(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(54)【発明の名称】大きな寸法の焼結セラミック体及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20231011BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20231011BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20231011BHJP
C04B 35/645 20060101ALI20231011BHJP
C04B 35/56 20060101ALI20231011BHJP
C04B 35/58 20060101ALI20231011BHJP
C04B 35/01 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/205
H01L21/31 C
C04B35/645
C04B35/56
C04B35/58 050
C04B35/01
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516529
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 US2021052981
(87)【国際公開番号】W WO2022072705
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521442051
【氏名又は名称】ヘレーウス コナミック ノース アメリカ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Conamic North America LLC
【住所又は居所原語表記】301 N. Roosevelt Avenue, Chandler, AZ 85226, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー、ルーク
(72)【発明者】
【氏名】ドネロン、マシュー、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン、リリアン
【テーマコード(参考)】
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
5F004AA15
5F004BA03
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB29
5F045AA08
5F045BB08
5F045BB15
5F045DP03
5F045EB03
5F045EB05
5F045EH03
5F045EM02
5F045EM05
5F045EM09
(57)【要約】
焼結セラミック体を作製する方法は、セラミック粉末をスパークプラズマ放電ツールの内部容積内に配置する工程であって、ツールは、内壁及び外壁を含む側壁を含むダイであって、内壁は、内部容積を画定する直径を有する、ダイと、ダイと動作可能に連結された上部パンチ及び下部パンチであって、前記パンチの各々が、ダイ内壁の直径よりも小さい直径を画定する外壁を有し、それによって、パンチの少なくとも一方が内部容積内で移動させられるときにパンチと内壁との間に間隙を作り出し、間隙が10μm~70μmの幅である、上部パンチ及び下部パンチと、を備える、工程と、内部容積内に真空状態を生成する工程と、パンチの少なくとも一方を移動させて、加熱しながらセラミック粉末に圧力を加えて焼結する工程と、焼結体の温度を低下させる工程と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結セラミック体を作製する方法であって、以下のプロセス工程:
a.少なくとも1種のセラミック粉末をスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に配置する工程であって、前記スパーク放電プラズマ焼結ツールが、内壁及び外壁を含む側壁を含むダイであって、前記内壁が前記内部容積を画定する直径を有する、ダイと、
前記ダイと動作可能に連結された上部パンチ及び下部パンチであって、前記上部パンチ及び前記下部パンチの各々が、前記ダイの前記内壁の直径よりも小さい直径を画定する外壁を有し、それによって、前記上部パンチ及び前記下部パンチの少なくとも一方が前記ダイの前記内部容積内で移動させられるときに、前記上部パンチ及び前記下部パンチの各々と前記ダイの前記内壁との間に間隙を生成し、前記焼結ツールが中心軸を有し、前記間隙が10μm~100μmの幅である、上部パンチ及び下部パンチと、を備える、工程と、
b.前記内部容積内に真空状態を生成する工程と、
c.前記セラミック粉末を焼結温度に加熱し、前記セラミック粉末を焼結して前記焼結セラミック体を形成しながら、前記上部パンチ及び前記下部パンチのうちの少なくとも一方を移動させて前記セラミック粉末に圧力を加える工程と、
d.前記焼結セラミック体の温度を低下させる工程と、を含み、
前記少なくとも1種のセラミック粉末が、ASTMC1274に従って測定される1~18m
2/gの比表面積を有する、方法。
【請求項2】
前記ダイの前記内壁が、少なくとも1つの伝導性ホイルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの伝導性ホイルが、グラファイト、ニオブ、ニッケル、モリブデン、又は白金を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ダイ、前記上部パンチ、及び前記下部パンチが、少なくとも1つのグラファイト材料を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのグラファイト材料が、5~30μmの粒径を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのグラファイト材料が、1.45~2.0g/ccの密度を有する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのグラファイト材料の平均熱膨張係数からの半径方向偏差が、前記中心軸を中心に0.3×10
-6/℃以下、0.25×10
-6/℃以下、0.2×10
-6/℃以下、0.18×10
-6/℃以下、0.16×10
-6/℃以下、0.14×10
-6/℃以下、0.12×10
-6/℃以下、0.1×10
-6/℃以下、0.08×10
-6/℃以下、0.06×10
-6/℃以下からなる群から選択される少なくとも1つの量変動する、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1種のセラミック粉末が、約1×10
-5オームセンチ~約1×10+
10オームセンチの抵抗率を有し、前記少なくとも1種のセラミック粉末が、炭化タングステン、炭化クロム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化モリブデン、炭化タンタル、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ホウ化モリブデン、ホウ化クロム、ホウ化ハフニウム、ホウ化ジルコニウム、ホウ化タンタル、ホウ化チタン又は二ホウ化チタン、及び窒化チタン、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記間隙が、10μm~70μm、20μm~70μm、30μm~70μm、40μm~70μm、50μm~70μm、60μm~70μm、10~60μm、10~50um、10~40μm、10~30μm、20μm~60μm、20μm~50μm、30μm~60μm、及び30μm~50μmからなる群から選択される幅を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記間隙が10~70μmの幅であり、前記少なくとも1種のセラミック粉末が、約1×10
+10オームセンチ以上の抵抗率を有し、前記少なくとも1種のセラミック粉末が、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、サファイア、イットリウムアルミニウム単斜晶(YAM)、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、イットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP)、酸化ジルコニウム、酸化チタン、コージエライト、ムライト、コバルタイト、アルミン酸マグネシウムスピネル、二酸化ケイ素、石英、酸化カルシウム、酸化セリウム、フェライト、スピネル、ジルコン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化ストロンチウム、酸化スカンジウム、酸化サマリウム、酸化ランタン、酸化ルテチウム(lutetium oxide)、酸化エルビウム、エルビウムアルミニウムガーネット(EAG)、酸化ハフニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化タンタル、酸化テルビウム、酸化ユウロピウム、酸化ネオジム、ジルコニウムアルミネート酸化物、ジルコニウムシリケート酸化物、ハフニウムアルミネート酸化物、ハフニウムシリケート酸化物、チタンシリケート酸化物、ランタンシリケート酸化物、ランタンアルミネート酸化物(LAO)、イットリウムシリケート酸化物、チタンシリケート酸化物、タンタルシリケート酸化物、窒化イットリウム、酸窒化イットリウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、サイアロン材料、窒化ホウ素、窒化ベリリウム、窒化チタン、窒化タングステン、フォルステライト、ステアタイト、コージエライト、ムライト、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、ジルコン酸チタン酸鉛、Mn-Znフェライト、Ni-Znフェライト及びサイアロン並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記上部パンチ及び前記下部パンチの少なくとも一方が電極に結合され、前記上部パンチ及び前記下部パンチの少なくとも一方が前記ダイとオーム接触している、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記間隙が、前記中心軸を中心に軸対称である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記間隙が、前記中心軸を中心に非対称である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1種のセラミック粉末が、1~16m
2/g、1~14m
2/g、1~10m
2/g、1~8m
2/g、1~6m
2/g、2~18m
2/g、4~18m
2/g、6~18m
2/g、8~18m
2/g、10~18m
2/g、4~12m
2/g、4~10m
2/g、及び6~8m
2/gからなる群から選択される比表面積(SSA)を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、以下の任意選択の工程、
e.熱を加えて前記焼結セラミック体の温度を上昇させてアニーリング温度に到達させることによって、前記焼結セラミック体をアニーリングする工程と、
f.前記焼結及びアニーリングされたセラミック体の温度を周囲温度まで低下させる工程と、
g.前記アニーリングされた焼結セラミック体を、フォーカスリング、窓、ノズル、ガス注入器、シャワーヘッド、ガス分配プレート、遠隔プラズマアダプタ、エッチングチャンバライナー、プラズマ源アダプタ、ガス入口アダプタ、ディフューザ、電子ウェハチャック、チャック、パック、混合マニホールド、イオンサプレッサ要素、フェースプレート、アイソレータ、スペーサ、及び保護リングからなる群から選択される1つに機械加工する工程と、を更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
工程cの最中、焼結装置のツールセットによって画定される前記内部容積内に配置された前記少なくとも1種のセラミック粉末にわたるセンチメートル当たりの温度差が、0.15~5℃/cmである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
工程cの最中、焼結装置のツールセットによって画定される前記内部容積内に配置された前記少なくとも1種のセラミック粉末にわたる温度差が、1~100℃である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種のセラミック粉末が、0.8~100μm、0.8~80μm、0.8~60μm、0.8~40μm、0.8~30μm、0.8~20μm、0.8~10μm、0.8~5μm、1~100μm、3~100μm、5~100μm、10~100μm、20~100μm、40μm、及び5~30μmからなる群から選択されるd50粒径を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1種のセラミック粉末が、20体積%~60体積%、30体積%~60体積%、40体積%~60体積%、20体積%~50体積%、20体積%~40体積%、30体積%~50体積%、40体積%~55体積%、及び45体積%~55体積%からなる群から選択される充填密度を有する粉末成形体を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
100~622mm、200~622mm、250~622mm、300~622mm、350~622mm、400~622mm、550~622mm、500~622mm、及び550~622mmからなる群から選択される最大寸法を有する焼結セラミック体であって、密度が前記焼結セラミック体を形成するセラミックの報告された理論密度の98%以上であり、前記焼結セラミック体は、前記最大寸法に沿って密度が0.5%~4%変動し、密度はASTMB962-17に従って測定される、焼結セラミック体。
【請求項21】
ASTMB962-17に従って実施される密度測定から計算される0.1~2%の体積多孔率を有する、請求項20に記載の焼結セラミック体。
【請求項22】
3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.25~4.5%、0.25~4%、0.25~3%、0.25~2%、0.25~1%、0.25~0.5%、0.5~3.5%、1~3%、0.5~2%、及び0.5~1%からなる群から選択される、最大寸法に沿って測定される密度偏差を有する、請求項20に記載の焼結セラミック体。
【請求項23】
前記焼結セラミック体が、100ppm未満の総不純物を含有する、請求項20~22のいずれか一項に記載の焼結セラミック体。
【請求項24】
請求項1~19のいずれか一項に記載の方法によって得られる、請求項20~23のいずれか一項に記載の焼結セラミック体。
【請求項25】
プラズマ処理チャンバにおける、特に、フォーカスリング、窓、ノズル、ガス注入器、シャワーヘッド、ガス分配プレート、遠隔プラズマアダプタ、エッチングチャンバライナー、プラズマ源アダプタ、ガス入口アダプタ、ディフューザ、電子ウェハチャック、チャック、パック、混合マニホールド、イオンサプレッサ要素、フェースプレート、アイソレータ、スペーサ、及び/又は保護リングとしての、請求項24に記載の焼結セラミック体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、焼結セラミック体に関し、特に、高純度及び高密度の大型焼結セラミック体に関する。更に、本開示はまた、焼結セラミック体の調製のための特定のプロセスに関し、特に、本開示の方法に従って調製することができる大きな焼結セラミック体の調製のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックは、とりわけ、自動車、航空宇宙、半導体、光学、及び医療などの様々な産業にわたって有用である。セラミックにより、概して、高い圧縮強度、低い熱膨張、高い熱伝導率、優れた耐薬品性、並びに好ましい誘電特性及び光学特性が得られる。しかしながら、約100mm~200mm以上の大きな寸法のセラミック部品の製造は、様々な理由から困難であることが判明している。
【0003】
セラミック材料は、一般に、金属、サーメット、及びポリマーなどの他の材料と比較して脆いことが知られている。したがって、セラミック材料の物理的特性の変動及び欠陥の存在は、他のより延性のある材料よりも容易にセラミック材料を破壊し易くする。
【0004】
ある種のセラミック材料は本質的に耐火性であり、高密度化するのが困難である。結果として、セラミック材料は、典型的には、無圧真空焼結によって調製され、この焼結では、セラミック粉末が炉内に装填され、1600℃の温度で、長期間、多くの場合、数日間にわたって焼結される。この技術では、密度が低く、それに応じて多孔率が高い、許容できない品質の焼結セラミックが得られることが多く、化学エッチング耐性及び/又は耐浸食性などの性能を低下させる。製造のためのこれらの条件はまた、約20μm以上の大きな粒径、及び例えば理論値の約95%未満の低い密度をもたらすことによって機械的強度を低下させ、大きな寸法での破損をもたらし、それらを多くの用途において使用できなくする。
【0005】
高密度化を促進するために、焼結助剤がしばしば使用される。大きな本体サイズにわたって高純度が必要とされる用途では、焼結セラミック中に存在する焼結助剤は、セラミック物品の最終用途に適合せず、したがって、約99.99%以上の高純度が要求される用途でのそれらの使用は妨げられる。焼結助剤はまた、それらの特定の特性により、焼結されたセラミックにおける電気的、磁気的、又は他の特性が、エンドユーザにとって望まない様式で変化し得るという問題をもたらす場合がある。
【0006】
他のセラミック材料は、低い焼結強度を有することが知られており、破損することなく大きな寸法で取り扱うことを特に困難にしている。このことは、様々な用途のための構造材料としてのセラミック材料の開発を妨げる。大きな(>100mm)本体サイズで、特に低い焼結強度を有することが知られているセラミック材料を調製しようとする試みは、多くの場合、焼結中もしくは焼結後、冷却時、アニーリングもしくは機械加工などの焼結後処理中、又は加工のために必要とされる取扱時に破損をもたらす。
【0007】
半導体処理用途では、半導体基板上の材料のエッチング及び化学蒸着(CVD)のために真空処理チャンバが使用される。これらの真空処理チャンバは、処理されるウェハ又は基板上にプラズマを閉じ込めるディスク、リング、ライナー、及びシリンダなどの構成要素を含む。プラズマ性セラミック材料から形成されるこれらのチャンバ構成要素は、プラズマによって連続的に攻撃され、その結果、侵食され、腐食し、汚染物質を蓄積又は放出する。このプラズマ攻撃は、ツールダウンタイムの延長を招く短い構成部品寿命、消耗品コストの増加、ウェハ上の遷移金属汚染、プロセスドリフト、及びデバイス歩留まり損失をもたらす粒子汚染などの多くの問題を引き起こす。
【0008】
プラズマ環境の浸食性及び腐食性、並びに粒子及び/又は金属汚染を最小限に抑える必要性のため、プラズマ処理チャンバ内で使用されるセラミック構成要素は、適切に高い耐浸食性及び耐腐食性を有することが望ましい。そのような部品は、プラズマ環境における腐食及び浸食に対する耐性を提供する材料から形成されており、例えば、米国特許第5,798,016号、米国特許第5,911,852号、米国特許第6,123,791号、及び米国特許第6,352,611号に記載されている。しかしながら、これらの例は、現在の半導体処理チャンバで必要とされるような少なくとも約100mm~200mm以上の大きな寸法のセラミック材料及び構成要素の調製のための方向性を提供しない。
【0009】
これまでに調製された大きな焼結セラミック体は、主に、破損のリスク、高い多孔率、低い密度、及び耐食性用途での使用にとって不十分な品質/純度に悩まされている。更に、最新技術のエッチングチャンバで使用するために、ますます大きな寸法のプラズマエッチング耐性セラミック構成要素が必要とされている。これらの要件は、現在、多くのプラズマ処理チャンバにおける多数の焼結セラミック構成要素の適用を妨げている。
【0010】
高い密度(理論値の>96%)及び最小密度偏差(<4%偏差)を有し、特定の用途によって必要とされるような高純度も提供する大型セラミック体構成要素の製造のための商業的に実行可能な方法は、存在しない可能性がある。
【0011】
スパーク放電プラズマ焼結(SPS)技術は、大きな寸法のセラミック体を製造するための解決策として提案されてきた。スパーク放電プラズマ焼結プロセスによって大きなセラミック体を製造する際の課題は、Eugene A.Olevskyらの2つの科学的刊行物「Fundamental Aspects of Spark Plasma Sintering:I.Experimental Analysis of Scalability」(J.Am.Ceram.Soc,95[8],2406~2413(2012))及び「Fundamental Aspects of Spark Plasma Sintering:II.Experimental Analysis of Scalability」(J.Am.Ceram.Soc,95[8],2414~2422(2012))で扱われており、これらの文献は、温度勾配に関するSPSツーリングの拡大に伴って生じる問題を記載している。
【0012】
大きな(>100mm)寸法の部品を製造するためにスパーク放電プラズマ焼結(SPS)技術を使用する試みは、これまで成功していない。成功していないことは、少なくとも部分的に、焼結プロセス中に大きな寸法の部品にわたって温度を制御することができず、その結果、処理中に温度勾配が生じるためである。更に、最小限の導電性を有するか又は導電性を有さない粉末又は粉末混合物(すなわち、絶縁体)を高密度化するためのスパーク放電プラズマ焼結技術の使用は、粉末の本質的に低い導電性のために特に困難であり、したがって、焼結中に粉末全体の温度勾配を悪化させる。この温度勾配は、密度及び粒径などの材料特性の変動をもたらし、それらの特性の各々が機械的強度に影響を与える。この温度勾配を制御することができないため、現在、破損することなく容易に取り扱うことができる約100mm超の寸法を有するセラミック体の製造が妨げられている。
【0013】
特開2004/068089号公報は、金型構造を最適化することによって均一な温度分布が提供されるSPSツーリング装置を開示している。詳細には、焼結される成形体の形状は焼結チャンバの中心軸に対して軸対称であり、電源の電極は焼結チャンバの中心軸に対して対称な位置に取り付けられている。大きな寸法の焼結セラミック体を製造するために金型構造を変更する必要がないことが好ましい。
【0014】
米国特許出願公開第2018/201545号は、高いプラズマ耐性を有するフォーカスリングを開示しており、上記のフォーカスリングを製造する方法も提供する。フォーカスリングは、炭化珪素の焼結体で形成されている。焼結体は、α-SiCの結晶構造を有する複数の第1の結晶粒と、β-SiCの結晶構造を有する複数の第2の結晶粒とから構成される。焼結体は、第1の結晶粒と第2の結晶粒との合計に対して70体積%以上の量で第1の結晶粒を含む。第1の結晶粒の体積平均結晶子径は10μm以下である。再び、この先行技術文献は、フッ素系ガス及び酸素ガスに対して安定性が改善された耐プラズマ性材料の調製に焦点を当てている。この先行技術文献には、破損に対する耐性が改善された、大きくて緻密な高純度セラミック体の製造に関する指摘はない。したがって、当技術分野では、大きな寸法にわたって改善された機械的特性を有し、プラズマエッチング条件下での崩壊に耐性がある、より大きな焼結セラミック体が必要とされている。
【0015】
これら及び他の理由のために、焼結体全体にわたって高くかつ均一な密度を高純度と組み合わせて提供するセラミック材料の更なる開発が必要とされている。特に、破損のリスクが低減され、密度及び密度偏差、純度、耐エッチング性について十分な品質を有し、表面粗さが低減された大型焼結セラミック体の製造方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0016】
実施形態は、機械的特性及び取扱能力が改善された大きな焼結セラミック体を調製するための方法を提供する。
【0017】
実施形態1.焼結セラミック体の作製方法であって、以下のプロセス工程:(a)少なくとも1種のセラミック粉末をスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に配置する工程であって、スパーク放電プラズマ焼結ツールが、内壁及び外壁を含む側壁を含むダイであって、内壁が内部容積を画定する直径を有する、ダイと、ダイと動作可能に連結された上部パンチ及び下部パンチであって、上部パンチ及び下部パンチの各々が、ダイの内壁の直径よりも小さい直径を画定する外壁を有し、それによって、上部パンチ及び下部パンチの少なくとも一方がダイの内部容積内で移動させられるときに、上部パンチ及び下部パンチの各々とダイの内壁との間に間隙を生成し、焼結ツールが中心軸を有し、間隙が10μm~100μmの幅である、上部パンチ及び下部パンチと、を備える、工程と、(b)内部容積内に真空状態を生成する工程と、(c)セラミック粉末を焼結温度パンチの少なくとも一方を移動させてセラミック粉末に圧力を加えながら、セラミック粉末を焼結温度に加熱し、セラミック粉末を焼結して焼結セラミック体を形成する工程と、(d)焼結セラミック体の温度を低下させる工程と、を含み、少なくとも1種のセラミック粉末が、ASTMC1274に従って測定される1~18m2/gの比表面積を有する、方法。
【0018】
実施形態2.ダイの内壁が、少なくとも1つの伝導性ホイルを含む、実施形態1に記載の方法。
【0019】
実施形態3.少なくとも1つの伝導性ホイルが、グラファイト、ニオブ、ニッケル、モリブデン、又は白金を含む、実施形態2に記載の方法。
【0020】
実施形態4.ダイ、上部パンチ及び下部パンチが、少なくとも1つのグラファイト材料を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0021】
実施形態5.少なくとも1つのグラファイト材料が、5~30μmの粒径を有する、実施形態4に記載の方法。
【0022】
実施形態6.少なくとも1つのグラファイト材料が、1.45~2.0g/ccの密度を有する、実施形態4又は5に記載の方法。
【0023】
実施形態7.少なくとも1つのグラファイト材料の平均熱膨張係数からの半径方向偏差が、中心軸を中心に0.3×10-6/℃以下、0.25×10-6/℃以下、0.2×10-6/℃以下、0.18×10-6/℃以下、0.16×10-6/℃以下、0.14×10-6/℃以下、0.12×10-6/℃以下、0.1×10-6/℃以下、0.08×10-6/℃以下、0.06×10-6/℃以下からなる群から選択される少なくとも1つの量変動する、実施形態4~6のいずれか一項に記載の方法。
【0024】
実施形態8.少なくとも1種のセラミック粉末が、約1×10-5オームセンチ~約1×10+10オームセンチの抵抗率を有し、少なくとも1種のセラミック粉末が、炭化タングステン、炭化クロム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化モリブデン、炭化タンタル、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ホウ化モリブデン、ホウ化クロム、ホウ化ハフニウム、ホウ化ジルコニウム、ホウ化タンタル及びホウ化チタン又は二ホウ化チタン、並びに窒化チタン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0025】
実施形態9.間隙が、10μm~70μm、20μm~70μm、30μm~70μm、40μm~70μm、50μm~70μm、60μm~70μm、10~60um、10~50um、10~40um、10~30um、20μm~60μm、20μm~50μm、30μm~60μm、及び30μm~50μmからなる群から選択される幅を有する、辞し形態1~8のいずれか一項に記載の方法。
【0026】
実施形態10.間隙が10~70μmの幅であり、少なくとも1種のセラミック粉末が、約1×10+10オームセンチ以上の抵抗率を有し、少なくとも1種のセラミック粉末が、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、サファイア、イットリウムアルミニウム単斜晶(YAM)、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、イットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP)、酸化ジルコニウム、酸化チタン、コージエライト、ムライト、コバルタイト、アルミン酸マグネシウムスピネル、二酸化ケイ素、石英、酸化カルシウム、酸化セリウム、フェライト、スピネル、ジルコン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化ストロンチウム、酸化スカンジウム、酸化サマリウム、酸化ランタン、酸化ルテチウム、酸化エルビウム、エルビウムアルミニウムガーネット(EAG)、酸化ハフニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化タンタル、酸化テルビウム、酸化ユウロピウム、酸化ネオジム、ジルコニウムアルミネート酸化物、ジルコニウムシリケート酸化物、ハフニウムアルミネート酸化物、ハフニウムシリケート酸化物、チタンシリケート酸化物、ランタンシリケート酸化物、ランタンアルミネート酸化物(LAO)、イットリウムシリケート酸化物、チタンシリケート酸化物タンタルシリケート酸化物、窒化イットリウム、酸窒化イットリウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、サイアロン材料、窒化ホウ素、窒化ベリリウム、窒化チタン、窒化タングステン、フォルステライト、ステアタイト、コージエライト、ムライト、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、ジルコン酸チタン酸鉛、Mn-Znフェライト、Ni-Znフェライト及びサイアロン並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0027】
実施形態11.上部パンチ及び下部パンチの少なくとも一方が電極に結合され、上部パンチ及び下部パンチの少なくとも一方がダイとオーミック接触している、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0028】
実施形態12.間隙が、中心軸を中心に軸対称である、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0029】
実施形態13.間隙が、中心軸を中心に非対称である、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0030】
実施形態14.少なくとも1種のセラミック粉末が、1~16m2/g、1~14m2/g、1~10m2/g、1~8m2/g、1~6m2/g、2~18m2/g、4~18m2/g、6~18m2/g、8~18m2/g、10~18m2/g、4~12m2/g、4~10m2/g、及び6~8m2/gからなる群から選択される比表面積(SSA)を有する、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0031】
実施形態15.以下の任意選択の工程:(e)熱を加えて焼結セラミック体の温度を上昇させてアニーリング温度に到達させることによって、焼結セラミック体をアニーリングする工程と、(f)焼結及びアニーリングされたセラミック体の温度を低下させる工程と、(g)アニーリングされた焼結セラミック体を、フォーカスリング、窓、ノズル、ガス注入器、シャワーヘッド、ガス分配プレート、遠隔プラズマアダプタ、エッチングチャンバライナー、プラズマ源アダプタ、ガス入口アダプタ、ディフューザ、電子ウェハチャック、チャック、パック、混合マニホールド、イオンサプレッサ要素、フェースプレート、アイソレータ、スペーサ、及び保護リングからなる群から選択される1つに機械加工する工程と、を更に含む実施形態1~14のいずれか一項に記載の方法。
【0032】
実施形態16.工程cの最中、焼結装置のツールセットによって画定される内部容積内に配置された少なくとも1種のセラミック粉末にわたるセンチメートル当たりの温度差が、0.15~5℃/cmである、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0033】
実施形態17.工程cの最中、焼結装置のツールセットによって画定される内部容積内に配置された少なくとも1種のセラミック粉末にわたる温度差が1~100℃である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0034】
実施形態18.少なくとも1種のセラミック粉末が、0.8~100μm、0.8~80μm、0.8~60μm、0.8~40μm、0.8~30μm、0.8~20μm、0.8~10μm、0.8~5μm、1~100μm、3~100μm、5~100μm、10~100μm、20~100μm、40μm、及び5~30μmからなる群から選択されるd50粒径を有する、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0035】
実施形態19.少なくとも1種のセラミック粉末が、20体積%~60体積%、30体積%~60体積%、40体積%~60体積%、20体積%~50体積%、20体積%~40体積%、30体積%~50体積%、40体積%~55体積%、及び45体積%~55体積%からなる群から選択される充填密度を有する粉末成形体を含む、実施形態1~18のいずれか一項に記載の方法。
【0036】
実施形態20.100~622mm、200~622mm、250~622mm、300~622mm、350~622mm、400~622mm、550~622mm、500~622mm、及び550~622mmからなる群から選択される最大寸法を有する焼結セラミック体であって、密度が焼結セラミック体を形成するセラミックの報告された理論密度の98%以上であり、焼結セラミック体は、最大寸法に沿って密度が0.5%~4%変動し、密度はASTMB962-17に従って測定される、焼結セラミック体。
【0037】
実施形態21.ASTMB962-17に従って実施される密度測定から計算される0.1~2%の体積多孔率を有する、実施形態20に記載の焼結セラミック体。
【0038】
実施形態22.3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.25~4.5%、0.25~4%、0.25~3%、0.25~2%、0.25~1%、0.25~0.5%、0.5~3.5%、1~3%、0.5~2%、及び0.5~1%からなる群から選択される、最大寸法に沿って測定される密度偏差を有する、実施形態20に記載の焼結セラミック体。
【0039】
実施形態23.100ppm未満の総不純物を含有する、実施形態20~22のいずれか1つに記載の焼結セラミック体。
【0040】
実施形態24.実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法によって得ることができる、実施形態20~23のいずれか1つに記載の焼結セラミック体。
【0041】
実施形態25.プラズマ処理チャンバにおける、特に、フォーカスリング、窓、ノズル、ガス注入器、シャワーヘッド、ガス分配プレート、遠隔プラズマアダプタ、エッチングチャンバライナー、プラズマ源アダプタ、ガス入口アダプタ、ディフューザ、電子ウェハチャック、チャック、パック、混合マニホールド、イオンサプレッサ要素、フェースプレート、アイソレータ、スペーサ、及び/又は保護リングとしての、実施形態24に記載の焼結セラミック体の使用。
【0042】
ダイシステムとパンチシステムとの間に間隙距離を設けることによって、優れた機械的特性を有する大きな焼結セラミック体を調製することが可能になる。
【0043】
本発明の実施形態は、単独で、又は互いに組み合わせて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明は、同様の番号が同様の要素を示す添付の図面に関連して以下に説明する。
【
図1】セラミック材料の焼結に使用される真空チャンバ(図示せず)内に簡単な配置で置かれたツールセットを有するSPS焼結装置の断面図である。
【
図2A】1つのホイル層を示す
図1の実施形態を示す。
【
図2B】2つのホイル層を示す
図1の代替の実施形態を示す。
【
図2C】3つのホイル層を示す
図1の別の代替の実施形態を示す。
【
図4】1200℃におけるグラファイト材料A及びBの平均熱膨張係数(CTE)の半径方向分散を示すグラフである。
【
図5】
図5aは、グラファイト材料A及びBの熱膨張係数の標準偏差をppmで示す。
図5bは、グラファイト材料A及びB各々の200~1200℃の動作温度にわたって測定された熱膨張係数の分散を示す。
【
図6】グラファイト材料A及びBの400~1200℃の熱膨張係数を示すグラフである。
【
図7】SPS焼結装置の断面図である。
図7aは、それぞれ低抵抗率から中-高抵抗率までの抵抗率を有する例示的なセラミック粉末の異なる実施形態の焼結を示す。
図7bは、それぞれ低抵抗率から中-高抵抗率までの抵抗率を有する例示的なセラミック粉末の異なる実施形態の焼結を示す。
図7cは、それぞれ低抵抗率から中-高抵抗率までの抵抗率を有する例示的なセラミック粉末の異なる実施形態の焼結を示す。
【
図8】
図1のSPS焼結装置における焼結中の温度変化を示す概略図である。
【
図9】本明細書に開示される装置、材料、及び方法に従って作製されたYAG及び酸化イットリウムの焼結セラミック体の粒径測定値を示す。
【
図10】プラズマエッチング処理システムの一例を示す概略図である。
【
図11】堆積処理システムの一例を示す概略図である。
【
図12】粒界上の選択された領域から得られたEDS(エネルギー分散型X線分光法)スペクトルである。
【
図13】実施例の試料107について、いくつかの粒界にわたる原子/nm
2単位の過剰被覆率の結果を示す図である。
【
図14】実施例の試料114について、いくつかの粒界にわたる原子/nm
2単位の過剰被覆率の結果を示す。
【
図15】
図15aは、5000倍でのSEM顕微鏡写真を示す。
図15bは、実施例の試料506による焼結セラミック体についてのYAGの理論密度の%及び最大寸法にわたる密度偏差を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下の詳細な説明は、好ましい例示的な実施形態のみを提供するものであり、本発明の範囲、適用性、又は構成を制限することを意図するものではない。むしろ、好ましい例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、当業者に本発明の好ましい例示的な実施形態を実施することを可能にする説明を提供する。添付の特許請求の範囲に記載されているように、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、要素の機能及び構成に様々な変更を加えることができる。
【0046】
本発明を説明する文脈(特に添付の特許請求の範囲の文脈)における用語「a」及び「an」及び「the」並びに類似の指示対象の使用は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈に明確な矛盾のない限り、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」という用語は、別途明記されない限り、オープンエンド型の用語(すなわち、「含むが限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列記は、別段の指示がない限り、その範囲内に含まれる各々の別個の値を個別に指すための簡略な方法としての役割を単に意図するものであり、各々の別個の値は個別に列記されているのと同様に明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において別段の指示がない限り、又は別段文脈に明らかな矛盾のない限り、任意の適切な順序で実行することができる。任意及び全ての例又は例示的な文言(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をよりよく明らかにすることを意図するものであり、別途特許請求されていない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書におけるいかなる文言も、本発明の実施に不可欠なものとして特許請求されていない任意の要素を示すと解釈されるべきではない。本明細書及び特許請求の範囲における「含む(comprising)」という用語の使用は、「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」というより狭義の文言を含む。
【0047】
本発明を実施するための本発明者らにとって既知の最良のモードを含む実施形態を記載する。それらの実施形態の変形例は、以下の詳細な説明を読むことによって当業者には明らかである。本発明者らは当業者が必要に応じてそのような変形を使用することを想定し、また本発明者らは本発明が本明細書に具体的に記載された以外でも実施されると想定している。したがって本発明は、適用される法によって認められるように、本明細書の添付の特許請求の範囲に列記される主題の全ての修正及び等価物を含む。更に、上に記載する全ての可能な変形例における要素の任意の組み合わせは、本明細書において別段の指示がない限り、又は明確な矛盾のない限り、本発明に包含される。更に、プロセス/方法に関して開示される全ての特徴は、本明細書に開示される製品、焼結セラミック体にも適用される。
【0048】
本明細書に引用される刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、各参照が個別に具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に記載されている場合と同様に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
定義
本明細書で使用される場合、「半導体ウェハ」、「ウェハ」、「基板」、及び「ウェハー基板」という用語は互換的に使用される。半導体デバイス産業で使用されるウェハ又は基板は、典型的には、例えば、200mm、又は300mm、又は450mmの直径を有する。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「ツール」、「ツールセット」、及び「装置」は、互換的に使用される。
【0051】
本明細書で使用される場合、「焼結セラミック体」という用語は、「焼結物」、「本体」、「焼結体」、又は「焼結セラミック体」と同義であり、開示されるように粉末から焼結セラミックを生成する加圧及び熱処理プロセスに供された後、開示されるように粉末混合物から形成された固体セラミック物品を指す。特定の実施形態では、「焼結セラミック体」という用語は一体型の本体を指す。「一体型」とは、追加の片なしで、それ自体で完全な単一片又は単一部材を意味し、すなわち、部材は、別の部材と共に一ユニットとして形成された1つのモノリシック片である。
【0052】
本明細書に開示されるような焼結セラミック体は、好ましくは多結晶であり、したがって、焼結セラミック体は、制限なく2つ以上の結晶を含んでもよい。
【0053】
本明細書中で使用される場合、用語「純度」は、バルク粉末を含まない種々の夾雑物が存在しないことを指す。例として、100%の純度は、粉末がセラミック材料自体のみを含むことを示す。
【0054】
本明細書で使用される場合、周囲温度は、約22~25℃の温度を指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、セラミック粉末は、当業者に既知の方法に従って粉砕、混合、ブレンド、か焼、篩い分けなどされ得る、粉末混合物を形成するための1つ以上の結晶性粉末、又は結晶性粉末の組み合わせを指す。本明細書に開示されるセラミック粉末は、好ましくは結晶性である。
【0056】
本明細書で使用される場合、「不純物」という用語は、出発材料自体以外の不純物を含む、a)出発材料若しくはそこから形成された粉末混合物、b)処理後の粉末混合物及び/又はか焼粉末混合物、又はc)焼結セラミック体、に存在し得る化合物/汚染物質を指す。不純物は、任意選択のドーパント及び/又は任意選択の焼結助剤を含まない。低いppmレベルは、測定される低い不純物含有量に対応する。本明細書においてppmで報告される場合、全ての値は、例えば、本明細書に開示される粉末及び/又は焼結セラミック体などの測定される材料の総質量に対するものである。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「ナノ粉末」は、ASTM C1274に従って測定される際に20m2/g以上の比表面積(SSA)を有する粉末を包含することが意図される。
【0058】
熱処理プロセスに関連して使用される場合、「か焼」又は「か焼する」という用語は、例えば、水分及び/又は表面の不純物を除去し、結晶化度を上昇させ、いくつかの例では、粉末及び/又は粉末混合物の表面領域を改変するために、空気中で粉末又は粉末混合物に対して行なわれる熱処理工程を意味すると理解される。
【0059】
セラミックの熱処理に適用される場合、「アニーリング」という用語は、本明細書では、開示された焼結セラミック体を空気中で一定の温度にして、徐々に放冷して応力を緩和し、及び/又は化学量論を標準化する熱処理を意味すると理解される。
【0060】
当該技術分野で知られている「Sa」という用語は、表面の算術平均高さに関連し、表面全体にわたる算術平均の絶対値を表す。ISO25178-2-2012、4.1.7項による定義は、定義領域(A)内の縦座標の値の絶対値の算術平均である。
【0061】
当該技術分野において既知の用語「Sz」は、表面の最大(山から谷まで)高さに関し、表面にわたる最大高さの絶対値を表す。ISO25178-2-2012、4.1.6項による定義は、定義領域(A)内の最大山高さ値と最大谷高さ値の合計である。最大谷高さ値Svは、ISO25178-2-2012、4.1.5項に従って、定義領域(A)内の最小谷高さ値を引いたものとして定義される。
【0062】
当該技術において既知な「Sdr」という用語は、表面の展開界面面積比に関し、表面にわたる最大高さの絶対値を表す。ISO25178-2-2012、4.3.2項による定義は、定義面積に対する定義領域にわたる定義領域(A)内のスケール制限表面の界面面積の増分比である。Sdrは、完全に平坦な表面の表面積を超える実際の表面積の増加に対する比例表現である。平坦な表面には0のSdrが割り当てられ、その値は表面積の増加と共に増加する。Sdrの大きな数値は、腐食又はエッチング及び/又は浸食プロセスから生じる表面積の大きな増加に対応する。
【0063】
本明細書で使用される場合、「実質的に」、「ほぼ」、及び「約」という用語は、数と関連して使用されるためプラス又はマイナス10%の分散が許容される。
【0064】
本明細書で使用される場合、「焼結助剤」という用語は、焼結プロセス中に高密度化を向上させ、それによって多孔性を低減する添加剤を指す。
【0065】
本明細書で使用される場合、「ドーパント」という用語は、特定のセラミック特性を変更又は達成して所望の結果を達成するために比較的少量(約10モル%未満)で意図的に添加され得る元素又は化合物を表すために使用される。これらの結果は、電気的、機械的、光学的、又は他の特性であってもよい。対照的に、焼結助剤は、粉末が高密度に焼結し得る温度を低下させるために焼結助剤が添加され得るという点でドーパントとは異なる。
【0066】
以下の説明において、所与の範囲は下限及び上限の閾値を含む。したがって、パラメータAの「XからYの範囲」又は「XからYまでの範囲」の意味における定義は、AがX、Yの任意の値及びXからYまでの任意の値であることを意味する。パラメータAの「最大Yまで」又は「少なくともX」の意味における定義は、したがってAがY未満の任意の値及びYであり、又はAがX及びXより大きい任意の値であることをそれぞれ意味する。
【0067】
装置/スパーク放電プラズマ焼結ツール
本明細書では、スパーク放電プラズマ焼結(SPS)ツールを開示し、それは、少なくとも1種のセラミック粉末を受け入れることができる内部容積を画定する直径を有する内壁、及び外壁、を有する側壁を備えたダイと、ダイと動作可能に連結された上部パンチと下部パンチと、を含み、上部パンチと下部パンチの各々はダイの内壁の直径よりも小さい直径を画定する外壁を有し、それにより、上部パンチと下部パンチの少なくとも1つがダイの内部容積内で移動するときに、上部パンチ及び下部パンチの各々とダイの内壁との間の間隙を形成し、間隙は10μm~100μmの幅を有し、少なくとも1種のセラミック粉末は、ASTM C1274に従って測定して1~18m/gの比表面積(SSA)を有する。
【0068】
図1は、セラミック粉末を焼結するために使用される簡略化されたダイ/パンチ配置を有するSPSツール1を示す。典型的には、ダイ/パンチの配置は、当業者によって認識されるように真空チャンバ(図示せず)内にある。
図1を参照すると、スパーク放電プラズマ焼結ツール1は、少なくとも1種のセラミック粉末5を受け入れることができる内部容積を画定する直径を有する内壁8を含む側壁を有するダイシステム2を備える。
【0069】
更に
図1を参照すると、スパーク放電プラズマ焼結ツール1は、ダイシステム2と動作可能に連結された上部パンチ4と下部パンチ4’を含み、上部パンチ4と下部パンチ4’の各々はダイシステム2の内壁8の直径よりも小さい直径を画定する外壁11を有し、それにより、上部パンチ4と下部パンチ4’の少なくとも1つがダイシステム2の内部容積内に移動するときに、上部パンチ4及び下部パンチ4’の各々とダイシステム2の内壁8との間の間隙3を形成する。
【0070】
ダイシステム2及び上部パンチ4と下部パンチ4’は少なくとも1種のグラファイト材料を含み得る。特定の実施形態では、本明細書に開示するグラファイト材料は、少なくとも1つの等方性グラファイト材料を含み得る。他の実施形態では、本明細書に開示するグラファイト材料は、例えば、炭素-炭素複合体などの少なくとも1つの強化グラファイト材料、及び等方性グラファイト材料のマトリックス中の炭素などの他の導電性材料の繊維、粒子、又はシート又はメッシュ、又は積層体を含むグラファイト材料を含み得る。他の実施形態では、ダイと上部及び下部パンチはこれらの等方性及び強化されたグラファイト材料の組み合わせを含む。
【0071】
例えば、ダイ6及びパンチ4と4’などのツールの部品の一部又は全てに使用されるグラファイト材料は多孔性グラファイト材料を含んでもよく、それは、約5%~約20%、約5%~約17%、約5%~約13%、約5%~約10%、約5%~約8%、約8%~約20%、約12%~約20%、約15%~約20%、約11%~約20%、約5%~15%、6%~約13%、好ましくは約7%~約12%の多孔率を示す。
【0072】
好ましくは、グラファイト材料は、0.4~5.0μm、好ましくは1.0~4.0μmの平均細孔径(細孔直径)を有し、最大30μm、好ましくは最大20μm、好ましくは最大10μmの表面細孔径を有する細孔を含む。より好ましくは、10~30μmの表面細孔径を有する細孔が存在し得る。
【0073】
本明細書に開示するツールに使用されるグラファイト材料は、<0.05mm、好ましくは<0.04mm、好ましくは<0.03mm、好ましくは<0.028mm、好ましくは<0.025mm、好ましくは<0.02mm、好ましくは<0.018mm、好ましくは<0.015mm、好ましくは<0.010mmの平均粒径を有し得る。
【0074】
本明細書に開示するツールに使用されるグラファイト材料は、>0.001mm、好ましくは>0.003mm、好ましくは>0.006mm、好ましくは>0.008mm、好ましくは>0.010mm、好ましくは>0.012mm、好ましくは>0.014mm、好ましくは>0.020mm、好ましくは>0.025mm、好ましくは>0.030mmの平均粒径を有し得る。
【0075】
本明細書に開示するツールに使用されるグラファイト材料は、1.45g/cm3、好ましくは1.50g/cm3、好ましくは1.55g/cm3、好ましくは1.60g/cm3、好ましくは1.65g/cm3、好ましくは1.70g/cm3、好ましくは1.75g/cm3の密度を有し得る。
【0076】
本明細書に開示するツールに使用されるグラファイト材料は、<2.00g/cm3、好ましくは<1.90g/cm3、好ましくは<1.85g/cm3、及び好ましくは<1.80g/cm3の密度を有し得る。
【0077】
実施形態では、グラファイト材料は、≧3.3×10-6/℃、≧3.5×10-6/℃、≧3.7×10-6/℃、≧4.0×10-6/℃、≧4.2×10-6/℃、≧4.4×10-6/℃、≧4.6×10-6/℃、≧4.8×10-6/℃の、約400~約1200℃の温度範囲にわたる熱膨張係数(CTE)を有する。
【0078】
実施形態では、グラファイト材料は、<7.2×10-6/℃、好ましくは<7.0×10-6/℃、好ましくは<6.5×10-6/℃、好ましくは<6.0×10-6/℃、好ましくは<5.0×10-6/℃、好ましくは<4.8×10-6/℃、好ましくは<4.6×10-6/℃の、約400~1200℃の温度範囲にわたる熱膨張係数(CTE)を有してもよい。
【0079】
実施形態では、少なくとも1種のグラファイト材料は、約3.8×10-6/℃~約7×10-6/℃、好ましくは約4.0×10-6/℃~約7×10-6/℃、好ましくは約4.4×10-6/℃~約7×10-6/℃、好ましくは約4.0×10-6/℃~約6×10-6/℃の、400℃~500℃以上の温度における熱膨張係数(CTE)を有してもよい。
【0080】
表1に本明細書に開示する例示的なグラファイト材料の特性を列記する。
【0081】
【0082】
図2A~
図2Cの実施形態に図示されるように、ダイシステム2は、ダイ6、及び任意選択で、しかし好ましくはダイの内壁上に位置する少なくとも1つの伝導性ホイル7を含む。ダイの内壁上の伝導性ホイルの数に制限はなく、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の伝導性ホイルを、ダイ6及び上部パンチ4と下部パンチ4’の各々との間の円周ライナーとして設けてもよく、それによって、ダイシステム2の内壁8(存在する場合少なくとも1つの伝導性ホイルを含む)と上部及び下部パンチの各々の外壁11が間隙3を画定する。少なくとも1つの伝導性ホイル7は、本明細書に開示する方法に従った温度範囲内で安定なグラファイト、ニオブ、ニッケル、モリブデン、白金、及び他の延性、伝導性材料並びにそれらの組み合わせを含む。
【0083】
特定の実施形態では、伝導性ホイルは本明細書に開示する可撓性かつ圧縮性のグラファイトホイルを含み得、以下の特性、すなわち、
●99wt%超、好ましくは99.2wt%超、より好ましくは99.4wt%超、より好ましくは99.6wt%超、より好ましくは99.8wt%超、より好ましくは99.9wt%超、より好ましくは99.99wt%超、より好ましくは99.999wt%超の炭素含有量、
●ホイルの総質量に対する500ppm未満、好ましくは400ppm未満、より好ましくは300ppm未満、より好ましくは200ppm未満、より好ましくは100ppm未満、より好ましくは50ppm未満、より好ましくは10ppm未満、より好ましくは5ppm未満、より好ましくは3ppm未満の不純物、
●0.4.0~6.0MPa、好ましくは4.2~5.8MPa、より好ましくは4.4又は5.6MPaの範囲のグラファイトホイルの引張強度、及び/又は
●好ましくは1.0~1.2g/cc、好ましくは1.02~1.18g/cc、より好ましくは1.04~1.16g/cc、より好ましくは1.06~1.16g/ccの好ましくは範囲内のグラファイトホイルのバルク密度のうちの1つ以上を有する。
【0084】
実施形態では、少なくとも1つのホイルは、典型的にはグラファイトを含む。特定の実施形態では、ダイシステムの一部としての少なくとも1つのホイルは、ダイの表面と上部及び下部パンチの各々との間の円周ライナーを含み得る。
【0085】
グラファイトホイルは、焼結中の粉末全体の温度分布を改善することができる。表2は、Neograf Grafoil(登録商標)、Sigraflex(登録商標)グラファイトホイル、及びToyo Tanso Perma-Foil(登録商標)などの、本明細書に開示される実施形態による例示的なグラファイトホイルの特性を列挙する。
【0086】
【0087】
ここで、
図2A、
図2B、及び
図2Cを参照し、グラファイトホイル配置の実施形態を有するSPSツールセットを示す。セラミック粉末5は、上部パンチ4及び下部パンチ4’のうちの少なくとも1つの間に置かれ、間隙3は上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁11とダイシステム2の内壁8との間に示されている。
図2A、
図2B、及び
図2Cに、それぞれ1~3層の伝導性ホイル7を、またダイ6をダイシステム2の一部として示す。したがって、間隙は、ダイシステム2の内壁8から上部及び下部パンチの各々の外壁11まで延びる。間隙の間隔は、加熱及び焼結の前及び/又は最中に粉末を脱気できるように整えられ、また同時にパンチとダイとの間のオーミック接触も維持して加熱及び焼結中のセラミック粉末全体の温度分布を改善する。
【0088】
グラファイトホイル7は、例えば、0.025~0.260mm、好ましくは0.025~0.200mm、好ましくは0.025~0.175mm、好ましくは0.025~0.150mm、好ましくは0.025~0.125mm、好ましくは0.035~0.200mm、好ましくは0.045~0.200mm、好ましくは0.055~0.200mmの厚さを有し得る。
【0089】
間隙3の間隔は、上部パンチ4及び下部パンチ4’に最も近いホイル7の内向きの面から、上部及び下部パンチの各々の外壁11の外壁までで測定される。間隙3の距離の好適な範囲は、好ましくは10~100μm、好ましくは10~80μm、好ましくは10~70μm、好ましくは10~60μm、好ましくは10~50μm、好ましくは20~70μm、好ましくは30~70μm、好ましくは40~70μm、好ましくは50~70μm、好ましくは20~60μm、好ましくは20~50μm、好ましくは30~60μm、好ましくは30~50μmである。
【0090】
更に、ダイシステム2の内壁8と上部パンチ4及び下部パンチ4’の各々の外壁11との間の間隙3の幅は、一方では予熱、加熱、及び焼結プロセス中の粉末の脱気が十分に容易になるように、他方ではジュール又は抵抗加熱に十分な電気的接触を得て焼結を行なわれるように、当業者は決定することができる。間隙3の間隔が10μm未満である場合、ダイシステムの内部容積内で上部及び下部パンチの少なくとも1つを移動させ、それによりツールセットを組み立てるために必要な力は、ツールセットに損傷を引き起こす場合がある。更に、間隙3が10μm未満である場合、セラミック粉末5内に吸着されたガス、有機物、湿気などを逃がすことができず、それにより、製造中のプロセス時間が延び、多孔性を残存させることにより、焼結セラミック体の密度を低下させる場合がある。高い抵抗率(例えば、室温で約1×10+10オームセンチ以上)を有する本明細書に開示されるような酸化物及び/又は窒化物セラミック並びに非導電性混合金属酸化物を含む酸化物セラミックなどの絶縁材料を焼結するときに、間隙3の幅が70μmを超える場合、局所的な過熱が生じ、焼結中にツールセット1内に熱勾配が生じる可能性がある。これらの熱勾配は、低い全体バルク密度及び高い密度偏差、並びに壊れやすく破損しやすい焼結セラミック体をもたらす可能性がある。その結果、高い抵抗率(したがって低い導電率)を有する非導電性セラミック粉末から大きな寸法の焼結セラミック体を形成するためには、10~70μmの間隙が好ましい。したがって、いくつかの実施形態では、絶縁性の酸化又は窒化セラミックを含むセラミック粉末5を焼結するときのダイシステム2の内壁8と上部及び下部パンチの各々の外壁11との間の間隙3の間隔は、好ましくは10~70μm、好ましくは10~60μm、好ましくは10~50μm、好ましくは10~40μm、好ましくは20~70μm、好ましくは30~70μm、好ましくは40~70μm、好ましくは50~70μm、好ましくは30~60μmである。間隙3は、絶縁性セラミック粉末を含む粉末成形体にわたる熱勾配を低減する。
【0091】
それに対応して、セラミック粉末は、炭化物及びホウ化物並びに窒化チタンなどの特定の窒化物から選択される非酸化物セラミックを含み、その各々が、本明細書に開示される酸化物及び窒化物セラミックに対して、例えば、室温で約1×10-5オームセンチ~約1×10+10オームセンチのより低い抵抗率及び部分コンダクタンスを有し得る場合、例えば、約10~約100μmのより大きな間隙が許容可能であり得る。この増加した間隙は、粉末又は粉末成形体の部分コンダクタンスに起因し得、それによって、部分コンダクタンスは、電流を伝達し、それによって、粉末成形体を通して熱を伝達し、したがって、開示されるような非酸化物セラミックを含む粉末又は粉末成形体にわたる熱勾配を低減する。本明細書に開示されるような非酸化物セラミック及び/又は導電性混合金属酸化物など、いくらかの導電性を有し、それによってより低い抵抗率を有するセラミック粉末5を焼結するとき、100μm超の間隙3は、焼結中にツールセット内に局所的な過熱及び熱勾配をもたらし得る。これらの熱勾配は、低い全体バルク密度又は高い密度偏差、並びに壊れやすく破損しやすい焼結セラミック体をもたらす可能性がある。その結果、本明細書に開示されるように非酸化物セラミック及び/又は導電性混合金属酸化物を焼結するときのダイシステム2の内壁8と上部及び下部パンチの各々の外壁11との間の間隙3の間隔は、10~100μm、好ましくは10~80μm、好ましくは10~60μm、好ましくは10~40μm、好ましくは20~100μm、好ましくは40~100μm、好ましくは60~100μm、好ましくは30~80μm、好ましくは40~70μmである。
【0092】
特定の理論に拘束されることを意図するものではないが、焼結中のダイシステム2の内壁8と上部及び下部パンチの各々の外壁11との間の間隙の間隔は、開示される方法の工程c)による焼結プロセス中に粉末の有機物、水分、吸着分子などの脱気を促進するように機能すると考えられる。これは、高密度及び低体積多孔率、低密度偏差、並びに改善された機械的特性を有する大きなサイズの焼結セラミック体をもたらし、その結果、焼結セラミック体は、破損することなく容易に取り扱うことができ、プラズマ処理チャンバ内で使用するための本明細書に開示される焼結セラミック構成要素の製造のための特定の形態に機械加工することができる。本明細書に開示するように作製された焼結セラミック体は、焼結セラミック体の最大寸法に関して100mm~約625mmの寸法を有し得る。
【0093】
実際には、上部パンチ4及び下部パンチ4’は、常に中心軸の周りに完全に整列されているわけではない。
図3A及び
図3Bはツールセット1の平面図であり、中心軸9を中心とした上部パンチ4及び下部パンチ4’、間隙3、任意の数の伝導性ホイル7、及びダイシステム2の配置を示す。
図3Aに示した実施形態では、間隙は中心軸9を中心として軸対称であり得る。
図3Bに示した他の実施形態では、間隙は中心軸9を中心として非対称であり得る。間隙3は、本明細書に開示されるような酸化物及び/又は窒化物セラミックを焼結するとき、10μm~70μmの間で延在してもよく、本明細書に開示されるような非酸化物セラミックを焼結するとき、図示されるような軸対称及び非対称の両方の実施形態では、10μm~100μmの間で延在してもよい。
【0094】
間隙の非対称性能は、一定範囲の温度にわたるCTEの半径方向の絶対偏差解析を行なうことによって測定することができる。例えば、
図4に、本明細書に開示する装置1のパンチ及びダイとして使用される2つの等方性グラファイト材料(A及びB)の1200℃における平均CTEからの半径方向偏差を示す。
図4は、グラファイトのx-y平面における平均膨張に対する膨張の半径方向偏差をppm/℃で示している(z方向の膨張は、ツール1の動作にとってそれほど重要ではない)。
図4は、所望の間隙を大きな温度範囲にわたってうまく維持することができる材料では、例えば室温から2000℃までで、半径方向偏差がx-y平面において最大で>0.3x10
-6ppm/℃では変化し得ないことを示している。したがって、本明細書に開示されるような1×10
+10以上の抵抗率を有する絶縁セラミック粉末を焼結するのに必要な温度範囲にわたって所望の間隙3を維持するために、平均CTEからの半径方向偏差は、好ましくは最小化されてもよく、したがって、半径方向偏差は、対象の温度範囲にわたって、好ましくは0.3×10
-6/℃以下、好ましくは0.25×10
-6/℃以下、好ましくは0.2×10
-6/℃以下、好ましくは0.18×10
-6/℃以下である。特定の実施形態では、0.16×10
-6/℃以下、好ましくは0.14×10
-6/℃以下、好ましくは0.12×10
-6/℃以下、好ましくは0.1×10
-6/℃以下、好ましくは0.08×10
-6/℃以下、好ましくは0.06×10
-6/℃以下の平均CTEからの半径方向偏差が維持されて、室温からセラミック粉末の焼結温度までの温度範囲にわたって所望の間隙3を提供することが好ましく、この温度範囲には、装置の動作温度である約2,000℃までが含まれる。x/y平面における少なくとも1つのグラファイト材料の平均CTEからの半径方向偏差の開示された範囲は、ダイ並びに上部パンチ及び/又は下部パンチの回転位置に対してそれぞれ、0~360度、好ましくは0~270度、好ましくは0~180度、好ましくは0~90度、好ましくは0~45度、好ましくは10度未満、好ましくは5度未満、好ましくは約3度、好ましくは約1度の中心軸9を中心にした回転位置にわたって維持される必要がある。
【0095】
本明細書で開示されるように、約1×10-5~1×10+10の抵抗率を有する部分的に導電性のセラミック粉末を焼結する場合、平均CTEからの半径方向偏差は、0.5×10-6/℃以下、好ましくは0.4×10-6/℃以下、好ましくは0.3×10-6/℃以下、好ましくは0.25×10-6/℃以下、好ましくは0.2×10-6/℃、好ましくは0.18×10-6/℃以下、好ましくは、0.16×10-6/℃以下、好ましくは0.14×10-6/℃以下、好ましくは0.12×10-6/℃以下、好ましくは0.1×10-6/℃以下、好ましくは0.08×10-6/℃以下、好ましくは0.06×10-6/℃以下である。材料Bは、x-y平面内で許容できないCTEの広がりを示すが、材料Aは、温度範囲全体を通して許容可能なCTEの広がりを示した。
【0096】
図5A)は、x-y平面内のグラファイト材料CTEの百万分の一(ppm)での標準偏差を示し、B)は、
図4の両方の材料のx-y平面にわたっての一定の温度範囲にわたるCTEの絶対変動(デルタ)(最低から最高まで)を示す。x/y平面におけるCTEのより低い標準偏差及び絶対変動を有するグラファイト材料が好ましい。
【0097】
図6に、400~1400℃におけるグラファイト材料A及びBの熱膨張係数の分散を示す。
【0098】
一実施形態に従って使用される特定のツールセット1の設計の利点は、高くて均一な密度及び低い体積多孔率を有する非常に高い純度の大きなセラミック体を得るための全体的な技術的効果をもたらし得、それによって、本開示による焼結プロセス、特にSPSプロセスにおける破壊の傾向が低減される。したがって、ツールセットに関して開示される全ての特徴はまた、100mmを超える寸法の焼結セラミック体の製品にも適用される。
【0099】
本明細書に開示するツールセットの使用により、焼結する粉末中のより均質な温度分布を実現することが可能になり、非常に高く(所与の材料の理論密度の>98%)かつ均一な密度(最大寸法にわたって<4%の変動)を有する、それにより破壊の傾向が低減される焼結セラミック体、特に最大寸法で例えば100mm及び/又は200mmを超える大きな寸法のものを作製することが可能になる。「均質」という用語は、材料又はシステムが、あらゆる点で実質的に同じ特性を有し、不規則性がなく均一であることを意味する。したがって、「均一な温度分布」とは、温度分布が空間的に均一であり、著しい勾配を有さないこと、すなわち、セラミック粉末5に沿った水平x-y平面内の位置にかかわらず、実質的に均一な温度が存在することを意味する。より具体的には、「均一な温度分布」とは、加熱及び焼結中の焼結装置のツールセットによって画定される内部容積内に配置された少なくとも1種のセラミック粉末5にわたる温度分布が、最大で0.15~5℃/cmであることを意味する。
【0100】
開示するツールセットは更に、スペーサ要素、シム、ライナー、及び他のツールセット構成要素を含んでもよい。典型的には、そのような構成要素は、本明細書に開示する特性を有するグラファイト材料のうちの少なくとも1つから製造される。
【0101】
大型焼結セラミック体の調製プロセス
上述したSPS装置1は、以下の工程で採用される。したがって、ツールセット1に関して開示されたすべての特徴は、本方法にも適用され、したがって、本方法に関して開示されたすべての特徴は、最大寸法が100mmであり、最大約625mmである焼結セラミック体の製品にも適用される。
【0102】
一実施形態では、焼結セラミック体の作製方法が本明細書に開示され、本方法は、以下のプロセス工程:(a)少なくとも1種のセラミック粉末をスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に配置する工程であって、スパーク放電プラズマ焼結ツールが、内壁及び外壁を含む側壁を含むダイであって、内壁が内部容積を画定する直径を有する、ダイと、ダイと動作可能に連結された上部パンチ及び下部パンチであって、上部パンチ及び下部パンチの各々が、ダイの内壁の直径よりも小さい外径を有し、それによって、上部パンチ及び下部パンチの少なくとも一方がダイの内部容積内で移動させられるときに、上部パンチ及び下部パンチの各々とダイの内壁との間に間隙を生成し、間隙が10μm~100μmである、上部パンチ及び下部パンチと、を備える工程と、(b)内部容積内に真空状態を生成する工程と、(c)セラミック粉末を上部パンチ及び下部パンチの少なくとも一方を移動させてセラミック粉末に圧力を加えながら、セラミック粉末を焼結温度に加熱し、セラミック粉末を焼結して焼結セラミック体を形成する工程と、(d)焼結セラミック体の温度を低下させる工程と、を含む。
【0103】
この方法は、上述のSPSツールセットが真空チャンバ内に配置され、少なくともダイシステムと上部パンチ及び下部パンチとを備え、これらが一緒になって容積を画定し、焼結装置のツールセットによって画定された容積内に粉末を配置することによって粉末の焼結プロセスが実行されることを特徴とする。ダイシステムは、内壁を有してもよく、少なくとも1つのパンチシステムは、外壁を有してもよく、ダイシステムの内壁及びパンチシステムの外壁は、間隙によって分離される。
【0104】
圧力支援焼結は、電界支援焼結技術(FAST)又は直流焼結(DCS)としても知られるスパーク放電プラズマ焼結(SPS)によって達成することができる。直流及びこれらの関連技術は、導電性ダイ構成を加熱するために直流を使用し、それによって焼結される材料がダイ内に堆積される。この加熱様式によって、非常に高い加熱及び冷却速度を適用することができ、結晶粒成長を促進する拡散メカニズムを超える高密度化メカニズムを増強して、元の粉末の固有の特性をそれらのほぼ又は十分に高密度の生成物に移すことができる。本明細書に開示されるSPS方法では、好ましくは、非パルス連続直流を使用する。
【0105】
次に、具体的な工程(a)~(d)について詳細に説明する。
【0106】
プロセス工程(a)-少なくとも1種のセラミック粉末を焼結装置のツールセット内に配置する工程
少なくとも1種のセラミック粉末が、上述の焼結装置の上部パンチと下部パンチとの間のダイシステム内に配置される。本発明による方法において使用されるスパーク放電プラズマ焼結装置は、典型的には円筒形ダイシステムを含む。ダイシステムにはセラミック粉末が配置され、粉末が充填されたダイシステムは、上部パンチと下部パンチとの間に配置される。
【0107】
焼結のために本明細書に開示されるツール内に配置されるセラミック粉末は、例えば、任意の金属酸化物(酸化物セラミック)、任意の金属窒化物(窒化物セラミック)、金属酸化物の任意の組み合わせもしくは混合物(混合金属酸化物)から形成されるセラミック粉末、又は本明細書に定義される炭化物、ホウ化物などの非酸化物から形成されるセラミック材料であってもよい。
【0108】
酸化物セラミックは、制限なく任意の金属酸化物であってもよい。酸化物セラミックを構成する金属元素は、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)などの半金属元素;マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、スズ(Sn)などの代表的な元素;スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)などの遷移金属元素;ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Er)、ルテチウム(Lu)などランタノイド元素から選択される1種又は2種以上であってもよい。中でも、金属元素は、Mg、Y、Ti、Zr、Cr、Mn、Fe、Zn、Al、及びErから選択される1種以上の元素であることが好ましい。
【0109】
より具体的には、酸化物セラミックとしては、例えば、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、イットリウムアルミニウム単斜晶(YAM)、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、イットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP)、ジルコニア、クロミア、チタニア、コバルタイト、マグネシア、シリカ、カルシア、セリア、フェライト、スピネル、アルミン酸マグネシウムスピネル、ジルコン、酸化ニッケル、酸化銀、酸化銅、酸化亜鉛、酸化ストロンチウム、酸化スカンジウム、酸化サマリウム、酸化ビスマス、酸化ランタン、酸化ルテチウム、酸化ハフニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化タンタル、酸化テルル(terpium oxide)、酸化ユウロピウム、酸化ネオジム、酸化スズ、酸化アンチモン、アンチモン含有酸化スズ、酸化インジウム、スズ含有酸化インジウム、ジルコニウムアルミネート酸化物、ジルコニウムシリケート酸化物、ハフニウムアルミネート酸化物、ハフニウムシリケート酸化物、チタンシリケート酸化物、ランタンシリケート酸化物、ランタンアルミネート酸化物、イットリウムシリケート酸化物、チタンシリケート酸化物、タンタルシリケート酸化物、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書に開示される酸化物セラミックは、非常に高い電気抵抗率を有し得、したがって、非導電性絶縁体であり得る。
【0110】
金属窒化物としては、制限なく任意の金属窒化物であってもよい。窒化物セラミックを構成する金属元素は、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)などの半金属元素;アルミニウム(Al)、インジウム(In)、スズ(Sn)などの代表的な元素;スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)などの遷移金属元素;ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Er)、ルテチウム(Lu)などランタノイド元素から選択される1種又は2種以上であってもよい。窒化物セラミックの具体例としては、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどが挙げられる。導電性である窒化チタンを除いて、本明細書に開示される窒化物セラミックは、高い電気抵抗率を有し得、したがって、非導電性絶縁体であり得る。
【0111】
混合金属酸化物は、フォルステライト、ステアタイト、コージライト、ムライト、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ジルコン酸チタン酸鉛、Mn-Znフェライト、Ni-Znフェライト、及びサイアロン(窒化ケイ素)、並びにそれらの混合物などの酸化物を含んでもよい。これらの混合金属酸化物は、組成に応じて、本質的に導電性又は絶縁性であってもよい。
【0112】
非酸化物セラミックとしては、炭化タングステン、炭化クロム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化モリブデン、炭化タンタル、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素などの炭化物が挙げられる。本明細書に開示される炭化物を含む非酸化物セラミックは、適度な電気抵抗率を有することができ、したがって、金属の導電率よりも低く、本明細書に開示される酸化物及び/又は窒化物並びに混合金属酸化物セラミックの導電率よりも高い導電率を有する。
【0113】
非酸化物セラミックとしては、例えば、ホウ化モリブデン、ホウ化クロム、ホウ化ハフニウム、ホウ化ジルコニウム、ホウ化タンタル、ホウ化チタンなどのホウ化物や二ホウ化チタン、窒化チタンなどが挙げられる。本明細書に開示されるホウ化物を含む非酸化物セラミックは、適度な電気抵抗率を有することができ、したがって、金属の導電率よりも低く、本明細書に開示される酸化物、窒化物及び混合金属酸化物セラミックの導電率よりも高い導電率を有する。
【0114】
炭化物及びホウ化物などの非酸化物を含むセラミック粉末は、酸化物、窒化物及び混合金属酸化物の導電性と、非常に低い抵抗率を有する金属材料を含む粉末との間の導電性を有し得る。
【0115】
本明細書に開示される焼結プロセスを行うためのセラミック粉末出発材料は、少なくとも1種の高純度の市販のセラミック粉末である。しかしながら、他のセラミック粉末、例えば化学合成プロセス及び関連する方法から生成されたものも使用され得る。
【0116】
一実施形態では、多層焼結体は、異なる粉末又は異なる粉末混合物を層状に別々に配置することによって形成され得る。例えば、アルミナ及びイットリア粉末混合物を第1の粉末として使用することができ、例えば、アルミナ及びジルコニアの混合物などの異なるセラミック粉末混合物を第2の粉末混合物として使用することができる。一例において、ジルコニアは、焼結セラミック体の5~25体積%、好ましくは10~25体積%、好ましくは15~25体積%、好ましくは15~17体積%、好ましくは20~25体積%、好ましくは5~20体積%、好ましくは5~15体積%、好ましくは5~10体積%、好ましくは15~20体積%の量で存在する。アルミナ及びジルコニアの混合物は、本明細書に詳述されるように調製及びか焼することができる。このような実施形態では、粉末混合物は好ましくは均一に分散される。
【0117】
ジルコニアを含むそのような混合物において、ジルコニア粉末は、0.08~0.20μmのd10、0.3~0.7μmのd50、及び0.9~5μmのd90を有する粒径分布を有し得る。本発明の一実施形態による混合物の出発材料として使用されるジルコニア粉末の平均粒径は、0.3~1μmであってもよい。
【0118】
ジルコニア粉末は、好ましくは1~16m2/g、好ましくは2~12m2/g、より好ましくは5~9m2/gの比表面積を有し、ジルコニア粉末出発材料の純度は、典型的には99.5%超、好ましくは99.8%超、好ましくは99.9%超、好ましくは99.99%超である。これは、5000pm以下、好ましくは2000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、好ましくは100ppm以下の総不純物含有量に相当する。
【0119】
プロセス構成要素が基材層及び表面層を含むいくつかの多層実施形態では、基材層は、好ましくは、アルミナ及びジルコニアを含む少なくとも1つの結晶相を含み、ジルコニアは、それぞれ焼結セラミック体の5~25体積%、好ましくは10~25体積%、好ましくは15~25体積%、好ましくは15~17体積%、好ましくは20~25体積%、好ましくは5~20体積%、好ましくは5~15体積%、好ましくは5~10体積%、好ましくは15~20体積%の量で存在し、表面層は、酸化イットリウムアルミニウムの少なくとも1つの結晶相を含み、酸化イットリウムアルミニウムの少なくとも1つの結晶相は、5μmを超えない細孔径を有し、細孔の少なくとも95%について1.5μmの最大細孔径を有する細孔を含む。
【0120】
このような多層の実施形態では、組成物は限定されなくてもよいが、粉末又は粉末混合物の層は、好ましくは、約200℃~約1700℃の温度範囲にわたって厳密に一致する熱膨張係数(CTE)を有する。好ましくは、CTEの差は、0.5×10-6/℃以下、好ましくは0.4×10-6/℃以下、好ましくは0.3×10-6/℃以下、好ましくは0.2×10-6/℃以下、好ましくは0.1×10-6/℃以下、好ましくは0.09×10-6/℃以下、好ましくは0.07×10-6/℃以下、好ましくは0.05×10-6/℃以下である。
【0121】
セラミック粉末出発材料の純度は、好ましくは99.99%超、好ましくは99.995%超、好ましくは99.9975%超、好ましくは99.999%超、好ましくは99.9995%超であり、いくつかの実施形態では、セラミック粉末の純度は99.9999%超である。換言すれば、セラミック粉末の総不純物レベルは、それぞれセラミック粉末出発材料の総質量に対して、100ppm未満、好ましくは50ppm未満、より好ましくは250ppm未満、より好ましくは10ppm未満、より好ましくは5ppm未満、より好ましくは約3ppm、更により好ましくは1ppm以下(0ppmを含む)であってもよい。高純度の出発セラミック粉末は、高い耐化学腐食性及び耐浸食性を提供し、それによって半導体処理チャンバ内の構成要素として使用中の粒子生成を最小限に抑えるのに望ましい。
【0122】
先行技術における他の焼結技術とは対照的に、本開示のプロセスにおいて用いられるセラミック粉末は、焼結助剤を必要としない。したがって、焼結助剤を含まないか、又は実質的に含まないセラミック粉末及び/又は粉末混合物が本明細書に開示される。更に、未焼結体の形成は必要ではなく、したがって、セラミック粉末は、必要に応じて使用されてもよいが、有機結合剤又は分散剤を含んでいなくてもよい。実施形態では、本明細書に開示される方法によるセラミック粉末は、18m2/g以下、好ましくは1~18m2/gの比表面積(SSA)を有してもよく、典型的には、20m2/g~200m2/g超のSSAを有し得るナノ粉末の比表面積よりも低い。より高い水分/湿度及び吸着ガス含有量を有し得る、20m2/gを超えるSSAを有するナノ粉末の使用は、本明細書に開示されるような粉末成形体を形成するときに充填密度の低下をもたらし得、より低い密度/より高い気孔率を有する焼結セラミック体を生成し得る。1m2/g未満のSSAを有する粉末は、低い粉末比表面積から焼結のための駆動力が低下するため、焼結セラミック体の完全な高密度化をもたらさない可能性がある。SSAの全ての測定は、ASTMC1274「Standard Test Method for Advanced Ceramic Specific Surface Area by Physical Adsorption」に従って測定されるように実施された。実施形態では、本明細書に開示される方法によるセラミック粉末は、本明細書で定義されるナノ粉末を実質的に含まないか、又は含まない。
【0123】
粒径の測定は、10nm~5mmの粒径を測定することができるHoribaのモデルLA-960レーザ散乱型粒径分布分析装置を使用して行なった。セラミック粉末の比表面積の測定は、ほとんどの試料について0.01~2000m2/gの比表面積にわたって10%以下の精度で測定することができるHoribaのBET表面積分析装置モデルSA-9601を使用して行なった。
【0124】
好ましくは、本明細書に開示されるSPSプロセスの出発物質として用いられるセラミック粉末のd10粒径は、0.05~7μm、好ましくは0.05~6μm、好ましくは0.05~5μm、好ましくは0.05~4μm、好ましくは0.05~3μm、好ましくは0.05~1μm、好ましくは0.1~7μm、好ましくは0.1~6μm、好ましくは0.1~5μm、好ましくは0.1~4μm、好ましくは0.1~3μm、好ましくは0.2~6μm、好ましくは0.3~6μm、好ましくは0.4~6μm、より好ましくは0.3~4μmである。
【0125】
好ましくは、本明細書に開示されるSPSプロセスにおいて出発材料として使用されるセラミック粉末の中央(d50)粒径は、0.15~100μm、好ましくは0.15~75μm、好ましくは0.15~50μm、好ましくは0.15~25μm、好ましくは0.15~10μm、好ましくは0.15~5μm、好ましくは0.15~3μm、好ましくは0.8~80μm、好ましくは0.8~60μm、好ましくは0.8~40μm、好ましくは0.8~30μm、好ましくは0.8~20μm、好ましくは0.8~10μm、好ましくは0.8~5μm、好ましくは1~100μm、好ましくは1~75μm、好ましくは1~60μm、好ましくは1~45μm、好ましくは1~30μm、好ましくは1~20μm、好ましくは1~10μm、好ましくは1~5μm、好ましくは10~100μm、好ましくは20~100μm、好ましくは40~100μm、好ましくは10~40μm、好ましくは20~40 μm 好ましくは30~40 μm 好ましくは3~10μm、及び好ましくは2~8 μmであってもよい。
【0126】
好ましくは、本明細書に開示されるSPSプロセスにおいて出発材料として使用されるセラミック粉末のd90粒径は、0.4~250μm、好ましくは0.4~100μm、好ましくは0.4~50μm、好ましくは0.4~25μm、好ましくは0.4~10μm、好ましくは0.4~5μm、好ましくは0.4~3μm、好ましくは0.4~1μm、好ましくは6~250μm、好ましくは6~200μm、好ましくは6~160μm、好ましくは6~120μm、好ましくは6~80μm、好ましくは6~40μm、好ましくは10~250μm、好ましくは20~250μm、好ましくは30~250μm、好ましくは40~250μm、好ましくは10~250μm、好ましくは10~140μm、好ましくは10~80μm、好ましくは3~80μm、and 好ましくは10~40μmである。
【0127】
好ましくは、本明細書に開示されるSPSプロセスにおいて出発材料として使用されるセラミック粉末は、ASTMC1274に従って測定される、1~18m2/g、2~18m2/g、好ましくは3~18m2/g、好ましくは4~18m2/g、好ましくは5~18m2/g、好ましくは6~18m2/g、好ましくは1~16m2/g、好ましくは2~16m2/g、好ましくは4~16m2/g、好ましくは6~16m2/g、好ましくは1~14m2/g、好ましくは1~12m2/g、好ましくは1~10m2/g、好ましくは1~8m2/g、好ましくは2~12m2/g、好ましくは2~10m2/g、好ましくは3~8m2/gの比表面積を有する。
【0128】
好ましくは、本明細書に開示されるSPSプロセスにおいて出発材料として使用されるセラミック粉末は、粒径の連続分布を含む対数正規粒径分布を有する。単峰及び二峰粒径分布は、焼結前の粉末充填密度の低下をもたらし、それによって焼結セラミック体にわたる密度の低下及び/又はより高い密度偏差をもたらし得る。
【0129】
好ましくは、本明細書に開示されるSPSプロセスにおいて使用されるセラミック粉末は、少量の吸着ガス及び/又は表面有機物、水分含有量、閉じ込められたガスなどを有する。粉末は、必要に応じて、総粉末重量に対する重量損失を最小限に抑え、それによって焼結セラミック体中の多孔性を最小限に抑えるために、任意選択で、タンブリング、ブレンド、焼成、篩い分けなどの様々な処理工程に供されてもよい。表3は、例示的なセラミック粉末の2回以上の測定にわたる総粉末重量に対する加熱時の総平均重量損失を列挙する。実施形態では、セラミック粉末は、Linseis,Inc.製の熱重量分析装置モデル番号STAPT1600を使用して測定された、0.01~0.75%、好ましくは0.01~0.6%、好ましくは0.01~0.45%、好ましくは0.05~0.75%、好ましくは0.1~0.75%、好ましくは0.2~0.75%、好ましくは0.25~0.6%の総粉末重量に対する重量損失を有し得る。
【0130】
【0131】
いくつかの実施形態では、セラミック粉末は、望ましくない水分、有機物、又は凝集を除去するような方法で処理されてもよい。そのような処理は、本明細書に開示される方法の工程a)における使用の前及び/又は後のタンブリング及び/又は篩い分けを含んでもよい。
【0132】
セラミック粉末は、特定の実施形態では、ボールミル粉砕、摩擦ミル粉砕、高せん断混合、遊星ミル粉砕、ジェットミル粉砕及び当業者に知られている他の手順などの方法に従って湿式又は乾式条件で混合され得る、前述の酸化物、窒化物及び非酸化物セラミック並びにそれらの組み合わせのうちの2つ以上を含み得る。か焼、乾燥、篩い分け、スクリーニング、タンブリング、ブレンドなどの粉末処理技術を、当技術分野で既知の方法に従って使用することができる。例えば、当業者に既知であるように、ボールミル粉砕又はタンブル混合を行うことができる。高純度焼結セラミック体が所望される場合、混合中に出発粉末の純度を維持するために、高純度(>99.99%)媒体が使用されてもよい。湿式ボールミル粉砕又はタンブル混合は、出発粉末を、エタノール、メタノール、及び他のアルコール、並びに/又は水などの様々な溶媒中に懸濁してスラリーを形成することによって行うことができる。スラリーは、粉砕又は混合中に、粉末重量で約5~約50%の粉末装填量及び例えば粉末重量で40~100%の媒体装填量を有して形成されてもよい。
【0133】
特定の実施形態では、セラミック粉末は、本開発のプロセスにおける使用の前に、任意選択でか焼されてもよい。例示的なか焼温度としては、酸素含有環境において、4~12時間、好ましくは4~8時間、好ましくは4~6時間、好ましくは6~12時間、好ましくは8~12時間、好ましくは6~8時間にわたって、約600℃~約1,500℃、好ましくは約700℃~約1,500℃、好ましくは約800℃~約1,500℃、好ましくは約900℃~約1,500℃、好ましくは約1,000℃~約1,500℃、好ましくは約600℃~約1,300℃、好ましくは約700℃~約1,300℃、好ましくは約800℃~約1,300℃、好ましくは約900℃~約1,300℃、好ましくは約1,000℃~約1,300℃、好ましくは約600℃~約1,100℃、好ましくは約700℃~約1,100℃、好ましくは約800℃~約1,100℃、好ましくは約900℃~約1,100℃、好ましくは約1,000℃~約1,100℃である。焼成の前及び/又は後に、既知の方法に従って、セラミック粉末は篩い分け及び/又はタンブリングされてもよい。本明細書に開示される出発セラミック粉末(複数可)は、好ましくは結晶性であり、それによって、長距離結晶学的秩序及びX線回折において識別可能なピークを有する。特定の実施形態では、本明細書に開示される焼成条件は、粉末混合物の凝集をもたらし、したがって、粒径分布のより大きな変動性がもたらす場合がある。したがって、実施形態では、本明細書で言及される粒径は、単一粒子を含むことができ、他の実施形態では、本明細書で言及される粒径は、本明細書で開示されるレーザ粒径検出方法を使用して、単一の大きな粒子として測定することができる、2つ以上の粒子を含む凝集体又は複数の粒子の凝集体を含むことができる。
【0134】
いくつかの実施形態では、高密度焼結セラミック体を達成するために必要とされないが、焼結助剤は、本明細書に開示されるような方法及び材料に従って、所望に応じて任意選択で使用され、セラミック粉末と組み合わせられてもよい。特定の実施形態では、焼結セラミック体は、シリカ、ジルコニア、カルシア、マグネシア、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される任意での焼結助剤を含んでもよい。特定の実施形態では、焼結セラミック体は、0.002重量%以上、好ましくは0.0035重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、好ましくは0.0075重量%以上の量で、任意選択で添加される焼結助剤を含んでもよい。実施形態では、焼結助剤は、任意選択で、≦0.05重量%、好ましくは≦0.03重量%、好ましくは≦0.02重量%、好ましくは≦0.01重量%の量で添加されてもよい。
【0135】
他の実施形態では、ドーパントは、必要に応じて使用され、本明細書に開示される方法及び材料に従ってセラミック粉末と組み合わされてもよい。例えば、Sc、La、Er、Ce、Cr、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Tm、Yb、及びLuからなる群から選択される希土類酸化物並びにそれらの酸化物及び組み合わせのドーパントを、≦0.05重量%、好ましくは≦0.03重量%、好ましくは≦0.01重量%、好ましくは0.002~0.02重量%の量で、工程aにおいて出発セラミック粉末に任意選択で添加することができる。他の実施形態では、前述のドーパントは、任意選択で、≧0.002重量%、好ましくは>0.0035重量%、好ましくは≧0.005重量%、好ましくは≧0.0075重量%の量で、工程a)の少なくとも1種のセラミック粉末に添加されてもよい。
【0136】
更なる実施形態では、ドーパント及び焼結助剤の両方が、開示されるような方法に従って、セラミック粉末と任意選択で組み合わせられてもよい。
【0137】
実施形態では、焼結は、典型的には、0.5~180分、好ましくは0.5~120分、好ましくは0.5~100分、好ましくは0.5~80分、好ましくは0.5~60分、好ましくは0.5~60分、好ましくは0.5~40分、好ましくは0.5~20分、好ましくは0.5~10分、好ましくは0.5~5分、好ましくは5~120分、好ましくは10~120分、好ましくは20~120分、好ましくは40~120分、好ましくは60~120分、好ましくは100~120分、好ましくは30~60分、好ましくは15~45分の等温時間で実行され得、他の実施形態では、等温滞留時間下の焼結は、好ましくは0~30分、好ましくは0~20分;好ましくは0~10分;好ましくは0~5分適用され得る。特定の実施形態では、焼結は、0の等温時間又は等温保持時間なしで行なわれ得、焼結温度に達した後、本明細書に開示する速度で冷却工程を開始する。
【0138】
(b)内部容積内に真空状態を生成するプロセス工程
セラミック粉末がダイに装填されると、5~20MPa、好ましくは8~20MPa、好ましくは10~20MPa、好ましくは5~10MPaの圧力が、スパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に配置されたセラミック粉末に加えられてもよく、それによって、圧力を加えた後のセラミック粉末は、20体積%~60体積%、20体積%~50体積%、好ましくは30体積%~60体積%、好ましくは30体積%~55体積%、好ましくは40体積%~60体積%、好ましくは40体積%~50体積%の充填密度を有し得る粉末成形体を形成する。粉末成形内の熱伝導率を改善し、それによって加熱及び焼結中の粉末成形体にわたる温度差を低減するために、より高い充填密度が望ましい。粉末成形体は、分散剤、結合剤、解膠剤などの有機添加剤を使用せずに、本明細書に開示されるセラミック粉末から形成され、したがって、有機物を含まないか、又は実質的に含まない。その後、当業者に知られている真空条件が、ダイによって囲まれたパンチ間のチャンバ内に確立される。典型的な真空条件としては10-2~10-3トールの圧力が挙げられる。主に空気を除去してグラファイト材料を燃焼から保護するために、また粉末から空気の大部分を除去するために真空にされる。
【0139】
(c)セラミック粉末を上部パンチ及び下部パンチの少なくとも一方を移動させてセラミック粉末に圧力を加えながら、セラミック粉末を焼結温度に加熱し、セラミック粉末を焼結して焼結セラミック体を形成するプロセス工程、及び(d)焼結セラミック体の温度を低下させるプロセス工程
少なくとも1種のセラミック粉末がダイ内に配置され、ツールセット及び粉末5によって画定される内部容積から大部分の空気が除去された後、上部パンチ及び下部パンチの少なくとも一方を他方に向かって軸方向に移動させることによって、グラファイトパンチ間に配置されたセラミック粉末に圧力が加えられる。ツールセットによって画定された容積内に配置された少なくとも1種のセラミック粉末に加えられる圧力は、5MPa~60MPa、好ましくは5MPa~40MPa、好ましくは5MPa~20MPa、好ましくは5MPa~15MPa、好ましくは10MPa~60MPa、好ましくは10MPa~40MPa、好ましくは10MPa~30MPa、好ましくは10MPa~20MPa、好ましくは13MPa~18MPa、好ましくは15MPa~60MPa、好ましくは15MPa~40MPa、好ましくは15MPa~30MPa、好ましくは20~40MPaの範囲である。圧力は、少なくとも1種のセラミック粉末に軸方向に加えられる。
【0140】
好ましい実施形態では、セラミック粉末は、SPS装置のパンチとダイによって直接加熱される。ダイは、抵抗加熱/ジュール加熱を促進する、本明細書に開示されるようないくつかのグラファイト材料などの導電性材料を含むことができる。SPS装置及び手順は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010/0156008A1号に開示されている。
【0141】
ダイ中に提供されたセラミック粉末への熱の適用は、1000~1700℃、好ましくは1200~1700℃、好ましくは1400~1700℃、好ましくは1500~1700℃、より好ましくは1600~1700℃、好ましくは1400~1650℃、好ましくは1500~1650℃、好ましくは1400~1600℃、好ましくは1500~1600℃の焼結温度を促進する。
【0142】
図7A、
図7B、及び
図7Cは、本明細書に開示されるようなSPS装置を含む間隙における電流経路及び加熱に対する異なる種類のセラミック粉末の効果を示す。
図7A)において、セラミック粉末5は、主に導電性の粉末(例えば、金属粉末)である。ここで、粉末抵抗率はグラファイトよりも小さく、電流はダイ6又はダイシステム2内に延びるのではなく粉末を直接通って流れ、パンチ4と4’との間に配置された粉末にわたる均一な焼結を容易にする。したがって、金属セラミック粉末5の場合、間隙3の寸法は、電流経路及び加熱に無関係である。
【0143】
図7Bにおいて、セラミック粉末5は、部分導体(例えば、非酸化物セラミック及び/又は例えば約1×10
-5~1×10
+10の抵抗率を有する、本明細書に開示されるように部分的に導電性である混合金属酸化物)であり、これらの部分導体の抵抗率は、グラファイトの抵抗率より大きくてもよく、グラファイトの抵抗率と同程度であってもよく、又はグラファイトの抵抗率より小さくてもよく、電流は、粉末の抵抗率に応じて、粉末及びグラファイトの両方を通って流れる。したがって、適切な電流の流れ及びセラミック粉末5の加熱を確実にするために、グラファイトダイ6又はグラファイトダイシステム2と上部パンチ4及び下部パンチ4’との間の間隙3のサイズは、好ましくは10~100μmである。
図7Bによる間隙は、いくつかの実施形態では、周囲温度から、焼結される部分導電性セラミック粉末の特定の焼結温度まで、及び装置の最大温度である約2,000℃まで維持することができる。
【0144】
図7C)では、セラミック粉末5は絶縁体であり(例えば、本明細書に開示される酸化物セラミック、窒化物セラミック、及び非導電性混合金属酸化物)、電流は、上部パンチ4からグラファイトダイ6(又はグラファイトダイシステム2)のみを通って下部パンチ4’に移動し、セラミック粉末5を焼結する。この実施形態では、
図7Cに示されるように、セラミック粉末5を通って大きな電流は流れない。
図7C)による少なくとも1種のセラミック粉末5は、例えば1×10
+5を超える抵抗率を有する。10~70μmの間隙距離によって、焼結プロセス中の酸化物セラミック粉末にわたる均一な温度分布、したがって高く均一な密度及び低い多孔率が可能になる。
図7Cによる間隙は、周囲温度から、焼結される絶縁セラミック粉末の焼結温度まで、及び約2000℃の装置の最大温度まで維持される。
【0145】
図8を参照すると、ダイシステムの内壁8とSPSツール1の中心軸9との間の距離にわたる温度差が示されている。温度差は、100℃未満、1~100℃、好ましくは1~80℃、好ましくは1~60℃、好ましくは1~40℃、好ましくは1~20℃、好ましくは1~10℃、好ましくは5~100℃、好ましくは10~100℃、好ましくは20~100℃、好ましくは5~75℃、好ましくは5~50℃、好ましくは5~25℃であってもよく、それによって、この温度差は、加熱及び焼結中にセラミック粉末に適用され、焼結中にセラミック粉末全体にわたって均一な温度分布を達成する。焼結中の粉末5にわたる温度の均一性は、パンチ及びダイの寸法が増加するにつれて、より大きな課題を提起する。したがって、より大きい寸法で開示される温度の均一性は、パンチ及びダイのより小さい寸法でより容易に達成され得、したがって、より大きいセラミック体を焼結するときに開示される温度の小さい変動(すなわち、例えば25℃以下)は、より小さいセラミック体について開示されるものと少なくとも同程度又はそれ未満に変動すると仮定され得る。
【0146】
焼結セラミック体の最大寸法にわたる温度勾配は、最大寸法にわたる温度の正規化された変化によって表され得る。したがって、特定の実施形態では、加熱及び焼結中の焼結装置のツールセットによって画定される内部容積の内側に配置された少なくとも1種のセラミック粉末5にわたる温度差は、焼結中のセラミック粉末にわたる均一な温度分布を達成するために、0.15~5℃/cm、好ましくは0.15~3℃/cm、好ましくは0.15~2℃/cm、好ましくは0.15~1℃/cm、好ましくは0.15~0.5℃/cm、好ましくは0.4~5℃/cm、好ましくは0.4~3℃/cm、好ましくは0.4~1℃/cm、好ましくは0.25~0.80℃/cmである。「均質」という用語は、材料又はシステムが、あらゆる点で実質的に同じ特性を有し、不規則性がなく均一であることを意味する。したがって、「均一な温度分布」とは、温度分布が空間的に均一であり、著しい勾配を有さないこと、すなわち、セラミック粉末5に沿った水平x-y平面内の位置にかかわらず、実質的に均一な温度が存在することを意味する。より具体的には、「均一な温度分布」とは、加熱及び焼結中の焼結装置のツールセットによって画定される内部容積内に配置された少なくとも1種のセラミック粉末5にわたる温度分布が、最大で0.15~5℃/cmであることを意味する。
【0147】
本明細書に開示されるような間隙寸法の範囲を有するSPSツールセットを使用することによって、間隙が方法全体を通して、特に開示されるような方法の焼結工程c)中に維持され、抵抗過熱が防止され、その結果、焼結セラミック体の密度がダイシステムの内面8と中心を画定する中心軸9との間の距離にわたって最小の変動を有するように、この温度差が最小化され得る。焼結中の均一な高密度化は、本明細書に開示される焼結セラミック体の最大寸法にわたって、好ましくは4%未満、3%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満、好ましくは0.25~5%、好ましくは0.25~4%、好ましくは0.25~3%、好ましくは0.25~2%、好ましくは0.25~1%、好ましくは0.25~0.5%、好ましくは0.5~3.5%、及び好ましくは1~3%である密度偏差をもたらし得る。
【0148】
焼結中の均一な高密度化に更に寄与するのは、焼結前の本明細書に開示されるセラミック粉末を含む粉末成形体の30~60体積%の高い充填密度であり、これは、開示されるセラミック粉末及び方法を使用して達成され得る。
【0149】
本開示による焼結装置の温度は、通常、焼結装置の少なくとも1種のグラファイト材料を含むダイ内で測定される。したがって、示された温度がセラミック粉末内で実際に実現されているように、温度は焼結されているセラミック粉末の可能な限り近くで測定されることが好ましい。
【0150】
一実施形態で、圧力と温度の適用の順序は、本開示に従って変更し得、このことは、最初に示された圧力を加え、その後に所望の温度に達するように熱を加えることが可能であることを意味する。更に、他の実施形態ではまた、最初に所望の温度に達するように示された加熱を行ない、その後に、示された圧力を加えることが可能である。本開示による第3の実施形態では、焼結するセラミック粉末に温度と圧力を同時に加えて、示された値に達するまで上昇させることができる。
【0151】
誘導加熱又は輻射加熱の方法もまた、焼結装置を加熱してツールセット内のセラミック粉末を間接的に加熱するために使用することができる。
【0152】
他の焼結技術とは対照的に、焼結前の粉末の調製、すなわち、焼結前に結合剤、分散剤などの有機添加剤を使用して冷間プレス又は未焼結体を形成することによる粉末の調製は必要なく、粉末は、スパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に直接充填されて、前述の有機添加剤を使用せずに粉末成形体を形成する。この処理工程の減少によって、最終的な焼結セラミック体のより高い純度が得られる。
【0153】
プロセス工程c)の態様によれば、温度及び圧力は、焼結を行うために、1分~360分、好ましくは1~240分、好ましくは1~120分、好ましくは1~60分、好ましくは5~360分、好ましくは10~360分、好ましくは30~360分、好ましくは45~360分、好ましくは60~360分、好ましくは60~90分の期間にわたって維持される。焼結プロセスの工程c)の終わりに、焼結セラミック体を形成するために焼結されたセラミック粉末は、好ましくは、工程e)の任意選択のアニーリングプロセスを容易にし得る温度に達するまで、プロセスチャンバの自然対流(非強制冷却)に従って冷却される(工程d)。プロセス工程eによる更なる実施形態では、焼結セラミック体を、不活性ガス、例えば、1バールのアルゴン又は窒素の対流下で冷却してもよい。1バール超又は1バール未満の他のガス圧力も使用することができる。冷却工程を開始するために、SPS装置に加えられた電力を除去することができる。焼結試料に加えられる圧力は、(自然)冷却が起こる前に、焼結プロセスの終わりに除去される。
【0154】
焼結セラミック体を形成するために粉末を焼結する際、焼結工程前のセラミック粉末5の充填密度に依存して、約30%の体積減少が起こり得る。
【0155】
(e)任意選択の工程において、熱を加えて焼結セラミック体の温度を上昇させてアニーリング温度に到達させ、焼結セラミック体をアニーリングすることによって、アニーリングを実行する工程、及び(f)焼結装置焼結セラミック体に加えられた熱源を除去することによって焼結セラミック体の温度を周囲温度まで低下させ、焼結セラミック体を除去するプロセス工程
任意選択の工程(e)では、工程(d)で得られた焼結セラミック体にアニーリングプロセスを施す。アニーリングは焼結装置の外部の炉内で、又は装置から焼結セラミック体を取り出すことなく、焼結装置自体の中で行なわれてもよい。例えば、一実施形態では、プロセス工程(d)による冷却後に焼結セラミック体を焼結装置から取り出して、アニーリングのプロセス工程を、炉などの別個の装置内で行なってもよい。他の実施形態では、本開示によるアニーリングの目的のために、工程(c)において形成された焼結セラミック体を、焼結工程(d)と任意選択のアニーリング工程(e)との間に焼結装置から取り出す必要なしに、焼結装置内で続けてアニーリングしてもよい。
【0156】
このアニーリングによって、焼結セラミック体の化学的及び物理的特性を改良することができる。アニールの工程は、ガラス、セラミック、及び金属のアニールに使用される従来の方法によって行なうことができ、改良の程度は、アニール温度及びアニールを継続させる持続時間の選択によって選択することができる。
【0157】
任意選択のアニーリング工程(e)は、1200~1800℃、好ましくは1250~1700℃、より好ましくは1300~1650℃)の温度で実行することができる。このような温度において、結晶構造中の酸素空孔は、化学量論比に戻るように修正され得る。
【0158】
焼結セラミック体をアニーリングする工程は、5分~24時間、好ましくは20分~20時間、好ましくは60分~16時間、好ましくは4~12時間、好ましくは6~10時間で完了され得る。
【0159】
任意選択のアニーリングプロセス工程(e)は、好ましくは、空気中の酸化性雰囲気中で行われる。
【0160】
焼結セラミック体をアニーリングする任意選択のプロセス工程(e)が行われた後、アニーリングされた焼結セラミック体の温度は、焼結されアニーリングされたセラミック体の温度を周囲温度まで低下させるプロセス工程(f)に従って周囲温度まで低下させられる。このようにして製造された、焼結され、特定の実施形態ではアニーリングされたセラミック体は、高密度であり、典型的には、0.25μm~18μm、好ましくは0.25~13μm、好ましくは0.25~10μm、好ましくは0.25~8μm、好ましくは0.25~5μm、好ましくは0.5~18μm、好ましくは0.75~18μm、好ましくは1~18μm、好ましくは2~18μm、好ましくは5~18μm、好ましくは0.5~10μm、好ましくは0.75~8μm、好ましくは0.75~5μmの平均粒径を有する。
【0161】
実施形態では、本開示による焼結された(及び特定の実施形態ではアニーリングされた)セラミック体は、本明細書に開示される特性を有するセラミック粉末から形成される、非導電性の金属酸化物、窒化物、又は混合金属酸化物を含んでもよい。
【0162】
代替的な実施形態では、本開示による焼結された(及び特定の実施形態ではアニーリングされた)セラミック体は、本明細書に開示される特性を有する、フォルステライト、ステアタイト、コージエライト、ムライト、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ジルコン酸チタン酸鉛、Mn-Znフェライト、Ni-Znフェライト及びサイアロン、並びにこれらの混合物などの混合金属酸化物から形成された焼結セラミック体を含んでもよい。本明細書に開示される混合金属酸化物は、導電性又は絶縁性であってもよく、開示される特定の間隙幅、装置、及び方法に従って形成されてもよい。
【0163】
一実施形態による上述のSPSプロセスは、100mm以上の最大寸法を有する大きな焼結セラミック体の調製における使用に適している。開示されるプロセスは、迅速な粉末圧密及び高密度化を提供し、いくつかの実施形態では、出発セラミック粉末の粒径から移された、焼結体中の小さい(15μm未満程度の)平均粒径を保持し、最大寸法にわたる密度偏差が<4%である特定の材料の理論密度の98%を超える高密度を達成する。この微細粒径、均一性、及び高密度の組み合わせは、機械加工、取扱い及び半導体処理チャンバ内の構成要素としての使用に適した大きな寸法の高強度焼結セラミック体を提供する。したがって、特定の実施形態によれば、本開示による焼結された(及び特定の実施形態ではアニーリングされた)セラミック体は、本明細書に開示される特性を有する100mm超の直径を有する金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、又は混合金属酸化物を含み得る。
【0164】
例えば、一実施形態では、焼結された(及び特定の実施形態ではアニーリングされた)セラミック体は、本明細書に開示されるような粉末から、40mm~約625mmのサイズの寸法及び約3mm~約60mm、好ましくは5~50mmの厚さの範囲にわたる寸法を有するディスク形状に形成され得る。別の実施形態では、焼結された(及び特定の実施形態ではアニーリングされた)セラミック体は、直径100mm~約625mmの直径を有するディスク形状で形成されていてもよい。代替的な実施形態では、焼結された(及び特定の実施形態ではアニーリングされた)セラミック体は、100mm~406mmの最大寸法を有するように形成することができる。他の実施形態では、焼結された(及び特定の実施形態ではアニーリングされた)セラミック体は、それぞれ焼結されたセラミック体の最大寸法に関して、200mm~約625mm、好ましくは300~約625mm、好ましくは350~約625mm、好ましくは400~約625mm、より好ましくは450~約625mm、より好ましくは500~約625mm、より好ましくは550~約625mmのサイズを有する。
【0165】
最後に、焼結セラミック体を機械加工して、例えば、誘電体窓又はRF窓、フォーカスリング、ノズル又はガス注入器、シャワーヘッド、ガス分配プレート、エッチングチャンバライナー、プラズマ源アダプタ、ガス入口アダプタ、ディフューザ、電子ウェハチャック、チャック、パック、混合マニホールド、イオンサプレッサ要素、フェースプレート、アイソレータ、スペーサ、及び保護リングなどのプラズマ処理チャンバで使用するための最終焼結構成要素を形成し得る。焼結構成要素を作製するための焼結セラミック体(又は焼結及びアニーリング)の機械加工は、当業者に既知の方法に従って実施され得る。
【0166】
本明細書に開示される方法は、高密度及び関連する低多孔率、最小密度偏差、高純度、高機械的強度を提供し、それによって、焼結セラミック体/構成要素、特に、例えば、最大寸法にわたって100~約625mmを超える寸法の焼結セラミック体/構成要素の取扱い性を提供する。プロセス/方法に関して開示される全ての特徴は、本明細書に開示される焼結セラミック体の製品にも適用される。
【0167】
得られた焼結セラミック体の説明:
上記に開示された方法に従って調製された特定のセラミック体は、高い密度及び最小の密度偏差によって改善された破壊抵抗、高い機械的強度、加えて、より高い純度及び改善されたエッチング抵抗を有する。以下では、本明細書に開示される方法に従って調製される改善されたセラミック体の別個の実施形態が説明される。焼結セラミック体の製品に関して開示される全ての特徴は、本明細書に開示されるプロセス/方法にも適用される。
【0168】
密度測定は、ASTMB962-17に従って行った。本明細書で報告される密度値及び標準偏差は、5回の測定にわたる平均についてのものである。所与の材料の相対密度(RD)は、以下の式に示されるように、試料の測定された密度の同じ材料の報告された理論密度に対する比として定義される。体積多孔率(Vp)は密度測定値から以下のように計算される:
【0169】
【数1】
式中、ρsampleはASTM B962-17に従って測定された(アルキメデス)密度であり、ptheoreticalは本明細書に開示される報告された理論密度であり、ρは相対分率密度である。この計算を使用して、0.1~4%以下のパーセントによる体積多孔率レベルが、本明細書に開示される焼結セラミック体の測定密度値から計算された。高いバルク密度又は全体密度と共に、密度の変動はまた、大きな寸法での取扱い性を改善し得る。表4は、本明細書に開示される酸化物及び窒化物セラミックを含むいくつかの例示的な焼結セラミック体についての理論密度(利用可能な文献に従って開示される)、密度、理論密度%、体積多孔率%、及び寸法を開示する。参考までに、当業者にとって既知であるYAGは、組成Y
3Al
5O
12のイットリウムアルミニウムガーネット構造を含み、ZTAはジルコニア強化アルミナを含み、スピネルはアルミン酸マグネシウムスピネルMgAl
2O
4を含む。表4及び5に列挙されるように、10~70μmの絶縁体材料のための間隙を有する、本明細書に開示されるような焼結装置/ツールセットを用いて作製された全ての材料について、それぞれの材料について理論密度の97%超の理論密度が達成された。ジルコニアの非常に高い理論密度は、酸化ジルコニウムの粉末に一般的であり、全体密度を増加させ得るハフニアの存在によって影響を受け得る。
【0170】
【0171】
最大寸法にわたって採取した試料から密度偏差を測定し、その後、測定された最高密度に対する変動を計算した。
【0172】
表5は、本明細書に開示される実施形態による例示的な焼結セラミック体の寸法、平均密度、パーセント理論密度(TD)、%体積多孔率、%密度偏差、及びcm当たりの%変動を列挙する。
【0173】
【0174】
YAGを含む試料506を
図15A及び15Bに示す。
図15Aは、5000倍のSEM顕微鏡写真における高密度微細構造を示し、b)は、本明細書に開示される実施例506による焼結セラミック体についてのYAGの理論密度の%及び最大寸法にわたる密度偏差を示す。
図15Aの5000倍のSEM画像は、当業者に既知であるHeyn Line Intercept法を使用して粒径測定のために分析され、25回の繰り返しにわたって0.71μmの標準偏差を有する6.2μmの平均粒径が測定された。試料506については、それぞれ7.7μm及び5.0μmの最大及び最小粒径も測定された。硬度測定は、ASTM規格C1327に従って行われ、約14.8GPaの平均硬度が測定され、平均硬度は、試料表面にわたって8回の測定又は繰り返しから計算され、最大及び最小硬度値はそれぞれ16及び12.7GPaであり、0.025kgfの適用荷重を使用した。
【0175】
密度測定は、試料の半径を横切って切断された試料からASTMB962-17に従って行われ、密度結果は
図15Bに示される。半径に沿った6つの位置でそれぞれ5回の測定を行い、4.546g/ccの平均密度が測定され、これはYAGの理論値の99.783%に相当し、体積多孔率は0.217%であった。半径にわたる密度は、YAGの理論値の99.7~99.9%であった。
図25Bに示されるような密度の変動は、半径に沿った最高密度測定値に対して測定され、0.208%の最大密度偏差が測定された。
【0176】
対照的に、約90μmを超える間隙サイズを有する焼結装置を使用して非導電性酸化物セラミックから作製された焼結セラミック体は、表6に従って、非導電性酸化物セラミックについて、95%から97%未満の間の理論密度及び4.5%以上の密度偏差をもたらした。表6に従って調製された焼結セラミック体は、特に例えば150mm以上の大きな本体サイズにおいて、より低くかつ不均一な密度をもたらし、破損をもたらすことが多かった。
【0177】
【0178】
10~70μmの間隙幅を有する方法及び装置から形成された焼結セラミック体について、電気抵抗率を測定した。表7は、例示的な焼結セラミック体についての電気抵抗率測定値を列挙する。このプロセス及び材料は、高い電気抵抗率及びそれに対応して低い導電率を有する焼結セラミック体をもたらした。
【0179】
【0180】
誘電損失の低い焼結セラミック体を提供することは、周波数が高くなるにつれて重要になる。本明細書において表6及び7に開示される焼結セラミック体、特に低シリカ含有量を有する焼結セラミック体の高い全純度は、酸化イットリウムを含む焼結セラミック体について表8に開示される誘電率及び誘電損失又は誘電正接の好ましい結果を提供する。更に、誘電損失は、粒径及び粒径分布によって影響を受ける可能性がある。微細な粒径はまた、低減された誘電損失を提供し得、それによって、高い周波数での使用時の低減された加熱を提供し得る。約1×10-4~5×10-2、好ましくは1×10-4~1×10-2、より好ましくは1×10-4~1×10-3の誘電損失が、高純度酸化イットリウムを含む焼結セラミック体について達成され得る。酸化イットリウム試料157は、表8に列挙されるように、4回の測定にわたって11.3の平均誘電率及び3.6×10-2-2の平均誘電損失を有していた。
【0181】
【0182】
好ましい実施形態では、高い機械的強度は、焼結セラミック体における粒径の制御を通して実現され得、それによって、より微細な粒径がより高い曲げ強度を提供する。
図8は、本明細書に開示されるYAG(イットリウムアルミニウムガーネット)及び酸化イットリウム焼結セラミックの例示的な粒径及び粒径分布を示す。表9は、
図9の焼結セラミック体の粒径特徴を列挙している。
【0183】
【0184】
対応して、表10は、開示される例示的な焼結セラミック体についての4点曲げ強度の結果を列挙する。測定は、ASTMC1161-18に従って行われ、ここでnは行われた試験の数である。開示された焼結セラミック体を含む材料について、高い強度が測定された。
【0185】
【0186】
本明細書に開示される焼結セラミック体及び関連構成要素は、以下に説明される特定の材料特性及び特徴によって、半導体処理チャンバ内での改善された耐プラズマ性及び向上した洗浄能力を提供する。
【0187】
焼結セラミック体の適用:
このようにして製造された焼結セラミック体は、プラズマエッチング、堆積及び、類似のプロセスのための半導体プラズマ処理装置において使用することができる。
【0188】
ほとんどの集積回路(IC)製造プロセスは、典型的には、様々な層を連続的に形成、成形、又は別様に修正することができる、いくつかの製造工程を含む。層を形成する1つの方法は、層を堆積させ、次いでエッチングすることであり得る。通常、エッチングは、下にある層の上にエッチングマスクを形成することを含むことができる。エッチングマスクは、他の部分を露出させながら、下地層のある部分をマスクすることができる特定のパターンを有し得る。次いで、エッチングにより、エッチングマスクによって露出された下地層の部分を除去することができる。このようにして、エッチングマスクパターンを下地層に転写することができる。
【0189】
エッチングは、「湿式」化学エッチング及び「乾式」プラズマエッチングを含み得る。多くの場合、プラズマエッチングは、所望であれば、より高い制御性及びより大きな方向制御(例えば、異方性)を提供することができる。
【0190】
したがって、プラズマエッチングは、現在、電子機器の製造に使用するための半導体材料を処理するために使用されている。電子デバイスにおいて使用される場合に、より効率的であるか、又は特定の特性を向上させるために、半導体材料の表面に小さな特徴をエッチングすることができる。例えば、プラズマエッチングを使用して、微小電気機械システムで使用するためにシリコンの表面上に深いトレンチを形成することができる。この用途は、プラズマエッチングもマイクロエレクトロニクスの製造において主要な役割を果たす可能性を有することを示唆している。同様に、プロセスをナノメートルスケールに調整することができる方法に関する研究が現在行われている。
【0191】
プラズマエッチングは、通常、半導体基板上に形成された1つ以上の層をエッチングするために一般に使用されるいわゆるプラズマエッチングチャンバ内で実行される。エッチング中、基板はチャンバ内の基板支持体上に支持される。
【0192】
プラズマエッチング中、プラズマは、高周波(RF)電磁放射を低圧ガス(又はガス混合物)に供給することによって基板の表面の上方に形成される。基板の電位を調整することによって、プラズマ中の荷電種は、基板の表面に衝突するように方向付けられ、それによって、そこから材料(例えば、原子)を除去することができる。
【0193】
プラズマエッチングは、エッチングされる材料と化学的に反応するガスを使用することによって、より効果的にすることができる。いわゆる「反応性イオンエッチング」は、プラズマのエネルギー衝突効果と反応性ガスの化学エッチング効果とを組み合わせる。
【0194】
本開示による焼結セラミック体は、半導体プラズマ処理チャンバで使用するためのチャンバ構成要素に形成されてもよい。そのような構成要素は、攻撃的エッチング条件における構成要素寿命の延長を含む利点を有し得る。このようなセラミックは、上述したSPSプロセスを用いて焼結することによって、特に大きな寸法で、緻密かつ純粋にすることができる。高密度セラミックは、プラズマ処理に関連して多くの利点を有し得る。これらの利点には、粒子生成に対する耐性、プラズマエッチング耐性の改善、及び構成要素の寿命の延長が含まれる。加えて、高密度焼結セラミック部品の洗浄は、高腐食性又は攻撃的な化学物質などの攻撃的な洗浄方法を使用することが可能であり得るため、より容易になり得る。
【0195】
本開示による焼結セラミック体を含み得るチャンバ構成要素の例としては、基板支持アセンブリ、静電チャック(ESC)、リング(例えば、プロセスキットリング又はシングルリング)、チャンバ壁、ベース、ガス分配プレート、シャワーヘッド、ライナー、ライナーキット、シールド、プラズマスクリーン、フローイコライザ、冷却ベース、チャンバビューポート、チャンバリッドなどが挙げられる。
【0196】
図10に示すように、本明細書に開示される技術の実施形態は、「プラズマエッチング処理システム」とも呼ばれる、半導体エッチングプロセスで使用するように構成することができるプラズマ処理システム9500内の構成要素として有用であり得る。プラズマエッチング処理システム9500は、遠隔プラズマ領域を含むことができる。遠隔プラズマ領域は、遠隔プラズマ源(「RPS」)とも呼ばれる遠隔RF源/整合ネットワーク9502を含むことができる。
【0197】
プラズマエッチング処理システム9500は、耐食性チャンバライナー(図示せず)を有する真空チャンバ9550と、真空源と、基板とも呼ばれるウェハ50が支持されるチャック又は静電チャック(「ESC」)9509とを備えることができる。カバーリング又は電極カバー9514、上部シールドリング9512、及びシールドリング9513は、ウエハ50及びパック9509を取り囲む。物理蒸着(PVD)プロセスでは、カバーリング9514を含む基板リングが、基板の周囲に設けられる。カバーリング9514は、カバーリングがなければチャンバ内の付勢されたガスに露出されるであろうパックの側壁表面及び周縁部を、プロセス残留物の堆積から保護する。したがって、カバーリング9514は、最終的に剥がれ落ちて基板を汚染することになる、パック9509上のプロセス残留物の蓄積を低減する。カバーリングはまた、励起ガスによるパック9509の浸食を低減することができる。カバーリング9514を提供することはまた、基板処理サイクル中にリング上に蓄積する処理残留物を除去するために、カバーリング自体をチャンバから定期的に取り出し、例えばHF及びHNO
3で洗浄することができるので、チャック及び/又はパック9509が洗浄を必要とする頻度を低下させる。カバーリング9514の配置は
図10に見ることができ、ここでカバーリングはパック9509の支持面の一部を覆う。パック9509の表面の更なる一部は、上部シールドリング9512及び/又はシールドリング9513で覆われてもよい。上部プレート/窓/蓋9507は、真空チャンバ9550の上壁を形成する。シャワーヘッド9517は、真空チャンバ9650の上壁を形成するか、又は上壁の下に取り付けられる。上部プレート/窓/蓋9507、ガス分配システム9506、シャワーヘッド9517、カバーリング又は電極カバー9514、上部シールドリング9512、シールドリング9513、チャンバライナー(図示せず)、並びにチャック又はESC9508及びパック9509は、本明細書に開示されるような焼結セラミック体の実施形態から全体的に又は部分的に作製され得る。
【0198】
シャワーヘッド9517の表面の一部は、シールドリング9712で覆われてもよい。シャワーヘッド9517の表面の一部、特にシャワーヘッド9517の表面の半径方向側面は、上部シールドリング9710で覆われてもよい。シールドリング9712、カバーリング9517、及び上部シールドリング9710は、本明細書に開示されるように、焼結セラミック体から作製することができる。
【0199】
遠隔プラズマ源9502は、加工されるウェハ50を収容するチャンバ9550の窓9507の外側に設けられる。遠隔プラズマ領域は、ガス供給システム9506を介して真空チャンバ9550と流体連通することができる。チャンバ9550内では、加工ガスをチャンバ9550に供給し、高周波数出力をプラズマ源9502に供給することによって、反応性プラズマを生成することができる。こうして生成された反応性プラズマを用いることによって、ウェハ50に対して所定のプラズマ処理が行なわれる。プラズマエッチング処理システム9500の高周波数アンテナには、所定のパターンを有する平面アンテナが広く用いられている。
【0200】
図11に示すように、本明細書に開示される技術の実施形態は、「堆積処理システム」とも呼ばれる、半導体堆積プロセスで使用するように構成され得るプラズマ処理システム9600で使用するための構成要素として有用であり得る。体積処理システム9600は、真空チャンバ9650と、真空源と、半導体基板としても示されるウエハ50が支持されるチャック9609と、を含む。処理システムは、処理ガスを真空チャンバ9650の内部に供給するためのガス送出システム9616と流体連通するノズル又は注入器9614を更に含み得る。チャンバ9650の上壁9700は、中央ガス注入器(ノズルとも呼ばれる)9614を受け入れるように構成された中央開口部を含むことができる。特定の実施形態では、チャンバの上壁9700は、注入器9614を収容するための中央開口部を有するように構成されたRF窓又は誘電体窓を備えることができる。RFエネルギー源は、プロセスガスにエネルギーを与えプラズマ状態にし、基板50を処理する。RF又は誘電体窓9700、ガス送出システム9616、及び中央ガス注入器9614を含む上壁の実施形態は、本明細書に開示されるような焼結セラミック体の実施形態から全体的に又は部分的に作製され得る。
【0201】
システム9600は、ウェハ50を保持するように設計された静電チャック9608を更に含むことができる。チャック9608は、ウェハ50を支持するため、パック9609を含むことができる。パック9609の支持面の一部は、堆積リング9615で覆われてもよい。堆積シールド又は堆積リングアセンブリなどの堆積リング9615の他の名称は、同義であると解釈され、本明細書では互換的に使用され得る。堆積リング9615は、本明細書に開示されるような焼結セラミック体の実施形態から全体的に又は部分的に作製することができる。
【0202】
パック9609は、本明細書に開示されるように焼結セラミック体の実施形態から全体的に又は部分的に形成されてもよく、パック9609上に配置された時にウエハ50を静電的に保持するためにパック9609の支持面に近接してパック内に配置されたチャッキング電極を有してもよい。チャック9608は、パック9609を支持するために延びるリング状を有するベース9611と、ベースとパックとの間に配置され、パック9609とベース9610との間にギャップが形成されるようにベースの上方でパックを支持するシャフト9610と、を含むことができ、シャフト9610は、パック9609の周縁部に近接してパックを支持する。チャック9608、パック9609、及び堆積リング9615は、全体的に又は部分的に、本明細書に開示されるような焼結セラミック体の実施形態から作製することができる。
【0203】
本開示は、以下の実施例のセクションによって例示される。
【実施例】
【0204】
以下の実施例に本開示の全体的な性質をより明確に示す。これらの実施例は本開示を例示するものであり、制限するものではない。
【0205】
全ての粒径の測定は、10nm~5mmの粒径を測定することができるHoribaのモデルLA-960レーザ散乱型粒径分布分析装置を使用して行なった。出発粉末、粉末混合物、及び焼成粉末混合物の全ての比表面積(SSA)の測定は、ほとんどの試料について0.01~2000m2/gの比表面積にわたって10%以下の精度で測定することができるHoribaのBET表面積分析装置モデルSA-9601を使用して行なった。純度及び不純物は、Agilent7900 ICP-MSモデルG8403のICP-MSを使用して測定した。
【0206】
実施例による少なくとも1つのグラファイト材料の平均熱膨張係数(CTE)の間隙及び半径方向分散の特徴は、スパーク放電プラズマ焼結ツール内で測定され、ツールは、内壁及び外壁を含む側壁を含むダイであって、内壁が内部容積を画定する直径を有する、ダイと、ダイと動作可能に連結された上部パンチ及び下部パンチであって、上部パンチ及び下部パンチの各々が、ダイの内壁の直径よりも小さい直径を画定する外壁を有し、それによって、上部パンチ及び下部パンチの少なくとも一方がダイの内部容積内で移動させられるときに、上部パンチ及び下部パンチの各々とダイの内壁との間に間隙を生成する、上部パンチ及び下部パンチと、を備える。焼結ツールは中心軸を有し、少なくとも1つのグラファイト材料の平均熱膨張係数からの半径方向偏差は、
図4に示すように、中心軸を中心に0.3×10
-6/℃以下、好ましくは0.2×10
-6/℃以下、好ましくは0.18×10
-6/℃以下、好ましくは0.1×10
-6/℃以下、好ましくは0.08×10
-6/℃以下、好ましくは0.06×10
-6/℃以下変化する。
【0207】
「装置」及び「ツール」という用語は、スパーク放電プラズマ焼結装置に関して互換的に使用される。
【0208】
全ての密度測定は、当業者にとって既知であるアルキメデス法に基づいて、ASTMB962-17に従って行った。酸化物粉末及びそれから形成されるセラミックの実施形態は、約1×10+10オームセンチ以上の抵抗率を有する本質的に絶縁性の高抵抗材料であることが分かっている。
【0209】
比較例1
4.5~6.5m2/gの比表面積、1.5~3.5μmのd10粒径、4~6μmのd50粒径及び6.5~8.5μmのd90粒径を有する酸化イットリウムの結晶性粉末から、最大寸法406mmの多結晶セラミック焼結体を調製した。この粉末は、ICPMS技術を用いて測定したとき、酸化イットリウム粉末の全質量に対して約14ppmの総不純物を有していた。スパーク放電プラズマ焼結ツールのダイは、本明細書に開示される特性を有する少なくとも1つのグラファイトホイルで裏打ちされ、ツールのダイ並びに上部パンチ及び下部パンチの各々は、本明細書に開示される少なくとも1つのグラファイト材料を含んでいた。粉末は、スパーク放電プラズマ焼結ツールによって画定される内部容積内に配置され、ツールは、約100μmの間隙を有していた。間隙は、少なくとも1つのグラファイトホイルの内向き表面と、スパーク放電プラズマ焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。10-2~10-3トールの真空条件が、内部容積の内側に生成された。粉末を20MPaの圧力で30分間1400℃で焼結して、406mmの最大寸法又は直径を有するディスク形状の焼結セラミック体を形成した。試料の全体密度は、4.78g/cc、又は酸化イットリウムの理論密度(5.03g/ccとして報告される)の95.03%として測定された。密度偏差は、最大寸法にわたる最高密度測定値に対して約4.5%であると測定された。本実施例に従って開示されるような間隙を有する装置を使用する方法に従って調製された焼結セラミック体は、低い全体密度、高い密度偏差、及びその後の焼結体の破壊をもたらした。
【0210】
比較例2:(試料363)
高純度(>99.99%)酸化イットリウム及び酸化アルミニウム粉末を組み合わせて、焼結時にイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)相を含む焼結セラミック体を形成するモル比で粉末混合物を形成した。当業者に知られているように湿式タンブル混合を行った後、粉末を1,000℃で10時間か焼した。か焼された粉末混合物は、約3.5~5.5m2/gの比表面積(SSA)、約0.8~2μmのd10粒径、約90~110μmのd50粒径及び約240~250μmのd90粒径を有していた。特定の実施形態では、本明細書に開示される焼成条件は、粉末混合物の凝集をもたらし、したがって、粒径分布のより大きな変動性がもたらす場合がある。したがって、実施形態では、本明細書で言及される粒径は、単一粒子を含むことができ、他の実施形態では、本明細書で言及される粒径は、本明細書で開示されるレーザ粒径検出方法を使用して、単一の大きな粒子として測定することができる、2つ以上の粒子を含む凝集体又は複数の粒子の凝集体を含むことができる。
【0211】
スパーク放電プラズマ焼結ツールのダイは、本明細書に開示される特性を有する少なくとも1つのグラファイトホイルで裏打ちされ、ツールのダイ並びに上部パンチ及び下部パンチの各々は、本明細書に開示される少なくとも1つのグラファイト材料を含んでいた。か焼粉末混合物を、スパーク放電プラズマ焼結ツールのツールによって画定される内部容積内に配置し、ツールは、周囲温度で約50~70μmの間隙を有し、間隙は、少なくとも1つのグラファイトホイルの内向き表面と、スパーク放電プラズマ焼結装置の上部及び下部パンチのそれぞれの外壁との間に構成される。内容積内に10-2~10-3トールの真空条件を作り出し、約5MPaの圧力を加えて、か焼された粉末混合物から約50%の充填密度を有する粉末成形体を形成した。内部容積内の粉末成形体を、本明細書に開示される方法に従って加熱した。加熱時に、粉末成形体の圧密は、加熱プロセス中に焼結装置によって達成されなかった。したがって、ダイ及び/又は上部パンチ及び下部パンチを構成する少なくとも1つのグラファイト材料の平均熱膨張係数(CTE)の半径方向変動は、本明細書に開示される方法による温度範囲にわたって(周囲温度から焼結温度及び/又は約2000℃の装置の動作最大温度まで)0.3×10-6/℃を超えた。結果として、10~70μmの必要な間隙距離は、周囲温度から焼結温度までの必要な温度範囲にわたって維持することができず、この場合、1450℃の所定の値に設定された。この実施例に従って製造された焼結セラミック体は、ツールから除去する際に破砕し、低密度、したがって低強度を示した。
【0212】
実施例1:(試料353)高密度かつ大きな寸法の多結晶質焼結セラミック体
6~8m2/gの比表面積、1~3μmのd10粒径、4~6μmのd50粒径、及び7.5~9.5μmのd90粒径を有する酸化イットリウムの結晶性粉末から、最大寸法406mmの焼結セラミック体を調製した。粉末は、酸化イットリウム粉末の総質量に対して約25ppmの総不純物を有していた。スパーク放電プラズマ焼結ツールのダイは、本明細書に開示される特性を有する少なくとも1つのグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部パンチ及び下部パンチの各々は、本明細書に開示される少なくとも1つのグラファイト材料を含んでいた。約50~約70μmの間隙を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールによって画定される内部容積内にイットリア粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのグラファイトホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。酸化イットリウム粉末に圧力を予め加えることを多段階プロセスで行い、を約10-2~10-3トールの真空下で約10MPaの圧力を予め加えて、約35~45体積%の充填密度を有する粉末成形体を形成した。粉末成形体を、20MPaの圧力で60分間にわたって1550℃の温度で焼結した。ダイ及び/又は上部パンチ及び下部パンチを構成する少なくとも1つのグラファイト材料の、焼結ツールの中心軸を中心とした平均熱膨張係数(CTE)からの半径方向変動は、約0.2×10-6/℃以下であると判定された。5回の測定にわたる平均密度を実施したところ、5.020g/ccの密度、すなわち酸化イットリウムの理論密度の99.80%(D.R.Lide,CRC Handbook of Chemistry and Physics 84th Edition,2012(「the CRC Handbook」)によると、酸化イットリウムの理論密度は5.03g/cm3である)を測定した。したがって、本明細書に開示されるような特定の間隙距離及び半径方向変動を有する装置を使用して、大きな寸法の高密度焼結セラミックを形成することができる。
【0213】
実施例2:(試料506)大きな寸法の多結晶YAG焼結セラミック体;
比表面積が2~3m
2/g、d10粒径が2.5~4.5μm、d50粒径が6~8μm、d90粒径が11~13μmのイットリア粉末(平均純度99.998%、平均不純物が酸化イットリウム粉末の総質量に対して約21ppm)と、比表面積が6.5~8.5m
2/g、d10粒径が0.75~1.5μm、d50粒径が2~5μm、d90粒径が18~24μmのアルミナ粉末(純度99.9994%、不純物が酸化アルミニウム粉末の総質量に対して約6ppm)とを、焼結時にイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)相を含む焼結セラミック体が形成されるモル比で配合した。当業者に既知のボールミル粉砕を行い、空気中で1050℃で6時間焼成すると、焼成粉末混合物は、3.5~5.5m
2/gの比表面積、1~3.5μmのd10粒径、5~8μmのd50粒径、及び130~160μmのd90粒子/凝集体サイズを有すると測定された。特定の実施形態形態では、本明細書に開示される焼成条件は、粉末混合物の凝集をもたらし、したがって、粒径分布のより大きな変動性がもたらす場合がある。したがって、実施形態では、本明細書で言及される粒径は、単一粒子を含むことができ、他の実施形態では、本明細書で言及される粒径は、本明細書で開示されるレーザ粒径検出方法を使用して、単一の大きな粒子として測定することができる、2つ以上の粒子を含む凝集体又は複数の粒子の凝集体を含むことができる。か焼された粉末混合物の純度は、原料粉末の純度とほぼ同じであった。粉末、粉末混合物、及び/又はか焼された粉末混合物は、既知の方法に従って様々なプロセス工程で篩い分け、タンブリング、ブレンド及び/又は粉砕されてもよい。スパーク放電プラズマ焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有する少なくとも1つのグラファイトホイルで裏打ちされ、装置のダイ並びに上部パンチ及び下部パンチの各々は、本明細書に開示される少なくとも1つのグラファイト材料を含んでいた。か焼粉末混合物を、約30~50μmの間隙を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールによって画定された内部容積内に配置した。間隙は、少なくとも1つのグラファイトホイルの内向き表面と、焼結装置の上側パンチ及び下側パンチの各々の外壁との間に構成される。ダイ及び/又は上部パンチ及び下部パンチを構成する少なくとも1つのグラファイト材料の、焼結ツールの中心軸を中心とした平均熱膨張係数(CTE)からの半径方向変動は、約0.1×10
-6/℃以下であると判定された。か焼された粉末混合物を、本明細書に開示される焼結装置のツールセットによって画定される内部容積内に入れ、10
-2~10
-3トールの真空条件を容積内に作り出した。内容積内のか焼された粉末混合物を5℃/分で800℃まで加熱し、この温度で5MPaの圧力を加えて約40~50体積%の充填密度を有する粉末成形体を形成し、次いで同時に約2~約3℃/分の加熱速度で加熱し、約0.2~約0.25MPa/分の速度で圧力を加えて1650℃/分及び15MPaの焼結条件に60分間到達させて、最大寸法622mmのディスク形状の多結晶YAG焼結セラミック体を形成した。密度測定は、試料の半径を横切って切断された試料からASTMB962-17に従って行われ、密度結果は
図15Bに示される。半径に沿った6つの位置でそれぞれ5回の測定を行い、4.55g/ccの平均密度が測定され、これはYAGの理論値の99.78%に相当した。半径にわたる密度は、YAGについて理論値(4.556g/ccと報告されている)の99.7~99.9%であった。
図15Bに示されるような密度の変動は、半径に沿った最高密度測定値に対して測定され、0.21%の最大密度偏差が測定された。本明細書に開示されるようなスパーク放電プラズマ焼結装置を使用して粉末及び粉末混合物を焼結する間、圧力及び温度は、中心軸9を中心に半径方向に対称な構成で加えられる。したがって、高密度(YAGの理論値の99%超)及び最小密度偏差(0.21%未満)などの特性が、半径にわたって維持され、それに対応して焼結セラミック体の直径又は最大寸法にわたっても維持される。したがって、本明細書に開示されるのは、4.546g/ccの平均密度を有し、密度がYAGの理論密度の99.7~99.9%の範囲であり(市販のYAG試料を測定し、4.556g/ccの平均密度を得て、本明細書で使用されるYAGの理論密度とした)、焼結セラミック体の直径にわたって0.21%以下の最大密度偏差を有する焼結セラミック体である。
【0214】
実施例3:(試料152)多結晶酸化イットリウム焼結セラミック体;
100mmの焼結酸化イットリウム体を、6.5~8.0m2/gの表面積と、酸化イットリウム粉末の総質量に対して18ppmの平均総不純物に相当する99.999%の純度とを有する酸化イットリウム粉末から形成した。d10粒径は1.5~3.5μmであり、中央粒径(d50)は4~6μmであり、d90粒径は7.5~9.5μmであった。スパーク放電プラズマ焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有する少なくとも1つのグラファイトホイルで裏打ちされ、装置のダイ並びに上部パンチ及び下部パンチの各々は、本明細書に開示される少なくとも1つのグラファイト材料を含んでいた。イットリウム粉末を、焼結装置のツールセットによって画定される内部容積内に入れ、10-2~10-3トールの真空条件を内部容積内に作り出した。ツールは、約25~約50μmの間隙を有し、間隙は、少なくとも1つのグラファイトホイルの内向き表面と、焼結装置の上部パンチ及び下部パンチのそれぞれの外壁との間に構成される。ダイ及び/又は上部パンチ及び下部パンチを構成する少なくとも1つのグラファイト材料の、焼結ツールの中心軸を中心とした平均熱膨張係数(CTE)の半径方向変動は、約0.25×10-6/℃以下であると判定された。焼結を、30MPaで1400℃で30分間行った。その後、アニーリングを空気中で1400℃で8時間行った。5.02g/ccの平均密度が測定され、これは酸化イットリウムの理論密度の99.9%に相当した(D.R.Lide,CRC Handbook of Chemistry and Physics 84th Edition,2012(「the CRC Handbook」)によると、酸化イットリウムの理論密度は5.03g/cm3である)。
【0215】
実施例4(試料329):多結晶スピネル焼結セラミック体:6ppmの総不純物に相当する99.9994%の総純度、4~6m2/gの表面積、及び3~4μmの平均又はd50粒径を有するマグネシアの粉末を、5ppmの総不純物に相当する99.9995%の総純度、6~8m2/gの表面積、及び2.5~4.5μmの平均又はd50粒径を有するアルミナの粉末と組み合わせた。焼結時に立方晶結晶構造を有するスピネル、MgAl2O4を形成するモル比で粉末混合物を生成するように、粉末を相対量で秤量した。粉末混合物を、当業者に既知の方法に従って湿式タンブル粉砕した。粉末混合物は、酸素含有環境で850℃で4時間か焼され、5~6m2/gの比表面積を有すると測定された。か焼された粉末混合物は、任意選択で、か焼後に、当該分野で公知の方法を使用して篩い分けされ得る。スパーク放電プラズマ焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有する少なくとも1つのグラファイトホイルで裏打ちされ、装置のダイ並びに上部パンチ及び下部パンチの各々は、本明細書に開示される少なくとも1つのグラファイト材料を含んでいた。か焼された粉末混合物を、焼結装置のツールセットによって画定される内部容積内に入れ、10-2~10-3トールの真空条件を内部容積内に作り出した。ツールは、約20~約40μmの間隙を有し、間隙は、少なくとも1つのグラファイトホイルの内向き表面と、焼結装置の上部パンチ及び下部パンチのそれぞれの外壁との間に構成される。ダイ及び/又は上部パンチ及び下部パンチを構成する少なくとも1つのグラファイト材料の、焼結ツールの中心軸を中心とした平均熱膨張係数(CTE)からの半径方向変動は、約0.1×10-6/℃以下であると判定された。次いで、か焼された粉末混合物を、本明細書に開示される方法に従って、1500℃の温度、20MPaの圧力で30分間、真空下で焼結して、100mmの最大寸法を有する焼結セラミック体を形成した。焼結セラミック体の密度は、3.546g/cc又は理論密度の99.04%であると測定された。ASTM C1327に従って、0.025kgfの適用荷重を使用して、焼結セラミック体に対して硬度測定を行なった。8回の測定にわたって、15.06GPaの平均硬度が0.75の標準偏差で測定された。その後、1500℃でアニーリングを行い、空気環境中で受動的に冷却させた。アニーリングされた焼結セラミック体の密度は、3.553g/cc又は理論密度の99.24%であると測定された(L.Pingetal,「Magnesium aluminate(MgAl2O4)spinel produced via self-heat-sustained(SHS)technique」,Materials Research Bulletin 36(2001)によれば、マグネシウムアルミン酸塩スピネルの理論密度は3.579g/cm3である)。
【0216】
実施例5:高密度多結晶焼結セラミック体2~3m2/gの表面積、2.5~4μmのd10粒径、6~7.5μmのd50粒径、及び11.5~13μmのd90粒径を有する酸化イットリウムの結晶粉末から、最大寸法406mmの焼結セラミック体を調製した。粉末は、イットリア粉末の総質量に対して約12ppmの総不純物を有していた。ダイは、本明細書に開示されるような特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるようなグラファイト材料を含んでいた。約30~約50μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。予備加圧は、真空下で約10MPaの圧力を予備加圧して約35~45体積%の充填密度を有する粉末成形体を形成する多段階プロセスで行った。粉末成形体を、20MPaの圧力で60分間にわたって1550℃の温度で焼結した。5回の測定にわたる平均密度を実施し、5.020g/ccの密度、又は酸化イットリウムの理論密度の99.801%(本明細書に開示されるように5.03g/ccとして報告される)が測定された。
【0217】
実施例6:高密度多結晶焼結セラミック体
4.5~6m2/gの比表面積を有するイットリアの結晶性粉末と、3.5~5m2/gの比表面積を有するアルミナの結晶性粉末とを、焼結時にイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)相を形成するモル比で組み合わせた。高純度アルミナ媒体(ICPMSで測定して>99.99%)を粉末重量で50%装填で添加し、エタノールを添加して約40体積%のスラリーを形成した。水平軸を中心にした回転作用を使用するボールミル粉砕を12時間実施し、その後、ロータリーエバポレータを使用して粉末混合物からエタノールを抽出した。空気中で1000℃で10時間か焼後、か焼された粉末混合物は、BET表面積法による7~8m2/gの比表面積、0.75~1.75μmのd10粒径、90~110μmのd50粒径、及び240~280μmのd90粒径を有すると測定された。粉末混合物は、既知の方法に従って様々なプロセス工程で篩い分け、ブレンド、及び/又は粉砕され得る。ダイは、本明細書に開示されるような特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるようなグラファイト材料を含んだ。約50~約70μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。か焼された粉末混合物を、真空下で20MPaの圧力で1550℃で60分間焼結して、最大寸法406mmの焼結セラミック体を形成した。密度測定は、焼結体の最大寸法にわたって行われ、4.543g/ccの平均密度が135回の測定にわたって測定され、これは、YAGについての理論密度の99.709%及び密度測定から計算される0.291%の体積多孔率に対応する。密度は、多結晶焼結セラミック体の最大寸法にわたって4.526~4.553g/cc(又はYAGについては理論値の99.335~99.936%)で変動することが見出され、最大寸法にわたる密度偏差は0.601%であると判定された。
【0218】
実施例7:大きな寸法の多結晶質焼結セラミック体
2~4m2/gの比表面積を有するイットリアの結晶質粉末(ICPMSによって測定された純度99.9997%、報告限界を上回って報告されている)と、6~8m2/gの比表面積を有するアルミナの結晶質粉末(ICPMSによって測定された純度99.9998%)とを、焼結時にイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)相を形成するモル比で組み合わせた。高純度アルミナ媒体(ICPMSで測定して>99.99%)を粉末重量で約50%の装填で添加し、エタノールを添加して約40体積%のスラリーを形成した。ボールミル粉砕を行い、その後、ロータリーエバポレータを用いて粉末混合物からエタノールを抽出した。空気中で1050℃で6時間か焼後、か焼された粉末混合物は、約3~5m2/gの比表面積、1~3μmのd10粒径、3.5~6μmのd50粒径、及び6~12μmのd90粒径を有する。を有することが測定された。か焼された粉末混合物は、公知の方法に従って様々なプロセス工程で篩い分け、ブレンド、及び/又は粉砕され得る。か焼された粉末の純度は、当業者に既知であるICPMS法を用いて測定され、約99.9993%の純度に相当する約7ppmの総不純物含有量を有していた。ダイは、本明細書に開示されるような特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるようなグラファイト材料を含んだ。か焼された粉末混合物を、約40~約60μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。内部容積内のか焼された粉末混合物に10MPaの予備焼結圧力を加えて、約45体積%の充填密度を有する粉末成形体を形成した。か焼された粉末混合物を、真空下で15MPaの圧力で1600℃で60分間焼結して、最大寸法616mmの焼結セラミック体を形成した。アルキメデスの原理を用いてASTMB962-17に従って密度測定を行い、焼結セラミック体について、YAGの理論密度(4.556g/cc)の99.1%の平均密度が測定された。
【0219】
実施例8:ジルコニア強化アルミナ(ZTA)焼結体
6~8m2/gの比表面積、0.5~0.2μmのd10粒径、0.2~0.5μmのd50粒径、及び1.2~3μmのd90粒径を有するジルコニア粉末と、6~8m2/gの比表面積、0.05~0.15μmのd10粒径、0.2~0.5μmのd50粒径、及び0.4~1μmのd90粒径を有するアルミナ粉末とを秤量し、組み合わせて、焼結時にジルコニア強化アルミニウム相を形成するモル比の粉末混合物を作製し、ジルコニアは約16体積%の量で存在した。ジルコニア粉末は、約2~4モル%のHfO2を含み、約3モル%の量のイットリアで安定化された。HfO2は多くの市販のジルコニア粉末中に存在し、イットリアはジルコニアを安定化させることが当業者に知られている。したがって、イットリア及びハフニアは、本明細書に開示されるジルコニア中の不純物とはみなされない。Hf及びYを除いて、ジルコニア粉末は約20ppmの総不純物を有していた。これらの粉末を、焼結時に約16体積%のジルコニアと残部のアルミナとを含む複合酸化物層を形成する比率で組み合わせた。ジルコニア及びイットリアを含む粉末混合物を、湿式ボールミル粉砕のための容器に移した。粉末混合物は、MgO又はシリカなどの焼結助剤を使用せずに、ジルコニア及びイットリアを含んでいた。したがって、本明細書に開示されるのは、焼結助剤を含まないか、又は実質的に含まないジルコニアアルミナ層を含む焼結セラミック体である。高純度(>99.99%)アルミナ媒体を、粉末重量に対して約75~80%の装填で使用し、エタノールを容器に添加してスラリーを形成し、混合を促進した。他の場合において、ボールミル粉砕は、水を用いて、又はアルミナ若しくはジルコニア媒体のみを使用して乾燥条件下で行われてもよい。水平軸を中心にした回転作用を使用するボールミル粉砕を150rpmで20時間実施し、その後、ロータリーエバポレータを使用して粉末混合物からエタノールを抽出した。粉末混合物を600℃で8時間か焼した。か焼された粉末混合物は、当業者に知られているように、か焼後に任意選択で篩い分け、タンブリング、ブレンドなどをされ得る。スパーク放電プラズマ焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有する少なくとも1つのグラファイトホイルで裏打ちされ、装置のダイ並びに上部パンチ及び下部パンチの各々は、本明細書に開示される少なくとも1つのグラファイト材料を含んでいた。か焼粉末混合物を、約25~約45μmの間隙を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールによって画定された内部容積内に配置した。間隙は、少なくとも1つのグラファイトホイルの内向き表面と、焼結装置の上側パンチ及び下側パンチの各々の外壁との間に構成される。ダイ及び/又は上部パンチ及び下部パンチを構成する少なくとも1つのグラファイト材料の、焼結ツールの中心軸を中心とした平均熱膨張係数(CTE)からの半径方向変動は、約0.1×10-6/℃以下であると判定された。か焼された粉末混合物を、本明細書に開示される焼結装置のツールセットによって画定される内部容積内に配置し、10-2~10-3トールの真空条件を容積内に作り出した。約5MPaの圧力を加えて、約40~50体積%の充填密度を有する粉末成形体を形成した。内部容積内の焼成粉末混合物を5~10℃/分で800℃まで加熱し、次いで同時に、約3~約5℃/分の加熱速度で熱を加え、約0.2~約0.25MPa/分の速度で圧力を加えて、本明細書に開示される方法に従って、1450℃、20MPaの圧力、30分間の焼結条件に到達させて、150mm寸法の焼結体を形成した。ZTA焼結セラミック体の実施形態についての密度を以下の表に報告する。本明細書に開示される焼結セラミック体は、開示される体積による量のジルコニア及びアルミナの結晶相の粒子複合材を含み得る。粒子複合体は、アルミナのマトリックス中に分散されたジルコニアの粒子又は領域を含むことができ、粒子複合体は2つの別個の結晶相を含み、好ましくは焼結セラミック体は固溶体を形成しない。イットリア及びジルコニアは別個の相として存在するので、体積混合則を適用して、以下に報告するように理論密度を計算し得る。
【0220】
【0221】
一連の実施例において、20体積%のジルコニア及び80体積%のアルミナを含むZTA試料365を実施例8に従って作製し、20MPaの圧力で30分間、1450℃で焼結した。約16体積%のジルコニア及び約84体積%のアルミナを含むZTA試料562を実施例8に従って作製し、以下に列挙されるように、15MPaの圧力で1500℃で30分間にわたって焼結した。
【0222】
【0223】
実施例9:(試料421)大きな寸法の多層焼結セラミック体
第1及び第2の粉末混合物から多層焼結セラミック体を形成した。第1の粉末混合物は、アルミナ及びジルコニアを含み、実施例8に従って開示されるような体積量のジルコニア及びアルミナの結晶相の粒子複合体を形成した。第2の粉末は、アルミナ及びイットリアを含み、YAG相を含む層を形成した。第1の粉末混合物はアルミナ粉末を含み、アルミナ粉末は6~8m2の比表面積、6~8m2/gの表面積、0.05~0.15μmのd10粒径、0.2~0.5μmのd50粒径、0.4~1μmのd90粒径を有し、ジルコニア粉末は6~8m2/gの表面積、0.5~0.2μmのd10粒径、0.2~0.5μmのd50粒径、及び1.2~3μmのd90粒径を有する。アルミナ粉末の総不純物含量は、約2~10ppmであった。ジルコニア粉末は、約2~4モル%のHfを含み、約3モル%の量のイットリアで安定化された。Hf及びYは、本明細書に開示されるジルコニア中の不純物とはみなされない。Hf及びYを除いて、ジルコニア粉末は約20ppmの総不純物を有していた。焼結時に約16体積%のジルコニア及び残部のアルミナを含む少なくとも1つの粒子複合層を形成するような比率で、粉末を組み合わせた。高純度(>99.99%)アルミナ媒体を粉末重量に対して約75~80%の装填量で使用する湿式ボールミル粉砕の従来の粉末調製技術を使用して、アルミナ粉末とジルコニア粉末とを混合して粉末混合物を作製した。エタノールを添加することによって約40体積%のスラリーを形成した。スラリーを約150のRPMで約20時間ボールミル粉砕し、その後、当業者にとって既知の方法に従って乾燥、タンブリング、篩い分けして、第1の粉末混合物を形成した。第1の粉末混合物を600℃で8時間か焼した。第1のか焼粉末混合物は、6~8m2/gの比表面積を有していた。第1のか焼粉末混合物は、約15ppmの総不純物を有し、約14ppm以下のSi及び約5ppm以下の量のMgを含んでいた。粉末混合物は、当業者に知られているように、篩い分け、タンブリング、ブレンドなどされてもよい。
【0224】
第2の粉末混合物は、比表面積が6~8m2/g、d10粒径が0.05~0.15μm、d50粒径が0.2~0.5μm、d90粒径が0.4~1μmであるアルミナ粉末と、比表面積が2~3m2/g、d10粒径が2~4μm、d50粒径が6~8μm、d90粒径が11~13μmであるイットリア粉末とを含んでいた。アルミナ及びイットリア粉末の総不純物含量は約2~10ppmであった。焼結時にYAG(酸化イットリウムアルミニウム、ガーネット相)を含む耐食層を形成するような比率で粉末を組み合わせた。高純度(>99.9%)媒体を粉末重量に対して約60%の装填量で使用した湿式ボールミル粉砕の従来の粉末調製技術を使用して、アルミナ粉末とイットリア粉末とを組み合わせて第2の粉末混合物を作製した。エタノールを添加することによって約40体積%のスラリーを形成した。スラリーを150のRPMで約15時間粉砕し、その後、当業者にとって既知の方法に従って乾燥、タンブリング、又は篩い分けして、第1の粉末混合物を形成した。第2の粉末混合物を850℃で6時間か焼した。第2のか焼された粉末混合物は、2~4m2/gの比表面積及び9~13μmのd50粒径を有していた。第2のか焼された粉末混合物は、約8ppmの総不純物を有しており、当業者に知られているように、篩い分け、タンブリング、ブレンドなどされ得る。
【0225】
スパークプラズマ放電焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。ダイ及び/又は上部パンチ及び下部パンチを構成する少なくとも1つのグラファイト材料の、焼結ツールの中心軸を中心とした平均熱膨張係数(CTE)からの半径方向変動は、約0.08×10-6/℃以下であると判定された。第1及び第2のか焼粉末混合物を別々に配置して、約25~約45μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に少なくとも2つの別々の層を形成し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。
【0226】
第1及び第2のか焼粉末混合物を15MPaで1600℃の温度で60分間焼結して、572mmの最大寸法のYAG及びZTAを含む少なくとも2つの層を含む多層焼結セラミック体を形成した。異なる密度の領域を含む多層構造のために、密度測定は多層体上で正確に行うことができなかった。
【0227】
622mmの最大寸法を有するYAG及びZTAを含む少なくとも2つの層を含む追加の多層焼結セラミック体を実施例9に従って調製し、15MPaで1625℃で60分間焼結した。
【0228】
実施例10:(試料477)大きな寸法の多層焼結セラミック体
第1及び第2の粉末混合物から多層焼結セラミック体を形成した。第1の粉末混合物はアルミナ及びジルコニアを含み、実施例8に従ってジルコニア強化アルミナ(ZTA)を形成した。第2の粉末混合物は、約20モル%のジルコニア及び残部のイットリアを含んでいた。
【0229】
第1の粉末混合物は、6~8m2/gの比表面積、0.05~0.15μmのd10粒径、0.2~0.5μmのd50粒径、0.4~1μmのd90粒径を有するアルミナ粉末と、6~8m2/gの表面積、0.5~0.2μmのd10粒径、0.2~0.5μmのd50粒径、及び1.2~3μmのd90粒径を有するジルコニア粉末とを含んでいた。アルミナ粉末の総不純物含量は、約2~10ppmであった。ジルコニア粉末は、約2~4モル%のHfを含み、約3モル%の量のイットリアで安定化された。HfO2は多くの市販のジルコニア粉末中に存在し、イットリアはジルコニアを安定化させることが当業者に知られている。したがって、イットリア及びハフニアは、本明細書に開示されるジルコニア中の不純物とはみなされない。Hf及びYを除いて、ジルコニア粉末は約20ppmの総不純物を有していた。第1の粉末混合物は、MgO又はシリカなどの焼結助剤を添加せずにジルコニア及びアルミナを含んでいた。したがって、本明細書に開示されるのは、焼結助剤を含まないか、又は実質的に含まないジルコニアアルミナ(zta)層を含む多層焼結セラミック体である。これらの粉末を、焼結時に約16体積%のジルコニア及び残部のアルミナを含む層を形成するような比率で組み合わせた。高純度(>99.99%)のアルミナ媒体を粉末重量に対して約75~80%の装填量で使用する湿式ボールミル粉砕の従来の粉末調製技術を使用して、アルミナ粉末とジルコニア粉末とを組み合わせて第1の粉末混合物を作製した。エタノールを添加することによって約40体積%のスラリーを形成した。スラリーを約150のRPMで約20時間ボールミル粉砕し、その後、当業者にとって既知の方法に従って乾燥、タンブリング、篩い分けして、第1の粉末混合物を形成した。第1の粉末混合物を900℃で6時間か焼した。第1のか焼粉末混合物の比表面積は5~7m2/gであった。第1のか焼粉末混合物は、約15ppmの総不純物を有し、約14ppm以下のSi及び約5ppm未満のMgを含んでいた。粉末混合物は、当業者に知られているように、篩い分け、タンブリング、ブレンドなどされてもよい。
【0230】
第2の粉末混合物は、6~8m2/gの表面積、0.5~0.2μmのd10粒径、0.2~0.5μmのd50粒径、及び1.2~3μmのd90粒径を有するジルコニア粉末と、2~3m2/gの比表面積、2~4μmのd10粒径、6~8μmのd50粒径、及び11~13μmのd90粒径を有するイットリア粉末とを含んでいた。ジルコニア及びイットリア粉末の総不純物含量は約2~10ppmであった。Si及びMgは、イットリア及びジルコニア粉末において当業者に既知のICPMSを使用して検出されず、したがって、イットリア及びジルコニア粉末は、それぞれシリカ、カルシア、Li/フッ化リチウム及びマグネシアの形態で、約14ppm以下のSi、並びに約5ppm以下のCa、Li及びMgを含む。これらの粉末を、焼結時に20モル%のジルコニア及び残部のイットリアを含む少なくとも1つの結晶相を含む層を形成するような比率で組み合わせた。ジルコニア粉末とイットリア粉末を混合して第2の粉末混合物を作製することは、3モル%イットリア安定化ジルコニア媒体を粉末重量に対して約90%の添加量で使用した湿式ボールミル粉砕の従来の粉末調製技術を使用して実施した。エタノールを添加することによって約40体積%のスラリーを形成した。スラリーを150のRPMで約12時間粉砕し、その後、当業者にとって既知の方法に従って乾燥、タンブリング、又は篩い分けして、第2の粉末混合物を形成した。第2の粉末混合物を850℃で6時間か焼成した。第2のか焼された粉末混合物は、2~4m2/gの比表面積及び6~10μmのd50粒径を有していた。第2のか焼粉された粉末混合物は、約8ppmの総不純物を有し、それぞれシリカ及びマグネシアの形態で、約14ppm以下のSi及び約5ppm以下のMgを含んでいた。第2の粉末混合物は、当業者に知られているように、篩い分け、タンブリング、ブレンドなどされてもよい。
【0231】
スパークプラズマ放電焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。ダイ及び/又は上部パンチ及び下部パンチを構成する少なくとも1つのグラファイト材料の、焼結ツールの中心軸を中心とした平均熱膨張係数(CTE)からの半径方向変動は、約0.08×10-6/℃以下であると判定された。第1及び第2のか焼粉末混合物を別々に配置して、約25~約45μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に少なくとも2つの別々の層を形成し、間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。
【0232】
第1及び第2のか焼粉末混合物を、本明細書に開示される焼結装置のツールセットによって画定された内部容積内に別々に配置して、少なくとも2つの別々の層を含む多層焼結セラミック体を形成した。
【0233】
第1及び第2のか焼粉末混合物を15MPaで1500℃の温度で45分間焼結して、150mmの最大寸法を有する多層焼結セラミック体を形成した。異なる密度の領域を含む多層構造のために、密度測定を正確に行うことができなかった。
【0234】
実施例11:80モル%イットリア-20モル%ジルコニア焼結セラミック体
6~8m2/gの表面積を有するイットリアの粉末及び6~8m2/gの表面積を有するジルコニアの粉末を秤量し、混合して、80モル%イットリア及び20モル%ジルコニアの比の粉末混合物を作製した。イットリア粉末の純度は、100%純粋イットリアに対して約99.998%超であり、ジルコニア粉末の純度は、100%純粋ジルコニアに対して約99.79%超であった。粉末重量で50%の量のエタノールを添加し、粉末重量で100%のジルコニア媒体を粉末混合物に添加してスラリーを形成した。スラリーを軸回転ボールミルに80~90RPMで12時間入れ、その後スラリーをミルから取り出した。ロータリーエバポレータを用いてスラリーからエタノールを抽出し、粉末混合物を残し、これを空気中1000℃で8時間か焼した。粉末混合物は、任意選択で、か焼後に既知の方法に従って、篩い分け、タンブリング、ブレンドなどをされてもよい。
【0235】
スパーク放電プラズマ焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有する少なくとも1つのグラファイトホイルで裏打ちされ、装置のダイ並びに上部パンチ及び下部パンチの各々は、本明細書に開示される少なくとも1つのグラファイト材料を含んでいた。ダイ及び/又は上部パンチ及び下部パンチを構成する少なくとも1つのグラファイト材料の、焼結ツールの中心軸を中心とした平均熱膨張係数(CTE)からの半径方向変動は、約0.08×10-6/℃以下であると判定された。イットリア及びジルコニアでか焼された粉末混合物を、焼結装置のツールセットによって画定される内部容積内に入れ、10-2~10-3トルの真空条件を内部容積内に作り出した。ツールは、約25~約45μmの間隙を有し、間隙は、少なくとも1つのグラファイトホイルの内向き表面と、焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。ダイ及び/又は上部パンチ及び下部パンチを構成する少なくとも1つのグラファイト材料の、焼結ツールの中心軸を中心とした平均熱膨張係数(CTE)の半径方向変動は、約0.2×10-6/℃以下であると判定された。100mmの焼結セラミック体を形成するために、本明細書に開示される方法に従って、真空下で30MPaで30分間、1500℃で焼結を行った。その後、アニーリングを空気中で1200℃で、8時間行った。5回の測定にわたって、平均密度は5.135g/ccであると計算された。
【0236】
90モル%のイットリア及び10モル%のジルコニアを含む更なる焼結セラミック体を、実施例11の材料、装置、及び方法に従って調製した。
【0237】
本発明の実施形態による以下の酸化イットリウム試料H1/66~H4/152を、本開示に従って調製した。
【0238】
H1/66:
80mmの酸化イットリウム焼結体を、2.5~3.5m2/gの表面積、5.4μmのd50粒径、並びに<10ppmのTREO(全希土類酸化物)及び48ppmの総不純物を有する粉末から、99.9952%の粉末純度で形成した。焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。約50~約70μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。本体は、30MPaで60分間にわたって1500℃の焼結温度で形成された。アニーリングは、5℃/分で1450℃までの温度勾配で1時間、次いで1400℃で8時間、空気中で行った。酸化イットリウム焼結体の密度は4.948g/cm3であり、最大細孔径は1.1μmであった。d10、d50、及びd90粒径は、それぞれ0.5、0.8、及び1.4μmと測定された。
【0239】
H2/65:
40mmの酸化イットリウム焼結体を、6.5~7.5m2/gの表面積を有する粉末から形成した。焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。約40~約60μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。焼結を、30MPaで1550℃の焼結温度で10分間行った。アニーリングは、空気中で1300℃の温度の炉で4時間行った。出発酸化イットリウム粉末は、10ppmに相当する99.999%の総純度を有していた。中央粒径は5.82μmであると測定された。酸化イットリウム焼結体は、11ppmの総不純物レベルを有していた。出発粉末の純度は、焼結酸化イットリウム体において維持され、処理中に導入される汚染物質が非常に少ないか全くないことを示した。d10、d50、及びd90粒径は、それぞれ4.0、13.0、及び27.1μmと測定され、平均粒径は14μmと測定された。
【0240】
H3/79:
40mmの酸化イットリウム焼結体を、2.5~3.5m2/gの表面積及び5.17μmのmedian(d50)粒径を有する粉末から形成した。出発粉末は2~4ppmの総不純物を有していた。焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。約40~約60μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。酸化イットリウム体の焼結は、30MPaの圧力で10分間にわたって1500℃の焼結温度を使用して行った。温度を50℃/分で上昇させると同時に、5MPa/分で圧力を加えた。アニーリングは、温度を5℃/分で1300℃まで上昇させ、空気中で4時間保持することによって行った。焼結酸化イットリウム体は、9~10ppmの総不純物レベルを有し、プロセスの結果としての汚染物質の導入が最小限であることを示した。最大細孔径は0.6μmと測定され、密度は5.03g/ccと測定された。d10、d50、及びd90粒径は、それぞれ0.8、1.4及び2.4μmと測定された。1.47μmの平均粒径も測定された。
【0241】
H4/152:
100mmの酸化イットリウム焼結体を、6~8m2/gの表面積、99.999%純度のTREO(<10ppm)、及び18ppmの平均総不純物を有する粉末から形成した。中央粒径(d50)は4.65μmであった。焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。約30~約50μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチのそれぞれの外壁との間に構成される。焼結を、30MPaで1400℃で30分間行った。その後、アニーリングを空気中で1400℃で8時間行った。5.024g/cm3の密度が測定され、最大細孔径は2μmであった。本明細書に開示される2工程CF4/O2エッチングプロセスの後、0.98μmの平均段差、0.68nm/分の平均エッチング速度、及び340000μm3のエッチング体積が得られた。本明細書に開示されるような2工程CF4/O2エッチングプロセスの前後に、それぞれ10及び14nmの算術平均高さ(Sa)が測定された。本明細書に開示される酸素エッチングプロセスの後、0.1μmの平均段差、0.07nm/分の平均エッチング速度、及び30000μm3のエッチング体積が得られた。本明細書に開示されるようなSF6エッチングプロセスの後、0.28μmの平均段差、0.19nm/分の平均エッチング速度、及び90000μm3のエッチング体積が得られた。
【0242】
単一工程、CF4エッチング手順
エッチング性能を評価するために、6mm×6mm×2mmの寸法の研磨されたセラミック試料を、シリコーン系ヒートシンク化合物を使用してc面サファイアウェハ上に載せた。各部の領域は、5mm×5mmの正方形のサファイアセラミックを試料表面に接合することによって、エッチングプロセスへの曝露から遮断された。
【0243】
ドライエッチングプロセスは、業界の標準的装置であるPlasma-Therm Versaline DESC PDC Deep Silicon Etchを用いて行なわれた。エッチングは、4時間エッチングセグメントにおいて合計24時間の持続時間で完了した。このプロセスは、圧力10ミリトール、CF4流量90標準立方センチメートル/分(sccm)、酸素流量30sccm、アルゴン流量20sccmで行った。バイアスは600ボルト及び2000ワットICP電力であった。このエッチングレシピは、512nm/分のシリコンエッチング速度に相当する。エッチングレシピは、溶融シリカ(石英ガラス)を72nm/分の速度でエッチングする。試料性能を評価するためにここで使用されるエッチング条件は、性能を区別するために、開示された材料を極端なエッチング条件に供するように選択された。
【0244】
エッチング手順の完了時に、表面粗さを測定した。
【0245】
単一工程、CF4エッチング体積手順:
一実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、約12000μm3未満、好ましくは約9000μm3未満、より好ましくは約7000μm3未満のエッチング体積を特徴とする。このエッチング体積は、6mm×6mm×2mmの寸法の試料が、10ミリトルの圧力で、90標準立方センチメートル/分(sccm)のCF4流量、30標準立方センチメートル/分(sccm)の酸素流量、及び20標準立方センチメートル/分(sccm)のアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力で24時間のエッチング条件にさらされる、基準プロセスとしてのエッチングプロセスが実行される場合に実現される。それぞれのエッチングプロセスは、以下の実験セクションにおいて更に詳細に説明する。よって、エッチング体積は、示されたエッチングプロセス中に除去される酸化イットリウム本体の体積に関係する。
【0246】
単一工程、CF4エッチング速度手順:
いくつかの実施形態では、酸化イットリウム体は、約0.08nm/分未満、好ましくは約0.06nm/分未満、より好ましくは約0.05nm/分未満のエッチング速度を示すことを特徴とする。このエッチング速度は、6mm×6mm×2mmの寸法の試料が、圧力10ミリトル、90標準立方センチメートル毎分(sccm)のCF4流量、30標準立方センチメートル毎分(sccm)の酸素流量、及び20標準立方センチメートル毎分(sccm)のアルゴン流量、600ボルトのバイアス及び2000ワットのICP電力で、24時間の持続時間のエッチング条件にさらされる、基準プロセスとしての単一工程CF4エッチングプロセスが実行される場合に実現される。よって、エッチング速度は、示されたエッチングプロセス中に除去される酸化イットリウム本体の厚さ減少に関連する。
【0247】
単一工程CF4Sdr手順(未エッチング、エッチング)
いくつかの実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、ISO規格25178-2-2012、4.3.2項による100×10-5未満、より好ましくは75×10-5未満、最も好ましくは50×10-5未満の未エッチング領域における展開界面面積比と、ISO規格25178-2-2012、4.3.2項による600×10-5未満、より好ましくは500×10-5未満、より好ましくは400×10-5未満、最も好ましくは300×10-5未満、最も好ましくは200×10-5未満のエッチング領域における展開界面面積比とを有することを特徴とする。この後者の展開界面面積比は、6mm×6mm×2mmの寸法の酸化イットリウム酸化の試料が、10ミリトールの圧力で、90標準立方センチメートル/分(sccm)のCF4流量、30標準立方センチメートル/分(sccm)の酸素流量、及び20標準立方センチメートル/分(sccm)のアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力で24時間のエッチング条件にさらされるCF4エッチングプロセスが実行される場合に実現される。それぞれのエッチングプロセスは、以下で更に詳細に説明する。
【0248】
単一工程CF4Sa(エッチングされない、エッチングされる)
いくつかの実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、ISO規格25178-2-2012、4.1.7項に従って、30nm未満、より好ましくは28nm未満、最も好ましくは25nm未満の算術平均高さSaを有し、ISO規格25178-2-2012、4.1.7項に従って、40nm未満、より好ましくは35nm未満、最も好ましくは30nm未満の算術平均高さSaを有することを更に特徴とする。この後者の算術平均高さSaは、6mm×6mm×2mmの寸法の酸化イットリウム酸化の試料が、10ミリトールの圧力で、90標準立方センチメートル/分(sccm)のCF4流量、30標準立方センチメートル/分(sccm)の酸素流量、及び20標準立方センチメートル/分(sccm)のアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力で24時間にわたるエッチング条件にさらされるエッチングプロセスが実行される場合に実現される。それぞれのエッチングプロセスは、以下で更に詳細に説明する。
【0249】
表面粗さの測定
表面粗さの測定は、クラス1のクリーンルームの環境条件下で、Keyenceの3Dレーザ走査型共焦点デジタル顕微鏡モデルVK-X250Xを用いて行なった。顕微鏡は2.8Hzの固有振動数を有するTMC tableTop CSP卓上型パッシブ除振台の上に置く。
【0250】
この非接触システムは、レーザビーム光と光学センサを使用して、表面を反射光の強度を介して解析する。顕微鏡は、x方向で1,024のデータポイントとy方向で786のデータポイントの合計786,432データポイントを取得する。所与のスキャンが完了すると、対物レンズがz方向に設定されたピッチで移動し、強度をスキャン間で比較して焦点を決定する。ISO25178表面テクスチャ(Areal Roughness測定)は表面粗さの分析に関連する国際標準集であり、この顕微鏡はそれに準拠している。
【0251】
共焦点顕微鏡を使用して10倍の倍率で試料の表面をレーザスキャンして、試料の詳細な画像を撮影した。7つの区画化されたブロックのプロファイルで線粗さを得た。測定サンプリング長を表すラムダカイ(λ)を、ISO仕様4288:製品の幾何特性仕様(GPS)--表面テクスチャ:プロファイル方法-表面テクスチャの評価のための規則と手順に従って線の読取りが7つのうちの5つの中央ブロックからの測定値に制限されるように調整した。
【0252】
領域は、測定のために試料のエッチングされマスクされた領域内で選択された。領域は、典型的な試料表面を最も代表するように選択し、Sa及びSdrを計算するために使用した。
【0253】
表面粗さSa及びSdrは、基礎となる技術分野において周知のパラメータであり、例えば、ISO規格25178-2-2012、4.1.7項(表面粗さSa)及び4.3.2項(表面粗さSdr)に記載されている。
【0254】
段差測定
エッチング処理の結果としての段差は、20倍の倍率でKeyence3Dレーザ走査共焦点デジタル顕微鏡モデルVK-X250Xを使用することによって直接測定された。試料のエッチング領域及び未エッチング領域の選択された領域を使用して、別々の基準面を作成した。これらの基準面の間の3回の測定にわたる平均高さの差が段差とみなされ得る。
【0255】
エッチング速度の計算
平均エッチング速度(単位:ナノメートル/時間)は、段差を総エッチング時間で割ってエッチング速度(単位:ナノメートル/分)を得ることによって、平均段差から計算することができる。
【0256】
体積測定
エッチング体積は、Keyence3Dレーザ走査共焦点デジタル顕微鏡モデルVK-X250Xの50倍での測定値から計算した。7×7画像テンプレートが作成され、そこから7×1領域が測定のために選択される。まず、マスクされ、したがって、エッチングされていない試料の代表的な領域上に基準面が確立される。基準面を確立するために、マスク領域内のエリアが選択される。試料の厚さ及び搭載における変動を考慮するために、ソフトウェアによる傾き補正が領域にわたって完了される。その後、マスクされた表面から最大距離にある画像のエッチングされた領域において、600μm×200μmの総領域が選択される。マスク表面上に作られた基準面と比較したエッチング表面の高さが測定され、基準面に対してエッチングによって除去された材料の体積が、選択された領域にわたって計算される。
【0257】
Ra測定値とSa測定値との差
Saは、表面の算術平均高さであり、ISO25178:幾何特性仕様(GPS)-表面テクスチャ:面積に記載されており、3D面積表面テクスチャの分析に関する国際規格の国際標準化機構収集である。これは、非接触レーザ顕微鏡法に基づく。
【0258】
Raは、ISO4287:1997幾何特性仕様(GPS)-表面テクスチャ:プロファイル方法に従った2Dプロファイルの算術平均粗さを表す。これは表面と接触して線形プロファイルを作成するメカニカルスタイラスに基づく。
【0259】
Saは3Dの測定表面にわたる高さの差を表し、一方、Raは2Dの線形プロファイルスキャンにわたる高さの差を表す。
【0260】
Raはスタイラス先端の幾何学的形状によって制限され、したがって、微細なフィーチャーの詳細が失われ、またピーク及び谷に歪みを生じる場合がある。このことは微細なサブミクロンのフィーチャーを測定するときに問題となり、Sa値と比較するためのRa値の使用における制限である。
【0261】
本発明の方法に従って追加の試料を作製し、以下の表に要約する。適用可能な場合、それらを市販の石英(TSC03)及び比較用酸化イットリウム試料(107、108、及び118)と比較する。
【0262】
一例では、試料188-1を以下のように作製した。2~3m2/gの表面積及び99.9987%の粉末純度に相当する13ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、100mmの酸化イットリウム焼結体を形成した。焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。約30~約60μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。圧力を予め加えることは多段階プロセスで行い、真空下で20MPaの圧力を予め加えた。その後、5MPaを加えると同時に、10℃/分の速度で室温から600℃まで熱を加えた。圧力を、10℃/分の速度で600℃と焼結温度との間で、30MPaに上昇させた。焼結は、1400℃の温度及び30MPaの圧力で30分間行い、焼結を完了させた。焼結後、焼結装置への電力を遮断し、自然冷却を可能にした。アニーリングは1400℃の温度で、酸素含有環境中で8時間行った。密度は、5.002g/cm3であった。
【0263】
別の実施例では、試料116を以下のように作製した。6.5~7.5m2/gの表面積を有する粉末から40mmの酸化イットリウム試料を形成した。焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。約40~約60μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。焼結を、30MPaで1550℃の焼結温度で10分間行った。アニーリングは、空気中で1400~1450℃の温度の炉内で9時間行った。出発酸化イットリウム粉末は、10ppmに相当する99.999%の総純度を有していた。中央粒径は5.82μmであると測定された。酸化イットリウム焼結体は、11ppmの総不純物レベルを有していた。出発粉末の純度は、焼結酸化イットリウム体において維持され、処理中に導入される汚染物質が非常に少ないか全くないことを示した。d10、d50、及びd90粒径は、それぞれ0.7、6.7、及び25.4μmと測定された。
【0264】
別の実施例では、試料224を以下のように作製した。5~6m2/gの表面積及び99.9992%の粉末純度に相当する平均8ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、100mmの酸化イットリウム焼結体を形成した。焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。約30~約60μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。圧力を20MPaで約5分間予め加え、50ミリトールの真空を確立した。その後、圧力を5MPaまで低下させ、10℃/分の速度で600℃まで加熱した。20MPaの圧力に達するように熱及び圧力を同時に加え、10℃/分の速度で1400℃)まで温度を加えた。焼結は、1400℃の温度及び20MPaの圧力で30分間行い、焼結を完了させた。焼結後、焼結装置への電力を遮断し、自然冷却を可能にした。酸化イットリウム焼結体は、それぞれ0.4、0.7、及び1.2μmのd10、d50及びd90粒径を有していた。
【0265】
別の実施例では、試料189-1を以下のように作製した。99.9975%の粉末純度に相当する、4.2m2/gの表面積及び24.8ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、100mmの酸化イットリウム焼結体を形成した。焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。約30~約60μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。圧力を予め加えることは多段階プロセスで行い、真空下で20MPaの圧力を予め加えた。その後、5MPaを加えると同時に、10℃/分の速度で室温から600℃まで熱を加えた。圧力を、10℃/分の速度で600℃と焼結温度との間で、30MPaに上昇させた。焼結は、1400℃の温度及び30MPaの圧力で30分間行い、焼結を完了させた。焼結後、焼結装置への電力を遮断し、自然冷却を可能にした。アニーリングは1400℃の温度で、酸素含有環境中で8時間行った。得られた酸化イットリウム焼結体の不純物濃度は36ppm、純度は99.996%であった。アニーリング及び焼結された酸化イットリウム本体の密度は5.006g/cm3であり、0.7ミクロンの最大細孔径を有していた。本明細書に開示される2工程CF4/O2エッチングプロセスの後、0.82μmの平均段差、0.57nm/分の平均エッチング速度、及び270,000μm3のエッチング体積が得られた。
【0266】
別の実施例では、試料045を以下のように作製した。99.9974%の粉末純度に相当する、9~10m2/gの表面積及び26ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、100mmの酸化イットリウム焼結体を形成した。焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。約30~約60μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。圧力を予め加えることは、本明細書に開示されるように真空下で20MPaの圧力が予め加えられる多段階プロセスで実行された。その後、5MPaを加えると同時に、10℃/分の速度で室温から600℃まで加熱した。圧力を、10℃/分の速度で600℃と焼結温度との間で、30MPaに上昇させた。焼結は、1400℃の温度及び30MPaの圧力で30分間行い、焼結を完了させた。焼結後、焼結装置への電力を遮断し、自然冷却を可能にした。アルキメデス法による平均密度を測定したところ、5.021g/cm3であった。アニーリングは1400℃の温度で、酸素含有環境中で8時間行った。アルキメデス法によるアニーリング後の平均密度を測定したところ、5.010g/cm3であった。
【0267】
別の例では、試料200-1を以下のように作製した。4~5m2/gの表面積及び99.9991%の粉末純度に相当する9.5ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、150mmの酸化イットリウム焼結体を形成した。焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。約30~約60μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。圧力を20MPaで約5分間予め加えた。その後、圧力を5MPaまで低下させ、25℃/分の速度で600℃まで加熱した。熱及び圧力を同時に加え、25℃/分の加熱速度及び5MPa/分の加圧速度で、1000℃及び20MPaまで行った。1000℃から焼結温度まで10℃/分の速度で加熱する。焼結は、1400℃の温度及び20MPaの圧力で30分間行い、焼結を完了させた。焼結後、焼結装置への電力を遮断し、自然冷却を可能にした。アニーリングは1400℃の温度で、酸素含有環境中で8時間行った。アニーリング及び焼結された酸化イットリウム本体の密度は4.945g/cm3であり、1.4ミクロンの最大細孔径を有していた。本明細書に開示される2工程CF4/O2エッチングプロセスの後、0.2μmの平均段差、0.14nm/分の平均エッチング速度、及び60,000μm3のエッチング体積が得られた。本明細書に開示される酸素エッチングプロセスの後、0.1μmの平均段差、0.07nm/分の平均エッチング速度、及び30,000μm3のエッチング体積が得られた。本明細書に開示されるSF6エッチングプロセスの後、0.27μmの平均段差、0.19nm/分の平均エッチング速度、及び80,000μm3のエッチング体積が得られた。
【0268】
別の実施例では、試料212-1を以下のように作製した。99.9992%の粉末純度に相当する、5.6m2/gの表面積及び8.1ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、100mmの酸化イットリウム焼結体を形成した。焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。約30~約60μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。圧力を20MPaで約5分間予め加え、50ミリトールの真空を確立した。その後、圧力を5MPaまで低下させ、50℃/分の速度で600℃まで加熱した。10MPa/分の加圧速度及び25℃/分の速度で、30MPa及び1450℃)まで熱及び圧力を同時に加えた。焼結は、1450℃の温度及び30MPaの圧力で30分間行い、焼結を完了させた。焼結後、焼結装置への電力を遮断し、自然冷却を可能にした。アニーリングは1400℃の温度で、酸素含有環境中で8時間行った。アニーリング及び焼結された酸化イットリウム本体の密度は5.022g/cm3であり、1.0ミクロンの最大細孔径を有していた。焼結酸化イットリウム体は、99.9994%の純度に相当する6ppmの総平均不純物を有していた。本明細書に開示される2工程CF4/O2エッチングプロセスの後、1.1μmの平均段差、0.77nm/分の平均エッチング速度、及び358,000μm3のエッチング体積が得られた。
【0269】
別の実施例では、試料314を以下のように作製した。2~3m2/gの表面積及び99.9975%の粉末純度に相当する24.8ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、406mmの最長寸法を有する酸化イットリウム焼結体を形成した。焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。約30~約70μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。圧力を5MPaで予め加え、温度を室温から10℃/分で800℃まで上昇させた。熱及び圧力を同時に加えて、圧力を20MPaまで上昇させ、10℃/分の加熱速度で800℃から1000℃まで上昇させた。圧力を、10℃/分の昇温速度で1000℃から焼結温度まで20MPaに維持した。焼結は、1450℃の温度及び20MPaの圧力で60分間の焼結時間で行った。加熱及び加圧は、焼結時間後に終了し、自然冷却が行われた。焼結酸化イットリウム本体を、酸素含有環境において、0.8℃/分の加熱及び冷却速度を用いて、1400℃で8時間アニーリングした。アニーリング及び焼結された酸化イットリウム体の平均密度は4.935g/cm3であり、最長寸法にわたる密度範囲は4.898~4.970g/cm3であった。
【0270】
別の実施例では、試料457を以下のように作製した。5~6m2/gの表面積及び99.9983%の粉末純度に相当する17ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、406mmの最長寸法を有する酸化イットリウム焼結体を形成した。粉末のか焼は、5~6m2/gの表面積を用いて600℃で8時間行った。焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。約30~約70μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。圧力を5MPaで予め加え、温度を室温から10℃/分で600℃まで上昇させた。熱及び圧力を同時に加えて、圧力を30MPaまで上昇させ、5℃/分の加熱速度で600℃から1000℃まで上昇させた。圧力を、5℃/分の昇温速度で1000℃から焼結温度まで30MPaに維持した。焼結は、1475℃の温度及び30MPaの圧力で60分間の焼結時間で行った。焼結時間後に圧力を除去した。50%の送風機出力で約4時間、強制対流を用いて冷却を行った。約25%~100%の様々な送風機出力レベルを使用する冷却は、2.5℃/分~5℃/分の強制対流冷却速度を可能にする。焼結は、1475℃の温度及び30MPaの圧力で60分間行った。焼結酸化イットリウム体を、酸素含有環境において、0.8℃/分の加熱速度及び2℃/分の冷却速度を使用して、1400℃で4時間アニーリングした。アニーリング及び焼結された酸化イットリウム体の平均密度は4.985g/cm3であり、最長寸法にわたる密度範囲は4.980~4.989g/cm3であった。最大細孔径は1.4μmであると測定され、開示されるようなCF4/O2エッチングプロセス後に18nmのSa値及び1178×10-5のSdr値が測定された。この試料について、0.65μmの平均粒径が、ラインインターセプト法を用いて測定された。
【0271】
別の実施例では、試料353を以下のように作製した。6.5~7.5m2/gの表面積及び99.9989%の粉末純度に相当する平均11ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、406mmの最長寸法を有する酸化イットリウム焼結体を形成した。粉末は、既知の方法に従って、か焼の前及び/又は後に、ブレンド、タンブリング、篩い分けなどされてもよい。粉末のか焼は1000℃で24時間行い、表面積は1.5~2.5m2/gであった。焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。約30~約70μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。圧力を5MPaで予め加え、温度を室温から10℃/分で800℃まで上昇させた。熱及び圧力を同時に加えて、圧力を30MPaまで上昇させ、10℃/分の加熱速度で800℃から1000℃まで上昇させた。圧力を、10℃/分の昇温速度で1000℃から焼結温度まで30MPaに維持した。焼結は、1475℃の温度及び30MPaの圧力で60分間の焼結時間で行った。加熱及び加圧は、焼結時間後に終了し、自然冷却が行われた。酸化イットリウム焼結体を、酸素含有環境において、0.8℃/分の加熱速度及び0.8℃/分の受動的冷却速度で、1400℃で0分間アニーリングした(等温アニーリング期間なし)。アニーリング及び焼結された酸化イットリウム体の平均密度は、4.981g/cm3であった。
【0272】
別の実施例では、試料414を以下のように作製した。6.5~7.5m2/gの表面積及び99.9989%の粉末純度に相当する平均11ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、406mmの最長寸法を有する酸化イットリウム焼結体を形成した。粉末のか焼を500℃で48時間行い、表面積は6.5~7.5m2/gであった。焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。約30~約70μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。圧力を5MPaで予め加え、温度を室温から10℃/分で800℃まで上昇させた。熱及び圧力を同時に加えて、圧力を30MPaまで上昇させ、10℃/分の加熱速度で800℃から1000℃まで上昇させた。圧力を、10℃/分の加熱速度で1000℃から焼結温度まで30MPaに維持した。焼結は、1400℃の温度及び30MPaの圧力で60分間の焼結時間で行った。加熱及び加圧は、焼結期間後に終了し、自然/受動冷却が行われた。アニーリング及び焼結された酸化イットリウム体の平均密度は、4.985g/cm3であった。
【0273】
更に別の実施例では、試料476を以下のように作製した。約2m2/gの表面積及び99.9995%の粉末純度に相当する5~6ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、406mmの最長寸法を有する酸化イットリウム焼結体を形成した。粉砕媒体を使用せずに焼結する前に、粉末を24時間タンブリングした。焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。約30~約70μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。圧力を5MPaで予め加え、温度を室温から10℃/分で600℃まで上昇させた。熱及び圧力を同時に加えて、圧力を30MPaまで上昇させ、5℃/分の加熱速度で600℃から1000℃まで上昇させた。圧力を、5℃/分の昇温速度で1000℃から焼結温度まで30MPaに維持した。焼結は、1475℃の温度及び30MPaの圧力で60分間の焼結時間で行った。焼結時間後に圧力を除去した。50%の送風機出力で強制対流を用いて冷却を行った。様々な送風機出力レベルを使用する冷却は、2.5℃/分~5℃/分の強制対流冷却速度を可能にする。焼結酸化イットリウム体を、酸素含有環境において、1℃/分の加熱速度及び2℃/分の冷却速度を使用して、1400℃で4時間アニーリングした。アニーリング及び焼結された酸化イットリウム体の平均密度は4.953g/cm3であり、最長寸法にわたる密度範囲は4.891~5.014g/cm3であった。
【0274】
一連の実施例において、試料084及び084-1、085及び085-1、086及び086-1、087及び087-1、095及び096は、以下のように作製された:100mmの酸化イットリウム焼結体が、6.5~7.5m2/gの表面積及び平均11ppmの総不純物を有し、99.9989%の粉末純度を提供する粉末から調製された。粉末は、800℃で8時間焼結する前にか焼され、5~6.5m2/gの表面積を有していた。焼結装置のダイは、本明細書に開示される特性を有するグラファイトホイルで裏打ちされ、ダイ並びに上部及び下部パンチの各々は、本明細書に開示されるグラファイト材料を含んでいた。約30~約60μmの間隙幅を有するスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に粉末を配置し、それによって間隙は、少なくとも1つのホイルの内向き表面と焼結装置の上部パンチ及び下部パンチの各々の外壁との間に構成される。試料084-1、085-1、086-1、087-1、095、及び096は、酸素環境において5℃/分の上昇速度で、1400℃で8時間アニーリングされた。密度及びプロセス条件は、本明細書の対応する密度及び焼結/アニーリング表に開示されている通りである。
【0275】
表11~14は、本開示のプロセスに従って調製された試料のプロセス条件及び得られた密度を要約する。
【0276】
【0277】
【0278】
【0279】
【0280】
【0281】
表15及び16は、本明細書に開示されるプロセスに従って作製された出発粉末及び焼結酸化イットリウム試料について測定された純度を要約する。
【0282】
【0283】
【0284】
表16は、粉末から焼結酸化イットリウム体への本明細書に開示されるプロセス中の純度の維持を示す。
【0285】
【0286】
表17~19は、石英(TSC03)、市販の酸化イットリウム部品(107、108、118)、及び本開示に従って調製された焼結酸化イットリウム試料に対する異なるプロセスガスのエッチング結果を、処理条件を含めて示す。CF4/O2エッチングは2段階プロセスで行った。工程1は、圧力10ミリトール、CF4流量90sccm、O2流30sccm、アルゴン流量20sccmの、バイアス電圧600V、電力2000Wで、1500秒間行った。工程2は、圧力10ミリトール、CF4流量0sccm、O2流量100sccm、アルゴン流量20sccm、バイアス電圧600V、電力2000Wで、300秒間行った。第1の工程のCF4暴露時間が24時間になるまで、第1の工程と第2の工程を順次繰り返した。O2エッチング条件は、圧力25ミリトール、CF4/SF6流量0sccm、O2流量100sccm、Ar流量20sccm、バイアス電圧600V、合計6時間、電力2000Wとし、SF6エッチング条件は、圧力25ミリトール、SF6流量100sccm、02流量0sccm、Ar流量50sccm、バイアス電圧300V、合計24時間、電力2000Wとした。結果は、本開示に従って作製された酸化イットリウム焼結体の優れた耐食性を示す。
【0287】
本開発に従って調製された酸化イットリウム焼結体は、好ましくは、開示されるCF4/O2エッチングプロセスについて0.2~0.98μm、本明細書に開示されるSF6エッチングプロセスについて0.27~0.44μm、本明細書に開示されるO2エッチングプロセスについて0.1~0.13μmの段差を示す。
【0288】
本開発に従って調製された酸化イットリウム焼結体は、好ましくは、開示されるCF4/O2エッチングプロセスについて0.6×105~3.4×105μm3のエッチング体積、本明細書に開示されるSF6エッチングプロセスについて0.8×105~1.4×105μm3のエッチング体積、及び本明細書に開示されるO2エッチングプロセスについて0.28~0.39μm3を示す。
【0289】
本開発に従って調製された酸化イットリウム焼結体は、好ましくは、開示されるCF4/O2エッチングプロセスについて0.14~0.68nm/分、本明細書に開示されるSF6エッチングプロセスについて0.19~0.310nm/分、本明細書に開示されるO2エッチングプロセスについて0.07~0.09nm/分のエッチング速度を示す。
【0290】
【0291】
【0292】
【0293】
【0294】
粒界
粒界の組成及び特性は、エッチング及び浸食性能に関連し得る。M.Watanabe及びD.B.Williams(J.Microsc.221(2006)89-109)に報告されているように、粒界特性は、
【数2】
因子定量化によって計算することができる。EDS(エネルギー分散型X線分光法)スペクトルは、
図12に示されるように、粒界及び両方の隣接する粒子上の選択された領域から取得され、粒界とバルク粒子との間の元素組成の差は、原子/nm
2での過剰被覆率として報告される(V.J.Keast,D.B.Williams,J.Microsc.199(2000)45--55)。剰被覆率についての正の数は、粒界がバルク粒子に対して特定の元素のより高い濃度を有することを示し、対応して負の数は、元素が粒界よりもバルク粒子に対してより高い濃度を有することを示す。
【0295】
市販の酸化イットリウム試料である比較試料107を、その粒界組成及び過剰被覆率に関して分析した。
図13は、試料107についてのいくつかの粒界にわたる原子/nm2単位の過剰被覆率の結果を示す。シリカは粒界に隣接粒子に対して約8~10原子/nm2過剰に存在していた。
【0296】
試料152と共通の粉末供給業者から形成された試料114を、その粒界組成及び過剰被覆率に関して分析した。
図14は、原子/nm2単位の過剰被覆率の結果を示す。シリカは、バルク粒子組成物に対して約2~約4原子/nm2の量で粒界に存在した。他の全ての元素は、シリカの被覆量よりも少ない過剰被覆量で存在した。試料152に対応する試料114の粒界に存在する酸化イットリウム以外の元素のこれらの低いレベルは、様々なプロセスガスにわたって表17、18、及び19に報告されるような好ましいエッチング結果を提供し得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結セラミック体を作製する方法であって、以下のプロセス工程:
a.少なくとも1種のセラミック粉末をスパーク放電プラズマ焼結ツールの内部容積内に配置する工程であって、前記スパーク放電プラズマ焼結ツールが、内壁及び外壁を含む側壁を含むダイであって、前記内壁が前記内部容積を画定する直径を有する、ダイと、
前記ダイと動作可能に連結された上部パンチ及び下部パンチであって、前記上部パンチ及び前記下部パンチの各々が、前記ダイの前記内壁の直径よりも小さい直径を画定する外壁を有し、それによって、前記上部パンチ及び前記下部パンチの少なくとも一方が前記ダイの前記内部容積内で移動させられるときに、前記上部パンチ及び前記下部パンチの各々と前記ダイの前記内壁との間に間隙を生成し、前記焼結ツールが中心軸を有し、前記間隙が10μm~100μmの幅である、上部パンチ及び下部パンチと、を備える、工程と、
b.前記内部容積内に真空状態を生成する工程と、
c.前記セラミック粉末を焼結温度に加熱し、前記セラミック粉末を焼結して前記焼結セラミック体を形成しながら、前記上部パンチ及び前記下部パンチのうちの少なくとも一方を移動させて前記セラミック粉末に圧力を加える工程と、
d.前記焼結セラミック体の温度を低下させる工程と、を含み、
前記少なくとも1種のセラミック粉末が、ASTMC1274に従って測定される1~18m
2/gの比表面積を有
し、かつ、前記ダイの内径が100mm以上である、方法。
【請求項2】
前記ダイの前記内壁が、少なくとも1つの伝導性ホイルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種のセラミック粉末が、約1×10
-5オームセンチ~約1×10
+10オームセンチの抵抗率を有し、前記少なくとも1種のセラミック粉末が、炭化タングステン、炭化クロム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化モリブデン、炭化タンタル、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ホウ化モリブデン、ホウ化クロム、ホウ化ハフニウム、ホウ化ジルコニウム、ホウ化タンタル、ホウ化チタン又は二ホウ化チタン、及び窒化チタン、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項
1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記間隙が、10μm~70μm、20μm~70μm、30μm~70μm、40μm~70μm、50μm~70μm、60μm~70μm、10~60μm、10~50
μm、10~40μm、10~30μm、20μm~60μm、20μm~50μm、30μm~60μm、及び30μm~50μmからなる群から選択される幅を有する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記間隙が、前記中心軸を中心に軸対称である
か、又は、前記中心軸を中心に非対称である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種のセラミック粉末が、1~16m
2/g、1~14m
2/g、1~10m
2/g、1~8m
2/g、1~6m
2/g、2~18m
2/g、4~18m
2/g、6~18m
2/g、8~18m
2/g、10~18m
2/g、4~12m
2/g、4~10m
2/g、及び6~8m
2/gからなる群から選択される比表面積(SSA)を有する、請求項1~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、以下の任意選択の工程、
e.熱を加えて前記焼結セラミック体の温度を上昇させてアニーリング温度に到達させることによって、前記焼結セラミック体をアニーリングする工程と、
f.前記焼結及びアニーリングされたセラミック体の温度を周囲温度まで低下させる工程と、
g.前記アニーリングされた焼結セラミック体を、フォーカスリング、窓、ノズル、ガス注入器、シャワーヘッド、ガス分配プレート、遠隔プラズマアダプタ、エッチングチャンバライナー、プラズマ源アダプタ、ガス入口アダプタ、ディフューザ、電子ウェハチャック、チャック、パック、混合マニホールド、イオンサプレッサ要素、フェースプレート、アイソレータ、スペーサ、及び保護リングからなる群から選択される1つに機械加工する工程と、を更に含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程cの最中、焼結装置のツールセットによって画定される前記内部容積内に配置された前記少なくとも1種のセラミック粉末にわたるセンチメートル当たりの温度差が、0.15~5℃/cmである、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程cの最中、焼結装置のツールセットによって画定される前記内部容積内に配置された前記少なくとも1種のセラミック粉末にわたる温度差が、1~100℃である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1種のセラミック粉末が、0.8~100μm、0.8~80μm、0.8~60μm、0.8~40μm、0.8~30μm、0.8~20μm、0.8~10μm、0.8~5μm、1~100μm、3~100μm、5~100μm、10~100μm、20~100μm、
~40μm、及び5~30μmからなる群から選択されるd50粒径を有する、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種のセラミック粉末が、20体積%~60体積%、30体積%~60体積%、40体積%~60体積%、20体積%~50体積%、20体積%~40体積%、30体積%~50体積%、40体積%~55体積%、及び45体積%~55体積%からなる群から選択される充填密度を有する粉末成形体を含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
非パルス連続直流を使用する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
100~622mm、200~622mm、250~622mm、300~622mm、350~622mm、400~622mm、550~622mm、500~622mm、及び550~622mmからなる群から選択される最大寸法を有する焼結セラミック体であって、密度が前記焼結セラミック体を形成するセラミックの報告された理論密度の98%以上であり、前記焼結セラミック体は、前記最大寸法に沿って密度が0.5%~4%変動し、密度はASTMB962-17に従って測定される、焼結セラミック体。
【請求項14】
ASTMB962-17に従って実施される密度測定から計算される0.1~2%の体積多孔率を有する、請求項
13に記載の焼結セラミック体。
【請求項15】
3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.25~4.5%、0.25~4%、0.25~3%、0.25~2%、0.25~1%、0.25~0.5%、0.5~3.5%、1~3%、0.5~2%、及び0.5~1%からなる群から選択される、最大寸法に沿って測定される密度偏差を有する、請求項
13に記載の焼結セラミック体。
【国際調査報告】