(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体、並びに4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体の作製方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C25B 13/05 20210101AFI20231005BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20231005BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20231005BHJP
【FI】
C25B13/05
C25B9/00 A
C25B1/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526993
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021038956
(87)【国際公開番号】W WO2022098397
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2021/029705
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522422218
【氏名又は名称】1エス1 エナジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】1S1 ENERGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100228120
【氏名又は名称】市川 蓮太朗
(72)【発明者】
【氏名】スカンタ バッタチャリャ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ソベク
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA04
4K021DB31
4K021DB43
4K021DB48
4K021DB53
4K021DC01
4K021DC03
(57)【要約】
ホウ素含有プロトン交換固体支持体が、酸素原子と、前記酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基とを含む、プロトン交換固体支持体を含み得る。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素原子を含むプロトン交換固体支持体と、
前記酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基と、を含む、ホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項2】
前記プロトン交換固体支持体が、前記酸素原子と共有結合した、硫黄原子、炭素原子又はリン原子をさらに含む、請求項1に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項3】
前記硫黄原子、前記炭素原子又は前記リン原子が、二重結合でさらなる酸素原子と共有結合している、請求項2に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項4】
請求項2に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体であって、
さらなるホウ素原子を含む、さらなる4価のホウ素ベースの酸性基をさらに含み、
前記硫黄原子、前記炭素原子又は前記リン原子が、さらなる酸素原子とさらに共有結合しており、
前記さらなるホウ素原子が、前記さらなる酸素原子と共有結合している、ホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項5】
前記プロトン交換固体支持体が、前記硫黄原子、前記炭素原子又は前記リン原子に結合したリンカー鎖をさらに含み、
前記リンカー鎖が、C
1~C
30アルキル鎖を含み、
前記リンカー鎖が、前記リンカー鎖の各原子と同一又は異なり得、水素、ヒドロキシル基、フルオロ基、クロロ基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、カルボン酸基、カルボン酸アミド基、エステル基、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を含み得る、1つ以上のペンダント部分を任意で有する、請求項1に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項6】
前記プロトン交換固体支持体が、無機材料を含む、請求項1に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項7】
前記プロトン交換固体支持体が、有機材料を含む、請求項1に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項8】
前記プロトン交換固体支持体が、マイクロ粒子又はナノ粒子を含む、請求項1に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項9】
前記プロトン交換固体支持体が、多孔質ポリマーネットワークを含み、
前記4価のホウ素ベースの酸性基が、前記多孔質ポリマーネットワークの細孔表面に位置している、請求項1に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項10】
前記プロトン交換固体支持体が、スルホン酸官能化ポリマーを含む、請求項1に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項11】
前記プロトン交換固体支持体が、カルボン酸官能化ポリマーを含む、請求項1に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項12】
前記プロトン交換固体支持体が、ホスホン酸官能化ポリマーを含む、請求項1に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項13】
前記ホスホン酸官能化ポリマーが、ポリビニルホスホン酸ポリマーを含む、請求項12に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項14】
前記プロトン交換固体支持体が、ホスフェート官能化ポリマーを含む、請求項1に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項15】
前記ホスフェート官能化ポリマーが、ホスホン酸をドープしたポリベンゾイミダゾールポリマーを含む、請求項14に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項16】
前記4価のホウ素ベースの酸性基が、一般式(IV)を有し、
【化1】
式中、Bはホウ素原子であり、Z
1、Z
2、及びZ
3は同一又は異なり、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリール基、アリールオキシ基、又はフルオロ基を表す、請求項1に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項17】
前記4価のホウ素ベースの酸性基が、ホウ素ベースのエステルの誘導体を含む、請求項1に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項18】
前記4価のホウ素ベースの酸性基が、三フッ化ホウ素基の誘導体を含む、請求項1に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項19】
一般式(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)を有するホウ素含有プロトン交換固体支持体であって、
【化2】
式中、[SS]は、固体支持体を表し、
X
1は、式(IIa)、(IIb)、(IIc)又は(IId)を有する置換基:
【化3】
を表し、
X
2は、式(IIIa)又は(IIIb)を有する基:
【化4】
を表し、
Y
1及びY
2は、同一又は異なり、それぞれ式(V)を有する4価のホウ素ベースの酸性基を表し、
【化5】
式中、式(IV)のホウ素(B)原子は、X
1又はX
2の酸素(O)原子と共有結合しており、Z
1、Z
2及びZ
3は同一又は異なり、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリール基、アリールオキシ基、又はフルオロ基を表し、
Rは、C
1~C
30アルキルリンカー鎖を表し、Rは、前記リンカー鎖の各原子と同一又は異なり得、水素、ヒドロキシル基、フルオロ基、クロロ基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、カルボン酸基、カルボン酸アミド基、カルボン酸エステル基、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を含み得る、1つ以上のペンダント部分を任意で有する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項20】
前記固体支持体が、無機材料を含む、請求項19に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項21】
前記固体支持体が、有機材料を含む、請求項19に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項22】
前記固体支持体が、アイオノマーを含む、請求項19に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項23】
前記固体支持体が、マイクロ粒子又はナノ粒子を含む、請求項19に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項24】
[SS]-X
1、[SS]-X
2、[SS]-R-X
1、及び[SS]-R-X
2が、それぞれ多孔質ポリマーネットワークを含み、
Y
1及びY
2が、前記多孔質ポリマーネットワークの細孔表面に位置している、請求項19に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項25】
ホウ素含有プロトン交換固体支持体を作製する方法であって、
プロトン交換固体支持体を、4価のホウ素ベースの酸性基で修飾することを含む、ホウ素含有プロトン交換固体支持体の作製方法。
【請求項26】
前記プロトン交換固体支持体が、ペンダントヒドロキシル基を含み、
前記修飾が、前記4価のホウ素ベースの酸性基に含まれるホウ素原子を、前記ペンダントヒドロキシル基の酸素原子に共有結合させることを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記修飾が、約2対1(2:1)の化学量論比で、三フッ化ホウ素又はホウ素ベースのエステルを前記ペンダントヒドロキシル基と結合させることを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記プロトン交換固体支持体が、無機材料を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記プロトン交換固体支持体が、有機材料を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記プロトン交換固体支持体が、アイオノマーを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記プロトン交換固体支持体が、マイクロ粒子又はナノ粒子を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
プロトン交換固体支持体が、多孔質ポリマーネットワークを含み、
前記4価のホウ素ベースの酸性基が、前記多孔質ポリマーネットワークの細孔表面に位置している、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記プロトン交換固体支持体が、前記ヒドロキシル基の前記酸素原子と共有結合した硫黄原子、炭素原子、又はリン原子を含むペンダント酸性基を含み、前記ペンダント酸性基が、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、フェノール基、又はホスフェート基を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記4価のホウ素ベースの酸性基が、三フッ化ホウ素又はホウ素ベースのエステルの誘導体を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
前記プロトン交換固体支持体を、さらなる4価のホウ素ベースの酸性基で修飾することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
前記プロトン交換固体支持体が、前記ヒドロキシル基の前記酸素原子と共有結合したリン原子、及びさらなるヒドロキシル基のさらなる酸素原子を含み、
前記プロトン交換固体支持体の前記4価のホウ素ベースの酸性基での修飾が、4価のホウ素ベースの酸性基に含まれるホウ素原子を、前記ヒドロキシル基の前記酸素原子と共有結合させることを含み、
前記プロトン交換固体支持体の前記さらなる4価のホウ素ベースの酸性基での修飾が、前記さらなる4価のホウ素ベースの酸性基に含まれるさらなるホウ素原子を、前記さらなるヒドロキシル基の前記さらなる酸素原子と共有結合させることを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
膜電極接合体であって、
カソードと、
アノードと、
前記カソード及び前記アノードとの間に配置されたプロトン交換膜と、を備え、
プロトン交換固体支持体を含む前記プロトン交換膜が、
酸素原子と、
前記酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基と、を含む、膜電極接合体。
【請求項38】
前記プロトン交換固体支持体が、無機材料を含む、請求項37に記載の膜電極接合体。
【請求項39】
前記プロトン交換固体支持体が、有機材料を含む、請求項37に記載の膜電極接合体。
【請求項40】
前記プロトン交換固体支持体が、アイオノマーを含む、請求項37に記載の膜電極接合体。
【請求項41】
前記プロトン交換固体支持体が、マイクロ粒子又はナノ粒子を含む、請求項37に記載の膜電極接合体。
【請求項42】
前記プロトン交換固体支持体が、多孔質ポリマーネットワークを含み、
前記4価のホウ素ベースの酸性基が、前記多孔質ポリマーネットワークの細孔表面に位置している、請求項37に記載の膜電極接合体。
【請求項43】
前記プロトン交換固体支持体が、スルホン酸官能化ポリマーを含む、請求項37に記載の膜電極接合体。
【請求項44】
前記プロトン交換固体支持体が、カルボン酸官能化ポリマーを含む、請求項37に記載の膜電極接合体。
【請求項45】
前記プロトン交換固体支持体が、ホスホン酸官能化ポリマーを含む、請求項37に記載の膜電極接合体。
【請求項46】
前記ホスホン酸官能化ポリマーが、ポリビニルホスホン酸ポリマーを含む、請求項45に記載の膜電極接合体。
【請求項47】
前記プロトン交換固体支持体が、ホスフェート官能化ポリマーを含む、請求項37に記載の膜電極接合体。
【請求項48】
前記ホスフェート官能化ポリマーが、リン酸をドープしたポリベンゾイミダゾールポリマーを含む、請求項47に記載の膜電極接合体。
【請求項49】
前記アノード又は前記カソードの少なくとも1つが、触媒及び該触媒を結合するためのアイオノマーを含み、
前記アイオノマーが、ホウ素ベースの酸性基を含む、請求項37に記載の膜電極接合体。
【請求項50】
前記4価のホウ素ベースの酸性基が、一般式(IV)を含み、
【化6】
式中、Bはホウ素原子であり、Z
1、Z
2及びZ
3は同一又は異なり、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリール基、アリールオキシ基、又はフルオロ基を表す、請求項37に記載の膜電極接合体。
【請求項51】
前記4価のホウ素ベースの酸性基が、三フッ化ホウ素又はホウ素ベースのエステル基の誘導体を含む、請求項37に記載の膜電極接合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2020年11月5日に出願された米国仮特許出願63/109,943号、及び2021年4月28日に出願された国際特許出願PCT/US2021/029705号の優先権を主張するものであり、その内容が、全体の参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
プロトン交換膜(PEM)は、水素(H2)及び酸素(O2)等のガスを透過させないが、プロトン(H+)は移動させるように設計された半透膜である。PEMは、酸性条件下での水素燃料電池及び水電解システムで使用され得る。PEMは、強酸性の官能基を有する、機械的及び化学的耐性のある粒子及び/又は多孔質のフレームワークで構成され得る。例えば、ナフィオンベースのプロトン交換膜は、スルホン酸基を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の多孔質構造のフレームワークを含む。解離しやすいスルホン酸基は、膜においてプロトン輸送剤として機能する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以下の記述は、本明細書で記述される方法及びシステムの1つ以上の態様の簡略化された要旨を示し、そのような態様の基本的な理解をもたらす。この要旨は、全ての予期される態様の広範な概要ではなく、全ての態様の鍵又は重要な要素を特定することを意図するものでも、任意の又は全ての態様の範囲を詳しく説明することを意図するものでもない。この唯一の目的は、以下で示されるより詳細な説明の前置きとして、本明細書で記述される方法及びシステムの1つ以上の態様のいくつかの概念を、単純化された形式で示すことである。
【0004】
いくつかの例示的な例において、ホウ素含有プロトン交換固体支持体は、酸素原子を含むプロトン交換固体支持体と、前記酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基とを含む。
【0005】
いくつかの例示的な例において、ホウ素含有プロトン交換固体支持体は、一般式(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)を有し、
【化1】
式中、[SS]は、固体支持体を表し、
X
1は、式(IIa)、(IIb)、(IIc)又は(IId)を有する置換基:
【化2】
を表し、
X
2は、式(IIIa)又は(IIIb)を有する基:
【化3】
を表し、
Y
1及びY
2は、同一又は異なり、それぞれは式(IV)を有する4価のホウ素ベースの酸性基を表し、
【化4】
式中、式(IV)のホウ素(B)原子は、X
1又はX
2の酸素(O)原子と共有結合しており、Z
1、Z
2及びZ
3は同一又は異なり、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリール基、アリールオキシ基、又はフルオロ基を表し、
Rは、C
1~C
30アルキルリンカー鎖を表し、Rは、前記リンカー鎖の各原子と同一又は異なり得、水素、ヒドロキシル基、フルオロ基、クロロ基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、カルボン酸基、カルボン酸アミド基、カルボン酸エステル基、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を含み得る、1つ以上のペンダント部分を任意で有する。
【0006】
いくつかの例示的な例において、ホウ素含有プロトン交換固体支持体の作製方法は、プロトン交換固体支持体を4価のホウ素ベースの酸性基で修飾することを含む。
【0007】
いくつかの例示的な例において、膜電極接合体は、カソードと、アノードと、前記カソード及び前記アノードの間に配置されたプロトン交換膜とを備え、前記プロトン交換膜が、酸素原子を含むプロトン交換固体支持体と、前記酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面は、様々な実施形態を示すものであり、明細書の一部である。示される実施形態は、単なる例であり、本開示の範囲を限定するものではない。図面の全体にわたり、同一の又は類似の参照数字は、同一の又は類似の要素を示す。
【
図1】
図1Aは、多孔質構造のフレームワークとして実施される固体支持体の例示的な構造を示している。
図1Bは、固体支持体粒子として実施される固体支持体の他の例示的な構造を示している。
【
図2】
図2A及び
図2Bは、酸素(O)原子によって、硫黄(S)原子に連結された4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための例示的な反応スキームを示している。
【
図3】
図3A及び
図3Bは、酸素(O)原子によって、炭素(C)原子に連結された4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための例示的な反応スキームを示している。
【
図4】
図4A及び
図4Bは、酸素(O)原子によって、リン(P)原子に連結された4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための例示的な反応スキームを示している。
【
図5】
図5A及び
図5Bは、単一の酸素(O)原子によって、リン(P)原子に連結された2つの4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための例示的な反応スキームを示している。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、酸素(O)原子によって、リン(P)原子に連結された4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための他の例示的な反応スキームを示している。
【
図7】
図7A及び
図7Bは、単一の酸素(O)原子によって、リン(P)原子に連結された2つの4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための他の例示的な反応スキームを示している。
【
図8】
図8A及び
図8Bは、酸素(O)原子に連結された4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための例示的な反応スキームを示している。
【
図9】
図9は、多孔質構造のフレームワークの細孔表面に結合したホウ素ベースの酸性基を含んでいる多孔質構造のフレームワークを含む、例示的なプロトン交換膜を示している。
【
図10】
図10は、ホウ素含有多孔質膜を組み込んでいる、例示的なプロトン交換膜水電解システムを示している。
【
図11】
図11は、ホウ素含有多孔質膜を組み込んでいる、例示的なプロトン交換膜燃料電池を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体、4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体を含む装置、並びに4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体の作製方法及び使用方法を記述する。いくつかの例では、4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体は、酸素原子を含むプロトン交換固体支持体と、前記酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基とを含む。いくつかの例において、ホウ素含有プロトン交換固体支持体は、前記酸素原子と共有結合した、硫黄原子、炭素原子、又はリン原子をさらに含む。前記プロトン交換固体支持体は、アモルファス若しくは結晶性の無機材料、及び/又は合成若しくは天然のポリマーで形成されていてもよく、また、例えば多孔質ポリマーネットワーク、マイクロ粒子、又はナノ粒子の形態であってもよい。
【0010】
本明細書で記述される4価のホウ素ベースのプロトン交換固体支持体は、強いプロトン交換特性を有する超酸である。電気的に中性のホウ素は、3個の価電子を有するだけでなく、4個の他の原子と共有結合することにより、負の形式電荷を有する4価のイオンを形成することもできる。それゆえ、4価のホウ素ベースの酸性基は、本質的に、イオン性であり、プロトン輸送剤として機能し得る。本明細書で記述される4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体は、酸性条件下で動作する水電解及び/又は燃料電池の用途用のPEMで使用され得る。例えば、本明細書で記述されるホウ素含有PEMにおいては、カチオン(プロトン)交換は、4価の、負に帯電したホウ素原子にイオン的に連結したプロトンによってもたらされる。酸素-ホウ素結合の存在は、ホウ素含有PEMの親水性を向上させ、負に帯電したホウ素原子を安定化する。本明細書で記述されるホウ素含有PEMは、高い機械的強度、高いプロトン伝導度、低い電子伝導度、高pH勾配下での化学的安定性、耐久性を有し、製造コストが低い。また、いくつかの例において、本明細書で記述されるホウ素含有PEMは、毒性の材料を含まない。PEM中の4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体の実施及び使用を、以下でより詳細に説明する。
【0011】
本明細書で記述される4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体は、細菌、ウイルス及び真菌胞子等の病原体を濾過及び/又は無力化するためにも使用され得る。例えば、4価のホウ素含有プロトン交換多孔質膜は、フェイスマスク、外科手術用マスク、エアフィルター、及び密閉空間(例えば家、オフィス、病院、工場、乗り物、飛行機等)用の空気清浄機で実装され得る。
【0012】
本明細書で記述される構成、装置及び方法は、上述した1つ以上の利益、並びに/或いは本明細書で明らかにされ得る様々な追加の及び/又は代わりの利益をもたらし得る。ここでは、図を参照して、様々な実施形態をより詳細に記述する。様々な変化物が本開示の範囲内で作製され得るため、以下の実施形態は、単なる例示であり、限定するものではないことを理解されるだろう。
【0013】
例示的な4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体は、酸素原子と共有結合した硫黄原子、炭素原子、又はリン原子を含むプロトン交換固体支持体と、前記酸素原子と共有結合したホウ素原子をそれぞれ含む1つ以上の4価のホウ素ベースの酸性基を含む。例示的な4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体は、一般式(Ia)又は(Ib):
【化5】
を有していてもよく、
式中、[SS]は固体支持体を表し、Xは酸素(O)原子、或いは1つ以上の酸素(O)原子と共有結合した硫黄(S)原子、炭素(C)原子、又はリン(P)原子を含む置換基であり、Y
1及びY
2は、それぞれ置換基Xの前記酸素原子と共有結合したホウ素(B)原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基を表す。以下でより詳細に説明するように、置換基Xは、ヒドロキシル基、酸性基(例えばフェノール基又はカルボン酸基、スルホン酸基(例えばスルホ基)、ホスホン酸基、若しくはリン酸基等のオキソ酸)、又はアルコール等のヒドロキシル基を含む前駆体の置換基由来であってもよい。任意で、4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体は、置換基Xを固体支持体[SS]と連結するリンカー鎖を含んでいてもよい。例えば、4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体は、一般式(Ic)又は(Id):
【化6】
を有していてもよく、
式中、Rは、C
1~C
30のアルキルリンカー鎖を表し、Rは、同一又は異なってもよく、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル基、フルオロ基、クロロ基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、カルボン酸基、カルボン酸アミド基、エステル基、アルキル基、アルコキシ基、及びアリール基からなる群より選択され得る1つ以上のペンダント部分を任意で有する。
【0014】
固体支持体[SS]、置換基X、及び任意のリンカー鎖Rは、この組み合わせが前駆体のプロトン交換固体支持体から生じ得るため、組み合わせて本明細書ではプロトン交換固体支持体と称する。例えば、以下でより詳細に説明するように、4価のホウ素ベースの酸性基Y1及び/又はY2での修飾の前のプロトン交換固体支持体([SS]-X又は[SS]-R-X)は、市販のアイオノマー(例えばスルホン酸官能化PTFE)であってもよいし、置換基X(例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、ホスフェート基、フェノール基、アルコール基、又はヒドロキシル基)の前駆体の解離により、それ自体がプロトン輸送剤として機能してもよい。
【0015】
固体支持体[SS]は、無機材料及び/又は有機材料等の任意の適切な材料、又は材料の組み合わせで形成されていてもよい。適切な無機材料としては、アモルファスの無機材料(例えば、ガラス、石英ガラス、又はセラミック)、及び/又は結晶性の無機材料(例えば、石英、単結晶シリコン、又はアルミナ)が挙げられ得る。適切な有機材料としては、例えば、合成及び/又は天然のポリマー(例えば、リグニン、セルロース、キチン等)、アイオノマー等が挙げられ得る。いくつかの例において、置換基Xは、固体支持体[SS]の側鎖と連結され、又は固体支持体[SS]の側鎖を含む。
【0016】
固体支持体[SS]及び/又は式(Ia)-(Id)のプロトン交換固体支持体(例えば[SS]-X又は[SS]-R-X)は、多孔質構造のフレームワーク又は固体支持体粒子等の任意の適切な形状及び構造を有し得る。多孔質構造のフレームワークは、例えば、多孔質ポリマーネットワークであってもよい。
図1Aは、多孔質構造のフレームワーク102の例示的な構造100Aを示している。示されるように、細孔106に隣接する細孔表面104は、4価のホウ素ベースの酸性基108(例えばY
1又はY
2)で官能化されている。
図1Aは、細孔表面104に結合した1つの4価のホウ素ベースの酸性基108のみ示しているが、多孔質構造のフレームワーク102は、任意の他の数及び濃度の細孔表面104に結合した4価のホウ素ベースの酸性基108を有していてもよい。
【0017】
固体支持体粒子としては、例えばマイクロ粒子、ナノ粒子、及び/又は樹脂ビーズが挙げられ得る。
図1Bは、式(Ia)-(Id)のプロトン交換固体支持体(例えば[SS]-X又は[SS]-R-X)が固体支持体粒子110として組み込まれる、例示的な構造100Bを示している。ホウ素ベースの酸性基112は、固体支持体粒子110の表面114に結合している。いくつかの例においては(図示せず)、複数の固体支持体粒子110は、共に連結し、多孔質構造のフレームワーク中の細孔表面(例えば表面114)に結合したホウ素ベースの酸性基112を有する多孔質構造のフレームワーク(例えば多孔質構造のフレームワーク102)を形成してもよい。
【0018】
固体支持体粒子110は、任意の適切な材料、例えば、無機分子(例えば、石英シリカ粒子、セラミック粒子等)又は天然の若しくは合成の有機分子(例えばポリマー)等の、多孔質構造のフレームワーク102について上述した任意の材料で形成され得る。固体支持体粒子110は、任意の適切な形状及び数十ナノメートル(nm)から数百ミクロンの範囲のサイズを有し得る。固体支持体粒子110によって形成される、多孔質構造のフレームワークの間隙率は、固体支持体粒子110の大きさ及び/又は形状によって制御及び決定できる。固体支持体粒子110は、機械的強度、高pH勾配の環境における耐久性、及び/又は水に対する親和性のために選択してもよい(例えば、固体支持体粒子は、PEM100に要求される水親和性のバランスによって親水性又は疎水性を選択してもよい)。
【0019】
式(Ia)から(Id)を再び参照すると、置換基Xは、酸素(O)原子、或いは1つ以上の酸素(O)原子と共有結合した硫黄(S)原子、炭素(C)原子、又はリン(P)原子を含む。いくつかの例において、置換基Xは、固体支持体[SS]に連結したペンダントヒドロキシル基、固体支持体[SS]に連結したペンダント酸性基(スルホン酸基、硫酸基、カルボン酸基、炭酸基、ホスホン酸基、リン酸基、又はフェノール基等)、又は固体支持体[SS]に連結したアルコール等の、ヒドロキシル基を含む前駆体の置換基の誘導体である。いくつかの例において、置換基Xは、酸素原子と共有結合し、二重結合によりさらなる酸素原子と共有結合した、硫黄原子、炭素原子、又はリン原子を含む。置換基Xの例としては、限定されるものではないが、(ペンダントヒドロキシル基に由来する)酸素原子(O)、カルボン酸エステル(C(=O)O)、炭酸エステル(OC(=O)O)、スルホン酸エステル(S(=O)
2O)、硫酸エステル(OS(=O)
2O)、ホスホリル基(P(=O)(OH)O又はP(=O)O
2)、及びホスフェート基(OP(=O)O
2)、アリールオキシ基(OAr)(例えばフェノキシ基)、又はアルコキシ基(OR)が挙げられ得る。置換基Xのさらなる例は、
図2Aから8Bを参照して以下で記述される例示的な反応スキームで示される。
【0020】
4価のホウ素含有酸性基Y
1及びY
2は、同一又は異なってもよく、一般式(IV)で表され、
【化7】
式中、ホウ素(B)原子は、前駆体のヒドロキシル基に由来する置換基Xの酸素(O)原子(式IVでは図示せず)と共有結合している。例えば、置換基Xが、硫黄(S)原子、炭素(C)原子、又はリン(P)原子を含む前駆体の酸性基の誘導体である場合、ホウ素(B)原子は、置換基Xの硫黄(S)原子、炭素(C)原子、又はリン(P)原子と共有結合している酸素(O)原子と共有結合している。置換基Z
1、Z
2、及びZ
3は、同一又は異なり、それぞれは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリール基、アリールオキシ基、ヒドロキシル基、又はフルオロ基を表す。いくつかの例において、基Y
1及び/又はY
2は、式(Va)、(Vb)、又は(Vc)で表されるエステルであってもよく、
【化8】
式中、R’、R’’、及びR’’’は、同一又は異なってもよく、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリール基、又はアリールオキシ基を表し得る。他のさらなる例において、Y
1及び/又はY
2は、三フッ化ホウ素(即ち、Z
1、Z
2、及びZ
3はそれぞれフルオロ基(F))から生じる。Y
1及びY
2の他の例は、
図2Aから8Bを参照して以下で記述される例示的な反応スキームで示され、記述される。
【0021】
4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体は、任意の適切な方法で合成され得る。いくつかの例において、
図2A-8Bを参照してここで示され、記述されるように、4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体は、プロトン交換固体支持体を、三フッ化ホウ素(BF
3)又はホウ素ベースのエステル(例えば4価のホウ素ベースのエステル)と結合させることにより合成され得る。以下の反応スキームは、単なる例示であり、限定されるものではない。
【0022】
図2Aは、酸素(O)原子によって硫黄(S)原子に連結した4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための、例示的な反応スキーム200Aを示している。示されるように、プロトン交換固体支持体202は、三フッ化ホウ素204で修飾され、ホウ素含有プロトン交換固体支持体206を生成する。三フッ化ホウ素204は、ジエチルエーテル及び/又はテトラヒドロフラン錯体の合成反応で使用され得る。三フッ化ホウ素は、ルイス酸であり、3つのホウ素-フッ素結合が存在し、フッ素は周期表で最も電気陰性の元素であるため、ホウ酸及びボロン酸よりも強酸である。
【0023】
プロトン交換固体支持体202は、固体支持体208、リンカー鎖210、及びスルホン酸基212を含む。しかしながら、リンカー鎖210は任意であり、他の例では省略されてもよい。固体支持体208は、本明細書で記述される任意の固体支持体(例えば、式(Ia)-(Id)の固体支持体[SS])等の任意の固体支持体で組み込まれてもよいし、或いは多孔質構造のフレームワーク(例えば多孔質構造のフレームワーク102)又は固体支持体粒子(例えば固体支持体粒子110)としてなど、任意の形状で組み込まれてもよい。いくつかの例において、プロトン交換固体支持体202は、ポリフルオロスルホン酸ポリマー、ペルフルオロスルホン酸ポリマー、又はスルホン化PTFEベースのフルオロポリマー-コポリマー等のスルホン酸官能化ポリマーを含む。プロトン交換固体支持体202の例としては、限定されるものではないが、エタンスルホニルフルオリド、2-[1-[ジフルオロ-[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]-1,2,2,2-テトラフルオロエトキシ]-1,1,2,2-テトラフルオロの、テトラフルオロエチレン及びテトラフルオロエチレン-ペルフルオロ-3,6-ジオキサ-4-メチル-7-オクテンスルホン酸コポリマーが挙げられる。市販品のスルホン酸官能化ポリマーとしては、限定されるものではないが、(ナフィオン-H、ナフィオンHP、ナフィオン117、ナフィオン115、ナフィオン212、ナフィオン211、ナフィオン NE1035、ナフィオンXL等の、様々な形態及びグレードでデュポン社から販売されている)ナフィオン(登録商標)、(アクイヴィオン(登録商標)E98-05、アクイヴィオン(登録商標)PW98、アクイヴィオン(登録商標)PW87S等の、様々な形態及びグレードでソルベイ社から販売されている)アクイヴィオン(登録商標)、(W.L Gore & Associates社から販売されている)ゴアセレクト(登録商標)、(旭硝子社から販売されている)フレミオン(商標)、(Ionomr Innovations社から販売されている)ペミオン+(商標)、及びそれらの任意の組み合わせ、誘導体、グレード又は形態が挙げられる。
【0024】
リンカー鎖210は、スルホン酸基212を固体支持体208に連結できる任意の適切な置換基であり得る。リンカー鎖210は、本明細書で記述される任意のリンカー鎖(例えば、式(Ia)-(Id)のリンカー鎖)等の任意の適切なリンカー鎖で組み込まれ得る。いくつかの例において、リンカー鎖210は、炭素、酸素、及び/又は窒素を含む。
図2Aで示されるように、リンカー鎖210は、mが1~30の範囲である長さmのアルキル鎖であり、1つ以上の側基Aを有し、該側基Aのそれぞれは、独立して、水素(H)、ヒドロキシル基(OH)、フルオロ基(F)、クロロ基(Cl)、ジアルキルアミノ基(NR
2、式中、Rは水素又はメチル基(CH
3)等の有機連結基を表し得る)、シアノ基(CN)、カルボン酸(COOH)基、カルボン酸アミド基、エステル基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基であり得る。
【0025】
いくつかの例において、三フッ化ホウ素204及びスルホン酸基212は、任意の他の適切な比率で結合し得るが、おおよそ1対1(1:1)の化学量論比で結合する。得られるホウ素含有プロトン交換固体支持体206は、酸素原子と共有結合した硫黄原子を含むプロトン交換固体支持体214、及び前記酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基216を含む。ホウ素含有プロトン交換固体支持体206は、強いプロトン交換特性を有する超酸である。上述のように、電気的に中性なホウ素は、
図2Bで示されるように、3つの価電子を有するだけでなく、4つの他の原子との共有結合により、負の形式電荷を有する4価のイオンを形成することもできる。したがって、4価のホウ素ベースの酸性基216は、本質的にイオン性であり、プロトン輸送剤として機能し得る。
【0026】
図2Bは、酸素(O)原子で硫黄(S)原子と連結された4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための他の例示的な反応スキーム200Bを示している。反応スキーム200Bは、プロトン交換固体支持体202が、三フッ化ホウ素204と結合する代わりに、ホウ素ベースのエステル218と結合する反応スキーム200Bである点を除いて、反応スキーム200Aと同様である。ホウ素ベースのエステル218は、ホウ酸エステル又はボロン酸エステル(boronic ester)(ボロネートエステル(boronate ester)とも称される)であってもよい。ホウ酸エステルは、例えば、ホウ酸(B(OH)
3)又は関連の酸化ホウ素を、アルコール(ROH)と、熱の存在下で反応させることにより生じ得る。ボロネートエステルは、例えば、ボロン酸又は関連の酸化ホウ素を、アルコール(ROH)と、熱の存在下で反応させることにより生じ得る。したがって、
図2Bのホウ素ベースのエステル218においては、基X、Y及びZは、それぞれ独立して、アルコキシ基(RO)、アリールオキシ基(OAr)、アルキル基(R)、アリール基(Ar)、又はフルオロ基(F)を表し得るが、ただし、X、Y及びZの少なくとも2つは、ホウ素原子に結合した酸素原子を含み、それらによってホウ素ベースのエステルを形成する。ホウ素ベースのエステルの例としては、限定されるものではないが、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸n-オクチル、ホウ酸トリデシル、ホウ酸トリテトラデシル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリス(ヘキサフルオロイソプロピル)、トリメトキシシクロトリボロキサン、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリ-o-トリル、ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、二ホウ酸テトラアセチル、ホウ酸トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)、ビス-ピナコールジボロネート、ピナコールボロネート、アリルボロン酸ピナコールエステル、及びジイソプロポキシメチルボロキサンが挙げられる。
【0027】
いくつかの例において、ホウ素ベースのエステル218及びスルホン酸基212は、任意の他の適切な比率で結合し得るが、おおよそ1対1(1:1)の化学量論比で結合する。得られるホウ素含有プロトン交換固体支持体220は、酸素原子と共有結合した硫黄原子を含むプロトン交換固体支持体214、及び前記酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基222を含む。ホウ素含有プロトン交換固体支持体206のように、ホウ素含有プロトン交換固体支持体220は、強いプロトン交換特性を有する超酸であり、本質的にイオン性である。
【0028】
図3Aは、酸素(O)原子で炭素(C)原子と連結された4価のホウ素ベースの酸性を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための例示的な反応スキーム300Aを示している。示されるように、プロトン交換固体支持体302は、三フッ化ホウ素304で修飾され、ホウ素含有プロトン交換固体支持体306を生成する。三フッ化ホウ素は、ジエチルエーテル及び/又はテトラヒドロフラン錯体の合成反応で使用され得る。
【0029】
プロトン交換固体支持体302は、固体支持体308、リンカー鎖310、及びカルボン酸基312を含む。しかしながら、リンカー鎖310は任意であり、他の例では省略されていてもよい。固体支持体308は、本明細書で記述される任意の固体支持体(例えば、式(Ia)-(Id)の固体支持体[SS])等の任意の適切な固体支持体で組み込まれてもよいし、或いは多孔質構造のフレームワーク(例えば多孔質構造のフレームワーク102)又は固体支持体粒子(例えば固体支持体粒子110)としてなど、任意の形態で組み込まれてもよい。いくつかの例において、プロトン交換固体支持体302は、ポリアクリル酸ポリマーなどのカルボン酸官能化ポリマーを含む。
【0030】
リンカー鎖310は、カルボン酸基312を固体支持体308に連結できる任意の適切な置換基であり得る。リンカー鎖310は、本明細書で記述される任意のリンカー鎖(例えば、式(Ia)-(Id)のリンカー鎖R)等の任意の適切なリンカー鎖で組み込まれてもよい。リンカー鎖310は、リンカー鎖210と同一又は類似であってもよい。
【0031】
いくつかの例において、三フッ化ホウ素304及びカルボン酸基312は、任意の他の適切な比率で結合し得るが、おおよそ1対1(1:1)の化学量論比で結合する。得られるホウ素含有プロトン交換固体支持体306は、酸素原子と共有結合した炭素原子を含むプロトン交換固体支持体314、及び前記酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基316を含む。ホウ素含有プロトン交換固体支持体306は、強いプロトン交換特性を有する超酸であり、本質的にイオン性である。
【0032】
図3Bは、酸素(O)原子で炭素(C)原子と連結された4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための他の例示的な反応スキーム300Bを示している。反応スキーム300Bは、プロトン交換固体支持体302が、三フッ化ホウ素304の代わりにホウ素ベースのエステル318と結合する反応スキーム300Bである点を除いて反応スキーム300Aと同様である。ホウ素ベースのエステル318は、ホウ素ベースのエステル218と同一又は類似であってもよい。
【0033】
いくつかの例において、ホウ素ベースのエステル318及びカルボン酸基312は、任意の他の適切な比率で結合し得るが、おおよそ1対1(1:1)の化学量論比で結合する。得られるホウ素含有プロトン交換固体支持体320は、酸素原子と共有結合した炭素原子を含むプロトン交換固体支持体314、及び前記酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基322を含む。ホウ素含有プロトン交換固体支持体306のように、ホウ素含有プロトン交換固体支持体320は、強いプロトン交換特性を有する超酸であり、本質的にイオン性である。
【0034】
図4Aは、酸素(O)原子でリン(P)原子と連結された4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための例示的な反応スキーム400Aを示している。示されるように、プロトン交換固体支持体402は、三フッ化ホウ素404で修飾され、ホウ素含有プロトン交換固体支持体406を生成する。三フッ化ホウ素は、ジエチルエーテル及び/又はテトラヒドロフラン錯体の合成反応で使用され得る。
【0035】
プロトン交換固体支持体402は、固体支持体408、リンカー鎖410、及びホスホン酸基412を含む。しかしながら、リンカー鎖410は任意であり、他の例では省略されていてもよい。固体支持体408は、本明細書で記述される任意の固体支持体(例えば、式(Ia)-(Id)の固体支持体[SS])等の任意の適切な固体支持体で組み込まれてもよいし、或いは多孔質構造のフレームワーク(例えば多孔質構造のフレームワーク102)又は固体支持体粒子(例えば固体支持体粒子110)としてなど、任意の形態で組み込まれてもよい。いくつかの例において、プロトン交換固体支持体402は、ポリビニルホスホン酸(PVPA)ポリマー等のホスホン酸官能化ポリマーを含む。
【0036】
リンカー鎖410は、ホスホン酸基412を固体支持体408に連結できる任意の適切な置換基であり得る。リンカー鎖410は、本明細書で記述される任意のリンカー鎖(例えば、式(Ia)-(Id)のリンカー鎖R)等の任意の適切なリンカー鎖で組み込まれてもよい。リンカー鎖410は、リンカー鎖210と同一又は類似であってもよい。
【0037】
いくつかの例において、三フッ化ホウ素404及びホスホン酸基412は、任意の他の適切な比率で結合し得るが、おおよそ1対1(1:1)の化学量論比で結合する。得られるホウ素含有プロトン交換固体支持体406は、酸素原子と共有結合したリン原子を含むプロトン交換固体支持体414、及び前記酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基416を含む。ホウ素含有プロトン交換固体支持体406は、強いプロトン交換特性を有する超酸であり、本質的にイオン性である。
【0038】
図4Bは、酸素(O)原子でリン(P)原子と連結された4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための他の例示的な反応スキーム400Bを示している。反応スキーム400Bは、プロトン交換固体支持体402が、三フッ化ホウ素404の代わりにホウ素ベースのエステル418と結合する反応スキーム400Bである点を除いて、反応スキーム400Aと同様である。ホウ素ベースのエステル418は、ホウ素ベースのエステル218と同一又は類似であってもよい。
【0039】
いくつかの例において、ホウ素ベースのエステル418及びホスホン酸基412は、任意の他の適切な比率で結合し得るが、おおよそ1対1(1:1)の化学量論比で結合する。得られるホウ素含有プロトン交換固体支持体420は、酸素原子と共有結合したリン原子を含むプロトン交換固体支持体414、及び前記酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基422を含む。ホウ素含有プロトン交換固体支持体406のように、ホウ素含有プロトン交換固体支持体420は、強いプロトン交換特性を有する超酸であり、本質的にイオン性である。
【0040】
図5Aは、異なる酸素(O)原子で同一のリン(P)原子とそれぞれ連結された、2つの4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための例示的な反応スキーム500Aを示している。示されるように、プロトン交換固体支持体502は、三フッ化ホウ素504で修飾され、ホウ素含有プロトン交換固体支持体506を生成する。三フッ化ホウ素は、ジエチルエーテル及び/又はテトラヒドロフラン錯体の合成反応で使用され得る。
【0041】
プロトン交換固体支持体502は、固体支持体508、リンカー鎖510、及びホスホン酸基512を含む。しかしながら、リンカー鎖510は任意であり、他の例では省略されていてもよい。固体支持体508は、本明細書で記述される任意の固体支持体(例えば、式(Ia)-(Id)の固体支持体[SS])等の任意の適切な固体支持体で組み込まれてもよいし、或いは多孔質構造のフレームワーク(例えば多孔質構造のフレームワーク102)又は固体支持体粒子(例えば固体支持体粒子110)としてなど、任意の適切な形態で組み込まれてもよい。いくつかの例において、プロトン交換固体支持体502は、PVPAポリマー等のホスホン酸官能化ポリマーを含む。
【0042】
リンカー鎖510は、ホスホン酸基512を固体支持体508に連結できる任意の適切な置換基であり得る。リンカー鎖510は、本明細書で記述される任意のリンカー鎖(例えば、式(Ia)-(Id)のリンカー鎖R)等の任意の適切なリンカー鎖で組み込まれてもよい。リンカー鎖510は、リンカー鎖210と同一又は類似であってもよい。
【0043】
いくつかの例において、三フッ化ホウ素504及びホスホン酸基512は、任意の他の適切な比率で結合し得るが、おおよそ2対1(2:1)の化学量論比で結合する。得られるホウ素含有プロトン交換固体支持体506は、リン原子を含むプロトン交換固体支持体514、並びにプロトン交換固体支持体506の異なる酸素原子と(例えば、ホスホン酸基512の異なる酸素原子と)共有結合したホウ素原子をそれぞれ含む、2つの4価のホウ素ベースの酸性基516-1及び516-2を含む。ホウ素含有プロトン交換固体支持体506は、強いプロトン交換特性を有する超酸であり、本質的にイオン性である。
【0044】
図5Bは、2つの異なる酸素(O)原子で同一のリン(P)原子とそれぞれ連結された2つの4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための他の例示的な反応スキーム500Bを示している。反応スキーム500Bは、プロトン交換固体支持体502が、三フッ化ホウ素504の代わりにホウ素ベースのエステル518と結合する反応スキーム500Bである点を除いて、反応スキーム500Aと同様である。ホウ素ベースのエステル518は、ホウ素ベースのエステル218と同一又は類似であってもよい。
【0045】
いくつかの例において、ホウ素ベースのエステル518及びホスホン酸基512は、任意の他の適切な比率で結合し得るが、おおよそ2対1(2:1)の化学量論比で結合する。得られるホウ素含有プロトン交換固体支持体520は、リン原子を含むプロトン交換固体支持体514、並びにプロトン交換固体支持体520の異なる酸素原子と(例えば、ホスホン酸基512の異なる酸素原子と)共有結合したホウ素原子をそれぞれ含む、2つの4価のホウ素ベースの酸性基522-1及び522-2を含む。ホウ素含有プロトン交換固体支持体506は、強いプロトン交換特性を有する超酸であり、本質的にイオン性である。
【0046】
図6Aは、酸素(O)原子でリン(P)原子と連結された4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための他の例示的な反応スキーム600Aを示している。示されるように、プロトン交換固体支持体602は、三フッ化ホウ素604で修飾され、ホウ素含有プロトン交換固体支持体606を生成する。三フッ化ホウ素は、ジエチルエーテル及び/又はテトラヒドロフラン錯体の合成反応で使用され得る。
【0047】
プロトン交換固体支持体602は、固体支持体608、リンカー鎖610、及びモノホスフェート基612を含む。しかしながら、リンカー鎖610は任意であり、他の例では省略されていてもよい。固体支持体408は、本明細書で記述される任意の固体支持体(例えば、式(Ia)-(Id)の固体支持体[SS])等の任意の適切な固体支持体で組み込まれてもよいし、或いは多孔質構造のフレームワーク(例えば多孔質構造のフレームワーク102)又は固体支持体粒子(例えば固体支持体粒子110)としてなど、任意の適切な形態で組み込まれてもよい。いくつかの例において、プロトン交換固体支持体602は、リン酸をドープしたポリベンゾイミダゾール(PBI)等のホスフェート官能化ポリマーを含む。
【0048】
リンカー鎖610は、ホスフェート基612を固体支持体608に連結できる任意の適切な置換基であり得る。リンカー鎖610は、本明細書で記述される任意のリンカー鎖(例えば、式(Ia)-(Id)のリンカー鎖R)等の任意の適切なリンカー鎖で組み込まれてもよい。リンカー鎖610は、リンカー鎖210と同一又は類似であってもよい。
【0049】
いくつかの例において、三フッ化ホウ素604及びホスフェート基612は、任意の他の適切な比率で結合し得るが、おおよそ1対1(1:1)の化学量論比で結合する。得られるホウ素含有プロトン交換固体支持体606は、酸素原子と共有結合したリン原子を含むプロトン交換固体支持体614、及び前記酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基616を含む。ホウ素含有プロトン交換固体支持体606は、強いプロトン交換特性を有する超酸であり、本質的にイオン性である。
【0050】
得られるホウ素含有プロトン交換固体支持体606は、酸素原子と共有結合したリン原子を含むプロトン交換固体支持体614、及び前記酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基616を含む。ホウ素含有プロトン交換固体支持体606は、強いプロトン交換特性を有する超酸であり、本質的にイオン性である。
【0051】
図6Bは、酸素(O)原子でリン(P)原子と連結された4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための他の例示的な反応スキーム600Bを示している。反応スキーム600Bは、プロトン交換固体支持体602が、三フッ化ホウ素604の代わりにホウ素ベースのエステル618と結合する反応スキーム600Bである点を除いて、反応スキーム600Aと同様である。ホウ素ベースのエステル618は、ホウ素ベースのエステル218と同一又は類似であってもよい。
【0052】
いくつかの例において、ホウ素ベースのエステル618及びリン酸基612は、任意の他の適切な比率で結合し得るが、おおよそ1対1(1:1)の化学量論比で結合する。得られるホウ素含有プロトン交換固体支持体620は、酸素原子と共有結合したリン原子を含むプロトン交換固体支持体614、及び前記酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基622を含む。ホウ素含有プロトン交換固体支持体606のように、ホウ素含有プロトン交換固体支持体620は、強いプロトン交換特性を有する超酸であり、本質的にイオン性である。
【0053】
図7Aは、異なる酸素(O)原子で同一のリン(P)原子とそれぞれ連結された2つの4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための例示的な反応スキーム700Aを示している。示されるように、ホスフェート官能化プロトン交換固体支持体702は、三フッ化ホウ素704で修飾され、ホウ素含有プロトン交換固体支持体706を生成する。三フッ化ホウ素は、ジエチルエーテル及び/又はテトラヒドロフラン錯体の合成反応で使用され得る。
【0054】
プロトン交換固体支持体702は、固体支持体708、リンカー鎖710、及びリン酸基712を含む。しかしながら、リンカー鎖710は任意であり、他の例では省略されていてもよい。固体支持体708は、本明細書で記述される任意の固体支持体(例えば、式(Ia)-(Id)の固体支持体[SS])等の任意の適切な固体支持体で組み込まれてもよいし、或いは多孔質構造のフレームワーク(例えば多孔質構造のフレームワーク102)又は固体支持体粒子(例えば固体支持体粒子110)としてなど、任意の適切な形態で組み込まれてもよい。いくつかの例において、プロトン交換固体支持体702は、PBIポリマー等のホスフェート官能化ポリマーを含む。
【0055】
リンカー鎖710は、リン酸基712を固体支持体708に連結できる任意の適切な置換基であり得る。リンカー鎖710は、本明細書で記述される任意のリンカー鎖(例えば、式(Ia)-(Id)のリンカー鎖R)等の任意の適切なリンカー鎖で組み込まれてもよい。リンカー鎖710は、リンカー鎖210と同一又は類似であってもよい。
【0056】
いくつかの例において、三フッ化ホウ素704及びリン酸基712は、任意の他の適切な比率で結合し得るが、おおよそ2対1(2:1)の化学量論比で結合する。得られるホウ素含有プロトン交換固体支持体706は、リン原子を含むプロトン交換固体支持体714、並びにプロトン交換固体支持体706の異なる酸素原子と(例えば、ホスフェート基712の異なる酸素原子と)共有結合したホウ素原子をそれぞれ含む、2つの4価のホウ素ベースの酸性基716-1及び716-2を含む。ホウ素含有プロトン交換固体支持体706は、強いプロトン交換特性を有する超酸であり、本質的にイオン性である。
【0057】
図7Bは、単一の酸素(O)原子でリン(P)原子と連結された2つの4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための、他の例示的な反応スキーム700Bを示している。反応スキーム700Bは、プロトン交換固体支持体702が、三フッ化ホウ素704の代わりにホウ素ベースのエステル718と結合する反応スキーム700Bである点を除いて、反応スキーム700Aと同様である。ホウ素ベースのエステル718は、ホウ素ベースのエステル218と同一又は類似であってもよい。
【0058】
いくつかの例において、ホウ素ベースのエステル718及びホスフェート基712は、任意の他の適切な比率で結合し得るが、おおよそ2対1(2:1)の化学量論比で結合する。得られるホウ素含有プロトン交換固体支持体520は、リン原子を含むプロトン交換固体支持体714、並びにプロトン交換固体支持体720の異なる酸素原子と(例えば、ホスホン酸基712の異なる酸素原子と)共有結合したホウ素原子をそれぞれ含む、2つの4価のホウ素ベースの酸性基722-1及び722-2を含む。ホウ素含有プロトン交換固体支持体706は、強いプロトン交換特性を有する超酸であり、本質的にイオン性である。
【0059】
図8Aは、酸素(O)原子と連結された4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための他の例示的な反応スキーム800Aを示している。示されるように、プロトン交換固体支持体802は、三フッ化ホウ素804で修飾され、ホウ素含有プロトン交換固体支持体806を生成する。三フッ化ホウ素は、ジエチルエーテル及び/又はテトラヒドロフラン錯体の合成反応で使用され得る。
【0060】
プロトン交換固体支持体802は、固体支持体808、リンカー鎖810、及びヒドロキシル基812を含む。しかしながら、リンカー鎖810は任意であり、他の例では省略されていてもよい。固体支持体808は、本明細書で記述される任意の固体支持体(例えば、式(Ia)-(Id)の固体支持体[SS])等の任意の適切な固体支持体で組み込まれてもよいし、或いは多孔質構造のフレームワーク(例えば多孔質構造のフレームワーク102)又は固体支持体粒子(例えば固体支持体粒子110)としてなど、任意の適切な形態で組み込まれてもよい。いくつかの例において、プロトン交換固体支持体802は、リグニン、セルロース、又はキチン等のヒドロキシル基を提供する天然のポリマーを含む。
【0061】
リンカー鎖810は、ヒドロキシル基812を固体支持体808に連結できる任意の適切な置換基であり得る。リンカー鎖810は、本明細書で記述される任意のリンカー鎖(例えば、式(Ia)-(Id)のリンカー鎖R)等の任意の適切なリンカー鎖で組み込まれてもよい。リンカー鎖810は、リンカー鎖210と同一又は類似であってもよい。
【0062】
いくつかの例において、三フッ化ホウ素804及びヒドロキシル基812は、任意の他の適切な比率で結合し得るが、おおよそ1対1(1:1)の化学量論比で結合する。得られるホウ素含有プロトン交換固体支持体806は、ヒドロキシル基812由来の酸素原子を含むプロトン交換固体支持体814、及び前記酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基816を含む。ホウ素含有プロトン交換固体支持体806は、強いプロトン交換特性を有する超酸であり、本質的にイオン性である。
【0063】
図8Bは、酸素(O)原子と連結された4価のホウ素ベースの酸性基を提供する、ホウ素含有プロトン交換固体支持体を合成するための他の例示的な反応スキーム800Bを示している。反応スキーム800Bは、プロトン交換固体支持体802が、三フッ化ホウ素804の代わりにホウ素ベースのエステル818と結合する反応スキーム800Bである点を除いて、反応スキーム800Aと同様である。ホウ素ベースのエステル818は、ホウ素ベースのエステル218と同一又は類似であってもよい。
【0064】
いくつかの例において、ホウ素ベースのエステル818及びヒドロキシル基812は、任意の他の適切な比率で結合し得るが、おおよそ1対1(1:1)の化学量論比で結合する。得られるホウ素含有プロトン交換固体支持体820は、酸素原子を含むプロトン交換固体支持体814、及び前記酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価のホウ素ベースの酸性基822を含む。ホウ素含有プロトン交換固体支持体806のように、ホウ素含有プロトン交換固体支持体820は、強いプロトン交換特性を有する超酸であり、本質的にイオン性である。
【0065】
反応スキーム200A-800Bは、市販のポリマー及びアイオノマー、又は(例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、ホスフェート基、フェノール基、アルコール、又はペンダントヒドロキシル基由来の)ペンダントヒドロキシル基を有するPEMを、4価のホウ素ベースの酸性基で修飾するだけでなく、ドーパント、ナノ粒子、マイクロ粒子、及びアイオノマー等のPEMの構成要素を修飾するために使用してもよい。アイオノマーとしては、一般的に、ペンダント酸性基を有するポリマー材料の類が挙げられる。したがって、固体支持体(例えば、任意でリンカー鎖210を有する固体支持体208)がポリマーであり、ペンダント酸性基を含む場合、懸案のホウ素ベースの酸性基(例えばホウ素ベースの酸性基216又は222)に起因する、得られるホウ素含有プロトン交換固体支持体(例えば、ホウ素含有プロトン交換固体支持体206又は220)のように、前駆体のプロトン交換固体支持体(例えば、プロトン交換固体支持体202)は、懸案の酸性基(例えばスルホン酸基212)の存在に起因するアイオノマーである。ホウ素含有プロトン交換固体支持体がアイオノマーである場合、PEMは、ホウ素含有プロトン交換固体支持体(例えばホウ素含有プロトン交換固体支持体206又は220)を成型すること又はゲル鋳造することにより成形され得る。触媒被覆膜も、PEMの両側で触媒を保持するためのバインダーとして、ホウ素含有プロトン交換固体支持体のアイオノマー形態を使用して作製され得る。
【0066】
本明細書で記述されるホウ素含有プロトン交換固体支持体を、水電解及び/又は燃料電池の用途で使用してもよい。ここでは、例示的な用途を、
図9-11を参照して説明する。
【0067】
いくつかの例において、4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体は、PEMで使用され得る。
図9は、例示的なプロトン交換膜900(PEM900)を示している。PEM900は、多孔質構造のフレームワーク902、及び多孔質構造のフレームワーク902の全体にわたって分布し、多孔質構造のフレームワーク902の細孔表面に結合した4価のホウ素ベースの酸性基904を含む。
【0068】
多孔質構造のフレームワーク902は、無機材料及び/又は有機材料等の、本明細書で記述される任意の適切な固体支持体又は固体支持体の組み合わせで形成され得る。適切な無機材料としては、アモルファスの無機材料(例えばガラス、石英ガラス、又はセラミック)、及び/又は結晶性の無機材料(例えば石英、単結晶シリコン、又はアルミナ)が挙げられ得る。適切な有機材料としては、例えば、合成及び/又は天然のポリマー(例えばセルロース)が挙げられ得る。
【0069】
PEM900は、数ミクロンから数百ミクロンの範囲の厚さdを有してもよい。本明細書で記述される構造であると、PEM900は、膜を通じて最大30気圧の圧力差及び酸性pH勾配に耐え得る。PEM900は、水及びプロトンを透過させることができてもよく、これらは矢印906で示されるようにPEM900を通って伝わり得るが、PEM900は、通常、水素及び酸素等のガスを透過させない。
【0070】
図10は、ホウ素含有多孔質膜を組み込んでいる、例示的なプロトン交換膜水電解システム1000(PEM水電解システム1000)を示している。PEM水電解システム1000は、電気を使用し、電気化学反応によって水を酸素(O
2)及び水素(H
2)に分解する。PEM水電解システム1000の構造は、他の適切な水電解システムと同様に、他の適切な構造がホウ素含有多孔質膜を組み込んでもよいため、単なる例示であり、限定されるものではない。
【0071】
図10に示されるように、PEM水電解システム1000は、膜電極接合体1002(MEA1002)、多孔質輸送層1004-1及び1004-2、バイポーラ板1006-1及び1006-2、並びに電力供給源1008を含む。また、PEM水電解システム1000は、特定の実施をし得るときに、
図10で示されていない追加の又は代わりの構成要素を含んでもよい。
【0072】
MEA1002は、第1の触媒層1012-1及び第2の触媒層1012-2の間に配置されるPEM1010を含む。PEM1010は、プロトン(H+)等のカチオンの選択的な伝導性をもたらしながら、また、水素や酸素等のガスを透過させないようにしながら、第1の触媒層1012-1を第2の触媒層1012-2から電気的に分離している。PEM1010は、任意の適切なPEMとされ得る。例えば、PEM1010は、多孔質構造のフレームワーク内の細孔表面に結合したホウ素ベースの酸性基を有する、多孔質構造のフレームワークを含むホウ素含有多孔質膜(例えばPEM900)とされ得る。
【0073】
第1の触媒層1012-1及び第2の触媒層1012-2は、白金、ルテニウム、及び/又は酸化セリウム(IV)等の埋設された電気化学触媒(図示せず)を有する伝導性電極である。いくつかの例においては、第1の触媒層1012-1及び第2の触媒層1012-2は、触媒ナノ粒子を結合するアイオノマーを使用して形成される。第1の触媒層1012-1及び第2の触媒層1012-2を形成するために使用されるアイオノマーは、本明細書で記述されるように、4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体を含んでもよい。
【0074】
MEA1002は、多孔質輸送層1004-1と1004-2との間に設置され、該MEA1002は、同様に、バイポーラ板1006-1と1006-2との間に設置され、流路1014-1及び1014-2は、バイポーラ板1006と多孔質輸送層1004との間に位置する。
【0075】
MEA1002において、第1の触媒層1012-1は、アノードとして機能し、第2の触媒層1012-2は、カソードとして機能する。PEM水電解システム1000が、電力供給源1008によって電極を供給される場合、以下の電気化学半反応で表される酸素発生反応(OER)がアノード1012-1で起こる。
2H2O→O2+4H++4e-
プロトンは、PEM1010を通ってアノード1012-1からカソード1012-2に伝導し、電子は、PEM100周辺の伝導経路により、アノード1012-1からカソード1012-2に伝導する。PEM1010は、アノード1012-1からカソード1012-2へのプロトン(H+)及び水の移動を可能にするが、酸素及び水素は透過させない。カソード1012-2では、プロトンは、以下の電気化学半反応で表される水素発生反応(HER)において電子と結合する。
4H++4e-→2H2
【0076】
OER及びHERは、電気により水を分解する2つの相補的な電気化学反応であり、以下の全体水電解反応により表される。
2H2O→2H2+O2
【0077】
図11は、ホウ素含有多孔質膜を含む、例示的なプロトン交換膜燃料電池1100(PEM燃料電池1100)を示している。PEM燃料電池1100は、電気化学反応の結果として電気を生成する。この例において、電気化学反応は、水素ガス(H
2)及び酸素ガス(O
2)を反応させ、水及び電気を生成することを含む。他の適切なプロトン交換膜燃料電池と同様に、他の適切な構造は、ホウ素含有多孔質膜を取り入れてもよいため、PEM燃料電池1100の構造は、単なる例示であり、限定されるものではない。
【0078】
図11に示されるように、PEM燃料電池1100は、膜電極接合体1102(MEA1102)、多孔質輸送層1104-1及び1104-2、バイポーラ板1106-1及び1106-2を有する。電気機器1108は、MEA1102に電気的に接続され、PEM燃料電池1100により駆動される。また、PEM燃料電池1100は、特定の実施をもたらすように、
図11に示されていない追加の又は代わりの構成要素を含んでもよい。
【0079】
MEA1102は、第1の触媒層1112-1と第2の触媒層1112-2との間に配置されるPEM1110を含む。PEM1110は、プロトン(H+)等のカチオンの選択的な伝導をもたらしながら、また、水素や酸素等のガスを透過させないようにしながら、第1の触媒層1112-1を第2の触媒層1112-2から電気的に分離している。PEM1100は、任意の適切なPEMにより与えられてもよい。例えば、PEM1110は、多孔質構造のフレームワークの細孔表面に結合したホウ素ベースの酸性基を有する、多孔質構造のフレームワークを含むホウ素含有多孔質膜(例えばPEM900)で実施されてもよい。
【0080】
第1の触媒層1112-1及び第2の触媒層1112-2は、埋設された電気化学触媒(図示せず)を有する伝導性電極である。いくつかの例では、第1の触媒層1112-1及び第2の触媒層1112-2は、触媒ナノ粒子を結合するアイオノマーを使用して形成される。いくつかの例においては、第1の触媒層1112-1及び第2の触媒層1104-2の形成に使用されるアイオノマーは、本明細書で記述されるような4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体を組み込んでいるアイオノマーを含む。
【0081】
MEA1102は、多孔質輸送層1104-1と1104-2との間に設置され、結果として、バイポーラ板1106-1と1106-2との間に設置され、流路1114はそれらの中間に位置する。MEA1102において、第1の触媒層1112-1は、カソードとして機能し、第2の触媒層1112-2は、アノードとして機能する。カソード1112-1及びアノード1112-2は、機器1108に電気的に接続され、機器1108を駆動するPEM燃料電池1100によって電気が生み出される。
【0082】
PEM燃料電池1100の稼働中に、水素ガス(H2)は、PEM燃料電池1100のアノード側に流れ込み、酸素ガス(O2)は、PEM燃料電池1100のカソード側に流れ込む。アノード1112-2において、水素分子は、以下の水素酸化反応(HOR)に従って、触媒によりプロトン(H+)及び電子(e-)に分解される。
2H2→4H++4e-
プロトンは、PEM1100を通って、アノード1112-2からカソード1112-1に移動し、電子は、伝導経路及び機器1108を通って、PEM1110周辺のアノード1112-2からカソード1112-1に伝導する。カソード1112-1において、プロトン及び電子は、以下の酸素還元反応(ORR)に従って、酸素ガスと結合する。
O2+4H++4e-→2H2O
したがって、PEM燃料電池1100での全体の電気化学反応は、
2H2+O2→2H2O
である。
【0083】
全体反応において、PEM燃料電池1100は、カソード1112-1で水を生成する。水は、PEM1110を通ってカソード1112-1からアノード1112-2に流れ込み得、PEM燃料電池1100のカソード側及び/又はアノード側の排出口を通って除去され得る。全体反応は、アノードにおいて、機器1108を駆動する電子を発生させる。
【0084】
(多孔質構造のフレームワーク(例えばPEM900)として又は固体支持体粒子として組み込まれる)本明細書で記述される4価のホウ素含有プロトン交換固体支持体は、病原体中和多孔質膜として使用してもよい。例えば、多孔質構造のフレームワーク902は、細菌、真菌胞子及びウイルス等の病原体の移動を防ぐのに十分小さい細孔を有していてもよい。また、ホウ素ベースの酸性基904は、細菌、真菌、及びSARS-CoV-2等のウイルスに対する抗病原性活性を有していてもよい。例えば、SARS-CoV-2等の病原体の塩基性タンパク部位は、プロトン交換膜の酸性のホウ素部位とイオン的に結合し、それによって、プロトン交換膜を通じての病原体の移動を防ぎ得る。結果として、プロトン交換膜は、フェイスマスク、外科手術用マスク、並びに密閉空間(例えば、家、オフィス、病院、工場、乗り物、航空機等)用のエアフィルター及び空気清浄機で実装され得る。
【0085】
前述の説明において、添付の図を参照して、様々な例示的な実施形態を記述した。しかしながら、以下の特許請求の範囲の範囲から逸脱しないで、それらに様々な変形及び変化を加えることができ、さらなる実施形態が実装され得ることは明白であるだろう。例えば、本明細書で記述される1つの実施形態のある特徴を、本明細書で記述される他の実施形態の特徴と組み合わせてもよいし又は置き換えてもよい。したがって、本明細書及び図面は、限定的意味ではなく、例示的なものであるとみなされたい。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素原子を含むプロトン交換固体支持体と、
3個のフッ素原子及び前記酸素原子と共有結合した
、負の形式電荷を有するホウ素原子を含む4価の
ペンダントホウ素ベースの酸性基と、
前記ホウ素原子とイオン的に連結したカチオンと、を含む、ホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項2】
前記プロトン交換固体支持体が、前記酸素原子と共有結合した、硫黄原子、炭素原子又はリン原子をさらに含む、請求項1に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項3】
前記硫黄原子、前記炭素原子又は前記リン原子が、二重結合でさらなる酸素原子と共有結合している、請求項2に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項4】
前記プロトン交換固体支持体が、前記硫黄原子、前記炭素原子又は前記リン原子に結合したリンカー鎖をさらに含み、
前記リンカー鎖が、C
1~C
30アルキル鎖を含み、
前記リンカー鎖が、前記リンカー鎖の各原子と同一又は異なり得、水素、ヒドロキシル基、フルオロ基、クロロ基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、カルボン酸基、カルボン酸アミド基、エステル基、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を含み得る、1つ以上のペンダント部分を任意で有する、請求項
2に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項5】
前記プロトン交換固体支持体が、無機材料
、マイクロ粒子又はナノ粒子を含む、請求項1に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項6】
前記プロトン交換固体支持体が、多孔質ポリマーネットワークを含み、
前記4価の
ペンダントホウ素ベースの酸性基が、前記多孔質ポリマーネットワークの細孔表面に位置している、請求項1に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【請求項7】
ホウ素含有プロトン交換固体支持体を作製する方法であって、
ペンダントヒドロキシル基を含むプロトン交換固体支持体を、
3個のフッ素原子及び前記ペンダントヒドロキシル基の酸素原子と共有結合したホウ素原子を含む4価の
ペンダントホウ素ベースの酸性基で修飾すること
と、
カチオンを前記ホウ素原子とイオン的に連結することと、を含む、ホウ素含有プロトン交換固体支持体の作製方法。
【請求項8】
前記修飾が、三フッ化ホウ素を前記ペンダントヒドロキシル基と結合させることを含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記プロトン交換固体支持体が、無機材料
、マイクロ粒子又はナノ粒子を含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項10】
前記プロトン交換固体支持体が、アイオノマーを含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項11】
プロトン交換固体支持体が、多孔質ポリマーネットワークを含み、
前記4価の
ペンダントホウ素ベースの酸性基が、前記多孔質ポリマーネットワークの細孔表面に位置している、請求項
7に記載の方法。
【請求項12】
前記プロトン交換固体支持体が、前記
ペンダントヒドロキシル基を含むペンダント酸性基を含み、前記ペンダント酸性基が、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、フェノール基、又はホスフェート基を含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項13】
前記プロトン交換固体支持体を、さらなる4価の
ペンダントホウ素ベースの酸性基で修飾することをさらに含
み、
前記プロトン交換固体支持体が、前記ペンダントヒドロキシル基及びさらなるペンダントヒドロキシル基を含むホスホン酸基を含み、
前記プロトン交換固体支持体の前記4価のペンダントホウ素ベースの酸性基での修飾が、三フッ化ホウ素を前記ペンダントヒドロキシル基と結合させることを含み、
前記プロトン交換固体支持体の前記さらなる4価のペンダントホウ素ベースの酸性基での修飾が、三フッ化ホウ素を前記さらなるペンダントヒドロキシル基と結合させることを含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項14】
膜電極接合体であって、
カソードと、
アノードと、
前記カソード及び前記アノードとの間に配置されたプロトン交換膜と、を備え、
プロトン交換固体支持体を含む前記プロトン交換膜が、
酸素原子と、
3個のフッ素原子及び前記酸素原子と共有結合した
、負の形式電荷を有するホウ素原子を含む4価の
ペンダントホウ素ベースの酸性基と、
前記ホウ素原子とイオン的に連結したカチオンと、を含む、膜電極接合体。
【請求項15】
前記プロトン交換固体支持体が、アイオノマーを含む、請求項1に記載のホウ素含有プロトン交換固体支持体。
【国際調査報告】