨床的又は治療的有益性を指す。一実施形態では、そのような利益としては、生存期間(全生存期間及び無増悪生存期間を含む)を延長すること、客観的奏効(完全奏効若しくは部分奏効を含む)をもたらすこと、又は癌の徴候若しくは症候を改善することのいずれか1つ以上が挙げられる。
【0097】
処置に対して「有効な応答を示さない」対象とは、生存期間(全体的な生存及び無増悪生存期間を含む)が延長すること、客観的奏効(完全奏効若しくは部分奏効を含む)がもたらされること、又は癌の兆候又は症候が改善されることのうちのいずれも有しない対象を指す。
【0098】
本明細書で使用される場合、「生存」という用語は、患者が生存していることを指し、全生存、及び無増悪生存を含む。
【0099】
本明細書で使用される場合、「全生存」(OS)は、特定の期間、例えば診断又は処置の時点から1年又は5年後に生存している群の対象の割合を指す。
【0100】
本明細書で使用される場合、「無増悪生存期間」(PFS)は、処置中及び処置後に、処置されている疾患(例えば、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL又はグレード3bFL)又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば、再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL、又は再発性若しくは難治性MZL)、又は再発性若しくは難治性CLL)が悪化しない期間の長さを指す。無増悪生存期間は、患者が完全寛解又は部分寛解を経験した時間の量、並びに患者が安定した疾患を経験した時間の量を含み得る。
【0101】
本明細書で使用される場合、「安定疾患」又は「SD」は、処置開始以降の最小SLDを基準として、PRと言えるほどの十分な標的病変の収縮も、PDと言えるほどの十分な増加もないことを指す。
【0102】
本明細書で使用される場合、「進行性疾患」又は「PD」は、最小のSLDを参照として、標的病変のSLDの少なくとも20%の増加、又は処置開始後若しくは1つ以上の新しい病変の存在後に記録された最小のSPDを参照として、標的病変のSPDの少なくとも50%の増加を指す。
【0103】
本明細書で使用される場合、障害又は疾患の「進行を遅延させる」とは、疾患又は障害(例えば、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、NHL(例えば、DLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL又はリヒター形質転換)、FL(例えば、再発性及び/又は難治性FL又は形質転換FL)、MCL、MZL、高悪性度B細胞リンパ腫又はPMLBCL)、又はCLL))の発症を先に延ばす、妨害、遅延、安定化、及び/又は延期することを意味する。この遅延は、病歴及び/又は処置されている対象に応じて様々な期間のものであり得る。当業者に明らかであるように、十分又は著しい遅延は、対象が疾患を発症しないという点で、予防を事実上包含し得る。例えば、後期癌では、中枢神経系(CNS)転移の発生が遅延され得る。
【0104】
本明細書で使用される場合、「癌再発を低減又は阻害する」という用語は、腫瘍若しくは癌の再発、又は腫瘍若しくは癌の進行を低減又は阻害することを意味する。
【0105】
「低減又は阻害する」とは、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はそれ以上の全体的な減少をもたらす能力を意味する。軽減又は阻害は、処置されている障害の症候(例えば、CD20陽性細胞増殖性障害、(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、NHL(例えば、DLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL又はリヒター形質転換)、FL(例えば、再発性及び/又は難治性FL又は形質転換FL)、MCL、MZL、高悪性度B細胞リンパ腫又はPMLBCL)、又はCLL))、転移の存在若しくはサイズ、又は原発性腫瘍のサイズを指ス場合がある。
【0106】
「生存延長」による意味は、処置されていない患者に対して(例えば、医薬で処置されていない患者に対して)、又は指定されたレベルでバイオマーカーを発現しない患者に対して、かつ/又は承認済み抗腫瘍剤で処置された患者に対して、処置された患者における全生存期間又は無増悪生存期間が増加することである。客観的応答は、完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)を含む測定可能な応答を指す。
【0107】
「抗体」という用語は、本明細書では最も広い意味で使用され、限定されるものではないが、それらが所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を含めた、様々な抗体構造を包含する。
【0108】
「抗体断片」とは、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ;線状抗体;一本鎖抗体分子(例えば、scFv);及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
「完全長抗体」、「インタクト抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書で、ネイティブ抗体構造と実質的に同様の構造を有するか、又は本明細書に定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指すように同義に使用される。
【0110】
「結合ドメイン」は、標的エピトープ、抗原、リガンド、又は受容体に特異的に結合する化合物又は分子の一部を意味する。結合ドメインは、抗体(例えば、モノクローナル、ポリクローナル、組換え、ヒト化、及びキメラ抗体)、抗体断片又はその部分(例えば、Fab断片、Fab’2、scFv抗体、SMIP、ドメイン抗体、ダイアボディ、ミニボディ、scFv-Fc、アフィボディ、ナノボディ、並びに抗体のVHドメイン及び/又はVLドメイン)、受容体、リガンド、アプタマー、及び特定された結合パートナーを有する他の分子を含むが、これらに限定されない。
【0111】
「Fc領域」という用語は、本明細書では定常領域の少なくとも一部分を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、ネイティブ配列Fc領域とバリアントFc領域を含む。一実施形態では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端までに及ぶ。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在していてもよく、又は存在していなくてもよい。本明細書で別途明記されない限り、Fc領域又は定常領域におけるアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載されるような、EUナンバリング方式(EUインデックスとも呼ばれる)に従う。
【0112】
抗体の「クラス」は、その重鎖によって保有される定常ドメイン又は定常領域の型を指す。抗体の5つの主要なクラスがあり、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのいくつかは、更にサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2に分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、μと呼ばれる。
【0113】
本明細書で使用される場合、IgG「アイソタイプ」又は「サブクラス」という用語は、それらの定常領域の化学的及び抗原的特性によって定義される免疫グロブリンのサブクラスのうちのいずれかを意味する。
【0114】
「フレームワーク」又は「FR」は、超可変領域(hypervariable region:HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般的に、FR1ドメイン、FR2ドメイン、FR3ドメイン及びFR4ドメインの4つのFRドメインからなる。したがって、HVR及びFR配列は、一般的に、VH(又はVL)中において以下の配列で現れる:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。
【0115】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91-3242,Bethesda MD(1991),vols.1-3にあるようなサブグループである。一実施形態では、VLについては、サブグループは、Kabatら(上記参照)におけるサブグループカッパIである。一実施形態では、VHについては、サブグループは、Kabatら(上記参照)におけるサブグループIIIである。
【0116】
本明細書の目的では、「アクセプターヒトフレームワーク」とは、以下に定義するように、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「由来の」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでいてもよく、又はアミノ酸配列の変更を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。いくつかの実施形態では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列に対して、配列が同一である。
【0117】
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基、及びヒトFR由来のアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、HVR(例えばCDR)の全て又は実質的に全てが、非ヒト抗体に対応し、FRの全て又は実質的に全てが、ヒト抗体に対応する。ヒト化抗体は、任意に、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含んでいてもよい。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、ヒト化を受けた抗体を指す。
【0118】
「ヒト抗体」は、ヒト若しくはヒト細胞により産生された抗体の、又はヒト抗体レパートリーを利用する非ヒト源に由来する抗体のアミノ酸配列、あるいは他のヒト抗体をコードする配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリを含む、当技術分野で知られている様々な技法を使用して生成することができる。Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991).Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985);Boerner et al.,J.Immunol.,147(1):86-95(1991)に記載されている方法も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である。van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.,5:368-74(2001)もまた参照されたい。ヒト抗体は、抗原投与に応答してこのような抗体を産生するよう改変されているが、その内在性遺伝子座は無能になっているトランスジェニック動物、例えば、免疫化ゼノマウスに抗原を投与することによって調製することが可能である(例えば、XENOMOUSE(商標)技術に関する米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号を参照)。また、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されるヒト抗体については、例えば、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)を参照されたい。
【0119】
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗体の重鎖又は軽鎖の、抗体と抗原との結合に関与するドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれVH、VL)は一般に、各ドメインが4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つの超可変領域(HVR)とを含んでいる、類似の構造を有する。例えば、Kindt et al.,Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,91頁(2007)を参照されたい。単一のVH又はVLドメインは、抗原結合特異性を付与するために充分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、抗原に結合する抗体のVHドメイン又はVLドメインを使用し、それぞれ、相補的なVLドメイン又はVHドメインのライブラリをスクリーニングして、単離してもよい。例えば、Portolano et al.,J.Immunol.150:880-887(1993);Clarkson et al.,Nature 352:624-628(1991)を参照されたい。
【0120】
「超可変領域」又は「HVR」という用語は、本明細書で使用される場合、配列において超可変性であり(「相補性決定領域」又は「CDR」)、及び/又は構造的に所定のループ(「超可変ループ」)を形成し、及び/又は抗原に接触する残基(「抗原接触」)を含有する抗体可変ドメインのそれぞれの領域を指す。一般的に、抗体は、6個のHVRを含み、VHに3個(H1、H2、H3)、VLに3個(L1、L2、L3)含む。本発明の例示的なHVRとして、以下のものが挙げられる:
(a)アミノ酸残基26-32(L1)、50-52(L2)、91-96(L3)、26-32(H1)、53-55(H2)及び96-101(H3)で生じる超可変ループ(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987));
(b)アミノ酸残基24~34(L1)、50~56(L2)、89~97(L3)、31~35b(H1)、50-65(H2)及び95~102(H3)で生じるCDR(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991));
(c)アミノ酸残基27c-36(L1),46-55(L2),89-96(L3),30-35b(H1),47-58(H2),及び93-101(H3)に生じる抗原接触(MacCallum et al.J.Mol.Biol.262:732-745(1996));及び
(d)(a)、(b)及び/又は(c)の組合せ、HVRアミノ酸残基46-56(L2)、47-56(L2)、48-56(L2)、49-56(L2)、26-35(H1)、26-35b(H1)、49-65(H2)、93-102(H3)及び94-102(H3)。
【0121】
別段の指示がない限り、HVR残基及び可変ドメイン内の他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書において、上記のKabatらに従ってナンバリングされている。
【0122】
「イムノコンジュゲート」とは、細胞傷害性剤を含むがそれに限定されない、1つ以上の異種分子(複数可)にコンジュゲートされた抗体である。
【0123】
「単離された抗体」という用語は、本明細書に開示される様々な抗体を説明するために使用されるとき、抗体が発現された細胞又は細胞培養物から特定され、分離及び/又は回収された抗体を意味する。その天然環境の混入成分は、典型的にはポリペプチドの診断的又は治療的使用を妨害する材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフ(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)によって決定される、95%超又は99%超の純度まで精製される。抗体純度の評価のための方法の総説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。好ましい実施形態では、抗体は、(1)スピニングカップシークエネーター(spinning cup sequenator)を使用してN末端若しくは内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基を得るのに十分な程度まで、又は(2)クマシーブルー若しくは好ましくは銀染色を使用して非還元条件又は還元条件下でSDS-PAGEによって均質になるまで精製される。単離された抗体としては、組換え細胞内のin situの抗体が挙げられるが、これは、ポリペプチド天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないためである。しかしながら、通常、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製工程により調製される。
【0124】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、実質的に均一な抗体の集合から得られる抗体を指す。すなわち、例えば、天然に存在する変異又はモノクローナル抗体調製物の製造中に生じる変異を含む、一般的に、少量存在する可能なバリアント抗体を除いて、集合を構成する個々の抗体は同一である及び/又は同じエピトープを結合する。様々な決定基(エピトープ)に対する様々な抗体を通常含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。したがって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集合から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするように解釈すべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法を含むが、これらに限定されない多様な技法によって作製することができ、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法が、本明細書に記載されている。
【0125】
「親和性」は、分子(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との単一の結合部位の間の非共有性相互作用の合計の強度を指す。別途示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(KD)によって表し得る。親和性は、本明細書に記載するものを含め、当技術分野で一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための具体的な例証的説明及び例示的な実施形態が以下に記載される。
【0126】
「親和性成熟」抗体とは、変更等を有しない親抗体と比較して、1つ以上の超可変領域(HVR)に1つ以上の変更を有し、そのような変更により抗体の抗原に対する親和性が改善される抗体を指す。
【0127】
「抗CD3抗体」及び「CD3に結合する抗体」という用語は、抗体がCD3を標的とする診断薬及び/又は治療薬として有用であるように、十分な親和性でCD3に結合することができる抗体を指す。一実施形態では、抗CD3抗体の、非関連非CD3タンパク質に対する結合度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定して、抗体のCD3への結合の約10%未満である。一定の実施形態では、CD3に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM又は≦0.001nM(例えば、10-8以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(Kd)を有する。特定の実施形態では、抗CD3抗体は、異なる種に由来するCD3間で保存されているCD3のエピトープに結合する。
【0128】
「表面抗原分類3」又は「CD3」という用語は、本明細書で使用されるとき、別途指示されない限り、霊長動物(例えばヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然CD3を指し、例えば、CD3ε、CD3γ、CD3α、及びCD3β鎖を含む。この用語は、「完全長」のプロセシングされていないCD3(例えば、プロセシングされていない、若しくは修飾されていないCD3ε又はCD3γ)、並びに細胞内のプロセシングから得られるCD3の任意の形態を包含する。この用語はまた、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントを含む、CD3の天然に存在するバリアントを包含する。CD3は、例えば、207のアミノ酸長であるヒトCD3εタンパク質(NCBI参照配列番号NP_000724)、及び182のアミノ酸長であるヒトCD3γタンパク質(NCBI参照配列番号NP_000064)を含む。
【0129】
「抗CD20抗体」及び「CD20に結合する抗体」という用語は、抗体がCD20の標的化において診断剤及び/又は治療剤として有用であるような充分な親和性で、CD20に結合可能である抗体を指す。一実施形態では、無関係な非CD20タンパク質に対する抗CD20抗体の結合度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定されるCD20に対する抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、CD20に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM又は≦0.001nM(例えば、10-8MM以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(Kd)を有する。特定の実施形態では、抗CD20抗体は、異なる種に由来するCD20間で保存されているCD20のエピトープに結合する。
【0130】
本明細書で使用される「表面抗原分類20」又は「CD20」という用語は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯動物(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然CD20を指す。この用語は、「完全長」の、未処理CD20、及び、細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のCD20を包含する。この用語はまた、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントを含む、CD20の天然に存在するバリアントを包含する。CD20は、例えば、ヒトCD20タンパク質(例えば、NCBI参照配列番号NP_068769.2及びNP_690605.1、参照)を含み、これは、例えば、297アミノ酸長であり、例えば、5’ UTRの一部を欠くバリアントmRNA転写物(例えば、NCBI参照配列番号NM_021950.3、参照)、又はより長い変異型mRNA転写物(例えば、NCBI参照配列番号NM_152866.2、参照)から産生され得る。
【0131】
「抗CD20/抗CD3二重特異性抗体」、「二重特異性抗CD20/抗CD3抗体」及び「CD20及びCD3に結合する抗体」という用語、又はそのバリアントは、抗体がCD20及び/又はCD3を標的とする際に診断剤及び/又は治療剤として有用であるように、十分な親和性によってCD20及びCD3に結合することが可能である多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)を指す。一実施形態では、無関係の非CD3タンパク質及び/又は非CD20タンパク質への、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の結合の程度は、例えば、放射免疫測定法(RIA)等によって測定される場合、CD3及び/又はCD20への抗体の結合の約10%未満である。ある特定の実施形態では、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下又は0.001nM以下(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(Kd)を有する。特定の実施形態では、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体は、異なる種由来のCD3の間で保存されているCD3のエピトープ及び/又は異なる種由来のCD20の間で保存されているCD20のエピトープに結合する。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の例は、「治療方法-CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体」の下で以下に論じられる。一実施形態では、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体は、モスネツズマブである。
【0132】
本明細書で使用される場合、「モスネツズマブ」という用語は、国際医薬品一般名称(INN)リスト117(WHO Drug Information,Vol.31,No.2,2017,p.303)又はCAS登録番号1905409-39-3を有する抗CD20/抗CD3二重特異性抗体を指す。
【0133】
本明細書で使用される場合、「結合する」、「~に特異的に結合する」、又は「~に特異的である」という用語は、標的と抗体との間の結合等、測定可能且つ再生可能な相互作用を指し、これは、生体分子を含む分子の異種集団の存在下において、標的の存在を決定づけるものである。例えば、標的(これはエピトープであり得る)に特異的に結合する抗体は、他の標的に結合するよりも高い親和性、結合力で、より容易に、及び/又はより長い持続時間でこの標的に結合する、抗体である。一実施形態では、抗体が無関係の標的に結合する程度は、放射免疫測定法(RIA)によって測定した場合に、標的に対する抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、標的に特異的に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、又は≦0.1nMの解離定数(KD)を有する。特定の実施形態では、抗体は、異なる種由来のタンパク質間で保存されるタンパク質上のエピトープに特異的に結合する。別の実施形態では、特異的結合は排他的結合を含むことができるが、これを必要としない。本明細書で使用される用語は、例えば、10-4M以下、あるいは10-5M以下、あるいは10-6M以下、あるいは10-7M以下、あるいは10-8M以下、あるいは10-9M以下、あるいは10-10M以下、あるいは10-11M以下、あるいは10-12M以下の標的に対するKD、又は10-4M~10-6M若しくは10-6M~10-10M若しくは10-7M~10-9Mの範囲のKDを有する分子によって示され得る。当業者によって理解されるように、親和性とKD値は逆相関する。抗原に対する高い親和性は、低いKD値により測定される。一実施形態では、「特異的結合」という用語は、分子が、いずれの他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープにも実質的に結合することなく、特定のポリペプチド上の特定のポリペプチド又はエピトープに結合する場合の結合を指す。
【0134】
参照ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入した後、いかなる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした場合の、参照ポリペプチドのアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、当分野の技術の範囲内にある様々な方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN又はMEGALIGN(登録商標)(DNASTAR(登録商標))ソフトウェアのような一般に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して得ることができる。当業者であれば、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列のアラインメントのための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書での目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を用いて生成している。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.が作成したものであり、ソースコードは、使用者用書類と共に、米国著作権局、Washington D.C.、20559に提出され、米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.(South San Francisco,California)から公的に入手可能であり、又はそのソースコードからコンパイルし得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX(登録商標)V4.0Dを含め、UNIX(登録商標)オペレーティングシステムで使用するためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定されており、変わらない。
【0135】
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、特定のアミノ酸配列同一性%を有する又は含む、所与のアミノ酸配列Aとして記述され得る)は、以下のように計算される:
100×分数X/Y
【0136】
このとき、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2により、AとBのそのプログラムのアラインメントにおいて同一であるとして一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。特に明記しない限り、本明細書で使用される場合、全ての%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して、直前の段落で説明したように得られる。
【0137】
「医薬製剤」という用語は、調製物中に含有される有効成分の生物学的活性が有効になるような形態であり、且つ製剤を投与する対象にとって許容できないほど有毒である追加の構成成分を含有しない調製物を指す。
【0138】
「薬学的に許容され得る担体」は、対象にとって無毒である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤、又は防腐剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0139】
本明細書で使用される場合、「化学療法剤」という用語は、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL、グレード3bFL)又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば、再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は再発性若しくは難治性CLL)等の癌の処置に有用な化合物を指す。化学療法剤の例としては、EGFR阻害剤(低分子阻害剤(例えば、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharm.)を含む);PD 183805(CI 1033,2-プロペンアミド、N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-[3-(4-モルホリニル)プロポキシ]-6-キナゾリニル]-二塩酸塩、Pfizer Inc.);ZD1839、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))4-(3’-クロロ-4’-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン、AstraZeneca);ZM 105180((6-アミノ-4-(3-メチルフェニルアミノ)-キナゾリン、Zeneca);BIBX-1382(N8-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-N2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-ピリミド[5,4-d]ピリミジン-2,8-ジアミン、Boehringer Ingelheim);PKI-166((R)-4-[4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-フェノール);(R)-6-(4-ヒドロキシフェニル)-4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン);CL-387785(N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-2-ブチナミド);EKB-569(N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-3-シアノ-7-エトキシ-6-キノリニル]-4-(ジメチルアミノ)-2-ブテンアミド)(Wyeth);AG1478(Pfizer);AG1571(SU 5271;Pfizer);及びラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016又はN-[3-クロロ-4-[(3フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]-6[5[[[2メチルスルホニル)エチル]アミノ]メチル]-2-フラニル]-4-キナゾリンアミン))等の二重EGFR/HER2チロシンキナーゼ阻害剤;チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、EGFR阻害剤;TAK165(Takeda)等の小分子HER2チロシンキナーゼ阻害剤;CP-724,714、ErbB2受容体チロシンキナーゼ(Pfizer及びOSI)の経口選択的阻害剤;EKB-569(Wyethから入手可能)等のデュアルHER阻害剤(これは、EGFRに優先的に結合するが、HER2及びEGFR過剰発現細胞の両方を阻害する);PKI-166(Novartis);カネルチニブ(CI-1033;Pharmacia)等の汎HER阻害剤;Raf-1シグナル伝達を阻害するアンチセンス剤ISIS-5132((ISIS Pharmaceuticals)等のRaf-1阻害剤;メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、Glaxo SmithKline)等の非HER標的チロシンキナーゼ阻害剤;スニチニブ(SUTENT(登録商標)、Pfizer)等のマルチターゲットチロシンキナーゼ阻害剤;バタラニブ(PTK787/ZK222584、Novartis/Schering AG)等のVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤;MAPK細胞外調節キナーゼI阻害剤CI-1040(Pharmacia);PD153035,4-(3-クロロアニリノ)キナゾリン等のキナゾリン;ピリドピリミジン;ピリミドピリミジン;CGP 59326、CGP 60261及びCGP 62706等のピロロピリミジン;ピラゾロピリミジン、4-(フェニルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン;クルクミン(ジフェルロイルメタン、4,5-ビス(4-フルオロアニリノ)フタルイミド);ニトロチオフェン部分を含むチロホスチン;PD-0183805(Warner-Lamber);アンチセンス分子(例えば、HERをコードする核酸に結合するもの);キノキサリン(米国特許第5,804,396号);トリホスチン(米国特許第5,804,396号);ZD6474(Astra Zeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);CI-1033((Pfizer)等の汎HER阻害剤;アフィニタック(ISIS 3521;Isis/Lilly);PKI 166(Novartis);GW2016(Glaxo SmithKline);CI-1033(Pfizer);EKB-569(Wyeth);セマキシニブ(Pfizer);ZD6474(AstraZeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);INC-1C11(Imclone);及びラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)));ボルテゾミブ等のプロテアソーム阻害剤(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.);ジスルフィラム;エピガロカテキンガレート;サリノスポラミドA;カルフィルゾミブ;17-AAG(ゲルダナマイシン);ラディシコール;乳酸デヒドロゲナーゼA(LDH-A);フルベストラント(FASLODEX(登録商標)、AstraZeneca);レトロゾール(フェマラ(登録商標)、ノバルティス)、フィナスネート(VATALANIB(登録商標)、Novartis);オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、Sanofi);5-FU(5-フルオロウラシル);ロイコボリン;ロナファミブ(SCH 66336);ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、Bayer Labs);AG1478、チオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド等のアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン等のアルキルスルホン酸塩;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドパ及びウレドパ等のアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド及びトリメロメラミンを含むエチレンイミン及びメチルアメラミン;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(トポテカンとイリノテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成類縁体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);副腎皮質ステロイド(プレドニゾン及びプレドニゾロンを含む);酢酸シプロテロン;フィナステリド及びデュタステリドを含む5α-レダクターゼ);ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、モセチノスタットドラスタチン;アルデスロイキン、タルクデュオカルミシン(合成類縁体、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコディクチン;スポンギスタチン;クロラムブシル、クロマファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、酸化メクロレタミン塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード等のナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン等のニトロソ尿素;エンジイン系抗生物質(例えば、カリケマイシン、特にカリケアマイシンγ1及びカリケアマイシンω1)等の抗生物質;ダイネマイシンAを含むダイネマイシン;クロスフォネート等のビスホスホネート;エスペラマイシン;並びに、ネオカルジノスタチン発色団及び関連する発色タンパク質エネジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラマイシン、アザセリン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンC等のマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU)等の代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート等の葉酸類縁体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等のプリン類縁体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン等のピリミジン類縁体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン等のアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン等の抗副腎(anti-adrenals);葉酸等の葉酸補給剤;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;エニルラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシン及びアンサミトシン等のメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダムノール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS天然物);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラクリンA、ロリジンA及びアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(’’Ara-C’’);シクロホスファミド;チオテパ;クロランブシル;GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標));イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸等のレチノイド;上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸、プロドラッグ、及び誘導体が挙げられる。
【0140】
化学療法剤はまた、(i)抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)等の腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、(タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標);クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミフィン)を含む);(ii)副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン;Pfizer)、フォルメスタニー、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール;Novartis)、及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール;AstraZeneca);(iii)フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリン等の抗アンドロゲン;ブセレリン、トリプテレリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ジエチルスチルベストロール、プレマリン、フルオキシメステロン、全てのトランスレチオン酸、フェンレチニド、並びにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類縁体);(iv)プロテインキナーゼ阻害剤;(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC-アルファ、Ralf及びH-Ras;(vii)VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現阻害剤等のリボザイム:(viii)遺伝子治療ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、及びVAXID(登録商標)等のワクチン;(ix)ビンカ(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)、NAVELBINE(登録商標)(ビノレルビン)、タキサン(例えば、パクリタキセル、nab-パクリタキセル、及びドセタキセル)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシン)、及びDNAアルキル化剤(例えば、タモキシゲン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びara-C)を含む増殖阻害剤;(x)上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸、プロドラッグ、及び誘導体を含む。
【0141】
「細胞毒性剤」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞に有害である(例えば、細胞死を引き起こすか、増殖を阻害するか、又はさもなければ細胞機能を妨害する)任意の薬剤を指す。細胞傷害剤としては、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体)、化学療法剤、核分解酵素等の酵素及びその断片並びに、その断片及び/又はバリアントを含む細菌、真菌、植物又は動物由来の低分子毒素又は酵素的に活性な毒素等の毒素が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な細胞毒性薬は、抗微小管薬、白金配位錯体、アルキル化剤、抗生物質剤、トポイソメラーゼII阻害剤、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼI阻害剤、ホルモン及びホルモン類似体、シグナル伝達経路阻害剤、非受容体チロシンキナーゼ血管新生阻害剤、免疫療法薬、アポトーシス促進剤、LDH-A阻害剤、脂肪酸生合成阻害剤、細胞周期シグナル伝達阻害剤、HDAC阻害剤、プロテアソーム阻害剤、並びに癌代謝阻害剤から選択され得る。一例では、細胞傷害剤は白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン又はシスプラチン)である。一例では、細胞毒性剤は、EGFRのアンタゴニスト、例えば、N-(3-エチニルフェニル)-6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)キナゾリン-4-アミン(例えば、エルロチニブ)である。一例では、細胞傷害剤は、RAF阻害剤、例えばBRAF及び/又はCRAF阻害剤である。一例では、RAF阻害剤はベムラフェニブである。一例では、細胞傷害剤はPI3K阻害剤である。
【0142】
「PD-1軸結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1シグナル伝達軸上のシグナル伝達に起因するT細胞機能障害を除去するようにPD-1軸結合パートナーとその結合パートナーのうちのいずれか1つ以上との相互作用を阻害し、結果として、T細胞機能(例えば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞死滅)復元又は増強する分子を指す。本明細書で使用される場合、PD-1軸結合アンタゴニストとしては、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニストが挙げられる。
【0143】
「PD-1結合拮抗剤」という用語は、PD-1と、PD-L1、PD-L2等の1つ以上の結合パートナーとの相互作用の結果として生じるシグナル伝達を減少、遮断、阻害、侵害、又は妨害する分子を指す。いくつかの実施形態では、PD-1結合拮抗薬は、PD-1のその結合パートナーのうちの1つ以上への結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-1結合拮抗剤は、PD-1のPD-L1及び/又はPD-L2への結合を阻害する。例えば、PD-1結合拮抗剤には、抗PD-1抗体、その抗原結合断片、免疫アドヘキシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-1とPD-L1及び/又はPD-L2との相互作用に起因するシグナル伝達を減少、遮断、阻害、侵害、又は妨害する他の分子が含まれる。一実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1を介するシグナル伝達を媒介したTリンパ球で発現された細胞表面タンパク質によって又はそれを介して媒介される負の共刺激シグナルを低減し、機能障害T細胞の機能障害性をより低くする(例えば、抗原認識へのエフェクター応答を増強する)。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体である。特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはMDX-1106(ニボルマブ)である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、ペムブロリズマブ(以前はラムブロリズマブ(MK-3475))である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはAMP-224である。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、MDX-1106(ニボルマブ)である。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、MK-3475(ペムブロリズマブ)である。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストはMED1-0680である。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストはPDR001(スパルタリズマブ)である。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、REGN 2810(セミプリマブ)である。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストはBGB-108である。他の例では、PD-1結合アンタゴニストは、プロログリマブ、カンレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、又はトリパリマブである。
【0144】
PD-1軸結合アンタゴニストの更なる例としては、セミプリマブ、プロルゴリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタリマブ、レチファンリマブ、スパルタリズマブ、サザンリマブ、ペンプリマブ、CS1003、HLX10、SCT-I10A、SHR-1316、CS1001、エンバフォリマブ、TQB2450、ZKAB001、LP-002、ジンベレリマブ、バルスチリマブ、ゲノリムズマブ、BI754091、セトレリマブ、YBL-006、BAT1306、HX008、CX-072、IMC-001、KL-A167、ブジカリマブ、CX-188、JTX-4014、609A、Sym021、LZM009、F520、SG001、APL-502、コシベリマブ、ロダポリマブ、GS-4224、INCB086550、FAZ053、TG-1501、BGB-A333、BCD-135、AK-106、LDP、GR1405、HLX20、MSB2311、MAX-10181、RC98、BION-004、AM0001、CB201、ENUM 244C8、ENUM 388D4、AUNP-012、STI-1110、ADG104、AK-103、LBL-006、hAb21、AVA-004、PDL-GEX、INCB090244、KD036、KY1003、LYN192、MT-6035、VXM10、YBL-007、ABSK041、GB7003、JS-003、及びHS-636が挙げられる。
【0145】
「PD-L1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-L1と、PD-1又はB7-1といったその結合パートナーのうちの1つ以上との相互作用に起因するシグナル伝達を、低減、ブロック、阻害、抑止、又は妨害する分子を指す。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、その結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のPD-1及び/又はB7-1への結合を阻害する。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-L1の、PD-1又はB7-1といったその結合パートナーのうちの1つ以上との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、ブロック、阻害、抑止、又は妨害する他の分子を含む。一実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1を介するシグナル伝達を媒介したTリンパ球上で発現された細胞表面タンパク質によって又はそれを介して媒介される負の共刺激シグナルを低減し、機能不全のT細胞の機能不全状態を軽減する(例えば、抗原認識へのエフェクター応答を増強する)。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体である。特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、MPDL3280Aとしても知られるアテゾリズマブである。別の具体的な実施形態では、抗PD-L1抗体はMDX-1105である。更に別の特定の態様では、抗PD-L1抗体はMEDI4736である。
【0146】
本明細書で使用される場合、「アテゾリズマブ」という用語は、国際医薬品一般名称(INN)リスト112(WHO Drug Information,Vol.28.No.4,2014,p.488)又はCAS登録番号1380723-44-3を有する抗PD-L1アンタゴニスト抗体のことを指す。
【0147】
「PD-L2結合アンタゴニスト」という用語は、PD-L2とその結合パートナーのうちのいずれか1つ以上、例えば、PD-1との相互作用に起因するシグナル伝達を減少させる、遮断する、阻害する、抑止する、又は妨害する分子を指す。いくつかの実施形態では、PD-L2結合拮抗薬は、PD-L2のその結合パートナーのうちの1つ以上への結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のPD-1への結合を阻害する。いくつかの実施形態では、PD-L2拮抗薬は、抗PD-L2抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-L2とその結合パートナーのうちのいずれか1つ以上、例えば、PD-1との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止、又は妨害する他の分子を含む。一実施形態では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2を介するシグナル伝達を媒介したTリンパ球で発現された細胞表面タンパク質によって、又はそれを介して媒介される負の共刺激シグナルを低減し、機能障害T細胞の機能障害性を軽減する(例えば、抗原認識へのエフェクター応答を増強する)。いくつかの実施形態では、PD-L2結合アンタゴニストは、イムノアドヘシンである。
【0148】
「添付文書」という用語は、そのような治療用製品の使用に関する適応症、使用法、投与量、投与、併用療法、禁忌及び/又は警告に関する情報を含む、治療用製品の市販のパッケージに慣習的に含まれている説明書を指すために使用される。
【0149】
III.治療方法
少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクル(例えば、第1の投与サイクル、第2の投与サイクル、及び第3の投与サイクル)を含む投与計画において、CD20及びCD3(例えば、モスネツズマブ)に結合する二重特異性抗体を対象に投与する(例えば、静脈内投与)ことによって、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL、グレード3bFL)又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫MZL)、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば、再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL、又は再発性若しくは難治性(MZL))、又は再発性若しくは難治性CLL)を有する対象を処置する方法が本明細書で提供される。
【0150】
また、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクル(例えば、第1の投与サイクル、第2の投与サイクル、及び第3の投与サイクル)を含む投与計画において、CD20及びCD3(例えば、モスネツズマブ)に結合する二重特異性抗体を一人以上の対象に投与する(例えば、静脈内投与)ことによって、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL、グレード3bFL)又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫MZL)、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば、再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL、又は再発性若しくは難治性(MZL))、又は再発性若しくは難治性CLL)を有する対象の集団を処置する方法が本明細書で提供される。
【0151】
いくつかの例では、第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約0.02mg~約2.0mgであり、C1D2は約0.05mg~約4.0mgであり、C1D3は約50mgより多い。いくつかの例では、第2の投与サイクルは、単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含む。いくつかの例では、本発明は、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体(例えば、モスネツズマブ)を、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル及び第3の投与サイクルを含む投与計画で対象に投与することを特徴とし、第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約0.02mg~約2.0mgであり、C1D2は約0.05mg~約4.0mgであり、C1D3は約20mgより大きく、第2の投与サイクルは、単一用量(C2D1)の二重特異性抗体含み、C2D1は、C1D3とほぼ同等の量であり、第3の投与サイクルは、単一用量(C3D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1は、C1D1より多く、C2D1より少ない。本発明の方法のいずれかのいくつかの例では、投与計画は、サイトカイン放出症候群の速度の低下をもたらす。
【0152】
最初に、投与計画を検討し、続いて抗CD20/抗CD3二重特異性抗体を考察する。次いで、抗体の様々な形式及び特性、並びに開示された方法で使用することができる追加の治療薬について考察する。
【0153】
A.投与計画
いくつかの例では、本発明は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与計画でCD20及びCD3に結合する二重特異性抗体(例えば、アテゾリズマブ)を対象に投与することによって、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL、グレード3bFL)又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば、再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL、又は再発性若しくは難治性MZL)又は再発性若しくは難治性CLL)を有する対象(例えば、ヒト対象)を処置する方法であって、(a)第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約0.02mg~約2.0mg(例えば、約0.02~約1.8mg、約0.02~約1.6mg、約0.02~約1.4mg、約0.02~約1.2mg、約0.05~約1.8mg、約0.1~約1.8mg、約0.4~約1.8mg、約0.6~約1.8mg、約0.8~約1.8mg、約0.5~約1.5mg、約0.8~約1.2mg;例えば、約1mg)であり、C1D2は約0.05mg~約4.0mg(例えば、約0.05~約3.5mg、約0.05~約3.0mg、約0.05~約2.5mg、約0.05~約2.2mg、約0.1~約3.5mg、約0.5~約3.5mg、約1.0~約3.5mg、約1.5~約3.5mg、約1.8~約3.5mg、約1.0~約3.0mg、約1.5~約2.5mg;例えば、約2mg)であり、C1D3は約50mgより多く;(b)第2の投与サイクルは単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含む方法、を提供する。
【0154】
いくつかの例では、C1D3は、50mg~200mg(例えば、50mg~175mg、50mg~150mg、50mg~125mg、50mg~100mg、50mg~75mg、50mg~70mg、52mg~100mg、52mg~75mg、50mg~180mg、55mg~150mg、55mg~100mg、55mg~70mg、55mg~65mg、58mg~62mg;例えば、約60mg)である。いくつかの実施形態では、C1D3は約60mgである。いくつかの実施形態では、C1D1は約1mgであり、及び/又はC1D2は約2mgである。いくつかの実施形態では、C2D1は、C1D3と量がほぼ同等の量である。
【0155】
いくつかの例では、C1D1、C1D2及びC1D3を、それぞれ第1の投与サイクル(例えば、21日間の投与サイクル)の1日目、8日目及び15日目に、又は約1日目、約8日目及び約15日目に対象に投与する。いくつかの実施形態では、C2D1を、第2の投与サイクル(例えば、21又は28日間の投与サイクル)の1日目に対象に投与する。
【0156】
いくつかの例では、投与計画は、第2の投与サイクルの後に1回以上の追加の投与サイクルを更に含む。例えば、いくつかの実施形態では、投与計画は、第2の投与サイクルの後に、6回~15回の追加の投与サイクル(例えば、6回~10回の追加の投与サイクル(例えば、6回の追加の投与サイクル、7回の追加の投与サイクル、8回の追加の投与サイクル、9回の追加の投与サイクル、又は10回の追加の投与サイクル)、又は11回~15回の追加の投与サイクル(例えば、11回の追加の投与サイクル、12回の追加の投与サイクル、13回の追加の投与サイクル、14回の追加の投与サイクル、又は15回の追加の投与サイクル)を含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、1回以上の追加の投与サイクルは、追加の単一用量の二重特異性抗体(例えば、アテゾリズマブ)を含む。いくつかの実施形態では、追加の単一用量の二重特異性抗体を各追加の投与サイクルの1日目に対象に投与する。
【0158】
いくつかの例では、追加の単一用量の二重特異性抗体が、C1D1より多く、C1D3及び/又は前記C2D1より少ない。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の追加の単一用量は、C1D3及び/又はC2D1の20%~80%(例えば、20%~70%、20%~60%、20%~55%、30%~80%、30%~70%、40%~70%、45%~70%、40%~60%、45%~55%、48%~52%;例えば、約50%)である。特定の例では、追加の単一用量の二重特異性抗体はC1D3及び/又はC2D1の約50%である。
【0159】
いくつかの例では、追加の単一用量の二重特異性抗体は約30mgである。
【0160】
いくつかの例では、本発明は、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル、及び第3の投与サイクルを含む投与計画でCD20及びCD3に結合する二重特異性抗体(例えば、アテゾリズマブ)を対象に投与することによって(例えば、静脈内投与することによって)、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL、グレード3bFL)又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば、再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL、又は再発性若しくは難治性MZL)又は再発性若しくは難治性CLL)を有する対象を処置する方法であって、(a)第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約0.02mg~約2.0mg(例えば、約0.02~約1.8mg、約0.02~約1.6mg、約0.02~約1.4mg、約0.02~約1.2mg、約0.05~約1.8mg、約0.1~約1.8mg、約0.4~約1.8mg、約0.6~約1.8mg、約0.8~約1.8mg、約0.5~約1.5mg、約0.8~約1.2mg;例えば、約1mg)であり、C1D2は約0.05mg~約4.0mg(例えば、約0.05~約3.5mg、約0.05~約3.0mg、約0.05~約2.5mg、約0.05~約2.2mg、約0.1~約3.5mg、約0.5~約3.5mg、約1.0~約3.5mg、約1.5~約3.5mg、約1.8~約3.5mg、約1.0~約3.0mg、約1.5~約2.5mg;例えば、約2mg)であり、C1D3は約20mgより大きく;(b)第2の投与サイクルは、単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含み、C2D1は、C1D3とほぼ同等の量であり;(c)第3の投与サイクルは、単一用量(C3D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1はC1D1より多く、C2D1より少ない、方法を特徴とする。いくつかの例では、C1D3及びC2D1は、それぞれ20mg~200mg(例えば、20mg~175mg、20mg~150mg、20mg~100mg、20mg~75mg、30mg~175mg、40mg~175mg、45mg~175mg、50mg~175mg、30mg~150mg、40mg~100mg、45mg~75mg、50mg~70mg、55mg~65mg、58mg~62mg;例えば、約20mg、約30mg、約45mg、又は約60mg)である。いくつかの実施形態では、C1D3及びC2D1はそれぞれ約60mgである。いくつかの実施形態では、C3D1は、C2D1の20%~80%(例えば、20%~70%、20%~60%、20%~55%、30%~80%、30%~70%、40%~70%、45%~70%、40%~60%、45%~55%、又は48%~52%;例えば、約40%、約45%、約50%、約55%、又は約60%)である。いくつかの実施形態では、C3D1はC2D1の約50%である。いくつかの実施形態では、C3D1は、約12mg~約48mg(例えば、約12mg~約42mg、約12mg~約36mg、約12mg~約30mg、約18mg~約48mg、約18mg~約42mg、約24mg~約42mg、約27mg~約42mg、約24mg~約36mg、約27mg~約33mg、約28mg~約32mg;例えば、約24mg、約27mg、約30mg、約33mg、又は約36mg)である。特定の実施形態では、C3D1は約30mgである。
【0161】
いくつかの例では、C3D1は約30mgである。いくつかの実施形態では、C1D1は約1mgである。いくつかの実施形態では、C1D2は約2mgである。例えば、特定の例では、C1D1は約1mgであり、C1D2は約2mgであり、C1D3は約30mgである。
【0162】
いくつかの例では、C1D1、C1D2及びC1D3を、それぞれ第1の投与サイクル(例えば、21日間の投与サイクル)の1日目、8日目及び15日目に、又は約1日目、約8日目及び約15日目に対象に投与する。いくつかの実施形態では、C2D1を第2の投与サイクルの1日目に対象に投与し、C3D1を第3の投与サイクルの1日目に対象に投与する(例えば、第2の投与サイクル及び第3の投与サイクルは、21日間又は28日間の投与サイクルである)。
【0163】
いくつかの実施形態では、本発明の投与計画は、第3の投与サイクルの後に1回以上の追加の投与サイクルを更に含む。例えば、いくつかの例では、投与計画は、第3の投与サイクルの後に、5回~14回の追加の投与サイクル(例えば、5回~10回の追加の投与サイクル(例えば、5回の追加の投与サイクル、6回の追加の投与サイクル、7回の追加の投与サイクル、8回の追加の投与サイクル、9回の追加の投与サイクル、又は10回の追加の投与サイクル)又は11回~14回の追加の投与サイクル(例えば、11回の追加の投与サイクル、12回の追加の投与サイクル、13回の追加の投与サイクル、14回の追加の投与サイクル))を含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、1回以上の前記追加の投与サイクルが、追加の単一用量の二重特異性抗体を含む。いくつかの実施形態では、追加の単一用量の二重特異性抗体を各追加の投与サイクルの1日目に対象に投与する。いくつかの実施形態では、追加の単一用量の二重特異性抗体はC3D1とほぼ同等の量である。
【0165】
本発明は、8回以上の投与サイクルを含む投与計画でCD20及びCD3に結合する二重特異性抗体(例えば、モスネツズマブ)を対象に投与すること(例えば、静脈内投与すること)によって、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL、グレード3bFL)、又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば、再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL、又は再発性若しくは難治性MZL)、又は再発性若しくは難治性CLL)を有する対象を処置する方法であって、(a)第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約0.02mg~約2.0mg(例えば、約0.02~約1.8mg、約0.02~約1.6mg、約0.02~約1.4mg、約0.02~約1.2mg、約0.05~約1.8mg、約0.1~約1.8mg、約0.4~約1.8mg、約0.6~約1.8mg、約0.8~約1.8mg、約0.5~約1.5mg、約0.8~約1.2mg;例えば、約1mg)であり、C1D2は約0.05mg~約4.0mg(例えば、約0.05~約3.5mg、約0.05~約3.0mg、約0.05~約2.5mg、約0.05~約2.2mg、約0.1~約3.5mg、約0.5~約3.5mg、約1.0~約3.5mg、約1.5~約3.5mg、約1.8~約3.5mg、約1.0~約3.0mg、約1.5~約2.5mg;例えば、約2mg)であり、C1D3は約20mgより大きく;(b)第2の投与サイクルは、単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含み、C2D1は、C1D3とほぼ同等の量であり;(c)第3の投与サイクルは、単一用量(C3D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1はC1D1より多く、C2D1より少なく;(d)第4の投与サイクルは、単一用量(C4D1)の二重特異性抗体を含み;(e)第5の投与サイクルは、単一用量(C5D1)の二重特異性抗体を含み;(f)第6の投与サイクルは、単一用量(C6D1)の二重特異性抗体を含み;(g)第7の投与サイクルは、単一用量(C7D1)の二重特異性抗体を含み、;(h)第8の投与サイクルは、単一用量(C8D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1~C8D1は、ほぼ同等の量である方法、を特徴とする。
【0166】
いくつかの例では、C1D3及びC2D1は、それぞれ20mg~200mg(例えば、20mg~175mg、20mg~150mg、20mg~100mg、20mg~75mg、30mg~175mg、40mg~175mg、45mg~175mg、50mg~175mg、30mg~150mg、40mg~100mg、45mg~75mg、50mg~70mg、55mg~65mg、58mg~62mg;例えば、約20mg、約30mg、約45mg、又は約60mg)である。いくつかの実施形態では、C1D3及びC2D1はそれぞれ約60mgである。いくつかの実施形態では、C3D1は、C2D1の20%~80%(例えば、20%~70%、20%~60%、20%~55%、30%~80%、30%~70%、40%~70%、45%~70%、40%~60%、45%~55%、又は48%~52%;例えば、約40%、約45%、約50%、約55%、又は約60%)である。いくつかの実施形態では、C3D1はC2D1の約50%である。いくつかの実施形態では、C3D1は、約12mg~約48mg(例えば、約12mg~約42mg、約12mg~約36mg、約12mg~約30mg、約18mg~約48mg、約18mg~約42mg、約24mg~約42mg、約27mg~約42mg、約24mg~約36mg、約27mg~約33mg、約28mg~約32mg;例えば、約24mg、約27mg、約30mg、約33mg、又は約36mg)である。特定の実施形態では、C3D1は約30mgである。いくつかの実施形態では、C1D1は約1mgである。いくつかの実施形態では、C1D2は約2mgである。
【0167】
いくつかの例では、C1D1、C1D2及びC1D3を、それぞれ第1の投与サイクルの1日目、8日目及び15日目に、又は約1日目、約8日目及び約15日目に対象に投与する。いくつかの実施形態では、C2D1~C8D1各々、それぞれ第2~第8の投与サイクルの1日目に対象に投与する。いくつかの実施形態では、投与サイクルは21日間又は28日間の投与サイクルである。いくつかの実施形態では、投与計画は、第8の投与サイクルの後に1回以上の追加の投与サイクルを含む。いくつかの実施形態では、追加の投与サイクルは21日間の投与サイクルである。いくつかの実施形態では、追加の投与サイクルは28日間の投与サイクルである。
【0168】
いくつかの例では、1回以上の前記追加の投与サイクルが、追加の単一用量の二重特異性抗体を含む。いくつかの実施形態では、追加の単一用量の二重特異性抗体を各追加の投与サイクルの1日目に対象に投与する。いくつかの実施形態では、追加の単一用量の二重特異性抗体は、C3D1~C8D1のいずれか1つとほぼ同等の量である。
【0169】
いくつかの実施形態では、投与計画は、対象にPD-1軸結合アンタゴニストを投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、約1100mg~約1300mg(例えば、約1150mg~約1250mg、約1175mg~約1225mg、約1190mg~約1210mg;例えば、1200mg±5mg、例えば、1200±2.5mg、例えば、1200±1.0mg、例えば、1200±0.5mg;例えば、約1200mg)の用量で投与される。特定の実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、約1200mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、二重特異性抗体の投与を含む最初の投与サイクル後の各投与サイクルの1日目(±1日)に投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、アテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0170】
本発明は、8回以上の21日間又は28日間の投与サイクルを含む投与計画でCD20及びCD3に結合する二重特異性抗体(例えば、モスネツズマブ)を対象に投与すること(例えば、静脈内投与すること)によって、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL、グレード3bFL)、又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば、再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL、又は再発性若しくは難治性MZL)、又は再発性若しくは難治性CLL)を有する対象を処置する方法であって、(a)第1の21日間の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約1mgであり、C1D2は約2mgであり、C1D3は約60mgである;(b)第2の投与サイクルは、単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含み、C2D1は約60mgである;(c)第3の投与サイクルは、単一用量(C3D1)の二重特異性抗体を含む;(d)第4の投与サイクルは、単一用量(C4D1)の二重特異性抗体を含む;(e)第5の投与サイクルは、単一用量(C5D1)の二重特異性抗体を含む;(f)第6の投与サイクルは、単一用量(C6D1)の二重特異性抗体を含む;(g)第7の投与サイクルは、単一用量(C7D1)の二重特異性抗体を含む、;(h)第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1~C8D1はそれぞれ約30mgである、方法更に提供する。いくつかの実施形態では、第1の投与サイクル後の投与サイクルは、28日間の投与サイクルである。
【0171】
前述の方法のいずれかのいくつかの例では、対象は、CD20陽性細胞増殖性障害に対する先行する全身療法(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL、グレード3bFL)又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は慢性リンパ性白血病(CLL)に対する先行する全身療法)を受けたことがある。いくつかの例では、対象は、CD20陽性細胞増殖性障害のための第一選択全身療法及び第二選択全身療法を受けたことがある(例えば、本明細書で提供される投与計画は第3選択療法であり得る)。いくつかの実施形態では、対象は、任意の先行する全身療法から24ヶ月以内にCD20陽性細胞増殖性障害の進行を示した。
【0172】
いくつかの例では、先行する全身療法は抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ又はオビヌツズマブ)を含む。いくつかの例では、先行する全身療法は、化学療法剤、例えばアルキル化剤(例えば、ベンダムスチン)を含む。いくつかの実施形態では、先行する全身療法はレナリドミドを含む。いくつかの例では、先行する全身療法は、放射線免疫療法(例えば、イブリツモマブチウキセタン)を含む。いくつかの例では、先行する全身療法は、ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤(例えば、イデラリシブ、アルペリシブ、コパンリシブ、又はデュベリシブ)を含む。いくつかの例では、先行する全身療法はCAR-T療法を含む。
【0173】
本発明はまた、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与計画において、CD20及びCD3(例えば、モスネツズマブ)に結合する二重特異性抗体を一人以上の対象に投与する(例えば、静脈内投与する)ことによって、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL、グレード3bFL)又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば、再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL、又は再発性若しくは難治性MZL)、又は再発性若しくは難治性CLL)を有する対象の集団を処置する方法であって、(a)第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約0.02mg~約2.0mg(例えば、約0.02~約1.8mg、約0.02~約1.6mg、約0.02~約1.4mg、約0.02~約1.2mg、約0.05~約1.8mg、約0.1~約1.8mg、約0.4~約1.8mg、約0.6~約1.8mg、約0.8~約1.8mg、約0.5~約1.5mg、約0.8~約1.2mg;例えば、約1mg)であり、C1D2は約0.05mg~約4.0mg(例えば、約0.05~約3.5mg、約0.05~約3.0mg、約0.05~約2.5mg、約0.05~約2.2mg、約0.1~約3.5mg、約0.5~約3.5mg、約1.0~約3.5mg、約1.5~約3.5mg、約1.8~約3.5mg、約1.0~約3.0mg、約1.5~約2.5mg;例えば、約2mg)であり、C1D3は約50mgより多く;(b)第2の投与サイクルは単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含む方法、を提供する。
【0174】
他の特定の例では、本発明は、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル、及び第3の投与サイクルを含む投与計画でCD20及びCD3に結合する二重特異性抗体(例えば、アテゾリズマブ)を一人以上の対象に投与することによって、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL、グレード3bFL)又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば、再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL、又は再発性若しくは難治性MZL)又は再発性若しくは難治性CLL)を有する対象の集団を処置する方法であって、(a)第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約0.02mg~約2.0mg(例えば、約0.02~約1.8mg、約0.02~約1.6mg、約0.02~約1.4mg、約0.02~約1.2mg、約0.05~約1.8mg、約0.1~約1.8mg、約0.4~約1.8mg、約0.6~約1.8mg、約0.8~約1.8mg、約0.5~約1.5mg、約0.8~約1.2mg;例えば、約1mg)であり、C1D2は約0.05mg~約4.0mg(例えば、約0.05~約3.5mg、約0.05~約3.0mg、約0.05~約2.5mg、約0.05~約2.2mg、約0.1~約3.5mg、約0.5~約3.5mg、約1.0~約3.5mg、約1.5~約3.5mg、約1.8~約3.5mg、約1.0~約3.0mg、約1.5~約2.5mg;例えば、約2mg)であり、C1D3は約20mgより大きく;(b)第2の投与サイクルは、単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含み、C2D1は、C1D3とほぼ同等の量であり;(c)第3の投与サイクルは、単一用量(C3D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1はC1D1より多く、C2D1より少ない、方法を含む。
【0175】
また、8回以上の投与サイクル投与計画でCD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を一人以上の対象に投与することによって、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL、グレード3bFL)又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば、再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL、又は再発性若しくは難治性MZL)又は再発性若しくは難治性CLL)を有する対象の集団を処置する方法であって、(a)第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約0.02mg~約2.0mg(例えば、約0.02~約1.8mg、約0.02~約1.6mg、約0.02~約1.4mg、約0.02~約1.2mg、約0.05~約1.8mg、約0.1~約1.8mg、約0.4~約1.8mg、約0.6~約1.8mg、約0.8~約1.8mg、約0.5~約1.5mg、約0.8~約1.2mg;例えば、約1mg)であり、C1D2は約0.05mg~約4.0mg(例えば、約0.05~約3.5mg、約0.05~約3.0mg、約0.05~約2.5mg、約0.05~約2.2mg、約0.1~約3.5mg、約0.5~約3.5mg、約1.0~約3.5mg、約1.5~約3.5mg、約1.8~約3.5mg、約1.0~約3.0mg、約1.5~約2.5mg;例えば、約2mg)であり、C1D3は約20mgより大きく;(b)第2の投与サイクルは、単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含み、C2D1は、C1D3とほぼ同等の量であり;(c)第3の投与サイクルは、単一用量(C3D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1はC1D1より多く、C2D1より少なく;(d)第4の投与サイクルは、単一用量(C4D1)の二重特異性抗体を含み;(e)第5の投与サイクルは、単一用量(C5D1)の二重特異性抗体を含み;(f)第6の投与サイクルは、単一用量(C6D1)の二重特異性抗体を含み;(g)第7の投与サイクルは、単一用量(C7D1)の二重特異性抗体を含み、;(h)第8の投与サイクルは、単一用量(C8D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1~C8D1は、ほぼ同等の量である方法、も本明細書で提供される。
【0176】
本発明は、8回以上の21日間又は28日間の投与サイクルを含む投与計画でCD20及びCD3に結合する二重特異性抗体(例えば、モスネツズマブ)を一人以上の対象に投与すること(例えば、静脈内投与すること)によって、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL、グレード3bFL)又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば、再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL、又は再発性若しくは難治性MZL)又は再発性若しくは難治性CLL)を有する対象の集団を処置する方法であって、(a)第1の21日間の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の二重特異性抗体を含み、C1D1は約1mgであり、C1D2は約2mgであり、C1D3は約60mgである;(b)第2の投与サイクルは、単一用量(C2D1)の二重特異性抗体を含み、C2D1は約60mgである;(c)第3の投与サイクルは、単一用量(C3D1)の二重特異性抗体を含む;(d)第4の投与サイクルは、単一用量(C4D1)の二重特異性抗体を含む;(e)第5の投与サイクルは、単一用量(C5D1)の二重特異性抗体を含む;(f)第6の投与サイクルは、単一用量(C6D1)の二重特異性抗体を含む;(g)第7の投与サイクルは、単一用量(C7D1)の二重特異性抗体を含む、;(h)第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の二重特異性抗体を含み、C3D1~C8D1はそれぞれ約30mgである、方法も含む。いくつかの実施形態では、第1の投与サイクル後の投与サイクルは、28日間の投与サイクルである。
【0177】
いくつかの実施形態では、グレード2以上(米国移植細胞治療学会、2018;ASTCTによる定義)を有するサイトカイン放出症候群の割合は、約10%以下(例えば、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下;例えば、約0.1%~約10%、約0.5%~約10%、約1%~約10%、約1%~約7%、約1%~約5%、約1%~約3%、又は約5%~約10%;例えば、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、又は約0%)である。いくつかの実施形態では、グレード2以上(ASTCTによる定義)を有するサイトカイン放出症候群の割合は、約5%(例えば、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下;例えば、約0%~約5%、約1%~約5%、約2%~約5%、約3%~約5%、約4%~約5%、約1%~約3%、約2%~約5%、又は約0%~約2%;例えば、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、又は約0%)以下である。いくつかの実施形態では、グレード3以上(ASTCTによる定義)を有するサイトカイン放出症候群の割合は約0%である。
【0178】
本明細書に記載される方法のいずれかは、サイトカイン放出症候群(CRS)(例えば、上記の方法のいずれかの開始後のCRS事象)について対象をモニターすることを含んでもよい。現在の臨床的対応は、個々の徴候及び症候を処置すること、支持療法を提供すること、及び高い投与量のコルチコステロイドを使用して炎症反応を弱めることを試みることに焦点が置かれている。しかしながら、この手法は、特に遅い介入の例では、必ずしも成功するとは限らない。本明細書中に記載される方法によって使用されるCRSグレード分類基準は、軽度、中等度、重度又は生命を脅かすCRSを定義し、臨床試験全体にわたる報告を調和させてCRSの迅速な認識及び処置を可能にするために、米国移植細胞治療学会(ASTCT)によって公表されている(Lee et al.,Biology of Blood and Marrow Transplantation.25(4):625-638,2019)。ASTCT基準は、客観的であり、適用が容易であり、CRSの重症度をより正確に分類することを意図している。この改訂されたCRS等級付けシステムを以下の表1に示す。
【表1】
【0179】
発熱は、他の原因に起因しない38℃以上の温度として定義される。次いで、CRSを有する対象において、トシリズマブ又はステロイド等の解熱又は抗サイトカイン療法を受けると、その後のCRS重症度をグレード分類するために発熱はもはや必要とされない。この場合、CRSの等級付けは、低血圧症及び/又は低酸素症によって決定される。
【0180】
CRSグレードは、他の原因に起因しないより重篤な事象、低血圧又は低酸素によって決定される。例えば、39.5℃の温度、1つの昇圧剤を必要とする低血圧症、及び低流量鼻カニューレを必要とする低酸素症を有する対象は、グレード3のCRSに分類される。
【0181】
低流量鼻カニューレは、≦6L/分で送達される酸素として定義される。低流量はまた、時には小児科で使用されるブローバイ酸素送達を含む。高流量鼻カニューレは、>6L/分で送達される酸素として定義される。
【0182】
CRSは、IFNγ、IL-6及びTNF-αレベルの顕著な上昇を含む、広範囲のサイトカインの上昇に関連する。現れた証拠は、特に、中心的なメディエータとしてCRSとIL-6を関連付ける。IL-6は、様々な細胞型により産生される炎症誘発性多機能サイトカインであり、このサイトカインは、T細胞活性化を有する、多種多様な生理学的なプロセスにかかわるように示されている。誘発剤にかかわらず、CRSは高いIL-6レベル(Nagorsen et al.,Cytokine.25(1):31-5,2004;Lee et al.,Blood.124(2):188-95,2014);Doesegger et al.,Clin.Transl.Immunology.4(7):e39,2015)及びIL-6は、CRSの重症度と相関し、グレード4又は5のCRS事象を経験する対象は、CRSを経験しない対象又はより軽度のCRS(グレード0~3)を経験する対象と比較して、はるかに高いIL-6レベルを有する(Chen et al.,J.Immunol.Methods.434:1-8,2016)。
【0183】
したがって、IL-6媒介性シグナル伝達を阻害する薬剤を使用してIL-6の炎症作用を遮断して、二段階分画用量漸増投与計画中に対象において観察されるCRSを管理することは、CD20陽性細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害)の処置においてT細胞機能に悪影響を及ぼしたり、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体療法の有効性又は臨床的利益を低下させたりすることが予想されないステロイド処置の代替法である。
【0184】
トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標)/RoACTEMRA(登録商標))は、IL-6媒介型シグナル伝達を阻害する、可溶性膜結合型IL-6Rに対して作られる組換え、ヒト化、抗ヒトモノクローナル抗体である(例えば、WO1992/019579参照、これはその全体が参照により本明細書に援用される)。
【0185】
対象が二重特異性抗体の投与後にサイトカイン放出症候群(CRS)事象を有した場合に、方法は、この対象へインターロイキン-6受容体(IL-6R)拮抗薬(例えば、抗IL-6R抗体、例えば、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標)/RoACTEMRA(登録商標)))の有効量を投与し、この事象を管理することを更に備えてもよい。いくつかの例では、トシリズマブは、対象へ約8mg/kgの単一用量として静脈内に投与される。トシリズマブの代わりに、又はトシリズマブと組み合わせて使用され得る他の抗IL-6R抗体としては、サリルマブ、ボバリリズマブ(ALX-0061)、SA-237、及びそれらのバリアントが挙げられる。
【0186】
対象がIL-6R拮抗薬を投与してCRS事象の症候を処置してから24時間以内に解消しない、又は悪化しないCRS事象を有する場合、この方法は、対象へIL-6R拮抗薬(例えば、抗IL-6R抗体、例えば、トシリズマブ)の1回以上の追加の投与量を投与し、CRS事象を管理することを更に備えてもよい。CRS事象がIL-6R拮抗薬の投与を通じて管理されない場合、対象は、メチルプレドニゾロン又はデキサメタゾン等のコルチコステロイドを投与され得る。
【0187】
CRS事象の管理は、CRSの段階及び併存症の存在に基づいて調整され得る。例えば、二重特異性抗体の投与後に、対象が併存疾患の非存在下で、又は最小併存疾患の存在下で、グレード2のサイトカイン放出症候群(CRS)事象を有した場合、この方法は、二重特異性抗体による処置を保留しながらグレード2のCRS事象の症候を処置することを更に備えることができる。連続した少なくとも3日間で、グレード2のCRS事象がグレード≦1のCRS事象へ解消する場合、この方法は、投与量を変えずに二重特異性抗体による処置を再開することを更に備えることができる。一方、グレード2のCRS事象がグレード2のCRS事象の症候を処置してから24時間以内に解消しない、又はグレード≧3の事象に悪化しない場合、方法は、対象へインターロイキン-6受容体(IL-6R)拮抗薬(例えば、抗IL-6R抗体、例えば、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標)/RoACTEMRA(登録商標)))の有効量を投与し、グレード2、又はグレード≧3のCRS事象を管理することを更に含んでもよい。いくつかの例では、トシリズマブは、対象へ約8mg/kgの単一用量として静脈内に投与される。トシリズマブの代わりに、又はトシリズマブと組み合わせて使用され得る他の抗IL-6R抗体としては、サリルマブ、ボバリリズマブ(ALX-0061)、SA-237、及びそれらのバリアントが挙げられる。
【0188】
対象が、二重特異性抗体の投与後に広範な併存症の存在下でグレード2、3又は4のCRS事象を有する場合、この方法は、二重特異性抗体による処置を中断しながらCRS事象を管理するために最初の用量のIL-6Rアンタゴニスト(例えば、抗IL-6R抗体、例えば、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標)/RoACTEMRA(登録商標)))を対象に投与する等、CRS事象を軽減するために当技術分野で理解されている方法を更に含み得る。トシリズマブの代わりに、又はトシリズマブと組み合わせて使用され得る他の抗IL-6R抗体としては、サリルマブ、ボバリリズマブ(ALX-0061)、SA-237、及びそれらのバリアントが挙げられる。いくつかの例では、方法は、有効量のコルチコステロイド、例えばメチルプレドニゾロン又はデキサメタゾンを対象に投与することを更に含む。
【0189】
いくつかの例では、本発明の方法は、少なくとも約15%(例えば、15%~30%、15%~40%、15%~50%、15%~60%、15%~75%、15%~80%、15%~90%、15%~100%、20%~100%、20%~75%、20%~50%、25%~100%、25%~75%、25%~50%、30%~75%、30%~100%又は30%~50%;例えば、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、又は約45%)の完全奏効率をもたらす。いくつかの実施形態では、完全奏効率は、少なくとも約45%(例えば、45%~60%、45%~70%、45%~80%、45%~95%、45%~100%、50%~100%、50%~95%、又は50%~75%;例えば、約45%、約50%、約55%、又は約60%)である。いくつかの実施形態では、客観的奏効率は少なくとも約60%(例えば、60%~70%、60%~80%、60%~90%、又は60%~100%;例えば、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、又は約85%)である。いくつかの実施形態では、処置開始後約20ヶ月での客観的奏効率は少なくとも約70%(例えば、70%~80%、70%~90%、70%~95%、又は70%~100%;例えば、約70%、約75%、約80%、約85%、又は約90%)である。いくつかの実施形態では、処置開始後約24ヶ月での客観的奏効率は少なくとも約75%(例えば、75%~80%、75%~90%、75%~95%、75%~100%、80%~100%、又は90%~100%;例えば、約75%、約80%、約85%、又は約90%)である。いくつかの実施形態では、奏効期間中央値(mDOR)は少なくとも約12ヶ月(例えば、少なくとも約14ヶ月、少なくとも約16ヶ月、又は少なくとも約18ヶ月;例えば、12ヶ月~14ヶ月の間、12ヶ月~16ヶ月の間、12ヶ月~18ヶ月の間、又は12ヶ月~20ヶ月の間;例えば、約12ヶ月、約14ヶ月、約16ヶ月、又は約18ヶ月)である。いくつかの実施形態では、mDORは少なくとも約20ヶ月(例えば、少なくとも約22ヶ月、少なくとも約24ヶ月、少なくとも約26ヶ月、少なくとも約28ヶ月、少なくとも約30ヶ月、少なくとも約32ヶ月、少なくとも約34ヶ月、又は少なくとも約36ヶ月;例えば、20ヶ月~24ヶ月の間、20ヶ月~30ヶ月の間、20ヶ月~36ヶ月の間、20ヶ月~48ヶ月の間、20ヶ月~60ヶ月の間、20ヶ月~72ヶ月の間、24ヶ月~36ヶ月の間、24ヶ月~48ヶ月の間、24ヶ月~60ヶ月の間、36ヶ月~48ヶ月の間、又は36ヶ月~60ヶ月の間;例えば、約20ヶ月、約24ヶ月、約28ヶ月、約32ヶ月、約36ヶ月、約40ヶ月、約48ヶ月、約56ヶ月、又は約60ヶ月)である。いくつかの実施形態では、対象の集団は、集団において少なくとも12ヶ月のDORを有する対象の割合を有し、集団において少なくとも12ヶ月のDORを有する対象の割合は、少なくとも約60%(例えば、60%~70%、60%~80%、60%~90%、又は60%~100%;例えば、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、又は約95%)である。
【0190】
いくつかの実施形態では、対象の集団は、二重特異性抗体の投与後にサイトカイン放出症候群を示し、対象の集団におけるサイトカイン放出症候群の割合は、約25%(例えば、約23%以下、約20%以下、約18%以下、約16%以下、約15%以下、約14%以下、約13%以下、約12%以下、約11%以下、又は約10%以下;例えば、約1%~約25%、約5%~約25%、約10%~約25%、約15%~約25%、約20%~約25%、約5%~約15%、約5%~約10%、約1%~約15%、又は約1%~約10%;例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、又は約25%)以下である。いくつかの実施形態では、対象の集団におけるサイトカイン放出症候群の割合は、約10%以下(例えば、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、又は 約1%以下;例えば、約0.1%~約10%の間、約0.5%~約10%の間、約1%~約10%の間、約1%~約7%の間、約1%~約5%の間、約1%~約3%の間、又は 約5%~約10%の間;例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、又は約8%)以下である。
【0191】
いくつかの例では、本発明の投与計画は、4ヶ月を超える(例えば、少なくとも4.5ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも5.5.ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも6.5ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも7.5ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも8.5ヶ月、少なくとも9.0ヶ月、少なくとも9.5ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも13ヶ月、少なくとも14ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも16ヶ月、少なくとも17ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも24ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも36ヶ月、少なくとも42ヶ月、少なくとも48ヶ月、少なくとも54ヶ月又はそれ以上;例えば、約4ヶ月~約48ヶ月の間、約4ヶ月~約36ヶ月の間、約4ヶ月~約24ヶ月の間、約4ヶ月~約12ヶ月の間、約4ヶ月~約10ヶ月の間;約4ヶ月~約8ヶ月の間、約8ヶ月~約24ヶ月の間、約12ヶ月~約24ヶ月の間、又は約8ヶ月~約16ヶ月の間;例えば、約4.5ヶ月、約5ヶ月、約5.5ヶ月、約6ヶ月、約6.5ヶ月、約7ヶ月、約7.5ヶ月、約8ヶ月、約8.5ヶ月、約9.0ヶ月、約9.5ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約20ヶ月、約24ヶ月、約30ヶ月、約36ヶ月、約42ヶ月、約48ヶ月、約54ヶ月又はそれ以上)対象の集団の無増悪生存期間中央値(PFS)をもたらす。
【0192】
いくつかの例では、本発明の投与計画は、4ヶ月を超える(例えば、少なくとも4.5ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも5.5.ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも6.5ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも7.5ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも8.5ヶ月、少なくとも9.0ヶ月、少なくとも9.5ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも13ヶ月、少なくとも14ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも16ヶ月、少なくとも17ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも24ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも36ヶ月、少なくとも42ヶ月、少なくとも48ヶ月、少なくとも54ヶ月又はそれ以上;例えば、約4ヶ月~約48ヶ月の間、約4ヶ月~約36ヶ月、約4ヶ月~約24ヶ月の間、約4ヶ月~約12ヶ月の間、約4ヶ月~約10ヶ月の間;約4ヶ月~約8ヶ月の間、約8ヶ月~約24ヶ月の間、約12ヶ月~約24ヶ月の間、又は約8ヶ月~約16ヶ月の間;例えば、約4.5ヶ月、約5ヶ月、約5.5ヶ月、約6ヶ月、約6.5ヶ月、約7ヶ月、約7.5ヶ月、約8ヶ月、約8.5ヶ月、約9.0ヶ月、約9.5ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約20ヶ月、約24ヶ月、約30ヶ月、約36ヶ月、約42ヶ月、約48ヶ月、約54ヶ月又はそれ以上)FL(例えば再発性及び/又は難治性FL)を有する対象の集団のPFS中央値をもたらす。
【0193】
いくつかの例では、本発明の投与計画は、約2ヶ月以上(例えば、少なくとも2ヶ月、少なくとも2.5ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも3.5ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも4.5ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも5.5.ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも6.5ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも7.5ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも8.5ヶ月、少なくとも9.0ヶ月、少なくとも9.5ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも13ヶ月、少なくとも14ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも16ヶ月、少なくとも17ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも24ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも36ヶ月、少なくとも42ヶ月、少なくとも48ヶ月、少なくとも54ヶ月、又はそれ以上;例えば、約2ヶ月~約48ヶ月の間、約2ヶ月約36ヶ月の間、約2ヶ月~約24ヶ月の間、約2ヶ月~約12ヶ月の間、約2ヶ月~約10ヶ月の間;約2ヶ月~約8ヶ月の間、約2ヶ月~約6ヶ月の間、約2ヶ月~約4ヶ月の間、約4ヶ月~約12ヶ月の間、約8ヶ月~約12ヶ月の間、又は約4ヶ月~約8ヶ月の間;例えば、約2.5ヶ月、約3ヶ月、約3.5ヶ月、約4ヶ月、約4.5ヶ月、約5ヶ月、約5.5ヶ月、約6ヶ月、約6.5ヶ月、約7ヶ月、約7.5ヶ月、約8ヶ月、約8.5ヶ月、約9.0ヶ月、約9.5ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約20ヶ月、約24ヶ月、約30ヶ月、約36ヶ月、約42ヶ月、約48ヶ月、約54ヶ月又はそれ以上)のDLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL)を有する対象の集団のPFS中央値をもたらす。
【0194】
いくつかの例では、本発明の投与計画は、6.3ヶ月を超える(例えば、少なくとも6.5ヶ月、少なくとも6.7ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも7.3ヶ月、少なくとも7.5ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも8.5ヶ月、少なくとも9.0ヶ月、少なくとも9.5ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも13ヶ月、少なくとも14ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも16ヶ月、少なくとも17ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも24ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも36ヶ月、少なくとも42ヶ月、少なくとも48ヶ月、少なくとも54ヶ月、又はそれ以上;例えば、約6ヶ月~約48ヶ月の間、約6ヶ月約36ヶ月の間、約6ヶ月~約24ヶ月の間、約6ヶ月~約12ヶ月の間、約6ヶ月~約10ヶ月の間;約6ヶ月~約8ヶ月の間、約8ヶ月~約24ヶ月の間、約12ヶ月~約24ヶ月の間、又は約8ヶ月~約16ヶ月の間;例えば、約6.3ヶ月、約6.5ヶ月、約7ヶ月、約7.5ヶ月、約8ヶ月、約8.5ヶ月、約9.0ヶ月、約9.5ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約20ヶ月、約24ヶ月、約30ヶ月、約36ヶ月、約42ヶ月、約48ヶ月、約54ヶ月、又はそれ以上)DLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL)を有する対象の集団のPFS中央値をもたらす。いくつかの例では、本発明の投与計画は、少なくとも6.7ヶ月のDLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL)を有する対象の集団のPFS中央値をもたらす。いくつかの例では、本発明の投与計画は、少なくとも7.3ヶ月のDLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL)を有する対象の集団のPFS中央値をもたらす。いくつかの例では、本発明の投与計画は、少なくとも8.0ヶ月のDLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL)を有する対象の集団のPFS中央値をもたらす。
【0195】
いくつかの例では、本発明の投与計画は、9.5ヶ月を超える(例えば、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも13ヶ月、少なくとも14ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも16ヶ月、少なくとも17ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも24ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも36ヶ月、少なくとも42ヶ月、少なくとも48ヶ月、少なくとも54ヶ月、又はそれ以上;例えば、約9ヶ月~約48ヶ月の間、約9ヶ月約36ヶ月の間、約9ヶ月~約24ヶ月の間、約9ヶ月~約12ヶ月の間、約10ヶ月~約18ヶ月の間;約12ヶ月~約24ヶ月の間、約18ヶ月~約36ヶ月の間、約12ヶ月~約36ヶ月の間、又は約24ヶ月~約48ヶ月の間;例えば、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約20ヶ月、約24ヶ月、約30ヶ月、約36ヶ月、約42ヶ月、約48ヶ月、約54ヶ月、又はそれ以上)対象の集団の全生存期間(OS)中央値をもたらす。
【0196】
いくつかの例では、本発明の投与計画は、9.5ヶ月を超える(例えば、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも13ヶ月、少なくとも14ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも16ヶ月、少なくとも17ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも24ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも36ヶ月、少なくとも42ヶ月、少なくとも48ヶ月、少なくとも54ヶ月、又はそれ以上;例えば、約9ヶ月~約48ヶ月の間、約9ヶ月約36ヶ月の間、約9ヶ月~約24ヶ月の間、約9ヶ月~約12ヶ月の間、約10ヶ月~約18ヶ月の間;約12ヶ月~約24ヶ月の間、約18ヶ月~約36ヶ月の間、約12ヶ月~約36ヶ月の間、又は約24ヶ月~約48ヶ月の間;例えば、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約20ヶ月、約24ヶ月、約30ヶ月、約36ヶ月、約42ヶ月、約48ヶ月、約54ヶ月、又はそれ以上)FL(例えば、再発性及び/又は難治性FL)を有する対象の集団のOS中央値をもたらす。
【0197】
いくつかの例では、本発明の投与計画は、9.5ヶ月を超える(例えば、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも13ヶ月、少なくとも14ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも16ヶ月、少なくとも17ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも24ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも36ヶ月、少なくとも42ヶ月、少なくとも48ヶ月、少なくとも54ヶ月、又はそれ以上;例えば、約9ヶ月~約48ヶ月の間、約9ヶ月約36ヶ月の間、約9ヶ月~約24ヶ月の間、約9ヶ月~約12ヶ月の間、約10ヶ月~約18ヶ月の間;約12ヶ月~約24ヶ月の間、約18ヶ月~約36ヶ月の間、約12ヶ月~約36ヶ月の間、又は約24ヶ月~約48ヶ月の間;例えば、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約20ヶ月、約24ヶ月、約30ヶ月、約36ヶ月、約42ヶ月、約48ヶ月、約54ヶ月、又はそれ以上)DLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL)を有する対象の集団のOS中央値をもたらす。
【0198】
いくつかの例では、本発明の投与計画は、12.5ヶ月を超える(例えば、少なくとも13ヶ月、少なくとも14ヶ月、少なくとも14.6ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも15.8ヶ月、少なくとも16ヶ月、少なくとも17ヶ月、少なくとも17.3ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも24ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも36ヶ月、少なくとも42ヶ月、少なくとも48ヶ月、少なくとも54ヶ月,又はそれ以上;例えば、約13ヶ月~約48ヶ月の間、約13ヶ月~約36ヶ月の間、約13ヶ月~約24ヶ月の間、約16ヶ月~約60ヶ月の間、約24ヶ月~約36ヶ月の間;約12ヶ月~約24ヶ月の間、約18ヶ月~約36ヶ月の間、約24ヶ月~約36ヶ月の間、約24ヶ月~約48ヶ月の間;例えば、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約20ヶ月、約24ヶ月、約30ヶ月、約36ヶ月、約42ヶ月、約48ヶ月、約54ヶ月,又はそれ以上)DLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL)を有する対象の集団のOS中央値をもたらす。いくつかの例では、本発明の投与計画は、14.6ヶ月を超えるDLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL)を有する対象の集団のOS中央値をもたらす。いくつかの例では、本発明の投与計画は、15.8ヶ月を超えるDLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL)を有する対象の集団のOS中央値をもたらす。いくつかの例では、本発明の投与計画は、17.3ヶ月を超えるDLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL)を有する対象の集団のOS中央値をもたらす。
【0199】
いくつかの例では、本発明の投与計画は、対象の集団において少なくとも約42%(例えば、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又はそれ以上、例えば、42%~45%、45%~50%、50%~55%、55%~60%、60%~65%、65%~70%、70%~75%、又はそれ以上、例えば、約42%、約45%、約50%、約55%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又はそれ以上)の割合で完全奏効(CR)をもたらす。
【0200】
いくつかの例では、本発明の投与計画は、FL(例えば、再発性及び/又は難治性FL)を有する対象の集団において少なくとも約50%の割合でCRをもたらす。いくつかの例では、本発明の投与計画は、FL(例えば、再発性及び/又は難治性FL)を有する対象の集団において少なくとも約55%(例えば、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又はそれ以上、例えば、55%~60%、60%~65%、65%~70%、70%~75%、又はそれ以上、例えば、約42%、約45%、約50%、約55%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又はそれ以上)の割合でCRをもたらす。
【0201】
いくつかの例では、本発明の投与計画は、DLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL)を有する対象の集団において少なくとも約20%(例えば、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%)の割合でCRをもたらす。いくつかの例では、本発明の投与計画は、DLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL)を有する対象の集団において少なくとも約42%(例えば、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又はそれ以上、例えば、42%~45%、45%~50%、50%~55%、55%~60%、60%~65%、65%~70%、70%~75%、又はそれ以上、例えば、約42%、約45%、約50%、約55%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又はそれ以上)の割合で完全奏効(CR)をもたらす。
【0202】
いくつかの例では、本発明の投与計画は、DLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL)を有する対象の集団において少なくとも約50%(例えば、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又はそれ以上、例えば、50%~55%、55%~60%、60%~65%、65%~70%、70%~75%、又はそれ以上、例えば、約42%、約45%、約50%、約55%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又はそれ以上)の割合でCRをもたらす。いくつかの例では、本発明の投与計画は、DLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL)を有する対象の集団において少なくとも約55%の割合でCRをもたらす。いくつかの例では、本発明の投与計画は、DLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL)を有する対象の集団において少なくとも約60%の割合でCRをもたらす。いくつかの例では、本発明の投与計画は、DLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL)を有する対象の集団において少なくとも約65%の割合でCRをもたらす。いくつかの例では、本発明の投与計画は、DLBCL(例えば、再発性及び/又は難治性DLBCL)を有する対象の集団において少なくとも約20%の割合でCRをもたらす。
【0203】
B.CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体
本発明は、CD20陽性細胞増殖性障害、例えばB細胞増殖性障害(例えば、B細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL、グレード3bFL)、又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば、再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL、又は再発性若しくは難治性MZL若しくは再発性若しくは難治性MZL)、又は再発性若しくは難治性CLL)を処置するのに有用なCD20及びCD3(すなわち、抗CD20/抗CD3抗体)に結合する二重特異性抗体を提供する。
【0204】
いくつかの例では、本発明は、(a)GYTFTSYNMH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)AIYPGNGDTSYNQKFKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)VVYYSNSYWYFDVのアミノ酸配列を含むHVR-H3(配列番号3);(d)RASSSVSYMH(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)APSNLASのアミノ酸配列を含むHVR-L2(配列番号5);及び(f)QQWSFNPPTのアミノ酸配列を含むHVR-L3(配列番号6)から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つの超可変領域(HVR)を含む第1の結合ドメインを有する抗CD20アームを含む二重特異性抗体を提供する。いくつかの例では、抗CD20/抗CD3抗体は、配列番号17~20の配列をそれぞれ含む重鎖フレームワーク領域FR-H1、FR-H2、FR-H3、及びFR-H4のうちの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、若しくは4つ)、及び/又は配列番号21~24の配列をそれぞれ含む軽鎖フレームワーク領域FR-L1、FR-L2、FR-L3、及びFR-L4のうちの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、若しくは4つ)を含む。いくつかの例では、二重特異性抗体は、(a)配列番号7に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列又は配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;(b)配列番号8に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームを含む。したがって、いくつかの例では、第1の結合ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0205】
いくつかの例では、本発明は、(a)NYYIHのアミノ酸配列(配列番号9)を含むHVR-H1;(b)WIYPGDGNTKYNEKFKGのアミノ酸配列を含むHVR-H2(配列番号10);(c)DSYSNYYFDYのアミノ酸配列を含むHVR-H3(配列番号11);(d)KSSQSLLNSRTRKNYLA(配列番号12)のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)WASTRESのアミノ酸配列を含むHVR-L2(配列番号13);(f)TQSFILRT(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのHVRを含む第2の結合ドメインを有する抗CD3アームを含む二重特異性抗体を提供する。いくつかの例では、抗CD20/抗CD3抗体は、配列番号25~28の配列をそれぞれ含む重鎖フレームワーク領域FR-H1、FR-H2、FR-H3、及びFR-H4のうちの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、若しくは4つ)、及び/又は配列番号29~32の配列をそれぞれ含む軽鎖フレームワーク領域FR-L1、FR-L2、FR-L3、及びFR-L4のうちの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、若しくは4つ)を含む。いくつかの例では、二重特異性抗体は、(a)配列番号15に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号15のアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号16に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号16のアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームを含む。したがって、いくつかの例では、第2の結合ドメインは、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号16のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0206】
いくつかの例では、本発明は、(1)GYTFTSYNMH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)AIYPGNGDTSYNQKFKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)VVYYSNSYWYFDVのアミノ酸配列を含むHVR-H3(配列番号3);(d)RASSSVSYMH(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)APSNLASのアミノ酸配列を含むHVR-L2(配列番号5);及び(f)QQWSFNPPTのアミノ酸配列を含むHVR-L3(配列番号6)から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのHVRを含む第1の結合ドメインを有する抗CD20アームと、(2)(a)NYYIHのアミノ酸配列(配列番号9)を含むHVR-H1;(b)WIYPGDGNTKYNEKFKGのアミノ酸配列を含むHVR-H2(配列番号10);(c)DSYSNYYFDYのアミノ酸配列を含むHVR-H3(配列番号11);(d)KSSQSLLNSRTRKNYLA(配列番号12)のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)WASTRESのアミノ酸配列を含むHVR-L2(配列番号13);及び(f)TQSFILRT(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのHVRを含む第2の結合ドメインを有する抗CD3アームとを含む二重特異性抗体を提供する。いくつかの例では、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、(1)それぞれ配列番号17~20の配列を含む重鎖フレームワーク領域FR-H1、FR-H2、FR-H3及びFR-H4の少なくとも1つ(例えば、1、2、3、又は4)、及び/又はそれぞれ配列番号21~24の配列を含む軽鎖フレームワーク領域FR-L1、FR-L2、FR-L3及びFR-L4の少なくとも1つ(例えば、1、2、3、又は4)、並びに(2)それぞれ配列番号25~28の配列を含む重鎖フレームワーク領域FR-H1、FR-H2、FR-H3及びFR-H4の少なくとも1つ(例えば、1、2、3、又は4)、及び/又はそれぞれ配列番号29~32の配列を含む軽鎖フレームワーク領域FR-L1、FR-L2、FR-L3及びFR-L4の少なくとも1つ(例えば、1、2、3、又は4)を含む。いくつかの例では、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、(1)(a)配列番号7に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)有するアミノ酸配列、若しくは配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号8に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、若しくは配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメイン;(c)(a)にあるようなVH及び(b)にあるようなVLを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームと、(2)(a)配列番号15に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、若しくは配列番号15のアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号16に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、若しくは配列番号16のアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)にあるようなVH及び(b)にあるようなVLを含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームとを含む。いくつかの例では、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、(1)配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第1の結合ドメインと、(2)配列番号15のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号16のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第2の結合ドメインとを含む。
【0207】
いくつかの場合、抗体は、国際医薬品一般名称(INN)リスト117(WHO Drug Information,Vol.31,No.2,2017,p.303)又はCAS登録番号1905409-39-3を有するモスネツズマブである。いくつかの実施形態では、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、(1)(a)配列番号51に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)有するアミノ酸配列、若しくは配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖;(b)配列番号52に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、若しくは配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖;(c)(a)にあるような重鎖及び(b)にあるような軽鎖を含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームと、(2)(a)配列番号53に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、若しくは配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖;(b)配列番号54に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、若しくは配列番号54のアミノ酸配列を含む軽鎖;又は(c)(a)にあるような重鎖及び(b)にあるような軽鎖を含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームとを含む。いくつかの実施形態では、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、(1)配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アーム、及び(2)配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号54のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームを含む。
【0208】
モスネツズマブのアミノ酸配列を以下の表2に提供する。
【表2】
【0209】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号に記載されているように、組換え方法及び組成物を使用して産生され得る。
【0210】
いくつかの例では、上記の実施形態のいずれかによる抗CD20/抗CD3二重特異性抗体には、以下のセクションCに記載されるような、特徴のうちのいずれかを、単独で又は組み合わせて組み込んでもよい。
【0211】
C.抗体のフォーマット及び特性
本明細書に記載される方法は、上記の抗体のいずれかを更に含んでもよく、この場合、抗体は、下記に記載されるような特徴のいずれかを単独で又は組み合わせて含む。
【0212】
1.抗体親和性
ある特定の例では、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。
【0213】
一例では、KDは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。一例では、RIAは、目的の抗体及びその抗原のFabバージョンを用いて実施される。例えば、抗原に対するFabの溶液結合親和性は、非標識抗原の滴定系の存在下で、最小濃度の(125I)標識抗原によりFabを平衡化し、次いで、結合した抗原を抗Fab抗体でコーティングしたプレートで捕捉することにより測定する(例えばChen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照)。アッセイの条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中の5μg/mLの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後、PBS中の2%(w/v)ウシ血清アルブミンで2~5時間にわたって室温(およそ23℃)で遮断する。非吸着性プレート(Nunc#269620)中で、100pM又は26pMの[125I]-抗原を、関心のあるFabの連続希釈物と混合する(例えば、Presta et al.,Cancer Res.57:4593-4599(1997)における抗VEGF抗体Fab-12の評定と一致する)。その後、目的のFabを一晩インキュベートするが、インキュベーションをより長い期間(例えば、約65時間)続けて、平衡に達することを確実し得る。その後、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のために混合物を捕捉プレートに移す。次いで溶液を除去し、プレートを、PBS中0.1%のポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したときに、150μL/ウェルのシンチラント(MICROSCINT-20(商標);Packard)を添加し、プレートを10分間TOPCOUNT(商標)ガンマカウンター(Packard)でカウントする。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイにおける使用のために選択する。
【0214】
別の一例によると、KDは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000又はBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore(登録商標),Inc.,Piscataway,NJ)を使用するアッセイは、固定化抗原CM5チップを約10応答単位(RU)で用いて25℃で行われる。一例では、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE,Inc.)は、供給業者の指示に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて活性化される。抗原を、pH4.8の10mMの酢酸ナトリウムによって、5μg/ml(約0.2μM)に希釈した後、5μL/分の流速でインジェクトし、カップリングされたタンパク質のおよそ10応答ユニット(RU)を達成する。抗原のインジェクション後、1Mのエタノールアミンをインジェクトして、未反応基をブロックする。動態測定のために、Fab(0.78nM~500nM)の2倍段階希釈物が、25℃で、およそ25μL/分の流速で、0.05%のポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))界面活性剤(PBST)を含むPBSに注入される。会合速度(kon)及び解離速度(koff)を、単純な1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)評価ソフトウェアバージョン3.2)を使用して、会合及び解離センサーグラムを同時にフィッティングすることによって、計算する。平衡解離定数(KD)は、koff/kon比として計算される。例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい。オン速度が上記の表面プラズモン共鳴アッセイによって106M-1s-1を超える場合、このオン速度は、撹拌されたキュベットを備えるストップフロー装着分光光度計(Aviv Instruments)又は8000シリーズSLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)等の分光計において測定される、漸増濃度の抗原の存在下で、25℃でのPBS(pH7.2)中の20nM抗-抗原抗体(Fab型)の蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の増加又は減少を測定する、蛍光クエンチ技法を使用することによって、判定することができる。
【0215】
2.抗体断片
特定の例では、本明細書中に提供される抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、抗体断片である。抗体断片としては、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、及びscFv断片、及び以下に記載する他の断片が挙げられるがこれらに限定されない。特定の抗体断片の総説としては、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。scFv断片の参照には、例えばPluckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)を参照されたい;また、国際公開第93/16185号を参照されたい;及び米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を構成し、且つin vivo半減期を増加させたFab及びF(ab’)2断片の議論については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
【0216】
「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を有する抗体断片であり、二価であっても二重特異性であってもよい。例えば、欧州特許第404,097号、国際公開第1993/01161号、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003);and Hollinger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディはまた、Hudson et al.Nat.Med.9:129~134(2003)に記載されている。
【0217】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全て若しくは一部又は軽鎖可変ドメインの全て若しくは一部を含む抗体断片である。特定の例では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.、マサチューセッツ州ウォルサム、例えば米国特許第6,248,516号B1を参照)。
【0218】
抗体断片は、本明細書に記載されるように、組み換え宿主細胞(例えばE.coli又はファージ)による、インタクトな抗体のタンパク分解、及び産生を含むがこれらに限定されない各種技術により製造可能である。
【0219】
3.キメラ抗体及びヒト化抗体
特定の例では、本明細書中に提供される抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、キメラ抗体である。特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号、及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984)に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又はサル等の非ヒト霊長類に由来する可変領域)とヒト定常領域を含む。更なる例では、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のそれらから変更されている「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
【0220】
特定の例では、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低減する一方で、親非ヒト抗体の特異性及び親和性は保持するようにヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(又はその一部)が非ヒト抗体由来であり、かつFR(又はその一部)がヒト抗体配列由来である1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体はまた、任意に、ヒト定常領域の少なくとも一部を含む。いくつかの例では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性又は親和性を復元又は改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
【0221】
ヒト化された抗体及びその作製方法については、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)で総説され、更に以下に記載されている:Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988);Queen et al.,Proc.Natl Acad.Sci.USA 86:10029-10033(1989);米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号及び同第7,087,409号;Kashmiri et al.,Methods 36:25-34(2005))(特異性決定領域(SDR)グラフトを記載する);Padlan,Mol.Immunol.28:489-498(1991)(リサーフェシングを記載する);Dall’Acqua et al.,Methods 36:43-60(2005)(「FRシャッフリング」を記載;並びにOsbourn et al.,Methods 36:61-68(2005)及びKlimka et al.,Br.J.Cancer,83:252-260(2000)(FRシャッフルの「ガイド付き選択アプローチを記載する)。
【0222】
ヒト化のために使用され得るヒトフレームワーク領域としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:「ベストフィット」法を使用して選択されたフレームワーク領域(例えば、Sims et al.,J.Immunol.151:2296(1993)を参照);軽鎖又は重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992);及びPresta et al.,J.Immunol.,151:2623(1993)を参照);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域又はヒト生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照);及びFRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996)を参照)。
【0223】
4.ヒト抗体
特定の例では、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技法を使用して作製され得る。ヒト抗体は一般的に、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450-459(2008)に記載されている。
【0224】
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答して、インタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製してもよい。そのような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座に取って代わるか、又は染色体外に存在するか、又は動物の染色体にランダムに組み込まれるヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含有する。そのようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般的に不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の総説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117-1125(2005)を参照されたい。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載する米国特許第6,075,181号及び米国特許第6,150,584号;HuMab(登録商標)技術を記載する米国特許第5,770,429号;K-M MOUSE(登録商標)技術を記載する米国特許第7,041,870号;及び、VelociMouse(登録商標)技術を記載する米国特許出願公開第2007/0061900号も参照されたい。そのような動物によって生成されたインタクトな抗体からのヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって、更に改変されてもよい。
【0225】
ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づく方法によっても作製することができる。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒト異種骨髄腫細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987);及びBoerner et al.,J.Immunol.,147:86(1991)を参照)ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体もまた、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)に記載されている。追加の方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株由来のモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載する)、及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265-268(2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載する)が挙げられる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)はまた、Histology and Histopathology,20(3):927-937(2005)及びVollmers and Brandlein,Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185-91(2005)にも記載されている。
【0226】
ヒト抗体は、ヒト由来のファージディスプレイライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても作製され得る。その後、そのような可変ドメイン配列は、所望のヒト定常ドメインと組み合わせられ得る。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技術を以下に記載する。
【0227】
5.ライブラリ由来の抗体
本発明の抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、所望の活性(1つ又は複数)を有する抗体に対するコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることにより単離され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリを作成し、所望の結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリをスクリーニングするための様々な方法が当技術分野で知られている。そのような方法については、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)で概説し、McCafferty et al.,Nature 348:552-554;Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992);Marks and Bradbury,in Methods in Molecular Biology 248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003);Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004);Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004);Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004);及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004)に更に記載されている。
【0228】
特定のファージディスプレイ法では、VH及びVL遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別個にクローニングされ、ファージライブラリ中でランダムに再結合され、次いで、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12:433-455(1994)に記載されているように抗原結合ファージのスクリーニングを行うことができる。ファージは、典型的には、抗体断片を単鎖Fv(scFv)断片又はFab断片のいずれかとしてディスプレイする。免疫源からのライブラリは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。代替的に、ナイーブレパートリーは、Griffiths et al.,EMBO J,12:725-734(1993)によって記載されているように、免疫化を行わずに、広範囲の非自己抗原及びまた自己抗原に対する抗体の単一の供給源を提供するために、(例えば、ヒトから)クローン化することができる。最後に、ナイーブライブラリは、幹細胞から再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダムな配列を含むPCRプライマーを使用して、非常に可変的なCDR3領域をコードし、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381-388(1992)に記載されているように、in vitroで再配列を達成することによって、合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリについて記載する特許公報としては、例えば:米国特許第5,750,373号、並びに米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が挙げられる。
【0229】
ヒト抗体ライブラリから単離された抗CD20/抗CD3二重特異性抗体又は抗体断片は、本明細書ではヒト抗体又はヒト抗体断片とみなされる。
【0230】
6.抗体バリアント
特定の例では、本発明の抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のアミノ酸配列バリアントが意図される。本明細書で詳細に記載されるように、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、所望の構造的及び機能的特性に基づいて最適化され得る。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適正な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって調製されてもよい。このような改変としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基への挿入、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基の置換が挙げられる。欠失、挿入、及び置換の任意の組合せにより、最終構築物に到達することができるが、但し、最終構築物が所望される特徴、例えば、抗原結合を保有することを条件とする。
【0231】
a.置換、挿入及び欠失バリアント
特定の例では、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗CD20/抗CD3二重特異性抗体バリアントが提供される。置換による変異導入のための目的の部位には、HVR及びFRが含まれる。保存的置換は、表3において、「好ましい置換」の見出しの下に示される。より実質的な変化は、表3において、「例示的な置換」の見出しの下に提供され、またアミノ酸側鎖クラスを参照して以下に更に記載される通りである。アミノ酸置換は、目的の抗体中に導入され得、その産物は、所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合、減少した免疫原性、又は改善されたADCC若しくはCDCについてスクリーニングされ得る。
【表3】
【0232】
アミノ酸は、一般的な側鎖特性に従って分類され得る。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys,Ser,Thr,Asn,Gln;
(3)酸性:Asp,Glu;
(4)塩基性:His,Lys,Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly,Pro;
(6)芳香族:Trp,Tyr,Phe.
【0233】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴う。
【0234】
ある種の置換バリアントは、親抗体(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを含む。一般的に、更なる研究のために選択された結果のバリアント(複数可)は、親抗体と比較して特定の生物学的特性(例えば、親和性の増加、免疫原性の低下)において修飾(例えば、改善)を有し、及び/又は親抗体の特定の生物学的特性を実質的に保持しているであろう。例示的な置換型バリアントは、親和性成熟した抗体であり、例えば、本明細書に記載されるようなファージディスプレイに基づく親和性成熟技法を使用して、簡便に生成され得る。要するに、1つ以上のHVR残基が変異され、バリアント抗体がファージにディスプレイされ、特定の生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
【0235】
変更(例えば、置換)は、抗体親和性を改善するために、例えば、HVRにおいて行われてもよい。そのような変更は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で突然変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照)、及び/又は抗原と接触する残基内で行われ得、結果として得られるバリアントVH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリの構築及びそこからの再選択による親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al.,in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001).)に記載されている。親和性成熟のいくつかの例では、多様な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発)のいずれかによって、成熟のために選択される可変遺伝子に多様性が導入される。次いで、二次ライブラリが作製される。その後、このライブラリがスクリーニングされて、所望の親和性を有する任意の抗体バリアントを同定する。多様性を導入するための別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4~6個の残基)をランダム化する、HVR指向性アプローチを含む。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発又はモデリングを使用して、特異的に同定され得る。特にCDR-H3及びCDR-L3が標的とされることが多い。
【0236】
特定の例では、置換、挿入、又は欠失は、そのような変更が抗体の抗原に結合する能力を実質的に低減させない限り、1つ以上のHVR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的変更(例えば、本明細書に提供される保存的置換)が、HVR中で行われてよい。そのような変更は、例えば、HVR内の抗原接触残基の外側であり得る。上述のバリアントVH及びVL配列の特定の例では、各HVRは、改変されていないか又は1つ、2つ、若しくは3つ以下のアミノ酸置換を有するかのいずれかである。
【0237】
変異導入の標的となり得る抗体の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081-1085に記載されているように「アラニンスキャニング変異導入」と呼ばれる。この方法では、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定するために、残基又は標的残基群(例えば、荷電残基、例えば、Arg、Asp、His、Lys及びGlu)が同定され、中性又は負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)によって置き換えられる。更なる置換が、初期置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置に導入されてもよい。これに代えて、又はこれに加えて、抗体と抗原との間の接点を同定するための抗原-抗体複合体の結晶構造。このような接触残基及び隣接残基は、置換の候補として標的にしても排除してもよい。バリアントは、所望の特性を有するか否かを決定するためにスクリーニングされてもよい。
【0238】
アミノ酸配列挿入には、1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合、並びに1個又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入バリアントとしては、抗体の血清半減期を増加させる酵素(例えば、ADEPTのための)又はポリペプチドへの抗体のN末端又はC末端の融合が挙げられる。
【0239】
b.グリコシル化バリアント
特定の例では、本発明の抗CD20/抗CD3二重特異性抗体を改変して、抗体がグリコシル化する程度を増加又は減少させることができる。本発明の抗CD20/抗CD3二重特異性抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、1つ以上のグリコシル化部位を作り出すか又は除去するように、アミノ酸配列を変化させることによって、簡便に達成され得る。
【0240】
抗体がFc領域を含む場合、それに付着した炭水化物が改変され得る。哺乳動物細胞によって産生された天然抗体は、典型的には、N結合によってFc領域のCH2ドメインのAsn297に一般に付着される分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.,TIBTECH 15:26-32(1997)を参照されたい。オリゴ糖には、様々な糖質、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸の他、二分岐オリゴ糖構造の「幹」においてGlcNAcに付着したフコースが含まれ得る。いくつかの例では、特定の特性が改善された抗体バリアントを作製するために、本発明の抗体中におけるオリゴ糖の修飾が行われる。
【0241】
一例では、Fc領域に結合した(直接的に又は間接的に)フコースを欠く炭水化物構造を有する抗CD20/抗CD3二重特異性抗体バリアントが提供される。例えば、そのような抗体内のフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%又は20%~40%であり得る。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号に記載されるMALDI-TOF質量分析法によって測定される、Asn297に結合した全ての糖構造(例えば、複合体、ハイブリッド、及び高マンノース構造)の合計に対する、Asn297での糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297とは、Fc領域内のおよそ297位(Fc領域残基のEUナンバリング)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297は、抗体のわずかな配列のバリエーションに起因して、297位から上流又は下流に±3アミノ酸、すなわち294位から300位の間に位置する場合もある。このようなフコシル化バリアントは、改善されたADCC機能を有し得る。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号(Presta,L.);同第2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)を参照されたい。「脱フコシル化」又は「フコース欠乏」抗体バリアントに関する刊行物の例としては:米国特許出願公開第2003/0157108号;国際公開第2000/61739号;同第2001/29246号;米国特許出願公開第2003/0115614号;同第2002/0164328号;同第2004/0093621号;同第2004/0132140号;同第2004/0110704号;同第2004/0110282号;同第2004/0109865号;国際公開第2003/085119号;同第2003/084570号;同第2005/035586号;同第2005/035778号;同第2005/053742号;同第2002/031140号;Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004);Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。デフコシル化抗体を産生することができる細胞株の例としては、タンパク質フコシル化を欠損するLec13 CHO細胞(Ripka et al.,Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986);米国特許出願公開第2003/0157108号A1,Presta,L;及び国際公開第2004/056312号A1、Adams et al.,特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えばα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al.,Biotech.Bioeng.87:614(2004);Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006);及び国際公開第2003/085107号を参照)。
【0242】
上記の観点から、いくつかの例では、本発明の方法は、アグリコシル化部位の変異を有する抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のバリアントを分画用量漸増投与計画に照らして対象へ投与することを備える。いくつかの例では、アグリコシル化部位突然変異は、抗体のエフェクター機能を低下させる。いくつかの例では、アグリコシル化部位の突然変異は、置換突然変異である。いくつかの例では、抗体は、エフェクター機能を低下させるFc領域における置換突然変異を含む。いくつかの例では、置換突然変異は、アミノ酸残基N297、L234、L235、及び/又はD265(EUナンバリング)におけるものである。いくつかの例では、置換突然変異は、N297G、N297A、L234A、L235A、D265A、及びP329Gからなる群から選択される。いくつかの例では、置換突然変異は、アミノ酸残基N297におけるものである。好ましい例では、置換突然変異は、N297Aである。
【0243】
いくつかの実施形態では、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の抗CD20アームは、T366W及びN297Gの置換変異(EUナンバリング)を更に含む。いくつかの実施形態では、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の抗CD3アームは、T366S、L368A、Y407V及びN297Gの置換変異(EUナンバリング)を更に含む。いくつかの実施形態では、(a)抗CD20アームは、T366W及びN297Gの置換変異を更に含み、(b)抗CD3アームは、T366S、L368A、Y407V及びN297Gの置換変異(EUナンバリング)を更に含む。
【0244】
二分されたオリゴ糖類を有する、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体バリアントが更に提供される。そのような抗体バリアントは、低減されたフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有し得る。そのような抗体バリアントの例は、例えば、国際公開第2003/011878(Jean-Mairet et al.);米国特許第6,602,684号(Umana et al.);及び米国特許出願公開第2005/0123546号(Umana et al)に記載されている。Fc領域に付着したオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を持つ抗体バリアントも提供される。そのような抗体バリアントは、改善されたCDC機能を有し得る。そのような抗体バリアントは、例えば、国際公開第1997/30087号(Patel et al.);国際公開第1998/58964号(Raju,S.);及び国際公開第1999/22764号(Raju,S.)に記載されている。
【0245】
c.Fc領域バリアント
特定の例では、1つ以上のアミノ酸修飾が、本発明の抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のFc領域に導入され、それにより、Fc領域バリアントが作製される(例えば、米国特許出願公開第2012/0251531号を参照)。Fc領域バリアントは、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0246】
特定の例では、本発明は、全てではないがいくつかのエフェクター機能を有する抗CD20/抗CD3二重特異性抗体バリアントを企図し、これにより、in vivoでの抗体の半減期が重要であるが、特定のエフェクター機能(補体及びADCC等)が不要又は有害である適用のための望ましい候補となる。in vitro及び/又はin vivo細胞傷害性アッセイを行って、CDC及び/又はADCC活性の低減/欠乏を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを行って、抗体がFcγR結合を欠く(したがって、ADCC活性を欠く可能性がある)が、FcRn結合能力を保持していることを確実にすることができる。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現させるのに対し、単球はFcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現させる。造血細胞におけるFcRの発現については、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464頁の表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.et al.,Proc.Natl Acad.Sci.USA 83:7059-7063(1986)を参照)及びHellstrom,I et al.,Proc.Natl Acad.Sci.USA 82:1499-1502(1985);5,821,337(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法が用いられてもよい(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA;及びCYTOTOX 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照)。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。これに代えて、又はこれに加えて、対象となる分子のADCC活性は、in vivoで、Clynes et al.,Proc.Natl Acad.Sci.USA 95:652-656(1998)等に開示されるもの等の動物モデルにおいて評価されてもよい。また、抗体がC1qに結合することができず、CDC活性を欠いていることを確認するために、C1q結合アッセイを実施してもよい。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評定するため、CDCアッセイを実施してもよい(例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996);Cragg,M.S.et al.,Blood.101:1045-1052(2003);及びCragg,M.S.and M.J.Glennie Blood.103:2738-2743(2004)を参照)。FcRn結合及びin vivoクリアランス/半減期の決定はまた、当技術分野で知られている方法を用いて行うことができる(例えば、Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006)を参照)。
【0247】
エフェクター機能が低下した抗体には、Fc領域残基238、265、269、270、297、327及び329の1つ以上が置換されたものが含まれる(米国特許第6,737,056号及び同第8,219,149号)。かかるFc突然変異体としては、アミノ酸位置265、269、270、297及び327のうち2つ以上での置換を有するFc突然変異体が挙げられ、残基265及び297がアラニンに置換されている、いわゆる「DANA」Fc突然変異体を含む(米国特許第7,332,581号及び同第8,219,149号)。
【0248】
特定の例では、抗体中の野生型ヒトFc領域の位置329のプロリンは、Fcのプロリン329とFcgRIII(Sondermann et al.:Nature 406,267-273(20 Jul.2000))のトリプトファン残基Trp87及びTrp110との間に形成されるFc/Fcガンマ受容体界面内のプロリンサンドイッチを破壊するのに十分な大きさのアミノ酸残基、又はグリシン若しくはアルギニンで置換される。特定の例では、抗体は、少なくとも1つのアミノ酸置換を更に含む。一例では、更なるアミノ酸置換は、S228P、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D、又はP331Sであり、更に別の例では、少なくとも1つの更なるアミノ酸置換は、ヒトIgG1 Fc領域のL234A及びL235A、又はヒトIgG4 Fc領域のS228P及びL235E(例えば、米国特許出願公開第2012/0251531号を参照)であり、また更に別の例では、少なくとも1つの更なるアミノ酸置換は、ヒトIgG1 Fc領域のL234A及びL235A及びP329Gである。
FcRに対する結合が改善又は減少した特定の抗体バリアントが記載される。(例えば、米国特許第6,737,056号;国際公開第2004/056312号,及びShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照されたい。)
【0249】
特定の例では、抗体バリアントは、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298、333、及び/又は334位(残基のEUナンバリング)での置換を有するFc領域を含む。
【0250】
いくつかの例では、例えば米国特許第6,194,551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)に記載されているように、C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)の変化(すなわち、向上又は低下のいずれか)をもたらす変更が、Fc領域内で行われる。
【0251】
母体IgGの胎児への移入の原因である、増加した半減期及び新生児型Fc受容体(FcRn)への改善された結合を有する抗体(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)and Kim et al.,J.Immunol.24:249(1994))は、米国特許出願公開第2005/0014934号A1(Hinton et al.)に記載される。それらの抗体は、Fc領域とFcRnとの結合を改善する1つ以上の置換をその中に有するFc領域を含む。そのようなFcバリアントとしては、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434のうちの1つ以上での置換、例えば、Fc領域残基434の置換を有するバリアントを含む(米国特許第7,371,826号)。
【0252】
Fc領域のバリアントの他の例に関して、Duncan&Winter,Nature 322:738-40(1988);米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;及び国際公開第94/29351号も参照されたい。
【0253】
いくつかの態様では、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、N297G変異(EUナンバリング)を含むFc領域を含む。
【0254】
いくつかの例では、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、1つ以上の重鎖定常ドメインを含み、1つ以上の重鎖定常ドメインは、第1のCH1(CH11)ドメイン、第1のCH2(CH21)ドメイン、第1のCH3(CH31)ドメイン、第2のCH1(CH12)ドメイン、第2のCH2(CH22)ドメイン、及び第2のCH3(CH32)ドメインから選択される。いくつかの例では、1つ以上の重鎖定常ドメインの少なくとも1つは、別の重鎖定常ドメインと対になっている。いくつかの例では、CH31ドメイン及びCH32ドメインは、突起又は空隙を各含み、CH31ドメイン内の突起又は空隙は、それぞれ、CH32ドメイン内の空隙又は突起中に配置可能である。いくつかの例では、CH31ドメイン及びCH32ドメインは、当該突起と空隙との間の界面で会合する。いくつかの例では、CH21ドメイン及びCH22ドメインはそれぞれ、突起又は空隙を構成し、CH21ドメインにおける突起又は空隙が、CH22ドメインにおける空隙又は突起にそれぞれ位置決め可能である。他の例では、CH21ドメイン及びCH22ドメインは、当該突起と空隙との間の境界面において接触する。いくつかの例では、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体はIgG1抗体である。
【0255】
d.システイン操作された抗体バリアント
特定の例では、システインで操作された抗CD20/抗CD3二重特異性抗体、例えば抗体の1つ以上の残基がシステイン残基により置換されている「thioMAb」を作製するのが望ましい。特定の例では、置換された残基は、抗体の利用しやすい部位で生じる。これらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基は、それによって抗体のアクセス可能な部位に配置され、本明細書に更に記載されるように、抗体を薬物部位又はリンカー薬物部位等のような他の部位に抱合させてイムノコンジュゲートを作製するために使用してもよい。特定の例では、以下の残基のうちの任意の1つ以上を、システインで置換される:軽鎖のV205(Kabatナンバリング)、重鎖のA118(EUナンバリング)、及び重鎖Fc領域のS400(EUナンバリング)。システイン人工抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されているように生成され得る。
【0256】
e.抗体誘導体
特定の例では、本明細書に提供される抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、当技術分野で既知であり、容易に入手可能な追加の非タンパク質性部分を含有するように更に修飾される。抗体の誘導体化に適した部位としては、水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol:PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレン(propropylene)グリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造時に有利であり得る。ポリマーは、任意の分子量であってもよく、分岐していても、分岐していなくてもよい。抗体に付着しているポリマーの数は様々であり、複数のポリマーが付着している場合には、それらは同じ分子であっても、異なった分子であってもよい。一般に、誘導体化のために使用されるポリマーの数及び/又は種類は、限定するものではないが、改良される抗体の特定の特性又は機能、抗体誘導体が定義される条件下で治療に使用されるかどうか等を含む考慮事項に基づいて判定することができる。
【0257】
別の例では、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る抗体及び非タンパク質性部分のコンジュゲートが提供される。一例では、非タンパク質性部分はカーボンナノチューブである(Kam et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600-11605(2005))。放射線は、任意の波長であってもよく、通常の細胞に害を与えないが、抗体非保護性部位に近位の細胞が死滅する温度まで非保護性部位を加熱する波長を含むが、これらに限定されない。
【0258】
7.組換え生産方法
本発明の抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,816,567号に記載されるような組換え方法及び組成物を使用して産生され得る。
【0259】
抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の組換え産生のために、抗抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞内での更なるクローニング及び/又は発現のために、1つ以上のベクター内に挿入される。そのような核酸は、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離され、配列決定され得る。
【0260】
抗体コード化ベクターのクローニング又は発現のための適切な宿主細胞には、本明細書に記載される原核細胞又は真核細胞が含まれる。例えば、抗体は、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされていない場合には、細菌中で産生されてもよい。細菌における抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照されたい。(E.coliにおける抗体断片の発現を記載するCharlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254も参照)発現後、本発明の抗体は、細菌細胞ペーストから可溶性画分で単離されてもよく、更に精製されてもよい。
【0261】
原核生物に加えて、糸状菌や酵母等の真核生物は、抗体をコードするベクターのクローニング又は発現宿主として適しており、その中には、グリコシル化経路が「ヒト化」された菌株や酵母株が含まれ、その結果、部分的又は完全にヒトのグリコシル化パターンを有する抗体が産生される。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004)及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210-215(2006)を参照されたい。
【0262】
また、グリコシル化抗体を発現させるのに適した宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)に由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞及び昆虫細胞が挙げられる。多数のバキュロウイルス株が同定されており、これを昆虫細胞と組み合わせて使用することができ、特にスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションに使用され得る。
【0263】
植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、第6,040,498号、第6,420,548号、第7,125,978号及び第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術)を参照されたい。
【0264】
脊椎動物細胞も、宿主として使用される。例えば、懸濁液中で増殖するように適合されている哺乳動物細胞株は有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS-7)によって形質転換されたサル腎臓CV1株、ヒト胚腎臓株(例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載されるような293細胞又は293細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載されるようなTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリサル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト頸部癌腫細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK)、バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝臓細胞(Hep G2)、マウス乳房腫瘍細胞(MMT 060562)、TRI細胞(例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載される細胞;MRC5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、DHFR-CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、並びにY0、NS0、及びSp2/0等の骨髄腫細胞株が挙げられる。抗体産生に好適な特定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)、
【0265】
8.免疫コンジュゲート
本発明はまた、1つ以上の細胞毒性剤、例えば、化学療法薬剤又は薬物、成長阻害剤、毒素(例えば、タンパク質 毒素、細菌、真菌、植物又は動物由来の酵素的に活性な毒素、又はその断片)、又は放射性同位体に抱合される本発明の抗CD20/抗CD3二重特異性抗体を含む免疫コンジュゲートを提供する。
【0266】
いくつかの例では、免疫コンジュゲートは抗体薬剤コンジュゲート(ADC)であり、抗体が、これらに限定されるわけではないが、マイタンシノイド(米国特許第5,208,020号、同第5,416,064号、及び欧州特許第0425235B1号を参照);モノメチルオーリスタチン薬剤部分DE及びDF(MMAE及びMMAF)等のオーリスタチン(米国特許第5,635,483号、同第5,780,588号、及び同第7,498,298号を参照);ドラスタチン;カリケアマイシン又はその誘導体(米国特許第5,712,374号、同第5,714,586号、同第5,739,116号、同第5,767,285号、同第5,770,701号、同第5,770,710号、同第5,773,001号、及び同第5,877,296号;Hinman et al.,Cancer Res.53:3336-3342(1993);並びにLode et al.,Cancer Res.58:2925-2928(1998)を参照);ダウノマイシン及びドキソルビシン等のアントラサイクリン(例えばKratz et al.,Current Med.Chem.13:477-523(2006);Jeffrey et al.,Bioorganic&Med.Chem.Letters 16:358-362(2006);Torgov et al.,Bioconj.Chem.16:717-721(2005);Nagy et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:829-834(2000);Dubowchik et al.,Bioorg.&Med.Chem.Letters 12:1529-1532(2002);King et al.,J.Med.Chem.45:4336-4343(2002);及び米国特許第6,630,579号を参照);メトトレキサート;ビンデシン;ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、及びオルタタキセル等のタキサン;トリコテセン;並びにCC1065を含む1つ以上の薬剤に結合している。
【0267】
別の例では、イムノコンジュゲートは、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、シナアブラギリタンパク質、ジアンシンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウタンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、ツルレイシ阻害剤、クルシン、クロチン、サポンソウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセンを含むがこれらに限定されない酵素活性毒素又はその断片にコンジュゲートした、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体を含む。
【0268】
別の例では、免疫コンジュゲートは、放射性原子にコンジュゲートされ、放射性コンジュゲートを形成する、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体を含む。種々の放射性同位体が、放射性コンジュゲートの産生のために入手可能である。例としては、211At、131I、125I、90Y、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32P、212Pb及びLuの放射性同位体が挙げられる。放射性物質が検出のために使用される場合、それは、シンチグラフィ研究のための放射性原子、例えば99mTc or 123I、又は核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance:NMR)イメージング(別名、磁気共鳴イメージング、MRI)のためのスピンラベル、例えば再びヨウ素123、ヨウ素131、インジウム111、フッ素19、炭素13、窒素15、酸素17、ガドリニウム、マンガン又は鉄を含んでいてもよい。
【0269】
抗体と細胞毒性剤とのコンジュゲートは、例えば、各種の二官能性タンパク質カップリング剤、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCl等)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジル等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビスアジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン等)、ジイソシアネート(トルエン2,6-ジイソシアネート等)、及び二活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン等)等を用いて作製され得る。例えば、Vitetta et al.,Science 238:1098(1987)に記載されているように、リシン免疫トキシンを調製することができる。炭素14標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX-DTPA)は、抗体にラジヌクレオチドを共役させるための例示的なキレート剤である。国際公開第94/11026号を参照されたい。リンカーは、細胞内での細胞傷害性薬物の放出を促進する「開裂性リンカー」であってもよい。例えば、酸-解離性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光解離性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari et al.,Cancer Res.52:127-131(1992);米国特許第5,208,020号)を使用することができる。
【0270】
本明細書における免疫コンジュゲート又はADCは、限定されないが、市販(例えば、米国イリノイ州ロックフォードのPierce Biotechnology Inc.から)されている、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC及びスルホ-SMPB、並びにSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)を含むがこれらに限定されない架橋試薬を用いて調製されたコンジュゲートを明確に企図している。
【0271】
D.追加の治療剤
いくつかの例では、本明細書に記載される方法は、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体を追加の治療剤(例えば、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)及び/又は更なる化学療法剤及び/又は)と組み合わせて投与することを含む。いくつかの例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体は、シクロホスファミド、ドキソルビシン、リツキシマブ及びプレドニゾロンから選択される1つ以上の追加の化学療法剤と同時投与される。いくつかの例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体をCHOPと同時投与し、この場合ビンクリスチンをADCで置き換える。いくつかの例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体は、抗CD19抗体薬物コンジュゲート、抗CD22抗体薬物コンジュゲート、抗CD45抗体薬物コンジュゲート又は抗CD32抗体薬物コンジュゲートと同時投与される。
【0272】
いくつかの例では、追加の治療剤は、抗CD79b ADC、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,088,378号に記載されている抗CD79b抗体薬物コンジュゲートのいずれかである。いくつかの例では、抗CD79b抗体薬物コンジュゲートは、(a)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-L2;(f)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つの超可変領域(HVR)を含む抗CD79b結合ドメインを含む。いくつかの例では、抗CD79b抗体薬物コンジュゲートは、以下のHVRの6つ全てを含む抗79b結合ドメインを含む:(a)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-L3。いくつかの例では、抗CD79b抗体薬物コンジュゲートは、配列番号39~42の配列をそれぞれ含む重鎖フレームワーク領域FR-H1、FR-H2、FR-H3、及びFR-H4のうちの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、若しくは4つ)、及び/又は配列番号43~46の配列をそれぞれ含む軽鎖フレームワーク領域FR-L1、FR-L2、FR-L3、及びFR-L4のうちの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、若しくは4つ)を含む。いくつかの例では、抗CD79b抗体薬物コンジュゲートは、(a)配列番号47に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列又は配列番号47の配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;(b)配列番号48に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列又は配列番号48の配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。したがって、いくつかの例では、第1の結合ドメインは、配列番号47のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号48のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0273】
いくつかの例では、抗CD79b抗体は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE、すなわちベドチン)等の毒素に連結される。いくつかの例では、抗CD79b抗体薬物コンジュゲートは、国際医薬品一般名称(INN)リスト110(WHO Drug Information,Vol.27,No.4,2016,p.443)によって定義されているように、ポラツズマブベドチン(免疫グロブリンG1-カッパオーリスタチンEコンジュゲート、抗[ホモ・サピエンス(Homo sapiens)CD79B(免疫グロブリン関連CD79ベータ)]、オーリスタチンEにコンジュゲートしたヒト化モノクローナル抗体;ガンマ1重鎖(1-447)[ヒト化VH(ホモ・サピエンス(Homo sapiens)IGHV3-23*04(76.50%)-(IGHD)-IGHJ4*01)[8.8.10](1-117)-ホモ・サピエンス(Homo sapiens)IGHG1*03(CH1 R120>K(214)(118-215)、ヒンジ(216-230)、CH2(231-340)、CH3(341-445)、CHS(446-447))(118-447)]、カッパ軽鎖(1’-218’)を有する(220-218’)-ジスルフィド[ヒト化V-KAPPA(ホモ・サピエンス(Homo sapiens)IGKV1-39*01(85.90%)-IGKJ1*01)[10.3.9](1’-111’)-ホモ・サピエンス(Homo sapiens)IGKC*01(112’-218’)];ダイマー(226-226’’:229-229’’)--ビスジスルフィド;開裂可能なマレイミドカプロイル-バリル-シトルリニル-p-アミノベンジルオキシカルボニル(mc-val-cit-PABC)型リンカーを介して、平均3~4個のシステイニルをモノメチルオーリスタチンE(MMAE)にコンジュゲート化;RG-7596、又はRO5541077-000としても知られている))である。ポラツズマブベドチンは、IUPHAR/BPS番号8404、KEGG番号D10761、又はCAS登録番号1313206-42-6とも呼ばれる。ポラツズマブベドチンは、「ポラツズマブベドチン-piiq」、「huMA79bv28-MC-vc-PAB-MMAE」、又は「DCDS4501A」とも互換的に呼ばれる。いくつかの例では、抗CD79b抗体又は抗CD79b ADCは、配列番号49の重鎖配列及び配列番号50の軽鎖配列を含む。
【0274】
いくつかの例では、追加の治療剤は生物学的修飾剤である。一例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体は、BCL-2阻害剤(例えば、GDC-0199/ABT-199)、レナリドミド(REVLIMID())、PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ(ZYDELIG(登録商標)))、PI3K阻害剤(例えば、アルペリシブ、コパンリシブ又はデュベリシブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト、トレメリムマブ(チシリムマブ又はCP-675,206としても知られる)、ウレルマブ(BMS-663513としても知られる)、TGFベータに対するアンタゴニストであるMGA271、例えば、メテリムマブ(CAT-192としても知られる)、フレソリムマブ(GC1008としても知られる)、LY2157299k、及びキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞(例えば、細胞傷害性T細胞又はCTL)の養子移入(例えばドミナントネガティブTGFベータ受容体、例えばドミナントネガティブTGFベータII型受容体を含むT細胞の養子移入)から選択される1つ以上の生物学的修飾物質と同時投与される。
【0275】
本明細書に記載される方法のいくつかにおいて、投与計画、1つ以上の追加の治療剤の投与を含む場合がある。例えば、特定の例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体は、オビヌツズマブ(GAZYVA(登録商標))、又はトシリズマブ(ACTEMRA(登録商標)/RoACTEMRA(登録商標))と同時に投与されることが可能であり、対象は、オビヌツズマブ(GAZYVA(登録商標))又はトシリズマブ(ACTEMRA(登録商標)/RoACTEMRA(登録商標))を最初に投与された後に、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体を別々に投与される(例えば、対象はオビヌツズマブ(GAZYVA(登録商標))又はトシリズマブ(ACTEMRA(登録商標)/RoACTEMRA(登録商標))により事前に処置される)。いくつかの例では、追加の治療剤としてのトシリズマブの投与は、CRSに関連する特定の有害作用の影響を低減するためである。いくつかの例では、対象は、CRSに対する予防的アプローチとしてトシリズマブで事前に処置される。いくつかの例では、CRSに対する予防的処置は、トシリズマブ及び/又はアダリムマブの投与を含む。
【0276】
いくつかの例では、PD-1結合拮抗薬は、抗PD-1抗体である。様々な抗PD-1抗体が、本明細書に開示される方法及び使用において利用され得る。本明細書の例のいずれかでは、PD-1抗体はヒトPD-1又はそのバリアントに結合することができる。いくつかの例では、抗PD-1抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの例では、抗PD-1抗体は、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、Fv断片、scFv断片、及び(Fab’)2断片からなる群から選択される抗体断片である。いくつかの例では、抗PD-1抗体は、ヒト化抗体である。他の例では、抗PD-1抗体はヒト抗体である。例示的な抗PD-1アンタゴニスト抗体としては、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、MEDI-0680、PDR001(スパルタリズマブ)、REGN2810(セミプリマブ)、BGB-108、プロルゴリマブ、カンレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタリマブ、レチファンリマブ、ササンリマブ、ペンプリマブ、CS1003、HLX10、SCT-I10A、ジンベレリマブ、バルスチリマブ、ゲノリムズマブ、BI754091、セトレリマブ、YBL-006、BAT1306、HX008、ブジカリマブ、CX-188、JTX-4014、609A、Sym021、LZM009、F520、SG001、AM0001、ENUM 244C8、ENUM 388D4、STI-1110、AK-103及びhAb21が挙げられる。いくつかの例では、抗PD-1抗体はニボルマブ(CAS登録番号:946414-94-4)である。ニボルマブ(Bristol-Myers Squibb/Ono)、別名、MDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558、及びOPDIVO(登録商標)は、国際公開第2006/121168号に記載の抗PD-1抗体である。いくつかの例では、抗PD-1抗体はペンブロリズマブ(CAS登録番号:1374853-91-4)である。ペンブロリズマブ(Merck)は、MK-3475、Merck 3475、ラムブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標)、及びSCH-900475としても知られており、国際公開第2009/114335号に記載の抗PD-1抗体である。いくつかの例では、抗PD-1抗体は、MEDI-0680(AMP-514;AstraZeneca)である。MEDI-0680はヒト化IgG4抗PD-1抗体である。いくつかの例では、抗PD-1抗体は、PDR 001(CAS登録番号1859072-53-9;Novartis)である。PDR001は、PD-1に対するPD-L1及びPD-L2の結合を遮断するヒト化IgG4抗PD-1抗体である。いくつかの例では、抗PD-1抗体は、REGN2810(Regeneron)である。REGN 2810は、ヒト抗PD-1抗体である。いくつかの例では、抗PD-1抗体はBGB-108(BeiGene)である。いくつかの例では、抗PD-1抗体はBGB-A317(BeiGene)である。いくつかの例では、抗PD-1抗体は、JS-001(Shanghai Junshi)である。JS-001はヒト化抗PD-1抗体である。いくつかの例では、抗PD-1抗体はSTI-A1110(Sorrento)である。STI-A 1110は、ヒト抗PD-1抗体である。いくつかの例では、抗PD-1抗体は、INCSHR-1210(Incyte)である。INCSHR-1210は、ヒトIgG4抗PD-1抗体である。いくつかの例では、抗PD-1抗体は、PF-06801591(Pfizer)である。いくつかの例では、抗PD-1抗体は、TSR-042(ANB 011としても知られている;Tesaro/AnaptysBio)いくつかの例では、抗PD-1抗体はAM 0001(ARMO Biosciences)である。いくつかの例では、抗PD-1抗体は、ENUM 244C8(Enumeral Biomedical Holdings)である。ENUM 244C8は、PD-1へのPD-L1の結合を遮断することなくPD-1機能を阻害する抗PD-1抗体である。いくつかの例では、抗PD-1抗体は、ENUM 388D4(Enumeral Biomedical Holdings)である。ENUM388D4は、PD-1に対するPD-L1の結合を競合的に阻害する抗PD-1抗体である。いくつかの例では、抗PD-1抗体は、国際公開第2015/112800号、国際公開第2015/112805号、国際公開第2015/112900号、米国特許出願公開第20150210769号、国際公開第2016/089873号、国際公開第2015/035606号、国際公開第2015/085847号、国際公開第2014/206107号、国際公開第2012/145493号、米国特許第9,205,148号、国際公開第2015/119930号、国際公開第2015/119923号、国際公開第2016/032927号、国際公開第2014/179664号、国際公開第2016/106160号、及び国際公開第2014/194302に記載される抗PD-1抗体由来の6つのHVR配列(例えば、3つの重鎖HVR及び3つの軽鎖HVR)及び/又は重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む。
【0277】
他の例では、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されるPD-L1又はPD-L2の細胞外又はPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。他の例では、PD-1結合拮抗薬は、AMP-224である。AMP-224は、B7-DCIgとしても知られており、PCT公開公報、国際公開第2010/027827号及び国際公開第2011/066342号に記載されているPD-L2-Fc融合可溶性受容体である。
【0278】
いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは抗PD-L1抗体である。様々な抗PD-L1抗体が本明細書において企図され、記載される。本明細書の例のいずれにおいても、単離された抗PD-L1抗体は、ヒトPD-L1、例えば、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9NZQ7-1に示されるようなヒトPD-L1、又はそのバリアントに結合することができる。いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、PD-L1とPD-1との間及び/又はPD-L1とB7-1との間の結合を阻害することができる。いくつかの例では、抗PD-L1抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、Fab断片、Fab’-SH断片、Fv断片、scFv断片、及び(Fab’)2断片片からなる群から選択される抗体断片である。いくつかの例では、抗PD-L1抗体はヒト化抗体である。いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、ヒト抗体である。例示的な抗PD-L1抗体としては、アテゾリズマブ、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、MSB0010718C(アベルマブ)、SHR-1316、CS1001、エンバホリマブ、TQB2450、ZKAB001、LP-002、CX-072、IMC-001、KL-A167、APL-502、コシベリマブ、ロダポリマブ、FAZ053、TG-1501、BGB-A333、BCD-135、AK-106、LDP、GR1405、HLX20、MSB2311、RC98、PDL-GEX、KD036、KY1003、YBL-007、HS-636、LY3300054(Eli Lilly)、STI-A1014(Sorrento)、及びKN035(Suzhou Alphamab)が挙げられる。いくつかの例では、抗PDL1抗体は、(例えば、腫瘍微小環境中のプロテアーゼによって)切断されると、抗体抗原結合ドメインを活性化して、例えば、非結合性立体部位を除去することによって、その抗原を結合させることができるようにする、切断可能な部位又はリンカーから構成される。いくつかの例では、抗PDL-1抗体はCX-072(CytomX Therapeutics)である。いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、6つのHVR配列(例えば、3つの重鎖HVR及び3つの軽鎖HVR)、及び/又は米国特許出願公開第20160108123号、国際公開第2016/000619号、国際公開第2012/145493号、米国特許第。国際公開第9,205,148号、国際公開第2013/181634号、又は国際公開第2016/061142号に記載される抗PD-L1抗体からの重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む。本発明の方法及びそれらを作製する方法において有用な抗PD-L1抗体の例は、国際特許出願公開第2010/077634号及び米国特許第8,217,149号に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0279】
他の例では、PD-L2結合拮抗薬は、抗PD-L2抗体(例えば、ヒト、ヒト化、又はキメラ抗PD-L2抗体)である。いくつかの例では、PD-L2結合拮抗薬は、イムノアドヘシンである。
【0280】
PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに(Q3W)約80mg~約2000mg(例えば、約100mg~約1600mg、例えば、約200mg~約1600mg、例えば、約300mg~約1600mg、例えば、約400mg~約1600mg、例えば、約500mg~約1600mg、例えば、約600mg~約1600mg、例えば、約700mg~約1600mg、例えば、約800mg~約1600mg、例えば、約900mg~約1500mg、例えば、約1000mg~約1400mg、例えば、約1050mg~約1350mg、例えば、約1100mg~約1300mg、例えば、約1150mg~約1250mg、例えば、約1175mg~約1225mg、例えば、約1190mg~約1210mg、例えば、1200mg±5mg、例えば、1200±2.5mg、例えば、1200±1.0mg、例えば、1200±0.5mg、例えば、1200mg)の固定用量である。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに約1200mg(例えば、1200mg±10mg、例えば、1200±6mg、例えば、1200±5mg、例えば、1200±3mg、例えば、1200±1mg、例えば、1200±0.5mg、例えば、3週間ごとに1200mg)の固定用量である。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、3週間ごとに約200mg~約1400mgの用量で(例えば、3週間ごとに約200mg~約1200mg、例えば、3週間ごとに約200mg~約1000mg、例えば、3週間ごとに約200mg~約800mg、例えば、3週間ごとに約200mg~約600mg、例えば、3週間ごとに約200mg~約500mg、例えば、3週間ごとに約200mg~約450mg、例えば、3週間ごとに約250mg~約450mgの用量で)投与される。
【0281】
いくつかの例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体は、リツキシマブ、及び1つ以上の化学療法剤と同時に投与される。一例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体は、リツキシマブ及びCHOPと同時に投与される。一例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体は、リツキシマブ及びADCと同時に投与される。一例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体を、リツキシマブ及びCHOPと同時投与し、この場合、ビンクリスチンをADCで置き換える。一例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体は、抗CD19抗体薬物コンジュゲート、抗CD22抗体薬物コンジュゲート、抗CD45抗体薬物コンジュゲート及び抗CD32薬物コンジュゲートから選択されるADCと同時投与される。
【0282】
いくつかの例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体は、リツキシマブ、並びにBCL-2阻害剤(例えば、GDC-0199/ABT-199)、レナリドミド(REVLIMID())、PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ(ZYDELIG(登録商標)))、PI3K阻害剤(例えば、アルペリシブ、コパンリシブ又はデュベリシブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト、トレメリムマブ(チシリムマブ又はCP-675,206としても知られる)、ウレルマブ(BMS-663513としても知られる)、TGFベータに対するアンタゴニストであるMGA271、例えば、メテリムマブ(CAT-192としても知られる)、フレソリムマブ(GC1008としても知られる)、LY2157299k、及びキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞(例えば、細胞傷害性T細胞又はCTL)の養子移入(例えばドミナントネガティブTGFベータ受容体、例えばドミナントネガティブTGFベータII型受容体を含むT細胞の養子移入)から選択される1つ以上の生物学的修飾物質と同時投与される。
【0283】
いくつかの例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体は、リツキシマブ、1つ以上の化学療法剤、並びにBCL-2阻害剤(例えば、GDC-0199/ABT-199)、レナリドミド(REVLIMID())、PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ(ZYDELIG(登録商標)))、PD-1軸結合アンタゴニスト、トレメリムマブ(チシリムマブ又はCP-675,206としても知られる)、ウレルマブ(BMS-663513としても知られる)、TGFベータに対するアンタゴニストであるMGA271、例えば、メテリムマブ(CAT-192としても知られる)、フレソリムマブ(GC1008としても知られる)、LY2157299k、及びキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞(例えば、細胞傷害性T細胞又はCTL)の養子移入(例えばドミナントネガティブTGFベータ受容体、例えばドミナントネガティブTGFベータII型受容体を含むT細胞の養子移入)から選択される1つ以上の生物学的修飾物質と同時投与される。
【0284】
いくつかの例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体は、オビヌツズマブ、及び1つ以上の化学療法剤と同時に投与される。一例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体は、オビヌツズマブ及びCHOPと同時に投与される。一例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体は、オビヌツズマブ及びADCと同時に投与される。一例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体を、オビヌツズマブ及びCHOPと同時投与し、この場合、ビンクリスチンをADCで置き換える。一例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体は、抗CD79b抗体薬物コンジュゲート(例えば、抗CD79b-MC-vc-PAB-MMAE、又は米国特許第8,088,378号及び/又は米国特許第2014/0030280号のいずれか1つに記載の抗CD79b抗体薬物コンジュゲート、又はポラツズマブベドチン)、抗CD19抗体薬物コンジュゲート、抗CD22抗体薬物コンジュゲート、抗CD45抗体薬物コンジュゲート及び抗CD32薬物コンジュゲートから選択されるADCと同時投与される。一例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体は、オビヌツズマブ、並びにBCL-2阻害剤(例えば、GDC-0199/ABT-199)、レナリドミド(REVLIMID())、PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ(ZYDELIG(登録商標)))、PI3K阻害剤(例えば、アルペリシブ、コパンリシブ又はデュベリシブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト、トレメリムマブ(チシリムマブ又はCP-675,206としても知られる)、ウレルマブ(BMS-663513としても知られる)、TGFベータに対するアンタゴニストであるMGA271、例えば、メテリムマブ(CAT-192としても知られる)、フレソリムマブ(GC1008としても知られる)、LY2157299k、及びキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞(例えば、細胞傷害性T細胞又はCTL)の養子移入(例えばドミナントネガティブTGFベータ受容体、例えばドミナントネガティブTGFベータII型受容体を含むT細胞の養子移入)から選択される1つ以上の生物学的修飾物質と同時投与される。
【0285】
いくつかの例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体は、オビヌツズマブ、並びにBCL-2阻害剤(例えば、GDC-0199/ABT-199)、レナリドミド(REVLIMID())、PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ(ZYDELIG(登録商標)))、PI3K阻害剤(例えば、アルペリシブ、コパンリシブ又はデュベリシブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト、トレメリムマブ(チシリムマブ又はCP-675,206としても知られる)、ウレルマブ(BMS-663513としても知られる)、TGFベータに対するアンタゴニストであるMGA271、例えば、メテリムマブ(CAT-192としても知られる)、フレソリムマブ(GC1008としても知られる)、LY2157299k、及びキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞(例えば、細胞傷害性T細胞又はCTL)の養子移入(例えばドミナントネガティブTGFベータ受容体、例えばドミナントネガティブTGFベータII型受容体を含むT細胞の養子移入)から選択される1つ以上の生物学的修飾物質と同時投与される。
【0286】
いくつかの例では、追加の療法は、アルキル化剤を含む。一例では、アルキル化剤は、4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチルベンゾイミダゾール-2-イル]ブタン酸及びその塩である。一例では、アルキル化剤は、ベンダムスチンである。
【0287】
いくつかの例では、追加の療法は、BCL-2阻害剤を含む。一実施形態では、BCL-2阻害剤は、4-(4-{[2-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル]メチル}ピペラジン-1-イル)-N-({3-ニトロ-4-[(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)アミノ]フェニル}スルホニル)-2-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イルオキシ)ベンズアミド及びその塩である。一例では、BCL-2阻害剤は、ベネトクラックス(CAS番号:1257044-40-8)である。
【0288】
いくつかの例では、追加の療法は、ホスホイノシタイド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤を含む。一例では、PI3K阻害剤は、デルタアイソフォームPI3K(すなわち、P110δ)を阻害する。いくつかの例では、PI3K阻害剤は、5-フルオロ-3-フェニル-2-[(1S)-1-(7H-プリン-6-イルアミノ)プロピル]-4(3H)-キナゾリノン及びその塩である。いくつかの例では、PI3K阻害剤はイデラリシブ(CAS番号:870281-82-6)である。一例では、PI3K阻害剤は、PI3Kのアルファ及びデルタアイソフォームを阻害する。いくつかの例では、PI3K阻害剤は、2-{3-[2-(1-イソプロピル-3-メチル-1H-1,2-4-トリアゾール-5-イル)-5,6-ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2-d][1,4]オキサゼピン-9-イル]-1H-ピラゾール-1-イル}-2-メチルプロパンアミド及びその塩である。いくつかの例では、PI3K阻害剤はタセリシブ(CAS番号:1282512-48-4)である。いくつかの例では、PI3K阻害剤は2-アミノ-N-[2,3-ジヒドロ-7-メトキシ-8-[3-(4-モルホリニル)プロポキシ]イミダゾ[1,2-c]キナゾリン-5-イル]-5-ピリミジンカルボキサミド及びその塩である。いくつかの例では、PI3K阻害剤はコパンリシブ(CAS番号:1032568-63-0)である。いくつかの例では、PI3K阻害剤は8-クロロ-2-フェニル-3-[(1S)-1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル]-1(2H)-イソキノリノン及びその塩である。いくつかの例では、PI3K阻害剤は、デュベリシブ(CAS番号:1201438-56-3)である。いくつかの例では、PI3K阻害剤は、(2S)-N1-[4-メチル-5-[2-(2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジメチルエチル)-4-ピリジニル]-2-チアゾリル]-1,2-ピロリジンジカルボキサミド及びその塩である。いくつかの例では、PI3K阻害剤はアルペリシブ(CAS番号:1217486-61-7)である。いくつかの例では、PI3K阻害剤は2-[(1S)-1-[4-アミノ-3-[3-フルオロ-4-(1-メチルエトキシ)フェニル]-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]エチル]-6-フルオロ-3-(3-フルオロフェニル)-4H-1-ベンゾピラン-4-オン及びその塩である。いくつかの例では、PI3K阻害剤は、アンブラリシブ(CAS番号:1532533-67-7)である。
【0289】
本発明の更なる態様では、追加の療法は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤を含む。一例では、BTK阻害剤は、1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロポ-2-エン-1-オン及びその塩である。一例では、BTK阻害剤はイブルチニブ(CAS番号:936563-96-1)である。いくつかの例では、BTK阻害剤は、(7S)-4,5,6,7-テトラヒドロ-7-[1-(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-4-ピペリジニル]-2-(4-フェノキシフェニル)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド及びその塩である。いくつかの例では、BTK阻害剤は、ザヌブルチニブ(CAS番号:1691249-45-2)である。いくつかの例では、BTK阻害剤は、4-[8-アミノ-3-[(2S)-1-(1-オキソ-2-ブチン-1-イル)-2-ピロリジニル]イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル]-N-2-ピリジニル-ベンズアミド及びその塩である。いくつかの例では、BTK阻害剤は、アカラブルチ二ブ(CAS番号:1420477-60-6)である。
【0290】
いくつかの例では、追加の治療は、サリドマイド又はその誘導体を含む。一例では、サリドマイド又はその誘導体は、(RS)-3-(4-アミノ-1-オキソー1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン及びその塩である。一例では、サリドマイド又はその誘導体は、レンドリドマイド(CAS番号:191732-72-6)である。
【0291】
本明細書に記載される方法が上記の特定の併用療法等の併用療法を伴う場合には、併用療法は、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体の1つ以上の追加の治療剤との投与を含み、このような同時投与は、併用投与(2つ以上の治療剤は同一の製剤、又は別々の製剤に含まれる)、又は別々の投与であることができ、この例では、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の投与は、追加の単一の治療剤又は複数の治療剤の投与の前に、これらの投与と同時に、及び/又はこれらの投与の後に生じることが可能である。一実施形態では、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の投与、追加の治療剤の投与、又は放射線治療への曝露は、互いの約1ヶ月以内、又は約1週間、2週間若しくは3週間以内、又は約1、2、3、4、5若しくは6日以内に生じることが可能である。特定の例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体を、オビヌツズマブ(GAZYVA(登録商標))と同時に投与されることが可能であり、対象は、オビヌツズマブ(GAZYVA(登録商標))を最初に投与された後に、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体を別々に投与される(例えば、対象はオビヌツズマブ(GAZYVA(登録商標))により事前に処置される)。別の特定の例では、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体及び抗CD79b ADCは、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標)/RoACTEMRA(登録商標))と同時投与することができ、対象には、最初にトシリズマブ(ACTEMRA(登録商標)/RoACTEMRA(登録商標))を投与し、次いで、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体を別々に投与する(例えば、対象はトシリズマブ(ACTEMRA(登録商標)/RoACTEMRA(登録商標))で事前に処置される)。いくつかの例では、追加の治療剤としてのトシリズマブの投与は、CRSに関連する特定の有害作用の影響を低減するためである。いくつかの例では、対象は、CRSに対する予防的アプローチとしてトシリズマブで事前に処置される。いくつかの例では、CRSに対する予防的処置は、トシリズマブ及び/又はアダリムマブの投与を含む。
【0292】
本明細書に記載の方法は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体で処置されているCD20陽性細胞増殖性障害、例えばB細胞増殖性障害(例えば、再発性又は難治性B細胞増殖性障害)、例えば非ホジキンリンパ腫(NHL;例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL;例えば、リヒター形質転換)、濾胞性リンパ腫(FL;例えば、グレード1FL、グレード2FL、グレード3FL(例えば、グレード3aFL又はグレード3bFL)又は形質転換FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又は辺縁帯リンパ腫(MZL))、又は慢性リンパ性白血病(CLL)、例えば再発性若しくは難治性NHL(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL、再発性若しくは難治性FL、再発性若しくは難治性MCL、又は再発性若しくは難治性MZL)、又は再発性若しくは難治性CLLを有する対象の改善されたベネフィット-リスクプロファイルをもたらし得る。いくつかの例では、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体を分割用量漸投与計画の状況で投与することになる本明細書に記載される方法を使用する処置は、非分割投与計画を使用する抗CD20/抗CD3二重特異性抗体による処置と比較して、本発明の分割用量漸増投与計画を使用する抗CD20/抗CD3二重特異性抗体による処置の後に、サイトカイン駆動毒性(例えば、サイトカイン放出症候群(CRS))、注入関連反応(IRR)、マクロファージ活性化症候群(MAS)、神経毒性、重度の腫瘍溶解症候群(TLS)、好中球減少症、血小板減少症、肝臓酵素の上昇及び/又は肝毒性等の望ましくない事象の減少(例えば、by20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上;例えば、20%~100%の間、20%~90%の間、20%~80%の間、20%~70%の間、20%~60%の間、20%~50%の間、20%~40%の間、20%~30%の間、40%~100%の間、60%~100%の間、80%~100%の間、30%~70%の間、40%~60%の間、30%~50%の間、50%~80%の間、又は90%~100%の間;例えば、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約99%、又は約100%))又は完全な阻害(100%の減少)をもたらす。
【0293】
本明細書に記載されるこれらの方法の全てについて、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、良好な医療行為と一致する様式で製剤化され、投薬され、投与される。この文脈における考慮の要因には、処置されている特定の障害、処置されている特定の哺乳動物、個々の対象の臨床的病態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のスケジュール管理、及び医療従事者に既知の他の要因が含まれる。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、問題の疾患を予防又は処置するために現在使用されている1つ以上の薬剤とともに製剤化される必要はないが、任意選択で製剤化される。これらのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の量、障害又は処置の種類、及び上で考察される他の要因に依存する。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、一連の処置にわたって対象に適切に投与され得る。
【0294】
いくつかの例では、本発明において有用な追加の治療剤としては、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech)、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、Imclone)、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、Genentech/Biogen Idec)、ペルツズマブ(OMNITARG(登録商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(BEXXAR(登録商標)、Corixia)等の治療用抗体が挙げられる。本発明の化合物と組み合わせた薬剤としての治療可能性を有する追加のヒト化モノクローナル抗体としては、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピヌズマブ、ビバツズマブメルタンシン、ブリアキヌマブ、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セロリズマブペゴール、シドフシツズマブ、シドツズマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マッツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ、ペクセリズマブ、ペクセリズマブ、ラリビズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ、レスリズマブ、レスリビズマブ、ロベリズマブ、ルピズマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ、タカタツズマブテトラキセタン、タドキシズマブ、タファシタマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、ツコツズマブセルモレウキン、ツクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、及びビジリズマブが挙げられる。
【0295】
IV.医薬組成物及び製剤
本明細書に記載の任意の抗体(例えば、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体)を医薬組成物及び製剤に使用することができる。本明細書に記載の抗体及び/又は他の薬剤の医薬組成物及び製剤は、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で、所望の純度を有する1つ、2つ、又は3つ全ての薬剤を1つ以上の任意の薬学的に許容される担体(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と混合することによって調製することができる。薬学的に許容され得る担体は、一般に、用いられる投与量及び濃度ではレシピエントに非毒性であり、それらとしては、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸等の緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化物質;防腐剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、若しくはベンジルアルコール;メチル若しくはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリジン等のアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトール等の糖類;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);並びに/又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0296】
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体製剤としては、米国特許第6,171,586号及び国際公開第2006/044908号に記載されるものが挙げられ、後者の製剤は、酢酸ヒスチジン緩衝液を含む。
【0297】
本明細書の製剤はまた、処置される特定の適応症に必要に応じて2つ以上の活性成分を含んでもよく、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない相補的な活性を有するものを含んでもよい。例えば、追加の治療剤(例えば、化学療法剤、細胞傷害剤、成長阻害剤、及び/又は抗ホルモン剤、例えば、本明細書において上記で言及されたもの)を更に提供することが望ましい場合がある。そのような有効成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて好適に存在する。
【0298】
有効成分はまた、例えば、コアセルベーション技術によって、又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルにより、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロ乳濁液、ナノ粒子、及びナノカプセル)内、又はマクロ乳濁液中にも取り込まれ得る。そのような技術が、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0299】
徐放性調製物を調製してもよい。徐放性調製物の好適な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスが含まれ、これらのマトリクスは、成形物品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態である。
【0300】
in vivo投与に使用される製剤は、一般に、滅菌のものである。滅菌は、例えば滅菌濾過膜による濾過によって容易に達成され得る。
【0301】
V.キット及び製造品
本発明の別の態様では、上述の障害の処置、予防及び/又は診断に有用な材料を含むキット又は製造品が提供される。キット又は製造品は、容器と、容器上の又は容器に関連付けられたラベル又はパッケージインサートを含む。適切な容器としては、例えば、瓶、バイアル、シリンジ、静注溶液袋等が挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成され得る。容器は、組成物単独で、又は症状を処置、予防及び/又は診断するのに有効な別の組成物と組み合わせられた組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有するバイアルであり得る)。本組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本明細書に記載される抗CD20/抗CD3二重特異性抗体である。ラベル又は添付文書は、組成物を使用して選択状態(例えば、B細胞増殖性障害、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、例えば、再発性又は難治性DLBCL)を処置し、更に本明細書に記載される投与計画の少なくとも1つに関する情報を含むことを示す。さらに、キット又は製造品は、(a)本明細書に記載される抗CD20/抗CD3二重特異性抗体を含む組成物をその中に収容した第一容器、及び(b)更なる細胞傷害性薬剤、又はその他の治療剤を含む組成物をその中に収容した第二容器を含み得る。これに代えて、又はこれに加えて、キット又は製造品は、薬学的に許容される緩衝液、例えば、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝化生理食塩水、Ringer溶液及びデキストロース溶液を含む第2の(又は第3の)容器を更に備えていてもよい。本製造品は、他のバッファー、希釈剤、フィルタ、針及びシリンジを含む、商業的及びユーザーの観点から望ましい他の材料を更に備えてもよい。
【0302】
VI.実施形態
本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態は、以下の番号付き実施形態のいずれかに従って定義することができる。
【0303】
1.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する方法であって、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約50mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含む、方法。
【0304】
2.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の処置に使用するための、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体であって、前記二重特異性抗体が、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約50mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含む、二重特異性抗体。
【0305】
3.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の処置における、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約50mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含む、使用。
【0306】
4.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する医薬の製造における、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約50mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含む、使用。
【0307】
5.前記C1D3が50mg~200mgである、実施形態1~4のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0308】
6.前記C1D3が約60mgである、実施形態5に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0309】
7.前記C1D1が約1mgである、実施形態1~6のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0310】
8.前記C1D2が約2mgである、実施形態1~7のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0311】
9.前記C2D1が前記C1D3とほぼ同等の量である、実施形態1~8のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0312】
10.前記C1D1、C1D2及びC1D3が、それぞれ前記第1の投与サイクルの1日目、8日目及び15日目、又は約1日目、約8日目及び約15日目に前記対象に投与されるか又は投与されることになる、実施形態1~9のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0313】
11.前記C2D1が、前記第2の投与サイクルの1日目に前記対象に投与されるか、又は投与されることになる、実施形態1~10のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0314】
12.前記第1の投与サイクル及び前記第2の投与サイクルが21日間の投与サイクルである、実施形態1~11のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0315】
13.前記第1の投与サイクルが21日間の投与サイクルであり、前記第2の投与サイクルが28日間の投与サイクルである、実施形態1~12のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0316】
14.前記投与計画が、前記第2の投与サイクルの後に1回以上の追加の投与サイクルを更に含む、実施形態1~13のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0317】
15.前記投与計画が、前記第2の投与サイクルの後に6~15回の追加の投与サイクルを含む、実施形態14に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0318】
16.前記追加の投与サイクルが21日間の投与サイクルである、実施形態14又は15に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0319】
17.前記追加の投与サイクルが28日間の投与サイクルである、実施形態15又は16に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0320】
18.1回以上の前記追加の投与サイクルが、追加の単一用量の前記二重特異性抗体を含む、実施形態14~17のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0321】
19.前記二重特異性抗体の前記追加の単一用量が、各追加の投与サイクルの1日目に前記対象に投与されるか、又は投与されることになる、実施形態18に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0322】
20.前記追加の単一用量の前記二重特異性抗体が、前記C1D1より多く、前記C1D3及び/又は前記C2D1より少ない、実施形態18又は19に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0323】
21.前記二重特異性抗体の前記追加の単一用量が、前記C1D3及び/又は前記C2D1の20%~80%である、実施形態18~20のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0324】
22.前記二重特異性抗体の前記追加の単一用量が、前記C1D3及び/又は前記C2D1の約50%である、実施形態21に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0325】
23.前記二重特異性抗体の前記追加の単一用量が約30mgである、実施形態18~22のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0326】
24.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する方法であって、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル及び第3の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少ない、方法。
【0327】
25.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の処置に使用するための、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体であって、前記二重特異性抗体が、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル、及び第3の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少ない、二重特異性抗体。
【0328】
26.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の処置における、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル、及び第3の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少ない、使用。
【0329】
27.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する医薬の製造における、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル、及び第3の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少ない、使用。
【0330】
28.前記C1D3及び前記C2D1がそれぞれ20mg~200mgである、実施形態24~27のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用
【0331】
29.前記C1D3及び前記C2D1がそれぞれ約60mgである、実施形態28に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0332】
30.前記C3D1が前記C2D1の20%~80%である、実施形態24~29のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0333】
31.前記C3D1が前記C2D1の約50%である、実施形態30に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0334】
32.前記C3D1が約30mgである、実施形態24~31のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0335】
33.前記C1D1が約1mgである、実施形態24~32のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0336】
34.前記C1D2が約2mgである、実施形態24~33のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0337】
35.前記C1D1、C1D2及びC1D3が、それぞれ前記第1の投与サイクルの1日目、8日目及び15日目、又は約1日目、約8日目及び約15日目に前記対象に投与されるか又は投与されることになる、実施形態24~34のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0338】
36.前記C2D1が前記第2の投与サイクルの1日目に前記対象に投与されるか、又は投与されるものであり、前記C3D1が前記第3の投与サイクルの1日目に前記対象に投与されるか、又は投与されるものである、実施形態24~35のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0339】
37.前記第1の投与サイクル、前期第2の投与サイクル及び前記第3の投与サイクルが21日間の投与サイクルである、実施形態24~36のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0340】
38.前記第1の投与サイクルが21日間の投与サイクルであり、前記第2の投与サイクル及び前記第3の投与サイクルが28日間の投与サイクルである、実施形態24~36のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0341】
39.前記投与計画が、前記第3の投与サイクルの後に1回以上の追加の投与サイクルを更に含む、実施形態24~38のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0342】
40.前記投与計画が、前記第3の投与サイクルの後に5~14回の追加の投与サイクルを含む、実施形態39に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0343】
41.前記追加の投与サイクルが21日間の投与サイクルである、実施形態39又は40に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0344】
42.前記追加の投与サイクルが28日間の投与サイクルである、実施形態39又は40に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0345】
43.1回以上の前記追加の投与サイクルが、追加の単一用量の前記二重特異性抗体を含む、実施形態39~42のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0346】
44.前記二重特異性抗体の前記追加の単一用量が、各追加の投与サイクルの1日目に前記対象に投与されるか、又は投与されることになる、実施形態43に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0347】
45.前記追加の単一用量の前記二重特異性抗体がC3D1とほぼ同等の量である、実施形態43又は44に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0348】
46.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する方法であって、8回以上の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少なく、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1が、ほぼ同等の量である、方法。
【0349】
47.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の処置に使用するための、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体であって、前記二重特異性抗体が、8回以上の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少なく、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1が、ほぼ同等の量である、二重特異性抗体。
【0350】
48.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の処置における、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、8回以上の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少なく、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1が、ほぼ同等の量である、使用。
【0351】
49.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する医薬の製造における、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、8回以上の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少なく、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1が、ほぼ同等の量である、使用。
【0352】
50.前記C1D3及び前記C2D1がそれぞれ20mg~200mgである、実施形態46~49のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用
【0353】
51.前記C1D3及び前記C2D1がそれぞれ約60mgである、実施形態50に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0354】
52.前記C3D1が前記C2D1の20%~80%である、実施形態46~51のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0355】
53.前記C3D1が前記C2D1の約50%である、実施形態52に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0356】
54.前記C3D1が約30mgである、実施形態46~53のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0357】
55.前記C1D1が約1mgである、実施形態46~54のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0358】
56.前記C1D2が約2mgである、実施形態46~55のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0359】
57.前記C1D1、C1D2及びC1D3が、それぞれ前記第1の投与サイクルの1日目、8日目及び15日目、又は約1日目、約8日目及び約15日目に前記対象に投与されるか又は投与されることになる、実施形態46~56のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0360】
58.前記C2D1~C8D1を各々、それぞれ前記第2~第8の投与サイクルの1日目に前記対象に投与する、実施形態46~57のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0361】
59.前記投与サイクルが21日間の投与サイクルである、実施形態46~58のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0362】
60.前記第1の投与サイクルが21日間の投与サイクルであり、前記第2~第8の投与サイクルが28日間の投与サイクルである、実施形態46~58のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0363】
61.前記投与計画が、前記第8の投与サイクルの後に1回以上の追加の投与サイクルを含む、実施形態46~60のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0364】
62.前記追加の投与サイクルが21日間の投与サイクルである、実施形態61に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0365】
63.前記追加の投与サイクルが28日間の投与サイクルである、実施形態61に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0366】
64.1回以上の前記追加の投与サイクルが、追加の単一用量の前記二重特異性抗体を含む、実施形態61~63のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0367】
65.前記二重特異性抗体の前記追加の単一用量が、各追加の投与サイクルの1日目に前記対象に投与されるか、又は投与されることになる、実施形態64に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0368】
66.前記追加の単一用量の前記二重特異性抗体がC3D1~C8D1のいずれか1つとほぼ同等の量である、実施形態64又は65に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0369】
67.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する方法であって、8回以上の21日間の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)前記第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、方法。
【0370】
68.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の処置に使用するための、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体であって、前記二重特異性抗体が、8回以上の21日間の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、二重特異性抗体。
【0371】
69.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の処置における、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、8回以上の21日間の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、二重特異性抗体。
【0372】
70.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する医薬の製造における、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、8回以上の21日間の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、使用。
【0373】
71.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する方法であって、21日間の投与サイクル及び7回以上の28日間の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)前記第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、使用。
【0374】
72.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の処置に使用するための、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体であって、前記二重特異性抗体が、21日間の投与サイクル及び7回以上の28日間の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、使用。
【0375】
73.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の処置におけるCD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、21日間の投与サイクル及び7回以上の28日間の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、使用。
【0376】
74.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象を処置する医薬の製造における、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、21日間の投与サイクル及び7以上の28日間の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、使用。
【0377】
75.前記対象が、CD20陽性細胞増殖性障害のための先行する全身療法を受けたことがある、実施形態1~74のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0378】
76.前記対象が、前記CD20陽性細胞増殖性障害のための第一選択全身療法及び第二選択全身療法を受けたことがある、実施形態75に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0379】
77.前記対象が、前記先行する全身療法から24ヶ月以内に前記CD20陽性細胞増殖性障害の進行を示した、実施形態75又は76に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0380】
78.前記先行する全身療法が抗CD20抗体を含む、実施形態75~77のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0381】
79.前記抗CD20抗体がリツキシマブである、実施形態78に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0382】
80.前記抗CD20抗体がオビヌツズマブである、実施形態78に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0383】
81.前記先行する全身療法が化学療法剤を含む、実施形態75~80のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0384】
82.前記化学療法剤がアルキル化剤である、実施形態81に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0385】
83.前記アルキル化剤がベンダムスチンである、実施形態82に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0386】
84.前記化学療法剤がレナリドミドである、実施形態81に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0387】
85.前記先行する全身療法が放射免疫療法を含む、実施形態75~84のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0388】
86.前記放射免疫療法がイブリツモマブチウキセタンである、実施形態85に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0389】
87.前記先行する全身療法がホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤を含む、実施形態75~86のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0390】
88.前記ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤が、イデラリシブ、アルペリシブ、コパンリシブ及びデュベリシブからなる群から選択される、実施形態87に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0391】
89.前記先行する全身療法がCAR-T療法を含む、実施形態75~88のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0392】
90.前記対象がヒトである、実施形態1~89のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0393】
91.前記二重特異性抗体が静脈内投与される、実施形態1~90のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0394】
92.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する方法であって、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が50mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含む、使用。
【0395】
93.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団の処置に使用するための、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体であって、前記二重特異性抗体が、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が50mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含む、使用。
【0396】
94.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団の処置における、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が50mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含む、使用。
【0397】
95.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する医薬の製造における、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が50mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含む、使用。
【0398】
96.前記C1D3及び前記C2D1がそれぞれ50mg~200mgである、実施形態91~95のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用
【0399】
97.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する方法であって、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル及び第3の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少ない、使用。
【0400】
98.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団の処置に使用するための、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体であって、前記二重特異性抗体が、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル、及び第3の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少ない、使用。
【0401】
99.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団の処置における、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル、及び第3の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少ない、使用。
【0402】
100.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する医薬の製造における、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル、及び第3の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少ない、使用。
【0403】
101.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する方法であって、8回以上の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少なく、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1が、ほぼ同等の量である、使用。
【0404】
102.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団の処置に使用するための、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体であって、前記二重特異性抗体が、8回以上の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少なく、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1が、ほぼ同等の量である、使用。
【0405】
103.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団の処置におけるCD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、8回以上の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少なく、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1が、ほぼ同等の量である、使用。
【0406】
104.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する医薬の製造における、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、8回以上の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約0.02mg~約2.0mgであり、前記C1D2が約0.05mg~約4.0mgであり、前記C1D3が約20mgより多く、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が、前記C1D3とほぼ同等の量であり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C3D1が、前記C1D1より多く、前記C2D1より少なく、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1が、ほぼ同等の量である、使用。
【0407】
105.前記C1D3及び前記C2D1がそれぞれ20mg~200mgである、実施形態97~104のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用
【0408】
106.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する方法であって、8回以上の21日間の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)前記第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、使用。
【0409】
107.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団の処置に使用するための、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体であって、前記二重特異性抗体が、8回以上の21日間の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、使用。
【0410】
108.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団の処置におけるCD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、8回以上の21日間の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、使用。
【0411】
109.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する医薬の製造における、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、8回以上の21日間の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、使用。
【0412】
110.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する方法であって、21日間の投与サイクル及び7回以上の28日間の投与サイクルを含む投与計画で、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体を前記対象に投与することを含み、
(a)前記第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、使用。
【0413】
111.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団の処置に使用するための、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体であって、前記二重特異性抗体が、21日間の投与サイクル及び7回以上の28日間の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、使用。
【0414】
112.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団の処置における、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、21日間の投与サイクル及び7回以上の28日間の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、使用。
【0415】
113.CD20陽性細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する医薬の製造における、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体の使用であって、前記二重特異性抗体が、21日間の投与サイクル及び7以上の28日間の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の21日間の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の前記二重特異性抗体を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、単一用量(C2D1)の前記二重特異性抗体を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、単一用量(C3D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(d)前記第4の投与サイクルが、単一用量(C4D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(e)前記第5の投与サイクルが、単一用量(C5D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(f)前記第6の投与サイクルが、単一用量(C6D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(g)前記第7の投与サイクルが、単一用量(C7D1)の前記二重特異性抗体を含み、
(h)前記第8の投与サイクルが、単一用量(C8D1)の前記二重特異性抗体を含み、
前記C3D1~C8D1がそれぞれ約30mgである、使用。
【0416】
114.前記対象の集団が完全奏効率を有し、前記完全奏効率が、前記集団における完全奏効を有する対象の割合であり、前記完全奏効率が、少なくとも約15%である、実施形態92~113のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0417】
115.前記完全奏効率が少なくとも約25%である、実施形態114の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0418】
116.前記完全奏効率が少なくとも約35%である、実施形態115の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0419】
117.前記完全奏効率が少なくとも約45%である、実施形態116の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0420】
118.前記対象の集団が客観的奏効率を有し、前記客観的奏効率が、前記集団における客観的奏効を有する対象の割合であり、前記客観的奏効率が少なくとも約60%である、実施形態92~117のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0421】
119.前記処置の開始後約20ヶ月での前記客観的奏効率が少なくとも約70%である、実施形態92~118のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0422】
120.前記処置の開始後約24ヶ月での前記客観的奏効率が少なくとも約75%である、実施形態92~119のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0423】
121.前記対象の集団が、奏効期間中央値(mDOR)を有し、前記mDORが、前記集団における対象の奏効期間の中央値であり、前記mDORが、少なくとも約12ヶ月である、実施形態92~120のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0424】
122.前記mDORが少なくとも約20ヶ月である、実施形態121に記載の方法、使用のための二重特異性抗体又は使用。
【0425】
123.前記対象の集団が、前記集団における少なくとも12ヶ月のmDORを有する対象の割合を有し、前記集団における少なくとも12ヶ月のmDORを有する対象の前記割合が、少なくとも約60%である、実施形態92~122のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0426】
124.前記対象の集団が、前記二重特異性抗体の投与後にサイトカイン放出症候群を示し、前記対象の集団における前記サイトカイン放出症候群の割合が、約40%以下である、実施形態92~123のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0427】
125.前記対象の集団におけるサイトカイン放出症候群の割合が約10%以下である、実施形態124に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0428】
126.グレード2以上(2018年、米国移植細胞治療学会;ASTCTによる定義)を有するサイトカイン放出症候群の前記割合が約20%以下である、実施形態92~125のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0429】
127.グレード2以上(ASTCTによる定義)を有するサイトカイン放出症候群の前記割合が約5%以下である、実施形態126に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0430】
128.グレード3以上(ASTCTによる定義)を有するサイトカイン放出症候群の前記割合が約0%である、実施形態92~127のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0431】
129.前記二重特異性抗体が静脈内投与される、実施形態92~128のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0432】
130.前記CD20陽性細胞増殖性障害がB細胞増殖性障害である、実施形態1~128のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0433】
131.前記CD20陽性細胞増殖性障害が、再発性又は難治性B細胞増殖性障害である、実施形態1~130のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0434】
132.前記CD20陽性細胞増殖性障害が、非ホジキンリンパ腫(NHL)又は慢性リンパ性白血病(CLL)である、実施形態1~131のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0435】
133.前記NHLがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である、実施形態132に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0436】
134.前記DLBCLがリヒター形質転換である、実施形態133に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0437】
135.前記NHLが濾胞性リンパ腫(FL)である、実施形態134に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0438】
136.前記FLが、グレード1、2、3a又は3bのFLである、実施形態135に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0439】
137.前記FLが形質転換FLである、実施形態135又は136に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0440】
138.前記NHLが、マントル細胞リンパ腫(MCL)又は辺縁帯リンパ腫(MZL)である、実施形態135に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0441】
139.前記二重特異性抗体が、以下の6つの重鎖可変領域(HVR)を含む第4の結合ドメインを含む抗CD20アームを含み、前記6つのHVRが、
(a)GYTFTSYNMH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(b)AIYPGNGDTSYNQKFKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(c)VVYYSNSYWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(d)RASSSVSYMH(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(e)APSNLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(f)QQWSFNPPT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
である、実施形態1~138のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0442】
140.前記二重特異性抗体が、(a)配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、又は(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームを含む、実施形態1~139のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0443】
141.前記第1の結合ドメインが、配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインとを含む、実施形態140に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0444】
142.前記二重特異性抗体が、以下の6つのHVR:
(a)NYYIH(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(b)WIYPGDGNTKYNEKFKG(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(c)DSYSNYYFDY(配列番号11)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(d)KSSQSLLNSRTRKNYLA(配列番号12)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(e)WASTRES(配列番号13)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(f)TQSFILRT(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L3
を含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームを含む、実施形態1~141のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0445】
143.前記二重特異性抗体が、(a)配列番号15のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、(b)配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む第2の結合ドメインを含む、抗CD3アームを含む、実施形態1~142いずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0446】
144.前記第2の結合ドメインが、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号16のアミノ酸配列を含むVLドメインとを含む、実施形態143に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0447】
145.前記二重特異性抗体が、(a)(i)配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖及び(ii)配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗CD20アームと、(b)(i)配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖及び(ii)配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗CD3アームとを含む、実施形態1~144のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0448】
146.(a)前記抗CD20アームが、配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、(b)前記抗CD3アームが、配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号54のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、実施形態145に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0449】
147.前記二重特異性抗体がヒト化抗体である、実施形態1~146のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0450】
148.前記二重特異性抗体がキメラ抗体である、実施形態1~147のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0451】
149.前記二重特異性抗体が、CD20及びCD3に結合する抗体断片である、実施形態1~148のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0452】
150.前記抗体断片が、Fab断片、Fab’-SH断片、Fv断片、scFv断片、及び(Fab’)2断片からなる群から選択される、実施形態149に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0453】
151.前記二重特異性抗体が完全長抗体である、実施形態1~148のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0454】
152.前記二重特異性抗体がIgG抗体である、実施形態1~148及び151のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0455】
153.前記IgG抗体がIgG1抗体である、実施形態152に記載の方法、使用のための二重特異性抗体又は使用。
【0456】
154.前記IgG抗体が、グリコシル化の非存在をもたらすアミノ酸残基N297(EUナンバリング)における変異を含む、実施形態152又は153に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0457】
155.アミノ酸残基N297における前記変異が置換変異である、実施形態154に記載の方法、使用のための二重特異性抗体又は使用。
【0458】
156.アミノ酸残基N297における前記変異が、Fc領域のエフェクター機能を低下させる、実施形態154又は155に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0459】
157.前記変異がN297G又はN297A変異である、実施形態154~156のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0460】
158.前記二重特異性抗体が、エフェクター機能を低下させるFc領域における変異を含む、実施形態153~155のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0461】
159.前記変異が置換変異である、実施形態158に記載の方法、使用のための二重特異性抗体又は使用。
【0462】
160.前記置換変異が、アミノ酸残基L234、L235、D265及び/又はP329(EUナンバリング)におけるものである、実施形態159に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0463】
161.前記置換変異が、L234A、L235A、D265A及びP329Gからなる群から選択される、実施形態160に記載の方法、使用のための二重特異性抗体又は使用。
【0464】
162.前記二重特異性抗体が1つ以上重鎖定常ドメインを含み、前記1つ以上の重鎖定常ドメインが、第1のCH1(CH11)ドメイン、第1のCH2(CH21)ドメイン、第1のCH3(CH31)ドメイン、第2のCH1(CH12)ドメイン、第2のCH2(CH22)ドメイン及び第2のCH3(CH32)ドメインから選択される、実施形態1~148及び151~161のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0465】
163.前記1つ以上の重鎖定常ドメインのうちの少なくとも1つが、別の重鎖定常ドメインと対合される、実施形態162に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0466】
164.前記CH31ドメイン及びCH32ドメインがそれぞれ、突起又は空隙を含み、前記CH31ドメイン内の前記突起又は前記空隙が、それぞれ、前記CH32ドメイン内の前記空隙又は前記突起に配置可能である、実施形態162又は163に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0467】
165.前記CH31ドメイン及びCH32ドメインが、前記突起と前記空隙との間の境界面において接触する、実施形態164に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0468】
166.前記抗CD20アームが、T366W及びN297Gの置換変異(EUナンバリング)を更に含む、実施形態140又は141に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0469】
167.前記抗CD3アームが、T366S、L368A、Y407V及びN297Gの置換変異(EUナンバリング)を更に含む、実施形態143又は144の使用のための方法、二重特異性抗体。
【0470】
168.(a)前記抗CD20アームが、T366W及びN297Gの置換変異を更に含み、(b)前記抗CD3アームが、T366S、L368A、Y407V及びN297Gの置換変異(EUナンバリング)を更に含む、実施形態145又は146に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0471】
169.前記二重特異性抗体がモスネツズマブである、実施形態1~138のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0472】
170.前記対象がヒトである、実施形態1~169のいずれか一項に記載の方法、使用のための二重特異性抗体、又は使用。
【0473】
171.前記PD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを更に含む、実施形態1、5~24、28~46、50~67、71及び75~91のいずれか一項に記載の方法。
【0474】
172.前記PD-1軸結合アンタゴニストが、約1100mg~約1300mgの用量で投与される、実施形態171に記載の方法。
【0475】
173.前記PD-1軸結合アンタゴニストが、約1200mgの用量で投与される、実施形態172に記載の方法。
【0476】
174.前記PD-1軸結合アンタゴニストが、二重特異性抗体の投与を含む第1の投与サイクル後の各投与サイクルの1日目に投与される、実施形態172に記載の方法。
【0477】
175.前記二重特異性抗体が、PD-1軸結合アンタゴニストと共に使用するために製剤化される、実施形態2~23、25~45、47~66、68~70及び72~91のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性抗体又は使用。
【0478】
176.前記PD-1軸結合アンタゴニストが1100mg~約1300mgの用量で投与されるものである、実施形態171に記載の使用のための二重特異性抗体又は使用。
【0479】
177.前記PD-1軸結合アンタゴニストが約1200mgの用量で投与されるものである、実施形態172に記載の使用のための二重特異性抗体又は使用。
【0480】
178.前記PD-1軸結合アンタゴニストが、二重特異性抗体の投与を含む第1の投与サイクル後の各投与サイクルの1日目に投与されるものである、実施形態172に記載の使用のための二重特異性抗体又は使用。
【0481】
179.前記PD-1軸結合アンタゴニストがアテゾリズマブである、実施形態171~178のいずれか一項に記載の方法、使用の二重特異性抗体、又は使用。
【0482】
180.前記対象がヒトである、実施形態171~179のいずれか一項に記載の方法、使用の二重特異性抗体、又は使用。
【0483】
VII.実施例
以下は、本発明の方法の実施例である。上記の一般的な説明を前提として、他の様々な実施形態を実施され得ることが理解される。
【0484】
実施例1.モスネツズマブの段階的負荷ベース投与
本試験は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)及び慢性リンパ性白血病(CLL)を有する患者におけるモスネツズマブの段階的負荷ベース投与の安全性、忍容性及び薬物動態を評価する。患者には、サイクル1の最初の2回の用量の間に段階用量が与えられ、続いてサイクル1の第3の用量及びサイクル2の第1の用量として2つの負荷用量が与えられ、その後のサイクルの間に基本用量が与えられる。
【0485】
図1は、試験の投与計画の概要を示す。患者に、サイクル1の1日目に約1mgのモスネツズマブの第1の段階用量を投与し、続いてサイクル1の8日目に約2mgのモスネツズマブの第2の段階用量を投与する。次いで、患者に、サイクル1の15日目に約60mgのモスネツズマブの第1負荷用量を投与し、続いてサイクル2の1日目に約60mgのモスネツズマブの第2負荷用量を投与する。その後、患者に、各後続サイクルの1日目に約30mgのモスネツズマブの基本用量を投与する。患者に、最初にサイクル3の1日目~サイクル8の1日目に6回の基本用量を投与する。8サイクルの処置後にCRを達成しなかった患者は、追加の6サイクル又は15サイクルの処置のために、約30mgのモスネツズマブの基本用量を継続して受ける(それぞれ合計8又は17回の追加のサイクルの間)。
【0486】
再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する患者において、モスネツズマブ(例えば、C1D1:1mg、C1D8:2mg、C1D15:60mg、C2:60mg、C3+:30mg)の段階的負荷ベース投与の安全性及び忍容性を評価した(n=153)。結果を以下の表4に要約する。
【表4】
【0487】
最初のCRS事象の発症の中央値は16日(1~29日の範囲)であった。CRS事象の持続期間の中央値は3日(1~19日の範囲)であった。
【0488】
4つのグレード3以上のCRS事象が3名の患者で観察され、そのうちの1名が2つのそのような事象を経験した。両方の患者は、重度のCRSのリスクを増加させる疾患特徴を有し、C1D1の1mg用量後にCRS(グレード2)を経験していた。グレード4のCRS事象を経験した最初の患者は、30%の骨髄浸潤、脾腫を有し、ベースラインで48%の循環悪性細胞を有する白血病期であった。試験23日目に、計画された60mg用量のうち11mgの注入後にグレード4のCRSが発生した(C1D15、発熱による8日間の用量遅延)。この事象は7日で解消した。患者は、PDによる処置中止の前に2回の追加のサイクル(C2D1 9mg用量に関連するグレード3のCRS;解消)を受けた。グレード3のCRS事象を経験した二人目の患者は、ベースライン時に30%の骨髄浸潤、脾腫及び循環異常リンパ球系細胞を有していた。試験28日目に、グレード3のCRSが発生した(試験26日目に投与されたC2D1 60mg用量、十二指腸閉塞による4日間の用量遅延)。CRS事象は、低酸素症又は低血圧症を伴わないグレード4の高トランスアミナーゼ血症によって特徴付けられた。事象が解消し、患者は試験処置を継続し、同種異系幹細胞移植を進める前に部分奏効を達成した。登録用量で処置された153名のR/R NHL患者全員において、グレード3以上のCRSが3/153の患者(2%)で発生した。
【0489】
モスネツズマブの段階的負荷ベース投与の効果を、1/2/60/30mg用量での腫瘍サイズの変化に基づいて評価した。結果を
図2に示す。平均して、腫瘍サイズの50%を超える減少が、サイクル2の終了までに(すなわち、42日目又は最初の腫瘍スキャンの最後に)応答者において2回の60mg用量後に観察された。負荷用量後の30mgの基本用量の提案された用量計画は、対象を経時的に高いPK曝露に不必要にさらすことを最小限に抑え、慢性又は累積毒性の潜在的リスクを低下させる。
【0490】
実施例2.再発性又は難治性のB細胞非ホジキンリンパ腫及び慢性リンパ性白血病の患者における単剤としての及びアテゾリズマブと組み合わせた漸増用量のモスネツズマブ(BTCT4465A)の安全性、有効性、及び薬物動態を評価する非盲検多施設第I/Ib相試験
この実施例は、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)及び慢性リンパ性白血病(CLL)を含む、CD20を発現することが予想されるR/R血液悪性腫瘍を有する患者において、単剤として及びアテゾリズマブと組み合わせて投与されるモスネツズマブの第I/Ib相多施設非盲検用量漸増試験であるGO29781を記載する。この試験には、用量漸増段階中に約130~226名の患者(NHL患者100~166名及びCLL患者30~60名)が登録され、世界的には約45~50の研究施設での拡大段階中に約290~520名の患者が登録される。
【0491】
A.目的
本試験は、以下に記載されるように、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)及び慢性リンパ性白血病(CLL)を有する患者におけるモスネツズマブの安全性忍容性及び薬物動態を評価する:
● サイクル1非分割用量スケジュールで単剤として静脈内(IV)投与(A群);
● IVを単剤としてサイクル1ステップアップ用量スケジュールで投与(B群);
● サイクル1のステップアップ用量スケジュールで単剤としてIV投与し、サイクル2で開始してアテゾリズマブを同時投与(E群)。
【0492】
この試験は、以下に記載されるように、R/R NHL及びCLLを有する患者におけるモスネツズマブの最大耐量(MTD)及び用量制限毒性(DLT)を決定する。
【0493】
● サイクル1の非分割用量スケジュールでIV投与(A群);
● サイクル1ステップアップ用量スケジュールでIV投与(B群);
● サイクル1のステップアップ用量スケジュールで単剤としてIV投与し、サイクル2で開始してアテゾリズマブを同時投与(E群)。
【0494】
この試験では、安全性、薬物動態(PK)及び薬力学データに基づいて、R/R NHL患者及びCLL患者における単剤としての及びアテゾリズマブと組み合わせたモスネツズマブの推奨される第II相用量(複数可)及びスケジュール(複数可)が特定される。加えて、この試験では、標準的なNHL応答基準に従って、独立レビュー施設で評価した完全奏効(CR)率によって測定した場合に、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)及び形質転換濾胞性リンパ腫(FL)の患者並びにR/R FLを有する患者において、単剤としてサイクル1ステップアップ投与スケジュール(B群)を使用し、アテゾリズマブ(E群)と組み合わせたモスネツズマブの有効性を評価する。
【0495】
この試験では、モスネツズマブ及びアテゾリズマブ(モスネツズマブと組み合わせて投与した場合)に対する抗薬物抗体(ADA)の発生率、及び関連する臨床転帰との関係を評価する。
【0496】
上記のように、単剤としての、及びアテゾリズマブと組み合わせたモスネツズマブの有効性の評価が主要な目的ではない場合、この試験は、R/R NHL及びCLLを有する患者において、単剤としての、及びアテゾリズマブと組み合わせたモスネツズマブの抗腫瘍活性の予備評価を行う。
【0497】
B.試験設計
試験の説明
図3は、試験の用量漸増部分の概要を提供し、
図4は、用量拡大フェーズを示す。最初に、モスネツズマブを、各サイクルの1日目に単回の非分割IV用量として与える(A群)。第1サイクルの投薬は、その後、A群の用量漸増を停止し、以下のようにモスネツズマブの用量漸増を行うように変更される:
● サイクル1ステップアップIV投与スキームを利用するモスネツズマブ用量漸増(B群)。
【0498】
漸増B群への登録は、必ずしも同時に開始しなくてもよい。
【0499】
アテゾリズマブ(E群)と組み合わせたモスネツズマブ用量漸増も、B群漸増で試験したモスネツズマブ用量レベルに基づいて行う。
【0500】
推奨される第II相用量(RP2D)及びスケジュールが単剤のモスネツズマブ及びアテゾリズマブと組み合わせたモスネツズマブについて特定された後、単剤として及びアテゾリズマブと組み合わせたモスネツズマブの臨床活性の更なる評価が、表示特異的拡大コホートにおいて行われる(
図4)。
NHLにおける用量漸増及び拡大に加えて、NHLにおける別個の漸増及び拡大
CLLを行ってもよい。用量漸増及び用量拡大のための規則は、
NHLの漸増及び拡大について記載されているも野と同一である。
【0501】
用量漸増段階
試験の用量漸増段階は、IV注入によって投与されるモスネツズマブの安全性、忍容性及び薬物動態を評価する。
【0502】
最大5つの用量漸増群を登録し得る(
図3):
● A群サイクル1非分割単剤のモスネツズマブ漸増、IV注入(用量漸増A群への登録は停止し、他の投与スケジュール及びモスネツズマブの経路の評価を優先している);
● B群:サイクル1ステップアップ単剤のモスネツズマブ漸増、IV注入;
● E群:サイクル1ステップアップ単剤モスネツズマブ漸増と、サイクル2で開始するアテゾリズマブIV注入の同時投与;
用量漸増C群(サイクル1 オビヌツズマブの単一用量後の非分割単剤モスネツズマブ;IV注入)を削除した。
【0503】
最初に、A群の用量漸増コホートは1名の患者からなる。標準への変換
【0504】
3+3設計は、本明細書で提供される基準に基づいて行われる。その後、用量漸増コホートは、標準的な3+3設計に従って、DLTが第3の患者の登録前に最初の2名の患者で観察されない限り、少なくとも3名の患者からなる。
【0505】
B群及びE群の用量漸増コホートは、最初の標準的な3+3設計に基づいている。
【0506】
各用量漸増コホートについて、任意の重度及び予想外の急性薬物又は注入/注入関連毒性を評価するために、最初に登録された患者が最初の用量のモスネツズマブを受けてから少なくとも72時間後に、2番目に登録された患者がモスネツズマブ受けるように、最初の用量のモスネツズマブによる処置をずらし、各コホートの後続患者における投薬は、前の患者の投与終了から少なくとも24時間ずらす。MTDを超えないことが示されている用量レベルで追加の安全性及び薬力学データを取得するための追加の患者の登録には、互い違いの患者登録は必要とされない。
【0507】
許容され得る安全性及び臨床的利益の証拠(本明細書で定義される)を示す患者は、確認された客観的疾患進行又は許容され得ない毒性のいずれかが最初に起こるまで、最大8又は17サイクルまで21日ごとにアテゾリズマブと組み合わせたモスネツズマブ又はモスネツズマブを受け続けてもよい。初期処置に対する臨床応答に基づく、アテゾリズマブと組み合わせたモスネツズマブ又はモスネツズマブによる再処置を本明細書で詳述する。
【0508】
血液悪性腫瘍における以前の臨床試験経験は、処置される患者集団に応じて異なる毒性プロファイルが観察され得ることを示唆している。具体的には、CLL患者におけるモスネツズマブの毒性は、より多数の循環腫瘍細胞の存在及び/又は全体的な疾患負荷の差のために、NHL患者の毒性とは異なり得る。CLL患者における毒性プロファイル及び/又はMTDにおけるこの潜在的差異のために、NHL患者及びCLL患者について別々の用量漸増が提供される。初期用量漸増をNHL患者において行う。CLL患者における用量漸増の開始は、治験依頼者の裁量であり、必要に応じてB群の用量漸増規則に従う。CLLにおける累積サイクル1開始用量レベルは、対応するNHL用量漸増におけるDLT評価ウィンドウをクリアした最高累積サイクル1用量を下回る少なくとも1つの用量レベルである。
【0509】
モスネツズマブの用量レベルは、患者の体重とは無関係である(固定/一定投薬)。
【0510】
50μgの開始用量は、ヒトにおける最小予想生物学的効果レベル(MABEL)に基づく。
【0511】
用量制限毒性の定義
CRSは改変サイトカイン放出症候群等級付けシステム(表5)に従って等級付けされるが、用量漸増決定のために、CRSに関連するDLTは、国立癌研究所有害事象共通用語集(NCI CTCAE)v4.0に従って個々の徴候及び症候並びに検査データに基づいて定義される。用量制限毒性(DLT)は、臨床診療に従って処置され、それらの解消を通じてモニターされる。全ての有害事象は、そのような事象が治験責任医師によって別の明確に特定可能な原因(例えば、文書化された疾患進行、併用療法、又は既存の病状)に明確に帰するのでない限り、モスネツズマブに関連すると見なされるべきである。B細胞の減少に起因するB細胞の減少、リンパ球減少症、及び/又は白血球減少症は、それらがモスネツズマブ処置の予想される薬力学的転帰であるため、DLTとはみなされない。
【表5】
【0512】
低用量昇圧剤:表6に示す用量未満の単一昇圧剤。高用量昇圧剤:表6に定義される通り。
【表6】
【0513】
VASST 昇圧剤等価方程式:ノルエピネフリン等価用量=[ノルエピネフリン(μg/分)]+[ドーパミン(μg/kg/分)÷2]+[エピネフリン(μg/分)]+[フェニレフリン(μg/分)÷10]。
【0514】
用量漸増目的のため、DLT評価期間は、割り当てられた用量漸増群に応じて以下の期間によって定義される。
【0515】
● A群及びB群:サイクル1の1日目~サイクル1の21日目。
-処置B群については、21日間のDLT評価期間を、本明細書中に記載されるような3つのウィンドウに細分する。
-処置B群については、C1D8及び/又はC1D15投与の用量遅延の場合、DLT評価期間は、それに応じてC1D15投与日の7日後まで延長される。
● E群:サイクル2の1日目~サイクル2の21日目
【0516】
DLTは、DLT評価期間中に起こる以下の有害事象のいずれかとして定義される:
● 以下の例外を除いて、治験責任医師が別の明確に特定可能な原因に起因すると考えていないグレード4の有害事象:
-体温上昇を伴わず(≧38.3℃(101°F)の単回の経口温度又は≧1時間持続した≧38.0℃(100.4°F)の経口温度として)、1週間以内にグレード2以下(又はベースライン値の80%以上のいずれか低い方まで)に改善するグレード4の好中球減少症。
-治療の予想される転帰であるグレード4のリンパ球減少症。
-治療の予想される転帰であるグレード4の白血球減少症。
-CLL患者のみについて:好中球減少症は、国立癌研究所が主催するワーキンググループ(NCI-WG)の定義(Hallek et al.,Blood,111:5446-5456,2008)に基づいて等級付けされる。試験処置前の骨髄関与による1000/mm3未満の絶対好中球数(ANC)は、ANCに基づいてDLTについて評価可能ではない
-CLL患者のみについて:血小板減少症はNCI-WG定義に基づいて等級付けされる(Hallek et al.,Blood,111:5446-5456,2008);試験処置前の骨髄浸潤に起因する20,000/μL未満の血小板数は、血小板数に基づいてDLTについて評価することができない。
-CLL患者のみについて:貧血はNCI-WG定義に基づいて等級付けする(Hallek et al.,Blood,111:5446-5456,2008);赤血球(RBC)輸血なしで1週間以内にグレード3に改善し、更にもう1週間以内にグレード2に改善するグレード4の貧血は、DLTではない。
【0517】
● 以下の例外を除いて、治験責任医師が別の明確に特定可能な原因に起因すると考えていないグレード3の血液学的有害事象:
-治療の予想される転帰であるグレード3のリンパ球減少症。
-治療の予想される転帰であるグレード3の白血球減少症。
-体温上昇を伴わず(≧38.3℃(101°F)の単回の経口温度又は≧1時間持続した≧38.0℃(100.4°F)の経口温度として)、1週間以内にグレード2以下(又はベースライン値の80%以上のいずれか低い方まで)に改善するグレード3の好中球減少症。
CLL患者のみについて:好中球減少症は、慢性リンパ性白血病に関するNCI-WGグレーディングスケール(Hallek et al.,Blood,111:5446-5456,2008)に基づいて等級付けされる。試験処置前の骨髄の関与によるANC<1000/mm3は、ANCに基づくDLTについて評価可能ではない。
-血小板輸血なしで1週間以内にグレード2以下(又はベースライン値の80%以上のいずれか低い方まで)に改善し、治験責任医師が臨床的に有意と考える出血を伴わないグレード3の血小板減少症。
CLL患者のみについて:血小板減少症はNCI-WG定義に基づいて等級付けされる(Hallek et al.,Blood,111:5446-5456,2008);試験処置前の骨髄浸潤に起因する20,000/μL未満の血小板数は、血小板数に基づいてDLTについて評価することができない。
-CLL患者のみについて:RBC輸血なしで1週間以内にグレード2に改善するグレード3貧血(慢性リンパ性白血病に関するNCI-WGグレーディングスケールに基づく)(Hallek et al.,Blood,111:5446-5456,2008)。
【0518】
● 以下の例外を除いて、治験責任医師が別の明確に特定可能な原因に起因すると考えていないグレード3の非血液学的有害事象:
-前投薬の非存在下でのグレード3の悪心又は嘔吐、又は24時間以内に経口制吐薬又はIV制吐薬でグレード2以下に回復して管理することができる。完全な非経口栄養又は入院を必要とするグレード3の悪心又は嘔吐は除外されず、DLTとみなされるべきである。
-3日間以下続くグレード3の疲労。
-グレード2以下のCRS(表5)の状況で発生し、3日未満続くCRSのグレード3(NCI CTCAE v 4)の個々の徴候及び症候は、DLTとはみなされない。
-無症候性であり、治験責任医師によって臨床的に有意でないと考えられるグレード3の検査室異常。
【0519】
● 以下によって定義される肝機能異常:
-アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)又はアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)>3×正常値の上限(ULN)及び総ビリルビン>2×ULN。AST又はALTが全てULNの3倍であり、総ビリルビンが>2×ULNであり、
個々の臨床検査値がグレード3を超え、3日未満続く場合、DLTとはみなされない。
-以下を除くグレード3のAST又はALT上昇:3日未満続くグレード3のAST又はALT上昇は、DLTとみなされない。
【0520】
用量漸増規則及び最大耐量の決定
A、B、及びE群の用量漸増の具体的な規則を以下に詳述する。個々の群の用量漸増の開始は、治験依頼者の裁量による。各用量漸増決定の前に、関連する人口統計学、AE、実験室、用量投与、並びに利用可能なPK及び薬力学データ(例えば、血清サイトカイン及びT細胞活性化のマーカー)をレビューする。
【0521】
患者がDLT評価のために評価可能であるかどうかの判定は、以下の規則に従って行われる。
● 試験処置を受け、DLT評価ウィンドウを通じて試験を継続している患者は、DLT評価可能であると考えられる。
● DLT以外の理由でDLT評価ウィンドウを完了する前に単剤のモスネツズマブ又はアテゾリズマブと組み合わせたモスネツズマブによる処置を中止した患者は、用量漸増決定及びMTD決定のために評価不可能であると考えられ、その同じ用量レベルで追加の患者に置き換えられる。
● B群のみに登録された患者:非DLT有害事象に対して予定されたC1D1、C1D8、又はC1D15用量の7日を超える用量遅延を有する患者は、DLT評価不能であり得、置き換えられてもよい。7日以下の用量遅延を有する患者の場合、DLTウィンドウは、実際のC1D15用量の7日後まで延長する。
● E群の患者についてのみ:登録患者が、サイクル2での併用処置の開始前にベースラインレベルまで完全には解消されない処置下で発現した毒性を経験した場合、その患者は用量漸増決定及びMTD決定のために評価不可能であると考えられ、その同じ用量レベル及びスケジュールで追加の患者に置き換えられる。
● DLTの評価を混乱させるDLT評価ウィンドウの間に支持療法を受ける患者(DLT定義の一部として本明細書に記載される支持療法を含まない)を置き換えてもよい。
【0522】
リアルタイムの安全性データ及び利用可能な予備PKデータのレビューに基づいて、用量漸増を適宜中止又は修正してもよい。
【0523】
RP2Dをより十分に知らせるために更なる安全性及び薬力学データを得るために、上記の用量漸増基準に基づいてMTDを超えないことが示されており、抗腫瘍活性及び/又は薬力学的バイオマーカー調節の証拠がある用量レベルで追加の患者を登録してもよい。用量レベルあたり最大約3名の追加の患者が登録され得る。用量漸増決定の目的のために、これらの患者はDLT評価可能集団の一部として含まれない。
【0524】
C.選択基準
患者は次の試験登録基準を満たす:
● 年齢18歳以上
● 試験の治験実施計画書を遵守できると治験責任医師が判断すること
● 米国東海岸癌臨床試験群のパフォーマンスステータス0又は1
● 少なくとも12週間の平均余命
● 少なくとも1つの以前の全身処置計画の後に再発したか又はそれに応答しなかった、CD20抗原を発現すると予想され、生存率を改善すると予想される利用可能な治療法(例えば、標準的な化学療法、自家幹細胞移植(SCT)、CAR-T)がない、以下の組織学的に記録された血液悪性腫瘍の1つの病歴:
-用量漸増:
● グレード1~3bのFL;辺縁帯リンパ腫(脾臓、結節、及び結節外を含む);形質転換された緩徐進行型NHL;リヒター形質転換;DLBCL;縦隔原発B細胞リンパ腫;小リンパ球性リンパ腫;又はマントル細胞リンパ腫。
-用量拡大:
● DLBCL/形質転換FLコホート:患者は、少なくとも2つの以前の全身処置計画(アントラサイクリンを含む少なくとも1つの事前計画、及び抗CD20指向性療法を含む少なくとも1つの事前計画を含む)の後に再発したか、又はそれに応答しなかった。試験に登録された形質転換FL患者の数は限定され得る。形質転換FLは、DLBCLコホートへの登録に適格な診断であるが、形質転換FLに対する標準治療に対して再発性又は難治性である。
● FLコホート:グレード1、2、3a又は3bのFL;患者は、少なくとも2つの先行する系統の全身療法後に再発したか又はそれに応答することができず、抗CD20指向療法及びアルキル化剤による先行する処置を受けたことがある。FL拡大コホートの患者は、抗CD20指向療法及びアルキル化剤の両方に対して難治性であり得る。
● MCLコホート:患者は、承認されたブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤を含む少なくとも1つの以前の処置計画後に再発したか、又はそれに応答しなかった。臨床試験への参加中にBTK阻害剤が投与された場合、患者は治療用量レベルで処置を受けたことがある。
● リヒター形質転換コホート:患者は、少なくとも1つの以前の全身処置計画の後に再発したか、又はそれに応答しなかった。患者は、以前の処置計画(複数可)でアントラサイクリン及び抗CD20指向療法を受けたことがある。
-CLL:
● DLTの非存在下でNHL用量漸増コホートにおいて薬力学的バイオマーカー調節及び/又は抗腫瘍活性の証拠が観察された後、CLL患者において、治験依頼者の裁量で別個の用量漸増を開始し得る。リヒター形質転換を伴うCLLは、CLL漸増コホートへの登録に適格な診断である。
● NHL患者は、少なくとも1つの二次元的に測定可能な病変(コンピュータ断層撮影(CT)スキャン又は磁気共鳴画像法(MRI)による、リンパ節病変についてはその最大寸法が1.5cm超、又はリンパ節外病変についてはその最大寸法が1.0cm超)を有する。
● DLBCL又は形質転換FLを有する患者については、入手可能であれば、最初の病理組織診断のための病理報告が提供される。形質転換FLを有する患者はまた、入手可能であれば、疾患形質転換時に病理報告を提供する。原発細胞、B細胞リンパ腫2及びMYC異常を評価する試験を含むがこれらに限定されない、最初の診断時に組織に対して行われた全ての試験の結果は、行われた場合に提供される。
● 以下のとおり腫瘍試料を提供することを約束する。
-二次元的に測定可能な複数の病変(1.5cm超)を有するNHL患者について
リンパ節病変の最大寸法、又はCTスキャン又はMRIによるリンパ節外病変の最大寸法>1.0cm)、治験責任医師による決定に従って安全にアクセス可能な部位からの生検を受けることに同意する。先行する抗癌療法の最後の用量と最初の用量のモスネツズマブとの間の任意の時点で得られた生検は許容され得る。
-CLL患者の場合:骨髄生検及び吸引。
-生検処置を受けることができない患者は、試験登録に適格であり得る。そのような場合、保管腫瘍組織試料(パラフィンブロック又は少なくとも15枚の未染色スライド)を利用可能にすべきである。
● 以前の抗癌療法からの有害事象がグレード1以下に解消した。
● CLL患者のみ:>5000/μL血液の循環リンパ球数を有する。CTスキャンによる測定可能な疾患は不要である。
● 実験値は以下の通りである。
-肝機能
AST及びALT≦3×正常値上限(ULN)
総ビリルビン≦1.5×ULN;ジルベール症候群の記録された病歴を有し、総ビリルビン上昇が間接ビリルビン上昇を伴う患者が適格である
-血液機能
初回投与前14日以内に輸血なしで血小板数≧75,000/mm3
ANC≧1000/mm3
モスネツズマブの初回投与前21日以内に輸血なしで総ヘモグロビン≧10g/dL。
NHL/CLLの広範な骨髄浸潤及び/又は疾患関連血球減少症(例えば、免疫性血小板減少症)のために血液学的機能の基準を満たさない患者を試験に登録してもよい。
-コッククロフト・ゴールト(Cockcroft-Gault)法又は他の施設標準法(例えば、核医学腎スキャンに基づく)による血清クレアチニン≦ULN又は推定クレアチニンCL≧60mL/分。
● 最初のモスネツズマブ投与前6ヶ月以内にアレムツズマブ、フルダラビン、クラドリビン、又はペントスタチンで処置された患者は、メディカルモニターが確認した後にのみ登録され得る。
【0525】
D.除外基準
● 以下の基準のいずれかを満たす患者は試験から除外される:
● 治験実施計画書に定められた入院及び活動の制限を遵守することができない
● 妊娠中若しくは授乳中、又は試験中若しくはモスネツズマブの最後の投与後3ヶ月以内、及びトシリズマブの最後の投与後3ヶ月以内に妊娠することを意図している(該当する場合)
-閉経後(治療非誘発性無月経の12ヶ月以下)又は外科的に無菌でない(卵巣及び/又は子宮の除去)女性は、試験薬物の開始前14日以内に血清妊娠検査結果が陰性でなければならない。
最初の試験処置を受ける前の14日間に血清妊娠検査が行われなかった場合、尿妊娠検査の陰性結果(試験処置の前の7日間に行われた)が利用可能でなければならない。
● 最初のモスネツズマブ投与前4週間以内の任意のモノクローナル抗体、放射性免疫コンジュゲート又は抗体-薬物コンジュゲートの事前使用
● 作用機序がT細胞を伴う全身免疫療法剤(サイトカイン療法並びに抗CTLA-4、抗PD-1及び抗PD-L 1治療抗体が含まれるが、これらに限定されない)による初回のモスネツズマブ投与前の薬物の12週間以内又は5半減期のいずれか短い方の期間内での先行する処置
● 以前の免疫治療剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤療法)に関連する処置下で発現した免疫関連有害事象は以下の通りである:
-補充療法で管理されたグレード3の内分泌不全症を除いて、グレード3以上の有害事象
-処置中止後にベースラインまで解消しなかったグレード1~2の有害事象
-CAR-T細胞療法等の特定の先行する処置については、以前の免疫関連グレード3以上の有害事象(例えば、CRS)を有する患者は、メディカルモニターとの議論及び確認後に登録され得る。
● 最初のモスネツズマブ投与前の薬物の4週間又は5半減期のいずれか短い方の期間内での任意の化学療法剤による処置、又は任意の他の抗癌剤(治験薬又はその他)による処置
● 最初のモスネツズマブ投与前2週間以内の放射線療法による処置。
● 患者が最初のモスネツズマブ投与前4週間以内に放射線療法を受けている場合、患者は放射線照射野の外側に少なくとも1つの測定可能な病変を有していなければならない。以前に放射線照射されたがその後進行した1つの測定可能な病変のみを有する患者が適格である。
● 最初のモスネツズマブ投与前100日以内の自己SCT
● 最初のモスネツズマブ投与前30日以内のCAR-T療法による事前処置
● R/R DLBCL又はR/R形質転換FLを有する患者における自己SCTの現在の適格性
● 先行する同種異系SCT
● 先行する固形臓器移植
● 心筋炎、間質性肺炎、重症筋無力症、筋炎、自己免疫性肝炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、炎症性腸疾患、抗リン脂質症候群に伴う血管血栓症、ウェゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、ギラン・バレー症候群、多発性硬化症、血管炎、又は糸球体腎炎を含むがこれらに限定されない自己免疫疾患の病歴。
-自己免疫疾患の遠隔病歴又は十分に制御された自己免疫疾患を有する患者は、メディカルモニターとの議論及び確認後に登録する資格があり得る。インスリン計画を受けている制御された1型糖尿病患者は試験に適格である。
-安定用量の甲状腺補充ホルモンで自己免疫関連甲状腺機能低下症の病歴を有する患者は、この試験に適格であり得る。
-疾患関連免疫性血小板減少性紫斑病又は自己免疫性溶血性貧血の病歴を有する患者は、この試験に適格であり得る。
-湿疹、乾癬、慢性単純性苔癬、又は皮膚症状のみを伴う白斑(例えば、乾癬性関節炎を有する患者は除外される)を有する患者は、以下の条件の全てが満たされるならば、試験に適格である:
発疹が覆っている体表面積は10%未満でなければならない
疾患はベースラインで十分に制御されており、低効力の局所コルチコステロイドのみを必要とする
過去12ヶ月以内にソラレン+紫外線A照射、メトトレキサート、レチノイド、生物学的薬剤、経口カルシニューリン阻害剤、又は高効力若しくは経口コルチコステロイドを必要とする基礎症状の急性増悪の発生がない
● マクロファージ活性化症候群(MAS)/血球貪食性リンパ組織球症(HLH)の病歴を有する患者
● 確認された進行性多巣性白質脳症の病歴を有する患者
● モノクローナル抗体療法(又は組換え抗体関連融合タンパク質)に対する重度のアレルギー反応又はアナフィラキシー反応の病歴
● プロトコルの遵守又は結果の解釈に影響を及ぼし得る他の悪性腫瘍の病歴
-治癒的に処置された皮膚の基底細胞癌若しくは扁平上皮癌又は子宮頸部の上皮内癌の病歴を有する患者は許容される。
-治癒目的で処置された悪性腫瘍を有する患者はまた、最初のモスネツズマブ投与前に悪性腫瘍が2年間以上処置なしに寛解状態であった場合にも許容される。
● CNSリンパ腫の現在又は過去の病歴
● CNS疾患、例えば脳卒中、てんかん、CNS血管炎、又は神経変性疾患の現在又は過去の病歴
-過去2年間に脳卒中又は一過性虚血発作を経験しておらず、治験責任医師によって判断されるような残存神経障害を有さない脳卒中の病歴を有する患者は、許容される。
-抗てんかん薬を何も受けていないが、過去2年間発作を起こしていないてんかんの病歴を有する患者は、拡大コホートにおいてのみ許可される。
● 有意な心血管疾患、例えばニューヨーク心臓病学会クラスIII又はIV心疾患、過去6ヶ月以内の心筋梗塞、不安定性不整脈又は不安定狭心症)
● 有意な活動性肺疾患(例えば、気管支痙攣及び/又は閉塞性肺疾患)
● 試験登録時の既知の活性細菌、ウイルス、真菌、マイコバクテリア、寄生虫、又は他の感染症(爪床の真菌感染症を除く)、又は最初のモスネツズマブ投与前4週間以内にIV抗生物質による処置又は入院(一連の抗生物質の完了に関連する)を必要とする感染症の任意の主要なエピソード
● 既知又は疑われる慢性活動性エプスタインバーウイルス感染
● 初回のモスネツズマブ投与前4週間以内の最近の大手術
-治験実施計画書に規定された手順(例えば、腫瘍生検及び骨髄生検)が許可されている。
● 急性又は慢性B型肝炎ウイルス(HBV)感染についての陽性血清学的又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験結果
-HBV感染状態が血清検査結果(www.cdc.gov/hepatitis/hbv/pdfs/serologicchartv8.pdf)によって判定できない患者は、試験参加に適格であるためにはPCRによるHBVについて陰性でなければならない。
急性又は慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染
-HCV抗体が陽性である患者は、試験参加に適格であるためにはPCRによりHCV陰性でなければならない。
● HIV感染症の陽性血清検査結果
● 試験中にこのような生弱毒化ワクチンが必要となるであろう試験処置又は予測の最初の用量の4週間前以内の生弱毒化ワクチンの投与
-患者は、試験処置を受けている間、又はB細胞が正常範囲まで回復するまで最後の投与後に、生弱毒化ワクチン(例えば、FluMist(登録商標))を受けてはならない。死滅ワクチン又はトキソイドは、十分な免疫の発達を可能にするために、試験処置の最初の用量の少なくとも4週間前に投与されるべきである。
-不活化インフルエンザワクチン接種は、インフルエンザシーズン中にのみ行うべきである。
-治験責任医師は、この試験のために考慮されている潜在的な試験患者のワクチン接種状況を検討し、試験前に感染症を予防することを意図した任意の他の非生ワクチンによる成人ワクチン接種のための米国疾病管理予防センターのガイドラインに従うべきである。
【0526】
製剤
モスネツズマブ
体重に依存しない一定の投薬が、モスネツズマブに対して使用される。各患者のモスネツズマブの用量は、プロトコルに詳述されている用量レベルの割り当てに依存する。
【0527】
モスネツズマブは、適用可能な場合、標準的な医療用シリンジ及びシリンジポンプを使用したIV注入又はIVバッグのいずれかによって患者に投与される。相溶性試験は、モスネツズマブが拡張セット及びポリプロピレンシリンジにおいて安定であることを示している。IV投与される場合、製剤は、用量によって決定される最終的なモスネツズマブ体積を有するIV注入セット又はIVバッグを介してシリンジポンプによって送達される。
【0528】
モスネツズマブは、医療上の緊急事態に対応し管理するための訓練された救命救急要員及び設備に直ちにアクセスできる状況で投与される。
【0529】
モスネツズマブは、十分に水分補給された患者に投与される。デキサメタゾン20mgのIV又はメチルプレドニゾロン80mgのIVからなるコルチコステロイド前投薬を、各モスネツズマブ用量の投与の1時間前に投与する。コルチコステロイド前投薬のこの投与は、治験責任医師の評価に基づいて、B群の患者についてはサイクル3以降、又はE群の患者についてはサイクル4以降に任意であり得る。しかしながら、患者がCRSを経験する場合、
ステロイドによる前投薬は、追加のCRS事象が観察されなくなるまで、その後の投与のために投与される。さらに、経口アセトアミノフェン又はパラセタモール(例えば、500~1000mg)及び/又は50~100mgのジフェンヒドラミンによる前投薬は、
モスネツズマブの投与の前に、標準的な施設内診療に従って、投与され得る。コルチコステロイド前投薬の必要性を変更する決定は、IMCの推奨に基づいて行われる。
【0530】
CRSの推奨される管理を表7に詳述する。
【表7】
【0531】
Lee et al.,Blood,124:188-195,2014によるCRSグレーディング。
【0532】
トシリズマブは8mg/kg IVの用量で投与されるべきである(30kg以上の体重の参加者のみについて8mg/kg;30kg未満の体重の参加者については12mg/kg;注入あたり800mgを超える用量は推奨されない);必要に応じて8時間ごとに繰り返す(最大4回まで)。
【0533】
抗真菌予防は、CRSの処置のためにステロイドを受けている患者において強く考慮されるべきである。
【0534】
例えば、メチルプレドニゾロンIV1000mg/日を3日間、続いて250mgで12時間ごとに2日間、125mgで13時間ごとに2日間、及び60mgで12時間ごとに2日間急速に漸減する。
【0535】
グレード3のCRSが、サイクル1の1日目又はサイクル1日目8日目のモスネツズマブ投与後のステップアップ投与コホートで発生する場合、次のモスネツズマブ用量をメディカルモニターと議論すべきであり、用量減少を考慮すべきである。例外は、個々のリスク-ベネフィット評価に基づいて同じステップアップ用量を繰り返すと見なされ得る。
【0536】
モスネツズマブの再開は、利益を得ており、有害事象から完全に回復した患者において考慮され得る。治験責任医師(又は適切な代理人)及びメディカルモニターの両方によって承認が文書化された後にのみ、患者にモスネツズマブを再チャレンジすることができる。以下の全ての基準を満たさない限り、更なる処置は考慮されない:
● 治験責任医師/処置医師による個別のリスク-ベネフィット評価は、継続的な処置を支持する;
● 患者は以前の毒性から回復しており、その後の用量を受けるのに十分な臓器機能/予備能を有する;
● 患者は、継続的な処置に関連するリスクについて十分に同意されており、その後の用量を受けることを決定する;
● 患者の上記のリスク-ベネフィット評価及び評価は、治験依頼者と検討される;
● その後の用量は、用量減少、50%以下の遅い注入速度、強制入院、及び前投薬の強化を含む予防措置で十分に計画されている。
【0537】
IVモスネツズマブ投与の場合、最初に、モスネツズマブを4時間±15分かけて注入する。注入に関連する症候を経験している患者については、注入を減速又は中断してもよい。各モスネツズマブ用量の後、発熱、悪寒、悪寒、悪寒、低血圧、吐き気、又はCRSの他の徴候及び症候について、患者を少なくとも90分間観察する。注入関連有害事象がない場合、サイクル2以降のモスネツズマブの注入時間は、2時間±15分に短縮され得る。患者内用量漸増を受ける患者は、最低4時間かけて最初の高用量のモスネツズマブの注入を受けるべきである。以下の表8は、注入部位反応を取り扱うための管理ガイドラインを示す。
【表8】
【0538】
アテゾリズマブ及びトシリズマブ
この試験におけるアテゾリズマブの用量レベルは、サイクル2の1日目及びその後の各21日間サイクルの1日目にIV注入によって投与される1200mgである。
【0539】
トシリズマブは、標準的な慣行に従って製剤化され、調製され、取り扱われる。
【0540】
アテゾリズマブの投与量、投与、及びコンプライアンスと組み合わせたモスネツズマブ
モスネツズマブをアテゾリズマブと組み合わせて投与する場合、モスネツズマブは上記のように投与すべきである。アテゾリズマブ注入は、モスネツズマブ注入の完了の少なくとも1時間後に開始すべきである。この試験におけるアテゾリズマブの用量レベルは、サイクル2の1日目及びその後の各21日間(Q3W)の1日目にIV注入によって投与される1200mgである。
【0541】
最初に、サイクル2でアテゾリズマブと組み合わせて投与する場合、モスネツズマブを4時間±15分かけて注入する。サイクル3から開始して、注入関連有害事象がない場合、モスネツズマブの注入時間を2時間±15分に短縮してもよい。
【0542】
アテゾリズマブの投与は、訓練された人員並びに潜在的に重篤な反応を管理するための適切な機器及び薬剤に直ちにアクセスできるモニターされた設定で行われる。アテゾリズマブ注入は、表9に概説される指示に従って投与される。
【表9】
【0543】
特定の有害事象の管理のためのガイドラインを以下に提供する。処置の中断又は中止のためのガイドラインを以下に提供する。アテゾリズマブの用量変更は許可されない。
【0544】
E.併用療法
併用療法には、スクリーニングの7日前から試験完了/中止来院までに患者が使用した任意の薬物(例えば、処方薬、市販薬、ハーブ又はホメオパシー薬、栄養補助食品)が含まれる。
【0545】
経口避妊薬、ホルモン補充療法又は他の維持療法を使用する患者は、使用を継続すべきである。
【0546】
エリスロポエチン、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(サルグラモスチム)又はトロンボポエチン(オプレルベキン、エルトロンボパグ)等の造血成長因子の併用は、DLTの非存在下でのスクリーニング期間の開始からDLT評価期間の終了までの間に用量を開始又は増加させるべきではない。DLT評価期間が完了した後、又はDLTが実証された後、
添付文書、施設内診療及び/又は公表されたガイドラインに記載された指示に従って、造血成長因子の開始又は用量及びスケジュールの変更が許可される。
【0547】
G-CSF(フィルグラスチム、ペグフィルグラスチム)の予防的及び治療的使用は、添付文書、施設内診療、及び/又は公開されたガイドライン(Smith et al.,2015)に提供された説明書に従って許可される。医学的に禁忌でない限り、絶対好中球数(ANC)が500/mm3未満である場合、増殖因子の支援を開始すべきである;増殖因子が禁忌である場合、これをメディカルモニターと議論すべきである。
【0548】
ウイルス感染症、真菌感染症、細菌感染症又はニューモシスチス感染症に対する抗感染予防が許可され、施設の慣例に従って開始されるべきである。
【0549】
モスネツズマブ注入に関連する症候を経験する患者は、本明細書に記載されるように対症的に処置され得る。公表された推奨及び/又は施設内診療による重度のCRS又はHLHの処置が許可される。
【0550】
予想されるモスネツズマブの薬理学を考慮すると、サイトカインの一過性放出はCYP 450酵素を抑制し、薬物-薬物相互作用を引き起こし得る。非臨床モデルに基づいて、サイトカインレベルは、最初のサイクルの最初の24時間の間に最も高くなる可能性が高い。その後のサイクルの間、CD 20+細胞の数が減少するにつれて、サイトカインレベルが実質的に低下することが予想される。薬物-薬物相互作用のリスクが最も高い患者は、CYP 450基質であり、狭い治療指数を有する併用薬を投与されている患者であり得る(表10)。そのような併用薬は、毒性についてモニターされ、それに応じて用量が調整されるべきである。
【表10】
【0551】
感受性CYP基質とは、既知のCYP阻害剤と同時投与した場合に血漿AUC値が5倍以上増加することが示されている薬物を指す。
【0552】
治療範囲が狭いCYP基質とは、CYP阻害剤の併用による曝露レベルのわずかな増加が重大な安全性の懸念(例えば、トルサード・ド・ド・ポアンツ(Torsades de Pointes))をもたらし得ることを曝露-応答関係が示す薬物を指す。
【0553】
これらの基質のAUCは、CYP2B6阻害剤では5倍以上増加しなかったが、現在までに評価された利用可能な阻害剤で研究された最も感受性の高い基質である。
【0554】
レパグリニドはOATP1B1の基質でもあり、治験薬によるOATP1B1の阻害が除外されている場合にのみCYP2C8基質として適している。
【0555】
多数のCYP3A基質(例えば、ダルナビル、マラビロク)もP-gpの基質であるので、観察された曝露の増加は、CYP3A及びP-gpの両方の阻害に起因し得る。
【0556】
肝臓のCYP450酵素は、IL-6等のサイトカインを含む感染及び炎症刺激によってダウンレギュレートされる。トシリズマブで処置された関節リウマチ患者におけるIL-6シグナル伝達の阻害は、トシリズマブで処置されていない患者よりも高いレベルまでCYP 450活性を回復させ、CYP450基質である薬物の代謝の増加をもたらし得る。インビトロ試験は、トシリズマブが、CYP1A2、CY2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4を含む複数のCYP酵素の発現に影響を及ぼす可能性を有することを示した。CYP2C8に対するトシリズマブの効果又は
トランスポーターは知られていない。オメプラゾール(CYP2C19及びCYP3A4によって代謝される)及びシンバスタチン(CYP3A4によって代謝される)を用いたインビボ研究は、それぞれ、トシリズマブの単一用量後1週間で曝露量の最大28%及び57%の減少を示した。
【0557】
CYP酵素に対するトシリズマブの効果は、用量が個別に調整される場合、狭い治療指数を有するCYP450基質に臨床的に関連し得る(表10):
これらのタイプの医薬品で処置されている患者におけるトシリズマブの開始又は中止時に、効果(例えば、ワルファリン)又は薬物濃度(例えば、シクロスポリン又はテオフィリン)の治療モニタリングを実施し、医薬品の個々の用量を必要に応じて調整すべきである。
【0558】
処方者は、トシリズマブがCYP3A4基質薬物と同時投与される場合、有効性の低下が望ましくないときは注意を払うべきである(例えば、経口避妊薬、ロバスタチン、アトルバスタチン)。
【0559】
CYP450酵素活性に対するトシリズマブの効果は、治療停止後数週間持続し得る。
【0560】
F.CRSのための修正された等級スケールを使用する理由
この試験では、モスネツズマブ処置から生じるCRSの有害事象の等級付け及び処置は、Lee et al.,Blood,124:188-195,2014の公開されている基準に基づいており、表5に記載されている。用量漸増決定のために、CRSに関連するDLTを、NCI CTCAE v4.0に従って個々の徴候及び症候、並びに実験データに基づいて定義する。
【0561】
NCI CTCAE v4.0 CRSグレーディングスケールは、モノクローナル抗体(Lee et al.,Blood,124:188-195,2014)による処置後のCRSの特徴付けに基づいた。モスネツズマブ等の二重特異性及びCARを発現する操作されたT細胞等の養子細胞療法を含むT細胞指向療法は、従来のモノクローナル抗体に関連するものとは異なるT細胞活性化からのサイトカイン放出の薬力学的プロファイルをもたらす。その結果、NCI CTCAE v4.0によって定義されるCRSの臨床的特徴は、T細胞指向療法後のものには適用できない可能性がある。
【0562】
T指向性治療のためのCRSの評価を特に対象とするいくつかの代替的な格付け尺度が提案され、公開されている(Davila et al.,Sci Transl Med,6:224ra25,2014;Lee et al.,Blood,124:188-195,2014;Porter et al.,Sci Transl Med,7:303ra139,2015)。Lee et al.の等級付けシステムは、CD19指向CAR-T細胞及びブリナツモマブによる処置から生じるCRSに基づく。これはNCI CTCAE v4.0の改変であり、CRSの状況で起こり得る肝臓トランスアミナーゼの一過性上昇の説明を含む更なる診断の詳細を提供する。診断基準に加えて、コルチコステロイド及び/又は抗サイトカイン療法による早期介入を含む、CRSの重症度に基づくCRSの管理に関する推奨が提供され、実施例8Cで参照される。したがって、CRS格付け尺度を組み込むことにより、公開され広く採用されている報告ガイドラインと管理ガイドラインとの間の整合が可能になる。
【0563】
G.評価基準
安全性評価基準
モスネツズマブの安全性及び忍容性を、以下の主要な安全性評価基準を使用して評価する。
【0564】
● モスネツズマブを単剤IV又はSCとして投与した場合のDLTの発生率及び性質。
● モスネツズマブをアテゾリズマブと組み合わせて投与した場合のDLTの発生率及び性質。
【0565】
安全性及び忍容性は、以下の二次安全性を使用して更に評価される。
【0566】
評価基準:
● 有害事象(AE)の発生率、性質及び重症度。
● モスネツズマブ及びアテゾリズマブに対する抗薬物抗体(ADA)の発生率、並びに臨床転帰とのそれらの関係。
● バイタルサイン及び臨床検査値の変化。
【0567】
薬物動態評価基準
以下のPKパラメータは、血清濃度-時間プロファイルから導出される。
【0568】
必要に応じてデータが許す場合、投与後のモスネツズマブ:
● 総曝露量(濃度-時間曲線下面積[AUC])
● 最大血清濃度(Cmax)
● 最低血清濃度(Cmin)
● クリアランス(CL)
● 定常状態での分布容積(Vss)。
【0569】
アテゾリズマブ及びトシリズマブについての血清トラフ及び最大濃度は、適用可能な場合、必要に応じて、及びデータが許す場合に要約される。区画法、非区画法、及び/又は集団法が考慮され得る。蓄積比、t1/2、及び線量比例性等の他のパラメータも計算してもよい。
【0570】
活性評価基準
この試験の活性評価基準は以下の通りである。
【0571】
● NHL(Cheson et al.,J Clin Oncol,25:579-586 2007)及びCLL(Hallek et al.,Blood,111:5446-5456,2008)の標準的基準を使用して治験責任医師が評価した、部分奏効(PR)又は完全奏効(CR)と定義される、治験責任医師が評価した客観的奏効。
● 治験責任医師によって評価された客観的奏効期間(治験責任医師によって評価された疾患の進行又は再発の時点までの、記録された客観的奏効の最初の発生、又はいずれかの原因による死亡のいずれか最初に発生するものとして定義される)。
● 治験責任医師によって評価されたPFS、治験責任医師によって評価された最初の試験処置から疾患進行の最初の発生までの時間、又はいずれかの原因による死亡、いずれか最初に発生する時間として定義される。
【0572】
B群及びE群のR/R DLBCL並びに形質転換FL拡大コホート及びR/R FL拡大コホートにおける追加の活性評価基準は、以下の通りである。
● 独立したレビュー施設(IRF)による客観的応答、NHLの標準的基準(Cheson et al.,J Clin Oncol,25:579-586 2007)を使用してIRFによって評価される、PR又はCRとして定義される。
● IRFによって評価される客観的応答の持続時間、IRFによって評価される疾患進行若しくは再発の時点、又はいずれかの原因による死亡のいずれか最初に生じるものまでの、実証された客観的応答の最初の発生として定義される。
● IRFによって評価されるCRのIRF評価期間、疾患進行若しくは再発の時点、又はいずれかの原因による死亡のいずれか最初に生じる時点までの、実証されたCRの最初の発生として定義される。
● 治験責任医師によって評価されたCRの持続時間、治験責任医師によって評価された疾患進行若しくは再発の時点、又は何らかの原因による死亡のうち、いずれか最初に起こるものまでの、記録されたCRの最初の発生として定義される。
● IRFによって評価されたPFS、IRFによって評価された最初の試験処置から疾患進行の最初の発生までの時間、又はいずれかの原因による死亡、いずれか最初に発生する時間として定義される。
● OS:最初の試験処置から任意の原因による死亡日までの時間として定義される。
【0573】
患者報告の評価基準
患者報告転帰(PRO)を評価するためにNHL拡大コホートで使用される健康関連の生活の質(HRQoL)及び健康状態の測定値は以下の通りである:
● 要約統計及び欧州癌治療研究機構生活の質アンケートコア30(EORTC QLQ-C30)に基づくHRQoLのベースラインからの変化。
● 癌治療-リンパ腫の機能的評価(FACT-Lym)サブスケールに基づく疾患関連症候の要約的統計及びベースラインからの変化。
● 試験への患者の参加中のEQ-5D-5Lデータの記述的結果。
【0574】
実施例3.試験設計
A群:サイクル1非分画単剤モスネツズマブ漸増(IV注入)
GO29781試験の用量漸増A群に登録した患者は、各21日間サイクルの1日目にIV注入によってモスネツズマブを受ける。モスネツズマブの投与は、各サイクルの1日目に行われるべきであるが、計画日(すなわち、投与間の最低19日間)から最大±2日まで、ロジスティック/スケジューリングの理由で与えられ得る。
【0575】
A群のモスネツズマブの開始用量は、MABELに基づいて50μgである。用量漸増は、DLT評価ウィンドウ中の臨床所見に依存する。
【0576】
A群の用量漸増は、およそ12.8mg以下の用量レベルに達するか、又はDLTが6名以上の患者の17%以上で観察された用量レベルに達するか、どちらか低い方に達するまで継続する。
【0577】
累積安全性データに基づいて、サイトカイン主導の毒性を緩和するためにサイクル1のステップアップ投与の評価を優先するために、用量漸増A群への登録は停止している。
【0578】
単剤のモスネツズマブで処置されたその後の患者は用量漸増B群に登録される。
【0579】
B群:サイクル1ステップアップ単剤のモスネツズマブ漸増、(IV注入)
GO29781試験の用量漸増B群に登録された患者は、サイクル1の1日目、8日目及び15日目にIV注入によってモスネツズマブを受ける。サイクル2以降では、各21日間サイクルの1日目にモスネツズマブを投与し、サイクル2の1日目はサイクル1の7日後、15日目の投与である。モスネツズマブは、サイクル2の予定日(すなわち、サイクル1の15日目の投与後最低6日間)から最大±1日、及びサイクル3の予定日から±2日、ロジスティック/スケジューリングの理由から(すなわち、投与間の最低19日間)の後に投与され得る。
【0580】
累積開始B群サイクル1用量は、最高クリアA群サイクル1用量レベルより50%大きい。開始サイクル1の1日目、8日目、及び15日目の用量レベルは、A群用量漸増で評価された最高クリアサイクル1用量に基づいており、これは表11に明記されており、
最高クリアA群サイクル1用量に対応するサイクル1の15日目の用量で開始する。サイクル1、15日目の用量は、後続のサイクル(サイクル2以降)の1日目に投与される用量レベルである。
【0581】
B群における用量漸増は、標準的な3+3設計を使用する。B群の用量漸増進行の例を
図5に示す。図に列挙された用量は、例示のみを目的としている。サイクル1の開始用量レベル及びその後のサイクル1の1日目、8日目及び15日目に投与されるモスネツズマブの用量の調整は、以下に記載される規則に従って行われる(
図6A及び6B、並びに表12及び13も参照)。リアルタイムの安全性データ及び予備PKデータのレビューに基づいて、用量漸増を適宜中止又は修正してもよい。用量漸増及び拡大におけるデータ全体のレビューに基づいて、先行する用量レベルの100%までの用量漸増増分がIMCによって推奨され得る。
【表11】
【0582】
サイクル1、1日目の用量を決定するための基準を本明細書に提供する。サイクル1、15日目の用量レベルは、サイクル2の1日目以降に投与される用量レベルである。
【表12】
【0583】
用量調整はコホートごとに行う。
【0584】
モスネツズマブの潜在的なリスクに関連する有害事象、例えばCRS、HLH、肝臓酵素(例えば、CRS又はHLHと一致する徴候又は症候と同時に起こり、72時間以内に解消せず、別の明確に特定可能な原因に起因すると治験責任医師が考えない、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、又は総ビリルビンの上昇)の上昇、神経毒性、TLS、好中球減少症の悪化及び/又は血小板減少症。
【0585】
C1D1用量は、A群漸増からの情報に基づいて固定され得る。
【0586】
C1D1用量は、A群の漸増からの情報に基づいて、又はB群の漸増で評価されたコホートにおいてC1D1とC1D7との間で観察された安全性、PK、及び薬力学データの全体に基づいて固定され得る。
【0587】
この規則の唯一の例外は、C1D1用量の初期漸増であり、累積サイクル1用量増加が≦100%であるならば、開始用量の0.4mgから用量の1.0mgに漸増してもよく、後続のC1D1用量漸増は、先行するC1D1用量レベルに対して100%を超えない場合がある。
【0588】
この規則の唯一の例外は、C1D1用量の漸増であり、累積サイクル1用量増加が≦50%であるならば、開始用量の0.4mgから用量の1.0mgに漸増してもよく、後続のC1D1用量漸増は、先行するC1D1用量レベルに対して50%を超えない場合がある。
【0589】
DLT評価可能患者は、C1D1、C1D8、及びC1D15の用量を受ける患者である。C1投与を完了する前に試験処置を中止する患者は、DLTについて評価することができない。
【0590】
用量漸増及び拡大におけるデータ全体のレビューに基づいて、先行する用量レベルの100%までの用量漸増増分がIMCによって推奨され得る。
【0591】
シナリオは
図6Bに記載されている。AE=有害事象;C=サイクル;D=日。用量調整はコホートごとに行う。図は、6名の患者の用量漸増コホートにおける2つのDLTのタイミングを示す。
【0592】
DLT評価可能患者は、C1D1、C1D8及びC1D15の用量を受けるか、又はDLTを発症する患者である。DLTなしでC1投与を完了する前に試験処置を中止する患者は、DLTについて評価することができない。患者がDLTを発症し、C1投与を完了する前に試験処置を中止し、C1D1とC1D8の組み合わせMTDを超えなかった場合、累積C1MTDの評価を可能にするために追加の患者を登録してもよい。
【0593】
事後確率アプローチ(Thall and Simon,Biometrics,50(2):337-349,1994)による。例えば、DLTが2/4、2/5、2/6、3/7、3/8、3/9、3/10、4/11、4/12、4/13、4/14、又は5/15の患者で観察された場合、真のDLT率が20%以上である可能性は80%以上である。
【0594】
用量漸増及び拡大におけるデータ全体のレビューに基づいて、先行する用量レベルの100%までの用量漸増増分がIMCによって推奨され得る。用量漸増のためのガイドラインを以下の表13に概説する。
【表13】
【0595】
サイクル1用量漸増は、3+3用量漸増設計に基づいて以下の規則に従って行われ、
図6A及び6B並びに表12及び13に要約されている。
● 最初の2名の登録患者がプロトコル定義のDLTを経験し、その場合コホートへの登録が終了しない限り、最低3名の患者が各コホートに最初に登録される。
● DLT評価ウィンドウ中に以下の条件が満たされる場合、直前の累積サイクル1用量にわたって累積サイクル1用量増加≦100%で用量漸増を進めてもよい。
-治験責任医師が明らかに別のDLTに起因すると考えていないDLTはない
特定可能な原因がいずれの患者においても観察される;
-その既知の作用機序(例えば、CRS、HLH、肝臓酵素(例えば、CRS又はHLHと一致する徴候又は症候と同時に起こり、72時間以内に解消せず、別の明確に特定可能な原因に起因すると治験責任医師が考えない、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、又は総ビリルビンの上昇)の上昇、神経毒性、TLS、好中球減少症の悪化及び/又は血小板減少症)に基づくモスネツズマブに起因する潜在的なリスクを構成する、グレード2以上の有害事象が、少なくとも3名の患者の34%以下で観察される。
● 個々のサイクル1の1日目、サイクル1の8日目、及びサイクル1の15日目の用量のそれぞれは、累積サイクル用量の増分が100%以下のままであるという条件で、先行する対応する用量レベルにわたって用量の増分≦100%だけ漸増させてもよい。
-この規則の唯一の例外は、サイクル1の1日目の用量の初期漸増であり、累積サイクル1の用量増加が≦100%である場合、開始用量0.4mg(表11)から用量1.0mgに漸増してもよく、後続のサイクル1の1日目の用量漸増は、先行するサイクル1の1日目の用量レベルに対して100%を超えない場合がある。
-サイクル1の1日目の用量は、サイクル1の1日目のA群の用量漸増安全性データから以下の基準を満たす用量に固定してもよい。
サイクル1の1日目の用量は、いずれの患者においてもDLT評価ウィンドウ(サイクル1の1日目~21日目)内にDLTを有さなかったA群における最高用量以下である。
サイクル1の1日目の用量は、既知の作用機序に基づいて、モスネツズマブに起因する潜在的リスクを構成するグレード2以上のAEを少なくとも3名の患者の34%以下が経験したA群における最高用量以下である(例えば、CRS、HLH、肝臓酵素(例えば、CRS又はHLHと一致する徴候又は症候と同時に起こり、72時間以内に解消せず、別の明確に特定可能な原因に起因すると治験責任医師が考えない、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、又は総ビリルビンの上昇)の上昇、神経毒性、TLS、好中球減少症の悪化及び/又は血小板減少症)。
-サイクル1の8日目及びサイクル1の15日目の用量の漸増は、必要に応じて継続してもよい。
● その作用機序に基づいてモスネツズマブに起因する潜在的リスクを構成するグレード2以上の有害事象(例えば、CRS、HLH、肝臓酵素(例えば、CRS又はHLHと一致する徴候又は症候と同時に起こり、72時間以内に解消せず、別の明確に特定可能な原因に起因すると治験責任医師が考えない、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、又は総ビリルビンの上昇)の上昇、神経毒性、TLS、好中球減少症の悪化及び/又は血小板減少症)が少なくとも3名の患者の34%以上で観察される場合:
-連続するコホート間の間隔累積サイクル1の増加は、先行する累積サイクル1用量レベルの50%以下になる。
-連続コホート間の個々のサイクル1の1日目、サイクル1の8日目、及びサイクル1の15日目の用量レベルの間隔の増加は、先行する対応する用量レベルの50%以下になる。
この規則の唯一の例外は、サイクル1の1日目の用量の最初の漸増であり、サイクル1の1日目とサイクル1の7日目との間に上述のグレード≧2AEの1つのみが発生し、サイクル1の累積用量増加が≦50%である場合には、開始用量の0.4mg(表11)から用量の1.0mgに漸増してもよい。
その後のサイクル1の1日目の用量漸増は、先行するサイクル1の1日目の用量レベルに対して50%を超えてはならない。
-サイクル1の1日目とサイクル1の7日目との間に有害事象が観察され、サイクル1の1日目の用量が以前に決定されなかった場合、その後のコホートでは、サイクル1の1日目の用量は、サイクル1の1日目とサイクル1の7日目との間にそのような定義された有害事象が観察されなかった、以前に試験されたサイクル1の1日目の用量レベルで固定され得る。第1サイクルの8日目及び第1サイクルの15日目の用量の漸増は、必要に応じて継続し得る。
● 最初の3名のDLT評価可能患者のうちの1名がDLTを経験した場合、コホートは6名の患者に拡大される。全ての患者は、用量漸増決定の前にDLTについて評価される。
-DLTが所与のコホートの患者の17%未満で観察される場合(例えば、DLT評価可能な6名の患者のうち1名で観察されたDLT)、次のコホートの登録を
図6A及び表12に記載の用量漸増規則に従って進めてもよい。
-所与のコホートの患者の17%以上でDLTが観察される場合、
図6 B及び表13に記載の用量漸増規則が適用される。
● 累積MTDは、サイクル1、15日目とサイクル1、21日目との間の期間中に最小6名の患者の17%未満においてDLTをもたらす最高累積サイクル1用量レベルとして定義される(
図6Bに詳述されているウィンドウC)。
-累積サイクル1用量がMTDを超えることが見出された場合、6名の患者がその用量で既に評価されていない限り、それをMTDとして評価するために、先行する試験された累積サイクル1用量でDLTについて追加の3名の患者が評価される。
-MTDを超える累積サイクル1用量レベルが、先行する試験された累積サイクル1用量よりも25%以上高い場合、少なくとも6名の患者の追加用量コホートを、MTDとして評価するための中間累積サイクル1用量で評価され得る。
【0596】
サイクル1の1日目の用量は、サイクル1の1日目のMTDを超えてはならない。
【0597】
E群:サイクル1ステップアップ単剤モスネツズマブ漸増と、サイクル2で開始するアテゾリズマブ(IV注入)の同時投与
GO29781試験におけるE群用量漸増は、対応するB群用量漸増コホートがサイクル1のDLT評価期間をクリアし(
図6A及び6B)、IMCレビューに基づいてサイクル2を通して安全かつ忍容可能であることが示されているため進行する。E群の漸増におけるサイクル1の1、8及び15日目のモスネツズマブの用量レベルは、B群の漸増における対応するコホートのものと同じである。E群の漸増におけるモスネツズマブのサイクル2の用量は、B群の漸増からの最高クリアサイクル1の15日目の用量を超えない場合がある。
【0598】
モスネツズマブは、B群の漸増について記載したサイクル1のステップアップスケジュールに基づいて、IV注入によって単剤として投与される。サイクル2の1日目から開始して、その後の各サイクルの1日目に、アテゾリズマブをモスネツズマブと同じ日に投与する。モスネツズマブの用量は、最初は、第1日15サイクルのモスネツズマブの用量に等しい。モスネツズマブを最初に投与し、続いてアテゾリズマブを投与し、アテゾリズマブ注入を、モスネツズマブ注入の完了の少なくとも1時間後に開始する。ロジスティック/スケジューリングの理由から、モスネツズマブ及びアテゾリズマブのサイクル2の1日目の投与は、サイクル2の予定日から最大±1日、すなわち、サイクル1の15日目の投与後最低6日間、及びサイクル3の予定日から±2日、それ以降、すなわち、投与間最低19日間で与えられ得る。
【0599】
E群の用量漸増の用量漸増規則を以下に列挙し、
図7及び表14に要約する。E群の用量漸増進行の例を
図8に示す。この図に列挙された用量は、例示のみを目的としている。
【0600】
モスネツズマブの同定された又は潜在的なリスクに関連する有害事象、例えばCRS、HLH、肝臓酵素(例えば、CRS又はHLHと一致する徴候又は症候と同時に起こり、72時間以内に解消せず、別の明確に特定可能な原因に起因すると治験責任医師が考えない、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、又は総ビリルビンの上昇)の上昇、神経毒性、TLS、好中球減少症の悪化及び/又は血小板減少症。
【表14】
【0601】
推奨用量レベルがB群のモスネツズマブの最大評価用量を下回る1用量レベルを超えない限り、データ全体のレビューに基づいて用量漸増をIMCによって推奨してもよい。
【0602】
● モスネツズマブの開始用量は、B群の漸増で以前に試験され、サイクル1のDLT評価期間をクリアし、サイクル2を通して安全で忍容性があることが示された用量である。アテゾリズマブは、第2日1日に、モスネツズマブと組み合わせて初めて投与される。
● DLT評価期間は、第2サイクルの1日目から第2サイクルの21日目までに及ぶ。登録された患者がサイクル1(モスネツズマブ単独)中に何らかの処置下で発現した毒性を経験し、それがサイクル2の1日目(試験22日目)の併用処置の予定された開始前にベースラインレベルまで完全には解消されない場合、その患者は用量漸増決定及びMTD決定について評価不可能であると見なされ、その同じ用量レベル及びスケジュールで追加の患者によって置き換えられる。E群のサイクル1中に報告される有害事象は、B群の用量漸増決定に直接使用されない。しかしながら、利用可能な安全性データ全体に基づいて、B群の投薬及びスケジュールは、E群のサイクル1の漸増におけるサイクル1の処置下で発生する毒性に基づいて修正され得る。
● E群のモスネツズマブ用量漸増は、対応するB群の用量漸増コホートがサイクル1のDLT評価期間をクリアし(
図6)、IMCレビューに基づいてサイクル2を通して安全で忍容性があることが示されたので進行する。E群の漸増におけるモスネツズマブのサイクル2の用量は、B群の漸増からの最高クリアサイクル1の15日目の用量を超えない場合がある。
【0603】
E群における用量漸増は、最初にB群の規則に従う。推奨用量レベルがB群のモスネツズマブの最大評価用量を下回る1つの用量レベルを超えない限り、用量漸増及び拡大における安全性データ全体のレビューに基づいて、先行する用量レベルを超える用量増加がIMCによって推奨され得る。
【0604】
MTDは、最低6名の患者の17%未満においてDLTをもたらす最高サイクル2用量レベルとして定義される。サイクル2の用量がMTDを超えることが見出された場合、6名の患者がその用量で既に評価されていない限り、それをMTDとして評価するために、先行する試験されたサイクル2の用量でDLTについて追加の3名の患者が評価される。
【0605】
-MTDを超えるサイクル2用量が、先行する試験されたサイクル2用量よりも25%以上高い場合、少なくとも6名の患者の追加用量コホートを、MTDとして評価するための中間サイクル2用量で評価してもよい。
-最初に試験したサイクル2の用量がMTDを超えることが判明した場合、より低用量のモスネツズマブを試験してもよい。アテゾリズマブと組み合わせて低用量のモスネツズマブを試験する決定は、IMCによる累積安全性データのレビューに基づいて行われる。
-より高い累積サイクル1用量レベルがB群漸増でクリアされている場合、そのサイクル1用量レベル及びスケジュールは、最高クリアサイクル2モスネツズマブ用量レベルを
アテゾリズマブと組合せて使用して試験してもよい。
【0606】
● 試験されたE群の漸増における最高の個別のモスネツズマブ用量は、B群の漸増におけるMTDとして特定される最高の個別用量を超えない場合がある。
【0607】
実施例4.患者内用量漸増及び継続投与
A.患者内用量漸増
適切な用量での情報の収集を最大化し、最適以下の用量のモスネツズマブへの患者の曝露を最小化するために、患者内用量漸増が許容され得る。各割り当てられた用量漸増群内で、個々の患者に対するモスネツズマブの用量は、少なくとも1サイクルのモスネツズマブ投与によって完了したコホートにより忍容される最高クリア用量レベルまで増加され得る。
【0608】
患者は、最初に割り当てられた用量レベルで少なくとも2サイクルを完了した後、患者内用量漸増を受けることができる。その後の患者内用量漸増は、DLTの定義を満たすか又は投与後の入院を必要とする有害事象なしに、その後により高いクリアされた用量レベルの少なくとも1サイクルの後に起こり得る。
【0609】
MTDが宣言され、RP2Dが決定されると、試験を継続し、モスネツズマブに忍容し続ける患者に対して、RP2Dへの直接の患者内用量漸増が許容される。
【0610】
B群用量漸増の患者については、(サイクル1の段階的分割投与及びサイクル2の非分割投与の後に)サイクル3の開始時に患者内用量漸増が許可される。E群の患者については、モスネツズマブの患者内用量漸増は、第4サイクルの開始
(サイクル1でのモスネツズマブ単剤投与、並びにサイクル2及び3でのアテゾリズマブと組み合わせた投与後)時に許可される。アテゾリズマブの漸増は許容されない。
【0611】
B.用量制限毒性観察期間を超えて継続して投与するための規則
DLT観察期間中にDLTを経験しない患者は、以下のように試験処置の追加のサイクルを受けるのに適格である。
【0612】
● 用量漸増A群に登録された患者については、21日毎に(投与日は各サイクルの1日目である)同じ投与経路を介して同じ用量レベルでモスネツズマブを投与する。
● 用量漸増B群に登録された患者については、サイクル1の15日目の用量(試験22日目)の7日後から21日ごとに(注入日は各サイクルの1日目である)、サイクル1の15日目の用量と同じ用量レベルでモスネツズマブを投与する。
● 用量漸増E群に登録された患者については、モスネツズマブをアテゾリズマブと組み合わせて21日毎に投与する(注入日は各サイクルの1日目である)。
● 各処置群内で、治験依頼者は、後のサイクル中のより低い用量が臨床的有効性を維持するのに十分であるかどうかを判定するために、サイクル3の1日目以降により低い用量レベルを試験する選択肢を保持する。
【0613】
以下の基準を満たすならば、追加の用量のモスネツズマブを与えてもよい:
● 継続的な臨床的利益:患者は進行性疾患(PD)の臨床徴候又は症候を有さない;不要な放射線被曝を最小限に抑えるために、DLTウィンドウの終わりにおける放射線腫瘍評価は必要とされない。各サイクルの1日目に疾患進行について患者を臨床的に評価する。
-NHL患者の場合、疾患の進行は、悪性リンパ腫に対する改訂奏効基準(Cheson et al.,J Clin Oncol,25:579-586,2007)によって定義されるように、X線画像検査によって確認されるべきである。試験処置期間の完了前に放射線学的疾患が進行しているNHL患者は、一般に、更なるモスネツズマブ処置を受ける資格がない。しかし、限られた場合では、明らかなX線写真による疾患進行後の処置が可能であり得る。
-試験処置期間の完了前にNCI-WGガイドライン(Hallek et al.,Blood,111(12):5446-5456,2008)によって定義される疾患の進行を経験したCLL患者は、更なるモスネツズマブ処置を受ける資格がない。
● 許容できない毒性グレード4腫瘍溶解症候群(TLS)を除いて、グレード4の非血液学的有害事象を経験する患者は、試験処置を中止すべきであり、再処置を行わなくてもよい。グレード4のTLSを経験した患者は、継続した試験処置のために考慮され得る。以前の試験処置投与からの他の全ての試験処置関連有害事象は、次の投与までにグレード≦1又はベースライングレードに減少している。進行中の全体的な臨床的利益に基づく例外は、治験責任医師による患者とのベネフィット-リスクの慎重な評価及び議論の後、及びメディカルモニターからの承認を得て許可され得る。本明細書に概説される規則に従って臨床的利益が維持され得ると判定された場合、モスネツズマブの用量減少が許容され得る。
【0614】
上記の許容される安全性及び臨床的利益の証拠を示す患者は、本明細書に記載の試験処置を受け続けてもよい。疾患が進行することなく試験処置を完了した患者は、定期的に予定された腫瘍評価を含めて、
処置後フォローアップからの中止(例えば、進行に起因して)まで、継続してモニターされる。患者は、本明細書に記載の再発性疾患の発症のための再処置の選択肢を有する。
【0615】
実施例5.疾患進行後の処置
A.疾患進行後の非ホジキンリンパ腫の処置
固形腫瘍に対する癌免疫療法の経験は、応答性腫瘍が最初に免疫細胞の流入によりサイズが増大し得ることを実証しており、これは「偽進行」として公知の現象である(Wolchok et al.,Clin Can Res,15(23):7412-7420,2009)。擬似進行は、リンパ腫免疫療法の関連では記載されていないが、モスネツズマブ及び/又はアテゾリズマブ療法は、腫瘍へのT細胞の流入を誘導することによって、最初に腫瘍サイズ及び代謝活性を増加させ得る可能性がある。これを考慮すると、臨床疾患の進行が観察された場合、腫瘍生検を繰り返すことが強く推奨される。さらに、治験責任医師が、悪性リンパ腫に対する改訂奏効基準(Cheson et al.,J Clin Oncol,25:579-586,2007)によって定義される進行性疾患の放射線学的証拠にもかかわらずNHL患者が臨床的利益を導出していると考えている場合、その患者は、以下の基準が満たされるならば試験処置を継続してもよい。
【0616】
● 疾患の明確な進行を示す症候及び症候(検査値の悪化を含む)がない。
● 米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスの低下がない
● 中枢気道、大血管、及び腫瘍進行に続発する機能障害が急性的に重度及び/又は不可逆的な障害又は死亡をもたらすと予想される他の器官又は組織を含む重要な解剖学的部位に腫瘍進行がない。
【0617】
明らかな放射線学的進行にもかかわらず試験処置を継続している患者は、腫瘍体積の増加が免疫細胞浸潤又は新生物増殖に起因するかどうかを評価するために腫瘍生検を繰り返し受けることを強く促されるが、ただし、そのような生検は非標的病変に対して安全に実施することができる。新生物増殖と一致する治験責任医師の判断、臨床的因子、又は生検所見に基づいて真の進行が疑われる場合、又はその後の腫瘍評価で放射線学的疾患の進行が確認された場合、患者は現在割り当てられている処置群の下で更なる試験処置を受ける資格がない。単剤のモスネツズマブを服用している患者は、本明細書中に記載されるようなアテゾリズマブとの併用処置のために考慮され得る。
【0618】
B.モスネツズマブ/アテゾリズマブ処置期間及び疾患進行後の再処置
単剤として、又はアテゾリズマブと組み合わせて、モスネツズマブに最初に応答するか又は安定した疾患を有する患者は、最初の処置に対する抗腫瘍応答に応じて、試験処置の最初の8サイクルの後に追加のサイクルから利益を得る可能性がある。さらに、単剤のモスネツズマブ処置を受けている間に進行性疾患を発症する患者は、アテゾリズマブの追加から利益を得る可能性がある。
【0619】
これらの仮説を試験するために、患者は、モスネツズマブ再処置に適格であるか、又は
本明細書に記載されているように、単剤として、又はアテゾリズマブと組み合わせて、最初の8サイクルを超えて試験処置を継続する。試験の再処置用量及びスケジュールは、以下の基準が満たされるならば、用量漸増において安全であることが以前に実証されたものである。
【0620】
● 適切な適格基準は、以下の例外を除いて、モスネツズマブ処置を再開した時点で満たされる:
-モスネツズマブによる事前治療が可能である
-ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)及びB型肝炎ウイルス(HBV)の状態を実証するための血清学的試験は、臨床的に示されない限り、繰り返す必要はない。EBV及びサイトメガロウイルス(CMV)定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を繰り返す。
-最初の試験処置による管理可能かつ可逆的な免疫関連有害事象は許容され、自己免疫疾患の排他的な病歴を構成しない。
● 患者は、TLSを除いて、治験責任医師が初期の試験処置中に別の明確に特定可能な原因に起因すると考えなかったグレード4の非血液学的有害事象を経験していない。
● 初期処置中に別の明確に特定可能な原因に起因すると治験責任医師が考えなかったグレード2又はグレード3のAEを経験した患者は、これらの毒性をグレード1以下に解消させた。
● 患者は、最初の再処置投与後に入院を必要とすることがある。
● 最初の試験処置の完了と試験処置の再開始との間に、介在する全身抗癌療法は投与されなかった。
【0621】
疾患進行後に再処置に進む患者は、以下を評価するために安全にアクセス可能な部位から腫瘍生検を繰り返し受けることが強く奨励される:1)CD20発現状態及び2)腫瘍及び免疫微小環境の変化/状態。書面によるインフォームドコンセントを提供するが、疾患進行時に生検に適した病変を有しない患者は、試験の治験責任医師とメディカルモニターとの間の議論の後、試験薬の再処置を依然として考慮してもよい。
【0622】
再処置を受けている患者に投与される試験処置の用量及びスケジュール
は、メディカルモニターによって決定され、DLT観察期間をクリアした以前に試験された用量及びスケジュールに基づいている。
【0623】
最初の試験処置の期間及び最初の8サイクルの試験処置を超える再処置又は継続した試験処置の選択肢を
図9に記載する。試験処置の性質及びタイミングに基づく、アテゾリズマブを伴う又は伴わないモスネツズマブの用量及びスケジュール/投与経路を表12に記載する。
【0624】
単剤のモスネツズマブを最初に投与された患者について:
● PD又は許容できない毒性が8サイクルの完了前に観察されない限り、モスネツズマブを8サイクル投与する。PDが観察された場合、患者は、アテゾリズマブと組み合わせたモスネツズマブによる処置を考慮される。
● 6ヶ月(±2週間)での腫瘍評価は、試験処置の期間を決定するために、サイクル1の8日目の後であるがサイクル1の9日目の前に予定すべきである。
● 8サイクルの処置を受けた後に完全奏効(CR)を達成する患者は、追加のサイクルのモスネツズマブを受けず、モニターされる。最初の単剤のモスネツズマブ処置の完了後にPDが観察された場合、単剤のモスネツズマブ再処置を開始してもよい。処置は、少なくとも8回の追加のサイクルの間、モスネツズマブで継続し得る。
● 8サイクルの処置を受けた後にPRを達成するか又は安定疾患(SD)を維持する患者は、PD又は許容できない毒性が観察されない限り、単剤のモスネツズマブを最大で合計17サイクル継続する。
-17サイクルの処置後にCRが達成された場合、モスネツズマブでCRを達成した患者について記載されるようにモニターする。
-処置の17サイクル後にPR又はSDが達成されるならば、患者はモニターされ続ける。
-PDが観察された場合、患者は、アテゾリズマブと組み合わせたモスネツズマブによる処置を考慮される。
【0625】
アテゾリズマブと組み合わせたモスネツズマブを最初に受けた患者(初期処置として、又は単剤モスネツズマブでのPD後の再処置としてのいずれか)について:
● 8サイクルの完了前にPD又は許容できない毒性が観察されない限り、併用処置を8サイクル行う。PDが観察された場合、患者は試験処置を中止する。
● 6ヶ月(±2週間)での腫瘍評価は、試験処置の期間を決定するために、サイクル8の1日目の後であるがサイクル9の1日目の前にスケジュールされるべきである。
● 8サイクルの処置を受けた後にCRを達成する患者は、併用処置の追加のサイクルを受けず、モニターされる。併用処置の完了後にPDが観察された場合、併用再処置を開始し得る。
● 8サイクルの処置を受けた後にPRを達成するか又はSDを維持する患者は、PD又は許容できない毒性が観察されない限り、合計17サイクルまで併用処置を継続する。
-17サイクルの処置後にCRが達成された場合、モスネツズマブでCRを達成した患者について記載されるようにモニターする。
-全17サイクルの完了によってPR又はSDが達成された場合、患者はモニターされ続ける。
-併用処置でPDが観察された場合、患者は試験処置を中止する。
【0626】
試験処置は、許容できない毒性のためにいつでも中止してもよい。メディカルモニターの裁量により、治験責任医師と相談して、前述の再処置の基準が満たされ続ける限り、患者は追加の試験再処置に適格であり得る。
【0627】
再処置を受ける患者に対する評価のスケジュールは、用量漸増又は用量拡大において現在実施されている評価のスケジュールに従う。例えば、サイクル1の2段階分割スケジュールに従って再処置されている患者は、B群の評価スケジュールに従う。
【0628】
試験処置期間及び再処置の規則は、用量漸増コホート及び用量拡大コホートの両方に適用される。
【表15】
【0629】
実施例6.用量拡大段階
この試験の用量拡大段階は、MTD/最大評価用量(MAD)までの用量での試験処置で追加の安全性、忍容性、PK及び予備臨床活性データを得るように設計される。
【0630】
拡大コホートからの全ての利用可能な安全性データを継続的に評価して、試験した用量レベルの忍容性を評価する。拡大段階で研究されたモスネツズマブ用量レベルが、用量漸増段階でMTDとして適格である最高用量レベルを超えることはない。さらに、各拡大コホートについて、過剰な毒性の場合の登録の早期停止の可能性を導くために中間解析を行う。
【0631】
プロトコルに記載されているように許容され得る安全性及び臨床的利益の証拠を示す患者は、客観的な疾患進行が記録されるか又は許容され得ない毒性が最初に起こるかのどちらかまで、最大8又は17サイクル(
図9を参照)まで21日ごとにモスネツズマブを受け続けてもよい。
【0632】
安全性及び有効性の評価は、評価のスケジュールに従って行われる。最初のモスネツズマブ処置を完了した患者を含む、疾患進行以外の理由で試験処置を中止する患者に対する試験処置の最終用量後の追加の評価は、処置後の評価スケジュールに概説されているように行われる。試験処置を完了した患者は、疾患が進行するまで腫瘍評価を継続し、本明細書に記載のモスネツズマブ再処置に適格である。
【0633】
A.NHLにおける単剤モスネツズマブの用量拡大
以下の個別の適応症特異的拡大コホートにおいて、モスネツズマブを受けるために患者を登録する:
● R/R DLBCL及び形質転換FL:A群及びB群の漸増からのMTD以下の用量を試験する拡大コホートを登録してもよい。各コホートは、本明細書で定義される十分な安全性及び活性を仮定して、約80名の患者を登録し得るB群RP2Dに基づく拡大コホートを除いて、最大約20名の患者を登録してもよい。
● R/R FL:A群及びB群からのMTD以下の用量を試験する拡大コホートを登録してもよい。各コホートは、本明細書で定義される十分な安全性及び活性を仮定して、約80名の患者を登録し得るB群RP2Dに基づく拡大コホートを除いて、最大約20名の患者を登録してもよい。
● R/R MCL:A群及びB群からのMTD以下の用量を試験する拡大コホートを登録してもよい。各コホートは、本明細書で定義される十分な安全性及び活性を仮定して、最大約20名の患者を登録してもよい。
● R/Rリヒター形質転換B群の漸増からのMTD以下の用量を試験する拡大コホートを登録してもよい。コホートは、本明細書で定義される十分な安全性及び活性を想定して約10~20名の患者を登録し得る。
【0634】
用量拡大において評価されるべきモスネツズマブの用量及びスケジュールは、用量漸増における累積安全性データのレビューの後、治験責任医師と相談して(必要であれば、及びタイミングの観点から可能であれば)IMCによって決定される。2つ以上のモスネツズマブ用量レベル及びスケジュールが評価され得る。拡大コホートは、RP2Dの同定前に、安全であると以前に決定され、用量漸増中の臨床活性の証拠を実証する用量で開始され得る。治験依頼者は、臨床データの継続的なレビューに基づいて、任意の所与の拡大コホート(
図4)の登録を開始又は中止することを決定し得る。
【0635】
B.NHLにおけるアテゾリズマブと組み合わせたモスネツズマブによる用量拡張
患者は、E群の漸増で決定された第2サイクルのモスネツズマブMTD未満の用量でアテゾリズマブ及びモスネツズマブを受ける拡大コホートに登録される。以下の表示特異的増殖コホートは、単剤のモスネツズマブと同様のサイズである。
【0636】
● R/R DLBCL及び形質転換FL:サイクル2 MTD以下の用量を試験する拡大コホートを登録してもよい。各コホートは、E群RP2Dに基づく拡大コホートを除いて、約20名の患者を登録してもよく、本明細書で定義される十分な安全性及び活性を仮定して約80名の患者を登録してもよい。
● R/R FL:サイクル2 MTD以下の用量を試験する拡大コホートを登録し得る。各コホートは、E群RP2Dに基づく拡大コホートを除いて、約20名の患者を登録してもよく、本明細書で定義される十分な安全性及び活性を仮定して約80名の患者を登録してもよい。
● R/R MCL:サイクル2 MTD以下のE群用量を試験する拡大コホートを登録し得る。各コホートは、本明細書で定義される十分な安全性及び活性を仮定して、最大約20名の患者を登録してもよい。
【0637】
用量拡大において評価される、アテゾリズマブと組み合わせたモスネツズマブの用量及びスケジュールは、IMCの推奨に基づいて、用量漸増における累積安全性データのレビュー後に治験責任医師(必要であれば、及びタイミングの観点から可能であれば)と相談して決定される。アテゾリズマブと組み合わせた2つ以上のモスネツズマブ用量レベル及びスケジュールを評価してもよい。拡大コホートは、RP2Dの同定前に、安全であると以前に決定され、用量漸増中の臨床活性の証拠を実証する用量で開始され得る。
【0638】
治験依頼者は、臨床データの継続的なレビューに基づいて、任意の所与の拡大コホート(
図4)の登録を開始又は中止することを決定し得る。
【0639】
C.CLLにおける用量漸増及び拡大
CLL患者の用量漸増規則は、NHL患者に使用されるものと同じである。CLL患者の開始用量は、対応するNHL用量漸増におけるDLT評価ウィンドウをクリアした1用量レベル以下である。
【0640】
安全であると決定された用量でCLL中のモスネツズマブを評価し、CLL B群用量漸増中の臨床活性を実証する最大約10名の患者の拡大コホートを試験してもよい。CLL拡大コホートは、NHL患者の用量及びスケジュールとは異なる用量及びスケジュールで独立して潜在的に生じる。
【0641】
実施例7.安全性の評価
安全性の懸念の管理を記載する以下の情報は、予想される薬理学及び作用機序、非臨床試験からの結果、単剤用量漸増試験からの予備的安全性所見、類似の分子に関する公開データ、及びアテゾリズマブの確立された安全性プロファイルに基づく。
【0642】
この試験に参加する患者の安全性を確実にするために、以下に記載されるように、厳格な包含及び除外基準の使用並びに綿密なモニターを含む対策がとられる。DLT評価目的のための患者の登録は、各用量漸増コホートにおける最初の2名の患者がそれぞれのサイクル1、1日目の処置を72時間以上空けて投与されるようにずらして行われる。各コホートにおけるその後の患者は、彼らのサイクル1、1日目の処置が24時間以上離れて投与されるように互い違いにされる。
【0643】
全ての患者を毒性について綿密にモニターする。特に明記しない限り、NCI CTCAE v4.0等級スケールを使用して、各用量の前に毒性について患者を臨床的に評価する。CRSの重症度は、改変サイトカイン放出症候群等級付けシステム(表5)に従って等級付けされる。全ての有害事象及び重篤な有害事象は、試験中及び試験処置の最後の投与後又は別の全身性抗癌療法の開始までの90日間のいずれか早い方まで記録される。潜在的な未知のリスクを軽減するために、少なくとも部分的には、サイクル1を超えた投与は、許容できない毒性又は疾患進行の説得力のある証拠を示さない患者に限定される。
【0644】
モスネツズマブ及びアテゾリズマブの投与に関連する具体的な予想される毒性又は潜在的な毒性、並びにこの試験におけるそのような毒性を回避又は最小化することを意図した対策が本明細書に記載される。
【0645】
A.モスネツズマブ及びアテゾリズマブの投与及び入院
モスネツズマブ及びアテゾリズマブの投与は、医療上の緊急事態をモニターし、それに対応するように訓練された救命救急室及びスタッフに直ちにアクセスする臨床現場で行われる。神経科相談サービスは、モスネツズマブ処置の結果として生じ得る任意の神経学的有害事象に対処するために容易に利用可能であるべきであり、急性透析能力を伴う腎臓病相談は、腫瘍溶解症候群(TLS)に付随し得る任意の腎毒性に対処するために容易に利用可能であるべきである。
【0646】
A群に登録された全ての患者は、1日目のサイクルでのモスネツズマブ投与の完了後少なくとも72時間までの最初のモスネツズマブ投与のために、モスネツズマブ投与中又は投与後の入院を含む入院患者モニタリングを必要とする。
【0647】
二重段階分割スケジュールでモスネツズマブを受けるためにB群用量漸増コホートに登録された全ての患者は、以前に試験された用量レベルを超える任意の個々の用量についてのモスネツズマブ注入の完了後少なくとも72時間にわたるモスネツズマブ注入について、モスネツズマブ投与中又は投与後の入院を含む入院患者モニタリングを必要とする。
【0648】
この用量は、一般に、15日目のサイクル1に投与されるモスネツズマブの用量に対応する。事前に評価された用量を投与するための入院は、治験責任医師の裁量及びメディカルモニターと相談して臨床的に示されない限り必要ではない。そのような入院が正当化され得る例としては、それだけに限らないが、同じ又は類似の用量でのモスネツズマブ(例えば、CRS、HLH、肝臓酵素(例えば、CRS又はHLHと一致する徴候又は症候と同時に起こり、72時間以内に解消せず、別の明確に特定可能な原因に起因すると治験責任医師が考えない、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、又は総ビリルビンの上昇)の上昇、神経毒性、TLS、好中球減少症の悪化及び/又は血小板減少症)に潜在的に起因し得る以前に観察されたグレード2以上の有害事象、及びTLSが挙げられる。
【0649】
モニタリング及び予防。
【0650】
利用可能な臨床安全性データに基づいて、安全かつ忍容可能であると試験された用量レベルでモスネツズマブを受けた患者については、任意の投与日後に入院は必須ではない。これは、B群用量漸増バックフィルスロット、B群拡大コホートに登録された患者、及び入院が必要な試験を受ける患者に適用され、患者は臨床的に示されるときはいつでもモスネツズマブ投与後に入院すべきである。
【0651】
サイクル2から開始してアテゾリズマブと組み合わせてモスネツズマブ受けるためにE群の用量漸増に登録した全ての患者は、モスネツズマブ及びアテゾリズマブの注入の完了後少なくとも72時間まで、サイクル2日目の1日目に、モスネツズマブ及びアテゾリズマブの注入のための、モスネツズマブ投与中又は投与後の入院を含む入院患者モニタリングを受ける。
【0652】
その後のサイクル中の入院要件は、第1のサイクル(又はE群の第2のサイクル)中の臨床経過に基づいて決定される。グレード3のCRS、注入部位反応、又はTLSを有する患者は、サイクル1の間、又はE群についてはサイクル2の間、その後の用量の投与終了後少なくとも72時間まで入院してもよく、本明細書に記載の用量減少を考慮する。
【0653】
全ての処置群について、拡大コホートにおける入院の必要性を修正又は中止する決定は、IMCの推奨に基づいて、治験責任医師と相談して(必要であり、タイミングの観点から可能である場合)行われる。
【0654】
B.用量及びスケジュールの変更
モスネツズマブ及びアテゾリズマブ(適用可能な場合)の投与は、患者の臨床評価及び臨床検査値が許容可能である場合にのみ行われる。予定された投薬が投薬を不可能にする休日と一致する場合、投薬は最も近い次の日に開始すべきであり、その後の投薬は必要に応じて21日間のスケジュールで継続する。
【0655】
試験処置は、毒性の管理のために適切に遅延させてもよい。
【0656】
単剤のモスネツズマブ及びアテゾリズマブ併用療法に用量変更のための具体的なガイドラインを以下に記載する。
【0657】
特定の有害事象に対する試験処置用量及びスケジュール変更を含む管理ガイドラインを以下に記載する。
【0658】
モスネツズマブの用量及びスケジュールの変更
● 最初の用量のモスネツズマブでCRSを経験しているか、又はその後の用量で再発性CRSのリスクが高い患者の場合、注入時間は最大8時間に延長され得る。
● DLTの定義、グレード3の有害事象又は重篤な有害事象のいずれかを満たす有害事象を経験する患者は、毒性から回復するために最大2週間、モスネツズマブの投与を遅らせることができる。
-B群及びE群におけるサイクル1の二段階分割の間、臨床的に有意な症候が存在しない場合、血液学的検査異常にもかかわらず、モスネツズマブが投与され得る;貧血及び血小板減少症の場合、輸血は必要ない。
-別の明確に特定可能な原因(例えば、文書化された疾患進行、併用療法、又は既存の病状)に起因すると治験責任医師が考えなかった有害事象については、患者は、提供された追加用量のモスネツズマブを継続して受けてもよい。
【0659】
上記期間内に毒性がグレード≦1に解消したこと。
【0660】
臨床検査値が低下した場合、異常は、グレード≦1の下限まで解消しているか、又はベースライン値の80%以上に戻っているかのいずれか低い方に解消していなければならない。
【0661】
好中球減少症の場合、ANCは、グレード≦2に解消するか、又はベースライン値の80%以上に戻るかのいずれか低い方に解消していなければならない。
【0662】
検査値が増加した場合、異常は、グレード≦1の上限まで解消しているか、又はベースライン値の120%以上に戻っているかのいずれか高い方に戻るべきである。
【0663】
そのような患者におけるモスネツズマブのその後の投与のための用量は、一般に、例えば、用量漸増中に評価された次の最高クリア用量レベルまで低減されるべきである。モスネツズマブ薬力学的活性の証拠がない、例えば血清サイトカインレベルの変化の証拠がない用量レベルへの減少である場合、患者は試験処置を中止してもよい。
【0664】
-DLT又は他の試験処置に関連するグレード3毒性の後の減少した用量での継続処置の決定は、以下の例外を除いて、治験責任医師による患者とのリスク対利益の慎重な評価及び議論、並びにメディカルモニターからの承認の後に行われるべきである。
【0665】
個々の検査値がグレード3を超えることなく、AST又はALT>3×ULN及び/又は総ビリルビン>2×ULNの上昇が、3日未満続くグレード≦2のCRS(表5)の状況で起こる場合、モスネツズマブの投与は、メディカルモニターの承認を得て、用量を減らすことなく継続し得る。
【0666】
グレード3のCRS(表5)については、次のモスネツズマブ用量を減らすべきであり、より低い用量が許容された場合、その後の用量を増やしてもよい。グレード3のCRSが、サイクル1の1日目又はサイクル1日目8日目のモスネツズマブ投与後のステップアップ投与コホートで発生する場合、次のモスネツズマブ用量をメディカルモニターと議論すべきであり、用量減少を考慮すべきである(表7)。
【0667】
グレード3(NCI CTCAE v4)では、グレード2以下のCRS(表5)の状況で生じるCRSの個々の徴候及び症候が3日未満続く場合、モスネツズマブの投与は、メディカルモニターの承認を得て、用量を減らすことなく継続し得る。
【0668】
拡大コホートに登録された患者の場合、用量及びスケジュールの変更に関する決定は、治験責任医師による個別のベネフィット-リスク評価の後、メディカルモニターと相談して行われる。
【0669】
低用量で同様の毒性が再発するどの患者も、更なるモスネツズマブ処置を中止すべきである。
【0670】
有害事象が別の明確に特定可能な原因に起因すると考えられない限り、有害事象が発生したモスネツズマブの用量で患者を再処置することはできない。
【0671】
● 更に2週間が経過した後に投与基準を満たさない患者は、試験処置を中止し、安全性の転帰を追跡する。進行中の臨床的利益に基づくこの例外は、治験責任医師によるリスク対利益の評価の後、メディカルモニターから承認されて許容され得る。モスネツズマブに起因しない毒性のために治療を遅延させることは、治験責任医師によるリスク対利益の評価の後、メディカルモニターからの承認を得て中止を必要としない場合がある。
-B群の患者では、用量遅延により6週間以上の無処置期間が生じる場合、用量遅延後の最初のサイクルの1日目、8日目及び15日目に、モスネツズマブの二段階分割が必要である。
-E群の患者では、用量遅延により6週間以上の無処置期間が生じる場合、用量遅延後の第1のサイクルの1日目、8日目及び15日目にモスネツズマブの二段階分割が必要であり、アテゾリズマブによる継続的な処置は、用量遅延後の第2サイクルで開始すべきである。
● サイクル1のステップアップスケジュール(B群及びE群の漸増又は拡大)でモスネツズマブを投与されている患者について、サイクル1、1日目、サイクル1、8日目及び/又はサイクル1、15日目の投与後に重篤な有害事象又は特別な関心のある有害事象が発生した場合、14日間までのモスネツズマブ(及び該当する場合はアテゾリズマブ)の処置遅延及び/又はその後のモスネツズマブ用量の変更は、処置に当たっている治験責任医師と相談した後、メディカルモニターの裁量で行われ得る。
【0672】
患者が7日間を超えるモスネツズマブの中断を必要とするサイクル1の毒性を有する場合、メディカルモニターに通知されるべきであり、患者は、計画された処置スケジュールを再開する前に、以前に許容された最高用量でモスネツズマブを繰り返すことを要求され得る。
【0673】
PD以外の理由で試験処置を中止する患者は、追跡を継続すべきである。
【0674】
アテゾリズマブ用量及びスケジュール変更と組み合わせたモスネツズマブ
● 特定の有害事象後のアテゾリズマブ処置を遅延又は中止するためのガイドラインを以下に概説する。
● サイクル2及びそれ以降の期間中、明らかにモスネツズマブ又はアテゾリズマブに起因するグレード3~4の有害事象を経験する患者は、有害事象の最初の改善後、並びにメディカルモニターとの議論及び承認後、他の薬剤による処置を継続し得る。
【0675】
C.モスネツズマブに関連するリスク
モスネツズマブに関するこれまでの臨床データに基づいて、以下の既知及び疑われるリスクを以下に記載する。
【0676】
モスネツズマブに関連する既知のリスク
サイトカイン放出症候群
モスネツズマブの作用機序は、CD20陽性細胞に対する免疫細胞活性化である;したがって、注入関連反応(IRR)、標的媒介サイトカイン放出、及び/又は緊急のADAを伴う又は伴わない過敏症を伴う一連の事象が起こり得る。他のCD20指向療法及び免疫調節療法は、IRR、サイトカイン放出症候群(CRS)及び/又は過敏症(RITUXAN(登録商標)米国添付文書(USPI);GAZYVA(登録商標)USPI;BLINCYTO(登録商標)USPI)に関連している。モスネツズマブ投与後のCRSは、試験GO29781で報告されている。
【0677】
CRSは、モスネツズマブに関連する既知のリスクであるが、臨床データの蓄積により包括的な特徴付けが進行中である。今日まで、モスネツズマブで観察されたCRSは、ほとんどが軽度から中程度の重症度であり、発熱、頭痛、及び筋痛等の症候を含み、示されるように鎮痛薬、解熱剤、及び抗ヒスタミン剤による対症療法に反応する。
【0678】
低血圧、頻脈、呼吸困難、又は胸部不快感等のCRSの重度又は生命を脅かす症状は、トシリズマブ及び/又は高用量コルチコステロイド、静脈内輸液、及び施設内診療による他の支持療法の使用を含む、指示される支持療法及び蘇生療法で積極的に処置されるべきである。重度のCRSは、播種性血管内凝固症候群、毛細血管漏出症候群等の他の臨床的続発症に関連し得るか、又は血球貪食性リンパ組織球症(HLH)として現れ得る。免疫ベースのモノクローナル抗体療法に起因する重度又は生命を脅かすCRSの標準治療は確立されていない;CD19 CAR-Tについての症例報告及び推奨が公表されている(Teachey et al.,Blood,121(26):5154-5157,2013;Lee et al.,Blood,124(2):188-195,2014;Maude et al.,New Engl J Med,371(16):1507-1517,2014;Neelapu et al.,Nat Rev Clin Oncol,15:47-62,2018;CRS(YESCARTA(登録商標)USPI;キムリア(登録商標)USPI)のリスク管理を記載した2つの製品のFDA承認も参照)。
【0679】
キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法、したがって潜在的に他のT細胞関与療法後の重度のCRSのリスク増加に関連し得る疾患関連因子には、リンパ腫骨髄関与、リンパ節外疾患、リヒター形質転換、B細胞リンパ球増加症、及び循環末梢悪性細胞の存在が含まれる(ただし、これらに限定されない)。
【0680】
CRSのリスク及び続発症を最小限に抑えるために、モスネツズマブを臨床現場で最低4時間にわたって投与する。コルチコステロイド前投薬は、本明細書に記載されるように投与される。モスネツズマブに続くCRSの管理ガイドラインを表7に要約し、CRSの等級付けは表5に記載の修正された等級付け尺度に従う。モスネツズマブの作用機序を考えると、IRR及びCRSは区別できない場合があり、したがって、それらの評価及び処置は同一である。グレード3以上のCRSの管理は、処置に当たっている治験責任医師とメディカルモニターとの間で直ちに議論すべきである。表7に示されるように、広範な併存症を有する患者におけるCRSの中程度の症状でさえも、ICU入院及びトシリズマブ投与を考慮して綿密にモニターされるべきである。
【0681】
アテゾリズマブと組み合わせてモスネツズマブを投与した患者に生じる注入関連反応/サイトカイン放出症候群
アテゾリズマブと組み合わせてモスネツズマブを投与した患者では、IRR/CRS事象のタイミングによっては、モスネツズマブ又はアテゾリズマブのいずれかにIRR/CRS事象を帰属させることができない場合がある。その結果、IRR又はCRS事象を経験する患者については、その後のサイクルでの投与に対する任意の修正を含む管理は、以下の一般ガイドラインに従う:
● サイクル1(単剤のモスネツズマブ投与)の間、グレード3のCRS事象を経験した患者(表7)は、メディカルモニターの承認を得て、サイクル2以降の併用処置を受けてもよい。その後のサイクルのためのモスネツズマブの用量は、本明細書中に記載されるように減少させるべきである。ステップアップ投与コホートの場合、グレード3のCRS事象がサイクル1の1日目又はサイクル1日目8日目の間に発生する場合、次の用量のモスネツズマブをメディカルモニターと議論すべきであり、用量減少を考慮すべきである。モスネツズマブ注入は、最低4時間かけて投与されるべきである。
● サイクル2以降では、モスネツズマブ注入中又は後であるがアテゾリズマブ注入前に開始し、したがって、モスネツズマブのみに起因するグレード3のCRS事象を経験する患者は、治験責任医師とメディカルモニターとの間の議論に続くその後のサイクルでモスネツズマブを受けてもよい。モスネツズマブの次の用量は、本明細書に記載のように減少させるべきである。
サイクル2以降では、モスネツズマブ注入中又は後であるがアテゾリズマブ注入前に開始し、したがってモスネツズマブのみに起因するグレード4のCRS事象を経験する患者については、表7に従ってモスネツズマブを恒久的に中止すべきである。単剤アテゾリズマブは、メディカルモニターの承認を得て毒性が完全に解消した後、この状況で投与し続けてもよい。
● 第2サイクル以降では、モスネツズマブ又はアテゾリズマブの属性を区別することができないグレード3のCRS事象を経験した患者は、その後のサイクルで、治験責任医師とメディカルモニターとの間の議論の後、低用量のモスネツズマブで処置を継続してもよい。
● サイクル2以降では、モスネツズマブ又はアテゾリズマブの帰属が区別できないグレード4のCRS事象を経験した患者については、アテゾリズマブとモスネツズマブの両方を恒久的に中止すべきである。
【0682】
好中球減少症
好中球減少症は、他のCD20指向療法並びにブリナツモマブ(BLINCYTO(登録商標)USPI)に関連する既知のクラス効果を有し、モスネツズマブの既知のリスクである。可逆的好中球減少症は、試験GO29781でのモスネツズマブ処置後に観察された。好中球減少症を発症している一部の患者は、成長因子の支持及び/又は一時的な処置を受けている。
【0683】
グレード3~4の好中球減少症を経験する患者は、必要に応じてより頻繁な評価で綿密にモニターすべきである。グレード3以上の処置下で発現した好中球減少事象については、本明細書に記載の用量
遅延及び/又は用量変更を考慮すべきである。
【0684】
モスネツズマブに関連する潜在的なリスク
血球貪食性リンパ組織球症
ブリナツモマブ並びにCAR養子T細胞療法を用いて、成人発症の続発性又は反応性マクロファージ活性化症候群/血球貪食性リンパ組織球症(MAS/HLH)の特徴を有するCRSが報告されている(BLINCYTO(登録商標)USPI;Teachey et al.,Blood,121(26):5154-5157,2013;Lee et al.,Blood,124(2):188-195,2014)。(注:GO29781プロトコルの目的では、MAS及びHLHは同義語と見なされる。)慢性活動性EBV感染の証拠(EBVコード低分子RNA in situハイブリダイゼーションによって評価してEBVが陽性)を有する患者における二次性HLHの致死的な症例がGO29781試験で報告されている。
【0685】
重度のCRS及び続発性HLHは、重複する提示及び症候を有するが、続発性HLHは、感染症、自己免疫疾患及び悪性腫瘍を含む他の状態によって引き起こされ得る(Ramos-Casals et al.,Lancet,383:1503-1516,2014)。試験患者集団におけるこれらの状態の有病率は、重度のCRSとHLHとの間の区別及び誘発因子の同定を困難にする。例えば、1つのシリーズでは、B細胞悪性腫瘍は、反応性HLHに関連する最も一般的な悪性腫瘍であった(Riviere et al.,Am J Med,127:1118-1125,2014)。さらに、EBVによる活動性感染は、HLHの最も一般的な感染原因の1つであるが(Hashemi-Sadraei et al.,Case Rep Hematol 2015,491567,2015;Schram and Berliner,Blood,125:2908-2914,2015)、潜在性EBVの再活性化は、CLL患者で起こり得(Rath et al.,Haematologica,93:1424-1426,2008)、これは次にHLHにつながり得る(Lim et al.,Leuk Lymphoma,55:2938-2941,2014)。モスネツズマブ処置が、追加のリスク因子を有する患者においてHLHを発症するリスクを更に高め得るかどうかは不明のままである。
【0686】
モスネツズマブを含むT細胞関与療法の状況では、CRSは二次性HLHと比較してはるかに可能性が高い。症候の重複提示を考慮すると、これらの患者の管理は主にCRSの処置に集中すべきである(表7を参照)。
【0687】
遅発性CRS(モスネツズマブによるステップアップ投与の過去の完了)又は処置に抵抗性のCRS等の非定型症例では、HLHのワークアップを開始すべきである。
【0688】
HLHの支持的管理は、一般にCRSのそれと同様である。HLHの具体的な診断、モニタリング及び管理のガイドラインを以下に記載する。
【0689】
以下の8つの基準のうちの5つが満たされる場合、患者はHLHを有すると分類されるべきである。
● 発熱≧38.5℃
● 脾腫
● 以下の少なくとも2つからなる末梢血血球減少症:
● ヘモグロビン<90g/L(9g/dL)(<4週齢の乳児では<100g/L(10g/dL))
● 血小板数<100×109/L(100,000/μL)
● ANC<1.0×109/L(1000/μL)
● 空腹時トリグリセリド>2.992 mmol/L(265mg/dL)及び/又はフィブリノーゲン<1.5g/L(150mg/dL)
● 骨髄、脾臓、リンパ節又は肝臓における血球貪食
● ナチュラルキラー細胞活性が低いか、又は存在しない
● フェリチン>500mg/L(500ng/mL)
● 可溶性インターロイキン2(IL-2)受容体(可溶性CD25)は、年齢調整した検査室特異的標準を2以上の標準偏差を上回って上昇した
【0690】
患者は、以下の診断及びモニタリング手段で入院すべきである。
【0691】
開始時
● 頻繁な(例えば、4時間ごと)バイタルサイン及び脾腫の評価を含む身体検査;
● 血清化学、全血球計算、肝機能検査(LFT)、フェリチン、PT/PTT、フィブリノーゲン、D-ダイマー及びトリグリセリドの連続(少なくとも毎日)モニタリング;
● T/B/NK細胞におけるEBVタンパク質局在の評価を含む、血球貪食及び活動性感染について評価するための骨髄及び/又はリンパ節生検の考察;
● 完全な感染症のワークアップ:
-血液培養(細菌及び真菌)
-尿培養及び尿検査
-放射線評価(例えば、胸部X線又はCTスキャン)
-EBV及びCMVを含むがこれらに限定されない、活動性ウイルス感染の評価
● 入手可能な場合、可溶性CD25の評価及びNK細胞機能の評価
【0692】
● HLHに潜在的に関連する突然変異、例えばPRF1、MUNC13-4、STXBP2の探索的遺伝子検査のためのDNAを考慮すべきである(Zhang et al.,Blood,118:5794-5798,2011)。
【0693】
HLHが疑われる患者を、表16のガイドラインに従って処置すべきである。HLHが確認された場合、試験処置を恒久的に中止すべきである。
【表16】
【0694】
注射部位反応
抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブのSC投与後の局所注入部位反応が観察されている(Assouline et al.,Lancet Haematol,c128-338,2016)。これらのほとんどは、重症度が軽度から中程度であった(MABTHER(登録商標)欧州医薬品庁、製品特性の要約(EMA SPC))。CD4+及びCD8+T細胞(Mueller et al.,Frontiers in Immunology,332,2014)並びにB細胞(Egbuniwe et al.,Trends Immunol,36:102-111,2015)が皮膚に存在するため、モスネツズマブSC投与後に局所反応が起こり得る。その結果、モスネツズマブとの注射部位反応のリスクは不明である。モスネツズマブのSC投与後に局所注射部位反応を経験する患者を、
表8に詳述されているガイドラインに従って管理すべきである。
【0695】
神経毒性
脳症は、モスネツズマブ処置後のCRSの状況及び/又は肝機能検査(LFT)の上昇で観察されている。
【0696】
神経毒性は、モスネツズマブを投与したカニクイザルで報告されており、ブリナツモマブ及びCD19 CAR T細胞療法で処置した患者で頻繁に報告された(BLINCYTO(登録商標)USPI;Kochenderfer et al.,J Clin Oncol,published online before print August 25,2014;Maude et al.,New Engl J Med,371(16):1507-1517,2014)。ブリナツモマブ又はCAR T細胞療法で処置された患者で報告されている症候には、頭痛、錯乱、失語症、脳症、振戦、発作、及び他の神経学的事象が含まれる。これらの状況における毒性の病因は不確実であり、トシリズマブ等のサイトカイン指向療法に応答しない可能性があるが、一般に、
処置中止及びコルチコステロイド(BLINCYTO(登録商標)USPI;Viardot et al.,American Society of Hematology Annual Meeting 2010,Abstract 2880,2010;Kochenderfer et al.,J Clin Oncol,published online before print August 25,2014)で改善した。ブリナツモマブで処置されたB細胞ALLの患者では、神経毒性が患者の約50%で観察された;グレード3以上の神経毒性が患者の約15%で観察された。神経学的有害事象の大部分はブリナツモマブの中断後に解消し、一部の患者は処置中止を必要とした(BLINCYTO(登録商標)USPI)。入手可能な臨床データに基づいて、モスネツズマブで観察された神経学的有害事象は、早期発症で重症度が軽度であった。最も頻繁な神経学的事象には、頭痛、めまい、及び不眠症が含まれる。
【0697】
腫瘍崩壊症候群
腫瘍溶解症候群(TLS)は、NHLを含む血液悪性腫瘍における抗腫瘍療法の既知の薬力学的効果である。TLSは、ブリナツモマブ、CAR T細胞療法、及び他のCD20指向療法で報告されている(BLINCYTO(登録商標)USPI;GAZYVA(登録商標)USPI;リツキサン(登録商標)USPI;Porter et al.,N Engl J Med,365(8):725-733,2011)。TLSの固有のリスクは、処置される悪性腫瘍及び個々の患者の特徴に依存する(Coiffier et al.,J Clin Oncol,26:2767-2778,2008)。モスネツズマブによる処置が多数の腫瘍細胞の急速な破壊をもたらす場合、TLSの理論上のリスクがある。
【0698】
NHL患者におけるモスネツズマブによるTLSのリスクは、特に脱水又は腎機能障害の存在下で、嵩高い疾患(TLSの状況では、スクリーニングCTスキャンで10cm以上の任意の病変として定義される)及び処置前乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベルの上昇を有する人について最も高いと予測される。CLL患者におけるモスネツズマブを用いたTLSのリスクは、特に脱水又は腎機能障害の存在下で、絶対リンパ球数が25x109/L以上の患者又は任意のリンパ節病変が10 cm以上の患者において最も高いと予測される。DLBCL、形質転換リンパ腫及びMCLは、濾胞性リンパ腫、辺縁リンパ腫及び小細胞リンパ腫(Cairo et al.,Br J Haematol,149:578-586,2010)と比較してTLSのリスクが高い可能性があるが、腫瘍タイプに基づくリスク層別化はいずれも、治療の有効性(Howard et al.,New Engl J Med,364(19),1844-1854,2011)と共に考慮されるべきである。
【0699】
モスネツズマブは強力なB細胞殺傷の可能性を有するため、全ての患者は、以下の予防ガイドラインに基づいてTLSの予防を受ける。
【0700】
サイクル1試験処置投与(又はE群についてはサイクル2)のための入院時又は用量漸増後の入院時に、患者の血清化学及び血液学実験室試料を入手し、検討し、以下に記載されるガイドラインに従って予防措置を開始すべきである。
【0701】
全ての患者は、A群についてはC1D1で、B群及びE群についてはC1D1、C1D8及びC1D15で、並びにE群についてはC2D1注入の各モスネツズマブ投与の前にTLSの予防を受ける。予防ガイドラインには、以下が含まれる:
● モスネツズマブの初回投与の24~48時間前に開始する約2~3L/日の水分摂取からなる水分補給。
-患者が試験処置の投与のために入院する場合、150~200mL/時の速度でのIV水分補給は、モスネツズマブ投与の終了時に開始し、その後少なくとも24時間継続すべきである。
-患者が外来で試験処置を受ける場合、流体摂取は、モスネツズマブ投与後少なくとも24時間、2~3L/日に維持されるべきである。
-流体速度の変更は、特定の医療ニーズを有する個人に対して考慮されるべきである。
● 尿酸を減少させる薬剤の投与:
-治験責任医師の裁量によりTLSを発症するリスクが低い又は中程度であると判断された患者に対するアロプリノール(例えば、300mg/日を投与の72時間前に経口的に開始し、その後3~7日間継続する)。
-モスネツズマブ処置前に尿酸レベルが上昇しているか、又はTLSのリスクが高いと考えられる患者については、禁忌(ELITEK(登録商標)USPI)でない限り、ラスブリカーゼ(例えば、初回投与の前に30分間かけて0.2mg/kg IVで、その後5日間まで毎日)を投与すべきである。
-アロプリノール/ラスブリカーゼによる処置は、上記のように、又は血清尿酸若しくは他の検査パラメータの正常化までTLSの検査所見が観察される場合に継続すべきである。
-アロプリノール又はラスブリカーゼによる処置が禁忌であるか、又は治験責任医師の観点から不適切である場合、更なる指導のためにメディカルモニターに連絡する必要がある。
【0702】
感染症
顕著なB細胞枯渇をもたらすその予想される作用様式のために、モスネツズマブは感染症のリスク増加に関連し得る。他のCD20指向性療法並びにブリナツモマブ(BLINCYTO(登録商標)USPI;GAZYVA(登録商標)USPI;RITUXAN(登録商標)USPI)を受けている患者において感染が報告されている。したがって、モスネツズマブは、活動性の重度の感染症の存在下で投与すべきではない。
【0703】
治験責任医師は、
再発性若しくは慢性感染症の病歴を有する患者、又は患者が感染症になりやすい基礎疾患を有する患者においてモスネツズマブの使用を考慮する場合には注意を払うべきである。感染の徴候及び症候は、抗生物質又は他の処置を開始する前に迅速な評価及び細菌学的検査のための適切な試料をもたらすはずである。
【0704】
高用量化学療法等の有意な免疫抑制処置を以前に受けていた患者には特に注意を払うべきである。進行性多巣性白質脳症(PML)は、リツキシマブ及びオビヌツズマブを含むCD20指向性治療による処置に関連している。PMLの診断は、新たに発症した神経学的徴候を呈する任意の患者において考慮されるべきであり、神経科医との相談及び脳MRI及び腰椎穿刺を含む診断手順が臨床的に示されるように行われるべきである。しかしながら、以下の新たな発症神経学的有害事象に留意されたい。
【0705】
リツキシマブに関連するPMLは一般に長期曝露後に発生したため、モスネツズマブの初期用量は、モスネツズマブの急性効果に起因する可能性が高い(Carson et al.,Blood,113(20):4834-4840,2009)。
【0706】
血小板減少症
血小板減少症は、他のCD20指向療法並びにブリナツモマブ(BLINCYTO(登録商標)USPI)に関連する。可逆的血小板減少症は、試験GO29781でのモスネツズマブ処置後に観察された。
【0707】
カニクイザルにおけるモスネツズマブの非臨床試験では、血液学的所見には、モスネツズマブ曝露の1日目内のWBC、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球及び血小板数の一過性の減少、続いて4~8日目の回復又はリバウンド回復が含まれた。
【0708】
患者を血小板減少について綿密にモニターすべきである。事象が解消するまで、定期的な実験室試験を行うべきである。施設内診療による血液製剤(例えば、血小板輸血)の輸血は、処置する医師の裁量による。血小板阻害剤及び抗凝固薬等の血小板減少関連事象を悪化させる可能性がある全ての併用療法の使用も考慮すべきである。
【0709】
グレード3以上の処置下で発現した血小板減少症事象については、用量遅延及び/又は用量変更を考慮すべきである。
【0710】
肝臓酵素の上昇及び肝臓事象
肝臓酵素の上昇が、通常はCRSの状況においてであるが排他的ではない、ブリナツモマブ(BLINCYTO(登録商標)USPI)で報告されている。グレード3以上の肝酵素上昇は、CRSの状況外の患者の約6%で発生した。ほぼ全ての肝臓酵素上昇は、ブリナツモマブ処置の中断により、又は処置の継続中に解消された。肝臓酵素の上昇が解消された一部の患者は再チャレンジに成功し、直接的な毒性ではなく初回用量効果が示唆された(BLINCYTO(登録商標)承認申請資料パッケージ)。グレード2のCRSの状況における一過性のグレード3のAST上昇並びにLFTにおけるグレード3の肝性脳症/グレード4の上昇が、モスネツズマブ処置後に観察されている。
カニクイザルにおけるモスネツズマブを用いた非臨床試験では、CRP、フィブリノーゲン、PT及びaPTTと共に血清総ビリルビンの用量依存的増加が観察され、これは、凝固系の最小活性化を伴う、モスネツズマブ誘導性サイトカイン放出及び急性期タンパク質応答と一致していた。肝臓における可能性のある薬物関連の顕微鏡所見には、門脈域における単一細胞肝細胞変性/壊死及び免疫細胞浸潤が含まれた。全ての所見が
可逆性の証拠を示した。
【0711】
免疫原性(抗薬物抗体)
任意の組換え抗体と同様に、モスネツズマブは免疫応答を誘発し得、
患者は、分子に対する抗体を発達させ得る。患者は、薬剤のベネフィット-リスクプロファイルに影響を及ぼし得る、モスネツズマブに対する潜在的な免疫応答について綿密にモニターされる。
【0712】
腫瘍炎症/フレア
腫瘍炎症/フレアに関連する有害事象が試験GO29781で報告されている。モスネツズマブの作用機序と一致して、腫瘍フレアは、モスネツズマブ投与後の腫瘍部位へのT細胞の流入に起因する可能性が高く、偽進行に関連し得る。これまでに観察された腫瘍フレア関連有害事象は、初期のモスネツズマブ投与後に発症するまでの時間が短かった。腫瘍フレアは、疾患進行後にモスネツズマブで再処置された患者において更に起こり得る。新たな安全性データに基づいて、腫瘍フレアは、腫瘍疼痛、臨床的又は放射線学的評価による既知のリンパ節又はリンパ節外病変のサイズの増加、並びに新たな又は悪化する胸水として現れている。さらに、腫瘍サイズ及び解剖学的位置に応じて、腫瘍フレアは、気道、主要血管、消化管(穿孔及び出血のリスク)、及び/又は主要臓器を含む重要な構造に質量効果をもたらす可能性がある。そのような症状発現が早期のモスネツズマブ投与と時間的に関連している場合、処置に当たっている医師/治験責任医師は、それらの事象を腫瘍フレアとみなし、「腫瘍フレア」又は「腫瘍炎症」として報告すべきである。重要な解剖学的位置に腫瘍を有する患者については、処置に当たっている医師/治験責任医師は、メディカルモニターに連絡して、モスネツズマブ処置の前にリスク評価及び緩和戦略について議論すべきであり、患者は腫瘍フレアについて綿密にモニターされるべきである。
【0713】
D.有害事象の重症度及び因果関係の評価
NCI CTCAEの有害事象重症度等級スケール(v4.0)は、
別段の指定がない限り、有害事象の重症度を評価するために使用される。表17は、NCI CTCAEに具体的に列挙されていない有害事象の重症度を評価するために使用される。
【表17】
【0714】
機器による日常生活の活動は、食事の準備、食料品又は衣服の買い物、電話の使用、金銭の管理等を指す。
【0715】
日常生活のセルフケア活動の例には、寝たきりではない患者によって行われる入浴、着衣及び脱衣、食事、トイレの使用、及び投薬が含まれる。
【0716】
治験責任医師は、患者の知識、事象を取り巻く状況、及び何らかの潜在的な代替原因の評価を使用して、有害事象が試験薬に関連していると考えられるかどうかを決定し、それに応じて「あり」又は「なし」を示すべきである。以下の指針を考慮すべきである(表18も参照)。
【0717】
● 事象の開始と試験薬の開始との時間的関係
● 用量減少、試験薬の中止又は試験薬の再導入(適用可能な場合)の効果を特に考慮した事象の経過
● 事象と試験薬又は同様の処置との既知の関連
● 試験中の疾患との事象の既知の関連
● 患者におけるリスク因子の存在又は事象の発生を増加させることが知られている併用薬の使用
● 事象の発生に関連することが知られている非処置関連因子の存在
【表18】
【0718】
実施例8.統計的考察及び分析計画
A.試料サイズの決定
GO29781試験のサンプルサイズは、本明細書に記載の用量漸増規則に基づく。この試験のための計画された登録は、用量漸増段階の間に約130~226名の患者(NHL患者100~166名及びCLL患者30~60名)であり、拡大段階の間に約290~520名の患者である。およそ80名の患者がそれぞれ、B群及びE群のR/R DLBCL/trFL及びR/R FL拡大コホートに登録される。
【0719】
B.用量漸増段階
試験の用量漸増段階は、主に安全性、忍容性及び薬物動態を評価するために設計される。この試験は、最初は単一患者用量漸増コホートを利用するが、上記の基準に基づいて標準的な3+3設計に変換する。表19は、異なる根底にあるDLT率を所与として、3名の患者においてDLTを観察しないか、又は6名の患者において1つ以下のDLTを観察する確率を提供する。例えば、真の根底にあるDLT率が20%である場合、3名の患者においてDLTが観察されない確率は51%であり、6名の患者において1つ以下のDLTが観察される確率は66%である。
【表19】
【0720】
C.用量拡大段階
試験の用量拡大段階は、安全性並びに有効性シグナルを評価するように設計される。
【0721】
表20は、有害事象の真の根底にある確率が1%~20%の範囲である場合の10、20、40及び80名の患者における少なくとも1つの有害事象を観察する確率を提供する。例えば、真の根底にある有害事象率が5%である場合、40名の患者において少なくとも1つの有害事象を観察する確率は87%であり、80名の患者においては98%である。
【0722】
B群及びE群のR/R DLBCL/trFL及びR/R FL拡大コホートについて、完全奏効率が、クロッパー・ピアソン(Clopper-Pearson)の正確な95%CIにより推定されるであろう。
【0723】
B群及びE群のR/R DLBCL/trFL拡大コホートについて:観察されたCR率が30%及び35%である場合、80名の患者のサンプルサイズは、それぞれ(20%、41%)及び(25%、46%)の95%CIをもたらし、すなわち、20%未満の真のCR率は除外される。さらに、80名の患者が、5%両側有意水準で、20%から35%へのCR率の15%増加を検出するための85%の検出力を提供するであろう。
【0724】
B群及びE群のR/R FL拡大コホートの場合:観察されたCR率が24%及び28%では、80名の患者のサンプルサイズは、それぞれ(15%、35%)及び(18%、39%)の95% CIをもたらし、すなわち、14%未満の真のCR率は除外される。さらに、80名の患者が、5%両側有意水準で、14%から28%へのCR率の14%増加を検出するための83%の検出力を提供するであろう。
【0725】
B群及びE群のR/R FL拡大コホートの場合:観察されたCR率が24%及び28%では、80名の患者のサンプルサイズは、それぞれ(15%、35%)及び(18%、39%)の95% CIをもたらし、すなわち、14%未満の真のCR率は除外される。さらに、80名の患者が、5%両側有意水準で、14%から28%へのCR率の14%増加を検出するための83%の検出力を提供するであろう。
【0726】
治験依頼者は、B群及びE群のR/R FL拡大コホートに80名を超える患者を登録して、抗CD20療法及びアルキル化剤の両方に抵抗性であるR/R FLを有する少なくとも60名の患者からデータを得て、統計分析を行ってもよい。観察されたCR率が25%である場合、60名の患者のサンプルサイズは、95% CIの(15%、38%)をもたらし、すなわち、8%未満の真のCR率は除外される。
【0727】
許容できない毒性及び無益性のために患者の登録を一時停止又は停止するための中間解析が、試験の拡大段階において行われるであろう。要約すると、継続的な安全性監視が実施され、中間解析が各拡大コホートにおいて少なくとも1回、無益性について定期的に実施される。許容できない毒性又は拡大コホートにおける予想される奏効率より低い場合、登録を停止することをしてもよい。
【表20】
【0728】
D.処置群の比較可能性の要約
年齢、性別、体重、悪性腫瘍の種類、悪性腫瘍の期間、及びベースラインECOGパフォーマンスステータス等の人口統計及びベースライン特性は、平均、標準偏差、中央値、及び連続変数の範囲及びカテゴリ変数の割合を使用して要約される。全ての要約は、全体的に、用量レベル及び群ごとに提示される。
【0729】
試験薬物投与データを用量レベル及びアームによって要約する。
【0730】
最終分析は、試験中止の時点までに収集された患者データに基づく。全ての分析は、任意の量の試験処置を受けた患者として定義される安全性評価可能な集団に基づく。全ての要約は、割り当てられた用量レベルに従って提示される。
【0731】
E.安全性分析
安全性分析には、任意の量の試験処置を受けた全ての患者が含まれる。
【0732】
安全性は、有害事象、実験室試験結果の変化、ECGの変化、ADAの変化、及びバイタルサインの変化の要約によって評価される。
【0733】
収集された有害事象データは全て、割り当てられた用量レベル及び患者番号によって列挙される。サイクル1の1日目の処置時又は処置後に生じる全ての有害事象を、マッピングされた用語、適切なシソーラスレベル、及びNCI CTCAE v4.0毒性グレードによって要約する。さらに、死亡を含む全ての重篤な有害事象を別々に列挙し、要約する。DLT及び処置中止につながる有害事象もまた別々に列挙されている。
【0734】
F.薬物動態分析
モスネツズマブの個々の血清濃度及び平均血清濃度対時間データは、
用量レベルによって表にし、プロットした。モスネツズマブの薬物動態は、総AUC、Cmax、Cmin、CL及びVss(収集されたデータに適切な場合)を推定することによって要約される。これらのパラメータの推定値を集計し、要約する。患者間の変動性及び薬物蓄積を評価する。
【0735】
アテゾリズマブ及びトシリズマブについての血清トラフ及び最大濃度は、適用可能な場合、必要に応じて、及びデータが許す場合に要約される。区画法、非区画法、及び/又は集団法が考慮され得る。必要に応じて、追加のPK分析を行う。
【0736】
G.活性分析
全て治験責任医師によって評価された応答評価データ、PFS、及び奏効期間を、全ての患者について用量レベル、スケジュール、及び群別に要約する。客観的奏効率(ORR)が推定される。治験責任医師が評価した客観的奏効は、標準的な基準を用いた治験責任医師の評価によって決定されるCR又はPRとして定義される。応答評定が欠落しているか又は応答評価がない患者は、非応答者として分類される。
【0737】
治験責任医師によって評価された客観的奏効を有する患者において、奏効期間は、初期CR又はPRから治験責任医師によって決定された疾患進行の時点までの時間、又は死亡と定義される。患者が試験の終了前に疾患の進行又は何らかの原因による死亡を経験していない場合、応答期間は最後の腫瘍評価の日に打ち切られる。
【0738】
治験責任医師によって評価されたPFSは、試験処置の最初の日(サイクル1、1日目)から、治験責任医師によって決定された疾患進行までの時間、又は死亡までの時間のうち、いずれか早く起こる時間として定義される。患者がPD又は死亡を経験していない場合、PFSは最後の腫瘍評価の日に打ち切られる。
【0739】
H.B群RP2D及びE群RP2DでのR/R DLBCL及び形質転換FL拡大コホート、並びにR/R FL拡大コホートについての活性分析
主要有効性評価項目
有効性の主要評価項目は、独立レビュー施設(IRF)で評価されたCR率であり、NHLに対する標準的な基準(Cheson et al.,J Clin Oncol,25:579-586,2007)を用いたIRF評価に基づくCRが最良総合効果である患者の割合として定義される。応答評定が欠落しているか又は応答評価がない患者は、非完全応答者として分類される。
【0740】
処置された患者集団と歴史的対照との間のCR率に関する比較を試験する。対照CR率は、R/R DLBCL及び形質転換FL拡大コホートについては20%であると仮定され(過去の対照については表21を参照)、R/R FL拡大コホートについては14%であると仮定される(過去の対照については表22を参照)。
【表21】
【0741】
リツキシマブ+ゲムシタビン及びオキサリプラチンのデータは、Mounier et al.,Haematologica,98:1726-1731,2013.からのものである。ピキサントロンのデータには、DLBCL患者53名、形質転換性低悪性度リンパ腫患者10名及びグレード3のFL患者1名が含まれる(Pettengell et al.,Lancet Oncol,13:696-706,2012)。リツキシマブ+ベンダムスチンのデータは、Dang et al.,Br J Haematol,doi:10.1111/bjh.14820 [Epub ahead of print],2017からのものである。ブリナツモマブのデータは、Viardot et al.,Blood,127:1410-1416,2016 and Goebeler et al.,J Clin Oncol,34:1104-1111,2016からのものである。アキシカブタゲン シロルユーセルのデータは、Neelapu et al.,Blood,128:LBA-6,2016.からのものである。ポリツズマブベドチン+ベンダムスチンとリツキシマブとのデータは、POLIVY(商標)USPIからのものである。
【表22】
【0742】
全奏効率に基づくこの適応症について、イデラリシブ(ZYDELIG(登録商標);Gopal et al.,N Engl J Med,370:1008-1018,2014)及びコパンリシブ(ALIQOPA(商標);Dreyling et al.,Ann Oncol,25:76-82,2017)の迅速な承認が認められた。この適応症に対する継続的な承認は、確認試験における臨床的利益の検証及び説明を条件とし得る。
【0743】
以下の仮説を、B群RP2D及びE群RP2DでのR/R DLBCL及び形質転換FL拡大コホートのそれぞれにおいて0.05の有意水準で試験する。
【0744】
Ho:CR率=20%対Ha:CR率≠20%
【0745】
以下の仮説を、B群RP2D及びE群RP2DでのR/R FL拡大コホートのそれぞれにおいて0.05の有意水準で試験する。
【0746】
Ho:CR率=14%対Ha:CR率≠14%
【0747】
CR率についてクロッパー・ピアソン法を使用した正確な95%信頼区間を提供する。正確な二項検定を使用して、B群RP2Dでの単剤のモスネツズマブ処置又はE群RP2Dでのアテゾリズマブと組み合わせたモスネツズマブがCR率の統計学的に有意な増加をもたらすかどうかを評価する。
【0748】
副次的有効性評価項目
副次的有効性評価項目には、以下が含まれる:
● 治験責任医師によって評価されたCR率、NHLに対する標準的な基準(Cheson et al.,J Clin Oncol,25:579-586,2007)を用いた治験責任医師の評価に基づく最良総合効果がCRである患者の割合として定義される。CR率についてクロッパー・ピアソン法を使用した正確な95%信頼区間を提供する。
● ORR、NHLに対する標準的な基準(Cheson et al.,J Clin Oncol,25:579-586,2007)を使用して、最良総合効果がPR又はCRである患者の割合として定義される。ORRはIRF及び治験責任医師によって評価される。ORRのためにクロッパー・ピアソン法を使用した正確な95%信頼区間を提供する。
● 完全奏効の期間、実証されたCRの最初の発生から、いずれかの原因による実証された疾患進行又は死亡までの時間のうち、いずれか早い方として定義される。完全奏効期間が、NHLに対する標準的な基準を使用して、IRF及び治験責任医師によって評価されるであろう。カプラン-マイヤー(Kaplan-Meier)推定値を提供する。ブルックマイヤー-クラウリー(Brookmeyer-Crowley)法を使用して、完全奏効期間の中央値に対する95%信頼区間を構築する。
● 奏効期間、実証されたPR又はCRの最初の発生から、いずれかの原因による実証された疾患進行又は死亡までの時間のうち、いずれか早い方として定義される。奏効期間が、NHLに対する標準的な基準を使用して、IRF及び治験責任医師によって評価される。カプラン-マイヤー(Kaplan-Meier)推定値を提供する。ブルックマイヤー-クラウリー(Brookmeyer-Crowley)法を使用して、奏効期間中央値に対する95%信頼区間を構築する。
● PFS、最初の試験処置から疾患進行又は何らかの原因による死のいずれか最初に起こる時間として定義される。PFSは、NHLの標準基準を使用してIRF及び治験責任医師によって評価される。カプラン-マイヤー(Kaplan-Meier)推定値を提供する。ブルックマイヤー-クラウリー(Brookmeyer-Crowley)法を使用して、PFSの中央値に対する95%信頼区間を構築する。カプラン-マイヤー(Kaplan-Meier)法を使用して、グリーンウッド(Greenwood)の式を使用して、標準誤差及び対応する95%CIにより、6ヶ月のPFS及び1年のPFSを推定する。
● OS、最初の試験処置から任意の原因による死亡日までの時間として定義される。カプラン-マイヤー(Kaplan-Meier)推定値を提供する。ブルックマイヤー-クラウリー(Brookmeyer-Crowley)法を使用して、OSの中央値に対する95%信頼区間を構築する。カプラン-マイヤー(Kaplan-Meier)法を使用して、グリーンウッド(Greenwood)の式を使用して、標準誤差及び対応する95%CIにより、6ヶ月のOS及び1年のOSを推定する。
【0749】
I.患者報告転帰分析
全ての質問票について、患者報告転帰(PRO評価可能集団)は、ベースライン評価及び少なくとも1つのベースライン後評価のNHL拡大コホートにおける全ての患者を含む。
【0750】
EORTC QLQ-C 30及びFACT-Lymサブスケールは、ユーザマニュアルに従ってスコア化される。要約統計及びベースラインスコアからの変化を全ての時点について計算する。反復測定混合モデルを使用して、各コホートの縦断的プロファイルを調べる。各測定値についてベースラインを満たすか又は最小の重要な差を超える変化を報告する患者の割合も、各コホートで報告される。EQ-5 D-5 Lでは、VASによる健康状態の要約統計及びベースラインからの指数効用スコアの変化が計算される。結果は、より完全な健康経済データ分析に使用される。
【0751】
J.探索的薬力学分析
探索的薬力学的分析には、入手可能な場合、腫瘍組織及び血液の両方における薬力学的バイオマーカーの評価が含まれる。必要に応じて、追加の薬力学的分析を行う。
【0752】
K.中間解析
任意の所与の拡大コホートにおける許容できない毒性の場合又は拡大コホートにおける予想される奏効率よりも低い場合に、登録の早期停止の可能性を導くために、試験の拡大部分について連続安全性監視及び中間解析を行う。
【0753】
用量漸増コホートのDLT評価期間中に発生するDLTの割合を含む、事後確率アプローチ(Thall and Simon,Biometrics,50(2):337-349,1994)を使用して、拡大コホートにおける毒性を評価する。任意の拡大コホートにおける任意の時点で、観察されたDLTの数が、真のDLT率が≧20%である約80%の可能性があることを示している場合、コホートへの登録を一時停止してもよく、IMCは、コホートへの更なる登録を停止すべきかどうかを決定するために、及び/又は本明細書に記載の他の推奨を提供するために会合を行う。
【0754】
中間解析はまた、それぞれの
拡大コホートにおいて少なくとも1回、無益性について定期的に行われる。中間解析が、試験処置によるORRが歴史的対照のORRよりも低いことを示唆する場合、拡大コホートへの登録を停止してもよい。具体的には、情報価値のない事前の事後確率アプローチを使用して、真のORRが≦25%である可能性が約80%である場合、登録を停止してもよい。全ての場合において、無益性に基づいて拡大コホートへの登録を停止する決定が、治験責任医師と相談してなされる。
【0755】
L.免疫原性分析
検証されたスクリーニング、滴定及び確認アッセイを使用して、モスネツズマブ及びアテゾリズマブによる処置前、処置中及び処置後のADAを評価する。免疫原性分析集団は、少なくとも1つのADA評価を有する全ての患者からなる。患者は、全ての時点でADA陰性である場合、ADAについて陰性であるとみなされる。患者は、ベースラインでADA陽性であるが、ベースライン試料の力価より少なくとも4倍大きい力価を有するベースライン後の試料を有していない場合、処置に影響されないとみなされる。患者は、ベースライン時にADA陰性であるかベースライン時のデータを欠き、その後、試験薬物投与後にADA応答を発症する場合、処置誘発性ADA応答を有するとみなされる。患者がベースラインでADA陽性であり、1つ以上のベースライン後の試料の力価がベースライン試料の力価よりも少なくとも4倍大きい(すなわち、少なくとも0.60タイターユニット)場合、患者は処置によって増強されたADA応答を有するとみなされる。
【0756】
ADAの状態と安全性、有効性、PK、及びバイオマーカーエンドポイントとの間の関係もまた、適切に評価され、サブグループ分析によって記述的に報告され得る。
【0757】
実施例9.モスネツズマブの臨床データの要約
GO29781試験におけるモスネツズマブの評価は進行中である。この試験では、A群、B群及びE群において、以下の投与スケジュールに従ってモスネツズマブを試験した(注:C群なし)。
【0758】
● サイクル1非分割用量スケジュール(A群)で単剤として静脈内投与した。
● サイクル1の1日目、サイクル1の8日目及びサイクル1の15日目の用量レベルを漸増させた後、後続のサイクルの1日目に最高用量レベルを投与して、サイクル1のステップアップ用量スケジュールで単剤として静脈内投与した(B群)。
● サイクル1のステップアップ用量スケジュールで単剤として静脈内投与し、サイクル2で開始してアテゾリズマブを同時投与した(E群)。
【0759】
A.安全性
0.05mg~2.8mgの用量をA群の投与スケジュールで試験した。E群の投与スケジュールでの用量漸増が進行中である。用量漸増群のいずれかの投与スケジュールに基づくと、モスネツズマブの最大耐量(MTD)に達していない。
【0760】
2020年1月21日現在、GO29781試験で合計432名の患者がモスネツズマブで処置されている。モスネツズマブに関連すると考えられる最も頻繁に観察される有害事象はCRSであり、安全性評価可能な患者の31%に発生する。1.0/2.0/13.5mg、1.0/2.0/27.0mg及び1.0/2.0/60.0/30.0mgでB群において処置された患者で観察された4つのグレード3事象、並びに1.0/2.0/60.0/30.0mgでB群において処置された患者で観察された1つのグレード4事象を除いて、これらの事象のほとんどは、改変CRS等級付けシステム(Lee et al.,Blood,124(2):188-195,2014)を使用したグレード1~2であった。重篤な有害事象が174名の患者(40%)で報告され、90名の患者(21%)において、重篤な有害事象は治験責任医師の評価によりモスネツズマブに関連していた。50名の患者が致死的転帰を伴う有害事象を経験した:45名の患者が悪性新生物進行(有害事象として報告)を経験し、1名の患者が血球貪食性リンパ組織球症(HLH)を有し、1名の患者が肺炎を有し、2名の患者が敗血症を有し、1名の患者がカンジダ敗血症を有した。
【0761】
モスネツズマブは、血漿IL-6の一過性上昇を誘導し、ピークレベルは、サイクル1の1日目の投与の4~6時間以内に患者の大部分で生じ、24時間までにベースラインに戻る(
図10)。患者が全てのサイクルで単一用量レベルのモスネツズマブを受けた試験GO29781、A群では、IL-6増加の大きさに対する明確な用量依存性はなかった。B群及びE群では、最初の投与後に最大レベルのIL-6が観察され、その後、より高用量のモスネツズマブを二段階分割中及びその後のサイクルで投与した場合であっても観察された。ベースラインに対するIL-6の動態及び倍数変化は、AE、最も顕著にはCRSの発生率と関連していた。CRSを経験している患者は、第1のサイクルの間にIL-6のより高いピークレベルの傾向を示したが、CRSを有する患者と有さない患者との間には有意な重複がある。IL-6応答は、安全性プロファイルと組み合わせて、許容可能であり、潜在的により有効な高用量のモスネツズマブをステップアップ用量スキームを使用して投与され得ることを示唆している。
【0762】
2020年1月21日の時点で、処置関連AE又はグレード3以上のAEを有する患者とモスネツズマブ用量レベルとの明らかな関連は、第1のサイクルのステップアップ投与計画を使用して単剤としてモスネツズマブを投与したGO29781試験で処置したB群患者では観察されなかった。B群の患者において試験された異なる用量レベルにわたる観察されたCRS発生率を
図11に提供する。これは、ステップアップ投与が、用量に依存しない曝露-安全性プロファイルも提供し得る有効な安全性緩和戦略であり得ることを示している。A群及びB群における全ての有害事象の要約は、それぞれ
図12及び
図13に見られる。
【0763】
さらに、E群で観察された有害事象は、モスネツズマブを皮下投与又はアテゾリズマブと組み合わせて投与した場合の全体的な安全性プロファイルが、これまでに試験した用量レベルでB群で観察された安全性プロファイルより実質的に悪くないことを示している。現在のデータに基づいて、単剤のモスネツズマブ又はアテゾリズマブに関連する既知の毒性と実質的に異なる予期せぬ又は扱いにくい毒性はE群で観察されていない。
【0764】
全体的な安全性、有効性及びPKプロファイルに基づいて、B群の1日目のモスネツズマブ用量レベルを1mgに固定し、8日目の用量レベルを2mgに固定し、15日目の用量レベルのみ用量漸増を継続した。2019年5月6日現在、1mg/2mg/60mg用量レベルは用量制限毒性(DLT)評価期間をクリアしている。
【0765】
B.活性
2020年1月21日の臨床カットオフ日の時点でのGO29781試験では、全処置群にわたる一次有効性集団の415名の患者のうち、60名の患者(39%)が治験責任医師判定の客観的応答(CR又は部分応答(PR))を有していた。全体として、悪性リンパ腫に対する改訂奏効基準(Cheson et al.,J Clin Oncol,25:579-586,2007)を用いて治験責任医師によって評価された最良総合効果として、110名の患者(27%)がCRを有し、76名の患者(18%)がPRを有し、52名の患者(13%)が安定疾患(SD)を有し、160名の患者(39%)が進行性疾患(PD)を有していた。A群(サイクル1固定モスネツズマブ投与;n=33名の患者)では、5名の患者(15.2%)がCRを有し、1名の患者(3%)がPRを有し、6名の患者(18.2%)が安定疾患(SD)を有し、20名の患者(60.6%)が進行性疾患(PD)を有していた。B群(サイクル1ステップアップモスネツズマブ投与;n=336名の患者)では、92名の患者(27%)がCRを有し、63名の患者(19%)がPRを有し、41名の患者(12%)が安定疾患(SD)を有し、124名の患者(37%)が進行性疾患(PD)を有していた。E群(サイクル1のステップアップモスネツズマブ投与及びサイクル2+モスネツズマブ+アテゾリズマブ投与;n=24名の患者)では、8名の患者(33%)がCRを有し、2名の患者(8%)がPRを有し、4名の患者(17%)が安定疾患(SD)を有し、10名の患者(42%)が進行性疾患(PD)を有していた。客観的応答が、FL、DLBCL、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、リヒター形質転換、MCL、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、形質転換FL及び他の形質転換された緩徐進行型NHLを含めて、低悪性度NHL組織型及び高悪性度NHL組織型において認められた。
【0766】
C.臨床薬物動態及び免疫原性
A群(0.05~2.8mgの固定用量、3週間ごと(Q3W)の投与)及びB群(1/8/15日目の0.4/1/2.8~1/2/60mgのサイクル1ステップアップ用量、続いてQ3W投与)の臨床PKデータを、進行中の第I/Ib相(GO29781)試験で分析した。
【0767】
モスネツズマブ血清薬物濃度は、注入終了時(約4時間)にCmaxに達し、多相様式で減少し、α半減期は約3~4日であり、見かけの半減期(t1/2)は約6~11日である。見かけのt1/2推定値は、IgG1抗体の21日間の典型的なt1/2よりも短く、全ての試験された用量レベルでの標的媒介性薬物消長(target-mediated drug disposition)に起因する薬物クリアランスへの影響を反映している可能性が高い。モスネツズマブPK曝露は、試験した用量範囲にわたってほぼ用量比例的に増加した。中程度の薬物動態学的変動性が観察された。モスネツズマブのIV投与後の集団PKは、時間依存性クリアランスを有する2コンパートメントPKモデルによって十分に説明された。アテゾリズマブと組み合わせて投与した場合、モスネツズマブのPKは同様のままである。
【0768】
これまでに試験された352名の患者のうち、モスネツズマブに対する抗薬物抗体(ADA)が1名の患者で検出された。この患者は、8サイクルのモスネツズマブSC処置を完了し、この期間を通してADA陰性であった。疾患進行後、次いで、患者をアテゾリズマブと組み合わせたモスネツズマブで追加の13サイクルで処置し、患者は、併用処置中にサイクル2、3、4、6、8及び12でモスネツズマブADAを発症した。モスネツズマブに対するADAの存在は、薬物曝露及び安全性に明らかな影響を及ぼさなかった。この患者は、アテゾリズマブに対する抗体について試験すると陰性であった。
【0769】
VIII.他の実施形態
上述の発明は、理解を明確にする目的のために説明及び実施例によってある程度詳細に記載されているが、これらの記載及び実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に引用される全ての特許及び科学文献の開示は、その全体が参考として明示的に組み込まれる。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
B細胞増殖性障害を有する対象を処置する
ための、CD20及びCD3に結合する完全長二重特異性抗体を含む医薬であって、前記完全長二重特異性抗体が、少なくとも第1の投与サイク
ル、第2の投与サイクル、及び第3の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3
)を含み、前記C1D
1が約1mgであり、前記C1D2が
約2mgであり、前記C1D3が
約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の単一用量(C2D1
)を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、前記完全長二重特異性抗体の単一用量(C3D1)を含み、前記C3D1が約30mgであり、
前記完全長二重特異性抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメインを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームと、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号16のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームと、
を含む、医薬。
【請求項2】
前記投与計画が、前記第1の投与サイクルの1日目、8日目及び15日目に、
それぞれ、前記C1D1、前記C1D2及び前記C1D3を前記対象に投与する
ことを含む、請求項
1に記載の
医薬。
【請求項3】
前記
投与計画が、前記第2の投与サイクルの1日目に
前記C2D1を前記対象に投与する
ことを含む、請求項1
又は2に記載の医薬。
【請求項4】
前記第1の投与サイクル
、前記第2の投与サイクル、及び前記第3の投与サイクルが各21日間の投与サイクルである、請求項1~
3のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項5】
前記第1の投与サイクルが21日間の投与サイクルであり、前記第2の投与サイクル
及び前記第3の投与サイクルが各28日間の投与サイクルである、請求項1~
3のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項6】
前記投与計画が、前記
第3の投与サイクルの後に1回以上の追加の投与サイクルを更に含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項7】
前記投与計画が、前記
第3の投与サイクルの後に
5回~14回の追加の投与サイクルを含む、請求項
6に記載の
医薬。
【請求項8】
前記追加の投与サイクルが各21日間の投与サイクルである、請求項
6又は
7に記載の
医薬。
【請求項9】
前記追加の投与サイクルが各28日間の投与サイクルである、請求項
6又は
7に記載の
医薬。
【請求項10】
1回以上の前記追加の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の追加の単一用
量を含む、請求項
6~
9のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項11】
前記投与計画が、各追加の投与サイクルの1日目に
前記完全長二重特異性抗体の前記追加の単一用量を前記対象に投与することを含む、請求項
10に記載の
医薬。
【請求項12】
前記完全長二重特異性抗体の前記追加の単一用
量が約30mgである、請求項
10又は11に記載の
医薬。
【請求項13】
B細胞増殖性障害を有する対象を処置する
ための、CD20及びCD3に結合する完全長二重特異性抗体を含む医薬であって、前記完全長二重特異性抗体が、8回以上の投与サイクルを含む投与計画で
前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)第1の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3
)を含み、前記C1D1が
約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が
約60mgであり、
(b)第2の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の単一用量(C2D1
)を含み、前記C2D1が
約60mgであり、
(c)第3
~第8の投与サイクルが、
各々、前記完全長二重特異性抗体の単一用量(C3D1~C8D1)を含み、前記C3D1~C8D1が、各々、約30mgであり、
前記完全長二重特異性抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームと、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号16のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームと、
を含む、医薬。
【請求項14】
前記投与計画が、前記第1の投与サイクルの1日目、8日目及び15日目に
、それぞれ、前記C1D1、前記C1D2及び前記C1D3を前記対象に投与する
ことを含む、請求項
13に記載の
医薬。
【請求項15】
前記投与計画が、前記第2~第8の投与サイクルの1日目に
、それぞれ、前記C2D1~C8D1を前記対象に投与する
ことを含む、請求項
13又は14に記載の
医薬。
【請求項16】
投与サイクルが各21日間の投与サイクルである、請求項13~15のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項17】
前記第1の投与サイクルが21日間の投与サイクルであり、前記第2~第8の投与サイクルが各28日間の投与サイクルである、請求項
13~15のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項18】
前記投与計画が、前記第8の投与サイクルの後に1回以上の追加の投与サイクルを含む、請求項
13~17のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項19】
前記追加の投与サイクルが各21日間の投与サイクルである、請求項
18に記載の
医薬。
【請求項20】
前記追加の投与サイクルが各28日間の投与サイクルである、請求項
18に記載の
医薬。
【請求項21】
1回以上の前記追加の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の追加の単一用
量を含む、請求項
18~20のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項22】
前記投与計画が、各追加の投与サイクルの1日目に
前記完全長二重特異性抗体の前記追加の単一用量を前記対象に投与する
ことを含む、請求項
21に記載の
医薬。
【請求項23】
前記完全長二重特異性抗体の前記追加の単一用量が約30mgである、請求項21又は22に記載の医薬。
【請求項24】
B細胞増殖性障害を有する対象を処置する
ための、CD20及びCD3に結合する完全長二重特異性抗体を含む医薬であって、前記完全長二重特異性抗体が、8
回の21日間の投与サイクルを含む投与計画で
前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)第1の21日間の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3
)を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
前記投与計画が、前記第1の投与サイクルの1日目、8日目及び15日目に、それぞれ、前記C1D1、前記C1D2及び前記C1D3を前記対象に投与することを含み;
(b)第2の
21日間の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の単一用量(C2D1
)を含み、前記C2D1が約60mgであり、
前記投与計画が、前記第2の投与サイクルの1日目に前記C2D1を前記対象に投与することを含み;
(c)第3~第8の21日間の投与サイクルが、各々、前記完全長二重特異性抗体の単一用量(C3D1~C8D1)を含み、前記C3D1~C8D1が、各々、約30mgであり、前記投与計画が、前記第3~第8の投与サイクルの1日目に、それぞれ、前記C3D1~C8D1を前記対象に投与することを含み、
前記完全長二重特異性抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームと、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号16のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームと、
を含む、医薬。
【請求項25】
B細胞増殖性障害を有する対象を処置する
ための、CD20及びCD3に結合する完全長二重特異性抗体を含む医薬であって、前記完全長二重特異性抗体が、21日間の投与サイクル及び7
回の各28日間の投与サイクルを含む投与計画で
前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)第
1の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3
)を含む21日間の投与サイクルであり、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり
、前記投与計画が、前記第1の投与サイクルの1日目、8日目及び15日目に、それぞれ、前記C1D1、前記C1D2及び前記C1D3を前記対象に投与することを含み;
(b)第2の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の単一用量(C2D1
)を含む28日間の投与サイクルであり、前記C2D1が約60mgであり、前記投与計画が、前記第2の投与サイクルの1日目に前記C2D1を前記対象に投与することを含み、前記C3D1~C8D1が、各々、約30mgであり、前記投与計画が、第3~第8の投与サイクルの1日目に、それぞれ、前記C3D1~C8D1を前記対象に投与することを含み、
前記完全長二重特異性抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームと、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号16のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームと、
を含む、医薬。
【請求項26】
前記対象が、前記
B細胞増殖性障害のための先行する全身療法を受けたことがある、請求項1~
25のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項27】
前記対象が、前記B細胞増殖性障害のための第一選択全身療法及び第二選択全身療法を受けたことがある、請求項
26に記載の
医薬。
【請求項28】
前記対象が、前記
先行する全身療法から24ヶ月以内に前記B細胞増殖性障害の進行を示した、請求項
26に記載の
医薬。
【請求項29】
前記
先行する全身療法が抗CD20抗体を含む、請求項
26~28のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項30】
前記抗CD20抗体がリツキシマブである、請求項
29に記載の
医薬。
【請求項31】
前記抗CD20抗体がオビヌツズマブである、請求項
29に記載の
医薬。
【請求項32】
前記
先行する全身療法が化学療法剤を含む、請求項
26~28のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項33】
前記化学療法剤がアルキル化剤である、請求項
32に記載の
医薬。
【請求項34】
前記アルキル化剤がベンダムスチンである、請求項
33に記載の
医薬。
【請求項35】
前記化学療法剤がレナリドミドである、請求項
32に記載の
医薬。
【請求項36】
前
記先行する全身療法が放射線免疫療法を含む、請求項
26~28のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項37】
前記放射線免疫療法がイブリツモマブチウキセタンである、請求項
36に記載の
医薬。
【請求項38】
前記
先行する全身療法がホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤を含む、請求項26
~28のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項39】
前記ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤が、イデラリシブ、アルペリシブ、コパンリシブ又はデュベリシブである、請求項
38に記載の
医薬。
【請求項40】
前記
先行する全身療法がCAR-T療法を含む、請求項
26~28のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項41】
前記完全長二重特異性抗体が、静脈内投与のために製剤化されている、請求項1~40のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項42】
前記完全長二重特異性抗体が、静脈内注入による投与のために製剤化されている、請求項41に記載の医薬。
【請求項43】
B細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する
ための、CD20及びCD3に結合する完全長二重特異性抗体を含む医薬であって、前記完全長二重特異性抗体が、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル、及び第3の投与サイクルを含む投与計画で
前記集団の各対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3
)を含み、前記C1D1が
約1mgであり、前記C1D2が
約2mgであり、前記C1D3が
約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の単一用量(C2D1
)を含み、前記C2D1が
約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の単一用量(C3D1
)を含み、前記C3D1が
約30mgであり、
前記完全長二重特異性抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームと、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号16のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームと、
を含む、医薬。
【請求項44】
B細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する
ための、CD20及びCD3に結合する完全長二重特異性抗体を含む医薬であって、前記完全長二重特異性抗体が、8回以上の投与サイクルを含む投与計画で
前記集団の各対象に投与するために製剤化されており、
(a)第1の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3
)を含み、前記C1D1が
約1mgであり、前記C1D2が
約2mgであり、前記C1D3が
約60mgであり、
(b)第2の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の単一用量(C2D1
)を含み、前記C2D1が
約60mgであり、
(c)
第3~第8の投与サイクルが、各々、前記完全長二重特異性抗体の単一用量(C3D1~C8D1)を含み、前記C3D1~C8D1が、各々、約30mgであり、
前記完全長二重特異性抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームと、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号16のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームと、
を含む、医薬。
【請求項45】
B細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する
ための、CD20及びCD3に結合する完全長二重特異性抗体を含む医薬であって、前記完全長二重特異性抗体が、8回以上の
各21日間の投与サイクルを含む投与計画で
前記集団の各対象に投与するために製剤化されており、
(a)第1の21日間の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3
)を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)
第2の21日間の投与サイクルが、前記完全長二重特異性抗体の単一用量(C2D1)を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)第3~第8の21日間の投与サイクルが、各々、前記完全長二重特異性抗体の単一用量(C3D1~C8D1)を含み、前記C3D1~C8D1が、各々、約30mgであり、
前記完全長二重特異性抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームと、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号16のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームと、
を含む、医薬。
【請求項46】
B細胞増殖性障害を有する対象の集団を処置する
ための、CD20及びCD3に結合する完全長二重特異性抗体を含む医薬であって、前記完全長二重特異性抗体が、21日間の投与サイクル及び7回以上の各28日間の投与サイクルを含む投与計画で前記集団の各対象に投与するために製剤化されており、
(a)第1の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3
)を含む21日間の投与サイクルであり、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)第2の投与サイクルが、
前記完全長二重特異性抗体の単一用量(C2D1
)を含む28日間の投与サイクルであり、前記C2D1が約60mgであり、
(c)第3~第8の投与サイクルが、各々、前記完全長二重特異性抗体の単一用量(C3D1~C8D1)を含む28日間の投与サイクルであり、前記C3D1~C8D1が、各々、約30mgであり、
前記完全長二重特異性抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームと、配列番号15のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号16のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームと、
を含む、医薬。
【請求項47】
前記対象の集団が完全奏効率を有し、前記完全奏効率が、前記集団における完全奏効を有する対象の割合であり、前記完全奏効率が、少なくとも15%である、請求項
43~46のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項48】
前記完全奏効率が少なくとも25%である、請求項
47に記載の
医薬。
【請求項49】
前記完全奏効率が少なくとも35%である、請求項
48に記載の
医薬。
【請求項50】
前記完全奏効率が少なくとも45%である、請求項
49に記載の
医薬。
【請求項51】
前記集団が客観的奏効率を有し、前記客観的奏効率が、前記集団における客観的奏効を有する対象の割合であり、前記客観的奏効率が少なくとも60%である、請求項
43~46のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項52】
前記処置の開始後約20ヶ月での前記客観的奏効率が少なくとも70%である、請求項
51に記載の
医薬。
【請求項53】
前記処置の開始後約24ヶ月での前記客観的奏効率が少なくとも75%である、請求項
51に記載の
医薬。
【請求項54】
前記対象の集団が、奏効期間中央値(mDOR)を有し、前記mDORが、前記集団における対象の奏効期間の中央値であり
、mDORが、少なくと
も12ヶ月である、請求項
43~46のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項55】
前記mDORが少なくと
も20ヶ月である、請求項
54に記載の
医薬。
【請求項56】
前記対象の集団が、前記集団における少なくとも12ヶ月のDORを有する対象の割合を有し、前記集団における少なくとも12ヶ月のDORを有する対象の前記割合が、少なくとも60%である、請求項
43~46のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項57】
前記対象の集団が、前記
完全長二重特異性抗体の投与後にサイトカイン放出症候群を示し、前記対象の集団における前記サイトカイン放出症候群の割合が40%以下である、請求項
43~46のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項58】
前記対象の集団におけるサイトカイン放出症候群の前記割合が10%以下である、請求項
57に記載の
医薬。
【請求項59】
グレード2以上(2018年、米国移植細胞治療学会;ASTCTによる定義)を有するサイトカイン放出症候群の前記割合が20%以下である、請求項
57に記載の
医薬。
【請求項60】
グレード2以上(ASTCTによる定義)を有するサイトカイン放出症候群の前記割合が5%以下である、請求項
59に記載の
医薬。
【請求項61】
グレード3以上(ASTCTによる定義)を有するサイトカイン放出症候群の前記割合が約0%である、請求項
57に記載の
医薬。
【請求項62】
前記
完全長二重特異性抗体が、静脈内投与
のために製剤化されている、請求項
43~46のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項63】
前記B細胞増殖性障害が、再発性又は難治性B細胞増殖性障害である、請求項1~
62のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項64】
前記B細胞増殖性障害が、非ホジキンリンパ腫(NHL)又は慢性リンパ性白血病(CLL)である、請求項1~
63のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項65】
前記NHLが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である、請求項
64に記載の
医薬。
【請求項66】
前記DLBCLが、リヒター形質転換である、請求項
65に記載の
医薬。
【請求項67】
前記NHLが、濾胞性リンパ腫(FL)である、請求項
64に記載の
医薬。
【請求項68】
前記FLが、グレード1、2、3a又は3bのFLである、請求項
67に記載の
医薬。
【請求項69】
前記FLが形質転換FLである、請求項
67に記載の
医薬。
【請求項70】
前記NHLが、マントル細胞リンパ腫(MCL)又は辺縁帯リンパ腫(MZL)である、請求項
64に記載の
医薬。
【請求項71】
前記対象がヒトである、請求項1~42及び63~70のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項72】
前記対象がヒトである、請求項43~71のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項73】
前記
完全長二重特異性抗体が、(a)(i)配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖及び(ii)配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗CD20アームと、(b)(i)配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖及び(ii)配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗CD3アームとを含む、請求項1~
72のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項74】
(a)前記抗CD20アームが、配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み、(b)前記抗CD3アームが、配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号54のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項
73に記載の
医薬。
【請求項75】
前記
完全長二重特異性抗体がヒト化抗体である、請求項1~
74のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項76】
前記
完全長二重特異性抗体がキメラ抗体である、請求項1~
75のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項77】
前記
完全長二重特異性抗体がIgG抗体である、請求項1~
76のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項78】
前記IgG抗体がIgG
1抗体である、請求項
77に記載の
医薬。
【請求項79】
前記IgG抗体が、グリコシル化の非存在をもたらすアミノ酸残基N297(EUナンバリング)における変異を含む、請求項
77又は
78に記載の
医薬。
【請求項80】
アミノ酸残基N297における前記変異が置換変異である、請求項
79に記載の医薬。
【請求項81】
アミノ酸残基N297における前記変異が、Fc領域のエフェクター機能を低下させる、請求項
79に記載の
医薬。
【請求項82】
前記変異が、N297G又はN297A変異である、請求項
79に記載の
医薬。
【請求項83】
前記
完全長二重特異性抗体が、エフェクター機能を低下させるFc領域における変異を含む、請求項
77に記載の
医薬。
【請求項84】
前記変異が置換変異である、請求項
83に記載の
医薬。
【請求項85】
前記置換変異が、アミノ酸残基L234、L235、D265及び/又はP329(EUナンバリング)におけるものである、請求項
84に記載の
医薬。
【請求項86】
前記置換変異が、L234A、L235A、D265A及びP329Gからなる群から選択される、請求項
85に記載の
医薬。
【請求項87】
前記
完全長二重特異性抗体が1つ以上の重鎖定常ドメインを含み、前記1つ以上の重鎖定常ドメインが、第1のCH1(CH1
1)ドメイン、第1のCH2(CH2
1)ドメイン、第1のCH3(CH3
1)ドメイン、第2のCH1(CH1
2)ドメイン、第2のCH2(CH2
2)ドメイン及び第2のCH3(CH3
2)ドメインから選択される、請求項1~
86のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項88】
前記1つ以上の重鎖定常ドメインのうちの少なくとも1つが、別の重鎖定常ドメインと対合される、請求項
87に記載の
医薬。
【請求項89】
前記CH3
1ドメイン及び前記CH3
2ドメインが
各々、突起又は空隙を含み、前記CH3
1ドメイン内の前記突起又は空隙が、それぞれ、前記CH3
2ドメイン内の前記空隙又は突起に配置可能である、請求項
87に記載の
医薬。
【請求項90】
前記CH3
1ドメイン及び前記CH3
2ドメインが、前記突起と前記空隙との間の境界面において接触する、請求項
89に記載の
医薬。
【請求項91】
前記CH2
1
ドメイン及び前記CH2
2
ドメインが各々、突起又は空隙を含み、前記CH2
1
ドメイン内の前記突起又は空隙が、それぞれ、前記CH2
2
ドメインの前記空隙又は突起に配置可能である、請求項87に記載の医薬。
【請求項92】
前記CH2
1
ドメイン及び前記CH2
2
ドメインが、前記突起と前記空隙との間の境界面において接触する、請求項91に記載の医薬。
【請求項93】
前記抗CD20アームが、T366W及びN297Gの置換変異(EUナンバリング)を更に含む、請求項1~
92のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項94】
前記抗CD3アームが、T366S、L368A、Y407V、及びN297Gの置換変異(EUナンバリング)を更に含む、請求項1~
93のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項95】
(a)前記抗CD20アームが、T366W及びN297G置換変異を更に含み、(b)前記抗CD3アームが、T366S、L368A、Y407V及びN297Gの置換変異(EUナンバリング)を更に含む、請求項1~
94のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項96】
前記完全長二重特異性抗体がモスネツズマブである、請求項1~
95のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項97】
NHLを有する対象を処置するための、モスネツズマブを含む医薬であって、モスネツズマブが、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル、及び第3の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、モスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、モスネツズマブの単一用量(C2D1)を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、モスネツズマブの単一用量(C3D1)を含み、前記C3D1が約30mgである、
医薬。
【請求項98】
NHLを有する対象を処置するための、モスネツズマブを含む医薬であって、モスネツズマブが、8回の21日間の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)第1の21日間の投与サイクルが、モスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、前記投与計画が、前記第1の投与サイクルの1日目、8日目及び15日目に、それぞれ、前記C1D1、前記C1D2及び前記C1D3を前記対象に投与することを含み;
(b)第2の21日間の投与サイクルが、モスネツズマブの単一用量(C2D1)を含み、前記C2D1が約60mgであり、前記投与計画が、前記第2の投与サイクルの1日目に前記C2D1を前記対象に投与することを含み;
(c)第3~第8の21日間の投与サイクルが、各々、モスネツズマブの単一用量(C3D1~C8D1)を含み、前記C3D1~C8D1が、各々、約30mgであり、前記投与計画が、前記第3~第8の投与サイクルの1日目に、それぞれ、前記C3D1~C8D1を前記対象に投与することを含む、
医薬。
【請求項99】
NHLを有する対象を処置するための、モスネツズマブを含む医薬であって、モスネツズマブが、21日間の投与サイクル及び7回の各28日間の投与サイクルを含む投与計画で前記対象に投与するために製剤化されており、
(a)第1の投与サイクルが、モスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)を含む21日間の投与サイクルであり、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、前記投与計画が、前記第1の投与サイクルの1日目、8日目及び15日目に、それぞれ、前記C1D1、前記C1D2及び前記C1D3を前記対象に投与することを含み;
(b)第2の投与サイクルが、モスネツズマブの単一用量(C2D1)を含む28日間の投与サイクルであり、前記C2D1が約60mgであり、前記投与計画が、前記第2の投与サイクルの1日目に前記C2D1を前記対象に投与することを含み、前記C3D1~C8D1が、各々、約30mgであり、前記投与計画が、第3~第8の投与サイクルの1日目に、それぞれ、前記C3D1~C8D1を前記対象に投与することを含む、
医薬。
【請求項100】
NHLを有する対象の集団を処置するための、モスネツズマブを含む医薬であって、モスネツズマブが、少なくとも第1の投与サイクル、第2の投与サイクル、及び第3の投与サイクルを含む投与計画で前記集団の各対象に投与するために製剤化されており、
(a)前記第1の投与サイクルが、モスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)前記第2の投与サイクルが、モスネツズマブの単一用量(C2D1)を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)前記第3の投与サイクルが、モスネツズマブの単一用量(C3D1)を含み、前記C3D1が約30mgである、
医薬。
【請求項101】
NHLを有する対象の集団を処置するための、モスネツズマブを含む医薬であって、モスネツズマブが、8回以上の投与サイクルを含む投与計画で前記集団の各対象に投与するために製剤化されており、
(a)第1の投与サイクルが、モスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)第2の投与サイクルが、モスネツズマブの単一用量(C2D1)を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)第3~第8の投与サイクルが、各々、モスネツズマブの単一用量(C3D1~C8D1)含み、前記C3D1~C8D1が、各々、約30mgである、
医薬。
【請求項102】
NHLを有する対象の集団を処置するための、モスネツズマブを含む医薬であって、モスネツズマブが、8回以上の各21日間の投与サイクルを含む投与計画で前記集団の各対象に投与するために製剤化されており、
(a)第1の21日間の投与サイクルが、モスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)を含み、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)第2の21日間の投与サイクルが、モスネツズマブの単一用量(C2D1)を含み、前記C2D1が約60mgであり、
(c)第3~第8の21日間の投与サイクルが、各々、モスネツズマブの単一用量(C3D1~C8D1)を含み、前記C3D1~C8D1が、各々、約30mgである、
医薬。
【請求項103】
NHLを有する対象の集団を処置するための、モスネツズマブを含む医薬であって、モスネツズマブが、21日間の投与サイクル及び7回以上の各28日間の投与サイクルを含む投与計画で前記集団の各対象に投与するために製剤化されており、
(a)第1の投与サイクルが、モスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)を含む21日間の投与サイクルであり、前記C1D1が約1mgであり、前記C1D2が約2mgであり、前記C1D3が約60mgであり、
(b)第2の投与サイクルが、モスネツズマブの単一用量(C2D1)を含む28日間の投与サイクルであり、前記C2D1が約60mgであり、
(c)第3~第8の投与サイクルが、各々、モスネツズマブの単一用量(C3D1~C8D1)を含む28日間の投与サイクルであり、前記C3D1~C8D1が、各々、約30mgである、
医薬。
【請求項104】
NHLがFLである、請求項97~103のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項105】
FLが再発性又は難治性FLである、請求項104に記載の医薬。
【国際調査報告】