(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-16
(54)【発明の名称】血管透過性の問題に対処するオートファジー阻害ペプチド及びその有機酸塩
(51)【国際特許分類】
A61K 38/04 20060101AFI20231006BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231006BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20231006BHJP
C07K 7/06 20060101ALI20231006BHJP
C07K 5/103 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
A61K38/04
A61P43/00 111
A61P9/00
C07K7/06 ZNA
C07K5/103
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519866
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2021076844
(87)【国際公開番号】W WO2022069576
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523112013
【氏名又は名称】バイオテンプト ベー.フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンスフォールト,ヘルト
(72)【発明者】
【氏名】レネス,ヨハン
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA03
4C084NA14
4C084ZA36
4C084ZC20
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA13
4H045BA15
4H045EA20
4H045FA16
4H045FA20
(57)【要約】
本発明は、一般に、バイオテクノロジー及び医学、ならびに医薬化合物として有用なオートファジー阻害ペプチドの供給源及び塩に関する。特に、本発明は、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%のアミノ酸が、オートファジー阻害アミノ酸であるアラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、プロリン(P)、及びアルギニン(R)からなる群から選択されるアミノ酸の供給源を前記細胞に提供するステップを含む、細胞のホルミルペプチド受容体(FPR)媒介性p38 MAPKキナーゼ活性を低下させる方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも50%がアラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、及びアルギニン(R)からなる群から選択されるアミノ酸の供給源を細胞に提供することを含む、p38 MAPKキナーゼ活性を低下させる方法。
【請求項2】
少なくとも50%がアラニン(A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、及びアルギニン(R)からなる群から選択されるアミノ酸の供給源を細胞に提供することを含む、PI3K/AKT/mTOR活性を低下させる方法。
【請求項3】
少なくとも50%が、アラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、及びアルギニン(R)からなる群から選択されるアミノ酸の供給源を細胞に提供することを含む、細胞骨格の再構成を減少させる方法。
【請求項4】
p38 MAPKキナーゼ活性を低下させることができるペプチドを同定するための方法であって、
少なくとも50%がアラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、及びアルギニン(R)からなる群から選択されるアミノ酸からなるペプチドを細胞に提供することと、
前記細胞にfMLPを提供し、fMLP提供後30秒から600秒で、前記ペプチドの非存在下及び存在下でp38 MAPKのリン酸化を検出することと、
その結果を比較して、前記リン酸化に対する前記ペプチドの効果を決定することと、を含む方法。
【請求項5】
PI3K/AKT/mTOR活性を低下させることができるペプチドを同定するための方法であって、
少なくとも50%がアラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、及びアルギニン(R)からなる群から選択されるアミノ酸からなるペプチドを細胞に提供することと、
前記細胞にfMLPを提供し、fMLP提供後300秒から600秒で、前記ペプチドの非存在下又は存在下で、PKB(AKT)のリン酸化を検出することと、
その結果を比較して、前記リン酸化に対する前記ペプチドの効果を決定することと、を含む方法。
【請求項6】
細胞骨格の再構成を減少させることができるペプチドを同定するための方法であって、
少なくとも50%がアラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、及びアルギニン(R)からなる群から選択されるアミノ酸からなるペプチドを細胞に提供することと、
前記細胞にfMLPを提供し、fMLP提供後30秒から600秒で、前記ペプチドの非存在下及び存在下で、p38 MAPK及び/又はfMLPのリン酸化を検出することと、
その結果を比較して、前記リン酸化に対する前記ペプチドの効果を決定することと、を含む方法。
【請求項7】
前記アミノ酸の少なくとも75%がオートファジー阻害アミノ酸の前記群から選択される請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記アミノ酸は、オートファジー阻害アミノ酸の前記群から選択される請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ペプチドは有機酸の塩として提供される請求項4~6のいずれか1項に記載のペプチドを同定するための方法。
【請求項10】
前記ペプチドは、マレイン酸、酒石酸及びクエン酸からなる群から選択される有機酸の塩として提供される請求項4~6のいずれか1項に記載のペプチドを同定するための方法。
【請求項11】
前記ペプチドは、好ましくはマレイン酸、より好ましくは酢酸、より好ましくは酒石酸、最も好ましくはクエン酸の塩として提供される請求項4~6のいずれか1項に記載のペプチドを同定するための方法。
【請求項12】
オートファジー阻害アミノ酸の供給源を含むストック溶液であって、前記アミノ酸の少なくとも50%がアラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、及びアルギニン(R)からなる群から選択されるストック溶液。
【請求項13】
前記アミノ酸の少なくとも75%がオートファジー阻害アミノ酸の前記群から選択される請求項12に記載のストック溶液。
【請求項14】
前記アミノ酸は、オートファジー阻害アミノ酸の前記群から選択される請求項12に記載のストック溶液。
【請求項15】
オートファジー阻害アミノ酸の供給源を含むストック溶液であって、前記アミノ酸の少なくとも50%がアラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、及びアルギニン(R)からなる群から選択され、前記供給源は、前記少なくとも50%のアミノ酸を含む少なくとも1つのペプチドを含み、前記ペプチドは有機酸の塩、好ましくはマレイン酸の塩、より好ましくは酒石酸の塩、最も好ましくはクエン酸の塩として存在するストック溶液。
【請求項16】
前記アミノ酸の少なくとも75%がオートファジー阻害アミノ酸の前記群から選択されるペプチドを少なくとも含む請求項15に記載のストック溶液。
【請求項17】
請求項1~11のいずれか1項に記載の方法で使用するための、請求項12~16のいずれか1項に記載のストック溶液。
【請求項18】
輸液蘇生及び/又は患者の血管透過性の問題に対処するのに有用な、請求項12~17のいずれか1項に記載のストック溶液で調製された水溶液。
【請求項19】
前記患者はヒトである請求項18に記載の水溶液。
【請求項20】
前記患者は重症であると考えられる請求項18又は19に記載の水溶液。
【請求項21】
血管透過性の増加に関連する疾患の治療に使用するための、請求項12~17のいずれか1項に記載のストック溶液又は請求項18~20のいずれか1項に記載の水溶液。
【請求項22】
血管透過性の増加の治療に使用するための、請求項21に記載の溶液。
【請求項23】
体液過負荷の予防又は治療に使用するための、請求項22に記載の溶液。
【請求項24】
蘇生液である請求項22又は23に記載の溶液。
【請求項25】
クリスタロイドである請求項22~24のいずれか1項に記載の溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、バイオテクノロジー及び医学、ならびに血管バリア機能を調節することができる、特に、浮腫、有害な血管漏出、有害な白血球血管外遊出、及び低血圧をもたらす可能性がある有害な血管透過性を調節することができる、医薬品化合物、水溶液、及び医薬品化合物として有用な塩に関する。本発明は、例えば重症患者にしばしば見られる血管透過性の問題を治療するための医薬製剤、溶液、方法、及びそのような解決策を達成するための手段を提供する。
【背景技術】
【0002】
重症患者では、心拍出量を回復させるために、適切な輸液蘇生による全身血圧と腎灌流が不可欠である。適切なレベルの容量管理を達成するには、基礎となる病態生理学、容量状態の評価、容量補充のための適切な溶液の選択、及び組織灌流の維持と調整に関する知識が必要である。最近の多くの研究では、体液過負荷(正の体液バランスとしても示される)と重症患者の死亡率との相関関係が確立されている。体液過負荷の認識と評価には、摂取量と排出量の正確な文書化が必要である。しかし、それが評価され、見直され、活用される方法には大きな違いがある。正確な容量の評価は、適切な治療に不可欠である。容量の評価の誤りは、必要な治療の欠如又は不必要な輸液投与につながる可能性があり、両方のシナリオが死亡率の増加に関連しているからである。体液の状態を評価する方法はいくつかある。ただし、現在使用されているテストのほとんどはかなり不正確である。利尿薬、特にループ利尿薬は、依然として有効な治療法である。薬物療法に抵抗性の体液過負荷には、体外療法の適用が必要である。体液過負荷は通常、死亡率の増加に関連しており、肺水腫、心不全、創傷治癒の遅延、組織の破壊、腸機能障害などの合併症を引き起こす可能性もある。したがって、容量状態の評価は、重症患者の早期管理において非常に重要であり、おそらく重症患者になるリスクがある患者にとってはさらに重要である。利尿薬は初期治療として頻繁に使用される。ただし、効果が限られているため、体液過負荷の治療には継続的な腎代替技術の使用が必要になることがよくある。体液過負荷の治療を成功させるには、個々の体液容量の状態を正確に評価し、限外ろ過による体液管理の原則を理解し、治療目標を明確にする必要がある。さらに、過剰な房水投与による潜在的な害についてのメカニズムの理解が向上し(MarikPE.医原性塩水溺死と高い中心静脈圧の危険。Ann Intensive Care. 2014 Jun 21;4:21)、また、正の体液バランスと死亡率の上昇を関連付ける新たな観察データ(Sakrら、体液バランスの増加は敗血症による死亡のリスクを高める。大規模な国際監査の結果。Crit Care Med. 2017 Mar;45(3):386-394.)は最近、大量輸液蘇生のパラダイムに挑戦した。
【0003】
したがって、迅速な静脈内輸液療法は患者の基本的な治療法であるが、蘇生時に静脈内輸液を投与するための最適なアプローチは不明であり、さらに、患者の血管透過性の問題によく使用される昇圧剤によって複雑になる。競合する2つの蘇生対策が出現している。1つは、初期輸液を多めに行うリベラル輸液アプローチであり、最初の6時間以上に大量[50~75ml/kg(80kgの成人で4~6リットル)]の初期液体を使用し、次に、昇圧剤を使用する。もう1つは制限的輸液アプローチであり、血圧と灌流を維持するために昇圧剤の注入により依存しており、より少量の初期液体[≦30ml/kg(≦2~3リットル)]を使用する。初期の輸液療法は、静脈還流と心拍出量を増加させることにより、組織灌流を強化又は維持する可能性がある。しかし、液体の投与は、重要な臓器内に浮腫を引き起こし、臓器の機能不全や酸素供給の障害を引き起こすことにより、有害な影響を与える可能性もある。逆に、制限的輸液アプローチは、主に昇圧剤に依存して低血圧を逆転させ、輸液の投与を制限しながら灌流を維持する。どちらの対策も、その使用を支持するいくつかの証拠があるが、一方の対策が他方より優れていることを確認する確固たるデータがなく、臨床的及び科学的な均衡を生み出している。さらに、いくつかのタイプの蘇生液が存在する。クリスタロイドとコロイドの2つの主なクラスが区別される。クリスタロイドは通常、分子が小さく、安価で使いやすく、即時の輸液蘇生を提供するが、浮腫を増加させる可能性がある。コロイドは分子が大きく、コストが高く、血管内空間でより迅速に体積が拡大する可能性があるが、アレルギー反応、血液凝固障害、及び腎不全を引き起こす可能性がある。
【0004】
さまざまな形態と機能の血管で構成される血管系は、血液をすべての組織に分配し、生理学的な組織の恒常性を維持する。とりわけ、恒常性の維持におけるその中心的な役割を説明するために、血管系は、肺から組織へのガス交換(特に酸素(及びその逆は特に二酸化炭素))の主要なキャリアとして機能するだけでなく、腸から肝臓、組織への栄養素も運び、組織及び排泄による有毒な副産物を組織から腎臓、さらに尿へ運んで排出する。
【0005】
血管透過性は健康な人間にとって重要な機能であるが、さまざまな病状において、血管系はしばしば疾患プロセスの影響を受け、関与している。これは主に、浮腫を伴う血管透過性の悪化、血管漏出の悪化、白血球の血管外遊出の悪化、及び低血圧をもたらし、また、血流の乏しい新しい不安定で高透過性の血管の過剰な形成をもたらす可能性があり、低酸素症と疾患の伝播をさらに促進する。血管透過性が慢性的に悪化すると、がんの転移も促進される。したがって、健康と疾患における血管生物学の重要な側面である血管透過性の調節についてさらに学ぶ(そして調節できるようになる)強い動機がある。
【0006】
異なる血管及び異なる臓器の内皮細胞は、異なる機能と形態を持っているが(Aird WC.腫瘍内皮の分子不均一性。cell tissue res.2009;335:271~81.)、一般的に血液と組織の間の障壁を提供するのに寄与する。脳や内分泌器官などの特定の器官では、内皮細胞は、器官と循環との間の通信の必要性を反映する特定の形態学的特徴を示す。脳では、血管系が特に強力なバリアである血液脳関門(BBB)を形成し、有害な浮腫から脳実質を保護する。内分泌膵臓などのホルモン産生器官では、内皮細胞はその表面に特殊な窓を表示する。これらは、ホルモンの非常に急速なエキソサイトーシスを可能にする原形質膜の横隔膜で覆われた「穴」である。ほとんどの臓器では、内皮細胞が血液と組織の間に動的バリアを形成する。休止状態では、血管系は溶質と低分子を継続的に漏出させるが、より大きな分子と細胞の血管外遊出を制限する。癌を含む多くの疾患では、血管関門が崩壊し、漏出が増加し、慢性化する可能性がある。より大きな分子及び細胞の漏出は、浮腫、有害な白血球の血管外遊出及び低血圧、及び多くの場合疾患の進行をもたらす可能性がある。
【0007】
例えば、ブラジキニンなどのキニンが、内皮バリア機能に影響を与える一連の生理学的及び時には病理学的な血管応答に関与していることは十分に認識されている。それらの作用のほとんどは、B1及びB2と名付けられた2Gタンパク質共役受容体の活性化によって媒介される。キニン受容体の活性化は、微小血管新生の促進、血管平滑筋細胞増殖の阻害、冠血管拡張、局所的な一酸化窒素合成の増加、又は抗血栓作用の発揮を通じて、アテローム性動脈硬化のリスクの調節に重要な役割を果たす可能性がある。ブラジキニンB1受容体(B1R)は通常、生理学的条件下では存在しないが、たとえば最近COVID-19疾患で報告されたように、組織の損傷、ストレス、火傷、外傷の後に非常に誘導性がある。
【0008】
組織損傷によって誘発された損傷は、B1RmRNA発現に匹敵するdes-Arg9-ブラジキニン(des-Arg9-BK)応答性の有意かつ時間依存性の増加を引き起こす可能性がある。これは、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)ファミリーのいくつかのメンバー、すなわち細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)及びp38 MAPKの活性化を誘導する。選択的阻害剤によるERK経路ではなくp38 MAPKの遮断は、選択的B1Rアゴニストdes-Arg9-BKによって引き起こされるアップレギュレートされた収縮応答の有意な減少をもたらし、B1RmRNA発現増強の誘導を大幅に防ぎ、組織の損傷による血管透過性を悪化させる。
【0009】
他のストレス刺激の中でも、血流障害の結果としての、又は肺胞と周囲の毛細血管との間のガス交換障害の結果としての低酸素への曝露は、血管の内皮細胞層の構造変化を引き起こし、その透過性や白血球と血小板との相互作用を変化させる。これらの構造変化は再び内皮細胞バリア機能の障害を引き起こし、浮腫を伴う血管透過性の悪化、血管漏出、白血球の血管外遊出及び低血圧などの有害な血管への影響をもたらし(
図1も参照)、さらに肺から血液へのガス交換、血液から組織へ、及びこれらの逆のガス交換を悪化させる可能性がある。
【0010】
ストレスに応答したよく特徴付けられた細胞骨格の変化の1つは、アクチン細胞骨格の再構成とストレスファイバーの形成を伴う。Kayaliら(JBiolChem(2002)277(45):42596~602)は、低酸素に応答した肺微小血管内皮細胞の細胞骨格変化と、このプロセスに関与する潜在的なメカニズムについて説明している。低酸素誘導アクチン再分布は、低酸素に応答して肺内皮細胞で活性化されるMAPKp38の下流の成分によって媒介されるようである。結果は、p38の基質であるキナーゼMK2が低酸素によって活性化され、その基質の1つであるHSP27がリン酸化されることを示している。別の例として、F-アクチンの再構成は、火傷による内皮バリア機能障害の初期イベントでもあり、p38 MAPK/MK2経路の標的であるHSP27はアクチンダイナミクスにおいて重要な役割を果たす。HSP27リン酸化はアクチン分布を変化させ、細胞の収縮性を変化させることが知られているため、Kayaliらは、p38-MK2-HSP27経路がアクチン再分布による血管透過性の変化を引き起こすことを示している。
【0011】
まとめると、これらの結果は、組織損傷がp38-MK2-HSP27経路を刺激し、アクチン細胞骨格の有意な変化をもたらすことを示している。p38 MAPK経路の阻害は、内皮細胞の収縮を大幅に減少させることにより、血管機能障害を改善することも以前に示されている (Wangら, APMIS (2014) 122(9):832)。
【0012】
近年、別の経路として、PI3K/AKT/mTOR[ホスファチジルイノシトール3’キナーゼ(PI3K)、プロテインキナーゼB(PKB又はAKT)、及び哺乳動物のラパマイシン標的(mTOR)]経路は、内皮細胞の収縮性の調節に不可欠であることが確認されており、Tsuji-TamuraとOgawaは実際に(ジャーナルオブセルサイエンス.2016129: 1165-1178)ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)-Akt経路の阻害剤、及びラパマイシン複合体1(mTORC1)阻害剤の哺乳類標的の阻害剤が、血管内皮細胞によって支配される血管透過性を回復するために必要な内皮細胞伸長の強力な誘導因子であることを確認した。このような伸長は、内皮細胞がp38-MK2-HSP27及び/又はPI3K/AKT/mTORシグナル細胞骨格の再構成後に収縮するときに、内皮細胞間に形成されるギャップを埋めるために必要である。これらの間隙(再び
図1を参照)では、有害な漏出と有害な漏出が発生しており、それによって生じる浮腫、血管漏出、悪性の白血球の漏出、低血圧のリスクを伴う血管液の流失を説明している。
【0013】
これらのギャップの閉鎖は、一般に、血管透過性が増加した部位でのアンジオポエチン-2とアンジオポエチン-1などのさまざまな血管新生因子の比率によって支配される。これにより、アンジオポエチン-2は一般に内皮細胞のアポトーシスを誘導し(そこではギャップ形成が促進される)、アンジオポエチン-1は、内皮細胞の伸長とギャップ閉鎖を促進することにより、ギャップ形成に対抗する。p38経路を阻害するが、ERK1/2経路を阻害しないことで、アンジオポエチン2を介した内皮細胞のアポトーシスを減衰させる(Liら, Exp Ther Med. 2018 Dec; 16(6): 4729~4736.2018年10月1日にオンラインで公開))。加えて、PI3K/AKT/mTOR経路は、一酸化窒素及びアンジオポエチンなどの他の血管新生因子の発現を調節する(KararとMayti、Front.mol神経科学、2011年12月2日org/10.3389/fnmol.2011.00051)。
【0014】
したがって、p38/p38-MK2-HSP27及び/又はPI3K/AKT/mTOR経路におけるシグナルイベントの抑制は、細胞骨格収縮シグナルを示し、血管透過性を低下させ、したがって、好ましくない透過性及び好ましくない浸出を低下させ、これにより、浮腫、血管漏出、白血球の好ましくない浸出、及び低血圧の危険性をもたらし、血管液体の流失を引き起こす。本発明の目的は、このような抑制された製剤、方法及び手段を得ることである。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、輸液蘇生及び/又は患者、好ましくはヒト患者の血管透過性の問題に対処するのに有用な水性製剤又は溶液であって、
前記製剤又は溶液は、好ましくはオートファジー阻害アミノ酸の供給源を含み、前記アミノ酸は、アラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)及びアルギニン(R)から選択される少なくとも50%を占め、前記供給源は、前記少なくとも50%のアミノを含む少なくとも1つのペプチドを含み、前記ペプチドは、有機酸の塩、好ましくはマレイン酸の塩、より好ましくは酒石酸の塩、最も好ましくはクエン酸の塩として存在する。好ましくは、前記製剤は、前記アミノ酸がオートファジー阻害アミノ酸の群から少なくとも75%選択される少なくとも1つのペプチドを含む。好ましい実施形態では、輸液蘇生及び/又は患者、好ましくはヒト患者の血管透過性の問題に対処するのに有用なこのような製剤は、AQGVLPGQ -マレート、LQGVLPGQ-マレート、AQGLQPGQ-マレート、LQGLQPGQ-マレート、AQGV-マレート、LQGVL-マレート、AQGLQ-マレート、及び LQGLQ-マレートからなる群から選択され、好ましくは、AQGVLPGQ-アセテート、LQGVLPGQ-アセテート、AQGLQPGQ-アセテート、LQGLQPGQ-アセテート、AQGV-アセテート、LQGVL-アセテート、AQGLQ-アセテート、及びLQGLQ-アセテートからなる群から選択され、より好ましくは、AQGVLPGQ -タルトレート、LQGVLPGQ-タルトレート、AQGLQPGQ-タルトレート、LQGLQPGQ-タルトレート、AQGV-タルトレート、LQGVL-タルトレート、AQGLQ-タルトレート、及びLQGLQ-タルトレートからなる群から選択され、より好ましくは、AQGVLPGQ -シトラート、LQGVLPGQ-シトラート、AQGLQPGQ-シトラート、LQGLQPGQ-シトラート、AQGV-シトラート、LQGVL-シトラート、AQGLQ -シトラート、及びLQGLQ-シトラートからなる群から選択されるペプチドを含む。別の好ましい実施形態では、輸液蘇生及び/又は患者、好ましくはヒト患者の血管透過性の問題に対処するのに有用なこのような製剤は、AQGVLPGQ -マレート、LQGVLPGQ-マレート、AQGLQPGQ-マレート、LQGLQPGQ-マレート、LQGVL-マレート、AQGLQ-マレート、及びLQGLQ-マレートからなる群から選択され、好ましくは、AQGVLPGQ-アセテート、LQGVLPGQ-アセテート、AQGLQPGQ-アセテート、LQGLQPGQ-アセテート、LQGVL-アセテート、AQGLQ-アセテート、及びLQGLQ-アセテートからなる群から選択され、より好ましくは、AQGVLPGQ -タルトレート、LQGVLPGQ-タルトレート、AQGLQPGQ-タルトレート、LQGLQPGQ-タルトレート、LQGVL-タルトレート、AQGLQ-タルトレート、及びLQGLQ-タルトレートからなる群から選択され、好ましくは、AQGVLPGQ -シトラート、LQGVLPGQ-シトラート、AQGLQPGQ-シトラート、LQGLQPGQ-シトラート、LQGVL-シトラート、AQGLQ -シトラート、及びLQGLQ-シトラートからなる群から選択されるペプチドを含む。さらに好ましい実施形態では、輸液蘇生及び/又は患者、好ましくはヒト患者の血管透過性の問題に対処するのに有用なこのような製剤は、AQGVLPGQ -マレート、LQGVLPGQ-マレート、AQGLQPGQ-マレート及びLQGLQPGQ-マレートからなる群から選択され、好ましくは、AQGVLPGQ-アセテート、LQGVLPGQ-アセテート、AQGLQPGQ-アセテート、及びLQGLQPGQ-アセテートからなる群から選択され、より好ましくは、AQGVLPGQ -タルトレート、LQGVLPGQ-タルトレート、AQGLQPGQ-タルトレート、及びLQGLQPGQ-タルトレートからなる群から選択され、より好ましくはAQGVLPGQ-シトラート、LQGVLPGQ-シトラート、AQGLQPGQ-シトラート、及びLQGLQPGQ-シトラートからなる群から選択されるペプチドを含む。さらに好ましい実施形態では、輸液蘇生及び/又は患者、好ましくはヒト患者の血管透過性の問題に対処するのに有用なこのような製剤は、AQGV-マレート、LQGVL-マレート、AQGLQ-マレート、及びLQGLQ-マレートからなる群から選択され、好ましくは、AQGV-アセテート、LQGVL-アセテート、AQGLQ-アセテート、及びLQGLQ-アセテートからなる群から選択され、より好ましくはAQGV-タルトレート、LQGVL-タルトレート、AQGLQ-タルトレート、及びLQGLQ-タルトレートからなる群から選択され、より好ましくは AQGV-シトラート、LQGVL-シトラート、AQGLQ -シトラート、及びLQGLQ-シトラートからなる群から選択されるペプチドを含む。さらに好ましい実施形態では、輸液蘇生及び/又は患者、好ましくはヒト患者の血管透過性の問題に対処するのに有用なこのような製剤は、LQGVL-マレート、AQGLQ-マレート、及びLQGLQ-マレートからなる群から選択され、好ましくは、LQGVL-アセテート、AQGLQ-アセテート、及びLQGLQ-アセテートからなる群から選択され、より好ましくはLQGVL-タルトレート、AQGLQ-タルトレート、及びLQGLQ-タルトレートからなる群から選択され、より好ましくはLQGVL-シトラート、AQGLQ -シトラート、及びLQGLQ-シトラートからなる群から選択されるペプチドを含む。別の好ましい実施形態では、輸液蘇生及び/又は患者、好ましくはヒト患者の血管透過性の問題に対処するのに有用なこのような製剤は、AQGV-マレート,好ましくはAQGV-アセテート、より好ましくはAQGV-タルトレート、より好ましくはAQGV-シトラートを含む、水性製剤又は溶液を提供する。
【0016】
本発明はまた、輸液蘇生及び/又は患者、好ましくはヒト患者の血管透過性の問題に対処するのに有用なペプチドなど、p38 MAPKキナーゼ活性を低下させることができるペプチドを同定するための方法であって、
少なくとも50%がアラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)及びアルギニン(R)からなる群から選択されるアミノ酸を含むペプチドを、細胞、好ましくはヒト細胞に提供することと、
前記細胞にfMLPを提供し、好ましくは分刻みで、最も好ましくは約0.5分から約5分、例えばfMLP提供後30秒から600秒など、適切な時間間隔で、前記ペプチドの不存在及び存在下で細胞内のp38 MAPKのリン酸化を検出することと、
その結果を比較して、前記リン酸化に対する前記ペプチドの効果を決定することと、を含む。オートファジーを阻害するAQGV-ペプチドをテストした後、プロトタイプFPRリガンドfMLPを用いてFPRを発現する細胞のFPR活性化を検出し、PKB(AKTとも呼ばれる)(
図3a)及びp38MAPKキナーゼ(
図3c)のリン酸化状態に、急速に誘導され有意な変化が見られたが、STAT3、JNK(
図3b)及びP42/p44MAPK/ERK1,2(
図3d)キナーゼでは、急速に誘導され有意な変化はなかった(又は検出されなかった)。したがって、本発明は、液体蘇生及び/又は患者、好ましくはヒト患者の血管透過性の問題に対処するのに有用なPI3K/AKT/mTOR活性を低下させることができるペプチドを同定するための方法であって、少なくとも50%がアラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)及びアルギニン(R)からなる群から選択されるアミノ酸からなるペプチドを細胞に提供することと、前記細胞にfMLPを提供し、適切な時間間隔、好ましくは分刻みで、最も好ましくは約半分から約5分、例えば30秒から600秒で、ペプチドの非存在及び存在下で、PKB (AKT)のリン酸化を検出することと、を含む方法を提供する。p38 MAPKに対するAQGV-ペプチドの作用は、FPR刺激後30秒で検出され(
図3c)、PKB(AKT)に対するAQGV-ペプチドの作用は300秒で二相パターンで現れた(
図3a)。p38とPKB媒介シグナル伝達の両方に対するAQGV-ペプチドの作用は、他のキナーゼが影響を受けることなく、600秒間持続した。このような治療に対する急性かつ特異的な反応は、PI3K/AKT/mTOR経路を制御するオートファジー阻害-AQGV-ペプチドのp38シグナル伝達に対する特異的かつ迅速な作用を示すため、タンパク質分解とタンパク質生成のバランスを制御し、血管透過性に影響を及ぼす細胞骨格変化を調節する。この活性は、AQGV-ペプチドを用いて試験されたSTAT3、JNK(
図3b)及びP42/P44MAPK/ERK 1,2(
図3d)キナーゼでは検出されなかった。その結果、AQGV-ペプチドはP38MAPKキナーゼ活性化の変化を減少させ、PI3K/AKT/mTOR活性化によって誘導される細胞骨格の再構成の変化を減少させ、内皮細胞の収縮に影響を与え、血管透過性を阻害することが明らかになった。本発明は、PI3K/AKT/mTOR活性を低下させることができるペプチドを同定するための方法であって、少なくとも50%はアラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)及びアルギニン(R)からなる群から選択されるアミノ酸からなるペプチドを細胞に提供することと、fMLPを細胞に提供し、適切な時間間隔、好ましくは分刻みで、最も好ましくはfMLP提供後の約半分から約5分、例えば30秒~600秒で、ペプチドの非存在下及び存在下でPKB(AKT)のリン酸化を検出すること、その結果を比較して、リン酸化に対するペプチドの作用を決定することと、を含む、方法を提供する。同定されたAQGV-ペプチドは有用であり、ヒト被験体において血管の漏出を伴う浮腫、好ましくない白血球の滲出、低血圧などの不都合な血管透過性に対処することができる。
【0017】
本発明はまた、PI3K/AKT/mTOR活性を低下させることができるペプチドを同定するための方法であって、少なくとも50%がアラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)及びアルギニン(R)からなる群から選択されるアミノ酸からなるペプチドを、細胞、好ましくはヒト細胞に提供することと、fMLPを細胞に提供し、適切な時間間隔、好ましくは分刻みで、最も好ましくはfMLP提供後約半分から約5分、例えば30秒から600秒で、ペプチドの不存在下及び存在下でPKB(AKT)のリン酸化を検出することと、その結果を比較して、リン酸化に対するペプチドの作用を決定することと、を含む方法を提供する。本発明はまた、細胞骨格の再構成を減少させることができるペプチドを同定する方法であって、少なくとも50%がアラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)及びアルギニン(R)からなる群から選択されるアミノ酸からなるペプチドを細胞に提供することと、fMLPを細胞に提供し、適切な時間間隔、好ましくは分刻みで、最も好ましくはfMLP提供後約半分から約5分で、ペプチドの不存在下及び存在下でp38MAPK及び/又はPKB(AKT)のリン酸化を検出することと、その結果を比較して、リン酸化に対するペプチドの作用を決定することと、を含む、方法を提供する。
【0018】
本発明は、ラパマイシン機械的標的mTORの栄養センシングシステムを標的とし、オートファジーを阻害するペプチド及び/又はアミノ酸を含む、新規な医薬クラスのオートファジー阻害化合物に関する。オートファジーを阻害するAQGV-ペプチドのホルミルペプチド関連シグナル伝達効果を試験したところ、血管透過性を調節するシグナル細胞骨格収縮のp38/p38-MK2-HSP27及び/又はPI3K/AKT/mTOR経路を予期せずに弱めることを見出した。したがって、本発明は、血管透過性を改善するための、本明細書ではAQGV-ペプチド及びそのアナログ(機能的同等物)とも呼ばれるオートファジー阻害ペプチドの使用に関する。本明細書におけるオートファジー阻害ペプチド又は化合物は、オートファジー阻害アミノ酸アラニン(本明細書中で使用される1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、プロリン(P)、イソロイシン(I)及びアルギニン(R)からなる群から選択されるアミノ酸の供給源を少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%含む分子又は組成物として定義される。これらの化合物のいくつかは、例えば、米国2005214943、米国2008027007(例えば、本明細書中のAQGV、EA-230、LQGV、VLPALP及び関連ペプチドを参照)、米国2016229890(例えば、RIVPA、IMX942とも呼ばれる)及び関連ペプチド、米国2019315823(VRLIVAVRIWRR-NH2、IDR-1018)及び関連ペプチドを参照)に開示されている(選択された)上記アミノ酸からなるオートファジー抑制ペプチドを有する。
【0019】
前記アミノ酸は、前記アミノ酸(ペプチド)の一列を含むペプチドの形態で分子内に存在することが好ましく、実質的に線状に存在する(ただし、環状又は分岐状のペプチドも好適である)。AQGV-ペプチドは、少なくとも50%、より好ましいは少なくとも75%、最も好ましい100%の、アラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ルウシン(L)、アイゾレウシン(I)、プロリン(P)、及びアルギニン(R)であるオートファギー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むオートファギー阻害ペプチドとして定義される。好ましい実施形態では、前記AQGV-ペプチドは、少なくとも50%、より好ましい少なくとも75%、最も好ましい100%の、アラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ルシリン(L)、プロリン(P)であるオートファギー阻害アミノ酸の群から選択される。AQGV-ペプチドは、少なくとも50%、より好ましいは少なくとも75%、最も好ましい100%の、アラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、であるオートファギー阻害アミノ酸の群から選択されるのが好ましい。ペプチドはAQGVであることが好ましい。
典型的には、本発明はオートファジー阻害ペプチド群の分子作用機序(MoA)を提供するので、その効果はそれらの正確な配列に必ずしも依存しない。代わりに、それらの構成アミノ酸は、mTORの栄養感知システムに一般的な家庭の「危険又は組織修復なし」シグナルを提供することを意図している。オートファジーの阻害につながり、疾患の解決につながる。これらの組織修復シグナル分子は、細胞内のタンパク質生成とタンパク質分解のバランスを変化させ、3つのステップで疾患の解決につながる可能性がある。
1 投与されたペプチド又はそのアミノ酸断片は、アミノ酸輸送、PEPT1/2輸送、共通の内細胞化、血管細胞の場合、エラストイン受容体媒介内細胞化又はファゴサイト化によって吸収される。
2 内部化ペプチドは水分化され、そのアミノ酸はmTORの栄養素感知システムに提示される。
3 特定のアミノ酸はオートファジーを阻害し、それによってタンパク質の加水分解を阻害し、タンパク質の生成分解や薬剤作用を引き起こす。
【0020】
ペプチドホルモンの分解に由来するか、又はオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を本質的に含む新規合成ペプチドとして組み立てられ、上記の特徴の1つ又は複数を満たす様々なペプチドは、マウス又はラットの様々な動物モデルにおいて、私たちの血管系を裏打ちする内皮細胞への影響を通じて、局所的又は全身的な過剰又は不利な血管透過性の強力な解決を提供する。これらのオートファジー阻害化合物及び関連するペプチド薬の将来の臨床応用を通じて関与するオートファジー阻害メカニズムを利用することは、疾患の合理的な治療のための刺激的な新しい手段を提供する。しかし、静脈内投与用のいくつかのオートファジー阻害ペプチド製剤では、ペプチドの溶解性の問題が経験されており、オートファジー阻害アミノ酸の利用可能性が低下し、ペプチドの凝集と薬学的効果の損失を避けるために、厄介な大量のペプチドのストック溶液を提供する必要がある。
【0021】
一般に、医薬ペプチド組成物は、対イオン又は塩としてトリフルオロアセテートを使用して合成され、その後、トリフルオロアセテートは、医薬賦形剤又は選択された陰イオンとしての対イオンアセテート(酢酸から)によって交換される。エタン酸としても知られる酢酸は、カルボン酸として知られる有機化合物のクラスに属する。カルボン酸は、式-C(=O)OHのカルボン酸基を含む化合物である。酢酸は、液体、(水に)可溶性、及び弱酸性化合物(そのpKaに基づく)として存在する。酢酸は、ヒトの肝臓及び腎臓組織で検出されており、糞便、尿、母乳、唾液などのほとんどの体液でも検出されている。細胞内では、酢酸は主に細胞質、ミトコンドリア、ゴルジに存在する。酢酸は、酵母からヒトまで、すべての真核生物に存在する。酢酸は多くの酵素反応に関与している。アセテートは、酢酸の塩又はエステルである。アセテートはアセテートとして知られている。酢酸ナトリウムは、直接的な人間の食品成分として一般に安全と認められている(GRAS)。上記のすべての特性を考えると、アセテートは一般に、ほとんどの医薬品ペプチド塩製剤で使用するのに最も適したオプションと考えられており、広く使用されている。しかし、静脈内適用のためのいくつかのオートファジー阻害ペプチド-アセテート製剤では、水溶液中の有用な濃度での望ましくない凝集などのペプチド溶解の問題が経験されている。溶解性の問題と最終的な凝集は、オートファジー阻害アミノ酸のオプションの可用性を低下させ、ペプチドの凝集と薬学的効果の損失を避けるために、厄介な大量のペプチドのストック溶液を提供する必要がある。
【0022】
多種多様な塩と溶質がスクリーニングされ、それらが凝集に与える影響が調べられている(たとえば、 Phys. Chem. B 2013, 117, 27, 8150~8158 ;J. Am. Chem. Soc. 1972, 94, 4 , 1299~1308)。陰イオン特異的かつ濃度依存的にタンパク質とペプチドが実際に溶液から「塩析」することを明らかにした。IDR-1018(VRLIVAVRIWRR-NH2)及び関連ペプチドは、リン酸塩、安息香酸塩、硝酸塩、シトラートなどの大きな多原子陰イオンを含む溶液中で、凝集を強く受け、それにより治療効果が大幅に低下することがわかった。比較的少量の凝集が、200mMを超えるイオン濃度でのみ、塩化物及びヨウ化物の単原子陰イオンだけでなく、硫酸塩及び重炭酸塩の陰イオンを含む溶液でも観察された。興味深いことに、酢酸ナトリウムで調製したIDR-1018は、顕著な凝集を誘発しなかった。これは、この陰イオン(アセテート)が、合成ペプチドの凝集特性に対する大きな多原子陰イオンの影響の例外を提供する可能性があることを示唆している(Cell Chemical Biology、第24巻、第8号、2017年8月17日、ページ969-980.e4)。
【0023】
溶液中のペプチドの凝集は、合成ペプチド治療薬を設計する際に常に考慮しなければならない。実際、凝集は前記ペプチドの生物学的活性を妨げ、凝集は有害な免疫応答を誘発する傾向があるためである。モノマーの集まりとしての合成ペプチドは、大きな多原子イオンを含む溶液中でより強く凝集することが知られており、そのような溶解性の問題は簡単には元に戻せないと考えられているため、合成ペプチドを使用した医薬品の溶解性の問題に対処するのに役立つ適切な塩を特定することは有用である。多くの場合、検討されているペプチドのアミノ酸組成は、ペプチドのクラスの溶解度を予測するのに役立つ。
・ 一般に、溶媒を選択してペプチドを溶解する前に、ペプチド配列を調べて、ペプチドが酸性、塩基性、又は中性であるかを判断する。一般に、ペプチドの溶解度を予測又は設計するために次の手順を実行する。
・ -1の値を各酸性(荷電)残基(D、E、及び末端COOH)に割り当てる。
・ +1の値を各塩基性(荷電)残基(K、R及び末端NH2)に割り当てる。
・ pH<6の場合、各H残基に+1の値を、pH>6の場合、0の値を割り当てる。
・ ペプチド(D、E、K、R、末端COOH、及びNH2)の合計電荷数を数える。
ペプチドの全体的な正味電荷を計算する。
→ 総正味電荷<0:酸性ペプチド;緩衝液に10%NH4OH又は炭酸水素アンモニウムを加えて、塩基性溶液に溶解してみる。
→ 総正味電荷>0:塩基性ペプチド;緩衝液に10%酢酸を加えて酸性溶液に溶解してみる。
総正味電荷=0:中性ペプチド:ペプチドに>25%の荷電残基(例えば、D、K、R、H及びE)が含まれる場合、それは一般に水又は水性緩衝液に可溶である。帯電残基が25%未満の場合は、有機溶媒(ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル(ACN)、ジメチルホルムアミド(DMF)など)を使用することを勧める。配列全体が疎水性アミノ酸(例えば、W、L、I、F、M、V、Y)で構成されている場合を除き、5未満の残基からなる非常に短いペプチドは通常、水又は水性緩衝液に溶解する。この場合、有機溶剤の使用が必要と考えられる。さらに、50%以上の疎水性残基(W、L、I、F、M、V、Y、P、A)を含む中性ペプチドは、一般に水溶液にほとんど溶けない。多くの場合、疎水性ペプチドを100%有機溶媒(DMSO、DMF、又はACN)に溶解し、その後、水又は緩衝液で目的の濃度に希釈することを勧める。ペプチドが凝集する場合は、別の可溶化を試みて希釈度を下げる前に、凍結乾燥ステップを行う必要がある。
【0024】
DMSOは毒性が低いため、単純な生物学的用途には理想的な有機溶媒であるが、静脈内(ヒト)用の薬物を調製する場合、DMSO、さらにはACNやDMFは望ましくない。6M尿素、20%酢酸を含む6M尿素、又は6Mグアニジンなどの変性剤を添加すると、水素結合ネットワークが破壊され、中性ペプチドの凝集が減少する。しかし、これらの化合物はほとんどの生物系に干渉する可能性があるため、その用途はかなり限定されており、全体として非経口使用の医薬品開発に使用するには望ましくない。
【0025】
本開示の目的は、前記オートファジー阻害アミノ酸を、それを必要とすると考えられる対象に最も好都合な方法で提供することである。したがって、本発明は、好ましくは組換え又は合成のオートファジー阻害ペプチドのタルトレート又はシトラートを提供し、前記ペプチドが有するアミノン酸配列は、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%のアミノ酸が、アラニン(A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)及びプロリン(P)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択される。より好ましくは、本発明は、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%のアミノ酸が、アラニン(A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)及びプロリン(P)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択される。
【0026】
本発明は、前記ペプチドの凝集を緩和し、(酒石酸から、好ましくは(+)-酒石酸から)のタルトレート、好ましくはシトラートを適切な対イオンとして識別するいくつかのオートファジー阻害ペプチドに適切な溶液、上記で定義された中性ペプチドであるオートファジー阻害ペプチドの塩を調製するために選択される適切な対イオン、医薬賦形剤又は陰イオンとしてのクエン酸(クエン酸由来)、より好ましくはクエン酸(クエン酸由来)を提供する。種々の塩を本明細書でスクリーニングして、本発明による中性ペプチドの凝集に対するそれらの影響を決定し、中性ペプチドが陰イオン特異的かつ濃度依存的に溶液から「塩析」することを実際に明らかにした。水溶液中のペプチド硫酸塩、ペプチドマレート、ペプチドアデノシン一リン酸、及びペプチドアデノシンなどの塩の凝集点(凝集したペプチド塩が分解する傾向がある濃度以下の濃度点)は、驚くべきことにペプチド-アセテート、そしてさらに驚くべきことにタルトレートの凝集に対して、悪化凝集を示し、ペプチド-シトラートは、ペプチド-アセテートと比較して水溶液中で(強く)減少した凝集を示した。
【0027】
本発明による前記オートファジー阻害ペプチド塩は、K、H及びRから選択される<25%荷電残基を含む。より好ましくは、前記オートファジー阻害ペプチドは、D、K、R、H、及びE群から選択される<25%荷電残基を含む。最も好ましくは、前記オートファジー阻害ペプチド塩は、D、K、R、H、及びE群から選択される残基を含まない。静脈内使用のための液体とのpH非適合性の問題を避ける。前記溶液が水溶液であることがさらに好ましい。最も好ましい実施形態では、該溶液はいわゆるストック溶液、好ましくは水性ストック溶液である。ストック溶液は一般に活性物質、ここではオートファジー阻害ペプチド塩の濃縮溶液であり、前記物質の実際の使用のためにいくらか低い濃度に希釈される、いわゆる作業溶液である。このような低濃度の作業溶液は、例えば、重病になる危険性があるか、又はすでに重篤になるリスクのある患者、たとえば、病院の集中治療室や戦場での疾患の患者にしばしば見られるように、患者に治療を施すためのストック溶液からペプチドが加えられる、例えば静脈内又は腹腔内使用のための注入液である。このような条件下では、注入液への希釈のために活性(ペプチド)薬物を少量(ストック溶液)で利用できるようにすることが有用であり、しばしば必要条件と考えられる。いわゆるストック溶液が一般的に提供され、可溶化と準備時間を節約し、材料を節約し、保管スペースを削減し、低濃度の溶液を準備する際の精度を向上させるために使用される。薬物のストック溶液は、例えば重病の患者などで、差し迫った静脈内使用のために調製され、提供又は保管されることがよくある。ただし、デフォルトでペプチド濃度が高いため、オートファジー阻害ペプチドを含むストック溶液は、最終作業溶液よりも常にペプチド薬物凝集のリスクが高くなる。ストック溶液は一般に、検討されている塩の凝集濃度よりも十分に低い濃度(例えば、40~50%)で調製され、これにより、さまざまな周囲条件での長期保管の可能性がある場合の塩分の発生を防ぐ。ペプチド凝集(塩析)のリスクは、本発明によるストック溶液を用いて本明細書で回避又は軽減するために本発明が提供する現象である。このようなストック溶液は、通常、10倍から100倍以上に希釈して、適切な作業溶液を提供する。しかしながら、本発明によるペプチド塩の作業溶液を提供することも本発明の目的である。特に、本発明のペプチドの適用において、通常、比較的高い量/濃度のペプチド塩を指定する必要があるが、作業溶液が塩析点から遠く離れていて、比較的少量であることが前提条件である。
【0028】
中性ペプチドの凝集に対するそれらの影響を決定するために、ここでさまざまな塩をスクリーニングした。ペプチド-硫酸塩及びペプチド-マレートは、ペプチド-アセテートの凝集に関連して凝集の悪化を示すことがわかったが、驚くべきことにタルトレート、さらに驚くべきことにペプチド-シトラートは、ペプチド-アセテートと比較して(強く)凝集の減少を示した。
【0029】
好ましい実施形態では、本発明は、本発明によるオートファジー阻害ペプチド-アセテート又はオートファジー阻害ペプチド-タルトレート又はオートファジー阻害ペプチド-シトラートの(ストック)溶液を提供し、前記ペプチドの濃度は0.85mol/Lより大きく、より好ましくは0.9mol/Lより大きく、より好ましくは1mol/Lより大きく、より好ましくは1.2mol/Lより大きく、より好ましくは1.4mol/Lより大きく、より好ましくは1.6mol/Lより大きく、より好ましくは1.8mol/Lより大きい。より好ましい実施形態では、本発明は、前記ペプチドの濃度が2mol/L~2.5mol/Lの範囲である、前記ペプチド-タルトレート又は前記ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記ペプチドの濃度が2.5mol/L~3mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記ペプチドの濃度が3mol/L~3.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記ペプチドの濃度が3.5mol/L~4.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記ペプチドの濃度が4.5mol/L~5.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記ペプチドの濃度が5.5mol/L以上である、前記ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。前記ストック溶液は水溶液であることが好ましい。
【0030】
それにより、本発明は、出現しつつあるこの明確で新しいクラスの薬物、すなわち、オートファジーを優先的に阻害し、ラパマイシンの機械的標的であるmTORの栄養感知システムを標的とするアミノ酸を含む小さなオートファジー阻害ペプチドの溶解度の改善に寄与する。典型的には、ペプチドは50個以下のアミノ酸を有すると定義され、本開示の目的のために、タンパク質は50個未満のアミノ酸を有すると定義される。本明細書におけるオートファジー阻害ペプチドは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%のアミノ酸が、アラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、プロリン(P)、イソロイシン(I)及びアルギニン(R)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択される。
【0031】
この群のペプチドの分子作用機序(MoA)は、それらの正確な配列に依存しない。代わりに、それらの構成アミノ酸は、mTORの栄養感知システムに一般的な家庭の「危険又は組織修復なし」シグナルを提供する。これは、オートファジーの阻害につながり、疾患の解決につながる。
【0032】
AQLPGVI群
本開示の一態様は、前記オートファジー阻害アミノ酸を、それを必要とすると考えられる対象に最も適切な方法で提供することである。したがって、本発明は、ペプチド、好ましくは、好ましくは組換え又は合成オートファジー阻害ペプチドのマレート、より好ましくはアセテート、より好ましくはタルトレート、最も好ましくはシトラートなどの有機酸の塩を提供し、前記ペプチドは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%の、アラニン(A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)及びプロリン(P)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。より好ましくは、本発明は、好ましくは組換え又は合成のオートファジー阻害ペプチドの酒石酸ペプチド又はクエン酸ペプチドを含む、好ましくは水性のストック溶液を提供し、前記ペプチドは、少なくとも50%、より好ましくは75%、最も好ましくは100%の、アラニン(A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)及びプロリン(P)であるオートファジー阻害アミノ酸の群を含むアミノ酸配列を有する。
凝集のリスクに注意して、臨床試験で使用するための、本明細書で上記に定義したAQGV-ペプチドの(ストック)溶液を含むバイアルには、これまで溶液中に(0.8mol/L)以下の活性基質が含まれている。本発明によれば、有機酸のAQGV-塩、特にAQGV-ペプチド-マレート、AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液が提供され、これらは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%の、アラニン(A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)及びプロリン(P)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有し、これにより、少なくとも0.85mol/L、より好ましくは少なくとも0.9mol/L、より好ましくは少なくとも1mol/L、より好ましくは少なくとも1.2mol/L、より好ましくは少なくとも1.4mol/L、より好ましくは少なくとも1.6mol/L、最も好ましくは少なくとも1.8mol/Lの前記AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートを含む。より好ましい実施形態では、本発明は、前記AQGV-ペプチドの濃度が2mol/L~2.5mol/Lの範囲である、前記AQGV-ペプチド-タルトレート又は前記AQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記ペプチド-シトラートの濃度が2.5mol/L~3mol/Lの範囲である、前記AQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3mol/L~3.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3.5mol/L~4.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記ペプチド-シトラートの濃度が4.5mol/L~5.5mol/Lの範囲である、前記ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が5.5mol/L以上である前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。前記ストック溶液は水溶液であることが好ましい。
AQLPVG群などの有機酸の塩
別の実施形態では、本発明は、ペプチド、好ましくは組換え又は合成オートファジー阻害ペプチドの、例えばマレート、より好ましくはアセテート、より好ましくはタルトレート、最も好ましくはシトラートを提供し、前記ペプチドは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%の、アラニン(A)、グルタミン(Q)、ロイシン(L)、バリン(V)、グリシン(G)及びプロリン(P)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。より好ましくは、本発明は、好ましくは組換え又は合成のオートファジー阻害ペプチドの酒石酸ペプチド又はクエン酸ペプチドを含む、好ましくは水性のストック溶液を提供し、前記ペプチドは、少なくとも50%、より好ましくは100%の、アラニン(A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、及びプロリン(P)であるオートファジー阻害アミノ酸の群を含むアミン酸配列を有する。
凝集のリスクに注意して、臨床試験で使用するための、本明細書で上記に定義したAQGV-ペプチドのストック溶液を含むバイアルには、これまで溶液中に(0.8mol/L) 以下の活性基質が含まれている。本発明によれば、有機酸のAQGV-塩、特にAQGV-ペプチド-マレート、AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートのそのようなストック溶液が提供され、これらは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%の、アラニン(A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)及びプロリン(P)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有し、これにより、少なくとも0.85mol/L、より好ましくは少なくとも0.9mol/L、より好ましくは少なくとも1mol/L、より好ましくは少なくとも1.2mol/L、より好ましくは少なくとも1.4mol/L、より好ましくは少なくとも1.6mol/L、最も好ましくは少なくとも1.8mol/Lの前記AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートを含む。より好ましい実施形態では、本発明は、前記AQGV-ペプチドの濃度が2mol/L~2.5mol/Lの範囲である、前記AQGV-ペプチド-タルトレート又は前記AQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記ペプチド-シトラートの濃度が2.5mol/L~3mol/Lの範囲である、前記AQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3mol/L~3.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3.5mol/L~4.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が4.5mol/L~5.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が5.5mol/L以上である前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。前記ストック溶液は水溶液であることが好ましい。
【0033】
AQLP群
別の実施形態では、本発明は、ペプチド、好ましくは組換え又は合成オートファジー阻害ペプチドの、例えばマレート、より好ましくはアセテート、より好ましくはタルトレート、最も好ましくはシトラートなどの有機酸の塩を提供し、前記ペプチドは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%含の、アラニン(A)、グルタミン(Q)、ロイシン(L)、及びプロリン(P)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。より好ましくは、本発明は、好ましくは組換え又は合成のオートファジー阻害ペプチドの酒石酸ペプチド又はクエン酸ペプチドを含む、好ましくは水性のストック溶液を提供し、前記ペプチドは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%の、アラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、ロイシン(L)、及びプロリン(P)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。
凝集のリスクに注意して、臨床試験で使用するための、本明細書で上記に定義したAQGV-ペプチドのストック溶液を含むバイアルには、これまで溶液中に(0.8mol/L)以下の活性基質が含まれている。本発明によれば、有機酸のAQGV塩、特にAQGV-ペプチド-マレート、AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液が提供され、これらのストック溶液は、少なくとも50%、より好ましくは75%、最も好ましくは100%の、アラニン(A)、グルタミン(Q)、ロイシン(L)、及びプロリン(P)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有し、これにより、前記AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートを、少なくとも0.85モル/L、より好ましくは少なくとも0.9モル/L、より好ましくは少なくとも1モル/L、より好ましくは少なくとも1.2モル/L、より好ましくは少なくとも1.4モル/L、少なくとも1.6mol/L、最も好ましくは少なくとも1.8mol/L含有する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記ペプチド-シトラートの濃度が2.5mol/L~3mol/Lの範囲である、前記AQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3mol/L~3.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3.5mol/L~4.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が4.5mol/L~5.5mol/Lの範囲である前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が5.5mol/L以上である前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。前記ストック溶液は水溶液であることが好ましい。
【0034】
AQGV群
別の実施形態では、本発明は、ペプチド、好ましくは組換え又は合成のオートファジー阻害ペプチドの、例えばマレート、より好ましくはアセテート、より好ましくはタルトレート、最も好ましくはシトラートの有機酸の塩を提供し、前記ペプチドは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%の、アラニン(A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)及びバリン(V)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。より好ましくは、本発明は、好ましくは組換え又は合成のオートファジー阻害ペプチドの酒石酸ペプチド又はクエン酸ペプチドを含む、好ましくは水性のストック溶液を提供し、前記ペプチドは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%の、アラニン(A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)及びバリン(V)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。
凝集のリスクに注意して、臨床試験で使用するための、本明細書で上記に定義されたAQGV-ペプチドのストック溶液を含むバイアルには、通常、これまで溶液中に(0.8 mol/L) 以下の活性基質が含まれている。本発明によれば、有機酸のAQGV-塩、特にAQGV-ペプチド-マレート、AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートのそのようなストック溶液が提供され、これらのストック溶液は、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%の、アラニン(A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)及びバリン(V)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含む酸配列を有し、これにより、少なくとも0.85mol/L、より好ましくは少なくとも0.9mol/L、より好ましくは少なくとも1mol/L、より好ましくは少なくとも1.2mol/L、より好ましくは少なくとも1.4mol/L、より好ましくは少なくとも 1.6mol/L、最も好ましくは少なくとも1.8mol/Lの前記AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートを含む。より好ましい実施形態では、本発明は、前記AQGV-ペプチドの濃度が2mol/L~2.5mol/Lの範囲である、前記AQGV-ペプチド-タルトレート又は前記AQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記ペプチド-シトラートの濃度が2.5mol/L~3mol/Lの範囲である、前記AQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3mol/L~3.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3.5mol/L~4.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が4.5mol/L~5.5mol/Lの範囲である前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が5.5mol/L以上である前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。前記ストック溶液は水溶液であることが好ましい。
【0035】
LQGV群
さらに別の実施形態では、本発明は、ペプチド、好ましくは組換え又は合成オートファジー阻害ペプチドの、例えばマレート、より好ましくはアセテート、より好ましくはタルトレート、最も好ましくはシトラートなどの有機酸の塩を提供し、前記ペプチドは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも 75%、最も好ましくは100%の、ロイシン(L)、グルタミン(Q)、グリシン(G)及びバリン(V)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。より好ましくは、本発明は、好ましくは組換え又は合成のオートファジー阻害ペプチドの酒石酸ペプチド又はクエン酸ペプチドを含む、好ましくは水性のストック溶液を提供し、前記ペプチドは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも 75%、最も好ましくは100%の、ロイシン、グルタミン(Q)、グリシン(G)及びバリン(V)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。
凝集のリスクに注意して、臨床試験で使用するための、本明細書で上記に定義したAQGV-ペプチドのストック溶液を含むバイアルには、これまで溶液中に (0.8 mol/L) 以下の活性基質が含まれている。本発明によれば、有機酸の AQGV-塩、特に AQGV-ペプチド-マレート、 AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートのそのようなストック溶液が提供され、これらのストック溶液は、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%の、ロイシン(L)、グルタミン(Q)、グリシン(G)及びバリン(V)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有し、これにより、少なくとも0.85mol/L以上、より好ましくは0.9mol/L以上、より好ましくは1mol/L以上、より好ましくは1.2mol/L以上、より好ましくは1.4mol/L以上、より好ましくは1.6mol/L以上、 最も好ましくは1.8mol/L以上、の前記AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートを含有する。
【0036】
VLPALP群
さらに別の実施形態では、本発明は、ペプチド、好ましくは組換え又は合成オートファジー阻害ペプチドの、例えばマレート、より好ましくはアセテート、より好ましくはタルトレート、最も好ましくはシトラートなどの有機酸の塩を提供し、前記ペプチドは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75、最も好ましくは100%の、ロイシン(L)、アラニン(A)、プロリン(P)及びバリン(V)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。より好ましくは、本発明は、好ましくは組換え又は合成のオートファジー阻害ペプチドの酒石酸ペプチド又はクエン酸ペプチドを含む、好ましくは水性のストック溶液を提供し、前記ペプチドは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%の、ロイシン(1文字コード:L)、アラニン(A)、プロリン(P)及びバリン(V)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。
凝集のリスクに注意して、臨床試験で使用するための、本明細書で上記に定義したAQGV-ペプチドのストック溶液を含むバイアルには、これまで溶液中に(0.8mol/L)以下の活性基質が含まれている。本発明によれば、有機酸のAQGV-塩、特にAQGV-ペプチド-マレート、AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートのそのようなストック溶液が提供され、これらのストック溶液は、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%の、ロイシン(L)、アラニン(A)、プロリン(P)及びバリン(V)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミン酸配列を有し、これにより、少なくとも0.85mol/L、より好ましくは少なくとも0.9mol/L、より好ましくは少なくとも1mol/L、より好ましくは少なくとも1.2mol/L、より好ましくは少なくとも1.4mol/L、より好ましくは少なくとも1.6mol/L、最も好ましくは少なくとも1.8mol/Lの前記AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートを含有する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記AQGV-ペプチドの濃度が2mol/L~2.5mol/Lの範囲である、前記AQGV-ペプチド-タルトレート又は前記AQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記ペプチド-シトラートの濃度が2.5mol/L~3mol/Lの範囲である、前記AQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3mol/L~3.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3.5mol/L~4.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が4.5mol/L~5.5mol/Lの範囲である前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が5.5mol/L以上である前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。前記ストック溶液は水溶液であることが好ましい。
【0037】
LIVA群
さらに別の実施形態では、本発明は、ペプチド、好ましくは組換え又は合成オートファジー阻害ペプチドの、例えばマレート、より好ましくはアセテート、より好ましくはタルトレート、最も好ましくはシトラートなどの有機酸の塩を提供し、前記ペプチドは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%の、ロイシン(L)、イソロイシン、アラニン(A)及びバリン(V)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。より好ましくは、本発明は、好ましくは組換え又は合成のオートファジー阻害ペプチドの酒石酸ペプチド又はクエン酸ペプチドを含む、好ましくは水性のストック溶液を提供し、前記ペプチドは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%の、ロイシン(L)、アラニン(A)、イソロイシン(I)及びバリン(V)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。
凝集のリスクに注意して、臨床試験で使用するための、本明細書で上記に定義したAQGV-ペプチドのストック溶液を含むバイアルには、これまで溶液中に (0.8 mol/L) 以下の活性基質が含まれている。本発明によれば、有機酸のAQGV-塩、特にAQGV-ペプチド-マレート、AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートのそのようなストック溶液が提供され、これらのストック溶液は、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%の、ロイシン(L)、イソロイシン、アラニン(A)及びバリン(V)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含む酸配列を含有し、これにより、少なくとも0.85mol/L以上、より好ましくは0.9mol/L以上、より好ましくは1mol/L以上、より好ましくは1.2mol/L以上、より好ましくは1.4mol/L以上、より好ましくは1.6mol/L以上、最も好ましくは少なくとも1.8mol/Lの前記AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートを含有する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記AQGV-ペプチドの濃度が2mol/L~2.5mol/Lの範囲である、前記AQGV-ペプチド-タルトレート又は前記AQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記ペプチド-シトラートの濃度が2.5mol/L~3mol/Lの範囲である、前記AQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3mol/L~3.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3.5mol/L~4.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が4.5mol/L~5.5mol/Lの範囲である前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が5.5mol/L以上である前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。前記ストック溶液は水溶液であることが好ましい。
【0038】
PIVA群
さらに別の実施形態では、本発明は、ペプチド、好ましくは組換え又は合成オートファジー阻害ペプチドの、例えばマレート、より好ましくはアセテート、より好ましくはタルトレート、最も好ましくはシトラートなどの有機酸の塩を提供し、前記ペプチドは、少なくとも50%、より好ましくは75%、最も好ましくは100%の、プロリン(P)、イソロイシン(I)、アラニン(A)及び バリン (V)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。より好ましくは、本発明は、好ましくは組換え又は合成のオートファジー阻害ペプチドの酒石酸ペプチド又はクエン酸ペプチドを含む、好ましくは水性のストック溶液を提供し、前記ペプチドは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%の、プロリン(P)、イソロイシン(I)、アラニン(A)及びバリン(V)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。
凝集のリスクに注意して、臨床試験で使用するための、本明細書で上記に定義したAQGV-ペプチドのストック溶液を含むバイアルには、通常、これまで溶液中に(0.8 mol/L) 以下の活性基質が含まれている。本発明によれば、有機酸のAQGV-塩、特にAQGV-ペプチド-マレート、AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートのそのようなストック溶液が提供され、これらのストック溶液は、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%の、プロリン(P)、イソロイシン(I)、アラニン(A)及びバリン(V)であるオートファジー阻害アミノ酸の群から選択されるアミノ酸を含むアミノ酸配列を有し、これにより、少なくとも0.85mol/L、より好ましくは少なくとも0.9mol/L、より好ましくは少なくとも1mol/L、より好ましくは少なくとも1.2mol/L、より好ましくは少なくとも1.4mol/L、より好ましくは少なくとも 1.6mol/L、最も好ましくは少なくとも1.8mol/Lの前記AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートを含有する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記AQGV-ペプチドの濃度が2mol/L~2.5mol/Lの範囲である、前記AQGV-ペプチド-タルトレート又は前記AQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記ペプチド-シトラートの濃度が2.5mol/L~3mol/Lの範囲である、前記AQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3mol/L~3.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3.5mol/L~4.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が4.5mol/L~5.5mol/Lの範囲である前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が5.5mol/L以上である前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。前記ストック溶液は水溶液であることが好ましい。
好ましい実施形態では、前記ストック溶液は、ジペプチド AQ、QQ、LQ、GQ、PQ、VQ、AL、LL、QL、GL、PL、VL、QA、QL、QG、QP、QV、LA、LG、LP、LV、トリペプチド AQG、QQG、LQG、GQG、PQG、VQG、ALG、LLG、QLG、GLG、PLG、VLG、QAG、QLG、QGG、QPG、QVG、LAG、LGG、LPG、LVG、又はテトラペプチドAQGV、QQGV、LQGV、GQGV、PQGV、VQGV、ALGV、LLGV、QLGV、GLGV、PLGV、VLGV、QAGV、QLGV、QGGV、QPGV、QVGV、LAGV、LGGV、LPGV、LVGV、又はそれらの少なくとも任意の2つの混合物を含むオートファジー阻害アミノ酸の水性溶液である。
別の好ましい実施形態では、本発明は、ペプチド、好ましくは組換え又は合成オートファジー阻害ペプチドの、例えばマレート、より好ましくはアセテート、より好ましくはタルトレート、最も好ましくはシトラートなどの有機酸の塩を提供し、前記ペプチドは、少なくとも50%のジペプチド AQ、QQ、LQ、GQ、PQ、VQ、AL、LL、QL、GL、PL、VL、QA、QL、QG、QP、QV、LA、LG、LP、LV、トリペプチドAQG、QQG、LQG、GQG、PQG、VQG、ALG、LLG、QLG、GLG、PLG、VLG、QAG、Q0LG、QGG、QPG、QVG、LAG、LGG、LPG、LVG、又はテトラペプチド AQGV、QQGV、LQGV、GQGV、PQGV、VQGV、ALGV、LLGV、QLGV、GLGV、PLGV、VLGV、QAGV、QLGV、QGGV、QPGV、QVGV、LAGV、LGGV、LPGV、LVGV、又はそれらの混合物;より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは100%のジペプチドAQ、QQ、LQ、GQ、PQ、VQ、AL、LL、QL、GL、PL、VL、QA、QL、QG、QP、QV、LA、LG、LP、LV、トリペプチドAQG、QQG、LQG、GQG、PQG、VQG、ALG、LLG、QLG、GLG、PLG、VLG、QAG、QLG、QGG、QPG、QVG、LAG、LGG、LPG、LVG、又はテトラペプチドAQGV、QQGV、LQGV、GQGV、PQGV、VQGV、ALGV、LLGV、QLGV、GLGV、PLGV、VLGV、QAGV、QLGV、QGGV、QPGV、QVGV、LAGV、LGGV、LPGV、LVGV、又はそれらの混合物を含む。より好ましくは、本発明は、好ましくは組換え又は合成のオートファジー阻害ペプチドの酒石酸ペプチド又はクエン酸ペプチドを含む、好ましくは水性のストック溶液を提供し、前記ペプチドは、ジペプチドAQ、QQ、LQ、GQ、PQ、VQ、AL、LL、QL、GL、PL、VL、QA、QL、QG、QP、QV、LA、LG、LP、LV、トリペプチドAQG、QQG、LQG、GQG、PQG、VQG、ALG、LLG、QLG、GLG、PLG、VLG、QAG、QLG、QGG、QPG、QVG、LAG、LGG、LPG、LVG、又はテトラペプチド AQGV、QQGV、LQGV、GQGV、PQGV、VQGV、ALGV、LLGV、QLGV、GLGV、PLGV、VLGV、QAGV、QLGV、QGGV、QPGV、QVGV、LAGV、LGGV、LPGV、LVGV、又はそれらの混合物を含む。
凝集リスクに注意して、臨床試験で使用するための、ジペプチドAQ、QQ、LQ、GQ、PQ、VQ、AL、LL、QL、GL、PL、VL、QA、QL、QG、QP、QV、LA、LG、LP、LV、トリペプチドAQG、QQG、LQG、GQG、PQG、VQG、ALG、LLG、QLG、GLG、PLG、VLG、QAG、QLG、QGG、QPG、QVG、LAG、LGG、LPG、LVG又はテトラペプチド AQGV、QQGV、LQGV、GQGV、PQGV、VQGV、ALGV、LLGV、QLGV、GLGV、PLGV、VLGV、QAGV、QLGV、QGGV、QPGV、QVGV、LAGV、LGGV、LPGV、LVGV、又は上記で定義した少なくともいずれか2つの混合物が入ったバイアルには、典型的には、これまで(0.8mol/L)溶液中の活性基質が含まれている。本発明によれば、有機酸のAQGV-塩、特にAQGV-ペプチド-マレート、AQGV-ペプチド-アセテートAQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液が提供され、これらのストック溶液は、ジペプチドAQ、QQ、LQ、GQ、PQ、VQ、AL、LL、QL、GL、PL、VL、QA、QL、QG、QP、QV、LA、LG、LP、LV、トリペプチドAQG、QQG、LQG、GQG、PQG、VQG、ALG、LLG、QLG、GLG、PLG、VLG、QAG、QLG、QGG、QPG、QVG、LAG、LGG、LPG、LVG、又はテトラペプチド AQGV、QQGV、LQGV、GQGV、PQGV、VQGV、ALGV、LLGV、QLGV、GLGV、PLGV、VLGV、QAGV、QLGV、QGGV、QPGV、QVGV、LAGV、LGGV、LPGV、LVGV、又はそれらの2つ以上の混合物を含み、これににより、少なくとも0.85mol/L、より好ましくは少なくとも0.9mol/L、より好ましくは少なくとも1mol/L、より好ましくは少なくとも1.2mol/L、より好ましくは少なくとも1.4mol/L、より好ましくは少なくとも1.6mol/L、最も好ましくは少なくとも1.8mol/Lの、前記AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートを含む。
より好ましい実施形態では、本発明は、前記AQGV-ペプチドの濃度が2mol/L~2.5mol/Lの範囲である、前記AQGV-ペプチド-タルトレート又は前記AQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記ペプチド-シトラートの濃度が2.5mol/L~3mol/Lの範囲である、前記AQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3mol/L~3.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3.5mol/L~4.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が4.5mol/L~5.5mol/Lの範囲である前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が5.5mol/L以上である前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。前記ストック溶液は水溶液であることが好ましい。
本発明によるペプチドは、2~40アミノ酸、好ましくは3~30アミノ酸、好ましくは4~20アミノ酸の長さを有するペプチド配列を有することが好ましい。本発明による前記ペプチドは、特にそれらの少なくとも4つがオートファジーを阻害する場合、少なくとも6つのアミノ酸を含むペプチド配列を有することが最も好ましい。本発明によるペプチド-タルトレート又はペプチド-シトラートの最大長は、好ましくは最大50アミノ酸、より好ましくは最大40アミノ酸、より好ましくは最大30アミノ酸、より好ましくは最大20アミノ酸、より好ましくは最大15アミノ酸、より好ましくは最大12アミノ酸、最も好ましくは最大9アミノ酸である。
【0039】
本発明はまた、輸液蘇生及び/又は本発明によるストック溶液で調製された患者の血管透過性の問題に対処するのに有用な水溶液を提供する。血管透過性の問題に対処するそのような水溶液は、2~40アミノ酸、好ましくは3~30アミノ酸、好ましくは4~20アミノ酸の長さを有するペプチド配列を有する本発明によるオートファジー阻害ペプチドを有する。最も好ましくは、本発明による前記水溶液は、特にそれらの少なくとも4つがオートファジーを阻害する場合、少なくとも6つのアミノ酸を含むペプチドを提供する。より好ましくは、本発明による前記水溶液は、好ましくは最大50アミノ酸、より好ましくは最大40アミノ酸、より好ましくは最大30アミノ酸、より好ましくは最大20アミノ酸、より好ましくは最大15アミノ酸、より好ましくは最大12アミノ酸、最も好ましくは最大9アミノ酸を含む本発明によるペプチド-タルトレート又はペプチド-シトラートを提供する。本発明によるそのような水溶液は、前記患者がヒトである場合、好ましくは前記患者が重症であると考えられる場合に特に有用であり、典型的には、血管透過性の増加に関連する疾患の治療、特に昇圧剤の使用を遅らせるか、又はそのようなものを回避するのに有用である。血管透過性の増加の治療に使用する。特に、体液過負荷の予防又は治療に使用する場合、又は蘇生液として使用する場合、クリスタロイドと見なされる本発明によるオートファジー阻害ペプチドを含む水溶液が好ましく、より大量の初期液からなるリベラル輸液アプローチを提供する、必要に応じて、最初の6時間以上に昇圧剤を使用することを勧める。あるいは、上記のオートファジー阻害ペプチドを含む水溶液、場合によりコロイド溶液を使用し、制限的輸液アプローチを可能にすることで、前記蘇生療法の昇圧剤注入への依存を遅延又は制限することができる。
【0040】
本発明はまた、細胞骨格の再構成をもたらすp38 MAPKキナーゼ活性を低下させる方法であって、好ましくはその表面にホルミルペプチド受容体が結合している細胞に、オートファジー阻害アミノ酸の供給源を提供することを含む方法を提供し、好ましくは、前記供給源はAQGVである。本明細書で提供されるペプチドは、少なくとも50%がアラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、アルギニン(R)からなる群から選択される。
【0041】
本発明は、ホルミルペプチド受容体(FPR)媒介性p38 MAPKキナーゼ活性を低下させる方法であって、好ましくはその表面にホルミルペプチド受容体が結合している細胞に、オートファジー阻害アミノ酸の供給源を提供することを含む方法を提供し、好ましくは、前記供給源は、本明細書で提供されるAQGV-ペプチドであり、前記アミノ酸は、少なくとも50%が、アラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、アルギニン(R)からなる群から選択される。
【0042】
本発明は、細胞骨格の再構成をもたらすPI3K/AKT/mTOR活性を低下させる方法であって、好ましくはその表面にホルミルペプチド受容体が結合している細胞に、オートファジー阻害アミノ酸の供給源を提供することを含む方法を提供する。本明細書で提供されるAQGV-ペプチドは、少なくとも50%がアラニン(A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン (P)、及びアルギニン (R)からなる群から選択される。
【0043】
本発明は、ホルミルペプチド受容体(FPR)媒介性PI3K/AKT/mTOR活性を低下させる方法であって、好ましくは細胞表面にホルミルペプチド受容体が結合している細胞に、好ましくはオートファジー阻害アミノ酸の供給源を提供することを含む方法を提供する。ここで、前記供給源は、本明細書で上記及び下記に提供されるAQGVペプチドであり、前記アミノ酸は、少なくとも50%がアラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン (L)、イソロイシン (I)、プロリン (P)、及びアルギニン (R)からなる群から選択される。
【0044】
本発明は、好ましくはその表面にホルミルペプチド受容体が結合している細胞に、オートファジー阻害アミノ酸の供給源を提供することを含む、細胞骨格の再構成を減少させる方法を提供し、好ましくは、前記供給源は、本明細書で提供されるAQGVペプチドであり、前記アミノ酸は、少なくとも50%がアラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、及びアルギニン(R)からなる群から選択される。
【0045】
本発明は、ホルミルペプチド受容体(FPR)媒介性細胞骨格再構成を減少させる方法であって、好ましくはその表面にホルミルペプチド受容体が結合している細胞にオートファジー阻害アミノ酸の供給源を提供することを含む方法を提供し、好ましくは、前記供給源は、本明細書で提供されるAQGV-ペプチドであり、前記アミノ酸は、少なくとも50%が、アラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、 イソロイシン (I)、プロリン (P)、及びアルギニン (R)からなる群から選択される。
【0046】
本発明は、血管透過性を改変するための方法であって、好ましくはその表面にホルミルペプチド受容体が結合している細胞に、オートファジー阻害アミノ酸の供給源を提供することを含む方法を提供し、好ましくは、前記供給源は、本明細書で提供されるAQGV-ペプチドであり、アラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、及びアルギニン(R)からなる群から選択される。
【0047】
本発明は、好ましくはその表面にホルミルペプチド受容体が結合している細胞に、オートファジー阻害アミノ酸の供給源を提供することを含む、組織修復を改善するための方法を提供し、好ましくは、前記供給源は、本明細書で提供されるAQGV-ペプチドであり、アラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、及びアルギニン(R)の群からなる群から選択される。
【0048】
本発明は、本発明による方法を提供し、ここで、前記オートファジー阻害アミノ酸を含む前記ペプチドは、ジペプチドAQ、QQ、LQ、GQ、PQ、VQ、AL、LL、QL、GL、PL、VL、QA、QL、QG、QP、QV、LA、LG、LP、LV、トリペプチドAQG、QQG、LQG、GQG、PQG、VQG、ALG、LLG、QLG、GLG、PLG、VLG、QAG、Q0LG、QGG、QPG、QVG、LAG、LGG、LPG、LVG、又はテトラペプチドAQGV、QQGV、LQGV、GQGV、PQGV、VQGV、ALGV、LLGV、QLGV、GLGV、PLGV、VLGV、QAGV、QLGV、QGGV、QPGV、QVGV、LAGV、LGGV、LPGV、LVGV、又はそれらの少なくとも2つの混合物を含む。
【0049】
本発明は、本発明による方法を提供し、ここで、オートファジー阻害アミノ酸の前記供給源、好ましくは、前記供給源は、本明細書で提供されるAQGV-ペプチドであり、前記供給源は、ペプチド結合を介して前記抗体様分子に結合された、AQ、QQ、LQ、GQ、PQ、VQ、AL、LL、QL、GL、PL、VL、QA、QL、QG、QP、QV、LA、LG、LP、LVからなる群から選択されるジペプチド、AQG、QQG、LQG、GQG、PQG、VQG、ALG、LLG、QLG、GLG、PLG、VLG、QAG、Q0LG、QGG、QPG、QVG、LAG、LGG、LPG、LVGからなる群から選択されるトリペプチド、 AQGV、QQGV、LQGV、GQGV、PQGV、VQGV、ALGV、LLGV、QLGV、GLGV、PLGV、VLGV、QAGV、QLGV、QGGV、QPGV、QVGV、LAGV、LGGV、LPGV、LVGVからなる群から選択されるテトラペプチド、又はそれらの混合物を含むペプチドである。
【0050】
本発明は、本発明による方法を提供し、ここで、前記AQGV-ペプチドは、 AQ、QQ、LQ、GQ、PQ、VQ、AL、LL、QL、GL、PL、VL、QA、QL、QG、QP、QV、LA、LG、LP、LVからなる群から選択されるジペプチド、AQG、QQG、LQG、GQG、PQG、VQG、ALG、LLG、QLG、GLG、PLG、VLG、QAG、Q0LG、QGG、QPG、QVG、LAG、LGG、LPG、LVGからなる群から選択されるトリペプチド、AQGV、QQGV、LQGV、GQGV、PQGV、VQGV、ALGV、LLGV、QLGV、GLGV、PLGV、VLGV、QAGV、QLGV、QGGV、QPGV、QVGV、LAGV、LGGV、LPGV、LVGVからなる群から選択されるテトラペプチド、又はそれらの混合物を含む。
【0051】
本発明は、好ましくはホルミルペプチド受容体(FPR)媒介性p38 MAPKキナーゼ活性及び/又はPKB活性及び/又は細胞骨格再構成活性の低下に使用するためのAQGV-ペプチドを提供する。前記分子は、オートファジー阻害アミノ酸の供給源を含み、好ましくは、前記供給源は、アラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、及びアルギニンからなる群から選択される、本明細書で提供されるAQGV-ペプチドである。
【0052】
本発明は、組織修復の改善に使用するためのAQGV-ペプチドを提供し、前記分子は、オートファジー阻害アミノ酸の供給源を含み、好ましくは、前記供給源は、アラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、及びアルギニンからなる群から選択される、本明細書で提供されるAQGV-ペプチドである。
【0053】
本発明は、血管透過性の改変に使用するためのAQGV-ペプチドを提供し、前記分子は、オートファジー阻害アミノ酸の供給源を含み、好ましくは、前記供給源は、アラニン(1文字コードで:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、及びアルギニンからなる群から選択される、本明細書で提供されるAQGV-ペプチドである。
【0054】
本発明は、本発明による使用、好ましくはホルミルペプチド受容体(FPR)媒介性、p38 MAPKキナーゼ及び/又はPKB活性及び/又は細胞骨格再構成活性の低下のためのAQGV-ペプチドを提供し、ここで、前記オートファジー阻害アミノ酸の供給源、好ましくは、前記供給源は、本明細書で提供されるAQGV-ペプチドであり、AQ、QQ、LQ、GQ、PQ、VQ、AL、LL、QL、GL、PL、VL、QA、QL、QG、QP、QV、LA、LG、LP、LVからなる群から選択されるトリペプチド、AQG、QQG、LQG、GQG、PQG、VQG、ALG、LLG、QLG、GLG、PLG、VLG、QAG、Q0LG、QGG、QPG、QVG、LAG、LGG、LPG、LVGからなる群から選択されるトリペプチド、又はAQGV、QQGV、LQGV、GQGV、PQGV、VQGV、ALGV、LLGV、QLGV、GLGV、PLGV、VLGV、QAGV、QLGV、QGGV、QPGV、QVGV、LAGV、LGGV、LPGV、LVGVからなる群から選択されるテトラペプチドを含むペプチドである。
【0055】
xGxxPGを含むペプチド、及びAQ、QQ、LQ、GQ、PQ、VQ、AL、LL、QL、GL、PL、VL、QA、QL、QG、QP、QV、LA、LG、LP、LVからなる群から選択されるジペプチド、AQG、QQG、LQG、GQG、PQG、VQG、ALG、LLG、QLG、GLG、PLG、VLG、QAG、Q0LG、QGG、QPG、QVG、LAG、LGG、LPG、LVGからなる群から選択されるトリペプチド、AQGV、QQGV、LQGV、GQGV、PQGV、VQGV、ALGV、LLGV、QLGV、GLGV、PLGV、VLGV、QAGV、QLGV、QGGV、QPGV、QVGV、LAGV、LGGV、LPGV、LVGVからなる群から選択されるテトラペプチド、LVGV又はその混合物から選択されるペプチドは、好ましくはホルミルペプチド受容体(FPR)媒介性p38 MAPKキナーゼ及び/又はPKB活性及び/又は細胞骨格再構成活性の低下に使用する。
【0056】
本発明は、好ましくはホルミルペプチド受容体(FPR)媒介性p38 MAPKキナーゼ及び/又はPKB活性及び/又は細胞骨格再構成活性の低下に使用するための、式φn×GxxPG、又はxGxxPGφn、又はφn×GxxPGφmの配列を含む少なくとも7個のアミノ酸及び最大30個のアミノ酸を含むAQGV-ペプチドを提供し、式中、xは天然に存在するアミノ酸であり、φはオートファジー阻害アミノ酸である。nは1から24までの整数で、mは1から23までの整数であり、n+mは24以下である。
【0057】
本発明は、本発明によるAQGV-ペプチドを提供し、ここで、φnが及び/又はφmは、AQ、QQ、LQ、GQ、PQ、VQ、AL、LL、QL、GL、PL、VL、QA、QL、QG、QP、QV、LA、LG、LP、LV、AQG、QQG、LQG、GQG、PQG、VQG、ALG、LLG、QLG、GLG、PLG、VLG、QAG、Q0LG、QGG、QPG、QVG、LAG、LGG、LPG、LVG、AQGV、QQGV、LQGV、GQGV、PQGV、VQGV、ALGV、LLGV、QLGV、GLGV、PLGV、VLGV、QAGV、QLGV、QGGV、QPGV、QVGV、LAGV、LGGV、LPGV、LVGV、又はそれらの様々な混合物を含む。
【0058】
本発明はさらに、AQGV-ペプチドと、AQ、QQ、LQ、GQ、PQ、VQ、AL、LL、QL、GL、PL、VL、QA、QL、QG、QP、QV、LA、LG、LP、LVからなる群から選択されるジペプチド、及び/又はAQG、QQG、LQG、GQG、PQG、VQG、ALG、LLG、QLG、GLG、PLG、VLG、QAG、Q0LG、QGG、QPG、QVG、LAG、LGG、LPG、LVGからなる群から選択されるトリペプチド及び/又はAQGV、QQGV、LQGV、GQGV、PQGV、VQGV、ALGV、LLGV、QLGV、GLGV、PLGV、VLGV、QAGV、QLGV、QGGV、QPGV、QVGV、LAGV、LGGV、LPGV、LVGVからなる群から選択されるテトラペプチド、又はこれらの混合物から選択される、好ましくはホルミルペプチド受容体(FPR)媒介性p38 MAPKキナーゼ及び/又はPKB活性及び/又は細胞骨格再構成活性の低下に使用するための、ペプチドと、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬製剤を提供する。
【0059】
本発明はさらに、本発明によるペプチド及び少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬製剤を提供する。
【0060】
本発明はまた、自動ペプチド合成機を用いて前記ペプチドを合成することを含む、本発明によるAQGV-ペプチドの製造方法を提供する。
【0061】
より好ましい実施形態では、本発明は、AQGVLPG、AQGVLP、AQLP、AQGV又はLQGVのタルトレート又はシトラートを含む、本発明によるペプチド-タルトレート又はペプチド-シトラートを提供する。最も好ましい実施形態では、本発明は、テトラペプチドがAQGV又はLQGVである、テトラペプチドのタルトレートを提供する。本発明によるペプチドの前記タルトレート又はシトラートは、ペプチドのタルトレート又はシトラート又はエステルであってよく、タルトレート又はシトラートが好ましい。本発明はまた、本発明によるペプチド又はペプチド塩を薬学的に許容される賦形剤と共に含む組成物を提供する。静脈内使用に好ましい賦形剤は、0.9%NaClである。
【0062】
本発明はまた、オートファジー阻害アミノ酸の供給源を含む水溶液を提供し、前記アミノ酸は少なくとも50%がアラニン(1文字コード:A)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)及びアルギニン(R)からなる群から選択され、前記供給源は、前記少なくとも50%のアミノ酸を含む少なくとも1つのペプチドを含み、前記ペプチドは、有機酸、好ましくはマレイン酸の塩、より好ましくは酒石酸の塩、最も好ましくはクエン酸の塩である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】細胞及び組織の外傷後のホルミルペプチド受容体媒介性血管透過性 外傷/細胞損傷により放出されるミトコンドリアN-ホルミルペプチド(F-MIT)はホルミルペプチド受容体(FPR)を活性化し、内皮細胞の細胞骨格の変化を引き起こし、その後内皮細胞の収縮と血管透過性、白血球の血管外遊出と低血圧を引き起こす。N-ホルミルペプチドは、ホルミルペプチド受容体(FPR)を活性化する細菌及びミトコンドリアの一般的な分子シグネチャである。ミトコンドリアN-ホルミルペプチド(F-MIT)によるFPR活性化は、内皮細胞の細胞骨格調節タンパク質の変化を誘発し、血管漏出の増加と白血球の血管外漏出を伴う内皮細胞の収縮性の増加につながる。外傷などの損傷後の組織損傷に由来するミトコンドリアN-ホルミルペプチド(F-MIT)を介したFPR活性化は、細胞及び組織の損傷又は外傷後のバリア機能障害の主な原因であり、浮腫を伴う血管透過性の低下などの有害な血管作用、例えば、血管漏出、有害な白血球の血管外遊出及び低血圧をもたらす。
【
図2】p38-MK2-HSP27経路の図による説明(左)及びPI13K/AKT/mTOR内皮細胞-細胞骨格組織の調節に関与する経路(右)。
【
図3A】ホルミルペプチド受容体媒介ペプチド効果 プロトタイプFPRリガンドfMLPによるFPR発現細胞のFPR活性化は、PKB(AKTとしても知られる)(
図3a)及びp38 MAPKキナーゼ(
図3c)のリン酸化状態の、急速に誘導され重大な(p<0.05;p38は60秒から600秒に、PKBは600秒に)変化をもたらすが、STAT3、JNK(
図3b)及びP42/p44MAPK/ERK1,2(
図3d)キナーゼではない(検出されなかった)。p38 MAPKに対するAQGV-ペプチドの効果(
図3c)は、FPR刺激の30秒後にすでに検出され、PKB(AKT)に対するAQGV-ペプチドの効果は300秒で二相パターンで続く(
図3a)。p38に対するAQGV-ペプチドの効果とPKBを介したシグナル伝達の両方が、テストされた600秒間持続するが、テストされた他のキナーゼは全体を通して影響を受けなかった。治療に対するこの急性かつ特異的な反応は、PI3K/AKT/mTOR 経路の調節の背景で、オートファジー阻害AQGV-ペプチドがp38シグナル伝達に対する特異的かつ迅速な効果を示している。前記経路は、血管透過性に影響を及ぼす細胞骨格の変化を調節するタンパク質分解とタンパク質生成との間のバランスを支配している。AQGV-ペプチドはp38 MAPKキナーゼ活性化変化を減少させるだけでなく内皮細胞の収縮と有害な血管透過性に影響を与える細胞骨格再構成の、PI3K/AKT/mTOR活性化誘導変化を減少させることが示されている。AQGVペプチドは有用であり、ヒト対象において血管漏出を伴う浮腫、有害な白血球血管外遊出及び低血圧によって現れるような有害な血管透過性に対処することができる。
【
図5】
図4に示される結果に基づいて、スクリーニングされた中性ペプチド塩の凝集ペプチド塩が分解する傾向がある濃度より下の濃度を決定した(凝集点)。陰イオンの変更は、AQGVの溶解特性に大きく影響すると結論付けることができる。AQGV-シトラート(AQGV-シトラート)及び-酒石酸(AQGV-タルトレート)では、より高い溶解度(0.9%NaClへの溶解度)とそれに伴うより高い凝集点が観察されたが、マレイン酸及びKHSO
4塩は、AQGV-Acに比較してより低い溶解度を示した。アデノシン一リン酸又はアデノシンを使用しても、溶解性は得られなかった.クエン酸は特殊なケースのようである。高濃度の溶液は結晶化又は凝集しない、高粘度の溶液を形成する傾向がある。
【発明を実施するための形態】
【0064】
詳細な説明
オートファジー阻害ペプチド
1文字コード
本明細書におけるタンパク質又はペプチドの組成、構造及び機能の記載において、アミノ酸が参照される。本明細書において、アミノ酸残基は、以下の略語を使用して同定される。また、明示的に別段の指示がない限り、ペプチド及びタンパク質のアミノ酸配列は、N末端からC末端、左末端から右末端に同定され、N末端は最初の残基として同定される。Ala:アラニン残基;Asp:アスパラギン酸残基;Glu:グルタミン酸残基;Phe:フェニルアラニン残基;Gly:グリシン残基;His:ヒスチジン残基;Ile:イソロイシン残基;Lys:リジン残基;Leu:ロイシン残基;Met:メチオニン残基;Asn:アスパラギン残基;Pro:プロリン残基;Gln:グルタミン残基;Arg:アルギニン残基;Ser:セリン残基;Thr:スレオニン残基;Val:バリン残基;Trp:トリプトファン残基;Tyr:チロシン残基;Cys:システイン残基。アミノ酸は、従来の1文字コードの略語で表すこともできる。A=Ala; T=Thr; V=Val; C=Cys; L=Leu; Y=Tyr; I=Ile; N=Asn; P=Pro; Q=Gln; F=Phe; D=Asp; W=Trp; E=Glu; M=Met; K=Lys; G=Gly; R=Arg; S=Ser; and H=His。
【0065】
ペプチド
ペプチドは、本明細書において、ペプチド(アミド)結合によって連結された天然の生物学的又は人工的に製造された(合成)アミノ酸モノマーの短鎖を意味するものとする。グルタミンペプチドは、本明細書において、ペプチド(アミド)結合によって連結されたアミノ酸モノマーの天然の生物学的又は人工的に製造された(合成)短鎖を意味し、前記アミノ酸モノマーの1つはグルタミンである。化学合成されたペプチドは、一般に遊離のN末端とC末端を持っている。N末端のアセチル化とC末端のアミド化により、ペプチド全体の電荷が減少する。したがって、その全体的な溶解度が低下する可能性がある。しかし、末端のアセチル化/アミド化により天然タンパク質により近い模倣物が生成されるため、ペプチドの安定性も向上する可能性がある。これらの改変は、ペプチドの生物学的活性を増加させる可能性があり、本明細書においても提供される。
【0066】
ペプチド合成
本願では、ペプチドは、固体支持体(Ansynth BV,Roosendaal,The Netherlands)又は溶液(Syncom BV,Groningen,The Netherlands and Diosynth BV,Oss,The Netherlands)に記載の、古典的に知られている化学合成によって合成される。医薬ペプチド組成物は、対イオン又は塩としてトリフルオロアセテートを使用して合成することができ、その後、トリフルオロアセテートは、マレイン酸(マレイン酸から)、アセテート(酢酸から)、タルトレート(酒石酸から)又はシトラート(クエン酸から)など対イオンにより交換される。前臨床及び臨床ヒト研究で使用するAQGV(EA-230)の原薬は、オルガノンNV(以前のDiosynthBV)(オランダ、オス)によって製造されているが、最終製品の充填と仕上げはライデン(オランダ)のオクトプラス開発社により行われている。EA-230(AQGV)の分子量は373g/molである。
【0067】
走化活性の決定
ヒトU937単球細胞は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCCカタログ番号CRL-1593.2、バージニア州マナッサス)から購入する。10%ウシ胎児血清及び抗生物質を添加したRPMI1640培地を含むT-75フラスコで細胞を懸濁培養し、培養物を3~5日ごとに分割した。走化活性アッセイで使用する3日前に、記載の通りに、1mmol/Lジブチリル環状アデノシン一リン酸(dbcAMP;Sigma Chemical Co)に曝すことにより、U937細胞を刺激して、マクロファージ系統に沿って分化するようにした。細胞を3回洗浄して培地を除去し、走化活性培地(ダルベッコの修正必須培地に1%ラクトアルブミン加水分解物を補充したもの)に再懸濁させ、2.5×106細胞/mLの最終濃度でアッセイチャンバーにプレーティングした。走化活性アッセイを、48ウェルのマイクロ走化活性チャンバー(Neuro Probe,Cabin John,MD)で行った。チャンバーの底部のウェルは、3通で25mLの走化活性刺激物(又は媒体のみ)で満たされていた。ポリビニルピロリドンを含まない、コーティングされていない厚さ10mmの孔径5mmポリカーボネートフィルターをサンプルの上に置いた(NeuroProbe)。シリコンガスケットとチャンバーの上部の部分を適用し、50mLの単球細胞懸濁液を上部のウェルに配置した。5%湿度、CO2雰囲気でチャンバーを37℃で3時間に放置し、移動していない細胞をフィルターの上面からそっと拭き取った。フィルターをメタノールベースの固定液に30秒間浸し、修正したWright-Giemsa法(ProtocolHema 3染色セット;Biochemical Sciences,Inc,Swedesboro,NJ)で染色し、スライドガラスに取り付けた。フィルターを完全に通過した細胞を光学顕微鏡下で計数し、3つのランダムな高倍率視野(HPF;元の倍率×400)をウェルごとに計数した。別の場所で説明されているように、シリアル Ficoll/Pelastin 受容体複合体 (ERC)oll 勾配遠心法を使用して、健康なボランティアの採血したばかりの血液からヒト単球を分離した。細胞を、0.5%ヒト血清を添加したRPMI-1640培地で16時間培養し、分離後に静止させた。フローサイトメトリー分析によって細胞の純度が>95%であると決定した。無血清培地中の48ウェルマイクロ走化活性チャンバー(Neuroprobe,Gaithersburg,MD)で単球走化活性をアッセイした。上部チャンバーと下部チャンバーのウェルは、ポリビニルピロリドンを含まないポリカーボネート膜(孔径5μm;Costar)で分離されていた。密度5×105/mLで新たに単離された単球を組換えC-ペプチド(Sigma)とともに2.5時間インキュベートし、次に、光学顕微鏡でフィルターの底面に移動した細胞を染色し、計数した。最大走化活性は0.1mmol/LN-ホルミル-メチオニル-ロイシル-フェニルアラニン(f-MLF;Sigma Chemical Co)を使用して最大走化性を測定し、チェッカーボード分析を使用して走化性と化学運動性を区別した。
【0068】
細胞分離
健康なボランティアから抗凝固剤としてクエン酸を含むチューブに血液を採取した。製造元の指示に従ってPolymorphprepキット(Nicomed、オスロ、ノルウェー)を使用して好中球を分離した。磁気ビーズ(Miltenyi Biotech)で単球を精製した。フローサイトメトリー(抗CD45、14、DR、及びCD66b)によって細胞の純度を評価した結果、>93%である。細胞の種類ごとに、2人の異なるドナーからのサンプルを調べた。
【0069】
マウスにおける静脈内注射[14C]-AQGVの分布と排除
本研究はオランダのユトレヒトセヴェークにあるTNOBiosciencesによって実施され、50mg/kg単回静脈内投与後の雄CD-1マウスにおける[14C]-AQGV(Ala-Gln-[1-14C]Gly-Val)の分布と排除を調べることを目的とする。この目的のために、放射性標識AQGVの投与後10、30、及び60分、ならびに6及び24時間後にマウスを屠殺し、様々な組織における数を測定し、尿及び血漿中に存在する放射能をHPLCによって分析した。
放射性標識ペプチドを注射してから10分後、血中の放射能は比較的少なかった。すべてのカウントが無傷のペプチドである場合、存在する量は17.2μg/gになる。しかし、10分後に血漿中に親化合物は検出されなかった。[14C]-AQGVがかなり急速に加水分解されたようである。尿中にも親化合物は検出されなかった。尿中の放射性物質は、主に親水性化合物として存在し、HPLCカラムのデッド容量内又はその直後に溶出した。
さまざまな臓器に存在する放射能は、血液中の放射能を上回った。10分後の最高濃度の「ペプチド」は腎臓(362μg/g)、肝臓(105μg/g)、精巣(85.7μg/g)、肺(75.2μg/g)、及び脾臓(74.7μg/g)で発見された。その後、一般に放射能の漸減が観察された。24時間後、最高濃度は腎臓(61.9μg/g)、胸腺(43.1μg/g)、脾臓(39.3μg/g)、肝臓(37.6μg/g)、及び皮膚(37.5μg/g)であった。
→ 投与後10、30、及び60分、ならびに6及び24時間の放射能の平均総回復量は、それぞれ、83.2、70.5、62.9、52.6、及び50.8%であった。これらの結果は、投与後、[14C]-発揮物が急速に形成されたことを強く示しており、おそらく14C-CO2であり、これは呼気によって吐き出される。24時間後、10.2%投与された放射能の尿中に排泄され、2.6%は糞から排泄される。
→ 結論
静脈注射後、[14C]-AQGVは血液から急速に除去された。これは、以下に示す薬物動態研究の結果と一致している。血漿及び尿中の代謝プロファイルには、親化合物がないことが明らかになり、[14C]-AQGVの代謝速度が非常に速いことを示す。投与された放射能の約50%は、24時間以内に14C-CO2である可能性が最も高い揮発性物質として吐き出された。本研究の結果は、[14C]-AQGVの迅速な加水分解により[1-14C]-グリシンが発生し、その後、14C-CO2に代謝され、呼気に排出される。血漿及び尿中に親化合物が存在しないことは、組織及び臓器に存在する放射能が、[14C]-AQGVの代謝加水分解生成物としてのみ存在する可能性があることを示唆している。
【0070】
ペプチド加水分解
本開示は、ペプチドAQGVなどオートファジー阻害アミノ酸によるペプチドが細胞に遭遇すると、その細胞の表面でその細胞外になるか、又は血管細胞の場合は例えばファゴリソソーム内の細胞によるペプチドの受容体媒介性エンドサイトーシスの、エラスチン受容体媒介エンドサイトーシスによりエンドサイトーシス後に、当該ペプチドが加水分解されることを想定している。多くのペプチダーゼは、ペプチドを急速に加水分解できる細胞上又は細胞内に存在することが知られており、継続的な加水分解は常にトリペプチド及びジペプチドにつながる。同様に、トリペプチジルペプチダーゼ及びジペプチジルペプチダーゼによるリソソームの加水分解は、同様に単一のアミノ酸になる。14C標識AQGVを用いた研究では、マウスへの投与後15分でペプチドが完全に加水分解されることが事実上示されている。細胞に提示された場合、トリペプチド、ジペプチド及び単一アミノ酸は、AQGV又はその姉妹化合物LQGVの加水分解から、あるいは他の適切なオリゴペプチドから生じる。
【0071】
ペプチド輸送
同様に、いくつかの研究で、さまざまな種類の成熟顆粒球の生存におけるp38 MAPKの役割が報告されている。顆粒球(例えば、好中球、好酸球、好塩基球)は、共通してそれらの最終分化段階を有する。これらの細胞は、断片化された核を持ち、事前に形成された分泌因子を含む顆粒が蓄積している。p38 MAPKは好中球の生存に必要であり、p38 MAPKの不活性化はこれらの細胞の死と排除に不可欠であり、p38 MAPKは内皮細胞の収縮に必要であることが本明細書で提案されている。これらの血管細胞を弛緩させて血管壁の完全性を回復できるようにするために不可欠であり、p38 MAPK活性の不活性化は、好中球や血管内皮血管壁の血管透過性を調査する他の白血球細胞を鎮静化するために不可欠である。
ジペプチド及びトリペプチドは、PEPT1/2トランスポーターによって選択される輸送される。トリペプチド、ジペプチド、及び単一アミノ酸は、細胞膜を介して活発に輸送される。ジペプチド及びトリペプチドの取り込みには、単一アミノ酸の取り込みとは別のメカニズム、つまりPEPT1及びPEPT2トランスポーターを介したメカニズムが関与する。400のジペプチドと8,000のトリペプチドのすべてが、PepT1とPEPT2によって輸送される可能性がある。ペプチドの形態のアミノ酸の腸細胞輸送は、遊離形態の構成アミノ酸よりも単位時間あたりの取り込み経路が速いことが実証された(J Anim Sci,2008; 9,2135-2155に記載)。
【0072】
mTORが関与している
最後に、ラパマイシンの機械的標的であるmTORの関与を提案する。この観点では、ペプチドは、PEPT1/2 を介して、又は能動的なエンドサイトーシング又はファゴサイトーシング処理によって細胞に入り、その後、ペプチドはファゴリソソームで完全に加水分解され、結果として生じるオートファジー阻害アミノ酸はmTOR複合体に提示され、そこで細胞のオートファジーの阻害を引き起こす。テトラペプチド、トリペプチド、及びジペプチドの活性はすべて、アミノ酸A、Q、G、V、L、及びPの群から選択された単一のアミノ酸A、Q、G、Vの最終的な原因となる活性を反映している可能性がある。アミノ酸A、Q、G、V、L、PはmTORの餌となる。実際、FPRシグナル伝達アッセイでAQGVに由来する異なるトリペプチド及びジペプチドを使用した場合、予備的な結果は、p38経路の阻害に対する同様の効果を示している。個々のアミノ酸はサイトゾルを介してmTORに接近する可能性があるが、ペプチド断片(AQGVなどのストリングス)のアミノ酸は、ファゴリソソームを介してmTOR機構に入る可能性がある。したがって、アミノ酸によるmTORの活性化は、2つの観点から説明できる。1)ペプチドストリングのエンドサイトーシスは、好中球や単球などのすべての貪食細胞にとって最も重要であり、2)ペプチド断片は、PEPT1/2を介して入る。
【0073】
アミノ酸はmTOR経路を活性化し、オートファジーを阻害する。
オートファジーは、栄養素が不足したときに細胞の生存のためにアミノ酸を生成するのに役立ち、アミノ酸はオートファジーの効果的な阻害剤である。ラパマイシンの機械的標的(mTOR)はオートファジー誘導の重要な調節因子であり、活性化されたmTORはオートファジーを抑制し、mTORの負の調節はオートファジーを促進する。実際、アミノ酸は、mTOR複合体1又は2の活性化の重要な調節因子と考えられており、細胞増殖、タンパク質合成、オートファジー、及び生存に影響を与える。これらの発見は、アミノ酸が使用する新しいシグナル伝達経路を特定し、細胞代謝におけるこれらの栄養素の決定的な重要性を強調し、薬学的に活性なペプチドの開発における新しいメカニズムの洞察を提供する。
【0074】
mTOR経路へのアミノ酸の異なるシグナル伝達
一部のアミノ酸は、他のアミノ酸よりもタンパク質生成(mTORキナーゼ)又はタンパク質分解(オートファジー)を制御することが知られている。最近及び古いデータ(2011年11月の文献検索)では、ロイシン(L)、バリン(V)、イソロイシン(I)、アラニン(A)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、グリシン(G)、プロリン(P)が単独又は組み合わせとして、グルタミン酸(E)、スレオニン(T)、セリン(S)、リジン(K)、スレオニン(T)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、及びメチオニン(M)などの他のアミノ酸よりも強力なmTORの活性化剤又はオートファジーの阻害剤として特定されており、後者はまったくない又は反対の効果があると報告されている。アミノ酸としてロイシン(L)、アラニン(A)、グルタミン(Q)、及びプロリン(P)は、ヒト細胞に対して最も顕著なオートファジー効果を持つことが報告されている(AJ Meijer et al Amino Acids 2015,47,2037-2063.)。
【表1】
【0075】
オートファジー阻害アミノ酸が豊富なペプチド
これらの上記アミノ酸が豊富で疾患をダウンレギュレートするペプチドの例は、例えば、ジペプチドAQ、QQ、LQ、GQ、PQ、VQ、AL、LL、QL、GL、PL、VL、QA、QL、QG、QP、QV、LA、LG、LP、LV、トリペプチドAQG、QQG、LQG、GQG、PQG、VQG、ALG、LLG、QLG、GLG、PLG、VLG、QAG、Q0LG、QGG、QPG、QVG、LAG、LGG、LPG、LVG又はテトラペプチドAQGV、QQGV、LQGV、GQGV、PQGV、VQGV、ALGV、LLGV、QLGV、GLGV、PLGV、VLGV、QAGV、QLGV、QGGV、QPGV、QVGV、LAGV、LGGV、LPGV、LVGV、及びその混合物、例えばAQ+GV、AQ+VG、LQ+GV、LQ+VGであり、これらは、ジペプチドAQ、QQ、LQ、GQ、PQ、VQ、AL、LL、QL、GL、PL、VL、QA、QL、QG、QP、QV、LA、LG、LP、LV、トリペプチドAQG、QQG、LQG、GQG、PQG、VQG、ALG、LLG、QLG、GLG、PLG、VLG、QAG、Q0LG、QGG、QPG、QVG、LAG、LGG、LPG、LVG、又はテトラペプチド AQGV、QQGV、LQGV、GQGV、PQGV、VQGV、ALGV、LLGV、QLGV、GLGV、PLGV、VLGV、QAGV、QLGV、QGGV、QPGV、QVGV、LAGV、LGGV、LPGV、LVGV、又はそれらの混合物からなる群から選択されるものとして本明細書に提供される。他のペプチドは、好ましくはmTORを優先的に活性化するか、オートファジーを優先的に阻害するアミノ酸、好ましくはA、G、L、V、Q及びPの群から選択されるアミノ酸をペプチドのストリングに組み合わせることにより、好ましくは小さなペプチドを生成又は合成することによって、容易に誘導される。
【0076】
想定される作用機序
投与されたペプチド又はそのアミノ酸断片は、例えば、アミノ酸輸送、PEPT1/2輸送、共通食作用、血管細胞の場合はエラスチン受容体媒介エンドサイトーシスによって取り込まれる。内在化されたペプチドは加水分解され、そのアミノ酸は mTOR の栄養感知システムに提示される。ここで明らかになったように、これらのペプチドは、好ましくは、mTOR の栄養感知システムで作用する前に個々のアミノ酸に加水分解される必要がある。したがって、受容体を介した活性が明確に証明されたことがない理由が理解できる。細胞への経路に関しては、ほとんどのジペプチド及びトリペプチドは、腸上皮細胞、腎尿細管細胞、及びその他の細胞に存在する PEPT1/2 トランスポーターによって容易に取り込まれる。また、一般的なエンドサイトーシス、血管細胞の場合、エラスチン受容体媒介エンドサイトーシスによって、テトラペプチドからヘキサペプチドの取り込みが定期的に達成され、食作用による取り込みのために細胞を標的化することができる。
内在化されたペプチドは加水分解され、そのアミノ酸は mTOR の栄養感知システムに提示される。ここに示される広範な作用機序を考慮すると、本開示で提供される組織修復シグナル分子ペプチドは、多くの生物学的療法との併用治療において有利に使用することができる。
【0077】
合理的な設計
この新規なオートファジー阻害ペプチド(本明細書ではオートファジー阻害分子とも呼ばれる)の大きな利点は、それらが容易に合成、安定化、及び修飾されることである。主な要件は、mTORの栄養感知システムを標的とし、優先的にオートファジーを阻害するアミノ酸を含むことにある。
【0078】
人体試験
新規化合物AQGVの薬物動態、安全性及び忍容性
【0079】
背景と目的
AQGVの薬理学、薬物動態学、毒物学に関する広範な研究を行った結果、AQGVの単回投与量を漸増させてヒトでの最初の研究が以前に実施され、AQGVが30のiv投与まで十分に許容されることが示された。30mg/kgで1日3回(1日量90mg/kg)、3日間の場合、研究治療に関連する有害事象は発生しなかった。
→ このI相試験の目的は、ヒトにおけるAQGVの薬物動態(PK)、安全性、忍容性を評価することである。
→ 方法
→ AQGVの安全性、忍容性、及び薬物動態を評価するために、健康な被験者を対象とした3つの3つの二重盲検無作為化プラセボ対照用量漸増第I相試験が実施された。最初の単回投与試験では、32人の被験者が4つの単回投与群(1、3、10又は30mg/kg)に割り当てられた。)。2回目の複数回投与試験では、24人の被験者が3つの投与群(10、20、又は30mg/kg)に割り当てられ、3日間、1日3回治験薬を投与された。3回目の連続投与試験では、24人の被験者が3つの投与群(15、30、又は90mg/kg/時間)に割り当てられ、2時間の連続静脈内注入により治験薬を投与された。薬物動態(PK)、安全性及び忍容性の評価を14日間まで実施した。
→ 結果
→ AQGVのPKは、最高用量に曝された場合の比例以上の増加(範囲:126~137%)、大量の配布(範囲:4~33L/kg)、速いクリアランス率(範囲:26~61L/h/kg)、短い推定半減期(範囲:2~22分)を示す。AQGVは忍容性が良好で、安全性の懸念が見られなかった。重篤な有害事象(SAE)又は有害事象による投与の中止(AE)は報告されていない。1人を除くすべてのAEは軽度であり、AQGVを投与された3人の被験者とプラセボを投与された3人の被験者によって、6人の被験者のみが治験薬治療との関係の可能性があるAEを報告した。他のすべての経験した有害事象は、薬物治療を研究していないか、研究する可能性が低いと見なされた。
→ 結論
異なる投与対策を用いたこれらの用量漸増第I相試験では、大量の分布と短い半減期を伴うAQGVのPKプロファイルが明らかになった。さらに、AQGVの静脈内投与は忍容性が高く、安全性の問題は発生しなかった。
【0080】
溶解性試験
ペプチド投与
臨床試験プロトコル(Groenendaelら,JMIR Res Protoc 2019 Feb; 8(2): e11441.)に示されているように、治験薬EA-230製剤は、1500mg/volを含む無菌5mlのガラス瓶に包装され、注射用水に溶解され、最終濃度300mg/mL、浸透圧800~1000mOsm/kgで提供される。プラセボ製剤は、塩化ナトリウムを注射用水で希釈し、同じ無菌の5mlのガラス瓶に29mg/mlの濃度で充填し、同じ浸透圧の溶液を得る。EA-230及びプラセボは、400mOsm/kg未満の浸透圧を有する連続静脈内注入のために、生理食塩水1000mLに無菌条件下で適量のEA-230又はプラセボを添加することにより調製される。
【0081】
高濃度の活性物質を含むストック溶液が必要である。
本明細書で引用した臨床試験で使用されたEA-230製剤(ストック溶液)入りバイアルは、EA-230が1.5g入りで、1バイアルあたり300mg/ml[(300g/L=0.8mol/L)、分子量373g/molのAQGV]が5ml入りであった。この試験では、少なくとも1.5時間、好ましくは少なくとも2.5時間、好ましくは少なくとも3.5時間、より好ましくは少なくとも4.5時間、毎時90mg/kgで活性物質の注入を継続した場合に、最適な治療実践が確立される。そのため、体重にもよるが、効果的な治療を続けるためには通常12~17本を超えるボトルが必要であり、この投与では必要なケアを行うために手術室やICUで(あまりにも)多くの労力が必要となる。あまりにも少量のEA-230製剤ストック溶液で処理されるこの欠点は、既存のものよりも多く、より優れた濃縮ストック溶液を提供する必要性を示している。
【0082】
凝集点の決定
本明細書では、多くの薬物様分子が水性媒体中で自己凝集する可能性があり、凝集体は実験結果と臨床的決定をゆがめる物理化学的特性を有する可能性があることが認識されている。ペプチド医薬品の凝集は、生物学的医薬品開発のほぼすべての段階で遭遇する最も一般的で厄介なプロセスの1つである。凝集はいくつかの異なる形態をとることができ、この用語は、ペプチド分子が複数のポリペプチド鎖からなるより大きな種に会合する多くの異なるプロセスを表すために使用される。凝集体は、非晶質又は高度に構造化されたアミロイド線維などである可能性があり、吸着により溶液中又は表面上に形成される可能性がある。それらは、ポリペプチド鎖の非共有結合の結果として、又は鎖の共有結合から生じる可能性がある。凝集が元に戻せる場合もあれば、実質的に元に戻せない場合もある。いずれの場合も、係るペプチドの物理的安定性が低下し、活性が失われるだけでなく、毒性や免疫原性などの他の重大な問題が発生する。
塩は、コンフォメーションとコロイドの両方の安定性に影響を与える生体分子の物理的安定性に複雑な影響を与える。それらの作用は、ペプチドの表面電荷によって頻繁に変化し、物理的安定性に対する塩の全体的な影響は、塩が水及び生体分子と相互作用するさまざまな複数のメカニズムのバランスである。さまざまな塩が、ペプチド-溶媒系の特性を変化させ(ホフマイスター効果)、静電相互作用を変化させて(デバイ・ヒュッケル効果)、物理的安定性に影響を与える可能性がある。
→ 変更された振とうフラスコ法を使用して、プロトタイプのオートファジー阻害ペプチドAQGVに対する7つの異なる塩の溶解度を調査することを目的とした。まず、AQGV-Ac塩を遊離塩基に変換し、有機溶媒で抽出し、真空で濃縮した。続いて、シトラート、マレート、硫酸塩(KHSO4)、アデノシン一リン酸塩、アデノシン、アセテート及びタルトレートを調製し、その後それらの溶解度についてスクリーニングした。
→ 結果
【0083】
遊離塩基への変換
中和溶液(pH=6~7)からの有機溶媒によるAQGV-Acの抽出は不可能であることが判明した。したがって、AQGV-Acの水溶液をイオン交換カラム(Amberlite、約100mL;IR120、H樹脂)に移し、脱イオン水及び1Nアンモニア溶液を使用してカラムをフラッシュした。最初の3つの塩基性画分を濃縮して、4.7gの遊離塩基AQGV(1H-NMR)を得た。
【0084】
溶解度測定
最初に、塩の濃縮DMSO溶液を得るために遊離塩基と酸の溶液を混合し、続いて溶解度を決定するためにこれを水で希釈する試みがなされた。しかし、試みた塩(アデノシンとクエン酸)は、DMSOにまったく溶解しなかった。実際、少量の水を加えた後、混合物は透明になった。したがって、当初の計画どおりに溶解度測定を行うことはできなかった。透明な溶液が得られるまで既知量の塩(不溶性)を希釈することによって必要とされる塩の溶解度を決定することが決定された。
クエン酸の場合、1mmolのAQGVと1mmolのクエン酸を0.5mLの0.9%NaClで混合した。これにより、明確な解決策が得られた。合計2.75ミリモルが0.5mLの0.9%NaClに溶解するまで、AQGV及びクエン酸の両方のさらなる物質を添加した(0.5及び0.25ミリモルの量)。混合物は透明のままであるが、非常に厚い/粘り気があるようになった。残りの実験は以下の異なる方法で実施された。1又は0.5mmolの塩を4mlバイアルに量り取り、少量の0.9%NaClを透明な溶液が得られるまで加えた。これは1週間以上透明なままであった。アデノシン及びアデノシン一リン酸の場合、透明な溶液は得られなかった。
表1に示した結果に基づいて、凝集したペプチド塩がスクリーニングされた中性及びオートファジー阻害ペプチド塩を分解する傾向がある濃度を決定した(凝集点、表2を参照)。陰イオンの変更は、AQGVの溶解特性に大きく影響すると結論付けることができる。AQGV-クエン酸(AQGV-シトラート、>5.5mol/L)及び酒石酸(AQGV-タルトレート)塩では、より高い溶解度(0.9%NaClへの溶解度)とそれに伴うより高い凝集点が観察されたが、マレイン酸及びKHSO4塩では、AQGV-Ac(2mol/L)と比較して低い溶解度を示した。アデノシン一リン酸又はアデノシンを使用しても、溶解性は得られなかった。クエン酸は特殊なケースのようである。高濃度の溶液は結晶化又は凝集しないが、高粘度の溶液を形成する傾向がある。
凝集のリスクに注意して、臨床試験で使用するための、AQGV-ペプチドのストック溶液を含むバイアルには、これまで溶液中に(0.8mol/L)の活性基質が含まれている。本発明によれば、有機酸のAQGV-塩、特にAQGV-ペプチド-マレート、AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートのそのようなストック溶液が、少なくとも0.85mol/L、より好ましくは少なくとも0.9mol/L、より好ましくは少なくとも1mol/L、より好ましくは少なくとも1.2mol/L、より好ましくは少なくとも1.4mol/L、より好ましくは少なくとも1.6mol/L、最も好ましくは少なくとも1.8mol/Lの前記AQGV-ペプチド-アセテート、AQGV-ペプチド-タルトレート又はAQGV-ペプチド-シトラートを用いて提供されるか、これを含むように調製される。より好ましい実施形態では、本発明は、前記AQGV-ペプチドの濃度が2mol/L~2.5mol/Lの範囲である、前記AQGV-ペプチド-タルトレート又は前記AQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記ペプチド-シトラートの濃度が2.5mol/L~3mol/Lの範囲である、前記AQGV-ペプチド-シトラートのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3mol/L~3.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が3.5mol/L~4.5mol/Lの範囲である、前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が4.5mol/L~5.5mol/Lの範囲である前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。より好ましい実施形態では、本発明は、前記クエン酸ペプチドの濃度が5.5mol/L以上である前記クエン酸ペプチドのストック溶液を提供する。前記ストック溶液は水溶液であることが好ましい。
2,3-ジヒドロキシブタン二酸としても知られる酒石酸は、二プロトン性アルダル酸である。多くの植物、特にブドウ、バナナ、タマリンドに自然に存在し、一般的に重曹と組み合わせてレシピの膨張剤として機能し、ワインに含まれる主要な酸の1つである。酸味を与えるために他の食品に加えられ、また酸化防止剤として使用される。タルトレートは、酒石酸の塩又はエステルである。酒石酸の塩は、タルトレートとして知られている。酒石酸は、コハク酸のジヒドロキシル誘導体である。酒石酸ナトリウムは、透明、無色、無臭の結晶として発生する(+)-酒石酸のナトリウム塩である。ワイン製造の副産物として得られる。酒石酸ナトリウムは、直接的な人間の食品成分として一般に安全(GRAS)と認識されている。食品の乳化剤及びpH調整剤として機能する。メトプロノールの経口吸収(Am J Kidney Dis. 2014 Dec;64(6):883-91)及びエルゴタミン(Can Med Assoc J. 1935 Dec;33(6):664-5)を促進することが知られている。医薬賦形剤としてタルトレートを含むタンパク質組成物は、経鼻適用のための薬学的調製物に安定性を提供することが報告されている(US07716390)。最近のデータは、シルデナフィルのシトラートとタルトレートの両方の多形形態が同じであることを明らかにしており、タルトレートがシトラートの代替賦形剤として使用できることを示している(Research J. Pharm. and Tech 2018; 11(5):2086-2093. doi: 10.5958/0974-360X.2018.00387.6)。
2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸としても知られるクエン酸は、柑橘類に含まれるトリカルボン酸である。クエン酸は、その抗酸化特性により、医薬品の賦形剤としてよく使用される。有効成分の安定性を保ち、防腐剤として使用される。また、pHを調整するための酸味料としても使用され、血液中のカルシウムをキレート化することによって抗凝固剤として作用する。シトラートは、クエン酸の塩又はエステルである。クエン酸の塩はシトラートである。吸収されると、クエン酸ナトリウムはナトリウム陽イオンとクエン酸陰イオンに解離する。有機クエン酸イオンは重炭酸イオンに代謝され、血漿中の重炭酸イオン濃度が上昇し、過剰な水素イオンが緩衝され、血液のpHが上昇し、アシドーシスが逆転する可能性がある。さらに、クエン酸ナトリウム投与による遊離ナトリウム負荷の増加は、血管内の血液量を増加させ、重炭酸化合物の排泄と抗尿路結石効果を促進する可能性がある。シトラートは、原形質泳動中の抗凝固剤として、また胃のむかつきや酸性尿の治療における中和剤として使用される。クエン酸ナトリウムは、人間の直接の食品成分として一般に安全(GRAS)と認識されている。シトラートは、シトラートによる抗凝固を伴う連続静脈血液濾過(CVVH)を受けている重症患者に使用される。医薬品の賦形剤として、クエン酸は、さまざまなメカニズムによって低分子及びタンパク質の経口吸収を改善することが報告されている。タンパク質分解阻害と比較した、カルシウムキレート化及び腸透過促進の関連特性間のバランスは、以前にインスリンで調べられた(Eur J Pharm Biopharm. 2014 Apr;86(3):544-51)。シトラートは、シルデナフィルの経口吸収を促進することも知られており(Int J Impot Res. 1996 Jun;8(2):47-52)、咳止めシロップにはクエン酸ブタミレートとして含まれている(Rev Med Suisse Romande. 990 Nov;110(11):983-6)。
【0085】
FPR媒介性血管透過性と低血圧
内皮細胞の活発な収縮が血管透過性を調節するという概念は、1961年にMajnoによって最初に提案されたが(J Biophys Biochem Cytol (1961) 11:571.10.1083/jcb.11.3.571)、現在、内皮収縮活動を調節する細胞内イベントはまだ比較的知られていない。N-ホルミルペプチドは、ホルミルペプチド受容体(FPR)を活性化する細菌及びミトコンドリアの一般的な分子シグネチャである。ミトコンドリアのN-ホルミルペプチド(F-MIT)又はN-ホルミル-メチオニル-ロイシル-フェニルアラニンなどの細菌のN-ホルミルペプチド(F-MLP)によるFPR活性化は、内皮細胞の細胞骨格調節タンパク質の変化を誘発し、内皮細胞の収縮性を向上させ、血管漏出及び白血球の血管外遊出の増加を引き起こす。FPRの活性化は、外傷後のバリア機能障害の主な原因である。患者では、損傷した組織からのミトコンドリア成分が血管漏出の発生を引き起こし得ることが提案されている(Wenceslauら,Front Immunol. 2016; 7: 297)。進化上の理由から、ミトコンドリアは細菌といくつかの特徴を共有しており、ミトコンドリアの断片が循環に放出されると、ホルミルペプチド受容体(FPR)を持つ細胞によって認識される。細菌とミトコンドリアの両方におけるホルミル-メチオニンによるタンパク質翻訳開始により、N-ホルミルペプチドは細菌とミトコンドリアの一般的な分子シグネチャであり、ホルミルペプチド受容体(FPR)を活性化することによって血管漏出の開始に役割を果たすことが知られている。
FPRは、Gタンパク質共役受容体のサブファミリーとして同定されている。最近の証拠は、FPRが血管系の機械的流体ストレスを感知し、細胞内カスケードに信号を送る膜メカノセンサーであることも示唆している。また、ミトコンドリアN-ホルミルペプチド(ミトコンドリアNADPHデヒドロゲナーゼサブユニットのNH2-末端に対応するホルミル化ペプチド6;F-MIT)及びfMLP(細菌由来)は血管漏出を誘発し、抵抗動脈の血管拡張を悪化させ、FPRアンタゴニストはこれらの反応を阻害する。非ホルミル化ペプチドやミトコンドリアDNAではなく、F-MITもFPR活性化とヒスタミン放出を介して重度の低血圧を誘発した(Wenceslauら,Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2015 Apr 1; 308(7):H768-77)。マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼは、損傷を含むいくつかの刺激に応答してシグナル伝達カスケードを開始するストレス活性化酵素のファミリーである。p38 MAPKキナーゼがアクチン細胞骨格の再構成を引き起こし、ストレスファイバーを形成し、血管透過性を増加させることが以前に示されている(Kayyaliら,J Biol Chem (2002) 277(45) : 42596~602.10.1074/ jbc.M205863200)。さらに、最近、p38 MAPK経路の阻害は、内皮細胞の収縮を大幅に減少させることにより、結果として生じる血管機能障害を改善することが示された(Wangら,APMIS (2014) 122(9):832~41.10.1111/apm.12226)。結論として、外傷/細胞損傷により放出されるミトコンドリアN-ホルミルペプチド(F-MIT)はホルミルペプチド受容体(FPR)を活性化する。これらのイベントは、内皮細胞の細胞骨格のp38 MAPKキナーゼ活性化変化につながり、その後内皮収縮を誘発し、浮腫を伴う血管透過性、血管漏出、有害な白血球血管外遊出及び低血圧などの有害な血管作用を誘発する。
【0086】
オートファジー阻害ペプチドは、細胞骨格の変化を阻害することにより、FPR透過性と血管漏出を調節する。
本発明者らは、AQGV及び機能的類似体などのオートファジー阻害ペプチドが、内皮細胞の細胞骨格におけるp38 MAPKキナーゼ活性化変化を調節し、続いて内皮収縮を調節し、それによって血管透過性、白血球の血管外遊出及び低血圧を改善することを開示する。マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼは、損傷を含むいくつかの刺激に応答してシグナル伝達カスケードを開始するストレス活性化酵素のファミリーである。以前に示されたように、p38 MAPKキナーゼは内皮細胞のアクチン細胞骨格の再構成を引き起こし、ストレスファイバーを形成し、血管透過性を増加させる(Kayyaliら,J Biol Chem (2002) 277(45):42596~602.10.1074/ jbc.M205863200)。さらに、損傷又はストレスを受けた内皮細胞は、PI3K/Akt/mTOR経路に対するp38シグナル伝達の影響を介して、内皮細胞におけるアクチン細胞骨格の前記急性再構成を活性化すると考えられている。内皮細胞ストレスに対するこの急性反応は、PI3K/AKT/mTOR経路ダウンレギュレーション及びオートファジーアップレギュレーションの背景で発生し、前記細胞におけるタンパク質生成からタンパク質分解へとバランスがシフトする。また最近示されているように、p38 MAPK経路の阻害は、内皮細胞の収縮を大幅に減少させることにより、結果として生じる血管機能障害を改善する(Wangら,APMIS (2014) 122(9):832~41.10.1111/apm.12226)。
FPR発現のためのプロトタイプ細胞系としてのヒト由来の末梢血単球は、オランダのフローニンゲン大学医療センターで日常的な手順
1に従って健康なボランティア(hPBMC)から分離された。続いて、PMBCをBiotempt提供のペプチドAQGV(20mg/ml再蒸留水中のストック溶液)又はビヒクルで10分間処理した。次に、hPMBCを1μMfMLPでさまざまな期間攻撃した(結果は
図4a、b、4c、及び4dを参照)。20ng/mlと50ng/mlの2つの濃度AQGV、6倍で0、30、60、300、及び600秒の各刺激をした。指定された期間のfMLPによる刺激の後、p38 MAPK、JNK、PKB、P42/p44MAPK/ERK1,2及びSTAT3が分析された
3。STAT3、JNK及びP42/p44MAPK/ERK1,2は検出されなかった。
結果(
図4も参照)は、プロトタイプFPRリガンドfMLPによるFPR発現細胞のFPR活性化が、PKB(AKTとしても知られる)(
図4a)及びp38 MAPKキナーゼ(
図4c)のリン酸化状態の、迅速に誘導され有意な(p<0.05;p38は60秒から600秒で、PKBは600秒で)変化を引き起こすが、STAT3、JNK(
図4b)及びP42/p44MAPK/ERK1,2(
図4d)キナーゼではこのような変化がなかった(検出されなかった)。p38 MAPKに対するAQGVの影響(
図4c)は、FPR刺激の30秒後にすでに検出されている。p38及びPKBを介したシグナル伝達に対するAQGVの両方の効果は、テストされた600秒間持続したが、テストされた他のキナーゼは全体を通して影響を受けなかった。治療に対するこの急性かつ特異的な反応は、PI3K/AKT/mTOR 経路の調節の背景で、オートファジー阻害AQGV-ペプチドがp38シグナル伝達に対する特異的かつ迅速な効果を示している。前記経路は、血管透過性に影響を及ぼす細胞骨格の変化を調節するタンパク質分解とタンパク質生成との間のバランスを支配している。AQGV-ペプチドはp38 MAPKキナーゼ活性化変化を減少させるだけでなく内皮細胞の収縮と有害な血管透過性に影響を与える細胞骨格再構成の、PI3K/AKT/mTOR活性化誘導変化を減少させることが示されている。AQGVペプチドは有用であり、ヒト対象において血管漏出を伴う浮腫、有害な白血球血管外遊出及び低血圧によって現れるような有害な血管透過性に対処することができる。
【0087】
参考文献
1van den Blink B,Branger J,Weijer S,Deventer SH,van der Poll T,Peppelenbosch MP. Human endotoxemia activates p38 MAP kinase and p42/44 MAP kinase, but not c-Jun N-terminal kinase. Mol Med. 2001 Nov;7(11):755-60.
2O'Toole T,Peppelenbosch MP.Phosphatidyl inositol-3-phosphate kinase mediates CD14 dependent signaling. Mol Immunol. 2007 Mar;44(9):2362-9.
3Versteeg HH,Nijhuis E,van den Brink GR,Evertzen M,Pynaert GN,van Deventer SJ,Coffer PJ,Peppelenbosch MP. A new phosphospecific cell-based ELISA for p42/p44 mitogen-activated protein kinase (MAPK), p38 MAPK, protein kinase B and cAMP-response-element-binding protein. Biochem J. 2000 Sep 15;350:717-22.
4 Bos CL,Diks SH,Hardwick JC,Walburg KV,Peppelenbosch MP,Richel DJ.Protein phosphatase 2A is required for mesalazine-dependent inhibition of Wnt/beta-catenin pathway activity. Carcinogenesis. 2006 27:2371-82.
【0088】
例1
AQGVLPGQ-マレート
AQGVLPGQ-マレート1.8モルと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例2
LQGVLPGQ-マレート
Toprepare1Lofthecomposition,mix
LQGVLPGQ-マレート1.8molと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例3
AQGLQPGQ-マレート
AQGLQPGQ-マレート1.8モルと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例4
LQGLQPGQ-マレート
LQGLQPGQ-マレート1.8molと0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例5
AQGV-マレート
AQGV-マレート1.8molと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例6
LQGVL-マレート
LQGVL-マレート1.8モルと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例7
AQGLQ-マレート
AQGLQ-マレート1.8molと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例8
LQGLQ-マレート
LQGLQ-マレート1.8molと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例9
AQGVLPGQ-アセテート
AQGVLPGQ-アセテート1.8molと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例10
LQGVLPGQ-アセテート
LQGVLPGQ-アセテート1.8molと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例11
AQGLQPGQ-アセテート
AQGLQPGQ-アセテート1.8molと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例12
LQGLQPGQ-アセテート
LQGLQPGQ-アセテート1.8molと、0.9%NaCl 1Lと、を混合して、組成物1Lを調製した。
例13
AQGV-アセテート
AQGV-アセテート1.8molと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例14
LQGVL-アセテート
LQGVL-アセテート1.8モルと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例15
AQGLQ-アセテート
AQGLQPGQ-アセテート1.8molと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例16
LQGLQ-アセテート
LQGLQ-アセテート1.8molと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例17
AQGVLPGQ-タルトレート
AQGVLPGQ-タルトレート1.8モルと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例18
LQGVLPGQ-タルトレート
LQGVLPGQ-タルトレート1.8molと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例19
AQGLQPGQ-タルトレート
AQGLQPGQ-タルトレート1.8モルと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例20
LQGLQPGQ-タルトレート
LQGLQPGQ-タルトレート1.8molと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例21
AQGV-タルトレート
AQGV-タルトレート1.8モルと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例22
LQGVL-タルトレート
LQGVL-タルトレート1.8モルと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例23
AQGLQ-タルトレート
AQGLQ-タルトレート1.8molと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例24
LQGLQ-タルトレート
LQGLQ-タルトレート1.8molと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例25
AQGVLPGQ-シトラート
AQGVLPGQ-シトラート1.8モルと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例26
LQGVLPGQ-シトラート
LQGVLPGQ-シトラート1.8molと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例27
AQGLQPGQ-シトラート
AQGLQPGQ-シトラート1.8モルと、0.9%NaCl 1Lと、を混合して、組成物1Lを調製した。
例28
LQGLQPGQ-シトラート
LQGLQPGQ-シトラート1.8molと、0.9%NaCl 1Lと、を混合して、組成物1Lを調製した。
例29
AQGV-シトラート
AQGV-クエン酸1.8モルと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例30
LQGVL-シトラート
LQGVL-クエン酸1.8モルと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例31
AQGLQ-シトラート
AQGLQ-シトラート1.8molと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
例32
LQGLQ-シトラート
LQGLQ-シトラート1.8molと、0.9%NaCl 1Lとを混合して、組成物1Lを調製した。
【国際調査報告】