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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(54)【発明の名称】調整可能な管腔並置ステント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/88 20060101AFI20231011BHJP
   A61F 2/848 20130101ALI20231011BHJP
   A61F 2/94 20130101ALI20231011BHJP
【FI】
A61F2/88
A61F2/848
A61F2/94
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518935
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(85)【翻訳文提出日】2023-05-22
(86)【国際出願番号】 US2021051062
(87)【国際公開番号】W WO2022066566
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/083,409
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】タック、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フォラン、マーティン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】バーク、マーティン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA43
4C267AA45
4C267AA50
4C267AA52
4C267AA55
4C267BB03
4C267BB06
4C267BB11
4C267BB16
4C267BB19
4C267BB27
4C267BB40
4C267CC07
4C267GG05
4C267GG21
4C267HH08
4C267HH18
(57)【要約】
本開示は、一般に、医療デバイスの分野に関する。特に、本開示は、隣接する体管腔内および/または体管腔間の流体および材料の流れを容易にするための医療デバイス、たとえば、体管腔間に開いた流路を維持するステントに関する。1つの例では、ステントは、拘束構成と拡張構成とを有することができる。拡張構成では、ステントは、第1および第2の保持部材と、その保持部材間を延びるサドル領域とを有することができる。サドル領域は、第1および第2の保持部材にそれぞれ並置された組織表面に復元力を印加するように構成されたコイルを備えることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントであって、
拘束構成を有する細長い本体を備え、
前記細長い本体が、第1の保持部材になるように拡張された第1の部分を有する拡張構成と、第2の保持部材になるように拡張された第2の部分と、前記第1の保持部材と第2の保持部材との間を延びる管腔を画定するサドル領域とを有し、
前記サドル領域が、前記第1および第2の保持部材にそれぞれ並置される組織表面に復元力を印加するように構成されたコイルで形成される、ステント。
【請求項2】
前記第1の保持部材が、第1の組織の第1および第2の表面を並置するように構成された第1のフランジおよび第2のフランジを備え、前記第2の保持部材が、第2の組織の第1および第2の表面を並置するように構成された第3のフランジおよび第4のフランジを備え、またはその両方である、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記第1の保持部材が、メッシュ構造を備え、前記第2の保持部材が、メッシュ講構造を備え、またはその両方である、請求項1または2に記載のステント。
【請求項4】
前記コイルが、前記サドル領域の全長に沿って延びる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のステント。
【請求項5】
前記コイルが、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材との間に張力を印加するように構成される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のステント。
【請求項6】
前記コイルが、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材との間に横方向に外向きの力を印加するように構成される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のステント。
【請求項7】
前記サドル領域が、2つ以上のコイルを備える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のステント。
【請求項8】
前記2つ以上のコイルが、端と端を合わせて接合される、請求項7に記載のステント。
【請求項9】
前記2つ以上のコイルが、中央点において接合される、請求項7または8に記載のステント。
【請求項10】
前記2つ以上のコイルのそれぞれが、異なるばね定数を備える、請求項7乃至9のいずれか1項に記載のステント。
【請求項11】
サドル領域が、少なくとも1つの湾曲部を備える、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のステント。
【請求項12】
前記第1の保持部材、前記第2の保持部材、および前記コイルが、ワイヤで連続的に形成される、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のステント。
【請求項13】
前記第1の保持部材が、前記サドル領域の長手方向軸に実質的に垂直な第1の表面を備え、前記第1の表面が、第1の組織を並置するように構成され、前記第2の保持部材が、前記サドル領域の長手方向軸に実質的に垂直な第2の表面を備え、前記第2の表面が、第2の組織を並置するように構成され、またはその両方である、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のステント。
【請求項14】
前記コイルが、形状記憶材料を備える、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のステント。
【請求項15】
前記ステントが、カバーを備える、請求項1乃至14のいずれか1項に記載のステント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、医療デバイスの分野に関する。特に、本開示は、体管腔間または体管腔内で開いた流路を維持するためのステントなどの、流体および材料の流れを容易にするための医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
解剖学的エリア内(たとえば、体管腔、通路、血管、管など)の自己拡張型金属ステント(SEMS)の留置は、一方のエリアから別のエリアへの流体連通を可能にし得る。たとえば、ステントは、1つの体管腔から別の体管腔への流体の流れを可能にし得る。
【0003】
ステントは、通常、増分的なサイズで提供され、個々にサイズ設定されたステントが、患者の組織の解剖学的寸法に基づいて処置に使用するために選択される。不適切にサイズ設定されたステントは、たとえばステントが、ステントの保持部材間に保たれた組織の幅を収容するには短すぎる場合、並置された組織に対して過度の刺激を引き起こす場合がある。いくつかの場合、不適切にサイズ設定されたステントは、ステントと並置された組織との間のシールの形成を妨げることがある。結果として、標的の患者の解剖学的構造に合わせて最適にサイズ設定されていないステントの結果、組織の損傷および/またはステント周りの流体の漏れなどのその他の意図せぬ結果が生じ、それによって患者に対して不快感および/または危険なリスクを及ぼし得る。
【0004】
上記の考慮を念頭において、さまざまな有利な医学的転帰が、本開示のデバイスおよび/または方法によって実現され得る。
【発明の概要】
【0005】
1つの態様では、ステントは、拘束構成を有する細長い本体を備えることができる。細長い本体は、第1の保持部材になるように拡張された第1の部分を有する拡張構成を有することができる。細長い本体は、第2の保持部材になるように拡張された第2の部分を有することができる。細長い本体は、サドル領域を有することができる。サドル領域は、第1の保持部材と第2の保持部材との間を延びる管腔を画定することができる。
【0006】
説明される他の態様では、第1の保持部材は、第1の組織の第1および第2の表面を並置するように構成された第1のフランジおよび第2のフランジを備えることができ、第2の保持部材は、第2の組織の第1および第2の表面を並置するように構成された第3のフランジおよび第4のフランジを備えることができ、またはその両方であることができる。第1の保持部材は、メッシュ構造を備えることができ、第2の保持部材は、メッシュ構造を備えることができ、またはその両方であることができる。多くの実施形態では、コイルは、サドル領域の全長に沿って延びることができる。コイルは、第1の保持部材と第2の保持部材との間に張力を印加するように構成され得る。コイルは、第1の保持部材と第2の保持部材との間に横方向に外向きの力を印加するように構成され得る。サドル領域は、2つ以上のコイルを備えることができる。2つ以上のコイルは、端と端を合わせて接合され得る。2つ以上のコイルは、中央点において接合され得る。2つ以上のコイルの各々は、異なるばね定数を備えることができる。サドル領域は、少なくとも1つの湾曲部を備えることができる。第1の保持部材、第2の保持部材、およびコイルは、ワイヤで連続的に形成され得る。第1の保持部材は、サドル領域の長手方向軸に実質的に垂直な第1の表面を備えることができ、第1の表面は、第1の組織を並置するように構成され、第2の保持部材は、サドル領域の長手方向軸に実質的に垂直な第2の表面を備えることができ、第2の表面は、第2の組織を並置するように構成され、またはその両方であることができる。コイルは、形状記憶材料を備えることができる。ステントは、カバーを備えることができる。
【0007】
別の態様では、中空本体は、拘束構成と非拘束構成とを備えることができる。非拘束構成にある中空本体は、第1の保持部材と、第2の保持部材と、これら部材間の中央領域とを備えることができる。中央領域は、偏向されたときに、所定の位置に向かって戻るための力を生成するように構成されたコイルを備えることができる。第1の保持部材および第2の保持部材は、第1の保持部材によって係合された組織、第2の保持部材によって係合された組織、またはその両方に力を移すように構成され得る。
【0008】
説明される他の態様では、コイルは、第1の保持部材と第2の保持部材との間に張力を印加するように構成され得る。コイルは、第1の保持部材と第2の保持部材との間に横方向に外向きの力を印加するように構成され得る。第1の保持部材、第2の保持部材、およびコイルは、ワイヤで連続的に形成され得る。
【0009】
さらに別の態様では、ステントは、第1の組織層を並置するように構成された第1の保持部材と、第2の組織層を並置するように構成された第2の保持部材と、これら部材間を延びるサドル領域とを備えることができる。サドル領域は、第1の組織層と第2の組織層との間の間隔に影響を与えるように構成されたコイルを備えることができる。
【0010】
説明される他の態様では、コイルは、第1の保持部材と第2の保持部材との間に張力を印加するように構成され得る。コイルは、第1の保持部材と第2の保持部材との間に横方向に外向きの力を印加するように構成され得る。第1の保持部材、第2の保持部材、およびコイルは、ワイヤで連続的に形成され得る。コイルは、サドル領域の全長に沿って延びる。
【0011】
概略的であり、縮尺通りに描かれていることを意図しない添付の図を参照しながら、本開示の非限定的な例が説明される。この図では、図示される同一またはほぼ同一の各構成要素は、通常、単一の番号によって表される。明確にするために、すべての図においてすべての構成要素が標識されるとは限らず、または当業者が本開示を理解することを可能にするために図示が必要でない場合、本開示の各実施形態内のすべての構成要素が示されるとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本明細書に説明される1つまたは複数の実施形態による、自己拡張型ステントの側面図。
図1B】本明細書に説明される1つまたは複数の実施形態による、自己拡張型ステントの別の側面図。
図1C】本明細書に説明される1つまたは複数の実施形態による、自己拡張型ステントの別の側面図。
図2A】本明細書に説明される1つまたは複数の実施形態による、自己拡張型ステントを示す図。
図2B】本明細書に説明される1つまたは複数の実施形態による、自己拡張型ステントを示す別の図。
図3】本明細書に説明される1つまたは複数の実施形態による、ステントの例示的な使用を示す図。
図4】本明細書に説明される1つまたは複数の実施形態による、自己拡張型ステントの例示的な使用を示す図。
図5】本明細書に説明される1つまたは複数の実施形態による、例示的な湾曲した自己拡張型ステントを示す図。
図6】本明細書に説明される1つまたは複数の実施形態による、別の例示的な湾曲した自己拡張型ステントを示す図。
図7】本明細書に説明される1つまたは複数の実施形態による、自己拡張型ステントの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
解剖学的エリア内(たとえば、体管腔、通路、血管、管など)の自己拡張型金属ステント(SEMS)の留置は、一方のエリアから別のエリアへの流体連通を可能にし得る。たとえば、ステントは、1つの体管腔から別の体管腔への流体の流れを可能にし得る。
【0014】
ステントは、通常、増分的なサイズで提供され、個々にサイズ設定されたステントが、患者の組織の解剖学的寸法に基づいて処置に使用するために選択される。たとえば、特定のステントは、1つまたは複数の体管腔の寸法、ステントによって形成されるように意図された所望の通路の長さ、ステントによって並置されることになる組織間の距離、または他の寸法に合致するように選択され得る。
【0015】
理解されるように、最適にサイズ設定されたステントが選択可能であるように患者の組織の寸法を正確に取得することは、医師にとって難しくなり得る。たとえば、組織の動きおよび/または組織の明確な視認性の欠如は、処置における使用に合わせて適切にサイズ設定されるステントを選択する医師の能力を損ない得る。
【0016】
不適切にサイズ設定されたステントは、たとえば、ステントが長すぎて、その端部が並置される組織を超えて体管腔を抜けて延び、それによって他の組織と望ましくない相互作用を行う場合、隣接する組織に対して過度の刺激を引き起こし得る。いくつかの場合、不適切にサイズ設定されたステントは、ステントと並置される組織との間のシールの形成を妨げ得る。たとえば、ステントは、組織を効果的に橋渡しするのに十分な長さを有さないことがあり、したがって動きやすくなることがあり、その結果、ステントの保持部材間に位置決めされた組織とのシールを適切に形成できなくなる可能性がある。結果として、不適切にサイズ設定されたステントの結果、組織の損傷、および/またはステントの周りの流体の漏れなどの他の意図しない結果が生じ、それによって患者に対して不快感および/または他の症状を及ぼし得る。
【0017】
上記の考慮を念頭において、さまざまな有利な医学的転帰が、本開示のデバイスおよび/または方法によって実現され得る。たとえば、本明細書に説明される1つまたは複数の実施形態によるステントは、さまざまな用途に対応するために自動的に調整可能な長さを有することができる。それにしたがって、医師は、従来のステントに必要とされるように所望のステントサイズを近似する必要がなくなり得る。
【0018】
本開示は、説明される特定の実施形態に限定されず、したがって変化し得る。本明細書に使用される専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のためにすぎず、付属の特許請求の範囲の範囲以外を限定することを意図していない。別途規定されない限り、本明細書に使用されるすべての技術的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。最後に、本開示の実施形態は、胃腸系に関連する医療デバイスおよびシステムおよび処置を特に参照しながら説明されるが、そのような医療デバイスおよび方法は、腹腔、消化器系、胸腔、尿および生殖器官などの組織で使用されてもよいことを理解されたい。
【0019】
本明細書に使用されるとき、「近位端部」は、デバイスを患者に導入するときにデバイスに沿って医療専門家の最も近くに位置するデバイスの端部を指し、「遠位端部」は、埋め込み、位置決め、または送達中、デバイスに沿って医療専門家から最も遠くに位置するデバイスまたは対象物の端部を指す。
【0020】
本明細書および付属の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、および「その(the)」は、内容が別途明確に定めない限り複数の指示対象を含む。本明細書および付属の特許請求の範囲において使用されるとき、用語「または」は、内容が別途明確に定めない限り、「および/または」を含む意味において全般的に使用される。
【0021】
本明細書に使用されるとき、接続詞「および」は、内容が別途明確に表示しない限り、そのように接続される構造、構成要素、特徴などの各々を含み、接続詞「または」は、内容が別途明確に表示しない限り、そのように接続された構造、構成要素、特徴などの1つまたは他のものを単一で、ならびに任意の組み合わせおよび数で含む。
【0022】
すべての数値は本明細書において、明示的な表示の有無にかかわらず、用語「約」によって修飾されるように想定される。数値の内容における用語「約」は、一般に、当業者が、挙げられた値に等価である(たとえば同じ機能または結果を有する)と考える数の範囲を指す。多くの場合、用語「約」は、最も近い有効数値に丸められる数を含むことができる。(たとえば数値以外の内容における)用語「約」の他の使用は、別途指定されない限り、本明細書の内容から理解され、またこれと一致するようなその従来の慣習的な定義を有するように想定され得る。端点による数値範囲の列挙は、その端点を含むその範囲内のすべての数を含む(たとえば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0023】
本明細書における「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、または「他の実施形態」などへの参照は、説明される実施形態が1つまたは複数の特定の特徴、構造、および/または特性を含み得ることを表示することが留意される。しかし、そのような列挙は、すべての実施形態がその特定の特徴、構造、および/または特性を含むことを必ずしも意味するものではない。追加的に、その特定の特徴、構造、および/または特性が、1つの実施形態に関連して説明されるとき、そうではないことが明確に述べられない限り、そのような特徴、構造、および/または特性が、明示的な説明の有無にかかわらず、他の実施形態に関連して使用されてもよいことを理解されたい。
【0024】
詳細な説明は、図を参照しながら読み取られなければならず、これらの図は、必ずしも原寸通りではなく、例証的な実施形態を示すものであり、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0025】
図1A~Cは、本明細書の1つまたは複数の実施形態による例示的なステントを示す。ステント100は、間を延びるサドル領域106を介して互いに結合された第1および第2の保持部材102、104を備えることができる。図1Aは、第1の構成(たとえば拡張構成)にあるステント100を示し、図1Bは、中間構成(たとえば部分的拡張構成)にあるステント100を示し、図1Cは、第2の構成(たとえば圧縮構成)にあるステント100を示す。
【0026】
第1および第2の保持部材102、104は、サドル領域106の直径より大きい直径を有するフランジまたは他の拡張部分を各々が形成することができる。多くの実施形態では、第1および第2の保持部材102、104の一方または両方は、組織表面と接触するように構成され得る。たとえば、第1の保持部材102は、第1の軸方向外側表面116、第1の径方向外側表面126、および/または第1の軸方向内側表面118に沿って組織表面(図示されず)を並置するか、または別の形で係合することができる。第2の保持部材104は、第2の軸方向外側表面122、第2の径方向外側表面128、および/または第2の軸方向内側表面120に沿って組織表面(図示されず)を並置するか、または別の形で係合することができる。したがって、いくつかの実施形態では、ステント100は、対向する組織表面を一緒に押さえるように構成されてもよく、その一方で他の実施形態では、ステントは、対向する組織表面を別れたままにするように構成されてもよい。たとえば、ステント100は、第1および第2の軸方向外側表面116、122に沿って、または第1および第2の軸方向内側表面118、120に沿って2つ以上の組織壁を並置するように展開され得る。別の例では、ステント100は、(たとえば単一の体管腔内で)第1および第2の径方向外側表面126、128に沿って組織と係合するように展開され得る。第1の軸方向外側表面116、第1の軸方向内側表面118、第2の軸方向内側表面120、および/または第2の軸方向外側表面122は各々、平坦な表面(たとえば、ステント100を通って延びる長手方向軸A-Aに実質的に垂直な、もしくは角度を付けた(図示されず)表面)を備えることができ、またはこれらは、1つもしくは複数の湾曲部(図示されず)を有する表面もしくは複数の表面を備えることができる。第1の径方向外側表面126および/または第2の径方向外側表面128は、平坦な表面(たとえば、長手方向軸A-Aに実質的に平行な、もしくは角度を付けた(図示されず)表面)、または1つもしくは複数の湾曲部(図示されず)を有する表面を備えることができる。第1および第2の保持部材102、104は、ワイヤ、1つまたは複数の編組、メッシュ構造などで形成されてもよく、1つまたは複数の金属、ポリマー、または他の適切な材料で形成されてもよい。多くの実施形態では、第1および第2の保持部材102、104の1つまたは複数は、ニチノールなどの形状記憶材料を備えることができる。
【0027】
細長い本体、中空本体、中央領域、またはサドル領域106などのサドル領域は、ステント100の第1の保持部材102と第2の保持部材104との間を延びることができる。サドル領域106は、管状構造を備えることができ、管状構造は、いくつかの実施形態では、円筒状および線形状の形態であってもよく、ならびに/または1つもしくは複数の湾曲部を備えてもよい(図5~6を参照)。管腔124は、ステントの全長に沿ってステント100の長手方向軸A-Aに沿って(たとえば第1の保持部材102、サドル領域106、および第2の保持部材104を通って)延びることができる。多くの実施形態では、管腔124は、ステントに結合された組織間に流体が流れ出るか、または移動し得るように、ステント100を通る流体の流れを可能にするように構成され得る。
【0028】
さまざまな実施形態では、第1および/または第2の保持部材102、104は、その少なくとも一方の端部上にリップまたは突出部110を備えることができる。リップまたは突出部110(本明細書では簡単にするために「リップ」とまとめて称される)は、これを通る流れを案内する役割を果たすことができ、ならびに/あるいはステント100の留置および/または除去中、ユーザが把持するための表面を提供することができる。図示される実施形態では、第1の保持部材102のリップ110および/または第2の保持部材104のリップ112は、保持部材のそれぞれのフランジから離れるように軸A-Aに沿って長手方向に延びることができる。リップ110、112は、サドル領域106、管腔124、または対応する第1または第2の保持部材102、104の直径と同じ、これより小さい、またはこれより大きい直径を備えることができる。
【0029】
サドル領域106は、コイル108などの少なくとも1つのばね部材を含むことができる。コイル108は、サドル領域106の一部に沿って、またはサドル領域の全長に沿って延びることができる。コイル108は、平坦なワイヤ、円形ワイヤ、またはその組み合わせで形成され得る。コイル108は、単一のワイヤまたは複数のワイヤを備えることができ、金属、ポリマー、または他の適切な弾性材料で作製され得る。多くの実施形態では、コイル108は、形状記憶材料を備え、その非限定的な例は、ニチノールである。さまざまな実施形態では、コイル108は、ステント100の第1および第2の保持部材102、104とは別個に形成され得る。たとえば、コイル108は、形成され、その後、のり、溶接、または他の適切な取り付け方法によって、保持部材102、104の1つまたは複数に取り付けられ得る。代替的には、コイル108は、コイルが第1および/または第2の保持部材と一体的になるように、第1および第2の保持部材102、104の1つまたは複数と共に連続的に形成され(たとえば、第1および/または第2の保持部材の少なくとも1つのワイヤによって形成され)てもよい。いくつかの実施形態では、コイル108は、第1および第2の保持部材102、104を形成するために使用される同じ材料で形成され、その一方で他の実施形態では、コイルは、第1および/または第2の保持部材のものとは異なる材料で形成される。コイル108は、サドル領域106を実質的に形成するように示されているが、サドル領域106は、図7のフープ708に関して説明されるように、コイル108に加えて、編組みされたおよび/または織られたサドル領域の1つまたは複数の部分を追加的に含むことができる。いくつかの実施形態では、コイル108は、ステント織りパターン(図示されず)で埋め込まれ得る。
【0030】
本明細書に説明されるさまざまなステントは、弛緩構成(すなわちほとんどまたは全く外部の力が印加されない場合)と偏向構成(すなわち外部の圧縮力または伸長力が印加される場合)とを有する少なくとも1つのコイル108を備えることができる。多くの実施形態では、弛緩構成は、熱の印加によって事前設定され得る。その後、横方向軸A-Aに沿ったコイル108の圧縮または拡張が、第1の保持部材102と第2の保持部材104との間に所望の付勢力を付与することが可能である。換言すれば、コイル108は、コイル108ならびに第1および第2の保持部材102、104を所定の位置に戻しやすい復元力を生成することができる。図1Aは、第1の構成にあるステント100を示し、この構成では、第1および第2の保持部材102、104は、長手方向軸A-Aに沿ってコイル108を拡張するように分離されている。その結果、第1の構成では、コイル108は、第1および第2の保持部材102、104に付勢を付与し、この付勢は、図1Bまたは1Cに示される第2の構成をとるために第1および第2の保持部材を互いに向かって矢印Aの方向に移動させやすくする。たとえば、ステント100は、矢印Aの方向に、図1Aの第1の構成から図1Bに示される中間構成を経て、図1Cに示される圧縮構成に向かって移動することができる。理解されるように、これにより、ステント100が、さまざまな解剖学的外形に対応するために、第1の保持部材102と第2の保持部材104)との間の距離を調整することが可能になり得る。たとえば、ステント100は、さまざまな厚さの組織層(図示されず)を橋渡しするためにその長さを自動的に調整することができる。
【0031】
言及されたように、ステント100は、第1および第2の保持部材102、104を互いに向かって、または互いから離れるように付勢するように構成され得る。たとえば、図1Aの第1の構成は、弛緩構成であってもよく、その一方で図1Cの第2の構成は、圧縮構成であってもよい。代替的に、図1Cの第2の構成は、弛緩構成であってもよく、図1Aの第1の構成は、延長構成であってもよい。さらに他の実施形態では、図1Bの中間構成は、弛緩構成であってもよく、その一方で図1Aおよび1Cの構成は、第1および第2の保持部材102、104が図1Bの弛緩状態に戻りやすいように付勢される延長構成(図1A)または圧縮構成(図1C)であってもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1および/または第2の保持部材102、104は、組織部分が、特定の処置の要件に応じて、一緒に押さえられるか、または別れたままにされるように、図3に関して説明されるように第1および第2の組織層308、310などの組織を並置するように構成され得る。したがって、第1および第2の保持部材102、104は、コイル108によって生成された(圧縮または拡張からの)力を、第1の保持部材によって並置される組織、第2の保持部材によって並置される組織、またはその両方に移すように構成され得る。いくつかの実施形態では、コイル108は、第1および第2の保持部材102、104を介して組織層間に所望の間隔をもたらすように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1および第2の保持部材102、104は、(たとえば、図示されないが、ステント100の長さに沿って体管腔の直径に効果を与えるために)単一の体管腔内で展開可能であるように構成され得る。
【0033】
たとえば、第1および/または第2の外側表面116、122は、第1および第2の保持部材102、104が横方向に外向きに(たとえば図1Cの矢印Bに沿って)付勢されるように、それぞれの組織表面を並置するように構成され得る。したがって、ステント100は、2つの組織層に力を印加するようにこれら層間に位置決めされて、これらを一緒に押さえる(たとえばそれぞれの第1および/または第2の外側表面116、122と並置される組織との間のシールを向上させる)か、あるいはこれらを別れたままにする(たとえば罹患した組織層を健康な組織層から離れたままにする、および/または別の処置または用途のためにアクセス可能であるように2つの組織間の空間を提供する)ことができる。
【0034】
いくつかの非限定的な例示的な実施形態では、第1および第2の保持部材102、104の第1および/または第2の内側表面118、120は、組織表面を一緒に押さえるようにそれぞれの組織表面を並置することができる。他の非限定的な例示的な実施形態では、第1および第2の保持部材102、104の第1および/または第2の外側表面116、122は、組織表面を別れたままにするようにそれぞれの組織表面を並置することができる。いずれの場合も、組織層は、ステント100によって効果的に橋渡しされ得、ステントは、その間に流体流路を作り出すことができる。
【0035】
多くの実施形態では、カバリング、コーティング、または他の層(本明細書では簡単にするためにまとめてカバー114と称される)が、ステント100に対して適用され、または別の形で結合されて、ステントの少なくとも一部分を封入することができる。理解されるように、ステント100の少なくとも一部分のためのカバリングを提供することにより、組織が、ステントの一部分にぶつかり、引っかかり、または所望の動作を妨げ得るようにして別の形で係合することが防止され得る。カバー114は、たとえば、シリコーンもしくは他のポリマー材料、またはその組み合わせを備えることができる。たとえば、カバー114は、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ポリビニリデン、芳香族ポリカーボネート系熱可塑性ウレタン、および/または別の材料などを備えることができる。カバー114は、ディップ・コーティング、塗装、噴霧、もしくは他の知られている堆積方法、またはその組み合わせなどによって、ステント100に対して適用され得る。あるいは、カバー114は、シートまたはスリーブとして、ステント100から別個に形成されてもよく、その後、ステントの周りに位置決めされ、のり、1つまたは複数の紐、焼きばめ、または他の適切な取り付け方法などによって取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、カバー114は、ステント100の対応する変形または偏向にしたがって伸張するか、または別の形で変形もしくは偏向するように構成され得る。いくつかの非限定的な例では、カバー114は、ステントが変形されたときに弛緩構成に戻るためのステント100の付勢に寄与し得るように、コイル108より小さい弾性を有するように構成され得る。
【0036】
図1A~Cのステント100の説明は、第1および第2の保持部材102、104を一緒になるように、または別れるように付勢するためのコイル108に関連してこれまで進んできたが、他の付勢部材、たとえば弾性バンド配列などがコイルの代わりに使用され得ることが理解されよう。
【0037】
図2A~Bを参照すれば、例示的なコイル配置が、より詳細に説明される。ステント200は、第1の保持部材202と、第2の保持部材204と、第1および第2の保持部材を形成するために使用される1つまたは複数のワイヤ226で作製されるコイル208を備えるサドル領域206とを備えることができる。この方法では、コイル208は、第1および第2の保持部材202、204と一体的に形成される。図2Aは、直径方向の拡張構成にあるステント200を示し、その一方で図2Bは、圧縮構成にあるステント200を示す。
【0038】
拡張構成では、ステント200の第1および/または第2の保持部材202、204は、図1A~Cに関して説明される第1および第2の保持部材102、104と同様に組織層を並置するように構成され得る。図1A~Cの実施形態とは対照的に、第1および第2の保持部材202、204の第1および第2の外側表面216、220ならびに第1および第2の内側表面218、222は、湾曲した表面を備える。いくつかの例では、第1および第2の保持部材202、204上の湾曲した内側および外側表面は、部材がそれぞれの組織層と、外傷なく、または平坦もしくは角度付きの表面と比較して組織層に対する擦り傷のリスクを低減して、係合することを可能にし得る。第1および第2の保持部材202、204は、図1A~Cに関して説明されたリップ110、112と同様に、それぞれの保持部材202、204から長手方向に離れる方向に軸A-Aに沿って延びるそれぞれのリップ210、212を含むことができる。
【0039】
保持部材202、204は、サドル領域206に沿ってコイル208になるように形成され得る1つまたは複数のワイヤ226で形成され得る。たとえば、単一のワイヤ226が、ワイヤ226の一部分または複数の部分が保持部材間を延びるように、第1および第2の保持部材202、204になるように巻き付けられ、編組みされ、または織られ得る。ワイヤ226は、次いで、集められおよび/またはねじられてコイル208を形成することができる。別の例では、複数のワイヤ226が、メッシュ構造になるように編組みされ、織られ、または形成されて、第1および/または第2の保持部材202、204を形成することができる。次いで、第1の保持部材202と第2の保持部材204との間を延びるワイヤ226の部分が、集められおよび/またはねじられてコイル208を形成することができる。第1および/または第2の保持部材202、204を形成するために使用されるワイヤ226のいくつか、またはすべてもまた、コイル208を形成することができる。別の例(図示されず)では、ステント200は、単一のワイヤ226で作製されてもよく、このワイヤは、第1の保持部材202を形成するように織られ、軸A-Aに沿ってコイル208になるように延ばされ、次いで、第2の保持部材204を形成するように第2の端部において織られ得る。
【0040】
コイル208は、図1A~Cに関して説明されたようなコイル108と同様に機能することができる。したがって、コイル208は、(図1Aなどのように)第1および第2の保持部材202、204が別れるように付勢され、(図1Cなどのように)一緒になるように付勢され、または(図1Bなどのように)中間位置に付勢されるように構成され得る。コイル208の剛性(たとえばその保持強度、復元力、または付勢力)が、たとえば、コイルを形成するために使用されるワイヤの数および/またはワイヤの太さを増大させることによって、たとえば線形に増大されてもよいことが理解されよう。したがって、ステント200は、特定の用途、または特定のタイプの組織との使用に合わせて所定の付勢力を有するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ステント200は、図1A~Cに関連して説明されたステント100に関連して説明される範囲内のばね力を有することができる。
【0041】
サドル領域206は、図1A~Cに関して説明されたサドル領域106と同様に、第1の保持部材202と第2の保持部材204との間を延びることができる。管腔224は、流体がステントを通って移動することができるように、ステント200の全長(「L1」)に沿って延びて、これを通り抜ける流路を提供することができる。簡単にするために、ステント200は図2A~Bではカバーを有さずに示されているが、ステントは、図1A~Cのステント100に関して説明されるようなコーティングまたはカバリングを備えてもよいことが理解されよう。
【0042】
多くの実施形態では、本明細書に説明されるステントは、カテーテルまたは他の送達デバイスの管腔228内に含まれるために、径方向に圧縮されるか、または拘束された状態(送達構成と称される)で患者の組織部位に送達され得る。ステントが患者体内に位置決めされたとき、これらは、送達デバイスから解放され、拡張された、非拘束の、または展開された構成をとることができる。ステントは、自己拡張型ステントでもよく、またはたとえば、バルーンによって拡張されてもよい。ステント200の拡張構成は、ステント200が拡張または展開構成において所定の長さL1および所定の直径「D1」を有するように、(たとえばヒートセッティングによって)事前設定され得る。図2Bは、たとえばステント200が送達デバイス管腔228内に配設可能なように、D1より小さい直径「D2」を有する、例示的な拘束構成にあるステント200を示す。送達構成では、ステント200は、長手方向軸A-Aに沿って長くなって、L1より大きい長さ「L2」をとることができる。理解されるように、ステント200の構成要素のいずれかまたはすべては、ステントが拘束構成にあるときに長手方向に長くなる、および/または径方向に低減することができる。図2Bが、区別できる径方向寸法を有するものとしてステント200の個々の要素(たとえば、保持部材202と比較して直径が明らかに小さいリップ210)を示すことが留意される。しかし、ステント200は、個々の要素がステントの長さに沿って直径が実質的に一定である拘束構成を有してもよいことが理解される。いくつかの実施形態では、コイル208は、より小さい直径を有するために、および/または線形形状を近似するために、拘束構成にあるときに拡張または伸張され得る。ステント200は、ステントが形状記憶材料で形成されるなどの場合、拘束からの解放時に拘束構成から拡張構成に自動的に移動されるように構成され得る。図1A~Cに関連して説明されるステント100は、ステント200に関連して説明されるものと同様の送達および展開構成を含んでもよいことが理解されよう。
【0043】
図3は、本明細書に説明される1つまたは複数の実施形態によるステント100の例示的な展開順序を示す。簡単にするために、方法は、ステント100に関連して説明されるが、方法が、本明細書に説明されるいずれのステントにも適用されてもよいことが理解されよう。
【0044】
言及されたように、カテーテル316などの送達シャフトが、拘束送達構成にあるステント100を患者の組織内またはこれに隣接する所望の場所に送達するために使用され得る。ステント100は、ステントがカテーテルから(すなわち、ステント100を径方向に圧縮された送達構成に保つことができる外側部材304を超えて)展開されるとき、カテーテル316の内側部材302の周りに配設され得る。見られるように、内側部材302は、カテーテルの先端306がステントを超えて配設されるように、ステント100の管腔124を通り抜けて配設される。いくつかの実施形態では、先端306は、電気メス先端などの組織切断要素であってもよい。
【0045】
内側部材302、外側部材304、およびステント100は、第1および第2の組織層310、308内に形成された第1および第2の開口部318、320を通って矢印Cの方向に一緒に前進され得る。こうして配置されるとき、第1の保持部材102は、第1の組織層308に関連付けられた体管腔312内に配設され、その一方で第2の保持部材104は、第2の組織層310に関連付けられた体管腔314内に配設される。外側部材304が矢印Dの方向に後退されるとき、第1の保持部材102は、体管腔312内で拡張し、第2の保持部材104は、体管腔314内で拡張し、このときコイル108は保持部材間に配設されている。ステント100の適切な留置を容易にするために、内側部材302および/または外側部材304は、1つまたは複数の、エコー原性、X線不透過性、および/または視覚的マーカを含むことができる。
【0046】
示されるように、ステント100は、第1および第2の組織層308、310を橋渡しする。コイル108は、第1および第2の保持部材102、104を互いに向かって付勢するように構成される。したがって、コイル108は、第1および第2の内側表面118、120を介して、それぞれの第1および第2の組織層308、310に力を印加して組織層を引き寄せることができる。内側部材302、外側部材304、および先端306を含む展開システムは、ステント100を第1の組織層308と第2の組織層310との間の適所に残して、管腔124を通って除去され得る。
【0047】
図4は、1つまたは複数の実施形態による組織内に配設されたステント400を示す。ステント400は、サドル領域106、コイル108、カバー114、および管腔124などの、ステント100および200に関連して上記で説明されたものと同様の1つまたは複数の特徴を備える。しかし、図4の実施形態では、保持部材402および404は、各組織層の対向する側と相互作用することによって組織層308、310をより安全に並置し得る複数フランジ型構造を備える。たとえば、保持部材402は、表面406、408を有する第1のフランジ422と、表面410および412を有する第2のフランジ424とを備えることができる。保持部材404は、表面414、416を有する第3のフランジ426と、表面418、420を有する第4のフランジ428とを備えることができる。表面406、406、410、412、414、416、418および420のいずれも、組織を並置するように構成されてもよいが、多くの実施形態では、複数フランジ型保持部材は、各保持部材のフランジ間に組織層を保つように構成されてもよい。したがって、表面408、410は、第1の組織層308を並置するように展開され得、表面416、418は、第2の組織層310を並置するように展開され得る。ステント400は、第1のフランジ422、第2のフランジ424、第3のフランジ426、および第4のフランジ428がそれぞれの組織層を並置するように連続的に展開され得ることを除いて、図3に関して説明されたものと同様の方法を使用して展開され得る。図4に示されるように、ステント400は、第1および第2の組織層308、310を橋渡しする。コイル108は、第1および第2の保持部材102、104を互いに離れるように付勢するように構成される。したがって、コイル108は、表面410、416を介してそれぞれの第1および第2の組織層308、310に力を印加して、組織層を別れるように(たとえば矢印Eに沿って)押す。展開システム(図示されず)は、ステント400を第1の組織層308と第2の組織層310との間の適所に残して除去され得る。保持部材402、404の一方または両方が、代替的に、それぞれ2つのフランジより少ない、または多いフランジを備えてもよい(図示されず)ことが理解されよう。
【0048】
図5~6は、本明細書に説明されるさまざまな実施形態による代替のステント構成を示す。簡単にするために、図5~6のそれぞれのステント500、600は、ステント500、600のサドル領域506、606が非線形形状を有し得ることを除いて、図1A~Cに関して説明されたステント100と同じまたは同様の特徴および機能を有することができ、代替的に、または追加的に、図4に関して説明された二重フランジ保持部材402、404を備えることができる。見られるように、図5のサドル領域506は、その長さに沿って湾曲され、その一方で図6のサドル領域606は、湾曲した部分610、612の対を含む。湾曲したステント500、600は、血管、および到達することが難しくなり得る器官表面または領域に沿って湾曲するために有用になり得る。これらが、湾曲したステントの2つの非限定的な例であり、本開示によるステントが、同じまたは異なる曲率半径、対応する変曲点などを含む、任意の数の湾曲部、転換部、曲がり部などを備えてもよいことが理解されよう。湾曲した部分506、610、および612の曲率半径が、ステント500、600が留置後に遭遇し得る対応する応力に対応するために、ステント500、600のばね定数、長さ、または他の側面と連携して最適化され得ることが理解されよう。湾曲部は、拡張構成において(たとえば、ヒートセッティングによって)事前設定され得る。ステント500、600のコイル508、608は、円形ワイヤを備えるように示されているが、本明細書において開示される平坦なワイヤ、集められたワイヤ、または任意の他のコイル構造が、1つまたは複数の湾曲部を備えてもよいことが理解されよう。
【0049】
図7は、本開示による追加の実施形態を示し、ここでは、ステント700は、複数のコイル702、704を含むサドル領域706を備える。ステント700は、サドル領域706が、多くの実施形態において異なる厚さ、ばね定数、変形に対する抵抗、復元力、直径、または他の特性を備え得る2つ以上のコイル702、704を備え得ることを除いて、図1A~Cに関連して説明されたステント100と同じまたは同様の特徴および機能を有することができる。たとえば、第1のコイル702は、第2のコイル704より太いワイヤから形成されるように示されており、したがって、第1のコイル702は、コイル704より大きいばね力を有することができる。可変の復元力のコイルは、たとえば、異なって印加される圧力または外形を有する体内通路において使用するために有用になり得る。たとえば、第2のコイル704に対応するステント700の部分は、第1のコイル702に対応する部分より容易に長手方向軸A-Aの周りで変形可能であることができ、それによって、ステント700は、曲がりくねった体内通路の一部分内での使用により適し得る。異なるワイヤ太さを有するコイルを提供する代わりに、第1のコイル702と第2のコイル704との間で異なるばね定数は、それぞれに対して異なる材料をまた、または代替的に、使用することによって実装されてもよいことが理解されよう。加えて、2つのコイルが示されているが、より多くの数のコイルが使用されてもよいことが企図される。さらに、連続的に可変であるおよび/または段階的な寸法を有する単一のコイルもまた、長さに沿って可変の剛性を有するステントを提供するために使用され得る。
【0050】
ステント700の第1および第2のコイル702、704は、溶接、接着剤などによって直接的に互いに結合されてもよく、またはこれらは、ステントの管腔の開いた通路を維持しながら、リング、フープなどの1つまたは複数の接続部材によって結合されてもよい。第1および第2のコイル702、704は、同じまたは異なる長さを備え、中心点において、またはサドル領域に沿った他所において接合され得る。たとえば、図示される実施形態では、第1および第2のコイル702、704は、ステント700のほぼ中間点において各々がフープ708に結合される。コイルが、図7に示すように端と端を合わせて、もしくは直列に結合されてもよく、または共通もしくは別個の管腔(図示されず)の周りで縦に並んでもしくは平行に結合されてもよいことが理解されよう。フープ708は、連続(たとえば中実)円周を有するように示されているが、フープ708は、代替的に、コイル702および/またはコイル704から連続的にまたは別個に形成され得る編組みされた、または織られたステント・サドル部分を備えてもよいことが理解されよう。ステントのさまざまなコイルはまた、同じまたは異なる材料で作製されてもよい。実施形態は本明細書に限定されない。
【0051】
さまざまな実施形態が代替の保持部材設計を備え得ることが理解されよう。簡潔にするために示されていないが、ステントは、たとえば第1の保持部材102および第2の保持部材404を有する非対称のフランジ設計を備えることができる。別の例(図示されず)では、ステントは、第1の保持部材102を備えるが、第2の保持部材104は備えなくてもよい。本明細書に説明される特徴の任意の組み合わせが本開示の範囲内にあることが理解されよう。
【0052】
本明細書に説明される実施形態は、さまざまな組織に関するさまざまな目的および/または使用に適したさまざまな寸法および/または特性を備えることができる。たとえば、ステントは、展開構成において5~40mmのサドル領域の長さを備えることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、サドル領域106などの拘束構成にあるステントのサドル領域は、2mm以上6mm以下または3mm以上5mm以下の範囲の直径を備えることができる。たとえば、ステントは、10Frまたは3.5mmの拘束構成における直径D2を有することができる。いくつかの実施形態では、拘束構成にあるサドル領域は、40mm以上150mm以下の範囲内の長さを有することができる。たとえば、拘束構成にあるステントは、40mm以上100mm以下の範囲内の長さL2を有することができる。いくつかの実施形態では、拘束構成にあるステントは、40mm以上80mm以下の範囲内の長さL2を有することができる。
【0054】
サドル領域は、長さと直径とを備えることができる。第1および第2の保持部材として二重壁付きフランジを有するステントなどの実施形態では、サドル領域の長さは、(i)フランジの各々の内向き表面の開始部間の細長い本体に沿った長さ、または(ii)ステントが拡張されるが、組織内に展開されていないときの内向き表面に沿った任意の点におけるフランジ間の最短距離である、本体に沿った長さ、または(iii)ステントが拡張され、組織内に展開されたときの内向き表面に沿った任意の点におけるフランジ間の最短距離である、本体に沿った長さとして測定され得る。多くの実施形態では、上記の条件(i)~(iii)下にあるものを含むサドル領域は、拡張構成において5mm以上150mm以下の範囲内の長さを有することができるが、いくつかの場合、サドル領域(サドル領域106など)は、拡張構成において5mm以上40mm以下または5mm以上20mm以下の範囲の長さを有することができる。拡張構成における胃腸ステント留置またはドレナージのためのデバイスのサドル領域の例示的な長さは、10mm以上30mm以下、10mm以上20mm以下、10mm以上15mm以下、または5mm以上10mm以下の範囲内の長さを含むことができる。
【0055】
多くの実施形態では、拡張構成にあるサドル領域の直径は、拘束構成にある細長い本体の直径より大きくなり得る。たとえば、拡張構成にあるサドル領域(サドル領域106など)の直径は、3mm以上40mm以下の範囲内にあってもよい。いくつかの実施形態では、拡張構成にあるサドル領域の直径は、5mm以上25mm以下、5mm以上20mm以下、または10mm以上20mm以下の範囲内にあってもよい。さまざまな実施形態では、拡張構成にあるサドル領域の直径は、拘束構成にあるステントの対応する直径より3~5倍大きくてもよいが、いくつかの実施形態では、拡張構成にあるサドル領域の直径は、拘束構成にあるステントの対応する直径より3~10倍大きくてもよい。
【0056】
図1A~Cに関して説明されるような管腔124などの、拡張構成にあるサドル領域の管腔は、たとえば、3~25mmの内径を含むことができる。
実施形態では、(図1A~Cに関して説明された第1および第2の保持部材102、104または図4に関して説明された保持部材402、404などの)第1の保持部材および/または第2の保持部材の直径は、5mm以上40mm以下の範囲内にあってもよい。他の例示的な保持部材の直径は、15mm以上40mm以下または15mm以上35mm以下の範囲内にあってもよい。多くの実施形態では、保持部材の直径は、拡張構成においてサドル領域の直径から特定のオフセットを有するように設定され得る。たとえば、ステントは、拡張構成において、サドル領域の直径と第1の保持部材および/または第2の保持部材のより大きい直径との間に3~20mmの相違を含むように構成され得る。いくつかの実施形態は、サドル領域の外径と保持部材のより大きい外径との間に6~10mmの相違を含むことができる。たとえば、10mmのサドル領域の外径の場合、近位フランジおよび/または遠位フランジの外径は、16~20mmの間であってもよい。いくつかの実施形態が、サドル領域の外径と近位フランジおよび/または遠位フランジの外径との間により大きい相違を含んでもよいことが理解されよう。いくつかの実施形態では、食道ステントなどにおいて、サドル領域の外径と近位フランジおよび/または遠位フランジの外径との間の相違は、4~6mmであってもよい。他の実施形態は、サドル領域の外径と近位フランジおよび/または遠位フランジの外径との間により大きいおよび/またはより小さい相違を備えることができる。他の例では、保持部材は、拡張構成においてサドル領域の直径より1から5倍大きい直径を有するように構成され得る。たとえば、拡張構成において10mmの直径を有するサドル領域を有するデバイスの場合、第1の保持部材および/または第2の保持部材は、13mm以上30mm以下、15mm以上25mm以下、または16mm以上20mm以下の範囲内の直径を有することができる。別の例では、20mmの直径を有する拡張構成にあるサドル領域を有するステントは、23mm以上40mm以下の範囲内の直径を有する1つまたは複数の保持部材を有することができる。いくつかの実施形態が、サドル領域の直径と第1の保持部材および/または第2の保持部材のより大きい直径との間により大きいまたはより小さいオフセットを含んでもよいことが理解されよう。
【0057】
第1の保持部材102などの第1の保持部材は、第2の保持部材104などの第2の保持部材と同じまたは異なる軸方向幅を有することができ、保持部材の軸方向幅は、それぞれの保持部材の内向き表面と外向き表面との間の長手方向軸に沿った距離として測定され得る。いくつかの実施形態では、拡張構成にある第1の保持部材および/または第2の保持部材の幅は、0.5mm以上10.0mm以下の範囲内にあってもよい。いくつかの実施形態では、第1および/または第2の保持部材の幅は、0.5mm以上3.0mm以下の範囲内にあってもよい。他の実施形態は、0.5mm以上6mm以下、2mm以上6mm以下、または3mm以上7mm以下の範囲内などの、第1の保持部材および/または第2の保持部材のより小さいおよび/またはより大きい幅を含むことができる。いくつかの実施形態では、保持部材は、一定の幅を有することができる。他の実施形態では、保持部材の幅は、垂直平面に沿って変化し得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、図1A~Cに関して説明されたようなリップ110、112などの近位突起端部および/または遠位突起端部は、拡張構成において0mm以上3mm以下の範囲内、たとえば0.5mm以上2.5mm以下、または1.0mm以上1.5mm以下の範囲内などの長さを有することができる。近位突起端部および/遠位突起端部は、サドル領域と連続的なフランジ管腔などの管腔を画定することができ、このとき、直径は、サドル領域によって画定された管腔、またはサドル管腔の直径以上である。さまざまな実施形態では、リップまたは突出部は、拡張構成にある対応するサドル領域の直径より少なくとも0.5~2.0mm広い、拡張構成におけるフランジ管腔直径、たとえば3mm以上40mm以下の範囲内のサドル直径に対して3.5mm以上42mm以下の直径範囲内などのフランジ管腔直径を備えることができる。拡張構成にある10mmの対応するサドル領域直径に対する別の例示的な範囲として、リップは、11mm以上14mm以下の直径を有することができる。拡張構成にある15mmの対応するサドル領域直径の場合、リップは、16~19mmの直径を有することができる。別の例では、拡張構成にある20mmのサドル領域直径は、21~24mmのリップ直径に対応することができる。リップは、保持部材および/またはサドル管腔と連続的に形成され得る。リップは、サドル領域の長手方向軸に平行であってもよい。代替的に、または追加的に、リップは、長手方向軸に対して非平行であってもよい。たとえば、リップは、長手方向軸に沿って径方向に外向きまたは内向きに延びることができる。リップの径方向に外向きの延長部は、たとえば、管腔内への漏斗として作用することによって、その管腔を通る流れを促進することができる。リップの径方向に内向きの延長部は、たとえばより小さい入口を画定することによって、その管腔を通る流れを低下させることができる。
【0059】
さまざまな実施形態は、拡張構成において5~60mmの範囲の総ステント長さを含むことができる。たとえば、例示的な展開されたステントは、10~50mmまたは10~40mmの長さを有することができる。
【0060】
さまざまな実施形態では、コイル108、208、508、608、702および/または704などのコイルは、1つまたは複数の組織または体管腔の治療および/またはこれらに関する留置に適したばね定数を有して構成され得る。多くの実施形態では、コイルは、50~200N/mの範囲内のばね定数を有することができる。コイルが、その外形に関連する、たとえばコイルの太さに関連するばね定数を有し得ることが理解されよう。
【0061】
本明細書において開示され、特許請求されるデバイスおよび/または方法のすべては、本開示に照らして過度な実験を行うことなく作製され、実行されることが可能である。本開示のデバイスおよび方法が好ましい実施形態に関して説明されてきたが、本開示の概念、趣旨、および範囲から逸脱することなく、本明細書に説明されるデバイスおよび/または方法に、ならびに方法のステップ内またはステップの順序において、変形形態が適用可能であることが、当業者に明らかになり得る。当業者に明らかであるすべてのそのような同様の代用形態および改変形態は、付属の特許請求の範囲によって定義される本開示の趣旨、範囲、および概念内にあるとみなされる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】