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特表2023-543842局所サイクル長及び局所デューティサイクルを決定するための電気生理学システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(54)【発明の名称】局所サイクル長及び局所デューティサイクルを決定するための電気生理学システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/367 20210101AFI20231011BHJP
【FI】
A61B5/367
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519696
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 US2021052582
(87)【国際公開番号】W WO2022072449
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】63/085,649
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ベネット、ネイサン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】リー、スーチョウ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルブ-ビックネル、ルディ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルランバン、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】パールマン、モルデハイ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127GG05
4C127GG10
4C127GG15
4C127HH13
4C127LL08
(57)【要約】
本開示の少なくともいくつかの実施形態は心臓情報を処理する方法を対象とする。方法は、活性化波形データのセットを含む活性化波形を受信するステップと、ウィンドウサイズの範囲を受信するステップとを含む。複数のウィンドウサイズの各々について、方法は、中央ウィンドウの位置を選択するステップと、後方相関のセットを計算するステップと、前方相関のセットを計算するステップと、後方相関のセットに基づいて後方信頼値を決定するステップと、前方相関のセットに基づいて前方信頼値を決定するステップとを更に含む。また、方法は、信頼値のセットを比較して、指定信頼値と、指定信頼値に対応する選択ウィンドウサイズとを選択するステップと、選択ウィンドウサイズに基づいて局所サイクル長を決定するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓情報を処理する方法であって、
活性化波形データのセットを含む活性化波形を受信すること、
ウィンドウサイズの範囲を含むウィンドウパラメータのセットを受信すること、
ウィンドウサイズに各々対応する信頼値のセットを、前記ウィンドウサイズの範囲内における複数のウィンドウサイズを通じて反復することにより決定すること、
前記複数のウィンドウサイズの各々について、
前記複数のウィンドウサイズの各々を有する中央ウィンドウの位置を選択すること、
後方相関のセットを計算することであって、各後方相関のセットが、前記中央ウィンドウ内の前記活性化波形と、前記中央ウィンドウを後方にシフトした後方シフトウィンドウ内の前記活性化波形との相関である、前記後方相関のセットを計算すること、
前方相関のセットを計算することであって、各前方相関のセットが、前記中央ウィンドウ内の前記活性化波形と、前記中央ウィンドウを前方にシフトした前方シフトウィンドウ内の前記活性化波形との相関である、前記前方相関のセットを計算すること、
前記後方相関のセットに基づいて後方信頼値を決定することであって、前記信頼値のセットが前記後方信頼値を含む、前記後方信頼値を決定すること、および
前記前方相関のセットに基づいて前方信頼値を決定することであって、前記信頼値のセットが前記前方信頼値を含む、前記前方信頼値を決定すること、
前記信頼値のセットを比較して、指定信頼値と、前記指定信頼値に対応する選択ウィンドウサイズとを選択すること、および
前記選択ウィンドウサイズに基づいて局所サイクル長を決定すること、
を備える、心臓情報を処理する方法。
【請求項2】
前記ウィンドウパラメータのセットがウィンドウ増分を含み、前記複数のウィンドウサイズが第1のウィンドウサイズ及び第2のウィンドウサイズを含み、前記第2のウィンドウサイズが前記ウィンドウ増分だけ前記第1のウィンドウサイズよりも大きい、請求項1に記載の心臓情報を処理する方法。
【請求項3】
前記後方シフトウィンドウは、前記中央ウィンドウのサイズだけ前記中央ウィンドウを後方にシフトしたものである、請求項1又は2に記載の心臓情報を処理する方法。
【請求項4】
前記前方シフトウィンドウは、前記中央ウィンドウのサイズだけ前記中央ウィンドウを前方にシフトしたものである、請求項3に記載の心臓情報を処理する方法。
【請求項5】
前記活性化波形が複数のチャネルから収集されたデータに関連付けられ、前記活性化波形が複数のチャネル活性化波形を含み、前記複数のチャネル活性化波形の各々が前記複数のチャネルのうちの1つの活性化波形データを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の心臓情報を処理する方法。
【請求項6】
前記ウィンドウサイズに対する後方相関のセットが複数のチャネル後方相関を含み、前記ウィンドウサイズに対する前方相関のセットが複数のチャネル前方相関を含み、
前記方法が、
前記複数のウィンドウサイズの各々について、
前記チャネル活性化波形に対応する各チャネルに対し、
前記複数のチャネル後方相関のうちの1つを、前記中央ウィンドウ内の前記チャネル活性化波形と前記後方シフトウィンドウ内の前記チャネル活性化波形との相関として計算すること、
前記複数のチャネル前方相関のうちの1つを、前記中央ウィンドウ内の前記チャネル活性化波形と前記前方シフトウィンドウ内の前記チャネル活性化波形との相関として計算すること、
を更に備える、請求項5に記載の心臓情報を処理する方法。
【請求項7】
前記信頼値のセットが後方信頼値のセット及び前方信頼値のセットを含み、各後方信頼値のセットはウィンドウサイズに対して決定された後方信頼値であり、各前方信頼値のセットはウィンドウサイズに対して決定された前方信頼値である、請求項1~6のいずれか一項に記載の心臓情報を処理する方法。
【請求項8】
前記後方信頼値のセットを比較して、指定後方信頼値と、前記指定後方信頼値に対応する選択後方ウィンドウサイズとを選択すること、
前記前方信頼値のセットを比較して、指定前方信頼値と、前記指定前方信頼値に対応する選択前方ウィンドウサイズとを選択すること、および
前記選択後方ウィンドウサイズと前記選択前方ウィンドウサイズとに基づいて前記局所サイクル長を決定すること、
を更に備える請求項7に記載の心臓情報を処理する方法。
【請求項9】
前記信頼値のセットが後方-前方信頼値のセットを更に含み、
前記方法が、
前記複数のウィンドウサイズの各々について、
前記後方シフトウィンドウ内の前記活性化波形と前記前方シフトウィンドウ内の前記活性化波形との後方-前方相関を計算すること、および
前記後方-前方相関に基づいて前記後方-前方信頼値のセットのうちの1つを決定すること、および
前記信頼値のセットに基づいてセクション信頼値を決定すること、
を更に備える、請求項7に記載の心臓情報を処理する方法。
【請求項10】
前記ウィンドウパラメータのセットがジッタ間隔及びジッタ範囲を含み、
前記方法が、
前記複数のウィンドウサイズの各々について、
前記チャネル活性化波形に対応する各チャネルに対し、
前記複数のチャネル後方相関のうちの1つを、前記中央ウィンドウ内の前記チャネル活性化波形と、前記ジッタ範囲内の後方ジッタを前記後方シフトウィンドウに適用した後方シフトジッタウィンドウ内の前記チャネル活性化波形との相関として計算すること、および
前記複数のチャネル前方相関のうちの1つを、前記中央ウィンドウ内の前記チャネル活性化波形と、前記ジッタ範囲内の前方ジッタを前記前方シフトウィンドウに適用した前方シフトジッタウィンドウ内の前記チャネル活性化波形との相関として計算すること、
を更に備える、請求項5に記載の心臓情報を処理する方法。
【請求項11】
前記複数のウィンドウサイズの各々について、
前記複数のチャネルの各々に対し、
前記複数のチャネル後方相関を比較すること、
指定チャネル後方ジッタ値に対応する指定チャネル後方相関を選択すること、
前記複数のチャネル前方相関を比較すること、および
指定チャネル前方ジッタ値に対応する指定チャネル前方相関を選択すること、
を更に備え、
前記後方信頼値が、前記複数のチャネルの各々についての前記指定チャネル後方相関に基づいて決定され、
前記前方信頼値が、前記複数のチャネルの各々についての前記指定チャネル前方相関に基づいて決定される、請求項10に記載の心臓情報を処理する方法。
【請求項12】
前記信頼値のセットが後方信頼値のセット及び前方信頼値のセットを含み、各後方信頼値のセットはウィンドウサイズに対して計算された後方信頼値であり、各前方信頼値のセットはウィンドウサイズに対して計算された前方信頼値であり、
前記方法が、
前記後方信頼値のセットを比較して、指定後方信頼値と、前記指定後方信頼値に対応する選択後方ウィンドウサイズとを選択すること、
前記前方信頼値のセットを比較して、指定前方信頼値と、前記指定前方信頼値に対応する選択前方ウィンドウサイズとを選択すること、
前記複数のウィンドウサイズの各々についての前記指定チャネル後方ジッタ値に基づいて全体的な後方ジッタ値を決定すること、
前記複数のウィンドウサイズの各々についての前記指定チャネル前方ジッタ値に基づいて全体的な前方ジッタ値を決定すること、および
前記選択後方ウィンドウサイズと前記選択前方ウィンドウサイズと前記全体的な後方ジッタ値と前記全体的な前方ジッタ値とに基づいて前記局所サイクル長を決定すること、
を更に備える、請求項11に記載の心臓情報を処理する方法。
【請求項13】
心臓情報を処理するシステムであって、
活性化波形データのセットを含む活性化波形を受信し、
ウィンドウサイズの範囲を含むウィンドウパラメータのセットを受信し、
ウィンドウサイズに各々対応する信頼値のセットを、前記ウィンドウサイズの範囲内における複数のウィンドウサイズを通じて反復することにより決定し、
前記複数のウィンドウサイズの各々について、
前記複数のウィンドウサイズの各々を有する中央ウィンドウの位置を選択し、
後方相関のセットを計算することであって、各後方相関のセットが、前記中央ウィンドウ内の前記活性化波形と、前記中央ウィンドウを後方にシフトした後方シフトウィンドウ内の前記活性化波形との相関である、前記後方相関のセットを計算し、
前方相関のセットを計算することであって、各前方相関のセットが、前記中央ウィンドウ内の前記活性化波形と、前記中央ウィンドウを前方にシフトした前方シフトウィンドウ内の前記活性化波形との相関である、前記前方相関のセットを計算し、
前記後方相関のセットに基づいて後方信頼値を決定することであって、前記信頼値のセットが前記後方信頼値を含む、前記後方信頼値を決定し、
前記前方相関のセットに基づいて前方信頼値を決定することであって、前記信頼値のセットが前記前方信頼値を含む、前記前方信頼値を決定し、
前記信頼値のセットを比較して、指定信頼値と、前記指定信頼値に対応する選択ウィンドウサイズとを選択し、
前記選択ウィンドウサイズに基づいて局所サイクル長を決定する
ように構成された処理ユニットを備える、心臓情報を処理するシステム。
【請求項14】
前記ウィンドウパラメータのセットがウィンドウ増分を含み、前記複数のウィンドウサイズが第1のウィンドウサイズ及び第2のウィンドウサイズを含み、前記第2のウィンドウサイズが前記ウィンドウ増分だけ前記第1のウィンドウサイズよりも大きい、請求項13に記載の心臓情報を処理するシステム。
【請求項15】
前記後方シフトウィンドウは、前記中央ウィンドウのサイズだけ前記中央ウィンドウを後方にシフトしたものであり、前記前方シフトウィンドウは、前記中央ウィンドウのサイズだけ前記中央ウィンドウを前方にシフトしたものである、請求項13又は14に記載の心臓情報を処理するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、心臓電気信号及び心臓マッピングを処理するための電気生理学システム及び方法に関する。本願は、2020年9月30日に出願された米国仮特許出願第63/085,649号の優先権を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
上室性不整脈及び心室性不整脈などの様々な心臓状態を治療するために、カテーテルアブレーションなどの低侵襲処置を使用することが、ますますより一般的になってきている。このような処置は、不整脈の発生部位を特定するために、心内膜表面上の様々な位置などにおける(例えば、心臓信号に基づく)心臓内の電気的活動のマッピング(「心臓マッピング」)を伴い、その後、その部位の標的アブレーションが行われる。このような心臓マッピングを実行するために、1つ以上の電極を有するカテーテルを患者の心腔内に挿入することができる。
【0003】
従来の3次元(3D)マッピング技術は、接触マッピング、非接触マッピング、及び接触マッピングと非接触マッピングの組み合わせを含む。接触マッピング及び非接触マッピングの両方において、1つ以上のカテーテルが心臓の中に進められる。いくつかのカテーテルでは、心腔内に入ると、カテーテルは、3D形状をとるように展開することができる。接触マッピングにおいて、心臓の電気的活動から生じる生理学的信号は、先端が特定の心腔の心内膜表面と安定かつ定常的に接触していることを判定した後に、カテーテル遠位先端に位置する1つ以上の電極を用いて取得される。非接触ベースのマッピングシステムでは、非接触電極によって検出された信号と、心腔の解剖学的構造及び相対的な電極位置に関する情報とを使用して、システムは、心腔の心内膜に関する生理学的情報を提供する。位置及び電気的活動は、通常、心臓の電気解剖学的描写を構築するために、心臓の内面上の約50~200個の点で点ごとに順次測定される。次に、生成されたマップは、心臓の電気的活動の伝搬を変化させ、正常な心調律を回復させるために、例えば組織アブレーションなどの治療方針を決定するための基礎として機能することができる。
【0004】
多くの従来のマッピングシステムでは、臨床医は、捕捉された電位図(electrograms:EGM)を視覚的に点検又は検査し、これは、検査時間及び費用を増加させる。しかしながら、自動電気解剖学的マッピングプロセス中に、約6,000~20,000個の心内電位図(EGM)が捕捉される場合があり、これは、それ自体が診断評価、EGM分類、及び/又は同様のもののために臨床医(例えば、医師)によって完全に手動で検査されるのに適さない。典型的には、マッピングシステムは、各EGMからスカラー値を抽出して、電圧、活性化、又は他のマップタイプを構築し、心臓内の活動の全体的なパターンを描写する。マップは捕捉されたEGMを検査する必要性を低減するが、マップはまた、EGM内のしばしば複雑かつ有用な情報を凝縮する。更に、マップは、電気的アーチファクト又は活性化時間などの特徴の不適切な選択に起因して誤解を招く可能性がある。加えて、従来技術の複雑な性質のために、心臓マップは、正確かつ効率的な解釈に適していないことが多い。
【発明の概要】
【0005】
複数の実施例に記載されるように、実施例1は心臓情報を処理する方法である。当該方法は、活性化波形データのセットを含む活性化波形を受信するステップと、ウィンドウサイズの範囲を含むウィンドウパラメータのセットを受信するステップと、ウィンドウサイズに各々対応する信頼値のセットを、前記ウィンドウサイズの範囲内における複数のウィンドウサイズを通じて反復することにより決定するステップとを含む。前記複数のウィンドウサイズの各々について、当該方法は、前記複数のウィンドウサイズの各々を有する中央ウィンドウの位置を選択するステップと、後方相関のセットを計算することであって、各後方相関のセットが前記中央ウィンドウ内の前記活性化波形と後方シフトウィンドウ内の前記活性化波形との相関であり、前記後方シフトウィンドウが、前記中央ウィンドウを後方にシフトしたものである、前記後方相関のセットを計算するステップと、前方相関のセットを計算することであって、各前方相関のセットが前記中央ウィンドウ内の前記活性化波形と前方シフトウィンドウ内の前記活性化波形との相関であり、前記前方シフトウィンドウが、前記中央ウィンドウを前方にシフトしたものである、前記前方相関のセットを計算するステップと、前記後方相関のセットに基づいて後方信頼値を決定することであって、前記信頼値のセットが前記後方信頼値を含む、前記後方信頼値を決定するステップと、前記前方相関のセットに基づいて前方信頼値を決定することであって、前記信頼値のセットが前記前方信頼値を含む、前記前方信頼値を決定するステップと、を更に含む。加えて、当該方法は、前記信頼値のセットを比較して、指定信頼値と、前記指定信頼値に対応する選択ウィンドウサイズとを選択するステップと、前記選択ウィンドウサイズに基づいて局所サイクル長を決定するステップと、を含む。
【0006】
実施例2は、前記ウィンドウパラメータのセットがウィンドウ増分を含み、前記複数のウィンドウサイズが第1のウィンドウサイズ及び第2のウィンドウサイズを含み、前記第2のウィンドウサイズが前記ウィンドウ増分だけ前記第1のウィンドウサイズよりも大きい、実施例1に記載の方法である。
【0007】
実施例3は、前記後方シフトウィンドウが、前記中央ウィンドウのサイズだけ前記中央ウィンドウを後方にシフトしたものである、実施例1又は2に記載の方法である。
実施例4は、前記前方シフトウィンドウが、前記中央ウィンドウのサイズだけ前記中央ウィンドウを前方にシフトしたものである、実施例3に記載の方法である。
【0008】
実施例5は、前記活性化波形が複数のチャネルから収集されたデータに関連付けられ、前記活性化波形が複数のチャネル活性化波形を含み、前記複数のチャネル活性化波形の各々が前記複数のチャネルのうちの1つの活性化波形データを含む、実施例1~4のいずれか一つに記載の方法である。
【0009】
実施例6は、前記ウィンドウサイズに対する後方相関のセットが複数のチャネル後方相関を含み、前記ウィンドウサイズに対する前方相関のセットが複数のチャネル前方相関を含み、当該方法が、前記複数のウィンドウサイズの各々について、前記チャネル活性化波形に対応する各チャネルに対し、前記複数のチャネル後方相関のうちの1つを、前記中央ウィンドウ内の前記チャネル活性化波形と前記後方シフトウィンドウ内の前記チャネル活性化波形との相関として計算することと、前記複数のチャネル前方相関のうちの1つを、前記中央ウィンドウ内の前記チャネル活性化波形と前記前方シフトウィンドウ内の前記チャネル活性化波形との相関として計算することとを更に含む、実施例5に記載の方法である。
【0010】
実施例7は、前記信頼値のセットが後方信頼値のセット及び前方信頼値のセットを含み、各後方信頼値のセットが、ウィンドウサイズに対して決定された後方信頼値であり、各前方信頼値のセットが、ウィンドウサイズに対して決定された前方信頼値である、実施例1~6のいずれか一つに記載の方法である。
【0011】
実施例8は、前記後方信頼値のセットを比較して、指定後方信頼値と、前記指定後方信頼値に対応する選択後方ウィンドウサイズとを選択することと、前記前方信頼値のセットを比較して、指定前方信頼値と、前記指定前方信頼値に対応する選択前方ウィンドウサイズとを選択することと、前記選択後方ウィンドウサイズと前記選択前方ウィンドウサイズとに基づいて前記局所サイクル長を決定することとを更に含む実施例7に記載の方法である。
【0012】
実施例9は、前記信頼値のセットが後方-前方信頼値のセットを更に含み、当該方法が、前記複数のウィンドウサイズの各々について、前記後方シフトウィンドウ内の前記活性化波形と前記前方シフトウィンドウ内の前記活性化波形との後方-前方相関を計算することと、前記後方-前方相関に基づいて前記後方-前方信頼値のセットのうちの1つを決定することと、前記信頼値のセットに基づいてセクション信頼値を決定することとを更に含む、実施例7に記載の方法である。
【0013】
実施例10は、前記ウィンドウパラメータのセットがジッタ間隔及びジッタ範囲を含み、当該方法が、前記複数のウィンドウサイズの各々について、前記チャネル活性化波形に対応する各チャネルに対し、前記複数のチャネル後方相関のうちの1つを、前記中央ウィンドウ内の前記チャネル活性化波形と、前記ジッタ範囲内の後方ジッタを前記後方シフトウィンドウに適用した後方シフトジッタウィンドウ内の前記チャネル活性化波形との相関として計算することと、前記複数のチャネル前方相関のうちの1つを、前記中央ウィンドウ内の前記チャネル活性化波形と、前記ジッタ範囲内の前方ジッタを前記前方シフトウィンドウに適用した前方シフトジッタウィンドウ内の前記チャネル活性化波形との相関として計算することと、を更に含む、実施例5に記載の方法である。
【0014】
実施例11は、前記複数のウィンドウサイズの各々について、前記複数のチャネルの各々に対し、前記複数のチャネル後方相関を比較することと、指定チャネル後方ジッタ値に対応する指定チャネル後方相関を選択することと、前記複数のチャネル前方相関を比較することと、指定チャネル前方ジッタ値に対応する指定チャネル前方相関を選択することと、を更に含み、前記後方信頼値が、前記複数のチャネルの各々についての前記指定チャネル後方相関に基づいて決定され、前記前方信頼値が、前記複数のチャネルの各々についての前記指定チャネル前方相関に基づいて決定される、実施例10に記載の方法である。
【0015】
実施例12は、前記信頼値のセットが後方信頼値のセット及び前方信頼値のセットを含み、各後方信頼値のセットが、ウィンドウサイズに対して計算された後方信頼値であり、各前方信頼値のセットが、ウィンドウサイズに対して計算された前方信頼値であり、当該方法が、前記後方信頼値のセットを比較して、指定後方信頼値と、前記指定後方信頼値に対応する選択後方ウィンドウサイズとを選択するステップと、前記前方信頼値のセットを比較して、指定前方信頼値と、前記指定前方信頼値に対応する選択された前方ウィンドウサイズとを選択するステップと、前記複数のウィンドウサイズの各々についての前記指定チャネル後方ジッタ値に基づいて全体的な後方ジッタ値を決定するステップと、前記複数のウィンドウサイズの各々についての前記指定チャネル前方ジッタ値に基づいて全体的な前方ジッタ値を決定するステップと、前記選択後方ウィンドウサイズと前記選択前方ウィンドウサイズと前記全体的な後方ジッタ値と前記全体的な前方ジッタ値とに基づいて前記局所サイクル長を決定するステップと、を更に含む、実施例11に記載の方法である。
【0016】
実施例13は、心臓情報を処理するシステムである。当該システムは、活性化波形データのセットを含む活性化波形を受信し、ウィンドウサイズの範囲を含むウィンドウパラメータのセットを受信し、ウィンドウサイズに各々対応する信頼値のセットを、前記ウィンドウサイズの範囲内における複数のウィンドウサイズを通じて反復することにより決定するように構成された処理ユニットを含む。前記処理ユニットは、前記複数のウィンドウサイズの各々について、前記複数のウィンドウサイズの各々を有する中央ウィンドウの位置を選択し、後方相関のセットを計算することであって、各後方相関のセットが、前記中央ウィンドウ内の前記活性化波形と、前記中央ウィンドウを後方にシフトした後方シフトウィンドウ内の前記活性化波形との相関である、前記後方相関のセットを計算し、前方相関のセットを計算することであって、各前方相関のセットが、前記中央ウィンドウ内の前記活性化波形と、前記中央ウィンドウを前方にシフトした前方シフトウィンドウ内の前記活性化波形との相関である、前記前方相関のセットを計算し、前記後方相関のセットに基づいて後方信頼値を決定することであって、前記信頼値のセットが前記後方信頼値を含む、前記後方信頼値を決定し、前記前方相関のセットに基づいて前方信頼値を決定することであって、前記信頼値のセットが前記前方信頼値を含む、前記前方信頼値を決定するように更に構成されている。前記処理ユニットは、前記信頼値のセットを比較して、指定信頼値と、前記指定信頼値に対応する選択ウィンドウサイズとを選択し、前記選択ウィンドウサイズに基づいて局所サイクル長を決定するように更に構成されている。
【0017】
実施例14は、前記ウィンドウパラメータのセットがウィンドウ増分を含み、前記複数のウィンドウサイズが第1のウィンドウサイズ及び第2のウィンドウサイズを含み、前記第2のウィンドウサイズが前記ウィンドウ増分だけ前記第1のウィンドウサイズよりも大きい、実施例13に記載のシステムである。
【0018】
実施例15は、前記後方シフトウィンドウが、前記中央ウィンドウのサイズだけ前記中央ウィンドウを後方にシフトしたものであり、前記前方シフトウィンドウが、前記中央ウィンドウのサイズだけ前記中央ウィンドウを前方にシフトしたものである、実施例13又は14に記載のシステムである。
【0019】
実施例16は、心臓情報を処理する方法である。当該方法は、活性化波形データのセットを含む活性化波形を受信するステップと、ウィンドウサイズの範囲を含むウィンドウパラメータのセットを受信するステップと、ウィンドウサイズに各々対応する信頼値のセットを、前記ウィンドウサイズの範囲内における複数のウィンドウサイズを通じて反復することにより決定するステップとを含む。前記複数のウィンドウサイズの各々について、当該方法は、前記複数のウィンドウサイズの各々を有する中央ウィンドウの位置を選択するステップと、後方相関のセットを計算することであって、各後方相関のセットが、前記中央ウィンドウ内の前記活性化波形と、前記中央ウィンドウを後方にシフトした後方シフトウィンドウ内の前記活性化波形との相関である、前記後方相関のセットを計算するステップと、前方相関のセットを計算することであって、各前方相関のセットが、前記中央ウィンドウ内の前記活性化波形と、前記中央ウィンドウを前方にシフトした前方シフトウィンドウ内の前記活性化波形との相関である、前記前方相関のセットを計算するステップと、前記後方相関のセットに基づいて後方信頼値を決定することであって、前記信頼値のセットが前記後方信頼値を含む、前記後方信頼値を決定するステップと、前記前方相関のセットに基づいて前方信頼値を決定することであって、前記信頼値のセットが前記前方信頼値を含む、前記前方信頼値を決定するステップと、を更に含む。加えて、当該方法は、前記信頼値のセットを比較して、指定信頼値と、前記指定信頼値に対応する選択ウィンドウサイズとを選択するステップと、前記選択ウィンドウサイズに基づいて局所サイクル長を決定するステップとを含む。
【0020】
実施例17は、前記ウィンドウパラメータのセットがウィンドウ増分を含み、前記複数のウィンドウサイズが第1のウィンドウサイズ及び第2のウィンドウサイズを含み、前記第2のウィンドウサイズが前記ウィンドウ増分だけ前記第1のウィンドウサイズよりも大きい、実施例16に記載の方法である。
【0021】
実施例18は、前記後方シフトウィンドウが、前記中央ウィンドウのサイズだけ前記中央ウィンドウを後方にシフトしたものである、実施例16に記載の方法である。
実施例19は、前記前方シフトウィンドウが、前記中央ウィンドウのサイズだけ前記中央ウィンドウを前方にシフトしたものである、実施例18に記載の方法である。
【0022】
実施例20は、前記指定信頼値が前記信頼値のセットの最大値である、実施例16に記載の方法である。
実施例21は、前記活性化波形が複数のチャネルから収集されたデータに関連付けられ、前記活性化波形が複数のチャネル活性化波形を含み、前記複数のチャネル活性化波形の各々が前記複数のチャネルのうちの1つの活性化波形データを含む、実施例16に記載の方法である。
【0023】
実施例22は、前記ウィンドウサイズに対する後方相関のセットが複数のチャネル後方相関を含み、前記ウィンドウサイズに対する前方相関のセットが複数のチャネル前方相関を含み、当該方法が、前記複数のウィンドウサイズの各々について、前記チャネル活性化波形に対応する各チャネルに対し、前記複数のチャネル後方相関のうちの1つを、前記中央ウィンドウ内の前記チャネル活性化波形と前記後方シフトウィンドウ内の前記チャネル活性化波形との相関として計算することと、前記複数のチャネル前方相関のうちの1つを、前記中央ウィンドウ内の前記チャネル活性化波形と前記前方シフトウィンドウ内のチャネル活性化波形との相関として計算することとを更に含む、実施例21に記載の方法である。
【0024】
実施例23は、前記信頼値のセットが後方信頼値のセット及び前方信頼値のセットを含み、各後方信頼値のセットが、ウィンドウサイズに対して決定された後方信頼値であり、各前方信頼値のセットが、ウィンドウサイズに対して決定された前方信頼値である、実施例16に記載の方法である。
【0025】
実施例24は、前記後方信頼値のセットを比較して、指定後方信頼値と、前記指定後方信頼値に対応する選択後方ウィンドウサイズとを選択することと、前記前方信頼値のセットを比較して、指定前方信頼値と、前記指定前方信頼値に対応する選択前方ウィンドウサイズとを選択することと、前記選択後方ウィンドウサイズと前記選択前方ウィンドウサイズとに基づいて前記局所サイクル長を決定することとを更に含む、実施例23に記載の方法である。
【0026】
実施例25は、前記信頼値のセットが後方-前方信頼値のセットを含み、当該方法が、前記複数のウィンドウサイズの各々について、前記後方シフトウィンドウ内の前記活性化波形と前記前方シフトウィンドウ内の前記活性化波形との後方-前方相関を計算することと、前記後方-前方相関に基づいて前記後方-前方信頼値のセットのうちの1つを決定することとを更に含み、当該方法が、前記信頼値のセットに基づいてセクション信頼値を決定することを更に含む、実施例23に記載の方法である。
【0027】
実施例26は、前記ウィンドウパラメータのセットがジッタ間隔及びジッタ範囲を含み、当該方法が、前記複数のウィンドウサイズの各々について、前記チャネル活性化波形に対応する各チャネルに対し、前記複数のチャネル後方相関のうちの1つを、前記中央ウィンドウ内の前記チャネル活性化波形と、前記ジッタ範囲内の後方ジッタを前記後方シフトウィンドウに適用した後方シフトジッタウィンドウ内の前記チャネル活性化波形との相関として計算することと、前記複数のチャネル前方相関のうちの1つを、前記中央ウィンドウ内の前記チャネル活性化波形と、前記ジッタ範囲内の前方ジッタを前記前方シフトウィンドウに適用した前方シフトジッタウィンドウ内の前記チャネル活性化波形との相関として計算することと、を更に含む、実施例21に記載の方法である。
【0028】
実施例27は、前記複数のウィンドウサイズの各々について、前記複数のチャネルの各々に対し、前記複数のチャネル後方相関を比較することと、指定チャネル後方ジッタ値に対応する指定チャネル後方相関を選択することと、前記複数のチャネル前方相関を比較することと、指定チャネル前方ジッタ値に対応する指定チャネル前方相関を選択することと、を更に含み、前記後方信頼値が、前記複数のチャネルの各々についての前記指定チャネル後方相関に基づいて決定され、前記前方信頼値が、前記複数のチャネルの各々についての前記指定チャネル前方相関に基づいて決定される、実施例26に記載の方法である。
【0029】
実施例28は、前記信頼値のセットが後方信頼値のセット及び前方信頼値のセットを含み、各後方信頼値のセットが、ウィンドウサイズに対して計算された後方信頼値であり、各前方信頼値のセットが、ウィンドウサイズに対して計算された前方信頼値であり、前記後方信頼値のセットを比較して、指定後方信頼値と、前記指定後方信頼値に対応する選択後方ウィンドウサイズとを選択することと、前記前方信頼値のセットを比較して、指定前方信頼値と、前記指定前方信頼値に対応する選択前方ウィンドウサイズとを選択することと、前記複数のウィンドウサイズの各々についての前記指定チャネル後方ジッタ値に基づいて全体的な後方ジッタ値を決定することと、前記複数のウィンドウサイズの各々についての前記指定チャネル前方ジッタ値に基づいて全体的な前方ジッタ値を決定することと、前記選択後方ウィンドウサイズと前記選択前方ウィンドウサイズと前記全体的な後方ジッタ値と前記全体的な前方ジッタ値とに基づいて前記局所サイクル長を決定することと、を更に含む実施例27に記載の方法である。
【0030】
実施例29は、各ウィンドウサイズについて、前記中央ウィンドウ内の前記活性化波形の振幅に基づいて中央重み係数を決定することを更に含み、前記後方信頼値が前記中央重み係数に基づいて決定され、前記前方信頼値が前記中央重み係数に基づいて決定される、実施例16に記載の方法である。
【0031】
実施例30は、心臓情報を処理するシステムである。当該システムは、活性化波形データのセットを含む活性化波形を受信し、ウィンドウサイズの範囲を含むウィンドウパラメータのセットを受信し、ウィンドウサイズに各々対応する信頼値のセットを、前記ウィンドウサイズの範囲内における複数のウィンドウサイズを通じて反復することにより決定するように構成された処理ユニットを含む。前記処理ユニットは、前記複数のウィンドウサイズの各々について、前記複数のウィンドウサイズの各々を有する中央ウィンドウの位置を選択し、後方相関のセットを計算することであって、各後方相関のセットが、前記中央ウィンドウ内の前記活性化波形と、前記中央ウィンドウを後方にシフトした後方シフトウィンドウ内の前記活性化波形との相関である、前記後方相関のセットを計算し、前方相関のセットを計算することであって、各前方相関のセットが、前記中央ウィンドウ内の前記活性化波形と、前記中央ウィンドウを前方にシフトした前方シフトウィンドウ内の前記活性化波形との相関である、前記前方相関のセットを計算し、前記後方相関のセットに基づいて後方信頼値を決定することであって、前記信頼値のセットが前記後方信頼値を含む、前記後方信頼値を決定し、前記前方相関のセットに基づいて前方信頼値を決定することであって、前記信頼値のセットが前記前方信頼値を含む、前記前方信頼値を決定するように更に構成されている。前記処理ユニットは、前記信頼値のセットを比較して、指定信頼値と、前記指定信頼値に対応する選択ウィンドウサイズとを選択し、前記選択ウィンドウサイズに基づいて局所サイクル長を決定するように更に構成されている。
【0032】
実施例31は、前記ウィンドウパラメータのセットがウィンドウ増分を含み、前記複数のウィンドウサイズが第1のウィンドウサイズ及び第2のウィンドウサイズを含み、前記第2のウィンドウサイズが前記ウィンドウ増分だけ前記第1のウィンドウサイズよりも大きい、実施例30に記載のシステムである。
【0033】
実施例32は、前記後方シフトウィンドウが、前記中央ウィンドウのサイズだけ前記中央ウィンドウを後方にシフトしたものであり、前記前方シフトウィンドウが、前記中央ウィンドウのサイズだけ前記中央ウィンドウを前方にシフトしたものである、実施例30に記載のシステムである。
【0034】
実施例33は、前記活性化波形が複数のチャネルから収集されたデータに関連付けられ、前記活性化波形が複数のチャネル活性化波形を含み、前記複数のチャネル活性化波形の各々が前記複数のチャネルのうちの1つの活性化波形データを含む、実施例30に記載のシステムである。
【0035】
実施例34は、前記ウィンドウサイズに対する後方相関のセットが複数のチャネル後方相関を含み、前記ウィンドウサイズに対する前方相関のセットが複数のチャネル前方相関を含み、当該方法が、前記複数のウィンドウサイズの各々について、前記チャネル活性化波形に対応する各チャネルに対し、前記複数のチャネル後方相関のうちの1つを、前記中央ウィンドウ内の前記チャネル活性化波形と前記後方シフトウィンドウ内の前記チャネル活性化波形との相関として計算することと、前記複数のチャネル前方相関のうちの1つを、前記中央ウィンドウ内の前記チャネル活性化波形と前記前方シフトウィンドウ内の前記チャネル活性化波形との相関として計算することとを更に含む、実施例33に記載のシステムである。
【0036】
実施例35は、前記ウィンドウパラメータのセットがジッタ間隔及びジッタ範囲を含み、当該方法が、前記複数のウィンドウサイズの各々について、前記チャネル活性化波形に対応する各チャネルに対し、前記複数のチャネル後方相関のうちの1つを、前記中央ウィンドウ内の前記チャネル活性化波形と、前記ジッタ範囲内の後方ジッタを前記後方シフトウィンドウに適用した後方シフトジッタウィンドウ内の前記チャネル活性化波形との相関として計算することと、前記複数のチャネル前方相関のうちの1つを、前記中央ウィンドウ内の前記チャネル活性化波形と、前記ジッタ範囲内の前方ジッタを前記前方シフトウィンドウに適用した前方シフトジッタウィンドウ内の前記チャネル活性化波形との相関として計算することと、を更に含む、実施例33に記載のシステムである。
【0037】
複数の実施形態が開示されているが、本発明の例示的な実施形態を示して説明する以下の発明を実施するための形態から、本発明の更に他の実施形態が当業者に明らかになる。したがって、図面及び発明を実施するための形態は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。
【0038】
本発明は、様々な修正形態及び代替形態に適用可能であるが、特定の実施形態が図面において例として示されており、以下で詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本発明を記載された特定の実施形態に限定することではない。逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内の全ての修正形態、均等物、及び代替形態を包含することが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な電気生理学システムを示す概念概略図である。
図2】本明細書で開示される主題の実施形態による、電気生理学システムとともに使用するための例示的な処理ユニットを示すブロック図である。
図3】本明細書で開示される主題の実施形態による、心臓マップを生成する例示的なプロセスを示すフロー図である。
図4A】本明細書に開示される主題の実施形態による、電気生理学的情報を処理する例示的な方法を示すフロー図である。
図4B】本明細書に開示される主題の実施形態による、電気生理学的情報を処理する例示的な方法を示すフロー図である。
図4C】本明細書に開示される主題の実施形態による、電気生理学的情報を処理する例示的な方法を示すフロー図である。
図4D】本明細書に開示される主題の実施形態による、電気生理学的情報を処理する例示的な方法を示すフロー図である。
図5A】マッピングカテーテルから受信された電気信号を示す例示的なグラフィカル表現を示す。
図5B】生の心臓電気信号の波形と、心臓電気信号に対応する活性化波形とを示す。
図5C】中央ウィンドウ、後方シフトウィンドウ、及び前方シフトウィンドウの例示的な例を示す。
図5D】中央ウィンドウ、後方シフトウィンドウ、及び前方シフトウィンドウを有する例示的な活性化波形を示す。
図5E】異なるウィンドウサイズの相関値のセットの例示的な例を示す。
図5F】-5msから5msのジッタ範囲を有するウィンドウに対するチャネル相関のセットの1つの例示的な例を示す。
図5G】異なるウィンドウサイズの相関値のセットの別の例示的な例を示す。
図5H】-5msから5msのジッタ範囲を有するウィンドウに対するチャネル相関のセットの別の例示的な例を示す。
図5I】最大波形の例示的な例を示す。
図6】本明細書に開示される主題の実施形態による、電気生理学的情報を処理して、ヒストグラムを生成する例示的な方法を示すフロー図である。
図7A】局所サイクル長ヒストグラムの例示的な例である。
図7B】局所デューティサイクルヒストグラムの例示的な例である。
図7C】信頼値ヒストグラムの例示的な例である。
図7D】心臓マップを用いた局所サイクル長ヒストグラムの表現の例示的な例を示す。
図8A】本開示のいくつかの実施形態による、電気生理学的情報を処理して、電位図特性の表現を生成する例示的な方法を示すフロー図である。
図8B】本開示のいくつかの実施形態による、電位図特性の表現を使用して、心臓マップを精緻化する例示的な方法を示すフロー図である。
図9A】電位図特性指標を有する心臓マップの例示的な例を示す。
図9B】ロービングプローブを有するグラフィカル表現の1つの例示的な例を示す。
図9C】散布図の1つの例示的な例を示す。
図9D】散布図及び1つ以上の心臓マップを有するグラフィカル表現の1つの例示的な例を示す。
図9E】電位図特性のセットのグラフィカル表現の例示的な例を示す。
図9F】活性化波形指標と重ね合わされた心臓マップの例示的な例を示す。
図9G図9Fに示される心臓マップに基づいて再処理された心臓マップの例示的な例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
有形物(例えば、製品、在庫など)及び/又は無形物(例えば、データ、通貨の電子表現、口座、情報、物事の部分(例えば、パーセンテージ、分数)、計算、データモデル、動的システムモデル、アルゴリズム、パラメータなど)の測定値(例えば、寸法、特性、属性、構成要素など)及びその範囲に関してこの用語が本明細書で使用されるとき、「約」及び「およそ」は、述べられた測定値を含み、かつ、述べられた測定値に適度に近いが、測定誤差、測定及び/又は製造装置較正における差異、測定値の読み取り及び/又は設定におけるヒューマンエラー、他の測定値(例えば、他の物事に関連付けられた測定値)を考慮して性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われる調整、特定の実装シナリオ、人、コンピューティングデバイス、及び/又は機械による物事、設定、及び/又は測定値の不正確な調整及び/又は操作、システム公差、制御ループ、機械学習、予測可能な変動(例えば、統計的に有意でない変動、カオス的変動、システム及び/又はモデルの不安定性など)、好み、及び/又は同様のものに起因すると当業者によって理解され、容易に確認されるような適度に小さい量だけ異なり得る任意の測定値も含む、測定値を指すために互換的に使用されることがある。
【0041】
例示的な方法は、1つ以上の図面(例えば、フロー図、通信フローなど)によって表されることがあるが、図面は、本明細書で開示される様々なステップの任意の要件又はそれらの間の特定の順序を暗示するものとして解釈されるべきではない。しかしながら、特定のいくつかの実施形態は、本明細書で明示的に説明されることがあるように、及び/又はステップ自体の性質から理解することができるように、特定のステップ及び/又は特定のステップ間の特定の順序を必要とする場合がある(例えば、いくつかのステップの実行は、前のステップの結果に依存し得る)。加えて、項目(例えば、入力、アルゴリズム、データ値など)の「セット」、「サブセット」、又は「グループ」は、1つ以上の項目を含んでもよく、同様に、項目のサブセット又はサブグループは、1つ以上の項目を含んでもよい。「複数」とは2つ以上を意味する。
【0042】
本明細書で使用される「に基づく」という用語は、限定的であることを意味せず、むしろ、少なくとも「に基づく」に続く用語を入力として使用することによって、決定、識別、予測、計算などが実行されることを示す。例えば、特定の情報に基づいて結果を予測することは、追加的に又は代替的に、同じ決定を別の情報に基づかせることができる。
【0043】
心房細動(atrial fibrillation:AF)の間、冠状静脈洞(coronary sinus:CS)カテーテル上の基準電極を使用する従来の活性化マッピングは、CS上の活性化の無秩序かつ分離した性質に起因して不可能である可能性が高い。これは、多くのAF症例、最も顕著には持続性AFの間の心臓マッピングシステムの有用性を制限する。これは、AF中の心房のいくつかの領域における離散的なサイクル長パターンを有する明確かつ一貫した組織の存在を実証している。局所サイクル長及びデューティサイクルデータパターンが空間的にどのようにクラスタ化するかに関する知識は、AFドライバを見つける際に重要である。場合によっては、所与のサイクル長に対して、デューティサイクルは、観察される異なるパターンの性質、例えば、観察される各サイクル長に関与するAFドライバのタイプ、及びそのドライバをどのように最良に識別/排除することができるかに関する重要な情報を与える。本明細書に記載されるシステム及び方法の実施形態は、固定又は関連付けられた基準電極なしに、あるいは固定又は関連付けられた基準電極によって測定された信号を参照することなく、マッピングカテーテル上で記録された心臓電気信号の、波形特性とも呼ばれる特性(例えば、局所サイクル長、局所デューティサイクル、信頼値など)を決定することを容易にする。本開示による局所サイクル長の決定は、従来の方法を使用して確認することが困難であり得る実際の心房細動サイクル長の診断的推定を臨床医に提供する。実施形態では、局所サイクル長は、固定若しくは関連付けられた基準サイクルを必要とせずに、及び/又は固定若しくは関連付けられた基準電極によって測定された信号を参照することなく決定することができる。心臓電気信号の局所デューティサイクルは、局所サイクル長に基づいて決定することができる。実施形態では、局所デューティサイクルは、固定若しくは関連付けられた基準サイクル長を必要とせずに、及び/又は固定若しくは関連付けられた基準電極によって測定された信号を参照することなく決定することができる。
【0044】
本開示の実施形態は、ノイズ及びアーチファクトを排除しながら、意味のある偏向を見つけることを容易にする。活性化波形(又は注釈波形と呼ばれる)は、活性化波形値のセットであり、例えば、離散的活性化波形値のセット(例えば、活性化波形値のセット、活性化時間注釈のセットなど)、活性化波形曲線を定義する関数などを含むことができる。いくつかの実施形態では、活性化波形の各データ点は、組織活性化のサンプル当たりの「確率」を表す。いくつかの実施形態では、波形特性は、表示されてもよく、活性化伝搬マップに提示するために使用されてもよく、診断を容易にするために使用されてもよく、電気信号の分類を容易にするために使用されてもよく、及び/又は同様のものであってもよい。本明細書に記載される方法の実施形態の態様を実行するために、心臓電気信号は、(例えば、マッピングシステムに関連付けられた)マッピングカテーテルから取得されてもよく、マッピングカテーテルは、電気生理学研究室において典型的に使用される他の機器、例えば、記録システム、冠状静脈洞(CS)カテーテル又は他の基準カテーテル、アブレーションカテーテル、メモリデバイス(例えば、ローカルメモリ、クラウドサーバなど)、通信構成要素、医療デバイス(例えば、埋め込み型医療デバイス、外部医療デバイス、遠隔測定デバイスなど)などと併せて使用されてもよい。
【0045】
本明細書で使用される用語として、感知された心臓電気信号は、1つ以上の感知信号を指すことがある。各心臓電気信号は、患者の心臓内で感知される心内電位図(EGM)を含むことができ、電気生理学システムの態様によって確認することができる任意の数の特徴を含むことができる。心臓電気信号の特徴の例としては、活性化時間、活性化、活性化波形、フィルタリングされた活性化波形、最小電圧値、最大電圧値、電圧の最大負時間導関数、瞬時電位、電圧振幅、優位周波数、ピークツーピーク電圧などが挙げられるが、これらに限定されない。心臓電気信号の特徴は、1つ以上の心臓電気信号から抽出された1つ以上の特徴などを指すことができる。加えて、心臓電気信号の特徴の心臓及び/又は表面マップ上の表現は、1つ以上の心臓電気信号の特徴、いくつかの心臓電気信号の特徴の補間などを表すことができる。
【0046】
各心臓信号はまた、心臓電気信号が感知位置に対応するそれぞれの位置座標のセットに関連付けることができる。感知された心臓信号のそれぞれの位置座標の各々は、3次元デカルト座標、極座標、及び/又は同様のものを含むことができる。場合によっては、他の座標系を使用することができる。いくつかの実施形態では、任意の原点が使用され、それぞれの位置座標は、任意の原点に対する空間内の位置を指す。いくつかの実施形態では、心臓信号は心臓表面上で感知することができるので、それぞれの位置座標は、患者の心臓の心内膜表面上、心外膜表面上、中央心筋内、及び/又はこれらのうちの1つのうちの1つの近傍にあり得る。
【0047】
図1は、電気生理学システム100の例示的な実施形態の概略図を示す。上述したように、本明細書に開示される主題の実施形態は、電気生理学システム(例えば、マッピングシステム、心臓マッピングシステム)に実装されてもよく、他の実施形態は、アブレーションシステム、記録システム、コンピュータ分析システムなどに実装されてもよい。電気生理学システム100は、複数の空間的に分散された電極を有する可動カテーテル110を含む。信号取得段階中、カテーテル110は、カテーテル110が挿入される心腔内の複数の位置に変位される。いくつかの実施形態では、カテーテル110の遠位端には、カテーテル上にいくらか均一に分散された複数の電極が取り付けられている。例えば、電極は、3Dオリーブ形状、バスケット形状などに従ってカテーテル110上に取り付けられてもよい。電極は、心臓内にある間に電極を所望の形状に展開し、かつカテーテルが心臓から除去されるときに電極を引っ込めることができる、デバイス上に取り付けられている。心臓内での3D形状への展開を可能にするために、電極は、バルーン、ニチノールなどの形状記憶材料、作動可能なヒンジ構造などに取り付けられていてもよい。実施形態によれば、カテーテル110は、マッピングカテーテル、アブレーションカテーテル、診断カテーテル、CSカテーテルなどであってもよい。例えば、本明細書に記載されるような、カテーテル110の実施形態の態様、カテーテル110を使用して取得された電気信号、及びその後の電気信号の処理は、記録システム、アブレーションシステム、及び/又は心臓電気信号を取得するように構成することができる電極を備えたカテーテルを有する任意の他のシステムを有する実装形態にも適用可能であり得る。
【0048】
カテーテル110が移動される位置の各々において、カテーテルの複数の電極は、心臓内の電気的活動から生じる信号を取得する。その結果、心臓の電気的活動に関する生理学的データを再構築してユーザ(医師及び/又は技術者など)に提示することは、複数の位置で取得された情報に基づくことができ、それによって、心内膜表面の生理学的挙動のより正確かつ忠実な再構築を提供する。心腔内の複数のカテーテル位置での信号の取得により、カテーテルが「メガカテーテル」として効果的に作用することを可能にし、その電極の有効数及び電極スパンは、信号取得が行われる位置の数とカテーテルが有する電極の数との積に比例する。
【0049】
心内膜表面における再構築された生理学的情報の品質を向上させるために、いくつかの実施形態では、カテーテル110は、心腔内の4つ以上の位置(例えば、5個、10個、又は更には50個より多くの位置)に移動される。更に、カテーテルが移動される空間範囲は、心臓腔の直径の3分の1(1/3)より大きくてもよい(例えば、心臓腔の直径の35%、40%、50%、又は更に60%より大きくてもよい)。加えて、いくつかの実施形態では、再構築された生理学的情報は、心腔内の単一のカテーテル位置において、又はいくつかの位置にわたって、のいずれかで、いくつかの心拍にわたって測定された信号に基づいて計算される。再構築された生理学的情報がいくつかの心拍にわたる複数の測定に基づく状況では、測定が心周期のほぼ同じ位相で実行されるように、測定を互いに同期させることができる。複数の拍動にわたる信号測定は、体表面心電図(electrocardiograms:ECG)及び/又は心内電位図(EGM)などの生理学的データから検出される特徴に基づいて同期されてもよい。
【0050】
電気生理学システム100は、心内膜表面における(例えば、上述したように)及び/又は心腔内の生理学的情報を決定するための再構築手順を含むマッピング手順に関する動作のうちのいくつかを実行する処理ユニット120を更に含む。処理ユニット120は、カテーテル位置合わせ手順を実行することもできる。処理ユニット120はまた、カテーテル110によって捕捉された情報を集約し、かつその情報の一部分の表示を容易にするために使用される、3Dグリッドを生成してもよい。
【0051】
心腔内に挿入されたカテーテル110の位置は、感知及び追跡システムによって確立されるカテーテルの座標系に対するカテーテル及び/又はその複数の電極の3D空間座標を提供する、従来の感知及び追跡システム180を使用して決定することができる。これらの3D空間位置は、3Dグリッドを構築する際に使用することができる。システム100の実施形態は、インピーダンス位置を磁気位置技術と組み合わせるハイブリッド位置技術を使用することができる。この組み合わせにより、システム100が、システム100に接続されたカテーテルを正確に追跡することを可能にすることができる。磁気位置技術は、磁気センサでカテーテルを追跡するために、患者テーブルの下に配置された位置特定発生器によって生成された磁場を使用する。インピーダンス位置技術は、磁気位置センサを備えていない場合があるカテーテルを追跡するために使用することができ、これは、表面ECGパッチと共に使用することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、マッピング手順を実行し、心内膜表面上の生理学的情報を再構築するために、処理ユニット120は、カテーテル110の座標系を心内膜表面の座標系と位置合わせすることができる。処理ユニット120(又はシステム100の何らかの他の処理構成要素)は、カテーテルの位置の3D空間座標を心内膜表面の座標系に関して表現される座標に変換する座標系変換関数を決定することができ、及び/又はその逆も可能である。場合によっては、3Dグリッドのいくつかの実施形態が、接触及び非接触EGMを捕捉し、3Dグリッドのノードに関連付けられた統計的分布に基づいてマッピング値を選択するために使用することができるので、そのような変換は必要でない場合がある。処理ユニット120はまた、生理学的情報に対して後処理動作を実行して、情報の有用な特徴を抽出し、システム100のオペレータ及び/又は他の人(例えば、医師)に表示してもよい。
【0053】
実施形態によれば、カテーテル110の複数の電極によって取得された信号は、例えば信号調整構成要素を含むことができる電気モジュール140を介して処理ユニット120に渡される。電気モジュール140は、カテーテル110から通信された信号を受信し、信号が処理ユニット120に転送される前に、信号に対して信号増強動作を実行する。電気モジュール140は、1つ以上の電極によって測定された心内電位を増幅、フィルタリング、及び/又はサンプリングするために使用することができる信号調整ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアを含んでもよい。心臓内信号は、典型的には60mVの最大振幅を有し、平均は数ミリボルトである。
【0054】
いくつかの実施形態では、信号は、周波数範囲(例えば、0.5~500Hz)を有するバンドパスフィルタによってフィルタリングされ、アナログデジタル変換器(例えば、1kHzで15ビットの分解能を有する)を用いてサンプリングされる。部屋内の電気機器との干渉を回避するために、信号は、電源に対応する周波数(例えば、60Hz)を除去するようにフィルタリングすることができる。スペクトル等化、自動利得制御などの他のタイプの信号処理動作も行うことができる。いくつかの実装形態では、心臓内信号は、基準(仮想基準であってもよい)に対して測定された単極信号であってもよい。そのような実装形態では、基準は、例えば、冠状静脈洞カテーテル又はウィルソン中心端子(Wilson’s Central Terminal:WCT)であってもよく、信号処理動作は、そこから差を計算して、多極信号(例えば、双極信号、三極信号など)を生成することができる。いくつかの他の実装形態では、信号は、多極信号を生成する前及び/又は後に処理(例えば、フィルタリング、サンプリングなど)することができる。結果として生じる処理された信号は、更なる処理のために、電気モジュール140によって処理ユニット120に転送される。
【0055】
図1に更に示されるように、電気生理学システム100はまた、プリンタ150及び/又はディスプレイデバイス170などの周辺デバイスを含んでもよく、その両方は、処理ユニット120に相互接続されていてもよい。加えて、電気生理学システム100は、ボリュメトリック画像、電極によって測定された生データ及び/又はそこから計算された結果として生じる心内膜表現、マッピング手順を迅速化するために使用される部分的に計算された変換、心内膜表面に対応する再構築された生理学的情報などを含む、様々な相互接続されたモジュールによって取得されたデータを記憶するために使用することができる記憶デバイス160を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、処理ユニット120は、1つ以上の人工知能技術(例えば、機械学習モデル、深層学習モデル)、分類器、及び/又は同等物を使用することによって、そのアルゴリズムの精度を自動的に向上させるように構成することができる。いくつかの実施形態では、例えば、処理ユニットは、例えば、サポートベクターマシン(support vector machines:SVM)、k近傍法技術、ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、再帰型ニューラルネットワークなどの1つ以上の教師あり及び/又は教師なし技術を使用してもよい。いくつかの実施形態では、分類器は、ユーザからのフィードバック情報、他のメトリック、及び/又は同等物を使用して、訓練及び/又は適合されてもよい。
【0057】
図1に示す例示的な電気生理学システム100は、本開示の実施形態の使用又は機能の範囲に関していかなる限定も示唆することを意図していない。また、例示的な電気生理学システム100は、その中に示される任意の単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関連する任意の依存性又は要件を有すると解釈されるべきではない。加えて、図1に示される様々な構成要素は、いくつかの実施形態では、そこに示される他の構成要素(及び/又は図示されない構成要素)のうちの様々なものと統合されてもよく、それらの全ては、本明細書に開示される主題の範囲内にあると見なされる。例えば、電気モジュール140は、処理ユニット120と一体化されてもよい。追加的に又は代替的に、電気生理学システム100の実施形態の態様は、メモリデバイス(例えば、クラウドサーバ、マッピングシステムメモリなど)から心臓電気信号及び/又は他の情報を受信し、心臓情報を処理する(例えば、注釈波形などを決定する)ために本明細書に記載の方法の実施形態の態様を実行するように構成されたコンピュータ分析システムに実装されてもよい。すなわち、例えば、コンピュータ分析システムは、処理ユニット120を含むことができるが、マッピングカテーテルは含まない。
【0058】
図2は、本開示の実施形態による、例示的な処理ユニット200のブロック図である。処理ユニット200は、図1に示される処理ユニット120であってもよく、それと同様であってもよく、それを含んでもよく、又はそれに含まれてもよい。図2に示すように、処理ユニット200は、1つ以上のプロセッサ202及び1つ以上のメモリ204を含むコンピューティングデバイス上に実装することができる。処理ユニット200は、本明細書において単数形で言及されるが、処理ユニット200は、複数のインスタンスに(例えば、サーバクラスタとして)実装されてもよく、複数のコンピューティングデバイスにわたって分散されてもよく、複数の仮想マシン内でインスタンス化されてもよく、及び/又は同様のものであってもよい。心臓マッピングを容易にするための1つ以上の構成要素は、メモリ204に記憶することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ202は、1つ以上の構成要素をインスタンス化して、活性化波形、波形分析結果のセット、電位図特性、ヒストグラム、及び心臓マップを生成するように構成することができ、それらのうちの任意の1つ以上は、データリポジトリ206に記憶されてもよい。
【0059】
図2に示すように、処理ユニット200は、マッピングカテーテル(例えば、図1に示すカテーテル110)から電気信号を受信するように構成されたアクセプタ212を含むことができる。測定された電気信号は、患者の心臓内で感知されたいくつかの心内電位図(EGM)を含むことができる。アクセプタ212はまた、電気信号の各々に対応する測定位置の指標を受信することができる。いくつかの実施形態では、アクセプタ212は、受信された電気信号を受け入れるかどうかを決定するように構成することができる。アクセプタ212は、フィルタリング、拍動マッチング、形態分析、位置情報(例えば、カテーテルの動き)、呼吸ゲーティング、及び/又は同等物などの、任意の数の異なる構成要素及び/又は技術を利用して、どの電気信号又は拍動を受け入れるかを決定することができる。受信された電気信号及び/又は処理された電気信号は、データリポジトリ206に記憶することができる。
【0060】
受け入れられた電気信号は、電気信号が抽出すべき注釈特徴を含む場合に、電気信号の各々から少なくとも1つの注釈特徴を抽出するように構成された活性化波形発生器214によって受信される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの注釈特徴は、少なくとも1つの注釈メトリックに対応する少なくとも1つの値を含む。少なくとも1つの特徴は、少なくとも1つのイベントを含むことができ、少なくとも1つのイベントは、少なくとも1つのメトリックに対応する少なくとも1つの値及び/又は少なくとも1つの対応する時間(対応する時間は、各注釈特徴に対して必ずしも存在しない)を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのメトリックは、例えば、活性化時間、最小電圧値、最大電圧値、電圧の最大負時間導関数、瞬時電位、電圧振幅、優位周波数、ピークツーピーク電圧、活性化持続時間などを含んでもよい。いくつかの実施形態では、活性化波形発生器214は、活性化を検出し、活性化波形を生成するように構成することができる。場合によっては、波形発生器214は、例えば、「ANNOTATION WAVEFORM」と題された米国特許出願公開第2018/0296113号に記載されているものを含む、活性化波形の実施形態のうちのいずれか1つを使用することができ、その開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0061】
図2に示すように、処理ユニット200は、活性化波形発生器214によって生成された活性化波形及び受信した心臓電気信号を分析するための波形分析器216を含む。波形分析器216は、心臓電気信号の1つ以上の特性(又は電位図特性と呼ばれる)、例えば、サイクル長、局所サイクル長、デューティサイクル、局所デューティサイクル、及びそれらの関連付けられた信頼値を決定するように構成されている。
【0062】
図2に示すように、処理ユニット200は、波形分析器216からの分析結果(例えば、局所サイクル長、局所デューティサイクル)が含まれるいくつかのビンを有する分析ヒストグラムを生成するように構成されたヒストグラム発生器218を含む。処理ユニット200は、ヒストグラム発生器218を使用して、分析結果の各々をヒストグラムに含めることによって、分析結果のセットを集約するように構成することができる。例えば、ヒストグラム発生器218は、局所サイクル長、局所デューティサイクル、及び信頼レベルのセットをヒストグラムに集約するように構成することができる。加えて、処理ユニット200は、電気信号に基づいて心臓表面に対応するマップの提示を容易にするように構成されたマップエンジン220を含む。いくつかの実施形態では、マップは、電圧マップ、活性化マップ、細分化マップ、速度マップ、信頼マップなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、マップは、心腔内の対応する位置における分析結果(単数又は複数)(例えば、局所サイクル長、局所デューティサイクルなど)の重ね合わされた表現を含んでもよい。
【0063】
図2に示す例示的な処理ユニット200は、本開示の実施形態の使用又は機能の範囲に関していかなる限定も示唆することを意図していない。また、例示的な処理ユニット200は、その中に示される任意の単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関連する任意の依存性又は要件を有すると解釈されるべきではない。加えて、図2に示される構成要素のうちの任意の1つ以上は、いくつかの実施形態では、そこに示される他の構成要素(及び/又は図示されない構成要素)のうちの様々なものと統合されてもよく、それらの全ては、本明細書に開示される主題の範囲内にあると見なされる。例えば、アクセプタ212は、ヒストグラム発生器218及び/又はマッピングエンジン220と統合されてもよい。いくつかの実施形態では、処理ユニット200は、アクセプタ212を含まなくてもよいが、他の実施形態では、アクセプタ212は、メモリデバイス、通信構成要素などから電気信号を受信するように構成することができる。
【0064】
加えて、処理ユニット200は、例えば、「ANNOTATION WAVEFORM」と題された米国特許出願公開第2018/0296113号、「ELECTROANATOMICAL MAPPING」と題された米国特許第8,428,700号、「ELECTROANATOMICAL MAPPING」と題された米国特許第8,948,837号、「CATHETER TRACKING AND ENDOCARDIUM REPRESENTATION GENERATION」と題された米国特許第8,615,287号、「ESTIMATING THE PREVALENCE OF ACTIVATION PATTERNS IN DATA SEGMENTS DURING ELECTROPHYSIOLOGY MAPPING」と題された米国特許出願公開第2015/0065836号、「SYSTEMS AND METHODS FOR GUIDING MOVABLE ELECTRODE ELEMENTS WITHIN MULTIPLE-ELECTRODE STRUCTURE」と題された米国特許第6,070,094号、「CARDIAC MAPPING AND ABLATION SYSTEMS」と題された米国特許第6,233,491号、「SYSTEMS AND PROCESSES FOR REFINING A REGISTERED MAP OF A BODY CAVITY」と題された米国特許第6,735,465号に記載されているものなどの心臓マッピングに関連付けられた任意の数の異なる機能及び/又はプロセス(例えば、トリガ、ブランキング、磁場マッピングなど)を(単独で、及び/又は図1に示されるシステム100の他の構成要素及び/又は図示されない他の構成要素と組み合わせて)実行することができ、これらの開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0065】
実施形態によれば、図1に示す電気生理学システム100及び/又は図2に示す処理ユニット200の様々な構成要素は、1つ以上のコンピューティングデバイス上に実装することができる。コンピューティングデバイスは、本開示の実施形態を実装するのに適した任意のタイプのコンピューティングデバイスを含むことができる。コンピューティングデバイスの例としては、「ワークステーション」、「サーバ」、「ラップトップ」、「デスクトップ」、「タブレットコンピュータ」、「ハンドヘルドデバイス」、「汎用グラフィックス処理ユニット(GPGPU)」などの専用コンピューティングデバイス又は汎用コンピューティングデバイスが挙げられ、これらは全て、システム100及び/又は処理ユニット200の様々な構成要素に関連して図1及び図2の範囲内で企図される。
【0066】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、プロセッサ、メモリ、入力/出力(I/O)ポート、I/O構成要素、及び電源などのデバイスを直接的及び/又は間接的に結合するバスを含む。任意の数の追加の構成要素、異なる構成要素、及び/又は構成要素の組み合わせも、コンピューティングデバイスに含まれてもよい。バスは、1つ以上のバス(例えば、アドレスバス、データバス、又はそれらの組み合わせなど)であり得るものを表す。同様に、いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、いくつかのプロセッサ、いくつかのメモリ構成要素、いくつかのI/Oポート、いくつかのI/O構成要素、及び/又はいくつかの電源を含んでもよい。加えて、任意の数のこれらの構成要素又はそれらの組み合わせを、いくつかのコンピューティングデバイスにわたって分散及び/又は複製することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、メモリ(例えば、図1に示される記憶デバイス160、図2に示されるメモリ204及び/又はデータリポジトリ206)は、揮発性及び/又は不揮発性メモリ、一時的及び/又は非一時的記憶媒体の形態のコンピュータ可読媒体を含み、リムーバブル、非リムーバブル、又はそれらの組み合わせであってもよい。媒体の例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電子的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、光学媒体若しくはホログラフィック媒体、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶デバイス若しくは他の磁気記憶デバイス、データ伝送、及び/又は、例えば量子状態メモリなどの、情報を記憶するために使用することができ、かつコンピューティングデバイスによってアクセスすることができる任意の他の媒体が挙げられる。いくつかの実施形態では、メモリ204及び/又は記憶デバイス160は、プロセッサ(例えば、図1に示される処理ユニット120及び/又は図2に示されるプロセッサ202)に、本明細書で説明するシステム構成要素の実施形態の態様を実装させる、及び/又は本明細書で説明する方法及び手順の実施形態の態様を実行させるコンピュータ実行可能命令を記憶する。
【0068】
コンピュータ実行可能命令は、例えば、コンピューティングデバイスに関連付けられた1つ以上のプロセッサによって実行されることが可能なプログラム構成要素などの、例えば、コンピュータコード、機械使用可能命令などを含むことができる。このようなプログラム構成要素の例としては、アクセプタ212、波形発生器214、波形分析器216、ヒストグラム発生器218、及びマッピングエンジン220が挙げられる。プログラム構成要素は、様々な言語、開発キット、フレームワークなどを含む、任意の数の異なるプログラミング環境を使用してプログラムすることができる。本明細書で企図される機能の一部又は全部は、更に、又は代替的に、ハードウェア及び/又はファームウェアで実装することができる。
【0069】
データリポジトリ206は、以下で説明する構成のうちのいずれか1つを使用して実装することができる。データリポジトリは、ランダムアクセスメモリ、フラットファイル、XMLファイル、及び/又は1つ以上のデータベースサーバ若しくはデータセンタ上で実行される1つ以上のデータベース管理システム(DBMS)を含んでもよい。データベース管理システムは、リレーショナル(RDBMS)、階層(HDBMS)、多次元(MDBMS)、オブジェクト指向(ODBMS又はOODBMS)、又はオブジェクトリレーショナル(ORDBMS)データベース管理システムなどであってもよい。データリポジトリは、例えば、単一のリレーショナルデータベースであってもよい。場合によっては、データリポジトリは、データ統合プロセス又はソフトウェアアプリケーションによってデータを交換及び集約することができる複数のデータベースを含むことができる。例示的な実施形態では、データリポジトリ206の少なくとも一部は、クラウドデータセンタにおいてホストされてもよい。場合によっては、データリポジトリは、単一のコンピュータ、サーバ、記憶デバイス、クラウドサーバ上などでホストされてもよい。いくつかの他の場合には、データリポジトリは、一連のネットワーク化されたコンピュータ、サーバ、又はデバイス上でホストされてもよい。場合によっては、データリポジトリは、ローカル、地域、及び中央を含むデータ記憶デバイスの階層上でホストされてもよい。
【0070】
図3は、本開示の実施形態による、自動化された電気解剖学的マッピングのための例示的なプロセス/方法300のフロー図である。方法300の実施形態の態様は、例えば、処理ユニット(例えば、図1に示される処理ユニット120及び/又は図2に示される処理ユニット200)によって実行することができる。複数の信号を含むデータストリーム302が、最初にシステム(例えば、図1に示す心臓電気生理学システム100)に入力される。自動化された電気解剖学的マッピングプロセスの間、データストリーム302は、マッピングプロセスへの入力として機能する生理学的信号及び非生理学的信号の集合を提供する。信号は、マッピングシステムによって直接収集されてもよく、及び/又はアナログ若しくはデジタルインターフェースを使用して別のシステムから取得されてもよい。データストリーム302は、単極及び/又は双極心内電位図(EGM)、表面心電図(ECG)、様々な方法(磁気、インピーダンス、超音波、リアルタイムMRIなど)のうちの1つ以上から生じる電極位置情報、組織近接情報、様々な方法(力ばね感知、圧電感知、光学感知など)のうちの1つ以上から得られるカテーテル力及び/又は接触情報、カテーテル先端及び/又は組織温度、音響情報、カテーテル電気結合情報、カテーテル展開形状情報、電極特性、呼吸位相、血圧、他の生理学的情報などの信号を含むことができる。
【0071】
特定のタイプのマップの生成のために、1つ以上の信号が、心周期、他の生物学的周期、及び/又は非同期システムクロックに対してデータストリーム302をトリガ及び位置合わせし、拍動データセットをもたらすために、トリガ/位置合わせプロセス304の間に、1つ以上の基準として使用されてもよい。加えて、各入力拍動データセットに対して、拍動メトリック決定プロセス306中に、いくつかの拍動メトリックが計算される。拍動メトリックは、同じ拍動内の複数の信号にわたる単一の信号からの情報、及び/又は複数の拍動にわたる信号からの情報を使用して計算されてもよい。拍動メトリックは、特定の拍動データセットの品質及び/又は拍動データがマップデータセットに含めるのに良好である可能性に関する複数のタイプの情報を提供する。拍動受け入れプロセス308は、基準を集約し、どの拍動データセットがマップデータセット310を構成するかを決定する。マップデータセット310は、データ取得中に動的に生成される3Dグリッドに関連して記憶されてもよい。
【0072】
表面幾何学形状データ318は、表面幾何学形状構築プロセス312を用いて、同一及び/又は異なるトリガ及び/又は拍動受け入れメトリックを使用して、同じデータ取得プロセス中に同時に生成することができる。このプロセスは、データストリームに含まれる電極位置及びカテーテル形状などのデータを使用して表面幾何学形状を構築する。追加的に又は代替的に、以前又は同時に収集された表面幾何学形状316は、表面幾何学形状データ318への入力として使用されてもよい。そのような幾何学形状は、異なるマップデータセットを使用して、及び/又はCT、MRI、超音波、回転血管造影などの異なるモダリティを使用して、同じ手順で以前に収集され、カテーテル位置特定システムに登録されていてもよい。システムは、ソース選択プロセス314を実行して、ソース選択プロセス314において、表面幾何学形状データのソースを選択し、表面マップ生成プロセス320に表面幾何学形状データ318を提供する。表面マップ生成プロセス320は、マップデータセット310及び表面幾何学形状データ318から表面マップデータ322を生成するために使用される。
【0073】
表面幾何学形状構築アルゴリズムは、電気解剖学的マップが表示される解剖学的表面を生成する。表面幾何学形状は、例えば、「Impedance Based Anatomy Generation」と題された米国特許第8,103,338号、及び/又は「Electroanatomical Mapping」と題された米国特許第8,948,837号に記載されているようなシステムの態様を使用して構築することができ、これらの各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。追加的に又は代替的に、解剖学的シェルは、ユーザによって、又は自動的に、のいずれかで心腔の表面上にあるように決定される電極位置上に表面を適合させることによって、処理ユニットによって構築することができる。加えて、表面は、心腔内の最も外側の電極及び/又はカテーテル位置に適合させることができる。
【0074】
説明したように、表面が構築されるマップデータセット310は、電気的マップ及び他のタイプのマップに使用されるものと同一又は異なる拍動受け入れ基準を採用することができる。表面幾何学形状構築のためのマップデータセット310は、電気データと同時に、又は別個に収集することができる。表面幾何学形状は、頂点(点)及びそれらの間の接続性(例えば、三角形)の集合を含むメッシュとして表すことができる。あるいは、表面幾何形状は、高次メッシュ、不均一有理基底スプライン(non-uniform rational basis splines:NURBS)、及び/又は曲線形状などの異なる関数によって表すことができる。
【0075】
生成プロセス320は、表面マップデータ322を生成する。表面マップデータ322は、心臓電気励起、心臓運動、組織近接情報、組織インピーダンス情報、力情報、及び/又は臨床医にとって望ましい任意の他の収集された情報に関する情報を提供することができる。マップデータセット310と表面幾何学形状データ318との組み合わせは、表面マップ生成を可能にする。表面マップは、対象の心腔の表面上の値又は波形(例えば、EGM)の集合であり、マップデータセットは、心臓表面上にないデータを含むことができる。マップデータセット310及び表面幾何学形状データ318を処理して表面マップデータセット322を取得するための1つの手法は、2006年6月13日に出願された「NON-CONTACT CARDIAC MAPPING,INCLUDING MOVING CATHETER AND MULTI-BEAT INTEGRATION」と題された米国特許第7,515,954号に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0076】
代替的に、又は上記の方法と組み合わせて、個々の電極に受け入れ基準を適用するアルゴリズムを使用することができる。例えば、表面幾何学形状から設定距離(例えば、3mm)を超える電極位置は、拒絶することができる。別のアルゴリズムは、表面マップデータに含めるためにインピーダンスを使用して組織近接情報を組み込むことができる。この場合、近接値が3mm未満である電極位置のみが含まれてもよい。基礎となるデータの追加のメトリックも、この目的のために使用することができる。例えば、拍動メトリックに類似したEGM特性は、電極ごとに評価することができる。この場合、遠距離場重複及び/又はEGM一貫性などのメトリックを使用することができる。マップデータセット310から表面に点を投影する及び/又は適切な点を選択する方法の変形形態が存在し得ることが理解され得る。
【0077】
表面マップデータ322は、取得されると、基礎となるデータから所望の特徴に注釈を付けるために更に処理されてもよく、プロセスは、表面マップ注釈324として定義される。データが表面マップデータ322に収集されると、収集されたデータに関する属性を自動的にユーザに提示することができる。これらの属性は、コンピュータシステムによって自動的に決定し、データに適用することができ、本明細書では注釈と呼ばれる。例示的な注釈としては、活性化時間、二重活性化又は細分化の存在、電圧振幅、スペクトル内容などが挙げられる。自動化されたマッピング(例えば、入力データに関連する最小限の人間の入力でコンピュータシステムによって完了されるマッピング)において利用可能なデータが大量であるため、オペレータが手動でデータをレビューし、注釈を付けることは実際的ではない。しかしながら、人間の入力は、データへの貴重な追加である可能性があり、したがって、ユーザ入力が提供される場合、コンピュータシステムが、それを自動的に伝えて、一度に2つ以上のデータ点に適用することが必要である。
【0078】
コンピュータシステムを使用して、個々のEGMの活性化時間、電圧、及び他の特性に自動的に注釈を付けることが可能であり得る。活性化時間検出は、トリガを検出するために前述したものと同様の方法を使用することができ、ブランキング及びパワードトリガオペレータの使用から同様に利益を得ることができる。所望の注釈は、瞬時電位、活性化時間、電圧振幅、優位周波数、及び/又は信号の他の特性を含んでもよい。一旦計算されると、注釈は、心腔幾何学形状上に重ね合わせて表示されてもよい。いくつかの実施形態では、ギャップ充填表面マップ補間を採用することができる(326)。例えば、いくつかの実施形態では、ギャップ充填補間は、表面上の点と測定されたEGMとの間の距離が閾値を超える場合に使用されてもよく、これは、例えば、本明細書で説明するようなグリッドベースの補間がその状況では有効でない可能性があることを示す場合があるためである。表示されたマップ328は、別々に計算して表示する及び/又は互いの上に重ね合わせることができる。
【0079】
図3に示す例示的なプロセス300は、本開示の実施形態の使用又は機能の範囲に関していかなる限定も示唆することを意図していない。また、例示的なプロセス300は、その中に示される任意の単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関連する任意の依存性又は要件を有すると解釈されるべきではない。加えて、図3に示される構成要素のうちの任意の1つ以上は、例えば、そこに示される他の構成要素(及び/又は図示されない構成要素)のうちの様々なものと統合されてもよく、それらの全ては本開示の範囲内にあると見なされる。
【0080】
図4Aは、本開示のいくつかの実施形態による、心臓電気信号及び生成された活性化波形を処理する例示的な方法400Aを示す例示的なフロー図である。方法400Aの実施形態の態様は、例えば、電気生理学システム又は処理ユニット(例えば、図1に示される処理ユニット120及び/又は図2に示される処理ユニット200)によって実行することができる。方法400Aの1つ以上のステップは任意選択であり、及び/又は本明細書に記載の他の実施形態の1つ以上のステップによって修正することができる。加えて、本明細書に記載の他の実施形態の1つ以上のステップが、方法400Aに追加されてもよい。最初に、電気生理学システムは、活性化波形を受信する(410A)。活性化波形は、活性化波形データのセットを含む。いくつかの実施形態では、活性化波形は、心臓信号のセクション、例えば、心拍、所定のサンプルウィンドウ、所定の持続時間などに関連付けられた信号セクションに関連付けられている。
【0081】
活性化波形は、カテーテルから収集された電気信号を使用して生成することができる。カテーテルは、電気信号を取得するように構成された1つ以上の電極を有する任意のカテーテル(例えば、図1に示すカテーテル110、アブレーションカテーテルなど)であってもよい。実施形態によれば、心臓電気信号の特徴は、心臓電気信号(例えば、EGM)から抽出されてもよい。心臓電気信号の特徴の例としては、活性化時間、最小電圧値、最大電圧値、電圧の最大負時間導関数、瞬時電位、電圧振幅、優位周波数、ピークツーピーク電圧などが挙げられるが、これらに限定されない。心臓電気信号が感知されるそれぞれの点の各々は、3次元位置座標の対応するセットを有することができる。例えば、点の位置座標は、デカルト座標で表されてもよい。他の座標系も同様に使用することができる。いくつかの実施形態では、任意の原点が使用され、それぞれの位置座標は、任意の原点に対して定義される。いくつかの実施形態では、点は、不均一な間隔を有するが、他の実施形態では、点は、均一な間隔を有する。いくつかの実施形態では、各感知された心臓電気信号に対応する点は、心臓の心内膜表面上及び/又は心臓の心内膜表面の下に位置していてもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、信号ベースラインを超えて逸脱する偏向を識別することは、電気信号の各サンプル点に対して、対応する活性化波形値を決定することを含むことができる。例えば、実施形態では、システムは、信号ベースラインに対するその関係に基づいて、所与のサンプル点が活性化を表す確率(例えば、0~1(端点を含む)の値)を決定することを含むことができる。実施形態では、確率を割り当てるために、例えば、0~100の値などの他の数値スケールが使用されてもよい。実施形態では、信号偏向が活性化を表す可能性(例えば、確率)は、信号ベースラインからのその偏向の偏差に基づいて決定することができる。例えば、少なくとも指定された量だけ信号ベースラインから逸脱する最大振幅を有する偏向は、1の確率を割り当てられてもよく、一方、最大で指定された量だけ信号ベースラインから逸脱する最大振幅を有する偏向は、0の確率を割り当てられてもよい。確率は、例えば、上記基準に対する偏向振幅の相対偏差に基づいて、前述の基準のいずれによっても満たされない振幅を有する偏向に線形及び/又は非線形方式で割り当てられてもよい。このようにして、例えば、活性化波形値は、サンプル点に対応する識別された偏向が活性化を表す確率であってもよい。
【0083】
図5Aは、マッピングカテーテルから受信した電気信号(この場合、EGM)を示す例示的なグラフィカル表現500を示しており、各電気信号は、所定の期間中の心臓の脱分極シーケンスの大きさを表している。この例では、64個の電極を有するマッピングカテーテルのEGMが示されている。各波形は、マッピングカテーテルの電極から受信した単極信号を表すことができる。図5Bは、生の心臓電気信号502の波形と、心臓電気信号502に対応する活性化波形504とを示す。
【0084】
図4Aに戻って参照すると、システムは、例えば、局所サイクル長の決定を容易にするために、ウィンドウパラメータのセットを受信する(415A)。一実施形態では、ウィンドウパラメータのセットは、ウィンドウサイズの範囲(例えば、最小ウィンドウサイズ及び最大ウィンドウサイズ)を含む。一実施例では、ウィンドウサイズの範囲は、120~300ミリ秒であってもよいが、このウィンドウサイズ範囲は例示的なものにすぎず、決して限定するものではないことが強調される。一実施形態では、ウィンドウパラメータのセットは、ウィンドウ増分を含む。システムは信頼値のセットを決定し(420A)、各信頼値はウィンドウサイズに対応し、信頼値は、ウィンドウサイズの範囲内における複数のウィンドウサイズを通じて反復して計算される。一実施形態では、各反復のウィンドウサイズは、ウィンドウ増分サイズだけ増加される。いくつかの実施形態では、各ウィンドウサイズについて(425A)、いくつかのステップ(例えば、430A~450A)が行われる。最初に、中央ウィンドウの位置が選択される(430A)。本明細書で使用されるとき、ウィンドウ(すなわち、時間ウィンドウ又はサンプルウィンドウ)の位置は、ウィンドウの中心点を指す。一実施形態では、中央ウィンドウの位置は、拍動位置に基づいて選択される。例えば、中央ウィンドウの中心点が拍動位置として設定される。拍動位置は、例えば、「BEAT ALIGNMENT AND SELECTION FOR CARDIAC MAPPING」と題された米国特許第9,002,442号に記載されているようなシステムの態様を使用して決定することができ、その開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。いくつかの実施形態では、中央ウィンドウの位置は、拍動位置に基づいて選択されない。場合によっては、中央ウィンドウの位置は、例えば、2つの隣接する中央ウィンドウの間の規則的な間隔(例えば、15ms毎)で、波形データ点内で選択される。
【0085】
次に、中央ウィンドウ内の活性化波形と後方シフトウィンドウ内の活性化波形との後方相関が計算される(435A)。後方シフトウィンドウは、中央ウィンドウを後方にシフトしたものである。場合によっては、後方シフトウィンドウは、中央ウィンドウのサイズだけ中央ウィンドウを後方にシフトしたものである。更に、中央ウィンドウ内の活性化波形と前方シフトウィンドウ内の活性化波形との前方相関が計算される(440A)。前方シフトウィンドウは、中央ウィンドウを前方にシフトしたものである。場合によっては、前方シフトウィンドウは、中央ウィンドウのサイズだけ中央ウィンドウを前方にシフトしたものである。図5Cは、各々がウィンドウサイズDを有する、中央ウィンドウ510、後方シフトウィンドウ512、及び前方シフトウィンドウ514の例示的な例を示し、中央ウィンドウと後方シフトウィンドウとの相関は低く、中央ウィンドウと前方シフトウィンドウとの相関も低い。図5Dは、例示的な活性化波形504と、各々125msのウィンドウサイズを有する、中央ウィンドウ520(ウィンドウB)、後方シフトウィンドウ522(ウィンドウA)、及び前方シフトウィンドウ524(ウィンドウC)とを示す。
【0086】
一実施例では、データの2つのセット、A(s)とB(s)との相関は、以下の式(1)を使用して計算される。
【0087】
【数1】
式中、Cは相関値であり、fは選択された相関関数である。ある場合には、相関関数は、振幅類似性に敏感であり、例えば、相関値Cは、A(s)及びB(s)が高レベルの類似性を有し、かつA(s)及びB(s)が比較的高い振幅値を有する場合に、最高である。図5Eは、異なるウィンドウサイズの相関値のセットの一例を示す。この例では、異なるサイズの中央ウィンドウと後方シフトウィンドウとの相関が示されている。図示のように、相関値は、230msのウィンドウサイズにおいて最大値(すなわち、530)を有する。図5Gは、異なるウィンドウサイズの相関値のセットの別の例示的な例を示す。この例では、異なるサイズの中央ウィンドウと前方シフトウィンドウとの相関が示されている。図示のように、相関は、220msのウィンドウサイズにおいて最大値(すなわち、540)を有する。
【0088】
図4Aに戻って参照すると、後方相関に基づいて後方信頼値が決定され(445A)、前方相関に基づいて前方信頼値が決定され(450A)、後方信頼値及び前方信頼値は、信頼値のセットに追加される。場合によっては、信頼値は、相関値及び活性化重みの関数に基づいて決定される。活性化重みは、それぞれのウィンドウ(例えば、後方シフトウィンドウ、中央ウィンドウ、及び前方シフトウィンドウ)内の活性化波形のデータ点の振幅に関連する。場合によっては、活性化重みは、それぞれのウィンドウの活性化波形の関連する最大振幅である。例えば、信頼値は、式(2)を用いて計算される。
【0089】
【数2】
式中、Cfは信頼値であり、AWは活性化重みであり、fwは重み付け係数を決定する関数であり、Cはそれぞれのウィンドウに対する相関値であり、fcは信頼値を決定する関数である。一実施例では、関数fwは、例えば0~1の信頼値を正規化するための線形関数であり、活性化重みに比例する。別の実施例では、関数fwは二値関数であり、活性化重みが閾値よりも低い場合に重み付け係数が0であり、活性化重みが閾値よりも高い場合に重み付け係数が1であるなどである。更に別の実施例では、関数fwは誤差関数である。
【0090】
場合によっては、システムは、反復425A中に特定のウィンドウサイズの中央ウィンドウ内の活性化波形の振幅に関連付けられた中央重み係数を決定する。特定のウィンドウサイズについての後方信頼値は、中央重み係数に基づいて決定することができ、特定のウィンドウサイズについての前方信頼値もまた、中央重み係数に基づいて決定することができる。場合によっては、システムは更に、特定のウィンドウの後方シフトウィンドウ内の活性化波形の振幅に関連付けられた後方重み係数、及び/又は前方シフトウィンドウ内の活性化波形の振幅に関連付けられた前方重み係数を決定する。特定のウィンドウサイズについての後方信頼値は、後方相関、中央重み係数、及び後方重み係数に基づいて決定することができ、特定のウィンドウサイズについての前方信頼値は、前方相関、中央重み係数、及び前方重み係数に基づいて決定することができる。
【0091】
一実施形態では、中央重み係数は、非線形関数を中央ウィンドウ内の活性化波形の関連付けられた振幅(例えば、最大振幅)に適用することによって決定される。別の実施形態では、中央重み係数は、誤差関数を中央ウィンドウ内の活性化波形の関連付けられた振幅に適用することによって決定される。更に別の実施形態では、中央重み係数は、線形関数を中央ウィンドウ内の活性化波形の関連付けられた振幅に適用することによって決定される。
【0092】
いくつかの実施形態では、電気生理学システムは、範囲内の異なるウィンドウサイズにわたって相関値及び信頼値を決定し、信頼値のセットを比較して、指定信頼値(designated confidence value)と、指定信頼値に対応する選択ウィンドウサイズ(selected window size)とを選択する(455A)。場合によっては、指定信頼値は、セット内の最大信頼値である。上述したように、各信頼値は、対応するウィンドウサイズで決定される。図5Eに示される例では、指定信頼値は、230msの対応するウィンドウサイズを有するデータ点530であってもよい。図5Gに示される例では、指定信頼値は、220msの対応するウィンドウサイズを有するデータ点540であってもよい。
【0093】
図4Aに戻って参照すると、電気生理学システムは、選択ウィンドウサイズに基づいて局所サイクル長を決定することができる(460A)。場合によっては、局所サイクル長は、選択ウィンドウサイズである。いくつかの他の場合には、局所サイクル長は、例えば調整を伴って、選択ウィンドウサイズに基づいて決定される。場合によっては、システムは、活性化波形及び選択ウィンドウサイズに基づいてデューティサイクルを決定する(465A)。いくつかの実施形態では、システムは、選択ウィンドウサイズを有する中央ウィンドウ内の活性化波形に基づいてデューティサイクルを決定する。場合によっては、デューティサイクルは、中央ウィンドウ内の活性化波形のサンプリング点の振幅の平均である。
【0094】
いくつかの実施形態では、活性化波形は、複数のチャネルから収集されたデータに関連付けられている。例えば、図5Aは、64個のチャネルから収集された心臓電気信号を示す。そのような実施形態では、活性化波形は複数のチャネル活性化波形を含み、複数のチャネル活性化波形の各々は、複数のチャネルのうちの1つに対する活性化波形データを含む。図4Bは、本開示のいくつかの実施形態による、複数のチャネルにわたって電気生理学的情報を処理する例示的な方法400Bを示す別の例示的なフロー図である。方法400Bの実施形態の態様は、例えば、電気生理学システム又は処理ユニット(例えば、図1に示される処理ユニット120及び/又は図2に示される処理ユニット200)によって実行することができる。方法400Bの1つ以上のステップは任意選択であり、及び/又は本明細書に記載の他の実施形態の1つ以上のステップによって修正することができる。加えて、本明細書に記載の他の実施形態の1つ以上のステップが、方法400Bに追加されてもよい。電気生理学システムは、複数のチャネル活性化波形を含む活性化波形を受信する(405B)。複数のチャネル活性化波形の各々は、複数の選択チャネルのそれぞれ1つに対応する。場合によっては、選択チャネルは、マッピングカテーテルの全てのチャネルを含む。場合によっては、選択チャネルは、特定の基準を満たすチャネルを含む。いくつかの実施形態では、活性化波形は、心臓電気信号のセクション、例えば、心拍、所定のサンプルサイズ、所定の持続時間などに関連付けられた信号セクションに関連付けられている。
【0095】
システムは、例えば、ウィンドウサイズの範囲及びウィンドウサイズ増分を含むウィンドウパラメータのセットを受信する(407B)。システムは、範囲内における複数のウィンドウサイズを通じて反復し、活性化波形データに関連する相関値及び信頼値を決定するように構成されている。各ウィンドウサイズについて(410B)、システムは、中央ウィンドウの位置を選択する(415B)。各チャネルがチャネル活性化波形に関連付けられた複数の選択チャネルの各々について(420B)、電気生理学システムは、中央ウィンドウ内のチャネル活性化波形と後方シフトウィンドウ内のチャネル活性化波形とのチャネル後方相関を計算し(422B)、中央ウィンドウ内のチャネル活性化波形と前方シフトウィンドウ内のチャネル活性化波形とのチャネル前方相関を計算する(424B)。システムは更に、各選択チャネルについて計算された後方相関に基づいて後方信頼値を決定する(430B)。システムはまた、各選択チャネルについて計算された前方相関に基づいて前方信頼値を決定する(435B)。一実施例では、信頼値は、以下の式(3)を使用して決定される。
【0096】
【数3】
式中、Cfは信頼値であり、Chはチャネルであり、NChは選択チャネルの総数であり、AW(Ch)はチャネルに対する活性化重み係数であり、C(Ch)はそれぞれのウィンドウに対するチャネルの相関値であり、fcは信頼値を決定する関数である。いくつかの実施形態では、計算された信頼値Cfは、例えば0~1の範囲に正規化される。
【0097】
いくつかの実施形態では、電気生理学システムは、ウィンドウサイズごとに後方信頼値を比較して、第1の選択ウィンドウサイズ(すなわち、後方局所サイクル長)に対応する指定後方信頼値を選択する(440B)。いくつかの実施形態では、電気生理学システムは更に、ウィンドウサイズごとに前方信頼値を比較して、第2の選択ウィンドウサイズ(すなわち、前方局所サイクル長)に対応する指定前方信頼値を選択する(445B)。場合によっては、指定信頼値は、セット内の最も高い信頼値である。次に、システムは、第1の選択ウィンドウサイズ及び第2の選択ウィンドウサイズに基づいて、局所サイクル長を決定することができる(450B)。一実施形態では、局所サイクル長は、第1の選択ウィンドウサイズと第2の選択ウィンドウサイズとの平均である。例えば、第1の選択ウィンドウサイズが232msであり、第2の選択ウィンドウサイズが228msである場合、局所サイクル長は230msである。いくつかの実施形態では、システムは、活性化波形及び局所サイクル長に基づいて局所デューティサイクルを決定する(460B)。一実施形態では、システムは、局所サイクル長の中央ウィンドウ内の各サンプリング点について、複数の選択チャネルにわたるチャネル活性化波形の最大振幅を選択する。いくつかの実施形態では、システムは、局所デューティサイクルとして、中央ウィンドウのこれらの選択された最大振幅の平均を計算してもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、電気生理学システムは更に、活性化波形のセクション信頼値を決定する(470B)。一実施形態では、セクション信頼値は、指定後方信頼値及び指定前方信頼値に基づいて決定される。一実施形態では、セクション信頼値は、指定後方信頼値及び指定前方信頼値のうちの小さい方に基づいて決定される。別の実施形態では、システムは、各選択チャネルについて、後方シフトウィンドウ内のチャネル活性化波形と前方シフトウィンドウ内のチャネル活性化波形との後方-前方相関(backward-forward correlation)を計算する。システムは更に、各ウィンドウサイズについて、例えば式(3)を使用して、後方-前方信頼値を決定する。その後、システムは、様々なウィンドウサイズに対する後方-前方信頼値のセットから、指定後方-前方信頼値を選択する。例えば、指定後方-前方信頼値は、後方-前方信頼値のセット内の最高値である。一実施形態では、セクション信頼値は、指定後方信頼値、指定前方信頼値、及び指定後方-前方信頼値に基づいて決定される。一実施形態では、セクション信頼値は、指定後方信頼値、指定前方信頼値、及び指定後方-前方信頼値のうちの最小値に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、セクション信頼値は、第1の選択ウィンドウサイズ(すなわち、後方局所サイクル長)と第2の選択ウィンドウサイズ(すなわち、前方局所サイクル長)との差に基づいて更に決定される。
【0099】
いくつかの実施形態では、電気生理学システムは、ジッタ間隔を使用して、ウィンドウをわずかにシフトさせて、比較的大きいウィンドウ増分で計算量を低減することができる。図4Cは、本開示のいくつかの実施形態による、電気生理学的情報を処理する例示的な方法400Cを示す別の例示的なフロー図である。方法400Cの実施形態の態様は、例えば、電気生理学システム又は処理ユニット(例えば、図1に示される処理ユニット120、図2に示される処理ユニット200、計算処理ユニット、及び/又はグラフィカル処理ユニット)によって実行することができる。方法400Cの1つ以上のステップは任意選択であり、及び/又は本明細書に記載の他の実施形態の1つ以上のステップによって修正することができる。加えて、本明細書に記載の他の実施形態の1つ以上のステップが、方法400Cに追加されてもよい。電気生理学システムは、複数のチャネル活性化波形を含む活性化波形を受信し、各チャネル波形は、複数の選択チャネルに対応する(405C)。システムは、例えば、ウィンドウサイズの範囲(例えば、120ms~250ms)、ウィンドウサイズ増分(例えば、10ms)、ジッタの範囲(例えば、-5ms~5ms)、及びジッタ間隔(例えば、1ms)を含むウィンドウパラメータのセットを受信する(407C)。一実施形態では、ジッタ間隔は、ウィンドウサイズ増分よりも小さい。
【0100】
システムは、範囲内における複数のウィンドウサイズを通じて反復するように構成されており、各ウィンドウサイズについて(410C)、システムは中央ウィンドウの位置を選択する(415C)。次に、各チャネルがチャネル活性化波形に関連付けられた、複数の選択チャネルの各々について(420C)、電気生理学システムは、中央ウィンドウ内のチャネル活性化波形と後方シフトジッタウィンドウのセット内のチャネル活性化波形とに基づいてチャネル後方相関のセットを計算し(422C)、中央ウィンドウ内のチャネル活性化波形と前方シフトジッタウィンドウのセット内のチャネル活性化波形とに基づいてチャネル前方相関のセットを計算する(424C)。場合によっては、選択チャネルは、マッピングカテーテルの全てのチャネルを含む。場合によっては、選択チャネルは、特定の基準を満たすチャネルを含む。いくつかの実施形態では、チャネル活性化波形は、チャネルの心臓電気信号のセクション、例えば、心拍、所定のサンプルサイズ、所定の持続時間などに関連付けられた信号セクションに関連付けられている。
【0101】
場合によっては、チャネル後方相関のセットの各々は、ジッタの範囲(例えば、-5ms~5ms)内のジッタ調整を用いた、中央ウィンドウ内のチャネル活性化波形と後方シフトウィンドウ内のチャネル活性化波形との相関である。一実施例では、400msの位置にある中央ウィンドウが200msのウィンドウサイズを有し、後方シフトウィンドウが200msの位置にあると仮定すると、後方シフトジッタウィンドウのセットは、195ms、196ms、197ms、198ms、199ms、200ms、201ms、202ms、203ms、204ms、及び205msの位置にあるウィンドウを含む。図5Fは、ジッタ範囲が-5msから5msであり、ジッタ間隔が1msである、チャネル後方相関のセットの1つの例示的な例を示す。場合によっては、チャネル前方相関のセットの各々は、ジッタの範囲(例えば、-5ms~5ms)内のジッタ調整を用いた、中央ウィンドウ内のチャネル活性化波形と前方シフトウィンドウ内のチャネル活性化波形との相関である。一実施例では、400msの位置にある中央ウィンドウが200msのウィンドウサイズを有し、前方シフトウィンドウが600msの位置にあると仮定すると、前方シフトジッタウィンドウのセットは、595ms、596ms、597ms、598ms、599ms、600ms、601ms、602ms、603ms、604ms、及び605msの位置にあるウィンドウを含む。図5Hは、ジッタ範囲が-5msから5msであり、ジッタ間隔が1msである、チャネル前方相関のセットの例示的な例を示す。
【0102】
いくつかの実施形態では、ウィンドウサイズに対して、電気生理学システムは、チャネル後方ジッタ値を有するチャネル後方相関のセット内の指定チャネル後方相関を選択する。図5Fに示す例では、データ点535は、チャネル後方ジッタ値(例えば、1ms)を有する指定チャネル後方相関(例えば、0.972)である。いくつかの実施形態では、ウィンドウサイズに対して、電気生理学システムは、チャネル前方ジッタ値を有するチャネル前方相関のセット内の指定チャネル前方相関を選択する。図5Hに示す例では、データ点545は、チャネル前方ジッタ値(例えば、0ms)を有する指定チャネル前方相関(例えば、0.97)である。
【0103】
各ウィンドウサイズについて、システムは更に、チャネル後方相関に基づいて後方信頼値を決定する(430C)。一実施形態では、チャネル後方相関は、選択チャネルの各々について、中央ウィンドウ内のチャネル活性化波形と後方シフトジッタウィンドウのセット内のチャネル活性化波形とのチャネル後方相関のセットを含む。一実施形態では、各選択チャネルについて、チャネル後方相関は指定チャネル後方相関を含む。各ウィンドウサイズについて、システムはまた、チャネル前方相関に基づいて前方信頼値を決定する(435C)。一実施形態では、チャネル前方相関は、中央ウィンドウ内のチャネル活性化波形と前方シフトジッタウィンドウのセット内のチャネル活性化波形とのチャネル前方相関のセットを含む。一実施形態では、各選択チャネルについて、チャネル前方相関は指定チャネル前方相関を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、電気生理学システムは、ウィンドウサイズごとに後方信頼値のセットを比較して、第1の選択ウィンドウサイズに対応する指定後方信頼値を選択し、第1の選択ジッタ値を計算する(440C)。一実施形態では、指定後方信頼値は、ウィンドウサイズにわたる最も高い後方信頼値である。一実施形態では、第1の選択ウィンドウサイズは、ウィンドウサイズにわたる最も高い後方信頼値に対応する。場合によっては、第1の選択ウィンドウサイズが決定された後に、システムは、後方シフトウィンドウ内の活性化波形の振幅及びウィンドウサイズにわたるチャネル後方ジッタ値に基づいて、第1の選択ジッタ値を計算する。いくつかの実施形態では、電気生理学システムは更に、ウィンドウサイズごとに前方信頼値のセットを比較して、第2の選択ウィンドウサイズに対応する指定前方信頼値を選択し、第2の選択ジッタ値を計算する(445C)。場合によっては、指定前方信頼値は、セット内の最も高い前方信頼値である。一実施形態では、第1の選択ウィンドウサイズは、ウィンドウサイズにわたる最も高い前方信頼値に対応する。場合によっては、第2の選択ウィンドウサイズが決定された後に、システムは、前方シフトウィンドウ内の活性化波形の振幅及びウィンドウサイズにわたるチャネル前方ジッタ値に基づいて、第2の選択ジッタ値を計算する。
【0105】
次に、システムは、第1の選択ウィンドウサイズ及び第2の選択ウィンドウサイズに基づいて、局所サイクル長を決定することができる(450C)。一実施形態では、局所サイクル長は、第1の選択ウィンドウサイズと第2の選択ウィンドウサイズとの平均である。例えば、局所サイクル長は、231msのウィンドウサイズと220msのウィンドウサイズとの平均である。別の実施形態では、システムは、ジッタ値によって調整された選択ウィンドウサイズに基づいて局所サイクル長を決定する。いくつかの実施形態では、システムは、活性化波形及び局所サイクル長に基づいて局所デューティサイクルを決定する(460C)。一実施形態では、システムは、局所サイクル長の中央ウィンドウの各サンプリング点について、複数の選択チャネルのチャネル活性化波形の最大振幅を選択する。いくつかの実施形態では、システムは、局所デューティサイクルとして、ウィンドウのこれらの選択された振幅の平均を計算してもよい。一実施形態では、システムは、選択された中央ウィンドウ内の複数のチャネル活性化波形に基づいて最大波形を生成し、最大波形の各データ点は、対応するデータ点における複数の選択チャネルの中の複数のチャネル活性化波形の最大値を有する。図5Iは、最大波形の例示的な例を示す。一実施形態では、システムは、最大波形に基づいてデューティサイクルを決定する。ある場合には、デューティサイクルは、最大波形のデータ点の平均値であるように決定される。
【0106】
図4Dは、本開示のいくつかの実施形態による、電気生理学的情報を処理する例示的な方法400Dを示す更に別の例示的なフロー図である。方法400Dの実施形態の態様は、例えば、電気生理学システム又は処理ユニット(例えば、図1に示される処理ユニット120及び/又は図2に示される処理ユニット200)によって実行することができる。方法400Dの1つ以上のステップは任意選択であり、及び/又は本明細書に記載の他の実施形態の1つ以上のステップによって修正することができる。加えて、本明細書に記載の他の実施形態の1つ以上のステップが、方法400Dに追加されてもよい。電気生理学システムは、複数のチャネル活性化波形を含む活性化波形を受信し、各チャネル活性化波形は、複数の選択チャネルのうちの1つに対応する(405D)。
【0107】
場合によっては、選択チャネルは、マッピングカテーテルの全てのチャネルを含む。場合によっては、選択チャネルは、特定の基準を満たすチャネルを含む。いくつかの実施形態では、活性化波形は、心臓電気信号のセクション、例えば、心拍、所定のサンプルサイズ、所定の持続時間などに関連付けられた信号セクションに関連付けられている。システムは、例えば、ウィンドウサイズの範囲(例えば、120ms~250ms)、ウィンドウサイズ増分(例えば、10ms)、ジッタの範囲(例えば、-5ms~5ms)、及びジッタ間隔(例えば、1ms)を含むウィンドウパラメータのセットを受信する(407D)。一実施形態では、ジッタ間隔は、ウィンドウサイズ増分よりも小さい。システムは、範囲内における複数のウィンドウサイズ(例えば、120ms、130msなど)を通じて反復するように構成されている。
【0108】
各ウィンドウサイズについて(410D)、システムは、中央ウィンドウの位置を選択する(415D)。各々がチャネル活性化波形に関連付けられた、複数の選択チャネルの各チャネルについて(420D)、電気生理学システムは、中央ウィンドウ内のチャネル活性化波形と後方シフトジッタウィンドウのセット内のチャネル活性化波形とのチャネル後方相関のセットを計算し(422D)、中央ウィンドウ内のチャネル活性化波形と前方シフトされジッタウィンドウのセット内のチャネル活性化波形とのチャネル前方相関のセットを計算する(424D)。場合によっては、チャネル後方相関のセットの各々は、ジッタの範囲(例えば、-5ms~5ms)内のジッタ調整を用いた、中央ウィンドウ内のチャネル活性化波形と後方シフトウィンドウ内のチャネル活性化波形との相関である。一実施例では、特定のウィンドウサイズN、特定のチャネルCh、及び特定のジッタJについてのチャネル後方相関のセットの相関は、以下の式(4)を使用して計算することができる。
【0109】
【数4】
式中、Ci(Ch,J)は相関値であり、Chは特定のチャネルであり、Jは特定のジッタ値であり、Nはウィンドウのサイズであり、sはサンプル点であり、Central(s)は、サンプル点sにおける中央ウィンドウの活性化波形の振幅であり、Backward(s)は、サンプル点sにおける(Jだけ)後方シフトされたジッタウィンドウの活性化波形の振幅である。
【0110】
場合によっては、チャネル前方相関のセットの各々は、ジッタの範囲(例えば、-5ms~5ms)内のジッタ調整を用いた、中央ウィンドウ内のチャネル活性化波形と前方シフトウィンドウ内のチャネル活性化波形との相関である。一実施例では、特定のウィンドウサイズN、特定のチャネルCh、及び特定のジッタJについてのチャネル前方相関のセットの相関は、以下の式(5)を使用して計算することができる。
【0111】
【数5】
式中、Ci(Ch,J)は相関値であり、Chは特定のチャネルであり、Jは特定のジッタ値であり、Nはウィンドウのサイズであり、sはサンプル点であり、Central(s)は、サンプル点sにおける中央ウィンドウの活性化波形の振幅であり、Forward(s)は、サンプル点sにおける(Jだけ)前方シフトされたジッタウィンドウの活性化波形の振幅である。
【0112】
いくつかの実施形態では、チャネルの各々について、電気生理学システムは、チャネル後方相関のセットを比較して、指定チャネル後方相関と、指定チャネル後方相関に対応するチャネル後方ジッタ値とを選択する(426D)。場合によっては、指定チャネル後方相関は、チャネル後方相関のセット内の最も高い相関値である。図5Fに示す例では、データ点535における相関は、対応するチャネル後方ジッタ値(例えば、1ms)を有する指定チャネル後方相関(例えば、0.972)である。いくつかの実施形態では、各チャネルについて、システムは、チャネル前方相関のセットを比較して、指定チャネル前方相関と、指定チャネル前方相関に対応するチャネル前方ジッタ値とを選択することができる(428D)。図5Hに示す例では、データ点545における相関は、対応するチャネル前方ジッタ値(例えば、0ms)を有する指定チャネル前方相関(例えば、0.97)である。
【0113】
各ウィンドウサイズについて、システムは更に、指定チャネル後方相関に基づいて後方信頼値を決定する(430D)。一実施形態では、指定チャネル後方相関は、選択チャネルの各々についての指定チャネル後方相関を含む。場合によっては、システムは、全ての選択チャネルの中央ウィンドウに対する活性化重みWを決定する。場合によっては、システムは、全ての選択チャネルの後方シフトウィンドウに対する活性化重みWを決定する。場合によっては、システムは、全ての選択チャネルの前方シフトウィンドウに対する活性化重みWを決定する。いくつかの実施形態では、選択チャネルにわたる活性化重みは、それぞれのウィンドウ内の信号振幅の指標である。場合によっては、選択チャネルにわたる活性化重みは、活性化がそれぞれのウィンドウ内で発生しているかどうかを示す。
【0114】
場合によっては、活性化重みは、活性化波形の最大値に基づいて決定される。場合によっては、活性化重みは、活性化波形の最大値に適用される非線形関数に基づいて決定される。場合によっては、活性化重みは、活性化波形の最大値に適用される線形関数に基づいて決定される。場合によっては、活性化重みは、活性化波形の最大値に適用される二値関数に基づいて決定される。場合によっては、活性化重みは、活性化波形の最大値に適用される誤差関数に基づいて決定される。一実施例では、ウィンドウサイズsについての後方信頼値Cfは、以下の式(6)を使用して計算することができる。
【0115】
【数6】
式中、Cf(s)は後方信頼値であり、W(Ch)は、チャネルChに対する後方シフトウィンドウの活性化重みであり、C(Ch)は、チャネルChにおける指定チャネル後方相関値であり、Chはチャネルであり、NChは選択チャネルの数であり、Wは、全ての選択チャネルにわたる中央ウィンドウの活性化重みであり、Wは、全ての選択チャネルにわたる後方シフトウィンドウの活性化重みである。場合によっては、特定のウィンドウ及び特定のチャネルに対する活性化重み(例えば、W(Ch))は、特定のチャネルについての特定のウィンドウ内の活性化波形の最高振幅に基づいて決定される。場合によっては、特定のウィンドウ及び特定のチャネルに対する活性化重み(例えば、W(Ch))は、特定のチャネルについての特定のウィンドウ内の活性化波形の最高振幅である。
【0116】
各ウィンドウサイズについて、システムはまた、指定チャネル前方相関に基づいて前方信頼値を決定することができる(435D)。一実施形態では、指定チャネル前方相関は、各チャネルについての指定チャネル前方相関を含む。一実施例では、ウィンドウサイズsについての前方信頼値Cfは、以下の式(7)を使用して計算することができる。
【0117】
【数7】
式中、Cf(s)は前方信頼値であり、W(Ch)は、チャネルChに対する前方シフトウィンドウの活性化重みであり、C(Ch)は、チャネルChにおける指定チャネル前方相関値であり、Chはチャネルであり、NChは選択チャネルの数であり、Wは、全ての選択チャネルにわたる中央ウィンドウの活性化重みであり、Wは、全ての選択チャネルにわたる前方シフトウィンドウの活性化重みである。
【0118】
いくつかの実施形態では、電気生理学システムは、ウィンドウサイズごとに後方信頼値のセットを比較して、第1の選択ウィンドウサイズに対応する指定後方信頼値を選択する(440D)。いくつかの実施形態では、電気生理学システムは更に、ウィンドウサイズごとに前方信頼値のセットを比較して、第2の選択ウィンドウサイズに対応する指定前方信頼値を選択する(442D)。一実施形態では、指定信頼値は、セット内の最も高い信頼値である。いくつかの実施形態では、システムは、各チャネルについて1つのチャネル後方ジッタ値に基づいて、後方ジッタ値を決定する(444D)。一実施例では、後方ジッタ値Jは、以下の式(8)を使用して計算することができる。
【0119】
【数8】
式中、Jは後方ジッタ値であり、W(Ch)は、チャネルChに対する後方シフトウィンドウの活性化重みであり、J(Ch)は、チャネルChに対するチャネル後方ジッタ値であり、Chはチャネルであり、NChは選択チャネルの数である。場合によっては、特定のウィンドウ及び特定のチャネルに対する活性化重み(例えば、W(Ch))は、特定のチャネルについての特定のウィンドウ内の活性化波形の最高振幅である。
【0120】
いくつかの実施形態では、システムは、各チャネルについて1つのチャネル前方ジッタ値に基づいて、前方ジッタ値を決定する(446D)。一実施例では、後方ジッタ値Jは、以下の式(9)を使用して計算することができる。
【0121】
【数9】
式中、Jは後方ジッタ値であり、W(Ch)は、チャネルChに対する前方シフトウィンドウの活性化重みであり、J(Ch)は、チャネルChに対するチャネル後方ジッタ値であり、Chはチャネルであり、NChは選択チャネルの数である。場合によっては、特定のウィンドウ及び特定のチャネルに対する活性化重み(例えば、W(Ch))は、特定のチャネルについての特定のウィンドウ内の活性化波形の最高振幅である。
【0122】
次に、システムは、第1の選択ウィンドウサイズ及び第2の選択ウィンドウサイズ並びに後方ジッタ値及び前方ジッタ値に基づいて、局所サイクル長を決定することができる(450D)。一実施形態では、局所サイクル長は、後方ジッタ値によって調整された第1の選択ウィンドウサイズと、前方ジッタ値によって調整された第2の選択ウィンドウサイズとの平均である。例えば、第1の選択ウィンドウサイズが230msであり、後方ジッタ値が1msであり、第2の選択ウィンドウサイズが220msであり、前方ジッタ値が0msである場合、局所サイクル長は、226msである。いくつかの実施形態では、システムは、活性化波形及び局所サイクル長に基づいて局所デューティサイクルを決定する(460D)。一実施形態では、システムは、局所サイクル長の中央ウィンドウの各サンプリング点について、複数の選択チャネルのチャネル活性化波形の最大振幅を選択する。いくつかの実施形態では、システムは、局所デューティサイクルとして、ウィンドウのこれらの選択された振幅の平均を計算してもよい。一実施形態では、システムは、選択された中央ウィンドウ内の複数のチャネル活性化波形に基づいて最大波形を生成し、最大波形の各データ点は、対応するデータ点における複数の選択チャネルの中の複数のチャネル活性化波形の最大値を有する。図5Iは、局所サイクル長(例えば、226ms)に対する、選択チャネル(例えば、64個のチャネル)にわたる最大活性化波形の一例を示す。
【0123】
一実施形態では、システムは、最大波形に基づいてデューティサイクルを決定する。ある場合には、デューティサイクルは、最大波形のデータ点の平均値であるように決定される。いくつかの実施形態では、電気生理学システムは、セクション信頼値を決定する(470D)。一実施形態では、セクション信頼値は、指定後方信頼値及び指定前方信頼値に基づいて決定される。一実施形態では、セクション信頼値は、指定後方信頼値及び指定前方信頼値のうちの小さい方の値に基づいて決定される。別の実施形態では、システムは、後方-前方相関を計算し、各相関は、選択チャネルの各々について、後方シフトウィンドウ内のチャネル活性化波形と前方シフトウィンドウ内のチャネル活性化波形との相関として計算される。後方-前方相関は、前方相関及び後方相関を決定するための実施形態のいずれか1つと同様の実施形態を使用して決定することができる。システムは更に、後方-前方相関に基づいて後方-前方信頼値を決定する。
【0124】
一実施例では、ウィンドウサイズsについての後方-前方信頼値CfBFは、以下の式(10)を使用して計算することができる。
【0125】
【数10】
式中、CfBF(s)は後方-前方信頼値であり、WBF(Ch)は、チャネルChに対する後方シフトウィンドウ及び前方シフトウィンドウの活性化重みであり、CBF(Ch)は、チャネルChにおける指定チャネル後方-前方相関値であり、Chはチャネルであり、NChは選択チャネルの数であり、Wは、全ての選択チャネルにわたる後方シフトウィンドウの活性化重みであり、Wは、全ての選択チャネルにわたる前方シフトウィンドウの活性化重みである。場合によっては、特定のウィンドウ(単数又は複数)及び特定のチャネルに対する活性化重み(例えば、W(Ch))は、特定のチャネルについての特定のウィンドウ(単数又は複数)内の活性化波形の最高振幅に基づいて決定される。場合によっては、特定のウィンドウ(単数又は複数)(例えば、後方シフトウィンドウ及び前方シフトウィンドウ)及び特定のチャネルに対する活性化重み(例えば、WBF(Ch))は、特定のチャネルについての特定のウィンドウ(単数又は複数)内の活性化波形の最高振幅である。
【0126】
電気生理学システムは、様々なウィンドウサイズに対する後方-前方信頼値のセットから、指定後方-前方信頼値を選択することができる。例えば、指定後方-前方信頼値は、後方-前方信頼値のセット内の最高値である。一実施形態では、セクション信頼値は、指定後方信頼値、指定前方信頼値、及び指定後方-前方信頼値に基づいて決定される。一実施形態では、セクション信頼値は、指定後方信頼値、指定前方信頼値、及び指定後方-前方信頼値のうちの最小値に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、セクション信頼値は、第1の選択ウィンドウサイズ(すなわち、後方局所サイクル長)と第2の選択ウィンドウサイズ(すなわち、前方局所サイクル長)との差に少なくとも部分的に基づいて更に決定される。
【0127】
場合によっては、第1の選択ウィンドウサイズと第2の選択ウィンドウサイズとの差は、重み係数を決定するために非線形関数に入力される。いくつかの設計では、重み係数は、0~1の値である。一実施例では、重み係数は、第1の選択ウィンドウサイズと第2の選択ウィンドウサイズとの差が比較的小さい(例えば、0)場合、比較的大きい値(例えば、1)に設定される。別の実施例では、重み係数は、第1の選択ウィンドウサイズと第2の選択ウィンドウサイズとの差が比較的大きい(例えば、30ms)場合、比較的小さい値(例えば、0.2)に設定される。場合によっては、セクション信頼値は、重み係数、指定後方信頼値、指定前方信頼値、及び指定後方-前方信頼値に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、電気生理学システムは、一貫性のない信号を除去するための重み付け低減技術を含む。場合によっては、重み付け低減、例えば、確率的重み付け低減は、外れ値除去の形態である。場合によっては、システムは、信号が局所分布と一致しない単一拍動又はチャネルの信頼度の重み付けを低減する。いくつかの実装形態では、確率的重み付け低減は、デューティサイクル又はサイクル長がそれらの周りの領域と一致しない偽拍動から偽陽性ハイライトを除去するために適用される。
【0128】
これは、心房細動(AF)中の心房のいくつかの領域における離散的なサイクル長パターンを有する明確かつ一貫した組織の存在を実証している。本開示の実施形態では、局所サイクル長測定値をヒストグラム(例えば、1D局所サイクル長ヒストグラム)に集約することにより、ユーザが視覚的に、及び/又は心臓マップ上に対象の領域を有することによって、これらのパターンを調査することを可能にすることができる。いくつかの実装形態では、ユーザ定義閾値を上回る信頼度を有する心拍に関連付けられた活性化波形のセクションのみが、ヒストグラムに含まれる。
【0129】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、電気生理学的情報を処理して、ヒストグラムを生成する例示的な方法600を示すフロー図である。方法600の実施形態の態様は、例えば、電気生理学システム又は処理ユニット(例えば、図1に示される処理ユニット120及び/又は図2に示される処理ユニット200)によって実行することができる。方法600の1つ以上のステップは任意選択であり、及び/又は本明細書に記載の他の実施形態の1つ以上のステップによって修正することができる。加えて、本明細書に記載の他の実施形態の1つ以上のステップが、方法600に追加されてもよい。最初に、電気生理学システムは、複数の位置で収集された複数の信号セクションの活性化波形データのセットを含む活性化波形を受信する(610)。場合によっては、複数の位置は、心腔の一部又は全部を含む。場合によっては、複数の位置は、例えば、ユーザ入力(例えば、グラフィカルユーザインターフェースなどのユーザインターフェースを介した入力)、システム入力(例えば、システム構成)、ソフトウェア入力(例えば、アプリケーションプログラミングインターフェース、ウェブサービスなどを介した入力)などに基づいて選択される。場合によっては、複数の位置は、プローブ(例えば、ロービングプローブ)の位置の所定の半径内で選択される。いくつかの設計では、ロービングプローブは、心腔内で動き回ることができ、それに応じてロービングプローブの位置が変更される。場合によっては、ロービングプローブの位置は、入力、例えば、ユーザ入力、システム入力、ソフトウェア入力などによって示される。システムは、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つを使用して、複数の信号セクションに対応する複数の局所サイクル長を決定する(620)。いくつかの実施形態では、システムはまた、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つを使用して、複数の信号セクションに対応する複数の局所デューティサイクルを決定してもよい(623)。いくつかの実施形態では、システムは更に、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つを使用して、各々が複数の局所サイクル長のうちの1つに対応する、複数のセクション信頼値を決定する(627)。いくつかの実施形態では、複数のセクション信頼値の各々は、信号セクションについての信頼値である。
【0130】
次に、システムは、複数の局所サイクル長に基づいて局所サイクル長ヒストグラムを生成してもよい(630)。いくつかの実施形態では、局所サイクル長ヒストグラムは、1次元ヒストグラムである。いくつかの実装形態では、局所サイクル長ヒストグラムのビンは、ミリ秒単位である。場合によっては、局所サイクル長ヒストグラムは、所定の閾値よりも大きい信頼値を有する局所サイクル長に基づく。いくつかの実施形態では、システムは、複数の局所デューティサイクルに基づいて局所デューティサイクルヒストグラムを生成してもよい(633)。いくつかの実施形態では、局所デューティサイクルヒストグラムは、1次元ヒストグラムである。いくつかの実装形態では、局所デューティサイクルヒストグラムのビンは、0~1である。場合によっては、局所デューティサイクルヒストグラムは、所定の閾値よりも大きい信頼値を有する局所デューティサイクルに基づく。いくつかの実施形態では、システムは、複数のセクション信頼値に基づいて信頼値ヒストグラムを生成してもよい(637)。いくつかの実施形態では、信頼値ヒストグラムは、1次元ヒストグラムである。いくつかの実装形態では、信頼値ヒストグラムのビンは、0~1である。
【0131】
更に、システムは、局所サイクル長ヒストグラムの表現を生成してもよい(640)。図7Aは、局所サイクル長ヒストグラムの例示的な例である。システムはまた、局所デューティサイクルヒストグラムの表現を生成してもよい(643)。図7Bは、局所デューティサイクルヒストグラムの例示的な例である。場合によっては、システムは、信頼値ヒストグラムの表現を生成する(647)。図7Cは、信頼値ヒストグラムの例示的な例である。いくつかの実施形態では、システムは、対象の領域(単数又は複数)、例えば、局所サイクル長の対象の領域、局所デューティサイクルの対象の領域、及び/又は信頼値の対象の領域に対する入力を受信してもよい(650)。場合によっては、対象の領域(単数又は複数)に対する入力は、例えば、グラフィカルユーザインターフェース(単数又は複数)を介して、ユーザから受信することができる。場合によっては、対象の領域(単数又は複数)の入力は、構成設定及び/又はプロファイル設定から受信することができる。場合によっては、対象の領域(単数又は複数)の入力は、ソフトウェアインターフェース、例えば、アプリケーションプログラミングインターフェース、ウェブサービスなどから受信されてもよい。
【0132】
いくつかの実施形態では、システムは、局所サイクル長ヒストグラムの表現、局所デューティサイクルヒストグラムの表現、及び/又は信頼値ヒストグラムの表現を含む、ヒストグラム(単数又は複数)の表現(単数又は複数)上に対象の領域(単数又は複数)を示し、及び/又は重ね合わせることができる(655)。場合によっては、ヒストグラムの表現は、心臓マップとともに示される。図7Dは、心臓マップ710Dを伴う局所サイクル長ヒストグラムの表現700Dの例示的な例を示す。局所サイクル長ヒストグラム表現700Dは、対象の領域701Dを含む。図示のように、心臓マップ710Dは、マップ上に局所サイクル長値の指標を有する。一実施例では、心臓マップ710Dは、検出位置における色又はグレースケールによって局所デューティサイクルの各値/振幅を示す。電気生理学システムが対象の領域701Dの入力を受信すると、システムは、心臓マップ710Dを更新して、対象の領域701D内の局所サイクル長を有する電位図を強調表示することができる。心臓マップにおける強調された領域の空間的分散は、臨床診断に役立つことができる。
【0133】
局所サイクル長及びデューティサイクルデータが解剖学的コンテキストにおいて空間的にどのようにクラスタ化するかについての知識は、心腔内のAFドライバを見つけるのに有用であり得る。電位図特性(例えば、局所サイクル長、局所デューティサイクル)の、対話型グラフィカル表現を含む複数のグラフィカル表現を生成することができる。図8Aは、本開示のいくつかの実施形態による、電気生理学的情報を処理して、電位図特性の表現を生成する例示的な方法800Aを示すフロー図である。方法800Aの実施形態の態様は、例えば、電気生理学システム又は処理ユニット(例えば、図1に示される処理ユニット120及び/又は図2に示される処理ユニット200)によって実行することができる。方法800Aの1つ以上のステップは任意選択であり、及び/又は本明細書に記載の他の実施形態の1つ以上のステップによって修正することができる。加えて、本明細書に記載の他の実施形態の1つ以上のステップが、方法800Aに追加されてもよい。最初に、電気生理学システムは、活性化波形と、例えば、複数の位置で収集された複数の信号セクションの活性化波形データのセットを含む心臓電気信号のセットとを受信する(810A)。場合によっては、複数の位置は、心腔の一部又は全部を含む。場合によっては、複数の位置は、例えば、ユーザ入力(例えば、グラフィカルユーザインターフェースなどのユーザインターフェースを介した入力)、システム入力(例えば、システム構成)、ソフトウェア入力(例えば、アプリケーションプログラミングインターフェース、ウェブサービスなどを介した入力)などに基づいて選択される。場合によっては、複数の位置は、プローブ(例えば、ロービングプローブ)の位置の所定の半径内で選択される。いくつかの設計では、ロービングプローブは、心腔内で動き回ることができ、それに応じてロービングプローブの位置が変更される。場合によっては、ロービングプローブの位置は、入力、例えば、ユーザ入力、システム入力、ソフトウェア入力などによって示される。
【0134】
システムは、電位図特性のセットを決定する(820A)。場合によっては、電位図特性のセットは、複数の信号セクションに対応する複数の局所サイクル長を含む。複数の局所デューティサイクルは、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つを使用して決定することができる。場合によっては、電位図特性のセットは、複数の信号セクションに対応する複数の局所デューティサイクルを含む。複数の局所デューティサイクルは、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つを使用して決定することができる。場合によっては、電位図特性のセットは、各々が複数の局所サイクル長のうちの1つに対応する、複数のセクション信頼値を含む。複数のセクション信頼値は、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つを使用して決定することができる。いくつかの実施形態では、複数のセクション信頼値の各々は、信号セクションについての信頼値である。
【0135】
次に、システムは、電位図特性(例えば、局所サイクル長、局所デューティサイクル、信頼値など)のセットの表現(単数又は複数)を生成する(830A)。いくつかの実施形態では、表現は、グラフィカル表現である。いくつかの実施形態では、表現は、例えば、ユーザから入力を取得し、入力に基づいて表現を調整又は変更する、対話型グラフィカル表現である。一実施例では、表現は、1つ以上のヒストグラムのグラフィカル表現であり、例は、例えば、それぞれの特性の空間パターン及び一貫性を示すために図7A図7Dに示されている。一実施形態では、表現は、マップ上に示される1つ以上の電位図特性と、グレースケール又は色で表される特性の値/振幅とを伴う、心臓マップである。電位図特性指標を有する心臓マップの1つの例示的な例が図9Aに示されており、3D心臓マップ901Aは、局所サイクル長指標を含み、3D心臓マップ902Aは、局所デューティサイクル指標を含む。ある場合には、グラフィカル表現に示される1つ以上の電位図特性(例えば、局所サイクル長、局所デューティサイクルなど)は、所定の閾値を上回る信頼値を有するものである。
【0136】
別の実施形態では、表現は、傍らに示された1つ以上のヒストグラムを伴う3D心臓マップである。ある場合には、システムは、ヒストグラムの対象の領域に対するユーザ又はソフトウェアインターフェースのいずれかによる入力を受信し、それぞれの特性を有する3D心臓マップを更新する。図7Dに戻って参照すると、心臓マップ710Dを伴う局所サイクル長ヒストグラム700Dの1つの例示的な例が示されている。電気生理学システムが対象の領域701Dの入力を受信すると、システムは、心臓マップ710Dを更新して、対象の領域701D内の局所サイクル長を有する電位図を強調表示することができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、電気生理学システムは、ユーザが心腔の特定の領域を強調表示するために心臓マップ上でロービングプローブを移動させることを可能にし、電位図特性のグラフィカル表現(単数又は複数)は、強調表示領域の変化に対応して更新される。図9Bは、心臓マップ910B上で動き回ることができるロービングプローブ912Bを有するグラフィカル表現900Bの1つの例示的な例を示す。ロービングプローブ912Bは、閃光領域とも呼ばれる、ロービングプローブの位置から所定の半径を有する強調表示領域914Bに関連付けられている。電位図特性920Bのグラフィカル表現は、強調表示領域914Bの変化に対応して更新される。場合によっては、強調表示領域914Bは、ロービングプローブ912Bの所定の半径の円である。図示の例では、分解図922Bを有する電位図特性920Bのグラフィカル表現は、信頼値ヒストグラム、局所サイクル長ヒストグラム、及び局所デューティサイクルヒストグラムを含む複数のヒストグラムを示す。
【0138】
場合によっては、グラフィカル表現は、散布図である。一実施例では、散布図のx軸は、局所サイクル長であり、y軸は、局所デューティサイクルである。図9Cは、散布図900Cの1つの例示的な例を示す。いくつかの設計では、システムは、ユーザが、局所サイクル長の範囲及び局所デューティサイクルの範囲を有する対象の領域を選択することを可能にする。場合によっては、散布マップは、電位図特性ヒストグラムとともに提示されてもよい。図9Cでは、局所サイクル長ヒストグラム910Cが散布図900Cと共に示されており、対象の領域920Cは、局所サイクル長912Cの範囲及び局所デューティサイクル914Cの範囲によって選択されている。一実施形態では、散布図内の点は、ロービングプローブの半径内の点に対して異なる色(例えば、赤色)又は異なるグレースケールで注釈が付けられている。
【0139】
いくつかの実施形態では、グラフィカル表現は、1つ以上の3D心臓マップとともに示される散布図である。図9Dは、散布図910D及び1つ以上の心臓マップ920Dを有するそのような散布図900Dの1つの例示的な例を示す。図示される例では、散布マップ910Dは、図9Cに示されるグラフィカル表現900Cと同じである。1つ以上の3D心臓マップ920Dは、局所サイクル長指標を示す心臓マップ922Dと、局所デューティサイクル指標を示す心臓マップ924Dとを含む。一実施例では、電気生理学システムは、ユーザ又はソフトウェアインターフェースから対象の領域の入力(単数又は複数)を受信し、入力(単数又は複数)に従って3D心臓マップを更新する。図9Dに示す例では、対象の領域914Dが変更されると、対応する対象の強調表示領域923D及び925D(すなわち、対象の領域内のそれぞれの電位図特性)が変更される。例えば、局所サイクル長の範囲が変更されると、心臓マップ922D内の強調表示領域923Dが変更される。別の例として、局所デューティサイクルの範囲が変更されると、心臓マップ924D内の強調表示領域925Dが変更される。一実施形態では、グラフィカル表現に示される1つ以上の電位図特性(例えば、局所サイクル長、局所デューティサイクルなど)は、所定の閾値を上回る信頼値を有するものである。一実施形態では、グラフィカル表現は、信頼値を使用して、マスクを生成し、所定の閾値未満の信頼値を有する電位図特性が識別可能であり、例えば灰色で示され、所定の閾値を上回る信頼値を有する電位図特性が色(単数又は複数)で示されるようにする。
【0140】
いくつかの実施形態では、システムは、表現(単数又は複数)のパラメータ(単数又は複数)、例えば、ロービングプローブの位置、強調表示領域の半径、局所サイクル長の対象の領域、局所デューティサイクルの対象の領域、及び/又は信頼値の対象の領域の入力を受信することができる(840A)。場合によっては、パラメータ(単数又は複数)の入力は、例えば、グラフィカルユーザインターフェースを介して、ユーザから受信されてもよい。場合によっては、パラメータ(単数又は複数)の入力は、構成設定及び/又はプロファイル設定から受信することができる。場合によっては、パラメータ(単数又は複数)の入力は、ソフトウェアインターフェース、例えば、アプリケーションプログラミングインターフェース、ウェブサービスなどから受信することができる。いくつかの実施形態では、システムは、例えば、対象の領域内の局所デューティサイクルを有する信号のみを用いて表現を更新することによって、入力に基づいて表現(単数又は複数)を調整してもよい(845A)。
【0141】
いくつかの実施形態では、電位図特性表現は、心臓マップを精緻化するために使用することができる。一実施例では、心臓マップは、活性化波形と重ね合わされる。図8Bは、本開示のいくつかの実施形態による、電位図特性の表現を使用して、心臓マップを精緻化する例示的な方法800Bを示すフロー図である。方法800Bの実施形態の態様は、例えば、電気生理学システム又は処理ユニット(例えば、図1に示される処理ユニット120及び/又は図2に示される処理ユニット200)によって実行することができる。方法800Bの1つ以上のステップは任意選択であり、及び/又は本明細書に記載の他の実施形態の1つ以上のステップによって修正することができる。加えて、本明細書に記載の他の実施形態の1つ以上のステップが、方法800Bに追加されてもよい。最初に、電気生理学システムは、複数の位置で収集された複数の信号セクションの活性化波形データのセットを含む活性化波形を受信する(810B)。場合によっては、複数の位置は、心腔の一部又は全部を含む。場合によっては、複数の位置は、例えば、ユーザ入力(例えば、グラフィカルユーザインターフェースなどのユーザインターフェースを介した入力)、システム入力(例えば、システム構成)、ソフトウェア入力(例えば、アプリケーションプログラミングインターフェース、ウェブサービスなどを介した入力)などに基づいて選択される。場合によっては、複数の位置は、プローブ(例えば、ロービングプローブ)の位置の所定の半径内で選択される。いくつかの設計では、ロービングプローブは、心腔内で動き回ることができ、それに応じてロービングプローブの位置が変更される。場合によっては、ロービングプローブの位置は、入力、例えば、ユーザ入力、システム入力、ソフトウェア入力などによって示される。
【0142】
システムは、複数の信号セクションに対応する電位図特性のセットを決定する(820B)。場合によっては、電位図特性のセットは、複数の信号セクションに対応する複数の局所サイクル長を含む。複数の局所デューティサイクルは、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つを使用して決定することができる。場合によっては、電位図特性のセットは、複数の信号セクションに対応する複数の局所デューティサイクルを含む。複数の局所デューティサイクルは、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つを使用して決定することができる。場合によっては、電位図特性のセットは、各々が複数の局所サイクル長のうちの1つに対応する、複数のセクション信頼値を含む。複数のセクション信頼値は、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つを使用して決定することができる。
【0143】
次に、システムは、電位図特性のセットの表現を生成する(830B)。いくつかの実施形態では、表現は、グラフィカル表現である。一実施例では、表現は、例えば、それぞれの電位図特性の空間パターン及び一貫性を示すための、ヒストグラムのグラフィカル表現である。別の実施例では、表現は、データ点の分布を示すための散布図である。ある場合には、散布図のx軸は局所サイクル長であり、散布図のy軸は局所デューティサイクルである。更に別の実施例では、表現は、散布図で示される1つ以上のヒストグラムである。図9Eは、電位図特性のセットのグラフィカル表現900Eの例示的な例を示す。図示の例では、表現900Eは、局所サイクル長ヒストグラム910E及び散布図920Eを含む。一実施例では、ヒストグラムは、それぞれの電位図特性の2つ以上のピークを示し、2つ以上のピークのうちの1つは、対象のものである、又はターゲット特性と呼ばれる。ある場合には、ターゲット特性は、基準カテーテルに関連付けられている。図9Eに示すように、ヒストグラム910Eは、2つのピーク912E及び914Eを有し、ピーク914Eは、ターゲットサイクル長に関連付けられている。一実施形態では、ターゲット特性は、例えば、電気生理学システムの異なる部分(例えば、基準カテーテルサイクル長)、別の電気生理学システム、又はユーザから受信される。
【0144】
電気生理学システムはまた、活性化波形データと重ね合わされた心臓マップを生成してもよい(835B)。図9Fは、活性化波形指標900Fと重ね合わされた心臓マップの1つの例示的な例を示す。場合によっては、電位図特性の表現は、心臓マップと並べて表示される。例えば、図9Eの表現900Eは、図9Fの活性化波形指標900Fと重ね合わされた心臓マップと並べて表示される。電気生理学システムは、電位図特性のセットに関連付けられたパラメータ(単数又は複数)、例えば、局所サイクル長の対象の領域、局所デューティサイクルの対象の領域、及び/又は信頼値の対象の領域の入力を受信することができる(840B)。一実施形態では、システムは、ターゲット特性の入力を受信し、入力に基づいて対象の領域を決定することができる。場合によっては、パラメータ(単数又は複数)の入力は、例えば、グラフィカルユーザインターフェースを介して、ユーザから受信されてもよい。場合によっては、パラメータ(単数又は複数)の入力は、構成設定及び/又はプロファイル設定から受信することができる。場合によっては、パラメータ(単数又は複数)の入力は、ソフトウェアインターフェース、例えば、アプリケーションプログラミングインターフェース、ウェブサービスなどから受信することができる。
【0145】
電気生理学システムは、入力に基づいて心臓マップを更新することができる(845B)。一実施例では、システムは、入力に基づいて電位図データのセットを含む心臓マップを更新することができる。例えば、更新された心臓マップは、局所サイクル長の範囲内の選択された電位図の心臓電気信号のみを使用して生成される。更に、システムは、電位図データの新しいセットを使用して、再処理された心臓マップを生成することができる。図9Gは、図9Fに示す心臓マップに基づいて再処理された心臓マップ900Gの例示的な例を示す。図9F図9Gとを比較すると、選択領域910Gは、選択領域910Fとは異なる活性化波形指標を示しており、図9Gは、活性化波形指標によって示される電気伝搬の空間パターンを識別するのにより良好であり得る。
【0146】
本発明の範囲から逸脱することなく、説明した例示的な実施形態に対して様々な修正及び追加を行うことができる。例えば、上記の実施形態は特定の特徴に言及しているが、本発明の範囲はまた、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、及び記載された特徴の全てを含まない実施形態を含む。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲内に入る全てのそのような代替形態、修正形態、及び変形形態を、それらの全ての均等物とともに包含することが意図されている。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
【国際調査報告】