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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ばねホルダおよび被加工物担持体
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/02 20060101AFI20231006BHJP
【FI】
F16B2/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519923
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2021074648
(87)【国際公開番号】W WO2022069171
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】102020125504.7
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051691
【氏名又は名称】エリコン・サーフェス・ソリューションズ・アクチェンゲゼルシャフト,プフェフィコーン
【氏名又は名称原語表記】OERLIKON SURFACE SOLUTIONS AG, PFAEFFIKON
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナヘン,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】マイラー,ルドルフ
(72)【発明者】
【氏名】ボウルクアイン,クリストフ
【テーマコード(参考)】
3J022
【Fターム(参考)】
3J022DA12
3J022EA07
3J022EB02
3J022EC02
3J022FB07
(57)【要約】
本発明は、弾性変形可能な掛止構成と弾性変形可能な挟持構成とを有するばねホルダに関し、ばねホルダは、掛止構成を介して被加工物担持体に掛止連結されることができ、挟持構成は、弾性変形可能な挟持タブを有し、挟持タブを介して、挟持位置において、ばねホルダが被加工物担持体に連結されたときに挟持領域を介して被加工物に保持力をかけることができ、被加工物は、挟持領域に当接する挟持面を介してばねホルダに摩擦連結されることができ、したがって被加工物担持体に取り外し可能に固定されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性変形可能な掛止構成(120)および弾性変形可能な挟持構成(130)を有するばねホルダ(100)であって、
前記ばねホルダ(100)は、前記掛止構成(120)を介して被加工物担持体(200)に掛止式に連結され得、
前記挟持構成(130)は、弾性変形可能な挟持タブ(131)を有し、前記ばねホルダ(100)が前記被加工物担持体(200)に連結されると、前記挟持タブ(131)を介して、保持力が、挟持位置において、被加工物(300)に、前記挟持領域(134)を介して加えられ得、前記被加工物(300)は、前記挟持領域(134)と接触する挟持面(301)を介して前記ばねホルダ(100)に摩擦連結され得、したがって前記被加工物担持体(200)に取り外し可能に固定され得る、ばねホルダ(100)。
【請求項2】
前記掛止構成(120)は、復元性のあるタブ(121)を含み、前記復元性のあるタブ(121)は、前記被加工物担持体(200)における嵌合開口部(201)を通過し、スナップフックとして作用する掛止舌部(122)を介して前記被加工物担持体(200)に連結され得る、請求項1に記載のばねホルダ(100)。
【請求項3】
それぞれの前記挟持構成(130)および前記掛止構成(120)は、基部プレート(110)上に折られて配置され、前記ばねホルダ(100)は、一体的に形成される、請求項1または2に記載のばねホルダ(100)。
【請求項4】
前記基部プレート(110)は矩形であり、第1および第2の掛止構成(120)が、対向する縁部(112)に形成され、前記挟持構成(130)は、前記対向する縁部を接続する縁部(111)に形成される、請求項3に記載のばねホルダ(100)。
【請求項5】
前記復元性のあるタブ(121)は、側方プレート(126)と掛止舌部(122)とを含む、先行する請求項2~4のいずれか1項に記載のばねホルダ(100)。
【請求項6】
掛止端部(125)が、前記掛止舌部(122)に形成された突起(126)上に配置される、請求項5に記載のばねホルダ(100)。
【請求項7】
前記挟持タブ(131)は挟持脚部(133)および案内脚部(132)を含み、前記挟持脚部(133)および前記案内脚部(132)は挟持角(δ)を取り囲み、前記挟持角(δ)は70°~170°、好ましくは115°~125°の大きさを有する、先行する請求項のいずれか1項に記載のばねホルダ(100)。
【請求項8】
前記挟持領域(134)は、縁部および/もしくは折り目として形成される挟持細条部(136)、または、球状に湾曲したタブとして設計される挟持留め部(137)をさらに含む、先行する請求項のいずれか1項に記載のばねホルダ(100)。
【請求項9】
前記挟持領域(133)は、少なくとも1つの挟持点(138)を有する、請求項8に記載のばねホルダ(100)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの挟持点(138)は、エンボス加工または塗布された小塊の形態である、請求項9に記載のばねホルダ(100)。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の複数の取り外し可能なばねホルダ(100)を伴う、複数の被加工物(300)を受け入れるための被加工物担持体(200)であって、前記ばねホルダ(100)の少なくとも2つの挟持領域(134)は、被加工物(300)の締結領域(302)が前記挟持領域(134)によって保持され、挟持面(301)が、前記挟持タブ(131)の弾性変形を伴う挟持位置においてそれぞれの前記挟持領域(134)に面するように、配置される、被加工物担持体(200)。
【請求項12】
2つの挟持領域(134)が互いに対向して配置され、前記締結領域(302)は前記挟持領域(134)の間に保持される、請求項11に記載の被加工物担持体(200)。
【請求項13】
前記被加工物担持体は複数の嵌合開口部(201)を備え、前記掛止構成(120)の復元性のあるタブ(121)が、前記被加工物担持体(200)の前記嵌合開口部(201)を通過して、スナップフックとして作用する掛止舌部(122)を介して前記被加工物担持体(200)に連結され得、前記被加工物担持体(200)の前記嵌合開口部(201)の寸法(205、206)および前記復元性のあるタブ(121)の寸法は、前記ばねホルダ(100)が、前記復元性のあるタブが前記嵌合開口部(201)を通過する嵌合方向(B)に対して横断するように、少なくとも1つの運動の自由度で前記被加工物担持体(200)に固定されるように、互いに適合される、請求項11または12に記載の被加工物担持体(200)。
【請求項14】
前記復元性のあるタブ(121)は、側方プレート(126)と掛止舌部(122)とを含み、前記嵌合開口部(201)の領域には、前記掛止舌部(122)の掛止端部(125)を受容する掛止スロット(202)が形成され、前記ばねホルダ(100)は、嵌合方向に対して横断するように、前記運動の自由度の方向に調整され得る、請求項13に記載の被加工物担持体(200)。
【請求項15】
前記復元性のあるタブ(121)は、側方プレート(126)と掛止舌部(122)とを含み、掛止切欠き(208)が、前記嵌合開口部(201)の少なくとも1つの壁に配置され、前記掛止切欠き(208)は、前記掛止舌部(122)の掛止端部(125)を受け入れ、前記ばねホルダ(100)は、嵌合方向に対して横断するように、前記運動の自由度の方向に調整可能である、請求項13に記載の被加工物担持体(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ばねホルダに関する。本発明はさらに、被加工物担持体に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ばねホルダおよび被加工物担持体は、例えば、被加工物担持体に、被加工物担持体内で、および/または被加工物担持体上で分離され得る被加工物(以下、基板とも呼ばれる)を締結するために使用される。さらに、ばねホルダおよび被加工物担持体は、例えば、それらが保持する被加工物を処理、例えば表面処理に供するために使用される。そのような処理は、例えば、被加工物表面または被加工物の個々の表面セクションをコーティングすることを含むことができる。被加工物は、例えば、化学的および/または物理的プロセスによって、例えば、化学蒸着、プラズマ強化蒸着、物理的蒸着、またはこれらのプロセスの組み合わせによってコーティングすることができる。この文脈における他の可能な処理は、例えば、研磨、塗装、サンダー仕上げ、サンドブラスト、超音波清掃、または同様のプロセスである。コーティングは、コーティング施設において行うことができ、通常行われることになる。
【0003】
ばねホルダ(この文脈では挟持ばねとも呼ばれる)は、個々の被加工物を被加工物担持体の締結セグメントまたは受容領域上の所定の位置に保持するために使用することができる。したがって、ばねホルダは、被加工物を被加工物担持体に取り付けるために使用することができる。
【0004】
被加工物担持体は、ばねホルダによって締結される1つ以上の被加工物を担持するために使用される。特に、被加工物担持体は、被加工物担持体に取り付けられる1つ以上の被加工物を1つ以上の所定の位置で担持する役割を果たす。
【0005】
個々の被加工物をそれぞれの締結セグメントに、それぞれの締結セグメント内に、および/またはそれぞれの締結セグメント上に位置決めするために、被加工物は、ばねホルダによって締結、位置決め、および/または保持される。位置決め後、被加工物は再び被加工物担持体から取り外すことができる。ばねホルダおよび被加工物担持体は、被加工物担持体の被加工物装着およびその後の装着解除を可能にする。
【0006】
これに関連して、ばねホルダは、コンパクトな被加工物、例えば直方体の多面被加工物を保持するのに特に適している。しかしながら、ばねホルダはまた、異なる基本本体形状、例えば、球形、立方体、楕円形、ピラミッド形、または類似基本本体形状を伴う被加工物を受容、保持、および/または締結するように設計されることができる。
【0007】
被加工物表面の可能な限り最も均一な加工結果を保証するために、被加工物は、ばねホルダを介して、被加工物担持体および/または被加工物担持体の締結セグメントに、非嵌合式(non-positive)(力固定)および/または嵌合式(positive)(形状フィット)式で接続されることができる。
【0008】
現状技術では、例えば溶接された接続によって、被加工物担持体に材料的に接合された状態で締結されるばねホルダが公知である。
【0009】
被加工物担持体に装着または備えるために、被加工物は通常、いくつかのばねホルダの間に配置され、挟持される。この目的のために、ばねホルダは被加工物担持体にしっかりと接続される。特に、ばねホルダを被加工物担持体に溶接することによって、材料的に接合された接続が形成される。しかしながら、溶接は、ばねホルダを被加工物担持体から手動で取り外すことを妨げる。1つのばねホルダの変形または破損は、被加工物担持体延々と修理および/または交換する結果となり、動作時間の遅延および追加のコストをもたらす。ばねホルダへの損傷を防止するために、被加工物担持体が清掃される場合、例えばサンドブラストによって清掃される場合には、すべてのばねホルダも覆われなければならない。また、ばねホルダを覆うことは、時間遅延および追加のコストを引き起こす。加えて、他の清掃プロセス、例えば超音波清掃は、ばねホルダと、ばねホルダと接触する被加工物との間に、意図しないマイクロ溶接接続をもたらし得る。これらのマイクロ溶接された接続部は、しばしば、手動で取り外すことが困難であり、被加工物担持体が装着を解除されるときに、ばねホルダおよび/または被加工物担持体の表面を損傷させるに至る。損傷を受け易い被加工物およびばねホルダは、このプロセスにおいて損傷を受ける可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、これらの欠点が少なくとも部分的に低減される、改良されたばねホルダおよび改良された被加工物担持体を提供することである。
【0011】
発明の概要
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ばねホルダおよび被加工物担持体の要素の特別な構成が、ばねホルダの迅速な設置または交換、ならびに被加工物担持体からのばねホルダの迅速な取り外しを可能にする、という知見に基づく。加えて、超音波清掃中のばねホルダと被加工物との間のマイクロ溶接の不注意な形成が低減されるか、または完全に排除される。
【0013】
このようにして、本発明によるばねホルダは、本発明の被加工物担持体に、非常に迅速に、手動、半自動、または全自動で、取り付けおよび/または取り外されることができる。その結果、時間がかかるかまたは困難な手作業を大幅に減らすことができる。さらに、本発明によるばねホルダおよび本発明による被加工物担持体は、被加工物担持体に異なる被加工物用のばねホルダを備えることを可能にする。
【0014】
本発明によるばねホルダは、弾性変形可能な掛止構成と弾性変形可能な挟持構成とを有するばねホルダであり、ばねホルダは、掛止構成を介して被加工物担持体に掛止連結されることができる。挟持構成は、弾性変形可能な挟持タブを有し、この挟持タブを介して、挟持位置において、ばねホルダが被加工物担持体に連結されたときに挟持領域を介して被加工物に保持力をかけることができ、被加工物は、挟持領域に当接する挟持面を介してばねホルダに摩擦連結されることができ、したがって被加工物担持体に取り外し可能に固定されることができる。
【0015】
「被加工物担持体」は、1つ以上の被加工物を保持するように設計されたプレート形状の担持体要素、例えばシャーシ、基板シートまたはホルダを表す。
【0016】
「掛止構成」は、ばねホルダを被加工物担持体に固定させるのに適した、ばねホルダの要素を表す。ばねホルダは、1つ以上の掛止構成によって取り外し可能または取り外し不可能に被加工物担持体に固定することができる。掛止構成は、例えば、被加工物担持体との形状フィットおよび/または形状フィット接続をなすよう、設計され得る。
【0017】
ばねホルダの掛止構成と被加工物担持体との間の接続は、好ましくは、ある程度の遊びがあるように、すなわち、構成要素間の相対移動が可能であるように、設計される。遊び、例えば1ミリメートルの1/10から1ミリメートルの5/10の間隔内の遊びは、ばねホルダの被加工物担持体に対する弾性的に移動可能なサスペンションまたは取り付けを可能にする。振動、例えば、清掃プロセス(例えば、超音波清掃プロセス)中に振動がある場合、弾性的に移動可能に取り付けられたばねホルダは、振動減結合を可能にする。言い換えれば、これは、ばねホルダが、振動プロセス中にばねホルダ内に保持される被加工物とは異なる周波数および振幅で振動することを可能にする。この振動減結合は、望ましくない溶接、例えばばねホルダと被加工物との間のマイクロ溶接を低減または防止することができる。さらに、遊びの対象となる接続が、特に取り外しが容易である。遊びの対象となる、掛止構成、ばねホルダおよび被加工物担持体間の接続は、特に迅速かつ安価に手動もしくは半自動もしくは自動的に解放および/またはなすことができる。
【0018】
ばね要素と被加工物担持体との非嵌合式および/または嵌合式接続、特にスナップ接続によって、ばねホルダと被加工物担持体との間の溶接シームなどの繋ぎ要素およびプロセスを省くことができ、ばね要素を容易に交換することができる。
【0019】
「弾性変形可能」とは、要素および/または材料が力の影響下でその形状を変化させ、前記力が取り除かれたときにその元の形状に戻るという性質を指す。ばねホルダは、弾性変形可能な掛止構成によって特に迅速かつ手動で被加工物担持体に締結されることができる。弾性変形可能な挟持タブによって、ばねホルダを、保持すべき被加工物の形状に適合させることができる。例えば、弾性変形可能な挟持タブおよび/または弾性変形可能な掛止構成は、オーステナイト鋼などの特に高い弾性および/または成形性の材料を含むことができる。このようなオーステナイト鋼は、例えば、材料1.4310(X10CrNi18-8)であり、特に成形性の高いオーステナイト系クロムニッケル鋼である。
【0020】
「挟持構成」は、ばねホルダの別の要素を表し、挟持構成は、被加工物をそれと接触して保持することに対して適合される。挟持構成は、例えば、その上に配置された被加工物との非嵌合式接続を形成することができる。さらに、例えば、挟持構成は、その上に配置された被加工物との摩擦接続および/または嵌合式接続を形成することもできる。
【0021】
「掛止接続可能」は、掛止によって達成された2つの要素間の取り外し可能または取り外し不可能な接続を表す。例えば、ばねホルダ、またはばねホルダのある要素、またはばねホルダのあるセクションは、被加工物担持体との掛止位置に持ってこられるのに適した幾何学的形状を有することができる。
【0022】
「挟持タブ」は、それの上に配置された被加工物を締結する挟持構成の弾性要素を表す。挟持タブは、いくつかの要素間の接続要素またはコネクタである。挟持タブは、例えば、被加工物と被加工物担持体との間に配置することができる。挟持タブは、例えば、他の要素を含むこともできる。挟持タブは、特に、力、例えば摩擦力および/もしくは保持力を吸収ならびに/または伝達する役割を果たす。
【0023】
「挟持位置」は、ばねホルダが被加工物担持体に掛止式に連結される、ばねホルダの位置または設定を表す。挟持位置では、被加工物は、それぞれのばねホルダの挟持タブ間に締結され得る。言い換えれば、挟持位置では、被加工物担持体に1つ以上の被加工物を装着することができ、被加工物またはいくつかの被加工物をばねホルダによって固定することができる。
【0024】
「挟持領域」は、配置された被加工物に接触する挟持タブの部分を表す。力は、挟持領域を介して被加工物とばねホルダとの間で伝達される。例えば、挟持タブの挟持領域は、被加工物の締結領域内または締結領域上の挟持面と接触をなす。挟持領域は、例えば縁部または折り目として設計された挟持細条部を有することができる。加えて、または代替として、挟持領域は、球状に湾曲した挟持留め部、または断面形状が凹状である挟持留め部を有することができる。さらに、例えば、例えばエンボス加工または塗布された小塊である挟持点を挟持領域に配置することができる。挟持点は、保持力および/または摩擦力の選択的分布をもたらす。
【0025】
「挟持面」は、被加工物の締結領域に配置され、挟持位置においてばねホルダの挟持領域に直接接触する、被加工物表面の表面セクションまたは部分である、被加工物の表面を表す。被加工物の締結領域は、例えば、被加工物の保持タブ、掛止タブもしくは掛止舌部として設計することができ、および/またはばねホルダの挟持領域と摩擦接続を形成するように設計することができる。
【0026】
「保持力」は、被加工物を保持するために必要とされる1つ以上の力を表し、保持力は、例えば、静止摩擦によって引き起こされる力であり得る。1つ以上の保持力は、例えば、ばねホルダの挟持位置において、挟持面と挟持領域との間で生じ得る。
【0027】
「摩擦係合される」とは、2つの要素間の取り外し可能かつ復元性のある接続を表し、これは、互いに接続された要素の接触領域における摩擦力によって達成される。摩擦接続は、例えば、ばねホルダの挟持位置において、挟持面と挟持領域との間においてもたらされ得る。
【0028】
掛止構成は復元性のあるタブを含み、それは、被加工物担持体の嵌合開口部を通過し、スナップフックとして作用する掛止舌部を介して被加工物担持体に連結され得る、変形例がある。
【0029】
「復元性のある」とは、圧縮応力下でのタブの降伏を表し、圧縮応力が除去されると、タブはその元の形状に戻る。言い換えれば、復元性のあるタブは、弾性変形し、したがって機械的エネルギーを吸収することができるタブである。復元性のあるタブは、ばねホルダが特に簡単な態様で被加工物担持体内に手動で挿入されることを可能にする。例えば、復元性のあるタブを手動で圧縮することによって、復元性のあるタブは、被加工物担持体における嵌合開口部を通して特に容易に案内されることができる。さらに、例えば、嵌合開口部は、圧縮力によって応力を受けていない状態における復元性のあるタブの寸法入れより小さい寸法入れを有することができる。
【0030】
「スナップフック」として作用する掛止舌部は、例えば、スナップ接続、またはスナップ接続の要素である。スナップ接続は、構成要素または要素の、取り外し可能または取り外し不可能な、単純な形状フィット繋ぎのための要素を含むことができる。この文脈において、例えば、繋がれるべき部品、例えば掛止舌部は、弾性的に変形し、次いで、取り外し可能または取り外し不可能な態様で引っかかる。
【0031】
挟持構成および掛止構成が、それぞれ、基部プレート上で折られる態様で配置されるバージョンがある。
【0032】
基部プレートは、ばねホルダの平坦な板状要素である。基部プレートは、例えば、矩形または矩形状の本体を有することができる。さらに、例えば、挟持構成および/または掛止構成は、基部プレートの縁部に配置することができる。「折られた」とは、基部プレート上における挟持構成および/または掛止構成の角度付けられた構成を表す。言い換えれば、挟持構成および基部プレートはある角度を形成し、掛止構成および基部プレートはさらなる角度を形成する。ばねホルダは、折られた挟持構成および/または折られた掛止構成によって、対応する被加工物担持体に特に容易におよび/または幾何学的に適合されて製造され得る。
【0033】
ばねホルダが単一片で形成される変形例がある。単一片ばねホルダは、単一のばねホルダ成形物から形成される。単一片ばねホルダは、例えばシートメタルからばねホルダブランクを打ち抜くことによって、特に安価および/または迅速な態様で、ばねホルダを製造することを可能にする。加えて、または代替として、事前形成されたばねホルダを、レーザ切断によって、シートメタルまたは薄いシート等の対応する形状から切り出すこともできる。
【0034】
基部プレートが矩形であり、第1および第2の掛止構成が対向する縁部に形成され、挟持構成が対向する縁部を接続する縁部に形成される変形例がある。「矩形」とは、基部プレートの矩形または矩形状の本体を表し、その縁部に第1および第2の掛止構成および挟持構成を配置することができる。少なくとも2つの掛止構成を有するばねホルダは、特に確実な方法で被加工物担持体に掛止されることができる。
【0035】
復元性のあるタブが側方プレートおよび掛止舌部を含む変形例がある。側方プレートは、例えば、基部プレートと掛止舌部との間に配置される矩形の本体を有する板状要素であり得る。掛止舌部は、例えば、矩形の本体を有する板状要素であってもよい。側方プレートおよび掛止舌部は、互いに対してある角度で配置されることができる。側方プレートおよび掛止舌部は、1つの一体部品として設計することができる。
【0036】
掛止端部が掛止舌部に形成された突起上に配置される実施形態がある。「掛止端部」は、掛止舌部の端部セクション、または掛止舌部に形成された突起の端部セクションを表す。そのような掛止端部は、例えば、矩形または同様に好適なプロファイルを有することができ、それは、掛止スロットにおいて係合するよう、および/または掛止スロットに掛止するよう、および/または掛止切欠きにおいて係合するよう、ならびに/または力固定接続および/もしくは形状フィット接続および/もしくは接触接続および/もしくは摩擦接続において係合するよう、設計される。掛止端部は、掛止舌部の厚みによって画定することができる。掛止端部は、掛止舌部と一体に一片に形成することができ、および/または掛止舌部の一部とすることができる。
【0037】
代替的に、掛止端部は、掛止舌部に形成された突起上に配置することもできる。突起は、掛止舌部または掛止舌部の端部から延在する、肩部、突出部または掛止タブを表す。突起は、被加工物担持体上におけるばねホルダの特に迅速な手動、半自動もしくは自動挿入または取り外しを可能にする。特に、突起は、ばねホルダを被加工物担持体に挿入することをより容易にすることができる。
【0038】
挟持タブが挟持脚部および案内脚部を含み、挟持脚部および案内脚部は挟持角を取り囲み、挟持角の大きさは60°~170°、好ましくは115°~125°である変形例がある。換言すれば、挟持角は、案内脚部と挟持脚部とによって形成される。ばねホルダの挟持位置または挟持設定において、弾性挟持タブの挟持角は、例えば、さらに広げることができる。さらに、例えば、挟持角は、挟持領域の寸法および/または形状を画定することもできる。
【0039】
挟持領域が、縁部および/もしくは折り目として設計された挟持細条部、または球状に湾曲したタブとして設計された挟持留め部を含む変形形態がある。縁部または境界は、例えば、単一の直線縁部として、または凹部を有する縁部として、形成することができる。折り目は、例えば、段、縁部、折り目、または溝形状の遷移部として、形成することができる。この点において、折り目は、単一の折り目として、または凹部を有する折り目として、設計することができる。代替的に、挟持領域は、球状に湾曲したタブとして設計される挟持留め部を有することができる。球状に湾曲したタブは、凹状、凸状、またはU字形の断面プロファイルを有することができる。
【0040】
挟持領域が少なくとも1つの挟持点を有する変形形態がある。挟持点は、例えば、挟持領域の表面から延在する球形、円筒形もしくは点状の弧または湾曲である。例えば、挟持点は、挟持領域から、垂直に、または角度をなして、延在してもよい。挟持点は、ばねホルダと被加工物との間の接触面積を特に大きく最小限に抑えるのに適しており、被加工物が機械加工される際の露出した被加工物表面セクションへの特に良好なアクセスを可能にする。挟持領域は、いくつかの挟持点を有することもできる。
【0041】
少なくとも1つの挟持点がエンボス加工または塗布された小塊の形態である変形形態がある。小塊は、例えば、隆起状の上昇または結び目状の肥厚として形成され得る。いくつかの挟持点は、例えば、エンボス加工および/または塗布された小塊として形成することもできる。
【0042】
掛止構成および挟持構成が基部プレートから第1の垂直の向きに延在する変形例がある。第1の垂直の向きは、主延在面からある角度間隔で延在する1つ以上の方向を表す。主延在レベルは、基部プレートの少なくとも1つの長手方向および1つの側方縁部によって画定される。例えば、第1の垂直の向きは、0°~180°の第1の角度間隔を含むことができる。さらに、例えば、側方プレートおよび基部プレートは側方角を取り囲むことができ、基部プレートおよび挟持脚部は接触角を取り囲むことができる。さらに、例えば、側方角および接触角は、各々、第1の角度間隔内にある角度の大きさを有することができ、それにより、側方プレートの位置および挟持脚部の位置は、第1の垂直の向き内にある。側方角の角度の大きさは、接触角の角度の大きさとは異なっていても等しくてもよい。
【0043】
代替的に、掛止構成および挟持構成が、基部プレートから、反対の垂直の向きに延在する変形例がある。例えば、挟持タブは、基部プレートから第1の垂直の向きに延在してもよく、掛止構成は、第2の垂直の向きに延在してもよい。第2の垂直の向きは、例えば、180°~360°の第2の角度間隔を含むことができる。さらに、例えば、接触角は、第2の角度間隔における角度の大きさを有することができる。この位置において、挟持タブは、掛止構成の垂直の向きとは反対の垂直の向きに延在する。
【0044】
本発明による被加工物担持体は、複数の被加工物を複数の取り外し可能なばねホルダで保持するための被加工物担持体であり、複数の取り外し可能なばねホルダの少なくとも2つの挟持領域は、各々の場合において、被加工物の1つの締結領域が、挟持面が挟持位置において挟持タブの弾性変形によってそれぞれの挟持領域に面する状態で、挟持領域によって保持されるように、配置される。
【0045】
「被加工物の締結領域」とは、被挟持位置においてばねホルダの挟持部分に直接接触する挟持面を含む、被加工物の領域または部分を指す。
【0046】
「弾性変形」とは、外力の結果としての要素の形状における可逆的変化を表す。例えば、挟持タブ、ならびに/または挟持領域および/もしくは案内脚部および/もしくは挟持脚部といった挟持タブの個々のセクションは、外力の作用下で弾性的に変形可能であり得る。
【0047】
しかしながら、代替的にまたは追加的に、被加工物および/または締結領域および/または挟持面も、外力の影響下で弾性変形可能であってもよい。挟持タブの弾性変形性は、例えば、被加工物の挟持面とばねホルダの挟持領域との間の摩擦接続の形成を可能にする。加えて、弾性変形可能な挟持タブは、剛性被加工物を挟持することを可能にする。言い換えると、例えば、被加工物および/または締結領域および/または挟持面は、挟持タブおよび/もしくは挟持タブの材料よりも硬いおよび/もしくは弾性が低い材料を含むかまたはそれから形成することができる。代替的に、例えば、被加工物および/または締結領域および/または挟持面は、挟持タブおよび/もしくは挟持タブの材料よりも柔らかいおよび/もしくは弾性のある材料を含むかまたはそれから形成することができる。さらなる代替例として、被加工物および/または締結領域および/または挟持面の弾性変形性は、例えば、ばねホルダの剛性または一定の構成を可能にする。ばねホルダの剛性構成は、ばねホルダにかかる応力を低減し、ばねホルダおよび/または被加工物担持体上の摩耗を低減する。
【0048】
2つの挟持領域が互いに対向して配置され、締結領域が挟持領域の間に保持される実施形態がある。例えば、それぞれのばねホルダの2つの互いに対向する挟持領域は、被加工物担持体上または被加工物担持体の開口スロット内に鏡面対称にまたはオフセットして配置されるように、配置することができる。特に、2つの挟持領域は、締結領域を挟持位置において固定するように、配置することができる。代替的に、互いに対向する2つの挟持領域は、被加工物のいくつかの締結領域を固定するように配置することもできる。ばねホルダの挟持位置において、互いに対向する2つの挟持領域は、それぞれの挟持面において、保持力の特に均一な分布を可能にする。
【0049】
被加工物担持体が複数の嵌合開口部を備え、被加工物担持体の嵌合開口部を通過する掛止構成の復元性のあるタブが、スナップフックとして機能する掛止舌部を介して被加工物担持体に連結され得る実施形態があり、被加工物担持体の嵌合開口部の寸法および復元性のあるタブの寸法は、復元性のあるタブが嵌合開口部を通過する嵌合方向に対して横断するように、少なくとも1つの運動の自由度で、ばねホルダが被加工物担持体に固定されるように、互いに適合される。
【0050】
「嵌合方向」とは、復元性のあるタブが嵌合開口部を通過する方向を表す。嵌合方向は、被加工物担持体の幅方向と平行に延在し得る。嵌合方向を横断する方向は、嵌合方向に直交して延びる。例えば、嵌合方向を横断する方向は、被加工物担持体の長手方向と平行である。
【0051】
「嵌合開口部の寸法」は、嵌合開口部の長手方向縁部および/または幅縁部などの、嵌合開口部の寸法を表す。「復元性のあるタブの寸法」は、復元性のあるタブの寸法を表す。
【0052】
「運動の自由度」は、要素の、独立した運動の可能性を表す。例えば、ばねホルダは、嵌合方向に対して横断するように、少なくとも1つの運動の自由度を有することができる。言い換えれば、ばねホルダは、ばねホルダが被加工物担持体に挿入された後、嵌合方向を横断する方向、すなわち被加工物担持体の長手方向に平行な方向に沿って、変位させることができる。変位は、嵌合開口部の寸法によって制限され得る。代替的に、遊びによって変位を可能にすることもできる。嵌合方向を横断する運動の自由度はまた、ばねホルダの特に単純な手動使用に加えて、被挟持位置でのばねホルダの限られた位置変化および/または調整を可能にする。
【0053】
復元性のあるタブが側方プレートと掛止舌部とを備え、掛止舌部の掛止端部を収容する掛止スロットが嵌合開口部の領域に形成され、ばねホルダが、嵌合方向に対して横断するように、運動の自由度の方向に調整され得る実施形態がある。
【0054】
「嵌合開口部の領域」は、嵌合開口部の周囲に延在する空間領域、例えば、好ましくは0.5mm~2.5mmの延在間隔を有する空間領域を表す。
【0055】
「掛止スロット」は、被加工物担持体上の矩形または矩形状の窪みを表す。掛止スロットは、切欠き、溝または凹部として設計することができる。掛止スロットは、被加工物担持体に開口部を形成することができる。代替的に、掛止スロットは、非連続的な凹部として設計することができる。掛止スロットは、被加工物担持体の中および/または上に、嵌合開口部の壁と平行に、ある距離を置いて配置することができる。掛止スロットは、例えば、掛止舌部と被加工物担持体との間の接続を可能にし、この接続は、正確にフィットするか、または遊びの対象となる。特に、ばねホルダは、掛止スロットに沿って変位または調整されることができるように被加工物担持体上に配置することができる。
【0056】
復元性のあるタブが側方プレートと掛止舌部とを備え、掛止切欠きが嵌合開口部の少なくとも1つの壁に配置され、掛止切欠きが掛止舌部の掛止端部を受け入れ、ばねホルダが、嵌合方向を横断するように、運動の自由度の方向に調整可能に移動することができるバージョンがある。
【0057】
「掛止切欠き」は、被加工物担持体の嵌合開口部内または嵌合開口部の壁に形成された溝、切り取り、または凹部を表す。嵌合開口部の掛止切欠きは、例えば、矩形または同様に好適な基本形状を有することができる。掛止切欠きは、嵌合開口部を拡大することができる。掛止切欠きは、掛止舌部の掛止端部との力固定接続および/または形状フィット接続および/または接触接続および/または摩擦接続で係合するために、設計または応じて形成され得る。掛止切欠きはまた、掛止端部を案内および/または固定するようにも設計され得る。掛止切欠きは、掛止端部が収容され、位置決めされ、固定されることを可能にする。例えば、掛止切欠きと突起上に配置された掛止端部との間の接続は、スナップ接続として設計されることができる。
【0058】
掛止端部は、掛止切欠きに沿って延びることができ、および/または掛止切欠きに接触することができる。掛止切欠きは、例えば、正確にフィットしている、および/またはある程度の遊びを有する、掛止舌部と被加工物担持体との間の接続を可能にすることができる。掛止切欠きは、特に、ばねホルダが、嵌合方向を横断するように、運動の自由度の方向に調整され得るように、掛止舌部の掛止端部を受け入れるように設計され得る。掛止切欠きにより、被加工物担持体内へのばねホルダの手動、半自動もしくは自動装着、および/または被加工物担持体からのばねホルダの取り外しを、特に迅速に行うことができる。
【0059】
本発明のさらなる態様および特徴は、従属請求項、添付の図面、および実施形態の以下の説明から得られる。
【0060】
ここで、本発明の実施形態を、例として、添付の図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1A】現状技術による被加工物および溶接されたばねホルダを備えた被加工物担持体の上側の概略平面図である。
図1B図1Aに示す被加工物担持体の下側セクションの概略平面図である。
図2A】被加工物を被加工物担持体に締結するためのばねホルダの実施形態の概略斜視図を示す。
図2B図2Aのばねホルダの概略側面図を示す。
図2C】本発明による事前形成されたばねホルダの一実施形態の概略平面図である。
図2D図2Cに示す切断線A-Aに沿った概略断面図を示す。
図3A】挟持構成の断面プロファイルの概略的な例示的な実施形態を示す。
図3B】挟持構成の断面プロファイルの別の概略的な例示的実施形態を示す。
図3C】挟持構成の断面プロファイルの別の概略的な例示的実施形態を示す。
図3D】挟持構成の断面プロファイルの別の概略的な例示的実施形態を示す。
図3E】断面プロファイルで示される、被挟持位置にある被加工物担持体、被加工物およびばねホルダの実施形態の機能原理を概略的に示す図である。
図4A】本発明による負荷をかけられていない被加工物担持体の一実施形態の概略平面図を示す。
図4B図3AからXで印された領域の拡大を概略的に示す。
図5A】2つのばねホルダを有する被加工物担持体の表面セクションの概略斜視図を示す。
図5B図5Aの被加工物担持体の下面セクションの概略斜視図を示す。
図6】ばねホルダのさらなる実施形態の概略斜視図を示す。
図7】被加工物を被加工物担持体に締結するためのばねホルダのさらなる実施形態の概略斜視図を示す。
図8】2つのばねホルダを有する被加工物担持体の表面セクションの概略斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
実施形態の説明
図1Aは、現状技術による、被加工物300および溶接されたばねホルダ10を備えた被加工物担持体200の上側の概略平面図を示す。複数の被加工物300または基板が、被加工物担持体200上において、互いに距離を置いて、配置される。加えて、いくつかのばねホルダ10が、被加工物担持体200または基板シート上に配置される。ばねホルダ10は、それぞれの被加工物300(図示せず)の挟持面を摩擦係合することによって被加工物300を適所に保持するように設計されている。現状技術によるばねホルダ10は、互いに平行に位置する2つの幅縁部において溶接シーム11によって材料接合態様で被加工物担持体200に固定される基部プレートを備える。加えて、現状技術によるばねホルダ10は、挟持構成13を含む。被加工物担持体200は、複数の開口スロット203を備え、その中に、それぞれのばねホルダ10の挟持構成13が配置される。ばねホルダ10は、それらによって固定された被加工物を加工、清掃および/またはコーティングすることができる挟持位置にある。
【0063】
図1Bは、図1Aに示す被加工物担持体200の下側セクションの概略平面図である。挟持面301を有する被加工物300の保持タブまたは締結領域302およびそれぞれのばねホルダ10の複数の挟持構成13は、被加工物担持体200の開口スロット203を通過する。挟持構成13は、各々、被加工物300の挟持面301に接触し、それによって被加工物300を適所に保持する。
【0064】
図2Aは、被加工物を被加工物担持体に締結するためのばねホルダ100の実施形態の概略斜視図を示す。ばね装置100は、長手方向縁部111および幅縁部112によって画定される主延在平面内に本質的に矩形または矩形状の基本形状を有する基部プレート110を有する。ばねホルダ100は、1つの一体部品として設計される。ばねホルダ100は、2つの弾性変形可能な掛止構成120と、弾性変形可能な挟持構成130とを有する。
【0065】
掛止構成120の各々は、基部プレート110において、ある角度をなして折られるかまたは配置される。ばねホルダ100は、掛止構成120を介して被加工物担持体200(図示せず)と掛止するように作成することができる。掛止構成120の各々は、復元性のあるタブ121を有し、それは、被加工物担持体200の嵌合開口部(図示せず)を通過し、スナップフックとして作用する掛止舌部122を介して被加工物担持体に連結され得る。2つの掛止構成120は、互いに平行に離間され、各々、縁部または幅縁部112に配置される。言い換えると、第1および第2の掛止構成120は、対向する縁部112に形成され、挟持構成130は、対向する縁部を接続する縁部111に形成される。基部折り縁部124は、掛止構成120と基部プレート110との間に延在する。復元性のあるタブ121および基部プレート110は、側方角αを囲む。側方角αは、100°~120°、好ましくは105°~115°、最も好ましくは110°の大きさを有することができる。側方角αは、基部折り縁部124を画定する。
【0066】
復元性のあるタブ121は、側方プレート126と掛止舌部122とを含む。掛止舌部122および側方プレート126は、互いに対して、ある角度をなして配置される。矩形プロファイルを有する掛止端部125は、掛止舌部122の端部領域に配置される。側方プレート126は、矩形の本体を有する板状要素として形成される。側方プレート126は、基部プレート110と掛止舌部122との間に配置される。側方プレート126および掛止舌部122は、互いに対して、ある角度をなして配置される。側方プレート126および掛止舌部122は、戻り角βを囲む。戻り角βは、30°~50°、好ましくは35°~45°、最も好ましくは40°の大きさを有することができる。圧力が掛止舌部122の表面に加えられると、戻り角βは増加または減少し得る。側方折り縁部123は、側方プレート126と掛止舌部122との間に延在する。戻り角βは、側方折り縁部123を画定する。
【0067】
弾性変形可能な挟持構成130は、基部プレート110の長手方向縁部111に配置される。挟持構成130は、基部プレート110において、ある角度をなして折られるかまたは配置される。挟持構成130は、挟持タブ131を有する。挟持タブ131は、板状の挟持脚部133と、板状の案内脚部132と、案内脚部132と挟持脚部133との間に配置された挟持領域134とを備える。挟持脚部133および基部プレート110は、接触角γを取り囲む。言い換えれば、挟持脚部133および基部プレート110は、互いに対して、ある角度をなして配置される。接触角γは、105°~125°、好ましくは110°~120°、最も好ましくは115°であり得る。図2Aに示す接触角γは115°である。前方折り縁部109は、挟持脚部133と基部プレート110との間に延在する。接触角γは、前方折り縁部109を画定する。
【0068】
挟持領域134は、挟持細条部136を有し、案内脚部132と挟持脚部133との間に延在する。挟持位置(図示せず)では、挟持細条部136は、被加工物300の締結領域302の挟持面301に接触する。挟持脚部133および案内脚部132は、互いに対して、ある角度をなして配置される。挟持脚部133および案内脚部132は、挟持角δを取り囲む。挟持角δは挟持領域134を画定する。挟持角δは、110°~130°、好ましくは115°~125°、最も好ましくは120°の大きさを有することができる。図2Aに示す挟持角δの大きさは120°である。
【0069】
図2Bは、図2Aのばねホルダ100の概略側面図を示す。挟持位置(図示せず)では、挟持角δは広がり得、接触角γは圧力および/または保持力の影響下で減少し得る。その結果、挟持位置では、挟持領域134を介して被加工物300の接触挟持面301に保持力をかけることができ、その結果、被加工物300は、挟持領域134上に載っている挟持面301を介して挟持領域134に摩擦連結されることができる。案内脚部132は、被加工物担持体200(図示せず)の開口スロット203内へのばね装置100の簡単な挿入を可能にする。
【0070】
図2Cは、本発明による事前形成されたばねホルダ100の実施形態の概略上面図を示す。点線は、基部プレート110の矩形体形状を示す。
【0071】
図2Dは、図2Cに示す切断線A-Aに沿った概略断面を示す。図示のばねホルダ100の位置では、側方角αは110°である。図示のばねホルダ100の位置では、戻り角βは40°である。
【0072】
図3A図3B図3Cおよび図3Dは各々、異なる形状の挟持タブ131を有する挟持構成130の異なる断面形状の概略的な例示的な実施形態を示す。図3Aは、折り目として設計された挟持細条部136を有する挟持領域134を有する挟持タブ131を有する挟持構成130を示す。図3Bは、縁部として設計された挟持細条部136を有する挟持領域134を示す。図3Cは、折り目として設計された挟持細条部136を有する挟持領域134を示し、挟持点138が挟持領域134に配置されている。挟持点138は、エンボス加工または塗布された小塊として設計することができる。小塊は、特に、滑らない挟持領域134の形成を可能にすることができる。図3Cでは、挟持点138は、塗布された小塊の形態である。図3Dは、球状に湾曲したタブとして設計された挟持留め部137を挟持領域134に有する挟持タブ131を有する挟持構成130を示す。
【0073】
図3Eは、挟持位置において断面プロファイルで示される被加工物担持体200、被加工物300および2つのばねホルダ100の実施形態の機能原理を概略的に示す。挟持構成130は、被加工物担持体200の開口スロット203を通過し、挟持領域134の折り目として設計された挟持細条部136は、被加工物300の締結領域302の対向する挟持面301に接触し、それにより、締結領域302は、挟持タブ131の弾性変形下で固定され保持される。
【0074】
図4Aは、負荷をかけられていない被加工物担持体200の実施形態の概略平面図を示す。被加工物担持体200は、被加工物300を締結するために互いのとなりに平行に配置された5つの締結セグメント204を有し、互いのとなりに配置された締結セグメント204は、被加工物担持体の長手方向Lを規定する。被加工物担持体の幅方向Bは、締結セグメント204の幅によって規定される。各締結セグメント204は、互いから距離を置いて3つの平行な開口スロット203を有し、これらは互いと長さおよび形状が異なる。開口スロット203の2つに隣接して、互いに離間した複数の対の嵌合開口部201が配置されている。嵌合開口部201の各々は、掛止構成120が通過することを可能にし、被挟持位置において、復元性のあるタブ121のための座部として機能する。掛止構成120の復元性のあるタブ121は、スナップフックとして作用する掛止舌部122を介して被加工物担持体200の嵌合開口部201を通過することによって被加工物担持体200に連結され得る。被加工物担持体200の嵌合開口部201の寸法および復元性のあるタブ121の寸法は、復元性のあるタブ121が嵌合開口部201を通過する嵌合方向に対して横断方向に少なくとも1つの運動の自由度でばねホルダ100が被加工物担持体200に固定されるように、互いに適合される。言い換えれば、ばねホルダ100は、既存の遊びを介して被加工物担持体の長手方向Lに平行な方向に調整することができる。
【0075】
嵌合開口部201は、挟持位置において、2つのばね装置100が、各々、挟持領域134が互いに対向して配置されるように、配置される。言い換えれば、被加工物300の単一の締結領域302は、開口スロット203内において2つのばね装置100の2つの対向する挟持領域134間の挟持位置に配置され、2つの対向する挟持領域134の、当接する挟持面301上で保持され得る。
【0076】
図4Bは、図3AからのXでマークされた領域の拡大を概略的に示す。嵌合開口部201は矩形の基本形状を有し、基本形状の長手方向縁部205は長手方向Lに平行な方向に延在し、嵌合開口部の幅縁部206は幅方向Bに平行な方向に延在する。矩形の掛止スロット202は、嵌合開口部201の領域における延在間隔209内に配置される。掛止スロットの幅縁部207は、嵌合開口部の幅縁部206と整列される。言い換えると、嵌合開口部の幅縁部206と掛止スロットの幅縁部207とは、幅方向Bに平行な方向に整列される。掛止スロット202は、掛止舌部122の掛止端部125を受容するように設計され、その結果、ばねホルダ100は、ばねホルダ100の嵌合方向に対して横断するように、運動の自由度の方向において調整され得る。
【0077】
図5Aは、2つのばねホルダ100を伴う被加工物担持体200の表面セクションの概略斜視図を示す。ばねホルダ100は、開口スロット203の2つの側部において嵌合収容穴201内に位置している。2つのばねホルダの挟持領域134は、互いに対向して配置される(図示せず)。掛止舌部122の掛止端部125は、掛止スロット202と掛止するように配置され、掛止端部125は掛止スロット202の内側に配置される。
【0078】
図5Bは、図5Aの被加工物担持体200の下面セクションの概略斜視図を示す。2つのばねホルダ100は、被加工物担持体200に掛止式に連結される。各ばねホルダ100のそれぞれの挟持部分134は、互いに対向して配置されている。掛止舌部122のそれぞれの掛止端部125は各々、掛止スロット202に係合し、嵌合式(positive)および/または非嵌合式(non-positive)の接続を形成する。
【0079】
図6は、ばねホルダのさらなる実施形態の概略斜視図を示す。ばねホルダ100は、基本矩形形状を有する基部プレート110を有し、そこに弾性挟持タブ131を有する挟持構成130が配置される。挟持位置(図示せず)では、ばねホルダ100が被加工物担持体に連結されると、挟持領域134を介して被加工物に保持力がかけられる。被加工物(図示せず)は、挟持領域134と接触する挟持面を介してばねホルダに摩擦連結されることができ、したがって被加工物担持体(図示せず)に取り外し可能に固定されることができる。ばねホルダは、弾性変形可能な掛止構成120を有する。掛止構成120は、被加工物担持体に掛止式に連結されることができる。掛止構成120は、基部プレート110と一体の部品として形成される。基部プレート110は、互いに接続された3つの切断縁部113を有する。3つの切断縁部113は、U字形の切断部を形成する。掛止構成120は、切断部に沿って基部プレート110から外され、基部プレート110に対して、ある角度で配置される。言い換えると、掛止構成120は、基部プレート110の一部から形成される。掛止構成120は、復元性のあるタブ121を有し、それは、被加工物担持体の嵌合開口部を通過し、スナップフックとして作用する掛止舌部122を介して被加工物担持体に連結され得る。挟持構成130および掛止構成120は各々、基部プレート110上で折られて配置される。ばねホルダ100は、単一の一体部品として形成される。
【0080】
図7は、被加工物を被加工物担持体に締結するためのばねホルダのさらなる実施形態の概略斜視図である。ばねホルダ100は、掛止端部125を有する掛止舌部122を有し、掛止端部125は、掛止舌部上に形成された突起126上に配置される。掛止端部125は、掛止舌部122に形成された突起126の端部として設計されている。掛止端部125は、掛止切欠き(図示せず)と係合および/または嵌合するように適合された矩形の断面プロファイルを有する。掛止端部125、突起126および掛止舌部122は、一体的に形成される。突起126は、掛止舌部122の縁部から垂直に延在する。
【0081】
図8は、図7による2つのばねホルダを伴う被加工物担持体200の表面セクションの概略斜視図を示す。被加工物担持体200の嵌合開口部201は、各々、掛止切欠き208を有する。掛止切欠き208は、各々、嵌合開口部201の壁に配置される。掛止切欠き208は矩形の基本形状を有する。2つのばねホルダ100は、挟持位置において開口スロット203内で互いに対向して配置される。各掛止切欠き208は、掛止舌部122の掛止端部125を受け入れる。掛止端部125と掛止切欠き208との間の遊び(図示せず)によって、ばねホルダ100は、嵌合方向に対して横断するように、運動の自由度の方向に調整されることができる。掛止端部125および突起126は、掛止切欠き208上またはその中で延びる。
【0082】
以上説明した例示的な実施形態は、本発明の実施形態である。例示的な実施形態において、実施形態の記載された構成要素は各々、互いに独立して考慮されるべき本発明の個々の特徴を表し、それらはまた、互いに独立して本発明を展開し、したがって、個々に、または示されたもの以外の組み合わせにおいて、本発明の一部と見なされるべきでもある。さらに、説明した実施形態は、既に説明した本発明のさらなる特徴によって補足することもできる。
【0083】
本発明のさらなる特徴および実施形態は、本開示の範囲および特許請求の範囲内で当業者に明らかとなる。
【符号の説明】
【0084】
参照符号一覧
10 現状技術によるばねホルダ
13 現状技術によるばねホルダの挟持構成
100 ばねホルダ
109 前方折り縁部
110 基部プレート
111 長縁部
112 縁部
120 掛止構成
121 復元性のあるタブ
122 掛止舌部
123 側方折り縁部
126 側方プレート
130 挟持構成
131 挟持タブ
132 案内脚部
133 挟持脚部
134 挟持領域
136 挟持細条部
138 挟持点
200 被加工物担持体
201 嵌合開口部
203 開口スロット
204 締結セグメント
300 被加工物
301 挟持面
302 締結領域
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
【国際調査報告】