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特表2023-543551壁を通してラインを気密に供給する装置およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-17
(54)【発明の名称】壁を通してラインを気密に供給する装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20231010BHJP
   H02G 15/013 20060101ALI20231010BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20231010BHJP
   G02B 6/46 20060101ALI20231010BHJP
   F16L 5/02 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
H02G3/22
H02G15/013
H05K5/02 G
G02B6/46 301
F16L5/02 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513967
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 DE2021200096
(87)【国際公開番号】W WO2022063364
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】102020212059.5
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020212608.9
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592093648
【氏名又は名称】マイクロ-エプシロン・メステヒニク・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】MICRO-EPSILON MESSTECHNIK GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG & COMPAGNIE KOMMANDITGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュテルツル、 シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ザイコヴスキー、 アクセル
(72)【発明者】
【氏名】エッケ、 クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスパイントナー、 トーマス
【テーマコード(参考)】
2H038
4E360
5G363
5G375
【Fターム(参考)】
2H038CA42
4E360AA02
4E360AB12
4E360GB99
4E360GC02
5G363AA03
5G363BA01
5G363BA07
5G363BA10
5G363CA01
5G363CA14
5G363CA15
5G363CB01
5G363CB11
5G375AA02
5G375AA18
5G375BA02
5G375BB03
5G375BB40
(57)【要約】
本発明は、変形可能な被覆物を備えるラインを、第1の圧力領域を第2の圧力領域から分離する壁内の供給貫通部を通過させて気密に通す装置であって、前記供給貫通部の領域で前記ラインを取り囲んでいる管状部材を有し、この管状部材には、少なくとも2つの離間した環状のくびれ部、ノッチ、溝などが成形により形成され、前記少なくとも2つの離間した環状のくびれ部、ノッチ、溝など同士の間で、前記被覆物の材料が、成形で圧縮されることによって前記被覆物と管状部材との間で機能する一体型の環状封止部へと圧縮され、前記管状部材が、前記供給貫通部の周囲の前記壁に、少なくとも片側から気密に接続されているか、接続可能である、装置に関する。さらに、本発明は、対応する装置の製造方法に関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能な被覆物を備えるラインを、第1の圧力領域を第2の圧力領域から分離する壁内の供給貫通部を通過させて気密に通す装置であって、
前記供給貫通部の領域で前記ラインを取り囲んでいる管状部材を有し、
該管状部材には、少なくとも2つの離間した環状のくびれ部、ノッチ、溝などが成形により形成され、
前記少なくとも2つの離間した環状のくびれ部、ノッチ、溝など同士の間で、前記被覆物の材料が、成形で圧縮されることにより、前記被覆物と前記管状部材との間で機能する一体型の環状封止部へと圧縮され、
前記管状部材が、前記供給貫通部の周囲の前記壁に、少なくとも片側から気密に接続されているか、接続可能である、装置。
【請求項2】
前記ラインが、電線であることを特徴とする、請求項1に記載された装置。
【請求項3】
前記ラインが、光回線、例えば、光ファイバーケーブルであることを特徴とする、請求項1に記載された装置。
【請求項4】
前記ラインが、流体ライン、例えば、空気圧ラインまたは油圧ラインであることを特徴とする、請求項1に記載された装置。
【請求項5】
前記被覆物が、プラスチックまたは金属からなることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載された装置。
【請求項6】
前記管状部材が、延性金属で作られていることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載された装置。
【請求項7】
前記管状部材の材料が、熱膨張係数に関して、前記壁の材料とほぼ一致していることを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載された装置。
【請求項8】
2つの環状封止部が前記少なくとも2つのくびれ部の間で形成されるように、少なくとも1つの別の環状のくびれ部が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載された装置。
【請求項9】
前記少なくとも2つのくびれ部が、互いに等距離に配置され、ほぼ同じ大きさであることを特徴とする、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載された装置。
【請求項10】
支持管状部材が、前記被覆物の下に直接的または間接的に設けられ、
前記管状部材が成形されるときに前記支持管状部材が当接部材として機能することを特徴とする、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載された装置。
【請求項11】
前記管状部材が、前記壁の一部分であるか、または、前記壁を取り囲むハウジングの一部分であることを特徴とする、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載された装置。
【請求項12】
前記管状部材が、少なくとも片側から前記壁に接着または溶接されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載された装置。
【請求項13】
前記管状部材が、前記壁に接続可能なフランジの一部分であることを特徴とする、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載された装置。
【請求項14】
前記壁が、電気装置の、好ましくは測定装置の、特にセンサの、前記ハウジングの一部であることを特徴とする、請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載された装置。
【請求項15】
変形可能な被覆物を備えるラインを、第1の圧力領域を第2の圧力領域から分離する壁内の供給貫通部を気密に貫通して供給するための装置を製造するための、特に、請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載された装置を製造するための方法であって、
気密な前記供給貫通部を製造するために、前記ラインまたは前記ラインの被覆物が、前記供給貫通部の領域で前記ラインに密着する管状部材に引き込まれるか、または前記ラインに密着する管状部材で覆われ、
前記管状部材が、少なくとも2つの離間した環状のくびれ部、ノッチ、溝などを設けられ、それにより、前記被覆物が、前記少なくとも2つのノッチの間で、前記被覆物と前記管状部材との間で延在して封止部として作用する環状封止部を形成する、装置を製造するための方法。
【請求項16】
前記くびれ部の成形の前に、支持管状部材が形成される(例えば、前記被覆物の直下または間を介した下方に引き込まれる)ことを特徴とする、請求項15に記載された方法。
【請求項17】
前記くびれ部が、転造(成形)または転造技術によって、またはトグルプレス装置を用いて形成されることを特徴とする、請求項15または請求項16に記載された方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形可能な被覆を備えるラインを壁内の供給貫通部を通して気密に供給する装置に関し、壁は、第1の圧力領域を第2の圧力領域から分離している。
2つの圧力領域は異なる圧力を有していてもよく、例えば、片側が大気圧であり、反対側が負圧または正圧であってもよい。
さらに、両側が高温であったり、または、著しく異なる温度であったりしてもよい。
【0002】
ここで、「壁」という用語は、広義に理解されるべきであることに、留意されたい。
この壁とは、2つの部屋の間の壁、または、ハウジングの一部としての壁であってもよい。
異なる圧力領域を互いに分離している壁を供給貫通部が通過していることが重要であり、ラインの供給貫通部は、2つの領域を分離するにあたっての弱点部であると理解されている。
【背景技術】
【0003】
測定技術の産業的な用途では、測定システムの様々な構成要素を、様々な圧力範囲で動作させることをしばしば要求される。
たとえば、センサは、共に用いられる電子評価装置とは異なる周囲圧力領域でしばしば用いられる。
そのため、センサと電子評価装置との間の制御線および信号線を、供給貫通部を介して一方の圧力領域から他方の圧力領域に配線する必要がある。
【0004】
無圧力領域から圧力領域または真空領域に制御線や制御ケーブルなどを案内するために、いわゆる、圧力供給貫通部や真空供給貫通部を用いることが一般的であり、または、実用上知られている。
【0005】
通常、真空供給貫通部の場合、ラインは、分離された後に接着、封入またはガラス封入ピンを介して反対側に供給される。
【0006】
このような供給を実施することの欠点は、製造および組み立て工程が広大になることである。
分離部では、周囲の媒体も、ライン内(たとえば、内部導体と遮蔽部材との間や複数の内部ラインの間など)に押し込まれる可能性がある。
圧力が急激に低下すると、ラインの被覆が破裂する可能性がある。
【0007】
一般的に、圧力供給貫通部は、鋼鉄製導管用のねじでねじ止め(PGねじ接続)された電線貫通部材を有する開口部を通して、ライン全体が供給され、その後、開口部とラインの被覆部とにOリングなどを用いて、ネジ止めを通してライン全体を封止するように設計されている。
この構成の欠点は、広大で大容量な設計となることである。
PGネジ接続は、広大な設置空間を必要とし、重量があり、複数の構成部品が必要である。
【0008】
一般的な解決策には、高温で構成部品が機械的に膨張することでOリングに必要なプレストレスが減少するため、高圧かつ高温または極低温で用いることができないという点で、欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、前述の欠点が少なくとも大幅に無くなるように、汎用的な装置を設計および開発するという目的に基づいている。
装置は、圧力と真空との両方の用途に適用可能であるべきである。
特に、長期間使用しても供給貫通部領域で装置が損傷してはならない。
さらに、約-20℃から+200℃の温度範囲など、広い温度範囲で気密性を保証する必要がある。
【0010】
そのような装置を製造するための、対応する方法も特定する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、本発明による装置に関する請求項1の特徴によって達成される。
【0012】
請求項1に基づくと、その装置は、変形可能な被覆物を備えるラインを、第1の圧力領域を第2の圧力領域から分離する壁内の供給貫通部を通過させて気密に通す装置である。
そして、この装置が、前記供給貫通部の領域で前記ラインを取り囲んでいる管状部材を有し、この管状部材には、少なくとも2つの離間した環状のくびれ部、ノッチ、溝などが成形により形成され、少なくとも2つの離間した環状のくびれ部、ノッチ、溝など同士の間で、前記被覆物の材料が前記成形で圧縮されることにより、前記被覆物と管状部材との間で機能する一体型の環状封止部が圧縮され、前記管状部材が、前記供給貫通部の周囲の壁に、少なくとも片側から気密に接続されているか、接続可能である、装置である。
【0013】
本発明によれば、従来技術から知られている解決策は、複雑であって設計における障害/失敗が発生しやすいことが認識されている。
本発明によれば、ラインと管状部材との間の封止は、複雑な構成でなく、すなわち、金属製管状部材にくびれ部、ノッチ、溝などを周方向に形成することで、ラインの被覆物で封止リングの機能原理を模した封止として形成される。
ここで、隣接する複数のノッチ同士が被覆物の材料を互いに圧縮することで、材料が隆起することにより形成される一種の一体型の封止リングが形成される。
くびれ部同士がどれだけ接近して形成されているか、および、くびれ部がどれだけの深さで形成されているか次第であるが、多かれ少なかれ隆起した「封止リング」が被覆材料の一部分として形成されることが重要である。
【0014】
「ライン」という用語は、最も広義に理解される。
例えば、ラインは、電線であってもよい。
また、ラインは、光回線、例えば、光ファイバーケーブルであってもよい。
ラインは、例えば、空気圧ラインまたは油圧ラインの意味での流体ラインとして設計される。
ケーブルは、必ずしも弾性である必要はなく、塑性変形可能な被覆物であることが重要である。
PVC、PUR、FKM(FFKM)、FPM(FFPM)、PTFE、延性金属などで作られた被覆物を有するラインが、特に適している。
【0015】
ラインを通す管状部材は、適切な工具を用いて被覆材料を変形可能なように、延性金属で作られていることが好ましい。
【0016】
原則として、管状部材の材料は、可鍛性金属であれば任意の材料でも構わない。
特に有利な方法では、管状部材の材料は、動作中に温度変動が生じた際に、接続領域での熱膨張で熱膨張係数が異なることによる応力亀裂が発生しないように、熱膨張係数に関して壁の材料とほぼ一致している。
【0017】
さらなる封止のために、合計3つのくびれ部を形成するように、リング状のくびれ部を少なくとも1つ追加して設けることも考えられる。
これは、被覆物の材料変位/圧縮によって、2つのリング封止が、くびれ部の間に形成されていることを意味する。
【0018】
くびれ部は、互いに等距離に配置されてもよく、ほぼ同じ大きさになるように設計されてもよい。
必要に応じて、くびれ部同士の間隔、すなわち、リング封止同士の間隔は、異なるようにすることも考えられる。
このために、変形を目的とした管状部材を、ラインに渡るさまざまな長さで設計してもよい。
【0019】
特に、例えば、同軸ケーブルのような本来的に柔軟なラインでは、被覆物の下に支持管状部材を直接的または間接的に設けると有利であり、支持管状部材は、管状部材が成形されるときの当接部材として機能する。
支持管状部材は、被覆物内のラインに挿入可能である。
【0020】
管状部材は、独立した構成要素として理解され、必要に応じて壁に接続されてもよい。
管状部材は、壁の一部分または壁を取り囲むハウジングの一部分であることで、管状部材と壁との間の封止に問題を生じさせないようになっている。
例えば、管状部材は、円筒形のセンサハウジングの一部分であってもよく、例えば、旋削、浸食などによって、一端が切り出されているように機械加工されていてもよい。
【0021】
別の方法として、管状部材の片側は、壁に接着または溶接されていてもよい。
【0022】
別の設計の一部として、管状部材は、壁に接続可能であって様々な壁に使用可能なフランジの一部分となっている。
ここで、フランジのフランジ面と壁の接触面との間が封止接続となっていることが重要であり、このために、従来のOリングまたは平面封止が用いられていてもよい。
【0023】
供給貫通部を有する壁は、技術機器(例えば、電気装置、特にセンサなどの測定装置であってもよい)のハウジングの一部であってもよい。
このような場合、本発明の装置は、電子機器に適用される場合、センサの測定側と、ハウジングに収容された接続部との間を封止するために用いられている。
【0024】
本発明による方法に関して、根底にある目的が、独立請求項15の特徴によって達成される。
この方法は、特に、上述の装置の製造に役に立つ。
【0025】
最初の方法ステップで、ラインが管状部材に引き込まれるか、またはラインに密着する管状部材で覆われる。
【0026】
別のステップで、くびれ部またはノッチが金属製管状部材に形成される。
外側被覆物の材料が、半径方向にプレス加工される。
ラインの内部構造のために、材料が内側にずれることがなく、つまり、材料は部分的にくびれ部から軸方向に押し出される。
ケーブルの内部構造が柔軟すぎる場合(例えば、発泡性誘電体を用いた同軸ケーブルまたは3軸ケーブルの場合)、くびれ部の成形前に、被覆物とケーブルの内部構造との間に支持管状部材が押し込まれてもよい。
【0027】
くびれ部の成形には、適切な工具または装置を使用する。
円周方向を、被覆材料が全周にわたって変形するように、設計する必要がある。
ここで、単純な圧着では不十分である。
絞り装置、例えば、円環状部を成形する、円運動をするプレス部品を有するトグル継ぎ手プレス装置を用いることで、プレス加工時に円環状のくびれ部を生成してもよい。
転造ヘッドを周囲に案内することでくびれ部を作成する、転造加工機(roller converter)が適している。
【0028】
別のステップで、第2のくびれ部が第1のくびれ部から特定の距離に形成される。
ここで、外側被覆物の材料も、半径方向に圧迫され、くびれ部から軸方向に部分的に押し出される。
しかしながら、第1のくびれ部が、第1のくびれ部に向かう方向への軸方向の押し出しを防止するので、外側被覆の材料は、2つのくびれ部の間で実質的に圧縮される。
これにより、2つのくびれ部の間に、被覆物の材料が圧縮されて厚くなっている領域が作成される。
2つのくびれ部の間に、Oリングなどの封止リングに疑似した封止領域が形成される。
2つのステップが、適切な装置を使用して同時に実行されてもよい。
圧力側の周囲の媒体を通して疑似Oリングに圧力がかかると、疑似Oリングは、さらに圧力を受けることになり、封止効果が向上する。
【0029】
くびれ部の形状、深さ、距離および特性によって、疑似Oリングの形状が決定される。
有利な実施形態では、2つのくびれ部は、それらの間の変形可能な管状部材の領域がほぼ円弧形状を有するように、寸法決定される。
そして、この円弧形状の場合、結果として生じる圧力は、Oリングと同様に特によく吸収される。
過圧されていることであらゆる温度での封止効果が得られるため、たとえば、-20℃~+200℃の広い温度範囲で加圧された場合に高度な気密性が達成される。
くびれ部を対称的に設計することで、2方向で封止効果を得ることが可能になり、これにより、圧力が変化する場合にも使用可能となる。
【0030】
特に、高い気密性が必要な場合は、2つ以上の封止領域を前後に配置してもよい。
【0031】
別の利点として、このような供給貫通部は、シンプルでコンパクトな設計であることである。
構成要素を追加することなく、ケーブルの既存の被覆物から高圧にも耐える封止領域が形成される。
第1の圧力範囲は、通常の周囲圧力であってもよく、第2の圧力範囲は、真空または過圧のいずれかであってもよい。
このプロセスは、高圧に特に適している。
第1圧力領域および第2の圧力領域には、任意の所望の組み合わせが考えられる。
【0032】
この方法は、電線だけでなく、光回線(光ファイバーケーブル)、空気圧ラインまたは油圧ラインが第1の圧力領域から第2の圧力領域に配線される場合にも適用可能である。
【0033】
本発明の教示を有利に構成し、さらに発展させる、様々な方法がある。
このために、一方では、請求項1に従属する請求項を参照し、他方では、図面を参照して本発明である実施形態の以下の説明を参照されたい。
図面に基づく本発明の実施形態の説明に関して、好ましい構成および発展も一般的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】変形可能な被覆物を備える導管を、不図示の壁内の通路を気密に通すための装置を示す概略図であって、管状部材の成形前に、導管が管状部材を通って案内されている。
図2】管状部材が成形された後の、図1に示す主題の概略図である。
図3】引き込まれた支持管状部材を有する同軸ラインの実施例を用いた、本発明による装置の概略図である。
図4】管状部材がセンサハウジングの一部となっている、本発明による装置の別の設計例の概略図である。
図5】管状部材が壁に直接接続するためのフランジの一部となっている、本発明による装置の別の設計例の概略図である。
図6図5に示す主題の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、金属製管状部材3の成形前に、金属製管状部材3を通って電線2を案内する、装置1を示す。
【0036】
図2は、金属製管状部材3の成形後の装置1を示す。
第1のノッチ4は、被覆物5を半径方向6に圧縮し、それにより軸方向7に押し出す。
第1のノッチ4の後方の第2のノッチ8も、被覆物5を半径方向6に圧縮し、それにより被覆物5を軸方向7に押し出す。
2つのノッチ4、8の間の封止領域9では、被覆物5が共に押し付けられて圧縮され、厚肉部が形成される。
この厚肉部は、封止リング、例えば、Oリングの機能を疑似した封止領域9を形成している。
【0037】
ここで、ケーブルの内部構造は、半径方向6の力を充分に吸収するのに充分なほど安定しているため、ケーブルの被覆物5の材料は、主に、軸方向7に押し出される。
【0038】
図3は、同軸ライン2の実施例を用いて、このような現象が当てはまらない状況を示している。
同軸ライン2は、内部導体11と組み込み遮蔽部材12との間の発泡材料で作られた発砲誘電体10を含む。
発泡誘電体10は、小さな力しか吸収することができないので、ノッチ4、ノッチ8が成形されるとき、発砲誘電体10が潰れ、被覆物5は変形しない。
この状況を改善するために、被覆物5と内部構造との間に、例えば、遮蔽部材12である遮蔽網の上方または下方に、支持管状部材13を挿入してもよく、これによって、成形中に半径方向6の力が吸収される。
【0039】
図4は、センサ14の実施例を用いて、そのような実施形態1を示す。
センサ14は、高圧および場合によっては高温にさらされている第1の圧力領域15に配置されている。
センサ14自体は、密閉されており、圧力および温度に対して耐性がある。
センサ14の内部は、通常の圧力であり、これが第2の圧力領域16を形成している。
第1の圧力領域15内の媒体(例えば、空気、油、水等)が被覆物5と管状部材3との間をライン2に沿ってセンサ14まで通り、センサ14を故障させるのを防ぐために、供給貫通部1は、本発明の教示に従って封止される。
2つのノッチ4、ノッチ8があることで、封止領域9がOリングの様に機能し、これによって媒体が第2の圧力領域16、つまり、センサ14の内部に侵入するのを確実に防止する。
【0040】
図5は、第1の圧力領域15と第2の圧力領域16との間の壁17を通る、そのような供給貫通部1の適用例を示す。
壁17の開口部18で、圧力フランジ19がねじ止めされ、既知の方法でOリング20を用いて封止されている。
ライン2は、圧力フランジ19内の供給貫通部1を通って延在している。
金属製管状部材3が圧力フランジ19に取り付けられ、2つのノッチ4、8によって本発明による封止が形成されている。
【0041】
図6は、圧力フランジ19をライン2およびノッチ4、8とともに斜視図で示している。
【0042】
上記の設計例は、すべて、電線2の供給貫通部に関連している。
電線2の代わりに、任意のライン2、特に、光回線、油圧ラインまたは空気圧ラインが供給されてもよい。
ライン2が変形可能な被覆物を備えることで、成形によって一体型のリング封止を生成可能であることが重要である。
【0043】
本発明による教示のさらに有利な構成に関して、繰り返しを避けるために、説明の一般的な部分および添付の特許請求の範囲を参照されたい。
【0044】
最後に、本発明による教示の上述の設計例は、特許請求の範囲の教示を説明するのに役立つのみであり、教示をこれらの設計例に限定するものではないことに、明確に留意されたい。
【符号の説明】
【0045】
1 ・・・実施形態
2 ・・・ライン、電線
同軸ライン
3 ・・・金属製管状部材
4 ・・・第1のノッチ
5 ・・・被覆物
6 ・・・半径方向
7 ・・・軸方向
8 ・・・第2のノッチ
9 ・・・2つのノッチ間の領域
10 ・・・誘電体
11 ・・・内部導体
12 ・・・遮蔽網
13 ・・・支持管状部材
14 ・・・センサ
15 ・・・第1の圧力領域
16 ・・・第2の圧力領域
17 ・・・壁
18 ・・・壁の開口部
19 ・・・圧力フランジ
20 ・・・Oリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】