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特表2023-543760変異体頻度を決定し、疾患進行を監視するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(54)【発明の名称】変異体頻度を決定し、疾患進行を監視するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20231011BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20231011BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALI20231011BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20231011BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALI20231011BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20231011BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231011BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231011BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231011BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20231011BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20231011BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12N15/09 Z ZNA
C12Q1/6844 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6813 Z
C12M1/00 A
A61P35/00
A61K45/00
G01N33/53 M
G01N33/574 Z
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518773
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 US2021051755
(87)【国際公開番号】W WO2022066908
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/082,939
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】517192663
【氏名又は名称】ファウンデーション・メディシン・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フライディン, ジョナサン エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ, マーク アール.
(72)【発明者】
【氏名】アントノプロス, アリッサ
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4C084
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA23
4B029FA15
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
4C084AA17
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
(57)【要約】
被験者由来の試験サンプル中の変異体頻度を決定するための方法、および配列決定リードを変異体を有するまたは有しないと標識するための方法が本明細書に記載される。例示的な方法は、配列決定リードを対応する変異体配列および対応する参照配列にアライメントすることによって参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアを生成すること、ならびに決定されたマッチスコアに基づいて、配列決定リードを変異体を有するまたは有しないとして標識することを含む。疾患の進行を監視する方法および疾患を有する被験者を処置する方法も本明細書に記載される。そのような方法を実装するためのデバイスおよびシステムについてさらに記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者由来の試験サンプル中の遺伝子変異体を検出するかまたは変異体対立遺伝子頻度を決定する方法であって、
被験者からの試験サンプルから取得された複数の核酸分子を提供することと、
1つまたは複数のアダプターを前記複数の核酸分子からの1つまたは複数の核酸分子上にライゲーションすることと、
前記複数の核酸分子から前記1つまたは複数のライゲーションされた核酸分子を増幅することと、
前記増幅された核酸分子から増幅された核酸分子を捕捉することと、
シーケンサーによって、前記捕捉された核酸分子を配列決定して、前記捕捉された核酸分子を表す複数の配列リードを取得することであって、前記複数の配列リードの1つまたは複数が前記サンプル中のサブゲノム区間内で変異体遺伝子座と重複する、取得することと、
1つまたは複数のプロセッサにおいて、参照配列および変異体配列に対応する1つまたは複数の配列決定リードを受信することと、
前記1つまたは複数のプロセッサにおいて、メモリから前記参照配列を受信することと、
前記1つまたは複数のプロセッサにおいて、各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、前記1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することと、
前記1つまたは複数のプロセッサにおいて、前記メモリから前記変異体配列を受信することと、
前記1つまたは複数のプロセッサにおいて、各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、前記1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することと、
前記1つまたは複数のプロセッサにおいて、前記1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアに基づいて、前記遺伝子変異体を有するか、前記遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであるとして標識することと、を含み、
前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアが、配列決定リードが前記対応する参照配列よりも前記対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、前記配列決定リードが前記遺伝子変異体を有すると標識され、
前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアが、前記配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、前記配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、
前記参照マッチスコアと前記変異体マッチスコアとが等しい場合、前記配列決定リードがヌルリードとして標識される、方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数のアダプターが、増幅プライマー、フローセルアダプター配列、基質アダプター配列、またはサンプルインデックス配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記捕捉された核酸分子が、1つまたは複数のベイト分子へのハイブリダイゼーションによって前記増幅された核酸分子から捕捉される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数のベイト分子が、1つまたは複数の核酸分子を含み、各核酸分子が、捕捉された核酸分子の領域に相補的な領域を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
核酸分子を増幅することが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅技術、非PCR増幅技術、または等温増幅技術を実施することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記配列決定が、超並列配列決定(MPS)技術、全ゲノム配列決定(WGS)、全エクソーム配列決定、標的配列決定、直接配列決定、またはサンガー配列決定技術の使用を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記配列決定が超並列配列決定を含み、前記超並列配列決定技術が次世代配列決定(NGS)を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記シーケンサーが、次世代シーケンサーを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
方法であって、
1つまたは複数のプロセッサにおいて、参照配列および変異体配列に対応する試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを受信することと、
前記1つまたは複数のプロセッサにおいて、前記参照配列を受信することと、
前記1つまたは複数のプロセッサにおいて、各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、前記1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することと、
前記1つまたは複数のプロセッサにおいて、前記変異体配列を受信することと、
前記1つまたは複数のプロセッサにおいて、各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、前記1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することと、
前記1つまたは複数のプロセッサにおいて、前記1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアに基づいて、前記遺伝子変異体を有するか、前記遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであるとして標識することと、を含み、
前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアが、配列決定リードが前記対応する参照配列よりも前記対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、前記配列決定リードが前記遺伝子変異体を有すると標識され、
前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアが、前記配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、前記配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、
前記参照マッチスコアと前記変異体マッチスコアとが等しい場合、前記配列決定リードがヌルリードとして標識される、方法。
【請求項10】
前記遺伝子変異体を有すると標識された各配列決定リードおよび/または前記変異体を有しないと標識された各配列決定リードに関連する標識を前記メモリに記憶することを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つまたは複数のプロセッサを使用して、前記標識された1つまたは複数の配列決定リードに基づいて前記試験サンプル中の前記遺伝子変異体の存在または非存在を呼び出すことと、前記遺伝子変異体の呼び出しを前記メモリに記憶することと、をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記1つまたは複数のプロセッサを使用して、前記標識された1つまたは複数の配列決定リードに基づいて、前記試験サンプル中の前記遺伝子変異体の前記変異体対立遺伝子頻度を決定することと、前記変異体対立遺伝子頻度を前記メモリに記憶することと、をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記1つまたは複数のプロセッサを使用して、
前記1つまたは複数のプロセッサを使用して、前記メモリに記憶された変異体パネルから前記遺伝子変異体を選択することと、
前記1つまたは複数のプロセッサを使用して、前記参照配列または前記変異体配列を生成することと、
前記参照配列または前記変異体配列を前記メモリに記憶することと、を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記1つまたは複数の配列決定リードが、前記変異体遺伝子座と重複する複数の配列決定リードを含み、前記方法が、前記1つまたは複数のプロセッサを使用して、前記遺伝子変異体を有する前記複数の配列決定リードからのいくつかの配列決定リードまたは前記遺伝子変異体を有しない前記複数の配列決定リードからのいくつかの配列決定リードを決定することをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記1つまたは複数のプロセッサを使用して、変異体パネルから選択される異なる変異体遺伝子座における複数の遺伝子変異体について前記試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを標識することを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記1つまたは複数のプロセッサを使用して、前記被験者の疾患状態を決定することを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記1つまたは複数のプロセッサを使用して、(1)前記被験者の識別情報、および(2)前記遺伝子変異体の有無の呼び出しまたは前記変異体対立遺伝子頻度の呼び出しを含むレポートを生成することを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記レポートを第2の電子デバイスへ送信することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記レポートが、コンピュータネットワークまたはピアツーピア接続を介して送信される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
被験者由来の試験サンプル中の遺伝子変異体を検出するかまたは変異体対立遺伝子頻度を決定する方法であって、
変異体パネルから変異体遺伝子座における前記遺伝子変異体を選択することと、
前記変異体遺伝子座と重複する前記試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを取得することと、
各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、前記1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することであって、前記対応する参照配列が前記遺伝子変異体を含まない、生成することと、
各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、前記1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することであって、前記対応する変異体配列が前記遺伝子変異体を含む、生成することと、
前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアに基づいて、標識された配列決定リードを生成するために、前記1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、前記遺伝子変異体を有するか、前記遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであるとして標識することと、を含み、
前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアが、配列決定リードが前記対応する参照配列よりも前記対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、前記配列決定リードが前記遺伝子変異体を有すると標識され、
前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアが、前記配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、前記配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、
前記参照マッチスコアと前記変異体マッチスコアとが等しい場合、前記配列決定リードがヌルリードとして標識される、方法。
【請求項21】
前記標識された1つまたは複数の配列決定リードに基づいて、前記試験サンプル中の前記遺伝子変異体の存在を呼び出すことをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記標識された1つまたは複数の配列決定リードに基づいて、前記試験サンプル中の前記遺伝子変異体の存在または非存在を呼び出すことをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記対応する参照配列または前記対応する変異体配列を生成することを含む、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記1つまたは複数の配列決定リードが、前記変異体遺伝子座と重複する複数の配列決定リードを含み、前記方法が、前記遺伝子変異体を有する前記複数の配列決定リードからの配列決定リードの数または前記遺伝子変異体を有しない前記複数の配列決定リードからの配列決定リードの数を決定することをさらに含む、請求項20~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記遺伝子変異体を有する配列決定リードの数および前記遺伝子変異体を有しない配列決定リードの数を使用して、前記遺伝子変異体についての変異体対立遺伝子頻度を決定することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記変異体パネルから選択される異なる変異体遺伝子座における複数の遺伝子変異体について前記試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを標識することを含む、請求項20~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
(1)前記被験者についての識別情報、および(2)前記遺伝子変異体の有無の呼び出し、または前記遺伝子変異体についての前記変異体対立遺伝子頻度の呼び出しを含むレポートを生成または更新することを含む、請求項20~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記レポートを前記被験者または前記被験者のための医療提供者に送信することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記レポートが、コンピュータネットワークまたはピアツーピア接続を介して送信される、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記被験者の疾患状態を決定することを含む、請求項20~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記疾患状態が、前記試験サンプル中の全無細胞DNA(cfDNA)と比較した循環腫瘍DNA(ctDNA)のパーセンテージに比例する値である、請求項16または30に記載の方法。
【請求項32】
前記疾患状態がcfDNAの最大体細胞対立遺伝子画分である、請求項16または30に記載の方法。
【請求項33】
前記疾患状態が、前記被験者における癌の再発、前記被験者における処置様式に抵抗性の癌の存在、または特定の処置様式によって処置されることができる癌の存在を示す定性的因子を含む、請求項16または30に記載の方法。
【請求項34】
前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアが、配列アライメントアルゴリズムを使用して決定される、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記配列アライメントアルゴリズムが、Smith-Watermanアライメントアルゴリズム、Striped Smith-Watermanアライメントアルゴリズム、またはNeedleman-Wunschアライメントアルゴリズムである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記遺伝子変異体が、単一ヌクレオチド変異体(SNV)、多重ヌクレオチド変異体(MNV)、インデル、または再編成接合を含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記変異体パネルが、前記被験者から取得された以前の試験サンプル中の核酸分子を配列決定し、1つまたは複数の遺伝子変異体を呼び出すことによって決定される、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記被験者が、取得されている前記以前の試験サンプルと取得されている前記試験サンプルとの間で疾患のための介入処置を受けた、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記疾患が癌である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記試験サンプルを使用して決定された前記被験者の疾患状態と前記以前の試験サンプルに基づく前記被験者の以前の疾患状態との間の差に基づいて前記処置を調整することをさらに含む、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記試験サンプル中の核酸分子を配列決定することによって前記1つまたは複数の配列決定リードを生成することを含む、請求項9~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記対応する参照配列および前記対応する変異体配列が、変異体遺伝子座、5’フランキング領域および3’フランキング領域を含む、請求項1~41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
前記5’フランキング領域および前記3’フランキング領域が、それぞれ、約5塩基長から約5000塩基長である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記対応する参照配列および前記対応する変異体配列が、前記遺伝子変異体を除いて同一である、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記検出された遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度を使用して、前記被験者のゲノムプロファイルを生成することを含む、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記被験者の前記ゲノムプロファイルが、包括的ゲノムプロファイリング(CGP)試験、遺伝子発現プロファイリング試験、癌ホットスポットパネル試験、DNAメチル化試験、DNA断片化試験、RNA断片化試験、またはそれらの任意の組み合わせからの結果を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記生成されたゲノムプロファイルに基づいて、抗癌剤を選択すること、抗癌剤を投与すること、または抗癌処置を前記被験者に適用することをさらに含む、請求項45または46に記載の方法。
【請求項48】
前記遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度の検出が、前記被験者における疾患の診断または診断の確認に使用される、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記被験者が、癌を有するか、癌を有するリスクがあるか、癌について日常的に検査されているか、または癌を有する疑いがある、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記癌が固形腫瘍である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記癌が血液癌である、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度の検出に基づいて、前記被験者に投与する抗癌療法を選択することをさらに含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記選択された抗癌療法を前記被験者に投与することをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記選択された抗癌療法が、化学療法、放射線療法、免疫療法、標的療法または外科手術を含む、請求項52または53に記載の方法。
【請求項55】
疾患を診断するための方法であって、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法にしたがって検出された遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度の検出に基づいて、前記被験者を前記疾患を有すると診断することを含む方法。
【請求項56】
請求項1~54のいずれか一項に記載の方法にしたがって検出された遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度の検出に基づいて、疾患処置の臨床試験に適格であるとして患者を同定する方法。
【請求項57】
前記患者を前記臨床試験に登録することをさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記疾患処置を前記患者に投与することをさらに含む、請求項56または57に記載の方法。
【請求項59】
疾患の進行または再発を監視する方法であって、
第1の配列決定リードを生成するために、疾患を有する被験者から取得された第1の試験サンプル中の核酸分子を配列決定することと、
前記被験者についての個別化変異体パネルを生成することと、
第2の配列決定リードを生成するために、第1の試験サンプルよりも遅い時点で被験者から取得された第2の試験サンプル中の核酸分子を配列決定することと、
前記第2の配列決定リードを使用して、前記遺伝子変異体を検出すること、または前記第2の配列決定リードを使用して、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法にしたがって前記変異体対立遺伝子頻度を決定することと、を含む、方法。
【請求項60】
前記第1の試験サンプルが前記被験者から取得された後、および前記第2の試験サンプルが前記被験者から取得される前に、疾患療法を前記被験者に投与することを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記変異体パネルに入力された変異体を有するいくつかの第1の配列決定リードに基づいて第1の疾患状態を生成することと、
前記変異体パネル内からの変異体を有するいくつかの第2の配列決定リードに基づいて第2の疾患状態を生成することと、を含む、請求項59または60に記載の方法。
【請求項62】
前記第1の疾患状態と前記第2の疾患状態とを比較することによって疾患進行を決定することをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記第1の試験サンプルが前記被験者から取得された後、前記第2の試験サンプルが前記被験者から取得される前に、疾患療法を前記被験者に投与することと、
前記決定された疾患進行に基づいて前記疾患療法を調整することと、を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記疾患療法を調節することが、前記疾患進行に応答して、前記疾患療法の投与量を調整すること、または異なる疾患療法を選択することを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記調整された疾患療法を前記被験者に投与することをさらに含む、請求項63または64に記載の方法。
【請求項66】
前記第1のサンプルが、前記被験者が疾患療法を投与される前に前記被験者から取得され、前記第2のサンプルが、前記被験者が前記疾患療法を投与された後に前記被験者から取得される、請求項59~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記疾患療法が、化学療法、放射線療法、免疫療法、標的療法、または外科手術を含む、請求項60~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
疾患を有する被験者を処置する方法であって、
前記被験者から第1の試験サンプルを取得することと、
第1の配列決定リードを生成するために前記第1の試験サンプル中の核酸分子を配列決定することと、
前記第1の配列決定リードを使用して第1の疾患状態を決定することと、
前記被験者についての個別化変異体パネルを生成することと、
前記被験者に疾患療法を投与することと、
前記疾患療法が前記被験者に投与された後に前記被験者から第2の試験サンプルを取得することと、
第2の配列決定リードを生成するために前記第2の試験サンプル中の核酸分子を配列決定することと、
前記第2の配列決定リードを使用して、前記遺伝子変異体を検出すること、または前記第2の配列決定リードを使用して、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法にしたがって前記変異体対立遺伝子頻度を決定することと、
前記第2の配列決定リードに基づいて第2の疾患状態を決定することと、
前記第1の疾患状態と前記第2の疾患状態とを比較することによって疾患進行を決定することと、
前記疾患進行に基づいて被験者に投与される前記疾患療法を調整することと、
前記調整された疾患療法を前記被験者に投与することと、を含む、方法。
【請求項69】
抗癌療法を選択する方法であって、遺伝子変異体を検出すること、または被験者由来の試験サンプル中の変異体対立遺伝子頻度を決定することに応答して、前記被験者に対する抗癌療法を選択することを含み、前記遺伝子変異体が検出されるか、または前記変異体対立遺伝子頻度が請求項1~54のいずれか一項に記載の方法にしたがって決定される、方法。
【請求項70】
被験者の癌を処置する方法であって、遺伝子変異体の検出または前記被験者からの試験サンプル中の変異体対立遺伝子頻度の決定に応答して、有効量の抗癌療法を前記被験者に投与することを含み、前記遺伝子変異体が検出されるか、または前記変異体対立遺伝子頻度が請求項1~54のいずれか一項に記載の方法にしたがって決定される、方法。
【請求項71】
前記遺伝子変異体の前記検出または前記試験サンプル中の前記対立遺伝子頻度の前記決定が、前記被験者の治療決定を行うかまたは示唆する際に使用される、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記被験者に治療を施すかまたは投与する際に使用される前記試験サンプル中の前記遺伝子変異体の前記検出または前記対立遺伝子頻度の前記決定が行われる、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記疾患が癌である、請求項16、30~33、48~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記試験サンプルが、前記被験者からの液体生検サンプルに由来する、請求項1~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記液体生検サンプルが、血液、血漿、脳脊髄液、痰、便、尿または唾液を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記液体生検サンプルが循環腫瘍細胞(CTC)を含む、請求項74または75に記載の方法。
【請求項77】
前記試験サンプルがcfDNAを含む、請求項1~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記試験サンプルが、前記被験者からの固形組織生検サンプルに由来する、請求項1~30および33~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記変異体が体細胞変異である、請求項1~78のいずれか一項記載の方法。
【請求項80】
前記変異体が生殖細胞系列変異である、請求項1~78のいずれか一項記載の方法。
【請求項81】
前記被験者が、癌を有することが疑われるか、または癌を有すると決定される、請求項1~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記被験者から前記試験サンプルを取得することをさらに含む、請求項1~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記試験サンプルが腫瘍核酸分子と非腫瘍核酸分子との混合物を含む、請求項1~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記腫瘍核酸分子が、不均質組織生検サンプルの腫瘍部分に由来し、且つ前記非腫瘍核酸分子が、前記不均質組織生検サンプルの正常部分に由来する、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記サンプルが液体生検サンプルを含み、前記腫瘍核酸分子が前記液体生検サンプルの循環腫瘍DNA(ctDNA)画分に由来し、前記非腫瘍核酸分子が前記液体生検サンプルの非腫瘍無細胞DNA(cfDNA)画分に由来する、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
癌が、B細胞癌、黒色腫、乳癌、肺癌、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳癌、中枢神経系癌、末梢神経系癌、食道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、口腔の癌、咽頭の癌、肝臓癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸癌、虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫、血液組織の癌、腺癌、炎症性筋線維芽細胞腫、消化管間質腫瘍(GIST)、結腸癌、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性障害(MPD)、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、赤血球増加症Vera、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、軟部組織肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ血管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮癌、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体細胞腫、神経膠芽腫、聴神経芽腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝細胞癌、甲状腺癌、胃癌、頭頸部癌、小細胞癌、本態性血小板血症、無形成性骨髄化生、好酸球増加症候群、全身性肥満細胞症、家族性好酸球増加症、慢性好酸球性白血病、神経内分泌癌、またはカルチノイド腫瘍である、請求項33、39、49~51、73、および81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
電子デバイスであって、
1つまたは複数のプロセッサと、
メモリと、
1つまたは複数のプログラムであって、前記1つまたは複数のプログラムが前記メモリに記憶され、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されるように構成され、前記1つまたは複数のプログラムが、
変異体パネルから変異体遺伝子座における遺伝子変異体を選択することと、
前記変異体遺伝子座と重複する試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを取得することと、
各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、前記1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することであって、前記対応する参照配列が前記遺伝子変異体を含まない、生成することと、
各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、前記1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することであって、前記対応する変異体配列が前記遺伝子変異体を含む、生成することと、
前記1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアに基づいて、前記遺伝子変異体を有するか、前記遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであるとして標識することと、を行うための命令を含む、1つまたは複数のプログラムと、を備え、
前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアが、配列決定リードが前記対応する参照配列よりも前記対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、前記配列決定リードが前記遺伝子変異体を有すると標識され、
前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアが、前記配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、前記配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、
前記参照マッチスコアと前記変異体マッチスコアとが等しい場合、前記配列決定リードがヌルリードとして標識される、電子デバイス。
【請求項88】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記標識された1つまたは複数の配列決定リードに基づいて前記試験サンプル中の前記遺伝子変異体の存在を呼び出すための命令をさらに含む、請求項87に記載の電子デバイス。
【請求項89】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記標識された1つまたは複数の配列決定リードに基づいて前記試験サンプル中の前記遺伝子変異体の有無を呼び出すための命令をさらに含む、請求項87に記載の電子デバイス。
【請求項90】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記対応する参照配列または前記対応する変異体配列を生成するための命令をさらに含む、請求項87~89のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項91】
前記1つまたは複数の配列決定リードが、前記変異体遺伝子座と重複する複数の配列決定リードを含み、前記1つまたは複数のプログラムが、前記遺伝子変異体を有する前記複数の配列決定リードからのいくつかの配列決定リードまたは前記遺伝子変異体を有しない前記複数の配列決定リードからのいくつかの配列決定リードを決定するための命令をさらに含む、請求項87~90のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項92】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記遺伝子変異体を有する配列決定リードの数および前記遺伝子変異体を有しない配列決定リードの数を使用して、前記遺伝子変異体についての変異体対立遺伝子頻度を決定するための命令をさらに含む、請求項91に記載の電子デバイス。
【請求項93】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記変異体パネルから選択される異なる変異体遺伝子座における複数の遺伝子変異体について前記試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを標識するための命令をさらに含む、請求項87~92のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項94】
前記1つまたは複数のプログラムが、(1)前記被験者についての識別情報、および(2)前記遺伝子変異体の有無の呼び出し、または前記遺伝子変異体についての前記変異体対立遺伝子頻度の呼び出しを含むレポートを生成または更新するための命令をさらに含む、請求項87~93のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項95】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記レポートを前記被験者または前記被験者のための医療提供者に送信するための命令をさらに含む、請求項94に記載の電子デバイス。
【請求項96】
前記レポートが、コンピュータネットワークまたはピアツーピア接続を介して送信される、請求項94または95に記載の電子デバイス。
【請求項97】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記被験者の疾患状態を決定するための命令をさらに含む、請求項87~96のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項98】
前記疾患状態が、前記試験サンプル中の全無細胞DNA(cfDNA)と比較した循環腫瘍DNA(ctDNA)のパーセンテージに比例する値である、請求項97に記載の電子デバイス。
【請求項99】
前記疾患状態が、cfDNAの最大体細胞対立遺伝子画分である、請求項97に記載の電子デバイス。
【請求項100】
前記疾患状態が、前記被験者における癌の再発、前記被験者における処置様式に抵抗性の癌の存在、または特定の処置様式によって処置されることができる癌の存在を示す定性的因子を含む、請求項97に記載の電子デバイス。
【請求項101】
前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアが、配列アライメントアルゴリズムを使用して決定される、請求項87~100のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項102】
前記配列アライメントアルゴリズムが、Smith-Watermanアライメントアルゴリズム、Striped Smith-Watermanアライメントアルゴリズム、またはNeedleman-Wunschアライメントアルゴリズムである、請求項101に記載の電子デバイス。
【請求項103】
前記遺伝子変異体が、単一ヌクレオチド変異体(SNV)、多重ヌクレオチド変異体(MNV)、インデル、または再編成接合を含む、請求項102に記載の電子デバイス。
【請求項104】
前記変異体パネルが、前記被験者から取得された以前の試験サンプル中の核酸分子を配列決定することによって決定され、前記1つまたは複数のプログラムが、1つまたは複数の遺伝子変異体を呼び出すための命令をさらに含む、請求項87~103のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項105】
前記被験者が、取得されている前記以前の試験サンプルと取得されている前記試験サンプルとの間の疾患のための介入処置を受けた、請求項104に記載の電子デバイス。
【請求項106】
前記疾患が癌である、請求項105に記載の電子デバイス。
【請求項107】
前記1つまたは複数のプログラムが、シーケンサーを操作して、前記試験サンプル中の核酸分子を配列決定することによって前記1つまたは複数の配列決定リードを生成するための命令をさらに含む、請求項87~106のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項108】
前記対応する参照配列および前記対応する変異体配列が、前記変異体遺伝子座、5’フランキング領域、および3’フランキング領域を含む、請求項87~107のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項109】
前記5’フランキング領域および前記3’フランキング領域が、それぞれ、約5塩基長から約5000塩基長である、請求項108に記載の電子デバイス。
【請求項110】
前記対応する参照配列および前記対応する変異体配列が、前記遺伝子変異体を除いて同一である、請求項87~109のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項111】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記検出された遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度を使用して前記被験者のゲノムプロファイルを生成するための命令をさらに含む、請求項87~106のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項112】
前記被験者の前記ゲノムプロファイルが、包括的ゲノムプロファイリング(CGP)試験、遺伝子発現プロファイリング試験、癌ホットスポットパネル試験、DNAメチル化試験、DNA断片化試験、RNA断片化試験、またはそれらの任意の組み合わせからの結果を含む、請求項111に記載の電子デバイス。
【請求項113】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記生成されたゲノムプロファイルに基づいて抗癌剤を選択するための命令をさらに含む、請求項111または112に記載の電子デバイス。
【請求項114】
前記被験者が、癌を有するか、癌を有するリスクがあるか、癌について日常的に検査されているか、または癌を有する疑いがある、請求項87~113のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項115】
前記癌が固形腫瘍である、請求項114に記載の電子デバイス。
【請求項116】
前記癌が血液癌である、請求項114に記載の電子デバイス。
【請求項117】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度の前記検出に基づいて、前記被験者に投与する抗癌療法を選択するための命令をさらに含む、請求項87~116のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項118】
前記選択された抗癌療法が、化学療法、放射線療法、免疫療法、標的療法、または外科手術を含む、請求項117に記載の電子デバイス。
【請求項119】
1つまたは複数のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記1つまたは複数のプログラムが、電子デバイスの1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、電子デバイスに、
変異体パネルから変異体遺伝子座における遺伝子変異体を選択することと、
前記変異体遺伝子座と重複する試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを取得することと、
各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、前記1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することであって、前記対応する参照配列が前記遺伝子変異体を含まない、生成することと、
各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、前記1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することであって、前記対応する変異体配列が前記遺伝子変異体を含む、生成することと、
前記1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアに基づいて、前記遺伝子変異体を有するか、前記遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであるとして標識することと、を行わせる命令を含み、
前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアが、配列決定リードが前記対応する参照配列よりも前記対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、前記配列決定リードが前記遺伝子変異体を有すると標識され、
前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアが、前記配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、前記配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、
前記参照マッチスコアと前記変異体マッチスコアとが等しい場合、前記配列決定リードがヌルリードとして標識される、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項120】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記電子デバイスに、前記標識された1つまたは複数の配列決定リードに基づいて前記試験サンプル中の前記遺伝子変異体の存在を呼び出させる命令をさらに含む、請求項119に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項121】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記電子デバイスに、前記標識された1つまたは複数の配列決定リードに基づいて前記試験サンプル中の前記遺伝子変異体の有無を呼び出させる命令をさらに含む、請求項119に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項122】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記電子デバイスに、前記対応する参照配列または前記対応する変形体配列を生成させる命令をさらに含む、請求項119~121のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項123】
前記1つまたは複数の配列決定リードが、前記変異体遺伝子座と重複する複数の配列決定リードを含み、前記1つまたは複数のプログラムが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記電子デバイスに、前記遺伝子変異体を有する前記複数の配列決定リードからの配列決定リードの数または前記遺伝子変異体を有しない前記複数の配列決定リードからの配列決定リードの数を決定させる命令をさらに含む、請求項119~122に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項124】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記電子デバイスに、前記遺伝子変異体を有する配列決定リードの数および前記遺伝子変異体を有しない配列決定リードの数を使用して、前記遺伝子変異体についての変異体対立遺伝子頻度を決定させる命令をさらに含む、請求項123に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項125】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記電子デバイスに、前記変異体パネルから選択された異なる変異体遺伝子座における複数の遺伝子変異体についての前記試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを標識させる命令をさらに含む、請求項119~124のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項126】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記電子デバイスに、(1)前記被験者についての識別情報、および(2)前記遺伝子変異体の有無の呼び出し、または前記遺伝子変異体についての前記変異体対立遺伝子頻度の呼び出しを含むレポートを生成または更新させる命令をさらに含む、請求項119~125のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項127】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記電子デバイスに、前記患者または前記患者のための医療提供者に前記レポートを送信させる命令をさらに含む、請求項126に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項128】
前記レポートが、コンピュータネットワークまたはピアツーピア接続を介して送信される、請求項126または127に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項129】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記電子デバイスに前記被験者の疾患状態を決定させる命令をさらに含む、請求項119~128のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項130】
前記疾患状態が、前記試験サンプル中の全無細胞DNA(cfDNA)と比較した循環腫瘍DNA(ctDNA)のパーセンテージに比例する値である、請求項129に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項131】
前記疾患状態が、cfDNAの最大体細胞対立遺伝子画分である、請求項129に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項132】
前記疾患状態が、前記被験者における癌の再発、前記被験者における処置様式に抵抗性の癌の存在、または特定の処置様式によって処置されることができる癌の存在を示す定性的因子を含む、請求項129に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項133】
前記参照マッチスコアおよび前記変異体マッチスコアが、配列アライメントアルゴリズムを使用して決定される、請求項119~132のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項134】
前記配列アライメントアルゴリズムが、Smith-Watermanアライメントアルゴリズム、Striped Smith-Watermanアライメントアルゴリズム、またはNeedleman-Wunschアライメントアルゴリズムである、請求項133に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項135】
前記遺伝子変異体が、単一ヌクレオチド変異体(SNV)、多重ヌクレオチド変異体(MNV)、インデル、または再編成接合を含む、請求項134に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項136】
前記変異体パネルが、前記被験者から取得された以前の試験サンプル中の核酸分子を配列決定することによって決定され、前記1つまたは複数のプログラムが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記電子デバイスに、1つまたは複数の遺伝子変異体を呼び出させる命令をさらに含む、請求項119~135のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項137】
前記被験者が、取得されている前記以前の試験サンプルと取得されている前記試験サンプルとの間の疾患のための介入処置を受けた、請求項136に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項138】
前記疾患が癌である、請求項137に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項139】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記電子デバイスに、前記試験サンプル中の核酸分子を配列決定することによって前記1つまたは複数の配列決定リードを生成するためにシーケンサーを動作させる命令をさらに含む、請求項119~138のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項140】
前記対応する参照配列および前記対応する変異体配列が、前記変異体遺伝子座、5’フランキング領域、および3’フランキング領域を含む、請求項119~139のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項141】
前記5’フランキング領域および前記3’フランキング領域が、それぞれ、約5塩基長から約5000塩基長である、請求項140に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項142】
前記対応する参照配列および前記対応する変異体配列が、前記遺伝子変異体を除いて同一である、請求項119~141のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項143】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記電子デバイスに、前記検出された遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度を使用して前記被験者のゲノムプロファイルを生成させる命令をさらに含む、請求項119~142のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項144】
前記被験者の前記ゲノムプロファイルが、包括的ゲノムプロファイリング(CGP)試験、遺伝子発現プロファイリング試験、癌ホットスポットパネル試験、DNAメチル化試験、DNA断片化試験、RNA断片化試験、またはそれらの任意の組み合わせからの結果を含む、請求項143に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項145】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記電子デバイスに、前記生成されたゲノムプロファイルに基づいて抗癌剤を選択させる命令をさらに含む、請求項143または144に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項146】
前記被験者が、癌を有する、癌を有するリスクがある、癌について日常的に検査されている、または癌を有すると疑われる、請求項119~145のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項147】
前記癌が固形腫瘍である、請求項146に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項148】
前記癌が血液癌である、請求項146に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項149】
前記1つまたは複数のプログラムが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記電子デバイスに、前記遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度の検出に基づいて、前記被験者に投与する抗癌療法を選択させる命令をさらに含む、請求項119~148のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項150】
前記選択された抗癌療法が、化学療法、放射線療法、免疫療法、標的療法、または外科手術を含む、請求項145に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月24日に出願された米国仮特許出願第63/082,939号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
変異体を同定するための方法およびシステム、試験サンプル中の変異体頻度を決定するための方法およびシステム、疾患進行(癌進行など)を監視する方法および疾患(癌など)を有する被験者を処置する方法が本明細書に記載される。
【背景技術】
【0003】
ゲノム試験は、癌のより良い理解を発展させ、より効果的な処置アプローチを管理することに向けて大きな有望性を示している。ゲノム試験は、患者の生物学的サンプル(癌細胞または癌細胞の無細胞核酸産物を含有することができる)のゲノムまたはその一部の配列決定、および参照遺伝子配列に対するサンプル中の任意の遺伝子変異体(例えば、腫瘍に関連することができる突然変異)の同定を含む。遺伝子変異体は、例えば、挿入、欠失、置換、再編成、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。特定の患者の癌に見られるこれらの遺伝子変異体(例えば、変異)を同定して理解することはまた、より良い治療法を開発するのに役立ち、ゲノム情報を使用して特定の癌変異体を処置するための最良のアプローチを識別する(または無効なアプローチを除外する)のに役立つことができる。
【0004】
一般に、生物学的サンプルは、その中に含まれるDNAを抽出および単離することを最終目的として、様々な可能な技術を用いて検査室において処理される。その単離されたDNAが配列決定され、患者サンプルからのDNAのデータ構造表現(電子的とすることができる)をもたらす。多くの場合、そのデータ構造表現は、数千またはそれ以上の「リード」の形式である(例えば、数万、数十万、数百万、数千万、または数億リード)。単一のリードは、一般に、患者のDNAの比較的短い(例えば、50~150塩基)部分配列を含む。対照的に、ヒトゲノム全体は、約30億塩基長であり、本出願の目的のための関心部分領域は、数万塩基長とすることができる。
【0005】
癌、クローン造血などの特定の疾患の進行は、患者から採取されたサンプル中の核酸分子間の変異体頻度を決定することによって、患者において監視されることができる。癌の重症度は、一般に、腫瘍ゲノム内の変異体の数またはそれらの変異体がサンプル中に現れる相対頻度と相関する。例えば、無細胞DNAは、一般に、ゲノムDNAと循環腫瘍DNAとの混合物である。癌の重症度が増すにつれて、無細胞DNAの大部分が癌に起因すると考えられる。腫瘍ゲノムを示す変異体の相対頻度を追跡することによって、疾患の進行が監視されることができる。
【0006】
変異体呼び出しパイプラインは、一般に、陽性変異体呼び出しが行われる前に、閾値数の配列決定リードが変異体を有すると同定されることを必要とする。十分な数の配列決定リードを検出することは、多くの場合、かなりの配列決定深さを必要とし、これは、限られた量の疾患関連核酸が可能である場合には不可能であり得る。検出の限界が低く、疾患の進行を追跡するために使用されることができる効率的な変異体呼び出し方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書中には、遺伝子変異体を有するかまたは有しないものとして被験者由来の試験サンプル由来の配列決定リードを標識する方法、および被験者由来の試験サンプル中の変異体頻度を決定する方法が記載される。疾患の進行を監視する方法および疾患を有する被験者を処置する方法も本明細書に記載される。そのような方法を実行するための電子デバイスおよびシステムがさらに記載される。
【0008】
いくつかの実施形態では、被験者由来の試験サンプル中の遺伝子変異体を検出するかまたは変異体対立遺伝子頻度を決定する方法は、(a)変異体パネルからの変異体遺伝子座における遺伝子変異体を選択することと、(b)変異体遺伝子座と重複する試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを取得することと、(c)各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することであって、対応する参照配列が遺伝子変異体を含まない、生成することと、(d)各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することであって、対応する変異体配列が遺伝子変異体を含む、生成することと、(e)参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアに基づいて、標識された配列決定リードを生成するために、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、遺伝子変異体を有するか、遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであると標識することと、を含み、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する参照配列よりも対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有すると標識され、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、配列決定リードが、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが等しい場合、ヌルリードとして標識される。
【0009】
本方法は、被験者からの試験サンプルから取得された核酸分子を配列決定し、それによって1つまたは複数の配列決定リードを生成することを含むことができる。
【0010】
核酸分子の配列決定は、超並列配列決定(MPS)技術(例えば、次世代配列決定(NGS)、全ゲノム配列決定(WGS)、全エクソーム配列決定、標的配列決定、直接配列決定、またはサンガー配列決定技術)の使用を含むことができる。
【0011】
例えば、本方法のいくつかの実装では、被験者由来の試験サンプル中の遺伝子変異体を検出するまたは変異体対立遺伝子頻度を決定する方法は、被験者由来の試験サンプルから取得された複数の核酸分子を提供することと、1つまたは複数のアダプターを複数の核酸分子からの1つまたは複数の核酸分子上にライゲーションすることと、複数の核酸分子から1つまたは複数のライゲーションされた核酸分子を増幅することと、増幅された核酸分子から増幅された核酸分子を捕捉することと、シーケンサーによって、捕捉された核酸分子を配列決定して、捕捉された核酸分子を表す複数の配列リードを取得することであって、複数の配列リードの1つまたは複数がサンプル中のサブゲノム区間内で変異体遺伝子座と重複する、取得することと、1つまたは複数のプロセッサにおいて、参照配列および変異体配列に対応する1つまたは複数の配列決定リードを受信することと、1つまたは複数のプロセッサにおいて、メモリから参照配列を受信することと、1つまたは複数のプロセッサにおいて、各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することと、1つまたは複数のプロセッサにおいて、メモリから変異体配列を受信することと、1つまたは複数のプロセッサにおいて、各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することと、1つまたは複数のプロセッサにおいて、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアに基づいて、遺伝子変異体を有するか、遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであると標識することと、を含み、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する参照配列よりも対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有すると標識され、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、配列決定リードが、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが等しい場合、ヌルリードとして標識される。1つまたは複数のアダプターは、増幅プライマー、フローセルアダプター配列、基質アダプター配列、またはサンプルインデックス配列を含むことができる。捕捉された核酸分子は、1つまたは複数のベイト分子へのハイブリダイゼーションによって増幅された核酸分子から捕捉されることができる。1つまたは複数のベイト分子は、それぞれが捕捉された核酸分子の領域に相補的な領域を含む1つまたは複数の核酸分子を含むことができる。核酸分子を増幅することは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅技術、非PCR増幅技術、または等温増幅技術を行うことを含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、本方法は、標識された1つまたは複数の配列決定リードに基づいて試験サンプル中の遺伝子変異体の存在を呼び出すことをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、対応する参照配列および対応する変異体配列は、変異体遺伝子座、5’フランキング領域および3’フランキング領域を含む。いくつかの実施形態では、5’フランキング領域および3’フランキング領域は、それぞれ、約5塩基長から約5000塩基長である。
【0014】
いくつかの実施形態では、本方法は、対応する参照配列または対応する変異体配列を生成することをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、対応する参照配列および対応する変異体配列は、遺伝子変異体を除いて同一である。
【0016】
いくつかの実施形態では、本方法は、標識された1つまたは複数の配列決定リードに基づいて試験サンプルにおける遺伝子変異体の存在を呼び出すことを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の配列決定リードは、変異体遺伝子座と重複する複数の配列決定リードを含み、本方法は、遺伝子変異体を有する複数の配列決定リードからの配列決定リードの数または遺伝子変異体を有しない複数の配列決定リードからの配列決定リードの数を決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、遺伝子変異体を有する配列決定リードの数および遺伝子変異体を有しない配列決定リードの数を使用して、遺伝子変異体についての変異体対立遺伝子頻度を決定することを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本方法は、変異体パネルから選択される異なる変異体遺伝子座における複数の遺伝子変異体について試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを標識することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、本方法は、被験者についての疾患状態を決定することを含む。いくつかの実施形態では、疾患状態は、試験サンプル中の全無細胞DNA(cfDNA)と比較した循環腫瘍DNA(ctDNA)のパーセンテージに比例する値である。いくつかの実施形態では、疾患状態は、cfDNAの最大体細胞対立遺伝子画分である。いくつかの実施形態では、疾患状態は、被験者における癌の再発、被験者における処置様式に抵抗性の癌の存在、または特定の処置様式で処置されることができる癌の存在を示す定性的因子を含む。
【0019】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、試験サンプルは、被験者からの液体生検サンプルに由来する。例えば、液体生検サンプルは、血液、血漿、脳脊髄液、痰、便、尿、または唾液を含むことができる。いくつかの実装では、液体生検サンプルは、循環腫瘍細胞(CTC)を含む。いくつかの実装では、サンプルは、液体生検サンプルを含み、腫瘍核酸分子は、液体生検サンプルの循環腫瘍DNA(ctDNA)画分に由来し、非腫瘍核酸分子は液体生検サンプルの非腫瘍無細胞DNA(cfDNA)画分に由来する。いくつかの実施形態では、試験サンプルは、cfDNAを含む。いくつかの実装では、試験サンプルは、腫瘍核酸分子と非腫瘍核酸分子との混合物を含む。いくつかの実装では、腫瘍核酸分子は、不均質組織生検サンプルの腫瘍部分に由来し、且つ非腫瘍核酸分子は、不均質組織生検サンプルの正常部分に由来する。記載される方法のいくつかの実施形態では、試験サンプルは、被験者からの固形組織生検サンプルに由来する。任意に、本方法は、被験者から試験サンプルを取得することをさらに含むことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアは、配列アライメントアルゴリズムを使用して決定される。いくつかの実施形態では、配列アライメントアルゴリズムは、Smith-Watermanアライメントアルゴリズム、Striped Smith-Watermanアライメントアルゴリズム、またはNeedleman-Wunschアライメントアルゴリズムである。
【0021】
いくつかの実施形態では、遺伝子変異体は、単一ヌクレオチド変異体(SNV)、多重ヌクレオチド変異体(MNV)、インデル、または再編成接合を含む。いくつかの実施形態では、変異体パネルは、被験者から取得された以前の試験サンプル中の核酸分子を配列決定し、1つまたは複数の遺伝子変異体を呼び出すことによって決定される。いくつかの実施形態では、被験者は、取得される以前の試験サンプルと取得される試験サンプルとの間で疾患についての介入処置を受けた。
【0022】
いくつかの実施形態では、疾患は癌である。いくつかの実施形態では、癌は、B細胞癌(多発性骨髄腫)、黒色腫、乳癌、肺癌、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳癌、中枢神経系癌、末梢神経系癌、食道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、口腔の癌、咽頭の癌、肝臓癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸癌、虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫、血液組織の癌、腺癌、炎症性筋線維芽細胞腫、消化管間質腫瘍(GIST)、結腸癌、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性障害(MPD)、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄球性白血病(AML)、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、赤血球増加症Vera、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、軟部組織肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ血管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮癌、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体細胞腫、神経膠芽腫、聴神経芽腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝細胞癌、甲状腺癌、胃癌、頭頸部癌、小細胞癌、本態性血小板血症、無形成性骨髄化生、好酸球増加症候群、全身性肥満細胞症、家族性好酸球増加症、慢性好酸球性白血病、神経内分泌癌、またはカルチノイド腫瘍である。
【0023】
いくつかの実施形態では、本方法は、試験サンプルを使用して決定された被験者の疾患状態と以前の試験サンプルに基づく被験者の以前の疾患状態との間の差に基づいて処置を調整することをさらに含む。疾患療法を調整することは、例えば、疾患の進行に応じて、疾患療法の投与量を調整すること、または異なる疾患療法を選択することを含むことができる。本方法は、調整された疾患療法を被験者に投与することをさらに含むことができる。いくつかの実装では、第1のサンプルは、被験者が疾患療法を投与される前に被験者から取得され、第2のサンプルは、被験者が疾患療法を投与された後に被験者から取得される。疾患療法は、例えば、化学療法、放射線療法、免疫療法、標的療法、または外科手術を含むことができる。
【0024】
本方法のいくつかの実装では、検出された遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度は、選択された疾患処置(例えば、抗癌療法)の臨床試験に被験者を登録するための基礎として使用される。
【0025】
疾患進行を監視する方法であって、疾患を有する被験者から取得された第1の試験サンプル中の核酸分子を配列決定して第1の配列決定リードを生成することと、被験者についての個別化変異体パネルを生成することと、第2の配列決定リードを生成するために、第1の試験サンプルよりも遅い時点で被験者から取得された第2の試験サンプル中の核酸分子を配列決定することと、第2の配列決定リードを使用して、遺伝子変異体を検出すること、または第2の配列決定リードを使用して、上記の方法の1つを使用して変異体対立遺伝子頻度を決定することと、を含む、方法も本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の試験サンプルが被験者から取得された後で、第2の試験サンプルが被験者から取得される前に、疾患療法を被験者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、変異体パネルに入った変異体を有するいくつかの第1の配列決定リードに基づいて第1の疾患状態を生成することと、変異体パネル内からの変異体を有するいくつかの第2の配列決定リードに基づいて第2の疾患状態を生成することと、を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の疾患状態と第2の疾患状態とを比較することによって疾患進行を決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の試験サンプルが被験者から取得された後で、第2の試験サンプルが被験者から取得される前に、疾患療法を被験者に投与することと、決定された疾患進行に基づいて疾患療法を調整することと、を含む。
【0026】
疾患(癌など)を有する被験者を処置する方法であって、被験者から第1の試験サンプルを取得することと、第1の配列決定リードを生成するために第1の試験サンプル中の核酸分子を配列決定することと、第1の配列決定リードを使用して第1の疾患状態を決定することと、被験者についての個別化変異体パネルを生成することと、被験者に疾患療法を投与することと、疾患療法が被験者に投与された後に被験者から第2の試験サンプルを取得することと、第2の配列決定リードを生成するために第2の試験サンプル中の核酸分子を配列決定することと、第2の配列決定リードを使用して、遺伝子変異体を検出すること、または第2の配列決定リードを使用して、上記の方法の1つを使用して変異体対立遺伝子頻度を決定することと、標識された第2の配列決定リードを使用して第2の疾患状態を決定することと、第1の疾患状態と第2の疾患状態とを比較することによって疾患進行を決定することと、疾患進行に基づいて被験者に投与される疾患療法を調整することと、調整された疾患療法を被験者に投与することと、を含む方法も本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、疾患は癌である。
【0027】
上記方法のいくつかの実施形態では、本方法は、(1)被験者についての識別情報、(2)遺伝子変異体の有無の呼び出しまたは遺伝子変異体についての変異体対立遺伝子頻度の呼び出しを含むレポートを生成または更新すること、を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、被験者または被験者のための医療提供者にレポートを送信することを含む。いくつかの実装では、レポートは、コンピュータネットワークまたはピアツーピア接続を介して送信される。
【0028】
被験者由来の試験サンプル中の遺伝子変異体を検出するかまたは変異体対立遺伝子頻度を決定するコンピュータ実装方法であって、1つまたは複数のプロセッサと、遺伝子変異体を含まない参照配列および変異座に遺伝子変異体を含む変異体配列を記憶するメモリと、を備える電子デバイスを備え、1つまたは複数のプロセッサにおいて、参照配列および変異体配列に対応する試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを受信することと、1つまたは複数のプロセッサにおいて、メモリから参照配列を受信することと、1つまたは複数のプロセッサにおいて、各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することと、1つまたは複数のプロセッサにおいて、メモリから変異体配列を受信することと、1つまたは複数のプロセッサにおいて、各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することと、1つまたは複数のプロセッサにおいて、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアに基づいて、遺伝子変異体を有するか、遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであると標識することと、を含み、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する参照配列よりも対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有すると標識され、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、配列決定リードが、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが等しい場合、ヌルリードとして標識される、コンピュータ実装方法も本明細書に記載される。
【0029】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、本方法は、各配列決定リードに関連する標識をメモリに記憶することを含む。
【0030】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、本方法は、1つまたは複数のプロセッサを使用して、標識された1つまたは複数の配列決定リードに基づいて、試験サンプルにおける遺伝子変異体の有無を呼び出すことと、遺伝子変異体の呼び出しをメモリに記憶することと、を含む。
【0031】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、本方法は、1つまたは複数のプロセッサを使用して、標識された1つまたは複数の配列決定リードに基づいて、試験サンプルにおける遺伝子変異体の変異体対立遺伝子頻度を決定することと、変異体対立遺伝子頻度をメモリに記憶することと、を含む。
【0032】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、対応する参照配列および対応する変異体配列は、変異体遺伝子座、5’フランキング領域および3’フランキング領域を含む。いくつかの実施形態では、5’フランキング領域および3’フランキング領域は、それぞれ、約5塩基長から約5000塩基長である。
【0033】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、本方法は、1つまたは複数のプロセッサを使用して、メモリに記憶された変異体パネルから遺伝子変異体を選択することと、1つまたは複数のプロセッサを使用して、参照配列または変異体配列を生成することと、参照配列または変異体配列をメモリに記憶することと、を含む。
【0034】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、対応する参照配列および対応する変異体配列は、遺伝子変異体を除いて同一である。
【0035】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、1つまたは複数の配列決定リードは、変異体遺伝子座と重複する複数の配列決定リードを含み、本方法は、1つまたは複数のプロセッサを使用して、遺伝子変異体を有する複数の配列決定リードからのいくつかの配列決定リードまたは遺伝子変異体を有しない複数の配列決定リードからのいくつかの配列決定リードを決定することをさらに含む。
【0036】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、本方法は、1つまたは複数のプロセッサを使用して、変異体パネルから選択される異なる変異体遺伝子座における複数の遺伝子変異体について試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを標識することを含む。
【0037】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、本方法は、1つまたは複数のプロセッサを使用して、被験者の疾患状態を決定することを含む。いくつかの実施形態では、疾患状態は、試験サンプル中の全無細胞DNA(cfDNA)と比較した循環腫瘍DNA(ctDNA)のパーセンテージに比例する値である。いくつかの実施形態では、疾患状態は、cfDNAの最大体細胞対立遺伝子画分である。いくつかの実施形態では、疾患状態は、被験者における癌の再発、被験者における処置様式に抵抗性の癌の存在、または特定の処置様式で処置されることができる癌の存在を示す定性的因子を含む。
【0038】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、試験サンプルは、cfDNAを含む。
【0039】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアは、配列アライメントアルゴリズムを使用して決定される。いくつかの実施形態では、配列アライメントアルゴリズムは、Smith-Watermanアライメントアルゴリズム、Striped Smith-Watermanアライメントアルゴリズム、またはNeedleman-Wunschアライメントアルゴリズムである。
【0040】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、遺伝子変異体は、単一ヌクレオチド変異体(SNV)、多重ヌクレオチド変異体(MNV)、インデル、または再編成接合を含む。
【0041】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、変異体パネルは、被験者から取得された以前の試験サンプル中の核酸分子を配列決定し、1つまたは複数の遺伝子変異体を呼び出すことによって決定される。いくつかの実施形態では、被験者は、取得される以前の試験サンプルと取得される試験サンプルとの間で疾患についての介入処置を受けた。いくつかの実施形態では、疾患は癌である。
【0042】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、試験サンプルは、被験者からの液体生検サンプルに由来する。コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、試験サンプルは、被験者由来の固形組織生検サンプルに由来する。
【0043】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、本方法は、1つまたは複数のプロセッサを使用して、(1)被験者の識別情報、および(2)遺伝子変異体の有無の呼び出し、または変異体対立遺伝子頻度の呼び出しを含むレポートを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、レポートを第2の電子デバイスに送信することを含む。いくつかの実装形態では、レポートは、コンピュータネットワークまたはピアツーピア接続を介して送信される。
【0044】
上記の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、変異体は、体細胞変異である。
【0045】
上記の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、変異体は、生殖細胞系列変異である。
【0046】
本方法は、標識された1つまたは複数の配列決定リード、または検出された遺伝子変異体もしくは決定された変異体対立遺伝子頻度を使用して、被験者のゲノムプロファイルを生成することをさらに含むことができる。被験者のゲノムプロファイルは、包括的ゲノムプロファイリング(CGP)試験、遺伝子発現プロファイリング試験、癌ホットスポットパネル試験、DNAメチル化試験、DNA断片化試験、RNA断片化試験、またはそれらの任意の組み合わせからの結果を含むことができる。本方法のいくつかの実装では、本方法は、生成されたゲノムプロファイルに基づいて、抗癌剤を選択すること、抗癌剤を投与すること、または抗癌処置を被験者に適用することをさらに含むことができる。本方法のいくつかの実装では、ゲノムプロファイルは、選択された疾患処置(例えば、抗癌療法)のために被験者を臨床試験に登録するための基礎として使用される。
【0047】
本方法のいくつかの実装では、本方法は、遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度の検出に基づいて、被験者に投与する抗癌療法を選択することをさらに含む。例えば、遺伝子変異体の検出または試験サンプル中の対立遺伝子頻度の決定は、被験者に対する提案された処置決定を行う際に使用されることができる。本方法のいくつかの実装では、検出された遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度は、選択された疾患処置(例えば、選択された抗癌療法)の臨床試験に被験者を登録するための基礎として使用される。いくつかの実施形態では、本方法は、選択された抗癌療法を被験者に投与することをさらに含む。例えば、選択された抗癌療法は、化学療法、放射線療法、免疫療法、標的療法、または外科手術を含むことができる。
【0048】
遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度の検出は、被験者における疾患の診断または診断の確認に使用されることができる。したがって、疾患を診断するための方法であって、遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度の検出に基づいて被験者が疾患を有すると診断することを含むことができる方法であって、遺伝子変異体または変異体対立遺伝子頻度が上記の方法のいずれかにしたがって決定される、方法も本明細書において提供される。
【0049】
遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度の検出に基づいて、疾患処置の臨床試験に適格であるとして患者を同定する方法であって、検出された遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度が上記の方法のいずれかにしたがって決定される、方法も本明細書において提供される。本方法は、患者を臨床試験に登録することをさらに含むことができる。いくつかの実装では、本方法は、疾患処置を患者に投与することを含むことができる。
【0050】
本明細書に記載される方法のいずれかの被験者は、癌を有することができるか、癌を有するリスクがあり得るか、癌について日常的に検査されることができるか、または癌を有することが疑われることができる。いくつかの実装では、癌は固形腫瘍である。他の実装では、癌は血液癌である。
【0051】
電子デバイスであって、1つまたは複数のプロセッサと、メモリと、1つまたは複数のプログラムと、を備え、1つまたは複数のプログラムが、メモリに記憶され、1つまたは複数のプロセッサによって実行されるように構成され、1つまたは複数のプログラムが、(a)変異体パネルからの変異体遺伝子座における遺伝子変異体を選択することと、(b)変異体遺伝子座と重複する試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを取得することと、(c)各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することであって、対応する参照配列が遺伝子変異体を含まない、生成することと、(d)各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することであって、対応する変異体配列が遺伝子変異体を含む、生成することと、(e)参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアに基づいて、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、遺伝子変異体を有するか、遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであると標識することと、を行うための命令を含み、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する参照配列よりも対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有すると標識され、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、配列決定リードが、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが等しい場合、ヌルリードとして標識される、電子デバイスも本明細書に記載される。
【0052】
本明細書においてさらに記載されるのは、1つまたは複数のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、1つまたは複数のプログラムが、ディスプレイを有する電子デバイスの1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、電子デバイスに、(a)変異体パネルからの変異体遺伝子座における遺伝子変異体を選択することと、(b)変異体遺伝子座と重複する試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを取得することと、(c)各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することであって、対応する参照配列が遺伝子変異体を含まない、生成することと、(d)各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することであって、対応する変異体配列が遺伝子変異体を含む、生成することと、(e)参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアに基づいて、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、遺伝子変異体を有するか、遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであると標識することと、を行わせる命令を含み、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する参照配列よりも対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有すると標識され、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、配列決定リードが、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが等しい場合、ヌルリードとして標識される、非一時的コンピュータ可読記憶媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】配列決定リードを標識するための方法の例示的な実施形態を示している。
【0054】
図2】被験者由来の試験サンプル中の変異体頻度を決定するための例示的な方法を示している。
【0055】
図3】疾患進行を監視するための例示的な方法を示している。
【0056】
図4】被験者由来の試験サンプル中の変異体頻度を決定するための例示的なコンピュータ実装方法を示している。
【0057】
図5A】一実施形態にかかるコンピューティングデバイスの例を示している。
【0058】
図5B】一実施形態にかかるコンピューティングシステムの例を示している。
【0059】
図6A】実施例においてさらに記載されるように、サンプル1のパネルにおける変異体の変異体分布を示している。
【0060】
図6B】実施例においてさらに記載されるように、サンプル2のパネルにおける変異体の変異体分布を示している。
【0061】
図7A】本明細書に記載される例示的な方法を使用して検出された変異体リードの数(y軸)と、標準的な変異呼び出しプロトコルを使用して検出された変異体リードの数(x軸)とのプロットを、実施例において記載されるように、サンプル1について対数スケール(左)および正規化(右)で示している。
【0062】
図7B】変異体遺伝子座(x軸)と重複する配列決定リードの初期プールからの配列決定リードの合計についての各変異体遺伝子座での変異体遺伝子座深さに対する、本明細書に記載される例示的方法を使用して変異体を有するまたは変異体を有しない(すなわち、ヌルリードを除外する)と標識された配列決定リードの合計についての各変異体遺伝子座での変異体遺伝子座深さのプロット(y軸)を、実施例において記載されるように、サンプル1について対数スケール(左)および正規化(右)で示している。
【0063】
図8A】本明細書に記載される例示的な方法を使用して検出された変異体リードの数(y軸)と、標準的な変異呼び出しプロトコルを使用して検出された変異体リードの数(x軸)とのプロットを、実施例において記載されるように、サンプル2について対数スケール(左)および正規化(右)で示している。
【0064】
図8B】変異体遺伝子座(x軸)と重複する配列決定リードの初期プールからの配列決定リードの合計についての各変異体遺伝子座での変異体遺伝子座深さに対する、本明細書に記載される例示的方法を使用して変異体を有するまたは変異体を有しない(すなわち、ヌルリードを除外する)と標識された配列決定リードの合計についての各変異体遺伝子座での変異体遺伝子座深さのプロット(y軸)を、実施例において記載されるように、サンプル2について対数スケール(左)および正規化(右)で示している。
【0065】
図9A】本明細書に記載される別の例示的な方法を使用して検出された変異体リードの数(y軸)と、標準的な変異呼び出しプロトコルを使用して検出された変異体リードの数(x軸)とのプロットを、実施例において記載されるように、サンプル1について対数スケール(左)および正規化(右)で示している。
【0066】
図9B】変異体遺伝子座(x軸)と重複する配列決定リードの初期プールからの配列決定リードの合計についての各変異体遺伝子座での変異体遺伝子座深さに対する、本明細書に記載される別の例示的方法を使用して変異体を有するまたは変異体を有しない(すなわち、ヌルリードを除外する)と標識された配列決定リードの合計についての各変異体遺伝子座での変異体遺伝子座深さのプロット(y軸)を、実施例に記載されるように、サンプル1について対数スケール(左)および正規化(右)で示している。
【0067】
図10A】本明細書に記載される別の例示的な方法を使用して検出された変異体リードの数(y軸)と、標準的な変異呼び出しプロトコルを使用して検出された変異体リードの数(x軸)とのプロットを、実施例において記載されるように、サンプル2について対数スケール(左)および正規化(右)で示す。
【0068】
図10B】変異体遺伝子座(x軸)と重複する配列決定リードの初期プールからの配列決定リードの合計についての各変異体遺伝子座での変異体遺伝子座深さに対する、本明細書に記載される別の例示的方法を使用して変異体を有するまたは変異体を有しない(すなわち、ヌルリードを除外する)と標識された配列決定リードの合計についての各変異体遺伝子座での変異体遺伝子座深さのプロット(y軸)を、実施例に記載されるように、サンプル2について対数スケール(左)および正規化(右)で示している。
【発明を実施するための形態】
【0069】
被験者からの試験サンプル中の変異体対立遺伝子頻度を決定するための方法、または変異体の存在もしくは非存在を検出するための方法、疾患進行を監視するための方法、腫瘍の存在を検出する方法、被験者において免疫レパートリーをプロファイリングするための方法、腫瘍クローン、ウイルス株、または細菌株を同定するための方法、クローン造血を検出するための方法、および疾患進行を監視すること、および疾患進行に基づいて処置療法を調整することを含む、疾患を処置するための方法が本明細書に記載される。変異体対立遺伝子頻度決定または変異体検出は、初期サンプルを使用して被験者に対して確立された個人変異体パネルを利用することができる。個別化変異体パネルは、疾患を示す遺伝子変異体を含む。次いで、変異体パネルが使用されて、被験者からのほとんどの配列決定リードを、変異体配列を有するかまたは有しないかのいずれかとして迅速に標識することができる。次いで、標識された配列決定リードが使用されて、変異体頻度に基づいて疾患状態を決定することができる。
【0070】
被験者を処置するときに臨床決定を行うには、治療医が被験者を評価するために使用される診断ツールに自信を持つ必要がある。被験者の核酸分子の配列決定およびデノボ変異体呼び出しは、疾患を特徴付けるために使用されることができる有用な情報を提供する。しかしながら、核酸配列決定は、一般に、PCR増幅中に導入される突然変異、配列決定中のヌクレオチド検出中に行われるエラー、および配列決定プロセス中に導入されることがある他の異常に起因する実質的なノイズに曝される。このため、多くの配列決定パイプラインは、変異体が確信的に呼び出される前に、同じ変異体を有する閾値数の固有の配列決定リードを必要とする。十分に深い深さでの配列決定はこの障害を克服することができるが、高価であり得て、限られた腫瘍核酸が利用可能である場合(例えば、循環腫瘍(ctDNA)の場合、小さな腫瘍クローンから排出される)には不可能であり得る。さらに、特定の真正変異体が検出されることがあるが、変異体を有する検出された配列決定リードの数が呼び出し閾値を満たさないため、積極的に呼び出されない。しかしながら、本明細書に記載される方法を使用すると、所定の変異体パネルからの変異体を有すると標識された配列決定リードは、事前パネルからの偽陽性変異体呼び出しの可能性がランダムな偶然に起因する可能性が低いため、検出の限界を低下させる。
【0071】
さらに、デノボ変異体呼び出しは、計算コストが高い。本明細書に記載の方法は、所与の変異体の対立遺伝子頻度のより効率的な変異体呼び出しおよびより効率的な測定を生成するための変異体呼び出しプロセスを合理化する。例えば、本明細書に記載の方法は、選択された数の遺伝子座の分析に限定されることができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、被験者由来の試験サンプル中の遺伝子変異体を検出するかまたは変異体対立遺伝子頻度を決定する方法は、(a)変異体パネルからの変異体遺伝子座における遺伝子変異体を選択することと、(b)変異体遺伝子座と重複する試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを取得することと、(c)各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することであって、対応する参照配列が遺伝子変異体を含まない、生成することと、(d)各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することであって、対応する変異体配列が遺伝子変異体を含む、生成することと、(e)参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアに基づいて、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、遺伝子変異体を有するか、遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであると標識することと、を行うための命令を含み、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが参照配列よりも変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有すると標識され、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが変異体配列よりも参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、配列決定リードが、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが等しい場合、ヌルリードとして標識されること、を含む次いで、標識された配列決定リードが使用されて、被験者の疾患状態を決定することができる。
【0073】
変異体対立遺伝子頻度を決定する方法は、疾患の進行を監視するために使用されることができる。例えば、疾患進行を監視する方法は、疾患を有する被験者から取得された第1の試験サンプル中の核酸分子を配列決定して第1の配列決定リードを生成することと、被験者についての個別化変異体パネルを生成することと、第2の配列決定リードを生成するために、第1の試験サンプルよりも遅い時点で被験者から取得された第2の試験サンプル中の核酸分子を配列決定することと、本明細書に記載される方法を使用して第2の配列決定リードを標識することと、を含むことができる。次いで、標識された配列決定リードが使用されて被験者の疾患状態を決定することができ、これを以前に決定された疾患状態(例えば、第1の試験サンプルが被験者から取得された時点での被験者に関連する疾患状態)と比較して疾患進行を監視することができる。
【0074】
疾患状態監視は、例えば、監視された疾患進行に基づいて疾患療法を調整することによって、疾患を有する被験者を処置するためにさらに使用されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、疾患を有する被験者を処置する方法は、被験者から第1の試験サンプルを取得することと、第1の配列決定リードを生成するために第1の試験サンプル中の核酸分子を配列決定することと、被験者についての個別化変異体パネルを生成することと、被験者に疾患療法を投与することと、疾患療法が被験者に投与された後に被験者から第2の試験サンプルを取得することと、第2の配列決定リードを生成するために第2の試験サンプル中の核酸分子を配列決定することと、本明細書に記載される方法を使用して第2の配列決定リードを標識することと、第1の疾患状態と第2の疾患状態とを比較することによって疾患進行を決定することと、疾患進行に基づいて被験者に投与される疾患療法を調整することと、調整された疾患療法を被験者に投与することと、を含むことができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、疾患は癌である。
定義
【0076】
本明細書において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の言及を含む。
【0077】
本明細書における値またはパラメータ「約」への言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする変動を含む(および説明する)。例えば、「約X」という記載は、「X」という記載を含む。
【0078】
「対立遺伝子頻度」および「対立遺伝子画分」という用語は、本明細書では互換的に使用され、ゲノム遺伝子座に対する配列リードの総数に対する特定の対立遺伝子に対応する配列リードの画分を指す。「変異体対立遺伝子頻度」および「変異体対立遺伝子画分」という用語は、本明細書では互換的に使用され、ゲノム遺伝子座の配列リードの総数に対する特定の変異体対立遺伝子に対応する配列リードの画分を指す。
【0079】
「個人」、「患者」、および「被験者」という用語は、同義的に使用され、ヒトなどの動物を指す。
【0080】
「参照」配列は、試験または被験者配列(例えば、配列決定リード)と比較するために使用される任意の配列であり、標準化された参照配列(例えば、Genome Reference ConsortiumからのGRCh38または代替の参照アセンブリなどの標準化された参照アセンブリからの配列)または個別化された参照配列(例えば、被験者の健康な組織からの配列)とすることができる。
【0081】
「サブゲノム区間」は、ゲノムまたはエクソーム配列の一部を指す。サブゲノム区間は、例えば、単一ヌクレオチド位置または2つ以上のヌクレオチド位置(例えば、少なくとも2、5、10、50、100、150または250ヌクレオチド長)とすることができる。サブゲノム区間は、遺伝子全体またはその予め選択された部分(例えば、コード領域(またはその一部)、予め選択されたイントロン(またはその一部)またはエクソン(またはその一部))を含むことができる。
【0082】
「変異体」という用語は、被験者配列と、被験者配列と比較される参照配列との間の任意の配列差を指す。したがって、「変異体」という用語は、健常個人からの配列と集団変異を同定するために使用される参照配列との間の差、または疾患疾患(例えば、腫瘍組織)からの配列と健常組織(すなわち、突然変異)からの配列との間の差を包含する。
【0083】
本明細書に記載される本発明の態様および変形は、態様および変形「からなる」および/または「から本質的になる」を含むことが理解される。
【0084】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値、およびその状態範囲内の任意の他の記載値または介在値は、本開示の範囲内に含まれることを理解されたい。記載された範囲が上限または下限を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかを除外した範囲も本開示に含まれる。
【0085】
本明細書に記載される分析方法のいくつかは、配列を参照配列にマッピングすること、配列情報を決定すること、および/または配列情報を分析することを含む。相補配列が容易に決定および/または分析されることができ、本明細書において提供される説明は、相補配列に関して行われる分析方法を包含することが当該技術分野において十分に理解されている。
【0086】
本明細書において使用されるセクションの見出しは、編成のみを目的としており、記載された主題を限定するものと解釈されるべきではない。説明は、当業者が本発明を製造および使用することを可能にするために提示され、特許出願およびその要件の文脈で提供される。記載された実施形態に対する様々な変更は、当業者にとって容易に明らかであり、本明細書の一般的な原理は、他の実施形態に適用されてもよい。したがって、本発明は、示された実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に記載された原理および特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
【0087】
図は、様々な実施形態にかかるプロセスを示している。例示的なプロセスでは、いくつかのブロックは、任意に組み合わされ、いくつかのブロックの順序は、任意に変更され、いくつかのブロックは、任意に省略される。いくつかの例では、例示的なプロセスと組み合わせて追加のステップが実行されることができる。したがって、図示されている(および以下により詳細に説明されている)動作は、本質的に例示的なものであり、したがって、限定するものとみなされるべきではない。
【0088】
本明細書で参照される全ての刊行物、特許、および特許出願の開示は、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に援用される。参照により援用される参考文献が本開示と矛盾する限り、本開示が優先するものとする。
変異体パネル
【0089】
本明細書に記載される特定の方法は、1つまたは複数の目的の遺伝子変異体を含む変異体パネルを使用する。遺伝子変異体は、例えば、特定の疾患(例えば、癌または癌クローン)または疾患状態(例えば、転移)に関連する変異体とすることができる。いくつかの実施形態では、変異体パネルは、個別化変異体パネルである。いくつかの実施形態では、変異体パネルは、特定の疾患を有する被験者の集団において検出された変異体に基づく疾患患者集団変異体パネルである。
【0090】
変異体パネルの変形形態は、任意のサイズであってもよい。変異体は、参照配列および変異体配列と関連している。したがって、標的化された変異体が事前に知られている限り、参照配列および変異体配列が容易に構築されることができる。変異体パネル中の変異体は、例えば、1つまたは複数の単一ヌクレオチド変異体(SNV)、1つまたは複数の複数ヌクレオチド変異体(MNV)、再編成接合、および/または1つまたは複数のインデルを含むことができる。MNVは、構築された参照配列または変異体配列を使用して照会される2つ以上のヌクレオチド変異体の連続するヌクレオチド変異体を含むことができる。いくつかの実施形態では、変異体パネルは、1つまたは複数の融合変異体または他の再編成変異体(例えば、反転または欠失事象)を含む。変異体パネルにおける変異体は、参照配列に対する変異体および/または変異体の遺伝子座を含むことができる。ほんの一例として、SNP変異体は、遺伝子座(例えば、遺伝子名および遺伝子内の塩基位置、またはゲノム内の塩基位置)および変異体(例えば、C→G変異)を含むことができる。
【0091】
変異体パネルは、疾患に関連する任意の数の変異体、または実施例1以上、2以上、5以上、10以上、25以上、50以上、100以上、500以上、1000以上、5000以上、10,000以上、20,000以上、50,000以上、または100,000以上、または約1から約10、約10から約25、約25から約100、約100から約500、約500から約1000、約1000から約5000、約5000から約10,000、約10,000から約20,000、約20,000から約50,000、または約50,000から約100,000を含むことができる。
【0092】
変異体パネルまたは被験者変異体は、いくつかの実施形態では、再編成接合を含むことができる。挿入、欠失または逆位生成などの再編成変異体は、参照配列に対して2つの再編成接合(または複雑な再編成ではそれ以上)を生成することができる。接合は、本明細書に記載される方法を使用して、例えば、接合の少なくとも1つを含む変異体配列を使用することによって検出されることができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、変異体パネルは、特定の被験者のために生成された個別化変異体パネルである。被験者についてサンプルが取得されることができ、サンプル内の核酸分子(例えば、DNA、RNA、またはその双方)が配列決定されて配列決定リードを生成する。いくつかの実施形態では、RNA分子は逆転写されて、対応するcDNA分子を形成する。次いで、既知の変異体呼び出し方法が使用されて、生成された配列決定リードから変異体を呼び出すことができる。
【0094】
被験者から取得されるサンプルは、疾患組織に由来する核酸分子、または疾患組織に由来する核酸分子と健康な組織に由来する核酸分子との混合物(または、2つの別々のサンプルが、疾患組織に由来する核酸分子を使用する第1のサンプルおよび健康な組織に由来する第2のサンプルを使用して分析されることができる)を含むことができる。例えば、サンプルは、循環腫瘍DNA(ctDNA、すなわち腫瘍組織に天然に由来するDNA)およびゲノム無細胞DNA(すなわち、健康な組織に天然に由来するcfDNA)を含む無細胞DNA(cfDNA)を含むことができる。cfDNAは配列決定されることができ、(ゲノム無細胞DNAを参照して、または何らかの他の参照ゲノムを参照して)呼び出される腫瘍に関連する変異体、および呼び出される腫瘍変異体の1つまたは複数を変異体パネルに含めることができる。いくつかの実施形態では、サンプルは、病変組織(例えば、固形腫瘍生検サンプルまたは血液腫瘍生検サンプル)または健康な組織を得るための組織生検サンプル(例えば、固形組織サンプルまたは血液学的組織サンプル)に由来することができる。核酸サンプルは、組織サンプルに由来することができ、配列決定リードを生成するために使用されることができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、変異体パネルは、疾患組織(例えば、腫瘍組織)から得られた核酸分子と健康な組織との間の変異体を呼び出すことによって生成される。例えば、変異体は、一致した正常な腫瘍サンプルを使用して呼び出されることができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、変異体パネルは、血漿(例えば、cfDNA)から得られた核酸分子と末梢血単核細胞(PBMC)から得られた核酸分子との間の変異体を呼び出すことによって生成される。
【0097】
いくつかの実施形態では、核酸分子を取得するために使用されるサンプルは、血液、血清、唾液、組織(例えば、固形または血液学的組織)、脳脊髄液、羊水、腹腔液、間質液、または胚組織とすることができる。いくつかの実施形態では、組織は、新鮮組織(すなわち、凍結または保存されていない)である。いくつかの実施形態では、組織は、凍結組織または保存組織(例えば、ホルムアルデヒド固定パラフィン包埋(FFPE)またはパラホルムアルデヒド固定パラフィン包埋(PFPE)組織)である。
【0098】
いくつかの実施形態では、個別化変異体パネルを生成するために使用されるサンプルは、疾患療法の開始前に被験者から取得される。いくつかの実施形態では、個別化変異体パネルを生成するために使用されるサンプルは、疾患療法の開始後に被験者から取得される。
【0099】
個別化変異体パネルは、個別化参照ゲノムもしくは配列(すなわち、被験者の非疾患ゲノム配列)または標準参照ゲノムもしくは配列(すなわち、参照ゲノムまたは1つもしくは複数の他の個人から組み立てられた参照配列、例えば、標準または公的に利用可能な参照配列、例えば、Genome Reference Consortiumのヒトゲノムビルド37(GRCh37)、または他の適切な参照ゲノム)を使用して、疾患を有する被験者に対して生成されることができる。疾患組織に由来する核酸分子間の差異が参照と比較され、変異体を同定することができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、変異体パネル中の変異体は、特定の疾患(特定の癌など)または特定の疾患(特定の癌など)を有する被験者の集団に関連することが知られている1つまたは複数の変異体を含む。例えば、変異体パネルは、文献からキュレートされた1つまたは複数の変異体を含むことができる。
【0101】
変異体パネルの変異体は、対応する参照配列と、左右のフランキング領域(すなわち、5’フランキング領域および3’フランキング領域)を有する変異体の遺伝子座を含む対応する変異体配列とに関連付けられている。変異体遺伝子座の左右のフランキング領域は、変異体の状況を提供し、対応する参照配列と対応する変異体配列の双方について同じである。したがって、対応する参照配列および対応する変異体配列は、変異体自体を除いて同一である。対応する変異体配列は変異体を含み、対応する参照配列は変異体を含まない(すなわち、それは、変異体の位置に参照または「野生型」配列を含む)。いくつかの実施形態では、フランキング領域は、それぞれ、約5塩基以上、約10塩基以上、約15塩基以上、約20塩基以上、約25塩基以上、約30塩基以上、約50塩基以上、約75塩基以上、約100塩基以上、約150塩基以上、約200塩基以上、約250塩基以上、約300塩基以上、約400塩基以上または約500塩基以上を含む。いくつかの実施形態では、フランキング領域は、それぞれ、約5塩基から約5000塩基、例えば約5から約10塩基、約10から約20塩基、約20から約50塩基、約50から約100塩基、約100から約200塩基、約200から約500塩基、約500から約1000塩基、約1000塩基から約2500塩基または約2500塩基から約5000塩基を含む。いくつかの実施形態では、左右の隣接領域は、同じ数の塩基を有し、いくつかの実施形態では、左右の隣接領域は、異なる数の塩基を有する。
【0102】
対応する参照配列および対応する変異体配列は、例えば、変異体を同定するために使用される参照配列(個別化参照配列または標準参照配列とすることができる)を使用して生成されることができる。対応する変異体配列を生成するために、変異体が選択され、参照配列を使用して左右のフランキング配列が変異体に付加される。対応する参照配列を生成するために、参照配列は、対応する変異体配列と同じ塩基位置を使用して使用される。したがって、いくつかの実施形態では、対応する参照配列および対応する変異体配列は、遺伝子変異体を除いて同一である。
【0103】
変異体パネルは、非一時的コンピュータ可読メモリに記憶されてもよく、本明細書に記載の方法の1つまたは複数を実行するために1つまたは複数のプロセッサによってアクセスされることができるテーブルまたはファイル(例えば、変異体呼び出しフォーマット(VCF)ファイルまたは他の適切なファイルフォーマット)に記憶されたリストであってもよい。いくつかの実施形態では、対応する参照配列および対応する変異体配列は、変異体パネルと同じテーブルまたはファイルに記憶され、いくつかの実施形態では、対応する参照配列および対応する変異体配列は、変異体パネルとは異なるテーブルまたはファイルに記憶される。
【0104】
変異体パネルは、疾患(癌など)に関連する変異体パネル、または被験者の疾患(癌など)に関連する個別化変異体パネルとすることができる。例示的な疾患は、B細胞癌、例えば、多発性骨髄腫、黒色腫、乳癌、肺癌(非小細胞肺癌またはNSCLCなど)、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膵臓癌が含まれるが、これらに限定されない、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳または中枢神経系癌、末梢神経系癌、食道癌、子宮頸癌、子宮癌または子宮内膜癌、口腔または咽頭癌、肝癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸または付属器癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎腺癌、骨肉腫、軟骨肉腫、血液組織の癌、腺癌、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、胃腸間質腫瘍(GIST)、結腸癌、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性障害(MPD)、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄球性白血病(AML)、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、多発性細胞血症ベラ、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、軟部組織肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、骨形成性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、髄質癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝細胞癌、甲状腺癌、胃癌、頭頸部癌、小細胞癌、本態性血小板血症、アグノーゲン性骨髄性化生、高好酸球性症候群、全身性肥満細胞症、おなじみの高好酸球増加症、慢性好酸球性白血病、神経内分泌癌、癌様腫瘍などを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、変異体パネル中の変異体は、疾患に関連しない。例えば、変異体パネルは、以前の呼び出しまたは推定呼び出しをサポートするために使用されることができる。全ゲノム配列決定および他の配列決定方法は、低い確実性で行われる呼び出しをもたらすことができる。本明細書に記載される方法は、より高い配列信頼性を提供するために、(正または負のいずれかの)特定の呼び出しをサポートするために使用されることができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、変異体パネルは、以下の遺伝子のいずれかのうちの1つまたは複数の変異体(例えば、SNP、MNP、再編成接合またはインデル)を含む:ABCB1、ABCC2、ABCC4、ABCG2、ABL1、ABL2、AKT1、AKT2、AKT3、ALK、APC、AR、ARAF、ARFRP1、ARID1A、ATM、ATR、AURKA、AURKB、BCL2、BCL2A1、BCL2L1、BCL2L2、BCL6、BRAF、BRCA1、BRCA2、C1orf144、CARD11、CBL、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CDH1、CDH2、CDH20、CDH5、CDK4、CDK6、CDK8、CDKN2A、CDKN2B、CDKN2C、CEBPA、CHEK1、CHEK2、CRKL、CRLF2、CTNNB1、CYP1B1、CYP2C19、CYP2C8、CYP2D6、CYP3A4、CYP3A5、DNMT3A、DOT1L、DPYD、EGFR、EPHA3、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHB1、EPHB4、EPHB6、ERBB2、ERBB3、ERBB4、ERCC2、ERG、ESR1、ESR2、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EWSR1、EZH2、FANCA、FBXW7、FCGR3A、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FLT1、FLT3、FLT4、FOXP4、GATA1、GNA11、GNAQ、GNAS、GPR124、GSTP1、GUCY1A2、HOXA3、HRAS、HSP90AA1、IDH1、IDH2、IGF1R、IGF2R、IKBKE、IKZF1、INHBA、IRS2、ITPA、JAK1、JAK2、JAK3、JUN、KDR、KIT、KRAS、LRP1B、LRP2、LTK、MAN1B1、MAP2K1、MAP2K2、MAP2K4、MCL1、MDM2、MDM4、MEN1、MET、MITF、MLH1、MLL、MPL、MRE11A、MSH2、MSH6、MTHFR、MTOR、MUTYH、MYC、MYCL1、MYCN、NF1、NF2、NKX2-1、NOTCH1、NPM1、NQO1、NRAS、NRP2、NTRK1、NTRK3、PAK3、PAX5、PDGFRA、PDGFRB、PIK3CA、PIK3R1、PKHD1、PLCG1、PRKDC、PTCH1、PTEN、PTPN11、PTPRD、RAF1、RARA、RB1、RET、RICTOR、RPTOR、RUNX1、SLC19A1、SLC22A2、SLCO1B3、SMAD2、SMAD3、SMAD4、SMARCA4、SMARCB1、SMO、SOD2、SOX10、SOX2、SRC、STK11、SULT1A1、TBX22、TET2、TGFBR2、TMPRSS2、TOP1、TP53、TPMT、TSC1、TSC2、TYMS、UGT1A1、UMPS、USP9X、VHL、およびWT1。
【0107】
いくつかの実施形態では、変異体は、突然変異、例えば腫瘍に関連する突然変異である。いくつかの実施形態では、変異体は、体細胞変異である。いくつかの実施形態では、変異体は、生殖細胞系列変異である。
標識配列決定リード
【0108】
配列決定リードは、遺伝子変異体を含むものとして、または遺伝子変異体を含まないものとして(または、配列決定リードが変異体を有するものとして、または変異体を有しないものとして標識されることができないことを示す「ヌルリード」として)標識されることができる。配列決定リードは、参照配列内の位置にマッピングされることができ、マッピングされた位置は、遺伝子座に関連する変異体パネルから遺伝子変異体を選択するために使用される。変異体および配列決定リードが関連付けられると、配列決定リードは、参照マッチスコアを生成するための参照配列(すなわち、変異体を含まない対応する配列)および変異体マッチスコアを生成するための変異体配列(すなわち、変異体を含む対応する配列)と主張される。配列決定リードは、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが参照配列よりも変異体配列とより密接にマッチすることを示す場合、変異体を有するとして、または参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが参照配列とより密接にマッチすることを示す場合、変異体を有しないとして標識されることができる。いくつかの実施形態では、配列決定リードは、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが等しい場合、ヌルリードとして標識される。
【0109】
いくつかの実施形態では、被験者由来の試験サンプル中の変異体の有無を検出するか、または変異体対立遺伝子頻度を決定する方法は、(a)変異体パネルからの変異体遺伝子座における遺伝子変異体を選択することと、(b)変異体遺伝子座と重複する試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを取得することと、(c)各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することであって、対応する参照配列が遺伝子変異体を含まない、生成することと、(d)各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することであって、対応する変異体配列が遺伝子変異体を含む、生成することと、(e)参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアに基づいて、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、遺伝子変異体を有するか、遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであると標識することと、を含み、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが参照配列よりも変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有すると標識され、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが変異体配列よりも参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、配列決定リードが、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが等しい場合、ヌルリードとして標識される。
【0110】
配列決定リードが参照配列にアライメントされて、参照ゲノム内の配列決定リードの位置を決定することができる。アライメントは、リードのためのマッピング位置を含む配列アライメントマップファイル(例えば、SAMまたはBAMファイル)を生成するために使用されることができる。次いで、変異体パネルがアクセスされて遺伝子変異体を選択することができ、変異体の遺伝子座と重複する1つまたは複数の配列決定リードが取得されることができる(例えば、配列決定アライメントマップファイルにアクセスすることによって)。重複は、変形形態の1つまたは複数の塩基位置にあってもよい(例えば、変異体が多塩基変異体である場合)。いくつかの実施形態では、変異体の同じ単一塩基(例えば、第1の塩基)と重複する配列決定リードが使用される。対応する参照配列および対応する変異体配列も選択され、対応する参照配列および対応する変異体配列は選択された変異体と関連付けられる。
【0111】
任意の所与の配列決定リードに対する参照マッチスコアは、配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって生成され、変異体マッチスコアは、配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって生成される。参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアは、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが比較可能であるように、同じアライメントアルゴリズムを使用して生成される。マッチスコアは、クエリ配列(すなわち、配列決定リード)が対応する変異体配列または対応する参照配列にどれだけ密接にマッチしているかを示す値を提供する。例示的なアライメントアルゴリズムは、Smith-Watermanアルゴリズム(SWA)(例えば、Striped Smith-Watermanアルゴリズム)またはNeedleman-Wunschアルゴリズム(NWA)を含む。いくつかの実施形態では、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアは、Smith-Watermanアルゴリズムを使用して生成される。いくつかの実施形態では、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアは、Striped Smith-Watermanアルゴリズムを使用して生成される。いくつかの実施形態では、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアは、Needleman-Wunschアルゴリズムを使用して生成される。
【0112】
配列決定リードは、変異体マッチスコアと参照マッチスコアとを比較することによって標識される。例えば、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが参照配列よりも変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードは、遺伝子変異体を有すると標識される。参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが変異体配列よりも参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードは、遺伝子変異体を有しないと標識される。場合によっては、参照マッチスコアと変異体マッチスコアは等しい。その場合、配列決定リードは、ヌルリードとして標識されることができる。いくつかの実施形態では、ヌルリードとして標識された配列決定リードは、さらなる分析から除外される。
【0113】
配列決定リードは、被験者に由来する試験サンプル中の核酸分子を配列決定することによって取得されることができる。標的化配列決定法、例えば、標的化サブゲノム領域の選択的捕捉および/または選択的増幅が使用されることができる。核酸分子(例えば、腫瘍核酸分子と非腫瘍核酸分子との混合物)は、被験者から取得された試験サンプルから抽出されることができる。1つまたは複数のアダプターが、サンプルから抽出された核酸分子にライゲートされることができる。アダプターは、例えば、増幅プライマーハイブリダイゼーション部位、フローセルアダプター配列、基質アダプター配列、サンプルインデックス配列、またはユニーク分子識別子のうちの1つまたは複数を含むことができる。核酸分子は、配列決定の前に増幅されることができる(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅技術、非PCR増幅技術、または等温増幅技術を使用して)。標的化された核酸分子は、増幅された核酸分子から捕捉されることができる(例えば、捕捉された核酸分子の領域に相補的な領域をそれぞれ含む1つまたは複数の核酸分子をそれぞれ含む1つまたは複数のベイト分子へのハイブリダイゼーションによって)。サンプルから抽出された核酸分子(またはそれに由来するライブラリープロキシ)は、例えば、次世代(例えば、大規模並列)シーケンサーを使用して、例えば、次世代(大規模並列)配列決定技術、全ゲノム配列決定(WGS)技術、全エクソーム配列決定技術、標的化配列決定技術、直接配列決定技術、またはサンガー配列決定技術を使用して配列決定されることができる。アッセイの結果は、レポート(例えば、電子レポート、ウェブベースのレポート、または紙のレポート)として、被験者(または患者)、介護者、医療提供者、医師、腫瘍専門医、電子医療記録システム、病院、診療所、第三者支払者、保険会社、または官公庁に生成、表示、送信、および/または送達されることができる。場合によっては、レポートは、本明細書に記載の方法からの出力を含む。場合によっては、レポートの全部または一部は、オンラインまたはウェブベースのヘルスケアポータルのグラフィカルユーザインターフェースに表示されることができる。場合によっては、レポートは、コンピュータネットワークまたはピアツーピア接続を介して送信される。
【0114】
いくつかの例では、開示された方法は、(i)被験者(例えば、癌を有することが疑われるか、または癌を有すると判定された被験者)からサンプルを取得するステップと、(ii)サンプルから核酸分子(例えば、腫瘍核酸分子と非腫瘍核酸分子との混合物)を抽出するステップと、(iii)サンプルから抽出された核酸分子に1つまたは複数のアダプター(例えば、1つまたは複数の増幅プライマー、フローセルアダプター配列、基質アダプター配列、またはサンプルインデックス配列)を連結するステップと、(iv)(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅技術、非PCR増幅技術、または等温増幅技術を使用して)核酸分子を増幅するステップと、(v)(例えば、捕捉された核酸分子の領域に相補的な領域をそれぞれ含む1つまたは複数の核酸分子をそれぞれ含む1つまたは複数のベイト分子へのハイブリダイゼーションによって)増幅された核酸分子から核酸分子を捕捉するステップと、(vi)例えば、次世代(例えば、大規模並列)シーケンサーを使用して、例えば、次世代(超並列)配列決定技術、全ゲノム配列決定(WGS)技術、全エクソーム配列決定技術、標的配列決定技術、直接配列決定技術、またはサンガー配列決定技術を使用して、サンプルから抽出された核酸分子(またはそれに由来するライブラリープロキシ)を配列決定するステップと、(vii)被験者(または患者)、介護者、医療提供者、医師、腫瘍学者、電子カルテシステム、病院、診療所、診療所、第三者支払人、保険会社、または官公庁にレポート(例えば、電子レポート、ウェブベースのレポート、または紙のレポート)を生成、表示、送信、および/または送達するステップと、のうちの1つまたは複数をさらに含むことができる。場合によっては、レポートは、本明細書に記載の方法からの出力を含む。場合によっては、レポートの全部または一部は、オンラインまたはウェブベースのヘルスケアポータルのグラフィカルユーザインターフェースに表示されることができる。場合によっては、レポートは、コンピュータネットワークまたはピアツーピア接続を介して送信される。
【0115】
いくつかの実施形態では、試験サンプルは、個別化変異体パネルにおいて遺伝子変異体を決定するために使用される試験サンプルと同じタイプのサンプルである。例示的な試験サンプルは、血液、血清、唾液、組織(例えば、固形または血液学的組織)、脳脊髄液、羊水、腹腔液、間質液、または胚性組織を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、組織は、新鮮組織(すなわち、凍結または保存されていない)である。いくつかの実施形態では、組織は、凍結組織または保存組織(例えば、ホルムアルデヒド固定パラフィン包埋(FFPE)またはパラホルムアルデヒド固定パラフィン包埋(PFPE)組織)である。
【0116】
被験者は、癌を有することができるか、癌を有するリスクがあり得るか、癌について日常的に検査されることができるか、または癌を有すると疑われることができる。本明細書にさらに記載されるように、遺伝子変異体検出または変異体対立遺伝子頻度決定方法の結果は、癌を診断または確認するために使用されることができるか、または癌の治療を選択するために使用されることができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、試験サンプルは、液体生検サンプル(例えば、血漿、末梢血など)に由来する。いくつかの実施形態では、液体生検サンプルは、血液、血漿、脳脊髄液、痰、便、尿、または唾液である。いくつかの実施形態では、液体生検サンプルは、循環腫瘍細胞(CTC)を含む。いくつかの実施形態では、液体生検サンプルは、無細胞DNA(cfDNA)、循環腫瘍DNA(ctDNA)、またはそれらの組み合わせを含む。液体生検は、2つ以上の一致したサンプルまたはサンプル成分に分けられることができる。例えば、サンプルは、血漿成分(cfDNAを含むことができる)および末梢血単核細胞(PBMC)成分を含むことができる。個々の成分が別々に分析されて、各成分の遺伝的プロファイル間の差を決定することができる。これは、例えば、体細胞変異またはクローン造血を同定するために使用されることができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、サンプルは、固形組織生検サンプルに由来する。組織生検は、癌性細胞、非癌性(すなわち、健康である)細胞、またはそれらの混合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、組織生検サンプルは、新鮮組織(すなわち、凍結または保存されていない)である。いくつかの実施形態では、組織は、凍結組織または保存組織(例えば、ホルムアルデヒド固定パラフィン包埋(FFPE)またはパラホルムアルデヒド固定パラフィン包埋(PFPE)組織)である。
【0119】
いくつかの例では、サンプルから抽出された核酸分子は、腫瘍核酸分子と非腫瘍核酸分子との混合物を含むことができる。いくつかの例では、腫瘍核酸分子は、異種組織生検サンプルの腫瘍部分に由来することができ、非腫瘍核酸分子は、異種組織生検サンプルの正常部分に由来することができる。いくつかの例では、サンプルは、液体生検サンプルを含むことができ、腫瘍核酸分子は、液体生検サンプルの循環腫瘍DNA(ctDNA)画分に由来することができ、非腫瘍核酸分子は、液体生検サンプルの非腫瘍無細胞DNA(cfDNA)画分に由来することができる。
【0120】
試験サンプル中の核酸分子は、DNA、RNA、またはそれらの混合物とすることができる。いくつかの実施形態では、RNA分子は、逆転写されて、対応するcDNA分子を形成する。被験者から取得される試験サンプルは、疾患組織に由来する核酸分子、または疾患組織に由来する核酸分子と健康な組織に由来する核酸分子との混合物を含むことができる。例えば、サンプルは、循環腫瘍DNA(ctDNA、すなわち腫瘍組織に天然に由来するDNA)およびゲノム無細胞DNA(すなわち、健康な組織に天然に由来するcfDNA)を含む無細胞DNA(cfDNA)を含むことができる。いくつかの実施形態では、サンプルは、病変組織(例えば、固形腫瘍生検サンプルまたは血液腫瘍生検サンプル)または健康な組織を得るための組織生検サンプル(例えば、固形組織サンプルまたは血液学的組織サンプル)に由来することができる。核酸サンプルは、組織サンプルに由来することができ、配列決定リードを生成するために使用されることができる。
【0121】
配列決定リードを標識するための記載された方法は、遺伝子変異体パネルから選択される異なる遺伝子座で異なる遺伝子変異体を使用して、任意の数の変異体について繰り返されることができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、標識された配列決定リードは、被験者からのサンプルにおける遺伝子変異体の存在を呼び出すために使用される。例えば、1つまたは複数の配列決定リード(または1つまたは複数の固有の配列決定リード)が遺伝子変異体を有すると標識されている場合、その遺伝子変異体の存在が呼び出されることができる。遺伝子変異体の存在を呼び出すための閾値セットは、呼び出しを行うための所望の信頼度に応じて、所望のように設定されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、遺伝子変異体の存在を呼び出すための閾値は、遺伝子変異体を有すると標識された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の配列決定リード(または固有の配列決定リード)として呼び出されることができ、ここで、遺伝子変異体の存在は、遺伝子変異体を有すると標識された配列決定リード(または固有の配列決定リード)の数が閾値を満たすかまたは閾値より高い場合に呼び出される。
【0123】
いくつかの実施形態では、標識された配列決定リードは、サンプルにおける変異体についての変異体対立遺伝子頻度を決定するために使用される。試験サンプルの遺伝子座iにおける変異体対立遺伝子頻度(F)は、
【数1】

にしたがって変異体(V)を有すると標識された配列決定リードの数および変異体(R)を有しない配列決定リードの数を使用して決定されることができる。
【0124】
本明細書に記載される方法は、サンプル、2つ以上の異なる組織もしくはサンプル、または同じサンプルの2つ以上の異なる成分における変異体対立遺伝子頻度を決定するために使用されることができる。例えば、採血は、血漿(cfDNAを含む)と末梢血単核細胞(PBMC)とに分けられることができる。第1のサンプルまたは第1のサンプル成分(例えば、血漿)について第1の変異体対立遺伝子頻度が決定されることができ、第2のサンプルまたは第2のサンプル成分(例えば、PBMC)について第2の変異体対立遺伝子頻度が決定されることができる。例えば、血漿由来の核酸分子とPBMC由来の核酸分子との間の変異体対立遺伝子頻度の差は、クローン造血または不確定電位(CHIP)のクローン造血を有する被験者に有用である。
【0125】
図1は、配列決定リードを標識するための方法の例示的な実施形態を示している。ステップ100において、遺伝子変異体パネル(すなわち、ベースラインの変更)は、被験者から取得された初期サンプルを配列決定することによって生成される。遺伝子変異体パネルは、パネル中の各遺伝子変異体に関する情報、例えば、被験者識別子、変異体を含有する遺伝子、変異体の遺伝子座、および/または(参照と比較した)変異体の変化を含むことができる。対応する配列生成モジュール102において、対応する参照配列104および対応する変異体配列リード106は、変異体パネルからの変異体および変異体の文脈を提供するために使用される参照配列を使用して生成される。対応する参照配列104および対応する変異体配列リード106は、変異体遺伝子座を除いて同一であり、A→G SNPが存在する(下線によって示される)。被験者から取得された第2の試験サンプルを配列決定することによって得られた配列決定リードは、参照配列にアライメントされ、マッピングされた配列決定リードは、アライメントマップファイル108に含まれる。アライメントマップファイル108は、配列決定リードからの配列を、配列決定リードのための遺伝子座情報とともに含む。任意に、アライメントマップファイル108は、被験者に関する情報、サンプルが取得された時点、および/または他のサンプル情報などの追加情報を含むことができる。変異体が変異体テーブルから選択され、変異体リードの遺伝子座と重複する配列決定リードが配列決定リード取得モジュール110においてアライメントマップファイル108から取得される。図1に示される例において、配列決定リード112、114、116および118は、選択された変異体の遺伝子座と重複する配列決定リードを表す。アライメントモジュール120において、配列決定リード112、114、116および118は、それぞれ、対応する参照配列104とアライメントされて参照マッチスコア122を生成し、対応する変異体配列リード106は、変異体マッチスコア124を生成する。参照マッチスコア122および変異体マッチスコア124は、Smith-WatermanアルゴリズムまたはNeedleman-Wunschアルゴリズムなどのアライメントアルゴリズムを使用して生成されることができる。分類モジュール126において、各配列決定リードについて、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが比較されて、配列決定リードを変異体を有する、変異体を有しない、またはヌルリードであると標識される。図1に示される例において、配列決定リード112および114は、各リードについて参照マッチスコアが変異体マッチスコアよりも大きいため(すなわち、配列決定リードは、対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致する)、変異体を有しないと標識される。配列決定リード116は、変異体マッチスコアが参照マッチスコアよりも大きいため(すなわち、配列決定リードは、対応する参照配列よりも対応する変異体配列とより密接に一致する)、変異体を有するとして標識される。配列決定リード118は、変異体マッチスコアが参照マッチスコアに等しいため、ヌルリードとして標識される。
【0126】
図2は、被験者由来の試験サンプル中の変異体頻度を決定するための例示的な方法を示している。ステップ202において、変異体パネルから、変異体遺伝子座における遺伝子変異体が選択される。いくつかの実施形態では、変異体パネルは、個別化変異体パネルである。ステップ204において、変異体遺伝子座と重複し、試験サンプルと関連する配列決定リードが取得される。各配列決定リードに対する参照マッチスコアは、ステップ206において配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって取得され、各配列決定リードに対する変異体マッチスコアは、ステップ208において配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって生成される。参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアを使用して、配列決定リードは、ステップ210において、変異体を有する、変異体を有しない、またはヌルリードとして標識される。ステップ212において、遺伝子変異体の頻度は、変異体を有すると標識された配列決定リードの数および変異体を有しないと標識された配列決定リードの数を使用して決定される。
【0127】
いくつかの実施形態では、本方法は、レポート(印刷レポートまたは電子医療記録など)を生成または更新することを含む。レポートは、遺伝子変異体の有無の呼び出し、変異体対立遺伝子頻度の呼び出し、および/または疾患状態の1つまたは複数を含むことができる。レポートはまた、被験者の識別情報(例えば、氏名、識別番号など)を含むことができる。レポートは、記憶されてもよく、または別の人またはエンティティ、例えば、患者または医療提供者(例えば、医師、看護師、介護士、病院、診療所など)に送信されてもよい。
疾患状態および疾患の進行または再発の監視
【0128】
疾患状態は、1つまたは複数の変異体遺伝子座における試験サンプル中の変異体頻度を使用して決定されることができる。いくつかの実施形態では、変異体頻度の増加は、疾患の重症度の増加を示す。いくつかの実施形態では、遺伝子変異体を有すると標識された配列決定リードは、疾患組織に起因する。いくつかの実施形態では、遺伝子変異体を有しないと標識された配列決定リードは、非疾患組織に起因する。いくつかの実施形態では、遺伝子変異体を有すると標識された配列決定リードは疾患組織に起因し、遺伝子変異体を有しないと標識された配列決定リードは非-疾患組織に起因する。いくつかの実施形態では、遺伝子変異体を有すると標識された配列決定リードは第1の疾患組織に起因し、遺伝子変異体を有しないと標識された配列決定リードは第2の疾患組織および/または非疾患組織に起因する。
【0129】
いくつかの実施形態では、疾患または癌を特徴付けるために1つまたは複数の遺伝子変異体が使用される。例えば、1つまたは複数の遺伝子変異体の存在が使用されて、疾患の元の原因(例えば、原発性癌)を追跡することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の遺伝子変異体の検出が使用されて、特定の治療に特に感受性であるとして治療耐性癌または癌を特徴付けることができる。疾患を特徴付けるために使用される変異体パネルは、既知の変異体、例えば文献から管理された変異体に基づいてもよい。
【0130】
いくつかの実施形態では、疾患状態は、変異体ごとの状態で決定される。いくつかの実施形態では、疾患状態は、変異体パネルからの複数の変異体を使用して決定される。例えば、いくつかの実施形態では、疾患状態(DS)は、
【数2】

にしたがって、変異体(V)を有すると決定される配列決定リードの総数(または固有な配列決定リードの総数)および変異体(R)を有しないと決定される配列決定リードの総数(または固有な配列決定リードの総数)を使用して決定されることができる。疾患状態は、複数の遺伝子変異体について、例えば要約統計量として決定されることができる。いくつかの実施形態では、生殖細胞系突然変異に関連する変異体は、疾患状態の決定から除外される。いくつかの実施形態では、クローン造血に関連する変異体は、疾患状態の決定から除外される。いくつかの実施形態では、疾患状態は、例えば被験者が癌を有する、癌の再発を有する、特定の処置様式に抵抗性の癌を有する、または特定の処置様式で処置されることができる癌を有することを同定することによって定性的に評価される。いくつかの実施形態では、疾患状態が定量的に評価される(例えば、cfDNAの決定された腫瘍画分、またはcfDNAの最大体細胞対立遺伝子画分)。
【0131】
疾患の進行は、2つ以上の時点で疾患状態を決定することによって監視されることができる。疾患状態は、試験サンプル中の変異体頻度によって示されることができる。例えば、第1の時点で被験者から第1の試験サンプルが取得されてもよく、第2の時点で被験者から第2の試験サンプルが取得されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の試験サンプルは、変異体パネルを生成するために使用され、第1の時点における疾患状態を決定するために使用され、第2の試験サンプルは、第2の時点における疾患状態を決定するために生成された変異体パネルを使用する。
【0132】
被験者は、第1の試験サンプルと第2の試験サンプルとの間で疾患の処置を受けることができる(すなわち、介在処置)。したがって、疾患の進行を監視することによって、処置療法が疾患の処置に有効であるかどうかが決定されることができる。処置療法は、疾患の進行に応じてさらに調整されることができる。例えば、疾患が悪化するかまたは改善しない場合、治療用量を増加させるか、または代替処置療法が使用されることができる。
【0133】
第1の時点と第2の時点との間の期間は、被験者を効果的に監視するために所望の頻度とすることができる。いくつかの実施形態では、第1の時点および第2の時点は、約1週間以上、約2週間以上、約4週間以上、約8週間以上、約12週間以上、約16週間以上、約6ヶ月以上、約1年以上、または約2年以上である。
【0134】
いくつかの実施形態では、被験者を疾患進行について監視することは、被験者を疾患再発について監視することを含む。例えば、寛解状態にあるとみなされる被験者は、いくらかの再発リスクを有する最小量の残存疾患を有することができる。被験者の試験サンプルが時折取得されて、疾患が再発したかどうかを調べるために疾患状態を決定することができる。疾患状態が再発した場合、被験者が再発性疾患について処置されることができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、疾患進行を監視する方法は、疾患を有する被験者から取得された第1の試験サンプル中の核酸分子を配列決定して、第1の配列決定リードを生成することと、被験者についての個別化変異体パネルを生成することと、第2の配列決定リードを生成するために、第1の試験サンプルよりも遅い時点で被験者から取得された第2の試験サンプル中の核酸分子を配列決定することと、第2の配列決定リードを標識することと、を含む。配列決定リードは、例えば、(a)個別化変異体パネルからの変異体遺伝子座における遺伝子変異体を選択することと、(b)変異体遺伝子座と重複する試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを取得することと、(c)各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することであって、対応する参照配列が遺伝子変異体を含まない、生成することと、(d)各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することであって、対応する変異体配列が遺伝子変異体を含む、生成することと、(e)参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアに基づいて、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、遺伝子変異体を有するか、遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであると標識することと、によって標識されることができ、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する参照配列よりも対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有すると標識され、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、配列決定リードが、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが等しい場合、ヌルリードとして標識される。
【0136】
図3は、疾患進行を監視するための例示的な方法を示している。本方法は、ステップ302において、疾患を有する被験者から取得された第1の試験サンプル中の核酸分子を配列決定して、第1の配列決定リードを生成することを含む。第1の配列決定リードから、個別化変異体パネルが被験者について生成される。任意に、被験者の疾患状態が決定されることができ、これは被験者の疾患重症度を示す。疾患状態は、例えば、被験者について決定された変異体頻度によって表されることができる。一定期間後、第2の試験サンプルが被験者から取得されることができる。ステップ306において、第2の試験サンプル中の核酸分子が配列決定される。ステップ308では、個別化変異体パネルから、変異体遺伝子座における遺伝子変異体が選択される。ステップ310において、変異体遺伝子座と重複し、試験サンプルと関連する配列決定リードが取得される。各配列決定リードに対する参照マッチスコアは、ステップ312において配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって取得され、各配列決定リードに対する変異体マッチスコアは、ステップ314において配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって生成される。参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアを使用して、配列決定リードは、ステップ316において、変異体を有する、変異体を有しない、またはヌルリードとして標識される。ステップ318において、遺伝子変異体の頻度は、変異体を有すると標識された配列決定リードの数および変異体を有しないと標識された配列決定リードの数を使用して決定される。決定された変異体頻度を使用して、第2のサンプルが被験者から取得される時間である疾患の重症度を示す被験者の疾患状態を決定することができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、監視される疾患は癌である。例えば、いくつかの実施形態では、疾患は、B細胞癌、例えば、多発性骨髄腫、黒色腫、乳癌、肺癌(非小細胞肺癌またはNSCLCなど)、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳または中枢神経系癌、末梢神経系癌、食道癌、子宮頸癌、子宮癌または子宮内膜癌、口腔または咽頭癌、肝癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸または付属器癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎腺癌、骨肉腫、軟骨肉腫、血液組織の癌、腺癌、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、胃腸間質腫瘍(GIST)、結腸癌、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性障害(MPD)、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄球性白血病(AML)、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、多発性細胞血症ベラ、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、軟部組織肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、骨形成性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、髄質癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝細胞癌、甲状腺癌、胃癌、頭頸部癌、小細胞癌、本態性血小板血症、アグノーゲン性骨髄性化生、高好酸球性症候群、全身性肥満細胞症、おなじみの高好酸球増加症、慢性好酸球性白血病、神経内分泌癌、または癌様腫瘍などである。
【0138】
いくつかの実施形態では、癌は、B細胞癌、黒色腫、乳癌、肺癌、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳癌、中枢神経系癌、末梢神経系癌、食道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、口腔の癌、咽頭の癌、肝臓癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸癌、虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫、血液組織の癌、腺癌、炎症性筋線維芽細胞腫、消化管間質腫瘍(GIST)、結腸癌、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性障害(MPD)、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、赤血球増加症Vera、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、軟部組織肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ血管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮癌、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体細胞腫、神経膠芽腫、聴神経芽腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝細胞癌、甲状腺癌、胃癌、頭頸部癌、小細胞癌、本態性血小板血症、無形成性骨髄化生、好酸球増加症候群、全身性肥満細胞症、家族性好酸球増加症、慢性好酸球性白血病、神経内分泌癌、またはカルチノイド腫瘍である。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、ウイルス株または細菌株を同定するために使用される。細菌およびウイルスは変異する可能性があり、特定の株の種類を明確に区別することは、感染した被験者を処置するために特に重要であり得る。例えば、被験者に感染している黄色ブドウ球菌株がメチシリンおよび/またはバンコマイシンに耐性であるかどうかを知ることが重要である。抗生物質または他の薬物耐性細菌およびウイルスは、ゲノムシグネチャを有し、本明細書に記載の方法が使用されて異なる株を迅速に特徴付けることができる。
【0140】
いくつかの例では、被験者由来の試験サンプル中の遺伝子変異体を検出するかまたは変異体対立遺伝子頻度を決定するための開示された方法は、特定の疾患、例えば癌の検出、監視、危険因子の予測、または治療の選択の一部として、被験者由来のサンプル中の1つまたは複数の遺伝子座における変異体配列の存在の同定を含むゲノムプロファイリングのプロセスの一部として実装されることができる。いくつかの例では、ゲノムプロファイリングのために選択される変異体パネルは、選択された遺伝子座セットにおける変異体配列の検出を含むことができる。いくつかの例では、ゲノムプロファイリングのために選択される変異体パネルは、包括的ゲノムプロファイリング(CGP)、単一のアッセイで数百の遺伝子(関連する癌バイオマーカーを含む)を評価するために使用される次世代配列決定(NGS)アプローチを介して、いくつかの遺伝子座での変異体配列の検出を含むことができる。遺伝子変異体を検出するための、または変異体対立遺伝子頻度をゲノムプロファイリングのプロセスの一部として決定するための開示された方法を含めることは、例えば、所与の患者サンプルにおける疾患または癌ドライバ機構(例えば、損なわれたDNAミスマッチ修復(MMR)機構)の存在を独立して確認することによって、ゲノムプロファイルに基づいて行われる例えば疾患検出呼び出しの有効性を改善することができる。
【0141】
いくつかの例では、ゲノムプロファイルは、個人のゲノムおよび/またはプロテオームにおける遺伝子(またはその変異体配列)、コピー数変異、エピジェネティック形質、タンパク質(またはその改変)、および/または他のバイオマーカーの存在に関する情報、ならびに個人の対応する表現型形質、ならびに遺伝的またはゲノム形質、表現型形質、および環境因子の間の相互作用に関する情報を含むことができる。
【0142】
いくつかの例では、被験者のゲノムプロファイルは、包括的ゲノムプロファイリング(CGP)試験、核酸配列決定に基づく試験、遺伝子発現プロファイリング試験、癌ホットスポットパネル試験、DNAメチル化試験、DNA断片化試験、RNA断片化試験、またはそれらの任意の組み合わせからの結果を含むことができる。
【0143】
ゲノムプロファイルは、抗癌剤を選択するため、抗癌剤を投与するため、または抗癌処置を被験者に適用するために使用されることができる(すなわち、抗癌処置の選択、投与または適用に関する決定は、生成されたゲノムプロファイルに基づくことができる)。本方法のいくつかの実装では、ゲノムプロファイルは、選択された疾患処置(例えば、抗癌療法)のために被験者を臨床試験に登録するための基礎として使用される。
疾患処置および検出アッセイ
【0144】
本明細書に記載される方法は、疾患を有する被験者を処置するときに使用されることができる。例えば、遺伝子変異体の検出または試験サンプル中の対立遺伝子頻度の決定は、処置(例えば、癌処置)決定を行う際、または被験者に対する処置決定を示唆する際に使用されることができる。別の例では、試験サンプル中の遺伝子変異体の検出または対立遺伝子頻度の決定は、疾患(例えば、癌)療法を調整する際に使用されることができる。上述したように、本方法は、被験者における癌進行などの疾患進行を監視することを含むことができる。疾患の進行を監視することは、臨床医がより良好な処置決定を提供することを可能にし、疾患(例えば、癌)の再発または転移をスクリーニングするために使用されることができる。
【0145】
第1の試験サンプルは、疾患を有する被験者から取得されることができ、試験サンプルからの核酸分子は、第1の配列決定リードを生成するために配列決定されることができ、第1の配列決定リードは、被験者についての個別化変異体パネルを生成するために使用される。次いで、疾患療法が被験者に投与され、一定期間後、第2の時点で被験者から第2の試験サンプルが取得される。第2の試験サンプルからの核酸分子は、第2の配列決定リードを生成するための配列とすることができ、第2の配列決定リードは、本明細書に記載の方法を使用して標識されることができる。例えば、第2の配列決定リードは、(a)個別化変異体パネルからの変異体遺伝子座における遺伝子変異体を選択することと、(b)変異体遺伝子座と重複する試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを取得することと、(c)各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することであって、対応する参照配列が遺伝子変異体を含まない、生成することと、(d)各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することであって、対応する変異体配列が遺伝子変異体を含む、生成することと、(e)参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアに基づいて、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、遺伝子変異体を有するか、遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであると標識することと、によって標識されることができ、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する参照配列よりも対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有すると標識され、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、配列決定リードが、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが等しい場合、ヌルリードとして標識される。第1の疾患状態は、第1の配列決定リードを使用して決定されることができ、第2の疾患状態は、標識された第2の配列決定リードを使用して決定されることができる。疾患の進行は、第1の疾患状態と第2の疾患状態とを比較することによって決定されることができる。被験者に投与される疾患療法は、疾患の進行に基づいて調整されることができ、次いで、調整された疾患療法が被験者に投与されることができる。
【0146】
検出された遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度は、疾患療法(例えば、抗癌療法)の投与量を調整するため、または疾患進行に応じて異なる疾患療法を選択するための基礎として使用されることができる。次いで、調整された疾患療法が被験者に投与されることができる。
【0147】
本方法のいくつかの実装では、検出された遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度は、選択された疾患処置(例えば、抗癌療法)の臨床試験に被験者を登録するための基礎として使用される。例えば、臨床試験は、1つまたは複数の所定の遺伝子変異体を有する(または有しない)患者を登録することができ、選択された疾患処置(例えば、抗癌療法)によって臨床試験において処置されることができる。
【0148】
例示的な実施形態では、疾患(癌など)を有する被験者を処置する方法は、被験者から第1の試験サンプルを取得することと、第1の配列決定リードを生成するために第1の試験サンプル中の核酸分子を配列決定することと、第1の配列決定リードを使用して第1の疾患状態を決定することと、被験者についての個別化変異体パネルを生成することと、被験者に疾患療法を投与することと、疾患療法が被験者に投与された後に被験者から第2の試験サンプルを取得することと、第2の配列決定リードを生成するために第2の試験サンプル中の核酸分子を配列決定することと、(a)変異体パネルから変異体遺伝子座における遺伝子変異体を選択することによって第2の配列決定リードを標識することと、(b)変異体遺伝子座と重複する試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを取得することと、(c)各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することであって、対応する参照配列が遺伝子変異体を含まない、生成することと、(d)各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することであって、対応する変異体配列が遺伝子変異体を含む、生成することと、(e)参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアに基づいて、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、遺伝子変異体を有するか、遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであると標識することと、によって第2の配列決定リードを標識することであって、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する参照配列よりも対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有すると標識され、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、配列決定リードが、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが等しい場合、ヌルリードとして標識される、標識することと、標識された第2の配列決定リードを使用して第2の疾患状態を決定することと、第1の疾患状態と第2の疾患状態とを比較することによって疾患進行を決定することと、疾患進行に基づいて被験者に投与される疾患療法を調整することと、調整された疾患療法を被験者に投与することと、を含む。
【0149】
いくつかの実施形態では、疾患療法(例えば、癌を処置するための抗癌療法など)は、手術(例えば、1つまたは複数の癌を除去するための切除手術)を含む。いくつかの実施形態では、疾患療法は、放射線療法(例えば、外部ビーム放射線療法、定位放射線療法、強度変調放射線療法、容積変調アーク療法、粒子療法(プロトン療法など)、オーガー療法、近接照射療法または全身放射性同位体療法)を含む。いくつかの実施形態では、疾患療法は、癌を処置するための1つまたは複数の化学療法剤などの1つまたは複数の化学剤(例えば、抗癌剤)の投与を含む。例示的な化学療法剤は、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、バルルビシン)アルキル化剤もしくはアルキル化剤様剤(カルボプラチン、カルムスチン、シスプラチン、シクロホスファミド、メルファラン、プロカルバジン、またはチオテパなど)またはタキサン(パクリタキセル、ドセタキセル、またはタキソテールなど)を含むが、これらに限定されない。いくつかの例では、本方法は、生成されたゲノムプロファイルに基づいて、抗癌剤を投与すること、または抗癌処置を被験者に適用することをさらに含むことができる。抗癌剤または抗癌剤処置は、癌細胞の処置に有効な化合物を指すことができる。抗癌剤または抗癌療法の例は、アルキル化剤、代謝拮抗物質、天然産物、ホルモン、化学療法、放射線療法、免疫療法、外科手術、または特定の細胞シグナル伝達経路の欠陥、例えばDNAミスマッチ修復(MMR)経路の欠陥を標的とするように構成された治療を含むが、これらに限定されない。
【0150】
いくつかの実施形態では、療法は免疫療法である。いくつかの実施形態では、療法は免疫チェックポイント阻害剤である。
【0151】
いくつかの実施形態では、疾患療法は標的療法である。例示的な標的療法は、チロシン-キナーゼ阻害剤(例えば、イマチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ダサチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、ボルテゾミブ、JAK阻害剤(例えば、トファシチニブ)、ALK阻害剤(例えば、クリゾチニブ)、BCL-2阻害剤(例えば、オバトクラックス、ナビトクラックス、ゴシポール)、PARP阻害剤(例えば、イニパリブ、オラパリブ)、PI3K阻害剤(例えば、ペリホシン)、アパチニブ、BRAF阻害剤(例えば、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、LGX818)、MEK阻害剤(例えば、トラメチニブ、MEK162)、CDK阻害剤、Hsp90阻害剤、またはサリノマイシン)、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤(例えば、テムシロリムス、エベロリムス、ベムラフェニブ、トラメチニブ、またはダブラフェニブ)、またはモノクローナル抗体(例えば、ペンブロリズマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブまたはベバシズマブ)を含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、被験者に投与される治療薬または抗癌療法は、本明細書に記載される方法を使用してサンプル中の遺伝子変異体を呼び出すことに基づいて(例えば、それに応答して)選択される。選択された抗癌療法は、被験者に投与されることができる。例示的な選択された癌療法は、化学療法、放射線療法、免疫療法、標的療法、または外科手術とすることができる。例えば、本明細書に記載の方法を使用した特定のバイオマーカーの検出は、特定の治療様式を選択するための基礎として使用されることができる。選択された抗癌療法は、被験者に投与されることができる。例示的な選択された癌療法は、化学療法、放射線療法、免疫療法、標的療法、または外科手術とすることができる。特定された所与の突然変異に対する例示的な個別化治療選択が表1に列挙される。
【表1】
【0153】
いくつかの実施形態では、処置される疾患は癌である。例えば、いくつかの実施形態では、疾患は、B細胞癌、例えば、多発性骨髄腫、黒色腫、乳癌、肺癌(非小細胞肺癌またはNSCLCなど)、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳または中枢神経系癌、末梢神経系癌、食道癌、子宮頸癌、子宮癌または子宮内膜癌、口腔または咽頭癌、肝癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸または付属器癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎腺癌、骨肉腫、軟骨肉腫、血液組織の癌、腺癌、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、胃腸間質腫瘍(GIST)、結腸癌、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性障害(MPD)、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄球性白血病(AML)、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、多発性細胞血症ベラ、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、軟部組織肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、骨形成性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、髄質癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝細胞癌、甲状腺癌、胃癌、頭頸部癌、小細胞癌、本態性血小板血症、アグノーゲン性骨髄性化生、高好酸球性症候群、全身性肥満細胞症、おなじみの高好酸球増加症、慢性好酸球性白血病、神経内分泌癌、または癌様腫瘍などである。
【0154】
遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度の検出は、被験者における疾患(癌など)の診断または診断の確認に使用されることができる。例えば、1つまたは複数の遺伝子変異体が疾患(例えば、癌または特定の癌タイプ)に関連していてもよく、そのような関連について診断が行われてもよい。
【0155】
遺伝子変異体または決定された変異体対立遺伝子頻度の検出は、疾患処置(例えば、癌を有する患者のための抗癌処置)の臨床試験に適格であるとして患者を識別するために使用されることができる。特定されると、患者は、臨床試験に登録されることができる。本方法は、疾患処置を患者に投与することをさらに含むことができる。
コンピュータシステムおよび方法
【0156】
本明細書に記載の方法は、1つまたは複数のコンピュータシステムを使用して実装されることができる。そのようなコンピュータシステムは、コンピュータシステムがそのような方法を実行するために1つまたは複数のプロセッサを実行するように構成された1つまたは複数のプログラムを含むことができる。コンピュータ実装方法の1つまたは複数のステップは、自動的に実行されてもよい。
【0157】
いくつかの実施形態では、被験者由来の試験サンプル中の遺伝子変異体の存在を検出するおよび/または変異体対立遺伝子頻度を決定するための、または被験者由来の試験サンプルに関連する配列決定リードを標識するためのコンピュータ実装方法は、(a)1つまたは複数のプロセッサを使用して、メモリに記憶された変異体パネルから変異体遺伝子座における遺伝子変異体を選択することと、(b)1つまたは複数のプロセッサにおいて、メモリに記憶された1つまたは複数の配列決定リードを受信することであって、配列決定リードが、変異体遺伝子座と重複する試験サンプルに関連する、受信することと、(c)1つまたは複数のプロセッサを使用して、各配列決定リードをメモリから取得された対応する参照配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれに対する参照マッチスコアを生成することであって、対応する参照配列が遺伝子変異体を含まない、生成することと、(d)1つまたは複数のプロセッサを使用して、各配列決定リードをメモリから取得された対応する変異体配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれに対する変異体マッチスコアを生成することであって、対応する変異体配列が、遺伝子変異体を含む、生成することと、(e)1つまたは複数のプロセッサを使用して、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアに基づいて、遺伝子変異体を有するか、遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであると標識することと、を含み、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する参照配列よりも対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有すると標識され、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、配列決定リードが、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが等しい場合、ヌルリードとして標識される。
【0158】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、本方法は、対応する参照配列および/または対応する変異体配列を生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、対応する参照配列および対応する変異体配列は、遺伝子変異体を除いて同一である。
【0159】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、1つまたは複数の配列決定リードは、変異体遺伝子座と重複する複数の配列決定リードを含み、本方法は、遺伝子変異体を有する複数の配列決定リードからのいくつかの配列決定リードまたは遺伝子変異体を有しない複数の配列決定リードからのいくつかの配列決定リードを決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、遺伝子変異体を有する配列決定リードの数および遺伝子変異体を有しない配列決定リードの数を使用して、遺伝子変異体についての変異体頻度を決定することをさらに含む。
【0160】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、本方法は、変異体パネルから選択される異なる変異体遺伝子座における複数の遺伝子変異体について試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを標識することを含む。
【0161】
コンピュータ実装方法のいくつかの実施形態では、本方法は、被験者の疾患状態を決定することを含む。例えば、疾患状態は、試験サンプル中の全無細胞DNA(cfDNA)と比較した循環腫瘍DNA(ctDNA)のパーセンテージに比例する値とすることができる。
【0162】
いくつかの実施形態では、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアは、配列アライメントアルゴリズムを使用して決定される。いくつかの実施形態では、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアは、Smith-Watermanアライメントアルゴリズムを使用して決定される。いくつかの実施形態では、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアは、Needleman-Wunschアライメントアルゴリズムを使用して決定される。
【0163】
図4は、被験者由来の試験サンプル中の変異体頻度を決定するための例示的なコンピュータ実装方法を示している。ステップ402は、1つまたは複数のプロセッサを使用して、メモリに記憶された変異体パネルから変異体遺伝子座における遺伝子変異体を選択することを含む。いくつかの実施形態では、このステップは、メモリに記憶された変異体パネルから1つまたは複数の変異体についての遺伝子変異体および変異体遺伝子座の情報を受信することを含む。例えば、プロセッサは、メモリにアクセスして、メモリに記憶されたテーブルまたはファイルに列挙されることができる遺伝子変異体および変異体遺伝子座の情報を取得することができる。選択は、任意の適切なプロセスによって(例えば、ランダムに、順次に、優先順位付けランクを使用して)変異体パネルから行われる。いくつかの実施形態では、コンピュータ実装方法は、変異体パネル内の所望の数(または全て)の変異体が分析されるまで繰り返される。
【0164】
ステップ404は、1つまたは複数のプロセッサにおいて、メモリに記憶された1つまたは複数の配列決定リードを受信することを含み、配列決定リードは、変異体遺伝子座と重複する試験サンプルに関連付けられる。例えば、プロセッサは、変異体遺伝子座と重複する1つまたは複数の配列決定リードを取得するためにメモリにアクセスすることができる。メモリは、リードおよびリード遺伝子座を含む配列決定リード(例えば、BAMまたはSAMファイル)を含むテーブルまたはファイルを記憶することができる。次いで、選択された変異体の遺伝子座と重複するテーブルまたはファイル内の配列決定リードが選択され、1つまたは複数のプロセッサにおいて受信されることができる。
【0165】
ステップ406は、1つまたは複数のプロセッサを使用して、各配列決定リードをメモリから取得された対応する参照配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれに対する参照マッチスコアを生成することを含み、対応する参照配列は遺伝子変異体を含まない。いくつかの実施形態では、このステップは、選択された変異体(すなわち、対応する参照配列)に対応する参照配列を受信することを含む。例えば、対応する参照配列は、メモリ内のテーブルまたはファイルに記憶されることができる。いくつかの実施形態では、対応する参照配列を記憶するテーブルまたはファイルは、選択された変異体または変異体パネルに関する情報を記憶する同じテーブルまたはファイルである。いくつかの実施形態では、対応する参照配列を記憶するテーブルまたはファイルは、選択された変異体または変異体パネルに関する情報を記憶するテーブルまたはファイルとは異なるテーブルまたはファイルである。選択された変異体に対応し、1つまたは複数のプロセッサにおいて受信された各配列決定リードは、アライメントモジュールを使用して対応する参照配列にアライメントされる。アライメントモジュールは、アライメントアルゴリズム(例えば、Smith-WatermanアライメントアルゴリズムまたはNeedleman-Wunschアライメントアルゴリズム)を実装して、参照マッチスコアを生成する。いくつかの実施形態では、参照マッチスコアは、例えば、配列決定リードを記憶するテーブルもしくはファイルを自動的に更新することによって、または参照マッチスコアおよび関連リードもしくはリード識別子を含む新たなテーブルもしくはファイルを自動的に生成することによって、メモリに記憶される。
【0166】
ステップ408は、1つまたは複数のプロセッサを使用して、各配列決定リードをメモリから取得された対応する変異体配列にアライメントすることによって1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することを含み、対応する変異体配列は遺伝子変異体を含む。いくつかの実施形態では、このステップは、選択された変異体に対応する変異体配列(すなわち、対応する変異体配列)を受信することを含む。例えば、対応する変異体配列は、メモリ内のテーブルまたはファイル(これは、対応する参照配列を記憶するテーブルもしくはファイルと同じファイルもしくはテーブルであってもよく、または異なるファイルであってもよい)に記憶されることができる。いくつかの実施形態では、対応する変異体配列を記憶するテーブルまたはファイルは、選択された変異体または変異体パネルに関する情報を記憶する同じテーブルまたはファイルである。いくつかの実施形態では、対応する変異体配列を記憶するテーブルまたはファイルは、選択された変異体または変異体パネルに関する情報を記憶するテーブルまたはファイルとは異なるテーブルまたはファイルである。選択された変異体に対応し、1つまたは複数のプロセッサにおいて受信された各配列決定リードは、アライメントモジュールを使用して対応する変異体配列にアライメントされる。アライメントモジュールは、アライメントアルゴリズム(一般に、配列決定リードを基準アライメントモジュールとアライメントするために使用されるのと同じアライメントアルゴリズム)を実装して変異体マッチスコアを生成する。いくつかの実施形態では、変異体マッチスコアは、例えば配列決定リードを記憶するテーブルもしくはファイルを自動的に更新することによって、または参照マッチスコアおよび関連リードもしくはリード識別子を含む新たなテーブルもしくはファイルを自動的に生成することによって、メモリに記憶される。いくつかの実施形態では、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアの双方を含むテーブルまたはファイルが自動的に生成される。
【0167】
ステップ410は、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアに基づいて、遺伝子変異体を有するか、遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであるとして、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、1つまたは複数のプロセッサを使用して標識することを含み、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する参照配列よりも対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有すると標識され、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、配列決定リードが、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが等しい場合、ヌルリードとして標識される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプロセッサを使用して、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、遺伝子変異体を有するか、遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかとして標識することは、参照マッチスコアに基づき、変異体マッチスコアは、標識モジュールによって実装される。標識モジュールは、変異体マッチスコアと参照マッチスコアとを比較することができる。参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する参照配列よりも対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードは、遺伝子変異体を有すると標識される。参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードは、遺伝子変異体を有しないと標識される。さらに、いくつかの実施形態では、配列決定リードは、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが等しい場合、ヌルリードとして標識される。いくつかの実施形態では、配列決定リードに関連する標識は、メモリに自動的に記憶される。例えば、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプロセッサは、メモリに記憶されたテーブルまたはファイルに自動的にアクセスし、配列決定リードの標識を含むようにファイルを更新する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプロセッサは、テーブルまたはファイルを自動的に生成し、配列決定リードのための標識を含むメモリ上にそれを記憶する。
【0168】
ステップ412において、1つまたは複数のプロセッサを使用して、変異体を有するいくつかの配列決定リードおよび変異体を有しないいくつかの配列決定リードを使用して、遺伝子変異体の頻度を決定することを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプロセッサは、遺伝子変異体の頻度を記録するためにメモリ内のテーブルまたはファイルを自動的に生成または更新する。
【0169】
被験者由来の試験サンプル中の遺伝子変異体を検出するかまたは遺伝子変異体の対立遺伝子頻度を決定するためのコンピュータ実装方法は、1つまたは複数のプロセッサと、参照配列および変異体配列対を記憶するメモリとを含む電子システムの使用を含むことができる。参照配列および変異体配列対は、1つまたは複数のプロセッサを使用して、メモリに記憶された変異体パネルから選択されることができる方法によって照会される遺伝子変異体に対応する。1つまたは複数のプロセッサは、試験サンプルから1つまたは複数の配列決定リードを受信することができ、配列決定リードは、照会された遺伝子変異体の遺伝子座と重複する。1つまたは複数のプロセッサはまた、メモリから参照配列を受信し、各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することができる。さらに、1つまたは複数のプロセッサは、メモリから変異体配列を受信し、各配列決定radを対応する変異体配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することができる。参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアに基づいて、配列決定リードは、遺伝子変異体を有する、遺伝子変異体を有しない、またはヌルリードであるとして標識されることができる。参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する参照配列よりも対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードは、遺伝子変異体を有すると標識される。参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードは、遺伝子変異体を有しないと標識される。最後に、配列決定リードは、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが等しい場合、ヌルリードとして標識される。標識された配列決定リードは、メモリに記憶されることができるか、または遺伝子変異体を有するいくつかの配列決定リードおよび/または遺伝子変異体を有しないいくつかの配列決定リード(および場合により、ヌルリードの数)は、メモリに記憶されることができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ実装プロセスは、遺伝子変異体を有すると標識された配列決定リードの数および/または遺伝子変異体を有しないと標識された配列決定リードの数を使用して、サンプルを変異体を有するとして呼び出すことができ、および/またはサンプルについての変異体対立遺伝子頻度を決定することができる。このプロセスは、照会されるべき任意の数の遺伝子変異体について繰り返されることができる。
【0170】
いくつかの実施形態では、被験者由来の試験サンプル中の遺伝子変異体を検出するかまたは遺伝子変異体の対立遺伝子頻度を決定するコンピュータ実装方法は、1つまたは複数のプロセッサと、遺伝子変異体を含まない参照配列および変異体遺伝子座に遺伝子変異体を含む変異体配列を記憶するメモリと、を備える電子デバイスを備え、1つまたは複数のプロセッサにおいて、参照配列および変異体配列に対応する試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを受信することと、1つまたは複数のプロセッサにおいて、メモリから参照配列を受信することと、1つまたは複数のプロセッサにおいて、各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することと、1つまたは複数のプロセッサにおいて、メモリから変異体配列を受信することと、1つまたは複数のプロセッサにおいて、各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することと、1つまたは複数のプロセッサにおいて、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアに基づいて、遺伝子変異体を有するか、遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであると標識することと、を含み、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する参照配列よりも対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有すると標識され、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、配列決定リードが、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが等しい場合、ヌルリードとして標識される。いくつかの実施形態では、本方法は、各配列決定リードに関連する標識をメモリに記憶することをさらに含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、コンピュータ実装方法は、1つまたは複数のプロセッサを使用して、標識された1つまたは複数の配列決定リードに基づいて、試験サンプル中の遺伝子変異体の存在を呼び出すことをさらに含むことができる。遺伝子変異体の呼び出しは、1つまたは複数のプロセッサによってメモリに記憶されることができる。
【0172】
いくつかの実施形態では、コンピュータ実装方法は、1つまたは複数のプロセッサを使用して、標識された1つまたは複数の配列決定リードに基づいて、試験サンプル中の遺伝子変異体の変異体対立遺伝子頻度を決定することをさらに含むことができる。変異体対立遺伝子頻度呼び出しは、メモリに記憶されることができる。
【0173】
コンピュータ実装方法は、メモリに記憶された変異体パネルの使用に依存して、本方法にしたがって使用される参照配列および/または変異体配列を生成することができる。本方法は、1つまたは複数のプロセッサを使用して、変異体パネルから遺伝子変異体を選択することと、1つまたは複数のプロセッサを使用して、参照配列および/または変異体配列を生成することと、参照配列および/または変異体配列をメモリに記憶することと、を含むことができる。他の実施形態では、本方法にしたがって使用される参照配列および/または配列決定された変異体は、メモリに予め記憶されており、照会された遺伝子変異体に対応する。
【0174】
いくつかの実施形態では、コンピュータ実装方法は、レポート(電子医療記録など)の自動生成または更新を含む。レポートは、遺伝子変異体の有無の呼び出し、変異体対立遺伝子頻度の呼び出し、および/または疾患状態の1つまたは複数を含むことができる。レポートはまた、被験者の識別情報(例えば、氏名、識別番号など)を含むことができる。レポートは、メモリに記憶されてもよく、および/または第2の電子デバイス(例えば、被験者の電子デバイスまたは被験者の医療提供者)に送信されてもよい。
【0175】
図5Aは、一実施形態にかかるコンピューティングデバイスの例を示している。デバイス500は、ネットワークに接続されたホストコンピュータとすることができる。デバイス500は、クライアントコンピュータまたはサーバとすることができる。図5Aに示されるように、デバイス500は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ、またはハンドヘルド計算デバイス(携帯電子デバイス、例えば、電話またはタブレット)などの任意の好適なタイプのマイクロプロセッサベースのデバイスとすることができる。デバイスは、例えば、プロセッサ510、入力デバイス520、出力デバイス530、ストレージ540、および通信デバイス560のうちの1つまたは複数を含むことができる。入力デバイス520および出力デバイス530は、一般に、上述したものに対応することができ、コンピュータと接続可能とすることができるかまたは一体化されることができる。
【0176】
入力デバイス520は、タッチスクリーン、キーボードもしくはキーパッド、マウス、または音声認識デバイスなどの入力を提供する任意の好適なデバイスとすることができる。出力デバイス530は、タッチスクリーン、触覚デバイス、またはスピーカなど、出力を提供する任意の好適なデバイスとすることができる。いくつかの実施形態では、入力デバイス520および出力デバイス530は、同じまたは異なるデバイスとすることができる。
【0177】
ストレージ540は、RAM(揮発性および不揮発性)、キャッシュ、ハードドライブ、またはリムーバブルストレージディスクを含む電気的、磁気的、または光学的メモリなどのストレージを提供する任意の適切なデバイスとすることができる。通信デバイス560は、ネットワークインターフェースチップまたはデバイスなどの、ネットワークを介して信号を送受信することができる任意の好適なデバイスを含むことができる。コンピュータの構成要素は、物理バス580を介して、または無線で(例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、または任意の他の無線技術)など、任意の適切な方法で接続されることができる。
【0178】
ストレージ540に記憶され、プロセッサ510によって実行されることができるソフトウェア550は、例えば、(例えば、上述したようなデバイスにおいて具現化されるように)本開示の機能を具現化するプログラミングを含むことができる。
【0179】
ソフトウェア550はまた、命令実行システム、装置、もしくは上述したものなどのデバイスによって、またはそれらと接続して使用するための任意の非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に記憶および/または転送されることができ、命令実行システム、装置、もしくはデバイスからの、ソフトウェアに関連付けられた命令をフェッチし、命令を実行することができる。本開示の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、ストレージ540などの任意の媒体とすることができ、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによって、またはそれらと接続して使用するためのプログラミングを含むもしくは記憶することができる。
【0180】
ソフトウェア550はまた、命令実行システム、装置、もしくは上述したものなどのデバイスによって、またはそれらと接続して使用するための任意の伝送媒体内に伝播されることができ、命令実行システム、装置、もしくはデバイスからの、ソフトウェアに関連付けられた命令をフェッチし、命令を実行することができる。本開示の文脈において、伝送媒体は、任意の媒体とすることができ、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによって、またはそれらと接続して使用するための伝送プログラミングを通信、伝播、または伝送することができる。伝送可読媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、もしくは赤外線の有線または無線伝播媒体を含むことができるが、これらに限定されない。
【0181】
デバイス500は、任意の好適な種類の相互接続された通信システムとすることができるネットワークへと接続されることができる。ネットワークは、任意の好適な通信プロトコルを実装することができ、任意の好適なセキュリティプロトコルによって保護されることができる。ネットワークは、無線ネットワーク接続(T1またはT3回線)、ケーブルネットワーク、DSL、または電話回線などの、ネットワーク信号の送受信を実装することができる任意の好適な構成のネットワークリンクを含むことができる。
【0182】
デバイス500は、ネットワーク上で動作するのに好適な任意のオペレーティングシステムを実装することができる。ソフトウェア550は、C、C++、Java(登録商標)、またはPythonなどの任意の好適なプログラミング言語で書かれることができる。様々な実施形態では、本開示の機能を具現化するアプリケーションソフトウェアは、異なる構成で(例えば、クライアント/サーバ構成で、またはウェブベースのアプリケーションもしくはウェブサービスとしてのウェブブラウザを介して)展開されることができる。いくつかの実施形態では、オペレーティングシステムは、1つまたは複数のプロセッサ、例えばプロセッサ510によって実行される。
【0183】
デバイス500は、任意の適切な核酸配列決定機器とすることができるシーケンサー570をさらに含むことができる。
【0184】
図5Bは、一実施形態にかかるコンピューティングシステムの例を示している。コンピューティングシステム590において、(例えば、上述し図5Aに示すような)デバイス500は、デバイス594にも接続されているネットワーク592に接続されている。いくつかの実施形態では、デバイス594は、シーケンサー(例えば、次世代シーケンサー)である。例示的なシーケンサーは、限定されないが、Roche/454のGenome Sequencer(GS)FLX System、Illumina/SolexaのGenome Analyzer(GA)、IlluminaのHiSeq 2500、HiSeq 3000、HiSeq 4000、およびNovaSeq 6000配列決定システム、Life/APGのSupport Oligonucleotide Ligation Detection(SOLiD)システム、PolonatorのG.007システム、Helicos BioSciencesのHeliScope Gene配列決定システム、またはPacific BioSciencesのPacBio RSシステムを含む。
【0185】
デバイス500および594は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、またはインターネットなどのネットワーク592を介して適切な通信インターフェースを使用して通信することができる。いくつかの実施形態では、ネットワーク592は、例えば、インターネット、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、クラウドネットワーク、有線ネットワーク、または無線ネットワークとすることができる。デバイス500および594は、イーサネット(登録商標)、IEEE802.11b無線などの無線または有線通信を介して、部分的または全体的に通信することができる。さらに、デバイス500および594は、例えば、好適な通信インターフェースを使用して、モバイル/セルラーネットワークなどの第2のネットワークを介して通信することができる。デバイス500と594との間の通信は、メールサーバ、モバイルサーバ、メディアサーバ、電話サーバなどの様々なサーバをさらに含むか、それらと通信することができる。いくつかの実施形態では、デバイス500および594は、(ネットワーク592を介した通信の代わりに、またはそれに加えて)、例えば、イーサネット(登録商標)、IEEE802.11b無線などの無線または有線通信を介して、直接通信することができる。いくつかの実施形態では、デバイス500および594は、直接接続とすることができるか、またはネットワーク(例えば、ネットワーク592)を介して発生することができる通信596を介して通信する。
【0186】
デバイス500および594のうちの一方または全ては、一般に、本明細書に記載の様々な例にしたがってネットワーク592を介して情報を提供および/または受信するために、ローカルもしくはリモートのデータベースまたは他のデータおよびコンテンツのソースからアクセスされる論理(例えば、httpウェブサーバロジック)を含むか、またはデータをフォーマットするようにプログラムされる。
【0187】
例示的な実施形態では、1つまたは複数のプロセッサと、メモリと、1つまたは複数のプログラムと、を備え、1つまたは複数のプログラムが、メモリに記憶され、1つまたは複数のプロセッサによって実行されるように構成され、1つまたは複数のプログラムが、(a)変異体パネルからの変異体遺伝子座における遺伝子変異体を選択することと、(b)変異体遺伝子座と重複する試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを取得することと、(c)各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することであって、対応する参照配列が遺伝子変異体を含まない、生成することと、(d)各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することであって、対応する変異体配列が遺伝子変異体を含む、生成することと、(e)参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアに基づいて、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、遺伝子変異体を有するか、遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであると標識することと、を行うための命令を含み、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する参照配列よりも対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有すると標識され、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、配列決定リードが、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが等しい場合、ヌルリードとして標識される、電子デバイスがある。
【0188】
別の例示的な実施形態では、1つまたは複数のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、1つまたは複数のプログラムが、ディスプレイを有する電子デバイスの1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、電子デバイスに、(a)変異体パネルからの変異体遺伝子座における遺伝子変異体を選択することと、(b)変異体遺伝子座と重複する試験サンプルに関連する1つまたは複数の配列決定リードを取得することと、(c)各配列決定リードを対応する参照配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて参照マッチスコアを生成することであって、対応する参照配列が遺伝子変異体を含まない、生成することと、(d)各配列決定リードを対応する変異体配列にアライメントすることによって、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれについて変異体マッチスコアを生成することであって、対応する変異体配列が遺伝子変異体を含む、生成することと、(e)参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアに基づいて、1つまたは複数の配列決定リードのそれぞれを、遺伝子変異体を有するか、遺伝子変異体を有しないか、またはヌルリードであるかのいずれかであると標識することと、を行わせる命令を含み、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する参照配列よりも対応する変異体配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有すると標識され、参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアが、配列決定リードが対応する変異体配列よりも対応する参照配列とより密接に一致することを示す場合、配列決定リードが遺伝子変異体を有しないと標識され、配列決定リードが、参照マッチスコアと変異体マッチスコアとが等しい場合、ヌルリードとして標識される、非一時的コンピュータ可読記憶媒体がある。
【0189】
本開示および実施例は、添付の図面を参照して十分に説明されているが、様々な変形および変更が当業者にとって明らかになることに留意されたい。そのような変形および変更は、特許請求の範囲によって定義される本開示および例の範囲内に含まれると理解されるべきである。
【0190】
上記の説明は、説明を目的として、特定の実施形態を参照して説明されている。しかしながら、上記の例示的な説明は、網羅的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示を考慮して、多くの変更および変形が可能である。実施形態は、技術の原理およびそれらの実際の用途を最もよく説明するために選択および記載された。それにより、他の当業者は、企図される特定の使用に適した様々な変更を伴う技術および様々な実施形態を最良に利用することが可能になる。
【実施例
【0191】
本明細書において提供される実施例は、例示のみを目的として含まれ、本発明の範囲を限定することを意図しない。
[実施例1]
【0192】
サンプル1およびサンプル2からの配列決定リードは、最初に、ベースラインサンプルからキュレートされた変異体セットを生成するために標準的な変異体呼び出しプロトコルを使用して呼び出される標的配列決定方法ならびに変異体および対立遺伝子の深さを使用して得られた。サンプル1およびサンプル2について、変異体パネルおよび対立遺伝子の深さを選択した。サンプル1の変異体パネルの変異体は、1から22塩基長の範囲であり(図6A)、サンプル2の変異体パネルの変異体は、単一塩基長の変異体のみを含んでいた(図6B)。
【0193】
変異体パネルにおける各変異体に対応する参照配列(すなわち、対応する参照配列)および変異体パネルにおける各変異体に対応する変異体配列(すなわち、変異参照配列)を生成した。変異体または参照塩基は、対応する変異体配列および対応する参照配列を生成するために、変異体遺伝子座の両側に200塩基が隣接していた。
【0194】
変異体パネル中の変異体の変異体遺伝子座と重複したサンプル1およびサンプル2から読み取った各配列決定を、Striped Smith-Watermanアライメントアルゴリズムを使用して対応する参照配列および対応する変異体配列とアライメントして、それぞれ参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアを生成した。マッチスコアを使用して、リードを、変異体を有する、変異体を有しない、またはヌルリードのいずれかとして標識した。サンプル1からの199個の変異体が検出され、サンプル2からの374個の変異体が検出された。図7Aおよび図8Aは、マッチスコア(y軸)を、標準的な変異体コーリングプロトコル(x軸)を使用して検出された変異体リードの数と比較することによって検出された変異体リードの数のプロットを、サンプル1(図7A)およびサンプル2(図8A)について対数スケール(左)および正規化(右)で示している。図7Bおよび図8Bは、変異体遺伝子座(x軸)と重複する配列決定リードの初期プールからの配列決定リードの合計についての各変異体遺伝子座における変異体遺伝子座の深さに対する、変異体を有するまたは変異体を有しない(すなわち、ヌルリードを除外する)と標識された配列決定リードの合計についての各変異体遺伝子座における変異体対立遺伝子の深さのプロット(y軸)を、サンプル1(図7B)およびサンプル2(図8B)について対数スケール(左)および正規化(右)で示している。
[実施例2]
【0195】
サンプル1およびサンプル2からの配列決定リードは、最初に、ベースラインサンプルからキュレートされた変異体セットを生成するために標準的な変異体呼び出しプロトコルを使用して呼び出される標的配列決定方法ならびに変異体および対立遺伝子の深さを使用して得られた。サンプル1およびサンプル2について、変異体パネルおよび対立遺伝子の深さを選択した。サンプル1の変異体パネルの変異体は、1から22塩基長の範囲であり(図6A)、サンプル2の変異体パネルの変異体は、単一塩基長の変異体のみを含んでいた(図6B)。
【0196】
変異体パネルにおける各変異体に対応する参照配列(すなわち、対応する参照配列)および変異体パネルにおける各変異体に対応する変異体配列(すなわち、変異参照配列)を生成した。変異体または参照塩基は、対応する変異体配列および対応する参照配列を生成するために、変異体遺伝子座の両側に500塩基が隣接していた。
【0197】
変異体パネル中の変異体の変異体遺伝子座の単一塩基と重複したサンプル1およびサンプル2から読み取った各配列決定を、Striped Smith-Watermanアライメントアルゴリズムを使用して対応する参照配列および対応する変異体配列とアライメントして、それぞれ参照マッチスコアおよび変異体マッチスコアを生成した。マッチスコアを使用して、リードを、変異体を有する、変異体を有しない、またはヌルリードのいずれかとして標識した。サンプル1からの202個の変異体が検出され、サンプル2からの375個の変異体が検出された。図9Aおよび図10Aは、マッチスコア(y軸)を、標準的な変異体コーリングプロトコル(x軸)を使用して検出された変異体リードの数と比較することによって検出された変異体リードの数のプロットを、サンプル1(図9A)およびサンプル2(図10A)について対数スケール(左)および正規化(右)で示している。図9Bおよび図10Bは、変異体遺伝子座(x-軸)と重複する配列決定リードの初期プールからの配列決定リードの合計についての各変異体遺伝子座における変異体遺伝子座の深さに対する、変異体を有するまたは変異体を有しない(すなわち、ヌルリードを除外する)と標識された配列決定リードの合計についての各変異体遺伝子座における変異体遺伝子座の深さのプロット(y軸)を、サンプル1(図9B)およびサンプル2(図10B)について対数スケール(左)および正規化(右)で示している。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
【配列表】
2023543760000001.app
【国際調査報告】