(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(54)【発明の名称】燃料電池ユニットおよび燃料電池ユニットを製造する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/248 20160101AFI20231011BHJP
【FI】
H01M8/248
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519011
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 EP2021076334
(87)【国際公開番号】W WO2022063973
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】102020212103.6
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519031896
【氏名又は名称】ヴィテスコ テクノロジーズ ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Vitesco Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Siemensstrasse 12,93055 Regensburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルクス オクス
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン グランツォウ
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA25
5H126GG02
(57)【要約】
板状に成形され、積層方向に積層されて配置された複数のコンポーネントから構成された、積層方向(z)に積層されて配置された燃料電池スタックのための燃料電池ユニットおよび製造方法であって、燃料電池が、複数のセグメントから成る少なくとも1つのエンドプレートを有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池ユニット(100,200)であって、積層方向(z)に積層された複数の板状のコンポーネントと、少なくとも1つのエンドプレートとを備えた燃料電池スタック(130,230)を有しており、前記少なくとも1つのエンドプレート(110,210)は、複数のセグメント(111,112)を有している、燃料電池ユニット(100,200)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのエンドプレート(110)の前記複数のセグメント(111,112)は、別個の部分として形成されている、請求項1記載の燃料電池ユニット。
【請求項3】
前記スタックの前記少なくとも1つのエンドプレート(110)は、前記スタックの第1の機能領域(131)に対応して配置された少なくとも1つの第1のセグメント(111)と、前記スタックの第2の機能領域(132)に対応して配置された少なくとも1つの第2のセグメント(112)とを有しており、これにより、前記少なくとも1つの第1のセグメント(111)を介した緊締により、第1の力(121)が、前記燃料電池スタック(130)の前記第1の機能領域(131)に加えられ、前記少なくとも1つの第2のセグメント(112)を介した緊締により、第2の力(122)が、前記燃料電池スタックの前記第2の機能領域(132)に加えられる、請求項2記載の燃料電池ユニット。
【請求項4】
前記少なくとも1つのエンドプレート(110)は、横方向にセグメント化されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の燃料電池ユニット。
【請求項5】
前記少なくとも1つのエンドプレート(110)は、軸線方向または水平方向にセグメント化されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の燃料電池ユニット。
【請求項6】
前記少なくとも1つのエンドプレート(110)は、ステップ状に段付けされた複数のセグメントを備えて形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の燃料電池ユニット。
【請求項7】
前記少なくとも1つのエンドプレート(110)は、緊締動作時に互いに内外で係合する複数のセグメントから成る、請求項1から6までのいずれか1項記載の燃料電池ユニット。
【請求項8】
一方のエンドプレートはセグメント化されており、他方のエンドプレートはセグメント化されていない、請求項1から7までのいずれか1項記載の燃料電池ユニット。
【請求項9】
前記少なくとも1つのエンドプレートは、複数のセグメントから成り、該エンドプレートは、金属または非導電性の材料から成る、請求項1から8までのいずれか1項記載の燃料電池ユニット。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の燃料電池ユニット(100,200)を製造する方法であって、以下のステップ、すなわち
-燃料電池スタック(130,230)を積層方向(z)に積層して配置するステップと、
-前記積層方向(z)において前記スタックの両端部にエンドプレートを積層して配置するステップとにより、
-燃料電池ユニット(100,200)を形成するステップ
を含む方法において、
少なくとも1つの前記エンドプレート(110,210)は、複数のセグメント(111,112)を有していることを特徴とする、方法。
【請求項11】
緊締しようとする各前記セグメント(111,112)を個別に緊締する、請求項10記載の、燃料電池ユニット(100,200)を製造する方法。
【請求項12】
緊締しようとする各前記セグメント(111,112)に、それぞれ異なる緊締力を加える、請求項10記載の、燃料電池ユニット(100,200)を製造する方法。
【請求項13】
個々の前記セグメント(111,112)に、その都度調整されるべき緊締力を連続してまたは同時に加える、請求項10記載の、燃料電池ユニット(100,200)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数部分から成る燃料電池用エンドプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
エンドプレートは、スタックに安定性を与えかつ適合された圧力を積層された燃料電池に加えるために、燃料電池ユニットまたは「スタック」の両端に取り付けられる。「スタック」または燃料電池スタックは、積層方向に積層されて配置された複数の燃料電池を有しており、これらの燃料電池はそれぞれ板状に形成されていて、積層方向に見てそれぞれ第1の横方向と、第1の横方向に直交する第2の横方向とに延びている。
【0003】
周知の燃料電池用エンドプレートは、複数の部分または部分セグメントから成っていてよいが、これらを固定して、1つの共通の機械ユニットまたはプレートを形成する必要がある。機械的な力が、緊締装置または引張り装置を介してプレートひいてはスタックおよび燃料電池に導入される。この場合、エンドプレート全体が、エンドプレートを成す部分またはセグメントの数に関係無く、機械的な緊締手段を介してスタックに押し付けられる。
【0004】
燃料電池は、それぞれ積層方向に積層された状態で、
-燃料を案内する燃料通路構造を備えた陽極側のバイポーラハーフプレートと、
-陽極側のガス拡散層と、
-電解質膜と、積層方向において電解質膜の両側に配置され、燃料と酸化剤とを電気化学反応させるための陽極および陰極を形成する電極層を有する膜・電極ユニットMEAと、
-陰極側のガス拡散層と、
-酸化剤を案内する酸化剤通路構造を備えた陰極側のバイポーラハーフプレートと、
を有している。
【0005】
このような燃料電池スタックの従来技術については、例えば欧州特許第2357698号明細書、欧州特許第2445045号明細書、欧州特許第2584635号明細書、欧州特許第2946431号明細書および欧州特許出願公開第3316377号明細書の各刊行物を参照されたい。
【0006】
燃料電池スタックは、典型的には緊締ボルトまたはねじおよびばね部材により、機械的に緊締される。さらに、(大抵は金属の)ベルトをスタックの周りに案内し、次いで固定点においてスタックのエンドプレートに固定しかつベルトに予荷重を加える構成が存在し、これについては、例えば米国特許第2006/093890号明細書(Steinbroner)を参照されたい。補足的な構成は、歯付きベルトまたはVベルトに基づく緊締手段であり、これらの緊締手段は、複数の緊締ユニットに加え、複数のベルトを基礎とする。
【0007】
特に、活性の電池領域に対して均一な力の分散は、大きな保持力または緊締力を要する。よって、エンドプレートの機械的な構造は、部分的に塊状に構成されている。個々の電池のシール面およびガイドも同様に機械的に保持して圧着する必要があるため、ここにも同様に、活性面に加えられる圧着力が生じる。
【0008】
スタックの活性面の高い緊締力により、シール領域でも同様に、機械的なガイドおよび力の吸収に対する要求が高くなり得る。これに相応して、エンドプレートおよびガイド面の構造は複雑になる。さらに、緊締動作が、例えば積層補助部、滑りガイド等の上述したガイド面と、緊締プロセス自体にも高い要求を課す。この場合、プレートの動きとMEA個別層の動きとシールの動きとに同時に注目しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の根底を成す課題は、上述した問題を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、それぞれ独立請求項に記載の燃料電池ユニットおよび燃料電池ユニットを製造する方法によって解決される。本発明の有利な改良は、各従属請求項に記載されている。
【0011】
本発明による燃料電池ユニットは、積層方向に積層された複数のコンポーネントと、少なくとも1つのエンドプレートとを備えた燃料電池スタックを有しており、少なくとも1つのエンドプレートは、複数のセグメントを有している。
【0012】
1つのスタックを形成するように配置された複数のコンポーネントは、好適には上述した燃料電池に相当し、例えば実質的に板状に形成されている。スタックは、少なくとも一方の端部において、好適には積層方向において互いに反対の側に位置する2つの端部において、それぞれエンドプレートで終端している。この場合、エンドプレート自体は、原則として燃料電池の一部を形成していてもよいし、または燃料電池に直接にまたは間接的に続いていてもよいし、燃料電池に隣接して配置されていてもよいし、または燃料電池に載置されていてもよい。これに関連して、本願の枠内で「終端している」とは広義に解釈されるべきであり、前記各態様を含むものである。この場合、本発明に基づき、少なくとも1つのエンドプレートは、好適には別個の部分である複数のセグメントを有している。つまり、少なくとも1つのエンドプレートは、好適には複数の部分から構成されており、別個の部分は、互いに固く結合されてはいない。
【0013】
本発明の好適な実施形態では、少なくとも1つのエンドプレートは、横方向にセグメント化されて構成されている。すなわち、エンドプレートは、つながっていない複数の部分から成っており、これらの部分は、積層方向に直交する方向に相並んでまたは互いに内外に配置されている。これらの部分が、スタックの緊締に際してスタックのそれぞれ異なる領域に、例えば活性の電池領域と、シール領域と、電池のその他のセグメントとに、互いに別個に力が作用することを可能にすることが望ましい。このことは特に、全くまたは部分的にしか機械的に接触し合わない入れ子式のプレートによって実現することができる。
【0014】
一方では、この構成により緊締力が、活性領域と、シール領域と、場合によってその他の機械的に緊締される領域とにおいてそれぞれ異なる要求に最適に適合される。エンドプレートの各個別セグメントは、各個別セグメント用に想定された力でもって緊締されることができ、これにより、電池幾何学形状の開発において構造的な費用を削減することができ、例えばシール自体に対する機械的な要求も最適化することができる。
【0015】
他方では、セグメント化されたエンドプレートは、連続した緊締プロセスを可能にする。この場合、緊締されるべき各層またはセグメントを、要求に応じて予荷重を加えて緊締することができる。これは、積層プロセスにおける要求をも低下させることができる。なぜならば、機械的な保持力と、シール層と、電気的な接触抵抗を有する活性面とを最適な順序で生ぜしめることができるからである。
【0016】
連続供給される燃料(例えば水素)と連続供給される酸化剤(例えば酸素または空気)との化学反応エネルギを、燃料電池ユニットを用いて電気化学反応により、電気エネルギに変換することができる。
【0017】
(導電性の)バイポーラハーフプレートを介して電気的な直列接続で配置された各燃料電池の動作中は、電気化学反応の反応物、つまり燃料(例えば水素)と酸化剤(例えば空気)とを、各燃料電池内の、積層方向に見て膜・電極ユニットのそれぞれ異なる側に供給する必要がある。
【0018】
このために、各燃料電池のバイポーラハーフプレートは、それらの膜・電極ユニットに面した側に通路構造を備えて形成されていることが多く、これにより、膜・電極ユニットの各側でこれらの通路構造を介して、そこに隣接する各ガス拡散層内へ燃料と酸化剤とを導入し、ひいては各ガス拡散層を介して、対応する電解質膜の側の各電極層に近づけることができるようになっている。
【0019】
電極層は、一般に炭素材料から形成されており、適切な触媒でコーティングされているか、または適切な触媒が混入されている。この場合、燃料側の電極層は、膜・電極ユニットの陽極を形成しており、酸化剤側の電極層は陰極を形成している。
【0020】
個々の燃料電池内で進行する電気化学反応の生成物、例えば水は、酸化剤(例えば空気)を案内する燃料電池領域を介して導出することができる。
【0021】
個々の燃料電池において、燃料を案内する領域、すなわち、陽極側の通路構造、ガス拡散層、電極層(陽極)、および酸化剤を案内する領域、すなわち、陰極側の通路構造、ガス拡散層、電極層(陰極)は、これらの領域の間での、出力効率に不都合なガス交換を防止するために、互いにシールされていなければならない。
【0022】
このことは特に、周囲環境を介したこのような交換を阻止するために、2つの領域のうちの少なくとも一方を、燃料電池または燃料電池スタックの周囲環境(例えば大気)に対してシールする必要があることを意味する。この場合、実地では少なくとも、燃料を案内する領域が周囲環境に対してシールされ、これにより、この燃料電池領域から周囲環境への燃料の損失ならびに周囲環境からこの燃料電池領域への媒体(例えば空気)の進入を防ぐ。
【0023】
特に空冷式の燃料電池ユニットを形成するためには、酸化剤を案内する領域が、周囲環境に対して「開いて」形成されていてもよい。例えば、個々の燃料電池に設けられた酸化剤通路構造は、燃料電池の、横方向に見て互いに反対の2つの側で開いていてよく、これにより、動作中、酸化剤(例えば空気)がこの横方向で燃料電池ユニットを通って流れることを可能にする。このために酸化剤を、例えばファンにより、側方が開いた燃料電池ユニットを通過させてよく、この場合は同時に、冷却の働きもすることができる。
【0024】
ただし、多くの場合においてより有利なのは、燃料電池スタックの燃料を案内する領域と、酸化剤を案内する領域とが両方共、互いにかつ周囲環境に対してシールされている場合である。
【0025】
このようなシールに関して一般的なのは、例えば別個に製造され、バイポーラプレートと膜・電極ユニットとの間に挿入されるシール、または例えば組立てプロセス中の、燃料電池の各コンポーネント(例えばバイポーラプレート、膜・電極ユニット)に対するシール材料の分配/射出、またはシールが既に一体成形された燃料電池のコンポーネントの事前製造である。
【0026】
特に積層方向に直交する方向に形成された領域は、活性領域と呼ばれ、活性領域では、燃料と酸化剤との間で電気化学反応が行われる。一般に、個々の燃料電池の活性領域は、積層方向に対して直交する方向において、板状のコンポーネントの中央を中心として面状に延びているのに対し、シール領域は、活性領域を包囲している。つまり、燃料電池スタックにおいてシール領域は、例えばスタックの活性領域をカバー状に包囲している。燃料、酸化剤および場合によって冷却材用の供給/導出領域または分配領域も、シール領域により封入または包囲されていてよい。
【0027】
本発明による燃料電池ユニットの1つの好適な実施形態では、スタックの少なくとも1つのエンドプレートは、スタックの第1の機能領域に対応して配置された、またはスタックの第1の機能領域を積層方向において閉鎖する少なくとも1つの第1のセグメントと、スタックの第2の機能領域に対応して配置された、またはスタックの第2の機能領域を積層方向において閉鎖する少なくとも1つの第2のセグメントとを有している。好適には、第1のセグメントと第2のセグメントとは互いに十分に独立した状態で、スタックを緊締することができる。つまり、少なくとも1つの第1のセグメントを介した緊締により、第1の力を、燃料電池スタックの第1の機能領域に加えることができ、少なくとも1つの第2のセグメントを介した緊締により、第2の力を、燃料電池スタックの第2の機能領域に加えることができる。このようにして、スタックの第1の機能領域または第2の機能領域を圧縮するためにもたらされる力を、それぞれが好適には互いに十分に独立した状態で調整することができる。特に、第1の力と第2の力とは、互いに異なっていてよい。この場合、第2のセグメントは、第1のセグメントを例えば周面側において包囲している。
【0028】
同様に、燃料電池スタックの2つよりも多くの機能領域に力を的確に導入するために2つよりも多くのエンドプレートセグメントを備えた実施形態も可能であり、本発明に含まれる。
【0029】
本願では、例えば上述した各領域、すなわち、活性領域、シール領域、燃料、酸化剤および場合によって冷却剤用の供給/導出領域または分配領域を、燃料電池スタックの機能領域と呼ぶ。
【0030】
少なくとも1つのエンドプレートは、このために好適には横方向にセグメント化されている。ただし、少なくとも1つのエンドプレートは、別の実施形態では水平方向および/または軸線方向にセグメント化されていてもよい。
【0031】
好適な態様では、エンドプレートは、複数のセグメントが緊締時に互いに内外で係合するようにセグメント化されている。このことは、例えばステップ状に段付けされたセグメント化によって達成することができる。
【0032】
有利なのは、例えばエンドプレートの第1のセグメントを介してスタックの活性領域を緊締することにより、第2のセグメントひいてはスタックのシール領域に対する予荷重も加えられるように、セグメントが互いに内外で係合する態様である。次いで、シール領域は、第2のセグメントを介して引き続き緊締されることによって、例えばより高い圧縮力を加えられてよい。同様に、その反対も考えられ、この場合、第2のセグメントの緊締によって、第1のセグメントに予荷重が加えられる。
【0033】
いくつかの実施形態では、燃料電池ユニットの燃料電池は、それぞれ燃料として水素を用いた運転に適するように、例えばプロトン伝導膜として形成された電解質膜を備えて形成されている。
【0034】
ただし、代替的に、例えば燃料電池ユニットを、例えば有機化合物(例えばメタンまたはメタノール)または例えば天然ガス等の別の燃料を用いて運転するように形成することも考慮される。
【0035】
一実施形態では、燃料電池ユニットは、酸化剤として空気を用いた運転に適するように形成されている。
【0036】
一実施形態では、バイポーラハーフプレートは、金属材料から形成されている。代替的に、バイポーラハーフプレートは、特に例えば炭素材料から、または(例えば相応して調量された、例えばカーボンブラックを含む)例えば導電性のプラスチック材料から、または別の導電性の材料から形成されていてもよい。
【0037】
一実施形態では、本発明に設けられるバイポーラハーフプレートとエンドプレートとは、それぞれ互いに別個に予め製造され、燃料電池ユニットの製造時に個々のコンポーネントを積層することにより、相応してスタックに嵌め込まれる。
【0038】
別の態様では、本発明は、燃料電池ユニットを製造する方法に関する。
【0039】
以下に、添付の図面を参照して本発明を実施例に基づきさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】2つの部分から成るエンドプレートの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1には、2つのセグメント111および112から成るエンドプレート110を備えた燃料電池100が示されている。燃料電池は、それぞれプレート状に成形されかつ積層方向に積層されて配置された複数のコンポーネントから構成されており、スタックの各端部にプレート状のエンドプレートを備えている。エンドプレートセグメントは、電池スタックまたはスタック130に力121および122を加える。特に、力121は活性領域131に加えられ、力122はシール領域132に加えられる。
【0042】
エンドプレートはスタックの安定化に用いられ、したがって積層方向において両端部に取り付けられる。ただし、活性領域におけるよりもシール領域において、より多くの安定性が必要とされる。一般に、エンドプレートは、スタックの中心に設けられたバイポーラプレートよりも、機械的に安定している。活性の電池領域に対して均一な力の分散は、大きな緊締力121を要する。よって、エンドプレートの機械的な構造は、部分的に塊状に構成されている。
【0043】
個々の電池のシール面およびガイドも、同様に機械的に保持されて圧着される。ここにも同様に、活性面に加えられる圧着力122が生じる。よって、必要に応じて、外側のセグメント112は、内側のセグメント111が活性領域に加える圧力よりも多くの圧力をシール領域に加えることができ、またはその逆であってもよい。エンドプレートは入れ子状に実現することができ、この場合、各セグメントが機械的に接触し合うことは全くまたは部分的にしかない。
【0044】
エンドプレートは、2つのセグメントから成っていてもよいし、または2つよりも多くのセグメントから成っていてもよい。エンドプレートの各個別セグメントは、各個別セグメント用に想定された力でもって緊締されることができ、これにより、電池幾何学形状の開発において構造的な費用を削減することができる。シール等の部材またはシール領域に対する機械的な要求も同様に、最適化することができる。
【0045】
機械的な緊締手段を介して、エンドプレート全体が、エンドプレートを成す部分またはセグメントの数に関係無く、スタックに押し付けられる。スタックの活性面の高い緊締力により、シール領域でも機械的なガイドおよび力の吸収に対する要求が高くなり得る。横方向にセグメント化された複数部分から成るエンドプレートは、例えば活性の電池領域およびシール領域ならびに電池のその他のセグメントに対する別個の力作用を可能にする。セグメント化されたエンドプレートに基づき、連続した緊締プロセスも可能になる。この場合、緊締しようとする各セグメントが個別に緊締されるか、または緊締力が調整される。このことは、積層プロセスにおける要求をも低下させることができる。なぜならば、機械的な保持力と、シール層と、電気的な接触抵抗を有する活性面とを最適な順序で緊締に含めることができるからである。
【0046】
本発明の様々な構成において、セグメント化は、横方向のセグメント化、軸線方向または水平方向のセグメント化、または両者の組合せである。緊締過程に際して互いに内外で係合し合う、ステップ状に段付けされたセグメントが構成されてもよい。(例えば上側のスタック端部に設けられた)セグメント化されたエンドプレートと、(例えば下側のスタック端部に設けられた)セグメント化されていないエンドプレートとを備えたスタックが形成されてもよい。
【0047】
エンドプレートは、バイポーラプレートと同じ材料から成っていてもよいし、または別の材料から成っていてもよい。燃料電池スタックは、典型的には緊締ボルトまたはねじ、および場合によってばね部材により、機械的に緊締される。さらに、(大抵は金属の)ベルトをスタックの周りに案内し、次いで1つまたは2つの固定点においてスタックのエンドプレートに固定しかつベルトに予荷重が加えられる構成が存在する。
【0048】
図2には、一体のエンドプレートが示されている。
図2には、燃料電池200が1つのエンドプレート210と共に示されている。燃料電池は、それぞれプレート状に成形されかつ積層方向に積層されて配置された複数のコンポーネントから構成されており、スタックの各端部にプレート状のエンドプレートを備えている。エンドプレートは、電池スタックまたはスタック230に、特に活性領域231とシール領域232とに力220を加える。
【0049】
エンドプレートは、加えられる圧力用に仕上げられていなければならない。エンドプレートは、例えば鋼または別の金属から成形されてもよいし、または成っていてもよい。エンドプレートは、例えばポリマー化合物等の非導電性材料から成っていてもよい。ただし、必要とされる機械的特性は保証されねばならない。
【国際調査報告】