IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイアイエックスメド・インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-543338細胞病理検査における細胞診画像を取得する方法およびシステム
<>
  • 特表-細胞病理検査における細胞診画像を取得する方法およびシステム 図1
  • 特表-細胞病理検査における細胞診画像を取得する方法およびシステム 図2
  • 特表-細胞病理検査における細胞診画像を取得する方法およびシステム 図3A
  • 特表-細胞病理検査における細胞診画像を取得する方法およびシステム 図3B
  • 特表-細胞病理検査における細胞診画像を取得する方法およびシステム 図4A
  • 特表-細胞病理検査における細胞診画像を取得する方法およびシステム 図4B
  • 特表-細胞病理検査における細胞診画像を取得する方法およびシステム 図4C
  • 特表-細胞病理検査における細胞診画像を取得する方法およびシステム 図4D
  • 特表-細胞病理検査における細胞診画像を取得する方法およびシステム 図5
  • 特表-細胞病理検査における細胞診画像を取得する方法およびシステム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】細胞病理検査における細胞診画像を取得する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20231005BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20231005BHJP
   G02B 21/36 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
G02B21/00
G01N21/27 A
G02B21/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533210
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 US2021034441
(87)【国際公開番号】W WO2022081214
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】63/093,287
(32)【優先日】2020-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/093,444
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523144276
【氏名又は名称】エイアイエックスメド・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIXMED, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】チェン,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ティエン-ジェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シー-ユー
【テーマコード(参考)】
2G059
2H052
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB09
2G059BB14
2G059EE01
2G059EE11
2G059EE13
2G059FF01
2G059FF03
2G059JJ11
2G059KK04
2G059LL01
2G059MM01
2G059MM05
2G059MM09
2G059MM10
2H052AB05
2H052AB27
2H052AC05
2H052AD18
2H052AF14
2H052AF25
(57)【要約】
細胞診標本に分布された標的細胞に関連した画像を取得する例示的な方法及びシステムが開示されている。1つの例示的な方法は、第1対物レンズを通じて細胞診標本の第1領域に関連した第1画像を取得することと、第1領域の第1サブ領域を特定することと、第2対物レンズを通じて第1サブ領域に関連した1つまたは複数の画像の第2セットを取得することと、第1画像から第3画像を特定することと、1つまたは複数の画像の第2セットにおける標的細胞の第2数と、第3画像における標的細胞の第1数との比が所定の範囲内にあることに応じて、画像の第2セットに基づいて標的細胞に関連する画像を取得することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞診標本に分布された標的細胞に関連した画像を取得するための方法であって、
第1視野、第1倍率および前記第1視野において第1被写界深度を有する第1対物レンズを通じて、前記細胞診標本の第1領域に関連する第1画像を取得することと、
前記標的細胞に関連した画像特性に基づいて前記第1領域の第1サブ領域を特定することであって、前記標的細胞の第1数が、前記第1サブ領域と前記第1被写界深度とによって定義される空間に分布される、前記第1サブ領域を特定することと、
第2視野、第2倍率および前記第2視野において第2被写界深度を有する第2対物レンズを通じて、前記第1サブ領域に関連する1つまたは複数の画像の第2セットを取得することと、
前記標的細胞に関連した画像特性に基づいて前記第1画像から第3画像を特定することであって、前記第3画像が、前記第1サブ領域と関連し、前記標的細胞の前記第1数の画像を含む、前記第3画像を特定することと、
1つまたは複数の画像の前記第2セットにおける前記標的細胞の第2数と、前記第3画像における前記標的細胞の前記第1数との比が所定の範囲内にあることに応じて、画像の前記第2セットに基づいて前記標的細胞に関連した画像を取得することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1領域は、前記第1視野に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1サブ領域は、1つまたは複数の前記第2視野に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2倍率は、前記第1倍率より大きく、
前記第2被写界深度は、前記第1被写界深度より小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1画像を取得する前に、
前記第1対物レンズを通じて前記細胞診標本の他の領域に関連した画像を取得することと、
前記他の領域に関連した画像に基づいて、前記標的細胞を含む前記細胞診標本の第1層を特定することであって、前記第1層が前記第1被写界深度に対応する、前記第1層を特定することと、
前記第1対物レンズを通じて前記第1層の画像を取得することであって、前記第1層の1つの画像は前記第1画像である、前記第1層の画像を取得することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記標的細胞に関連した前記画像特性は、前記標的細胞に関連したコントラスト、明るさ、形状及び色情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記色情報は、約530nmから約630nmまでの第1波長範囲、約450nmから約560nmまでの第2波長範囲、または約450nmから約530nmまでの第3波長範囲を有する光に対応する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記色情報は、RGB(赤、緑、青)ドメインにおけるR、G、B値の範囲、またはHSV(色相、彩度、値)ドメインにおける色相値の範囲を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
1つまたは複数の画像の前記第2セットを取得することは、
前記第1サブ領域と前記第2視野深度とによって定義された前記細胞診標本の第1空間に焦点が合うように前記第2対物レンズを駆動することと、
1つまたは複数の画像の前記第2セットの1つとなる前記第1空間の画像を取得することと、をさらに有し、
前記第1空間は、前記細胞診標本の第2層に関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1サブ領域と前記第1被写界深度とによって定義された空間に関連した画像における前記標的細胞に関連した画像を特定することに応じて、前記第1空間に隣接した前記細胞診標本の第2空間に焦点が合うように前記第2対物レンズを駆動することと、1つまたは複数の画像の前記第2セットの1つとなる前記第2空間の画像を取得することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記比が所定の範囲内にないことに応じて、前記第1空間に隣接した前記細胞診標本の第2空間に焦点が合うように前記第2対物レンズを駆動することと、1つまたは複数の画像の前記第2セットの1つとなる前記第2空間の画像を取得することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2空間は、前記第1サブ領域と前記第2視野深度とによって定義され、前記細胞診標本の第3層に関連している、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
細胞診標本に分布された標的細胞に関連した画像を取得するためのシステムであって、
プロセッサと、
命令を格納した非一時的なコンピュータ可読媒体と、を備え、
前記プロセッサが前記命令を実行すると、前記プロセッサは、
第1視野、第1倍率および前記第1視野において第1被写界深度を有する第1対物レンズを通じて、前記細胞診標本の第1領域に関連する第1画像を取得し、
前記標的細胞に関連した画像特性に基づいて前記第1領域の第1サブ領域を特定することであって、前記標的細胞の第1数が、前記第1サブ領域と前記第1被写界深度とによって定義される空間に分布される、前記第1サブ領域を特定し、
第2視野、第2倍率および前記第2視野において第2被写界深度を有する第2対物レンズを通じて、前記第1サブ領域に関連する1つまたは複数の画像の第2セットを取得し、
前記標的細胞に関連した画像特性に基づいて前記第1画像から第3画像を特定することであって、前記第3画像は、前記第1サブ領域と関連し、前記標的細胞の前記第1数の画像を含む、前記第3画像を特定し、
1つまたは複数の画像の前記第2セットにおける前記標的細胞の第2数と、前記第3画像における前記標的細胞の前記第1数との比が所定の範囲内にあることに応じて、画像の前記第2セットに基づいて前記標的細胞に関連した画像を取得する、システム。
【請求項14】
前記第1領域は、前記第1視野に対応し、前記第1サブ領域は、1つまたは複数の前記第2視野に対応し、または、前記第2倍率は、前記第1倍率より大きく、前記第2被写界深度は、前記第1被写界深度より小さい、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記非一時的なコンピュータ可読媒体は、追加の命令を格納し、
前記プロセッサが前記追加の命令を実行すると、前記プロセッサは、
前記第1画像を取得する前に、前記第1対物レンズを通じて前記細胞診標本の他の領域に関連した画像を取得し、
前記他の領域に関連した画像に基づいて、前記標的細胞を含む前記細胞診標本の第1層を特定することであって、前記第1層が前記第1被写界深度に対応する、前記第1層を特定し、
前記第1対物レンズを通じて前記第1層の画像を取得することであって、前記第1層の画像の1つが前記第1画像である、前記第1層の画像を取得する、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記標的細胞に関連した前記画像特性は、前記標的細胞に関連したコントラスト、明るさ、形状及び色情報を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記色情報は、RGB(赤、緑、青)ドメインにおけるR、G、B値の範囲、またはHSV(色相、彩度、値)ドメインにおける色相値の範囲を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
約530nmから約630nmまでの第1波長範囲、約450nmから約560nmまでの第2波長範囲、または約450nmから約530nmまでの第3波長範囲を有する光を発生させるように構成された光源をさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記非一時的なコンピュータ可読媒体は、追加の命令を格納し、
前記プロセッサが前記追加の命令を実行すると、前記プロセッサは、
前記第1サブ領域と前記第2視野深度とによって定義された前記細胞診標本の第1空間に焦点が合うように前記第2対物レンズを駆動し、1つまたは複数の画像の前記第2セットの1つとなる前記第1空間の画像を取得し、
前記第1空間は、前記細胞診標本の第2層に関連する、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
前記非一時的なコンピュータ可読媒体は、追加の命令を格納し、
前記プロセッサが前記追加の命令を実行すると、前記プロセッサは、
前記第1サブ領域と前記第1被写界深度とによって定義された空間に関連した画像における前記標的細胞に関連した画像を特定することに応じて、前記第1空間に隣接した前記細胞診標本の第2空間に焦点が合うように前記第2対物レンズを駆動し、
1つまたは複数の画像の前記第2セットの1つとなる前記第2空間の画像を取得する、請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
前記非一時的なコンピュータ可読媒体は、追加の命令を格納し、
前記プロセッサが前記追加の命令を実行すると、前記プロセッサは、
前記比が所定の範囲内にないことに応じて、前記第1空間に隣接した前記細胞診標本の第2空間に焦点が合うように前記第2対物レンズを駆動し、
1つまたは複数の画像の前記第2セットの1つとなる前記第2空間の画像を取得する、請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
前記第2空間は、前記第1サブ領域と前記第2視野深度とによって定義され、前記細胞診標本の第3層に関連している、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2020年10月18日出願の米国仮出願第63/093,287号および2020年10月19日出願の米国仮出願第63/093,444号の利益を主張し、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は、一般に、細胞病理学において細胞診画像を得るための方法およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
本明細書に別段の記載がない限り、本項に記載されたアプローチは、本願の請求項に対する先行技術ではなく、本項に含まれることにより先行技術であると認められるものではない。
【0004】
細胞病理学は、細胞レベルの病気を研究および診断する病理学の一分野であり、一般的には細胞レベルの細胞診画像を得ることを含む。細胞診標本の細胞診画像の取得には、細胞診標本が分布しているスライドグラスの画像デジタル化が含まれる。画像デジタル化は、一般に、細胞診標本用のスライドガラスをスキャンして、スライドガラス用の画像デジタルスライドを生成することを含んでもよい。スキャンは、ホールスライドイメージングスキャによって行われてもよい。画像デジタルスライドは、顕微鏡の代わりにディスプレイ(例えば、コンピュータのモニター)で見ることができる。
【0005】
スライドグラスの画像デジタル化を効率的かつ正確に行うことは困難である。その理由の一つは、スライドガラス上の細胞診標本には、単細胞や細胞群が3次元的に分布している場合があることだ。細胞診の標本では、細胞や細胞群が3次元的に分布しているため、ピント合わせが難しい。このようなピント合わせの難しさに対して、従来はスライドガラス全体のピントが合った画像を得るという方法があったが、これは非常に時間がかかるものであった。また、従来は、スライドグラスのピントを合わせたい部分に手作業でマークをつけ、マークされた領域にピントを合わせた画像を得るという方法がとられていた。しかし、手動によるアプローチでは、誤った領域をマークする可能性があり、その結果、ピントを合わせて得られた画像は、細胞診標本中の多くの標的細胞を含まない可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】スライドガラス上に3次元的に分布した細胞診標本を示す図の一例である。
図2】複数対物レンズモジュールの例が第1対物レンズによって細胞診標本の層に関連する画像を取得する方法を説明する。
図3A】細胞診標本の一部を例示した図である。
図3B】第1対物レンズによって取得された細胞診標本の一部と関連する画像を示す。
図4A】複数対物レンズモジュールの例が第2対物レンズによって細胞診標本の2次サブ部分に関連する画像を取得する方法を説明したものである。
図4B】第2対物レンズによって取得された2次サブ部分に関連するイメージ図である。
図4C】複数対物レンズモジュールの例が、第2対物レンズによって細胞診標本の複数の2次サブ部分に関連する画像を取得する方法を説明する。
図4D】第2対物レンズによって取得された2次サブ部分に関連する画像を図示したものである。
図5】細胞診標本に関連する画像を取得するシステムの例を説明する。
図6】細胞診標本内で分布した標的細胞に関連する画像を取得するためのプロセスの例を示すフロー図であり、全て本開示のいくつかの実施形態に従ってアレンジされている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照するものとする。図面では、特に断りがない限り、類似の記号は類似の構成要素を示す。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲に記載された例示的な実施形態は、限定することを意図していない。他の実施形態は、ここに提示された主題の精神または範囲から逸脱することなく、利用でき、他の変更を行うことができる。本明細書で一般的に説明され、図面に示されるような本開示の態様は、多種多様な異なる構成で配置、置換、組み合わせ、および設計でき、そのすべてが本明細書で明示的に企図されていることが容易に理解されるであろう。
【0008】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に従って配置されたスライドグラス120上の3次元的に配された細胞診標本110を示す図例である。細胞診標本110は、複数のセルや不純物を含む場合がある。例えば、細胞診標本110は、ダストまたはマーク131、標的細胞141(例えば、悪性リスクの上皮細胞)、非標的細胞151、153、155、157および159(例えば、赤血球、通常の上皮細胞、他の細胞)を含み得る。ダストまたはマーク131、標的細胞141、非標的細胞151、153、155、157、159は、スライドグラス120上の3次元的(すなわち、細胞診標本110の体積内の異なる深さ)に分布している。
【0009】
図2は、複数対物レンズモジュールの例200が、本開示のいくつかの実施形態に従って配置された第1対物レンズ220によって細胞診標本210の層に関連する画像を取得する方法を示す。図1と合わせて、図2において、細胞診標本210が細胞診標本110に対応する場合がある。図2において、複数対物レンズモジュール200は、細胞診標本210に関連する画像を取得するように構成された第1対物レンズ220を含む。より具体的には、第1対物レンズ220は、細胞診標本210の1つまたは複数の層に関連する画像を取得するように構成される。いくつかの実施形態では、各層は、第1対物レンズ220の視野に関連する被写界深度に対応してもよい。
【0010】
ある実施形態において、第1対物レンズ220は、第1視野、第1被写界深度、および第1倍率を有する。第1視野は、細胞診標本210の領域A、B、C、D、E、F、G、H、I、Jのいずれか1つに対応してもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1視野において、第1対物レンズ220に最も近いシャープでピントが合った対象物と、第1対物レンズ220に最も遠いシャープでピントが合った対象物との間の距離は、第1被写界深度を指す。距離の例としては、図2に示した距離1、距離2、距離3が考えられる。また、第1被写界深度は、細胞診標本210の層に相当する場合もある。したがって、距離1は細胞診標本210の第1層に対応し、距離2は細胞診標本210の第2層に対応し、距離3は細胞診標本210の第3層に対応してもよい。
【0012】
第1層はスライドグラス(例えばスライドグラス120)から最も離れた層であってもよく、第3層はスライドグラス(例えばスライドグラス120)に隣接する層であってもよい。なお、図2には3層が例示されているが、細胞診標本210は第1対物レンズ220の第1被写界深度に応じて、より多くの層またはより少ない層を含んでもよい。これらの実施形態では、領域と距離とが細胞診標本210の一部を定義してもよい。例えば、J3は、細胞診標本210の前面右下部分に相当する。したがって、図2に示される一実施形態では、細胞診標本210は、部分A1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3、D1、D2、D3、E1、E2、E3、F1、F2、F3、G1、G2、G3、H1、H2、H3、I1、I2、I3、J1、J2、J3で定義されてよい。
【0013】
いくつかの実施形態において、細胞診標本210は、ダスト211、マーク212、第1タイプの細胞213(例えば、悪性リスクの上皮細胞)、第2タイプの細胞214(例えば、赤血球)、第3タイプの細胞215(例えば、通常の上皮細胞の場合)および第4タイプの細胞216(例えば、他の細胞)を含んでもよいが、これらに限定されない。ダスト211、第1タイプの細胞213、第2タイプの細胞214、第3タイプの細胞215および第4タイプの細胞216は、それらの比重に基づいて細胞診標本210に分布していてもよい。マーク212は、細胞診標本210の上面に、ユーザが手動でマークされてもよい。ダスト211と細胞213、214、215、216は、その比密度に大きな差があり、細胞診標本210の異なる層に分布していてもよい。例えば、ダスト211は、細胞213、214、215、216よりも比密度が小さく、細胞診標本210の第1層に分布していてもよい。細胞213、214、215、216は、ダスト211よりも大きな比密度を有し、細胞診標本210の第2層に分布していてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、細胞診標本210の細胞213、214、215、216は、通常、約5マイクロメートルから約20マイクロメートルの範囲のサイズを有する。なお、第1対物レンズ220の選択は、第1対物レンズ210の第1被写界深度に基づくものであってもよい。第1対物レンズ220の第1被写界深度は、細胞診標本210の細胞213、214、215、216のサイズよりもはるかに大きくてもよく、その場合、細胞213、214、215、216の画像が同じ第1被写界深度(例えば、距離1、距離2、距離3)において取得される可能性が高い。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1対物レンズ220を通じて細胞診標本210の1つの層全体の画像の取得に先立ち、第1対物レンズ220は、すべての領域A、B、C、D、E、F、G、H、IおよびJからランダムに選択したいくつかの領域の各層(例えば、第1層、第2層および第3層)の画像を得るように構成される。例えば、第1対物レンズ220は、ランダムに選んだ領域Hにおける部分H1、H2、H3の画像を取得するように構成されてもよい。ここで、領域Hは第1対物レンズ220の第1視野に対応し、距離1、2または3は対物レンズ200の第1被写界深度に対応する。また、領域H以外の複数の領域もランダムに選択されてもよく、例えば領域F、IおよびJが選択されてもよい。したがって、第1対物レンズ220は、細胞診標本210の部分F1、F2、F3、I1、I2、I3、J1、J2およびJ3の画像も取得できる。
【0016】
いくつかの実施形態では、部分F1、F2、F3、H1、H2、H3、I1、I2、I3、J1、J2、J3の画像が細胞213、214、215、216の画像を含むか否かを特定するために、部分F1、F2、F3、H1、H2、H3、I1、I2、I3、J1、J2、J3の画像は人工知能エンジンを有するプロセッサにより処理される。人工知能エンジンは、機械学習機能を含んでもよい。人工知能エンジンは、様々なコントラスト、明るさ、形状およびその他の画像特性を有する細胞213、214、215および216に対応する既知の細胞のサンプル画像に基づいて学習を行ってもよい。いくつかの実施形態では、例示のみを目的として、人工知能エンジンは、部分F1、F3、H1、H3、I1、I3、J1、J3の画像に含まれる代わりに、部分F2、H2、I2、J2の画像にほとんど含まれる細胞213、214、215、216の画像を特定してもよい。したがって、人工知能エンジンは、細胞診標本210の第2層に細胞213、214、215、216が配されていると結論づけることができる。このような結論に達した後、第1対物レンズ220は、細胞診標本210の第2層全体の画像(すなわち、部品A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、I2およびJ2の画像)を取得するように構成される。
【0017】
図2に関連して、図3Aは、細胞診標本210の部分310を例示する図であり、図3Bは、本開示のいくつかの実施形態に従って配置された第1対物レンズ220によって取得された部分310に関連する画像330を例示する。いくつかの実施形態では、部分310は、細胞診標本210の部分H2に対応してもよい。細胞321、322、323、324、325、326は、部分310に分布されてもよい。いくつかの実施形態において、細胞324は、悪性リスクにおける上皮細胞であってもよく、細胞321、322、323、325、326は、通常の上皮細胞、赤血球および他の細胞を含んでもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1対物レンズ220が部分310の上部に配置されているため、画像330は部分310の上面図であってもよい。図3Bの画像330は、図3Aにおける部分310に関連する領域Hに対応する画像領域H’を有する。領域Hと画像領域H’との対応関係は、拡大、縮小、回転、ねじれに関連する1つ以上の要因を含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、上記の人工知能エンジンは、細胞321から326に関連するコントラスト、明度、形状およびその他の画像特性に基づいて、細胞321から326の画像を含む画像330の画像331、333、335を特定するように、画像330を処理するために用いられる。例えば、細胞321、322に関連する画像は画像331に含まれるように特定され、細胞323、324、326に関連する画像は画像333に含まれるように特定され、細胞321、322、325に関連する画像は画像335に含まれるように特定される。画像331、333、335のいずれかは、画像330の画像領域H’に空間的な関係を有している。画像331、333、335と画像領域H’との空間的関係、および画像領域H’と領域Hとの対応関係に基づいて、図3Aに戻り、領域Hにおけるサブ領域341、343、345が特定されてもよい。いくつかの実施形態では、部分A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、I2、J2のいずれかにそれぞれ分布する細胞に関連するサブ領域は、同様の方法で特定されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、部分310のサブ部分351、353および355は、それぞれ距離2およびサブ領域341、343および345によって定義される。細胞321~326に関連するより詳細な画像を取得するために、サブ部分351、353、355を第2対物レンズでさらに検査する。いくつかの実施形態では、上記のように、細胞324は、悪性リスクにおける上皮細胞(すなわち、標的細胞)であってもよく、細胞321、322、323、325、326は、通常の上皮細胞、赤血球および他の細胞(すなわち、非標的細胞)であってもよく、標的細胞に関連するサブ部分(すなわち、サブ部分353)は、非標的細胞に関連するサブ部分(すなわち、サブ部分351、355)よりも詳細に検査されてもよい。例えば、第2対物レンズは、サブ部分353に関連する画像を、サブ部分351、355よりも多くの被写界深度で取得するように構成されている。例えば、第2対物レンズは、単一の被写界深度でサブ部分351に関連する画像と、単一の被写界深度でサブ部分355に関連する画像を1つの取得しながら、サブ部分353に関連する画像を異なる2つの被写界深度で取得してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、上記のように、部分A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、I2、J2の部分についても、細胞321~326に関連するより詳細な画像を取得するために、第2対物レンズでさらに検査してもよい。
【0022】
図4Aは、本開示のいくつかの実施形態に従って配置した複数対物レンズモジュールの例が、第2対物レンズによって細胞診標本の2次サブ部分に関連する画像を取得する方法を示す。図4Aでは、複数対物レンズモジュールの第2対物レンズ410は、サブ部分420に関連する1つまたは複数の画像を取得するように構成されている。図3Aに関連して、サブ部分420は、距離2およびサブ領域343によって定義されるサブ部分353に対応してもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、第2対物レンズ410は、第2視野、第2被写界深度、および第2倍率を有する。いくつかの実施形態では、図3Aと関連して、第2視野はサブ領域343に対応してもよい。いくつかの他の実施形態では、図3Aに関連して、第2視野は、サブ領域343の一部のみに対応してもよい。例示のために、図4Aは、第2視野がサブ領域343に対応することを示す。
【0024】
いくつかの実施形態では、第2倍率は第1倍率よりも高い。例示のために、第1倍率は4倍、第2倍率は20倍であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0025】
いくつかの実施形態において、第2被写界深度は、第1被写界深度よりも小さい。例示のために、第1被写界深度は50μm程度、第2被写界深度は1μm程度であってもよいが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、第2視野において、第2対物レンズ410に最も近いシャープでピントが合った対象物と第2対物レンズ410に最も遠いシャープでピントが合った対象物との間の距離は、第2被写界深度を指す。いくつかの例示的な距離は、図4Aに図示された距離2の距離21、距離22、距離23または距離24であってもよい。図4Aに示す距離2は、図2および図3Aに示す距離2に対応する。
【0026】
いくつかの実施形態では、第2被写界深度は、細胞診標本210の層(例えば、図2に例示した距離2によって定義される第2層)のサブ層にも対応してもよい。したがって、距離21が細胞診標本210の第2層の第1サブ層に対応し、距離22が細胞診標本210の第2層の第2サブ層に対応し、距離23が細胞診標本210の第2層の第3サブ層に対応し、距離24が細胞診標本210の第2層の第4サブ層に対応してもよい。なお、4はサブ層の数の例示であり、第2対物レンズ410の第2被写界深度によっては、サブ層が多くても少なくてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、第2対物レンズ410は、サブ部分420に関連する画像を取得するように構成される。より具体的には、第2対物レンズ410は、サブ部分420の2次サブ部分421、422、423および/または部分424の画像を取得するように構成されている。いくつかの実施形態では、第2対物レンズ410は、第2被写界深度とともに2次サブ部分421、サブ部分422、サブ部分423および/またはサブ部分424にピントを合わせるように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態において、焦点は、人工知能エンジンの決定に基づいてもよい。人工知能エンジンは、機械学習機能を有してもよい。例えば、様々なコントラスト、明度、形状、およびその他の画像特性を有する標的細胞(例えば、悪性リスクにおける上皮細胞)のサンプル画像に基づいて人工知能エンジンを学習させてもよい。従って、人工知能エンジンは標的細胞の画像を特定し、これらの特定された画像に焦点を合わせることを決定できる。例えば、第2対物レンズ410が取得した2次サブ部分421、422、423、424の画像のうち、人工知能エンジンは、標的細胞の画像を含む2次サブ部分422、423の画像を特定できる。人工知能エンジンの判断に基づき、第2対物レンズ410を駆動して2次サブ部分422、423に焦点を合わせて、2次サブ部分422、423の画像を保存する。
【0029】
代替的な実施形態では、標的細胞(例えば、悪性リスクの上皮細胞)の画像特性に焦点を当てることができる。このような画像特性には、標的細胞に関連する色情報が含まれるが、これに限定されない。例えば、上皮細胞の核はヘマトキシリンで青く染色されるが、赤血球は染色される核がないため、赤色のままである。したがって、画像中の赤い部分ではなく、青い部分に注目することで、標的細胞の画像を取得できる確率が高くなる。
【0030】
いくつかの実施形態において、標的細胞の画像は、RGB(赤、緑、青)ドメインまたはHSV(色相、彩度、値)ドメインにおける第1特定範囲を含んでもよい。例えば、第1特定範囲は、R、G、B値の範囲をそれぞれ含んでもよい。代わって、第1特定範囲は色相値の範囲を含んでもよい。一方で、非標的細胞の画像(例えば、通常の上皮細胞、赤血球、他の細胞)には、第1特定範囲とは異なるRGB(Red、Green、Blue)ドメインまたはHSV(色相、彩度、値)ドメインにおける第2特定範囲を含んでもよい。例えば、第2特定範囲はR、G、B値の別の範囲を含んでもよい。代わって、第2特定範囲は色相値の別の範囲を含んでいてもよい。例えば、第2対物レンズ410が取得した2次サブ部分の画像421、422、423、424のうち、2次サブ部分の画像422、423には、第1特定範囲が含まれている場合がある。従って、第2対物レンズ410は、2次サブ部分422、423に着目し、2次サブ部分422、423の画像を保存するよう構成されている。
【0031】
図4Bは、本開示のいくつかの実施形態に従って配置された第2対物レンズ220によって取得された2次サブ部分422に関連する画像430を例示する。画像430には、標的細胞441と非標的細胞443、445の画像が含まれる。標的細胞の画像441は、RGBドメインまたはHSVドメインの第1特定範囲を含み、非標的細胞の画像443、445は、RGBドメインまたはHSVドメインの第2特定範囲が含む。標的細胞441の画像に関連したRGBドメインまたはHSVドメインの第1特定範囲は、第2対物レンズ410の焦点を2次サブ部分422に合わせる。
【0032】
いくつかの実施形態では、図2および図3Aに関連して、第2対物レンズ420によって取得された画像430を第1対物レンズ220によって取得された画像333と比較して、画像430中の標的細胞の数と画像333中の標的細胞の数との比が所定の範囲内にあるか否かを判断する。図3Aに関連して、比が所定の範囲内にあることに応じて、第2対物レンズ410によって取得された画像430が、サブ部分353におけるほとんどの標的細胞を捕捉したことを示すことができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、図3Aと関連して、比が所定の範囲内にないことに応じて、第2対物レンズ410によって取得された画像430がサブ部分353のほとんどの標的細胞を捉えていないことを示してもよい。したがって、第2対物レンズ410は、2次サブ部分422に隣接する別の2次サブ部分(例えば、2次サブ部分423)に焦点を合わせ、2次サブ部分423に関連する画像を取得して保存するようにさらに構成される。
【0034】
図4Cは、複数対物レンズモジュールの例が、第2対物レンズによって細胞診標本の複数の2次サブ部分(例えば、2次サブ部分422、423)に関連する画像を取得する方法を示し、図4Dは、本開示のいくつかの実施形態に従って配置された第2対物レンズ220によって取得された2次サブ部分423に関連する画像450を示している。画像450は、標的細胞451の画像を含む。標的細胞451の画像は、RGBドメイン、またはHSVドメインに第1特定範囲を含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、図2および3Aと関連して、複数対物レンズモジュールの第2対物レンズ420によって取得された画像430、450は、第1対物レンズ220によって取得された画像333と比較されて、画像430、450における標的細胞の数と、画像333における標的細胞の数との比が所定の範囲内にあるか否かを判断する。図3Aに関連して、比が所定の範囲内にあることに応じて、第2対物レンズ410によって取得された画像430、450が、サブ部分353におけるほとんどの標的細胞を捕捉したことを示すことができる。
【0036】
比が所定の範囲内にないことに応じて、第2対物レンズ410によって取得された画像430、450がサブ部分353のほとんどの標的細胞を捉えていないことを示してもよい。第2対物レンズ410は、2次サブ部分422に隣接する別の2次サブ部分(例えば、2次サブ部分421)に焦点を合わせ、2次サブ部分421に関連する画像を取得して保存するように構成される。上記の処理は、第2対物レンズ410によって取得された画像における標的細胞の数と、画像333における標的細胞の数との比が所定の範囲内になるまで繰り返されてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、同様に、図3Aに関連して、第2対物レンズ410は、他のサブ部分(例えば、図3Aのサブ部分351、355)に関連する画像を取得するように構成される。上記のように、第2対物レンズ410は、他のサブ部分(例えば、図3Aにおけるサブ部分351、355)に関連する画像を、標的細胞を含むサブ部分353/420に関連する画像より少ない枚数において取得するように構成されてもよい。例えば、第2対物レンズ410によって取得された画像430、450と比較して、第2対物レンズ410は、サブ部分351の1つの単独の2次サブ部分の画像とサブ部分355の1つの単独の2次サブ部分の画像とを取得するように構成される。
【0038】
図5は、本開示のいくつかの実施形態に従って配置され、細胞診標本に関連する画像を取得する例示的なシステム500を示す図である。システム500は、コンピューティングデバイス510、カメラ520、複数対物レンズモジュール530、ステージ550および光源560を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ステージ550は、スライドグラスを搬送し、移動させるように構成される。細胞診標本540をスライドグラスに分布している。
【0039】
いくつかの実施形態において、コンピューティングデバイス510は、プロセッサ、メモリサブシステム、および通信サブシステムを含む。上述した人工知能エンジンは、プロセッサによって実行されるようにメモリサブシステムに格納された実行可能命令のセットとして実装されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス510は、制御信号を生成し、通信サブシステムを介してカメラ520、複数対物レンズモジュール530、ステージ550および光源560に制御信号を送信するように構成される。例えば、コンピューティングデバイス510は、細胞診標本540に分布した標的細胞の画像特性に関連する特定の波長範囲を有する光を生成するように、光源56を制御するように構成される。例えば、特定の波長範囲は、上記の標的細胞に関連する色情報に対応していてもよい。特定の波長範囲の例は、約530nm~約630nmであってもよい。あるいは、特定の波長範囲の別の例は、約450nm~約560nm、好ましくは約450nm~約530nmであってもよい。
【0041】
いくつかの実施形態において、コンピューティングデバイス510は、ステージ550の動きを制御するように構成される。ステージ550がスライドグラスおよび細胞診標本540を搬送する場合、ステージ550の移動により、細胞診標本540の領域(例えば、図2に図示した領域A、B、C、D、E、F、G、H、Iまたは領域J、あるいは図3Aのサブ領域341、343またはサブ領域345)と、対物レンズ533または対物レンズ535の視野と、光源560によって発生させられ図5に図示した光の光路とを一致させてもよい。したがって、光源560によって発生させらた光は、その領域と対物レンズ533または対物レンズ535を通過して、カメラ520に到達できる。
【0042】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス510は、複数対物レンズモジュール530のレンズ切り替えモジュール531を制御して、異なる対物レンズ(例えば、対物レンズ533、535)を切り替えるように構成される。いくつかの他の実施形態では、コンピューティングデバイス510は、対物レンズ533または対物レンズ535が細胞診標本540の部分、サブ部分および/または2次サブ部分に焦点を合わせるように、カメラ520、複数対物レンズモジュール530および/またはステージ550を制御して移動させるように構成される。図2との関連では、対物レンズ533は第1対物レンズ220に対応してもよい。図4Aに関連して、対物レンズ555は第2対物レンズ410に対応してもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス510は、細胞診標本540の焦点を合わせた部分の画像を取得するようにカメラ520を制御するように構成される。コンピューティングデバイス510は、カメラ520を制御して、取得された画像をコンピューティングデバイス510に送り、さらに処理するように構成されている。このようなプロセスには、細胞診標本540において標的細胞または非標的細胞に関連する画像を特定することと、第2対物レンズ535によって取得された1つまたは複数の画像を第1対物レンズ533によって得られた画像と比較して、第2対物レンズ535によって取得された画像における標的細胞の数と、第1対物レンズ533によって取得された画像における標的細胞の数との比が所定の範囲内にあるか否かを判定することとを含むが、これに限定されない。
【0044】
図6は、本開示のいくつかの実施形態に従って配置された細胞診標本に分布された標的細胞に関連する画像を取得する例示的なプロセス600を示すフローチャートである。プロセス600は、ハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアによって実行され得るブロック610、620、630、640、650および/またはブロック660によって例示される1つまたは複数の操作、機能、またはアクションを含んでもよい。様々なブロックが記載された実施形態に限定されることを意図していない。概説したステップおよび操作は例として提供されているに過ぎず、ステップおよび操作の一部は、開示した実施形態の本質を損なうことなく、任意であり、より少ないステップおよび操作に組み合わせられ、または追加のステップおよび操作に拡張されてもよい。ブロックは順番に図示されているが、これらのブロックは、並行して、および/または本明細書に記載されたものとは異なる順番で実行されてもよい。
【0045】
プロセス600は、ブロック610で、「細胞診標本の第1領域に関連する第1画像を取得する」を開始してもよい。いくつかの実施形態では、図2および図5と関連して、プロセッサ510は、細胞診標本210の第1領域(例えば、図2の領域H)が第1対物レンズ220/533の第1視野と整列するようにステージ550の移動を制御するように構成される。プロセッサ510は、細胞診標本210において上述したように標的細胞に関連する色情報に対応する特定の波長範囲で光を発生させるように、光源560を制御するように構成される。特定の波長範囲の例は、約530nm~約630nmであってもよい。あるいは、特定の波長範囲の別の例は、約450nm~約560nmであってもよく、好ましくは、約450nm~約530nmであってもよい。光は、第1領域と第1対物レンズ220/533を通過してもよい。プロセッサ510は、第1対物レンズ220/533を通じて、第1領域に関連した画像を取得するようにカメラ520を制御するように構成される。
【0046】
いくつかの実施形態において、第1対物レンズ220/533は、第1被写界深度を第1視野において有する。第1被写界深度は、細胞診標本210の厚み以下であってもよい。したがって、第1領域の全体に関連するシャープで焦点があった画像を得るためには、カメラ520は、第1被写界深度に従って細胞診標本210の第1領域における異なる層の画像を順次取得するように構成される。例えば、図2に関連して、カメラ520は、部分H1、H2、H3の画像を順次取得するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサ510は、細胞診標本210の標的細胞に関連するコントラスト、明度、形状およびその他の画像特性に基づいて、部分H1、H2、H3の画像から標的細胞および/または非標的細胞を識別するように構成される。
【0047】
ブロック610は、細胞診標本の異なる領域(例えば、図2の領域F、I、J)に対して実行されるように繰り返されてもよい。例えば、プロセッサ510は、細胞診標本210の部分F1、F2、F3、I1、I2、I3、J1、J2、J3の画像を追加的に取得し、細胞診標本210の標的細胞および/または非標的細胞に関連するコントラスト、明るさ、形状およびその他の画像特性に基づいて、部分F1、F2、F3、I1、I2、I3、J1、J2、J3の画像から標的細胞および/または非標的細胞を特定するように構成されている。
【0048】
いくつかの実施形態では、標的細胞が細胞診標本210の領域(例えば、領域F、H、I、J)内の特定の層(例えば、第2層)にほとんど分散していることが特定されたことに応じて、プロセッサ510は、細胞診標本のそれぞれの領域(例えば、領域H)に関連する第1画像(例えば、部分H2の画像)を取得するように構成される。結局、例えば、プロセッサ510は、領域A、B、C、D、E、F、G、H、I、Jにそれぞれ関連する部分A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、I2、J2の画像を取得するように構成される。
【0049】
ブロック610の後に、ブロック620の「第1領域の第1サブ領域を決定する」ことが続く場合がある。いくつかの実施形態では、プロセッサ510は、部分A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、I2、J2の画像から標的細胞および/または非標的細胞に関連する画像を順次特定するように構成される。例えば、図3Aおよび図3Bと関連して、プロセッサ510は、画像331、333、335を識別するように構成される。細胞321、322に関連する画像は画像331に含まれることが特定され、細胞323、324、326に関連する画像は画像333に含まれることが特定され、細胞321、322、325に関連する画像は画像335に含まれることが特定される。前述したように、画像331、333、335と画像領域H’との空間的関係、および画像領域H’と領域Hとの対応関係に基づいて、領域Hにおけるサブ領域341、343、345が特定されてもよい。図2に関連して、ブロック620は、細胞診標本210の他の領域(例えば、領域A、B、C、D、E、F、G、I、J)に関連する他の画像(例えば、部分A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、I2、J2の画像)に対して実行するために繰り返されてもよい。したがって、標的細胞および/または非標的細胞に関連する領域A、B、C、D、E、F、G、I、Jのサブ領域も、ブロック620において決定できる。
【0050】
ブロック620の後に、ブロック630の「細胞診標本の第1サブ領域に関連する画像の第2セットを取得する」ことが続く場合がある。いくつかの実施形態では、図3Aに関連して、前述したように、第2対物レンズは、第1サブ領域341、343、345において、細胞321~326のより詳細な画像を取得するように構成されている。いくつかの実施形態では、図4Aおよび図5と関連して、プロセッサ510は、細胞診標本の第1サブ領域(例えば、図4Aのサブ領域343)が第2対物レンズの第2視野410/535と整列するようにステージ550の移動を制御するように構成される。プロセッサ510は、細胞診標本において、上述したように標的細胞に関連する色情報に対応する特定の波長範囲で光を発生させるように、光源560を制御するように構成される。具体的な波長範囲の例は、約530nm~約630nmである。あるいは、別の特定の波長範囲の例は、約450nm~約560nm、好ましくは約450nm~約530nmであってもよい。光は第1サブ領域と第2対物レンズ410/535を通過してもよい。プロセッサ510は、第2対物レンズ410/535を通じて第1サブ領域に関連する画像の第2セットを取得するように、カメラ520を制御するように構成される。画像の第2セットは、サブ部分420の2次サブ部分421、422、423、424の1つまたは複数の画像を含んでもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、図4Aおよび図5と関連して、プロセッサ510は、標的細胞の画像特性、例えば標的細胞に関連する色情報に基づいて、画像の第2セットに焦点を合わせて、第2セットを取得するように、第2対物レンズ410/535を制御するように構成される。例えば、画像の第2セット(例えば、2次サブ部分の画像422、即ち画像430)には標的細胞に関連する色情報が含まれているが、画像の第2セット以外の第1サブ領域343に関連する画像(例えば、2次サブ部分421、423、424の画像)には、標的細胞に関連する色情報は含まれていない。
【0052】
ブロック630の後に、ブロック640の「第3画像を第1画像から特定する」ことが続く場合がある。いくつかの実施形態では、図3Aおよび図5と関連して、プロセッサ510は、コントラスト、明るさ、形状、および細胞321~326に関連するその他の画像特性に基づいて画像330から第3画像333を特定するように構成される。第3画像333は、第1対物レンズ220/533を通じて取得された第1画像330のサブセットであり、距離2と部分領域343で定義されるサブ部分353における標的細胞の分布の画像を含むことに留意する。
【0053】
ブロック640の後に、ブロック650の「比が所定の範囲内にあるか否かを判断する」ことが続く場合がある。いくつかの実施形態では、図3Bおよび図4Bと関連して、比は、上述した画像の第2セット(例えば、2次サブ部分421、422、423、424の1つまたは複数の画像、画像430)における標的細胞の数と、第3画像(例えば、画像333)における標的細胞の数との比であってもよい。いくつかの実施形態では、図3Aおよび図4Aに関連して上述したように、画像の第2セット(例えば、2次サブ部分の画像422、画像430)は、サブ部分420/353のサブセットの画像である。したがって、サブ部分353の第3画像(例えば画像333)は、画像の第2セット(例えば、画像430)より少なくない標的細胞の画像を含むべきである。
【0054】
所定の範囲における比に応じて、ブロック650の後に、ブロック660「画像の第2セットに基づいて標的細胞に関連する画像を取得する」ことが続く場合がある。比が所定の範囲内であることは、第2対物レンズ410が取得した画像(例えば、画像430)の第2セットには、サブ部分353のほとんどの標的細胞の画像が含まれていることを示す場合がある。したがって、標的細胞に関連する画像は、画像の第2セットに基づいて取得されてもよい。いくつかの実施形態では、例示のためにのみ、所定の範囲は約50%と約200%との間である。
【0055】
比が所定の範囲内にないことに応じて、ブロック640はブロック630に戻ってもよい。図3A図4A図4Bと合わせて、第2対物レンズ410が取得した画像の第2セット(例えば、画像430)には、サブ部分353のほとんどの標的細胞の画像が含まれていないことを示す場合がある。ブロック650の後に、画像の第2セットに含まれる第1サブ領域に関連する追加の画像を取得するように、ブロック630が続く場合がある。例えば、図4Aおよび図5と関連して、プロセッサ510は、2次サブ部分422に隣接する別の2次サブ部分(例えば、サブ部分423)に焦点を合わせ、2次サブ部分423に関連する画像(すなわち、画像450)を取得し、画像の第2セットに画像450を含むように、第2対物レンズ410を制御するように構成される。
【0056】
上記の例は、ハードウェア(ハードウェア論理回路を含む)、ソフトウェアまたはファームウェア、またはそれらの組み合わせによって実施できる。上記の実施例は、任意の適切なコンピューティングデバイス、コンピュータシステム、ウェアラブル等によって実施されてもよい。コンピューティングデバイスは、通信バス等を介して互いに通信し得るプロセッサ、メモリユニットおよび物理NICを含んでもよい。コンピューティングデバイスは、プロセッサによる実行に応じて、プロセッサに図2図3図5、および図6を参照して本明細書に記載されたプロセスを実行させる命令またはプログラムコードをその上に格納した非一時的なコンピュータ可読媒体を含んでもよい。例えば、コンピューティングデバイスは、ウェアラブルおよび/または1つまたは複数のセンサと通信してもよい。
【0057】
上記で紹介した技術は、特殊用途のハードワイヤード回路、プログラマブル回路と組み合わせたソフトウェアおよび/またはファームウェア、またはそれらの組み合わせによって実装できる。特殊用途のハードワイヤード回路は、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の1つまたは複数の形態をとってもよい。「プロセッサ」という用語は、処理装置、ASIC、論理装置、またはプログラマブルゲートアレイ等を含むように広義に解釈されるものとする。
【0058】
本明細書に開示された実施形態のいくつかの態様は、全体または一部において、集積回路において、1つまたは複数のコンピュータ上で動作する1つまたは複数のコンピュータプログラムとして(例えば、1つまたは複数のコンピューティングシステム上で動作する1つまたは複数のプログラムとして)、1つまたは複数のプロセッサ上で動作する1つまたは複数のプログラムとして(例えば、1つまたは複数のマイクロプロセッサ上で動作する1つまたは複数のプログラムとして)、ファームウェアとして、またはそれらの実質的に任意の組み合わせとして等価的に実施でき、回路を設計すること、および/またはソフトウェアおよび/またはファームウェア用のコードを書くことは、本開示に照らして可能である。
【0059】
ここに紹介する技術を実施するためのソフトウェアおよび/または他の命令は、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納され、1つまたは複数の汎用または特殊用途のプログラマブルマイクロプロセッサによって実行されてもよい。本明細書で使用する用語「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」は、機械(例えば、コンピュータ、ネットワーク機器、PDA(Personal Digital Assistant)、モバイル機器、製造ツール、1つまたは複数のプロセッサのセットを有する任意の機器など)によってアクセス可能な形態で情報を提供する(即ち、記憶・伝送する)任意の機構を含む。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、記録可能/非記録可能な媒体(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスクまたは光学記憶媒体、フラッシュメモリ装置など)を含んでもよい。
【0060】
以上から、本開示の様々な実施形態が、例示の目的で本明細書に記載されており、本開示の範囲および精神から逸脱することなく様々な変更がなされ得ることが理解されるであろう。したがって、本明細書に開示された様々な実施形態が限定的であることを意図していない。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞診標本に分布された標的細胞に関連した画像を取得するための方法であって、
第1視野、第1倍率および前記第1視野において第1被写界深度を有する第1対物レンズを通じて、前記細胞診標本の第1領域に関連する第1画像を取得することと、
前記標的細胞に関連した画像特性に基づいて前記第1領域の第1サブ領域を特定することであって、前記標的細胞の第1数が、前記第1サブ領域と前記第1被写界深度とによって定義される空間に分布される、前記第1サブ領域を特定することと、
第2視野、第2倍率および前記第2視野において第2被写界深度を有する第2対物レンズを通じて、前記第1サブ領域に関連する1つまたは複数の画像の第2セットを取得することと、
前記標的細胞に関連した画像特性に基づいて前記第1画像から第3画像を特定することであって、前記第3画像が、前記第1サブ領域と関連し、前記標的細胞の前記第1数の画像を含む、前記第3画像を特定することと、
1つまたは複数の画像の前記第2セットにおける前記標的細胞の第2数と、前記第3画像における前記標的細胞の前記第1数との比が所定の範囲内にあることに応じて、画像の前記第2セットに基づいて前記標的細胞に関連した画像を取得することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1領域は、前記第1視野に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2視野は、前記第1サブ領域の1つまたは複数の部分に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2倍率は、前記第1倍率より大きく、
前記第2被写界深度は、前記第1被写界深度より小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1画像を取得する前に、
前記第1対物レンズを通じて前記細胞診標本の他の領域に関連した画像を取得することと、
前記他の領域に関連した画像に基づいて、前記標的細胞を含む前記細胞診標本の第1層を特定することであって、前記第1層が前記第1被写界深度に対応する、前記第1層を特定することと、
前記第1対物レンズを通じて前記第1層の画像を取得することであって、前記第1層の1つの画像は前記第1画像である、前記第1層の画像を取得することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記標的細胞に関連した前記画像特性は、前記標的細胞に関連したコントラスト、明るさ、形状及び色情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記色情報は、約530nmから約630nmまでの第1波長範囲、約450nmから約560nmまでの第2波長範囲、または約450nmから約530nmまでの第3波長範囲を有する光に対応する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記色情報は、RGB(赤、緑、青)ドメインにおけるR、G、B値の範囲、またはHSV(色相、彩度、値)ドメインにおける色相値の範囲を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
1つまたは複数の画像の前記第2セットを取得することは、
前記第1サブ領域と前記第2被写界深度とによって定義された前記細胞診標本の第1空間に焦点が合うように前記第2対物レンズを駆動することと、
1つまたは複数の画像の前記第2セットの1つとなる前記第1空間の画像を取得することと、をさらに有し、
前記第1空間は、前記細胞診標本の第2層に関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1サブ領域と前記第1被写界深度とによって定義された空間に関連した画像における前記標的細胞に関連した画像を特定することに応じて、前記第1空間に隣接した前記細胞診標本の第2空間に焦点が合うように前記第2対物レンズを駆動することと、1つまたは複数の画像の前記第2セットの1つとなる前記第2空間の画像を取得することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記比が所定の範囲内にないことに応じて、前記第1空間に隣接した前記細胞診標本の第2空間に焦点が合うように前記第2対物レンズを駆動することと、1つまたは複数の画像の前記第2セットの1つとなる前記第2空間の画像を取得することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2空間は、前記第1サブ領域と前記第2被写界深度とによって定義され、前記細胞診標本の第3層に関連している、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
細胞診標本に分布された標的細胞に関連した画像を取得するためのシステムであって、
プロセッサと、
命令を格納した非一時的なコンピュータ可読媒体と、を備え、
前記プロセッサが前記命令を実行すると、前記プロセッサは、
第1視野、第1倍率および前記第1視野において第1被写界深度を有する第1対物レンズを通じて、前記細胞診標本の第1領域に関連する第1画像を取得し、
前記標的細胞に関連した画像特性に基づいて前記第1領域の第1サブ領域を特定することであって、前記標的細胞の第1数が、前記第1サブ領域と前記第1被写界深度とによって定義される空間に分布される、前記第1サブ領域を特定し、
第2視野、第2倍率および前記第2視野において第2被写界深度を有する第2対物レンズを通じて、前記第1サブ領域に関連する1つまたは複数の画像の第2セットを取得し、
前記標的細胞に関連した画像特性に基づいて前記第1画像から第3画像を特定することであって、前記第3画像は、前記第1サブ領域と関連し、前記標的細胞の前記第1数の画像を含む、前記第3画像を特定し、
1つまたは複数の画像の前記第2セットにおける前記標的細胞の第2数と、前記第3画像における前記標的細胞の前記第1数との比が所定の範囲内にあることに応じて、画像の前記第2セットに基づいて前記標的細胞に関連した画像を取得する、システム。
【請求項14】
前記第1領域は、前記第1視野に対応し、前記第2視野は、前記第1サブ領域の1つまたは複数の部分に対応し、または、前記第2倍率は、前記第1倍率より大きく、前記第2被写界深度は、前記第1被写界深度より小さい、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記非一時的なコンピュータ可読媒体は、追加の命令を格納し、
前記プロセッサが前記追加の命令を実行すると、前記プロセッサは、
前記第1画像を取得する前に、前記第1対物レンズを通じて前記細胞診標本の他の領域に関連した画像を取得し、
前記他の領域に関連した画像に基づいて、前記標的細胞を含む前記細胞診標本の第1層を特定することであって、前記第1層が前記第1被写界深度に対応する、前記第1層を特定し、
前記第1対物レンズを通じて前記第1層の画像を取得することであって、前記第1層の画像の1つが前記第1画像である、前記第1層の画像を取得する、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記標的細胞に関連した前記画像特性は、前記標的細胞に関連したコントラスト、明るさ、形状及び色情報を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記色情報は、RGB(赤、緑、青)ドメインにおけるR、G、B値の範囲、またはHSV(色相、彩度、値)ドメインにおける色相値の範囲を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
約530nmから約630nmまでの第1波長範囲、約450nmから約560nmまでの第2波長範囲、または約450nmから約530nmまでの第3波長範囲を有する光を発生させるように構成された光源をさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記非一時的なコンピュータ可読媒体は、追加の命令を格納し、
前記プロセッサが前記追加の命令を実行すると、前記プロセッサは、
前記第1サブ領域と前記第2被写界深度とによって定義された前記細胞診標本の第1空間に焦点が合うように前記第2対物レンズを駆動し、1つまたは複数の画像の前記第2セットの1つとなる前記第1空間の画像を取得し、
前記第1空間は、前記細胞診標本の第2層に関連する、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
前記非一時的なコンピュータ可読媒体は、追加の命令を格納し、
前記プロセッサが前記追加の命令を実行すると、前記プロセッサは、
前記第1サブ領域と前記第1被写界深度とによって定義された空間に関連した画像における前記標的細胞に関連した画像を特定することに応じて、前記第1空間に隣接した前記細胞診標本の第2空間に焦点が合うように前記第2対物レンズを駆動し、
1つまたは複数の画像の前記第2セットの1つとなる前記第2空間の画像を取得する、請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
前記非一時的なコンピュータ可読媒体は、追加の命令を格納し、
前記プロセッサが前記追加の命令を実行すると、前記プロセッサは、
前記比が所定の範囲内にないことに応じて、前記第1空間に隣接した前記細胞診標本の第2空間に焦点が合うように前記第2対物レンズを駆動し、
1つまたは複数の画像の前記第2セットの1つとなる前記第2空間の画像を取得する、請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
前記第2空間は、前記第1サブ領域と前記第2被写界深度とによって定義され、前記細胞診標本の第3層に関連している、請求項13に記載のシステム。
【国際調査報告】