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特表2023-543777拡張可能なガイド装置、システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(54)【発明の名称】拡張可能なガイド装置、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/01 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
A61B1/01 513
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518937
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(85)【翻訳文提出日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 US2021050656
(87)【国際公開番号】W WO2022066501
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/083,962
(32)【優先日】2020-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】リード、ブリタニー エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】リーバー、ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】フロンティン、ジュディス ボードワン
(72)【発明者】
【氏名】ウェルドン、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】メリート、マイケル アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】リー、アラム
(72)【発明者】
【氏名】バーマン、マックス エイ.
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】リード、コナー
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ケイヒル、アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ジャロブスキ、タラ アン
(72)【発明者】
【氏名】クロイド、タイラー
(72)【発明者】
【氏名】イバニェス、ネストル アラン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA01
4C161AA04
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF36
4C161FF43
(57)【要約】
本開示は、その様々な態様において、拡張可能なガイド装置、実装方法、及び関連システムに関する。一実施例では、拡張可能なガイド装置は、装置の器具ルーメンを通して器具を受け入れるように構成されている。複数の拡張可能な部材の各々は、器具ルーメンを画定する装置の本体の周囲に円周方向に配置されており、各拡張可能な部材は、拡張構成と非拡張構成との間で独立して遷移可能であるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能なガイド装置であって、前記拡張可能なガイド装置が、
第1の本体を備え、前記第1の本体が、
近位端と遠位端とを備え、前記第1の本体が、前記第1の本体の長手方向軸に沿って前記第1の本体を通って延びる器具ルーメンを画定し、前記器具ルーメンが、前記器具ルーメンを通って伸長可能な器具の第1の長さを摺動可能に受け入れるように構成されており、かつ、
前記第1の本体の周囲に円周方向に配置された複数の拡張可能な部材を備え、前記第1の本体の前記複数の拡張可能な部材の各部材が、前記第1の本体の前記長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延びており、かつ、
前記第1の本体の前記複数の拡張可能な部材の各部材が、前記第1の本体の前記器具ルーメンを通って伸長可能な前記器具の前記第1の長さが体管腔の中心軸に対して半径方向、角度方向、又はその両方に位置決め可能であるように、非拡張構成と部分的拡張構成と拡張構成との間で独立して半径方向に拡張可能である、
拡張可能なガイド装置。
【請求項2】
前記第1の本体の前記複数の拡張可能な部材のうちの2つ以上の部材が、拡張可能であり、複数の第1の細長流体送達部材を更に備え、各第1の送達部材が、拡張可能である前記第1の本体の前記複数の拡張可能な部材のうちのそれぞれの拡張可能な部材と流体連通している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の本体の近位にある第2の本体を更に備え、前記第2の本体が、
近位端と、遠位端とを備え、前記第2の本体が、前記第2の本体の長手方向軸に沿って前記第2の本体を通って延びる器具ルーメンを画定し、前記器具ルーメンが、前記器具ルーメンを通って伸長可能な前記器具の第2の長さを摺動可能に受け入れるように構成されており、かつ、
前記第2の本体の周囲に円周方向に配置された複数の拡張可能な部材を更に備え、前記第2の本体の前記複数の拡張可能な部材の各部材が、前記第2の本体の前記長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延びており、かつ、
前記第2の本体の前記複数の拡張可能な部材の各部材が、前記第2の本体の前記器具ルーメンを通って伸長可能な前記器具の前記第2の長さが前記体管腔の前記中心軸に対して半径方向、角度方向、又はその両方に位置決め可能であるように、非拡張構成と部分的拡張構成と拡張構成との間で独立して半径方向に拡張可能である、
請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の本体の前記複数の拡張可能な部材のうちの2つ以上の部材が、拡張可能であり、1つ以上の第2の細長流体送達部材を更に備え、各第2の送達部材が、拡張可能である前記第2の本体の前記複数の拡張可能な部材のうちのそれぞれの拡張可能な部材と流体連通している、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の拡張可能な部材が、非柔軟性材料若しくは柔軟性材料、又はそれらの組み合わせからなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
ハンドルと、近位端において前記ハンドルに取り付けられ、遠位端において前記第1の本体、前記第2の本体、又はその両方に取り付けられた作動部材と、を更に備え、前記第1の本体、前記第2の本体、又はその両方の前記器具ルーメンが、前記作動部材を用いて前記器具のそれぞれの前記第1の長さ及び前記第2の長さに沿って選択的に摺動可能に位置決め可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の本体、前記第2の本体、又はその両方の前記複数の拡張可能な部材が、2つ、3つ、又は4つの拡張可能な部材を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の本体、前記第2の本体、又はその両方の前記複数の拡張可能な部材が、球形、楕円形、豆形、腎臓形、指形、若しくは楕円体形、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の本体の前記複数の拡張可能な部材のうちの2つ以上の部材が、拡張可能かつ非柔軟性であり、前記1つ以上の第2の細長流体送達部材が、前記2つ以上の非柔軟性の拡張可能な部材と流体連通する単一の細長流体送達部材を含む、請求項4~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
第2の本体及び第3の本体を更に備え、前記第2の本体及び第3の本体は互いにかつ前記第1の本体と軸方向に整列しており、それぞれが近位端と遠位端とを含み、前記第2の本体及び前記第3の本体はそれぞれが前記第2の本体及び前記第3の本体の長手方向軸に沿って前記第2の本体及び前記第3の本体を通って延びる器具ルーメンを画定しており、前記第2の本体及び前記第3の本体の前記器具ルーメンが、前記第2の本体及び前記第3の本体の前記器具ルーメンを通って伸長可能な前記器具のそれぞれの第2の長さ及び第3の長さを摺動可能に受け入れるように構成されており、
複数の拡張可能な部材を更に備え、前記複数の拡張可能な部材が、前記第1の本体、前記第2の本体、及び前記第3の本体の周囲に円周方向に配置されており、前記複数の拡張可能な部材が、前記第1の本体、前記第2の本体、及び前記第3の本体の前記長手方向軸に沿って、前記第2の本体の前記近位端から前記第1の本体の前記遠位端まで、及び前記第2の本体の前記遠位端から前記第3の本体の前記近位端まで延びており、
前記第1の本体と前記第2の本体との間に延びる前記拡張可能な部材が、前記第1の本体と前記第2の本体との間の軸方向長さが減少した場合に、前記第1の本体及び前記第2の本体の前記長手方向軸から半径方向に拡張するように構成されており、
前記第2の本体と前記第3の本体との間に延びる前記拡張可能な部材が、前記第2の本体と前記第3の本体との間の軸方向長さが減少した場合に、前記第2の本体及び前記第3の本体の前記長手方向軸から半径方向に拡張するように構成されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の本体、前記第2の本体、若しくは前記第3の本体、又はそれらの組み合わせが、前記第1の本体と前記第2の本体との間の前記拡張可能な部材、又は前記第2の本体と前記第3の本体との間の前記拡張可能な部材、又はその両方を選択的に拡張させるために、前記第1の本体、前記第2の本体、及び前記第3の本体の前記長手方向軸のうちの1つ以上に沿って押される、又は引かれるように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の本体の前記複数の拡張可能な部材が、コイルを形成する複数の巻きを含み、前記コイルが、前記第1の本体に沿って配置されており、前記コイル及び前記第1の本体が、前記第1の本体の前記遠位端が前記器具に固定されており、かつ前記第1の本体の前記近位端が前記第1の本体の前記長手方向軸を中心に回転されるとき、半径方向に拡張可能である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項13】
内視鏡システムであって、前記内視鏡システムが、
器具を備え、
前記器具の周りに摺動可能に配置された拡張可能なガイド装置を備え、前記拡張可能なガイド装置が、
第1の本体を備え、前記第1の本体が、
近位端と遠位端とを備え、前記第1の本体が、前記第1の本体の長手方向軸に沿って前記第1の本体を通って延びる器具ルーメンを画定し、前記器具ルーメンが、前記器具ルーメンを通って伸長可能な前記器具の第1の長さを摺動可能に受け入れるように構成されており、かつ、
前記第1の本体の周囲に円周方向に配置された複数の拡張可能な部材を備え、前記複数の拡張可能な部材の各部材が、前記第1の本体の前記長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延びており、かつ、
前記第1の本体の前記複数の拡張可能な部材の各部材が、前記第1の本体の前記器具ルーメンを通って伸長可能な前記器具の前記第1の長さが体管腔の中心軸に対して半径方向、角度方向、又はその両方に位置決め可能であるように、非拡張構成と部分的拡張構成と拡張構成との間で独立して半径方向に拡張可能である、
内視鏡システム。
【請求項14】
前記第1の本体の前記複数の拡張可能な部材のうちの2つ以上の部材が、拡張可能であり、複数の第1の細長流体送達部材を更に備え、各第1の送達部材が、拡張可能である前記第1の本体の前記複数の拡張可能な部材のうちのそれぞれの拡張可能な部材と流体連通している、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の本体の近位にある第2の本体を更に備え、前記第2の本体が、
近位端と遠位端とを備え、前記第2の本体が、前記第2の本体の長手方向軸に沿って前記第2の本体を通って延びる器具ルーメンを画定し、前記器具ルーメンが、前記器具ルーメンを通って伸長可能な前記器具の第2の長さを摺動可能に受け入れるように構成されており、かつ、
前記第2の本体の周囲に円周方向に配置された複数の拡張可能な部材を備え、前記第2の本体の前記複数の拡張可能な部材の各部材が、前記第2の本体の前記長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延びており、かつ、
前記第2の本体の前記複数の拡張可能な部材の各部材が、前記第2の本体の前記器具ルーメンを通って伸長可能な前記器具の前記第2の長さが前記体管腔の前記中心軸に対して半径方向、角度方向、又はその両方に位置決め可能であるように、非拡張構成と部分的拡張構成と拡張構成との間で独立して半径方向に拡張可能である、
請求項13又は14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療装置に関する。より具体的には、本開示は、特に内視鏡処置の有効性及び効率を高めることができるような、拡張可能なガイド装置並びに関連システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、例えば、消化管内の状態を検査及び治療するための医療処置において使用される。ERCP処置は、例えば、総胆管及び膵管内の領域を検査、診断、及び治療するために使用される。いくつかの処置では、胆管のカニューレ挿入は、困難である場合があり、十二指腸内での移動は、内視鏡の位置決め及び安定化を達成することを困難にする。十二指腸内の蠕動運動は、そのような運動を抑制するために患者に投薬することを必要とする場合がある。更に、十二指腸乳頭のきつく収縮した筋肉組織により、乳頭開口部を通るカテーテルの正確な操作を必要とする場合がある。その結果、処置の有効性及び効率が損なわれる可能性があり、総胆管にカニューレ挿入することができないことにより、ERCP処置の失敗若しくは延長をもたらす可能性があり、かつ/又は感染症などの処置による若しくは処置後の合併症をもたらす可能性がある。
【0003】
更に、結腸鏡は、結腸鏡検査に使用される内視鏡の一種である。結腸鏡の長さ及び結腸の曲がりくねった解剖学的構造に起因して、いくつかの処置の間、例えば、ポリープ除去の間、結腸鏡は、結腸内で変形する又は「ループ」になる場合があり、患者に痛みを引き起こして、処置時間を長引かせる。ルーピングが生じると、内視鏡医の潜在的な移動が制限される可能性がある。その結果、結腸鏡検査処置を再開することが必要になる可能性があり、処置の有効性及び効率が損なわれる可能性がある。内視鏡医は、ルーピングの広まりを低減する方法を訓練されているが、それは依然として繰り返される問題である。
【0004】
上記の考慮事項を念頭に置いて、本開示の改善が有用であり得る。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、その様々な態様において、概して、拡張可能なガイド装置、実装方法、及び関連システムに関する。本明細書に記載されるものを含む本開示による実施形態は、特に体内の状態の検査及び治療のために使用される処置、例えば、ERCP処置中の胆管のカニューレ挿入又は結腸鏡検査処置中の結腸内での操作の有効性及び効率を高めることができる。
【0006】
一態様では、本開示の実施形態は、近位端及び遠位端を備える第1の本体を備えることができる拡張可能なガイド装置を説明し、第1の本体は、第1の本体の長手方向軸に沿って第1の本体を通って延びる器具ルーメンを画定する。器具ルーメンは、器具ルーメンを通って伸長可能な器具の長さを摺動可能に受け入れるように構成することができる。拡張可能なガイド装置は、第1の本体の周囲に円周方向に配置された複数の拡張可能な部材を備えてもよく、第1の本体の複数の拡張可能な部材の各部材は、第1の本体の長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延びる。第1の本体の複数の拡張可能な部材の各部材は、独立して半径方向に拡張可能であり得る。各拡張可能な部材は、第1の本体の器具ルーメンを通って伸長可能な器具の第1の長さが体管腔の中心軸に対して半径方向、角度方向、又はその両方に位置決め可能であるように、非拡張構成と部分的拡張構成と拡張構成との間で独立して拡張可能であり得る。
【0007】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、第1の本体の複数の拡張可能な部材のうちの2つ以上は、拡張可能であり、拡張可能なガイド装置は、複数の第1の細長流体送達部材を更に備え得る。各第1の送達部材は、拡張可能である第1の本体の複数の拡張可能な部材のうちのそれぞれの拡張可能な部材と流体連通し得る。拡張可能なガイド装置は、第1の本体の近位にある第2の本体を備えてもよく、第2の本体は、近位端と、遠位端とを備えてもよく、第2の本体は、第2の本体の長手方向軸に沿って第2の本体を通って延びる器具ルーメンを画定する。器具ルーメンは、器具ルーメンを通って伸長可能な器具の第2の長さを摺動可能に受け入れるように構成することができる。第2の本体は、第2の本体の周囲に円周方向に配置された複数の拡張可能な部材を備え得る。第2の本体の複数の拡張可能な部材の各部材は、第2の本体の長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延び得る。第2の本体の複数の拡張可能な部材の各部材は、第2の本体の器具ルーメンを通って伸長可能な器具の第2の長さが体管腔の中心軸に対して半径方向、角度方向、又はその両方に位置決め可能であるように、非拡張構成と部分的拡張構成と拡張構成との間で独立して半径方向に拡張可能であり得る。第2の本体の複数の拡張可能な部材のうちの2つ以上の部材は、拡張可能であり得、1つ以上の第2の細長流体送達部材を更に備え得る。各第2の送達部材は、拡張可能である第2の本体の複数の拡張可能な部材のうちのそれぞれの拡張可能な部材と流体連通し得る。
【0008】
複数の拡張可能な部材は、非柔軟性材料若しくは柔軟性材料、又はそれらの組み合わせを含むことができる。装置は、ハンドルを更に備えてもよく、作動部材は、近位端においてハンドルに取り付けられていてもよく、遠位端において第1の本体、第2の本体、又はその両方に取り付けられ得る。第1の本体、第2の本体、又はその両方の器具ルーメンは、作動部材を用いて、器具のそれぞれの第1の長さ及び第2の長さに沿って選択的に摺動可能に位置決め可能であり得る。第1の本体、第2の本体、又はその両方の複数の拡張可能な部材は、2つ、3つ、又は4つの拡張可能な部材を含むことができる。作動部材は、ルーメンを備え得る。第1の本体、第2の本体、又はその両方の複数の拡張可能な部材は、球形、楕円形、豆形、腎臓形、指形、若しくは楕円体形、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。第2の本体の複数の拡張可能な部材のうちの2つ以上の部材は、拡張可能かつ非柔軟性であり得る。1つ以上の第2の細長流体送達部材は、2つ以上の非柔軟性の拡張可能な部材と流体連通する単一の細長流体送達部材を含むことができる。
【0009】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、拡張可能なガイド装置は、それぞれが近位端及び遠位端を備える、互いに、かつ第1の本体と軸方向に整列した第2及び第3の本体を更に備えることができる。第2の本体及び第3の本体はそれぞれ、第2の本体及び第3の本体の長手方向軸に沿って第2の本体及び第3の本体を通って延びる器具ルーメンを画定し得る。第2の本体及び第3の本体の器具ルーメンは、第2の本体及び第3の本体の器具ルーメンを通って伸長可能な器具のそれぞれの第2の長さ及び第3の長さを摺動可能に受け入れるように構成することができる。第2の本体及び第3の本体は、第1の本体、第2の本体、及び第3の本体の周囲に円周方向に配置された複数の拡張可能な部材を備え得る。拡張可能な部材は、第1の本体、第2の本体、及び第3の本体の長手方向軸に沿って、第2の本体の近位端から第1の本体の遠位端まで、及び第2の本体の遠位端から第3の本体の近位端まで延び得る。第1の本体と第2の本体との間に延びる拡張可能な部材は、第1の本体と第2の本体との間の軸方向長さが減少した場合に、第1の本体及び第2の本体の長手方向軸から半径方向に拡張するように構成することができる。第1の本体と第2の本体との間に延びる拡張可能な部材は、第2の本体と第3の本体との間の軸方向長さが減少した場合に、第2の本体及び第3の本体の長手方向軸から半径方向に拡張するように構成することができる。第1の本体、第2の本体、若しくは第3の本体、又はそれらの組み合わせは、第1の本体と第2の本体との間の拡張可能な部材、又は第2の本体と第3の本体との間の拡張可能な部材、又はその両方を選択的に拡張させるために、第1の本体、第2の本体、及び第3の本体の長手方向軸のうちの1つ以上に沿って押される、又は引かれるように構成することができる。第1の本体の複数の拡張可能な部材は、コイルを形成する複数の巻きを含むことができ、コイルは、第1の本体に沿って配置され得る。コイル及び第1の本体は、第1の本体の遠位端が器具に固定されており、かつ第1の本体の近位端が第1の本体の長手方向軸を中心に回転されるとき、半径方向に拡張可能であり得る。少なくとも1つの拡張可能な部材は、柔軟性材料を含むことができる。少なくとも1つの拡張可能な部材は、1つ、2つ、3つ、又は4つの拡張可能な部材を含むことができる。少なくとも1つの非柔軟性の拡張可能な部材は、1つ、2つ、3つ、又は4つの拡張可能な部材を含むことができる。
【0010】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、作動部材は、ルーメンを備え得る。第1の本体の少なくとも1つの拡張可能な部材、第2の本体の少なくとも1つの非柔軟性の拡張可能な部材、又はその両方は、球形、楕円形、豆形、腎臓形、指形、若しくは楕円体形、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。第2の本体の複数の拡張可能な部材のうちの2つ以上の部材は、拡張可能かつ非柔軟性であり得る。第2の細長い送達部材のうちの1つ以上は、2つ以上の非柔軟性の拡張可能な部材と流体連通する単一の細長流体送達部材を含むことができる。拡張可能なガイド装置は更に、拡張可能なガイド装置の周囲に摺動可能に配置されたスリーブを備え得る。第1の本体、第2の本体、又はその両方の少なくとも1つの拡張可能な部材は、それぞれの第1の本体及び第2の本体に接着され得、環状対称間隔でそれぞれの第1の本体及び第2の本体の周囲に配置され得る。第2の細長流体送達部材は、複数の非柔軟性の拡張可能な部材と流体連通する単一の細長流体送達部材を含むことができる。拡張可能なガイド装置は、器具の関節運動継手の近位に位置決めされるように構成することができる。第1の本体の複数の拡張可能な部材は、形状記憶金属又はプラスチック材料を含むことができ、円形ワイヤ、平坦ワイヤ、若しくは織物メカ、又はそれらの組み合わせから形成され得る。
【0011】
一態様では、本開示の実施形態は、器具と、器具の周囲に摺動可能に配置された拡張可能なガイド装置とを備えることができる、内視鏡システムを説明する。拡張可能なガイド装置は、近位端と、遠位端とを備える第1の本体を備えてもよく、第1の本体は、第1の本体の長手方向軸に沿って第1の本体を通って延びる器具ルーメンを画定してもよく、器具ルーメンは、器具ルーメンを通って伸長可能な器具の第1の長さを摺動可能に受け入れるように構成することができる。システムは、第1の本体の周囲に円周方向に配置された複数の拡張可能な部材を備え得る。複数の拡張可能な部材の各部材は、第1の本体の長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延び得る。第1の本体の複数の拡張可能な部材の各部材は、第1の本体の器具ルーメンを通って伸長可能な器具の第1の長さが体管腔の中心軸に対して半径方向、角度方向、又はその両方に位置決め可能であるように、非拡張構成と部分的拡張構成と拡張構成との間で独立して半径方向に拡張可能であり得る。拡張可能なガイド装置は、作動部材を備えてもよく、ハンドルが、第1の本体に取り付けられ得る。ハンドルは、作動部材を用いて器具に沿って第1の本体を摺動させることによって、器具の長さに沿って第1の本体の器具ルーメンを選択的に位置決めするように構成することができる。
【0012】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、第1の本体の複数の拡張可能な部材のうちの2つ以上の部材は、拡張可能であり得、複数の第1の細長流体送達部材を更に備え得る。各第1の送達部材は、拡張可能である第1の本体の複数の拡張可能な部材のうちのそれぞれの拡張可能な部材と流体連通し得る。システムは、第1の本体の近位にある第2の本体を備え得る。第2の本体は、近位端と、遠位端とを備えてもよく、第2の本体は、第2の本体の長手方向軸に沿ってそれを通って延びる器具ルーメンを画定してもよく、器具ルーメンは、器具ルーメンを通って伸長可能な器具の第2の長さを摺動可能に受け入れるように構成することができる。それは、第2の本体の周囲に円周方向に配置された複数の拡張可能な部材を備え得る。第2の本体の複数の拡張可能な部材の各部材は、第2の本体の長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延び得る。第2の本体の複数の拡張可能な部材の各部材は、第2の本体の器具ルーメンを通って伸長可能な器具の第2の長さが体管腔の中心軸に対して半径方向、角度方向、又はその両方に位置決め可能であるように、非拡張構成と部分的拡張構成と拡張構成との間で独立して半径方向に拡張可能であり得る。各第2の細長流体送達部材は、それぞれの非柔軟性の拡張可能な部材内で流体を流通させるように構成することができる。第1の拡張可能なガイド装置は、第1の本体、第2の本体、又はその両方によって固定され得る。
【0013】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、システムは、拡張可能なガイド装置の第1の本体、第2の本体、又はその両方の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれより多くの拡張可能な部材を備え得る。各拡張可能な部材は、柔軟性材料又は非柔軟性材料を含むことができる。システムは、拡張可能なガイド装置の周囲に摺動可能に配置されたオーバースリーブを備え得る。第1の本体の拡張可能な部材は、柔軟性材料又は非柔軟性材料を含むことができる。
【0014】
一態様では、本開示の実施形態は、患者内で内視鏡処置を行う方法を説明する。この方法は、内視鏡を拡張可能なガイド装置の器具ルーメンに挿入することと、内視鏡及び拡張可能なガイド装置を、体管腔を通して患者内の治療部位まで前進させることと、を含むことができる。拡張可能なガイド装置は、拡張可能なガイド装置の周囲に円周方向に配置された複数の拡張可能な部材を含んでもよく、複数の拡張可能な部材の各部材は、非拡張構成と部分的拡張構成と拡張構成との間で独立して半径方向に拡張可能であり得る。この方法は、拡張可能なガイド装置の器具ルーメンを通して挿入された内視鏡が体管腔の中心軸に対して半径方向、角度方向、又はその両方に位置決め可能であるように、患者内の第1の治療部位において複数の拡張可能な部材のうちの1つ以上の部材を拡張することを含み得る。
【0015】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、器具は、結腸鏡、十二指腸鏡、気管支鏡、胃鏡などの内視鏡を含み得る。複数の拡張可能な部材は、非柔軟性材料若しくは柔軟性材料、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0016】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、この方法の拡張可能なガイド装置は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれより多くの拡張可能な部材を備え得る。拡張可能な部材は、非柔軟性であり得る。拡張可能な部材は、柔軟性であり得る。少なくとも1つの拡張可能な部材を拡張することにより、内視鏡を屈曲させ得る。少なくとも1つの拡張可能な部材を拡張することにより、内視鏡を真っ直ぐにすることができる。少なくとも1つの拡張可能な部材を拡張させることにより、内視鏡を定位置に安定させることができる。拡張可能な部材は、独立して拡張され得る。この方法は、第2の装置を治療部位に向かって前進させることを含み得る。少なくとも1つの拡張可能な部材を拡張することにより、体管腔内の内視鏡の位置を調整し得る。少なくとも1つの拡張可能な部材を拡張させることは、空気、CO、又は流体造影剤による拡張可能な部材の膨張を含み得る。
【0017】
本開示の非限定的な実施例について、添付の図を参照して例として説明する。添付の図は、概略であり、縮尺どおりに描かれることを意図していない。各図において、図示された各同一又はほぼ同一の構成要素は、典型的には、単一の数字によって表される。明確さのために、全ての図で全ての構成要素にラベルを付すことはせず、当業者が本開示を理解することを可能にするために図示が必要でない場合には、本開示の各実施形態の全ての構成要素を示すこともしない。図は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の様々な実施形態に関して説明されるタイプの例示的な内視鏡を示す図。
図2A】本開示の実施形態による、十二指腸内で拡張構成にある拡張可能なガイド装置と、それを通して伸長される図1の内視鏡などの例示的な内視鏡とを備える、システムの部分断面図。
図2B】本開示の実施形態による、体内で折り畳まれた構成にある、図2Aの装置などの複数の拡張可能なガイド装置と、それを通して伸長される図1の内視鏡などの例示的な内視鏡とを備える、システムの部分断面図。
図2C】本開示の実施形態による、十二指腸内で拡張構成にある拡張可能なガイド装置と、それを通して伸長される図1の内視鏡などの例示的な内視鏡とを備える、システムの部分断面図。
図3】本開示の実施形態による、拡張構成における拡張可能なガイド装置の断面図。
図4A】本開示の実施形態による、図1の内視鏡などの器具に沿って配置された拡張可能なガイド装置の側面図。
図4B】本開示の実施形態による、拡張の様々な構成における、図4Aの拡張可能なガイド装置の断面図。
図4C】本開示の実施形態による、拡張の様々な構成における、図4Aの拡張可能なガイド装置の断面図。
図4D】本開示の実施形態による、拡張の様々な構成における、図4Aの拡張可能なガイド装置の断面図。
図4E】本開示の実施形態による、拡張の様々な構成における、図4Aの拡張可能なガイド装置の断面図。
図5】本開示の実施形態による、器具と、拡張可能なガイド装置とを備える、システムの側面図。
図6A】本開示の実施形態による、器具と、拡張可能なガイド装置とを備える、システムの側面図。
図6B図6Aの拡張可能なガイド装置の断面図。
図7A】本開示の実施形態による、拡張可能なガイド装置が非拡張構成及び拡張構成それぞれにある、システムの断面図。
図7B】本開示の実施形態による、拡張可能なガイド装置が非拡張構成及び拡張構成それぞれにある、システムの断面図。
図8A】本開示の実施形態による、拡張可能なガイド装置が拡張の様々な構成にある、システムの断面図。
図8B】本開示の実施形態による、拡張可能なガイド装置が拡張の様々な構成にある、システムの断面図。
図8C】本開示の実施形態による、拡張可能なガイド装置が拡張の様々な構成にある、システムの断面図。
図9A】本開示の実施形態による、それぞれの非挟持構成及び挟持構成における拡張可能なガイド装置の斜視図。
図9B】本開示の実施形態による、それぞれの非挟持構成及び挟持構成における拡張可能なガイド装置の斜視図。
図10A】本開示の実施形態による、拡張可能なガイド装置が拡張の様々な構成において体管腔内で器具を屈曲させている、システムの斜視図。
図10B】本開示の実施形態による、拡張可能なガイド装置が拡張の様々な構成において体管腔内で器具を屈曲させている、システムの斜視図。
図11】本開示の実施形態による、拡張構成における、体管腔内の器具及び拡張可能なガイド装置と、外部ツールチャネル内のツールとを備える、システムの斜視図。
図12A】本開示の実施形態による、拡張の様々な構成における拡張可能なガイド装置の側面図。
図12B】本開示の実施形態による、拡張の様々な構成における拡張可能なガイド装置の側面図。
図13A】本開示の実施形態による、拡張の様々な構成における拡張可能なガイド装置の斜視図。
図13B】本開示の実施形態による、拡張の様々な構成における拡張可能なガイド装置の斜視図。
図14A】本開示の実施形態による、拡張の様々な構成における拡張可能なガイド装置の側面図。
図14B】本開示の実施形態による、拡張の様々な構成における拡張可能なガイド装置の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面は、本開示の典型的な又は例示的な実施形態のみを示すことを意図していることに留意されたい。従って、図面は、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではない。以下、本開示は、添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【0020】
一般に、任意の他の器具が体内に挿入される任意の形態の内視鏡検査又は他の処置では、器具が所望の位置にナビゲートされると、器具を定位置に安定させ、体管腔の断面によって画定される特定の半径方向位置に器具を配置し、特定の処置によって指示される特定の様式で器具を向けることなどが可能であることが重要であり得るということがある。
【0021】
本開示による様々な実施形態を以下に説明する。本明細書で使用されるとき、「近位端」は、装置を患者に導入するときに装置に沿って医療専門家に最も近く位置する装置の端部を指し、「遠位端」は、埋め込み、位置決め、又は送達中に装置に沿って医療専門家から最も遠く位置する装置又は物体の端部を指す。
【0022】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、内容が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、「又は」という用語は、内容が明らかに別のことを示さない限り、「及び/又は」を含む意味で一般に使用される。
【0023】
本明細書における「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、説明される実施形態が1つ以上の特定の特徴、構造、及び/又は特性を含むことができることを示すことに留意されたい。しかしながら、そのような記述は、全ての実施形態が特定の特徴、構造、及び/又は特性を含むことを必ずしも意味しない。加えて、特定の特徴、構造、及び/又は特性が一実施形態に関連して説明される場合、そのような特徴、構造、及び/又は特性は、反対のことが明確に述べられていない限り、明示的に説明されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連しても使用され得ることを理解されたい。
【0024】
この「発明を実施するための形態」は、図面を参照して読まれるべきであり、図面は、必ずしも縮尺通りではなく、例示的な実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0025】
本開示の実施形態は、器具とともに使用するための拡張可能なガイド装置を含み得る。器具は、内視鏡、気管支鏡、十二指腸鏡、結腸鏡、胃鏡、尿管鏡、カテーテルなどであり得る。装置は、様々な構成要素及び構成を含み得る。本開示の実施形態は、医療装置システムを含み得る。医療装置システムは、器具、拡張可能なガイド装置、器具とともに使用するためのツール、例えば、装置を作動させるための、拡張可能なガイド装置の本体まで延びる近位ハンドル、及び/又は、拡張可能な部材としてバルーンを含む実施形態では、膨張流体源などを含み得る。装置及びシステムの実施形態は、オペレータが体内で器具を安定させることを可能にするために、例えば、内視鏡検査中に、器具の周囲の体管腔内の空間を実質的に充填するために使用され得る。本明細書に記載される様々な実施形態は、器具ルーメン内に内視鏡などの器具の長さを摺動可能に受け入れることができる器具ルーメンを形成する本体の周囲に複数の拡張可能な部材を有する、拡張可能なガイド装置を備える。拡張可能な部材(単数又は複数)は、体管腔内で拡張されると、有利には、体管腔内での器具の移動を阻止又は低減することができる。バルーンを含む拡張可能な部材などのいくつかの実施形態では、膨張流体は、気体、液体、又はその両方であり得る。いくつかの実施形態では、体管腔は、例えば消化器系内などの管腔、器官、血管、通路などを含み得る。様々な実施形態では、拡張可能な部材は、より大きい又はより小さい程度に拡張してもよく、異なる形状をとり得、かつ/又は別の拡張可能な部材とは異なる他の特性を呈し得る。様々な実施形態では、拡張可能なガイド装置は、使い捨てであり得る。代替の実施形態では、拡張可能なガイド装置は、再使用可能であり得る。
【0026】
ERCP処置は、総胆管及び膵管内の領域を検査、診断、及び治療するために使用される。内視鏡は、例えば口を介して、胃を通って患者の中に導入され、小腸の少なくとも一部分を通って前進させられ得る。内視鏡は、膵管及び胆管に到達するために、ファーター膨大部にアクセスするために使用することができる。ファーター膨大部に対する内視鏡の位置決め、安定化、及び/又は進入角度は、処置の成功にとって重要であり得、患者の移動及び呼吸、十二指腸の運動、並びに内視鏡内又は内視鏡に関連するツールの操作によって困難になる場合がある。ユーザがERCPを行うために、器具の遠位端は、ファーター膨大部又はファーター乳頭において体管腔内で十分に安定化されなければならず、これは、非常に高い精度を必要とする。定位置に配置されると、器具(例えば、内視鏡)は、器具による、並びに/又は器具及び/若しくは拡張可能なガイド装置の作業チャネルを通って送達される付属装置(例えば、生検ツール)による、ファーター膨大部又はファーター乳頭へのアクセス並びにその中への進入及びそれを通した進入を容易にするように、十分に安定して保たれる必要がある。
【0027】
結腸鏡検査は、器具(例えば、結腸鏡)を使用して結腸を検査及び治療するために使用される内視鏡処置の一種である。拡張可能なガイド装置が有用であり得る器具としての結腸鏡は、肛門及び直腸を介して、そして結腸を通って患者に導入される。器具は、検査中に、組織を検査及び診断し、試料を採取し、かつ/又は腸からポリープを除去するために使用され得る。結腸の曲がりくねった解剖学的構造に起因して、結腸の湾曲部を通って結腸鏡をナビゲートしようとするとき、結腸鏡のルーピング、従って腸のルーピングが処置中に発生する可能性があり、これは、患者に痛みを引き起こす可能性があり、処置を遅くする可能性がある。ルーピングは、器具を体管腔内に望まないようにして位置決めさせる場合があり、追加の工程を医師によって行う必要がある場合がある。ループは、アルファループ、逆アルファループ、Nループ、逆脾湾曲、ガンマループ、又は逆S状螺旋であり得る。これらのループを解消する現在の諸方法は、器具の一部若しくは全部の近位への移動又は除去することに関連し、ループがもはや存在しない点から処置を再開又は継続し、それによって、解剖学的構造が典型的構成に実質的に戻されている。このプロセスは、患者に更なる不快感を引き起こす可能性があり、及び/又は処置を更に長引かせる可能性がある。
【0028】
血管内処置、消化管、尿管、気道、生殖器官及び/又は胆管に沿った処置、胸部及び肺処置などを含む多くの医療処置は、体内の診断又は治療を意図した組織(例えば、「標的組織」)にアクセスするために、内視鏡などの器具を利用する。場合によっては、内視鏡は、医師が組織を可視化して組織に対して治療を行うことを支援する特徴を組み込むことができる。例えば、いくつかの内視鏡は、内視鏡がナビゲートされ、標的組織部位に隣接して位置決めされる際に、体管腔を照明及び/又は可視化するように設計された、ライト及び/又はカメラを含むことができる。加えて、いくつかの内視鏡はまた、切除装置、把持部材、又は他の付属装置を展開及び利用することができる、ルーメン(例えば、作業チャネル)を含むことができる。追加の可視化並びに/又は外部及び/若しくは内部撮像方法、例えば、蛍光透視法が、代替的又は追加的に用いられ得る。
【0029】
本開示の拡張可能なガイド装置、システム、及び方法の実施形態は、拡張可能なガイド装置がない場合よりも高い精度、正確さ、及び容易さで医師が処置を行うことを可能にするために、異なる体管腔内で、上述したような用途の範囲に関して、様々な内視鏡又は他の器具とともに使用され得る。
【0030】
本明細書に記載される、又は別様に本開示の範囲内の様々な実施形態を説明するために本明細書で使用されるとき、本体の内面は、その中に受け入れられたときに器具ルーメン及び器具に面する表面を指す。本体の外面は、体管腔に面する表面を指す。
【0031】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、拡張可能なガイド装置は、複数の拡張可能な部材を含み得る。拡張可能な部材は、セグメント化又はチャンバ化され得、各セグメント又はチャンバは、独立して半径方向に拡張可能であり得る。例えば、拡張可能な部材の様々なチャンバを拡張解除状態に維持することによって、又は部分的に拡張することによって、又は拡張することによって、装置の円周の周囲の拡張可能な部材の異なる形状に影響を及ぼすようにする。拡張可能な部材は、バルーン、メッシュ、編組、フラップ、ワイヤなどであり得、機械的に作動させる、電気的に作動させる、空気圧で作動させる、膨張させることなどができる。拡張可能なガイド装置は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれより多くの拡張可能な部材を含み得る。拡張可能な部材は、接着剤、テープ、流動材料、溶接(例えば、レーザ、超音波、ホットジョー熱など)、溶融/再溶融流動プロセスなどを利用して、本体、シースなどに接着され得る。拡張可能な部材は、球形、楕円形、豆形、腎臓形、指形、若しくは楕円体形、又はそれらの任意の組み合わせなどであり得る。拡張可能な部材は拡張可能な弾性材料であり得る。該拡張可能な弾性材料は、柔軟性、非柔軟性、又はその両方であり得るとともに、ラテックス、シリコーン、Pebax、それらの組み合わせなどからなり得る。柔軟性の拡張可能な部材は、体管腔を充填するために拡張するように構成することができる。非柔軟性の拡張可能な部材は、設定された寸法及び/又は形状に拡張するように構成することができる。拡張可能な部材は、流体又は気体で充填され得る。拡張可能な部材は、非拡張構成から拡張構成(部分的拡張構成を含む)に遷移して、体管腔を閉塞し、伸張し、体管腔の開存性を確立し、又は体管腔の開存性を維持することができる。拡張可能な部材は、体管腔内で器具を中心に置く、又は位置決めするために使用することができる。拡張可能な部材は、視認又は手術のために体管腔の組織を操作するために使用され得る。
【0032】
装置の拡張可能な部材又は他の部分は、装置の周囲及びそれに沿った様々な位置に1つ以上の放射線不透過性マーカを備え得る。放射線不透過性マーカは、処置中に撮像され得、例えば、装置の位置、又は、複数の装置相互に関する位置、器具に関する位置、及び/又は体管腔の一部に関する位置を判定、変更、確認することなどを可能にする。拡張可能な部材の拡張の程度も同様に確認することができる。また、撮像可能な造影剤流体を体管腔に注入することができ、又は拡張可能な部材のための膨張流体を放射線不透過性にすることができる。放射線不透過性マーカは、拡張可能な部材の材料に配合された放射線不透過性充填材を含み得るとともに/あるいは独立したマーカが、拡張可能な部材の内部若しくは外部、本体の表面、又は装置の他の部分に添着され得る。
【0033】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、拡張可能なガイド装置は、作動部材を含み得る。作動部材の近位端は、拡張可能なガイド装置を患者内で移動させるように操作され得る。作動部材は、ルーメンを有し得る。ルーメンは、拡張可能な部材による本体の操作及び/又は軸方向移動のためのスタイレットを受け入れ得る。拡張及び操作/移動のためのルーメンは、別個であり得るか、あるいは共有され得る。拡張可能な部材は、一緒に拡張されるように構成することができ、又は独立して拡張されるように構成することができる。拡張可能な部材は、所望であれば、器具の向きに影響を及ぼすために、器具を操縦するために、及び/又は患者の体管腔内で中心軸から器具をオフセットして位置決めするために、拡張可能なガイド装置の円周周りで、及び/又は器具に沿った他の拡張可能なガイド装置上の拡張可能な部材の間で、異なる体積又は度合いに拡張され得る。作動部材は、器具に沿って装置を押して引くために使用することができる。それらは、拡張する前に装置を位置決め及び/又は再位置決めするために使用することができる。第1の本体、第2の本体、又はその両方の器具ルーメンは、作動部材を用いて、器具のそれぞれの第1の長さ及び第2の長さに沿って選択的に摺動可能に位置決め可能であり得る。
【0034】
本開示の実施形態を実装することができる例示的な装置、システム、及び方法としては、2020年8月27日出願の「Devices,Systems,and Methods for Pyloric Occlusion」と題された、代理人整理番号8150.0728Zを有する米国仮特許出願、2020年8月28日出願の「Stabilization and Leverage Devices,Systems,and Methods」と題された、代理人整理番号8150.0729Zを有する米国仮特許出願、本出願と同日出願の「Expandable Guide Devices,Systems,and Methods」と題された、代理人整理番号第8150.0722Z号を有する米国仮特許出願、及び本出願と同日出願の「Expandable Guide Devices,Systems,and Methods」と題された、代理人整理番号第8150.0723Z号を有する米国仮特許出願の完全な開示に記載されるものが挙げられるが、それらに限定されない。これらの開示内容の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
器具とともに使用するための拡張可能なガイド装置の実施例が、いくつかの実施形態に関して本明細書に記載されている。図1を参照すると、本開示に記載されるタイプの例示的な器具としての内視鏡が示されている。器具100は、本明細書で更に説明する拡張可能なガイド装置とともに使用することができる器具の一例である。器具100(例えば、内視鏡)は、遠位端103と、近位端104とを備え、ルーメン又は作業チャネルがそれを通って延びている。近位端104にあるハンドル105は、医療専門家によって操作されて、器具100を操作することができる。器具100は、例えばハンドル105にあるステアリングノブの操作によることを含む、患者内での移動及び可撓性を容易にするために、器具100の挿入部分の壁107に沿って関節運動継手及び/又は切り込み若しくはチャネル106を含み得る。
【0036】
ERCP処置などの内視鏡検査を行う例示的な方法では、内視鏡の遠位端は、患者の口を介して、胃を通り、小腸の中へ前進させられ得る。患者の体内に入ると、消化器系を視覚的に検査することができ、体外に残る内視鏡の近位端にあるハンドルから内視鏡の作業チャネルを通過した様々なツールを使用して、膵管及び胆管にアクセスすることができる。
【0037】
図1の内視鏡などの器具とともに使用するための拡張可能なガイド装置の実施例を説明する。図2Aを参照すると、本開示の実施形態によるシステムの部分断面図が示されている。器具200(例えば、図1の器具100)は、体管腔204(例えば、十二指腸)内に示されている。第1の拡張可能なガイド装置202は、器具200の遠位端203のところに示されている。拡張可能なガイド装置の本体206上に配置された複数の拡張可能な部材208(例えば、柔軟性若しくは非柔軟性バルーン、又はそれらの混合)は、部分的拡張構成で器具の円周の周囲に配置されている。図2Aでは、拡張可能なガイド装置202は、ツール211(例えば、カテーテル)が器具200の作業チャネルの出口から延びている状態で、体管腔204内に示されている。ツール211は、ファーター膨大部213を通って延び、閉塞物216に到達する。図2Bでは、複数の拡張可能なガイド装置212が示されており、それぞれが、部分的に拡張されて本体206の周りに配置された複数の拡張可能な部材210、214のうちの1つを有し、本体206は、器具ルーメン(図示せず)を画定する。例示目的のために、体管腔204は、結腸を含む大腸である。図を見ると分かるように、結腸は、その長さに沿ってねじれ及び湾曲を呈し、それは、体外から器具200を単に操縦することによってナビゲートするには困難な解剖学的構造を生成する。複数の装置212の本体206の複数の拡張可能な部材214の各部材は、本体の器具ルーメン(図示せず)を通って伸長可能な器具200の長さが、体管腔204の中心軸に対して半径方向、角度方向、又はその両方に位置決め可能であるように、非拡張構成と部分的拡張構成と拡張構成との間で独立して半径方向に拡張可能である。拡張可能な部材210、214は、拡張可能であり、各拡張可能な部材は、複数の細長流体送達部材220と独立して又は連続して流体連通している。装置212は、患者の外側で使用する前にユーザによって位置決めされ得、かつ/又は患者内に入ると器具200に沿って移動され得る。装置212は、本明細書に記載されるように、作動部材(例えば、図示されない、スタイレットなど)によって、器具に沿って移動され得る。図示のように、複数の拡張可能なガイド装置212は、器具200の位置決めが困難であり得る体管腔204の一部分を通る移動を支援することができる。例えば、ユーザは、直角を形成する体管腔204の一部分を通って移動する必要がある場合がある。この領域を通って移動するために、拡張可能なガイド装置212を使用して、器具200を特定の方向に移動させることができる。装置212は、体管腔204の直角部分の中へ移動させられ得、非柔軟性の拡張可能な部材214が拡張され得る。非柔軟性の拡張可能な部材214は、本体206が所望の方向に操作されるように、体管腔204内に拡張し、また固定形状に拡張することができる。本体206が所望の位置になると、器具200は、体管腔204を通って遠位方向に移動することができる。図2Cは、本開示によるシステムの別の実施形態を示す。器具200は、十二指腸乳頭222の近くの十二指腸内に示されている。器具200を安定させるために、拡張可能なガイド装置202の拡張可能な部材208が拡張され、体管腔を押圧する。図2Cでは、拡張可能な部材208は、細長流体送達部材220によって差動的に拡張されている。個々の拡張可能な部材208を選択的に拡張及び拡張解除することによって、ユーザは、体管腔内で器具200の位置を半径方向に移動させ得る。図2Cでは、拡張可能な部材208は、器具200を十二指腸内で安定させるため、器具200を器具200の作業チャネルの十二指腸乳頭222に対する所望の進入角度に向けるため、十二指腸乳頭222などをより良好に可視化するためなどに、差動的に拡張させることができる。
【0038】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、拡張可能な部材は、体管腔に接触するために拡張され得、ユーザが装置を位置決めしていて、拡張可能な部材を拡張解除したくないときに部分的に拡張され得、体管腔を通して装置を移動させるときに拡張解除され得る。拡張可能な部材は、器具を体管腔内で半径方向に移動させることができるように、独立して拡張され得る。この半径方向の移動は、体管腔の困難な部分を通る装置の安定化、位置決め、及び移動を支援することができる。
【0039】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、空気圧式又は拡張可能な部材を有する拡張可能なガイド装置は、拡張可能な部材の外面を通って延びることができる流体入口を有することができる。流体入口は、拡張可能な部材を拡張及び拡張解除する、又は折り畳むための膨張流体を供給及び除去し得る。単一の細長流体送達部材は、流体入口を介して、単一の拡張可能な部材又は2つ以上の拡張可能な部材と流体連通し得る。
【0040】
1つ以上の膨張流体送達部材は、器具に沿って、及び/又は拡張可能なガイド装置の本体に沿って、若しくはそれを通って、並びに拡張可能な部材の外面を通って延び得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な部材は、拡張可能なバルーンを含み得、膨張流体は、気体、液体、又はその両方などの流体であり得る。膨張流体送達部材は、器具の近位端まで延び、流体源、例えば、ガイド装置のハンドルにある気体又は液体の入口/出口と接続可能であり得る。流体(例えば、生理食塩水、空気など)は、供給源、例えば、シリンジによって、膨張流体送達部材に挿入され、そこから除去され得る。例えば、拡張可能な部材としてのバルーンの場合には、流体の挿入により、拡張可能な部材を拡張させることができ、流体の除去により、拡張可能な部材を拡張解除させる、又は折り畳ませる若しくは収縮させることができる。膨張流体送達部材は、器具の作業チャネル又は膨張ルーメン内に延び得る。膨張流体送達部材は、器具が、拡張可能なガイド装置の本体の器具ルーメン内で伸長される間、器具の膨張ルーメンと流体連通し得る。
【0041】
図3を参照すると、本開示の実施形態による拡張可能なガイド装置の断面図が示されている。装置は、上述したように操作することができる。この図は、本体310の周りの複数の拡張可能な部材308の配置を示し、本体310は、器具ルーメン304を画定する。本体310は、器具ルーメン304を形成する内向き表面と、外向き表面とを備える。拡張可能な部材308は、本体310の周囲に配置され、外向き表面から半径方向に拡張可能であり得る。装置は、本体310の器具ルーメン304内に受け入れられた器具上に摺動可能に配置することができる。装置は、器具上に固定することができる。装置は、処置の前に手動で固定され得る。装置は、ユーザが装置を定位置に保持することができる、作動部材を含み得る。装置は、器具の近位端まで延びるシースを含んでもよく、それを用いて、ユーザは、装置を定位置に保持し得る。図示のように、拡張可能な部材は、部分的に拡張されている。
【0042】
図4Aを参照すると、本開示の実施形態による拡張可能なガイド装置402の側面図が示されている。装置402は、上述したように操作することができる。拡張可能なガイド装置402は、器具400の遠位端406の近くで、拡張可能なガイド装置402の長手方向軸405に沿って器具400上に摺動可能に配置されて示されている。拡張可能なガイド装置402は、本体401の遠位端412から近位端422まで延びる本体401を含む。拡張可能な部材408は、拡張可能なガイド装置402の遠位端412から近位端422まで軸方向に延び、本体401に接着され得る。細長流体送達部材414は、拡張可能な部材408の近位端428から器具400の近位端416に向かって延びる。作動部材(図示せず)は、本体401の近位端422から器具400の近位端416に向かって延びることができる。拡張可能な部材408が、例えば、図3の拡張可能な部材308(部分的に拡張されている)などの拡張構成にあるとき、流体は、細長流体送達部材414を通って拡張可能な部材408に送達される。各拡張可能な部材408は、拡張可能な部材408を他の拡張可能な部材408から独立して選択的に拡張する、又は他の拡張可能な部材408の組み合わせとともに選択的に拡張することができるように、それ自体の専用送達部材414を有し得る。代替的に、例えばグループ化された拡張可能な部材408の一緒の拡張が許容可能である場合、2つ以上の拡張可能な部材408が、同じ送達部材414を用いて拡張され得る。図4B図4Eでは、図4Aの実施形態が、様々な拡張構成の拡張可能な部材408とともに断面図で示されている。図4Bでは、拡張可能な部材408は、体管腔404内で等しく拡張されている。器具400及び装置402は、体管腔404内で中心に置かれ、安定化されている。図4C図4Eでは、拡張可能な部材408は、代替構成で独立して拡張されており、器具400及び装置402が、体管腔404内の中心軸からオフセットされた異なる位置に半径方向に位置決めされることを可能にする。このようにして、ユーザは、拡張可能な部材408の支援なしに器具400をナビゲートすることと比較して、器具400に対するより大きな制御を有し、必要に応じて器具を位置決めすることができる。拡張可能な部材408は、全体的に実質的に球形の形状で示されているが、拡張可能な部材408は、例えば、円筒形、楕円形、それらの組み合わせなどの他の形状であり得る。いくつかの実施形態では、半径方向の位置決めが固定されている間に、器具400を回転又は軸方向に動かすことができるように、装置は、器具400に沿って摺動可能である。特定の実施形態では、装置は、器具400に沿って固定されている。
【0043】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、スタイレットもまた、例えば器具の近位端に保持された、拡張可能なガイド装置のハンドル部分から、拡張可能なガイド装置の作動部材又は送達部材を通って延び得る。スタイレットは、器具の表面に沿って装置を位置決め又は再位置決めするために、器具と連携して又は器具に対して装置を押す及び/又は引くために使用することができる。スタイレットは、器具のみが装置に対して相対的に移動されるとき、装置を定位置に保持し得る。スタイレットを有するガイド装置を器具に対して移動させるとき、又はガイド装置及び器具を連携して移動させるとき、拡張可能な部材を、体管腔内で部分的に拡張又は拡張解除することができる。器具に沿った装置の移動は、遠位方向又は近位方向であり得る。代替的に、拡張可能な部材を拡張させ得、スタイレットを使用して、装置を定位置に保持し、拡張した拡張可能な部材が体管腔を安定させて保持している間に、体管腔を通る器具の移動を容易にする。複数の拡張可能な部材のうちの2つ以上は、体管腔に接触するために拡張され得、ユーザが装置を位置決めしていて、拡張可能な部材を拡張解除したくないときに部分的に拡張され得、体管腔を通して装置を移動させるときに拡張解除され得る。
【0044】
図5を参照すると、本開示の実施形態による拡張可能なガイド装置502の側面図が示されている。装置502は、様々な実施形態を用いて本明細書で説明するのと同様に操作することができる。本体522を有する拡張可能なガイド装置502は、器具500の周りに摺動可能に配置されて示されている。本体522は、遠位端512を有する細長シースの一部であり得る。該細長シースは、器具500の遠位端501から器具500に沿って本体522の近位端511に向かって延びる。器具500は、本体522の器具ルーメン(図示せず)内で拡張可能なガイド装置502の長手方向軸505に沿って配置されている。器具ルーメン及び長手方向軸505は、互いに同一の広がりを有し得、又は互いに半径方向にオフセットし得る。本体522の内面(図示せず)は、器具500との摩擦接触を維持する。本体522、並びに本明細書に記載される、又は別様な他の拡張可能なガイド装置の本体の実施形態は、寸法が実質的に変化しない材料、例えば、シリコーン、ラテックス、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ナイロン、ナイロン6、ナイロン6,6、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエーテルブロックアミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はフッ素化エチレンプロピレン(FEP)テフロン(登録商標)などのチューブから形成することができる。器具ルーメンは、器具ルーメンを通って摺動可能に伸長可能な、器具500、例えば、内視鏡を受け入れるように構成されている。複数の拡張可能な部材508は、長手方向軸505に沿って延び、本体522の遠位端512の周囲に半径方向に配置されている。細長流体送達部材514は、複数の拡張可能な部材508の近位端528を通って装置502の本体522(例えば、シース)に沿って器具500の近位端に向かって延びる。別個の細長流体送達部材514は、制御された可変拡張により、拡張可能な部材508の拡張が独立していることを容易にする。代替的に、2つ以上の拡張可能な部材508は、それらの拡張が他の共有送達部材514と一致する場合、共通流体送達部材514を共有し得る。膨張流体は、拡張可能な部材508を非拡張構成と拡張構成(部分的拡張構成を含む)との間で遷移させるように、細長流体送達部材514を通して供給され得る。図5は、部分的に拡張されたときの複数の拡張可能な部材508を示す。本体522は、本体522内に又はそれに沿って複数の流体送達部材514を担持してもよく、交差又はもつれを防止するように、器具500の周囲で半径方向に送達部材514を編成するために使用され得る。更に、本体522を器具500に沿って軸方向に動かして、拡張可能なガイド装置502を器具500及び/又は体管腔に対して位置決め又は再位置決めし得る。いくつかの実施形態では、装置502は、器具500に沿って摺動可能であり、その結果、器具500は、拡張可能な部材508に対して回転可能及び/又は軸方向に動かすことが可能であり得、体管腔内の器具500の半径方向位置決めは、上述のように、器具500の周りの拡張可能な部材508の拡張、部分的拡張、又は拡張解除によって決定される。いくつかの実施形態では、装置502は、器具500に対して選択された位置で移動不能であり得る。
【0045】
図6Aを参照すると、本開示の実施形態による拡張可能なガイド装置602の側面図が示されている。装置602は、本明細書の様々な実施形態で説明したのと同様に操作することができる。本体622を有する拡張可能なガイド装置602は、器具600の周りに摺動可能に配置されて示されている。柔軟性の拡張可能な部材608及び非柔軟性の拡張可能な部材618は、拡張可能なガイド装置602の本体622の周囲に配置されている(例えば、それに接着されている)。図6Aは、拡張解除されているときの柔軟性の拡張可能な部材608と、拡張されているときの非柔軟性の拡張可能な部材618とを示す。細長流体送達部材614は、複数の拡張可能な部材608、618の近位端628まで延び、器具600の近位端611に向かって延びる。この構成では、非柔軟性の拡張可能な部材618は、所定の形状(例えば、球形、楕円形、豆形、腎臓形、指形、楕円体形など)に拡張可能である。この所定の形状は、ユーザが所望するように、図6Aに示すように実質的に垂直な屈曲であるように、器具600を向けるために使用され得る。器具600のこの移動は、例えば、図2Bに示すように、体管腔の湾曲して角度を付けられた部分を通ってナビゲートする際に、ユーザを支援することができる。拡張可能な部材608、618は、例えば、図4A図4Bに関して前述したように、ループが発生することを防止すること、又は発生している場合があるループを解消することを支援する。図6Bは、本体の長手方向軸に沿った状態から、図6Aの屈曲された器具600及び拡張可能なガイド装置602の断面図を示す。図6Aと同様に、非柔軟性の拡張可能な部材618は、拡張されており、柔軟性の拡張可能な部材608は、拡張されていない。他の実施形態では、拡張可能なガイド装置602は、器具600の方向を操作するように選択的に拡張可能であり得る、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くの非柔軟性の拡張可能な部材618及び/又は柔軟性の拡張可能な部材608を有し得る。いくつかの実施形態では、装置602は、器具600に沿って摺動可能であり得、その結果、器具600は、拡張可能な部材に対して回転又は軸方向に動くことができ、体管腔内の器具600の半径方向位置決めは、上述のように、器具600の周りの拡張可能な部材608、618の拡張、部分的拡張、又は拡張解除によって決定される。他の実施形態では、拡張可能なガイド装置602は、器具600に対して回転又は軸方向に動くことができるが、半径方向の位置決めは、固定されている。移動は、本体622に取り付けられ、近位端611まで器具の長さを延びるシース又は細長い部材(例えば、スタイレット)(図示せず)を操作することによって、達成することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の流体送達部材(例えば、614)はまた、器具600に対するガイド装置602の移動を容易にすることを目的とし得る。他の実施形態では、装置602は、器具600に沿って固定されている。
【0046】
図7A及び図7Bを参照すると、本開示の実施形態による拡張可能なガイド装置の断面図が示されている。装置は、上述したように操作することができる。本体702は、器具700の周りに摺動可能に配置されて示されている。図7Aは、非拡張構成にある本体702の周りに配置された拡張可能な部材708を示し、図7Bは、対称的な拡張構成にある拡張可能な部材708を示す。図7Bの拡張構成では、拡張可能な部材708は、体管腔704内で拡張されている。複数の拡張可能な部材708は、複数の拡張可能な部材708が重複しないように、本体702の外面710に接着され得る。図7Bの位置では、拡張された拡張可能な部材708は、体管腔704内で器具700を中心に置き、器具700を安定させる。この実施形態は、ユーザが器具700をシフトさせることなく器具700を使用することを可能にし、これは、体管腔704の移動によって悪化する可能性がある。別の実施形態では、拡張可能な部材708は、器具700を体管腔704の中心軸に対して偏心させることができるように、異なる拡張レベルに拡張され得る(例えば、図8A図8C参照)。拡張可能な部材708によって器具700を偏心させることにより、処置を行うための標的組織、器官、又は隣接する体管腔704に対する内視鏡の遠位端の所望の位置決め及び/又は進入角度を確立することを容易にすることができる。この実施形態では、本体702は、器具700の周りに固定されている。いくつかの実施形態では、半径方向の位置決めが固定されている間に、器具700を回転又は軸方向に動かすことができるように、装置は、器具700に沿って摺動可能である。器具700に対するガイド装置の本体の移動が所望される実施形態では、そのような移動は、例えば、図6A図6Bに関して上述したように、達成され得る。
【0047】
図8A及び図8Cを参照すると、本開示の実施形態による拡張可能なガイド装置802の断面図が示されている。装置802は、本明細書の様々な実施形態で説明したように操作することができる。拡張可能なガイド装置802は、器具800の周りに摺動可能に配置されて示されている。図8Aは、非拡張構成にある拡張可能なガイド装置802を示す。図8Bは、拡張可能な部材808a、808b、808cが体管腔804内で拡張された状態の拡張可能なガイド装置802を示す。図8Cは、拡張可能な部材808a、808bが拡張され、拡張可能な部材808cが部分的に拡張された状態の、部分的拡張構成にある拡張可能なガイド装置802を示す。図8Cの描写では、拡張可能な部材808a、808bは、拡張可能なガイド装置802及び器具800を選択された方向に位置決めする。この移動は、ユーザによって拡張可能なガイド装置802及び器具800を体管腔804に対して位置決めするために使用することができる。これにより、ユーザが、処置を行うために、標的組織に対して所望のように内視鏡の遠位端を位置決めすることを可能にすることができる。例えば、この実施形態及び他の実施形態では、作業チャネルの開口部は、器具800の作業チャネルを通って延びる追加のツールが、処置を行うための十分な又は最適な進入角度及び/又は作業空間を有することができるように、ユーザによって位置決め可能であり得る。器具800は、体管腔804内で、ユーザによる拡張可能な部材808a、808b、808cの制御された拡張によって、半径方向に位置決めされ、固定され得、器具800の配置に対するより優れた安定性及び制御を可能にする。いくつかの実施形態では、半径方向の位置決めが固定されている間に、器具800を回転又は軸方向に動かせることができるように、装置802は、器具800に沿って摺動可能である。実施形態では、装置802は、器具800に沿って固定されている。器具800に対するガイド装置802の本体の移動が所望される実施形態では、そのような移動は、例えば、図6A図6Bに関して上述したように、達成され得る。
【0048】
図9A図9Bを参照すると、本開示の実施形態による拡張可能なガイド装置902の斜視図が示されている。拡張可能なガイド装置902の本体は、器具ルーメン910が貫通した楕円体形リングとして弛緩構成(図9A)で示されている。拡張可能なガイド装置902は、矢印920によって示されるように、圧縮され得(例えば、弛緩していない)、図9Bの圧縮構成をもたらし、器具(図示せず)の周囲及びそれに沿って摺動可能に移動され得る。この実施形態は、拡張可能なガイド装置902を器具上に配置して、器具に沿った所望の位置に配置されて図9Aの静止位置をとることができるようになると、器具に固定されたままになる方法を示す。拡張部材(図示せず)は、先の実施形態において上述したように、装置902の本体の周りに配置して、形状、寸法、材料などに構成し、操作され得る。
【0049】
図10A図10Bを参照すると、本開示の実施形態による、器具1000及び複数の拡張可能なガイド装置1002a、1002bを含むシステムの斜視図が示されている。装置1002a、1002bは、本明細書の様々な実施形態で説明したのと同様に操作することができる。これらの図では、第1の拡張可能なガイド装置1002a及び第2の拡張可能なガイド装置1002bは、器具1000上に摺動可能に配置されて示されている。第1の装置1002aは、器具1000の遠位端1003に向かって位置決めされ、第2の装置1002bは、器具1000の近位端1013に向かって位置決めされている。図10Aでは、装置1002a及び1002bは各々、体管腔1001内で、拡張構成にある2つのそれぞれの拡張可能な部材1008b、1008c、1008e、1008fと、部分的拡張構成にある1つの拡張可能な部材1008a、1008dそれぞれとを有する。この構成では、器具1000は、図10Bに見られるように、体管腔1001内で半径方向に位置決めすることができる。図10Bは、体管腔1001の湾曲部分を通って移動する器具1000を示す。器具1000を補助するために、拡張可能な部材は、第1の装置1002aが、体管腔1001に対して拡張された2つの拡張可能な部材1008b、1008cを有し、1つの拡張可能な部材1008aが、装置1002aの他の拡張可能な部材1008b、1008cと比較してはるかに少なく拡張され、第2の装置1002bが、体管腔1001に対して拡張された1つの拡張可能な部材1008dを有し、2つの拡張可能な部材1008e、1008fが、装置1002bの他の拡張可能な部材1008dと比較して少なく拡張されるように、膨張又は拡張される。この構成では、拡張可能なガイド装置1002a、1002bは、器具1000を傾斜位置に移動させるように制御され得、体管腔1001を通る移動を容易にする。この実施形態及び他の実施形態では、拡張可能な部材1008a、1008b、1008c、1008d、1008e、1008fはまた、拡張可能な部材1008a、1008b、1008c、1008d、1008e、1008fが内視鏡を懸架するように、内視鏡の周囲に実質的な障壁を円周方向に提供することによって、体管腔1001内で内視鏡を安定させることを補助することができる。例えば、複数の拡張可能な部材1008a、1008b、1008c、1008d、1008e、1008fを体管腔1001の壁と内視鏡との間で位置決め可能にすることにより、蠕動運動又は他の身体運動を拡張可能な部材1008a、1008b、1008c、1008d、1008e、1008fによって緩衝することができ、それによって、内視鏡(撮像構成要素及び照明構成要素を含む)が処置を行うための所望の位置に留まることを可能にする。図10A図10Bの実施形態では、拡張可能なガイド装置はまた、複数の拡張可能な部材のうちの1つ以上と流体連通する細長流体送達部材を備え得る。細長流体送達部材は、第1の装置1002aの複数の拡張可能な部材1008a、1008b、1008cに流体を提供するために、器具1000の表面に沿って延びる第2の装置1002bの外部作業チャネル1030を通って延び得る。いくつかの実施形態では、2つの装置1002a、1002bは、作業チャネルによって接続され得、作業チャネルはまた、細長流体送達部材を保持し得る。いくつかの実施形態では、半径方向の位置決めが固定されている間に、器具を回転又は軸方向に動かすことができるように、各装置は、器具に沿って摺動可能である。特定の実施形態では、各装置は、器具に沿って固定されている。いくつかの実施形態では、1つの装置は、装置の遠位端及び近位端に拡張可能な部材を有する本体を有してもよく、遠位端及び近位端は、外部作業チャネルによって接続されている。ガイド装置の本体の互いに及び/又は器具に対する移動が所望される実施形態では、そのような移動は、例えば、図6A図6Bの装置に関して上述したように、達成され得る。
【0050】
図11を参照すると、本開示の実施形態による、器具1100及び拡張可能なガイド装置1102を含むシステムの斜視図が示されている。装置1102は、上述したように操作することができる。この実施形態では、拡張可能なガイド装置1102は、器具1100上に摺動可能に配置されて示されている。拡張可能なガイド装置1102は、器具1100の遠位端1101の近くにある。複数の拡張可能な部材1108は、体管腔1104内で拡張されている。この構成は、体管腔1104内で器具1100を安定させるのに役立つ。拡張可能なガイド装置1102は、装置1102のチャネルガイド1110を通って器具1100の近位端1103に向かって延びる、器具1100の外部にある作業チャネル1130を更に備える。作業チャネル1130は、組織を操作するための把持装置、複数の拡張可能な部材1108に流体を送達するための細長流体送達部材、拡張可能なガイド装置1102の移動を指示するためのスタイレットなどのツール1120を保持するために使用され得る。ツール1120は、標的領域に対する所望の位置及び進入角度を達成するために、回転可能かつ軸方向に動かすことが可能であり得る。ツールはまた、器具のチャネル(図示せず)を通過することができる第2のツール(図示せず)に対して回転可能かつ軸方向に動かすことが可能であり得る。ツール1120は、その先端で操縦可能であり得る。作業チャネル1130は、器具1100の近位端にある装置のハンドル(図1に見られる)まで延び得る。拡張可能な部材1108は、標的領域に対する装置1102及び器具1100の角度を変化させるように、選択的に拡張又は拡張解除され得る。この実施形態では、ユーザは、拡張可能なガイド装置1102を使用して、器具1100を安定させ、病変1140を見つけると、拡張可能なガイド装置1102を使用して器具を位置決めし、それにより、ツール1120は、分析のために病変1140の試料を把持することができる。図示のように、一実施例では、把持ツールは、器具の外側に沿って延びる拡張可能なガイド装置の外部作業チャネルを通して送達され得、RF導電性ニードルナイフが、器具の内部作業チャネルに沿って延ばされて、病変から組織を切除するように操作され得る。ガイド装置の作業チャネル1130を介して、及び/又は器具1100の作業チャネルを通して送達可能な他のツールが想定される。例えば、テザーの一端又は両端に締結具、例えば、クリップを有する弾性テザーなどの、組織牽引装置をシステムの一部として組み込んでもよい。テザーは、テザーの一端で病変1140又は周囲組織に締結され、テザーの他端で体管腔の壁に締結され得る。弾性テザーは、組織が切開/切除されている間に、組織に張力を印加するように伸張され得る。いくつかの実施形態では、半径方向の位置決めが固定されている間に、器具を回転又は軸方向に動かすことができるように、装置は、器具に沿って摺動可能である。様々な実施形態では、装置1110は、器具1100に沿って固定され得る。
【0051】
本実施形態及び説明される他の実施形態と組み合わせて、器具と、拡張可能な部材を有する1つ以上の拡張可能なガイド装置とを有するシステムは、治療部位への複数の同時ツールアクセスを用いて行われる診断又は治療処置のために定位置にあると、器具のための安定プラットフォームの能力を提供する。
【0052】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、スタイレットもまた、例えば器具の近位端に保持された、ガイド装置のハンドル部分から、装置の作動部材又は送達部材を通って延び得る。スタイレットは、器具の表面に沿って装置を拡張又は拡張解除するために、器具に対して装置又は装置の一部分を押す及び/又は引くために使用することができる。スタイレットは、選択された構成で装置を保持し得る。スタイレットを有する装置を器具に対して移動させるとき、又はガイド装置及び器具を連携して移動させるとき、拡張可能な部材は、拡張されなく得る。器具に沿った装置の移動は、遠位方向又は近位方向であり得る。代替的に、拡張可能な部材が拡張されているとき、スタイレットを使用して、装置を定位置に保持し、拡張した拡張可能な部材が体管腔を安定させて保持している間に、体管腔を通る器具の移動を容易にすることができる。拡張可能な部材は、体管腔に接触するために拡張され得、ユーザが装置を位置決めしていて、拡張可能な部材を拡張解除したくないときに部分的に拡張され得、体管腔を通して装置を移動させるときに拡張解除され得る。
【0053】
図12A図12Bを参照すると、本開示の実施形態による拡張可能なガイド装置の側面図が示されている。図12Aでは、複数の拡張可能な部材1208によって接続された3つの本体1202、1212、1222を有する拡張可能なガイド装置1200が示されており、本体は、軸方向に整列している。複数の拡張可能な部材1208は、円形、正方形、長方形、又は平坦なワイヤ、金属又はポリマーのストリップなどであり得る。拡張可能なガイド装置1200はまた、作動部材1218、1228を有する。第1の作動部材1218は、第3の本体1222に結合され、第2の本体1212及び第1の本体1202内に摺動可能に配置されている。第2の作動部材1228は、第2の本体1212に固定され、第1の本体1202内に摺動可能に配置されている。器具は、器具ルーメン1230内に摺動可能に配置され得、それにより、器具ルーメンは、器具ルーメンを通して器具の第1、第2、及び第3の長さを摺動可能に受け入れるように構成されている。図12Bに示すように、第1の作動部材1218が近位方向に引かれると、第3の本体1222は、近位端1204に向かって移動し、第3の本体1222と第2の本体1212との間の長手方向軸1205に沿った距離が減少する。第3の本体1222と第2の本体1212との間の複数の拡張可能な部材1208は、長手方向軸1205から離れて半径方向に拡張する。第2の作動部材1228が遠位端1214から離れて近位方向に引かれると、第2の本体1212は、近位端1204に向かって移動し、第2の本体1212と第1の本体1202との間の長手方向軸1205に沿った距離を減少させる。第2の本体1212と第1の本体1202との間の複数の拡張可能な部材1208は、長手方向軸1205から離れて半径方向に拡張する。第1の本体1202は、拡張可能な部材を第1の本体と第2の本体との間、若しくは第2の本体と第3の本体との間、又はその両方で拡張させるために、作動部材がそれに対して引くことができる止め具として、器具上の定位置に固定されている。代替的に、別の実施形態では、第3の本体1222は、器具上に固定され、第1の作動部材1218は、第2の本体1212に接着され、第1の本体内に摺動可能に配置され、第2の作動部材1228は、第1の本体1202に接着されている。この実施形態では、第1の作動部材1218が押されると、第2の本体1212が第3の本体1222に向かって遠位方向に移動し、第2の作動部材1228が押されると、第1の本体1202が第2の本体1212に向かって遠位方向に移動する。別の実施形態では、複数の拡張可能な部材1208の形状記憶静止状態は、拡張構成であり得る。この実施形態では、シース又はオーバースリーブは、体内の所望の位置に到達するまで、拡張可能なガイド装置1200の上に配置され、次いでシースを後退させて、複数の拡張可能な部材1208を露出させ、拡張可能な部材が静止状態に自己拡張することを可能にすることができる。代替的に、この実施形態では、作動部材1218、1228は、第1の本体1202及び第2の本体1212を教示されたように保持していてもよく、定位置にくると、作動部材1218、1228は、緩められ、複数の拡張可能な部材1208が自己拡張することを可能にする。これらの実施形態では、複数の拡張可能な部材1208は、体管腔内で拡張して、器具を体管腔内で選択された位置に安定させ、位置決めする(例えば、中心に置く)ことができる。第1の本体、第2の本体、若しくは第3の本体、又はそれらの組み合わせは、第1の本体と第2の本体との間の拡張可能な部材、又は第2の本体と第3の本体との間の拡張可能な部材、又はその両方を選択的に拡張させるために、第1の本体、第2の本体、及び第3の本体の長手方向軸のうちの1つ以上に沿って押される、又は引かれるように構成されている。
【0054】
図13A図13Bを参照すると、本開示の実施形態による拡張可能なガイド装置の斜視図が示されている。図13Aの実施形態では、第1の遠位端1304と第1の近位端1314とを有する第1の本体1302が示されており、複数の拡張可能な部材1308が第1の遠位端1304と第1の近位端1314との間に延びている。第2の本体1312は、第2の遠位端1306と第2の近位端1316とを有し、複数の拡張可能な部材1310が第2の遠位端1306と第2の近位端1316との間に延びている。第1の遠位端1304及び第2の遠位端1306と、第1の近位端1314及び第2の近位端1316とは、第2の遠位端1306及び第2の近位端1316を固定位置に保持し、かつ第1の近位端1314を第1の遠位端1304に向かって移動させるように連結されており、第1の近位端1314は、第2の近位端1316と連結された部分に沿って摺動する。この移動において、複数の拡張可能な部材1308は、図13Bに見られるように、半径方向に拡張する。この移動は、第1の近位端1314に結合された第1のロッド1318を用いて行うことができる。第2のロッド1328は、第2の近位端1316に結合されている。遠位端1304、1306は、固定することができる。第1のロッド1318又は第2のロッド1328のいずれかを使用して、それぞれの近位端をそれぞれの遠位端1304、1306に向かって移動させ、拡張可能な部材1308、1310を拡張させることができる。一方のロッド1318、1328を使用するとき、他方は、固定されたままであり得る。両方の遠位端が固定されている場合、両方のロッド1318、1328を使用して、本体1302、1312の近位端1314、1316の固定点に対して近位方向に引くことによって、両方の本体1302、1312を同時に拡張することができる。器具は、器具ルーメン1320内に摺動可能に配置することができる。拡張可能な部材1308、1310の拡張により、拡張可能な部材1308、1310が体管腔内に拡張すると、器具を体管腔内で半径方向に位置決めする。
【0055】
図14A図14Bを参照すると、本開示の実施形態による拡張可能なガイド装置の側面図が示されている。図14Aの実施形態では、遠位端1414から遠位端1414の近位にあるカラー1418まで延びる本体1401が示されている。カラー1418は、装置及び器具(図示せず)の近位端1404まで近位方向に延びる。カラー1418と遠位端1414との間で、コイル状本体1410が、本体1401に絡みついている。本体1401は、拡張されるときにコイル状本体1410とともに伸張可能である、ラテックス又はシリコーンなどの柔軟性材料を含み得る。コイル状本体1410は、ニチノールなどの形状記憶材料であり得る。図14Aでは、コイル状本体1410は、きつく巻かれている。図14Bでは、コイル状本体1410は、弛緩している。本体1401の遠位端1414は、装置のコイル状本体1410及び本体1401を拡張するようにコイル状本体1410を回転させることができる停止部を提供するために、器具に固定されている(例えば、干渉摩擦嵌合、クランプなどによって)。一実施形態では、コイル状本体1410は、長手方向軸1405を中心としたカラー1418の回転によって、きつく巻かれた状態から弛緩した状態に移動する。別の実施形態では、コイル状本体1410は、シースの除去によって、きつく巻かれた状態から弛緩した状態(例えば、拡張した状態)に移動する。器具は、器具ルーメン1409内に摺動可能に配置することができる。コイル状本体1410が弛緩すると、これにより、本体1401を拡張する。更なる実施形態では、コイル状本体1410は、カラー1418の回転によって弛緩状態から拡張状態に移動し、その結果、ユーザがカラー1418を係合解除すると、コイル状本体1410は、巻かれていない弛緩状態に戻りたがる。本体1401の拡張は、体管腔内で器具を安定させるために使用され得る。
【0056】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、拡張可能な部材は、温度、圧力などを測定するためのセンサを有する。センサは、拡張可能な部材が体管腔壁内に拡張したときに関してユーザに警告し得る。センサは更に、圧力又は温度の読取値に基づいて、拡張可能な部材の拡張を停止するときをユーザに通知し得る。センサは、閾値に達すると、自動応答をトリガして、拡張を停止することができる。
【0057】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、拡張可能な部材は、拡張構成(部分的拡張構成を含む)及び折り畳まれた構成を有し得る。拡張可能な部材は、種々の柔軟性、半柔軟性、又は非柔軟性材料を含み得る。これらの材料としては、シリコーン、ラテックス、ポリウレタン、ゴム、イソブチレンなどを挙げることができる。拡張可能な部材の厚さは、材料によって変化してもよく、折り畳まれた構成及び拡張構成における拡張可能な部材の外径に関連し得る。拡張可能な部材は、患者内での使用の前に、その弾性を増加させるように、1回又は複数回、拡張され、折り畳まれ、又は別の方法で伸張され得、それにより、拡張可能な部材の対称膨張を改善することができ、拡張可能な部材のセンタリング機構を改善することができる。拡張可能な部材は、流体送達部材及び拡張可能な部材の一部である1つ以上の流体入口を通した膨張流体の供給を介して拡張され得る。同じ流体送達部材及び入口が、拡張可能な部材を拡張及び収縮させるために使用され得る。代替的に、供給流体入口及び戻り流体入口は、拡張可能な部材を通して膨張流体を流通させるために、断続的又は連続的に使用され得る。供給流体入口及び戻り流体入口を通る膨張流体の連続流は、拡張可能な部材内の膨張流体の所望の圧力を実質的に維持することができ、又は膨張流体は、拡張可能な部材内の所望の温度を維持するために、加熱して流通され得る。
【0058】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、器具の遠位端は、拡張可能なガイド装置の遠位端を越えて延びてもよく、又は延びなく得る。
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、拡張可能な部材は、他の拡張可能な部材よりも大きい又は小さい程度に拡張し得る。
【0059】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、拡張可能なガイド装置は、使い捨てであり得る。代替の実施形態では、拡張可能なガイド装置は、再使用可能であり得る。
【0060】
本明細書に記載される、及び別様に本開示の範囲内の様々な実施形態では、内視鏡検査を行う方法は、拡張可能なガイド装置の器具ルーメンに内視鏡を挿入することを含み得る。器具及び拡張可能なガイド装置は、一緒に患者に挿入され得る。内視鏡及び拡張可能なガイド装置は、体管腔を通って患者内の治療部位まで前進させられ得る。拡張可能なガイド装置は、拡張可能なガイド装置の周囲に円周方向に配置された複数の拡張可能な部材を含み得、複数の拡張可能な部材の各部材は、非拡張構成と部分的拡張構成と拡張構成との間で独立して半径方向に拡張可能であり得る。この方法は、拡張可能なガイド装置の器具ルーメンを通して挿入された内視鏡が体管腔の中心軸に対して半径方向、角度方向、又はその両方に位置決め可能であるように、患者内の治療部位において複数の拡張可能な部材のうちの1つ以上の部材を拡張することを含み得る。拡張可能な部材は、患者内で拡張され、患者の体管腔、例えば、十二指腸、腸などと接触するように広がる又は拡張することができる。拡張可能な部材を拡張することにより、身体の他の領域を検査するために器具を使用している間に、器具を静止して保持することを容易にすることができる。これは、拡張可能な部材の外径が体管腔に密接して広げられ又は押し上げられ、拡張可能なガイド装置の移動を阻止することによって、並びに体管腔内の特定の半径方向位置及び/又は標的組織に対する特定の進入角度に器具を位置決めするための拡張可能な部材の選択的拡張により、行うことができる。
【0061】
様々な実施形態では、複数の拡張可能なガイド装置を、単一の器具とともに使用することができる。図2Bは、この実施形態を例示しており、連携して使用される合計4つの装置を示す。器具上への拡張可能なガイド装置の配置は、使用におけるバリエーションを提供することができるので、器具上に1つより多くを有することが有益であり得る。図2Bは、結腸の様々な領域を示し、そのいくつかは、かなりの角度で屈曲している。図6A図6Bの拡張可能な部材は、患者を傷つけることなく、結腸のこれらの角度を付けられた領域を通って移動するように器具を屈曲するのを支援することができる。いくつかの実施形態では、複数の装置の使用により、各装置が独立して操作されることを可能にし、それらが各他の装置に対して軸方向に伸長されることを可能にする。このようにして、全て柔軟性の拡張可能な部材を備える装置は、主に、安定化のために器具の遠位端上で使用され得るが、体管腔を通した伸長により、器具がループ状になる場合、少なくとも1つの非柔軟性の拡張可能な部材を備える装置が、ループを解消するために使用され得る。
【0062】
当業者であれば、本明細書に記載の様々な実施形態に加えて、本開示の変形形態、修正形態、及び他の実装形態を思いつくであろう。従って、本開示は、前述の例示的な説明によってではなく、代わりに以下の特許請求の範囲によって定義されるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
【国際調査報告】