(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-16
(54)【発明の名称】高電圧の3タブ型蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20231006BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20231006BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231006BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20231006BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20231006BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H02J7/02 F
H02J7/00 302C
H01M10/0585
H01M10/0587
H01M10/44 P
H01M10/04 W
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519912
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2020078941
(87)【国際公開番号】W WO2022078595
(87)【国際公開日】2022-04-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522374652
【氏名又は名称】アーセーバイオード エス ア エール エル
【氏名又は名称原語表記】AC BIODE S.A R.L.
【住所又は居所原語表記】7, rue du 31 Aout 1942, L-5809 Hesperange, LUXEMBOURG
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水沢 厚志
(72)【発明者】
【氏名】雪田 康夫
【テーマコード(参考)】
5G503
5H028
5H029
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503DA04
5H028AA05
5H028CC01
5H028CC12
5H028HH10
5H029AJ02
5H029AK03
5H029AL07
5H029AM01
5H029BJ02
5H029BJ12
5H029BJ14
5H029HJ18
5H030AA01
5H030AS08
5H030AS11
5H030BB01
5H030BB21
5H030DD11
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
アノード、バイオード及びカソードである3つの電極タブ(端子)をそれぞれ持つ複数のAC電池セルはスイッチを用いてバイオードタブをバイオードタブと互いに又はカソードタブと互いに接続することにより高電圧のシステムとなることができる。同時に、全てのアノードタブは常に互いに接続されている。AC電池のこれらの接続により、バイオードとアノードの間の電圧が安定した状態で、カソードタブとバイオードタブの間に高電圧が付与される。最終的にこのシステムは高電圧の蓄電装置である。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれアノードタブ、バイオードタブ及びカソードタブという3つの電極タブ(端子)を持つm個のAC電池セル(mは1以上の整数)を備え、全てのアノードタブが互いに並列に接続され、m番目のバイオードタブとm番目のカソードタブが、m番目のAC電池セルとm+1番目のセルの間に配置されたスイッチと接触しており、該スイッチがm番目のバイオードタブ-m+1番目のバイオードタブの接触をm番目のカソードタブ-m+1番目のバイオードタブに切り替え、m+1番目が最後のAC電池セルであり、アノードタブとカソードタブがスイッチを持ち、該スイッチがm+1番目のアノードタブ-1番目(m=1)のバイオードタブの接触をm+1番目のカソードタブ-1番目(m=1)のバイオードタブに頻繁に切り替える、高電圧のAC電池式蓄電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の高電圧のAC電池式蓄電装置の充電プロセスであって、最後のm+1番目のAC電池セルのカソードタブと1番目(m=1)のセルのバイオードタブとのスイッチ接続から始めることにより与えられ、それからスイッチ接続がm+1番目のセルのアノードタブと1番目(m=1)のバイオードタブとの接続に切り替わり、そしてこれらのプロセスが連続的に繰り返される、充電プロセス。
【請求項3】
請求項1に記載の高電圧のAC電池式蓄電装置の充電プロセスであって、最後のm+1番目のAC電池セルのアノードタブと1番目(m=1)のセルのバイオードタブとのスイッチ接続から始めることにより与えられ、それからスイッチ接続がm+1番目のセルのカソードタブと1番目(m=1)のバイオードタブとの接続に変わり、そしてこれらのプロセスが連続的に繰り返される、放電プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電流及び交流電力の生成が可能な充電式電池の構成、並びに、充電式電池システム、該充電式電池システムを充電するために構成された充電器及び同充電式システムを放電するために構成された放電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電力の供給と使用は、電力供給のインフラストラクチャである電気回路及び配電網内で交流電力(AC)と直流電力(DC)を混合することにより、最大の効率を得るべく最適化されてきている。
【0003】
充電式(二次)電池は重要な電力供給源であるにも関わらず、歴史的にただDCとしてのみ開発され、使用されてきた。ひとえにDC二次電池のせいで、これまで移動体用の電気回路及び自動車の電源装置において最大の効率を設計するための最良の方法が存在していなかった。
【0004】
二次電池において、ACで充電及び放電する形式のものが特許文献1及び2に提案されている。この形式の充電式電池を「AC電池」と呼ぶ。これは、多くの目的で電気回路の最も効率的な設計を描くための様々な観点を与える。AC電池の単一のセルは正極(アノード:Anode)、両性極(バイオード:Biode)及び負極(カソード:Cathode)という3つのタブ(端子)を持つ。電極材料の電位の順序は(低い側)アノード<バイオード<カソード(高い側)である。バイオードはスイッチ回路を通じて両性極として働く。そしてこのセルはACで充電及び放電することができる(特許文献1及び2)。
【0005】
AC電池の単一セルの内部の電極構成パターンは極めて多様であるが、それと同時に主に2つのカテゴリに分けられる(表。後掲)。表の左列は電極の総数が4n+5(nは0以上の整数を意味する)である第1のカテゴリを示している。このカテゴリでは、アノード(A)、バイオード(B)及びカソード(C)という3種類の電極が対称に構成されている。そして更に計4n+5個の電極が2つのパターンに分類される。即ち、n+1個のアノード、2n+2個のバイオード及びn+2個のカソードと、n+2個のアノード、2n+2個のバイオード及びn+1個のカソードである。例えばn=0のとき、電極の総数は5であり、2つの電極構成パターンが存在する。1つ目は、1つのアノード(A)、2つのバイオード(B)及び2つのカソード(C)であり、これは表の第1行に一例として示した電極構成ではCBACBと表されている。次は、2つのアノード(A)、2つのバイオード(B)及び1つのカソード(C)であり、これはABCBAと表されている。nの数に関わらずセルには3つしかタブがない。それは内部の接触がA-A-…、B-B-…、及びC-C-…となっているからである。
【0006】
電極総数の第2のカテゴリはnをゼロ以上の整数として4n+3であり、表の右列に現れている。この第2のカテゴリでは、アノード(A)、バイオード(B)及びカソード(C)という3種類の電極の構成パターンは、ABC(n=0)、ABCBABC(n=1)、ABCBABCBABC(n=2)、ABCBABCBABCBABC(n=3)、等のように常に非対称である。整数nが1に等しいとき、表の第2列に例示されているABCBABC(n=1)という電極構成パターンにおいて、A-A、B-B-B、C-Cのように同じ種類の電極を内部で接続しなければならない。
【0007】
電極間には必ずセパレータが挿入されており、全てのセルが電解液を含んでいる。
【0008】
AC電池セルを制御するためのスイッチは、(1)アノード-バイオード、(2)バイオード-カソード、及び、(3)フリー(これはどの電極間にも接続がないことを意味する)という3通りの接続を持つことができる。
【0009】
AC電池の放電プロセスを
図4に示す。このAC電池セルはアノードとして黒鉛(C
6)、バイオードとしてチタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12)、そしてカソードとしてコバルト酸リチウム(LiCoO
2)を用いて構成されている。放電の最初のステップはアノードとバイオードの接続で始まる。電圧が
図4中の(a)のようにマイナス(-)1.37Vを示す。するとスイッチがカソードとバイオードの接続に切り替わる。電圧が
図4中の(b)のようにプラス(+)2.33Vになる。セルは交流の電力及び電流を発生させる。
【0010】
AC電池の放電プロセスはセルの最大容量を引き出すことが可能である。なぜアノード-バイオードとバイオード-カソードの両方の電位を0Vにできるかという理由。AC電池はLiCoO
2の技術的に最も大きい容量としての最大容量160mAhg
-1(
図4)を利用するが、市販のリチウムイオン電池は3Vまで放電することができ、これは利用可能な容量120~140mAhg
-1を意味している。
【0011】
市販のリチウムイオン電池(LIB)の集電体である銅箔はアノード(C6)-カソード(LiCoO2)電圧が3V未満に下がると溶解する。これは、電池が燃えて爆発する可能性が非常に高いため、LIBの利用者にとって最も危険なことである。
【0012】
アノードがカソードと接触する市販のリチウムイオン電池の設定は、電圧が3V未満の状態では基本的に爆発の危険をもたらす。なぜなら、LiCoO2のカソードが活性電子を持たない黒鉛のアノードからより多くの電子を要求するからである。結果として、銅箔が黒鉛とともに溶解してカソードに電子を与える。この現象を阻止する方法はない。
【0013】
AC電池システムでは、作動中にアノードがバイオードと接続される。アノードは決してカソードとは接続されない。よってAC電池はまったく安全である。アノードの銅箔はシステムが0V状態にあっても決して溶解しない。
【0014】
黒鉛のアノード、Li
4Ti
5O
12のバイオード及びLiCoO
2のカソードを電極とするAC電池システムにおいて、アノードが60℃で60日間、ほぼ0V(0~14.2mV)で維持された。アノードの銅箔に損傷はない(
図5)。AC電池はまったく安全である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2016-171075号公報
【特許文献2】国際公開第2021/204364号
【発明の概要】
【0016】
AC電池は非常に安全なシステムであるものの、その電圧は市販のLIBよりも決定的に低い。例えば、LiCoO2のカソードとLi4Ti5O12のバイオードの間のプラス電圧は通常2.33V、バイオードと黒鉛のアノードとの間のマイナス電圧は平均で-1.37Vしかないが、普通のLIBの電圧は3.7Vである。これは様々な種類の回路を用いる上で問題である。
【0017】
AC電池の長所は、アノードが、作動時にバイオードと接続されることにより、完全に安定していることである。
【0018】
アノード、バイオード及びカソードである3つの電極タブ(端子)をそれぞれ持つ複数のAC電池セルはスイッチを用いてバイオードタブをバイオードタブと互いに又はカソードタブと互いに接続することにより高電圧のシステムとなることができる。同時に、全てのアノードタブは常に互いに接続されている。
【0019】
AC電池のこれらの接続により、バイオードとアノードの間の電圧が安定した状態で、カソードタブとバイオードタブの間に高電圧が付与される。
【0020】
最終的にこのシステムは高電圧の蓄電装置である。
【0021】
交流電流及び電力の高電圧蓄電装置が、アノードがバイオードに接続されたまったく安全な状況で実現される。高電圧の交流電流及び電力は、極めて安全なドローン、電気自転車及び電気自動車を効果的に製造するために必要である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】3つのAC電池と、4つのスイッチを持つ接触電線との構成。スイッチの制御回路は図示せず。
【
図1B】3つのAC電池と、4つのスイッチを持つ接触電線との上部の構成。
【
図1C】3つのAC電池と、4つのスイッチを持つ接触電線との下部の構成。
【
図2】1つの黒鉛のアノード、1つのLi
4Ti
5O
12のバイオード及び1つのLiCoO
2のカソードを持つ3つのAC電池の構成の放電プロセスとそのグラフ。スイッチの制御回路は図示せず。
【
図3】1つの黒鉛のアノード、2つのLi
4Ti
5O
12のバイオード及び2つのLiCoO
2のカソードを持つ3つのAC電池の構成の放電プロセスとそのグラフ。スイッチの制御回路は図示せず。
【
図4】1つの黒鉛のアノード、1つのLi
4Ti
5O
12のバイオード及び1つのLiCoO
2のカソードを持つ単一のAC電池の構成の放電プロセスとそのグラフ。スイッチの制御回路は図示せず。
【
図5】60℃で60日間、0~14.2mVに保持する処理を行った後の黒鉛のアノードの表面の写真。黒鉛のアノード、Li
4Ti
5O
12のバイオード及びLiCoO
2のカソードを電極とするAC電池システムのアノードの銅箔に損傷はない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1A~1Cにおいて、3つのAC電池(セル1、セル2、セル3)が同じ方向に置かれている。各AC電池はアノード2、両性極として働くバイオード3、及びカソード4という3つの電極タブ(端子)を持っている。
図1A~1Cにおいては以下の参照符号が用いられている。即ち、1.AC電池の単一のセルのケーシング、2.アノードタブ、3.バイオードタブ、4.カソードタブ、5.セル3のアノードとセル1のバイオードを結ぶ並列の位置にあるスイッチ、5’.セル1のバイオードとセル3のカソードを結ぶ直列の位置にあるスイッチ、6(1)、6(2).バイオードとバイオードを結ぶ並列の位置にあるスイッチ、6’(1)、6’(2).バイオードとカソードを結ぶ直列の位置にあるスイッチ、7.セル1のバイオードタブとスイッチ5の間のケーブル、8.アノード間のケーブル、9、10.バイオード間のケーブル、10’.セル2のカソードタブとスイッチ6(2)の間のケーブル、11.セル3のアノードタブとスイッチ5の間のケーブル、及び、12.セル3のカソードタブとスイッチ5の間のケーブルである。
図1A~1Cにはスイッチの制御回路は示していない。
【0024】
ケーシング1等の上のアノードタブは内部にn+1個又はn+2個のアノード電極を持ち、ケーシング1等の上のバイオードタブは内部に2n+2個のバイオード電極を持ち、ケーシング1等の上のカソードタブは内部にn+2個又はn+1個を持ち、合計4n+5個の電極がある(nは0以上の整数)。
【0025】
または、1つのセルの内部にある電極の総数が4n+3(nは0以上の整数)である場合、ケーシング1等上のアノードタブはn+1個のアノード電極を持ち、ケーシング1等の上のバイオードタブは2n+1個のバイオード電極を持ち、ケーシング1等の上のカソードタブはn+1個のカソード電極を持っている。
【0026】
セル1、2及び3の3つのアノードタブは電気ケーブル8で並列に接続されており、セル3のタブはアノードへの接続とカソードへの接続を切り替えるスイッチ5、5’を有している。
【0027】
セル1及び2の2つのバイオードタブはスイッチ6(1)、6(1)’を介して電気ケーブル9で接続されており、該スイッチはセル1、2のバイオードから電気ケーブル9’を持つセル1のカソードへ前後に切り替わる。そしてセル2及び3の2つのバイオードタブはスイッチ6(2)、6(2)’を介して電気ケーブル10で接続されており、該スイッチはセル2、3のバイオードから電気ケーブル10’を持つセル2のカソードへ前後に切り替わる。
【0028】
セル1のバイオードタブは電気ケーブル7でスイッチ5、5’に接続されており、該スイッチは電気ケーブル11を持つセル3のアノードへの接続と電気ケーブル12を持つセル3のカソードへの接続を切り替える。
【0029】
図1A~1Cの3つのAC電池を放電する状況においては、2重の切り替えステップにより一定周波数の交流電流及び電力を作り出す。従ってスイッチ5は、第1に、セル1のバイオードタブとセル3のアノードタブを接続するように設定され、第2に、切り替えられたスイッチ5’がセル1のバイオードタブをセル3のカソードタブと接続する。同時に、スイッチ5はスイッチ6(1)及び6(2)を同期させ、これらのスイッチはバイオード-バイオードタブの位置をスイッチ6(1)’及び6(2)’として示したバイオード-カソードタブの位置に変える。
【0030】
高電圧のAC電池式蓄電装置が、それぞれアノードタブ、バイオードタブ及びカソードタブという3つの電極タブ(端子)を持つm個のAC電池セル(mは1以上の整数)により作られる。ここで、全てのアノードタブは互いに並列に接続され、m番目のバイオードタブとm番目のカソードタブが、m番目のAC電池セルとm+1番目のセルの間に配置されたスイッチと接触しており、該スイッチはm番目のバイオードタブ-m+1番目のバイオードタブの接触をm番目のカソードタブ-m+1番目のバイオードタブに切り替え、m+1番目は最後のAC電池セルであり、アノードタブとカソードタブがスイッチを持ち、該スイッチはm+1番目のアノードタブ-1番目(m=1)のバイオードタブの接触をm+1番目のカソードタブ-1番目(m=1)のバイオードタブに頻繁に切り替える。
【0031】
上の説明において、充電プロセスは最後のm+1番目のAC電池セルのカソードタブと1番目(m=1)のセルのバイオードタブとのスイッチ接続から始めることにより与えられ、それからスイッチ接続がm+1番目のセルのアノードタブと1番目(m=1)のバイオードタブとの接続に変わり、そしてこれらのプロセスが連続的に繰り返される。
【0032】
この説明において、放電プロセスは最後のm+1番目のAC電池セルのアノードタブと1番目(m=1)のセルのバイオードタブとのスイッチ接続から始めることにより与えられ、それからスイッチ接続がm+1番目のセルのカソードタブと1番目(m=1)のバイオードタブとの接続に変わり、そしてこれらのプロセスが連続的に繰り返される。
【実施例】
【0033】
実施例1
【0034】
図2は、高電圧の蓄電装置の三連型AC電池システムであって、1つの黒鉛のアノード、1つのLi
4Ti
5O
12のバイオード及び1つのLiCoO
2のカソードを持つ3つのAC電池の構成で行った放電プロセスとそのグラフである。スイッチの制御回路は示していない。
図2において、Aはアノード、Bはバイオード、Cはカソードである。
図2において、(b)平均6.99V、160mAhg
-1と(a)平均-1.37V、160mAhg
-1との間で切り替わる。
【0035】
放電プロセスは2重の切り替えの繰り返しによりセル容量の終わりまで、つまりアノード-バイオードとバイオード-カソードという両方のシステム電圧がゼロになるまで継続することができた(
図2)。
【0036】
AC電池セルを制御するためのスイッチは、(1)アノード-バイオード、(2)バイオード-カソード、及び、(3)フリー(これはどの電極間にも接続がないことを意味する)という3通りの接続を持つことができる。
【0037】
【0038】
実施例2
【0039】
図3は、高電圧の蓄電装置の三連型AC電池システムであって、1つの黒鉛のアノード、2つのLi
4Ti
5O
12のバイオード及び2つのLiCoO
2のカソードを持つ3つのAC電池の構成で行った放電プロセスである。スイッチの制御回路は示していない。
図3において、Aはアノード、Bはバイオード、Cはカソードである。
図3では、平均-1.37V、320mAhg
-1(左側)と平均6.99V、320mAhg
-1(右側)との間で切り替わる。
【0040】
AC電池セルを制御するためのスイッチは、(1)アノード-バイオード、(2)バイオード-カソード、及び、(3)フリー(これはどの電極間にも接続がないことを意味する)という3通りの接続を持つことができる。
【0041】
比較例3
【0042】
図4は、通常電圧の蓄電装置のAC電池システムであって、1つの黒鉛のアノード、1つのLi
4Ti
5O
12のバイオード及び1つのLiCoO
2のカソードを持つ単一のAC電池の構成で行った放電プロセスとそのグラフである。スイッチの制御回路は示していない。
図4において、Aは黒鉛のアノード、BはLi
4Ti
5O
12のバイオード、CはLiCoO
2のカソードである。
図4において、(b)平均2.33V、160mAhg
-1(上側)と(a)平均-1.37V、160mAhg
-1(下側)との間で切り替わる。
【0043】
放電プロセスは2重の切り替えの繰り返しにより最大容量の終わりまで、つまりアノード-バイオードとバイオード-カソードという両方のシステム電圧がゼロになるまで継続することができた(
図4)。
【0044】
図5において、1つの黒鉛のアノード、1つのLi
4Ti
5O
12のバイオード及び1つのLiCoO
2のカソードを持つ単一のAC電池を60日間、温度60℃で電圧0~14.2mVに保持した後、分解してアノードの様子を観察した。AC電池セルのアノードの銅箔に損傷はない(60℃、60日間、14.2mV→0mV)。
【国際調査報告】