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特表2023-543390ボールスプライン装置、無人搬送車及び立体倉庫システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ボールスプライン装置、無人搬送車及び立体倉庫システム
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/06 20060101AFI20231006BHJP
   F16C 19/16 20060101ALI20231006BHJP
   F16C 33/78 20060101ALI20231006BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
F16C29/06
F16C19/16
F16C33/78 Z
B61B13/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514093
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-02-28
(86)【国際出願番号】 CN2021080165
(87)【国際公開番号】W WO2022062325
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】202011004699.0
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520208203
【氏名又は名称】ベイジン・ジンドン・チアンシ・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 臣
(72)【発明者】
【氏名】于 宗靖
(72)【発明者】
【氏名】宋 国▲庫▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 旭
【テーマコード(参考)】
3D101
3J104
3J216
3J701
【Fターム(参考)】
3D101BB16
3J104AA04
3J104AA23
3J104AA35
3J104AA66
3J104AA69
3J104AA74
3J104AA76
3J104BA05
3J104BA25
3J104BA32
3J104DA20
3J104EA10
3J216AA02
3J216AA14
3J216AB26
3J216BA30
3J216CA01
3J216CA04
3J216CB03
3J216CB12
3J701AA03
3J701AA42
3J701AA54
3J701AA62
3J701BA73
3J701FA13
3J701GA41
(57)【要約】
本開示は、ボールスプライン装置、無人搬送車及び立体倉庫システムに関する。ボールスプライン装置は、外側側壁に、軸方向に沿って延在する軌道溝が設けられたスプライン軸であって、軌道溝が、軸方向に沿って連通する第1の溝部及び第2の溝部を含み、第2の溝部の幅が、第1の溝部の幅よりも広い、スプライン軸と、スプライン軸の外側を同軸に囲んで設けれたスプラインナットと、軌道溝内で、軸方向に沿って移動可能に配置され、スプラインナットとスプライン軸との相対移動を実現する第1の転動体と、を含む。スプラインナットが第1の位置にあるとき、第1の転動体が、第1の溝部内にあり、第1の溝部と拘束的に協働して、スプラインナットとスプライン軸との同期回転を生じさせ、スプラインナットが第2の位置にあるとき、第1の転動体が、第2の溝部内にあり、これにより、スプライン軸とスプライン軸との間には周方向に所定の隙間がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側側壁に、軸方向に沿って延在する軌道溝が設けられたスプライン軸(1)であって、前記軌道溝が、前記軸方向に沿って連通する第1の溝部(11)及び第2の溝部(12)を備え、前記第2の溝部(12)の幅が、前記第1の溝部(11)の幅よりも広い、スプライン軸(1)と、
前記スプライン軸(1)の外側を同軸に囲んで設けられたスプラインナット(2)と、
前記軌道溝内で、前記軸方向に沿って移動可能に配置され、前記スプラインナット(2)と前記スプライン軸(1)との相対移動を実現する第1の転動体(23)と
を備え、
前記スプラインナット(2)が第1の位置にあるとき、前記第1の転動体(23)が、前記第1の溝部(11)内にあり、前記第1の溝部(11)と拘束的に協働して、前記スプラインナット(2)と前記スプライン軸(1)との同期回転を生じさせ、前記スプラインナット(2)が第2の位置にあるとき、前記第1の転動体(23)が、前記第2の溝部(12)内にあり、これにより、前記スプライン軸(1)と前記スプラインナット(2)との間には周方向に所定の隙間がある、ボールスプライン装置。
【請求項2】
前記軌道溝が、移行溝部(13)をさらに備え、前記移行溝部(13)が、前記第1の溝部(11)と前記第2の溝部(12)との間に接続され、前記第1の転動体(23)を案内して、前記第1の溝部(11)と前記第2の溝部(12)との間を切り替えるように構成される、請求項1に記載のボールスプライン装置。
【請求項3】
前記移行溝部(13)の両方の側壁が、傾斜面(131)であり、それらの間の距離が、前記第1の溝部(11)から前記第2の溝部(12)まで徐々に長くなる、請求項1または2に記載のボールスプライン装置。
【請求項4】
前記第2の溝部(12)が、前記スプライン軸(1)の前記軸方向に沿った中間領域に位置し、前記第2の溝部(12)の両端部には、前記第1の溝部(11)が設けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載のボールスプライン装置。
【請求項5】
複数のグループの軌道溝が、前記周方向に沿って配置され、各グループの前記軌道溝が、2つの離隔した軌道溝を備え、2つの隣接するグループの軌道溝間の周方向間隔が、同じグループ内の2つの隣接する軌道溝間の周方向間隔よりも広い、請求項1から4のいずれか一項に記載のボールスプライン装置。
【請求項6】
前記スプライン軸(1)の第1の端部が、前記スプライン軸(1)の回転に動力を供給する駆動部材(4)に接続するように構成される第1の取付部(16)を有し、前記スプライン軸(1)の第2の端部が、外部の第1の伝達部材(5)と接続されるように構成される第2の取付部(17)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のボールスプライン装置。
【請求項7】
前記スプラインナット(2)と前記スプライン軸(1)との間に配置され、前記軸方向に沿って、前記スプラインナット(2)の2つ端部に位置する2つのグループの第1のシール部材(25)
をさらに備え、
前記第1の転動体(23)が、2つのグループの前記第1のシール部材(25)間に位置する、請求項1から6のいずれか一項に記載のボールスプライン装置。
【請求項8】
前記スプラインナット(2)が、
前記スプライン軸(1)の外側を囲んで設けられた内側ナット(21)と、
前記内側ナット(21)の外側を囲んで設けられた外側ナット(22)と、
前記内側ナット(21)と前記外側ナット(22)との間で、前記周方向に沿って移動可能に配置され、前記内側ナット(21)と前記外側ナット(22)との相対回転を可能にする第2の転動体(24)と
を備え、
前記第1の転動体(23)が、前記内側ナット(21)と前記軌道溝との間に配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載のボールスプライン装置。
【請求項9】
前記内側ナット(21)と前記外側ナット(22)との間に配置され、前記軸方向に沿って前記外側ナット(22)の2つ端部に位置する2つのグループの第2のシール部材(26)
をさらに備え、
前記第2の転動体(24)が、2つのグループの前記第2のシール部材(26)間に位置する、請求項1から8のいずれか一項に記載のボールスプライン装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のボールスプライン装置と、
前記スプラインナット(2)に同軸に取り付けられたホイール(3)と、
前記スプライン軸(1)の回転のための駆動力を供給するように構成される駆動部材(4)と
を備える、無人搬送車。
【請求項11】
前記スプラインナット(2)が、
前記スプライン軸(1)の外側を囲んで設けられ、前記ホイール(3)と接続される内側ナット(21)と、
前記内側ナット(21)の外側を囲んで設けられ、前記内側ナット(21)に対して回転可能にされ、前記無人搬送車に配置される支持フレーム(8)に接続される外側ナット(22)と
を備え、
前記第1の転動体(23)が、前記内側ナット(21)と前記軌道溝との間に配置される、請求項10に記載の無人搬送車。
【請求項12】
前記スプライン軸(1)の第1の端部が、第1の取付部(16)を有し、前記駆動部材(4)が、前記第1の取付部(16)に駆動接続され、前記スプライン軸(1)の第2の端部が、第2の取付部(17)を有し、
前記無人搬送車が、第1の伝達部材(5)をさらに備え、前記第1の伝達部材(5)が、前記第2の取付部(17)に接続され、外部の第2の伝達部材(7)と協働するように構成される、請求項10または11に記載の無人搬送車。
【請求項13】
前記スプラインナット(2)が前記第2の位置にあるとき、前記ホイール(3)の位置が変化しないままの間、前記第1の伝達部材(5)が、前記第2の伝達部材(7)と協働して調整されるように構成される、請求項10から12のいずれか一項に記載の無人搬送車。
【請求項14】
前記無人搬送車が、前記スプラインナット(2)が前記第1の位置にあるとき、ウォーキングモード及びムービングモードを有するように構成され、
前記ウォーキングモードでは、前記無人搬送車が、前記駆動部材(4)によって前記スプライン軸(1)を駆動することで前記ホイール(3)の回転を駆動して、ウォーキングを実現するように構成され、前記ムービングモードでは、前記無人搬送車が、前記駆動部材(4)によって前記スプライン軸(1)を駆動することで前記第1の伝達部材(5)の回転を駆動して、前記第1の伝達部材(5)と前記第2の伝達部材(7)との協働で移動を実現するように構成される、請求項10から13のいずれか一項に記載の無人搬送車。
【請求項15】
保管位置の複数の層を有し、垂直ラックを含む第2の伝達部材(7)が設けられた立体倉庫(6)と、
歯車を備える第1の伝達部材(5)と、第1の取付部(16)を有する前記スプライン軸(1)の第1の端部であって、前記駆動部材(4)が、前記第1の取付部(16)に駆動接続される、第1の端部と、前記歯車に接続される第2の取付部(17)を有する前記スプライン軸(1)の第2の端部とを備える、請求項10から14のいずれか一項に記載の無人搬送車と
を備え、
前記スプラインナット(2)が前記第2の位置にあるとき、前記ホイール(3)の位置が変化しない間、前記歯車が、前記第2の伝達部材(7)と協働して調整されるように構成される、立体倉庫システム。
【請求項16】
前記所定の隙間が、前記歯車または前記ラックの歯幅以上である、請求項15に記載の立体倉庫システム。
【請求項17】
前記スプラインナット(2)が前記第1の位置にあるとき、前記無人搬送車が、ウォーキングモード及びムービングモードを有するように構成され、
前記ウォーキングモードでは、前記無人搬送車が、前記駆動部材(4)によって前記スプライン軸(1)を駆動することで前記ホイール(3)の回転を駆動して、ウォーキングを実現するように構成され、前記ムービングモードでは、前記無人搬送車が、前記駆動部材(4)によって前記スプライン軸(1)を駆動することで前記ラックに沿った前記歯車の動きを駆動して、保管位置の異なる層に到達させるために、垂直方向の移動を実現するように構成される、請求項15または16に記載の立体倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、2020年9月22日に出願された中国出願第202011004699.0号に基づき、また、その優先権を主張しており、その開示は、本明細書によりその全体が本開示に導入される。
【0002】
本開示は、機械式変速機の技術分野に関し、特に、ボールスプライン装置、無人搬送車及び立体倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0003】
ボールスプラインは、スプライン軸上に機械加工された軌道溝と、スプライン軸上の軌道溝と協働するスプラインナット上の鋼球と、を有する構成要素であり、これにより、スプラインナットは、スプライン軸上で軸方向に沿って移動し、トルク及び力も伝達し得る。
【0004】
現在のボールスプラインのスプライン軸上の軌道溝は鋼球と全長に渡って拘束的に協働し、これにより、スプライン軸とスプラインナットとは、厳密な伝達比を有し、適用工程において、スプライン軸が、スプラインナットに対して小さい角度で回転する必要があるとき、現在のボールスプライン構造では、この機能を実現することは困難である。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、ボールスプライン装置の機能を広げ、使用要求事項を良好に満たし得る、ボールスプライン装置、無人搬送車及び立体倉庫システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、ボールスプライン装置が提供され、ボールスプライン装置は、
外側側壁に、軸方向に沿って延在する軌道溝が設けられたスプライン軸であって、軌道溝が、軸方向に沿って連通する第1の溝部及び第2の溝部を含み、第2の溝部の幅が、第1の溝部の幅よりも広い、スプライン軸と、
スプライン軸の外側を同軸に囲んで設けられたスプラインナットと、
軌道溝内で、軸方向に沿って移動可能に配置され、スプラインナットとスプライン軸との相対移動を実現する第1の転動体と
を備え、
スプラインナットが第1の位置にあるとき、第1の転動体が、第1の溝部内にあり、第1の溝部と拘束的に協働して、スプラインナットとスプライン軸との同期回転を生じさせ、スプラインナットが第2の位置にあるとき、第1の転動体が、第2の溝部内にあり、これにより、スプライン軸とスプライン軸との間には周方向に所定の隙間がある。
【0007】
いくつかの実施形態では、軌道溝が、移行溝部をさらに含み、移行溝部が、第1の溝部と第2の溝部との間に接続され、第1の転動体を案内して、第1の溝部と第2の溝部との間を切り替えるように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、移行溝部の両方の側壁が、傾斜面であり、それらの間の距離が、第1の溝部から第2の溝部まで徐々に長くなる。
【0009】
いくつかの実施形態では、第2の溝部が、スプライン軸の軸方向に沿った中間領域に位置し、第2の溝部の両端部には、第1の溝部が設けられる。
【0010】
いくつかの実施形態では、複数のグループの軌道溝が周方向に沿って配置され、各グループの軌道溝が、2つの離隔した軌道溝を含み、2つの隣接するグループの軌道溝間の周方向間隔が、同じグループ内の2つの隣接する軌道溝間の周方向間隔よりも広い。
【0011】
いくつかの実施形態では、スプライン軸の第1の端部が、スプライン軸の回転に動力を供給する駆動部材に接続するように構成される第1の取付部を有し、スプライン軸の第2の端部が、外部の第1の伝達部材と接続されるように構成される第2の取付部を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示は、
スプラインナットとスプライン軸との間に配置され、軸方向に沿って、スプラインナットの2つ端部に位置する2つのグループの第1のシール部材
をさらに備え、
第1の転動体が、2つのグループの第1のシール部材間に位置する。
【0013】
いくつかの実施形態では、スプラインナットは、
スプライン軸の外側を囲んで設けられた内側ナットと、
内側ナットの外側を囲んで設けられた外側ナットと、
内側ナットと外側ナットとの間で、周方向に沿って移動可能に配置され、内側ナットと外側ナットとの相対回転を可能にする第2の転動体と
を備え、
第1の転動体は、内側ナットと軌道溝との間に配置される。
【0014】
いくつかの実施形態では、本開示は、
内側ナットと外側ナットとの間に配置され、軸方向に沿って外側ナットの2つの端部に位置する2つのグループの第2のシール部材
をさらに備え、
第2の転動体は、2つのグループの第2のシール部材間に位置する。
【0015】
本開示の第2の態様によれば、無人搬送車が提供され、無人搬送車は、
上記実施形態のボールスプライン装置と、
スプラインナットに同軸に取り付けられたホイールと、
スプライン軸の回転のための駆動力を供給するように構成される駆動部材と
を備える。
【0016】
いくつかの実施形態では、スプラインナットは、
スプライン軸の外側を囲んで設けられ、ホイールと接続される内側ナットと、
内側ナットの外側を囲んで設けられ、内側ナットに対して回転可能にされ、無人搬送車に配置される支持フレームに接続される外側ナットと
を備え、
第1の転動体は、内側ナットと軌道溝との間に配置される。
【0017】
いくつかの実施形態では、スプライン軸の第1の端部は、第1の取付部を有し、駆動部材は、第1の取付部に駆動接続され、スプライン軸の第2の端部は、第2の取付部を有し、
無人搬送車は、第2の取付部に接続され、外部の第2の伝達部材と協働するように構成される第1の伝達部材をさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、スプラインナットが第2の位置にあるとき、ホイールの位置が変化しないままの間、第1の伝達部材が、第2の伝達部材と協働して調整されるように構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、無人搬送車が、スプラインナットが第1の位置にあるとき、ウォーキングモード及びムービングモードを有し、
ウォーキングモードでは、無人搬送車が、駆動部材によってスプライン軸を駆動することでホイールの回転を駆動して、ウォーキングを実現するように構成され、ムービングモードでは、無人搬送車が、駆動部材によってスプライン軸を駆動することで第1の伝達部材の回転を駆動して、第1の伝達部材と第2の伝達部材との協働で移動を実現するように構成される。
【0020】
本開示の第3の態様によれば、立体倉庫システムが提供され、立体倉庫システムは、
保管位置の複数の層を有し、垂直ラックを含む第2の伝達部材が設けられた立体倉庫と、
歯車を含む第1の伝達部材と、第1の取付部を有するスプライン軸の第1の端部であって、駆動部材が、第1の取付部に駆動接続される、第1の端部と、歯車に接続される第2の取付部を有するスプライン軸の第2の端部と、を含む、上記実施形態の無人搬送車と
を備え、
スプラインナットが第2の位置にあるとき、ホイールの位置が変化しない間、歯車が、第2の伝達部材と協働して調整されるように構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、所定の隙間が、歯車またはラックの歯幅以上である。
【0022】
いくつかの実施形態では、スプラインナットが第1の位置にあるとき、無人搬送車が、ウォーキングモード及びムービングモードを有するように構成され、
ウォーキングモードでは、無人搬送車が、駆動部材によってスプライン軸を駆動することでホイールの回転を駆動して、ウォーキングを実現するように構成され、ムービングモードでは、無人搬送車が、駆動部材によってスプライン軸を駆動することでラックに沿った歯車の動きを駆動して、保管位置の異なる層に到達させるために、垂直方向の移動を実現するように構成される。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態におけるボールスプライン装置は、スプライン軸上の同じ軌道溝を、異なる幅を有する2つの構造に設定する。したがって、スプラインナットが、第1の溝部に対応する位置にあるとき、スプライン軸は、スプラインナットと拘束的に協働してトルク及び力を伝達し、スプラインナットが、第2の溝部に対応する位置にあるとき、第1の転動体は、第2の溝部の側壁と大きいクリアランスを有し、これにより、スプライン軸とスプラインナットとの間に周方向に沿った揺動量があり、例えば、スプラインが固定されたままであるとき、スプライン軸は、揺動量が小さくなり、したがって、スプライン軸と他の外部構成要素との接続または協働を実現しやすい。このようなボールスプライン装置は、多くの機能を実現し、用途の柔軟性を向上し得る。
【0024】
本明細書に示される図面は、本開示のさらなる理解を提供し、本出願の一部を形成するために使用され、本開示の例示的な実施形態及びその説明は、本開示を不適切に限定せずに、説明することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示のボールスプライン装置のいくつかの実施形態の構造図である。
図2】本開示のボールスプライン装置におけるスプライン軸のいくつかの実施形態の構造図である。
図3】本開示のボールスプライン装置のいくつかの実施形態の構造図である。
図4】第1の転動体と第1の溝部との協働状態の概略図である。
図5】第1の転動体と第2の溝部との協働状態の概略図である。
図6】本開示のボールスプライン装置を無人搬送車に適用したときに、立体倉庫と協働して昇降を実現する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示を、以下に詳細に説明する。以下の段落では、実施形態の異なる態様が、詳細に定義される。そのように定義された様々な態様は、特に明記しない限り、任意の1以上の他の態様と組み合わせられ得る。特に、好ましいまたは有利であると考えられる任意の特徴は、好ましいまたは有利であると考えられる1以上の他の特徴と組み合わせられてもよい。
【0027】
本開示に現れる「第1の」及び「第2の」などの用語は、異なる構成要素を区別するための説明を、単に容易にするためのものであり、連続的または一次的及び二次的な関係を表すものではない。
【0028】
本開示の説明において、「上部」、「下部」、「頂部」、「底部」、「前方」、「後方」、「内側」、「外側」などによって示される方向または位置関係は、本開示の説明を容易にするためだけに、参照される装置が特定の方向を有し、特定の方向で構成及び操作されなければならないことを示すかまたは暗示するのではなく、図面に示されるものに基づく方向または位置関係であり、したがって、それらは本開示の保護範囲を限定するものとして理解されるべきではない。また、以降の実施形態で言う「軸方向」、「周方向」、「径方向」は、いずれもベースラインとなるボールスプライン装置に対して定義されるものである。
【0029】
本開示は、スプライン軸1と、スプラインナット2と、第1の転動体23と、を含む、図1図6に示すようなボールスプライン装置を提供する。
【0030】
スプライン軸1の外側側壁には、軸方向に沿って延在する軌道溝が設けられ、軌道溝は、軸方向に沿って連通する第1の溝部11と、第2の溝部12と、を含み、第2の溝部12の幅は、第1の溝部11の幅よりも広い。スプラインナット2は、スプライン軸1の外側を同軸にを囲んで設けられる。第1の転動体23は、軌道溝内に軸方向に沿って移動可能に配置され、スプラインナット2とスプライン軸1との軸方向に沿った相対移動を実現し、スプラインナット2は、第1の転動体23の径方向に沿った移動の自由度を制限するように構成される。複数の第1の転動体23は、軸方向に沿って軌道溝に配置され、例えばボール、転動ロッド等であってもよい第1の転動体23の列を形成し得る。
【0031】
ここで、図4に示すように、スプラインナット2が、軸方向に沿って第1の位置まで移動するとき、第1の転動体23は、第1の溝部11内にあり、第1の溝部11と拘束的に協働して、スプラインナット2とスプライン軸1との同期回転を生じさせる。動力を伝達するために、スプラインナット2の内壁にも軌道溝が設けられる。拘束的に協働するとは、第1の溝部11の2つの側壁が、第1の転動体23と接触して協働し、第1の転動体23の周方向に沿った移動の自由度を制限し得ること、を指す。第1の溝部11は、例えば円弧状断面であり、ボールである第1の転動体23と同じ曲率半径を有する。
【0032】
図5に示すように、スプラインナット2が、軸方向に沿って第2の位置まで移動するとき、第1の転動体23は、第2の溝部12内にあり、第2の溝部12内を周方向に沿って移動することができ、これにより、スプラインナット2は、スプライン軸1と周方向に所定の隙間を有する。例えば、第2の溝部12は、底部が平面状であり、両側が円弧状である。図5の左側の破線は、第2の溝部12において、第1の転動体23が、右限界位置P1まで時計回りに移動した状態の概略図を示し、図5の右側の破線は、第2のスロット部12において、第1の転動体23が、左限界位置P2まで反時計回りに移動した状態の概略図を示している。スプライン軸1の時計回りまたは反時計回りの回転角度が、第1の転動体23と第2の溝部12の側壁との間のクリアランスよりも小さいとき、スプライン軸1は、スプラインナット2を同期して回転するように駆動できず、スプライン軸1の回転角度が、第1の転動体23と第2のスロット部12の側壁との間のクリアランス以上であるとき、スプライン軸1は、スプラインナット2を同期して回転するように駆動して、トルク及び力を伝達し得る。
【0033】
本開示の本実施形態のボールスプライン装置は、スプライン軸1上に、異なる幅を有する2つの構造として同じ軌道溝を設定する。したがって、スプラインナット2が、第1の溝部11に対応する位置にあるとき、スプライン軸1は、スプラインナット2と拘束的に協働して、トルク及び力を伝達し、スプラインナット2が、第2の溝部12に対応する位置にあるとき、第1の転動体23と第2の溝部12の側壁との間に大きいクリアランスがあり、これにより、スプライン軸1とスプラインナット2との間の周方向に沿った揺動量があり、例えば、スプラインナット2が、静止したままのとき、スプライン軸1は、揺動量が小さくなり、したがって、スプライン軸1と他の外部構成要素との接続や協働を実現しやすい。このようなボールスプライン装置は、多くの機能を実現し、用途の柔軟性を向上し得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、図2に示すように、第1の溝部11と第2の溝部12との間に接続され、第1の転動体23を案内して、第1の溝部11と第2の溝部12との間を切り替えるように構成される移行溝部13を、軌道溝は、さらに含む。
【0035】
本実施形態により、移行溝部13の案内効果で、第1の転動体23が、第1の溝部11と第2の溝部12との間を円滑に切り替わることができ、したがって、2つの溝部の接続位置で第1の転動体23が詰まることを防止して、第1の転動体23の動作を円滑で、確実に行うことを実現し、さらに、第1の転動体23の摩耗を低減し、振動や騒音を低減し得る。
【0036】
図2に示すように、移行溝部13の両側壁は、傾斜面131であり、それらの間の距離は、第1の溝部11から第2の溝部12まで徐々に長くなる。この傾斜面131の案内効果により、第1の転動体23は、軌道溝の周方向に沿った中間位置に位置することなく、第2の溝部12から第1の溝部11に円滑に進入し、位置切り替え中に、第1の転動体23の位置精度の要求事項を少なくし得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、図2に示すように、第2の溝部12は、スプライン軸1の軸方向に沿った中間領域に位置し、第2の溝部12の両端部には、第1の溝部11が設けられる。
【0038】
本実施形態により、ボールスプライン装置を介して動力を伝達する必要があるとき、スプラインナット2は、第1の溝部11のいずれかに選択的に移動することができ、これは、使用の柔軟性を向上し得る。第1の伝達部材5が、スプライン軸1の一方の端部に取り付けられ、スプラインナット2を第1の伝達部材5の近傍の第1の溝部11に移動させることによって、動力が伝達される場合、スプラインナット2を第2の溝部12に移動させる場合において、スプライン軸1に対してスプラインナット2を周方向に沿って移動させることによって、スプラインナット2は、第1の伝達部材5から離隔され、第1の伝達部材5と外部の第2の伝達部材7との協働関係の調整を容易に行い得る。例えば、スプラインナット2が、ホイール3に接続され、スプラインナット2が、外側の第1の溝部11から第2の溝部12に移動されるとき、ホイール3は、第1の伝達部材5から離隔し、これにより、第1の伝達部材5と外部の第2の伝達部材7との協働関係の観察を、または元々ホイール3に隠れていた第1の伝達部材5の露出を、容易に行い得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、図1に示すように、複数のグループの軌道溝が周方向に沿って配置され、各グループの軌道溝は、2つの離隔した軌道溝を含み、隣接するグループの軌道溝の周方向間隔は、同じグループ内の隣接する軌道溝の周方向間隔よりも広い。例えば、3つのグループの軌道溝が周方向に沿って均等に配置される。
【0040】
本実施形態では、第1の転動体23は、複数のグループの軌道溝によってスプラインナット2に、周方向全体に均一で安定した支持力を与え、これにより、スプライン軸1は、回転中にスプラインナット2に、着実に動力を供給し、スプラインナット2の揺動を防止する。さらに、隣接するグループの軌道溝は、同じ円周領域内の第1の転動体23の2つの列を介して、トルクを共同して伝達し得る2つの離隔した軌道溝を含み、それによって、第1の転動体23にかかる力を低減し、動作の信頼性及び耐用年数をもたらす。
【0041】
いくつかの実施形態では、図3に示すように、スプラインナット2には、複数の溝が設けられ、ボールスプライン装置は、複数の溝に1つずつに対応して配置された複数の第1の保持部27をさらに含む。各第1の保持部27には、軸方向に沿って延在する長円形状の案内溝271が設けられ、これには、複数の第1の転動体23が充填されて、円形の転動体列を形成し、円形の転動体列の両側にある第1の転動体23は、同じグループ内の隣接する軌道溝に位置している。第1の転動体23は、軌道溝、スプラインナット2及び第1の保持部27によって共同して制限される。
【0042】
いくつかの実施形態では、図2及び図6に示すように、スプライン軸1の第1の端部は、スプライン軸1の回転に動力を供給する駆動部材4に接続するように構成される第1の取付部16を有し、スプライン軸1の第2の端部は、外部の第1の伝達部材5と接続されるように構成された第2の取付部17を有する。
【0043】
特に、スプライン軸1は、本体軸部14と、本体軸部14の軸方向に沿って両端部に連結される第1の取付部16及び第2の取付部17と、を含み、移行軸部15が、本体軸部14と第1の取付部16との間に配置されてもよく、移行軸部15が、本体軸部14と第2の取付部17との間に配置されてもよい。
【0044】
例えば、第1の取付部16及び第2の取付部17も、軸部構造を使用してもよく、キー溝161を、軸部に配置し、キー溝161にキーを設けることによって駆動部材4または第1の伝達部材5との接続を実現してもよい。例えば、駆動部材4は、電動モータまたは原動機などであってもよく、第1の伝達部材5は、歯車、ウォーム、駆動ホイールなどであってもよい。
【0045】
本実施形態では、スプラインナット装置の運動に動力を供給する駆動部材4との接続と、スプライン軸1の動力を他の外部構成要素に伝達するために、スプライン軸1を介した外部の第1の伝達部材5との接続と、の両方を実現し得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、図3に示すように、スプラインナット2とスプライン軸1との間に配置され、軸方向に沿ってスプラインナット2の2つの端部に位置する2つのグループの第1のシール部材25を、ボールスプライン装置は、さらに含み、第1の転動体23は、2つのグループの第1のシール部材25間に位置する。例えば、第1のシール部材25は、シールリング等を使用してもよい。
【0047】
本実施形態は、スプラインナット2とスプライン軸1との間の空間へのダストまたは不純物の侵入を防止し、第1の転動体23の柔軟な移動を確保し、潤滑油の染み出しを防止し得る。
【0048】
上記実施形態に基づいて、スプラインナット2は、2つの形態に設定され得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、スプラインナット2は、一体構造を採用する。スプラインナット2が、第1の位置にあるとき、動力及びトルクを、スプライン軸1を介してスプラインナット2に伝達し、スプラインナット2が、第2の位置にあるとき、スプライン軸1は、スプラインナット2に、周方向の所定の移動を許容し得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、スプラインナット2は、内側ナット21と、外側ナット22と、第2の転動体24と、を含む。ここで、内側ナット21は、スプライン軸1の外側を囲んで設けられ、外側ナット22は、内側ナット21の外側を囲んで設けられ、第2の転動体24は、内側ナット21と外側ナット22との相対回転を可能にするように、周方向に沿って内側ナット21と外側ナット22との間で移動可能に配置される。内側ナット21は、ホイール3などの回転構成要素に接続されてもよく、外側ナット22は、固定支持フレーム8などに接続されてもよい。
【0051】
特に、内側ナット21の外壁には、外側軌道溝が設けられており、外側ナット22の内壁には、内側軌道溝が設けられており、第2の転動体24は、内側ナット21と外側ナット22との相対回転が可能となるように、内側軌道溝と外側軌道溝との拘束によって形成される空間を移動する。ここで、第1の転動体23は内側ナット21と軌道溝との間に配置され、動力を伝達するために内側ナット21の内壁にも、軌道溝が設けられる。
【0052】
本実施形態は、ナット回転式のボールスプライン装置であって、スプライン軸1を介したスプラインナット2への動力の伝達と、内側ナット21に対する外側ナット22の回転と、の両方を実現し、さらに、スプラインナット2を固定されたままの間、スプライン軸1が周方向に所定の隙間を有し得る。このようなボールスプライン装置は、多くの機能を実現し、変速機システムの動作要求事項を広く柔軟に満たし得る。
【0053】
また、内側ナット21と外側ナット22との間に配置され、複数の第2の転動体24間の間隔を保持するように構成される第2の保持部を、スプラインナット2は、さらに含む。
【0054】
また、内側ナット21と外側ナット22との間に配置され、軸方向に沿って外側ナット22の両端部に位置する2つのグループの第2のシール部材26を、ボールスプライン装置は、さらに含み、第2の転動体24は、2つのグループの第2のシール部材26間に位置する。例えば、第2のシール部材26は、シールリング等であってもよい。
【0055】
本実施形態は、内側ナット21と外側ナット22との間の空間へのダストまたは不純物の侵入を防止し、第2の転動体24の柔軟な移動を確保し、潤滑油の染み出しを防止し得る。
【0056】
スプラインナット2が軸方向に沿って移動するときの安定性を実現するために、単一の軌道溝内の第1の転動体23の数を増やすことができ、これは、内側ナット21の長さを長くすることになる。小型でコンパクトな構造のために、外側ナット22の軸方向長さは、内側ナット21の軸方向長さよりも短い。
【0057】
スプラインナット2に他の構造アタッチメントを配置して、スプラインナット装置を介して動力を伝達するために、図3に示すように、外側ナット22の外側側壁には、フランジプレートなどであってもよいフランジ構造221が設けられる。フランジ構造は、外側ナット22の端部、または軸方向に沿った他の位置に位置してもよい。
【0058】
第2に、本開示は、無人搬送車(「Automated Guided Vehicle」、略してAGV)を提供する。いくつかの実施形態では、無人搬送車は、上記実施形態のボールスプライン装置と、ホイール3と、駆動部材4と、を含む。ここで、ホイール3は、スプラインナット2に同軸に取り付けられ、駆動部材4は、スプライン軸1の回転のための駆動力を供給するように構成される。特に、図3及び図6に示すように、ホイール3は、内側ナット21に取り付けられ得る。
【0059】
本実施形態では、スプラインナット2が、第1の位置にあるとき、第1の転動体23は、第1の溝部11内にあることが可能であり、スプライン軸1は、トルク及び力を伝達するためにスプラインナット2と拘束的に協働し、ホイール3の回転は、無人搬送車のウォーキングを可能にするように実現され得、スプラインナット2が、第2の位置にあるとき、第1の転動体23は、第2の溝部12内にあり、第1の転動体23と第2の溝部12の側壁との間に所定の隙間があり、ホイール3の位置が変化しないままの間、スプライン軸1は、スプラインナット2に対する揺動量があり、これにより、スプライン軸1は、他の外部構成要素との接続または協働に適合される。そのような無人搬送車は、使用要求事項に従って柔軟に調整され、異なる使用機能に適合され得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、図3に示すように、スプラインナット2は、スプライン軸1の外側を囲んで設けられた内側ナット21であって、内側ナット21が、ホイール3と接続され、例えば、内側ナット21の端部の固定孔を介してホイール3と接続される、内側ナット21と、内側ナット21の外側を囲んで設けられ、内側ナット21に対して回転可能に配置された外側ナット22であって、外側ナット22が、フランジ構造221によって無人搬送車に配置された支持フレーム8に接続可能である、外側ナット22と、を含む。ここで、第1の転動体23は、内側ナット21と軌道溝との間に配置されている。
【0061】
図2及び図6に示すように、スプライン軸1の第1の端部は、第1の取付部16を有し、駆動部材4は、第1の取付部16に駆動接続され、スプライン軸1の第2の端部は、第2の取付部17を有する。第2の取付部17に接続され、外部の第2の伝達部材7と協働するように構成される第1の伝達部材5を、無人搬送車は、さらに含む。例えば、第1の伝達部材5は、歯車であり、第2の伝達部材7は、ラックまたは歯車リングなどであってもよい。
【0062】
スプラインナット2が第2の位置にあるとき、ホイール3の位置が変化しないままの間、第1の伝達部材5が、第2の伝達部材7と協働して調整されるように構成される。
【0063】
本実施形態により、第1の伝達部材5と第2の伝達部材7との協働による無人搬送車の移動、例えば、ラックに沿った移動は、ラックの取付方向に応じて水平、傾斜または垂直方向に沿った無人搬送車の移動を可能にしても、または外側歯車リングに沿った無人搬送車の移動を可能にしてもよい。第1の伝達部材5と第2の伝達部材7との協働によって無人搬送車の移動が必要なとき、スプラインナット2が第2の位置になるまで、手動または駆動部材4によってホイール3を移動させることができ、このとき、スプライン軸1は、スプラインナット2に対して周方向に所定の隙間を有し、第1の伝達部材5は、周方向に沿って調整され得、これにより、ホイール3の位置が変化しない間、第1の駆動部材5は、第2の駆動部材7に係合される。
【0064】
いくつかの実施形態では、無人搬送車は、スプラインナット2が第1の位置にあるときに、ウォーキングモードとムービングモードとを有する。ここで、ウォーキングモードでは、無人搬送車は、駆動部材4によってスプライン軸1を駆動することでホイール3の回転を駆動して、ウォーキングを実現するように構成される、ムービングモードでは、無人搬送車は、駆動部材4によってスプライン軸1を駆動することで第1の伝達部材5の回転を駆動して、移動を実現するように構成されるが、ホイール3は、その移動に関与しない。
【0065】
第3に、本開示は、図6に示すように、立体倉庫6と、上記実施形態の無人搬送車とを含む立体倉庫システムをさらに提供する。ここで、立体倉庫6は、保管位置の複数の層を有し、垂直ラックを含む第2の伝達部材7が設けられ、無人搬送車は、歯車を含む第1の伝達部材5を含み、スプライン軸1の第1の端部は、第1の取付部16を有し、駆動部材4は、第1の取付部16に駆動接続され、スプライン軸1の第2の端部は、歯車に接続された第2の取付部17を有し、スプラインナット2が第2の位置にあるとき、ホイール3の位置が変化しない間、歯車が、第2の伝達部材7と協働して調整されるように構成される。
【0066】
無人搬送車が異なる立体倉庫6間をウォーキングする、または立体倉庫6の特定の層の保管位置をウォーキングする必要があるとき、スプラインナット2が第1の位置になるまでホイール3を軸方向に沿って移動させ、このとき、駆動部材4は、スプライン軸1を介してスプラインナット2及びホイール3の回転を駆動してウォーキングを可能にし得る。
【0067】
無人搬送車が、立体倉庫6内を、上方に移動して、上昇を実現する、または下方に移動して、下降を実現する必要があるとき、保管位置の異なる層間を移動するために、スプラインナット2が第2の位置になるまでホイール3を軸方向に沿って移動させることができ、このとき、スプライン軸1は、スプラインナット2に対して周方向に沿って所定の隙間を有し、第1の伝達部材5は、周方向に沿って調整され得、これにより、ホイール3の位置が変化しない間、歯車は、ラックに係合される。そして、駆動部材4は、スプライン軸1によってラックに沿って移動するように歯車を駆動することができ、スプラインナット2及びホイール3は、保管位置の異なる層に到達させるために、無人搬送車が上下移動可能になるように回転する。
【0068】
いくつかの実施形態では、所定の隙間は、歯車またはラックの歯幅以上であり、これにより、ホイール3の位置が変化しない間、歯車がラックと係合するように調整されることを確保し得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、無人搬送車は、スプラインナット2が第1の位置にあるときに、ウォーキングモードとムービングモードとを有する。ウォーキングモードでは、無人搬送車は、駆動部材4によってスプライン軸1を駆動することでホイール3の回転を駆動して、ウォーキングを実現するように構成され、ムービングモードでは、無人搬送車は、駆動部材4によってスプライン軸1を駆動することでラックに沿った歯車の動きを駆動して、保管位置の異なる層に到達させるために、垂直方向の移動を実現するように構成される。
【0070】
本開示によって提供されるボールスプライン装置、無人搬送車及び立体倉庫システムを詳細に紹介する。本開示の原理及び実装形態は、特定の実施形態を使用することによって本明細書に記載されており、上記の実施形態の例示は、本開示の方法及びその核心部の概念の理解を助けるためのものにすぎない。本開示の原理から逸脱することなく、当業者のために本開示に対して様々な改善及び修正を行うこともでき、これらの改善及び修正も本開示の特許請求の範囲の保護範囲に入ることに留意されたい。
【符号の説明】
【0071】
1 スプライン軸、11 第1の溝部、12 第2の溝部、13 移行溝部、131 傾斜面、14 本体軸部、15 移行軸部、16 第1の取付部、161 キー溝、17 第2の取付部、2 スプラインナット、21 内側ナット、22 外側ナット、221 フランジ構造、23 第1の転動体、24 第2の転動体、25 第1のシール部材、26 第2のシール部材、27 第1の保持部、271 案内溝、3 ホイール、4 駆動部材、5 第1の伝達部材、6 立体倉庫、7 第2の伝達部材、8 支持フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側側壁に、軸方向に沿って延在する軌道溝が設けられたスプライン軸(1)であって、前記軌道溝が、前記軸方向に沿って連通する第1の溝部(11)及び第2の溝部(12)を備え、前記第2の溝部(12)の幅が、前記第1の溝部(11)の幅よりも広い、スプライン軸(1)と、
前記スプライン軸(1)の外側を同軸に囲んで設けられたスプラインナット(2)と、
前記軌道溝内で、前記軸方向に沿って移動可能に配置され、前記スプラインナット(2)と前記スプライン軸(1)との相対移動を実現する第1の転動体(23)と
を備え、
前記スプラインナット(2)が第1の位置にあるとき、前記第1の転動体(23)が、前記第1の溝部(11)内にあり、前記第1の溝部(11)と拘束的に協働して、前記スプラインナット(2)と前記スプライン軸(1)との同期回転を生じさせ、前記スプラインナット(2)が第2の位置にあるとき、前記第1の転動体(23)が、前記第2の溝部(12)内にあり、これにより、前記スプライン軸(1)と前記スプラインナット(2)との間には周方向に所定の隙間がある、ボールスプライン装置。
【請求項2】
前記軌道溝が、移行溝部(13)をさらに備え、前記移行溝部(13)が、前記第1の溝部(11)と前記第2の溝部(12)との間に接続され、前記第1の転動体(23)を案内して、前記第1の溝部(11)と前記第2の溝部(12)との間を切り替えるように構成される、請求項1に記載のボールスプライン装置。
【請求項3】
前記移行溝部(13)の両方の側壁が、傾斜面(131)であり、それらの間の距離が、前記第1の溝部(11)から前記第2の溝部(12)まで徐々に長くなる、請求項2に記載のボールスプライン装置。
【請求項4】
前記第2の溝部(12)が、前記スプライン軸(1)の前記軸方向に沿った中間領域に位置し、前記第2の溝部(12)の両端部には、前記第1の溝部(11)が設けられる、請求項1に記載のボールスプライン装置。
【請求項5】
複数のグループの軌道溝が、前記周方向に沿って配置され、各グループの前記軌道溝が、2つの離隔した軌道溝を備え、2つの隣接するグループの軌道溝間の周方向間隔が、同じグループ内の2つの隣接する軌道溝間の周方向間隔よりも広い、請求項1に記載のボールスプライン装置。
【請求項6】
前記スプライン軸(1)の第1の端部が、前記スプライン軸(1)の回転に動力を供給する駆動部材(4)に接続するように構成される第1の取付部(16)を有し、前記スプライン軸(1)の第2の端部が、外部の第1の伝達部材(5)と接続されるように構成される第2の取付部(17)を有する、請求項1に記載のボールスプライン装置。
【請求項7】
前記スプラインナット(2)と前記スプライン軸(1)との間に配置され、前記軸方向に沿って、前記スプラインナット(2)の2つ端部に位置する2つのグループの第1のシール部材(25)
をさらに備え、
前記第1の転動体(23)が、2つのグループの前記第1のシール部材(25)間に位置する、請求項1に記載のボールスプライン装置。
【請求項8】
前記スプラインナット(2)が、
前記スプライン軸(1)の外側を囲んで設けられた内側ナット(21)と、
前記内側ナット(21)の外側を囲んで設けられた外側ナット(22)と、
前記内側ナット(21)と前記外側ナット(22)との間で、前記周方向に沿って移動可能に配置され、前記内側ナット(21)と前記外側ナット(22)との相対回転を可能にする第2の転動体(24)と
を備え、
前記第1の転動体(23)が、前記内側ナット(21)と前記軌道溝との間に配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載のボールスプライン装置。
【請求項9】
前記内側ナット(21)と前記外側ナット(22)との間に配置され、前記軸方向に沿って前記外側ナット(22)の2つ端部に位置する2つのグループの第2のシール部材(26)
をさらに備え、
前記第2の転動体(24)が、2つのグループの前記第2のシール部材(26)間に位置する、請求項8に記載のボールスプライン装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のボールスプライン装置と、
前記スプラインナット(2)に同軸に取り付けられたホイール(3)と、
前記スプライン軸(1)の回転のための駆動力を供給するように構成される駆動部材(4)と
を備える、無人搬送車。
【請求項11】
前記スプラインナット(2)が、
前記スプライン軸(1)の外側を囲んで設けられ、前記ホイール(3)と接続される内側ナット(21)と、
前記内側ナット(21)の外側を囲んで設けられ、前記内側ナット(21)に対して回転可能にされ、前記無人搬送車に配置される支持フレーム(8)に接続される外側ナット(22)と
を備え、
前記第1の転動体(23)が、前記内側ナット(21)と前記軌道溝との間に配置される、請求項10に記載の無人搬送車。
【請求項12】
前記スプライン軸(1)の第1の端部が、第1の取付部(16)を有し、前記駆動部材(4)が、前記第1の取付部(16)に駆動接続され、前記スプライン軸(1)の第2の端部が、第2の取付部(17)を有し、
前記無人搬送車が、第1の伝達部材(5)をさらに備え、前記第1の伝達部材(5)が、前記第2の取付部(17)に接続され、外部の第2の伝達部材(7)と協働するように構成される、請求項11に記載の無人搬送車。
【請求項13】
前記スプラインナット(2)が前記第2の位置にあるとき、前記ホイール(3)の位置が変化しないままの間、前記第1の伝達部材(5)が、前記第2の伝達部材(7)と協働して調整されるように構成される、請求項12に記載の無人搬送車。
【請求項14】
前記無人搬送車が、前記スプラインナット(2)が前記第1の位置にあるとき、ウォーキングモード及びムービングモードを有するように構成され、
前記ウォーキングモードでは、前記無人搬送車が、前記駆動部材(4)によって前記スプライン軸(1)を駆動することで前記ホイール(3)の回転を駆動して、ウォーキングを実現するように構成され、前記ムービングモードでは、前記無人搬送車が、前記駆動部材(4)によって前記スプライン軸(1)を駆動することで前記第1の伝達部材(5)の回転を駆動して、前記第1の伝達部材(5)と前記第2の伝達部材(7)との協働で移動を実現するように構成される、請求項12に記載の無人搬送車。
【請求項15】
保管位置の複数の層を有し、垂直ラックを含む第2の伝達部材(7)が設けられた立体倉庫(6)と、
歯車を備える第1の伝達部材(5)と、第1の取付部(16)を有する前記スプライン軸(1)の第1の端部であって、前記駆動部材(4)が、前記第1の取付部(16)に駆動接続される、第1の端部と、前記歯車に接続される第2の取付部(17)を有する前記スプライン軸(1)の第2の端部とを備える、請求項10から14のいずれか一項に記載の無人搬送車と
を備え、
前記スプラインナット(2)が前記第2の位置にあるとき、前記ホイール(3)の位置が変化しない間、前記歯車が、前記第2の伝達部材(7)と協働して調整されるように構成される、立体倉庫システム。
【請求項16】
前記所定の隙間が、前記歯車または前記ラックの歯幅以上である、請求項15に記載の立体倉庫システム。
【請求項17】
前記スプラインナット(2)が前記第1の位置にあるとき、前記無人搬送車が、ウォーキングモード及びムービングモードを有するように構成され、
前記ウォーキングモードでは、前記無人搬送車が、前記駆動部材(4)によって前記スプライン軸(1)を駆動することで前記ホイール(3)の回転を駆動して、ウォーキングを実現するように構成され、前記ムービングモードでは、前記無人搬送車が、前記駆動部材(4)によって前記スプライン軸(1)を駆動することで前記ラックに沿った前記歯車の動きを駆動して、保管位置の異なる層に到達させるために、垂直方向の移動を実現するように構成される、請求項15に記載の立体倉庫システム。
【国際調査報告】