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特表2023-543564プロフレグランスを含有する消費者製品
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  • 特表-プロフレグランスを含有する消費者製品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-17
(54)【発明の名称】プロフレグランスを含有する消費者製品
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/50 20060101AFI20231010BHJP
   C11D 10/02 20060101ALI20231010BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
C11D3/50
C11D10/02
C11B9/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517364
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(85)【翻訳文提出日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2021076289
(87)【国際公開番号】W WO2022063943
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】20198175.0
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マリー オズボーン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ガウマン
【テーマコード(参考)】
4H003
4H059
【Fターム(参考)】
4H003AB04
4H003AB31
4H003AC08
4H003AD04
4H003DA01
4H003DA02
4H003DA05
4H003EA19
4H003EB05
4H003EB08
4H003EB28
4H003ED02
4H003FA16
4H003FA26
4H003FA28
4H059BA02
4H059BA12
4H059BA15
4H059BA17
4H059BA19
4H059BA20
4H059BA22
4H059BA30
4H059BB03
4H059BB45
4H059BC23
4H059DA09
4H059EA35
(57)【要約】
本発明は、香料入り消費者製品であって、a)活性基剤;b)式Zn(RCOO) (I)[式中、Rは水素原子、または直鎖C~C20アルキルもしくは直鎖C~C20アルケニル基である]の少なくとも1つの亜鉛塩;c)少なくとも1つの硫黄含有プロフレグランス化合物;およびd)1つ以上の賦香補助成分を含む香料入り消費者製品に関する。香料入り消費者製品組成物は、織物および家庭の表面の処理方法に有利に使用され、この表面に、フレッシュで匂いが安定し、長続きする香りを付与することができる。これらはまた、ボトル入りの液体製品の保管期間に左右されずに、異臭ノートを伴うことなく、ボトルから出した後の安定した匂いを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
香料入り消費者製品であって、
a)活性基剤;
b)式
Zn(RCOO) (I)
[式中、Rは水素原子、または直鎖C~C20アルキルもしくは直鎖C~C20アルケニル基である]
の少なくとも1つの亜鉛塩;
c)少なくとも1つの硫黄含有プロフレグランス化合物;および
d)1つ以上の賦香補助成分
を含む、香料入り消費者製品。
【請求項2】
構成成分a)~d)の混合物からなる、請求項1記載の香料入り消費者製品。
【請求項3】
構成成分a)が、液体柔軟剤活性基剤、液体洗剤活性基剤、シャンプー活性基剤または万能クリーナー活性基剤である、請求項1または2記載の香料入り消費者製品。
【請求項4】
前記香料入り消費者製品が、1~8に含まれるpHを有する、請求項1または3記載の香料入り消費者製品。
【請求項5】
構成成分a)が、前記香料入り消費者製品の総重量の少なくとも85重量%、最大99.95重量%を占める、請求項1から4までのいずれか1項記載の香料入り消費者製品。
【請求項6】
Rが水素原子または直鎖C~C18アルキル基である、請求項1から5までのいずれか1項記載の香料入り消費者製品。
【請求項7】
構成成分b)が酢酸亜鉛またはステアリン酸亜鉛である、請求項6記載の香料入り消費者製品。
【請求項8】
構成成分b)が0.01重量%以上の濃度で存在し、前記香料入り消費者製品の総重量の最大5重量%を占めることができる、請求項6または7記載の香料入り消費者製品。
【請求項9】
前記少なくとも1つの硫黄含有プロフレグランス化合物が、式
【化1】
[式中、
a)wは1~10000の整数を表し、
b)nは1または0を表し、
c)mは1~6の整数を表し、
d)Pは、水素原子、または発香性α,β-不飽和ケトン、アルデヒドもしくはカルボン酸エステルを生成しやすいラジカルを表し、式
【化2】
によって表され、
式中、
波線は前記PとSとの間の結合の位置を示し、
は、水素原子、C~Cアルコキシルラジカル、または1~4個のC~Cアルキル基によって任意に置換されたC~C15直鎖、環状もしくは分岐アルキル、アルケニルもしくはアルカジエニルラジカルを表し、
、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、芳香環、もしくは場合によりC~Cアルキル基によって置換されたC~C15直鎖、環状もしくは分岐アルキル、アルケニルもしくはアルカジエニルラジカルを表すか、または基R~Rの2つもしくは3つが結合して、5~20個の炭素原子を有し、前記R、R、RもしくはR基が結合している炭素原子を含む飽和もしくは不飽和の環を形成し、この環は、場合によりC~C直鎖、分岐または環状アルキルまたはアルケニル基によって置換されるが、ただし、P基の少なくとも1つが、以上に定義される式(III)を有し、
e)Gは、1~22個の炭素原子を有する環状、直鎖、脂環式または分岐アルキル、環状、直鎖、脂環式または分岐アルケニル、フェニル、アルキルフェニルまたはアルケニルフェニル炭化水素ラジカルから得られる多価ラジカル(m+1価を有する)を表し、前記炭化水素ラジカルは、場合により置換され、ハロゲン、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、チオール、チオエーテル、アミン、第四級アミンおよびアミドからなる群から選択される1~10個の官能基を有し、
f)Qは、水素原子を表すか(この場合、w=1およびn=1)、またはポリ(アルキルイミン)からなる群から選択されるポリマーもしくはコポリマー、ペプチド(例えばリジン)、またはセルロース、シクロデキストリンおよびデンプンからなる群から選択される多糖、またはカチオン性四級化シリコンポリマー、あるいはさらに、式A)~C):
【化3】
からなる群から選択されるモノマー単位から得られるポリマーまたはランダムコポリマーを表し、
式中、
ハッチング線は、上記モノマー単位とGとの間の結合の位置を示し、
Yは、酸素もしくは硫黄原子、またはNR基を表し、
o、p、q、r、s、t、uおよびvは、いずれも0から1の間の互いに独立した分数を表し、o+p+q=1、r+s=1かつt+u+v=1であるが、ただし、oまたはpのいずれか、ならびにrおよびtは、0に等しくなく、
は、水素原子、またはグリシン、アラニン、フェニルアラニン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、メチオニン、グルタミン、アスパラギン、トレオニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、バリン、チロシンもしくはトリプトファン等の天然もしくは非天然アミノ酸に由来する側鎖を表し、
は、同時にまたは独立して水素原子またはC~C16炭化水素基を表し、
は、同時にまたは互いに独立して、
- 水素もしくはハロゲン化物原子;
- 酸素および硫黄原子からなる群から選択される任意に1~4個のヘテロ原子を含むC~C炭化水素基;
- Rが水素原子、任意に1~30個の酸素原子を含むC~C60アルキルもしくはアルケニル基を表す、式COORのカルボン酸基;
- OR基もしくはCOR基;または
- 窒素原子によって連結されたピロリドン単位
を表し、
Mは水素原子、アルカリまたはアルカリ土類金属イオンを表す]
の少なくとも1つの化合物である、請求項1から8までのいずれか1項記載の香料入り消費者製品。
【請求項10】
前記少なくとも1つの硫黄含有プロフレグランス化合物が式(II)の化合物であり、式中、Gは、2~15個の炭素原子を有し、場合によりCOOR基で置換された直鎖または分岐アルキルまたはアルケニルラジカルから得られる2価のラジカルであり、Rは水素原子またはC~Cアルキルもしくはアルケニル基である、請求項9記載の香料入り消費者製品。
【請求項11】
前記少なくとも1つの硫黄含有プロフレグランス化合物が式(II)の化合物であり、式中、Pは、その異性体のいずれか1つの形態で、式(P-1)~(P-14):
【化4】
からなる群から選択されるラジカルを表し、式中、波線は前記PとSとの間の結合の位置を示し、点線は単結合または二重結合であり、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子、ヒドロキシルもしくはメトキシ基、またはC~C直鎖もしくは分岐アルキル基であり、Rは水素原子、またはC~C直鎖もしくは分岐アルキル基である、請求項9または10記載の香料入り消費者製品。
【請求項12】
前記少なくとも1つの硫黄含有プロフレグランス化合物が、メチルまたはエチル2-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イルアミノ)-3-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イルチオ)プロパネート、メチルまたはエチル2-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-2-イルアミノ)-3-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-2-イルチオ)プロパネート、メチルまたはエチル2-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタン-4-イルアミノ)-3-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタン-4-イルチオ)プロパネート、メチルまたはエチル2-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-4-イルアミノ)-3-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-4-イルチオ)プロパネート、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-1-ブタノン、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)-1-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-2-ブタノン、2-ドデシルスルファニル-5-メチル-ヘプタン-4-オン、2-シクロヘキシル-1-ドデシルスルファニル-ヘプタ-6-エン-3-オン、3-(ドデシルチオ)-5-イソプロペニル-2-メチルシクロヘキサノン、2-(ドデシルチオ)-4-オクタノン、4-(ドデシルチオ)-4-メチルペンタン-2-オン、メチルまたはエチルN,S-ビス(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イル)-L-システイネート、メチルまたはエチルS-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イル)-L-システイネート、4-オキソオクタン-2-イルドデカノエート、およびそれらの任意の混合物からなる群から選択される、請求項9から11までのいずれか1項記載の香料入り消費者製品。
【請求項13】
前記少なくとも1つの硫黄含有プロフレグランス化合物が、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-1-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-2-ブタノン、3-(ドデシルチオ)-5-イソプロペニル-2-メチルシクロヘキサノン、2-(ドデシルチオ)-4-オクタノンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項12記載の香料入り消費者製品。
【請求項14】
前記少なくとも1つの硫黄含有プロフレグランス化合物が、前記香料入り消費者製品の総重量の少なくとも0.0001重量%で存在する、請求項9から13までのいずれか1項記載の香料入り消費者製品。
【請求項15】
身体、毛髪および家庭用織物等の表面を処理する、特に洗浄および/または柔軟化する方法において、
前記表面を、請求項1から14までのいずれか1項記載の香料入り消費者製品により、一般的に知られているように処理することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料に関する。より詳細には、本発明は、香料入り消費者製品であって、4つの異なる分類からの成分の組合せを含み、繊維製品または硬質表面等の表面に長続きする匂いおよびより良好なフレッシュさを付与することができ、また、ボトルから出した後および長時間保管した後の匂いの安定性が改善された、香料入り消費者製品に関する。
【0002】
背景
消費者は、洗浄または柔軟化製品で処理した繊維製品および他の表面に清潔で長続きするフレッシュな匂いの印象を残す製品を求めている。この効果を達成するために過去に幾つかの技術が用いられており、特に香料を処理製品に組み入れる前にカプセル化しているか、または専門家は、いわゆるプロフレグランス、すなわち、通常それ自体は匂いを付与しないが、使用条件下で一定期間にわたって匂い物質を放出することができる分子の使用に頼っている。
【0003】
結果として、洗浄製品に対する消費者の認識および好みは、ボトルの開封時に発散される匂いおよびそのような製品が処理表面に付与することができる残り香によって決まることがある。
【0004】
プロフレグランスを含有する洗剤および/または織物柔軟剤で処理された繊維製品のフレッシュさおよび清潔感の効果を延長するための従来既知の解決手段の中でも、特に、例えば米国特許第7,723,286号明細書、国際公開第2008/154765号または欧州特許第3386939号明細書に記載されている化合物および組成物を挙げることができる。これらの先行技術文献には、織物または他の処理表面に匂いを付与する1つ以上の成分を放出することができる化合物が記載されており、織物または他の処理表面は、そのような化合物を含む消費者製品の作用を受けている。国際公開第2012113746号には、保管後に許容される匂いの質を維持しながら、知覚される匂いの長期持続性を改善するために、液体基剤、硫黄含有化合物、少なくとも1つの硫黄含有プロフレグランス化合物および1つ以上の賦香補助成分を含む組成物、特に液体織物柔軟剤または万能クリーナーが報告されている。しかしながら、国際公開第2012113746号に報告された硫黄含有化合物の消費者製品における使用は制限されている。
【0005】
そのため、硫黄含有プロフレグランス化合物のオフノートのあらゆる形成または早期分解を回避しながら、硫黄含有プロフレグランス化合物によってもたらされる長期持続性に利益を与えることができる新規の組成物を開発する必要がある。
【0006】
本発明は、上で引用した先行技術文献に記載された化合物を、製品の匂い効果を安定させ、そのような製品で処理された織物または他の表面に、長続きする清潔でフレッシュな匂いを付与する有効性を改善することが可能な特定の作用物質と組み合わせた製品または組成物、すなわち織物柔軟剤および万能クリーナーを提供することによって、この分野に新たな有利な貢献をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】様々な亜鉛塩を含む織物柔軟剤基剤中のHSの定量化を示す図である。
【0008】
発明の説明
今回、驚くべきことに、活性基剤と、少なくとも1つの硫黄含有プロフレグランス化合物と、1つ以上の賦香補助成分とを含む香料入り消費者製品への式(I)の亜鉛塩の添加により、匂いの安定性を改善することができ、オフノートの発生を制限することができることが発見された。式(I)の亜鉛塩のみが、発生したHSの効率的な捕捉を可能にし、経時的な匂いの分解を引き起こす。
【0009】
したがって、本発明の第1の対象は、
香料入り消費者製品であって、
a)活性基剤;
b)式
Zn(RCOO) (I)
[式中、Rは水素原子、または直鎖C~C20アルキルもしくは直鎖C~C20アルケニル基である]
の少なくとも1つの亜鉛塩;
c)少なくとも1つの硫黄含有プロフレグランス化合物;および
d)1つ以上の賦香補助成分
を含む、香料入り消費者製品である。
【0010】
明確にするために明記しておくと、「香料入り消費者製品」は、それを適用した表面もしくは空間(例えば皮膚、毛髪、繊維製品、紙または家庭内の表面)、または空気中(エアフレッシュナー、脱臭剤等)に、様々な利点の中でも、心地よい賦香効果をもたらすことが期待される消費者製品を指すことが意図されている。言い換えると、本発明による香料入り消費者製品は、所望の消費者製品に対応する有益な作用物質とともに、「基剤」とも称される機能性配合物と、嗅覚有効量の1つ以上の賦香成分とを含む製造品である。明確にするために明記しておくと、上記香料入り消費者製品は非食用製品である。
【0011】
「アルケニル」という用語は、1つ、2つまたはそれ以上のオレフィン二重結合、特に1つの二重結合を含むことが理解される。
【0012】
香料入り消費者製品の構成要素の性質および種類については、本明細書ではより詳細な説明は保証されず、いずれにせよ網羅されないが、当業者は自身の基本知識に基づき、上記製品の性質および所望の効果に応じて、それらを選択することができる。
【0013】
適切な香料入り消費者製品の非限定的な例としては、ファインパフューム、スプラッシュもしくはオードパフューム、コロン、もしくはシェーブもしくはアフターシェーブローション等の香水;液体もしくは固形の洗剤、織物柔軟剤、液体もしくは固形の芳香促進剤、織物リフレッシュ剤、アイロニングウォーター、紙、漂白剤、カーペットクリーナー、カーテンケア製品等の織物ケア製品:ヘアケア製品(例えばシャンプー、カラーリング用調製物またはヘアスプレー、カラーケア製品、整髪用製品)、デンタルケア製品、消毒剤、インティメイトケア製品等のボディケア製品;化粧品(例えばスキンクリームもしくはローション、バニシングクリーム、またはデオドラントもしくは制汗剤(例えばスプレーまたはロールオン)、脱毛剤、日焼け剤もしくは日焼け止め剤もしくは日焼け後製品、ネイル製品、皮膚クレンジング、メイク用品);またはスキンケア製品(例えば石鹸、シャワーもしくはバス用のムース、オイルもしくはジェル、または衛生用品、またはフット/ハンドケア製品);家庭内空間(部屋、冷蔵庫、食器棚、靴または車)および/もしくは公共スペース(ホール、ホテル、モール等)において使用可能なエアフレッシュナーもしくは「すぐに使用可能な」粉末状エアフレッシュナー等のエアケア製品;またはカビ除去剤、家具ケア製品、ワイプ、食器用洗剤もしくは硬質表面(例えば床、浴室、トイレまたは窓掃除用)洗剤等のホームケア製品;レザーケア製品;ポリッシュ、ワックスもしくはプラスチッククリーナー等のカーケア製品が挙げられる。
【0014】
活性基剤とは、本明細書では、テクスチャー、保湿剤等の消費者製品と関連する利益を付与することができる成分を意味する。活性基剤は、香料入り消費者製品において一般的な成分を含む。香料入り消費者製品の活性基剤は、香料入り消費者製品の性質によって決まり、そのような製品に関する豊富な文献に見ることができる。これらの配合物については、本明細書では詳細な説明は保証されず、いずれにせよ網羅されない。このような消費者製品を配合する技術分野の当業者は、自身の基本知識および利用可能な文献に基づき、適切な構成成分を選択することが完全に可能である。
【0015】
香料入り消費者製品の具体的な実施形態によれば、香料入り消費者製品は、上で挙げた構成成分の混合物からなる。香料入り消費者製品が「からなる」とは、本明細書では、上で挙げた4つの構成成分を、香料入り消費者製品の重量に対して僅かな、すなわち2重量%以下、好ましくは1重量%以下の任意の他の構成成分とともに本質的に含有し、任意の他の構成成分が香料入り消費者製品の洗浄、柔軟化および/または賦香特性、ならびに活性に大きな影響を及ぼさない組成物と理解される。
【0016】
本発明の任意の実施形態によれば、本発明の香料入り消費者製品は、1以上のpHを特徴とする。特に、本発明の香料入り消費者製品は、1~12または1~8に含まれるpHを有する。さらに詳細には、本発明の香料入り消費者製品は、1~6に含まれるpHを有する。
【0017】
特定の実施形態によれば、本発明の香料入り消費者製品は、パーソナルケア、ホームケアまたは織物ケア消費者製品の形態である。上で定義した構成成分a)は、通例、パーソナル、ホームまたは織物ケア消費者製品、特にシャワージェル、シャンプー、石鹸、織物洗剤または柔軟剤、および万能クリーナーにおいて一般的な成分を含む活性基剤である。そのような基剤の主な機能性構成成分は、衣類、カーテン織物、カーペットおよび家具の織物等の様々な性質の織物および/もしくは繊維製品、または他の家庭内の表面、皮膚もしくは毛髪を洗浄および/または柔軟化することができ、通例、多量の水または水性溶剤中で使用される界面活性剤および/または柔軟剤構成成分である。したがって、これらは、水の量が最大でも20%である石鹸または固形洗剤を除いて、水の量が通常は活性基剤の50~99重量%に含まれる配合物である。「基剤」という用語は、本明細書では、本発明による組成物の主構成成分の意味で使用され、塩基性pHを有する液体の意味では使用されない。
【0018】
そのような織物の洗浄および/または柔軟化基剤のより詳細な説明は、本明細書では保証されず、現在の液体基剤の多くの説明は、洗浄剤/織物柔軟剤の特許および他の関連文献、例えばLouis Ho Tan Taiの教科書“Detergents et Produits de Soins Corporels”、特にChapters 1 to 7, Dunod, Paris, 1999、または液体柔軟剤および万能クリーナー配合物の技術に関する任意の他の類似および/もしくはより最近の教科書に見ることができる。国際公開第2010/105873号も、そのような液体製品の香料以外の典型的な現在の成分を特に9~21頁に記載しているため、例として引用される。当然ながら、液体洗浄剤および/または織物柔軟剤の基剤の多くの他の例を文献中に見ることができる。任意のそのような液体基剤、すなわち液体の織物洗浄剤もしくは仕上げ剤、および/または万能クリーナーを、本明細書に記載される組成物に使用することができる。
【0019】
本発明の任意の実施形態によれば、構成成分a)は通例、本発明による組成物の総重量の少なくとも85%、さらには90重量%を占め、本発明の組成物の総重量の最大99.95重量%、通例、95%~99.9%、より好ましくは製品の総重量の98%~99.8%を占めることができる。
【0020】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の香料入り消費者製品は、構成成分a)が、香料入り消費者製品の総重量を基準として85~100重量%に含まれる量の織物柔軟剤活性基剤である液体織物柔軟剤である。織物柔軟剤活性基剤は、ジアルキル第四級アンモニウム塩、ジアルキルエステル第四級アンモニウム塩、ハンブルクエステルクワット(Hamburg esterquat)、トリエタノールアミンクワット、シリコーンおよびそれらの混合物を含み得る。任意に、組成物の構成成分a)は、好ましくは塩化カルシウムからなる群で選ばれる粘度調整剤を、液体基剤の総重量を基準として0.05~1重量%に含まれる量でさらに含むことができる。
【0021】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の香料入り消費者製品は、組成物の構成成分a)が、香料入り消費者製品の総重量を基準として85~100重量%に含まれる量の万能クリーナー活性基剤である万能クリーナーである。万能活性基剤は、1~2%に含まれる量の直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、2~4%に含まれる量の非イオン性界面活性剤、および0.1~0.5%に含まれる量のクエン酸等の酸を含み得る。
【0022】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の香料入り消費者製品は、構成成分a)が、香料入り消費者製品の総重量を基準として85~100重量%に含まれる量の液体洗剤活性基剤である液体洗剤である。液体洗剤活性基剤は、アルキルベンゼンスルホネート(ABS)、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、第二級アルキルスルホネート(SAS)、第一級アルコールスルフェート(PAS)、ラウリルエーテルスルフェート(LES)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、メチルエステルスルホネート(MES)等のアニオン性界面活性剤;アルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミド等の非イオン性界面活性剤;またはそれらの混合物を含み得る。
【0023】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の香料入り消費者製品は、構成成分a)が、香料入り消費者製品の総重量を基準として85~100重量%に含まれる量の固形洗剤活性基剤である固形洗剤である。固形洗剤活性基剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性イオン性界面活性剤およびそれらの混合物からなる群で選ばれる少なくとも1つの界面活性剤を含み得る。固形洗剤活性基剤中の界面活性剤は、好ましくは直鎖アルケンベンゼンスルホネート(LABS)、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、αオレフィンスルホネート(AOS)、メチルエステルスルホネート(MES)、アルキルポリグルコシド(APG)、第一級アルコールエトキシレート、特にラウリルアルコールエトキシレート(LAE)、第一級アルコールスルホネート(PAS)、石鹸およびそれらの混合物からなる群で選ばれる。固形洗剤活性基剤は、TAED(テトラアセチルエチレンジアミン)等の漂白剤;緩衝剤;ゼオライト、炭酸ナトリウムまたはそれらの混合物等のビルダー;汚れ除去または汚れ懸濁ポリマー;セルラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼまたはそれらの混合物等の粒状酵素粒子;腐食防止剤;消泡剤;泡立ち抑制剤;染料;ケイ酸ナトリウム、硫酸ナトリウムまたはそれらの混合物等の充填剤;過炭酸ナトリウムまたは過ホウ酸ナトリウム等の過酸化水素源;およびそれらの混合物からなる群から選択される、粉末洗剤消費者製品に一般的に使用される更なる構成成分を含み得る。
【0024】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の香料入り消費者製品は、構成成分a)が、香料入り消費者製品の総重量を基準として85~100重量%に含まれる量のシャンプーまたはシャワージェル活性基剤であるシャンプーまたはシャワージェルである。シャンプーシャワージェル活性基剤は、アルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸アンモニウム、アルキルアンホアセテート、コカミドプロピルベタイン、コカミドMEA、アルキルグルコシドおよびアミノ酸系界面活性剤を含み得る。
【0025】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の香料入り消費者製品は、構成成分a)が、香料入り消費者製品の総重量を基準として85~100重量%に含まれる量の石鹸活性基剤である棒状石鹸である。棒状石鹸活性基剤は、弱酸の塩、典型的には、脂肪酸であり得る弱酸と、水酸化ナトリウムのような強塩基との塩であってもよい。
【0026】
本発明の任意の実施形態によれば、本発明による香料入り消費者製品の構成成分b)は、式
Zn(RCOO) (I)
[式中、Rは水素原子、または直鎖C~C18アルキルもしくは直鎖C~C18アルケニル基であり得る]
の亜鉛塩である。特に、Rは水素原子または直鎖C~C18アルキル基であり得る。特に、Rは素原子または直鎖C~C15アルキル基であり得る。特に、Rは水素原子または直鎖C~C10アルキル基であり得る。特に、Rは水素原子または直鎖C~Cアルキル基であり得る。特に、Rは水素原子または直鎖C~Cアルキル基であり得る。特に、Rは水素原子またはC~C直鎖アルキル基であり得る。特に、Rは水素原子またはC~C直鎖アルキル基であり得る。さらに詳細には、Rはメチル、エチルまたはヘプタデシル基であり得る。特に、亜鉛塩は、酢酸亜鉛およびステアリン酸亜鉛からなる群から選択することができる。
【0027】
構成成分b)は、本発明の香料入り消費者製品中に、香料入り消費者製品の総重量に対して0.01%以上の重量濃度で存在し得る。構成成分b)は、香料入り消費者製品の総重量の最大5%の濃度で存在することができる。特に、香料入り消費者製品中の亜鉛塩の濃度は、香料入り消費者製品の総重量を基準として0.01~3%に含まれ得る。さらに詳細には、香料入り消費者製品中の亜鉛塩の濃度は、香料入り消費者製品の総重量を基準として0.1~3%に含まれ得る。
【0028】
本発明の組成物は、その構成成分c)としてプロフレグランスを含有する。「プロフレグランス」とは、本明細書では、上で引用した従来技術、すなわち米国特許第7,723,286号明細書、国際公開第2014/202591号および/または国際公開第2008/154765号に記載されている化合物の1つ以上である構成成分として理解される。そのような化合物は、それ自体が匂い物質ではないが、使用/適用条件下で、すなわち本発明による組成物の適用時に芳香分子を放出する能力を有する。組成物は、1つまたは幾つかのそのような化合物を含有することができ、この化合物は、種々異なる匂い付与物質の制御放出を可能にする。これは、ただ1つのプロフレグランス化合物を使用する場合に起こるように、ただ1つの香料成分をゆっくりと放出するよりも利点となり得る。
【0029】
本発明の組成物のいずれか1つの具体的な実施形態によれば、硫黄含有プロフレグランス化合物は、式
【化1】
[式中、
a)wは1~10000の整数を表し、
b)nは1または0を表し、
c)mは1~6の整数を表し、
d)Pは、水素原子、または発香性α,β-不飽和ケトン、アルデヒドもしくはカルボン酸エステルを生成しやすいラジカルを表し、式
【化2】
によって表され、
式中、
波線は上記PとSとの間の結合の位置を示し、
は、水素原子、C~Cアルコキシルラジカル、または1~4個のC~Cアルキル基によって任意に置換されたC~C15直鎖、環状もしくは分岐アルキル、アルケニルもしくはアルカジエニルラジカルを表し、
、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、芳香環、もしくは場合によりC~Cアルキル基によって置換されたC~C15直鎖、環状もしくは分岐アルキル、アルケニルもしくはアルカジエニルラジカルを表すか、または基R~Rの2つもしくは3つが結合して、5~20個の炭素原子を有し、上記R、R、RもしくはR基が結合している炭素原子を含む飽和もしく不飽和の環を形成し、この環は、場合によりC~C直鎖、分岐または環状アルキルまたはアルケニル基によって置換されるが、ただし、P基の少なくとも1つが、以上に定義される式(III)を有し、
e)Gは、1~22個の炭素原子を有する環状、直鎖、脂環式または分岐アルキル、環状、直鎖、脂環式または分岐アルケニル、フェニル、アルキルフェニルまたはアルケニルフェニル炭化水素ラジカルから得られる多価ラジカル(m+1価を有する)を表し、上記炭化水素ラジカルは、場合により置換され、ハロゲン、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、チオール、チオエーテル、アミン、第四級アミンおよびアミドからなる群から選択される1~10個の官能基を有し、
f)Qは、水素原子を表すか(この場合、w=1およびn=1)、またはポリ(アルキルイミン)からなる群から選択されるポリマーもしくはコポリマー、ペプチド(例えばリジン)、またはセルロース、シクロデキストリンおよびデンプンからなる群から選択される多糖、またはカチオン性四級化シリコンポリマー、あるいはさらに式A)~C):
【化3】
からなる群から選択されるモノマー単位から得られるポリマーまたはランダムコポリマーを表し、
式中、
ハッチング線は、上記モノマー単位とGとの間の結合の位置を示し、
Yは、酸素もしくは硫黄原子、またはNR基を表し、
o、p、q、r、s、t、uおよびvは、いずれも0から1の間の互いに独立した分数を表し、o+p+q=1、r+s=1かつt+u+v=1であるが、ただし、oまたはpのいずれか、ならびにrおよびtは、0に等しくなく、
は、水素原子、またはグリシン、アラニン、フェニルアラニン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、メチオニン、グルタミン、アスパラギン、トレオニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、バリン、チロシンもしくはトリプトファン等の天然もしくは非天然アミノ酸に由来する側鎖を表し、
は、同時にまたは独立して水素原子またはC~C16炭化水素基を表し、
は、同時にまたは互いに独立して、
- 水素もしくはハロゲン化物原子;
- 酸素および硫黄原子からなる群から選択される1~4個のヘテロ原子を任意に含むC~C炭化水素基;
- Rが水素原子、任意に1~30個の酸素原子を含むC~C60アルキルもしくはアルケニル基を表す、式COORのカルボン酸基;
- OR基もしくはCOR基;または
- 窒素原子によって連結されたピロリドン単位
を表し、
Mは水素原子、アルカリまたはアルカリ土類金属イオンを表す]
の化合物である。
【0030】
Pの定義に使用される表現である「発香性α,β-不飽和ケトン、アルデヒドまたはカルボン酸エステル」とは、賦香成分として香料に使用されると当業者に認識されるα,β-不飽和ケトン、アルデヒドまたはカルボン酸エステルと理解される。一般的には、上記発香性α,β-不飽和ケトン、アルデヒドまたはカルボン酸エステルは、8~20個の炭素原子、またはさらに好ましくは10~15個の炭素原子を有する化合物である。
【0031】
同様に、以上で定義した本発明の化合物の合成に使用され、その後放出され得る、現在既知の発香性化合物の網羅的なリストを提供することはできない。しかしながら、好ましい例として以下のものを挙げることができる:α-ダマスコン、β-ダマスコン、γ-ダマスコン、δ-ダマスコン、α-イオノン、β-イオノン、γ-イオノン、δ-イオノン、β-ダマセノン、1-[6-エチル-2,6-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン、3-メチル-5-プロピル-2-シクロヘキセン-1-オン、2-メチル-5-(1-プロペン-2-イル)-2-シクロヘキセン-1-オン、2,5-ジメチル-5-フェニル-1-ヘキセン-3-オン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール、8-メチル-α-イオノンまたは10-メチル-α-イオノン、2-オクテナール、1-(2,2,3,6-テトラメチルシクロヘキシル)ブタ-2-エン-1-オン、4-(2,2,3,6-テトラメチルシクロヘキシル)ブタ-3-エン-2-オン、2-シクロペンタデセン-1-オン、4,4a-ジメチル-6-(1-プロペン-2-イル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-2(3H)-ナフタレノン、(E)-3-フェニルプロパ-2-エナール(シンナムアルデヒド)、2,6,6-トリメチルスピロ[ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3,1’-シクロヘキサン]-2’-エン-4’-オン、エチル2,4-デカジエノエート、エチル2-オクテノエート、メチル2-ノネノエート、エチル2,4-ウンデカジエノエート、4-メチルペンタ-3-エン-2-オン、オクタ-2-エン-4-オンおよびメチル5,9-ジメチル-2,4,8-デカトリエノエート。
【0032】
特定の実施形態では、Pは、その異性体のいずれか1つの形態で、式(P-1)~(P-14):
【化4】
[式中、波線は上に示した意味を有し、点線は炭素-炭素単結合または二重結合を表し、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子、ヒドロキシルもしくはメトキシ基を表すか、またはC~C直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、Rは水素原子、またはC~C直鎖もしくは分岐アルキル基を表す]
からなる群から選択されるラジカルを表す。
【0033】
明確にするために明記しておくと、「点線が炭素-炭素単結合または二重結合を表す」または同様の表現は、当業者によって理解される通常の意味、すなわち上記点線によって連結された炭素原子間の結合全体(実線および点線)が、炭素-炭素単結合または二重結合であり、ただし、2つの隣接する点線の両方が炭素-炭素二重結合ではないことを意味する。
【0034】
特定の実施形態では、Pは、式
【化5】
[式中、波線は上に示した意味を有し、点線は単結合または二重結合を表し、Rは水素原子またはメチル基である]
からなる群から選択されるラジカルを表す。
【0035】
特定の実施形態では、Pは上で定義した式(P-1)、(P-2)、(P-1)’、(P-2)’、(P-3)、(P-7)、(P-13)、(P-14)または(P-14)’からなる群から選択されるラジカルを表す。好ましくは、Pは上で定義した式(P-1)、(P-1)’、(P-2)、(P-2)’、(P-3)または(P-14)’からなる群から選択されるラジカルを表す。
【0036】
特定の実施形態では、Gは、1~22個の炭素原子を有する2価の環状、直鎖、脂環式または分岐アルキル、アルケニル、アルカンジエニルまたはアルキルベンゼン炭化水素ラジカルを表すことができ、上記炭化水素ラジカルは、場合により置換され、エーテル、エステル、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、チオール、チオエーテル、アミン、第四級アミンおよびアミドからなる群から選択される1~10個の官能基を有する。
【0037】
特定の実施形態では、Gは、1~22個の炭素原子を有する2価の直鎖または分岐アルキルまたはアルケニル炭化水素ラジカルを表し、上記炭化水素ラジカルは、場合により置換され、エーテル、エステル、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、チオール、チオエーテル、アミン、第四級アミンおよびアミドからなる群から選択される1~5個の官能基を有する。
【0038】
特定の実施形態では、Gは、2~15個の炭素原子を有する2価の直鎖または分岐アルキルまたはアルケニル炭化水素ラジカルを表し、上記炭化水素ラジカルは、場合により置換され、エーテルおよびエステルからなる群から選択される1~2個の官能基を有する。
【0039】
特定の実施形態では、Gは、3~15個の炭素原子を有する2価の直鎖アルキルまたはアルケニル炭化水素ラジカルを表し、上記炭化水素ラジカルは、場合により置換され、1個のエステル官能基を有する。
【0040】
特定の実施形態では、Gは、3~14個の炭素原子を有する2価の直鎖アルキルまたはアルケニル炭化水素ラジカルを表す。
【0041】
特定の実施形態では、Qは水素原子、または上で定義した式B-1の少なくとも1つの反復単位を含むコポリマーを表す。
【0042】
特定の実施形態では、Qは水素原子、または式B-1の少なくとも1つの反復単位と式B-2の少なくとも1つの反復単位とを含むコポリマーを表す。
【0043】
特定の実施形態では、Rは、同時にまたは独立して水素原子またはC1~3アルキル基を表す。好ましくは、Rは、同時にまたは独立して水素原子、またはメチルもしくはエチル基を表す。より好ましくは、Rは、同時にまたは独立して水素原子またはメチル基を表す。
【0044】
特定の実施形態では、第1の香料前駆体化合物は、上述のように式(II)
[式中、
- wは1~5000の整数を表し、
- n=1;m=1であり、
- Pは、発香性α,β-不飽和ケトン、アルデヒドを生成しやすいラジカルを表す]
によって定義され、式
【化6】
[式中、
、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、C~C10芳香環、または場合によりC~Cアルキル基によって置換されたC~C15直鎖、環状もしくは分岐アルキル、アルケニルもしくはアルカジエニルラジカル、または基R~Rの2つもしくは3つが結合して、5~20個の炭素原子を有し、上記R、R、RもしくはR基が結合している炭素原子を含む飽和もしくは不飽和の環を形成し、この環は、場合によりC~C直鎖、分岐または環状アルキルまたはアルケニル基によって置換され、
- Gは、2~8個の炭素原子を有する環状、直鎖または分岐アルキル、アルケニル、フェニル、アルキルフェニルまたはアルケニルフェニル炭化水素ラジカルから得られる2価のラジカルを表し、任意に1または2個の酸素、硫黄および/または窒素原子を含み、
- Qは、式B-1)から得られるポリマーまたはランダムコポリマーを表し、RはC~C16炭化水素基を表す]
によって表される。
【0045】
特定の実施形態では、硫黄含有香料前駆体化合物は、式
【化7】
[式中、二重ハッチング線は、別の反復単位との結合を示す]
の少なくとも1つの反復単位を含む直鎖ポリシロキサンコポリマーである。
【0046】
式(IV)の香料前駆体は、カルボンとしても知られる2-メチル-5-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキサ-2-エン-1-オンを香料化合物として放出する。カルボンは、2つのエナンチオマー、すなわち(R)-(-)-2-メチル-5-(1-プロペン-2-イル)-2-シクロヘキセン-1-オン(l-カルボンまたはカルボンレボ)および(S)-(+)-2-メチル-5-(1-プロペン-2-イル)-2-シクロヘキセン-1-オン(d-カルボンまたはカルボンデクストロ)の形態で存在する。これら2つのエナンチオマーは、僅かに異なるミントの香調を有することが報告されている。それにもかかわらず、本発明によれば、コポリマーの調製および放出効率の観点から、両方のエナンチオマーが同様の効果を有することが期待される。本発明によれば、カルボンは、ラセミ体として、または2つのエナンチオマーのいずれか一方に富んだ混合物として使用することができる。好ましくは、カルボンレボに富んだ混合物を使用する。
【0047】
特定の実施形態では、硫黄含有香料前駆体化合物は、式(V)
【化8】
[式中、
Pは上で定義したものと同じ意味を有し、
Gは、2~15個の炭素原子を有し、-OR、-NR 、-COORおよびR基からなる群から選択される場合により1つ以上の基で置換された直鎖または分岐アルキルまたはアルケニルラジカルから得られる2価のラジカルを表し、Rは水素原子またはC~Cアルキルまたはアルケニル基を表し、
Qは水素原子を表す]
を有する。
【0048】
構成成分c)のより具体的な実施形態によれば、プロフレグランス化学物質は、式(II)の化合物であり、ここで、PおよびQは上で定義したものと同じ意味を有し、Gは、2~15個の炭素原子を有し、場合により-COOR基によって置換された直鎖または分岐アルキルまたはアルケニルラジカルから得られる2価のラジカルであり、Rは上記のように定義される。より好ましくは、Gは、8~15個の炭素原子を有する直鎖アルキルラジカルまたは-CHCH(COOR)基から得られる2価のラジカルであり、ここで、Rは水素原子、またはメチルもしくはエチル基である。
【0049】
構成成分c)のより具体的な実施形態によれば、プロフレグランスは、式(i)~(iv)
【化9】
[式中、R10はC~C20アルキルまたはアルケニル基、好ましくはC~C16アルキルまたはアルケニル基、より好ましくはC12アルキル基を表す]
からなる群から選択される化合物である。
【0050】
式(i)の香料前駆体は、δ-ダマスコンを香料化合物として放出する。上記香料前駆体は、好ましくは(±)-trans-3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノンであり得る。δ-ダマスコンは、1-[(1RS,2SR)-2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オンとしても知られる。
【0051】
式(ii)または式(iii)の香料前駆体は、イオノンを香料化合物として放出する。上記香料前駆体は、式(ii)と式(iii)との異性体混合物として存在し得る。異性体混合物は、40:60~60:40の式(ii)と式(iii)との重量比を有し得る。特に、異性体混合物は、約55:45の式(ii)と式(iii)との重量比を有することができる。特に、上記香料前駆体は、イオノンの2つの異性体を香料化合物として放出する。
【0052】
特に、式(ii)の香料前駆体は、α-イオノンを香料化合物として放出する。上記式(ii)の香料前駆体は、好ましくは(±)-4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノンであり得る。α-イオノンは、(±)-(3e)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オンとしても知られる。
【0053】
特に、式(iii)の香料前駆体は、β-イオノンを香料化合物として放出する。上記式(iii)の香料前駆体は、好ましくは(±)-4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノンであり得る。β-イオノンは、(3e)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オンとしても知られる。
【0054】
式(iv)の香料前駆体は、オクタ-2-エン-4-オンを香料化合物として放出する。上記香料前駆体は、好ましくは(±)-2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オンであり得る。オクタ-2-エン-4-オンは、その(E)-もしくは(Z)-異性体、またはそれらの混合物として放出され得るが、(E)-異性体が好ましい。
【0055】
上記のいずれかの実施形態によれば、少なくとも1つの硫黄含有プロフレグランス化合物は、メチルまたはエチル2-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イルアミノ)-3-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イルチオ)プロパネート、メチルまたはエチル2-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-2-イルアミノ)-3-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-2-イルチオ)プロパネート、メチルまたはエチル2-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタン-4-イルアミノ)-3-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタン-4-イルチオ)プロパネート、メチルまたはエチル2-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-4-イルアミノ)-3-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-4-イルチオ)プロパネート、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-1-ブタノン、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)-1-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-2-ブタノン、2-ドデシルスルファニル-5-メチル-ヘプタン-4-オン、2-シクロヘキシル-1-ドデシルスルファニル-ヘプタ-6-エン-3-オン、3-(ドデシルチオ)-5-イソプロペニル-2-メチルシクロヘキサノン、2-(ドデシルチオ)-4-オクタノン、4-(ドデシルチオ)-4-メチルペンタン-2-オン、メチルまたはエチルN,S-ビス(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イル)-L-システイネート、メチルまたはエチルS-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イル)-L-システイネート、4-オキソオクタン-2-イルドデカノエート、およびそれらの任意の混合物からなる群から選択することができ、他の3つの構成成分a)、b)およびd)は全て、言及したそれらの考え得る実施形態のいずれかに従い、先のように定義され、本発明の目的に最も有利であることが証明された。特に、少なくとも1つの硫黄含有プロフレグランス化合物は、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-1-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-2-ブタノン、3-(ドデシルチオ)-5-イソプロペニル-2-メチルシクロヘキサノン、2-(ドデシルチオ)-4-オクタノンおよびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0056】
3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-1-ブタノンをプロフレグランス構成成分として含む香料入り消費者製品は、最も有利であることが証明された。
【0057】
本発明の香料入り消費者製品中で構成成分c)を使用する濃度は、組成物の重量の少なくとも0.0001重量%である。特に、香料入り消費者製品中の硫黄含有プロフレグランス化合物の濃度は、香料入り消費者製品の総重量を基準として0.001~5%に含まれ得る。特に、香料入り消費者製品中の硫黄含有プロフレグランス化合物の濃度は、香料入り消費者製品の総重量を基準として0.001~2%に含まれ得る。特に、香料入り消費者製品中の硫黄含有プロフレグランス化合物の濃度は、香料入り消費者製品の総重量を基準として0.01~1%に含まれ得る。特に、香料入り消費者製品中の硫黄含有プロフレグランス化合物の濃度は、香料入り消費者製品の総重量を基準として0.01~0.5%に含まれ得る。さらに詳細には、香料入り消費者製品中の硫黄含有プロフレグランス化合物の濃度は、香料入り消費者製品の総重量を基準として0.01~0.2%に含まれ得る。
【0058】
組成物の構成成分d)は、1つ以上の賦香補助成分である。「賦香補助成分」とは、本明細書では、快楽効果を付与するために賦香調製物または組成物の中で使用される化合物を意味する。言い換えると、賦香性であるとみなされる補助成分は、匂いを有するだけではなく、当業者によって、組成物の匂いをポジティブなまたは心地よい形で付与または修正することができると認識されなければならない。
【0059】
基剤中に存在する賦香補助成分の性質および種類については、本明細書ではより詳細な説明は保証されず、いずれにせよ網羅されないが、当業者は自身の基本知識に基づき、使用または利用目的および望まれる感覚刺激効果に応じて、それらを選択することができる。一般的には、これらの賦香補助成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素または硫黄ヘテロ環化合物、および精油等の多様な化学的分類に属し、上記賦香補助成分は天然起源であっても合成起源であってもよい。
【0060】
特に、以下のような賦香配合物で一般的に使用されている賦香補助成分を挙げることができる:
- アルデヒド成分:デカナール、ドデカナール、2-メチル-ウンデカナール、10-ウンデセナール、オクタナール、ノナナールおよび/またはノネナール;
- 芳香性ハーブ成分:ユーカリ油、樟脳、ユーカリプトール、5-メチルトリシクロ[6.2.1.0~2,7~]ウンデカン-4-オン、1-メトキシ-3-ヘキサンチオール、2-エチル-4,4-ジメチル-1,3-オキサチアン、2,2,7/8,9/10-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-オン、メントールおよび/またはα-ピネン;
- バルサム成分:クマリン、エチルバニリンおよび/またはバニリン;
- 柑橘成分:ジヒドロミルセノール、シトラール、オレンジ油、酢酸リナリル、シトロネリルニトリル、オレンジテルペン、リモネン、1-p-メンテン-8-イルアセテートおよび/または1,4(8)-p-メンタジエン;
- フローラル成分:ジヒドロジャスモン酸メチル、リナロール、シトロネロール、フェニルエタノール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、ヘキシルシンナムアルデヒド、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール、βイオノン、メチル2-(メチルアミノ)ベンゾエート、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-1-ペンテン-3-オン、1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-[2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシレート、3-(4,4-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)プロパナール、サリチル酸ヘキシル、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、酢酸ベルジル、ゲラニオール、p-メンタ-1-エン-8-オール、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、4-シクロヘキシル-2-メチル-2-ブタノール、サリチル酸アミル、高シスジヒドロジャスモン酸メチル、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、ベルジルプロプリオネート、酢酸ゲラニル、テトラヒドロリナロール、シス-7-p-メンタノール、プロピル(S)-2-(1,1-ジメチルプロポキシ)プロパノエート、2-メトキシナフタレン、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート、4/3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アミルシンナムアルデヒド、8-デセン-5-オリド、4-フェニル-2-ブタノン、酢酸イソノニル、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、イソ酪酸ベルジル、および/またはメチルイオノン異性体の混合物;
- フルーティー成分:γ-ウンデカラクトン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-メチル-4-プロピル-1,3-オキサチアン、4-デカノリド、エチル2-メチル-ペンタノエート、酢酸ヘキシル、エチル2-メチルブタノエート、γ-ノナラクトン、ヘプタン酸アリル、2-フェノキシエチルイソブチレート、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート、3-(3,3/1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナール、ジエチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート、3-メチル-2-ヘキセン-1-イルアセテート、1-[3,3-ジメチルシクロヘキシル]エチル[3-エチル-2-オキシラニル]アセテートおよび/またはジエチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート;
- グリーン成分:2-メチル-3-ヘキサノン(E)-オキシム、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート、酢酸スチラリル、アリル(2-メチルブトキシ)アセテート、4-メチル-3-デセン-5-オール、ジフェニルエーテル、(Z)-3-ヘキセン-1-オールおよび/または1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;
- ムスク成分:1,4-ジオキサ-5,17-シクロヘプタデカンジオン、(Z)-4-シクロペンタデセン-1-オン、3-メチルシクロペンタデカノン、1-オキサ-12-シクロヘキサデセン-2-オン、1-オキサ-13-シクロヘキサデセン-2-オン、(9Z)-9-シクロヘプタデセン-1-オン、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-シクロペンタ-g-2-ベンゾピラン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、オキサシクロヘキサデカン-2-オンおよび/または(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート;
- ウッディ成分:1-[(1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、3,3-ジメチル-5-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-4-ペンテン-2-オール、3,4’-ジメチルスピロ[オキシラン-2,9’-トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ[4]エン、(1-エトキシエトキシ)シクロドデカン、2,2,9,11-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-イルアセテート、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、パチョリ油、パチョリ油のテルペン画分、clearwood(登録商標)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、メチルセドリルケトン、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタン-1-オンおよび/または酢酸イソボルニル;
- 他の成分(例えばアンバー、パウダリースパイシーまたはウォータリー):ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フランおよびその任意の立体異性体、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、オイゲノール、シンナムアルデヒド、クローブ油、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロ-2-ナフタレノール、酢酸1-フェニルビニル、6-メチル-7-オキサ-1-チア-4-アザスピロ[4.4]ノナンならびに/または3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナール。
【0061】
本発明による構成成分d)は、上述の賦香補助成分に限定されない場合があり、これら補助成分の他の多くは、いずれの場合もS. Arctanderによる書籍Perfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAもしくはそのより新しい版、または同様の性質の他の著作物等の参考テキスト、および香料の分野の豊富な特許文献の中に記載されている。上記補助成分が、香料前駆体またはプロフレグランスとしても知られる様々な種類の賦香化合物を制御して放出することが知られている化合物であってもよいことも理解される。適切な香料前駆体の非限定的な例としては、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イルヘキサデカノエート、ビス(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)スクシネート、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、1-(((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル)オキシ)-2-メチルウンデカ-1-エン、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)ベンゼン、2-メチル-1-(オクタン-3-イルオキシ)ウンデカ-1-エン、1-メトキシ-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、2-(1-((3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)オキシ)プロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン(2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼンまたはそれらの混合物を挙げることができる。
【0062】
本発明の香料入り消費者製品の異なる成分、特に構成成分c)およびd)は、純粋な形態で、または香料に現在使用されている担体と組み合わせて使用することができる。そのため、本発明の任意の実施形態によれば、組成物の構成成分c)および/またはd)は、香料担体をさらに含み得る。「香料担体」とは、本明細書では、香料の観点から実質的に中性である、すなわち賦香成分の官能特性を著しく変化させない材料を意味する。上記担体は液体であっても固体であってもよい。
【0063】
液体担体としては、非限定的な例として、乳化系、すなわち溶剤と界面活性剤との系、または香料で一般的に使用される溶剤を挙げることができる。香料において一般的に使用される溶剤の性質および種類の詳細な説明を網羅的にすることはできない。しかしながら、非限定的な例として、ブチレンもしくはプロピレングリコール、グリセロール、ジプロピレングリコールおよびそのモノエーテル、1,2,3-プロパントリイルトリアセテート、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、1,3-ジアセチルオキシプロパン-2-イルアセテート、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノ、クエン酸トリエチル、またはそれらの混合物等の溶剤を挙げることができ、これらが最も一般的に使用される。香料担体と香料基剤との両方を含む組成物については、上で規定したもの以外の適切な香料担体は、エタノール、水/エタノール混合物、リモネンもしくは他のテルペン、Isopar(登録商標)(供給元:Exxon Chemical)の商標で知られているもの等のイソパラフィン、またはDowanol(登録商標)(供給元:Dow Chemical Company)の商標で知られているもの等のグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステル、またはCremophor(登録商標)RH 40(供給元:BASF)の商標で知られているもの等の水添ヒマシ油であってもよい。
【0064】
固体担体は、賦香組成物または賦香組成物のうちの一部の要素が化学的または物理的に結合することができる材料を指すことが意図されている。一般的に、そのような固体担体は、組成物を安定化させるために、または組成物もしくは一部の成分の蒸発速度を制御するために使用される。固体担体は当該技術分野で現在使用されており、当業者は望まれる効果に到達させる方法を認識している。しかしながら、固体担体の非限定的な例として、吸収性ガムまたはポリマーまたは無機材料、例えば多孔質ポリマー、シクロデキストリン、木材系材料、有機もしくは無機ゲル、粘土、石膏タルク、またはゼオライトを挙げることができる。
【0065】
固体担体の他の非限定的な例として、カプセル化材料を挙げることができる。そのような材料の例には、単糖、二糖もしくは三糖、天然もしくは加工デンプン、親水コロイド、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、タンパク質、またはペクチン等の壁形成材料および可塑化材料を含めることができ、あるいはさらにH. Scherz, Hydrokolloide: Stabilisatoren, Dickungs- und Geliermittel in Lebensmitteln, Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie, Lebensmittelqualitaet, Behr’s Verlag GmbH & Co., Hamburg, 1996等の参考テキストの中で挙げられている材料が含まれ得る。カプセル化は当業者に既知のプロセスであり、例えば噴霧乾燥、凝集、さらには押出し等の技術を使用することによって行うことができ、またはコアセルベーションおよび複合コアセルベーション技術を含むコーティングカプセル化からなる。
【0066】
固体担体の非限定的な例としては、特に、任意にポリマー系安定剤またはカチオン性コポリマーの存在下で、重合、界面重合、コアセルベーション、または全て一緒に行うことによって誘発される(上記技術は全て従来技術で説明されている)、相分離プロセスのような技術を使用する、アミノプラスト、ポリアミド、ポリエステル、ポリ尿素またはポリウレタンタイプの樹脂またはそれらの混合物(上記樹脂は全て当業者に既知である)を用いたコア-シェルカプセルを挙げることができる。
【0067】
樹脂は、アルデヒド(例えばホルムアルデヒド、2,2-ジメトキシエタナール、グリオキサール、グリオキシル酸またはグリコールアルデヒド、およびそれらの混合物)と、尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、メラミン、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、グアナゾール等、ならびにそれらの混合物等のアミンとの重縮合によって製造することができる。あるいは、商標Urac(登録商標)(供給元:Cytec Technology Corp.)、Cymel(登録商標)(供給元:Cytec Technology Corp.)、Urecoll(登録商標)またはLuracoll(登録商標)(供給元:BASF)で市販されているもの等の予備成形された樹脂であるアルキロール化ポリアミンを使用することができる。
【0068】
他の樹脂は、グリセロールのようなポリオールと、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートもしくはキシリレンジイソシアネートの三量体、またはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、またはキシリレンジイソシアネートの三量体のようなポリイソシアネートと、トリメチロールプロパンとの重縮合によって製造されるもの(Takenate(登録商標)の商標で知られる;供給元:Mitsui Chemicals)であり、中でも、キシリレンジイソシアネートの三量体と、トリメチロールプロパンと、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとの重縮合によって得られるものが好ましい。
【0069】
アミノ樹脂の重縮合、すなわちメラミン系樹脂とアルデヒドとの重縮合による香料のカプセル化に関する幾つかの影響力のある文献としては、K. Dietrich et al. Acta Polymerica, 1989, vol. 40, pages 243, 325および683、ならびに1990, vol. 41, page 91等の論文が挙げられる。そのような論文には、従来技術の方法に従ったこのようなコア-シェルマイクロカプセルの製造に影響を及ぼす様々なパラメータがすでに記載されており、これらは特許文献においてもさらに詳しく説明され、例示されている。Wiggins Teape Group Limitedの米国特許第4,396,670号明細書は、後者の関連する初期の例である。それ以降、多くの他の著者がこの分野の文献を充実させており、全ての公開された開発を本明細書で網羅することは不可能であると考えられるが、カプセル化技術における基本知識は非常に重要である。そのようなマイクロカプセルの適切な使用を開示する適切なより最近の刊行物としては、例えば、K. Bruyninckx and M. Dusselier, ACS Sustainable Chemistry & Engineering, 2019, vol. 7, pages 8041-8054の論文が挙げられる。
【0070】
本発明の任意の実施形態によれば、組成物の構成成分d)は、香料助剤を含み得る。「香料助剤」とは、本明細書では、色、特定の耐光性、化学的安定性等の付加的に追加される利点を付与し得る成分を意味する。賦香組成物において一般的に使用されている助剤の性質および種類の詳細な説明を網羅的にすることはできないものの、上記成分が当業者に既知であることには言及する必要がある。具体的な非限定的な例として、以下のものを挙げることができる:粘度剤(例えば界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤および/またはレオロジー調整剤)、安定剤(例えば防腐剤、酸化防止剤、熱/光および/もしくは緩衝剤またはキレート剤、例えばBHT)、着色剤(例えば染料および/または顔料)、防腐剤(例えば抗細菌または抗微生物または抗真菌または抗刺激剤)、研磨剤、皮膚冷却剤、固定剤、昆虫忌避剤、軟膏、ビタミンおよびそれらの混合物。
【0071】
本発明の香料入り消費者製品の任意の実施形態によれば、香料入り消費者製品は、そのような賦香補助成分の少なくとも1つを、組成物の総重量に対して少なくとも0.01%、最大3重量%含有する。賦香補助成分の好ましい濃度は、液体組成物の総重量の0.1~2重量%、より好ましくは0.2~1.8重量%に含まれる。
【0072】
本明細書に記載される組成物の一部になる構成成分の組合せが、同様の種類の従来既知の製品に対して驚くほど改善された織物処理製品を提供し、ボトルから出した後のそれらの匂いの質が、異臭の発生なしに、著しくより心地よく安定しており、そのような組成物で処理された表面、特に織物の匂いは、より長続きし、よりフレッシュであると知覚されることが立証されている。
【0073】
本発明の香料入り消費者製品は、様々な表面、特に皮膚、毛髪、織物および繊維製品を処理する方法に有用である。そのような使用方法では、香料入り消費者製品は、手動および機械洗濯手順の両方で、洗濯および他の織物処理方法で現在行われているように適用され、そのような織物に付与することが望まれる、それらの賦香および長続きする匂い効果をもたらすものとする。
【0074】
そのような使用方法も本発明の対象である。
【0075】
ここで、本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、略語は当該技術分野における通常の意味を有する。使用した亜鉛塩は市販されており、使用したプロフレグランス化合物c)は、先行技術文献である米国特許第7,723,286号明細書、国際公開第2014/202591号および/または国際公開第2008/154765号に一般的に記載されている方法によって調製した。
【0076】
実施例
ここで、本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、略語は当該技術分野における通常の意味を有し、温度は摂氏温度(℃)で示す。
【0077】
実施例1
様々な亜鉛塩を含む織物柔軟剤基剤中のH Sの定量化
少なくとも1つの硫黄含有プロフレグランス化合物を含む香料入り消費者製品は、匂いの安定性に問題がある場合があり、これは匂いに悪影響を与えるHSの生成に起因し得る。
【0078】
以下の組成の織物柔軟剤基剤において様々な亜鉛塩を試験し、それらの捕捉効率を評価した:
Stepantex(登録商標)VL90 A(供給元:Stepan) 12.21重量%
塩化カルシウム(10%水溶液) 0.40重量%
水 87.39重量%
0.2%の酢酸Znを含む柔軟剤基剤に添加したHSの量を、0.5%の亜鉛ビス[(9Z,12R)-12-ヒドロキシ-9-オクタデセノエート](比較例)、0.5%のナトリウム亜鉛ポリイタコネート(比較例)および0.5%の1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(国際公開第2012113746号に報告された比較例)の捕捉効率と比較して、ChemPlusChem 2014, 77に報告されているように、SIMモードで用いられるMSの高い感度および選択性と組み合わせたN-エチルマレイミドによる繊維内誘導体化に基づく分析方法を用いて経時的にモニタリングした。
【0079】
装置および方法
分析は、ChemPlusChem 2014, 77に報告されているように、固相微量抽出(SPME)モードでクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)(ShimadzuのQP-2020、カラムDB-1MS 30.5m、0.25mm、0.25μ)を用いて行った。HSの誘導体化は、PALオートサンプラーを用いて行い、100%PDMS繊維を採用した。繊維をN-エチルマレイミドおよびトリエチルアミン(NEM/TEA - 20mlヘッドスペースバイアル中のN-エチルマレイミドおよびトリエチルアミンの30/70 w/w溶液400μl)試薬のヘッドスペースに60秒間、続いて分析物のヘッドスペースに1分間曝露した後、GCインジェクターにて280℃で脱離した。
【0080】
GC-MSの温度プログラムは、100℃で1分間保持;25℃/分で300℃に加熱して2分間保持とし、SIMモードで取得を行い、質量284、158、127をモニタリングした。
【0081】
Sの誘導体化によって生じた(NEM)Sの2組のジアステレオ異性体に関連する2つのピークの面積の合計を評価に用いた。
【0082】
サンプル調製およびデータ処理:
Zn塩の捕捉効率を評価するために、0.2%の酢酸Zn、または0.5%のリシノール酸亜鉛(比較例)、または0.5%のナトリウム亜鉛ポリイタコネート(比較例)、または0.5%の1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(国際公開第2012113746号に報告された比較例)を含む2gの柔軟剤基剤、および捕捉剤を含まない2gの柔軟剤基剤を6本のオートサンプラーバイアルに添加し、分析前に0.6ppmのHSを各バイアルに添加した。
【0083】
SおよびZn塩を含む柔軟剤基剤が入った各バイアルは、HSのみを含む柔軟剤基剤が入ったバイアルの後に注入し、各データ点についてのZn塩の存在下でのHSの損失%は、連続して注入した2つのサンプルにおける誘導体化HSに関するピークの面積間の比率の100に対する差として算出した。
【0084】
経時的な捕捉効率の評価を、バイアルを33分毎に注入し、約6時間にわたって行った。各亜鉛について6つのデータ点を取得した。
【0085】
得られた結果を図1にまとめる。
【0086】
図1に示されるように、0.2%の酢酸亜鉛の存在下でのHSの量は、0.5%の亜鉛ビス[(9Z,12R)-12-ヒドロキシ-9-オクタデセノエート]、またはナトリウム亜鉛ポリイタコネートと比較して少なかった。酢酸亜鉛では、消費者製品への使用が制限されている1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンに近い性能を得ることができた。
【0087】
実施例2
本発明の香料入り消費者製品の官能パネル - 織物柔軟剤
以下の賦香補助成分を混合することによって典型的な香油を調製した:
【表1-1】
【表1-2】
【0088】
この香油に、2%の3-(ドデシルチオ)-1-[(1RS,2SR)-2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-1-ブタノンを添加した。得られた香油を50℃で2週間保管した。
【0089】
エージングした香油を、表1に示すように、任意に1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンまたは酢酸亜鉛を含む実施例1に報告した織物柔軟剤基剤に規定の用量(1.8%)で添加した。得られた混合物は、43℃で4週間保管した後、1、2、3および4週目にパネリスト(専門家パネル)によって評価された。パネリストに以下の尺度に従ってサンプルを評価するよう求めた:
OK=HSの匂いが検出されない
S.MO=僅かなHSの匂いが検出される
S=顕著なHSの匂いが存在する。
【0090】
得られた結果を表1にまとめる。
【0091】
【表2】
【0092】
表3に明らかに示されるように、酢酸亜鉛を含む製品は、塩を含まない参照とは対象的にHS悪臭を全く示さない。
【0093】
実施例3
本発明の香料入り消費者製品の官能パネル - 透明等方性シャンプー
典型的な無香料の透明等方性シャンプー配合物を表2に挙げる。無香料のシャンプー配合物は、ポリクオタニウム-10を水中に分散させることによって調製した。相Aの残りの成分を、各添加後に十分に混合しながら順に添加することによって別々に混合した。このプレミックスをポリクオタニウム-10分散液に添加し、さらに5分間混合した。次いで、プレミックス相Bおよびプレミックス相Cを撹拌しながら添加した(Monomuls(登録商標)90L-12は、Texapon(登録商標) NSO IS中で加熱して融解した)。相Dおよび相Eを撹拌しながら添加する。pHをクエン酸溶液で5.5~6.0に調整する。
【0094】
【表3】
【0095】
次いで、表3に報告した香油(表2に挙げた無香料のシャンプー配合物の総重量に対して1重量%)、3-(ドデシルチオ)-1-[(1RS,2SR)-2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-1-ブタノン(表2に挙げた無香料のシャンプー配合物の総重量に対して0.2重量%)およびトリエタノールアミン(表2に挙げた無香料のシャンプー配合物の総重量に対して0.04重量%)を軽く振盪しながら添加することによって香料入りシャンプー配合物を得た。次いで、任意に表4に示すように亜鉛塩を添加し、それぞれ亜鉛塩、酢酸亜鉛およびステアリン酸亜鉛を含まない製品A、BおよびCを得た。
【0096】
【表4-1】
【表4-2】
【0097】
製品A、BおよびCを加速安定性(RT対50℃)に2週間置き、1週間後および2週間後に専門家パネリストはHSの悪臭を嗅覚により評価した。
【0098】
得られた結果を表4にまとめる。
【0099】
【表5】
【0100】
表4に明らかに示されるように、本発明の製品BおよびC(それぞれ1%の酢酸亜鉛および0.5%のステアリン酸亜鉛の亜鉛塩の添加後)は、塩を含まない参照と同様にHS悪臭を全く示さない。
図1
【国際調査報告】