(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ヒトクローディン18.2を標的とする抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20231006BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20231006BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20231006BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20231006BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20231006BHJP
C07K 14/725 20060101ALI20231006BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20231006BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20231006BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20231006BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20231006BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20231006BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231006BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231006BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231006BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231006BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/46
C12N15/62 Z
C07K16/28
C07K19/00
C07K14/725
C12N15/12
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K39/395 E
A61K39/395 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519819
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 CN2021121585
(87)【国際公開番号】W WO2022068854
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/119648
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/072534
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519241381
【氏名又は名称】ナンジン、ジェンスクリプト、バイオテック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NANJING GENSCRIPT BIOTECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】28 Yongxi Road,Jiangning Science Park, Nanjing, Jiangsu 211100 China
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】イン、 リュウソン
(72)【発明者】
【氏名】リ、 ヂョンダオ
(72)【発明者】
【氏名】ヂャオ、 ヂーフイ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72
4B065AA87X
4B065AA92Y
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085BB36
4C085BB42
4C085CC01
4C085CC08
4C085CC21
4C085EE01
4C085EE03
4H045AA11
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
クローディン18.2を標的とする、単離された抗体又はその抗原結合性部分。抗体は、単一ドメイン抗体であり得るか、又はその単量体可変ドメインは、ヒトIgG1 Fcなどの重鎖定常領域に融合され得る。抗体を含む医薬組成物及び疾患の処置での医薬組成物の使用方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CDR1領域、CDR2領域及びCDR3領域であって、
(1)それぞれ配列番号52、53及び54、
(2)それぞれ配列番号55、56及び57、
(3)それぞれ配列番号58、59及び60、
(4)それぞれ配列番号61、62及び63、
(5)それぞれ配列番号64、65及び66、
(6)それぞれ配列番号76、77及び78、
(7)それぞれ配列番号82、83及び84、
(8)それぞれ配列番号85、86及び87、
(9)それぞれ配列番号88、89及び90、
(10)それぞれ配列番号91、92及び93、
(11)それぞれ配列番号94、95及び96、
(12)それぞれ配列番号103、104及び105、
(13)それぞれ配列番号106、107及び108、
(14)それぞれ配列番号112、113及び114、
(15)それぞれ配列番号115、116及び117、
(16)それぞれ配列番号121、122及び123、
(17)それぞれ配列番号124、125及び126、
(18)それぞれ配列番号127、128及び129、
(19)それぞれ配列番号133、134及び135、
(20)それぞれ配列番号136、137及び138、
(21)それぞれ配列番号139、140及び141、
(22)それぞれ配列番号142、143及び144、
(23)それぞれ配列番号145、146及び147、
(24)それぞれ配列番号148、149及び150、
(25)それぞれ配列番号151、152及び153、
(26)それぞれ配列番号154、155及び156、
(27)それぞれ配列番号157、158及び159、
(28)それぞれ配列番号160、161及び162、
(29)それぞれ配列番号163、164及び165、
(30)それぞれ配列番号169、170及び171、
(31)それぞれ配列番号172、173及び174、
(32)それぞれ配列番号175、176及び177、
(33)それぞれ配列番号178、179及び180、
(34)それぞれ配列番号181、182及び183、
(35)それぞれ配列番号184、185及び186、
(36)それぞれ配列番号190、191及び192、
(37)それぞれ配列番号193、194及び195、
(38)それぞれ配列番号196、197及び198、
(39)それぞれ配列番号199、200及び201、又は
前記CDR1、CDR2及びCDR3のいずれか1つ以上に最大で約3アミノ酸置換を含むそのバリアント
のアミノ酸配列を含むCDR1領域、CDR2領域及びCDR3領域を含む単量体可変ドメインを含む、単離された抗体又はその抗原結合性部分。
【請求項2】
前記CDR1領域、前記CDR2領域及び前記CDR3領域は、
それぞれ配列番号64、65及び66、
それぞれ配列番号76、77及び78、
それぞれ配列番号124、125及び126、
それぞれ配列番号136、137及び138、
それぞれ配列番号145、146及び147、
それぞれ配列番号175、176及び177、
それぞれ配列番号199、200及び201、又は
前記CDR1、CDR2及びCDR3のいずれか1つ以上に最大で約3アミノ酸置換を含む、上記のいずれかのバリアント
のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合性部分。
【請求項3】
前記CDR1領域、前記CDR2領域及び前記CDR3領域は、
それぞれ配列番号64、65及び66、
それぞれ配列番号76、77及び78、
それぞれ配列番号124、125及び126、
それぞれ配列番号136、137及び138、
それぞれ配列番号145、146及び147、
それぞれ配列番号175、176及び177、又は
それぞれ配列番号199、200及び201
のアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の抗体又はその抗原結合性部分。
【請求項4】
クローディン18.2、好ましくはヒトクローディン18.2に特異的に結合する、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合性部分。
【請求項5】
単一ドメイン抗体(sdAb)又はV
HHドメインである、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合性部分。
【請求項6】
ラクダ科、キメラ、ヒト又はヒト化のものである、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合性部分。
【請求項7】
前記単量体可変ドメインは、配列番号1、2、3、4、5、9、11、12、13、14、15、18、19、21、22、24、25、26、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、41、42、43、44、45、47、48、49、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合性部分。
【請求項8】
前記単量体可変ドメインは、配列番号1、2、3、4、5、9、11、12、13、14、15、18、19、21、22、24、25、26、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、41、42、43、44、45、47、48、49、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項7に記載の抗体又はその抗原結合性部分。
【請求項9】
前記単量体可変ドメインは、配列番号5、9、25、29、32、42、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合性部分。
【請求項10】
前記単量体可変ドメインは、配列番号5、9、25、29、32、42、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項9に記載の抗体又はその抗原結合性部分。
【請求項11】
配列番号1、2、3、4、5、9、11、12、13、14、15、18、19、21、22、24、25、26、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、41、42、43、44、45、47、48、49、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単量体可変ドメインを含む抗体又はその抗原結合性部分。
【請求項12】
前記単量体可変ドメインは、配列番号5、9、25、29、32、42、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の抗体又はその抗原結合性部分。
【請求項13】
前記単量体可変ドメインに融合されたIgG Fc領域をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合性部分。
【請求項14】
前記IgG Fc領域は、配列番号51のアミノ酸配列を含むヒトIgG1 Fc領域である、請求項13に記載の抗体又はその抗原結合性部分。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合性部分を含む、二重特異的分子、イムノコンジュゲート又はキメラ抗原受容体。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合性部分又は請求項15に記載の二重特異的分子、イムノコンジュゲート若しくはキメラ抗原受容体をコードする核酸分子。
【請求項17】
請求項16に記載の核酸分子を含有する発現ベクター。
【請求項18】
請求項17に記載の発現ベクターを含有する宿主細胞。
【請求項19】
請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合性部分又は請求項15に記載の二重特異的分子、イムノコンジュゲート若しくはキメラ抗原受容体と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項20】
細胞傷害剤をさらに含む、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
対象における癌疾患を処置する方法であって、治療有効量の、請求項19又は20に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項22】
前記癌疾患は、胃癌、膵癌、結腸癌、食道癌、肝癌、卵巣癌、肺癌及び膀胱癌からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
抗体療法は、広範な癌を処置するために各種の法域で承認されており、患者アウトカムを有意に改善してきた(Komeev et al.,(2017)Cytokine 89:127-135)。癌抗原に結合すると、抗体は、抗体依存細胞媒介細胞傷害性の誘発、補体系の活性化又は受容体とそのリガンドとの相互作用の防止を行い得ると共に、それらは、すべて癌細胞死を誘導し得る。米国FDA承認抗体薬剤としては、アレムツズマブ、ニボルマブ、リツキシマブ及びデュルバルマブが挙げられる。
【0002】
クローディン(CLDN)は、傍細胞バリアを形成する表面タンパク質ファミリーであり、細胞間の分子のフローを制御する。これまで、哺乳動物で24種のクローディンメンバーが報告されている。異なる組織で異なるクローディンメンバーが発現され、それらの発現レベル及び機能は、癌に関連付けられてきた。
【0003】
クローディン18は、2つのアイソフォームを有する。クローディン18.1タンパク質(又は単にクローディン 18.1又はクローディン18.1)は、正常な肺上皮及び胃上皮で選択的に発現される。クローディン18.2タンパク質(又は単にクローディン 18.2又はクローディン18.2)は、正常な組織できわめて制限された発現パターンを有する。クローディン18.2の高レベル発現は、胃腺癌及び膵腺癌の有意な割合で観察されているため、クローディン18.2は、胃腺癌及び膵腺癌の処置のための療法戦略の有望な標的になっている。
【0004】
抗クローディン18.2抗体は、特定の癌の処置で試験されてきた。例えば、Ganymed Pharmaceuticals AGにより開発されたキメラ抗クローディン18.2IgG1抗体のクラウディキシマブ(IMAB362)は、進行胃食道癌及び膵癌を処置するための臨床トライアルで治験が行われてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
望ましい治療効能を有するさらなる抗クローディン18.2抗体の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本開示は、CDR1領域、CDR2領域及びCDR3領域であって、
(1)それぞれ配列番号52、53及び54、
(2)それぞれ配列番号55、56及び57、
(3)それぞれ配列番号58、59及び60、
(4)それぞれ配列番号61、62及び63、
(5)それぞれ配列番号64、65及び66、
(6)それぞれ配列番号76、77及び78、
(7)それぞれ配列番号82、83及び84、
(8)それぞれ配列番号85、86及び87、
(9)それぞれ配列番号88、89及び90、
(10)それぞれ配列番号91、92及び93、
(11)それぞれ配列番号94、95及び96、
(12)それぞれ配列番号103、104及び105、
(13)それぞれ配列番号106、107及び108、
(14)それぞれ配列番号112、113及び114、
(15)それぞれ配列番号115、116及び117、
(16)それぞれ配列番号121、122及び123、
(17)それぞれ配列番号124、125及び126、
(18)それぞれ配列番号127、128及び129、
(19)それぞれ配列番号133、134及び135、
(20)それぞれ配列番号136、137及び138、
(21)それぞれ配列番号139、140及び141、
(22)それぞれ配列番号142、143及び144、
(23)それぞれ配列番号145、146及び147、
(24)それぞれ配列番号148、149及び150、
(25)それぞれ配列番号151、152及び153、
(26)それぞれ配列番号154、155及び156、
(27)それぞれ配列番号157、158及び159、
(28)それぞれ配列番号160、161及び162、
(29)それぞれ配列番号163、164及び165、
(30)それぞれ配列番号169、170及び171、
(31)それぞれ配列番号172、173及び174、
(32)それぞれ配列番号175、176及び177、
(33)それぞれ配列番号178、179及び180、
(34)それぞれ配列番号181、182及び183、
(35)それぞれ配列番号184、185及び186、
(36)それぞれ配列番号190、191及び192、
(37)それぞれ配列番号193、194及び195、
(38)それぞれ配列番号196、197及び198、若しくは
(39)それぞれ配列番号199、200及び201、又は
CDR1、CDR2及びCDR3のいずれか1つ以上に最大で約3アミノ酸置換(例えば、1、2又は3アミノ酸置換)を含む、上記のいずれかのバリアント
のアミノ酸配列を含むCDR1領域、CDR2領域及びCDR3領域を含む単量体可変ドメインを含む、単離された抗体又はその抗原結合性部分を提供する。
【0007】
抗体又はその抗原結合性部分のいくつかの実施形態では、
それぞれ配列番号64、65及び66、
それぞれ配列番号76、77及び78、
それぞれ配列番号124、125及び126、
それぞれ配列番号136、137及び138、
それぞれ配列番号145、146及び147、
それぞれ配列番号175、176及び177、若しくは
それぞれ配列番号199、200及び201、又は
CDR1、CDR2及びCDR3のいずれか1つ以上に最大で約3アミノ酸置換(例えば、1、2又は3アミノ酸置換)を含む、上記のいずれかのバリアント
のアミノ酸配列を含むCDR1領域、CDR2領域及び及びCDR3領域である。
【0008】
いくつかの実施形態では、それぞれ配列番号64、65及び66、それぞれ配列番号76、77及び78、それぞれ配列番号124、125及び126、それぞれ配列番号136、137及び138、それぞれ配列番号145、146及び147、それぞれ配列番号175、176及び177又はそれぞれ配列番号199、200及び201の1つのアミノ酸配列を含むCDR1領域、CDR2領域及びCDR3領域である。
【0009】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合性部分は、配列番号1、2、3、4、5、9、11、12、13、14、15、18、19、21、22、24、25、26、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、41、42、43、44、45、47、48、49及び50のいずれかに示されるアミノ酸配列を有する単量体可変ドメイン内にCDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合性部分は、クローディン18.2、好ましくはヒトクローディン18.2に特異的に結合する。
【0011】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合性部分は、単一ドメイン抗体(sdAb)又はVHHドメインである。
【0012】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合性部分は、ラクダ科、キメラ、ヒト又はヒト化のものである。
【0013】
いくつかの実施形態では、単量体可変ドメインは、配列番号1、2、3、4、5、9、11、12、13、14、15、18、19、21、22、24、25、26、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、41、42、43、44、45、47、48、49、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、単量体可変ドメインは、配列番号1、2、3、4、5、9、11、12、13、14、15、18、19、21、22、24、25、26、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、41、42、43、44、45、47、48、49、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、単量体可変ドメインは、配列番号5、9、25、29、32、42、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、単量体可変ドメインは、配列番号5、9、25、29、32、42、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0017】
他の一態様では、本開示は、配列番号1、2、3、4、5、9、11、12、13、14、15、18、19、21、22、24、25、26、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、41、42、43、44、45、47、48、49、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単量体可変ドメインを含む抗体又はその抗原結合性部分を提供する。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、配列番号5、9、25、29、32、42、50及び202~213からなる群から選択される。
【0018】
さらなる態様では、本開示は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合性部分のいずれかの抗体又はその抗原結合性部分を含む、二重特異的分子、イムノコンジュゲート又はキメラ抗原受容体を提供する。
【0019】
なおもさらなる態様では、本開示は、本明細書に記載の抗体(若しくはその抗原結合性部分)のいずれかの抗体若しくはその抗原結合性部分又は二重特異的分子、イムノコンジュゲート若しくはキメラ抗原受容体をコードする核酸分子を提供する。この核酸分子を含有する発現ベクター及びこの発現ベクターを含有する宿主細胞も提供される。
【0020】
なおもさらなる態様では、本開示は、(1)本明細書に記載の抗体若しくはその抗原結合性部分又は本明細書に記載の二重特異的分子、イムノコンジュゲート若しくはキメラ抗原受容体と、(2)薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、細胞傷害剤をさらに含み得る。
【0021】
なおもさらなる態様では、本開示は、対象における癌疾患を処置する方法であって、治療有効量の、本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。癌疾患は、胃癌、膵癌、結腸癌、食道癌、肝癌、卵巣癌、肺癌及び膀胱癌からなる群から選択され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】コントロール抗体及び陰性コントロールと比較して、ヒトクローディン18.2又はクローディン18.1過剰発現性HEK293細胞での本開示の抗体の特定の実施形態のFACS結合曲線を示す。A~Dは、本開示の抗体例からの結果を示す。E及びF:IMAB362抗体は、陽性コントロールとして使用され、及びPBSは、陰性コントロールルとして使用される。
【
図2】ヒトクローディン18.1過剰発現性HEK293細胞に対する本開示の抗体の特定の実施形態のFACS結合アッセイでの用量-反応曲線を示す。
【
図3】ヒトクローディン18.2過剰発現性HEK293細胞に対する本開示の抗体の特定の実施形態のFACS結合アッセイデータでの用量-反応曲線を示す。
【
図4】マウスクローディン18.2過剰発現性HEK293細胞に対する本開示の抗体の特定の実施形態のFACS結合アッセイデータでの用量-反応曲線を示す。
【
図5】本開示の抗体の特定の実施形態のCDCアッセイ結果を示す。
【
図6】本開示の抗体の特定の実施形態のADCCアッセイ結果を示す。
【
図7】ヒトクローディン18.2過剰発現性HEK293細胞に対する本開示の抗体の特定の実施形態のFACS結合アッセイデータでの用量-反応曲線を示す。
【
図8】ヒトクローディン18.1過剰発現性HEK293細胞に対する本開示の抗体の特定の実施形態のFACS結合アッセイでの用量-反応曲線を示す。
【
図9】本開示の抗体の特定の実施形態のADCCアッセイ結果を示す。
【
図10】本開示の抗体の特定の実施形態のCDCアッセイ結果を示す。
【
図11】本開示の抗体の特定の実施形態のADCCアッセイ結果を示す。
【
図12】ヒトクローディン18.2過剰発現性CHO-K1細胞に対する本開示の抗体の特定の実施形態のFACS結合アッセイデータでの用量-反応曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書で用いられる抗体の「抗原結合性部分」という用語は、抗原(例えば、クローディン18.2タンパク質)への結合能を保持する1種以上の抗体フラグメントを意味する。これは、単一可変ドメインを含有する重鎖可変領域及びかかるドメインとそれに化学的に連結された別のポリペプチドセグメントとを含むより大きい分子を含み得る。かかる一本鎖抗体は、「抗原結合性部分」という用語にも包含されることが意図される。
【0024】
本明細書で用いられる「単離された抗体」とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を意味する。クローディン18.2タンパク質に特異的に結合する単離された抗体は、クローディン18.2タンパク質に結合しない抗体を実質的に含まない。ヒトクローディン18.2に特異的に結合する単離された抗体は、ヒトクローディン18.1タンパク質又は他の種由来のクローディン18.2タンパク質などの他の抗原にも特異的に結合し得る。単離された抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まなくてもよい。
【0025】
本明細書で用いられる「モノクローナル抗体」という用語は、単一分子組成の抗体分子の調製物を意味する。
【0026】
「単一ドメイン抗体」又は「sdAb」という用語は、対応するCDR含有ポリペプチドとの対合を伴うことなく抗原に結合する能力のある、3つの相補性決定領域(CDR)を有する単一単量体可変抗体ドメインを含む単一抗原結合性ポリペプチドを意味する。いくつかの場合、単一ドメイン抗体は、ラクダ科重鎖抗体(HCAb)から工学操作され、HCAbのVHHドメイン又はフラグメントとも呼ばれる。単一ドメイン抗体は、重鎖のみ抗体の抗原結合性部分の1種である。VHHは、ナノボディーとしても知られ得る。ラクダ科sdAbは、最小級の既知の抗原結合性抗体フラグメントの1つである(例えば、Hamers-Casterman et al.,Nature 363:446-8(1993)、Greenberg et al.,Nature 374:168-73(1995)、Hassanzadeh-Ghassabeh et al.,Nanomedicine(Lond),8:1013-26(2013)を参照されたい)。例として、配列番号1~50のアミノ酸配列を有する本開示の実施例中の特定の単一ドメイン抗体は、sdAb-1(又はsdab-1)、sdAb-2(又はsdab-2)、sdAb-3(又はsdab-3)、...、sdAb-50(又はsdab-50)に対して参照される。
【0027】
本明細書で用いられる場合、「ヒトクローディン18.2に特異的に結合する」抗体又は分子とは、ヒトクローディン18.2タンパク質に結合するが、非クローディン18.2タンパク質に実質的に結合しない抗体又はポリペプチド分子を意味する。
【0028】
本明細書で用いられる場合、「融合されたタンパク質」、「融合タンパク質」、「融合抗体」又は「融合された抗体」という用語は、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)部分とIgG定常領域Fc(例えば、IgG1 Fc領域)との両方を含む抗体分子を意味する。ただし、2つの部分は、組換え法などにより化学的に連結される。例えば、sdAbは、IgGのネイティブヒンジ領域でIgG Fc領域に直接融合可能である。sdAbは、融合抗体中ではIgG Fcの上流、すなわちN末端のより近くに位置し、この場合、sdAb及びIgG Fc領域には、ヒンジ領域が介在する。融合抗体タンパク質は、本明細書では成分部分として参照され得、例えば、sdab-1-hIgG1Fcは、ヒトIgG1 Fc領域(配列番号51のアミノ酸配列を有する)に融合されたsdab-2により構成される融合タンパク質又は抗体を意味し、sdab-2-hIgG1Fcは、ヒトIgG1 Fc領域に融合されたsdab-2により構成される融合タンパク質又は抗体を意味し、以下同様である。
【0029】
本明細書で用いられる「ラクダ科抗体」という用語は、フレームワーク領域及びCDR領域の両方がラクダ科生殖系重鎖のみ抗体配列に由来する可変領域を有する抗体(又はより具体的には単一ドメイン抗体若しくはVHHフラグメント)を含むことを意図される。さらに、抗体が定常領域を含有する場合、定常領域もラクダ科生殖系抗体配列に由来し得る。本発明のラクダ科抗体は、ラクダ科生殖系抗体配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでランダム若しくは部位特異的変異誘発により又はインビボで体細胞変異により導入された変異)を含み得る。しかしながら、本明細書で用いられる「ラクダ科抗体」という用語は、別の哺乳動物種の生殖系に由来するCDR配列がラクダ科フレームワーク配列上に移植された抗体を含むことを意図されない。
【0030】
「キメラ抗体」という用語は、非ヒト(例えば、ラクダ科動物)源由来の遺伝物質と、ヒト由来の遺伝物質とを組み合わせることにより作製された抗体を意味する。又は、より一般的には、キメラ抗体は、異なる種の遺伝物質から生成された異なる部分を有する抗体である。
【0031】
本明細書で用いられる「ヒト化抗体」という用語は、ヒトにおいて天然に生成される抗体バリアントとの類似性を増加させるようにタンパク質配列が修飾された非ヒト(例えば、ラクダ科動物)種由来の抗体を意味する。
【0032】
2つ以上の核酸又はタンパク質/ペプチドに関連して本明細書で用いられるパーセント「同一性」という用語は、配列同一性の部分としていずれの保存的アミノ酸置換も考慮せずに最大の対応が得られるように比較及びアライメントしたとき(必要に応じてギャップを導入して)、特定のパーセントの同一のヌクレオチド又はアミノ酸残基を有する2つ以上の配列又はサブ配列を意味する。パーセント同一性は、配列比較ソフトウェア若しくはアルゴリズムを用いて又は目視検査により測定され得る。アミノ酸配列又はヌクレオチド配列のアライメントを得るために使用可能な各種のアルゴリズム及びソフトウェアは、当技術分野で周知である。こうしたものとしては、限定されないが、BLAST、ALIGN、Megalign、BestFit、GCG Wisconsin Package及びそれらの変法が挙げられる。
【0033】
本明細書で用いられる場合、「対象」という用語は、いずれのヒト又は非ヒト動物も含む。「非ヒト動物」という用語は、すべての脊椎動物、例えば哺乳動物及び非哺乳動物を含む。特定の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0034】
抗体のCDRは、様々な方法/システムを用いて当業者により定義される。これらのシステム及び/又は定義は、長年にわたり開発及び精緻化されており、Kabat、Chothia、IMGT、AbM及びContactを含む。Kabat定義は、配列可変性に基づいており、通常使用される。Chothia定義は、構造ループ領域の位置に基づく。IMGTシステムは、配列可変性及び可変ドメイン構造内の位置に基づく。AbM定義は、KabatとChothiaとの折衷案である。Contact定義は、利用可能な抗体結晶構造の解析に基づく。例示的なシステムは、KabatとChothiaとの組合せである。別の例示的なシステムは、Kabatである。
【0035】
本明細書で用いられる場合、「CDR」又は「相補性決定領域」という用語は、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見出される非連続抗原結合性部位を意味することが意図される。これらの特定の領域は、Kabat et al.,J.Biol.Chem.252:6609-6616(1977)、Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,“Sequences of proteins of immunological interest”(1991)、Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)、Al-Lazikani B.et al.,J.Mol.Biol.,273:927-948(1997)、MacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996)、Abhinandan and Martin,Mol.Immunol.,45:3832-3839(2008)、Lefranc M.P.et al.,Dev.Comp.Immunol.,27:55-77(2003)及びHonegger and Plueckthun,J.Mol.Biol.,309:657-670(2001)に記載されており、定義には、互いに比較されるときのアミノ酸残基のオーバーラッピング又はサブセットが含まれる。それにも関わらず、抗体若しくは移植抗体のCDR又はそのバリアントを意味するいずれの定義の適用も、本明細書で定義され、用いられる用語の範囲内にあることが意図される。以上で引用された参照文献の各々により定義されるCDRを包含するアミノ酸残基は、比較として以下の表1に示される。CDR予測アルゴリズム及びインターフェースは、例えば、Abhinandan and Martin,Mol.Immunol.,45:3832-3839(2008)、Ehrenmann F.et al.,Nucleic Acids Res.,38:D301-D307(2010)及びAdolf-Bryfogle J.et al.,Nucleic Acids Res.,43:D432-D438(2015)を含めて当技術分野で公知である。この段落で引用された参照文献の内容は、本願での使用のため及び本明細書の1つ以上の請求項への包含を可能にするために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
【0037】
ヒトクローディン18.2を標的とする抗体(又は抗ヒトクローディン18.2抗体)
一態様では、本開示は、CDR1領域、CDR2領域及びCDR3領域であって、
(1)それぞれ配列番号52、53及び54、
(2)それぞれ配列番号55、56及び57、
(3)それぞれ配列番号58、59及び60、
(4)それぞれ配列番号61、62及び63、
(5)それぞれ配列番号64、65及び66、
(6)それぞれ配列番号76、77及び78、
(7)それぞれ配列番号82、83及び84、
(8)それぞれ配列番号85、86及び87、
(9)それぞれ配列番号88、89及び90、
(10)それぞれ配列番号91、92及び93、
(11)それぞれ配列番号94、95及び96、
(12)それぞれ配列番号103、104及び105、
(13)それぞれ配列番号106、107及び108、
(14)それぞれ配列番号112、113及び114、
(15)それぞれ配列番号115、116及び117、
(16)それぞれ配列番号121、122及び123、
(17)それぞれ配列番号124、125及び126、
(18)それぞれ配列番号127、128及び129、
(19)それぞれ配列番号133、134及び135、
(20)それぞれ配列番号136、137及び138、
(21)それぞれ配列番号139、140及び141、
(22)それぞれ配列番号142、143及び144、
(23)それぞれ配列番号145、146及び147、
(24)それぞれ配列番号148、149及び150、
(25)それぞれ配列番号151、152及び153、
(26)それぞれ配列番号154、155及び156、
(27)それぞれ配列番号157、158及び159、
(28)それぞれ配列番号160、161及び162、
(29)それぞれ配列番号163、164及び165、
(30)それぞれ配列番号169、170及び171、
(31)それぞれ配列番号172、173及び174、
(32)それぞれ配列番号175、176及び177、
(33)それぞれ配列番号178、179及び180、
(34)それぞれ配列番号181、182及び183、
(35)それぞれ配列番号184、185及び186、
(36)それぞれ配列番号190、191及び192、
(37)それぞれ配列番号193、194及び195、
(38)それぞれ配列番号196、197及び198、若しくは
(39)それぞれ配列番号199、200及び201、又は
CDR1、CDR2及びCDR3のいずれか1つ以上に最大で約3アミノ酸置換(例えば、1、2又は3アミノ酸置換)を含む、上記のいずれかのバリアント
のアミノ酸配列を含むCDR1領域、CDR2領域及びCDR3領域を含む単量体可変ドメインを含む、単離された抗体又はその抗原結合性部分を提供する。
【0038】
いくつかの実施形態では、
(1)それぞれ配列番号52、53及び54、
(2)それぞれ配列番号55、56及び57、
(3)それぞれ配列番号58、59及び60、
(4)それぞれ配列番号61、62及び63、
(5)それぞれ配列番号64、65及び66、
(6)それぞれ配列番号76、77及び78、
(7)それぞれ配列番号82、83及び84、
(8)それぞれ配列番号85、86及び87、
(9)それぞれ配列番号88、89及び90、
(10)それぞれ配列番号91、92及び93、
(11)それぞれ配列番号94、95及び96、
(12)それぞれ配列番号103、104及び105、
(13)それぞれ配列番号106、107及び108、
(14)それぞれ配列番号112、113及び114、
(15)それぞれ配列番号115、116及び117、
(16)それぞれ配列番号121、122及び123、
(17)それぞれ配列番号124、125及び126、
(18)それぞれ配列番号127、128及び129、
(19)それぞれ配列番号133、134及び135、
(20)それぞれ配列番号136、137及び138、
(21)それぞれ配列番号139、140及び141、
(22)それぞれ配列番号142、143及び144、
(23)それぞれ配列番号145、146及び147、
(24)それぞれ配列番号148、149及び150、
(25)それぞれ配列番号151、152及び153、
(26)それぞれ配列番号154、155及び156、
(27)それぞれ配列番号157、158及び159、
(28)それぞれ配列番号160、161及び162、
(29)それぞれ配列番号163、164及び165、
(30)それぞれ配列番号169、170及び171、
(31)それぞれ配列番号172、173及び174、
(32)それぞれ配列番号175、176及び177、
(33)それぞれ配列番号178、179及び180、
(34)それぞれ配列番号181、182及び183、
(35)それぞれ配列番号184、185及び186、
(36)それぞれ配列番号190、191及び192、
(37)それぞれ配列番号193、194及び195、
(38)それぞれ配列番号196、197及び198、又は
(39)それぞれ配列番号199、200及び201
のアミノ酸配列を含むCDR1領域、CDR2領域及びCDR3領域を含む単量体可変ドメインを含む、単離された抗体又はその抗原結合性部分である。
【0039】
抗体又はその抗原結合性部分のいくつかの実施形態では、
それぞれ配列番号64、65及び66、
それぞれ配列番号76、77及び78、
それぞれ配列番号124、125及び126、
それぞれ配列番号136、137及び138、
それぞれ配列番号145、146及び147、
それぞれ配列番号175、176及び177、若しくは
それぞれ配列番号199、200及び201、又は
CDR1、CDR2及びCDR3のいずれか1つ以上に最大で約3アミノ酸置換(例えば、1、2又は3アミノ酸置換)を含む、上記のいずれかのバリアント
のアミノ酸配列を含むCDR1領域、CDR2領域及びCDR3領域である。
【0040】
抗体又はその抗原結合性部分のいくつかの実施形態では、
それぞれ配列番号64、65及び66、
それぞれ配列番号76、77及び78、
それぞれ配列番号124、125及び126、
それぞれ配列番号136、137及び138、
それぞれ配列番号145、146及び147、
それぞれ配列番号175、176及び177、又は
それぞれ配列番号199、200及び201
のアミノ酸配列を含むCDR1領域、CDR2領域及びCDR3領域である。
【0041】
いくつかの実施形態では、それぞれ配列番号64、65及び66、それぞれ配列番号76、77及び78、それぞれ配列番号124、125及び126、それぞれ配列番号136、137及び138、それぞれ配列番号145、146及び147、それぞれ配列番号175、176及び177又はそれぞれ配列番号199、200及び201の1つのアミノ酸配列を含むCDR1領域、CDR2領域及びCDR3領域である。
【0042】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合性部分は、配列番号1、2、3、4、5、9、11、12、13、14、15、18、19、21、22、24、25、26、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、41、42、43、44、45、47、48、49及び50のいずれかに示されるアミノ酸配列を有する単量体可変ドメイン内にCDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合性部分は、クローディン18.2、好ましくはヒトクローディン18.2に特異的に結合する。
【0044】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合性部分は、単一ドメイン抗体(sdAb)又はVHHドメイン、すなわち従来の重鎖定常領域を含まないものである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合性部分は単一ドメイン抗体である。
【0045】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合性部分は、ラクダ科、キメラ、ヒト又はヒト化のものである。
【0046】
いくつかの実施形態では、単量体可変ドメインは、配列番号1~50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、単量体可変ドメインは、配列番号1~50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、単量体可変ドメインは、配列番号1、2、3、4、5、9、11、12、13、14、15、18、19、21、22、24、25、26、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、41、42、43、44、45、47、48、49、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、単量体可変ドメインは、配列番号1、2、3、4、5、9、11、12、13、14、15、18、19、21、22、24、25、26、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、41、42、43、44、45、47、48、49、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、単量体可変ドメインは、配列番号5、9、25、29、32、42、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、単量体可変ドメインは、配列番号5、9、25、29、32、42、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0052】
他の一態様では、本開示は、配列番号1、2、3、4、5、9、11、12、13、14、15、18、19、21、22、24、25、26、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、41、42、43、44、45、47、48、49、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単量体可変ドメインを含む抗体又はその抗原結合性部分を提供する。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、配列番号5、9、25、29、32、42、50及び202~213からなる群から選択される。
【0053】
他の一態様では、本開示は、配列番号1、2、3、4、5、9、11、12、13、14、15、18、19、21、22、24、25、26、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、41、42、43、44、45、47、48、49、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む単量体可変ドメインを含む抗体又はその抗原結合性部分を提供する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合性部分は、配列番号5、9、25、29、32、42、50及び202~213からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む単量体可変ドメインを含む。
【0054】
細胞表面上のFc受容体への抗体の結合は、抗体被覆粒子の貧食及び破壊、免疫複合体のクリアランス、キラー細胞による抗体被覆標的細胞の溶解(抗体依存細胞傷害性又はADCCと呼ばれる)、炎症性メディエーターの放出、胎盤通過及びイムノグロブリン産生の制御をはじめとするいくつかの重要な様々な生物学的反応をトリガーする。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合性部分は、Fc領域を含む。ヒトIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のFc領域のアミノ酸配列は、当業者に公知である。いくつかの場合、アミノ酸バリエーションを有するFc領域がネイティブ抗体で同定されている。いくつかの実施形態では、修飾抗体(例えば、修飾Fc領域)は、改変エフェクター機能を提供し、したがって抗体の生物学的プロファイルに影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、定常領域修飾は、抗体の血清中半減期を増加させる。いくつかの実施形態では、定常領域修飾は、抗体のADCC及び/又は補体依存細胞傷害性(CDC)を増加又は増強する。
【0055】
本明細書に記載の抗体又はその抗原結合性部分は、単量体可変ドメインに融合されたIgG Fc領域をさらに含み得る。例えば、配列番号51のアミノ酸配列を含むIgG Fc領域は、ヒトIgG1 Fc領域であり得る。いくつかの実施形態では、ヒトIgG1 Fc領域のN末端に融合された抗体又はその抗原結合性部分(例えば、sdAb)である。
【0056】
さらなる態様では、本開示は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合性部分を含む、二重特異的分子、イムノコンジュゲート(若しくは抗体薬剤コンジュゲート)又はキメラ抗原受容体を提供する。
【0057】
「二重特異的分子」という用語は、少なくとも1つの他の機能性分子、例えば別のペプチド又はタンパク質(例えば、別の抗体又は受容体に対するリガンド)に連結された本開示の抗体を意味する。二重特異的分子は、少なくとも2つの異なる結合性部位又は標的分子を有し得、且つ3特異性以上を有する分子を含み得る。
【0058】
「イムノコンジュゲート」という用語は、治療剤、例えば細胞毒素、アルキル化剤、DNAマイナーグルーブバインダー、DNAインターカレーター、DNAクロスリンカー、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、核エクスポート阻害剤、プロテアソーム阻害剤、トポイソメラーゼI又はII阻害剤などにコンジュゲートされた本開示の抗体を意味する。ADCでは、抗体及び治療剤は、ペプチジル、ジスルフィドなどの切断性リンカーを介してコンジュゲートされ得る。
【0059】
「キメラ抗原受容体」又は「CAR」という用語は、免疫エフェクター細胞、典型的にはT細胞上に規定の特異性を移植してT細胞機能を拡張する工学操作された受容体を意味する。新世代CARは、単一ドメイン抗体を含む細胞外結合性ドメイン、ヒンジ領域、膜貫通ドメイン及び細胞内シグナリングドメイン(主にT細胞活性化シグナルの主トランスミッターであるCD3ゼータ細胞質ドメイン、さらに1つ以上の共刺激性ドメイン)を含む。CARは、T細胞拡大、持続及び抗腫瘍活性を増強する因子、例えばサイトカイン及び共刺激性リガンドをさらに有し得る。
【0060】
なおもさらなる態様では、本開示は、本明細書に記載の抗体(若しくはその抗原結合性部分)のいずれかの抗体若しくはその抗原結合性部分又は二重特異的分子、イムノコンジュゲート若しくはキメラ抗原受容体をコードする核酸分子を提供する。この核酸分子を含有する発現ベクターを含有する宿主細胞(例えば、CHO細胞若しくはリンパ球細胞又は微生物、例えば大腸菌(E.coli)及び真菌、例えば酵母)は、本開示の抗体、好ましくはモノクローナル抗体を産生するために使用され得る。
【0061】
一実施形態では、本開示の部分長又は全長抗体をコードするDNAは、標準的分子生物学技術によって得て、遺伝子が転写及び翻訳調節配列に作動的に連結されるように1つ以上の発現ベクターに挿入することができる。「作動的に連結される」という用語は、ベクター内の転写及び翻訳制御配列が抗体遺伝子の転写及び翻訳をレギュレートするその意図された機能を果たすように、抗体遺伝子がベクターにライゲートされることを意味することが意図される。「調節配列」という用語は、抗体遺伝子の転写又は翻訳を制御するプロモーター、エンハンサー及び他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。かかる調節配列は、例えば、Goeddel(Gene Expression Technology.Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990))に記載されている。哺乳動物宿主細胞発現に好ましい調節配列としては、哺乳動物細胞で高レベルのタンパク質発現を指令するウイルスエレメント、例えばサイトメガロウイルス(CMV)シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルスメジャー後期プロモーター(AdMLP))並びにポリオーマに由来するプロモーター及び/又はエンハンサーが挙げられる。代替的に、ユビキチンプロモーター又はβ-グロビンプロモーターなどの非ウイルス調節配列を使用し得る。なおもさらに、異なる源由来の配列で構成された調節エレメント、例えばSV40初期プロモーター及びヒトT細胞白血病ウイルス1型の長末端リピート由来の配列を含有するSRαプロモーターシステム(Takebe et al.,(1988)Mol.Cell.Biol.8:466-472)である。発現ベクター及び発現制御配列は、使用される発現宿主細胞に適合可能であるように選択される。
【0062】
抗体をコードするDNAは、発現ベクターに挿入され得る。組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードし得る。抗体をコードするDNAは、抗体をコードするDNAのアミノ末端にシグナルペプチドがインフレームで連結されるようにベクター中にクローニングされ得る。シグナルペプチドは、イムノグロブリンシグナルペプチド又は異種シグナルペプチド(すなわち非イムノグロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)であり得る。
【0063】
sdAb(又はsdAb-IgGFc)の発現のために、抗体鎖をコードする発現ベクターは、標準的技術により宿主細胞中にトランスフェクトされる。「トランスフェクション」という用語の各種の形態は、原核又は真核宿主細胞中への外因性DNAの導入に通常使用される多様な技術、例えばエレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクションなどを包含することが意図される。本開示の抗体を発現するための哺乳動物宿主細胞としては、HEK293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)、NSO骨髄腫細胞、COS細胞及びSP2細胞が挙げられる。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターが哺乳動物宿主細胞中に導入されたとき、抗体は、宿主細胞中での抗体の発現、より好ましくは宿主細胞が成長する培養培地中への抗体の分泌を可能にするのに十分な期間にわたり宿主細胞を培養することにより産生される。抗体は、標準的タンパク質精製法を用いて培養培地から回収され得る。
【0064】
最大半量有効濃度としても知られる「EC50」という用語は、特定の暴露時間後に最大半量反応を与える抗クローディン18.2sdAb-Fc融合タンパク質若しくは抗クローディン18.2sdAbなどの抗体又はその抗原結合性部分の濃度を意味する。
【0065】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合性部分(例えば、sdAb又はsdAb-Fc融合タンパク質)は、約1nM以下、約100nM以下、約40nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約1nM以下又は約0.1nM以下の最大半量有効濃度(EC50)でクローディン18.2(例えば、ヒトクローディン18.2)に結合する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合性部分は、約1nM以下、約100nM以下、約40nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約1nM以下又は約0.1nM以下のEC50でヒトクローディン18.2に結合する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合性部分は、約40nM以下のEC50でヒトクローディン18.2に結合する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合性部分は、約20nM以下のEC50でヒトクローディン18.2に結合する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合性部分は、約10nM以下のEC50でヒトクローディン18.2に結合する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合性部分は、約1nM以下のEC50でヒトクローディン18.2に結合する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合性部分は、約0.1nM以下のEC50でヒトクローディン18.2に結合する。
【0066】
医薬組成物及び処置方法
他の一態様では、本開示は、従来技術に係る薬学的に許容可能な担体と共に本発明の1種以上の抗体又は本明細書に記載の二重特異的分子、イムノコンジュゲート若しくはキメラ抗原受容体を含む医薬組成物を提供する。
【0067】
組成物は、1種以上の追加の医薬活性成分、例えば別の抗体、薬剤、例えば細胞傷害剤又は抗腫瘍剤を含み得る。本発明の医薬組成物は、例えば、別の抗癌剤、別の抗炎症剤などとの組合せ療法でも投与され得る。本明細書で用いられる場合、「薬学的に許容可能な担体」は、薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は安定化剤を含む。こうしたものとしては、限定されないが、生理学的に適合可能な溶媒、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張化剤及び吸収遅延剤、界面活性剤、増粘剤又は乳化剤、固形結合剤、ディスパージョン又はサスペンジョン助剤、可溶化剤、着色剤、風味剤、コーティング剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、保存剤、等張化剤などが挙げられる。好適な担体の選択は、当業者の知識の範囲内にある。
【0068】
医薬組成物は、静脈内、筋肉内、皮下、腸管外、表皮及び他の投与経路に好適であり得る。投与経路に依存して、活性成分は、それを不活性化するおそれのある酸及び他の自然条件の作用からそれを保護するための材料で被覆され得るか、又はさもなければそうした材料若しくは構造体にロードされ得る。本明細書で用いられる「腸管外投与」という語句は、経腸投与及び局所投与以外の投与モード、通常、注射によるものを意味し、こうしたものとしては、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、角質下、関節内、嚢下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外及び胸骨内の注射及び注入が挙げられる。代替的に、本発明の抗体は、非腸管外経路、例えば局所、表皮又は粘膜投与経路を介して、例えば鼻内、経口、膣、直腸、舌下又は局所で投与され得る。
【0069】
他の一態様では、本開示は、対象、例えばヒト又は非ヒト哺乳動物における疾患を処置する方法であって、治療有効量の、本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。疾患は、胃癌、膵癌、結腸癌、食道癌、肝癌、卵巣癌、肺癌及び膀胱癌からなる群から選択される癌であり得る。特定の実施形態では、癌は、胃癌である。特定の実施形態では、癌は、膵癌である。特定の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0070】
対象への組成物の投与では、最適な所望の反応(例えば、治療反応)を提供するように投与レジメンを調整し得る。対象、処置される疾患などに基づいて単一ボーラス又は分割用量を投与し得る。本明細書で用いられるユニット製剤は、処置される対象に対するユニット投与量として適切な物理的に個別のユニットを意味する。各ユニットは、所要の医薬担体に関連して所望の治療効果を生じるように計算される、あらかじめ決められた量の活性成分を含有する。それほど頻繁でない投与が必要とされる場合、持続放出製剤を使用することができる。
【0071】
本開示の抗体の投与では、投与量は、対象の体重基準で約0.0001~100mg/kg、より一般的には0.01~5mg/kgの範囲内であり得る。例えば、投与量は、0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重若しくは10mg/kg体重又は1~10mg/kgの範囲内であり得る。好適な処置レジームは、週1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、月1回などであり得る。本発明の抗クローディン18.2抗体に対する投与レジメン例は、静脈内投与を介して1mg/kg体重又は3mg/kg体重を含み得る。
【0072】
「治療有効量」又は「治療有効量」の、本発明のクローディン18.2を標的とする抗体は、好ましくは、疾患症状の重症度の減少、疾患無症状期間の頻度及び/若しくは持続期間の増加、疾患罹患に起因する機能障害若しくは能力障害の可能性の予防若しくは低減又は疾患進行の阻害若しくは遅延をもたらす。例えば、腫瘍保有対象の処置では、「治療有効量」の抗体組成物は、未処置対象と比べて腫瘍成長を少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約60%、またさらにより好ましくは少なくとも約80%阻害する。
【実施例】
【0073】
以下の実施例は、単に本発明の例示であることが意図されるため、決して本発明を限定するものとみなされるべきでない。
【0074】
実施例1:抗クローディン18.2sdAbの発生
動物免疫化
現在の動物福祉規則に従って組換えヒトクローディン18.2-Hisタンパク質(GenScript)でラマを免疫した。免疫化では、CFA(完全フロイントアジュバント、一次免疫化)又はIFA(不完全フロイントアジュバント、ブースト免疫化)と共に抗原をPBS溶液中に投与したか又はエマルジョンとして配合した。抗原は、頸部の皮下に投与した。各動物は、CFAエマルジョン中の200μgの抗原による一次免疫化、1週間のインターバルでIFAエマルジョン中の100μgの抗原による3回の後続ブースト及び1週間のインターバルでIFAエマルジョン中の50μgの抗原による続く2回の注射を含めて、エマルジョンの注射を6回受けた。複数ラウンドの免疫化後、200mlの血液サンプルを採取した。ラマ重鎖抗体(HCAb)の遺伝源として末梢血リンパ球(PBL)を勾配遠心分離により血液サンプルから単離した。
【0075】
ファージディスプレイライブラリー構築
製造業者のプロトコルに従ってTRIZOL試薬(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号15596026)を用いて、以上に記載の全RNAを単離されたリンパ球から抽出し、これをsdAbコード遺伝子断片の増幅のためにRT-PCRのための出発材料として使用した。遺伝子増幅では、製造業者のプロトコルに従ってPRIMESCRIPT第一鎖cDNA合成キット(Takara、カタログ番号6110A)を用いて、単離されたRNAをオリゴ(dT)20プライマーでcDNAに逆転写した。VHHフラグメントを増幅するために、6つのフォワード及び2つのリバース特異的縮重プライマーを設計した。
【0076】
2工程PCR法によりVHHフラグメントの可変領域を増幅した。第2のPCRの鋳型として第1のPCRのDNA産物を使用した。VHH PCRフラグメントを含有する増幅された第2のPCR産物をゲル精製し、酵素消化し、続いてファージミドプラスミド中に挿入した。組換えプラスミドをエレクトロポレーションにより大腸菌(E.coli)細胞中に移し、1×109超のサイズでファージディスプレイライブラリーを生成した。標準的プロトコルに従ってライブラリーファージを調製し、濾過滅菌後にストックとして-80℃で貯蔵した。
【0077】
ファージディスプレイパニング
GenScriptにより開発された標準的手順を用いて、最初に、構築されたファージライブラリーを、ヒトクローディン18.1を過剰発現するCHO-K1細胞でカウンタースクリーニングし、続いてヒトクローディン18.2を過剰発現するCHO-K1細胞でパニングした。2ラウンドの選択を実施し、富化係数(コントロールと比べて溶出液中に存在するファージの数)、多様性及びクローディン18.2陽性クローンのパーセンテージに関して各選択アウトプットを解析した(FACS)。これらのパラメーターに基づいて、さらなるスクリーニングのために最良クラスの選択肢を選択し、ハイスループットスクリーニングのためにプールとして可溶性発現ベクター中にサブクローニングした。sdAbコード配列とインフレームで、ベクターは、C末端Hisタグをコードした。コロニーを取り出して96ディープウェルプレート(1mlの体積)中で成長させ、上清中のsdAb発現のためにIPTG及び0.1%Tritonの添加により誘導した。
【0078】
FACSによる抗クローディン18.2特異的sdAbリード同定
sdAbの細胞表面抗原結合を検証するために、クローディン18.2発現性HEK293細胞への結合能に関して上清中の発現sdAbをFACSにより解析した。クローディン18.1発現性HEK293細胞への結合もFACSにより評価した。ヒトクローディン18.2を発現するHEK293細胞を採取し、本明細書に記載の抗クローディン18.2sdAb、続いてFITC標識抗Hisタグ抗体(Genscript、カタログ番号A01620)と共にインキュベートした。次いで、サンプルをフローサイトメトリーで解析した。典型的結合図を
図1に示した。抗クローディン18.2mAbは、クローディン18.1タンパク質発現性細胞(点線)ではなく、ヒトクローディン18.2発現性細胞(実線)に特異的に結合する。陰性結合は、工学操作なしの親HEK293細胞のバックグラウンド灰色曲線と実線とをマージしたものとして表された。標的結合パターンは、陽性コントロール抗体IMAB362(クラウディキシマブ)及びPBSコントロールにより明確化され、IMAB362結合親和性は、フルオロフォア(iFluor647)標識ヤギ抗ヒトIgG Fc二次抗体(Jackson、カタログ番号109-605-098)により検出された。これらのsdAbをシーケンスし、さらなる特徴付けのためにユニーククローンを選択した。同定/試験されたsdAb(又はクローン)の配列は、本明細書に添付の配列リストに示される。
【0079】
sdAb-Fc融合タンパク質の産生
抗クローディン18.2sdAbとヒトIgG1 Fc領域(ネイティブIgG1ヒンジ領域を含む)との融合により、抗クローディン18.2sdAb-Fc融合タンパク質構築物を発生させた。CHO-3E7細胞一過性発現で構築物のマキシプレップを調製した。プロテインAアガロース樹脂を含有するカラムを介して、クロマトグラフィーにより発現抗クローディン18.2sdAb-Fc融合タンパク質を精製した。
【0080】
実施例2:インビトロでの抗クローディン18.2sdAbの特徴付け
FACSアッセイによるヒトクローディン18.1細胞結合
sdAb-hIgG-Fc融合タンパク質の構築後、クローディン18.1に結合せずにクローディン18.2にのみ結合する抗体結合特異性をさらに調べるために、300nMの濃度から始めて3×段階希釈で100μlの抗クローディン18.2sdAbと共に、ヒトクローディン18.1を発現するHEK293細胞をインキュベートし、続いてフルオロフォア(iFluor647)標識ヤギ抗ヒトIgG Fc二次抗体(Jackson、カタログ番号109-605-098)インキュベーションを行った。次いで、サンプルをフローサイトメトリーで解析した。幾何平均値で抗体-抗原結合曲線を作成した。EC50を解析するために、4パラメーター、最良当てはめ値プログラムを用いて、GraphPad Prism v6.02ソフトウェアにより生のデータをプロットした。
【0081】
図2に示されるように、これらの抗クローディン18.2sdAb-Fc融合タンパク質のうち、sdab-6-hIgG1Fc、sdab-10-hIgG1Fc、sdab-16-hIgG1Fc、sdab-20-hIgG1Fc、sdab-23-hIgG1Fc及びsdab-46-hIgG1Fcを含む6種のタンパク質のみがヒトクローディン18.1への高い結合親和性を示した。他のsdAb-Fc融合タンパク質は、ヒトクローディン18.1への結合親和性を示さなかったか又は弱い結合親和性を示した。ヒトクローディン18.1とのそれらの結合特異性をさらに同定するために、ヒトクローディン18.1との結合親和性を有しないか又は弱い結合親和性を有するsdAb-Fc融合タンパク質のすべてを、フローサイトメトリーによる第2ラウンドの結合アッセイのために選択した。
図8に示されるように、それらのいずれもヒトクローディン18.1に結合しない。
【0082】
FACSアッセイによるヒトクローディン18.2細胞結合
ヒトクローディン18.1への非特異的結合の解析後、クローディン18.1結合親和性を有しない/弱い結合親和性を有するこれらの候補を選択して、ヒトクローディン18.2へのそれらの結合親和性を確認した。抗体産物の細胞表面クローディン18.2抗原結合を検証するために、300nMの濃度から始めて3×段階希釈で100μlの抗クローディン18.2sdAb-Fc融合タンパク質と共に、ヒトクローディン18.2を発現するHEK293細胞をインキュベートし、続いてフルオロフォア(iFluor647)標識ヤギ抗マウスIgG(H+L)二次抗体インキュベーションを行った。次いで、サンプルをフローサイトメトリーで解析した。幾何平均値で抗体-抗原結合曲線を作成した。EC50を解析するために、4パラメーター、最良当てはめ値プログラムを用いて、GraphPad Prism v6.02ソフトウェアにより生のデータをプロットした。
【0083】
図3に示されるように、これらの抗クローディン18.2sdAb-Fc融合タンパク質のうち、sdab-7-hIgG1Fc、sdab-17-hIgG1Fc及びsdab-39-hIgG1Fcを除いて、抗クローディン18.2sdAb-Fc融合タンパク質のほとんどは、高親和性でヒトクローディン18.2発現性細胞に結合する。ヒトクローディン18.2とのそれらの結合親和性をさらに同定するために、高結合親和性のsdAb-Fc融合タンパク質のすべてを、フローサイトメトリーによる第2ラウンドの結合アッセイのために選択した。
図7に示されるように、IMAB362の参照mAbと比較したとき、sdAb-45-hIgG1Fcを除いて、それらのすべてが類似の又はより高い結合親和性を有することが確認された。
【0084】
FACSアッセイによるマウスクローディン18.2細胞結合
マウスクローディン18.2へのこれらの融合タンパク質の結合親和性を確認するために、マウスクローディン18.2を発現するCHO-K1細胞を採取し、300nMの濃度から始めて3×段階希釈で100μlの抗クローディン18.2sdAb-Fc融合タンパク質と共にインキュベートし、続いてフルオロフォア(iFluor647)標識ヤギ抗ヒトIgG Fc二次抗体(Jackson、カタログ番号109-605-098)インキュベーションを行った。次いで、サンプルをフローサイトメトリーで解析した。幾何平均値で抗体-抗原結合曲線を作成した。EC50を解析するために、4パラメーター、最良当てはめ値プログラムを用いて、GraphPad Prism v6.02ソフトウェアにより生のデータをプロットした。
【0085】
図4に示されるように、本開示の抗クローディン18.2sdAb-Fc融合タンパク質のうち、sdab-17-hIgG1Fcを除いて、抗クローディン18.2sdAb-Fc融合タンパク質のほとんどは、高親和性でマウスクローディン18.2発現性細胞に結合する。
【0086】
抗クローディン18.2抗体で誘導される補体依存細胞傷害性(CDC)アッセイ
抗体依存細胞性細胞傷害性(ADCC)及び補体依存細胞傷害性(CDC)作用は、ヒト胃癌又は胃食道癌に対する抗ヒトクローディン18.2治療用抗体の主要な作用機序である。候補抗クローディン18.2sdAb-Fc融合タンパク質は、CDCアッセイを用いて機能的にアセスされた。簡潔に述べると、ヒトクローディン18.2を過剰発現する標的細胞系CHO-K1を培養して採取し、それを96ウェルプレートに播種した。それに応じて抗体サンプルをプレートに添加し、37℃/5%CO
2でプレートを30分インキュベートした。次いで、精製正常ヒト血清をプレートに添加し、プレートをさらに4時間インキュベートした。インキュベーターからプレートを取り出して上清を採取し、Cell Titer-Glo(登録商標)アッセイキット(Promega、カタログ番号G7573)で分析した。細胞生存能分析のためにPheraStar(AMG)により発光データをキャプチャーした。IMAB362(ゾルベツキシマブ)及び370E2B12C3(国際公開第202013567A1号パンフレットに開示される)を含む2つの陽性コントロールを比較用に使用した。候補抗体濃度に対する%標的細胞溶解によるCDCアッセイ結果は、
図5に示される。sdab-17-hIgG1Fc及びsdab-27-hIgG1Fcを除いて、sdAb-Fc融合タンパク質のすべてがIMAB362の参照mAbよりも良好なCDC活性を示した。370E2B12C3と比較したとき、sdab-2-hIgG1Fc、sdab-4-hIgG1Fc、sdab-9-hIgG1Fc、sdab-25-hIgG1Fc、sdab-29-hIgG1Fc、sdab-32-hIgG1Fc、sdab-33-hIgG1Fc、sdab-35-hIgG1Fc、sdab-36-hIgG1Fc、sdab-38-hIgG1Fc、sdab-40-hIgG1Fc、sdab-42-hIgG1Fc、sdab-43-hIgG1Fc、sdab-44-hIgG1Fc、sdab-45-hIgG1Fc、sdab-48-hIgG1Fc及びsdab-50-hIgG1Fcを含めて、多くのsdAb-Fc融合タンパク質は、同程度の活性を呈した。
【0087】
抗クローディン18.2抗体で誘導されるADCCアッセイ
抗クローディン18.2sdab-Fc融合タンパク質のADCC作用を比較した。候補抗体濃度に対する%標的細胞溶解によるADCCアッセイ結果は、
図6に示される。アッセイ手順では、ヒトクローディン18.2を過剰発現する標的細胞系CHO-K1を培養して採取し、96ウェルプレート中に播種した。サンプル又はIMAB362(ゾルベツキシマブ)の同一アミノ酸配列でインハウスにおいて合成された陽性コントロールをプレートに添加し、37℃/5%CO
2でプレートを30分インキュベートした。エフェクター細胞としてNK92細胞を使用してプレートに添加し、同一条件で6時間インキュベートした。アッセイプレートを取り出して、短時間遠心分離した。上清を採取して、製造業者の説明書(Roche)に従ってLDH活性アッセイのために新しいプレートに移した。FlexStation3により吸光度データをキャプチャーして、GraphPad Prism 6.0により分析した。IMAB362(ゾルベツキシマブ)及び370E2B12C3(国際公開第202013567A1号パンフレット)を含む2つの陽性コントロールを比較用に使用した。候補抗体濃度に対する%標的細胞溶解によるADCCアッセイ結果は、
図6に示される。sdAb-Fc融合タンパク質のすべてがIMAB362の参照mAbよりも良好なADCC活性を示した。
【0088】
実施例3:抗体ヒト化及び分析
抗体ヒト化及び特徴付け
抗体可変ドメイン配列に基づいてCDR及びFRを分析し、相同性モデリングを実施してsdab-09、sdab-25、sdab-29、sdab-32、sdab-42及びsdab-50の親ラマ抗体のモデル構造を得た。以下の方法を介して抗体ヒト化を実施した。1)フレームワーク残基の溶媒アクセス可能表面積を計算する。2)結果に基づいて、埋め込まれたフレームワーク残基を同定する(すなわち溶媒アクセス可能表面積<15%)。3)sdAbカウンターパートに対して高い配列同一性を共有するsdAbでヒトアクセプターを選択する。4)復帰変異を伴うことなく移植抗体の配列が得られるようにラマsdAbのCDRをヒトアクセプターフレームワークに直接移植する。5)開発性アセスメントを介して、脱アミド化、異性化、酸化、グリコシル化などをはじめとする移植配列の翻訳後修飾及び化学分解を分析する。6)移植抗体の結合活性及び生産性に影響を及ぼし得るN-グリコシル化部位、異常プロリン残基、脱アミド化部位、異性化部位、酸化部位、不対システイン残基などのようなPTMホットスポットを同定する。
【0089】
sdAb-Fc融合タンパク質構築では、抗クローディン18.2ヒト化sdAbをヒトIgG1 Fc領域のN末端に融合した。これらのヒト化抗体融合タンパク質をCHO-3E7細胞中で発現させた。24時間後、トリプトンN-1サプリメントで発現/分泌をブーストした。37℃及び5%CO2で6日間の振盪培養後、上清を採取し、以上に記載のようにプロテインAビーズでヒト化抗体を精製した。分析のためにヒト化抗体をPBS中に保存した。
【0090】
抗クローディン18.2抗体で誘導されるADCCアッセイ
すべてのヒト化抗体のADCC作用を比較した。アッセイ手順では、ヒトクローディン18.2を過剰発現する標的細胞系CHO-K1又はKATO IIIを培養して採取し、96ウェルプレート中に1×10
4細胞で播種した。ヒト化抗体サンプル又はIMAB362(ゾルベツキシマブ)の同一アミノ酸配列でインハウスにおいて合成された陽性コントロールをプレートに添加し、37℃/5%CO
2でプレートを30分インキュベートした。エフェクター細胞としてNK92細胞を使用してプレートに添加し、同一条件で6時間インキュベートした。アッセイプレートを取り出して、短時間遠心分離した。上清を採取して、製造業者の説明書(Roche)に従ってLDH活性アッセイのために新しいプレートに移した。FlexStation3により吸光度データをキャプチャーして、GraphPad Prism 6.0により分析した。
図9に示されるように、ヒトクローディン18.2を過剰発現するCHO-K1の標的細胞系をADCCバイオアッセイに利用したとき、CLDN18.2-vhh50-1.1、CLDN18.2-vhh50-2.1、CLDN18.2-vhh29-3.1、CLDN18.2-vhh32-1.2及びCLDN18.2-vhh25-1.1のヒト化sdAbリードは、IMAB362の参照抗体よりもかなり良好なADCC活性を呈した。また、CLDN18.2-vhh09-1.3、CLDN18.2-vhh42-1.1、CLDN18.2-vhh42-2.2、CLDN18.2-vhh29-1.1、CLDN18.2-vhh29-2.1、CLDN18.2-vhh29-2.3、CLDN18.2-vhh50-2.3及びCLDN18.2-vhh25-2.1のヒト化sdAbリードは、IMAB362の参照抗体よりもわずかに高いADCC活性を示した。
図11に示されるように、ヒトクローディン18.2を過剰発現するKATO IIIの標的細胞系をADCCバイオアッセイに利用したとき、CLDN18.2-vhh50-1.1、CLDN18.2-vhh50-2.1、CLDN18.2-vhh29-3.1、CLDN18.2-vhh32-1.2、CLDN18.2-vhh09-1.3及びCLDN18.2-vhh25-1.1のヒト化sdAbリードは、IMAB362の参照抗体よりもかなり良好なADCC活性を呈した。
【0091】
抗クローディン18.2抗体で誘導される補体依存細胞傷害性(CDC)アッセイ
抗クローディン18.2sdAb-Fc融合タンパク質のヒト化候補は、CDCアッセイを用いて機能的にアセスされた。簡潔に述べると、ヒトクローディン18.2を過剰発現する標的細胞系の5000CHO-K1細胞を培養して採取し、それを96ウェルプレートに播種した。50μg/mlの濃度から始めて5×段階希釈で抗体サンプルをプレートに添加し、37℃/5%CO
2でプレートを30分インキュベートした。次いで、精製正常ヒト血清をプレートに添加し、プレートをさらに4時間インキュベートした。インキュベーターからプレートを取り出して上清を採取し、Cell Titer-Glo(登録商標)アッセイキット(Promega、カタログ番号G7573)で分析した。細胞生存能分析のためにPheraStar(AMG)により発光データをキャプチャーした。参照抗体としてIMAB362(ゾルベツキシマブ)を比較用に使用した。
図10にCDCアッセイ結果を示した。ヒト化sdAb-Fc融合タンパク質のすべては、IMAB362の参照mAbよりもかなり高いCDC活性を示した。
【0092】
FACSによるヒトクローディン18.2発現性細胞結合アッセイ
抗体産物の細胞表面クローディン18.2抗原結合を検証するために、300nMの濃度から始めて3×段階希釈で100μlのヒト化抗クローディン18.2sdAb-Fc融合タンパク質と共に、ヒトクローディン18.2を発現するCHO-K1細胞をインキュベートし、続いてフルオロフォア(iFluor647)標識ヤギ抗マウスIgG(H+L)二次抗体インキュベーションを行った。次いで、サンプルをフローサイトメトリーで解析した。幾何平均値で抗体-抗原結合曲線を作成した。EC50を解析するために、4パラメーター、最良当てはめ値プログラムを用いて、GraphPad Prism v6.02ソフトウェアにより生のデータをプロットした。
【0093】
図12に示されるように、ヒト化sdAbリードのすべては、IMAB362の参照抗体よりも高い結合親和性を呈した。
【0094】
配列リスト
実施例中のクローンの全アミノ酸配列が以下に示される。下線付きアミノ酸配列は、それぞれ所与のクローンのCDR1、CDR2、CDR3の指標となる。
>sdab-1(配列番号1)
【化1】
>sdab-2(配列番号2)
【化2】
>sdab-3(配列番号3)
【化3】
>sdab-4(配列番号4)
【化4】
>sdab-5(配列番号5)
【化5】
>sdab-6(配列番号6)
【化6】
>sdab-7(配列番号7)
【化7】
>sdab-8(配列番号8)
【化8】
>sdab-9(配列番号9)
【化9】
>sdab-10(配列番号10)
【化10】
>sdab-11(配列番号11)
【化11】
>sdab-12(配列番号12)
【化12】
>sdab-13(配列番号13)
【化13】
>sdab-14(配列番号14)
【化14】
>sdab-15(配列番号15)
【化15】
>sdab-16(配列番号16)
【化16】
>sdab-17(配列番号17)
【化17】
>sdab-18(配列番号18)
【化18】
>sdab-19(配列番号19)
【化19】
>sdab-20(配列番号20)
【化20】
>sdab-21(配列番号21)
【化21】
>sdab-22(配列番号22)
【化22】
>sdab-23(配列番号23)
【化23】
>sdab-24(配列番号24)
【化24】
>sdab-25(配列番号25)
【化25】
>sdab-26(配列番号26)
【化26】
>sdab-27(配列番号27)
【化27】
>sdab-28(配列番号28)
【化28】
>sdab-29(配列番号29)
【化29】
>sdab-30(配列番号30)
【化30】
>sdab-31(配列番号31)
【化31】
>sdab-32(配列番号32)
【化32】
>sdab-33(配列番号33)
【化33】
>sdab-34(配列番号34)
【化34】
>sdab-35(配列番号35)
【化35】
>sdab-36(配列番号36)
【化36】
>sdab-37(配列番号37)
【化37】
>sdab-38(配列番号38)
【化38】
>sdab-39(配列番号39)
【化39】
>sdab-40(配列番号40)
【化40】
>sdab-41(配列番号41)
【化41】
>sdab-42(配列番号42)
【化42】
>sdab-43(配列番号43)
【化43】
>sdab-44(配列番号44)
【化44】
>sdab-45(配列番号45)
【化45】
>sdab-46(配列番号46)
【化46】
>sdab-47(配列番号47)
【化47】
>sdab-48(配列番号48)
【化48】
>sdab-49(配列番号49)
【化49】
>sdab-50(配列番号50)
【化50】
ヒトIgG1 Fc領域:(配列番号51)
【化51】
下記タンパク質配列は、ヒト化sdAb配列である。
>CLDN18.2-vhh09-1.3(配列番号202)
【化52】
>CLDN18.2-vhh42-1.1(配列番号203)
【化53】
>CLDN18.2-vhh42-2.2(配列番号204)
【化54】
>CLDN18.2-vhh50-1.1及びCLDN18.2-vhh50-2.1(配列番号205) それらは、同一タンパク質配列を共有する。
【化55】
>CLDN18.2-vhh50-2.3(配列番号206)
【化56】
>CLDN18.2-vhh29-1.1(配列番号207)
【化57】
>CLDN18.2-vhh29-2.1(配列番号208)
【化58】
>CLDN18.2-vhh29-2.3(配列番号209)
【化59】
>CLDN18.2-vhh29-3.1(配列番号210)
【化60】
>CLDN18.2-vhh32-1.2(配列番号211)
【化61】
>CLDN18.2-vhh25-1.1(配列番号212)
【化62】
>CLDN18.2-vhh25-2.1(配列番号213)
【化63】
【0095】
下記の表は、それぞれのクローンのCDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列を示す。
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
1つ以上の実施形態に関連して本発明を以上で説明したが、本発明は、それらの実施形態に限定されず、記載内容は、添付の請求項の趣旨及び範囲に含まれ得るすべての代替形態、修正形態及び均等物を包含することが意図されることが理解されるべきである。
【0100】
本明細書で引用した参照文献は、すべてその全体が参照により組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】