(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-16
(54)【発明の名称】スモールデータの送信に関与するユーザ機器および基地局
(51)【国際特許分類】
H04W 74/08 20090101AFI20231006BHJP
H04W 72/1268 20230101ALI20231006BHJP
H04W 72/21 20230101ALI20231006BHJP
H04W 4/20 20180101ALI20231006BHJP
H04W 76/11 20180101ALI20231006BHJP
【FI】
H04W74/08
H04W72/1268
H04W72/21
H04W4/20 110
H04W76/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519893
(86)(22)【出願日】2021-09-15
(85)【翻訳文提出日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2021075355
(87)【国際公開番号】W WO2022069231
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タオ ミン-フン
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】シャー リキン
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD34
5K067EE02
5K067EE10
5K067HH21
5K067JJ21
(57)【要約】
本開示は、以下を有するユーザ機器(UE)に関する。受信機は、サービング基地局(BS)からUE識別情報を受信する。UEは、非アクティブ状態にある。UE識別情報は、少なくとも上りリンクリソース割当てを含むリソース割当ての受信のための監視機能を実行するためにUEによって使用可能である。受信機は、UE識別情報に基づいて、サービングBSから送信された上りリンクリソース割当てを受信し、当該上りリンクリソース割当てによってスモールデータの送信のための無線リソースが割り当てられる。送信機は、受信された上りリンクリソース割当てに基づいて、スモールデータのサービングBSへの送信を実行する。プロセッサは、UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために監視機能を延長するか否かを決定し、当該決定は、サービングBSから受信されたメッセージに基づくか、またはUEが送信可能なさらなるスモールデータを有するか否かに基づく。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ機器(UE:User Equipment)であって、
動作中、前記UEに現在サービスを提供(サービング)している基地局からUE識別情報の割当てを受信する受信機であって、前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にあり、前記UE識別情報は、前記サービング基地局から送信される、少なくとも上りリンクリソース割当てを含む、リソース割当ての受信のための監視機能を実行するために前記非アクティブUEによって使用可能である、受信機と、
前記受信機は、動作中、前記UE識別情報に基づいて、前記サービング基地局から送信された上りリンクリソース割当てを受信し、当該受信された上りリンクリソース割当てによって、スモールデータの送信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースが割り当てられる、
動作中、前記受信された上りリンクリソース割当てに基づいて、前記スモールデータの前記サービング基地局への送信を実行する送信機と、
動作中、前記UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために前記監視機能を延長するか否かを決定するプロセッサであって、前記決定は、前記サービング基地局から受信されたメッセージに基づくか、または前記UEが送信可能なさらなるスモールデータを有するか否かに基づく、プロセッサと、
を有する、ユーザ機器。
【請求項2】
前記メッセージは、前記受信された上りリンクリソース割当てであり、前記プロセッサは、動作時、前記上りリンクリソース割当ての受信時に、または前記受信された上りリンクリソース割当てに基づく前記スモールデータの送信の実行時に、または前記さらなるスモールデータが前記UEにより送信可能であることを示すバッファ状態報告の送信時に前記監視機能を延長すると決定する、
請求項1に記載のユーザ機器。
【請求項3】
前記UE識別情報の破棄は、1つまたは2つのタイマに基づいて制御され、当該制御は、
前記UE識別情報の有効性を制御するために1つのタイマを動作させることを含み、前記タイマは、前記監視機能の実行開始時に始動され、前記タイマは、前記上りリンクリソース割当ての受信時に、もしくは前記スモールデータの前記送信の実行時に、もしくは前記さらなるスモールデータが前記UEにより送信可能であることを示す前記バッファ状態報告の送信時に再始動され、前記プロセッサは、前記タイマの満了時に前記UE識別情報を破棄すると決定する、または
前記UE識別情報の有効性を制御するために第1のタイマおよび第2のタイマをそれぞれ動作させることを含み、前記第1のタイマは、前記監視機能の実行開始時に始動され、前記第2のタイマは、前記上りリンクリソース割当ての受信のたびに、もしくは前記スモールデータの前記送信の実行のたびに、もしくは前記さらなるスモールデータが前記UEにより送信可能であることを示す前記バッファ状態報告の送信のたびに始動されもしくは再始動され、前記プロセッサは、前記第1のタイマおよび前記第2のタイマがいずれも動作していない場合、前記UE識別情報を破棄すると決定する、
請求項2に記載のユーザ機器。
【請求項4】
前記受信機は、前記非アクティブUEに前記非アクティブ状態に留まるよう指示するUE状態指示メッセージを前記サービング基地局から受信し、
前記UE識別情報は、前記UE状態指示メッセージの受信時に、破棄され、
オプションで、前記プロセッサは、動作時、前記UE状態指示メッセージの受信時に他の上りリンクリソース割当てを受信するための前記監視機能の実行を停止し、
オプションで、前記UE状態指示メッセージは、前記非アクティブUEによって前記サービング基地局に以前に送信された接続再開要求メッセージに対する応答である、
請求項2または3に記載のユーザ機器。
【請求項5】
前記プロセッサは、動作時、前記メッセージが、前記非アクティブUEに前記監視機能を延長するよう指示する監視指示を含む場合、前記監視機能を延長すると決定し、
前記メッセージは、前記非アクティブUEに前記非アクティブ状態に留まるよう指示し、かつ、前記監視機能を延長するか否かを指示する前記監視指示を含む、UE状態指示メッセージであり、
オプションで、前記UE状態指示メッセージは、前記非アクティブUEによって前記サービング基地局に以前に送信された接続再開要求メッセージに対する応答である、
請求項1に記載のユーザ機器。
【請求項6】
前記プロセッサは、動作時、ある量の監視時間に到達した時に、他の上りリンクリソース割当ての受信のための前記監視機能の実行を停止し、
前記監視時間の量は、前記メッセージに含まれる情報に基づいて、または前記非アクティブUEによって利用可能な事前設定済み情報に基づいて決定され、オプションで、前記事前設定済み情報は、前記サービング基地局からブロードキャストされるシステム情報によって、または基地局からの以前の上位レイヤ構成メッセージによって、または前記非アクティブUEのユニバーサル加入者識別モジュール(Universal Subscriber Identity module)から、または技術規格の要件から、前記UEに提供され、
オプションで、前記監視時間の量は、前記上りリンクリソース割当ての受信時に、または前記受信された上りリンクリソース割当てに基づく前記スモールデータの前記送信の実行時に、または前記さらなるスモールデータが前記UEにより送信可能であることを示すバッファ状態報告の送信時に、延長される、
請求項5に記載のユーザ機器。
【請求項7】
前記メッセージは、上りリンクリソース割当ての数に関する情報をさらに提供し、前記プロセッサは、動作時、前記数の上りリンクリソース割当てを受信した時に、他の上りリンクリソース割当ての受信のための前記監視機能の実行を停止する、
請求項5または6に記載のユーザ機器。
【請求項8】
前記監視指示は、
● 前記UE状態指示メッセージに含まれ、または
● 前記UE状態指示メッセージと共に送信され、または
● 前記UE状態指示メッセージを受信するために前記非アクティブUEによって使用可能な下りリンク無線リソースを割り当てる下りリンクリソース割当てに含まれる、
請求項5~7のいずれかに記載のユーザ機器。
【請求項9】
前記UE識別情報の破棄は、前記監視機能に基づいて制御され、オプションで、前記プロセッサは、動作時、前記監視機能の実行を停止すると決定した時に前記UE識別情報を破棄すると決定し、
オプションで、前記プロセッサは、動作時、前記監視指示が、前記非アクティブUEに前記監視時間を延長しないよう指示する場合、前記UE識別情報を破棄すると決定する、
請求項5~8のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項10】
前記プロセッサは、動作時、前記メッセージが、前記非アクティブUEに前記監視機能を延長するよう指示する監視指示を含む場合、前記監視機能を延長すると決定し、
前記メッセージは、データの送受信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースを割り当て、かつ、前記監視機能を延長するか否かを指示する監視指示を含む、リソース割当てであり、
オプションで、前記プロセッサは、動作時、前記リソース割当ての前記監視指示が前記監視機能を延長しないよう指示する場合、前記監視機能を停止する、
請求項1に記載のユーザ機器。
【請求項11】
前記UE識別情報の破棄は、前記監視指示に基づいて制御され、前記プロセッサは、動作時、前記監視指示が前記監視機能を延長しないよう指示する場合、前記UE識別情報を破棄すると決定し、または、
前記UE識別情報の破棄は、2つのタイマに基づいて制御され、前記制御は、
前記UE識別情報の有効性を制御するために第1のタイマおよび第2のタイマをそれぞれ動作させることを含み、前記第1のタイマは、前記監視機能の実行開始時に始動され、前記第2のタイマは、前記監視指示が前記監視機能を延長するよう指示する場合に始動されまたは再始動され、前記プロセッサは、前記第1のタイマおよび前記第2のタイマがいずれも動作していない場合、前記UE識別情報を破棄すると決定する、
請求項10に記載のユーザ機器。
【請求項12】
前記プロセッサは、動作時、前記UEが送信可能なさらなるスモールデータを有する場合、前記監視機能を拡張すると決定し、
オプションで、前記送信機は、動作時、前記非アクティブUEが送信可能なさらなるスモールデータを有する場合、バッファ状態報告を前記サービング基地局に送信し、
オプションで、前記バッファ状態報告は、前記スモールデータと共に送信される、
請求項1に記載のユーザ機器。
【請求項13】
前記UE識別情報は、前記非アクティブUEと前記サービング基地局の間で実行されるランダムアクセス手順中に前記非アクティブUEに割り当てられ、
オプションで、前記ランダムアクセス手順は、2つのステップを含み、第1のスモールデータの送信は、前記2ステップランダムアクセス手順の第1のメッセージによって実行され、
オプションで、前記ランダムアクセス手順は、4つのステップを含み、前記第1のスモールデータの前記送信は、前記4ステップランダムアクセス手順の第3のメッセージによって実行され、
オプションで、スモールデータの第1の送信は、前記UEと前記基地局の間で実行される前記ランダムアクセス手順の一部として実行される、
請求項1~12のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項14】
前記非アクティブUEによって前記サービング基地局にバッファ状態報告が送信され、前記バッファ状態報告は、前記非アクティブUEのバッファの送信可能なデータに関する情報を提供する、
請求項1~13のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項15】
前記非アクティブ状態、前記接続状態、および前記アイドル状態は、無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)プロトコルに関連している、
請求項1~14のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項16】
前記受信機は、動作時、前記非アクティブUEに前記接続状態に遷移するようまたは前記非アクティブ状態に留まるよう指示するUE状態指示を前記サービング基地局から受信し、
前記プロセッサは、動作時、前記受信されたUE状態指示に従うように前記UEの状態を制御し、
オプションで、前記UE状態指示は、前記非アクティブUEによって送信された接続要求メッセージに応答して前記基地局によって送信される、
請求項1~15のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項17】
ユーザ機器(UE:User Equipment)によって実行される以下のステップを有する方法であって、
前記UEに現在サービスを提供(サービング)している基地局からUE識別情報の割当てを受信するステップであって、前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にあり、前記UE識別情報は、前記サービング基地局から送信される、少なくとも上りリンクリソース割当てを含む、リソース割当ての受信のための監視機能を実行するために非アクティブUEによって使用可能である、ステップと、
前記UE識別情報に基づいて、前記サービング基地局から送信された上りリンクリソース割当てを受信するステップであって、当該受信した上りリンクリソース割当てによって、スモールデータの送信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースが割り当てられる、ステップと、
前記受信した上りリンクリソース割当てに基づいて、前記スモールデータの前記サービング基地局への送信を実行するステップと、
前記UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために前記監視機能を延長するか否かを決定するステップであって、前記決定は、前記サービング基地局から受信したメッセージに基づくか、または前記UEが送信可能なさらなるスモールデータを有するか否かに基づく、ステップと、
を有する方法。
【請求項18】
基地局であって、
動作中、前記基地局によって現在サービスが提供されているユーザ機器(UE:User Equipment)にUE識別情報の割当てを送信する送信機であって、前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にあり、前記UE識別情報は、少なくとも上りリンクリソース割当てを含むリソース割当てを前記UEに送信するために前記基地局によって使用可能である、送信機と、
前記送信機は、動作中、前記UE識別情報に基づいて、前記非アクティブUEに上りリンクリソース割当てを送信し、当該送信された上りリンクリソース割当てによって、スモールデータの送信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースが割り当てられ、また、当該送信された上りリンクリソース割当ては、前記非アクティブUEが前記割り当てられたUE識別情報に基づくリソース割当ての受信のための監視機能を実行することに基づいて前記非アクティブUEによって受信可能である、
動作中、前記送信された上りリンクリソース割当てに基づいて、前記非アクティブUEからの前記スモールデータの受信を実行する受信機と、を有し、
前記送信機は、動作中、前記非アクティブUEが前記UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために前記監視機能を延長するか否かを決定する基礎となるメッセージを前記非アクティブUEに送信する、
基地局。
【請求項19】
基地局によって実行される以下のステップを有する方法であって、
前記基地局によって現在サービスが提供されているユーザ機器(UE:User Equipment)にUE識別情報の割当てを送信するステップであって、前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にあり、前記UE識別情報は、少なくとも上りリンクリソース割当てを含むリソース割当てを前記UEに送信するために前記基地局によって使用可能である、ステップと、
前記UE識別情報に基づいて、前記非アクティブUEに前記上りリンクリソース割当てを送信するステップであって、当該送信した上りリンクリソース割当てによって、スモールデータの送信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースが割り当てられ、また、当該送信した上りリンクリソース割当ては、前記非アクティブUEが前記割り当てられたUE識別情報に基づくリソース割当ての受信のための監視機能を実行することに基づいて前記非アクティブUEによって受信可能である、ステップと、
前記送信した上りリンクリソース割当てに基づいて、前記非アクティブUEからの前記スモールデータの受信を実行するステップと、
前記非アクティブUEが前記UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために前記監視機能を延長するか否かを決定する基礎となるメッセージを前記非アクティブUEに送信するステップと、
を有する方法。
【請求項20】
動作中、ユーザ機器(UE:User Equipment)の処理を制御する集積回路であって、前記処理が、前記UEによって実行される以下のステップ、
前記UEに現在サービスを提供(サービング)している基地局からUE識別情報の割当てを受信するステップであって、前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にあり、前記UE識別情報は、前記サービング基地局から送信される、少なくとも上りリンクリソース割当てを含む、リソース割当ての受信のための監視機能を実行するために非アクティブUEによって使用可能である、ステップと、
前記UE識別情報に基づいて、前記サービング基地局から送信された上りリンクリソース割当てを受信するステップであって、当該受信した上りリンクリソース割当てによって、スモールデータの送信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースが割り当てられる、ステップと、
前記受信した上りリンクリソース割当てに基づいて、前記スモールデータの前記サービング基地局への送信を実行するステップと、
前記UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために監視機能を延長するか否かを決定するステップであって、前記決定は、前記サービング基地局から受信したメッセージに基づくか、または前記UEが送信可能なさらなるスモールデータを有するか否かに基づく、ステップと、を含む、
集積回路。
【請求項21】
動作中、基地局の処理を制御する集積回路であって、前記処理が、前記基地局によって実行される以下のステップ、
前記基地局によって現在サービスが提供されているユーザ機器(UE:User Equipment)にUE識別情報の割当てを送信するステップであって、前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にあり、前記UE識別情報は、少なくとも上りリンクリソース割当てを含むリソース割当てを前記UEに送信するために前記基地局によって使用可能である、ステップと、
前記UE識別情報に基づいて、前記非アクティブUEに上りリンクリソース割当てを送信するステップであって、当該送信した上りリンクリソース割当てによって、スモールデータの送信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースが割り当てられ、また、当該送信した上りリンクリソース割当ては、前記非アクティブUEが前記割り当てられたUE識別情報に基づくリソース割当ての受信のための監視機能を実行することに基づいて前記非アクティブUEによって受信可能である、ステップと、
前記送信した上りリンクリソース割当てに基づいて、前記非アクティブUEからの前記スモールデータの受信を実行するステップと、
前記非アクティブUEが前記UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために前記監視機能を延長するか否かを決定する基礎となるメッセージを前記非アクティブUEに送信するステップと、を含む、
集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3GPP通信システムなどの通信システムにおける方法、装置、および物品を対象とする。
【背景技術】
【0002】
現在、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標):3rd Generation Partnership Project)は、第5世代(5G:5th Generation)とも呼ばれる次世代セルラー技術の技術仕様に取り組んでいる。
【0003】
一つの目的は、少なくとも拡張モバイルブロードバンド(eMBB:enhanced mobile broadband)、超高信頼・低遅延通信(URLLC:ultra-reliable low-latency communications)、および大規模マシンタイプ通信(mMTC:massive machine type communications)を含む、あらゆる使用シナリオ、要件、および配置シナリオ(例えば、非特許文献1の第6節を参照)に対処する、単一の技術的枠組みを提供することである。例えば、eMBBの配置シナリオには、屋内のホットスポット、密集都市部、郊外、都市部マクロ・高速環境が含まれ得る。URLLCの配置シナリオには、産業制御システム、モバイル健康管理(遠隔モニタリング、遠隔診断、および遠隔治療)、車両のリアルタイム制御、スマートグリッドの広域監視・制御システムが含まれ得る。mMTCの配置シナリオには、スマートウェアラブルやセンサーネットワークなど、データ伝送の遅延の影響が小さい多数の装置を使用するシナリオが含まれ得る。eMBBのサービスとURLLCのサービスは、いずれも極めて広い帯域幅が要求される点において似ているが、URLLCサービスは、好ましくは極めて小さいレイテンシ(待ち時間)(latency)が要求され得る点において異なる。
【0004】
第2の目的は、前方互換性を達成することである。ロングタームエボリューション(Long Term Evolution)(LTE、LTE-A)セルラーシステムへの後方互換性は要求されず、これにより、全く新しいシステムの設計および/または新規の特徴の導入が容易になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】TR 38.913 version 15.0.0
【非特許文献2】3GPP TS 38.300 v16.2.0
【非特許文献3】3GPP TS 38.211 v16.2.0
【非特許文献4】ITU-R M.20183
【非特許文献5】TS 23.501 v16.5.1
【非特許文献6】3GPP TS 38.321, v16.1.0
【非特許文献7】TS 38.331 v16.1.0
【非特許文献8】TR 25.705 v13.0.0
【発明の概要】
【0006】
一つの非限定的かつ例示的な実施形態は、UEが改良されたスモールデータ送信手順を実行することを容易にするための手順の提供を容易にする。
【0007】
一実施の形態において、本明細書に開示されている技術は、以下を有するユーザ機器(UE:User Equipment)を特徴とする。
【0008】
前記UEの受信機は、前記UEに現在サービスを提供(サービング)している基地局からUE識別情報の割当てを受信する。前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にある。前記UE識別情報は、前記サービング基地局から送信される、少なくとも上りリンクリソース割当てを含む、リソース割当ての受信のための監視機能を実行するために前記非アクティブUEによって使用可能である。前記受信機は、前記UE識別情報に基づいて、前記サービング基地局から送信された上りリンクリソース割当てを受信する。当該受信された上りリンクリソース割当てによって、スモールデータの送信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースが割り当てられる。前記UEの送信機は、前記受信された上りリンクリソース割当てに基づいて、前記スモールデータの前記サービング基地局への送信を実行する。プロセッサは、前記UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために前記監視機能を延長するか否かを決定し、当該決定は、前記サービング基地局から受信されたメッセージに基づくか、または前記UEが送信可能なさらなるスモールデータを有するか否かに基づく。
【0009】
なお、一般的または特定の実施形態は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはこれらの任意の選択的な組み合わせとして実施できることに留意されたい。例えば、集積回路は、UEまたは基地局の処理を制御することができる。
【0010】
開示されている実施形態および様々な実装形態のさらなる恩恵および利点は、本明細書および図面から明らかになるであろう。これらの恩恵および/または利点は、本明細書および図面の様々な実施形態および特徴によって個別に得ることができ、このような恩恵および/または利点の1つまたは複数を得るために、それらをすべて設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、例示的な実施形態について添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。
【0012】
【
図1】3GPP NRシステムの例示的なアーキテクチャを示す図
【
図2】NG-RANと5GCとの間の機能分割を示す概略図
【
図4】拡張モバイルブロードバンド(eMBB)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)、および超高信頼・低遅延通信(URLLC)の使用シナリオを示す概略図
【
図5】非ローミングシナリオ向けの例示的な5Gシステムアーキテクチャを示すブロック図
【
図6】コンテンションベースのRACH手順を示す図
【
図7】コンテンションフリーのRACH手順を示す図
【
図9】RRC再開(RRC Resume)手順のメッセージ交換を示す図
【
図10】RRC解放(RRC Release:RRCリリース)手順のメッセージ交換を示す図
【
図11】RRC解放(RRC Release:RRCリリース)手順のメッセージ交換を示す図
【
図12】Inactive状態からConnected状態へのUEの状態変化を含む、上りリンクデータ送信のための先行技術のメッセージ交換を示す図
【
図13】RRC_INACTIVE UEがスモールデータを上りリンクで送信するために使用可能な例示的な4ステップRACHを示す図
【
図14】RRC_INACTIVE UEがスモールデータを上りリンクで送信するために使用可能な例示的な2ステップRACHを示す図
【
図16】マルチSDT送信手順に対する可能な解決策を示す図
【
図17】UEおよびgNBの例示的かつ簡略化された構造を示す図
【
図18】改良されたスモールデータ上りリンク送信手順の例示的な一実装形態に係るUEの構造を示す図
【
図19】改良されたスモールデータ上りリンク送信手順の例示的な一実装形態に係る、UEの動作を示すフロー図
【
図20】改良されたスモールデータ上りリンク送信手順の例示的な一実装形態に係る基地局の構造を示す図
【
図21】改良されたスモールデータ上りリンク送信手順の例示的な一実装形態に係る、基地局の動作を示すフロー図
【
図22】改良されたスモールデータ上りリンク送信手順の第1の解決策の一変形例に係る、UEから基地局への複数のスモールデータ送信を示すシグナリング図
【
図23】改良されたスモールデータ上りリンク送信手順の第1の解決策の他の変形例に係る、UEから基地局への複数のスモールデータ送信を示すシグナリング図
【
図24】改良されたスモールデータ上りリンク送信手順の第1の解決策の他の変形例に係る、UEから基地局への複数のスモールデータ送信を示すシグナリング図
【
図25】改良されたスモールデータ上りリンク送信手順の第1の解決策の例示的な一実装形態に係るUE動作を示すフロー図
【
図26】改良されたスモールデータ上りリンク送信手順の第1の解決策の例示的な一実装形態に係る基地局動作を示すフロー図
【
図27】改良されたスモールデータ上りリンク送信手順の第2の解決策の一変形例に係る、UEから基地局への複数のスモールデータ送信を示すシグナリング図
【
図28】改良されたスモールデータ上りリンク送信手順の第2の解決策の他の変形例に係る、UEから基地局への複数のスモールデータ送信を示すシグナリング図
【
図29】改良されたスモールデータ上りリンク送信手順の第3の解決策の一変形例に係る、UEから基地局への複数のスモールデータ送信を示すシグナリング図
【
図30】改良されたスモールデータ上りリンク送信手順の第3の解決策の他の変形例による、UEから基地局への複数のスモールデータ送信を示すシグナリング図
【
図31】改良されたスモールデータ上りリンク送信手順の第4の解決策の一変形例に係る、UEから基地局への複数のスモールデータ送信を示すシグナリング図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<5G NRのシステムアーキテクチャおよびプロトコルスタック>
【0014】
3GPPは、最大100GHzの周波数で動作する新しい無線アクセス技術(NR)の開発を含む第5世代セルラー技術(単に「5G」と呼ばれる)の次のリリースに取り組んでいる。5G規格の最初のバージョンは、2017年の終わりに完了し、これにより、5G NR規格に準拠したスマートフォンの試験および商用展開に進むことができる。
【0015】
とりわけ、全体的なシステムアーキテクチャは、gNBを有するNG-RAN(次世代無線アクセスネットワーク:Next Generation - Radio Access Network)を想定しており、これらのgNBは、NG無線アクセスユーザプレーン(SDAP/PDCP/RLC/MAC/PHY)プロトコルおよび制御プレーン(RRC)プロトコルを終端させる。gNBは、Xnインターフェースによって互いに相互接続されている。また、gNBは、次世代(NG:Next Generation)インターフェースによってNGC(次世代コア:Next Generation Core)に、より具体的には、NG-CインターフェースによってAMF(アクセスおよびモビリティ管理機能:Access and Mobility Management Function)(例えば、AMFを実行する特定のコアエンティティ)に、また、NG-UインターフェースによってUPF(ユーザプレーン機能:User Plane Function)(例えば、UPFを実行する特定のコアエンティティ)にも接続されている。NG-RANアーキテクチャを
図1に示す(例えば、非特許文献2の第4節を参照)。
【0016】
NRにおけるユーザプレーンプロトコルスタック(例えば、非特許文献2の第4.4.1節を参照)は、PDCP(パケットデータコンバージェンスプロトコル:Packet Data Convergence Protocol、非特許文献2の第6.4節を参照)サブレイヤ、RLC(無線リンク制御:Radio Link Control、非特許文献2の第6.3節を参照)サブレイヤ、MAC(媒体アクセス制御:Medium Access Control、非特許文献2の第6.2節を参照)サブレイヤを含み、これらのサブレイヤは、ネットワーク側ではgNBにおいて終端する。これに加えて、PDCPの上に、アクセス層(AS:access stratum)の新しいサブレイヤ(SDAP、サービスデータアダプテーションプロトコル:Service Data Adaptation Protocol)が導入される(例えば、非特許文献2の第6.5節を参照)。NRにおいても制御プレーンプロトコルスタックが定義されている(例えば、非特許文献2の第4.4.2節を参照)。レイヤ2の機能の概要は、非特許文献2の第6節に記載されている。RRCレイヤの機能は、非特許文献2の第7節に記載されている。
【0017】
例えば、媒体アクセス制御(MAC:Medium-Access-Control)レイヤは、論理チャネルの多重化、ならびに、様々なヌメロロジーの処理を含む、スケジューリングおよびスケジューリング関連機能を扱う。
【0018】
物理レイヤ(PHY)は、例えば、符号化、PHY HARQ処理、変調、マルチアンテナ処理、および適切な物理時間-周波数リソースへの信号のマッピングを担当する。また、物理レイヤは、物理チャネルへのトランスポートチャネルのマッピングも処理する。物理レイヤは、トランスポートチャネルの形でMACレイヤにサービスを提供する。物理チャネルは、特定のトランスポートチャネルの送信に使用される時間周波数リソースのセットに対応し、各トランスポートチャネルは、対応する物理チャネルにマッピングされる。例えば、物理チャネルは、アップリンクに対するPRACH(物理ランダムアクセスチャネル:Physical Random Access Channel)、PUSCH(物理アップリンク共有チャネル:Physical Uplink Shared Channel)、およびPUCCH(物理アップリンク制御チャネル:Physical Uplink Control Channel)、ならびに、ダウンリンクに対するPDSCH(物理ダウンリンク共有チャネル:Physical Downlink Shared Channel)、PDCCH(物理ダウンリンク制御チャネル:Physical Downlink Control Channel)、およびPBCH(物理ブロードキャストチャネル:Physical Broadcast Channel)である。
【0019】
NRのユースケース/配置シナリオには、拡張モバイルブロードバンド(eMBB)、超高信頼・低遅延通信(URLLC)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)が含まれ、これらのサービスは、データレート、レイテンシ、およびカバレッジに関して多様な要件を有する。例えば、eMBBは、IMT-Advancedによって提供される3倍のオーダーのピークデータレート(ダウンリンクが20Gbps、アップリンクが10Gbps)およびユーザ体感データレートをサポートすることが期待される。これに対して、URLLCの場合、より厳しい要件として、極めて低いレイテンシ(ユーザプレーンのレイテンシはULおよびDLそれぞれで0.5ms)と、高い信頼性(1ms内で1~10-5)とが課せられる。さらに、mMTCでは、高い接続密度(都市環境では1km2あたり1,000,000個のデバイス)、過酷な環境における広いカバレッジ、およびデバイスコストを下げるための極めて長寿命のバッテリ(15年)が、好ましくは要求され得る。
【0020】
したがって、あるユースケースに適したOFDMヌメロロジー(例えば、サブキャリア間隔(subcarrier spacing)、OFDMシンボル持続時間、サイクリックプレフィックス(CP:cyclic prefix)持続時間、スケジューリング間隔あたりのシンボル数)が、別のユースケースではうまく機能しないことがある。例えば、低レイテンシのサービスでは、mMTCサービスよりも、短いシンボル持続時間(したがって、より大きいサブキャリア間隔)、および/または、スケジューリング間隔(TTIとも称される)あたりの少ないシンボルが、好ましくは要求され得る。さらには、チャネルの遅延スプレッドが大きい配置シナリオでは、遅延スプレッドが短いシナリオよりも長いCP持続時間が、好ましくは要求され得る。同程度のCPオーバーヘッドを維持するため、遅延スプレッドに応じてサブキャリア間隔を最適化するべきである。NRでは、サブキャリア間隔の2つ以上の値がサポートされ得る。したがって、現在のところ、15kHz、30kHz、60kHz、…のサブキャリア間隔が検討されている。シンボル持続時間Tuとサブキャリア間隔Δfは、式(Δf=1/Tu)により、直接関係している。LTEシステムの場合と同様に、1個のOFDM/SC-FDMAシンボルの長さに対する1つのサブキャリアから構成される最小リソース単位を表すのに、「リソースエレメント」という用語を使用することができる。
【0021】
新無線システム5G-NRでは、各ヌメロロジーおよびキャリアごとに、アップリンクおよびダウンリンクそれぞれにおいて、サブキャリアとOFDMシンボルのリソースグリッドが定義される。リソースグリッド内の各要素は、リソースエレメントと呼ばれ、周波数領域における周波数インデックスと時間領域におけるシンボル位置とに基づいて識別される(非特許文献3、例えば、第4節を参照)。例えば、ダウンリンク送信およびアップリンク送信は、持続時間が10msのフレームに編成され、各フレームは、持続時間がそれぞれ1msである10個のサブフレームから構成される。5G NRの実装形態では、1サブフレームあたりの連続するOFDMシンボルの数は、サブキャリア間隔の設定に依存する。例えば、15kHzのサブキャリア間隔の場合、1サブフレームは、14個のOFDMシンボルを有する(通常のサイクリックプレフィックスを想定したLTE準拠の実装形態に類似する)。一方、30kHzのサブキャリア間隔の場合、1サブフレームは、2つのスロットを有し、各スロットは、14個のOFDMシンボルを含む。
【0022】
<NG-RANと5GCとの間の5G NR機能の分割>
【0023】
図2は、NG-RANと5GCとの間での機能の分割を示している。NG-RANの論理ノードは、gNBまたはng-eNBである。5GCの論理ノードは、AMF、UPF、およびSMFである。
【0024】
特に、gNBおよびng-eNBは、以下の主要機能を処理する。
- 無線ベアラ制御(Radio Bearer Control)や、無線アドミッション制御(Radio Admission Control)、接続モビリティ制御(Connection Mobility Control)、アップリンクおよびダウンリンクの両方向におけるUEへの動的なリソース割当て(スケジューリング)など、無線リソース管理(Radio Resource Management)の機能
- データのIPヘッダ圧縮、暗号化、および完全性保護
- UEによって提供される情報からAMFへのルーティングを決定できないときのUEのアタッチ時のAMFの選択
- UPFへのユーザプレーンのデータのルーティング
- AMFへの制御プレーン情報のルーティング
- 接続の確立および解放
- ページングメッセージのスケジューリングおよび送信
- (AMFまたはOAMから送られる)システムブロードキャスト情報(のスケジューリングおよび送信
- モビリティおよびスケジューリングのための測定および測定報告の設定
- アップリンクにおけるトランスポートレベルのパケットマーキング
- セッション管理
- ネットワークスライシングのサポート
- QoSフロー管理およびデータ無線ベアラへのマッピング
- RRC_INACTIVE状態にあるUEのサポート
- NASメッセージの配信機能
- 無線アクセスネットワークシェアリング
- デュアルコネクティビティ
- NRとE-UTRA間の緊密なインターワーキング
【0025】
アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)は、以下の主要機能を処理する。
- 非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)シグナリングの終端
- NASシグナリングのセキュリティ
- アクセス層(AS:Access Stratum)のセキュリティ制御
- 3GPPアクセスネットワーク間のモビリティのためのコアネットワーク(CN:Core Network)ノード間シグナリング
- アイドルモードUEの到達可能性(Reachability)(ページング再送の制御および実行を含む)
- レジストレーションエリア(Registration Area)管理
- システム内モビリティおよびシステム間モビリティのサポート
- アクセス認証(Access Authentication)
- ローミング権のチェックを含むアクセス認証
- モビリティ管理制御(サブスクリプションおよびポリシー)
- ネットワークスライシングのサポート
- セッション管理機能(SMF:Session Management Function)の選択
【0026】
さらに、ユーザプレーン機能(UPF:User Plane Function)は、以下の主要機能を処理する。
- RAT内/RAT間モビリティのためのアンカーポイント(適用可能時)
- データネットワークとの相互接続の外部PDUセッションポイント
- パケットのルーティングおよび転送
- パケット検査およびポリシールール施行のユーザプレーン部分
- トラフィック使用報告
- データネットワークへのトラフィックフローのルーティングをサポートするためのアップリンク分類器(uplink classifier)
- マルチホームPDUセッションをサポートするためのブランチングポイント
- ユーザプレーンのQoS処理(例えば、パケットフィルタリング、ゲーティング、UL/DLレート強制)
- アップリンクトラフィックの検証(SDFからQoSフローへのマッピング)
- ダウンリンクパケットのバッファリングおよびダウンリンクデータ通知のトリガリング
【0027】
最後に、セッション管理機能(SMF)は、以下の主要機能を処理する。
- セッション管理
- UE IPアドレスの割当ておよび管理
- UP機能の選択および制御
- トラフィックを正しい宛先にルーティングするためのユーザプレーン機能(UPF)におけるトラフィックステアリングの設定
- ポリシー施行およびQoSの制御部分
- ダウンリンクデータ通知
【0028】
<RRC接続の確立および再設定の手順>
【0029】
図3は、UEがRRC_IDLEからRRC_CONNECTEDに遷移するときの、NAS部分における、UE、gNB、AMF(5GCエンティティ)の間のインタラクションを示している(非特許文献2を参照)。
【0030】
RRCは、UEおよびgNBの設定に使用される上位レイヤシグナリング(プロトコル)である。特に、この遷移では、AMFがUEコンテキストデータ(例えば、PDUセッションコンテキストや、セキュリティキー、UE無線能力、UEセキュリティ能力などを含む)を作成し、それをINITIAL CONTEXT SETUP REQUEST(初期コンテキストセットアップ要求)によってgNBに送る。次に、gNBが、UEとのASセキュリティをアクティブにし、これは、gNBがSecurityModeCommandメッセージをUEに送信し、UEがSecurityModeCompleteメッセージでgNBに応答することによって実行される。その後、gNBは、再設定を実行してシグナリング無線ベアラ2(SRB2)およびデータ無線ベアラ(DRB:Data Radio Bearer)を確立し、これは、gNBがRRCReconfigurationメッセージをUEに送信し、これに応答してUEからRRCReconfigurationCompleteをgNBが受信することによる。シグナリングのみの接続の場合、SRB2およびDRBが確立されないため、RRCReconfigurationに関連するこれらのステップはスキップされる。最後に、gNBは、確立手順が完了したことを、INITIAL CONTEXT SETUP RESPONSE(初期コンテキストセットアップ応答)によってAMFに通知する。
【0031】
したがって、本開示では、gNodeBとユーザ機器(UE)との間にシグナリング無線ベアラが確立されるように、動作中、gNodeBとの次世代(NG)接続を確立する制御回路と、動作中、そのNG接続を介して初期コンテキストセットアップメッセージをgNodeBに送信する送信機とを有する、第5世代コア(5GC)のエンティティ(例えば、AMFやSMFなど)が提供される。特に、gNodeBは、リソース割当て設定情報要素を含む無線リソース制御(RRC)シグナリングを、シグナリング無線ベアラを介してUEに送信する。次いで、UEが、このリソース割当て設定に基づいてアップリンク送信またはダウンリンク受信を実行する。
【0032】
<2020年以降のIMTの使用シナリオ>
【0033】
図4は、5G NRのユースケースのいくつかを示している。第3世代パートナーシッププロジェクトのNR(3GPP NR:3rd generation partnership project new radio)では、IMT-2020によって多種多様なサービスおよびアプリケーションをサポートするために想定される3つのユースケースが考慮されている。拡張モバイルブロードバンド(eMBB)のフェーズ1の仕様は決定された。現在および今後の作業としては、eMBBサポートをさらに拡張することに加えて、超高信頼・低遅延通信(URLLC)および大規模マシンタイプ通信(mMTC)のための標準化が含まれる。
図4は、2020年以降に想定されるIMTの使用シナリオのいくつかの例を示している(例えば、非特許文献4の
図2を参照)。
【0034】
URLLCユースケースは、スループットやレイテンシ、可用性などの能力に関する厳しい要件を有し、工業的製造または生産プロセスの無線制御、遠隔医療手術、スマートグリッドにおける配電自動化、輸送の安全性など、将来の垂直アプリケーションを実現する手段の1つとして想定されている。URLLCの超高信頼性は、非特許文献1によって設定される要件を満たすための技術を特定することによってサポートされる。リリース15におけるNR URLLCの場合、重要な要件は、ユーザプレーンの目標レイテンシが、UL(アップリンク)に対して0.5ms、DL(ダウンリンク)に対して0.5msであることを含む。パケットの1回の送信における一般的なURLLCの要件は、1msのユーザプレーンレイテンシでパケットサイズ32バイトの場合にBLER(ブロック誤り率)1E-5である。
【0035】
物理レイヤの観点から、信頼性を向上させる方法はいくつか考えられる。信頼性を向上させるための現在の範囲には、URLLCのための個別のCQIテーブルや、よりコンパクトなDCIフォーマット、PDCCHの繰り返しなどを定義することが含まれる。しかし、(NR URLCの重要な要件について)NRがさらに安定し、開発が進むにつれて、超高信頼性を実現するための範囲が広がり得る。リリース15におけるNR URLCCの具体的なユースケースとしては、拡張現実/仮想現実(AR/VR)、e-ヘルス、e-セーフティ、およびミッションクリティカルなアプリケーションが挙げられる。
【0036】
さらに、NR URLCCが対象とする技術強化は、レイテンシの改善および信頼性の向上を目標としている。レイテンシを改善するための技術強化としては、設定可能なヌメロロジー、柔軟なマッピングを使用する非スロットベースのスケジューリング、グラントフリー(設定済みグラント(configured grant))のアップリンク、データチャネルのスロットレベルの繰り返し、およびダウンリンクのプリエンプションが挙げられる。プリエンプションとは、リソースがすでに割り当てられている送信が中止され、すでに割り当てられているリソースが、後から要求された、より小さいレイテンシ/より高い優先度要件を有する別の送信に使用されることを意味する。したがって、すでに許可された送信が、より後の送信によってプリエンプトされる。プリエンプションは、特定のサービスタイプに関係なく適用される。例えば、サービスタイプA(URLCC)の送信を、サービスタイプB(eMBBなど)の送信によってプリエンプトすることができる。信頼性向上に関する技術強化としては、1E-5の目標BLERのための専用CQI/MCSテーブルが挙げられる。
【0037】
mMTC(大規模マシンタイプ通信)のユースケースは、非常に多数の接続されたデバイスが、一般には遅延の影響が小さい比較的少量のデータを送信することを特徴とする。デバイスは、低コストでありかつ極めて長いバッテリ寿命を有する必要がある。NRの観点からは、非常に狭い帯域幅部分を利用することは、UEの観点からの節電を達成して長いバッテリ寿命を可能にするための1つの可能な解決策である。
【0038】
上記のように、NRにおける信頼性の範囲が広がることが予測される。あらゆるケース、特にURLLCおよびmMTCの場合に必要な1つの重要な要件は、高信頼性または超高信頼性である。無線の観点およびネットワークの観点から、信頼性を向上させるためのいくつかのメカニズムを考えることができる。一般には、信頼性の向上に役立つ可能性のある重要な領域がいくつか存在する。これらの領域としては、コンパクトな制御チャネル情報、データチャネル/制御チャネルの繰り返し、ならびに周波数領域、時間領域、および/または空間領域に関連するダイバーシチが挙げられる。これらの領域は、特定の通信シナリオには関係なく、一般的に信頼性に適用可能である。
【0039】
NR URLLCの場合、例えば、工場自動化や輸送産業、電力供給など、より厳しい要件を有するさらなるユースケースが特定されている。より厳しい要件とは、ユースケースに応じて、より高い信頼性(最大106レベル)、より高い可用性、最大256バイトのパケットサイズ、数μsオーダーの時刻同期(値は周波数範囲に応じて1~数μs)、0.5~1msオーダーの短いレイテンシ(特にユーザプレーンの目標レイテンシは0.5ms)である。
【0040】
さらに、NR URLLCの場合、物理レイヤの観点からいくつかの技術強化が認識されている。特に、PDCCH(物理ダウンリンク制御チャネル:Physical Downlink Control Channel)に関連する強化として、コンパクトなDCI、PDCCHの繰り返し、PDCCH監視の増大などが挙げられる。また、UCI(アップリンク制御情報:Uplink Control Information)に関連する強化として、HARQ(ハイブリッド自動再送要求:Hybrid Automatic Repeat Request)の強化およびCSIフィードバックの強化が挙げられる。また、ミニスロットレベルのホッピングおよび再送信/繰り返しに関連するPUSCHの強化も認識されている。「ミニスロット」という用語は、スロットよりも少ない数のシンボルを含む送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)を意味する(スロットは、14個のシンボルを含む)。
【0041】
<QoS制御>
【0042】
5G QoS(サービス品質:Quality of Service)モデルは、QoSフローに基づいており、保証フロービットレートを必要とするQoSフロー(GBR QoSフロー)と、保証フロービットレートを必要としないQoSフロー(非GBR QoSフロー)の両方をサポートする。したがって、NASレベルでは、QoSフローはPDUセッションにおけるQoS差別化の最も細かい粒度である。QoSフローは、PDUセッション内では、NG-Uインターフェースを通じてカプセル化ヘッダ内で伝えられるQoSフローID(QFI)によって識別される。
【0043】
5GCは、UEごとに、1つまたは複数のPDUセッションを確立する。NG-RANは、UEごとに、PDUセッションと一緒に少なくとも1つのデータ無線ベアラ(DRB:Data Radio Bearer)を確立し、次に、そのPDUセッションのQoSフローのための追加のDRBを、例えば、
図3を参照しながら上記したように、設定することができる(いつ設定するかはNG-RANが決定する)。NG-RANは、異なるPDUセッションに属するパケットを異なるDRBにマッピングする。UEおよび5GCにおけるNASレベルのパケットフィルタによって、ULおよびDLのパケットがQoSフローに関連付けられ、UEおよびNG-RANにおけるASレベルのマッピング規則によって、ULおよびDLのQoSフローがDRBに関連付けられる。
【0044】
図5は、5G NRの非ローミング基準アーキテクチャ(非特許文献5の第4.2.3節を参照)を示している。アプリケーション機能(AF:Application Function)(例えば、
図4に例示的に記載されている5Gサービスを処理する外部アプリケーションサーバ)は、サービスを提供する目的で、3GPPコアネットワーク(Core Network)と対話する。例えば、トラフィックのルーティングに対するアプリケーションの影響をサポートしたり、ネットワーク公開機能(NEF:Network Exposure Function)にアクセスしたり、またはポリシー制御(例えば、QoS制御)のためのポリシーフレームワーク(ポリシー制御機能(PCF)を参照)と対話する。事業者の配備に基づいて、事業者によって信頼されるものとみなされるアプリケーション機能(AF)を、関連するネットワーク機能(Network Function)と直接対話できるようにすることができる。ネットワーク機能に直接アクセスすることが事業者によって許可されていないアプリケーション機能(AF)は、NEFを介して外部の公開フレームワークを使用して、関連するネットワーク機能と対話する。
【0045】
図5は、5Gアーキテクチャのさらなる機能ユニット、すなわち、ネットワークスライス選択機能(NSSF:Network Slice Selection Function)、ネットワークリポジトリ機能(NRF:Network Repository Function)、統一データ管理(UDM:Unified Data Management)、認証サーバ機能(AUSF:Authentication Server Function)、アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF:Access and Mobility Management Function)、セッション管理機能(SMF:Session Management Function)、およびデータネットワーク(DN:Data Network)(例えば、事業者のサービス、インターネットアクセスまたはサードパーティのサービス)を示している。コアネットワーク機能およびアプリケーションサービスのすべてまたは一部を、クラウドコンピューティング環境に配置して実行してもよい。
【0046】
したがって、本開示では、動作中、URLLCサービス、eMBBサービス、およびmMTCサービスの少なくとも1つに対するQoS要件を含む要求を5GCの機能(例えば、NEFやAMF、SMF、PCF、UPFなど)の少なくとも1つに送信して、そのQoS要件に従ってgNodeBとUEとの間の無線ベアラを含むPDUセッションを確立する送信機と、動作中、確立されたPDUセッションを使用して前記サービスを実行する制御回路と、を有するアプリケーションサーバ(例えば、5GアーキテクチャのAF)が提供される。
【0047】
<ランダムアクセス手順>
【0048】
LTEと同様に、5G NRでは、RACH(ランダムアクセスチャネル:Random Access Channel)手順(または単にランダムアクセス手順)が提供される。例えば、RACH手順は、UEが、発見したセルにアクセスするために使用することができる。また、RACH手順は、例えば、
● ハンドオーバーにおいて、新しいセルへの同期を確立するとき、
● デバイスからのアップリンク送信がない期間が長すぎるために同期が失われた場合に、現在のセルへのアップリンク同期を再確立するため、
● 専用のスケジューリング要求リソースがデバイスに設定されていない場合、アップリンクのスケジューリングを要求するため、
NR内の他のコンテキストでも使用することができる。
【0049】
ランダムアクセス手順(非特許文献2の第9.2.6節を参照)を実行するようにUEをトリガーしうるイベントは、以下を含む多数がある。ランダムアクセス手順は、多くのイベント、
- RRC_IDLEからの初期アクセス
- RRC接続再確立手順
- UL同期状態が「非同期」であるときRRC_CONNECTED時にDLデータまたはULデータが到着すること
- SR(スケジューリング要求:scheduling request)用のPUCCHリソースが利用可能ではないときRRC_CONNECTED時にULデータが到着すること
- SRの失敗
- 同期的な再構成(例:ハンドオーバー)時にRRCによって要求されること
- RRC_INACTIVEから遷移すること
- セカンダリTAGのタイムアライメントを確立すること
- その他のSIの要求(7.3節を参照)
- ビームの障害回復
- SpCellでUL LBTが連続的に失敗すること
によってトリガーされる。
【0050】
移動端末のアップリンク送信が時刻同期している場合には、アップリンク送信のために移動端末をスケジューリングすることができる。したがって、ランダムアクセスチャネル(RACH)手順は、同期していない移動端末(UE)とアップリンク無線アクセスの直交伝送の間のインターフェースとしての役割を果たす。ランダムアクセスは、例えば、アップリンクの同期をまだ取得していない、あるいは失ったユーザ機器のアップリンク時刻同期(uplink time synchronization)を達成するために使用される。ユーザ機器がアップリンク同期を取得すると、基地局は、そのユーザ機器のためにアップリンク送信リソースをスケジューリングすることができる。ランダムアクセスに関連する1つのシナリオは、RRC_CONNECTED状態にあるユーザ機器が、現在のサービングセルから新しいターゲットセルにハンドオーバーし、ターゲットセルにおいてアップリンク時刻同期を達成するためにランダムアクセス手順を実行する場合である。
【0051】
ランダムアクセス手順には、コンテンションベースで(すなわち、本質的に衝突のリスクを伴う)アクセスを可能にする手順と、コンテンションフリーで(競合なしで)アクセスを可能にする手順の2種類がある。ランダムアクセス手順の例示的な定義は、非特許文献6の第5.1節に記載されている。
【0052】
次に、
図6および
図7を参照しながら、RACH手順についてより詳細に説明する。以下では、
図6を参照しながら、コンテンションベースのランダムアクセス手順についてより詳細に説明する。この手順は、4つの「ステップ」から構成され、したがって、例えば、4ステップRACH手順と称することができる。最初に、ユーザ機器は、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)上でランダムアクセスプリアンブルを基地局に送信する(すなわち、RACH手順のメッセージ1)。基地局は、RACHプリアンブルを検出した後、プリアンブルが検出された時間周波数およびスロットを特定する(ランダムアクセス)RA-RNTIを使用してPDCCH上でアドレッシングされるPDSCH(物理ダウンリンクリンク共有チャネル:Physical Downlink Shared Channel)上でランダムアクセス応答(RAR:Random Access Response)メッセージ(RACH手順のメッセージ2)を送信する。複数のユーザ機器が同じPRACHリソースで同じRACHプリアンブルを送信した場合(これは衝突とも呼ばれる)、それらのユーザ機器は、同じランダムアクセス応答メッセージを受信する。RARメッセージは、検出されたRACHプリアンブルと、受信したプリアンブルのタイミングに基づくその後のアップリンク送信の同期のためのタイミングアライメントコマンド(TAコマンド)と、最初のスケジューリングされる送信を送るための最初のアップリンクリソース割当て(グラント)と、T-CRNTI(一時セル無線ネットワーク一時識別子:Temporary Cell Radio Network Temporary Identifier)の割当て、を伝えることができる。このT-CRNTIは、RACH手順が終了するまで、RACHプリアンブルが検出された移動体のアドレスとして基地局によって使用される、なぜなら、この時点で、基地局は、移動体の「本当の」IDを認識していないためである。
【0053】
ユーザ機器は、基地局によって設定され得る所定の時間ウィンドウ(例えば、RAR受信ウィンドウと呼ばれる)内で、ランダムアクセス応答メッセージを受信するためにPDCCHを監視する。基地局から受信したRARメッセージに応答して、ユーザ機器は、最初のスケジューリングされたアップリンク送信を、ランダムアクセス応答内のグラントによって割り当てられた無線リソース上で送信する。このスケジューリングされたアップリンク送信は、RRC接続要求、RRC再開要求、またはバッファ状態報告などの特定の機能を有する実際のメッセージを伝える。
【0054】
RACH手順の最初のメッセージにおいてプリアンブルの衝突が発生した場合、すなわち、複数のユーザ機器が同じPRACHリソース上で同じプリアンブルを送信した場合、衝突したユーザ機器は、ランダムアクセス応答内で同じT-CRNTIを受信し、RACH手順の第3のステップにおいてスケジューリングされた送信を送信するときにも同じアップリンクリソースにおいて衝突する。1基のユーザ機器からのスケジューリングされた送信が基地局によって正常に復号された場合、他のユーザ機器についてはコンテンションが未解決のままである。このタイプのコンテンションを解決するために、基地局は、C-RNTIまたは一時C-RNTI宛にアドレッシングされたコンテンション解決メッセージ(第4のメッセージ)を送信する。これで手順は終了する。
【0055】
図7は、コンテンションフリーのランダムアクセス手順を示しており、この手順は、コンテンションベースのランダムアクセス手順と比較して簡略化されている。基地局は、衝突(すなわち、複数のユーザ機器が同じプリアンブルを送信する)の危険性がないように、最初のステップで、ランダムアクセスに使用する専用のプリアンブルをユーザ機器に提供する。したがって、ユーザ機器は、基地局によってシグナリングされたプリアンブルを、その後、PRACHリソース上でアップリンクにおいて送信する。コンテンションフリーのランダムアクセスでは、複数のUEが同じプリアンブルを送信するケースが回避されるため、コンテンションフリーのランダムアクセス手順は、本質的には、ランダムアクセス応答がUEによって正常に受信された後に終了する。
【0056】
3GPPは、5G NR用の2ステップ(コンテンションベース)RACH手順も定義しており、この手順では、4ステップのLTE/NR RACH手順におけるメッセージ1およびメッセージ3に対応するメッセージ1(MsgAと呼ばれる)が、最初に送信される。2ステップRACHタイプのMsgAは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)上のプリアンブルと、物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)上のペイロードを含む。MsgAを送信した後、UEは、設定された時間ウィンドウ内で、gNBからの応答がないか監視する。gNBは、4ステップLTE/NR RACH手順のメッセージ2およびメッセージ4に対応するメッセージ2(MsgBと呼ばれる)で応答する。このMsgBは、例えば、成功ランダムアクセス応答(RAR)、フォールバックRAR、およびオプションとしてバックオフ指示情報を含むことができる。成功RARを受信してコンテンションの解決に成功した場合、UEは、ランダムアクセス手順を終了する。一方、MsgBにおいてフォールバックRARを受信した場合、UEは、(4ステップRACH手順と同様に)メッセージ3の送信を実行し、コンテンション解決を監視する。2ステップRACH手順ではさらにいくつかの例示的な想定がなされ、例えば、UEは、RACHタイプ(例えば、2ステップRACH)を決定した後、失敗するまで同じRACHタイプを再試行し続ける。しかしながら、UEがMsgAの送信を特定の回数だけ再試行した後に4ステップRACH手順に切り替えることも可能である。
【0057】
さらに、2ステップRACH手順および4ステップRACH手順を実行するために使用される、互いに排他的である無線リソースを、ネットワークが半静的に決定してもよい。RACH手順における最初のメッセージの送信に使用される無線リソースは、少なくともRACH機会(RACH occasion)およびプリアンブルを含む。例えば、2ステップRACH手順では、最初のメッセージMsgAは、PRACHリソース(例えば、RACH機会およびプリアンブル)のみならず、関連するPUSCHリソースも使用する。
【0058】
一般に、RACHプリアンブルについては、例えば、非特許文献3の「表6.3.3.2-2:FR1およびペアスペクトラム/補足アップリンクのランダムアクセス設定(Random access configurations for FR1 and paired spectrum/supplementary uplink)」および第6.3.3.2節「物理リソースへのマッピング(Mapping to physical resources)」を参照されたい。
【0059】
<RRC状態(RRC_Connected、RRC_Inactive)>
【0060】
LTEでは、RRC状態マシン(RRC state machine)は、RRCアイドル状態(RRC idle state)(主として、高い電力節約、UE自律モビリティ、コアネットワークとのUE接続が確立されていない、ことを特徴とする)と、RRC接続状態(RRC connected state)の2つのみから構成されており、RRC接続状態では、ロスレスサービス継続をサポートするためにモビリティがネットワークによって制御されている間、UEは、ユーザプレーンデータを送信することができる。5G NRでは、LTEに関連するRRC状態マシンを、以下で説明するように、非アクティブ状態(例えば、非特許文献7の
図4.2.1-1および
図4.2.1-2を参照)によって拡張することができる。
【0061】
NR 5GのRRC(非特許文献7の第4節を参照)では、次の3つの状態、すなわち、RRC Idle、RRC Inactive、およびRRC Connectedがサポートされる。UEは、RRC接続が確立されているときには、RRC_CONNECTED状態またはRRC_INACTIVE状態のいずれかである。そうでない場合、すなわち、RRC接続が確立されていない場合、UEは、RRC_IDLE状態である。
図8に示したように、以下の状態遷移が可能である。
● 例えば「接続確立」手順に従って、RRC_IDLEからRRC_CONNECTED
● 例えば「接続解放」手順に従って、RRC_CONNECTEDからRRC_IDLE
● 例えば「中断による接続解放」手順に従って、RRC_CONNECTEDからRRC_INACTIVE
● 例えば「接続再開」手順に従って、RRC_INACTIVEからRRC_CONNECTED
● 例えば「接続解放」手順に従って、RRC_INACTIVEからRRC_IDLE(単方向)
【0062】
新しいRRC状態であるRRC Inactiveは、eMBB(enhanced Mobile Broadband:拡張モバイルブロードバンド)、mMTC(massive Machine Type Communications:大規模マシンタイプ通信)、URLLC(Ultra-Reliable and Low-Latency Communications:超高信頼・低遅延通信)など、シグナリング、省電力、遅延などに関して極めて異なる要件を有する幅広いサービスをサポートするときに恩恵が提供されるように、5G 3GPPの新しい無線技術用に定義されたものである。したがって、新しいRRC Inactive状態は、無線アクセスネットワークおよびコアネットワークにおけるシグナリング、消費電力、リソースコストを最小限に抑えることができる一方で、例えば、低遅延でデータ転送を開始できるように設計される。
【0063】
例示的な5G NRの実装形態によれば、これらの異なる状態は、以下のように特徴付けられる(非特許文献7の第4.2.1節を参照)。
【0064】
「RRC_IDLE:
- UE固有のDRXを上位レイヤによって設定することができる
- ネットワーク設定に基づいてUEが制御するモビリティ
- UEは、
- DCIを通じてP-RNTIを使用して送信されるショートメッセージ(Short Message)を監視する(第6.5節を参照)
- 5G-S-TMSIを使用するCNページングにおいてページングチャネル(Paging channel)を監視する、
- 隣接するセルの測定およびセルの(再)選択を実行する
- システム情報を取得し、SI要求を送信することができる(設定されている場合)
- ロギングされる測定が設定されたUEに対して位置および時間と共に利用可能な測定のロギングを実行する。
- RRC_INACTIVE:
- UE固有のDRXを、上位レイヤまたはRRCレイヤによって設定することができる
- ネットワーク設定に基づいてUEが制御するモビリティ
- UEは、UE Inactive ASコンテキストを格納する
- RANベースの通知領域(RAN-based notification area)がRRCレイヤによって設定される
- UEは、
- DCIを通じてP-RNTIを使用して送信されるショートメッセージ(Short Message)を監視する(第6.5節を参照)
- 5G-S-TMSIを使用するCNページングおよび完全なI-RNTI(full-RNTI)を使用するRANページングにおいてページングチャネル(Paging channel)を監視する
- 隣接するセルの測定およびセルの(再)選択を実行する
- RANベースの通知領域の更新を定期的に実行し、設定されたRANベースの通知領域外に移動したときにも実行する
- システム情報を取得し、SI要求を送信することができる(設定されている場合)
- ロギングされる測定が設定されたUEに対して位置および時間と共に利用可能な測定のロギングを実行する。
- RRC_CONNECTED:
- UEは、ASコンテキストを格納する
- UEとの間でのユニキャストデータの転送
- 下位レイヤにおいて、UEにUE固有のDRXを設定することができる
- CAをサポートするUEの場合、帯域幅を広げるためにSpCellとアグリゲートされた1つ以上のScellを使用する
- DCをサポートするUEの場合、帯域幅を広げるためにMCGとアグリゲートされた1つのSCGを使用する
- NR内およびE-UTRAとの間でのネットワーク制御されるモビリティ
- UEは、
- 設定されている場合、DCIを通じてP-RNTIを使用して送信されるショートメッセージ(Short Message)を監視する(第6.5節を参照)
- 共有データチャネルに関連付けられる制御チャネルを監視し、データがスケジューリングされているかどうかを判定する
- チャネル品質およびフィードバック情報を提供する
- 隣接セルの測定および測定報告を実行する
- システム情報を取得する
- 利用可能な位置の報告と共にMDT測定を即時実行する。」
【0065】
RRC Inactive状態の特徴によれば、非アクティブUEに対して、RANおよびコアネットワークとの接続(ユーザプレーンと制御プレーンの両方)が維持される。より具体的には、RRC Inactiveでは、接続は依然として存在するが中断されている、言い換えれば、接続はもはや有効ではない。これに対して、RRC Connected状態では、接続は存在し、例えば、データ送信に使用されるという意味でアクティブである。RRC Idle状態では、UEは、RANおよびコアネットワークとのRRC接続を有さず、このことは、例えば、無線基地局が、UEのコンテキストを有さず、例えば、UEの識別情報を認識しておらず、UEによって送信されたデータを正しく復号できるためのUEに関するセキュリティパラメータを有さない(セキュリティは、例えば、送信データの完全性を保証する)ことも意味する。UEのコンテキストは、コアネットワークにおいて利用可能であり得るが、最初に無線基地局によって取得されなければならない。
【0066】
さらに、無線セル内のユーザ機器のためのページングメカニズム(例えば、通知メカニズムとも呼ばれる)は、いわゆる無線アクセスネットワーク(RAN)ベースの通知領域(略してRNA)に基づく。無線アクセスネットワークは、ユーザ機器が位置している現在のRNAを認識しているべきであり、ユーザ機器は、様々なRNA間を移動するUEを追跡するようにgNBを支援することができる。RNAは、UE固有とすることができる。
【0067】
以下では、UEがRRC_Inactive状態からRRC_Connected状態に遷移するためのRRC再開手順の一例(非特許文献7の第5.3.13節を参照)について、
図9を参照しながら説明する。この手順の目的は、中断されたRRC接続を再開すること(シグナリング無線ベアラおよびデータ無線ベアラの再開を含みうる)である。
【0068】
この手順では、RRCResumeRequestメッセージまたはRRCResumeRequest1メッセージのいずれかを送信することができる。RRCResumeRequestメッセージを送信するときには、UEの識別情報(例示的に「resumeIdentity」と呼ばれる)としてショートI-RNTI(例えば、短縮された(Truncated)I-RNTI)が使用される。RRCResumeRequest1メッセージを送信するときには、UEの識別情報(例示的に「resumeIdentity」と呼ばれる)として完全なI-RNTIが使用される。UEは、SIB1における指示情報「useFullResumeID」を確認し、RRCResumeRequestメッセージまたはRRCResumeRequest1メッセージのいずれかを送信するように決定する。「useFullResumeID」が「true」を示している場合、UEは、完全なI-RNTIを使用してRRCResumeRequest1を送信し、そうでない場合、UEは、ショートI-RNTIを使用してRRCResumeRequestを送信する。UEがRRC再開手順において実行するアクションには(非特許文献7の第5.3.13.4節を参照)、SRB2およびすべてのDRB(これらはRRC Inactive状態に遷移したときに中断された(以下の解放手順を参照))を再開することが含まれる。
【0069】
また、RRC再開手順は、設定されているRNAの外にUEが移動したときにRNAの更新を実行するために使用することもできる。この場合、ネットワークは、
図10に示すように、RRCResumeRequest/RRCResumeRequest1メッセージに対する応答として、RRCResumeの代わりにRRCReleaseを送信する。UEは、RRCReleaseメッセージを受信した後、RRC_INACTIVEに留まる。
【0070】
以下では、UEがRRC_Connected状態からRRC Inactive状態に遷移するためのその後のRRC接続解放手順の一例について(非特許文献7の第5.3.8節を参照)、
図11を参照しながら説明する。この手順の目的は、RRC接続を解放すること、またはRRC接続を中断することである。例えば、ネットワークは、RRC_CONNECTEDにあるUEをRRC_IDLEまたはRRC_INACTIVEに遷移させるためにRRC接続解放手順を開始する。RRC接続解放手順においてUEが実行するアクションには(非特許文献7の第5.3.8.3節を参照)、中断によって解放が行われる場合(例:RRCReleaseがsuspendConfigを含む)、SRB0を除くすべてのSRB(シグナリング無線ベアラ:Signaling Radio Bearer)およびDRB(データ無線ベアラ:Data Radio Bearer)を中断することが含まれる。したがって、RRC Inactive状態にあるUEは、中断されていないDRBまたはアクティブなDRBを有さない(UEは中断されたDRBのみを有する)。SRB0は、RRC Inactive状態であってもアクティブに維持され、例えば、RRCResumeRequest、RRCResumeRequest1、RRCSetupRequestなどのRRCメッセージを伝えるときに、RACH手順を実行するためにUEによって使用することができる。
【0071】
<スモールデータ送信>
【0072】
本開示で対象とするスモールデータ送信の特徴は、UL/DLにおけるデータバーストが小さく、オプションとして相当に頻度が低く、遅延に関する厳密な要件がない、という特徴を有するあらゆるサービスを指す。例えば、UEが(例えば、RACHにおいて、下記参照)1回の送信で送信できるほど小さい1回のデータ送信は、スモールデータ送信とみなすことができる。次の表は、トラフィック特性の典型的な非限定的な例をまとめたものである(非特許文献8の第5節を参照)。
【0073】
【0074】
別の可能な例示的な定義は、gNBの設定に依存することができる。例えば、gNBは、特定のしきい値(例えば、1000Kバイト)未満のデータをスモールデータとみなすことができ、一方、そのしきい値を超えるデータはスモールデータとみなされないと定義することができる。このしきい値は、例えば、バッファの状態に関連して定義することができる。
【0075】
これに代えて、スモールデータとは何かという定義を、適切な規格によって固定することもでき、例えば、上述と同様のデータ量のしきい値を規定する。
【0076】
<RRC INACTIVE状態にあるUEによるスモールデータ送信>
【0077】
より詳細には、5G NRでは、RRC_INACTIVE状態がサポートされ、(周期的および/または非周期的な)低頻度のデータ送信を有するUEは、一般にネットワークによってRRC_INACTIVE状態に維持される。リリース16までは、RRC_INACTIVE状態ではデータ送信がサポートされない。したがって、UEは、DL(MobileTerminated)およびUL(MobileOriginated)データに対して、接続を再開する(例えば、RRC_CONNECTED状態に遷移する)必要がある。データパケットがどんなに小さくても頻度が低い場合でも、接続の確立(または再開)およびその後のRRC_INACTIVE状態への解放が、データ送信のたびに発生する。結果として不要な消費電力およびシグナリングオーバーヘッドが生じる。
【0078】
小さくかつ頻度が低いデータトラフィックの具体的な例としては、以下のユースケースが挙げられる。
- スマートフォンのアプリケーション:
〇 インスタントメッセージングサービス(whatsapp、QQ、wechatなど)からのトラフィック
〇 IM/メールクライアントおよび他のアプリからのハートビート/キープアライブトラフィック
〇 様々なアプリケーションからのプッシュ通知
- スマートフォン以外のアプリケーション:
〇 ウェアラブル端末からのトラフィック(定期的な位置情報など)
〇 センサー(温度、圧力の測定値を定期的またはイベントトリガー方式で送信する産業用無線センサーネットワークなど)。
〇 メーターの測定値を定期的に送信するスマートメーターおよびスマートメーターネットワーク
【0079】
以下では、RRC Connected状態への遷移後に、RRC Inactive状態にあるUEが(スモール)データを送信できるようにするための先行技術の例示的な手順(この場合には5G NRに準拠する先行技術の解決策)について、
図12を参照しながら簡単に説明する。同図から明らかであるように、UEは、RRC_Inactive状態にあるものと想定されており、RRC_Inactive状態では、例えば、UE(およびgNB)は、すべてのデータ無線ベアラを中断しており、gNBにデータを送信することができない。UEがデータを送信できるようにするには、最初にUEがRRC Connected状態に遷移する必要があり、この遷移は、UEがRACH手順(
図12では、例えば、4ステップRACH手順を使用する)の一部として、RRC接続の再開を要求する(ここではRRCResumeRequestを送信する)ことによって行うことができる。
【0080】
詳細には、UEは、プリアンブルを現在のgNBに送信し、無線リソースの小さなULグラントを含む、対応するランダムアクセス応答を受信し、このリソースを使用して、UEは、RACH手順のmsg3としてRRCResumeRequestメッセージを送信することができる。
【0081】
最後に、新しいgNBが、RRCResumeメッセージをUEに提供し、UEは、すべてのデータ無線ベアラの再開を含めて、RRC Connected状態に遷移する。RRC_Connected状態では、UEは、ULデータを送信することができる。
【0082】
このようなULスモールデータ送信後に、UEをRRC_CONNECTED状態に遷移させるべきであることをgNBがいつ、どのように決定するかは、まだ定義されていない。UEがRRC接続の再開を要求することもあり得るが、この点に関する制御は、依然としてgNBに委ねられる可能性が高い。1つの例示的な可能性として、gNBは、UEが、例えば、Msg3またはMsgAにおいて送信することができるバッファ状態報告を考慮して、UEがRRC_CONNECTED状態に遷移するべきであるか否かを決定する。バッファ状態報告は、UEのバッファ内の実際のデータ量を示す。例えば、バッファ状態報告が、UEのバッファに大量のデータがあることを示している場合、gNBは、(例えば、gNBがRRCResumeメッセージを送信することによって)UEをRRC_INACTIVE状態からRRC_CONNECTED状態に遷移させると決定することができる。一方、バッファ状態報告が、UEのバッファにわずかなデータしかないことを示している場合、gNBは、(例えば、gNBがRRCReleaseメッセージを送信することによって)UEをRRC_INACTIVE状態に維持すると決定することができる。さらに、Msg3/MsgAにバッファ状態報告が無いことによっても、例えば、UEバッファにおいてさらなるデータが利用可能でなく、UEがRRC_INACTIVEに留まることができるという指示をgNBに提供することができる。
【0083】
図12の説明から理解できるように、上記プロセスによれば、UEは、上りリンクでユーザデータを送信できるように、最初に非アクティブ状態から接続状態に遷移する必要があり、したがって、レイテンシが発生し、ユーザデータの送信のたびにかなりのUE電力が消費される。さらに、小さなデータパケットを送信するときにINACTIVE状態のUEにおいて生じるシグナリングオーバーヘッドは、一般的な問題であり、5G NRにおいてUEの数が増えればさらに悪化する。
【0084】
したがって、3GPPは、RRC_Inactive UEが自身の状態をRRC Connectedに変更せずに、上りリンクでスモールデータを送信できるようにすることを企図している。一般的には、INACTIVE状態のときに小さなデータパケットが断続的に発生するデバイスは、INACTIVE状態でのスモールデータの送信を可能にすることの恩恵を受ける。
【0085】
4ステップRACH、2ステップRACH、または設定済みグラント(CG:Configured Grant)手順を使用することによって、スモールデータ送信(SDT:small data transmission)を可能にすることが合意された。本出願は、4ステップRACHまたは2ステップRACHに基づくRACHベースのSDT手順に焦点を絞ったものである。
【0086】
3GPPでは、RRC Inactive状態に留まるUEに対して、どのようにして(スモール)データの送信を可能にするかに関する標準化された方法については、最終的な合意に達していない。
【0087】
UEが依然としてRRC_INACTIVE状態にあるときに上りリンクでスモールデータを送信するための1つの可能な方法は、上述したように、RACH手順を使用することである。
図13および
図14を対象として、また、本発明の概念、解決策、および変形例の後からの説明を対象としてなされた以下の想定は、単なる例示であって、本発明によるRACHベースのスモールデータの上りリンク送信を制限するようにはみなされないものとする。
【0088】
さらには、例としてRACHに基づくスモールデータの上りリンク送信を想定した場合、UEは、2ステップRACHまたは4ステップRACHのいずれかを使用して上りリンクでスモールデータを送信することができる(MsgAまたはMsg3を参照)。簡略化された例示的なRACHベースのスモールデータアップリンク送信手順を、
図13および
図14に示す。
図13および
図14の両方において、例示的に、UEは、既にRRC_INACTIVE状態にあり、送信可能なスモールデータを有すると想定する。
図13は、4ステップのRACH手順を想定しており、UEがMsg3と共にスモールデータを送信する方法を示している。
図14は、2ステップのRACH手順を想定しており、UEがMsgAによってスモールデータを送信する方法を示している。
【0089】
一例によれば、制御メッセージおよびスモールデータは、一緒に、例えば、同じトランスポートブロックの中で一緒に、基地局に送信される。この場合、UEは、リソースを使用してトランスポートブロックを構築し、MACレイヤの同じトランスポートブロックにおいてデータおよびシグナリングを一緒に多重化する。4ステップRACHの場合、スモールデータは、例えば、Msg2においてgNBから受信された上りリンクグラントを通じて許可(granted)された無線リソースに基づいて、Msg3において送信される。2ステップRACHの場合、スモールデータは、例えば、選択されたRACHプリアンブルに関連して、以前に設定された無線リソースの中からUEによって選択された無線リソースを使用して、MsgAにおいて送信される。
【0090】
さらに、
図13および
図14は、バッファ状態報告をそれぞれMsg3およびMsgAに含めることができることを示しているが、BSRは、BSRを含めることが単なる例示的な可能性であることを示すために、括弧内にのみ示されている。例えば、
図13では、例示的に、例えばBSRが存在しないかまたはUEバッファ内にわずかな上りリンクスモールデータしか示さないために、gNBがUEをRRC_Inactive状態に保つと決定することが想定されている。したがって、Msg4ではRRCReleaseメッセージが送信される。一方、
図14では、例示的に、例えば、BSRが、UEによって送信されなければならないUEバッファ内の大量の上りリンクデータを示すために、gNBが、UEをRRC_Connected状態に遷移させると決定することが想定されている。したがって、MsgAではRRCResumeメッセージが送信される。
【0091】
さらに、
図13では、上りリンクグラントが、Msg2のランダムアクセス応答(Random Access Response)とは別個に示されているが、
図13および以下の同様の実装形態では、上りリンクグラントは、ランダムアクセス応答に属しかつその一部であると等しく考えてもよい。
【0092】
要約すると、RRC_INACTIVE状態のUEによるスモールデータ上りリンク送信の例示的な実装が可能であり、例えば、RACH手順(2ステップまたは4ステップのRACH手順)に基づくことができる(
図13および
図14を参照)。
【0093】
上記では、(例えば、RACHのMsg3/MsgAを使用する)シングルスモールデータ上りリンク送信について述べた。また、3GPPは、RRC_INACTIVE状態にあるUEが、RRC_CONNECTED状態に遷移することなく、同一の手順を使用して複数のUL(および場合によってはDL)伝送を送信する(および受信する)ことが可能であるべきことに合意した。
【0094】
しかし、そのようなマルチSDT送信手順を実装し定義する方法については、3GPPでは合意が得られていない。
【0095】
<さらなる改良>
【0096】
したがって、本発明者らは、以下からより明らかになるように、そのような複数のスモールデータ送信をサポートし、それによって、複数のスモールデータ送信に関連する潜在的な問題および課題を回避するために、改良されたスモールデータ送信手順を定義する必要性を確認した。
【0097】
マルチSDT送信手順に含まれる潜在的な問題についての議論を容易にするために、
図15は、
図13の簡略化された例示的な図よりも詳細なシングルSDT送信手順の例示的な実装形態を示している。図示およびその後の議論を容易にするために、例示的に、マルチSDT送信手順が4ステップRACHに基づくと想定する。
【0098】
さらに、例示的に、UEは、RRC_INACTIVE状態にある間に、以前のgNB(アンカーgNB)から現在のgNB(したがって、現在のサービングgNBである)に移動したと想定する。これにより、例えば、サービングgNBがUE(サービングgNBにとって未知のUE)を認証できるように、サービングgNBが、RACH手順の一部として、アンカーgNBからUEコンテキストを取得することが必要になる場合がある。
【0099】
これに関連して、例示的に、競合解消アイデンティティMAC制御エレメント(CR MAC CE:Contention Resolution Identity MAC Control Element)が、UEのRRCResumeRequestメッセージ(
図15の例では、RRCReleaseメッセージ)に対する応答とは別に送信されることも想定する。前記Msg4および対応するCR MAC CEの主な目的は、サービングgNBによるUEコンテキストの取得を待たなくてよいように、コンテンションベースのRACHの起こり得る競合を解消することである。したがって、サービングgNBは、可能な限り早く(例えば、競合解消の結果がサービングgNBにおいて決定されるときに)CR MAC CEを送信できる一方で、サービングgNBは、UEからのRRCResumeRequestメッセージへの応答メッセージの送信を、UEコンテキストを受信し処理した後に実行することができる。一方、他のシナリオでは、競合解消アイデンティティMAC制御エレメントを、RRC応答メッセージ(例えば、RRCReleaseまたはRRCResume)と共に送信することができる。
【0100】
図15に示すシングルSDT手順のステップのシーケンスは、以下の通りである。
【0101】
1.送信可能なスモールデータを有するUEは、スモールデータ送信を実行するためにRACHを開始する。したがって、UEは、プリアンブルをサービングgNBに送信する。
【0102】
2.次に、UEは、サービングgNBから、一時UE識別子(例えば、一時C-RNTI)と、RARとしての上りリンクリソースグラントとを受信する。
【0103】
3.その後、UEは、以前に受信したULグラントに基づいて、ULスモールデータと共にRRCResumeRequestメッセージを送信する。実質的にこの時点で、UEは、T319と呼ばれる、RRC再開要求(RRC resume request)手順の制御に関与するタイマも始動する。タイマT319の詳細情報については後述する。
【0104】
より詳細には、例示的な5G準拠の実装形態によれば、T319タイマは、RRC再開要求手順の最大持続時間を規制する。タイマT319は、RRCResumeRequestメッセージの送信時に始動され、それに対する、RRCReleaseメッセージまたはRRCResumeメッセージなどの対応する応答を受信すると停止される。T319が停止される前に満了した場合、UEは、RRC再開要求手順が失敗したとみなし、RRC_IDLE状態に遷移する。
【0105】
例示的には、T319に適用される値は、他のアンカーgNBからUEコンテキストを取得するために必要な時間を考慮して、gNBによって決定される。T319が長くなるほど、サービングgNBが応答メッセージ(例えば、RRCReleaseまたはRRCResume)をUEに送信可能になるのが遅くなる。T319の値は、例えば、T319タイマがセル固有であり、UE固有ではないように、gNBによって当該gNBのセル内においてシステム情報(SIB)を使用してブロードキャストすることができる。
【0106】
4.サービングgNBは、RRCResumeRequestメッセージの情報コンテンツに基づいて、アンカーgNBからUEのコンテキストの取得を試みる。RRCResumeRequestメッセージには、例えば、コンテキスト取得のための対応するUE ID(非アクティブRNTI、I-RNTIなど)が含まれる。
【0107】
5.サービングgNBは、UEコンテキスト取得の完了を待たずに、競合解消アイデンティティ(Contention Resolution identity)MAC CEをUEに送信し、これにより、RACH手順を完了する。UEは、このCR MAC CEを受信し、その中の競合解消アイデンティティを、RRCResumeRequestメッセージにおいてサービングgNBに以前に送信されたUE ID(例えば、I-RNTI)と比較する。2つのアイデンティティが一致する場合、競合は肯定的に解消される。
【0108】
6.肯定的なRACH競合解消の結果として、以前に受信された一時C-RNTIは、C-RNTIとしてUEによって使用される。
【0109】
7.次に、サービングgNBがアンカーgNBからUEのコンテキストの取得に成功するものと想定する。
【0110】
8.次いで、サービングgNBは、RRCResumeRequestメッセージに応答する方法を決定し、
図15のこの例示的なケースでは、RRCReleaseメッセージをUEに送信して、UEをRRC_Inactiveに維持する。UE側では、UEは、RRCReleaseメッセージを受信すると、T319タイマを停止する。
【0111】
9.さらに、RRCReleaseメッセージの結果として、UEは、RRC_INACTIVEに留まり、したがって、C-RNTIを解除する(破棄と呼ぶこともできる)。一方、UEは、例えば、上記ステップ3の前のRRCResumeRequestメッセージに対する応答としてRRCResumeメッセージを受信する場合、C-RNTIを保持する。
【0112】
マルチSDT送信をサポートするためには、ステップ3におけるシングルスモールデータ送信のみを含む上記一連のステップを延長しなければならない。例えば、UEは、追加の適切なUL無線リソースを取得しなければならず、次いで、それに応じて、1つ以上のULスモールデータ送信を実行しなければならない。
【0113】
しかし、UEがサービングgNBから上りリンクリソースグラントを受信できるようにするためには、UEが、上りリンクリソースグラント(例えば、フォーマット0_0、0_1、または0_2のDCI)がアドレス指定される有効なC-RNTI(すなわち、一時C-RNTIがC-RNTIに変換された後のC-RNTI)を有することが有利であろう。言い換えれば、C-RNTIの有効性は、マルチSDT手順の実装にとって重要である。しかし、C-RNTIがUEによって保持されるか否かは、上記から明らかなように、開始されたRRCResumeRequestに関連するUEによって受信された応答、およびタイマT319の動作に依存する。
【0114】
より具体的には、UEのC-RNTIは、UEがRRCReleaseメッセージを受信する場合(上記のステップ8を参照)、またはT319が満了する場合(例えば、RRCReleaseメッセージの受信前)に解除される。例えば、現在の非特許文献7の規格は、第5.3.8.3節においてRRCReleaseメッセージを受信する場合のUE動作を定義しており、ここで、UE動作は、(例えば、MACリセットの一部として)C-RNTIの解除を伴っている。さらに、現在の非特許文献7の規格は、例えば、T319タイマが満了する場合のUE動作も定義している。すなわち、第5.3.13.5節において、UE動作はRRC_IDLEへの遷移を伴い、この遷移が今度は(非特許文献7の第5.3.11節を参照)、C-RNTIの解除を再び伴っている(例えば、RLCエンティティやMAC構成などのリソースすべてを解除することの一部として)。
【0115】
要約すると、UEのC-RNTIは、T319タイマが動作している間、RRCReleaseメッセージが受信されるまでUEにおいて有効に保たれる。
【0116】
その結果、C-RNTIは、特定の時間量の間のみ利用可能である。この時間量は、UEがマルチSDT手順を実行するのに不十分な場合がある。
【0117】
1つの採り得る解決策は、例えば、UEがMsg4の競合解消を受信した後(
図15およびステップ5の説明を参照)で、かつ、RRCReleaseメッセージを受信する前に、合理的に可能な最も早い時間に追加の1つ以上のスモールデータ送信を実施することであり得る。このような解決策を
図16に示すが、これは
図15と同様であり、対応する想定をする。
【0118】
このような解決策では、サービングgNBは、C-RNTI宛の上りリンクグラントをUEに送信することができ、UEは、RRCReleaseメッセージがサービングgNBによって送信される前に、割り当てられた上りリンク無線リソースを使用して、対応するスモールデータ上りリンク送信を実行することができる。
【0119】
スモールデータ送信は、オプションで、バッファ状態報告と共に送信することができる。これにより、サービングgNBは、UEバッファ内にどれだけのさらなるデータがあるかを認識し、次いで、他のスモールデータ送信が必要であるか否かを決定し、必要である場合には、それに応じて、次のULグラントを作成することができる。
【0120】
したがって、
図16の解決策によれば、スモールデータ送信を効果的かつ迅速に実装することができる。
【0121】
しかし、このような解決策は、gNBがまだアンカーgNBからUEコンテキストを受信していないために、UEがサービングgNBによってまだ認証されていないという欠点を伴うことがある。一般的には、UL無線リソースが実際に確保され、新たなUEに割り当てられる前に、そのようなUEが(UEコンテキストに基づいて)サービングgNBによって最初に認証されることが好ましい。例えば、UEコンテキスの取得が失敗する、またはUEコンテキスの取得によりUEが不正もしくは偽であることが明らかになる可能性があり、この場合、UL SDT向けに割り当てられた無線リソースが無駄になってしまう可能性がある。
【0122】
さらに、
図16の例示的なシナリオでは、UEコンテキストが取得され、gNBがRRCReleaseメッセージをUEに送信する前に、2つの追加のスモールデータ送信(合計で3つのSDT)が可能であると想定する。次いで、UEは、T319タイマを停止し、C-RNTIを解除する。その後、さらなるULスモールデータ送信は、もはや可能ではない。しかし、利用可能な時間の量は、UEコンテキスト取得に必要な時間に依存し、この時間は、大きく変化し、実際には非常に短くなり得る。
【0123】
上記解決策の可能な変形例は、UEがC-RNTIを破棄することを回避するために、gNBがRRCReleaseメッセージの送信を待機することを含み得る。例えば、UEがT319タイマを停止する時間ちょうどにRRCReleaseメッセージを受信するようにgNBは待機することができ、したがって、RRCResumeRequest手順の失敗、ひいては可能性としてRRC_IDLE状態への遷移を回避することができる。これにより、スモールデータ送信に利用可能な時間が最大化される。このスモールデータ送信は、UEコンテキストがサービングgNBによって実際に受信される時とはいくぶん独立している。しかし、サービングgNBによる待機時間は、T319タイマの値によって制限される、なぜなら、RRCReleaseは、サービングgNBによって時間内に送信され、T319タイマの満了前にUEによって受信されるべきだからである。したがって、必要な数のスモールデータ送信を実行するのに十分な時間がないことがある。現在の3GPP 5G準拠の実装形態では、T319タイマは、最大2000msに設定することができる(非特許文献7の第6.3.2節の情報要素(Information Element)「UE-TimersAndConstants」:「ENUMERATED{ms100,ms200,ms300,ms400,ms600,ms600,ms1000,ms1500,ms2000}」を参照)。この最大2000msは、非アクティブUEのためにUEコンテキストを保持するアンカーgNBとサービングgNBとの間のバックホールリンクに起因して生じ得る遅延を含めて、他のgNBからのUEコンテキスト取得に対処することができるように定義されている。T319タイマの最大値は、マルチSDT手順に適合するように設計されておらず、したがって、小さすぎる可能性が高い。
【0124】
上記解決策(
図16に基づく)のさらなるオプションの変形例として、T319タイマの長さを延長する、すなわち、長くすることができる。上記の点に関して、T319タイマが定義され得る最大値は、はるかに高く設定され得る(例えば、8000ms)。これにより、改良されたマルチSDT手順において、UEがC-RNTIをより長く有効に保つことができ、したがって、RRCReleaseメッセージを受信する前に、複数のスモールデータ送信のためのより多くの時間を許容し得るという利点がある。
【0125】
しかし、T319タイマをより高い値に設定することには、欠点もある、なぜなら、複数のスモールデータ送信を実行せず、場合によっては複数のスモールデータ送信をサポートさえしない他のUEが悪影響を受けることになるからである。T319タイマの値は、システム情報の一部としてサービングgNBによってそのセル内でブロードキャストされ、すべてのUEによって採用される。このすべてのUEには、マルチスモールデータ送信を実行しないまたはサポートしないUEが含まれ、また、単にRNA(RANベースの通知エリア更新)を実行したりまたはRRC接続を再開したりする予定のUEも含まれる。したがって、延長されたT319タイマ値は、このようなUEのRRCResumeRequest手順に悪影響を及ぼす、なぜなら、このようなUEは、T319タイマが満了する後の時点で、上記手順の失敗を検出する可能性があるからである。
【0126】
マルチSDT手順を実装するための他の課題は、手順全体がシングルSDT送信手順よりもはるかに長くなることがあるという結果に関する。特に、マルチSDT送信手順は、最初のUL SDT送信の後に、いくつかの後続のULグラントの送信を含み得る(
図13および
図14も参照)。これが、例えば、上記のシングルSDT送信手順と比較した場合、マルチSDT手順を実質的に延長する可能性が高い。これに関連して起こりうる1つの問題は、UEがこのマルチSDT手順の最中に他のセルに移動する可能性があることである(これは、シングルSDT手順においても起こり得るが、可能性ははるかに低い)。このような例示的なシナリオでは、いくつかの問題が生じ得る。例えば、古いサービングgNBによって許可された無線リソースは、UEが新たなサービングgNBにキャンプする場合、UEによってもはや使用することができない。さらに、UEは、以前に送信されたULデータが古いサービングgNBによって正しく受信されたか否かを確認することができないことがある。この場合、いくつかのULデータは、依然としてHARQバッファに残ることがある。
【0127】
本発明者らは、上述の潜在的な欠点および課題を見出した。これらの1つ以上は、マルチSDT手順を実装する場合に最もよく解決可能である。
【0128】
したがって、本発明者らは、上記問題点の1つ以上を回避または軽減することができる改良されたスモールデータ送信手順を提供する可能性を見出した。本発明は、このような改良されたスモールデータ送信手順の様々な解決策および変形例に関する。
【0129】
<実施形態>
【0130】
以下では、5G移動通信システムにおいて想定される新しい無線アクセス技術(ただし、LTE移動通信システムでも使用可能)のための、これらのニーズを満たすUE、基地局、および手順について説明する。複数の異なる実装形態および変形例も説明する。以下の開示は、上述した議論および発見事項によって促進され、例えば、その少なくとも一部に基づくことができる。
【0131】
一般に、本開示の基礎となる原理を明確かつ理解しやすい方法で説明できるように、本明細書では多くの想定がなされていることに留意されたい。しかし、これらの想定は、本明細書において説明を目的としてなされた単なる例であり、本開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。当業者には、以下の開示および特許請求の範囲に記載されている原理が、異なるシナリオに、および本明細書に明示的に記載されていない方法で適用できることが理解されるであろう。
【0132】
さらに、次の3GPP 5G通信システムのための新しい無線アクセス技術のコンテキストで使用される特定の用語は、まだ完全に決定されていない、または最終的に変更される可能性があるが、以下で使用されている手順、エンティティ、レイヤなどの用語のいくつかは、LTE/LTE-Aシステムに、または現在の3GPP 5G標準化において使用されている用語に、密接に関連している。したがって、用語は将来的に変更されうるが、実施形態の機能に影響を与えることはない。したがって、当業者には、実施形態およびその保護範囲が、より新しいまたは最終的に合意された用語が存在しないために本明細書で例示的に使用されている特定の用語に制限されるものではなく、本開示の機能および原理の基礎をなす機能およびコンセプトの観点においてより広義に理解されるべきであることが認識されるであろう。
【0133】
例えば、「移動局」または「移動ノード」または「ユーザ端末」または「ユーザ機器(UE)」は、通信ネットワーク内の物理エンティティ(物理ノード)である。1つのノードがいくつかの機能エンティティを有することができる。機能エンティティとは、同じノードもしくは別のノードまたはネットワークの別の機能エンティティに対して、所定の一連の機能を実施および/または提供する、ソフトウェアモジュールまたはハードウェアモジュールを意味する。ノードは、それを通じて通信することのできる通信機器または通信媒体に自身をアタッチする1つ以上のインターフェースを有することができる。同様に、ネットワークエンティティは、それを通じて別の機能エンティティまたは通信相手ノードと通信することのできる通信機器または通信媒体に機能エンティティをアタッチする論理インターフェースを有することができる。
【0134】
用語「基地局」または「無線基地局」は、本明細書においては、通信ネットワーク内の物理エンティティを意味する。基地局は、移動局と同様に、いくつかの機能エンティティを有することができる。機能エンティティとは、同じノードもしくは別のノードまたはネットワークの別の機能エンティティに対して、所定の一連の機能を実施および/または提供する、ソフトウェアモジュールまたはハードウェアモジュールを意味する。物理エンティティは、通信装置に関連するいくつかの制御タスク(スケジューリングおよび設定の1つまたは複数を含む)を実行する。なお、基地局の機能および通信装置の機能を、1つの装置内に統合してもよいことに留意されたい。例えば、移動端末が、別の端末に対して基地局の機能をさらに実施してもよい。LTEにおいて使用されている専門用語は、eNB(またはeNodeB)であるが、5G NRにおいて現時点で使用されている専門用語は、gNBである。
【0135】
UEと基地局との間の通信は、一般的に標準化されており、PHYやMAC、RRCなどの異なるレイヤによって定義され得る(上記の背景技術の説明を参照)。
【0136】
本出願で使用される「スモールデータ」という用語は、UEおよび基地局が、小さいことを合意するデータ(例えば、「小さくない」の反意語(versus non-small))であるものと広義に理解されるものとする。例えば、データがスモールデータとみなされるか否かは、データ量のしきい値を設定することにより基地局によって定義することができる。あるいは、どのようなデータがスモールデータであるかを、例えば、データ量のしきい値を設定することにより、通信規格によって定義することができる。
【0137】
本出願で使用される「非アクティブ状態」という用語は、UEと基地局との間の通常の広範なデータ交換が不可能であるかまたは一般的ではない状態として広義に理解されるものとする。例えば、UEは、非アクティブ状態にあるとき(例えば、「非アクティブUE」と呼ばれる)、アクティブに使用される(actively-used)データ接続を有していなくてよいが、最初にデータ接続を再開する必要なしに(スモール)データの送信を可能にする1つ以上の非アクティブなデータ接続(例えば、存在するが現在使用されていないと言うこともできる)を依然として有する。なお、補足すると、「アイドル状態」にあるUEは、UEが基地局にデータを送信することのできるデータ接続を有しておらず、一方で、「接続状態」にあるUEは、基地局にデータを伝えるためにただちに使用することのできる1つ以上のアクティブなデータ接続を有する。
【0138】
「監視する(monitoring)」という用語は、例えば特定のフォーマットに基づいて、DCIメッセージを受信する可能な候補を復号しようとすること、すなわち、より単純には、DCIメッセージを復号しようとすることとして広く理解することができる。このような復号の試みは、ブラインド復号と呼ばれることもある。DCIメッセージは、例えば、上りリンクまたは下りリンクの無線リソースのためのリソース割当てメッセージとして広く理解することができる。したがって、「監視機能(monitoring function)」という用語は、DCIメッセージを復号しようと試みるためにUEによって実行される対応する機能に関連するものとして、この文脈において広く理解することができる。
【0139】
さらに、「監視機能」は、様々な理由で、例えば、Msg2またはMsg4またはMsgBを予期する場合のRACH手順中など、基地局からの応答を予期する場合に、UEによって実行することができる。次いで、監視機能は、基地局からさらなるメッセージまたはリソース割当てを受信することができるように、UEによって継続または延長することができる。
【0140】
図17は、ユーザ機器(通信装置とも呼ばれる)およびスケジューリング装置(ここでは、例示的に、基地局、例えば、eLTE eNB(代替的にng-eNBとも呼ばれる)または5G NRにおけるgNBに配置されていると想定する)の簡略化された一般的かつ例示的なブロック図を示している。UEおよびeNB/gNBは、それぞれ送受信機を使用して、(無線)物理チャネルを通じて互いに通信している。
【0141】
通信装置は、送受信機および処理回路を備えていることができる。送受信機は、受信機および送信機を備えている、および/または、受信機および送信機として機能することができる。処理回路は、1つ以上のプロセッサまたは任意のLSIなどの1つ以上のハードウェアとすることができる。送受信機と処理回路との間には入力/出力点(またはノード)が存在し、処理回路は、動作時に、この入力/出力点(またはノード)を通じて送受信機を制御する、すなわち、受信機および/または送信機を制御し、受信データ/送信データを交換することができる。送信機および受信機としての送受信機は、1つ以上のアンテナ、増幅器、RF変調器/復調器などを含むRF(無線周波数:radio frequency)フロントを含むことができる。処理回路は、処理回路によって提供されるユーザデータおよび制御データを送信する、および/または、処理回路によってさらに処理されるユーザデータおよび制御データを受信する、ように送受信機を制御するなどの制御タスクを実施することができる。また、処理回路は、判定や決定、計算、測定などの他の処理を実行する役割を担うこともできる。送信機は、送信のプロセス、および送信に関連する他のプロセスを実行する役割を担うことができる。受信機は、受信のプロセス、および受信に関連する他のプロセス(チャネルを監視するなど)を実行する役割を担うことができる。
【0142】
以下では、改良されたスモールデータ送信手順について説明する。これに関連して、改良されたスモールデータ送信手順に参加する、改良されたUEおよび改良された基地局が提示される。UEの動作および基地局の動作のための対応する方法も提供される。
【0143】
図18は、改善されたスモールデータ送信手順の1つの例示的な解決策に係る簡略化された例示的なUEの構造を示し、
図17に関連して説明された一般的なUEの構造に基づいて実現することができる。
図18に示されるUEの様々な構造要素は、例えば、制御データおよびユーザデータならびに他の信号を交換するために、例えば、対応する入力/出力ノード(不図示)を用いて互いに相互接続され得る。説明のために示されていないが、UEは、さらなる構造要素を含み得る。
【0144】
図18から明らかなように、UEは、UE識別情報割当受信機と、リソース割当受信機と、監視機能処理回路と、スモールデータ送信機と、監視機能を延長するかを決定する処理回路と、オプションでメッセージ受信機とを含み得る。
【0145】
以下の開示から明らかになる本ケースでは、したがって、UEの受信機は、例示的に、UE識別情報の割当てを受信すること、リソース割当てを受信すること、下りリンク送信を受信すること、RACH手順のメッセージを受信することなどの1つ以上を少なくとも部分的に実行するように構成することができる。
【0146】
さらに、以下の開示から明らかになる本ケースでは、したがって、UEの処理回路(プロセッサとも呼ばれる)は、例示的に、監視機能を実行すること、監視機能を延長するか否かを決定すること、タイマおよびカウンタを動作させることなどの1つ以上を少なくとも部分的に実行するように構成することができる。
【0147】
さらに、以下の開示から明らかになる本ケースでは、したがって、UEの送信機は、スモールデータを送信すること、サービング基地局によって実行されるRACH手順のメッセージを送信すること、バッファ状態報告(例えば、BSR MAC CE)を送信することなどの1つ以上を少なくとも部分的に実行するように構成することができる。
【0148】
以下でさらに詳細に開示される1つの例示的な解決策は、以下を含むUEによって実施される。前記UEの受信機は、前記UEに現在サービスを提供(サービング)している基地局からUE識別情報の割当てを受信する。前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にある。前記UE識別情報は、前記サービング基地局から送信される、少なくとも上りリンクリソース割当てを含む、リソース割当ての受信のための監視機能を実行するために前記非アクティブUEによって使用可能である。前記受信機は、前記UE識別情報に基づいて、前記サービング基地局から送信された上りリンクリソース割当てを受信する。当該受信された上りリンクリソース割当てによって、スモールデータの送信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースが割り当てられる。前記UEの送信機は、前記受信された上りリンクリソース割当てに基づいて、前記スモールデータの前記サービング基地局への送信を実行する。プロセッサは、前記UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために前記監視機能を延長するか否かを決定し、当該決定は、前記サービング基地局から受信されたメッセージに基づくか、または前記UEが送信可能なさらなるスモールデータを有するか否かに基づく。
【0149】
上述したUEに沿った、例示的なUE動作の対応するシーケンス図を、以下に定義し、
図19に示す。本方法は、ユーザ機器(UE)によって実行される以下のステップ、
● 前記UEに現在サービスを提供(サービング)している基地局からUE識別情報の割当てを受信するステップであって、前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にあり、前記UE識別情報は、前記サービング基地局から送信される、少なくとも上りリンクリソース割当てを含む、リソース割当ての受信のための監視機能を実行するために非アクティブUEによって使用可能である、ステップと、
● 前記UE識別情報に基づいて、前記サービング基地局から送信された上りリンクリソース割当てを受信するステップであって、当該受信した上りリンクリソース割当てによって、スモールデータの送信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースが割り当てられる、ステップと、
● 前記受信した上りリンクリソース割当てに基づいて、前記スモールデータの前記サービング基地局への送信を実行するステップと、
● 前記UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために前記監視機能を延長するか否かを決定するステップであって、前記決定は、前記サービング基地局から受信したメッセージに基づくか、または前記UEが送信可能なさらなるスモールデータを有するか否かに基づく、ステップと、
を有する。
【0150】
この改良されたスモールデータ送信手順によれば、UEによる監視を延長することにより、さらなる上りリンクリソース割当てを受信することができ、したがってさらなる上りリンク(スモール)データ送信を可能にすることができる。UEは、監視機能を実行するために、以前に割り当てられたUE識別情報をさらに使用し、UE識別情報は、UEへの上りリンクリソース割当てをUEにアドレス指定するためにサービング基地局によって使用される。さらに、監視機能がUEによって延長されるか否かは、上記目的のためにUEに送信されるメッセージを使用することによって、サービング基地局によって制御可能でもある。
【0151】
また、上記から既に明らかなように、改良されたスモールデータ送信手順は、改良された無線基地局も提供する。
図20は、改良されたスモールデータ送信手順の1つの例示的な解決策に係る簡略化された例示的な基地局の構造を示し、
図17に関連して説明された一般的な基地局の構造に基づいて実現することができる。
図20に示される無線基地局の様々な構造要素は、例えば、制御データおよびユーザデータならびに他の信号を交換するために、例えば、対応する入力/出力ノード(不図示)を用いて互いに相互接続され得る。説明のために示されていないが、基地局は、さらなる構造要素を含み得る。
【0152】
図20から明らかなように、基地局は、リソース割当送信機と、UE識別情報割当送信機と、スモールデータ送信受信機と、メッセージ送信機とを含み得る。
【0153】
以下の開示から明らかになる本ケースでは、したがって、基地局の受信機は、例示的に、UEからのスモールデータを受信すること、UEで実行されるRACH手順のメッセージを受信すること、UEからのRRCメッセージを受信すること、UEからのバッファ状態報告(例えば、BSR MAC CE)を受信することなどの1つ以上を少なくとも部分的に実行するように構成することができる。
【0154】
以下の開示から明らかになる本ケースでは、したがって、基地局の処理回路は、例示的に、タイマおよびカウンタを動作させること、UEに上りリンクリソース割当てを送信するか否かを決定することなどの1つ以上を少なくとも部分的に実行するように構成することができる。
【0155】
以下の開示から明らかになる本ケースでは、したがって、基地局の送信機は、例示的に、UEにUE識別情報割当メッセージを送信すること、UEにメッセージを送信すること、UEによって実行されるRACH手順のメッセージを送信すること、UEに上りリンクリソース割当てを送信することなどの1つ以上を少なくとも部分的に実行するように構成することができる。
【0156】
以下でさらに詳細に開示される1つの例示的な解決策は、以下を含む無線基地局によって実施される。前記基地局の送信機は、前記基地局によって現在サービスが提供されているユーザ機器(UE:User Equipment)にUE識別情報の割当てを送信する。前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にあり、前記UE識別情報は、少なくとも上りリンクリソース割当てを含むリソース割当てを前記UEに送信するために前記基地局によって使用可能である。前記送信機は、前記UE識別情報に基づいて、前記非アクティブUEに上りリンクリソース割当てを送信する。当該送信された上りリンクリソース割当てによって、スモールデータの送信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースが割り当てられる。また、当該送信された上りリンクリソース割当ては、前記非アクティブUEが前記割り当てられたUE識別情報に基づくリソース割当ての受信のための監視機能を実行することに基づいて前記非アクティブUEによって受信可能である。受信機は、前記送信された上りリンクリソース割当てに基づいて、前記非アクティブUEからの前記スモールデータの受信を実行する。前記送信機は、前記非アクティブUEが前記UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために前記監視機能を延長するか否かを決定する基礎となるメッセージを前記非アクティブUEに送信する。
【0157】
上述した基地局に沿った、例示的な基地局動作の対応するシーケンス図を、
図21に示す。対応する方法は、基地局によって実行される以下のステップ、
● 前記基地局によって現在サービスが提供されているユーザ機器(UE:User Equipment)にUE識別情報の割当てを送信するステップであって、前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にあり、前記UE識別情報は、少なくとも上りリンクリソース割当てを含むリソース割当てを前記UEに送信するために前記基地局によって使用可能である、ステップと、
● 前記UE識別情報に基づいて、前記非アクティブUEに前記上りリンクリソース割当てを送信するステップであって、当該送信した上りリンクリソース割当てによって、スモールデータの送信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースが割り当てられ、また、当該送信した上りリンクリソース割当ては、前記非アクティブUEが前記割り当てられたUE識別情報に基づくリソース割当ての受信のための監視機能を実行することに基づいて前記非アクティブUEによって受信可能である、ステップと、
● 前記送信した上りリンクリソース割当てに基づいて、前記非アクティブUEからの前記スモールデータの受信を実行するステップと、
● 前記非アクティブUEが前記UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために前記監視機能を延長するか否かを決定する基礎となるメッセージを前記非アクティブUEに送信するステップと、
を有する。
【0158】
したがって、改良された基地局は、改良されたスモールデータ送信手順に参加し、それにより、UEは、容易に監視時間を延長していくつかの上りリンクリソース割当てを受信することができ、これらの上りリンクリソース割当てに基づいて対応する上りリンクスモールデータ送信を実行することができる。
【0159】
以下、上記の改良されたスモールデータ送信手順の実装方法について、様々な例示的な実装形態を開示する。
【0160】
以下の解決策では、改良されたスモールデータ送信手順は、RACH手順を基礎として、第1のスモールデータ送信を提供し、次いで、さらなるスモールデータ送信を可能にするUE動作を定義するものとする。
【0161】
さらに、サービング基地局がUEにUE識別情報を割り当てることを含むのも、このRACH手順である。UE識別情報は、その後、スモールデータ送信を可能にするために使用可能である。例えば、UEは、上りリンクスモールデータ送信を実行するためにUEによって使用可能な無線リソースを割り当てる上りリンクリソース割当てを受信する。解決策の5G-NR規格に準拠した変形例では、UE識別情報は、Msg2またはMsgBに基づいて(最初は一時的に)UEに割り当てられるC-RNTIであり得る。例えば、5G-NR準拠の変形例は、上記の対応するセクション「ランダムアクセス手順(Random Access procedure)」で説明したRACH手順の一部として、スモールデータおよびBSR MAC CEを送信することができる。様々な解決策(および可能な変形例)は、4ステップRACH手順および2ステップRACH手順の両方に適用可能であり得る。
【0162】
<第1の解決策>
【0163】
改良されたスモールデータ送信手順(ならびにその変形例および実装形態)の第1の解決策によれば、サービング基地局は、リソース割当てを使用して、UEがいくつかの上りリンクスモールデータ送信を実行することを可能にすることができる。したがって、上記のメッセージ(これに基づいて、UEは、少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために監視機能を延長する(継続すると呼ぶこともある)か否かを決定する)は、サービング基地局から非アクティブUEに送信される上りリンクリソース割当てである。
【0164】
そして、上りリンクリソース割当ての受信時に、UEは、さらなる上りリンクリソース割当てを予期すべきであると決定する。したがって、当該上りリンクリソース割当ての受信時に、非アクティブUEは、次の上りリンクリソース割当てを受信できるように、監視機能を延長すると決定する。
【0165】
上記のように、UEは、上りリンクリソース割当ての受信に基づいて、監視機能を延長するか否かの決定を行う。あるいは、上りリンクリソース割当ての受信を利用する代わりに、後に実行されるスモールデータ送信を使用することができる。したがって、例えば、以前に受信した上りリンクリソース割当てに基づく上りリンクスモールデータ送信の実行時に、UEは、次の上りリンクリソース割当てを受信できるように監視機能を延長すべきであると決定する。
【0166】
さらなる例示的な変形例によれば、UEが監視機能を延長すべきか否かの決定は、追加的にまたは代替的に、UEのバッファに残っている上りリンクデータがあるか否かを考慮することができる。例えば、UEは、UEのバッファに残っている上りリンクスモールデータがある場合(例えば、バッファ状態報告が、以前に受信した上りリンクリソース割当てによって指示された無線リソースを使用して、スモールデータ送信と一緒に送信されるかまたは一緒には送信されない場合)、監視機能を延長すると決定する。一方、UEは、UEのバッファにさらなる上りリンクスモールデータが残っていない場合(例えば、バッファ状態報告が送信されない場合、または送信されたバッファ状態報告がさらなるデータを示さない場合)、監視機能を延長しないと決定する。
【0167】
非アクティブUEによって実行される監視機能は、(上りリンクまたは下りリンク)リソース割当てがサービング基地局によってアドレス指定可能なUE識別情報(例えば、C-RNTI)に基づく。UE識別情報は、典型的には、サービング基地局によって、例えば、RACH手順のMsg4を受信するためなど、特定の目的のために、一時的に、すなわち、永続的ではなく、非アクティブUEに割り当てられる。UE識別情報は、必要とされる限り、アライブ状態(alive)に保つことができ、必要なくなれば、UEによって破棄される(および、場合によっては、サービング基地局によって他のUEに再び割り当てられる)。
【0168】
改良されたスモールデータ送信手順によれば、UE識別情報は、UE識別情報が複数の上りリンクリソース割当てを受信するために使用可能に保たれるように(したがって、非アクティブUEによる複数のスモールデータ送信を可能にするように)、UEによって制御される。これをどのように実現することができるかについての2つの変形例を、以下に提示する。2つの変形例は、この点に関して1つまたは2つのタイマを使用する点で互いに異なる。
【0169】
第1の変形例によれば、場合によって破棄する前に、UE識別情報がどれだけ長く有効に(「アライブ状態」ともいう)保たれるかを制御するために、主にUEによって1つのタイマが使用される。例えば、UE識別情報は、RACH手順のRARによってUEに割り当てられる。例えば、タイマは、UEがRACH手順中に接続再開要求を送信する場合に始動される。タイマは、接続再開要求手順のために使用され、タイマのおかげで、接続再開要求メッセージに対しての対応する応答(例えば、RRCRelease)がサービング基地局から受信されなかったという理由から、タイマの満了時に接続再開要求手順が成功しなかったと決定することができる。したがって、破棄されたUE識別情報は、さらなる上りリンクまたは下りリンクリソース割当ての受信にはもはや使用することができない。サービング基地局からのRRCReleaseメッセージを受信すると、タイマが停止され、UEが非アクティブ状態に留まる結果となる。これにより、次いで、UE識別情報が破棄される。同様に、タイマが満了した場合(すなわち、接続再開要求に対する応答も、上りリンクリソース割当てもサービング基地局から受信されなかった場合)、UEは、接続再開要求が成功しなかったと決定し、次いで、アイドル状態に入ることに進む。また、アイドル状態に入ることは、UEがUE識別情報を破棄することを伴う。したがって、破棄されたUE識別情報は、さらなる上りリンクまたは下りリンクリソース割当てを受信するためにもはや使用することができない。
【0170】
現在の5G-NR規格に従った例示的な一実装形態によれば、タイマは、非アクティブUEがRACH手順のMsg3またはMsg4を送信する時に始動されるT319タイマである。しかし、5G-NR UEは、T319タイマが動作している間、下りリンクRRCメッセージ(すなわち、RRC解放/再開/拒否メッセージ)を監視するだけでよいため、この例示的な実装形態におけるUEの動作は、T319タイマが動作している間、上りリンクリソース割当ても監視するように変更される必要がある。
【0171】
改良されたスモールデータ送信手順のこの第1の変形例によれば、タイマは、上りリンクリソース割当ての受信時に再始動され、それによって、UE識別情報の寿命(または有効性)を延長し、このUE識別情報にアドレス指定された、サービング基地局によって送信されるさらなるリソース割当てのために下りリンク制御チャネルを監視する関連においてUE識別情報の有用性を延長する。さらに、UE識別情報の破棄は、タイマの満了時に発生する。
【0172】
改良されたスモールデータ送信手順の第2の変形例によれば、第1のタイマは、接続再開要求手順に必要な時間を制御するために使用される。加えて、第2のタイマがUEによって作動し、UE識別情報の寿命(有効性)を延長することに用いられる。この第2のタイマは、サービング基地局から最初の上りリンクリソース割当てを受信した時に初めて始動され、その後、サービング基地局からさらなる上りリンクリソース割当てを受信するたびに再始動される。次いで、UE識別情報は、第1および第2のタイマのいずれか1つが動作している限りアライブ状態のままであるが、第1のタイマおよび第2のタイマがいずれももはや動作していない(例えば、満了しているか、または停止された)ときに破棄される。
【0173】
現在の5G-NR規格に合致する例示的な一実装形態によれば、第1の変形例のタイマおよび第2の変形例の第1のタイマは、T319タイマであり、これは、非アクティブUEが、RRCResumeRequestメッセージを含むRACH手順のMsg3またはMsgAを送信する時に始動される。
【0174】
第1の解決策の第1および第2の変形例について上述したように、UEによる監視機能を実行するために必要に応じてUE識別情報をアライブ状態のまま保つことにより、いくつかのスモールデータ送信を実行することができるようにすることが可能である。
【0175】
第1の解決策の一変形例によれば、改良されたスモールデータ送信手順は、その後、接続再開要求手順の応答メッセージで完了される。例えば、UEは、接続再開要求(例えば、RRCResumeRequestメッセージ)を送信することによって、RACH手順中に接続再開要求手順を開始した。これに応答して、接続再開要求手順は、対応する応答メッセージ(RRCReleaseメッセージ等)を受信することによって完了する。また、この応答メッセージは、UEがどのUE状態にあるべきかをも指示してよく、例えば、UEに非アクティブ状態に留まるように指示してよい。既に上述したように、接続再開要求メッセージの完了は、UE識別情報が破棄されることをもたらす。したがって、(UE状態を指示する)応答メッセージの受信時に、UE識別情報は、UEによって破棄される。
【0176】
また、同様に、UEは、例えば、サービング基地局によってさらなるリソース割当てが送信されないことを想定して、(UE状態を指示する)応答メッセージの受信時に監視機能を停止してもよい。
【0177】
上記2つの変形例によれば、UEは、上りリンクリソース割当ての受信に基づいて、タイマ(例えば、第1の変形例の1つのタイマ、および第2の変形例の第2のタイマ)を再始動するか否かの決定を行う。あるいは、上りリンクリソース割当ての受信を用いる代わりに、後に実行されるスモールデータ送信をトリガーとして用いることができる。したがって、例えば、以前に受信した上りリンクリソース割当てに基づく上りリンクスモールデータ送信の実行時に、UEは、上記の第1の変形例および第2の変形例について説明したそれぞれのタイマを再始動して、UE識別情報をより長く有効に保ち、したがって、その早期破棄を回避する。
【0178】
さらなる例示的な変形例によれば、UEがそれぞれのタイマを再始動すべきか否かの決定には、追加的にまたは代替的に、UEのバッファに残っている上りリンクデータがあるか否かを考慮に入れることもできる。例えば、UEは、UEのバッファ内に残っている上りリンクスモールデータがある場合(例えば、バッファ状態報告がスモールデータ送信と一緒に送信されるかまたは一緒には送信されない場合)、それぞれのタイマを再始動すると決定する。一方、UEは、UEのバッファにさらなる上りリンクスモールデータが残っていない場合(例えば、バッファ状態報告が送信されない場合、または、送信されるバッファ状態報告がさらなるデータを示さない場合)、それぞれのタイマを再始動しないと決定する。
【0179】
この第1の解決策の上述の変形例による、第1の解決策の様々な例示的な実装形態を、
図22、
図23、および
図24に示す。
【0180】
図22は、第1の解決策の第1の変形例(1つのタイマが使用される)による、UEとサービングgNBとのメッセージ交換を例示的にかつ簡略化して示している。
図22による例示的な実装形態は、
図16の実装形態について説明したものと同様の例示的な想定を行う。例えば、例示的に、スモールデータ送信のために4ステップのランダムアクセス手順がUEによって開始されると想定されている。UEのUEコンテキストはアンカーgNBに存在し、UEは現在そのサービングgNBにキャンプしているとさらに例示的に想定されており、その結果、サービングgNBは、UEの認証を行うために、アンカーgNBからUEコンテキストを取得する必要がある。
【0181】
図22から明らかなように、T319タイマは、C-RNTIにアドレス指定された上りリンクグラントがUEによって受信されるたびに再始動される。
【0182】
さらに、例えば、UEは、送信可能なさらなるデータについてサービングgNBに知らせるために、(例えば、スモールデータと一緒に)バッファ状態報告を送信する。したがって、受信したバッファ状態報告に基づいて、サービングgNBは、UEバッファ内に残っているスモールデータのためのさらなる上りリンクグラントをUEに提供すると決定することができる。この手順は、さらなるスモールデータがUEバッファに残っていない状態まで繰り返すことができる。例えば、その場合、UEは、スモールデータと一緒にはバッファ状態報告を送信しないか、またはバッファ状態報告を送信する場合、バッファ状態報告は、さらなるスモールデータが送信可能でないことを適切に示す。
【0183】
そうすると、gNBは、RRCReleaseメッセージをUEに送信すると決定し、それによって、UEに非アクティブ状態に留まるよう指示することができる。UEにおけるT319タイマは、C-RNTIの破棄につながるRRC解放メッセージの受信時に停止される。
【0184】
図22に示すように、サービングgNBは、非アクティブUEからRRCResumeRequestメッセージを受信すると、アンカーgNBからのUEコンテキストの取得を開始し、最終的に当該UEコンテキストを取得する。それにもかかわらず、RRCReleaseメッセージは、サービングgNBによって直ちに送信される必要はなく、gNBは、複数のスモールデータ送信を可能にするためにUEにさらなる上りリンクグラントを送信することができる。これにより、UEにおける(およびサービングgNBに示されるように)送信可能なスモールデータを送信する必要に応じて、UEが上りリンクスモールデータ送信を実行することができるという利点がある。
【0185】
図23は、第1の解決策の第1の変形例(1つのタイマが使用される)によるUEとサービングgNBとのメッセージ交換を例示的にかつ簡略化して示している。ただし、4ステップRACH手順ではなく2ステップRACH手順を想定する。いずれにせよ、
図23の手順は、
図22の手順とほとんど同一であり、2ステップRACH手順を使用する、すなわち、Msg1~Msg4の代わりに、MsgAおよびMsgBが送信されることによる差異がある。しかし、重要なことに、
図22について上記で詳細に説明したように、タイマT319は、UE識別情報(C-RNTI)にアドレス指定された上りリンクグラントを受信するたびに、非アクティブUEによって再始動される。
【0186】
図24は、第1の解決策の第2の変形例(2つのタイマが使用される)による、UEとサービングgNBとのメッセージ交換を例示的にかつ簡略化して示している。
図22と同様の想定がなされている。第1のタイマは、T319タイマとして実装され、第2のタイマは、UE識別情報(例えば、C-RNTI)の有効性を制御する目的で動作する新しいタイマ(例示的にT319’と呼ばれる)である。さらに、第2の変形例について一般的に上述したように、UE識別情報は、2つのタイマの1つがまだ動作している間は破棄されず、UE識別情報の破棄は、上記タイマ(T319およびT319’)がいずれも動作していない(例えば、満了または停止している)ときにUEによって実行される。
【0187】
この第2の変形例によれば、第1のタイマT319は、接続再開要求メッセージ(例えば、RRCResumeRequestメッセージ)の送信時にUEによって始動される。一方、新しいタイマT319’は、UEのC-RNTI宛てのサービングgNBからの第1の上りリンクグラントメッセージの受信時に始動される。さらに、新しいタイマT319’は、その後、さらなる上りリンクグラントがUEによって受信されるたびに再始動される。
【0188】
第1のタイマT319の満了時、UE識別情報は、新しいタイマT319’が以前に既に始動されている(第1のタイマT319が満了する前に適時にサービング基地局によって送信された上りリンクグラントの受信により)と想定して、まだ破棄されない。
【0189】
新しいタイマT319’は、UEによって以前に送信された接続再開要求メッセージに対する応答メッセージ(例えば、RRCRelease)の受信時に、UEによって停止される。
【0190】
図25は、第1の解決策の第1の変形例による改良されたスモールデータ送信手順のためのUE動作の例示的かつ簡略化された実装形態を示すフロー図である。したがって、UE識別情報の有効性を制御する1つのタイマT319がUEによって使用されることが想定されている。
【0191】
一般に、一例によれば、UEの動作は、サービングgNBにバッファ状態報告を送信すべきか否かの決定を含む。バッファ状態報告が送信されるのは、スモールデータ送信の後、さらなるスモールデータが送信可能である場合であり、バッファ状態報告が当該残りのスモールデータを示している。バッファ状態報告は、全てのスモールデータの送信が可能である場合には、送信されない。
【0192】
これは、例示的に、
図25のUE動作に反映されており、同図によれば、UEは、(ランダムアクセス応答メッセージによって提供される)グラントサイズがすべての利用可能なスモールデータを送信するのに十分であるか否かに基づいて、スモールデータおよび接続再開要求メッセージをバッファ状態報告なしで送信するかまたはバッファ状態報告と共に送信するかを決定する。グラントサイズが十分である場合(例えば、送信可能なさらなるスモールデータがない場合)、UEは、バッファ状態報告を送信せずに、RACH手順のMsg3またはMsgA中でRRCResumeRequestメッセージと共にスモールデータを送信する。逆に、グラントサイズが十分でない場合(例えば、さらなるスモールデータが送信可能な状態で残る場合)、UEは、RACH手順のMsg3またはMsgAにおいて、スモールデータおよびRRCResumeRequestメッセージと共にバッファ状態報告を送信する。
【0193】
その後、UEは、T319タイマを始動し、gNBからの応答を受信することができるように、監視機能の実行を開始する。ULグラントを受信すると、UEは、T319タイマを再始動し、UEのC-RNTIにアドレス指定された他の上りリンクグラント(例えば、DCI)の監視を続ける。
【0194】
さらに、UE識別情報(C-RNTI)の破棄は、ULグラントが受信されなかった後、タイマT319が満了した時に発生し、RRCReleaseメッセージが受信された時にも発生する。
【0195】
また、UEは、T319タイマが満了しない限り、監視機能を実行し続けてもよい。
【0196】
さらに、以下では、この改良されたスモールデータ送信手順の第1の解決策のためのgNBの動作の例示的かつ簡略化された実装形態について説明する。
【0197】
例えば、gNBは、スモールデータ送信のためにUEによって開始されるRACH手順に参加する。さらに、gNBは、RACH手順(例えば、Msg3またはMsgAを参照)中の一回のスモールデータ送信が、すべての利用可能なスモールデータを送信するのに十分であるか否かを決定する役割を担う。したがって、(例えば、適切なバッファ状態報告によって示される)さらなるスモールデータ送信が必要な場合、サービングgNBは、(例えば、それぞれのタイマの満了前に)適時にUEに1つ以上のULグラントを送信する役割を担う。
【0198】
図26は、第1の解決策の第1の変形例による(すなわち、1つのタイマのみを使用する)改良されたスモールデータ送信手順のためのサービング基地局の動作の例示的かつ簡略化された実装形態を示すフロー図である。同図から明らかなように、gNBは、非アクティブUEから接続再開要求メッセージを受信し、それに応答して、アンカーgNBから当該UEのUEコンテキストを取得しようと試みる。図示されていないが、gNBは、RACH手順の一部として、スモールデータの最初の送信を受信し、場合によっては、さらなるスモールデータが送信可能であるか否かを示すバッファ状態報告を受信する。UEがさらなるスモールデータ送信を実行することができる場合、gNBは、T319タイマが満了する前に適切なULグラントをUEに送信すること(T319タイマが既に満了した場合、UEはC-RNTIを破棄してしまい、ULグラントを監視しないため遅すぎることになる)、T319タイマを再始動すること、そして(以前のグラントに従って)UEからULデータを受信することを含むステップを実行する。
【0199】
そして、gNBは、UEが、さらなるスモールデータが送信可能であることを示すか否かを再びチェックすることができる。このループは、例えば、全てのスモールデータがUEによって送信されるまで実行することができる。
【0200】
送信可能なさらなるスモールデータがない場合、gNBは、例えば、アンカーgNBからのUEコンテキストの受信に成功した後に、RRCReleaseメッセージのUEへの送信に進むことができる。
【0201】
上記したように、UEは、さらなる上りリンクリソース割当てを受信し、次いで、1つ以上の追加の上りリンクスモールデータ送信を実行することができるように、監視機能を継続する(すなわち、延長する)。一方、第1の解決策のさらなる変形例によれば、監視は、下りリンクリソース割当ての受信を含んでよく、その後、(それぞれ、以前に受信された下りリンクリソース割当てに基づいて)サービングgNBによる後続の下りリンク(スモール)データ送信が受信され得る。例えば、そのような下りリンクリソース割当ての受信(または代替的に、DLスモールデータ送信の後続の受信)は、監視期間を延長するようにUEをトリガーし、また、UE識別情報をより長くアライブ状態のままにする(例えば、それぞれ上記した第1の変形例の1つのタイマを再始動するか、または第2の変形例の第2のタイマを再始動する)ようにUEをトリガーしてよい。
【0202】
上述のように、改良されたスモールデータ送信手順は、スモールデータ送信の少なくともいくつかを非常に早期に実行することを可能にする。例えば、アンカーgNBからのUEコンテキストの取得を待つ必要なしに、サービングgNBは、さらなるスモールデータ送信のために少なくともいくつかの上りリンクリソース割当てをUEに既に発行することができる。特に、競合が解消され、対応する競合解消がUEに通信されるとすぐに、サービング基地局は、非アクティブUEがULスモールデータを送信できるように、UEに次の上りリンクグラントを提供し始めることができる。
【0203】
1つの生じ得る欠点は、サービングgNBが非アクティブUEを認証する前に(例えば、要求されたUEコンテキストに基づいて)、いくつかの初期ULグラントが送信され得ることである。したがって、認証の前に許可された無線リソースは、UEがサービングgNBによって最終的に肯定的に認証されない場合に無駄になる可能性がある。さらに、UEが認証前にULスモールデータをサービングgNBに送信することを可能にすることによって、サービングgNBは、自身を可能性のある悪意のあるUEの攻撃にさらすことになる。
【0204】
<第2の解決策>
【0205】
改良されたスモールデータ送信手順(ならびにその変形例および実装形態)の第2の解決策によれば、サービング基地局は、監視機能を延長し、スモールデータの送信を継続することをUEに通知するために接続再開要求メッセージに対する応答メッセージを使用する。したがって、少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために監視機能を延長するか否かをUEが決定する基礎となる上記したメッセージが、この応答メッセージ(例えば、RRCReleaseメッセージ)である。また、この接続再開要求応答メッセージは、UEがあるべき状態に関する指示をUEに提供する、例えば、非アクティブUEに非アクティブ状態に留まるよう指示する。したがって、当該メッセージは、UE状態指示メッセージとして理解することができる。
【0206】
したがって、この接続再開要求応答メッセージは、監視機能を延長するか否かに関する非アクティブUEのための指示を含み得る。この監視指示は、例えば、例示的にflag_subsequentと呼ばれるフラグの形態であり得る。監視指示の1つの値は、UEに、そのUE識別情報にアドレス指定された後続の上りリンクグラントを監視するよう指示し、一方、監視指示の他の値は、UEに、そのUE識別情報にアドレス指定された後続の上りリンクグラントを監視しないよう指示する。
【0207】
次いで、非アクティブUEは、指示されたように監視機能を延長または停止することによって、監視指示に従う。
【0208】
UEが、受信した監視指示に従って、監視機能をどのくらい長く実行し続けるべきかをどのように制御するかについては、いくつかの可能性がある。
【0209】
この第2の解決策の第1の変形例によれば、UEは、特定の監視時間だけ(例えば、監視指示の受信時に開始することによって)監視機能を延長する。延長された監視時間の量は、様々な方法で、例えば、サービング基地局からUEによって、例えば、監視通知と一緒に(例えば、RRCReleaseメッセージにおいて)、受信される情報に基づいて、定義することができる。追加的にまたは代替的に、監視時間の量は、例えば、サービング基地局からブロードキャストされるシステム情報によって、もしくは現在もしくは以前の基地局からの以前に受信された上位レイヤ(例えば、RRC)構成メッセージによって、もしくはUEのユニバーサル加入者識別モジュール(Universal Subscriber Identify Module)に記憶された設定によって、事前に定義することができ、または、監視時間の量は、単に、3GPP技術規格の要求の中で定義されている。例えば、上記は、例示的に、特定の時間量(例示的にtimer_subsequentと呼ばれる)を有するタイマを使用することによって実装することができ、このタイマの満了時に、UEは、監視機能の実行を停止し得る。
【0210】
この第2の解決策の第2の変形例によれば、UEは、監視指示を受信した後、特定の数のULグラント受信(または、同様に、特定の数のスモールデータ送信)に達するまで継続する。UEが指示された数のULグラントを受信した場合、UEは、監視機能の実行を停止する。ULグラントの特定の数は、様々な方法で、例えば、監視時間について既に説明したのと同一の方法で定義することができる。より具体的には、上りリンクグラントの数は、サービング基地局からUEによって、例えば、監視通知と共に(例えば、RRCReleaseメッセージにおいて)、受信される情報に基づいて定義することができる。追加的にまたは代替的に、上りリンクグラントの数は、例えば、サービング基地局からブロードキャストされるシステム情報によって、もしくは現在もしくは以前の基地局からの以前に受信された上位レイヤ(例えば、RRC)構成メッセージによって、もしくはUEのユニバーサル加入者識別モジュールに記憶された設定によって、事前に定義することができ、または、単に3GPP技術規格の要求の中で定義することができる。
【0211】
この第2の解決策のさらなる第3の変形例は、上述の第1および第2の変形例の組み合わせに基づく。特に、UEは、特定の時間量の間、監視機能を実行し続け、例えば、監視指示を受信すると開始し(第1の変形例を参照)、また、受信したULグラントをカウントする(例えば、監視指示を受信した後)(第2の変形例を参照)。UEは、監視時間の量が満了した時に監視機能の実行を停止してもよく、UEは、もっと早くに、UEが受信した上りリンクグラントの数が到達した時に監視機能を停止してもよい。
【0212】
この第2の解決策のさらなる第4の変形例は、上述の第1の変形例に基づく。具体的には、UEは、特定の量の監視時間の間、監視機能を実行し続ける。次いで、対応するULグラントが受信されるたびに(あるいは、以前に受信されたULグラントに基づくスモールデータ送信時に、または、さらなるスモールデータがUEにおける送信可能であることを示すバッファ状態報告の送信時に)、UEは、監視時間を再開する(例えば、対応するタイマを再始動する)。これにより、非アクティブUEに上りリンクスモールデータ送信を実行するよう指示し得る頻度(または、長さ)について柔軟性を持たせることができ、同時に、最小の必要な監視時間を短く保つことができる。
【0213】
非アクティブUEによって実行される監視機能は、(上りリンクまたは下りリンク)リソース割当てがサービング基地局によってアドレス指定可能な、以前に割り当てられたUE識別情報(例えば、C-RNTI)に基づく(例えば、第1の解決策についての説明を参照)。したがって、UE識別情報は、必要とされる限りアライブ状態のまま保たれることができ、必要がなくなれば、UEによって破棄される(および、場合によっては、サービング基地局によって他のUEに再び割り当てられる)。
【0214】
例示的な一実装形態によれば、受信された接続再開要求応答メッセージにおけるこの指示は、UEに後続のリソース割当てを提供するために次いで使用されるUE識別情報の有効性を制御する方法にも直接的な影響を及ぼす。一般に、UE識別情報の有効性および破棄は、監視機能に基づいて制御することができるため、UEは、監視機能を実行し続ける場合、UE識別情報を維持すると決定し、UEは、監視機能の実行を停止すると決定する場合、UE識別情報を破棄すると決定する。
【0215】
例えば、UEは、接続再開要求応答メッセージにおいて以前に受信された監視指示が、監視機能を延長しないよう指示する場合、UE識別情報を破棄すると決定する。先行技術および第1の解決策と比較して、UE識別情報は、接続再開要求応答メッセージ(例えば、RRCReleaseメッセージ)の受信時に必ずしもUEによって破棄されない。むしろ、UE識別情報は、当該指示が、UEが監視機能を延長すべきであることを示す場合、UEによってアライブ状態のままにされ、一方、UE識別情報は、当該指示が、UEが監視機能を延長する必要がないことを示す場合、UEによって破棄される。
【0216】
また、UEは、(例えば、上記した様々な変形例の1つに基づいて)監視機能を停止する場合、もはや必要でないUE識別情報の破棄に進んでもよい。
【0217】
第2の解決策の上記の説明では、第2の解決策のための追加情報(例えば、指示、ならびにいくつかの変形例では、タイマ値およびカウンタ値も)が、接続再開要求応答メッセージを使用してUEに提供されることを概説した。以下では、接続再開要求応答メッセージによってこの追加情報がどのように正確に搬送され得るかに関するより具体的な実装形態について説明する。
【0218】
1つの可能な実装形態によれば、追加情報のすべてまたは一部は、実際の接続再開要求応答メッセージ(例えば、RRCReleaseメッセージ)で搬送される。
【0219】
他の第2の可能な実装形態によれば、追加情報のすべてまたは一部は、接続再開要求応答メッセージと一緒に搬送されるが、当該メッセージ内には含まれない。例えば、追加情報の全部または一部は、接続再開要求応答メッセージに付されるMAC制御エレメント(MAC Control Element)に含まれ得る。
【0220】
他の第3の可能な実装形態によれば、追加情報のすべてまたは一部は、実際の接続再開要求応答メッセージを受信するための無線リソースを指示する下りリンクリソース割当てで搬送される。
【0221】
さらなる実装形態によれば、追加情報は、上記した3つの実装形態のうちの2つ以上の組み合わせに基づいてUEに提供される。
【0222】
図27は、第2の解決策の例示的な実装形態による、UEとサービングgNBとのメッセージ交換を例示的にかつ簡略化して示している。
図27による例示的な実装形態は、
図16(または
図22)の実装形態について説明したのと同様の例示的な想定をしている。例えば、スモールデータ送信のために4ステップのランダムアクセス手順がUEによって開始されることが例示的に想定されている。さらに、UEのUEコンテキストがアンカーgNBに存在し、UEが現在サービス提供を受けているサービングgNBにキャンプしていると例示的に想定されている。したがって、サービングgNBは、UEの認証を実行するために、アンカーgNBからUEコンテキストを取得する必要がある。
【0223】
図27から明らかなように、RRCReleaseメッセージ(すなわち、接続再開要求応答メッセージ)は、上述の監視指示を含み、監視指示の受信時に、UEは、T319タイマを停止し、監視機能を延長する(例えば、監視期間を延長する)。これにより、UEには、さらなる上りリンクグラントを受信し、次いで、上りリンクにおいて対応するスモールデータ送信を実行する機会が与えられる。
図27に反映される本実装形態では、RRCReleaseメッセージは、延長されるべき監視期間に関する情報を、timer_subsequent値(上記の第1の変形例を参照)としてさらに含むことが例示的に想定されている。したがって、UEは、RRCReleaseメッセージから、指示された時間の間、自身の監視機能を延長すべきであると決定する。
【0224】
当該指示された延長監視期間中、サービングgNBは、必要に応じて、さらなる上りリンクスモールデータ送信をスケジューリングすることができる。延長監視期間が満了すると、UEは、監視機能の実行を停止し、C-RNTIを破棄する。さらに、UEは、非アクティブ状態に留まる。
【0225】
図28は、第2の解決策の例示的な実装形態による、UEとサービングgNBとのメッセージ交換を例示的にかつ簡略化して図示しており、この例示的な実装形態は、2ステップRACH手順を採用する点、および、バッファ状態報告と共にスモールデータ送信を実行するたびに監視期間を延長する(上記の第4の変形例を参照)点で、
図27の実装形態とは異なる。
図28から明らかなように、
図27と同様に、RRCReleaseメッセージ(接続再開要求応答メッセージ)は、監視指示と、延長される監視時間の情報とを含む。一方、延長監視期間は、非アクティブUEによって、すなわち、非アクティブUEがバッファ状態報告と共にスモールデータを送信するたびに、繰返し延長される。UEは、バッファ状態報告なしでスモールデータを送信する場合、監視期間を延長しない、すなわち、監視期間を延長する必要がない、なぜなら、サービング基地局は、バッファ状態報告がUEから受信されなかったことを考慮して、他の上りリンクグラントを発行しないからである。
【0226】
第2の解決策のさらなる変形例によれば、上りリンクグラントは、接続再開要求応答メッセージ(例えば、RRCReleaseメッセージ)内でUEに直接提供することができる。これにより、UEは、接続再開要求応答メッセージに続いて、第1の後続の上りリンクスモールデータ送信を早期に送信することができる。
【0227】
上記したように、UEは、さらなる上りリンクリソース割当てを受信し、次いで上りリンクスモールデータ送信を実行できるようにするために、監視機能を継続する(すなわち、延長する)。一方、第2の解決策のさらなる変形例によれば、監視は、下りリンクリソース割当ての受信をも含んで、そして、(以前に受信された下りリンクリソース割当てに基づいて)サービングgNBによる後続の下りリンク(スモール)データ送信を受信し得る。また、例えば、そのような下りリンクリソース割当ての受信(または代替的に、DLスモールデータ送信の後続の受信)は、UEが監視期間を繰り返し延長することをトリガーし得る。
【0228】
上記した第2の解決策によれば、サービングgNBは、接続再開要求応答メッセージ(例えば、RRCReleaseメッセージ)を使用して、UEに必要な情報を提供することにより監視機能を延長してマルチスモールデータ送信手順を実施する。したがって、接続再開要求応答メッセージは、(例えば、アンカーgNBから取得されたUEコンテキストに基づいて)UEを認証した後にサービングgNBによって送信される。監視通知の後に送信されるULグラントは、UEが認証された場合にのみ提供される。したがって、例えば、第1の解決策と比較して、リソースが浪費されるリスクは減少する。
【0229】
したがって、他方において、第2の解決策は、UEが最初に認証されることを必要とし、それによって、UEによって実行されるULスモールデータ送信に対して遅延を導入する。
【0230】
<第3の解決策>
【0231】
改良されたスモールデータ送信手順(ならびにその変形例および実装形態)の第3の解決策によれば、サービング基地局は、UEが監視機能を延長すべきか否かを指示する監視指示を含めるためにリソース割当てメッセージを使用する。
【0232】
したがって、少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために監視機能を延長するか否かをUEが決定する基礎となる上記したメッセージは、(例えば、DCIメッセージなど、下りリンクまたは上りリンクのための)リソース割当てメッセージである。
【0233】
したがって、このリソース割当てメッセージは、非アクティブUEが監視機能を延長するか否かを決定するための監視指示を含み得る。この監視指示は、例えば、第2の解決策の場合と同様に実装することができ、例えば、例示的にflag_subsequentと呼ばれるフラグの形態であり得る。監視指示の1つの値は、UEに、そのUE識別情報にアドレス指定された後続の上りリンクグラントを監視するよう指示し(例示的に、肯定的監視指示(positive monitoring indication)と呼ばれる)、一方、監視指示の他の値は、UEに、そのUE識別情報にアドレス指定された後続の上りリンクグラントを監視しないよう指示する(例示的に、否定的監視指示(negative monitoring indication)と呼ばれる)。
【0234】
次いで、非アクティブUEは、特定の延長監視期間の間監視機能を延長することによって、または、指示された通りに監視機能を停止することによって、監視指示に従う。
【0235】
リソース割当てメッセージは、UEに監視機能を継続するよう指示するためにサービングgNBによって繰り返し使用され得る。これにより、第3の解決策は、UEが、監視指示を繰り返し受信することに従って監視機能の延長をどのくらい継続するかに関して柔軟である。
【0236】
1つの例示的な第1の変形例によれば、UEは、少なくとも、リソース割当ての監視指示が、UEが監視機能を延長するべきであることを指示する限り、監視機能を継続する。UEが否定的監視指示(すなわち、監視機能を延長しない指示)を受信すると、UEは、監視機能を停止する。ただし、例えば、UEが依然として接続再開要求応答メッセージ(例えば、RRCReleaseメッセージ)を監視し、場合によっては受信しなければならないために、タイマT319が依然として動作中であるなど、他の理由によって、監視機能を継続しなければならない場合を除く。
【0237】
上記の第1の変形例に加えて、または上記の第1の変形例に代えて、UEは、他の例示的な第2の変形例によれば、監視指示によって特定の監視期間だけ監視機能を延長するよう指示されている場合、そのように監視機能を延長する。この延長監視期間の量は、例えば、UEにおいて既に利用可能な情報に基づいて定義することができる。例えば、延長監視時間の量は、例えば、サービング基地局からブロードキャストされるシステム情報によって、もしくは現在もしくは以前の基地局からの以前に受信された上位レイヤ(例えば、RRC)構成メッセージによって、もしくはUEのユニバーサル加入者識別モジュール(Universal Subscriber Identify Module)に記憶された設定によって、事前に定義することができ、または、3GPP技術規格の要求の中で定義することができる。
【0238】
この延長監視期間は、サービングgNBからリソース割当てにおいて肯定的監視指示を受信するたびに再開される。
【0239】
例えば、上記は、特定の時間量を有する新しいタイマ(例示的にT319’と呼ばれる)を使用することによって例示的に実装することができる。この新しいタイマT319’は、リソース割当てにおいて肯定的監視指示を受信したときに始動または再始動される。この新たなタイマT319’は、UEに監視機能を停止するよう指示する否定的監視指示を受信したときに停止される。最後に、このT319’タイマが満了した時も、UEは、監視機能の実行を停止する。
【0240】
この第2の変形例のメカニズムは、上述の第1の変形例のメカニズムに加えて使用することができ、したがって、例えば、否定的監視指示を有するリソース割当てが欠落している場合に、UEが監視機能を無期限に継続することを回避する。
【0241】
非アクティブUEによって実行される監視機能は、(上りリンクまたは下りリンク)リソース割当てがサービング基地局によってアドレス指定可能な、以前に割り当てられたUE識別情報(例えば、C-RNTI)に基づく(例えば、第1の解決策についての説明を参照)。したがって、UE識別情報は、必要とされる限りアライブ状態のまま保たれることができ、必要がなくなれば、UEによって破棄される(および、場合によっては、サービング基地局によって他のUEに再び割り当てられる)。
【0242】
例示的な一実装形態によれば、リソース割当てメッセージにおける監視指示は、UEに後続のリソース割当てを提供するために次いで使用されるUE識別情報の有効性を制御する方法にも直接的な影響を及ぼす。一般に、UE識別情報の有効性および破棄は、監視機能に基づいて制御することができるため、UEは、監視機能を実行し続ける場合、UE識別情報を維持すると決定し、UEは、監視機能の実行を停止すると決定する場合、UE識別情報を破棄すると決定する。
【0243】
例えば、UEは、監視機能を拡張しないよう指示する否定的監視指示を受信した場合、UE識別情報を破棄すると決定する。先行技術および第1の解決策と比較して、UE識別情報は、接続再開要求応答メッセージ(例えば、RRCReleaseメッセージ)の受信時に必ずしもUEによって破棄されない。むしろ、UE識別情報は、監視指示および監視機能に従って、UEによってアライブ状態のままに保たれる。
【0244】
また、UEは、(例えば、上記した様々な変形例の1つに基づいて)監視機能を停止する場合、もはや必要でないUE識別情報の破棄に進んでもよい。
【0245】
例示的な実施態様によれば、UE識別情報の有効性は、2つのタイマを使用することによって制御される。第1のタイマは、接続再開要求手順に要する時間を制御するために使用される。加えて、第2のタイマがUEによって作動し、UE識別情報の寿命(有効性)を延長することに用いられる。この第2のタイマは、サービング基地局から肯定的監視指示を有する最初のリソース割当てを受信した時に初めて始動され、その後、サービング基地局からリソース割当てにおける肯定的監視指示を受信するたびに毎回再始動される。次いで、UE識別情報は、第1および第2のタイマのいずれか1つが動作している限りアライブ状態のままであるが、第1のタイマおよび第2のタイマがいずれももはや動作していない(例えば、満了しているか、または停止された)ときに破棄される。
【0246】
5G-NR規格に準拠する実装形態によれば、監視指示を搬送するリソース割当ては、上りリンクリソース割当てまたは下りリンクリソース割当てのいずれかを参照することができ、上りリンクに対するDCIフォーマット0_1または0_2および下りリンクに対するDCIフォーマット1_1または1_2を使用して実装することができる。
【0247】
上記の第2の解決策で使用される接続再開要求応答メッセージの代わりに、監視指示を搬送するメッセージとしてリソース割当てを使用することによって、サービングgNBは、アンカーgNBからのUEコンテキストの取得から独立して監視指示をUEに提供することができる。言い換えれば、監視指示を搬送する第1のリソース割当ては、UEコンテキストの取得の前または後に、例えば、非アクティブUEを認証する前または後に、サービングgNBによってUEに送信することができる。したがって、サービングgNBは、UEを実際に認証する前に、監視指示と共にリソース割当てを送ることによって、あり得る上りリンクスモールデータ送信の遅延の低減を決定することができ、または、サービングgNBは、UEを肯定的に認証した後に、監視指示と共にリソース割当てを送ることによって、不正なUEで無線リソースを浪費するリスクの低減を決定し得る。
【0248】
図29および
図30は、第3の解決策の2つの異なる例示的な実装形態を反映している。
図29は、第3の解決策の例示的な実装形態による、UEとサービングgNBとのメッセージ交換を例示的にかつ簡略化して示している。
図29は、
図16(または
図22、
図27)の実装形態について説明したのと同様の例示的な想定をしている。例えば、スモールデータ送信のために4ステップのランダムアクセス手順がUEによって開始されることが例示的に想定されている。さらに、UEのUEコンテキストがアンカーgNBに存在し、UEが現在サービス提供を受けているサービングgNBにキャンプしていると例示的に想定されている。したがって、サービングgNBは、UEの認証を実行するために、アンカーgNBからUEコンテキストを取得する必要がある。
【0249】
図29から明らかなように、上りリンクグラントは、監視指示(flag_subsequent)を有し、この監視指示は、UEに監視機能を延長するよう指示する(例示的には、値がflag_subsequent=1の場合)かまたは監視機能を延長しないよう指示する(例示的には、値がflag_subsequent=0の場合)かのいずれかである。
図29の例示的な実装形態は、UE識別情報(例えば、C-RNTI)の有効性を制御するための新しいタイマT319’の上記した使用に基づいている。
【0250】
したがって、
図29に示すように、UEが上りリンクグラントにおいて肯定的監視指示を受信する場合、新たなタイマT319’が始動または再始動され、その後、UEは、監視機能を延長し、これにより、後続の上りリンクグラントを受信することができ、したがって、対応するスモールデータ送信を実行することができる。肯定的監視指示を有する上りリンクグラントのこのような交換および後続のスモールデータ上りリンク送信は、サービングgNBとUEとの間で繰り返し実行され得る。
【0251】
上記の解決策に関して説明したように、UEは、例えば、スモールデータと一緒に送信される(または一緒には送信されない)バッファ状態報告における対応する情報を提供することによって、さらなる上りリンクスモールデータ送信が必要とされていることを基地局に示し得る。したがって、サービングgNBは、さらなる上りリンク無線リソースを非アクティブUEに割り当てるべきか否かを決定することができる。
【0252】
図29の実装形態では、例示的に、サービングgNBは、上りリンクスモールデータ送信が終了するまで、RRCReleaseメッセージを送信するのを待機すると想定されている。RRCReleaseメッセージを受信した時に、非アクティブUEは、第1のタイマT319を停止し、さらにC-RNTIを破棄する。RRCReleaseメッセージの指示されたUE状態に従って、UEは、非アクティブ状態に留まる。あるいは(また、
図30による例示的な実装形態にも示されるように)、サービングgNBは、より早く(例えば、UEコンテキストを取得しUEを肯定的に認証した直後に)RRC解放メッセージを送信し得る。
【0253】
図30は、第3の解決策の他の例示的な実装形態による、UEとサービングgNBとのメッセージ交換を例示的にかつ簡略化して示している。この例示的な実装形態は、例えば、上記の
図29による実装形態と、2ステップRACH手順を使用すること、サービング基地局からRRCReleaseメッセージをより早くに送信すること、および、新しいタイマを使用(始動および再始動)せず、むしろ、対応する上りリンクリソース割当てにおいて受信した監視指示に従うことで、異なっている(上記の第1の変形例を参照)。
【0254】
したがって、延長監視期間は、肯定的監視指示(flag_subsequent=1を含む上りリンクグラントとして示される)を受信した時にUEによって開始され、否定的監視指示(flag_subsequent=0を含む上りリンクグラントとして示される)を受信した時に停止される。
【0255】
さらに、サービングgNBは、アンカーgNBからUEコンテキストを取得しかつUEを肯定的に認証した直後に、RRCReleaseメッセージをUEに送信すると決定する。サービングgNBから上記RRCReleaseメッセージを受信した時に、UEは、T319タイマを停止するが、以前に受信した肯定的監視指示のために、サービング基地局からのさらなる上りリンクグラントについて監視を継続する。
【0256】
スモールデータ送信手順は、サービングgNBが最後の上りリンクグラントを有する否定的監視指示を送信することによって終了し、UEは、その時点で監視機能を停止し、C-RNTIを破棄する。以前に受信したRRC解放メッセージおよびメッセージ内において指示されたUE状態に従って、UEは非アクティブ状態に留まる。
【0257】
上記したように、UEは、さらなる上りリンクリソース割当てを受信し、次いで上りリンクスモールデータ送信を実行できるようにするために、監視機能を継続する(すなわち、延長する)。一方、第3の解決手段のさらなる変形例によれば、監視は、(場合によっては監視指示を有する)下りリンクリソース割当ての受信を含んで、そして、(以前に受信された下りリンクリソース割当てに基づいて)サービングgNBによる後続の下りリンク(スモール)データ送信を受信し得る。また、例えば、監視指示を有するそのような下りリンクリソース割当ての受信は、UEが監視期間を延長または停止することをトリガーする。
【0258】
<第4の解決策>
【0259】
改良されたスモールデータ送信手順(ならびにその変形例および実装形態)の第4の解決策によれば、UEは、特に、UEが、さらなるスモールデータが送信可能なままであると決定するか否かに基づいて、可能なさらなる上りリンクリソース割当てを受信することができるように、いつ監視機能を延長するかを独立して制御する。
【0260】
より具体的には、UEは、送信可能なさらなるスモールデータはないと決定した場合(例えば、すべてのスモールデータが、Msg3もしくはMsgAにおいて、または後続の上りリンクスモールデータ送信によって、送信され得る場合)、さらなるULグラントを受信するために監視機能を延長する必要はない。ただし、UEは、以前に送信された接続再開要求メッセージ(例えば、RRCResumeRequestメッセージ)への応答として予期される接続再開要求応答メッセージ(例えば、RRCReleaseメッセージ)を受信することができるように監視機能を継続し得る。
【0261】
一方、UEは、さらなるスモールデータが送信可能であると決定した場合、例えば、すべてのスモールデータが以前のスモールデータ送信において送信され得なかった場合、監視機能を延長する。
【0262】
第4の解決策のさらなる例示的な実装形態によれば、UEは、監視機能を延長するか否かを決定すること対応付けてサービング基地局にバッファ状態報告を送信すると決定する。特に、バッファ状態報告は、送信可能なスモールデータがまだあるときに送信される。一方、送信可能なスモールデータがない場合、バッファ状態報告は、UEによって送信される必要はない。
【0263】
したがって、サービング基地局は、バッファ状態報告の受信または非受信に基づいて、UEがその監視機能を延長したか否かを認識する。次いで、サービング基地局は、対応する上りリンクグラントを非アクティブUEに送信するか否かを依然として決定することができる。
【0264】
例えば、サービング基地局は、UEのバッファに送信可能なさらなるスモールデータがあることを示すバッファ状態報告をUEから受信するが、UEに上りリンクグラントを送信しないと決定してよい。この場合、UEは、監視機能を継続するが、基地局からいかなる上りリンクグラントも受信しない。
【0265】
図31は、第4の解決策の例示的な実装形態による、UEとサービングgNBとのメッセージ交換を例示的にかつ簡略化して示している。
図31による例示的な実装形態は、
図16(または
図22)の実装形態について説明したのと同様の例示的な想定をしている。例えば、スモールデータ送信のために4ステップのランダムアクセス手順がUEによって開始されることが例示的に想定されている。さらに、UEのUEコンテキストがアンカーgNBに存在し、UEが現在サービス提供を受けているサービングgNBにキャンプしていると例示的に想定されている。したがって、サービングgNBは、UEの認証を実行するために、アンカーgNBからUEコンテキストを取得する必要がある。
【0266】
図31から明らかなように、監視機能の延長は、スモールデータが送信可能であるか否かに応じて、UEによって制御される。例示的に、UEは、Msg3を使用する最初のスモールデータ送信(バッファ状態報告と一緒)の後に、スモールデータが依然として送信可能であると決定し、したがって、監視機能を継続すると想定する(監視機能は、いずれにせよ、RRCReleaseメッセージを受信できるようにするためにその時にはUEによって実行される)。しかし、RRC解放メッセージを受信し、対応するT319タイマを停止した後も、UEは、スモールデータが依然として送信可能であることを考慮して監視機能を継続する。したがって、UEは、後続の上りリンクグラントを受信し、対応する上りリンクスモールデータ送信を実行することができる。あるいは、監視機能の延長は、UEがバッファ状態報告を送信した時にT319が再始動されるように実装される。
【0267】
また、例示的に、スモールデータ送信後にもさらなるスモールデータが送信可能なままであり、UEは、監視機能を再び延長すると決定し、また、スモールデータと共にバッファ状態報告をサービング基地局に送信すると決定することが想定される。
【0268】
したがって、UEは、サービング基地局からさらなる上りリンクグラントを受信することができ、残りのスモールデータをサービング基地局に送信する。ここで、例示的に、UEに送信可能なさらなるスモールデータが残っておらず、したがって、UEは、監視機能を停止し、また、サービング基地局にバッファ状態報告を送信しないことが想定される。
【0269】
<さらなる変形例>
【0270】
以上、改良されたスモールデータ送信手順の多数の解決策、変形例、および実装形態について説明した。例えば、マルチスモールデータ送信手順をどのように実装することができるかに関して、4つの異なる解決策(およびそれぞれの変形例)をした。
【0271】
改良されたスモールデータ送信手順の説明された解決策および実装形態では、UEは、非アクティブ状態(アイドル状態および接続状態にも言及した)にあると説明されている。特定の5G-NR準拠の変形例によれば、UEは、RRC_INACTIVE状態(上記した非アクティブ状態に対応する)、RRC_CONNECTED状態(上記した接続状態に対応する)、またはRRC_IDLE状態(上記されていない)にあってもよい。
【0272】
上記4つの解決策の変形例のさらなるセットは、非常に長いマルチSDT手順を有するという上記の課題に対処する。それに関連して考えられる1つの問題は、UEが、このマルチSDT手順中に他のセルに移動する可能性があることである(この問題は、シングルSDT手順でも起こり得るが、その可能性はずっと低い)。その結果、例えば、古いサービングgNBによって許可された無線リソースは、新たなサービングgNBにキャンプする場合、UEによってもはや使用することができない。
【0273】
この問題を解決する1つの変形例によれば、UEは、サービングセルのリンク品質が一定のしきい値を下回ると、自身のサービング基地局に通知することができる。この場合、UEは、次の上りリンクグラントを使用して、空のバッファを示すバッファ状態報告と、スモールデータとを多重化することができる。サービング基地局は、バッファ状態報告から、この非アクティブUEのためにさらなる上りリンクスモールデータ送信をスケジューリングする必要はないと決定する。したがって、UEのモビリティに起因する、後続の上りリンクデータ送信のために割り当てられたULグラントを利用することができないという問題を防止することができる。
【0274】
この問題を解決するための他の変形例によれば、UEは、(上記変形例のように)UEが他のセルに移動することをサービングgNBに通知せず、代わりに、gNBは、上記4つの解決策の各々に対応するタイマ/カウンタにもっと小さい値を設定する。これは、マルチSDT手順の継続時間全体を短縮するためであり、したがって、上述の問題を軽減することができる。
【0275】
これに関連して議論される他の問題は、UEが、以前に送信したULデータが古いサービングgNBによって正しく受信されたか否かを確認することができないことである。この場合、いくつかのULデータは、依然としてHARQバッファに残ったままである可能性がある。
【0276】
この問題を解決するための1つの変形例によれば、UEは、論理チャネルの対応するバッファが空であっても、HARQバッファに残っている上りリンクデータに基づいて、スモールデータ送信手順を依然として開始してもよい。典型的には、いくつかの先行技術の解決策では、論理チャネルバッファにおいて待ち行列に入れられている上りリンクデータのみが、スモールデータ送信手順をトリガーする。
【0277】
この問題を解決するための他の変形例によれば、UEは、HARQバッファ状態または論理チャネルバッファ状態にかかわらずセルを再選択し、必要に応じて、RLC/TCPリカバリーメカニズムなど、システムの上位レイヤによって提供されるリカバリーメカニズムが使用される。
【0278】
<さらなる態様>
【0279】
第1の態様によれば、以下を有するユーザ機器(UE:User Equipment)が提供される。前記UEの受信機は、前記UEに現在サービスを提供(サービング)している基地局からUE識別情報の割当てを受信する。前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にある。前記UE識別情報は、前記サービング基地局から送信される、少なくとも上りリンクリソース割当てを含む、リソース割当ての受信のための監視機能を実行するために前記非アクティブUEによって使用可能である。前記受信機は、前記UE識別情報に基づいて、前記サービング基地局から送信された上りリンクリソース割当てを受信する。当該受信された上りリンクリソース割当てによって、スモールデータの送信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースが割り当てられる。前記UEの送信機は、前記受信された上りリンクリソース割当てに基づいて、前記スモールデータの前記サービング基地局への送信を実行する。プロセッサは、前記UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために前記監視機能を延長するか否かを決定し、当該決定は、前記サービング基地局から受信されたメッセージに基づくか、または前記UEが送信可能なさらなるスモールデータを有するか否かに基づく。
【0280】
前記第1の態様に加えて提供される第2の態様によれば、前記メッセージは、前記受信された上りリンクリソース割当てであり、前記プロセッサは、前記上りリンクリソース割当ての受信時に、または前記受信された上りリンクリソース割当てに基づく前記スモールデータの送信の実行時に、または前記さらなるスモールデータが前記UEにより送信可能であることを示すバッファ状態報告の送信時に前記監視機能を延長すると決定する。
【0281】
前記第2の態様に加えて提供される第3の態様によれば、前記UE識別情報の破棄は、1つまたは2つのタイマに基づいて制御され、当該制御は、
前記UE識別情報の有効性を制御するために1つのタイマを動作させることを含み、前記タイマは、前記監視機能の実行開始時に始動され、前記タイマは、前記上りリンクリソース割当ての受信時に、もしくは前記スモールデータの前記送信の実行時に、もしくは前記さらなるスモールデータが前記UEにより送信可能であることを示す前記バッファ状態報告の送信時に再始動され、前記プロセッサは、前記タイマの満了時に前記UE識別情報を破棄すると決定する、または
前記UE識別情報の有効性を制御するために第1のタイマおよび第2のタイマをそれぞれ動作させることを含み、前記第1のタイマは、前記監視機能の実行開始時に始動され、前記第2のタイマは、前記上りリンクリソース割当ての受信のたびに、もしくは前記スモールデータの前記送信の実行のたびに、もしくは前記さらなるスモールデータが前記UEにより送信可能であることを示す前記バッファ状態報告の送信のたびに始動されもしくは再始動され、前記プロセッサは、前記第1のタイマおよび前記第2のタイマがいずれも動作していない場合、前記UE識別情報を破棄すると決定する。
【0282】
前記第2または第3の態様に加えて提供される第4の態様によれば、前記受信機は、前記非アクティブUEに前記非アクティブ状態に留まるよう指示するUE状態指示メッセージを前記サービング基地局から受信する。前記UE識別情報は、前記UE状態指示メッセージの受信時に、破棄される。1つのオプション実装において、前記プロセッサは、前記UE状態指示メッセージの受信時に他の上りリンクリソース割当てを受信するための前記監視機能の実行を停止する。他のオプション実装において、前記UE状態指示メッセージは、前記非アクティブUEによって前記サービング基地局に以前に送信された接続再開要求メッセージに対する応答である。
【0283】
前記第1の態様に加えて提供される第5の態様によれば、前記プロセッサは、前記メッセージが、前記非アクティブUEに前記監視機能を延長するよう指示する監視指示を含む場合、前記監視機能を延長すると決定する。前記メッセージは、前記非アクティブUEに前記非アクティブ状態に留まるよう指示し、かつ、前記監視機能を延長するか否かを指示する前記監視指示を含む、UE状態指示メッセージである。1つのオプション実装において、前記UE状態指示メッセージは、前記非アクティブUEによって前記サービング基地局に以前に送信された接続再開要求メッセージに対する応答である。
【0284】
前記第5の態様に加えて提供される第6の態様によれば、前記プロセッサは、ある量の監視時間に到達した時に、他の上りリンクリソース割当ての受信のための前記監視機能の実行を停止する。前記監視時間の量は、前記メッセージに含まれる情報に基づいて、または前記非アクティブUEによって利用可能な事前設定済み情報に基づいて決定され、オプションで、前記事前設定済み情報は、前記サービング基地局からブロードキャストされるシステム情報によって、または基地局からの以前の上位レイヤ構成メッセージによって、または前記非アクティブUEのユニバーサル加入者識別モジュール(Universal Subscriber Identity module)から、または技術規格の要件から、前記UEに提供される。1つのオプション実装において、前記監視時間の量は、前記上りリンクリソース割当ての受信時に、または前記受信された上りリンクリソース割当てに基づく前記スモールデータの前記送信の実行時に、または前記さらなるスモールデータが前記UEにより送信可能であることを示すバッファ状態報告の送信時に、延長される。
【0285】
前記第5または第6の態様に加えて提供される第7の態様によれば、前記メッセージは、上りリンクリソース割当ての数に関する情報をさらに提供する。前記プロセッサは、前記数の上りリンクリソース割当てを受信した時に、他の上りリンクリソース割当ての受信のための前記監視機能の実行を停止する。
【0286】
前記第5から第7の態様の1つに加えて提供される第8の態様によれば、前記監視指示は、
● 前記UE状態指示メッセージに含まれ、または
● 前記UE状態指示メッセージと共に送信され、または
● 前記UE状態指示メッセージを受信するために前記非アクティブUEによって使用可能な下りリンク無線リソースを割り当てる下りリンクリソース割当てに含まれる。
【0287】
前記第5から第8の態様の1つに加えて提供される第9の態様によれば、前記UE識別情報の破棄は、前記監視機能に基づいて制御される。1つのオプション実装において、前記プロセッサは、前記監視機能の実行を停止すると決定した時に前記UE識別情報を破棄すると決定する。1つのオプション実装において、前記プロセッサは、前記監視指示が、前記非アクティブUEに前記監視時間を延長しないよう指示する場合、前記UE識別情報を破棄すると決定する。
【0288】
前記第1の態様に加えて提供される第10の態様によれば、前記プロセッサは、前記メッセージが、前記非アクティブUEに前記監視機能を延長するよう指示する監視指示を含む場合、前記監視機能を延長すると決定する。前記メッセージは、データの送受信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースを割り当て、かつ、前記監視機能を延長するか否かを指示する監視指示を含む、リソース割当てである。1つのオプション実装において、前記プロセッサは、前記リソース割当ての前記監視指示が前記監視機能を延長しないよう指示する場合、前記監視機能を停止する。
【0289】
前記第10の態様に加えて提供される第11の態様によれば、前記UE識別情報の破棄は、前記監視指示に基づいて制御される。前記プロセッサは、前記監視指示が前記監視機能を延長しないよう指示する場合、前記UE識別情報を破棄すると決定する。または、前記UE識別情報の破棄は、2つのタイマに基づいて制御され、前記制御は、
前記UE識別情報の有効性を制御するために第1のタイマおよび第2のタイマをそれぞれ動作させることを含み、前記第1のタイマは、前記監視機能の実行開始時に始動され、前記第2のタイマは、前記監視指示が前記監視機能を延長するよう指示する場合に始動されまたは再始動され、前記プロセッサは、前記第1のタイマおよび前記第2のタイマがいずれも動作していない場合、前記UE識別情報を破棄すると決定する。
【0290】
前記第1の態様に加えて提供される第12の態様によれば、前記プロセッサは、前記UEが送信可能なさらなるスモールデータを有する場合、前記監視機能を拡張すると決定する。1つのオプション実装において、前記送信機は、前記非アクティブUEが送信可能なさらなるスモールデータを有する場合、バッファ状態報告を前記サービング基地局に送信する。1つのオプション実装において、前記バッファ状態報告は、前記スモールデータと共に送信される。
【0291】
前記第1から第12の態様の1つに加えて提供される第13の態様によれば、前記UE識別情報は、前記非アクティブUEと前記サービング基地局の間で実行されるランダムアクセス手順中に前記非アクティブUEに割り当てられる。1つのオプション実装において、前記ランダムアクセス手順は、2つのステップを含み、第1のスモールデータの送信は、前記2ステップランダムアクセス手順の第1のメッセージによって実行される。1つのオプション実装において、前記ランダムアクセス手順は、4つのステップを含み、前記第1のスモールデータの前記送信は、前記4ステップランダムアクセス手順の第3のメッセージによって実行される。1つのオプション実装において、スモールデータの第1の送信は、前記UEと前記基地局の間で実行される前記ランダムアクセス手順の一部として実行される。
【0292】
前記第1から第13の態様の1つに加えて提供される第14の態様によれば、前記非アクティブUEによって前記サービング基地局にバッファ状態報告が送信され、前記バッファ状態報告は、前記非アクティブUEのバッファの送信可能なデータに関する情報を提供する。
【0293】
前記第1から第14の態様の1つに加えて提供される第15の態様によれば、前記非アクティブ状態、前記接続状態、および前記アイドル状態は、無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)プロトコルに関連している。
【0294】
前記第1から第15の態様の1つに加えて提供される第16の態様によれば、前記受信機は、前記非アクティブUEに前記接続状態に遷移するようまたは前記非アクティブ状態に留まるよう指示するUE状態指示を前記サービング基地局から受信する。前記プロセッサは、前記受信されたUE状態指示に従うように前記UEの状態を制御する。1つのオプション実装において、前記UE状態指示は、前記非アクティブUEによって送信された接続要求メッセージに応答して前記基地局によって送信される。
【0295】
第17の態様によれば、ユーザ機器(UE:User Equipment)によって実行される以下のステップ、
前記UEに現在サービスを提供(サービング)している基地局からUE識別情報の割当てを受信するステップであって、前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にあり、前記UE識別情報は、前記サービング基地局から送信される、少なくとも上りリンクリソース割当てを含む、リソース割当ての受信のための監視機能を実行するために非アクティブUEによって使用可能である、ステップと、
前記UE識別情報に基づいて、前記サービング基地局から送信された上りリンクリソース割当てを受信するステップであって、当該受信した上りリンクリソース割当てによって、スモールデータの送信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースが割り当てられる、ステップと、
前記受信した上りリンクリソース割当てに基づいて、前記スモールデータの前記サービング基地局への送信を実行するステップと、
前記UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために前記監視機能を延長するか否かを決定するステップであって、前記決定は、前記サービング基地局から受信したメッセージに基づくか、または前記UEが送信可能なさらなるスモールデータを有するか否かに基づく、ステップと、
を有する方法が提供される。
【0296】
第18の態様によれば、以下を有する基地局が提供される。前記基地局の送信機は、前記基地局によって現在サービスが提供されているユーザ機器(UE:User Equipment)にUE識別情報の割当てを送信し、前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にあり、前記UE識別情報は、少なくとも上りリンクリソース割当てを含むリソース割当てを前記UEに送信するために前記基地局によって使用可能である。前記送信機は、前記UE識別情報に基づいて、前記非アクティブUEに上りリンクリソース割当てを送信し、当該送信された上りリンクリソース割当てによって、スモールデータの送信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースが割り当てられ、また、当該送信された上りリンクリソース割当ては、前記非アクティブUEが前記割り当てられたUE識別情報に基づくリソース割当ての受信のための監視機能を実行することに基づいて前記非アクティブUEによって受信可能である。前記基地局の受信機は、前記送信された上りリンクリソース割当てに基づいて、前記非アクティブUEからの前記スモールデータの受信を実行する。前記送信機は、前記非アクティブUEが前記UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために前記監視機能を延長するか否かを決定する基礎となるメッセージを前記非アクティブUEに送信する。
【0297】
第19の態様によれば、基地局によって実行される以下のステップ、
前記基地局によって現在サービスが提供されているユーザ機器(UE:User Equipment)にUE識別情報の割当てを送信するステップであって、前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にあり、前記UE識別情報は、少なくとも上りリンクリソース割当てを含むリソース割当てを前記UEに送信するために前記基地局によって使用可能である、ステップと、
前記UE識別情報に基づいて、前記非アクティブUEに前記上りリンクリソース割当てを送信するステップであって、当該送信した上りリンクリソース割当てによって、スモールデータの送信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースが割り当てられ、また、当該送信した上りリンクリソース割当ては、前記非アクティブUEが前記割り当てられたUE識別情報に基づくリソース割当ての受信のための監視機能を実行することに基づいて前記非アクティブUEによって受信可能である、ステップと、
前記送信した上りリンクリソース割当てに基づいて、前記非アクティブUEからの前記スモールデータの受信を実行するステップと、
前記非アクティブUEが前記UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために前記監視機能を延長するか否かを決定する基礎となるメッセージを前記非アクティブUEに送信するステップと、
を有する方法が提供される。
【0298】
第20の態様によれば、ユーザ機器(UE:User Equipment)の処理を制御する集積回路であって、前記処理が、前記UEによって実行される以下のステップ、
前記UEに現在サービスを提供(サービング)している基地局からUE識別情報の割当てを受信するステップであって、前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にあり、前記UE識別情報は、前記サービング基地局から送信される、少なくとも上りリンクリソース割当てを含む、リソース割当ての受信のための監視機能を実行するために非アクティブUEによって使用可能である、ステップと、
前記UE識別情報に基づいて、前記サービング基地局から送信された上りリンクリソース割当てを受信するステップであって、当該受信した上りリンクリソース割当てによって、スモールデータの送信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースが割り当てられる、ステップと、
前記受信した上りリンクリソース割当てに基づいて、前記スモールデータの前記サービング基地局への送信を実行するステップと、
前記UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために監視機能を延長するか否かを決定するステップであって、前記決定は、前記サービング基地局から受信したメッセージに基づくか、または前記UEが送信可能なさらなるスモールデータを有するか否かに基づく、ステップと、を含む、
集積回路が提供される。
【0299】
第21の態様によれば、基地局の処理を制御する集積回路であって、前記処理が、前記基地局によって実行される以下のステップ、
前記基地局によって現在サービスが提供されているユーザ機器(UE:User Equipment)にUE識別情報の割当てを送信するステップであって、前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にあり、前記UE識別情報は、少なくとも上りリンクリソース割当てを含むリソース割当てを前記UEに送信するために前記基地局によって使用可能である、ステップと、
前記UE識別情報に基づいて、前記非アクティブUEに上りリンクリソース割当てを送信するステップであって、当該送信した上りリンクリソース割当てによって、スモールデータの送信のために前記非アクティブUEによって使用可能な無線リソースが割り当てられ、また、当該送信した上りリンクリソース割当ては、前記非アクティブUEが前記割り当てられたUE識別情報に基づくリソース割当ての受信のための監視機能を実行することに基づいて前記非アクティブUEによって受信可能である、ステップと、
前記送信した上りリンクリソース割当てに基づいて、前記非アクティブUEからの前記スモールデータの受信を実行するステップと、
前記非アクティブUEが前記UE識別情報に基づく少なくとももう1つの他の上りリンクリソース割当ての受信のために前記監視機能を延長するか否かを決定する基礎となるメッセージを前記非アクティブUEに送信するステップと、を含む、
集積回路が提供される。
【0300】
<ハードウェアおよびソフトウェアによる本開示の実施>
【0301】
本開示は、ソフトウェアによって、ハードウェアによって、またはハードウェアと協働するソフトウェアによって、実施することができる。上述した各実施形態の説明において使用される各機能ブロックは、その一部または全体を、集積回路などのLSIによって実施することができ、各実施形態において説明した各プロセスは、その一部または全体を、同じLSIまたはLSIの組合せによって制御することができる。LSIは、チップとして個別に形成する、または、機能ブロックの一部またはすべてが含まれるように1個のチップを形成することができる。LSIは、自身に結合されたデータ入出力部を含むことができる。LSIは、集積度の違いに応じて、IC(集積回路)、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSIとも称される。しかしながら、集積回路を実施する技術は、LSIに限定されず、専用回路、汎用プロセッサ、または専用プロセッサを使用することによって実施することができる。さらには、LSIの製造後にプログラムすることのできるFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)や、LSI内部に配置されている回路セルの接続および設定を再設定できるリコンフィギャラブル・プロセッサを使用することもできる。本開示は、デジタル処理またはアナログ処理として実施することができる。半導体技術または別の派生技術が進歩する結果として、LSIが将来の集積回路技術に置き換わる場合、その将来の集積回路技術を使用して機能ブロックを集積化することができる。バイオテクノロジを適用することもできる。
【0302】
本開示は、通信の機能を有する任意の種類の装置、デバイス、またはシステム(通信装置と呼ばれる)によって実施することができる。
【0303】
通信装置は、送受信機および処理/制御回路を備えていることができる。送受信機は、受信機および送信機を備えている、および/または、受信機および送信機として機能することができる。送信機および受信機としての送受信機は、増幅器、RF変調器/復調器などを含むRF(無線周波数)モジュールと、1つ以上のアンテナを含むことができる。
【0304】
このような通信装置の非限定的ないくつかの例としては、電話(例:携帯電話、スマートフォン)、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)(例:ラップトップ、デスクトップ、ノートブック)、カメラ(例:デジタルスチル/ビデオカメラ)、デジタルプレイヤー(デジタルオーディオ/ビデオプレイヤー)、ウェアラブルデバイス(例:ウェアラブルカメラ、スマートウォッチ、トラッキングデバイス)、ゲームコンソール、電子書籍リーダー、遠隔医療/テレメディシン(リモート医療・医薬)装置、通信機能を提供する車両(例:自動車、飛行機、船舶)、およびこれらの様々な組合せ、が挙げられる。
【0305】
通信装置は、携帯型または可搬型に限定されず、非携帯型または据付け型である任意の種類の装置、デバイス、またはシステム、例えば、スマートホームデバイス(例:電化製品、照明、スマートメーター、制御盤)、自動販売機、および「モノのインターネット(IoT:Internet of Things)」のネットワーク内の任意の他の「モノ」なども含むことができる。
【0306】
通信は、例えば、セルラーシステム、無線LANシステム、衛星システム、その他、およびこれらの様々な組合せを通じてデータを交換するステップ、を含むことができる。
【0307】
通信装置は、本開示の中で説明した通信の機能を実行する通信デバイスに結合されたコントローラやセンサーなどのデバイスを備えることができる。例えば、通信装置は、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスによって使用される制御信号またはデータ信号を生成するコントローラまたはセンサー、を備えていることができる。
【0308】
通信装置は、インフラストラクチャ設備、例えば、上の非限定的な例における装置等の装置と通信する、またはそのような装置を制御する基地局、アクセスポイント、および任意の他の装置、デバイス、またはシステムなどを、さらに含むことができる。
【0309】
さらに、様々な実施形態は、ソフトウェアモジュールによって実施してもよく、これらのソフトウェアモジュールは、プロセッサによって実行される、または、ハードウェアにおいて直接実行される。また、ソフトウェアモジュールとハードウェア実装の組合せも可能である。ソフトウェアモジュールは、任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体、例えばRAM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD-ROM、DVDなどに格納することができる。さらには、複数の異なる実施形態の個々の特徴は、個別に、または任意の組合せにおいて、別の実施形態の主題とすることができることに留意されたい。
【0310】
特定の実施形態に示した本開示には、多数の変更および/または修正を行い得ることが、当業者には理解されるであろう。したがって、本明細書における実施形態は、あらゆる点において説明を目的としており、本発明を制限するものではないとみなされたい。
【国際調査報告】