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特表2023-543847マイクロリエントリー部位を評価するための電気生理学的システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(54)【発明の名称】マイクロリエントリー部位を評価するための電気生理学的システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/367 20210101AFI20231011BHJP
【FI】
A61B5/367
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519701
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 US2021052589
(87)【国際公開番号】W WO2022072455
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】63/085,683
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ベネット、ネイサン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート、ブライアン
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127GG05
4C127GG15
4C127HH13
4C127LL08
(57)【要約】
本開示の少なくともいくつかの実施形態は、心臓情報を処理するためのシステムを対象とする。処理ユニットを含むシステムは、心腔内に配置された1つまたは複数の電極から、心臓の拍動にわたって取得される1つまたは複数の心臓電気信号を受信し、心臓電気信号の各々に対応する測定位置の標示を受信し、1つまたは複数の心臓電気信号を分析して、複数のデューティサイクル値を計算するように構成され、計算されたデューティサイクル値は、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウに対応し、システムは、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウにわたって、計算されたデューティサイクル値の平均デューティサイクルを計算するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓情報を処理するためのシステムであって、
処理ユニットを備え、前記処理ユニットは、心腔内に配置された1つまたは複数の電極から1つまたは複数の心臓電気信号を受信するように構成され、前記心臓電気信号は、心臓の拍動にわたって取得され、
前記処理ユニットは、
前記心臓電気信号の各々に対応する測定位置の標示を受信し、
前記1つまたは複数の心臓電気信号を分析して、複数のデューティサイクル値を計算するように構成され、各計算されたデューティサイクル値は、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウのそれぞれ1つに対応し、
前記処理ユニットは、
前記複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウにわたって、前記計算されたデューティサイクル値の平均デューティサイクルを計算し、
関連する前記心臓電気信号の前記測定位置に基づいて、前記計算された平均デューティサイクルを表す注釈がオーバーレイされた3次元電気解剖学的マップの、ディスプレイデバイス上での提示を容易にする
ように構成されている、システム。
【請求項2】
前記心臓電気信号は、心内電位図(EGM)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理ユニットは、前記心臓の拍動に関連付けられた活性化持続時間を決定するとともに、前記活性化持続時間を前記複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウの各々で除算することによって、前記複数のデューティサイクル値を計算するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つまたは複数の心臓電気信号の分析は、そこから活性化波形を生成することを含み、前記活性化波形は、信号ベースラインからの、前記1つまたは複数の分析された心臓電気信号の偏向に基づいている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記処理ユニットは、前記活性化波形に基づいて活性化持続時間を決定するようにさらに構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記活性化波形は、前記偏向が心臓組織の活性化を表している確率を示す値を含む、請求項4または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理ユニットは、前記複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウの各々にわたって平均活性化波形値を計算することによって、前記複数のデューティサイクル値を計算するように構成されている、請求項4~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記計算された平均デューティサイクルは、前記測定位置に対応する心臓組織がマイクロリエントリー部位を画定する確率を表す、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウは、140ミリ秒~2000ミリ秒の範囲内にある、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記処理ユニットに動作可能に接続されるとともに、前記注釈がオーバーレイされた3次元解剖学的マップを表示するように構成されたディスプレイデバイスをさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記処理ユニットは、各心臓電気信号について平均デューティサイクル値を計算するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記処理ユニットは、指定された領域内の関連付けられた測定位置を有する複数の心臓電気信号を集約するとともに、集約された心臓電気信号について平均デューティサイクル値を計算するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
心臓情報を処理する方法であって、
心臓の拍動にわたって取得された1つまたは複数の心臓電気信号を受信すること、
前記1つまたは複数の心臓電気信号を分析するとともに、複数のデューティサイクル値を計算すること
を含み、各計算されたデューティサイクル値は、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウのそれぞれ1つに対応し、
前記方法は、
前記複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウにわたって、前記計算されたデューティサイクル値の平均を計算すること、
ディスプレイデバイス上に、計算された平均デューティサイクルを表す注釈がオーバーレイされた3次元解剖学的マップを表示すること
を含む、方法。
【請求項14】
前記1つまたは複数の心臓電気信号を分析することは、そこから活性化波形を生成することを含み、前記活性化波形は、信号ベースラインからの、前記1つまたは複数の分析された心臓電気信号の偏向に基づいている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のデューティサイクル値を計算することは、活性化波形および前記複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウの各々に基づいて前記複数のデューティサイクル値を計算することを含む、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、心臓電気信号を処理するための電気生理学的システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上室性不整脈および心室性不整脈などの様々な心臓疾患を治療するために、カテーテルアブレーションなどの低侵襲処置を使用することが、ますます一般的になってきている。このような処置は、不整脈の発生部位を特定するために、心内膜表面上の様々な場所などにおいて、(例えば、心臓信号に基づいて)心臓の電気的活動のマッピング(「心臓マッピング」)を行い、その後、その部位の標的を定めたアブレーションを行うことを含む。このような心臓マッピングを実行するために、1つまたは複数の電極を有するカテーテルを患者の心腔に挿入することができる。
【0003】
従来の3次元(3D)マッピング技法は、接触マッピング、非接触マッピング、および接触マッピングと非接触マッピングとの組み合わせを含む。接触マッピングおよび非接触マッピングの両方において、1つまたは複数のカテーテルが心臓の中に進められる。いくつかのカテーテルでは、いったん心腔内に入ると、カテーテルは、3D形状をとるように展開されてもよい。接触マッピングにおいて、心臓の電気的活動から生じる生理学的信号は、カテーテルの遠位端が特定の心腔の心内膜表面と安定かつ定常的に接触していることを判定した後、カテーテルの遠位端に位置する1つまたは複数の電極を用いて取得される。非接触ベースのマッピングシステムでは、非接触電極によって検出された信号と、心腔の解剖学的構造および相対的な電極位置に関する情報とを使用して、システムは、心腔の心内膜に関する生理学的情報を提供する。位置および電気的活動は、通常、心臓の電気解剖学的描写を構築するために、心臓の内表面上の約50~200のポイントでポイントごとに順次測定される。次いで、生成されたマップは、心臓の電気的活動の伝播を変化させ、正常な心調律を回復させるために、例えば組織アブレーションなどの治療方針を決定するための基礎とすることができる。
【0004】
多くの従来のマッピングシステムでは、臨床医は、捕捉された電位図(EGM)を視覚的に点検または検査するため、検査時間および費用が増加する。しかしながら、自動電気解剖学的マッピングプロセス中に、約6,000~20,000個の心臓内電位図(EGM)が捕捉される可能性があり、これは、診断評価、EGM分類、および/または同様のもののために臨床医(例えば、医師)によって完全に手動で検査されるのには適さない。典型的には、マッピングシステムは、各EGMからスカラー値を抽出して、電圧、活性化、または他のマップタイプを構築し、心臓内の活動の全体的なパターンを描写する。マップは捕捉されたEGMを検査する必要性を低減するが、EGMにおけるしばしば複雑で有用な情報を圧縮もする。さらに、マップは、電気的アーチファクトまたは活性化時間などの特徴の不適切な選択に起因して誤解を招く可能性がある。加えて、従来技術の複雑な性質のために、心臓マップは、しばしば正確かつ効率的な解釈に適していない。
【0005】
心臓マッピングは、心房頻拍部位を検出するために使用されることもある。心房頻拍(Atrial tachycardia,AT)は、異常な心拍リズム、または不整脈の一種である。これは、心拍を制御する電気信号が、心房の異常な場所から始まり、急速に繰り返されることにより、心房の拍動が速くなり過ぎることで起こる。心房頻拍は、3つの広範なカテゴリー、すなわち、フォーカルAT(focal AT)、マクロリエントリーAT(macro-reentry AT)、およびマイクロリエントリーAT(micro-reentry AT)に分類することができる。フォーカルATは、構造的に正常な心臓において起こり得るが、心疾患を有する患者においても起こり得る。マクロリエントリーATは、心房線維症の状況で起こり得る。マイクロリエントリーATは、非常に遅い伝導を支える心房心筋に疾患がある状況で起こり得る。
【発明の概要】
【0006】
例に記載されるように、例1は、心臓情報を処理するためのシステムである。システムは、処理ユニットを備え、処理ユニットは、心腔内に配置された1つまたは複数の電極から1つまたは複数の心臓電気信号を受信するように構成されており、心臓電気信号は、心臓の拍動にわたって取得され、処理ユニットは、心臓電気信号の各々に対応する測定位置の標示を受信し、1つまたは複数の心臓電気信号を分析して、複数のデューティサイクル値を計算するように構成され、各計算されたデューティサイクル値は、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウのそれぞれ1つに対応し、処理ユニットは、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウにわたって、計算されたデューティサイクル値の平均デューティサイクルを計算し、関連する前記心臓電気信号の測定位置に基づいて、計算された平均デューティサイクルを表す注釈がオーバーレイされた3次元電気解剖学的マップの、ディスプレイデバイス上での提示を容易にするように構成されている。
【0007】
例2は、心臓電気信号が、心内電位図(EGM)を含む、例1のシステムである。
例3は、処理ユニットが、心臓の拍動に関連付けられた活性化持続時間を決定するとともに、活性化持続時間を複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウの各々で除算することによって、複数のデューティサイクル値を計算するように構成されている、例2のシステムである。
【0008】
例4は、1つまたは複数の心臓電気信号の分析が、そこから活性化波形を生成することを含み、活性化波形は、信号ベースラインからの、1つまたは複数の分析された心臓電気信号の偏向に基づいている、例2のシステムである。
【0009】
例5は、処理ユニットが、活性化波形に基づいて活性化持続時間を決定するようにさらに構成されている、例4のシステムである。
例6は、活性化波形が、偏向が心臓組織の活性化を表している確率を示す値を含む、例4または5のいずれかのシステムである。
【0010】
例7は、処理ユニットが、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウの各々にわたって平均活性化波形値を計算することによって、複数のデューティサイクル値を計算するように構成される、例4~6のいずれかのシステムである。
【0011】
例8は、計算された平均デューティサイクルが、測定位置に対応する心臓組織がマイクロリエントリー部位を画定する確率を表す、実施例1~7のいずれかのシステムである。
例9は、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウが、140ミリ秒~2000ミリ秒の範囲内にある、例1~8のいずれかのシステムである。
【0012】
例10は、処理ユニットに動作可能に接続されるとともに、注釈がオーバーレイされた3次元解剖学的マップを表示するように構成されたディスプレイデバイスをさらに備える、例1~9のいずれかのシステムである。
【0013】
例11は、処理ユニットが、各心臓電気信号について平均デューティサイクル値を計算するように構成されている、例1~10のいずれかのシステムである。
例12は、処理ユニットが、指定された領域内の関連付けられた測定位置を有する複数の心臓電気信号を集約するとともに、集約された心臓電気信号について平均デューティサイクル値を計算するように構成されている、例1~10のいずれかのシステムである。
【0014】
例13は、心臓情報を処理する方法である。方法は、心臓の拍動にわたって取得された1つまたは複数の心臓電気信号を受信すること、1つまたは複数の心臓電気信号を分析するとともに、複数のデューティサイクル値を計算することを含み、各計算されたデューティサイクル値は、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウのそれぞれ1つに対応し、方法は、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウにわたって、計算されたデューティサイクル値の平均を計算すること、ディスプレイデバイス上に、計算された平均デューティサイクルを表す注釈がオーバーレイされた3次元解剖学的マップを表示することを含む。
【0015】
例14は、1つまたは複数の心臓電気信号を分析することが、そこから活性化波形を生成することを含み、活性化波形は、信号ベースラインからの、1つまたは複数の分析された心臓電気信号の偏向に基づいている、例13の方法である。
【0016】
例15は、複数のデューティサイクル値を計算することが、活性化波形および複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウの各々に基づいて複数のデューティサイクル値を計算することを含む、例13または14に記載の方法である。
【0017】
例16は、心臓情報を処理するためのシステムである。システムは、処理ユニットを備え、処理ユニットは、心腔内に配置された1つまたは複数の電極から1つまたは複数の心臓電気信号を受信するように構成されており、心臓電気信号は、心臓の拍動にわたって取得され、処理ユニットは、心臓電気信号の各々に対応する測定位置の標示を受信し、1つまたは複数の心臓電気信号を分析して、複数のデューティサイクル値を計算するように構成され、各計算されたデューティサイクル値は、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウのそれぞれ1つに対応し、処理ユニットは、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウにわたって、計算されたデューティサイクル値の平均デューティサイクルを計算し、関連する前記心臓電気信号の測定位置に基づいて、計算された平均デューティサイクルを表す注釈がオーバーレイされた3次元電気解剖学的マップの、ディスプレイデバイス上での提示を容易にするように構成されている。
【0018】
例17は、心臓電気信号が、心内電位図(EGM)を含む、例16のシステムである。
例18は、処理ユニットが、心臓の拍動に関連付けられた活性化持続時間を決定するとともに、活性化持続時間を複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウの各々で除算することによって、複数のデューティサイクル値を計算するように構成されている、例17のシステムである。
【0019】
例19は、1つまたは複数の心臓電気信号の分析が、そこから活性化波形を生成することを含み、活性化波形は、信号ベースラインからの、1つまたは複数の分析された心臓電気信号の偏向に基づいている、例17のシステムである。
【0020】
例20は、処理ユニットが、活性化波形に基づいて活性化持続時間を決定するようにさらに構成されている、例19のシステムである。
例21は、活性化波形が、偏向が心臓組織の活性化を表している確率を示す値を含む、例19のシステムである。
【0021】
例22は、処理ユニットが、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウの各々にわたって平均活性化波形値を計算することによって、複数のデューティサイクル値を計算するように構成される、例19のシステムである。
【0022】
例23は、計算された平均デューティサイクルが、測定位置に対応する心臓組織がマイクロリエントリー部位を画定する確率を表す、例16のシステムである。
例24は、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウが、140ミリ秒~2000ミリ秒の範囲内にある、例16のシステムである。
【0023】
例25は、処理ユニットに動作可能に接続されるとともに、注釈がオーバーレイされた3次元解剖学的マップを表示するように構成されたディスプレイデバイスをさらに備える、例16のシステムである。
【0024】
例26は、処理ユニットが、各心臓電気信号について平均デューティサイクル値を計算するように構成されている、例16のシステムである。
例27は、処理ユニットが、指定された領域内の関連付けられた測定位置を有する複数の心臓電気信号を集約するとともに、集約された心臓電気信号について平均デューティサイクル値を計算するように構成されている、例16のシステムである。
【0025】
例28は、心臓情報を処理する方法である。方法は、心臓の拍動にわたって取得された1つまたは複数の心臓電気信号を受信すること、1つまたは複数の心臓電気信号を分析するとともに、複数のデューティサイクル値を計算することを含み、各計算されたデューティサイクル値は、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウのそれぞれ1つに対応し、方法は、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウにわたって、計算されたデューティサイクル値の平均を計算すること、ディスプレイデバイス上に、計算された平均デューティサイクルを表す注釈がオーバーレイされた3次元解剖学的マップを表示することを含む。
【0026】
例29は、1つまたは複数の心臓電気信号を分析することが、そこから活性化波形を生成することを含み、活性化波形は、信号ベースラインからの、1つまたは複数の分析された心臓電気信号の偏向に基づいている、例28の方法である。
【0027】
例30は、複数のデューティサイクル値を計算することが、活性化波形および複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウの各々に基づいて複数のデューティサイクル値を計算することを含む、例28に記載の方法である。
【0028】
例31は、心臓電気信号が、心内電位図(EGM)を含む、例28に記載の方法である。
例32は、活性化波形が、偏向が心臓組織の活性化を表している確率を示す値を含む、例29の方法である。
【0029】
例33は、複数のデューティサイクル値を計算することが、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウの各々にわたって平均活性化波形値を計算することを含む、例29の方法である。
【0030】
例34は、計算された平均デューティサイクルが、測定位置に対応する心臓組織がマイクロリエントリー部位を画定する確率を表す、例28の方法である。
例35は、複数のデューティサイクル値を計算することが、指定された領域内の関連付けられた測定位置を有する複数の心臓電気信号を集約すること、集約された心臓電気信号について平均デューティサイクル値を計算することを含む、例28の方法である。
【0031】
複数の実施形態が開示されているが、本発明の例示的な実施形態を示し説明する以下の詳細な説明から、本発明のさらに他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本明細書に開示される主題の実施形態による、電気生理学的システムの例示的な実施形態の概略図である。
図2図2は、本開示の実施形態による、例示的な処理ユニットのブロック図である。
図3図3は、本開示の実施形態による、自動化された解剖学的マッピングのための例示的なプロセスのフロー図である。
図4A図4Aは、本開示のいくつかの実施形態による、心臓電気信号および生成された活性化波形を処理する例示的な方法を示す例示的なフロー図である。
図4B図4Bは、本開示のいくつかの実施形態による、心臓電気信号および生成された活性化波形を処理する例示的な方法400Bを示す例示的なフロー図である。
図5A図5Aは、マッピングカテーテルから受信された電気信号を示す例示的なグラフ表現を示す図である。
図5B図5Bは、生の心臓電気信号の波形と、心臓電気信号に対応する活性化波形とを示す図である。
図6図6は、平均デューティサイクル値を表す注釈を伴う解剖学的マップの説明のための例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、様々な修正形態および代替形態に従うが、特定の実施形態が、例として図面に示されており、以下で詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本発明を記載された特定の実施形態に限定することではない。逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に入るすべての修正、均等物、および代替を包含することが意図される。
【0034】
有形物(例えば、製品、在庫など)および/または無形物(例えば、データ、通貨の電子表現、アカウント、情報、物の部分(例えば、パーセンテージ、分数)、計算、データモデル、動的システムモデル、アルゴリズム、パラメータなど)の測定値(例えば、寸法、特性、属性、コンポーネントなど)およびそれらの範囲に関して本明細書で使用される用語として、「約」および「およそ」は、記載された測定値を含み、記載された測定値に適度に近いが、測定誤差、測定および/または製造装置の較正の差、測定値の読み取りおよび/または設定におけるヒューマンエラー、他の測定値(例えば、他のものに関連する測定値)を考慮して性能および/または構造パラメータを最適化するために行われる調整、特定の実装シナリオ、人、コンピューティングデバイス、および/または機械による、物、設定、および/または測定値の不正確な調整および/または操作、システム公差、制御ループ、機械学習、予測可能な変動(例えば、統計的に重要でない変動、カオス的変動、システムおよび/またはモデル不安定性など)、プリファレンス、および/または同様のものに起因すると当業者によって理解され容易に確認されるような適度に小さい量だけ異なり得る任意の測定値も含む測定値を指すために互換的に使用され得る。
【0035】
例示的な方法は、1つまたは複数の図面(例えば、フロー図、通信フローなど)によって表され得るが、図面は、本明細書で開示される様々なステップの任意の要件、またはそれらの間の特定の順序を示唆するものとして解釈されるべきではない。しかしながら、特定のいくつかの実施形態は、本明細書で明示的に説明され得るように、および/またはステップ自体の性質から理解され得るように、特定のステップおよび/または特定のステップ間の特定の順序を必要とする場合もある(例えば、いくつかのステップの動作は、前のステップの結果に依存し得る)。加えて、アイテム(例えば、入力、アルゴリズム、データ値など)の「セット」、「サブセット」、または「グループ」は、1つまたは複数のアイテムを含んでもよく、同様に、アイテムのサブセットまたはサブグループは、1つまたは複数のアイテムを含んでもよい。「複数」とは、1よりも多いことを意味する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「~に基づく」という用語は、限定的であることを意味せず、むしろ、少なくとも、「~に基づく」に先立つ用語を入力として使用することによって、判定、識別、予測、計算および/または同様のことが実行されることを示す。例えば、特定の情報に基づいて結果を予測することは、追加的または代替的に、同じ判定を別の情報に基づかせることがある。
【0037】
心臓マップ(例えば、活性化マップ)におけるマイクロリエントリー心房頻拍(AT)の特定は困難である。マイクロリエントリーが疑われる場合であっても、マイクロリエントリーの位置を追跡することは困難であり、時間がかかる可能性がある。加えて、遅いマイクロリエントリーATは、フォーカルATと同様に見えることがあるが、中心に混合タイミングの小さいエリアを有する。多くの場合、マイクロリエントリーATの電気解剖学的マップは、無秩序で解離した領域を多く含み、心房細動(AF)のような外観を持つ。本開示の実施形態は、マイクロリエントリーAT部位の評価を容易にする。いくつかの実施形態では、マイクロリエントリー部位の確率を決定するために、特定の電位図特性(例えば、複数のサイクル長ウィンドウにわたる平均デューティサイクル値)が生成および評価される。いくつかの実施形態では、マイクロリエントリー部位の評価を容易にするために、電位図特性の注釈を有する解剖学的マップが提示される。いくつかの実施形態では、活性化波形(activation waveform)および活性化波形値(activation waveform value)が、評価において使用される。
【0038】
活性化波形、または注釈波形と呼ばれるものは、活性化波形値のセットであり、例えば、離散的な活性化波形値のセット(例えば、活性化波形値のセット、活性化時間注釈のセットなど)、活性化波形曲線を定義する関数、および/または同様のものを含み得る。いくつかの実施形態では、活性化波形の各データ点は、組織活性化のサンプル当たりの「確率」を表す。いくつかの実施形態では、活性化波形は、表示され、活性化伝播マップに提示するために使用され、診断を容易にするために使用され、電気信号の分類を容易にするために使用され、および/または同様のことをされてもよい。本明細書に記載される方法の実施形態の態様を実行するために、心臓電気信号は、マッピングカテーテル(例えば、マッピングシステムに関連付けられる)から取得されてよく、これは、電気生理学研究室において通常使用される他の機器、例えば、記録システム、冠静脈洞(CS)カテーテルまたは他の参照カテーテル、アブレーションカテーテル、メモリデバイス(例えば、ローカルメモリ、クラウドサーバなど)、通信コンポーネント、医療デバイス(例えば、埋め込み型医療デバイス、外部医療デバイス、遠隔測定デバイスなど)および/または同様のものと併せて使用されてもよい。
【0039】
感知された心臓電気信号は、その用語が本明細書で使用される場合、1つまたは複数の感知された信号を指す場合がある。各心臓電気信号は、心腔内で感知された複数の心内電位図(intracardiac electrogram)(EGM)を含んでいてよく、電気生理学的システムの態様によって確認され得る任意の数の特徴を含んでいてよい。心臓電気信号特徴の例は、活性化時間、活性化、活性化波形、フィルタリングされた活性化波形、最小電圧値、最大電圧値、電圧の最大負時間微分(maximum negative time-derivatives of voltage)、瞬時電位、電圧振幅、優位周波数(dominant frequency)、ピークツーピーク電圧、および/または同様のものを含むが、これらに限定されない。心臓電気信号の特徴は、1つまたは複数の心臓電気信号から抽出された1つまたは複数の特徴、1つまたは複数の心臓電気信号から抽出された1つまたは複数の特徴から導出された1つまたは複数の特徴、および/または同様のものを指し得る。加えて、心臓および/または表面マップ上の心臓電気信号の特徴の表現は、1つまたは複数の心臓電気信号の特徴、複数の心臓電気信号の特徴の補間、および/または同様のものを表し得る。
【0040】
各心臓信号は、心臓電気信号が感知された場所に対応するそれぞれの位置座標のセットと関連付けられていてもよい。感知された心臓信号のそれぞれの位置座標の各々は、3次元デカルト座標、極座標、および/または同様のものを含んでいてよい。いくつかの場合において、他の座標系を使用することができる。いくつかの実施形態では、任意の原点が使用され、それぞれの位置座標は、その任意の原点に対する空間内の位置を指す。いくつかの実施形態では、心臓信号は心臓表面上で感知され得るので、それぞれの位置座標は、患者の心臓の心内膜表面上、心外膜表面上、心筋中央部、および/またはこれらのうちの1つの近傍にあり得る。
【0041】
図1は、電気生理学的システム100の例示的な実施形態の概略図を示す。上述したように、本明細書に開示される主題の実施形態は、マッピングシステム(例えば、心臓マッピングシステム)において実施されてよく、他の実施形態は、アブレーションシステム、記録システム、コンピュータ分析システム、および/または同様のものにおいて実施されてよい。電気生理学的システム100は、複数の空間的に分散された電極を有する可動カテーテル110を含む。信号取得段階中、カテーテル110は、カテーテル110が挿入される心腔内の複数の位置に動かされる。いくつかの実施形態では、カテーテル110の遠位端には、カテーテル上にある程度均一に広げられた複数の電極が取り付けられている。例えば、電極は、3Dオリーブ形状、バスケット形状、および/または同様のものに従ってカテーテル110上に取り付けられていてよい。電極は、心臓内にある間に電極を所望の形状に展開することができるとともに、カテーテルが心臓から除去される場合に電極を格納することができるデバイスに取り付けられている。心臓内で3D形状への展開を可能にするために、電極は、バルーン、ニチノールなどの形状記憶材料、作動可能なヒンジ構造、および/または同様のものに取り付けられてもよい。実施形態によれば、カテーテル110は、マッピングカテーテル、アブレーションカテーテル、診断カテーテル、CSカテーテル、および/または同様のものであってよい。例えば、カテーテル110の実施形態の態様、カテーテル110を使用して取得された電気信号、および電気信号の後続の処理は、本明細書に記載されるように、記録システム、アブレーションシステム、および/または心臓電気信号を取得するように構成され得る電極を備えたカテーテルを有する任意の他のシステムを有する実装にも適用可能であり得る。
【0042】
カテーテル110が移動される場所の各々において、カテーテルの複数の電極は、心臓内の電気的活動から生じる信号を取得する。その結果、心臓の電気的活動に関する生理学的データを再構成してユーザ(医師および/または技術者など)に提示することは、複数の位置で取得された情報に基づくことができ、それによって心内膜表面の生理学的挙動のより正確かつ忠実な再構築を提供する。心腔内の複数のカテーテル位置での信号の取得は、カテーテルが「メガカテーテル」として効果的に機能することを可能にし、その電極および電極スパンの有効数は、信号取得が行われる位置の数とカテーテルが有する電極の数との積に比例する。
【0043】
心内膜表面における再構成された生理学的情報の品質を向上させるために、いくつかの実施形態では、カテーテル110は、心腔内の3つを超える位置(例えば、5、10、または50を超える位置)に移動させられる。さらに、カテーテルが移動される空間範囲は、心腔の直径の3分の1(1/3)より大きくてもよい(例えば、心腔の直径の35%、40%、50%、または60%より大きい)。加えて、いくつかの実施形態では、再構成された生理学的情報は、心腔内の単一のカテーテル位置において、またはいくつかの位置で、いくつかの心臓の拍動にわたって測定された信号に基づいて計算される。再構成された生理学的情報がいくつかの心臓の拍動にわたる複数の測定に基づく状況では、測定が心周期のほぼ同じ位相で実行されるように、複数の測定は、互いに対して同期されていてよい。複数の拍動にわたる信号測定は、表面心電図(ECG)および/または心内電位図(EGM)などの生理学的データから検出される特徴に基づいて同期されてもよい。
【0044】
電気生理学的システム100は、電極および/またはカテーテルから収集された心臓電気信号を処理することを含む、評価に関する動作のうちのいくつかを実行する処理ユニット120をさらに含む。処理ユニット120は、例えば、心内膜表面(例えば、上述したように)における、および/または心腔内の生理学的情報を判定するための再構成手順を含むマッピング手順を実行することができる。処理ユニット120は、カテーテルレジストレーション手順を実行してもよい。処理ユニット120は、カテーテル110によって捕捉された情報を集約するとともに、その情報の部分の表示を容易にするために使用される3Dグリッドを生成してもよい。
【0045】
心腔内に挿入されたカテーテル110の位置は、従来の感知および追跡システム180を使用して判定することができ、感知および追跡システム180は、感知および追跡システムによって確立されるカテーテルの座標系に対するカテーテルおよび/またはその複数の電極の3D空間座標を提供する。これらの3D空間位置は、3Dグリッドを構築する際に使用され得る。システム100の実施形態は、インピーダンス位置特定を磁気位置特定技術と組み合わせるハイブリッド位置特定技術を使用することができる。この組み合わせは、システム100が、システム100に接続されるカテーテルを正確に追跡することを可能にし得る。磁気位置特定技術は、磁気センサでカテーテルを追跡するために、患者テーブルの下に配置された位置特定生成器によって生成された磁場を使用する。インピーダンス位置特定技術は、表面ECGパッチと共に使用され得る磁気位置センサを備えていない可能性のあるカテーテルを追跡するために使用され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、マッピング手順を実行し、心内膜表面上における生理学的情報を再構成するために、処理ユニット120は、カテーテル110の座標系を心内膜表面の座標系と合わせてもよい。処理ユニット120(またはシステム100のいくつかの他の処理コンポーネント)は、カテーテルの位置の3D空間座標を心内膜表面の座標系に関して表現される座標に変換する、および/またはその逆に変換する座標系変換関数を決定することができる。いくつかの場合において、3Dグリッドのいくつかの実施形態が、接触および非接触EGMを捕捉するために使用されるとともに、3Dグリッドのノードに関連付けられた統計的分布に基づいてマッピング値を選択することができるため、そのような変換は必要でない場合がある。処理ユニット120は、生理学的情報に対して後処理動作を実行して、情報の有用な特徴を抽出し、システム100のオペレータおよび/または他の人(例えば、医師)に対して表示してもよい。
【0047】
実施形態によれば、カテーテル110の複数の電極によって取得された信号は、例えば信号調整コンポーネントを含むことができる電気モジュール140を介して処理ユニット120に渡される。電気モジュール140は、カテーテル110から通信された信号を受信し、信号が処理ユニット120に転送される前に、信号に対して信号増強動作を実行する。電気モジュール140は、1つまたは複数の電極によって測定された心臓内電位を増幅、フィルタリング、および/またはサンプリングするために使用され得る信号調整ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアを含んでいてよい。心臓内信号は、通常60mVの最大振幅を有し、平均は数ミリボルトである。
【0048】
いくつかの実施形態では、信号は、周波数範囲(例えば、0.5~500Hz)を有するバンドパスフィルタによってフィルタリングされ、アナログデジタル変換器(例えば、1kHzで15ビット分解能を有する)を用いてサンプリングされる。部屋内の電気機器との干渉を回避するために、信号は、電源に対応する周波数(例えば、60Hz)を除去するようにフィルタ処理され得る。スペクトル等化、自動利得制御などの他のタイプの信号処理動作も行われ得る。いくつかの実装形態では、心臓内信号は、基準(仮想基準であってもよい)に対して測定された単極信号であってよい。そのような実装形態では、基準は、例えば、冠状静脈洞カテーテルまたはウィルソン中心端子(Wilson’s Central Terminal,WCT)であってよく、信号処理動作は、そこから差分を計算して、多極信号(例えば、双極信号、三極信号など)を生成し得る。いくつかの他の実装形態では、信号は、多極信号を生成する前および/または後に処理(例えば、フィルタ処理、サンプリングなど)され得る。結果として生じる処理された信号は、さらなる処理のために、電気モジュール140によって処理ユニット120に転送される。
【0049】
図1にさらに示されるように、電気生理学的システム100は、プリンタ150および/またはディスプレイデバイス170などの周辺デバイスも含んでいてよく、その両方は、処理ユニット120に相互接続され得る。加えて、電気生理学的システム100は、ボリュメトリック画像、電極によって測定された生データおよび/またはそこから計算された結果として生じる心内膜表現、マッピング手順を迅速化するために使用される部分的に計算された変換、心内膜表面に対応する再構成された生理学的情報、および/または同様のものを含む、様々な相互接続されたモジュールによって取得されたデータを格納するために使用され得るストレージデバイス160を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、処理ユニット120は、1つまたは複数の人工知能技術(例えば、機械学習モデル、深層学習モデル)、分類器、および/または同様のものを使用することによって、そのアルゴリズムの精度を自動的に向上させるように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、処理ユニットは、例えば、サポートベクターマシン(SVM)、k最近傍法、ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、再帰型ニューラルネットワーク、および/または同様のものなどの1つまたは複数の教師ありおよび/または教師なし技法を使用してもよい。いくつかの実施形態では、分類器は、ユーザからのフィードバック情報、他のメトリック、および/または同様のものを使用して、訓練および/または適合され得る。
【0051】
図1に示される例示的な電気生理学的システム100は、本開示の実施形態の使用または機能の範囲に関していかなる限定も示唆することを意図していない。また、例示的な電気生理学的システム100は、そこに例示されている任意の単一のコンポーネントまたはコンポーネントの組み合わせに関連する依存性または要件を有するものとして解釈されるべきではない。加えて、図1に示される様々なコンポーネントは、いくつかの実施形態では、そこに示される他のコンポーネント(および/または図示されていないコンポーネント)のうちの様々なものと統合されてもよく、それらの全ては、本明細書に開示される主題の範囲内にあると見なされる。例えば、電気モジュール140は、処理ユニット120と一体化されてもよい。追加的にまたは代替的に、電気生理学的システム100の実施形態の態様は、メモリデバイス(例えば、クラウドサーバ、マッピングシステムメモリなど)から心臓電気信号および/または他の情報を受信し、心臓情報を処理する(例えば、注釈波形を決定するなど)ための本明細書に記載の方法の実施形態の態様を実行するように構成されたコンピュータ分析システムにおいて実装されてもよい。すなわち、例えば、コンピュータ分析システムは、処理ユニット120を含むが、マッピングカテーテルを含まなくてもよい。
【0052】
図2は、本開示の実施形態による、例示的な処理ユニット200のブロック図である。処理ユニット200は、図1に示される処理ユニット120であってもよく、それと同様であってもよく、それを含んでいてもよく、またはそれに含まれていてもよい。図2に示すように、処理ユニット200は、1つまたは複数のプロセッサ202および1つまたは複数のメモリ204を含むコンピューティングデバイス上で実装され得る。処理ユニット200は、本明細書において単数形で言及されるが、処理ユニット200は、複数のインスタンスで(例えば、サーバクラスタとして)実装されてもよく、複数のコンピューティングデバイスにわたって分散されてもよく、複数の仮想マシン内でインスタンス化されてもよく、および/または同様のものであってもよい。電気生理学的システムの1つまたは複数のコンポーネントは、メモリ204に格納されていてよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ202は、1つまたは複数のコンポーネントをインスタンス化して、活性化波形、信号分析結果のセット、電位図特性、ヒストグラム、および心臓マップを生成するように構成されていてもよく、それらのうちの任意の1つまたは複数は、データリポジトリ206に格納されていてよい。
【0053】
図2に示すように、処理ユニット200は、マッピングカテーテル(例えば、図1に示すマッピングカテーテル110)から電気信号を受信するように構成されたアクセプタ212を含んでいてよい。測定された電気信号は、患者の心臓内で感知された複数の心内電位図(EGM)を含んでいてよい。アクセプタ212は、電気信号の各々に対応する測定位置の標示(indication)を受信してもよい。いくつかの実施形態において、アクセプタ212は、受信された電気信号を受け入れるかどうかを決定するように構成されていてよい。アクセプタ212は、任意の数の異なるコンポーネントおよび/または技術を利用して、フィルタリング、拍動マッチング、形態分析、位置情報(例えば、カテーテルの動き)、呼吸ゲーティング、および/または同様のものなど、どの電気信号または拍動を受け入れるかを判定してもよい。受信された電気信号および/または処理された電気信号は、データリポジトリ206に格納されてよい。
【0054】
実施形態では、受け入れられた電気信号は、電気信号が抽出すべき活性化特徴を含む場合、電気信号の各々から少なくとも1つの活性化特徴を抽出するように構成された活性化波形生成器214によって受信される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性化特徴は、少なくとも1つの注釈メトリックに対応する少なくとも1つの値を含む。少なくとも1つの特徴は、少なくとも1つのイベントを含むことができ、少なくとも1つのイベントは、少なくとも1つのメトリックに対応する少なくとも1つの値および/または少なくとも1つの対応する時間(対応する時間は、必ずしも各活性化特徴に対して存在するわけではない)を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのメトリックは、例えば、活性化時間、最小電圧値、最大電圧値、電圧の最大負時間微分、瞬時電位、電圧振幅、優位周波数、ピークツーピーク電圧、活性化持続時間、および/または同様のものを含んでいてよい。いくつかの実施形態では、活性化波形生成器214は、活性化を検出し、活性化波形を生成するように構成されていてよい。いくつかの場合において、波形生成器214は、例えば、その開示が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、「ANNOTATION WAVEFORM」と題された米国特許出願公開第2018/0296113号に記載されるものを含む、活性化波形実施形態のうちの任意の1つを使用することができる。
【0055】
図2に示すように、処理ユニット200は、受信された心臓電気信号および/または活性化波形生成器214によって生成された活性化波形を分析する信号分析器216を含む。実施形態において、信号分析器216は、受信された心臓電気信号の特定の特性(例えば、平均デューティサイクル値、活性化持続時間など)を判定するように構成されている。実施形態において、信号分析器は、心臓電気信号の判定された特性に基づいてマイクロリエントリー確率を決定することができる。加えて、処理ユニット200は、電気信号に基づいて心臓表面に対応するマップの提示を容易にするように構成されたマップエンジン220を含む。いくつかの実施形態では、マップは、電圧マップ、活性化マップ、分画マップ(fractionation map)、速度マップ、信頼度マップ、および/または同様のものを含んでいてよい。いくつかの実施形態では、マップは、対応する測定位置における心臓電気信号の特性を表すオーバーレイされた注釈を含んでいてよい。
【0056】
図2に示される例示的な処理ユニット200は、本開示の実施形態の使用または機能の範囲に関していかなる限定も示唆することを意図していない。例示的な処理ユニット200は、そこに例示されている任意の単一のコンポーネントまたはコンポーネントの組み合わせに関連する依存性または要件を有するものとして解釈されるべきではない。加えて、図2に示されるコンポーネントのうちの任意の1つまたは複数は、いくつかの実施形態では、そこに示される他のコンポーネント(および/または図示されていないコンポーネント)のうちの種々のものと統合されてもよく、それらの全ては、本明細書に開示される主題の範囲内にあると見なされる。例えば、アクセプタ212は、マッピングエンジン220と一体化されていてもよい。いくつかの実施形態では、処理ユニット200は、アクセプタ212を含まなくてもよいが、他の実施形態では、アクセプタ212は、メモリデバイス、通信コンポーネント、および/または同様のものから電気信号を受信するように構成されていてもよい。
【0057】
加えて、処理ユニット200は、例えば、これらの開示が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、「ANNOTATION WAVEFORM」と題された米国特許出願公開第2018/0296113号、「ELECTROANATOMICAL MAPPING」と題された米国特許第8,428,700号、「ELECTROANATOMICAL MAPPING」と題された米国特許第8,948,837号、「CATHETER TRACKING AND ENDOCARDIUM REPRESENTATION GENERATION」と題された米国特許第8,615,287号、「ESTIMATING THE PREVALENCE OF ACTIVATION PATTERNS IN DATA SEGMENTS DURING ELECTROPHYSIOLOGY MAPPING」と題された米国特許出願公開第2015/0065836号、「SYSTEMS AND METHODS FOR GUIDING MOVABLE ELECTRODE ELEMENTS WITHIN MULTIPLE-ELECTRODE STRUCTURE」と題された米国特許第6,070,094号、「CARDIAC MAPPING AND ABLATION SYSTEMS」と題された米国特許第6,233,491号、「SYSTEMS AND PROCESSES FOR REFINING A REGISTERED MAP OF A BODY CAVITY」と題された米国特許第6,735,465号に記載されるものなどの電気解剖学的マッピング(例えば、トリガリング、ブランキング、フィールドマッピングなど)に関連する任意の数の異なる機能および/またはプロセスを(単独で、および/または図1に示されるシステム100の他のコンポーネントおよび/または図示されていない他のコンポーネントと組み合わせて)実行してもよい。
【0058】
実施形態によれば、図1に示される電気生理学的システム100および/または図2に示される処理ユニット200の様々なコンポーネントは、1つまたは複数のコンピューティングデバイス上で実装され得る。コンピューティングデバイスは、本開示の実施形態を実装するのに適した任意のタイプのコンピューティングデバイスを含むことができる。コンピューティングデバイスの例は、「ワークステーション」、「サーバ」、「ラップトップ」、「デスクトップ」、「タブレットコンピュータ」、「ハンドヘルドデバイス」、「汎用グラフィックス処理ユニット(GPGPU)」などの専用コンピューティングデバイスまたは汎用コンピューティングデバイスを含み、これらはすべて、システム100および/または処理ユニット200の様々なコンポーネントに関連して図1および図2の範囲内で企図されている。
【0059】
いくつかの実施形態において、コンピューティングデバイスは、以下のデバイス、すなわち、プロセッサ、メモリ、入力/出力(I/O)ポート、I/Oコンポーネント、および電源を、直接的および/または間接的に結合するバスを含む。任意の数の追加のコンポーネント、異なるコンポーネント、および/またはコンポーネントの組み合わせが、コンピューティングデバイスに含まれてもよい。バスは、1つまたは複数のバス(例えば、アドレスバス、データバス、またはそれらの組み合わせなど)であってよいものを表す。同様に、いくつかの実施形態において、コンピューティングデバイスは、複数のプロセッサ、複数のメモリコンポーネント、複数のI/Oポート、複数のI/Oコンポーネント、および/または複数の電源を含んでいてよい。加えて、任意の数のこれらのコンポーネント、またはそれらの組み合わせは、複数のコンピューティングデバイスにわたって分散および/または複製されてよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、メモリ(例えば、図1に示されるストレージデバイス160、図2に示されるメモリ204および/またはデータリポジトリ206)は、揮発性および/または不揮発性メモリ、一時的および/または非一時的ストレージ媒体の形態のコンピュータ可読媒体を含み、リムーバブル、非リムーバブル、またはそれらの組み合わせであってもよい。媒体の例は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電子的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、光学またはホログラフィック媒体、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージデバイス、データ伝送、および/または情報を格納するために使用することができ、例えば、量子状態メモリおよび/または同様のものなどのコンピューティングデバイスによってアクセスすることができる任意の他の媒体を含む。いくつかの実施形態では、メモリ160および/または204は、プロセッサ(例えば、図1に示される処理ユニット120および/または図2に示されるプロセッサ202)に、本明細書で説明されるシステムコンポーネントの実施形態の態様を実装させ、かつ/または本明細書で説明される方法および手順の実施形態の態様を実行させるためのコンピュータ実行可能命令を格納している。
【0061】
コンピュータ実行可能命令は、例えば、コンピュータコード、機械使用可能な命令、および、例えば、コンピューティングデバイスに関連付けられた1つまたは複数のプロセッサによって実行可能なプログラムコンポーネントなどのようなものを含み得る。そのようなプログラムコンポーネントの例は、アクセプタ212、波形生成器214、信号分析器216、およびマッピングエンジン220を含む。プログラムコンポーネントは、様々な言語、開発キット、フレームワーク、および/または同様のものを含む、任意の数の異なるプログラミング環境を使用してプログラムすることができる。本明細書で企図される機能の一部または全部は、さらに、または代替的に、ハードウェアおよび/またはファームウェアで実装され得る。
【0062】
データリポジトリ206は、以下で説明される構成のうちの任意の1つを使用して実装され得る。データリポジトリは、ランダムアクセスメモリ、フラットファイル、XMLファイル、および/または1つまたは複数のデータベースサーバもしくはデータセンタ上で実行される1つまたは複数のデータベース管理システム(DBMS)を含んでいてよい。データベース管理システムは、リレーショナル(RDBMS)、階層(HDBMS)、多次元(MDBMS)、オブジェクト指向(ODBMSまたはOODBMS)またはオブジェクトリレーショナル(ORDBMS)データベース管理システムなどであってよい。データリポジトリは、例えば、単一のリレーショナルデータベースであってよい。いくつかの場合において、データリポジトリは、データ統合プロセスまたはソフトウェアアプリケーションによってデータを交換および集約することができる複数のデータベースを含み得る。例示的な実施形態において、データリポジトリ206の少なくとも一部は、クラウドデータセンタにおいてホストされてもよい。いくつかの場合において、データリポジトリは、単一のコンピュータ、サーバ、ストレージデバイス、クラウドサーバ上などでホストされ得る。いくつかの他の場合において、データリポジトリは、一連のネットワーク化されたコンピュータ、サーバ、またはデバイス上でホストされ得る。いくつかの場合において、データリポジトリは、ローカル、リージョナル、およびセントラルを含むデータストレージデバイスのティア上でホストされ得る。
【0063】
図3は、本開示の実施形態による、自動化された解剖学的マッピングのための例示的なプロセス300のフロー図である。例示的なプロセス300の実施形態の態様は、例えば、処理ユニット(例えば、図1に示される処理ユニット120、および/または図2に示される処理ユニット200)によって実行され得る。まず、複数の信号を含むデータストリーム302が、システム(例えば、図1に示す心臓マッピングシステム100)に入力される。自動化された電気解剖学的マッピングプロセスの間、データストリーム302は、マッピングプロセスへの入力として機能する生理学的および非生理学的信号の集合を提供する。信号は、マッピングシステムによって直接収集されてもよく、および/またはアナログもしくはデジタルインタフェースを使用して別のシステムから取得されてもよい。データストリーム302は、単極および/または双極心内電位図(EGM)、表面心電図(ECG)、様々な方法(磁気、インピーダンス、超音波、リアルタイムMRIなど)のうちの1つまたは複数から生じる電極位置情報、組織近接情報、様々な方法(力ばね感知、圧電感知、光学感知など)のうちの1つまたは複数から得られるカテーテル力および/またはコンタクト情報、カテーテル先端および/または組織温度、音響情報、カテーテル電気結合情報、カテーテル展開形状情報、電極特性、呼吸位相、血圧、他の生理学的情報、および/または同様のものなどの信号を含み得る。
【0064】
特定のタイプのマップの生成のために、1つまたは複数の信号が、トリガ/アライメントプロセス304の間に、1つまたは複数の基準として使用されて、心周期、他の生物学的周期、および/または非同期システムクロックに対してデータストリーム302をトリガおよび整列させ、拍動データセットをもたらすことができる。加えて、各入力拍動データセットに対して、複数の拍動メトリックが、拍動メトリック判定プロセス306中に計算される。拍動メトリックは、同じ拍動内の複数の信号にわたる単一の信号からの情報、および/または複数の拍動にわたる複数の信号からの情報を使用して計算されてもよい。拍動メトリックは、特定の拍動データセットの品質および/または拍動データがマップデータセットに含めるのに適している可能性に関する複数のタイプの情報を提供する。拍動受け入れプロセス308は、基準を集約し、どの拍動データセットがマップデータセット310を構成するかを決定する。マップデータセット310は、データ収集中に動的に生成される3Dグリッドに関連して格納され得る。
【0065】
表面ジオメトリデータ318は、表面ジオメトリ構築プロセス312を採用して、同一および/または異なるトリガおよび/または拍動受け入れメトリックを使用して、同じデータ取得プロセス中に同時に生成され得る。このプロセスは、データストリームに含まれる電極位置およびカテーテル形状などのデータを使用して表面ジオメトリを構築する。追加的または代替的に、以前または同時に収集された表面ジオメトリ316は、表面ジオメトリデータ318への入力として使用されてよい。そのようなジオメトリは、異なるマップデータセットを使用して、および/またはCT、MRI、超音波、回転血管造影、および/または同様のものなどの異なるモダリティを使用して、同じ手順で以前に収集され、カテーテル位置特定システムにレジストレーションされ得る。システムは、ソース選択プロセス314を実行し、表面ジオメトリデータのソースを選択し、表面マップ生成プロセス320に表面ジオメトリデータ318を提供する。表面マップ生成プロセス320は、マップデータセット310および表面ジオメトリデータ318から表面マップデータ322を生成するために使用される。
【0066】
表面ジオメトリ構成アルゴリズムは、電気解剖学的マップが表示される解剖学的表面を生成する。表面ジオメトリは、例えば、「Impedance Based Anatomy Generation」と題される米国特許第8,103,338号、および/または「Electroanatomical Mapping」と題される米国特許第8,948,837号に説明されるようなシステムの態様を使用して構築されることができ、これらの各々の内容は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。追加的にまたは代替的に、ユーザによって、または自動的に判定される電極位置上の表面を、心腔の表面となるように適合させることによって、解剖学的シェルを処理ユニットによって構築することができる。加えて、表面は、心腔内の最も外側の電極および/またはカテーテル位置に適合させることができる。
【0067】
説明されるように、表面が構築されるマップデータセット310は、電気的および他のタイプのマップに使用されるものと同一または異なる拍動受け入れ基準を採用することができる。表面ジオメトリ構成のためのマップデータセット310は、電気データと同時に、または別個に収集することができる。表面ジオメトリは、頂点(点)の集合およびそれら(例えば、三角形)の間の接続性を含むメッシュとして表すことができる。あるいは、表面ジオメトリは、高次メッシュ、非一様有理基底スプライン(non-uniform rational basis splines,NURBS)、および/または曲線形状などの異なる関数で表現することができる。
【0068】
生成プロセス320は、表面マップデータ322を生成する。表面マップデータ322は、心臓電気励起、心臓運動、組織近接情報、組織インピーダンス情報、力情報、および/または臨床医にとって望ましい任意の他の収集された情報に関する情報を提供することができる。マップデータセット310と表面ジオメトリデータ318との組み合わせは、表面マップ生成を可能にする。表面マップは、関心のある心腔の表面上の値または波形の集合(例えば、EGM)であるが、マップデータセットは、心臓表面上にないデータを含むことができる。マップデータセット310および表面ジオメトリデータ318を処理して表面マップデータセット322を取得するための1つの手法は、2006年6月13日に出願された「NON-CONTACT CARDIAC MAPPING, INCLUDING MOVING CATHETER AND MULTI-BEAT INTEGRATION」と題された米国特許第7,515,954号に記載されており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0069】
代替的に、または上記の方法と組み合わせて、個々の電極に受け入れ基準を適用するアルゴリズムを使用することができる。例えば、表面ジオメトリから設定距離(例えば、3mm)を超える電極位置は、拒絶され得る。別のアルゴリズムは、表面マップデータに含めるためにインピーダンスを使用して組織近接情報を組み込むことができる。この場合、近接値が3mm未満である電極位置のみが含まれ得る。基礎となるデータ(underlying data)の追加のメトリックを、この目的のために使用することもできる。例えば、拍動メトリックに類似したEGM特性は、電極ごとに評価され得る。この場合、ファーフィールドオーバーラップおよび/またはEGM一貫性などのメトリックを使用することができる。マップデータセット310から表面に点を投影するため、および/または適切な点を選択するための方法の変形形態が存在し得ることを理解されたい。
【0070】
取得されると、表面マップデータ322は、基礎となるデータから所望の特性に注釈を付けるためにさらに処理されてもよく、プロセスは、表面マップ注釈324として定義される。データが表面マップデータ322に収集されると、収集されたデータに関する特性が、自動的にユーザに提示され得る。これらの特性は、コンピュータシステムによって自動的に判定されるとともに、データに適用されてよく、本明細書では注釈と呼ばれる。例示的な注釈は、活性化時間、二重活性化または分画(fractionation)の存在、電圧振幅、スペクトル内容、平均デューティサイクル、および/または同様のものを含む。自動化されたマッピング(例えば、入力データに関連する最小限の人間の入力でコンピュータシステムによって完了されるマッピング)では、利用可能なデータが豊富にあるため、オペレータが手動でデータをレビューし、注釈を付けることは実際的ではない。しかしながら、ユーザ入力はデータに付加価値を与えることができるため、ユーザ入力が提供された場合、コンピュータシステムが自動的にそれを伝播し、一度に複数のデータポイントに適用する必要がある。
【0071】
コンピュータシステムを使用して、個々のまたは集約されたEGMの平均デューティサイクルおよび他の特性に自動的に注釈を付けることが可能であってよい。平均デューティサイクルおよび他の特性の計算および判定は、本明細書の開示において詳細に説明される。いったん計算されると、注釈は、心腔ジオメトリ上に重ね合わせて表示されてもよい。いくつかの実施形態では、ギャップフィリング表面マップ補間が採用されてよい(326)。例えば、いくつかの実施形態では、表面上の点と測定されたEGMとの間の距離が閾値を超える場合、これは、例えば、本明細書で説明されるようなグリッドベースの補間がその状況では有効でない可能性があることを示し得るので、ギャップフィリング補間が使用されてもよい。表示されたマップ328は、別々に計算され、かつ表示されてよく、および/または互いの上にオーバーレイされてよい。
【0072】
図3に示される例示的なプロセス300は、本開示の実施形態の使用または機能の範囲に関していかなる限定も示唆することを意図していない。例示的なプロセス300は、そこに示されている任意の単一のコンポーネントまたはコンポーネントの組み合わせに関連する依存性または要件を有するものとして解釈されるべきではない。加えて、図3に示されるコンポーネントのうちの任意の1つまたは複数は、例えば、そこに示される他のコンポーネント(および/または図示されていないコンポーネント)のうちの種々のものと統合されてもよく、それらの全ては、本開示の範囲内にあると見なされる。
【0073】
図4Aは、本開示のいくつかの実施形態による、心臓電気信号および生成された活性化波形を処理する例示的な方法400Aを示す例示的なフロー図である。方法400Aの実施形態の態様は、例えば、電気生理学的システムまたは処理ユニット(例えば、図1に示される処理ユニット120、および/または図2に示される処理ユニット200)によって実行され得る。方法400Aの1つまたは複数のステップは、任意選択であり、かつ/または本明細書に記載の他の実施形態の1つまたは複数のステップによって修正することができる。加えて、本明細書で説明される他の実施形態の1つまたは複数のステップが、方法400Aに追加されてもよい。第1に、電気生理学的システムは、心腔内に配置された1つまたは複数の電極から収集された1つまたは複数の心臓電気信号を受信し(410A)、心臓電気信号は、心臓の拍動にわたって取得される。いくつかの場合において、心臓電気信号は、心内電位図(EGM)を含む。図5Aは、マッピングカテーテルから受信された電気信号(この場合、EGM)を示す例示的なグラフ表現500を示し、各々は、所定の期間中の心臓の脱分極シーケンスの大きさを表している。この例では、64個の電極を有するマッピングカテーテルのEGMが示されている。各波形は、マッピングカテーテルの電極から受信された単極信号を表すことができる。いくつかの場合において、心臓電気信号を表す各波形は、電極から受信された多極(例えば、双極、三極)信号を表し得る。
【0074】
システムは、心臓電気信号の各々に対応する測定位置の標示を受信してもよい(415A)。いくつかの実施形態では、システムは、1つまたは複数の心臓電気信号を分析して、心臓の拍動に関連付けられた活性化持続時間(420A)を決定することができる。実施形態では、活性化持続時間は、活性化の長さを表し得る。すなわち、例えば、心臓電気信号(例えば、EGM)は、振幅の全てが、指定された基準に従って、信号ベースラインを超えて逸脱する部分を含み得る。心臓電気信号のその部分に対応する期間の長さは、活性化持続時間として識別することができる。
【0075】
いくつかの場合において、システムは、心臓電気信号を分析して、複数のデューティサイクル値を計算し、各計算されたデューティサイクル値は、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウのそれぞれ1つに対応している(430A)。いくつかの場合において、各デューティサイクル値は、活性化持続時間を複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウのそれぞれ1つで除算することによって計算される。
【0076】
システムは、さらに、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウにわたって、計算されたデューティサイクル値の平均を計算する(435A)。実施形態では、計算された平均デューティサイクルは、測定位置に対応する心臓組織がマイクロリエントリー部位を画定する(define)確率を表す。いくつかの場合において、複数の予め選択されたサイクル長ウィンドウは、140ミリ秒~2000ミリ秒の範囲内にある。
【0077】
実施形態では、システムは、それに関連する心臓電気信号の測定場所に基づいて、計算された平均デューティサイクルを表す注釈がオーバーレイされた3次元電気解剖学的マップの、ディスプレイデバイス上での提示を容易にする(440A)。いくつかの場合において、システムは、複数の部位における複数の平均デューティサイクルを決定する。いくつかの場合において、システムは、処理ユニット(例えば、図1の120、図2の200)に動作可能に接続されるとともに、注釈がオーバーレイされた3次元解剖学的マップを表示するように構成されたディスプレイデバイス(例えば、図1の170)を備えている。図6は、平均デューティサイクル値を表す注釈を伴う解剖学的マップの説明のための例を示す。いくつかの場合において、平均デューティサイクルの値は、色によって表される。いくつかの場合において、平均デューティサイクルの値は、グレースケール値によって表される。
【0078】
いくつかの場合において、システムは、各心臓電気信号に対する平均デューティサイクル値を計算するように構成されている。いくつかの実施形態では、システムは、指定された領域内の関連付けられた測定位置を有する複数の心臓電気信号を集約するとともに、集約された心臓電気信号について平均デューティサイクル値を計算するように構成されている。いくつかの場合において、指定された領域は、所定のジオメトリ形状およびサイズを有する。
【0079】
図4Bは、本開示のいくつかの実施形態による、心臓電気信号および生成された活性化波形を処理する例示的な方法400Bを示す例示的なフロー図である。方法400Bの実施形態の態様は、例えば、電気生理学的システムまたは処理ユニット(例えば、図1に示される処理ユニット120、および/または図2に示される処理ユニット200)によって実行され得る。方法400Bの1つまたは複数のステップは、任意選択であり、かつ/または本明細書に記載の他の実施形態の1つまたは複数のステップによって修正することができる。加えて、本明細書で説明される他の実施形態の1つまたは複数のステップが、方法400Bに追加されてもよい。第1に、電気生理学的システムは、心臓の拍動にわたって心腔内に配置された1つまたは複数の電極によって収集された1つまたは複数の心臓電気信号を受信する(410B)。一実施形態では、心臓電気信号は、心内電位図(EGM)を含む。システムは、さらに、心臓電気信号の測定位置の標示を受信する(415B)。いくつかの場合において、心臓電気信号の各々は、対応する測定位置を有している。
【0080】
いくつかの実施形態では、電気生理学的システムは、心臓電気信号に基づいて活性化波形を生成する(420B)。活性化波形は、複数の活性化波形値を含む。いくつかの場合において、活性化波形を生成することは、信号ベースラインからの、1つまたは複数の心臓電気信号の偏向(deflection)を特定することを含む。いくつかの実施形態では、各活性化波形値は、活性化を表す特定された偏向の確率に関連付けられている。例えば、実施形態において、システムは、信号ベースラインに対する関係に基づいて、所与のサンプル点が活性化を表している確率(例えば、0と1との間の値、0および1を含む)を決定することを含み得る。実施形態では、例えば、0と100との間の値および/または同様のものなどの確率を割り当てるために他の数値スケールが使用されてもよい。実施形態では、信号偏向が活性化を表す尤度(例えば、確率)は、信号ベースラインからの、その偏向の偏差に基づいて決定され得る。例えば、少なくとも指定された量だけ信号ベースラインからそれた最大振幅を有する偏向は、1の確率を割り当てられ、一方、最大でも指定された量だけ信号ベースラインからそれた最大振幅を有する偏向は、0の確率を割り当てられ得る。
【0081】
図5Aは、マッピングカテーテルから受信された電気信号(この場合、EGM)を示す例示的なグラフ表現500を示し、各々は、所定の期間中の心臓の脱分極シーケンスの大きさを表している。この例では、64個の電極を有するマッピングカテーテルのEGMが示されている。各波形は、マッピングカテーテルの電極から受信された単極信号を表すことができる。いくつかの場合において、心臓電気信号を表す各波形は、電極から受信された多極(例えば、双極、三極)信号を表し得る。図5Bは、生の心臓電気信号502の波形と、心臓電気信号502に対応する活性化波形504とを示す。
【0082】
図4Bに戻って参照すると、いくつかの実施形態では、電気生理学的システムは、複数のサイクル長ウィンドウを受信または選択する(425B)。いくつかの場合において、システムは、複数のサイクル長ウィンドウを所定の範囲、例えば、120ms~2000msの範囲となるように選択する。いくつかの実施形態では、システムは、例えば、ユーザ入力(例えば、グラフィカルユーザインタフェースなどのユーザインタフェースを介した入力)、システム入力(例えば、システム構成)、ソフトウェア入力(例えば、アプリケーションプログラミングインターフェース、ウェブサービスなどを介した入力)、および/または同様のものによって、複数のサイクル長ウィンドウに関連付けられた入力を受信する。そのような実施形態では、システムは、入力に基づいて複数のサイクル長ウィンドウを選択する。一例では、システムは、400msなどのタイミング基準の入力を受信し、200ms~1600msの範囲を設定する。一実施形態において、複数のサイクル長ウィンドウは、線形的に(例えば、10ms毎に)増加される。別の実施形態では、複数のサイクル長ウィンドウは非線形に増加される。
【0083】
いくつかの実施形態では、システムは、1つまたは複数の心臓電気信号を分析して、心臓の拍動に関連付けられた活性化持続時間を決定することができる。実施形態では、活性化持続時間は、活性化の長さを表し得る。いくつかの場合において、システムは、活性化波形に基づいて活性化持続時間を決定する。実施形態では、活性化波形は、時間スケールに沿って表されてもよく、その場合、波形は、活性化持続時間を表し得る。例えば、活性化波形における偏向(deflection)の幅は、対応する活性化の持続時間を表すことができる。
【0084】
いくつかの実施形態において、システムは、活性化波形に基づいて、複数のサイクル長ウィンドウに対応する複数のデューティサイクル値を決定する(430B)。いくつかの実施形態では、サイクル長ウィンドウのデューティサイクル値は、サイクル長ウィンドウ内の活性化波形値の平均として決定することができる。図5Bに示される例では、250msのサイクル長ウィンドウ506が選択され、デューティサイクルは0.26と決定される。いくつかの実施形態では、デューティサイクル値は、複数のサイクル長ウィンドウのうちのそれぞれ1つによって除算された活性化持続時間である。
【0085】
システムは、さらに、複数のデューティサイクルの平均を計算する(435B)。いくつかの実施形態では、平均は、算術平均である。いくつかの実施形態では、平均は、加重平均である。電気生理学的システムは、デューティサイクル値の計算された平均を表す注釈がオーバーレイされた3D心臓マップの提示を容易にすることができる(440B)。実施形態において、各注釈は、対応する測定位置にある。実施形態では、計算された平均デューティサイクルは、測定位置に対応する心臓組織がマイクロリエントリー部位を画定する確率を表す。いくつかの場合において、心臓マップは、マイクロリエントリー確率の注釈がオーバーレイされ、マイクロリエントリー確率は、デューティサイクル値の計算された平均によって表される。図6は、一実施形態に従って注釈が付けられた例示的な電気解剖学的マップ600を示す。この例では、電気解剖学的マップ600は、マイクロリエントリー確率610の注釈がオーバーレイされている。マイクロリエントリー確率の凡例を614に示す。3D電気解剖学的マップは、グレースケール画像またはカラー画像とすることができる。いくつかの場合において、平均デューティサイクルおよび/またはマイクロリエントリー確率の値は、カラーおよび/またはグレースケール値によって表される。図6に示される例では、612の領域は、マイクロリエントリーATの確率が高い。
【0086】
本発明の範囲から逸脱することなく、説明した例示的な実施形態に対して様々な修正および追加を行うことができる。例えば、上記の実施形態は、特定の特徴に言及しているが、本発明の範囲は、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、および記載された特徴の全てを含まない実施形態をも含む。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲内に入るすべてのそのような代替、修正、および変形を、そのすべての均等物とともに包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】