(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-17
(54)【発明の名称】小スケールミキサ
(51)【国際特許分類】
B29C 64/386 20170101AFI20231010BHJP
B22F 10/00 20210101ALI20231010BHJP
B29C 64/379 20170101ALI20231010BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20231010BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20231010BHJP
B33Y 40/20 20200101ALI20231010BHJP
B01F 27/00 20220101ALI20231010BHJP
【FI】
B29C64/386
B22F10/00
B29C64/379
B33Y10/00
B33Y50/00
B33Y40/20
B01F27/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507559
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(85)【翻訳文提出日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 US2021044768
(87)【国際公開番号】W WO2022031983
(87)【国際公開日】2022-02-10
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507302748
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ヴォー トリン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ヒュユン
(72)【発明者】
【氏名】ブペンダー バラ アマルディープ シン
【テーマコード(参考)】
4F213
4G078
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AA13
4F213AA24
4F213AA28
4F213AA29
4F213AH63
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL23
4F213WL55
4F213WL85
4F213WW02
4F213WW24
4F213WW32
4G078AA30
4G078BA05
4G078CA08
4G078DA01
4K018KA01
(57)【要約】
小スケールミキサを製造するためのシステム及び方法が提供される。いくつかの実装態様では、方法は、大スケールミキサの寸法を得ることを含む。方法はまた、大スケールミキサのそれぞれの寸法に基づいて、小スケールミキサの第1の寸法を決定することを含む。方法は、大スケールミキサの寸法に依存しない、小スケールミキサの第2の寸法を決定することを更に含む。加えて、方法は、三次元プリンタを使用して、第1の寸法及び第2の寸法を使用して、小スケールミキサを生成することを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小スケールミキサを製造するためのシステムであって、
大スケールミキサのそれぞれの複数の寸法に基づいて、かつ前記大スケールミキサの前記複数の寸法に依存しない第2の複数の寸法に基づいて、第1の複数の寸法を有する前記小スケールミキサを製造するように構成された三次元プリンタと、
前記小スケールミキサの表面を平滑化するように構成された平滑化装置と
を備える、前記システム。
【請求項2】
スケーリング係数が、前記小スケールミキサの前記第1の複数の寸法を前記大スケールミキサの前記複数の寸法に関連付ける、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記小スケールミキサの前記第1の複数の寸法及び前記大スケールミキサの前記複数の寸法が、ミキサの底部からのインペラクリアランス(C)、インペラ直径(D)、液面レベル(H)、回転速度(N)、タンク直径(T)、ブレード幅(W)、ブレード高さ(BH)、及びバッフル幅(WB)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の複数の寸法が、溶液のミキシング中に前記小スケールミキサのインペラに付与される物理的な力に対応する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記三次元プリンタが、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、PLA(ポリ乳酸)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン、金属、及びガラス/PETのうちの1つを使用して、前記小スケールミキサを製造するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記平滑化装置が、前記小スケールミキサの表面を機械的に平滑化するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記平滑化装置が、揮発性溶剤の槽を使用して、前記小スケールミキサの表面を化学的に平滑化するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記揮発性溶剤が、アセトン又はジクロロメタンである、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
小スケールミキサを製造するための方法であって、
大スケールミキサの寸法を得ることと、
前記大スケールミキサのそれぞれの複数の寸法に基づいて、前記小スケールミキサの第1の複数の寸法を決定することと、
前記大スケールミキサの前記複数の寸法に依存しない、前記小スケールミキサの第2の複数の寸法を決定することと、
前記第1の複数の寸法及び前記第2の複数の寸法を使用して、前記小スケールミキサを生成することと
を含む、前記方法。
【請求項10】
前記小スケールミキサの表面を平滑化することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
平滑化することが、前記小スケールミキサの表面を機械的に摩耗させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
平滑化することが、揮発性溶剤を使用して、前記小スケールミキサの表面を化学的に研磨することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記小スケールミキサの前記第1の複数の寸法及び前記大スケールミキサの前記寸法が、ミキサの底部からのインペラクリアランス(C)、インペラ直径(D)、液面レベル(H)、回転速度(N)、タンク直径(T)、ブレード幅(W)、ブレード高さ(BH)、及びバッフル幅(WB)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記小スケールミキサの前記第2の複数の寸法を決定することが、溶液のミキシング中に、前記小スケールミキサのインペラにかかる物理的な力を決定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記小スケールミキサを生成することが、前記小スケールミキサを三次元的に印刷することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
三次元的に印刷することが、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、PLA(ポリ乳酸)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン、金属、及びガラス/PETのうちの1つを使用して、前記小スケールミキサを製造することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記大スケールミキサを使用して、第1の生成物の第1の体積を生成することと、
前記小スケールミキサを使用して、第1の生成物のミックスの第2の体積を生成することと、
前記第1の体積及び前記第2の体積の1つ以上の物理パラメータを比較することと
を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の体積を生成する剪断応力と、前記第2の体積を生成する剪断応力とを比較することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記剪断応力が、前記小スケールミキサのインペラに付与される剪断応力を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記物理パラメータが、目視検査、pH、タンパク質濃度、濁度、純度、及び粒子密度のうちの1つ以上を含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年8月6日に出願された米国仮特許出願第63/062,129号、2020年9月29日に出願された米国仮特許出願第63/085,080号、及び2021年2月17日に出願された米国仮特許出願第63/150,540号に対する優先権を主張し、それらの各々の内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
バイオ医薬製品は、大きな不安定分子を含み得る。例えば、バイオ医薬タンパク質は、それらの生理活性に関与する特定の三次元(「3D」)構造を有し得る。それらの不安定さから、製造中の分解防止が課題となっている。いくつかの外的要因が劣化を引き起こす可能性がある。例えば、バイオ医薬製品を水性製剤にミキシングすると、機械的撹拌、高剪断力、吸着、及び凝集により、バイオ医薬品が分解する可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
概要
以下は、開示された主題のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、開示された主題の簡略化された概要を提示する。本概要は、開示された主題の主要又は重要な要素を識別すること、又は特許請求された主題の範囲を定めることを意図するものではない。
【0004】
いくつかの実装態様では、小スケールミキサを製造するためのシステムが提供される。システムは、大スケールミキサのそれぞれの寸法に基づいて、かつ大スケールミキサの寸法に依存しない第2の寸法に基づいて、第1の寸法を有する小スケールミキサを製造するように構成された三次元プリンタを含む。システムはまた、小スケールミキサの表面を平滑化する平滑化装置を含む。
【0005】
いくつかの実装態様において、小スケールミキサを製造するための方法が提供される。方法は、大スケールミキサの寸法を得ることを含む。方法はまた、大スケールミキサのそれぞれの寸法に基づいて、小スケールミキサの第1の寸法を決定することを含む。方法は、大スケールミキサの寸法に依存しない、小スケールミキサの第2の寸法を決定することを更に含む。加えて、方法は、第1の寸法及び第2の寸法を使用して、小スケールミキサを生成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の態様によるシステム及び方法を実装するための環境の一例を例解するブロック図を示す。
【
図2】本開示の態様によるミキサの物理的寸法の例を例解するミキサの切欠側面図を示す。
【
図3】
図3Aは、本開示の態様による大スケールミキサのインペラの一例の上面図を示す。
図3Bは、本開示の態様による大スケールミキサインペラの一例の側面図を示す。
【
図4】
図4Aは、本開示の態様による小スケールミキサインペラの一例の上面図を示す。
図4Bは、本開示の態様による小スケールミキサインペラの一例の側面図を示す。
【
図5】本開示の態様による小スケールミキサを製造するための方法の一例を例解するフローブロック図を示す。
【
図6】本開示の態様による小スケールミキサ用の例示的なスケーリング係数を例解する表を示す。
【
図7】本開示の態様による小スケールミキサインペラ用の例示的なスケーリング係数を例解する表を示す。
【
図8】本開示の態様による小スケールミキサインペラ用の例示的なスケーリング係数を例解する表を示す。
【
図9】本開示の態様による小スケールミキサインペラ用の例示的なスケーリング係数を例解する表を示す。
【
図10】本開示の態様による大スケールミキサインペラの例示的な寸法間の比率を例解する表を示す。
【
図11】本開示の態様による小スケールミキサタンクの目標寸法と実際の寸法との間の例示的な差異を例解する表を示す。
【
図12】本開示の態様による、生成された小スケールミキサインペラの例示的な予想された寸法と実際の寸法との間の差異を例解する表を示す。
【
図13】本開示の態様による、生成された小スケールミキサインペラの例示的な予想された寸法と実際の寸法との間の差異を例解する表を示す。
【
図14】本開示の態様による、小スケールミキサインペラの例示的な目標速度と実際の速度との間の差異を例解する表を示す。
【
図15】本開示の態様による、例示的な大スケールミキサインペラと例示的な小スケールミキサインペラとの間の平均表面粗さの比較を例解するチャートを示す。
【
図16】本開示の態様による、例示的な大スケールミキサタンクと例示的な小スケールミキサタンクとの間のタンク表面粗さの例示的な比較を例解するチャートを示す。
【
図17】本開示の態様による例示的な小スケールミキサインペラの表面粗さを例解する画像を示す。
【
図18】本開示の態様による例示的な検証プロセスを例解する。
【
図19】本開示の態様による例示的な検証プロセスを例解する。
【
図20】本開示の態様による例示的な検証プロセスを例解する。
【
図21】本開示の態様による例示的な検証プロセスを例解する。
【
図22】本開示の態様による例示的な検証プロセスを例解する。
【
図23】本開示の態様による例示的な検証プロセスを例解する。
【
図24】本開示の態様による例示的な検証プロセスを例解する。
【
図25】本開示の態様による例示的な検証プロセスを例解する。
【
図26】本開示の態様による例示的な検証プロセスを例解する。
【
図27】本開示の態様による例示的な検証プロセスを例解する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
本開示は、一般に、ミキシング装置に関する。より具体的には、本開示は、医薬製品を製造するためのミキシング装置に関する。本開示と一致する装置及び方法は、小スケールミキシング装置を提供する。いくつかの実装態様では、小スケールミキシング装置は、3D印刷を使用して製造される。
【0008】
本開示の態様による小スケールミキサは、それぞれの大スケールミキサの寸法に基づく第1の寸法、及びそれぞれの大スケールミキサに依存しない第2の寸法を有し得る。いくつかの実装態様では、第1の寸法は、大スケールミキサのそれぞれの寸法からスケーリングされる。第2の寸法は、小スケールミキサ内でブレンドされた医薬製品の分解を防止することができる。例えば、第2の寸法は、医薬製品に付与される摩擦、粒子生成、及び剪断力を制限することができる。いくつかの実装態様では、第2の特徴は、インペラブレードの滑らかさ、インペラブレードの厚さ、及びインペラのハブサイズを含む。いくつかの実装態様では、小スケールインペラのハブサイズは、大スケールインペラを駆動するように適合されたインペラ駆動ユニットが小スケールインペラを駆動することもできるように、大スケールインペラのハブサイズと同じ又は同様である。加えて、いくつかの実装態様では、小スケールインペラの第2の寸法は、大スケール駆動ユニットによって付与される膨大な力に耐えるように適合されている。
【0009】
図1は、本開示の態様によるシステム及び方法を実装するための例示的な環境100を例解するブロック図を示す。環境100は、小スケールミキサ103、大スケールミキサ105、3Dプリンタ109、及び平滑化装置113を含み得る。大スケールミキサ105は、任意のタイプのミキシング装置であり得る。いくつかの実装態様では、大スケールミキサ105は、医薬製品製造用に構成され得る。例えば、大スケールミキサ105は、中間体から最終的な薬物製品まで医薬成分をミキシングすることができ、かつ緩衝剤及び媒体等のプロセス溶液の調製のためにミキシングすることができる。本開示の態様によれば、大スケールミキサ105は、約10リットル以上の充填容積を有し得る。いくつかの実装態様では、大スケールミキサ105は、約10リットル~約1000リットルの充填容積を有し得る。ミキサの実際の容量は、その示された容量を超え得ることが理解される。例えば、ミキサの実際の容量(例えば、110リットル)は、その示された容量(例えば、100リットル)を約10%超え得る。いくつかの実装態様では、大スケールミキサ105は、タンク、インペラ、単回使用ミキシングバッグ(例えば、「バイオコンテナ」)、及び別個の交換可能な駆動ユニットを含み得る。例えば、大スケールミキサ105は、Darmstadt,GermanyのMerck KGaAによるMobius(登録商標)Single-Use Mixing Systemsとすることができる。いくつかの実装態様では、大スケールミキサ105の寸法117は、ミキサの底部からのインペラクリアランス(「C
2」)、インペラ直径(「D
2」)、液面レベル(「H
2」)、回転速度(「N
2」)、タンク直径(「T
2」)、ブレード幅(「W
2」)、及びバッフル幅(「WB
2」)を含み得る。
【0010】
小スケールミキサ103は、大スケールミキサ105の寸法117に比例する寸法121を有し得る。いくつかの実装態様では、小スケールミキサ103は、約2リットル以下の充填容積を有し得る。いくつかの実装態様では、小スケールミキサ103は、約0.5リットル~約2リットルの充填容積を有し得る。例えば、小スケールミキサ103は、約1リットルの充填容積を有し得る。小スケールミキサの実際の容量は、その目標とされた容量を超え得る(例えば、約10%)ことが理解される。小スケールミキサ103の寸法121は、ミキサの底部からのインペラクリアランス(「C
1」)、インペラ直径(「D
1」)、液面レベル(「H
1」)、回転速度(「N
1」)、タンク直径(「T
1」)、ブレード幅(「W
1」)、及びバッフル幅(「WB
1」)を含み得る。本開示の態様によれば、小スケールミキサ103の寸法121は、大スケールミキサ105の寸法と比率的に同じである。いくつかの実装態様では、小スケールミキサ103の寸法は、等しいスケーリング係数又は実質的に等しいスケーリング係数によって、大スケールミキサ105の寸法に関連付けられている。例えば、
図1のブロック109によって例解されるように、スケーリング係数は、比率C
1/C
2、D
1/D
2、H
1/H
2、N
1/N
2、T
1/T
2、W
1/W
2、及びWB
1/WB
2であり、この比率は、等しい値又は実質的に等しい値を有する。いくつかの実装態様では、スケール係数は、約2.0超の値であり得る。例えば、スケール係数は、約2.2、約3.7、約4.6、約5.8、又は約7.9であり得る。
【0011】
3Dプリンタ109は、熱溶解フィラメント方式、光造形法、選択的レーザ焼結、選択的レーザ溶融、電子ビーム溶融、又は他の好適な3D印刷技術を使用することができる、従来の3D印刷システムであり得る。いくつかの実装態様では、3Dプリンタ109は、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、ポリカーボネート(PC)、PLA(ポリ乳酸)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン、金属、ガラス/PET、又は他の好適な材料を使用して、3D構造を印刷することができる。
【0012】
平滑化装置113は、3Dプリンタ109によって生成されたもの等のオブジェクトをバリ取りして平滑化するように構成され得る。平滑化装置113は、機械的及び化学的平滑化デバイスを含み得る。いくつかの実装態様では、平滑化装置113は、3D形状をバリ取り、サンディング、及び研磨するように構成された1つ以上の摩擦ヘッドを有する1つ以上のデバイスを含み得る。加えて、平滑化装置113は、3Dプリンタ109で使用された材料から形成された3D形状を研磨する溶剤の槽を含み得る。例えば、溶剤の槽では、アセトン、ジクロロメタン、又は他の溶剤を使用して、例えば、ABS又はポリカーボネートを平滑化し得る。いくつかの実装態様では、3Dプリンタ109によって生成された粗い小スケールミキサ103は、溶剤によって生じた蒸気を使用して研磨される。他の実装態様では、粗い小スケールミキサ103は、溶剤のプールに直接浸漬することによって研磨される。
【0013】
更に、
図1を参照すると、環境100の例解図は、3Dプリンタ109と、平滑化装置113と、を使用して、大スケールミキサ105に基づいて小スケールミキサ103を製造するための機能フローの一例を示す。ブロック109によって示すように、大スケールミキサ105の寸法117(例えば、C
2、D
2、H
2、N
2、T
2、W
2、及びWB
2)は、C
1/C
2=D
1/D
2=H
1/H
2、N
1/N
2=T
1/T
2、=W
1/W
2=WB
1/WB
2となるように、個々の寸法に対して同じスケーリング係数を使用して、小スケールミキサ103の寸法121(例えば、C
1、D
1、H
1、N
1、T
1、W
1、及びWB
1)に変換され得る。加えて、小スケールミキサの第2の寸法125が決定され得る。第2の寸法125は、例えば、従来の計算流体力学技術を使用したモデリング及びシミュレーションによって決定され得る。第1及び第2の小スケールミキサ寸法121及び125を使用して、3Dプリンタ109は、小スケールミキサ103を製造することができる。いくつかの実装態様では、小スケールミキサ103のタンク及びインペラは、単一の部品として生成され得る。他の実装態様では、タンク及びインペラは、別個に生成され得る。
【0014】
更に、
図1に例解されるように、タンク及びインペラを含む、3Dプリンタ109によって出力される小スケールミキサ103の表面は、バリ及び粗い縁等の不完全性に起因して粗い可能性がある。不完全性は、3D印刷プロセスから生じる場合があり、例えば、摩擦、粒子生成、及び剪断力を引き起こすことによって、ミキシング中に医薬製品を分解する可能性がある。平滑化装置113は、不完全性を除去するために粗い小スケールミキサ103を処理することができ、小スケールミキサ103の表面を平滑化することができる。
【0015】
図2は、本開示の態様による寸法を例解するミキサ205の一例の切欠側面図を示す。ミキサ205及びその寸法は、上で考察されたものと同じ又は同様であり得る。例えば、ミキサ205の寸法は、ミキサの底部からのインペラクリアランス(C)、インペラ直径(D)、液面レベル(H)、タンク直径(T)、ブレード幅(W)、及びバッフル幅(WB)を含み得る。ミキサ205の寸法C、D、H、N、T、W、及びWB)は、上記で説明される小スケールミキサの寸法(例えば、小スケールミキサ103寸法C
1、D
1、H
1、N
1、T
1、W
1、及びWB
1)並びに大スケールミキサ(例えば、大スケールミキサ105寸法C
2、D
2、H
2、N
2、T
2、W
2、及びWB
2)に対応し得る。
【0016】
図3Aは、本開示の態様による、大スケールミキサのインペラ305の一例の上面図を示す。
図3Bは、本開示の態様によるインペラ305の側面図を示す。インペラ305は、上記で説明される大スケールミキサ(例えば、大スケールミキサ105)のものと同じ又は同様であり得る。インペラ305は、インペラ直径(D
2)及びブレード幅(W
2)を有し得、これは上記で説明される寸法と同じであり得る。加えて、インペラ305は、ブレード高さ(BH
2)を有し得る。更に、インペラ305は、ハブ直径(HD
2)及びハブ高さ(HH
2)を有するハブ309を有し得る。
【0017】
図4Aは、本開示の態様による小スケールミキサのインペラ405の一例の上面図を示す。
図4Bは、本開示の態様によるインペラ405の側面図を示す。インペラ405は、上記で説明される小スケールミキサ(例えば、小スケールミキサ103)のものと同じ又は同様であり得る。インペラ405は、上記で説明される寸法と同じであり得るインペラ直径(D
1)及びブレード幅(W
1)を有し得る。加えて、インペラ405は、ブレード高さ(BH
1)を有し得る。更に、インペラ405は、ハブ直径(HD1)及びハブ高さ(HH1)を有するハブ409を有し得る。上記で説明されるように、インペラ405のインペラ直径(D
1)及びブレード幅(W
1)は、共通のスケーリング係数に基づいて、インペラ305のインペラ直径(D
2)及びブレード幅(W
2)に比例し得る。いくつかの実装態様では、インペラ直径(D
1)及びブレード幅(W
1)の寸法とは異なり、ハブ409のハブ直径(HD
1)及びハブ高さ(HH
1)は、ハブ309のハブ直径(HD
2)及びハブ高さ(HH
2)に依存しない。ハブ309のハブ直径(HD
2)及びハブ高さ(HH
2)の寸法に基づくのではなく、ハブ409のハブ直径(HD
1)及びハブ高さ(HH
1)の寸法は、ミキシング中に医薬製品に付与される摩擦、粒子生成、及び剪断力を制限するように構成され得る。加えて、いくつかの実装態様では、インペラ405の表面は、インペラ305の表面よりも平滑又は実質的に平滑であり得る。
【0018】
図5は、本開示の態様による小スケールミキサを製造するための方法500の一例を例解するフローブロック図を示す。ブロック505において、方法500は、大スケールミキサ(例えば、大スケールミキサ105)の寸法(例えば、C
2、D
2、H
2、N
2、T
2、W
2、HD
2、及びHH
2)を得ることを含む。寸法は、参照資料から決定され得るか、手動で測定され得るか、又は(例えば、光学スキャンによって)自動的に測定され得る。
【0019】
ブロック509において、方法500は、ブロック505で決定された大スケールミキサの寸法に基づいて製造される小スケールミキサ(例えば、小スケールミキサ103)の第1の寸法(例えば、C
1、D
1、H
1、N
1、T
1、W
1、HD
1、及びHH
1)を決定することを含み得る。いくつかの実装態様では、小スケールミキサの第1の寸法の全ては、同じスケーリング係数を使用して決定される。スケーリング係数の値は、大スケールミキサの寸法と小スケールミキサのそれぞれの寸法との間の比率であり得る。例えば、
図6に例解されるように、大スケールミキサの高さ(H
2)は、18.533cmであり得、小スケールミキサの高さ(H
1)は、8.601cmであり得る。したがって、スケーリング係数は、約2.2(すなわち、18.533/8.601)であり得る。同じスケーリング係数を使用して、他の寸法(例えば、C
2、D
2、H
2、N
2、T
2、W
2、BH
2、HD
2、及びHH
2)を使用して、小スケールミキサのそれぞれの寸法(例えば、C
1、D
1、H
1、N
1、T
1、W
1、BH
1、HD
1、及びHH
1)が決定され得ることが理解される。いくつかの実装態様では、スケーリング係数は、小スケールミキサの目標充填容積を得るために選択され得る。例えば、スケーリング係数は、1リットルの充填容積を提供するように選択され得る。
【0020】
ブロック513において、方法500は、小スケールミキサの第2の寸法を決定し得る。いくつかの実装態様では、第2の寸法は、大スケールミキサの寸法に依存しない。第2の寸法は、例えば、様々な回転速さ、流体密度、及び温度にわたる、小スケールミキサのインペラ(例えば、インペラ405)にかかる物理的な力及びインペラによる溶液にかかる剪断力を決定するために、計算流体力学技術を使用したモデリング及びシミュレーションによって決定され得る。
【0021】
ブロック517では、ブロック509及び513で決定された第1及び第2の小スケールミキサ寸法を使用して、方法500は、3Dプリンタ(例えば、3Dプリンタ109)を使用して小スケールミキサ103を製造し得る。上記で説明されるように、3Dプリンタは、ABS、PLA、PET、ナイロン、金属、ガラス/PET、又は他の好適な材料を含む材料を使用して、熱溶解フィラメント方式によって小スケールミキサを生成し得る。他の3D印刷技術を使用して、小スケールミキサを生成し得ることが理解される。
【0022】
ブロック521において、方法500は、平滑化装置(例えば、平滑化装置113)を使用して、ブロック517で製造された小スケールミキサを平滑化することを含み得る。小スケールミキサを平滑化することは、ブロック525において、表面を機械的に摩耗させてバリ、粗い縁を除去すること、及び表面を研磨することを含み得る。加えて、ブロック529において、小スケールミキサを平滑化することは、小スケールミキサの表面を化学的に研磨することを含み得る。例えば、平滑化することは、小スケールミキサをアセトン等の溶剤の槽内に1回以上浸漬することを含み得る。いくつかの実装態様では、浸漬することは、合計15秒未満の間、2回の浸漬に限定される。加えて、いくつかの実装態様では、浸漬することは、合計10秒未満の2回の浸漬に限定される。例えば、小スケールミキサを溶剤の槽内に5秒間浸漬し、約10分間乾燥させ、2回目に更に5秒間浸漬することができる。
【0023】
加えて、いくつかの実装態様では、方法500は、小スケールミキサによる生成物のミキシングを、対応する大スケールミキサに対して検証することを含み得る。
図18~
図27に関して以下により詳細に説明するように、検証は、大スケールミキサ及び小スケールミキサを使用して、生成物を一定期間(例えば、24時間)ミキシングすること、大スケールミキサ及び小スケールミキサから生成物を定期的にサンプリングすること、並びに生成物の質が、それぞれのサンプルの比較に基づいて、pH、タンパク質濃度、界面活性剤密度、濁度、純度、及び粒子密度のうちのいずれかにおいて実質的な差異を有するかどうかを判定することを含み得る。
【0024】
図6は、本開示の態様による小スケールミキサ用のスケーリング係数の例を例解する表601を示す。特に、表601は、例示的な小スケールミキサ603A、603B、603C、603D、及び603Eの寸法と、大スケールミキサ605A、605B、605C、605D、及び605Eのそれぞれの寸法とを関連付けている。寸法は、充填容積(L)609、円錐高さ611、円筒形充填高さ613、合計充填高さ(H)615、タンク直径(T)617、インペラ直径(D)619、斜高621、及び底部直径623の間の関連を含む。小スケールミキサ603A~603E及び大スケールミキサ605A~605Eのそれぞれの寸法は、対応するスケーリング係数625によって関連付けられ得る。本明細書において先で説明されるように、それぞれの小スケールミキサ603A~603Eと大スケールミキサ605A~605Eとの間の寸法613~623の比率は、実質的に同じスケーリング係数625であり得る。例えば、小スケールミキサ603A及び大スケールミキサ605Aの充填容積(L)609、円錐高さ611、円筒形充填高さ613、合計充填高さ(H)615、タンク直径(T)617、インペラ直径(D)619、斜高621、及び底部直径623は、2.2等の同じスケーリング係数625を使用してスケーリングされ得る。小スケールミキサ603B~603E及び対応する大スケールミキサ605B~605Eの寸法609~623は、それぞれ、3.7、4.6、5.8、及び7.9のスケーリング係数を有する。
【0025】
図7、
図8、及び
図9は、本開示の態様に従い、対応する大スケールミキサインペラ305のそれぞれの寸法に基づいて、例示的な小スケールミキサインペラ405のインペラ直径703、インペラ高さ705、及びインペラ厚さ707の寸法を決定するための例示的なスケーリング係数625を例解する表701、801、及び901を示す。小スケールミキサインペラ405及び対応する大スケールミキサインペラ305の寸法703、705、及び707は、上記で説明されるように、それぞれ、3.7、4.6、5.8、及び7.9のスケーリング係数を有する。
【0026】
図10は、本開示の態様による例示的な大スケールミキサインペラのインペラ寸法間の比率を例解する表1001を示す。表1001は、大スケールミキサ1003A、1005A、及び1007Aを、それぞれのタンク充填容積(L)609、タンク高さ(H)613、タンク直径(T)617、インペラ直径(D)619、タンクアスペクト比(H/T)627、及びインペラ比率(D/T)629と関連付けている。大スケールミキサ1003A、1005A、及び1007Aの、タンク充填容積609、タンク高さ613、タンク直径617、インペラ直径619、タンクアスペクト比627、及びインペラ比率629は、以前に上で考察されたものと同じ又は同様であり得る。いくつかの実装態様では、大スケールミキサ1003A、1005A、及び1007Aは、異なる容量を有する同じタイプ、生成物、又はシステムのミキサ(例えば、同じ製造業者によるミキサ)であり得る。
図10に例解されるように、大スケールミキサ1003A、1005A、及び1007Aは、約0.234、約0.191、及び約0.153等のそれぞれのインペラ比率629を有し得る。いくつかの実装態様では、小スケールミキサのインペラ(例えば、インペラ405)の寸法は、インペラにかかる剪断応力を改善するために最大のインペラ比率629を有する大スケールミキサ1003A、1005A、及び1007Aのうちの1つに基づく。
【0027】
図11は、本開示の態様に従って生成された例示的な小スケールミキサ1105A、1105B、1105C、及び1105Dの再現性を例解する表1101を示す。表1101は、小スケールミキサ1105A~1105Dについて測定したそれぞれのタンク直径(T)617及び円筒充填高さ613の測定値を関連付けている。加えて、タンク1105A~1105Dのタンク直径617及び円筒充填高さ613について、表1101は、タンク直径617及び円筒充填高さ613の平均値1109、標準偏差1111、予想された測定値1113、及び予想された測定値1113からの平均測定値1109のパーセント誤差1115を例解する。例えば、タンク1105Aについて、表1101は、測定されたタンク直径617の平均値1109が128.875cmであることを示し、測定されたタンク直径617の標準偏差1111は0.005である。更に、測定されたタンク直径617の平均値1109は128.875であり、これは、129.048cmのタンク直径617の予想された測定値1113から0.13%のパーセント誤差1115である。
【0028】
図12は、本開示の態様による、小スケールミキサ1205A、1205B、及び1205Cの例示的なインペラ(例えば、インペラ405)の再現性を例解する表1201を示す。表1201は、インペラのそれぞれのインペラ直径(D)703、ブレード高さ(BH)705、及びブレード厚さ(W)707の測定値を関連付けている。加えて、インペラ1205A~1205Cのインペラ直径(D)703、ブレード高さ(BH)705、及びブレード厚さ(W)707について、表1201は、インペラ直径(D)703、ブレード高さ(BH)705、及びブレード厚さ(W)707の平均値1209、標準偏差1211、予想された測定値1213、及び予想された測定値1213からの平均測定値1109のパーセント誤差1215を例解する。例えば、タンク1205Aについて、表1201は、測定されたインペラ直径703の平均値1209が30.350mmであり、測定されたインペラ直径703の標準偏差1111が0.058であることを示す。更に、測定されたインペラ直径703の平均値1209は30.350であり、これは、30.590mmのインペラ直径703の予想された測定値1213からの0.79%のパーセント誤差1215である。
【0029】
図13は、例えば、大スケールミキサ1105A、1105B、及び1105Cのインペラ直径703とタンク直径617との間の測定された比率1305と、予想された比率1307との間の差異を例解する表1301を示す。更に、タンク直径617及びインペラ直径(D)703について、表1301は、測定された比率1305と予想された比率1307との間のパーセント誤差1309を例解する。例えば、大スケールミキサ1105Aについて、表1301は、測定された比率1305が0.235であり、予想された比率が0.234であり、誤差が0.64%であることを示す。
【0030】
図14は、本開示の態様による、小スケールミキサインペラの設定速度1403(rpm)と測定された速度1405(rpm)との間の例示的な差異を例解する表1401を示す。
【0031】
図15は、本開示の態様による、大スケールミキサインペラ(例えば、大スケールミキサ105の大スケールミキサインペラ305)、平滑化前の小スケールミキサインペラ(例えば、小スケールミキサ103の小スケールミキサインペラ405)、及び平滑化後の小スケールミキサインペラ間の、平均表面粗さの比較例を例解する棒グラフ1501を示す。より具体的には、棒1505A、1505B、及び1505Cは、それぞれ、インペラブレード、インペラ頂部、及びインペラ側部で測定された平滑化前の小スケールミキサインペラの平均粗さを例解する。棒1507A、1507B、及び1507Cは、それぞれ、インペラブレード、インペラ頂部、及びインペラ側部で測定された大スケールミキサインペラの平均粗さを例解する。また、棒1509A、1509B、及び1509Cは、それぞれ、インペラブレード、インペラ頂部、及びインペラ側部で測定された平滑化後の小スケールミキサインペラの平均粗さを例解する。いくつかの実装態様では、平滑化することは、本明細書において先で説明されるように、小スケールミキサインペラを溶剤の槽内に2回(2×)浸漬すること、又はそれを溶剤蒸気にさらすことを含み得る。例えば、平滑化することは、小スケールを溶剤内に2回浸漬し、続いて、小スケールミキサを化学発煙のフード下で6時間以上蒸発した溶剤にさらすことを含み得る。粗さは、接触プロフィロメータ、コンフォーマル顕微鏡、又は他の好適な測定デバイスを使用して測定することができる。図示のように、平滑化することにより、小スケールミキサインペラの粗さは、大スケールミキサインペラの粗さと実質的に同じ粗さに減少した。
【0032】
図16は、本開示の態様による、大スケールミキサ(例えば、大スケールミキサ105)、平滑化前の小スケールミキサ(例えば、粗い小スケールミキサ103)、及び平滑化後の小スケールミキサ(例えば、平滑化された小スケールミキサ103)のミキサタンクの、平均表面粗さ間の比較例を例解する棒グラフ1601を示す。より具体的には、棒1605は、平滑化前の小スケールミキサタンクの平均粗さを例解し、棒1607は、大スケールミキサタンクの平均粗さを例解し、棒1609は、平滑化後の小スケールミキサタンクの平均粗さを例解する。いくつかの実装態様では、平滑化することは、本明細書において先で説明されるように、小スケールミキサタンクを溶剤の槽内に浸漬すること、又は小スケールミキサタンクを溶剤蒸気にさらすことを含み得る。
【0033】
図17は、本開示の態様による、例示的な小スケールミキサインペラのそれぞれのインペラ表面粗さ1713、1715、1717、及び1719を例解する画像1703、1705、1707、及び1709を示す。画像1703は、(例えば、大スケールインペラ305の)大スケールインペラブレードを示す。画像1705、1707、及び1709は、それぞれ、ジクロロメタン内に1回、2回、及び3回浸漬した後の、(例えば、小スケールインペラ405の)小スケールインペラブレードの画像を示す。例解されるように、画像1707に示す2回の場合の平滑化値が、画像1703の大スケールインペラブレードの平滑化値と実質的に一致する。
【0034】
図18~
図27は、本開示の態様に従って生成された小スケールミキサを検証して、対応する大スケールミキサの性能と比較した小スケールミキサの性能をモデル化するための例示的なプロセスを例解する。小スケールミキサ及び大スケールミキサは、本明細書において先で説明されるものと同じ又は同様のもの(例えば、小スケールミキサ103及び大スケールミキサ105)であり得る。いくつかの実装態様では、プロセスで使用される生成物は、バイオ医薬製品である。例えば、バイオ医薬製品は、製剤化された薬物物質(「FDS」)等の剪断感受性分子を含み得る。いくつかの実装態様では、バイオ医薬製品はまた、界面活性剤を含み得る。加えて、いくつかの実装態様では、プロセスは、小スケールミキサを使用した生成物のミキシングからの剪断応力の影響を、大スケールミキサに対して判定する。例えば、効果の判定は、一定のインペラ先端速度及び/又は動力対容積比(P/V)に基づいている。インペラ先端速度は、インペラの外縁の速さである。最大のミキシング剪断応力がインペラ先端で発生するため、大スケールミキサに関する小スケールミキサの一定の先端速度を維持することは、バイオ医薬タンパク質等の生成物への損傷を回避する。動力対容積比(P/V)は、流体の単位容積ごとに入力される有効エネルギーである。P/V(W/m3(SI単位))は、以下の方程式を使用して判定することができ、式中、Npは、動力数であり、ρは、流体の密度(kg/m3)であり、Nは、インペラ速度(rpm又はs-1)であり、Dは、インペラの直径(m)である:
【0035】
更に、いくつかの実装態様では、プロセスで使用される小スケールミキサのサイズは、最悪の場合のシナリオを表す。例えば、大スケールミキサからスケーリングされたそれぞれの容積を有する小スケールミキサのセットのうち、最悪の場合のシナリオは、最小のサイズ及び最大のスケーリング係数を有し、したがって、最大の剪断力を生成し得る小スケールミキサである。
【0036】
図18~
図20は、本開示の態様による例示的な検証プロセスを例解する。
図18は、大スケールミキサ1802及び小スケールミキサ1803の例示的なパラメータを例解する表1801を示す。表1801において、列1805は、約2Lの容積、約65.9mmのインペラ直径(D)、及び約278mmのタンク直径(T)を含む、大スケールミキサ1802の寸法を含む。列1807は、約0.2Lの容積、約31mmのインペラ直径(D)、及び約129mmのタンク直径(T)を含む、対応する小スケールミキサ1803の寸法を含む。いくつかの実装態様では、小スケールミキサ1803の寸法は、小スケールミキサ1803の検証がまた、大スケールミキサ1802に対応する他の小スケールミキサを検証するような最悪な場合のシナリオを表す。例えば、小スケールミキサ1803は、
図7、
図8、及び
図9に関する上記で説明される例示的な小スケールミキサの中の最大のスケーリング係数(例えば、7.9)を有し得る。
【0037】
本例によれば、
図18~
図20に例解されるプロセスは、生成物を、それぞれ0.626m/s及び0.621m/sの一定の先端速度で動作する大スケールミキサ1802及び小スケールミキサ1803のインペラ(例えば、インペラ405及びインペラ305)を用いてミキシングすることによる機械的剪断を比較する。
図19及び
図20は、大スケールミキサ1802及び小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物の比較を例解する表1901及び2001を示す。より具体的には、列1903及び2003は、0分(T0)、30分(T30)、60分(T60)、90分(T90)、150分(T150)、240分(T240)、300分(T300)、480分(T480)、及び1,320分(T1320)を含む、ミキシングの開始から異なる時間に採取された生成物のサンプルを示す。列1903及び2003のサンプル時間T0~T1320に対応して、列1905は、大スケールミキサ1802及び小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物のpHを比較する。列1907は、大スケールミキサ1802及び小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物のタンパク質濃度を比較する。列1909は、大スケールミキサ1802及び小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物の界面活性剤密度(パーセントw/v)を比較する。列1911は、大スケールミキサ1802及び小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物の濁度を比較する。
図20の表2001において、列2005は、大スケールミキサ1802及び小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物の純度を比較する。列2007は、大スケールミキサ1802及び小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物の粒子密度(#/ml)を比較する。表1901及び2001に示すように、モデリングプロセスは、pH、タンパク質濃度、界面活性剤密度、濁度、純度、及び粒子密度の観点から、大スケールミキサ1802及び対応する小スケールミキサ1803にミキシングされた生成物の品質に実質的な差異がないことを検証する。
【0038】
図21~
図24は、本開示の態様による別の例示的な検証プロセスを例解する。本例は、小スケールミキサ1803を使用して、あらゆる界面活性剤(例えば、PS20)なしでミキシングされた生成物(例えば、完全ヒトモノクローナル抗体)の品質を、大スケールミキサ1802に対して検証する。検証プロセスは、異なるパラメータに基づいて大スケールをスケーリングする2つのアプローチを評価する。大スケールミキサ1802Aは、一定の容積当たり動力(P/V)に対してスケーリングされ、大スケールミキサ1802Bは、一定のインペラ先端速度でのミキシングに対してスケーリングされる。列2105、2107、及び2109に示すように、大スケールミキサ1802A、1802B、及び小スケールミキサ1803の寸法は、
図18~
図20に関して上記で説明されるものと同じ又は同様のものであり得る。更に、本例によれば、列2105に示す大スケールミキサ1802Bの0.483m/sの先端速度は、列2109に示す小スケールミキサの0.481m/sの先端速度と実質的に等しいものであり得る。加えて、本例によれば、列2107に示す大スケールミキサ1802Bの43.0W/m
3の容積当たり動力(例えば、)は、列2109に示す小スケールミキサ1803の43.3W/m
3の容積当たり動力と実質的に等しいものであり得る。
【0039】
図22、
図23、
図24は、
図21に関して上記で説明される大スケールミキサ1802A、1802Bと小スケールミキサ1803との比較結果を例解する表2201、2301、2401を示す。より具体的には、列2205、2305、及び2405は、0時間(T0)、1時間(T1h)、2時間(T2h)、5時間(T5h)、8時間(T8h)、24時間(T24h)、及び30時間(T30h)を含む、生成物のミキシングの開始から異なる時間に採取された生成物のサンプルを示す。個々のサンプル時間T0h~T30hに対応して、列2207は、大スケールミキサ1802A、1802B、及び小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物のpHを比較する。列2209は、大スケールミキサ1802及び小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物のタンパク質濃度を比較し、対照(又はT0)からT30hへの総タンパク質濃度の変化なしを例解する。列2211は、大スケールミキサ1802及び小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物の濁度を比較する。
図23において、表2301の列2307は、大スケールミキサ1802A、1802B、及び小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物の純度を比較する。
図24では、表2410の列2407は、大スケールミキサ1802A、1802B、及び小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物の体積当たりの粒子量(#/ml)を比較する。いくつかの実装態様によれば、
図21~
図24に例解される例は、小スケールミキサの最悪の場合の先端剪断値(例えば、列2109の9.791s
-1)を表し、これは、濁度2211の増加によって明らかであるように、大スケールミキサの先端剪断値(例えば、列2105の4.555s
-1及び列2107の5.857s
-1)に関連して非常に高いことを表すことができる。最悪の場合の小スケールミキサ1803を評価することによって、この評価は、大スケールミキサ1802A及び1802Bを使用してミキシングした際に、小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物が影響を受け得るかどうかを判定する。
【0040】
図25~
図27は、本開示の態様による別の例示的な検証プロセスを例解する。
図25~
図27の例示的なプロセスは、界面活性剤(例えば、PS20)を含まない生成物(例えば、完全ヒトモノクローナル抗体)をミキシングすることを伴う。検証プロセスは、プロセスの2段階中、実質的に一定の先端速度を使用して、生成物のミキシングの一例を評価する。本例は、剪断応力、キャビテーション(発泡、気泡)及び空気/水界面応力に起因する小スケールミキサ180における応力を算定する。本例によれば、
図25に示す第1の段階(T0h~T4h)では、4時間動作し、
図26に示す第2の段階(T4h~T24h)では、更に20時間で動作する。列2105、2107、及び2109に示すように、大スケールミキサ1802A及び小スケールミキサ1803の寸法は、
図18~
図20に関して説明したものと同じ又は同様のものであり得る。
図25の表2501に示す本例の第1の段階では、大スケールミキサ1802Aは、先端速度1.242m/s及び最大360RPMで生成物をミキシングすることができ、小スケールミキサ1802Aは、先端速度1.252m/s及び最大780RPMで生成物をミキシングすることができる。
図26の表2601に示す本例の第2の段階では、発泡によって先端速度が低下する。
図26の本例では、大スケールミキサ1802Aは、先端速度0.863m/s及び最大250RPMで生成物をミキシングすることができ、小スケールミキサ1802Aは、先端速度0.867m/s及び最大540RPMで生成物をミキシングすることができる。上記の例において、生成物は、(一般に)剪断に対して非常に感受性が高い場合がある、完全ヒトモノクローナル抗体薬物物質(DS)であり得る。各ミキシング試験の前に、例えば、pH6.2での、10mMのリン酸ナトリウム、5%(w/v)のスクロース、40mMの塩化ナトリウムを使用して、かつPS20を用いて、又は用いずに、バルク薬物物質が最終的な製剤化された薬物物質(FDS)に希釈され得る。製剤化された薬物物質の物理的特性は、密度:1.02536g/cm3、粘度:1.504cP(20℃)、1.293cP(25℃)である。
【0041】
図27は、
図25及び
図26に関して上記で説明される大スケールミキサ1802Bと小スケールミキサ1803とを比較したプロセスの結果を例解する表2701を示す。より具体的には、列2705は、0分(T0)、30分(T30)、60分(T60)、90分(T90)、150分(T150)、240分(T240)、300分(T300)、420分(T420)、480分(T480)、及び1440分(T1440)を含む、生成物のミキシングの開始から異なる時間に採取されたサンプルを示す。列2707は、大スケールミキサ1802B及び小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物のpHを比較する。列2709は、大スケールミキサ1802B及び小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物のタンパク質濃度を比較する。列2711は、大スケールミキサ1802B及び小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物の濁度を比較する。列2713は、大スケールミキサ1802B及び小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物の純度を比較する。列2715は、大スケールミキサ1802B及び小スケールミキサ1803を使用してミキシングされた生成物の体積(#/ml)当たりの粒子量を比較する。表2701は、サンプルがより高い剪断応力、したがって、濁度、純度、及び粒子状物質のより高い増加を経験したことを示す。したがって、小スケールミキサは、剪断応力ミキシングを評価するために使用され得る。
【0042】
本開示は、様々な態様の例解として意図されている、本出願に説明される特定の実装態様に関して限定されるべきではない。当業者にとって明らかであり得るように、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの変更及び変形を行うことができる。本明細書に列挙されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法及び装置は、前述の説明から当業者にとって明らかであろう。そのような変更及び変形は、添付の特許請求の範囲の範囲内に収まることが意図されている。本開示は、そのような特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲と共にある、添付の特許請求の範囲の条件によってのみ限定される。本明細書で使用される術語は、実装態様の例を説明するためのものであり、限定することを意図しないこともまた理解すべきである。
【0043】
本明細書における実質的に任意の複数及び/又は単数の用語の使用に関して、当業者は、文脈及び/又は用途に適切であれば、複数から単数及び/又は単数から複数に置き換えることができる。様々な単数/複数の置換は、明確にするために本明細書に明示的に記載され得る。
【0044】
一般に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、一般に、「オープン」な用語として意図されていることが、当業者によって理解されるであろう(例えば、「含む(including)」という用語は、「含むが、これらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「含むが、これらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、等)。当業者には、導入された請求項の特定の数の記述が意図される場合、そのような意図は、請求項において明示的に記述されることとなり、そのような記述がない場合には、そのような意図は何ら存在しないことが、更に理解されるであろう。例えば、理解の補助として、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の記述を導入するための「少なくとも1つ」及び「1つ以上」という導入句の使用を含み得る。しかしながら、そのような句の使用は、同一の請求項が「1つ以上」又は「少なくとも1つ」という導入句、及び「a」又は「an」という不定冠詞(例えば、「a」及び/又は「an」は、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)等を含む場合であっても、「a」又は「an」という不定冠詞による請求項の記述の導入が、そのような導入された請求項の記述を含む任意の特定の請求項を、1つのそのような記述のみを含む実装態様に限定することを意味すると解釈されるべきではない。請求項の記述を導入するために使用される定冠詞の使用についても同じく当てはまる。加えて、導入された請求項の記述における特定の数を明示的に記述する場合であっても、そのような記述が少なくとも記述の数を意味するように解釈されるべきであることは、当業者は理解するであろう(例えば、他の修飾語句を伴わない「2つの記述」という最低限の記述は、少なくとも2つの記述、又は2つ以上の記述を意味する)。更に、「A、B、及びC等のうちの少なくとも1つ」に類似する慣例を使用するこれらの例において、一般に、このような構成は、その慣例について当業者が理解し得る意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、単独のA、単独のB、単独のC、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、並びに/又はA、B、及びCを一緒に、等を有するシステムを含み得るが、これらに限定されない)。「A、B、及びC等のうちの少なくとも1つ」に類似する慣例を使用するこれらの例において、一般に、このような構成は、その慣例について当業者が理解し得る意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、単独のA、単独のB、単独のC、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、並びに/又は、A、B、及びCを一緒に、等を有するシステムを含み得るが、これらに限定されない)。2つ以上の代替的な用語が存在する事実上の任意の離接語及び/又は句は、明細書、特許請求の範囲、又は図面にあるなしを問わず、その用語のうちの1つ、その用語のいずれか、又は両方の用語を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者にとって更に理解されるであろう。例えば、「A又はB」という句は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるであろう。加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群の観点から説明されている場合、当業者は、それによって本開示がマーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はサブグループのメンバーの観点からも説明されていることを認識するであろう。
【国際調査報告】