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特表2023-543358断熱チャンバおよびそれらを含むクロマトグラフィシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(54)【発明の名称】断熱チャンバおよびそれらを含むクロマトグラフィシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/54 20060101AFI20231005BHJP
   G01N 30/72 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G01N30/54 H
G01N30/54 F
G01N30/72 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544175
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 US2021052243
(87)【国際公開番号】W WO2022067206
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】17/034,851
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
2.JAVASCRIPT
3.PYTHON
4.SWIFT
5.iOS
(71)【出願人】
【識別番号】523113962
【氏名又は名称】パーキンエルマー・ユー・エス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】PERKINELMER U.S. LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キングストン,チャド
(72)【発明者】
【氏名】ポーター,ネイサン・エル
(72)【発明者】
【氏名】ブラック,ベンジャミン
(57)【要約】
クロマトグラフィカラムを加熱または冷却するために使用することができる断熱チャンバが記載されている。特定の構成は、少なくとも1つのプレートおよび断熱障壁を含む。プレートおよび断熱障壁は、循環空気流路内の空気がクロマトグラフィカラムに供給されてクロマトグラフィカラムから熱を除去することができるように、循環空気流路を形成することができる。熱をプレートに伝達することができる。熱分離チャンバを含むシステム、およびクロマトグラフィ分離を行うために熱分離チャンバを使用する方法も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱チャンバであって、
第1のプレート、
第2のプレート、および
断熱障壁であって、前記断熱チャンバが、クロマトグラフィカラムを受け取り、前記受け取ったクロマトグラフィカラムを前記断熱チャンバ内の他の構成要素から断熱するように構成され、前記断熱チャンバは、前記断熱障壁と前記第1のプレートとの間および前記断熱障壁と前記第2のプレートとの間に第1の循環空気流路を備え、前記第1の循環空気流路は、空気流を受け取り、前記受け取った空気流を前記受け取ったクロマトグラフィカラムに供給して、前記受け取ったクロマトグラフィカラムから熱を除去し、前記除去された熱を前記第1のプレートおよび前記第2のプレートの一方または両方に伝達するように構成されている、断熱障壁とを備える、断熱チャンバ。
【請求項2】
前記第1の循環空気流路を通る前記空気流を提供するファンとして構成された冷却装置をさらに備える、請求項1に記載の断熱チャンバ。
【請求項3】
前記断熱チャンバ内に冷却要素をさらに備え、前記ファンは、前記冷却要素に熱的に結合されて、冷却空気を前記第1の循環空気流路に供給する、請求項2に記載の断熱チャンバ。
【請求項4】
前記冷却要素は前記ファンの下流にある、請求項3に記載の断熱チャンバ。
【請求項5】
前記冷却要素は前記ファンの上流にある、請求項3に記載の断熱チャンバ。
【請求項6】
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートのうちの少なくとも一方はヒートシンクを備える、請求項1に記載の断熱チャンバ。
【請求項7】
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートの少なくとも一方は、前記第1の循環空気流路を通る空気流の温度を低下させるように冷却されるように構成されている、請求項1に記載の断熱チャンバ。
【請求項8】
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートの各々は、前記第1の循環空気流路を通る空気流の温度を低下させるように冷却されるように構成されている、請求項1に記載の断熱チャンバ。
【請求項9】
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートの少なくとも一方は、前記チャンバの外側の外部ヒートシンクに熱的に結合される、請求項1に記載の断熱チャンバ。
【請求項10】
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートの一方に熱的に結合された少なくとも1つのヒートパイプをさらに備える、請求項1に記載の断熱チャンバ。
【請求項11】
前記第1のプレートは取り外し可能であり、前記第2のプレートはクロマトグラフィシステムのハウジングの一部である、請求項1に記載の断熱チャンバ。
【請求項12】
前記第1のプレートは金属材料を含む、請求項1に記載の断熱チャンバ。
【請求項13】
前記金属材料の熱伝導率は、少なくとも150ワット/メートル・ケルビンである、請求項12に記載の断熱チャンバ。
【請求項14】
前記断熱チャンバは、周囲空気がクロマトグラフに入るのを防ぐために周囲環境から密封されたクロマトグラフ内に存在する、請求項1に記載の断熱チャンバ。
【請求項15】
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートの少なくとも一方は、内部チャネルまたは孔を備える、請求項1に記載の断熱チャンバ。
【請求項16】
クロマトグラフの断熱チャンバ内の熱的に分離されたクロマトグラフィカラムの温度を制御する方法であって、前記熱的に分離されたクロマトグラフィカラムを備える前記断熱チャンバ内の第1の循環空気流路に空気を循環させて、前記熱的に分離されたクロマトグラフィカラムを第1の温度から前記第1の温度より低い第2の温度まで冷却するステップを含む、方法。
【請求項17】
クロマトグラフィ分離中に前記空気の循環を中断するステップ、または前記第1の循環空気流路を通る前記空気の循環を遅くするステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記クロマトグラフィ分離後に前記第1の循環空気流路を循環する前記空気の流れを継続して、前記熱的に分離されたクロマトグラフィカラムを前記第1の温度から前記第1の温度より低い前記第2の温度まで冷却するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
別のクロマトグラフィ分離の開始前に、前記熱的に分離されたクロマトグラフィカラムから熱を除去し、前記熱的に分離されたクロマトグラフィカラムを前記第2の温度に戻すために、前記第1の循環空気流を通って循環する前記空気の温度を低下させるステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
外部冷却空気を前記第1の循環空気流路に導入して、前記クロマトグラフィカラムの温度を前記第2の温度に低下させるステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記クロマトグラフィカラムを前記第2の温度に冷却するために前記断熱チャンバの第1のプレートを冷却するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記断熱チャンバ内のファンを使用して前記第1の循環空気流路を通して前記空気を供給するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記断熱チャンバ内の冷却要素を使用して、前記第1の循環空気流路を通って循環する前記空気をさらに冷却する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記クロマトグラフィカラムに熱的に結合された加熱要素を使用して前記クロマトグラフィカラムを前記第2の温度から前記第1の温度に加熱するステップと、前記加熱要素によって提供される温度を低下させ、前記断熱チャンバ内のファンを使用して前記空気を前記循環空気流路を通して循環させることによって、前記クロマトグラフィカラムを前記第1の温度から前記第2の温度に冷却するステップとをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記クロマトグラフィカラムの温度を前記第1の温度まで上昇させるために、前記第1の循環空気流路を循環する前記空気を加熱するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
分析機器であって、
ハウジング、
前記ハウジング内の断熱チャンバであって、少なくとも第1のプレートを備える断熱チャンバ、および
前記断熱チャンバ内のクロマトグラフィカラム空間を備え、
前記クロマトグラフィカラム空間はクロマトグラフィカラムを受け入れるように構成され、前記断熱チャンバは、前記ハウジング内の他の構成要素から前記受け入れたクロマトグラフィカラムを熱的に分離するように構成され、前記断熱チャンバは、前記第1のプレートから形成された第1の循環空気流路と、前記断熱チャンバ内の断熱障壁とを備え、前記第1の循環空気流路は、前記第1の循環空気流路内の空気流を前記受け入れたクロマトグラフィカラムに供給して、前記受け入れたクロマトグラフィカラムから熱を除去するように構成され、前記断熱チャンバは、前記除去された熱を前記第1のプレートに伝達するように構成されている、分析機器。
【請求項27】
前記クロマトグラフィカラムに流体的に結合して、前記クロマトグラフィカラムから分離された分析物を受け取り、前記受け取った分離された分析物をイオン化するように構成されたイオン化源をさらに備える、請求項26に記載の分析機器。
【請求項28】
前記イオン化された分析物を受け取るように構成された質量分析器をさらに備える、請求項27に記載の分析機器。
【請求項29】
前記質量分析器はイオントラップを備える、請求項28に記載の分析機器。
【請求項30】
検出器をさらに備える、請求項29に記載の分析機器。
【請求項31】
前記クロマトグラフィカラムに熱的に結合し、前記クロマトグラフィカラムを第1の温度から第2の温度に加熱するように構成された加熱要素をさらに備える、請求項26に記載の分析機器。
【請求項32】
前記加熱要素は、前記クロマトグラフィカラムと物理的に接触するように構成されている、請求項31に記載の分析機器。
【請求項33】
前記クロマトグラフィカラムは、前記加熱要素の周りに巻かれている、請求項32に記載の分析機器。
【請求項34】
クロマトグラフィ分離後にファンをオンにして、前記熱的に分離されたクロマトグラフィカラムを備える前記断熱チャンバ内の第1の循環空気流路に空気を循環させて、前記熱的に分離されたクロマトグラフィカラムを第1の温度から前記第1の温度より低い第2の温度まで冷却することによって、前記クロマトグラフィカラムを冷却するように構成されたプロセッサをさらに備える、請求項26に記載の分析機器。
【請求項35】
前記プロセッサは、前記クロマトグラフィカラムが前記第2の温度に達した後、前記ファンをオフにするか、または前記ファンを減速するように構成されている、請求項34に記載の分析機器。
【請求項36】
前記断熱チャンバは、熱を除去して前記クロマトグラフィカラムを冷却するために、前記第1の循環空気流路内の空気から熱を受け取ることができる第2のプレートをさらに備える、請求項26に記載の分析機器。
【請求項37】
前記機器の前記ハウジングは、前記断熱チャンバの前記第2のプレートとして構成されている、請求項36に記載の分析機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の特定の構成は、断熱チャンバに関する。より詳細には、特定の構成は、分析機器内のクロマトグラフィカラムを熱的に分離することができるチャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
クロマトグラフィシステムは、カラムを使用して分析物を互いに分離する。クロマトグラフィシステムの構成に応じて、クロマトグラフィカラムはしばしばクロマトグラフィ分離中に加熱される。
【0003】
概要
一態様では、断熱チャンバは、第1のプレートと、第2のプレートと、断熱障壁とを備える。特定の実施形態では、断熱チャンバは、クロマトグラフィカラムを受け取り、受け取ったクロマトグラフィカラムを断熱チャンバ内の他の構成要素から熱的に分離するように構成される。他の実施形態では、断熱チャンバは、断熱障壁と第1のプレートとの間および断熱障壁と第2のプレートとの間に第1の循環空気流路を備え、第1の循環空気流路は、空気流を受け取り、受け取った空気流を受け取ったクロマトグラフィカラムに供給して、受け取ったクロマトグラフィカラムから熱を除去し、除去された熱を第1のプレートおよび第2のプレートの一方または両方に伝達するように構成される。
【0004】
特定の構成では、断熱チャンバは、第1の循環空気流路を通る空気流を提供するファンとして構成された冷却装置を備える。他の構成では、冷却要素が断熱チャンバ内に存在し、ファンは冷却要素に熱的に結合されて、冷却空気を第1の循環空気流路に供給する。特定の実施形態では、冷却要素はファンの下流にある。他の実施形態では、冷却要素はファンの上流にある。特定の実施形態では、第1のプレートおよび第2のプレートの少なくとも一方はヒートシンクを備える。いくつかの実施形態では、第1のプレートおよび第2のプレートの少なくとも一方は、第1の循環空気流路を通る空気流の温度を低下させるために冷却されるように構成される。他の実施形態では、第1のプレートおよび第2のプレートの各々は、第1の循環空気流路を通る空気流の温度を低下させるように冷却されるように構成される。いくつかの実施形態では、第1のプレートおよび第2のプレートの少なくとも一方は、チャンバの外側の外部ヒートシンクに熱的に結合される。他の実施形態では、第1のプレートおよび第2のプレートの一方に熱的に結合された少なくとも1つのヒートパイプが存在する。特定の実施形態では、第1のプレートは取り外し可能であり、第2のプレートはクロマトグラフィシステムのハウジングの一部である。他の実施形態では、第1のプレートは金属材料を含む。特定の構成では、金属材料の熱伝導率は、少なくとも150ワット/メートル・ケルビンである。他の構成では、周囲空気がクロマトグラフに入るのを防ぐために周囲環境から密封されたクロマトグラフ内に断熱チャンバが存在する。いくつかの構成では、第1のプレートおよび第2のプレートの少なくとも一方は、内部チャネルまたは孔を備える。
【0005】
別の態様では、クロマトグラフの断熱チャンバ内の熱的に分離されたクロマトグラフィカラムの温度を制御する方法が記載される。特定の構成では、本方法は、熱的に分離されたクロマトグラフィカラムを備える断熱チャンバ内の第1の循環空気流路に空気を循環させて、熱的に分離されたクロマトグラフィカラムを第1の温度から第1の温度より低い第2の温度に冷却するステップを含む。
【0006】
特定の実施形態では、本方法は、クロマトグラフィ分離中に空気の循環を中断するステップ、または第1の循環空気流路を通る空気の循環を遅くするステップを含む。他の実施形態では、本方法は、クロマトグラフィ分離後に第1の循環空気流路を循環する空気の流れを継続して、熱的に分離されたクロマトグラフィカラムを第1の温度から第1の温度より低い第2の温度まで冷却するステップを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、別のクロマトグラフィ分離の開始前に、熱的に分離されたクロマトグラフィカラムから熱を除去し、熱的に分離されたクロマトグラフィカラムを第2の温度に戻すために、第1の循環空気流を通って循環する空気の温度を低下させるステップを含む。特定の構成では、本方法は、外部冷却空気を第1の循環空気流路に導入して、クロマトグラフィカラムの温度を第2の温度に低下させるステップを含む。他の構成では、本方法は、クロマトグラフィカラムを第2の温度に冷却するために断熱チャンバの第1のプレートを冷却するステップを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、断熱チャンバ内のファンを使用して、第1の循環空気流路を通して空気を供給するステップを含む。特定の実施形態では、本方法は、断熱チャンバ内の冷却要素を使用して、第1の循環空気流路を通って循環する空気を冷却するステップを含む。他の実施形態では、本方法は、クロマトグラフィカラムに熱的に結合された加熱要素を使用してクロマトグラフィカラムを第2の温度から第1の温度に加熱するステップと、加熱要素によって提供される温度を低下させ、断熱チャンバ内のファンを使用して空気を循環空気流路を通して循環させることによって、クロマトグラフィカラムを第1の温度から第2の温度に冷却するステップとを含む。特定の例では、本方法は、クロマトグラフィカラムの温度を第1の温度まで上昇させるために、第1の循環空気流路を循環する空気を加熱するステップを含む。
【0007】
さらなる態様では、分析機器は、ハウジングと、断熱チャンバと、クロマトグラフィカラム空間とを備える。分析機器はまた、必要に応じて注入器および他の構成要素を備えてもよい。いくつかの構成では、断熱チャンバは第1のプレートを備える。特定の実施形態では、断熱チャンバは、クロマトグラフィカラムをハウジング内の他の構成要素から熱的に分離するように構成される。特定の実施形態では、断熱チャンバは、第1のプレートから形成された第1の循環空気流路と、断熱チャンバ内の断熱障壁とを備え、第1の循環空気流路は、第1の循環空気流路内の空気流をクロマトグラフィカラムに供給して、受け取ったクロマトグラフィカラムから熱を除去するように構成され、断熱チャンバは、除去された熱を第1のプレートに伝達するように構成される。
【0008】
特定の実施形態では、分析機器は、クロマトグラフィカラムに流体的に結合して、クロマトグラフィカラムから分離された分析物を受け取り、受け取った分離された分析物をイオン化するように構成されたイオン化源を備える。いくつかの実施形態では、分析機器は、イオン化された分析物を受け取るように構成された質量分析器を備える。例えば、質量分析装置は、イオントラップまたは他の質量分析器を備えてもよい。特定の構成では、分析機器は検出器をさらに備える。
【0009】
いくつかの実施形態では、クロマトグラフィカラムに熱的に結合し、クロマトグラフィカラムを第1の温度から第2の温度に加熱するように構成された加熱要素が存在する。特定の実施形態では、加熱要素は、クロマトグラフィカラムと物理的に接触するように構成される。他の実施形態では、クロマトグラフィカラムは加熱要素の周りに巻き付けられる。
【0010】
特定の構成では、分析機器は、クロマトグラフィ分離後にファンをオンにして、熱的に分離されたクロマトグラフィカラムを備える断熱チャンバ内の第1の循環空気流路に空気を循環させて、熱的に分離されたクロマトグラフィカラムを第1の温度から第1の温度より低い第2の温度まで冷却することによって、クロマトグラフィカラムを冷却するように構成されたプロセッサを備える。いくつかの実施形態では、プロセッサは、クロマトグラフィカラムが第2の温度に達した後、ファンをオフにするか、またはファンを減速するように構成される。
【0011】
特定の実施形態では、断熱チャンバは、熱を除去してクロマトグラフィカラムを冷却するために、第1の循環空気流路内の空気から熱を受け取ることができる第2のプレートをさらに備える。いくつかの構成では、機器のハウジングは、断熱チャンバの第2のプレートとして構成される。
【0012】
さらなる態様、実施形態、特徴、構成および構成要素を以下により詳細に説明する。
図面のいくつかの概観の簡単な説明
特定の態様、実施形態、構成、および特徴は、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】いくつかの実施形態による、クロマトグラフィ装置のハウジング内に配置されたチャンバの一般化された図を示すブロック図である。
図1B】いくつかの例による、断熱障壁内に第1のプレートおよび第2のプレートを備えるチャンバの図である。
図1C】いくつかの構成による、容積を変更することができる断熱障壁を示す図である。
図1D】いくつかの構成による、容積を変更することができる断熱障壁を示す図である。
図2】特定の実施形態による、単一のプレートを備えるチャンバの図である。
図3A】特定の実施形態による、プレートが取り得る特定の形状を示す図である。
図3B】特定の実施形態による、プレートが取り得る特定の形状を示す図である。
図4】いくつかの実施形態による、多層プレートを示す図である。
図5A】一部の実施例による、内部チャネルを有するプレートを示す図である。
図5B】一部の実施例による、孔を有するプレートを示す図である。
図6A】特定の実施形態による、プレートに熱的に結合された加熱要素を示す図である。
図6B】特定の実施形態による、プレートに熱的に結合された加熱要素を示す図である。
図7A】特定の実施形態による、プレートに熱的に結合された冷却要素を示す図である。
図7B】特定の実施形態による、プレートに熱的に結合された冷却要素を示す図である。
図8A】特定の実施形態による、プレートまたは表面に熱的に結合された1つまたは複数のヒートシンクを示す図である。
図8B】特定の実施形態による、プレートまたは表面に熱的に結合された1つまたは複数のヒートシンクを示す図である。
図8C】特定の実施形態による、プレートまたは表面に熱的に結合された1つまたは複数のヒートシンクを示す図である。
図8D】特定の実施形態による、プレートまたは表面に熱的に結合された1つまたは複数のヒートシンクを示す図である。
図8E】特定の実施形態による、プレートまたは表面に熱的に結合された1つまたは複数のヒートシンクを示す図である。
図8F】特定の実施形態による、プレートまたは表面に熱的に結合された1つまたは複数のヒートシンクを示す図である。
図9A】いくつかの構成による、プレートに熱的に結合された能動冷却要素を示す図である。
図9B】いくつかの構成による、プレートに熱的に結合された能動冷却要素を示す図である。
図10A】特定の例による、プレートに熱的に結合された冷却ジャケットを示す図である。
図10B】特定の例による、プレートに熱的に結合された冷却ジャケットを示す図である。
図11A】いくつかの実施形態による、特定のチャンバ形状の断面を示す図である。
図11B】いくつかの実施形態による、特定のチャンバ形状の断面を示す図である。
図11C】いくつかの実施形態による、特定のチャンバ形状の断面を示す図である。
図12】特定の例による、プレートに熱的に結合された断熱材料を示す図である。
図13A】いくつかの実施形態による、チャンバ内の加熱要素を示す図である。
図13B】いくつかの実施形態による、チャンバ内の加熱要素を示す図である。
図14A】いくつかの実施形態による、チャンバ内の冷却要素を示す図である。
図14B】いくつかの実施形態による、チャンバ内の冷却要素を示す図である。
図15A】いくつかの実施形態による、チャンバ内の加熱要素および冷却要素を示す図である。
図15B】いくつかの実施形態による、チャンバ内の加熱要素および冷却要素を示す図である。
図16A】特定の実施形態による、カラムヒータアセンブリの構成要素を示す図である。
図16B】特定の実施形態による、カラムヒータアセンブリの構成要素を示す図である。
図16C】特定の実施形態による、カラムヒータアセンブリの構成要素を示す図である。
図16D】特定の実施形態による、カラムヒータアセンブリの構成要素を示す図である。
図17】特定の実施形態による、ガスクロマトグラフの特定の構成要素を示す図である。
図18】特定の例による、質量分析計にハイフネーションされたガスクロマトグラフィを示すブロック図である。
図19A】特定の実施形態による、温度勾配を示すグラフである。
図19B】特定の実施形態による、ファン速度を示すグラフである。
図20】いくつかの構成による可搬型ガスクロマトグラフ-質量分析計を示す図である。
図21】特定の実施形態による、3次元チャンバを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の利点を考慮すると、特定の構成、実施形態、および特徴をチャンバに関連して記載しているが、記載した構成、実施形態、および特徴は、チャンバに含まれ得る多くの異なる構成、実施形態、および特徴のいくつかを単に例示することを意図しているということを当業者であれば認識するであろう。追加の構成、実施形態および特徴は、この説明の利益を考慮して、当業者によって認識されるであろう。別の構成要素に対する1つの構成要素のサイズは、本明細書に記載の技術のよりユーザフレンドリな説明を容易にするために、図面において誇張されているか、歪んでいるか、そうでなければ縮尺通りに描かれていない場合がある。その特定の実施形態の説明から明らかにされない限り、特定の寸法、サイズ、形状、幾何学的形状または他の配置は必要とされないことが意図される。熱チャンバの特定の描写は、その特定の実施形態のより良い理解を容易にするために2次元で示されている。本開示の利点を考慮すると、熱チャンバは3次元であり、図示のプレートの任意の側面に加えて前面、後面、上面および底面を含むことができることが当業者によって認識されるであろう。
【0015】
詳細な説明
クロマトグラフィカラムをシステム内の1つまたは複数の他の構成要素から熱的に分離することができるチャンバの様々な図を以下に説明する。例えば、一部のクロマトグラフィ装置では、カラムを加熱するために使用されるヒータは、クロマトグラフィ装置全体の加熱をもたらすことができる。さらに、加熱後にカラムがより迅速に冷却することができるほど、クロマトグラフィ装置でより迅速かつ効率的に試験を行うことができる。クロマトグラフィ装置の特定の構成要素(例えば、プロセッサ、プリント回路基板、チップなど)は感熱性であり得るので、クロマトグラフィ装置の加熱は望ましくない可能性がある。クロマトグラフィ装置の非カラム構成要素の加熱は、例えば、クロマトグラフィ装置の構成要素が外部環境との空気の交換を防止または低減するハウジング内に封止されている小型および/または可搬型クロマトグラフィ装置において特に望ましくない可能性がある。例えば、封止されたハウジングを使用して、外部からのダストおよび汚れ粒子がクロマトグラフィ装置の内部に到達するのを防止することができる。封止されたハウジングはまた、(一例として)軍人または初期対応者が漂白剤または他の洗浄剤を使用して、「ホットゾーン」にある間に装置の外側を汚染する可能性がある化学物質を洗浄および除去する場合など、除染手順中に装置を損傷することを防止することができる。さらに、カラムが装置の他の構成要素と熱交換することができる場合、および/または周囲温度(例えば、装置が位置する環境の温度)が比較的高温(例えば、摂氏40度超)である場合、そのような小型および/または可搬型クロマトグラフィ装置においてカラムを迅速に冷却することは困難であり得る。
【0016】
特定の既存のクロマトグラフィ装置では、カラムヒータおよび他の構成要素は、様々な構成要素間で分離することなくハウジング内に閉じ込められてもよい。カラムヒータをクロマトグラフィ装置の他の構成要素から分離することにより、他の構成要素が動作中に加熱される量を低減し、クロマトグラフィ装置の性能を高めることができる。例えば、図1Aを参照すると、クロマトグラフィカラム(図示せず)を収容することができるチャンバ50のブロック図が示されている。チャンバ50は、一般に、例えば流体ライン、トラップ、注入器、ヒータ、検出器などのクロマトグラフィ装置40の他の構成要素を含むことができるより大きなハウジングまたは構造60内に配置される。クロマトグラフィカラムをクロマトグラフィ装置40のハウジング60内のチャンバ50内に収容して、ハウジング60内の他の構成要素からカラムを熱的に分離することができる。以下でより詳細に述べるように、チャンバ50内に1つまたは複数のヒータまたは冷却装置(またはその両方)が存在してもよく、あるいはチャンバ50に熱的に結合されてもよく、そのため、チャンバ50内のカラムを加熱および/または冷却することができる。チャンバ50とクロマトグラフィ装置の他の構成要素との間の熱交換を低減することにより、性能をさらに向上させることができる。チャンバ50の正確な構成は様々であり得るが、以下でより詳細に説明するように、チャンバ50は、複数の側面(例えば、3次元チャンバの面)を含むことができ、必要に応じて、他の構成要素を含むハウジング60に隣接する側面のうちの1つまたは複数は、チャンバ50からハウジング60内の他の構成要素に(またはその逆に)伝達される熱の量を減らすために断熱性(または他の方法で熱伝達に耐性)であってもよい。特定の構成では、チャンバ50は、ダスト、空気、粒子などがチャンバ50を取り囲む空間からおよび/またはハウジング60の外側の空気もしくは他の空間からチャンバ50に入ることができないように封止されてもよい。いくつかの構成では、カラムヒータを含むことができるチャンバ50からの熱がクロマトグラフィ装置40から逃げるための熱経路の存在は、性能をさらに向上させることができる。例えば、チャンバの側面のうちの1つまたは複数は、外部環境に隣接していてもよく、チャンバ50内からクロマトグラフィ装置40の他の構成要素が配置されているハウジング60内ではなく外部環境への熱伝達を容易にするための熱伝導性材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、冷却装置(例えば、ヒートシンクまたはウォータチラー)をチャンバ50の熱伝導性側面(複数可)に結合して、チャンバ50および/またはカラムまたはチャンバ50内の他の構成要素の冷却をさらに加速することができる。
【0017】
以下に記載される様々な例では、技術のより良い理解を容易にするために、クロマトグラフィカラムを機器の少なくとも1つの他の構成要素、例えばクロマトグラフィ装置から熱的に分離することができるチャンバの特定の例示的な構成が記載される。以下に説明する例示的な構成、実施形態、特徴および他の構成要素は、本明細書に記載のチャンバ内に存在するか、またはチャンバと共に使用することができるそれらの構成、実施形態、特徴および構成要素の一部にすぎない。断熱チャンバは、分離カラムまたは分離装置を加熱および冷却することが望ましい場合があるガスクロマトグラフィ(GC)、液体クロマトグラフィ(LC)または他のクロマトグラフィ技術で使用することができる。図に示されていない追加の構成要素もまた、本明細書に記載のチャンバおよび他の構成要素と共に使用することができる。例えば、クロマトグラフィカラムの温度を監視するために、熱電対または温度センサが存在し得る。以下に説明する図は、よりユーザフレンドリな説明を提供するために、1つまたは複数のプレート、表面、または他の特徴の存在を指すことができる。本開示の利点を考慮すると、本明細書に記載のチャンバは一般に3次元であり、記載のプレートに加えて前面および後面ならびに上面および底面または側面を含むことができることが当業者によって認識されるであろう。これらの他の表面または側面はまた、チャンバからの熱伝達を容易にしてもよく、または純粋に構造的であり、一般にチャンバからの熱伝達を実質的な程度まで容易にしなくてもよい。例えば、チャンバ内の全体的な空気流に応じて、前面および後面は、チャンバからの熱除去を容易にするために熱伝導性ではなく、密閉されたチャンバを提供する構造であってもよい。以下の説明では、チャンバのより良い特定の他の構成要素および構成を示すために、前面および後面は省略される。
【0018】
特定の実施形態では、クロマトグラフィカラムは、典型的にはクロマトグラフィカラムの内面に存在するコーティングである固定相を含む。移動相、例えば気体または液体は、分析物をクロマトグラフィカラムに運び、固定相からの分析物の示差的な吸着および脱着が分析物を分離するように作用することができる。個々の分析物は、カラムから溶出することができ、クロマトグラフィカラムの出口に流体的に結合された検出器または他の構成要素に提供することができる。クロマトグラフィカラムは、多くの異なる形状および構成をとることができ、クロマトグラフィカラムが占める空間の量を減少させながらその全長を増加させるためにコイル状であることが多い。クロマトグラフィカラムは、分析物の分離を容易にするためにクロマトグラフィ分離中に加熱されることが多い。一般に、クロマトグラフィカラムの温度が高いと、分析物の拡散速度が速くなり、固定相から移動相への移動が増加し、分離が改善される。分析物は、キャリアガスの流量に少なくとも部分的に基づいてカラムを通過する。クロマトグラフィカラムの温度変動は、保持時間の精度および正確性の低下をもたらし得る。例えば、クロマトグラフィ機器またはクロマトグラフ内の他の構成要素から放出される熱は、クロマトグラフィカラム温度に望ましくない影響を及ぼす可能性がある。さらに、加熱後にクロマトグラフィカラムが冷却されると、残留熱が機器の内部構成要素に伝達され、連続的なクロマトグラフィ分離におけるカラム温度を適切に制御することおよび/または機器内のそれらの構成要素を加熱することの困難さを増大させる可能性がある。
【0019】
特定の構成では、クロマトグラフィカラムを熱的に分離することができるチャンバが記載される。チャンバの全体的な構造に応じて、チャンバは、クロマトグラフィカラムをクロマトグラフィシステム内の他の構成要素から熱的に分離することができる1つまたは複数の側面、表面、プレートまたは他の構造を含むことができる。例えば、チャンバは、チャンバを形成することができる第1のプレートおよび第2のプレートを備えることができる。断熱チャンバからクロマトグラフィシステムの他の構成要素への熱伝達を低減または防止するために、例えば第1および第2のプレートの外側に断熱材料が存在してもよい。代替的または追加的に、カラムによる熱保持を助けるために、チャンバ内のクロマトグラフィカラムの周りに断熱障壁が存在してもよい。第1および第2のプレートはまた、最終温度に達した後にチャンバからの熱の除去を容易にするために、例えば、チャンバ内のカラムを開始温度以下に戻すのを容易にするために、熱伝導性であってもよい。必要に応じて、プレートの1つまたは複数は、機器のハウジングまたはシャーシの一部であってもよい。いくつかの例では、チャンバは、クロマトグラフィカラムを受け入れるようなサイズおよび配置にすることができる。特定の実施形態では、チャンバは、受け取ったクロマトグラフィカラムと1つまたは複数のプレートとの間に1つまたは複数の循環空気流路を備える。特定の構成では、循環空気流路は、クロマトグラフィカラムが存在するチャンバまたはキャビティ内に存在する断熱障壁または断熱インサートを含むことができる。1つまたは複数のプレートを、受け取ったクロマトグラフィカラムに熱的に結合させて、熱を加えるか、熱を除去するか、またはその両方を行うことができる。例えば、空気は断熱障壁の周りを流れることができ、空気流の熱をプレートに伝達してクロマトグラフィカラムからの熱の除去を容易にすることができる。熱除去の場合、1つまたは複数のプレートは、クロマトグラフィカラムから熱を受け取り、クロマトグラフィカラムをクロマトグラフィ分離の間に冷却するように設計することができる。チャンバは、クロマトグラフィカラムをクロマトグラフの他の構成要素から熱的に分離することができるが、チャンバは、熱力学的な意味で「閉鎖系」または「分離系」である必要はない。例えば、熱、作業および物質は周囲と交換することができるが、チャンバと周囲の構成要素との間で交換される熱、作業または物質の量は、カラムと1つまたは複数のプレートとの間で交換される熱の量と比較して比較的少なく、周囲の構成要素からの熱はクロマトグラフィカラムの温度に実質的に寄与しない。クロマトグラフィカラムを熱的に分離するために使用することができるチャンバの様々な例示を以下に記載する。
【0020】
特定の実施形態では、図1Bを参照すると、断熱障壁110と、第1のプレート130と、第2のプレート140とを備えるチャンバ105の簡略図が示されている。注入器115が示されており、典型的にはカラム120に流体的に結合されて注入器115からカラム120に試料を供給する。いくつかの例では、チャンバの少なくとも一方の他の側面、例えば側面160は、クロマトグラフハウジングもしくはシャーシによって、またはクロマトグラフの他の構成要素からチャンバ105への熱侵入を一般に阻止もしくは低減し、および/またはチャンバ105から離れてクロマトグラフの他の構成要素への熱伝達を低減する他のプレートもしくは構造によって形成することができる。装置150、例えばファン、空気ポンプなどは、チャンバ105内の空気を循環させるように作用することができる。例えば、空気は、一般に、断熱障壁110の外面の周りを流れ、カラム120から熱を除去するためにカラム120の表面を横切って流れることができる。この熱は、空気が障壁110の周りを強制的に流れるときにプレート130に伝達され得る。障壁110の周囲で装置150からプレート140に追加の空気を供給することができる。プレート140は、空気を少なくともある程度冷却し、冷却空気をカラム120に戻してカラム120をさらに冷却することができる。いくつかの実施形態では、プレート130、140の各々は、加熱または冷却要素を使用して能動的に冷却または加熱されないという点で受動的であってもよい。例えば、プレート130、140は、プレート130、140を冷却する必要なしに空気が障壁110の周りを流れるときにカラム120から熱を吸収するのに十分に大きい熱容量を有することができる。他の例では、チャンバ105内の空気の温度(および結果として生じるカラム120の温度)を制御するのを助けるために、プレート130、140のうちの1つまたは複数を能動的に冷却または加熱することができる。断熱障壁110は、典型的には、カラム120を装置150から分離するので、装置150からの空気はカラム120に直接接触せず、障壁110の周囲を流れてカラム120に入射することができる。カラム120と装置150との間に断熱障壁110を配置することによって、装置150を、カラム120の加熱中にしばしば使用される高温から少なくともある程度保護することもできる。障壁110は、装置150と直接接触していてもよく、または装置150からある程度離間していてもよい。
【0021】
いくつかの例では、固定された断熱障壁材料の場合、断熱障壁の存在によって生成される流路の全体寸法は固定されてもよい。例えば、障壁110は、カラム120の加熱および冷却中に寸法が一般に変化しない断熱材料を含むインサートを備えることができる。他の例では、断熱障壁110は、使用中に障壁110の全体寸法を変更することができるように、拡張可能または構成可能であってもよい。図1Cは、障壁170が第1の温度の第1の体積を備える図を示す。図1Dでは、第2の温度で障壁180を提供するために体積が増加している。例えば、装置150がファンである場合、障壁170の表面とチャンバの壁との間の空間を減少させることによって一定のファン速度で空気流の速度を増加させるために、より高い温度で障壁の全体の体積を増加させることが望ましい場合がある。障壁が膨張可能なブラダとして構成されている場合、障壁を空気で膨張させることによって障壁の体積を増加させることができる。障壁の体積を拡大することにより、装置150をチャンバ上の他の構成要素からさらに熱的に分離して、装置150を保護することもできる。いくつかの例では、チャンバ内の障壁は、体積が温度の上昇と共に増加し、温度の低下と共に減少することができる材料を含むことができる。必要に応じて、第1の断熱障壁をチャンバから手動で取り外し、第2のより大きな断熱障壁と交換して、チャンバを通る全体的な空気流を変更することができる。
【0022】
特定の実施形態では、断熱障壁またはインサートは、一般に急速に加熱されないように、高い熱容量を有する材料から製造することができる。本明細書に記載の断熱障壁に使用することができる例示的な材料には、セラミックウール、グラスウール、ストーンウール、ポリイミド発泡体などの発泡体または他の材料が含まれるが、これらに限定されない。必要に応じて、断熱障壁は、クロマトグラフィシステムの動作中にカラムからの熱の除去をさらに支援するために能動的または受動的に冷却され得る。
【0023】
特定の実施形態では、チャンバの3つの側面は、機器シャーシまたはハウジングから形成されてもよい。例えば、クロマトグラフハウジングの上面、側面および底面は、単一のプレートと共に、クロマトグラフィカラムをクロマトグラフ内の他の構成要素から熱的に分離するために使用することができるチャンバを形成することができる。1つの図が図2に示されており、チャンバ200は、クロマトグラフハウジングのプレート210および側面220、230、240から形成されている。装置250、例えばファン、空気ポンプなどは、チャンバ200内の空気を循環させるように作用することができる。断熱障壁またはインサート205は、カラム260を装置250から分離し、空気が障壁205の周囲を流れるように空気流路を形成する。例えば、空気は、装置250によって供給され、プレート210に流れ、カラム260の表面に入射し、次いで側面230の表面に入射してカラム260から熱を除去することができる。図示されていないが、プレート210または側面230または両方は、任意選択的に、ヒートシンク、加熱要素、冷却要素または他の機構を含むことができる。装置250からプレート210に追加の空気を供給することができる。プレート210は、空気を少なくともある程度冷却し、冷却空気をカラム260に戻してカラム260をさらに冷却することができる。いくつかの実施形態では、プレート210は、加熱または冷却要素を使用して能動的に冷却または加熱されないという点で受動的であってもよい。例えば、プレート210は、プレート210を冷却する必要なしにカラム260から熱を吸収するのに十分に大きい熱容量を有することができる。他の例では、チャンバ200内の空気の温度(および結果として生じるカラム260の温度)を制御するのを助けるために、プレート210および側面230の一方または両方を能動的に冷却または加熱することができる。
【0024】
特定の実施形態では、プレートは、多くの異なる形状およびサイズを採用することができる。例えば、長方形のプレート310が図3Aに示されている。長方形プレート310は、単一の材料または材料の組み合わせから製造することができる。例えば、長方形プレート310は、チャンバに向かって内側を向く表面上に金属コーティングを含み、他の表面上に異なる材料を含むことができる。必要に応じて、2つ以上の長方形のプレートを一緒に挟んで、チャンバの片側に存在する多層プレートとして使用することができる。あるいは、長方形のプレートは、長方形のプレート以外のプレートと共に使用することができる。以下に述べるように、長方形のプレートは、望ましくは、熱伝導性である少なくとも1つの材料を含み、そのため、カラムが存在するチャンバによって形成されたカラム空間に/から熱を伝達することができる。いくつかの例では、長方形のプレートは、約5cm~約20cmの長さ、約3cm~約15cmの幅、および約0.5mm~約5mmの厚さを有するが、チャンバの全体構成および能動冷却がチャンバと共に使用されるかどうかに応じて他の寸法が使用されてもよい。プレート310の厚さは、その長さまたは幅に沿って同じである必要はない。例えば、必要に応じて、特定の領域の厚さを増加させることができる。いくつかの実施形態では、長方形のプレート310は、チャンバの一端または側面に結合することができ、チャンバへの異なるクロマトグラフィカラムの挿入および取り外しを可能にするために取り外すことができる。長方形のプレート310が存在する場合、チャンバの全体積は、約1000cm~約1万cmで変化し得る。
【0025】
いくつかの構成では、プレートは、図3Bに示すように円形プレート320であってもよい。円形プレート320は、クロマトグラフィカラムを受け入れるように構成された円筒形または円形のチャンバの端部で使用することができる。例えば、円筒形のチャンバは、硬い曲がりまたは角度が存在するチャンバよりも改善された空気循環を提供することができる。円形プレート320は、単一の材料または材料の組み合わせから製造することができる。例えば、円形プレート320は、チャンバに向かって内側を向く表面上に金属コーティングを含み、他の表面上に異なる材料を含むことができる。必要に応じて、2つ以上の円形プレートを一緒に挟んで、チャンバの片側に存在する多層円形プレートとして使用することができる。あるいは、円形プレートは、円形プレート以外のプレートと共に使用することができる。後述するように、円形プレート320は、望ましくは、熱伝導性である少なくとも1つの材料を含み、そのため、クロマトグラフィカラムが存在するチャンバによって形成されたカラム空間に/から熱を伝達することができる。いくつかの例では、円形プレート320は、約10cm~約50cmの直径および約1mm~約3mmの厚さを有する。プレート320の厚さは、その表面全体に沿って同じである必要はない。例えば、必要に応じて、特定の領域の厚さを増加させることができる。いくつかの実施形態では、円形プレート320は、チャンバの一端または側面に結合することができ、チャンバへの異なるクロマトグラフィカラムの挿入および取り外しを可能にするために取り外すことができる。円形プレート320が存在する場合、チャンバの全体積は、約1000cm~約1万cmで変化し得る。
【0026】
長方形および円形のプレートが具体的に説明および図示されているが、長方形および円形以外のプレート形状を代わりに使用することができる。例えば、三角形、楕円形、台形、正方形または他のプレート形状を代わりに使用することができる。カラムを熱的に分離することができるチャンバを形成するために2つ以上のプレートが使用される場合、プレートは、同じ形状、厚さまたは他の寸法を有する必要はない。さらに、構造はプレートである必要さえなく、代わりに、チャンバからの熱伝達を容易にすることができる任意の形状のチャネル、表面、パイプまたはダクトであってもよい。
【0027】
特定の実施形態では、1つまたは複数のプレート(またはチャンバからの熱除去を容易にすることができるチャンバの表面)に使用される正確な材料は変化し得る。いくつかの構成では、プレートの一方に存在する材料の少なくとも一部は、少なくとも150ワット/メートル-ケルビン、200ワット/メートル-ケルビン以上の熱伝導率を有することができる。プレート全体は、単一の材料または材料の組み合わせから製造することができる。さらに、プレートの異なる領域は、必要に応じて異なる材料を含んでもよい。材料は、実質的に均一なプレート中に存在することができ、またはプレート上の層もしくはコーティング中に存在することができる。例えば、図4を参照すると、第1の層410および第2の層420を備えるプレート400が示されている。必要に応じて、第1の層410の一部は、熱伝導性材料もしくは断熱材料またはそれらの組み合わせから製造することができる。第2の層420は、1つまたは複数の熱伝導性材料から製造することができ、典型的にはチャンバに向かって内側に面する。第2の層420は、層410の長さに沿って厚さが均一であってもよく、または可変厚さを有してもよい。場合によっては、層410の一部は、層410の特定の領域または範囲を除いて、チャンバの内外への熱伝達を防止するための断熱層として機能することができ、層420は、チャンバの内部から熱を伝達するための熱伝導層である。例示的な熱伝導性材料には、ダイヤモンド、銅、銀、金、アルミニウム、金属粒子または金属ナノ粒子を有する熱伝導性プラスチック、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。例示的な断熱材料には、ガラス、発泡体、ウール、布地、フェルト、エアロゲルまたは他の材料が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、層410のいくつかの部分は中空であり、例えば空気、ヘリウム、水素、窒素、酸素、水などの液体または気体、例えばエチレングリコールなどの液体冷却剤、または層410のそれらの領域での断熱容量を増加させるための他の気体または液体で満たされてもよい。
【0028】
特定の構成では、プレートは固体である必要はないが、カラムからまたはカラムへの熱伝達を容易にするための孔、チャネルまたは他の特徴を含むことができる。図5Aを参照すると、加熱された空気を受け取り、プレート510に熱を伝達することができる内部チャネル515を備えるプレート510が示されている。内部チャネル515の存在は、カラムが冷却されているときにカラムから熱を受け取ることができる全表面積を増加させることができる。必要に応じて、複数の内部チャネルが存在してもよい。他の構成では、プレートは、熱の伝達を容易にするための孔または開口部を含むことができる。孔565を備えるプレート550の側面図を図5Bに示す。孔565は、表面積を増加させ、カラムが冷却されたときにカラムからプレート550への熱伝達を容易にするためにプレート550の孔565を通る空気循環を可能にすることができる。孔565は、プレート550の別個の層に存在することができ、またはプレート550と一体であってもよい。例えば、熱伝導性メッシュは、プレート550上の層として存在することができる。
【0029】
特定の実施形態では、本明細書で使用されるプレートは、任意選択のヒータ、加熱要素または加熱装置を備えてもよい。例えば、チャンバ内の全体的な温度を上昇させるために、プレートを所望の温度に加熱するヒータまたは加熱要素が存在してもよい。図6Aを参照すると、プレート610は、プレート610の表面612上に存在する加熱要素620を備える。表面612は、クロマトグラフィカラムを備えるチャンバの一方の側面または壁を形成することができる。この構成では、チャンバ内の循環空気は、加熱要素620によって加熱され、次いでクロマトグラフィカラムに供給されてそれを加熱することができる。図6Bに示す別の構成では、加熱要素630は、プレート610の反対の表面614に存在することができる。この第2の構成では、加熱要素630はプレート610を加熱することができる。循環空気は、表面612に沿って加熱されたプレート610に接触することができ、熱は、加熱された空気からチャンバ内のクロマトグラフィカラムに伝達され得る。例示的なヒータ、加熱要素または加熱装置には、加熱フィラメント、熱電ヒータ、ならびに他の加熱装置および加熱要素が含まれるが、これらに限定されない。加熱要素がチャンバ内にある場合、加熱要素は代わりに、必要に応じて、チャンバを形成するプレートまたは表面のうちの1つまたは複数の角の中またはその上に存在することができる。さらに、複数の加熱要素が存在してもよい。
【0030】
他の実施形態では、本明細書で使用されるプレートは、冷却器または冷却装置を備えてもよい。例えば、チャンバ内の全体的な温度を上昇させるために、プレートを所望の温度に加熱する冷却器または加熱装置が存在してもよい。図7Aを参照すると、プレート710は、プレート710の表面712上に存在する冷却要素720を備える。表面712は、クロマトグラフィカラムを収容するチャンバの一方の側面または壁を形成することができる。この構成では、チャンバ内の循環空気は、冷却要素720によって冷却され、次いでクロマトグラフィカラムに供給されてそれを冷却することができる。図7Bに示す別の構成では、冷却要素730は、プレート710の反対の表面714に存在することができる。この第2の構成では、冷却要素730はプレート710を冷却することができる。循環空気は、表面712に沿って冷却プレート710に接触することができ、冷却表面712は、循環空気から熱を受け取ってクロマトグラフィカラムを冷却することができる。例示的な冷却装置には、ペルチェクーラなどの熱電冷却器、磁気冷却装置、冷凍コイル、および同様の装置が含まれるが、これらに限定されない。冷却要素がチャンバ内にある場合、冷却要素は代わりに、必要に応じて、チャンバを形成するプレートまたは表面のうちの1つまたは複数の角の中またはその上に存在することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプレートは、プレートから熱を除去するためにヒートシンクに熱的に結合されてもよい。ヒートシンクは、プレートに物理的に接触してもよいし、材料または空気を介してプレートに熱的に結合されてもよい。図8Aを参照すると、第1のプレート810と、第2のプレート820と、断熱障壁875とを備えるチャンバ805の断面図が示されている。機器シャーシの上部および底部は側面830、840を形成することができ、または追加のプレートが存在してもよい。さらに、単一の取り外し可能なプレート、例えばプレート810のみが存在してもよく、チャンバ805の他の三辺は、機器シャーシまたはハウジングによって形成される。ヒートシンク860は、第1のプレート810の外面814上に配置されているものとして示されている。チャンバ805の使用において、カラム850は、クロマトグラフィ分離中に加熱することができる。カラム850を冷却するために、ファンまたは他の空気循環器870をオンにして、断熱障壁875の周りに循環的な空気流を生成することができる。熱が流れる空気に伝達されると、熱をプレート810、820に伝達し、チャンバ805から除去してカラム850を冷却することができる。ヒートシンク860は、プレート810から熱を伝達することによって熱の除去を容易にすることができる。必要に応じて、チャンバ805およびカラム850からの熱除去をさらに容易にするために、図8Bに示すように、第2のヒートシンク865をプレート820に熱的に結合することができる。必要に応じて、チャンバの前面および後面(図示せず)に追加のヒートシンクが存在してもよい。図示されていないが、ヒートシンク860、865の一方または両方は、ヒートシンクからの熱の除去を容易にするために、それら自体のそれぞれのファンまたは冷却要素またはその両方に熱的に結合することもできる。断熱障壁875はまた、チャンバ805からの熱の除去を容易にするために冷却されてもよい。カラム850が初期開始温度に冷却されると、空気循環を中断することができ、別のクロマトグラフィ分離を開始することができる。
【0032】
特定の構成では、チャンバの1つまたは複数の他の表面は、1つまたは複数のヒートシンクを備えてもよい。例えば、ヒートシンクは、チャンバの1つまたは複数の内面、チャンバの1つまたは複数の外面、またはその両方に存在してもよい。必要に応じて、2つ以上のヒートシンクが同じ内面または外面に存在してもよい。例示を目的として、図8Cは、内面にヒートシンク882を備えるチャンバ881を示し、図8Dは、それぞれの内面にヒートシンク882および886を備えるチャンバ885を示す。図8Eは、それぞれの内面にヒートシンク882および886と、外面にヒートシンク889とを備えるチャンバ887を示す。図8Fは、それぞれの内面にヒートシンク882および886と、それぞれの外面にヒートシンク889、893とを備えるチャンバ891を示す。ヒートシンクは、図8C図8Fにおいて同じサイズであるように示されているが、異なる表面上に異なるヒートシンクが存在することができ、2つ以上のヒートシンクが任意の1つのチャンバ内またはその上に存在する場合、ヒートシンクは、同じサイズ、構成または材料または熱容量を有する必要はない。
【0033】
特定の実施形態では、本明細書に記載のプレートは、プレートから熱を除去するために能動冷却要素に熱的に結合されてもよい。能動冷却要素は、プレートに物理的に接触してもよいし、材料または空気を介してプレートに熱的に結合されてもよい。図9Aを参照すると、第1のプレート910と、第2のプレート920と、断熱障壁975とを備えるチャンバ905が示されている。機器シャーシの上部および底部は側面930、940を形成することができ、または追加のプレートが存在してもよい。さらに、単一の取り外し可能なプレート、例えばプレート910のみが存在してもよく、チャンバ905の他の三辺は、機器シャーシまたはハウジングによって形成される。能動冷却要素960は、第1のプレート910の外面914上に配置されているものとして示されている。チャンバ905の使用において、カラム950は、クロマトグラフィ分離中に加熱することができる。カラム950を冷却するために、ファンまたは他の空気循環器970をオンにして、断熱障壁975の周りに循環的な空気流を生成することができる。熱が流れる空気に伝達されると、熱をプレート910、920に伝達し、チャンバ905から除去してカラム950を冷却することができる。能動冷却要素960は、プレート910の温度を低下させて、循環空気からプレート910への熱伝達を容易にすることができる。必要に応じて、チャンバ905およびカラム950からの熱除去をさらに容易にするために、図9Bに示すように、第2の能動冷却要素965をプレート920に熱的に結合することができる。断熱障壁975はまた、チャンバ905からの熱の除去を容易にするために冷却されてもよい。カラム950が初期開始温度に冷却されると、空気循環を中断することができ、別のクロマトグラフィ分離を開始することができる。
【0034】
他の実施形態では、本明細書に記載のプレートは、循環流体を含み得る冷却ジャケットに熱的に結合されてもよい。冷却ジャケットは、プレートに物理的に接触してもよいし、材料または空気を介してプレートに熱的に結合されてもよい。図10Aを参照すると、第1のプレート1010と、第2のプレート1020と、断熱障壁1075と、ファン1070とを備えるチャンバ1005が示されている。機器シャーシの上部および底部は、側面1030、1040を形成することができ、または追加のプレートが存在してもよい。さらに、単一の取り外し可能なプレート、例えばプレート1010のみが存在してもよく、チャンバ1005の他の三辺は、機器シャーシまたはハウジングによって形成される。冷却ジャケット1060は、第1のプレート1010の外面1014上に配置されているものとして示されている。冷却ジャケット1060は、冷却ジャケット1060を通して冷却フラッドを循環させることができるチラー1080に流体的に結合される。チャンバ1005の使用において、カラム1050は、クロマトグラフィ分離中に加熱することができる。カラム1050を冷却するために、ファンまたは他の空気循環器1070をオンにして、断熱障壁1075の周りに循環的な空気流を生成することができる。熱が流れる空気に伝達されると、熱をプレート1010、1020に伝達し、チャンバ1005から除去してカラム1050を冷却することができる。冷却ジャケット1060は、プレート1010の温度を低下させて、循環空気からプレート1010への熱伝達を容易にすることができる。必要に応じて、チャンバ1005およびカラム1050からの熱除去をさらに容易にするために、図10Bに示すように、第2の冷却ジャケット1065および第2のチラー1085をプレート1020に熱的に結合することができる。必要に応じて、冷却ジャケットのうちの1つまたは複数を断熱障壁1075に熱的に結合することができ、あるいは断熱障壁1075を別の方法で冷却することができる。カラム1050が初期開始温度に冷却されると、空気循環を中断することができ、別のクロマトグラフィ分離を開始することができる。
【0035】
特定の実施形態では、チャンバおよびプレートの形状は、チャンバを通る所望の空気流を提供するように選択することができる。例えば、断熱チャンバ1110は、図11Aに示すような長方形の形状であってもよい。必要に応じて、フィンの有無にかかわらず閉鎖されたチャネルまたは管は、チャンバまたはその一部として機能することができる。例えば、平坦な表面から突出する管は、熱除去を容易にするために表面積を増加させることができる。特定の構成では、チャンバ自体は、1つまたは複数のプレートによって、または機器のハウジングもしくはシャーシと組み合わせたプレートによって形成することができる。単一のプレートが存在する特定の構成では、単一のプレートは望ましくは取り外し可能であるので、チャンバの内部へのアクセスは、クロマトグラフィカラム1120の設置および取り外しを可能にすることが可能である。いくつかの構成では、チャンバ内の空気流を改善するために、チャンバの内面は丸みを帯びていてもよく、または柔らかい屈曲部を有していてもよい。例えば、図11Bを参照すると、丸い形状を備えるチャンバ1130は、カラム1140に提供することができる改善された乱流の少ない空気流を提供することができる。この乱流が少ないことにより、カラム1140の冷却速度を増加させることができる。他の構成では、チャンバは、図11Cに示すようなカラム1160を有する楕円形チャンバ1150を含む他の形状を採用してもよい。特定のチャンバ形状は必ずしも必要ではないが、クロマトグラフィカラムの構成および寸法に応じて、クロマトグラフィカラムからの熱除去を容易にするために特定のチャンバ形状を選択して使用することが望ましい場合がある。図示されていないが、典型的には、断熱障壁がチャンバ1110、1130、および1150内に存在して、循環空気流路を形成し、カラム1120、1140、および1160をそれぞれチャンバ1110、1130、および1150内の他の構成要素から熱的に断熱する。
【0036】
特定の実施形態では、本明細書に記載のチャンバは、外面上に1つまたは複数の断熱材料を含むことができる。例えば、断熱材料は、1つまたは複数のプレートから機器内の他の構成要素への熱伝達を低減するために存在することができ、および/またはチャンバの片側のみから熱を導くために存在することができる。いくつかの例では、断熱材料は、ガラス、発泡体、ウール、布地、フェルト、エアロゲルまたは他の材料のうちの1つまたは複数を含むことができる。図12を参照すると、機器シャーシまたはハウジング1205の側面に結合された第1のプレート1220を備えるチャンバ1210が示されている。断熱材料1230は、第1のプレート1220に熱的に結合されているものとして示されており、プレート1220から機器内の他の構成要素への熱伝達を低減するように作用する。断熱材料は、プレート1220に隣接して配置された別個の層として存在することができ、または例えば接着剤または他の材料を介してプレート1220に結合された材料層として存在することができる。ヒートシンク、加熱要素または冷却要素は、プレート1220と断熱層1230との間に存在することができることが望ましい。図示されていないが、典型的には、カラム(図示せず)を冷却するための循環空気流路を提供および/または形成するために、断熱障壁がチャンバ1210内に存在する。必要に応じて、断熱層1230は、断熱層1230に貫通し、かつプレート1220に熱的に結合されるヒートパイプ、ダクトまたは他の構造に熱的に結合することができ、その結果、ヒートパイプ、ダクトまたは他の構造を介して熱除去が容易になる。
【0037】
特定の実施形態では、チャンバ自体は、循環空気を加熱してクロマトグラフィカラムを加熱するためのそれぞれのヒータまたは加熱要素を備えてもよい。いくつかの例では、加熱要素は、クロマトグラフィカラムへの熱の伝達を容易にするために、チャンバ内のファンまたは空気循環器に熱的に結合することができる。図13Aを参照すると、第1のプレート1310と断熱障壁1315とを備えるチャンバ1305が示されている。チャンバ1305の他の側面は、機器シャーシまたはハウジング1302から形成される。空気流(矢印参照)に関して、ファン1320とファンの上流またはファンの正面に配置された加熱要素1330が示されている。ファンは、加熱要素1330からファン1320に熱を引き込み、障壁1315の周囲およびクロマトグラフィカラム1340に加熱された空気出力を供給することができる。加熱要素1330によって提供される温度は、クロマトグラフィ分離中に変化して、クロマトグラフィカラム1340の温度を変化させることができる。クロマトグラフィ分離が完了すると、加熱要素1330をオフにして、チャンバ1305内のカラムの冷却を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、加熱要素は、ファンからの空気が加熱要素に接触して循環空気流を加熱するように、ファンの下流または後方に配置される。図13Bを参照すると、ファン1320の下流に配置された加熱要素1350が示されている。ファン1320からの空気が加熱要素1350の上または中に吹き付けられると、空気は加熱され、障壁1315の周囲のカラム1340に供給される。この加熱された空気は、クロマトグラフィカラムに供給されてカラムを加熱することができる。必要に応じて、加熱要素1330または1350は、オーブンを使用する代わりにクロマトグラフィカラムを加熱するために使用することができる。例えば、オーブンを含まないクロマトグラフィシステムは、クロマトグラフィカラムを加熱するために熱的に分離されたチャンバ内に加熱要素を含むことができる。
【0038】
特定の実施形態では、チャンバ自体は、循環空気を冷却してクロマトグラフィカラムを冷却するためのそれぞれの冷却器または冷却要素を備えてもよい。いくつかの例では、冷却要素は、クロマトグラフィカラムへの冷却空気の循環を容易にするために、チャンバ内のファンまたは空気循環器に熱的に結合することができる。図14Aを参照すると、第1のプレート1410と断熱障壁1415とを備えるチャンバ1405が示されている。チャンバ1405の他の側面は、機器シャーシまたはハウジング1402から形成される。空気流(矢印参照)に関して、ファン1420とファンの上流または正面に配置された冷却要素1430が示されている。ファンは、冷却要素1430からより低温の空気をファン1420に引き込み、空気が断熱障壁1415の周りを流れてカラム1440に流れるときに冷却空気出力をクロマトグラフィカラム1440に供給することができる。冷却要素1430によって提供される温度は、変化することができ、または一定であってもよい。カラム1440が所望の温度に冷却されると、冷却要素1430のスイッチを切ることができ、別のクロマトグラフィ分離を開始することができる。いくつかの実施形態では、冷却要素は、ファンからの空気が冷却要素に接触して循環空気流を冷却するように、ファンの下流または後方に配置される。図14Bを参照すると、ファン1420の下流に配置された冷却要素1450が示されている。ファン1420からの空気が冷却要素1450の上または中に吹き付けられると、空気は冷却される。この冷却空気は、断熱障壁1415の周りを流れ、クロマトグラフィカラム1440に流れてカラムを冷却することができる。必要に応じて、冷却要素1430または1450は、オーブンを使用して加熱されないクロマトグラフィカラムを冷却するために使用することができる。例えば、オーブンを含まないクロマトグラフィシステムは、クロマトグラフィカラムを冷却するために熱的に分離されたチャンバ内に冷却要素を含むことができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のチャンバは、加熱要素および冷却要素を含むことができる。図15Aを参照すると、いくつかの例では、加熱要素は、クロマトグラフィカラムへの熱の伝達を容易にするために、チャンバ内のファンまたは空気循環器に熱的に結合することができる。冷却要素はまた、クロマトグラフィカラムが加熱された後にクロマトグラフィカラムを冷却するために、同じファンまたは空気循環器(またはそれ自体のそれぞれのファンまたは空気循環器)に熱的に結合することができる。図15Aを参照すると、第1のプレート1510と断熱障壁1515とを備えるチャンバ1505が示されている。チャンバ1505の他の側面は、機器シャーシまたはハウジング1502から形成される。空気流(矢印参照)に関して、ファン1520とファンの上流またはファンの正面に配置された加熱要素1530が示されている。冷却要素1535は、ファン1520の下流に配置されて示されている。ファン1520は、加熱要素1530からファン1520に熱を引き込み、断熱障壁1515によって少なくとも部分的に形成された空気流路内のクロマトグラフィカラム1540に加熱された空気出力を提供することができる。加熱中、冷却要素1535は、典型的にはオフにされる。加熱要素1530によって提供される温度は、クロマトグラフィ分離中に変化して、クロマトグラフィカラム1540の温度を変化させることができる。クロマトグラフィ分離が完了すると、加熱要素1530をオフにすることができ、冷却要素1535をオンにしてチャンバ1505内のカラムの冷却を可能にすることができる。加熱要素1530および冷却要素1535の配置は、必要に応じて逆にすることができる。例えば、図15Bを参照すると、ファン1520の下流に配置された加熱要素1550が示されている。冷却要素1555は、ファンの上流に配置されて示されている。必要に応じて、加熱要素1530、1550および冷却要素1535、1555は、オーブンを使用する代わりにクロマトグラフィカラムを加熱/冷却するために使用することができる。例えば、オーブンを含まないクロマトグラフィシステムは、クロマトグラフィカラムを加熱および冷却するために、熱的に分離されたチャンバ内に加熱要素および冷却要素を含むことができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のチャンバで使用されるカラムは、カラムヒータモジュールアセンブリ内またはその一部に存在してもよい。例えば、ヒータまたは加熱要素は、クロマトグラフィ分離中にカラムを加熱するためにカラムに物理的に接触することができる。クロマトグラフィ分離が終了した後、ヒータをオフにして、循環的な空気流がカラムを冷却できるようにしてもよい。カラムヒータモジュールの1つの図が図16A図16B図16Cおよび図16Dに示されている。ヒータモジュール1600は、円筒形カラム、毛細管カラム、または他のタイプのカラムを備えることができる。1つの構成では、カラムヒータモジュール1600は、内側カラムリング1632、中間カラムリング1634、および外側カラムリング1636を備えることができる。タブ1642も外側カラムリング1636上に設けられてもよく、それにより、タブは、内側カラムリング1632上に折り畳まれ、所望の形状でカラムヒータモジュール1600を一緒に保持することができる。内側カラムリング1632、中間カラムリング1634、および外側カラムリング1636は、プレートに関連して本明細書に記載されるような熱伝導性材料から構成されてもよい。図16Bに示すように、内側カラムリング1632と中間カラムリング1634との間に電熱線1638が配置されてもよい。さらに、中間カラムリング1634と外側カラムリング1636との間に単一層の毛細管1640が配置されてもよい。カラムの温度を決定するために温度センサも存在し得る。
【0041】
特定の実施形態では、電熱線1638は、中間カラムリング1634の内面が加熱されるように、内側カラムリング1632と中間カラムリング1634との間に配置することができる。熱が中間カラムリング1634を通ってその外面に均一に伝達され得るように、中間カラムリング1634の材料を選択することができる。電熱線1638が内側カラムリング1632に巻き付けられる正確な回数は変化し得る。いくつかの実施形態では、電熱線1638の上に配置された中間カラムリング1634の内面の加熱は、実質的に均一である。また、電熱線1638は、中間カラムリング1634の内面の加熱を妨げない限り、重なってもよい。電熱線1638は、任意の適切な厚さおよび材料であってもよい。例えば、電熱線1638は、27AWGまたは他の適切なワイヤゲージとすることができる。いくつかの例では、カラム1632は、内径約0.10mm、長さ約5.5メートルの毛細管を含み得る。これらの寸法は例示のみを目的としており、使用され得る寸法を限定するものではないことを理解されたい。場合によっては、図16Cおよび図16Dに示すように、ヒータワイヤスリーブ1652を使用して、カラムヒータアセンブリ1650を覆うことができる。カラムヒータアセンブリに使用することができる追加の適切な構成要素は、例えば、2018年1月4日に公開された国際公開第2018/005679号パンフレットに記載されている。
【0042】
特定の実施形態では、本明細書に記載のチャンバは、典型的には、ガスクロマトグラフィ(GC)システムまたはガスクロマトグラフに存在する。図17を参照すると、GCシステム1700は、流体ラインを介して圧力調整器1720に流体的に結合されたキャリアガス源1710を備える。圧力調整器1720は、本明細書に記載のチャンバ1750、例えば断熱チャンバ内のGCカラム1745に流体的に結合される。GCカラム1745はまた、注入器1740に流体的に結合される。試料は注入器1740に注入され、例えば図16A図16Dに関連して上述したように、加熱された注入器、オーブン1735、加熱要素またはカラムヒータモジュールを使用して気化される。チャンバ1750内のカラム1745は、分析種を個々の分析種成分に分離し、それらの分析種がカラム1745の出口を通って検出器1760に出ることを可能にする。検出後、矢印1765によって示されるように、残りの試料を排出することができる。クロマトグラフィ分離中、カラム1745はしばしば開始温度から最終温度まで加熱される。温度変化は、線形、段階的、または他の形態をとることができる。すべての分析物がカラム1745を出ると、チャンバ1750上のファン(図示せず)をオンにすることによってカラム1745を冷却して、カラム1745からチャンバ1750の1つまたは複数のプレートに熱を伝達することができる。チャンバ1750を通る循環的な空気流は、カラム1745から熱を除去し、それを1つまたは複数のプレートに伝達することができる。カラム1745の温度が開始温度に戻ると、新しい試料を注入器1740に注入し、プロセスを繰り返すことによって別のクロマトグラフィ分離を開始することができる。図示されていないが、カラムの温度を監視するために熱電対または温度センサが存在し得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、検出器1760は、限定はしないが、火炎イオン化検出器、熱伝導率検出器、窒素リン検出器、電子捕捉検出器、炎光光度検出器、光イオン化検出器、電解伝導率検出器、Daly検出器、質量分析計、またはクロマトグラフィシステムに一般的に見られるもしくはクロマトグラフィシステムと共に使用される他の適切な検出器を含む、ガスクロマトグラフィに一般的に使用される任意の検出器であってもよい。必要に応じて、例えば、従来の標準曲線技術および標準を使用することによって、分析物の総量を決定することができ、または1つまたは複数の分析物構成要素の特定の量を決定することができる。
【0044】
いくつかの例では、本明細書に記載のチャンバを備えるGCは、ハイフネーションされ得るか、または質量分析計にコンジュゲートされ得る。図18にはブロック図が示されており、GC1810はイオン化源1820に流体的に結合されているものとして示されている。イオン化源1820は、質量分析器1830に流体的に結合されている。質量分析器1830は、検出器1840に流体的に結合されている。分離された分析物は、GC1810からイオン化源1820に提供することができ、イオン化源は、分析物をイオン化し、イオン化された分析物をフィルタリング、選択またはその両方のために質量分析器1830に提供することができる。特定の実施形態では、使用される正確なイオン化源は変化し得る。特定の構成では、イオン化源1820は、誘導結合プラズマ、放電プラズマ、容量結合プラズマ、マイクロ波誘導プラズマ、グロー放電イオン化源、脱着イオン化源、エレクトロスプレーイオン化源、大気圧イオン化源、大気圧化学イオン化源、光イオン化源、電子イオン化源、および化学イオン化源のうちの1つまたは複数を含む。他のイオン化源およびイオン化源の組み合わせも使用することができる。
【0045】
特定の例では、質量分析器1830は、例えば四重極または他のロッドアセンブリなどの1つまたは複数のロッドアセンブリを備えることができる。質量分析器1830は、イオン化源1820から受け取られた入射ビームをサンプリングおよび/またはフィルタリングするために使用することができる1つまたは複数のイオンガイド、コリジョンセル、イオン光学系および他の構成要素をさらに備えることができる。様々な成分は、干渉種を除去し、光子を除去し、他の方法で入射イオンから所望のイオンを選択するのを助けるように選択することができる。必要に応じて、イオン光学系、コリジョンセル、イオンガイドおよび他の構成要素も存在してもよい。いくつかの例では、質量分析器1830は飛行時間型装置であってもよく、または飛行時間型装置を含んでもよい。場合によっては、質量分析器1830は、それ自体の無線周波数発生器を備えてもよい。特定の例では、質量分析器1830は、走査質量分析器、磁気セクタ分析器(例えば、単焦点および二重焦点MS装置で使用するためのもの)、四重極質量分析器、イオントラップ分析器(例えば、サイクロトロン、四重極イオントラップ)、飛行時間分析器(例えば、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型分析器)、および異なる質量電荷比を有する種を分離することができる他の適切な質量分析器とすることができる。必要に応じて、質量分析器1830は、クロマトグラフから受け取ったイオンを選択および/または識別するために、直列に配置された2つ以上の異なる装置、例えばタンデムMS/MS装置またはトリプル四重極装置を備えることができる。質量分析器は、質量分析器の様々な段階でイオンを選択するために使用される真空を提供するために真空ポンプに流体的に結合することができる。真空ポンプは、典型的には、粗面化ポンプもしくはフォラインポンプ、ターボ分子ポンプ、またはその両方である。質量分析器に存在し得る様々な構成要素は、例えば、共同所有されている米国特許第10,032,617号、同第9,916,969号、同第9,613,788号、同第9,589,780号、同第9,368,334号、同第9,190,253号、およびPerkinElmer Health Sciences社(マサチューセッツ州ウォルサム)またはPerkinElmer Health Sciences Canada社(ウッドブリッジ、カナダ)が現在所有している他の特許に記載されている。
【0046】
いくつかの例では、検出器1840を使用して、質量分析器によってフィルタリングまたは選択されたイオンを検出することができる。検出器は、既存の質量分析計、例えば、電子増倍管、ファラデーカップ、コーティングされた写真プレート、シンチレーション検出器、マルチチャネルプレートなどと共に使用することができる任意の適切な検出装置、および本開示の利益を考慮して当業者によって選択される他の適切な装置であり得る。質量分析計で使用することができる例示的な検出器は、例えば、共同所有されている米国特許第9,899,202号、同第9,384,954号、第9,355,832号、第9,269,552号、およびPerkinElmer Health Sciences社(マサチューセッツ州ウォルサム)またはPerkinElmer Health Sciences Canada社(ウッドブリッジ、カナダ)が現在所有している他の特許に記載されている。
【0047】
特定の事例では、システムはまた、典型的にはマイクロプロセッサおよび/またはコンピュータの形態をとるプロセッサ1850と、質量分析器1830に導入される試料の分析に適したソフトウェアとを備えてもよい。プロセッサ1850は、GC1810、イオン化源1820、質量分析器1830および検出器1840に電気的に結合されているように示されているが、他の構成要素にも電気的に結合することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ1850は、システムを使用する様々な動作モードのためにシステムの動作を制御および調整するために、例えばコントローラ内にまたはスタンドアロンプロセッサとして存在することができる。この目的のために、プロセッサ1850は、システムの各構成要素、例えば、1つまたは複数のポンプ、1つまたは複数の電圧源、ロッドなどに電気的に結合することができる。
【0048】
特定の構成では、プロセッサ1850は、例えば、イオン化源、ポンプ、質量分析器、検出器などの電圧を制御するために、例えばマイクロプロセッサおよび/またはシステムを動作させるための適切なソフトウェアを含む1つまたは複数のコンピュータシステムおよび/または共通のハードウェア回路に存在してもよい。いくつかの例では、システムの任意の1つまたは複数の構成要素は、その構成要素の動作を可能にするために、それ自体のそれぞれのプロセッサ、オペレーティングシステム、および他の機能を含むことができる。プロセッサは、システムと一体であってもよく、またはシステムの構成要素に電気的に結合された1つまたは複数のアクセサリ基板、プリント回路基板、またはコンピュータ上に存在してもよい。プロセッサは、典型的には、システムの他の構成要素からデータを受信し、必要または所望に応じて様々なシステムパラメータの調整を可能にするために、1つまたは複数のメモリユニットに電気的に結合される。プロセッサは、Unix(登録商標)、Intel PENTIUM(登録商標)型プロセッサ、Motorola PowerPC、Sun UltraSPARC、Hewlett-Packard PA-RISCプロセッサ、または任意の他のタイプのプロセッサに基づくものなどの汎用コンピュータの一部であってもよい。本技術の様々な実施形態に従って、任意の種類のコンピュータシステムのうちの1つまたは複数を使用することができる。さらに、システムは、単一のコンピュータに接続されてもよいし、通信ネットワークによって接続された複数のコンピュータに分散されてもよい。ネットワーク通信を含む他の機能を実行することができ、本技術は任意の特定の機能または機能のセットを有することに限定されないことを理解されたい。様々な態様は、汎用コンピュータシステムで実行される専用ソフトウェアとして実装されてもよい。コンピュータシステムは、ディスクドライブ、メモリ、またはデータを記憶するための他のデバイスなどの1つまたは複数のメモリ装置に接続されたプロセッサを含むことができる。メモリは、典型的には、様々なモードでのシステムの動作中にプログラム、較正およびデータを記憶するために使用される。コンピュータシステムの構成要素は、1つまたは複数のバス(例えば、同じ機械内に統合された構成要素間)および/またはネットワーク(例えば、別々の個別の機械に存在する構成要素間)を含むことができる相互接続装置によって結合することができる。相互接続装置は、システムの構成要素間で交換される通信(例えば、信号、データ、命令)を提供する。コンピュータシステムは、典型的には、システムの迅速な制御を可能にするために、例えば数ミリ秒、数マイクロ秒以下の処理時間内にコマンドを受信および/または発行することができる。プロセッサ1850は、典型的には、例えば、直流源、交流源、バッテリ、燃料電池、もしくは他の電源、または電源の組み合わせとすることができる電源に電気的に結合される。電源は、システムの他の構成要素によって共有され得る。システムはまた、1つまたは複数の入力デバイス、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、マイクロフォン、タッチスクリーン、手動スイッチ(例えば、オーバーライドスイッチ)、および1つまたは複数の出力デバイス、例えば、印刷デバイス、ディスプレイスクリーン、スピーカを含むことができる。さらに、システムは、(相互接続装置に加えて、または相互接続装置の代替として)コンピュータシステムを通信ネットワークに接続する1つまたは複数の通信インターフェースを含むことができる。システムはまた、システム内に存在する様々な電気装置から受信した信号を変換するための適切な回路を含むことができる。そのような回路は、プリント回路基板上に存在することができ、または適切なインターフェース、例えば、シリアルATAインターフェース、ISAインターフェース、PCIインターフェースなどを介して、または1つもしくは複数の無線インターフェース、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、近距離無線通信もしくは他の無線プロトコルおよび/もしくはインターフェースを介してプリント回路基板に電気的に結合された別個の基板もしくは装置上に存在することができる。
【0049】
特定の実施形態では、本明細書に記載のシステムで使用される記憶システムは、典型的にはコンピュータ可読および書き込み可能な不揮発性記録媒体を含み、これには、プロセッサによって実行されるプログラムによって使用され得るコードを記憶することができ、またはプログラムによって処理される情報が媒体上もしくは媒体内に記憶されている。媒体は、例えば、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、またはフラッシュメモリであってもよい。通常、動作中、プロセッサは、媒体よりもプロセッサによる情報への高速アクセスを可能にする別のメモリに不揮発性記録媒体からデータを読み込ませる。このメモリは、典型的には、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)またはスタティックメモリ(SRAM)などの揮発性ランダムアクセスメモリである。これは、記憶システムまたはメモリシステム内に配置されてもよい。プロセッサは、一般に、集積回路メモリ内のデータを操作し、次いで、処理が完了した後にデータを媒体にコピーする。媒体と集積回路メモリ素子との間のデータ移動を管理するための様々な機構が知られており、本技術はそれに限定されない。本技術はまた、特定のメモリシステムまたはストレージシステムに限定されない。特定の実施形態では、システムはまた、特定用途向け集積回路(ASIC)もしくはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの、特別にプログラムされた専用ハードウェアを含むことができる。本技術の態様は、ソフトウェア、ハードウェアもしくはファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実施することができる。さらに、そのような方法、動作、システム、システム要素、およびそれらの構成要素は、上述のシステムの一部として、または独立した構成要素として実装されてもよい。特定のシステムは、本技術の様々な態様を実施することができる1つのタイプのシステムとして例として記載されているが、態様は記載されたシステム上で実施されることに限定されないことを理解されたい。様々な態様は、異なるアーキテクチャまたは構成要素を有する1つまたは複数のシステム上で実施することができる。システムは、高レベルコンピュータプログラミング言語を使用してプログラム可能な汎用コンピュータシステムを備えることができる。システムはまた、特別にプログラムされた専用ハードウェアを使用して実装されてもよい。システムにおいて、プロセッサは、典型的には、Intel社から入手可能な周知のPentiumクラスプロセッサなどの市販のプロセッサである。他の多くのプロセッサも市販されている。そのようなプロセッサは、通常、例えば、Microsoft社から入手可能なWindows(登録商標) 95、Windows 98、Windows NT、Windows 2000(Windows ME)、Windows XP、Windows Vista、Windows 7、Windows 8もしくはWindows10オペレーティングシステム、Snow Leopard、Lion、Mountain LionなどのMAC OS X、またはAppleから入手可能な他のバージョン、Sun Microsystemsから入手可能なSolarisオペレーティングシステム、または様々なソースから入手可能なUNIX(登録商標)もしくはLinux(登録商標)オペレーティングシステムであり得るオペレーティングシステムを実行する。多くの他のオペレーティングシステムが使用されてもよく、特定の実施形態では、コマンドまたは命令の単純なセットがオペレーティングシステムとして機能してもよい。
【0050】
特定の例では、プロセッサおよびオペレーティングシステムは、高レベルプログラミング言語のアプリケーションプログラムを書き込むことができるプラットフォームを共に定義することができる。本技術は、特定のシステムプラットフォーム、プロセッサ、オペレーティングシステム、またはネットワークに限定されないことを理解されたい。また、本開示の利点を考慮すると、本技術が特定のプログラミング言語またはコンピュータシステムに限定されないことは当業者には明らかである。さらに、他の適切なプログラミング言語および他の適切なシステムも使用できることを理解されたい。特定の例では、ハードウェアまたはソフトウェアは、認知アーキテクチャ、ニューラルネットワーク、または他の適切な実装形態を実装するように構成することができる。所望に応じて、コンピュータシステムの1つまたは複数の部分は、通信ネットワークに結合された1つまたは複数のコンピュータシステムにわたって分散されてもよい。これらのコンピュータシステムはまた、汎用コンピュータシステムであってもよい。例えば、様々な態様は、1つまたは複数のクライアントコンピュータにサービス(例えば、サーバ)を提供するように、または分散システムの一部としてタスク全体を実行するように構成された1つまたは複数のコンピュータシステム間で分散されてもよい。例えば、様々な態様は、様々な実施形態による様々な機能を実行する1つまたは複数のサーバシステムに分散された構成要素を含むクライアント-サーバまたは多層システム上で実行されてもよい。これらの構成要素は、通信プロトコル(例えば、TCP/IP)を使用して通信ネットワーク(例えば、インターネット)を介して通信する実行可能コード、中間コード(例えば、IL)または解釈されたコード(例えば、Java(登録商標))であってもよい。本技術は、任意の特定のシステムまたはシステムのグループ上で実行することに限定されないことも理解されたい。また、本技術は、いかなる特定の分散アーキテクチャ、ネットワーク、または通信プロトコルにも限定されないことを理解されたい。
【0051】
場合によっては、例えば、SQL、SmallTalk、Basic、Java、Javascript、PHP、C++、Ada、Python、iOS/Swift、Ruby on RailsまたはC#(C-Sharp)などのオブジェクト指向プログラミング言語を使用して、様々な実施形態をプログラムすることができる。他のオブジェクト指向プログラミング言語も使用されてもよい。あるいは、関数、スクリプト、および/または論理プログラミング言語が使用されてもよい。様々な構成を、プログラムされていない環境(例えば、ブラウザプログラムのウィンドウに表示されたときに、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)の態様をレンダリングし、または他の機能を実行するHTML、XML、または他のフォーマットで作成された文書)で実施することができる。特定の構成は、プログラムされたまたはプログラムされていない要素、またはそれらの任意の組み合わせとして実施されてもよい。いくつかの例では、システムは、有線または無線インターフェースを介して通信することができ、かつ所望に応じてシステムの遠隔操作を可能にするモバイル装置、タブレット、ラップトップコンピュータ、または他のポータブル装置上に存在するものなどのリモートインターフェースを備えることができる。
【0052】
特定の構成では、クロマトグラフィカラムに存在する正確な材料は、分離される分析物に応じて異なり得る。材料は、親水性、疎水性、または親水性材料と疎水性材料との組み合わせであり得る。カラムのハウジングは、ガラス、ステンレス鋼、またはチャンバで使用されるプレートに関連して説明した熱伝導性材料の1つであってもよい。特定の実施形態では、カラムは、コイル、円筒、毛細管、分離チップ、分離カートリッジまたは他の形態の形態をとってもよい。使用される正確な移動相は、少なくとも部分的に、分離される分析物およびカラム固定相材料に依存し得る。GCが行われる例示的な移動相には、窒素、ヘリウム、水素、アルゴン、二酸化炭素、周囲環境空気が含まれるが、これらに限定されない。非GC用途では、水性および非水性液体を移動相として使用することができる。
【0053】
特定の構成では、医薬品、石油製品、化学兵器剤、ヒ素/ヒ酸塩、金属、非金属、炭化水素、例えば1つまたは複数の炭素原子を有する炭化水素、芳香族、および他の有機および無機材料を含むがこれらに限定されない本明細書に記載のシステムおよびチャンバを使用して、多くの異なる分析物を分離することができる。いくつかの例では、この系を使用して、多環芳香族炭化水素、フェノール化合物、フタル酸エステル、有機塩化物、有機リンおよびピレスロイド農薬ならびに除草剤を分離および検出することができる。試料は、揮発性有機化合物(VOC)または半揮発性有機化合物(SVOC)を含むことが多い。
【0054】
特定の実施形態では、時間の関数としてのカラム温度のグラフ表示を図19Aに示す。時間の関数としてのチャンバ内のファンのファン速度を図19Bに示す。クロマトグラフィ分離中、カラムの温度は、吸着された分析物の脱着を容易にするために初期温度Tから最終温度Tまで上昇することが多い。この温度上昇は、線形、段階的、または他の形態をとることができる。線形温度勾配を図19Aに示す。初期温度Tから最終温度Tまでのカラム加熱中、ファンは停止したままである。すべての分析物がカラムから溶出すると、ファンは時間tでオンになり、チャンバ内の循環的な空気流および熱伝達を容易にする。ファンは、カラムが時間tで初期温度Tに戻るまでオンのままであり得る。その後、ファンはオフにされる。別のクロマトグラフィ分離を開始することができ、カラムを再び初期温度Tから最終温度Tまで加熱する。ファンは、循環的な空気流および熱伝達を容易にするために時間tで再びオンにされ、カラムが時間tで初期温度Tに戻るまでオンのままである。このプロセスを繰り返して、さらなるクロマトグラフィ分離のためにカラムを初期温度Tに急速に冷却して戻すことができる。初期温度および最終温度は、例えば、初期温度では摂氏約25度、最終温度では摂氏約400度、または初期温度では摂氏約50度、最終温度では摂氏約300度変化し得る。分離および検出される分析物に応じて、異なる初期温度および最終温度を使用することができる。ファンがオンのままである時間は、約30秒から約10分まで、より具体的には約1分から約8分まで、または約2分から約5分まで変化し得る。正確なファン稼働時間は、少なくとも部分的に、周囲環境、使用される初期および最終温度、ならびにプレートおよび全体のサイズおよびチャンバで使用される材料に依存し得る。
【0055】
特定の実施形態では、本明細書に記載のシステムは、可搬型クロマトグラフ、例えば可搬型GCまたは可搬型GC-MSとして構成され得る。いくつかの構成では、可搬型機器は、1人のユーザ、例えば1人の人間が携帯し、所望の場所に配置することができるブリーフケースまたはバックパック機器の形態をとることができる。他の例では、可搬型クロマトグラフは、例えばタンク、自動車、トラック、飛行機、軍用車両などの車両に(恒久的にまたは取り外し可能に)取り付けることができ、現場での分析のために車両と共に場所から場所へ移動することができる。図20には、可搬型機器2000がハウジング2005と、ハンドル2010と、入力画面2020とを備える図が示されている。ハウジング2005は、本明細書に記載の断熱チャンバの一部を形成することができる。例えば、ハウジング2005の上面、側面、および底面は、分離チャンバの3つの側面を形成してもよく、プレートは、第4の側面を形成してもよい。可搬型機器2000は、それ自体の搭載電源、可搬型ガス源および/または内部ガス発生器、クロマトグラフィカラムを受け入れる空間、検出器、プロセッサ、ならびに現場で遠隔的に試料の分析を可能にする他の電子機器を備えることができる。可搬型機器の全重量は、単一の操作者による輸送および使用を容易にするために、50キログラム以下、より具体的には30キログラム以下または25キログラム以下とすることができる。可搬型機器は、例えば質量分析計などのそれ自体の搭載検出器を備えてもよい。
【0056】
特定の実施形態では、3次元チャンバが図21に示されている。チャンバ2100は、GCカラム2115を受け入れることができるカラムチャンバ2110を備える。断熱シェル2120が、カラムチャンバ2110の周りに示されている。循環チャネル2130が存在し、冷却ファンチャンバ2145内の冷却ファン2140から冷却空気を受け取ることができる。熱交換器は、部位2150および/または部位2155でチャンバに結合することができ、あるいは部位2150、2155に既に存在することができる。チャンバ2100を別の装置またはシステム内に保持することができる取り付けブラケット2160が示されている。必要に応じて、チャンバ2100は、チャンバ2100を取り囲む空間からダスト、空気、粒子などがチャンバ2100に入ることができないように封止されてもよい。
【0057】
本明細書に開示される例の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、1つまたは複数の要素があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、オープンエンドであることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。本開示の利点を考慮すると、実施例の様々な構成要素は、他の実施例の様々な構成要素と交換または置換することができることが当業者によって認識されるであろう。
【0058】
特定の態様、例、および実施形態を上述したが、本開示の利益を考慮すると、開示された例示的な態様、実施例、および実施形態の追加、置換、修正、および変更が可能であることが当業者によって認識されるであろう。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図16D
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21
【国際調査報告】