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特表2023-543370プラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法及び炭化ケイ素トレー
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  • 特表-プラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法及び炭化ケイ素トレー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-16
(54)【発明の名称】プラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法及び炭化ケイ素トレー
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/569 20060101AFI20231006BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
C04B35/569
H01L21/302 101G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523127
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 CN2021124993
(87)【国際公開番号】W WO2023024234
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202110977609.4
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522154490
【氏名又は名称】南通三責精密陶瓷有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANTONG SANZER PRECISION CERAMICS CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】NO.18 Wuyi Road,Technology Industry Park,Nantong,Jiangsu 226000,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲イェン▼ 永杰
(72)【発明者】
【氏名】姚 玉▲シ▼
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004BB29
(57)【要約】
本願は、トレー技術分野に属し、具体的にはプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法及び炭化ケイ素トレーに関する。炭化ケイ素トレーの製造方法は、(1)固相焼結システムにおける炭化ケイ素造粒粉体を使用し、最初に乾式プレス、次に静水圧プレス又は直接静水圧プレスによって寸法要件を満たした炭化ケイ素ブランクを成形するブランク成形ステップと、(2)プラズマエッチングトレーの最終寸法及び高温焼結収縮率に基づき、外円、全体厚さ、表裏面溝深さに一定の焼結代を確保し、成形されたブランクを加工するブランク加工ステップと、(3)加工された炭化ケイ素トレーブランクを高温焼結する高温焼結ステップと、(4)最初にトレーの外円に対して精密研磨及び平面研磨を行い、その後、裏面溝深さを基準にしてトレーの裏面を加工し、更にトレーの全体厚さの要件を基準にしてトレーの表面を加工し、最後に溝深さの要件を満たす限り、ウェハスロットの精密研磨加工を行う仕上げ加工ステップとを含む。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)固相焼結システムにおける炭化ケイ素造粒粉体を使用し、最初に乾式プレス、次に静水圧プレス又は直接静水圧プレスによって寸法要件を満たした炭化ケイ素ブランクを成形するブランク成形ステップと、
(2)プラズマエッチングトレーの最終寸法及び高温焼結収縮率に基づき、外円、全体厚さ、表裏面溝深さに一定の焼結代を確保し、成形された炭化ケイ素ブランクに対してマシニングセンタによる加工を行うブランク加工ステップと、
(3)加工された炭化ケイ素トレーブランクを高温焼結する高温焼結ステップと、
(4)最初にトレーの外円に対して精密研磨及び平面研磨を行い、その後、裏面溝深さの要件を基準にしてトレーの裏面を加工し、更にトレーの全体厚さの要件を基準にしてトレーの表面を加工し、最後に溝深さの要件を満たす限り、ウェハスロットの精密研磨加工を行う仕上げ加工ステップと、を含むことを特徴とするプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(2)のブランク加工において、表面溝に溝の外部輪郭が加工され、溝内にステップ(3)の高温焼結中に支持作用を果たすための加工をして除去されていない支持部分が保留されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項3】
前記支持部分は、表面溝と同心円の円環構造であり、前記円環構造は少なくとも1つであることを特徴とする請求項2に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項4】
前記円環構造は、ステップ(2)のブランク加工で得られた表面溝を直径で均等に分割し、前記円環構造のリングの幅は5mm~15mmであることを特徴とする請求項3に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(3)の高温焼結は積層焼結であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項6】
前記積層焼結は、加工された炭化ケイ素トレーブランクをグラファイト板の間に固定して高温焼結し、焼結歪みを制御することを特徴とする請求項5に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項7】
前記グラファイト板のトレーブランクに接触する面に排気溝が設けられており、前記グラファイト板の厚さは10mm~15mmであり、前記排気溝の深さは0.2mm~3mmであることを特徴とする請求項6に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項8】
前記ステップ(3)の高温焼結後、トレー裏面の加工代は0.05mm~0.2mmであり、トレー表面の加工代は0.2mm~0.3mmであり、
前記ステップ(4)のトレー裏面を加工することは、トレー裏面に対して0.05mm~0.2mmの平面加工を行うことであり、トレー表面を加工することは、トレー表面に対して0.2mm~0.3mmの平面加工を行うことであり、ウェハスロットの精密研磨加工は、トレー表面の溝に対して0.1mm~0.2mmの精密研磨加工を行うことであり、
前記ステップ(4)でトレー裏面を加工した後、トレー裏面の溝深さは0.15mm~0.2mmであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項9】
加工されたトレーに対してアルカリ液による洗浄、水洗及び真空包装を行う(5)包装洗浄ステップを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法によって製造されることを特徴とする炭化ケイ素トレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、トレー技術分野に属し、具体的にはプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法及び炭化ケイ素トレーに関する。
【背景技術】
【0002】
ICPエッチング(Inductively Coupled Plasma Etch)は、誘導結合プラズマエッチングである。高周波グロー放電効果により、反応ガスを原子又は遊離基などの活性粒子に活性化させ、これらの活性粒子は、エッチングを必要とする部位に拡散し、エッチングされる材料と反応し、揮発性反応物を形成して除去される。これは、エッチング速度が速く、同時に良好な物理的トポグラフィを得ることができるという利点がある。GaAs、GaN、InGaAs、HfOx及びZnOなどの半導体材料のドライエッチングに適用される。
【0003】
ICPエッチングは、複数種の成分を含む複合ガスを使用することが多く、その中で最も重要なのは、エッチングされる材料と化学反応して揮発性生成物を生成するエッチング反応ガスである。例えば、Cl、CF、SFなどである。側壁にバリア層を形成し、高い各項の異方性エッチングを実行することができる抑制作用を果たすガスを更に含む。例えば、CHF、BCl、SiCl、CHなどである。これら2種類のガスは、いずれも非常に強い腐食性を有する。
【0004】
エッチング速度に対する温度の影響は、主に化学反応速度の変化にあるため、エッチング速度の均一性及び再現性を保証するために、基板温度を精度よく制御しなければならない。従って、トレーの熱伝導率が高く要求されることになる。
【0005】
以上をまとめると、ICPエッチングは、トレー材料に対して、良好な熱伝導性、耐プラズマ衝撃性、低膨張係数、高比剛性及び熱均一性が求められ、炭化ケイ素セラミックスは、当該プロセスのトレー材料の最適な選択になっている。
【0006】
現在、ICPプロセス用炭化ケイ素セラミックストレーの製造方法は、通常、以下の通りである。最初に材料供給業者によって一定の厚さを有する炭化ケイ素ディスクブランクを提供し、その後、加工業者によって外円加工、平面加工、裏面溝加工及び表面溝加工を行って一定の溝深さを有する炭化ケイ素トレーを得る。当該製造プロセスにおいて、材料供給業者と加工業者は、互いに意思疎通を円滑に行わないことが多いため、材料及び加工について十分に理解せず、加工時間が長く、加工コストが高く、エンドユーザに問題が発生した時に妥当な解決策を見つけることができない。従って、一体化された低コストの炭化ケイ素トレーの製造方法が急ぎ求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術では、炭化ケイ素トレーの製造中に材料供給業者と加工業者が材料及び加工について十分に理解せず、加工時間が長く、加工コストが高く、エンドユーザに問題が発生した時に妥当な解決策を見つけることができないという問題、及び最終製品としての炭化ケイ素ディスクに溝を直接加工する時の加工応力が高く、溝深さが限られ、不良品率が高いという問題が存在する。上記問題を解決するために、本願は、炭化ケイ素材料の製造とトレー構造の加工を一体化し、炭化ケイ素材料の製造に伴ってトレー構造を段階的に加工し、生産効率を効果的に高め、生産コストを大幅に削減するプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法及び炭化ケイ素トレーを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、本願は、下記技術的解決手段を使用する炭化ケイ素マイクロ反応要素の製造方法を提供する。
プラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法は、
(1)固相焼結システムにおける炭化ケイ素造粒粉体を使用し、最初に乾式プレス、次に静水圧プレス又は直接静水圧プレスによって寸法要件を満たした炭化ケイ素ブランクを成形するブランク成形ステップと、
(2)プラズマエッチングトレーの最終寸法及び高温焼結収縮率に基づき、外円、全体厚さ、表裏面溝深さに一定の焼結代を確保し、成形された炭化ケイ素ブランクに対してマシニングセンタによる加工を行うブランク加工ステップと、
(3)加工された炭化ケイ素トレーブランクを高温焼結する高温焼結ステップと、
(4)最初にトレーの外円に対して精密研磨及び平面研磨を行い、その後、裏面溝深さの要件を基準にしてトレーの裏面を加工し、更にトレーの全体厚さの要件を基準にしてトレーの表面を加工し、最後に溝深さの要件を満たす限り、ウェハスロットの精密研磨加工を行う仕上げ加工ステップとを含む。
【0009】
好ましくは、前記ステップ(2)のブランク加工において、表面溝に溝の外部輪郭が加工され、溝内にステップ(3)の高温焼結中に支持作用を果たすための加工をして除去されていない支持部分が保留される。
【0010】
好ましくは、前記支持部分は、表面溝と同心円の円環構造であり、前記円環構造は少なくとも1つである。
【0011】
好ましくは、前記円環構造は、ステップ(2)のブランク加工で得られた表面溝を直径で均等に分割し、前記円環構造のリングの幅は5mm~15mmである。
【0012】
好ましくは、前記ステップ(3)の高温焼結は、積層焼結である。
【0013】
好ましくは、前記積層焼結は、加工された炭化ケイ素トレーブランクをグラファイト板の間に固定して高温焼結し、焼結歪みを制御する。
【0014】
好ましくは、前記グラファイト板のトレーブランクに接触する面に排気溝が設けられており、前記グラファイト板の厚さは10mm~15mmであり、前記排気溝の深さは0.2mm~3mmである。
【0015】
好ましくは、前記ステップ(3)の高温焼結後、トレー裏面の加工代は0.05mm~0.2mmであり、トレー表面の加工代は0.2mm~0.3mmであり、
前記ステップ(4)のトレー裏面を加工することは、トレー裏面に対して0.05mm~0.2mmの平面加工を行うことであり、トレー表面を加工することは、トレー表面に対して0.2mm~0.3mmの平面加工を行うことであり、ウェハスロットの精密研磨加工は、トレー表面の溝に対して0.1mm~0.2mmの精密研磨加工を行うことであり、
前記ステップ(4)でトレー裏面を加工した後、トレー裏面の溝深さは0.15mm~0.2mmである。
【0016】
好ましくは、前記プラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法は、加工されたトレーに対してアルカリ液による洗浄、水洗及び真空包装を行う(5)包装洗浄ステップを更に含む。
【0017】
第2の態様において、本願は、下記技術的解決手段を使用する炭化ケイ素トレーを提供する。
炭化ケイ素トレーは、前記プラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法によって製造される。
【0018】
本願は、以下の有益な効果を有する。
(1)本願のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法は、炭化ケイ素材料の製造とトレー構造の加工を一体化し、炭化ケイ素材料の製造に伴ってトレー構造を段階的に加工し、加工時間を短縮し、加工時間を従来の製造方法の30時間を10時間程度に短縮し、生産効率を効果的に高めながら、生産コストを大幅に削減する。
【0019】
(2)本願のブランク加工中に、表面溝に溝の外部輪郭が加工され、溝内に加工して除去されていない支持部分が保留され、当該支持部分は、高温焼結中に効果的な支持作用を果たし、表面溝の溝底からトレー裏面までの厚さが小さ過ぎることで焼結歪み量が大き過ぎ、更に裏面溝の寸法に影響を与えることを回避することができ、これに基づき、後のトレー裏面の加工中、裏面溝に対して研磨加工を行う必要がなく、裏面溝深さのみを基準にしてトレー裏面に対して仕上げ加工を行うことができる。
【0020】
(3)本願の表面溝の加工中に加工して除去されていない支持部分は、表面溝と同心円の円環構造であり、丸形ケーキ構造の代わりに円環構造を設定すると、より小さい加工代を有することができ、後の仕上げ加工中に対応する円環部分を加工して除去するだけでよく、加工量を減少し、加工効率を高め、表面溝の直径が小さい場合(例えば、100mm程度又は100mm以内)、1つの同心的な円環構造を設置するだけで良好な支持作用を果たすことができ、表面溝の直径が大きい場合(例えば、150mm程度又は150mm以上)、1つの同心的な円環構造が効果的な支持作用を果たすことができず、高温焼結中に効果的な支持作用を果たすために、2つ又はそれ以上の同心的な円環構造を設置する必要がある。
【0021】
(4)本願の表面溝の加工中に加工して除去されていない円環構造は、ステップ(2)のブランク加工で得られた表面溝を直径で均等に分割し(即ち、1つの同心的な円環構造を設置する場合、当該円環構造の外径は、表面溝の内径の半分±10mm程度であり、2つの同心的な円環構造を設置する場合、最内周の円環構造の外径は、表面溝の内径の三分の一±10mm程度であり、外側の円環構造の外径は、表面溝の内径の三分の二±10mm程度である)、円環構造のリングの幅は5mm~15mmであり、発明者らは、正確な計算及び多くの試験により、このように設置された円環構造が支持部分として最も良好な支持効果を果たし、焼結歪み量を最大限に減少することができると最終的に分かった。
【0022】
(5)本願の炭化ケイ素トレーの表裏面溝は、焼結後に得られたトレーが非常に安い加工代のみとなるように、高温焼結前のブランク加工中に一定の焼結代を確保することで加工して得られ、その後、仕上げ加工中にそれぞれ裏面の溝深さ及びトレーの全体厚さを基準にして厚さの加工を行い、更に表面溝に対して精密研磨加工を行い、溝深さの要件を満たす。従来のトレーでの溝の加工は、最終製品としての炭化ケイ素ディスクで直接行われるため、高い加工応力を有し、加工難易度が大きく、溝深さが限られ、通常は0.6mm程度のみに達するが、本願は、表裏面溝の予備加工を高温焼結前のブランク加工ステップに配置し、この場合、ブランクの硬さが低く、加工を容易にし、加工時間を短縮できるだけでなく、加工可能な溝深さがより大きくなり、1.2mmに達することができ、従来の加工方法で得られたトレー溝深さの2倍に大きくなり、トレーの使用寿命が顕著に向上する。
【0023】
(6)従来の加工方法では最終製品としての炭化ケイ素ディスクを直接使用して加工するため、高い加工応力を有し、加工難易度を高め、加工中にディスクを破損させやすく、不良品率が高く、且つトレー内の応力が大きいため、使用寿命が低い。それに対して、本願は、ブランクに溝を予備加工し、後に高温焼結し、厚さに微量な余裕を有するトレーが得られ、その後、それぞれ裏面及び表面の平面加工、並びに表面溝の精密研磨加工を行えばよく、この過程には、トレー裏面のみに対して平面加工を行うため、トレーの加工応力を大幅に低減させ、破損率を効果的に減少することができ、トレー寿命の延長に役立つ。
【0024】
(7)本願の高温焼結は積層焼結であり、焼結されるトレーを排気溝を有するグラファイト板の間に配置し、排気溝によって剥離及び排気を行うことができ、内外温度差をより小さくし、応力歪みを小さくし、トレーの厚さを制御可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本願の高温焼結中に使用されるグラファイト板の構造概略図である。
図2】実施例1のトレーの製造中にステップ(2)のブランク加工の後に得られたトレー表面の写真である。
図3】実施例1のトレーの製造中にステップ(2)のブランク加工の後に得られたトレー裏面の写真である。
図4】実施例1のトレーの製造中にステップ(3)の高温焼結の後に得られたトレー表面の写真である。
図5】実施例1のトレーの製造中にステップ(3)の高温焼結の後に得られたトレー裏面の写真である。
図6】実施例1のトレーの製造中にステップ(4)の仕上げ加工の後に得られたトレー表面の写真である。
図7】実施例1のトレーの製造中にステップ(4)の仕上げ加工の後に得られたトレー裏面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施例に合わせて本願を更に詳細に説明する。
【0027】
炭化ケイ素材料は、高温焼結中に各方向にも約20%の体積収縮が生じるため、高温焼結後に得られたトレーの外円、全体厚さ、表裏面溝深さが設計寸法と比べて微量な余裕のみを有するように、ブランク加工中に、収縮率に応じて具体的な加工パラメータを計算することができる。
【0028】
実施例1
製造される炭化ケイ素トレーのパラメータは、直径が380mmで、全体厚さが4.4mmで、裏面溝深さが0.15mmで、裏面溝幅が5mmで、表面溝深さが1.2mmで、表面溝直径が101mmである。
【0029】
製造方法は、以下の通りである。
(1)ブランク成形:固相焼結システムにおける炭化ケイ素造粒粉体を使用し、最初に乾式プレス、次に静水圧プレス又は直接静水圧プレスによって寸法要件を満たした炭化ケイ素ブランクを成形する。
【0030】
(2)ブランク加工:プラズマエッチングトレーの最終寸法及び高温焼結収縮率に基づき、外円、全体厚さ、表裏面溝深さに一定の焼結代を確保し、成形された炭化ケイ素ブランクに対してマシニングセンタによる加工を行う。このステップで加工された炭化ケイ素ブランクは、直径が464.8mmで、全体厚さが5.8mmで、裏面溝深さが0.4mmで、裏面溝幅が6.1mmで、表面溝深さが1.6mmで、表面溝直径が119.3mmで、表面溝内の円環構造の外径が63.15mmで、リングの幅が7mmである。図2及び図3は、それぞれブランク加工後に得られたトレーブランクの表裏面の写真である。
【0031】
(3)高温焼結:加工された炭化ケイ素トレーブランクを排気溝2を有するグラファイト板1の間に固定して高温焼結し、焼結歪みを制御し、高温焼結の条件は、2100℃~2150℃、0.5hであり、高温焼結後に得られたトレーのパラメータは、直径が383mmで、全体厚さが4.8mmで、裏面溝深さが0.3mmで、裏面溝幅が5mmで、表面溝深さが1.3mmで、表面溝直径が97.2mmである。図4及び図5は、それぞれ高温焼結後に得られたトレーの正裏面の写真である。
【0032】
(4)仕上げ加工:最初に、トレーの直径が380mmになるように、トレーの外円に対して精密研磨及び平面研磨を行い、その後、裏面溝深さが0.15mmになるように、裏面溝深さの要件を基準にしてトレーの裏面に対して平面加工を行い、更に、トレーの全体厚さが4.4mmになるように、トレーの全体厚さの要件を基準にしてトレーの表面に対して平面加工を行い、最後に、トレーのウェハスロットの溝深さが1.2mmになり、溝直径が101mmになるように、表面溝内の円環構造を加工して除去し、ウェハスロットの精密研磨加工を行う。図6及び図7は、それぞれ仕上げ加工後に得られたトレーの正裏面の写真である。図6に示す表面溝の縁部に外向きに延伸する小溝は、トレーに設けられた、キャリアシートを取りやすくする構造であり、仕上げ加工中に対応の部分を加工すればよい。
【0033】
実施例2
製造される炭化ケイ素トレーのパラメータは、直径が380mmで、全体厚さが4.4mmで、裏面溝深さが0.2mmで、裏面溝幅が5mmで、表面溝深さが1.2mmで、表面溝直径が102mmである。
【0034】
製造方法は、以下の通りである。
(1)ブランク成形:固相焼結システムにおける炭化ケイ素造粒粉体を使用し、最初に乾式プレス、次に静水圧プレス又は直接静水圧プレスによって寸法要件を満たした炭化ケイ素ブランクを成形する。
【0035】
(2)ブランク加工:プラズマエッチングトレーの最終寸法及び高温焼結収縮率に基づき、外円、全体厚さ、表裏面溝深さに一定の焼結代を確保し、成形された炭化ケイ素ブランクに対してマシニングセンタによる加工を行う。このステップで加工された炭化ケイ素ブランクは、直径が463.8mmで、全体厚さが5.8mmで、裏面溝深さが0.45mmで、裏面溝幅が6.1mmで、表面溝深さが1.6mmで、表面溝直径が120.5mmで、表面溝内の円環構造の外径が62.75mmで、リングの幅が5mmである。
【0036】
(3)高温焼結:加工された炭化ケイ素トレーブランクを排気溝2を有するグラファイト板1の間に固定して高温焼結し、焼結歪みを制御し、高温焼結の条件は、2100℃~2150℃、1hであり、高温焼結後に得られたトレーのパラメータは、直径が382mmで、全体厚さが4.8mmで、裏面溝深さが0.35mmで、裏面溝幅が5mmで、表面溝深さが1.3mmで、表面溝直径が98mmである。
【0037】
(4)仕上げ加工:最初に、トレーの直径が380mmになるように、トレーの外円に対して精密研磨及び平面研磨を行い、その後、裏面溝深さが0.2mmになるように、裏面溝深さの要件を基準にしてトレーの裏面に対して平面加工を行い、更に、トレーの全体厚さが4.4mmになるように、トレーの全体厚さの要件を基準にしてトレーの表面に対して平面加工を行い、最後に、トレー表面のウェハスロットの溝深さが1.2mmになり、溝直径が102mmになるように、表面溝内の円環構造を加工して除去し、ウェハスロットの精密研磨加工を行う。
【0038】
実施例3
製造される炭化ケイ素トレーのパラメータは、直径が380mmで、全体厚さが3.2mmで、裏面溝深さが0.15mmで、裏面溝幅が5mmで、表面溝深さが1mmで、表面溝直径が100.5mmである。
【0039】
製造方法は、以下の通りである。
(1)ブランク成形:固相焼結システムにおける炭化ケイ素造粒粉体を使用し、最初に乾式プレス、次に静水圧プレス又は直接静水圧プレスによって寸法要件を満たした炭化ケイ素ブランクを成形する。
【0040】
(2)ブランク加工:プラズマエッチングトレーの最終寸法及び高温焼結収縮率に基づき、外円、全体厚さ、表裏面溝深さに一定の焼結代を確保し、成形された炭化ケイ素ブランクに対してマシニングセンタによる加工を行う。このステップで加工された炭化ケイ素ブランクは、直径が463.8mmで、全体厚さが4.4mmで、裏面溝深さが0.4mmで、裏面溝幅が6.1mmで、表面溝深さが1.4mmで、表面溝直径が119mmで、表面溝内の円環構造の外径が64.5mmで、リングの幅が10mmである。
【0041】
(3)高温焼結:加工された炭化ケイ素トレーブランクを排気溝2を有するグラファイト板1の間に固定して高温焼結し、焼結歪みを制御し、高温焼結の条件は、2100℃~2150℃、1.5hであり、高温焼結後に得られたトレーのパラメータは、直径が382mmで、全体厚さが3.6mmで、裏面溝深さが0.3mmで、裏面溝幅が5mmで、表面溝深さが1.15mmで、表面溝直径が97mmである。
【0042】
(4)仕上げ加工:最初に、トレーの直径が380mmになるように、トレーの外円に対して精密研磨及び平面研磨を行い、その後、裏面溝深さが0.15mmになるように、裏面溝深さの要件を基準にしてトレーの裏面に対して平面加工を行い、更に、トレーの全体厚さが3.2mmになるように、トレーの全体厚さの要件を基準にしてトレーの表面に対して平面加工を行い、最後に、トレー表面のウェハスロットの溝深さが1mmになり、溝直径が100.5mmになるように、表面溝内の円環構造を加工して除去し、ウェハスロットの精密研磨加工を行う。
【0043】
実施例4
製造される炭化ケイ素トレーのパラメータは、直径が380mmで、全体厚さが4mmで、裏面溝深さが0.2mmで、裏面溝幅が5mmで、表面溝深さが1.4mmで、表面溝直径が101mmである。
【0044】
製造方法は、以下の通りである。
(1)ブランク成形:固相焼結システムにおける炭化ケイ素造粒粉体を使用し、最初に乾式プレス、次に静水圧プレス又は直接静水圧プレスによって寸法要件を満たした炭化ケイ素ブランクを成形する。
【0045】
(2)ブランク加工:プラズマエッチングトレーの最終寸法及び高温焼結収縮率に基づき、外円、全体厚さ、表裏面溝深さに一定の焼結代を確保し、成形された炭化ケイ素ブランクに対してマシニングセンタによる加工を行う。このステップで加工された炭化ケイ素ブランクは、直径が463.8mmで、全体厚さが5.35mmで、裏面溝深さが0.4mmで、裏面溝幅が6.1mmで、表面溝深さが1.91mmで、表面溝直径が119.1mmで、表面溝内の円環構造の外径が63.55mmで、リングの幅が8mmである。
【0046】
(3)高温焼結:加工された炭化ケイ素トレーブランクを排気溝2を有するグラファイト板1の間に固定して高温焼結し、焼結歪みを制御し、高温焼結の条件は、2100℃~2150℃、2hであり、高温焼結後に得られたトレーのパラメータは、直径が382mmで、全体厚さが4.4mmで、裏面溝深さが0.3mmで、裏面溝幅が5mmで、表面溝深さが1.55mmで、表面溝直径が97mmである。
【0047】
(4)仕上げ加工:最初に、トレーの直径が380mmになるように、トレーの外円に対して精密研磨及び平面研磨を行い、その後、裏面溝深さが0.2mmになるように、裏面溝深さの要件を基準にしてトレーの裏面に対して平面加工を行い、更に、トレーの全体厚さが4mmになるように、トレーの全体厚さの要件を基準にしてトレーの表面に対して平面加工を行い、最後に、トレー表面のウェハスロットの溝深さが1.4mmになり、溝直径が101mmになるように、表面溝内の円環構造を加工して除去し、ウェハスロットの精密研磨加工を行う。
【0048】
積層焼結中に、焼結される炭化ケイ素トレーブランクを排気溝2を有するグラファイト板1の間に固定し、通常、炭化ケイ素トレーブランクの数は、10枚~15枚に制御され、グラファイト板1の厚さは10mm~15mmであり、排気溝2の深さは0.2mm~3mmである。この方法は、トレーの焼結歪みを制御するのに役立ち、排気溝2によって剥離及び排気を行うことができ、内外温度差をより小さくし、応力歪みを小さくし、トレーの厚さを制御可能にする。
【0049】
プラズマエッチング中に、プラズマエッチングを行おうとするSiキャリアシート又はサファイアキャリアシートをトレー表面の溝に置き、エッチングチャンバに送り込み、エッチングガス下で、ガスは、キャリアシート両側に高い部分を徐々にエッチングし、即ち、溝深さよりも高い部分は、徐々にエッチングされる。溝深さがキャリアシートを適切に位置決めできない場合、通常、溝深さが0.2mm以内に減少するときであり、トレーは、続けて使用できなくなる。これにより、溝深さは、寿命に正比例することがわかった。本願のトレーの表面溝深さは、従来の0.6mm程度(使用寿命が約3000回)から1.2mm(使用寿命が約6000回)に増加し、溝深さが2倍になり、トレー寿命も2倍になる。特にエッチングガスによる腐食がひどい場合、溝深さが小さいため、トレーの使用寿命が非常に短くなり、溝深さを大きくする必要があり、本願が実際の適用をより良く満足できる。
【0050】
この具体的な実施例は、本願の解釈のために過ぎず、本願を制限するものではなく、当業者は、以上の説明内容により、本願の技術的思想の範囲から逸脱しない限り、様々な変更や修正を行うことができる。本願の技術的範囲は、明細書の内容に限定されず、特許請求の範囲に基づいてその技術的範囲を決定しなければならない。
【符号の説明】
【0051】
1 グラファイト板
2 排気溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)固相焼結システムにおける炭化ケイ素造粒粉体を使用し、最初に乾式プレス、次に静水圧プレス又は直接静水圧プレスによって寸法要件を満たした炭化ケイ素ブランクを成形するブランク成形ステップと、
(2)プラズマエッチングトレーの最終寸法及び高温焼結収縮率に基づき、外円、全体厚さ、表裏面溝深さに一定の焼結代を確保し、成形された炭化ケイ素ブランクに対してマシニングセンタによる加工を行うブランク加工ステップと、
(3)加工された炭化ケイ素トレーブランクを高温焼結する高温焼結ステップと、
(4)最初に、前記高温焼結ステップにおいて高温焼結された後のトレーの外円に対して精密研磨及び平面研磨を行い、その後、裏面溝深さの要件を基準にしてトレーの裏面を加工し、更にトレーの全体厚さの要件を基準にしてトレーの表面を加工し、最後に溝深さの要件を満たす限り、ウェハスロットの精密研磨加工を行う仕上げ加工ステップと、を含むことを特徴とするプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(2)のブランク加工において、表面溝に溝の外部輪郭が加工され、溝内にステップ(3)の高温焼結中に支持作用を果たすための加工をして除去されていない支持部分が保留されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項3】
前記支持部分は、表面溝と同心円の円環構造であり、前記円環構造は少なくとも1つであることを特徴とする請求項2に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項4】
前記円環構造は、ステップ(2)のブランク加工で得られた表面溝を直径で均等に分割し、前記円環構造のリングの幅は5mm~15mmであることを特徴とする請求項3に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(3)の高温焼結は積層焼結であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項6】
前記積層焼結は、加工された炭化ケイ素トレーブランクをグラファイト板の間に固定して高温焼結し、焼結歪みを制御することを特徴とする請求項5に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項7】
前記グラファイト板のトレーブランクに接触する面に排気溝が設けられており、前記グラファイト板の厚さは10mm~15mmであり、前記排気溝の深さは0.2mm~3mmであることを特徴とする請求項6に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項8】
前記ステップ(3)の高温焼結後、トレー裏面の加工代は0.05mm~0.2mmであり、トレー表面の加工代は0.2mm~0.3mmであり、
前記ステップ(4)のトレー裏面を加工することは、トレー裏面に対して0.05mm~0.2mmの平面加工を行うことであり、トレー表面を加工することは、トレー表面に対して0.2mm~0.3mmの平面加工を行うことであり、ウェハスロットの精密研磨加工は、トレー表面の溝に対して0.1mm~0.2mmの精密研磨加工を行うことであり、
前記ステップ(4)でトレー裏面を加工した後、トレー裏面の溝深さは0.15mm~0.2mmであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項9】
加工されたトレーに対してアルカリ液による洗浄、水洗及び真空包装を行う(5)包装洗浄ステップを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載のプラズマエッチング用炭化ケイ素トレーの製造方法によって製造されることを特徴とする炭化ケイ素トレー。
【国際調査報告】