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特表2023-543541ビーズ連結トランスポソームを使用するRNA及びDNA配列決定ライブラリの調製
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-17
(54)【発明の名称】ビーズ連結トランスポソームを使用するRNA及びDNA配列決定ライブラリの調製
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20231010BHJP
   C12Q 1/6874 20180101ALI20231010BHJP
【FI】
C12N15/09 200
C12Q1/6874 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505710
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(85)【翻訳文提出日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 US2021044715
(87)【国際公開番号】W WO2022031955
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】63/061,885
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/165,830
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/168,802
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/219,014
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】502279294
【氏名又は名称】イルミナ ケンブリッジ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ゴームリー, ナイル アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ, アンドリュー ビー.
(72)【発明者】
【氏名】キュルステン, ロバート スコット
(72)【発明者】
【氏名】シュロス, ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】ランダイス-ヒンチリフ, カルロ
(72)【発明者】
【氏名】シュルツァバーガー, サラ
(72)【発明者】
【氏名】ケイパー, フィオナ
(72)【発明者】
【氏名】ウー, イル-シューアン
(72)【発明者】
【氏名】クラナ, タルン
(72)【発明者】
【氏名】マシャイェキ, フォード
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR06
4B063QR07
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS32
4B063QX02
(57)【要約】
本出願は、タグ付きRNA断片の固定化ライブラリを調製する方法を記載する。単一試料からDNA及びRNA配列決定ライブラリを調製するいくつかの方法も本明細書に記載される。これらの方法は、単一細胞からのライブラリ調製を含み得る。3’固有分子識別子(unique molecular identifier、UMI)を組み込むRNAライブラリを調製する方法、及びタグメンテーションを用いて鎖特異的RNAライブラリを調製する方法も本明細書に記載される。RNA及びDNAライブラリを調製する方法が本明細書に記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RNA及びDNAを含む試料からタグ付き断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、前記タグ付き断片が、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含み、前記方法が、
a.DNAを固定化するために、RNA及びDNAを含む試料を、第1の固体支持体と組み合わせることであって、前記第1の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、前記トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びDNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、
b.前記DNAを固定化することと、
c.前記第1の固体支持体上でタグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することと、
d.前記RNAから二本鎖cDNAを調製することと、
e.cDNAを固定化するために、前記試料を第2の固体支持体と組み合わせることであって、前記第2の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、前記トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びRNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、
f.前記cDNAを固定化し、前記第2の固体支持体上でタグメンテーションを行って、RNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することと、を含む、方法。
【請求項2】
RNA及びDNAを含む試料からタグ付き断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、前記タグ付き断片が、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含み、前記方法が、
a.DNAを固定化するために、RNA及びDNAを含む試料を、第1の固体支持体と組み合わせることであって、前記第1の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、前記トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びDNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、
b.前記DNAを固定化することと、
c.前記第1の固体支持体上でタグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することと、
d.前記RNAからcDNAの一本鎖を調製して、DNA:RNA二重鎖を産生することと、
e.DNA:RNA二重鎖を固定化するために、前記試料を第2の固体支持体と組み合わせることであって、前記第2の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、前記トランスポソーム複合体が、DNA:RNA二重鎖に対する活性を有するトランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びRNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、
f.前記DNA:RNA二重鎖を固定化し、前記第2の固体支持体上でタグメンテーションを行って、RNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することと、を含む、方法。
【請求項3】
RNA及びDNAを含む試料からタグ付き断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、前記タグ付き断片が、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含み、前記方法が、
a.DNAを固定化するために、RNA及びDNAを含む試料を、第1の固体支持体と組み合わせることであって、前記第1の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、前記トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びDNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、
b.前記DNAを固定化することと、
c.前記第1の固体支持体上でタグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することと、
d.前記RNAから二本鎖cDNAを調製することと、
e.溶液中で前記二本鎖DNAに対してタグメンテーションを行って、前記二本鎖cDNAのタグ付き断片を調製することであって、溶液中の前記トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列、RNA特異的バーコード、及び捕捉プローブにハイブリダイズする配列を含むトランスポゾンと、を含み、前記タグ付き断片が、前記RNA特異的バーコードと、前記捕捉プローブにハイブリダイズする配列と、を含む、調製することと、
f.前記試料を、捕捉プローブを含む表面を有する第2の固体支持体と組み合わせることと、
g.前記第2の固体支持体上に前記二本鎖cDNAのタグ付き断片を固定化することと、を含む、方法。
【請求項4】
RNA及びDNAを含む試料からタグ付き断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、前記タグ付き断片が、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含み、前記方法が、
a.DNAを固定化するために、RNA及びDNAを含む試料を、第1の固体支持体と組み合わせることであって、前記第1の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、前記トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びDNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、
b.前記DNAを固定化することと、
c.前記第1の固体支持体上でタグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することと、
d.前記RNAからcDNAの一本鎖を調製して、DNA:RNA二重鎖を産生することと、
e.溶液中で前記DNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行って、前記DNA:RNA二重鎖のタグ付き断片を調製することであって、溶液中の前記トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列、RNA特異的バーコード、及び捕捉プローブにハイブリダイズする配列を含むトランスポゾンと、を含み、前記タグ付き断片が、前記RNA特異的バーコード及び前記捕捉プローブにハイブリダイズする配列を含む、調製することと、
f.前記試料を、捕捉プローブを含む表面を有する第2の固体支持体と組み合わせることと、
g.前記第2の固体支持体上に前記DNA:RNA二重鎖のタグ付き断片を固定化することと、を含む、方法。
【請求項5】
前記第1の固体支持体上でタグメンテーションを行った後に、合成二本鎖DNAを前記第1の固体支持体に付加することを更に含み、任意選択で、前記合成二本鎖DNAが、ウラシルを含み、増幅が、ウラシル不耐性DNAポリメラーゼを用いて行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記DNA特異的バーコード及び前記RNA特異的バーコードが、異なるプライマー結合配列を含み、任意選択で、前記方法が、
a.前記DNA特異的バーコードに含まれる前記プライマー結合配列と結合するプライマーを使用して、前記DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を増幅すること、
b.前記RNA特異的バーコードに含まれる前記プライマー結合配列と結合するプライマーを使用して、前記RNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を増幅すること、又は
c.前記DNA特異的バーコードに含まれる前記プライマー結合配列と結合するプライマーと、前記RNA特異的バーコードに含まれる前記プライマー結合配列と結合するプライマーと、を含むプライマーミックスを使用して、前記DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片及び前記RNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を増幅することを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
RNAから一本鎖DNAの鎖特異的ライブラリを調製する方法であって、
a.DNA依存性DNA合成を阻害する条件下で、逆転写酵素、プライマー、及びdTTPを含むヌクレオチドを使用して、試料中に含まれるRNAからcDNAの第1の鎖を調製することと、
b.DNAポリメラーゼ、プライマー、及びdUTPを含むヌクレオチドを使用して、cDNAの前記第1の鎖からcDNAの第2の鎖を調製して、二本鎖cDNAを調製することと、
c.前記二本鎖cDNAを、トランスポソーム複合体が上に固定化された固体支持体に適用することであって、各トランスポソーム複合体が、
i.トランスポザーゼと、
ii.トランスポゾン末端配列及び第1のリード配列決定アダプター配列を含む3’部分を含む第1のトランスポゾンであって、前記トランスポソーム複合体を前記固体支持体に固定化するための5’親和性エレメントを含む、第1のトランスポゾンと、
iii.前記トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を含む第2のトランスポゾン配列と、を含む、適用することと、
d.前記トランスポソーム複合体を用いて前記二本鎖DNAに対してタグメンテーションを行って、前記第1のリード配列決定アダプター配列を含むタグ付き二本鎖DNA断片を調製することと、
e.前記第2のトランスポゾンを除去し、ギャップ充填及び伸長を行うことと、
f.前記二本鎖DNA断片の前記鎖を分離することと、
g.第2のリード配列決定アダプター配列を含むプライマーを、前記トランスポゾン末端配列又は前記トランスポゾン末端配列に対して完全に若しくは部分的に相補的である前記配列にハイブリダイズし、前記固体支持体に結合されておらず、かつ前記第1のリード配列決定アダプター及び前記第2のリード配列決定アダプターを含むDNA鎖を調製するために増幅することと、
h.前記増幅によって生成される前記鎖を、前記固体支持体から放出することであって、前記放出が、前記第1のリード配列決定アダプター及び前記第2のリード配列決定アダプターを含む一本鎖DNA断片を放出する、放出することと、を含む、方法。
【請求項8】
a.DNA依存性DNA合成を阻害する前記条件が、アクチノマイシンDを含む緩衝液の存在であり、
b.前記プライマーが、1つ以上のランダマープライマーであるか、若しくは前記プライマーが、ランダマープライマーとポリTプライマーとの混合物であり、
c.cDNAの第2の鎖の前記調製のための前記プライマーが、cDNAの第1の鎖の前記調製のための前記プライマーと同じであり、
d.前記RNAが、長い非コードRNA又はアンチセンス転写物であり、
e.前記増幅が、ウラシル不耐性ポリメラーゼを用いて行われ、かつ/又は
f.前記親和性エレメントが、ビオチン、デスチオビオチン、若しくはデュアルビオチンであり、前記固体支持体が、その表面上にストレプトアビジン若しくはアビジンを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
a.固有分子識別子(UMI)が、第2のリード配列決定アダプター配列を含む前記プライマーに含まれ、任意選択で、前記UMIが、前記第2のリード配列決定アダプター配列と、前記トランスポゾン末端配列に結合することができる配列又は前記トランスポゾン末端配列に対して完全に若しくは部分的に相補的である配列との間に位置するか、あるいは
b.UMIが前記第1のトランスポゾンに含まれ、任意選択で、前記UMIが、前記トランスポゾン末端配列と前記第1のリード配列決定アダプター配列との間に位置する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記放出の後に、前記第1のリード配列決定アダプター及び前記第2のリード配列決定アダプターを含む前記一本鎖DNA断片を用いてインデックスプライマー増幅を行って、インデックス付き断片を調製することを更に含み、任意選択で、前記インデックスプライマー増幅が、前記固体支持体とは別個の反応容器内で行われ、かつ/又は前記インデックスプライマー増幅が、ウラシル不耐性ポリメラーゼを用いて行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
RNAから二本鎖DNA断片のライブラリを調製する方法であって、
a.UMI及び第1のリード配列決定アダプター配列を含むポリTプライマーを使用して、試料中の完全長RNAからcDNAの第1の鎖を調製することと、
b.cDNAの第2の鎖を調製して、二本鎖cDNAを生成することと、
c.前記二本鎖cDNAを、トランスポソーム複合体が上に固定化されたビーズに適用することであって、各トランスポソーム複合体が、
i.トランスポザーゼと、
ii.3’トランスポゾン末端配列を含む第1のトランスポゾンと、
iii.前記トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列及びハイブリダイゼーション配列を含む第2のトランスポゾンと、を含み、
前記トランスポソーム複合体が、ビーズに固定化されたオリゴヌクレオチドへの前記ハイブリダイゼーション配列の結合によって固定化され、前記オリゴヌクレオチドが、5’親和性エレメント、第1のリード配列決定アダプター配列、ビーズコード、及び前記ハイブリダイゼーション配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を含む、適用することと、
d.前記二本鎖cDNAを固定化し、前記ビーズに対してタグメンテーションを行って、二本鎖DNA断片を調製することと、
e.前記第2のトランスポゾンを除去することと、
f.第2のリード配列決定アダプター配列と、前記トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列と、を含むプライマーを、前記トランスポゾン末端配列にハイブリダイズすることと、
g.ギャップ充填及び伸長を行って、前記第1のリード配列決定アダプター及び前記第2のリード配列決定アダプターを含む二本鎖DNA断片を調製することと、を含む、方法。
【請求項12】
RNAから二本鎖DNA断片のライブラリを調製する方法であって、
a.UMI及び第1のリード配列決定アダプター配列を含むポリTプライマーを使用して、試料中の完全長RNAからcDNAの第1の鎖を調製することと、
b.cDNAの第2の鎖を調製して、二本鎖cDNAを生成することと、
c.前記二本鎖cDNAを、トランスポソーム複合体が上に固定化されたビーズに適用することであって、各トランスポソーム複合体が、
i.トランスポザーゼと、
ii.3’トランスポゾン末端配列、ビーズコード、及び第2のリード配列決定アダプター配列を含む第1のトランスポゾンであって、前記トランスポソーム複合体を前記固体支持体に固定化するための5’親和性エレメントを更に含む、第1のトランスポゾンと、
iii.前記トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を含む第2のトランスポゾンと、を含む、適用することと、
d.前記二本鎖cDNAを固定化し、前記ビーズに対してタグメンテーションを行って、二本鎖DNA断片を調製することと、
e.前記第2のトランスポゾンを除去することと、
f.第2のリード配列決定アダプター配列と、前記トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列と、を含むプライマーを、前記トランスポゾン末端配列にハイブリダイズすることと、
g.ギャップ充填及び伸長を行って、前記第1のリード配列決定アダプター及び前記第2のリード配列決定アダプターを含む二本鎖DNA断片を調製することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である前記配列が、前記トランスポゾン末端配列より短く、任意選択で、前記トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である前記配列が、前記トランスポゾン末端配列より短い場合、より少ないアダプターダイマーが生成される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
標的RNAからタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、
標的RNAを含む試料を、トランスポソーム複合体及び捕捉オリゴヌクレオチドが上に固定化された固体支持体に適用することであって、任意選択で、前記標的RNAが、前記捕捉オリゴヌクレオチドのうちの1つ以上の少なくとも一部分に対して相補的である配列を含み、かつ/又は前記捕捉オリゴヌクレオチドが、ポリT配列を含み、前記トランスポソーム複合体が、第1のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを含み、前記第1のポリヌクレオチドが、
i.トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、
ii.第1のタグと、を含み、
前記試料は、前記標的RNAの3’末端が前記捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、前記固体支持体に適用される、適用することと、
b.cDNAを合成し、前記捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、
c.前記DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、前記トランスポソーム複合体を用いて前記DNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、前記第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記トランスポソーム複合体が、タグメンテーションを行う前に可逆的に不活性化され、タグメンテーションを行うことが、前記トランスポソーム複合体を活性化することを含み、任意選択で、
a.前記トランスポソーム複合体が、前記トランスポソーム複合体に結合したトランスポソーム不活性化剤によって可逆的に不活性化され、任意選択で、
i.前記トランスポソーム不活性化剤が、前記トランスポソーム複合体のTn5結合部位に結合されているか、又は
ii.前記トランスポソーム不活性化剤が、脱リン酸化ME’、余分な塩基、阻害剤二重鎖、及び/若しくは易熱性抗体を含み、かつ/又は
b.前記トランスポソーム複合体が、前記トランスポソーム不活性化剤を除去することによって活性化される、請求項1~14、16~23、又は26~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
標的RNAからタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、
a.標的RNAを含む試料を、捕捉オリゴヌクレオチド及び第1のポリヌクレオチドが上に固定化された固体支持体に適用することであって、前記第1のポリヌクレオチドが、
i.トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、
ii.第1のタグと、を含み、
前記試料は、前記標的RNAの3’末端が前記捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、前記固体支持体に適用される、適用することと、
b.トランスポザーゼを、前記トランスポザーゼが前記第1のポリヌクレオチドに結合してトランスポソーム複合体を形成する条件下で付加することと、
c.cDNAを合成し、前記捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、
d.前記DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、前記トランスポソーム複合体を用いて前記DNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、前記第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【請求項17】
標的RNAからタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、
a.標的RNAを含む試料を、捕捉オリゴヌクレオチド及び第1のポリヌクレオチドが上に固定化された固体支持体に適用することであって、前記第1のポリヌクレオチドが、
i.トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、
ii.第1のタグと、を含み、
前記試料は、前記標的RNAの3’末端が前記捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、前記固体支持体に適用される、適用することと、
b.cDNAを合成し、前記捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、
c.トランスポザーゼを、前記トランスポザーゼが前記第1のポリヌクレオチドに結合してトランスポソーム複合体を形成する条件下で付加することと、
d.前記DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、前記トランスポソーム複合体を用いて前記DNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、前記第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【請求項18】
標的RNAを含む試料を固体支持体に前記適用することが、液滴中で行われ、任意選択で、標的RNAを含む試料を固体支持体に前記適用することが、
a.ビーズと一緒に液滴中の単一細胞を提供することと、
b.前記液滴中の前記細胞を溶解することと、
c.前記単一細胞から前記標的RNAを放出することと、
d.前記標的RNAを前記ビーズ上に捕捉することと、を含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
配列決定のために、前記固体支持体上のDNA:RNA断片の前記固定化ライブラリを、表面に送達することを更に含み、任意選択で、前記方法が、前記送達の後に、
a.配列決定のために、前記表面上のDNA:RNA断片の前記固定化ライブラリを用いて前記固体支持体を捕捉することと、
b.前記固定化断片を前記固体支持体から放出することと、
c.配列決定のために、前記表面上の前記断片を捕捉することと、を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
標的RNAを含む試料を固体支持体に前記適用することが、前記固体支持体上のマイクロウェル中で行われ、かつ/又は標的RNAを含む試料を固体支持体に前記適用することが、細胞を溶解し、マイクロウェル中の前記単一細胞から標的RNAを放出することを含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
DNA:RNA断片の前記固定化ライブラリを放出し、同じマイクロウェル中で前記断片を配列決定することを更に含み、任意選択で、前記固体支持体が、マイクロウェルを含むフローセルである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記トランスポソーム複合体全てが、同一であり、任意選択で、前記断片が、前記二本鎖断片の両方の鎖の前記5’末端において同じアダプター配列でタグ付けされており、任意選択で、前記方法が
a.前記トランスポソーム複合体から二本鎖標的核酸断片を放出することと、
b.アダプター配列、UMI、及び第1の3’末端トランスポゾン配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を含むポリヌクレオチドをハイブリダイズすることであって、前記ポリヌクレオチドに含まれる前記アダプター配列が、前記トランスポソーム複合体に含まれる前記アダプター配列とは異なる、ハイブリダイズすることと、
c.任意選択で、前記二本鎖標的核酸断片の第2の鎖を伸長することと、
d.任意選択で、前記ポリヌクレオチド又は伸長ポリヌクレオチドを前記二本鎖標的核酸断片とライゲーションすることと、
e.前記UMIを含む二本鎖標的核酸断片を産生することであって、前記UMIが、挿入DNAの3’末端に直接隣接して位置する、産生することと、を更に含む、請求項14~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
標的RNAからタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、
a.標的RNAを含む試料を、捕捉オリゴヌクレオチドが上に固定化された固体支持体に適用することであって、任意選択で、前記RNAが、mRNAであり、前記捕捉オリゴヌクレオチドが、ポリT配列を含む、適用することと、
b.cDNAを合成し、前記捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、
c.前記DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、溶液中の前記トランスポソーム複合体を用いて前記DNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、前記第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【請求項24】
固体支持体であって、その上に固定化された捕捉オリゴヌクレオチド及び第1のポリヌクレオチドを含み、前記第1のポリヌクレオチドが、
a.トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、
b.第1のタグと、を含む、固体支持体。
【請求項25】
捕捉オリゴヌクレオチド及び固定化オリゴヌクレオチドを含む固体支持体であって、前記固定化オリゴヌクレオチドが、トランスポソーム複合体に含まれる第2のトランスポゾンに含まれるハイブリダイゼーション配列にハイブリダイズするための配列を含む、固体支持体。
【請求項26】
RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、
a.RNA及びDNAを含む前記試料を、
i.DNAを固定化するための第1の固体支持体であって、その上に固定化された第1のトランスポソーム複合体を含み、前記第1のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、第1のポリヌクレオチドと、を含み、前記第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、任意選択で第1のタグと、を含む、第1の固体支持体と、
ii.第1の捕捉オリゴヌクレオチドが上に固定化された第2の固体支持体と、に適用することであって、
前記試料は、前記DNAが前記第1の固体支持体上の前記第1のトランスポソーム複合体に結合し、断片化され、任意選択で、タグ付けされ、前記RNAが前記第2の固体支持体上の前記第1の捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、前記第1及び第2の固体支持体の混合物に適用される、適用することと、
b.前記第2の固体支持体に結合した前記RNAを、第3の固体支持体に転移させることであって、前記第3の固体支持体が、その上に固定化された、前記転移されたRNAに結合する第2の捕捉オリゴヌクレオチドと、第2のトランスポソーム複合体と、を有し、前記第2のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、第2のポリヌクレオチドと、を含み、前記第2のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第2のタグと、含む、転移させることと、
c.cDNAを合成し、前記第2の捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、
d.前記DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、前記第2のトランスポソーム複合体を用いて前記DNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、前記第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【請求項27】
RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、
a.RNA及びDNAを含む試料を、
i.DNAを固定化するための第1の固体支持体であって、その上に固定化された第1のトランスポソーム複合体を含み、前記第1のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、第1のポリヌクレオチドと、を含み、前記第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、任意選択で第1のタグと、を含む、第1の固体支持体と、
ii.捕捉オリゴヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチドが上に固定化された第2の固体支持体であって、前記第2のポリヌクレオチドが、
トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、
第2のタグと、を含む、第2の固体支持体と、に適用することであって、
前記試料は、前記DNAが前記第1の固体支持体上の前記第1のトランスポソーム複合体に結合し、断片化され、任意選択で、タグ付けされ、前記RNAが前記第2の固体支持体上の前記捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、前記第1及び第2の固体支持体の混合物に適用される、適用することと、
b.トランスポザーゼを、前記トランスポザーゼが前記第2のポリヌクレオチドに結合して、前記第2の固体支持体上にトランスポソーム複合体を形成する条件下で、付加することと、
c.cDNAを合成し、前記第2の捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、
d.前記DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、前記第2のトランスポソーム複合体を用いて前記DNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、前記第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【請求項28】
RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、
a.RNA及びDNAを含む試料を、
i.DNAを固定化するための第1の固体支持体であって、その上に固定化された第1のトランスポソーム複合体を含み、前記第1のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、第1のポリヌクレオチドと、を含み、前記第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、任意選択で第1のタグと、を含む、第1の固体支持体と、
ii.可逆的に不活性化される捕捉オリゴヌクレオチド及び第2のトランスポソーム複合体が上に固定化されたRNAを固定化するための第2の固体支持体であって、前記トランスポソーム複合体が、第2のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを含み、前記第2のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第2のタグと、を含む、第2の固体支持体と、に適用することであって、前記試料は、前記DNAが前記第1の固体支持体上の前記第1のトランスポソーム複合体に結合し、断片化され、任意選択で、タグ付けされ、前記RNAが前記第2の固体支持体上の前記捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、前記第1及び第2の固体支持体の混合物に適用される、適用することと、
b.cDNAを合成し、前記捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、
c.前記第2のトランスポソーム複合体を活性化することと、
d.前記DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、前記活性化された第2のトランスポソーム複合体を用いて前記DNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、前記第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【請求項29】
RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、
a.RNA及びDNAを含む試料を、DNAを固定化するための第1の固体支持体に適用することであって、前記第1の固体支持体が、その上に固定化された第1のトランスポソーム複合体を含み、前記第1のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、第1のポリヌクレオチドと、を含み、前記第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、任意選択で第1のタグと、を含み、前記試料は、前記DNAが前記第1の固体支持体上の前記第1のトランスポソーム複合体に結合し、断片化され、任意選択でタグ付けされる条件下で適用される、適用することと、
b.前記結合したDNAを有する前記第1の固体支持体を前記RNAから分離することと、
c.捕捉オリゴヌクレオチド及び第2のトランスポソーム複合体が上に固定化されたRNAを固定化するための第2の固体支持体に前記RNAを適用することであって、前記第2のトランスポソーム複合体が、第2のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを含み、前記第2のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第2のタグと、を含み、前記RNAが、前記第2の固体支持体上の前記捕捉オリゴヌクレオチドに結合する、適用することと、
d.cDNAを合成し、前記第2の捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、
e.前記DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、活性化された第2のトランスポソーム複合体を用いて前記DNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、前記第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【請求項30】
標的RNAからタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、
a.cDNAを合成し、DNA:RNA二重鎖を生成するための条件下で、標的RNAを含む試料に逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、
b.トランスポソーム複合体が上に固定化された固体支持体にDNA:RNA二重鎖を固定化することであって、
前記トランスポソーム複合体が、第1のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを含み、前記第1のポリヌクレオチドが、
i.トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、
ii.第1のタグと、を含み、
前記試料は、前記DNA:RNA二重鎖が、捕捉オリゴヌクレオチド又はトランスポザーゼに直接結合する条件下で、前記固体支持体に適用される、固定化することと、
c.前記DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、前記トランスポソーム複合体を用いて前記DNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、前記第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【請求項31】
請求項1~30のいずれか一項に記載の方法を使用して調製された配列決定ライブラリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年8月6日に出願された米国特許仮出願第63/061,885号、2021年3月25日に出願された米国特許仮出願第63/165,830号、2021年3月31日に出願された米国特許仮出願第63/168,802号、及び2021年7月7日に出願された米国特許仮出願第63/219,014号の優先権の利益を主張し、これらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、ビーズ連結トランスポソームを使用するRNA配列決定ライブラリの調製に関する。単一試料からRNA及びDNA配列決定ライブラリを調製する方法もまた記載される。
【背景技術】
【0003】
RNA配列決定はいくつかの用途にとって重要である。例えば、完全RNA転写物の配列決定は、スプライシングにおける差異など、転写物における任意の変異を研究することを可能にする。また、RNA配列決定は、転写物のカウントを行い、様々な遺伝子の転写物の数をカウントするために使用され得る。
【0004】
RNA配列決定(RNA-seq)は、次世代配列決定を使用してトランスクリプトームをプロファイリングする。一般的な技術は、一本鎖RNAを一本鎖又は二本鎖cDNA断片に変換することを含む。次いで、アダプターは、ライブラリ調製において各断片の末端に付加され、これは多くの配列決定プラットフォームに必要とされる。使用されるアプローチに依存して、RNAがどの鎖に由来するかに関する情報が保持され得る。これは、鎖特異的RNA-seqとして知られており、アンチセンス転写物を正確に特定し、非コードRNA(例えば、LncRNA)の鎖を決定し、重複遺伝子の境界を画することによって、標準的なアプローチを改善する。更に、鎖特異的RNA-seqは、転写物発現のより正確な推定を提供するため、望ましいアプローチである。
【0005】
RNA試料を配列決定するための多くの現在のプロトコルは、配列決定の前に試料中のRNAを二本鎖cDNAフォーマットに変換する試料調製方法を用いる。RNA配列決定のために、ワークフロー及び使い易さを改善する方法、例えば、タグメンテーションを使用して鎖特異的RNAライブラリの調製を可能にする方法が必要とされる。
【0006】
更に、現在の単一細胞RNA配列決定分析は、発現の定量的測定を確実にするために、固有分子識別子(unique molecular identifier、UMI)に基づく方法に依存する。このアプローチは、配列決定のための十分なインプットを得るために有意なレベルのcDNA前増幅にしばしば依存する単一細胞RNA配列決定に特に関連する。増幅バイアスは、マッチするUMI及びマッピング部位を有するリードを折りたたむことによって補正され得る。しかしながら、UMIに基づく方法は、CEL-seq2(Hashimshony T et al.Genome Biol.17:77(2016))、Drop-seq(Macosko EZ,et al.Cell 161:1202-14(2015))、Smart-seq2(Picelli S,et al.Nature Protocols 9:171-181(2014))などの最新のプロトコルでUMIが結合されるか、又はSTRT-seq(Islam S,et al.Nat Methods 2013;11:163-6)などで、5’末端でUMIが結合され得る場合、転写物の3’にのみ由来するリードを提供する。したがって、代替的スプライシング研究は、RNA配列決定の顕著な適用となっているが、単一細胞アイソフォーム発現分析を可能にし得る利用可能な技術が非常に少ないため、アイソフォーム発現の単一細胞レベル測定は、限定されたままである。したがって、RNAからのcDNA産生を改善する方法は、広範な種々の異なる適用において使用され得る。
【0007】
表面(ビーズなど)に結合したトランスポソームは、二本鎖(double-stranded、ds)DNAの長い分子をタグ付けし、ビーズ又は他の表面上に鋳型ライブラリを産生することができる(米国特許第9683230号を参照されたい)。トランスポソームをビーズに固定することは、タグメンテーション中の挿入サイズ及び収量の制御を助けることができ、以前はIlluminaのNextera技術として知られているIllumina DNA Flex PCR-Free(研究用途のみ、research use only、RUO)技術の基礎である。これらの方法において、Tn5酵素は、タグメンテーションと称される「カットアンドペースト(cut-and-paste)」機構を介して、二本鎖DNA又はcDNAの末端への配列決定に必要とされるアダプターの転位を触媒する。ライブラリ調製において、タグメンテーションは、ビーズ連結トランスポソーム(bead-linked transposome、BLT)を使用して溶液中又は磁気ビーズ上のいずれかで行われる。タグメンテーションに基づく方法は、ライゲーションに基づく方法よりも少ない工程を必要とし、より高い変換効率をもたらし、より正確である。しかしながら、タグメンテーション法で利用可能な鎖特異的RNA-seq法は存在しない。
【0008】
更に、Illumina DNA Flex PCR-Freeなどの非対称タグメンテーション法は、A14及びB15トランスポソームの混合物を含むBLTを用いたタグメンテーションを含み、A14及びB15は、配列決定アダプター配列を含む。A14のみ又はB15のみでタグメンテーションされている断片(すなわち、断片の両末端にA14配列又は断片の両末端にB15配列を有する断片)は、標準的なIllumina SBS配列決定法が、断片の一方の末端にA14及び他方の末端にB15の存在を必要とするため、実行可能なライブラリ産物を作製しない。したがって、全てのタグメンテーションされた断片のおよそ半分が失われ、先行技術における非対称タグメンテーション法によるライブラリ調製効率の低下につながる。全てのトランスポソーム複合体が同一のトランスポソームを含む対称タグメンテーションプロトコルを組み込むことによってなど、タグメンテーション産物のそのような損失を回避する方法が、タグメンテーションを含む方法で収量を改善するために必要である。
【0009】
トランスポソームはまた、「見かけの」DNA:RNA二重鎖をタグメンテーションすることができる。例えば、ポリT捕捉オリゴは、フローセル表面に結合され、その3’ポリAテールを介してmRNA転写物を捕捉し、続いて、逆転写酵素(reverse transcriptase、RT)酵素で処理して、元のRNA転写物に結合した「第1の鎖合成」cDNA鎖を含む二重鎖を生成することができる。次いで、溶液からのトランスポソームは、国際公開第2013/131962(A1)号に記載されているように、クラスタ化可能かつ配列決定可能である鋳型を生成することができる。次に、トランスポソームを溶液に添加して、第2の鎖cDNA、及びしたがって二本鎖cDNAを生成することなく、クラスタ化可能かつ配列決定可能である鋳型を生成することができた。これは、トランスポソームが「見かけの」RNA/DNA二重鎖をタグメンテーションすることができることを示唆した。この機構の仮説は、逆転写酵素が、RNA鎖に生じるニックを介して第2の鎖合成を開始し、これらのdsDNA二重鎖がトランスポソームの基質であるということである。しかしながら、溶液からのトランスポソームを使用する結果として、リードは、転写物の3’末端からのみ生成される(図1B及び図1Cに示される)。本出願は、3’バイアスを回避するRNAに対するタグメンテーションの方法を記載する。
更に、本出願は、同じ試料からRNA及びDNA配列決定ライブラリを調製する手段を記載する。多くの配列決定に基づくアッセイは、試料のDNA及びRNA含量の両方を「マルチオミクス」分析で特徴付けることができることから利益を得る。試料からの全核酸(DNA及びRNAの両方を含む、total nucleic acid、TNA)を分析するための現在の試料調製/配列決定ワークフローは、これらのワークフローが煩雑である及び/若しくは試料の著しい損失を有する(例えば、TNA試料を2つの生体分子特異的ライブラリ調製物に分割することを必要とする)か、又は生体分子の種類を区別しない(例えば、次世代配列決定(next-generation sequencing、NGS)リードは、RNA又はDNA分子のいずれかに由来し得る)かのいずれかであるため、マルチオミクスに限定される。本開示は、元の生体分子の種類(RNA又はDNA)を特定する方法を使用する、NGSのための効率的なTNA試料調製のための様々な方法論を記載する。したがって、これらの方法論は、二本鎖核酸のタグメンテーションによる単純化されマルチオミクスライブラリ調製を可能にすることができる。
3’固有分子識別子(unique molecular identifier、UMI)を組み込むRNAライブラリを調製する方法、及びタグメンテーションを用いて鎖特異的RNAライブラリを調製する方法も本明細書に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第9683230号明細書
【特許文献2】国際公開第2013/131962(A1)号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Hashimshony T et al.Genome Biol.17:77(2016)
【非特許文献2】Macosko EZ,et al.Cell 161:1202-14(2015)
【非特許文献3】Picelli S,et al.Nature Protocols 9:171-181(2014)
【非特許文献4】Islam S,et al.Nat Methods 2013;11:163-6
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
RNA及びDNAライブラリを調製する方法が本明細書に記載される。
【0013】
実施形態1.標的RNAからタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、(a)標的RNAを含む試料を、トランスポソーム複合体及び捕捉オリゴヌクレオチドが上に固定化された固体支持体に適用することであって、トランスポソーム複合体が、第1のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを含み、第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第1のタグと、を含み、試料は、標的RNAの3’末端が捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、固体支持体に適用される、適用することと、(b)cDNAを合成し、捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、(c)DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、トランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【0014】
実施形態2.トランスポソーム複合体が、タグメンテーションを行う前に可逆的に不活性化され、タグメンテーションを行うことが、トランスポソーム複合体を活性化することを含む、実施形態1に記載の方法。
【0015】
実施形態3.トランスポソーム複合体が、トランスポソーム複合体に結合したトランスポソーム不活性化剤によって可逆的に不活性化される、実施形態2に記載の方法。
【0016】
実施形態4.トランスポソーム不活性化剤が、トランスポソーム複合体のTn5結合部位に結合される、実施形態3に記載の方法。
【0017】
実施形態5.トランスポソーム不活性化剤が、脱リン酸化ME’、余分な塩基、阻害剤二重鎖、及び/又は易熱性抗体を含む、実施形態3又は4に記載の方法。
【0018】
実施形態6.トランスポソーム複合体が、トランスポソーム不活性化剤を除去することによって工程(c)において活性化される、実施形態2~5のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
実施形態7.捕捉オリゴヌクレオチドが、ポリT配列を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0020】
実施形態8.標的RNAが、捕捉オリゴヌクレオチドの1つ以上の少なくとも部分に対して相補的である配列を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0021】
実施形態9.トランスポソーム複合体が、第1のポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0022】
実施形態10.トランスポソーム複合体が、トランスポゾン末端配列に対して相補的である領域を含む第2のポリヌクレオチドを含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0023】
実施形態11.トランスポソーム複合体が、第2のポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される、実施形態10に記載の方法。
【0024】
実施形態12.あらゆる未結合の標的RNAを除去するために、工程(a)の後に固体支持体を洗浄することを更に含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0025】
実施形態13.トランスポソーム複合体が、1mm当たり少なくとも10、10、10、又は10個の複合体の密度で固体支持体上に存在する、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0026】
実施形態14.トランスポザーゼが、Tn5トランスポザーゼを含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0027】
実施形態15.Tn5トランスポザーゼが、高活性Tn5トランスポザーゼである、実施形態14に記載の方法。
【0028】
実施形態16.固定化ライブラリ中の二本鎖断片の長さが、固体支持体上のトランスポソーム複合体の密度を増加又は減少させることによって調整される、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0029】
実施形態17.第1のタグの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が、同じタグドメインを含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0030】
実施形態18.タグが、クラスタ増幅のための領域を含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0031】
実施形態19.タグが、配列決定反応をプライミングするための領域を含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0032】
実施形態20.固体支持体が、微小粒子、ビーズ、平面支持体、パターン化表面、又はウェルを含む、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0033】
実施形態21.平面支持体が、チューブの内面又は外面である、実施形態20に記載の方法。
【0034】
実施形態22.タグメンテーションを行うことが、固体支持体上の2つの固定化トランスポソーム複合体に架橋された二本鎖DNA:RNA二重鎖を産生し、任意選択で、DNAの第2の鎖が、タグメンテーションを行う前に二本鎖DNAを調製するために合成される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0035】
実施形態23.架橋された二重鎖の長さが、100塩基対~1500塩基対である、実施形態22に記載の方法。
【0036】
実施形態24.固体支持体に適用される試料が、血液である、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0037】
実施形態25.固体支持体に適用される試料が、細胞溶解物である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0038】
実施形態26.細胞溶解物が、粗細胞溶解物である、実施形態25に記載の方法。
【0039】
実施形態27.固体支持体に適用される試料が、1.7以下である260/280吸光度比を有する、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0040】
実施形態28.試料を固体支持体に適用した後に、試料中の細胞を溶解することを更に含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
【0041】
実施形態29.(d)DNA:RNA断片が液相トランスポソーム複合体によって更に断片化される条件下で、液相トランスポソーム複合体を、固定化されたDNA:RNA断片と接触させて、それによって、溶液中に1つの末端を有する固定化核酸断片を得ることを更に含む、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
【0042】
実施形態30.液相トランスポソーム複合体が、第2のタグを含み、それによって、溶液中に第2のタグを有する固定化核酸断片を生成する、実施形態29に記載の方法。
【0043】
実施形態31.第1及び第2のタグが異なっている、実施形態30に記載の方法。
【0044】
実施形態32.液相トランスポソーム複合体の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が、第2のタグを含む、実施形態29~31のいずれか1つに記載の方法。
【0045】
実施形態33.ポリメラーゼと、第1のポリヌクレオチドの部分に対応する増幅プライマーとを反応させることによって、固体支持体上の断片を増幅することを更に含む、実施形態29~32のいずれか1つに記載の方法。
【0046】
実施形態34.実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法に従って調製された、タグ付きRNA断片のライブラリが上に固定化された固体支持体。
【0047】
実施形態35.標的RNAからタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、a)標的RNAを含む試料を、捕捉オリゴヌクレオチド及び第1のポリヌクレオチドが上に固定化された固体支持体に適用することであって、第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第1のタグと、を含み、試料は、標的RNAの3’末端が捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、固体支持体に適用される、適用することと、(b)トランスポザーゼを、トランスポザーゼが第1のポリヌクレオチドに結合してトランスポソーム複合体を形成する条件下で付加することと、(c)cDNAを合成し、第2の捕捉オリゴヌクレオチド上の固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、(d)DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、トランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【0048】
実施形態36.標的RNAからタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、a)標的RNAを含む試料を、捕捉オリゴヌクレオチド及び第1のポリヌクレオチドが上に固定化された固体支持体に適用することであって、第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第1のタグと、を含み、試料は、標的RNAの3’末端が捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、固体支持体に適用される、適用することと、(b)cDNAを合成し、捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、(c)トランスポザーゼが第1のポリヌクレオチドに結合してトランスポソーム複合体を形成する条件下で、トランスポザーゼを付加することと、(d)DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、トランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【0049】
実施形態37.標的RNAを含む試料を固体支持体に適用することが、液滴中で行われる、実施形態35又は36のいずれか1つに記載の方法。
【0050】
実施形態38.標的RNAを含む試料を固体支持体に適用することが、(a)ビーズと一緒に液滴中の単一細胞を提供することと、(b)液滴中の細胞を溶解することと、(c)単一細胞から標的RNAを放出することと、(d)ビーズ上に標的RNAを捕捉することと、を含む、実施形態37に記載の方法。
【0051】
実施形態39.液滴が、cDNAを合成する前に除去される、実施形態37又は38に記載の方法。
【0052】
実施形態40.配列決定のために、固体支持体上のDNA:RNA断片の固定化ライブラリを送達することを更に含む、実施形態35~39のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
実施形態41.送達の後に、(a)配列決定のために、表面上のDNA:RNA断片の固定化ライブラリを用いて固体支持体を捕捉することと、(b)固体支持体から固定化断片を放出することと、(c)配列決定のために、表面上に断片を捕捉することと、を更に含む、実施形態40に記載の方法。
【0054】
実施形態42.配列決定のために、表面上の断片を配列決定することを更に含む、実施形態41に記載の方法。
【0055】
実施形態43.配列決定のための表面が、フローセルである、実施形態42に記載の方法。
【0056】
実施形態44.標的RNAを含む試料を固体支持体に適用することが、固体支持体上のマイクロウェル中で行われる、実施形態35~43のいずれか1つに記載の方法。
【0057】
実施形態45.標的RNAを含む試料を固体支持体に適用することが、細胞を溶解することと、マイクロウェル中の単一細胞から標的RNAを放出することと、を含む、実施形態44に記載の方法。
【0058】
実施形態46.DNA:RNA断片の固定化ライブラリを放出することと、同じマイクロウェル中の断片を配列決定することと、を更に含む、実施形態35~45のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
実施形態47.固体支持体が、マイクロウェルを含むフローセルである、実施形態44~46のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
実施形態48.配列決定データが、配列決定のための表面上の断片の空間的近接度に基づいて、同じ固体支持体上に固定化されていた断片の分解能を可能にする、実施形態47に記載の方法。
【0061】
実施形態49.トランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行うことが、
2つの異なるトランスポソーム複合体を用いて行われ、異なるトランスポソーム複合体が、異なるアダプター配列を含む第1のトランスポゾンを含む、実施形態1~48のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
実施形態50.少なくともいくつかの断片が、一方の鎖の5’末端において第1のリード配列アダプター配列でタグ付けされ、他方の鎖の5’末端において第2のリード配列アダプター配列でタグ付けされる、実施形態49に記載の方法。
【0063】
実施形態51.トランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行うことが、同じアダプター配列を含む第1のトランスポゾンを含むトランスポソーム複合体を用いて行われる、実施形態1~48のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
実施形態52.全てのトランスポソーム複合体が、同一である、実施形態51に記載の方法。
【0065】
実施形態53.断片が、二本鎖断片の両方の鎖の5’末端において同じアダプター配列でタグ付けされる、実施形態51又は52に記載の方法。
【0066】
実施形態54.(a)トランスポソーム複合体から二本鎖標的核酸断片を放出することと、(b)アダプター配列、UMI、及び第1の3’末端トランスポゾン配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を含むポリヌクレオチドをハイブリダイズすることであって、ポリヌクレオチドに含まれるアダプター配列が、トランスポソーム複合体に含まれるアダプター配列とは異なる、ハイブリダイズすることと、(c)任意選択で、二本鎖標的核酸断片の第2の鎖を伸長することと、(d)任意選択で、ポリヌクレオチド又は伸長したポリヌクレオチドを二本鎖標的核酸断片とライゲーションすることと、(e)UMIを含む二本鎖標的核酸断片を産生することであって、UMIが挿入DNAの3’末端に直接隣接して位置する、産生することと、を更に含む、実施形態51~53のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
実施形態55.(a)トランスポソーム複合体から二本鎖標的核酸断片を放出することと、(b)UMI及びアダプター配列を含む第1のポリヌクレオチドをハイブリダイズすることであって、第1のトランスポゾン内のアダプターが、第1のポリヌクレオチド内のアダプターとは異なる、ハイブリダイズすることと、(c)任意選択で、第1のポリヌクレオチドに対して相補的である領域を含む第2のポリヌクレオチドを付加して、二本鎖アダプターを産生することと、(d)任意選択で、二本鎖標的核酸断片の第2の鎖を伸長することと、(e)任意選択で、二本鎖アダプターを二本鎖標的核酸断片とライゲーションすることと、(f)UMIを含む二本鎖標的核酸断片を産生することであって、UMIが二本鎖標的核酸断片と第1のポリヌクレオチドからのアダプター配列との間に位置する、産生することと、を更に含む、実施形態51~53のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
実施形態56.断片が、一方の鎖の5’末端において第1のトランスポゾンからの第1のリード配列アダプター配列でタグ付けされ、他方の鎖の5’末端において第1のポリヌクレオチドからの第2のリード配列アダプター配列でタグ付けされる、実施形態54又は55に記載の方法。
【0069】
実施形態57.標的RNAからタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、(a)標的RNAを含む試料を、捕捉オリゴヌクレオチドが上に固定化された固体支持体に適用することと、
(b)cDNAを合成し、捕捉オリゴヌクレオチド上の固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、
(c)DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、溶液中でトランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【0070】
実施形態58.RNAが、mRNAであり、捕捉オリゴヌクレオチドが、ポリT配列を含む、実施形態57に記載の方法。
【0071】
実施形態59.断片のライブラリが、1つ以上のRNAの3’末端から生成されたDNA:RNA断片を含む、実施形態58に記載の方法。
【0072】
実施形態60.捕捉オリゴヌクレオチドが、第1のリード配列決定アダプター配列、ビーズコード、及び/又は1つ以上の追加のアダプター配列を更に含む、実施形態57~59のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
実施形態61.溶液中のトランスポソーム複合体が、第2のリード配列アダプター配列及び/又は1つ以上の追加のアダプター配列を含む第1のトランスポソームを含む、実施形態57~60のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
実施形態62.DNA:RNA断片のライブラリが、配列決定前に断片を増幅することなく配列決定される、実施形態57~61のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
実施形態63.固体支持体であって、その上に固定化された捕捉オリゴヌクレオチド及び第1のポリヌクレオチドを含み、第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第1のタグと、を含む、固体支持体。
【0076】
実施形態64.固体支持体が、ビーズである、実施形態63に記載の固体支持体。
【0077】
実施形態65.第1のポリヌクレオチドが、ビーズコードを更に含む、実施形態64に記載の固体支持体。
【0078】
実施形態66.ビーズが、ビーズのプールに含まれ、各ビーズが、プール中の他のビーズに含まれるビーズコードと比較して、異なるビーズコードを含む固定化された第1のポリヌクレオチドを含む、実施形態65に記載の固体支持体。
【0079】
実施形態67.トランスポソーム複合体を形成するために、第1のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを更に含む、実施形態63~66のいずれか1つに記載の固体支持体。
【0080】
実施形態68.トランスポソーム複合体が、可逆的に不活性化される、実施形態67に記載の固体支持体。
【0081】
実施形態69.トランスポソーム複合体が、トランスポソーム複合体に結合したトランスポソーム不活性化剤によって可逆的に不活性化される、実施形態68に記載の固体支持体。
【0082】
実施形態70.トランスポソーム不活性化剤が、トランスポソーム複合体のTn5結合部位に結合される、実施形態69に記載の固体支持体。
【0083】
実施形態71.トランスポソーム不活性化剤が、脱リン酸化ME’、余分な塩基、阻害剤二重鎖、及び/又は易熱性抗体を含む、実施形態69又は70に記載の固体支持体。
【0084】
実施形態72.捕捉オリゴヌクレオチド及び固定化オリゴヌクレオチドを含む固体支持体であって、固定化オリゴヌクレオチドが、トランスポソーム複合体に含まれる第2のトランスポゾンに含まれるハイブリダイゼーション配列にハイブリダイズするための配列を含む、固体支持体。
【0085】
実施形態73.固体支持体が、ビーズである、実施形態72に記載の固体支持体。
【0086】
実施形態74.固定化オリゴヌクレオチドが、ビーズコード及び/又は1つ以上のアダプター配列を更に含む、実施形態73に記載の固体支持体。
【0087】
実施形態75.ビーズが、ビーズのプールに含まれ、各ビーズが、プール中の他のビーズに含まれる固定化オリゴヌクレオチドに含まれるビーズコードと比較して、異なるビーズコードを含む固定化オリゴヌクレオチドを含む、実施形態74に記載の固体支持体。
【0088】
実施形態76.捕捉オリゴヌクレオチドが、ポリT配列を含む、実施形態63~75のいずれか1つに記載の固体支持体。
【0089】
実施形態77.捕捉オリゴヌクレオチドが、標的RNAの少なくとも部分に対して相補的である配列を含む、実施形態63~76のいずれか1つに記載の固体支持体。
【0090】
実施形態78.トランスポソーム複合体が、第1のポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される、実施形態63~77のいずれか1つに記載の固体支持体。
【0091】
実施形態79.トランスポソーム複合体が、トランスポゾン末端配列に対して相補的である領域を含む第2のポリヌクレオチドを含む、実施形態63~78のいずれか1つに記載の固体支持体。
【0092】
実施形態80.トランスポソーム複合体が、第2のポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される、実施形態79に記載の方法。
【0093】
実施形態81.トランスポソーム複合体が、1mm当たり少なくとも10、10、10、又は10個の複合体の密度で固体支持体上に存在する、実施形態63~80のいずれか1つに記載の固体支持体。
【0094】
実施形態82.トランスポザーゼが、Tn5トランスポザーゼである、実施形態63~81のいずれか1つに記載の固体支持体。
【0095】
実施形態83.Tn5トランスポザーゼが、高活性Tn5トランスポザーゼである、実施形態82に記載の方法。
【0096】
実施形態84.第1のタグの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が、同じタグドメインを含む、実施形態63~83のいずれか1つに記載の固体支持体。
【0097】
実施形態85.タグが、クラスタ増幅のための領域を含む、実施形態63~84のいずれか1つに記載の固体支持体。
【0098】
実施形態86.タグが、配列決定反応をプライミングするための領域を含む、実施形態63~85のいずれか1つに記載の固体支持体。
【0099】
実施形態87.固体支持体が、微小粒子、ビーズ、平面支持体、パターン化された表面、又はウェルを含む、実施形態63~86のいずれか1つに記載の固体支持体。
【0100】
実施形態88.平面支持体が、チューブの内面又は外面である、実施形態87に記載の固体支持体。
【0101】
実施形態89.実施形態63~88のいずれか1つに記載の固体支持体を含むキット。
【0102】
実施形態90.トランスポザーゼを更に含む、実施形態89に記載のキット。
【0103】
実施形態91.逆転写酵素ポリメラーゼを更に含む、実施形態89又は90に記載のキット。
【0104】
実施形態92.トランスポザーゼを含む第2のトランスポソーム複合体と、トランスポゾン末端配列を含む3’部分及び任意選択で第2のタグを含む第3のポリヌクレオチドと、を含む、DNAを固定化するための第2の固体支持体を更に含む、実施形態90又は91に記載のキット。
【0105】
実施形態93.RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、(a)RNA及びDNAを含む試料を、DNAを固定化するための第1の固体支持体であって、その上に固定化された第1のトランスポソーム複合体を含み、第1のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、第1のポリヌクレオチドと、を含み、第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、任意選択で第1のタグと、を含む、第1の固体支持体と、第1の捕捉オリゴヌクレオチドが上に固定化された第2の固体支持体と、に適用することであって、試料は、DNAが第1の固体支持体上の第1のトランスポソーム複合体に結合し、タグメンテーションされ、任意選択でタグ付けされ、RNAが第2の固体支持体上の第1の捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、第1及び第2の固体支持体の混合物に適用される、適用することと、(b)第2の固体支持体に結合したRNAを、第3の固体支持体に転移させることであって、第3の固体支持体が、その上に固定化された、転移されたRNAに結合する第2の捕捉オリゴヌクレオチドと、第2のトランスポソーム複合体と、を有し、第2のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、第2のポリヌクレオチドと、を含み、第2のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第2のタグと、含む、転移させることと、(c)cDNAを合成し、第2の捕捉オリゴヌクレオチド上の固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、(d)DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、第2のトランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【0106】
実施形態94.第1及び/又は第2の捕捉オリゴヌクレオチドが、ポリT配列を含む、実施形態93に記載の方法。
【0107】
実施形態95.RNAが、第1及び/又は第2の捕捉オリゴヌクレオチドの1つ以上の少なくとも部分に対して相補的である配列を含む、実施形態93又は94に記載の方法。
【0108】
実施形態96.第1及び/又は第2のトランスポソーム複合体が、第1及び/又は第2のポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される、実施形態93~95のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
実施形態97.あらゆる未結合のDNA又はRNAを除去するために、工程(a)の後に固体支持体を洗浄することを更に含む、実施形態93~96のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
実施形態98.RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、(a)RNA及びDNAを含む試料を、DNAを固定化するための第1の固体支持体であって、その上に固定化された第1のトランスポソーム複合体を含み、第1のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、第1のポリヌクレオチドと、を含み、第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、任意選択で第1のタグと、を含む、第1の固体支持体と、捕捉オリゴヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチドが上に固定化された第2の固体支持体であって、第2のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第2のタグと、を含む、第2の固体支持体と、に適用することであって、試料は、DNAが第1の固体支持体上の第1のトランスポソーム複合体に結合し、断片化され、任意選択で、タグ付けされ、RNAが第2の固体支持体上の捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、第1及び第2の固体支持体の混合物に適用される、適用することと、(b)トランスポザーゼを、トランスポザーゼが第2のポリヌクレオチドに結合して、第2の固体支持体上にトランスポソーム複合体を形成する条件下で、付加すること、cDNAを合成し、第2の捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、(c)DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、第2のトランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【0111】
実施形態99.捕捉オリゴヌクレオチドが、ポリT配列を含む、実施形態98に記載の方法。
【0112】
実施形態100.RNAが、捕捉オリゴヌクレオチドの1つ以上の少なくとも部分に対して相補的である配列を含む、実施形態98又は99に記載の方法。
【0113】
実施形態101.第1及び/又は第2のトランスポソーム複合体が、第1及び/又は第2のポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される、実施形態98~100のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
実施形態102.あらゆる未結合のDNA又はRNAを除去するために、工程(a)の後に固体支持体を洗浄することを更に含む、実施形態98~101のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
実施形態103.RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、(a)RNA及びDNAを含む試料を、DNAを固定化するための第1の固体支持体であって、その上に固定化された第1のトランスポソーム複合体を含み、第1のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、第1のポリヌクレオチドと、を含み、第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、任意選択で第1のタグと、を含む、第1の固体支持体と、可逆的に不活性化される捕捉オリゴヌクレオチド及び第2のトランスポソーム複合体が上に固定化されたRNAを固定化するための第2の固体支持体であって、第2のトランスポソーム複合体が、第2のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを含み、第2のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第2のタグと、を含む、第2の固体支持体と、に適用することであって、試料は、DNAが第1の固体支持体上の第1のトランスポソーム複合体に結合し、断片化され、任意選択で、タグ付けされ、RNAが第2の固体支持体上の捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、第1及び第2の固体支持体の混合物に適用される、適用することと、(b)cDNAを合成し、第2の捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、(c)第2のトランスポソーム複合体を活性化することと、(d)DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、活性化された第2のトランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【0116】
実施形態104.トランスポソーム複合体が、トランスポソーム複合体に結合したトランスポソーム不活性化剤によって可逆的に不活性化される、実施形態103に記載の方法。
【0117】
実施形態105.トランスポソーム不活性化剤が、トランスポソーム複合体のTn5結合部位に結合される、実施形態104に記載の方法。
【0118】
実施形態106.トランスポソーム不活性化剤が、脱リン酸化ME’、余分な塩基、阻害剤二重鎖、及び/又は易熱性抗体を含む、実施形態104又は105に記載の方法。
【0119】
実施形態107.トランスポソーム複合体が、トランスポソーム不活性化剤の除去によって工程(c)において活性化される、実施形態104~106のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
実施形態108.捕捉オリゴヌクレオチドが、ポリT配列を含む、実施形態103~106のいずれか1つに記載の方法。
【0121】
実施形態109.RNAが、捕捉オリゴヌクレオチドの1つ以上の少なくとも部分に対して相補的である配列を含む、実施形態103~108のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
実施形態110.第1及び/又は第2のトランスポソーム複合体が、第1及び/又は第2のポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される、実施形態103~109のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
実施形態111.あらゆる未結合のDNA又はRNAを除去するために、工程(a)の後に固体支持体を洗浄することを更に含む、実施形態103~110のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
実施形態112.RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、(a)RNA及びDNAを含む試料を、DNAを固定化するための第1の固体支持体に適用することであって、第1の固体支持体が、その上に固定化された第1のトランスポソーム複合体を含み、第1のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、第1のポリヌクレオチドと、を含み、第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、任意選択で第1のタグと、を含み、試料は、DNAが第1の固体支持体上の第1のトランスポソーム複合体に結合し、断片化され、任意選択でタグ付けされる条件下で適用される、適用することと、(b)結合したDNAを有する第1の固体支持体をRNAから分離することと、(c)捕捉オリゴヌクレオチド及び第2のトランスポソーム複合体が上に固定化されたRNAを固定化するための第2の固体支持体にRNAを適用することであって、第2のトランスポソーム複合体が、第2のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを含み、第2のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第2のタグと、を含み、RNAが、第2の固体支持体上の捕捉オリゴヌクレオチドに結合する、適用することと、(d)cDNAを合成し、第2の捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、(e)DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、活性化された第2のトランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【0125】
実施形態113.捕捉オリゴヌクレオチドが、ポリT配列を含む、実施形態112に記載の方法。
【0126】
実施形態114.RNAが、捕捉オリゴヌクレオチドの1つ以上の少なくとも部分に対して相補的である配列を含む、実施形態112又は113に記載の方法。
【0127】
実施形態115.第1及び/又は第2のトランスポソーム複合体が、第1及び/又は第2のポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される、実施形態112~114のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
実施形態116.あらゆる未結合のRNAを除去するために、工程(c)の後に固体支持体を洗浄することを更に含む、実施形態112~115のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
実施形態117.結合したDNAを有する第1の固体支持体を、タグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを有する第2の固体支持体と再度組み合わせることを更に含む、実施形態112~116のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
実施形態118.標的RNAからタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、(a)cDNAを合成し、DNA:RNA二重鎖を生成するための条件下で、標的RNAを含む試料に逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、(b)DNA:RNA二重鎖を、トランスポソーム複合体が上に固定化された固体支持体に固定化することであって、トランスポソーム複合体が、第1のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを含み、第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第1のタグと、を含み、試料は、DNA:RNA二重鎖が捕捉オリゴヌクレオチド又はトランスポザーゼに直接結合する条件下で、固体支持体に適用される、固定化することと、(b)DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、トランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む、方法。
【0131】
実施形態119.トランスポソーム複合体が、第1のポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される、実施形態118に記載の方法。
【0132】
実施形態120.トランスポソーム複合体が、トランスポゾン末端配列に対して相補的である領域を含む第2のポリヌクレオチドを含む、実施形態118又は119に記載の方法。
【0133】
実施形態121.トランスポソーム複合体が、第2のポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される、実施形態120に記載の方法。
【0134】
実施形態122.トランスポソーム複合体が、1mm当たり少なくとも10、10、10、又は10個の複合体の密度で固体支持体上に存在する、実施形態118~121のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
実施形態123.トランスポザーゼが、Tn5トランスポザーゼを含む、実施形態118~122のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
実施形態124.Tn5トランスポザーゼが、高活性Tn5トランスポザーゼである、実施形態123に記載の方法。
【0137】
実施形態125.固定化ライブラリ中の二本鎖断片の長さが、固体支持体上のトランスポソーム複合体の密度を増加又は減少させることによって調整される、実施形態118~124のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
実施形態126.第1のタグの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が、同じタグドメインを含む、実施形態118~125のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
実施形態127.タグが、クラスタ増幅のための領域を含む、実施形態118~126のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
実施形態128.タグが、配列決定反応をプライミングするための領域を含む、実施形態118~127のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
実施形態129.固体支持体が、微小粒子、ビーズ、平面支持体、パターン化された表面、又はウェルを含む、実施形態118~128のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
実施形態130.平面支持体が、チューブの内面又は外面である、実施形態129に記載の方法。
【0143】
実施形態131.タグメンテーションを行うことが、固体支持体上の2つの固定化トランスポソーム複合体に架橋された二本鎖DNA:RNA二重鎖を産生する、実施形態118~130のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
実施形態132.架橋された二重鎖の長さが、100塩基対~1500塩基対である、実施形態131に記載の方法。
【0145】
実施形態133.固体支持体に適用される試料が、血液である、実施形態118~132のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
実施形態134.固体支持体に適用される試料が、細胞溶解物である、実施形態118~133のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
実施形態135.細胞溶解物が、粗細胞溶解物である、実施形態134に記載の方法。
【0148】
実施形態136.固体支持体に適用される試料が、1.7以下である260/280吸光度比を有する、実施形態118~135のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
実施形態137.試料を固体支持体に適用した後に、試料中の細胞を溶解することを更に含む、実施形態118~136のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
実施形態138.(d)DNA:RNA断片が液相トランスポソーム複合体によって更に断片化される条件下で、液相トランスポソーム複合体を、固定化されたDNA:RNA断片と接触させて、それによって、溶液中に1つの末端を有する固定化核酸断片を得ることを更に含む、実施形態118~137のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
実施形態139.液相トランスポソーム複合体が、第2のタグを含み、それによって、溶液中に第2のタグを有する固定化核酸断片を生成する、実施形態138に記載の方法。
【0152】
実施形態140.第1及び第2のタグが異なっている、実施形態139に記載の方法。
【0153】
実施形態141.液相トランスポソーム複合体の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が、第2のタグを含む、実施形態138~140のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
実施形態142.ポリメラーゼと、第1のポリヌクレオチドの部分に対応する増幅プライマーとを反応させることによって、固体支持体上の断片を増幅することを更に含む、実施形態138~141のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
実施形態143.一方の鎖の5’末端が、RNA鎖の5’末端である、実施形態1~142のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
実施形態144.一方の鎖の5’末端が、DNA鎖の5’末端である、実施形態1~142のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
実施形態145.RNA及びDNAを含む試料からタグ付き断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、タグ付き断片が、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含み、方法が、(a)DNAを固定化するために、RNA及びDNAを含む試料を、第1の固体支持体と組み合わせることであって、第1の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びDNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、(b)DNAを固定化することと、(c)第1の固体支持体上でタグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することと、(d)RNAから二本鎖cDNAを調製することと、(e)cDNAを固定化するために、試料を第2の固体支持体と組み合わせることであって、第2の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びRNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、(f)cDNAを固定化し、第2の固体支持体上でタグメンテーションを行って、RNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することであって、任意選択で、トランスポソーム複合体が、タグメンテーションを行う前に可逆的に不活性化され、タグメンテーションを行うことが、トランスポソーム複合体を活性化することを含む、調製することと、を含む、方法。
【0158】
実施形態146.第2の固体支持体上でタグメンテーションを行った後に、第1及び第2の固体支持体を組み合わせることを更に含み、各固体支持体が、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含む固定化タグ付き断片を有する、実施形態145に記載の方法。
【0159】
実施形態147.第1の固体支持体上でタグメンテーションを行った後、及びRNAから二本鎖cDNAを調製する前に、試料の残りからのDNA特異的バーコードを含む固定化タグ付き断片を有する第1の固体支持体を分割することを更に含む、実施形態145又は146に記載の方法。
【0160】
実施形態148.DNAを固定化した後、及び第1の固体支持体上でタグメンテーションを行う前に、固定化DNAを有する第1の固体支持体を試料の残りから分割して、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することを更に含む、実施形態145又は146に記載の方法。
【0161】
実施形態149.RNAから二本鎖cDNAを調製することが、鋳型スイッチングによって行われる、実施形態145~148のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
実施形態150.RNA及びDNAを含む試料からタグ付き断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、タグ付き断片が、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含み、方法が、(a)DNAを固定化するために、RNA及びDNAを含む試料を、第1の固体支持体と組み合わせることであって、第1の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びDNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、(b)DNAを固定化することと、(c)第1の固体支持体上でタグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することと、(d)RNAからcDNAの一本鎖を調製して、DNA:RNA二重鎖を産生することと、(e)DNA:二重鎖を固定化するために、試料を第2の固体支持体と組み合わせることであって、第2の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、トランスポソーム複合体が、DNA:RNA二重鎖に対する活性を有するトランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びRNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、(f)DNA:RNA二重鎖を固定化し、第2の固体支持体上でタグメンテーション行って、RNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することであって、任意選択で、トランスポソーム複合体が、タグメンテーションを行う前に可逆的に不活性化され、タグメンテーションを行うことが、トランスポソーム複合体を活性化することを含む、調製することと、を含む、方法。
【0163】
実施形態151.第2の固体支持体上でタグメンテーションを行った後に、第1及び第2の固体支持体を組み合わせることを更に含み、各固体支持体が、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含む固定化タグ付き断片を有する、実施形態150に記載の方法。
【0164】
実施形態152.第1の固体支持体上でタグメンテーションを行った後、及びRNAからcDNAの一本鎖を調製する前に、試料の残りからのDNA特異的バーコードを含む固定化タグ付き断片を有する第1の固体支持体を分割して、DNA:RNA二重鎖を産生することを更に含む、実施形態150又は151に記載の方法。
【0165】
実施形態153.DNAを固定化した後、及び第1の固体支持体上でタグメンテーションを行う前に、固定化DNAを有する第1の固体支持体を試料の残りから分割して、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することを更に含む、実施形態150又は151に記載の方法。
【0166】
実施形態154.RNA及びDNAを含む試料からタグ付き断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、タグ付き断片が、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含み、方法が、(a)DNAを固定化するために、RNA及びDNAを含む試料を、第1の固体支持体と組み合わせることであって、第1の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びDNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、(b)DNAを固定化することと、(c)第1の固体支持体上でタグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することと、(d)RNAから二本鎖cDNAを調製することと、(e)溶液中で二本鎖DNAに対してタグメンテーションを行って、二本鎖cDNAのタグ付き断片を調製することであって、溶液中のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列、RNA特異的バーコード、及び捕捉プローブにハイブリダイズする配列を含むトランスポゾンと、を含み、任意選択で、トランスポソーム複合体が、タグメンテーションを行う前に可逆的に不活性化され、タグメンテーションを行うことが、トランスポソーム複合体を活性化することを含む、タグ付き断片が、RNA特異的バーコードと、捕捉プローブにハイブリダイズする配列と、を含む、調製することと、(f)試料を、捕捉プローブを含む表面を有する第2の固体支持体と組み合わせることと、(g)第2の固体支持体上に二本鎖cDNAのタグ付き断片を固定化することと、を含む、方法。
【0167】
実施形態155.第2の固体支持体上で二本鎖cDNAのタグ付き断片を固定化した後に、第1及び第2の固体支持体を組み合わせることを更に含み、各固体支持体が、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含む固定化タグ付き断片を有する、実施形態154に記載の方法。
【0168】
実施形態156.第1の固体支持体上でタグメンテーションを行った後、及びRNAからの二本鎖cDNAの前に、試料の残りからのDNA特異的バーコードを含む固定化タグ付き断片を有する第1の固体支持体を分割することを更に含む、実施形態154又は155に記載の方法。
【0169】
実施形態157.DNAを固定化した後、及び第1の固体支持体上でタグメンテーションを行う前に、固定化DNAを有する第1の固体支持体を試料の残りから分割して、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することを更に含む、実施形態154又は155に記載の方法。
【0170】
実施形態158.RNA及びDNAを含む試料からタグ付き断片の固定化ライブラリを調製する方法であって、タグ付き断片が、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含み、方法が、(a)DNAを固定化するために、RNA及びDNAを含む試料を、第1の固体支持体と組み合わせることであって、第1の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びDNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、(b)DNAを固定化することと、(c)第1の固体支持体上でタグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することと、(d)RNAからcDNAの一本鎖を調製して、DNA:RNA二重鎖を産生することと、(e)溶液中でDNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行って、DNA:RNA二重鎖のタグ付き断片を調製することであって、溶液中のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列、RNA特異的バーコード、及び捕捉プローブにハイブリダイズする配列を含むトランスポゾンと、を含み、任意選択で、トランスポソーム複合体が、タグメンテーションを行う前に可逆的に不活性化され、タグメンテーションを行うことが、トランスポソーム複合体を活性化することを含み、タグ付き断片が、RNA特異的バーコードと、捕捉プローブにハイブリダイズする配列と、を含む、調製することと、(f)試料を、捕捉プローブを含む表面を有する第2の固体支持体と組み合わせることと、(g)第2の固体支持体上にDNA:RNA二重鎖のタグ付き断片を固定化することと、を含む、方法。
【0171】
実施形態159.第2の固体支持体上にDNA:RNA二重鎖のタグ付き断片を固定化した後、第1及び第2の固体支持体を組み合わせることを更に含み、各固体支持体が、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含む固定化タグ付き断片を有する、実施形態158に記載の方法。
【0172】
実施形態160.第1の固体支持体上でタグメンテーションを行った後、及びRNAからcDNAの一本鎖を調製する前に、試料の残りからのDNA特異的バーコードを含む固定化タグ付き断片を有する第1の固体支持体を分割して、DNA:RNA二重鎖を産生することを更に含む、実施形態158又は159に記載の方法。
【0173】
実施形態161.DNAを固定化した後、及び第1の固体支持体上でタグメンテーションを行う前に、固定化DNAを有する第1の固体支持体を試料の残りから分割して、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することを更に含む、実施形態158又は160に記載の方法。
【0174】
実施形態162.捕捉プローブが、核酸を含む、実施形態154~161のいずれか1つに記載の方法。
【0175】
実施形態163.第1の固体支持体上でタグメンテーションを行った後に、合成二本鎖DNAを第1の固体支持体に付加することを更に含む、実施形態145~162のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
実施形態164.合成二本鎖DNAが、ウラシルを含む、実施形態163に記載の方法。
【0177】
実施形態165.DNA特異的バーコード及びRNA特異的バーコードが、異なるプライマー結合配列を含む、実施形態145~164のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
実施形態166.DNA特異的バーコードに含まれるプライマー結合配列と結合するプライマーを使用して、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を増幅することを更に含む、実施形態165に記載の方法。
【0179】
実施形態167.RNA特異的バーコードに含まれるプライマー結合配列と結合するプライマーを使用して、RNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を増幅することを更に含む、実施形態165に記載の方法。
【0180】
実施形態168.DNA特異的バーコードに含まれるプライマー結合配列と結合するプライマーと、RNA特異的バーコードに含まれるプライマー結合配列と結合するプライマーと、を含むプライマーミックスを使用して、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片及びRNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を増幅することを更に含む、実施形態165に記載の方法。
【0181】
実施形態169.増幅が、ウラシル不耐性DNAポリメラーゼを用いて行われる、実施形態166~168のいずれか1つに記載の方法。
【0182】
実施形態170.増幅が、ブリッジ増幅を含む、実施形態168又は169に記載の方法。
【0183】
実施形態171.タグ付き断片又は増幅されたタグ付き断片を配列決定することを更に含む、実施形態145~170のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
実施形態172.方法が、単一の反応容器で行われる、実施形態145~171のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
実施形態173.トランスポソーム複合体が、1mm当たり少なくとも10、10、10、又は10個の複合体の密度で固体支持体上に存在する、実施形態145~172のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
実施形態174.トランスポザーゼが、Tn5トランスポザーゼを含む、実施形態145~173のいずれか1つに記載の方法。
【0187】
実施形態175.Tn5トランスポザーゼが、高活性Tn5トランスポザーゼである、実施形態174に記載の方法。
【0188】
実施形態176.固定化断片の長さが、固体支持体上のトランスポソーム複合体の密度を増加又は減少させることによって調整される、実施形態145~175のいずれか1つに記載の方法。
【0189】
実施形態177.固体支持体が、微小粒子、ビーズ、平面支持体、パターン化表面、又はウェルを含む、実施形態145~176のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
実施形態178.固体支持体が、ビーズである、実施形態177に記載の方法。
【0191】
実施形態179.実施形態145~178のいずれか1つに記載の方法に従って調製された、タグ付き断片のライブラリが上に固定化された固体支持体。
【0192】
実施形態180.固体支持体が、ビーズである、実施形態179に記載の固体支持体。
【0193】
実施形態181.RNAから一本鎖DNAの鎖特異的ライブラリを調製する方法であって、(a)DNA依存性DNA合成を阻害する条件下で、逆転写酵素、プライマー、及びdTTPを含むヌクレオチドを使用して、試料中に含まれるRNAからcDNAの第1の鎖を調製することと、(b)DNAポリメラーゼ、プライマー、及びdUTPを含むヌクレオチドを使用して、cDNAの第1の鎖からcDNAの第2の鎖を調製して、二本鎖cDNAを調製することと、(c)二本鎖cDNAを、トランスポソーム複合体が上に固定化された固体支持体に適用することであって、各トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及び第1のリード配列決定アダプター配列を含む3’部分を含む第1のトランスポゾンであって、トランスポソーム複合体を固体支持体に固定化するための5’親和性エレメントを含む、第1のトランスポゾンと、トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を含む第2のトランスポゾン配列と、を含む、適用することと、(b)トランスポソーム複合体を用いて二本鎖DNAに対してタグメンテーションを行い、第1のリード配列決定アダプター配列を含むタグ付き二本鎖DNA断片を調製することであって、任意選択で、トランスポソーム複合体が、タグメンテーションを行う前に可逆的に不活性化され、タグメンテーションを行うことが、トランスポソーム複合体を活性化することを含む、調製することと、(c)第2のトランスポゾンを除去し、ギャップ充填及び伸長を行うことと、(d)二本鎖DNA断片の鎖を分離することと、(e)第2のリード配列決定アダプター配列を含むプライマーを、トランスポゾン末端配列又はトランスポゾン末端配列に対して完全若しくは部分的に相補的である配列にハイブリダイズし、増幅して、固体支持体に結合しておらず、かつ第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含むDNA鎖を調製することと、(f)増幅によって生成される鎖を固体支持体から放出することであって、放出することが、第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む一本鎖DNA断片を放出することと、を含む、方法。
【0194】
実施形態182.DNA依存性DNA合成を阻害する条件が、アクチノマイシンDを含む緩衝液の存在である、実施形態181に記載の方法。
【0195】
実施形態183.プライマーが、1つ以上のランダマープライマーである、実施形態181又は182に記載の方法。
【0196】
実施形態184.プライマーが、ランダマープライマーとポリTプライマーとの混合物である、実施形態181~183のいずれか1つに記載の方法。
【0197】
実施形態185.cDNAの第2の鎖を調製のためのプライマーが、cDNAの第1の鎖の調製のためのプライマーと同じである、実施形態181~184のいずれか1つに記載の方法。
【0198】
実施形態186.RNAが、長い非コードRNA又はアンチセンス転写物である、実施形態181~185のいずれか1つに記載の方法。
【0199】
実施形態187.増幅が、ウラシル不耐性ポリメラーゼを用いて行われる、実施形態181~186のいずれか1つに記載の方法。
【0200】
実施形態188.増幅が、ウラシルを含むDNA鎖から増幅しない、実施形態187に記載の方法。
【0201】
実施形態189.固有分子識別子(UMI)が、第2のリード配列決定アダプター配列を含むプライマーに含まれる、実施形態181~188のいずれか1つに記載の方法。
【0202】
実施形態190.UMIが、第2のリード配列決定アダプター配列と、トランスポゾン末端配列に結合することができる配列又はトランスポゾン末端配列に対して完全に若しくは部分的に相補的である配列との間に位置する、実施形態189に記載の方法。
【0203】
実施形態191.UMIが、第1のトランスポゾンに含まれる、実施形態181~188のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
実施形態192.UMIが、トランスポゾン末端配列と、第1のリード配列決定アダプター配列との間に位置する、実施形態191に記載の方法。
【0205】
実施形態193.RNAが、異なるRNAのプールを含み、第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む一本鎖断片が、異なる断片のプールを含み、各断片が、異なる断片のプールに含まれる他の断片とは異なるUMIを含む、実施形態189~192のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
実施形態194.親和性エレメントが、ビオチン又はデスチオビオチンであり、固体支持体が、その表面にストレプトアビジン又はアビジンを含む、実施形態181~193のいずれか1つに記載の方法。
【0207】
実施形態195.親和性エレメントが、二重ビオチンである、実施形態194に記載の方法。
【0208】
実施形態196.放出することが、熱又は水酸化ナトリウム処理で行われる、実施形態181~195のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
実施形態197.第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む一本鎖断片が、放出の後に固体支持体から分割される、実施形態181~196のいずれか1つに記載の方法。
【0210】
実施形態198.放出の後に、第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む一本鎖DNA断片を用いてインデックスプライマー増幅を行って、インデックス付き断片を調製することを更に含む、実施形態181~197のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
実施形態199.インデックスプライマー増幅が、固体支持体とは別個の反応容器内で行われる、実施形態198に記載の方法。
【0212】
実施形態200.インデックスプライマー増幅が、ウラシル不耐性ポリメラーゼを用いて行われる、実施形態198又は199に記載の方法。
【0213】
実施形態201.第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む一本鎖DNA断片又はインデックス付き断片を配列決定することを更に含む、実施形態181~200のいずれか1つに記載の方法。
【0214】
実施形態202.配列決定データが、RNAから生成されたcDNAの第1の鎖から生成される、実施形態201に記載の方法。
【0215】
実施形態203.配列決定データが、RNAから生成されたcDNAの第2の鎖から生成されない、実施形態201に記載の方法。
【0216】
実施形態204.方法が、ライゲーションを必要としない、実施形態181~203のいずれか1つに記載の方法。
【0217】
実施形態205.RNA中の重複配列の境界を画する、実施形態181~206のいずれか1つに記載の方法。
【0218】
実施形態206.方法が、転写産物発現の推定を可能にする、実施形態181~207のいずれか1つに記載の方法。
【0219】
実施形態207.転写物発現の推定が、UMIの分析に基づく、実施形態208に記載の方法。
【0220】
実施形態208.RNAから二本鎖DNA断片のライブラリを調製する方法であって、(a)UMI及び第1のリード配列決定アダプター配列を含むポリTプライマーを使用して、試料中の完全長RNAからcDNAの第1の鎖を調製することと、(b)cDNAの第2の鎖を調製して、二本鎖cDNAを生成することと、(c)二本鎖cDNAを、トランスポソーム複合体が上に固定化されたビーズに適用することであって、各トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、3’トランスポゾン末端配列を含む第1のトランスポゾンと、トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列及びハイブリダイゼーション配列を含む第2のトランスポゾンと、を含み、トランスポソーム複合体が、ビーズに固定化されたオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーション配列の結合によって固定化され、オリゴヌクレオチドが、5’親和性エレメント、第1のリード配列決定アダプター配列、ビーズコード、及びハイブリダイゼーション配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を含む、適用することと、(b)二本鎖cDNAを固定化し、ビーズ上でタグメンテーションを行って、二本鎖DNA断片を調製することであって、任意選択で、トランスポソーム複合体が、タグメンテーションを行う前に可逆的に不活性化され、タグメンテーションを行うことが、トランスポソーム複合体を活性化することを含む、調製することと、(c)第2のトランスポゾンを除去することと、(d)第2のリード配列決定アダプター配列と、トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列と、を含むプライマーを、トランスポゾン末端配列にハイブリダイズすることと、(e)ギャップ充填及び伸長を行って、第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む二本鎖DNA断片を調製することと、を含む、方法。
【0221】
実施形態209.RNAから二本鎖DNA断片のライブラリを調製する方法であって、(a)UMI及び第1のリード配列決定アダプター配列を含むポリTプライマーを使用して、試料中の完全長RNAからcDNAの第1の鎖を調製することと、(b)cDNAの第2の鎖を調製して、二本鎖cDNAを生成することと、(c)二本鎖cDNAを、トランスポソーム複合体が上に固定化されたビーズに適用することであって、各トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、3’トランスポゾン末端配列、ビーズコード、及び第2のリード配列決定アダプター配列を含む第1のトランスポゾンであって、トランスポソーム複合体を固体支持体に固定化するための5’親和性エレメントを更に含む、第1のトランスポゾンと、トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を含む第2のトランスポゾンと、を含む、適用することと、(b)二本鎖cDNAを固定化し、ビーズ上でタグメンテーションを行って、二本鎖DNA断片を調製することであって、任意選択で、トランスポソーム複合体が、タグメンテーションを行う前に可逆的に不活性化され、タグメンテーションを行うことが、トランスポソーム複合体を活性化することを含む、調製することと、(c)第2のトランスポゾンを除去することと、(d)第2のリード配列決定アダプター配列と、トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列と、を含むプライマーを、トランスポゾン末端配列にハイブリダイズすることと、(e)ギャップ充填及び伸長を行って、第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む二本鎖DNA断片を調製することと、を含む、方法。
【0222】
実施形態210.トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列が、トランスポゾン末端配列よりも短い、実施形態208又は209に記載の方法。
【0223】
実施形態211.トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列が、トランスポゾン末端配列よりも短い場合、より少ないアダプターダイマーが生成される、実施形態210に記載の方法。
【0224】
実施形態212.プライマーが、第2のリード配列アダプターを含む5’部分と、トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を含む3’部分と、を含む、実施形態208~211のいずれか1つに記載の方法。
【0225】
実施形態213.トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を除去するときに、断片が、一方又は両方の末端でトランスポソームに結合したままである、実施形態210~212のいずれか1つに記載の方法。
【0226】
実施形態214.完全長RNAが、異なる完全長RNAのプールを含み、ポリTプライマーが、異なるUMIを含む異なるポリTプライマーのプールを含む、実施形態210~213のいずれか1つに記載の方法。
【0227】
実施形態215.異なるポリTプライマーのプールに含まれる各ポリTプライマーが、異なるUMIを含む、実施形態214に記載の方法。
【0228】
実施形態216.完全長RNAが、異なる完全長RNAのプールを含み、単一完全長RNAから調製された3’二本鎖DNA断片が、プール中の他の完全長RNAから調製された3’二本鎖DNA断片とは異なるUMIを含む、実施形態210~215に記載の方法。
【0229】
実施形態217.完全長RNAが、異なる完全長RNAのプールを含み、ビーズが、ビーズのプールを含む、実施形態216に記載の方法。
【0230】
実施形態218.各ビーズが、プール中の他のビーズ上に固定化されたトランスポソーム複合体に含まれるビーズコードと比較して、異なるビーズコードを含むトランスポソーム複合体を固定化している、実施形態217に記載の方法。
【0231】
実施形態219.単一完全長RNAから調製された二本鎖cDNAから調製された全ての断片が、同じビーズ上でタグメンテーションされる、実施形態210~218のいずれか1つに記載の方法。
【0232】
実施形態220.二本鎖cDNAから調製された第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む全ての二本鎖断片が、ギャップ充填及び伸長を行った後に同じ固体支持体上にある、実施形態210~219のいずれか1つに記載の方法。
【0233】
実施形態221.完全長RNAが、異なる完全長RNAのプールを含み、プール中の単一完全長RNAから調製された第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む全ての二本鎖断片が、ギャップ充填及び伸長を行った後に同じ固体支持体上にある、実施形態210~220のいずれか1つに記載の方法。
【0234】
実施形態222.第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む二本鎖断片を増幅して、増幅された断片を調製することを更に含む、実施形態210~221のいずれか1つに記載の方法。
【0235】
実施形態223.第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む増幅された断片又は二本鎖断片を配列決定することを更に含む、実施形態210~222のいずれか1つに記載の方法。
【0236】
実施形態224.配列決定が、完全長RNAアイソフォーム検出を可能にする、実施形態223に記載の方法。
【0237】
実施形態225.二本鎖cDNAの調製が、ストランド法によるものである、実施形態210~224のいずれか1つに記載の方法。
【0238】
実施形態226.第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプター又は増幅された断片を含む二本鎖断片から得られた配列中のビーズコードの存在は、断片が生成されたビーズを同定する、実施形態223~225のいずれか1つに記載の方法。
【0239】
実施形態227.試料が、単一細胞を含む、実施形態210~226のいずれか1つに記載の方法。
【0240】
実施形態228.RNAから二本鎖cDNAを調製すること、及びcDNAを固定化するために試料を第2の固体支持体と組み合わせることが、実施形態145のいずれか1つの方法を含む、実施形態210~227のいずれか1つの方法。
【0241】
追加の目的及び利点は、以下の説明において部分的に記載され、一部は説明から明白であるか、又は実践によって習得され得る。目的及び利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される要素及び組み合わせによって実現及び達成されるであろう。
【0242】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明はいずれも例示的かつ説明的のみであり、特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0243】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、1つの(いくつかの)実施形態を図解し、明細書とともに本明細書に記載される原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0244】
図1A】固定化トランスポソームによるRNA:DNA二重鎖の断片化(A)対捕捉及びタグメンテーションによる溶液中のトランスポソームによるDNA:RNA二重鎖の断片化(Cap-Tag、B及びC)の現在の方法を比較する。図1A及び図1Bの両方において、標的RNAは、mRNAのポリAテールに結合するポリT捕捉オリゴヌクレオチドによって固定化される。図1B及び図1Cにおいて、逆転写酵素が、RNA鎖に生じるニックを介して第2の鎖合成を開始すること、及びこれらのdsDNA二重鎖がトランスポソームの基質であることが提案される。しかしながら、溶液からのトランスポソームを使用する結果として、リードは、転写物の3’末端からのみ生成される。対照的に、固定化トランスポソームを用いる本方法(図1A)は、標的RNAの完全長に対応するライブラリ生成を可能にする。
図1B】固定化トランスポソームによるRNA:DNA二重鎖の断片化(A)対捕捉及びタグメンテーションによる溶液中のトランスポソームによるDNA:RNA二重鎖の断片化(Cap-Tag、B及びC)の現在の方法を比較する。図1A及び図1Bの両方において、標的RNAは、mRNAのポリAテールに結合するポリT捕捉オリゴヌクレオチドによって固定化される。図1B及び図1Cにおいて、逆転写酵素が、RNA鎖に生じるニックを介して第2の鎖合成を開始すること、及びこれらのdsDNA二重鎖がトランスポソームの基質であることが提案される。しかしながら、溶液からのトランスポソームを使用する結果として、リードは、転写物の3’末端からのみ生成される。対照的に、固定化トランスポソームを用いる本方法(図1A)は、標的RNAの完全長に対応するライブラリ生成を可能にする。
図1C】固定化トランスポソームによるRNA:DNA二重鎖の断片化(A)対捕捉及びタグメンテーションによる溶液中のトランスポソームによるDNA:RNA二重鎖の断片化(Cap-Tag、B及びC)の現在の方法を比較する。図1A及び図1Bの両方において、標的RNAは、mRNAのポリAテールに結合するポリT捕捉オリゴヌクレオチドによって固定化される。図1B及び図1Cにおいて、逆転写酵素が、RNA鎖に生じるニックを介して第2の鎖合成を開始すること、及びこれらのdsDNA二重鎖がトランスポソームの基質であることが提案される。しかしながら、溶液からのトランスポソームを使用する結果として、リードは、転写物の3’末端からのみ生成される。対照的に、固定化トランスポソームを用いる本方法(図1A)は、標的RNAの完全長に対応するライブラリ生成を可能にする。
図2】どのように溶液中のDNA:RNA二重鎖が、表面上に固定化されたトランスポソームによってタグメンテーションされ得るかを示す。標的RNAは、cDNA合成のために使用され、DNA:RNA二重鎖を生成し、続いて、固定化トランスポソーム複合体を介してDNA:RNA二重鎖をタグメンテーションする。タグメンテーションは、固体支持体上の2つの固定化トランスポソーム複合体に架橋した二本鎖DNA:RNA二重鎖を産生する。次いで、トランスポソーム複合体(本明細書に示されるTn5など)のトランスポザーゼの活性は、停止されるか、又はトランスポザーゼは除去される。鎖交換が行われ、続いて、ギャップ充填ライゲーションが行われる。断片のライブラリは、チューブ又はフローセルのいずれかにおいて放出され得る。
図3A】DNA:RNA二重鎖を生成するために、ユニバーサルヒト参照RNAからのcDNA合成を使用して生成されたRNA配列決定ライブラリからの代表的な配列決定の結果を示す。これらのDNA:RNA二重鎖は、BLTなどの固定化トランスポソーム複合体(図2に示される)によってタグメンテーションされた。BLT上の固定化トランスポソーム複合体によるタグメンテーションの後、ギャップ充填ライゲーションが行われた。ライブラリは、チューブに放出され、フローセルに直接播種された。ライブラリは配列決定可能であった(A)。結果の分布は、コード、非翻訳領域(untranslated region、UTR)、イントロン、及び遺伝子間配列(B)の配列決定を示し、したがって、RNAの異なる領域は、本方法を使用して配列決定されることができたことを示す。転写物の長さに沿った正規化されたカバレッジも示され(C)、これは、配列決定の結果における3’バイアスの相対的欠如を支持する。
図3B】DNA:RNA二重鎖を生成するために、ユニバーサルヒト参照RNAからのcDNA合成を使用して生成されたRNA配列決定ライブラリからの代表的な配列決定の結果を示す。これらのDNA:RNA二重鎖は、BLTなどの固定化トランスポソーム複合体(図2に示される)によってタグメンテーションされた。BLT上の固定化トランスポソーム複合体によるタグメンテーションの後、ギャップ充填ライゲーションが行われた。ライブラリは、チューブに放出され、フローセルに直接播種された。ライブラリは配列決定可能であった(A)。結果の分布は、コード、非翻訳領域(untranslated region、UTR)、イントロン、及び遺伝子間配列(B)の配列決定を示し、したがって、RNAの異なる領域は、本方法を使用して配列決定されることができたことを示す。転写物の長さに沿った正規化されたカバレッジも示され(C)、これは、配列決定の結果における3’バイアスの相対的欠如を支持する。
図3C】DNA:RNA二重鎖を生成するために、ユニバーサルヒト参照RNAからのcDNA合成を使用して生成されたRNA配列決定ライブラリからの代表的な配列決定の結果を示す。これらのDNA:RNA二重鎖は、BLTなどの固定化トランスポソーム複合体(図2に示される)によってタグメンテーションされた。BLT上の固定化トランスポソーム複合体によるタグメンテーションの後、ギャップ充填ライゲーションが行われた。ライブラリは、チューブに放出され、フローセルに直接播種された。ライブラリは配列決定可能であった(A)。結果の分布は、コード、非翻訳領域(untranslated region、UTR)、イントロン、及び遺伝子間配列(B)の配列決定を示し、したがって、RNAの異なる領域は、本方法を使用して配列決定されることができたことを示す。転写物の長さに沿った正規化されたカバレッジも示され(C)、これは、配列決定の結果における3’バイアスの相対的欠如を支持する。
図4】液滴中の細胞及び捕捉ビーズの同時カプセル封入、それに続く細胞溶解、cDNA合成、及びライブラリ調製を示す。断片の固定化ライブラリを有するビーズは、ライブラリ断片が放出される前に、配列決定のために固体表面(例えば、フローセル)に送達され得る。代替的に、固定化された標的核酸を有するビーズは、配列決定のために固体表面に送達され得、続いて、ビーズ上で断片を調製し、配列決定のために固体表面上に断片を放出する。フローセル上への断片の放出は、同じ細胞に由来する可能性が高い断片を同定するためのオンフローセル空間リードを可能にすることができる。
図5】捕捉オリゴヌクレオチドを含むビーズを示す。この代表的な例において、捕捉オリゴヌクレオチドは、ポリT配列、バーコード(ビーズコードとして使用され得る)、及びP5アダプター配列を含む。ポリT配列は、mRNAを捕捉するために使用することができ、P5及びバーコードは、DNA:RNA二重鎖の調製中に組み込むことができる。他のアダプター(ここではB’-P7’として示す)を、タグメンテーション中又はその後に組み込むことができる。タグメンテーション後、鎖交換及びライゲーションを行って、配列決定のためのライブラリ断片を調製することができる。
図6】捕捉オリゴヌクレオチドを有するビーズ(ここでは、mRNAを捕捉するためのポリT配列)と、トランスポソーム複合体に含まれる第2のトランスポゾンに含まれるハイブリダイゼーション配列にハイブリダイズするための配列(「短A」)を含む固定化オリゴヌクレオチドとを有するビーズを示す。このようにして、固定化オリゴヌクレオチドは、トランスポソーム複合体を組み立てるために使用することができる。固定化オリゴヌクレオチドは、P5アダプター配列及びビーズコードを更に含み得る。
図7】液滴中のmRNA捕捉、バルクでのcDNA合成、トランスポソームの固定化オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーション(hybridization、Hyb)、及びタグメンテーションの工程を含む、トランスポソームを組み立てるための固定化オリゴヌクレオチドを有する活性化可能BLTを使用して完全長RNAからライブラリを産生するためのワークフローを示す。BLTは、タグメンテーションの前又は後にフローセル上で捕捉され得る。
図8】液滴中で使用するか、又はフローセルのマイクロウェル中で捕捉する、ライブラリの単一細胞分解能のための方法を示す。
図9】cDNA合成、続いてBLT上でのタグメンテーション及びライブラリ調製、並びに次いで、フローセル又はチューブ中での断片の放出の方法を示す。この方法は、mRNAのポリAテールに結合するポリTプライマーを使用して、完全長mRNAライブラリを調製する。
図10】cDNA合成、続いてBLT上でのタグメンテーション及びライブラリ調製、次いで、フローセル又はチューブ中での断片の放出の方法を示す。この方法は、全てのRNAに結合するランダムプライマーを使用して、全RNAライブラリを調製する。
図11A】RNAからライブラリを調製するための本方法に使用され得る様々な異なるビーズを示す。(A)捕捉オリゴヌクレオチド(ここでは、mRNAを捕捉するためのポリT配列)と、トランスポソーム複合体を組み立てるために使用され得る、トランスポソーム複合体に含まれる第2のトランスポゾンに含まれるハイブリダイゼーション配列にハイブリダイズするための配列(例えば、「短A」)を含む固定化オリゴヌクレオチドとを有する、完全長mRNAライブラリ調製のためのビーズ。(B)短A配列へのトランスポソームのハイブリダイゼーション。(C)ビーズ上での完全長mRNAの複数の断片の調製。
図11B】RNAからライブラリを調製するための本方法に使用され得る様々な異なるビーズを示す。(A)捕捉オリゴヌクレオチド(ここでは、mRNAを捕捉するためのポリT配列)と、トランスポソーム複合体を組み立てるために使用され得る、トランスポソーム複合体に含まれる第2のトランスポゾンに含まれるハイブリダイゼーション配列にハイブリダイズするための配列(例えば、「短A」)を含む固定化オリゴヌクレオチドとを有する、完全長mRNAライブラリ調製のためのビーズ。(B)短A配列へのトランスポソームのハイブリダイゼーション。(C)ビーズ上での完全長mRNAの複数の断片の調製。
図11C】RNAからライブラリを調製するための本方法に使用され得る様々な異なるビーズを示す。(A)捕捉オリゴヌクレオチド(ここでは、mRNAを捕捉するためのポリT配列)と、トランスポソーム複合体を組み立てるために使用され得る、トランスポソーム複合体に含まれる第2のトランスポゾンに含まれるハイブリダイゼーション配列にハイブリダイズするための配列(例えば、「短A」)を含む固定化オリゴヌクレオチドとを有する、完全長mRNAライブラリ調製のためのビーズ。(B)短A配列へのトランスポソームのハイブリダイゼーション。(C)ビーズ上での完全長mRNAの複数の断片の調製。
図12】完全長mRNAライブラリ調製のための代表的なビーズを示す。ビーズは、複数の捕捉オリゴヌクレオチド(ここでは、mRNAを捕捉するためのポリT配列)と、第2のトランスポゾンに含まれるハイブリダイゼーション配列にハイブリダイズするための配列を含む複数の固定化オリゴヌクレオチドとを有する。DNA:RNA二重鎖の調製の前及び後、固定化オリゴヌクレオチドは、トランスポソーム複合体をビーズ上にハイブリダイズ及び固定化するために使用することができた。
図13】BLT上の複数のトランスポソームがどのようにしてmRNAから生成されたDNA:RNA二重鎖の完全長から断片を調製するかの代表的な例を示す。
図14】cDNAの合成中に3’UMIを組み込んだ後のBLTに対する対称タグメンテーション事象を示す。
図15】3’UMIを有する二本鎖cDNAの調製後のタグメンテーションを示す。この例では、各ビーズは、ビーズコードを有する固定化された第1のトランスポゾンを含み、mRNA転写物全体にわたるUMI計数アッセイを可能にする。
図16】3’UMIを有する二本鎖cDNAの調製後のビーズを用いたタグメンテーションを示し、方法は、第1の鎖cDNA合成、鋳型スイッチング、及びタグメンテーション前のPCR増幅を含む。
図17】鎖特異的cDNA合成を伴うプライマー伸長鎖特異的BLT(primer extension strand-specific BLT、PRESS-BLT)ワークフローを示す。
図18】PRESS-BLTワークフローの概要を示し、第1のトランスポゾンは、二重ビオチンを使用してビーズに固定化される。
図19】二重ビオチン及び短縮されたME’配列がワークフローの収量をどのように改善し得るかを要約する。例えば、短縮されたME’配列は、図14に示されるような方法、又は非転移ME’鎖が異なるオリゴヌクレオチドと交換される他の方法において有用であり得る。
図20】RNA配列決定ライブラリを調製するための例示的なワークフローの図を示す。ポリT捕捉オリゴヌクレオチドを含むRNA BLTを使用して、全RNA試料からmRNAを捕捉し、試料は洗浄され、逆転写酵素を使用してcDNAを生成してDNA:RNA二重鎖を形成し、DNA:RNA二重鎖は、RNA BLT上に固定化されたトランスポソーム複合体を介して断片化される。図20図28に示される実施形態では、二本鎖cDNAもまた調製され得(DNA:RNA二重鎖の代わりに)、RNA BLT上に固定化されたトランスポソーム複合体を介して断片化される。
図21】混合試料(すなわち、DNA及びRNAの両方を含む)中のDNA及びRNAが、RNA BLT及びDNA BLTにどのように結合し得るかの概要を示す。RNAは、トランスポソーム複合体に対する親和性を有さないため、RNAは、ポリT捕捉オリゴヌクレオチドを含むRNA BLTにのみ結合する。しかしながら、DNAは、DNA及びRNA BLTの両方における固定化トランスポソーム複合体に含まれるトランスポゾン末端配列に対するDNAの親和性に基づいて、DNA BLT又はRNA BLTのいずれかに結合することができた。したがって、RNA及びDNAを含む試料とともに使用するための方法は、DNAをDNA BLTに選択的に分離しなければならない。DNA及びRNAを含む混合物試料とともに使用するための方法は、iDNAがDNA BLTを同定するインデックスであり、iRNAがRNA BLTを同定するためのインデックスであるように、タグメンテーション反応中に異なるタグを使用することができる。このようにして、DNAに由来する断片は、RNAに由来する断片から区別され得る。
図22】試料を適用する前に可逆的に不活性化されたRNA BLTによって、RNA及びDNAを含む試料からRNA及びDNA配列決定試料を調製する方法を概説する。このようにして、試料中のDNAは、DNA BLTに結合し、RNAのみが(ポリT捕捉オリゴヌクレオチドを介して)RNA BLTに結合する。DNA BLTに結合したDNAは、タグメンテーションされ、ビーズは洗浄される。次いで、RNA BLTのトランスポソーム複合体は、活性化される(すなわち、不活性化が逆転される)。逆転写を行って、RNA BLTに固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成し、続いて、DNA:RNA二重鎖の断片化を行う。
図23】「裸の」RNA BLTを使用して、RNA及びDNAを含む試料からRNA及びDNA配列決定試料を調製する方法を概説する。これらの「裸の」RNA-BLTは、トランスポザーゼを含まない。最初に、DNAは、DNA-BLTを用いてタグメンテーションされ、RNAは、ポリT捕捉オリゴヌクレオチド上で捕捉され、cDNA合成を行うことができ、試料は洗浄され、次いで、トランスポザーゼを付加して、以前に「裸」であったRNA-BLT上で機能的トランスポソームを組み立てる。逆転写酵素ポリメラーゼは付加され、DNA:RNA二重鎖のタグメンテーションは、RNA BLTを用いて行われる。トランスポソームは、RNA-BLTに固定化されたオリゴヌクレオチドへのトランスポソーム複合体のハイブリダイゼーションによって、cDNA合成後にビーズ上で組み立てることができる。
図24】3ビーズアプローチを使用して、RNA及びDNAを含む試料からRNA及びDNA配列決定試料を調製する方法を概説する。3ビーズアプローチにおいて、方法は、DNA-BLT及びポリTビーズ(トランスポソームを欠く)で開始する。DNAは、DNA BLTによってタグメンテーションされ、RNAは、ポリTビーズによって捕捉される。ビーズは洗浄される。次いで、RNA-BLTは、捕捉されたRNAをポリTビーズからRNA-BLT上に置換する試薬と一緒に付加される。逆転写酵素ポリメラーゼは付加され、DNA:RNA二重鎖のタグメンテーションは、RNA BLTを用いて行われる。
図25】DNA捕捉を使用して、RNA及びDNAを含む試料からRNA及びDNA配列決定試料を調製し、続いて、DNA結合DNA BLTをRNA BLTから物理的に分離する方法を概説する。過剰なDNA BLTを使用して、試料中の全ての二本鎖(double-stranded、ds)DNAを結合させ、DNAに対してタグメンテーションを行うことができる。次いで、RNAは、タグメンテーションされたDNA BLTから分割され、RNA BLTに結合され得る。逆転写酵素ポリメラーゼを介してDNA:RNA二重鎖を生成した後、RNAのタグメンテーションが行われる。次いで、RNA BLT及びDNA BLTは、組み合わされ得る。
図26】DNA特異的タグメンテーション及びcDNA特異的タグメンテーション並びに分割を使用して、DNA又はRNA(cDNAに変換された)から調製されたタグ付き断片のライブラリを調製する方法を記載する。全核酸(DNA及びRNAを含む、TNA)を有する試料をDNA BLTと組み合わせ、DNA特異タグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを断片に組み込んだ後、DNA BLTは分割され得るが、一方でDNA断片はBLTと会合される。次いで、二本鎖cDNA(ds-cDNA)は、RNAから生成され、RNA(cDNA)特異的タグメンテーションを介してタグメンテーションされ、RNA特異的バーコードを断片に組み込むことができる。このようにして、下流の配列決定及びバイオインフォマティクスは、バーコードを使用してRNAに由来する試料をDNAに由来する試料から区別するために使用され得るように、断片はタグ付けされる。
図27】DNA特異的タグメンテーション及びRNA(cDNA)特異的タグメンテーションを使用して、DNA又はRNA(cDNAに変換された)から調製されたタグ付き断片のライブラリを調製する方法を記載する。この方法は、単一の反応容器中で行われ得る(すなわち、ワンポット反応)。DNA特異的タグメンテーションを行って、DNA BLTを使用してDNA特異的バーコードを組み込んだ後、「自殺」合成DNAは、これらのDNA BLTに付加され得る。このような合成DNAは、ウラシルを含む二本鎖DNA(dsDNA)であり得、これは、ウラシル不耐性DNAポリメラーゼが増幅のために使用される場合、増幅され得ない。このようにして、全てのDNA BLTは、試料由来のdsDNA又は合成dsDNAのいずれかで飽和され、DNA BLT(DNA特異的バーコードを有するトランスポソーム複合体を含む)は、更なるタグメンテーションに利用可能とはならない。次いで、ds-cDNAは、試料中のRNAから調製することができ、cDNA特異的タグメンテーションは、RNA特異的バーコードを有するトランスポソーム複合体を含むRNA BLTを使用してRNAバーコードを組み込むために使用され得る。クリーンアップ及び増幅の後、タグ付き断片は、配列決定され得、バーコードは、DNAに由来する試料対RNAに由来する試料を決定するために使用される。
図28】DNA特異的タグメンテーション及びDNA:RNA二重鎖特異的タグメンテーションを使用して、DNA又はRNA(DNA:RNA二重鎖に変換された)から調製されたタグ付き断片のライブラリの調製のための方法を記載する。DNA特異的タグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを有するトランスポソーム複合体を含むDNA BLTを使用してDNAバーコードを組み込んだ後、「自殺」合成DNAは、これらのDNA BLTに付加され得る。次いで、試料中のRNAからcDNAの一本鎖を調製して、DNA:RNA二重鎖を生成することができ、DNA:RNA二重鎖のタグメンテーションを使用して、RNA特異的バーコードを有するトランスポソーム複合体を含むRNA BLTを使用してRNAバーコードを組み込むことができる。例示的なRNA BLTとしては、DNA:RNA二重鎖をタグメンテーションすることにおいて改善された有効性を有するxGEN USAからのtedRNAビーズが挙げられる。クリーンアップ及び増幅後、タグ付き断片は、配列決定され得、バーコードは、DNAに由来する試料対RNAに由来する試料を決定するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0245】
I.捕捉オリゴヌクレオチドを含むビーズ連結トランスポソームを使用してRNA配列決定ライブラリを調製する方法
RNA試料を配列決定するための多くのプロトコルは、配列決定の前に試料中のRNAを二本鎖cDNAフォーマットに変換する試料調製を用いる。DNA:RNA二重鎖を使用し、mRNAをタグメンテーションするときに3’バイアスを回避するRNA試料を配列決定するための方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、得られたライブラリ産物中の標的RNAの5’から3’への均一なカバレッジを可能にする(図1Aに示される)。
【0246】
本明細書で使用される場合、「DNA:RNA」二重鎖とは、RNA及びDNAの二重鎖を指す。DNA:RNA二重鎖は、それと会合したいくらかの量のDNAを有するRNAを包含する。DNA:RNA二重鎖のDNAは、断片化を可能にし、DNA:RNA二重鎖中のDNAは、トランスポザーゼがDNA:RNA二重鎖を断片化するのに十分である。
【0247】
全ての実施形態について、DNA:RNA二重鎖はまた、断片化(すなわち、タグメンテーションを行うこと)の前に二本鎖DNAに変換され得ることが理解される。いくつかの実施形態では、cDNAの第2の鎖の全て又は一部は、断片化の前に生成される。いくつかの実施形態では、DNA:RNA二重鎖は、溶液中で又はDNA:RNA二重鎖がBLTに結合された後に、二本鎖DNAに変換され得る。二本鎖DNAに変換されるとは、DNA:RNA二重鎖中のRNAの一部又は全てがDNAに変換されることを意味する。このような実施形態では、断片化は、二本鎖DNAの領域で生じ得る。
【0248】
いくつかの実施形態では、1つ以上の種のRNAを含む試料は、表面に付加され、そこで、mRNA転写物は、ビーズの表面上のそれらの3’ポリAテールによって捕捉されるなど、捕捉オリゴヌクレオチドを介して捕捉される。次いで、逆転写酵素(RT)ポリメラーゼは、第1の鎖cDNAを生成するために付加される。したがって、この方法において、cDNA合成は、RNAが捕捉オリゴヌクレオチドに結合された後に行われ得る。DNA:RNA二重鎖は、表面結合トランスポソームによってタグメンテーションされ、したがって、mRNA転写物の完全長からライブラリ鋳型を生成する。
【0249】
いくつかの実施形態では、標的RNAからタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法は、
標的RNAを含む試料を、トランスポソーム複合体及び捕捉オリゴヌクレオチドが上に固定化された固体支持体に適用することであって、
トランスポソーム複合体が、第1のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを含み、第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、
第1のタグと、を含み、
試料は、標的RNAの3’末端が捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、固体支持体に適用される、適用することと、
cDNAを合成し、捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、
DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、トランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖に対して断片化を行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む。いくつかの実施形態では、一方の鎖の5’末端は、RNA鎖の5’末端である。いくつかの実施形態では、一方の鎖の5’末端は、DNA鎖の5’末端である。
【0250】
いくつかの実施形態では、活性化可能なBLTが使用され得、トランスポザーゼは、方法の間に第1のポリヌクレオチドに結合される。いくつかの実施形態では、トランスポザーゼは、逆転写酵素を付加する前又は後に第1のポリヌクレオチドに結合される。言い換えれば、トランスポザーゼは、DNA:RNA二重鎖が生成された後、又はDNA:RNA二重鎖が生成される前に付加され得る。
【0251】
いくつかの実施形態では、標的RNAからタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法は、
標的RNAを含む試料を、捕捉オリゴヌクレオチド及び第1のポリヌクレオチドが上に固定化された固体支持体に適用することであって、第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第1のタグと、を含み、試料は、標的RNAの3’末端が捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、固体支持体に適用される、適用することと、
トランスポザーゼを、トランスポザーゼが第1のポリヌクレオチドに結合してトランスポソーム複合体を形成する条件下で付加することと、
cDNAを合成し、捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、
DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、トランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖に対して断片化を行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む。
【0252】
いくつかの実施形態では、標的RNAからタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法は、
標的RNAを含む試料を、捕捉オリゴヌクレオチド及び第1のポリヌクレオチドが上に固定化された固体支持体に適用することであって、第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第1のタグと、を含み、試料は、標的RNAの3’末端が捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、固体支持体に適用される、適用することと、
cDNAを合成し、捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、
トランスポザーゼを、トランスポザーゼが第1のポリヌクレオチドに結合してトランスポソーム複合体を形成する条件下で付加することと、
DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、トランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖に対して断片化を行い、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む。
【0253】
いくつかの実施形態では、方法は、試料を固体支持体に適用した後に、固体支持体を洗浄してあらゆる未結合の標的RNAを除去することを更に含む。
【0254】
DNA:RNA二重鎖が固体支持体に付加された場合、トランスポソーム複合体は、二重鎖をタグメンテーションし、したがって、両方の末端で表面に結合した断片を生成する。いくつかの実施形態では、架橋断片の長さは、表面上のトランスポソーム複合体の密度を変えることによって変化させることができる。ある特定の実施形態では、得られた架橋断片の長さは、100bp、200bp、300bp、400bp、500bp、600bp、700bp、800bp、900bp、1000bp、1100bp、1200bp、1300bp、1400bp、1500bp、1600bp、1700bp、1800bp、1900bp、2000bp、2100bp、2200bp、2300bp、2400bp、2500bp、2600bp、2700bp、2800bp、2900bp、3000bp、3100bp、3200bp、3300bp、3400bp、3500bp、3600bp、3700bp、3800bp、3900bp、4000bp、4100bp、4200bp、4300bp、4400bp、4500bp、4600bp、4700bp、4800bp、4900bp、5000bp、10000bp、30000bp、又は100,000bp以下である。そのような実施形態では、次に、架橋断片は、米国特許第7,985,565号及び同第7,115,400号の開示によって例示されるように、標準的なクラスタ化学を使用して、クラスタ内に増幅され得、これらの各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0255】
いくつかの実施形態では、断片化は、固体支持体上の2つの固定化トランスポソーム複合体に架橋した二本鎖DNA:RNA二重鎖を産生する。いくつかの実施形態では、架橋二重鎖の長さは、100塩基対~1500塩基対である。
【0256】
いくつかの実施形態では、mRNAの3’末端から生成されたDNA:RNA二重鎖は、一方の末端で捕捉オリゴヌクレオチドに結合され、他方の末端で固定化トランスポソーム複合体に結合される。いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは、1つ以上のトランスポゾン末端に含まれる配列と類似又は同一の配列を含む。いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは、第1のタグを含み得る。
【0257】
いくつかの実施形態では、DNA:RNA二重鎖の断片は、
標的RNAのコード、非翻訳領域(UTR)、イントロン、及び/又は遺伝子間配列を生成するために使用することができる。
【0258】
いくつかの実施形態では、標的DNA:RNA二重鎖をタグ付けし、固定化されたタグ付きDNA:RNA二重鎖を生成するためのインビトロ転位反応は、トランスポザーゼ、トランスポゾン配列組成物、及び好適な反応条件を含む。
【0259】
本明細書で記載されるように、プロトコルに対する特定の修飾は、収量を改善し得る。しかしながら、これらの特定の方法は、特許請求の範囲の範囲を限定することを意味するものではないが、それらの特定の試料に対して方法を最適化することを望む当業者に指針を提供することを意味する。例えば、単一細胞を含む試料で作業する使用者は、単一細胞が限られた量のRNA及びDNAを有するため、ライブラリ収量を改善するために本明細書に記載される方法を使用することを望み得る。
【0260】
A.試料及び標的mRNA
いくつかの実施形態では、試料は、標的RNAを含む。いくつかの実施形態では、試料は、RNA及びDNAを含む。いくつかの実施形態では、標的RNAは、mRNAである。いくつかの実施形態では、標的RNAは、コード、非翻訳領域(UTR)配列、イントロン配列、及び/又は遺伝子間配列を含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、標的RNAを含む試料又はRNA及びDNAを含む試料を適用する工程は、生体試料を当該固体支持体に付加することを含む。生体試料は、RNA又はRNA及びDNAを含み、かつタグメンテーションのために固体表面上に堆積させることができる任意の種類であり得る。例えば、試料は、精製されたRNA又はRNA及びDNAを含む、様々な精製状態のRNA又はRNA及びDNAを含み得る。しかしながら、試料は、完全に精製される必要はなく、例えば、タンパク質、他の核酸種、他の細胞成分、及び/又は任意の他の混入物が混入しているRNA又はRNA及びDNAを含み得る。いくつかの実施形態では、生体試料は、RNA若しくはRNA及びDNA、タンパク質、他の核酸種、他の細胞成分、並びに/又はインビボで見られるものとほぼ同じ割合で存在する任意の他の混入物の混合物を含む。例えば、いくつかの実施形態では、成分は、無傷細胞に見られるものと同じ割合で見出される。いくつかの実施形態では、生体試料は、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、又は0.60以下の260/280吸光度比を有する。いくつかの実施形態では、生体試料は、少なくとも2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、又は0.60の260/280吸光度比を有する。本明細書で提供される方法により、RNA又はRNA及びDNA
を固形支持体に結合させることが可能になるため、他の混入物は、表面結合タグメンテーションが生じた後に固形支持体を洗浄するだけで除去することができる。生体試料は、例えば、粗細胞溶解物又は全細胞を含み得る。例えば、本明細書に記載の方法において固体支持体に適用される粗細胞溶解物は、他の細胞成分から核酸を単離するために従来から使用している分離工程のうちの1つ以上が行われる必要はない。例示的な分離工程は、Maniatis et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2d Edition,1989、及びShort Protocols in Molecular Biology,ed.Ausubel,et alに記載され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0262】
いくつかの実施形態では、固体支持体に適用される試料は、1.7以下である260/280吸光度比を有する。
【0263】
したがって、いくつかの実施形態では、生体試料は、例えば、血液、血漿、血清、リンパ液、粘液、痰、尿、精液、脳脊髄液、気管支吸引物、糞便、及びこれらの浸軟組織、若しくはこれらの溶解物、又はRNA若しくはRNA及びDNAを含む任意の他の生体標本を含み得る。
【0264】
いくつかの実施形態では、固体支持体に適用される試料は、血液である。いくつかの実施形態では、固体支持体に適用される試料は、細胞溶解物である。
【0265】
いくつかの実施形態では、細胞溶解物は、粗細胞溶解物である。いくつかの実施形態では、方法は、試料を固体支持体に適用した後に試料中の細胞を溶解して、細胞溶解物を生成することを更に含む。
【0266】
いくつかの実施形態では、DNA:RNA二重鎖は、溶液中で調製され、次いで、BLTに固定化される(図2を参照されたい)。
【0267】
本明細書に提示される方法及び組成物の1つの利点は、フローセルに生体試料を添加することができ、その後の溶解工程及び精製工程は、フローセルに必要な試薬を流すだけで、更なる移動又は取り扱い工程なしにフローセル内で全て生じ得ることである。
【0268】
いくつかの実施形態では、標的RNAは、捕捉オリゴヌクレオチドの1つ以上の少なくとも部分に対して相補的である配列を含む。
【0269】
いくつかの実施形態では、標的RNAは、メッセンジャRNA(messenger RNA、mRNA)、転移RNA(transfer RNA、tRNA)、又はリボソームRNA(ribosomal RNA、rRNA)である。適切な捕捉オリゴヌクレオチドは、標的RNAの種類に基づいて設計され得る。
【0270】
いくつかの実施形態では、標的RNAの3’末端は、捕捉オリゴヌクレオチドに結合する。
【0271】
いくつかの実施形態では、標的RNAは、mRNAである。いくつかの実施形態では、標的RNAは、ポリアデニル化される(すなわち、アデニン塩基のみを含むRNAのストレッチを含む)。いくつかの実施形態では、mRNAは、ポリAテールを含む。いくつかの実施形態では、mRNAの3’末端は、ポリAテールを含む。
【0272】
いくつかの実施形態では、標的mRNAは、ポリA配列を含み、ポリT配列を含む捕捉オリゴヌクレオチドに結合する。
【0273】
試料中に含まれるDNA及びRNAは、「全核酸」と称され得る。本明細書に記載される方法は、全核酸を含む試料からDNA及びRNAライブラリを調製することにおいて有用であり得、DNAライブラリに含まれる断片は、各々、DNA特異的バーコードを含み、RNAライブラリに含まれる断片は、各々、RNA特異的バーコードを含む。このような方法は、単一の試料からDNA及びRNAライブラリを調製する前に、DNA及びRNAを分離する必要性を回避し得る。
【0274】
B.トランスポソーム複合体
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、1つ以上のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを含む。
【0275】
「トランスポソーム複合体」は、少なくとも1つのトランスポザーゼ(又は本明細書に記載の他の酵素)及びトランスポゾン認識配列から構成される。いくつかのそのようなシステムでは、トランスポザーゼは、転移反応を触媒することができる機能的複合体を形成するために、トランスポゾン認識配列に結合する。いくつかの側面では、トランスポゾン認識配列は、二本鎖トランスポゾン末端配列である。トランスポザーゼは、標的核酸内のトランスポザーゼ認識部位に結合し、トランスポゾン認識配列を標的核酸に挿入する。いくつかのそのような挿入事象では、トランスポゾン認識配列(又は末端配列)の1つの鎖が標的核酸に転写され、開裂事象が生じる。例示的な転位手順及びシステムは、トランスポザーゼでの使用に容易に適合され得る。
【0276】
「トランスポザーゼ」は、トランスポゾン末端含有組成物(例えば、トランスポゾン、トランスポゾン末端、トランスポゾン末端組成物)を有する機能的複合体を形成し、かつ二本鎖標的核酸へのトランスポゾン末端含有組成物の挿入又は転位を触媒することができる酵素を意味する。本明細書に提示されるトランスポザーゼはまた、レトロトランスポゾン及びレトロウイルスからのインテグラーゼを含み得る。
【0277】
トランスポゾンベースの技術は、DNAを断片化するために利用することができ、ゲノムDNAなどの標的核酸は、標的を同時に断片化及びタグ付けする(「タグメンテーション」)トランスポソーム複合体で処理され、それによって、断片の末端に固有のアダプター配列でタグ付けされた断片化核酸分子の集団を生成する。タグメンテーションは、トランスポゾン末端配列(本明細書でトランスポゾンと称される)を含む1つ以上のタグ(アダプター配列など)で複合体化されたトランスポザーゼ酵素を含むトランスポソーム複合体によるDNAの修飾を含む。タグメンテーションは、DNAの断片化及び二重鎖断片の両方の鎖の5’末端へのアダプターのライゲーションを同時にもたらし得る。
【0278】
転位反応は、1つ以上のトランスポゾンがランダムな部位又はほぼランダムな部位で標的核酸に挿入される反応である。転位反応の構成要素としては、トランスポザーゼ(又は本明細書に記載される核酸を断片化及びタグ付けすることができる他の酵素、例えば、インテグラーゼ)、及び酵素に結合する二本鎖トランスポゾン末端配列を含むトランスポゾン要素、及び2つのトランスポゾン末端配列のうちの1つに結合されたアダプター配列が含まれ得る。二本鎖トランスポゾン末端配列のうちの一本鎖は、標的核酸の一本鎖に転移され、相補的なトランスポゾン末端配列鎖は、転移されない(すなわち、非転移トランスポゾン配列)。アダプター配列は、必要に応じて又は所望に応じて、1つ以上の機能的配列(例えば、プライマー配列)を含み得る。
【0279】
本明細書に提供されるある特定の実施形態で使用され得る例示的なトランスポザーゼとしては、Tn5トランスポザーゼ、Sleeping Beauty(SB)トランスポザーゼ、ビブリオハーベイ(Vibrio harveyi)、R1及びR2末端配列を含むMuAトランスポザーゼ及びMuトランスポザーゼ認識部位、Staphylococcus aureus Tn552、Ty1、Tn7トランスポザーゼ、Tn/O及びIS10、Mariner transposase、Tc1、P Element、Tn3、細菌挿入配列、レトロウイルス、及び酵母のレトロトランスポゾンが挙げられる(又はそれによってコードされる)。より多くの例としては、IS5、Tn10、Tn903、IS911、及びトランスポザーゼファミリー酵素の設計されたバージョンが挙げられる。本明細書に記載される方法はまた、トランスポザーゼの組み合わせを含み、単一のトランスポザーゼのみを含むのではない。
【0280】
いくつかの実施形態では、トランスポザーゼは、Tn5、Tn7、MuA、若しくはビブリオハーベイトランスポザーゼ、又はこれらの活性変異体である。他の実施形態では、トランスポザーゼは、Tn5トランスポザーゼ又はその変異体である。他の実施形態では、トランスポザーゼは、Tn5トランスポザーゼ又はその変異体である。他の実施形態では、トランスポザーゼは、Tn5トランスポザーゼ又はその活性変異体である。いくつかの実施形態では、Tn5トランスポザーゼは、高活性Tn5トランスポザーゼ、又はその活性変異体である。いくつかの態様では、Tn5トランスポザーゼは、参照により本明細書に組み込まれる、PCT国際公開第2015/160895号に記載されているTn5トランスポザーゼである。いくつかの態様では、Tn5トランスポザーゼは、野生型Tn5トランスポザーゼに対する54、56、372、212、214、251、及び338位での突然変異を有する、高活性Tn5である。いくつかの態様では、Tn5トランスポザーゼは、野生型Tn5トランスポザーゼ:E54K、M56A、L372P、K212R、P214R、G251R、及びA338Vに対する以下の突然変異を有する高活性Tn5である。いくつかの実施形態では、Tn5トランスポザーゼは、融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、Tn5トランスポザーゼ融合タンパク質は、融合伸長因子Ts(Tsf)タグを含む。いくつかの実施形態では、Tn5トランスポザーゼは、野生型配列に対するアミノ酸54、56、及び372における突然変異を含む高活性Tn5トランスポザーゼである。いくつかの実施形態では、高活性Tn5トランスポザーゼは融合タンパク質であり、任意選択で、融合タンパク質は伸長因子Ts(Tsf)である。いくつかの実施形態では、認識部位は、Tn5型トランスポザーゼ認識部位である(Goryshin and Reznikoff,J.Biol.Chem.,273:7367,1998)。一実施形態では、高活性Tn5トランスポザーゼと複合体を形成するトランスポザーゼ認識部位が使用される(例えば、EZ-Tn5TMトランスポザーゼ、Epicentre Biotechnologies、Madison,Wis.)。いくつかの実施形態では、Tn5トランスポザーゼは野生型Tn5トランスポザーゼである。
【0281】
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、トランスポザーゼの2つの分子のダイマーを含む。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、ホモダイマーであり、トランスポザーゼの2つの分子は各々、同じ型の第1及び第2のトランスポゾンに結合している(例えば、各モノマーに結合した2つのトランスポゾンの配列は同じであり、「ホモダイマー」を形成する)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、トランスポソーム複合体の2つの集団を採用する。いくつかの実施形態では、各集団におけるトランスポゾンは同じである。いくつかの実施形態では、各集団におけるトランスポソーム複合体は、ホモダイマーであり、第1の集団は、各モノマーにおいて第1のアダプター配列を有し、第2の集団は、各モノマー中に異なるアダプター配列を有する。
【0282】
「トランスポゾン末端」という用語は、インビトロ転位反応で機能するトランスポザーゼ又はインテグラーゼ酵素との複合体を形成するために必要なヌクレオチド配列(「トランスポゾン末端配列」)のみを示す二本鎖核酸DNAを指す。いくつかの実施形態では、トランスポゾン末端は、転位反応においてトランスポザーゼと機能複合体を形成することができる。非限定的な例として、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010/0120098号の開示に記載されるように、トランスポゾン末端は、19-bpの外側末端(「outer end、OE」)トランスポゾン末端、内側末端(「inner end、IE」)トランスポゾン末端、又は野生型若しくは変異体Tn5トランスポザーゼによって認識される「モザイク末端」(「mosaic end、ME」)トランスポゾン末端、又はR1及びR2トランスポゾン末端を含み得る。トランスポゾン末端は、インビトロ転位反応においてトランスポザーゼ又はインテグラーゼ酵素と機能複合体を形成するのに好適な任意の核酸又は核酸類似体を含み得る。例えば、トランスポゾン末端は、DNA、RNA、修飾塩基、非天然塩基、修飾骨格を含むことができ、一方又は両方の鎖にニックを含むことができる。「DNA」という用語は、トランスポゾン末端組成物に関連して本開示全体を通して使用されるが、任意の好適な核酸又は核酸類似体がトランスポゾン末端において利用され得ることを理解すべきである。
【0283】
同様に、「転移鎖」という用語は、両方のトランスポゾン末端の転移部分を指す。同様に、「非転移鎖」という用語は、両方の「トランスポゾン末端」の非転移部分を指す。転移鎖の3’末端は、インビトロ転位反応で標的DNAに結合又は転移される。転移されたトランスポゾン末端配列に相補的なトランスポゾン末端配列を示す非転移鎖は、インビトロ転位反応で標的DNAに結合又は転移されない。
【0284】
いくつかの実施形態では、転移鎖及び非転移鎖は、共有結合している。例えば、いくつかの実施形態では、転移及び非転移鎖配列は、単一のオリゴヌクレオチド上に、例えば、ヘアピン構成で提供される。したがって、非転移鎖の遊離末端は、転位反応によって標的DNAに直接的には結合されないが、非転移鎖は、ヘアピン構造のループによって転移鎖に連結されているため、非転移鎖は、DNA断片に間接的に付着することになる。トランスポソーム構造並びにトランスポソームを調製及び使用する方法の更なる例は、米国特許出願公開第2010/0120098号の開示に見出すことができ、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0285】
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、第1のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリヌクレオチドは、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第1のタグとを含む。
【0286】
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、トランスポゾン末端配列に対して相補的である領域を含む第2のポリヌクレオチドを含む。
【0287】
1.トランスポザーゼ
全体を通して使用されるように、トランスポザーゼという用語は、トランスポゾン含有組成物(例えば、トランスポゾン、トランスポゾン組成物)を有する機能的複合体を形成し、かつインビトロ転位反応で、それがインキュベートされる二本鎖標的核酸へのトランスポゾン含有組成物の挿入又は転位を触媒することができる酵素を指す。提供される方法のトランスポザーゼはまた、レトロトランスポゾン及びレトロウイルスからのインテグラーゼを含む。提供される方法において使用され得る例示的なトランスポザーゼとしては、野生型又は変異体形態のTn5トランスポザーゼ及びMuAトランスポザーゼが挙げられる。
【0288】
「転位反応」は、1つ以上のトランスポゾンがランダムな部位又はほぼランダムな部位で標的核酸に挿入される反応である。転位反応の必須成分は、転移トランスポゾン配列及びその相補体(すなわち、非転移トランスポゾン末端配列)、並びに機能的転位又はトランスポソーム複合体を形成するために必要な他の構成要素を含む、トランスポゾンのヌクレオチド配列を示すトランスポザーゼ及びDNAオリゴヌクレオチドである。本開示の方法は、高活性Tn5トランスポザーゼ及びTn5型トランスポゾン末端によって、又はMuA若しくはHYPERMuトランスポザーゼ並びにR1及びR2末端配列を含むMuトランスポゾン末端によって形成される転位複合体を用いることによって例示される(例えば、Goryshin,I.and Reznikoff,W.S.,J.Biol.Chem.,273:7367,1998、及びMizuuchi,Cell,35:785,1983;Savilahti,H,et al.,EMBO J.,14:4893,1995を参照されたく、それらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。しかしながら、意図された目的のために標的核酸にタグ付けするのに十分な効率で、ランダム又はほぼランダムな様式でトランスポゾン末端を挿入することができる任意の転位システムが提供される方法で使用され得る。提供される方法で使用され得る既知の転位システムの他の例としては、Staphylococcus aureus Tn552、Tyl、トランスポゾンTn7、Tn/O及びIS10、マリナートランスポザーゼ、Tel、Pエレメント、Tn3、細菌挿入配列、レトロウイルス、並びに酵母のレトロトランスポゾン(例えば、Colegio O R et al,J.Bacteriol.,183:2384-8,2001;Kirby C et al,Mol.Microbiol.,43:173-86,2002、Devine S E,and Boeke J D.,Nucleic Acids Res.,22:3765-72,1994、国際特許出願第95/23875号、Craig,N L,Science.271:1512,1996、Craig,N L,Review in:Curr Top Microbiol Immunol.,204:27-48,1996、Kleckner N,et al.,Curr Top Microbiol Immunol.,204:49-82,1996、Lampe D J,et al.,EMBO J.,15:5470-9,1996、Plasterk R H,Curr Top Microbiol Immunol,204:125-43,1996、Gloor,G B,Methods Mol.Biol,260:97-1 14,2004、Ichikawa H,and Ohtsubo E.,J Biol.Chem.265:18829-32,1990、Ohtsubo,F and Sekine,Y,Curr.Top.Microbiol.Immunol.204:1-26,1996、Brown P O,et al,Proc Natl Acad Sci USA,86:2525-9,1989、Boeke J D and Corces V G,Annu Rev Microbiol.43:403-34,1989を参照されたく、それらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0289】
トランスポゾンを標的配列に挿入するための方法は、好適なインビトロ転位システムが利用可能であるか、又は当該技術分野の知識に基づいて開発され得る任意の好適なトランスポゾンシステムを使用してインビトロで実施され得る。一般に、本開示の方法で使用するための好適なインビトロ転位システムは、少なくとも、十分な純度、十分な濃度、及び十分なインビトロ転位活性のトランスポザーゼ酵素、並びにトランスポザーゼが、転位反応を触媒し得るそれぞれのトランスポザーゼと機能的複合体を形成するトランスポゾンを必要とする。使用され得る好適なトランスポザーゼトランスポゾン末端配列は、トランスポザーゼの野生型、誘導体又は変異体から選択されるトランスポザーゼと複合体を形成する野生型、誘導体又は変異体トランスポゾン末端配列を含むが、それらに限定されない。
【0290】
いくつかの実施形態では、トランスポザーゼは、Tn5トランスポザーゼを含む。いくつかの実施形態では、Tn5トランスポザーゼは、高活性Tn5トランスポザーゼである。いくつかの実施形態では、トランスポザーゼは、Tn5と比較して、DNA:RNA二重鎖に対して増加された活性を有する。
【0291】
2.不活性化トランスポソーム
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、方法の間に可逆的に不活性化される。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、標的RNAを含む試料がトランスポソーム複合体及び捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持体に適用されるときに可逆的に不活性化され、DNA:RNA複合体を断片化する前又はそのときに活性化される。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、トランスポソーム不活性化剤を除去することによって、断片化の前又はそのときに活性化される。可逆的不活性化の方法のうちのいずれかは、DNA:RNA二重鎖又は二本鎖DNAのいずれかの断片化を含む、本明細書に記載される方法とともに使用され得る。言い換えれば、本明細書に記載される任意のトランスポソーム複合体は、可逆的に不活性化され得る。いくつかの実施形態では、タグメンテーションを行うことは、以前に可逆的に不活性化された状態にあったトランスポソーム複合体を活性化することを含む。
【0292】
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、トランスポソーム複合体に結合したトランスポソーム不活性化剤によって可逆的に不活性化される。いくつかの実施形態では、トランスポソーム不活性化剤は、トランスポソーム複合体のTn5結合部位に結合される。
【0293】
広範囲の手段がトランスポソームを不活性化することができた。いくつかの実施形態では、トランスポソーム不活性化剤は、脱リン酸化ME’、余分な塩基、阻害剤二重鎖、及び/又は易熱性抗体を含む。
【0294】
いくつかの実施形態では、脱リン酸化ME’配列は、リン酸化されて、リン酸化ME’配列を生成し、トランスポソームを活性化することができる。
【0295】
いくつかの実施形態では、余分な塩基(すなわち、ヌクレオチド)は、トランスポゾン末端配列に隣接して、トランスポザーゼとの会合を遮断する。いくつかの実施形態では、余分な塩基は、切断可能なリンカーによってトランスポゾン末端配列から分離される。いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーを切断するための薬剤による処理は、活性トランスポソーム複合体を生成する。
【0296】
いくつかの実施形態では、阻害剤二重鎖は、トランスポソーム複合体のトランスポザーゼに結合される。
【0297】
いくつかの実施形態では、易熱性抗体は、トランスポソーム複合体のトランスポザーゼのDNA結合部位に対する複合体である。いくつかの実施形態では、易熱性抗体を含む不活性化トランスポソームを含む反応溶液は、易熱性抗体が不活性化されるように加熱される。易熱性抗体が不活性化されると、トランスポソームは、活性化され得る。
【0298】
3.液相トランスポソーム複合体
本明細書に提示される方法は、溶液中にトランスポソーム複合体を提供し、DNA:RNAがトランスポソーム複合体溶液によって断片化される条件下で、溶液相トランスポソーム複合体を固定化断片と接触させ、それによって、溶液中に1つの末端を有する固定化核酸断片を得る工程を更に含み得る。いくつかの実施形態では、溶液中のトランスポソーム複合体は、第2のタグを含むことができ、その結果、方法は、第2のタグを有する固定化核酸断片を生成し、第2のタグは溶液中にある。第1及び第2のタグは、異なるか又は同じであり得る。
【0299】
いくつかの実施形態では、方法は、DNA:RNA断片が液相トランスポソーム複合体によって更に断片化される条件下で、液相トランスポソーム複合体を固定化されたDNA:RNA断片と接触させ、それによって、溶液中に1つの末端を有する固定化核酸断片を得ることを更に含み得る。
【0300】
いくつかの実施形態では、液相トランスポソーム複合体は、第2のタグを含み、それによって、溶液中に第2のタグを有する固定化核酸断片を生成する。いくつかの実施形態では、第1及び第2のタグは異なる。いくつかの実施形態では、液相トランスポソーム複合体の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%は、第2のタグを含む。
【0301】
いくつかの実施形態では、表面結合トランスポソームの1つの形態は、固体支持体上に主に存在する。例えば、いくつかの実施形態では、当該固体支持体上に存在するタグの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%は、同じタグドメインを含む。そのような実施形態では、表面結合トランスポソームとの最初のタグメンテーション反応後、ブリッジ構造の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%は、ブリッジの各末端に同じタグドメインを含む。第2のタグメンテーション反応は、ブリッジを更に断片化する溶液からのトランスポソームを付加することによって行われ得る。いくつかの実施形態では、液相トランスポソームのほとんど又は全ては、第1のタグメンテーション反応において生成されたブリッジ構造上に存在するタグドメインとは異なるタグドメインを含む。例えば、いくつかの実施形態では、液相トランスポソーム中に存在するタグの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%は、第1のタグメンテーション反応において生成されたブリッジ構造上に存在するタグドメインとは異なるタグドメインを含む。
【0302】
いくつかの実施形態では、鋳型の長さは、標準的なクラスタ化学を使用して好適に増幅され得るものよりも長い。例えば、いくつかの実施形態では、鋳型の長さは、少なくとも100bp、200bp、300bp、400bp、500bp、600bp、700bp、800bp、900bp、1000bp、1100bp、1200bp、1300bp、1400bp、1500bp、1600bp、1700bp、1800bp、1900bp、2000bp、2100bp、2200bp、2300bp、2400bp、2500bp、2600bp、2700bp、2800bp、2900bp、3000bp、3100bp、3200bp、3300bp、3400bp、3500bp、3600bp、3700bp、3800bp、3900bp、4000bp、4100bp、4200bp、4300bp、4400bp、4500bp、4600bp、4700bp、4800bp、4900bp、5000bp、10000bp、30000bp、又は100,000bpである。そのような実施形態では、第2のタグメンテーション反応は、次いで、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9683230号に記載されるように、ブリッジを更に断片化する溶液からのトランスポソームを付加することによって行われ得る。したがって、第2のタグメンテーション反応は、ブリッジの内部スパンを除去することができ、更なる配列決定工程の準備ができているクラスタに変換することができる表面に固定された短い切り端を残す。特定の実施形態では、鋳型の長さは、上で例示したものから選択される上限及び下限によって規定される範囲内であり得る。
【0303】
いくつかの実施形態では、溶液中での転位(すなわち、液相トランスポソーム複合体を用いる)を使用して、捕捉プローブにハイブリダイズすることができる配列を組み込むことができる。このようにして、タグメンテーションを使用して、その表面上に捕捉プローブを含む固体支持体に特異的に結合することができる断片を生成することができる。いくつかの実施形態では、cDNA又はRNAから生成されたDNA:RNA二重鎖は、溶液中でタグメンテーションされ、捕捉プローブにハイブリダイズすることができる配列を含むタグを組み込む。このタグメンテーション後、cDNA又はDNA:RNA二重鎖から生成された断片は、捕捉プローブを含む固体支持体に結合され得る。いくつかの実施形態では、捕捉プローブは、P5又はP7配列(又はそれらの相補体)を含む。
【0304】
C.捕捉オリゴヌクレオチドを含むビーズ
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは、固体支持体上に固定化される。いくつかの実施形態では、標的RNAの3’末端は、捕捉オリゴヌクレオチドに結合する。いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは、固体支持体上に標的RNAを固定化するように機能し得る。mRNAを捕捉するための捕捉オリゴヌクレオチドを含むビーズを使用する例示的なワークフローを図20に示す。
【0305】
いくつかの実施形態では、捕捉プローブは、ポリT配列を含む。
【0306】
いくつかの実施形態では、標的RNAは、mRNAであり、mRNAは、ポリT配列を含む捕捉オリゴヌクレオチドに結合する。
【0307】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは、ポリT配列を含まない。
【0308】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは、P5又はP7配列を介してビーズに固定化される。
【0309】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは、ビーズコード又は他の種類のバーコードを更に含む。本明細書で使用される場合、「ビーズコード」は、ビーズ上に存在し、かつビーズのプール中の全て又はほとんどの他のビーズとは異なる核酸配列である。いくつかの実施形態では、ビーズコードを使用して、同じビーズ上に生成される断片を同定することができる。
【0310】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドに含まれる配列は、合成中にcDNAに組み込まれる。
【0311】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは、固定化トランスポソームの第1のポリヌクレオチドに含まれる第1のタグにも存在するタグを含む。
【0312】
いくつかの実施形態では、固体支持体は、標的核酸を固定化するための捕捉オリゴヌクレオチドを含まない。例えば、二本鎖DNA及びDNA:RNA二重鎖は、固定化トランスポソーム複合体への結合を介して固体支持体上に固定化され得る。
【0313】
D.ポリヌクレオチド及び固定化トランスポソーム複合体
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体組成物は、トランスポゾン配列に加えて、1つ以上の他のヌクレオチド配列を有する少なくとも1つのトランスポゾンを含むか、又はそれからなる。このようなヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチドと称され得る。
【0314】
本明細書に提示される方法及び組成物では、トランスポソーム複合体は、固体支持体に固定化される。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、トランスポゾン末端配列を含むポリヌクレオチドなどの1つ以上のポリヌクレオチドを介して支持体に固定化される。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、トランスポザーゼ酵素を固体支持体に結合するリンカーを介して固定化され得る。いくつかの実施形態では、トランスポザーゼ酵素及びポリヌクレオチドの両方が、固体支持体に固定化される。固体支持体への分子(例えば、核酸)の固定化に言及する場合、「固定化された」及び「結合された」という用語は、本明細書では互換的に使用され、両方の用語は、明示的に又は文脈によってのいずれかで別段指示されない限り、直接的又は間接的、共有結合、又は非共有結合を包含することが意図される。いくつかの実施形態では、共有結合が使用され得るが、一般的に、必要とされるのは、例えば、核酸増幅及び/又は核酸配列決定を必要とする用途において、支持体を使用することが意図される条件下で、分子(例えば、核酸)が、支持体に固定化されたままである又は結合したままであるということである。
【0315】
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、第1のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを含み、第1のポリヌクレオチドは、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第1のタグと、を含む。いくつかの実施形態では、第1のタグは、DNA特異的バーコードである。
【0316】
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、第1のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを含み、第1のポリヌクレオチドは、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第2のタグと、を含む。いくつかの実施形態では、第2のタグは、RNA特異的バーコードを含む。
【0317】
したがって、いくつかの実施形態では、トランスポゾン組成物は、転移トランスポゾン配列の1つ以上の他のヌクレオチド配列5’、例えば、タグ配列を有する転移鎖を含む。転移トランスポゾン配列に加えて、タグは、1つ以上の他のタグ部分又はタグドメインを有し得る。
【0318】
「タグメンテーション」は、断片及びタグ核酸に対するトランスポザーゼの使用を指す。タグメンテーションは、トランスポゾン末端配列(本明細書でトランスポゾンと称される)を含む1つ以上のタグ(アダプター配列など)で複合体化されたトランスポザーゼ酵素を含むトランスポソーム複合体によるDNAの修飾を含む。タグメンテーションは、DNAの断片化及び二重鎖断片の両方の鎖の5’末端へのアダプターのライゲーションを同時にもたらし得る。
【0319】
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、第1のポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される。
【0320】
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、トランスポゾン末端配列に対して相補的である領域を含む第2のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、第2のポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される。
【0321】
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、1mm当たり少なくとも10、10、10、又は10個の複合体の密度で固体支持体上に存在する。
【0322】
いくつかの実施形態では、固定化ライブラリ中の二本鎖断片の長さは、固体支持体上のトランスポソーム複合体の密度を増加又は減少させることによって調整される。
【0323】
その全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9683230号に記載されているように、いくつかの異なる種類の固定化トランスポソームをこれらの方法で使用することができる。
【0324】
E.ビーズ上の核酸の空間的に分離された捕捉
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドを含む固体支持体は、核酸を捕捉するために使用される。いくつかの実施形態では、核酸は、RNAである。いくつかの実施形態では、RNAは、mRNAである。いくつかの実施形態では、ポリT配列を含む捕捉オリゴヌクレオチドは、mRNAを捕捉するために使用される。
【0325】
いくつかの実施形態では、RNAは、捕捉ビーズ上に捕捉される。いくつかの実施形態では、RNAは、RNA-BLT上に捕捉される。
【0326】
いくつかの実施形態では、RNAは、液滴内の固体支持体上に捕捉される。いくつかの実施形態では、標的RNAを含む試料を固体支持体に適用することは、液滴中で行われる。
【0327】
いくつかの実施形態では、DNAは、液滴内の固体支持体上に捕捉される。いくつかの実施形態では、標的DNAを含む試料を固体支持体に適用することは、液滴中で行われる。
【0328】
1.液滴
いくつかの実施形態では、標的RNAを含む試料を固体支持体に適用することは、ビーズと一緒に液滴中の単一細胞を提供することと、液滴中の細胞を溶解することと、単一細胞から標的RNAを放出することと、ビーズ上に標的RNAを捕捉することと、を含む。いくつかの実施形態では、液滴は、cDNAを合成する前に除去される。国際公開第2015/168161号及び同第2017/040306号など、液滴を使用する様々な方法が当該技術分野で既知であり、その各々はその全体が本明細書に組み込まれる。試料からの標的DNAは、同様にビーズ(BLTなど)上に捕捉され得、次いで、液滴が除去される。
【0329】
いくつかの実施形態では、液滴中のRNAの捕捉後、cDNA合成は、ビーズ上で、バルクで行われ、cDNAの第1の鎖を生成する(すなわち、DNA:RNA二重鎖を生成する)。本明細書で使用される場合、「バルクで」は、工程がビーズ上で行われるが、これらのビーズは溶液中にあり、液滴によって分離されないことを示すために使用される。したがって、方法の工程がビーズへの核酸の捕捉後にバルクで行われる場合、これらの固定化された核酸は、溶液中に存在しないが、ビーズ上に固定化されたままである。一般に、本明細書に記載される全ての方法は、液滴中のRNA又はDNAの捕捉を可能にするが、後の工程は、液滴中で行われるか、又はバルクで行われるかのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、タグメンテーションは、バルクで行われる。
【0330】
例えば、図5は、ビーズコード(すなわち、バーコード)が、液滴中でDNA:RNA二重鎖を調製するためのcDNAの第1の鎖の合成中に組み込まれる、代表的な例を示す。ビーズコードは、ポリT配列(mRNAのポリAテールに結合するため)及び固体表面上に断片を固定化するために使用され得るP5アダプター配列も含む捕捉オリゴヌクレオチドに含まれる。固定化されたDNA:RNA二重鎖は、バルクでタグメンテーションすることができ、続いて鎖交換及びライゲーションを行うことができる。アダプター(B’及びP7’など)は、溶液中でのタグメンテーション又はPCRなどを用いて、断片の遊離末端(ビーズに結合していない)に付加され得る。
【0331】
2.液滴中のバーコード化
いくつかの実施形態では、バーコード化は、個々の細胞を液滴に分離し、ビーズコードを組み込むことによって行われ得る。いくつかの実施形態では、液滴中のビーズに含まれるビーズコードに基づいて、ビーズコードをライブラリ断片に組み込むことができる。いくつかの実施形態では、液滴は、試料を空間的に分離するために使用される。
【0332】
いくつかの実施形態では、BLTは、ビーズコードを含む固定化オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、固定化オリゴヌクレオチドは、ビーズコードを含む第1のトランスポゾンを含む。いくつかの実施形態では、固定化オリゴヌクレオチドは、ビーズコード及び第2のトランスポゾンに結合するためのハイブリダイゼーション配列を含む。
【0333】
いくつかの実施形態では、ビーズコードは、試料由来のRNAから生成されたcDNAに組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、タグメンテーション中にビーズコードをライブラリ断片に組み込むことができる。
【0334】
いくつかの実施形態では、液滴は、エマルジョン中で互いに分離される。いくつかの実施形態では、液滴は、液滴アクチュエータを使用して形成及び/又は操作される。いくつかの実施形態では、1つ以上の液滴は、バーコード含有の第1の鎖合成プライマーの異なるセットを含む。いくつかの実施形態では、各液滴は、多数の第1の鎖合成プライマーを含み、これらのプライマーの各々は、同一バーコードを含む同一配列を有し、1つの液滴からのバーコードは、別の液滴とは異なるが、第1の鎖合成プライマーの残りの部分は、液滴間で同じままである。したがって、これらの実施形態では、バーコードは、液滴並びに液滴によって包含される単一細胞の識別子として機能する。
【0335】
いくつかの実施形態では、1つ以上の液滴は、UMI含有の第1の鎖合成プライマーの異なるセットを含む。したがって、各液滴中で溶解される各個々の細胞は、各液滴中のバーコードによって識別可能である。いくつかの実施形態では、液滴ベースのバーコード化は、単一細胞を含む液滴を、バーコードの固有のセットを含む他の液滴とマージすることによって行われ得る。このフォーマットは、多重壁フォーマットで利用可能なものを超える追加の多重化を可能にする。第1の鎖合成及び鋳型スイッチングは、各個々の液滴内で行われる。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、液滴は、タグメンテーションの前にマージされ得る。追加的に又は代替的に、いくつかの実施形態では、液滴は、PCRの後及びタグメンテーションの前にマージされ得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の鎖合成が個々の液滴中で行われた後、タグ付きcDNAをマージすることができ、したがってcDNAをプールすることができる。
【0336】
いくつかの実施形態では、試料及びUMIバーコード化は、第1の鎖合成のためのUMI及び/又はバーコードタグ付きプライマーを有するビーズを用いて個々の細胞を分離することによって行うことができる。いくつかの実施形態では、ビーズは、エマルジョン中で液滴に分離される。いくつかの実施形態では、ビーズは、液滴アクチュエータを使用して分離及び操作される。いくつかの実施形態では、ビーズベースのバーコード化は、ビーズのセットを作製することによって行うことができ、各ビーズは、バーコードの固有のセットを有する。
【0337】
3.液滴中のBLT上での核酸捕捉を使用する空間的分離
いくつかの実施形態では、RNAは、液滴中のBLT上で捕捉され、次いで、cDNA調製及び断片化が行われた後、断片がBLTから放出される。細胞及び捕捉ビーズは、液滴中に同時カプセル封入され得、続いて、液滴中で溶解及びmRNA捕捉される。次いで、cDNA合成、タグメンテーション、及びライゲーションもバルクで行うことができ、得られたライブラリ断片はビーズ上に保持される。代表的な方法は図7に示され、BLTは、活性化可能なBLTであり、トランスポソームは、バルクでcDNA合成後に組み立てられる。
【0338】
いくつかの実施形態では、DNAは、液滴中のBLT上で捕捉され、断片化は、断片がBLTから放出される前に行われる。
【0339】
いくつかの実施形態では、ライブラリ断片は、断片とのトランスポザーゼ(BLT上の固定化トランスポソーム複合体に含まれる)の会合に起因して、ビーズ上に保持される。いくつかの実施形態では、断片は、プロテアーゼ又はSDSが付加されてトランスポザーゼから断片を放出するまで、ビーズ上に固定化されたままである。いくつかの実施形態では、固定化ライブラリ断片を有するビーズは、配列決定のために固体支持体(フローセルなど)に送達され、ライブラリは、ビーズから放出される。フローセル上に捕捉されたビーズからのそのような放出は、図4に示されるように、「オンフローセル空間リード」を可能にし、単一のビーズからの断片は、互いに近接して放出される。このようにして、フローセル上で空間的に近接している断片は、同じ細胞からの核酸に由来する可能性が高いと決定され得る。
【0340】
いくつかの実施形態では、液滴中の核酸の捕捉と、それに続くBLT上でのライブラリ調製は、バーコード化の不在下であっても、異なる細胞からの断片の分離を可能にする。
【0341】
4.区画化された固体支持体を使用する空間的分離
いくつかの実施形態では、区画化は、配列決定のためのライブラリ断片の空間的分離を可能にする。いくつかの実施形態では、区画化は、元の試料中のDNA又はRNAからの断片が、ライブラリ調製後に近接することを可能にする。いくつかの実施形態では、配列決定データ及び近接度データを一緒に使用して、試料中の出発DNA又はRNA分子に含まれていた断片を決定することができる。
【0342】
いくつかの実施形態では、区画化は、マイクロウェルを含む固体支持体を使用して行われる。いくつかの実施形態では、単一細胞は、マイクロウェル内で区画化される。いくつかの実施形態では、細胞密度及び体積の計算を使用して、ほとんどの細胞が別の細胞を含まないマイクロウェル内に区画化されるように試料を希釈することができる。
【0343】
図8は、ポリT RNA捕捉が、マイクロウェル当たりの単一細胞の捕捉を可能にするマイクロウェルを含むフローセル上で行われ得る、代表的な例を示す。
【0344】
いくつかの実施形態では、標的RNAを含む試料を固体支持体に適用することは、固体支持体上のマイクロウェルにおいて行われる。いくつかの実施形態では、標的RNAを含む試料を固体支持体に適用することは、細胞を溶解することと、マイクロウェル中の単一細胞から標的RNAを放出することと、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを放出することと、同じマイクロウェル中の断片を配列決定することと、を更に含む。このようにして、所与のマイクロウェルに局在化される断片は、単一細胞に由来するものとして特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、配列決定データは、配列決定のための表面上の断片の空間的近接度に基づいて、同じ固体支持体上に固定化されていた断片の分解能を可能にする。
【0345】
いくつかの実施形態では、固体支持体は、マイクロウェルを含むフローセルである。
【0346】
いくつかの実施形態では、マイクロウェルを含むフローセルは、ポリマーコーティングを含む。いくつかの実施形態では、フローセルは、共有結合したポリマーでコーティングされる。いくつかの実施形態では、共有結合したポリマーは、PAZAMである。いくつかの実施形態では、ポリマーコーティングは、オリゴヌクレオチドと反応するための反応部位を含む。そのような共有結合したポリマーは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2013/184796号に記載されている。いくつかの実施形態では、PAZAMなどのポリマーは、紫外線を使用して架橋される。
【0347】
マイクロウェルを含むフローセルを用いる方法はまた、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2020/036991号に記載されるように、特殊なハイブリダイゼーション緩衝液及びアダプターブロッカーを使用してもよい。
【0348】
F.固体支持体
本明細書に提示される方法及び組成物では、トランスポソーム複合体は、固体支持体に固定化される。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体及び/又は捕捉オリゴヌクレオチドは、トランスポゾン末端配列を含むポリヌクレオチドなどの1つ以上のポリヌクレオチドを介して支持体に固定化される。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、トランスポザーゼ酵素を固体支持体に結合するリンカーを介して固定化され得る。いくつかの実施形態では、トランスポザーゼ酵素及びポリヌクレオチドの両方が、固体支持体に固定化される。固体支持体への分子(例えば、核酸)の固定化に言及する場合、「固定化された」及び「結合された」という用語は、本明細書では互換的に使用され、両方の用語は、明示的に又は文脈によってのいずれかで別段指示されない限り、直接的又は間接的、共有結合、又は非共有結合を包含することが意図される。いくつかの実施形態では、共有結合が使用され得るが、一般的に、必要とされるのは、例えば、核酸増幅及び/又は核酸配列決定を必要とする用途において、支持体を使用することが意図される条件下で、分子(例えば、核酸)が、支持体に固定化されたままである又は結合したままであるということである。
【0349】
ある特定の実施形態は、ポリヌクレオチドなどの生体分子への共有結合を可能にする反応基を含む中間材料の層又はコーティングの適用によって機能化された不活性基質又はマトリックス(例えば、ガラススライド、ポリマービーズなど)から構成される固体支持体を利用することができる。このような支持体の例としては、ガラスなどの不活性基質上に支持されるポリアクリルアミドヒドロゲル、特に国際公開第2005/065814号及び米国特許出願公開第2008/0280773号に記載されているポリアクリルアミドヒドロゲルが挙げられるが、これらに限定されず、その内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。そのような実施形態では、生体分子(例えば、ポリヌクレオチド)は、中間材料(例えば、ヒドロゲル)に直接共有付着してもよいが、中間材料は、それ自体が基質又はマトリックス(例えば、ガラス基質)に非共有結合してもよい。用語「固体支持体への共有結合」は、この種類の配列を包含するように適宜解釈されるべきである。
【0350】
「固体表面」、「固体支持体」という用語、及び本明細書の他の文法的等価物は、トランスポソーム複合体の結合に適切であるか、又は適切であるように修飾され得る任意の材料を指す。当業者によって理解されるように、可能な基質の数は非常に多い。可能な基質としては、ガラス及び変性又は機能化ガラス、プラスチック(例えば、アクリル、ポリスチレン、並びにスチレン及び他の材料のコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)など)、多糖類、ナイロン又はニトロセルロース、セラミックス、樹脂、シリカ、又はシリコン及び変性シリコンを含むシリカ系材料、炭素、金属、無機ガラス、プラスチック、光ファイバ束、並びに様々な他のポリマーを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、特に有用な固体支持体及び固体表面は、フローセル装置内に配置される。例示的なフローセルは、以下に更に詳細に示される。
【0351】
いくつかの実施形態では、固体支持体は、規則的なパターンでのトランスポソーム複合体の固定に好適なパターン化された表面を含む。「パターン化された表面」は、固体支持体の露出層内又はその上における、異なる領域の配置を指す。例えば、領域のうちの1つ以上は、1つ以上のトランスポソーム複合体が存在する特徴であり得る。この特徴は、トランスポソーム複合体が存在しない間質領域によって分離され得る。いくつかの実施形態では、パターンは、行及び列にある特徴のx-yフォーマットであり得る。いくつかの実施形態では、パターンは、特徴及び/又は間質領域の反復配置であり得る。いくつかの実施態様では、パターンは、特徴及び/又は間質領域のランダム配置であり得る。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、固体支持体上にランダムに分布している。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、パターン化された表面上に分布している。本明細書に示される方法及び組成物において使用され得る例示的なパターン化された表面は、米国出願第13/661524号又は米国特許出願公開第2012/0316086(A1)号に記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0352】
いくつかの実施形態では、固体支持体は、表面にウェル又は窪みのアレイを含む。これは、フォトリソグラフィ、スタンピング技術、成形技術、及びマイクロエッチング技術を含むがこれらに限定されない様々な技術を使用して、当該技術分野において一般的に既知であるように加工することができる。当該技術分野において理解されるように、使用される技術は、アレイ基質の組成物及び形状に依存する。
【0353】
固体支持体の組成及び幾何学的形状は、その使用によって異なり得る。いくつかの実施形態では、固体支持体は、スライド、チップ、マイクロチップ及び/又はアレイなどの平面構造である。したがって、基質の表面は、平面層の形態であり得る。いくつかの実施形態では、固体支持体は、フローセルの1つ以上の表面を含む。本明細書で使用するとき、用語「フローセル」は、1つ以上の流体試薬を流通させることができる固体表面を含むチャンバを指す。本開示の方法において容易に使用することができるフローセル及び関連する流体システム及び検出プラットフォームの例は、例えば、Bentley et al.,Nature 456:53-59(2008)、国際公開第04/018497号、米国特許第7,057,026号、国際公開第91/06678号、同第07/123744号、米国特許第7,329,492号、同第7,211,414号、同第7,315,019号、同第7,405,281号、及び米国特許出願公開第2008/0108082号に記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0354】
いくつかの実施形態では、固体支持体又はその表面は、チューブ又は容器の内面又は外面などの非平面である。いくつかの実施形態では、固体支持体は、ミクロスフェア又はビーズを含む。本明細書における「ミクロスフェア」又は「ビーズ」又は「粒子」又は文法的均等物は、小さな離散粒子を意味する。好適なビーズ組成物としては、プラスチック、セラミックス、ガラス、ポリスチレン、メチルスチレン、アクリルポリマー、常磁性材料、トリアゾル(thoria sol)、カーボングラファイト、二酸化チタン、ラテックス、又はセファロースなどの架橋デキストラン、セルロース、ナイロン、架橋ミセル、及びテフロン(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されず、並びに固体支持体について本明細書に概説される任意の他の材料を全て使用することができる。Bangs Laboratories,Fishers,Ind.の「Microsphere Selection Guide」は、有用なガイドである。ある特定の実施形態では、ミクロスフェアは、磁気ミクロスフェア又はビーズである。
【0355】
ビーズは球状である必要はない。不規則な粒子を使用してもよい。代替的に又は追加的に、ビーズは多孔質であってもよい。ビーズサイズは、ナノメートル、すなわち、100nmから、ミリメートル、すなわち、1mmまでの範囲であり、ビーズは約0.2ミクロン~約200ミクロン、又は約0.5~約5マイクロメートルであるが、いくつかの実施形態では、より小さな又はより大きなビーズが使用されてもよい。
【0356】
これらの表面結合トランスポソームの密度は、第1のポリヌクレオチドの密度を変化させることによって、又は固体支持体に付加されるトランスポザーゼの量によって、調節することができる。例えば、いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、1mm当たり少なくとも10、10、10、又は10個の複合体の密度で固体支持体上に存在する。
【0357】
支持体への核酸の結合は、剛性又は半剛性にかかわらず、共有結合又は非共有結合を介して起こり得る。例示的な連結は、米国特許第6,737,236号、同第7,259,258号、同第7,375,234号、及び同第7,427,678号、並びに米国特許公開第2011/0059865号に記載されており、その各々は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、核酸又は他の反応成分は、ゲル又は他の半固体支持体に結合され得、これは次に、固相支持体に結合又は接着される。このような実施形態では、核酸又は他の反応成分は、固相であると理解される。
【0358】
いくつかの実施形態では、固体支持体は、微小粒子、ビーズ、平面支持体、パターン化された表面、又はウェルを含む。いくつかの実施形態では、平面支持体は、チューブの内面又は外面である。
【0359】
いくつかの実施形態では、固体支持体は、その上に固定化されて調製されたタグ付きRNA断片のライブラリを有する。いくつかの実施形態では、固体支持体は、その上に固定化されて調製されたタグ付きDNA断片のライブラリを有する。いくつかの実施形態では、2つ以上の固体支持体は、1つの固体支持体上にタグ付きRNA断片のライブラリを生成し、別の固体支持体上にタグ付きDNA断片のライブラリを生成するために使用される。
【0360】
いくつかの実施形態では、固体支持体は、その上に固定化された捕捉オリゴヌクレオチド及び第1のポリヌクレオチドを含み、第1のポリヌクレオチドは、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第1のタグと、を含む。いくつかの実施形態では、第1のタグは、DNA特異的バーコードである。いくつかの実施形態では、この固体支持体は、DNAをタグメンテーションするためのものであり、DNAビーズ連結トランスポソーム(DNA bead-linked transposome、DNA BLT)と称される。
【0361】
いくつかの実施形態では、固体支持体は、トランスポソーム複合体を形成するために第1のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを更に含む。
【0362】
いくつかの実施形態では、固体支持体は、その上に固定化された捕捉オリゴヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチドを含み、第2のポリヌクレオチドは、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第2のタグと、を含む。いくつかの実施形態では、第2のタグは、RNA特異的バーコードを含む。いくつかの実施形態では、この固体支持体は、RNA(ds-cDNA又はDNA:RNA二重鎖のいずれか)から生成された核酸をタグメンテーションするためのものであり、RNAビーズ連結トランスポソーム(RNA bead-linked transposome、RNA BLT)と称される。
【0363】
いくつかの実施形態では、固体支持体は、トランスポソーム複合体を形成するために第2のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを更に含む。
【0364】
いくつかの実施形態では、固体支持体は、本明細書に記載される方法のうちのいずれかに従って調製された、その上に固定化されたタグ付き断片のライブラリを含む。
【0365】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載されるような固体支持体を含む。いくつかの実施形態では、キットは、トランスポザーゼを更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、逆転写酵素ポリメラーゼを更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、トランスポザーゼを含む第2のトランスポソーム複合体と、トランスポゾン末端配列を含む3’部分及び任意選択で第2のタグを含む第3のポリヌクレオチドと、を含む、DNAを固定化するための第2の固体支持体を更に含む。
【0366】
G.DNA BLT及びRNA BLT
いくつかの実施形態では、これらの方法は、BLT(ビーズ連結トランスポソーム)を使用する。表面に結合したトランスポソーム(例えば、BLT)は、二本鎖DNAの長い分子をタグメンテーションし、ビーズ又は他の表面上で鋳型ライブラリを作製することができる(米国特許第9683230号)。トランスポソームをビーズに固定することにより、制御可能な挿入サイズ及び収量などの新規の特性が得られる。これは、以前はIlluminaのNextera技術として知られていたIllumina DNA Flex PCR-Free技術の基礎である。二本鎖DNAをタグメンテーションすることができるBLTは、DNA-BLTと称され得る。
【0367】
トランスポゾン末端はDNAに対する親和性を有するため、DNA BLTは、ビーズ上への固定化のための捕捉オリゴヌクレオチドを必要とせず、その代わりに、DNAは、トランスポゾン末端配列を含むポリヌクレオチドを使用して固定化され得る。代替的に、捕捉オリゴヌクレオチドは、DNA分子を捕捉するために使用され得る。
【0368】
いくつかの実施形態では、DNAを固定化するための固体支持体は、その上に固定化された第1のトランスポソーム複合体を含む。いくつかの実施形態では、第1のトランスポソーム複合体は、トランスポザーゼと、第1のポリヌクレオチドと、を含み、第1のポリヌクレオチドは、トランスポゾン末端配列を含む3’部分を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリヌクレオチドは、第1のタグを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のタグは、DNA特異的バーコードである。
【0369】
いくつかの実施形態では、これらの方法は、RNA BLTを使用する。本明細書で使用される場合、「RNA BLT」とは、試料中のRNAに由来するタグ付き断片を調製するために使用されるBLTを指す。したがって、RNA BLTは、RNAから生成される核酸から断片を生成し得る。いくつかの実施形態では、RNA BLTは、(cDNAの2つの鎖の合成後に)RNAから生成されたds-cDNAから断片を生成する。いくつかの実施形態では、RNA BLTは、DNA:RNA二重鎖から断片を生成する(cDNAの一本鎖のみが産生される)。いくつかの実施形態では、図26図28に示されるように、RNA BLTは、RNA特異的バーコードを組み込むように機能し、一方で、DNA BLTは、DNA特異的バーコードを組み込むように機能する。
【0370】
いくつかの実施形態では、RNA(例えば、ds-cDNA又はDNA:RNA二重鎖)から生成された核酸を固定化するための固体支持体は、その上に固定化された第2のトランスポソーム複合体を含む。いくつかの実施形態では、第2のトランスポソーム複合体は、トランスポザーゼと、第1のポリヌクレオチドと、を含み、第1のポリヌクレオチドは、トランスポゾン末端配列を含む3’部分を含む。いくつかの実施形態では、このトランスポザーゼは、DNA:RNA二重鎖から断片を生成するための増加された活性を有する。いくつかの実施形態では、第1のポリヌクレオチドは、第2のタグを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のタグは、RNA特異的バーコードを含む。
【0371】
1.活性化可能なBLT
いくつかの実施形態では、ビーズを使用して、使用者が選択時に活性トランスポソームを生成することを可能にすることができる。例えば、使用者の選択時に溶液からトランスポソームを捕捉することを可能にするビーズは、「活性化可能なBLT」と称され得る。活性化可能なBLTの一般的な態様は、それらが核酸(例えば、DNA:RNA二重鎖又は二本鎖cDNAなど)を断片化することができない状態で試料に適用され得ることであるが、使用者は、選択時にBLTを活性化することができる。このようにして、使用者は、複数工程方法でタグメンテーションのタイミングを制御する。ある範囲の異なる種類の活性化可能なトランスポソームは、本明細書に記載されており、異なる方法で使用され得る。図11A図11Cは、捕捉オリゴヌクレオチドと、短A配列を介して溶液からのトランスポソームに結合することができるオリゴヌクレオチドと、を含むビーズを示す。図12は、第1及び第2のトランスポゾンが短A配列を介してビーズに結合されている実施形態を示す。
【0372】
いくつかの実施形態では、活性化可能なBLTは、望ましくないタグメンテーションを回避する。例えば、活性化可能なBLTの使用は、使用者が、トランスポソームによるタグメンテーションの前に、cDNA合成が完了したこと(例えば、DNA:RNA二重鎖の生成など)を確実にすることを可能にすることができる。このようにして、使用者は「部分的」DNA:RNA二重鎖(すなわち、cDNAがRNAの一部分からのみ生成されている、不完全DNA:RNA二重鎖のタグメンテーション)の断片化を回避することができる。
【0373】
活性化可能なBLTは、使用者が複数工程方法においてタグメンテーションのタイミングを制御することを可能にするなど、いくつかの利点を有する。いくつかの実施形態では、活性化可能なBLTは、試料由来のDNA対試料由来のRNAから生成されたcDNA又はDNA:RNA二重鎖のタグメンテーションの工程を順序付けることができる。このような順序付けは、DNAに由来する断片対RNAに由来する断片のタグ付けを可能にし得る。
【0374】
活性化可能なBLTは、固体支持体(例えば、ビーズ)上に固定化されたトランスポソームとともに、本明細書に記載される任意の方法において使用され得る。いくつかの実施形態では、活性化可能なBLTは、DNA-BLT又はRNA-BLTである。
【0375】
いくつかの実施形態では、活性化可能なRNA BLTは、RNAを捕捉し、DNA:RNA二重鎖を調製し、次いで、DNA:RNA二重鎖をタグメンテーションするためのものである。いくつかの実施形態では、活性化可能なBLTは、mRNAを捕捉するための固定化ポリT配列を含む。
【0376】
いくつかの実施形態では、固体支持体は、捕捉オリゴヌクレオチド及び固定化オリゴヌクレオチドを含み、固定化オリゴヌクレオチドは、トランスポソーム複合体に含まれる第2のトランスポゾンに含まれるハイブリダイゼーション配列にハイブリダイズするための配列を含む。いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズである。いくつかの実施形態では、固定化オリゴヌクレオチドは、ビーズコード及び/又は1つ以上のアダプター配列を更に含む。いくつかの実施形態では、ビーズは、ビーズのプールに含まれ、各ビーズは、プール中の他のビーズに含まれる固定化オリゴヌクレオチドに含まれるビーズコードと比較して、異なるビーズコードを含む固定化オリゴヌクレオチドを含む。
【0377】
いくつかの実施形態では、活性化可能なBLTは、溶液からトランスポソームを捕捉することができる固定化オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、活性化可能なBLTは、トランスポソーム複合体に含まれるトランスポゾンに結合することができるハイブリダイゼーション配列を含む固定化オリゴヌクレオチドを含む。
【0378】
いくつかの実施形態では、溶液からトランスポソームを捕捉することができる固定化オリゴヌクレオチドは、アダプター配列(P5若しくはP7、又はそれらの相補体など)、ビーズバーコード、及びトランスポソーム複合体の第2のトランスポゾンに含まれる配列にハイブリダイズするための配列を含む。図6図7の代表例に示されるように、固定化オリゴヌクレオチドは、P5、ビーズバーコード(bead barcode、BC)、及び第2のトランスポゾンに含まれる配列(A’)にハイブリダイズするための配列(短A)を含み得る(第2のトランスポゾンはA’-ME’を含む)。固定化オリゴヌクレオチドはまた、配列決定アダプター配列(例えば、A14若しくはB15、又はそれらの相補体など)を含み得る。このようにして、使用者はmRNAを捕捉し、ビーズ上にDNA:RNA二重鎖を調製し、次いで、トランスポソームをビーズにハイブリダイズして、同じビーズ上にcDNA断片を調製することができる。活性化可能なBLTの使用は、使用者が、DNA断片調製する前に、完全長DNA:DNA二重鎖を調製することができることを意味する。このようにして、部分DNA:RNA二重鎖の断片化は、使用者がDNA:RNA二重鎖の条件を最適化することができ、cDNAの第1の鎖の合成が完了する前に始まる断片化についての懸念を有さないため、回避され得る。
【0379】
いくつかの実施形態では、活性化可能なRNA-BLTは、mRNAを捕捉するための固定化ポリT配列と、溶液からトランスポソームを捕捉するための固定化オリゴヌクレオチドと、を含む。いくつかの実施形態では、そのような活性化可能なBLTは、mRNAを捕捉し、ビーズ上のDNA:RNA二重鎖の調製を可能にすることができ、その後、トランスポソームは、固定化オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされ得、タグメンテーションを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、1つの種類のトランスポソームのみが固定化オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされ、したがって、BLT上での対称タグメンテーションを可能にする。
【0380】
2.対称タグメンテーションのためのBLT
いくつかの実施形態では、全てのトランスポソーム複合体は、同じ配列決定アダプター配列を含む。いくつかの実施形態では、全てのトランスポソーム複合体に含まれる第1のトランスポゾンは同一である。いくつかの実施形態では、ビーズ上(DNA-BLT又はRNA-BLT上など)に固定化された全てのトランスポソーム複合体は、同じ第1及び第2のトランスポゾンを含む。同じアダプター配列を断片の両方の末端に付加され得るこのようなトランスポソーム複合体の使用は、これらのトランスポソーム複合体が、タグメンテーションによって生成される二本鎖断片の両方の鎖の5’末端に付加されている同じアダプターをもたらすため、「対称タグメンテーション」と称され得る。
【0381】
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖を断片化することは、同じアダプター配列を含む第1のトランスポゾンを含むトランスポソーム複合体を用いて行われる。いくつかの実施形態では、全てのトランスポソーム複合体は同一である。
【0382】
いくつかの実施形態では、RNA配列決定ライブラリを調製するためのBLTは、同じ1つ以上のアダプター配列を含むトランスポソーム複合体を含む。いくつかの実施形態では、BLTのプールに含まれる全てのトランスポソーム複合体中のトランスポゾンは同一である。いくつかの実施形態では、同じ1つ以上のアダプター配列を含むBLTは、二本鎖cDNA断片の両方の末端が同じアダプター配列でタグ付けされていることを意味する。いくつかの実施形態では、DNA:RNA二重鎖の二本鎖cDNA断片の両方の5’末端は、同じ1つ以上のアダプターを組み込む。いくつかの実施形態では、二本鎖cDNAの両方の末端は、同じ5’タグを含む。
【0383】
いくつかの実施形態では、対称タグメンテーション工程を使用する方法は、2つ以上の種類のトランスポソーム複合体がタグメンテーションに使用される標準的な非対称タグメンテーション工程と比較して、配列決定可能な断片(すなわち、断片の各末端に異なる配列決定アダプター配列を有する各断片)の収量を増加させる。対照及び非対照タグ付き産物(A-A、B-B、A-B、B-A)が産生されるが、A-B及びB-Aのみがその後の増幅及び配列決定に好適であるため、異なるタグ(第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターなど、A及びB)を有する2つの種類のトランスポソームを使用する非対照タグメンテーションは、増幅されたタグメンテーション産物からのほぼ半分のリードの損失を引き起こす。対照的に、対称タグメンテーションのためのBLTを用いる現在のものは、得られた断片が第1のリード及び第2のリード配列決定アダプターの両方を含む確率を増加させることができる。
【0384】
いくつかの実施形態では、対称タグメンテーションを使用する方法は、他のライブラリ調製方法と比較して、ライブラリの収量を増加させ得る。
【0385】
タグメンテーション後に第2のアダプターを付加するためのいくつかの異なる方法が本明細書に記載される。例えば、第1の配列決定アダプターは、タグメンテーション中に二本鎖DNA又はDNA:RNA二重鎖に組み込まれ得、第2のリード配列決定アダプターは後の工程で組み込まれる(ライゲーションなどによって)。例示的な方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、本方法は、対称タグメンテーションにより1つの配列決定アダプター配列を組み込み、第2の配列決定アダプター配列を含むプライマー又はオリゴヌクレオチドの使用を介して別の配列決定アダプター配列を組み込むことによって、(非対称タグメンテーションを使用する方法と比較して)ライブラリ収量を改善することができる。
【0386】
3.非対称タグメンテーションのためのBLT
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖を断片化することは、2つの異なるトランスポソーム複合体を用いて行われ、異なるトランスポソーム複合体は、異なるアダプター配列を含む第1のトランスポゾンを含む。
【0387】
異なるトランスポソーム複合体が異なるアダプター配列を含む第1のトランスポゾンを含む2つの異なるトランスポソーム複合体の使用は、これらのトランスポソーム複合体が、タグメンテーションによって生成される二本鎖断片の2つの鎖の5’末端に付加されている異なるアダプターをもたらし得るため、「非対称タグメンテーション」と称され得る。いくつかの実施形態では、非対称タグメンテーションは、タグメンテーション工程中に2つの異なるアダプターを組み込むことによって、より速い又はより容易なワークフローを可能にすることができる。
【0388】
いくつかの実施形態では、少なくともいくつかの断片は、非対照タグメンテーションを使用して、一方の鎖の5’末端において第1のリード配列アダプター配列でタグ付けされ、他方の鎖の5’末端において第2のリード配列アダプター配列でタグ付けされる。
【0389】
4.捕捉オリゴヌクレオチドを含むBLT
いくつかの実施形態では、固体支持体は、トランスポソーム及び捕捉オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズである。いくつかの実施形態では、ビーズは、捕捉オリゴヌクレオチドと、トランスポソームに含まれ得る第1のポリヌクレオチドと、を含む。
【0390】
いくつかの実施形態では、第1のポリヌクレオチドは、ビーズコードを更に含む。いくつかの実施形態では、ビーズは、ビーズのプールに含まれ、各ビーズは、プール中の他のビーズに含まれるビーズコードと比較して、異なるビーズコードを含む固定化された第1のポリヌクレオチドを含む。
【0391】
いくつかの実施形態では、BLTは、捕捉オリゴヌクレオチドを更に含み、そのようなビーズは、RNAを捕捉し、続いて、cDNAの第1の鎖を調製して、固定化されたDNA:RNA二重鎖及びビーズを生成し、最終的にDNA:RNA二重鎖から固定化された断片を調製するために使用され得る。いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは、mRNAを捕捉するためのポリT配列であり、ビーズは、mRNAを捕捉するために使用される同じビーズ上でのライブラリの調製を可能にする。これらの実施形態のいずれかにおいて、cDNAの第2の鎖はまた、二本鎖cDNAを調製するためにmRNAの捕捉後に調製され得る。
【0392】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドを含むBLTは、トランスポソーム複合体にハイブリダイズするために使用され得るハイブリダイゼーション配列を含む固定化オリゴヌクレオチドを含む活性化可能なBLTである。
【0393】
図11A図11Cは、DNA:RNA二重鎖の調製(図11A)、トランスポソーム複合体の生成のためのハイブリダイゼーション配列を含む固定化オリゴヌクレオチドへのトランスポゾンのハイブリダイゼーション(図11B)、及びトランスポソーム複合体によって媒介される複数のタグメンテーション反応(図11C)を示す。タグメンテーションによる複数の断片の調製後、本明細書に記載される方法(対称タグメンテーション後のプライマー伸長など)を使用して、追加のアダプターを組み込み、配列決定可能な断片を調製することができる。
【0394】
図12は、複数の捕捉オリゴヌクレオチド及びトランスポソームを固定化する複数の固定化オリゴヌクレオチドを有する完全長mRNA調製物のためのビーズを示す。図13は、どのようにして複数のトランスポソームがmRNAから生成されたDNA:RNA二重鎖の完全長DNAからの断片の調製を可能にすることができるかを示す。
【0395】
H.BLTによる配列決定のための表面へのライブラリ断片の送達
いくつかの実施形態では、固定化ライブラリ断片を有する固体支持体は、配列決定のために、ライブラリ断片を表面に送達するために使用される。いくつかの実施形態では、配列決定のための表面は、フローセルである。図9及び図10は、タグメンテーション及びライブラリ調製がBLT上でどのように行われ得、その後、フローセル又はチューブ中で断片が放出され得るかを要約する。図9は、完全長mRNAからライブラリを調製するためにポリTプライマーを使用し、一方で、図10は、ライブラリ完全長全RNAを調製するためにランダムプライマーを使用する。
【0396】
いくつかの実施形態では、固体支持体上の断片のライブラリは、配列決定のために表面に送達され、一方で、断片は、固体支持体上に固定され、次いで、断片は、配列決定のために表面に放出及び捕捉される。いくつかの実施形態では、固定化された核酸を有する固体支持体は、配列決定のために表面に送達され、固定化された断片のライブラリは、タグメンテーションによって固体支持体上に生成され、次いで、断片は、配列決定のために表面上に放出及び捕捉される。
【0397】
いくつかの実施形態では、方法は、送達の後に、配列決定のために表面上のDNA:RNA断片の固定化ライブラリを用いて固体支持体を捕捉することと、固体支持体から固定化断片を放出することと、配列決定のために、表面上に断片を捕捉することと、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、配列決定のために表面上の断片を配列決定することを更に含む。
【0398】
いくつかの実施形態では、BLTは、固相担体として使用され得る。固相担体としてのBLTの例示的な使用は、国際公開第2015/095226号に記載されており、これはその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、BLTから放出された断片は、配列決定のためにビーズが表面上に捕捉された部位に近接する表面の領域上に再捕捉され得る。このようにして、所定のビーズからの全ての断片は、配列決定のために表面に近接して捕捉される。
【0399】
いくつかの実施形態では、固定化ライブラリ断片を有するBLTは、配列決定のために表面に送達され得る。いくつかの実施形態では、BLTの表面上のDNA又はDNA:RNA二重鎖は、BLTが配列決定のために表面に送達される前に既にタグメンテーションされていてもよい。例えば、BLTに対するタグメンテーションは、反応容器内で起こり得、次に、BLTはフローセルに送達され、次いで、断片はフローセル上で放出及び捕捉される。
【0400】
いくつかの実施形態では、固定化された核酸を有するBLTは、配列決定のために表面に送達され得る。この送達の後、ライブラリ断片が生成され得る。例えば、二本鎖DNA又はDNA:RNA二重鎖は、BLTの表面に固定化され得、タグメンテーションは、BLTが配列決定のために表面に送達された後に生じる。例えば、BLTに対するタグメンテーションは、フローセルを用いて生じ得、その後、断片はフローセル上で放出及び捕捉される。
【0401】
BLTからの断片の放出は、いくつかの方法によって生じ得る。例えば、断片は、プロテアーゼ又はSDS処理によって放出され得る。代替的に、断片は、BLTから断片を放出するビーズの破壊によって産生され得る。断片を放出するためのこれらの機構のうちのいずれかにおいて、所与のビーズからの断片は、元のDNA又はRNA分子の配列の物理的マップを調製するのを助けるために、近接した配列決定のための表面(フローセルなど)上に放出及び捕捉され得る。
【0402】
いくつかの実施形態では、BLTは、ヒドロゲルビーズを含み得る。いくつかの実施形態では、それらの全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2019/028047号及び同第2019/028166号に開示されている方法など、ヒドロゲルビーズを融解又は溶解して、ビーズに結合した断片を放出することができる。
【0403】
いくつかの実施形態では、BLTは、分解性ポリエステルビーズを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリエステルビーズは、その全体が本明細書に組み込まれる、国際出願PCT/US2021/040612号に開示されている方法など、ビーズに結合した断片を放出するために分解することができる。例えば、各トランスポソーム複合体は、ポリヌクレオチドの別の薬剤への結合を可能にするポリヌクレオチド結合部分を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド結合部分は、ビーズ結合部分を含むビーズにポリヌクレオチドを結合するように機能する。いくつかの実施形態では、各ビーズ結合部分は、リンカーを介してポリエステルビーズに共有結合される。いくつかの実施形態では、リンカーは、-N=CH-(CH2)3-CH=N-、-C(O)NH-(CH2)6-N=、又は-C(O)NH-(CH2)6-N=CH-(CH2)3CH=N-を含む。
【0404】
いくつかの実施形態では、分解性ポリエステルビーズは、50℃超、60℃超、70℃超、又は80℃超の温度で分解される。いくつかの実施形態では、分解性ポリエステルビーズは、60℃の温度で分解される。いくつかの実施形態では、分解性ポリエステルビーズは、水性塩基によって分解される。いくつかの実施形態では、水性塩基は、NaOHである。いくつかの実施形態では、NaOHは、1M~5M NaOHである。いくつかの実施形態では、NaOHは、3M NaOHである(Yeo et al.,J Biomed Mater Res B Appl Biomater87(2):562-9(2008)を参照されたい)。いくつかの実施形態では、分解性ポリエステルビーズは、50℃~90℃の温度でNaOH水溶液によって分解される。
【0405】
いくつかの実施形態では、固定化された核酸又はその断片を有するBLTは、重力沈降によって、配列決定のために表面と接触させることができる。いくつかの実施形態では、固定化された核酸又はその断片を有するBLTは、レセプター及びリガンドを使用して、配列決定のために表面に結合され得る。
【0406】
いくつかの実施形態では、RNAから生成されたDNA又はcDNAからの全ての断片が同じビーズ上で生成されるため、近接度データは、断片に関する配列決定データと一緒に使用されて、試料中に含まれていた所与のDNA又はRNAに関する情報を生成することができる。固定化ポリヌクレオチドの物理的マップを調製するための近接度データの使用は、本明細書に記載される方法を使用して行われ得る。
【0407】
I.BLTに対する対称タグメンテーション後のプライマー伸長
いくつかの実施形態では、BLTに対する対称タグメンテーションは、同じ1つ以上のアダプター配列を有する二本鎖DNA断片の両方の末端をもたらす。
【0408】
いくつかの実施形態では、(第2のトランスポゾンからの)非転移ME’配列は、タグメンテーション後にPCR伸長によって融解され、ギャップ充填される。いくつかの実施形態では、ME’配列は、反応の温度を上昇させることによって除去される。
【0409】
いくつかの実施形態では、ギャップ充填は、非転移ME’配列が除去された後に行われる。いくつかの実施形態では、プライマーは、ギャップ充填されたME’配列にアニーリングされる。いくつかの実施形態では、このプライマーは、伸長のために使用され、伸長プライマーと称され得る。いくつかの実施形態では、伸長プライマーは、ME配列を含む。いくつかの実施形態では、伸長プライマーに含まれるME配列は、ギャップ充填されたME’配列にハイブリダイズする。
【0410】
いくつかの実施形態では、伸長プライマーはまた、配列決定アダプター配列を含む。いくつかの実施形態では、伸長プライマーに含まれる配列アダプター配列は、トランスポソーム複合体に含まれなかった。いくつかの実施形態では、伸長プライマーによる伸長は、二本鎖断片の各末端に異なる配列決定アダプター配列を含む断片を生成する。
【0411】
いくつかの実施形態では、ウラシル不耐性DNAは、プライマー伸長に使用される。いくつかの実施形態では、cDNAの第2の鎖は、上に記載される鎖特異的cDNA調製物に基づいて、それがウラシルを含むため伸長されない。
【0412】
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体がA14配列(又はその相補体)を含む場合、伸長プライマーは、B15(又はその相補体)を含む。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体がB15配列(又はその相補体)を含む場合、伸長プライマーは、A14(又はその相補体)を含む。これらの代表的な例では、A14及び15は、例示的な配列決定アダプター配列を表すのみであり、本方法は、このようなアダプター配列に限定されない。目的の対になったアダプター配列の任意のセットは、トランスポソーム複合体及び伸長プライマーにおいて使用され得、当業者は、配列決定が異なるプラットフォーム上でどのように行われるか、及びそのようなプラットフォームが経時的に進化し得ることを十分に承知している。
【0413】
1.合成DNAによるDNA BLTの飽和
いくつかの実施形態では、DNA特異的バーコードを含む断片を生成するためにタグメンテーションを行うためにDNA BLT(いくつかの方法において第1の固体支持体として使用され得るものなど)が使用された後、DNA BLTは、合成二本鎖DNAと結合される。いくつかの実施形態では、DNA BLTは、合成二本鎖DNAで飽和される。いくつかの実施形態では、方法は、第1の固体支持体上でタグメンテーションを行った後に、合成二本鎖DNAを第1の固体支持体に付加することを含む。
【0414】
いくつかの実施形態では、DNA BLTは、この飽和後に核酸に結合(及びタグメンテーション)することができない。DNA BLTのこのような飽和は、第2の固体支持体上でタグメンテーションを行うために、RNAからのcDNA又はDNA:RNA二重鎖のいずれかを次に生成する段階的方法を可能にし得る。いくつかの実施形態では、cDNA又はDNA:RNA二重鎖は、飽和DNA BLTによってタグメンテーションされ得ない。代わりに、cDNA又はDNA:RNA二重鎖は、第2の固体支持体(すなわち、RNA BLT)上でタグメンテーションされ得、RNA特異的バーコードでタグ付けされるcDNA又はDNA:RNA二重鎖から断片が生成されることを可能にする。いくつかの実施形態では、合成二本鎖DNAは、ウラシルを含み、それは、ある特定のハイフィデリティDNAポリメラーゼによるタグ付き断片の増幅を遮断する。
【0415】
いくつかの実施形態では、合成二本鎖DNAによるDNA BLTの飽和は、単一の反応容器中で完了され得る方法を可能にし得る。いくつかの実施形態では、合成二本鎖DNAによるDNA BLTの飽和は、試料からDNAをタグメンテーションした後にDNA BLTを分割する必要性をなくす。
【0416】
J.タグ並びにDNA特異的バーコード及びRNA特異的バーコード
本明細書で使用する場合、用語「タグ」及び「タグドメイン」は、所望の意図された目的又は用途のための配列を示すポリヌクレオチドの部分又はドメインを指す。本明細書に提示されるいくつかの実施形態は、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、タグドメインを含むタグとを有するポリヌクレオチドを含むトランスポソーム複合体を含む。タグドメインは、任意の所望の目的のために提供される任意の配列を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、タグドメインは、1つ以上の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含む。いくつかの実施形態では、タグドメインは、クラスタ増幅反応のためのプライマーとのハイブリダイゼーションに好適な1つ以上の領域を含む。いくつかの実施形態では、タグドメインは、配列決定反応のためのプライマーとのハイブリダイゼーションに好適な1つ以上の領域を含む。任意の他の好適な特徴がタグドメインに組み込まれ得ることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、タグドメインは、5bp~200bpの長さを有する配列を含む。いくつかの実施形態では、タグドメインは、10bp~100bpの長さを有する配列を含む。いくつかの実施形態では、タグドメインは、20bp~50bpの長さを有する配列を含む。いくつかの実施形態では、タグドメインは、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、又は200bpの長さを有する配列を含む。
【0417】
タグは、必要に応じて又は所望に応じて、1つ以上の機能的配列又は構成要素(例えば、プライマー配列、アンカー配列、ユニバーサル配列、スペーサ領域、又はインデックスタグ配列)を含み得る。
【0418】
いくつかの実施形態では、第1のタグの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%は、同じタグドメインを含む。いくつかの実施形態では、タグは、クラスタ増幅のための領域を含む。いくつかの実施形態では、タグは、配列決定反応をプライミングするための領域を含む。
【0419】
いくつかの実施形態では、方法は、ポリメラーゼと、第1のポリヌクレオチドの部分に対応する増幅プライマーとを反応させることによって、固体支持体上の断片を増幅することを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のポリヌクレオチドの部分は、増幅プライマーを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリヌクレオチドの第1のタグは、増幅プライマーを含む。
【0420】
いくつかの実施形態では、個々のビーズ上のトランスポソームは、固有のインデックスを保持し、多数のそのようなインデックス付きビーズが用いられる場合、位相化された転写物が生じる。RNA及びDNAを含む試料とともに使用するためのいくつかの実施形態では、RNA BLTは、RNA BLT(「iRNA」)を同定するためのインデックスであるタグを含む。RNA及びDNAを含む試料とともに使用するためのいくつかの実施形態では、DNA BLTは、DNA BLT(「iDNA」)を同定するためのインデックスであるタグを含む。RNA BLTを同定するためのインデックスは、「RNA特異的バーコード」と称され得、DNA BLTを同定するための指標は、「DNA特異的バーコード」と称され得る。DNA BLT及びRNA BLTを使用する例示的な方法を図21図25に示す。
【0421】
いくつかの実施形態では、第1のポリヌクレオチドは、第1のタグを含む。いくつかの実施形態では、第2のポリヌクレオチドは、第2のタグを含む。
【0422】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のタグは、A14プライマー配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のタグは、B15プライマー配列を含む。
【0423】
いくつかの実施形態では、タグメンテーション中に組み込まれるタグは、アダプター配列を含む。いくつかの実施形態では、アダプター配列は、タグメンテーション中に、第1鎖cDNA合成中に、又はタグメンテーション後にプライマーを介して付加されてもよい。
【0424】
いくつかの実施形態では、アダプター配列は、プライマー配列、インデックスタグ配列、捕捉配列、バーコード配列、切断配列、若しくは配列決定関連配列、又はそれらの組み合わせを含む。本明細書で使用される場合、配列決定関連配列は、後の配列決定工程に関連する任意の配列であり得る。配列決定関連配列は、下流の配列決定工程を単純化するように作用し得る。例えば、配列決定関連配列は、他の点でアダプターを核酸断片にライゲーションする工程を介して組み込まれる配列であり得る。いくつかの実施形態では、アダプター配列は、ある特定の配列決定方法においてフローセルへの結合を容易にするために、P5又はP7配列(又はそれらの相補体)を含む。本開示は、使用することができるアダプター配列の種類に限定されず、当業者であれば、ライブラリ調製及び次世代配列決定に使用することができる追加の配列を認識するであろう。
【0425】
いくつかの実施形態では、第1のリード配列決定アダプター配列は、タグメンテーション中に組み込まれ、第2のリード配列決定アダプター配列は、タグメンテーション後にプライマーを介して組み込まれる。異なる配列決定プロトコルは、異なる「第1のリード配列決定アダプター」及び「第2のリード配列決定アダプター」を使用し、これらのアダプターは、製造業者及び機器によって異なる。言い換えれば、配列決定リードの順序及び同一性は、所与の配列決定方法に対して任意である。したがって、本明細書で使用される「第1のリード」及び「第2のリード」配列決定アダプターは、単に2つのリード配列決定アダプターの存在を必要とし、それらは、配列決定ライブラリの調製後の任意の下流配列決定方法において、第1の配列決定リード対第2の配列決定リードに対して特定のアダプターが使用されなければならないことを必要としない。当業者は、「第2のリード」配列決定アダプターを用いて下流配列決定反応を最初に実行することを選択することができ、次いで、そのように選択する場合、「第1のリード」配列決定アダプターを選択し得る。
【0426】
いくつかの実施形態では、第1のリード及び/又は第2のリード配列決定アダプター配列は、異なるプライマー結合部位を含む。
【0427】
K.逆転写酵素ポリメラーゼ及びcDNA合成反応
いくつかの実施形態では、逆転写酵素ポリメラーゼは、cDNA合成のために使用される。本明細書で使用される場合、「逆転写酵素ポリメラーゼ」は、テンプレートとしてRNAを使用してDNA合成を触媒し得る任意のRNA依存性DNAポリメラーゼを指す。逆転写酵素ポリメラーゼを使用して、RNAから相補的DNA(cDNA)の第1の鎖を合成することができる。いくつかの実施形態では、固定化RNA分子は、逆転写酵素ポリメラーゼを介してDNA:RNA二重鎖に変換される。
【0428】
いくつかの実施形態では、逆転写酵素ポリメラーゼは、cDNAの一本鎖のみを生成する。いくつかの実施形態では、cDNAの一本鎖は、標的RNAに結合され、すなわち、標的RNAからのDNA:RNA二重鎖を生成するために使用される。
【0429】
いくつかの実施形態では、逆転写酵素ポリメラーゼは、cDNAの2つの鎖を生成し、すなわち、逆転写酵素は、二本鎖(ds)cDNAを生成する。
【0430】
いくつかの実施形態では、逆転写酵素ポリメラーゼは、M-MLV逆転写酵素である。
【0431】
いくつかの実施形態では、cDNA合成のための試薬は、逆転写酵素、ランダムプライマー、オリゴdTプライマー、dNTP、及び/又はRnase阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、ランダムプライマー及びオリゴdTプライマーの両方は、cDNA合成反応において使用される。
【0432】
いくつかの実施形態では、逆転写は、RNAがビーズ上に固定化された(すなわち、捕捉された)後に行われる。いくつかの実施形態では、逆転写は、溶液中で行われる。
【0433】
1.鋳型スイッチングを使用するcDNAの調製
いくつかの実施形態では(図16など)、RNAからの二本鎖cDNAの調製は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2017/040306号、同第2015/168161号、及び同第2010/117620号に記載されるように、鋳型スイッチングによって行われる。要するに、オリゴ(dT)及び/又はランダマープライマーは、第1の鎖cDNA合成反応をプライミングする。逆転写酵素(SMARTSCRIBE(商標)など)がmRNAの5’末端に到達すると、この酵素の末端トランスフェラーゼ活性は、cDNAの3’末端にいくつかの更なる非鋳型ヌクレオチドを付加する。この非鋳型ヌクレオチドストレッチと塩基対を形成するように設計された鋳型スイッチオリゴヌクレオチド(template-switch oligonucleotide、TSO)は、アニーリングし、伸長鋳型を作製して、逆転写酵素がオリゴヌクレオチドの末端まで複製し続けることを可能にする。
【0434】
いくつかの実施形態では、cDNAの第2の鎖は、鋳型スイッチングオリゴヌクレオチドプライマー(TSOプライマー)を使用して合成される。いくつかの実施形態では、TSOプライマーは、第2の増幅プライマー結合部位を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の鎖合成プライマーは、mRNA鋳型を越えて伸長され、TSOプライマー鎖を更にコピーする。いくつかの実施形態では、cDNAの第2の鎖は、TSOプライマーを使用して合成される。いくつかの実施形態では、cDNAの第2の鎖は、相補的TSO鎖を包含するようにmRNA鋳型を越えて伸長されるcDNAの第1の鎖に対して相補的である第2の増幅プライマーを使用して合成される。
【0435】
鋳型スイッチオリゴヌクレオチド及び適合性逆転写酵素を使用する例示的なシステムは、SMRT-seq(Takara Bio)である。
【0436】
2.鎖cDNAの調製
配列決定データがライブラリ断片の起源であったmRNA鎖を同定することを可能にする様々な方法が、当該技術分野で既知である。そのような「鎖」法の使用は、使用者が、cDNAの第1の鎖の配列を使用して(cDNAの第2の鎖からのデータを混乱させることなく)元のmRNA鎖の配列を決定することを可能にし得る。
【0437】
鎖cDNA調製の例示的な方法は、「TruSeq Stranded Total RNA Reference Guide,」Illumina,2017に概説されている。mRNAは、RNA依存性合成を可能にし、かつ望ましくないDNA依存性合成を防止する第1の鎖合成アクチノマイシンミックスにおいて逆転写酵素を使用してcDNAの第1の鎖にコピーされる。第1の鎖合成アクチノマイシンミックスは、cDNAの第1の鎖を生成するときに鎖特異性を改善することができる。第2の鎖cDNA合成は、第2の鎖マーキングミックス中でDNAポリメラーゼI及びRNase Hを使用して行われ、dTTPは、dUTPによって置き換えられている。cDNAの第2の鎖へのdUTPの組み込みは、ウラシル不耐性DNAポリメラーゼが使用される場合、この鎖の増幅をクエンチし得る(以下の増幅の説明において記載される)。
【0438】
いくつかの実施形態では、第1の鎖cDNA合成のための組成物中に含まれるヌクレオシド三リン酸は、dCTP、dATP、dGTP、及びdTTPを含む。
【0439】
いくつかの実施形態では、dTTPは、鎖特異性のために第2の鎖cDNA合成反応においてdUTPで置き換えられる。いくつかの実施形態では、第2の鎖cDNA合成のための組成物は、dCTP、dATP、dGTP、及びdUTPを含む。いくつかの実施形態では、cDNAの第2の鎖におけるdUTPの組み込みは、ライブラリ調製の間のインデックスPCR反応におけるcDNAの第2の鎖の増幅を抑制する。いくつかの実施形態では、cDNAの第2の鎖の増幅の抑制は、鎖特異的方法を可能にする。
【0440】
いくつかの実施形態では、cDNA調製は、mRNAからの鎖情報を保持する非ストランド法によるものである。
【0441】
L.鎖交換及びギャップ充填ライゲーション
固定化トランスポソームによるDNA:RNA二重鎖の断片化後、鎖置換ポリメラーゼ(例えば、Bstポリメラーゼ)を使用して、DNA:RNA断片のRNA鎖を置換し、第2のcDNA鎖を生成することができる。いくつかの実施形態では、鎖交換は、二本鎖DNA断片を生成するために使用される。いくつかの実施形態では、鎖交換工程は、DNA:RNA二重鎖から断片のRNA鎖を除去し、RNAをDNAの第2の鎖で置き換える。いくつかの実施形態では、鎖置換ポリメラーゼを介した鎖交換は、二本鎖DNA断片中のDNA:RNAを含む断片を変換する。
【0442】
いくつかの実施形態では、転位事象後に残ったDNA配列中のギャップはまた、鎖置換伸長反応を使用することにおいて充填され得、そのようなものはBst DNAポリメラーゼ及びdNTP混合物を含む。いくつかの実施形態では、ギャップ充填ライゲーションは、伸長-ライゲーション混合緩衝液を使用して行われる。
【0443】
次いで、二本鎖DNA断片のライブラリは、任意選択で増幅され得(クラスタ増幅を用いてなど)、配列決定プライマーを用いて配列決定され得る。
【0444】
M.増幅
本開示は更に、本明細書に提供される方法に従って産生される固定化DNA断片の増幅に関する。表面結合トランスポソームによって産生される固定化DNA断片は、当該技術分野で既知の任意の好適な増幅方法論に従って増幅され得る。いくつかの実施形態では、固定化されたDNA断片は、固体支持体上で増幅される。いくつかの実施形態では、固体支持体は、表面結合タグメンテーションが起こる同じ固体支持体である。このような実施形態では、本明細書で提供される方法及び組成物は、試料調製物が、最初の試料導入工程から、増幅まで、及び任意選択的に配列決定工程まで、同じ固体支持体上で進行することを可能にする。
【0445】
例えば、いくつかの実施形態では、固定化DNA断片は、米国特許第7,985,565号及び同第7,115,400号の開示によって例示されるように、クラスタ増幅方法論を使用して増幅され、これらの各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。米国特許第7,985,565号及び同第7,115,400号の組み込まれている材料は、固定化された核酸分子のクラスタ又は「コロニー」からなるアレイを形成するために、増幅産物を固体支持体上に固定化することを可能にする固相核酸増幅の方法を記載する。そのようなアレイ上の各クラスタ又はコロニーは、複数の同一の固定化されたポリヌクレオチド鎖及び複数の同一の固定化された相補的ポリヌクレオチド鎖から形成される。そのように形成されたアレイは、本明細書では一般に「クラスタ化アレイ」と称される。米国特許第7,985,565号及び同第7,115,400号に記載されているような固相増幅反応の産物は、固定化されたポリポリヌクレオチド鎖と固定化された相補鎖の対をアニーリングすることによって形成されるいわゆる「ブリッジ(bridged)」構造体であり、両方の鎖は、いくつかの実施形態では、共有結合を介して、5’末端で固体支持体上に固定化されている。クラスタ増幅方法論は、固定化された核酸鋳型を使用して固定化されたアンプリコンを産生する方法の例である。他の好適な方法論を使用して、本明細書で提供される方法に従って産生された固定化されたDNA断片から固定化されたアンプリコンを産生することもできる。例えば、1つ以上のクラスタ又はコロニーは、増幅プライマーの各対の一方又は両方のプライマーが固定化されているかどうかにかかわらず、固相PCRによって形成することができる。
【0446】
他の実施形態では、固定化DNA断片は、溶液中で増幅される。例えば、いくつかの実施形態では、固定化DNA断片は、切断されるか、又はそうでなければ固体支持体から遊離され、次いで、増幅プライマーは、溶液中で遊離分子にハイブリダイズされる。他の実施形態では、増幅プライマーを、1つ以上の初期の増幅工程のために固定化されたDNA断片にハイブリダイズさせ、その後溶液中での後続の増幅工程を行う。したがって、いくつかの実施形態では、固定化された核酸鋳型を使用して、液相アンプリコンを産生することができる。
【0447】
本明細書に記載されるか、又は当該技術分野において一般に既知である増幅方法論のいずれも、固定化DNA断片を増幅するために、ユニバーサル又は標的特異的プライマーとともに利用され得ることを理解されたい。増幅のための好適な方法には、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第8,003,354号に記載されるように、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介増幅(TMA)及び核酸配列ベースの増幅(NASBA)が含まれるが、これらに限定されない。上記の増幅方法を使用して、関心対象の1つ以上の核酸を増幅することができる。例えば、多重PCR、SDA、TMA、NASBAなどを含むPCRを利用して、固定化DNA断片を増幅することができる。いくつかの実施形態では、関心対象の核酸に特異的に向けられるプライマーは、増幅反応に含まれる。
【0448】
ポリヌクレオチドの増幅に好適な他の方法としては、オリゴヌクレオチド伸長及びライゲーション、ローリングサークル増幅(RCA)(Lizardi et al.,Nat.Genet.19:225-232(1998)、参照により本明細書に組み込まれる。)、及びオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)(一般に米国特許第7,582,420号、同第5,185,243号、同第5,679,524号、及び同第5,573,907号、欧州特許第0320308(B1)号、同第0336731(B1)号、同第0439182(B1)号、国際公開第90/01069号、同第89/12696号、及び同第89/09835号、その全てが参照により組み込まれる)技術、を挙げることができる。これらの増幅方法論は、固定化DNA断片を増幅するように設計され得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、増幅方法は、関心対象の核酸に特異的に向けられるプライマーを含むライゲーションプローブ増幅又はオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)反応を含み得る。いくつかの実施形態では、増幅法は、関心対象の核酸に特異的に指向されるプライマーを含有するプライマー伸長ライゲーション反応を含んでもよい。関心対象の核酸を増幅するように特別に設計することができるプライマー伸長及びライゲーションプライマーの非限定的な例として、増幅は、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,582,420号及び同第7,611,869号に例示されるようなGoldenGateアッセイ(Illumina,Inc.,San Diego,CA)に使用されるプライマーを含み得る。
【0449】
本開示の方法で使用され得る例示的な等温増幅法としては、例えばDean et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:5261-66(2002)により例示される多置換増幅(Multiple Displacement Amplification、MDA)、又は例えば米国特許第6,214,587号(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)により例示される等温鎖置換核酸増幅が挙げられるが、これらに限定されない。本開示で使用され得る他の非PCR系方法としては、例えば、Walker et al.,Molecular Methods for Virus Detection,Academic Press,Inc.,1995、米国特許第5,455,166号、及び同第5,130,238号、並びにWalker et al.,Nucl.Acids Res.20:1691-96(1992)に記載されている鎖置換増幅(strand displacement amplification、SDA)又は例えば、Lage et al.,Genome Research 13:294-307(2003)に記載されている超分枝鎖置換増幅が挙げられ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。等温増幅法は、ゲノムDNAのランダムプライマー増幅のために、鎖置換Phi 29ポリメラーゼ又はBst DNAポリメラーゼの大型断片、5’→3’エキソ-とともに使用することができる。これらのポリメラーゼの使用は、それらの高い加工性及び鎖置換活性を利用する。高い加工性により、ポリメラーゼは、10~20kbの長さの断片を産生することが可能になる。上記のように、クレノウポリメラーゼなどの低いプロセッシビティと鎖置換活性を有するポリメラーゼを使用して、等温条件下でより小さな断片を産生することができる。増幅反応、条件、及び成分の更なる説明は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,670,810号の開示に詳細に記載されている。
【0450】
本開示において有用な別の核酸増幅法は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Grothues,et al.Nucleic Acids Res.21(5):1321-2(1993)に記載されるように、定常5’領域の後にランダム3’領域が続く2ドメインプライマーの集団を使用するタグ付きPCRである。増幅の第1のラウンドは、ランダムに合成された3’領域からの個々のハイブリダイゼーションに基づいて、熱変性DNA上で多数の開始を可能にするために実施される。3’領域の性質により、開始部位は、ゲノム全体にランダムであると考えられる。その後、結合していないプライマーを除去し、定常5’領域に対して相補的であるプライマーを使用して、更なる複製を行うことができる。
【0451】
1.ウラシル不耐性DNAポリメラーゼによる増幅
いくつかの実施形態では、第1の固体支持体(DNAビーズ連結トランスポソーム(BLT)など)上のDNAに対してタグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードをDNA断片に組み込んだ後、合成二本鎖DNAは、第1の固体支持体に付加される。いくつかの実施形態では、合成二本鎖DNAは、DNA断片によってまだ結合されていない第1の固体支持体上の任意のトランスポソーム複合体に結合する。いくつかの実施形態では、合成二本鎖DNAは、後に増幅することができない「自殺DNA」である。いくつかの実施形態では、合成二本鎖DNAは、ウラシルを含み、ウラシル不耐性DNAポリメラーゼは、後の工程における増幅に使用される(例えば、図27及び図28に概説される方法を参照されたい)。
【0452】
いくつかの実施形態では、ウラシル不耐性DNAポリメラーゼは、ハイフィデリティ又はプルーフリーディングDNAポリメラーゼである。当業者は、多くのプルーフリーディングDNAポリメラーゼが、鋳型鎖中のウラシル残基を検出し、かつ更なるDNA合成を失速させる「ウラシル結合ポケット」に起因して、ウラシル含有鋳型を増幅することができないことを承知している(「Thermo Scientific Phusion DNA Polymerases,」Thermo Fisher 2015を参照されたい)。いくつかの実施形態では、ハイフィデリティDNAポリメラーゼは、KAPA HiFi HotStart(Roche)又はPhusion(Thermo Fisher)である。ウラシル不耐性ポリメラーゼの使用はまた、国際出願PCT/US2021/036599号及びMulqueen et al.,High-content single-cell combinatorial indexing,bioRxiv preprint(2021年1月12日に掲載されたdoi.org/10.1101/2021.01.11.425995で利用可能)に記載されており、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、モザイク末端配列の直後にウラシル塩基を含み、ウラシル不耐性ポリメラーゼの使用は、Mulqueen et al.に記載されるように、モザイク末端を越える伸長を防止する。
【0453】
同様に、ウラシル不耐性DNAポリメラーゼは、cDNA調製のストランド法において使用され得る。いくつかの実施形態では、試料中のRNAから調製されたcDNAの第2の鎖におけるウラシルの存在は、ウラシル不耐性DNAポリメラーゼが使用される場合、この第2の鎖の増幅をクエンチし得る。このようにして、増幅されたcDNAは、cDNAの第1の鎖から生成されたものに限定され、試料中に含まれていたmRNA鎖の同定を可能にする。
【0454】
2.選択的増幅
いくつかの実施形態では、DNA特異的バーコード及びRNA特異的バーコードは、選択的増幅を可能にする。「選択的増幅」は、試料中のDNAに由来する断片(すなわち、DNA特異的バーコードでタグ付けされた断片)の増幅、又は試料中のRNAに由来する断片(すなわち、RNA特異的バーコードでタグ付けされた断片)の増幅を指す。選択的増幅は、使用者が、DNAに由来する断片又はRNAに由来する断片のみを増幅(及び潜在的に配列決定)することを可能にする。代替的に、使用者は、DNA及びRNAに由来する両方の断片を増幅することを選択し得る。
【0455】
実験に対する使用者の目標に応じて、所定の試料に由来するDNA又はRNAのみが目的のものであり得る。代替的に、使用者は、DNA及びRNAの両方を評価するために、試料のマルチオミクス分析を望む場合がある。
【0456】
いくつかの実施形態では、DNA特異的バーコード及びRNA特異的バーコードは、異なるプライマー結合配列を含む。いくつかの実施形態では、方法は、DNA特異的バーコードに含まれるプライマー結合配列に結合するプライマーを使用して、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を増幅することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、RNA特異的バーコードに含まれるプライマー結合配列に結合するプライマーを使用して、RNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を増幅することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、DNA特異的バーコードに含まれるプライマー結合配列と結合するプライマーと、RNA特異的バーコードに含まれるプライマー結合配列と結合するプライマーと、を含むプライマーミックスを使用して、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片及びRNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を増幅することを更に含む。
【0457】
N.配列決定
本開示は更に、本明細書に提供される方法に従って産生される固定化DNA断片の配列決定に関する。いくつかの実施形態では、方法は、タグ付き断片又は増幅されたタグ付き断片を配列決定することを含む。固定化DNA断片は、試料中に含まれるdsDNAから生成されるもの、試料中に含まれるRNAから生成されるds-cDNA、又は試料中に含まれるRNAから生成されたDNA:RNA二重鎖のタグメンテーション後の鎖交換から生成されたds-DNAであり得る。いくつかの実施形態では、固定化DNA断片は、配列決定後のバイオインフォマティック分解能が、試料のDNAに由来する断片対試料のRNAに由来する断片を区別することができるように、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードを含み得る。
【0458】
いくつかの実施形態では、DNA:RNA二重鎖の断片は、鎖交換なしで直接配列決定される。
【0459】
表面結合トランスポソーム媒介タグメンテーションによって産生された固定化DNA断片は、合成による配列決定、ライゲーションによる配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、ナノポア配列決定などを含む、直接配列決定などの任意の好適な配列決定方法論に従って配列決定することができる。いくつかの実施形態では、固定化DNA断片は、固体支持体上で配列決定される。いくつかの実施形態では、配列決定のための固体支持体は、表面結合タグメンテーションが起こるものと同じ固体支持体である。いくつかの実施形態では、配列決定のための固体支持体は、増幅が起こるのと同じ固体支持体である。
【0460】
1つの例示的な配列決定方法論は、合成による配列決定(sequencing-by-synthesis、SBS)である。SBSでは、核酸鋳型(例えば標的核酸又はそのアンプリコン)に沿った核酸プライマーの伸長を監視して、鋳型中のヌクレオチドの配列を決定する。基礎となる化学プロセスは、重合(例えば、ポリメラーゼ酵素によって触媒される)であり得る。特定のポリマーベースのSBSの実施態様では、プライマーに付加されるヌクレオチドの順序及び種類の検出を使用して鋳型の配列を決定することができるように、蛍光標識ヌクレオチドを鋳型依存的にプライマーに付加する(それによってプライマーを伸長させる)。
【0461】
フローセルは、本開示の方法によって産生された、増幅されたDNA断片を収容するための便利な固体支持体を提供する。そのようなフォーマットの1つ以上の増幅されたDNA断片は、サイクル中に試薬を繰り返し送達することを含むSBS又は他の検出技術に供することができる。例えば、第1のSBSサイクルを開始するために、1つ以上の標識ヌクレオチド、DNAポリメラーゼなどを、1つ以上の増幅された核酸分子を収容するフローセルに流入/通過させることができる。プライマー伸長によって標識ヌクレオチドを組み込む部位は、検出することができる。任意選択的に、ヌクレオチドは、ヌクレオチドがプライマーに付加されると、更なるプライマー伸長を終結する可逆的終結特性を更に含むことができる。例えば、デブロッキング作用因子が送達されてその部分を除去するまで、その後の伸長が起こらないように、可逆的ターミネータ部分を有するヌクレオチド類似体をプライマーに付加することができる。したがって、可逆的終結を使用する実施形態の場合、デブロッキング試薬をフローセルに送達することができる(検出が行われる前又は後に)。洗浄は、様々な送達工程の間に実施することができる。次に、サイクルをn回繰り返してプライマーをn個のヌクレオチドで伸長し、それによって長さnの配列を検出することができる。本開示の方法によって産生されるアンプリコンとともに使用するために容易に適合させることができる例示的なSBS手順、流体系及び検出プラットフォームは、例えば、Bentley et al.,Nature 456:53-59(2008)、国際公開第04/018497号、米国特許第7,057,026号、国際公開第91/06678号、同第07/123744号、米国特許第7,329,492号、同第7,211,414号、同第7,315,019号、同第7,405,281号、及び米国特許出願公開第2008/0108082号に記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0462】
パイロシーケンシングなどの、サイクル反応を使用する他の配列決定手順を使用することができる。パイロシーケンシングは、特定のヌクレオチドが新生核酸鎖に組み込まれるときに無機ピロリン酸(inorganic pyrophosphate、PPi)の放出を検出する(Ronaghi,et al.,Analytical Biochemistry 242(1),84-9(1996)、Ronaghi,Genome Res.11(1),3-11(2001)、Ronaghi et al.Science 281(5375),363(1998)、米国特許第6,210,891号、同第6,258,568号、及び同第6,274,320号、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる)。パイロシーケンシングでは、放出されたPPiは、ATPスルフリラーゼによってアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate、ATP)に即座に変換されることで検出することができ、生成されたATPのレベルは、ルシフェラーゼ産生光子を介して検出することができる。したがって、配列決定反応は、発光検出システムを介して監視することができる。蛍光ベースの検出システムに使用される励起放射線源は、パイロシーケンシング手順には必要ない。本開示により産生されたアンプリコンへのパイロシーケンシングの適用に適合させることができる有用な流体システム、検出器、及び手順は、例えば国際出願第PCT/US11/57111号、米国特許出願公開第2005/0191698(A1)号、米国特許第7,595,883号、及び同第7,244,559号に記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0463】
いくつかの実施形態は、DNAポリメラーゼ活性のリアルタイムモニタリングを伴う方法を利用することができる。例えば、ヌクレオチドの取り込みは、フルオロフォア担持ポリメラーゼとγ-リン酸標識ヌクレオチドとの間の蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer、FRET)相互作用を介して、又はゼロモード導波路(zeromode waveguide、ZMW)を用いて検出することができる。FRETベースの配列決定のための技術及び試薬は、例えば、Levene et al.Science 299,682-686(2003)、Lundquist et al.Opt.Lett.33,1026-1028(2008)、Korlach et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 105,1176-1181(2008)に記載され、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0464】
いくつかのSBS実施形態は、伸長産物へのヌクレオチドの組み込み時に放出されるプロトンの検出を含む。例えば、放出されたプロトンの検出に基づく配列決定は、Ion Torrent(Guilford,CT、Life Technologiesの子会社)から市販されている電気検出器及び関連技術、又は、米国特許出願公開第2009/0026082(A1)号、同第2009/0127589(A1)号、同第2010/0137143(A1)号、若しくは同第2010/0282617(A1)号に記載されている配列決定方法及びシステムを使用することができ、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。動力学的除外を使用して標的核酸を増幅するための本明細書に記載の方法は、プロトンを検出するために使用される基質に容易に適用することができる。より具体的には、本明細書に記載の方法を使用し、プロトンを検出するために使用されるアンプリコンのクローン集団を産生することができる。
【0465】
別の有用な配列決定技術は、ナノポア配列決定である(例えば、Deamer et al.Trends Biotechnol.18,147-151(2000)、Deamer et al.Acc.Chem.Res.35:817-825(2002)、Li et al.Nat.Mater.2:611-615(2003)を参照されたく、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)。いくつかのナノポアの実施形態では、標的核酸又は標的核酸から除去された個々のヌクレオチドは、ナノポアを通過する。核酸又はヌクレオチドがナノポアを通過するとき、各ヌクレオチドの種類は、ポアの電気コンダクタンスの変動を測定することによって識別され得る。(米国特許第7,001,792号、Soni et al.Clin.Chem.53,1996-2001(2007)、Healy,Nanomed.2,459-481(2007)、Cockroft et al.J.Am.Chem.Soc.130,818-820(2008)、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0466】
本開示による検出に適用することができるアレイに基づく発現及び遺伝子型解析のための例示的な方法は、米国特許第7,582,420号、同第6,890,741号、同第6,913,884号、若しくは同第6,355,431号、又は米国特許公開第2005/0053980(A1)号、同第2009/0186349(A1)号、若しくは同第2005/0181440(A1)号に記載されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0467】
本明細書に記載の方法の利点は、複数の標的核酸の迅速かつ効率的な検出を並行して提供することである。したがって、本開示は、上記で例示されるものなどの当該技術分野において既知の技術を使用して核酸を調製及び検出することができる統合システムを提供する。したがって、本開示の統合システムは、増幅試薬及び/又は配列決定試薬を1つ以上の固定化されたDNA断片に送達することができる流体成分を含むことができ、システムは、ポンプ、弁、リザーバ、流体ラインなどの構成要素を含む。フローセルは、標的核酸を検出するための統合システムで構成及び/又は使用することができる。例示的なフローセルは、例えば、米国特許出願公開第2010/0111768(A1)号及び米国特許出願第13/273,666号に記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。フローセルについて例示されるように、統合システムの流体構成要素の1つ以上を増幅方法及び検出方法に使用することができる。核酸配列決定の実施形態を一例として取ると、統合システムの流体構成要素の1つ以上を、本明細書に記載の増幅方法、及び上記に例示したような配列決定方法における配列決定試薬の送達に使用することができる。代替的に、統合システムは、増幅方法を実施し、検出方法を実施するための別々の流体システムを含み得る。増幅された核酸を作成し、また核酸の配列を決定することができる統合配列決定システムの例としては、MiSeq(商標)プラットフォーム(Illumina Inc.,San Diego,CA)、及び参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第13/273,666号に記載のデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0468】
O.固定化されたポリヌクレオチド分子の物理的マップ
また、本明細書では、固定化ポリヌクレオチドの物理的マップを生成する方法も提示される。方法は、有利には、連結された配列(すなわち、同じ標的ポリヌクレオチド分子からの第1及び第2の部分)を含む可能性が高いクラスタを同定するために利用することができる。したがって、固定化されたポリヌクレオチドから得られる任意の2つのクラスタの相対的近接度は、2つのクラスタから得られる配列情報のアラインメントに有用な情報を提供する。具体的には、固体表面上の任意の2つの所与のクラスタ間の距離は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2012/025250号により詳細に記載されるように、2つのクラスタが同じ標的ポリヌクレオチド分子に由来する確率と正に相関する。
【0469】
例として、いくつかの実施形態では、フローセルの表面上に広がる長いDNA:RNA二重鎖分子は、その場でタグメンテーションされ、フローセルの表面を横切る接続されたDNA:RNAブリッジのラインをもたらす。更に、固定化されたDNA:RNAの物理的マップは、次いで、鎖交換が固定化DNAを生成する前又は後に生成され得る。したがって、物理的マップは、固定化DNAが増幅された後のクラスタの物理的関係を相関させる。具体的には、物理的マップは、国際公開第2012/025250号の組み込まれた材料に記載されているように、任意の2つのクラスタから得られた配列データが連結される確率を計算する。
【0470】
いくつかの実施形態では、物理的マップは、固体表面を横切る固定化DNA分子の位置を確立するためにDNAを画像化することによって生成される。いくつかの実施形態では、固定化DNAは、イメージング剤を固体支持体に添加し、イメージング剤からシグナルを検出することによって画像化される。いくつかの実施形態では、イメージング剤は、検出可能な標識であってもよい。好適な検出可能な標識としては、プロトン、ハプテン、放射性核種、酵素、蛍光標識、化学発光標識、及び/又は発色剤が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、イメージング剤は、挿入色素又は非挿入DNA結合剤である。当該技術分野において既知の任意の好適な挿入色素又は非挿入DNA結合剤を使用することができ、これには、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2012/0282617号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0471】
いくつかの実施形態では、固定化されたDNA:RNA二重鎖は、鎖交換及びクラスタ生成の前に、更に断片化されて遊離末端を遊離させる。ブリッジ構造の切断は、国際公開第2012/025250号の組み込まれた材料によって例示されるように、当該技術分野において既知の任意の好適な方法論を使用して実行することができる。例えば、切断は、国際公開第2012/025250号に記載されているようなウラシルなどの修飾ヌクレオチドの組み込みによって、制限エンドヌクレアーゼ部位の組み込みによって又は本明細書の他の場所で説明されているように、液相トランスポソーム複合体をブリッジDNA構造に適用することによって、起こり得る。
【0472】
ある特定の実施形態では、複数のRNAが、複数のナノチャネルを備えるフローセル上に流され、ナノチャネルは、それに固定化された複数のトランスポソーム複合体を有する。本明細書で使用される場合、ナノチャネルという用語は、長い線状核酸分子が流入する狭いチャネルを指す。いくつかの実施形態では、標的RNAの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60 70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900個以下、又は1000個以下の個々の長鎖の標的RNAが、各ナノチャネルに流入する。いくつかの実施形態では、個々のナノチャネルは、標的RNAの個々の長鎖が複数のナノチャネルと相互作用することを防止する物理的バリアによって分離される。いくつかの実施形態では、固体支持体は、少なくとも10、50、100、200、500、1000、3000、5000、10000、30000、50000、80000、又は100000個のナノチャネルを含む。いくつかの実施形態では、ナノチャネルの表面に結合したトランスポソームは、RNAをタグメンテーションする。次いで、連続マッピングは、例えば、これらのチャネルのうちの1つの長さに沿ってクラスタを追跡することによって実行することができる。いくつかの実施形態では、標的RNAの長鎖は、少なくとも0.1kb、1kb、2kb、3kb、4kb、5kb、6kb、7kb、8kb、9kb、10kb、15kb、20kb、25kb、30kb、35kb、40kb、45kb、50kb、55kb、60kb、65kb、70kb、75kb、80kb、85kb、90kb、95kb、100kb、150kb、200kb、250kb、300kb、350kb、400kb、450kb、500kb、550kb、600kb、650kb、700kb、750kb、800kb、850kb、900kb、950kb、1000kb、5000kb、10000kb、20000kb、30000kbの長さ、又は50000kbの長さであり得る。いくつかの実施形態では、標的RNAの長鎖は、0.1kb、1kb、2kb、3kb、4kb、5kb、6kb、7kb、8kb、9kb、10kb、15kb、20kb、25kb、30kb、35kb、40kb、45kb、50kb、55kb、60kb、65kb、70kb、75kb、80kb、85kb、90kb、95kb、100kb、150kb、200kb、250kb、300kb、350kb、400kb、450kb、500kb、550kb、600kb、650kb、700kb、750kb、800kb、850kb、900kb、950kb以下、又は1000kb以下の長さである。一例として、ナノチャネル内にマッピングされた固定化タグメンテーション産物を含む1000以上のナノチャネルを有するフローセルを使用して、短い「ポジショニングされた」リードで生物のゲノムを配列決定することができる。いくつかの実施形態では、ナノチャネル内にマッピングされた固定化タグメンテーション産物を使用して、ハプロタイプを解析することができる。いくつかの実施形態では、ナノチャネル内にマッピングされた固定化タグメンテーション産物を使用して、フェージング課題を解析することができる。
【0473】
II.溶液中でのビーズ連結トランスポソーム及びcDNA合成を使用してRNA配列決定ライブラリを調製する方法
いくつかの実施形態では、cDNAは、ライブラリ調製の第1の工程として、RNAを含む試料から溶液中で合成される。言い換えれば、DNA:RNA二重鎖は、BLTによるタグメンテーションの前に溶液中で生成され得る(図2に示されるように)。いくつかの実施形態では、DNA:RNA二重鎖は、次いで、捕捉オリゴヌクレオチドによってBLT上に捕捉される。いくつかの実施形態では、DNA:RNA二重鎖は、トランスポソーム複合体に含まれるトランスポザーゼに対する親和性に基づいてBLTに直接結合する。
【0474】
いくつかの実施形態では、cDNA合成は、逆転写酵素によって行われる。いくつかの実施形態では、このcDNA合成により、DNA:RNA二重鎖が得られ、RNAの鎖にハイブリダイズすることができるDNAの鎖が生成される。いくつかの実施形態では、逆転写酵素ポリメラーゼは、cDNAを合成する条件下で、RNAを含む試料に付加される。いくつかの実施形態では、cDNAを合成するための条件は、RNAに結合することができるヌクレオチド及び/又はプライマー(ポリTプライマー及び/又はランダマープライマーなど)の存在を含む。いくつかの実施形態では、DNA:RNA二重鎖を調製するための反応混合物は、オリゴdTプライマー、逆転写酵素、及びヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、DNA:RNA二重鎖は、42℃の反応温度でcDNAの第1の鎖を合成する。
【0475】
いくつかの実施形態では、逆転写酵素は、RNAからDNAを調製するだけである(二本鎖DNAを得るためにDNAの更なるコピーを生成することなく)。
【0476】
いくつかの実施形態では、cDNA調製は、DNA:RNA二重鎖を生成するため又は二本鎖cDNAを生成するために溶液中で行われる。
【0477】
いくつかの実施形態では、溶液中で生成されたDNA:RNA二重鎖は、次いで、BLTに結合され、タグメンテーションされ得る。トランスポザーゼを停止又は除去した後、鎖交換を行い、続いて、ギャップ充填及びライゲーションを行うことができ、次いで、ライブラリは放出され得る。いくつかの実施形態では、二本鎖cDNAが溶液中で調製され、次いで、タグメンテーションされる場合、鎖交換は必要とされない。いくつかの実施形態では、これらの方法は、チューブ内又はフローセル内で行われ得る。
【0478】
いくつかの実施形態では、標的RNAからのタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法は、cDNAを合成し、DNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、標的RNAを含む試料に逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、DNA:RNA二重鎖を、トランスポソーム複合体が上に固定化された固体支持体に固定化することであって、トランスポソーム複合体が、第1のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを含み、第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第1のタグと、を含み、試料は、DNA:RNA二重鎖が捕捉オリゴヌクレオチド又はトランスポザーゼに直接結合する条件下で、固体支持体に適用される、固定化することと、DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端にタグ付けされる条件下で、トランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖を断片化し、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む。いくつかの実施形態では、一方の鎖の5’末端は、RNA鎖の5’末端である。いくつかの実施形態では、一方の鎖の5’末端は、DNA鎖の5’末端である。
【0479】
いくつかの実施形態では、標的RNAからのタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法は、標的RNAを含む試料を、捕捉オリゴヌクレオチドが上に固定化された固体支持体に適用することと、cDNAを合成し、捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端にタグ付けされる条件下で、溶液中でトランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖を断片化し、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む。いくつかの実施形態では、RNAは、mRNAであり、捕捉オリゴヌクレオチドは、ポリT配列を含む。いくつかの実施形態では、ライブラリは、1つ以上のRNAの3’末端から生成されたDNA:RNA断片を含む。いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは、第1のリード配列決定アダプター配列、ビーズコード、及び/又は1つ以上の追加のアダプター配列を更に含む。いくつかの実施形態では、溶液中のトランスポソーム複合体は、第2のリード配列アダプター配列及び/又は1つ以上の追加のアダプター配列を含む第1のトランスポソームを含む。いくつかの実施形態では、DNA:RNA二重鎖のライブラリは、配列決定前に断片を増幅することなく配列決定される。
【0480】
III.3’UMIを用いたRNA配列決定ライブラリの調製方法
UMI配列決定の現在の方法は単独で、転写物の断片のみの定量的配列決定を可能にし、これは高分解能アイソフォーム同定を妨げる。いくつかの実施形態では、連結長リード技術を本明細書に記載される3’UMI結合と組み合わせることにより、RNAライブラリの定量的配列決定、並びに元の転写物の全ての断片を3’UMIと一緒に連結することによるアイソフォーム同定が可能になる。いくつかの実施形態では、共通のビーズコード識別子を有するビーズ連結トランスポソーム(BLT)は、完全長RNAについての連結長リードを生成することができる。UMIを用いた本方法は多くの用途を有し得るが、それらは、異なるRNA分子に由来する配列の同定が重要である選択的スプライシング研究に特に有用であり得る。
【0481】
いくつかの実施形態では、方法は、図15及び図16によって例示されるように、正確な定量化のための3’UMIタグ付けと、連結長リードビーズコードとを組み合わせる。いくつかの実施形態では、3’UMIタグ付けは、増幅前に行われる。いくつかの実施形態では、cDNAの3’UMI前増幅の組み込み及びタグメンテーションの前は、方法を単一細胞及び超低RNAインプットに適合させる。いくつかの実施形態では、方法は、単一細胞についての完全長RNA計数アッセイを可能にする。いくつかの実施形態では、方法は、鋳型スイッチングを含む。
【0482】
いくつかの実施形態では、RNAから二本鎖DNA断片のライブラリを調製する方法は、UMI及び第1のリード配列決定アダプター配列を含むポリTプライマーを使用して、試料中の完全長RNAからcDNAの第1の鎖を調製することと、cDNAの第2の鎖を調製して、二本鎖cDNAを生成することと、二本鎖cDNAを、トランスポソーム複合体が上に固定化されたビーズに適用することであって、各トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、3’トランスポゾン末端配列を含む第1のトランスポゾンと、トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列及びハイブリダイゼーション配列を含む第2のトランスポゾンと、を含み、トランスポソーム複合体が、ビーズに固定化されたオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーション配列の結合によって固定化され、オリゴヌクレオチドが、5’親和性エレメント、第1のリード配列決定アダプター配列、ビーズコード、及びハイブリダイゼーション配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を含む、適用することと、二本鎖cDNAを固定化し、ビーズに対してタグメンテーションを行って、二本鎖DNA断片を調製することと、第2のトランスポゾンを除去することと、第2のリード配列決定アダプター配列と、トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列と、を含むプライマーを、トランスポゾン末端配列にハイブリダイズすることと、ギャップ充填及び伸長を行って、第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む二本鎖DNA断片を調製することと、を含む。
【0483】
いくつかの実施形態では、RNAから二本鎖DNA断片のライブラリを調製する方法は、UMI及び第1のリード配列決定アダプター配列を含むポリTプライマーを使用して、試料中の完全長RNAからcDNAの第1の鎖を調製することと、cDNAの第2の鎖を調製して、二本鎖cDNAを生成することと、二本鎖cDNAを、トランスポソーム複合体が上に固定化されたビーズに適用することであって、各トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、3’トランスポゾン末端配列、ビーズコード、及び第2のリード配列決定アダプター配列を含む第1のトランスポゾンであって、トランスポソーム複合体を固体支持体に固定化するための5’親和性エレメントを更に含む、第1のトランスポゾンと、トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を含む第2のトランスポゾンと、を含む、適用することと、二本鎖cDNAを固定化し、ビーズに対してタグメンテーションを行って、二本鎖DNA断片を調製することと、第2のトランスポゾンを除去することと、第2のリード配列決定アダプター配列と、トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列と、を含むプライマーを、トランスポゾン末端配列にハイブリダイズすることと、ギャップ充填及び伸長を行って、第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む二本鎖DNA断片を調製することと、を含む。
【0484】
いくつかの実施形態では、プライマーは、第2のリード配列アダプターを含む5’部分と、トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を含む3’部分と、を含む。
【0485】
いくつかの実施形態では、トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を除去するときに、断片は、一方又は両方の末端でトランスポソームに結合したままである。
【0486】
いくつかの実施形態では、各プライマーは、異なるUMIを含む。いくつかの実施形態では、完全長RNAは、異なる完全長RNAのプールを含み、ポリTプライマーは、異なるUMIを含む異なるポリTプライマーのプールを含む。いくつかの実施形態では、異なるポリTプライマーのプールに含まれる各ポリTプライマーは、異なるUMIを含む。
【0487】
いくつかの実施形態では、各断片は、固有のUMIを含む。いくつかの実施形態では、完全長RNAは、異なる完全長RNAのプールを含み、単一完全長RNAから調製された3’二本鎖DNA断片は、プール中の他の完全長RNAから調製された3’二本鎖DNA断片とは異なるUMIを含む。
【0488】
いくつかの実施形態では、各ビーズは、固有のビーズコードを含む。いくつかの実施形態でが、完全長RNAは、異なる完全長RNAのプールを含み、ビーズは、ビーズのプールを含む。いくつかの実施形態では、各ビーズは、プール中の他のビーズ上に固定化されたトランスポソーム複合体に含まれるビーズコードと比較して、異なるビーズコードを含むトランスポソーム複合体を固定化している。
【0489】
いくつかの実施形態では、単一の完全長RNAから調製された二本鎖cDNAから調製された全ての断片は、同じビーズ上でタグメンテーションされる。
【0490】
いくつかの実施形態では、二本鎖cDNAから調製された第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む全ての二本鎖断片は、ギャップ充填及び伸長を行った後に同じ固体支持体上にある。
【0491】
いくつかの実施形態では、完全長RNAは、異なる完全長RNAのプールを含み、プール中の単一完全長RNAから調製された第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む全ての二本鎖断片は、ギャップ充填及び伸長を行った後に同じ固体支持体上にある。
【0492】
いくつかの実施形態では、方法は、第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む二本鎖断片を増幅して、増幅された断片を調製することを更に含む。
【0493】
いくつかの実施形態では、二本鎖cDNA調製物は、ストランド法によるものである。いくつかの実施形態では、第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプター又は増幅された断片を含む二本鎖断片から得られた配列におけるビーズコードの存在は、断片が生成されたビーズを同定する。
【0494】
いくつかの実施形態では、試料は、単一細胞である。
【0495】
いくつかの実施形態では、方法は、鎖RNAライブラリ調製を含む。
【0496】
いくつかの実施形態では、1つの配列決定アダプター配列は、タグメンテーション工程中に断片に組み込まれ、異なる配列決定アダプター配列は、タグメンテーション後の伸長のために使用されるプライマーを介して断片に組み込まれる。いくつかの実施形態では、配列決定アダプター配列を組み込むプライマーは、配列決定アダプター配列を含むタグ付きプライマーである。
【0497】
いくつかの実施形態では、本方法は、対称タグメンテーション工程を含み、全てのトランスポソーム複合体は、同じアダプター配列を含む。
【0498】
いくつかの実施形態では、本方法は、3’UMIタグ付け、前増幅、及び/又は完全長RNAアイソフォーム検出と適合性である。
【0499】
いくつかの実施形態では、方法は、第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む増幅された断片又は二本鎖断片を配列決定することを更に含む。
【0500】
いくつかの実施形態では、配列決定は、完全長RNAアイソフォームの検出を可能にする。
【0501】
いくつかの実施形態では、3’UMI(タグメンテーション中に生成された3’断片に含まれる)を配列決定結果の分析中に使用して、他のcDNAとは異なるcDNAを同定することができる(他のUMIを有する他のcDNAに基づく)。図14は、第1の鎖合成中に3’断片がどのようにUMIを組み込み(第1の鎖合成プライマーに含まれるUMIに基づく)、その後、cDNAの3’末端の捕捉後に単一のタグメンテーション事象が続くかを概説する。所定のcDNAからの全ての断片は、同じDNA BLT上で断片化されるため、全ての断片は同じビーズコードを組み込む。図15は、実施形態のこの態様を要約しており、全ての断片は、このコードを含むビーズ上でのタグメンテーションによって生成されたため、「UMI1」は、cDNA合成中にアイソフォーム#1からのcDNAに組み込まれ、このアイソフォームの全ての断片は、「ビーズコードA」を組み込む。対照的に、全ての断片は、このコードを含むビーズ上でのタグメンテーションによって生成されたため、「UMI2」は、cDNA合成中にアイソフォーム#2からのcDNAに組み込まれ、このアイソフォームの全ての断片は、「ビーズコードB」を組み込む。鋳型スイッチ及びPCR増幅を使用する方法は図16に示されており、鋳型スイッチプライマーを使用して、アダプター(P5など)を組み込むことができる。
【0502】
これらの方法を使用して、所定のmRNAアイソフォームからのcDNAから生成された全ての断片は、配列決定結果の分析の間に分類され得る。この分析は、配列決定結果内の異なるmRNAアイソフォームの区別を可能にする。
【0503】
A.連結長リード配列決定
標準的な短リード配列決定は、短距離情報を提供するために正確な塩基レベルの配列を提供するが、短リード配列決定は、長距離ゲノム情報を提供しない場合がある。更に、ハプロタイプ情報は、配列決定されたゲノム又は短リードデータを有する参照について保持されないため、長距離ハプロタイプの再構築は、標準的な方法では困難である。したがって、標準的な配列決定及び分析アプローチは、一般に、単一ヌクレオチドバリアント(single nucleotide variant、SNV)をコールすることができるが、これらの方法は、個々のゲノムにおいてみられる構造変異の全スペクトルを同定しない場合がある。ゲノムの「構造変異」は、本明細書で使用される場合、50塩基対以上の事象を含む、SNVより大きな事象を指す。代表的な構造バリアントには、コピー数変異、逆位、欠失、及び重複が含まれる。
【0504】
「連結長リード配列決定」又は「連結リード配列決定」は、ゲノム配列に関する長距離情報を提供する配列決定方法を指す。
【0505】
いくつかの実施形態では、連結リード配列決定は、ハプロタイプ再構築のために使用され得る。いくつかの実施形態では、連結リード配列決定は、構造バリアントのコーリングを改善する。いくつかの実施形態では、連結リード配列決定は、アクセス可能性が制限されたゲノムの領域へのアクセスを改善する。いくつかの実施形態では、連結リード配列決定は、デノボ二倍体アセンブリのために使用される。いくつかの実施形態では、連結リード配列決定は、デノボアセンブリを必要とする高度に多型の配列(ヒト白血球抗原遺伝子など)の配列決定を改善する。
【0506】
いくつかの実施形態では、連結長リード配列決定は、BLTからの断片の放出前の空間的分離に基づいて、又はビーズバーコーディングに基づいて行われ得る。
【0507】
1.空間的分離に基づく連結長リード配列決定
いくつかの実施形態では、完全長核酸は、BLTなどの単一ビーズ上に「ラップ」され、これは、完全長核酸が単一ビーズ上の複数のトランスポソーム複合体と会合することができることを意味する。本明細書で使用される場合、核酸は、DNA、cDNA、又はDNA:RNA二重鎖であり得る。
【0508】
いくつかの実施形態では、ビーズは、ビーズに結合した完全長核酸を用いて配列決定のために表面に送達される。例えば、核酸は、活性化可能なBLTに結合させ、フローセルに送達することができる。BLTは、断片の調製を可能にするためにフローセルに結合させた後に活性化され得る。次いで、所定の完全長核酸(同じビーズ上で調製される)から生成された断片が、他のビーズ上で調製された断片と比較して、非常に近接して放出されるように、断片が放出され得る。
【0509】
いくつかの実施形態では、BLTは、BLTに結合した断片とともに配列決定のために表面に送達される。
【0510】
いくつかの実施形態では、連結リード配列決定は、分子バーコードを使用して、同じ長いDNA断片に由来するリードをタグ付けする。固有のバーコードが、個々のDNA分子から生成された全ての短リードに付加される場合、短リードは、そのDNA分子を一緒に連結することができる。言い換えれば、バーコードを共有するリードは、単一の長いインプット分子に由来するものとして分類することができ、長距離情報を短リードからアセンブリすることを可能にする。
【0511】
B.第1の鎖合成プライマー
いくつかの実施形態では、第1の鎖合成プライマーは、試料中に含まれるRNAから生成されたcDNAの第1の鎖に1つ以上のタグを組み込むことができる。いくつかの実施形態では、第1の鎖合成プライマーは、ポリT配列を含む。いくつかの実施形態では、このポリT配列は、RNAの3’末端上のポリAテールにハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態では、RNAは、mRNAである。いくつかの実施形態では、ポリT配列を含むプライマーの使用は、3’UMIによるcDNAの第1の鎖のタグ付けを可能にする。
【0512】
いくつかの実施形態では、第1の鎖合成プライマーは、UMI、インデックス配列(若しくはその相補体)、第1のリード配列決定アダプター配列(若しくはその相補体)、及び/又は1つ以上の追加のアダプター配列を更に含む。
【0513】
いくつかの実施形態では、第1の鎖合成プライマーは、第1の鎖合成プライマーのプールに含まれる。いくつかの実施形態では、第1の鎖合成プライマーのプール中の第1の鎖合成プライマーは、ミックス中の全て又はほとんどの他のプライマーとは異なる固有のUMIを含む。
【0514】
いくつかの実施形態では、第1の鎖合成プライマーは、オリゴdT配列、UMI、インデックス配列、及びアダプター配列を含む。このようなプライマーを用いて生成されたcDNAの代表的な第1の鎖が図14に示され、cDNAの第1の鎖は、オリゴdT配列、UMI、i7配列(インデックス配列)、及びP7配列(すなわち、プライマーランディング部位として使用されるアダプター配列)を含む。いくつかの実施形態では、フローセルなどの配列決定のための表面は、プライマーランディング部位のローンでコーティングされる。いくつかの実施形態では、プライマーランディング部位は、P5又はP7である。いくつかの実施形態では、プライマーランディング部位(P5又はP7など)は、フローセルへの断片の結合を促進する。
【0515】
いくつかの実施形態では、オリゴdT配列及び第1のリード配列決定アダプター配列は、プライマーの混合物中の各第1の鎖合成プライマーについて同一である。いくつかの実施形態では、UMIは、各第1の鎖合成プライマーについて固有である。このようにして、下流の配列決定事象は、異なるRNAを含む試料に含まれる異なるRNA分子から生成された断片を区別することができる。
【0516】
いくつかの実施形態では、第1の鎖合成プライマーに含まれるインデックス配列は、i7又はi5配列などのインデックス配列の既知のプールの1つである(例えば、Illumina Document #1000000002694 v10,Illumina,Inc.2019を参照されたい)。
【0517】
いくつかの実施形態では、第1の鎖合成プライマーは、1つ以上のアダプター配列を含む。いくつかの実施形態では、アダプター配列は、プライマー配列、インデックスタグ配列、捕捉配列、バーコード配列、切断配列、若しくは配列決定関連配列、又はそれらの組み合わせを含む。
【0518】
C.固有分子識別子(UMI)
固有分子識別子(UMI)は、個々の核酸分子を互いに区別するために使用され得る核酸分子に適用されるか、又は同定されるヌクレオチドの配列である。UMIは、リード配列が1つのソース核酸分子又は別のものであるかどうかを決定するために、それらが関連する核酸分子とともに配列決定され得る。「UMI」という用語は、ポリヌクレオチドの配列情報及び物理的ポリヌクレオチド自体の両方を指すために本明細書で使用され得る。UMIは、1つの試料のリードを他の試料のリードから区別するために一般的に使用されるバーコードに類似しているが、UMIは、代わりに、個々の試料からの多くの断片が一緒に配列決定される場合、核酸鋳型断片を別の断片から区別するために使用される。UMIは、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2019/108972号及び同第2018/136248号に記載されるように、多くの方式で定義することができる。
【0519】
固有分子識別子(UMI)は、個々の核酸分子を互いに区別するために使用され得る核酸分子に適用されるか、又は同定されるヌクレオチドの配列である。UMIは、リード配列が1つのソース核酸分子又は別のものであるかどうかを決定するために、それらが関連する核酸分子とともに配列決定され得る。「UMI」という用語は、ポリヌクレオチドの配列情報及び物理的ポリヌクレオチド自体の両方を指すために本明細書で使用され得る。UMIは、1つの試料のリードを他の試料のリードから区別するために一般的に使用されるバーコードに類似しているが、UMIは、代わりに、個々の試料からの多くの断片が一緒に配列決定される場合、核酸鋳型断片を別の断片から区別するために使用される。UMIは、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2019/108972号及び同第2018/136248号に記載されるように、多くの方式で定義することができる。
【0520】
いくつかの実施形態では、UMIのライブラリは、非ランダム配列を含む。いくつかの実施形態では、非ランダムUMI(nonrandom UMI、nrUMI)は、特定の実験又は適用のために事前定義される。ある特定の実施形態では、規則を使用して、セットの配列を生成するか、又はセットから試料を選択してnrUMIを得る。例えば、セットの配列は、配列が特定のパターンを有するように生成され得る。いくつかの実施形態では、各配列は、特定の数(例えば、2、3、又は4)のヌクレオチドだけ、セット中の他の全ての配列と異なる。すなわち、nrUMI配列は、特定の数より少ないヌクレオチドを置き換えることによって、任意の他の利用可能なnrUMI配列に変換され得ない。いくつかの実装形態では、配列決定プロセスで使用されるUMIのセットは、特定の配列長を与えられた全ての可能なUMIよりも少ないUMIを含む。例えば、6個のヌクレオチドを有するnrUMIsのセットは、合計46=4096個の可能な異なる配列の代わりに、合計96個の異なる配列を含み得る。いくつかの実施形態では、UMIのライブラリは、120個の非ランダム配列を含む。
【0521】
nrUMIが全ての可能な異なる配列よりも少ない配列を有するセットから選択されるいくつかの実施において、nrUMIの数は、ソースDNA分子の数よりも少なく、場合によっては著しく少ない。このような実施では、nrUMI情報を、仮想UMI、参照配列上のリード位置、及び/又はリードの配列情報などの他の情報と組み合わせて、同じソースDNA分子に由来する配列リードを同定することができる。
【0522】
いくつかの実施形態では、rUMIsのライブラリは、1つ以上の配列長を与えられた全ての可能な異なるオリゴヌクレオチド配列からなるUMIのセットから、置き換えあり又はなしで、ランダム試料として選択されるランダムUMI(random UMI、rUMI)を含み得る。例えば、UMIのセット中の各UMIがn個のヌクレオチドを有する場合、セットは、互いに異なる配列を有する4n個のUMIを含む。4n個のUMIから選択されたランダム試料は、rUMIを構成する。
【0523】
いくつかの実施形態では、UMIのライブラリは、擬似ランダム又は部分的にランダムであり、nrUMIとrUMIとの混合物を含み得る。
【0524】
いくつかの実施形態では、アダプター配列又は他のヌクレオチド配列は、UMIと挿入DNAとの間に存在してもよい。
【0525】
いくつかの実施形態では、アダプター配列又は他のヌクレオチド配列は、各UMIと挿入DNAとの間に存在してもよい。
【0526】
いくつかの実施形態では、UMIは、挿入DNAの3’に位置する。いくつかの実施形態では、1つ以上のアダプター配列を表す核酸の配列は、UMIと挿入DNAとの間に位置してもよい。
【0527】
いくつかの実施形態では、UMIは、合成されたcDNAの第1の鎖上にある。いくつかの実施形態では、UMIの第1のコピーは、合成されたcDNAの第1の鎖上にあり、UMIの第2のコピー(すなわち、その相補体)は、合成されたcDNAの第2の鎖上にある。
【0528】
D.タグメンテーション後に1つ以上のアダプターを組み込むためのプライマー
いくつかの実施形態では、プライマーは、1つ以上のアダプター配列を組み込むために、BLTに対するタグメンテーション後にハイブリダイズされる。いくつかの実施形態では、このプライマーは、配列決定アダプター配列と、トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列と、を含む。いくつかの実施形態では、プライマーは、第1の鎖合成プライマーに含まれる配列決定アダプターとは異なる配列決定アダプター配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の鎖合成プライマーの配列は、タグメンテーション後に使用されるプライマーの配列とは異なる。
【0529】
いくつかの実施形態では、タグメンテーション後にハイブリダイズしたプライマーは、第1のトランスポゾン中の配列に対して完全に相補的ではない。言い換えれば、BLTに固定化された断片へのプライマーのハイブリダイゼーションは、「Y型アダプター」又は「フォーク型アダプター」様構造を生成する。
【0530】
いくつかの実施形態では、タグメンテーション後にハイブリダイズしたプライマーは、第1のトランスポゾンに含まれる配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を含む。いくつかの実施形態では、タグメンテーション後にハイブリダイズしたプライマーは、第1のトランスポゾンに含まれるモザイク末端(mosaic end、ME)配列(又はその相補体)に対して完全に又は部分的に相補的である配列を含む。いくつかの実施形態では、タグメンテーション後にハイブリダイズしたプライマーは、第1のトランスポゾンに含まれない配列を含む。
【0531】
いくつかの実施形態では、非転移鎖中のME’配列は、第1のトランスポゾン中に含まれる配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を含むプライマーをハイブリダイズする前に、断片から解離される。いくつかの実施形態では、トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列は、トランスポゾン末端配列よりも短い。そのような実施形態は、図19に短縮されたME’として示されている。いくつかの実施形態では、トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列がトランスポゾン末端配列よりも短い(すなわち、短縮されたME’配列が使用される)場合、より少ないアダプターダイマーが生成される。
【0532】
いくつかの実施形態では、第2のトランスポゾンは、タグメンテーション後のME配列からのME’配列の解離を容易にするために、より短いME’を含む。いくつかの実施形態では、短縮されたME’配列は、非転移ME’配列を異なるオリゴヌクレオチド(プライマーなど)と交換するのに有用である。いくつかの実施形態では、短縮されたME’配列はまた、平滑末端ライゲーションの発生を低減し得る。
【0533】
E.ハイブリダイゼーション配列
いくつかの実施形態では、ビーズは、溶液中でトランスポソームに結合するために使用され得るオリゴヌクレオチドを含む。このようにして、ビーズは、「活性化可能なBLT」であり得、使用者はBLTの生成のタイミングを制御する。
【0534】
いくつかの実施形態では、ビーズは、ハイブリダイゼーション配列を含むオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、トランスポソーム複合体に含まれる配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列に結合する。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、トランスポソームに含まれる第2のトランスポゾンに結合し、溶液からのトランスポソームは、第2のトランスポゾンに含まれる配列に対して完全に又は部分的に相補的であるハイブリダイゼーション配列を介して結合され得る(BLTを形成するため)。
【0535】
F.ビーズコード
所与のcDNAの3’断片は、(上に記載されるように)UMI配列を組み込むことができる。このようにして、所与のcDNAから生成された3’断片中のUMI配列を使用して、このcDNAを生成される他のものと区別することができる。所与のcDNAから生成されたこの3’断片(図15に示される)又はDNA:RNA二重鎖はまた、タグメンテーションの間に組み込まれたビーズコードを含む。このようにして、3’断片(UMIを含む)からの配列決定データを、同じビーズ上で生成された他の断片からの配列決定データと一緒に選別して、試料から出発RNAの完全配列を生成することができる。言い換えれば、完全長RNA転写物から生成されたcDNAは、単一のビーズによってタグメンテーションされ、これは、同一のビーズコード配列を有する元の完全長RNA由来のcDNAの全てのセグメントをタグメンテーションする。いくつかの実施形態では、所与のビーズ上の単一のcDNAを断片化することにより、全ての断片を元の転写物並びに逆転写中に導入されたUMIに戻して連結することが可能になる。したがって、この方法は、固有のRNA分子に関するデータを提供することができる。
【0536】
所定のcDNAの全ての断片は、一般に、同じBLT上で生成されるが、このBLTはまた、それに結合する他のcDNAから断片を生成し得る。言い換えれば、元の試料中の異なるRNAに由来する断片は、同じビーズコードを有し得る。しかしながら、配列アラインメントを使用して、所与のビーズ上のどの断片が所与の配列に由来するかを同定することができる。
【0537】
IV.対称タグメンテーション後にRNA又はDNAライブラリを調製する追加の方法
配列決定可能な断片を生成するためのいくつかの異なる方式が、BLTに対する対称タグメンテーションの後に使用され得る。これらの方法は、本明細書に記載されるプロトコルのうちのいずれかと組み合わされ得る。いくつかの例示的な方法が、その全体が本明細書に組み込まれる、米国仮出願第63/168,802号に開示されている。
【0538】
いくつかの実施形態では、方法は、DNA又はDNA:RNA二重鎖のタグメンテーションの後に、トランスポソーム複合体から二本鎖標的核酸断片を放出することと、アダプター配列、及び第1の3’末端トランスポゾン配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を含むポリヌクレオチドをハイブリダイズすることであって、ポリヌクレオチドに含まれるアダプター配列が、トランスポソーム複合体に含まれるアダプター配列とは異なる、ハイブリダイズすることと、任意選択で、二本鎖標的核酸断片の第2の鎖を伸長することと、任意選択で、ポリヌクレオチド又は伸長したポリヌクレオチドを二本鎖標的核酸断片とライゲーションすることと、二本鎖標的核酸断片を産生することと、を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、UMIを更に含む。いくつかの実施形態では、断片は、UMIを含み、UMIは、挿入DNAの3’末端に直接隣接して位置する。
【0539】
いくつかの実施形態では、方法は、DNA又はDNA:RNA二重鎖のタグメンテーションの後に、トランスポソーム複合体から二本鎖標的核酸断片を放出することと、第1のポリヌクレオチドアダプター配列をハイブリダイズすることであって、第1のトランスポゾン内のアダプターが、第1のポリヌクレオチド内のアダプターとは異なる、ハイブリダイズすることと、任意選択で、第1のポリヌクレオチドに対して相補的である領域を含む第2のポリヌクレオチドを付加して、二本鎖アダプターを産生することと、任意選択で、二本鎖標的核酸断片の第2の鎖を伸長することと、任意選択で、二本鎖アダプターを二本鎖標的核酸断片とライゲーションすることと、二本鎖標的核酸断片を産生することと、を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリヌクレオチドは、UMIを更に含む。いくつかの実施形態では、断片は、UMIを含み、UMIは、二本鎖標的核酸断片と第1のポリヌクレオチド由来のアダプター配列との間に位置する。
【0540】
いくつかの実施形態では、断片は、一方の鎖の5’末端において第1のトランスポゾンからの第1のリード配列アダプター配列でタグ付けされ、他方の鎖の5’末端において第1のポリヌクレオチドからの第2のリード配列アダプター配列でタグ付けされる。
【0541】
V.ライブラリ調製のためのタグメンテーションによる鎖特異的cDNA調製の調製方法(PRESS-BLT)
いくつかの実施形態では、鎖特異的cDNA調製の方法は、ライブラリを調製するためにタグメンテーションと組み合わされる。プライマー伸長鎖特異的BLTアプローチ(PRESS-BLT)は、図17及び図18に示されるように、cDNA合成、BLT形成、及びライブラリ調製を含む鎖特異的方法を記載するために使用され得る。
【0542】
いくつかの実施形態では、PRESS-BLTを介してRNAから一本鎖DNAの鎖特異的ライブラリを調製する方法は、DNA依存性DNA合成を阻害する条件下で、逆転写酵素、プライマー、及びdTTPを含むヌクレオチドを使用して、試料中に含まれるRNAからcDNAの第1の鎖を調製することと、DNAポリメラーゼ、プライマー、及びdUTPを含むヌクレオチドを使用して、cDNAの第1の鎖からcDNAの第2の鎖を調製して、二本鎖cDNAを調製することと、二本鎖cDNAを、トランスポソーム複合体が上に固定化された固体支持体に適用することであって、各トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及び第1のリード配列決定アダプター配列を含む3’部分を含む第1のトランスポゾンであって、トランスポソーム複合体を固体支持体に固定化するための5’親和性エレメントを含む、第1のトランスポゾンと、トランスポゾン末端配列に対して完全に又は部分的に相補的である配列を含む第2のトランスポゾン配列と、を含む、適用することと、トランスポソーム複合体を用いて二本鎖DNAを断片化して、第1のリード配列決定アダプター配列を含むタグ付き二本鎖DNA断片を調製することと、第2のトランスポゾンを除去し、ギャップ充填及び伸長を行うことと、二本鎖DNA断片の鎖を分離することと、第2リード配列決定アダプター配列を含むプライマーを、トランスポゾン末端配列又はトランスポゾン末端配列に対して完全若しくは部分的に相補的である配列にハイブリダイズし、増幅して、固体支持体に結合しておらず、かつ第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含むDNA鎖を調製することと、増幅によって生成される鎖を固体支持体から放出することであって、放出することが、第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む一本鎖DNA断片を放出することと、を含む、方法。
【0543】
いくつかの実施形態では、DNA依存性DNA合成を阻害する条件は、アクチノマイシンDを含む緩衝液の存在である。いくつかの実施形態では、プライマーは、1つ以上のランダマープライマーである。いくつかの実施形態では、プライマーは、ランダマープライマーとポリTプライマーとの混合物である。いくつかの実施形態では、cDNAの第2の鎖を調製するためのプライマーは、cDNAの第1の鎖を調製するためのプライマーと同じである。いくつかの実施形態では、RNAは、長い非コードRNA又はアンチセンス転写物である。
【0544】
いくつかの実施形態では、増幅は、ウラシル不耐性ポリメラーゼを用いて行われる。いくつかの実施形態では、増幅は、ウラシルを含むDNA鎖から増幅しない。
【0545】
いくつかの実施形態では、固有分子識別子(UMI)は、第2のリード配列決定アダプター配列を含むプライマーに含まれる。いくつかの実施形態では、UMIは、第2のリード配列決定アダプター配列と、トランスポゾン末端配列に結合することができる配列又はトランスポゾン末端配列に対して完全に若しくは部分的に相補的である配列との間に位置する。いくつかの実施形態では、UMIは、第1のトランスポゾンに含まれる。いくつかの実施形態では、UMIは、トランスポゾン末端配列と第1のリード配列決定アダプター配列との間に位置する。
【0546】
いくつかの実施形態では、得られたライブラリ中の異なる断片は、異なるUMIを含む。いくつかの実施形態では、RNAは、異なるRNAのプールを含み、第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む一本鎖断片は、異なる断片のプールを含み、各断片は、異なる断片のプールに含まれる他の断片とは異なるUMIを含む。
【0547】
PRESS-BLT法では、ある範囲の異なる親和性エレメントを使用することができる。いくつかの実施形態では、親和性エレメントは、ビオチン又はデスチオビオチンであり、固体支持体は、その表面上にストレプトアビジン又はアビジンを含む。いくつかの実施形態では、親和性エレメントは、図19に記載されるように、二重ビオチンである。
【0548】
増幅によって生成される鎖を固体支持体から放出することは、いくつかの方式で行うことができる。いくつかの実施形態では、放出は、熱又は水酸化ナトリウム処理を用いて行われる。いくつかの実施形態では、第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む一本鎖断片は、放出の後に固体支持体から分割される。
【0549】
いくつかの実施形態では、方法は、放出の後に、第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む一本鎖DNA断片を用いてインデックスプライマー増幅を行って、インデックス付き断片を調製することを更に含む。このようなインデックスプライマー増幅は、配列決定データのインデックス付けのために当該技術分野で周知である。いくつかの実施形態では、インデックスプライマー増幅は、固体支持体とは別の反応容器中で行われる。
【0550】
いくつかの実施形態では、インデックスプライマー増幅は、ウラシル不耐性ポリメラーゼを用いて行われる。このようにして、cDNAの第2の鎖は、それらがウラシルを含む場合、増幅されない。
【0551】
いくつかの実施形態では、方法は、第1のリード配列決定アダプター及び第2のリード配列決定アダプターを含む一本鎖DNA断片又はインデックス付き断片を配列決定することを更に含む。いくつかの実施形態では、配列決定データは、RNAから生成されたcDNAの第1の鎖から生成される。いくつかの実施形態では、配列決定データは、RNAから生成されたcDNAの第2の鎖から生成されない。いくつかの実施形態では、方法は、ライゲーションを必要としない。
【0552】
PRESS-BLTは、mRNA分析にいくつかの利点を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、RNA中の重複配列の境界を画する。いくつかの実施形態では、方法は、転写物発現の推定を可能にする。いくつかの実施形態では、転写物発現の推定は、UMIの分析に基づく。PRESS-BLTの一般的な概要は、それが、鎖特異的cDNA合成、BLTによる対称タグメンテーション、及びライブラリ断片を調製するためのプライマー伸長の工程を含むことである。
【0553】
A.PRESS-BLTにおける鎖特異的cDNA合成
いくつかの実施形態は、全RNAは、逆転写酵素、ランダムプライマー、ヌクレオシド三リン酸、及びアクチノマイシンDを含むFSA緩衝液を使用して、第1の鎖cDNAにコピーされる。いくつかの実施形態では、アクチノマイシンDは、DNA依存性DNA合成を特異的に阻害し、鎖特異性を改善する。鎖特異的cDNA合成の代表的な方法を図17に示す。
【0554】
このような鎖特異的cDNA合成は、PRESS-BLT法内で使用され得るが、またライブラリ調製の他の方法とともに使用され得る。
【0555】
B.PRESS-BLTにおける使用のためのBLT
いくつかの実施形態では、鎖特異的プロトコルを使用して調製された二本鎖cDNAは、次いで、タグ付き二本鎖DNA断片を生成するためにタグメンテーションされる。
【0556】
いくつかの実施形態では、PRESS-BLT法におけるタグメンテーションは、対称タグメンテーションであり、全てのトランスポソーム複合体は、同じアダプター配列を含む第1のトランスポゾンを含む。いくつかの実施形態では、対称タグメンテーションを使用する方法は、2つ以上の種類のトランスポソーム複合体がタグメンテーションに使用される非対称タグメンテーション工程と比較して、配列決定可能な断片(すなわち、断片の各末端に異なる配列決定アダプター配列を有する各断片)の収量を増加させる。
【0557】
いくつかの実施形態では、cDNAは、断片が両方の鎖の5’末端に同じタグを組み込むようにタグメンテーションされる。いくつかの実施形態では、タグメンテーションによって生成されたタグ付き二本鎖cDNA断片は、断片の両方の末端に同じタグを有する。いくつかの実施形態では、cDNAは、単一の配列決定アダプター配列を含むタグでタグメンテーションされる。いくつかの実施形態では、配列決定アダプター配列は、A14又はB15である。
【0558】
C.PRESS-BLTにおけるプライマー伸長
いくつかの実施形態では、(第2のトランスポゾンからの)非転移ME’配列は、タグメンテーション後にPCR伸長によって融解され、ギャップ充填される。いくつかの実施形態では、ME’配列は、反応の温度を上昇させることによって除去される。方法のこれらの工程を図18に概説する。
【0559】
いくつかの実施形態では、ギャップ充填は、非転移ME’配列が除去された後に行われる。いくつかの実施形態では、プライマーは、ギャップ充填されたME’配列にアニーリングされる。いくつかの実施形態では、このプライマーは、伸長のために使用され、伸長プライマーと称され得る。いくつかの実施形態では、伸長プライマーは、ME配列を含む。いくつかの実施形態では、伸長プライマーに含まれるME配列は、ギャップ充填されたME’配列にハイブリダイズする。
【0560】
いくつかの実施形態では、伸長プライマーはまた、配列決定アダプター配列を含む。いくつかの実施形態では、伸長プライマーに含まれる配列アダプター配列は、トランスポソーム複合体に含まれなかった。いくつかの実施形態では、伸長プライマーによる伸長は、二本鎖断片の各末端に異なる配列決定アダプター配列を含む断片を生成する。
【0561】
いくつかの実施形態では、ウラシル不耐性DNAは、プライマー伸長に使用される。いくつかの実施形態では、プライマー伸長は、cDNAの第1の鎖からのみ生じる。いくつかの実施形態では、cDNAの第2の鎖は、上に記載される鎖特異的cDNA調製物に基づいて、それがウラシルを含むため伸長されない。
【0562】
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体がA14配列(又はその相補体)を含む場合、伸長プライマーは、B15(又はその相補体)を含む。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体がB15配列(又はその相補体)を含む場合、伸長は、A14(又はその相補体)を含む。これらの代表的な例では、A14及び15は、例示的な配列決定アダプター配列を表すのみであり、本方法は、このようなアダプター配列に限定されない。目的の対になったアダプター配列の任意のセットは、トランスポソーム複合体及び伸長プライマーにおいて使用され得、当業者は、配列決定が異なるプラットフォーム上でどのように行われるか、及びそのようなプラットフォームが経時的に進化し得ることを十分に承知している。
【0563】
いくつかの実施形態では、伸長プライマーは、UMIを含む。いくつかの実施形態では、UMIは、PCR増幅によって産生されるコピーに対して固有のmRNA転写物をマークする。言い換えれば、任意の下流増幅工程からの同じcDNA(例えば、単一のmRNA転写物に由来する)からのアンプリコンコピーは、同じUMIを含む。このようにして、配列決定結果の分析は、同じmRNAから生成された断片の複数のコピーを同定し得る。
【0564】
図19に示されるように、ある特定の修飾トランスポゾンは、PRESS-BLTの結果を改善し得る。これらの修飾はまた、本明細書に記載される他の方法において有用であり得る。いくつかの実施形態では、二重ビオチンは、トランスポゾン配列をビーズに固定化して、BLTを生成するために使用される。いくつかの実施形態では、二重ビオチンは、ビオチンと比較して、ストレプトアビジンに対してより強い親和性を有し、これは、BLTからのトランスポソームの結合及び放出を改善する。そのような修飾は、本明細書に記載される任意の他の方法とともに、PRESS-BLT方法において使用され得る。
【0565】
VI.ビーズ連結トランスポソームを使用するRNA及びDNA配列決定ライブラリの調製方法
いくつかの実施形態では、方法は、RNA及びDNAを含む試料を適用することを含む。これらの方法は、RNA配列決定ライブラリを使用するために列挙された方法と類似の構成要素を用いて行われ得る。図2図18に示され、本明細書に記載されるRNA配列決定のための方法のうちのいずれかは、同じ試料からRNA及びDNA配列決定ライブラリを調製する場合に使用され得る。図22図28はまた、RNAが、方法の間に、DNA:RNA二重鎖又は二本鎖DNAに変換され得る例示的な方法を示す。
【0566】
いくつかの実施形態では、本方法は、タグメンテーションに基づくライブラリ調製により、全核酸(total nucleic acid、TNA)試料のRNAに由来する試料及びDNAに由来する試料の配列決定を解決することができる。いくつかの実施形態では、方法は、単一の反応容器がRNA及びDNAライブラリを生成することを可能にする。
【0567】
いくつかの実施形態では、方法は、配列決定された断片の起源であった核酸の鎖を区別することができる「指向性」ライブラリ調製を可能にする。
【0568】
いくつかの実施形態では、異なる方法の態様を組み合わせて、「鎖」RNA及びDNAタグメンテーションベースの配列決定ライブラリを生成することができる。
【0569】
いくつかの実施形態では、DNA及びRNA配列決定ライブラリは、単一の試料反応から生成され得る。いくつかの実施形態では、DNA及びRNA配列決定ライブラリは、単一の反応容器中で生成され得る。いくつかの実施形態では、本方法は、ゲノム及びトランスクリプトーム又は他の情報を1つの反応で捕捉することができ、これは、マルチオミクスアッセイと称され得る。
【0570】
様々な方法が、RNA及びDNAを含む試料を用いて使用され得、同じ試料からのRNA及びDNA配列決定ライブラリの調製を可能にする。いくつかの実施形態では、これらの方法は、RNA-BLTによるDNAのタグメンテーションを回避する。代わりに、RNA及びDNAを含む試料中のRNAは、DNA:RNA二重鎖断片化のために設計されたBLT(RNA BLT)によってタグメンテーションされ、試料中のDNAは、DNA断片化のために設計されたBLT(DNA BLT)によってタグメンテーションされる。
【0571】
図21は、これらの方法における課題、すなわち、DNA自体が、RNA BLT上に存在するであろうトランスポソームに結合することができることを提示する。本出願は、RNA BLTによるDNA:RNA二重鎖のタグメンテーションを特定するためのいくつかの方法を記載する。これらの方法は、RNA BLTによるDNAのタグメンテーションを回避する。図22図28は、DNA BLTによるDNAのタグメンテーション(DNA特異的バーコードを組み込むためなど)及びRNA BLTによってRNAから調製されたDNA:RNA二重鎖又は二本鎖DNAのタグメンテーション(RNA特異的バーコードを組み込むためなど)を可能にする例示的なワークフローを提供する。
【0572】
いくつかの実施形態では、第1のタグ及び第2のタグは異なる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のタグは、RNA配列決定ライブラリの断片をDNA配列決定ライブラリの断片から区別することを可能にする。いくつかの実施形態では、DNA BLTによる断片化を同定するためのインデックスは、「iDNA」又はDNA BLTを識別するインデックスと称される(図21を参照されたい)。いくつかの実施形態では、RNA BLTによる断片化を同定するためのインデックスは、「iRNA」又はRNA BLTを同定するインデックスと称される(図21を参照されたい)。
【0573】
そのようなワークフローの課題は、二本鎖DNA基質をRNA BLTではなくDNA BLTのみに導くことである。図21は、DNA分子が、トランスポソーム複合体に直接結合する能力により、RNA BLTに対する親和性を有することを要約する。本方法は、試料がRNA及びDNAの両方を含む場合に、RNA断片化をRNA BLTに、及びDNA断片化をDNA BLTに効率的に導くための様々な方式を記載する。
【0574】
A.3つのビーズを使用する方法
いくつかの実施形態では、RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法は、3つのビーズを使用する。3つのビーズを用いた例示的な方法を図24に示す。いくつかの実施形態では、これらの3つのビーズは、RNA BLT、DNA BLT、及び「RNA捕捉ビーズ」であり得る。RNA捕捉ビーズは、RNAタグメンテーションをもたらすことなく(すなわち、RNA捕捉ビーズは活性トランスポソーム複合体を欠く)、RNAを捕捉するためのポリT捕捉オリゴヌクレオチド又は別の薬剤を含み得る。DNAタグメンテーション及びRNA捕捉ビーズによるRNAの捕捉の後、RNAは、RNA捕捉ビーズからRNA BLTに転移される。
【0575】
いくつかの実施形態では、RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法は、
RNA及びDNAを含む試料を、DNAを固定化するための第1の固体支持体であって、その上に固定化された第1のトランスポソーム複合体を含み、第1のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、第1のポリヌクレオチドと、を含み、第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、任意選択で第1のタグと、を含む、第1の固体支持体と、
その上に固定化された第1の捕捉オリゴヌクレオチドを有する第2の固体支持体と、に適用することであって、
試料は、DNAが第1の固体支持体上の第1のトランスポソーム複合体に結合し、断片化され、任意選択で、タグ付けされ、RNAが第2の固体支持体上の第1の捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、第1及び第2の固体支持体の混合物に適用される、適用することと、
第2の固体支持体に結合したRNAを、第3の固体支持体に転移させることであって、第3の固体支持体が、その上に固定化された、転移されたRNAに結合する第2の捕捉オリゴヌクレオチドと、第2のトランスポソーム複合体とを有し、第2のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、第2のポリヌクレオチドと、を含み、第2のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第2のタグと、含む、転移させることと、
cDNAを合成し、第2の捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、
DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、第2のトランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖を断片化して、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む。いくつかの実施形態では、一方の鎖の5’末端は、RNA鎖の5’末端である。いくつかの実施形態では、一方の鎖の5’末端は、DNA鎖の5’末端である。
【0576】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の捕捉オリゴヌクレオチドは、ポリT配列を含む。いくつかの実施形態では、RNAは、第1及び/又は第2の捕捉オリゴヌクレオチドのうちの1つ以上の少なくとも部分に対して相補的である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のトランスポソーム複合体は、第1及び/又は第2のポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される。いくつかの実施形態では、方法は、試料を固体支持体に適用した後に固体支持体を洗浄して、あらゆる未結合のDNA又はRNAを除去することを更に含む。
【0577】
B.2つのビーズ:機能的トランスポソームを欠くDNA BLT及びRNAビーズを使用する方法
いくつかの実施形態では、RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法は、2つの固体支持体を使用する。いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズである。いくつかの実施形態では、2つのビーズは、DNA BLT及び「裸の」RNAビーズである。本明細書で使用される場合、「裸の」BLTは、トランスポソーム複合体を連結することができるが、連結された活性トランスポソーム複合体を有さないビーズを指す。例えば、トランスポソーム複合体は、トランスポソーム複合体の活性に必要なトランスポザーゼ又は別の必須構成要素を欠いていてもよい。したがって、「裸の」BLTは、断片化を可能にするために、更なる構成要素が後の工程中に付加されることを可能にする。「裸の」RNA BLTの使用は、RNA断片化のタイミングの制御を可能にする。
【0578】
いくつかの実施形態では、DNAを固定化するための第1の固体支持体は、その上に固定化された第1のトランスポソーム複合体を含み、第1のトランスポソーム複合体は、トランスポザーゼと、第1のポリヌクレオチドと、を含み、第1のポリヌクレオチドは、トランスポゾン末端配列を含む3’部分を含む。いくつかの実施形態では、第1の固体支持体は、第1のタグを更に含む。
【0579】
いくつかの実施形態では、第2の固体支持体は、その上に固定化された捕捉オリゴヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチドを有し、第2のポリヌクレオチドは、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第2のタグと、を含む。いくつかの実施形態では、第2のタグは、RNA特異的バーコードを含む。
【0580】
いくつかの実施形態では、RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法は、
RNA及びDNAを含む試料を、DNAを固定化するための第1の固体支持体であって、その上に固定化された第1のトランスポソーム複合体を含み、第1のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、第1のポリヌクレオチドと、を含み、第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、任意選択で第1のタグと、を含む、第1の固体支持体と、
捕捉オリゴヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチドが上に固定化された第2の固体支持体であって、第2のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第2のタグと、を含む、第2の固体支持体と、に適用することであって、試料は、DNAが第1の固体支持体上の第1のトランスポソーム複合体に結合し、断片化され、任意選択で、タグ付けされ、RNAが第2の固体支持体上の捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、第1及び第2の固体支持体の混合物に適用される、適用することと、
トランスポザーゼを、トランスポザーゼが第2のポリヌクレオチドに結合して、第2の固体支持体上にトランスポソーム複合体を形成する条件下で、付加することと、
cDNAを合成し、第2の捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、
DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、第2のトランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖を断片化して、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む。いくつかの実施形態では、一方の鎖の5’末端は、RNA鎖の5’末端である。いくつかの実施形態では、一方の鎖の5’末端は、DNA鎖の5’末端である。
【0581】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の捕捉オリゴヌクレオチドは、ポリT配列を含む。いくつかの実施形態では、RNAは、第1及び/又は第2の捕捉オリゴヌクレオチドのうちの1つ以上の少なくとも部分に対して相補的である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のトランスポソーム複合体は、第1及び/又は第2のポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される。いくつかの実施形態では、方法は、試料を固体支持体に適用した後に固体支持体を洗浄して、あらゆる未結合のDNA又はRNAを除去することを更に含む。
【0582】
C.2つのビーズ:DNA BLT及び不活性化RNA BLTを使用する方法
いくつかの実施形態では、RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法は、2つの固体支持体を使用する。いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズである。いくつかの実施形態では、2つのビーズは、DNA BLT及び「不活性化」RNA BLTである。本明細書で使用される場合、「不活性化」RNA BLTは、可逆的に不活性化されたRNA BLTを指す。したがって、「不活性化」RNA BLTは、断片化を可能にするための後の工程中の活性化を可能にする。したがって、「不活性化」RNAビーズの使用は、RNA断片化のタイミングの制御を可能にする。
【0583】
いくつかの実施形態では、RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法は、
RNA及びDNAを含む試料を、DNAを固定化するための第1の固体支持体であって、その上に固定化された第1のトランスポソーム複合体を含み、第1のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、第1のポリヌクレオチドと、を含み、第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、任意選択で第1のタグと、を含む、第1の固体支持体と、可逆的に不活性化される捕捉オリゴヌクレオチド及び第2のトランスポソーム複合体が上に固定化されたRNAを固定化するための第2の固体支持体であって、トランスポソーム複合体が、第2のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを含み、第2のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第2のタグと、を含む、第2の固体支持体と、に適用することであって、試料は、DNAが第1の固体支持体上の第1のトランスポソーム複合体に結合し、断片化され、任意選択で、タグ付けされ、RNAが第2の固体支持体上の捕捉オリゴヌクレオチドに結合する条件下で、第1及び第2の固体支持体の混合物に適用される、適用することと、
cDNAを合成し、第2の捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、
第2のトランスポソーム複合体を活性化することと、
DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、活性化された第2のトランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖を断片化して、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む。いくつかの実施形態では、一方の鎖の5’末端は、RNA鎖の5’末端である。いくつかの実施形態では、一方の鎖の5’末端は、DNA鎖の5’末端である。
【0584】
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、トランスポソーム複合体に結合したトランスポソーム不活性化剤によって可逆的に不活性化される。いくつかの実施形態では、トランスポソーム不活性化剤は、トランスポソーム複合体のTn5結合部位に結合される。いくつかの実施形態では、トランスポソーム不活性化剤は、脱リン酸化ME’、余分な塩基、阻害剤二重鎖、及び/又は易熱性抗体を含む。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、トランスポソーム不活性化剤の除去によって活性化される。
【0585】
いくつかの実施形態では、捕捉プローブは、ポリT配列を含む。いくつかの実施形態ではRNAは、捕捉オリゴヌクレオチドの1つ以上の少なくとも部分に対して相補的である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のトランスポソーム複合体は、第1及び/又は第2のポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される。いくつかの実施形態では、方法は、試料を適用した後に固体支持体を洗浄して、あらゆる未結合のDNA又はRNAを除去することを更に含む。
【0586】
D.DNA及びRNAの連続固定化を伴う2つのビーズを使用する方法
いくつかの実施形態では、RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法は、2つの固体支持体を使用する。いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズである。いくつかの実施形態では、試料中のDNA及びRNAは、別個の固体支持体上に連続的に固定化される。
【0587】
いくつかの実施形態では、RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法は、RNA及びDNAを含む試料を、DNAを固定化するための第1の固体支持体に適用することであって、第1の固体支持体が、その上に固定化された第1のトランスポソーム複合体を含み、第1のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、第1のポリヌクレオチドと、を含み、第1のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、任意選択で第1のタグと、を含み、試料は、DNAが第1の固体支持体上の第1のトランスポソーム複合体に結合し、断片化され、任意選択でタグ付けされる条件下で適用される、適用することと、
結合したDNAを有する第1の固体支持体をRNAから分離することと、
捕捉オリゴヌクレオチド及び第2のトランスポソーム複合体が上に固定化されたRNAを固定化するための第2の固体支持体にRNAを適用することであって、第2のトランスポソーム複合体が、第2のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを含み、第2のポリヌクレオチドが、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第2のタグと、を含み、RNAが、第2の固体支持体上の捕捉オリゴヌクレオチドに結合する、適用することと、
cDNAを合成し、第2の捕捉オリゴヌクレオチド上に固定化されたDNA:RNA二重鎖を生成する条件下で、逆転写酵素ポリメラーゼを付加することと、
DNA:RNA二重鎖が一方の鎖の5’末端上にタグ付けされる条件下で、活性化された第2のトランスポソーム複合体を用いてDNA:RNA二重鎖を断片化して、それによって、DNA:RNA断片の固定化ライブラリを産生することであって、少なくとも1つの鎖が、第1のタグで5’タグ付けされている、産生することと、を含む。いくつかの実施形態では、一方の鎖の5’末端は、RNA鎖の5’末端である。いくつかの実施形態では、一方の鎖の5’末端は、DNA鎖の5’末端である。
【0588】
いくつかの実施形態では、捕捉プローブは、ポリT配列を含む。いくつかの実施形態ではRNAは、捕捉オリゴヌクレオチドの1つ以上の少なくとも部分に対して相補的である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のトランスポソーム複合体は、第1及び/又は第2のポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される。いくつかの実施形態では、方法は、RNAを適用する工程の後に固体支持体を洗浄して、あらゆる未結合のRNAを除去することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、結合したDNAを有する第1の固体支持体を、タグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリと再度組み合わせることを更に含む。
【0589】
E.DNA及びRNAの連続固定化並びに二本鎖cDNAの調製を伴う2つのビーズを使用する方法
いくつかの実施形態では、RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法は、2つの固体支持体を使用する。いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズである。いくつかの実施形態では、RNAから生成されたDNA及び二本鎖cDNA(ds-cDNA)は、別個の固体支持体上に連続的に固定化される。
【0590】
いくつかの実施形態では、タグ付き断片が、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含む、RNA及びDNAを含む試料からタグ付き断片の固定化ライブラリを調製する方法は、DNAを固定化するために、RNA及びDNAを含む試料を、第1の固体支持体と組み合わせることであって、第1の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びDNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、DNAを固定化することと、第1の固体支持体上でタグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することと、RNAから二本鎖cDNAを調製することと、cDNAを固定化するために、試料を第2の固体支持体と組み合わせることであって、第2の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びRNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、cDNAを固定化し、第2の固体支持体上でタグメンテーションを行って、RNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することと、を含む。
【0591】
いくつかの実施形態では、ds-cDNAは、溶液中で生成される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の固体支持体は、第2の固体支持体上でタグメンテーションを行った後に組み合わされ、各固体支持体は、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含む固定化タグ付き断片を有する。
【0592】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の固体支持体上でタグメンテーションを行った後、及びRNAから二本鎖cDNAを調製する前に、試料の残りからのDNA特異的バーコードを含む固定化タグ付き断片を有する第1の固体支持体を分割することを含む。
【0593】
いくつかの実施形態では、方法は、DNAを固定化した後、及び第1の固体支持体上でタグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製する前に、固定化DNAを有する第1の固体支持体を試料の残りから分割することを含む。
【0594】
いくつかの実施形態では、RNAから二本鎖cDNAを調製することは、鋳型スイッチングによって行われる。
【0595】
F.DNA及びRNAの連続固定化並びにDNA:RNA二重鎖の調製を伴う2つのビーズを使用する方法
いくつかの実施形態では、RNA及びDNAを含む試料からタグ付きDNA:RNA断片の固定化ライブラリを調製する方法は、2つの固体支持体を使用する。いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズである。いくつかの実施形態では、RNAから生成されたDNA及びDNA:RNA二重鎖は、別個の固体支持体上に連続的に固定化される。
【0596】
いくつかの実施形態では、タグ付き断片が、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含む、RNA及びDNAを含む試料からタグ付き断片の固定化ライブラリを調製する方法は、DNAを固定化するために、RNA及びDNAを含む試料を、第1の固体支持体と組み合わせることであって、第1の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びDNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、DNAを固定化することと、第1の固体支持体上でタグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することと、RNAからcDNAの一本鎖を調製して、DNA:RNA二重鎖を産生することと、DNA:二重鎖を固定化するために、試料を第2の固体支持体と組み合わせることであって、第2の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、トランスポソーム複合体が、DNA:RNA二重鎖に対する活性を有するトランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びRNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、DNA:RNA二重鎖を固定化し、第2の固体支持体上でタグメンテーションを行って、RNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することと、を含む。
【0597】
いくつかの実施形態では、方法は、第2の固体支持体上でタグメンテーションを行った後に、第1及び第2の固体支持体を組み合わせることを更に含み、各固体支持体は、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含む固定化タグ付き断片を有する。
【0598】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の固体支持体上でタグメンテーションを行った後、及びRNAからcDNAの一本鎖を調製して、DNA:RNA二重鎖を産生する前に、試料の残りからのDNA特異的バーコードを含む固定化タグ付き断片を有する第1の固体支持体を分割することを更に含む。
【0599】
いくつかの実施形態では、方法は、DNAを固定化した後、及び第1の固体支持体上でタグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製する前に、固定化DNAを有する第1の固体支持体を試料の残りから分割することを更に含む。
【0600】
いくつかの実施形態では、DNA:RNA二重鎖は、溶液中で生成される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の固体支持体は、第2の固体支持体上でタグメンテーションを行った後に組み合わされ、各固体支持体は、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含む固定化タグ付き断片を有する。
【0601】
G.2つのビーズを使用する方法:DNA BLT及び液相cDNAを用いるDNAタグメンテーション又はDNA:RNA二重鎖タグメンテーション
いくつかの実施形態では、試料中のDNAは、DNA BLTを使用してタグメンテーションされ得、次いで、RNAから調製された二本鎖cDNA又はDNA:RNA二重鎖は、溶液中でタグメンテーションされる。言い換えれば、cDNA又はDNA:RNA二重鎖は、タグ付きDNA断片を調製した後に液相トランスポソーム複合体と反応し得る。いくつかの実施形態では、二本鎖cDNA又はDNA:RNA二重鎖のタグメンテーションは、捕捉プローブにハイブリダイズすることができる配列を組み込む。いくつかの実施形態では、cDNA又はDNA:RNA二重鎖から生成されたタグ付き断片は、その表面上に捕捉プローブを含む固体支持体によって結合され得る。
【0602】
いくつかの実施形態では、タグ付き断片が、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含む、RNA及びDNAを含む試料からタグ付き断片の固定化ライブラリを調製する方法は、DNAを固定化するために、RNA及びDNAを含む試料を、第1の固体支持体と組み合わせることであって、第1の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びDNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、DNAを固定化することと、第1の固体支持体上でタグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することと、RNAから二本鎖cDNAを調製することと、溶液中で二本鎖DNAに対してタグメンテーションを行って、二本鎖cDNAのタグ付き断片を調製することであって、溶液中のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列、RNA特異的バーコード、及び捕捉プローブにハイブリダイズする配列を含むトランスポゾンと、を含み、タグ付き断片が、RNA特異的バーコードと、捕捉プローブにハイブリダイズする配列と、を含む、調製することと、試料を、捕捉プローブを含む表面を有する第2の固体支持体と組み合わせることと、第2の固体支持体上に二本鎖cDNAのタグ付き断片を固定化することと、を含む。
【0603】
いくつかの実施形態では、方法は、第2の固体支持体上で二本鎖cDNAのタグ付き断片を固定化した後に、第1及び第2の固体支持体を組み合わせることを更に含み、各固体支持体は、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含む固定化タグ付き断片を有する。
【0604】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の固体支持体上でタグメンテーションを行った後、及びRNAからの二本鎖cDNAの前に、試料の残りからのDNA特異的バーコードを含む固定化タグ付き断片を有する第1の固体支持体を分割することを更に含む。
【0605】
いくつかの実施形態では、方法は、DNAを固定化した後、及び第1の固体支持体上でタグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製する前に、固定化DNAを有する第1の固体支持体を試料の残りから分割することを更に含む。
【0606】
いくつかの実施形態では、タグ付き断片が、DNA特異的バーコード又はRNA特異的バーコードのいずれかを含む、RNA及びDNAを含む試料からタグ付き断片の固定化ライブラリを調製する方法は、DNAを固定化するために、RNA及びDNAを含む試料を、第1の固体支持体と組み合わせることであって、第1の固体支持体が、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含み、トランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列及びDNA特異的バーコードを含むトランスポゾンと、を含む、組み合わせることと、DNAを固定化することと、第1の固体支持体上でタグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを含むタグ付き断片を調製することと、RNAからcDNAの一本鎖を調製して、DNA:RNA二重鎖を産生することと、溶液中でDNA:RNA二重鎖に対してタグメンテーションを行って、DNA:RNA二重鎖のタグ付き断片を調製することであって、溶液中のトランスポソーム複合体が、トランスポザーゼと、トランスポゾン末端配列、RNA特異的バーコード、及び捕捉プローブにハイブリダイズする配列を含むトランスポゾンと、を含み、タグ付き断片が、RNA特異的バーコード及び捕捉プローブにハイブリダイズする配列を含む、調製することと、試料を、捕捉プローブを含む表面を有する第2の固体支持体と組み合わせることと、第2の固体支持体上にDNA:RNA二重鎖のタグ付き断片を固定化することと、を含む。
【0607】
いくつかの実施形態では、捕捉プローブは、核酸を含む。
【実施例
【0608】
実施例
実施例1.捕捉オリゴヌクレオチドを含むBLTを使用するRNA配列決定ライブラリの調製
RNA配列決定ライブラリは、本明細書に記載される方法を使用して、RNAを含む試料由来の完全長全RNAから調製され得る。
【0609】
試料由来のmRNAは、mRNAのポリAテールをビーズ上のポリT捕捉オリゴヌクレオチドに結合させることによって、RNAビーズ連結トランスポソーム(BLT)に固定化することができる。
【0610】
次いで、逆転写酵素をcDNA合成のために使用する。逆転写酵素ポリメラーゼを使用して、ビーズに結合した標的RNAからのDNA:RNA二重鎖を生成する。cDNA合成のための例示的な試薬としては、逆転写酵素、ランダムプライマー、オリゴdTプライマー、dNTP、及び/又はRnase阻害剤が挙げられる。ランダムプライマー及びオリゴdTプライマーの両方が、cDNA合成反応において使用され得る。
【0611】
cDNA合成反応は、42℃で90分間、及び次いで85℃で5分間実行され得る。cDNA合成後に試料を洗浄する必要はない。
【0612】
DNA:RNA二重鎖のタグメンテーションは、次いで、RNA BLTを用いて行われ得る。RNA BLTを生成するために使用され得る様々なBLTが記載されている。DNA:RNA二重鎖のタグメンテーションは、トランスポソームによってビーズに固定化されるDNA:RNA断片を生成するように機能する。
【0613】
BLTのトランスポソーム複合体は、第1のポリヌクレオチドに結合したトランスポザーゼを含み得、第1のポリヌクレオチドは、トランスポゾン末端配列を含む3’部分と、第1のタグと、を含む。このようにして、第1のタグは、DNA:RNA断片の生成中に組み込まれる。
【0614】
断片化後、鎖交換及びギャップ充填ライゲーションを行う。いくつかの実施形態では、第2のタグメンテーション反応を行って、一方の末端が溶液中にある二本鎖DNA断片を生成する。第2のタグメンテーション反応は、第2のタグを組み込み得る。
【0615】
次いで、ライブラリは、チューブ内又はフローセル内で行われ得る更なる方法のために放出され得る。この方法は、mRNAの完全長の配列を提供する方法を可能にする。
【0616】
そのような方法は、溶液中でトランスポソームに結合することができる固定化オリゴヌクレオチドを含む活性化可能なBLTとともに使用することもできる。そのようなビーズは図13に示されており、第2のトランスポゾン中のA’配列は、トランスポソームに結合するために使用される固定化ポリヌクレオチド中の短A配列に結合することができる。固定化オリゴヌクレオチドはまた、図13に示されるように、アダプター(P5配列など)及びビーズコード(BC)を含み得る。
【0617】
実施例2.3つのビーズを使用するマルチオミクス配列決定ライブラリの調製
図24に示されるように、3つのビーズを使用するアプローチを使用して、RNA及びDNAを含む試料からRNA及びDNA配列決定ライブラリを生成することができる。この方法は、RNAに結合することができるがトランスポソームを有さないRNA捕捉ビーズを利用する。
【0618】
この方法では、RNAがRNA捕捉ビーズによって捕捉されている間に、DNA BLTをDNAタグメンテーションに使用することができる。洗浄後、RNAをRNA捕捉ビーズからRNA BLTに転移させる。逆転写後、DNA:RNA二重鎖を断片化し、活性RNA BLTによってタグ付けすることができる。鎖交換及びギャップ充填ライゲーションの後、次いで、RNA及びDNA配列決定ライブラリをそれぞれのBLTから放出することができる。
【0619】
実施例3.活性トランスポソーム複合体を欠くDNA BLT及びRNAビーズを使用するマルチオミクス配列決定ライブラリの調製
図23に示されるように、トランスポザーゼを欠くDNA BLT及びRNA BLT、続いてRNA BLTを生成するためのトランスポザーゼの付加を使用して、RNA及びDNAを含む試料からRNA及びDNA配列決定ライブラリを生成することができる。RNAと結合するが、トランスポザーゼを欠くBLTは、「裸の」RNA BLTと称され得る。
【0620】
この方法では、RNAが裸のRNA BLTによって捕捉されている間に、DNA BLTを使用してDNAをタグメンテーションすることができる。洗浄後、RNA BLTを活性化するためにトランスポザーゼを付加する。逆転写後、DNA:RNA二重鎖は、活性RNA BLTによってタグメンテーションされ得る。鎖交換及びギャップ充填ライゲーションの後、次いで、RNA及びDNA配列決定ライブラリをそれぞれのBLTから放出することができる。
【0621】
実施例4.DNA BLT及び不活性化RNA BLTを使用するマルチオミクス配列決定ライブラリの調製
DNA BLT及び可逆的に「不活性化された」RNA BLTを使用して、図22に示されるように、RNA及びDNAを含む試料からRNA及びDNA配列決定ライブラリを生成することができる。
【0622】
この方法では、DNA BLTは、DNAをタグメンテーションするために使用され得るが、一方で、RNAは、不活性化RNA BLTによって捕捉される。洗浄後、RNA BLTの不活性化は逆転される(すなわち、RNA BLTのトランスポソーム複合体が活性化される)。活性化後、逆転写を行い、DNA:RNA二重鎖を断片化し、活性RNA BLTによってタグ付けすることができる。鎖交換及びギャップ充填ライゲーションの後、次いで、RNA及びDNA配列決定ライブラリをそれぞれのBLTから放出することができる。
【0623】
脱リン酸化ME’、トランスポゾン末端上の余分な切断可能塩基、トランスポソームに結合することができる阻害剤二重鎖、及びトランスポザーゼのDNA結合部位に複合体を形成することができる易熱性抗体など、様々な可逆的トランスポソーム不活性化剤が既知である。
【0624】
実施例5:DNA及びRNAの連続固定化を伴う2つのビーズを使用するマルチオミクス配列決定ライブラリの調製
図25に示されるように、連続工程を使用して、RNA及びDNAを含む試料からRNA及びDNA配列決定ライブラリを生成することができる。DNAはDNA BLTによって捕捉することができ、DNAはタグメンテーションされる。この工程は、二本鎖DNAの全てがDNA BLTに結合するように、過剰のビーズを用いて行われる。次いで、RNAは、タグメンテーションされたDNA BLTから分割される(すなわち、物理的に分離(separated)又は分離(segregated)される)。次いで、ポリT捕捉オリゴヌクレオチドを含むRNA BLTによってRNAを捕捉し、逆転写酵素ポリメラーゼによってRNA-DNA二重鎖を生成する。DNA:RNA二重鎖は、RNA BLTのトランスポソーム複合体によってタグメンテーションすることができる。鎖交換及びギャップ充填ライゲーションの後、次いで、RNA及びDNA配列決定ライブラリをそれぞれのBLTから放出することができる。
【0625】
実施例6:溶液中でのcDNA合成によるRNA配列決定ライブラリの調製
いくつかの方法では、DNA:RNA二重鎖は、BLTに結合する前に溶液中で生成される。この方法では、BLTは、DNA:RNA二重鎖に結合する捕捉オリゴヌクレオチドを含み得る。代替的に、DNA:RNA二重鎖は、トランスポソーム複合体のトランスポザーゼによって結合され得る。
【0626】
標的RNAを含む試料は、溶液中でcDNAを生成するために使用され得る。完全長cDNAを生成するための例示的な溶液は、逆転写酵素、プライマー、dNTP、及び/又はRnase阻害剤を含み得る。オリゴdTプライマーを使用して、mRNAから完全長cDNAを調製することができる。オリゴdTプライマー及びランダムプライマーを使用して、完全長全RNAを調製することができる。cDNA合成は、42℃で90分間、続いて85℃で5分間、洗浄せずに行うことができる。このようにして、DNA:RNA二重鎖は、溶液中で生成される(図2に示されるように)。
【0627】
これらのDNA:RNA二重鎖は、タグメンテーションのためにBLTに結合され得る。このタグメンテーションは、以前はIlluminaのNextera技術として知られていた、標準的なIllumina DNA Flex PCR-Free(研究用途のみ、RUO)技術を用いて行うことができ、これは、2つの異なるトランスポソーム複合体を使用して、断片の反対の末端に異なるアダプター配列を組み込む。代替的に、対称タグメンテーションのためにBLTを使用し、続いて別のアダプターを導入するためにプライマー伸長を使用する方法が使用され得る。
【0628】
固定化されたDNA:RNA断片を生成した後、トランスポザーゼは、停止又は除去され得る(例えば、SDSによって)。鎖交換は、二本鎖DNAを生成することができ、続いてギャップ充填及びライゲーションが行われる。その後、調製されたライブラリが放出され得る。方法は、チューブ内又はフローセル内で行われ得る。図3A図3Cは、DNA:RNA二重鎖を生成し、続いて固定化トランスポソーム複合体を含むビーズによる断片化を行うために、ユニバーサルヒト参照RNAからの溶液中のcDNA合成を使用して生成されたRNA配列決定ライブラリからの代表的な配列決定の結果を示す。ライブラリを転写物から首尾よく生成し、エキソン配列とアラインメントさせた。これらのデータは、配列リードが元の転写物分子の全長を表すため、溶液中のDNA:RNA二重鎖の生成を含む方法を使用した場合の配列決定結果における3’バイアスの相対的欠如を支持する。この方法を使用する自動化されたワークフローは、最小限の使用者のインプットで全RNAから配列決定可能なライブラリを生成することができる。
【0629】
図9は、ポリTプライマー並びにBLTに対するタグメンテーション及びライブラリ調製を用いる溶液中でのDNA:RNA二重鎖の調製をどのように使用して、完全長mRNAからライブラリを調製することができるかを示す。図10は、ランダマープライマー並びにBLTに対するタグメンテーション及びライブラリ調製を用いる溶液中でのDNA:RNA二重鎖の調製をどのように使用して、全RNAからライブラリを調製することができるかを示す。両方の方法について、ライブラリは、BLT上で調製され得、フローセル又はチューブ内に放出され得る。フローセル内でのこのような放出は、空間的に局在化された様式での放出を可能にすることができ、その結果、同じ完全長RNA又はmRNA由来の断片は、これらの断片が同じビーズ上で調製されたため、フローセル上で非常に近接して放出される。
【0630】
実施例7.二重RNA/DNAバーコーディング及び分割を使用するマルチオミクス配列決定ライブラリの調製
方法は、NGSリードにおいて同定可能である異なるオリゴヌクレオチドインデックス配列を有するビーズ連結トランスポソーム(BLT)を生成することができる(Nat.Biotech.35:852-857(2017)を参照されたい)。異なるオリゴヌクレオチドインデックスを有するBLTをライブラリ調製ワークフローの間に適用して、RNA及びDNA由来NGSリードを同定するために使用される差次的分子タグを組み込む。
【0631】
代表的な方法を図26に示す。まず、DNA標的物質を同定するオリゴヌクレオチドインデックス(「DNA特異的バーコード」)をロードしたBLTを、全核酸(TNA)試料に適用する。試料中の二本鎖DNA(dsDNA)を、DNAバーコードBLT(DNA BLT)によって特異的にタグメンテーションする。磁気スタンド分離を適用して、DNA BLT上のタグメンテーションされたDNA断片を、溶液中のRNA分子から分割することができる。次いで、分離されたRNA分子を、「鎖」及び「非鎖」合成法を含む、当業者に既知の逆転写及び第2の鎖合成法によって、ds相補的DNA(ds-cDNA)に完全に変換する。次いで、RNA同定バーコード(RNA BLT上の「RNA特異的バーコード」)を有するBLTを適用して、ds-cDNA試料をタグメンテーションする。
【0632】
次いで、2つのタグメンテーションライブラリを組み合わせて、一緒に又は別々に増幅することができる。後者は、RNA及びDNA由来ライブラリ分子の異なる増幅レベルを特定するのに有利であり得る。代替的に、RNA特異的バーコード及びDNA特異的バーコードはまた、異なるプライマー結合配列を含んでもよく、これは、異なるPCR条件(例えば、RNA及びDNA増幅プライマーセットに対する異なる増幅サイクル数)を通じて差次的なRNA及びDNAライブラリ増幅を可能にし得る。RNA及びDNAライブラリが別々に増幅される場合、インデックス付きトランスポソームの代わりにPCR試料インデックスを使用して、NSGリードをRNA又はDNA分子起源を有するものとして同定することができる。
【0633】
増幅後、RNA及びDNAライブラリは、直接配列決定され得るか、又は配列決定の前に標的化領域について富化され得る。RNA特異的バーコード又はDNA特異的バーコードのいずれかが全てのライブラリ断片で配列決定されるため、これらのバーコードは、二次バイオインフォマティクス分析の間に、DNAに由来する試料をRNAに由来する試料から選別するために使用することができる。
【0634】
実施例8.単一の反応容器中でのBLTタグメンテーション及び二重RNA/バーコーディングを用いたマルチオミクス配列決定ライブラリの調製
マルチオミクス配列決定ライブラリの調製はまた、分割することなく、単一の反応容器(すなわち、単一ポットスキーム)において行われ得る。
【0635】
DNA特異的バーコードBLT(DNA BLT)タグメンテーションを、実施例7のようにTNA試料に対して行う。DNAタグメンテーション反応が完了した後、合成dsDNAを含む「自殺dsDNA」基質を付加することができる。合成dsDNAの目的は、DNAバーコードBLT(DNA BLT)を飽和し、任意の残りの未反応のDNA BLTを占有する(及びそれによってタグメンテーションされる)ことである。これは、未反応のDNA BLTが下流工程においてRNA由来基質と交差反応することを防止する。例示的な自殺は、ウラシル含有dsDNAであり、これはタグメンテーションのための基質であるが、ウラシル不耐性DNAポリメラーゼを用いるPCR反応において増幅されない。
【0636】
同じ反応チューブにおいて、dsDNAタグメンテーションの後、溶液中のRNA分子からds-cDNAが生成される。このcDNA合成は、「鎖ライブラリ」を生成するための2工程(例えば、「自殺dsDNA」と同様の効果を有する、ウラシル塩基による第2の鎖合成を使用する)、又は鋳型スイッチオリゴヌクレオチド及び適合性逆転写酵素(例えば、SMRT-seq、Takara Bio)を使用する1工程で達成され得る。ds-cDNAが生成されると、RNA特異的バーコードBLT(RNA BLT)を適用して、これらの基質分子を特異的にタグメンテーションする。2つのタグメンテーション産物をきれいにし、一緒に溶出する(同じチューブ内で)。DNA BLT対RNA BLTに対するタグメンテーションの間に組み込まれた差次的プライマー結合配列はまた、差次的RNA及びDNAライブラリ増幅レベルを可能にし得る。RNA及びDNA由来分子の任意の富化、配列決定、及びバイオインフォマティクスデコンボリューションは、実施例7のように実施することができる。
【0637】
実施例9.DNA:RNA二重鎖に対する活性を有するトランスポザーゼを使用する二重RNA/DNAバーコーディングによるBLTタグメンテーション
実施例8に記載される方法は、DNA:RNA二重鎖とともに使用するために修飾され得る。この方法は、cDNAの第2の鎖の合成(及び関連するクリーンアップ)工程の必要性を取り除く。DNA BLTを使用してDNAのタグメンテーションを行って、DNA特異的バーコードを組み込んだ後、逆転写を行って、第1の鎖cDNAを生成し、DNA:RNA二重鎖を得る。これらのDNA:RNA二重鎖は、DNA:RNA二重鎖に対する活性を有するRNA特異的バーコードBLT(RNA BLT)を使用してタグメンテーションすることができる。XGENは、DNA:RNA二重鎖に対する活性を有するted-トランスポゾンを開発した。この方法は、ds-cDNAを生成する必要性を取り除く。
【0638】
実施例10.単一細胞分解能を用いたRNA配列決定ライブラリの調製
BLTは、マイクロウェルを有する液滴又はフローセルなどの方法を使用して、単一細胞フォーマットで転写物からライブラリを調製することができる。
【0639】
液滴を使用する方法(図4及び図5)において、細胞は、最初に、P5で装飾された少なくとも1つのビーズ、ビーズコード(バーコード)、及びオリゴdT配列を含む液滴に単離される。空間的バーコーディングは、バーコーディングのために別の3桁を提供するため、約1000個の異なる種類のバーコードビーズを使用することができる。ビーズにハイブリダイズしたmRNAを含むビーズを液滴から除去し、逆転写酵素及びヌクレオチドをバルクで使用してcDNA合成を行う。
【0640】
「バルクで」という用語は、溶液中にあるビーズ上で起こるcDNA合成を指し、したがってビーズは液滴中にはないが、mRNAはビーズにハイブリダイズしたままであり、溶液自体中にはない。したがって、バルクでのcDNAの調製は、ビーズ外でのより単純なワークフローを可能にするが、この調製は、異なるビーズ上の異なるmRNAの空間的分離を維持する。ライブラリは、P7-ME配列を含むトランスポゾンを用いた片側タグメンテーションにより生成され、ライゲーションを使用して完成された。
【0641】
ビーズは、断片を放出することなくフローセルに送達され、単一細胞RNAライブラリは、空間的バーコーディングを達成するために空間的に局在化された様式でフローセル上に放出される。このようにして、単一細胞に由来する転写物は、同じ細胞からの転写物がより近接しているため、他の細胞からの転写物から分解され得る。図5に示されるように、これは、元のmRNA分子の3’末端に偏ったライブラリをもたらす。
【0642】
完全長mRNAからライブラリを調製するためのワークフロー(図7)について、ビーズは、2つの異なる種類のオリゴヌクレオチド、mRNAをハイブリダイズするためのポリT捕捉オリゴヌクレオチド、及びトランスポゾンをアセンブリするための固定化P5-バーコード-短Aオリゴヌクレオチドからなる。この短A配列は、トランスポゾン中の配列にハイブリダイズすることができる。言い換えれば、これらの方法は、トランスポゾンをアセンブリするために使用され得る本明細書に記載される「活性化可能なトランスポゾン」を使用することができる。
【0643】
ビーズ上でのcDNA合成の後、第2のトランスポゾンのME’配列に結合するA5’ハンドルを使用して、ビーズ上でトランスポゾンアセンブリする。長い転写物はビーズの周りにループし、複数の部位でタグメンテーションされる。この工程の後、ME’-A5’(すなわち、第2のトランスポゾン)は脱ハイブリダイズされ、ME’-A5’-P7オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイズされ、続いてギャップ充填ライゲーション反応が行われる。これは、ビーズの周りにラップされた連結リードに変換されたmRNA分子から生成された完全長転写物をもたらす。更に、ライブラリ断片は、タグメンテーションの間に組み込まれた1つ以上のアダプター及びオリゴヌクレオチドのライゲーションの間に組み込まれた1つ以上のアダプターを含む。次いで、ライブラリ断片は、空間的に局在化された様式でフローセル上に放出される。
【0644】
液滴を必要とせずにフローセル上で直接単一細胞ワークフローを行うために、マイクロウェルが組み込まれたフローセルを使用することができる(図8)。マイクロウェルからの区画化に起因してバーコードがはるかに少ないか、全くないことを除いて、液滴について上述したビーズを使用することができる。言い換えれば、マイクロウェルを使用することによって与えられる空間的分解能は、ビーズコードの使用の必要性を取り除くことができる。細胞は、マイクロウェル内に捕捉される(一般に、マイクロウェル当たり1個の細胞)。溶解した細胞からのmRNAは、マイクロウェル内のビーズ上に捕捉され、次いで、液滴の実施形態について上述したアプローチを使用してライブラリに変換される。マイクロウェルによって空間分解能が与えられ、その結果、ライブラリは、一般に、所与のマイクロウェル内の単一細胞から生成される。
【0645】
図11A図11Cは、そのような方法に使用され得るビーズのいくつかの特徴を示す。図11Aは、DNA:RNA二重鎖を調製するためのcDNAの第1の鎖の生成後のビーズを示し、図11Bは、複数のトランスポソームがどのようにDNA:RNA二重鎖を複数の位置で断片化することができるかを示し、図11Cは、複数の捕捉オリゴヌクレオチド及びアセンブリされたトランスポソームを有するビーズを示す。
【0646】
実施例10.3’UMIを用いたRNA配列決定ライブラリの調製
方法は、正確な定量化のための3’UMIタグ付けと、連結長リードビーズコードとを組み合わせて、単一細胞についての完全長計数アッセイを可能にすることができる。
【0647】
この方法のために、UMI配列及びプライマーランディング部位を、第1の鎖cDNA合成に使用されるポリTプライマーに組み込む(図14)。このプライマーランディング部位は、フローセル上の得られたライブラリ断片の捕捉を可能にするP5又はP7(又はそれらの相補体)であり得る。ポリTプライマーはまた、第1のリード又は第2のリード配列決定アダプター配列などの他の配列を含んでもよい。
【0648】
cDNAの第2の鎖は、ClonetechからのSmart-Seqなどで調製され得、これは、タグメンテーションの前にcDNAの前増幅を可能にし、このアプローチを単一細胞及び超低RNAインプットと適合性にする(図16)。
【0649】
次に、3’UMIを有する完全長二本鎖cDNAを、各ビーズが固有のコードを有するように、共通のビーズコードを有するビーズ連結トランスポソームを用いてタグメンテーションする。これは、二本鎖cDNAの3’末端断片を捕捉するための単一タグメンテーションをもたらし、一方で、他の断片は、断片の両方の末端に同じアダプター配列を組み込むための対称タグメンテーションを受ける(図14)。次に、第2のトランスポゾンを脱ハイブリダイズして、ポリヌクレオチドを第1のトランスポソームのME配列にアニーリングする。ポリヌクレオチドは、標準的なプラットフォームのための配列決定可能な断片の調製を可能にするために、タグメンテーション中に導入されたものとは異なるアダプター配列を含み得る。タグメンテーション後にポリヌクレオチドをビーズ連結トランスポソーム上でハイブリダイズする「y型アダプタースタイル」は、それを鎖RNAライブラリ調製物と適合性にする。このワークフローは、非産生タグメンテーション事象(末端断片が断片の両方の末端に同じアダプターを有し、標準的なプラットフォーム上で配列決定することができない)をもたらし得る標準的な非対称タグメンテーションワークフローよりも感度が高い場合がある。
【0650】
タグメンテーションは、活性化可能なBLTを用いて行うことができ、ビーズの表面上の固定化オリゴヌクレオチド内の配列は、第2のトランスポゾンにハイブリダイズして(Hyb’-ME’)、活性トランスポソームをアセンブリすることができ(図14)、又はBLTを用いて行うことができ、トランスポソームの第1のトランスポゾン(すなわち、第1のポリヌクレオチド)は、ビーズに固定化される(図15及び図16)。
【0651】
一般に、この方法を使用して、完全長転写物は、単一のビーズによってタグメンテーションされ、これは、同一のビーズコード配列を有する元の完全長RNAの全てのセグメントをタグメンテーションする。これにより、全ての断片が元の転写物並びに逆転写中に導入されたUMIに連結して戻ることが可能になる(図15)。このようにして、配列決定結果に基づく同じビーズコードを有する断片は、(複製物又は配列決定アーチファクトとは対照的に)固有の転写物をマークするUMIと一緒に得られる。この方法は、完全長RNAを定量的に評価し、3’UMIタグ付け、前増幅、及び完全長RNAアイソフォーム検出と適合性である。
【0652】
実施例11.PRESS-BLTを介するRNA配列決定ライブラリの調製
タグメンテーション反応は、プライマー伸長鎖特異的BLT(PRESS-BLT)法を使用するcDNA調製のストランド法の後に行うことができる。このワークフローは、BLTアプローチを使用して鎖特異的RNA-seqライブラリを作製することができる。
【0653】
PRESS-BLTの最初の工程は、cDNA合成である。他の鎖特異的RNA配列決定アプローチ(TruSeq Stranded Total RNA(登録商標)、Illuminaなど)と同様に、逆転写酵素、ランダムプライマー、及びアクチノマイシンDを含む第1の鎖合成緩衝液(例えば、IlluminaからのFSA緩衝液)を使用して、全RNAをcDNAの第1の鎖にコピーする。アクチノマイシンDは、DNA依存性DNA合成を特異的に阻害し、鎖特異性を改善する。
【0654】
二本鎖cDNAはタグメンテーション及び鎖特異性に必要であるため、第2の鎖合成反応においてdTTPをdUTPで置き換える。第2の鎖におけるdUTPの組み込みは、ライブラリ調製の間のインデックスPCRにおけるその増幅を抑制する。したがって、第2の鎖におけるdUTPのこの組み込みは、鎖特異的BLTアプローチを可能にする。
【0655】
次に、BLT形成を調製する。トランスポソームは、Tn5-V3酵素を、19bpモザイク末端(ME)配列を含むアニーリングされた二本鎖配列とともにインキュベートすることによってアセンブリされる。上部の鎖(すなわち、第1のトランスポゾン)は、タグメンテーションされたDNA又はcDNAの5’末端に共有結合しているため、転移鎖と称される。下部の鎖(すなわち、第2のトランスポゾン)は、非転移鎖と称される。タグメンテーション後、ME’と称される逆相補体ME配列の非転移鎖とタグメンテーションされたDNAの3’末端との間に9bpのギャップが存在する。プライマー伸長ワークフローでは、転移鎖の5’末端に、A14と称される14bp配列が存在する。A14は、インデックスプライマーを使用するライブラリ増幅に必要なランディング部位の1つである。最後に、デスチオビオチン修飾がA14配列の5’末端に結合している。デスチオビオチンはストレプトアビジンに強固に結合し、トランスポソームを磁気ビーズに結合させてBLTを形成するために使用される。デスチオビオチンは、ビオチンと比較して、ストレプトアビジンに対してより高い結合親和性を有するため、ビオチンの代わりに使用される。デスチオビオチンの使用は、ライブラリ調製後濃縮ワークフローに影響を及ぼし得る、ライブラリ産物中のビオチン化DNAのキャリースルーを低減するため、重要である。PRESS-BLTとともに使用するための代表的なトランスポソーム複合体を図17に示す。
【0656】
最後に、プライマー伸長によって鎖特異的ライブラリ調製を行う。当該技術分野における標準的な非対称タグメンテーション法を用いて、cDNAを、A14及びB15トランスポソームの混合物を含むBLTを用いてタグメンテーションする。A14のみ又はB15のみでタグメンテーションされた断片は、実行可能なライブラリ産物を作製しない。これは、全てのタグメンテーションされた断片のおよそ半分が失われ、ライブラリ調製効率の低下につながることを意味する。
【0657】
プライマー伸長ワークフローを伴うPRESS-BLTは、この問題を有さない。cDNAは、A14トランスポソームでのみタグメンテーションされる(図17)。次いで、非転移ME’を融解し、PCR伸長によってギャップ充填する。次いで、B15-MEプライマーをギャップ充填されたME’配列にアニーリングし、伸長させて、挿入物の一方の末端にB15及び他方の末端にA14を含むコピーを作製する。UMIは、B15とMEとの間のプライマーに挿入され得るか、又はA14配列とME配列との間のBLT上に作製され得る。UMIは、それらが固有のmRNA転写物をマークし、かつPCR増幅によって産生されたコピーからそれらを区別するため重要である。プライマー伸長に続いて、B15-挿入-A14コピーを熱又は水酸化ナトリウム処理によってビーズから融解し(図18)、インデックスプライマー増幅のために新しいチューブに移す。
【0658】
図19に示されるように、PRESS-BLTワークフローはまた、トランスポソームを固定化するために二重ビオチンを使用してもよく、これはトランスポソームの結合及び放出を改善することができるためである。
【0659】
均等物
前述の明細書は、当業者が実施形態を実践することを可能にするのに十分であると考えられる。前述の説明及び実施例は、特定の実施形態を詳細に詳述し、本発明者らによって想到される最良の様式を説明する。しかしながら、前述の内容が本文にどれほど詳細にあらわれていても、実施形態は多くの方式で実施することができ、添付の特許請求の範囲及びその任意の均等物に従って解釈されるべきであることが理解されるであろう。
【0660】
本明細書で使用するとき、約という用語は、明示的に示されているか否かにかかわらず、例えば、整数、割合、及び百分率を含む数値を指す。用語は、一般に、当業者が列挙された値(例えば、同じ機能又は結果を有する)と同等であると考えられる数値の範囲(例えば、列挙された範囲の±5~10%)を指す。少なくとも及び約などの用語が数値又は範囲のリストの前にある場合、その用語はリスト内に提供される値又は範囲の全てを変更する。場合によっては、約という用語は、最も近い有効数字に丸められた数値を含んでもよい。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
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【国際調査報告】