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特表2023-543848微小孔性部分を伴うバルーンカテーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(54)【発明の名称】微小孔性部分を伴うバルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519702
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 US2021052477
(87)【国際公開番号】W WO2022072384
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】63/085,609
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーホーファー、エドワード ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】スカルダ、ライアン ピー.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK12
4C160KK58
4C160MM32
(57)【要約】
カテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位端におけるバルーンと、微小孔性部分とを含むアブレーション用カテーテルである。バルーンは、導体及び電極を支持し、流体を収容するように構成される。微小孔性部分は、流体がバルーンから流出することを可能にするようにバルーンに結合され、大きな気泡がバルーンから退出することを防止するように構成された複数の開口を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブレーション用カテーテルであって、カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの遠位端に配置され、導体及び電極を支持するように構成され、流体を収容するようにさらに構成されたバルーンと、
前記バルーンに結合され、前記流体が前記バルーンから流出することを可能にするように構成された微小孔性部分とを備え、
前記微小孔性部分は、50ミクロンより大きい直径を有する気泡が前記バルーンから退出することを防止するように構成された複数の開口を含む、カテーテル。
【請求項2】
前記微小孔性部分が前記バルーンの一部を形成する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記バルーンの前記微小孔性部分は、前記バルーンの遠位部分に配置されたディスク状部分である、請求項1又は2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記バルーンが、複数の開口を備える微小孔性ストリップ部分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記バルーン全体が微小孔性であり、複数の開口を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記シャフト及び前記バルーンに連結された管状部分をさらに備え、前記微小孔性部分が前記管状部分に一体化されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記複数の開口がそれぞれ、0.05ミクロン~50ミクロンの直径を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記微小孔性部分は、1psi(6.9kPa)のバルーン動作圧力において、前記流体が1ml/分以下の動作流量で前記バルーンから退出するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記微小孔性部分は、少なくとも10psi(69kPa)のバルーン抜出圧力において、前記バルーンを退出する前記流体が少なくとも5ml/分の抜出流量まで増加するように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記バルーンは、Pebax、ナイロン、ウレタン、及びポリエステルの少なくとも1つからなる、請求項1~9のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記微小孔性部分が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、Pebax、ウレタン、ポリエステル及びナイロンの内の少なくとも1つからなる、請求項1~10のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記微小孔性部分が、前記管状部分のハブ又はガイドワイヤ管腔のいずれかに一体化される、請求項6~11のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項13】
アブレーション用に構成されたカテーテルを製造する方法であって、
微小孔性部分を形成するステップと、
微小孔性部分を取り付けるステップを含むバルーンを形成するステップと、
導体を前記バルーンに取り付けるステップと、
バルーンアセンブリを前記カテーテルに取り付けるステップとを含む、方法。
【請求項14】
前記微小孔性部分を取り付けるステップが、前記微小孔性部分が0.05ミクロン~50ミクロンの範囲の直径を有する複数の開口を備えることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記微小孔性部分の前記複数の開口は、物質の流れが、公称動作圧力において0mL/分を上回り、1mL/分以下である流量で前記微小孔性部分を通過し得るように構成される、請求項12又は13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者の組織を焼灼するための医療システム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、アブレーション(焼灼)処置中に有用なバルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
アブレーション処置は、患者における多くの異なる状態を治療するために使用される。アブレーションは、心不整脈、良性腫瘍、癌性腫瘍を治療するため、及び手術中の出血を制御するために使用され得る。通常、アブレーションは、高周波(RF)アブレーション及び冷凍アブレーションを含む熱アブレーション技術を介して達成される。RFアブレーションでは、プローブが患者に挿入され、高周波がプローブを介して周囲の組織に伝達される。高周波は熱を発生させ、熱は周囲の組織を破壊し、血管を焼灼する。冷凍アブレーションでは、中空針すなわちクライオプローブが患者に挿入され、低温の熱伝導性流体がプローブを通って循環され、周囲の組織を凍結して死滅させる。RFアブレーション及び冷凍アブレーション技術は、細胞壊死を介して組織を無差別に死滅し、これは、食道内の組織、横隔神経細胞、及び冠動脈内の組織等、他の健康な組織を損傷又は死滅させ得る。
【0003】
別のアブレーション技術は、電気穿孔法を使用する。電気穿孔法すなわち電気透過処理では、細胞膜の透過性を増加させるために、電場が細胞に印加される。電気穿孔法は、電場の強度に応じて、可逆的又は不可逆的であり得る。電気穿孔法が可逆的である場合、細胞膜の増加した透過性は、細胞の治癒及び回復の前に、化学物質、薬物、及び/又はデオキシリボ核酸(DNA)を細胞に導入するために使用され得る。電気穿孔法が不可逆的である場合、影響を受けた細胞はアポトーシスによって死滅される。
【0004】
不可逆的電気穿孔法は、非熱的アブレーション技術として使用され得る。不可逆的電気穿孔法では、短い高電圧パルス列を使用して、アポトーシスを介して細胞を死滅させるのに十分強い電場を発生させる。心臓組織のアブレーションにおいて、不可逆的電気穿孔法は、RFアブレーション及び冷凍アブレーションのような熱アブレーション技術の無差別な死滅に対する安全かつ有効な代替手段であり得る。不可逆的電気穿孔法は、標的組織を死滅させるが、他の細胞又は組織(例えば、非標的心筋組織、赤血球、血管平滑筋組織、内皮組織、及び神経細胞)を恒久的に損傷しない電場強度及び持続時間を使用することによって、心筋組織のような標的組織を死滅させるために使用され得る。不可逆的電気穿孔アブレーション処置を計画することは、可逆的な電気穿孔とは対照的に、どの組織が不可逆的に電気穿孔されたかを示す急性の可視化又はデータの欠如によって困難であり得る。組織の回復は、アブレーションが完了した後、数分、数時間、又は数日にわたって起こり得る。
【発明の概要】
【0005】
実施例に記載されているように、実施例1はアブレーション用のカテーテルである。カテーテルは、カテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位端におけるバルーンと、微小孔性部分とを備える。バルーンは、導体及び電極を支持するように構成され、かつ、流体を収容するように構成される。微小孔性部分は、バルーンに結合され、流体がバルーンから流出することを可能にするように構成され、50ミクロンを上回る直径を有する気泡がバルーンから退出することを防止するように構成された複数の開口を備える。
【0006】
実施例2は、微小孔性部分がバルーンの一部を形成する、実施例1に記載のカテーテルである。
【0007】
実施例3は、バルーンの微小孔性部分が、バルーンの遠位部分に配置されたディスク状部分である、実施例1及び2のいずれか1つに記載のカテーテルである。
【0008】
実施例4は、バルーンが、複数の開口を備える微小孔性ストリップ部分を含む、実施例1~3のいずれか1つに記載のカテーテルである。
【0009】
実施例5は、バルーン全体が、複数の開口を伴う微小孔性である、実施例1~4のいずれか1つに記載のカテーテルである。
【0010】
実施例6は、カテーテルが、シャフト及びバルーンに連結された管状部分をさらに備え、微小孔性部分が、管状部分内に一体化されている、実施例1~5のいずれか1つに記載のカテーテルである。
【0011】
実施例7は、複数の開口がそれぞれ、0.05ミクロン~50ミクロンの直径を有する、実施例1~6のいずれか1つに記載のカテーテルである。
【0012】
実施例8は、微小孔性部分が、1psi(6.9kPa)のバルーン動作圧力において、流体が1ml/分以下の動作流量でバルーンから退出するように構成されている、実施例1~7のいずれか1つに記載のカテーテルである。
【0013】
実施例9は、微小孔性部分が、少なくとも10psi(69kPa)のバルーン抜出圧力において、バルーンから退出する流体が少なくとも5ml/分の抜出流量まで増加するように構成されている、実施例1~8のいずれか1つに記載のカテーテルである。
【0014】
実施例10は、バルーンが、Pebax、ナイロン、ウレタン、及びポリエステルの内の少なくとも1つからなる、実施例1~9のいずれか1つに記載のカテーテルである。
【0015】
実施例11は、微小孔性部分が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、Pebax、ウレタン、ポリエステル、及びナイロンの内の少なくとも1つからなる、実施例1~10のいずれか1つに記載のカテーテルである。
【0016】
実施例12は、微小孔性部分が、管状部分のハブ又はガイドワイヤ管腔のいずれかに一体化されている、実施例6~11のいずれか1つに記載のカテーテルである。
【0017】
実施例13は、アブレーション用に構成されたカテーテルを製造する方法である。本方法は、微小孔性部分を形成することと、微小孔性部分を取り付けることを含むバルーンを形成することと、導体をバルーンに取り付けることと、バルーンアセンブリをカテーテルに取り付けることとを含む。
【0018】
実施例14は実施例13に記載の方法であって、微小孔性部分を取り付けるステップにおいて、微小孔性部分が0.05ミクロン~50ミクロンの範囲の直径を有する複数の開口を備えることを含む。
【0019】
実施例15は、微小孔性部分の複数の開口が、物質の流れが公称動作圧力において0mL/分を上回り、かつ、1mL/分以下の流量で微小孔性部分を通過し得るように構成される、実施例13及び14のいずれか1つに記載の方法である。
【0020】
実施例16は、アブレーション用カテーテルである。カテーテルは、カテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位端におけるバルーンと、微小孔性部分とを備える。バルーンは、導体及び電極を支持するように構成され、かつ、流体を収容するように構成される。微小孔性部分は、バルーンに結合され、流体がバルーンから流出することを可能にするように構成され、50ミクロンを上回る直径を有する気泡がバルーンから退出することを防止するように構成された複数の開口を備える。
【0021】
実施例17は、微小孔性部分がバルーンの一部を形成する、実施例16に記載のカテーテルである。
【0022】
実施例18は、バルーンの微小孔性部分が、バルーンの遠位部分に配置されたディスク状部分である、実施例17に記載のカテーテルである。
【0023】
実施例19は、バルーンが、複数の開口を備える微小孔性ストリップ部分を含む、実施例17に記載のカテーテルである。
【0024】
実施例20は、バルーン全体が複数の開口を備える微小孔性である、実施例17に記載のカテーテルである。
【0025】
実施例21は、カテーテルがシャフト及びバルーンに連結された管状部分をさらに備え、微小孔性部分が管状部分に一体化されている、実施例16に記載のカテーテルである。
【0026】
実施例22は、微小孔性部分が、管状部分のハブ又はガイドワイヤ管腔のいずれかに一体化されている、実施例21に記載のカテーテルである。
【0027】
実施例23は、複数の開口がそれぞれ、0.05ミクロン~50ミクロンの直径を有する、実施例16に記載のカテーテルである。
【0028】
実施例24は、微小孔性部分が、1psi(6.9kPa)のバルーン動作圧力において、流体が1ml/分以下の動作流量でバルーンから退出するように構成されている、実施例16に記載のカテーテルである。
【0029】
実施例25は、微小孔性部分が、少なくとも10psi(69kPa)のバルーン抜出圧力において、バルーンから退出する流体が少なくとも5ml/分の抜出流量まで増加するように構成されている、実施例24に記載のカテーテルである。
【0030】
実施例26は、微小孔性部分が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、Pebax、ウレタン、ポリエステル、及びナイロンの内の少なくとも1つからなる、実施例16に記載のカテーテルである。
【0031】
実施例27は、アブレーション用に構成されたカテーテルを製造する方法である。本方法は、微小孔性部分を形成することと、微小孔性部分を取り付けることを含むバルーンを形成することと、導体をバルーンに取り付けることと、バルーンアセンブリをカテーテルに取り付けることとを含む。
【0032】
実施例28は、微小孔性部分を取り付けるステップが、微小孔性部分が、0.05ミクロン~50ミクロンの範囲の直径を有する複数の開口を備えることを含む、実施例27に記載の方法である。
【0033】
実施例29は、微小孔性部分の複数の開口が、物質の流れが公称動作圧力において0mL/分を上回り、かつ、1mL/分以下の流量で微小孔性部分を通過し得るように構成される、実施例28に記載の方法である。
【0034】
実施例30は、公称動作圧力が1psi(6.9kPa)である、実施例29に記載の方法である。
【0035】
実施例31は、電極をバルーンに取り付けることをさらに含む、実施例27に記載の方法である。
【0036】
実施例32は、微小孔性部分を取り付けることは、微小孔性部分をバルーン上にシールすることを含む、実施例27に記載の方法である。
【0037】
実施例33は、アブレーション用のシステムを使用する方法であって、シャフト及びバルーンを備えるカテーテルを患者内に挿入することと、カテーテルが患者の心臓組織と接触するようにカテーテルを操作し、延在させることと、電極を介して心臓組織にアブレーション治療を実施することと、最大値よりも大きい直径を有する気泡がバルーンを通過することを防止するように構成された流量で流体がバルーンの複数の開口を通過するようにカテーテルを引き戻すこととを含む方法である。
【0038】
実施例34は、引き戻すステップの間、流体が、0mL/分を上回る流量でバルーンの複数の開口を通過する、実施例33に記載の方法である。
【0039】
実施例35は、引き戻すステップの間、バルーンの動作圧力が増加するにつれて、流体の流量が増加する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本開示の主題の実施形態に従った、電気生理学システムを使用して、患者を治療するため、及び患者の心臓を治療するための例示的な臨床設定を示す概略図である。
図2A】本開示の主題の実施形態に従った、カテーテルを示す概略図である。
図2B】本開示の主題の実施形態に従った、カテーテルを示す概略図である。
図3】本開示の主題の実施形態に従った、患者の心臓内の心臓組織に隣接するカテーテルを示す概略図である。
図4】本開示の主題の実施形態に従った、アブレーション用のシステムのためのカテーテルを製造する方法である。
図5】本開示の主題の実施形態に従った、カテーテルアブレーションのシステムのためのカテーテルの使用方法である。
【0041】
本開示は、様々な変更及び代替形態を受け入れることができるが、特定の実施形態が図面において例として示されており、以下で詳細に記載される。しかし、その意図は、記載される特定の実施形態に本開示を限定することではない。逆に、本開示は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲内に収まる全ての変更、均等物、及び代替形態を対象とすることを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本開示の主題の実施形態に従った、電気生理学システム50を使用して患者20を治療するための、及び患者20の心臓30を治療するための例示的な臨床設定10を示す概略図である。電気生理学システム50は、カテーテルシステム60と、電気解剖学的マッピング(EAM)システム70とを含み、EAMシステム70は、位置特定フィールドジェネレータ80と、マッピング及びナビゲーションコントローラ90と、ディスプレイ92とを含む。また、臨床設定10は、撮像機器94(Cアームによって示される)等の追加の機器と、オペレータが電気生理学システム50の様々な態様を制御することを可能にするように構成されたフットコントローラ96等の様々なコントローラ要素とを含む。当業者によって理解されるように、臨床設定10は、図1に示されていない他の構成要素及び構成要素の配置を有し得る。
【0043】
カテーテルシステム60は、様々なアブレーション処置を含む、多種多様な処置のために使用され得るが、以下に記載される様々な実施形態では、カテーテルシステム60は、電気穿孔システムである。明らかであるように、以下の説明の態様は、電気穿孔システムの文脈であるが、他のアブレーション処置を含む他のバルーンカテーテル処置への適用性を有する。電気穿孔カテーテルシステム60は、電気穿孔カテーテル105と、導入器シース110と、電気穿孔コンソール130とを含む。加えて、電気穿孔カテーテルシステム60は、電気穿孔カテーテルシステム60の構成要素を互いに、及びEAMシステム70の構成要素に機能的に接続するように動作する様々な接続要素、例えば、ケーブル、及びアンビリカル等を含む。接続要素のこの配置は、本開示にとって決定的に重要なものではなく、当業者は、本明細書に記載される様々な構成要素が様々な方法で相互接続され得ることを認識するであろう。
【0044】
実施形態では、電気穿孔カテーテルシステム60は、患者の心臓30内の標的組織に電場エネルギーを送達し、組織アポトーシスを起こし、組織が電気信号を伝導することを不可能にするように構成される。また、以下でより詳細に記載されるように、電気穿孔カテーテルシステム60は、電場のモデルに基づいて、電気穿孔カテーテル105を使用して生成され得る電場のグラフィック表示を生成し、ディスプレイ92上で、患者の心臓の解剖学的マップ上に電場のグラフィック表示を重ね合わせて、エネルギーを送達する前に、電気穿孔カテーテル105を使用する不可逆的電気穿孔法によるアブレーションの計画においてユーザを支援するように構成される。実施形態では、電気穿孔カテーテルシステム60は、電気穿孔カテーテル105の特性と、患者20の心臓30内などの患者20内の電気穿孔カテーテル105の位置とに基づいて、電場のグラフィック表示を生成するように構成される。実施形態では、電気穿孔カテーテルシステム60は、電気穿孔カテーテル105の特性と、患者20の心臓30内などの患者20内の電気穿孔カテーテル105の位置と、組織の測定されたインピーダンス等のカテーテル105を取り囲む組織の特性とに基づいて、電場のグラフィック表示を生成するように構成される。
【0045】
電気穿孔コンソール130は、電気穿孔カテーテルシステム60の機能的態様を制御するように構成される。実施形態では、電気穿孔コンソール130は、以下(電気穿孔カテーテル105によって生成され得る電場をモデル化すること(これは、多くの場合、電極及び電気穿孔カテーテル105上の電極の空間的関係を含む電気穿孔カテーテル105の物理的特性の考慮を含む)、電場のグラフィック表示を生成すること(これは、多くの場合、患者20内の電気穿孔カテーテル105の位置及び周囲組織の特性の考慮を含む)、並びにディスプレイ92上で、生成されたグラフィック表示を解剖学的マップ上に重ねること)の内の1つ以上を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、電気穿孔制御コンソール130は、解剖学的マップを生成するように構成される。いくつかの実施形態では、EAMシステム70は、ディスプレイ92上に表示するための解剖学的マップを生成するように構成される。
【0046】
実施形態では、電気穿孔コンソール130は、電気穿孔カテーテルシステム60の機能的態様を制御及び/又は実行するためにメモリからコードを実行する1つ以上のコントローラ、マイクロプロセッサ、及び/又はコンピュータを含む。実施形態では、メモリは、1つ以上のコントローラ、マイクロプロセッサ、及び/又はコンピュータの一部、及び/又はワールドワイドウェブ等のネットワークを介してアクセス可能なメモリ容量の一部であり得る。
【0047】
実施形態では、導入器シース110は、電気穿孔カテーテル105が患者の心臓30内の特定の標的部位に配備され得る送達導管を提供するように動作可能である。
【0048】
EAMシステム70は、電気穿孔カテーテルシステム60の様々な機能的構成要素の位置を追跡し、対象の心腔の高忠実度の三次元解剖学的マップ及び電気解剖学的マップを生成するように動作可能である。実施形態では、EAMシステム70は、Boston Scientific Corporationによって販売されているRHYTHMIA(商標)HDxマッピングシステムであり得る。また、実施形態では、EAMシステム70のマッピング及びナビゲーションコントローラ90は、EAMシステム70の機能的態様を制御及び/又は実行するためにメモリからのコードを実行する1つ以上のコントローラ、マイクロプロセッサ、及び/又はコンピュータを含み、メモリは、実施形態では、1つ以上のコントローラ、マイクロプロセッサ、及び/又はコンピュータの一部、及び/又はワールドワイドウェブ等のネットワークを介してアクセス可能なメモリ容量の一部であり得る。
【0049】
当業者によって理解されるように、図1に示す電気生理学システム50の描写は、システム50の様々な構成要素の一般的概観を提供することを意図しており、本開示が構成要素の任意のセット又は構成要素の配置に限定されるという結論をもたらすことを決して意図していない。例えば、当業者は、追加のハードウェア構成要素、例えば、ブレイクアウトボックス、及びワークステーション等が電気生理学システム50に含まれ得ること、及び含まれる可能性が高いことを容易に認識するであろう。
【0050】
EAMシステム70は、フィールドジェネレータ80によって位置特定フィールドを生成し、心臓30の周りの位置特定体積を規定して、追跡されるデバイス(複数)、例えば電気穿孔カテーテル105上の1つ以上の位置センサ又は検知要素が、マッピング及びナビゲーションコントローラ90によって処理され得る出力を生成して、位置特定体積内のセンサの位置、従って対応するデバイスの位置を追跡する。図示される実施形態では、デバイス追跡は、磁気追跡技術を使用して達成され、それによって、フィールドジェネレータ80は、位置特定体積を規定する磁場を発生させる磁場発生器であり、追跡されるデバイス上の位置センサは、磁場センサである。
【0051】
他の実施形態では、インピーダンス追跡方法が、様々なデバイスの場所を追跡するために採用され得る。そのような実施形態では、位置特定フィールドは、例えば、外部フィールドジェネレータ配置(例えば、表面電極)によって、体内又は心臓内デバイス(例えば、心臓内カテーテル)によって、又はその両方によって生成される電場である。これらの実施形態では、位置検知要素は、位置特定体積内の様々な位置検知電極の位置を追跡するために、マッピング及びナビゲーションコントローラ90によって受信及び処理される出力を生成する、追跡されるデバイス上の電極を構成し得る。
【0052】
実施形態では、EAMシステム70は、磁気追跡能力及びインピーダンス追跡能力の両方を備える。そのような実施形態では、インピーダンス追跡精度は、いくつかの事例において、前述のRHYTHMIA HDx(商標)マッピングシステムを使用して可能であるように、磁気位置センサを装備したプローブを使用して、対象の心腔内で電場発生器によって誘導される電場のマップをまず作成することによって向上され得る。一つの例示的なプローブは、Boston Scientific Corporationによって販売されているINTELLAMAP ORION(商標)マッピングカテーテルである。
【0053】
使用される追跡方法に関わらず、EAMシステム70は、例えば、電気穿孔カテーテル105又は検知電極を備えた別のカテーテル又はプローブによって取得される心臓電気活動と共に、様々な追跡されるデバイスの位置情報を利用して、心腔の詳細な三次元幾何学的解剖学的マップ又は表示、並びに対象の心臓電気活動が幾何学的解剖学的マップ上に重ね合わされた電気解剖学的マップを生成し、ディスプレイ92によって表示する。さらに、EAMシステム70は、幾何学的解剖学的マップ及び/又は電気解剖学的マップ内の様々な追跡されるデバイスのグラフィック表示を生成し得る。
【0054】
本開示の実施形態は、電気穿孔カテーテルシステム60をEAMシステム70と一体化して、電気穿孔カテーテル105によって生成され得る電場のグラフィック表示が、患者の解剖学的マップ上に、いくつかの実施形態では、患者の心臓の電気解剖学的マップ上に視覚化されることを可能にする。従って、本開示の一体化されたシステムは、不可逆的電気穿孔法による患者の心臓の部分のアブレーションの計画の向上を含む、臨床ワークフローの効率を向上させる能力を有する。本開示の実施形態は、電気穿孔カテーテル105によって生成され得る電場のグラフィック表示を生成することと、解剖学的マップを生成することと、電気解剖学的マップを生成することと、電気穿孔カテーテル105によって生成され得る電場の位置及び電場強度に関連する情報を表示することとを含む。
【0055】
実施形態では、電気穿孔カテーテル105は、バルーンの内側又は外側に位置する電極を有するバルーンカテーテルである。バルーンは、生理食塩水等の物質又は流体で充填される。カテーテル105は、バルーン表面の全体、バルーン内のストリップ、又はカテーテル105のハブ若しくはガイドワイヤの通過を可能にする管腔内に具体化される等、バルーン内にあり得る微小孔性部分を含む。微小孔性部分は、バルーンを充填するために使用される物質の流出を許容するが、大きな気泡は流出させない。従って、微小孔性部分を通過する任意の空気は、血流中に効果的に溶解される。
【0056】
本明細書の図面及び説明の多くは、電気穿孔法によるアブレーションに関連してカテーテル105の使用を記載しているが、本開示のカテーテルは、電気穿孔法だけに限定されず、アブレーションプロセス全般に適用され得る。本開示における電気穿孔法への適用は、本開示の例示的な実施形態であり、適用を限定することを意味しない。
【0057】
図2A及び図2Bは、本開示の主題の実施形態に従ったバルーンカテーテル200を示す概略図である。実施形態では、カテーテル200はアブレーションのために使用される。これは、不可逆的電気穿孔法によるアブレーションを含む、電気穿孔法によるアブレーションを含み得る。実施形態では、カテーテル200は、互いから離間されて電気を伝導するように構成される複数の電極を含む。カテーテル特性は、カテーテルによって生成され得る電場をモデル化するために使用される。実施形態では、電場をモデル化するために使用される特性は、以下(カテーテルの種類(例えば、開かれた後に一定の外形を有するバスケットカテーテル及び程度によって開閉され得る可変外形を有するスプラインカテーテル)、カテーテルのフォームファクタ(例えば、バルーンカテーテル、バスケットカテーテル、及びスプラインカテーテル)、電極の数、カテーテル上の電極間間隔、電極の空間的関係及び配向(特に、同じカテーテル上の他の電極に対する)、電極が作製される材料の種類、並びに電極の形状)を含み得る。実施形態では、カテーテルの種類及び/又はカテーテルのフォームファクタは、線形アブレーションカテーテル及び焦点アブレーションカテーテル等のカテーテルを含む。ここで、カテーテルの種類及び/又はカテーテルのフォームファクタは、本明細書で言及されるものに限定されない。
【0058】
実施形態では、カテーテル200は、バルーンの内側又は外側に位置する電極及び導体を有するバルーンカテーテルである。バルーンには、生理食塩水等の物質又は流体が充填される。いくつかの実施形態では、カテーテルは、バルーンがカテーテル200のカテーテルバスケットを覆うように構成されたカテーテルバスケットをさらに備える。他の実施形態では、バルーンはカテーテルバスケット内に配置され得る。示すように、カテーテル200は、バルーン表面の全体、バルーンのディスク状部分(例えば、遠位端付近)、バルーン内のストリップ、又はカテーテル200のハブ内に具体化される等、バルーン上又はバルーン内に微小孔性部分を含む。微小孔性部分は、バルーンに充填するために使用される物質の流出を許容するが、気泡を流出させず、それにより、微小孔性部分を通過する空気は、血流中に効果的に溶解され、塞栓症をもたらさない。
【0059】
図2Aは、本開示の主題の実施形態に従った、カテーテル200を示す概略図である。カテーテル200は、カテーテルシャフト202と、カテーテル200の遠位端228においてカテーテルシャフト202に取り付けられたバルーン222とを含む。バルーン222は、複数の開口216を含む。いくつかの実施形態では、バルーン222は、複数の開口216を備える微小孔性管部分をさらに含む。実施形態では、バルーン222は、複数の開口216を備える微小孔性ストリップ部分を備える。他の実施形態では、バルーン222の全体が開口216からなる。様々な実施形態では、カテーテル200は、微小孔性部分を含むハブ212をさらに備える。
【0060】
様々な実施形態では、微小孔性部分214は、別個に構成され、バルーン222の本体に取り付けられる。実施形態では、微小孔性部分は、前述のバルーン222の微小孔性部分214である。微小孔性部分214は、バルーン222を充填する流体がある流量でバルーン222を通過可能であるように構成される。さらに、微小孔性部分214は、50ミクロン以上の直径を有する気泡がバルーン222から退出することを制限されるように構成される。バルーン222は、バルーン222に充填される流体がバルーン222を膨張及び拡張させるように構成される。
【0061】
いくつかの実施形態では、微小孔性部分214はディスク状部分である。他の実施形態では、微小孔性部分214は、バルーン222に取り付けられたストリップである。実施形態では、微小孔性部分216は、バルーン222表面の全体である。微小孔性部分214は、図2Bを参照してさらに記載されるように、流体が通過可能である複数の開口216からなる。実施形態では、バルーンカテーテル200は、閉塞又は狭窄され得る体内の通路又は経路を拡張するために膨張するように構成される。さらに、他の実施形態では、カテーテル200は、電極及び導体を含み、アブレーションのために構成される。
【0062】
図2Bは、カテーテルシャフト202の遠位端206に配置されたバルーン222と、バルーン222に結合された微小孔性部分214とを含むカテーテル200の斜視図を示す。実施形態では、バルーン222は、流体223を収容するように構成され、電極群208、210及び導体204を支持するように構成される。実施形態では、導体204は、バルーン222上にフレックス回路を含む。いくつかの実施形態では、バルーン222はハブ212を備える。さらに、実施形態では、ハブ212は微小孔性部分214を含む。実施形態では、ハブ212は、微小孔性材料からなる。実施形態では、ハブ212の微小孔性部分216は、焼結材料又は圧延膜である微小孔性材料である。他の実施形態では、ハブ212の微小孔性部分は、延伸PTFEからなる。
【0063】
実施形態では、微小孔性部分214は、複数の開口216を含む。複数の開口216は、物質がバルーン222に流入し、バルーン222から流出するように構成されている。この実施形態では、複数の開口216は、材料中の複数の孔を含む。実施形態では、微小孔性部分214は、ディスク状部分218からなる。実施形態では、微小孔性部分は、管部分220に形成される。管部分220は、バルーン222の遠位端224から延在し、バルーン222によって囲まれた空間内の位置まで、又はカテーテルシャフト202内の位置まで延在する。いくつかの実施形態では、管部分220は、ハブ212と、ガイドワイヤの導入に使用されるガイドワイヤ管腔との両方を含む。いくつかの実施形態では、バルーン222上に配置される電極群208、210及び/又は導体204は、微小孔性であり、かつ、複数の開口216を備える。実施形態では、電極群208、210の電極及び/又は導体204は、微小孔性部分214を含む。
【0064】
実施形態では、微小孔性部分214は、複数の開口216を含む微小孔性物質からなる。実施形態では、微小孔性部分214は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、Pebax、ウレタン、ポリエステル及びナイロンの内の少なくとも1つからなる。実施形態では、バルーン222は、Pebax、ナイロン、ウレタン、及びポリエステルの内の少なくとも1つから形成される。実施形態では、バルーン222の材料は、微小孔性部分214に使用される材料とは異なる。
【0065】
複数の開口216は、バルーン222の内側からバルーン222の外側への生理食塩水等の物質の通過を可能にする一方で、さもなくば患者にとって危険である気泡がバルーン222から退出することを防止する。開口216を通過することが防止される気泡は、最大値を超える直径を有する気泡を含む。いくつかの実施形態では、複数の開口216から退出することを制限される気泡の直径は、50ミクロン以上である。
【0066】
物質は、開口216の大きさ又はバルーン222及び/又は微小孔性部分214の孔径によって影響を受ける流量でバルーン222から流れる。物質が微小孔性部分214から流出すると、カテーテルバルーン222内に動作圧力が生じる。いくつかの実施形態では、この圧力は、0psi(0Pa)を上回り、9psi(62kPa)までの範囲であり得る。例示的な実施形態では、動作圧力は約1psi(6.9kPa)である。
【0067】
実施形態では、複数の開口216のそれぞれの大きさは、直径0.05ミクロン~50ミクロンの範囲である。いくつかの実施形態では、複数の開口216の大きさは、0.10ミクロン~0.50ミクロンの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、複数の開口216の大きさは0.45ミクロンである。流量は、少なくともバルーン222の動作圧力によって影響を受ける。実施形態では、流量は、0mL/分~1mL/分の範囲であり、バルーン222は、1psi(6.9kPa)の動作圧力で動作する。実施形態では、バルーンが1psi(6.9kPa)の動作圧力で動作するとき、流量は0.5mL/分である。
【0068】
図3は、本開示の主題の実施形態に従った、患者の心臓内の心臓組織302に隣接する電気穿孔カテーテル300を示す概略図である。心臓組織302は、心内膜組織304及び心筋組織306を含み、心内膜組織304及び心筋組織306の少なくともいくつかは、不可逆的電気穿孔法等によって焼灼される必要があり得る。実施形態では、心臓組織302は、患者20の心臓30の一部である。
【0069】
カテーテル300は、心臓組織302のアブレーション、例えば不可逆的電気穿孔法を実行するのに適している。カテーテル300は、不可逆的電気穿孔法に限定されず、他のアブレーション方法の適用のために使用され得る。カテーテル300は、遠位端312を伴うカテーテルシャフト308と、第1の電極群314及び第2の電極群316の電極等の電極、及び導体332を支持するように構成されたバルーン310とを含む。カテーテル300は、カテーテル300の遠位端326に微小孔性部分320をさらに含む。実施形態では、カテーテル300の微小孔性部分320は、カテーテル200の微小孔性部分214であってもよく、バルーン310は、カテーテル200のバルーン222であってもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、バルーン310は、バルーン310の周囲に配置された第1の電極群314と、バルーン310の遠位端318に隣接して配置された第2の電極群316とを含む。カテーテル300は、本明細書に記載される構成以外の異なる電極及び導体構成の変形形態を備え得る。実施形態では、第1の電極群314内の各電極及び第2の電極群316内の各電極は、電気を伝導し、電気穿孔コンソール130に動作可能に接続されるように構成される。実施形態では、第1の電極群314及び第2の電極群316内の電極の1つ以上は、金属を含む。実施形態では、電気穿孔カテーテル300及び電極314及び316は、本明細書で前述したカテーテル200及び電極208及び210と同様である。
【0071】
カテーテル300及び第1の電極群の電極314及び第2の電極群の電極316は、電気穿孔コンソール130に動作可能に接続され、又は接続されてもよく、コンソール130は、電極314及び316に電気パルスを提供して、不可逆的電気穿孔法によって心臓組織302を焼灼可能である電場を生成するように構成される。電場強度及び心臓組織302に印加される時間の長さを含む、カテーテル300によって心臓組織302に提供される電場の量は、心臓組織302が焼灼されるかどうかを決定する。
【0072】
例えば、約400ボルト/センチメートル(V/cm)の電場強度は、不可逆的電気穿孔法によって、心臓内の心筋組織306を含む心臓組織302を焼灼するのに十分な大きさであると考えられる。一方、不可逆的電気穿孔法によって赤血球、血管平滑筋、内皮組織、及び神経組織等の組織を焼灼又は死滅させるためには、1600V/cm以上の電場強度が必要である。また、心臓内の心臓組織302の可逆的電気穿孔法は、200~250V/cmの電場強度で達成され得る。
【0073】
図4は、アブレーション用のシステムのカテーテル200を製造する方法400である。実施形態では、カテーテル200は、電気泳動によるアブレーション用のシステムのためのものであり得る。本方法は、図2A及び図2Bのカテーテル200を参照して記載されるが、本方法はまた、図3のカテーテル300の製造にも適用される。ブロック402において、本方法は、微小孔性部分214を形成することを含む。実施形態では、微小孔性部分214は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、Pebax、ウレタン、ポリエステル及びナイロンの内の少なくとも1つからなる。実施形態では、微小孔性部分214は、複数の開口216を備える微小孔性ディスク状部分を含む。いくつかの実施形態では、微小孔性部分214は、複数の開口216を備える管部分を含む。実施形態では、微小孔性部分214は、複数の開口216を備える微小孔性ストリップ部分を含む。他の実施形態では、微小孔性部分214は、バルーン222全体を覆うように構成された微小孔性部分であるように構成される。
【0074】
実施形態では、ステップ402の微小孔性部分214は、微小孔性部分214の複数の開口216が、0.05ミクロン~50ミクロンの範囲であり得る直径を有することをさらに含む。様々な実施形態では、複数の開口216は、0.05ミクロン~1ミクロンの範囲の直径を有する。実施形態では、バルーン222の微小孔性部分214の複数の開口216は、ある流量で物質の流れがバルーン222から退出するように構成される。実施形態では、流量は、バルーンが公称動作圧力で動作している間、0mL/分を上回る値から1mL/分以下の値の範囲である。実施形態では、バルーン222内のこの公称動作圧力は、約1psi(6.9kPa)である。
【0075】
ブロック404において、本方法は、微小孔性部分214をバルーン222に取り付けることを含む、バルーンを形成することをさらに含む。実施形態では、バルーン222は、Pebax、ナイロン、ウレタン、及びポリエステルの内の少なくとも1つから形成される。実施形態では、微小孔性部分214をバルーン222に取り付けることは、微小孔性部分214をバルーン222にシールすることを含む。
【0076】
ブロック406において、本方法は、導体204をバルーン222に取り付けることをさらに含む。導体204を取り付けるこのステップは、第1の電極群208及び第2の電極群210をバルーン222に取り付けることを含み得る。いくつかの実施形態では、導体204は、フレックス回路の形態中の導電回路である。これらの実施形態では、ステップ406は、フレックス回路をバルーン222上に巻き付けることを含む。実施形態では、フレックス回路は、取り付けステップの前に、第1の電極群208及び第2の電極群210を備える。
【0077】
ブロック408において、本方法は、バルーン222と、微小孔性部分214、電極群208、210及び導体204等の取り付けられた要素とを含むバルーンアセンブリをカテーテル200に取り付けることを含む。実施形態では、カテーテル200は、バルーンアセンブリが取り付けられてカテーテルバスケットを覆うように、カテーテルバスケットを備える。カテーテルバスケットが存在する他の実施形態では、バルーンアセンブリは、カテーテルバスケット内に配置されるように構成される。
【0078】
図5は、本開示に従った、アブレーション用のシステムのカテーテルの使用方法を示すフローチャートである。本方法は、カテーテル200に関連して記載されるが、カテーテル300は、本方法において同様に使用され得る。また、実施形態では、図3の心臓組織302は、使用方法において機能を提供するように構成される。さらに、EAMシステム70の要素は、使用方法の様々なステップの機能を提供するように構成され得る。
【0079】
502において、本方法は、まず、カテーテル200を患者に挿入することを含む。504において、本方法は、図3に示すように、心臓組織302に到達するためにカテーテル200を操作して延在させるステップをさらに含む。実施形態では、本ステップは、心臓組織302に対する電極群208、210の電極の位置を決定することと、焼灼される必要がある組織の深さ及び表面積を決定することとをさらに含む。実施形態では、本ステップは、カテーテル200のバルーン222を流体で膨張させることをさらに含む。実施形態では、流体は生理食塩水である。
【0080】
506において、本方法500は、電極208及び/又は210を介して組織のアブレーション治療を実施することをさらに含む。図3を参照して記載するように、治療中に供給される電圧の量は、図1に示すコンソール130によって制御され得る。電気泳動によるアブレーションを参照して記載されるが、実施されるアブレーション治療は、異なる種類のアブレーション治療のものであり得る。
【0081】
508において、本方法は、ある流量でバルーン222の微小孔性部分214を通る流体の流れが存在するように、カテーテル200を引き戻すことを含む。カテーテル200の動作中、流量に影響を与え得る動作圧力値がバルーン222内に存在する。実施形態では、動作圧力は、0psi(0kPa)を上回る値から9psi(62kPa)の値までの範囲である。公称動作条件では、動作圧力は1psi(6.9kPa)であり得る。いくつかの実施形態では、流量は、0mL/分を上回り、1mL/分以下の値の範囲であり、動作圧力は、約1psi(6.9kPa)である。実施形態では、流量は、バルーン222内の動作圧力の増加と共に増加する。実施形態では、引き戻しステップ中、バルーン222の動作圧力は、10psi(69kPa)であり、流量は、少なくとも5mL/分まで増加する。微小孔性部分214は、流体が流れるように複数の開口216を備える。微小孔性部分214の複数の開口216は、特定の値を超える直径を有する気泡が、引き戻しステップ中にバルーン222を通過することを防止するように構成される。特定の実施形態では、直径の値は、複数の開口216のそれぞれの直径である。様々な実施形態では、開口216の直径は50ミクロン以下である。様々な実施形態では、開口215の直径は、0.05~0.5ミクロンである。さらに、実施形態では、508において、本ステップは、カテーテル200の引き戻し中に、流体が複数の開口216を通過する能力が、バルーン222の構造的完全性を維持しながら、動作圧力を増加させることを可能にすることを含む。
【0082】
「実施例1」
本開示の実施形態と一致する実施例では、手術カテーテルが記載される。本実施例は、図2Aのカテーテル200を参照して記載されるが、図3のカテーテル300に適用され得る。
【0083】
カテーテル200は、バルーン222と、バルーン200上に取り付けられた微小孔性部分214とを含む。この実施例では、微小孔性部分214を形成する材料は、ナイロンからなる。使用される微小孔性部分214の表面積は、0.32cmである。微小孔性部分214の複数の開口216の各々の直径は、約0.45ミクロンである。
【0084】
動作中、生理食塩水等の流体は、カテーテル200のバルーン222に流入し、流体の一部は、ある流量で微小孔性部分214の複数の開口216から流出することができる。カテーテル200の動作中、バルーン222内に動作圧力が存在する。これは、複数の開口216から退出する生理食塩水の流量に影響を及ぼす。この例では、バルーン222内の動作圧力は約1psi(6.9kPa)であり、バルーン222から退出する生理食塩水の流量は約0.5mL/分である。患者の血流内に配置される流体の量を最小限に抑えるために、バルーン222を通る流体の流量が低いことが所望される。
【0085】
患者からカテーテル200を引き戻す間、カテーテル200はシース内に引き込まれ、バルーン222の安全な引き戻しを必要とする。引き戻し中にカテーテル200から生理食塩水を排出する主な手段は、カテーテル200のハンドルを介するものである。生理食塩水がハンドルを介して排出不可能である場合等、何らかの閉塞が生じた場合、バルーン222内の動作圧力が上昇し得る。カテーテル200の微小孔性部分214は、生理食塩水を排出する第2の手段として機能することができる。微小孔性部分214がバルーン222上に存在することにより、動作圧力の増加は、微小孔性部分214を通ってバルーン222から退出する流体の流量の増加を引き起こし得る。この実施例では、バルーン222の引き戻し中の20psi(138kPa)の増加した動作圧力は、10mL/分の流量をもたらし得る。微小孔性部分214は、引き戻し中にバルーン破裂を引き起こし得る値まで圧力が増加しないようにするために、流れの排出を可能にし、そうでなければ、危険な気泡又はバルーン材料が患者の中に放出されることをもたらし得る。
【0086】
本実施例の値は、カテーテル200の動作の例示的な実施形態である。これらのパラメータの他の値も可能であり、本開示に記載される範囲内の値を条件とすることに限定されない。
【0087】
本開示の範囲から逸脱することなく、議論された例示的な実施形態に対して様々な変更及び追加がされ得る。例えば、上記の実施形態は特定の特徴に言及しているが、本開示の範囲はまた、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、及び記載された特徴の全てを含まない実施形態を含む。従って、本開示の範囲は、特許請求の範囲内に収まる全てのそのような代替形態、変更、及び変形を、その全ての均等物と共に包含することが意図される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
【国際調査報告】