(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】原子力発電所における蒸気発生器の熱交換チューブの洗浄方法
(51)【国際特許分類】
G21F 9/28 20060101AFI20231005BHJP
F28G 3/16 20060101ALI20231005BHJP
F22B 37/48 20060101ALI20231005BHJP
G21D 1/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G21F9/28 521D
F28G3/16
F22B37/48 A
G21D1/00 S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538655
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 RU2020000640
(87)【国際公開番号】W WO2022050866
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518312460
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー“ロスエネルゴアトム”
(71)【出願人】
【識別番号】523073378
【氏名又は名称】アトメネルゴレモン ジョイント ストック カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ATOMENERGOREMONT JOINT-ST
【住所又は居所原語表記】Proektiruemyi 4062 proezd, 6, str. 2, pom. 26 Moscow,115432 (RU)
(71)【出願人】
【識別番号】523073390
【氏名又は名称】エルエルシ“ケイアローキ”
【氏名又は名称原語表記】LLC ‘KROK’
【住所又は居所原語表記】ul. Michurina, 48B, pom.14 Belgorodskaia obl., g. Belgorod, 308007 (RU)
(71)【出願人】
【識別番号】520514768
【氏名又は名称】サイエンス アンド イノヴェーションズ - ニュークリア インダストリー サイエンティフィック デベロップメント,プライベート エンタープライズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】エヴセンコ, ゲンナディ・ヴァシレヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】シェチニン, ゲンナディ ニコラエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ロマンチュク, ヴィタリー・ボリソビッチ
(72)【発明者】
【氏名】サリシュチェフ, セルゲイ・アレクサンドロヴィッチ
(57)【要約】
本発明は、原子力発電所における蒸気発生器の管束の表面洗浄に関する。原子力発電所における蒸気発生器の熱交換チューブを清浄するための方法であって、ホイストに接続されたハイドロメカニカルマニピュレータが熱交換器内部の垂直通路に挿入され、蒸気発生器内部の線量率を事前に測定し、渦電流信号を測定し、測定された信号を熱交換チューブの壁面の状態や堆積物の厚さを評価するために分析して、洗浄セクタの座標を決定し、洗浄の時間およびモードを計算して、旋回軸を中心に回転可能な少なくとも一つのノズルを用いて高圧のウォータージェットを放出するのに際し、その洗浄セクタの座標に従ってハイドロメカニカルマニピュレータを移動させ、ウォータージェットを、1000~1500バールの圧力と100~150リットル/分の流量に設定し、洗浄ゾーンの同時ビデオ監視を実行する。技術的成果は、洗浄時間が短く、堆積物の除去がより確実であることである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電所における蒸気発生器の熱交換チューブ上の局所堆積物を除去する方法であって、
ホイストに接続されたマニピュレータが熱交換器内部の垂直通路に挿入され、ハイドロメカニカルマニピュレータと、旋回軸を中心に回転可能な少なくとも一つのノズルとを用い、そのノズルの向きを熱交換器の管束内のチューブ間の間隔に合わせ、マニピュレータが垂直通路内の所定の位置に一時的に固定されている間、洗浄すべき領域に対して回転するウォータージェットを放出する場合において、
蒸気発生器内部の線量率を作業場所で直接事前に測定し、その測定結果に基づいて許容作業時間を決定し、渦電流信号を測定し、測定された信号を熱交換チューブの壁面の金属の状態や堆積物の厚さを評価するために分析して、局所的な堆積物のあるセクタを探索し、洗浄セクタの座標を決定して、洗浄の時間およびモードを計算し、回転および移動可能な取り付けフレームに取り付けられ、順次移動可能なハイドロメカニカルマニピュレータを、事前に決定された洗浄セクタの座標に従って配置して、高圧ジェットの衝撃によって堆積物を洗浄するのに際し、
ウォータージェットを、1000~1500バールの供給圧力と100~150リットル/分の流量に設定し、洗浄中に洗浄ゾーンの同時ビデオ監視を実行し、洗浄終了後、渦電流信号のチェック測定を行い、得られた測定結果に従って、さらなる洗浄の必要性を判断することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面洗浄に関し、特に、蒸気発生器の管束のチューブ表面の石灰スケールやスラッジの堆積物を除去するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所における蒸気発生器の熱交換チューブ上の局部堆積物を除去するための方法が知られている。例えば、高圧のウォータージェットを用いるロシア特許第2692748号に記載の構成では、ホイストに接続されたマニピュレータが、水平方向に通る熱交換器の複数本のチューブをそれぞれ含む一方の側の管束と他方の側の管束によって囲まれた熱交換器内部の垂直空間通路内に挿入され、マニピュレータと、旋回軸の周りを回転するように構成された少なくとも一つのノズルを使用して、洗浄が実行される。
【0003】
ノズルの向きが熱交換器の管束内のチューブ間の間隔に合わせられ、回転するノズルからウォータージェットが洗浄される領域に対して噴出される。ここで、熱交換器の洗浄のためにマニピュレータは、垂直通路内において指定された位置で一時的な固定が可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公知の方法は、最大洗浄時間および局所洗浄位置の決定、マニピュレータの位置決め精度の達成に役立たない。
【0006】
本発明によって解決される課題は、洗浄効率の改善である。
【0007】
本発明の技術的成果は、より短い洗浄時間および堆積物の確実な除去である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この技術的結果は、次の方法によって達成される。すなわち、原子力発電所における蒸気発生器の熱交換チューブ上の局所堆積物を除去する方法であって、ホイストに接続されたマニピュレータが熱交換器内部の垂直通路に挿入され、ハイドロメカニカルマニピュレータと、旋回軸を中心に回転可能な少なくとも一つのノズルとを用い、そのノズルの向きを熱交換器の管束内のチューブ間の間隔に合わせ、マニピュレータが垂直通路内の所定の位置に一時的に固定されている間、洗浄すべき領域に対して回転するウォータージェットを放出する場合において、蒸気発生器内部の線量率を作業場所で直接事前に測定し、その測定結果に基づいて許容作業時間を決定し、渦電流信号を測定し、測定された信号を熱交換チューブの壁面の金属の状態や堆積物の厚さを評価するために分析して、局所的な堆積物のあるセクタを探索し、洗浄セクタの座標を決定して、洗浄の時間およびモードを計算し、回転および移動可能な取り付けフレームに取り付けられ、順次移動可能なハイドロメカニカルマニピュレータを、事前に決定された洗浄セクタの座標に従って配置して、高圧ジェットの衝撃によって堆積物を洗浄するのに際し、ウォータージェットを、1000~1500バールの供給圧力と100~150リットル/分の流量に設定し、洗浄中に洗浄ゾーンの同時ビデオ監視を実行し、洗浄終了後、渦電流信号のチェック測定を行い、得られた測定結果に従って、さらなる洗浄の必要性を判断することを特徴とする。本発明は、図面によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る洗浄作業の場所のレイアウトを示す。
【
図2】ハイドロメカニカル洗浄用のマニピュレータの全体図を示す。
【
図3】最初の洗浄モード後の堆積物の厚さの変化に伴うEC信号を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
原子力発電所における蒸気発生器の熱交換チューブ上の局所堆積物を除去する方法は次のように行われる。
【0011】
蒸気発生器1内部の線量率が作業場所で直接事前に測定され、その測定結果に基づいて作業者がいる場所2での許容作業時間が決定される。
【0012】
次に、渦電流信号が測定され、その測定結果から、局所的な堆積物のあるセクタを探索するために、熱交換チューブの壁面の金属の状態や堆積物の厚さを評価するための分析が行われる。これらの作業により、洗浄セクタの座標を決定し、洗浄の時間やモードを計算することができる。
【0013】
その後、ホイストに接続されたハイドロメカニカルマニピュレータ2が蒸気発生器1内の垂直通路に挿入され、ハイドロメカニカルマニピュレータと、旋回軸の周りを回転するように取り付けられた少なくとも一つのノズルを使用し、そのノズルの向きを熱交換器チューブの管束のチューブ間の距離に合わせて、洗浄が実行される。
【0014】
洗浄プロセス自体は、以下を含む。すなわち、ハイドロメカニカルマニピュレータが垂直通路内の所定の位置に一時的に固定されている間、回転するノズルからウォータージェットが洗浄すべき領域に向けて放出される。回転および移動可能な取り付けフレームに取り付けられ、順次移動するハイドロメカニカルマニピュレータ2が、事前に決定された洗浄セクタの座標に従って配置され、高圧ジェットの衝撃によって堆積物が洗浄される。ウォータージェットは、1000~1500バール(bar)の圧力と100~150リットル/分(l/min)の流量の設定パラメータで供給される。洗浄中に、洗浄ゾーンの同時ビデオ監視が実行される。
【0015】
洗浄終了後、渦電流信号のチェック測定が行われ、得られた測定結果に従って、さらなる洗浄の必要性が判断される。
【0016】
この方法は、バラコヴォ(Balakovo)原子力発電所で使用された。試験中、圧力とノズル径の異なるノズルの様々な組み合わせがテストされた。圧力800バール、流量60~70リットル/分、および20分の洗浄時間を有するモードは、ほとんどの表面上で汚染が実質的に変化しないままであることが分かった。
【0017】
図3は、最初の洗浄モード後の堆積物の厚さの変化を示すEC信号を示している。主回転運動と補助的な垂直運動を有するハイドロメカニカルマニピュレータを用いて、最も汚染されたチューブ部分の連続洗浄が実施された。圧力が1000~1500バール、水流量が100以上に達すると、洗浄プロセスが効果的になり、汚染が除去された。渦電流信号の測定を行い、堆積物の除去が確認された。
【国際調査報告】