(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(54)【発明の名称】物質交換のための装置およびその製造
(51)【国際特許分類】
B01D 63/02 20060101AFI20231011BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20231011BHJP
A61M 1/18 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
B01D63/02
B01D63/00 500
A61M1/18 513
A61M1/18 517
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518992
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2021073007
(87)【国際公開番号】W WO2022063494
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】102020125108.4
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519461679
【氏名又は名称】エンモデス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ボルヒャルト・ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】リッター・イルゼ・フィリーネ
(72)【発明者】
【氏名】カーデン・イェンス
【テーマコード(参考)】
4C077
4D006
【Fターム(参考)】
4C077AA03
4C077BB06
4C077CC03
4C077CC04
4C077PP07
4D006GA35
4D006HA02
4D006HA12
4D006JA13C
4D006JA15A
4D006JA23A
4D006JA25A
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4D006JB03
4D006JB05
4D006JB06
4D006MA01
4D006MB04
4D006PA01
4D006PB09
4D006PB20
4D006PB62
4D006PB64
4D006PC48
(57)【要約】
本発明は、第1の媒体、特に血液と第2の媒体、特にガス/ガス混合物との間の物質交換のための装置であって、ハウジング要素(1)を含み、ハウジング要素(1)において、ハウジング要素(1)の軸方向端部の間に軸方向に延びた物質透過性の中空糸を有する中空糸束(2)が配置され、前記中空糸は、それらの各々の軸方向端部領域で少なくとも互いにポッティング材料(4)でポッティングされており、そして、前記中空糸は、第1の媒体がその周りを流れることができ、第2の媒体がそれを通って流れることができ、ここで、ハウジング要素(1)は、少なくとも一方の軸方向端部において、好ましくは両方の軸方向端部において、カバー要素(6)、特に軸方向に開いた中空糸端部と流体結合される媒体接続部(6.1)を有するカバー要素(6)で閉じられている装置において、ハウジング要素(1)の少なくとも一方の軸方向端部において、好ましくは両方において、中空糸の間に配置されるポッティング材料(4)から、中空糸束(2)を囲む外側シーリングリング(5a)が形成され、当該リングは、半径方向において、少なくとも部分的に、ハウジング要素(1)の軸方向端面とカバー要素(6)の軸方向端面の間に延び、これらの間で圧迫されている、装置に関する。本発明はまた、上記の装置を製造するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の媒体、特に血液と第2の媒体、特にガス/ガス混合物との間の物質交換のための装置であって、ハウジング要素(1)を含み、ハウジング要素(1)において、ハウジング要素(1)の軸方向端部の間に軸方向に延びた物質透過性の中空糸を有する中空糸束(2)が配置されており、前記中空糸は、それらの各々の軸方向端部領域で少なくとも互いにポッティング材料(4)でポッティングされており、そして、前記中空糸は、第1の媒体がその周りを流れることができ、第2の媒体がそれを通って流れることができ、ここで、ハウジング要素(1)は、少なくとも一方の軸方向端部において、好ましくは両方の軸方向端部において、カバー要素(6)、特に軸方向に開いた中空糸端部と流体結合される媒体接続部(6.1)を有するカバー要素(6)で閉じられている装置において、
ハウジング要素(1)の少なくとも一方の軸方向端部において、好ましくは両方において、中空糸の間に配置されるポッティング材料(4)から、中空糸束(2)を囲む外側シーリングリング(5a)が形成されており、当該リングは、少なくとも部分的に、ハウジング要素(1)の軸方向端面とカバー要素(6)の軸方向端面の間に半径方向において延び、これらの間で圧迫されており、および中空糸(2)を担持する巻芯(2a)の軸方向端部の少なくとも一方において、好ましくは両方において、中空糸の間に配置されるポッティング材料(4)から、中空糸束(2)の内周に配置される内側シーリングリング(5b)が形成されており、当該リングは、少なくとも部分的に、巻芯(2a)の軸方向端面とカバー要素(6)におけるプラグ(6c)の軸方向端面との間に半径方向において延び、これらの間で圧迫されていることを特徴とする、前記の装置。
【請求項2】
外側および/または内側シーリングリング(5a,5b)が、中空糸間のポッティング材料(4)と一体化している/材料接続式に結合されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ポッティング材料(4)が、エラストマー、とりわけショアA100未満、好ましくはショアA60未満、さらに好ましくはショアA30未満の硬度を有するエラストマーにより形成されており、特にポッティング材料(4)が、シリコーン/シリコーンゴムから形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
ハウジング要素(1)のおよび/またはカバー要素(6)の軸方向端面が、半径方向内側に、軸方向および半径方向に内側に開いた凹部(1.1,6.1)を有し、当該凹部に外側シールリング(5a)が圧迫されて納まっており、ならびに/あるいは巻芯(2a)のおよび/またはカバー要素(6)のプラグ(6c)の軸方向端面が、半径方向外側に、軸方向および半径方向に外側に開いた凹部(1.1,6.1)を有し、当該凹部に内側シールリング(5b)が圧迫されて納まっていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
ハウジング要素(1)またはカバー要素(6)の端面のうちの1つに、半径方向内側に、軸方向の、好ましくは環状の突出部(6.2,1.2)が配置されており、当該突出部は、少なくとも部分的に、対向する要素(1,6)の端面で軸方向に開いた凹部(1.1,6.1)内に納まっているか、あるいは、巻芯(2a)のまたはカバー要素(6)のプラグ(6c)の端面のうちの1つに、半径方向外側に、軸方向の、好ましくは環状の突出部(6c.2,2a.2)が配置されており、当該突出部は、少なくとも部分的に、対向する要素(6c,2a)の端面で軸方向に開いた凹部(2a.1,6c.1)内に納まっていることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
外側シールリング(5a)が、外側に半径方向に向かって、突出部(1.2)を超え、かつそれを超えてフランジ状に延び、そして対向する要素(6)の凹部(6.1)の段付けされた領域(6.1.a)によって、突出部(1.2)から半径方向外側に、特にまた突出部(1.2)の後ろに軸方向に後退するように配置される領域中へ軸方向に屈曲されており、ならびに/または内側シールリング(5b)が、内側に半径方向に向かって、突出部(2a.2)を超え、かつそれを超えてフランジ状に延び、そして対向する要素(6c)の凹部(6c.1)の段付けされた領域によって、突出部(2a.2)から半径方向内側に、特にまた突出部(2a.2)の後ろに軸方向に後退するように配置される領域中へ軸方向に屈曲されていることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
第1の媒体、特に血液と第2の媒体、特にガス/ガス混合物との間の物質交換のための装置の製造のための、好ましくは請求項1~6のいずれか1つに記載の装置の製造のための方法であって、
前記装置のハウジング要素(1)に、ハウジング要素(1)の軸方向端部の間に延びる物質透過性の中空糸を有する中空糸束(2)、好ましくは巻芯(2a)を囲む中空糸束(2)が配置され、前記中空糸は、ハウジング要素(1)が、その少なくとも一方の軸方向端部で、好ましくは両方の端部で、ポッティングカバー(3)で閉じられた後、ポッティングカバー(3)によって覆われたそれらの軸方向端部領域で、少なくとも互いに、特に遠心分離機において、ポッティング材料(4)でポッティングされ、ポッティング後、ポッティングカバー(3)は除去され、ポッティングされた中空糸を、それらの軸方向端部で開口させ、ハウジング要素(1)がカバー要素(6)で密に閉じられる方法において、
ポッティング材料(4)から、中空糸の互いのポッティングと同時に、ハウジング要素(1)の端面とポッティングカバー(3)の端面との間に形成された環状間隙(1.1,3.1)、特に外側環状間隙(1.1,3.1)に、ポッティング材料(4)を流入させることにより、中空糸束(2)を半径方向外側で囲むシーリングリング(5a)が作成され、
ならびに、ポッティング材料(4)から、中空糸の互いのポッティングと同時に、中空糸束(2)の内周に、中空糸束(2)を担持する巻芯(2a)の端面とポッティングカバー(3)の巻芯(2a)を覆う被覆要素(3b)の端面との間に形成された環状間隙(2a.1,3b.1)、特に内側環状間隙(2a.1,3b.1)へのポッティング材料(4)の流入により、内側シーリングリング(5b)が作成されることを特徴とする前記方法。
【請求項8】
環状間隙(1.1,3.1)、特に外側環状間隙(1.1,3.1)が、ハウジング要素(1)のおよび/またはポッティングカバー(3)の端面における軸方向および半径方向内側に向かって開いた凹部(1.1,3.1)によって画定され、ならびに/あるいは、環状間隙(2a.1,3b.1)、特に内側環状間隙(2a.1,3b.1)が、巻芯(2a)のおよび/またはポッティングカバー(3)における被覆要素(3b)の端面における軸方向および半径方向外側に向かって開いた凹部(2a.1,3b.1)によって画定されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
中空糸端部の開口、特にポッティングされた中空糸端部の切り取りによる、または製造業者によって閉じられた中空糸端部の切り離しによる中空糸端部の開口によって、外側シーリングリング(5a)および/または内側シーリングリングも、接着された中空糸束(2)から分離され、特に外側シーリングリング(5a)は、少なくとも軸方向に開いた凹部において、ハウジング要素(1)の端面に残り、そして、カバー要素(6)の装着により、カバー要素(6)およびハウジング要素(1)の端面の間で圧迫され、および/または内側シーリングリング(5b)は、少なくとも軸方向に開いた凹部において、巻芯(2a)の端面に残り、そして、プラグ(6c)の装着により、プラグ(6c)および巻芯(2a)の端面の間で圧迫されることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
中空糸端部の開口後、特にポッティングされた中空糸端部の切り取りによる、または製造業者によって閉じられた中空糸端部の切り離しによる、中空糸端部の開口後、外側シーリングリング(5a)および/または内側シーリングリング(5b)は、材料接続式に/一体化して、中空糸束(2)に固定されたままであり、特に、外側シーリングリング(5a)は、カバー要素(6)の装着により、カバー要素(6)およびハウジング要素(1)の端面の間で圧迫され、および/または内側シーリングリング(5b)は、プラグ(6c)の装着により、プラグ(6c)および巻芯(2a)の端面の間で圧迫されることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項11】
ポッティングカバー(3)とハウジング要素(1)との間で画定される環状間隙(1.1,3.1)の形成により、外側シーリングリング(5a)が形成され、外側シーリングリング(5a)は、ポッティングカバー(3)の除去後に、
a.ハウジング要素(1)の端面に半径方向内側に配置された凹部(1.1)に納まり、好ましくはここで、軸方向で、凹部(1.1)を囲むハウジング要素(1)の端面領域を超えて突き出、そしてカバー要素(6)の装着により、特に半径方向内側にカバー要素(6)の端面に配置された軸方向突出部(6.2)により、凹部(1.1)中へ圧迫され、あるいは、
b.凹部なしで半径方向に延びて形成される、ハウジング要素(1)の端面の平坦な表面領域上に、所定の高さで位置し、そしてカバー要素(6)の装着により、カバー要素(6)の端面における前記の所定の高さより浅い深さを有する軸方向および半径方向で内側に開いた凹部(6.1)において圧迫され、あるいは、
c.ハウジング要素(1)の端面の半径方向内側に位置する軸方向突出部(1.2)を覆い、半径方向外側に向かって突き出、カバー要素(6)が装着されると、カバー要素(6)の端面における突出部(1.2)を取り囲む凹部(6.1)によって圧迫され、軸方向に屈曲される
ことを特徴とする、請求項7~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
ポッティングカバー(3)における被覆要素(3b)と巻芯(2a)との間で画定される環状間隙(2a.1,3b.1)の形成により、内側シーリングリング(5b)が形成され、内側シーリングリング(5b)は、被覆要素(3b)およびポッティングカバー(3)の除去後に、
a.巻芯(2a)の端面に半径方向外側に配置された凹部(2a.1)に納まり、好ましくはここで、軸方向に、凹部(2a.1)から半径方向内側に存在する巻芯(2a)の端面領域を超えて突き出、そしてプラグ(6c)の装着により、特に半径方向外側にプラグ(6c)の端面に配置された軸方向突出部(6c.2)により、凹部(2a.1)中へ圧迫され、あるいは、
b.凹部なしで半径方向に延びて形成される、巻芯(2a)の端面の平坦な表面領域上に、所定の高さで位置し、そしてプラグ(6c)の装着により、プラグ(6)の端面における前記の所定の高さより浅い深さを有する軸方向および半径方向で外側に開いた凹部(6c.1)において圧迫され、あるいは、
c.巻芯(2a)の端面の半径方向外側に位置する軸方向突出部(2a.2)を覆い、半径方向内側に向かって突き出、プラグ(6c)が装着されると、プラグ(6c)の端面における前記突出部を取り囲む凹部(6c.1)によって圧迫され、軸方向に屈曲される
ことを特徴とする、請求項7~11のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の媒体と第2の媒体との間の物質交換のための装置であって、ハウジング要素を含み、当該ハウジング要素中に、ハウジング要素の軸方向端部の間に軸方向に延びた物質透過性の中空糸を有する中空糸束が配置され、前記中空糸は、それらの各々の軸方向端部領域で少なくとも互いにポッティング材料でポッティングされており、そして、前記中空糸は、第1の媒体がその周りを流れることができ、第2の媒体がそこを通って流れることができ、ここで、前記ハウジング要素は、特に巻芯も、少なくとも1つの軸方向端部において、好ましくは両方の軸方向端部において、カバー要素で閉じられている、前記装置に関する。
【0002】
ポッティング材料を用いたポッティングは、互いに中空糸の間だけで行われるだけでなく、好ましくはハウジング要素内壁と中空糸との間でも、特に、中空糸によって囲まれた巻芯と中空糸との間でも、そのような巻芯が存在する場合には行われ得る。このような巻芯は、一方では、そこに巻きつけられる中空糸のためのキャリア要素として利用するために設けることができ(特に、中空糸が少なくとも1つのマットの形態で巻芯の周りに巻きつけられる場合)、他方ではそれらは、例えば、流体の1つが、特にこれを外部から中空糸の周りの領域中に導くためまたはその逆のために、巻芯における少なくとも1つのチャネルを通って導かれる場合に、流体ラインも画定し得る。
【0003】
前記カバー要素は、軸方向に開いた中空糸端部と流体結合された媒体接続部を有することができる。従って、カバー要素を介して、第2の媒体を中空糸に供給すること、または、第2の媒体をそれらから除去することも可能である。そのようなカバー要素は、好ましくは、ハウジング要素の両方の軸方向端部に配置され、繊維束の端領域におよび/またはハウジング要素に密に結合される。
【0004】
使用されるポッティング材料に応じて、例えばポッティング材料がハウジング内壁と密接に結合されていない場合(例えば、シリコーンの場合にそうであり得るように)、端での漏れが生じ得る。さらに、端部領域でポッティングされた中空糸束/中空糸巻き体とハウジングおよび/またはカバー要素との間のシーリングは、これまで通常は、ハウジング要素またはカバー要素の端面(Stirnflaeche)におけるリング受容溝にはめ込まれるシーリングリングによって行うことができる。
【0005】
従って、ポッティングおよびシーリングは、物質交換のための従来の装置では、典型的には順々に行われ、製造を労力がかかるものにする2つの別個の手段を表す。さらに、環状溝はそれ自身が、シールリングを埋める漏れを有し得、そして、流体が停滞し得るデッドスペース領域も形成し得る。
【0006】
ハウジング要素は、好ましくは、軸方向に延びる管状要素(特に円状の自由内部断面を有する)であるが、基本的には、任意の内部断面形状を有することができる。好ましくは、軸方向端部は、開いており、環状の端面によって囲まれている。ハウジング要素は、それ自身がまた、第1の媒体をハウジング要素内に導入するために、および/またはハウジング要素から排出するために、接続部を有することもできる。このような接続部は、例えばハウジング要素の軸方向端部領域に設けることができる。
【背景技術】
【0007】
この種の装置は、従来技術において一般的に、例えば、(特に、血液を酸素で富化し、二酸化炭素を枯渇させるために)第1の媒体としての血液と、第2の媒体としてのガスまたはガス混合物との間で物質の交換が行われるいわゆる酸素供給器として公知である。この場合に使用される中空糸は、半透過性であり、すなわち血液成分に関しては透過性ではないが、ガスに関して、特に酸素および二酸化炭素に関しては物質透過性である。
【0008】
このような装置は、他の応用分野でも、例えば透析を行うための装置として、知られている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、具体的な用途にかかわらずに、上述のタイプの装置に関するが、好ましくは酸素供給器に関する。
【0010】
本発明はまた、そのような装置の製造方法にも関する。製造は、基本的には、従来技術においても知られている。
【0011】
製造は、形成される装置のハウジング要素に、ハウジング要素の軸方向端部間に延びる、特に少なくとも実質的に軸方向に延びる、物質透過性中空糸を有する中空糸束を配置することによって行われる。好ましくは、そのような束は、中空糸束の軸方向端部がハウジング要素から突き出るように、好ましくは、両側で突き出るように、ハウジング要素よりも軸方向に長い。
【0012】
そのような中空糸束は、例えば巻芯に、経糸と連結されてマットにされた中空糸を巻き付けることによって形成することができる。しかしながら、中空糸束はまた、マットを敷設または折り畳むことによって作り出すこともできる。
【0013】
前記束は、それが巻き付けられる場合、巻芯と一緒に、ハウジング要素に入れられ、この場合、巻芯は、中空糸束によって囲まれ、好ましくはその中心にある。特に、そのような場合、流体のうちの1つの流体流が、好ましい用途においては例えば血液の流体流が、巻芯を通して供給され得、特にそのためにこれは、-既に述べたように-少なくとも1つのチャネルを有することができる。
【0014】
ハウジング要素が、その軸方向端部の少なくとも1つで、好ましくは両端部で、1つのまたはそれぞれ1つのポッティングカバーで閉じられた後、中空糸は、ポッティングカバーによって覆われたそれらの軸方向端部領域で、少なくとも互いに、好ましくはハウジング要素の内壁にも、任意選択的にまた巻芯にも、ポッティング材料でポッティングされる。この場合、ポッティングカバーは通常、カバー面から軸方向に延びて出っ張った管部分を有し、ハウジング要素から突き出る中空糸の軸方向端部領域を取り囲む。そのため、ポッティングカバーは、好ましくは、本質的にポット形状に形成することができる。カバー面および管部分は、ポッティングの目的のために結合される別個の要素を形成することもできる。
【0015】
ポッティングとも呼ばれるポッティングプロセスは、通常、遠心分離機において行われ、ここでは、遠心分離の間に、ポッティングカバーで閉じられたハウジング要素中にポッティング材料が、例えばポッティングカバーにおける接続部を通して、導入される。
【0016】
従来技術によれば、ポッティング材料としては、例えばポリウレタン材料が使用され、これは、硬化し、中空糸の互いの接着、およびまたハウジング内壁への接着および、好ましくは使用される巻芯への接着をもたらす。硬化後、そのようなポリウレタン材料は、事実上、もはや可逆的な変形を可能にする弾性を有しない。
【0017】
ポッティング(Vergiessen)またはポッティング化(Verpotten)のおよびポッティング材料の固化(Erharertung)または硬化(Aushaertung)の後、ポッティングカバーは除去され、ポッティングされた中空糸は、それらの軸方向のポッティング材料でポッティングされたかまたは予め閉じられた端部で、例えば、中空糸の軸の長手伸長方向に対して垂直な平面において切断するかまたは鋸で開けること(Aufsaegen)によって、開かれる。引き続き、ハウジング要素は、そこにあるポッティングされ、開かれた中空糸とともに、前述のようにカバー要素で閉じられる。
【0018】
好ましくは、硬化された状態は、ポッティング材料の硬化が完了し、さらに進行しない状態であると理解される。固化された状態は、ポッティングの際に前の状態と比べてポッティング材料が硬化しているが、特に硬化に関しては、まだ完了している必要はないかもしくは完了しておらず、特に完了しててもよい状態であることができる。
【0019】
前述の特徴は、特にポリウレタンポッティング材料は別として、好ましくは本発明においても生じ得る。
【0020】
従来のシーリングタイプの問題点を有するこの上記の背景に対して、本発明の課題は、ハウジング要素の端面とカバー要素との間のシール、およびまた好ましくはハウジング要素と中空糸束との間のシールの簡単で、かつそれでいて信頼性のある形成を可能にする、冒頭に記載されたタイプの装置および冒頭に記載されたタイプの製造方法を提供することである。
【0021】
この課題は、本発明に従い、ポッティング材料自身から、中空糸の互いのポッティングと同時に、中空糸束を放射状に外側で囲む、特に中空糸束の長手方向軸に関して周方向に全360°にわたって囲む、外部シーリングリングを、ハウジング要素の端面とポッティングカバーとの間に形成された環状の間隙に、ポッティング材料を流入させることにより作成する、製造方法によって解決される。好ましくは、この環状間隙は、ハウジング要素とポッティングカバーから形成されるハウジング全体の内壁において、周方向に全360°にわたって延びる。
【0022】
従って、ハウジング全体における環状間隙は、半径方向内側に開いており、その結果、ポッティング材料は、ハウジング全体の内部領域からこの環状間隙に入り込むことができる。
【0023】
好ましくは、ポッティング材料から外側シーリングリングを形成できるだけでなく、内側シーリングリングも形成することができる。これは、特に、中空糸束が巻き体として、ハウジング内に残る巻芯上に担持される実施態様における。この場合、1つの環状間隙、この場合は外側の環状間隙だけでなく、内側の環状間隙も存在する。そのような巻き付けられた中空糸束の場合、束は、好ましくは、長手伸長に対して垂直な断面において環状である。特に、この断面形状は、固化または硬化後のポッティング材料にも当てはまる。
【0024】
巻芯がない束の場合、内側シーリングリングを有するそのような態様は、好ましくは提供されない。そのような実施態様では、中空糸束は、好ましくは、長手伸長に対して垂直な断面において、円柱状に形成し、さらに好ましくは、前記断面は、完全に中空糸で充填されている。
【0025】
この方法では、中空糸束を担持する巻芯の端面とポッティングカバーにおける被覆要素との間に形成された環状間隙(特に、以降は内側の環状間隙とも呼ばれる)へのポッティング材料の流入により、ポッティング材料から、中空糸束の内側領域での中空糸の互いのポッティングと同時に、内側のシーリングリングを作成することができる。
【0026】
外側および/または内側のシーリングリングは、それぞれ、ポッティング材料のポッティングおよび固化または硬化後に、それから直接形成される。
【0027】
ハウジング要素およびポッティングカバーは、好ましくは、全ての可能な態様において、分離面で互いに隣接しており、それらは分離面で接触している。巻芯が供される場合、同じことが、この巻芯およびカバー要素におけるプラグにも当てはまり得る。
【0028】
1つの可能な態様では、少なくとも外側の環状間隙、好ましくは外側および内側の環状間隙が、軸方向で分離面に隣接し、すなわち、好ましくは2つの要素の一方にのみ、および他方の要素への方向において、軸方向に分離面に達するまで配置されることができる。
【0029】
別の可能な態様では、少なくとも外側の環状間隙、好ましくは内側の環状間隙も、軸方向において分離面の周りに位置することができ、特に、外側の環状間隙はその場合に、ハウジング要素内およびポッティングカバー内に、あるいは内側の環状間隙は、巻芯およびプラグ内に、それぞれ部分的に配置されることもできる。
【0030】
従って、本発明により、ハウジング要素の軸方向端部の少なくとも一方において、好ましくは両方において、中空糸の間に配置されるポッティング材料から、中空糸束を外側で囲む外側のシーリングリングが形成され、当該リングは、半径方向において、少なくとも部分的に、ハウジング要素の軸方向端面とカバー要素の軸方向端面の間で延び、これらの間で圧迫されている、冒頭で述べたタイプの装置を製造することができる。
【0031】
好ましいさらなる形態では、中空糸を担持する巻芯の軸方向端部の少なくとも一方において、好ましくは両方において、中空糸の間に配置されたポッティング材料から、中空糸束の内側領域に配置された内側シーリングリングも形成することができ、当該リングは、半径方向において、少なくとも部分的に、巻芯の軸方向端面とカバー要素におけるプラグとの間で延び、これらの間で圧迫されていている。
【0032】
ポッティングカバーについて既に説明したように、カバー要素は、好ましくは、本質的にポット形状に形成することができ、そのためにカバー要素は、カバー面と、カバー面から軸方向に離れるように延びる管部分とを有し、これらは一体化している。カバー面および管部分は、装置ハウジング全体の形成の目的のために結合される別個の要素を形成することもできる。ここで、管部分は、ポッティングされた中空糸の軸方向端部領域を囲むことができる。カバー面は、中空糸のこの端部領域に軸方向に隣接して、特にある距離を置いて、位置する。
【0033】
ここで、部分的に延びているということは、好ましくは、半径方向に見た外側シーリングリングが、端面の半径方向内側端から出発して半径方向外側に向かって延びるが、半径方向でそれぞれの端面を完全には覆わないと理解されるべきである。従って、好ましくは、外側シールリングは、完成装置において、外側からはアクセス可能ではなく、両方の要素の端面の間で閉じ込められている。しかしながら、シーリングリングが両方の要素の端面を完全に覆うか、またはそれどころか半径方向でそれらを越えて突き出る態様もまた可能である。
【0034】
ハウジング要素および/またはカバー要素および/またはポッティングカバーおよび/または巻芯および/またはプラグもしくは被覆要素の端面は、好ましくは、少なくとも部分的に、互いに対向する要素間のシーリング目的を実現する、当該要素の軸方向端部領域でのそれぞれの前側の、特に環状の面として理解される。従って、そのようなシーリングされる端面は、互いに軸方向に対向して存在し、特に、それらは、少なくとも部分的には直接、および部分的には間接的にそれぞれのシーリングリングを介して互いに接触する。要素の軸方向端部には、さらに他の要素/表面要素も、例えば固定(ねじ締め(Verschraubung)、留め具止め(Verrastung)等による)の目的のため配置することができる。
【0035】
好ましくは、そのような本発明による外側シーリングリングは、ポッティング後に、中空糸束を囲む(想像上の)包被の半径方向外側に存在し、特に、少なくとも、ハウジング要素および/またはカバー要素および/またはポッティングカバーの内壁の半径方向外側に配置される、ポッティング材料の領域により形成される。
【0036】
好ましくは備えられた内側シーリングリングの場合、これは、ポッティング後に、中空糸束の内周に隣接する(想像上の)包被の半径方向内側にあるポッティング材料の領域により形成され、特に少なくとも、巻芯および/またはプラグおよび/またはポッティングカバーの被覆要素の外壁の半径方向内側に配置された領域により形成される。
【0037】
本発明によるこの実施態様は既に、ポッティング材料が少なくとも外側環状間隙に、好ましくは内側環状間隙にも、完全に空間を充填するように入り込み、従って、シールリングを収容するハウジング要素または巻芯内のそれぞれの環状領域が空洞なしにシーリングリングで充填される、という利点を有する。従って、既に停滞領域を防ぐことができる。
【0038】
好ましくは、ポッティング材料は、特に固化または硬化された状態でショアA 100未満、好ましくはショアA 60未満、より好ましくはショアA 30未満の硬度を有する、液体でまたはペースト状で、特に少なくとも流動性の、施用可能な固化エラストマーによって、形成されることができる。
【0039】
これにより、通例の従来のシーリングリングから知られているような、形成される外側及び/又は内側シールリングの可逆的な弾性が可能となる。従って、ポッティング材料は、中空糸を互いにポッティングすることに加えてまた、非常に有効なシーリングに必要な特性を、特に通例のポリウレタンとは対照的に、提供することができる。
【0040】
特に好ましくは、ポッティング材料として、シリコーン/シリコーンゴムが使用され、特に、液体で遠心分離機において施用し、次いで、例えば架橋により、固化/硬化することができるシリコーン/シリコーンゴムが使用される。同様に、ポッティング材料としては、ラテックスを使用することも可能である。
【0041】
ポッティング材料で充填されるべき外側環状間隙は、好ましくは、ハウジング要素のおよび/またはポッティングカバーの端面における軸方向および半径方向内側に向かって開いた凹部によって画定される。従って、凹部は、2つの要素のうちの一方でのみ前側で、または両方に、設けることができる。好ましくは、設けられた充填されるべき内側環状間隙は、例えば、巻芯のおよび/またはポッティングカバーにおける被覆要素の端面における軸方向および半径方向外側に向かって開いた凹部によって画定される。従って、内側環状間隙の場合も、凹部は、前側の2つの要素のうちの一方でのみ前側で、または両方に、設けることができる。
【0042】
ハウジング要素とポッティングカバーまたは巻芯と被覆要素との間の環状間隙の形状デザインに応じて、それぞれのシールリングの異なる幾何学的形状、および従って、異なる実現可能なシーリングオプションがもたらされる。
【0043】
ポッティングおよびポッティング材料の固化もしくは硬化の少なくとも終わりに、形成した外側および/または内側シーリングリングは、ポッティングされた中空糸の軸方向端部の間の領域においてポッティング材料と、一体化してまたは材料接続式に、結合されている。好ましくは、それは、完成した物質交換のための装置内にそのまま残るが、これは必ずしも必要ではない。
【0044】
従って、当該方法の1つの可能な態様では、中空糸端部を開くとともに(特に、接着された中空糸端部を切り離すことによって、または製造業者によって閉じられた中空糸端部を切り離すことによって)、接着された中空糸束から外側および/または内側シーリングリングも分離することができる。
【0045】
これは、例えば、シーリングリングが以下の構成で作成される場合に行うことができる:ポッティングカバーおよび/または被覆要素の除去後に、シーリングリングが、ハウジング要素への方向に環状間隙の開口部から軸方向に後退する領域を、その半径方向外側端部に、および/または、巻芯への方向に軸方向に後退する領域を、その半径方向内側端部に有し、そして、ハウジング要素および/または巻芯の端面において、軸方向に少なくとも開いている凹部、例えば環状溝においてこの領域によって納まる。ハウジング要素および巻芯におけるこの環状溝は、ポッティングの時点での、各々の環状間隙のアンダーカット領域である。
【0046】
閉じられた中空糸端部の切り離しは、例えば、ハウジング要素および/または巻芯の端面と同一平面で行うことができ、それにより、形成された外側および/または内側シーリングリングが、凹部/環状溝にはくぼみを充填して残り、中空糸束からは分離される。
【0047】
カバー要素及び/又はプラグの装着により、そのように形成された外側および/または内側シールリングは、例えば、カバー要素からハウジング要素へ、またはプラグから巻き体へ向かう環状突出部(凹部/環状溝に対向して位置する)によって、カバー要素およびハウジング要素の端面、またはプラグおよび巻芯の端面の間で圧迫されることができる。特に、前記プラグは、好ましくはそれがカバー要素とは別個である場合には、巻芯に、例えば留め具(Verrasten)またはねじ止め(Verschrauben)等により、固定することができる。
【0048】
対照的に好ましい態様では、対照的に、特にポッティングされた中空糸端部の切り取りによる、または製造業者によって閉じられた中空糸端部の切り離しによる、中空糸端部の開口後、外側および/または内側シーリングリングは、材料接続式に/一体化して、接着された中空糸束に固定されたままであり、カバー要素の装着により、カバー要素およびハウジング要素の端面の間で圧迫され、および/またはプラグの装着により、プラグおよび巻芯の端面の間で圧迫される。
【0049】
特に、この目的のためには、閉じられた中空糸端部を、ハウジング要素および/または巻芯の遠位の端面に対して、すなわち特に最も軸方向外側に存在する端面に対して、隔てられた、特に、少なくともシーリングリングの所望の厚さだけ隔てられた平面で切り離す。
【0050】
好ましくは、分離面は、ハウジング要素および/または巻芯の遠位の端面から、形成したシーリングリングの所望の軸方向厚さよりも少なくとも20%大きい寸法だけ、さらに好ましくは、形成したシーリングリングの所望の軸方向厚さよりも少なくとも40%大きい寸法だけ、特にその半径方向内側に存在する領域で、間隔をあけられる。
【0051】
この態様は、外側および/または内側シーリングリングが、完成した物質交換のための装置の場合においても、中空糸間のポッティング材料と一体化して/材料接続式(stoffschluessig)に、結合されることを可能にする。ポッティングされた中空糸束へのこの材料接続式の永続的な接続により、外側シーリングリングによるハウジング要素に対するカバー要素のシールとともに、同時に中空糸束がハウジング要素およびカバー要素に対して半径方向外側にシールされるという利点を提供する。さらに、内側シーリングリングが設けられている場合、巻芯上にプラグが装着されると、中空糸束も同時に、カバー要素に対して半径方向内側にシールされる。
【0052】
ポッティングカバーとハウジング要素との間および/またはポッティングカバーにおける被覆要素と巻芯との間で画定される環状間隙の形成により、例えば、ポッティングカバーの除去後にハウジング要素の端面において半径方向内側に配置された凹部に納まった外側シーリングリングが、および/または、ポッティングカバーおよび被覆要素の除去後に巻芯の端面において半径方向外側に配置された凹部に納まった内側シーリングリングが形成され得る。
【0053】
ここで、外側シーリングリングは、例えば、ハウジング要素の遠位の端面平面と同一平面上にあることができるが、好ましくは、ハウジング要素の凹部を囲む端面領域、特に遠位の端面平面を超えて軸方向に突き出ていてもよい。内側シーリングリングは、例えば、巻芯の遠位の端面平面と同一平面上にあることができるが、好ましくは、巻芯の凹部から半径方向内側にある端面領域、特に遠位の端面平面を超えて軸方向に突き出ていてもよい。従って、特に簡単に、シーリングリングの圧迫を、カバー要素および/またはプラグの装着によって達成することができ、特に各凹部中へ圧迫が行われる。
【0054】
ここで、外側シールリングに関して、カバー要素は、例えば全体として1つのみの平面において形成される、特に平滑な、軸方向の端面によって圧迫することができ、あるいはまた、カバー要素の端面上に配置された、好ましくは半径方向内側に配置された、軸方向の、好ましくは環状の突出部(これは部分的に凹部に係合する)によって圧迫することができる。ここで、内側シールリングに関して、プラグは、例えば全体として1つのみの平面において形成される、特に平滑な、軸方向の端面によって圧迫することができ、あるいはまた、プラグの端面上に配置された、好ましくは半径方向外側に配置された、軸方向の、好ましくは環状の突出部(これは部分的に凹部に係合する)によって圧迫することがで きる。
【0055】
同様に、形成された外側シーリングリングは、ハウジング要素の端面の平坦な表面領域に、特に凹部なしで半径方向に延びて形成される平坦な表面領域に所定の高さで位置することができ、そしてカバー要素の装着により、前記の所定の高さより浅い深さを有するカバー要素の端面における軸方向および半径方向に内側に開いた凹部において圧迫されることができる。
【0056】
好ましく形成された内側シーリングリングは、巻芯の端面の平坦な表面領域に、特に凹部なしで半径方向に延びて形成される平坦な表面領域に所定の高さで位置することができ、そしてプラグの装着により、前記の所定の高さより浅い深さを有するプラグの端面における軸方向および半径方向に外側に開いた凹部において圧迫されることができる。
【0057】
概して、装置における外側シールリングに関して、軸方向の、好ましくは環状の突出部は、ハウジング要素またはカバー要素の軸方向端面のうちの1つに半径方向内側に配置されることができ、当該突出部は、少なくとも部分的に、対向する要素の端面の軸方向に開いた凹部内に納まる。さらに概して、装置における内側シールリングに関して、軸方向の、好ましくは環状の突出部は、巻芯またはプラグの軸方向端面のうちの1つに半径方向外側に配置されることができ、当該突出部は、少なくとも部分的に、対向する要素の端面の軸方向に開いた凹部内に納まる。
【0058】
同様に、圧迫を確実にするために、凹部を有するカバー要素又はプラグの端面は凹部で、突き出たシーリングリングに係合することができ、好ましくは、この凹部は、突出部分よりも浅い深さを有する。
【0059】
従って、完成した装置では、外側シーリングリングに関しては概して、ハウジング要素及び/又はカバー要素の軸方向端面が、半径方向内側に、軸方向かつ半径方向に内側に開いた凹部を有することができ、当該凹部に外側シールリングが圧迫されて納まる。従って、完成した装置では、任意選択的に設けられた内側シーリングリングに関しては一般に、巻芯及び/又はプラグの軸方向端面が、半径方向外側に、軸方向かつ半径方向に外側に開いた凹部を有することができ、当該凹部に内側シールリングが圧迫されて納まる。
【0060】
記載された実施態様において、例えばカバー要素および/またはハウジング要素および/またはポッティングカバーおよび/または被覆要素および/またはプラグの、要素の端面上の凹部および/または突出部が説明される場合、好ましくは、これらは、中空糸束の長手方向軸に関して周方向に全360°にわたって延び、特に従って環状に形成されることが理解されるべきである。
【0061】
さらなる可能な実施形態では、外側シールリングは、外側に半径方向に向かって、突出部、好ましくはハウジング要素(好ましくは)またはカバー要素の端面の1つにおける半径方向内側に位置する突出部を超え、かつそれを超えてフランジ状に(hinauskragend)延びることができ、そして対向する要素の凹部の段付けされた領域によって、突出部から半径方向外側に配置される領域(好ましくはまた、突出部の後ろに軸方向に後退するように配置される)の中へ軸方向に屈曲されることができる。
【0062】
可能な類似の実施形態では、好ましく設けられた内側シールリングは、内側に半径方向に向かって、突出部、好ましくは巻芯(好ましくは)またはプラグの端面の1つにおける半径方向外側に位置する突出部を超え、かつそれを超えてフランジ状に延びることができ、そして対向する要素の凹部の段付けされた領域によって、突出部から半径方向内側に配置される領域(好ましくはまた、突出部の後ろに軸方向に後退するように配置される)の中へ軸方向に屈曲されることができる。
【0063】
当該方法では、外側シーリングリングは、例えば、外側シーリングリングがハウジング要素の端面の半径方向内側に位置する軸方向突出部を覆い、半径方向外側に向かって突き出、カバー要素が装着されると、カバー要素の端面における突出部を囲む凹部によって圧迫され、軸方向に屈曲されるように形成させることができる。
【0064】
同様に、任意選択的に設けられた内側シーリングリングは、例えば、内側シーリングリングが巻芯の端面の半径方向外側に位置する軸方向突出部を覆い、半径方向内側に向かって突き出、プラグが装着されると、プラグの端面における突出部を囲む凹部によって圧迫され、軸方向に屈曲されるように形成させることができる。
【0065】
好ましい実施態様を、図面に基づいて説明する。
【0066】
図1は、製造方法の第1ステップを示し、ここでは、ハウジング要素1に、中空糸束2が導入され、中空糸束2は、軸方向に、ハウジング要素1とポッティングカバー3の間の分離面TEを、あるいはハウジング要素1の遠位の端面SEを超えて、突き出している。ポッティングカバー3によって、ハウジング要素1は軸方向に閉じられており、中空糸束2は、末端で、ポッティングカバー3の管状部分3aによって囲まれる。
【0067】
ここで、中空糸束は例えば中空糸の巻き体によって形成され、これは例えば、経糸と連結されて少なくとも1つのマットとされており、前記巻き体は巻芯2a上に担持されており、特に、巻芯2aは後にハウジング要素1に残ることもできる。ポッティングカバー3上に被覆要素3bが配置され、これは巻芯2aに対して軸方向に対向して存在し、特に巻芯2aの軸方向端面に接触してそれを覆う。被覆要素3bは、ポッティングカバー3と一体化して形成することができ、またはそれとは別個である。例えば、別個の態様では、それは、ポッティングカバー3と巻芯2aとの間に挟み込まれていてもよい。
【0068】
ハウジング要素1およびポッティングカバー3の両方の環状の端面は、半径方向内側に位置するそれぞれの凹部1.1および3.1を有し、これらの凹部は、軸方向および半径方向内側に向かって開いており、従って、閉じた配置の内壁、すなわちハウジング全体の内壁に環状間隙を形成する。この態様では、環状間隙1.1、3.1は、軸方向では、ハウジング要素1の遠位の端面平面SEと一致する2つの要素1、3の分離面TEの周りに位置する。ハウジング要素の遠位の端面は、好ましくは、巻芯2aの遠位の端面と同じ平面内にある。
【0069】
このようにして形成された外側の環状間隙(これは中空糸の周りに半径方向外側に生じ、本発明では少なくとも供される)に加えて、この態様は、中空糸束2に対して半径方向内側にも内側環状間隙が生じる。この内側環状間隙は、巻芯2aと被覆要素3bとの間に形成される。このために、被覆要素3bおよび巻芯2aはそれぞれ、半径方向外側に位置するそれぞれの凹部3b.1および2a.1を有し、これらの凹部は、軸方向および半径方向外側に向かって開いている。内側環状間隙2a.1、3b.1もまた、軸方向では分離面TEの周りに位置する。
【0070】
図2は、軸方向端部でのポッティング後の同じ配置を示す。ここで、ポッティング材料4は、中空糸の端部を覆い、これらが製造業者によって閉じられていない場合には、任意選択的に当該端部は閉じられ、そしてまた、凹部1.1および3.1によって形成された外側の環状間隙に、および凹部3b.1および2a.1によって形成された内側の環状間隙に入り込み、従って、中空糸束2を外側で囲む外側のシーリングリング5aが形成され、中空糸束2の内周に沿って内側に配置される内側シールリング5bが形成された。
【0071】
図3aは、ポッティングカバー3およびまた被覆要素3bの除去後の配置を示している。
図3bは、ポッティングされた中空糸の一部を、それらを開くために切り離した後の同じ配置を示す。切り離しは、この実施態様ではハウジング要素1の遠位の端面平面SEを超えて突き出している、シーリングリング5a/5bからある距離を置いた分離面AEにおいて行われる。
【0072】
図4は、装置のカバー要素6の装着後の状態を示す。カバー要素6は、特にポッティングカバー3と同様に、ポット形状に形成され、カバー面、好ましくは外側に向けて円天井型のカバー面6aを有し、そこから軸方向にハウジング要素1の方向に、管状部分6bが延び、それがポッティングされた中空糸端部を部分的に囲む。
【0073】
カバー要素6はさらに、開いた中空糸にガスを供給するため、またはそこからガスを排出するために、接続部6.3を有する。ここで、カバー要素6は、シーリングの目的で、ハウジング要素1の遠位の端面1.2と相互に作用する端面領域に凹部を有さず、外側シーリングリング5aを、外側シーリングリング5aの軸方向に突出した領域への前記端面の押し付けによって圧迫する。
【0074】
内側シールリング5bは、プラグ6cで圧迫され、特にプラグ6cはカバー要素6の一体化部分であってもよく、またはそれとは別個に作られていてもよい。プラグ6cは、巻芯2aに接触している。特に、プラグ6cは、好ましくはそれがカバー要素6とは別個にある場合には、巻芯2aに、例えば留め具またはねじ止め等により、固定することができる。これはまた、全ての可能な、場合によっては示されていない態様にも、当てはまり得る。
【0075】
図5aは、ハウジング要素1の端面が単一の平面内にある、すなわち凹部を有していない代替を示している。巻芯2aの同様に連続的に平坦な端面が、同じ平面内にあり、同様に凹部を有さない。軸方向および半径方向内側に向かって開いている凹部3.1は、外側環状溝を形成するためにポッティングカバー3の端面にのみ配置され、軸方向および半径方向外側に向かって開いている凹部3b.1は、内側環状溝を形成するために被覆要素3bにのみ配置される。
【0076】
図5bによる完成装置では、外側シーリングリング5aは、半径方向内側に向かっておよび軸方向に開いた凹部6.1内にのみ位置し、これによって圧迫されるが、これは、凹部6.1の深さが、ハウジング要素1の端面の上方のシーリングリング5aの高さよりも浅いからである。内側シールリング5bは、半径方向外側に向かっておよび軸方向に開いた凹部6c.1内にのみ位置し、これにより圧迫されるが、これは、プラグ6cにおける凹部6c.1の深さが、巻芯2aの端面の上方のシーリングリング5bの高さよりも浅いためである。
【0077】
図6aは、半径方向内側に向かっておよび軸方向に開いた1つの凹部1.1のみがハウジング要素1に配置されている態様を示す。ポッティングカバー3の軸方向の端面は、単一の平面(凹部なし)内にあり、凹部1.1によって段付けされたハウジング要素1の端面における凹部1.1を覆う。
【0078】
従って、
図6bに従って形成された外側シーリングリング5aは、ハウジング要素1の遠位の端面SEにあり、凹部1.1を越えて突き出ない。圧迫のために、ここではカバー要素6が、その端面上に、ハウジング要素1の端面上のシーリングリング5aで充填された凹部1.1に部分的に係合する、ハウジング要素1に向けられた軸方向環状突出部6.2を、半径方向内側に有する。
【0079】
内側シールリング5bに関して、これは同じように、ハウジング要素1の遠位のまたは巻芯2bの端面SEにあり、凹部2b.1を越えて突き出ない。圧迫のために、ここではプラグ6cが、その端面上に、巻芯2aの端面上のシーリングリング5bで充填された凹部2a.1に部分的に係合する、巻芯2aに向けられた軸方向環状突出部6c.2を、半径方向外側に有する。
【0080】
図7aおよび
図7bは、完成装置(
図7b)における完成して形成した外側シーリングリング5aが、ハウジング要素1の半径方向内側にある突出部1.2を覆い、そしてまた半径方向にそれを超えて、半径方向外側に向かう方向に突き出る態様を示す。シーリングリング5aの突出フランジ状部分(hinauskragende Teil)は、カバー要素6の端面における軸方向および半径方向内側に向かって開いた凹部6.1の段6.1.aによって軸方向に屈曲され、圧迫されている。段6.1.aは、凹部6.1を半径方向外側において画定する。
【0081】
完成装置(
図7b)において、巻芯2aの半径方向外側に存在する突出部2a.2を覆い、そしてまた半径方向にそれを超えて、半径方向内側に向かう方向に突き出ることは、内側シーリングリング5bに当てはまる。シーリングリング5bの突出フランジ状部分は、プラグ6cの端面における軸方向および半径方向外側に向かって開いた凹部6c.1の段によって軸方向に屈曲され、圧迫されている。当該段は、凹部6c.1を半径方向内側において画定する。
【0082】
図7aでは、突出部1.2.の上に突き出る外側シーリング方向5aを、突出部1.2の半径方向後方で、半径方向外側に凹んだ領域を、例えば充填リング7aで充填することによって(これはカバー要素6の装着の前に再度除去される)、製造できることがわかる。充填リング7aにより、半径方向外側に存在し、軸方向に支持される、環状間隙3.1の領域がもたらされ、その結果、半径方向に直線状に延びる外側シーリングリング5aを生成することができ、それは、半径方向において外側に向かって突出部1.2を超えて突き出る。ポッティングの間に充填リング7aで充填された領域で、充填リング7aの除去後に、外側シーリングリング5aを、カバー要素6により屈曲させることができる。
【0083】
さらに、突出部2a.2の上に突き出る内側シーリングリング5bを、突出部2a.2の半径方向内側後方で、半径方向内側に凹んだ領域を、例えば充填リング7bで充填することによって(これはプラグ6cの装着の前に再度除去される)、製造することができる。充填リング7bにより、半径方向内側に存在し、軸方向に支持される、環状間隙3b.1の領域がもたらされ、その結果、半径方向に直線状に延びる内側シーリングリング5bを生成することができ、それは、半径方向において内側に向かって突出部2a.2を超えて突き出る。ポッティングの間に充填リング7bで充填された領域では、充填リング7bの除去後に、内側シーリングリング5bを、プラグ6cにより屈曲させることができる。
【国際調査報告】