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特表2023-543499装置とともに使用されるエアロゾル発生物品のタイプを識別する手段を有するエアロゾル発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-16
(54)【発明の名称】装置とともに使用されるエアロゾル発生物品のタイプを識別する手段を有するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20231006BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20231006BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20231006BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20231006BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
A24F40/40
A24F40/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519891
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2021076856
(87)【国際公開番号】W WO2022069582
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】20199174.2
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】ストゥラ エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】ブタン ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】シャトー マクシム
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC22
4B162AC34
4B162AD23
(57)【要約】
エアロゾル発生物品とともに使用するためのエアロゾル発生装置であって、装置は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するように構成されたレセプタクルと、エアロゾル発生物品がレセプタクルによって受容される時に、エアロゾル発生物品のサセプタ配設を誘導加熱するための交番磁界を発生するように構成された誘導加熱配設とを備える、サセプタ配設を含む。さらに、エアロゾル発生装置は、誘導加熱配設に動作可能に接続され、エアロゾル発生物品がレセプタクルによって受容される時に、装置の使用時にサセプタ配設の加熱中に到達するサセプタ配設の電気特性の第一の値および第二の値を決定するように構成される、コントローラを含む。コントローラは、第一および第二の値の間の差を決定し、決定された差に基づいてレセプタクルによって受容される物品のタイプを識別するようにさらに構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サセプタ配設を備えるエアロゾル発生物品とともに使用するためのエアロゾル発生装置であって、前記エアロゾル発生装置が、
前記エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するように構成されたレセプタクルと、
前記エアロゾル発生物品が前記レセプタクルによって受容される時に、前記エアロゾル発生物品の前記サセプタ配設を誘導加熱するための交番磁界を発生するように構成された誘導加熱配設と、
前記誘導加熱配設に動作可能に接続され、
- 前記エアロゾル発生物品が前記レセプタクルによって受容される時に、前記装置の使用時に前記サセプタ配設の加熱中に到達する前記サセプタ配設の電気特性の第一の値および第二の値を決定し、
- 前記第一の値と前記第二の値との間の差を決定し、
- 前記決定された差に基づいて、前記レセプタクルによって受容される前記エアロゾル発生物品の物品タイプを識別するように構成されるコントローラと、を含む、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記電気特性の前記第一の値および前記第二の値が、前記サセプタ配設の電気コンダクタンスを示す値、または前記サセプタ配設を加熱する際に前記誘導加熱配設によって引き出される供給電流を示す値である、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記装置が、供給電流を提供するように構成され、前記誘導加熱配設および前記コントローラに動作可能に接続された電源を備える、請求項1~2のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記コントローラが、前記電源から引き出される前記供給電流を決定し、前記サセプタ配設の前記電気特性の前記第一の値と前記電気特性の前記第二の値との間の差を、前記電源から引き出される前記供給電流の経時的変化から決定するように構成される、請求項3に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記コントローラが、前記電源から引き出される前記供給電流および供給電圧を決定し、前記サセプタ配設の前記電気特性の前記第一の値と前記電気特性の前記第二の値との間の差を、前記電源から引き出される前記供給電流と供給電圧の経時的変化から決定するように構成される、請求項3または請求項4に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記コントローラが、前記交番磁界を発生するために使用される前記誘導加熱配設の電力定格を使用して、前記電気特性の前記第一の値と前記第二の値との間の前記決定された差を正規化するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記コントローラが、前記第一の値と前記第二の値との間の前記決定された差を、以下の式に従って正規化するように構成され:
Delta_Norm=k*(Power_Norm-Power)+Delta、
式中、Delta_Normは前記正規化された差であり、Deltaは前記決定された差であり、Power_Normは電力定格係数であり、kは複数のエアロゾル発生装置に対して経験的に決定される正規化係数であり、Powerは前記誘導加熱配設の前記電力定格である、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記コントローラが、前記識別された物品タイプに応答して、前記誘導加熱配設の加熱動作を制御するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記コントローラが、一つ以上の所定の加熱プロファイルのそれぞれの一つによる前記誘導加熱配設の加熱動作を制御するように構成され、その各々が特定の物品タイプに関連する、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記コントローラが、前記電気特性の前記第一の値または前記第二の値のうちの少なくとも一つの異常偏差を識別するように構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記コントローラが、前記電気特性の前記第一の値または前記第二の値の少なくとも一つの異常偏差の前記識別に応答して、安全加熱プロファイルに従って前記誘導加熱配設の加熱動作を制御するように構成される、請求項10に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記コントローラが、前記誘導加熱配設の前の動作後の所定の一時停止時間の間、前記誘導加熱配設の動作の開始を無効化するように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置、および少なくとも一つのタイプのエアロゾル発生物品または前記装置が一緒に使用されるように構成された異なるタイプの少なくとも二つのエアロゾル発生物品を含み、各タイプの前記物品が、加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成することができるエアロゾル形成基体、および前記基体を加熱するための誘導加熱可能サセプタ配設を備え、各物品タイプの前記サセプタ配設の材料組成物は、温度の上昇に伴い、前記サセプタ配設の電気特性が第一の値から第二の値に変化するようなものであり、各物品タイプの前記サセプタ配設が、前記それぞれの第一の値と前記それぞれの第二の値との間に特有の差を有し、前記差が前記物品タイプを示す、エアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記異なる物品タイプの前記サセプタ配設が、前記それぞれのサセプタ配設の寸法または前記それぞれのサセプタ配設の前記材料組成物のうちの少なくとも一つにおいて異なる、請求項13に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置、および前記装置が一緒に使用されるように構成された特定のタイプのエアロゾル発生物品を含み、前記特定のタイプの前記物品が、加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成することができるエアロゾル形成基体、および前記基体を加熱するための誘導加熱可能サセプタ配設を備え、前記サセプタ配設の材料組成物が、温度の上昇に伴い、前記サセプタ配設の電気特性が第一の値から第二の値に変化するように選択され、前記サセプタ配設が、前記第一の値と前記第二の値との間に特有の差を有し、前記差が前記特定の物品タイプを示す、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、装置とともに使用されるエアロゾル発生物品のタイプを識別する手段を有するエアロゾル発生装置に関する。本開示はまた、こうした装置と、装置とともに使用するための少なくとも一つのタイプのエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムに関する。さらに、本開示は、こうした装置によって受容されるエアロゾル発生物品のタイプを識別する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成基体を電気的に加熱することによって吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置は、先行技術から一般的に知られている。こうした装置は、加熱されるエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するためのレセプタクルを備えてもよい。装置は、物品が空洞内に受容されている時に基体を加熱するための電気加熱配設をさらに備える。特に、加熱配設は、物品が装置のレセプタクルによって受容される時に、エアロゾル発生物品内でサセプタを誘導加熱するための交番磁界を発生させるように構成された誘導加熱配設であってもよい。
【0003】
一般に、こうしたエアロゾル発生装置は、単一のタイプのエアロゾル発生物品との使用、または二つ以上の異なるタイプのエアロゾル発生物品との代替的使用のいずれかのために構成されてもよい。レセプタクルによって現在受容されているエアロゾル発生物品のタイプを検出するために、物品は、装置とともに使用されるエアロゾル発生物品のタイプを識別する手段を含んでもよい。こうした種類の検出は、物品タイプを示す物品側の特定のマーカーに応答する、装置内の別個のセンサー手段によって実現され得る。しかしながら、装置側に別個のセンサー手段を有し、物品側に特定のマーカーを有すると、より高い技術的努力と、装置および物品の両方の製造コストの増大を伴う。
【0004】
したがって、エアロゾル発生装置、および先行技術の解決策の利点を有しつつも、それらの制限を軽減するエアロゾル発生装置とともに使用されるエアロゾル発生物品のタイプの識別を可能にする方法を有することが望ましい。特に、エアロゾル発生装置、エアロゾル発生システム、および技術的に単純な様式で物品タイプの識別を可能にする方法を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明によると、サセプタ配設を含むエアロゾル発生物品とともに使用するためのエアロゾル発生装置が提供される。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するように構成されたレセプタクルを含む。装置はさらに、エアロゾル発生物品がレセプタクルによって受容される時に、エアロゾル発生物品のサセプタ配設を誘導加熱するための交番磁界を発生させるように構成された誘導加熱配設を備える。さらに、エアロゾル発生装置は、誘導加熱配設に動作可能に接続され、エアロゾル発生物品がレセプタクルによって受容される時に、装置の使用時にサセプタ配設の加熱中に到達するサセプタ配設の電気特性の第一の値および第二の値、特に初期値および極値を決定するように構成されるコントローラを含む。コントローラは、第一の値と第二の値との間の差、特に初期値と極値との間の差を決定し、決定された差に基づいてレセプタクルによって受容されるエアロゾル発生物品の物品タイプを識別するようにさらに構成される。
【0006】
本発明によれば、装置側の物品タイプ別センサー手段および物品側の特定のマーカーを識別するために、システムの既存の構成要素、すなわち、コントローラを誘導加熱配設およびサセプタ配設と組み合わせて使用することによって、誘導加熱エアロゾル発生システムを省略できることが見出された。特に、エアロゾル発生物品のサセプタ配設が、加熱中、すなわち、第一の値から第二の値、特に、初期値から極値まで、特性値を通過する少なくとも一つの電気特性を含む場合、第一の値と第二の値との間の差は特有であり、したがって、特定の物品タイプを示すことができることが見出された。装置側では、電気特性の第一の値および第二の値は、誘導加熱配設と組み合わせたコントローラによって容易に検出され得る。例えば、電気特性の第一の値および第二の値が、サセプタ配設の電気コンダクタンスを示す値である場合、これらの値は、対応する第一および第二の値、特に、サセプタ配設の加熱における誘導加熱配設によって引き出される供給電流の対応する初期値および極値と共に進み得る。したがって、コントローラは、誘導加熱配設によって引き出される供給電流の第一および第二の値を示す、対応する信号の第一および第二の値を決定するように容易に構成され得る。さらに、コントローラは、決定された値間の差を決定し、決定された差に基づいてレセプタクルによって受容されるエアロゾル発生物品の物品タイプを識別するように構成されてもよい。
【0007】
一般に、装置はエアロゾル発生物品の少なくとも一つのタイプとともに使用するために構成されてもよい。特に、装置は、エアロゾル発生物品の単一のタイプとともに使用するように構成され得る。
【0008】
エアロゾル発生物品、特に、少なくとも一つのタイプまたは単一のタイプのエアロゾル発生物品は、加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成することができるエアロゾル形成基体、および基体を加熱するための誘導加熱可能サセプタ配設を含んでもよい。エアロゾル発生物品のサセプタ配設の材料組成物、特に、少なくとも一つの物品タイプまたは単一の物品タイプはそれぞれ、温度の上昇に伴い、サセプタ配設の電気特性の値が変化し、第一の値から第二の値、特に初期値から極値へ、特に減少または増加するようなものであってもよい。エアロゾル発生物品のサセプタ配設、特に、少なくとも一つの物品タイプまたは単一の物品タイプのそれぞれは、第一の値と第二の値の間に、特に初期値と極値との間に、特有の差を有してもよく、差は、物品タイプを示す。
【0009】
同様に、装置は、少なくとも二つの異なるタイプのエアロゾル発生物品とともに使用するように構成されてもよい。例えば、エアロゾル発生装置は、ゲル様エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品、および固体エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品との代替的使用のために構成されてもよい。各タイプの物品は、加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成することができるエアロゾル形成基体、および基体を加熱するための誘導加熱可能サセプタ配設を含み得る。各物品タイプのサセプタ配設の材料組成物は、温度の上昇に伴い、サセプタ配設の電気特性の値が変化し、第一の値から第二の値へ、特に初期値から極値へ、特に減少または増加するようなものであってもよい。各物品タイプのサセプタ配設は、それぞれの第一の値とそれぞれの第二の値、特にそれぞれの初期値とそれぞれの極値との間に特有の差を有してもよく、差は、それぞれの物品タイプを示す。
【0010】
言い換えれば、本発明によれば、少なくとも第一のタイプおよび第二のタイプの誘導加熱可能エアロゾル発生物品の代替的使用のためのエアロゾル発生装置が提供されてもよく、各タイプの物品は、加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成することができるエアロゾル形成基体と、基体を加熱するためのサセプタ配設とを備え、装置は、
第一のタイプまたは第二のタイプのエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するように構成されたレセプタクルと、
エアロゾル発生物品がレセプタクルによって受容される時に、第一または第二のタイプのエアロゾル発生物品のサセプタ配設を誘導加熱するための交番磁界を発生するように構成された誘導加熱配設と、
誘導加熱配設に動作可能に接続され、
第一のタイプまたは第二のタイプの物品のサセプタ配設の電気特性の第一の値および第二の値を決定し、電気特性は、第一または第二のタイプのエアロゾル発生物品がレセプタクルによって受容される時に、装置の使用時にサセプタ配設の加熱中に到達され、
第一の値と第二の値との間の差を決定し、
決定された差に基づいて、レセプタクルによって受容されるエアロゾル発生物品の物品タイプを識別するように構成される、コントローラと、を含む。
【0011】
各物品タイプについて、電気特性の第一および第二の値は、以下でより詳細に説明するように、それぞれ初期値および極値であってもよい。特に、サセプタ配設の材料組成物は、加熱中の温度の上昇に伴い、サセプタ配設の電気特性が変化し、初期値から極値まで、特に増加または減少するように選択されてもよく、電気特性の初期値から極値への変化が、エアロゾル発生物品のタイプを示す。すなわち、各物品タイプのサセプタ配設は、それぞれの第一の値とそれぞれの第二の値の間、特にそれぞれの初期値とそれぞれの極値との間に特有の差を有してもよく、差は、それぞれの物品タイプを示す。したがって、コントローラは、いずれかのタイプの物品がレセプタクルによって受容される時に、装置の使用時に加熱中に到達するサセプタ配設の電気特性の初期値および極値を決定し、決定された初期値と決定された極値との間の差を決定し、決定された差に基づいてレセプタクルによって受容されるそれぞれの物品の物品タイプを識別するように構成され得る。
【0012】
特に、少なくとも二つの異なるタイプのエアロゾル発生物品のサセプタ配設は、それぞれの第一の値およびそれぞれの第二の値、特に電気特性のそれぞれの初期値および値のそれぞれの極値のうちの少なくとも一つにおいて互いに異なっていてもよい。したがって、各物品タイプのサセプタ配設は、それぞれの第一の値とそれぞれの第二の値との間に、その他すべての物品タイプのそれぞれの第一の値と、それぞれの第二の値との間の差とは異なる、特有の差を有する。特に、少なくとも二つの異なる物品タイプのサセプタ配設は、それぞれのサセプタ配設の異なる材料組成物またはそれぞれのサセプタ配設の異なる寸法のうちの少なくとも一つに起因して、電気特性のそれぞれの第一の値およびそれぞれの第二の値のうちの少なくとも一つにおいて互いに異なっていてもよい。
【0013】
電気特性の第一の値および第二の値は、加熱中、すなわち、加熱配設の加熱動作中、特に、サセプタ配設の異なる温度で、異なる時間に生じるまたは到達する電気特性のそれぞれの値である。時間が進むにつれ、第二の値は、好ましくは、加熱中の第一の値よりも後に到達する。特に、第二の値は、好ましくは、第一の値よりも高い温度に到達してもよく、または高い温度で生じてもよい。
【0014】
一般に、第一の値は、第二の値とは異なる場合がある。特に、電気特性は、第一の値から第二の値まで増加し得る。同様に、電気特性は、第一の値から第二の値まで減少し得る。
【0015】
上述のように、第一の値は、電気特性の初期値であってもよく、第二の値は、好ましくは、電気特性の極値、特に局所的極値であってもよい。極値は、最小値または最大値とし得る。特に、極値は、局所的最小値または局所的最大値であってもよい。本明細書で使用される場合、電気特性の「局所的極値」という用語は、数学的分析の意味で理解されるべきである。すなわち、用語「局所的極値」は、所与の温度範囲、特に、サセプタ配設が供され得る温度のサブ範囲内の温度の関数として、電気特性の最大値または最小値のいずれかを指す。特に、所与の温度範囲、特にサセプタ配設が供され得る温度のサブ範囲内の温度の関数としての電気特性の最小値は、「局所的最小値」であり、一方、所与の温度範囲、特にサセプタ配設が供され得る温度のサブ範囲内の温度の関数としての電気特性の最大値は、電気特性の「局所的最大値」である。極値はまた、グローバル極値もしくは絶対極値、特にグローバルもしくは絶対最小値、またはグローバルもしくは絶対最大値であってもよい。本明細書で使用される場合、電気特性の「グローバル極値」または「絶対極値」という用語は、数学的分析の意味で理解されるべきである。すなわち、用語「グローバル極値」または「絶対極値」は、温度ドメイン全体における電気特性(温度の関数として)の最大または最小の絶対値のいずれかを指す。特に、温度ドメイン全体における電気特性(温度の関数として)の最小の絶対値は、電気特性の「グローバル最小値」または「絶対最小値」であってもよく、一方、温度ドメイン全体における電気特性(温度の関数として)の最大の絶対値は、電気特性の「局所的最大値」または「絶対最大値」である。最小の場合、電気特性は、初期値から最小値まで減少し得る。最大の場合、電気特性は、初期値から最大値まで増加し得る。
【0016】
第一の値、特に初期値は、サセプタ配設およびエアロゾル形成基体の加熱中に、すなわち、サセプタ配設およびエアロゾル形成基体を、周囲温度などの初期温度から動作温度まで加熱中に生じてもよく、または到達してもよい。動作温度は、エアロゾル形成基体から揮発性物質を気化させるために必要な温度であってもよい。同様に、第二の値、特に極値が、サセプタ配設およびエアロゾル形成基体の加熱中に生じてもよく、または到達してもよい。言い換えれば、電気特性の第一の値から第二の値への変化、特に電気特性の初期値から極値への変化は、サセプタ配設およびエアロゾル形成基体の加熱中に生じ得る。特に、サセプタ配設の電気特性の値は、温度の上昇に伴い、第一の値から第二の値、特に初期値から極値まで変化してもよく、特に減少または増加し得る。
【0017】
より具体的には、第一の値、特に初期値は、サセプタ配設の加熱の開始、特に周囲温度などのサセプタ配設の初期温度で生じてもよく、または到達してもよい。第二の値、特に極値は、サセプタ配設の材料のキュリー温度に対応するサセプタ配設の温度で生じてもよく、または到達されてもよい。サセプタ配設は、一つ以上の材料、特に少なくとも二つの異なる材料を含んでもよい。
【0018】
したがって、エアロゾル発生装置のコントローラは、好ましくは第一の値および第二の値、特に装置の使用時にサセプタ配設およびエアロゾル形成基体の加熱中、特に誘導加熱配設の加熱動作中に、レセプタクルによって受容されるエアロゾル発生物品のサセプタ配設の電気特性の初期値および極値を決定するように構成される。同様に、コントローラは装置の使用時にサセプタ配設およびエアロゾル形成基体の加熱中にまた、特に誘導加熱配設の加熱動作中に差を決定し、決定された差に基づいて物品タイプを識別するように構成されることが好ましい。
【0019】
したがって本発明によれば、エアロゾル発生物品とともに使用するためのエアロゾル発生装置が提供されてもよく、物品が、加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成することができるエアロゾル形成基体、および基体を加熱するためのサセプタ配設を含み、サセプタ配設の材料組成物が、加熱中の温度の上昇に伴い、サセプタ配設の電気特性が変化し、初期値から局所的極値へ、特に低下または上昇するように選択され、サセプタ配設が、初期値と極値との間に特有の差を有し、差がそれぞれの物品タイプを示し(すなわち、電気特性の初期値から局所的極値への変化が、エアロゾル発生物品のタイプを示す)、エアロゾル発生装置が、
エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するように構成されたレセプタクルと、
エアロゾル発生物品がレセプタクルによって受容される時に、エアロゾル発生物品のサセプタ配設を誘導加熱するための交番磁界を発生するように構成された誘導加熱配設と、
誘導加熱配設に動作可能に接続され、
エアロゾル発生物品がレセプタクルによって受容される時に、装置の使用時にサセプタ配設の加熱中に到達するサセプタ配設の電気特性の初期値および局所的極値を決定し、
初期値と局所的極値との間の差を決定し、
決定された差に基づいて、レセプタクルによって受容されるエアロゾル発生物品のタイプを識別するように構成される、コントローラと、を含む。
【0020】
記載されるように、電気特性の第一の値および第二の値、特に、電気特性の初期値および極値は、サセプタ配設の電気コンダクタンスを示す値であり得る。同様に、電気特性の第一の値および第二の値、特に初期値および極値も、サセプタ配設の加熱において誘導加熱配設によって引き出される供給電流を示す値であってもよい。一例では、誘導加熱配設に供給される供給電圧は、サセプタ配設を加熱する際に一定である。ここで、サセプタ配設の電気コンダクタンスは、サセプタ配設の加熱において誘導加熱配設によって引き出される供給電流に正比例する。したがって、サセプタ配設の加熱において誘導加熱配設によって引き出される供給電流を示す値を決定することによって、コントローラはまた、サセプタ配設の電気コンダクタンスを示す値を決定することもできる。同じことが、サセプタ配設の電気的見かけ抵抗に対して当てはまり、これは、サセプタ配設の加熱において誘導加熱配設によって引き出される供給電流に反比例する。すなわち、誘導加熱配設によって引き出される供給電流を示す、第一および第二のそれぞれの値を決定するのに十分であり得る。
【0021】
誘導加熱配設のための電力は、エアロゾル発生装置の電源によって提供されてもよい。したがって、エアロゾル発生装置は、誘導加熱配設に動作可能に接続された電源と、供給電流を提供するように構成されたコントローラとを備えてもよい。特に、電源はDC供給電圧およびDC供給電流を提供するように構成されたDC電源であってもよい。電源はリン酸鉄リチウム電池などの電池であることが好ましい。代替として、電源は、コンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とし得る、すなわち、電源は充電可能であり得る。電源は、一回以上のユーザー体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有する場合がある。例えば、電源は約六分間、または六分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例では、電源は所定の吸煙回数、または誘導源の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0022】
したがって、誘導加熱配設によって引き出される供給電流を決定するために、コントローラは、電源から引き出される供給電流を決定し、電源から引き出される供給電流の経時的変化からサセプタ配設の電気特性の第一の値と電気特性の第二の値との間の差を決定するように構成され得る。
【0023】
特に、電源によって供給される電圧が経時的に減少する場合、電源から引き出される供給電流および供給電圧の両方を決定する必要があり得る。したがって、コントローラは、電源から引き出される供給電流および供給電圧を決定し、電源から引き出される供給電流および供給電圧の経時的変化からサセプタ配設の電気特性の第一の値と電気特性の第二の値との間の差を決定するように構成され得る。特に、コントローラは、電源から引き出される供給電流と供給電圧の比の経時的変化から、サセプタ配設の電気特性の第一の値と電気特性の第二の値との間の差を決定するように構成され得る。これは、特に、電気特性の第一の値および第二の値が、サセプタ配設の電気コンダクタンスまたは電気的見かけ抵抗を示す値であり得る場合に適用される。これは、サセプタ配設の電気コンダクタンスが、電源から引き出される供給電流と供給電圧との比に正比例し、サセプタ配設の電気的見かけ抵抗が、電源から引き出される供給電流と供給電圧との比に反比例するためである。
【0024】
サセプタ配設の電気特性の第一の値と第二の値との間の差は、エアロゾル発生装置の実際の電力定格に依存し得る。同じタイプであるが、実際の電力定格は、製造公差により、エアロゾル発生装置ごとに異なる場合がある。したがって、各装置の誘導加熱配設は、交番磁界を発生させるために使用される電力定格がわずかに異なる場合がある。利用可能な最大電力におけるこの変動は、同じタイプの異なる物品に対して決定された電気特性の値も変化させ得る。次に、決定された値の特定の変動は、以下でさらに説明するように、適切な物品識別を妨げ得る。これは、特に、エアロゾル形成基体の加熱中に物品識別が実施され、誘導加熱配設は通常、最大電力で操作される場合に適用される。これは、誘導加熱配設の電力を平準化するために使用できる最大電力で電力バッファが利用できないためである。最大電力の変動の影響を低減するために、コントローラは、交番磁界を発生するために使用される誘導加熱配設の電力定格を使用して、電気特性の第一の値と第二の値との間の決定された差を正規化するように構成され得る。特に、コントローラは、以下の方程式に従って、電気特性の第一の値と第二の値との間の決定された差を正規化するように構成されてもよい:
Delta_Norm=k*(Power_Norm-Power)+Delta
式中、Delta_Normは、電気特性の第一の値と第二の値との間の正規化された差であり、Deltaは、電気特性の第一の値と第二の値との間の決定された差であり、Power_Normは、電力定格係数であり、kは、複数のエアロゾル発生装置に対して経験的に決定される正規化係数であり、Powerは、手持ちの誘導加熱配設の電力定格である。正規化係数、kと同様に、電力定格係数、Power_Normは、複数のエアロゾル発生装置の平均電力定格から求めることができる。誘導加熱配設の電力定格は、較正サセプタ配設を含む較正物品を使用することによって、装置の製造中にコントローラに決定され、符号化され得る。同様に、電力定格係数Power_Normおよび正規化係数kは、装置の製造中にコントローラに符号化され得る。
【0025】
この種の正規化は、特に、装置が少なくとも二つの異なるタイプのエアロゾル発生物品とともに使用するよう構成されている場合に、識別精度を有利に強化する。これは、電力正規化によって、同じタイプの複数の物品について決定された第一の値と第二の値との間の差の分布が、電力正規化を行わずに標準偏差が低減される原因となるためである。結果として、異なるタイプの物品について決定されたそれぞれの差の分布は、互いにより良好に区別することができ、したがって、一つのタイプの物品が別のタイプの物品として誤って識別される可能性は低い。そうでなければ、特に、一つの物品タイプの第一の値と第二の値との間の差の値が、別の物品タイプの第一の値と第二の値との間の差の値に近い場合に、誤識別が起こる場合がある。
【0026】
物品タイプを識別するために、コントローラは、サセプタ配設の電気特性の第一の値と第二の値との間の決定された差を、装置に保存された差の一つ以上の基準値または基準範囲と比較するように構成されてもよく、各基準値または基準範囲は、特定の物品タイプを示す。基準範囲は、最小終点および最大終点を有する範囲、または最小終点または最大終点のいずれかを有する開範囲であってもよい。後者の二つの事例では、開範囲の最小終点および最大終点は、決定された差によって違反された場合、特定の物品タイプを示す差の上限閾値または下限閾値であってもよい。
【0027】
コントローラは、識別された物品タイプに応答して誘導加熱配設の加熱動作を制御するように構成され得る。特に、コントローラは、所定の加熱プロファイルのうちの一つまたは複数のそれぞれに従って誘導加熱配設の加熱動作を制御するように構成されてもよく、その各々が特定の物品タイプに関連付けられる。例えば、固体エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品に関連する加熱プロファイルは、ゲル様エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品に関連する加熱プロファイルの動作温度よりも低い動作温度を有してもよい。
【0028】
このため、エアロゾル発生装置のコントローラは、装置の使用時にエアロゾル形成基体の加熱中、特に誘導加熱配設の加熱動作中に、サセプタ配設の電気特性の第一の値および第二の値を決定するように構成されることが有利であり得る。さらに、コントローラは、第一の値と第二の値との間の差を決定し、誘導加熱配設の加熱動作中など、エアロゾル形成基体の加熱中も好ましくは物品タイプを識別するように構成されてもよい。これにより、コントローラは、適時に物品タイプを識別し、識別された物品タイプに応じて誘導加熱配設のその後の加熱動作を制御し、特に、実際のエアロゾル発生の開始前に時間通りに所定の加熱プロファイルを選択することができる。
【0029】
装置が単一の物品タイプで使用するように構成されている場合、コントローラは、その単一の物品タイプに対応するようにレセプタクルによって現在受容されている物品のタイプを識別する場合、物品内の基体のみを加熱できるように構成され得る。そうでなければ、コントローラは、レセプタクルによって現在受容されている物品のタイプを、装置とともに使用するには不適切または不適合であると識別するように構成され得る。後者の場合、コントローラは、特に物品中の基体の加熱を停止または無効化するために、加熱配設の動作を停止または無効化するように構成され得る。これは、単一のタイプのエアロゾル発生物品とともに使用するよう構成される装置だけでなく、少なくとも一つのタイプのエアロゾル発生物品または少なくとも二つの異なるタイプのエアロゾル発生物品とともに使用するよう構成される装置にも適用され得る。
【0030】
したがって、装置の指定された使用にかかわらず、コントローラは、特に、決定された差が、差の基準値または基準範囲に対応しない場合、レセプタクルによって現在受容されている物品のタイプが、装置とともに使用するには不適切または不適合であると識別するように構成され得る。さらに、コントローラは、レセプタクルによって現在受容されている物品のタイプが、装置とともに使用するには不適切または不適合であると識別された場合に、加熱配設の動作を停止または無効化するように構成され得る。
【0031】
さらに、コントローラは、電気特性の第一の値または第二の値のうちの少なくとも一つの異常偏差を識別するように構成されてもよい。特に、装置または物品の一つが、誘導加熱配設の加熱動作中など、第一の値の決定と第二の値の決定との間のクリティカルタイムウィンドウの間に影響を受ける場合、異常偏差が発生し得る。例えば、ユーザーが、物品をレセプタクル内にさらに押し込むことによって(例えば、物品がレセプタクルによって完全に受容されなかったため)、クリティカルタイムウィンドウの間に、エアロゾル発生装置に対してエアロゾル発生物品を変位させる場合、電気特性の第一の値と第二の値との間の決定された差は、押すたびに電気特性の急激な低下または上昇を引き起こす可能性があるため、増加または減少され得る。逆に、物品が引っ張ることによってレセプタクルから部分的に取り外される場合、電気特性の第一の値と第二の値との間の決定された差は、引っ張るたびに電気特性の急激な上昇または低下を引き起こす可能性があるため、減少または増加し得る。
【0032】
コントローラが、異常偏差を識別するように構成される場合、コントローラは、電気特性の第一の値または第二の値のうちの少なくとも一つの異常偏差の識別に応答して、安全加熱プロファイルに従って誘導加熱配設の加熱動作を制御するようにさらに構成されてもよい。安全加熱プロファイルは、複数の保存された加熱プロファイルのうち最も低い動作温度を有する加熱プロファイルに対応してもよい。さもなければ、エアロゾル発生物品が、関連する加熱プロファイルが、レセプタクルによって実際に受容される物品の定格動作温度よりも高い動作温度を有する物品と誤って識別された場合、エアロゾル形成基体の過熱が発生し得る。例えば、エアロゾル発生装置は、ゲル様エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とともに使用するように構成されてもよく、また固体エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とともに使用するように構成されてもよい。ゲル様エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品に関連する加熱プロファイルの動作温度は、例えば、固体エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品に関連する加熱プロファイルの動作温度よりも高い場合がある。この例では、電気特性の第一の値または第二の値の少なくとも一つの異常偏差の識別に応答して、コントローラは、固体エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品に関連付けられた加熱プロファイルに従って、誘導加熱配設の加熱動作を制御し得る。
【0033】
別の方法として、または追加的に、コントローラは、第一の値および第二の値を決定するプロセスを停止し、その後再開し、第一の値と第二の値との間の差を決定し、物品タイプを識別するように構成され得る。
【0034】
コントローラは、物品タイプの識別を検証するように、特に、第一の測定で決定された第一の値および第二の値を検証するように、またはそうでなければ、第二の測定で第一の値と第二の値を決定するプロセスを繰り返すことと、第一の測定で決定された第一の値と第二の測定で決定された第一の値と、第一の測定で決定された第二の値と第二の測定で決定された第二の値との少なくとも一つを比較することによって、第一の測定で決定された電気特性の第一の値または第二の値のうちの少なくとも一つの異常偏差を識別するように構成され得る。第一の測定および第二の測定の両方について、加熱配設は、サセプタ配設の電気特性が、第二の値が決定される極値、特に局所的極値に到達するか通過するまで、サセプタ配設を加熱するように構成され得る。第一の測定と第二の測定との間で、電気特性が第二の値、特に極値が最大値であるか、または最小値であるかに応じて、第二の値、特に極値を再び下回るか上回るまでサセプタ配設を冷却することができる。このため、加熱配設は、第一の測定と第二の測定との間の加熱を停止するか、第一の測定と第二の測定との間の加熱電力を減少させるか、または第一の測定と第二の測定との間の加熱プロセスの負荷サイクルを減少させるように構成され得る。
【0035】
さらに、コントローラは、第一の測定と第二の測定で、サセプタ配設の電気特性によって、それぞれの第二の値を決定する、すなわち、第一の値の決定と第二の値の決定との間の時間間隔に到達するのに必要な時間を決定するように構成されてもよい。
【0036】
特に、コントローラは、第一の測定で決定された第二の値と第二の測定で決定された第二の値を比較し、第一の測定で決定された第二の値が、例えば、5パーセント超または10パーセント超または20パーセント超など、一定の量だけ第二の測定で決定された第二の値から逸脱することを決定することによって、異常偏差を識別するように構成され得る。その場合、第一の測定の間に引っ張ることにより物品がレセプタクルから部分的に取り外され、それによって電気特性の急激な上昇または低下、つまり人為的な極値がもたらされ、これにより、コントローラによって極値として誤って識別され、第二の値が誤って、特に第一の測定中に低すぎる温度を引き起こす可能性が高い。逆に、コントローラは、第一の測定で決定された第二の値と第二の測定で決定された第二の値を比較し、第一の測定で決定された第二の値が第二の測定で決定された第二の値から少なくとも5パーセントまたは少なくとも10パーセント逸脱することを決定することによって、物品タイプの識別を検証するように構成され得る。
【0037】
加えて、または別の方法として、コントローラが、サセプタ配設の電気特性が第一の測定でそれぞれの極値に到達するために必要な時間と、サセプタ配設の電気特性が第二の測定の間にそれぞれの極値に到達するために必要な時間を比較することによって、また第一の測定の間に必要な時間が、第二の測定中に必要な時間の特に90パーセント未満または75パーセント未満であると決定することによって、異常偏差を識別するように構成されてもよい。その場合、また、第一の測定中に引っ張ることによって、物品がレセプタクルから部分的に取り外され、それにより上述のようにより低い温度で人為的な極値を引き起こす可能性が高い。結果として、最初の測定の時間は、正しい(より高い)温度で実際の極値に到達するのに予想よりも短くなるであろう。つまり、コントローラが、サセプタ配設の電気特性が第一の測定でそれぞれの極値に到達するために必要な時間と、サセプタ配設の電気特性が第二の測定の間にそれぞれの極値に到達するために必要な時間を比較することによって、また第一の測定中に必要な時間が、第二の測定中に必要な時間から少なくとも5パーセントまたは少なくとも10パーセント逸脱することを決定することによって、物品タイプの識別を検証するように構成されてもよい。
【0038】
両方の基準、すなわち、「第一の測定で決定された第二の値は、第二の測定で決定された第二の値から少なくとも5パーセントまたは少なくとも10パーセント逸脱する」、および「第一の測定中に必要な時間は、第二の測定中に必要な時間から、少なくとも5パーセントまたは少なくとも10パーセント逸脱する」は、代替的にまたは組み合わせて適用され得る。すなわち、コントローラは、二つの基準のうちの一つまたは少なくとも一つが満たされる場合、または両方の基準のみが満たされる場合に、物品タイプの識別を検証するように構成され得る。物品タイプがコントローラによって識別される時、特にユーザー体験の開始時に、サセプタ配設が上昇した温度レベルにある場合、誤識別も起こり得る。これは、例えば、ユーザーが、加熱配設の動作を停止することによってユーザー体験を中断し、その後すぐに、同じ物品で新たにユーザー体験を再開する時に起こり得る。同様に、このような状況は、物品が装置内に受容される前に別の装置またはオーブンによってすでに加熱されている場合に起こり得る。結果として、例えば、「高温」の再起動後に、より高い温度レベルで決定される電気特性の第一の値は、より低い温度レベルで、例えば、装置の周囲温度レベルで決定される場合とは異なる場合がある。こうした状況下での誤識別を避けるために、コントローラは、誘導加熱配設の前の動作後の所定の一時停止時間の間、誘導加熱配設の動作の開始を無効にするように構成され得る。所定の一時停止時間は、0.5秒~120秒、具体的には1秒~60秒、好ましくは5秒~30秒の範囲内であってもよい。これらの範囲の一時停止時間は、サセプタ配設の十分な冷却を可能にし得る。
【0039】
装置は、識別された物品タイプを示すように構成されたユーザーインターフェースを備えてもよい。このために、ユーザーインターフェースは、例えば、一つ以上のLED(発光ダイオード)などの、ディスプレイまたは一つ以上の光源を備えてもよい。
【0040】
さらに、装置は、少なくとも一つの物品タイプ、または少なくとも二つの物品タイプ、または単一の物品タイプのエアロゾル発生物品の少なくとも一部分をそれぞれ取り外し可能に受容するための空洞を備えてもよい。特に、空洞は、装置のレセプタクルの少なくとも一部を実現し得る。またはその逆で、空洞は、装置のレセプタクルによって少なくとも部分的に実現され得る。空洞は、それぞれのエアロゾル発生物品を空洞の中に挿入することができる挿入開口部を含み得る。本明細書で使用される場合、エアロゾル発生物品が挿入される方向は、挿入方向として表示される。挿入方向は、長さ軸、具体的には空洞の中心軸の延長に対応することが好ましい。
【0041】
空洞の中への挿入後に、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分は依然として、挿入開口部を通して外向きに延びていてもよい。エアロゾル発生物品の外向きに延びる部分は、ユーザーとの相互作用のために、具体的にはユーザーの口の中へと入れられるために、提供されていることが好ましい。よって、装置の使用中に、挿入開口部は口に近接している場合がある。その結果、本明細書で使用される場合、装置の使用時に挿入開口部に近接するセクション、またはユーザーの口に近接するセクションはそれぞれ、接頭辞「近位」を有して表示される。より遠くに離れて配設されているセクションは、接頭語「遠位」を有して表示される。
【0042】
空洞は、空洞の長さ軸に垂直な平面、または物品の挿入方向に垂直な平面に見られるような、任意の適切な断面を有してもよい。具体的には、空洞の断面は、その中に受容されるエアロゾル発生物品の形状に対応してもよい。空洞は、実質的に円形断面を有することが好ましい。あるいは、空洞は、実質的に楕円形の断面、または実質的に長円形の断面、または実質的に正方形の断面、または実質的に長方形の断面、または実質的に三角形の断面、または実質的に多角形の断面を有してもよい。
【0043】
誘導加熱配設は、変化する磁界、具体的には交番磁界を発生するための誘導コイルを含む誘導源を備えてもよい。変化する磁界は、装置の使用時に、エアロゾル形成基体の所で、具体的には上述の空洞内で発生することが好ましい。変化する磁界は、高周波の変化する磁界であってもよい。変化する磁界は、500kHz(キロヘルツ)~30MHz(メガヘルツ)、具体的には5MHz~15MHz、好ましくは5MHz~10MHzの範囲内であってもよい。変化する磁界は、サセプタ材料の電気的および磁気的特性に応じて、渦電流またはヒステリシス損失のうちの少なくとも一つに起因してエアロゾル発生物品のサセプタ配設を誘導加熱するために使用される。
【0044】
少なくとも一つの誘導コイルは、らせん状コイルまたは平坦な平面状コイル、具体的にはパンケーキコイルまたは湾曲した平面状コイルであってもよい。少なくとも一つの誘導コイルは、エアロゾル発生装置の主本体またはハウジングのうちの一つの中に保持されてもよい。誘導コイルは、レセプタクルの少なくとも一部分を包囲するように配設されてもよい。具体的には、誘導コイルは、装置の空洞の少なくとも一部分、またはこうした空洞の内表面の少なくとも一部分をそれぞれ包囲するように配設されてもよい。例えば、誘導コイルは、空洞の側壁内に配設された誘導コイル、らせん状コイルであってもよい。
【0045】
誘導源は交流(AC)発生器を備えてもよい。AC発生器は、エアロゾル発生装置の電源によって電力供給されてもよい。AC発生器は、少なくとも一つの誘導コイルに動作可能に連結される。具体的には、少なくとも一つの誘導コイルは、AC発生器の一体部分であってもよい。AC発生器は、交番磁界を発生させるために少なくとも一つの誘導コイルを通過する高周波振動電流を発生するように構成される。AC電流は、システムの起動後、少なくとも一つの誘導コイルに連続的に供給されてもよく、または断続的に(毎回の吸煙ごとなど)供給されてもよい。
【0046】
誘導源は、LCネットワークを含むDC電源に接続されたDC/ACコンバータを備えることが好ましく、LCネットワークは、コンデンサおよびインダクタの直列接続を備える。加えて、誘導源は、インピーダンス整合のための整合ネットワークを含んでもよい。具体的には、誘導源は、電力増幅器、例えば、クラスCの電力増幅器、またはクラスDの電力増幅器、またはクラスEの電力増幅器などを備えてもよい。
【0047】
エアロゾル発生装置はまた、誘導コイルの少なくとも一部分の周りに配設された、かつ少なくとも一つの誘導源の交番磁界をレセプタクルに向かって、例えば空洞に向かって歪めるように構成されたフラックスコンセントレータをさらに備えてもよい。したがって、物品がレセプタクルによって受容される時、交番磁界は、物品のサセプタ配設に向かって歪む。フラックスコンセントレータは、フラックスコンセントレータ箔、具体的には多層フラックスコンセントレータ箔を備えることが好ましい。
【0048】
エアロゾル発生装置は、加熱配設、コントローラ、電源、および存在する限りは空洞の少なくとも一部分のうちの少なくとも一つを含むことが好ましい、主本体を備えてもよい。主本体に加えて、エアロゾル発生装置は、具体的には装置とともに使用されるエアロゾル発生物品がマウスピースを備えていない場合には、マウスピースをさらに備えてもよい。マウスピースは、装置の主本体に据え付けられてもよい。本明細書で使用される場合、「マウスピース」という用語は、エアロゾルが通って装置から出る物品の一部分を指す。マウスピースは、マウスピースを主本体に取り付けると受容空洞を閉じるように構成されてもよい。装置がマウスピースを備えていない場合には、エアロゾル発生装置とともに使用されるエアロゾル発生物品はマウスピース、例えばフィルタープラグを備えてもよい。
【0049】
エアロゾル発生装置は、少なくとも一つの空気出口、例えばマウスピース(存在する場合)の空気出口を備えてもよい。
【0050】
エアロゾル発生装置は、少なくとも一つの空気吸込み口から、空洞を通して、そして場合によってはさらに、マウスピース(存在する場合)内の空気出口へと延びる空気経路を備えることが好ましい。エアロゾル発生装置は、空洞と流体連通する少なくとも一つの空気吸込み口を備えることが好ましい。好ましくは、装置によって受容されるエアロゾル発生物品と組み合わされたエアロゾル発生装置は、少なくとも一つの空気吸込み口から空洞内に、また場合によっては物品内のエアロゾル形成基体とマウスピースを通してユーザーの口の中にさらに延びる空気経路をさらに備えてもよい。
【0051】
エアロゾル発生装置は、ユーザーによってユーザーの口を通して直接吸入可能なエアロゾルを発生するための吸煙装置であることが好ましい。具体的には、エアロゾル発生装置は手持ち式のエアロゾル発生装置であってもよい。
【0052】
本発明によると、本発明による、および本明細書に記載のエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムも提供される。システムは、少なくとも一つのタイプのエアロゾル発生物品、または装置が、特に排他的に使用されるよう構成される、異なるタイプの少なくとも二つのエアロゾル発生物品をさらに含む。各タイプの物品、すなわち、少なくとも一つのタイプまたは少なくとも二つの異なるタイプの物品は、加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成することができるエアロゾル形成基体、および基体を加熱するための誘導加熱可能サセプタ配設を含む。
【0053】
エアロゾル発生装置に関して上述したように、各物品タイプのサセプタ配設の材料組成物は、温度が上昇すると、サセプタ配設の電気特性が変化し、第一の値から第二の値まで、特に初期値から極値まで、特に低下または上昇するようなものであってもよく、各物品タイプのサセプタ配設が、それぞれの第一の値とそれぞれの第二の値との間に特有の差を有し、差が物品タイプを示す。
【0054】
エアロゾル発生装置に関してさらに上述したように、異なる物品タイプのサセプタ配設は、それぞれのサセプタ配設の寸法またはそれぞれのサセプタ配設の材料組成物のうちの少なくとも一つにおいて異なってもよい。
【0055】
本発明によると、本発明による、かつ本明細書に記載のエアロゾル発生装置と、特定のタイプの少なくとも一つのエアロゾル発生物品を備えるエアロゾル発生システムがまた提供され、装置は特に排他的に使用されるように構成される。
【0056】
特定のタイプの物品は、加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成することができるエアロゾル形成基体、および基体を加熱するための誘導加熱可能サセプタ配設を含み得る。サセプタ配設の材料組成物は、温度の上昇に伴い、サセプタ配設の電気特性が変化し、第一の値から第二の値、特に初期値から極値へと特に低下または上昇するように選択されてもよく、サセプタ配設は、第一の値と第二の値との間に特有の差を有し、差は、特定の物品タイプを示す。
【0057】
両方のシステム関して、サセプタ配設は、物品が装置のレセプタクルによって受容される時に、使用時に基体がサセプタ配設によって加熱されるように、エアロゾル形成基体と熱的に近接または熱的に接触して位置付けられ得る。
【0058】
本明細書で使用される場合、「サセプタ配設」という用語は、交番磁界内で誘導加熱される能力を有する一つ以上の材料を含む要素を指す。これは、それぞれのサセプタ材料の電気的および磁気的特性に依存して、サセプタ配設内で誘導されたヒステリシス損失または渦電流のうちの少なくとも一つの結果であってもよい。
【0059】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを発生するために、加熱に伴い揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成材料から形成される、またはエアロゾル形成材料を含む基体を意味する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図される。エアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体、液体エアロゾル形成基体、ゲル様エアロゾル形成基体、またはこれらの任意の組み合わせであってもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例はグリセリンおよびプロピレングリコールである。エアロゾル形成基体はまた、その他の添加物および成分(ニコチンまたは風味剤など)を含んでもよい。エアロゾル形成基体はまた、ペースト様の材料、エアロゾル形成基体を含む多孔性材料のサシェ、または、例えば、ゲル化剤または粘着剤と混合されたばらのたばこであってもよく、これはグリセリンなどの一般的なエアロゾル形成体を含むことができ、これはプラグへと圧縮または成形される。
【0060】
本明細書で使用される場合「エアロゾル発生物品」という用語は、加熱された時にエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する、少なくとも一つのエアロゾル形成基体を含む物品を指す。エアロゾル発生物品は、加熱式エアロゾル発生物品であることが好ましい。すなわち、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図される少なくとも一つのエアロゾル形成基体を含む、エアロゾル発生物品である。エアロゾル発生物品は、消耗品、特に単回使用後に廃棄される消耗品であってもよい。物品は、加熱される液体エアロゾル形成基体を含むカートリッジであってもよい。同様に、物品は従来の紙巻たばこに似ているロッド状の物品、特にたばこ物品であってもよい。
【0061】
一例として、各タイプのエアロゾル発生物品、すなわち、単一のタイプの物品、または少なくとも一つのタイプの物品、または少なくとも二つの異なるタイプの物品は、以下の要素:第一の支持要素、基体要素、第二の支持要素、冷却要素、およびフィルター要素のうちの一つ以上を含み得る。エアロゾル発生物品は、少なくとも第一の支持要素、第二の支持要素、および第一の支持要素と第二の支持要素との間に位置する基体要素を備えることが好ましい。
【0062】
基体要素は、好ましくは加熱される少なくとも一つのエアロゾル形成基体と、エアロゾル形成基体と熱的に接触する、または熱的に近接するサセプタ配設とを含む。
【0063】
第一の支持要素および第二の支持要素のうちの少なくとも一つは、中央空気通路を備えてもよい。好ましくは、第一の支持要素および第二の支持要素のうちの少なくとも一つは、中空のセルロースアセテートチューブを備えてもよい。別の方法として、第一の支持要素は、基体要素の遠位前方端を覆い、かつ保護するために使用されてもよい。
【0064】
エアロゾル冷却要素は、大きい表面積および低い引き出し抵抗(例えば、15mmWG~20mmWG)を有する要素である。使用時に、基体要素から放出された揮発性化合物によって形成されたエアロゾルは、エアロゾル発生物品の近位端へと搬送される前にエアロゾル冷却要素を通して引き出される。
【0065】
フィルター要素は、マウスピースとして、またはエアロゾル冷却要素と一緒にマウスピースの一部として機能することが好ましい。本明細書で使用される場合、「マウスピース」という用語は、エアロゾルが通ってエアロゾル発生物品から出る物品の一部分を指す。
【0066】
前述の要素のすべては、上述の順序で物品の長さ軸に沿って逐次的に配設されてもよく、第一の支持要素は物品の遠位端に配設されることが好ましく、かつフィルター要素は物品の近位端に配設されることが好ましい。前述の要素の各々は、実質的に円筒状であってもよい。具体的には、すべての要素は、同じ外側断面形状を有してもよい。加えて、要素は、要素を一緒にまとめて保持するように、かつロッド状の物品の所望の断面形状を維持するように、外側ラッパーによって囲まれてもよい。ラッパーは紙で作製されることが好ましい。ラッパーは、ラッパーの重なり合った自由端を互いに接着する接着剤をさらに含んでもよい。
【0067】
本発明によるエアロゾル発生システムのさらなる特徴および利点は、エアロゾル発生装置に関して記述され、また等しく適用される。
【0068】
本発明によると、誘導加熱エアロゾル発生装置、特に本発明による、および本明細書に記載のエアロゾル発生装置によって受容されるエアロゾル発生物品のタイプを識別する方法が提供される。物品は、加熱されると吸入可能なエアロゾルを形成することができるエアロゾル形成基体、および基体を加熱するための装置の誘導加熱配設によって誘導加熱可能なサセプタ配設を含む。サセプタ配設の材料組成物は、温度の上昇に伴い、サセプタ配設の電気特性の値が変化し、第一の値から第二の値、特に初期値から極値へと特に減少または増加するようなものであり、物品タイプのサセプタ配設は、第一の値と第二の値との間に特有の差を有し、差は、物品タイプを示す。方法は、
- 装置を使用して誘導加熱エアロゾル発生装置によって受容されるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱することと、
- サセプタ配設の電気特性の第一の値および第二の値を加熱中に決定することと、
- 電気特性の第一の値と第二の値との間の差を決定することと、
- 決定された差に基づいて、エアロゾル発生物品の物品タイプを識別することと、を含む。
【0069】
本発明によるエアロゾル発生装置に関して既に上述したように、第一の値は電気特性の初期値であってもよく、第二の値は電気特性の極値であってもよい。極値は、最小値または最大値とし得る。最小の場合、電気特性は、初期値から最小値まで減少し得る。最大の場合、電気特性は、初期値から最大値まで増加し得る。第一の値、特に初期値は、サセプタ配設およびエアロゾル形成基体の加熱中に、すなわち、サセプタ配設およびエアロゾル形成基体を、周囲温度などの初期温度から動作温度まで加熱中に生じてもよく、または到達してもよい。動作温度は、エアロゾル形成基体から揮発性物質を気化させるために必要な温度であってもよい。同様に、第二の値、特に極値がサセプタ配設およびエアロゾル形成基体の加熱中に生じてもよく、または到達してもよい。言い換えれば、電気特性の第一の値から第二の値への変化、特に、電気特性の初期値から極値への変化は、サセプタ配設およびエアロゾル形成基体の加熱中に生じ得る。
【0070】
より具体的には、第一の値、特に初期値は、サセプタ配設の加熱の開始、特に周囲温度などのサセプタ配設の初期温度で生じてもよく、または到達してもよい。第二の値、特に極値は、サセプタ配設の材料のキュリー温度に対応するサセプタ配設の温度で生じてもよく、または到達されてもよい。サセプタ配設は、一つ以上の材料、特に少なくとも二つの異なる材料を含んでもよい。
【0071】
本発明によるエアロゾル発生装置に関して既に上述したように、方法は、交番磁界を発生するために使用される誘導加熱配設の電力定格を使用して、電気特性の第一の値と第二の値との間の決定された差を正規化することを含み得る。有利なことに、正規化は、電力定格の変動による影響を補償することを容易にし得る。
【0072】
特に、電気特性の第一の値と第二の値との間の決定された差は、以下の方程式に従って正規化されてもよい:
Delta_Norm=k*(Power_Norm-Power)+Delta、
式中、Delta_Normは正規化された差であり、Deltaは決定された差であり、Power_Normは電力定格係数であり、kは複数のエアロゾル発生装置に対して経験的に決定される正規化係数であり、Powerは誘導加熱配設の電力定格である。電力定格係数、Power_Normは、エアロゾル発生装置の平均電力定格から決定され得る。
【0073】
本発明によるエアロゾル発生装置に関してさらに上述したように、物品タイプを識別することは、電気特性の第一の値と第二の値との間の決定された差を、差の一つ以上の保存された基準値、各基準値または特定の物品タイプを示す基準範囲と比較することを含み得る。
【0074】
さらに、方法は、識別された物品タイプに応答して、誘導加熱配設の加熱動作を制御することを含み得る。特に、誘導加熱配設の加熱動作(特に加熱後)は、各々が特定の物品タイプに関連する、一つ以上の所定の加熱プロファイルのそれぞれの一つに従って制御されてもよい。
【0075】
方法は、電気特性の第一の値または第二の値のうちの少なくとも一つの異常偏差を識別することをさらに含んでもよい。そうすると、誘導加熱配設の加熱動作(特に加熱後)は、電気特性の第一の値または第二の値のうちの少なくとも一つの異常偏差を識別することに応答して、安全加熱プロファイルに従って制御され得る。
【0076】
方法は、識別された物品タイプをユーザーに示すことをさらに含んでもよい。有利なことに、これによりユーザビリティが向上する。
【0077】
本発明によるエアロゾル発生装置に関してさらに上述したように、方法は、誘導加熱配設の前の動作の後に、所定の一時停止時間の間、誘導加熱配設の動作の開始を無効化することを含み得る。これにより、ユーザーがユーザー体験を中断し、その後すぐに同じ物品で新たにユーザー体験を再開したい場合に、誤識別を避けることができる。所定の一時停止時間は、0.5秒~120秒、具体的には1秒~60秒、好ましくは5秒~30秒の範囲内であってもよい。
【0078】
電気特性の第一の値および第二の値は、サセプタ配設のコンダクタンスを示す値であってもよい。特に、電気特性の第一の値および第二の値は、サセプタ配設の加熱における誘導加熱配設によって引き出される供給電流を示す値であってもよい。
【0079】
装置は、供給電流を提供するように構成され、誘導加熱配設およびコントローラに動作可能に接続された電源を備える場合、方法は、エアロゾル発生装置の電源から引き出される供給電流を決定することを含み得る。そうすることで、サセプタ配設の電気特性の第一の値と電気特性の第二の値との間の差は、電源から引き出される供給電流の経時的変化から決定され得る。同様に、方法は、エアロゾル発生装置の電源から引き出される供給電流および供給電圧を決定することと、サセプタ配設の電気特性の第一の値と電気特性の第二の値との間の差を、電源から引き出される供給電流および供給電圧の経時的変化から、特に、電源から引き出される供給電流と供給電圧の比の経時的変化からさらに決定することとを含み得る。
【0080】
方法は、特に、決定された差が、差の基準値または基準範囲に相当しない場合に、エアロゾル発生装置によって現在受容している物品のタイプが、装置とともに使用するには不適切または不適合であると識別することをさらに含み得る。さらに、方法は、装置によって現在受容されている物品のタイプが、装置とともに使用するには不適切または不適合であると識別された場合に、加熱配設の動作を停止または無効化することを含み得る。
【0081】
本発明による方法のさらなる特徴および利点が、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生システムに関して記載されており、かつ等しく当てはまる。
【0082】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供する。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記述される別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わせられてもよい。
【0083】
実施例1:
サセプタ配設を備えるエアロゾル発生物品とともに使用するためのエアロゾル発生装置であって、エアロゾル発生装置が、
エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するように構成されたレセプタクルと、
エアロゾル発生物品がレセプタクルによって受容される時に、エアロゾル発生物品のサセプタ配設を誘導加熱するための交番磁界を発生するように構成された誘導加熱配設と、
誘導加熱配設に動作可能に接続され、
- レセプタクルによって受容されるエアロゾル発生物品の場合、装置の使用時に、サセプタ配設の加熱中に到達されるサセプタ配設の電気特性の第一の値および第二の値を決定し、
- 第一の値と第二の値との間の差を決定し、
- 決定された差に基づいて、レセプタクルによって受容されるエアロゾル発生物品の物品タイプを識別するよう構成される、コントローラと、を含む、エアロゾル発生装置。
実施例Ex1a:
サセプタ配設の材料組成物であって、温度の上昇に伴い、サセプタ配設の電気特性の値が変化し、第一の値から第二の値、特に初期値から極値へ、特に減少または増加するようなものであり、サセプタ配設が、第一の値と第二の値との間に特有の差を有し、差が物品タイプを示す、実施例1に記載のエアロゾル発生装置。
実施例2:
装置がエアロゾル発生物品の少なくとも一つタイプとともに使用するために構成され、エアロゾル発生物品が、加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成することができるエアロゾル形成基体、および基体を加熱するための誘導加熱可能サセプタ配設を含む、実施例1に記載のエアロゾル発生装置。
実施例2a:
少なくとも一つの物品タイプのサセプタ配設の材料組成物が、温度の上昇に伴い、サセプタ配設の電気特性の値が変化し、第一の値から第二の値へ、特に初期値から極値へ、特に減少または増加するようなものであり、少なくとも一つの物品タイプのサセプタ配設が、第一の値と第二の値との間に特有の差を有し、差が物品タイプを示す、実施例2aに記載のエアロゾル発生装置。
実施例3:
装置が、エアロゾル発生物品の単一のタイプとともに使用するように構成され、エアロゾル発生物品が、加熱された時に吸入可能エアロゾルを形成することができるエアロゾル形成基体、および基体を加熱するための誘導加熱可能サセプタ配設を含む、実施例1に記載のエアロゾル発生装置。
実施例3a:
単一の物品タイプのサセプタ配設の材料組成物が、温度の上昇に伴い、サセプタ配設の電気特性の値が変化し、第一の値から第二の値、特に初期値から極値へ、特に減少または増加するようなものであり、単一の物品タイプのサセプタ配設が、第一の値と第二の値との間に特有の差を有し、差が単一の物品タイプを示す、実施例3に記載のエアロゾル発生装置。
実施例4:
コントローラが、レセプタクルによって現在受容されている物品のタイプが単一の物品タイプに対応すると識別する場合にのみ、コントローラが物品中の基体の加熱を可能にするように構成される、実施例3または実施例3aに記載のエアロゾル発生装置。
実施例5:
装置が、少なくとも二つの異なるタイプのエアロゾル発生物品、特に少なくとも第一のタイプおよび第二のタイプの誘導加熱可能エアロゾル発生物品の代替用途で使用するように構成され、各タイプの物品が、加熱された時に吸入可能エアロゾルを形成することができるエアロゾル形成基体、および基体を加熱するための誘導加熱可能サセプタ配設を備える、実施例1に記載のエアロゾル発生装置。
実施例5a:
各物品タイプのサセプタ配設の材料組成物が、温度の上昇に伴い、サセプタ配設の電気特性の値が変化し、第一の値から第二の値、特に初期値から極値へ、特に減少または増加するようなものであり、各物品タイプのサセプタ配設が、それぞれの第一の値とそれぞれの第二の値との間に特有の差を有し、差が物品タイプ、エアロゾル発生装置を示す、実施例5に記載のエアロゾル発生装置。
実施例6:
第一の値が、電気特性の初期値であり、第二の値が、電気特性の極値、特に最小値または最大値である、実施例1~5aのいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例6a:
第一の値、特に初期値が、サセプタ配設を特に周囲温度などの初期温度から動作温度まで加熱中に生じるか、または到達する、実施例1~6のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例6b:
第二の値、特に極値が、サセプタ配設を特に周囲温度などの初期温度から動作温度まで加熱中に生じるか、または到達する、実施例6aに記載のエアロゾル発生装置。
実施例6c:
第一の値、特に初期値が、サセプタ配設の加熱の開始点、特に周囲温度などのサセプタ配設の初期温度で生じるか、または到達する、実施例1~6bのいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例6d:
第二の値、特に極値がサセプタ配設の材料のキュリー温度に対応するサセプタ配設の温度で発生するか、または到達する、実施例6cに記載のエアロゾル発生装置。
実施例7:
コントローラが、レセプタクルによって現在受容されている物品のタイプを、装置とともに使用するには不適切または不適合であると識別するように構成される、実施例1~6dのいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例7a:
コントローラが、レセプタクルによって現在受容されている物品のタイプが、装置ともに使用するには不適切または不適合であると識別された場合に、加熱配設の動作を停止するか、または無効にするように構成される、実施例7に記載のエアロゾル発生装置。
実施例8:
電気特性の第一の値および第二の値が、サセプタ配設の電気コンダクタンスを示す値である、実施例1~7aのいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例9:
電気特性の第一の値および第二の値が、サセプタ配設の加熱において誘導加熱配設によって引き出される供給電流を示す値である、実施例1~8のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例10:
装置が、供給電流を提供するように構成され、誘導加熱配設およびコントローラに動作可能に接続された電源を備える、実施例1~9のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例11:
コントローラが、電源から引き出される供給電流を決定し、電源から引き出される供給電流の経時的変化から、サセプタ配設の電気特性の第一の値と電気特性の第二の値との間の差を決定するように構成される、実施例10に記載のエアロゾル発生装置。
実施例12:
コントローラが、電源から引き出される供給電流および供給電圧を決定し、電源から引き出される供給電流および供給電圧の経時的変化からサセプタ配設の電気特性の第一の値と電気特性の第二の値との間の差を決定するように構成される、実施例10または11に記載のエアロゾル発生装置。
実施例13:
コントローラが、電源から引き出される供給電流および供給電圧を決定し、電源から引き出される供給電流と供給電圧の比の経時的変化から、サセプタ配設の電気特性の第一の値と電気特性の第二の値との間の差を決定するように構成される、実施例10~12のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例14:
電源がDC電源である、実施例10~13のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例15:
コントローラが、交番磁界を発生するために使用される誘導加熱配設の電力定格を使用して、電気特性の第一の値と第二の値との間の決定された差を正規化するように構成される、実施例1~14のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例16:
コントローラが、以下の方程式:
Delta_Norm=k*(Power_Norm-Power)+Delta、に従って、第一の値と第二の値との間の決定された差を正規化するように構成され、
式中、Delta_Normは正規化された差であり、Deltaは決定された差であり、Power_Normは電力定格係数であり、kは複数のエアロゾル発生装置に対して経験的に決定される正規化係数であり、Powerは誘導加熱配設の電力定格である、実施例1~15のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例17:
電力定格係数、Power_Normが、エアロゾル発生装置の平均電力定格から決定される、実施例16に記載のエアロゾル発生装置。
実施例18:
物品タイプを識別するために、コントローラが、サセプタ配設の電気特性の第一の値と第二の値との間の決定された差を、差の一つ以上の保存された基準値または基準範囲と比較するように構成される、実施例1~17のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例19:
コントローラが、識別された物品タイプに応答して誘導加熱配設の加熱動作を制御するように構成される、実施例1~18のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例20:
コントローラが、一つ以上の所定の加熱プロファイルのそれぞれの一つによる誘導加熱配設の加熱動作を制御するように構成され、その各々が特定の物品タイプに関連する、実施例1~19のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例21:
コントローラが、電気特性の第一の値または第二の値のうちの少なくとも一つの異常偏差を識別するように構成される、実施例1~20のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例21a:
コントローラが、物品タイプの識別を検証するように、特に、第一の測定で決定された第一の値および第二の値を検証するように、またはそうでなければ、第二の測定で第一の値と第二の値を決定するプロセスを繰り返すこと、および第一の測定で決定された第一の値と第二の測定で決定された第一の値と、第一の測定で決定された第二の値と第二の測定で決定された第二の値との少なくとも一つを比較することによって、電気特性の第一の値または第二の値のうちの少なくとも一つの異常偏差を識別するように構成される、実施例1~21のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例21b:
第一の測定および第二の測定の両方について、加熱配設は、サセプタ配設の電気特性が、特に第二の値が決定される、極値、特に局所的極値に到達するか、または通過するまで、サセプタ配設を加熱するように構成される、実施例21aに記載のエアロゾル発生装置。
実施例21c:
加熱配設が、第一の測定と第二の測定との間の加熱を停止するか、または第一の測定と第二の測定との間の加熱電力を減少させるか、または電気特性が第二の値、特に極値が最大値であるか、または最小値であるかに応じて、第二の値、特に極値を再び下回るか上回るまで、第一の測定と第二の測定との間でサセプタ配設を冷却できるようにするために、第一の測定と第二の測定との間の加熱プロセスの負荷サイクルを減少させるように構成される、実施例21aまたは実施例21bに記載のエアロゾル発生装置。
実施例21d:
コントローラが、第一の測定で決定された第二の値と第二の測定で決定された第二の値を比較し、第一の測定で決定された第二の値が、例えば、5パーセント超または10パーセント超または20パーセント超など、一定の量だけ第二の測定で決定された第二の値から逸脱することを決定することによって、異常偏差を識別するように構成される、実施例21a~21cのいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例21e:
コントローラが、第一の測定で決定された第二の値と第二の測定で決定された第二の値を比較し、第一の測定で決定された第二の値が、第二の測定で決定された第二の値から少なくとも5パーセントまたは少なくとも10パーセント逸脱することを決定することによって、物品タイプの識別を検証するように構成される、実施例21a~21dのいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例21f:
コントローラが、第一の測定および第二の測定で、サセプタ配設の電気特性によって、それぞれの第二の値が決定されるそれぞれの極値、特に、第一の値の決定と第二の値の決定との間の時間間隔に到達するために必要な時間を決定するように構成される、実施例21a~21eのいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例21g:
コントローラが、サセプタ配設の電気特性が第一の測定でそれぞれの極値に到達するために必要な時間と、サセプタ配設の電気特性が第二の測定の間にそれぞれの極値に到達するために必要な時間を比較することによって、また第一の測定の間に必要な時間が、第二の測定中に必要な時間の特に90パーセント未満または75パーセント未満であると決定することによって、異常偏差を識別するように構成される、実施例1fに記載のエアロゾル発生装置。
実施例21h:
コントローラが、サセプタ配設の電気特性が第一の測定でそれぞれの極値に到達するために必要な時間と、サセプタ配設の電気特性が第二の測定の間にそれぞれの極値に到達するために必要な時間を比較することによって、また第一の測定中に必要な時間が、第二の測定中に必要とされる時間から少なくとも5パーセントまたは少なくとも10パーセント逸脱することを決定することによって、物品タイプの識別を検証するように構成される、実施例21f~実施例21gのいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例21i:
コントローラが、二つの基準「第一の測定で決定された第二の値が、第二の測定で決定された第二の値から少なくとも5パーセントまたは少なくとも10パーセント逸脱する」、および「第一の測定中に必要な時間が、第二の測定中に必要な時間から少なくとも5パーセントまたは少なくとも10パーセント逸脱する」のうちの一つまたは少なくとも一つが満たされる場合、物品タイプの識別を検証するように構成される、実施例21aまたは実施例21hに記載のエアロゾル発生装置。
実施例21j:
コントローラが、二つの基準「第一の測定で決定された第二の値が、第二の測定で決定された第二の値から少なくとも5パーセントまたは少なくとも10パーセント逸脱する」、および「第一の測定中に必要な時間が、第二の測定中に必要な時間から少なくとも5パーセントまたは少なくとも10パーセント逸脱する」の両方が満たされる場合にのみ、物品タイプの識別を検証するように構成される、実施例21aまたは実施例21hに記載のエアロゾル発生装置。
実施例22:
コントローラが、電気特性の第一の値または第二の値の少なくとも一つの異常偏差の識別に応答して、安全加熱プロファイルに従って誘導加熱配設の加熱動作を制御するように構成される、実施例21~21jのいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例23:
コントローラが、誘導加熱配設の前の動作後の所定の一時停止時間の間、誘導加熱配設の動作の開始を停止するように構成される、実施例1~22のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例24:
所定の一時停止時間が、0.5秒~120秒、特に1秒~60秒、好ましくは5秒~30秒の範囲内である、実施例23に記載のエアロゾル発生装置。
実施例25:
装置が、識別された物品タイプを示すように構成されたユーザーインターフェースを備える、実施例1~24のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例26:
実施例1~25のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置、および少なくとも一つのタイプのエアロゾル発生物品、または装置が特に排他的に使用されるよう構成される、異なるタイプの少なくとも二つのエアロゾル発生物品を含み、各タイプの物品が、加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成することができるエアロゾル形成基体、および基体を加熱するための誘導加熱可能サセプタ配設を備え、各物品タイプのサセプタ配設の材料組成物が、温度の上昇に伴いサセプタ配設の電気特性が変化し、第一の値から第二の値、特に初期値から極値へ、特に減少または増加するようなものであり、各物品タイプのサセプタ配設が、それぞれの第一の値とそれぞれの第二の値との間に特有の差を有し、差が物品タイプを示す、エアロゾル発生システム。
実施例27:
異なる物品タイプのサセプタ配設が、それぞれのサセプタ配設の寸法またはそれぞれのサセプタ配設の材料組成物のうちの少なくとも一つにおいて異なる、実施例26に記載のエアロゾル発生システム。
実施例28:
実施例1~25のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置、および装置が特に排他的に使用されるよう構成される、特定のタイプのエアロゾル発生物品を含み、特定のタイプの物品が、加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成することができるエアロゾル形成基体、および基体を加熱するための誘導加熱可能サセプタ配設を備え、サセプタ配設の材料組成物が、温度の上昇に伴い、サセプタ配設の電気特性が変化し、第一の値から第二の値、特に初期値から極値へ、特に減少または増加するように選択され、サセプタ配設が、それぞれの第一の値とそれぞれの第二の値との間に特有の差を有し、差が特定の物品タイプを示す、エアロゾル発生システム。
実施例29:
物品が、加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成することができるエアロゾル形成基体、および基体を加熱するための装置の誘導加熱配設によって誘導加熱可能なサセプタ配設を備え、サセプタ配設の材料組成物が、温度の上昇に伴い、サセプタ配設の電気特性の値が変化し、第一の値から第二の極値、特に初期値から極値へ、特に減少または増加するようなものであり、物品タイプのサセプタ配設が、第一の値と第二の値との間に特有の差を有し、差が物品タイプを示し、方法が、
- 装置を使用して、誘導加熱エアロゾル発生装置によって受容されるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱することと、
- サセプタ配設の電気特性の第一の値および第二の値を加熱中に決定することと、
- 電気特性の第一の値と第二の値との間の差を決定することと、
- 決定された差に基づいて、エアロゾル発生物品の物品タイプを識別することと、を含む、誘導加熱エアロゾル発生装置、特に実施例Ex1~Ex25のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置によって受容されるエアロゾル発生物品のタイプを識別する方法。
実施例30:
交番磁界を発生するために使用される誘導加熱配設の電力定格を使用して、電気特性の第一の値と第二の値との間の決定された差を正規化することをさらに含む、実施例29に記載の方法。
実施例31:
電気特性の第一の値と第二の値との間の決定された差が、以下の方程式に従って正規化され:
Delta_Norm=k*(Power_Norm-Power)+Delta、
式中、Delta_Normは正規化された差であり、Deltaは決定された差であり、Power_Normは電力定格係数であり、kは複数のエアロゾル発生装置に対して経験的に決定される正規化係数であり、Powerは誘導加熱配設の電力定格である、実施例30に記載の方法。
実施例32:
電力定格係数、Power_Normが、エアロゾル発生装置の平均電力定格から決定される、実施例31に記載の方法。
実施例33:
物品タイプを識別することが、電気特性の第一の値と第二の値との間の決定された差を、差の一つ以上の保存された基準値または基準範囲と比較することを含み、各基準値または基準範囲が、特定の物品タイプを示す、実施例29~32のいずれか一つに記載の方法。
実施例34:
特定された物品タイプに応答して誘導加熱配設の加熱動作を制御することをさらに含む、実施例29~33のいずれか一つに記載の方法。
実施例35:
誘導加熱配設の加熱動作(特にエアロゾル形成基体の加熱後)が、一つ以上の所定の加熱プロファイルのそれぞれの一つに従って制御され、その各々が特定の物品タイプに関連する、実施例34に記載の方法。
実施例36:
電気特性の第一の値または第二の値のうちの少なくとも一つの異常偏差を識別することをさらに含む、実施例29~35のいずれか一つに記載の方法。
実施例37:
誘導加熱配設の加熱動作(特にエアロゾル形成基体の加熱後)が、電気特性の第一の値または第二の値のうちの少なくとも一つの異常偏差を識別することに応答して、安全加熱プロファイルに従って制御される、実施例36に記載の方法。
実施例38:
識別された物品タイプをユーザーに示すことをさらに含む、実施例29~37のいずれか一つに記載の方法。
実施例39:
誘導加熱配設の前の動作後の所定の一時停止時間の間、誘導加熱配設の動作の開始を無効化することをさらに含む、実施例29~38のいずれか一つに記載の方法。
実施例40:
所定の一時停止時間が、0.5秒~120秒、特に1秒~60秒、好ましくは5秒~30秒の範囲内である、実施例39に記載の方法。
実施例41:
電気特性の第一の値および第二の値が、サセプタ配設の電気コンダクタンスを示す値である、実施例29~40のいずれか一つに記載の方法。
実施例42:
電気特性の第一の値および第二の値が、サセプタ配設の加熱において誘導加熱配設によって引き出される供給電流を示す値である、実施例29~40のいずれか一つに記載の方法。
実施例43:
装置が、供給電流を提供するよう構成され、誘導加熱配設およびコントローラに動作可能に接続された電源を備える、実施例29~42のいずれか一つに記載の方法。
実施例44:
エアロゾル発生装置の電源から引き出される供給電流を決定することを含み、サセプタ配設の電気特性の第一の値と電気特性の第二の値との間の差が、電源から引き出される供給電流の経時的変化から決定される、実施例29~43のいずれか一つに記載の方法。
実施例45:
エアロゾル発生装置の電源から引き出される供給電流および供給電圧を決定することを含み、サセプタ配設の電気特性の第一の値と電気特性の第二の値との間の差が、電源から引き出される供給電流および供給電圧の経時的変化から決定される、実施例29~44のいずれか一つに記載の方法。
実施例46:
サセプタ配設の電気特性の第一の値と電気特性の第二の値との間の差が、電源から引き出される供給電流と供給電圧との比の経時的変化から決定される、実施例45に記載の方法。
実施例47:
特に決定された差が、差の基準値または基準範囲に相当しない場合に、エアロゾル発生装置によって現在受容している物品のタイプが、装置とともに使用するには不適または不適合であると識別することを含む、実施例29~46のいずれか一つに記載の方法。
実施例48:
装置によって現在受容されている物品のタイプが、装置とともに使用するには不適切または不適合であると識別された場合に、加熱配設の動作を停止または無効化することを含む、実施例47に記載の方法。
実施例49:
第一の値が、電気特性の初期値であり、第二の値が、電気特性の極値、特に最小値または最大値である、実施例29~48のいずれか一つに記載の方法。
実施例50:第一の値、特に初期値が、サセプタ配設を特に周囲温度などの初期温度から動作温度まで加熱中に生じるか、または到達する、実施例29~49のいずれか一つに記載の方法。
実施例51:第二の値、特に極値が、サセプタ配設を特に周囲温度などの初期温度から動作温度まで加熱中に生じるか、または到達する、実施例50に記載の方法。
実施例52:第一の値、特に初期値が、サセプタ配設の加熱の開始点、特に周囲温度などのサセプタ配設の初期温度で生じるか、または到達する、実施例29~51のいずれか一つに記載のv。
実施例53:第二の値、特に極値が、サセプタ配設の材料のキュリー温度に対応するサセプタ配設の温度で生じるか、または到達する、実施例52に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0084】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに記述する。
【0085】
図1図1~2は、エアロゾル発生装置および装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品を含む、本発明の例示的な実施形態によるエアロゾル発生システムを概略的に示す。
図2】同上。
図3図3は、図1および図2に示すエアロゾル発生システムの各物品のコンダクタンス対温度プロファイルを示す。
図4図4は、図1および図2に示されるエアロゾル発生システムの物品の誘導加熱配設の詳細を示す。
図5図5は、正規化を行った場合と行わない場合で同じタイプの複数の物品について決定された差分デルタの分布を示す。
図6図6は、図1および図2に示すエアロゾル発生システムの各物品に対する、正規化を行った場合と行わない場合の差分デルタのそれぞれの分布を概略的に示す。
図7図7~8は、図1および図2に示すエアロゾル発生システムの物品の一つについて、物品タイプの誤識別を引き起こし得る様々な状況に対する、コンダクタンス対温度プロファイルを示す。
図8】同上。
【発明を実施するための形態】
【0086】
図1および図2は、エアロゾル形成基体を加熱することによって吸入可能なエアロゾルを発生することができる、本発明によるエアロゾル発生システム300の例示的な実施形態を概略的に示す。システム300は、異なるタイプの少なくとも二つのエアロゾル発生物品100、200、ならびに少なくとも二つの異なるタイプの物品100、200との代替的使用のためのエアロゾル発生装置1を含む。図1は、第一のタイプのエアロゾル発生物品100とともに使用されるエアロゾル発生装置1を示すが、図2は、第二のタイプのエアロゾル発生物品200とともに使用されるエアロゾル発生装置1を示す。
【0087】
二つのエアロゾル発生物品100、200のそれぞれは、従来の紙巻たばこの形状に似ている実質的にロッド形状を有する。本実施形態では、二つの物品100、200のそれぞれは、同軸配列で逐次的に配設された四つの要素、すなわち、それぞれの物品100、200の遠位端に配設された基体要素110、210と、中央空気通路を有する支持要素140、240と、エアロゾル冷却要素150、250と、マウスピースとして機能するそれぞれの物品100、200の近位端に配設されたフィルター要素160、260と、を備える。各基体要素110、210は、加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成することができるエアロゾル形成基体120、220、ならびに誘導加熱可能サセプタ配設130、230を含み、これらは、基体120、220を加熱するために、それらと直接物理的に接触する。本実施形態では、第一のタイプのエアロゾル発生物品100は、固体エアロゾル形成基体120を含み、第二のタイプのエアロゾル発生物品200は、ゲル様エアロゾル形成基体220を含む。
【0088】
図1~3を参照すると、各物品タイプの各サセプタ配設130、230の材料組成物は、温度の上昇に伴い、サセプタ配設130、230の電気特性の値が、第一の値135、235から第二の値136、236に、特に初期値135、235から極値136、236に変化するようなものである。本実施形態では、各サセプタ配設130、230の材料組成物は、温度の上昇に伴い、それぞれのサセプタ配設130、230の電気コンダクタンスGの値が、それぞれの初期値135、235から、最小値である、極値136、236に減少し、その後、温度がさらに上昇するにつれて再び増加するようなものである。この作用は図3に示されている。図3でさらに分かるように、第一のタイプの物品100および第二のタイプの物品200のサセプタ配設130、230は、異なるコンダクタンス対温度プロファイル133、233を有する。特にサセプタ配設130、230のそれぞれは、電気コンダクタンスGのそれぞれの初期値135、235およびそれぞれの極値136、の236との間に特有の差分デルタ137、237を有する。一般に、異なるコンダクタンス対温度プロファイル133、233、特に、特有の差分デルタ137、237の異なる値は、サセプタ配設130、230の寸法またはサセプタ配設130、230の材料組成物のうちの少なくとも一つが異なるサセプタ配設130、230に起因し得る。本実施形態では、サセプタ配設130、230は両方とも、図1および図2に示すように、ストリップ形状に対して、同じ材料で作製されたが、異なる寸法、特に異なる幅寸法139、239を有する、ストリップ形状のサセプタ配設である。
【0089】
異なるエアロゾル形成基体120、220および異なるサセプタ配設130、230とは別に、両方のタイプの物品100、200は、特に支持要素140、240、エアロゾル冷却要素150、250、およびフィルター要素160、260に関して、実質的に同一である。両方のタイプの物品100、200では、それぞれの四つの要素は、実質的に同じ直径を有する実質的に円筒形の形状を有する。加えて、四つの要素は、要素を一緒に保持し、かつ物品100、200の所望の円形断面形状を維持するように、外側ラッパー170、270によって囲まれる。ラッパー170、270は紙で作製されることが好ましい。物品100、200、特に四つの要素のさらなる詳細は、例えば、国際公開第2015/176898 A1号に開示されている。
【0090】
細長いエアロゾル発生装置1は、近位部分2および遠位部分3の二つの部分を備える。近位部分2では、装置1は、それぞれエアロゾル発生物品100、200の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するためのレセプタクル6を形成する空洞4を備える。遠位部分3では、装置1は、装置1の動作部に電力を供給するための再充電可能電池などのDC電源50だけでなく、装置1の動作を制御するためのコントローラ60も備える。それぞれの物品100、200内の基体120、220を加熱するために、装置1は、コントローラ60へと動作可能に連結された誘導加熱配設10を備える。加熱配設10は、電子回路15と、空洞4内に交番磁界、特に高周波磁界を発生させるための誘導コイル18を含む。
【0091】
図4は、誘導加熱配設10の詳細を示す。本実施形態によれば、誘導加熱配設10は、図1および図2に示すDC電源50に接続されたDC/ACインバータを備える。DC/ACインバータは、クラスEの電力増幅器を含み、これは、以下の構成要素、電界効果トランジスタT(FET)、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含むトランジスタスイッチ11と、切換信号(ゲート・ソース間電圧)をトランジスタスイッチ11に供給するための矢印12で示したトランジスタスイッチ供給回路と、分路コンデンサC1、およびコンデンサC2とインダクタL2の直列接続を含むLC負荷ネットワーク13とを含む。インダクタL2は、交番磁界を空洞4内に発生させるために使用される図1および図2に示す誘導コイル18に対応する。加えて、DC供給電圧+V_DCをDC電源50に供給するためのチョークL1が提供されている。また、図3は、システムの使用において、L2とマークされた誘導コイル18のオーム抵抗と、それぞれのサセプタ配設130、230のオーム抵抗の和である、総等価抵抗または総抵抗負荷14を表すオーム抵抗Rであり、これはそれぞれのサセプタ配設130、230の電気コンダクタンスGに実質的に反比例する。本実施形態による誘導加熱配設10のさらなる詳細は、特にその動作原理に関して、例えば、国際公開第2015/177046A1号に開示されている。電気加熱配設10(誘導コイル18を除く)の電子回路15は、プリント回路基板61上に主制御ユニット60と共に配設される。
【0092】
図1および図2からわかるように、誘導コイル18は、円筒状の受容空洞4を円周状に包囲するように、装置1の近位部分2内に配設されたらせん状コイルである。したがって、それぞれの物品100、200を装置100の空洞4に挿入し(図1および図2に示す通り)、加熱配設10を起動すると、それぞれのサセプタ配設130、230は、サセプタ配設130、230のそれぞれの材料組成物の磁気特性および電気特性に応じて、渦電流およびヒステリシス損失のうちの少なくとも一つをサセプタ配設130、230に誘導する、変化する磁界を経験する。結果として、サセプタ配設130、230は、物品100、200内のサセプタ配設130、230を囲むそれぞれのエアロゾル形成基体120、220を気化するのに十分な動作温度に到達するまで加熱される。この加熱中、サセプタ配設130、230のコンダクタンスは、上で説明され、図3に示すように、コース133、233を示す。動作温度に到達した時点で、システム300は使用可能であり、ユーザーは、装置1で受容されるそれぞれの物品100、200のフィルター要素160、260で吸煙してもよい。その際、空気は、挿入開口部5の縁で空洞4内に引き込まれる。そこから、気流は、円筒状の空洞4の内表面とそれぞれの物品100、200の外表面との間に形成される通路を通って、空洞4の遠位端に向かってさらに延びる。空洞4の遠位端において、気流は、それぞれの基体要素110、210を通してエアロゾル発生物品100、200に入り、そしてさらに、支持要素140、240、エアロゾル冷却要素150、250およびフィルター要素160、260を通過し、最終的に物品100、200を出る。加熱の間に、エアロゾル形成基体120、220からの気化した材料は、基体要素110、210を通る気流の中へと同伴される。支持要素140、240、冷却要素150、250およびフィルター要素160、260をさらに通過する時、気化した材料を含む気流は、フィルター要素160、260を通って物品100、200を抜け出るエアロゾルを形成するように冷却される。
【0093】
異なるエアロゾル形成基体を含む異なるタイプのエアロゾル発生物品は、異なる加熱動作を必要とし得る。例えば、本実施形態による第一のタイプのエアロゾル発生物品100は、固体タバコ含有エアロゾル形成基体を備え、ゲル様エアロゾル形成基体を備える本実施形態による第二のタイプのエアロゾル発生物品200よりも低い動作温度を必要とし得る。これだけでなく、不適切または不適合な物品による装置1の動作を防止するためにも、適切な物品識別が不可欠である。本発明によれば、物品中のサセプタ配設の電気特性の初期値と極値との間の差が、物品タイプの特徴的な指標として使用され得ることが見出された。本実施形態に関して、図3に示すように、これは、それぞれの初期値135、235と、サセプタ配設130、230の電気コンダクタンスGのそれぞれの最小値136、236との間の差分デルタ137、237であり、これは、物品100、200のそれぞれに対して特有であり、したがって、空洞4に受容された物品のタイプを識別するために使用され得る。このため、装置1のコントローラ60は、電源50から加熱配設10によって引き出される供給電流を決定するように、さらに、電源50から引き出される電流の対応する初期値および対応する極値から、または同様に、電源50から引き出される供給電流の経時的変化から、サセプタ配設130、230の電気コンダクタンスGのそれぞれの初期値135、235と、それぞれの最小値136と、236との間の差を決定するように構成される。電源50から引き出される電流を決定するため、本実施形態によるエアロゾル発生装置1は、図4に示すようにコントローラ60に動作可能に接続された電流測定装置62を備える。電流を測定することは、電源50によって提供される電圧が一定である場合に十分であり得る。この場合、経時的なコンダクタンスGは、経時的な電流の実質的に線形関数に過ぎないからである。この場合、コンダクタンスGを反映するそれぞれの値は、決定された電流値と電源50の公称供給電圧との比から生じてもよく、ここで、公称供給電圧の値は、コントローラ60に保存されてもよい。そうでなければ、供給電圧が一定でない場合、経時的な供給電流および供給電圧の両方を関数としてコンダクタンスを決定するために、電圧も測定されなければならない。このため、エアロゾル発生装置1は、図4も示すように、電圧測定装置63をさらに備えてもよい。電流測定装置62と同様に、電圧測定装置63は、コントローラ60に動作可能に接続され、したがって、コントローラ60が、電源50から引き出される供給電流および供給電圧の両方を決定し、電源50から引き出される供給電流および供給電圧の経時的変化から、サセプタ配設130、230の電気コンダクタンスGのそれぞれの初期値135、235とそれぞれの最小値136、236との間の差を決定することを可能にする。特に、コントローラ60は、電源50から引き出される供給電流と供給電圧との比の経時的変化から、サセプタ配設130、230の電気コンダクタンスGのそれぞれの初期値135、235とそれぞれの最小値136、236との間の差を決定するように構成され得る。
【0094】
使用時に、エアロゾル発生物品が装置1の空洞4に挿入されると、加熱配設10は物品中のサセプタ配設を加熱し始める。加熱動作の開始時に、コントローラ60は、測定装置62、63と組み合わせて、初期供給電流、および必要に応じて、電源50から引き出される対応する供給電圧を決定する。加熱動作中に温度が上昇すると、供給電流は減少し、再び増加する前に最小値に到達する。供給電流のこの最小値、および必要に応じて、電源50から引き出される対応する供給電圧も、コントローラ60によって決定される。そうすると、コントローラ60は、それぞれ、対応する供給電圧に対する決定された初期供給電流、および対応する供給電圧に対する決定された最小供給電流の比から、電気コンダクタンスGの初期値および最小値を決定する。上述のように、供給電圧が経時的に一定である時、供給電流のみを決定し、電源50のそれぞれ決定された電流と公称供給電圧との比から電気コンダクタンスGの初期値およびそれぞれの最小値を決定するだけで十分な場合がある。同様に、物品タイプを示す温度の特有の変化を示すサセプタ配設の電気特性として、供給電流のみを(コンダクタンスの代わりに)使用することも可能である。
【0095】
電気的コンダクタンスの初期値および最小値を決定した後、コントローラ60は、これらの値間の差を決定する。その後、決定された差は、装置が使用されるように構成される各物品タイプに対してコントローラ60に保存される、基準値または基準範囲と比較される。したがって、決定された差が第一のタイプの物品100の差の基準値または基準範囲に対応する場合、コントローラ60は、空洞4に現在受容されている物品を第一のタイプのエアロゾル発生物品100として識別する。同様に、決定された差が第二のタイプの物品200の差の基準値または基準範囲に対応する場合、コントローラ60は、空洞4に現在受容されている物品を第二のタイプのエアロゾル発生物品200として識別する。そうでなければ、コントローラ60は、現在空洞4に受容されている物品を、装置1ととともに使用するには不適切または不適合な物品として識別する。後者の場合、コントローラ60は、加熱配設10の加熱動作を停止し得る。他の事例では、コントローラ60は、それぞれ第一のタイプの物品100または第二のタイプの物品200に関連するそれぞれの所定の加熱プロファイルに従って、誘導加熱配設10の加熱動作を制御する。
【0096】
さらに上述したように、実際の電力定格、すなわち、加熱配設10によって提供され得る最大電力は、製造公差によって異なるエアロゾル発生装置に対して変動し得る。利用可能な最大電力におけるこの変動は、特に、物品識別が加熱中に実施される時に影響を与える可能性があり、誘導加熱配設10は通常、最大電力で動作される。最大電力の変動の影響を低減するために、本実施形態によるコントローラ60は、誘導加熱配設10の電力定格を使用して、コンダクタンスGの初期値135、235と極値136、236との間の決定された差分デルタを正規化するように構成される。例えば、コントローラ60は、式に従って、これらの値135、235、136、236の間の決定された差分デルタを正規化するように構成されてもよい。Delta_Norm = k *(Power_Norm - Power) + Delta、式中、Delta_Normは、電気コンダクタンスの初期値と極値との間の正規化された差であり、Deltaは、決定された差であり、Powerは、手持ちの誘導加熱配設10の電力定格である。誘導加熱配設10の電力定格は、較正サセプタ配設を含む較正物品を使用して、装置1の製造中にコントローラ60に決定され、符号化され得る。Power_Normは、平均電力定格であり、kは正規化係数であり、その各々は、事前に複数のエアロゾル発生装置について経験的に決定され、装置1の製造中にコントローラ60にコード化される。有利なことに、この種の正規化により、同じタイプの複数の物品について決定された初期値と極値との間の差の分布は、電力正規化を行わない場合と同様に、標準偏差の減少をもたらす。これは図5に示され、正規化を行った場合と行わない場合で同じタイプの複数の物品について決定された差分デルタ、Delta_Normの分布を示す。結果として、異なるタイプの物品について決定されたそれぞれの差の分布は、互いにより良好に区別することができる。これは図6に示されており、正規化を行った場合と行わない場合の、第一のタイプの物品100および第二のタイプの物品200の差分デルタ、Delta_Normのそれぞれの分布を概略的に示す。正規化により、第一のタイプの物品100と第二のタイプの物品200の差分Delta_Normの分布は、もはや重ならない。したがって、一つのタイプの物品が、別のタイプの物品として誤って識別される可能性は低い。
【0097】
ユーザーが、物品をレセプタクル内にさらに押し込むことによって(例えば、物品がレセプタクルによって完全に受容されなかったため)、初期値と極値との測定の間のクリティカルタイムウィンドウの間に、エアロゾル発生装置に対してエアロゾル発生物品を変位させる場合、コンダクタンスの初期値235と極値236aとの間の決定された差237aは、押すたびにコンダクタンスGの突然の低下を引き起こす可能性があるため改ざんされ得る。これは、図7に示され、ユーザーが物品200を空洞4に繰り返しさらに押し込んだ場合(破線233a)および押し込まない場合(実線233)の第2-第1のタイプの物品200のコンダクタンス対温度プロファイル233、233aを示している。結果として、図7の実施例では、初期値235と極値236aとの間の実際に決定された差237aは、物品が全く変位せずに決定された差237よりも大きい。コントローラ60は、コンダクタンスの初期値235または極値236、236aの少なくとも一つのこうした異常偏差を識別し、それに応答して、例えば、より低い動作温度を含む第一のタイプの物品100に関連する加熱プロファイルに従って、安全加熱プロファイルに従って誘導加熱配設10の加熱動作を制御するように構成される。したがって、過熱を効果的に防止することができる。誤識別はまた、第二のタイプのエアロゾル発生物品200について図8に示すように、サセプタ配設230が、ユーザー体験の開始時に上昇した温度レベルT1にある場合に生じ得る。この状況は、例えば、ユーザーが、加熱配設の動作を停止することによってユーザー体験を中断し、その後すぐに同じ物品で新たにユーザー体験を再開する場合に生じる場合がある。同様に、このような状況は、物品が、別の装置またはオーブンによってすでに加熱されてから、装置に挿入される時に生じ得る。したがって、サセプタ配設230が上昇した温度レベルT1にある時、「高温」(再)起動後に決定されるコンダクタンスの初期値235bは、より低い温度レベルT0で決定される初期値235よりも低い場合がある。これは図8にも示されている。結果として、コンダクタンスの決定された差237bは低すぎることになる。こうした状況下での誤識別を避けるために、コントローラ60は、誘導加熱配設10の新たな動作の開始を、例えば、60秒間など、誘導加熱配設の前の動作後の所定の一時停止時間にわたって無効にするように構成される。この停止は、サセプタ配設130、230の十分な冷却を可能にするのに十分な長さである。
【0098】
図1および図2にさらに示すように、装置1は、識別された物品タイプを示すように構成されたユーザーインターフェース65を備える。本実施形態では、ユーザーインターフェース65は、二つのLED(発光ダイオード)を備え、一つは第一のタイプのエアロゾル発生物品100が空洞4内に受容されることを示し、もう一つは第二のタイプのエアロゾル発生物品200が空洞4内に受容されることを示す。
【0099】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的のために、別段の表示がない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数は、すべての事例において、用語「約」によって修飾されるものとして理解される。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。したがって、この文脈では、数AはA±Aの5パーセントとして理解される。この文脈内において、数Aは、数Aが修飾する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数Aは、添付の特許請求の範囲で使用されるような一部の事例において、それによってAが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を与えないという条件で、上記に列挙される割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】