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特表2023-543482MCCハーフブリッジサブモジュール容量電圧リップルのマルチスケール抑制方法
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  • 特表-MCCハーフブリッジサブモジュール容量電圧リップルのマルチスケール抑制方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-16
(54)【発明の名称】MCCハーフブリッジサブモジュール容量電圧リップルのマルチスケール抑制方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/49 20070101AFI20231006BHJP
【FI】
H02M7/49
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519779
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 CN2021142796
(87)【国際公開番号】W WO2022161095
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】202110113981.0
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520414480
【氏名又は名称】中国長江三峡集団有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】劉 瑞闊
(72)【発明者】
【氏名】鄒 祖氷
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲ウェイ▼
(72)【発明者】
【氏名】孫 長平
(72)【発明者】
【氏名】劉 喜泉
(72)【発明者】
【氏名】孫 勇
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA05
5H770BA12
5H770DA11
5H770DA23
5H770EA03
5H770HA02X
5H770HA02Y
5H770HA03W
5H770HA03Y
5H770HA04X
5H770JA17Z
(57)【要約】
MCCハーフブリッジサブモジュール容量電圧リップルのマルチスケール抑制方法であり、まず交流側三相電圧信号及び電流信号usj、isj及び三相上、下アーム電流信号ipj、injと、直流母線電圧信号udcとを収集して、計算によって上、下アームの瞬時電力Ppj、Pnjの式を得て、上、下アームの瞬時電力の和をゼロに制御し、循環電流注入値i* cjを得て、上、下アームの変調関数spjとsnjを微分してかつそれを0に等しくし、変調波がピークに達する際に対応する時刻tmaxとm3、φ3との間の関数関係を得て、変調指数の最大値と、t時刻の上、下アームの投入したサブモジュール数の和を拘束条件として、最適注入の三次高調波を得る。2つの注入方式の協同によりMMCの直流電圧利用率を効果的に高めることができ、システムの変調波ピークが循環電流注入による増大をしないように保証し、それによってより良い容量電圧変動の抑制効果を達成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環電流注入と三次高調波注入との協同により、MMCの運転性能を最適化し、MMC運転時のサブモジュール容量電圧を低減させることにより、電力変換装置のサブモジュール容量に対する需要を減少させるMCCハーフブリッジサブモジュール容量電圧リップルのマルチスケール抑制方法であって、
循環電流注入を制御するStepAと、
交流側三相電圧信号及び電流信号usj、isjと、三相上、下アーム電流信号ipj、injと、直流母線電圧信号udcとを収集し、ここで、j=a,b,cであるStepA1と、
StepA1で得られた循環電流icj及び三相電流isjと上、下アーム電流ipj、injとの関係は以下の式1で表されるStepA2と、
[式1]
StepA2で得られた上、下アームの瞬時電力Ppj、Pnjは以下の式2で表されるStepA3と、
[式2]
ここで、m1=2Us/udcはj相電圧の基本波変調指数であり、Usは基本波変調波振幅値であり、ωsは同期角速度であり、
StepA3における上、下アームの瞬時電力Ppj、Pnjの式に基づいて、上、下アームの瞬時電力の和をゼロに制御し、すなわちPj=PPj+Pnj=0に制御することにより、以下の式3で表される循環電流注入値i* cjを得るStepA4と、
[式3]
ここで、Isjはj相電流の振幅値であり、φ1は電流位相であり、
StepA2とStepA4で計算されたicjとi* cjをそれぞれ循環電流制御リンクに送り、比例-積分-共振(PIR)コントローラを用いて、循環電流注入制御による追加制御電圧信号u* cjを得るStepA5と、
三次高調波の振幅値と位相を最適化して、循環電流注入制御によって注入された三次高調波の振幅値と位相を最適化するStepBと、
StepA5で得られた循環電流注入値i* cjによると、キルヒホッフ電圧法則にしたがって、j相アーム注入循環電流とその発生した電圧ucLとの関係は以下の式4で表されるStepB1と、
[式4]
ここで、Larmはアームインダクタンスであり、R0はアーム抵抗であり、
StepB1により、循環電流注入と三次高調波注入戦略に基づいて、j相上、下アームの変調関数spjとsnjは以下の式5で表されるStepB2と、
[式5]
ここで、m3=2Us3/udcは三次高調波変調波の変調指数であり、φ3は三次高調波の位相であり、Us3は三次高調波電圧振幅値であり、
StepB2における変調関数spjとsnjに対して微分を求めかつそれを0に等しくし、変調波がピークに達する際に対応する時刻tmaxとm3、φ3との間の関数関係、すなわちtmax=f(m3,φ3)を得るStepB3と、
StepB2とStepB3を結合し、変調指数の最大値と、t時刻の上、下アームの投入したサブモジュール数の和を拘束条件として、三次高調波の最適振幅値Us3_optと位相φ3_optを得るStepB4と、
StepB4により、最適注入の三次高調波を得るStepB5とを含む、ことを特徴とするMCCハーフブリッジサブモジュール容量電圧リップルのマルチスケール抑制方法。
【請求項2】
前記StepA5において、循環電流注入制御による追加制御電圧信号u* cjは以下の式6で表される、ことを特徴とする請求項1に記載のMCCハーフブリッジサブモジュール容量電圧リップルのマルチスケール抑制方法:
[式6]
ここで、kp、ki及びkrは、それぞれPIRコントローラの比例係数、積分係数及び共振係数であり、ωcはPIRコントローラのカットオフ角周波数であり、ω0は基本波角周波数であり、ωeは一次ローパスフィルタのカットオフ角周波数である。
【請求項3】
前記StepB4の拘束条件は次の式7で表される、ことを特徴とする請求項2に記載のMCCハーフブリッジサブモジュール容量電圧リップルのマルチスケール抑制方法:
[式7]
ここで、Us_max(t)は変調波ピークであり、round()は括弧内の数値を四捨五入して丸め、UcはMMCサブモジュール容量電圧の集合平均値であり、Nはj相の投入した総モジュール数の最大値であり、Mは最大変調指数である。
【請求項4】
前記StepB5で得られた最適注入の三次高調波は、以下の式8で表される、ことを特徴とする請求項2に記載のMCCハーフブリッジサブモジュール容量電圧リップルのマルチスケール抑制方法。
[式8]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は直流送電の制御分野に関し、具体的には、MCCハーフブリッジサブモジュール容量電圧リップルのマルチスケール抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MMC(Modular Multilevel Converter)に基づくフレキシブル直流送電技術は、その柔軟な制御性、良好な安定性、便利な地域相互接続、モジュール化の構造的特徴、損失が小さいなどの利点で、大容量遠海への風力送電のために有効な解決策を提供した。MMC電力変換装置はフレキシブル直流送電技術のコアデバイスとして、その容量、電圧等級は工事需要の増加に伴い、MMC電力変換装置の重量、敷地面積及び建造費が大幅に増加した。一方、MMCハーフブリッジサブモジュールにおける容量の体積と重量は、サブモジュール全体の60%を占めている。したがって、容量電圧リップル振幅を抑制することにより、容量パラメータ、MMC電力変換装置の体積、重量及びコストを低減する目的を達成することは非常に確実で実行可能である。現在、国内外の学者はMCCハーフブリッジサブモジュール容量電圧リップル振幅を低減するためにすでに関連研究を展開し、例えばすでに公開された以下の文献、
(1)J.Pou,S.Ceballos,G.Konstantinou,V.G.Agelidis,et al.Circulating current injection methods based on instantaneous information for the modular multilevel converter[J].IEEE Trans.Ind.Electron.,2015,62(2): 777-788、
該文献はMMCの異なる循環電流の基準値を研究し、出力電流の瞬時値と変調信号に基づく循環電流注入コントローラを提案し、該コントローラは正確に容量電圧の平均値を基準値に調整し、上下アーム間のエネルギーをバランスさせ、それによってMMC容量電圧の変動を減少させる。
【0003】
(2)李凱、趙争鳴、袁立強、など、エネルギーバランスに基づく低減モジュール化マルチレベル変換器[J]、電工技術学報、2017、32(14):17-26、
該文献はエネルギーバランスの角度から、制御周期に基づく注入2倍周波数循環電流のエネルギーバランス制御策略を提案し、該策略はオンライン制御によってアームエネルギー波動を最小にして電圧波動を低減させ、煩雑なパラメータ整定過程を回避したが、実質的には負シーケンス2倍周波数循環電流の注入によって実現される。
【0004】
(3)Y.Xu,Z.Xu, Z.Zhang,etal.A Novel Circulating Current Controller for MMC Capacitor Voltage Fluctuation Suppression[J]. IEEE Access,2019,7:120141-120151、
該文献はMMC容量電圧変動の問題に対して、内外側リングの2つのコントローラから構成される容量電圧第2高調波を除去するコントローラを提案した。外側リングコントローラは循環電流の基準値を決定するために使用され、内側リングコントローラは循環電流を基準値に制御するために使用される。容量電圧の2倍周波数変動成分は、内外側リング制御の協働によりゼロに制御することができ、容量電圧変動を著しく低減することができる。
【0005】
上記文献では、異なる方式、異なるコントローラを設計することで容量電圧変動を抑制しているが、本質的にはMMCアームに循環電流を注入したことである。循環電流注入は変調に2倍周波数循環電流電圧を付加することで、変調のピーク値が増加し、サブモジュールの導通数が最大値を超えないことを保証するために変調指数を低減させる必要があるが、変調指数を低減させることは循環電流注入による容量電圧変動の抑制効果に影響するため、本発明は、2倍周波数循環電流を注入しながら3次高調波を注入するマルチスケールの容量電圧リップル抑制方法を提案し、2つの注入方式の協同によりMMCの直流電圧利用率を効果的に高めることができ、システムの変調波ピークが循環電流注入による増大をしないように保証し、それによってより良い容量電圧変動の抑制効果を達成する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が解決しようとする技術課題は、MCCハーフブリッジサブモジュール容量電圧リップルのマルチスケール抑制方法を提案し、ハードウェアを増加させない上に、2つの注入方式の協同によりMMCの直流電圧の利用率を効果的に向上させ、システムの変調波ピークが循環電流注入による増大をしないように保証し、それによってより良い容量電圧変動の抑制効果を達成し、また、循環電流注入の振幅と位相に基づいて、投入されたサブモジュール数の和と変調指数の最大値を拘束条件として、必要な三次高調波の振幅と位相を最適化する。
【0007】
上記技術的課題を解決するために、本発明が採用する技術的手段は以下のように、
循環電流注入と三次高調波注入との協同により、MMCの運転性能を最適化し、MMC運転時のサブモジュール容量電圧を低減させることにより、電力変換装置のサブモジュール容量に対する需要を減少させるMCCハーフブリッジサブモジュール容量電圧リップルのマルチスケール抑制方法であり、
循環電流注入を制御するStepAと、
交流側三相電圧信号及び電流信号usj、isjと、三相上、下アーム電流信号ipj、injと、直流母線電圧信号udcとを収集し、ここで、j=a,b,cであるStepA1と、
StepA1で得られた循環電流icj及び三相電流isjと上下アーム電流ipj、injとの関係は以下の式1で表されるStepA2と、
[式1]
StepA2で得られた上、下アームの瞬時電力Ppj、Pnjは以下の式2で表されるStepA3と、
[式2]
ここで、m1=2Us/udcはj相電圧の基本波変調指数であり、Usは基本波変調波振幅値であり、ωsは同期角速度であり、
StepA3の上、下アームの瞬時電力Ppj、Pnjの式に基づいて、上、下アームの瞬時電力の和をゼロに制御し、すなわちPj=PPj+Pnj=0に制御することにより、以下の式3で表される循環電流注入値i* cjを得るStepA4と、
[式3]
ここで、Isjはj相電流の振幅値であり、φ1は電流位相であり、
StepA2とStepA4で計算されたicjとi* cjをそれぞれ循環電流制御リンクに送り、比例-積分-共振(PIR)コントローラを用いて、循環電流注入制御による追加制御電圧信号u* cjを得るStepA5と、
三次高調波の振幅と位相を最適化して、循環電流注入制御によって注入された三次高調波の振幅と位相を最適化するStepBと、
StepA5で得られた循環電流注入値i* cjによると、キルヒホッフの電圧法則にしたがって、j相アーム注入循環電流とその発生した電圧ucLとの関係は以下の式4で表されるStepB1と、
[式4]
ここで、Larmはアームインダクタンスであり、R0はアーム抵抗であり、
StepB1によると、循環電流注入と三次高調波注入戦略に基づいて、j相上、下アームの変調関数spjとsnjは以下の式5で表されるStepB2と、
[式5]
ここで、m3=2Us3/udcは三次高調波変調波の変調指数であり、φ3は三次高調波の位相であり、Us3は三次高調波電圧振幅値であり、
StepB2における変調関数spjとsnjを微分してかつそれを0に等しくし、変調波がピークに達する際に対応する時刻tmaxとm3、φ3との間の関数関係、すなわちtmax=f(m3,φ3)を得るStepB3と、
StepB2とStepB3を結合し、変調指数の最大値と、t時刻の上、下アームの投入したサブモジュール数の和を拘束条件として、三次高調波の最適振幅Us3_optと位相φ3_optを得るStepB4と、
StepB4により、最適注入の三次高調波を得るStepB5とを含む。
【0008】
前記StepA5において、循環電流注入制御による追加制御電圧信号u* cjは以下の式6で表され、
[式6]
ここで、kp、ki及びkrは、それぞれPIRコントローラの比例係数、積分係数及び共振係数であり、ωcはPIRコントローラのカットオフ角周波数であり、ω0は基本波角周波数であり、ωeは1次ローパスフィルタのカットオフ角周波数である。
【0009】
前記StepB4の拘束条件は次の式7で表され、
[式7]
ここで、Us_max(t)は変調波ピークであり、round()は括弧内の数値を四捨五入して丸め、UcはMMCサブモジュール容量電圧の集合平均値であり、Nはj相の投入した総モジュール数の最大値であり、Mは最大変調指数であり、該拘束条件により、注入された三次高調波の位相を調整することが可能であり、変調波がピークに達したときに投入される総モジュール数の注入された三次高調波振幅が最小になることを保証し、注入された三次高調波の振幅が最小になるようにして、変調波ピーク条件におけるj相の投入された総モジュール数が最大値を超えないことを保証することができる。
【0010】
前記StepB5で得られた最適注入の三次高調波は、以下の式8で表される。
[式8]
【発明の効果】
【0011】
本発明は、MCCハーフブリッジサブモジュール容量電圧リップルのマルチスケール抑制方法を提案し、2つの注入方式の協同によりMMCの直流電圧利用率を効果的に向上させ、システムの変調波ピークが循環電流注入による増大をしないように保証し、それによってより良い容量電圧変動の抑制効果を達成する。また、この方法は電力変換装置サブモジュールの容量値を低減し、電力変換装置の軽量化を実現する上でも重要な意義を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下、添付図面及び実施形態を用いて本発明をさらに説明し、
図1は本発明のMMCハーフブリッジサブモジュール構造図である。
図2はMMCトポロジー図である。
図3はマルチスケール容量電圧リップル抑制ブロック図である。
図4は循環電流注入制御戦略とマルチスケール制御戦略のシミュレーション比較の図である。
【0013】
以下、添付図面及び実施形態を用いて本発明をさらに説明する。
【0014】
図1図3に示すように、MCCハーフブリッジサブモジュール容量電圧リップルのマルチスケール抑制方法であり、循環電流注入と三次高調波注入との協同により、MMCの運転性能を最適化し、MMC運転時のサブモジュール容量電圧を低減させ、電力変換装置のサブモジュール容量に対する需要を減少させ、
循環電流注入を制御するStepAと、
交流側三相電圧信号及び電流信号usj、isjと、三相上、下アーム電流信号ipj、injと、直流母線電圧信号udcとを収集し、ここで、j=a,b,cであるStepA1と、
StepA1で得られた循環電流icj、三相電流isjと上下アーム電流ipj、injとの関係は以下の式9で表されるStepA2と、
[式9]
StepA2で得られた上、下アームの瞬時電力Ppj、Pnjは以下の式10で表されるStepA3と、
[式10]
ここで、m1=2Us/udcはj相電圧の基本波変調指数であり、Usは基本波変調波振幅値であり、ωsは同期角速度であり、
StepA3の上、下アームの瞬時電力Ppj、Pnjの式に基づいて、上、下アームの瞬時電力の和をゼロに制御し、すなわちPj=PPj+Pnj=0に制御することにより、以下の式11で表される循環電流注入値i* cjを得るStepA4と、
[式11]
ここで、Isjはj相電流の振幅値であり、φ1は電流位相であり、
StepA2とStepA4で計算されたicjとi* cjをそれぞれ循環電流制御リンクに送り、比例-積分-共振(PIR)コントローラを用いて、循環電流注入制御による追加制御電圧信号u* cjを得るStepA5と、
三次高調波の振幅と位相を最適化して、循環電流注入制御によって注入された三次高調波の振幅と位相を最適化するStepBと、
StepA5で得られた循環電流注入値i* cjによると、キルヒホッフの電圧法則にしたがって、j相アーム注入循環電流とその発生した電圧ucLとの関係は以下の式12で表されるStepB1と、
[式12]
ここで、Larmはアームインダクタンスであり、R0はアーム抵抗であり、
StepB1によると、循環電流注入と三次高調波注入戦略に基づいて、j相上、下アームの変調関数spjとsnjは以下の式13で表されるStepB2と、
[式13]
ここで、m3=2Us3/udcは三次高調波変調波の変調指数であり、φ3は三次高調波の位相であり、Us3は三次高調波電圧振幅値であり、
StepB2における変調関数spjとsnjを微分してかつそれを0に等しくし、変調波がピークに達する際に対応する時刻tmaxとm3、φ3との間の関数関係、すなわちtmax=f(m3,φ3)を得るStepB3と、
StepB2とStepB3を結合し、変調指数の最大値と、t時刻の上、下アームの投入したサブモジュール数の和を拘束条件として、三次高調波の最適振幅Us3_optと位相φ3_optを得るStepB4と、
StepB4により、最適注入の三次高調波を得るStepB5と、
を含む。
【0015】
前記StepA5において、循環電流注入制御による追加制御電圧信号u* cjは以下の式14で表され、
[式14]
ここで、kp、ki及びkrは、それぞれPIRコントローラの比例係数、積分係数及び共振係数であり、ωcはPIRコントローラのカットオフ角周波数であり、ω0は基本波角周波数であり、ωeは1次ローパスフィルタのカットオフ角周波数である。
【0016】
前記StepB4の拘束条件は次の式15で表され、
[式15]
ここで、Us_max(t)は変調波ピークであり、round()は括弧内の数値を四捨五入して丸め、UcはMMCサブモジュール容量電圧の集合平均値であり、Nはj相の投入した総モジュール数の最大値であり、Mは最大変調指数であり、該拘束条件により、注入された三次高調波の位相を調整することが可能であり、変調波がピークに達したときに投入される総モジュール数の注入された三次高調波振幅が最小になることを保証し、注入された三次高調波の振幅が最小になるようにして、変調波ピーク条件におけるj相の投入された総モジュール数が最大値を超えないことを保証することができる。
【0017】
前記StepB5で得られた最適注入の三次高調波は、以下の式16で表される。
[式16]
【0018】
図4に示すように、図4(a)は循環電流注入時のみの変調波の波形であり、図4(b)は多時間スケール制御を用いた変調波の波形であり、図から分かるように、本願で提案された制御戦略を用いることで、循環電流注入による変調波ピークの上昇を効果的に低減することができ、図4(c)は循環電流注入時のみのサブモジュール容量電圧波形であり、図4(d)は多時間スケール制御を用いたサブモジュール容量電圧波形であり、図から分かるように、本願で提案された制御戦略を用いることで、サブモジュール容量電圧変動をより効果的に抑制することができる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】