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特表2023-543872き裂を低減するための組成勾配を有する直接冷却鋳造アルミニウムインゴット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(54)【発明の名称】き裂を低減するための組成勾配を有する直接冷却鋳造アルミニウムインゴット
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/00 20060101AFI20231011BHJP
   B22D 11/049 20060101ALI20231011BHJP
   B22D 11/11 20060101ALI20231011BHJP
   B22D 11/12 20060101ALI20231011BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20231011BHJP
   C22F 1/04 20060101ALN20231011BHJP
【FI】
B22D11/00 N
B22D11/049
B22D11/00 E
B22D11/11 D
B22D11/12 Z
C22F1/00 611
C22F1/00 627
C22F1/00 630Z
C22F1/00 681
C22F1/00 682
C22F1/00 685
C22F1/00 683
C22F1/00 686
C22F1/04 Z
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 694A
C22F1/00 623
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519902
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(85)【翻訳文提出日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 US2021051664
(87)【国際公開番号】W WO2022072206
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】63/198,184
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506110243
【氏名又は名称】ノベリス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ワグスタッフ,サミュエル ロバート
(72)【発明者】
【氏名】サンダラム,クマール
【テーマコード(参考)】
4E004
【Fターム(参考)】
4E004MB11
4E004NC08
(57)【要約】
組成的勾配アルミニウム合金製造物を調製する方法が記載される。本方法は、金型中に複合インゴットを鋳造することを含み得る。複合インゴットは、第1のアルミニウム合金を含む内部領域、内部領域を取り囲む外部領域、及び内部領域と外部領域との間の組成的勾配ゾーンを含み得る。外部領域は、第1のアルミニウム合金と異なる第2のアルミニウム合金を含み得る。第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素は、組成的勾配ゾーンを通って、内部領域から外部領域への方向に減少する含有量を有し得る。組成的勾配ゾーンを有するアルミニウム合金複合インゴット及び圧延アルミニウム合金製造物も記載される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成的勾配アルミニウム合金製造物を調製する方法であって、
複合インゴットを金型中にて鋳造することを含み、前記複合インゴットが、
第1のアルミニウム合金を含む内部領域と、
前記内部領域を取り囲む外部領域であって、前記外部領域が、前記第1のアルミニウム合金とは異なる第2のアルミニウム合金を含む、前記外部領域と、
前記内部領域と前記外部領域との間の組成的勾配ゾーンと、を含み、前記第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素が、前記組成的勾配ゾーンを通って、前記内部領域から前記外部領域への方向に減少する含有量を有する、前記方法。
【請求項2】
前記第1のアルミニウム合金及び前記第2のアルミニウム合金が、同時に鋳造される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複合インゴットをスカルピングして、前記組成的勾配ゾーン及び前記外部領域の少なくとも一部分を圧延面から除去することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
スカルピングが、材料を除去して、前記第1のアルミニウム合金を含むモノリシックインゴットを生成することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のアルミニウム合金が、7xxxシリーズアルミニウム合金、5xxxシリーズアルミニウム合金、または2xxxシリーズアルミニウム合金を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のアルミニウム合金が、7075アルミニウム合金、5182アルミニウム合金、または2024アルミニウム合金を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のアルミニウム合金が、1xxxシリーズアルミニウム合金を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のアルミニウム合金が、少なくとも99.7%の純度を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のアルミニウム合金の前記少なくとも1つの合金化元素が、Zn、Cu、Mg、またはNaを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記外部領域が、前記少なくとも1つの合金化元素を実質的に欠いている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複合インゴットが、実質的にき裂を欠いている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
き裂には、低温き裂、高温き裂、端部き裂、または突合せき裂が含まれる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複合インゴットが、実質的に多孔性を欠いている、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
多孔性が、熱間圧延中の破砕からの核形成点としての細孔を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複合インゴットを鋳造することは、前記外部領域が冷却水と接触する配置で前記内部領域及び前記外部領域が共鋳造される、直接冷却鋳造プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記外部領域が、前記複合インゴットの全厚さの7%~15%の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記組成的勾配ゾーンが、前記複合インゴットの全厚さの2%~10%の厚さを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記インゴットを加工して、前記第1のアルミニウム合金を含むアルミニウム合金シェート、プレート、またはシートを形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
均質化プロセス、熱間圧延プロセス、冷間圧延プロセス、焼きなましプロセス、溶体化熱処理プロセス、焼入れプロセス、または表面処理プロセスのうちの1つ以上を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
鋳造中に磁場を指向することを更に含み、前記磁場は、前記組成的勾配ゾーンに垂直な方向にて乱流を抑制するようになっている、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のアルミニウム合金が、第1の高さから前記金型に送達され、前記第2のアルミニウム合金が第2の高さから前記金型に送達され、前記第2の高さが、前記第1の高さと異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記組成的勾配ゾーンに垂直な方向にて乱流を抑制するために鋳造中に磁場を指向することを更に含み、指向することは、前記磁場を前記第1の高さと前記第2の高さとの間の高さに位置付けることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記組成的勾配ゾーンに垂直な方向にて乱流を抑制するために鋳造中に磁場を指向することを更に含み、前記磁場を指向することは、スキムダムを提供することを含み、前記スキムダムは、前記第1の高さと前記第2の高さとの間の高さで溶融液体内に位置付けられる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか1項に記載の方法によって調製されたアルミニウム合金複合インゴット。
【請求項25】
アルミニウム合金複合インゴットであって、
第1のアルミニウム合金を含む内部領域と、
前記内部領域を取り囲む外部領域であって、前記外部領域が、前記第1のアルミニウム合金とは異なる第2のアルミニウム合金を含む、前記外部領域と、
前記内部領域と前記外部領域との間の組成的勾配ゾーンと、を含み、前記第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素が、前記組成的勾配ゾーンを通って、前記内部領域から前記外部領域への方向に減少する含有量を有する、前記アルミニウム合金複合インゴット。
【請求項26】
前記第1のアルミニウム合金が、7xxxシリーズアルミニウム合金、5xxxシリーズアルミニウム合金、または2xxxシリーズアルミニウム合金を含む、請求項25に記載のアルミニウム合金複合インゴット。
【請求項27】
前記第1のアルミニウム合金が、7075アルミニウム合金、5182アルミニウム合金、または2024アルミニウム合金を含む、請求項26に記載のアルミニウム合金複合インゴット。
【請求項28】
前記第2のアルミニウム合金が、1xxxシリーズアルミニウム合金を含む、請求項25に記載のアルミニウム合金複合インゴット。
【請求項29】
前記第2のアルミニウム合金が、少なくとも99.7%の純度を有する、請求項28に記載のアルミニウム合金複合インゴット。
【請求項30】
前記第1のアルミニウム合金の前記少なくとも1つの合金化元素が、Zn、Cu、Mg、またはNaを含む、請求項25に記載のアルミニウム合金複合インゴット。
【請求項31】
前記外部領域が、前記少なくとも1つの合金化元素を実質的に欠いている、請求項25に記載のアルミニウム合金複合インゴット。
【請求項32】
前記複合インゴットが、実質的にき裂を欠いている、請求項25に記載のアルミニウム合金複合インゴット。
【請求項33】
き裂には、低温き裂、高温き裂、端部き裂、または突合せき裂が含まれる、請求項32に記載のアルミニウム合金複合インゴット。
【請求項34】
前記複合インゴットが、実質的に多孔性を欠いている、請求項25に記載のアルミニウム合金複合インゴット。
【請求項35】
多孔性が、熱間圧延中の破砕からの核形成点としての細孔を含む、請求項34に記載のアルミニウム合金複合インゴット。
【請求項36】
前記外部領域が、前記複合インゴットの全厚さの7%~15%の厚さを有する、請求項25に記載のアルミニウム合金複合インゴット。
【請求項37】
前記組成的勾配ゾーンが、前記複合インゴットの全厚さの2%~10%の厚さを有する、請求項36に記載のアルミニウム合金複合インゴット。
【請求項38】
請求項1~23のいずれか1項に記載の方法によって形成された圧延アルミニウム合金製造物。
【請求項39】
圧延アルミニウム合金製造物であって、
第1のアルミニウム合金を含む内部領域と、
前記内部領域を取り囲む外部領域であって、前記外部領域が、前記第1のアルミニウム合金とは異なる第2のアルミニウム合金を含む、前記外部領域と、
前記内部領域と前記外部領域との間の組成的勾配ゾーンと、を含み、前記第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素が、前記組成的勾配ゾーンを通って、前記内部領域から前記外部領域への方向に減少する含有量を有する、前記圧延アルミニウム合金製造物。
【請求項40】
請求項24~37のいずれか1項に記載のアルミニウム合金複合インゴットから作製された、請求項39に記載の圧延アルミニウム合金製造物。
【請求項41】
前記第1のアルミニウム合金が、7xxxシリーズアルミニウム合金、5xxxシリーズアルミニウム合金、または2xxxシリーズアルミニウム合金を含む、請求項39に記載の圧延アルミニウム合金製造物。
【請求項42】
前記第1のアルミニウム合金が、7075アルミニウム合金、5182アルミニウム合金、または2024アルミニウム合金を含む、請求項41に記載の圧延アルミニウム合金製造物。
【請求項43】
前記第2のアルミニウム合金が、1xxxシリーズアルミニウム合金を含む、請求項39に記載の圧延アルミニウム合金製造物。
【請求項44】
前記第2のアルミニウム合金が、少なくとも99.7%の純度を有する、請求項43に記載の圧延アルミニウム合金製造物。
【請求項45】
前記第1のアルミニウム合金の前記少なくとも1つの合金化元素が、Zn、Cu、Mg、またはNaを含む、請求項39に記載の圧延アルミニウム合金製造物。
【請求項46】
前記外部領域が、前記少なくとも1つの合金化元素を実質的に欠いている、請求項39に記載の圧延アルミニウム合金製造物。
【請求項47】
前記複合インゴットが、実質的にき裂を欠いている、請求項40に記載の圧延アルミニウム合金製造物。
【請求項48】
き裂には、低温き裂、高温き裂、端部き裂、または突合せき裂が含まれる、請求項47に記載の圧延アルミニウム合金製造物。
【請求項49】
前記複合インゴットが、実質的に多孔性を欠いている、請求項40に記載の圧延アルミニウム合金製造物。
【請求項50】
多孔性が、熱間圧延中の破砕からの核形成点としての細孔を含む、請求項49に記載の圧延アルミニウム合金製造物。
【請求項51】
前記外部領域が、前記複合インゴットの全厚さの7%~15%の厚さを有する、請求項40に記載の圧延アルミニウム合金製造物。
【請求項52】
前記組成的勾配ゾーンが、前記複合インゴットの全厚さの2%~10%の厚さを有する、請求項51に記載の圧延アルミニウム合金製造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月1日に出願された米国仮出願第63/198,184号の利益及び優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、冶金に関し、より具体的には、アルミニウム合金製造物及びアルミニウム合金インゴット鋳造及び加工技術に関する。
【背景技術】
【0003】
アルミニウム合金インゴットは、直接冷却(DC)鋳造を使用して鋳造される場合がある。しかしながら、いくつかの金属または合金は、インゴットとしての鋳造中または鋳造後に、端部き裂によって自然に破裂したり、低温き裂などの実質的な損傷を受けたりする場合がある。特定の金属または合金は、DC鋳造中に発生した脆性微細構造、微細孔性、及び熱応力の組み合わせにより、鋳造中または鋳造後に低温き裂を経験する場合がある。高強度合金製造物は、(i)脆性共晶及び/または多孔質製造物によって粒子が囲まれる原因となる濃縮されたそれらの組成物の性質が、き裂開始後に粒界を通って容易な粒間破砕機構が提供されること、ならびに(ii)固化中の特定の合金化元素の体積収縮の違いにより、より希釈された合金よりも応力が大きくなることに起因する、鋳造中の低温き裂応力形成から生じる不具合の影響を特に受けやすい。これらの不具合に対して影響を受けやすいことは、低温き裂を防止するために特定の金型プロファイルの使用することで利益を得る場合がある。低温き裂の影響は、例えば、約480℃未満で冷却すると観察される。DC鋳造技術を使用して遭遇する別の問題は、端部き裂を含む。端部き裂は、ナトリウム(Na)などのアルカリ元素によって引き起こされる粒界融解によって駆動される可能性がある。端部き裂は、インゴットの端部上の正のマクロ分離によっても引き起こされる可能性があり、インゴットの短い面での正の分離は、インゴットの幅が増加するにつれて高くなる。大規模なマクロ分離がある場合、通常の均質化熱処理の実施では不十分である可能性があり、熱間圧延中に激しく分離された端部の溶融及び端部き裂の産生をもたらす。低温き裂及び端部き裂は、回復及び操作時間の損失、ならびにインゴット中のき裂の開裂または高温断裂を含む安全上の懸念をもたらす。本開示は、インゴットの外部領域に組成物勾配を形成することによって、低温き裂及び端部き裂の問題に対処する。
【発明の概要】
【0004】
実施形態という用語及び同様の用語は、本開示の主題及び以下の特許請求の範囲の全てを広く指すことが意図される。これらの用語を含む記述は、本明細書で説明されている主題を制限するものではなく、または以下の特許請求の範囲の意味もしくは範囲を制限するものではないと理解されるべきである。本明細書で含まれる本開示の実施形態は、本要約ではなく、以下の特許請求の範囲によって定義される。本概要は、本開示の様々な態様の高精度の概要であり、下記の発明を実施するための形態のセクションで更に説明される概念の一部を紹介している。本概要は、特許請求される主題の重要または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、また、特許請求される主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図していない。主題は、本開示の明細書全体、任意または全ての図面、及び各特許請求の範囲の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0005】
一態様では、組成的勾配アルミニウム合金製造物(または組成的に勾配を有するアルミニウム合金物、compositionally gradient aluminum alloy product)を調製する方法が記載される。この態様の方法は、金型中にて複合インゴットを鋳造する(または金型中に複合インゴットを鋳造する、casting a composite ingot in a mold)ことを含み得る。複合インゴットは、第1のアルミニウム合金を含む内部領域と、内部領域を囲む外部領域であって、外部領域が第1のアルミニウム合金とは異なる第2のアルミニウム合金を含む、外部領域と、内部領域と外部領域との間の組成的勾配ゾーン(または組成が勾配を有するゾーン、compositionally gradient zone)と、を含み得る。第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素は、組成的勾配ゾーンを通って、内部領域から外部領域への方向に減少する含有量を有し得る。
【0006】
実施形態では、本方法は、鋳造プロセスの全てまたは一部の間など、同時に鋳造される第1のアルミニウム合金及び第2のアルミニウム合金を含み得る。いくつかの場合では、第1のアルミニウム合金(内部領域)の鋳造は、第2のアルミニウム合金(外部領域)の鋳造が開始される前に開始し得る。いくつかの場合では、第2のアルミニウム合金(外部領域)の鋳造は、第1のアルミニウム合金(内部領域)の鋳造が開始される前に開始し得る。実施形態では、本方法は、第1の高さから金型に送達される第1のアルミニウム合金と、第2の高さから金型に送達される第2のアルミニウム合金と、を含み得、第2の高さは、第1の高さと異なる。
【0007】
実施形態では、本方法は、複合インゴットをスカルピング(又は皮むき、皮むき処理もしくは表層除去、scalping)して、組成的勾配ゾーン及び外部領域の少なくとも一部分を圧延面から除去することを更に含み得る。スカルピングは、材料を除去して、第1のアルミニウム合金を含むモノリシックインゴット(monolithic ingot)を生成することを含み得る。
【0008】
実施形態では、第1のアルミニウム合金は、7xxxシリーズアルミニウム合金、5xxxシリーズアルミニウム合金、または2xxxシリーズアルミニウム合金を含み得る。第1のアルミニウム合金は、7075アルミニウム合金、5182アルミニウム合金、または2024アルミニウム合金を含み得る。実施形態では、第2のアルミニウム合金は、1xxxシリーズのアルミニウム合金を含み得る。第2のアルミニウム合金は、例えば、少なくとも99.7%の純度を有し得る。
【0009】
実施形態では、第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素は、Zn、Cu、Mg、またはNaを含み得る。実施形態では、外部領域は、少なくとも1つの合金化元素を実質的に欠いていてもよい。
【0010】
実施形態では、複合インゴットは、き裂を実質的に欠いていてもよい(または複合インゴットにはき裂が実質的にないものであってよい)。き裂には、例えば、低温き裂(cold cracking)、高温き裂(hot cracking)、端部き裂(またはエッジき裂、edge cracking)、または突合せき裂(butt cracking)が含まれ得る。追加的または代替的に、複合インゴットは、例えば、熱間圧延プロセス中にひび割れを受けなくてもよい。実施形態では、複合インゴットは、多孔性(porosity)を実質的に欠いていてもよい(または複合インゴットは実質的に多孔質となっていない)。多孔性は、例えば、熱間圧延中の破砕(またはフラクチャー、fractures)からの核形成点(または核生成ポイント、nucleation points)としての細孔(またはポアもしくは孔、pores)を含み得る。
【0011】
実施形態では、複合インゴットを鋳造することは、外部領域が冷却水と接触する配置で内部領域及び外部領域が共鋳造される、直接冷却鋳造プロセスを含み得る。
【0012】
実施形態では、外部領域は、複合インゴットの全厚さの7%~15%の厚さを有し得る。実施形態では、組成的勾配ゾーンは、複合インゴットの全厚さの2%~10%の厚さを有し得る。
【0013】
この態様の方法は、追加のプロセスステップを含み得る。例えば、圧延アルミニウム合金製造物は、本明細書に記載の方法によって形成され得る。実施形態では、この態様の方法は、モノリシックインゴットを加工して、第1のアルミニウム合金を含むアルミニウム合金シェート(shate)、プレート、またはシートを形成することを更に含み得る。この態様の方法は、均質化プロセス、熱間圧延プロセス、冷間圧延プロセス、焼きなましプロセス(annealing process)、溶体化熱処理プロセス、焼入れプロセス、または表面処理プロセスのうちの1つ以上を更に含み得る。
【0014】
実施形態では、本方法は、鋳造中に磁場を指向する(又は方向付ける、direct)ことを更に含み得、磁場は、組成的勾配ゾーンに垂直な方向にて乱流(または垂直な方向に乱流)を抑制するようになっている。実施形態では、本方法は、組成的勾配ゾーンに垂直な方向に乱流を抑制するために、鋳造中に磁場を指向することを更に含み得る。指向することは、例えば、磁場を第1の高さと第2の高さとの間の高さに位置付ける(または配置する)ことを含み得る。実施形態では、本方法は、組成的勾配ゾーンに垂直な方向にて乱流(または垂直な方向に乱流)を抑制するために、鋳造中に磁場を指向することを更に含み得る。磁場を指向することは、例えば、スキムダム(または堰体、skim dam)を提供することを含み得、スキムダムは、第1の高さと第2の高さとの間の高さで溶融液体内に位置付けられる(または配置される)。
【0015】
別の態様では、アルミニウム合金複合インゴットが記載される。いくつかの実施形態では、アルミニウム合金複合インゴットは、本明細書に記載の方法によって調製され得る。アルミニウム合金複合インゴットは、第1のアルミニウム合金を含む内部領域、内部領域を取り囲む外部領域、及び内部領域と外部領域との間の組成的勾配ゾーンを含み得る。外部領域は、第1のアルミニウム合金と異なる第2のアルミニウム合金を含み得る。第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素は、組成的勾配ゾーンを通って、内部領域から外部領域への方向に減少する含有量を有し得る。
【0016】
実施形態では、第1のアルミニウム合金は、7xxxシリーズアルミニウム合金、5xxxシリーズアルミニウム合金、または2xxxシリーズアルミニウム合金を含み得る。第1のアルミニウム合金は、7075アルミニウム合金、5182アルミニウム合金、または2024アルミニウム合金を含み得る。実施形態では、第2のアルミニウム合金は、1xxxシリーズのアルミニウム合金を含み得る。第2のアルミニウム合金は、例えば、少なくとも99.7%の純度を有し得る。任意選択で、第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素は、Zn、Cu、Mg、またはNaを含み得る。実施形態では、外部領域は、少なくとも1つの合金化元素を実質的に欠いていてもよい。
【0017】
実施形態では、複合インゴットは、低温き裂、高温き裂、端部き裂、及び/または突合せき裂を欠いているなど、き裂を実質的に欠いていてもよく、任意選択で、圧延中にひび割れを受けなくてもよい。実施形態では、複合インゴットは、多孔性を実質的に欠いていてもよい。多孔性は、熱間圧延中の破砕からの核形成点としての細孔を含み得る。
【0018】
実施形態では、外部領域は、複合インゴットの全厚さの7%~15%の厚さを有し得る。実施形態では、組成的勾配ゾーンは、複合インゴットの全厚さの2%~10%の厚さを有し得る。
【0019】
別の態様では、圧延アルミニウム合金製造物が記載される。圧延アルミニウム合金製造物は、第1のアルミニウム合金を含む内部領域、内部領域を取り囲む外部領域、及び内部領域と外部領域との間の組成的勾配ゾーンを含み得る。外部領域は、第1のアルミニウム合金と異なる第2のアルミニウム合金を含み得る。第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素は、組成的勾配ゾーンを通って、内部領域から外部領域への方向に減少する含有量を有し得る。
【0020】
実施形態では、圧延アルミニウム合金製造物は、アルミニウム合金複合インゴットなどの本明細書に記載のインゴットから作製され得る。実施形態では、第1のアルミニウム合金は、7xxxシリーズアルミニウム合金、5xxxシリーズアルミニウム合金、または2xxxシリーズアルミニウム合金を含み得る。第1のアルミニウム合金は、7075アルミニウム合金、5182アルミニウム合金、または2024アルミニウム合金を含み得る。実施形態では、第2のアルミニウム合金は、1xxxシリーズのアルミニウム合金を含み得る。第2のアルミニウム合金は、少なくとも99.7%の純度を有し得る。実施形態では、第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素は、Zn、Cu、Mg、またはNaを含み得る。実施形態では、外部領域は、少なくとも1つの合金化元素を実質的に欠いていてもよい。
【0021】
他の目的及び利点は、以下の非限定的な実施例の詳細な説明から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本明細書は、異なる図における同様の参照番号の使用が、同様または類似の構成要素を例示することを意図する、以下の添付の図を参照する。
【0023】
図1】組成的勾配アルミニウム合金製造物を直接冷却鋳造する概略図を提供する。
図2】加工の続きとしての図1の組成的勾配アルミニウム合金製造物を直接冷却鋳造する概略図を提供する。
図3】加工の続きとしての図2の組成的勾配アルミニウム合金製造物を直接冷却鋳造する概略図を提供する。
図4】加工の続きとしての図3の組成的勾配アルミニウム合金製造物を直接冷却鋳造する概略図を提供する。
図5A】例えば、図1図4に従って作製された、組成的勾配アルミニウム合金製造物の断面図を提供する。
図5B図5Aの領域Aのより詳細な概略図を提供する。
図6】例えば、図1図4に従って作製された、組成的勾配アルミニウム合金製造物の斜視図を提供する。
図7】それぞれ、バンドソー型デバイス及び圧延機型デバイスを使用する方法によって、組成的勾配アルミニウム合金製造物をスカルピングする概略図を提供する。
図8】スカルピング前(図8A)及びスカルピング後(図8B)の組成物勾配アルミニウム合金製造物の概略図を提供する。
図9】スカルピングされ、モノリシックインゴットを加工してアルミニウム合金製造物を作製した、組成物勾配アルミニウム合金製造物の概略図を提供する。
図10A】例えば、端部スカルピングを使用して部分的にスカルピングされ、インゴットを加工してアルミニウム合金製造物を作製した、組成物勾配アルミニウム合金製造物の概略図を提供する。
図10B】例えば、圧延面スカルピングを使用して部分的にスカルピングされ、インゴットを加工してアルミニウム合金製造物を作製した、組成物勾配アルミニウム合金製造物の概略図を提供する。
図11】スカルピングまたは切断されず、インゴットを作製し、加工してアルミニウム合金製造物を作製した、組成物勾配アルミニウム合金製造物の概略図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書では、組成的勾配アルミニウム合金製造物、組成的勾配アルミニウム合金製造物を作製及び使用する方法、ならびに組成的勾配アルミニウム合金製造物から形成される製造物が記載される。開示された組成的勾配アルミニウム合金製造物は、直接冷却(DC)鋳造技術を使用するときに生じ得る2つの問題、すなわち、高温圧延機などにおける端部き裂、及び/または鋳造インゴットとしての(鋳造中または鋳造後の)低温き裂または脆性破砕事象の問題を解決するアルミニウム合金を含む。本明細書に記載の組成的勾配アルミニウム合金は、高延性から脆性への遷移温度(例えば、約200℃以上または、300℃以上または最大400℃)を有するアルミニウム合金、鋳造中に高温断裂の影響を受けやすいアルミニウム合金、及び鋳造中に脆性破砕事象を受け得るアルミニウム合金などの合金を作製するための直接冷却(DC)鋳造技術に好適である。
【0025】
例として、特定の合金は、インゴットの表面に直接冷却流体を適用することによってインゴットの冷却中に発生する熱収縮に起因して、鋳造中に発生する内部応力のために、インゴットとして鋳造することが困難な場合がある。いくつかの場合では、DC鋳造技術を使用して直接鋳造された脆性アルミニウム合金インゴットは、インゴット冷却の一部分が延性から脆性への遷移温度になるか、またはそれを下回ると、壊滅的な破砕及び破裂を自然発生し、損傷、安全上の危険、鋳造製造物の回収の低減、ならびに損傷した構成要素及び材料の清掃、回収、及び修復を可能にするための製造停止をもたらす。同様に、DC鋳造を使用して直接鋳造されたいくつかのアルミニウム合金について高温断裂が生じ得、これは、同様の安全性及び清掃の問題及び低回収をもたらし得る。本明細書に記載の技術は、DC鋳造技術を使用して直接鋳造することが困難であり得るかかるアルミニウム合金のアルミニウム合金インゴットを確実に得る方法を提供する。
【0026】
開示された技術は、DC鋳造技術を用いて、第1のアルミニウム合金を含む内部領域と、内部領域を取り囲み、第1とは異なる第2のアルミニウム合金を含む外部領域と、内部領域と外部領域との間の組成的勾配ゾーンと、を有するアルミニウム合金を同時に鋳造する。開示された技術はまた、複合インゴットが任意選択でスカルピングされて、組成的勾配ゾーン及び/または外部領域の少なくとも一部分を除去し得るプロセスを用いられ得る。開示された技術は、例えば、組成物勾配ゾーン及び外部領域を完全にスカルピングして、アルミニウム合金を鋳造する困難さを含むモノリシックインゴットを生成することを含み得る。開示された技術は、例えば、組成的勾配ゾーン及び外部領域をスカルピングして、内部領域を取り囲む勾配ゾーンを有する、アルミニウム合金を鋳造する困難さを含む複合インゴットを生成することを含み得る。
【0027】
異なるアルミニウム合金を二重鋳造して、内部及び外部領域を有し、それらの間に組成的勾配ゾーンを有する複合インゴットを形成するための技術は、モノリシックインゴットの直接冷却鋳造と比較して、顕著な複雑性、困難性、及びコストをもたらす場合がある。例えば、追加の炉、追加の溶融アルミニウム合金処理装置、より複雑な鋳造装置などを含む、追加及びより複雑な加工及び装置が使用される場合がある。
【0028】
複合インゴットから外部領域をスカルピングするプロセスはまた、モノリシックインゴットの直接冷却鋳造と比較して、追加の複雑さ、時間、及び装置要件をもたらす場合がある。例えば、スカルピング機械が使用される場合があり、スカルピング構成に応じて、複合インゴットを移動、転向、または回転させるための機械が使用される場合がある。スカルピングプロセスはまた、かなりの時間がかかり、製造スループットが低減する場合がある。
【0029】
更に、複合インゴットから外部領域をスカルピングすることはまた、エネルギー使用量が大幅に増加し、スカルピングされた材料の必要な廃棄またはリサイクルをもたす場合がある。例えば、外部領域のアルミニウム合金を溶融するために必要な追加の炉の熱要件は、重要であり得る。外部領域からのアルミニウム合金は、複合インゴットからモノリシックインゴットを形成するプロセス中にスカルピングされる場合があるため、いくつかの実施形態では、外部領域を加熱及び調製するために必要なエネルギーは、無駄にされたものとして考慮される場合がある。エネルギー使用量の増加及びエネルギーの無駄遣いは、アルミニウム合金及び合金インゴット鋳造プロセスにおいて望ましくなく、概して、かかるプロセスは実用的でないか、またはそうでなければ望ましくないものである場合がある。スカルピングはまた、スカルピングされた外部領域の形態で廃棄またはリサイクルされる追加の余剰材料を生成する場合があり、リサイクルまたは廃棄のプロセスは、他の複雑さ及びエネルギー使用要件を追加する場合がある。いくつかの場合では、スカルピングされた材料は、内部領域アルミニウム合金の一部分を含む場合があり、したがって、スカルピングされた材料のリサイクルは、スカルピングされた材料中の2つの異なる合金組成物を扱わなければならないことによって複雑になる場合がある。
【0030】
複雑さ、ならびに追加のエネルギー及び熱要件は全て、最初に複合インゴットを鋳造し、続いて外層(複数可)をスカルピングすることによって、モノリシックアルミニウム合金インゴットを作製するための開示された技術の好ましくないことを指摘している。更に、米国特許第7,748,434号及び同第8,927,113号に記載されたものなど複合インゴットの共鋳造のための技術は、インゴットの外部にクラッド層として材料を添加する方法に焦点を当てており、その追加のクラッド層の材料のスカルピングは、複合インゴットの共鋳造のための技術の意図された目的に直接反する。しかしながら、特定のアルミニウム合金については、開示された技術は、安全で信頼性が高く、脆性アルミニウム合金の直接鋳造モノリシックインゴットに関連する問題を最小限に抑えるか、または低減する方法で、脆性アルミニウム合金のモノリシックインゴット及び高温断裂及び自発的な破裂に供されるアルミニウム合金のモノリシックインゴットなどのモノリシックインゴットの作製を可能にするため、予想外に有利である。このようにして、モノリシックアルミニウム合金インゴットの回収は、アルミニウム合金を鋳造するのが困難なアルミニウム合金インゴットを形成するための他の方法(より複雑であるか、またはより複雑ではない場合がある)を使用することよりも、高い可能性がある。いくつかの場合では、本開示に従って形成されたモノリシックアルミニウム合金インゴットは、本開示の方法よりも複雑であるか、または複雑でない場合がある他の方法を使用して形成されたものよりも顕著に大きい可能性がある。
【0031】
定義及び説明:
本明細書で使用される場合、「発明(invention)」、「発明(the invention)」、「本発明(this invention)」及び「本発明(the present invention)」という用語は、本特許出願の全ての主題及び以下の特許請求の範囲を広く指すことを意図している。これらの用語を含む記述は、本明細書で説明されている主題を制限するものではなく、または以下の特許請求の範囲の意味もしくは範囲を制限するものではないと理解されるべきである。
【0032】
本明細書では、AA番号及び「シリーズ」または「7xxx」などの他の関連する名称によって識別される合金を参照する。アルミニウム及びその合金の命名及び識別に最も一般的に使用される番号指定システムの理解については、両方ともThe Aluminum Associationによって発行されている「International Alloy Designations and Chemical Composition Limits for Wrought Aluminum and Wrought Aluminum Alloys」または「Registration Record of Aluminum Association Alloy Designations and Chemical Compositions Limits for Aluminum Alloys in the Form of Castings and Ingot」を参照されたい。
【0033】
本明細書で使用する場合、プレートは、概して、約15mm超の厚さを有する。例えば、プレートは、約15mm超、約20mm超、約25mm超、約30mm超、約35mm超、約40mm超、約45mm超、約50mm超、または約100mm超の厚さを有するアルミニウム製造物を指し得る。
【0034】
本明細書で使用する場合、シェート(シートプレートとも呼ばれる)は、概して、約4mm~約15mmの厚さを有する。例えば、シェートは、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、または約15mmの厚さを有し得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、シートは、概して、約4mm未満の厚さを有するアルミニウム製造物を指す。例えば、シートは、約4mm未満、約3mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約0.5mm未満、または約0.3mm未満(例えば、約0.2mm)の厚さを有し得る。
【0036】
「延性脆性遷移温度」は、金属合金の破砕エネルギーが、衝撃試験(例えば、ASTM A370-19e1,Standard Test Methods and Definitions for Mechanical Testing of Steel Products,ASTM International,West Conshohocken,PA,2019、参照により本明細書に組み込まれる)に従って決定されるような所定の値を下回る温度を指す。いくつかの実施形態では、延性脆性遷移温度は、金属合金の延性の変化が観察される温度で、金属合金がより脆性な特性を示す温度を下回り、金属合金がより延性な特性を示す温度を上回る温度を指す。例えば、金属合金の延性脆性遷移温度を下回る温度では、特定または標準的な大きさの衝撃は、金属合金の破砕を引き起こし得るが、金属合金の延性脆性遷移温度を上回る温度では、特定または標準的な大きさの衝撃は、破砕ではなく、代わりに、金属合金の変形をもたらし得る。いくつかの場合では、金属合金インゴットの鋳造中に、インゴットの表面は、冷却流体(例えば、水)に曝露されてもよく、一方で、インゴットの中心は依然として高温のままでもよい。インゴットの不均一な温度プロファイル及び温度依存性の熱膨張/収縮により、インゴット内で応力及びひずみが生じる可能性がある。金属合金の延性脆性遷移温度が高すぎると、インゴットの冷却中に発生する応力及びひずみからインゴットが自然に破裂する可能性がある。
【0037】
本明細書で使用される場合、「鋳造アルミニウム合金製造物」、「鋳造製造物」、「鋳造アルミニウム合金製造物」などの用語は、交換可能であり、直接冷却鋳造(直接冷却二重または共鋳造を含む)もしくは半連続鋳造、連続鋳造(例えば、ツインベルト鋳造機、ツインロール鋳造機、ブロック鋳造機、または任意の他の連続鋳造機の使用によるものを含む)、電磁鋳造、ホットトップ鋳造、または任意の他の鋳造方法によって製造される製造物を指す。特に、直接冷却鋳造技術を使用する鋳造が本明細書に記載される。
【0038】
本明細書に開示される全ての範囲は、その中に包含される任意の及び全ての下位範囲を包含すると理解される必要がある。例えば、「1~10」の記載された範囲は、最小値の1と最大値の10との間(及びそれを含む)の任意の及び全ての下位範囲、すなわち、最小値の1以上で始まり、例えば、1~6.1、最大値の10以下で終わる、例えば、5.5~10、全ての下位範囲を含むとみなされる必要がある。別途記載のない限り、要素の組成量を指す場合の「最大」という表現は、その要素が任意選択であり、その特定の要素の0%組成を含むことを意味する。特に明記しない限り、全ての組成物パーセンテージは、重量パーセント(重量%)である。
【0039】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」の意味は、別途文脈が明示的に示さない限り、単数形及び複数形の参照を含む。
【0040】
開示されたアルミニウム合金及びアルミニウム合金製造物を使用する方法
アルミニウム合金インゴット、及び圧延アルミニウム合金製造物などの本明細書に記載のアルミニウム合金及びアルミニウム合金製造物は、自動車用途ならびに航空機及び鉄道用途を含む他の輸送用途に使用され得る。例えば、開示されたアルミニウム合金製造物は、バンパー、側面ビーム、ルーフビーム、クロスビーム、ピラー補強材(例えば、Aピラー、Bピラー、及びCピラー)、内部パネル、外部パネル、側面パネル、内部フード、外部フード、またはトランクリッドパネルなどの成形アルミニウム製造物及び自動車構造部品を調製するために使用され得る。本明細書に記載のアルミニウム合金製造物及び方法は、例えば、外部及び内部パネルを調製するために、航空機または鉄道車両の用途にも使用され得る。
【0041】
本明細書に記載されているアルミニウム合金製造物及び方法は、電子機器の用途にも使用できる。例えば、本明細書に記載のアルミニウム合金製造物及び方法は、携帯電話及びタブレットコンピュータを含む電子デバイスのためのハウジングを調製するために使用され得る。いくつかの実施例では、アルミニウム合金製造物は、携帯電話(例えば、スマートフォン)、タブレットボトムシャーシ、及び他のポータブルエレクトロニクスの外部ケーシングのためのハウジングを準備するために使用され得る。本明細書に記載のアルミニウム合金製造物及び方法は、必要に応じて、他の用途にも使用され得る。
【0042】
合金及び合金製造物を製造する方法
本明細書に記載のアルミニウム合金及びアルミニウム合金製造物は、当業者に既知の任意の好適な鋳造方法を使用して鋳造され得る。非限定的な例として、鋳造プロセスは、直接冷却(DC)鋳造プロセスを含み得る。
【0043】
第1のアルミニウム合金の外部領域は、本明細書に記載の外部領域と内部領域との間の組成的勾配ゾーンを有する第2のアルミニウム合金の内部領域を取り囲み、組成的勾配アルミニウム合金製造物を形成し得る。組成的勾配ゾーンは、以下で詳細に説明されるように、内部領域から外部領域への方向で組成的勾配ゾーンを通って減少している含有量で、内部領域から第1のアルミニウム合金に存在する少なくとも1つの合金化元素を有する。第1のアルミニウム合金及び第2のアルミニウム合金の鋳造は、同時または少なくとも部分的に同時であり得る。本明細書に記載の組成的勾配アルミニウム合金製造物の初期寸法及び最終寸法は、最終製造物全体の所望の特性によって決定され得る。
【0044】
鋳造インゴットまたは他の鋳造製造物は、任意の好適な手段によって加工され得る。任意選択で、加工ステップは、シートを調製するために使用され得る。かかる加工ステップとしては、均質化、熱間圧延、冷間圧延、溶体化熱処理、及び任意選択の予熟成ステップが挙げられるが、これらに限定されない。別個の圧延ステップは、任意選択で、例えば、焼きなましステップ、洗浄ステップ、加熱ステップ、冷却ステップなどを含む、他の加工ステップによって分離され得る。
【0045】
図1は、異なる溶融アルミニウム合金105及び115を提供して複合インゴットを形成することによる、組成的勾配アルミニウム合金製造物の直接冷却鋳造の概略図を提供する。本明細書でのアルミニウム合金への言及は、鋼、マグネシウム合金、銅合金などの他の合金で置換され得る。図1に示される直接冷却鋳造技術は、外部領域によって囲まれた内部領域を有する組成勾配アルミニウム合金製造物を形成するのに有用であり得、内部領域及び外部領域は各々異なるアルミニウム合金を含む。図1の技術は、本明細書では、同時二重鋳造技術とも称される。示されるように、溶融アルミニウム合金105及び115は、それらが溶融及び/または部分的に溶融した構成で互いに接触させることができる垂直鋳造配置で鋳造され、溶融アルミニウム合金は冷却水130によって冷却される。かかる技術は、アルミニウム合金110及び120を含む複合インゴットを形成するのに有用であり得、これは次いで、更なる加工を受けることができる。図1は、溶融アルミニウム合金115の前に溶融アルミニウム合金105が提供される鋳造の初期段階を示す。代替的には、溶融アルミニウム合金115は、溶融アルミニウム合金105の前に提供されてもよく、または溶融アルミニウム合金105及び溶融アルミニウム合金115は、同時に提供されてもよい。溶融アルミニウム合金105は、油圧テーブル180上に取り付けられた底部ブロック170上の浅い金型160に注がれ、金型に偽底を形成して、鋳造プロセス中に形成されたインゴットの体積を膨張させる。底部ブロック170は、金型がより大きな体積に充填され、固化し始めるにつれて、制御された速度で下げられ得る。溶融アルミニウムが金型160に提供されると、合金の体積が増大してインゴットを形成する。
【0046】
図2は、加工の続きとしての図1の組成的勾配アルミニウム合金製造物を直接冷却鋳造する概略図を提供する。溶融アルミニウム合金105は、溶融アルミニウム合金115と同時に鋳造され続けることができる。溶融アルミニウム合金115は内部領域アルミニウム合金120を形成し、溶融アルミニウム合金105は外部領域アルミニウム合金110を形成する。溶融アルミニウム鋳造は、コンボバッグまたはメッシュスクリーンを使用して溶融金属を指向することができる。メッシュ、メッシュスクリーン、及びコンボバッグは、本明細書で互換的に使用される用語である。メッシュは、溶融金属の流れが鋳造方向に垂直に、すなわち所望の界面平面に平行に再指向されるように、限られた量の乱流を達成するために使用される。流速を制御することにより、乱流を最小限に抑える。溶融アルミニウム合金105を受けるためのメッシュ145は、第1の高さhにある。溶融アルミニウム合金115を受けるためのメッシュ155は、第2の高さhにある。高さh及びhは、金型160の金型表面165に対してである。高さh及び高さhは、同じであってもよく、または異なってもよい。図2に示されるように、高さhは、いかなる理論にも縛られるものではないが、内部領域の形成を促進するのを助け得る高さh未満であり得る。
【0047】
代替的に、磁場を使用して、組成的勾配ゾーンに垂直な方向に乱流を抑制し得る。適切に配向された静的磁場は、2液体層の形成を促進し、混合を抑制するために使用され得る選択された速度ベクトルを提供し得る。1つの方法は、2つの溶融アルミニウム合金の乱流及び混合が停止されるか、または少なくとも抑制されるように、液体を受ける2つのメッシュの高さの間の高さで鋳造中に磁場を印加することである。代替的には、スキムダムを使用して、乱流を抑制し、2つの溶融アルミニウム合金の混合を最小限に抑え得る。スキムダムは、メッシュの高さよりも低い高さで溶融液体内に配置するのに好適な長方形または他の形状であり得る。スキムダムは、セラミック耐熱性材料で作製され得る。
【0048】
図3は、加工の続きとしての図2の組成的勾配アルミニウム合金製造物を直接冷却鋳造する概略図を提供する。内部領域アルミニウム合金120は体積が増加しており、外部領域アルミニウム合金110は、外部領域アルミニウム合金110が内部領域アルミニウム合金120を完全に取り囲むように、内部領域の中心から外の方に押し出されている。溶融アルミニウム合金115の流れが続く間、溶融アルミニウム合金105の流れは、任意選択で停止され得る。代替的に、溶融アルミニウム合金105の流れが続く間、溶融アルミニウム合金115の流れは、任意選択で停止され得、または溶融アルミニウム合金105及び115の流れは、任意選択で同時に停止され得る。
【0049】
溶融アルミニウム合金105及び115(したがって、外部領域アルミニウム合金110及び内部領域アルミニウム合金120)は、異なるアルミニウム合金であり得る。例えば、溶融アルミニウム合金115/内部領域アルミニウム合金120は、約200℃以上または約300℃以上の温度に冷却すると脆性である合金に対応し得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、アルミニウム合金115/内部領域アルミニウム合金120は、約6重量%~約18重量%の溶質濃度を示すなどの高溶質合金に対応し得る。例えば、アルミニウム合金115/内部領域アルミニウム合金120は、約6重量%、約6.5重量%、約7重量%、約7.5重量%、約8重量%、約8.5重量%、約9重量%、約9.5重量%、約10重量%、約10.5重量%、約11重量%、約11.5重量%、約12重量%、約12.5重量%、約13重量%、約13.5重量%、約14重量%、約14.5重量%、約15重量%、約15.5重量%、約16重量%、約16.5重量%、約17重量%、約17.5重量%、または約18重量%の溶質濃度を有し得る。任意選択で、溶融アルミニウム合金115/アルミニウム合金120は、特定の2xxxシリーズのアルミニウム合金、特定の5xxxシリーズのアルミニウム合金、及び特定の7xxxシリーズのアルミニウム合金など、高い銅組成または高いマグネシウム組成または高い亜鉛組成を有するアルミニウム合金に対応し得る。
【0051】
議論されたように、溶融アルミニウム合金105/外部領域アルミニウム合金110は、溶融アルミニウム合金115/内部領域アルミニウム合金120とは異なる合金に対応し得る。例えば、外部領域アルミニウム合金110は、任意選択で、内部領域アルミニウム合金120よりも延性が高くてもよい。溶融アルミニウム合金105と溶融アルミニウム合金115との相互作用は、図4に示されるように、外部領域アルミニウム合金110と内部領域アルミニウム合金120との間で形成される組成的勾配ゾーン125を提供する。このようにして、溶融アルミニウム合金105/外部領域アルミニウム合金110及び組成的勾配ゾーン125のうちの少なくとも1つは、実施形態では、溶融アルミニウム合金115/内部領域アルミニウム合金120と鋳造中の冷却水130との間の緩衝層として機能し得る。例えば、より延性がある溶融アルミニウム合金105/外部領域アルミニウム合金110は、冷却水130への曝露時に自発的な破砕または端部き裂を受けなくてもよく、または鋳造中に低温き裂を受けなくてもよい。一方、溶融アルミニウム合金115/内部領域アルミニウム合金120は、冷却水130に直接曝露された場合に自然破砕または端部き裂に供される場合があるか、または鋳造中に低温き裂に供される場合があり、したがって、組成的勾配ゾーン125及び内部領域アルミニウム合金120は、例えば、保護層として作用し得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、溶融アルミニウム合金105/外部領域アルミニウム合金110は、約105W/m・K、約110W/m・K、約115W/m・K、約120W/m・K、約125W/m・K、約130W/m・K、約135W/m・K、約140W/m・K、約145W/m・K、約150W/m・K、約155W/m・K、約160W/m・K、約165W/m・K、約170W/m・K、約175W/m・K、約180W/m・K、約185W/m・K、約190W/m・K、約195W/m・K、約200W/m・K、約205W/m・K、約210W/m・K、約215W/m・K、約220W/m・K、約225W/m・K、約230W/m・K、約235W/m・K、約240W/m・K、約245W/m・K、または約250W/m・Kなどの約100W/m・K~約250W/m・Kの熱伝達係数を有し得る。
【0053】
図4を参照すると、外部領域を表すアルミニウム合金110は、インゴットの全厚さの5~15%に対応する厚さを有し得る。例えば、アルミニウム合金110は、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、約10%、約10.5%、約11%、約11.5%、約12%、約12.5%、約13%、約13.5%、約14%、約14.5%、または約15%のインゴットの全厚さのパーセント厚さを有し得る。
【0054】
組成的勾配ゾーン125は、インゴットの全厚さの2~10%に対応する厚さを有し得る。例えば、組成的勾配ゾーン125は、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、または約10%のインゴットの全厚さのパーセント厚さを有し得る。
【0055】
溶融アルミニウム合金105/外部領域アルミニウム合金110は、図4で溶融アルミニウム合金115/内部領域アルミニウム合金120について対称として示されているが、図4の描写は単に例示的であり、他の二重鋳造構成が可能であり、本開示内に含まれ、溶融アルミニウム合金115/アルミニウム合金120の左/右にある溶融アルミニウム合金105/アルミニウム合金110の各々が異なる厚さを有し、及び/または異なる組成物を有する場合を含む。いくつかの場合では、図4は、外部領域アルミニウム合金110が内部領域アルミニウム合金120の周りに連続層を形成し、その間に組成的勾配ゾーン125を有する円筒状インゴットまたは長方形または他の形状のインゴットを表し得る。更に、図1図4の概略図は、縮尺どおりではない。
【0056】
図4は、加工の続きとしての図3の組成的勾配アルミニウム合金製造物を直接冷却鋳造する概略図を提供する。図4に示すように、内部領域アルミニウム合金120は外部領域アルミニウム合金110に囲まれており、内部領域アルミニウム合金120と外部領域アルミニウム合金110との間に組成的勾配ゾーン125が形成されている。図1図4に示すように、組成的勾配ゾーン125の形成は、鋳造プロセス中、すなわち、プロセス中のいつでも徐々に生じる。図1~4に従って作製された組成的勾配アルミニウム合金は、低温き裂などの様々な種類のき裂の限られた量を示す複合インゴットを製造し得る。図1~4に従って作製された組成的勾配アルミニウム合金は、熱間圧延中の破砕のための核形成点として機能し得る多孔性の限られた量を示す複合インゴットを製造し得る。
【0057】
いくつかの例では、本明細書に記載の方法で使用するための溶融金属は、アルミニウム合金、例えば、内部領域のための第1のアルミニウム合金及び外部領域のための第2のアルミニウム合金を含み、第1のアルミニウム合金及び第2のアルミニウム合金は異なる。第1のアルミニウム合金及び第2のアルミニウム合金の各々は、1xxxシリーズアルミニウム合金、2xxxシリーズアルミニウム合金、3xxxシリーズアルミニウム合金、4xxxシリーズアルミニウム合金、5xxxシリーズアルミニウム合金、6xxxシリーズアルミニウム合金、7xxxシリーズアルミニウム合金、または8xxxシリーズアルミニウム合金から選択され得る。
【0058】
非限定的な例として、本明細書に記載の方法で使用するための例示的な1xxxシリーズアルミニウム合金としては、AA1100、AA1100A、AA1200、AA1200A、AA1300、AA1110、AA1120、AA1230、AA1230A、AA1235、AA1435、AA1145、AA1345、AA1445、AA1150、AA1350、AA1350A、AA1450、AA1370、AA1275、AA1185、AA1285、AA1385、AA1188、AA1190、AA1290、AA1193、AA1198、またはAA1199が挙げられ得る。例えば、P1020アルミニウム合金またはP0406アルミニウム合金を含み得る。
【0059】
本明細書に記載の方法で使用するための非限定的な例示的な2xxxシリーズアルミニウム合金としては、AA2001、A2002、AA2004、AA2005、AA2006、AA2007、AA2007A、AA2007B、AA2008、AA2009、AA2010、AA2011、AA2011A、AA2111、AA2111A、AA2111B、AA2012、AA2013、AA2014、AA2014A、AA2214、AA2015、AA2016、AA2017、AA2017A、AA2117、AA2018、AA2218、AA2618、AA2618A、AA2219、AA2319、AA2419、AA2519、AA2021、AA2022、AA2023、AA2024、AA2024A、AA2124、AA2224、AA2224A、AA2324、AA2424、AA2524、AA2624、AA2724、AA2824、AA2025、AA2026、AA2027、AA2028、AA2028A、AA2028B、AA2028C、AA2029、AA2030、AA2031、AA2032、AA2034、AA2036、AA2037、AA2038、AA2039、AA2139、AA2040、AA2041、AA2044、AA2045、AA2050、AA2055、AA2056、AA2060、AA2065、AA2070、AA2076、AA2090、AA2091、AA2094、AA2095、AA2195、AA2295、AA2196、AA2296、AA2097、AA2197、AA2297、AA2397、AA2098、AA2198、AA2099、またはAA2199が挙げられ得る。
【0060】
本明細書に記載の方法で使用するための非限定的な例示的な3xxxシリーズアルミニウム合金としては、AA3002、AA3102、AA3003、AA3103、AA3103A、AA3103B、AA3203、AA3403、AA3004、AA3004A、AA3104、AA3204、AA3304、AA3005、AA3005A、AA3105、AA3105A、AA3105B、AA3007、AA3107、AA3207、AA3207A、AA3307、AA3009、AA3010、AA3110、AA3011、AA3012、AA3012A、AA3013、AA3014、AA3015、AA3016、AA3017、AA3019、AA3020、AA3021、AA3025、AA3026、AA3030、AA3130、またはAA3065が挙げられ得る。
【0061】
本明細書に記載の方法で使用するための非限定的な例示的な4xxxシリーズアルミニウム合金としては、AA4004、AA4104、AA4006、AA4007、AA4008、AA4009、AA4010、AA4013、AA4014、AA4015、AA4015A、AA4115、AA4016、AA4017、AA4018、AA4019、AA4020、AA4021、AA4026、AA4032、AA4043、AA4043A、AA4143、AA4343、AA4643、AA4943、AA4044、AA4045、AA4145、AA4145A、AA4046、AA4047、AA4047A、またはAA4147が挙げられ得る。
【0062】
本明細書に記載の方法で使用するための非限定的な例示的な5xxxシリーズアルミニウム合金としては、AA5182、AA5183、AA5005、AA5005A、AA5205、AA5305、AA5505、AA5605、AA5006、AA5106、AA5010、AA5110、AA5110A、AA5210、AA5310、AA5016、AA5017、AA5018、AA5018A、AA5019、AA5019A、AA5119、AA5119A、AA5021、AA5022、AA5023、AA5024、AA5026、AA5027、AA5028、AA5040、AA5140、AA5041、AA5042、AA5043、AA5049、AA5149、AA5249、AA5349、AA5449、AA5449A、AA5050、AA5050A、AA5050C、AA5150、AA5051、AA5051A、AA5151、AA5251、AA5251A、AA5351、AA5451、AA5052、AA5252、AA5352、AA5154、AA5154A、AA5154B、AA5154C、AA5254、AA5354、AA5454、AA5554、AA5654、AA5654A、AA5754、AA5854、AA5954、AA5056、AA5356、AA5356A、AA5456、AA5456A、AA5456B、AA5556、AA5556A、AA5556B、AA5556C、AA5257、AA5457、AA5557、AA5657、AA5058、AA5059、AA5070、AA5180、AA5180A、AA5082、AA5182、AA5083、AA5183、AA5183A、AA5283、AA5283A、AA5283B、AA5383、AA5483、AA5086、AA5186、AA5087、AA5187、またはAA5088が挙げられ得る。
【0063】
本明細書に記載の方法で使用するための非限定的な例示的な6xxxシリーズアルミニウム合金としては、AA6101、AA6101A、AA6101B、AA6201、AA6201A、AA6401、AA6501、AA6002、AA6003、AA6103、AA6005、AA6005A、AA6005B、AA6005C、AA6105、AA6205、AA6305、AA6006、AA6106、AA6206、AA6306、AA6008、AA6009、AA6010、AA6110、AA6110A、AA6011、AA6111、AA6012、AA6012A、AA6013、AA6113、AA6014、AA6015、AA6016、AA6016A、AA6116、AA6018、AA6019、AA6020、AA6021、AA6022、AA6023、AA6024、AA6025、AA6026、AA6027、AA6028、AA6031、AA6032、AA6033、AA6040、AA6041、AA6042、AA6043、AA6151、AA6351、AA6351A、AA6451、AA6951、AA6053、AA6055、AA6056、AA6156、AA6060、AA6160、AA6260、AA6360、AA6460、AA6460B、AA6560、AA6660、AA6061、AA6061A、AA6261、AA6361、AA6162、AA6262、AA6262A、AA6063、AA6063A、AA6463、AA6463A、AA6763、A6963、AA6064、AA6064A、AA6065、AA6066、AA6068、AA6069、AA6070、AA6081、AA6181、AA6181A、AA6082、AA6082A、AA6182、AA6091、またはAA6092が挙げられ得る。
【0064】
本明細書に記載の方法で使用するための非限定的な例示的な7xxxシリーズアルミニウム合金としては、AA7011、AA7019、AA7020、AA7021、AA7039、AA7072、AA7075、AA7085、AA7108、AA7108A、AA7015、AA7017、AA7018、AA7019A、AA7024、AA7025、AA7028、AA7030、AA7031、AA7033、AA7035、AA7035A、AA7046、AA7046A、AA7003、AA7004、AA7005、AA7009、AA7010、AA7011、AA7012、AA7014、AA7016、AA7116、AA7122、AA7023、AA7026、AA7029、AA7129、AA7229、AA7032、AA7033、AA7034、AA7036、AA7136、AA7037、AA7040、AA7140、AA7041、AA7049、AA7049A、AA7149、AA7204、AA7249、AA7349、AA7449、AA7050、AA7050A、AA7150、AA7250、AA7055、AA7155、AA7255、AA7056、AA7060、AA7064、AA7065、AA7068、AA7168、AA7175、AA7475、AA7076、AA7178、AA7278、AA7278A、AA7081、AA7181、AA7185、AA7090、AA7093、AA7095、またはAA7099が挙げられ得る。
【0065】
本明細書に記載の方法で使用するための非限定的な例示的な8xxxシリーズアルミニウム合金としては、AA8005、AA8006、AA8007、AA8008、AA8010、AA8011、AA8011A、AA8111、AA8211、AA8112、AA8014、AA8015、AA8016、AA8017、AA8018、AA8019、AA8021、AA8021A、AA8021B、AA8022、AA8023、AA8024、AA8025、AA8026、AA8030、AA8130、AA8040、AA8050、AA8150、AA8076、AA8076A、AA8176、AA8077、AA8177、AA8079、AA8090、AA8091、またはAA8093が挙げられ得る。
【0066】
いくつかの例では、再び図4を参照すると、内部領域アルミニウム合金120に有用な第1のアルミニウム合金は、7xxxシリーズアルミニウム合金、5xxxシリーズアルミニウム合金、または2xxxシリーズアルミニウム合金を含む。いくつかの具体的な例では、第1または内部領域アルミニウム合金120は、7075アルミニウム合金、5182アルミニウム合金、または2024アルミニウム合金を含み得る。いくつかの例では、外部領域アルミニウム合金110に有用な第2のアルミニウム合金は、1xxxシリーズアルミニウム合金を含む。第2または外部領域アルミニウム合金110は、任意選択で、少なくとも99.7%の純度の1xxxシリーズアルミニウム合金を含み得る。いくつかの特定の例では、第2または外部領域アルミニウム合金110は、P1020アルミニウム合金またはP0406アルミニウム合金を含み得る。
【0067】
図5Aは、図1図4に従って作製された、組成的勾配アルミニウム合金製造物200の断面図を提供する。外部領域210は、内部領域220を取り囲み、組成的勾配ゾーン225は、外部領域210と内部領域220との間に配置される。図5Aの領域Aは、図5Bにより詳細に示される。内部領域220としての第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素は、組成的勾配ゾーン225を通って、内部領域220から外部領域210への方向Dに減少する含有量を有する。言い換えれば、合金化元素Eの含有量は、図5Bに概略的に示されるように、内部領域220においてより高く、組成的勾配ゾーン225の厚さを通って減少する。外部領域210は、図5Bに概略的に示されるように、元素Eを欠いているか、または実質的に欠いていてもよい。実質的に欠いているとは、約0.1重量%未満の元素Eの含有量を含む。いくつかの実施形態では、第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素Eは、図5Bの内部領域220にあるように、Zn、Cu、Mg、またはNaを含む。
【0068】
図6は、図1~4に従って作製されたものなどの組成的勾配アルミニウム合金製造物の概略斜視図を提供する。インゴットは、平らな、または完全な放射状の端部のいずれかを有し得る。インゴットは、インゴット切断の頭部(または図6のような上部)で示される。製造物は、第1のアルミニウム合金を含む内部領域620及び内部領域620を取り囲む外部領域610を有するインゴット600であり得る。外部領域610は、内部領域620の第1のアルミニウム合金とは異なる第2のアルミニウム合金を含む。組成的勾配ゾーン625は、内部領域620と外部領域610との間に配置される。いくつかの場合では、第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素は、組成的勾配ゾーン625を通って、内部領域620から外部領域610への方向に減少する含有量を有する。別の実施形態では、スカルピングまたは他の機械的除去技術は、任意選択で、鋳造後にインゴットの突合せの少なくとも一部分を除去するために使用され得る(図6に示すように、除去された頭部または上部の反対側)。硬質合金インゴットは、鋳造中または鋳造後にインゴット突合せ端部でき裂が起きやすいため、突合せ端部での組成的勾配アルミニウム合金製造物を利用して、突合せき裂の影響を最小限に抑えるか、または低減し得る。
【0069】
スカルピングまたは他の機械的除去技術を任意選択で使用して、組成的勾配ゾーン及び外部領域の少なくとも一部分をインゴットから除去してもよい。図7A及び図7Bは、複合インゴット700などの組成的勾配アルミニウム合金製造物のスカルピングの概略図を提供する。図7Aに示されるように、スカルピング装置またはツール750を使用して、示されるように、圧延面であり得る少なくとも1つの表面740が、スカルピングされて、材料を除去する。圧延面は、最も幅の広い表面であってもよい。示されるように、表面740は、組成的勾配ゾーン725及び外部領域710を含む。図7Bに示されるように、別のスカルピング装置またはツール750を使用して、少なくとも1つの表面740がスカルピングされて、材料を除去する。示されるように、除去された表面740は、組成的勾配ゾーン725及び外部領域710を含む。図7Aのツール750は、バンドソー型デバイスとして示されている。図7Bにおいて、ツール750は、1つ以上の圧延操作/パスを使用するなど、組成的勾配ゾーン725及び/または外部領域710をチップ化及び除去するための回転切削ツールが使用される、圧延機型のデバイスとして示される。いくつかの構成では、複合インゴット700が、図7A及び7Bに示される水平構成ではなく、外部領域及び/または組成的勾配ゾーン層が垂直に配置された構成で配向される場合など、複数の機械加工ツールを同時に及び/または順次使用して、外部領域及び/または組成的勾配ゾーンを除去し得る。いくつかの実施形態では、スカルピングまたは他の機械的除去技術を任意選択で使用して、組成物勾配ゾーン及び外部領域の少なくとも一部分を、複数の側面(インゴットの頭部側、突合せ側、及び端部)のインゴットから除去して、一般に熱間圧延中に生じるひび割れのような熱間圧延の影響を低減し得る。高温き裂の影響は、複数の側面上の外部領域の組成的勾配ゾーンを使用しても低減され得る。合金の長い固化範囲による高温き裂の形態は汚水溜めの糊状ゾーンで始まる場合がある。典型的には、DCスラブの場合、低温き裂は、鋳造中に高温き裂として始まり、伝播する。したがって、外部領域で固体化された純粋な合金材料を有することは、高温き裂破砕を低減するのに有用であり得る。
【0070】
図8Aを参照すると、インゴットは、インゴット切断の頭部(または上部)で示される。図8A及び図8Bは、モノリシックインゴット850を生成するために、側面のスカルピングの前後の組成的勾配アルミニウム合金製造物またはインゴット800の概略図を提供する。図8Aのアルミニウム合金製造物またはインゴット800は、スカルピング前に、内部領域820、組成的勾配ゾーン825、及び外部領域810を含む。図8Bに示される、内部領域(例えば、第1のアルミニウム合金)を含む、それからなる、またはそれから本質的になるモノリシックインゴット850を形成するために、スカルピングまたは他の機械加工プロセスなど、複合インゴット800から外部領域810(または第2のアルミニウム合金)及び組成的勾配ゾーン825を除去するプロセスが、使用され得る。図8A図8Bの例では、アルミニウム合金製造物またはインゴット800は、図8Bのように、各長手方向表面(及び必要に応じて端部)上でスカルピングされて、モノリシックインゴット850を生成し、モノリシックインゴット850は、図8Aの内部領域820を含む。いくつかの実施形態では、モノリシックインゴット850は、内部領域820の第1のアルミニウム合金のみを含む。いくつかの実施形態では、組成的勾配ゾーン825の一部は、外部面上に保持され得る。
【0071】
図9は、組成的勾配アルミニウム合金製造物または複合インゴット900の概略図を提供し、外部領域910及び組成的勾配ゾーン925は、第1のアルミニウム合金のモノリシックインゴット920を作るためにスカルピングされ、それは、少なくとも1つの圧延プロセスによってアルミニウム合金製造物を作るために更に加工される。鋳造構成、ならびに第2のアルミニウム合金の外部領域910及び複合インゴット900の組成的勾配ゾーン925の厚さ、長さ、幅、及び組成に応じて、異なるスカルピング技術が利用され得る。図9では、複合インゴット900のスカルピングは、複合インゴット900が機械加工ツール950に対して移動して、第2のアルミニウム合金を含む外部領域910、及び、任意選択で、少なくとも部分的に連続した層として組成的勾配ゾーン925の全部または一部分を除去する機械加工プロセスを含む。
【0072】
図9に示される構成を使用して、外部領域910及び組成的勾配ゾーン925を除去するために、潤滑/冷却流体、チップ収集機構などの他の構成要素が有用であってもよく、または必要とされてもよいが、これらは、他の詳細を不明瞭にしないように、図には示されていない。例示されるものを超える他の機械加工技術及び操作もまた可能である。例えば、円筒形インゴット(示されていない)などのいくつかのインゴットを機械加工するために、機械ツールが静止したままの間にインゴットが回転する旋盤または他のデバイスを使用してもよい。
【0073】
いくつかのアルミニウム合金は、他のものよりも特定の技術を使用してより好適に機械加工され得るため、材料特性が有用なスカルピング技術を決定し得る。代替的には、利用可能なスカルピング装置を使用して、どのアルミニウム合金を外部領域及び組成的勾配ゾーンに使用し得るかを決定することができる。
【0074】
しかしながら、いくつかの場合では、外部領域及び内部領域に使用されるアルミニウム合金の材料特性の組み合わせを評価して、どのアルミニウム合金が外部領域に好適であるかを特定してもよい。例えば、外部領域の熱伝達係数は、内部領域から外部領域への熱伝達速度及び冷却水を制御して、鋳造プロセス中の内部領域への破砕及び/または損傷を防止することが望ましい場合があるため、考慮すべき有用な特性であり得る。鋳造プロセス中に内部領域への破砕、き裂、または他の損傷に対する保護効果を提供するために、内部領域内に発生し得る応力に対応する特定の延性を有する外部領域を選択することが有益であり得るため、外部領域の延性はまた、適切な外部領域アルミニウム合金の選択においても役割を果たし得る。内部領域の熱収縮に対応し、鋳造中または鋳造後に起こる冷却中の内部領域への破砕、き裂、または他の損傷に対する保護効果を提供するために、内部領域の合金と同じまたは異なる熱膨張特性を有する外部領域中の合金の使用は有益であり得るため、熱膨張特性はまた、外部領域の適切な合金の選択にも役割を果たし得る。
【0075】
いくつかの場合では、複合インゴットは鋳造中に安定していてもよいが、複合インゴット内の残留応力のために、スカルピングの前または最中に破裂する可能性がある。任意選択で、複合インゴットは、複合インゴット内の応力を緩和、制限、または別様に低減するために、鋳造後、及びスカルピング前に、様々な加工ステップに供され得る。例えば、複合インゴットは、任意選択で、鋳造ピットから取り外した後、及びスカルピングの前に予熱及び/または均質化されてもよい。例示的な予熱及び均質化温度は、約325℃~約450℃、または約325℃~約400℃などの約325℃~約520℃の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、インゴットを、特定の温度または複数の温度で2~24時間保持して均質化し、次いで、インゴットを冷却する。複合インゴットをこれらの範囲内の温度(複数可)及び時間に予熱及び/または均質化することは、金属間沈殿を制限するのに有用であり得る。
【0076】
一旦調製されると、図9に示されるインゴット920のようなモノリシックインゴットは、任意の好適な手段によって加工され得る。図9は、スカルピング装置またはツール950を備えた複合インゴット鋳造及びスカルピングプロセス955に従って調製されたモノリシックインゴット920を、均質化ステップ960、熱間圧延ステップ965、及び冷間圧延ステップ970を含む追加の非限定的な加工ステップに供する概略図を更に提供する。他の例示的な加工ステップは、溶体化熱処理ステップ、均質化ステップ960と熱間圧延ステップ965との間の予熱ステップ、及び予熟成ステップが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの場合では、スカルピングプロセス955は、任意選択で、図7A~7Bに記載されるプロセスであり得る。
【0077】
均質化ステップ960では、モノリシックインゴット920などの製造物を、約400℃~約500℃の範囲の温度に加熱する。例えば、製造物は、約400℃、約410℃、約420℃、約430℃、約440℃、約450℃、約460℃、約470℃、約480℃、約490℃、または約500℃の温度に加熱され得る。次いで、製造物を一定期間浸漬(すなわち、示された温度で保持)させて、均質化製造物を形成する。いくつかの実施例では、加熱及び浸漬相を含む均質化ステップ960の合計時間は、最大24時間であり得る。例えば、均質化ステップ960について最大24時間の合計時間、製造物を約400℃~約520℃で加熱し、浸漬し得る。任意選択で、均質化ステップ960について18時間を超える合計時間、製造物を490℃未満に加熱し、浸漬し得る。いくつかの場合では、均質化ステップ960は、複数のプロセスを含む。いくつかの非限定的な例では、均質化ステップ960は、製造物を第1の期間の間、第1の温度に加熱し、続いて第2の期間の間、第2の温度に加熱することを含む。非限定的な例では、製造物を約465℃に約3.5時間加熱し、次いで、約480℃に約6時間加熱し得る。
【0078】
均質化ステップ960の後に、熱間圧延ステップ965を実施し得る。熱間圧延の開始前に、均質化製造物を300℃~520℃の温度に冷却し得る。例えば、均質化製造物を、325℃~500℃、または350℃~450℃、または375℃~425℃の温度に冷却し得る。次いで、均質化製造物を300℃~520℃の温度で熱間圧延して、3mm~200mm(例えば、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、80mm、85mm、90mm、95mm、100mm、110mm、120mm、130mm、140mm、150mm、160mm、170mm、180mm、190mm、200mm、またはその間のどこか)のゲージを有する熱間圧延プレート、熱間圧延シェート、または熱間圧延シートを形成し得る。熱間圧延中、温度及び他の作動のパラメータを、熱間圧延機からの出口の熱間圧延中間製造物の温度が440℃以下、430℃以下、420℃以下、410℃以下、または400℃以下であるように制御し得る。
【0079】
例示されるように、熱間圧延製造物を冷間圧延ステップ970に供することができ、冷間圧延機を使用して、熱間圧延製造物を、冷間圧延シートまたはシェートなどのより薄い製造物に加工することができる。冷間圧延製造物は、約0.5~10mm、例えば、約0.7~6.5mmのゲージを有し得る。任意選択で、冷間圧延製造物は、0.5mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、4.5mm、5.0mm、5.5mm、6.0mm、6.5mm、7.0mm、7.5mm、8.0mm、8.5mm、9.0mm、9.5mm、または10.0mmのゲージを有し得る。冷間圧延は、冷間圧延の開始前のゲージと比較して、最大85%のゲージの低減(例えば、最大10%、最大20%、最大30%、最大40%、最大50%、最大60%、最大70%、最大80%、または最大85%の低減)を表す最終ゲージ厚さをもたらすように実施され得る。
【0080】
任意選択で、第1の冷間圧延プロセスが実施され、続いて焼きなましプロセス(焼きなまし間(interannealing))、続いて第2の冷間圧延プロセスが実施されるなど、冷間圧延ステップ中に焼きなまし間プロセスが実行され得る。焼きなまし間ステップは、約300℃~約450℃(例えば、約310℃、約320℃、約330℃、約340℃、約350℃、約360℃、約370℃、約380℃、約390℃、約400℃、約410℃、約420℃、約430℃、約440℃、または約450℃)の温度で実施され得る。いくつかの場合では、焼きなまし間ステップは、複数のプロセスを含む。いくつかの非限定的な例では、焼きなまし間ステップは、部分的冷間圧延製造物を第1の期間の間、第1の温度に加熱し、続いて第2の期間の間、第2の温度に加熱することを含む。例えば、部分的冷間圧延製造物を約410℃に約1時間加熱し、次いで、約330℃に約2時間加熱し得る。
【0081】
未加工のモノリシックアルミニウム合金インゴット、均質化モノリシックアルミニウム合金インゴット、または圧延モノリシックアルミニウム合金製造物は、任意選択で、溶体化熱処理ステップを受けることができる。溶体化熱処理ステップは、可溶性粒子の溶解をもたらす任意の好適な処理であり得る。製造物を、例えば、最大590℃(例えば、400℃~590℃)のピーク金属温度(PMT)まで加熱し、PMTで一定期間浸漬して、高温製造物を形成し得る。例えば、鋳造物、均質化、及び/または圧延製造物を、480℃で、最大30分(例えば、0秒、60秒、75秒、90秒、5分、10分、20分、25分、または30分)の浸漬時間で浸漬し得る。加熱及び浸漬後、急速に200℃/秒超の速度で500℃~200℃の温度に冷却し、熱処理製造物を形成する。一実施例では、高温製造物は、450℃~200℃の温度に、200℃/秒を上回るクエンチ速度で冷却される。任意選択で、冷却速度は、他の場合においてより速くなり得る。
【0082】
任意選択で、熱処理製造物は、例えば、巻き取る前に再加熱することによって、予熟成処理を受けることができる。予熟成処理は、約70℃~約125℃の温度で、最大6時間の期間、実施され得る。例えば、予熟成処理は、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、約100℃、約105℃、約110℃、約115℃、約120℃、または約125℃の温度で実施され得る。任意選択で、予熟成処理は、約30分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、または約6時間、実施され得る。予熟成処理は、熱処理製造物を、放射熱、対流熱、誘導熱、赤外線熱などを放出するデバイスなどの加熱デバイスを通過させることによって実施され得る。
【0083】
本明細書に記載のモノリシックアルミニウム合金製造物は、シート、プレート、または他の好適な製造物の形態の製造物を作製するために使用され得る。例えば、本明細書に記載の製造物を含むプレートは、均質化ステップでモノリシックアルミニウム合金インゴットを加工し、続いて熱間圧延ステップを行うことによって調製され得る。熱間圧延ステップでは、モノリシックアルミニウム合金製造物を、200mm厚のゲージ以下(例えば、約10mm~約200mm)に熱間圧延し得る。例えば、モノリシックアルミニウム合金製造物は、約10mm~約175mm、約15mm~約150mm、約20mm~約125mm、約25mm~約100mm、約30mm~約75mm、または約35mm~約50mmの最終ゲージ厚を有するプレートに熱間圧延され得る。いくつかの場合では、プレートは、シートなどのより薄い金属製造物に圧延されて得る。いくつかの実施形態では、最終シートは、高温スタンプ及び/または高温形成され、任意選択で陽極酸化され得る。
【0084】
図10Aを参照すると、インゴットは、インゴット切断の頭及び突合せで示される。図10A及び図10Bは、部分的にスカルピングされた組成物勾配アルミニウム合金製造物の概略図を提供し、図10Aの構成は、第1及び第2の端部でスカルピングされ、図10Bの構成は、上部及び下部の圧延面上でスカルピングされる。図10Aに示すように、スカルピングされた第1及び第2の端部(端部面)を有する実施形態では、圧延面上のより純粋な、したがってより柔質な外部領域合金を有することによって、シートの耐食性及び結合耐久性を、内部領域合金単独からなる製造物と比較して改善することができる。したがって、改善された表面特性を実証するシートは、追加の処理なしで得られ、いくつかの場合では、曲げ、スタンピング、ストリーキング、及びローピング性能が改善される。図10Bに示すように、スカルピングされた上部及び下部の圧延面を有する実施形態では、熱間圧延中に端部き裂を起こしやすい内部領域合金について、インゴット端部の外部領域合金は、熱間圧延の結果として一般的に見られる端部き裂の低減が得られ得る。したがって、熱間圧延後、これらの端部は必要に応じてトリミングされ得る。更に、外部領域合金は、より柔質な(より純粋な)ため、端部でのひび割れの影響が低減し得る。
【0085】
それぞれ、図10A及び10Bのスカルピングされたままの製造物1000A及び1000Bは、図9のインゴット920について上述されるように同様に加工されてもよく、均質化ステップ1060、熱間圧延ステップ1065、及び冷間圧延ステップ1070が含まれるが、これらに限定されない。他の例示的な加工ステップは、溶体化熱処理ステップ、均質化ステップ1060と熱間圧延ステップ1065との間の予熱ステップ、及び予熟成ステップが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
図11は、スカルピングされず、インゴットを作製し、加工してアルミニウム合金製造物を作製した、組成物勾配アルミニウム合金製造物1100の概略図を提供する。図6に示されるようにインゴット600に類似する合金製造物1100は、均質化ステップ1160、熱間圧延ステップ1165、及び冷間圧延ステップ1170を含むがこれらに限定されないなどの上述のように同様に加工され得る。図10A及び10Bのスカルピングされたままの製造物1000A及び1000Bと同様に、他の例示的な加工ステップは、溶体化熱処理ステップ、均質化ステップ1160と熱間圧延ステップ1165との間の予熱ステップ、及び予熟成ステップが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
以下の実施例は、本発明を更に例示するのに役立つだろうが、しかしながら、同時にそれらのいかなる制限も構成するものではない。それどころか、本明細書の説明を読んだ後、本発明の趣旨から逸脱することなく、当業者にそれ自体を示唆し得る、様々な実施形態、修正、及びその等価物に頼ることができることを明確に理解される必要がある。以下の実施例に記載される研究の間、別段の記載がない限り、従来の手順に従った。手順の一部を、説明の目的のために以下に記載する。
【0088】
実施例1
複合インゴットは、図1~4に例示されるように、同時二重鋳造技術によって形成される。内部領域に使用されるアルミニウム合金は、AA5182アルミニウム合金である。外部領域に使用されるアルミニウム合金は、AA1100アルミニウム合金である。AA1100製造物を、組成的勾配領域でAA5182に希釈する。これにより、流路の分離や毒することが必要ないため、スクラップの回収及びリサイクルが単純になる。溶融AA5182及び溶融AA1100によって形成された勾配液体層は、温度躍層(熱)、塩分躍層(塩分)、または化学躍層(化学)の層化形態で自然界に容易に見出されるものと類似している。2つの溶融合金の界面で組成的勾配ゾーンを維持するために、構造を使用して注入速度ベクトルを再指向し、したがって混合を排除する方法によって乱流を低減する。この実施例では、コンボバッグまたはメッシュスクリーンを使用する溶融アルミニウム鋳造を使用して、溶融金属の流れが鋳造方向に垂直に再指向されるように、限られた量の乱流を達成する。鋳造されたままの組成的勾配ゾーンの厚さは、側面当たり約10.5mm、側面当たり約26mmの外部領域であり得る。スカルピング操作中、外部領域に対応する側面当たり約36.5mmは、別々の圧延作業によって各圧延面から除去されて、モノリシックAA5182アルミニウムインゴットを形成し得る。モノリシックインゴットは、続く加工のために圧延機に移される。インゴットの短い面上の端部き裂を抑制することができる。
【0089】
実施例2
別の複合インゴットは、図1~4に例示されるように、2つの合金が単一の型に鋳造される、同時二重鋳造技術によって形成される。内部領域に使用されるアルミニウム合金は、AA7075アルミニウム合金である。外部領域に使用されるアルミニウム合金は、AA1100アルミニウム合金である。AA1100シリーズ製造物を、組成的勾配領域でAA7075に希釈する。これにより、流路の分離や毒することが必要ないため、スクラップの回収及びリサイクルが単純になる。溶融AA7075及び溶融AA1100によって形成された勾配液体層は、温度躍層(熱)、塩分躍層(塩分)、または化学躍層(化学)の層化形態で自然界に容易に見出されるものと類似している。2つの溶融合金の界面で組成的勾配ゾーンを維持するために、構造を使用して注入速度ベクトルを再指向し、したがって混合を排除する方法によって乱流を低減する。コンボバッグまたはメッシュスクリーンは、溶融金属の流れが鋳造方向に垂直に、例えば、所望の界面平面に平行に再指向されるように、限られた量の乱流を達成するために使用される。流速を制御することにより、乱流を最小限に抑える。代替的に、磁場を使用して、組成的勾配ゾーンに垂直な方向に乱流を抑制し得る。鋳造されたままの組成的勾配ゾーンの厚さは、側面当たり約10.5mm、側面当たり約26mmの外部領域である。インゴットは、続く加工のために圧延機に移される。インゴット鋳造時の低温き裂が抑制される。
【0090】
態様の説明
以下で使用されるように、一連の態様(例えば、「態様1~4」)または列挙されていない態様の群(例えば、「任意の先行または後続の態様」)への任意の言及は、それらの態様の各々への選言的言及として理解される必要がある(例えば、「態様1~4」は、「態様1、2、3、または4」として理解される必要がある)。
【0091】
態様1は、組成勾配アルミニウム合金製造物を調製する方法であって、第1のアルミニウム合金を含む内部領域と、内部領域を囲む外部領域であって、外部領域が第1のアルミニウム合金とは異なる第2のアルミニウム合金を含む、外部領域と、内部領域と外部領域との間の組成的勾配ゾーンと、を含む、複合インゴットを、金型中に鋳造することを含み、第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素が、組成的勾配ゾーンを通って、内部領域から外部領域への方向に減少する含有量を有する、方法である。
態様2は、第1のアルミニウム合金及び第2のアルミニウム合金が、同時に鋳造される、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様3は、第1のアルミニウム合金が、第1の高さから金型に送達され、第2のアルミニウム合金が第2の高さから金型に送達され、第2の高さが、第1の高さと異なる、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様4は、複合インゴットをスカルピングして、組成的勾配ゾーン及び外部領域の少なくとも一部分を圧延面から除去することを更に含む、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様5は、スカルピングが、材料を除去して、第1のアルミニウム合金を含むモノリシックインゴットを生成することを含む、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様6は、第1のアルミニウム合金が、7xxxシリーズアルミニウム合金、5xxxシリーズアルミニウム合金、または2xxxシリーズアルミニウム合金を含む、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様7は、第1のアルミニウム合金が、7075アルミニウム合金、5182アルミニウム合金、または2024アルミニウム合金を含む、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様8は、第2のアルミニウム合金が、1xxxシリーズアルミニウム合金を含む、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様9は、第2のアルミニウム合金が、少なくとも99.7%の純度を有する、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様10は、第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素が、Zn、Cu、Mg、またはNaを含む、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様11は、外部領域が、少なくとも1つの合金化元素を実質的に欠いている、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様12は、複合インゴットが、実質的にき裂を欠いている、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様13は、き裂が、低温き裂、高温き裂、端部き裂、または突合せき裂を含む、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様14は、複合インゴットが、実質的に多孔性を欠いている、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様15は、多孔性が、熱間圧延中の破砕からの核形成点としての細孔を含む、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様16は、複合インゴットを鋳造することが、外部領域が冷却水と接触する配置で内部領域及び外部領域が共鋳造される、直接冷却鋳造プロセスを含む、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様17は、外部領域が、複合インゴットの全厚さの7%~15%の厚さを有する、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様18は、組成的勾配ゾーンが、複合インゴットの全厚さの2%~10%の厚さを有する、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様19は、モノリシックインゴットまたは複合インゴットを加工して、第1のアルミニウム合金を含むアルミニウム合金シェート、プレート、またはシートを形成することを更に含む、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様20は、均質化プロセス、熱間圧延プロセス、冷間圧延プロセス、焼きなましプロセス、溶体化熱処理プロセス、焼入れプロセス、または表面処理プロセスのうちの1つ以上を更に含む、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様21は、鋳造中に磁場を指向することを更に含み、磁場は、組成的勾配ゾーンに垂直な方向に乱流を抑制するように構成されている、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様22は、組成的勾配ゾーンに垂直な方向に乱流を抑制するために鋳造中に磁場を指向することを更に含み、指向することは、磁場を第1の高さと第2の高さとの間の高さに配置することを含む、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様23は、組成的勾配ゾーンに垂直な方向に乱流を抑制するために鋳造中に磁場を指向することを更に含み、磁場を指向することは、スキムダムを提供することを含み、スキムダムは、第1の高さと第2の高さとの間の高さで溶融液体内に配置される、任意の先行または後続の態様に記載の方法である。
態様24は、任意の先行または後続の態様のいずれか1つに記載の方法によって調製されたアルミニウム合金複合インゴットである。
態様25は、アルミニウム合金複合インゴットであって、第1のアルミニウム合金を含む内部領域と、内部領域を囲む外部領域であって、外部領域が第1のアルミニウム合金とは異なる第2のアルミニウム合金を含む、外部領域と、内部領域と外部領域との間の組成的勾配ゾーンと、を含み、第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素が、組成的勾配ゾーンを通って、内部領域から外部領域への方向に減少する含有量を有する、アルミニウム合金複合インゴットである。
態様26は、第1のアルミニウム合金が、7xxxシリーズアルミニウム合金、5xxxシリーズアルミニウム合金、または2xxxシリーズアルミニウム合金を含む、任意の先行または後続の態様に記載のアルミニウム合金複合インゴットである。
態様27は、第1のアルミニウム合金が、7075アルミニウム合金、5182アルミニウム合金、または2024アルミニウム合金を含む、任意の先行または後続の態様に記載のアルミニウム合金複合インゴットである。
態様28は、第2のアルミニウム合金が、1xxxシリーズアルミニウム合金を含む、任意の先行または後続の態様に記載のアルミニウム合金複合インゴットである。
態様29は、第2のアルミニウム合金が、少なくとも99.7%の純度を有する、任意の先行または後続の態様に記載のアルミニウム合金複合インゴットである。
態様30は、第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素が、Zn、Cu、Mg、またはNaを含む、任意の先行または後続の態様に記載のアルミニウム合金複合インゴットである。
態様31は、外部領域が、少なくとも1つの合金化元素を実質的に欠いている、任意の先行または後続の態様に記載のアルミニウム合金複合インゴットである。
態様32は、複合インゴットが、実質的にき裂を欠いている、任意の先行または後続の態様に記載のアルミニウム合金複合インゴットである。
態様33は、き裂が、低温き裂、高温き裂、端部き裂、または突合せき裂を含む、任意の先行または後続の態様に記載のアルミニウム合金複合インゴットである。
態様34は、複合インゴットが、実質的に多孔性を欠いている、任意の先行または後続の態様に記載のアルミニウム合金複合インゴットである。
態様35は、多孔性が、熱間圧延中の破砕からの核形成点としての細孔を含む、任意の先行または後続の態様に記載のアルミニウム合金複合インゴットである。
態様36は、外部領域が、複合インゴットの全厚さの7%~15%の厚さを有する、任意の先行または後続の態様に記載のアルミニウム合金複合インゴットである。
態様37は、組成的勾配ゾーンが、複合インゴットの全厚さの2%~10%の厚さを有する、任意の先行または後続の態様に記載のアルミニウム合金複合インゴットである。
態様38は、任意の先行または後続の態様のいずれか1つに記載の方法によって調製された圧延アルミニウム合金製造物である。
態様39は、圧延アルミニウム合金製造物であって、第1のアルミニウム合金を含む内部領域と、内部領域を囲む外部領域であって、外部領域が第1のアルミニウム合金とは異なる第2のアルミニウム合金を含む、外部領域と、内部領域と外部領域との間の組成的勾配ゾーンと、を含み、第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素が、組成的勾配ゾーンを通って、内部領域から外部領域への方向に減少する含有量を有する、圧延アルミニウム合金製造物である。
態様40は、任意の先行または後続の態様のいずれかに記載のインゴットから作製された、任意の先行または後続の態様に記載の圧延アルミニウム合金製造物である。
態様41は、第1のアルミニウム合金が、7xxxシリーズアルミニウム合金、5xxxシリーズアルミニウム合金、または2xxxシリーズアルミニウム合金を含む、任意の先行または後続の態様に記載の圧延アルミニウム合金製造物である。
態様42は、第1のアルミニウム合金が、7075アルミニウム合金、5182アルミニウム合金、または2024アルミニウム合金を含む、任意の先行または後続の態様に記載の圧延アルミニウム合金製造物である。
態様43は、第2のアルミニウム合金が、1xxxシリーズアルミニウム合金を含む、任意の先行または後続の態様に記載の圧延アルミニウム合金製造物である。
態様44は、第2のアルミニウム合金が、少なくとも99.7%の純度を有する、任意の先行または後続の態様に記載の圧延アルミニウム合金製造物である。
態様45は、第1のアルミニウム合金の少なくとも1つの合金化元素が、Zn、Cu、Mg、またはNaを含む、任意の先行または後続の態様に記載の圧延アルミニウム合金製造物である。
態様46は、外部領域が、少なくとも1つの合金化元素を実質的に欠いている、任意の先行または後続の態様に記載の圧延アルミニウム合金製造物である。
態様47は、複合インゴットが、実質的にき裂を欠いている、任意の先行または後続の態様に記載の圧延アルミニウム合金製造物である。
態様48は、き裂が、低温き裂、高温き裂、端部き裂、または突合せき裂を含む、任意の先行または後続の態様に記載の圧延アルミニウム合金製造物である。
態様49は、複合インゴットが、実質的に多孔性を欠いている、任意の先行または後続の態様に記載の圧延アルミニウム合金製造物である。
態様50は、多孔性が、熱間圧延中の破砕からの核形成点としての細孔を含む、任意の先行または後続の態様に記載の圧延アルミニウム合金製造物である。
態様51は、外部領域が、複合インゴットの全厚さの7%~15%の厚さを有する、任意の先行または後続の態様に記載の圧延アルミニウム合金製造物である。
態様52は、組成的勾配ゾーンが、複合インゴットの全厚さの2%~10%の厚さを有する、任意の先行または後続の態様に記載の圧延アルミニウム合金製造物である。
【0092】
上で引用された全ての特許、刊行物、及び要約は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。例示される実施形態を含む実施形態の前述の説明は、単なる例示及び説明の目的のために提示されており、網羅的であること、または開示された正確な形態に限定することを意図しない。その多数の修正、適応、及び使用が、当業者に明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
【国際調査報告】