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特表2023-543428モビリティ管理エンティティ(MME)へのS1接続、および、アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)へのN2接続を分配するための方法、システムならびにコンピュータ読取可能媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-16
(54)【発明の名称】モビリティ管理エンティティ(MME)へのS1接続、および、アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)へのN2接続を分配するための方法、システムならびにコンピュータ読取可能媒体
(51)【国際特許分類】
   H04L 47/12 20220101AFI20231006BHJP
   H04L 45/247 20220101ALI20231006BHJP
   H04L 61/5007 20220101ALI20231006BHJP
【FI】
H04L47/12
H04L45/247
H04L61/5007
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518266
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 US2021024001
(87)【国際公開番号】W WO2022060413
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】17/027,633
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502303739
【氏名又は名称】オラクル・インターナショナル・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴエル,イェシュ
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA13
5K030HC09
5K030HC13
5K030LE03
(57)【要約】
モビリティ管理ノードインスタンスへの接続を分配するための方法は、RANノードから接続要求およびイングレスメッセージを受信するためのIPアドレスを発行するステップを含む。上記方法はさらに、モビリティ管理ノードインスタンスの接続ローディング測定値を維持するステップと、モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つとの接続を開始するためにRANノードによって生成された接続要求メッセージを受信するステップと、接続要求メッセージを処理するためのモビリティ管理ノードインスタンスを選択するように接続分配アルゴリズムを適用するステップと、選択されたモビリティ管理ノードインスタンスのIPアドレスと、接続要求のソースIPアドレスおよびソースポートフィールドから抽出されたRANノードのIPアドレスおよびポートとの間の関連付けを作成するステップとを含む。上記方法はさらに、選択されたモビリティ管理ノードインスタンスに接続要求メッセージを転送するステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モビリティ管理ノードインスタンスへの接続を分配するための方法であって、
接続ロードバランサが、無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access Network)ノードから接続要求およびイングレスメッセージを受信するためのインターネットプロトコル(IP:Internet Protocol)アドレスを発行するステップと、
前記接続ロードバランサが、前記モビリティ管理ノードインスタンスの接続ローディング測定値を維持するステップと、
前記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つとの接続を開始するためにRANノードによって生成された接続要求メッセージを前記接続ロードバランサで受信するステップと、
前記接続ロードバランサが、前記接続要求メッセージを処理するためのモビリティ管理ノードインスタンスを選択するように接続分配アルゴリズムを適用するステップと、
前記接続ロードバランサが、プロトコル連続性のために、前記選択されたモビリティ管理ノードインスタンスのIPアドレスと、前記接続要求メッセージのソースIPアドレスおよびソースポートフィールドから抽出された前記RANノードのIPアドレスおよびポートとを、少なくとも部分的に前記接続ロードバランサによって投入されたキャッシュまたはデータベースの中に作成するステップと、
前記接続ロードバランサが、前記接続分配アルゴリズムを使用して選択された前記モビリティ管理ノードインスタンスに前記接続要求メッセージを転送するステップとを備える、方法。
【請求項2】
前記接続を介して後続のメッセージを前記接続ロードバランサで受信するステップと、
前記後続のメッセージから抽出されたソースIPアドレスおよびソースポートを使用して前記キャッシュまたはデータベースに照会して、前記接続を提供する前記モビリティ管理ノードインスタンスの前記IPアドレスを決定するステップと、
前記接続ロードバランサが、前記後続のメッセージを前記モビリティ管理ノードインスタンスの前記IPアドレスに転送するステップとを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記IPアドレスを発行するステップは、グラチューイタス・アドレス・レゾリューション・プロトコル(ARP:Address Resolution Protocol)メッセージまたはインターネット制御管理プロトコルバージョン6(ICMPv6:Internet Control Management Protocol version 6)近隣探索メッセージをボーダーゲートウェイノードにブロードキャストするステップを含み、前記グラチューイタスARPメッセージまたはICMPv6近隣探索メッセージは、前記発行されたIPアドレスを前記接続ロードバランサのインターフェイスのメディアアクセス制御(MAC:Media Access Control)と関連付ける、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記接続ロードバランサによって発行された前記IPアドレスを前記モビリティ管理ノードインスタンスのループバックインターフェイスのエイリアスアドレスとして構成するステップを備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記接続ロードバランサによって発行された前記IPアドレスを前記モビリティ管理ノードインスタンスにおいてリッスンするステップを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記モビリティ管理ノードインスタンスは、モビリティ管理エンティティ(MME:Mobility Management Entity)インスタンスまたはアクセスおよびモビリティ管理機能(AMF:Access and Mobility Management Function)インスタンスを含み、前記接続要求メッセージを受信するステップは、S1またはN2接続要求メッセージを受信するステップを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
接続ローディング情報を維持するステップは、各モビリティ管理ノードインスタンス上の全ての構成されたグループについて各前記モビリティ管理ノードインスタンスのグループカウントを維持するステップを含み、グループは、前記グループが表すRANノードの1つまたは複数のIPアドレスを含み、前記グループカウントは、前記モビリティ管理ノードインスタンスとの接続の数のカウントを含み、モビリティ管理ノードインスタンスを選択するステップは、前記グループカウントを使用してモビリティ管理ノードインスタンスを選択するステップを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つの障害を検出して、利用可能なモビリティ管理ノードインスタンスに前記接続要求メッセージを自動的にルーティングするステップを備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記モビリティ管理ノードインスタンスの再確立を検出するステップを備え、前記接続分配アルゴリズムを適用するステップは、前記再確立されたモビリティ管理ノードインスタンスを前記接続分配アルゴリズムの選択候補として含むステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
新たなモビリティ管理ノードインスタンスの利用可能性を検出するステップを備え、前記接続分配アルゴリズムを適用するステップは、前記新たなモビリティ管理ノードインスタンスを前記接続分配アルゴリズムの選択候補として含むステップを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
モビリティ管理ノードインスタンスへの接続を分配するためのシステムであって、
少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを含む接続ロードバランサと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって実現されるS1/N2接続分配器とを備え、前記S1/N2接続分配器は、
無線アクセスネットワーク(RAN)ノードから接続要求およびイングレスメッセージを受信するためのインターネットプロトコル(IP)アドレスを発行し、
前記モビリティ管理ノードインスタンスの接続ローディング測定値を維持し、
前記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つとの接続を開始するためにRANノードによって生成された接続要求メッセージを受信し、
前記接続要求メッセージを処理するためのモビリティ管理ノードインスタンスを選択するように接続分配アルゴリズムを適用し、プロトコル連続性のために、前記選択されたモビリティ管理ノードインスタンスのIPアドレスと、前記接続要求メッセージのソースIPアドレスおよびソースポートフィールドから抽出された前記RANノードのIPアドレスおよびポートとの間の関連付けを、少なくとも部分的に前記接続ロードバランサによって投入されたキャッシュまたはデータベースの中に作成し、
前記選択されたモビリティ管理ノードインスタンスに前記接続要求メッセージを転送する、システム。
【請求項12】
前記S1/N2接続分配器はさらに、
前記接続を介して後続のメッセージを前記接続ロードバランサで受信し、
前記後続のメッセージから抽出されたソースIPアドレスおよびソースポートを使用して前記キャッシュまたはデータベースに照会して、前記接続を提供する前記モビリティ管理ノードインスタンスの前記IPアドレスを決定し、
前記接続ロードバランサが、前記後続のメッセージを前記モビリティ管理ノードインスタンスの前記IPアドレスに転送するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記IPアドレスを発行することは、グラチューイタス・アドレス・レゾリューション・プロトコル(ARP)メッセージまたはインターネット制御管理プロトコルバージョン6(ICMPv6)近隣探索メッセージをボーダーゲートウェイノードにブロードキャストすることを含み、前記グラチューイタスARPメッセージまたはICMPv6近隣探索メッセージは、前記接続ロードバランサのIPアドレスを前記接続ロードバランサのインターフェイスのメディアアクセス制御(MAC)アドレスと関連付ける、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記モビリティ管理ノードインスタンスは、モビリティ管理エンティティ(MME)インスタンスまたはアクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)インスタンスを含み、前記接続要求メッセージを受信することは、S1またはN2接続要求メッセージを受信することを含む、請求項11~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
接続ローディング情報を維持することは、各前記モビリティ管理ノードインスタンスのグループカウントを維持することを含み、前記グループカウントは、前記モビリティ管理ノードインスタンスとの接続の数のカウントを含み、モビリティ管理ノードインスタンスを選択することは、前記グループカウントを使用してモビリティ管理ノードインスタンスを選択することを含む、請求項11~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記S1/N2接続分配器は、前記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つの障害を検出して、利用可能なモビリティ管理ノードインスタンスに前記接続要求メッセージを自動的にルーティングするように構成されている、請求項11~15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記S1/N2接続分配器は、前記モビリティ管理ノードインスタンスの再確立を検出するように構成されており、前記接続分配アルゴリズムを適用することは、前記再確立されたモビリティ管理ノードインスタンスを前記接続分配アルゴリズムの選択候補として含むことを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記S1/N2接続分配器は、新たなモビリティ管理ノードインスタンスの利用可能性を検出するように構成されており、前記接続分配アルゴリズムを適用することは、前記新たなモビリティ管理ノードインスタンスを前記接続分配アルゴリズムの選択候補として含むことを含む、請求項11~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
実行可能な命令が格納された非一時的なコンピュータ読取可能媒体であって、前記命令は、コンピュータのプロセッサによって実行されると、ステップを実行するように前記コンピュータを制御し、前記ステップは、
接続ロードバランサが、モビリティ管理ノードインスタンスに向けられる無線アクセスネットワーク(RAN)ノードから接続要求およびイングレスメッセージを受信するためのインターネットプロトコル(IP)アドレスを発行するステップと、
前記接続ロードバランサが、前記モビリティ管理ノードインスタンスの接続ローディング測定値を維持するステップと、
前記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つとの接続を開始するためにRANノードによって生成された接続要求メッセージを前記接続ロードバランサで受信するステップと、
前記接続ロードバランサが、前記接続要求メッセージを処理するためのモビリティ管理ノードインスタンスを選択するように接続分配アルゴリズムを適用するステップと、
前記接続ロードバランサが、プロトコル連続性のために、前記選択されたモビリティ管理ノードインスタンスのIPアドレスと、前記接続要求メッセージのソースIPアドレスおよびソースポートフィールドから抽出された前記RANノードのIPアドレスおよびポートとの間の関連付けを、少なくとも部分的に前記接続ロードバランサによって投入されたキャッシュまたはデータベースの中に作成するステップと、
前記接続分配アルゴリズムを使用して選択された前記モビリティ管理ノードインスタンスに前記接続要求メッセージを転送するステップとを備える、非一時的なコンピュータ読取可能媒体。
【請求項20】
前記接続を介して後続のメッセージを前記接続ロードバランサで受信するステップと、
前記後続のメッセージから抽出されたソースIPアドレスおよびソースポートを使用して前記キャッシュまたはデータベースに照会して、前記接続を提供する前記モビリティ管理ノードインスタンスの前記IPアドレスを決定するステップと、
前記接続ロードバランサが、前記後続のメッセージを前記モビリティ管理ノードインスタンスの前記IPアドレスに転送するステップとを備える、請求項19に記載の非一時的なコンピュータ読取可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本願は、2020年9月21日に出願された米国特許出願番号第17/027,633号の優先権利益を主張し、米国特許出願番号第17/027,633号の開示は、全文が引用によって本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
本明細書に記載されている主題は、モバイル通信ネットワークにおける接続分配に関する。より特定的には、本明細書に記載されている主題は、MMEへのS1接続およびAMFへのN2接続を分配するための方法、システムならびにコンピュータ読取可能媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
4Gモバイル通信ネットワークにおいて、モビリティ管理エンティティは、携帯電話加入者を代表してモビリティ関連機能を実行するために無線アクセスノードと通信するノードである。5G通信ネットワークにおいて、AMFは、ユーザを代表してモビリティ関連機能を実行するために無線アクセスノードと通信するノードである。無線アクセスノードとMMEノードとの間の接続はS1接続と称される。なぜなら、無線アクセスノードとMMEとの間のインターフェイスがS1インターフェイスであるからである。同様に、5G通信ネットワークにおいて、無線アクセスノードとAMFとの間のインターフェイスはN2インターフェイスと称され、このインターフェイスを介した接続はN2接続と称される。
【0004】
モバイル通信ネットワークで生じる1つの問題は、特にクラウド構成においてMMEノードおよびAMFノードをスケールアップまたはスケールダウンしなければならない場合があるというものである。MMEノードまたはAMFノードのスケールアップまたはスケールダウン中に、S1接続またはN2接続を追加または除去する必要がある場合がある。S1接続またはN2接続を追加または除去することは、無線アクセスノードにとって混乱を引き起こすものであるおそれがある。
【0005】
これらの問題に鑑みて、無線アクセスノードとのS1接続またはN2接続に悪影響を及ぼすことなくMMEノードまたはAMFノードの再構成を可能にするための改良された方法、システムおよびコンピュータ読取可能媒体が必要である。
【発明の概要】
【0006】
概要
モビリティ管理ノードインスタンスへの接続を分配するための方法は、無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access Network)ノードから接続要求(S1またはN2接続要求など)およびイングレスメッセージを受信するためのインターネットプロトコル(IP:Internet Protocol)アドレスを発行するステップを含む。上記方法はさらに、上記接続ロードバランサが、上記モビリティ管理ノードインスタンスの接続ローディング測定値を維持するステップを含む。上記方法はさらに、上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つとの接続を開始するためにRANノードによって生成された接続要求メッセージを上記接続ロードバランサで受信するステップを含む。上記方法はさらに、上記接続ロードバランサが、上記接続要求メッセージを処理するためのモビリティ管理ノードインスタンスを選択するように接続分配アルゴリズムを適用するステップを含む。上記方法はさらに、上記接続ロードバランサが、プロトコル連続性のために、上記選択されたモビリティ管理ノードインスタンスのIPアドレスと、上記接続要求メッセージのソースIPアドレスフィールドおよびソースポートフィールドから抽出された上記RANノードのIPアドレスおよびポートとの間の関連付けを、少なくとも部分的に上記接続ロードバランサによって投入されたデータベースまたはキャッシュの中に作成するステップを含む。上記方法はさらに、上記接続ロードバランサが、上記接続分配アルゴリズムを使用して選択された上記モビリティ管理ノードインスタンスに上記接続要求メッセージを転送するステップを含む。
【0007】
本明細書に記載されている主題のさらに別の局面に従って、上記IPアドレスを発行するステップは、上記接続ロードバランサが、グラチューイタスARPまたはインターネット制御管理プロトコルバージョン6(ICMPv6:Internet Control Management Protocol version 6)近隣探索メッセージをブロードキャストするステップを含み、上記グラチューイタスARPまたはICMPv6近隣探索メッセージは、上記IPアドレスを上記接続ロードバランサのメディアアクセス制御(MAC:Media Access Control)アドレスと関連付ける。
【0008】
本明細書に記載されている主題のさらに別の局面に従って、上記接続ロードバランサによって発行された上記IPアドレスは、上記モビリティ管理ノードインスタンスのループバックインターフェイスに関連付けられ得る。上記IPアドレスを上記モビリティ管理ノードインスタンスのループバックアドレスと関連付けることは、上記モビリティ管理ノードインスタンスが、上記IPアドレスを含むアドレス・レゾリューション・プロトコル(ARP:Address Resolution Protocol)またはICMPメッセージをブロードキャストすることなく上記IPアドレスをエイリアスとして使用することを可能にする。
【0009】
本明細書に記載されている主題のさらに別の局面に従って、上記メッセージが初期のメッセージであるか後続のメッセージであるかを判断するステップは、メッセージが初期のメッセージであると判断するステップを含み得て、上記接続が上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つに割り当てられているかどうかを判断するステップは、上記接続が上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つに割り当てられていないと判断するステップを含み得る。上記メッセージが初期のメッセージであると判断され、上記接続が上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つに割り当てられていない場合、負荷分散アルゴリズムを使用してS1接続が上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つに割り当てられる。次いで、上記初期のメッセージは、上記S1接続に割り当てられた上記モビリティ管理ノードインスタンスに転送される。
【0010】
本明細書に記載されている主題のさらに別の局面に従って、上記メッセージが初期のメッセージであるかS1接続に関連付けられた後続のメッセージであるかを判断するステップは、上記メッセージが後続のメッセージであると判断するステップを含み得る。上記後続のメッセージに関連付けられた上記S1接続がメッセージプロセッサのうちの1つに割り当てられているかどうかを判断するステップは、上記S1接続が上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つに割り当てられていると判断するステップを含み得る。上記メッセージが、上記S1接続が上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つに割り当てられた後続のメッセージであると判断される場合、上記メッセージは、上記割り当てられたモビリティ管理ノードインスタンスに転送され得る。
【0011】
本明細書に記載されている主題のさらに別の局面に従って、上記メッセージが初期のメッセージであるか後続のメッセージであるかを判断するステップは、メッセージが初期のメッセージであると判断するステップを含み得て、上記接続が上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つに割り当てられているかどうかを判断するステップは、上記接続が上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つに割り当てられていないと判断するステップを含み得る。上記メッセージが初期のメッセージであると判断され、上記接続が上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つに割り当てられていない場合、負荷分散アルゴリズムを使用してN2接続が上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つに割り当てられる。次いで、上記初期のメッセージは、上記N2接続に割り当てられた上記モビリティ管理ノードインスタンスに転送される。
【0012】
本明細書に記載されている主題のさらに別の局面に従って、上記メッセージが初期のメッセージであるかN2接続に関連付けられた後続のメッセージであるかを判断するステップは、上記メッセージが後続のメッセージであると判断するステップを含み得る。上記後続のメッセージに関連付けられた上記N2接続が上記メッセージプロセッサのうちの1つに割り当てられているかどうかを判断するステップは、上記N2接続が上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つに割り当てられていると判断するステップを含み得る。上記メッセージが、上記N2接続が上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つに割り当てられた後続のメッセージであると判断される場合、上記メッセージは、上記割り当てられたモビリティ管理ノードインスタンスに転送され得る。
【0013】
本明細書に記載されている主題の別の局面に従って、モビリティ管理ノードインスタンスへの接続を分配するための方法は、上記接続ロードバランサによって発行された上記IPアドレスを上記モビリティ管理ノードインスタンスにおいてリッスンするステップを含む。
【0014】
本明細書に記載されている主題の別の局面に従って、グループとは、特定のピアRANノードから上記モビリティ管理ノードの方に開始される接続のグループのことである。したがって、各ピアRANノードからの接続は、接続ロードバランサにおいて異なるグループに分離される。各グループは、接続ロードバランサにおいて、上記初期のメッセージのためのソースアドレスとして使用される上記ピアRANノードの上記IPアドレスによって識別される。
【0015】
本明細書に記載されている主題のさらに別の局面に従って、接続ロードバランサに着地する各S1接続要求について、負荷分散アルゴリズムが評価される上記グループを識別するためにそのソースIPアドレスが使用される。
【0016】
本明細書に記載されている主題のさらに別の局面に従って、負荷分散アルゴリズムを使用して上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つを上記S1接続に割り当てるステップは、各グループについて各上記モビリティ管理ノードインスタンスのグループカウントを維持するステップを含み、上記グループカウントは、各モビリティ管理ノードインスタンスに割り当てられたS1接続の数を示す。各モビリティ管理ノードインスタンスについて、上記モビリティ管理ノードインスタンスの上記グループカウントと上記モビリティ管理ノードインスタンスの最低グループカウントとの間のグループカウント差が計算される。接続分配閾値未満のグループカウント差を有するメッセージプロセッサは、接続分配候補として含まれる。上記接続分配閾値以上のグループカウント差を有するモビリティ管理ノードインスタンスは、接続分配候補としての検討から除外される。
【0017】
本明細書に記載されている主題のさらに別の局面に従って、接続ロードバランサに着地する各N2接続要求について、負荷分散アルゴリズムが評価される上記グループを識別するためにそのソースIPアドレスが使用される。
【0018】
本明細書に記載されている主題のさらに別の局面に従って、負荷分散アルゴリズムを使用して上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つを上記N2接続に割り当てるステップは、各グループについて各上記モビリティ管理ノードインスタンスのグループカウントを維持するステップを含み、上記グループカウントは、各モビリティ管理ノードインスタンスに割り当てられたN2接続の数を示す。各モビリティ管理ノードインスタンスについて、上記モビリティ管理ノードインスタンスの上記グループカウントと上記モビリティ管理ノードインスタンスの最低グループカウントとの間のグループカウント差が計算される。接続分配閾値未満のグループカウント差を有するモビリティ管理ノードインスタンスは、接続分配候補として含まれる。上記接続分配閾値以上のグループカウント差を有するメッセージプロセッサは、接続分配候補としての検討から除外される。
【0019】
本明細書に記載されている主題の別の局面に従って、モビリティ管理ノードインスタンスへの接続を分配するための方法は、上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つの障害を検出して、利用可能なモビリティ管理ノードインスタンスに上記接続要求メッセージを自動的にルーティングするステップを含む。
【0020】
本明細書に記載されている主題の別の局面に従って、モビリティ管理ノードインスタンスへの接続を分配するための方法は、上記モビリティ管理ノードインスタンスの再確立を検出するステップを含み、上記接続分配アルゴリズムを適用するステップは、上記再確立されたモビリティ管理ノードインスタンスを上記接続分配アルゴリズムの選択候補として含むステップを含む。
【0021】
本明細書に記載されている主題の別の局面に従って、モビリティ管理ノードインスタンスへの接続を分配するための方法は、新たなモビリティ管理ノードインスタンスの利用可能性を検出するステップを含み、上記接続分配アルゴリズムを適用するステップは、上記新たなモビリティ管理ノードインスタンスを上記接続分配アルゴリズムの選択候補として含むステップを含む。
【0022】
本明細書に記載されている主題の別の局面に従って、モビリティ管理ノードインスタンスへの接続を分配するためのシステムが提供される。上記システムは、少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを含む接続ロードバランサを含む。上記システムはさらに、S1/N2接続分配器を含み、上記S1/N2接続分配器は、無線アクセスネットワーク(RAN)ノードから接続要求およびイングレスメッセージを受信するためのインターネットプロトコル(IP)アドレスを発行し、上記モビリティ管理ノードインスタンスの接続ローディング測定値を維持し、上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つとの接続を開始するためにRANノードによって生成された接続要求メッセージを受信し、上記接続要求メッセージを処理するためのモビリティ管理ノードインスタンスを選択するように接続分配アルゴリズムを適用し、上記接続ロードバランサが、プロトコル連続性のために、上記選択されたモビリティ管理ノードインスタンスのIPアドレスと、上記接続要求メッセージのソースIPアドレスフィールドおよびソースポートフィールドから抽出された上記RANノードのIPアドレスおよびポートとの間の関連付けを、少なくとも部分的に上記接続ロードバランサによって投入されたデータベースまたはキャッシュの中に作成し、上記接続分配アルゴリズムを使用して選択された上記モビリティ管理ノードインスタンスに上記接続要求メッセージを転送する。
【0023】
本明細書に記載されている主題の別の局面に従って、上記S1/N2接続分配器は、グラチューイタス・アドレス・レゾリューション・プロトコル(ARP)またはICMPv6近隣探索メッセージをボーダーゲートウェイノードにブロードキャストすることによって上記IPアドレスを発行するように構成されており、上記グラチューイタスARPまたはICMPv6近隣探索メッセージは、上記IPアドレスを上記接続ロードバランサのインターフェイスのメディアアクセス制御(MAC)アドレスと関連付ける。
【0024】
本明細書に記載されている主題の別の局面に従って、上記S1/N2接続分配器は、1つまたは複数のグループを維持するように構成されている。各グループは、上記グループが表すピアRANの1つまたは複数のIPアドレスで構成されている。
【0025】
本明細書に記載されている主題の別の局面に従って、上記S1/N2接続分配器は、接続分配閾値で構成されている。
【0026】
本明細書に記載されている主題の別の局面に従って、上記S1/N2接続分配器は、構成されたグループ当たり上記接続ロード情報を維持するように構成されている。各々の構成されたグループについて、上記S1/N2接続分配器は、各上記モビリティ管理ノードインスタンスのグループカウントを維持し、上記グループカウントは、上記モビリティ管理ノードインスタンスとの接続の数のカウントを含み、上記S1/N2接続分配器はさらに、各モビリティ管理ノードインスタンスについて、上記モビリティ管理ノードインスタンスの上記グループカウントと上記モビリティ管理ノードインスタンスの最低グループカウントとの間のグループカウント差を計算して、接続分配閾値未満のグループカウント差を有するモビリティ管理ノードインスタンスを接続分配候補として含むように構成されている。
【0027】
本明細書に記載されている主題のさらに別の局面に従って、上記S1/N2接続分配器は、上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つの障害を検出して、利用可能なモビリティ管理ノードインスタンスに上記接続要求メッセージを自動的にルーティングするように構成されている。
【0028】
本明細書に記載されている主題の別の局面に従って、上記S1/N2接続分配器は、上記モビリティ管理ノードインスタンスの再確立を検出して、上記再確立されたモビリティ管理ノードインスタンスを上記接続分配アルゴリズムの選択候補として含むように構成されている。
【0029】
本明細書に記載されている主題のさらに別の局面に従って、上記S1/N2接続分配器は、新たなモビリティ管理ノードインスタンスの利用可能性を検出して、上記新たなモビリティ管理ノードインスタンスを上記接続分配アルゴリズムの選択候補として含むように構成されている。
【0030】
本明細書に記載されている主題のさらに別の局面に従って、実行可能な命令が格納された非一時的なコンピュータ読取可能媒体であって、上記命令は、コンピュータのプロセッサによって実行されると、ステップを実行するように上記コンピュータを制御する、非一時的なコンピュータ読取可能媒体が提供される。上記ステップは、接続ロードバランサが、無線アクセスネットワーク(RAN)ノードから接続要求およびイングレスメッセージを受信するためのインターネットプロトコル(IP)アドレスを発行するステップを含む。上記ステップはさらに、上記接続ロードバランサが、上記モビリティ管理ノードインスタンスの接続ローディング測定値を維持するステップを含む。上記ステップはさらに、上記モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つとの接続を開始するためにRANノードによって生成された接続要求メッセージを上記接続ロードバランサで受信するステップを含む。上記ステップはさらに、上記接続ロードバランサが、上記接続要求メッセージを処理するためのモビリティ管理ノードインスタンスを選択するように接続分配アルゴリズムを適用するステップを含む。上記ステップはさらに、上記接続ロードバランサが、プロトコル連続性のために、上記選択されたモビリティ管理ノードインスタンスのIPアドレスと、上記接続要求メッセージのソースIPアドレスフィールドおよびソースポートフィールドから抽出された上記RANノードのIPアドレスおよびポートとの間の関連付けを、少なくとも部分的に上記接続ロードバランサによって投入されたデータベースまたはキャッシュの中に作成するステップを含む。上記ステップはさらに、上記接続ロードバランサが、上記モビリティ管理ノードインスタンスに上記接続要求メッセージを転送するステップを含む。
【0031】
本明細書に記載されている主題の別の局面に従って、上記接続要求メッセージは、S1接続またはN2接続のための接続要求メッセージを含む。
【0032】
本明細書に記載されている主題は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実現することができる。したがって、本明細書で使用される「機能」、「ノード」または「モジュール」という語は、記載されている特徴を実現するための、ソフトウェアおよび/またはファームウェアコンポーネントも含み得るハードウェアを指す。1つの例示的な実現例において、本明細書に記載されている主題は、コンピュータのプロセッサによって実行されるとステップを実行するようにコンピュータを制御する、コンピュータによって実行可能な命令が格納されたコンピュータ読取可能媒体を使用して実現することができる。本明細書に記載されている主題を実現することに適した例示的なコンピュータ読取可能媒体は、ディスクメモリデバイス、チップメモリデバイス、プログラム可能ロジックデバイスおよび特定用途向け集積回路などの非一時的なコンピュータ読取可能媒体を含む。また、本明細書に記載されている主題を実現するコンピュータ読取可能媒体は、単一のデバイスもしくはコンピューティングプラットフォーム上に位置していてもよく、または、複数のデバイスもしくはコンピューティングプラットフォームにわたって分散されていてもよい。
【0033】
ここで、本明細書に記載されている主題について添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】無線アクセスノードとMMEインスタンスまたはAMFインスタンスとの間のS1接続またはN2接続を示すネットワーク図である。
図2】MMEノードインスタンスまたはAMFノードインスタンスがダウンした場合に生じる問題を示すネットワーク図である。
図3】現行のシステムに関連付けられた問題のうちの少なくとも一部を回避する、MME/AMFインスタンスとのS1/N2接続の負荷分散を行うための接続ロードバランサを有するモバイル通信ネットワークを示すネットワーク図である。
図4】接続ロードバランサを使用したS1接続またはN2接続を介したイングレストラフィックの負荷分散を示すネットワーク図である。
図5】接続ロードバランサを含むモバイル通信ネットワークにおけるエグレストラフィックのフローを示すネットワーク図である。
図6A】接続ロードバランサ初期化を示すコールフロー図である。
図6B】接続ロードバランサ初期化を示すコールフロー図である。
図7】接続ロードバランサを使用した接続分配を示すコールフロー図である。
図8】接続ロードバランサを使用したプロトコル連続性を示すコールフロー図である。
図9】接続ロードバランサを使用したRAN接続確立を示すネットワーク図である。
図10】例示的な接続ロードバランサを示すブロック図である。
図11】S1/N2接続分配のための接続ロードバランサによって実行される例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
詳細な説明
モバイルネットワークは、シグナリングを送るための複数の技術および相互接続とともに発展しつつある。モバイル通信ネットワークの1つの現在の課題は、モバイル通信ネットワークにおいてサービスを提供するアプリケーションおよびノードをクラウドに移行することである。クラウドベースの環境も、ネットワークのスマートなスケールアップおよびスケールダウンを必要とする。MME/AMFノードがクラウドにおいてスケールアップ/ダウンしている場合にMME/AMFノードを再構成することが潜在的に必要である。スケールアップおよびスケールダウン中に全てのS1/N2接続を追加/除去する必要がある。S1接続は、無線アクセスネットワーク(RAN)ノードとMMEとの間の接続である。N2接続は、RANノードとAMFとの間の接続である。
【0036】
本明細書に記載されている主題は、クラウド内に位置し得る接続ロードバランサ(CLB:Connection Load Balancer)を使用してMME/AMFノードの再構成の問題を解決することを目指している。これは、ネットワークが、クラウド内またはオンプレミスのMME/AMFノードに接続されたRANノードに影響を及ぼすことなくMMEおよび/またはAMFのスケールアップおよびスケールダウンを管理することを可能にする。
【0037】
現行のシステムでは、複数のMME/AMFノードは、RAN側からのS1/N2トラフィックスケーリング/高可用性プロセスを容易にするために複数のインスタンスとして動作し、それにより、各MME/AMFインスタンスは、外部RANノードとの専用の接続を有する。各MME/AMFインスタンスは、同一のRANノードからの複数のS1/N2接続を有していてもよい。高可用性のために、1つのRANノードが、複数のMME/AMFインスタンスにわたるS1/N2接続を有していてもよい。
【0038】
(エラーまたはスケールダウンに起因して)いずれか1つまたは複数のMME/AMFインスタンスがダウンすると、これらのインスタンスを有する全てのS1/N2接続は切断される。(ディザスタリカバリまたはスケールアップ後に)MME/AMFインスタンスが立ち上がると、新たなS1/N2接続をRANから構成しなければならない。上記の事実のために、MME/AMFインスタンスに再接続しようとするリモートRANノードは、MME/AMFインスタンスにわたる負荷分散を実現するために、異なるIPアドレスを有する各S1/N2接続を管理する必要がある。異なるIPアドレスを有する各S1/N2接続をリモートRANが別々に管理しなければならないことは、特にMMEまたはAMFが動作停止期間後に再び動作するようになった後に接続を再確立する必要がある場合には、リモートRANノードに構成負担を生じさせることになる。
【0039】
図1は、複数のMME/AMFインスタンスに接続されたRANノードを示す図であり、これらのMME/AMFインスタンスは、単一のMME/AMFノードを表す。図1を参照して、RANノード100は、S1/N2接続104を介して複数のMME/AMFインスタンス102に接続されている。各MME/AMFインスタンス102は、ネットワークAおよびBを介したイーサネット(登録商標)インターフェイス106を含む。各イーサネットインターフェイス106はMACアドレスを含み、別々のIPアドレスが各イーサネットインターフェイス106に関連付けられている。
【0040】
示されている例において、S1/N2接続104の各々は、MME/AMF102のイーサネットインターフェイスのうちの1つに関連付けられた一次イングレス接続経路108と、MME/AMFインスタンス102の別のイーサネットインターフェイス106に関連付けられた二次イングレス接続経路110とを含む。一次および二次通信経路は、ストリーム制御伝送プロトコル(SCTP:Stream Control Transmission Protocol)ベースのマルチホーム接続経路であってもよい。しかし、本明細書に記載されている主題は、関連付けを2つだけ有するSCTPマルチホーム接続を使用することに限定されるものではない。関連付けの数は、1つの関連付けからSCTPプロトコルによってサポートされる最大の関連付けまで調整することができる。しかし、本明細書に記載されている主題は、SCTPをトランスポート層プロトコルとして使用することに限定されるものではない。本明細書に記載されている主題の範囲から逸脱することなく、SCTPの代わりに伝送制御プロトコル(TCP:Transmission Control Protocol)が使用されてもよい。
【0041】
示されている例において、IPアドレスIP-ノード-N-Aは、シグナリングデバイスまたはイーサネットインターフェイスA 106に関するMME/AMFインスタンス-1 102のIPアドレスである。IPアドレスIP-ノード-N-Bは、シグナリングデバイスBまたはイーサネットインターフェイスB 106に関するMME/AMFインスタンス-1 102のIPアドレスである。IPアドレスIP-ノード-N-Aは、シグナリングデバイスまたはイーサネットインターフェイスA 106に関するMME/AMFインスタンス-N 102のIPアドレスである。IPアドレスIP-ノード-N-Bは、シグナリングデバイスまたはイーサネットインターフェイスB 106に関するMME/AMFインスタンス-N 102のIPアドレスである。
【0042】
リモートRANノードは、S1/N2接続を介してMME/AMFインスタンスに接続することができ、MME/AMFインスタンスは、選択された冗長性モデルに応じて単一のプロセッサ上で実現されたり複数のプロセッサ上で実現されたりする。本明細書に記載されている主題は、単一のプロセッサまたは複数のプロセッサ上で実現されたMME/AMFインスタンスへのS1/N2接続を管理することに限定されるものではない。どちらの場合も、本明細書に記載されている主題の範囲内であるよう意図されている。
【0043】
図2は、MME/AMFインスタンスがダウンした場合の現行のネットワークアーキテクチャの問題の一部を示す図である。MME/AMFインスタンスがダウンすると、影響を受けたMME/AMFに以前に接続されたRANノードは、影響を受けた接続を別のMME/AMFインスタンスの固定IPで再構成する必要があるだろう。このような再構成は、S1/N2接続の両方の終端にとって負担になる。
【0044】
現行のアーキテクチャによって引き起こされる再構成問題に加えて、負荷が最小のMME/AMFインスタンスへの自動的な接続分配ができなくなるだろう。RANノードは、特にクラウド構成における停電または変化に起因してインスタンスが変化する場合には、MME/AMFインスタンスのローディングへの可視性を持つことができない。その結果、RANノードによるS1/N2接続の分配は最適下限である可能性がある。
【0045】
現行のネットワークアーキテクチャに存在し得る別の問題は、いずれかのMME/AMFインスタンス(または、複数のインスタンス)がダウンすると、それ/それらに接続された接続が他のMME/AMFインスタンスに自動的に分配されず、そのため、他のMME/AMFインスタンスとの接続を再構成するように手動介入が行われない限り、操作性の低い接続を残すことになる、というものである。MME/AMFインスタンスが動作停止すると、接続の自動的な再構成ができなくなるだろう。
【0046】
図2に示される例では、MME/AMFインスタンス102のうちの1つがダウンすると、機能しなくなったまたは動作停止したMME/AMFインスタンス102に接続されたS1/N2接続は中断される。機能しなくなったMME/AMF102との再接続試行は、接続不良を生じさせる。また、残りのMME/AMF102への自動的な負荷分散はない。
【0047】
現行のS1/N2接続アーキテクチャに関連付けられた問題のうちの少なくとも一部を回避または軽減するために、RANノードとMME/AMFインスタンスとの間に接続ロードバランサが設けられ得て、MME/AMFインスタンス構成が変化した場合に、接続ロードバランサとリモートRANノードとの間の接続の再構成を必要とすることなく接続の自動的な再構成を実行する。たとえば、接続ロードバランサを使用して、図2に関して言及した問題を解決することができる。
【0048】
一実現例において、接続ロードバランサは、RANノードにサービスを提供するために使用されている全てのMME/AMFインスタンスに接続するための一組のパブリックIPアドレスを公開する。これは、RANノードに提供されるパブリックIPアドレス情報の変更を必要とすることなくスケールアップまたはスケールダウンする柔軟性をMME/AMFノードに提供する。接続ロードバランサによって公開されるパブリックIPアドレスは、MME/AMF構成から独立しているので、MME/AMF構成は、リモートRANノードにS1/N2接続を再構成することを要求することなく変化することができる。
【0049】
リモートRANノードの側で必要とされる再構成の量を減少させることに加えて、接続ロードバランサは、利用可能なMME/AMFリソース上の接続を自動的に平衡させる柔軟性を提供し、これにより、リソース使用を最適化する。たとえば、接続ロードバランサは、MME/AMFインスタンスのS1/N2接続ローディングの測定値を維持し、これらの測定値を使用してS1/N2接続分配決定を行うことができる。MME/AMFノードにおいてメッセージ処理容量損失がある場合、接続ロードバランサは、接続を他のMME/AMFインスタンスに再分配して、同一レベルのサービスをリモートRANノードに提供することができる。
【0050】
図3において、接続ロードバランサ300は、イーサネットインターフェイス302および304を含む。接続ロードバランサ300は、RANノード100などのRANデバイスにIPアドレスIP-ノード-AおよびIPアドレスIP-ノード-Bのみを公開する。IPアドレスIP-ノード-1-A、IP-ノード-1-B、IP-ノード-N-AおよびIP-ノード-N-Bは、RANノードには発行されない。仮想エンティティとして、接続ロードバランサ300および/またはモビリティ管理ノードインスタンス102は、クラウドコンピューティングハードウェア上のハイパーバイザで実行される仮想マシンを表し得る。
【0051】
図4は、イングレストラフィックに接続ロードバランサを使用した解決策の案の一例を示す図である。図4において、接続ロードバランサ300は、RANノード100からS1/N2接続要求を受信し、MME/AMFインスタンス102の間でこれらの要求の負荷分散を行うための負荷分散を実行し、選択されたMME/AMF102にこれらの接続要求を転送する。MME/AMF102のIPアドレスがRANノード100に公開されていないので、MME/AMFインスタンス102をスケールアップまたはスケールダウンする必要がある場合には、このようなスケーリングは、以下でより詳細に説明するように、接続ロードバランサ300においてシームレスに処理することができる。IPアドレスIP-ノード-Aは、RANノード100およびネットワークA上の他のRANノードに発行される。RANノード100およびネットワークA上の他のノードは、IPアドレスIP-ノード-Aを、ネットワークAを介したイングレスS1/N2接続のための宛先IPアドレスとして使用し、イングレス方向は、RANノードからMME/AMFインスタンスへの方向である。IPアドレスIP-ノード-Bは、RANノード100およびネットワークB上の他のRANノードに発行される。RANノード100およびネットワークB上の他のノードは、IPアドレスIP-ノード-Bを、ネットワークBを介したイングレスS1/N2接続のための宛先IPアドレスとして使用する。
【0052】
図5は、接続ロードバランサ300を含むネットワークを使用したエグレストラフィックの経路を示す図である。図5において、エグレストラフィックは、接続ロードバランサ300を通ることなくMME/AMFインスタンス102からRANノード100に進んでいくことが分かる。この例では、エグレス方向とは、MME/AMFインスタンスからRANノードへの方向のことである。MME/AMFインスタンスからのエグレストラフィックは、接続ロードバランサ300を通らない。なぜなら、エグレストラフィックは、リモートRANノードからのイングレスメッセージから取得されたリモートRANノードのIPアドレスにアドレス指定されるからである。
【0053】
図6Aおよび図6Bは、接続ロードバランサ300の初期化段階を示す図である。図6AのステップA.1において、RANノード100と接続ロードバランサ300との間に接続され得るボーダーゲートウェイ600は、接続ロードバランサ300からブロードキャスト・グラチューイタス・アドレス・レゾリューション・プロトコル(ARP)メッセージまたはICMPv6近隣探索メッセージを受信する。ブロードキャストグラチューイタスARPメッセージまたはICMPv6近隣探索メッセージは、IPアドレスIP-ノード-AおよびIP-ノード-Bをそれぞれメディアアクセス制御(MAC)アドレスMAC-AおよびMAC-Bと関連付ける。ステップA.2において、ボーダーゲートウェイ600は、IPアドレスIP-ノード-AおよびIP-ノード-BをそれぞれMACアドレスMAC-AおよびMAC-Bと関連付けるようにそのMACテーブルを更新する。なお、MACアドレスMAC-AおよびMAC-Bは、MME/AMFインスタンスではなく、接続ロードバランサ300のイーサネットインターフェイス302および304に関連付けられる。
【0054】
図6Bは、MME/AMFインスタンスを構成するためのステップを示す図である。図6Bを参照して、ステップB.1において、各MME/AMFインスタンスは、そのループバックインターフェイス上でエイリアスIPアドレスIP-ノード-AおよびIP-ノード-Bを構成する。ループバックインターフェイスは、MACアドレスを有していないので、これらのMME/AMFインターフェイスによってARPメッセージおよびICMPv6近隣探索メッセージは送信されない。ステップB.2において、各MME/AMFインスタンスは、一次経路のためのアドレスIP-ノード-Aおよび二次経路のためのアドレスIP-ノード-Bの、入来するS1/N2接続要求のためのリスティングを開始するマルチホームレスポンダ接続で構成される。上記のように、IPアドレスIP-ノード-AおよびIP-ノード-Bは、接続ロードバランサ300のMACアドレスMAC-AおよびMAC-Bに関連付けられる。リモートRANノードは、IPアドレスIP-ノード-AおよびIP-ノード-Bを使用して複数の異なるMME/AMFインスタンスに接続し、接続ロードバランサは、どのMME/AMFインスタンスが所与の接続要求を処理すべきであるかを決定するので、再構成の結果としてリモートRANノードがそれらのS1/N2接続を再構成することを要求することなくMME/AMFインスタンスを再構成することができる。
【0055】
上記のように、接続ロードバランサ300によって実行され得る1つの機能は、MME/AMFインスタンスの間でのリモートRANノードからのS1/N2接続の分配である。図7は、接続ロードバランサ300によって実行される接続分配アルゴリズムにおいてやりとりされ得るメッセージの一例を示すメッセージフロー図である。図7を参照して、ステップC.1において、宛先IPアドレス{IP-ノード-A,IP-ノード-B}およびソースIPアドレス{R-IP-x,R-IP-y}および宛先ポートP1を有する接続-1のS1/N2接続要求がリモートRANノードから到着する。
【0056】
ステップC.2において、ボーダーゲートウェイ600は、{IP-ノード-A,IP-ノード-B}についてそのMACテーブルに照会して、接続-1の接続要求を接続ロードバランサ300に転送する。ステップC.3において、接続ロードバランサ300は、接続要求が転送されるべきMME/AMFインスタンスを決定するように接続分配アルゴリズムを適用する。1つの例示的な実現例において、接続負荷分散は、以下のパラメータに基づいて実行される。
【0057】
・グループ:特定のピア、すなわちRANノードからの全ての接続を表す。
・グループカウント(すなわち、グループ当たりのMME/AMFインスタンス当たりのリモートRANノードからの接続のカウント)-全てのMME/AMFインスタンスについてゼロに初期化される。
【0058】
・接続分配閾値(グループにわたって有効)-最低のグループカウントとの、この値以上のグループカウント差を有するMME/AMFインスタンスは、新たな接続要求を受信するための候補であるとはみなされない。たとえば、MME/AMFインスタンス1,2および3が1,2および3というグループカウントを有しており、接続分配閾値が2である場合、MME/AMFインスタンス1および2は、新たな接続要求を受信するための候補であるとみなされる。MME/AMFインスタンス1は、最低のグループカウントを有するインスタンスであるため、2という接続分配閾値未満の1-1=0というグループカウント差を有する。MME/AMFインスタンス2は、MME/AMFインスタンス1に対して、2という接続分配閾値未満の2-1=1というグループカウント差を有する。MME/AMFインスタンス3は、MME/AMFインスタンス1に対して3-1=2というグループカウント差を有する。2が接続分配閾値に等しいので、MME/AMFインスタンス3は、新たな接続要求を受信するための候補であるとはみなされない。
【0059】
・複数のMME/AMFインスタンスが接続分配閾値未満のグループカウント差を有する場合、接続ロードバランサ300は、MME/AMFインスタンスのインスタンス識別子などの任意の好適なパラメータを使用して、利用可能な候補の中から昇順で選択することができる。前の例に続けて、MME/AMFインスタンス1および2が新たな接続要求のための候補である場合、MME/AMFインスタンス1は、インスタンス識別子原理の昇順に基づいて、MME/AMFインスタンス2よりも前に、新たな接続要求のために選択されることができる。
【0060】
接続ロードバランサ300が、接続要求が転送されるべきであるMME/AMFインスタンスを識別すると、接続ロードバランサ300は、以下のステップを実行し得る:
・MME/AMFインスタンス-Iのグループカウントをインクリメントする(MME/AMFインスタンスiは、接続ロードバランサが転送されるべきであると接続ロードバランサ300が判断したMME/AMFインスタンスである)
・プロトコル連続性のために、関連付けレコードをそのキャッシュの中に作成する
・この例では、関連付けは、リモートピアのソースIPアドレスおよびソースポートをMME/AMFインスタンスの宛先IPアドレスと関連付ける。象徴的に、関連付けレコードは、{Src-IP,Src-Port,Dest-IP(MME/AMFインスタンス)}であってもよい。図5では、MME/AMFインスタンスの宛先IPアドレスはIP-ノード-A-1であり、これは、接続ロードバランサ300によって発行されたエイリアスIPアドレスIP-ノード-Aとは異なるMME/AMFインスタンスのIPアドレスである。
【0061】
ステップC.4において、接続ロードバランサ300は、接続要求を、ステップC.3において決定されたMME/AMFインスタンス-iに転送する。
【0062】
ステップC.5において、MME/AMFインスタンス-iは、接続を受け付ける。応答は、ボーダーゲートウェイを介してリモートピアに直接送信される。接続ロードバランサは、MME/AMFインスタンス-iからRANノード100に送信されるメッセージのための戻り経路の中にはない。
【0063】
図8は、接続ロードバランサ300を含むネットワークにおける通話連続性のためのシグナリングを示すメッセージフロー図である。図8を参照して、ステップD.1において、宛先IPアドレス{IP-ノード-A,IP-ノード-B}、ソースIPアドレス{R-IP-x,R-IP-y}および宛先ポートP1を有する接続-1を介してS1/N2メッセージが到着する。
【0064】
ステップD.2において、ボーダーゲートウェイ600は、{IP-ノード-A,IP-ノード-B}についてそのMACテーブルに照会して、S1/N2メッセージを接続-1を介して接続ロードバランサ300に転送する。この例では、接続-1の接続要求は、上記のように既に処理されていると仮定される。
【0065】
ステップD.3において、接続ロードバランサ300は、その関連付けデータベース(キャッシュメモリ内)に照会して、接続ロードバランサ300が接続要求メッセージを以前に転送したMME/AMFインスタンスを決定する。この例では、以下の関連付けレコードが、接続ロードバランサ300によって維持される関連付けデータベース内に存在していると仮定される。
【0066】
{R-IP-x,P1,MME/AMFインスタンス-i)}→MME/AMFインスタンス-i
この項目は、上記のように、接続要求への負荷分散アルゴリズムの適用に基づいて、接続ロードバランサ300によってその関連付けデータベースの中に作成されている。
【0067】
ステップD.4において、接続ロードバランサ300は、メッセージを、ステップD.3において決定されたMME/AMFインスタンス-iに転送する。
【0068】
ステップD.5において、MME/AMFインスタンス-iは、このメッセージを受け付けて、メッセージを処理し、応答を準備して、この応答を同一の接続を介して送信する。応答は、ボーダーゲートウェイ600を介してリモートピアに直接送信される。接続ロードバランサ300は、MME/AMFインスタンス102からRANノード100に送信されるメッセージのための転送経路の中にはない。
【0069】
図9は、RAN接続再確立を示す図である。図9において、ステップ1において、S1/N2接続1を提供するMME/AMFインスタンス1 102がダウンする。ステップ2において、MME/AMFインスタンス1 102に接続されたS1/N2接続1は中断する。ステップ3において、リモートRANノード100によってS1/N2接続1の再確立が試行される。接続ロードバランサ300は、上記の接続分配アルゴリズムに基づいて、接続要求をMME/AMFインスタンス-iに再ルーティングする。接続が再ルーティングされている新たなMME/AMFインスタンスのIPアドレスをリモートRANノード100が知っている必要はない。リモートRANノード100は、MME/AMFインスタンスを代表して接続ロードバランサ300によって発行されたエイリアスIPアドレスに再接続要求を送信し、接続ロードバランサ300は、その接続分配アルゴリズムを使用して、接続再確立要求を処理するためのMME/AMFインスタンスを選択する。
【0070】
図10は、例示的な接続ロードバランサを示すブロック図である。図10を参照して、接続ロードバランサ300は、少なくとも1つのプロセッサ1000と、メモリ1002とを含む。S1/N2接続分配器1004は、本明細書に記載されているS1/N2接続分配ステップを実行するためにメモリ1002に格納されたソフトウェアで実現することができる。接続ロードバランサ300は、入来するS1/N2接続要求をRANノードから受信するシグナリングまたはイーサネットインターフェイス302および304も含む。一例では、接続ロードバランサ300は、シグナリングインターフェイス302および304のMACアドレスを、やはりMME/AMFインスタンス102のループバックインターフェイスに関連付けられた発行されたIPアドレスと関連付ける。接続ロードバランサ300は、接続を処理するように選択されたMME/AMFインスタンス102のIPアドレスとリモートRANピアIPアドレスおよびポートとの間の関連付けが少なくとも部分的に接続ロードバランサ300によって投入されたS1/N2関連付けキャッシュまたはデータベース1006も含み得る。たとえば、S1/N2接続分配器1004は、接続に割り当てられたMME/AMFインスタンス102のIPアドレスと接続管理メッセージのソースIPアドレスおよびポートフィールドから抽出されたリモートRANノードのIPアドレスおよびポートとの間の関連付けをS1/N2関連付けデータベースまたはキャッシュ1006の中に作成し得る。
【0071】
図11は、モビリティ管理ノードへのS1/N2接続を分配する際に接続ロードバランサ300によって実行され得る例示的な方法を示すフローチャートである。図11を参照して、ステップ1100において、この方法は、接続ロードバランサが、RANノードからS1/N2接続要求およびイングレスメッセージを受信するためのインターネットプロトコル(IP)アドレスを発行するステップを含む。たとえば、接続ロードバランサ300のS1/N2接続分配器1004は、発行されたIPアドレスを、ボーダーゲートウェイにおける接続ロードバランサのシグナリングインターフェイスのMACアドレスと関連付けるグラチューイタスARPメッセージまたはICMPv6近隣探索メッセージをブロードキャストし得る。一例として図5および図6AにおけるIPアドレスIP-ノード-Aを使用して、接続ロードバランサ300は、グラチューイタスARPメッセージまたはICMPv6近隣探索メッセージをボーダーゲートウェイ600に送信し、グラチューイタスARPメッセージまたはICMPv6近隣探索メッセージは、IPアドレスIP-ノード-Aを、接続ロードバランサ300のシグナリングインターフェイスSIG-A302のMACアドレスであるMACアドレスMAC-Aと関連付ける。各MME/AMFインスタンス102は、エイリアスアドレスとしてIPアドレスIP-ノード-Aを有するそのループバックインターフェイスを構成する。発行されたIPアドレスをMME/AMFインスタンス上でエイリアスとして追加するためにループバックインターフェイスを使用する理由は、ループバックインターフェイスがMACアドレスを有しておらず、ループバックインターフェイス上でエイリアスとして構成されたIPアドレスに対してARP要求またはICMPv6近隣探索要求が受信される場合にはARP応答またはICMPv6近隣探索メッセージ応答が送信されないからである。そのため、複数のMME/AMFインスタンスは、ネットワークコンフリクトがない状態で同一の発行されたIPアドレスを構成することができる。IPアドレスIP-ノード-AおよびIP-ノード-BがMME/AMFインスタンスのループバックインターフェイス上でエイリアスとして構成される理由は、MME/AMFインスタンスがS1/N2接続要求をこのポートでリッスンするようにこれらのアドレスでトランスポート層をバインドするためである。
【0072】
図11に戻って、ステップ1102において、この方法は、接続ロードバランサが、各グループについてモビリティ管理ノードインスタンスの接続ローディング測定値を維持するステップをさらに含む。一例では、接続ロードバランサ300は、全ての構成されたグループについて各MME/AMFインスタンス102のグループカウントを維持し得る。グループカウントは、グループ当たり各MME/AMFインスタンス102に割り当てられた接続の数を示す。本明細書に記載されている主題の範囲から逸脱することなく他のローディング測定値が使用されてもよい。
【0073】
ステップ1104において、この方法は、モビリティ管理ノードインスタンスのうちの1つとの接続を開始するためにリモートピアRANノードによって生成された接続要求メッセージを接続ロードバランサで受信するステップをさらに含む。たとえば、モビリティ管理ノードインスタンスがMMEである場合、接続要求はS1接続要求であってもよい。モビリティ管理ノードインスタンスがAMFである場合、接続要求はN2接続要求であってもよい。
【0074】
ステップ1106において、この方法は、接続ロードバランサが、接続要求メッセージを処理するためのモビリティ管理ノードインスタンスを選択するように接続分配アルゴリズムを適用するステップと、接続ロードバランサが、プロトコル連続性のために、選択されたモビリティ管理ノードインスタンスのIPアドレスと、接続要求メッセージのソースIPアドレスおよびソースポートから抽出されたリモートRANピアのIPアドレスおよびポートとの間の関連付けを、少なくとも部分的に接続ロードバランサによって投入されたデータベースの中に作成するステップとをさらに含む。たとえば、接続分配アルゴリズムは、新たなS1またはN2接続要求を受信するための接続分配閾値を超えるグループカウント差を有するMME/AMFインスタンスをMME/AMFインスタンスから選択し得る。接続ロードバランサ300は、選択されたMMEまたはAMFインスタンスに関連付けられた発行されたIPアドレスと、リモートRANピアのIPアドレスおよびポートとの間の関連付けをS1/N2関連付けキャッシュまたはデータベース306の中に作成し得る。一例として図5を使用して、この関連付けは、RANノード100のIPアドレスおよびポートと、接続を処理するために選択されたMME/AMFインスタンス102のうちの1つを代表して発行されたIPアドレスIP-ノード-Aとの間の関連付けであってもよい。
【0075】
ステップ1108において、この方法は、接続ロードバランサが、接続分配アルゴリズムを使用して選択されたモビリティ管理ノードインスタンスに接続要求メッセージを転送するステップをさらに含む。たとえば、接続ロードバランサ300は、ステップ1106において選択されたMME/AMFインスタンスに接続要求を転送して、当該MME/AMFインスタンスのグループカウントを更新し得る。接続ロードバランサは、プロトコル連続性のために、このMME/AMFインスタンスに転送可能なこのS1/N2接続を介した後続のメッセージの関連付けレコードをそのキャッシュの中に作成する。MME/AMFインスタンスに送信されるメッセージの中に、接続ロードバランサは、そのMACアドレスをソースMACアドレスとして含み得る。
【0076】
利点
本明細書に記載されている接続ロードバランサは、少なくとも以下の利点を提供する。
【0077】
本明細書に記載されている接続ロードバランサは、MME/AMFインスタンスの間でS1/N2接続を分配するために使用することができ、これは、送信ノードに対するMME/AMF構成の変更の影響を減少させる。すなわち、送信ノードまたはリモートピアは、MME/AMFインスタンスがダウンした場合または新たなMME/AMFインスタンスが確立された場合に新たなIPアドレスとの接続を再確立する必要がない。
【0078】
接続ロードバランサは、S1/N2接続をセットアップするために1つのIPインターフェイスカードを使用するか複数のインターフェイスカードを使用するかに関係なく、リモートピアへの単一のインターフェイスを使用して内部インターフェイスを管理することによってこの問題を解決するために使用することができる。
【0079】
接続ロードバランサをクラウド/オンプレミス環境MME/AMFノードの上流に設置することは、以下のメリットを有する。
【0080】
MME/AMFノードがスケールアップまたはスケールダウンする際のリモートノードに対する再構成の影響が小さくなる。
【0081】
クラウド内のリソースを最適に使用するためのS1/N2トラフィックの自動的な負荷分散。
【0082】
リモートピアの側で広範な外部構成を必要とすることなく、高い冗長性が実現される。
【0083】
ここに開示されている主題のさまざまな詳細は、ここに開示されている主題の範囲から逸脱することなく変更されてもよい、ということが理解されるであろう。さらに、上記の説明は、例示を目的としたものであるに過ぎず、限定を目的としたものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】