(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(54)【発明の名称】ハンドリングロボットシステムのための層モジュール
(51)【国際特許分類】
B25J 15/04 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
B25J15/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515771
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 DE2021000146
(87)【国際公開番号】W WO2022053090
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】102020005538.9
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509060154
【氏名又は名称】マルティン ツィマー
【氏名又は名称原語表記】Martin Zimmer
【住所又は居所原語表記】Im Salmenkopf 7, 77866 Rheinau, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】509060143
【氏名又は名称】ギュンター ツィマー
【氏名又は名称原語表記】Guenther Zimmer
【住所又は居所原語表記】Im Salmenkopf 11, 77866 Rheinau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ツィマー
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター ツィマー
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707GS03
3C707GS04
3C707GS11
3C707MT08
(57)【要約】
本発明は、ハンドリングロボットシステムに接続するための層モジュールであって、ロボット側インターフェース面と、ハンドリング側インターフェース面と、第3のインターフェース面とを有しており、ロボット側インターフェース面は、ハンドリングロボットシステムの産業用ロボットにまたはロボットアダプタ部分に位置をセンタリングして取り付けるためのジオメトリ的な接続輪郭、ならびに層モジュール内に配置される電気的な機能構成群と産業用ロボットとの固定配線を受容するためのケーブル導入部を有しており、ハンドリング側インターフェース面は、ハンドリング工具にまたはハンドリング工具の手前に接続された層モジュールエレメントに位置をセンタリングして取り外し可能にスナップ接続によって接合するためのジオメトリ的な接続輪郭、ならびに電気的なエネルギコンタクト、信号コンタクト、およびデータコンタクトのグループを有している層モジュール、ならびにこのような形式の層モジュールと、少なくとも1つのアームを有した産業用ロボットとを備えたハンドリングロボットシステムに関する。本発明により、様々なハンドリング工具に接続する産業用ロボットの使用を可能にし、変化するハンドリングタスクのための使用を可能にする層モジュールが開発される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドリングロボットシステム(1)に接続するための層モジュール(10)であって、ロボット側インターフェース面(11)と、ハンドリング側インターフェース面(31)と、第3のインターフェース面(91)とを有しており、
前記ロボット側インターフェース面(11)は、前記ハンドリングロボットシステム(1)の産業用ロボット(2)にまたはロボットアダプタ部分に位置をセンタリングして取り付けるためのジオメトリ的な接続輪郭(13)、ならびに前記層モジュール(10)内に配置される電気的な機能構成群(100)と前記産業用ロボット(2)との固定配線を受容するためのケーブル導入部(19;21)を有しており、
前記ハンドリング側インターフェース面(31)は、ハンドリング工具(4)にまたは前記ハンドリング工具(4)の手前に接続された層モジュールエレメント(200)に位置をセンタリングして取り外し可能にスナップ接続によって接合するためのジオメトリ的な接続輪郭(83)、ならびに電気的なエネルギコンタクト(44)、信号コンタクト(45)、およびデータコンタクト(46)のグループ(42)を有しており、
前記電気的な機能構成群(100)は、ハンドリング側で、前記電気的なエネルギコンタクト(44)、信号コンタクト(45)、およびデータコンタクト(46)に電気的に接続されており、
前記電気的な機能構成群(100)は、少なくとも1つのエネルギ貯蔵部(102)と、前記第3のインターフェース面(91)とを有しており、さらに
前記第3のインターフェース面(91)は、前記ハンドリング側インターフェース面(31)を介して伝達可能な信号および/またはデータを一時的に制御するためのオペレータインターフェースの一部であり、前記第3のインターフェース面(91)は、手動で操作可能な少なくとも1つのスイッチグループ(92,104)または手動で接合および分離可能な差込み接続の面(115)を有している、
層モジュール(10)。
【請求項2】
少なくとも1つの媒体管路(55;56)は、前記ロボット側インターフェース面(11)および前記ハンドリング側インターフェース面(31)を貫通している、請求項1記載の層モジュール(10)。
【請求項3】
前記ケーブル導入部(19)は、前記層モジュール(10)のロボット側の端面(12)を貫通している、請求項1記載の層モジュール(10)。
【請求項4】
前記電気的な機能構成群(100)は、前記手動で操作可能なスイッチグループ(92,104)によって切替え可能な論理レベル変換器(106)を有している、請求項1記載の層モジュール(10)。
【請求項5】
前記電気的な機能構成群(100)は、アプリケーションコンピュータ(107)とデータメモリユニット(108)とを含んでいる、請求項1記載の層モジュール(10)。
【請求項6】
前記電気的な機能構成群(100)は、前記アプリケーションコンピュータ(107)と前記ロボット側インターフェース面(11)との間に、フィールドバス(116)の形態のロボット側データインターフェース(116)または非同期シリアルデータインターフェースを有している、請求項5記載の層モジュール(10)。
【請求項7】
前記アプリケーションコンピュータ(107)は、オペレーティングシステムおよび/またはプログラマブルロジックコントローラを含んでいる、請求項5記載の層モジュール(10)。
【請求項8】
前記電気的な機能構成群(100)は、学習モジュール(117)を有していて、前記学習モジュールは、前記電気的なデータコンタクト(46)および信号コンタクト(45)を介して前記層モジュール(10)に供給されるアプリケーション特有の実際データおよび実際信号を圧縮し、新たな目標データを求めるために前記アプリケーションコンピュータ(107)に供給する、請求項5記載の層モジュール(10)。
【請求項9】
前記電気的な機能構成群(100)は、安全モジュール(118)を有していて、前記安全モジュールは、前記ロボット側インターフェース面(11)を介して前記層モジュール(10)に伝達されるデータおよび信号を評価し、信号に応じて、前記エネルギコンタクト(44)を介して伝達されるエネルギを減じる、または前記信号コンタクト(45)を介して、力を減じるための、ハンドリング工具(4)のための変更信号を出力する、請求項6記載の層モジュール(10)。
【請求項10】
請求項1記載の層モジュール(10)と、少なくとも1つのアーム(3)を有した産業用ロボット(2)とを備えたハンドリングロボットシステム(1)であって、
前記層モジュール(10)は、前記産業用ロボット(2)の前記アーム(3)に、または前記産業用ロボット(2)の前記アーム(3)に取り付けられたロボットアダプタ部分に取り付けられていて、前記産業用ロボット(2)に固定配線されて電気的に接続されており、かつ
前記層モジュール(10)には、そこに取り付けられたハンドリング工具(4)を含む層モジュールエレメント(200)が、取り外し可能なスナップ接続によって固定されていて、またはハンドリング工具(4)が、取り外し可能なスナップ接続によって前記層モジュール(10)に固定されている、
ハンドリングロボットシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
詳細な説明
本発明は、ハンドリングロボットシステムに接続するための層モジュールであって、ロボット側インターフェース面と、ハンドリング側インターフェース面と、第3のインターフェース面とを有しており、ロボット側インターフェース面は、ハンドリングロボットシステムの産業用ロボットにまたはロボットアダプタ部分に位置をセンタリングして取り付けるためのジオメトリ的な接続輪郭、ならびに層モジュール内に配置される電気的な機能構成群と産業用ロボットとの固定配線を受容するためのケーブル導入部を有しており、ハンドリング側インターフェース面は、ハンドリング工具にまたはハンドリング工具の手前に接続された層モジュールエレメントに位置をセンタリングして取り外し可能にスナップ接続によって接合するためのジオメトリ的な接続輪郭、ならびに電気的なエネルギコンタクト、信号コンタクト、およびデータコンタクトのグループを有している層モジュール、ならびにこのような形式の層モジュールと、少なくとも1つのアームを有した産業用ロボットとを備えたハンドリングロボットシステムに関する。
【0002】
独国特許出願公開第102018008648号明細書からは、通信モジュールの構造形態の層モジュールが公知であり、この層モジュールは、グリッパユニットのケーシング内に配置された電子機器に外部データを伝送する。
【0003】
本発明の根底にある課題は、様々なハンドリング工具に接続する産業用ロボットの使用を可能にし、変化するハンドリングタスクのための使用を可能にする層モジュールを開発することである。
【0004】
この課題は、請求項1に記載の特徴により解決される。このために、電気的な機能構成群は、ハンドリング側で、電気的なエネルギコンタクト、信号コンタクト、およびデータコンタクトに電気的に接続されている。電気的な機能構成群は、少なくとも1つのエネルギ貯蔵部と、第3のインターフェース面とを有している。第3のインターフェース面は、ハンドリング側インターフェース面を介して伝達される信号および/またはデータを一時的に制御するためのオペレータインターフェースの一部であり、第3のインターフェース面は、手動で操作可能な少なくとも1つのスイッチグループまたは手動で接合および分離可能な差込み接続の面を有している。
【0005】
ハンドリングロボットシステムでは、層モジュールは、産業用ロボットのアームに、または産業用ロボットのアームに取り付けられたロボットアダプタ部分に取り付けられていて、産業用ロボットに固定配線されて電気的に接続されている。層モジュールには、そこに取り付けられたハンドリング工具を含む層モジュールエレメントが、取り外し可能なスナップ接続によって固定されていて、またはハンドリング工具が、取り外し可能なスナップ接続によって層モジュールに固定されている。
【0006】
層モジュールは、産業用ロボットのアームに固定部分として取り付けられる。電気的には、層モジュールは、産業用ロボットに固定配線されて接続されている。ハンドリング工具のエネルギによる、信号による、およびデータによる制御は、層モジュールに配置された電気的な機能構成群によって行われる。層モジュールからは、グリッパユニットへの有線式の伝達が想定されている。ハンドリングロボットシステムを、新たな加工タスクに問題なく適合させるために、ハンドリング側インターフェース面は、迅速な交換のために構成されている。ハンドリング側インターフェースは、このために機械的に、取り外し可能なスナップ接続部として形成されている。電気的な接続は、例えば一方のインターフェース面における不動のコンタクトによって、および他方のインターフェース面におけるばね的なコンタクトピンによって行われる。層モジュールに接続されるハンドリング工具の、またはワークピースの交換の際には、層モジュールにおいて、工具特有のまたはワークピース特有のプログラミングを行うことができる。これは、先行する作業工程の主作動時間中に既に行われてよい。
【0007】
本発明のさらなる詳細は、従属請求項、概略的に示した実施形態の以下の説明により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ロボット側インターフェース面を含む層モジュールを示す図である。
【
図2】ハンドリング側インターフェース面を含む層モジュールを示す図である。
【
図8】電気的な機能構成群の第1の態様のブロック図である。
【
図9】電気的な機能構成群の第2の態様のブロック図である。
【
図10】拡張された機能範囲を備える
図9の態様のブロック図である。
【
図11】学習モジュールを備える
図10の態様のブロック図である。
【
図12】安全モジュールを備える
図10の態様のブロック図である。
【
図13】ハンドリングロボットシステムを示す図である。
【0009】
図1~
図6は、層モジュール(10)と、層モジュールのいくつかの個別部品を示している。層モジュール(10)は、ハンドリングロボットシステム(1)(
図13参照)で使用される。個々のハンドリングロボットシステム(1)は、例えば6軸ロボットとして、垂直多関節ロボットの構造形態で形成されている産業用ロボット(2)と、この産業用ロボット(2)に接続されるハンドリング工具(4)とを含む。産業用ロボット(2)の別の構造、例えば、ガントリロボット、スタンドコラムロボット、ポーラロボット(Polarroboters)、SCARA型ロボット等の構造形態が考えられる。
【0010】
層モジュール(10)は、ロボット(2)のアーム(3)において、ロボット(2)の1つの関節と、例えば少なくとも1つのハンドリング工具(4)との間に挿入される。ハンドリング工具(4)は、例えばグリッパユニット(4)である。グリッパユニット(4)は、例えば剛性の作用機構(5)、フレキシブルな作用機構、磁気的な作用機構等を備えて形成されていてよい。グリッパユニットは、電気的に、ニューマチック式に、または液圧式に操作可能である。剛性の作用機構(5)を備えたグリッパユニット(4)は、例えば、線形に調節可能なグリッパジョー(5)を備えた平行グリッパ、旋回可能なグリッパジョー(5)を備えたグリッパユニット、ピンチグリッパ等である。フレキシブルな作用機構を備えたグリッパユニットとしては、例えば、バキュームグリッパ、ベローズグリッパ等を使用することができる。すべてのグリッパユニット(4)において、産業用ロボット(2)から層モジュール(10)を介してグリッパユニット(4)へと、駆動のための媒体供給が行われる。
【0011】
ハンドリングロボットシステム(1)の作動時には、ハンドリング工具(4)の位置決めが、収容位置および下ろし位置で、ロボット軸によって行われる。したがって、ワークピースの把持および解放は、ハンドリング工具(4)によって行われる。ワークピースに対して相対的な、例えばグリッパジョー(5)の移動は、この場合、ワークピース固有に行われる。
【0012】
層モジュール(10)は、円筒ディスク状に形成されている。層モジュールは、ロボット側インターフェース面(11)とハンドリング側インターフェース面(31)とを有している。ロボット側インターフェース面(11)とハンドリング側インターフェース面(31)とは、層モジュール(10)の互いに反対側の端面(12;32)を形成している。この実施例では、層モジュール(10)の直径は75ミリメートル、高さは24ミリメートルである。
【0013】
図1は、ロボット側インターフェース面(11)を含む層モジュール(10)の等角投影図を示している。この図によると、層モジュール(10)は、例えば直接、ロボットに取り付け可能である。しかしながら、層モジュール(10)とロボットアームとの間に、ロボットアダプタ部分、例えば、アダプタプレートを配置することも考えられる。ロボットのアームに、またはロボットアダプタ部分に位置をセンタリングして取り付けるために、ロボット側インターフェース面(11)は、ジオメトリ的な接続輪郭(13)を有している。これは、この実施例では、センタリングリング(14)と、偏心的に配置された少なくとも1つのセンタリングピン受容部(15)とを含む。例えば、ロボット側のインターフェース面(11)における層モジュール(10)の位置特定および回動防止のために、例えば矩形に形成された個々のセンタリングピン受容部を使用することも考えられる。さらに、ジオメトリ的な接続輪郭(13)は、この実施例では、例えば1つの共通の部分円上に配置された4つの貫通孔(17)を備えた1つのホールパターン(16)を含んでいる。これらの貫通孔(17)は、座ぐりされた孔として形成されていてもよい。これらの貫通孔(17)内に、例えば、層モジュール(10)をロボットアダプタ部分に、または直接ロボットアームに取り付けるための取付けねじが挿入される。ロボットアダプタ部分またはロボットアームへの層モジュール(10)の取付けの別の構成も考えられる。
【0014】
ロボット側インターフェース面(11)は、
図1、
図5、および
図6の図示では、例えば真ん中に、取り外し可能な閉鎖カバー(18)を有している。この閉鎖カバー(18)は、これらの図では、端面側のケーブル導入部(19)を閉鎖している。例えば、エネルギライン導入部、信号ライン導入部、およびデータライン導入部(19)を成すこのケーブル導入部(19)を貫通して、例えばケーブル束(6)を、産業用ロボット(2)から層モジュール(10)へ案内することができる。これらのケーブル束によって、層モジュール(10)は、ロボットアームに対して相対的に固定配線される。別のケーブル導入部(21)が、層モジュール(10)の周面(51)に設けられている。
【0015】
例えば、エネルギライン導入部、信号ライン導入部、およびデータライン導入部(21)として形成されているこの別のケーブル導入部(21)も、閉鎖可能に形成されていてよい。この別のケーブル導入部(21)は、最初に述べたケーブル導入部(19)に対して代替的に、産業用ロボットから層モジュール(10)の内室(52)内へと電気的な接続部(6)をガイドするために使用することができる。周面(51)は、この場合、層モジュール(10)のロボット側インターフェース面(11)の一部を形成している。産業用ロボット(2)と、層モジュール(10)の電気的な機能構成群(100)との間のエネルギラインのみをケーブル通路(19;21)を通してガイドすることも考えられる。この場合、信号交換および/またはデータ交換は、例えばワイヤレスで行われる。
【0016】
図示した層モジュール(10)は、さらに、それぞれ2つの媒体接続部(53,54)を備えた2つのグループを有している。これらの媒体接続部(53,54)は、層モジュール(10)をその長手方向軸線(65)に対して平行に貫通する媒体管路(55,56)に続いている。媒体管路(55,56)の両グループは、異なる直径を有している。この実施例では、細い方の媒体管路(55)の直径は、広い方の媒体管路(56)の直径の60%である。媒体管路(55,56)のそれぞれは、周面(51)に開口する、半径方向に向けられた接続部(57)を付加的に有している。
【0017】
周面(51)にはさらに、スイッチ(92)が配置されている。このスイッチは、手動操作可能なプッシュキーとして形成されている。このスイッチ(92)は、層モジュール(10)のオペレータインターフェース(91)の一部である。
【0018】
図2は、ハンドリング側インターフェース面(31)を含む層モジュール(10)の等角投影図を示している。このハンドリング側インターフェース面(31)には、層モジュールエレメント(200)(
図7参照)またはハンドリング工具(4)が取り外し可能に固定可能である。ハンドリング側インターフェース面(31)は、この実施例では、ジオメトリ的な接続輪郭(83)の一部として、偏心的に配置された2つのガイドエレメント受容部(33,34)を有している。これらのガイドエレメント受容部(33,34)は、例えば異なる深さを有している。これらのガイドエレメント受容部は、長手方向軸線(65)に対して平行に方向付けられている。ガイドエレメント受容部(33,34)は、異なる横断面を有している。
図2および
図5の図示では、左側に示されたガイドエレメント受容部(33)が、右側に示されたガイドエレメント受容部(34)よりも大きな横断面積を有している。
【0019】
層モジュール(10)は、この実施例では、ハンドリング側インターフェース面(31)でシェル状に形成されている。層モジュールは、一定の高さの環状の自由縁部(35)を有している。この縁部(35)の内壁(36)は、半径方向センタリングリング(36)を形成している。縁部(35)の端面(37)は、例えば、長手方向軸線(65)に対する垂直平面に位置している。互いに対向する2つの縁部区分が、係合縁部(38)として形成されている。この実施例では、係合縁部(38)は、それぞれ36度の扇形部分をカバーしている。係合縁部(38)は、内側に向かって向けられている。係合縁部(38)は、横断面で楔状に形成されている。係合縁部の上面(39)と下面(41)とは、この実施例では、5度の角度をなしている。この角度の鉛直線は、長手方向軸線(65)の方向に向けられている。
【0020】
長手方向軸線(65)に対してずらされて、ハンドリング側インターフェース面(31)には、電気的なコンタクトのグループ(42)が配置されている。この実施例では、電気的なコンタクトのグループ(42)は、端面側のコンタクト面(43)を備えた10のコンタクトを含んでいる。これらのコンタクトは、電気的なエネルギコンタクト(44)、信号コンタクト(45)、およびデータコンタクト(46)である。これらのコンタクト(44~46)は、例えば2列に配置されている。
図2の図示では、コンタクト面(43)は、長手方向軸線(65)に対して垂直な、層モジュール(10)のケーシング(61)に対して相対的に不動の1つの共通の平面に位置している。電気的なコンタクト(44~46)は、個々にまたはグループとして、剛性ではなく、ばね負荷されて形成されていてもよい。
【0021】
媒体管路(55,56)は、ハンドリング側インターフェース面(31)にそれぞれ1つのシールエレメント(58)、例えばOリングを有している。
【0022】
層モジュール(10)のケーシング(61)は、基体(62)(
図3参照)と、この基体に装着される2つの装着部材(81)(
図4参照)とを有している。ハンドリング側インターフェース面(31)に配置されたカバー(63)は、層モジュール(10)の中央領域(64)を閉鎖する。
【0023】
基体(62)は、底面(66)と、外側に位置する2つの壁領域(67)とを有している。壁領域(67)の間には、装着部材(81)を収容するための凹部(68)が形成されている。この実施例では、両凹部(68)は同じサイズを有している。貫通孔(17)の他に、それぞれ3つの座ぐり孔(69)から成る2つのグループが、底面(66)を貫通している。これらの座ぐり孔(69)は、凹部(68)の載着面に開口している。座ぐり孔(69)の間に、センタリング孔(71)が設けられている。
【0024】
両凹部(68)は、それぞれ90度の扇形角度にわたって延在している。凹部(68)の画定面(72)は、例えば、長手方向軸線(65)に対して半径方向に向けられている。
【0025】
基体(62)は、この実施例では、アルミニウムから製造されている。この材料の弾性率は、例えば、70000N/mm2である。
【0026】
両装着部材(81)は、この実施例では、互いに同様に形成されている。両装着部材は、シェル区分状の形状を有している。装着部材(81)の上方領域に、係合縁部(38)が形成されている。
【0027】
装着部材(81)は例えば、鋼から製造されている。この材料の弾性率は、210000N/mm2である。したがって、この弾性率は、基体(62)の弾性率の3倍である。材料は、装着部材(81)の弾性率が、基体(62)の弾性率の2倍よりも大きくなるように選択されてよい。装着部材(81)を交換部品として使用することも考えられる。このためには、装着部材を例えばプラスチックから製造することができる。
【0028】
層モジュール(10)を組み立てる際に、各装着部材(81)が凹部(68)内に装着される。センタリングピンと、座ぐり孔(69)内に挿入された取付けねじ(82)とが、装着部材(81)を保持し、固定する。基体(62)の中央領域(64)には、電気的な機能構成群(100)が装着される。この中央領域(64)は、次いで、例えばカバー(63)によって閉鎖される。
【0029】
図5および
図6は、層モジュール(10)の互いに直交する断面図を示している。この図面では、それぞれロボット側インターフェース面(11)が下になり、ハンドリング側インターフェース面(31)が上になるように示されている。
【0030】
両係合縁部(38)は、それぞれ1つのスナップエレメント受容部(47)を画定している。両スナップエレメント受容部(47)は、互いに鏡像的に形成されている。これらは互いに対向して位置している。
【0031】
両ガイドエレメント受容部(33,34)は、それぞれ1つの導入傾斜部(48)と円筒状の受容領域(49)とを有している。この場合、例えば、直径のより小さなガイドエレメント受容部(34)の円筒状の受容領域(49)は、直径のより大きなガイドエレメント受容部(33)の円筒状の受容領域よりも長い。
【0032】
両ガイドエレメント受容部(33,34)の間で、層モジュール(10)の内室(52)には、電気的な機能構成群(100)が配置されている。この電気的な機能構成群は、例えば、1つのボード(101)を有していて、このボード上には、少なくとも1つのエネルギ貯蔵部(102)と、無線モジュール(103)と、切替エレメント(104)とが配置されている。
【0033】
エネルギ貯蔵部(102)は、例えば、直流電流回路で使用されるコンデンサによって形成される。ハンドリング工具の加速度が高い場合に、このエネルギ貯蔵部(102)によってハンドリング工具(4)の駆動モータに追加的なエネルギを提供することができる。これにより、例えば消費量ピークが産業用ロボット(2)に与える反作用を低減することができる。
【0034】
無線モジュール(103)は、例えば送信機および受信機を有している。送信機および受信機は両者とも、例えば、2.4ギガヘルツの範囲の周波数用に設計されている。この場合、この領域における各周波数を、対応ステーションの周波数に適合させることができる。無線モジュール(103)に加えられる電圧は、例えば3.1~4.2ボルトである。双方向無線モジュールは、例えばUART、Bluetooth、WLAN等として、例えば非同期的にシリアルに構成されている。
【0035】
ボード(101)にはさらに、切替エレメント(104)が配置されている。この切替エレメントは、層モジュール(10)の周面(51)から操作可能なプッシュキー(92)によって切替可能である。この実施例では、プッシュキー(92)は、切替エレメント(104)と共に、多機能プッシュキー(92,104)の構造形態のスイッチグループ(92,104)を形成している。プッシュキー(92)の複数回の操作により、例えば、異なる作動モード間で電気的な機能構成群(100)が切り替えられる。
【0036】
ボード(101)は、通路状のエネルギ供給部、信号供給部、およびデータ供給部(19)によって、周面(51)およびロボット側端面(12)に接続されている。
【0037】
電気的な機能構成群(100)を、層モジュール(10)の内室(52)内に装着した後、例えばプッシュキー(92)が取り付けられ、これによりプッシュキーは、例えば切替エレメント(104)に当接する。場合によっては、スイッチ(92)と切替エレメント(104)との間には、中間プランジャを装着することができる。層モジュール(10)の組み立ての他の順序も考えられる。
【0038】
産業用ロボットのアーム(3)を組み付ける際には、層モジュール(10)のロボット側インターフェース面(11)を、産業用ロボット(2)のアーム(3)にセンタリングし、貫通孔(17)内に挿入されるねじによって取り付ける。例えば、産業用ロボットのアームの側方または中央から導出される電気的なケーブル(6)またはケーブル複合体は、エネルギ供給部、信号供給部、およびデータ供給部(19;21)のストレインリリーフ(22)を貫通させられ、ボード(101)の接続ブロック(105)に取り付けられる。エネルギ伝達、信号伝達、データ伝達のためのケーブル(6)を層モジュール(10)から導出し、産業用ロボット(2)に取り付けることも考えられる。産業用ロボット(2)および層モジュール(10)に取り付けられる別個のケーブル(6)またはケーブル束の使用も考えられる。
【0039】
産業用ロボット(2)に取り付けられ、固定配線された層モジュール(10)は、最初は、自由なハンドリング側インターフェース面(31)を有している。このハンドリング側インターフェース面(31)は、ハンドリング工具(4)に、またはハンドリング工具(4)の手前に接続された層モジュールエレメント(200)に、位置をセンタリングして取り外し可能に接合するためのジオメトリ的な接続輪郭(83)を有している。さらに、ハンドリング側インターフェース面は、電気的なエネルギコンタクト(44)、信号コンタクト(45)、およびデータコンタクト(46)のグループ(42)を有している。さらに、この実施例では、このハンドリング側インターフェース面(31)に、ニューマチック管路の構造形態の媒体管路(55,56)が設けられている。
【0040】
このハンドリング側インターフェース面(31)には、例えば、
図7に示された層モジュールエレメント(200)が接続される(
図13参照)。層モジュールエレメント(200)は、層モジュール(10)のハンドリング側インターフェース面(31)に対して相補的なインターフェース面側(201)を有している。このインターフェース面側は、この実施例では、異なる横断面の2つのガイドエレメント(202,203)を有している。両ガイドエレメント(202,203)の互いの間隔およびその直径の比は、ガイドエレメント受容部(33,34)の各寸法に相当する。ハンドリング側インターフェース面(31)にハンドリング工具(4)を接続することも考えられる。
【0041】
層モジュールエレメント(200)はさらに、互いに対向する、半径方向で摺動可能な2つのロック部分(211,212)を有している。この実施例では、両ロック部分(211,212)は互いに同一に形成されている。個々のロック部分(211;212)は、それぞれ1つのガイドエレメント(202,203)のガイドカラー(204)を受容するための中央のガイド長孔(213)を有している。ガイドカラーは、各ガイドエレメント(202;203)と共に、ロック部分(211;212)の行程を半径方向で画定している。ガイド長孔(213)は、層モジュールエレメント(200)の長手方向軸線(205)に対し半径方向に向けられている。層モジュールエレメント(200)のこの長手方向軸線(205)は、層モジュールエレメント(200)が接続された状態で、層モジュール(10)の長手方向軸線(65)と整合する。
【0042】
個々のロック部分(211;212)はその外面に把持領域(214)を有している。把持領域(214)の下方には、この把持領域に対して間隔を置いて、
図7の図示では突出したフック(215)が配置されている。把持領域(214)は、この場合、半径方向で測定した構成部分長さの30%だけ、フック(215)を越えて突出している。フック上面(216)とフック下面(217)との間の楔角度は、この実施例では、5度である。これは、フック上面(216)と、長手方向軸線(205)に対する垂直平面とがなす角度のサイズでもある。ロック部分(211;212)と、層モジュールエレメント(200)の本体(206)との間には、それぞればねエレメント(221)が配置されている。このばねエレメントは、ロック部分(211,212)を、本体(206)に対して相対的に半径方向外側に向かって負荷している。両ロック部分(211,212)は、例えば、装着部材(81)と同じ材料から製造されている。ロック部分(211,212)の別の構造も考えられる。例えば、層モジュールエレメント(200)が、すべてのロック部分(211,212)を制御する唯1つの操作エレメントを備えて形成されていてもよい。
【0043】
層モジュールエレメント(200)のインターフェース面側(201)は、さらに、-ここには図示されていない-電気的なコンタクトピンのグループを有している。コンタクトピンは、インターフェース面側(201)からばね負荷されて突出している。コンタクトピンのグループの配置は、層モジュール(10)のハンドリング側インターフェース面(31)の電気的なコンタクトのグループ(42)の配置に相当する。例えば、層モジュール(10)の各コンタクト(44~46)には、層モジュールエレメント(200)のコンタクトピンが配属されている。層モジュールエレメント(200)が層モジュール(10)に接続されている場合には、コンタクトピンの端面が、層モジュール側のコンタクト(44~46)に接触する。コンタクト(44~46)とコンタクトピンとは、1つまたは複数のプラグの構成形式および1つまたは複数のソケットの構成形式を有していてもよい。
【0044】
層モジュールエレメント(200)は、例えば、一貫したニューマチック管路を有していてよい。この管路は例えば、長手方向軸線(205)に対して平行に向けられている。
【0045】
層モジュールエレメント(200)またはハンドリング工具(4)を層モジュール(10)に接続する場合には、ロック部分を、例えば手動で、または装置によって、ばねエレメント(221)の力に抗して負荷する。ロック部分(211,212)を、フック(215)の周が係合縁部(38)の内円よりも小さくなるまで、本体(206)に対して相対的に長手方向軸線(205)に向かって半径方向で摺動させる。層モジュールエレメント(200)を、層モジュール(10)上に載着する。この際に、ガイドエレメント(202,203)を、ガイドエレメント受容部(33,34)内に挿入する。これにより、層モジュールエレメント(200)の位置が、層モジュール(10)に対して相対的に固定される。長手方向軸線(65,205)の方向に向けられた接合方向(231)で両連結対偶(10,200)がさらに接近すると、層モジュール(10)の半径方向センタリングリング(36)が、層モジュールエレメント(200)のリングカラー(207)に係合する。コンタクトピンは、層モジュール(10)の電気的なコンタクト(44~46)に接触する。この場合、コンタクトピンのばねエレメントは負荷されて、これによりコンタクト(44~46)へのコンタクトピンの押圧力が保証される。さらに、液体媒体および/または気体媒体のための媒体管路は、例えば互いに差し込むことにより接続することができる。
【0046】
層モジュール(10)の縁部(35)が、層モジュールエレメント(200)に当接するとすぐに、例えば、把持領域(214)は負荷軽減される。ロック部分(211,212)は、ばねエレメント(221)によって、半径方向外側に向かって摺動させられる。フック(215)は、係合縁部(38)に背後から係合する。この場合、フック(215)の上面(216)は、係合縁部(38)の下面(41)に沿って滑動する。このようなばね的な拡開によって、両連結対偶(10,200)は、形状接続的かつ摩擦接続的に互いに接合される。これにより、層モジュール(10)と層モジュールエレメント(200)またはハンドリング工具(4)との間のスナップ接続は、セルフロック式である。
【0047】
接合接続を解除するためには、ロック部分(211,212)を、把持領域(214)によって、ばねエレメント(221)を負荷しながら半径方向内側に向かって摺動させる。スナップ接続は解除される。例えば、層モジュールエレメント(200)を、今や、接合方向(231)とは逆方向に、層モジュール(10)から持ち上げることができる。
【0048】
層モジュール(10)および層モジュールエレメント(200)またはハンドリング工具(4)の、互いに補完的に形成された互いに連結可能な両インターフェース面(31,201)を、別の形式で形成することもできる。例えば、電気的なコンタクト個所または媒体接続部の機械的なアダプタジオメトリ(83;202,203,207,211,212)の個々の部分が、それぞれ他方のインターフェース面(201;31)に配置されていてもよい。この場合、例えば、層モジュール(10)の電気的なエネルギコンタクト(44)、信号コンタクト(45)、およびデータコンタクト(46)をばね負荷されるように形成することができる。
【0049】
図8は、層モジュール(10)の電気的な機能構成群(100)の第1の態様のブロック図を示している。無線モジュール(103)は、例えば、モバイル端末または定置の端末とデータ交換するために形成されている。オペレータ側のインターフェース面(91)を形成する第3のインターフェース面(91)を介して、例えば、ハンドリング工具(4)の信号またはデータを読み出すことができ、または例えばハンドリング工具(4)のための付加的な制御データを入力することができる。エネルギ貯蔵部(102)は、この実施例では、上述したようなバッファ貯蔵部を形成している。
【0050】
さらに、電気的な機能構成群(100)は、この実施例では、NPN-PNP論理変換器(106)を有している。これにより、電気的な機能構成群(100)は、産業用ロボット(2)の現在一般的な両論理システムと通信することができる。この切替は、例えば、多機能プッシュキー(92,104)を用いて行うことができる。この多機能プッシュキー(92,104)は、例えば、産業用ロボット(2)の解放のために使用することもできる。産業用ロボット(2)は、例えば、軽量構造ロボットとして形成されていてよい。
【0051】
図9には、電気的な機能構成群(100)の別の態様のブロック図が示されている。この機能構成群(100)は、アプリケーションコンピュータ(107)とデータメモリユニット(108)とを含んでいる。機能構成群(100)は、電流供給グループ(109)を有している。この電流供給グループでは例えば、産業用ロボット(2)からくるエネルギが、ハンドリング工具(4)およびアプリケーションコンピュータ(107)への接続データに変換される。ハンドリング工具(4)で必要な電圧は、例えば、24ボルトの直流電圧である。電流供給グループ(109)の下流には、能動的および受動的な障害除去のための障害除去グループ(111)が接続されている。ここには図示されていないエネルギ貯蔵部(102)は、例えば、上記実施例との関連で説明したように構成されている。
【0052】
アプリケーションコンピュータ(107)は、例えば3つのプロセッサを有している。この実施例では、第1のプロセッサは、264メガヘルツのクロック周波数を有し、別のプロセッサは1.2ギガヘルツのクロック周波数を有し、第3のプロセッサは1.6ギガヘルツのクロック周波数を有する。この場合、最初に挙げたプロセッサは、例えば外部のダイレクト制御のために用いられる。アプリケーションコンピュータ(107)の基板は、例えば30ミリメートル×30ミリメートルの寸法を有する。実装部を含めたアプリケーションコンピュータの高さは、例えば1ミリメートルである。アプリケーションコンピュータ(107)は、ハンドリング側のコンタクト(44~46)のグループ(42)に堅固に接続されている。例えば、層モジュールエレメント側のコンタクトピンから、ハンドリング工具(4)は、電気的なラインによって双方向で接続されている。層モジュール(10)から、複数のハンドリング工具(4)を制御することができる。
図9の図示では、アプリケーションコンピュータ(107)は、電気的なコンタクトの2つのグループ(42)に接続されている。アプリケーションコンピュータ(107)には、作動状態を表示するための発光ダイオード(112)が接続されている。
【0053】
アプリケーションコンピュータ(107)に接続された、不揮発性データメモリユニット(108)は、電気的にバッファされており、例えば2倍の16メガバイトのメモリ容量を有する。この実施例では、データメモリユニットは、8つのピンを有している。それらのサイズは、例えば8ミリメートル×5.3ミリメートル×2ミリメートルである。
【0054】
アプリケーションコンピュータ(107)には、さらに、デジタルの入力および出力ユニット(113)が接続されている。このユニットは、この実施例では、エネルギ供給部、データ供給部、および信号供給部(19;21)でガイドされる、接続ケーブル(6)のデータラインおよび信号ラインに電気的に接続されている。これにより、アプリケーションコンピュータ(107)と、産業用ロボット(2)の制御装置との間のデジタル接続が形成される。この接続は、層モジュール(10)のロボット側インターフェース面(11)を介して延在している。
【0055】
アプリケーションコンピュータ(107)とユーザ側インターフェース面(91)との間には、切替スイッチ(114)が配置されている。切替スイッチ(114)のサイズは、例えば9ミリメートル×9ミリメートル×1.6ミリメートルである。ユーザ側インターフェース面(91)には、例えば2つのプラグのためのソケット(115)が配置されている。ソケット(115)は、手動で取り外し可能な差込み接続の面(115)である。この差込み接続によって、例えば、外部データを高速のデータ伝送速度で、アプリケーションコンピュータ(107)と双方向に交換することができる。別の双方向のユーザインターフェースとして、切替スイッチ(114)に接続された無線モジュールを設けることができる。無線モジュールは、例えば、第1の実施例との関連で説明したように形成されている。
【0056】
図9に示された電気的な機能構成群(100)を使用する場合は、ハンドリング工具(4)の位置決めのために必要なプログラムおよびデータが、産業用ロボット(2)の制御装置内に入力される。ハンドリング工具(4)の作用機構(5)の運動を制御するために必要なデータおよびプログラムは、オペレータ側インターフェース面(91)を介してアプリケーションコンピュータ(107)およびそのデータメモリユニット(108)に供給される。これは、ソケット(115)を介して有線で、または無線モジュールを介してワイヤレスで行うことができる。アプリケーションコンピュータ(107)は、例えば、ワークピースを把持するための位置決めの微調整のために、産業用ロボット(2)の制御装置と、デジタルデータを用いて通信する。ハンドリング工具(4)の作用機構(5)の制御は、アプリケーションコンピュータ(107)によって行われる。この制御は、例えば、ハンドリング工具(4)の構造に応じて、かつ把持すべきワークピースのジオメトリおよび構造に応じて行われる。
【0057】
別のワークピースを把持すべき場合には、例えば、アプリケーションコンピュータ(107)で別の把持プロフィールを使用することもできる。したがって、ロットサイズ1のワークピースでも、問題なく、中断せずに収容することができる。この場合、産業用ロボット(2)の制御は、把持の際に、ハンドリング工具(4)の位置決めの変更時にのみ適合される。ハンドリング工具(4)の作用機構(5)のワークピース特有の制御は、アプリケーションコンピュータ(107)のみによって行われる。
【0058】
別のハンドリング工具(4)を使用する際には、工具特有のプログラムが、ユーザインターフェースを介してアプリケーションコンピュータ(107)に供給される。この場合も、ハンドリング工具(4)の位置決めの際に、目標値・実際値比較が、アプリケーションコンピュータ(107)と産業用ロボット(2)の制御装置との間の固定配線を介してデジタルで行われる。したがって、ハンドリング工具のグリッパエレメントを開ループ制御および閉ループ制御するためのワークピース特有のプログラムおよび/または工具特有のプログラムは、産業用ロボット(2)のプログラミングとはほぼ無関係に調節および使用することができる。例えば、ハンドリング工具特有のプログラミング言語を使用することができる。
【0059】
図10は、
図9に示した電気的な機能構成群(100)の拡張態様を示している。アプリケーションコンピュータ(107)、データメモリユニット(108)、および切替スイッチ(114)は、接続された構成部分と共に、上記実施例に関連して説明したように形成されている。電流供給グループ(109)はバッファされているので、例えば、グリッパエレメント(5)の加速時に発生する電流ピークの反作用が減じられる。切替スイッチ(114)には、付加的な無線モジュール(103)が接続されている。この無線モジュールは、例えば2.4ギガヘルツまたは5ギガヘルツの範囲で双方向に動作する。この実施例では、ハンドリング特有のプログラムを、外部コンピュータでもインストールすることができる。ハンドリングロボットシステム(1)の作動中、アプリケーションコンピュータ(107)と外部コンピュータとの間の通信は、例えば、無線モジュール(103)を介して行われる。ハンドリングロボットシステム(1)の主作動時間外では、外部コンピュータとアプリケーションコンピュータ(107)との間の通信を、オペレータ側インターフェース面(91)における差込み接続の面(115)を介して行うこともできる。
【0060】
さらに、切替エレメント(104)が設けられている。切替エレメントは、例えば、スイッチグループ(92,104)の一部である。スイッチグループは、オペレータによって、スイッチ(92)を介して操作可能である。これにより、例えば手動で、アプリケーションコンピュータ(107)の様々な動作モードを切り替えることができる。アプリケーションコンピュータ(107)と、産業用ロボット(2)の制御装置との間のインターフェースは、上述したように形成されていてよい。しかしながらこれは、フィールドバス(116)として形成されていてもよい。データインターフェースは、例えば、非同期的なシリアルデータインターフェースとして、例えばRS-485として、形成されてもよい。
【0061】
この実施例では、より大容量のアプリケーションコンピュータ(107)およびデータメモリユニット(108)も使用することができる。これにより、例えば、アプリケーションコンピュータ(107)に、オペレーティングシステムおよび/またはプログラマブルロジックコントローラがインストールされていてよい。オペレーティングシステムは例えば、リアルタイムオペレーティングシステムである。プログラマブルロジックコントローラのプログラミングは、例えばオペレータ側インターフェース面(91)を介して行われる。プログラマブルロジックコントローラは、複数のハンドリング工具(4)を制御することができる。さらに、アプリケーションコンピュータ(107)および/またはデータメモリユニット(108)には、プロセスデータ、イベントデータおよびメンテナンスデータが収集される。この場合、これらのデータは、例えば、オペレータ側インターフェース面(91)を介して読み出すことができる。
【0062】
図11には、電気的な機能構成群(100)の別の態様のブロック図が示されている。この電気的な機能構成群(100)は、
図10の態様に基づいており、追加的な学習モジュール(117)を有している。作業中に求められた工具特有のデータおよびワークピース特有のデータは圧縮される。この場合、例えば、複数の実際データの平均値が形成される。
【0063】
これらは例えば、エネルギーデータ、センサによって求められたデータ、繰り返される補正データ等であってよい。例えば、データ圧縮は、ハンドリング工具(4)とワークピースとの組み合わせのために、その都度行われる。これらの結果は、アプリケーションコンピュータ(107)によって提供される目標データに影響を与える。ハンドリング工具(4)とワークピースとの組み合わせを繰り返して使用する場合、電気的な機能構成群(100)は、これにより自己学習式となる。
【0064】
図12は、同じく
図10の態様に基づく、電気的な機能構成群(100)のブロック図を示している。
図12に示された態様は、付加的な安全モジュール(118)を有している。安全モジュールは、例えば、それぞれ冗長に形成された2つの端子(119,121)を有している。さらに、アプリケーションコンピュータ(107)への接続が形成されている。端子の一方(121)は、ハンドリング工具(4)の作用機構(5)のアクチュエータ(122)に接続されている。他方の端子(119)は、フィールドバス(116)に接続されている。例えば、保護格子の開放状態で、外部の障害が生じた際には、上位の制御装置および安全モジュール(118)によって、ハンドリング工具(4)の作用機構(5)が無力状態か減力状態に切替えられる。これは例えば、ハンドリング側インターフェース(31)を介して伝達されるエネルギを減じるまたは遮断することにより行うことができる。ハンドリング側インターフェース(31)を介して、ハンドリング工具(4)に、作用機構(5)の減力化のためのまたは無力化切替えのための信号を伝達することも考えられる。例えば、収容された荷重と作用機構(5)とが形状接続されている場合には、作用機構(5)の無力化状態でも、確実な保持を保証することができる。
【0065】
安全モジュール(118)を、ハンドリング工具(4)に配置されたセンサに接続することも考えられる。このセンサは、誘導式または容量式の近接スイッチ、光バリア等であってよい。例えば衝突が差し迫っている場合には、近接スイッチの発信が制御されるか、または光バリアが中断される。センサが切替えられると、安全モジュール(118)内にアラーム信号が生成され、このアラーム信号は、ハンドリング側のインターフェース面(11)を介して、産業用ロボットの制御装置に伝達される。ハンドリング工具(4)を、今や、産業用ロボット(2)によって、例えば危険領域から、移動させることができる。
【0066】
個々の実施例の組み合わせも考えられる。
【符号の説明】
【0067】
1 ハンドリングロボットシステム
2 産業用ロボット
3 (2)のアーム
4 ハンドリング工具、グリッパユニット
5 (4)の作用機構、グリッパジョー
6 ケーブル、エネルギライン、データライン、および信号ライン
10 層モジュール、連結対偶
11 ロボット側インターフェース面
12 端面、ロボット側
13 ジオメトリ的な接続輪郭
14 センタリングリング
15 センタリングピン受容部
16 ホールパターン
17 貫通孔
18 閉鎖カバー
19 ケーブル導入部、エネルギ供給部、信号供給部、データ供給部、端面側
21 ケーブル導入部、エネルギ供給部、信号供給部、データ供給部、周面側
22 ストレインリリーフ
31 ハンドリング側インターフェース面
32 端面、ハンドリング側
33 ガイドエレメント受容部
34 ガイドエレメント受容部
35 縁部
36 (35)の内壁、半径方向センタリングリング
37 (35)の端面
38 係合縁部
39 (38)の上面
41 (38)の下面
42 電気的なコンタクトのグループ
43 コンタクト面
44 電気的なエネルギコンタクト
45 信号コンタクト
46 データコンタクト
47 スナップエレメント受容部
48 導入傾斜部
49 円筒状の受容領域
51 周面
52 内室
53 媒体接続部
54 媒体接続部
55 媒体管路
56 媒体管路
57 接続部
58 シールエレメント
61 ケーシング
62 基体
63 カバー
64 中央領域
65 長手方向軸線
66 底面
67 壁領域
68 凹部
69 座ぐり孔
71 センタリング孔
72 画定面
81 装着部材
82 取付けねじ
83 (31)のジオメトリ的な接続輪郭
91 第3のインターフェース面、オペレータ側インターフェース面
92 スイッチ、スイッチグループの一部、多機能プッシュキーの一部
100 電気的な機能構成群
101 ボード
102 エネルギ貯蔵部
103 無線モジュール
104 切替エレメント、スイッチグループの一部、多機能プッシュキーの一部
105 接続ブロック
106 NPN-PNP論理変換器
107 アプリケーションコンピュータ
108 データメモリユニット
109 電流供給グループ
111 障害除去グループ
112 発光ダイオード
113 デジタル入力および出力ユニット
114 切替スイッチ
115 ソケット、差込み接続の面
116 ロボット側のデータインターフェース、フィールドバス
117 学習モジュール
118 安全モジュール
119 (118)の端子
121 (118)の端子
122 アクチュエータ
200 層モジュールエレメント、連結対偶
201 インターフェース面側
202 ガイドエレメント
203 ガイドエレメント
204 ガイドカラー
205 (200)の長手方向軸線
206 (200)の本体
207 リングカラー
211 ロック部分
212 ロック部分
213 ガイド長孔
214 把持領域
215 フック
216 フック上面
217 フック下面
221 ばねエレメント
231 接合方向
【国際調査報告】