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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】薄膜カテコール含有材料
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/06 20060101AFI20231005BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20231005BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231005BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20231005BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20231005BHJP
   C08L 25/18 20060101ALI20231005BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20231005BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20231005BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20231005BHJP
   C08K 5/3462 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
C08L101/06
C09J201/00
C09J11/06
C09D201/00
C09D7/63
C08L25/18
C08L63/00 A
C08K5/053
C08K5/17
C08K5/3462
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544173
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 US2021052186
(87)【国際公開番号】W WO2022067177
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/083,894
(32)【優先日】2020-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523112806
【氏名又は名称】マッセル・ポリマーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Mussel Polymers, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】マロフスキー,アダム グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】マロフスキー,バーナード マイルズ
(72)【発明者】
【氏名】スティーグ,ジェイソン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,デイビッド
【テーマコード(参考)】
4J002
4J038
4J040
【Fターム(参考)】
4J002AA051
4J002BC121
4J002BG043
4J002BG053
4J002CD052
4J002CF193
4J002EC046
4J002EC056
4J002EH076
4J002EN027
4J002EU137
4J002FD147
4J002GH02
4J002GJ01
4J038CC021
4J038CG121
4J038DB001
4J038DG001
4J038FA071
4J038JA63
4J038KA04
4J038NA12
4J038PC02
4J040DB021
4J040DF021
4J040EC001
4J040EF001
4J040FA081
4J040HB40
4J040HC20
4J040KA14
4J040MA02
4J040MB05
4J040MB09
(57)【要約】
本開示は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含む薄層に関し、また、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含む薄層を作製する方法及び使用する方法に関する。これらの層は、接着剤マトリックスを実質的に改変することなく、2つの材料間の接着性の改善を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含むポリマー層であって、
前記カテコールは、第一級アミン又は第二級アミンの不存在下で、カテコールとして及び/又はセミキノンとして及び/又はキノンとして存在し、
前記ポリマー層は、任意選択で、a)前記カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種及びb)触媒、共触媒、又は促進剤のうちの少なくとも1つを含む、ポリマー層。
【請求項2】
前記ポリマー層は、前記カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の前記反応性種を含み、前記反応性種は、ウレタン成分、エポキシ樹脂、アクリレートモノマー若しくはオリゴマー、メタクリレートモノマー若しくはオリゴマー、シラン、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載のポリマー層。
【請求項3】
前記反応性種は、ウレタン成分である、請求項2に記載のポリマー層。
【請求項4】
前記ウレタン成分は、ポリオールであるか、又は複数のヒドロキシル基を含有する有機化合物であり、前記ウレタンは、直鎖状又は分岐鎖状である、請求項3に記載のポリマー層。
【請求項5】
前記ウレタン成分は、1,6-ヘキサンジオール、グリセロール、Stepanpol PDC-279(登録商標)、又はポリカプロラクトントリオールである、請求項3に記載のポリマー層。
【請求項6】
前記反応性種は、エポキシ樹脂である、請求項2に記載のポリマー層。
【請求項7】
前記エポキシ樹脂は、エポキシモノマー、エポキシオリゴマー、ポリエポキシド、又はそれらの組み合わせであり、前記エポキシは、直鎖状又は分岐鎖状である、請求項6に記載のポリマー層。
【請求項8】
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビス(4-グリシジルオキシフェニル)メタン、ビスフェノールEジグリシジルエーテル(DGEBE)、2,2’-[1,1-エタンジイルビス(4,1-フェニレンオキシメチレン)]ジオキシラン、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(DGEBF)、ポリ(ビスフェノールA-co-エピクロロヒドリン)、又はそれらの組み合わせである、請求項6に記載のポリマー層。
【請求項9】
前記反応性種は、アクリレートモノマー又はオリゴマーである、請求項2に記載のポリマー層。
【請求項10】
前記アクリレートモノマー又はオリゴマーは、ビニル基と、カルボン酸エステル及びカルボン酸ニトリルのうちの少なくとも1つと、を含むアクリレートモノマーであり、前記アクリレートは、直鎖状又は分岐鎖状である、請求項9に記載のポリマー層。
【請求項11】
前記アクリレートモノマー又はオリゴマーは、エチルアクリレート、エチレン-メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2-クロロエチルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、又はそれらの組み合わせである、請求項9に記載のポリマー層。
【請求項12】
前記ポリマー層は、前記触媒、共触媒、又は促進剤を含み、前記触媒、共触媒、又は促進剤は、ウレタン重合反応を促進するウレタン触媒、エポキシ重合反応を促進するエポキシ触媒、アクリレート重合反応を促進するアクリレート触媒、又はそれらの組み合わせである、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリマー層。
【請求項13】
前記触媒、共触媒、又は促進剤は、ウレタン重合反応を促進するウレタン触媒である、請求項12に記載のポリマー層。
【請求項14】
前記ウレタン触媒は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、K-KAT 6212、ベンジルジメチルアミン、又はそれらの組み合わせである、請求項13に記載のポリマー層。
【請求項15】
前記触媒、共触媒、又は促進剤は、エポキシ重合反応を促進するエポキシ触媒である、請求項12に記載のポリマー層。
【請求項16】
前記エポキシ触媒は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである、請求項15に記載のポリマー層。
【請求項17】
前記触媒、共触媒、又は促進剤は、アクリレート重合反応を促進するアクリレート触媒である、請求項12に記載のポリマー層。
【請求項18】
前記アクリレート触媒は、アクリル重合促進剤又はフリーラジカル重合促進剤である、請求項17に記載のポリマー層。
【請求項19】
前記ポリマー層は、約10ナノメートル~約100マイクロメートルの厚さを有する、請求項1~18のいずれか一項に記載のポリマー層。
【請求項20】
前記ポリマー層は、約15ナノメートル~約50マイクロメートルの厚さを有する、請求項1~19のいずれか一項に記載のポリマー層。
【請求項21】
前記ポリマー層は、約15ナノメートル~約15マイクロメートルの厚さを有する、請求項1~20のいずれか一項に記載のポリマー層。
【請求項22】
前記ポリマー層は、約150ナノメートル~約15マイクロメートル未満の厚さを有する、請求項1~21のいずれか一項に記載のポリマー層。
【請求項23】
前記ポリマー層は、約150ナノメートル~約1.5マイクロメートルの厚さを有する、請求項1~22のいずれか一項に記載のポリマー層。
【請求項24】
前記カテコール含有ポリマー又はオリゴマーは、ポリカテコールスチレン(PCS)を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載のポリマー層。
【請求項25】
前記PCSは、約25%のカテコール~約35%のカテコールを含む、請求項24に記載のポリマー層。
【請求項26】
前記PCSは、約25%のカテコールを含む、請求項25に記載のポリマー層。
【請求項27】
前記PCSは、約35%のカテコールを含む、請求項25に記載のポリマー層。
【請求項28】
基材であって、前記基材の表面上に配設された、請求項1~27のいずれか一項に記載のポリマー層を含む、基材。
【請求項29】
前記基材は、プラスチック、金属、鉱物、複合材料、ガラス、シラン、コンクリート、セラミック、木材、再生木材、アスファルト、ピッチ、タール、ビチューメン、紙、溶融材料、又は凝集材料を含み、
前記基材は、湿潤であるか、乾燥しているか、半湿潤であるか、又は含水である、請求項28に記載の基材。
【請求項30】
前記基材は、金属を含む、請求項29に記載の基材。
【請求項31】
前記金属は、アルミニウム又は鋼を含む、請求項30に記載の基材。
【請求項32】
前記アルミニウム又は鋼は、乾燥している、請求項31に記載の基材。
【請求項33】
前記アルミニウム又は鋼は、湿潤である、請求項31に記載の基材。
【請求項34】
前記アルミニウムは、陽極酸化アルミニウムを含む、請求項31に記載の基材。
【請求項35】
前記鋼は、リン酸塩処理鋼を含む、請求項31に記載の基材。
【請求項36】
請求項1~27のいずれか一項に記載のポリマー層と接触している、ポリマーマトリックス。
【請求項37】
前記ポリマーマトリックスは、バルク接着剤、シーラント、コーティング、インク、感圧接着剤(PSA)、複合材料、又はフィルムである、請求項36に記載のポリマーマトリックス。
【請求項38】
前記ポリマーマトリックスは、バルク接着剤である、請求項37に記載のポリマーマトリックス。
【請求項39】
基材を作製する方法であって、請求項1~27のいずれか一項に記載のポリマー層を前記基材の表面上に配設することを含む、方法。
【請求項40】
前記基材は、プラスチック、金属、鉱物、複合材料、ガラス、シラン、コンクリート、セラミック、木材、再生木材、アスファルト、ピッチ、タール、ビチューメン、紙、溶融材料、又は凝集材料を含み、
前記基材は、湿潤であるか、乾燥しているか、半湿潤であるか、又は含水である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記基材は、金属を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記金属は、アルミニウム又は鋼を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記アルミニウム又は鋼は、乾燥している、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記アルミニウム又は鋼は、湿潤である、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記アルミニウムは、陽極酸化アルミニウムを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記鋼は、リン酸塩処理鋼を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記配設することは、乾燥環境において配設することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項48】
前記乾燥環境は、周囲環境である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記周囲環境は、多湿である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記配設することは、水性環境において配設することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項51】
前記水性環境は、水中環境である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記ポリマー層上にポリマーマトリックスを配設することを更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項53】
前記ポリマーマトリックスは、バルク接着剤、シーラント、コーティング、インク、感圧接着剤(PSA)、複合材料、又はフィルムである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記ポリマーマトリックスは、バルク接着剤である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記配設することは、乾燥環境において配設することを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記乾燥環境は、周囲環境である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記周囲環境は、多湿である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記配設することは、水性環境において配設することを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記水性環境は、水中環境である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
基材とポリマーマトリックスとの間に配設された、請求項1~27のいずれか一項に記載のポリマー層を含む、層状構造体。
【請求項61】
請求項1~27のいずれか一項に記載のポリマー層を含む、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月26日に出願された米国特許仮出願第63/083,894号の優先権を主張し、この仮出願は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含む薄層であって、接着性マトリックスを実質的に改変することなく2つの材料間の改善された接着性を示す、薄層に関する。本開示はまた、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含む薄層を作製する方法及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
カテコール化学物質を工業的に経済的かつ簡単に使用して接着性を改善する、特に水性条件、含水(moist)条件及び多湿(humid)条件下で、1つのマトリックスから別のマトリックスへの長期的に耐久性のある接着性を実現することは、とらえどころがない試みであった。
【0004】
現在の技術は、主に、接着性、特に湿潤(wet)環境における接着性を改善するためのカテコール化学物質の使用に関する、任意の配合物、方法、及び用途における使用のために、マトリックス全体を改変することを記載している。マトリックス全体を新しい、多くの場合非常に変化しやすい成分で改変すると、実質的にすべての場合において、マトリックスの物理的性質が劇的に変化する。したがって、完全に新しいマトリックスを開発することは、他のやり方で接着性を改善する方法を単に修正し、修正されていないマトリックスを残すことに比べて、時間がかかり、費用がかかり、複雑であり、必要とされるすべての監督機関又は認可機関による著しくより厳密な認可プロセスを必要とすることが多い。実際に、そのような修正は、特に成功した商業活動のためのユーザの所望の時間枠内で、実行可能なシステムが最終的に達成され得ないほどに、物理的特性を著しく変化させる可能性がある。接着性を損なうことなく、これらの制限を排除できれば、それは非常に有用であろう。また、接着性を改善するためにカテコール化学物質を使用して、高度に特異的な構造、塗布方法、及び複雑な化学物質を有する薄層を開発しようとする広範な研究がある。最も典型的には、これらは、ドーパミン含有ポリマー、及び/又はカテコールと別の反応性種、特にアミン若しくはアクリレートとの両方を含有するポリマーを含み、典型的にはやはり複雑な調製及び塗布方法を必要とするエポキシ又は他の反応性種をより少ない量で含むポリマーに関するものである。特に重要なことに、アミン及びカテコールの両方を含有するこれらのポリマーは、慎重なpH制御、溶媒としての水、したがって長く複雑な調製を必要とする。また更に、アミンは、カテコールの酸化から生じるキノンと反応して、その後の物理的及び化学的相互作用に干渉し得る架橋をもたらす傾向がある。更に、これらの調製の多くは、所与の構造を完成させるために加熱の使用を必要とする。実際、いかなる体積又は速度でも、水中で基材を加熱する実用的な方法はない。そのため、複雑な化学組成を有さず、薄膜の調製また更にマトリックス調製のための複雑なプロセスが不要で、熱が不要で、水を使用せず、カテコール自体を除いて同じ構造上に自己反応性基を含有せず、水中での接合形成ためのかつ/又は接合形成の前、最中、及び後のいずれでも、多湿及び単なる湿潤の接合条件などで、水への曝露に対する抵抗性を開発するための、累積的資本コスト及び運転費用が不要であるならば、それは非常に有用であろう。
【0005】
したがって、接着性を改善するために、具体的には乾燥、多湿、湿潤、及び水中の条件での接着性を改善するために、カテコール含有材料を問題なく使用することへのニーズが存在し、カテコール化学物質を、簡単に、効果的に、かつ効率的に利用すること、特に簡単に低コストで、製品を保管し、取り扱い、必要に応じて他の方法で利用することができる空間で、繰り返し利用することへのニーズが存在する。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含むポリマー層に関し、当該カテコールは、第一級アミン又は第二級アミンの不存在下で、カテコールとして及び/又はセミキノンとして及び/又はキノンとして存在し、ポリマー層は、任意選択で、a)カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種及びb)触媒、共触媒、又は促進剤のうちの少なくとも1つを含む。本開示はまた、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含むポリマー層を作製する方法及び使用する方法に関する。一態様では、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーは、ポリカテコールスチレン(poly-catechol styrene、PCS)である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本明細書に記載されている層及び層状物品を示す概略図である。図1Aは、本発明の配合物の、第2の層を含む実施形態を示す図である。図1Bは本発明の配合物の、第2の層を含まない実施形態を示す図である。
図2】本発明の配合物及び比較配合物を使用し、エポキシ1及びエポキシ2を用いた、乾燥鋼の平均重ねせん断強度(PSI)の棒グラフである。
図3】本発明の配合物及び比較配合物を使用し、エポキシ1及びエポキシ2を用いた、乾燥アルミニウムの平均重ねせん断強度(PSI)の棒グラフである。
図4】本発明の配合物及び比較配合物を使用し、Loctite(又はロックタイト)エポキシを用いた、乾燥アルミニウム、乾燥陽極酸化アルミニウム、及び乾燥鋼の平均引張強度(PSI)の棒グラフである。
図5】本発明の配合物及び比較配合物を使用し、Loctiteエポキシを用いた、湿潤アルミニウム、湿潤陽極酸化アルミニウム、及び湿潤鋼の平均引張強度(PSI)の棒グラフである。
図6】本発明の配合物及び比較配合物を使用し、Loctiteエポキシを用いた、乾燥鋼の平均重ねせん断強度(PSI)の棒グラフである。
図7】本発明の配合物及び比較配合物を使用し、Loctiteエポキシを用いた、湿潤アルミニウム、湿潤陽極酸化アルミニウム、及び湿潤鋼の平均重ねせん断強度(PSI)の棒グラフである。
図8】本発明の配合物及び比較配合物を使用し、2成分Loctiteエポキシを用いた、乾燥アルミニウム、乾燥陽極酸化アルミニウム、及び乾燥鋼の平均重ねせん断強度(PSI)の棒グラフである。
図9】本発明の配合物及び比較配合物を使用し、2成分Loctiteエポキシを用いた、湿潤アルミニウム、湿潤陽極酸化アルミニウム、及び湿潤鋼の平均重ねせん断強度(PSI)の棒グラフである。
図10】本発明の配合物及び比較配合物を使用し、2成分ウレタン接着剤を用いた、乾燥アルミニウム、乾燥陽極酸化アルミニウム、及び乾燥鋼の平均重ねせん断強度(PSI)の棒グラフである。
図11】本発明の配合物及び比較配合物を使用し、Marine Adhesive Sealant(またはマリン用シーラント接着剤)5200を用いた、乾燥アルミニウムの平均重ねせん断強度(PSI)の棒グラフである。
図12】本発明の配合物及び比較配合物を使用し、Marine Adhesive Sealant 5200を用いた、湿潤アルミニウムの平均重ねせん断強度(PSI)の棒グラフである。
図13】本発明の配合物及び比較配合物を使用した、入荷したままの乾燥鋼と比較した、乾燥リン酸塩処理鋼の平均重ねせん断強度(PSI)の棒グラフである。
図14】本発明の配合物及び比較配合物を使用した、入荷したままの湿潤鋼と比較した、湿潤リン酸塩処理鋼の平均重ねせん断強度(PSI)の棒グラフである。
図15】リン酸塩処理した新しい乾燥鋼と比較した、リン酸塩処理した古い乾燥鋼の平均重ねせん断強度(PSI)の棒グラフである。
図16】リン酸塩処理した新しい湿潤鋼と比較した、リン酸塩処理した古い湿潤鋼の平均重ねせん断強度(PSI)の棒グラフである。
図17】プライマーを含まない試料と比較した、F002プライマーを含む新しい乾燥鋼の平均重ねせん断強度(PSI)の棒グラフである。
図18】プライマーを含まない試料と比較した、F002プライマーを含む新しい湿潤鋼の平均重ねせん断強度(PSI)の棒グラフである。
図19】VHB接着テープを用いて、乾燥条件、湿潤条件、及び低温条件で接合されたアルミニウムの平均接合強度の棒グラフである。
図20】Flexcon(又はフレックスコン)テープを用いて、乾燥条件、湿潤条件、及び低温条件で接合されたアルミニウムの平均接合強度の棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
別途記載のない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明の属する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同様の意味を持つ。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本開示を限定することを意図するものではない。
【0009】
以下の用語は、本開示を説明するために使用される。用語が本明細書で具体的に定義されない場合、その用語は、本開示を説明する際のその使用に文脈でその用語を適用する当業者によって当技術分野で認識される意味を与えられる。
【0010】
本開示において、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数の言及物を含み、特定の数値に対する言及は、文脈による別段の明確な指示がない限り、少なくともその特定の値を含む。したがって、例えば、「材料」に対する言及は、少なくとも1つのかかる材料及び当業者に既知のそれらの等価物などに対する言及である。
【0011】
ある値が記述子「約」又は「実質的に」の使用により近似的値として表現されているとき、その特定の値は別の実施形態を形成すると解されることになる。一般に、用語「約」又は「実質的に」の使用は、開示する主題が達成しようとする所望の特性に依存して変わる場合があり、それが使用される特定の文脈の中でその機能に基づいて解釈されるべきである近似値を指す。当業者は、いつものこととしてこれを解釈することができよう。ある事例では、特定の値に使用される有効桁数が、「約」又は「実質的に」という語の程度を決定する1つの非限定的方法であることもある。他の事例では、一連の値で用いられる漸次的変化を使用して、各値についての用語「約」又は「実質的に」に利用可能な所期の値を決定することもある。存在する場合、すべての範囲は、包括的で組み合わせ可能なものである。すなわち、範囲で述べられている値に対する言及は、その範囲内のすべての値を含む。
【0012】
リストが提示される場合、別段の記載がない限り、そのリストの各個々の要素及びそのリストのあらゆる組み合わせは、別個の実施形態として解釈されるべきであることを理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A若しくはB」、「A若しくはC」、「B若しくはC」、又は「A、B、若しくはC」を含むものとして解釈されるべきである。
【0013】
明確にするために別々の実施形態の文脈で本明細書に記載する本開示の一定の特徴が、単一の実施形態において組み合わせで提供されることもあるということは、理解されるものとする。すなわち、明らかに矛盾しない限り、又は排除されていない限り、個々の実施形態各々は、任意の他の実施形態と組み合わせることができると考えられ、かかる組み合わせは別の実施形態であるとみなされる。逆に言うと、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載する本開示の様々な特徴は、別々に又は任意の部分的組み合わせで提供されることもある。本請求項がいずれの任意選択要素も排除しないように起草され得るということに、更に留意されたい。このように、上記のくだりは、請求項の構成要素の詳説に関しての「単に」、「のみ」などのような排他的用語の使用、又は「否定的」限定の使用についての先行する基礎としての役割を果たすことを意図したものである。最後に、実施形態を一連の工程の一部又はより一般的な構造の一部として記載することがあるが、各々の当該工程が、それ自体、独立した実施形態とみなされることもある。
【0014】
一態様では、本開示は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含むポリマー層に関し、当該カテコールは、第一級アミン又は第二級アミンの不存在下で、カテコールとして及び/又はセミキノンとして及び/又はキノンとして存在し、ポリマー層は、任意選択的に、a)カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種及びb)触媒、共触媒、又は促進剤のうちの少なくとも1つを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、ポリマー層は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含み、当該カテコールは、第一級アミン又は第二級アミンの不存在下で、カテコールとして及び/又はセミキノンとして及び/又はキノンとして存在する。
【0016】
いくつかの実施形態では、ポリマー層は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含み、当該カテコールは、第一級アミン又は第二級アミンの不存在下で、カテコールとして及び/又はセミキノンとして及び/又はキノンとして存在し、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応種も含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、ポリマー層は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含み、当該カテコールは、第一級アミン又は第二級アミンの不存在下で、カテコールとして及び/又はセミキノンとして及び/又はキノンとして存在する。いくつかの実施形態では、ポリマー層は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含み、当該カテコールは、第一級アミン又は第二級アミンの不存在下で、カテコールとして及び/又はセミキノンとして及び/又はキノンとして存在し、触媒、共触媒、又は促進剤も含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、ポリマー層は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含み、当該カテコールは、第一級アミン又は第二級アミンの不存在下で、カテコールとして及び/又はセミキノンとして及び/又はキノンとして存在する。いくつかの実施形態では、ポリマー層は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含み、当該カテコールは、第一級アミン又は第二級アミンの不存在下で、カテコールとして及び/又はセミキノンとして及び/又はキノンとして存在し、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応種と、触媒、共触媒、又は促進剤との両方も含む。
【0019】
図1は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含むポリマー層20と、本明細書に記載されるポリマー層を含む層状物品100との概略図を示す。層状物品100は、ポリマー層20が接触して配設された基材10を含んでもよい。層状物品100はまた、ポリマー層20上に配設され、かつポリマー層20と接触している、ポリマーマトリックス30を含んでもよい。層状物品100はまた、ポリマーマトリックス30上に接触して配設されたカテコール含有ポリマー又はオリゴマー40を含む、第2のポリマー層を含んでもよい。層状物品100はまた、第2のポリマー層40上に接触して配設された第2の基材50を含んでもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、ポリマー層20中のカテコール含有ポリマー又はオリゴマーは、オリゴマーである。いくつかの実施形態では、ポリマー層20中のカテコール含有ポリマー又はオリゴマーは、ポリマーである。
【0021】
一態様では、ポリマー層20は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種を含む。一態様では、反応性種は、ウレタン成分、エポキシ樹脂、アクリレートモノマー若しくはオリゴマー、メタクリレートモノマー若しくはオリゴマー、シラン、又はそれらの組み合わせである。
【0022】
いくつかの実施形態では、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種は、ウレタン成分である。いくつかの実施形態では、ウレタン成分は、ポリオール、又は複数のヒドロキシル基を含有する有機化合物であり、ウレタンは、直鎖状又は分岐鎖状である。
【0023】
いくつかの実施形態では、ウレタン成分は、1,6-ヘキサンジオール、グリセロール、Stepanpol PDC-279(登録商標)、又はポリカプロラクトントリオールである。いくつかの実施形態では、ウレタン成分は、1,6-ヘキサンジオールである。いくつかの実施形態では、ウレタン成分は、グリセロールである。いくつかの実施形態では、ウレタン成分は、Stepanpol PDC-279(登録商標)である。いくつかの実施形態では、ウレタン成分は、ポリカプロラクトントリオールである。
【0024】
一態様では、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種は、エポキシ樹脂である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、エポキシモノマー、エポキシオリゴマー、ポリエポキシド、又はそれらの組み合わせであり、エポキシは、直鎖状又は分岐鎖状である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、エポキシモノマーである。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、エポキシオリゴマーである。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、ポリエポキシドである。
【0025】
いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビス(4-グリシジルオキシフェニル)メタン、ビスフェノールEジグリシジルエーテル(bisphenol E diglycidyl ether、DGEBE)、2,2’-[1,1-エタンジイルビス(4,1-フェニレンオキシメチレン)]ジオキシラン、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(bisphenol F diglycidyl ether、DGEBF)、ポリ(ビスフェノールA-co-エピクロロヒドリン)、又はそれらの組み合わせである。
【0026】
いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、ビスフェノールAジグリシジルである。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、ビスフェノールAエポキシ樹脂である。いくつかの実施形態では、エポキシは、ビス(4-グリシジルオキシフェニル)メタンである。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、ビスフェノールEジグリシジルエーテル(DGEBE)である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、2,2’-[1,1-エタンジイルビス(4,1-フェニレンオキシメチレン)]ジオキシランである。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(DGEBF)である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、ポリ(ビスフェノールA-co-エピクロロヒドリン)である。
【0027】
一態様では、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種は、アクリレートモノマー又はオリゴマーである。いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、ビニル基と、カルボン酸エステル及びカルボン酸ニトリル(carboxylic acid nitrile)のうちの少なくとも1つと、を含むアクリレートモノマーであり、アクリレートは、直鎖状又は分岐鎖状である。
【0028】
いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、エチルアクリレート、エチレン-メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2-クロロエチルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(trimethylolpropane triacrylate、TMPTA)、又はこれらの組み合わせである。
【0029】
いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、エチルアクリレートである。いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、エチレン-メチルアクリレートである。いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、メチルメタクリレートである。いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、2-クロロエチルビニルエーテルである。いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、2-ヒドロキシエチルアクリレートである。いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、ヒドロキシエチルメタクリレートである。いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、ブチルアクリレートである。いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)である。
【0030】
いくつかの実施形態では、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種は、シランである。いくつかの実施形態では、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種は、メタクリレートモノマー又はオリゴマーである。いくつかの実施形態では、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種は、メタクリレートモノマーである。いくつかの実施形態では、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種は、メタクリレートオリゴマーである。
【0031】
一態様では、ポリマー層20は、触媒、共触媒、又は促進剤を含み、触媒、共触媒、又は促進剤は、ウレタン重合反応を促進するウレタン触媒、エポキシ重合反応を促進するエポキシ触媒、アクリレート重合反応を促進するアクリレート触媒、又はこれらの組み合わせである。
【0032】
いくつかの実施形態では、触媒、共触媒、又は促進剤は、ウレタン重合反応を促進するウレタン触媒である。いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、脂肪族アミン触媒、脂環式アミン触媒、アルコールアミン触媒、芳香族アミン触媒、又はエーテルアミン触媒である。
【0033】
いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、脂肪族アミン触媒である。いくつかの実施形態では、脂肪族アミン触媒は、N,N-ジメチルシクロヘキサン、トリエチレンジアミン、N,N,N,N-テトラメチルアルキレンジアミン、N,N,N,N-ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルヘキサデシルアミン、N,N-ジメチルブチルアミン、又はそれらの組み合わせである。
【0034】
いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、脂環式アミン触媒である。いくつかの実施形態では、脂環族アミン触媒は、トリエチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-メチルモルホリン、N,N-ジエチルピペラジン、N,N-ビス-(α-ヒドロキシプロピル)-2-メチルピペラジン、N-ヒドロキシプロピルジメチルモルホリン、又はそれらの組み合わせである。
【0035】
いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、アルコールアミン触媒である。いくつかの実施形態では、アルコールアミン触媒は、トリエタノールアミン又はN,N-ジメチルエタノールアミンである。
【0036】
いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、芳香族アミン触媒である。いくつかの実施形態では、芳香族アミン触媒は、ピリジン又はN,N-ジメチルピリジンである。
【0037】
いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、エーテルアミン触媒である。いくつかの実施形態では、エーテルアミン触媒は、BDMAEEである。
【0038】
いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、K-KAT 6212、ベンジルジメチルアミン、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである。いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、K-KAT 6212である。いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、ベンジルジメチルアミンである。
【0039】
いくつかの実施形態では、触媒、共触媒、又は促進剤は、エポキシ重合を促進するエポキシ触媒である。
【0040】
好適な触媒、共触媒、又は促進剤は、酸又は酸へと加水分解可能な化合物などの、アミノ基とエポキシ基との間の反応を促進する物質である。限定するものではないが、好適な触媒、共触媒、又は促進剤は、酢酸、安息香酸、サリチル酸、2-ニトロ安息香酸、乳酸などの、有機カルボン酸;メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、若しくは4-ドデシルベンゼンスルホン酸などの、有機スルホン酸;スルホン酸エステル;リン酸などの、他の有機酸若しくは無機酸、又は前述の酸及び酸エステルの混合物;特に硝酸カルシウムなどの硝酸塩;又は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ベンジルジメチルアミン、α-メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミンなどの、第三級アミンである。
【0041】
いくつかの実施形態では、エポキシ触媒は、酢酸、安息香酸、サリチル酸、2-ニトロ安息香酸、乳酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、スルホン酸エステル、リン酸、硝酸カルシウム、1,4-ジアザビシクロ-[2.2.2]オクタン、ベンジルジメチルアミン、α-メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N,N-ジメチルピペリジン、トリエチレンジアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP-30)、ベンジルジメチルアミン(benzyldimethyl-amine、BDMA)、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP-10)、N,Nジメチルベンジルアミン、(ジメチルアミノメチル)フェノール、又はそれらの組み合わせである。
【0042】
いくつかの実施形態では、エポキシ触媒は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである。
【0043】
いくつかの実施形態では、触媒、共触媒、又は促進剤は、アクリレート重合を促進するアクリレート触媒である。いくつかの実施形態では、アクリレート触媒は、アクリル重合促進剤又はフリーラジカル重合促進剤である。
【0044】
いくつかの実施形態では、アクリレート触媒は、4-N,N-ジメチルアミノ-フェニル酢酸メチル(methyl 4-N,N-dimethylamino-phenylacetate、MDMAPA)、N,N-ジメチルアミノグルテチミド(N,N-dimethylaminoglutethimide、OMAG)、N,N-ジメチル-p-トルイジン(N,N-dimethyl-p-toluidine、OMPT)、N,N-ジ-2-ヒドロキシエチル-p-トルイジン(N,N-di-2-Hydroxyethyl-p-toluidine、DHEPT)、N,N-ジ-2-ヒドロキシプロピル-p-トルイジン(N,N-di-2-hydroxypropyl-p-toluidine、DHPPT)、N,N-ジメチル-sym-キシリジン(N,N-dimethyl-sym-xylidine、DMSX)、N,N-ビス(3-p-トリルオキシ-2-ヒドロキシ-プロピル)-m-キシリジン(N,N-bis(3-p-tolyloxy-2-hydroxy-propyl)-m-xylidine、BTX)、又はそれらの組み合わせである。
【0045】
一態様では、ポリマー層20は、約10ナノメートル~約100マイクロメートルの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー層20は、約15ナノメートル~約50マイクロメートルの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー層20は、約15ナノメートル~約15マイクロメートルの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー層20は、約150ナノメートル~約15マイクロメートル未満の厚さを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー層20は、約150ナノメートル~約1.5マイクロメートルの厚さを有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、ポリマー層20は、その厚さが、約10ナノメートル~約100マイクロメートル;又は約10ナノメートル~約100ナノメートル;又は約100ナノメートル~約150ナノメートル;又は約150ナノメートル~約200ナノメートル;又は約200ナノメートル~約250ナノメートル;又は約250ナノメートル~約300ナノメートル;又は約300ナノメートル~約350ナノメートル;又は約350ナノメートル~約400ナノメートル;又は約400ナノメートル~約450ナノメートル;又は約450ナノメートル~約500ナノメートル;又は約500ナノメートル~約550ナノメートル;又は約550ナノメートル~約600ナノメートル;又は約600ナノメートル~約650ナノメートル;又は約650ナノメートル~約700ナノメートル;又は約700ナノメートル~約750ナノメートル;又は約750ナノメートル~約800ナノメートル;又は約800ナノメートル~約850ナノメートル;又は約850ナノメートル~約900ナノメートル;又は約900ナノメートル~約950ナノメートル;又は約950ナノメートル~約1000ナノメートルである。
【0047】
いくつかの実施形態では、ポリマー層20は、その厚さが、約1マイクロメートル~約1.5マイクロメートル;又は約1.5マイクロメートル~約5マイクロメートル;又は約5マイクロメートル~約10マイクロメートル;又は約10マイクロメートル~約15マイクロメートル;又は約15マイクロメートル~約20マイクロメートル;又は約20マイクロメートル~約25マイクロメートル;又は約25マイクロメートル~約30マイクロメートル;又は約30マイクロメートル~約35マイクロメートル;又は約35マイクロメートル~約40マイクロメートル;又は約40マイクロメートル~約45マイクロメートル;又は約45マイクロメートル~約50マイクロメートル;又は約50マイクロメートル~約55マイクロメートル;又は約55マイクロメートル~約60マイクロメートル;又は約60マイクロメートル~約65マイクロメートル;又は約65マイクロメートル~約70マイクロメートル;又は約70マイクロメートル~約75マイクロメートル;又は約75マイクロメートル~約80マイクロメートル;又は約80マイクロメートル~約85マイクロメートル;又は約85マイクロメートル~約90マイクロメートル;又は約90マイクロメートル~約95マイクロメートル;又は約95マイクロメートル~約100マイクロメートルである。
【0048】
一態様では、ポリマー層20中のカテコール含有ポリマー又はオリゴマーは、ポリカテコールスチレン(PCS)を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、PCSは、約15%のカテコール~約50%のカテコールを含む。いくつかの実施形態では、PCSは、約20%のカテコール~約40%のカテコールを含む。いくつかの実施形態では、PCSは、約25%のカテコール~約35%のカテコールを含む。いくつかの実施形態では、PCSは、約25%のカテコールを含む。いくつかの実施形態では、PCSは、約35%のカテコールを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、PCSは、約20%のカテコール~約22%のカテコール;又は約22%のカテコール~約24%のカテコール;又は約24%のカテコール~約26%のカテコール;又は約26%のカテコール~約28%のカテコール;又は約28%のカテコール~約30%のカテコール;又は約30%のカテコール~約32%のカテコール;又は約32%のカテコール~約34%のカテコール;又は約34%のカテコール~約36%のカテコール;又は約36%のカテコール~約38%のカテコール;又は約38%のカテコール~約40%のカテコールを含む。
【0051】
一態様では、ポリマー層20は、連続層である。一態様では、ポリマー層20は、非連続層である。一態様では、ポリマー層20は、パターン化層又はテクスチャ化層である。
【0052】
一態様では、本開示は、基材10の表面上に配設された、本明細書に記載されるポリマー層20に関する。いくつかの実施形態では、基材10は、プラスチック、金属、鉱物、複合材料、ガラス、シラン、コンクリート、セラミック、木材、再生木材、アスファルト、ピッチ、タール、ビチューメン、紙、溶融材料、又は凝集材料を含み、基材は、湿潤であるか、乾燥しているか、半湿潤であるか、又は含水である。
【0053】
いくつかの実施形態では、基材10は、湿潤である。いくつかの実施形態では、基材10は、乾燥している。いくつかの実施形態では、基材10は、半湿潤である。いくつかの実施形態では、基材10は、含水である。
【0054】
いくつかの実施形態では、基材10の表面は、ポリマー層の配設の前に処理されてもよい。いくつかの実施形態では、基材10の表面は、陽極酸化される。いくつかの実施形態では、基材10の表面は、リン酸塩処理される。
【0055】
いくつかの実施形態では、基材10は、金属を含む。いくつかの実施形態では、金属は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、W、Zr、Al、Au、Ag、若しくはそれらの組み合わせ、又はこれらの金属のいずれかの合金、ブレンド、若しくは酸化物である。
【0056】
いくつかの実施形態では、金属は、Ti、Tiを含む合金、Tiを含むブレンド、又はTiを含む酸化物である。いくつかの実施形態では、金属は、V、Vを含む合金、Vを含むブレンド、又はVを含む酸化物である。いくつかの実施形態では、金属は、Cr、Crを含む合金、Crを含むブレンド、又はCrを含む酸化物である。いくつかの実施形態では、金属は、Mn、Mnを含む合金、Mnを含むブレンド、又はMnを含む酸化物である。いくつかの実施形態では、金属は、Fe、Feを含む合金、Feを含むブレンド、又はFeを含む酸化物である。いくつかの実施形態では、金属は、Co、Coを含む合金、Coを含むブレンド、又はCoを含む酸化物である。いくつかの実施形態では、金属は、Ni、Niを含む合金、Niを含むブレンド、又はNiを含む酸化物である。いくつかの実施形態では、金属は、Cu、Cuを含む合金、Cuを含むブレンド、又はCuを含む酸化物である。いくつかの実施形態では、金属は、W、Wを含む合金、Wを含むブレンド、又はWを含む酸化物である。いくつかの実施形態では、金属は、Zr、Zrを含む合金、Zrを含むブレンド、又はZrを含む酸化物である。いくつかの実施形態では、金属は、Al、Alを含む合金、Alを含むブレンド、又はAlを含む酸化物である。いくつかの実施形態では、金属は、Au、Auを含む合金、Auを含むブレンド、又はAuを含む酸化物である。いくつかの実施形態では、金属は、Ag、Agを含む合金、Agを含むブレンド、又はAgを含む酸化物である。
【0057】
いくつかの実施形態では、基材10は、アルミニウム又は鋼を含む金属を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム又は鋼は、乾燥している。いくつかの実施形態では、アルミニウム又は鋼は、湿潤である。いくつかの実施形態では、アルミニウム又は鋼は、半湿潤である。いくつかの実施形態では、アルミニウム又は鋼は、含水である。
【0058】
いくつかの実施形態では、アルミニウムは、陽極酸化アルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、鋼は、リン酸鋼を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、基材10は、プラスチックを含む。いくつかの実施形態では、基材10は、鉱物を含む。いくつかの実施形態では、基材10は、セラミックを含む。いくつかの実施形態では、基材10は、ガラスを含む。いくつかの実施形態では、基材10は、シランを含む。いくつかの実施形態では、基材10は、コンクリートを含む。いくつかの実施形態では、基材10は、複合材料を含む。いくつかの実施形態では、基材10は、セラミックを含む。いくつかの実施形態では、基材10は、木材を含む。いくつかの実施形態では、基材10は、再生木材を含む。いくつかの実施形態では、基材10は、アスファルトを含む。いくつかの実施形態では、基材10は、ピッチを含む。いくつかの実施形態では、基材10は、タールを含む。いくつかの実施形態では、基材10は、ビチューメンを含む。いくつかの実施形態では、基材10は、紙を含む。いくつかの実施形態では、基材10は、溶融材料を含む。いくつかの実施形態では、基材10は、凝集材料を含む。
【0060】
ここまで、本発明の実施形態は、基材上の薄膜に関して説明されてきた。一実施形態では、本発明は、多孔質基材上への薄膜のコーティングに関する。別の言い方をすれば、薄膜は、多孔質表面の利用可能な表面上にコーティングすることができ、これには、そのような多孔質構造の外表面並びに多孔質基材内の細孔及び蛇行チャネル上のコーティングが挙げられる。薄膜は、多孔質基材の細孔内で利用可能な内部表面を、部分的にしかコーティングしない可能性が高い。本発明はまた、このような多孔性基材のコーティングに関し、粘度、表面張力、及び疎水性を変化させる添加剤が、このような多孔性基材の利用可能な内部表面を増加させるために使用される。
【0061】
一態様では、本開示は、本明細書に記載される、ポリマーマトリックス30と接触しているポリマー層20に関する。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、バルク接着剤、シーラント、コーティング、インク、感圧接着剤(PSA)、複合材料、又はフィルムである。
【0062】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、バルク接着剤である。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、シーラントである。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、コーティングである。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、インクである。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、感圧接着剤(PSA)である。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、複合材料である。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、フィルムである。
【0063】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、ポリエステルを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、ウレタンを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、フェノールを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、エポキシ、アクリル又はシランを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、エポキシを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、アクリルを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、シランを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、シリコーンを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、連続層である。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、非連続層である。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、パターン化層又はテクスチャ化層である。
【0065】
いくつかの実施形態では、ポリマー層20及びポリマーマトリックス30は、相互侵入高分子網目(interpenetrating polymer network、IPN)を形成する。本明細書で使用されるIPNは、分子スケールで少なくとも部分的に絡み合っているが、互いに共有結合しておらず、化学結合が破壊されない限り分離することができない少なくとも2つの高分子網目を意味すると解釈される。
【0066】
いくつかの実施形態では、ポリマー層20及びポリマーマトリックス30は、セミ相互侵入高分子網目(semi-interpenetrating polymer network、SIPN)を形成する。本明細書で使用されるSIPNは、1つ以上の高分子網目及び1つ以上の直鎖又は分岐鎖ポリマー(複数可)を意味するものと解釈され、直鎖又は分岐鎖高分子の少なくともいくつかによる網目の少なくとも1つの、分子スケールでの侵入を特徴とする。
【0067】
いくつかの実施形態では、ポリマー層20及びポリマーマトリックス30は、逐次相互侵入高分子網目(sequential interpenetrating polymer network、SeIPN)を形成する。本明細書で使用されるSeIPNは、第1の成分網目の形成に続いて第2の成分網目が形成されるプロセスによって調製される、相互侵入高分子網目を意味すると解釈される。
【0068】
いくつかの実施形態では、ポリマー層20及びポリマーマトリックス30は、逐次セミ相互侵入高分子網目(sequential semi-interpenetrating polymer network、SSeIPN)を形成する。本明細書で使用されるSSeIPNは、網目(複数可)の形成をもたらす反応の完了後に直鎖又は分岐鎖成分が形成されるか、又はその逆のプロセスによって調製される、高分子網目を意味すると解釈される。
【0069】
いくつかの実施形態では、第2の基材50は、ポリマーマトリックス30上に配設される。いくつかの実施形態では、第2の基材50は、ポリマーマトリックス30に接触して配設される。いくつかの実施形態では、第2のポリマー層20は、ポリマーマトリックス30と第2の基材50との間に配設される。
【0070】
一態様では、本開示は、本明細書に記載されるポリマー層20を、基材10の表面上に配設することを含む、基材を作製する方法に関する。本明細書に記載されるポリマー層20を配設する方法は、特に限定されず、当業者によって認識されるであろう。
【0071】
いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、スピンコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、インクジェット印刷、フラッドコーティング、ブラッシング、ワイピングなどによって、基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、スピンコーティングによって、基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、浸漬コーティングによって、基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、スプレーコーティングによって、基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、インクジェット印刷によって、基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、フラッドコーティングによって、基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ブラッシングによって、基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ワイピングによって、基材10上にポリマー層20を配設することを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、ポリマー層20を基材10上に配設することを含み、ポリマー層20は、溶液として基材10に塗布される。いくつかの実施形態では、溶液は、約0.001重量%~約10重量%のカテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、約0.01重量%~約5重量%のカテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、約0.01重量%~約1重量%のカテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、約0.1重量%~約1重量%のカテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、溶液は、約0.001重量%~約0.005重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.005重量%~約0.01重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.01重量%~約0.02重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.02重量%~約0.03重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.03重量%~約0.04重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.04重量%~約0.05重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.05重量%~約0.06重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.06重量%~約0.07重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.07重量%~約0.08重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.08重量%~約0.09重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.09重量%~約0.1重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.1重量%~約0.11重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.11重量%~約0.12重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.12重量%~約0.13重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.13重量%~約0.14重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.14重量%~約0.15重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.15重量%~約0.2重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.2重量%~約0.25重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.25重量%~約0.3重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.3重量%~約0.35重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.35重量%~約0.4重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.4重量%~約0.45重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.45重量%~約0.5重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.5重量%~約0.75重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約0.75重量%~約1重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約1.25重量%~約1.5重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約1.5重量%~約1.75重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー;又は約1.75重量%~約2重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマーを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、溶液中で使用されるカテコール含有ポリマー又はオリゴマーは、ポリカテコールスチレン(PCS)である。いくつかの実施形態では、溶液は、約0.001重量%~約10重量%のPCSを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、約0.01重量%~約5重量%のPCSを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、約0.01重量%~約1重量%のPCSを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、約0.1重量%~約1重量%のPCSを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、溶液は、約0.001重量%~約0.005重量%のPCS;又は約0.005重量%~約0.01重量%のPCS;又は約0.01重量%~約0.02重量%のPCS;又は約0.02重量%~約0.03重量%のPCS;又は約0.03重量%~約0.04重量%のPCS;又は約0.04重量%~約0.05重量%のPCS;又は約0.05重量%~約0.06重量%のPCS;又は約0.06重量%~約0.07重量%のPCS;又は約0.07重量%~約0.08重量%のPCS;又は約0.08重量%~約0.09重量%のPCS;又は約0.09重量%~約0.1重量%のPCS;又は約0.1重量%~約0.11重量%のPCS;又は約0.11重量%~約0.12重量%のPCS;又は約0.12重量%~約0.13重量%のPCS;又は約0.13重量%~約0.14重量%のPCS;又は約0.14重量%~約0.15重量%のPCS;又は約0.15重量%~約0.2重量%のPCS;又は約0.2重量%~約0.25重量%のPCS;又は約0.25重量%~約0.3重量%のPCS;又は約0.3重量%~約0.35重量%のPCS;又は約0.35重量%~約0.4重量%のPCS;又は約0.4重量%~約0.45重量%のPCS;又は約0.45重量%~約0.5重量%のPCS;又は約0.5重量%~約0.75重量%のPCS;又は約0.75重量%~約1重量%のPCS;又は約1.25重量%~約1.5重量%のPCS;又は約1.5重量%~約1.75重量%のPCS;又は約1.75重量%~約2重量%のPCSを含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、溶液はまた、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを溶解させるための水性溶媒又は有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、アセトン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン(dichloromethane、DCM)、酢酸エチル、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone、MEK)、又はそれらの組み合わせである。
【0077】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、アセトンである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、トルエンである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、クロロホルムである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、ジクロロメタン(DCM)である。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、酢酸エチルである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、メチルエチルケトン(MEK)である。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、アセトン及びトルエンの組み合わせである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、アセトンであり、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーは、PCSである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、トルエンであり、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーは、PCSである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、アセトンとトルエンの組み合わせであり、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーは、PCSである。
【0078】
溶液のpHは、特に限定されない。いくつかの実施形態では、溶液のpHは、約3;又は約3.5;又は約4;又は約4.5;又は約5;又は約5.5;又は約6;又は約6.5;又は約7;又は約7.5;又は約8;又は約8.5;又は約9;又は約9.5;又は約10;又は約10.5;又は約11である。
【0079】
いくつかの実施形態では、溶液のpHは、約3~3.5;又は約3.5~4;又は約4~4.5;又は約4.5~5;又は約5~5.5;又は約5.5~6;又は約6~6.5;又は約6.5~7;又は約7~7.5;又は約7.5~8;又は約8~8.5;又は約8.5~9;又は約9~9.5;又は約9.5~10;又は約10~10.5;又は約10.5~11である。
【0080】
いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、基材10上にポリマー層20を配設することを含み、基材10は、プラスチック、金属、鉱物、複合材料、ガラス、シラン、コンクリート、セラミック、木材、再生木材、アスファルト、ピッチ、タール、ビチューメン、紙、溶融材料、又は凝集材料を含み、基材は、湿潤であるか、乾燥しているか、半湿潤であるか、又は含水である。
【0081】
いくつかの実施形態では、基材10を作製する方法は、プラスチックを含む基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、金属を含む基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、鉱物を含む基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、複合材料を含む基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ガラスを含む基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、シランを含む基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、コンクリートを含む基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、セラミックを含む基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、木材を含む基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、再生木材を含む基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、アスファルトを含む基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ピッチを含む基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、タールを含む基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、ビチューメンを含む基材上にポリマー層を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、紙を含む基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、溶融材料を含む基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、凝集材料を含む基材10上にポリマー層20を配設することを含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、湿潤基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、乾燥基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、半湿潤基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、含水基材10上にポリマー層20を配設することを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、本明細書に記載のポリマー層の配設の前に、基材10の表面を処理することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマー層の配設の前に、基材10の表面を陽極酸化することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマー層の配設の前に、基材10の表面をリン酸塩処理することを含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、金属を含む基材10上にポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、金属は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、W、Zr、Al、若しくはそれらの組み合わせ、又はこれらの金属のいずれかの合金、ブレンド、若しくは酸化物である。
【0085】
いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、Ti、Tiを含む合金、Tiを含むブレンド、又はTiを含む酸化物を含む基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、V、Vを含む合金、Vを含むブレンド、又はVを含む酸化物を含む基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、Cr、Crを含む合金、Crを含むブレンド、又はCrを含む酸化物を含む基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、Mn、Mnを含む合金、Mnを含むブレンド、又はMnを含む酸化物を含む基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、Fe、Feを含む合金、Feを含むブレンド、又はFeを含む酸化物を含む基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、Co、Coを含む合金、Coを含むブレンド、又はCoを含む酸化物を含む基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、Ni、Niを含む合金、Niを含むブレンド、又はNiを含む酸化物を含む基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、Cu、Cuを含む合金、Cuを含むブレンド、又はCuを含む酸化物を含む基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、W、Wを含む合金、Wを含むブレンド、又はWを含む酸化物を含む基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、Zr、Zrを含む合金、Zrを含むブレンド、又はZrを含む酸化物を含む基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、Al、Alを含む合金、Alを含むブレンド、又はAlを含む酸化物を含む基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、アルミニウム又は鋼を含む基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、乾燥アルミニウム又は乾燥鋼を含む基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、半湿潤アルミニウム又は半湿潤鋼を含む基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、含水アルミニウム又は含水鋼を含む基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、陽極酸化アルミニウムを含む基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、リン酸塩処理鋼を含む基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、乾燥環境において基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、周囲環境において基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、多湿環境において基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、水性環境において基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、水中環境において基材10上に、ポリマー層20を配設することを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、基材10上に、連続層としてポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、基材10上に、不連続層としてポリマー層20を配設することを含む。いくつかの実施形態では、基材の製造方法は、基材10上に、パターン化層又はテクスチャ化層としてポリマー層20を配設することを含む。
【0090】
一態様では、本開示は、基材を作製する方法に関し、その方法は、基材10の表面上に、本明細書に記載されるポリマー層20を配設することを含み、ポリマー層20の上にポリマーマトリックス30を配設することを更に含む。本明細書に記載されるポリマーマトリックス30を配設する方法は、特に限定されず、当業者によって認識されるであろう。
【0091】
いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、スピンコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、インクジェット印刷、フラッドコーティング、ブラッシング、ワイピングなどによって、ポリマー層20上にポリマーマトリックス30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、スピンコーティングによって、ポリマー層20上にポリマーマトリックス30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、浸漬コーティングによって、ポリマー層20上にポリマーマトリックス30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、スプレーコーティングによって、ポリマー層20上にポリマーマトリックス30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、インクジェット印刷によって、ポリマー層20上にポリマーマトリックス30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、フラッドコーティングによって、ポリマー層20上にポリマーマトリックス30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ブラッシングによって、ポリマー層20上にポリマーマトリックス30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ワイピングによって、ポリマー層20上にポリマーマトリックス30を配設することを含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、バルク接着剤、シーラント、コーティング、インク、感圧接着剤(PSA)、複合材料、又はフィルムである。
【0093】
いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、ポリマー層20上に、バルク接着剤30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマー層20上に、シーラント30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマー層20上に、コーティング30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマー層20上に、インク30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマー層20上に、感圧接着剤(PSA)30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマー層20上に、複合材料30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマー層20上に、フィルム30を配設することを含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30は、ポリエステル、ウレタン、フェノール、エポキシ、アクリル、シラン、又はシリコーンを含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、ポリマー層20上に、ポリエステルを配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマー層20上に、ウレタンを配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマー層20上に、フェノールを配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマー層20上に、エポキシ、アクリル、又はシランを配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマー層20上に、エポキシを配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマー層20上に、アクリルを配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマー層20上に、シランを配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマー層20上に、シリコーンを配設することを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、乾燥環境においてポリマー層20上に、ポリマーマトリックス30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、周囲環境において、ポリマー層20上に、ポリマーマトリックス30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、多湿環境において、ポリマー層上に、ポリマーマトリックス30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、水性環境において、ポリマー層20上に、ポリマーマトリックス30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、水中環境において、ポリマー層20上に、ポリマーマトリックス30を配設することを含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、基材を作製する方法は、基材上のポリマー層20上に、連続層としてポリマーマトリックス30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマー層20上に、非連続層としてポリマーマトリックス30を配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマー層20上に、パターン化層又はテクスチャ化層としてポリマーマトリックス30を配設することを含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス30を非連続層として配設するための方法、又はポリマー層20を非連続層として配設するための方法は、その層を、秩序あるパターン又は無秩序なパターンで配設することを含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、秩序あるパターンは、条片、グリッド、同心円、又はドットパターンを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20を条片として配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20をグリッドとして配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20を同心円として配設することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20をドットパターンとして配設することを含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20を無秩序に配設することを含む。
【0101】
ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20は、特定の形状で又は不定形様式で配設することができる。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20を、ドット、円、正方形、長方形、五角形、六角形として;又は不定形で、配設することを含む。
【0102】
一実施形態では、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20は、ドットの形状である。一実施形態では、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20は、円の形状である。一実施形態では、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20は、楕円の形状である。一実施形態では、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20は、三角形の形状である。一実施形態では、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20は、正方形の形状である。一実施形態では、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20は、長方形の形状である。一実施形態では、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20は、五角形の形状である。一実施形態では、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20は、六角形の形状である。一実施形態では、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20は、不定形である。
【0103】
いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20を、格子線、十字線、ランダム線、同心円、偏心円、スパゲッティパターン、及び平坦な条片として配設することを含む。
【0104】
一実施形態では、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20は、格子線の形状である。一実施形態では、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20は、十字線の形状である。一実施形態では、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20は、ランダム線の形状である。一実施形態では、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20は、同心円の形状である。一実施形態では、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20は、偏心円の形状である。一実施形態では、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20は、スパゲッティパターンの形状である。一実施形態では、ポリマーマトリックス30及び/又はポリマー層20は、平坦な条片の形状である。
【0105】
一態様では、本開示は、本明細書に記載されるポリマー層20を含む、層状構造体に関する。
【0106】
一態様では、本開示は、基材10上に配設された本明細書に記載のポリマー層20を含む、層状構造体に関する。
【0107】
一態様では、本開示は、基材10とポリマーマトリックス30との間に配設された本明細書に記載のポリマー層20を含む、層状構造体に関する。
【0108】
一態様では、本開示は、基材10とポリマーマトリックス30との間に配設された本明細書に記載のポリマー層20を含み、ポリマーマトリックス30上に配設された第2の基材50を更に含む、層状構造体に関する。
【0109】
一態様では、本開示は、基材10とポリマーマトリックス30との間に配設された本明細書に記載のポリマー層20を含み、ポリマーマトリックス30上に配設された第2のポリマー層20を更に含む、層状構造体に関する。
【0110】
一態様では、本開示は、基材10とポリマーマトリックス30との間に配設された本明細書に記載のポリマー層20を含み、第2の基材50とポリマーマトリックス30との間に配設された第2のポリマー層20を更に含む、層状構造体に関する。
【0111】
一態様では、本開示は、本明細書に記載されるポリマー層20を含む物品に関する。
【0112】
一態様では、本開示は、基材10上に配設された本明細書に記載されるポリマー層20を含む物品に関する。
【0113】
一態様では、本開示は、基材10とポリマーマトリックス30との間に配設された本明細書に記載のポリマー層20を含む物品に関する。
【0114】
一態様では、本開示は、基材10とポリマーマトリックス30との間に配設された本明細書に記載のポリマー層20を含み、ポリマーマトリックス30上に配設された第2の基材50を更に含む、物品に関する。
【0115】
一態様では、本開示は、基材10とポリマーマトリックス30との間に配設された本明細書に記載のポリマー層20を含み、ポリマーマトリックス30上に配設された第2のポリマー層20を更に含む、物品に関する。
【0116】
一態様では、本開示は、基材10とポリマーマトリックス30との間に配設された本明細書に記載のポリマー層20を含み、第2の基材50とポリマーマトリックス30との間に配設された第2のポリマー層20を更に含む、物品に関する。
【0117】
以下の実施例は、本開示内に記載される概念のいくつかを例示するために提供される。実施例は実施形態を提供すると考えられるが、本明細書に記載されているより一般的な実施形態を限定するものと考えられるべきではない。
【実施例
【0118】
実施例1:乾燥鋼及び乾燥アルミニウム上での、2成分イソシアネート(ウレタン)の接着性能に対するポリ(カテコール-スチレン)PCS系プライマーの効果
エポキシ樹脂(ポリ(ビスフェノールA-co-エピクロロヒドリン))を様々な濃度(1%、5%、及び10%)でPCSプライマーに添加し、樹脂単独の性能を試験した。次いで、エポキシ触媒(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)を単独で、1:100(触媒対PCS)の濃度でPCSプライマーに添加した。10%濃度(PCSに対して)のエポキシ樹脂及び1%濃度(PCSに対して)の触媒を、一緒にプライマー配合物に添加した。F0043のストック溶液及びF0044のストック溶液を以下のようにして調製した:
●F0043:トルエン中、0.1重量%のポリ(ビスフェノールA-co-エピクロロヒドリン)を貯蔵する。
●F0044:トルエン中、0.1重量%の1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを貯蔵する。
【0119】
4種のプライマー溶液(F0046、F0047、F0048、F0053)を調製した。乾燥鋼と乾燥アルミニウムとの両方を基材として使用して、プライマー溶液を、2つの異なるタイプのエポキシ接着剤に対して試験した。120個の乾燥鋼試料と、120個の乾燥アルミニウム試料とを調製し、洗浄した。プライマー溶液を、乾燥鋼及びアルミニウム試料に塗布し、24時間放置してから、エポキシ1又はエポキシ2のいずれかを塗布した。使用したプライマーの詳細を以下の表1に記載する。
【0120】
【表1】
【0121】
鋼(A366-1008)、アルミニウム(5086)を利用して、シングルラップジョイント接着接合金属試験片(ASTM D1002)を試験した。エポキシ1及びエポキシ2を用いた、乾燥鋼及び乾燥アルミニウムの平均重ねせん断強度(PSI)の結果を以下の表2に示す。結果はまた、グラフ形式でも、乾燥鋼について表示され(図2)、また乾燥アルミニウムについて表示される(図3)。表2の結果の標準偏差を、下の表3に示す。
【0122】
【表2】
【0123】
【表3】
【0124】
実施例2:アルミニウム、陽極酸化アルミニウム及び鋼上でのイソシアネート(ウレタン)の接着性能に対するPCS系プライマーの効果
この実験の目的は、イソシアネート(ウレタン)接着剤を用いて、PCSプライマーの性能を試験することであった。試験は、鋼(A366-1008)、アルミニウム(5086)、及び陽極酸化アルミニウムを利用して、シングルラップジョイント接着接合金属試験片(ASTM D1002)に対して行った。試料は、乾燥環境及び水中環境の両方で接合された。異なるカテコール含量(25%及び35%)を有する2つの異なるPCSポリマーを使用する様々なプライマーを試験した。各ポリマーに対して、アセトン中1%(重量%)及び0.1%(重量%)の濃度のPCSを試験した。対照として、プライマーを用いない重ねせん断試験片、及び0.1%のポリスチレンプライマーを用いた重ねせん断試験片を試験した。各接合を破壊するのに必要な力を比較することによって、全体的な接合強度に対するPCSプライマーの効果を決定した。
【0125】
金属試料(4インチ×1インチ)は、アセトン(アルミニウム及び陽極酸化アルミニウム)又はトルエン(鋼)で拭くことによって洗浄する。5つの別々のプライマー溶液(及びプライマーを使用しない1つの対照)を試験した。使用したプライマーの詳細を、以下の表4に記載する。
【0126】
【表4】
【0127】
0.1mLのプライマー溶液を、各個々の金属試料に塗布することによって、試料を下塗りし(接着剤と接触する両方の側が下塗りされる)、プラスチックピペットを使用して、溶液を金属試料全体に広げて均一に分布させた。溶媒を蒸発させ、表面上にプライマーの薄膜を残した。
【0128】
下塗り後、試料を24時間放置してから、接合させた。接合を行うために、イソシアネート接着剤(Loctite(又はロックタイト)8x)を、木製アプリケータースティックを使用して塗布した。接着剤を1インチの面積に広げ、次に第2の試料を第1の試料に接着して、1インチ×1インチの重なりを得る。試料は乾燥状態で調製するか、又は水中で接合させた。水中接合の場合、接着剤を水面に対応する線の下で、金属試料に塗布した。試料を硬化させ(乾燥試料の場合には空気中で、水中試料の場合には水中で)、次いで引張強度測定装置で引っ張り、接合を破壊するのに必要な力を測定した。ASTM D1002に従って、試料を引っ張った。
【0129】
乾燥アルミニウム、乾燥陽極酸化アルミニウム、及び乾燥鋼の平均引張強度(PSI)の結果を、下の表5に示す。結果はまた、グラフ形式でも表示される(図4)。表5の結果の標準偏差を以下の表6に示す。
【0130】
【表5】
【0131】
【表6】
【0132】
湿潤アルミニウム、湿潤陽極酸化アルミニウム、及び湿潤鋼の平均引張強度(PSI)の結果を以下の表7に示す。結果はまた、グラフ形式でも表示される(図5)。表7の結果の標準偏差を以下の表8に示す。
【0133】
【表7】
【0134】
【表8】
【0135】
実施例3:アルミニウム、陽極酸化アルミニウム及び鋼上でのイソシアネート(ウレタン)の接着性能に対するPCS系プライマーへの添加剤の効果
この実験の目的は、イソシアネート(ウレタン)接着剤を用いて、PCSプライマーの性能を、様々な添加剤を含む場合と含まない場合の両方について試験することであった。鋼(A366-1008)、アルミニウム(5086)、及び陽極酸化アルミニウムを利用するシングルラップジョイント接着接合金属試験片(ASTM D1002)を試験した。試料は、乾燥環境(乾燥試料については鋼のみ)及び水中環境(3種類全ての金属)の両方で接合された。3種類の化合物(1,6ヘキサンジオール、King Industries製のウレタン触媒(K-Cat 6212)、及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を、本発明のPCS系プライマーに添加して、試験した。各添加剤を単独で試験し、次いでヘキサンジオールと各触媒化合物とを組み合わせて、単一のプライマー配合物として、再度試験した。乾燥鋼の試料については、全てのカテコールプライマーのベースとして、0.1%(35%のカテコール)のPCSプライマー溶液を使用した。湿潤試料については、全てのカテコールプライマーのベースとして、0.1%(25%のカテコール)のPCSプライマー溶液を使用した。対照については、プライマーを用いない重ねせん断試験片、及び0.1%のポリスチレンプライマーを用いた重ねせん断試験片を使用した。各接合を破壊するのに必要な力を比較することによって、全体的な接合強度に対する、添加剤を含むPCSプライマー及び添加剤を含まないPCSプライマーの効果を決定することができる。
【0136】
金属試料(4インチ×1インチ)を、アセトン(アルミニウム及び陽極酸化アルミニウム)又はトルエン(鋼)で拭くことによって洗浄した。5つの別々のプライマー溶液(及びプライマーを使用しない1つの対照)を試験した。使用したプライマーの詳細を、乾燥プライマーについては以下の表9に、湿潤プライマーについては以下の表10に記載する。
【0137】
【表9】
【0138】
【表10】
【0139】
0.1mLのプライマー溶液を、各個々の金属試料に塗布することによって、試料を下塗りし(接着剤と接触する両方の側が下塗りされる)、プラスチックピペットを使用して、溶液を金属試料全体に広げて均一に分布させた。溶媒を蒸発させ、表面上にプライマーの薄膜を残した。
【0140】
下塗り後、試料を24時間放置してから、接合させた。接合を行うために、イソシアネート接着剤(Loctite 8x)を、木製アプリケータースティックを使用して塗布した。接着剤を1インチの面積に広げ、次に第2の試料を第1の試料に接着して、1インチ×1インチの重なりを得て、次に硬化時間の間にわたって、一緒にクランプ固定した。試料は、乾燥で、又は水中で接合させてのいずれかで調製した。水中接合の場合、接着剤を水面に対応する線の下で、金属試料に塗布した。試料を硬化させ(乾燥試料の場合には空気中で、水中の試料の場合には水中で)、次いで引張強度測定装置で引っ張り、接合を破壊するのに必要な力を測定した。ASTM D1002に従って、試料を引っ張った。
【0141】
乾燥鋼の平均重ねせん断強度(PSI)の結果を以下の表11に示す。結果はまた、グラフ形式でも表示される(図6)。表11の結果の標準偏差を以下の表12に示す。
【0142】
【表11】
【0143】
【表12】
【0144】
湿潤アルミニウム、湿潤陽極酸化アルミニウム、及び湿潤鋼の平均重ねせん断強度(PSI)の結果を以下の表13に示す。結果はまた、グラフ形式でも表示される(図7)。表13の結果についての標準偏差を以下の表14に示す。
【0145】
【表13】
【0146】
【表14】
【0147】
実施例4:2成分ウレタン接着剤の接着性能に対するPCS系プライマーの効果
この実験の目的は、2成分ウレタン接着剤を用いたPCSプライマーの性能を試験することであった。鋼(A366-1008)、アルミニウム(5086)、及び陽極酸化アルミニウムを利用するシングルラップジョイント接着接合金属試験片(ASTM D1002)を試験した。試料は、乾燥環境及び水中環境の両方で接合された。異なるカテコール含量(25%及び35%)を有する2つの異なるPCSポリマーを使用する様々なプライマーを試験した。各ポリマーについて、アセトン中0.1%(重量%)の濃度のPCSを試験した。対照として、プライマーを使用しない重ねせん断試験片、及び0.1%のポリスチレンプライマーを用いた重ねせん断試験片を試験した。各接合を破壊するのに必要な力を比較することによって、全体的な接合強度に対するPCSプライマーの効果を決定することができる。
【0148】
金属試料(4インチ×1インチ)を、アセトン(アルミニウム及び陽極酸化アルミニウム)又はトルエン(鋼)で拭くことによって洗浄した。3つの別々のプライマー溶液(及びプライマーを使用しない1つの対照)を試験した。使用したプライマーの詳細を以下の表15に記載する。
【0149】
【表15】
【0150】
0.1mLのプライマー溶液を、各個々の金属試料に塗布することによって、試料を下塗りし(接着剤と接触する両方の側が下塗りされる)、プラスチックピペットを使用して、溶液を金属試料全体に広げて均一に分布させた。溶媒を蒸発させ、表面上にプライマーの薄膜を残した。
【0151】
下塗り後、試料を24時間放置してから、接合させた。接合を行うために、2成分ウレタン接着剤(Loctite UK U-09FL)を、木製アプリケータースティックを使用して塗布した。接着剤を1インチの面積に広げ、次に第2の試料を第1の試料に接着して、1インチ×1インチの重なりを得て、次に硬化時間の間にわたって、一緒にクランプ固定した。試料は乾燥で、又は水中で接合させてのいずれかで調製した。水中接合の場合、接着剤を水面に対応する線の下で、金属試料に塗布した。試料を硬化させ(乾燥試料の場合には空気中で、水中試料の場合には水中で)、次いで引張強度測定装置で引っ張り、接合を破壊するのに必要な力を測定した。ASTM D1002に従って、試料を引っ張った。
【0152】
乾燥アルミニウム、乾燥陽極酸化アルミニウム、及び乾燥鋼の平均引張強度(PSI)の結果を以下の表16に示す。結果はまた、グラフ形式でも表示される(図8)。表16の結果についての標準偏差を、以下の表17に示す。
【0153】
【表16】
【0154】
【表17】
【0155】
湿潤アルミニウム、湿潤陽極酸化アルミニウム、及び湿潤鋼の平均引張強度(PSI)の結果を以下の表18に示す。結果はまた、グラフ形式でも表示される(図9)。表18の結果についての標準偏差を以下の表19に示す。
【0156】
【表18】
【0157】
【表19】
【0158】
実施例5:2成分ウレタン接着剤の接着性能に対するPCS系プライマーへの添加剤の効果
この実験の目的は、2成分ウレタン接着剤を用いて、PCSプライマーの性能を、様々な添加剤を含む場合と含まない場合の両方について試験することであった。鋼(A366-1008)、アルミニウム(5086)、及び陽極酸化アルミニウムを利用するシングルラップジョイント接着接合金属試験片(ASTM D1002)を試験した。試料は、水中環境においてはこの接着剤の性能が不十分であるため、乾燥でのみ接合された。3種類の化合物(1,6ヘキサンジオール、King Industries製のウレタン触媒(K-Cat 6212)、及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を本発明のPCS系プライマーに添加して、試験した。各添加剤を単独で試験し、次いでヘキサンジオールと各触媒化合物とを組み合わせて、単一のプライマー配合物として、再度試験した。全てのカテコールプライマーのベースとして、0.1%(25%のカテコール)のPCSプライマー溶液を使用した。対照として、プライマーを用いない重ねせん断試験片、及び0.1%のポリスチレンプライマーを用いた重ねせん断試験片を試験した。各接合を破壊するのに必要な力を比較することによって、全体的な接合強度に対する、添加剤を含むPCSプライマー及び添加剤を含まないPCSプライマーの効果を決定することができる。
【0159】
金属試料(4インチ×1インチ)は、アセトン(アルミニウム及び陽極酸化アルミニウム)又はトルエン(鋼)で拭くことによって洗浄する。7つの別々のプライマー溶液(及びプライマーを使用しない1つの対照)を試験した。使用したプライマーの詳細を以下の表20に記載する。
【0160】
【表20】
【0161】
0.1mLのプライマー溶液を、各個々の金属試料に塗布することによって、試料を下塗りし(接着剤と接触する両方の側が下塗りされる)、プラスチックピペットを使用して、溶液を金属試料全体に広げて均一に分布させた。溶媒を蒸発させ、表面上にプライマーの薄膜を残した。
【0162】
下塗り後、試料を24時間放置してから、接合させた。接合を行うために、2成分ウレタン接着剤(Loctite UK U-09FL)を、木製アプリケータースティックを使用して塗布した。接着剤を1インチの面積に広げ、次に第2の試料を第1の試料に接着して、1インチ×1インチの重なりを得て、次に硬化時間の間にわたって、一緒にクランプ固定した。試料は乾燥で、又は水中で接合させてのいずれかで調製した。水中接合の場合、接着剤を水面に対応する線の下で、金属試料に塗布した。試料を硬化させ(乾燥試料の場合には空気中で、水中の試料の場合には水中で)、次いで引張強度測定装置で引っ張り、接合を破壊するのに必要な力を測定した。ASTM D1002に従って、試料を引っ張った。
【0163】
乾燥アルミニウム、乾燥陽極酸化アルミニウム、及び乾燥鋼の平均重ねせん断強度(PSI)の結果を以下の表21に示す。結果はまた、グラフ形式でも表示される(図10)。表21の結果についての標準偏差を、以下の表22に示す。
【0164】
【表21】
【0165】
【表22】
【0166】
実施例6:3M Marine Adhesive Sealant(又はマリン用シーラント接着剤)5200の性能に対するPCS系プライマーへの添加剤の効果
この実験の目的は、3M Marine Adhesive Sealant 5200に対する、PCSプライマーの性能を、様々な添加剤を含む場合と含まない場合の両方について試験することであった。アルミニウム(5086)を利用して、シングルラップジョイント接着接合金属試験片(ASTM D1002)を試験した。試料は、乾燥環境及び水中環境の両方で接合された。ベースとなるプライマーは、アセトンで希釈された25%のカテコール含量の0.1重量%のPCSであった。4種類の化合物、1,6ヘキサンジオール、King Industries製のウレタン触媒(K-Cat 6212)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、及びポリカプロラクトントリオール(PCL)を本発明のPCSベースプライマーに添加して、試験した。K-Cat 6212と1,6ヘキサンジオールとの組み合わせも分析した。プライマーを用いない重ねせん断試験片、及び0.1%のポリスチレンプライマーを用いた重ねせん断試験片を、対照として利用した。全ての試料を3M 5200で接合し、硬化させた。各接合を破壊するのに必要な力を比較して、全体的な接合強度に対するPCSプライマーの効果を決定した。
【0167】
140個のアルミニウム金属試料(4インチ×1インチ)を、アセトンで拭くことによって調製した。7種類の別々のプライマー溶液を試験した。使用したプライマーの詳細を以下の表23に記載する。
【0168】
【表23】
【0169】
0.1mLのプライマー溶液を、各個々の金属試料に塗布することによって、試料を下塗りし(接着剤と接触する両方の側が下塗りされる)、プラスチックピペットを使用して、溶液を金属試料全体に広げて均一に分布させた。溶媒を蒸発させ、表面上にプライマーの薄膜を残した。
【0170】
下塗り後、試料を24時間放置してから、接合させた。次に、3M Marine Adhesive Sealant 5200を、木製アプリケータースティックを用いて塗布した。プライマーを塗布しなかった試料では、接着剤を金属試料の端部の長さ1インチのセグメントにわたって広げた。プライマーを用いない第2の試料を第1の試料に接着させ、1インチ×1インチの重なりを得た。プライマーを用いた試料では、接着剤は、同じ1インチの長さのセグメントで、プライマーの上に塗布された。次に、第2の試料を第1の試料に接着し、第2の試料のプライマーコーティング部分を、第1の試料の接着剤コーティング部分に確実に接着させた。1インチ×1インチの重なりを得た。全ての場合において、接着剤は、空気に曝された環境において、乾燥アルミニウム試料に塗布された。水中に沈めながら、湿潤試料に接着剤を塗布した。全ての接合された試料を一緒にクランプ固定し、過剰の接着剤を拭き取った。
【0171】
試料をそれぞれの環境で硬化させた。湿潤試料は水中に沈め、乾燥試料は空気中で硬化させた。次いで、70個の接合された試料を、ASTM D1002に従って、Instronで引っ張った。接合を破壊するのに必要な力(単位:psi)を記録した。
【0172】
乾燥アルミニウムの平均重ねせん断強度(PSI)の結果を以下の表24に示す。結果はまた、グラフ形式でも表示される(図11)。
【0173】
【表24】
【0174】
湿潤アルミニウムの平均重ねせん断強度(PSI)の結果を以下の表25に示す。結果はまた、グラフ形式でも表示される(図12)。
【0175】
【表25】
【0176】
実施例7:リン酸塩表面処理
加熱した二酸化マンガン、リン酸、及び水の浴中に、試料を1時間浸漬することによって、リン酸塩化成コーティングを鋼上に形成した。これらの試料を、F0012(0.1%のPCS(25%のカテコール)、F0053(0.1%のPCS(25%のカテコール)と0.001%の1,4-DIAZABICLO及び0.01%のポリ(ビスフェノールAco-エピクロロヒドリン))で下塗りし、更にプライマーを含まない対照とともに、湿潤環境及び乾燥環境の両方で、混合チップを使用し、Loctite E120HPの2成分エポキシを用いて、重ねせん断試験片を作製した。コーティングされていない重ねせん断試験片の対照セットもまた、コーティングされた重ねせん断試験片と同じ方法で調製した。
【0177】
リン酸塩コーティングは、図13に示されるように、未処理の重ねせん断試験片よりも、乾燥重ねせん断試験片の強度を大幅に増加させた。しかしながら、図14に示されるように、処理された湿潤重ねせん断試験片は、未処理の重ねせん断試験片に対して、強度の低下が見られた。この強度の低下は、プライマーの使用によって軽減され、処理された重ねせん断試験片が、コーティングされていない重ねせん断試験片の強度以上の強度を回復することを可能にした。重ねせん断試験片の内部の応力状態は複雑であり、したがって重ねせん断試験片のひずみを分析する際になされるいかなる記述も疑わしいが、処理された乾燥試料中のエポキシは、破壊前に降伏するようであったが、これは未処理の試料では見られず、接合強度の増加の証拠であるということに留意されたい。
【0178】
プライマーF0002(0.1%ポリスチレン)の対照群を、おそらくは異なる組成の新しい鋼の重ねせん断試験片で試験したので、プライマーなしのリン酸塩処理された試料を繰り返して、リン酸塩化成コーティングにおける差異がないか調べた。コーティングが異なる場合、下塗りなしの対照試料の強度に変化があると思われた。結果を図15(乾燥、プライマー比較なし)及び図16(湿潤、プライマー比較なし)に示す。
【0179】
図13及び図14における、リン酸塩処理された鋼試料及びリン酸塩未処理の鋼試料の強度の差に注目すると、リン酸塩処理された鋼は、乾燥ではより強く、湿潤ではより弱くなった。リン酸塩コーティングは、使用された古い組成物を用いた場合ほど新しい鋼試料において発現していないということが明らかである。
【0180】
図17及び図18から、F0002を含有させると、重ねせん断の強度が低下することがわかる。この強度の減少は、プライマーの疎水性が湿潤接合強度の増加に役割を果たしているという従来の仮説に反しており、カテコールがその増加に役割を果たしているということを示している。
【0181】
上記の観察に基づいて、以下の結論が得られ得る:1)リン酸塩化成コーティングを作製するために使用された方法は、機能する;2)プライマーは、処理された湿潤試料の強度を増加させるようである;及び3)鋼の組成は、リン酸塩化成コーティングにおいて役割を果たす。
【0182】
実施例8:VHB接着テープの性能に対するPCS系プライマーの効果
この実験の目的は、VHBテープ接着剤を用いて、PCSプライマーの性能を試験することであった。アルミニウムのシングルラップジョイント接着接合金属試験片(ASTM D1002)を用いて試験を行った。PCSポリマーは、Purdue Labによって作製された。アセトン中に0.1重量/体積%のPCSを含有する純粋なプライマーを試験した。プライマーを用いない重ねせん断試験片、及び0.1%のポリスチレンプライマーを用いた重ねせん断試験片を、対照として利用した。全ての試料は、VHB接着テープで接合された。この接合は、乾燥条件、湿潤条件、及び低温条件で行った。各接合を破壊するのに必要な力を比較して、接合強度に対するPCSの効果を決定することを可能にした。
【0183】
60個のアルミニウム金属試料(5インチ×1インチ)を、Kimtechワイプ及びアセトンで拭くことによって調製した。2種類のプライマー溶液を調製した。使用したプライマーの詳細を以下の表26に記載する。
【0184】
【表26】
【0185】
0.1mLの各プライマー溶液を、アルミニウムの重ねせん断試験片に塗布することによって、金属試料を下塗りした。プラスチックピペットを使用し、溶液を金属試料全体に広げて、金属試料端部上の長さ1インチのセグメント全体に均一に分布させた。溶媒を蒸発させると、金属表面上に薄膜が残った。試料を下塗りし、試料を4時間放置してから接合させた。乾燥条件については、次に、VHBテープ接着剤の長さ1インチのセグメントを、重ねせん断試験片のそれぞれのセグメントに塗布した。テープの反対側の接着剤を保護する赤色フィルムを除去し、重ねせん断試験片の上部を、テープの上部に配置した。組み合わされた重ねせん断試験片対は、操作者の手で一つに絞られて、試料は、クランプ固定されなかった。湿潤条件については、下塗りした試料を褐色紙のシート上に置いた。次に、水道水を満たした噴霧器ボトルを使用して、約3フィート離れたところから、試料に対して4~5回噴霧した。これは、湿潤条件又は降雨条件をシミュレートする。次に、乾燥条件と同じ方法で、VHBテープを直ちに付けた。低温条件については、下塗りした試料及びVHBテープを、実験室用冷蔵庫に入れて、3時間冷却した。次いで、VHBテープを直ちに付けた。
【0186】
テープは0.75インチ幅であるので、すべての試料についての重なりの面積は、通常の1.0インチの代わりに、重なり0.75インチを使用して計算されたことに留意されたい。その結果、平均重なり面積がおよそ0.75in2となった。
【0187】
試料を24時間放置した。次に、30個の接合した試料を、ASTM D1002に従って、Instronで引っ張った。接合を破壊するのに必要な力(単位:lbs)を記録した。この力は、上述のように計算して、重なり面積で割ることによって、PSIに変換された。結果を表19に示す。
【0188】
これらの結果は、PCSが乾燥条件又は低温条件いずれにおいても有意な変化を引き起こさなかったが、湿潤条件の場合には、VHBテープの性能を、有意に保存したことを示す。乾燥条件において、F0012で下塗りされた重ねせん断試験片は、下塗りなしの重ねせん断試験片よりもわずかに良好に機能したが、標準偏差が重複するので、結果は有意ではない。湿潤条件において、0.1%のPCSプライマー(F0012)は、接合強度が乾燥条件と同じ強度のままであることを可能にした。一方、下塗りなしの試料は、強度が27.7PSIに低下した。これは、PCSが、下塗りなしの湿潤条件に対して、64.4%の改善を可能にすることを意味する。他の条件では、有意な改善も低下も観察されなかった。
【0189】
乾燥条件、湿潤条件、及び低温条件で0.1%のPCSプライマーを用いたVHB接着テープについてのこれらの実験は、PCSプライマーが湿潤条件又は降雨条件において、性能を有意に保存できるということを示す。下塗りありの湿潤試料は、接合強度において、下塗りなしの湿潤試料よりも著しく優れていた。いずれの条件においても、乾燥対照に対する有意な性能改善は観察されなかった。
【0190】
実施例9:Flexcon(又はフレックスコン)PSAテープの性能に対するPCS系プライマーの効果
この実験の目的は、Flexcon PSAテープを用いて、PCSプライマーの性能を試験することであった。PCSポリマーは、Purdue Labによって作製された。アセトン中に0.1wt/vol%のPCSを含有する純粋なプライマーを試験した。プライマーを用いないアルミニウム重ねせん断試験片、及び0.1%のポリスチレンプライマーを用いたアルミニウム重ねせん断試験片を、対照として用いた。全ての試料は、Flexcon PSAテープで接合された。この接合は、乾燥条件、湿潤条件、及び低温条件で行った。アルミニウムへの接合強度は、ASTM D903に規定の、接着剤接合の180度剥離ストリップ強度によって測定した。Flexcon PSAテープをアルミニウム基材から剥離するのに必要な力を測定して、接合強度に対するPCSの効果を決定することを可能にした。
【0191】
45個のアルミニウム金属試料(5インチ×1インチ)を、Kimtechワイプ及びアセトンで拭くことによって調製した。2種類のプライマー溶液を調製した。使用したプライマーの詳細を以下の表27に記載する。
【0192】
【表27】
【0193】
マイクロピペットを介して各プライマー溶液0.5mLをそれぞれに塗布することによって、アルミニウム重ねせん断試験片に下塗りを施した。プラスチックマイクロピペットチップを使用して溶液を金属試料全体に広げ、金属重ねせん断試験片の全長にわたって均一に分布させることにより、5平方インチを覆った。溶媒を蒸発させると、金属表面上に薄膜が残った。試料を下塗りし、試料を4時間放置してから接合させた。Flexconテープの接合は、以下の方法で行った:幅1インチ、長さ約10インチの条片を、調製のために切断し、保護フィルムを除去した後で、テープの条片を、重ねせん断試験片の全体に配置し、約5インチの垂れ下がりを残した。条片を乾燥条件で塗布した。湿潤条件では、試料を褐色紙のシート上に置いた。次に、水道水を満たした噴霧器ボトルを使用して、約3フィート離れたところから、試料に対して4~5回噴霧した。これは、湿潤条件又は降雨条件をシミュレートする。次に、乾燥条件と同じ手順で、Flexconテープを直ちに付けた。低温条件については、重ねせん断試験片及びFlexconテープを実験室用冷蔵庫内に置き、3時間冷却した。次いで、テープを直ちに付けた。全ての条件について、テープが金属重ねせん断試験片に貼り付けられてから、シャーピーペンの平坦な端部を使用してテープに均一に圧力を加えた。
【0194】
試料を24時間放置した。次いで、45個の接合された試料を、ASTM D903、接着剤接合の180度剥離ストリップ強度に従って、Instron(又はインストロン)で引っ張った。アルミニウムからテープを剥がすのに必要な力(単位:lbs)を記録した。Testworks(又はテストワークス)の剥離試験法によって、これを散乱剥離及び剥離強度に変換した。結果を表20に示す。
【0195】
これらの結果は、プライマーF12が、乾燥条件及び低温条件における性能について、統計的に有意な改善をもたらしたことを示す。湿潤条件において改善があったが、それは有意であるかどうかはわからない。これらの結果から、対照に対する改善割合を計算することができ、以下の表28に要約した。
【0196】
【表28】
【0197】
F0012は、乾燥条件に対して、最も大きな剥離強度の改善である122%、すなわち2倍以上の改善をもたらした。低温条件では、強度は84%増加した。湿潤条件では、強度は20%増加したが、結果にばらつきがあるため、統計的に有意ではないと思われる。全ての条件において、ポリスチレン対照は、プライマーなし対照と同じか、又はそれより低い性能であった。また、F0012で下塗りされた試料は、それらの結果において、プライマーなし又はF002をプライマーとして用いた場合よりも、はるかに大きな変化を示したことも注目に値する。しかしながら、F0012試料はそれでもなお、全ての場合において、他の条件よりも性能が優れていた。
【0198】
乾燥条件、湿潤条件、及び低温条件で、0.1%のPCSプライマーを用いたFlexcon接着テープについてのこれらの実験は、PCSプライマーが、乾燥条件及び低温条件において、テープの性能を著しく改善することができるということを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】