(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-16
(54)【発明の名称】脂質結合タンパク質ベースの複合体を使用した、眼疾患を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/17 20060101AFI20231006BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20231006BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20231006BHJP
A61P 27/04 20060101ALI20231006BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20231006BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20231006BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20231006BHJP
A61K 31/7052 20060101ALI20231006BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20231006BHJP
A61K 31/47 20060101ALI20231006BHJP
A61K 31/517 20060101ALI20231006BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20231006BHJP
A61K 31/706 20060101ALI20231006BHJP
A61K 31/433 20060101ALI20231006BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20231006BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20231006BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231006BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231006BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20231006BHJP
C07D 285/135 20060101ALI20231006BHJP
C07J 5/00 20060101ALN20231006BHJP
C07H 17/00 20060101ALN20231006BHJP
C07D 213/82 20060101ALN20231006BHJP
C07D 215/233 20060101ALN20231006BHJP
C07D 403/12 20060101ALN20231006BHJP
C07D 239/94 20060101ALN20231006BHJP
C07H 15/04 20060101ALN20231006BHJP
【FI】
A61K38/17
A61P27/02 ZNA
A61P27/06
A61P27/04
A61K9/08
A61K47/64
A61K31/573
A61K31/7052
A61K31/444
A61K31/47
A61K31/517
A61K31/519
A61K31/706
A61K31/433
A61K31/192
C07K14/47
A61P29/00
A61K45/00
C07D471/04 118Z
C07D285/135
C07J5/00
C07H17/00
C07D213/82
C07D215/233
C07D403/12
C07D239/94
C07H15/04 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519881
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(85)【翻訳文提出日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 IB2021000674
(87)【国際公開番号】W WO2022069942
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522403550
【氏名又は名称】アビオニクス ファーマ エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【氏名又は名称】吉光 真紀
(72)【発明者】
【氏名】テュパン,シリル
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ラレマンド,フレデリック
【テーマコード(参考)】
4C055
4C057
4C063
4C065
4C076
4C084
4C086
4C091
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA01
4C055BA02
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4C055CA02
4C055CA03
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4H045AA10
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4H045BA17
4H045BA50
4H045BA55
4H045CA40
4H045EA20
(57)【要約】
CER-001等の脂質結合タンパク質ベースの複合体を用いて、眼疾患、例えば脂質蓄積と関連した眼疾患を治療するための方法;脂質結合タンパク質ベースの複合体、1種または複数の眼科薬物のための担体として脂質結合タンパク質ベースの複合体を含む組成物、およびその使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における眼疾患を治療する方法における使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体であって、前記脂質結合タンパク質ベースの複合体は、(a)CER-001であり、かつ/または(b)1種もしくは複数の眼科薬物のための担体である、複合体。
【請求項2】
前記眼疾患は、脂質蓄積と関連した疾患である、請求項1に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項3】
前記眼疾患は魚眼病である、請求項2に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項4】
前記眼疾患は脂肪性角膜症であり、任意選択で前記脂肪性角膜症は続発性脂肪性角膜症である、請求項2に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項5】
前記眼疾患は、角膜ジストロフィー、例えば遺伝性角膜ジストロフィー、前角膜もしくは表層角膜ジストロフィー、角膜実質ジストロフィー、または後部角膜ジストロフィーである、請求項2に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項6】
前記対象は角膜混濁を有し、前記方法は、前記対象の角膜の混濁を低下させるのに有効な量の前記脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項7】
前記眼疾患はドライアイ疾患であり、前記ドライアイ疾患は、(a)マイボーム腺機能不全(MGD)と関連していてもよく、前記MGDは閉塞性MGDであるか、または(b)涙腺機能不全と関連していてもよい、請求項1または請求項2に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項8】
前記眼疾患は眼瞼炎である、請求項1または請求項2に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項9】
前記眼疾患は炎症性眼疾患である、請求項1または請求項2に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項10】
前記眼疾患はぶどう膜炎であり、前記ぶどう膜炎は、前部ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎、または汎ぶどう膜炎であってもよい、請求項1または請求項2に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項11】
前記眼疾患は、黄斑浮腫、黄斑変性症、網膜剥離、眼腫瘍、真菌感染症、ウイルス感染症、細菌感染症(例えば、細菌性結膜炎またはトラコーマ)、多巣性脈絡膜炎、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、交感性眼炎、フォークト・小柳・原田(VKH)症候群、ヒストプラスマ症、ぶどう膜拡散、血管閉塞、眼内炎、または緑内障である、請求項1または請求項2に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項12】
前記眼疾患は乾性黄斑変性症である、請求項1または請求項2に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項13】
前記眼疾患は滲出性黄斑変性症である、請求項1または請求項2に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項14】
前記眼疾患はシュタルガルト病である、請求項1または請求項2に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項15】
前記眼疾患は糖尿病性網膜症であり、前記対象は糖尿病性黄斑浮腫を有していてもよい、請求項1または請求項2に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項16】
前記対象は、前記眼疾患に起因した損なわれた視界を有し、前記方法は、前記対象の視界を改善する量の前記脂質結合タンパク質ベースの複合体を前記対象に投与するステップを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項17】
前記対象は眼球脂質沈着を有し、前記眼球脂質沈着は、角膜脂質沈着、網膜脂質沈着、眼瞼脂質沈着、またはその組み合わせを含んでいてもよい、請求項1から16のいずれか一項に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項18】
前記脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-001である、請求項1から17のいずれか一項に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項19】
前記脂質結合タンパク質ベースの複合体は、1種または複数の眼科薬物のための担体であり、(I)前記脂質結合タンパク質ベースの複合体は、CER-001、CSL-111、CSL-112、ETC-216、CER-522、脱脂されたHDL、Apomer、またはCargomerであってもよく、かつ/あるいは(II)前記1種または複数の眼科薬物は、(i)疎水性であり、かつ/または(ii)難水溶性もしくは非水溶性であってもよい、請求項1から18のいずれか一項に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項20】
前記1種または複数の眼科薬物は、ステロイド、キナーゼ阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アルドースレダクターゼ阻害剤、免疫抑制剤、炭酸脱水酵素阻害剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、プロスタグランジン類似体、またはその組み合わせを含む、請求項19に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項21】
前記1種または複数の眼科薬物は、パルミチン酸デキサメタゾン、アジスロマイシン、デキサメタゾン、ジフルプレドナート、エストラジオール、フルオシノロン、フルオロメトロン、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、プレドニゾロン、トリアムシノロン、リメキソロン、スピロノラクトン、アキシチニブ、BMS-794833(N-(4-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-5-(4-フルオロフェニル)-4-オキソ-1,4-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド)、カボザンチニブ、セジラニブ、ドビチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、モテサニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、PD173074(N-[2-[[4-(ジエチルアミノ)ブチル]アミノ]-6-(3,5-ジメトキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-N’-(1,1-ジメチルエチル)ウレア)、パゾパニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、トファシチニブ、ZM323881(5-((7-ベンジルオキシキナゾリン-4-イル)アミノ)-4-フルオロ-2-メチルフェノール)、カンデサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、2-メチルソルビノ、シロリムス、シクロスポリン、タクロリムス、アセタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、エトキシゾラミド、メタゾラミド、アシクロビル、クロラムフェニコール、クロルテトラサイクリン、シプロフロキサシン、フシジン酸、ガンシクロビル、ノルフロキサシン、オフロキサシン、テトラサイクリン、ジドブジン、レボカバスチン、ブロムフェナク、ジクロフェナク、インドメタシン、ネパフェナク、ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロスト、またはその組み合わせを含む、請求項19または請求項20に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項22】
前記1種または複数の眼科薬物はパルミチン酸デキサメタゾンを含む、請求項19から21のいずれか一項に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項23】
前記1種または複数の眼科薬物はデキサメタゾンを含む、請求項19から21のいずれか一項に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項24】
前記1種または複数の眼科薬物はタクロリムスを含む、請求項19から21のいずれか一項に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項25】
方法は、末梢に、前記脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含み、注入によって投与されてもよい、請求項1から24のいずれか一項に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項26】
前記方法は、
(a)誘導レジメン;および/または
(b)強化レジメン;および/または
(c)維持レジメン
を含む投薬レジメンに従って前記脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含み、前記脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-001でああってもよい、請求項25に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項27】
前記方法は、局所的に前記脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項28】
方法は、眼球内に前記脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、請求項27に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項29】
前記方法は、眼球内注射によって前記脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含み、前記眼球内注射は、硝子体内注射、結膜下注射、傍眼球注射、眼球周囲注射、または眼球後注射であってもよい、請求項28に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項30】
前記方法は、局部的に前記脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、請求項27に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項31】
前記脂質結合タンパク質ベースの複合体は点眼薬として製剤化されている、請求項30に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
【請求項32】
脂質結合タンパク質ベースの複合体および1種または複数の眼科薬物を含む組成物を作製するためのプロセスであって、前記プロセスは、前記脂質結合タンパク質ベースの複合体および前記1種または複数の眼科薬物を含む混合物を熱循環させるステップを含み、(I)前記脂質結合タンパク質ベースの複合体は、CER-001、CSL-111、CSL-112、ETC-216、CER-522、脱脂されたHDL、Apomer、またはCargomerであってもよく、かつ/あるいは(II)前記1種または複数の眼科薬物のうちの1種または複数は、(i)疎水性であり、かつ/または(ii)難水溶性もしくは非水溶性であってもよい、プロセス。
【請求項33】
前記熱循環は、
(a)前記混合物を、第1の温度域における温度から第2の温度域における温度に加熱するステップ、
(b)(a)の前記混合物を、前記第2の温度域における温度から前記第1の温度域における温度に冷却するステップ;ならびに
(c)任意選択で、ステップ(a)および(b)を少なくとも1回繰り返すステップ
を含む、請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
ステップ(a)および(b)を1、2、3、4、または5回繰り返す、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
前記第1の温度域は30℃~45℃である、請求項33または請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
前記第1の温度域における前記温度は37℃である、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記第2の温度域は50℃~65℃である、請求項33から36のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項38】
前記第2の温度域における前記温度は55℃である、請求項37に記載のプロセス。
【請求項39】
前記混合物を37℃~55℃の間で熱循環させるステップを含む、請求項32から38のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項40】
請求項32から39のいずれか一項に記載のプロセスを含む方法によって産生される組成物であって、点眼薬として製剤化されていてもよい、組成物。
【請求項41】
脂質結合タンパク質ベースの複合体およびそれと複合化した1種または複数の眼科薬物を含む組成物であって、(I)前記脂質結合タンパク質ベースの複合体は、CER-001、CSL-111、CSL-112、ETC-216、CER-522、脱脂されたHDL、Apomer、またはCargomerであってもよく、かつ/あるいは(II)前記1種または複数の眼科薬物のうちの1種または複数は、(i)疎水性であり、かつ/または(ii)難水溶性もしくは非水溶性であってもよい、組成物。
【請求項42】
前記脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-001である、請求項40または請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記1種または複数の眼科薬物は、ステロイド、キナーゼ阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アルドースレダクターゼ阻害剤、免疫抑制剤、炭酸脱水酵素阻害剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、またはその組み合わせを含む、請求項40から42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
前記1種または複数の眼科薬物は、パルミチン酸デキサメタゾン、アジスロマイシン、デキサメタゾン、ジフルプレドナート、エストラジオール、フルオシノロン、フルオロメトロン、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、プレドニゾロン、トリアムシノロン、リメキソロン、スピロノラクトン、アキシチニブ、BMS-794833(N-(4-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-5-(4-フルオロフェニル)-4-オキソ-1,4-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド)、カボザンチニブ、セジラニブ、ドビチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、モテサニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、PD173074(N-[2-[[4-(ジエチルアミノ)ブチル]アミノ]-6-(3,5-ジメトキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-N’-(1,1-ジメチルエチル)ウレア)、パゾパニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、トファシチニブ、ZM323881(5-((7-ベンジルオキシキナゾリン-4-イル)アミノ)-4-フルオロ-2-メチルフェノール)、カンデサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、2-メチルソルビノ、シロリムス、シクロスポリン、タクロリムス、アセタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、エトキシゾラミド、メタゾラミド、アシクロビル、クロラムフェニコール、クロルテトラサイクリン、シプロフロキサシン、フシジン酸、ガンシクロビル、ノルフロキサシン、オフロキサシン、テトラサイクリン、ジドブジン、レボカバスチン、ブロムフェナク、ジクロフェナク、インドメタシン、ネパフェナク、またはその組み合わせを含む、請求項40から43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
前記1種または複数の眼科薬物はパルミチン酸デキサメタゾンを含み、前記組成物におけるパルミチン酸デキサメタゾンの濃度は1mg/mlであってもよい、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
前記1種または複数の眼科薬物はデキサメタゾンを含む、請求項44に記載の組成物。
【請求項47】
前記1種または複数の眼科薬物はタクロリムスを含む、請求項44に記載の組成物。
【請求項48】
1種または複数の緩衝剤、防腐剤、賦形剤、希釈剤、またはその組み合わせをさらに含む医薬組成物であり、前記医薬組成物は点眼薬として製剤化されていてもよい、請求項40から47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
対象における眼疾患を治療する方法における使用のための、請求項40から48のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月1日に出願された米国仮出願第63/086,386号、2020年10月15日に出願された第63/092,073号、2021年1月19日に出願された第63/139,015号、および2021年4月15日に出願された第63/175,337号の優先権の利益を主張するものであり、そのそれぞれの内容は、それへの参照によりそれらの全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
2.配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出されている配列表を含有し、参照によりその全体として本明細書によって組み込まれる。2021年9月30日に作成された前記ASCII複製物はCRN-041WO_SL.txtと題され、サイズが4,456バイトである。
【背景技術】
【0003】
3.背景
3.1.眼疾患
脊椎動物の眼は、それぞれがそれ自身の固有の生化学的組成、構造、および生理学的機能を有する複数の個別の組織からなる複雑な感覚器官である。これらの中でも主要なものは、網膜、水晶体、および角膜であり、協調して働いて眼に光の量子を導き入れ、網膜上でそれらに正しく焦点を合わせ、それらのエネルギーを電気化学的シグナルに変換して脳に伝え、そこで最終的にそれらはコヒーレント視覚像に処理される。これらの組織のいずれかまたはすべての欠陥は、先天性または後天性にかかわらず、疾患過程または外傷にかかわらず、視界を損じ得、最後には完全でかつ不可逆的な失明をもたらし得る。脂質および脂溶性化合物は、細胞、および眼を含む組織の必須の構成成分であり、それらの合成、細胞内および細胞外輸送、ならびに代謝回転の欠陥は、種々の顕著な、よく見られ、しばしば重度に衰弱させる眼疾患の根底にある。
【0004】
眼の疾患は、様々な原因、例えば遺伝的特徴、感染、および老化、を有し得る。一部の眼疾患、例えば魚眼病、例えばマイボーム腺機能不全または涙腺機能不全と関連したドライアイ疾患、眼瞼炎、ぶどう膜炎、脂肪性角膜症等の角膜の疾患、乾性黄斑変性症(乾性AMD)、シュタルガルト病、およびレーバー特発性星芒状視神経網膜炎(Leber’s idiopathic stellate neuroretinitis)は、眼内または眼付近の脂質蓄積と関連している。
【0005】
3.2.レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)は、肝臓によって産生される酵素であり、コレステロール逆輸送(RCT)経路における主要な酵素である。RCT経路は、ほとんどの肝外組織からコレステロールを排除する機能を果たし、体内におけるほとんどの細胞の構造および機能を維持することに不可欠である。RCTは、3つのステップ:(a)コレステロール排出、すなわち末梢細胞の様々なプールからのコレステロールの初期の除去;(b)レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)の作用によるコレステロールエステル化による、細胞内への排出されたコレステロールの再進入を阻止;ならびに(c)加水分解のための、肝細胞への高比重リポタンパク質(HDL)-コレステロールおよびコレステリルエステルの取り込み、次いでリサイクリング、貯蔵、胆汁中への排泄、または胆汁酸への異化から主になる。
【0006】
LCATは、HDL画分と結び付いて血漿中を循環する。LCATは、細胞由来コレステロールをコレステリルエステルに変換し、除去されるように運命付けられたHDL内に隔離される(Jonas 2000, Biochim. Biophys. Acta 1529(1-3):245-56を参照されたい)。コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)およびリン脂質転送タンパク質(PLTP)は、循環HDL集団のさらなるリモデリングに寄与する。CETPは、LCATによって作られたコレステリルエステルを、超低比重リポタンパク質(VLDL)および低比重リポタンパク質(LDL)等、他のリポタンパク質、特にApoBを含むリポタンパク質に移動させる。PLTPは、HDLにレシチンを供給する。HDLトリグリセリドは、細胞外肝性トリグリセリドリパーゼによって異化され、リポタンパク質コレステロールは、いくつかのメカニズムを介して肝臓によって除去される。
【0007】
LCATの欠損は、ある特定の身体組織における非エステル化コレステロールの蓄積を引き起こす。コレステロールは、遊離コレステロールとして細胞から排出され、エステル化コレステロールとしてHDLで輸送される。LCATは、HDL上の遊離コレステロールをエステル化し、HDLの成熟を可能にする酵素である。LCAT欠損症は、HDL成熟を可能にせず、循環apoA-1およびapoA-2の迅速な異化をもたらす。HDLの残りの形態は、原始HDLに似ている。LCAT欠損症(完全型および部分型の両方)を有する対象は、低いHDLコレステロールを有する。
【0008】
家族性LCAT欠損症は、LCAT活性の不足に苦しむ稀な遺伝性障害であり、進行性慢性腎疾患、一部の場合には腎不全、のリスクがある。魚眼病は、HDL粒子において、LCATがコレステロールをエステル化できず、または脂肪酸をアルキルに転換できない、部分型LCAT欠損症である。しかしながら、LCATは、VLDLおよびLDLにおけるコレステロール粒子上で依然として活性を維持する。
【0009】
3.3.魚眼病
部分型LCAT欠損症とも呼ばれる魚眼病は、眼(角膜)の透明な表面を徐々に曇らせる障害である。一般的に青年期または成人早期に最初に現れる曇りは、角膜にわたって分散したコレステロールの小さな灰色がかった点(混濁)からなる。
【0010】
魚眼病は、視覚障害のような異常、脂肪材料のプラーク、および深い混濁化によって特徴付けられる。魚眼病は、染色体16q22.1に位置するLCAT遺伝子の変異によって引き起こされる常染色体劣性障害である。
【0011】
魚眼病を引き起こすLCAT遺伝子変異は、アルファ-LCAT活性を損なわせ、コレステロールをHDLに付着させる該酵素の能力を低下させる。体内におけるコレステロールを低下させるためのこのメカニズムの機能障害は、角膜におけるコレステロール含有混濁につながる。コレステロール沈着が、この障害において角膜のみに影響を及ぼす理由は不明である。アルファ-LCAT活性およびベータ-LCAT活性の両方に影響を及ぼす変異は、完全型LCAT欠損症と呼ばれる関連障害につながり、それは、身体の他の部分に影響を及ぼす特質との組み合わせで角膜混濁を伴う。
【0012】
現在、LCAT欠損症を修正する特異的治療はなく、そのため療法は症状軽減に重点が置かれている。魚眼病の重度の症例では、角膜移植が推奨され得る。
【0013】
眼疾患、例えば脂質蓄積と関連した眼疾患を有する対象を治療するための新たな方法が必要とされる。
【発明の概要】
【0014】
4.概要
1つの態様において、本開示は、脂質結合タンパク質ベースの複合体、例えばCER-001を使用して、眼疾患、例えば脂質蓄積と関連した眼疾患(例えば、眼球脂質沈着を有する対象における)を治療するための方法を提供する。本開示の方法において使用され得る他の脂質結合タンパク質ベースの複合体は、Apomer、Cargomer、およびCSL-111、CSL-112、ETC-216、または脱脂されたHDL等のHDLベースの複合体またはHDL模倣体ベースの複合体を含む。一部の眼疾患において、脂質は、眼内または眼付近に蓄積し得る(例えば、脂質は、対象のマイボーム腺または涙腺に蓄積し得る)。本開示の方法によって治療され得る、脂質蓄積と関連した例示的な眼疾患は、マイボーム腺機能不全または涙腺機能不全と関連したドライアイ疾患等のドライアイ疾患、眼瞼炎、ぶどう膜炎、脂肪性角膜症等の角膜の疾患、乾性黄斑変性症(乾性AMD)、シュタルガルト病、レーバー特発性星芒状視神経網膜炎、および魚眼病等のLCAT欠損症と関連した眼疾患を含む。一部の実施形態において、脂質結合タンパク質複合体の使用は、眼疾患の重症度を低下させ得る。一部の実施形態において、脂質結合タンパク質複合体の使用は、眼疾患の進行を遅らせ得る。理論によって拘束されることなく、脂質結合タンパク質複合体は、例えば眼球沈着物に蓄積した脂質を可溶化することによって、眼球脂質沈着を低下させ得、それらの排除につながると考えられる。
【0015】
別の態様において、本開示は、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を薬物担体として使用して、眼疾患を有する対象の眼に眼科薬物を送達し、それによって眼疾患を治療する方法を提供する。例えば、対象は、前眼病態または後眼病態、例えばぶどう膜炎、黄斑浮腫、黄斑変性症、網膜剥離、眼腫瘍、真菌もしくはウイルス感染症、多巣性脈絡膜炎、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、交感性眼炎、フォークト・小柳・原田(VKH)症候群、ヒストプラスマ症、ぶどう膜拡散(uveal diffusion)、血管閉塞、眼内炎、または緑内障に罹患した対象であり得る。
【0016】
別の態様において、本開示は、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)およびそれと複合化した1種または複数の眼科薬物を含む組成物を提供する。
【0017】
本明細書に記載される方法において、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、全身的に(例えば、注入によって)投与され得る。代替的に、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、局所的に(例えば、眼球内または局部投与によって)投与され得る。眼球内投与は、例えば眼球内注射、例えば硝子体内注射、結膜下(sub-conjuctival)注射、傍眼球(parabulbar)注射、眼球周囲(peribulbar)注射、または眼球後(retro-bulbar)注射によるものであり得る。局部投与に関して、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、例えば点眼薬として投与され得る。
【0018】
1つの態様において、本開示は、脂質蓄積と関連した眼疾患を有する対象を治療するための、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)に対する投薬レジメンを提供する。本明細書に記載される投薬レジメンは、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を薬物担体として使用して、眼に眼科薬物を送達するためにも適用され得る。
【0019】
本開示の投薬レジメンは、一部の実施形態において、初回の「誘導」レジメンに従って対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を投与し、その後に「強化」レジメンに従って対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を投与し、その後に「維持」レジメンに従って対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を投与するステップを伴う。代替的に、投薬レジメンは、先行する「誘導」レジメンまたは「強化」レジメンなしで、「維持」レジメンに従って対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を投与するステップを伴い得る。別の代替策として、投薬レジメンは、介在する「強化」レジメンなしで、「誘導」レジメン、それに続く「維持」レジメンに従って対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を投与するステップを伴い得る。
【0020】
誘導レジメンは、典型的に、各用量の間に1日またはそれを上回る期間をおいて、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の複数回の用量を投与するステップを含む。一部の実施形態において、誘導レジメンは、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の3回以上の用量を含む。一部の実施形態において、誘導レジメンは、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の1週間に3回の用量を含む。一部の実施形態において、誘導レジメンは、1週間を上回る期間の、例えば2週間またはそれを上回る期間の、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の1週間に3回の用量を含む。一部の実施形態において、誘導レジメンは、3週間の期間の、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の1週間に3回の用量を含む。
【0021】
強化レジメンは、典型的に、誘導レジメンの間よりも少ない頻度で、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の複数回の用量を投与するステップを含む。強化レジメンは、典型的に、各用量の間に1日またはそれを上回る期間、例えば各用量の間に2日間またはそれを上回る期間をおいて、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の複数回の用量を投与するステップを含む。一部の実施形態において、強化レジメンは、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の2回以上の用量を含む。一部の実施形態において、強化レジメンは、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の1週間に2回の用量を含む。一部の実施形態において、強化レジメンは、1週間を上回る期間の、例えば2週間またはそれを上回る期間の、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の1週間に2回の用量を含む。一部の実施形態において、強化レジメンは、3週間の期間の、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の1週間に2回の用量を含む。
【0022】
維持レジメンは、典型的に、用量の間に、例えば5日間またはそれを上回る期間、例えば1週間の期間をおいて、強化レジメンの間よりも少ない頻度で、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の1回または複数の用量を投与するステップを含む。ある特定の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の複数回の用量は、維持レジメンの間に週に1回投与される。
【0023】
ある特定の態様において、本開示は、各用量の間に少なくとも1日を有して、1週間以内に対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の3回の用量を3週間投与するステップを含む誘導レジメン、それに続く、各用量の間に少なくとも2日間を有して、1週間以内に対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の2回の用量を3週間投与するステップを含む強化レジメン、それに続く、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の1回の用量を毎週投与するステップを含む維持レジメンを使用して、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いて対象を治療する方法を提供する。
【0024】
ある特定の態様において、本開示は、本明細書に記載される投薬レジメンに従って脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いて対象を治療する方法を提供する。一部の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、注入ポンプを使用した静脈内注入等の静脈内投与の前に、食塩水で希釈される。ある特定の実施形態において、注入のための脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は、対象重量に基づき、例えばタンパク質重量ベースで10mg/kgである。
【0025】
ある特定の態様において、本開示は、
- 3週間、1週間あたり3回の用量(誘導レジメン)、それに続く、
- 3週間、1週間あたり2回の用量(強化レジメン)、それに続く、
- 治療の終了まで、1週間あたり1回の用量(維持レジメン)
を含む投薬レジメンに従って、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いて、眼疾患(例えば、脂質蓄積と関連した)を有する対象を治療する方法を提供する。
【0026】
ある特定の態様において、例えば、脂質結合タンパク質ベースの複合体がIV注入によって投与される場合、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の投与の前に、抗ヒスタミン薬(例えば、デクスクロルフェニラミン、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、セチリジン、フェキソフェナジン、またはロランタジン)が投与され得る。抗ヒスタミン薬は、アレルギー反応の可能性を低下させ得る。
【0027】
本開示の投薬レジメンに従って治療される対象は、脂質蓄積と関連した眼疾患に罹患した任意の対象、例えばLCAT欠損症を有する対象であり得る。LCAT欠損症は、完全型LCAT欠損症または部分型LCAT欠損症であり得る。一部の実施形態において、本開示の投薬レジメンに従って治療される対象は魚眼病を有する。代替的に、本開示の投薬レジメンに従って治療される対象は、眼科薬物を用いた治療を必要とする任意の対象でもあり得、薬物は、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を薬物担体として使用して眼に送達される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
5.図面の簡単な説明
【
図1-1】眼科薬物アジスロマイシン(
図1A)、スピロノラクトン(
図1B)に対する薬物担体として作用するCER-001の能力を示した図である。
【
図1-2】眼科薬物パルミチン酸デキサメタゾン(
図1C)、およびシクロスポリン(
図1D)に対する薬物担体として作用するCER-001の能力を示した図である。
【
図2-1】複合化したパルミチン酸デキサメタゾンの有無での、CER-001を投与されたウサギからの忍容性スコアを示したグラフである(実施例4)。
図2A:6および24時間の時点における忍容性のプロット
【
図3-1】複合化したパルミチン酸デキサメタゾンの有無での、CER-001を投与されたウサギの房水における細胞浸潤(
図3A)を示したグラフである(実施例4)
【
図3-2】複合化したパルミチン酸デキサメタゾンの有無での、CER-001を投与されたウサギの房水におけるタンパク質(
図3B)を示したグラフである(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0029】
6.詳細な説明
一部の態様において、本開示は、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を使用して、眼疾患(例えば、脂質蓄積と関連した眼疾患)を治療するための方法を提供する。本開示の方法は、対象の眼疾患の重症度を低下させ得る。一部の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体は、Apomer、Cargomer、HDLベースの複合体、またはHDL模倣体ベースの複合体である。一部の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体を薬物担体として使用して、1種または複数の眼科薬物、例えば疎水性でかつ/または難水溶性もしくは非水溶性である1種または複数の眼科薬物を眼に送達し得る。
【0030】
一部の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)(例えば、薬物担体として使用される、または薬物担体として使用されない場合)は、細胞透過性ペプチド(CPP)(例えば、国際公開第2019/018350号パンフレットに記載されるCPP)、化学的透過増強剤(CPE)(例えば、国際公開第2019/018350号パンフレットに記載されるCPE)、または細胞親和性ペプチド(例えば、欧州特許出願公開第3238746号明細書に記載される細胞親和性ペプチド)を含まず、それとともに投与されない。国際公開第2019/018350号パンフレットおよび欧州特許出願公開第3238746号明細書の内容は、参照によりそれらの全体として本明細書に組み込まれる。
【0031】
付加的な態様において、本開示は、1種または複数の眼科薬物のための担体としての使用のための、CER-001等の脂質結合タンパク質ベースの複合体を提供する。したがって、一部の態様において、本開示は、それと複合化した1種または複数の眼科薬物(例えば、第6.1.8節に記載される)を有する脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を含む組成物を提供する。そのような組成物は、本開示の方法において使用され得る。
【0032】
本開示の方法および組成物において使用され得る脂質結合タンパク質ベースの複合体の例示的な特質は、第6.1節に記載される。本開示の方法によっておよび本開示の組成物を用いて治療され得る例示的な対象集団は、第6.2節に記載される。
【0033】
脂質結合タンパク質ベースの複合体は、末梢にまたは局所的に投与され得る。一部の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体は、末梢に、例えば注入によって投与される。他の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体は、局所的に(例えば、眼球内または局部投与によって)投与される。
【0034】
一部の実施形態において、本開示の方法は、3つの相で対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を投与するステップを含む。まず、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、初回の強い「誘導」レジメンにおいて投与される。誘導レジメンの後に、あまり強くない「強化」レジメンが続く。強化レジメンの後に「維持」レジメンが続く。本開示の他の方法において、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、2つの相(例えば、誘導レジメン、それに続く維持レジメン)または単一相(例えば、維持レジメン)で投与される。本開示の方法において使用され得る誘導レジメンは第6.3節に記載され、本開示の方法において使用され得る強化レジメンは第6.4節に記載され、本開示の方法において使用され得る維持レジメンは第6.5節に記載される。本開示の投薬レジメンは、単一療法として、または1種または複数の医薬との併用療法の一部として、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を投与するステップを含む。併用療法は第6.6節に記載される。
【0035】
6.1.脂質結合タンパク質ベースの複合体
6.1.1.HDLおよびHDL模倣体ベースの複合体
1つの態様において、脂質結合タンパク質ベースの複合体は、HDLまたはHDL模倣体ベースの複合体を含む。例えば、複合体は、そのそれぞれの内容が参照によりそれらの全体として本明細書に組み込まれる、米国特許第8,206,750号明細書、国際公開第2012/109162号パンフレット、国際公開第2015/173633号パンフレット(例えば、CER-001)、国際公開第2004/073684号パンフレット、または米国特許出願公開第2004/0229794号明細書に記載されるリポタンパク質複合体を含み得る。「リポタンパク質」および「アポリポタンパク質」という用語は、本明細書において互換可能に使用され、文脈によって別様に要されない限り、「リポタンパク質」という用語は、リポタンパク質模倣体を包含する。「脂質結合タンパク質」および「脂質結合ポリペプチド」という用語も、本明細書において互換可能に使用され、文脈によって別様に要されない限り、該用語は、特定の長さのアミノ酸配列を含意するわけではない。
【0036】
リポタンパク質複合体は、タンパク質画分(例えば、アポリポタンパク質画分)および脂質画分(例えば、リン脂質画分)を含み得る。タンパク質画分は、アポリポタンパク質、ペプチド、またはアポリポタンパク質ペプチド類似体もしくは模倣体等の1種または複数の脂質結合タンパク質分子、例えば第6.1.4節に記載される1種または複数の脂質結合タンパク質分子を含む。一部の実施形態において、脂質結合タンパク質分子は、アポリポタンパク質分子(例えば、ApoA-I分子)を含むが、アポリポタンパク質模倣体分子を含まない。
【0037】
脂質画分は、典型的に、中性の、負に帯電した、正に帯電した、またはその組み合わせであり得る1種または複数のリン脂質を含む。脂質画分に含まれ得る例示的なリン脂質および他の両親媒性分子は、第6.1.5節に記載される。
【0038】
ある特定の実施形態において、脂質画分は、少なくとも1種の中性リン脂質(例えば、スフィンゴミエリン(SM))、および任意選択で1種または複数の負に帯電したリン脂質を含有する。中性のおよび負に帯電したリン脂質の両方を含むリポタンパク質複合体において、中性のおよび負に帯電したリン脂質は、同じまたは異なる数の炭素、および同じまたは異なる飽和度を有する脂肪酸鎖を有し得る。一部の場合には、中性のおよび負に帯電したリン脂質は、同じアシル尾部、例えばC16:0、またはポルミトイル、アシル鎖を有するであろう。具体的な実施形態、特に卵SMが中性脂質として使用されるものにおいて、アポリポタンパク質画分:脂質画分の重量比は約1:2.7~約1:3(例えば、1:2.7)に及ぶ。
【0039】
生理学的pHで少なくとも部分的な負の電荷を持つ任意のリン脂質は、負に帯電したリン脂質として使用され得る。非限定的な例は、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、およびホスファチジン酸の負に帯電した形態、例えば塩を含む。具体的な実施形態において、負に帯電したリン脂質は、ホスファチジルグリセロールである1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、すなわちDPPGである。好ましい塩は、カリウムおよびナトリウム塩を含む。
【0040】
一部の実施形態において、本開示の組成物および方法において使用されるリポタンパク質複合体は、そのそれぞれの内容が参照によりその全体として本明細書に組み込まれる、米国特許第8,206,750号明細書または国際公開第2012/109162号パンフレット(およびその米国対応物である米国特許出願公開第2012/0232005号明細書)に記載されるリポタンパク質複合体である。特定の実施形態において、リポタンパク質複合体のタンパク質構成要素は、国際公開第2012/109162号パンフレット(および米国特許出願公開第2012/0232005号明細書)の第6.1節および好ましくは第6.1.1節に記載されるとおりであり、脂質構成要素は、国際公開第2012/109162号パンフレット(および米国特許出願公開第2012/0232005号明細書)の第6.2節に記載されるとおりであり、それらは任意選択で、国際公開第2012/109162号パンフレット(および米国特許出願公開第2012/0232005号明細書)の第6.3節に記載される量で一緒に複合化され得る。これらの節のそれぞれの内容は、本明細書における参照によって組み込まれる。ある特定の態様において、本開示のリポタンパク質複合体は、その内容が本明細書における参照によって組み込まれる、国際公開第2012/109162号パンフレット(および米国特許出願公開第2012/0232005号明細書)の第6.4節に記載されるように、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、または少なくとも99%均質である複合体の集団の状態にある。
【0041】
具体的な実施形態において、本開示の組成物および方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、2~4個のApoA-I等価物、2分子の帯電したリン脂質、50~80分子のレシチン、および20~50分子のSMを含む。
【0042】
別の具体的な実施形態において、本開示の組成物および方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、2~4個のApoA-I等価物、2分子の帯電したリン脂質、50分子のレシチン、および50分子のSMを含む。
【0043】
さらに別の具体的な実施形態において、本開示の組成物および方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、2~4個のApoA-I等価物、2分子の帯電したリン脂質、80分子のレシチン、および20分子のSMを含む。
【0044】
さらに別の具体的な実施形態において、本開示の組成物および方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、2~4個のApoA-I等価物、2分子の帯電したリン脂質、70分子のレシチン、および30分子のSMを含む。
【0045】
さらに別の具体的な実施形態において、本開示の組成物および方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、2~4個のApoA-I等価物、2分子の帯電したリン脂質、60分子のレシチン、および40分子のSMを含む。
【0046】
具体的な実施形態において、本開示の組成物および方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、2~4個のApoA-I等価物、2分子の帯電したリン脂質、50~80分子のレシチン、および20~50分子のSMから本質的になる。
【0047】
別の具体的な実施形態において、本開示の組成物および方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、2~4個のApoA-I等価物、2分子の帯電したリン脂質、50分子のレシチン、および50分子のSMから本質的になる。
【0048】
さらに別の具体的な実施形態において、本開示の組成物および方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、2~4個のApoA-I等価物、2分子の帯電したリン脂質、80分子のレシチン、および20分子のSMから本質的になる。
【0049】
さらに別の具体的な実施形態において、本開示の組成物および方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、2~4個のApoA-I等価物、2分子の帯電したリン脂質、70分子のレシチン、および30分子のSMから本質的になる。
【0050】
さらに別の具体的な実施形態において、本開示の組成物および方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、2~4個のApoA-I等価物、2分子の帯電したリン脂質、60分子のレシチン、および40分子のSMから本質的になる。
【0051】
具体的な実施形態において、本開示の組成物および方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、約90~99.8wt%のSM、および約0.2~10wt%の負に帯電したリン脂質、例えば約0.2~1wt%、0.2~2wt%、0.2~3wt%、0.2~4wt%、0.2~5wt%、0.2~6wt%、0.2~7wt%、0.2~8wt%、0.2~9wt%、または0.2~10wt%の負に帯電した総リン脂質を含む脂質構成要素を含む。別の具体的な実施形態において、本開示の方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、約90~99.8wt%のレシチン、および約0.2~10wt%の負に帯電したリン脂質、例えば約0.2~1wt%、0.2~2wt%、0.2~3wt%、0.2~4wt%、0.2~5wt%、0.2~6wt%、0.2~7wt%、0.2~8wt%、0.2~9wt%、または0.2~10wt%の負に帯電した総リン脂質を含む。
【0052】
具体的な実施形態において、本開示の組成物および方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、約90~99.8wt%のSM、および約0.2~10wt%の負に帯電したリン脂質、例えば約0.2~1wt%、0.2~2wt%、0.2~3wt%、0.2~4wt%、0.2~5wt%、0.2~6wt%、0.2~7wt%、0.2~8wt%、0.2~9wt%、または0.2~10wt%の負に帯電した総リン脂質から本質的になる脂質構成要素を含む。別の具体的な実施形態において、本開示の方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、約90~99.8wt%のレシチン、および約0.2~10wt%の負に帯電したリン脂質、例えば約0.2~1wt%、0.2~2wt%、0.2~3wt%、0.2~4wt%、0.2~5wt%、0.2~6wt%、0.2~7wt%、0.2~8wt%、0.2~9wt%、または0.2~10wt%の負に帯電した総リン脂質から本質的になる。
【0053】
なおさらに別の具体的な実施形態において、本開示の組成物および方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、約9.8~90wt%のSM、約9.8~90wt%のレシチン、および約0.2~10wt%の負に帯電したリン脂質、例えば約0.2~1wt%から、0.2~2wt%、0.2~3wt%、0.2~4wt%、0.2~5wt%、0.2~6wt%、0.2~7wt%、0.2~8wt%、0.2~9wt%、0.2~10wt%までの負に帯電した総リン脂質を含む脂質画分を含む。
【0054】
なおさらに別の具体的な実施形態において、本開示の組成物および方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、約9.8~90wt%のSM、約9.8~90wt%のレシチン、および約0.2~10wt%の負に帯電したリン脂質、例えば約0.2~1wt%から、0.2~2wt%、0.2~3wt%、0.2~4wt%、0.2~5wt%、0.2~6wt%、0.2~7wt%、0.2~8wt%、0.2~9wt%、0.2~10wt%までの負に帯電した総リン脂質から本質的になる脂質画分を含む。
【0055】
別の具体的な実施形態において、本開示の組成物および方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、ApoA-Iアポリポタンパク質および脂質画分を含み、脂質画分は、スフィンゴミエリンおよび約3wt%の負に帯電したリン脂質を含み、脂質画分対ApoA-Iアポリポタンパク質のモル比は約2:1~200:1であり、前記複合体は、2~4個のApoA-I等価物を含有する小さなまたは大きな円盤状粒子である。
【0056】
別の具体的な実施形態において、本開示の組成物および方法において使用され得るリポタンパク質複合体は、ApoA-Iアポリポタンパク質および脂質画分を含み、脂質画分は、スフィンゴミエリンおよび約3wt%の負に帯電したリン脂質から本質的になり、脂質画分対ApoA-Iアポリポタンパク質のモル比は約2:1~200:1であり、前記複合体は、2~4個のApoA-I等価物を含有する小さなまたは大きな円盤状粒子である。
【0057】
HDLベースのまたはHDL模倣体ベースの複合体は、単一タイプの脂質結合タンパク質、または同じもしくは異なる種に由来し得る2種以上の異なる脂質結合タンパク質の混合物を含み得る。要されるわけではないものの、複合体は、好ましくは、療法に対する免疫応答を誘導することを回避するために、治療されている動物種に由来するまたはアミノ酸配列がそれに相当する脂質結合タンパク質を含むであろう。ゆえに、ヒト患者の治療に関しては、ヒト起源の脂質結合タンパク質が好ましくは使用される。ペプチド模倣体アポリポタンパク質の使用も、免疫応答を低下させ得るまたは回避し得る。
【0058】
一部の実施形態において、脂質構成要素は、2種のタイプのリン脂質:スフィンゴミエリン(SM)および負に帯電したリン脂質を含む。例示的なSMおよび負に帯電した脂質は、第6.1.5.1節に記載される。
【0059】
SMを含む脂質構成要素は、任意選択で、少分量の付加的な脂質を含み得る。リゾリン脂質、ガラクトセレブロシド、ガングリオシド、セレブロシド、グリセリド、トリグリセリド、ならびにコレステロールおよびその誘導体を含むがそれらに限定されない、事実上任意のタイプの脂質が使用され得る。
【0060】
含まれる場合、そのような任意選択の脂質は、典型的に、脂質画分の約15wt%未満を構成するであろうが、とはいえ一部の場合には、より多くの任意選択の脂質が含まれ得る。一部の実施形態において、任意選択の脂質は、約10wt%未満、約5wt%未満、または約2wt%未満を構成する。一部の実施形態において、脂質画分は任意選択の脂質を含まない。
【0061】
具体的な実施形態において、リン脂質画分は、90:10~99:1に及ぶ、より好ましくは95:5~98:2に及ぶ重量比(SM:負に帯電したリン脂質)で、卵SMまたはパルミトイルSMまたはフィトスフィンゴミエリン(phytosphingomyelin)およびDPPGを含有する。一実施形態において、重量比は97:3である。
【0062】
本開示の複合体の脂質構成要素対タンパク質構成要素のモル比は変動し得、他の因子の中でも、タンパク質構成要素を構成するアポリポタンパク質のアイデンティティー、脂質構成要素を構成する脂質のアイデンティティーおよび分量、ならびに複合体の所望のサイズに依存するであろう。ApoA-I等のアポリポタンパク質の生物学的活性は、アポリポタンパク質を構成する両親媒性ヘリックスによって媒介されると考えられるため、ApoA-Iタンパク質等価物を使用して、脂質:アポリポタンパク質モル比のアポリポタンパク質画分を発現させることが好都合である。ヘリックスを算出するために使用される方法に応じて、ApoA-Iは、6~10個の両親媒性ヘリックスを含有することが一般的に認められている。他のアポリポタンパク質は、それらが含有する両親媒性ヘリックスの数に基づきApoA-I等価物の観点で発現され得る。例えば、典型的にジスルフィド架橋二量体として存在するApoA-IMは、2個のApoA-I等価物として発現され得る、なぜならApoA-IMの各分子は、ApoA-Iの分子の2倍多くの両親媒性ヘリックスを含有するためである。反対に、単一の両親媒性ヘリックスを含有するペプチドアポリポタンパク質は、1/10~1/6個のApoA-I等価物として発現され得る、なぜなら各分子は、ApoA-Iの分子の1/10~1/6個の両親媒性ヘリックスを含有するためである。概して、リポタンパク質複合体の脂質:ApoA-I等価物モル比(「Ri」として本明細書において規定される)は、約105:1~110:1に及ぶであろう。一部の実施形態において、Riは約108:1である。重量の比は、リン脂質に対するおよそ650~800のMWを使用して獲得され得る。
【0063】
一部の実施形態において、脂質:ApoA-I等価物のモル比(「RSM」)は、約80:1~約110:1、例えば約80:1~約100:1に及ぶ。具体的な例において、複合体に対するRSMは約82:1であり得る。
【0064】
一部の実施形態において、本開示の方法において使用されるリポタンパク質複合体は、好ましくは成熟した全長ApoA-Iであるタンパク質画分と、中性リン脂質、スフィンゴミエリン(SM)、および負に帯電したリン脂質を含む脂質画分とを含む、負に帯電した複合体である。
【0065】
具体的な実施形態において、脂質構成要素は、90:10~99:1に及ぶ、より好ましくは95:5~98:2、例えば97:3に及ぶ重量比(SM:負に帯電したリン脂質)で、SM(例えば、卵SM、パルミトイルSM、フィトSM、またはその組み合わせ)および負に帯電したリン脂質(例えば、DPPG)を含有する。
【0066】
具体的な実施形態において、タンパク質構成要素対脂質構成要素の比は約1:2.7~約1:3に及び得、1:2.7が好ましい。これは、およそ1:90~1:140に及ぶApoA-Iタンパク質対脂質のモル比に相当する。一部の実施形態において、複合体におけるタンパク質対脂質のモル比は、約1:90~約1:120、約1:100~約1:140、または約1:95~約1:125である。
【0067】
特定の実施形態において、複合体は、CER-001、CSL-111、CSL-112、CER-522、またはETC-216を含む。好ましい実施形態において、複合体はCER-001である。
【0068】
本文献においておよび下記の実施例において使用されるCER-001とは、国際公開第2012/109162号パンフレットの実施例4に記載される複合体を指す。国際公開第2012/109162号パンフレットは、97:3のSM:DPPG重量:重量比とともに、1:2.7のリポタンパク質重量:総リン脂質重量比を有する複合体としてCER-001に言及する。国際公開第2012/109162号パンフレットの実施例4は、その製造の方法も記載する。
【0069】
本開示のCER-001投薬レジメンまたは組成物の文脈において使用される場合、CER-001とは、個々の構成成分が、国際公開第2012/109162号パンフレットの実施例4に記載されるCER-001とは最高20%異なり得るリポタンパク質複合体を指す。ある特定の実施形態において、リポタンパク質複合体の構成成分は、国際公開第2012/109162号パンフレットの実施例4に記載されるCER-001とは最高10%異なる。好ましくは、リポタンパク質複合体の構成成分は、国際公開第2012/109162号パンフレットの実施例4に記載されるものである(プラス/マイナスの許容される製造の公差ばらつき)。CER-001におけるSMは、天然または合成であり得る。一部の実施形態において、SMは、天然SM、例えば国際公開第2012/109162号パンフレットに記載される天然SM、例えばニワトリ卵SMである。一部の実施形態において、SMは、合成SM、例えば国際公開第2012/109162号パンフレットに記載される合成SM、例えば国際公開第2012/109162号パンフレットに記載される合成パルミトイルスフィンゴミエリンである。パルミトイルスフィンゴミエリンを合成するための方法は、例えば国際公開第2014/140787号パンフレットに記載されるように、当技術分野において公知である。CER-001におけるリポタンパク質であるアポリポタンパク質A-I(ApoA-I)は、好ましくは、国際公開第2012/109162号パンフレットの配列番号1(配列番号2として本明細書に開示される国際公開第2012/109162号パンフレットの配列番号1)のアミノ酸25~267に相当するアミノ酸配列を有する。ApoA-Iは、動物供給源によって(特に、ヒト供給源から)精製され得る、または組み換えにより産生され得る。好ましい実施形態において、CER-001におけるApoA-Iは組み換えApoA-Iである。本開示の投薬レジメンにおいて使用されるCER-001は、好ましくは極めて均質であり、ゲル浸透クロマトグラフィーにおいて単一のピークによって反映されるように、例えば少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%均質である。例えば、国際公開第2012/109162号パンフレットの第6.4節を参照されたい。
【0070】
CSL-111は、大豆ホスファチジルコリン(SBPC)と複合化した、血漿から精製された再構成ヒトApoA-Iである(Tardif et al., 2007, JAMA 297:1675-1682)。
【0071】
CSL-112は、血漿から精製され、静脈内注入に適切なHDLを形成するように再構成されたApoA-Iの製剤である(Diditchenko et al., 2013, DOI 10.1161/ATVBAHA.113.301981)。
【0072】
ETC-216(MDCO-216としても知られる)は、組み換えApoA-Iミラノを含有するHDLの脂質枯渇形態である。Nicholls et al., 2011, Expert Opin Biol Ther. 11(3):387-94. doi: 10.1517/14712598.2011.557061を参照されたい。
【0073】
別の実施形態において、本開示の方法において使用され得る複合体はCER-522である。CER-522は、3種のリン脂質の組み合わせおよび22アミノ酸ペプチドCT80522を含むリポタンパク質複合体である。
【0074】
【0075】
CER-522のリン脂質構成要素は、48.5:48.5:3重量比の、卵スフィンゴミエリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(ジパルミトイルホスファチジルコリン、DPPC)、および1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール)](ジパルミトイルホスファチジル-グリセロール、DPPG)からなる。CER-522複合体におけるペプチド対総リン脂質の比は1:2.5(w/w)である。
【0076】
一部の実施形態において、リポタンパク質複合体は、脱脂されたHDLである。血漿におけるほとんどのHDLは、コレステロールに富む。HDLにおける脂質を枯渇させて、例えば部分的におよび/または選択的に枯渇させて、例えばそのコレステロール含有量を低下させ得る。一部の実施形態において、脱脂されたHDLは、HDLの小さなα、プレβ-1、および他のプレβ形態に類似し得る。HDLの選択的枯渇のための工程は、Sacks et al., 2009, J Lipid Res. 50(5): 894-907に記載される。
【0077】
ある特定の実施形態において、リポタンパク質複合体は、米国特許出願公開第2004/0229794号明細書に記載される生物活性剤送達粒子を含む。
【0078】
生物活性剤送達粒子は、脂質結合ポリペプチド(例えば、本節においてまたは第6.1.4節において前に記載されるアポリポタンパク質)、脂質二重層(例えば、本節においてまたは第6.1.5.1節において前に記載される1種または複数のリン脂質を含む)、および生物活性剤(例えば、抗癌剤)を含み得、脂質二重層の内部は疎水性領域を含み、生物活性剤は、脂質二重層の疎水性領域と結び付く。一部の実施形態において、米国特許出願公開第2004/0229794号明細書に記載される生物活性剤送達粒子。
【0079】
一部の実施形態において、生物活性剤送達粒子は親水性コアを含まない。
【0080】
一部の実施形態において、生物活性剤送達粒子は円盤形状である(例えば、約7~約29nmの直径を有する)。
【0081】
生物活性剤送達粒子は、二重層を形成する脂質、例えばリン脂質(例えば、本節においてまたは第6.1.5.1節において前に記載される)を含む。一部の実施形態において、生物活性剤送達粒子は、二重層を形成するおよび二重層を形成しない脂質の両方を含む。一部の実施形態において、生物活性剤送達粒子の脂質二重層はリン脂質を含む。一実施形態において、送達粒子に組み込まれるリン脂質は、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)およびジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)を含む。一実施形態において、脂質二重層は、7:3のモル比でDMPCおよびDMPGを含む。
【0082】
一部の実施形態において、脂質結合ポリペプチドはアポリポタンパク質(例えば、本節においてまたは第6.1.4節において前に記載される)である。脂質結合ポリペプチド、例えばアポリポタンパク質分子と脂質二重層との間の主たる相互作用は、一般的に、両親媒性構造、例えば脂質結合ポリペプチドのα-ヘリックス、の疎水面の残基と、粒子の周辺における外表面の脂質の脂肪アシル鎖との間の疎水性相互作用である。生物活性剤送達粒子は、交換可能なおよび/または交換不可能なアポリポタンパク質を含み得る。一実施形態において、脂質結合ポリペプチドはApoA-Iである。
【0083】
一部の実施形態において、生物活性剤送達粒子は、粒子の安定性を増加させるように改変されている脂質結合ポリペプチド分子、例えばアポリポタンパク質分子を含む。一実施形態において、改変は、分子内および/または分子間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基の導入を含む。
【0084】
別の実施形態において、生物活性剤送達粒子は、送達粒子内に組み込まれた生物活性剤の活性を増進し得るまたはその活性との相乗効果で働き得る1種または複数の結合した機能的部分、例えば1種もしくは複数の標的化部分および/または所望の生物学的活性、例えば抗微生物活性を有する1種もしくは複数の部分との、キメラ脂質結合ポリペプチド分子、例えばキメラアポリポタンパク質分子を含む。
【0085】
6.1.2.Apomerベースの複合体
1つの態様において、本開示の方法および組成物において使用され得る脂質結合タンパク質ベースの複合体はApomerを含む。Apomerベースの複合体に含まれ得るApomerの特質は、その内容が参照によりそれらの全体として本明細書に組み込まれる、国際公開第2019/030575号パンフレットに記載される。
【0086】
Apomerは、一般的に、単量体形態、または両親媒性分子と複合化した多量体形態のアポリポタンパク質を含む。一般的に、Apomerは、それぞれが1つまたは複数の両親媒性分子と複合化した、1つまたは複数のアポリポタンパク質分子を含む。ある特定の態様において、両親媒性分子は、Apomerにおけるアポリポタンパク質分子あたり少なくとも+1または-1の正味電荷に一緒に寄与する。Apomerにおいて使用され得る例示的なアポリポタンパク質は、第6.1.4.1節に記載される。例示的な両親媒性分子は、第6.1.5節に記載される。
【0087】
6.1.3.Cargomerベースの複合体
1つの態様において、本開示の方法および組成物において使用され得る脂質結合タンパク質ベースの複合体は、1つまたは複数のカーゴ部分を有する脂質結合タンパク質ベースの複合体であるCargomerを含む。Cargomerベースの複合体に含まれ得るCargomerの特質は、その内容が参照によりそれらの全体として本明細書に組み込まれる、国際公開第2019/030574号パンフレットに記載される。
【0088】
Cargomerは、一般的に、単量体または多量体形態(例えば、2、4、または8個のアポリポタンパク質分子)のアポリポタンパク質、および1つまたは複数のカーゴ部分を含む。カーゴ部分は、両親媒性または非両親媒性であり得る。両親媒性カーゴ部分は、アポリポタンパク質を可溶化し得、それが凝集するのを阻止し得る。カーゴ部分が、両親媒性ではないまたはアポリポタンパク質分子を可溶化するのに不十分である場合、Cargomerは、アポリポタンパク質を可溶化する1種または複数の付加的な両親媒性分子も含み得る。ゆえに、Cargomerの文脈における両親媒性分子への言及は、カーゴ部分である両親媒性分子、カーゴ部分ではない両親媒性分子、またはその一部の組み合わせを包含する。好ましくは、Cargomerは、例えばNMR分光法を使用して判定されるように、円盤状ではない。
【0089】
カーゴ部分は、生物学的に活性な分子(例えば、薬物、生物製剤、および/または免疫原)または他の作用物質、例えば診断において使用される作用物質を含み得る。本明細書において使用するとき、「分子」および「作用物質」という用語は、複合体およびコンジュゲート(例えば、抗体-薬物コンジュゲート)も含む。「生物学的に活性な」、「診断上有用な」等の用語は、直接的な薬理学的または生物学的活性を有する物質に限定されず、例えばプロドラッグの代謝またはリンカーの切断に起因して、投与後に活性になる物質を含み得る。したがって、「生物学的に活性な」および「診断上有用な」という用語は、薬理学的もしくは生物学的効果を発揮しかつ/または診断テストにおいて検出可能である代謝産物または他の切断産物の創出を通じて、投与後に生物学的に活性になるまたは診断上有用になる物質も含む。
【0090】
Cargomerにおける両親媒性分子は、アポリポタンパク質を可溶化し得かつ/またはアポリポタンパク質凝集を低下させ得もしくは最小限に抑え得、Cargomerにおいて他の機能も有し得る。例えば、両親媒性分子は治療的実用性を有し得、ゆえに、対象への投与があり次第Cargomerによる送達を意図されるカーゴ部分であり得る。付加的に、下の第6.1.5節で論じられるように、両親媒性分子を使用して、Cargomerにおけるアポリポタンパク質に非両親媒性カーゴ部分を固定し得る。ゆえに、一部の実施形態において、Cargomerにおけるカーゴ部分および両親媒性分子は同じである。他の実施形態において、Cargomerにおけるアンカー部分および両親媒性分子は同じである。さらに他の実施形態において、Cargomerにおけるカーゴ部分、アンカー部分、および両親媒性分子は同じである(例えば、両親媒性分子が治療活性を有し、アポリポタンパク質分子に別の生物学的に活性な分子を固定もする場合)。
【0091】
アンカーおよび/またはリンカー部分は、両親媒性分子ではないカーゴ部分を有するCargomerに特に有用である。
【0092】
一部の実施形態において、本開示のCargomerにおけるカーゴ部分の少なくとも1つ、カーゴ部分の大多数、またはカーゴ部分のすべては、アンカーを介してCargomerに共役される。一部の実施形態において、Cargomerにおけるカーゴ部分の少なくとも1つは、アンカーを介してCargomerに共役される。一部の実施形態において、Cargomerにおけるカーゴ部分の大多数は、アンカーを介してCargomerに共役される。一部の実施形態において、Cargomerにおけるカーゴ部分のすべては、アンカーを介してCargomerに共役される。Cargomerにおける各アンカーは同じであり得る、または代替的に、異なるタイプのアンカーが単一のCargomerに含まれ得る(例えば、1種のタイプのカーゴ部分が、1種のタイプのアンカーを介してCargomerに共役され得、第2のタイプのカーゴ部分が、第2のタイプのアンカーを介してCargomerに共役され得る)。
【0093】
ある特定の態様において、両親媒性分子、カーゴ、ならびに存在する場合にはアンカーおよび/またはリンカーは、Cargomerにおけるアポリポタンパク質分子あたり少なくとも+1または-1の正味電荷(例えば、+1、+2、+3、-1、-2、または-3)に一緒に寄与する。一部の実施形態において、正味電荷は負の電荷である。他の実施形態において、正味電荷は正の電荷である。文脈によって別様に要されない限り、電荷は、生理学的pHで測定される。
【0094】
Cargomerにおけるアポリポタンパク質分子対両親媒性分子のモル比は、整数にあり得るが必ずしも整数にある必要はない、またはアポリポタンパク質と両親媒性分子との間の1対1関係を反映し得る。例としてであり限定ではなく、Cargomerは、2:5、8:7、3:2、または4:7のアポリポタンパク質対両親媒性分子モル比を有し得る。
【0095】
一部の実施形態において、Cargomerは、8:1~1:15(例えば、8:1~1:15、7:1~1:15、6:1~1:15、5:1~1:15、4:1~1:15、3:1~1:15、2:1~1:15、1:1~1:15、8:1~1:14、7:1~1:14、6:1~1:14、5:1~1:14、4:1~1:14、3:1~1:14、2:1~1:14、1:1~1:14、8:1~1:13、7:1~1:13、6:1~1:13、5:1~1:13、4:1~1:13、3:1~1:13、2:1~1:13、1:1~1:13、8:1~1:12、7:1~1:12、6:1~1:12、5:1~1:12、4:1~1:12、3:1~1:12、2:1~1:12、1:1~1:12、8:1~1:11、7:1~1:11、6:1~1:11、5:1~1:11、4:1~1:11、3:1~1:11、2:1~1:11、1:1~1:11、8:1~1:10、7:1~1:10、6:1~1:10、5:1~1:10、4:1~1:10、3:1~1:10、2:1~1:10、1:1~1:10、8:1~1:9、7:1~1:9、6:1~1:9、5:1~1:9、4:1~1:9、3:1~1:9、2:1~1:9、1:1~1:9、8:1~1:8、7:1~1:8、6:1~1:8、5:1~1:8、4:1~1:8、3:1~1:8、2:1~1:8、1:1~1:8、8:1~1:7、7:1~1:7、6:1~1:7、5:1~1:7、4:1~1:7、3:1~1:7、2:1~1:7、1:1~1:7、8:1~1:6、7:1~1:6、6:1~1:6、5:1~1:6、4:1~1:6、3:1~1:6、2:1~1:6、1:1~1:6、8:1~1:5、7:1~1:5、6:1~1:5、5:1~1:5、4:1~1:5、3:1~1:5、2:1~1:5、1:1~1:5、8:1~1:4、7:1~1:4、6:1~1:4、5:1~1:4、4:1~1:4、3:1~1:4、2:1~1:4、1:1~1:4、8:1~1:3、7:1~1:3、6:1~1:3、5:1~1:3、4:1~1:3、3:1~1:3、2:1~1:3、1:1~1:3、8:1~1:2、7:1~1:2、6:1~1:2、5:1~1:2、4:1~1:2、3:1~1:2、2:1~1:2、1:1~1:2、8:1~1:1、7:1~1:1、6:1~1:1、5:1~1:1、4:1~1:1、3:1~1:1、または2:1~1:1)に及ぶ、アポリポタンパク質における両親媒性分子と複合化したアポリポタンパク質分子:両親媒性分子モル比を含む。
【0096】
一部の実施形態において、Cargomerにおけるアポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、6:1~1:6に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、5:1~1:6に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、4:1~1:6に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、3:1~1:6に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、2:1~1:6に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、5:1~1:5に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、4:1~1:5に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、3:1~1:5に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、2:1~1:5に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、5:1~1:4に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、4:1~1:4に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、3:1~1:4に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、2:1~1:4に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、5:1~1:3に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、4:1~1:3に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、3:1~1:3に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、2:1~1:3に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、5:1~1:2に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、4:1~1:2に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、3:1~1:2に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、2:1~1:2に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、5:1~1:1に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、4:1~1:1に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、3:1~1:1に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、2:1~1:1に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、1:1~1:6に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、1:1~1:5に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、1:1~1:4に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、1:1~1:3に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、1:1~1:2に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、1:2~1:6に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、1:2~1:5に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、1:2~1:4に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、1:2~1:3に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、1:3~1:6に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、1:3~1:5に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、1:3~1:4に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、1:4~1:6に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、1:4~1:5に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、1:5~1:6に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、1.5:1~1:2に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、5:4~4:5に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、5:3~3:5に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、5:2~2:5に及ぶ。一部の実施形態において、アポリポタンパク質対両親媒性分子モル比は、3:2~2:3に及ぶ。
【0097】
一部の実施形態において、アポリポタンパク質分子対両親媒性分子の比は、約1:1である。他の実施形態において、アポリポタンパク質分子対両親媒性分子の比は、約1:2である。さらに他の実施形態において、アポリポタンパク質分子対両親媒性分子の比は、約1:3である。さらに他の実施形態において、アポリポタンパク質分子対両親媒性分子の比は、約1:4である。さらに他の実施形態において、アポリポタンパク質分子対両親媒性分子の比は、約1:5である。さらに他の実施形態において、アポリポタンパク質分子対両親媒性分子の比は、約1:6である。
【0098】
一部の実施形態において、Cargomerは1つのアポリポタンパク質分子を含む。
【0099】
他の実施形態において、Cargomerは2つのアポリポタンパク質分子を含む。2つのアポリポタンパク質分子を含むCargomerは、好ましくは3nmまたはそれ未満のストーク半径を有する。一部の実施形態において、Cargomerは、2つのアポリポタンパク質分子およびアポリポタンパク質分子あたり1、2、または3つの負に帯電した両親媒性分子(例えば、負に帯電したリン脂質分子)を含み得る。
【0100】
他の実施形態において、Cargomerは4つのアポリポタンパク質分子を含む。4つのアポリポタンパク質分子を含むCargomerは、好ましくは4nmまたはそれ未満のストーク半径を有する。一部の実施形態において、Cargomerは、4つのアポリポタンパク質分子およびアポリポタンパク質分子あたり1、2、または3つの負に帯電した両親媒性分子(例えば、負に帯電したリン脂質分子)を含み得る。
【0101】
他の実施形態において、Cargomerは8つのアポリポタンパク質分子を含む。8つのアポリポタンパク質分子を含むCargomerは、好ましくは5nmまたはそれ未満のストーク半径を有する。一部の実施形態において、Cargomerは、8つのアポリポタンパク質分子およびアポリポタンパク質分子あたり1、2、または3つの負に帯電した両親媒性分子(例えば、負に帯電したリン脂質分子)を含み得る。ある特定の実施形態において、本開示のCargomerは、コレステロールおよび/またはコレステロール誘導体(例えば、コレステリルエステル)を含有しない。
【0102】
一部の実施形態において、Cargomerは、重量で約1:2~約1:3の域内のアポリポタンパク質対リン脂質比を含む。
【0103】
一部の実施形態において、Cargomerは、重量で1:2.7のアポリポタンパク質対リン脂質比を含む。
【0104】
Cargomerは、生物学的流体、例えば、リンパ液、脳脊髄液、硝子体液、房水、および血液または血液画分(例えば、血清または血漿)のうちの1種または複数に可溶であり得る。
【0105】
Cargomerは、例えば特定の細胞または組織タイプにCargomerを標的化する、標的化機能性を含み得る。一部の実施形態において、Cargomerは、アポリポタンパク質分子または両親媒性分子に付着した標的化部分を含む。一部の実施形態において、Cargomerに組み込まれる1つまたは複数のカーゴ部分は標的化能を有する。
【0106】
6.1.4.脂質結合タンパク質分子
本明細書に記載される複合体において使用され得る脂質結合タンパク質分子は、第6.1.4.1節に記載されるもの等のアポリポタンパク質、および第6.1.4.2節に記載されるもの等のアポリポタンパク質模倣体ペプチドを含む。一部の実施形態において、複合体は、脂質結合タンパク質分子の混合物を含む。一部の実施形態において、複合体は、1種または複数の脂質結合タンパク質分子、および1種または複数のアポリポタンパク質模倣体ペプチドの混合物を含む。一部の実施形態において、複合体は、1種または複数のアポリポタンパク質分子(例えば、ApoA-I分子)を含み、1種または複数のアポリポタンパク質模倣体ペプチドを含まない。
【0107】
一部の実施形態において、複合体は、1~8個のApoA-I等価物(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~8、2~6、2~4、4~6、または4~8個のApoA-I等価物)を含む。脂質結合タンパク質は、それらが含有する両親媒性ヘリックスの数に基づきApoA-I等価物の観点で発現され得る。例えば、典型的にジスルフィド架橋二量体として存在するApoA-IMは、2個のApoA-I等価物として発現され得る、なぜならApoA-IMの各分子は、ApoA-Iの分子の2倍多くの両親媒性ヘリックスを含有するためである。反対に、単一の両親媒性ヘリックスを含有するペプチド模倣体は、1/10~1/6個のApoA-I等価物として発現され得る、なぜなら各分子は、ApoA-Iの分子の1/10~1/6個の両親媒性ヘリックスを含有するためである。
【0108】
6.1.4.1.アポリポタンパク質
脂質結合タンパク質ベースの複合体に含まれ得る適切なアポリポタンパク質は、アポリポタンパク質ApoA-I、ApoA-II、ApoA-IV、ApoA-V、ApoB、ApoC-I、ApoC-II、ApoC-III、ApoD、ApoE、ApoJ、ApoH、および前述のものの2種以上の任意の組み合わせを含む。前述のアポリポタンパク質の多型形態、アイソフォーム、変種、および変異体、ならびに切り取られた形態、そのうち最もよく見られるアポリポタンパク質A-Iミラノ(ApoA-IM)、アポリポタンパク質A-Iパリ(ApoA-IP)、およびアポリポタンパク質A-Iサラゴサ(ApoA-IZ)も使用され得る。システイン残基を含有するアポリポタンパク質変異体も公知であり、使用され得る(例えば、米国特許出願公開第2003/0181372号明細書を参照されたい)。アポリポタンパク質は、単量体、またはホモ二量体もしくはヘテロ二量体であり得る二量体の形態にあり得る。例えば、ApoA-I(Duverger et al., 1996, Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 16(12):1424-29)、ApoA-IM(Franceschini et al., 1985, J. Biol. Chem. 260:1632-35)、ApoA-IP(Daum et al., 1999, J. Mol. Med. 77:614-22)、ApoA-II(Shelness et al., 1985, J. Biol. Chem. 260(14):8637-46;Shelness et al., 1984, J. Biol. Chem. 259(15):9929-35)、ApoA-IV(Duverger et al., 1991, Euro. J. Biochem. 201(2):373-83)、ApoE(McLean et al., 1983, J. Biol. Chem. 258(14):8993-9000)、ApoJ、およびApoHのホモ二量体およびヘテロ二量体(実行可能な場合)が使用され得る。
【0109】
例えば米国特許出願公開第2008/0234192号明細書および第2013/0137628号明細書、ならびに米国特許第8,143,224号明細書および第8,541,236号明細書に記載されるように、アポリポタンパク質をそれらの一次配列において改変して、それらを酸化の影響を受けにくくし得る。アポリポタンパク質は、Hisタグ等のそれらの単離を容易にするエレメントに相当する残基、または他の目的のために設計された他のエレメントを含み得る。好ましくは、複合体におけるアポリポタンパク質は、生物学的流体(例えば、リンパ液、脳脊髄液、硝子体液、房水、血液、または血液画分(例えば、血清または血漿))に可溶である。
【0110】
一部の実施形態において、複合体は、共有結合した脂質結合タンパク質単量体、例えばシステインを含有するApoA-Iの変異形態である二量体アポリポタンパク質A-Iミラノを含む。システインは、ホモ二量体またはヘテロ二量体(例えば、ApoA-Iミラノ-ApoA-II)の形成につながり得るジスルフィド架橋の形成を可能にする。
【0111】
一部の実施形態において、アポリポタンパク質分子は、ApoA-I、ApoA-II、ApoA-IV、ApoA-V、ApoB、ApoC-I、ApoC-II、ApoC-III、ApoD、ApoE、ApoJ、もしくはApoH分子、またはその組み合わせを含む。
【0112】
一部の実施形態において、アポリポタンパク質分子は、ApoA-I分子を含むまたはそれからなる。一部の実施形態において、前記ApoA-I分子はヒトApoA-I分子である。一部の実施形態において、前記ApoA-I分子は組み換えである。一部の実施形態において、ApoA-I分子はApoA-Iミラノではない。
【0113】
一部の実施形態において、ApoA-I分子は、アポリポタンパク質A-Iミラノ(ApoA-IM)、アポリポタンパク質A-Iパリ(ApoA-IP)、またはアポリポタンパク質A-Iサラゴサ(ApoA-IZ)分子である。
【0114】
アポリポタンパク質は、当技術分野において周知であるように、動物供給源から(特に、ヒト供給源から)精製され得る、または組み換えにより産生され得る、例えばChung et al., 1980, J. Lipid Res. 21(3):284-91;Cheung et al., 1987, J. Lipid Res. 28(8):913-29を参照されたい。米国特許第5,059,528号明細書、第5,128,318号明細書、第6,617,134号明細書;米国特許出願公開第2002/0156007号明細書、第2004/0067873号明細書、第2004/0077541号明細書、および第2004/0266660号明細書;ならびに国際公開第2008/104890号パンフレットおよび国際公開第2007/023476号パンフレットも参照されたい。その開示が参照によりその全体として本明細書に組み込まれる、例えば国際公開第2012/109162号パンフレットに記載される、精製の他の方法も可能である。
【0115】
アポリポタンパク質は、プレプロ形態、プロ形態、または成熟形態にあり得る。例えば、複合体は、ApoA-Iが、プレプロApoA-I、プロApoA-I、または成熟ApoA-IであるApoA-I(例えば、ヒトApoA-I)を含み得る。一部の実施形態において、複合体は、配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を有するApoA-Iを含む。
【0116】
【0117】
他の実施形態において、複合体は、配列番号1と少なくとも95%の配列同一性を有するApoA-Iを含む。他の実施形態において、複合体は、配列番号1と少なくとも98%の配列同一性を有するApoA-Iを含む。他の実施形態において、複合体は、配列番号1と少なくとも99%の配列同一性を有するApoA-Iを含む。他の実施形態において、複合体は、配列番号1と100%の配列同一性を有するApoA-Iを含む。
【0118】
他の実施形態において、複合体は、配列番号2のアミノ酸25~267と少なくとも95%の配列同一性を有するApoA-Iを含む。他の実施形態において、複合体は、配列番号2のアミノ酸25~267と少なくとも98%の配列同一性を有するApoA-Iを含む。他の実施形態において、複合体は、配列番号2のアミノ酸25~267と少なくとも99%の配列同一性を有するApoA-Iを含む。他の実施形態において、複合体は、配列番号2のアミノ酸25~267と100%の配列同一性を有するApoA-Iを含む。
【0119】
一部の実施形態において、複合体は、1~8個のアポリポタンパク質分子(例えば、1~6、1~4、1~2、2~8、2~6、2~4、4~8、4~6、または6~8個のアポリポタンパク質分子)を含む。一部の実施形態において、複合体は1個のアポリポタンパク質分子を含む。一部の実施形態において、複合体は2個のアポリポタンパク質分子を含む。一部の実施形態において、複合体は3個のアポリポタンパク質分子を含む。一部の実施形態において、複合体は4個のアポリポタンパク質分子を含む。一部の実施形態において、複合体は5個のアポリポタンパク質分子を含む。一部の実施形態において、複合体は6個のアポリポタンパク質分子を含む。一部の実施形態において、複合体は7個のアポリポタンパク質分子を含む。一部の実施形態において、複合体は8個のアポリポタンパク質分子を含む。
【0120】
アポリポタンパク質分子は、アポリポタンパク質と、例えば1種もしくは複数のCRN-001複合体等の1種もしくは複数の付着した機能的部分、1種もしくは複数の標的化部分、所望の生物学的活性を有する部分、精製を助けるアフィニティータグ、および/または特徴付けもしくは局在調査のためのレポーター分子とを含むキメラアポリポタンパク質を含み得る。生物学的活性を有する付着した部分は、本開示の複合体に組み込まれた化合物またはカーゴ部分の生物学的活性を増進し得かつ/またはその活性と相乗効果を生じ得る活性を有し得る。例えば、生物学的活性を有する部分は、抗微生物(例えば、抗真菌、抗細菌、抗原生動物、静細菌、静真菌、または抗ウイルス)活性を有し得る。一実施形態において、キメラアポリポタンパク質の付着した機能的部分は、複合体の疎水性表面と接触していない。別の実施形態において、付着した機能的部分は、複合体の疎水性表面と接触している。一部の実施形態において、キメラアポリポタンパク質の機能的部分は、天然タンパク質に固有であり得る。一部の実施形態において、キメラアポリポタンパク質は、細胞表面受容体または他の細胞表面部分によって認識されるまたはそれと相互作用し得るリガンドまたは配列を含む。
【0121】
一実施形態において、キメラアポリポタンパク質は、例えばS.セレビシエ(S. cerevisiae)α-接合因子ペプチド、葉酸、トランスフェリン、またはラクトフェリン等、天然アポリポタンパク質に固有ではない標的化部分を含む。別の実施形態において、キメラアポリポタンパク質は、本開示の複合体に組み込まれた化合物またはカーゴ部分の活性を増進しかつ/またはその活性と相乗効果を生じる所望の生物学的活性を有する部分を含む。一実施形態において、キメラアポリポタンパク質は、アポリポタンパク質に固有の機能的部分を含み得る。アポリポタンパク質固有の機能的部分の1つの例は、ヒトApoEのおよそアミノ酸130~150によって形成される固有の標的化部分であり、それは、低密度リポタンパク質受容体ファミリーのメンバーによって認識される受容体結合領域を含む。アポリポタンパク質固有の機能的部分の他の例は、低密度リポタンパク質受容体と相互作用するApoB-100の領域、およびスカベンジャー受容体タイプB1と相互作用するApoA-Iの領域を含む。他の実施形態において、機能的部分を合成でまたは組み換えにより付加して、キメラアポリポタンパク質を産生し得る。別の例は、別のプレプロアポリポタンパク質由来のプレプロまたはプロ配列(例えば、プレプロapoA-Iのプレプロ配列に代わって置換されるプレプロapoA-II由来のプレプロ配列)を有するアポリポタンパク質である。別の例は、両親媒性配列セグメントの一部が、別のアポリポタンパク質由来の他の両親媒性配列セグメントによって置換されているアポリポタンパク質である。
【0122】
本明細書において使用するとき、「キメラ」とは、別個に存在し得、かつその構成成分分子のすべての所望の機能性を有する単一分子を形成するために互いにつなぎ合わされている、2種以上の分子を指す。キメラ分子の構成成分分子は、化学的コンジュゲーションによって合成的につながれ得る、または構成成分分子がすべてポリペプチドもしくはその類似体である場合、単一の連続的ポリペプチドが発現されるように、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが組み換えにより互いに融合され得る。そのようなキメラ分子は融合タンパク質と称される。「融合タンパク質」とは、構成成分分子がすべてポリペプチドであり、キメラ分子が、連続的な単一鎖を形成するように互いに付着(融合)しているキメラ分子である。様々な構成成分は、互いに直接付着し得るまたは1種もしくは複数のリンカーを通じて共役し得る。様々な構成成分の1つまたは複数のセグメントは、例えばアポリポタンパク質の配列に挿入され得る、または別の例として、アポリポタンパク質の配列にN末端もしくはC末端で付加され得る。例えば、融合タンパク質は、抗体軽鎖、抗体フラグメント、重鎖抗体、または単一ドメイン抗体を含み得る。
【0123】
一部の実施形態において、キメラアポリポタンパク質は、アポリポタンパク質と、付着される対象となる機能的部分とを化学的にコンジュゲートすることによって調製される。分子を化学的にコンジュゲートする手段は、当業者に周知である。そのような手段は、付着される対象となる部分の構造に従って変動するであろうが、当業者にとって容易に解明可能であろう。ポリペプチドは、典型的に、機能的部分上のまたはそこに該部分を結合させるリンカー上の適切な官能基との反応に利用可能である多様な官能基、例えばカルボン酸(--COOH)、遊離アミノ(--NH2)、またはスルフヒドリル(--SH)基を含有する。機能的部分は、アポリポタンパク質分子の、N末端で、C末端で、または内部残基(すなわち、NおよびC末端間の中間の位置における残基)上の官能基に付着し得る。代替的に、アポリポタンパク質および/またはタグ付けされる対象となる部分は、付加的な反応性官能基を曝露するまたは付着するように誘導体化され得る。
【0124】
一部の実施形態において、ポリペプチド機能的部分を含む融合タンパク質は、組み換え発現システムを使用して合成される。典型的に、これは、2種のポリペプチドが発現した場合にインフレームになるであろうような、アポリポタンパク質および機能的部分をコードする核酸(例えば、DNA)配列を創出するステップ、プロモーターの制御下にDNAを配置するステップ、宿主細胞においてタンパク質を発現させるステップ、ならびに発現したタンパク質を単離するステップを伴う。
【0125】
キメラアポリポタンパク質をコードする核酸は、宿主細胞における発現に適切な形態の組み換え発現ベクターに組み込まれ得る。本明細書において使用するとき、「発現ベクター」とは、適当な宿主細胞に導入された場合に、転写され得かつポリペプチドに翻訳され得る核酸である。ベクターは、プロモーター、エンハンサー、または他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)等の調節配列も含み得る。そのような調節配列は、当業者に公知である(例えば、Goeddel, 1990, Gene Expression Technology: Meth. Enzymol. 185, Academic Press, San Diego, Calif.;Berger and Kimmel, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology 152 Academic Press, Inc., San Diego, Calif.;Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning--A Laboratory Manual (2nd ed.) Vol. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Press, NY等を参照されたい)。
【0126】
一部の実施形態において、アポリポタンパク質は、アポリポタンパク質が本開示の複合体に組み込まれた場合に、改変が複合体の安定性を増加させる、標的化能を付与する、または収容能力を増加させるであろうように改変されている。一実施形態において、改変は、例えば部位指向性変異導入による、分子内または分子間ジスルフィド結合の形成を可能にするためのアポリポタンパク質分子内へのシステイン残基の導入を含む。別の実施形態において、化学的架橋剤を使用して、アポリポタンパク質分子の間に分子間連結を形成して、複合体の安定性を増強する。分子間架橋は、複合体からのアポリポタンパク質分子の解離を阻止しもしくは低下させ、かつ/または複合体が投与される個体内での内因性アポリポタンパク質分子による置き換えを阻止する。他の実施形態において、アポリポタンパク質を、1つもしくは複数のアミノ酸残基の化学的誘導体化によってまたは部位指向性変異導入によって改変して、細胞表面受容体への標的化能またはそれによる認識を付与する。
【0127】
複合体は、アポリポタンパク質内に受容体認識特性を操作することによって、特異的細胞表面受容体に標的化され得る。例えば、複合体は、例えばアポリポタンパク質を、標的にされている細胞タイプの表面の受容体とそれが相互作用し得る状態にするように改変することによって、特定のタイプの感染因子を持することが公知の特定の細胞タイプに標的化され得る。例えば、複合体は、マクロファージエンドサイトーシスクラスAスカベンジャー受容体(SR-A)による認識を付与するようにアポリポタンパク質を変更することによって、マクロファージに標的化され得る。1つまたは複数の正に帯電したアミノ酸を中性のまたは負に帯電したアミノ酸で置き換える部位指向性変異導入によってアポリポタンパク質を改変することによって、SR-A結合能を複合体に付与し得る。SR-Aによって認識されるリガンドを有するNもしくはC末端伸長、または高濃度の負に帯電した残基を有するアミノ酸配列を含むキメラアポリポタンパク質を調製することによって、SR-A認識も付与し得る。アポリポタンパク質を含む複合体は、ABCA1受容体、ABCG1受容体、メガリン(Megalin)、キュビリン、およびSR-B1等のHDL受容体等であるがそれらに限定されない、アポリポタンパク質受容体とも相互作用し得る。
【0128】
複合体は、Cargomerにカーゴ部分を固定する脂質結合タンパク質(例えば、アポリポタンパク質分子)を含み得る。一部の実施形態において、アポリポタンパク質分子は、直接結合によってカーゴ部分に共役される。他の実施形態において、アポリポタンパク質分子は、例えば第6.1.7節に記載されるリンカーによってカーゴ部分に共役される。
【0129】
6.1.4.2.アポリポタンパク質模倣体
アポリポタンパク質の活性を模倣するペプチド、ペプチド類似体、およびアゴニスト(本明細書において、「アポリポタンパク質ペプチド模倣体」と集合的に称される)も、単独で、1種または複数の他の脂質結合タンパク質との組み合わせで、本明細書に記載される複合体において使用され得る。本明細書に記載される複合体および組成物への内包に適切である、アポリポタンパク質に相当するペプチドおよびペプチド類似体、ならびにApoA-I、ApoA-IM、ApoA-II、ApoA-IV、およびApoEの活性を模倣するアゴニストの非限定的な例は、その開示が参照によりそれらの全体として本明細書に組み込まれる、米国特許第6,004,925号明細書、第6,037,323号明細書、および第6,046,166号明細書(Dasseuxらに対して交付された)、米国特許第5,840,688号明細書(Tsoに対して交付された)、米国特許第6,743,778号明細書(Kohnoに対して交付された)、米国特許出願公開第2004/0266671号明細書、第2004/0254120号明細書、第2003/0171277号明細書、および第2003/0045460号明細書(Fogelmanに対する)、米国特許出願公開第2006/0069030号明細書(Bachovchinに対する)、米国特許出願公開第2003/0087819号明細書(Bielickiに対する)、米国特許出願公開第2009/0081293号明細書(Muraseらに対する)、ならびに国際公開第2010/093918号パンフレット(Dasseuxらに対する)に開示される。これらのペプチドおよびペプチド類似体は、L-アミノ酸もしくはD-アミノ酸、またはL-およびD-アミノ酸の混合物から構成され得る。それらは、1種または複数の周知のペプチド/アミドアイソスター等、1種または複数の非ペプチドまたはアミド連結も含み得る。そのようなアポリポタンパク質ペプチド模倣体は、例えば米国特許第6,004,925号明細書、第6,037,323号明細書、および第6,046,166号明細書に記載される技法を含めた、当技術分野において公知のペプチド合成のための任意の技法を使用して合成され得るまたは製造され得る。
【0130】
一部の実施形態において、脂質結合タンパク質分子は、アポリポタンパク質ペプチド模倣体分子、および任意選択で、上で記載されるもの等の1種または複数のアポリポタンパク質分子を含む。
【0131】
一部の実施形態において、アポリポタンパク質ペプチド模倣体分子は、ApoA-Iペプチド模倣体、ApoA-IIペプチド模倣体、ApoA-IVペプチド模倣体、もしくはApoEペプチド模倣体、またはその組み合わせを含む。
【0132】
本開示の複合体は、複合体にカーゴ部分を固定するアポリポタンパク質ペプチド模倣体分子を含み得る。一部の実施形態において、アポリポタンパク質ペプチド模倣体分子は、直接結合によってカーゴ部分に共役される。他の実施形態において、アポリポタンパク質ペプチド模倣体分子は、例えば第6.1.7節に記載されるリンカーによってカーゴ部分に共役される。
【0133】
6.1.5.両親媒性分子
両親媒性分子とは、疎水性(無極性)および親水性(極性)エレメントの両方を所有する分子である。本明細書に記載される複合体において使用され得る両親媒性分子は、脂質(例えば、第6.1.5.1節に記載される)、界面活性剤(例えば、第6.1.5.2節に記載される)、脂肪酸(例えば、第6.1.5.3節に記載される)、ならびに糖類または核酸等であるがそれらに限定されない極性分子に共有結合で付着した無極性分子およびステロール(例えば、第6.1.5.4節に記載される)を含む。
【0134】
複合体は、単一クラスの両親媒性分子(例えば、単一種のリン脂質またはリン脂質の混合物)を含み得る、または組み合わせのクラスの両親媒性分子(例えば、リン脂質および界面活性剤)を含有し得る。複合体は、脂質結合タンパク質分子の可溶化を容易にするように構成された、1つの種の両親媒性分子または両親媒性分子の組み合わせを含有し得る。
【0135】
一部の実施形態において、Apomerおよび/またはCargomerベースの複合体は、脂質結合タンパク質分子を可溶化するのに十分な量の両親媒性分子のみを含む。言い換えれば、Apomerおよび/またはCargomerベースの複合体は、脂質結合タンパク質分子を可溶化するのに必要な最小量の1種または複数の両親媒性分子を含み得る。
【0136】
一部の実施形態において、含まれる両親媒性分子は、リン脂質、界面活性剤、脂肪酸、糖類に共有結合で付着した無極性部分もしくはステロール、またはその組み合わせ(例えば、上で論じられる両親媒性分子のタイプから選択される)を含む。
【0137】
一部の実施形態において、両親媒性分子は、リン脂質分子を含むまたはそれからなる。一部の実施形態において、リン脂質分子は、負に帯電したリン脂質、中性リン脂質、正に帯電したリン脂質、またはその組み合わせを含む。一部の実施形態において、リン脂質分子は、複合体におけるアポリポタンパク質分子あたり1~3の正味電荷に寄与する。一部の実施形態において、正味電荷は、負の正味電荷である。一部の実施形態において、正味電荷は、正の正味電荷である。一部の実施形態において、正味電荷は、正の正味電荷である。一部の実施形態において、リン脂質分子は、負に帯電したおよび中性のリン脂質の組み合わせからなる。一部の実施形態において、負に帯電したリン脂質対中性リン脂質のモル比は、1:1~1:3、例えば約1:1、約1:2、または約1:3に及ぶ。一部の実施形態において、負に帯電したリン脂質対中性リン脂質のモル比は、約1:1または約1:2である。一部の実施形態において、中性リン脂質対負に帯電したリン脂質の重量比は、95:5~99:1に及ぶ。
【0138】
一部の実施形態において、複合体は、アンカーである少なくとも1種の両親媒性分子を含む。
【0139】
一部の実施形態において、両親媒性分子は、95:5~99:1の重量比で、中性リン脂質および負に帯電したリン脂質を含む。
【0140】
6.1.5.1.脂質
脂質結合タンパク質ベースの複合体は、1種または複数の脂質を含み得る。様々な実施形態において、1種または複数の脂質は、飽和および/または不飽和、天然および/または合成、帯電したまたは帯電していない、双性イオンまたは非双性イオンであり得る。一部の実施形態において、脂質分子(例えば、リン脂質分子)は、合わせると、複合体において脂質結合タンパク質分子あたり1~3(例えば、1~3、1~2、2~3、1、2、または3)の正味電荷に寄与し得る。一部の実施形態において、正味電荷は負である。他の実施形態において、正味電荷は正である。
【0141】
一部の実施形態において、脂質はリン脂質を含む。リン脂質は、同じであるまたは異なる2本のアシル鎖(例えば、異なる数の炭素原子、アシル鎖間の異なる飽和度、アシル鎖の異なる分岐、またはその組み合わせを有する鎖)を有し得る。脂質は、蛍光プローブを含有するように改変もされ得る(例えば、avantilipids.com/product-category/products/fluorescent-lipids/に記載される)。好ましくは、脂質は、少なくとも1種のリン脂質を含む。
【0142】
リン脂質は、約6~約24個の炭素原子(例えば、6~20、6~16、6~12、12~24、12~20、12~16、16~24、16~20、または20~24個)に及ぶ不飽和または飽和アシル鎖を有し得る。一部の実施形態において、本開示の複合体において使用されるリン脂質は、12、14、16、18、20、22、または24個の炭素の1本または2本のアシル鎖(例えば、同じ長さの2本のアシル鎖または異なる長さの2本のアシル鎖)を有する。
【0143】
リン脂質に含まれ得る、よく見られる脂肪酸に存在するアシル鎖の非限定的な例が、下の表1に提供される。
【0144】
【0145】
本開示の複合体に存在し得る脂質は、小さなアルキル鎖リン脂質、卵ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、1-ミリストイル-2-パルミトイルホスファチジルコリン、1-パルミトイル-2-ミリストイルホスファチジルコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイルホスファチジルコリン、1-ステアロイル-2-パルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(dioleophosphatidylethanolamine)、ジラウロイルホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール、例えばジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジン酸、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリン、脳ホスファチジルセリン、脳スフィンゴミエリン、パルミトイルスフィンゴミエリン、ジパルミトイルスフィンゴミエリン、卵スフィンゴミエリン、ミルクスフィンゴミエリン、フィトスフィンゴミエリン、ジステアロイルスフィンゴミエリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール塩、ホスファチジン酸、ガラクトセレブロシド、ガングリオシド、セレブロシド、ジラウリルホスファチジルコリン、(1,3)-D-マンノシル-(1,3)ジグリセリド、アミノフェニルグリコシド、3-コレステリル-6’-(グリコシルチオ)ヘキシルエーテル糖脂質、ならびにコレステロールおよびその誘導体を含むが、それらに限定されるわけではない。合成パルミトイルスフィンゴミエリンまたはN-パルミトイル-4-ヒドロキシスフィンガニン-1-ホスホコリン(フィトスフィンゴミエリンの一形態)等の合成脂質を使用して、脂質酸化を最小限に抑え得る。
【0146】
一部の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体は、2種のタイプのリン脂質:中性脂質、例えばレシチンおよび/またはスフィンゴミエリン(SMと略される)、ならびに帯電したリン脂質(例えば、負に帯電したリン脂質)を含む。「中性」リン脂質は、生理学的pHで約ゼロの正味電荷を有する。多くの実施形態において、中性リン脂質は双性イオンであるが、とはいえ他のタイプの正味中性リン脂質が公知であり、使用され得る。一部の実施形態において、帯電したリン脂質(例えば、負に帯電したリン脂質)対中性リン脂質のモル比は、1:1~1:3、例えば約1:1、約1:2、または約1:3に及ぶ。
【0147】
中性リン脂質は、例えばレシチンおよび/またはSMの一方または両方を含み得、任意選択で他の中性リン脂質を含み得る。一部の実施形態において、中性リン脂質はレシチンを含むが、SMを含まない。他の実施形態において、中性リン脂質はSMを含むが、レシチンを含まない。なおさらに他の実施形態において、中性リン脂質は、レシチンおよびSMの両方を含む。これらの具体的な例示的な実施形態のすべては、レシチンおよび/またはSMに加えて中性リン脂質を含み得るが、多くの実施形態では、そのような付加的な中性リン脂質を含まない。
【0148】
本明細書において使用するとき、「SM」という表現は、天然供給源に由来するまたはそれから獲得されるスフィンゴミエリン、ならびに天然に存在するSMのように、LCATによる加水分解に影響されない天然に存在するSMの類似体および誘導体を含む。SMは、レシチンと構造が非常に似ているリン脂質であるが、レシチンとは違って、それはグリセロール骨格を有せず、それゆえアシル鎖に付着するエステル連結を有しない。むしろ、SMは、アミド連結がアシル鎖を接続する、セラミド骨格を有する。SMは、例えばミルク、卵、または脳から獲得され得る。SM類似体または誘導体も使用され得る。有用なSM類似体および誘導体の非限定的な例は、パルミトイルスフィンゴミエリン、N-パルミトイル-4-ヒドロキシスフィンガニン-1-ホスホコリン(フィトスフィンゴミエリンの一形態)、パルミトイルスフィンゴミエリン、ステアロイルスフィンゴミエリン、D-エリスロ-N-16:0-スフィンゴミエリンおよびそのジヒドロ異性体のD-エリスロ-N-16:0-ジヒドロ-スフィンゴミエリンを含むが、それらに限定されるわけではない。合成パルミトイルスフィンゴミエリンまたはN-パルミトイル-4-ヒドロキシスフィンガニン-1-ホスホコリン(フィトスフィンゴミエリン)等の合成SMを使用して、動物起源のスフィンゴ脂質よりも少ない夾雑物および/または酸化産物を有するより均質な複合体を産生し得る。SMを合成するための方法は、米国特許出願公開第2016/0075634号明細書に記載される。
【0149】
天然供給源から単離されたスフィンゴミエリンは、1本の特定の飽和または不飽和アシル鎖に人工的に富化され得る。例えば、ミルクスフィンゴミエリン(Avanti Phospholipid、Alabaster、Ala.)は、長い飽和アシル鎖(すなわち、20個またはそれを上回る数の炭素原子を有するアシル鎖)によって特徴付けられる。対照的に、卵スフィンゴミエリンは、短い飽和アシル鎖(すなわち、20個よりも少ない炭素原子を有するアシル鎖)によって特徴付けられる。例えば、ミルクスフィンゴミエリンのほんの約20%が、C16:0(16個の炭素、飽和)アシル鎖を含むのに対して、卵スフィンゴミエリンの約80%が、C16:0アシル鎖を含む。溶媒抽出を使用して、ミルクスフィンゴミエリンの組成を、卵スフィンゴミエリンのものに匹敵するアシル鎖組成を有するように富化し得る、または逆もまた同様。
【0150】
SMは、それが特定のアシル鎖を有するような半合成であり得る。例えば、ミルクスフィンゴミエリンはミルクからまず精製され得、次いで1本の特定のアシル鎖、例えばC16:0アシル鎖が切断され得、別のアシル鎖によって置き換えられ得る。SMは、例えば大規模合成によって、完全にも合成され得る。例えば、1993年6月15日に交付されたSynthesis of D-erythro-sphingomyelinsと題するDongらの米国特許第5,220,043号明細書;Weis, 1999, Chem. Phys. Lipids 102 (1-2):3-12を参照されたい。SMは、例えば米国特許出願公開第2014/0275590号明細書に記載されるように、全くの合成であり得る。
【0151】
半合成または合成SMを含むアシル鎖の長さおよび飽和レベルは、選択的に変動し得る。アシル鎖は、飽和または不飽和であり得、約6~約24個の炭素原子を含有し得る。各鎖は、同じ数の炭素原子を含有し得る、または代替的に、各鎖は、異なる数の炭素原子を含有し得る。一部の実施形態において、半合成または合成SMは、1本の鎖が飽和であり、1本の鎖が不飽和であるような、混合アシル鎖を含む。そのような混合アシル鎖SMにおいて、鎖長は同じであり得るまたは異なり得る。他の実施形態において、半合成または合成SMのアシル鎖は、両方とも飽和または両方とも不飽和のいずれかである。再度、鎖は、同じまたは異なる数の炭素原子を含有し得る。一部の実施形態において、半合成または合成SMを含む両アシル鎖は同一である。具体的な実施形態において、鎖は、例えばオレイン酸、パルミチン酸、またはステアリン酸等の天然に存在する脂肪酸のアシル鎖に相当する。別の実施形態において、飽和または不飽和の官能化された鎖を有するSMが使用される。別の具体的な実施形態において、両アシル鎖は飽和であり、6~24個の炭素原子を含有する。半合成および合成SMに含まれ得る、よく見られる脂肪酸に存在するアシル鎖の非限定的な例は、上の表1に提供される。
【0152】
一部の実施形態において、SMは、C16:0アシル鎖を有する合成パルミトイルSM等のパルミトイルSMである、または主構成要素としてパルミトイルSMを含む卵SMである。
【0153】
具体的な実施形態において、フィトスフィンゴミエリン等の官能化SMが使用される。
【0154】
レシチンは、天然供給源に由来し得るもしくはそれから単離され得る、またはそれは合成で獲得され得る。天然供給源から単離された適切なレシチンの例は、卵ホスファチジルコリンおよび大豆ホスファチジルコリンを含むが、それらに限定されるわけではない。適切なレシチンの付加的な非限定的な例は、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、1-ミリストイル(myristoy1)-2-パルミトイルホスファチジルコリン、1-パルミトイル(palmitoy1)-2-ミリストイルホスファチジルコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイルホスファチジルコリン、1-ステアロイル(stearoy1)-2-パルミトイルホスファチジルコリン、1-パルミトイル-2-オレイルホスファチジルコリン、1-オレイル(oleoy1)-2-パルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、およびそのエーテル誘導体または類似体を含む。
【0155】
天然供給源に由来するまたはそれから単離されたレシチンは、指定のアシル鎖を含むように富化され得る。半合成または合成レシチンを採用する実施形態において、アシル鎖のアイデンティティーは、SMに関連して上で論じられるように、選択的に変動し得る。本明細書に記載される複合体の一部の実施形態において、レシチン上の両アシル鎖は同一である。SMおよびレシチンの両方を含む複合体の一部の実施形態において、SMおよびレシチンのアシル鎖は、すべて同一である。具体的な実施形態において、アシル鎖は、ミリスチン酸(myristitic)、パルミチン酸、オレイン酸、またはステアリン酸のアシル鎖に相当する。
【0156】
本開示の複合体は、1種または複数の負に帯電したリン脂質(例えば、単独で、または1種もしくは複数の中性リン脂質との組み合わせで)を含み得る。本明細書において使用するとき、「負に帯電したリン脂質」とは、生理学的pHで正味の負の電荷を有するリン脂質である。負に帯電したリン脂質は、単一タイプの負に帯電したリン脂質、または2種以上の異なる負に帯電したリン脂質の混合物を含み得る。一部の実施形態において、帯電したリン脂質は、負に帯電したグリセロリン脂質である。適切な負に帯電したリン脂質の具体的な例は、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、およびその塩(例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩)を含むが、それらに限定されるわけではない。一部の実施形態において、負に帯電したリン脂質は、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、および/またはホスファチジン酸のうちの1種または複数を含む。具体的な実施形態において、負に帯電したリン脂質は、ホスファチジルグリセロールの塩またはホスファチジルイノシトールの塩を含むまたはそれからなる。別の具体的な実施形態において、負に帯電したリン脂質は、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール)]、すなわちDPPG、またはその塩を含むまたはそれからなる。
【0157】
負に帯電したリン脂質は、天然供給源から獲得され得るまたは化学合成によって調製され得る。合成の負に帯電したリン脂質を採用する実施形態において、アシル鎖のアイデンティティーは、SMに関連して上で論じられるように、選択的に変動し得る。本開示の複合体の一部の実施形態において、負に帯電したリン脂質上の両アシル鎖は同一である。一部の実施形態において、本開示の複合体に含まれるすべてのタイプのリン脂質のアシル鎖は、すべて同一である。具体的な実施形態において、複合体は、負に帯電したリン脂質、および/またはすべてがC16:0もしくはC16:1アシル鎖を有するSMを含む。具体的な実施形態において、SMの脂肪酸部分は、大部分がC16:1パルミトイルである。1つの具体的な実施形態において、帯電したリン脂質、レシチン、および/またはSMのアシル鎖は、パルミチン酸のアシル鎖に相当する。さらに別の具体的な実施形態において、帯電したリン脂質、レシチン、および/またはSMのアシル鎖は、オレイン酸のアシル鎖に相当する。
【0158】
本開示の複合体に含まれ得る正に帯電したリン脂質の例は、N1-[2-((1S)-1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-4-[ジ(3-アミノ-プロピル)アミノ]ブチルカルボキサミド)エチル]-3,4-ジ[オレイルオキシ]-ベンズアミド、1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン、1,2-ジミリストレオイル(dimyristoleoyl)-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン、1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン、1,2-ジミリストイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン、1,2-ジパルミトイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン、N-(4-カルボキシベンジル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(オレオイルオキシ)プロパン-1-アミニウム、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン、1,2-ステアロイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン、1,2-ジパルミトイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン、1,2-ジミリストイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン、N-[1-(2,3-ジミリスチルオキシ)プロピル]-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムブロミド、N,N,N-トリメチル-2-ビス[(1-オキソ-9-オクタデセニル)オキシ]-(Z,Z)-1プロパンアミニウムメチルサルフェート(sulfate)、およびその塩(例えば、塩化物または臭化物塩)を含む。
【0159】
使用される脂質は、好ましくは少なくとも95%純粋であり、かつ/または低下したレベルの酸化剤(過酸化物等であるがそれに限定されない)を有する。天然供給源から獲得された脂質は、好ましくは、より少ない多価不飽和脂肪酸部分および/または酸化の影響を受けにくい脂肪酸部分を有する。サンプルにおける酸化のレベルは、meq O/kgと略されるkgサンプルあたりの単離ヨウ素のミリ当量数で表現される、過酸化物値を提供するヨウ素滴定法を使用して判定され得る。例えば、Gray, 1978, Measurement of Lipid Oxidation: A Review, Journal of the American Oil Chemists Society 55:539-545;Heaton, F.W. and Ur, Improved Iodometric Methods for the Determination of Lipid Peroxides, 1958, Journal of the Science of Food and Agriculture 9:781-786を参照されたい。好ましくは、酸化のレベル、すなわち過酸化物レベルは低い、例えば5meq O/kg未満、4meq O/kg未満、3meq O/kg未満、または2meq O/kg未満である。
【0160】
複合体は、一部の実施形態において、少分量の付加的な脂質を含み得る。リゾリン脂質、ガラクトセレブロシド、ガングリオシド、セレブロシド、グリセリド、トリグリセリド、ならびにステロールおよびステロール誘導体(例えば、植物ステロール、コレステロール等の動物ステロール、またはコレステロール誘導体等のステロール誘導体)を含むがそれらに限定されない、事実上任意のタイプの脂質が使用され得る。例えば、本開示の複合体は、コレステロールまたはコレステロール誘導体、例えばコレステロールエステルを含有し得る。コレステロール誘導体は、置換コレステロールまたは置換コレステロールエステルでもあり得る。本開示の複合体は、酸化コレステロールまたは酸化ステロール誘導体(酸化コレステロールエステル等であるがそれに限定されない)等であるがそれらに限定されない酸化ステロールも含有し得る。一部の実施形態において、複合体は、コレステロールおよび/またはその誘導体(コレステロールエステルまたは酸化コレステロールエステル等)を含まない。
【0161】
6.1.5.2.界面活性剤
複合体は、1種または複数の界面活性剤を含有し得る。界面活性剤は、双性イオン性、非イオン性、カチオン性、アニオン性、またはその組み合わせであり得る。例示的な双性イオン界面活性剤は、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホナート(propanesulfonate)(CHAPS)、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホナート(propanesulfonate)(CHAPSO)、およびN,N-ジメチルドデシルアミンN-オキシド(LDAO)を含む。例示的な非イオン性界面活性剤は、D-(+)-トレハロース6-モノオレエート(monooleate)、N-オクタノイル-N-メチルグルカミン、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-デカノイル-N-メチルグルカミン、1-(7Z-ヘキサデセノイル)-rac-グリセロール、1-(8Z-ヘキサデセノイル)-rac-グリセロール、1-(8Z-ヘプタデセノイル)-rac-グリセロール、1-(9Z-ヘキサデセノイル)-rac-グリセロール、1-デカノイル-rac-グリセロールを含む。例示的なカチオン性界面活性剤は、(S)-O-メチル-セリンドデシルアミド塩酸塩、塩化ドデシルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、および硫酸セチルトリメチルアンモニウムを含む。例示的なアニオン性界面活性剤は、ヘミコハク酸コレステリル、コール酸塩、硫酸アルキル、およびスルホン酸アルキルを含む。
【0162】
6.1.5.3.脂肪酸
複合体は、1種または複数の脂肪酸を含有し得る。1種または複数の脂肪酸は、5個もしくはそれよりも少ない炭素の脂肪族尾部を有する短鎖脂肪酸(例えば、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、またはイソ吉草酸)、6~12個の炭素の脂肪酸尾部を有する中鎖脂肪酸(例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、またはラウリン酸)、13~21個の炭素の脂肪酸尾部を有する長鎖脂肪酸(例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、またはアラキジン酸)、22個もしくはそれよりも多い炭素の脂肪酸尾部を有する超長鎖脂肪酸(例えば、ベヘン酸、リグノセリン酸、またはセロチン酸)、またはその組み合わせを含み得る。1種または複数の脂肪酸は、飽和(例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、またはセロチン酸)、不飽和(例えば、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸(linoelaidic acid)、α-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、またはドコサヘキサエン酸)、またはその組み合わせであり得る。不飽和脂肪酸は、シスまたはトランス脂肪酸であり得る。一部の実施形態において、本開示の複合体において使用される不飽和脂肪酸はシス脂肪酸である。
【0163】
6.1.5.4.糖類に付着した無極性分子およびステロール
複合体は、糖類(例えば、グルコースもしくはガラクトース等の単糖類、またはマルトースもしくはトレハロース等の二糖類)に付着した無極性分子もしくは部分(例えば、炭化水素鎖、アシルまたはジアシル鎖)またはステロール(例えば、コレステロール)を含む、1種または複数の両親媒性分子を含有し得る。糖類は、改変糖類または置換糖類であり得る。糖類に付着した無極性分子を含む例示的な両親媒性分子は、ドデカン-2-イルオキシ-β-D-マルトシド、トリデカン-3-イルオキシ-β-D-マルトシド、トリデカン-2-イルオキシ-β-D-マルトシド、n-ドデシル-β-D-マルトシド(DDM)、n-オクチル-β-D-グルコシド、n-ノニル-β-D-グルコシド、n-デシル-β-D-マルトシド、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド、4-n-ドデシル-α,α-トレハロース、6-n-ドデシル-α,α-トレハロース、および3-n-ドデシル-α,α-トレハロースを含む。
【0164】
一部の実施形態において、無極性部分はアシルまたはジアシル鎖である。
【0165】
一部の実施形態において、糖類は改変糖類または置換糖類である。
【0166】
6.1.6.アンカー
カーゴ部分を両親媒性または無極性部分に共有結合させて、脂質結合タンパク質ベースの複合体へのカーゴ部分の共役を促し得る。両親媒性および無極性部分は、脂質結合タンパク質ベースの複合体における無極性領域と相互作用し得、それによって、両親媒性および無極性部分に付着したカーゴ部分を複合体に固定する。
【0167】
アンカーとして使用され得る両親媒性部分は、脂質(例えば、第6.1.5.1節に記載される)および脂肪酸(例えば、第6.1.5.3節に記載される)を含む。一部の実施形態において、アンカーは、ステロールまたはステロール誘導体、例えば植物ステロール、動物ステロール、またはビタミン等のステロール誘導体を含む。例えば、コレステロール等のステロールは、カーゴ部分に共有結合され得(例えば、ステロールのA環の3位におけるヒドロキシル基を介して)、複合体にカーゴ部分を固定するために使用され得る。アンカーとして使用され得る無極性部分は、アルキル鎖、アシル鎖、およびジアシル鎖を含む。カーゴ部分は、直接的にまたはリンカーを介して間接的に(例えば、第6.1.7節に記載される二官能性ペプチドまたは他のリンカーを介して)、アンカー部分に共有結合され得る。生物学的に活性であるカーゴ部分は、アンカー(または、アンカーに付着したリンカー)に共有結合しながらそれらの生物学的活性を保持し得、一方で他のものは、生物学的活性を取り戻すために、アンカー(または、アンカーに付着したリンカー)にカーゴ部分を付着させている共有結合の切断(例えば、加水分解による)を要し得る。
【0168】
一部の実施形態において、少なくとも1つのカーゴ部分はアンカーに共役される。一部の実施形態において、アンカーは、両親媒性および/または無極性部分を含む。一部の実施形態において、アンカーは両親媒性部分を含む。一部の実施形態において、両親媒性部分は、複合体における両親媒性分子の1つを含む。一部の実施形態において、両親媒性部分は、脂質、界面活性剤、脂肪酸、糖類に付着した無極性分子、または糖類に付着したステロールを含む。
【0169】
一部の実施形態において、両親媒性部分はステロールを含む。一部の実施形態において、ステロールは、動物ステロールまたは植物ステロールを含む。一部の実施形態において、ステロールはコレステロールを含む。
【0170】
他の実施形態において、アンカーは無極性部分を含む。一部の実施形態において、無極性部分は、アルキル鎖、アシル鎖、またはジアシル鎖を含む。
【0171】
一部の実施形態において、カーゴ部分は、直接結合によってアンカーに共役される。
【0172】
一部の実施形態において、カーゴ部分は、リンカーによってアンカーに共役される。
【0173】
6.1.7.リンカー
リンカーは、Cargomer等のカーゴ担持複合体における他の部分に、例えばアポリポタンパク質分子、両親媒性分子、およびアンカーに、カーゴ部分を共有結合で付着させる原子の鎖を含む。いくつかのリンカー分子が、例えばThermoFisher Scientificから市販されている。適切なリンカーは当業者に周知であり、直鎖状または分岐状炭素リンカー、複素環炭素リンカー、およびペプチドリンカーを含むが、それらに限定されるわけではない。リンカーは、ホモ二官能性またはヘテロ二官能性のいずれかである二官能性リンカーであり得る。
【0174】
適切なリンカーは、切断可能なおよび切断不能なリンカーを含む。
【0175】
リンカーは、切断可能なリンカーであり得、インビボにおけるカーゴ部分の放出を促す。切断可能なリンカーは、酸不安定リンカー(例えば、ヒドラジンまたはcis-アコニチル(aconityl)を含む)、プロテアーゼ感受性(例えば、ペプチダーゼ感受性)リンカー、光解離性リンカー、またはジスルフィド含有リンカー(Chari et al., 1992, Cancer Research 52:127-131;米国特許第5,208,020号明細書)を含む。切断可能なリンカーは、典型的に、細胞内条件下で切断を受けやすい。適切な切断可能なリンカーは、例えば、リソソームプロテアーゼまたはエンドソームプロテアーゼ等の細胞内プロテアーゼによって切断可能なペプチドリンカーを含む。例示的な実施形態において、リンカーは、バリン-シトルリン(val-cit)またはフェニルアラニン-リジン(phe-lys)リンカー等のジペプチドリンカーであり得る。
【0176】
切断可能なリンカーは、pH感受性、すなわちある特定のpH値における加水分解に感受性であり得る。典型的に、pH感受性リンカーは、酸性条件下で加水分解可能である。例えば、リソソームにおいて加水分解可能である酸不安定リンカー(例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、cis-アコニットアミド、オルトエステル、アセタール、ケタール等)が使用され得る。(例えば、米国特許第5,122,368号明細書;第5,824,805号明細書;第5,622,929号明細書;Dubowchik and Walker, 1999, Pharm. Therapeutics 83:67-123;Neville et al., 1989, Biol. Chem. 264:14653-14661を参照されたい)。そのようなリンカーは、血中におけるもの等、中性pH条件下で比較的安定であるが、リソソームのおよそのpHであるpH5.5または5.0より下で不安定である。ある特定の実施形態において、加水分解可能なリンカーは、チオエーテルリンカー(例えば、アシルヒドラゾン結合を介してカーゴ部分に付着したチオエーテル等)である(例えば、米国特許第5,622,929号明細書を参照されたい)。
【0177】
一部の実施形態において、リンカーは、還元条件下で切断可能である(例えば、ジスルフィドリンカー)。例えば、SATA(N-スクシンイミジル-5-アセチルチオアセテート(acetylthioacetate))、SPDP(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(propionate))、SPDB(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)ブチレート(butyrate))、およびSMPT(N-スクシンイミジルオキシカルボニル-アルファ-メチル-アルファ-(2-ピリジル-ジチオ)トルエン)、SPDBおよびSMPTを使用して形成され得るものを含めた、多様なジスルフィドリンカーが当技術分野において公知である(例えば、Thorpe et al., 1987, Cancer Res. 47:5924-5931;Wawrzynczak et al., In Immunoconjugates: Antibody Conjugates in Radioimagery and Therapy of Cancer (C.W. Vogel ed., Oxford U. Press, 1987)を参照されたい)。米国特許第4,880,935号明細書も参照されたい。
【0178】
一部の実施形態において、リンカーは、細胞内環境に(例えば、リソソームまたはエンドソームまたはカベオラ内に)存在する切断剤、例えば酵素によって切断可能である。リンカーは、例えば、リソソームまたはエンドソームプロテアーゼを含むがそれらに限定されない細胞内ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素によって切断されるペプチジルリンカーであり得る。一部の実施形態において、ペプチジルリンカーは、少なくとも2アミノ酸長または少なくとも3アミノ酸長である。切断剤は、カテプシンBおよびDならびにプラスミンを含み得、そのすべては、ジペプチド薬物誘導体を加水分解し、標的細胞の内側で活性薬物の放出をもたらすことが公知である(例えば、Dubowchik and Walker, 1999, Pharm. Therapeutics 83:67-123を参照されたい)。一部の実施形態において、細胞内プロテアーゼによって切断可能なペプチジルリンカーは、Val-CitリンカーまたはPhe-Lysリンカーである。
【0179】
一部の実施形態において、リンカーは、マロネート(malonate)リンカー(Johnson et al., 1995, Anticancer Res. 15:1387-93)、マレイミドベンゾイルリンカー(Lau et al., 1995, Bioorg-Med-Chem. 3(10):1299-1304)、または3’-N-アミド類似体(Lau et al., 1995, Bioorg-Med-Chem. 3(10): 1305-12)である。
【0180】
他の実施形態において、リンカー単位は切断不能であり、カーゴ部分は、例えば複合体分解によって放出される。例示的な切断不能なリンカーは、マレイミドカプロイル、N-スクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(cyclohexanecarboxylate)(SMCC)、およびN-スクシンイミジル-4-(ヨードアセチル)-アミノベンゾエート(aminobenzoate)(SIAB)を含む。
【0181】
一部の実施形態において、カーゴ部分は、リンカーによってアンカー(例えば、第6.1.6節に記載される)に共役される。一部の実施形態において、アンカーにカーゴ部分を共役するリンカーは、二官能性リンカーである。一部の実施形態において、アンカーにカーゴ部分を共役するリンカーは、切断可能なリンカーである。一部の実施形態において、切断可能なリンカーは、バリン-シトルリン(val-cit)またはフェニルアラニン-リジン(phe-lys)リンカー等のジペプチドリンカーである。一部の実施形態において、アンカーにカーゴ部分を共役するリンカーは、切断不能なリンカーである。例示的な切断不能なリンカーは、マレイミドカプロイル、N-スクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(cyclohexanecarboxylate)(SMCC)、およびN-スクシンイミジル-4-(ヨードアセチル)-アミノベンゾエート(aminobenzoate)(SIAB)を含む。
【0182】
6.1.8.眼科薬物
本明細書に記載される方法の一部の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、対象の眼に1種または複数の眼科薬物を送達する担体として使用され得る。一部の実施形態において、1種または複数の眼科薬物はカーゴ部分と見なされ得、複合体の構成要素に非共有結合でまたは共有結合で(例えば、アンカーまたはリンカーを介して)、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)に複合され得る。一部の実施形態において、1種または複数の眼科薬物は、複合体に共有結合で連結されない。1種または複数の眼科薬物を、あらかじめ形成された複合体、例えばあらかじめ形成されたCER-001に付加して、1種または複数の眼科薬物をさらに含む複合体を作製し得る。1種または複数の眼科薬物とあらかじめ形成された複合体との間の複合化は、例えば実施例1に記載されるように、1回または複数の加熱および冷却サイクルを実施することによって促進され得る。代替的に、1種または複数の眼科薬物は、複合体を作製するために使用されるプロセスの間に含まれ得る、例えば、熱循環に供される、脂質結合タンパク質および脂質構成要素を含む開始懸濁液に含まれる。脂質結合タンパク質ベースの複合体を作製するための熱循環プロセスは、国際公開第2012/109162号パンフレットおよび国際公開第2019/030574号パンフレットに記載される。
【0183】
一部の実施形態において、1種または複数の眼科薬物は、ステロイド、キナーゼ阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アルドースレダクターゼ阻害剤、免疫抑制剤、炭酸脱水酵素阻害剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、プロスタグランジン類似体、またはその組み合わせを含む。
【0184】
使用され得る例示的な眼科薬物は、デキサメタゾン、パルミチン酸デキサメタゾン、ジフルプレドナート、エストラジオール、フルオシノロン、フルオロメトロン、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、プレドニゾロン、トリアムシノロン、リメキソロン、およびスピロノラクトン等のステロイド;アキシチニブ、BMS-794833(N-(4-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-5-(4-フルオロフェニル)-4-オキソ-1,4-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド)、カボザンチニブ(carbozantinib)、セジラニブ、ドビチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、モテサニブ、ニンテダニブ、オランチニブ(orantinib)、PD173074(N-[2-[[4-(ジエチルアミノ)ブチル]アミノ]-6-(3,5-ジメトキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-N’-(1,1-ジメチルエチル)ウレア)、パゾパニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、トファシチニブ、およびZM323881(5-((7-ベンジルオキシキナゾリン-4-イル)アミノ)-4-フルオロ-2-メチルフェノール)等のキナーゼ阻害剤;カンデサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、およびバルサルタン等のアンジオテンシンII受容体アンタゴニスト;2-メチルソルビノール(methylsorbinol)等のアルドースレダクターゼ阻害剤;シロリムス、シクロスポリン、およびタクロリムス等の免疫抑制剤;アセタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、エトキシゾラミド、およびメタゾラミド等の炭酸脱水酵素阻害剤;アジスロマイシン、アシクロビル、クロラムフェニコール、クロルテトラサイクリン、シプロフロキサシン、フシジン酸、ガンシクロビル(gancyclovir)、ノルフロキサシン、オフロキサシン、テトラサイクリン、およびジドブジン等の抗微生物剤、抗真菌剤、および抗ウイルス剤;レボカバスチン等の抗ヒスタミン薬;ブロムフェナク、ジクロフェナク、インドメタシン、およびネパフェナク等の非ステロイド性抗炎症薬;ならびにラタノプロスト、トラボプロスト(travaprost)、ビマトプロスト、およびタフルプロスト等のプロスタグランジン類似体を含むが、それらに限定されるわけではない。
【0185】
一部の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体は、ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロスト、タフルプロスト、またはその組み合わせ等のプロスタグランジン類似体を含む。具体的な実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体はラタノプロストを含む。別の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体はトラボプロストを含む。別の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体はビマトプロストを含む。別の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体はタフルプロストを含む。
【0186】
一部の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体は、デキサメタゾン、アキシチニブ、セジラニブ、ドビチニブ、モテサニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブ、ロサルタン、オルメサルタン、ドルゾラミド、ジクロフェナク、ネパフェナク、またはその組み合わせを含む。
【0187】
他の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体はアジスロマイシンを含む。
【0188】
他の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体はスピロノラクトンを含む。
【0189】
他の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体はパルミチン酸デキサメタゾンを含む。
【0190】
他の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体はシクロスポリンを含む。
【0191】
他の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体はデキサメタゾンを含む。
【0192】
他の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体はエタボン酸ロテプレドノールを含む。
【0193】
他の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体はトリアムシノロンを含む。
【0194】
他の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体はアシクロビルを含む。
【0195】
他の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体はパゾパニブを含む。
【0196】
他の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体はシロリムスを含む。
【0197】
他の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体はタクロリムスを含む。
【0198】
他の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体はネパフェナクを含む。
【0199】
6.1.8.1.CER-001および眼科薬物組み合わせ
本明細書に開示されるように、CER-001は、対象の眼に1種または複数の眼科薬物を送達する薬物担体として使用され得る。したがって、本開示は、CER-001および1種または複数の眼科薬物、例えば疎水性(hydropobic)でかつ/または難水溶性もしくは非水溶性である1種または複数の薬物を含む組成物を提供する。
【0200】
1つの実施形態において、組成物は、CER-001およびステロイドを含む。一部の実施形態において、組成物は、CER-001およびデキサメタゾンを含む。一部の実施形態において、組成物は、CER-001およびパルミチン酸デキサメタゾンを含む。一部の実施形態において、組成物は、CER-001およびエタボン酸ロテプレドノールを含む。一部の実施形態において、組成物は、CER-001およびトリアムシノロンを含む。
【0201】
別の実施形態において、組成物は、CER-001および抗微生物剤、抗真菌剤、または抗ウイルス剤を含む。一部の実施形態において、組成物は、CER-001およびアジスロマイシンを含む。一部の実施形態において、組成物は、CER-001およびアシクロビルを含む。
【0202】
別の実施形態において、組成物は、CER-001およびプロスタグランジン類似体を含む。一部の実施形態において、組成物は、CER-001およびラタノプロストを含む。一部の実施形態において、組成物は、CER-001およびトラボプロストを含む。一部の実施形態において、組成物は、CER-001およびビマトプロストを含む。一部の実施形態において、組成物は、CER-001およびタフルプロストを含む。
【0203】
別の実施形態において、組成物は、CER-001およびキナーゼ阻害剤を含む。一部の実施形態において、組成物は、CER-001およびパゾパニブを含む。
【0204】
別の実施形態において、組成物は、CER-001および免疫抑制剤を含む。一部の実施形態において、組成物は、CER-001およびシロリムスを含む。一部の実施形態において、組成物は、CER-001およびタクロリムスを含む。
【0205】
別の実施形態において、組成物は、CER-001および非ステロイド性抗炎症薬を含む。一部の実施形態において、組成物は、CER-001およびネパフェナクを含む。
【0206】
さらなる実施形態において、組成物は、CER-001およびスピロノラクトンを含む。
【0207】
別の実施形態において、組成物は、CER-001およびシクロスポリンを含む。
【0208】
この第6.1.8.1節に記載される組成物は、例えば第6.1.9節に記載される任意の適切な手段によって、例えばCER-001および眼科薬物を含む混合物を熱循環させることによって調製され得る。組成物は、局所投与、例えば局部投与または眼球内投与等の投与の意図される経路に対して適切に製剤化され得る。眼球内投与のための組成物は、例えば眼球内注射、例えば硝子体内注射、結膜下注射、傍眼球注射、眼球周囲注射、または眼球後注射による投与に対して製剤化され得る。局部投与に関して、組成物は、例えば点眼薬としての投与に対して製剤化され得る。
【0209】
6.1.9.製剤
脂質結合タンパク質ベースの複合体は、例えば当技術分野において公知の技法(例えば、Allen et al., eds., 2012, Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 22nd Edition, Pharmaceutical Press, London, UKに記載される)に従って、投与の意図される経路に対して製剤化され得る。一部の実施形態において、製剤は、CER-001等の脂質結合タンパク質ベースの複合体、および1種または複数の眼科薬物、例えば第6.1.8節に記載される1種または複数の眼科薬物を含む。
【0210】
注入による投与を意図されるCER-001は、例えば国際公開第2012/109162号パンフレットに記載されるように、スクロースおよびマンニトール賦形剤を有するリン酸緩衝液中に製剤化され得る。局部投与を意図される脂質結合タンパク質ベースの複合体の製剤は、例えば担体、安定剤、賦形剤、およびその組み合わせを含み得る。局部製剤(例えば、点眼薬)は、リン酸塩、クエン酸塩、または他の無機酸緩衝剤等の緩衝剤、アスコルビン酸および/またはメチオニン等の抗酸化物質、防腐剤、低分子量ポリペプチド、ゼラチン、血清アルブミン、または免疫グロブリン等のタンパク質、PVP等の親水性ポリマー、アミノ酸、単糖もしくは二糖または他の炭水化物、キレート剤、糖類、非イオン性界面活性物質等を含み得る。
【0211】
一部の実施形態において、局部製剤はオスモル濃度調整剤を含む。一部の実施形態において、オスモル濃度調整剤は塩化ナトリウムである。
【0212】
一部の実施形態において、局部製剤は防腐剤を含む。一部の実施形態において、防腐剤は、塩化ベンザルコニウム、セトリモニウム、過ホウ酸ナトリウム、安定化オキシクロロ複合体、SofZia、ポリクオタニウム-1、クロロブタノール、エデト酸二ナトリウム、ポリヘキサメチレンビグアナイド、またはその組み合わせである。
【0213】
一部の実施形態において、局部製剤は緩衝剤を含む。一部の実施形態において、緩衝剤は、ホウ酸塩、ホウ酸塩-ポリオール複合体、コハク酸塩、リン酸塩緩衝化剤、クエン酸塩緩衝化剤、酢酸塩緩衝化剤、炭酸塩緩衝化剤、有機緩衝化剤、アミノ酸緩衝化剤、およびその組み合わせから選択される。
【0214】
一部の実施形態において、局部製剤は張度調整剤を含む。一部の実施形態において、張度調整剤は、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、スクロース、ウレア、プロピレングリコール、グリセリン、トレハロース、およびその組み合わせから選択される。
【0215】
眼球内投与を意図される脂質結合タンパク質ベースの複合体、例えばCER-001の製剤は、例えば担体、安定剤、増粘剤(viscosifier)、オスモル濃度調整剤、緩衝剤、およびその組み合わせを含み得る。一部の実施形態において、眼球内製剤はオスモル濃度調整剤を含む。オスモル濃度調整剤の例は塩化ナトリウムである。一部の実施形態において、眼球内製剤は緩衝剤を含む。緩衝剤の例は、ホウ酸塩、ホウ酸塩-ポリオール複合体、コハク酸塩、リン酸塩緩衝化剤、クエン酸塩緩衝化剤、酢酸塩緩衝化剤、炭酸塩緩衝化剤、有機緩衝化剤、アミノ酸緩衝化剤、およびその組み合わせを含む。
【0216】
一部の実施形態において、CER-001を含む製剤(任意選択で、CER-001は1種または複数の眼科薬物のための担体として使用される)は、タンパク質重量ベースで0.5mg/ml~8mg/ml(例えば、0.5mg/ml、0.8mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、前述の値のいずれか2つによって境界される任意の域)の濃度のCER-001を含み得る。一部の実施形態において、CER-001を含む製剤は、少なくとも1mg/ml、少なくとも2mg/ml、少なくとも3mg/ml、少なくとも4mg/ml、少なくとも5mg/ml、少なくとも6mg/ml、少なくとも7mg/ml、または少なくとも8mg/ml(タンパク質重量ベースで)の濃度のCER-001を含み得る。
【0217】
脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)および1種または複数の眼科薬物の製剤は、例えば脂質結合タンパク質ベースの複合体および1種または複数の眼科薬物を含む混合物を熱循環させることによって産生され得る。例えば、混合物は、(a)第1の温度域における温度から第2の温度域における温度に加熱され得、次いで(b)第2の温度域における温度から第1の温度域における温度に冷却され得、次いで(c)任意選択で、1回または複数の付加的な加熱および冷却サイクル、例えば合計2、3、4、5、または6回の加熱および冷却サイクルに供され得る。代替的に、混合物は、(a)第2の温度域における温度から第1の温度域における温度に冷却され得、次いで(b)第1の温度域における温度から第2の温度域における温度に加熱され得、次いで(c)任意選択で、1回または複数の付加的な冷却および加熱サイクル、例えば合計2、3、4、5、または6回の冷却および加熱サイクルに供され得る。第1の温度域は、一部の実施形態において、30℃~45℃(例えば、35℃~45℃、30℃~35℃、35℃~40℃、または40℃~45℃)の温度を含み得る。第2の温度域は、一部の実施形態において、50℃~65℃(例えば、50℃~60℃、50℃~55℃、または55℃~60℃)の温度を含み得る。一部の実施形態において、熱循環は、例えば実施例1に記載されるように、37℃~55℃の間の熱循環を含む。したがって、一部の態様において、本開示は、脂質結合タンパク質ベースの複合体および1種または複数の眼科薬物を含む混合物を熱循環させるステップを含むプロセスによって産生される、CER-001等の脂質結合タンパク質ベースの複合体および1種または複数の眼科薬物を含む組成物を提供する。
【0218】
6.2.対象集団
本明細書に記載される方法に従って治療され得る対象は、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトである。
【0219】
一部の態様において、対象は、眼疾患、例えば脂質蓄積、例えば眼球脂質沈着と関連した眼疾患に対する療法を必要とする対象であり得る。一部の場合には、脂質は、眼内または眼付近に蓄積し得る。本開示の方法によって治療され得る、脂質蓄積と関連した例示的な眼疾患は、マイボーム腺機能不全または涙腺機能不全と関連したドライアイ疾患等のドライアイ疾患、眼瞼炎、ぶどう膜炎、脂肪性角膜症(例えば、続発性脂肪性角膜症、例えば以前の眼球疾患または傷害に続発する脂肪性角膜症)および角膜ジストロフィー(例えば、遺伝性角膜ジストロフィー、前角膜もしくは表層角膜ジストロフィー、角膜実質ジストロフィー(stromal corneal dystrophy)、または後部角膜ジストロフィー)等の角膜の疾患、魚眼病等のLCAT欠損症と関連した眼疾患、乾性黄斑変性症(乾性AMD)、シュタルガルト病、ならびにレーバー特発性星芒状視神経網膜炎を含む。例えばLCAT欠損症を有する対象における、角膜における脂質沈着は、機能障害、例えばぼやけた視界を引き起こし得る。
【0220】
一部の態様において、対象は、ぶどう膜炎(例えば、前部ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎、または汎ぶどう膜炎)または強膜炎等の炎症性眼疾患を有する。
【0221】
一部の実施形態において、本開示の方法および/または投薬レジメンに従って治療される対象はLCAT欠損症を有し、任意選択で、対象を治療するために使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-001である。対象は、LCAT変異に対してホモ接合性またはヘテロ接合性であり得る。一部の実施形態において、本開示の方法および/または投薬レジメンに従って治療される対象は魚眼病を有する。魚眼病を有する対象は、典型的に、両側性角膜混濁を発症し、視覚障害、例えば正常と比較して対比感度の減少、および/またはぼやけた視界を有し得る。角膜混濁およびその進行または退縮(例えば、本明細書に記載される治療に応答した)は、例えば種々の時点で撮影された対象の眼の細隙灯画像を比較することによって、定性的に評価され得る。角膜混濁は、例えば前部光干渉断層撮影(OCT)によって定量的にも評価され得る(参照によりその全体として本明細書に組み込まれる、Kanai et al., 2018, American Journal of Ophthalmology Case Reports, 10:137-141を参照されたい)。視覚機能は、例えば標準的テストチャート(例えば、CSV-1000Eチャート;Vector Vision Co.、Greenville、OH)を使用して対象の対比感度を測定することによって査定され得る。ストレイライト(straylight)測定を使用して、もやのかかった視界またはギラギラ光る障害物の増加につながり得る、網膜像にわたるストレイライトの覆いをもたらす光散乱を定量し得る。ストレイライトは、ストレイライトメーター(例えば、Oculus GmbH製のC-Quant、Wetzlar、Germany)を使用して測定され得る。ある特定の実施形態において、本開示の方法は、例えば角膜混濁、対比感度、ストレイライト値、またはその組み合わせによって測定される、対象の魚眼病の重症度を低下させ得る。
【0222】
一部の実施形態において、対象はLCAT欠損症を有しない。
【0223】
一部の実施形態において、対象は、魚眼病以外である眼疾患、例えば魚眼病以外の本明細書に記載される眼疾患を有し、任意選択で、対象を治療するために使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-001である。
【0224】
一部の実施形態において、対象は、シュタルガルト病等の遺伝性疾患を有し、任意選択で、対象を治療するために使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-001である。
【0225】
一部の実施形態において、対象は、黄斑変性症、例えば乾性AMDまたは滲出性AMDを有し、任意選択で、対象を治療するために使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-001である。他の実施形態において、対象は、黄斑変性症以外である眼疾患、例えば黄斑変性症以外の本明細書に記載される眼疾患を有する。
【0226】
一部の実施形態において、対象は糖尿病性網膜症を有し、任意選択で、対象を治療するために使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-001である。一部の実施形態において、糖尿病性網膜症を有する対象は、糖尿病性黄斑浮腫を有する。
【0227】
一部の実施形態において、対象は網膜静脈閉塞を有する。
【0228】
一部の実施形態において、対象はドライアイ疾患(例えば、重度のドライアイ疾患)を有する。一部の実施形態において、対象は、マイボーム腺機能不全(MBD)、例えば閉塞性MGDを有する。他の実施形態において、対象は涙腺機能不全を有する。一部の実施形態において、対象は眼瞼炎を有する。一部の実施形態において、対象は、ぶどう膜炎(例えば、細菌感染によって引き起こされる)を有する。一部の実施形態において、対象は脂肪性角膜症を有する。一部の実施形態において、この段落に記載される眼疾患の1種を有する対象を治療するために使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-001である。
【0229】
一部の実施形態において、対象は、眼内および/または眼付近に存在する脂質沈着を含む眼球脂質沈着を有する。1つの実施形態において、脂質沈着は、角膜脂質沈着、網膜脂質沈着、眼瞼脂質沈着、またはその組み合わせである。一部の実施形態において、この段落に記載される眼疾患の1種を有する対象を治療するために使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-001である。
【0230】
一部の実施形態において、対象は、角膜におけるおよび/または網膜における脂質沈着を有する。角膜における脂質沈着は、視覚障害、例えばぼやけた視界を引き起こし得る。乾性AMDにおけるドルーゼンまたはシュタルガルト病におけるリポフスチン等、網膜における脂質沈着は、網膜の変性につながり得る。一部の実施形態において、この段落に記載される眼疾患の1種を有する対象を治療するために使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-001である。
【0231】
一部の実施形態において、対象は、まぶた上の脂質沈着である眼瞼脂質沈着を有する。
【0232】
一部の実施形態において、脂質沈着はドルーゼン沈着内にある。ドルーゼンは、網膜色素上皮(RPE)の基底膜とブルッフ膜の内部コラーゲン層との間に位置する細胞外残屑の限局性沈着である。ほとんどのドルーゼンは硬性タイプのものであり、それは、固体の内部および均質な内容物、ならびに47μmの中央径を有するドーム型であり得る。硬性ドルーゼンは、豊富なエステル化コレステロール、非エステル化コレステロール、ホスファチジルコリン、およびアポリポタンパク質Bを含有する、直径約60~90nmの脂質粒子を含む。数個の硬性ドルーゼンの存在は、高齢になるにつれて正常である。黄斑におけるより大きくかつより多数のドルーゼンの存在は、加齢黄斑変性症(AMD)の一般的な初期兆候である。
【0233】
1つの実施形態において、脂質沈着はリポフスチン顆粒である。リポフスチン顆粒は、有糸分裂後RPEリソソームコンパートメントに蓄積する。リポフスチン顆粒は、N-レチニリデン-N-レチニル-エタノールアミン(A2E)を主に含む。リポフスチン顆粒の存在は、シュタルガルト病の兆候である。
【0234】
1つの実施形態において、脂質沈着は、コレステロール貯留、とりわけ角膜におけるコレステロール貯留である。LCATの遺伝性欠損症を有する個体において、コレステロールは、角膜実質の細胞外結合組織マトリックス内に蓄積する。通常、そのようなコレステロール貯留は、直径0.2~2.5μmを有する。
【0235】
1つの実施形態において、眼球脂質沈着は石灰化されていない。
【0236】
眼球脂質沈着の存在は、網膜の細隙灯写真撮影、ハイデルベルク網膜断層撮影(HRT)スキャン、光干渉断層撮影(OCT)、眼底自発蛍光イメージング、細隙灯による眼底のうちの1つまたは複数によって判定され得る。とりわけ、ドルーゼンは、網膜の細隙灯写真撮影、HRTスキャン、および/またはOCTによって観察され得;リポフスチン顆粒は、眼底自発蛍光イメージングによって観察され得;角膜におけるコレステロール貯留は、細隙灯によって観察され得る。
【0237】
本明細書に記載される脂質結合タンパク質複合体の使用は、対象の眼疾患の重症度を低下させ得る。理論によって進んで拘束されることなく、脂質結合タンパク質複合体は、眼球沈着物に蓄積した脂質を可溶化し得、それらの排除につながると考えられる。
【0238】
一部の実施形態において、本明細書に記載される脂質結合タンパク質複合体の使用は、眼球脂質沈着の数を低下させ得る。一部の実施形態において、本明細書に記載される脂質結合タンパク質複合体の使用は、眼球脂質沈着のサイズを低下させ得る。
【0239】
脂質沈着の数および/またはサイズの低下は、例えば、網膜の細隙灯写真撮影、ハイデルベルク網膜断層撮影(HRT)スキャン、光干渉断層撮影(OCT)、眼底自発蛍光イメージング、細隙灯による眼底等、脂質結合タンパク質複合体の投与の前、および投与の間または後に実施される検査の結果を比較することによって、定性的に評価され得る。脂質沈着の数および/またはサイズの低下は、上記の方法によって定量的にも評価され得る。
【0240】
代替的に、脂質沈着の数および/またはサイズの低下は、リポタンパク質複合体の投与の前、および投与の間または後に獲得される、角膜混濁、対比感度、ストレイライト値、またはその組み合わせの結果または測定値を比較することによって間接的に判定され得る。
【0241】
ある特定の実施形態において、眼疾患の重症度の低下は、例えば、角膜混濁、対比感度、ストレイライト値、またはその組み合わせの評価によって測定され得る。
【0242】
1つの実施形態において、対象は、眼球脂質沈着に起因した、ぼやけた視界を含めた損なわれた視界を有し、リポタンパク質複合体の量は、対象の視界を改善する量である。
【0243】
1つの実施形態において、対象は、角膜における脂質沈着に起因した角膜混濁を有する。本明細書に記載される脂質結合タンパク質複合体を用いた治療は、対象の角膜の混濁を低下させ得る。角膜混濁およびその進行または退縮(例えば、本明細書に記載される治療に応答した)は、例えば種々の時点で撮影された対象の眼の細隙灯画像を比較することによって、定性的に評価され得る。角膜混濁は、例えば前部光干渉断層撮影(OCT)によって定量的にも評価され得る(参照によりその全体として本明細書に組み込まれる、Kanai et al., 2018, American Journal of Ophthalmology Case Reports, 10:137-141を参照されたい)。視覚機能は、例えば標準的テストチャート(例えば、CSV-1000Eチャート;Vector Vision Co.、Greenville、OH)を使用して患者の対比感度を測定することによって査定され得る。ストレイライト測定を使用して、もやのかかった視界またはギラギラ光る障害物の増加につながり得る、網膜像にわたるストレイライトの覆いをもたらす光散乱を定量し得る。ストレイライトは、ストレイライトメーター(例えば、Oculus GmbH製のC-Quant、Wetzlar、Germany)を使用して測定され得る。
【0244】
1つの実施形態において、投与される脂質結合タンパク質複合体の量は、患者の角膜の混濁を低下させるのに有効な量である。
【0245】
1つの実施形態において、投与される脂質結合タンパク質複合体の量は、患者の対比感度を改善するのに有効である。
【0246】
1つの実施形態において、投与される脂質結合タンパク質複合体の量は、患者のストレイライト値を低下させるのに有効である。
【0247】
他の態様において、対象は、眼疾患(脂質蓄積と関連した疾患であり得るが、必ずしもそれではない)を有し、脂質結合タンパク質ベースの複合体は、対象の眼に1種または複数の眼科薬物を送達する薬物担体として使用される。例えば、対象は、前眼病態または後眼病態、例えばぶどう膜炎(例えば、細菌感染によって引き起こされる)、黄斑浮腫、黄斑変性症、網膜剥離、眼腫瘍、真菌感染症、ウイルス感染症、細菌性結膜炎もしくはトラコーマ等の細菌感染症、多巣性脈絡膜炎、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、交感性眼炎、フォークト・小柳・原田(VKH)症候群、ヒストプラスマ症、ぶどう膜拡散、血管閉塞、眼内炎、または緑内障を有し得る。
【0248】
6.2.1.ぶどう膜炎を治療することにおける使用のためのCER-001
細菌感染によって引き起こされ得るまたは引き起こされ得ない、ぶどう膜炎(例えば、前部ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎、または汎ぶどう膜炎)等の炎症性眼疾患は、CER-001の投与によって治療され得る。ぶどう膜炎を治療するためのCER-001の使用は、それを必要とする対象に治療有効量のCER-001、例えばぶどう膜炎の重症度を低下させる(例えば、ぶどう膜炎の1つまたは複数の症状を緩和することによって)量を投与することによって遂行され得る。CER-001は、投与の意図される経路に対して適切に製剤化され得る。例示的な製剤は、第6.1.9節に記載される。ぶどう膜炎の治療に関して、それを必要とする対象への局部投与または眼球内投与等、CER-001の局所投与が好ましい。眼球内投与は、例えば眼球内注射、例えば硝子体内注射、結膜下注射、傍眼球注射、眼球周囲注射、または眼球後注射によるものであり得る。局部投与に関して、CER-001は、例えば点眼薬として投与され得る。実施例3および4に示されるように、繰り返しの投与を用いてさえ、CER-001の良好な眼球忍容性が観察された。
【0249】
一部の実施形態において、CER-001は、上の第6.3節、第6.4節、および第6.5節のうちの1つまたは複数に記載される投薬レジメンに従った、それを必要とする対象におけるぶどう膜炎の治療に使用され得る。例えば、CER-001は、第6.3節に記載される誘導レジメンに従った、それを必要とする対象におけるぶどう膜炎の治療に使用され得る。代替的にまたは加えて、CER-001は、第6.4節に記載される強化レジメンに従った、それを必要とする対象におけるぶどう膜炎の治療に使用され得る。代替的にまたは加えて、CER-001は、第6.5節に記載される維持レジメンに従った、それを必要とする対象におけるぶどう膜炎の治療に使用され得る。一部の実施形態において、CER-001は、第6.3節に記載される誘導レジメン;および/または第6.4節に記載される強化レジメン;および/または第6.5節に記載される維持レジメンに従った、それを必要とする対象におけるぶどう膜炎の治療に使用され得る。
【0250】
6.2.2.眼疾患を治療することにおける使用のための眼科薬物とのCER-001
一部の実施形態において、細菌感染によって引き起こされ得るまたは引き起こされ得ない、ぶどう膜炎(例えば、前部ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎、または汎ぶどう膜炎)等の炎症性眼疾患は、CER-001およびデキサメタゾンを含む組成物、CER-001およびパルミチン酸デキサメタゾンを含む組成物、またはCER-001およびタクロリムスを含む組成物の投与によって治療され得る。ぶどう膜炎を治療するためのそのような組成物の使用は、それを必要とする対象に治療有効量の組成物、例えばぶどう膜炎の重症度を低下させる(例えば、ぶどう膜炎の1つまたは複数の症状を緩和することによって)量を投与することによって遂行され得る。組成物は、投与の意図される経路に対して適切に製剤化され得る。例示的な製剤は、第6.1.9節に記載される。ぶどう膜炎の治療に関して、それを必要とする対象への局部投与または眼球内投与等、組成物の局所投与が好ましい。眼球内投与は、例えば眼球内注射、例えば硝子体内注射、結膜下注射、傍眼球注射、眼球周囲注射、または眼球後注射によるものであり得る。局部投与に関して、組成物は、例えば点眼薬として投与され得る。実施例3および4に示されるように、繰り返しの投与を用いてさえ、そのような組成物の良好な眼球忍容性が観察された。
【0251】
一部の実施形態において、CER-001およびデキサメタゾンを含む組成物、CER-001およびパルミチン酸デキサメタゾンを含む組成物、またはCER-001およびタクロリムスを含む組成物は、上の第6.3節、第6.4節、および第6.5節のうちの1つまたは複数に記載される投薬レジメンに従った、それを必要とする対象におけるぶどう膜炎の治療に使用され得る。例えば、組成物は、第6.3節に記載される誘導レジメンに従った、それを必要とする対象におけるぶどう膜炎の治療に使用され得る。代替的にまたは加えて、組成物は、第6.4節に記載される強化レジメンに従った、それを必要とする対象におけるぶどう膜炎の治療に使用され得る。代替的にまたは加えて、組成物は、第6.5節に記載される維持レジメンに従った、それを必要とする対象におけるぶどう膜炎の治療に使用され得る。一部の実施形態において、組成物は、第6.3節に記載される誘導レジメン;および/または第6.4節に記載される強化レジメン;および/または第6.5節に記載される維持レジメンに従った、それを必要とする対象におけるぶどう膜炎の治療に使用され得る。
【0252】
CER-001およびデキサメタゾンを含む組成物、ならびにCER-001およびパルミチン酸デキサメタゾンを含む組成物は、黄斑変性症および乾性黄斑浮腫等の他の眼疾患を治療する(例えば、疾患の1つまたは複数の症状を緩和することによって)ためにも使用され得る。CER-001およびタクロリムスを含む組成物は、他の眼疾患、例えばドライアイ疾患、例えば重度のドライアイ疾患を治療する(例えば、疾患の1つまたは複数の症状を緩和することによって)ためにも使用され得る。
【0253】
CER-001およびデキサメタゾンを含む組成物、CER-001およびパルミチン酸デキサメタゾンを含む組成物、ならびにCER-001およびタクロリムスを含む組成物は、一部の実施形態において、例えば第6.1.9節に記載されるように、CER-001およびそれぞれの薬物を含む混合物を熱循環させることによって作製され得る。
【0254】
6.3.誘導レジメン
本開示の方法における使用に適切な誘導レジメンは、各投与の間に1日または複数日によって隔てられた、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の複数回の用量を投与するステップを伴う。
【0255】
誘導レジメンは、典型的に、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の少なくとも3回の用量を含むが、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の4回以上の用量、例えば、5、6、7、8、9、10、11、または12回の用量を含み得る。
【0256】
誘導レジメンは、1週間もしくは複数週間、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、または10週間以上続き得る。
【0257】
例えば、誘導レジメンは、
1週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の3回の用量;
2週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の3回の用量;
3週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の3回の用量;
2週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の4回の用量;
3週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の4回の用量;
2週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の5回の用量;
3週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の5回の用量;
4週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の5回の用量;
2週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の6回の用量;
3週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の6回の用量;
4週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の6回の用量;
3週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の7回の用量;
4週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の7回の用量;
5週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の7回の用量;
3週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の8回の用量;
4週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の8回の用量;
5週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の8回の用量;
3週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の9回の用量;
4週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の9回の用量;
5週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の9回の用量;
6週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の9回の用量;
4週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の10回の用量;
5週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の10回の用量;
6週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の10回の用量;または
7週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の10回の用量
を投与するステップを含み得る。
【0258】
一実施形態において、誘導レジメンは、1週間あたり脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の2回の用量~1週間あたり5回の用量を含む。
【0259】
一実施形態において、誘導レジメンは、3週間にわたって、例えば1、2、4、7、9、11、14、16、および18日目に、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の9回の用量を投与するステップを含む。
【0260】
実際には、例えば、1週間あたり複数回投薬の投薬スケジュールにわずかなばらつきを適合させるために、投与ウィンドウが提供され得る。例えば、投薬日前後±2日間または±1日間のウィンドウが使用され得る。
【0261】
誘導レジメンにおいて注入によって投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の治療用量は、タンパク質重量ベースで4~30mg/kgに及び得る(例えば、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、もしくは30mg/kg、または前述の値のいずれか2つによって境界される任意の域、例えば5~15mg/kg、10~20mg/kg、もしくは15~25mg/kg)。本明細書において使用するとき、「タンパク質重量ベース」という表現は、対象に投与されるべき脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量が、投与されるべき脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)における脂質結合タンパク質(例えば、ApoA-I)の量および対象の重量に基づいて算出されることを意味する。例えば、70kgの重さがありかつ10mg/kg用量のCER-001を受けるべきである対象は、700mgのApoA-I(70kg×10mg/kg)を提供する量のCER-001を受けるであろう。一部の実施形態において、誘導レジメンにおいて使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は8mg/kgである。一部の実施形態において、誘導レジメンは、8mg/kgの用量で3週間にわたって投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の9回の用量を含む。一部の実施形態において、誘導レジメンにおいて使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は10mg/kgである。一部の実施形態において、誘導レジメンにおいて使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は15mg/kgである。一部の実施形態において、誘導レジメンにおいて使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は20mg/kgである。一部の実施形態において、誘導レジメンは、3週間わたって投与される、10mg/kgの用量での脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の9回の用量を含む。眼科薬物を送達するために使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は、治療有効量の薬物を送達する用量であり得る。
【0262】
さらに他の態様において、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、単位投薬量ベースで投与され得る。誘導相において使用される単位投薬量は、注入による投与あたり300mg~3000mgで変動し得る。
【0263】
特定の実施形態において、誘導相の間に使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の投薬量は、注入による投与あたり300mg~1500mg、400mg~1500mg、500mg~1200mg、または500mg~1000mgである。
【0264】
特定の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、IV注入として投与される。例えば、CER-001のストック溶液は、生理学的食塩水(0.9%NaCl)等の生理食塩水(normal saline)中125~250mlの総容量に希釈され得る。好ましい実施形態において、80kg未満の重さがある対象は、125mlの総容量を有するであろう一方で、少なくとも80kgの重さがある対象は、250mlの総容量を有するであろう。脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、250ml/時間の固定速度で注入ポンプを使用して1時間の期間にわたって投与され得る。対象の必要性に応じて、投与は、1時間よりも長い継続期間(例えば、最高2時間)を有した緩徐な注入による、1時間もしくはそれ未満の急速な注入による、または単回ボーラス注射によるものであり得る。
【0265】
代替的な実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、例えば眼球内注射または局部投与によって、眼に局所的に投与される。脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)のストック溶液は、投与の前に適切な希釈剤に希釈され得る。適切な希釈剤は、生理学的食塩水(0.9%NaCl)等の生理食塩水(normal saline)を含む。一部の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体は、点眼薬として製剤化されている。
【0266】
6.4.強化レジメン
本開示の方法における使用に適切な強化レジメンは、各用量の間に1日またはそれを上回る期間、例えば各投与の間に2日間またはそれを上回る期間によって隔てられた、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の複数回の用量を投与するステップを伴う。
【0267】
強化レジメンは、典型的に、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の少なくとも2回の用量を含むが、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の3回以上の用量、例えば、4、5、6、7、8、9、または10回を含み得る。
【0268】
強化レジメンは、1週間もしくは複数週間、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、または10週間以上続き得る。
【0269】
例えば、強化レジメンは、
1週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の2回の用量;
2週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の2回の用量;
2週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の3回の用量;
3週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の3回の用量;
2週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の4回の用量;
3週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の4回の用量;
3週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の5回の用量;
4週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の5回の用量;
5週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の5回の用量;
3週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の6回の用量;
4週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の6回の用量;
5週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の6回の用量;
4週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の7回の用量;
5週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の7回の用量;
6週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の7回の用量;
4週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の8回の用量;
5週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の8回の用量;
6週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の8回の用量;
4週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の9回の用量;
5週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の9回の用量;
6週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の9回の用量;
6週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の9回の用量;
4週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の10回の用量;
5週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の10回の用量;
6週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の10回の用量;または
7週間にわたる脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の10回の用量
を投与するステップを含み得る。
【0270】
一実施形態において、強化レジメンは、1週間あたり脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の2回の用量~1週間あたり5回の用量を含む。
【0271】
一実施形態において、強化レジメンは、3週間にわたって、例えば1日目の誘導レジメンから始まる治療レジメンの21、24、28、31、35、および38日目に、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の6回の用量を投与するステップを含む。
【0272】
実際には、例えば、1週間あたり複数回投薬の投薬スケジュールにわずかなばらつきを適合させるために、投与ウィンドウが提供され得る。例えば、投薬日前後±2日間または±1日間のウィンドウが使用され得る。
【0273】
強化レジメンにおいて注入によって投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の治療用量は、タンパク質重量ベースで4~30mg/kgに及び得る(例えば、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、もしくは30mg/kg、または前述の値のいずれか2つによって境界される任意の域、例えば5~15mg/kg、10~20mg/kg、もしくは15~25mg/kg)。一部の実施形態において、強化レジメンにおいて使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は8mg/kgである。一部の実施形態において、強化レジメンは、8mg/kgの用量で3週間にわたって投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の6回の用量を含む。一部の実施形態において、強化レジメンにおいて使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は10mg/kgである。一部の実施形態において、強化レジメンにおける脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は15mg/kgである。一部の実施形態において、強化レジメンにおいて使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は20mg/kgである。一部の実施形態において、強化レジメンは、10mg/kgの用量で3週間にわたって投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の6回の用量を含む。眼科薬物を送達するために使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は、治療有効量の薬物を送達する用量であり得る。
【0274】
さらに他の態様において、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、単位投薬量ベースで投与され得る。強化相において使用される単位投薬量は、注入による投与あたり300mg~3000mgで変動し得る。
【0275】
特定の実施形態において、強化相の間に使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の投薬量は、注入による投与あたり300mg~1500mg、400mg~1500mg、500mg~1200mg、または500mg~1000mgである。
【0276】
一部の実施形態において、強化相の間に投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は、誘導相の間に投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量よりも多い。例えば、強化相において投与される用量は、誘導相において投与される用量の1.5~3倍であり得る。具体的な実施形態において、強化相において投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は、強化相において投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量の2倍である。強化相における用量を増加させることは、投薬の頻度の低下を補い得る。他の実施形態において、強化相の間に投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は、誘導相の間に投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量と同じである。
【0277】
脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、第6.3節に記載されるのと同じ様式で、例えば1時間の期間にわたるIV注入として、強化相の間に投与され得る、または眼球内もしくは局部投与等、局所的に投与され得る。強化相の間に投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量が、誘導相において投与される用量よりも大きい場合、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、任意選択で、より大きな容量で投与され得かつ/またはより長い期間にわたって注入され得かつ/もしくは投与され得る。例えば、強化相の間に投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量が、誘導相の間に投与される用量の2倍である場合、投与容量は増加し得(例えば、倍増し)、かつ/または注入時間は増加し得る(例えば、倍増する)。
【0278】
6.5.維持レジメン
本開示の方法は、誘導レジメンおよび任意選択で強化レジメンの後に続き得るが必ずしも後に続かない、維持レジメンを含み得る。一部の実施形態において、維持レジメンは、誘導相および/または強化相の間よりも低い頻度で、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を投与するステップを含む。典型的に、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、維持レジメンの間に、3日以上ごとに1回、例えば週に1回または1週間に2回投与される。
【0279】
維持レジメンは、1ヶ月間もしくはそれよりも長い期間、2ヶ月間もしくはそれよりも長い期間、3ヶ月間もしくはそれよりも長い期間、6ヶ月間もしくはそれよりも長い期間、9ヶ月間もしくはそれよりも長い期間、1年間もしくはそれよりも長い期間、18ヶ月間もしくはそれよりも長い期間、2年間もしくはそれよりも長い期間、または無期限に、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を投与するステップを伴い得る。
【0280】
一部の実施形態において、維持レジメンは、少なくとも16週間、5日~1週間ごとに1回、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を投与するステップを含む。他の実施形態において、維持レジメンは、少なくとも20週間、少なくとも30週間、または少なくとも40週間、週に1回、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を投与するステップを含む。
【0281】
上で第6.3節に記載される投与ウィンドウと同様に、投与ウィンドウは、毎週の投薬スケジュールにわずかなばらつきを適合させるために、維持レジメンにおいても使用され得る。例えば、毎週の日付前後±2日間または±1日間のウィンドウが使用され得る。
【0282】
維持レジメンにおいて注入によって投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の治療用量は、タンパク質重量ベースで4~30mg/kgに及び得る(例えば、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、もしくは30mg/kg、または前述の値のいずれか2つによって境界される任意の域、例えば5~15mg/kg、10~20mg/kg、もしくは15~25mg/kg)。例えば、70kgの重さがありかつ10mg/kg用量のCER-001を受けるべきである対象は、700mgのApoA-I(70kg×10mg/kg)を提供する量のCER-001を受けるであろう。一部の実施形態において、維持レジメンにおいて使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は8mg/kgである。一部の実施形態において、維持レジメンにおいて使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は10mg/kgである。一部の実施形態において、強化レジメンにおいて使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は15mg/kgである。一部の実施形態において、強化レジメンにおいて使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は20mg/kgである。眼科薬物を送達するために使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は、治療有効量の薬物を送達する用量であり得る。
【0283】
さらに他の態様において、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、単位投薬量ベースで投与され得る。維持相において使用される単位投薬量は、注入による投与あたり300mg~3000mで変動し得る。
【0284】
特定の実施形態において、維持相の間に使用される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の投薬量は、注入による投与あたり300mg~1500mg、400mg~1500mg、500mg~1200mg、または500mg~1000mgである。
【0285】
一部の実施形態において、維持相の間に投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は、誘導相および/または強化相の間に投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量よりも多い。例えば、維持相において投与される用量は、強化相において投与される用量の1.5~3倍であり得る。具体的な実施形態において、維持相において投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は、強化相において投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量の2倍である。維持相における用量を増加させることは、投薬の頻度の低下を補い得る。他の実施形態において、維持相の間に投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量は、誘導相および/または強化相の間に投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量と同じである。一部の実施形態において、維持相において投与される用量は、例えば臨床的パラメーター(例えば、角膜混濁)を安定させる用量に到達するように調整され得る、例えば増加し得るまたは減少し得る。代替的にまたは加えて、維持相における投与頻度は、例えば臨床的パラメーター(例えば、角膜混濁)の安定化を達成するように調整され得る、例えば頻度を増加させまたは減少させる。
【0286】
脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、第6.3節に記載されるのと同じ様式で、例えばIV注入として、維持相の間に投与され得る、または眼球内もしくは局部投与等、局所的に投与され得る。維持相の間に投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量が、強化相において投与される用量よりも大きい場合、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、任意選択で、より大きな容量で投与され得かつ/またはより長い期間にわたって注入され得かつ/もしくは投与され得る。例えば、維持相の間に投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)の用量が、強化相の間に投与される用量の2倍である場合、投与容量は増加し得(例えば、倍増し)、かつ/または注入時間は増加し得る(例えば、倍増する)。
【0287】
6.6.併用療法
対象は、単一療法として、または、例えばスタチン(例えば、アトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン)、コレステロール吸収阻害剤(例えば、エゼチミブ)、ナイアシン、アスピリン、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤(例えば、アリロクマブ、ボコシズマブ、エボロクマブ、1D05-IgG2(Ni et al., 2011, J Lipid Res. 52(1):78-86)、およびLY3015014(Kastelein et al., 2016, Eur Heart J 37(17):1360-9)等の抗体、またはALN-PCSSC(the Medicines Company)等のRNAi治療薬)等の1種もしくは複数の脂質制御医薬、または抗高血圧医薬(例えば、アムロジピン、ウラピジル、フロセミド、およびその組み合わせ)との併用療法レジメンの一部として、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いて治療され得る。例えば、魚眼病を有する対象は、脂質結合タンパク質ベースの複合体との組み合わせで1種または複数の脂質制御医薬を用いて治療され得る。一部の実施形態において、併用療法は、対象の眼疾患に対する標準ケア治療との組み合わせでの脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を含む。
【0288】
併用療法レジメンは、前述の薬のうちの1種もしくは複数、および/または前述のクラスの医薬のうちの1種もしくは複数との組み合わせで、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を投与するステップを伴い得る。一部の実施形態において、対象は、アトルバスタチンとの組み合わせで脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いて治療される。一部の実施形態において、対象は、エゼチミブとの組み合わせで脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いて治療される。一部の実施形態において、対象は、ナイアシンとの組み合わせで脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いて治療される。一部の実施形態において、対象は、ロスバスタチンとの組み合わせで脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いて治療される。一部の実施形態において、対象は、シンバスタチンとの組み合わせで脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いて治療される。一部の実施形態において、対象は、アスピリンとの組み合わせで脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いて治療される。一部の実施形態において、対象は、フルバスタチンとの組み合わせで脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いて治療される。一部の実施形態において、対象は、ロバスタチンとの組み合わせで脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いて治療される。一部の実施形態において、対象は、プラバスタチンとの組み合わせで脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いて治療される。一部の実施形態において、対象は、アリロクマブとの組み合わせで脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いて治療される。一部の実施形態において、対象は、エボロクマブとの組み合わせで脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いて治療される。一部の実施形態において、対象は、ALN-PCSscとの組み合わせで脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いて治療される。前述の実施形態のそれぞれにおいて、脂質制御薬は、対象が脂質結合タンパク質ベースの複合体療法との組み合わせで受ける唯一の脂質制御薬であり得る、または脂質結合タンパク質ベースの複合体との組み合わせで投与される脂質制御薬の組み合わせの一部であり得る。
【0289】
一部の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、抗高血圧医薬、例えばアムロジピン、ウラピジル、およびフロセミドのうちの1種、2種、または3種すべてとの組み合わせで投与される。一部の実施形態において、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)は、アムロジピン、ウラピジル、およびフロセミドとの組み合わせで投与される。一部の実施形態において、組み合わせは、スタチン、例えばアトルバスタチンをさらに含む。
【0290】
脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いた療法は、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いた療法の前に開始される脂質を下げるバックグラウンド療法に付加され得る。
【0291】
一部の実施形態において、対象は、本開示の投薬レジメンに従った脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)を用いた療法を始める前に、安定用量の脂質制御医薬を用いて少なくとも6週間(例えば、6週間、8週間、2ヶ月間、6ヶ月間、1年間、または1年間を上回る期間)治療される。代替的に、脂質結合タンパク質ベースの複合体(例えば、CER-001)療法は、1種または複数の脂質制御医薬を用いた治療の前にまたはそれと並行して開始され得る。
【実施例】
【0292】
7.実施例
7.1.実施例1:眼科薬物のための担体としてのCER-001
7.1.1.アジスロマイシンおよびスピロノラクトン
アジスロマイシンは、細菌性結膜炎およびトラコーマ等の眼の細菌感染症を治療するために使用される抗生物質である(www.mayoclinic.org/drugs-supplements/azithromycin-ophthalmic-route/description/drg-20070979)。スピロノラクトンは、マイボーム腺機能不全および関連するドライアイの治療について検討されているステロイドである(Yee et al., 2016, Investigative Ophthalmology & Visual Science 57(12):5664)。アジスロマイシンおよびスピロノラクトンの送達のための薬物担体として作用するCER-001の適性を評価するために、調査を行った。
【0293】
CER-001の溶液をアジスロマイシンと混合して、10mg/mlの最終アジスロマイシン濃度を提供し、37℃~55℃の5回の加熱および冷却サイクルに供して、CER-001へのアジスロマイシンの複合化を促進した。対照に関しては、アジスロマイシンの添加なしのCER-001のサンプル、およびリン酸緩衝食塩水(PBS)中10mg/mlの濃度のアジスロマイシンのサンプルを、37℃~55℃の5回の加熱および冷却サイクルに同様に供した。
図1Aに示されるように、アジスロマイシンなしのCER-001のサンプル(左のチューブ)は、加熱および冷却サイクルの後に透明なままであり、一方でPBS中のアジスロマイシンのサンプル(右のチューブ)は、液体中およびガラスチューブ上に多数の結晶を含有した。アジスロマイシンを有するCER-001のサンプル(中央のチューブ)は、純粋なCER-001サンプルよりも曇っていたが、PBS中のアジスロマイシンのサンプルよりも有意に少ないアジスロマイシン結晶を含有した。
【0294】
CER-001の溶液をスピロノラクトンと混合して、1.5mg/mlの最終スピロノラクトン濃度を提供し、37℃~55℃の5回の加熱および冷却サイクルに供して、CER-001へのスピロノラクトンの複合化を促進した。対照に関しては、スピロノラクトンの添加なしのCER-001のサンプル、およびリン酸緩衝食塩水(PBS)中1.5mg/mlの濃度のスピロノラクトンのサンプルを、37℃~55℃の5回の加熱および冷却サイクルに同様に供した。
図1Bに示されるように、スピロノラクトンなしのCER-001のサンプル(左のチューブ)は、加熱および冷却サイクルの後に透明なままであり、一方でPBS中のスピロノラクトンのサンプル(右のチューブ)は、液体中、ガラスチューブ上、およびメニスカスより上に多数の結晶を含有した。スピロノラクトンを有するCER-001のサンプル(中央のチューブ)は、CER-001単独よりも曇っていたが、PBS中のスピロノラクトンのサンプルよりも有意に少ないスピロノラクトン結晶を含有した。
【0295】
7.1.2.パルミチン酸デキサメタゾン
パルミチン酸デキサメタゾンは、デキサメタゾンの親油性プロドラッグであり、黄斑浮腫を治療するために使用され得る(Daull et al., 2013, J. Ocul Pharmacol Ther. 29(2):258-69)。パルミチン酸デキサメタゾンの送達のための薬物担体として作用するCER-001の適性を評価するために、調査を行った。
【0296】
CER-001の溶液をパルミチン酸デキサメタゾンと混合して、1mg/mlの最終パルミチン酸デキサメタゾン濃度を提供し、37℃~55℃の5回の加熱および冷却サイクルに供して、CER-001へのパルミチン酸デキサメタゾンの複合化を促進した。対照に関しては、パルミチン酸デキサメタゾンの添加なしのCER-001のサンプル、およびリン酸緩衝食塩水(PBS)中1mg/mlの濃度のパルミチン酸デキサメタゾンのサンプルを、37℃~55℃の5回の加熱および冷却サイクルに同様に供した。
図1Cに示されるように、パルミチン酸デキサメタゾンなしのCER-001のサンプル(左のチューブ)は、加熱および冷却サイクルの後に透明なままであり、一方でPBS中のパルミチン酸デキサメタゾンのサンプル(右のチューブ)は、メニスカスより上のガラス上に脂質フィルムを含有し、非常に曇っていたまたは「ミルク様」であった。パルミチン酸デキサメタゾンを有するCER-001のサンプル(中央のチューブ)は、CER-001単独よりも曇っていたが、沈殿または結晶を含有しなかった。
【0297】
7.1.3.シクロスポリン
シクロスポリンは、ドライアイを有する対象における涙液産生を増加させるために使用される免疫調節物質である(Ames and Galor, 2015, Clin Investig (Longd.) 5(3):267-285)。シクロスポリンの送達のための薬物担体として作用するCER-001の適性を評価するために、調査を行った。
【0298】
CER-001の溶液をシクロスポリンと混合して、1mg/mlの最終シクロスポリン濃度を提供し、37℃~55℃の5回の加熱および冷却サイクルに供して、CER-001へのシクロスポリンの複合化を促進した。対照に関しては、シクロスポリンの添加なしのCER-001のサンプル、およびリン酸緩衝食塩水(PBS)中1mg/mlの濃度のシクロスポリンのサンプルを、37℃~55℃の5回の加熱および冷却サイクルに同様に供した。
図1Dに示されるように、シクロスポリンなしのCER-001のサンプル(左のチューブ)は、加熱および冷却サイクルの後に透明なままであり、一方でPBS中のシクロスポリンのサンプル(右のチューブ)は、ガラス内および液体中に結晶を含有した。シクロスポリンを有するCER-001のサンプル(中央のチューブ)は、CER-001単独よりも曇っていたが、4℃で一晩の保管の後でさえ沈殿または結晶を含有しなかった。
【0299】
本実施例は、CER-001が、アジスロマイシン、スピロノラクトン、パルミチン酸デキサメタゾン、およびシクロスポリンと複合し得ることを示しており、CER-001が眼科薬物に対する適切な担体であることを示す。
【0300】
7.2.実施例2:LCAT欠損症に関連する視覚障害に対するCER-001療法
LCAT欠損症を有しかつ対象のLCAT欠損症に関連した視覚障害(眼球脂質沈着に起因している視覚障害)を有する対象に、誘導レジメン、強化レジメン、および維持レジメンを含む治療レジメンに従ってCER-001を投与した。
【0301】
CER-001を用いた治療の前に、対象は、白い角膜輪混濁として現れる眼球脂質沈着を有した。対象は、正常な視力を有したが、とりわけ夜に目のかすみを有した。細隙灯検査および光学的コンピューター断層撮影は、超反射角膜混濁化を示した(データ示されず)。次世代シーケンシングは、対象が、ABCA1またはAPOA1遺伝子におけるどれでもなく、2つのLCAT遺伝子変動に対する複合ヘテロ接合性であることを裏付けた。母系遺伝の第1のアレルは、欧州において家族性LCAT欠損症(FLD)を引き起こすとして以前に十分に確立された、エクソン-5(c.605T>C)ミスセンス変異p.(Ile202Thr)である。父系アレル(c.154+5G>C)は、新規であり、一般的な照会集団データベースにはなかった。それは、イントロン-1ドナースプライス部位の高度に進化的に保存された残基を変更し、それによって、エクソン-1 mRNAスプライシングを潜在的に変更し、c.154+15位における隠れたアクセプタースプライス部位を創出する。その結果として、イントロン配列のRNA組み込みは、LCAT発現を無効にしない場合、異常な/切り取られたタンパク質を生み出し得る。
【0302】
誘導レジメンは、3週間にわたって投与されるCER-001の9回の用量を含んだ。誘導レジメンにおいて投与されるCER-001の用量は、投与されるCER-001におけるApoA-Iの量および対象の重量に基づいて算出して、10mg/kgであった。
【0303】
誘導レジメンの後、対象に、4週間にわたって投与されるCER-001の7回の用量を含む強化レジメンに従ってCER-001を投与した。誘導レジメンにおいて投与されるCER-001の用量は、投与されるCER-001におけるApoA-Iの量および対象の重量に基づいて算出して、10mg/kgであった。
【0304】
強化レジメンの後、対象に、3週間のCER-001の1週間に1回の投与を含む維持レジメンに従ってCER-001を投与した。維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量は、投与されるべきCER-001におけるApoA-Iの量および対象の重量に基づいて算出して、10mg/kgであった。その後、用量を、6週間、週に1回の20mg/kgに増加させた。治療期間は5ヶ月間であり、その後に3ヶ月間の無治療の追跡調査期間が続いた。
【0305】
誘導、強化、および維持レジメンにおいて、ヒドロキシジンを用いた前投薬の後に、CER-001をIV注入として投与した。CER-001のストック溶液を、投与の前に生理学的食塩水(0.9%NaCl)に希釈し、CER-001のすべての用量を、250ml/時間の固定速度で1時間にわたって注入ポンプを使用して投与した。
【0306】
対象の視界は、CER-001を用いた治療の経過中に改善した。特に、CER-001の投与は、視界の正常化を伴った。追跡調査期間の終了時に、目のかすみは再発しなかった。
【0307】
注入によって投与されるCER-001は、角膜を含めた対象の眼の前部に到達しているように見え、そこでそれは治療効果を発揮した。理論によって拘束されることなく、対象の視界に対する観察された効果は、末梢に投与された場合でさえ、眼内および/または眼周辺における蓄積した脂質を動員する(例えば、直接的にまたは間接的に)CER-001の能力に起因すると考えられる。付加的に、再度理論によって拘束されることなく、CER-001の抗炎症特性は、対象の視界に対する観察された効果に寄与している可能性があると考えられる。
【0308】
再度理論によって拘束されることなく、他の眼疾患、特に脂質の蓄積と関連したものに罹患した対象は、CER-001または別の脂質結合タンパク質ベースの複合体を用いた治療から同様に利益を受け得るとさらに考えられる。さらに、再度理論によって拘束されることなく、末梢に投与された場合に眼の前部に到達するCER-001の能力は、眼(例えば、眼の前部)に眼科薬物を送達するために活用され得ると考えられる。
【0309】
7.3.実施例3:ウサギにおけるCER-001の眼球忍容性
CER-001の眼球忍容性を、アルビノウサギにおいて査定した。複合化したパルミチン酸デキサメタゾンを有するまたは有しない、8mg/ml(タンパク質重量ベースで)のCER-001を、局部的にまたは単回の硝子体内注射によってアルビノウサギの眼に投与した。最高8滴の繰り返しの局部投与においてまたは単回の硝子体内投与において、忍容性問題は観察されなかった。
【0310】
7.4.実施例4:ウサギにおける内毒素誘導性ぶどう膜炎(重度の炎症)のCER-001治療
局部的にまたは単回の硝子体内注射(IVT)によって投与された場合の、内毒素誘導性ぶどう膜炎(重度の炎症)を治療するCER-001の能力を、複合化したパルミチン酸デキサメタゾン(DXP)の有無で査定するために、調査を実施した。CER-001ビヒクル、および抗炎症性グルココルチコイドのメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを含有する注射可能な製剤であるSolu-Medrol(登録商標)を対照として含んだ。忍容性を、投与の6および24時間後にMcDonald-Shadduck採点システムによって査定した(Eaton et al., Journal of Ocular Pharmacology and Therapeutics 33(10):718-734を参照されたい)。房水における細胞浸潤およびタンパク質含有量を、投与の24時間後に測定した。
【0311】
種々の処理群に関する忍容性は
図2A~2Cに示されており、一方で房水細胞浸潤およびタンパク質含有量はそれぞれ
図3A~3Bに示されている。パルミチン酸デキサメタゾンの有無での単回の硝子体内投与におけるCER-001(8mg/mlの高用量で含む)は、有意な忍容性を誘導した(
図2A~2C)。房水における細胞浸潤およびタンパク質に対する正の効果が同様に観察された(
図3A~3B)。本実施例は、ぶどう膜炎等の眼疾患を治療するための、CER-001および同様の脂質結合タンパク質ベースの複合体の使用、ならびにぶどう膜炎等の眼疾患を治療するために眼に眼科薬物を送達するための、CER-001および同様の脂質結合タンパク質ベースの複合体の使用をさらに支持する。
【0312】
8.具体的な実施形態
本開示の様々な態様が、以下の番号付けされた段落に明記される実施形態に記載される。
【0313】
1.眼疾患の重症度を低下させるのに有効な量の脂質結合タンパク質ベースの複合体を対象に投与するステップを含み、1種または複数の眼科薬物と複合化してもよい、眼疾患を有する対象を治療する方法。
2.眼疾患は、脂質蓄積と関連した疾患である、実施形態1に記載の方法。
3.眼疾患は魚眼病である、実施形態2に記載の方法。
4.眼疾患は脂肪性角膜症である、実施形態2に記載の方法。
5.脂肪性角膜症は続発性脂肪性角膜症である、実施形態4に記載の方法。
6.眼疾患は、角膜ジストロフィー、例えば遺伝性角膜ジストロフィー、前角膜もしくは表層角膜ジストロフィー、角膜実質ジストロフィー、または後部角膜ジストロフィーである、実施形態2に記載の方法。
7.対象は角膜混濁を有し、脂質結合タンパク質ベースの複合体の量は、対象の角膜の混濁を低下させるのに有効な量である、実施形態1から6のいずれか1つに記載の方法。
8.混濁は前部光干渉断層撮影(OCT)によって測定される、実施形態7に記載の方法。
9.脂質結合タンパク質ベースの複合体の量は、対象の対比感度を改善するのに有効な量である、実施形態1から8のいずれか1つに記載の方法。
10.脂質結合タンパク質ベースの複合体の量は、対象のストレイライト値を低下させるのに有効な量である、実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法。
11.対象は、LCAT変異に対してホモ接合性である、実施形態1から10のいずれか1つに記載の方法。
12.対象は、LCAT変異に対してヘテロ接合性である、実施形態1から10のいずれか1つに記載の方法。
13.実施形態3に従属する場合を除いて、対象はLCAT欠損症を有しない、実施形態1から2および4から10のいずれか1つに記載の方法。
14.眼疾患はドライアイである、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
15.ドライアイはマイボーム腺機能不全(MGD)と関連している、実施形態14に記載の方法。
16.MGDは閉塞性MGDである、実施形態15に記載の方法。
17.ドライアイは涙腺機能不全と関連している、実施形態14に記載の方法。
18.眼疾患は眼瞼炎である、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
19.眼疾患は炎症性眼疾患である、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
20.眼疾患はぶどう膜炎である、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
21.ぶどう膜炎は、前部ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎、または汎ぶどう膜炎である、実施形態20に記載の方法。
22.ぶどう膜炎は前部ぶどう膜炎である、実施形態21に記載の方法。
23.ぶどう膜炎は中間部ぶどう膜炎である、実施形態21に記載の方法。
24.ぶどう膜炎は後部ぶどう膜炎である、実施形態21に記載の方法。
25.ぶどう膜炎は汎ぶどう膜炎である、実施形態21に記載の方法。
26.ぶどう膜炎は細菌感染によって引き起こされる、実施形態20から25のいずれか1つに記載の方法。
27.眼疾患は、黄斑浮腫、黄斑変性症、網膜剥離、眼腫瘍、真菌感染症、ウイルス感染症、細菌感染症(例えば、細菌性結膜炎またはトラコーマ)、多巣性脈絡膜炎、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、交感性眼炎、フォークト・小柳・原田(VKH)症候群、ヒストプラスマ症、ぶどう膜拡散、血管閉塞、眼内炎、または緑内障である、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
28.眼疾患は乾性黄斑変性症である、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
29.眼疾患は滲出性黄斑変性症である、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
30.眼疾患は糖尿病性網膜症であり、対象は糖尿病性黄斑浮腫を有していてもよい、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
31.眼疾患はシュタルガルト病である、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
32.対象は、眼疾患に起因した損なわれた視界を有し、脂質結合タンパク質ベースの複合体の量は、対象の視界を改善する量である、実施形態1から31のいずれか1つに記載の方法。
33.対象は眼球脂質沈着を有する、実施形態1から32のいずれか1つに記載の方法。
34.眼球脂質沈着は、角膜脂質沈着、網膜脂質沈着、眼瞼脂質沈着、またはその組み合わせを含む、実施形態33に記載の方法。
35.眼球脂質沈着は角膜脂質沈着を含む、実施形態34に記載の方法。
36.眼球脂質沈着は網膜脂質沈着を含む、実施形態34または実施形態35に記載の方法。
37.眼球脂質沈着は眼瞼脂質沈着を含む、実施形態34から36のいずれか1つに記載の方法。
38.眼球脂質沈着は石灰化されていない、実施形態33から37のいずれか1つに記載の方法。
39.脂質沈着は、ドルーゼン沈着内の脂質沈着を含む、実施形態33から38のいずれか1つに記載の方法。
40.脂質沈着はリポフスチン顆粒を含む、実施形態33から38のいずれか1つに記載の方法。
41.脂質沈着はコレステロール貯留を含む、実施形態33から38のいずれか1つに記載の方法。
42.眼球脂質沈着のサイズおよび/または数を低下させるのに有効な量の脂質結合タンパク質ベースの複合体を対象に投与するステップを含む、実施形態33から41のいずれか1つに記載の方法。
43.脂質結合タンパク質ベースの複合体はアポリポタンパク質A-I(ApoA-I)を含み、ApoA-IはApoA-Iミラノではなくてもよい、実施形態1から42のいずれか1つに記載の方法。
44.脂質結合タンパク質ベースの複合体はアポリポタンパク質模倣体を含まない、実施形態1から43のいずれか1つに記載の方法。
45.脂質結合タンパク質ベースの複合体は再構成HDLまたはHDL模倣体である、実施形態1から44のいずれか1つに記載の方法。
46.脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-001を含む、実施形態45に記載の方法。
47.CER-001は、1:2.7±20%のApoA-I重量:総リン脂質重量比のApoA-Iおよびリン脂質と、97:3±20%のスフィンゴミエリン:DPPG重量:重量比のリン脂質スフィンゴミエリンおよびDPPGとを含むリポタンパク質複合体である、実施形態46に記載の方法。
48.CER-001は、1:2.7±10%のApoA-I重量:総リン脂質重量比のApoA-Iおよびリン脂質と、97:3±10%のスフィンゴミエリン:DPPG重量:重量比のリン脂質スフィンゴミエリンおよびDPPGとを含むリポタンパク質複合体である、実施形態46に記載の方法。
49.CER-001は、1:2.7のApoA-I重量:総リン脂質重量比のApoA-Iおよびリン脂質と、97:3のスフィンゴミエリン:DPPG重量:重量比のリン脂質スフィンゴミエリンおよびDPPGとを含むリポタンパク質複合体である、実施形態46に記載の方法。
50.ApoA-Iは、国際公開第2012/109162号パンフレットの配列番号1のアミノ酸25~267のアミノ酸配列を有する、実施形態47から49のいずれか1つに記載の方法。
51.ApoA-Iは組み換えにより発現される、実施形態47から50のいずれか1つに記載の方法。
52.CER-001は天然スフィンゴミエリンを含む、実施形態47から51のいずれか1つに記載の方法。
53.天然スフィンゴミエリンはニワトリ卵スフィンゴミエリンである、実施形態52に記載の方法。
54.CER-001は合成スフィンゴミエリンを含む、実施形態47から51のいずれか1つに記載の方法。
55.合成スフィンゴミエリンはパルミトイルスフィンゴミエリンである、実施形態54に記載の方法。
56.CER-001は、CER-001が少なくとも95%均質である製剤の形態で投与される、実施形態46から55のいずれか1つに記載の方法。
57.CER-001は、CER-001が少なくとも97%均質である製剤の形態で投与される、実施形態56に記載の方法。
58.CER-001は、CER-001が少なくとも98%均質である製剤の形態で投与される、実施形態56に記載の方法。
59.CER-001は、CER-001が少なくとも99%均質である製剤の形態で投与される、実施形態56に記載の方法。
60.脂質結合タンパク質ベースの複合体はCSL-111を含む、実施形態45に記載の方法。
61.脂質結合タンパク質ベースの複合体はCSL-112を含む、実施形態45に記載の方法。
62.脂質結合タンパク質ベースの複合体はETC-216を含む、実施形態45に記載の方法。
63.脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-522を含む、実施形態45に記載の方法。
64.脂質結合タンパク質ベースの複合体は脱脂されたHDLを含む、実施形態45に記載の方法。
65.脂質結合タンパク質ベースの複合体はCargomerである、実施形態1から43のいずれか1つに記載の方法。
66.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、1種または複数の眼科薬物のための担体であり、1種または複数の眼科薬物のうちの1種または複数は、(i)疎水性、かつ/または(ii)難水溶性もしくは非水溶性であってもよい、実施形態1から65のいずれか1つに記載の方法。
67.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、それと複合化した1種または複数の眼科薬物を有する脂質結合タンパク質ベースの複合体を含み、1種または複数の眼科薬物のうちの1種または複数は、(i)疎水性、かつ/または(ii)難水溶性もしくは非水溶性であってもよい、実施形態1から66のいずれか1つに記載の方法。
68.1種または複数の眼科薬物は、ステロイド、キナーゼ阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アルドースレダクターゼ阻害剤、免疫抑制剤、炭酸脱水酵素阻害剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、プロスタグランジン類似体、またはその組み合わせを含む、実施形態66または実施形態67に記載の方法。
69.1種または複数の眼科薬物は、アジスロマイシン、デキサメタゾン、ジフルプレドナート、エストラジオール、フルオシノロン、フルオロメトロン、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、プレドニゾロン、トリアムシノロン、リメキソロン、スピロノラクトン、アキシチニブ、BMS-794833(N-(4-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-5-(4-フルオロフェニル)-4-オキソ-1,4-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド)、カボザンチニブ、セジラニブ、ドビチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、モテサニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、PD173074(N-[2-[[4-(ジエチルアミノ)ブチル]アミノ]-6-(3,5-ジメトキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-N’-(1,1-ジメチルエチル)ウレア)、パゾパニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、トファシチニブ、ZM323881(5-((7-ベンジルオキシキナゾリン-4-イル)アミノ)-4-フルオロ-2-メチルフェノール)、カンデサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、2-メチルソルビノ(methylsorbino)、シロリムス、シクロスポリン、タクロリムス、アセタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、エトキシゾラミド、メタゾラミド、アシクロビル、クロラムフェニコール、クロルテトラサイクリン、シプロフロキサシン、フシジン酸、ガンシクロビル、ノルフロキサシン、オフロキサシン、テトラサイクリン、ジドブジン、レボカバスチン、ブロムフェナク、ジクロフェナク、インドメタシン、ネパフェナク、ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロスト、またはその組み合わせを含む、実施形態66から68のいずれか1つに記載の方法。
70.1種または複数の眼科薬物は、アジスロマイシン、デキサメタゾン、ジフルプレドナート、エストラジオール、フルオシノロン、フルオロメトロン、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、プレドニゾロン、トリアムシノロン、リメキソロン、スピロノラクトン、アキシチニブ、BMS-794833(N-(4-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-5-(4-フルオロフェニル)-4-オキソ-1,4-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド)、カボザンチニブ、セジラニブ、ドビチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、モテサニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、PD173074(N-[2-[[4-(ジエチルアミノ)ブチル]アミノ]-6-(3,5-ジメトキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-N’-(1,1-ジメチルエチル)ウレア)、パゾパニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、トファシチニブ、ZM323881(5-((7-ベンジルオキシキナゾリン-4-イル)アミノ)-4-フルオロ-2-メチルフェノール)、カンデサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、2-メチルソルビノ、シロリムス、シクロスポリン、タクロリムス、アセタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、エトキシゾラミド、メタゾラミド、アシクロビル、クロラムフェニコール、クロルテトラサイクリン、シプロフロキサシン、フシジン酸、ガンシクロビル、ノルフロキサシン、オフロキサシン、テトラサイクリン、ジドブジン、レボカバスチン、ブロムフェナク、ジクロフェナク、インドメタシン、ネパフェナク、ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロスト、パルミチン酸デキサメタゾン、またはその組み合わせを含む、実施形態66から68のいずれか1つに記載の方法。
71.1種または複数の眼科薬物はアジスロマイシンを含む、実施形態66から70のいずれか1つに記載の方法。
72.1種または複数の眼科薬物はスピロノラクトンを含む、実施形態66から71のいずれか1つに記載の方法。
73.1種または複数の眼科薬物はパルミチン酸デキサメタゾンを含む、実施形態66から72のいずれか1つに記載の方法。
74.1種または複数の眼科薬物はシクロスポリンを含む、実施形態66から73のいずれか1つに記載の方法。
75.1種または複数の眼科薬物は、ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロスト、タフルプロスト、またはその組み合わせを含む、実施形態66から74のいずれか1つに記載の方法。
76.1種または複数の眼科薬物はラタノプロストを含む、実施形態75に記載の方法。
77.1種または複数の眼科薬物はデキサメタゾンを含む、実施形態66から76のいずれか1つに記載の方法。
78.1種または複数の眼科薬物はエタボン酸ロテプレドノールを含む、実施形態66から77のいずれか1つに記載の方法。
79.1種または複数の眼科薬物はトリアムシノロンを含む、実施形態66から78のいずれか1つに記載の方法。
80.1種または複数の眼科薬物はアシクロビルを含む、実施形態66から79のいずれか1つに記載の方法。
81.1種または複数の眼科薬物はトラボプロストを含む、実施形態66から80のいずれか1つに記載の方法。
82.1種または複数の眼科薬物はビマトプロストを含む、実施形態66から81のいずれか1つに記載の方法。
83.1種または複数の眼科薬物はタフルプロストを含む、実施形態66から82のいずれか1つに記載の方法。
84.1種または複数の眼科薬物はパゾパニブを含む、実施形態66から83のいずれか1つに記載の方法。
85.1種または複数の眼科薬物はシロリムスを含む、実施形態66から84のいずれか1つに記載の方法。
86.1種または複数の眼科薬物はタクロリムスを含む、実施形態66から84のいずれか1つに記載の方法。
87.1種または複数の眼科薬物はネパフェナクを含む、実施形態66から84のいずれか1つに記載の方法。
88.脂質結合タンパク質ベースの複合体はApomerである、実施形態1から44のいずれか1つに記載の方法。
89.脂質結合タンパク質ベースの複合体を、末梢に、注入によって投与してもよい、実施形態1から88のいずれか1つに記載の方法。
90.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、
(a)誘導レジメン;および/または
(b)強化レジメン;および/または
(c)維持レジメン
を含む投薬レジメンに従って投与され、脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-001を含んでいてもよい、実施形態89に記載の方法。
91.誘導レジメンに従って、脂質結合タンパク質ベースの複合体の1回または複数の用量を投与するステップを含む、実施形態90に記載の方法。
92.誘導レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の複数回の用量を投与するステップを含む、実施形態91に記載の方法。
93.誘導レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の少なくとも3回の用量を投与するステップを含む、実施形態92に記載の方法。
94.誘導レジメンにおける複数回の用量は、1日または複数日の間隔がある、実施形態92または実施形態93に記載の方法。
95.誘導レジメンの初回用量後の用量は3日間以下の間隔がある、実施形態91から94のいずれか1つに記載の方法。
96.誘導レジメンの初回用量後の用量は1~3日間の間隔がある、実施形態95に記載の方法。
97.誘導レジメンの初回用量後の用量は2~3日間の間隔がある、実施形態95に記載の方法。
98.誘導レジメンの初回用量後の用量は1~2日間の間隔がある、実施形態95に記載の方法。
99.誘導レジメンは少なくとも1週間の継続期間のものである、実施形態91から98のいずれか1つに記載の方法。
100.誘導レジメンは2週間の継続期間のものである、実施形態99に記載の方法。
101.誘導レジメンは3週間の継続期間のものである、実施形態99に記載の方法。
102.誘導レジメンは、週あたり脂質結合タンパク質ベースの複合体の3回の用量を対象に投与するステップを含む、実施形態91から101のいずれか1つに記載の方法。
103.誘導レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の4回以上の用量を投与するステップを含む、実施形態91から101のいずれか1つに記載の方法。
104.誘導レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の5回以上の用量を投与するステップを含む、実施形態91から101のいずれか1つに記載の方法。
105.誘導レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の6回以上の用量を投与するステップを含む、実施形態91から101のいずれか1つに記載の方法。
106.誘導レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の7回以上の用量を投与するステップを含む、実施形態91から101のいずれか1つに記載の方法。
107.誘導レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の8回以上の用量を投与するステップを含む、実施形態91から101のいずれか1つに記載の方法。
108.誘導レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の9回以上の用量を投与するステップを含む、実施形態91から101のいずれか1つに記載の方法。
109.誘導レジメンは、1日目に対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の最初の用量を投与するステップ、ならびに2、4、7、9、11、14、16、および18日目に対象に誘導レジメンの後続の用量を投与するステップを含む、実施形態108に記載の方法。
110.誘導レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の10回以上の用量を投与するステップを含む、実施形態91から101のいずれか1つに記載の方法。
111.誘導レジメンを含まない、実施形態90に記載の方法。
112.強化レジメンに従って、脂質結合タンパク質ベースの複合体の1回または複数の用量を対象に投与するステップを含む、実施形態90から111のいずれか1つに記載の方法。
113.強化レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の複数回の用量を投与するステップを含む、実施形態112に記載の方法。
114.強化レジメンにおける複数回の用量は2日間以上の間隔がある、実施形態113に記載の方法。
115.強化レジメンは、1週間以内に、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の少なくとも2回の用量を投与するステップを含む、実施形態112から114のいずれか1つに記載の方法。
116.強化レジメンの用量は4日間以下の間隔である、実施形態112から115のいずれか1つに記載の方法。
117.強化レジメンの用量は3または4日間によって互いに隔てられる、実施形態112から116のいずれか1つに記載の方法。
118.強化レジメンは少なくとも3週間の継続期間のものである、実施形態112から117のいずれか1つに記載の方法。
119.強化レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の3回以上の用量を投与するステップを含む、実施形態112から118のいずれか1つに記載の方法。
120.強化レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の4回以上の用量を投与するステップを含む、実施形態112から118のいずれか1つに記載の方法。
121.強化レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の5回以上の用量を投与するステップを含む、実施形態112から118のいずれか1つに記載の方法。
122.強化レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の6回以上の用量を投与するステップを含む、実施形態112から118のいずれか1つに記載の方法。
123.強化レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の6回の用量を投与するステップを含む、実施形態122に記載の方法。
124.強化レジメンは、1日目に始まる誘導レジメンの後に、21、24、28、31、35、および38日目に対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の6回の用量を投与するステップを含む、実施形態123に記載の方法。
125.強化レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の7回以上の用量を投与するステップを含む、実施形態112から118のいずれか1つに記載の方法。
126.強化レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の8回以上の用量を投与するステップを含む、実施形態112から118のいずれか1つに記載の方法。
127.強化レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の9回以上の用量を投与するステップを含む、実施形態112から118のいずれか1つに記載の方法。
128.強化レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の10回以上の用量を投与するステップを含む、実施形態112から118のいずれか1つに記載の方法。
129.強化レジメンを含まない、実施形態90から111のいずれか1つに記載の方法。
130.維持レジメンに従って、脂質結合タンパク質ベースの複合体の複数回の用量を対象に投与するステップを含む、実施形態90から129のいずれか1つに記載の方法。
131.維持レジメンは、3日間以上ごとに1回、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量を投与するステップを含む、実施形態130に記載の方法。
132.維持レジメンは、5日間以上ごとに1回、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量を投与するステップを含む、実施形態130に記載の方法。
133.維持レジメンは、毎週、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量を投与するステップを含む、実施形態130に記載の方法。
134.維持レジメンの用量は、厳密な毎週の日付前後±2日間に投与される、実施形態133に記載の方法。
135.維持レジメンは、週に2回、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量を投与するステップを含む、実施形態130に記載の方法。
136.維持レジメンは、少なくとも1ヶ月間、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、実施形態130から135のいずれか1つに記載の方法。
137.維持レジメンは、少なくとも2ヶ月間、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、実施形態130から135のいずれか1つに記載の方法。
138.維持レジメンは、少なくとも3ヶ月間、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、実施形態130から135のいずれか1つに記載の方法。
139.維持レジメンは、少なくとも6ヶ月間、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、実施形態130から135のいずれか1つに記載の方法。
140.維持レジメンは、少なくとも9ヶ月間、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、実施形態130から135のいずれか1つに記載の方法。
141.維持レジメンは、少なくとも1年間、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、実施形態130から135のいずれか1つに記載の方法。
142.維持レジメンは、少なくとも18ヶ月間、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、実施形態130から135のいずれか1つに記載の方法。
143.維持レジメンは、少なくとも2年間、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、実施形態130から135のいずれか1つに記載の方法。
144.維持レジメンは、無期限に対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、実施形態130から135のいずれか1つに記載の方法。
145.維持レジメンは、16週間以上、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、実施形態130から135のいずれか1つに記載の方法。
146.維持レジメンは、20週間以上、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、実施形態130から135のいずれか1つに記載の方法。
147.維持レジメンは、30週間以上、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、実施形態130から135のいずれか1つに記載の方法。
148.維持レジメンは、40週間以上、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、実施形態130から135のいずれか1つに記載の方法。
149.誘導レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は4~30mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から148のいずれか1つに記載の方法。
150.誘導レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は5~15mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から148のいずれか1つに記載の方法。
151.誘導レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は10~20mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から148のいずれか1つに記載の方法。
152.誘導レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は15~25mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から148のいずれか1つに記載の方法。
153.誘導レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は8mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から148のいずれか1つに記載の方法。
154.誘導レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は10mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から148のいずれか1つに記載の方法。
155.誘導レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は300mg~3000mgである、実施形態90から148のいずれか1つに記載の方法。
156.誘導レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は300mg~1500mgである、実施形態90から148のいずれか1つに記載の方法。
157.誘導レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は400mg~1500mgである、実施形態90から148のいずれか1つに記載の方法。
158.誘導レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は500mg~1200mgである、実施形態90から148のいずれか1つに記載の方法。
159.誘導レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は500mg~1000mgである、実施形態90から148のいずれか1つに記載の方法。
160.強化レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は4~30mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から159のいずれか1つに記載の方法。
161.強化レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は5~15mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から159のいずれか1つに記載の方法。
162.強化レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は10~20mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から159のいずれか1つに記載の方法。
163.強化レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は15~25mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から159のいずれか1つに記載の方法。
164.強化レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は8mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から159のいずれか1つに記載の方法。
165.強化レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は10mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から159のいずれか1つに記載の方法。
166.強化レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は300mg~3000mgである、実施形態90から159のいずれか1つに記載の方法。
167.強化レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は300mg~1500mgである、実施形態90から159のいずれか1つに記載の方法。
168.強化レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は400mg~1500mgである、実施形態90から159のいずれか1つに記載の方法。
169.強化レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は500mg~1200mgである、実施形態90から159のいずれか1つに記載の方法。
170.強化レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は500mg~1000mgである、実施形態90から159のいずれか1つに記載の方法。
171.維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は4~30mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から170のいずれか1つに記載の方法。
172.維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は5~15mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から170のいずれか1つに記載の方法。
173.維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は10~20mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から170のいずれか1つに記載の方法。
174.維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は15~25mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から170のいずれか1つに記載の方法。
175.維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は8mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から170のいずれか1つに記載の方法。
176.維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は10mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から170のいずれか1つに記載の方法。
177.維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は20mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態90から170のいずれか1つに記載の方法。
178.維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は300mg~3000mgである、実施形態90から170のいずれか1つに記載の方法。
179.維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は300mg~1500mgである、実施形態90から170のいずれか1つに記載の方法。
180.維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は400mg~1500mgである、実施形態90から170のいずれか1つに記載の方法。
181.維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は500mg~1200mgである、実施形態90から170のいずれか1つに記載の方法。
182.維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は500mg~1000mgである、実施形態90から170のいずれか1つに記載の方法。
183.誘導レジメンおよび維持レジメンの両方を含む、実施形態90から182のいずれか1つに記載の方法。
184.誘導レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量、および維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は同じである、実施形態183に記載の方法。
185.誘導レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量、および維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は異なる、実施形態183に記載の方法。
186.維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は、誘導レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量よりも多い、実施形態185に記載の方法。
187.維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は、誘導レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量の1.5~3倍である、実施形態186に記載の方法。
188.維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は、誘導レジメンにおいて投与される用量の2倍である、実施形態186に記載の方法。
189.脂質結合タンパク質ベースの複合体は局所的に投与される、実施形態1から88のいずれか1つに記載の方法。
190.脂質結合タンパク質ベースの複合体は眼球内に投与される、実施形態189に記載の方法。
191.脂質結合タンパク質ベースの複合体は眼球内注射によって投与される、実施形態190に記載の方法。
192.眼球内注射は硝子体内注射である、実施形態191に記載の方法。
193.眼球内注射は結膜下注射である、実施形態191に記載の方法。
194.眼球内注射は傍眼球注射である、実施形態191に記載の方法。
195.眼球内注射は眼球周囲注射である、実施形態191に記載の方法。
196.眼球内注射は眼球後注射である、実施形態191に記載の方法。
197.脂質結合タンパク質ベースの複合体は局部的に投与される、実施形態189に記載の方法。
198.脂質結合タンパク質ベースの複合体は点眼薬として製剤化されている、実施形態197に記載の方法。
199.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、
(a)誘導レジメン;および/または
(b)強化レジメン;および/または
(c)維持レジメン
を含む投薬レジメンに従って投与され、脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-001であってもよい、実施形態189から198のいずれか1つに記載の方法。
200.誘導レジメンを含む、実施形態199に記載の方法。
201.強化レジメンを含む、実施形態199または実施形態200に記載の方法。
202.維持レジメンを含む、実施形態199から201のいずれか1つに記載の方法。
203.1回または複数の脂質結合タンパク質ベースの複合体用量の投与の前に、抗ヒスタミン薬が投与される、実施形態1から202のいずれか1つに記載の方法。
204.対象は脂質制御医薬も用いて治療される、実施形態1から203のいずれか1つに記載の方法。
205.脂質制御医薬はスタチンを含む、実施形態204に記載の方法。
206.スタチンは、アトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、またはプラバスタチンである、実施形態205に記載の方法。
207.脂質制御医薬はコレステロール吸収阻害剤を含む、実施形態204から206のいずれか1つに記載の方法。
208.コレステロール吸収阻害剤はエゼチミブである、実施形態207に記載の方法。
209.脂質制御医薬はナイアシンを含む、実施形態204から208のいずれか1つに記載の方法。
210.脂質制御医薬はアスピリンを含む、実施形態204から209のいずれか1つに記載の方法。
211.脂質制御医薬はプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤を含む、実施形態204から210のいずれか1つに記載の方法。
212.PCSK9阻害剤は抗体である、実施形態211に記載の方法。
213.抗体は、アリロクマブ、ボコシズマブ、エボロクマブ、1D05-IgG2、またはLY3015014である、実施形態212に記載の方法。
214.PCSK9阻害剤はRNAi治療薬である、実施形態211に記載の方法。
215.RNAi治療薬はALN-PCSSCである、実施形態214に記載の方法。
216.対象に治療有効量の脂質制御医薬を投与するステップをさらに含む、実施形態204から215のいずれか1つに記載の方法。
217.対象は、眼疾患に対する標準ケア療法も用いて治療される、実施形態1から216のいずれか1つに記載の方法。
218.対象に標準ケア療法を投与するステップをさらに含む、実施形態217に記載の方法。
219.対象は抗高血圧医薬も用いて治療され、抗高血圧医薬は、アムロジピン、ウラピジル、およびフロセミドのうちの1種、2種、または3種すべてを含んでいてもよい、実施形態1から218のいずれか1つに記載の方法。
220.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、細胞透過性ペプチドを含まず、それとともに投与されない、実施形態1から219のいずれか1つに記載の方法。
221.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、化学的透過増強剤を含まず、それとともに投与されない、実施形態1から220のいずれか1つに記載の方法。
222.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、細胞親和性ペプチドを含まず、それとともに投与されない、実施形態1から221のいずれか1つに記載の方法。
223.脂質結合タンパク質ベースの複合体および1種または複数の眼科薬物を含む組成物であって、組成物は、脂質結合タンパク質ベースの複合体および1種または複数の眼科薬物を含む混合物を熱循環させるステップを含むプロセスによって産生され、1種または複数の眼科薬物のうちの1種または複数は、(i)疎水性、かつ/または(ii)難水溶性もしくは非水溶性であってもよい、組成物。
224.熱循環は、
(a)混合物を、第1の温度域における温度から第2の温度域における温度に加熱するステップ、
(b)(a)の混合物を、第2の温度域における温度から第1の温度域における温度に冷却するステップ;ならびに
(c)ステップ(a)および(b)を少なくとも1回繰り返すステップ
を含んでいてもよい、実施形態223に記載の組成物。
225.熱循環は、ステップ(a)および(b)を1回繰り返すステップを含む、実施形態224に記載の組成物。
226.熱循環は、ステップ(a)および(b)を2回繰り返すステップを含む、実施形態224に記載の組成物。
227.熱循環は、ステップ(a)および(b)を3回繰り返すステップを含む、実施形態224に記載の組成物。
228.熱循環は、ステップ(a)および(b)を4回繰り返すステップを含む、実施形態224に記載の組成物。
229.熱循環は、ステップ(a)および(b)を5回繰り返すステップを含む、実施形態224に記載の組成物。
230.第1の温度域は30℃~45℃である、実施形態224から229のいずれか1つに記載の組成物。
231.第1の温度域における温度は37℃である、実施形態230に記載の組成物。
232.第2の温度域は50℃~65℃である、実施形態224から231のいずれか1つに記載の組成物。
233.第2の温度域における温度は55℃である、実施形態232に記載の組成物。
234.熱循環は、混合物を37℃~55℃の間で熱循環させるステップを含む、実施形態223から233のいずれか1つに記載の組成物。
235.脂質結合タンパク質ベースの複合体およびそれと複合化した1種または複数の眼科薬物を含む組成物であって、1種または複数の眼科薬物のうちの1種または複数は、(i)疎水性、かつ/または(ii)難水溶性もしくは非水溶性であってもよい、組成物。
236.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、第6.1.4節に記載される脂質結合タンパク質分子を含む、実施形態223から235のいずれか1つに記載の組成物。
237.脂質結合タンパク質ベースの複合体はアポリポタンパク質A-I(ApoA-I)を含み、ApoA-IはApoA-Iミラノでなくてもよい、実施形態223から235のいずれか1つに記載の組成物。
238.脂質結合タンパク質ベースの複合体はアポリポタンパク質模倣体を含まない、実施形態223から237のいずれか1つに記載の組成物。
239.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、第6.1.5節に記載される1種または複数の両親媒性分子を含む、実施形態223から238のいずれか1つに記載の組成物。
240.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、1種または複数の中性脂質を含む、実施形態223から239のいずれか1つに記載の組成物。
241.1種または複数の中性脂質はスフィンゴミエリンを含む、実施形態240に記載の組成物。
242.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、1種または複数の負に帯電した脂質を含む、実施形態223から241のいずれか1つに記載の組成物。
243.1種または複数の負に帯電した脂質は1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール)(DPPG)またはその塩を含む、実施形態242に記載の組成物。
244.脂質結合タンパク質ベースの複合体は再構成HDLまたはHDL模倣体である、実施形態223から243のいずれか1つに記載の組成物。
245.脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-001である、実施形態244に記載の組成物。
246.脂質結合タンパク質ベースの複合体はCSL-111である、実施形態244に記載の組成物。
247.脂質結合タンパク質ベースの複合体はCSL-112である、実施形態244に記載の組成物。
248.脂質結合タンパク質ベースの複合体はETC-216である、実施形態244に記載の組成物。
249.脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-522である、実施形態244に記載の組成物。
250.脂質結合タンパク質ベースの複合体は脱脂されたHDLである、実施形態244に記載の組成物。
251.脂質結合タンパク質ベースの複合体はApomerである、実施形態223から243のいずれか1つに記載の組成物。
252.脂質結合タンパク質ベースの複合体はCargomerである、実施形態223から243のいずれか1つに記載の組成物。
253.1種または複数の眼科薬物は、ステロイド、キナーゼ阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アルドースレダクターゼ阻害剤、免疫抑制剤、炭酸脱水酵素阻害剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、またはその組み合わせを含む、実施形態223から252のいずれか1つに記載の組成物。
254.1種または複数の眼科薬物は、アジスロマイシン、デキサメタゾン、ジフルプレドナート、エストラジオール、フルオシノロン、フルオロメトロン、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、プレドニゾロン、トリアムシノロン、リメキソロン、スピロノラクトン、アキシチニブ、BMS-794833(N-(4-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-5-(4-フルオロフェニル)-4-オキソ-1,4-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド)、カボザンチニブ、セジラニブ、ドビチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、モテサニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、PD173074(N-[2-[[4-(ジエチルアミノ)ブチル]アミノ]-6-(3,5-ジメトキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-N’-(1,1-ジメチルエチル)ウレア)、パゾパニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、トファシチニブ、ZM323881(5-((7-ベンジルオキシキナゾリン-4-イル)アミノ)-4-フルオロ-2-メチルフェノール)、カンデサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、2-メチルソルビノ、シロリムス、シクロスポリン、タクロリムス、アセタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、エトキシゾラミド、メタゾラミド、アシクロビル、クロラムフェニコール、クロルテトラサイクリン、シプロフロキサシン、フシジン酸、ガンシクロビル、ノルフロキサシン、オフロキサシン、テトラサイクリン、ジドブジン、レボカバスチン、ブロムフェナク、ジクロフェナク、インドメタシン、ネパフェナク、またはその組み合わせを含む、実施形態223から253のいずれか1つに記載の組成物。
255.1種または複数の眼科薬物は、アジスロマイシン、デキサメタゾン、ジフルプレドナート、エストラジオール、フルオシノロン、フルオロメトロン、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、プレドニゾロン、トリアムシノロン、リメキソロン、スピロノラクトン、アキシチニブ、BMS-794833(N-(4-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-5-(4-フルオロフェニル)-4-オキソ-1,4-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド)、カボザンチニブ、セジラニブ、ドビチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、モテサニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、PD173074(N-[2-[[4-(ジエチルアミノ)ブチル]アミノ]-6-(3,5-ジメトキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-N’-(1,1-ジメチルエチル)ウレア)、パゾパニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、トファシチニブ、ZM323881(5-((7-ベンジルオキシキナゾリン-4-イル)アミノ)-4-フルオロ-2-メチルフェノール)、カンデサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、2-メチルソルビノ、シロリムス、シクロスポリン、タクロリムス、アセタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、エトキシゾラミド、メタゾラミド、アシクロビル、クロラムフェニコール、クロルテトラサイクリン、シプロフロキサシン、フシジン酸、ガンシクロビル、ノルフロキサシン、オフロキサシン、テトラサイクリン、ジドブジン、レボカバスチン、ブロムフェナク、ジクロフェナク、インドメタシン、ネパフェナク、パルミチン酸デキサメタゾン、またはその組み合わせを含む、実施形態223から253のいずれか1つに記載の組成物。
256.1種または複数の眼科薬物はアジスロマイシンを含み、組成物におけるアジスロマイシンの濃度は10mg/mlであってもよい、実施形態254または実施形態255に記載の組成物。
257.1種または複数の眼科薬物はスピロノラクトンを含み、組成物におけるスピロノラクトンの濃度は1.5mg/mlであってもよい、実施形態254から256のいずれか1つに記載の組成物。
258.1種または複数の眼科薬物はパルミチン酸デキサメタゾンを含み、組成物におけるパルミチン酸デキサメタゾンの濃度は1mg/mlであってもよい、実施形態254から257のいずれか1つに記載の組成物。
259.1種または複数の眼科薬物はシクロスポリンを含み、組成物におけるシクロスポリンの濃度は1mg/mlであってもよい、実施形態254から258のいずれか1つに記載の組成物。
260.1種または複数の眼科薬物は、ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロスト、タフルプロスト、またはその組み合わせを含む、実施形態223から259のいずれか1つに記載の組成物。
261.1種または複数の眼科薬物はラタノプロストを含む、実施形態260に記載の組成物。
262.1種または複数の眼科薬物はデキサメタゾンを含む、実施形態223から261のいずれか1つに記載の組成物。
263.1種または複数の眼科薬物はエタボン酸ロテプレドノールを含む、実施形態223から262のいずれか1つに記載の組成物。
264.1種または複数の眼科薬物はトリアムシノロンを含む、実施形態223から263のいずれか1つに記載の組成物。
265.1種または複数の眼科薬物はアシクロビルを含む、実施形態223から264のいずれか1つに記載の組成物。
266.1種または複数の眼科薬物はトラボプロストを含む、実施形態223から265のいずれか1つに記載の組成物。
267.1種または複数の眼科薬物はビマトプロストを含む、実施形態223から266のいずれか1つに記載の組成物。
268.1種または複数の眼科薬物はタフルプロストを含む、実施形態223から267のいずれか1つに記載の組成物。
269.1種または複数の眼科薬物はパゾパニブを含む、実施形態223から268のいずれか1つに記載の組成物。
270.1種または複数の眼科薬物はシロリムスを含む、実施形態223から269のいずれか1つに記載の組成物。
271.1種または複数の眼科薬物はタクロリムスを含む、実施形態223から270のいずれか1つに記載の組成物。
272.1種または複数の眼科薬物はネパフェナクを含む、実施形態223から271のいずれか1つに記載の組成物。
273.細胞透過性ペプチドを含まない、実施形態223から272のいずれか1つに記載の組成物。
274.化学的透過増強剤を含まない、実施形態223から273のいずれか1つに記載の組成物。
275.細胞親和性ペプチドを含まない、実施形態223から274のいずれか1つに記載の組成物。
276.1種または複数の緩衝剤、防腐剤、賦形剤、希釈剤、またはその組み合わせをさらに含む医薬組成物である、実施形態223から275のいずれか1つに記載の組成物。
277.実施形態1から222のいずれか1つに記載の方法における使用のための、実施形態223から276のいずれか1つに記載の組成物。
278.脂質結合タンパク質ベースの複合体および1種または複数の眼科薬物を含む組成物を産生するためのプロセスであって、組成物は、実施形態235から277のいずれか1つに記載の組成物であり、プロセスは、脂質結合タンパク質ベースの複合体および1種または複数の眼科薬物を含む混合物を熱循環させるステップを含んでいてもよい、プロセス。
279.熱循環は、
(a)混合物を、第1の温度域における温度から第2の温度域における温度に加熱するステップ、
(b)(a)の混合物を、第2の温度域における温度から第1の温度域における温度に冷却するステップ;ならびに
(c)ステップ(a)および(b)を少なくとも1回繰り返すステップ
を含んでいてもよい、実施形態278に記載のプロセス。
280.ステップ(a)および(b)を1回繰り返す、実施形態279に記載のプロセス。
281.ステップ(a)および(b)を2回繰り返す、実施形態279に記載のプロセス。
282.ステップ(a)および(b)を3回繰り返す、実施形態279に記載のプロセス。
283.ステップ(a)および(b)を4回繰り返す、実施形態279に記載のプロセス。
284.ステップ(a)および(b)を5回繰り返す、実施形態279に記載のプロセス。
285.第1の温度域は30℃~45℃である、実施形態279から284のいずれか1つに記載のプロセス。
286.第1の温度域における温度は37℃である、実施形態285に記載のプロセス。
287.第2の温度域は50℃~65℃である、実施形態279から286のいずれか1つに記載のプロセス。
288.第2の温度域における温度は55℃である、実施形態287に記載のプロセス。
289.混合物を37℃~55℃の間で熱循環させるステップを含む、実施形態278から287のいずれか1つに記載のプロセス。
290.実施形態278から289のいずれか1つに記載のプロセスを含む方法によって産生される組成物であって、方法は、プロセスの産物と、1種または複数の緩衝剤、防腐剤、賦形剤、希釈剤、またはその組み合わせとを組み合わせるステップをさらに含んでいてもよい、組成物。
291.1種または複数の眼科薬物と複合化してもよい、対象における眼疾患の治療における使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体であって、脂質結合タンパク質ベースの複合体の投与される量は、眼疾患の重症度を低下させるのに有効である、使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
292.眼疾患は、脂質蓄積と関連した疾患であり;好ましくは、眼疾患は、魚眼病等のLCAT欠損症と関連した眼疾患;マイボーム腺機能不全(MGD)または涙腺機能不全と関連したドライアイ疾患等のドライアイ疾患;眼瞼炎;ぶどう膜炎等の炎症性眼疾患;脂肪性角膜症等の角膜の疾患;黄斑浮腫;黄斑変性症;網膜剥離;眼腫瘍;真菌感染症;ウイルス感染症;細菌感染症;多巣性脈絡膜炎;糖尿病性網膜症;増殖性硝子体網膜症(PVR);交感性眼炎;フォークト・小柳・原田(VKH)症候群;ヒストプラスマ症;ぶどう膜拡散;血管閉塞;および眼内炎から選択される、実施形態291に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
293.眼疾患は魚眼病であり、対象は、LCAT変異に対してホモ接合性またはヘテロ接合性である、実施形態291または292のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
294.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、再構成HDL、HDL模倣体、Cargomer、またはApomerであり;好ましくは、脂質結合タンパク質ベースの複合体は、CER-001、CSL-111、CSL-112、CER-522、またはETC-216から選択され;より好ましくは、脂質結合タンパク質ベースの複合体はCER-001である、実施形態291から293のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
295.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、脂質結合タンパク質ベースの複合体と複合化した1種または複数の眼科薬物を含み、1種または複数の眼科薬物は、ステロイド、キナーゼ阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アルドースレダクターゼ阻害剤、免疫抑制剤、炭酸脱水酵素阻害剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、またはその組み合わせを含む、実施形態291から294のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
296.1種または複数の眼科薬物は、アジスロマイシン、スピロノラクトン、デキサメタゾン、ジフルプレドナート、エストラジオール、フルオシノロン、フルオロメトロン、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、プレドニゾロン、トリアムシノロン、リメキソロン、アキシチニブ、BMS-794833(N-(4-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-5-(4-フルオロフェニル)-4-オキソ-1,4-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド)、カボザンチニブ、セジラニブ、ドビチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、モテサニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、PD173074(N-[2-[[4-(ジエチルアミノ)ブチル]アミノ]-6-(3,5-ジメトキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-N’-(1,1-ジメチルエチル)ウレア)、パゾパニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、トファシチニブ、ZM323881(5-((7-ベンジルオキシキナゾリン-4-イル)アミノ)-4-フルオロ-2-メチルフェノール)、カンデサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、2-メチルソルビノ、シロリムス、アセタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、エトキシゾラミド、メタゾラミド、アシクロビル、クロラムフェニコール、クロルテトラサイクリン、シプロフロキサシン、フシジン酸、ガンシクロビル、ノルフロキサシン、オフロキサシン、テトラサイクリン、ジドブジン、レボカバスチン、ブロムフェナク、ジクロフェナク、インドメタシン、ネパフェナク、ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロスト、タフルプロスト、パルミチン酸デキサメタゾン、シクロスポリン、またはその組み合わせを含む、実施形態291から295のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
297.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、
(a)誘導レジメン;および/または
(b)強化レジメン;および/または
(c)維持レジメン
を含む投薬レジメンに従って投与される、実施形態291から296のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
298.投薬レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の複数回の用量を投与するステップを含む誘導レジメンを含み、複数回の用量は1日または複数日の間隔がある、実施形態297に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
299.誘導レジメンの初回用量後の用量は3日間以下の間隔であり、好ましくは、誘導レジメンの初回用量後の用量は1~3日間の間隔がある、実施形態298に記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
300.誘導レジメンは少なくとも1週間の継続期間のものであり、好ましくは、誘導レジメンは2週間の継続期間、より好ましくは3週間の継続期間のものである、実施形態297から299のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
301.誘導レジメンは、週あたり脂質結合タンパク質ベースの複合体の3回の用量を対象に投与するステップを含む、実施形態297から300のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
302.誘導レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の少なくとも3回の用量;好ましくは4回以上の用量、5回以上の用量、6回以上の用量、7回以上の用量、8回以上の用量、または9回以上の用量を投与するステップを含み;より好ましくは、誘導レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の9回以上の用量を投与するステップを含む、実施形態297から301のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
303.誘導レジメンは、1日目に対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の最初の用量を投与するステップ、ならびに2、4、7、9、11、14、16、および18日目に対象に誘導レジメンの後続の用量を投与するステップを含む、実施形態297から302のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
304.投薬レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の複数回の用量を投与するステップを含む強化レジメンを含み、複数回の用量は2日間以上の間隔がある、実施形態297から303のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
305.強化レジメンの用量は4日間以下の間隔であり、好ましくは、強化レジメンの用量は3または4日間によって互いに隔てられる、実施形態297から304のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
306.強化レジメンは少なくとも3週間の継続期間のものである、実施形態297から305のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
307.強化レジメンは、週あたり対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の少なくとも2回の用量を投与するステップを含む、実施形態297から306のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
308.強化レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の少なくとも2回の用量;好ましくは3回以上の用量、4回以上の用量、5回以上の用量、または6回以上の用量を投与するステップを含み;より好ましくは、強化レジメンは、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の6回以上の用量を投与するステップを含む、実施形態297から307のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
309.強化レジメンは、1日目に始まる誘導レジメンの後に、21、24、28、31、35、および38日目に対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の6回の用量を投与するステップを含む、実施形態297から308のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
310.投薬レジメンは、3日間以上ごとに1回、好ましくは5日間以上ごとに1回、より好ましくは週あたり1回の用量、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量を投与するステップを含む維持レジメンを含む、実施形態297から309のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
311.維持レジメンは、少なくとも1ヶ月間、対象に脂質結合タンパク質ベースの複合体を投与するステップを含む、実施形態297から310のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
312.誘導レジメンにおいて、強化レジメンにおいて、および/または維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は、4~30mg/kg(タンパク質重量ベースで);好ましくは5~15mg/kg(タンパク質重量ベースで)、10~20mg/kg(タンパク質重量ベースで)、または15~25mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態297から311のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
313.誘導レジメンにおいて、強化レジメンにおいて、および/または維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は、8mg/kg(タンパク質重量ベースで)または10mg/kg(タンパク質重量ベースで)である、実施形態297から312のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
314.誘導レジメンにおいて、強化レジメンにおいて、および/または維持レジメンにおいて投与される脂質結合タンパク質ベースの複合体の用量は、300mg~3000mg;好ましくは300mg~1500mg、400mg~1500mg、500mg~1200mg、または500mg~1000mgである、実施形態297から313のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
315.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、末梢に、注入によって投与されてもよい、実施形態291から314のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
316.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、局所的に、好ましくは眼球内に、例えば眼球内注射によって、または局部的に、例えば点眼薬によって投与される、実施形態291から314のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
317.1回または複数の脂質結合タンパク質ベースの複合体用量の投与の前に、抗ヒスタミン薬が投与される、実施形態291から316のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
318.対象は脂質制御医薬も用いて治療され;好ましくは、脂質制御医薬は、アトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、もしくはプラバスタチン等のスタチン;エゼチミブ等のコレステロール吸収阻害剤;ナイアシン;アスピリン;アリロクマブ、ボコシズマブ、エボロクマブ、1D05-IgG2、およびLY3015014から選択される抗体等のプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤;またはALN-PCSSC等のRNAi治療薬を含む、実施形態291から317のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
319.対象は、眼疾患に対する標準ケア療法も用いて治療される、実施形態291から318のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
320.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、細胞透過性ペプチドを含まず、それとともに投与されない、実施形態291から319のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
321.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、化学的透過増強剤を含まず、それとともに投与されない、実施形態291から320のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
322.脂質結合タンパク質ベースの複合体は、細胞親和性ペプチドを含まず、それとともに投与されない、実施形態291から321のいずれか1つに記載の使用のための脂質結合タンパク質ベースの複合体。
323.リポタンパク質複合体は、ApoA-Iアポリポタンパク質画分、および1種または複数のリン脂質を含む脂質画分を含み、
対象は眼球脂質沈着を有する、
それを必要とする対象における眼疾患の治療における使用のためのリポタンパク質複合体。
324.リポタンパク質複合体は、ApoA-Iアポリポタンパク質画分、ならびに少なくとも1種の中性リン脂質、および1種または複数の負に帯電したリン脂質を含んでいてもよい、脂質画分を含む、実施形態323に記載の使用のためのリポタンパク質複合体。
325.リポタンパク質複合体は、CER-001、CSL-111、およびETC-216から選択される、実施形態323または実施形態324に記載の使用のためのリポタンパク質複合体。
326.リポタンパク質複合体は、ApoA-Iアポリポタンパク質画分、ならびにスフィンゴミエリンおよび1種または複数の負に帯電したリン脂質を含むリポタンパク質画分を含む、実施形態323から325のいずれか1つに記載の使用のためのリポタンパク質複合体。
327.リポタンパク質複合体は、ApoA-Iアポリポタンパク質画分および脂質画分を含み、脂質画分は、スフィンゴミエリンおよび約0.2~6wt%の負に帯電したリン脂質から本質的になり、脂質画分対ApoA-Iアポリポタンパク質画分のモル比は約2:1~200:1に及んでいる、実施形態323から326のいずれか1つに記載の使用のためのリポタンパク質複合体。
328.負に帯電したリン脂質は1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール)(DPPG)またはその塩を含む、実施形態324から327のいずれか1つに記載の使用のためのリポタンパク質複合体。
329.リポタンパク質複合体はCER-001である、実施形態323から328のいずれか1つに記載の使用のためのリポタンパク質複合体。
330.眼球脂質沈着は、角膜脂質沈着、網膜脂質沈着、眼瞼脂質沈着、またはその組み合わせである、実施形態323から329のいずれか1つに記載の使用のためのリポタンパク質複合体。
331.眼疾患は、マイボーム腺機能不全(MGD)と関連したドライアイおよび涙腺機能不全と関連したドライアイを含めた、脂質蓄積と関連したドライアイ、眼瞼炎、炎症性眼疾患、前部ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎、および汎ぶどう膜炎を含めたぶどう膜炎、脂肪性角膜症を含めた角膜の疾患、魚眼病を含めたLCAT欠損症と関連した眼疾患、乾性黄斑変性症(乾性AMD)、シュタルガルト病、ならびにレーバー特発性星芒状視神経網膜炎、黄斑浮腫、黄斑変性症、網膜剥離、眼腫瘍、真菌感染症、ウイルス感染症、細菌性結膜炎およびトラコーマを含めた細菌感染症、多巣性脈絡膜炎、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、交感性眼炎、フォークト・小柳・原田(VKH)症候群、ヒストプラスマ症、ぶどう膜拡散、血管閉塞、眼内炎、ならびに緑内障から選択される、実施形態323から330のいずれか1つに記載の使用のためのリポタンパク質複合体。
332.リポタンパク質複合体の投与される量は、対象に対する眼球脂質沈着を低下させるのに有効である、実施形態323から331のいずれか1つに記載の使用のためのリポタンパク質複合体。
333.リポタンパク質複合体は1種または複数の眼科薬物をさらに含む、実施形態323から332のいずれか1つに記載の使用のためのリポタンパク質複合体。
334.眼科薬物は、ステロイド、キナーゼ阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アルドースレダクターゼ阻害剤、免疫抑制剤、炭酸脱水酵素阻害剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、プロスタグランジン類似体、またはその組み合わせであり;好ましくは、眼科薬物は、アジスロマイシン、デキサメタゾン、パルミチン酸デキサメタゾン、ジフルプレドナート、エストラジオール、フルオシノロン、フルオロメトロン、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、プレドニゾロン、トリアムシノロン、リメキソロン、スピロノラクトン、アキシチニブ、BMS-794833(N-(4-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-5-(4-フルオロフェニル)-4-オキソ-1,4-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド)、カボザンチニブ、セジラニブ、ドビチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、モテサニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、PD173074(N-[2-[[4-(ジエチルアミノ)ブチル]アミノ]-6-(3,5-ジメトキシフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-N’-(1,1-ジメチルエチル)ウレア)、パゾパニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、トファシチニブ、ZM323881(5-((7-ベンジルオキシキナゾリン-4-イル)アミノ)-4-フルオロ-2-メチルフェノール)、カンデサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、2-メチルソルビノ、シロリムス、シクロスポリン、タクロリムス、アセタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、エトキシゾラミド、メタゾラミド、アシクロビル、クロラムフェニコール、クロルテトラサイクリン、シプロフロキサシン、フシジン酸、ガンシクロビル、ノルフロキサシン、オフロキサシン、テトラサイクリン、ジドブジン、レボカバスチン、ブロムフェナク、ジクロフェナク、インドメタシン、ネパフェナク、ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロスト、またはその組み合わせから選択される、実施形態333に記載の使用のためのリポタンパク質複合体。
335.リポタンパク質複合体は、末梢に、注入によって投与されてもよい、実施形態323から334のいずれか1つに記載の使用のためのリポタンパク質複合体。
336.リポタンパク質複合体は、眼球内に、好ましくは眼球内注射によって、より好ましくは硝子体内注射によって投与される、実施形態323から334のいずれか1つに記載の使用のためのリポタンパク質複合体。
337.リポタンパク質複合体は、局部経路によって、好ましくは点眼薬を使用して投与される、実施形態323から334のいずれか1つに記載の使用のためのリポタンパク質複合体。
338.リポタンパク質複合体は、細胞透過性ペプチドを含まず、それとともに投与されない、実施形態323から337のいずれか1つに記載の使用のためのリポタンパク質複合体。
339.リポタンパク質複合体は、化学的透過増強剤を含まず、それとともに投与されない、実施形態323から338のいずれか1つに記載の使用のためのリポタンパク質複合体。
340.リポタンパク質複合体は、細胞親和性ペプチドを含まず、それとともに投与されない、実施形態323から339のいずれか1つに記載の使用のためのリポタンパク質複合体。
【0314】
様々な具体的な実施形態が例示されかつ記載されているものの、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変化が加えられ得ることが解されるであろう。
【0315】
9.参照による組み込み
本出願において引用されるすべての刊行物、特許、特許出願、および他の文書は、あたかもそれぞれ個々の刊行物、特許、特許出願、または他の文書が、すべての目的のために参照により組み込まれることを個々に示されるのと同じ程度に、すべての目的のために参照によりそれらの全体として本明細書によって組み込まれる。
【0316】
本明細書に含まれている文書、行為、材料、装置、品目等の任意の記述は、単に本開示のための文脈を提供する目的のためのものである。それは、これらの事柄のいずれかまたはすべてが、先行技術基準の一部を形成する、またはそれは本出願の優先日の前にどこかに存在したことから、本開示と関連した分野におけるよく知られた一般知識であったという承認として受け取られるべきではない。
【配列表】
【国際調査報告】