IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特表2023-543610油潤滑式圧縮機の油面監視のための方法、該方法を実施するための油面監視システムならびにそのような油面監視システムを備えた圧縮機システム
<>
  • 特表-油潤滑式圧縮機の油面監視のための方法、該方法を実施するための油面監視システムならびにそのような油面監視システムを備えた圧縮機システム 図1
  • 特表-油潤滑式圧縮機の油面監視のための方法、該方法を実施するための油面監視システムならびにそのような油面監視システムを備えた圧縮機システム 図2
  • 特表-油潤滑式圧縮機の油面監視のための方法、該方法を実施するための油面監視システムならびにそのような油面監視システムを備えた圧縮機システム 図3
  • 特表-油潤滑式圧縮機の油面監視のための方法、該方法を実施するための油面監視システムならびにそのような油面監視システムを備えた圧縮機システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-17
(54)【発明の名称】油潤滑式圧縮機の油面監視のための方法、該方法を実施するための油面監視システムならびにそのような油面監視システムを備えた圧縮機システム
(51)【国際特許分類】
   F04B 51/00 20060101AFI20231010BHJP
   F04B 49/10 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
F04B51/00
F04B49/10 311
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519853
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(85)【翻訳文提出日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2021074306
(87)【国際公開番号】W WO2022069147
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】102020125500.4
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503159597
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Schienenfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80,D-80809 Muenchen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エフサン アフシャール
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ランゲ
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン クラムリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ストローマイア
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル クラ-マー
【テーマコード(参考)】
3H145
【Fターム(参考)】
3H145AA02
3H145AA24
3H145BA44
3H145CA18
3H145CA21
3H145EA15
3H145FA03
3H145FA16
(57)【要約】
油潤滑式圧縮機の油面監視のための方法は、以下のステップ:圧縮機油面を表す油面が検出される少なくとも1つの油面センサ(21,21a,21b)を読み取るステップと、読み取られた油面を検証するために少なくとも1つの予め設定された検証基準の充足を検査するステップと、読み取られた油面が、予め定められた油面の到達またはその下回りに従って少なくとも1つの転送基準(10a,10b)および少なくとも1つの検証基準を満たす場合に油面信号を転送するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油潤滑式圧縮機の油面監視のための方法であって、以下のステップ:
圧縮機油面を表す油面が検出される少なくとも1つの油面センサ(21,21a,21b)を読み取るステップと、
読み取られた油面を検証するために少なくとも1つの予め設定された検証基準の充足を検査するステップと、
読み取られた油面が、予め定められた油面の到達またはその下回りに従って少なくとも1つの転送基準(10a,10b)および少なくとも1つの検証基準を満たす場合に油面信号を転送するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記転送基準(10a,10b)は、低油面(10a)および/または臨界油面(10b)に対応する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記検証基準は、少なくとも1つの、前記転送基準(10a,10b)に対応する油面が予め定められた期間(x)にわたって読み取られる時間基準、前記転送基準(10a,10b)を満たす予め定められた数(k)の個々の読み取り過程が存在する頻度基準、および/または予め定められた動作状態が確定される動作状態基準に対応する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記予め定められた動作状態を確定するために圧力センサ(22)が読み取られる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの油面センサ(21,21a,21b)を読み取るステップは、少なくとも1つの予め設定された検証基準の検査の前に行われる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
2つの油面センサ(21a,21b)が読み取られる、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記油面センサ(21,21a,21b)としてフロートが使用される、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記転送基準(10a,10b)に依存して、前記油面信号は、メッセージとして監視ユニット(50)、特に運転台、および/または制御装置および/または保守装置に転送され、かつ/または特に請求項2による臨界油面の場合、前記圧縮機の制御装置用の制御パラメータとして転送される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記油潤滑式圧縮機の停止中に実施される、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
請求項1~9までのいずれか1項記載の方法を実施するための油面監視システム(1)であって、該油面監視システム(1)は、
圧縮機のオイル容器(20)内のオイル(10)の、圧縮機油面を表す油面を検出するための少なくとも1つの油面センサ(21,21a,21b)と、
少なくとも1つの油面センサ(21,21a,21b)のセンサ信号を読み取るための評価ユニット(30)であって、少なくとも1つの転送基準(10a,10b)ならびに少なくとも1つの検証基準が記憶されている評価ユニット(30)とを備え、
前記評価ユニット(30)は、読み取られた油面に従って前記少なくとも1つの転送基準(10a,10b)および前記少なくとも1つの検証基準が満たされた場合に、油面信号を転送するように構成されている、油面監視システム(1)。
【請求項11】
前記油面監視システム(1)は、圧力センサ(22)、特に、圧縮機油面を表すオイル容器(20)上に配置可能な圧力センサ(22)を備え、該圧力センサ(22)を介して、圧縮機の動作状態を表す圧力が検出可能であり、前記評価ユニット(30)は、少なくとも検出された圧力を検証基準として考慮に入れる、請求項10記載の油面監視システム(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの油面センサ(21,21a,21b)は、フロートである、請求項10または11記載の油面監視システム(1)。
【請求項13】
前記評価ユニット(30)は、少なくとも2つの転送基準(10a,10b)を区別し、前記転送基準(10a,10b)に依存して異なる油面信号を転送するように構成されている、請求項10から12までのいずれか1項記載の油面監視システム(1)。
【請求項14】
請求項10から13までのいずれか1項記載の油面監視システム(1)を備えた圧縮機システムであって、該圧縮機システムは、圧縮機油面を表すオイル容器(20)を有し、少なくとも1つの油面センサ(21,21a,21b)が、前記オイル容器(20)内で特に中央に配置されている、圧縮機システム。
【請求項15】
前記圧縮機システムは、油面信号が前記評価ユニット(30)によって転送される制御装置を有し、該制御装置は、油面信号に依存して前記圧縮機の動作を制御する、請求項14記載の圧縮機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油潤滑式圧縮機の油面監視のための方法、該方法を実施するための油面監視システム、ならびにそのような油面監視システムを備えた圧縮機システムに関する。
【0002】
例えば、現在、鉄道車両用の油潤滑式圧縮機の油面は、不十分な油面に基づく結果的な損傷および/または動作不良を回避するために、定期的に手動で検査されている。このことは、対応するメンテナンス労力と結び付き、特に、メンテナンス間隔外の予期せぬ油切れの際にこれによって引き起こされる過熱に起因して結果的に圧縮機の損傷につながる可能性がある。しかしながら、基本的に、油面の手動検査にはエラーも生じやすい。なぜなら、読み取りが場合によっては適正に行われなかったり、うっかりして全く行われなかったりもするからである。
【0003】
また、読み取りエラーは、油面の読み取りのための具体的なプロセス、例えば圧縮機の暖機、シャットダウン、待機時間を順守しそれが終わってからの読み取りの実施などが守られないことによって助長される可能性がある。読み取りのために設けられる油面計は、通常、所定の指示レベルを有するオイル容器上の覗きガラスまたは覗き管である。これにより、個々の視認角度またはアクセス手段によって読み取りエラーが生じる可能性もある。
【0004】
したがって、上記を踏まえて本発明の課題は、費用対効果の高い自動化された信頼性の高い油面監視を可能にするための、油潤滑式圧縮機の油面監視のための方法、該方法を実施するための油面監視システム、ならびにそのような油面監視システムを備えた圧縮機システムを提供することにある。
【0005】
この課題は、独立請求項に記載の油潤滑式圧縮機の油面監視のための方法、該方法を実施するための油面監視システム、ならびにそのような油面監視システムを備えた圧縮機システムによって解決される。本発明の好適なさらなる発展形態は、従属請求項に含まれる。
【0006】
本発明によれば、油潤滑式圧縮機の油面監視のための方法は、以下のステップ:
-圧縮機油面を表す油面が検出される少なくとも1つの油面センサを読み取るステップと、
-読み取られた油面を検証するために少なくとも1つの予め設定された検証基準の充足を検査するステップと
-読み取られた油面が、予め定められた油面の到達またはその下回りに従って少なくとも1つの転送基準および少なくとも1つの検証基準を満たす場合に油面信号を転送するステップとを含む。
【0007】
圧縮機油面を表す油面とは、ここでは、圧縮機自体の油面であってもよいし、あるいは圧縮機の油面に対応する油面であってもよい。例えば、圧縮機動作および/または構造的フレーム条件に依存しない検出を可能にするために、圧縮機からのオイルの割合を油面監視に流用することができる。
【0008】
油面の検出は、アナログ方式でもデジタル方式でも行うことができる。アナログ方式の油面検出とは、つまり例えば具体的な充填レベルまたは充填量を求める定量的な検出を意味するものと理解される。それとは対照的に、デジタル方式の検出によれば、それぞれ最小油面の順守など、定性的な油面特徴が満たされているかどうかを決定するだけでも可能である。
【0009】
少なくとも1つの検証基準の検査は、読み取られた油面の検証に用いられる。この場合、この検証基準は、読み取られた油面自体の評価を用いるのではなく、対応する予め定められた転送基準が満たされている限り、油面信号の転送に対する読み取られた油面の適性の評価を用いている。したがって、転送基準は、転送すべき油面信号の情報内容に対応するものであり、それに対して、検証基準は、情報の適用可能性または少なくともその十分な確率を検証するものである。
【0010】
したがって、油面信号の転送は、本方法によれば、予め定められた油面の到達またはその下回りに従って少なくとも1つの検証基準も転送基準も満たされることに関連付けられる。ここで、油面信号は、最初に油面センサから読み取られた信号、つまりセンサ信号と区別する必要がある。油面信号が、センサ信号とは別の情報を含む必要がない限り、例えば、センサ信号は、油面信号として転送時に直接処理することができるため、油面信号はセンサ信号に対応する。しかしながら、多くの場合では、センサ情報自体ではなく、センサ情報から導出された情報が油面信号として転送される場合が有利になることもある。そのような場合、油面信号の内容は、センサ信号の内容から偏差する。したがって、このセンサ信号は油面信号に変換することができる。
【0011】
本方法は、特に、鉄道車両用の油潤滑式圧縮機にとって好適なやり方で適用可能である。
【0012】
本方法の一実施形態では、転送基準は、低油面および/または臨界油面に対応する。
【0013】
低油面の際には、圧縮機はまだ、例えば過熱による圧縮機破損の可能性なしで、所定の動作持続時間にわたって継続動作することができる。したがって、対応する油面信号の転送により、まだ許容可能な動作持続時間内でオイルの補充をスケジュールすることができる。臨界油面の際には、圧縮機をさらに動作させた場合の結果として生じる損傷の可能性がもはや除外できなくなるため、圧縮機動作の停止が推奨される。それゆえ、好適には、低油面と臨界油面との間を区別するだけでなく、特に、相応に異なる油面信号も転送される。
【0014】
特に、検証基準は、少なくとも1つの、転送基準に対応する油面が予め定められた期間にわたって読み取られる時間基準、転送基準を満たす個々の読み取り過程が予め定められた回数存在する頻度基準、および/または予め定められた動作状態が確定される動作状態基準に対応するものである。
【0015】
既に前述したように、少なくとも1つの検証基準は、転送基準が満たされた場合の転送のための油面信号の適性の検査に用いられる。例えば、転送基準に対応する油面は、短時間のみ発生し得る実際の油面ではなく、オイル容器の振動かまたは油面に起因しないその他のフレーム条件に原因がある場合がある。オイルレベルの一時的な変動から実際の油面への誤った逆推論に到達する確率を低減するために、例えば、時間基準を検証基準として用いることができる。時間基準を満たすために、転送基準に対応する油面が、予め定められた期間にわたって連続的または少なくとも予め定められた頻度で読み取られるかどうかが検査される。
【0016】
代替的または補足的に、検証基準として、転送基準を満たす予め定められた数の個々の読み取り過程が存在する頻度基準も考慮に入れることができる。1つの読み取り過程は、ここでは、少なくとも1つの油面センサの予め定められた期間にわたる読み取りに対応する。転送基準を満たす読み取り過程は、転送基準に対応する油面が、個々の読み取り過程にわたって連続的または少なくとも予め定められた頻度で読み取られる場合に存在する。換言すれば、頻度基準は、満たされた時間基準の予め定められた数に対応する。頻度基準を満たすためには、転送基準を満たす予め定められた数の読み取り過程、例えば5回の読み取り過程が、相互に直接続くかまたは予め定められた期間内に存在する必要があることを想定することができる。
【0017】
さらに代替的または補足的に、検証基準として、予め定められた動作状態が確定される動作状態基準も定義することができる。したがって、圧縮機が少なくとも1つの油面センサの読み取り中に予め定められた動作状態にあるのかどうかが検査される。例えば、動作状態基準は、圧縮機が動作するか停止している場合にのみ満たされたものと見なされる。動作状態基準として圧縮機の動作が前提とされるならば、圧縮機動作の所定の出力段階も補足的に前提とすることができる。圧縮機の動作時には動作開始段階を考慮に入れ、もしくは圧縮機の停止時には動作停止段階を考慮に入れる必要があるため、動作状態自体だけでなく、安定した動作状態達成のための対応する時間成分を動作状態基準の定義の際に考慮に入れること、例えば、「圧縮機が…秒間動作し続けている」または「圧縮機が…秒間停止したままである」などもさらに有利になることがある。
【0018】
油面の信頼性の高い測定の確率は、様々な検証基準の組み合わせを介して高めることが可能である。
【0019】
本方法の発展形態では、予め定められた動作状態の確定のために圧力センサが読み取られる。
【0020】
予め定められた動作状態は、ここでは、定義された圧力窓に対応することができ、その存在は圧力センサを介して求められる。「圧力窓」という用語は、予め定められた時間経過後の圧縮機の圧力解放状態もしくは減圧状態に対応する圧力範囲に向けられる。圧力センサの問い合わせにより、例えば、少なくとも1つの油面センサによって、暖まっているがスイッチオフされている圧縮機の状態における油面が検出されることを保証することができ、この場合、動作は、定義された持続時間よりも長く経過することはない。
【0021】
一実施形態によれば、少なくとも1つの油面センサを読み取るステップは、少なくとも1つの予め定められた検証基準の検査前に行われる。
【0022】
したがって、少なくとも1つの予め設定された検証基準の検査は、油面センサの読み取りが転送基準の充足をもたらす場合にのみ実施される。したがって、データの見つけ出しと処理とを最小に低減することができる。
【0023】
しかしながら代替的に少なくとも1つの予め設定された検証基準の検査は、油面センサの読み取りに先行させることもできる。例えば、動作状態基準が、検証基準として用いられる場合、油面信号の転送は、いずれにせよ、予め定められた動作状態の到達によってのみ行うことができる。したがって、油面の先行的読み取りは、少なくとも本明細書に記載された方法の趣旨では、あらゆる方法の実施形態で利用可能な結果に結び付くとはかぎらない。
【0024】
複数の検証基準の検査では、例えば、最初に動作状態基準を検査することもでき、対応する動作状態基準の提示では、油面センサの読み取りが行われ、時間基準などのさらなる検証基準の検査が転送基準の充足に関連付けられてよい。また検証基準の選択および/または方法ステップの順序の選択を、動作状態に依存して行うこともできる。したがって、圧縮機の動作中も圧縮機がスイッチオフされている場合も、各動作状態においてそれらに適合化され、ひいては隙間のない油面監視を実施できるようにするために、様々な検証基準および/または方法ステップの順序だけでなく、転送基準も定義することができる。
【0025】
一実施形態では、2つの油面センサが読み取られる。
【0026】
少なくとも2つの油面センサの読み取りは、例えば、複数の油面が転送基準または異なる転送基準を定義する場合に有利になることがあり、この場合、複数の油面は、1つの油面センサを介して検出できるものではなく、または検出が冗長的にマッピングされるべきである。例えば、低油面も臨界油面も、適用すべき検証基準の対応する付加的充足の際に1つのまたはそれぞれの油面信号の転送を条件とすべき場合、各油面の各々に対して1つの油面センサを使用することができる。付加的な油面検出が1つの油面センサを介してカバー可能でない場合は、付加的な油面センサの使用の他に、独立した検出を介して測定感度、反応時間、測定原理などの異なる検出パラメータも、必要に応じて適合化させることができる。
【0027】
特に、油面センサとしてフロートが使用される。
【0028】
フロートもしくはそれと相互作用する機能ユニット、例えば、フロートによって操作可能であるフロートスイッチは、油面監視システムの費用対効果の高い実施を提供する。特に、少なくとも1つの検証基準を油面監視に関連付けることによって、そうでなければ通常は著しい不確実性を伴うフロートの適用がその信頼性において改善される。
【0029】
さらなる発展形態では、転送基準に依存して、油面信号は、メッセージとして監視ユニット、特に運転台、および/または制御装置および/または保守装置に転送され、かつ/または特に臨界油面の場合、圧縮機の制御装置用の制御パラメータとして転送される。
【0030】
油面信号は、監視ユニットを介したメッセージの趣旨で、光学的、音響的、および/または触覚的な信号をトリガーすることができる。例えば、「低油面」または「臨界油面」などの明示的なテキストメッセージが、運転台のディスプレイを介して操作者に表示され、かつ/または対応する警告灯が作動する。特に、臨界油面などの危機状況では、視線方向に依存することなく知覚される確率を高めるために、代替的または補足的に音響信号を出力することができる。監視ユニットは、メンテナンスシステムの一部であってもよく、それによって、転送された油面信号に依存してメンテナンス間隔が適合化され、かつ/または次期メンテナンスのために例えば「オイルを補充する」などの対応するメンテナンス指示がメンテナンスプロトコルに格納される。
【0031】
しかしながら、油面信号の転送基準に依存して、圧縮機の制御装置用の制御パラメータを、圧縮機の過熱またはその他の油不足の結果に起因する動作不良もしくは結果として生じる損傷の確率が減少するように適合化させることもできる。例えば、まだ残留するオイルで一時的な緊急時動作が可能であることを保証するために、圧縮機の最大出力を絞り込むことができる。臨界油面の場合には、圧縮機動作を完全に停止させることも想定可能である。
【0032】
一実施形態によれば、本方法は、油潤滑式圧縮機の停止中に実施される。
【0033】
これにより、油面の信頼性の高い検出のために必要な安定していて特に一定の条件を見出すことができる。上述のように、対応する油面信号の転送の際に圧縮機動作の停止を想定した方がよい限り、圧縮機の始動を中断することができる。したがって、圧縮機は、ここでは継続動作中にスイッチオフされることはない。換言すれば、圧縮機は、油面信号の転送が存在しない場合にのみ始動される。特に、これは、臨界油面のための転送基準として想定され得るものである。
【0034】
これについては、補足的に、転送基準、例えば低油面または臨界油面を、フレーム基準に適合化させることができることに留意されたい。例えば、ナビゲーションシステムを介して油面監視に比較的長い走行区間が基準設定される場合、または次のメンテナンス間隔までの比較的長い持続時間が格納される場合、比較的短い区間または次のメンテナンス間隔までの比較的短い持続時間の場合よりも高い油面が既に転送基準を形成し得る。
【0035】
本発明は、別の態様では、上記の方法を実施するための油面監視システムであって、該油面監視システムは、
-圧縮機のオイル容器内のオイルの、圧縮機油面を表す油面を検出するための少なくとも1つの油面センサと、
-少なくとも1つの油面センサのセンサ信号を読み取るための評価ユニットであって、少なくとも1つの転送基準ならびに少なくとも1つの検証基準が記憶されている評価ユニットとを備え、
ここで、評価ユニットは、読み取られた油面に従って少なくとも1つの転送基準および少なくとも1つの検証基準が満たされた場合に、油面信号を転送するように構成されている、油面監視システムに関する。
【0036】
検証基準の充足の検査は、評価ユニット自体を介して、例えば、前述した時間基準および/または頻度基準の趣旨で読み取られた油面の評価を介して、評価結果と、記憶された検証基準との対応する比較を介して行われる。しかしながら、このような評価結果、または動作状態基準に関する動作状態も、記憶された値および/または状態との比較のために評価ユニットに伝送することができる。
【0037】
さらなる発展形態では、油面監視システムは、圧力センサ、特に、圧縮機油面を表すオイル容器上に配置可能な圧力センサを備え、該圧力センサを介して、圧縮機の動作状態を表す圧力が検出可能であり、評価ユニットは、少なくとも検出された圧力を検証基準として考慮に入れる。
【0038】
圧縮機の動作状態を表す圧力の検出および検証基準としてのその考慮は、本方法について説明した手順を伴う。この目的のために、圧力センサは、好適には、距離に起因する干渉を最小限にするために、圧縮機油面を表すオイル容器上に配置される。オイル容器内の油面は、圧縮機の油面に対応する。このことは、例えば、オイル容器が圧縮機のオイル容器である場合に、またはオイル容器の油面が、圧縮機の油面に関する記述に用いることができるように圧縮機と連通する場合に満たされる。したがって、オイル容器に関しては「圧縮機油面を表すオイル容器」という表現が使用される。
【0039】
特に、少なくとも1つの油面センサは、フロートである。
【0040】
油面センサとしてのフロートの利点は、既に本方法に対して行われた実施形態に類似して生じる。
【0041】
一実施形態によれば、評価ユニットは、少なくとも2つの転送基準を区別し、転送基準に依存して異なる油面信号を転送するように構成されている。
【0042】
例えば、低油面に対応する油面の第1の限界値に達するか、またはそれを下回ることは、第1の転送基準として確定される。臨界油面に対応する油面の第2の限界値に達するか、またはそれを下回ることは、第2転送基準として確定される。この第2の限界値は、この場合、第1の限界値よりも低い。第1の限界値に達するか、またはそれを下回る場合、および第1の転送基準に割り当てられた少なくとも1つの検証基準が満たされる場合、評価ユニットは、例えば、油面信号「低油面」を、対応するメッセージとして、適用例としての鉄道車両の運転台および/またはメンテナンス装置に転送する。読み取られた油面が、第2の限界値にそれぞれ割り当てられた検証基準を同時に満たしながら第2の限界値に達するか、またはそれを下回る場合、評価ユニットは、例えば、油面信号「臨界油面」を、対応するメッセージとして鉄道車両の運転台および/またはメンテナンス装置に転送する。代替的または補足的に、評価ユニットは、油面信号を制御パラメータとして圧縮機の制御装置に転送することもでき、そのため、圧縮機の出力を予防的に絞り込むか、または圧縮機の動作を完全に停止させることができる。
【0043】
さらなる態様では、本発明は、前述した油面監視システムを備えた圧縮機システムに関しており、ここで、該圧縮機システムは、圧縮機油面を表すオイル容器を有し、ここで、少なくとも1つの油面センサが、オイル容器内で特に中央に配置されている。
【0044】
油面センサの位置決めは、実際の油面に対するオイル容器内で存在するオイルレベルの一時的な変動の検出確率に影響を与える。フロートが油面センサとして例えばオイル容器の縁部に配置された場合、オイルレベルの変動は、オイル容器の縁部における流体移動という趣旨ではより大きな振幅を生じさせ、それによって、一時的なレベル変動と実際の油面との間の区別に関するより大きな不確実性を生じさせる。したがって、できるだけ中央に配置すること、つまり比較的僅かなレベル変動もしくはレベル変動振幅を伴う領域に配置することにより、可能な区別不確実性を低減することができる。その結果、これに関して、少なくとも1つの検証基準をより少ない要件に低減することも可能になる。しかしながら、代替的または補足的に、オイル容器は、油面検出への望まれない影響力の少なさを維持するために、変動から十分に切り離した容器として構成されてもよい。圧縮機のためにはそのような変動の切り離しを行わなければならないため、特にここでは、別個のオイル容器を介して油面検出を行うことが想定され得る。その油面が圧縮機油面に対応する別個のオイル容器は、より小さなユニットとしてより少ない労力で変動から切り離すことが可能である。
【0045】
さらなる発展形態では、圧縮機システムは、油面信号が評価ユニットによって転送される制御装置を有し、ここで、該制御装置は、油面信号に依存して、圧縮機の動作を制御する。
【0046】
したがって、本方法および油面監視システムに関して既に説明したように、圧縮機は、油面信号に依存して、例えば、低油面の場合にはオイル消費を低減したり、あるいは次のような油面、特に臨界油面の場合には、損傷を引き起こす可能性のある動作を完全に阻止したりするために制御可能である。したがって、制御装置は、例えば、圧縮機をより少ないオイル消費の動作モードに切り替えたり、あるいは圧縮機の動作を停止したりすることができる。
【0047】
以下では、本発明を添付の図面を参照しながら実施形態に基づきより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明の例示的な実施形態による油面監視システムの概略図である。
図2】本方法の第1の実施形態による油面監視のための方法のフローチャートである。
図3】本方法の第2の実施形態による油面監視のための方法のフローチャートである。
図4】本方法の第3の実施形態による油面監視のための方法のフローチャートである。
【0049】
図1は、図2図4に示されている本方法の実施形態についても適用可能であるように、鉄道車両用の油潤滑式圧縮機の油面監視に基づいた油潤滑式圧縮機の油面監視のための方法を実施するための油面監視システム1を示す。この油面監視システム1は、油潤滑式圧縮機の油面を表すオイル容器20に配置された油面センサ21を含んでいる。この油面センサ21は、ここではフロートとして構成されている。さらに、油面監視システム1は、信号線路40を介して油面センサ21と信号技術的に接続されている評価ユニット30を有する。信号技術的な接続は、無線伝送方式を介して形成することも可能である。図示の実施形態では、評価ユニット30には、油面センサ21のセンサ信号だけが供給されるのでなく、検出された圧力を介して圧縮機の動作状態を導出できるようにするために、オイル容器20に配置された圧力センサ22のセンサ信号も供給される。ここでも、信号技術的な接続が、例示的にさらなる信号線路40を介して行われる。
【0050】
さらに、図1では、破線を介して低油面10aが示されている。点鎖線10bは、臨界状態10bを表している。図示の油面センサ21の描写によれば、オイル容器20内のオイル10は、低油面10aを有している。したがって、転送基準を低油面10aの到達またはその下回りとして確定することにより、図示の状態ではこの転送基準が満たされる。これは、評価ユニット30によって、油面センサ21のセンサ信号と、転送基準のための記憶された限界値との比較によって検査されるか、または油面センサ自体によって転送基準の充足の趣旨で対応する正の値が伝送される。この目的のために、油面センサは、固有のデータ処理ユニットを有することができる。油面センサ21がデジタル方式で構成されている場合、つまり、例えば、転送基準の充足の場合にのみ信号が送信される場合、評価ユニット30へのセンサ信号の印加は、十分な情報内容を有することができる。
【0051】
ただし、読み取られた油面自体による転送基準の充足は、実際の油面を高い信頼性で示すのに十分である必要がまだない場合もあるため、評価ユニット30は、付加的に、予め定められた検証基準を検査する。油面監視システム1の図示の実施形態では、例えば、圧力センサ22のセンサ信号は、評価ユニットによって、圧縮機が停止しているかどうかを検出するために使用される。対応する検証基準を充足する圧力信号の提示と同時に油面センサ21のセンサ信号によって転送基準が充足される場合にのみ、油面信号が評価ユニット30からさらなる信号線路40を介して運転台50に転送される。次いで、そこでは、例えば、メッセージ「低油面」が、対応する表示装置に現れる。このことが、さらなる図面の説明に基づいて明らかになるように、検証基準は、ここでは圧力センサ21によって検査可能な動作状態基準に限定されるのではなく、代替的または補足的に例えば時間基準または頻度基準を結像することも可能である。
【0052】
図2は、本方法の第1の実施形態による油面監視のための方法のフローチャートを示す。ここでは、最初に、油面センサ21が読み取られる。読み取られた油面に関して転送基準「低油面」を満たす場合、つまりこの転送基準に対応する予め定められた限界値に達しているか、またはそれを下回っている場合、定義された検証基準の充足が検査される。そうでない場合は、油面センサがさらに読み取られる。図示の本方法の実施形態では、低油面が読み取られた場合、最初に、時間基準が満たされているかどうかが検査される。この時間基準は、ここでは、x秒間、つまり予め定められた持続時間または最小持続時間にわたる低油面、すなわち転送基準を満たす油面の連続測定である。この時間基準が満たされた場合は、さらなる検証基準として頻度基準が検査され、またそうでない場合は、評価が中断され、再びさらに油面センサが読み取られる。ここで適用される頻度基準によれば、予め定められた数kの成功した測定が存在するかどうかが検査される。評価ユニット30は、ここでは、t<x*msの持続時間にわたって読み取られた油面の瞬間的な変化は油面測定誤差として認識し、これを評価しないようにプログラミングされている。頻度基準は、転送基準を満たす油面、すなわちここでは低油面が、予め設定された期間内に予め定められた数k、例えば5回読み取られる場合に、満たされたものと見なされる。ただし、頻度基準は、その充足について、時間基準が所定の回数順次連続して、あるいは予め定められた期間内で満たされる必要があるように定義してもよい。頻度基準が満たされた場合、油面信号「低油面」が転送される。この油面信号に従って、例えば運転台50のディスプレイ上に対応するメッセージ「低油面」が表示される。油面信号は、代替的または補足的に、メンテナンス装置に転送することもでき、次いで、このメンテナンス装置は、それぞれの圧縮機についてオイルの補充をメンテナンス作業としてメンテナンスプロトコルに格納する。メンテナンス装置は、一実施形態では、メンテナンス時点を、油面信号に依存して適合化させること、例えば前倒しさせることもできる。
【0053】
図3は、本方法の第2の実施形態による油面監視のための方法のフローチャートを示す。本方法の第2の実施形態は、2つの転送基準が区別されることによって、本方法の第1の実施形態と異なっている。低油面に対応する油面の第1の限界値に達するか、またはそれを下回ることは、第1の転送基準として確定される。臨界油面に対応する油面の第2の限界値に達するか、またはそれを下回ることは、第2の転送基準として確定される。第2の限界値は、ここでは、第1の限界値よりも低い。これに対する説明のために示されたフローチャートでは、2つのデジタル方式の油面センサ21a,21bが読み取られる。第1の油面センサ21aの読み取りは、ここでは、第1の転送基準、つまり低油面の検査に対応し、第2の油面センサ21bの読み取りは、第2の転送基準、つまり臨界油面の検査に対応する。ただし代替的に、アナログ方式の油面センサを読み取ることもでき、次いで、該油面センサを介して低油面も臨界油面も検出可能になる。したがって、油面センサ21a,21bの代わりにアナログ方式の油面センサを使用することができる。使用される油面センサの数に関係なく、ここでは最初に、読み取られた油面に従って臨界油面が存在するかどうか、すなわち、第2の限界値に達しているか、またはそれを下回っているかどうかが検査される。臨界油面が検出されない場合、図3に示されている本方法のさらなる経過は、図2による本方法の第1の実施形態に対応する。油面センサ21bの読み取られた油面に従って臨界油面が検出される場合、低油面のためのさらなる方法に類似して第2の転送基準の提示に対して付加的に時間基準および頻度基準も同様に検査される。本方法の例示的な第2の実施形態では、それぞれの限界値、ひいては引き合いに出すべき油面までの転送基準「臨界油面」および「低油面」のための時間基準および頻度基準は同じである。しかしながら、本方法のさらなる変形形態では、検証基準は、相互に独立して定義することも可能である。臨界油面では関連する時間基準および頻度基準が満たされている限り、油面信号「臨界油面」が転送される。この「臨界油面」も、ここでは、例えば、表示のために運転台50に転送される。さらに、油面信号は、この場合の圧縮機のさらなる動作を阻止するために、または別の動作モードに切り替えるために、圧縮機の制御装置に転送することもできる。
【0054】
図4は、本方法の第3の実施形態による油面監視のための方法のフローチャートを示す。図4による本方法の第3の実施形態は、圧力センサ22の付加的な読み取りによって、図3による本方法の第2の実施形態と異なっている。検査すべき圧力は、さらなる検証基準としての動作状態基準に対応する。例えば、目標領域は、圧縮機の停止状態のときに存在する圧力領域として定義される。圧力センサ22の読み取られた圧力が予め定められた目標領域内に存在する場合にのみ、本方法の第2の実施形態による油面監視が継続される。換言すれば、動作状態基準の充足は、転送基準のさらなる検査のための、ならびにそれぞれの時間基準およびそれぞれの頻度基準のための前提条件である。圧力が予め設定された目標領域外に存在する場合、圧力に対応する動作状態基準が満たされるまで、センサ値がさらに読み取られる。
【0055】
本発明は、説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、本方法の第3の実施形態における動作状態基準が、例示的に、圧力測定に基づいて検査される場合であっても、圧縮機のそれぞれの動作状態は、圧縮機の制御装置を介して評価ユニット30に転送され、相応に評価されることも可能である。さらに、評価ユニット30は、圧縮機の制御装置の一部であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 油面監視システム
10 オイル
10a 低油面
10b 臨界油面
20 オイル容器
21,21a,21b 油面センサ
22 圧力センサ
30 評価ユニット
40 信号線路
50 運転台
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】