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特表2023-543776拡張可能なガイド装置、システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(54)【発明の名称】拡張可能なガイド装置、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/01 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
A61B1/01 513
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518936
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 US2021050655
(87)【国際公開番号】W WO2022066500
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/083,961
(32)【優先日】2020-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フラナガン、アイデン
(72)【発明者】
【氏名】クラーク、ブライアン アレン
(72)【発明者】
【氏名】フォスター、ダニエル ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA01
4C161AA04
4C161AA07
4C161AA15
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF36
4C161FF43
(57)【要約】
本開示は、その種々の態様において、拡張可能なガイド装置、実装方法、及び関連する送達システムに関する。本明細書に記載されているものを含む本開示による実施形態は、内視鏡検査処置の有効性及び効率を高めることができる。一実施例では、拡張可能なガイド装置は、装置の器具ルーメンを通して器具を受け入れるように構成されており、装置は、第1及び第2の本体を備え、第1及び第2の拡張可能な部材が、第1及び第2の本体の周囲に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能なガイド装置であって、
前記ガイド装置が、第1の本体を備え、前記第1の本体が、近位端と、遠位端と、長手方向軸線に沿って前記第1の本体を通って延びる器具ルーメンとを有し、前記器具ルーメンが、前記器具ルーメンを通って伸長可能な器具の第1の長さを摺動可能に受け入れるように構成されており、
前記ガイド装置が、前記第1の本体の周りに配置された第1の拡張可能な部材を備え、
前記ガイド装置が、第2の本体を備え、前記第2の本体が、近位端と、遠位端と、長手方向軸線に沿って前記第2の本体を通って延びる器具ルーメンとを有し、前記器具ルーメンが、前記器具ルーメンを通って伸長可能な前記器具の第2の長さを摺動可能に受け入れるように構成されており、
前記ガイド装置が、前記第2の本体の周りに配置された第2の拡張可能な部材を備える、
拡張可能なガイド装置。
【請求項2】
前記第1の拡張可能な部材及び前記第2の拡張可能な部材が、柔軟性の拡張可能な材料からなる、請求項1に記載のガイド装置。
【請求項3】
前記第1の拡張可能な部材及び前記第2の拡張可能な部材のうちの少なくとも1つと流体連通している少なくとも1つの送達部材を更に備える、請求項1又は2に記載のガイド装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの送達部材が、前記第1の拡張可能な部材及び前記第2の拡張可能な部材の両方と流体連通している、請求項3に記載のガイド装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの送達部材が、CO、造影剤流体、又は空気の供給源と流体連通している、請求項3又は4に記載のガイド装置。
【請求項6】
前記第2の本体が、柔軟性の拡張可能な材料からなる、請求項1~5のいずれか一項に記載のガイド装置。
【請求項7】
前記第2の本体の前記器具ルーメンが、前記器具と摩擦接触するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のガイド装置。
【請求項8】
前記第1の拡張可能な部材が、複数のチャンバを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のガイド装置。
【請求項9】
前記複数のチャンバの各チャンバが、前記少なくとも1つの送達部材のうちの独立した送達部材を備え、各チャンバが、前記複数のチャンバのうちの他のチャンバに対して独立して拡張可能である、請求項8に記載のガイド装置。
【請求項10】
前記第1の拡張可能な部材が、センサを更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のガイド装置。
【請求項11】
前記第1の本体の中心軸線が、前記第1の拡張可能な部材が拡張構成にあるとき、前記第1の拡張可能な部材の中心軸線からオフセットしている、請求項1~10のいずれか一項に記載のガイド装置。
【請求項12】
前記第1の本体が、前記第1の本体の外面の周囲に配置された前記第1の拡張可能な部材と、前記第1の本体の内面の周囲に配置された第3の拡張可能な部材とを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のガイド装置。
【請求項13】
前記第1の本体の内面が、潤滑性コーティングを更に備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のガイド装置。
【請求項14】
前記第1の本体の外面に沿って配置された細長部材を更に備え、前記細長部材が、前記細長部材を通って延びるルーメンを備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のガイド装置。
【請求項15】
前記第1の拡張可能な部材若しくは前記第2の拡張可能な部材、又はその両方が、球形、楕円形、又は楕円体形である、請求項1~14のいずれか一項に記載のガイド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療装置に関する。より具体的には、本開示は、特に内視鏡処置の有効性及び効率を高めることができるような、拡張可能なガイド装置並びに関連するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、例えば、消化管内の状態を検査及び治療するための医療処置において使用される。ERCP処置は、総胆管及び膵管における問題を検査及び治療するために使用される。いくつかの処置では、胆管のカニューレ挿入は、困難である場合があり、十二指腸内での移動は、内視鏡の位置決め及び安定化を達成することを困難にする。更に、十二指腸乳頭のきつく収縮した筋系は、乳頭開口部を通して操作するために高レベルの精度を必要とする。その結果、処置の有効性及び効率が損なわれる可能性があり、総胆管にカニューレ挿入することが困難であることにより、複数回の試み又は試みの失敗が生じる可能性がある。
【0003】
上記の考慮事項を念頭に、本開示の改善が有用であり得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、その種々の態様において、概して、拡張可能なガイド装置、実装方法、及び関連するシステムを対象とする。本明細書に記載されるものを含む本開示による実施形態は、特に、体内の状態の検査及び治療に使用される処置、例えば、ERCP中の胆管のカニューレ挿入の有効性及び効率を高めることができる。
【0005】
一態様では、本開示の実施形態は、拡張可能なガイド装置を説明する。ガイド装置は、第1の本体を備え得、第1の本体は、近位端と、遠位端と、長手方向軸線に沿って第1の本体を通って延びる器具ルーメンとを有する。器具ルーメンは、それを通って伸長可能な器具の第1の長さを摺動可能に受け入れるように構成し得る。第1の本体は、変形に抵抗するように構成し得る。第1の拡張可能な部材は、第1の本体の周囲に配置され得る。第2の本体は、近位端と、遠位端と、長手方向軸線に沿って第2の本体を通って延びる器具ルーメンとを有し得る。器具ルーメンは、それを通って伸長可能な器具の第2の長さを摺動可能に受け入れるように構成し得、第2の拡張可能な部材は、第2の本体の周囲に配置され得る。
【0006】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、第1及び第2の拡張可能な部材は、柔軟性の拡張可能な材料を含み得る。装置は、第1及び第2の拡張可能な部材のうちの少なくとも1つと流体連通する少なくとも1つの送達部材を更に備え得る。少なくとも1つの送達部材は、第1及び第2の拡張可能な部材の両方と流体連通し得る。少なくとも1つの送達部材は、CO、造影剤流体、ずり減粘材料、又は空気の供給源と流体連通し得る。第2の本体は、柔軟性の拡張可能な材料を含み得る。第2の本体の器具ルーメンは、器具と摩擦接触するように構成し得る。第1の拡張可能な部材は、複数のチャンバを備え得る。複数のチャンバの各チャンバは、少なくとも1つの送達部材のうちの独立した送達部材を備え得、各チャンバは、複数のチャンバのうちの他のチャンバに対して独立して拡張可能であり得る。第1の拡張可能な部材は、センサを更に備え得る。第1の本体の中心軸線は、第1の拡張可能な部材が拡張構成にあるとき、第1の拡張可能な部材の中心軸線からオフセットし得る。第1の本体は、第1の本体の外面の周囲に配置された第1の拡張可能な部材と、第1の本体の内面の周囲に配置された第3の拡張可能な部材とを備え得る。第1の本体の内面は、潤滑性コーティングを更に備え得る。少なくとも1つの送達部材は、第1の拡張可能な部材及び第2の拡張可能な部材と流体連通し得る。第1の本体と第2の本体との間の距離は、固定され得る。装置は、第1の本体の外面に沿って配置された細長部材を更に備え得、細長部材は、それを通って延びる第2のルーメンを備える。第1の拡張可能な部材、若しくは第2の拡張可能な部材、又はその両方は、球形、楕円形、又は楕円体形であり得る。
【0007】
一態様では、本開示の実施形態は、器具と拡張可能なガイド装置とを備え得る、システムを説明する。装置は、器具の周囲に摺動可能に配置され得、近位端と遠位端とを有する本体を備え得る。本体は、変形に抵抗するように構成し得る。第1の拡張可能な部材は、本体の外面の周囲に配置され得る。第2の拡張可能な部材は、本体の内面の周囲に配置され得る。第2の拡張可能な部材は、器具ルーメンを画定し得、器具ルーメンは、長手方向軸線に沿って本体を通って延び得る。器具は、それを通って伸長可能な器具の長さを摺動可能に受け入れるように構成し得る。
【0008】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、第1の拡張可能な部材及び第2の拡張可能な部材は、互いに独立して拡張されるように構成し得る。
一態様では、本開示の実施形態は、拡張可能なガイド装置を器具と結合することを含み得る方法を説明する。装置は、第1の拡張可能な部材と第2の拡張可能な部材とを含み得る。この方法は、器具及び装置を体管腔に挿入することと、器具及び装置を治療部位に向かって前進させることとを含み得る。この方法は、第1の拡張可能な部材を体管腔の壁に対して拡張させることを更に含み得る。
【0009】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、第1の拡張可能な部材を拡張することにより、拡張可能なガイド装置に対する器具の長手方向及び回転方向の移動を可能にし得る。この方法は、第2の拡張可能な部材を拡張させて、体管腔に対する器具の横方向安定化を提供することを更に含み得る。第1の拡張可能な部材は、治療部位と相互作用するように定位置に器具を配置するように拡張され得、第2の拡張可能な部材は、体管腔に対して器具を横方向に安定させるように拡張され得る。
【0010】
本開示の非限定的な実施例について、添付の図を参照して例として説明する。添付の図は、概略であり、縮尺どおりに描かれることを意図していない。図において、図示された各同一又はほぼ同一の構成要素は、典型的には、単一の数字によって表される。明確さのために、全ての図で全ての構成要素にラベルを付すことはせず、当業者が本開示を理解することを可能にするために図示が必要でない場合には、本開示の各実施形態の全ての構成要素を示すこともしない。図は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本開示の実施形態において説明されるタイプの例示的な器具を示す。
図1B】体内の内視鏡の部分断面図を示す。
図1C】本開示の一実施形態による、拡張構成にある例示的な拡張可能なガイド装置を示す。
図1D】本開示の一実施形態による、拡張構成にある図1Cの拡張可能なガイド装置を有する内視鏡システムの部分断面図を示す。
図1E】非拡張構成にある図1C及び図1Dの拡張可能なガイド装置の断面図を示す。
図1F】拡張構成にある図1C図1Eの拡張可能なガイド装置の断面図を示す。
図2A】本開示の一実施形態による、拡張構成にある拡張可能なガイド装置の斜視図を示す。
図2B】非拡張構成にある図2Aの拡張可能なガイド装置の斜視図を示す。
図2C】本開示の一実施形態による、拡張構成にある拡張可能なガイド装置の斜視図を示す。
図3A】本開示の一実施形態による、拡張構成にある拡張可能なガイド装置の斜視図を示す。
図3B】非拡張構成にある図3Aの拡張可能なガイド装置の断面図を示す。
図3C図3Aの装置の断面図を示す。
図3D】本開示の一実施形態による、2つの本体を備える拡張可能なガイド装置の断面図を示す。
図3E】本開示の一実施形態による、中央の拡張可能な部材を備える拡張可能なガイド装置の断面図を示す。
図3F】本開示の一実施形態による、拡張構成にある拡張可能なガイド装置の断面図を示す。
図3G】本開示の一実施形態による、係止構成にある拡張可能なガイド装置の断面図を示す。
図4A】本開示の一実施形態による、拡張構成にある拡張可能なガイド装置の斜視図を示す。
図4B図4Aの装置の断面図を示す。
図5A】本開示の一実施形態による、拡張構成にある拡張可能なガイド装置の斜視図を示す。
図5B】部分的非拡張構成にある図5Aの拡張可能なガイド装置の断面図を示す。
図5C】本開示の一実施形態による、拡張可能な部材が種々の拡張状態にある、図5A及び図5Bの拡張可能なガイド装置の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
概して、なんらかの別の器具が体内に挿入される場合に、任意の形態の内視鏡検査又は他の処置においては、所望の位置にナビゲートされる際に当該器具を定位置に安定させること、体管腔の断面によって画定される特定の半径方向位置に当該器具を配置すること、特定の処置によって指示される特定の様式で器具を方向付けること、などが可能であることが重要であり得るということがある。
【0013】
本開示による様々な実施形態を以下に説明する。本明細書で使用されるとき、「近位端」は、装置を患者に導入するときに装置に沿って医療専門家に最も近く位置する装置の端部を指し、「遠位端」は、埋め込み、位置決め、又は送達の際に装置に沿って医療専門家から最も遠く位置する装置又は物体の端部を指す。
【0014】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、内容が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、「又は」という用語は、内容が明らかに他のことを示さない限り、「及び/又は」を含む意味で一般に使用される。
【0015】
本明細書における「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、説明される実施形態が1つ以上の特定の特徴、構造、及び/又は特性を含むことができることを示すことに留意されたい。しかしながら、そのような記述は、全ての実施形態が特定の特徴、構造、及び/又は特性を含むことを必ずしも意味しない。加えて、特定の特徴、構造、及び/又は特性が一実施形態に関連して説明される場合、そのような特徴、構造、及び/又は特性は、反対のことが明確に述べられていない限り、明示的に説明されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連しても使用され得ることを理解されたい。
【0016】
この「発明を実施するための形態」は、図面を参照して読まれるべきであり、図面は、必ずしも縮尺通りではなく、例示的な実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0017】
本開示の実施形態は、器具とともに使用するための装置としての拡張可能なガイドを含み得る。器具は、内視鏡、十二指腸鏡、結腸鏡、気管支鏡、胃鏡、尿管鏡、カテーテル、チューブなどであり得る。装置は、様々な構成要素及び構成を含むことができる。本開示の実施形態は、システムを含むことができる。システムは、器具、拡張可能なガイド装置、拡張可能なガイド装置まで延びるハンドル、及び/又は膨張流体源などを含み得る。装置及びシステムの実施形態は、内視鏡検査の間、器具の周囲の体管腔を実質的に充填し、オペレータが体管腔内で器具を安定化又は位置決めすることを可能にするために使用され得る。本明細書に記載される種々の実施形態は、器具ルーメンを形成する本体の周囲に少なくとも1つの拡張可能な部材を有する拡張可能なガイド装置を含み、器具ルーメンは、それを通って伸長可能な器具の長さを摺動可能に受け入れることができる。拡張可能な部材は、体管腔内で拡張されると、体管腔内の器具の横方向、回転方向、又は真っすぐに動く移動のうちの1つ以上を阻止し得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な部材は、膨張可能なバルーンを含むことができ、膨張流体は、ガス、液体、又はその両方などの流体であり得る。いくつかの実施形態では、体管腔は、例えば消化器系など内の管腔、器官、血管、通路などを含み得る。様々な実施形態では、器具の遠位端は、拡張可能なガイド装置の遠位端を越えて延びていてもよく、又は延びていなくてもよい。様々な実施形態では、拡張可能な部材は、より大きい又はより小さい程度に拡張し得、異なる形状をとり得、かつ/又は別の拡張可能な部材とは異なる他の特性を呈し得る。様々な実施形態では、拡張可能なガイド装置は、使い捨てであり得る。代替の実施形態では、拡張可能なガイド装置は、再使用可能であり得る。
【0018】
ERCPは、総胆管及び膵管における問題にアクセスし、検査し、治療するために使用される。内視鏡は、例えば口を介して、胃を通して患者に導入され、小腸の少なくとも一部分を通して前進させられてもよい。内視鏡は、膵管及び胆管に到達するために、ファーター膨大部又はファーター乳頭にアクセスするために使用することができる。十二指腸乳頭に対する内視鏡の位置決め及び/又は進入角度は、処置の成功にとって重要であり得、患者の移動及び呼吸、十二指腸の移動、及び/又は内視鏡内若しくは内視鏡に関連するツールの操作によって困難になり得る。ユーザがERCPを行うために、器具の遠位端は、ファーター膨大部又はファーター乳頭において体管腔内で十分に安定化されなければならず、これは、非常に高い精度を必要とする。定位置に配置されると、器具(例えば、内視鏡)は、器具による、並びに/又は器具及び/若しくは拡張可能なガイド装置の作業チャネルを通して送達される付属装置(例えば、生検ツール)によるファーター膨大部又はファーター乳頭へのアクセス並びにその中への進入及びそれを通した進入を容易にするように、十分に安定して保たれる必要がある。
【0019】
血管内処置、消化管、尿管、気道、生殖器官、及び/又は胆管に沿った処置、胸部及び肺処置などを含む多くの医療処置は、体内の診断又は治療を意図した組織(例えば、「標的組織」)にアクセスするために、内視鏡などの器具を利用する。場合によっては、内視鏡は、医師が組織を可視化して組織に対して治療を行うことを支援する特徴を組み込むことができる。例えば、いくつかの内視鏡は、内視鏡がナビゲートされ、標的組織部位に隣接して位置決めされるときに、体管腔を照明及び/又は可視化するように設計されたライト及び/又はカメラを含むことができる。加えて、いくつかの内視鏡はまた、切除装置、把持部材、又は他の付属装置を展開及び利用することができる、ルーメン(例えば、作業チャネル)を含み得る。追加の可視化並びに/又は外部及び/若しくは内部撮像方法が、代替的又は追加的に用いられてもよい(例えば、蛍光透視法)。
【0020】
本開示の実施形態を実装することができる例示的な装置、システム、及び方法としては、2020年8月27日出願の「Devices,Systems,and Methods for Pyloric Occlusion」と題された米国仮特許出願第63/071,125号、2020年8月28日出願の「Stabilization and Leverage Devices,Systems,and Methods」と題された米国仮特許出願第63/071,412号、本出願と同日出願の「Expandable Guide Devices,Systems,and Methods」と題された米国仮特許出願第63/083,960号、及び本出願と同日出願の「Expandable Guide Devices,Systems,and Methods」と題された米国仮特許出願第63/083,962号の完全な開示に記載されているものが挙げられるが、それらに限定されない。これらの開示内容の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
図1Aを参照すると、本明細書に記載されるような拡張可能なガイド装置とともに使用することができる器具の一実施形態が示されている。器具110、例えば、内視鏡は、遠位端106と、近位端107とを備え、ルーメンすなわち作業チャネルがそれを通って延びる。近位端107にあるハンドル103は、器具110を操作するために、医療専門家によって操作することができる。器具110は、例えばハンドル103にある操縦ノブの操作による、患者内での器具110の移動及び可撓性を容易にするために、器具110の挿入部分(例えば、可撓性チュブ)の壁111に沿って切込み又はチャネル104を含むことができる。図1Bは、体管腔100(例えば、十二指腸)内の器具110(例えば、十二指腸鏡)を示す。この図では、カテーテル112は、胆管内に示された閉塞物116を取り除くために、器具110からファーター乳頭114を通って延びている。
【0022】
本明細書に記載される、又は別様に本開示の範囲内の様々な実施形態を説明するために本明細書で使用されるとき、本体の内面は、その中に受け入れられたときに器具ルーメン及び器具に面する表面を指す。本体の外面は、体管腔に面する表面を指す。
【0023】
図1A図1Bの内視鏡などの器具と共に使用するための拡張可能なガイド装置の実施例を説明する。図1Cは、本開示の一実施形態による拡張可能なガイド装置140を示す。装置140は、第1の円筒形本体122の周りに配置された第1の拡張可能な部材120を含む。拡張可能な部材120は、拡張構成で示されている。拡張可能な部材120は、長手方向軸線170に沿って本体122の遠位端134から近位端136まで延びる。本体122は、それを通って遠位端134と近位端136との間に延びる器具ルーメン130を備える。送達部材150は、拡張可能な部材120と流体連通し、本体122から離れて近位に延びる。器具ルーメン130内の器具の軸方向移動を改善するために、潤滑性コーティング(例えば、KY Jelly、シリコーンオイル、テフロン(登録商標)、接着された親水性コーティング(例えば、ZGlide(商標))、これらの組み合わせなど)が、本体122の内面に沿って適用され得る。親水性コーティングと同様の目的を達成するために、本体122の内面は、代替的又は追加的に、ボールベアリング又はローラベアリングの構成であり得る。更に、表面上又は表面間の浸透する流体の正圧を使用して、摩擦のないクッションを作り出すことができる。また、表面上のリッジ又はバンプなどの接触面積最小化構造を使用することもできる。
【0024】
図1Dは、体管腔100内において拡張形態で器具110の周りに配置された図1Cの装置140を示す。拡張可能な部材120は、体管腔100の壁に対して拡張されており、それによって、器具110の安定性を支援する。周囲の解剖学的構造と比較して安定性が達成され、乳頭114内でのカテーテル112のより効率的かつ安定した動作及び閉塞物116へのアクセスを可能にする。拡張可能な部材120は、装置の本体内での器具110の軸方向及び回転方向の移動を容易にし、体管腔100内での半径方向又は横方向の移動を実質的に防止する。
【0025】
本明細書に記載される、又は別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、拡張可能なガイド装置は、拡張可能な部材を含み得る。拡張可能なガイド装置は、1つ以上の拡張可能な部材を含み得る。1つ以上の拡張可能な部材は、内部の拡張可能な部材及び/又は外部拡張可能な部材であり得る。拡張可能な部材は、セグメント化又はチャンバ化され得る。各セグメント又はチャンバは、独立して拡張可能であり得る。拡張可能な部材は、例えば、拡張可能な部材の種々のチャンバを拡張解除状態に維持することによって、部分的に拡張することによって、又は拡張することによって、装置の円周の周囲の拡張可能な部材の異なる形状に影響を及ぼす。拡張可能な部材は、シリコーン、ラテックス、ゴム、ポリウレタン、それらの組み合わせなどの柔軟な拡張可能な材料を含むことができる。拡張可能な部材は、機械的に作動され、電気的に作動され、空気圧で作動され、膨張され得る。拡張可能な部材は、体管腔を閉塞し、伸張し、体管腔の開通性(patency)を確立し、又は体管腔の開通性を維持するために、非拡張構成から拡張構成(部分的拡張構成を含む)に遷移し得る。拡張可能な部材は、体管腔内で器具を中心に置くため、又は位置決めするために使用することができる。拡張可能な部材は、視認又は手術のために体管腔の組織を操作するために使用することができる。拡張可能な部材は、柔軟性又は非柔軟性であり得、球形、楕円形、又は楕円体形であり得る。一実施形態は、単一の本体の周りに配置された複数の拡張可能な部材を含むことができる。複数の拡張可能な部材を有する実施形態では、各部材は、独立して拡張され得る。装置の本体の外部にある拡張可能な部材は、体管腔内で器具を安定させるため、器具の半径方向移動を阻止するため、かつ/又は装置の本体内での器具のまっすぐな動き及び軸方向の移動を防止するために使用され得る。装置の本体の内部にある拡張可能な部材は、器具の任意の移動が拡張可能なガイド装置を器具とともに移動させるように、器具を把持するために使用され得る。
【0026】
装置の拡張可能な部材又は他の部分は、装置の周囲及びそれに沿った種々の位置に1つ以上の放射線不透過性マーカを備え得る。放射線不透過性マーカは、処置中に撮像され得、例えば、1つ以上の装置の互いに対する位置、器具に対する位置、及び/又は体管腔の一部分に対する位置を、判定、変更、確認などすることなどを可能にする。拡張可能な部材の拡張の程度も同様に確認することができる。また、撮像可能な造影剤流体が体管腔に注入され得、又は拡張可能な部材のための膨張流体が放射線不透過性にされ得る。放射線不透過性マーカは、拡張可能な部材の材料に配合された放射線不透過性充填材を含み得、及び/又は独立マーカが、拡張可能な部材の内部若しくは外部、本体の表面、若しくは装置の他の部分に添着され得る。
【0027】
本明細書に記載される、又は別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、拡張可能なガイド装置は、本体を含み得る。本体は、近位端と遠位端とを有することができる。本体は、LDPE、HDPE、Pebax、ナイロン、PEEK、PTFE、金属(ステンレス鋼、NiTi、金属メッシュなど)、それらの組み合わせなどの、可撓性であるが拡張可能でない材料であり得る。本体は、拡張可能な部材の拡張表面と比較して、本体の材料の比較的非弾性の性質に起因して、変形に抗することができる。本体は、シースであってもよく、器具に有意な厚さを追加しなくてもよい。本体は、器具ルーメンを形成し得る。本体の内面は、器具が器具ルーメン内にある間、器具と摩擦接触し得る。本体の内面は、器具ルーメンに沿って潤滑性コーティングを含み得る。本体は、シースとして、細長部材を有し得る。該細長部材はツール又は別の器具の長さに延び得る。該ツール又は別の器具は、細長部材に沿って挿入可能であり得る。細長部材は、本体の近位端から本体の遠位端まで本体の長さに沿って、本体の内面若しくは外面上に、又は本体の表面の間に取り付けられ得る。本体が付属装置の長さに延びる場合、細長部材は、装置の全長に沿って取り付けられ得る。本体がより短く、器具の遠位端に配置されている場合、細長部材は、1つ以上の本体に沿って取り付けられ得、そうでなければ、器具の外面に沿って拡張可能なガイドから自由に延び得る。細長部材は、細長部材を通るルーメンを含み得る。該ルーメンは、例えば、本体の器具ルーメン内の器具の付属品として、及び/又は器具の作業チャネル(例えば、内視鏡作業チャネル)を通過する別のツールの付属品として、ツールを摺動可能に受け入れるように構成し得る。
【0028】
本明細書に記載される、又は別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、拡張可能なガイド装置の拡張可能な部材は、拡張可能な部材の外面を通って延びることができる流体入口を有し得る。流体入口は、流体経路を提供し得る。該流体経路は、例えば、拡張可能な部材がバルーンである場合に、拡張可能な部材を拡張及び/又は拡張解除するための膨張流体を供給する、かつ/又は戻す。各拡張可能な部材は、それ自体の独立した又は共有の流体入口及び対応する送達部材を有し得る。少なくとも1つの送達部材は、器具の外側に沿って器具の近位端まで延び得る。各拡張可能な部材は、個々の送達部材を有し得、又は1つの送達部材が複数の拡張可能な部材に延び得る。送達部材は、単一の導管内で器具に沿って延び得る。代替的に、本体は、器具の長さに延びるシースであり得、送達部材は、シース内に埋め込まれている。複数の拡張可能な部材を有する実施形態では、1つの送達部材が、複数の拡張可能な部材に流体を送達するために使用され得る。送達部材は、また、又は独立して、本体内に埋め込まれていてもよい。少なくとも1つの送達部材は、CO、造影剤流体、又は空気の供給源と流体連通し得る。
【0029】
図1E及び図1Fは、器具110の周りに摺動可能に配置された、図1C及び図1Dの拡張可能なガイド装置140の断面図を示す。図1Eでは、拡張可能な部材120は、本体122の周囲で非拡張構成にある。器具110は、本体122の器具ルーメン130内に摺動可能に配置されている。図1Fは、本体122の周りで拡張構成にある拡張可能な部材120を示す。器具110が器具ルーメン130内に摺動可能に配置されている間、柔軟な拡張可能な部材120は、拡張して体管腔を充填する。拡張可能なガイド装置140は、拡張されると、器具の軸方向及び回転方向の移動を容易にするが、半径方向移動を容易にしない。これにより、ユーザが、カニューレ挿入処置などの処置の間に、より高い精度で器具の位置決め及び/又は進入角度を制御することを可能にし、交換及び処置を行うときに、位置決め及び安定性の維持を失う可能性を低減する。
【0030】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、スタイレットもまた、例えば、器具の近位端に保持されたガイド装置のハンドル部分から、装置の作動部材又は送達部材を通って延び得る。スタイレットは、器具の表面に沿って及びその周りに装置を位置決め又は再位置決めするために、器具と連携して又は器具に対して装置を押す及び/又は引くために使用することができる。スタイレットは、器具のみが装置に対して移動されている間、装置を定位置に保持し、又は逆もまた同様である。スタイレットを用いて装置を器具に対して移動させるとき、又はガイド装置及び器具を連携して移動させるとき、拡張可能な部材は、部分的に拡張する又は拡張解除することができる。器具に沿った及び器具の周りの装置の移動は、遠位方向又は近位方向であり得る。あるいは、拡張可能な部材を拡張させ、スタイレットを使用して、装置を定位置に保持し、拡張した拡張可能な部材が体管腔を安定させて保持している間に、器具を、体管腔を通して移動させることができる。拡張可能な部材は、体管腔に接触するために拡張されてもよく、ユーザが装置を位置決めしていて、拡張可能な部材を拡張解除したくないときに部分的に拡張され得、体管腔を通して装置を移動させるときに拡張解除され得る。
【0031】
図2A及び図2Bは、拡張構成(図2A)及び非拡張構成(図2B)にある本開示の拡張可能なガイド装置の一実施形態を示す。この実施形態では、2つの本体222a、222bが存在する。第1の装置220aは、器具210の遠位端214により近く配置されている。この第1の装置220aは、図1Cのものと実質的に同様である第1の本体222aを備え、柔軟性の拡張可能な部材240aが第1の本体222aの周りに配置され、送達部材250aが拡張可能な部材240aと流体連通している。第2の装置220bは、第1の装置220aの近位端206の近位にある。第2の装置220bは、第2の本体222bを備え、拡張可能な部材240bが第2の本体222bの周囲に配置され、送達部材250bが拡張可能な部材240bと流体連通している。各拡張可能な部材の拡張は、独立した膨張流体送達部材に起因して、独立していてもよい。第2の本体222bは、柔軟性の拡張可能な材料を含み得る。第1の本体222a及び第2の本体222bは、器具210がそれを通って伸長可能であるように構成される。第1の本体222aは、変形に抵抗し、器具に面する潤滑性内側コーティングを含み得、器具210の真っすぐな動き及び回転方向の移動を可能にする。柔軟性の第2の本体222bは、拡張可能な部材240bが拡張されると、器具210上に縮むことができる。器具210に対して縮むことにより、器具210を第2の本体222bに対して定位置に軸方向に固定する。この実施形態は、ユーザが、装置に対する長手方向及び回転方向の移動を可能にしつつ、器具210の半径方向の移動を防止するために第1の拡張可能な部材240aを拡張することによって、体管腔内で器具210の所望の位置を達成することを可能にする。器具210が定位置になると、次いで、ユーザは、第2の拡張可能な部材240bを拡張することができ、第2の拡張可能な部材240bは、柔軟性の本体222b及び拡張可能な部材240bの柔軟性材料に起因して、体管腔内へと外向きに及び器具210上へと内向きに、の両方に拡張し、器具210を定位置に実質的に係止する。この位置から、器具を体管腔内で安定させることができ、処置、例えば、ERCP処置中の胆管乳頭へのアクセスを、より容易に行うことができる。
【0032】
図2Cは、2つの装置220a、220bを有する実施形態を示し、第1の装置220aが器具210の遠位端を越えて遠位に延びる。器具210は、依然として第1の本体222の器具ルーメン内にある。第1の本体222は、本体222自体を器具210に対して遠位に真っすぐ動かすこと、又は器具210を本体222から近位に軸方向に真っすぐ動かすこと、のいずれかによって、この位置に軸方向に真っすぐ動かされる。器具210を近位に軸方向に真っすぐ動かすとき、装置220aの拡張可能な部材240は、本体を定位置に維持するために、拡張されている。拡張可能な部材240、241が拡張されると、体管腔は、器具210から離れるように移動される。これにより、器具の安定性を改善することができるとともに、器具210と体管腔との間に空間を生成することができ、これにより、カテーテル260を移動可能なより多くの空間を生成する。図2Cの実施形態では、カテーテル260のいずれかの側に拡張可能な部材を配置することにより、ユーザが、器具を乳頭のいずれかの側で安定させ、器具の作業チャネルと体管腔との間に安定した開放空間を形成することができる。拡張可能な部材の拡張により、拡張可能な部材間の領域を封止することができる。封止されると、この領域を流体で満たすことができ、これにより、超音波内視鏡器具又は超音波プローブとともに使用されるときに、超音波検査を改善することができる。
【0033】
図3A図3Cは、拡張可能なガイド装置の本体322の内向き表面に沿って配置された内部の拡張可能な部材360と、本体322の外向き表面の周りに配置された外部の拡張可能な部材340とを含む、本開示の拡張可能なガイド装置の一実施形態を示す。装置は、器具310の遠位端314に配置されている。外部の拡張可能な部材340は、本体322の外向き表面に接着され得る。内部の拡張可能な部材360は、本体322の内向き表面に接着され得る。内部の拡張可能な部材は、本体の周囲に配置され、内向き表面から半径方向に拡張可能であり得る。外部の拡張可能な部材は、本体の周囲に配置され、外向き表面から半径方向に拡張可能であり得る。図3Aは、内部の拡張可能な部材360及び外部の拡張可能な部材340が部分的に拡張されている、器具310の周囲に配置された装置を示す。第1の送達部材350は、外部の拡張可能な部材340から近位に延び、外部の拡張可能な部材340と流体連通している。第2の送達部材352は、内部の拡張可能な部材360から近位に延び、内部の拡張可能な部材360と流体連通している。図3Bは、内部の拡張可能な部材360及び外部の拡張可能な部材340の両方が器具310の周りで拡張解除されている、装置の断面図を示す。図3Cは、内部の拡張可能な部材360及び外部の拡張可能な部材340の両方が器具310の周りで拡張されている、装置の断面図を示す。内部の拡張可能な部材360は、拡張されると、器具310を本体322内で固定する。これにより、器具310を装置304に対して固定し、ユーザが器具310及び装置304を同時に真っすぐに動かすことを可能にする。外部の拡張可能な部材340は、体管腔に対して装置304を固定するのに役立ち、体管腔の壁に対して押し上げる。先の実施形態と同様に、外部の拡張可能な部材は、体管腔を安定させることができ、器具は、適切に位置決めされるまで、本体内で移動し続けることができる。位置決めされると、内部の拡張可能な部材は、拡張され、器具を定位置に係止し得る。
【0034】
本明細書に記載される実施形態、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、内部の拡張可能な部材が拡張されると、摩擦接触が内部の拡張可能な部材と器具との間で維持され得、器具が体管腔を通して押される又は引っ張られると、装置が器具と共に移動することを可能にする。スタイレットもまた、例えば、器具の近位端に保持された、ガイド装置のハンドル部分から装置の作動部材又は送達部材を通って延び得る。スタイレットは、器具の表面に沿って及びその周りに装置を位置決め又は再位置決めするために、器具と連携して又は器具に対して装置を押す及び/又は引くために使用することができる。スタイレットを用いて装置を移動させるために、内部の拡張可能な部材は、拡張解除されている。スタイレットは、器具のみが装置に対して移動されるとき、装置を定位置に保持する。スタイレットを用いて装置を器具に対して移動させるとき、又はガイド装置及び器具を連携して移動させるとき、外部の拡張可能な部材は、拡張することができる。器具に沿った及び器具の周りの装置の移動は、遠位方向又は近位方向であり得る。代替的に、外部の拡張可能な部材を拡張させることができ、内部の拡張可能な部材は拡張されず、かつ、器具を、体管腔を通して移動させることを可能にしつつ、拡張した外部の拡張可能な部材が体管腔を安定させて保持している間に、装置を定位置に保持するようにスタイレットが使用される。外部の拡張可能な部材は、体管腔に接触するために拡張されてもよく、ユーザが装置を位置決めしていて、拡張可能な部材を拡張解除したくないときに部分的に拡張されてもよく、体管腔を通して装置を移動させるときに拡張解除され得る。内部の拡張可能な部材は、器具とともに装置を移動させるときに拡張されてもよく、ユーザが装置を位置決めしているときに部分的に拡張されてもよく、器具又は装置を別個に移動させるときに拡張解除され得る。これらの拡張構成、非拡張構成、及び部分的拡張構成の各々は、体管腔内で器具を操作する際に、位置決めする、安定させる、又は別様にユーザを支援するために使用することができる。
【0035】
本明細書の、又は別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、内部及び外部の両方の拡張可能な部材は、本体の周りで環状であり得る。拡張可能な部材は、単一の位置で本体に取り付けられていてもよく、本体の周りで円周状でなくてもよい。このタイプの内部の拡張可能な部材は、器具を本体内で固定することができる。このタイプの外部の拡張可能な部材は、体管腔内で本体を固定することができる。
【0036】
図3Dは、第1の本体324の内面に沿って配置された内部の拡張可能な部材360と、第2の本体326の外面の周りに配置された外部の拡張可能な部材340とを含む、本開示の拡張可能なガイド装置の一実施形態を示す。装置は、上述したように操作することができる。図3Dでは、内部の拡張可能な部材360及び外部の拡張可能な部材340の両方が拡張されており、その結果、内部の拡張可能な部材360が器具310の周りで拡張されている。第1の本体324の外面及び第2の本体326の内面上の潤滑性コーティングは、第2の本体326内の第1の本体324の軸方向及び回転方向の移動を容易にする。この構成にあるとき、外部の拡張可能な部材340は、体管腔内に拡張され、体管腔を安定させる。内部の拡張可能な部材360は、器具310上で拡張され、体管腔内で器具310を安定させる。器具310は、依然として、第1の本体324とともに軸方向及び回転方向に移動させられ得、ユーザが、体管腔を安定させながら、器具310を位置決めすることを可能にする。
【0037】
図3Eは、第1の本体324の内面に沿って配置された内部の拡張可能な部材360と、第2の本体326の外面の周りに配置された外部の拡張可能な部材340とを含む、本開示の拡張可能なガイド装置の一実施形態を示す。装置は、上述したように操作することができる。中央の拡張可能な部材328は、第1の本体324の外面と第2の本体326の内面との間に配置されている。中央の拡張可能な部材328は、第1の本体324又は第2の本体326のいずれかに接着され得る。内部の拡張可能な部材360が拡張されると、器具310は、軸方向に移動することができないが、装置は、器具310と共に回転することができる。中央の拡張可能な部材328が拡張されると、第1の本体324及び第2の本体326は、回転が防止される。中央の拡張可能な部材328は、図3Eに示されるように、円周状、例えば、環状バルーンであり得る。代替的に、中央の拡張可能な部材328は、円周の一部分のみに沿って延び得、かつ/又は第1若しくは第2の本体の軸方向長さの一部分のみに沿って延び得る。中央の拡張可能な部材328が部分的にのみ円周状である場合、2つ以上の部材328が、均一又は不均一に配置され、第1の本体又は第2の本体の円周の周囲に間隔を置いてもよい。
【0038】
図3Fは、本開示の拡張可能なガイド装置の一実施形態を示す。装置は、上述したように、器具と拡張可能な部材を有する本体とが、互いの間及び体管腔に対して個別に又は集合的に、の両方で、軸方向及び回転方向に移動できるように操作することができる。この実施形態では、装置は、第1の本体324の内面の周りに配置され、かつ内部の拡張可能な部材の送達部材345と流体連通する、内部の拡張可能な部材360を含む。外部の拡張可能な部材340は、第2の本体326の外面の周りに配置され、外部の拡張可能な部材の送達部材346と流体連通している。中央の拡張可能な部材328は、第1の本体324と第2の本体326との間に配置され、中央の拡張可能な部材の送達部材347と流体連通している。各拡張可能な部材の拡張は、独立した膨張流体送達部材に起因して、独立し得る。中央の拡張可能な部材328は、図3Eに関して上述したように、環状部材として、又は部分的円周状部材(単数又は複数)として構成することができる。第2の本体326は、第1の本体324よりも長い長さを有し、第2の本体326の遠位端370及び近位端380から延びるフランジ336を有する。第1の本体324と第2の本体326との間の長さの差により、中央の拡張可能な部材328が拡張されていない場合に、第1の本体324が軸方向に移動することを可能にする。フランジ336は、第1の本体324が第2の本体326を越えて軸方向に移動することを防止する。第1の本体324は、内部の拡張可能な部材360が拡張されて器具310を把持しているときに、第2の本体内で軸方向に移動させることができ、器具310は、第2の本体326が送達部材344によって定位置に保持されている間に、軸方向に移動される。装置及び器具を互いに対して、及び/又は体管腔に対して個々に若しくは一緒に操作する他の実施例が想定される。
【0039】
図3Gは、本開示の拡張可能なガイド装置の一実施形態である。装置は、上述したように、器具と拡張可能な部材を有する本体とが、互いの間で及び体管腔に対して個別に又は集合的に、の両方で、軸方向及び回転方向に移動できるように操作することができる。装置は、第1の本体324の内面の周りに配置された内部の拡張可能な部材360と、第2の本体326の外面の周りに配置された外部の拡張可能な部材340とを含む。第2の本体326は、本体326の内面に沿って突出部332を含み、突出部332は、第1の本体324の外面の切欠き334と合致する。切欠き334と突出部332が連結されると、第1の本体324及び第2の本体326は、互いに対して軸方向に移動することができるが、互いの周囲に回転しなくてもよい。切欠き334は、第1の本体の近位端から遠位端まで延び、(第2の本体の近位端から遠位端まで延びる)突出部332が摺動することができる溝を形成する。第2の本体326の遠位端及び近位端には、第1の本体324が第2の本体326内から滑り出るのを止めるフランジがあり得る。これにより、第1の本体324及び第2の本体326が軸方向に移動することを可能にする。代替的又は追加的に、中央の拡張可能な部材330は、第1の本体と第2の本体との間の軸方向ブレーキとして組み込まれていてもよい。中央の拡張可能な部材330が拡張されると、第1の本体324及び第2の本体326は、互いに対して軸方向に摺動移動しなくてもよい。それぞれの内部の拡張可能な部材360、外部の拡張可能な部材340、及び中央の拡張可能な部材330は、図3Fの装置と同様に、独立した対応する内部の拡張可能な部材の送達部材345、外部の拡張可能な部材の送達部材346、及び中央の拡張可能な部材の送達部材347(図示せず)と流体連通していてもよい。
【0040】
本明細書の、又は別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、複数の拡張可能な部材を使用して、器具の移動を容易にし、器具を安定させ、かつ/又は位置決めすることができる。例えば、図3Gに見られるように、内部の拡張可能な部材360は、内部の拡張可能な部材の送達部材345によって拡張されている。内部の拡張可能な部材360のみが拡張されているとき、器具310及び第1の本体324は、第2の本体326内で軸方向に移動されてもよく、器具310、第1の本体324、及び第2の本体326は、体管腔内で回転方向に移動され得る。内部の拡張可能な部材360及び中央の拡張可能な部材330が拡張されているとき、第1の本体324及び第2の本体326は、器具310とともに軸方向及び回転方向に移動する。内部の拡張可能な部材360、中央の拡張可能な部材330、及び外部の拡張可能な部材340が拡張されているとき、器具310、第1の本体324、及び第2の本体326は、全て定位置に係止され、体管腔内で器具を安定させる。
【0041】
本明細書に記載される、又は別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、図3A図3G及び図4A図4Bに見られるように、拡張可能な部材を有する複数の本体を単一の器具と共に使用することができる。器具上への装置の配置は、使用におけるバリエーションを提供することができるため、器具に沿って2つ以上の本体を有することが有益であり得る。更に、第2の本体(例えば、図2Aの第2の本体220b)とともに第1の本体(例えば、図2Aの第1の本体220a)を有する拡張可能なガイド装置を使用することにより、個別でも、同時でも、器具の様々な長さに沿ってなすべき本体の動きに対する様々な位置決め又は移動の制限が容易になる。例えば、図2Aの実施形態は、遠位本体220aの膨張を容易にし、これにより、装置に対する連続的な長手方向及び軸方向の移動を容易にし、次いで、近位本体220bの膨張を容易にし、これにより、体管腔内の器具210の移動を実質的に阻止する。拡張可能なガイド装置は、器具に沿って、かつ互いに対して戦略的に位置決めして、例えば、内視鏡に望ましくないループを形成することなく、曲がりくねった解剖学的構造をナビゲートするのに有用な位置で結腸鏡に沿って位置決めすることなどの、装置を有さない器具では容易に達成できない操縦能力を提供することができる。
【0042】
図4A図4Bは、拡張可能なガイド装置がルーメン460を有する部分450を含む細長部材410を含む本開示の一実施形態を示す。装置は、上述したように操作することができる。二次器具455は、体管腔内で使用するために、細長部材450のルーメン460を通して摺動可能に移動され得る。図4Bは、この実施形態の断面図を示す。細長部材460は、本体422の外壁に沿って延び、拡張可能な部材420は、本体422及び細長部材450の両方の周囲に配置されている。この構成により、体管腔の所望の部分に到達するために、二次器具455を、体管腔を通して安定化装置404の遠位に真っすぐに動かすことを可能にする。この二次器具は、第1の器具を通して、例えば内視鏡414の作業チャネルを通して挿入される第1のツールと併せて使用され得る。内視鏡の可視化能力、2つ以上のツールと協働するためのプラットフォームとして付属装置(単数又は複数)によって提供される内視鏡414の安定性及び位置決め能力は、有用な内視鏡手術システムを提供する。
【0043】
図5A図5Cは、複数の拡張可能な部材520を含む、本開示の拡張可能なガイド装置501の一実施形態を示す。装置501は、他の実施形態で上述したのと同様に操作することができる。拡張可能な部材520は、ルーメン514を有する本体522の円周の周りに配置されている。各拡張可能な部材520は、本体522に沿って近位に延びる送達部材550を含み、本体522の遠位端は、器具の遠位端に向かって延びる。図5Bは、本体522及び拡張可能な部材520を有する、図5Aの拡張可能なガイド装置の断面図を示す。この構成では、複数の拡張可能な部材520は、独立して拡張することができ、本体522を、拡張と反対の方向に体管腔内で半径方向又は横方向に移動させる。図5Cは、体管腔500内で器具510の周りに配置された拡張可能なガイド装置501の一実施例を示す。器具510を体管腔500内で乳頭512に向かって半径方向にまっすぐに動かすために、拡張可能な部材520aが拡張されて、体管腔500を押し得、残りの拡張可能な部材520bは、拡張解除/部分的に拡張されている。このことは、体管腔内の器具のあらゆる位置によって決定されるように、独立して、かつ選択的に、部材を様々な拡張度に拡張することによって、体管腔500内の任意の数の半径方向位置において器具510を体管腔500内で半径方向にオフセットすることを可能にする。これはまた、乳頭への特定の進入角度を確立する目的のために所望され得る。部材520は、器具510を任意の半径方向に移動させるように、種々の組み合わせで部分的又は完全に拡張され得る。
【0044】
本明細書に記載される、又は別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、器具の遠位端は、拡張可能なガイド装置の遠位端を越えて延びてもよく、又は延びなくてもよい。
本明細書に記載される、又は別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、装置は、センサを備え得る。
【0045】
本明細書に記載される、又は別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、第1の本体の中心軸線は、第1の拡張可能な部材が拡張構成にあるとき、第1の拡張可能な部材の中心軸線からオフセットし得る。
【0046】
本明細書に記載される、又は別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、拡張可能な部材は、異なる拡張可能な部材よりも大きい又は小さい程度に拡張し得る。
本明細書に記載される、又は別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、拡張可能なガイド装置は、使い捨てであり得る。代替の実施形態では、拡張可能なガイド装置は、再使用可能であり得る。
【0047】
本明細書に記載される、又は別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、内視鏡検査を行う方法は、少なくとも1つの拡張可能なガイド装置を器具に結合することを含み得る。装置は、第1の拡張可能な部材と第2の拡張可能な部材とを含み得る。器具及び少なくとも1つの拡張可能なガイド装置は、一緒に体管腔に挿入される。器具及び装置は、治療部位に向かって前進させられてもよい。拡張可能な部材は、体管腔内で拡張され、患者の体管腔、例えば、十二指腸、腸などに接触し、更にある程度拡張させてもよい。拡張可能なガイド装置は、拡張可能な部材が拡張されると、直径が増加し、器具と拡張可能なガイド装置の両方の半径方向、長手方向、及び/又は軸方向の移動を阻止する。この方法は、第2の拡張可能な部材を拡張させて、体管腔に対する器具の横方向安定化を提供することを含み得る。拡張可能な部材を拡張させることにより、器具を使用して身体の他の領域を検査している間に、器具を安定した状態に保つことができる。これは、拡張可能な部材の外径が体管腔に接触又は体管腔を拡張して、装置の移動を阻止又は防止することにより、並びに器具を位置決めするための拡張可能な部材の選択的拡張により、行うことができる。
【0048】
当業者であれば、本明細書に記載の様々な実施形態に加えて、本開示の変形形態、修正形態、及び他の実装形態を思いつくであろう。従って、本開示は、前述の例示的な説明によってではなく、代わりに以下の特許請求の範囲によって定義されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
【国際調査報告】